○伊藤(公)委員
制度的には非常にむずかしいだろうと思います。きちっとした乗り合いタクシーというふうになりますと、経営の面では必ずしもプラスにならないということで、なかなか実施できないという
状況もあろうかと思いますが、実は都内ではよく見かける相乗りタクシーでございます。乗り合いタクシーは
制度化されているわけですけれ
ども、相乗りは、たとえば何々方面、どちらの方へ、という形でお客さんと運転手さんが何となく合意をして、タクシーを満杯にして大体同じ方向に行く。一万円かかるところをお客さんの方は五千円か六千円、運転手さんの方も一人で一万円のところを四人で五千円ずつなら二万円だということですから、双方多少いいからということでやっている相乗り、これはもちろん法的には許されていないだろうと私は思いますが、
生活の知恵といいますか、市民レベルで何となくその場でやっているという
ケースはずいぶんあると思うのですね。そういうそれほどあれでないものまで立ち入っていくということに対しては、私もどうかと思うわけであります。
ところが、深夜相乗りタクシーをやっているところはほとんどと言っていいほど、ここに取り仕切る
人たちがいるわけですね。たとえば、何々方面の方どうぞと言って集められる。そこに必ず暴力団あるいは暴力団まがいの人が取り仕切っていて、車に乗ると、お客さんは恐らく全く
関係はないと思うのですが、運転手さんが、取り仕切っている方に二千円なり三千円、五千円、すぐその場でお金を渡す、こういう
ケースは相乗りをしている地域ではほとんどあるわけであります。
いま申し上げたとおり、深夜バスの問題、それから乗り合いタクシーの問題、
制度化をいたしていくのには時間もかかるし、実質的にはなかなか不可能な地域もある。そういうときに、
生活の知恵のような形で、現場で話をして、銀座か新宿で二、三万飲んで、あとポケットにはもう五千円ぐらいしかない、七千円か八千円かかるところを五千円で行きたいという、そんな庶民の気持ちまで踏みにじってそこまで立ち入っていくということはどうかという気も私はするわけでありますけれ
ども、しかし、暴力団やあるいは暴力団まがいの
人たちの活動の
資金源にそんなことが毎晩、毎日頻繁に行われているという
実態に関しては、大変に問題がある。そして、タクシーに乗った普通の市民の
人たちも、そういうものをそっと見て見ないふりをしながらその場はしのいでいる。そんなことが与える社会的な影響は、私は非常に大きいと思うのです。これは警察の方でも、そういうことは何となく見て見ないふりをしている、これが恐らく
実態だろうと思うのです。私は、相乗りの取り締まりということに関しては、いろいろ
考え方があろうかと思います。私は、きょうはそれに立ち入ろうと思いませんけれ
ども、そこに暴力団とかそういうものが介入をしている、それがきわめてまれな
ケースではなしに、ごくあたりまえに行われているという現状に対しては、やはり厳しく対策を立てていかなければいけない、そう思うわけであります。実際にそういう問題をどの
程度掌握をしているのか、そういう問題に対してはどのように臨んでいくのか、お
考えを聞きたいと思います。