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松本(操)
政府委員 先生おっしゃいました、
成田の
周辺に幾つかの
空港が、三十マイル前後あるいはそれ以上のところもございますが、接近して存在しておる、こういう事実をまず大前提に置きまして、それから管制のありようといたしまして、一つの管制機関は一つの管制空域の中を一元的に管制をする、これを第二の原則といたします。それから、これは出発、進入いずれを問わずでございますが、航空機の飛行コースについては可能な限り平面的分離ということを先行させ、平面的分離がどうしてもできない場合でも、いま
先生おっしゃいました高度差と申しますか、垂直方向の分離をするということを第三番目の議論に立てる。それからその操作の仕方、飛び方については、できる限り各種の航空保安無線施設を使いまして、正確にかつ容易に飛べるようにする、これを四番目の原則とする。
〔
委員長退席、太田
委員長代理着席〕
こういうふうなことを前提に置きまして、どのような形で空域を設定し、どのような形で飛行コースを設けるかということを相当長期にわたり
専門家の
意見も聞き、さらにブライトシミュレーターなどを使って実際に模擬訓練もしてみる、あるいは先ほ
どもちょっとお話に出ましたIFALPAでありますとか、あるいはIATAの
専門家でありますとか、もちろん国内のパイロットの
意見も入れまして、いろいろと
検討した結果できたものでございますので、まず原則的に十分な安全
対策がとれていると私
ども思っておりますが、特に
先生おっしゃいました高度差だけで実は分離をしてあるわけではございませんので、恐らくいま
先生が例示として挙げておいでになりますのは、北向きの
銚子2デパーチャーというものとそれから百里空域の中のタカンアプローチ、これの相関
関係についての御
指摘ではないかと私思います。
これは平面図形的にも三マイルの間隔をぎりぎり狭まったところでつけてございます。さらに、高度的に千フィートの差をつけてあるわけでございます。したがいまして、もし離陸の経路において何らかの故障が起こってどうしても高度がとれない、もちろんそのときにはそういった非常事態に入ったことをいち早く管制塔に通報するというのがたてまえであると私は思いますけれ
ども、それも何らかの理由があってかなわなかったという場合にも、第三番目の安全策として、平面的なコースを守ってもらえるならば、これはぶつからないようになっておるわけでございますが、さらにそれもおかしかった、平面的にも飛べなかったというところまでいったとします。そういたしますと、場合によっては
先生おっしゃるような問題が全く起こらないということはない。これは私は理論上の話だと思いますけれ
ども、全くない、絶対ございませんとここで言うほどの理論的な裏づけはないかと思います。
その場合にどうするかということでございますが、これは
成田と、いまの例で申しますと百里でございますが、それぞれのレーダーによりまして、自分の飛行機はもちろんのこと、相手の飛行機もモニターをできるようになっております。といいますことば、自衛隊の航空機におきましても民間機と同じようにトランスポンダーを積んでおりますので、トランスボンダーのコードナンバーを、暗号と申しますか、符号と申しますか、これをある一定の数字に合わせておきますと、私
どものレーダーでも相手方のレーダーでも、二本棒のターゲットとして確認することができます。したがいまして、それでお互いに見ておりまして、もし何の音さたもないのにコースが接近してくるというふうな異常な事態が発生いたしましたときには、直ちに自分の管制する飛行機に対して退避の
措置をとらせる。
〔太田
委員長代理退席、
委員長着席〕
と同時に、電話機を上げさえすればお互いに相手のタワーが出るようになっておりますので、いわゆるホットラインでございますが、これを使いまして相手機に対して
措置をすることもできますし、それが間に合いませんときには、私
どもの
成田のタワーには自衛隊機等の軍用機が専用に使っておりますUHFの波を持っておりますので、このUHFの波をもって直接的に相手機に対して、これは人の管制空域の中に手を突っ込むことになりますが、もう最後の最後の手段という形で、何らかの、右へ曲がれとか左へ曲がれとかいうふうな
措置をとることも可能でございます。
さらに、もう一つ大きな前提といたしまして、そういうふうなことが絶対に起こってはいけないわけでございますので、たとえばわが方から北向きに離陸する飛行機があって、そのときにどうしても百里の空域の中で南から着陸するという飛行機がある、両方の空域がぎりぎりの形で使われるという
状態が、これは突然起こるわけではございませんので、当然予測をされております。それは管制官の判断によりまして、必要があれば相互に連絡
調整をする。これも先ほど申し上げましたホットラインの電話機を上げればすぐ相手が出ますので、連絡
調整をとることによって、そういうおそれが予測されるのであれば、初めから排除してしまうということも可能でございます。
幾つか申し上げましたが、御理解いただきたいと思いますのは、五重、六重の安全
対策ということが講じてあるわけでございますので、御
指摘のようなケース、つまりコースを逸脱するとかあるいは離陸の中途でエンジンがとまるとか、そういうふうなことが、絶対ないというふうなところまで私は申し上げませんけれ
ども、仮にそういうことが起こりましても、それに対応すべき
対策というものは十分に
措置し得るように私
どもいろいろな規程も用意をしておりますし、また、訓練もしておる、このように思っておりますので、まずそういったようなことについては、絶対に起こらないということを期して今後の管制をやっていけるというふうに私
どもは考えておる次第でございます。