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1978-04-20 第84回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第8号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君    理事 加藤 六月君 理事 左藤  恵君    理事 中村 弘海君 理事 太田 一夫君    理事 新井 彬之君 理事 青山  丘君       井上  裕君    北川 石松君       玉生 孝久君    水平 豊彦君       後藤  茂君    草野  威君       東中 光雄君    伊藤 公介君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君  委員外出席者         警察庁交通局参         事官      勝山  亮君         警察庁交通局交         通指導課長   広谷 干城君         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         建設省道路局企         画課長     渡辺 修自君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 沖本委員長(沖本泰幸)

    ○沖本委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草野威君。
  3. 草野委員(草野威)

    草野委員 私は自動車事故に対する被害者救済の問題について何点かお伺いいたします。  まず初めに自賠責保険限度額引き上げの問題でございますけれども、去る二月の予算委員会におきまして私もこの問題を取り上げて大臣にお伺いいたしました。またその後わが党の石田、長田委員も同じ問題について政府見解をただしたわけでございます。先般の大臣答弁によりますと、大臣は、被害者保護に欠くることのないようにしなければならない、そういうことで私も大いに考えてみたい、またこの限度額引き上げにつきましては遠からず措置は必要と考えている、いずれにしても余り長くこのままではいけない、このように思っているというような答弁がございました。大臣予算案審議の最中でありましたのではっきりとお答えができなかった点もあるとは思いますけれども、ともかく現在の千五百万という限度額は五十年七月に改定して以来そろそろもう三年をたとうとしているわけでございます。その間の賃金物価の変動、また医療費の上昇、さらには最近における賠償水準動向等を勘案いたしますと、早急に限度額引き上げるべきだ、私はこのように考えるわけでございます。  去る四月四日に五十三年度の予算も成立いたしましたけれども現行限度額を前提として組まれているわけでございますが、五十年七月に引き上げられたときと同じようなやり方を工夫してやればこの五十三年度中にも限度額引き上げは十分に可能ではないか、このように私は考える次第でございます。  特に五十三年度の自賠責保険特別会計予算には約九千七百億円もの多額な予備費が計上されているわけでございます。したがってこれを原資とするならば当面二千五百万、三千万円までの引き上げの財源は十分に確保されるのではないか、私はこのように考えております。したがっていま私が申し上げましたように、この九千七百億円という予備費を使って現在の保険料引き上げることなく限度額の大幅な引き上げを実施することにつきまして十分に可能ではないか、私はこのように考えるわけでございますけれども、この点につきまして御答弁をいただきたい、このように思います。
  4. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 自賠責保険金限度額引き上げにつきましては、私ども裁判所におきます賠償水準あるいは賃金物価動向等を総合的に勘案いたしまして被害者保護に欠けることのないように検討を進める、こういう基本的態度を持って現在も検討を進めておるところでございます。  私どもといたしましては、いま御指摘予備費の問題、この予備費につきましてはいわゆる将来の再保険金支払いのための資金としての支払備金、未経過保険料、将来の不測事態の発生に備えるための資金等、こういうものを控除しましたいわゆる利益剰余金、こういうものを限度額引き上げの場合に活用いたしまして、御指摘保険料を据え置いて考えたらどうかということも十分検討の中に入れて対処してまいりたい、かように思う次第でございます。
  5. 草野委員(草野威)

    草野委員 ただいま十分に検討してみたいということでございますけれども、この問題につきましてはもう私どもも何回も質問しておるわけでございますし、政府におかれましても十分に検討をされ終わっているのじゃないか、このように思います。  ただいまも予備費の問題で出ましたけれども、最近の自賠特会年度別状況を見ましてもこれは事故が毎年減少している、こういうことによりまして前年の繰越額が千五百億円程度毎年増加をしている、そういうことでこの九千七百億円という膨大な予備費がございますけれども、いまおっしゃいましたが不測事態に備えての予備費としては少し多額過ぎるのではないか、このようにも思えるわけでございます。また、この再保険及び保険金として支払いに必要な経費が五十三年度におきましても二千八百億円計上されておりますけれども、そうなりますと予備費をこんなにも多額にプールしておく理由というものは一体どういうところにあるのか、このように思わざるを得ないわけでございます。したがって、私はこの予備費のこれからの増加傾向考えますと、これを活用した補償限度引き上げということは十分に可能ではないか。  たとえば、簡単な計算でございますけれども、千五百億円の増加額支払い経費二千八百億円の約五四%に当たっているわけでございます。これを五〇%としても、現行限度額千五百万円の五〇%引き上げということになりますと、二千二百万から二千三百万ということになりまして、私が先ほど申しました二千五百万円への引き上げは十分に可能ではないか、そしてまた、引き上げたとしても自賠特会を破綻させるようなことはない、このように私は考えるわけでございますが、その点についてもう一回御答弁をいただきたいと思います。
  6. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 予備費を活用しての保険金限度額引き上げについてどうかというお尋ねでございますが、保険金限度額をどうするかというのは、基本的には先ほど申し上げましたように裁判所におきます賠償水準なり賃金物価動向、あるいは前回改定以後の諸般の状況ということから出てくるわけでありまして、限度額をどういう形で保険収支の上で賄っていくかということに相なりますと、先生指摘のように、私どもとしても予備費の中の利益剰余金に当たる部分についてこれを原資として十分活用考えてまいりたい、こういう態度でございます。
  7. 草野委員(草野威)

    草野委員 ただいまの御答弁によりますと、九千七百億円の予備費原資として十分にこれから考えていきたいということでございます。いまの御答弁に私どもも大いに期待をいたしますので、できるだけ早い時期に限度額引き上げを踏み切っていただきたい。  それから、限度額引き上げの時期についてどのようにお考えになっておりますか。
  8. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 ただいま御答弁申し上げましたようないろいろな検討をいたしまして、その検討結果を踏まえて大蔵省とも御相談して、自賠責保険審議会への諮問、その取り進めといった手続を経まして、私どもの方としては作業関係もございますが、できるだけ作業を急ぎまして結論を得たいと考えております。
  9. 草野委員(草野威)

    草野委員 次に移ります。  大蔵省に伺いますけれども、ただいまもできるだけ早く作業を急いでというお話もございましたので、ごく近い将来に限度額引き上げが実現する、このように期待しているわけでございますけれども、その引き上げに関連して、任意保険について若干質問したいと思います。  自賠責保険限度額引き上げられれば当然対人賠償保険にも少なからずいろいろな影響が出てくると思います。たとえば対人事故を起こした場合ですが、これを起こしますとまず自賠責保険が支払われる、そして賠償額支払い額を超える場合にはさらに対人賠償保険の方からその超過額が支払われる、このような仕組みになるわけですね。そのような意味におきましては、これは自賠責保険上乗せ保険というように言われるわけでございますけれども自賠責保険支払い限度額引き上げられますと、当然その分だけ対人賠償保険支払い額が減少してくる、このような結果になるわけですね。したがって、当然収支も改善されてくるわけでございますので、対人賠償保険料率引き下げは可能になるはずでございます。  また、過去の例を見ましても、四十八年十二月に限度額が五百万円から一千万円に引き上げられた際に、四十九年一月に任意対人賠償保険料率を一四%引き下げたという例がございます。  当然のことだと思いますけれども、この料率の問題につきましては、収支検証だとかまた最近の損害率状況だとか、こういうことが十分検討されるわけだと思います。しかし、この自賠責限度額引き上げが実施されますと任意保険料率は同時に引き下げるべきである、このように思いますけれども大蔵省の御見解を伺いたいと思います。
  10. 貝塚説明員(貝塚敬次郎)

    貝塚説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、自賠責限度額が上がりますと、その上に乗っかっております任意保険対人賠償収支が改善されることはそのとおりでございます。しかし、これも御指摘があったように、収支が改善されましても現在の収支が悪いと料率引き上げ要因というのもあるわけでございまして、言葉をかえますと、料率引き下げるほどに改善されない場合もあり得るということでございます。先生、先ほど四十八年に引き下げた例があるというふうに言われましたが、過去三十五年、三十九年、四十二年、四十四年、五十年と自賠責限度を上げましたときは、任意料率は三〇%であるとか、多いときには一一四%、少ないときでも一%とか、検証の結果によって上がっている例があるわけでございます。  したがいまして、いま御質問任意保険料率をどうするかという問題は、その時期の問題、幅の問題そのときにおける任意収支状況、こういうことによって左右されるわけでございますので、いまこの場で引き上げとか引き下げとか判断できませんが、いずれにいたしましても、自賠責限度額引き上げについて具体化いたしました段階では、速やかに検証を行いまして適切に処理してまいりたいと思っております。
  11. 草野委員(草野威)

    草野委員 この損害率状況はいまどうですか。
  12. 貝塚説明員(貝塚敬次郎)

    貝塚説明員 ちょっと申しわけございませんが、いま、現在の対人任意収支は持っておりませんが、この対人収支というのは自賠責限度を上げたときから先の一年間の収支検証するものでございます。
  13. 草野委員(草野威)

    草野委員 この点については十分ひとつ検討をいただきたいと思います。  次に移りますが、自賠責保険限度額引き上げられた場合のことに関連して、自賠責保険制度の問題について何点かお伺いしたいと思います。  まず、自賠責保険支払い基準の問題でございます。  現行支払い基準は五十二年四月に引き上げられたわけですが、この内容を見ると、死亡による損害については葬儀費が三十万円、死亡本人慰謝料が百五十万円、遺族の慰謝料請求権者一名の場合は二百五十万円、二名の場合は三百五十万円、三名以上の場合は四百五十万円となっているわけですね。この支払い基準につきましては、政府におかれましても、賃金物価動向に即応して弾力的に改定を行っていくと常々表明をしているところでございますが、自賠責保険限度額引き上げに合わせて支払い基準内容についても大幅に引き上げをすべきではないかと考えるわけですが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。  もう一点は自損事故の問題でございます。自損事故自賠責対象になっていないわけでございますけれども、この点につきましては、交通遺児育英会を初め多くの団体から自損事故についても十分に取り組んでいただきたいという要望が出されているわけでございます。任意保険の方は五十一年一月一日から自損事故についても認めているというふうに聞いておりますが、この問題についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  14. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 まず第一に、支払い基準の問題でございますが、先生、先刻御存じのように、支払い基準は具体的な支払い額を決定するための基準でございますので、これが実態と遊離することのないように、われわれも今日まで配慮してきておるわけでありまして、したがって、これまでも随時見直しを行うというたてまえで四十八年、五十年、五十二年と一年ないし二年の間に一回ずつの改定を行ってきたわけであります。  そこで現在の支払基準見直しにつきましては、限度額引き上げとの関連も配慮しながら、賃金物価水準動向を踏まえまして、先ほど申し上げました被害者救済に欠けないように適切に、適時に配慮していきたい、かように思います。  第二の自損事故の点でございますが、これにつきましては、自賠責は現在あくまで損害賠償ということを対象にいたしておりまして、これに自損事故を包含させるかどうかということは、自賠責制度の根幹に触れる問題でありまして、にわかに結論を出すということにつきましては、相当検討すべき問題点があろうと思います。私どもとしましては、これにつきましては、任意保険ということで現在賄われておりますが、なお今後慎重に対応していく事柄というふうに考えております。
  15. 草野委員(草野威)

    草野委員 ただいまの自損事故の件、それから葬儀費だとか慰謝料の問題につきましては、ひとつ十分にこれからも配慮していただきたいと要望いたします。  次に、後遺障害等級の是正という問題についてお伺いをいたします。  自賠責保険におきましては、後遺障害認定に当たって労災保険同一等級表を用いているわけでございますが、労災の方は、本来成年勤労者災害対象としてつくられたものでございますが、自賠責の方は、幼児であるとか老人だとか主婦だとか、こういう人たち対象になるわけでございます。  たとえば、この後遺障害認定基準として、女子の場合を一つの例に取り上げますと、女子の方がけがされた場合、事故に遭った場合、女子外貌醜状ということにつきまして、これは年齢いかんを問わず、その程度によりまして、第七級とか第十二級というふうに区分をしている。こういうこととか、それから職業が違いますと、同じ程度障害であってもこうむる損害額というものがその本人にとって大きく違ってくるわけですね。たとえば、こういう例はどうかと思いますけれども、嫁入り前の娘さんと、それからかなりの年をとったおばあさんが同じような障害を受けたとしても、それぞれ御本人が受ける損害程度といいますか額といいますか、こういうものは相当大きく変わってくるわけですね。現在では七級と十二級、この二つにだけしか区分されていない。こういう点につきまして、やはり配慮が十分でない、実情にそぐわない面が多いのではないか、このように考えるわけでございます。したがって、この自賠責保険後遺障害等級表も、この際こういう点から見直す必要があるのではないか、このように思いますけれども運輸省の御見解をいただきたいと思います。
  16. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 確かに先生指摘のように、私ども自賠責におきまして、後遺障害認定につきましては、労災保険同一後遺障害等級表によっておるわけであります。これは、この等級表事故の原因のいかんを問わずに、後遺障害の症状の態様に応じた等級を定めたということと、斯界の学識経験者を網羅いたしまして作成されたということで、社会的にも定着しているということから、同様の扱いをしておるわけでありまして、いま先生指摘の点につきましては、そういった要素を加味して考えていくという場合には、私ども、幾つかの問題点があろうかと考えておるわけでありまして、一つ労働災害の中に自動車事故によるものも含まれておるわけでありまして、労災の適用のある方が自動車事故によって後遺障害を起こした場合に、両方で違った基準で別々の認定がなされるということがいいかどうかということ、また自賠責保険後遺障害認定に当たりまして、年齢要素を加味するという場合に、成年勤労者対象としております労災基準よりも、ケースによりましては、老人幼児あるいは主婦等につきまして認定が下がってくるというようなケース考えられてくる。その場合には現在の被害者保護との関係でどうであろうか。また、職業差異といった被害者個人個別的事情がわれわれの基本的な保護としての自賠責保険の中に入ってくることが妥当かどうか、いろいろなむずかしい問題があろうかと思います。このような、いま申し上げましたような問題がございます。  そこで、御指摘の点もまた重要な問題でありますので、専門家各位の御意見も承りながら、今後は慎重に検討してまいりたい、かような考えでおるわけでございます。
  17. 草野委員(草野威)

    草野委員 この問題につきましては、政府が管理している保険でございますので、ひとつ不公平な問題が起きないように、十分な検討配慮をお願いしたいと思います。  いまも局長の御答弁の中に、自賠責労災認定基準がばらばらであるようなことがあっては困るというお話もございましたけれども、この自賠責保険等級認定に関連いたしまして、被害者救済の趣旨に反すると思われるような取り扱いがなされている事例がございますので、この点私は指摘をさせていただきたいと思います。  ということは、最近の調査によりますと、神奈川県の大磯町の元建設職人のKさん、二十五歳でございますが、この方は五十一年八月に熱海におきまして坂道で作業中、これは自動車に乗っていたわけでございますけれども、その車が事故を起こしたために、左ひざを骨折した。入院を百二十五日、通院が九ヵ月、こういう治療を受けましたけれども、結局は左足が不自由となって仕事ができなくなってしまった。この事故で、この被害者は五十二年十月に後遺障害十四級と認定されまして、日新火災より保険金を五十六万円の支払いを受けました。その後、業務中の事故ということであったために、労働基準監督署によりまして、労災保険上の認定作業も進められまして、本年二月に小田原の労働基準監督署より十二級という、より高い等級判定が下されたわけでございます。  ちなみに申しますと、この自賠責保険では十二級の判定の場合には保険金が幾らになるかと計算してみますと、百五十七万円になるはずでございます。ということは、つまりこのKさんは百一万円少ない賠償金しかもらえなかった、こういうことになるわけでございます。  自賠責保険後遺障害等級認定は、従来から労災保険障害等級認定基準に準じて行っているはずでございますのに、この同一事故に対してこのように違った等級認定が出されるということは問題ではないか、このように私は考えるわけでございますが、こういう点につきまして運輸省はどのようにお考えでしょうか。
  18. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 先ほどの御質問お答え申し上げましたように、私どもとしましては、後遺障害等級認定につきましては、医師の後遺障害診断書に基づいて行っておるわけでありまして、同一診断書による場合に同一等級認定となるというのは当然のことだろうと思いますし、また、それに差異が生ずるということはあってはならぬというふうに考えております。  いま先生指摘事案につきまして、私どもの方で調査した結果判明した限りで申し上げますと、この場合におきましては、自賠責保険労災保険とでそれぞれ違ったお医者さんの違った診断内容、また、時期も違っておりまして、そういう要素によって認定がなされたために、結果的に違った等級認定が出てまいった。そこで、先生指摘のような額的にも違いがあるじゃないか、こういうようになるわけでありますが、自賠責保険につきましては、その後、請求者から再診断書の提出がなされまして、その再診断書に基づいて労災と同じ十二級の再認定を行ったという報告を受けておるわけであります。この事案はこういうことと私ども理解いたしておりますけれども、やはり後遺障害等級認定というものにつきましては、労災の方の認定と基本的に食い違うということのないように、私ども、今後とも関係先指導してまいりたい、かように思います。
  19. 草野委員(草野威)

    草野委員 診断書を出すのが後だったとか先だったとかいう問題じゃないと思うのです。本質的には。この方は、まず代理店の業者のところへ相談に行ったときに、こういうことを言われているのです。交通事故の場合、自賠責障害等級認定が優先する、労災認定が何級になろうと、自賠責保険給付内容には左右されない、こういうことをおっしゃっているわけですよ。保険の知識なんというものは一般の方は余りございませんので、この人はこの問題で非常に驚いたわけですね。こういう問題については、診断書を後に出した、先に出したから認定が違ったんじゃないか、こういう考え方では困るのです。したがって、こういう問題については、絶対今後こういうことがないように保険会社に対して指導をお願いいたしたい、このように思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  次にいわゆる植物人間救済、これも大きな問題でございますので、この問題につきまして質問をしたいと思います。  最近、自動車事故による死傷者が非常に減少の傾向にあるということは大変喜ばしいことでございますけれども、一方、被害者の中には、幸いにして一命を取りとめることができたものの、精神だとか神経系統に重大な障害を生じて、いわゆる植物人間になっておる、こういう悲惨な例もたくさんわれわれは聞いているわけでございます。こうした被害者が、一生寝たきりの生活を余儀なくされる、また本人の苦痛は言うまでもございませんけれども、その家族の方々の生活までも破壊される、こういうような例もたくさんあるわけでございます。したがって、その救済が強く望まれるわけでございますが、非常に残念なことには、交通事故によって植物人間となった被害者実態、これは私もよくわからないわけでございますけれども、こういう事故に遭われて植物人間になっているという悲惨な実態について、いま当局の方でどの程度把握をされているか、この点をひとつ伺いたいと思います。  また、聞くところによりますと、現在、運輸省指導いたしまして、自動車事故対策センターというところで実態調査を行っているということでございますけれども、この実態調査の結果を踏まえて、その救済措置を何とかひとつ早急に検討すべきじゃないか、このように考えるわけでございますが、運輸省考え方についてひとつ伺いたいと思います。
  20. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 自動車事故によりまして、御指摘のような、ある意味では死にまさると申しましょうか、そういった不幸な状態に立ち至られた方の実態につきましては、私どももいろいろな施策を考えていく場合に、これを正確に把握したい、こういうことで、自動車事故対策センターにおきまして、昨年秋から今年初めにかけまして、後遺障害の一級から七級までに認定されております約一万六千名の方につきまして基礎調査を行いました。それから、そこから抽出いたしました約二千二百名の方につきまして、具体的な生活状況調査ということを実施いたしたわけでございまして、この調査結果につきましては、後遺障害者及びその家族の方に対します聞き取り調査の方法で実施いたしましたが、その取りまとめに若干予想より以上の時間がかかっておりまして、現在、御報告できる段階に来てないのは残念でございますけれども、間もなくこの調査結果のまとめができるというふうに考えておりますので、そういった実態の正確な把握の上に立ちまして、先生が申されているように、私どもとしましても、今後の重度の後遺障害者の方の救済措置のあり方につきまして検討を進めていこう、こういうふうに考えております。
  21. 草野委員(草野威)

    草野委員 それじゃ、次の問題に移りたいと思います。  最近の新聞報道によりますと、運輸省自動車局が、トラック運送業者の新規免許に当たって自動車損害賠償保険の上乗せである任意加入か交通共済制度の加入を条件とする方針を決めた、こういう記事が報道をされております。さらに、新免の業者に対しまして、任意保険を強制というふうに指導する、こういうことを条件というふうにして強く指導されているようでございます。それから、この中に、ただし大手業者は補償能力が十分にあるので除外をする、こういうようなことも報道されておりますけれども、この点につきまして、ひとつ運輸省の方に伺いたいと思います。
  22. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 いま先生が仰せられました考え方というのは、私どもとしましては、自賠責保険制度を根幹といたしまして、いやしくも営業と申しますか、不特定多数の方の荷物を扱う、こういう公共性の強い事業にあっては、当然、事業者みずからが自賠責保険を土台といたしまして、任意保険としてしかるべき措置をとる、こういう対応が必要なわけでありまして、そのことにつきまして、私どもとして、事業者の方で賠償能力等あるいは取り扱いの運送の実態等を考慮して、上乗せの保険に積極的に実態に的確に応ぜられるような措置をとっていくということが必要だろうということから、そういう方針を地方の担当者の会議において示達したわけでございまして、私どもとしては、事業者みずからが公共性に基づいて運送を行う場合にみずからの発意で、特に私ども指導ということでなくてもやっていただきたい。しかし現実を見ますとまだそういう実態にいっておりませんので、これを指導の範囲で取り上げていきたい、こういう考えであるわけでございます。
  23. 草野委員(草野威)

    草野委員 私どもは、この任意賠償保険を強制加入にするという考え方につきまして必ずしも反対ではございません。公共性だとか人命尊重、こういう観点に立ちますと、ある意味ではこれも非常に結構なことである、このように考えるわけでございます。しかし、一部の大手業者の場合はともかくとして、中小零細業者の場合には入りたくても入れないというのが実情じゃないでしょうか。この中にも出ておりますように、たとえば高圧ガスを運ぶタンクローリーの場合、これは現在日本に二千八百台あるそうでございますけれども、高圧ガスタンクローリー自動車保険に入っている台数は約千台、三分の一近いですね。高圧ガスの場合、タンクローリーが一たん事故を起こしますと、恐らく数億円から数十億円という大災害になるわけですね。当然業者としては入りたいことはわかっておっても、任意保険ですらなかなか入れない。これによりますと六二%しか入っていない。その上にまたこういう高圧ガスの保険というものは非常に高いと思いますけれども、入りたくても入ることができないというのが実情じゃないでしょうか。  したがって、私がこの報道を見たときにまず考えたことの一つは、これは自動車局の方で今後十分に指導していただきたい点でございますけれども、果たして現在運送業界に適正運賃が支払われているかどうか。これは常々指摘されてきた件でございますけれども、やはりこういう根本的な問題を解決しない限り、幾ら任意保険を強制ということを言っても、なかなかこれは無理があるのではないか。したがって当局でこの問題を取り上げられる以上、まず適正運賃を完全に実施させる、こういう面について強力に指導していただきたい。  それからもう一つは、先ほど自賠責の問題を取り上げました。私は、当面二千五百万、将来は三千万、こういうことを申し上げたわけでございますけれども任意保険の強制加入ということを現在お考えになっておられるのならば、自賠責はこの際やはり二千五百万とか三千万とか、こういう大幅な限度額引き上げ考えるべきじゃないか、このように思いますが、この二点について当局の見解を伺いたいと思います。
  24. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 第一点のLPGタンクローリーの保険加入の点でございますが、確かに先生おっしゃるように、入りたくても入れない、こういう実態があろうかと思います。そしてそれはまた適正運賃収受を前提として考えていかなければならないことは御指摘のとおりだろうと思います。  そこで、われわれといたしましても、LPGタンクローリーの場合には、特に荷主の範囲も限定されておりますし、使用車両も特殊なものである、運送業者もさほど数が多くないわけでありますので、一般的に言われておりますトラック事業におきます適正運賃収受をこの面から、一つの突破口と申しますか、やっていきたいということで現在推進しておるわけでありまして、全般的にも、適正運賃の収受ということは、こういった保険加入との関連におきましても基本になるという強い認識を持っておるわけでございます。  第二点の、こういった問題を踏まえまして、強制保険へ取り入れていく、あるいは限度額引き上げていくということについてでございますが、私どもとしては、あくまで強制保険という一般的な制度を基礎にいたしまして、その上に立って、事業者自身の問題としてこれを考えていく。その場合におきまして私どもの方から指導も申し上げていく、現段階におきましてはそういう対応をしてまいりたいと思っております。
  25. 草野委員(草野威)

    草野委員 自賠責関係の問題はこれで終わりまして、次の質問に移りたいと思います。大型トラックの死角による事故実態とその要因、こういう問題でございます。  最近、私の地元の神奈川新聞がこの問題について取り上げておりますが、ちょっとその一部を読みたいと思います。「交通諸対策がようやく軌道に乗り、県下の交通死者は年々、減少傾向にある。しかし、こうした中で、これまでさほど目立たなかった大型車による巻き込み事故がクローズアップされている。無免許、酒酔い、速度超過といった交通三悪による事故は、運転者側に重大な過失があるほか、被害者側にもある程度の過失があるケースが多かった。ところが、巻き込み事故は、被害者は信号など交通ルールを正しく守っており、運転者にしても“死角”から歩行者や自転車に全く気づかず巻き込むケースが多い。この“死角”は、車両、道路構造の欠陥が複合したものといわれ、いわば交通行政上、最後に取り残された盲点ともいえる。」こういうような記事が報道されておりました。そしてこの中で、これはことしの三月三日でございますが、神奈川の大和市の主婦であるYさんという方が、四歳と二歳の子供さんを自転車に乗せて、いつものように買い物に行く途中、交差点で信号待ちをしていた。青信号に変わって、交差点に入った途端、覆いかぶさるような巨大なダンプカーの車体。もちろんそのときは警笛もブレーキの音もなかった。あっと声を発する間もなく、Yさんは自転車もろとも地上にたたきつけられた。で、立ち上がることができないYさんのそばには、ハンドル部分がへし曲がった自転車、そして、ぐったりと横たわった幼い愛児二人の姿があった。こういうような記事がありました。そしてこの事故を起こした運転手の方は警察でこの事故について、私はあのとき全く気がつかなかった、サイドミラーも見たが、自転車の影は全くなかったと供述しております。運転手の視界からこのYさんの姿は全く消滅していた、こういうような記事が報道されておりました。いわゆる死角の問題でございます。大型トラックの巻き込みによる事故というものが、いま全国でかなり発生しているということでいろいろな問題を投げかけております。神奈川県警の調査によりますと、五十二年、昨年のトラック事故の死者は百十人おります。そのうち大型トラックによるものが三十五人。このうち四〇%に当たる十五人が左折巻き込み事故によるもので亡くなっております。こういう結果が出ております。これは神奈川県の実態でございます。  そういうことで、現在全国で、左折巻き込みによる事故、こういうものの実態をどのようにとらえていらっしゃるか、その実態についてまず伺いたいと思います。
  26. 勝山説明員(勝山亮)

    ○勝山説明員 お答えいたします。  大型トラックの死角による事故並びに左折の際の巻き込みによる事故の点でございますが、とりあえず死角に関する統計で御説明いたしますと、昨年中大型トラックが第一当事者となりまして発生した死亡、重傷の交通事故のうち、死角が主たる原因となったものは全国で八十五件でございます。これは前年に比較いたしまして十六件、二三・二%増加、こういうような実態になっておるわけでございます。これで、死角死傷交通事故の全車種では全国で二百九十二件となっておりますので、そのうち大型トラックによるものが八十五件といたしますと、約二九%ということになるわけでございます。  次に、大型貨物自動車の左折時の事故に関してでございますが、これは各県とも大体同じような傾向にあると思います。ただいま御指摘になりましたような神奈川の例も同じような傾向でございますが、東京都の警視庁の統計を御説明いたしますと、昭和四十六年ごろから非常にふえてまいりまして、昭和四十六年には、大型トラックによる左折時の巻き込みによる事故は百二十四件あったわけでございますが、四十八年になりますと、これが百二十八件とふえてきているわけでございます。四十九年以後若干微減いたしておりまして、四十九年には九十五件、五十年には七十五件、五十一年には六十六件と、年々減っていたのであります。ところが、昨年になりましてこれが八十件にふえてきた、こういうようなことでございますので、警察庁としても十分に注意をいたしまして、各県に指導をしているわけでございます。  御指摘のとおり、車にはいろいろ死角がございます。前方下方、後方下方、後方、並びに左の方の下方とそれぞれ死角がございますわけですが、基本的には車両の構造上いろいろ問題があるということであろうかと思います。しかし、実際にはその車両を使うドライバー自身にも、その車にどれだけの死角があるのかということを十分に認識しなければならないという義務があろうかと思います。したがいまして、ここら辺の点につきまして、安全教育を今後も続けていかなければならない、このように考えているわけであります。したがって、今後ドライバーが十分な死角についての認識を持って運転をするような指導をやっていきたい、このように考えております。
  27. 草野委員(草野威)

    草野委員 一時減ってきたこの種の事故が、最近になってまたふえてきた、警察庁におかれましても十分に関心を持って今後調査するということでございますが、神奈川県警の調査によりますと、五十一、五十二年、この両年だけの巻き込み死亡事故は三十九件、そのうち七件は相手が死角に入って全く見えなかった、十八件は相手を見落としたか発見がおくれた、こういうような実態でございました。  いまお話がございましたけれども、そもそも死角の発生する要因は一体何にあるのだろうか、原因は一体どういうところにあるのだろうか、こういう問題について、警察庁の方ではどのように考えていますか。
  28. 勝山説明員(勝山亮)

    ○勝山説明員 お答えいたします。  死角発生の要因といいますか、という点につきましては、私ども外国におりまして、大型車両のハンドルの位置等をいろいろ見ておったわけでございますが、やはり特にトラックの大型化等が進んでまいりますと、ハンドルの位置によりまして相当数の死角が、従来の小型車以上にふえてきている、これが一つの要因ではなかろうかということでございます。  したがって、警察庁でも第一線の方で非常にいま心配をしておりまして、第一線からいろいろきめ細かい現場的な知恵といいますか、そういったものが出されてきているわけでございますが、そういったものを逐次関係の機関並びにそういったところへ上げていきまして、そういったところで十分に検討していくような方向で、ここ数年、特にこういった事故がふえてきましてから以来、努力をしておるわけでございます。  したがって、余り正確なお答えができないわけでございますけれども、たとえばヨーロッパでは、大型のバスの運行等につきましては、右側通行の場合はハンドルを右側にしているとか、いろいろな工夫がそれぞれなされているわけでございますが、やはり運転者の位置によって死角も大分変わってくる、そういうようなことは、当然そういうふうなことになろうかと思います。
  29. 草野委員(草野威)

    草野委員 ひとつ警察庁でもこの問題についてはもう少し本格的に取り組んで研究してもらいたいと思うのです。  神奈川の場合には神奈川県警が中心になりまして、人形までつくっていろいろな角度から実験をやって研究しておりますので、ひとつ連携をとりながら研究に当たっていただきたいと思うのです。  ただいま運転者の位置、ハンドルの位置等によってずいぶん違うというお話もございましたけれども、死角の発生に対する交通行政上の事故の防止対策、これはこれから大きな問題になってくると思いますので、これは警察庁だけでなくて、建設省を初め運輸省におきましても、この問題に対しては連携をとりながら十分に取り組んでいただきたい。  私は先ほども、この死角が発生する要因として、車両、道路の構造の欠陥が複合したものである、このように申し上げたわけでございますけれども、この問題につきまして運輸省に伺いたいと思います。  この車両の欠陥構造ということで、これからの取り組むべき事故対策、いろいろあると思いますが、この問題について伺いたいわけでございますが、いままでこの問題もずいぶんあっちこっちで論議されております。その中で出ている議論を見ますと、たとえばアンダーミラーの増設とか改造、それからサイドガードの設置、方向指示器の増設、助手席のドアを拡大しガラス張りにする、運転席を低くする、左ハンドルの採用の可否、こういうようなことが取り上げられているわけでございますけれども、このような構造欠陥を解消するために、運輸省におかれましてはどの程度その研究が進んでおられますか、御見解を伺いたいと思います。
  30. 犬丸(令)政府委員(犬丸令門)

    ○犬丸(令)政府委員 御指摘の大型自動車の左折時の事故防止のため、運輸省といたしましては、運転者の運転視野の拡大という点について逐次改善を図ってまいったところでございまして、三十七年の保安基準改正によりまして、左後車輪付近の視野の確保という点についてのサイドミラーの設置、それから四十三年の七月には自動車の直前付近の視野の改善という点につきまして、アンダーミラーの設置、これを義務づけてまいりますとともに、四十九年にはさらに左前車輪付近の視野の拡大を図るためのサイドミラーの改善を義務づけたわけでございます。  現時点におきまして、なお視野が十分でないという点にかんがみまして、私どもいろいろ検討いたしておるわけでございますが、アンダーミラー、サイドミラー、こういったものの形状、曲率等の改善、これによってさらに左前車輪もしくは左側面の視野の改善を図っていくような検討を進めております。  また、御指摘がございましたが、助手席側のドアウインドーの拡大ということも検討いたしておりまして、これによる直接視界の改善、これにつきましても前向きに検討を進めておるところでございます。  また、大型トラック等になりますと、車両の全長が非常に長いわけでございまして、並行車が、もしくは道路等で左側で待っておる人が左折、右折のサインがわからないという点もございますので、現在ついております方向指示器、これは車両の前後だけでございますが、中間にも側面方向指示器を増設させることによって、並行車等が左折、右折の状況が予知できるという効果も出てまいると考えておりますので、こういったものも検討を進めております。  これらの対策を早急に結論を得まして、左折時の安全対策をさらに改善してまいりたいと考えております。
  31. 草野委員(草野威)

    草野委員 先ほど私が申し上げました数々の対策、また、いまの部長がおっしゃった対策、いろいろございます。これらをすぐ実施するということについては、またいろいろな意見もあると思いますけれども、たしかいまの御答弁の中で、運転席を低くするということについてお話がなかったように思いますけれども、これは四十六年五月二十一日、当委員会におきまして決議がされているわけです。その決議の内容によりますと、こういうふうに書いてあります。「大型貨物自動車の運転者席を低くすることによる他の車両および歩行者等の安全性を確保するうえにおける利害について検討し、早急に結論を得ること。」このように決議されているわけですが、この問題はその後どうなっておりますか。
  32. 犬丸(令)政府委員(犬丸令門)

    ○犬丸(令)政府委員 四十六年の交特の決議によりまして、その趣旨に沿うよう、運輸省といたしましては自動車工業会に指示いたしまして、運輸省が中に入りまして、学識経験者自動車メーカー、自動車ユーザー、関係官庁等の参加によりまして、低運転者席の研究委員会を設置して検討を進めたわけでございます。これは一応の結論が得られておるわけでございますけれども、なお今後さらに検討が必要であると思いますが、一応得られております結論では、低運転者席につきましては、直前及びその付近についての直接視界の点では、低い運転者席の方が有利であるが、しかしながら前方視界、後方視界、こういったものについては高い運転者席の方が有利である。なお大型自動車は比較的長距離運行が多いのでありますけれども、こういった場合における過労防止、疲労防止という点で高い運転者席の方が有利である。したがって現時点においては低運転者席に変えることによって、全体としてプラスになるかどうかという点が必ずしも明確でないので、高運転者席を採用する場合においては、直前の視界等の改善に最も努力をすべきであるといったふうな結論でございます。したがいまして、この検討結果に基づきまして四十九年に保安基準改正をやり、現時点における視野改善についてさらに努力をしていくという考え方でおるわけでございます。
  33. 草野委員(草野威)

    草野委員 最後に建設省に伺いますが、この死角事故の道路の構造上の問題でございますが、広い道路から狭い道路に左折する場合、この死角も内輪差も非常に大きくなってくるわけですね。そういうことで歩行者には全然責任がないにもかかわらず、こういう悲惨な事故が最近たくさん起きておる。そういうことで、道路の構造上の問題につきましてどのように考えておられますか。たとえば対策として道路を広げるという問題、それから横断歩道の位置を再検討するという問題、それからトラック左折禁止の交差点をつくるという問題、それから歩行者早出し信号の設置ということ、さらに車道上の自転車等を歩道に上げる、こういうようなこと等々が考えられるわけでございますが、道路の構造上の対策について建設省のお考えを伺いたいと思います。  それからもう一点、最後に交通安全対策室長に伺いたいのですけれども、こういういわゆる安全教育という問題につきまして、歩行者及び自転車走行者が死角だとか内輪差の知識というものを現在ほとんど持っておられない方が多いわけでございますが、こういう問題につきまして安全教育をどのように推進されるお考えがあるか伺いたいと思います。
  34. 渡辺説明員(渡辺修自)

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  この種の事故につきましては、先ほど来お話ございましたように、やはり運転をなさる方が十分注意をしていただくということが一番大事かと思われますが、事故内容を見てみますと、直進しております自転車に対しまして、左に曲がってくる車が気がつかないで巻き込むとか、そういうケースでございますから、道路の構造上の対策といたしましては、そういう接触するようなチャンスをなるべく少なくしてあげるということが必要かと思います。したがいまして、たとえば交差点の隅角部にペンキでマーキングを行いまして、導流島と言っておりますが、こういったものをやって、車両が大きく回るようにしてそこにポケットをつくるとか、あるいは先ほど先生がおっしゃいましたような、交差点だけ自転車を歩道の中に上げまして、それで歩道のところで横断していただく、直進していただくというような方策もあろうかと思います。また信号機で歩行者を先に出すとか、そういった交通規制の面の対策もあろうかと思いますが、今後警察当局と密接な連携をとりながら対策を講じてまいりたいと考えております。
  35. 三島政府委員(三島孟)

    ○三島政府委員 安全教育の問題につきましては、やはりこの事故実態に即応しまして、また幼児とかあるいは老人の方々の特性に応じた、きめ細かな対策を講じていく必要があろうと思いますので、関係省庁とよく相談いたしまして、効果的、具体的な対策を講じてまいりたいというように考えております。
  36. 草野委員(草野威)

    草野委員 時間が参りましたので以上で終わりますけれども、この死角という問題は現在の交通行政上の盲点、このように指摘されているわけでございますので、関係の当局の方々におかれましては十分にひとつ研究の上取り組んでいただきたい、このように要望して質問を終わります。  なお、自転車の駐車対策の問題につきまして、時間が来てしまったので、また次回に譲らしていただきたいと思います。
  37. 沖本委員長(沖本泰幸)

    ○沖本委員長 次に、伊藤公介君。
  38. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 私はまず、いろいろ資料をいただいたわけでありますが、毎年行われる交通安全週間、ことしも春の交通安全週間が終わったばかりでございます。しかし交通安全週間の期間に非常に交通事故が多い、あるいは死亡者数がかえってふえている。交通安全週間に対して、どうもマンネリ化しているのではないか、毎年やってくる交通安全週間に対する対応の仕方に少し熱意が欠けているのではないかという声を実は聞いておるわけでありますけれども、交通安全週間、交通安全運動に対してどのような姿勢で臨んでいるのか、その趣旨をまずお伺いをしたいと思います。
  39. 三島政府委員(三島孟)

    ○三島政府委員 交通事故の防止につきましては、政府といたしましても、交通安全基本計画に基づきまして、総合的な、かつまた効果的な施策を推進しておるわけでございますけれども、そうした政府の効果的な施策と相まちまして、これに呼応した国民の力強い協力があってこそ初めて事故防止の効果を上げることができるものと考えておるわけでございます。  そこで、国民の方々すべてに交通安全思想を普及、徹底し、正しい交通ルールの実践を習慣化してもらうことを目的といたしまして、いわば国民総ぐるみ運動として展開してまいっておりますのが全国交通安全運動のねらいといいますか、趣旨とするところでございます。
  40. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 ことしの交通安全週間中に非常に事故が多かった、あるいは悲しい交通事故による死亡者がふえたという原因がどこにあるのか、いろいろ皆さんの間でも検討されたり研究されていると思いますけれども、今後の対策の問題につながってくる問題でありますから、どこに大きな原因があったのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  41. 三島政府委員(三島孟)

    ○三島政府委員 ただいま御指摘のとおり、ことしの春の全国交通安全運動の期間中の死者が、昨年に比べてかなり大幅にふえたわけでございます。ただ昨年がこれまでにない非常にりっぱな成果をおさめたわけでございまして、その昨年に比べますと、ことしは残念ながらふえたわけでございますけれども、昨年以前の運動期間中の死者数に比べれば、ことしはそれなりの成果を上げておるということも事実であるわけでございます。  ただ、いま御指摘のございましたどこに原因があるかという問題でございますけれども、昨年は非常に成果を上げておりますので、本当は私どもとしましては、ことしはより以上の成果を上げたいというふうに考えておったわけでございますが、最近の交通事情から考えまして、これまでどおりの方法では、そこに何か一つの大きな壁があってそれを乗り切れないものがあるのかもしれませんし、また最近のいろいろな公共事業等の促進に伴う経済活動の活発化に伴う交通量の増加等の問題もあるのかもしれませんが、私は今度事故のふえた原因につきましては、関係省庁ともよく相談いたしまして、いろんな角度から検討いたしまして、その上に立った総合的、効果的な対策を講じていかなければならないというふうに考えております。ただいまの段階ではこれが原因だということを申し上げるわけにはまいりませんですけれども、できるだけ早く、いろんな角度から事故のふえた原因を検討してみたいというふうに考えておる次第でございます。
  42. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 外国とわが国の交通事故実態を比較するということは、道路事情も違いますし、あるいは町づくりも違いますから、なかなか困難だということは言えると思いますけれども、取り締まりとかあるいは道路事情とかいろいろな問題があろうかと思います。たとえばヨーロッパの道路標識と日本の道路標識を比較しますと、日本の場合は全く標識にユーモアがないですね。そのものずばりの非常に露骨な標識しかない。ヨーロッパにはいろんな標識がありますけれども、なかなかおもしろい、ユーモアのある標識というものがあるわけですね。  よく言われる例でありますけれども、交通違反でつかまる、そして取り調べを受けますと、日本の警察官の方の取り締まりの対話の仕方というものが問題になるケースがずいぶんあるわけでありますが、標識の比較のように、外国の取り締まりと日本の警察官の一般の人たちに対する対話の仕方というものは、どうも市民の中にも批判の声がある。見つからなければいい、できるだけ警察官に見つからないようなスピードで走れとか、そういう心理的なものが与える影響か非常にあると私は思うのです。一方では厳しく取り締まりをしながら、他方においては運転をしている人たちが、これは私は基本的には道路事情が非常に大きなウェートを占めると思うのですけれども、どこに行っても信号ばかりでいらいらする、そんな車の中でいらいらしている気持ちが、つい事故にぶつかってしまう。  これは、皆さんの中でもう少し長期的なあるいは精神構造的な交通対策ということもやはりこれから検討していく必要があるのではないかという気がしているわけでございます。いろいろな違った角度からの専門家の皆様方に知恵を集めていただいて、もう少し精神構造的な交通対策ということも一つ今後の対策としてぜひ入れていただきたい。日本は、たとえば高層住宅を建てればセメントのカラー一色で高いビルが軒並み建っていて、その間には緑がないという町づくり、あるいは道路にしても比較的そういうことが言える。もう少し環境が変わるとかあるいは運転をしていたら非常に快適だとか楽しい、そういう道路事情、町づくりということを基本的にはやっていく必要もあろうかと思いますが、そんなことは今後の対策としてぜひ御検討をいただきたいと思うのでございます。  そこで、実は私は一年前の本特別委員会でも取り上げた問題でありますが、こうした悲しい交通事故に遭われた、あるいはみずからは正しい運転をしていたのにたまたまもらい事故に遭ったというようなことの交通遺児の方々に対する授業料減免制度の問題が取り上げられたわけでございまして、当時その活用の仕方にいろいろな問題があるということで質問をさせていただきました。その昭和五十二年度における交通遺児授業料の減免制度の利用状況はどのようになっているかをひとつ説明をいただきたいと思います。
  43. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 昨年伊藤先生から御質問がございまして、五十一年度の予算の執行について私ども都道府県との連携をよくとりながら進めたわけでありますが、結果的になかなか思うように進まなかったわけであります。  そこで、五十二年度の交通遺児授業料減免制度につきましては四十二都道府県で実施いたしておりまして、全国で三千七百三十五名の方が、この制度によります授業料の減免措置を受けるものと現段階で見込まれております。国はこれらの減免措置を行いました都道府県に対しまして自賠責特会、これは運輸省所管でございますが、これと一般会計の総理府所管の方からそれぞれ三千六百五十七万円ほど支出いたしまして、合計七千三百十四万二千円の補助金の交付という見込みでございます。これを五十一年度の利用状況と比べてみますと、減免を受ける方の数におきまして四五・五%増加いたしまして、また補助金交付額の見込みにおきましても八二%ほどの増加ということで、本制度の利用状況につきましてはかなり向上してきているというふうに考えておる次第でございます。
  44. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 補助金を出されて、各都道府県でこれを活用をしていただくわけでありますけれども、実際に交通遺児の高校生で補助金をぜひ欲しいという申請があるだろうと思うのですね。その申請の実態と実際に補助金がこの人たちに与えられた数、その実態は現状ではどういうようになっているのでしょうか。
  45. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 私ども、都道府県を窓口といたしまして、都道府県から上がってきました高校授業料減免を受けたいという方々に対しての補助金の交付という関係にございますので、いま申し上げましたように、要件に合致して申請された方につきまして、これと交付との間に誤差があると申しますか、差異があるというふうには考えておりません。恐らく先生の申されているのは、私どもの方で要件に合致して大体このくらいおられるのじゃないかという方で、申請していないあるいは補助金を受けてないという方の問題だろうと思うわけでありますが、私ども自動車事故対策センターを通じまして交通遺児の方々の実態調査をいたしまして、その結果によりますと、大体対象となる方々が四千八百人ほどおるのじゃないかという把握をいたしておったわけでございますが、五十二年度現在の見込みにおきましては三千七百三十五人という状況でございます。
  46. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 全国的ないろいろな調査でありませんけれども、実際に交付を申請をしていても、十分補助金の対象にならないというケースがいろいろあるようでございます。私も、実際にそういう方々の声も聞いたり、直接相談も受けるというケースがあるわけですけれども、ひとつ各地方自治体から上がってきたものに対してだけじゃなしに、やはり末端の実態あるいは実際に交通事故に遭われて、あるいは家族ともになどというケースもあるわけですが、当然受けるべきあるいは受けなければならないような状況にありながら、なかなかその対象に入れてもらえないというようなケースも私も伺っているわけでございます。ぜひひとつ、全国的に一々全部チェックをしたり直接国がということはなかなかむずかしかろうと思いますけれども、各地方自治体にそうしたきちっとした通達をされて、あるいは意見をよく聞かれて、各地域で実際に補助金を必要だ、そういう方々が漏れないように十分な御配慮をいただきたいと思います。  半分時間が過ぎてしまいましたので、私は、実は東京を初め大都市における深夜の通勤客を含めた足の確保の問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますけれども、各地域、終バスがあるまではいいわけですね。ところが終バスが終わってしまってから終電までの間の足の確保ということが非常に私は今日おくれていると思うのです。おくれているだけではなしに、非常に問題になっている地域もあるわけでございます。御承知のとおり、何とか深夜バスを通してほしい、こういう要求もあり、一部に関しては、深夜バスを通さなければ各自治会で車を買って自主運行しますというので、実際に自主運行をやっていられる。これは恐らく正式に、法的には許可にもちろんならないでしょうけれども、なし崩し的に自主運行がされている、こういうケースももちろん東京都内でもあるわけでございます。そういう問題についてもきちっとした対策を立てていかなければならない。  問題は、いま申し上げたように、終バスから終電までの間の通勤の足——東京で仕事が遅くなるという方もいらっしゃるでしょうし、帰りにおつき合いをして帰るという方もいる。終バスから終電までに帰るお客さんというのは非常に多いわけでございます。しかし、毎日のことでありますからなかなか大変だ。実際に負担にもなっているというケースもあるわけでございます。この深夜の足の確保の問題をどのように考えていられるか、まず基本的に対策をどのように考えられているか、お尋ねをしたいと思います。
  47. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 最近の状況で、鉄道沿線におきまして団地なりあるいは市街地の造成ということがあちらこちらに見られるわけでありまして、この方々の通勤、いま先生申された夜間の問題、これは非常に重大な問題でございまして、私どもとしましては、鉄道駅でそこから団地なりに行かれる方の足の確保ということにつきましては、まず第一には終バスの時間の延長ということで対応いたしたい、これはなかなか労働条件の問題等ございまして、これが困難であるという場合には、タクシーの乗り合い制度の活用ということで、乗り合いタクシーと申しておりますが、これを導入してまいる、こういった対応の仕方で、深夜における終電車までの方々の帰りの足の確保ということに対応してまいってきておるわけでございます。
  48. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 それでは、その深夜バスの運行状況ですね。東京都内における深夜バスの運行状況実態をひとつ御報告ください。
  49. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 深夜バスは、夜間におきますバス輸送の確保ということで、通常の乗り合いバスの終車延長とあわせまして、回数の増加とか、そういう実施促進に努めてまいってきておるわけでございまして、現在の実施状況といたしましては、東京地区を中心に、埼玉、神奈川、千葉、これらの範囲を見ますと、十八ヵ所が対象として実施されておるという状況でございます。
  50. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 深夜バスの運行に関しましては、当然バス会社の方のもちろん事情もあろうかと思いますけれども、深夜バスの補助的な役割りを果たすということになるのでしょうか、乗り合いタクシーでございますが、これはタクシーの本来の役割りから言えば、タクシーは貸し切りということになっているわけですから、乗り合いをするということはなかなかあれなんでしょうけれども、乗り合い制度というのは少しずつ制度化されてきていると思いますが、東京の中では、乗り合いタクシーは現状では実施されているのですか、どうなんですか。
  51. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 乗り合いタクシーにつきましては、東京地区で二十九系統、大阪地区で十五系統でございまして、つい最近、五月から実施するものを含めますと、東京、大阪合わせて四十六系統につきまして乗り合いタクシーが実施されておるわけでございます。
  52. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 制度的には非常にむずかしいだろうと思います。きちっとした乗り合いタクシーというふうになりますと、経営の面では必ずしもプラスにならないということで、なかなか実施できないという状況もあろうかと思いますが、実は都内ではよく見かける相乗りタクシーでございます。乗り合いタクシーは制度化されているわけですけれども、相乗りは、たとえば何々方面、どちらの方へ、という形でお客さんと運転手さんが何となく合意をして、タクシーを満杯にして大体同じ方向に行く。一万円かかるところをお客さんの方は五千円か六千円、運転手さんの方も一人で一万円のところを四人で五千円ずつなら二万円だということですから、双方多少いいからということでやっている相乗り、これはもちろん法的には許されていないだろうと私は思いますが、生活の知恵といいますか、市民レベルで何となくその場でやっているというケースはずいぶんあると思うのですね。そういうそれほどあれでないものまで立ち入っていくということに対しては、私もどうかと思うわけであります。  ところが、深夜相乗りタクシーをやっているところはほとんどと言っていいほど、ここに取り仕切る人たちがいるわけですね。たとえば、何々方面の方どうぞと言って集められる。そこに必ず暴力団あるいは暴力団まがいの人が取り仕切っていて、車に乗ると、お客さんは恐らく全く関係はないと思うのですが、運転手さんが、取り仕切っている方に二千円なり三千円、五千円、すぐその場でお金を渡す、こういうケースは相乗りをしている地域ではほとんどあるわけであります。  いま申し上げたとおり、深夜バスの問題、それから乗り合いタクシーの問題、制度化をいたしていくのには時間もかかるし、実質的にはなかなか不可能な地域もある。そういうときに、生活の知恵のような形で、現場で話をして、銀座か新宿で二、三万飲んで、あとポケットにはもう五千円ぐらいしかない、七千円か八千円かかるところを五千円で行きたいという、そんな庶民の気持ちまで踏みにじってそこまで立ち入っていくということはどうかという気も私はするわけでありますけれども、しかし、暴力団やあるいは暴力団まがいの人たちの活動の資金源にそんなことが毎晩、毎日頻繁に行われているという実態に関しては、大変に問題がある。そして、タクシーに乗った普通の市民の人たちも、そういうものをそっと見て見ないふりをしながらその場はしのいでいる。そんなことが与える社会的な影響は、私は非常に大きいと思うのです。これは警察の方でも、そういうことは何となく見て見ないふりをしている、これが恐らく実態だろうと思うのです。私は、相乗りの取り締まりということに関しては、いろいろ考え方があろうかと思います。私は、きょうはそれに立ち入ろうと思いませんけれども、そこに暴力団とかそういうものが介入をしている、それがきわめてまれなケースではなしに、ごくあたりまえに行われているという現状に対しては、やはり厳しく対策を立てていかなければいけない、そう思うわけであります。実際にそういう問題をどの程度掌握をしているのか、そういう問題に対してはどのように臨んでいくのか、お考えを聞きたいと思います。
  53. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 先ほど私どもの基本的考え方を申し上げたわけでありますが、やはりいまの状況におきましては実施上非常にむずかしい問題がございますが、制度的にはどうしても乗り合いタクシー制度の方向へ誘導していくということが基本だろうと思います。その場合におきまして、いま先生が申されましたような、生活の知恵という範囲を超えたような事例につきましては、やはりそういった点について事業者なりあるいは乗務員なりについて、タクシー事業の使命の問題といたしましても非常に批判さるべき事柄でありますので、私どもとしましても事業者団体を通じ、あるいはそういう特定の地域におきます事業者に対しての指導ということについて強化していきたい、かように思います。
  54. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 警察はどうですか。
  55. 広谷説明員(広谷干城)

    ○広谷説明員 違法な行為によりまして暴力団等が資金源としておるというふうなことはゆゆしき問題でございますので、警察といたしましても監視を十分に強めて適切な措置をとってまいりたい、かように考えております。
  56. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 乗り合いタクシーの規定がございますね。これはそれぞれのいろいろな国情がありますから、日本は日本なりの方法で能率的な大量輸送、まあタクシーですから大量輸送と言い切れませんけれども、一人よりは多いわけですから、そういう意味の輸送ということをもう少し習慣にしていく必要があるという気が私はするのです。たとえば、アメリカへ行きますと、州によっていろいろ違いますけれども、どこでもタクシーに手を挙げますね、そうすると。ばっとそこでとめて、どちらの方面ですかと言って、同じ方向だとばっと乗せていくわけですね。それは習慣になっている。乗っている方ももちろんそのことを了解をしている。中には料金も二人乗ったら幾らとか三人乗ったら幾らとか、いろいろな制度が州によっても違う。ヨーロッパに行ってもそういうのがあるわけです。まあ地域性がいろいろありますから、地域性に合わせた乗り合いタクシーの制度化というものが私は非常に必要だと思いますけれども、何かもう少し、たとえば一人で行くところを三人で行けばこちらの方の負担も少なくて済む。運転手さんの方も三回行かなければいけないのに一遍で、多少収入の面でもいい。それは国全体から言っても、エネルギー節減の時代にも合っている。もう少し今日的にこの制度化というものを考えてみる必要があるんじゃないかという気が私はするのですけれども、そういう現状の乗り合いタクシーの制度化に関して困難な点、むずかしい点はどこにあるのか。それから乗り合いタクシーというものを実際の面でももう少し活用できる方法、タクシー制度検討を始める必要があるんではないかという気が私はするのですが、いかがでしょうか。
  57. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 タクシーもそうでございますが、バスにつきましても従来方式の延長というような考え方が強うございまして、そういった考え方で、現在の多様化した需要というものを賄うということにつきましては、私どもそういう状況のままではいけないんじゃないかという強い認識を持っておりまして、たとえばバスなどにつきましてもデマンドバス方式の導入とか、これは地域によって適用できるところとできないところがございますが、そういう工夫をいたしておるわけであります。タクシーにつきましても、従来のように、ただ流しておる、あるいは駅構内からの営業というだけじゃなしに、お客さんを呼び込んでいく。お客さんの方が集まってくるということじゃなしに、お客さんを呼び込んでいくというような対応をしてほしいということで、業界に対しても指導いたしておるわけであります。先生いま御指摘の点も恐らくそういうお考えからだろうと思います。したがって、現在の乗り合いタクシー制度というものにつきまして、これはお客さんによりましてやはり一人で乗っていきたい、特に深夜の場合、女性の場合等、そういう需要もあるわけでありまして、そこに従来方式のものと乗り合いタクシーというものとが並列していった場合に乗務員の労働条件の問題、給与の問題、そういうことも絡んでまいりますし、いろいろな要素があるわけでありますが、乗り合いタクシー制度について実態が適用できる地域におきまして、なお制度的に硬直したようなきらいの面がありましてそれができないというケースにつきましては、さらにその内容実態に合うような改善ということについても検討を進めていきたい、かように考えております。
  58. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 先ほどちょっと申し上げた深夜バスの運行で、これは恐らく運輸省で掌握をされていると思いますけれども、深夜バスの要求をしているけれども深夜バスがなかなか通してもらえない、そこで自治会が車を買って自主運行をしているというケースが恐らく都内でもあると思いますね。いま掌握をしている範囲内で、報告できる範囲内でひとつしてください。
  59. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 現在私どもの方で、東京陸運局管内でわかっている限りでは、鶴川団地のバス自主運行というのが一件あるように報告されております。
  60. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 これは法的には許されているんですか。それで、もし許されないとすれば、それに対してはいままでどのような処置をされてこられたのですか。どうでしょうか。
  61. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 団地の自治会なりが自治会の構成員に対して自家用バスを運行するという関係にございますれば問題ございませんが、それが利用料のような形であたかも運賃を収受するというような形で行われている場合には法律的にも問題が出てくるわけでございます。私は、基本的にはやはりそういう需要に対しては乗り合いバスの終車の延長という対応をして、そしてそういう需要を吸収していくという考え方が一番いいんじゃないかというふうに思っております。
  62. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 それでは具体的な問題でお尋ねしますけれども、深夜バスで対応していく方がいいという御答弁がありました。いまの、これは町田市の鶴川ですね。実は私はその鶴川に住んでいるわけであります。非常にまれなケースだと思いますけれども、私も初めてその問題が起きたときからずっと状況を見ながら来たわけでありますが、深夜バスの問題に対しては、その鶴川の問題は実際にいままでどのように対応されてきておりますか。
  63. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 御指摘の鶴川団地のバスの自主運行につきましては、東京陸運局におきまして警告書を出す等、その廃止方について慫慂しておるという報告でございます。
  64. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 それは、深夜バスに対してどのような対応をしてこられたのですか、自主運行のバスではなしに。深夜バスを通せという要求がずっとあったわけですけれども、深夜バスを通してあげるということの対策を立てなければこういう自主運行の問題は解決しないわけですから、そういう地域の要請に対してはどのような対応をされてこられたのか。
  65. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 深夜バスにつきましては、四十五年の七月に従来のダイヤ以後におきまして二十三時三十分という時間帯におきまして深夜バスを運行させておるわけでございます。
  66. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 二十三時三十分ということは十一時半ですね。あそこの終電が着くのは、いまたしか一時五分か一時ちょっと過ぎだと思うのですね。私はこの地域だけのことを申し上げているのではなくて、終電と終バスの間の交通、足の問題をこれから各地域としてもどうしていくかということが非常に重要な問題だと思っているからお尋ねしているわけでありますが、たとえばニューヨーク市などという町では深夜バス、あるいは夜中まで走らせているのですね。それはもちろん経営としては当然赤字になる。その赤字の部分はニューヨーク市が——これは国がとうなっているか。多分市がほとんど持っているんだと思いますけれども、経営の足りない部分はニューヨーク市がそれを全部補給している。そういう経営をしているというケースもあるわけでありますが、夜中走らせるというところまでいかなくてもいいでしょうけれども、終バスから終電までの間、いまお話を伺えば十一時三十分までバスがある、そうすると十一時三十分からまあ一時ですね。特に東京の中でその間に帰るお客さんが非常に多いという地域がたくさんあるわけです。たとえば大きな団地ですね。何万という世帯を抱えた団地なんかがあるところは非常にそういうケースが多い。そこの足の問題をどうするか。深夜バスという問題もあるでしょうし、乗り合いタクシーという方法もある。いろいろそういう制度化をしていかなければいけないと思うわけでありますけれども、これは、いま皆さんがお考えになっているのは、二十三時三十分で事足りると考えていられるのか、あるいは一時五分の終電までの間を何とかしなければというふうにお考えになっていらっしゃるのか、あるいは現地の声をいまどのように受け取められているのか、今後の対応策はどうするのか、お聞きしたい。
  67. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 深夜バスを稼働さして、その後の終電までの間、これは需要の実態をよく把握いたしまして、バス輸送に適しているものなのか、あるいは先ほど申し上げましたような乗り合いタクシーになじむものであるか、今後そういった実態把握をいたしまして、そうして、それが事業の経営的な範囲として、あるいは乗務員の協力という問題も考慮して、深夜バスの延長、あるいはその終電までの間隙を乗り合いタクシー制度で埋める、そういったことを方途といたしまして対処してまいりたい、かように考えます。
  68. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 鶴川駅で運行している自主運行のバスは、これは違法ですか、どうですか。
  69. 中村政府委員(中村四郎)

    中村政府委員 私も、その実態を正確に把握いたしておりませんが、よく状況を調べまして、適切な対応をいたしたいと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、陸運局から警告を発しているということでございますので、その運行実態について問題点があろうかというふうに思っておりますので、調査いたします。
  70. 伊藤(公)委員(伊藤公介)

    ○伊藤(公)委員 いろいろと申し上げてまいりましたけれども、私は、大都市における深夜の足の問題を今後積極的に考えていただきたい。特に、タクシー運行、深夜バスの問題が各地域で、私はいまたまたまお答えの中で鶴川の問題が出てまいりましたので、その問題に触れたわけでありますけれども、そうではなしに、大きな団地を抱えたり、通勤客が非常に多いという駅には、いろいろこうした深夜の足の問題で各地域に声が非常にあるということを私も伺っておりますし、実はそうした方々からの直接のお声も届いているわけでございます。あるいはお手紙も私どもに届けられております。ぜひひとつ現地の実情を十分に調査をされて、これから、そう短期間にすべてというわけにいきませんでしょうけれども、深夜の足の確保の問題に積極的に取り組んでいただきたい。  あわせてタクシーの問題は、先ほど触れましたけれども、いままでのようにただ貸し切りだと、法的に言えばもちろんそうでありますけれども、それだけにとらわれないで、もう少し大量輸送ということを考えなければ、日本の道路事情の中では交通渋滞というものも避けられない。あるいはいまのように、そう必要性がなくてもマイカーで出かけていく、そういう状況が現実にあるわけですので、電車を含め、バスを含め、あるいは乗り合いタクシーを含めて、もう少し快適に大量輸送ということができれば、自分でハンドルを握るよりは気楽に乗って出かけていくという習慣が知らず知らずに日本の社会でも成熟をしていくという気が私はいたしますので、ひとつそういう広い角度で今後検討をぜひ積極的に進めていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  71. 沖本委員長(沖本泰幸)

    ○沖本委員長 次回は、来る二十七日木曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会