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1978-04-12 第84回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十二日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君    理事 加藤 六月君 理事 左藤  恵君    理事 佐藤 守良君 理事 中村 弘海君    理事 太田 一夫君 理事 野坂 浩賢君    理事 新井 彬之君 理事 青山  丘君       井上  裕君    石橋 一弥君       北川 石松君    玉生 孝久君       中村喜四郎君    水平 豊彦君       岡田 哲児君    後藤  茂君       草野  威君    東中 光雄君       伊藤 公介君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   加藤 武徳君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         警察庁交通局長 杉原  正君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君  委員外出席者         警察庁警備局参         事官      武士  孝君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 三月二十七日  駅前自転車置き場管理機関に関する請願(左  藤恵君紹介)(第二五六一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  まず、本件について、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、参考人として、新東京国際空港公団総裁大塚茂君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  3. 沖本泰幸

    沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取は、委員質疑により行います。     —————————————
  4. 沖本泰幸

    沖本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋一弥君。
  5. 石橋一弥

    石橋(一)委員 まず初めに、今回の成田空港事件でございますが、まさに法と秩序と民主主義に対する挑戦であり、彼ら革命暴力集団は、民主主義社会に対する敵であります。あの出来事によりまして、国内的には国民の政治への信頼をなくし、対外的には日本の威信を失墜したことは、はかり知れないものがあります。  政府も、与党自民党も、暴力集団への対応が甘かったことを反省すると同時に、野党も、マスコミも、平和な民主代議制度を是認するなら、民主主義を守るための共同の責任を負わねばならないと考えます。国会決議のゆえんもまたここにあります。  そこで私は、御承知のいわゆる要塞と称するもの、あるいは団結小屋と称するもの、そしてまた、常に闘いのございますところの芝山町が私の選挙区であるわけでございます。そうしたことから、まず現状認識をするために質問をいたさせていただきます。警察当局あるいは公団、どちらでもよろしゅうございますので、時間がございませんのできわめて簡単にお答えを願いたいと思います。  まず第一問でございますが、いわゆる要塞でございますが、所在地、芝山岩山、そしてまた第二と称されるものが芝山町香山新田、土地所有者等もわかっておりますが、それぞれの要塞面積と申しますか、建坪と申しますか、これがどのくらいずつあるのかという点。  もう一点は、団結小屋の数でございますが、全体の数がどれだけあるか、公団用地内にどれだけあるか、公団用地外にどれだけあるか、まずこれをお伺い申し上げます。
  6. 武士孝

    武士説明員 お答えいたします。  現在、いわゆる要塞と言われておりますものは、岩山要塞横堀要塞の二ヵ所であります。その面積は、前者が敷地約二百三十平米、建物約六十平米、後者が敷地約三百平米、建物が約百四十平米であります。  次に、いわゆる団結小屋と申しますか、彼らが拠点として常駐いたしておりますところは、三十三ヵ所であります。公団用地内三ヵ所、その他私有地三十ヵ所と相なっております。
  7. 石橋一弥

    石橋(一)委員 次に、不法占拠実態とその排除措置の問題でございますが、芝山朝倉に四筆、四件、そして二ヵ所、団結小屋不法占拠されているわけでございます。これについて昭和四十九年二月十四日に不動産侵奪告訴をしてある、こう聞いておりますが、その結果、あるいはその経過がどのようになっておりますか、お伺いいたします。
  8. 武士孝

    武士説明員 お答えいたします。  公団所有地不法占拠いたしているいわゆる野戦病院がございます。これにつきましては、昭和四十九年二月十四日に公団の方から不動産侵奪罪告訴状を受理いたしております。地籍の確認関係者からの事情聴取等捜査を現在なお進めておるところであります。  それから、第四インター朝倉団結小屋というのがございます。これについても告訴を受けておりまして、現在鋭意捜査中であります。告訴を受けたときにはすでに数カ月前にでき上がっているというのが実態でございまして、私どもとしては、現行犯措置をしたかったのでありますが、残念ながら、その後の任意捜査事後捜査と申しますか、やむを得ずそういう措置と相なりまして、不動産侵奪罪の場合には、つくった人とそこに住んでいる人とでは刑事責任を負わせる意味で異なるわけでありまして、つくった人の検挙ということについては現在捜査中であります。その後、公団との連携をよくいたしまして、ことしの三月にはいわゆる第四インター日本支部関係公団用地にくいを打ち、コンクリートを流す等、不法建築を始めましたので、これにつきましては不動産侵奪罪現行犯で、公務執行妨害罪もついておりますが、検挙をいたしております。  それから、三月四日から五日にかけまして、やはり第四インター日本支部朝倉団結小屋近くに建てました便所が一部公団用地にかかっておりましたため、反対同盟救対部長撤去方公団の方でなさりました。その結果、三月五日の夜から六日の朝にかけまして、第四インター関係者みずからこれを撤去したというような事実がございます。
  9. 石橋一弥

    石橋(一)委員 次に、不法耕作と申しますか、公団がすでに買収をしてある土地を彼ら暴力集団占拠をされて、そして不法耕作をされている土地があるわけでございます。調査によりますと八十六・九ヘクタール、約八十七町歩あるわけでございますけれども、その中身が水田、畑、山林原野等それぞれどのくらいになっているか、あるいはまた、この不法耕作地に対してどのような措置を現在とっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  10. 大塚茂

    大塚参考人 お答えをいたします。  不法耕作をされております田は合計で二十一・五ヘクタール、それから畑が六十五・四ヘクタール、合わせまして八十六・九ヘクタールでございます。このうち、公団の第二期工事区域内にあります畑約二十七ヘクタールでございますが、これについては除草剤の散布と、くい打ち、それから有刺鉄線を張りまして、排除をいたしました。
  11. 石橋一弥

    石橋(一)委員 続いてお伺いいたしますけれども常駐学生——学生といいますか、革命暴力集団、こう言った方がいいと思いますが、人数、多いとき少ないときがあるわけでございますけれども、平均で結構でございますが、おおよその人数、それとそれらの暴力集団の食べ物あるいは生活費、そうしたものはどこから得ているのか、この二点についてお伺いいたします。
  12. 武士孝

    武士説明員 常駐いたしております極左暴力集団は約百六十名でございます。極左暴力集団資金源の主なものとしましては、党費機関紙等の売り上げ、資金カンパなどがありますが、このうち組織内のカンパが大きなウエートを占めているようにうかがえます。これらの資金によりまして食費等生活費が賄われているようであります。このほか、彼らは農繁期等反対同盟員農家援農等を行いまして現物給付を受け、生活の糧としているというふうに私どもは思っております。
  13. 石橋一弥

    石橋(一)委員 ただいまの戦費と申しますか、彼らが動いておりますところの金でございますね、これについて私はいささか所見を異にいたしておりますので後で申し上げますが、とりあえず進みます。  いわゆる反対派農民の数と、それが市町村別にどのくらいずつまだ残っているか、それをお伺いいたします。
  14. 武士孝

    武士説明員 反対派農民につきましては、私どもでは現地集会デモ等に参加をした数で確認をしているという状況なのでございますが、この間の三・二六現地集会、これは極左暴力集団が主力でありましたが約八千名集まりましたけれども、そのうち約百二十人の反対派農民が集まっているのを確認いたしております。
  15. 石橋一弥

    石橋(一)委員 市町村別にはわかりませんか。成田市がどのくらい、あるいは芝山町がどのくらい、その他の町村はどのくらいと。
  16. 武士孝

    武士説明員 ただいまお答えしましたとおり、闘争に参加したそういう数で把握いたしておりますので、御希望のような数は持ち合わせておりません。
  17. 石橋一弥

    石橋(一)委員 後でひとつお知らせをいただきたいと思います。  そこで、もう一つの問題でございますが、彼らがとにかく火炎びんを初めとして、このごろはさわれば高圧電気が伝わって相手を倒すという武器までつくっているようでございますが、これがどの辺でつくられているのか。たくさんの石を打つ機械とかいろいろなものをつくっておりますが、どの辺でつくっておりますか。御調査がありましたらお教えをいただきます。
  18. 武士孝

    武士説明員 彼らはまことに凶悪な罪を犯し、その手段として凶器を使用しているわけでありますが、先般、三・二六事件及び横堀要塞事件で逮捕しました百六六十六人について、いま先生御指摘の点を含めまして、製造場所等につきましても目下捜査の過程を通じて明らかにしようということで鋭意取り組んでおります。
  19. 石橋一弥

    石橋(一)委員 もう一点、成田が長い間紛争を重ねているわけでございますけれども、始まって以来第一線警官皆様方が大変な御苦労をなさっておりますのを私は地元であるだけによく承知しております。いままでに至りますまでの警察官犠牲者でございますが、御不幸に亡くなった方々あるいは負傷された方々の数、そしてでき得るならばいままでの総動員数はどのくらいあったかお知らせをいただきます。
  20. 武士孝

    武士説明員 成田闘争が始まりまして以来、これまでに四名の警察官が殉職をいたしております。約三千六百人が負傷いたしております。また、これに出動いたしました警察官の数は、延べでございますが、おおよそ九十万人でございます。これは昭和四十一年以降でございます。
  21. 石橋一弥

    石橋(一)委員 現状認識ということで十点ばかりお伺いをしたわけでございますが、このような問題の中にあってどうなっているんだということをまず把握をせねばならない。このほかにもたくさんのことを御質問申し上げるべきですが、時間がございませんので、現状認識の点については以上で終わります。  そこで、私は先日現地芝山町へ参りまして、町当局あるいは議会皆様方、いろんな方々意見の交換をしてまいりましたけれども現地皆さん方の一致しての要望は、とにかく要塞撤去、そして団結小屋撤去、そしてさらに不法占拠耕作農地の取り上げ、これをどんな手段を使ってもいいから開港前に完了してもらいたいのだというのが一致した意見でございます。たとえば団結小屋撤去いたしますと、あの中に入っている革命集団があるいは反対派農民の家の中に入り込んできやしないかなという危惧の念がございますけれども、やはり断固として三つのことを一緒にやってもらいたいということが非常に強い要望であるわけでございます。  そこで、加藤国家公安委員長にお伺いを申し上げますが、これに対応するためのたくさんの現行法律があるわけでございますが、現行法律を一〇〇%適用いたしましてこの三つのことがなし得られるかどうか、もう相当な期間が過ぎているわけでございますのでお見通しがおつきになった、こう考えておるわけでございますが、現行法律一〇〇%の適用でやり得るかどうか、これをまずお伺い申し上げます。
  22. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、現地の善良な皆さん方は、あのような不法行為が断じて行われてはならぬ、そのためには違法な状況を一日も早く除去しろ、これが強い願望でありますことはよく承知をいたしておるのでございますけれども、いわゆる要塞と言われておりますものや団結小屋等につきまして態様がずいぶんと違うものですから一律には申せないのでございますけれども、しかし、現行法をフルに活用いたしましてもなかなか困難な面がございます。団結小屋が三十三ございますが、その中には、民有地民有建物がありまして、たとえば納屋等を借り受けましてそこを団結小屋にいたしておりますものは適法に家屋が処理されておって固定資産税等も支払われておる、かようなものもございまして、現行法上かような小屋に対しましての処置はきわめて困難でございます。また違法な建築をしているものもございますけれども現行建築基準法をもっていたしましてはこの建物が違法だから適法に届け出をなさい、かような勧奨をすることはできますけれども、これを撤去いたしますことはきわめて困難だ、かような態様のものもございますし、先ほど報告をいたしましたように、公団用地の上に建てておりますものはもとより違法な建築でありまして不動産侵奪でありますが、といって建物撤去し得ます基礎法があるかと申しますと、なかなかこれも困難でございまして、かような状況でございます。  また、いわゆる要塞といわれておる岩山構築物にいたしましても、あるいは横堀構築物にいたしましても、現行法で対処いたしますにはきわめて困難でございます。一律には申せませんけれども、包括して申しますと、現行法をフルに活用いたしましてもこれが撤去はきわめて困難だ、かようなことを言わざるを得ないのでございます。  なお、三番目に御指摘公団用地内を不法耕作しておりますものにつきましては、あるいは公団から御説明があろうか、かように存じます。
  23. 大塚茂

    大塚参考人 不法耕作地排除法律的には現行法で十分やれるわけでございまして、先ほども御報告申し上げましたようにやってまいりました。しかし、まだ約五十ヘクタールぐらい残っておりますが、これはいわゆる騒音地域と申しますか、そういうところでございまして、そこに散在をいたしておりますので、実行上はこれを全部排除するということは、当然警備当局の御協力を得て、それのカバーにおいてやることになるわけでございますけれども、とにかく五十何ヘクタールが散在をして、いわゆる危険地域といわれる区域にあるということから、開港までにこれを全部なくすということは、われわれは極力いたしますけれども実行上はなかなかむずかしい点があるのではないかというふうに考えております。
  24. 石橋一弥

    石橋(一)委員 ありがとうございました。  ただいまの委員長お話でございますと、結局どうも現行法律をフルに活用いたしましても構築物といいますか、要塞といいますか、あるいは団結小屋といいますか、これを全部撤去するのは困難であるという御答弁であった、こう考えます。そういたしますと、結局はこのような無法地帯になっておりますところの成田及びその周辺、これを秩序あるものにして、そしてまた本委員会の目的でございますところの交通安全を達成いたしますには、新しい立法をいたしまして、これに対処をせなければならないであろう。これはまた住民考え方でもございますし、そしてまた恐らく国民的な要望であろう、私はこう考えるものでございます。  そこで委員長にお伺い申し上げますが、新規立法を本国会に一日も早く提案をいたしていただきたいな、こう考えるものでございますが、その御意思がおありでございましょうか。
  25. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど報告のように、三十三の団結小屋に百六十名の極左暴力集団が常住いたしておるのでございまして、これらの諸君がいわば闘争の中核になっておることは明らかでございます。そこで、警備体制の万全を期する観点からいたしましても、団結小屋撤去いたしますことが焦眉の問題だ、かように考えております。  そこで政府といたしましては、先般の関係閣僚会議におきまして四項目にわたります要綱を決定をいたしたのであります。ただ、各党におきましてはまだ十分な論議が交わされておらないということでございまして、昨日は各党国会対策委員長会談が開かれまして新立法のことにつきましてのコンセンサスを得るべく努力がなされておる、かように承知をいたしております。一日も早くコンセンサスを得、そして立法処置をとってまいりますことが警察といたしましてはきわめて好ましいことでございますし、そのことを期待いたしておる、かような根本の考え方であります。
  26. 石橋一弥

    石橋(一)委員 ありがとうございます。どうぞそうした考え方にお立ちになっていただいて、われわれも与党といたしまして、その責任を負わねばならない、こう考えておりますので、ぜひ新立法を一日も早く提案し成立をさせて、禍根を除去していただきたいと思います。  続いて、いま行ってみますと、反対派農民は非常に動揺しております。一例を挙げて申し上げますと、あの事件のあった当日、暴力集団は所きらわず火炎びんを投げて火災を起こしております。その何ヵ所も火災を起した中で、ある部落の産土様の山、鎮守の森ですね、この山に火がついて燃え移りました。神様が燃えては大変だということで、反対派農民地元消防一緒になって火を消しております。そして消防諸君に対して、こんな危険なことをするのではもうわれわれは革命暴力集団についていけないということを彼らも言っております。これは一例でございますけれども、一部のはね上がり分子は別といたしましても、大部分の反対派農民は一皮むけば純粋な農民であるわけでございます。  そこで公団にお伺いいたしますけれども戸村一作、ああした者は別といたしまして、比較的穏健な反対派農民暴力集団とを切り離す考え方としてどんな手段を考えているのか、あるいはまた現実的に暴力集団反対農民が結びついている原因は何であるとお考えになりますか、お伺いいたします。
  27. 大塚茂

    大塚参考人 反対派農民過激派暴力集団結びつきは、昔にさかのぼりますといろいろ原因があると思いますが、現在これをつないでおるのは、やはり反対派農民が少なくなって、頼るところが学生だけ、学生といいますか反対暴力集団になった、どうしてもこれに頼らざるを得ないというような状況にだんだん追い込まれてきたという点が一つと、それを現実に結びつけているのは、援農その他の学生農民に対する援助、お手伝いというようなことを通じてその結びつきを維持してきておるというようなことであると思います。私どもとしてはこれを何とか切り離しをしたいということで、前からいろいろ工作をやっております。その結果として、御承知のように一昨年の暮れには岩山部落十二戸がわれわれと話がつきまして集団移転をすることに踏み切ったわけでございますし、またその場合には、副委員長瀬利誠氏もわれわれと話をつけまして脱落をして移転をしてまいりました。  また、昨年は第二期工事内におります農家三戸がやはりわれわれと話をつけましてほかに移転をすることになったわけでございまして、私どもとしては、農地を持っている農民方々を対象にいたしまして、この人たちが現在やっておる農業を維持できるというような条件で、土地を私どもにお譲りをいただき、代替地を差し上げて移転をしていただくという行き方でいままで話し合いを進めております。それと同時に、周辺反対同盟に加盟をしていない住民方々公団政府側の味方につけなければいかぬ、こういう意味で、地元から提出をされております幾多の要望に対しまして、私どもとしてはできるだけこれに応ずるということでお約束をいたし、その実行をいたしてきておるというのが現状でございます。
  28. 石橋一弥

    石橋(一)委員 とにかく動揺していることは間違いない事実です。いまお話の出ました瀬利誠委員長が脱落するときにも、最後は逃げるところがなくなって私の地元の事務所に何日もかくまっていたわけでございます。いろいろなことでこれを切り離すということでさらに努力をお願いいたしたいと思います。  そこで、先ほど警察当局から戦費の問題で意見の御開陳があったわけでございますが、この暴力集団反対派農民がなぜ結びついているのか。戦費問題等とも関連をいたしまして、八十七町歩農地からとれる農作物というのは莫大なものです。本当に莫大ですよ。これは彼らが現地で食べて、そして余ったものは一年間で恐らく二千万ないし三千万で売れたと思います。それほどの量だと思います。そしてまた、二つが結びついているものは決して思想ではございません。いま大塚総裁からも言われましたが、一つ援農ですね。と同時に、あの不法占拠をされて耕作をされておりますところの農地から得た収入は、一人一人の反対派農民収入として入ってくる仕組みになっています。明らかにそういう仕組みになっています。ですから、私が不法占拠耕作地を早く撤廃をしていただきたい、こう言っているのは、経済的に結びついておりますところの暴力集団反対派農民を切ること、切るには、経済的な結びつきのもとである不法占拠耕作地を取り上げませんと、利益になっているのですから、なかなか切れないであろう、こう考えますので、これは先ほど大塚総裁の御意見であと五十数町歩なかなか容易でないとおっしゃっておりますけれども、どうしてもこれをやりませんとなかなかうまくいかないということをひとつ御認識をいただいて、さらにお願いをいたしたいと思います。  時間が迫ってきましたので急ぎます  次に、第一線警官は大変だと思います。いわゆる守る闘いです。しかも、火災ぴんとか、鉄パイプとか、竹やりとか、投石器とか、先ほど申し上げました電気銃と言っていいかどうかわかりませんけれども、そのようなものまで使ってくる、本当に闘いをいどんでくる彼らに素手で相対しているわけです。私は大変だと思います。これも何とか考えてやらねばならない問題であろうなと、こう考えているわけでございますけれども、あのようなときに、闘いですから戦局ということになると思いますが、有利に展開させるには、どうしても住民の理解と協力が絶対不可欠であります。協力があればたくさんの情報もいろいろ入手することが可能であろうと考えております。地元町当局議会、いずれも政府公団に対しまして約束事を実行してくれ、それさえやっていただけるならばわれわれは一緒になって一生懸命に協力しますと言っております。そこで、たとえ一つでも二つでも、終わらなくてもいいから手をつけてもらいたいわけでございます。現在警察官に炊き出しまでもやっている地元でございますので、一つでも二つでもやっていただきたいと思います。芝山地区からの要望十一項目ございますけれども、この中で終わっているものは一つもございません。手をつけたものも法律で決められたもの以外は何もございません。一つでもいいです。手をつけてください。  たとえばテレビの障害の問題ですね。もう調査が終わって、線引きまで終わっているわけでございますので、これだけは何とか開港までに終わらしていただきたいな、そう思います。全部終わらなくてもいいです。手をつけ始めればいいです。総裁お答えを願います。
  29. 大塚茂

    大塚参考人 地元芝山町と公団約束いたしましたことが何もやられていないとおっしゃられるのは実は心外でございまして、項目を挙げますと、早期にテストフライトをやってくれという約束は御承知のとおり昨年八月に実施をいたしました。B滑走路のコンターを発表してくれということに対する約束は、予測コンターでございますが、これも発表いたしました。そのほか、農畜産物の供給を地元のをなるべく使ってほしいということについては、県と共同で農畜産物需給懇談会というのを二月中旬に開催をいたしまして、供給者と需要者の話し合いを進めております。
  30. 石橋一弥

    石橋(一)委員 時間がございませんので、テレビだけひとつ頼みます。
  31. 大塚茂

    大塚参考人 そういうことで公団としてやれることはやっておりますし、すでに終わったこともたくさんあることをひとつお忘れないようにお願いをいたしたいと思います。  テレビの問題でございますが、これについては慣熟飛行の際にNHKの指導で調査をやりまして、百三十六地点においてその障害の状況を調べました。そのうち約八割の百六地点では障害があるということが認められたわけでございます。  これには二つございまして、一つは聴視料の減免でございますね。これの方はもう開港前に実施をするということで地元の市町村とも話がつきまして、これはやります。ただ、テレビのフラッター防止につきましては、御承知のように、テレビの直接の電波と、飛行機から反射をする反射波との干渉状況によって非常に変化がございますので、これはやはり個々のテレビについて調査をして、どういうアンテナをつけたらいいかとか、どういう措置をとったらいいかということを個々に決めて措置をとらなければなりませんので、これはどうしても開港後の調査、それから実施ということにならざるを得ないと思っておりますが、なるべく開港後速やかにこれを終わりますように、現在NHKと共同でアンテナの種類とかその他の準備をすでに進めております。
  32. 石橋一弥

    石橋(一)委員 長々とやられて時間がなくなったようでございますが、要するに完全主義ではだめだと私は思うのですよ、完全主義では。こうしたときになれば拙速主義でいいと私は思うのです。とにかくそこに誠意があらわれたのだ、一つでも二つでも始まったというのを見せれば、言葉を悪く言えば頭をなでたことになると思います。みんなが協力しますよ。それを完全にやらなくてはいけないという考え方でいろいろやっているから前へ出ないと私は思う。この際、ぜひそうしたことを私はやってもらいたいと思います。  そしてまた、芝山の鉄道延伸の会議の問題にしろ、町長に言わせれば、まだ一遍も会議をやっていない。三月中に必ずやると言っていながらやっていない。仮にこれをやれば——これは別に金がかかることじゃない。来れば、呼ばれたということで、町議会に帰って、いよいよ鉄道延伸の会議が始まったよと言うだけで町じゅうの空気が違ってきます。ぜひそうしたことを、官僚の完全主義でなく、とにかく拙速ということで、後でまた直してもいいからやるという姿勢をとっていただきたいと私は思います。  ちょっと時間が延びますけれども、今度は武器の製造の問題等について、先ほど警察当局からお話がございましたけれども芝山町の白枡というところで、鉄骨建築、酸素溶接、中古車販売の店がございます。警察当局はよく知っていると思います。あるいはまた、芝山町の稲葉というところに個人経営のライスセンターの庭先にいろいろなものが、武器と称されるものが山積みになっています。これも御承知であろうと思います。私は、いま情報の一例を言ったにすぎませんが、たとえばいつごろ、どこの山で、びんへガソリンを詰めたので、あの山に隠してあるだろうとか、今度は燃料基地が危ないとか、リモコン飛行機を飛ばして爆撃をするであろうとか、現地ではいろいろたくさんの情報があるようであります。私は、このような情報の収集も、結局は住民の理解と協力なくしてはできない相談であろう、こう考えるものでございます。いまの点、質問をいたそうと思いましたが、時間がございませんので質問はいたしません。どうぞひとつ、拙速主義でそれをやって、後でまた直してやってもいいから、この際はとにかく住民協力を得ること、得るにはどうしたらいいんだという考え方でやっていただきたいな、こう思います。  加藤国家公安委員長に最後に御質問、あるいは運輸省当局に御質問をいたしたいと思います。  とにかく無法地帯成田、こう言われております。法と秩序のある空港にして、そして政治に信頼を取り戻し、日本の威信の回復を図るにはどうしても要塞団結小屋撤去して、そして不法占拠耕作地の取り戻し、それにはどうしても住民協力が必要であり、暴力集団農民の切り離しが必要であると信ずるものでございます。最後に、委員長と運輸御当局から御決意をお伺いいたします。
  33. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘のように、地元住民皆さん方が全面的に協力をいたす、かような体制がとられませんことには、単に極左暴力集団だけを追っかけていっておりますようなことではその実が上がらないのでございますから、警察の立場におきましても、地元皆さん方とよく話し合いをいたしまして、情報等も得、そして警備等についても御協力が願えますように、今後も最大の努力を図ってまいりたい、かように思います。
  34. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お示しの点、私どもも十分肝に銘じまして、公団と力を合わせまして前向きにやります。特に、すぐやるようにします。
  35. 石橋一弥

    石橋(一)委員 終わります。
  36. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に太田一夫君。
  37. 太田一夫

    ○太田委員 皆さん、大変御苦労さまです。  最初に公安委員長にお尋ねをいたしますが、用語でございます。衆議院が過般、本会議で新東京国際空港問題に関する決議をしましたが、このときは共同して過激派集団という言葉を使っておりました。しかし、今日なお警察当局では極左暴力集団という言葉を使っていらっしゃいます。先回の内閣の対策要綱、これも極左暴力集団でございます。     〔委員長退席、新井委員長代理着席〕  そこで、もう一つ、参考ですが、大分前、参議院で一番最初に成田空港事件の質問がありましたときに、加藤公安委員長は、これはたしか公明党の方に対するお答えと思いましたが、私、傍聴席で聞いておりましたら、あなたは、暴力による破壊で社会主義社会をつくっていくという悪い思想に対処して、というふうなことをおっしゃって、まだ極左暴力集団というような熟語をお使いになっていらっしゃらないときがありましたね。それからもう一つ、また別のところで、民社党の方にお答えになったときには、共産主義革命をなし遂げる意図を持っておる集団だから許せぬ、というようなことをおっしゃった。  そういうふうに、何かイデオロギーというような意味において最初非常に前面に出した呼び方をしていらっしゃいましたが、その後、内閣は、統一見解でございますか、どこでだれがどういうふうになったのか存じませんが、成田空港対策要綱の中では極左暴力集団という言葉を使って発表されましたね。私は、別にこの言葉にそうこだわるわけじゃありませんが、過激派という言葉と極左暴力集団という言葉、この二つに最近ようやく集約されてきた感じがしますが、これに対して公安委員長としては何か御見解がありますか。
  38. 武士孝

    武士説明員 用語の意味でございますので、大変事務的なことになろうかと思いますので、私から答弁させていただきます。  極左暴力集団ということで、警察としては統一した用語を使うことに内部ではいたしておりますが、過激派という言葉は通常言われることであります。俗称と申しますか。内容の実態については、彼らの悪性といいますか、「極左的主張に基づく暴力主義的破壊活動」を行う者、そういうものの実態には当然変わりはございません。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 警察はそれでいいですが、公安委員長としても警察関係になりますが、それでは政府としてはどうなんですかね。極左暴力集団というニュアンスと単なる過激派というニュアンスとは違うと思うんですね。武士さんはいま片方がいわゆるフルネームであって片方が俗称だとおっしゃったが、さあ、そういうふうに考えていいですか。言うなら、どちらも反権力集団だと言えば統一されておる。アナーキストという意味でしょうか、どちらも。そのような意味、感じにとっていいんですか、それとももっと深いものがあるのですか。警察庁のお答えはいかがですか。
  40. 武士孝

    武士説明員 私どもでは極左暴力集団とは「極左的主張に基づく暴力主義的破壊活動」を行う者、これは警察庁組織令第十五条の三に規定されております事務分掌の中に用いている言葉でございます。俗称と申し上げましたけれども、過激派にしても極左暴力集団と申しましても、その内容、実態は私ども同じというふうに考えております。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 それではもう一つ、極右暴力集団というものが発生する、あるいはあり得るということはお考えになっていらっしゃいますか。
  42. 武士孝

    武士説明員 警察庁の方で公安第二課というところがございますが、そこの事務分掌の中での文言を申し上げますと「極端な国家主義的主張に基づく暴力主義的活動に関する」云々とありまして、先生がいま言われましたような極右と申しますか、そういうことについてはそのように規定いたしております。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 私は思想というものは地球と一緒であると思わないから、極左が極右に通ずるとは思いませんけれども、どうも通ずるような気がしますね。ともに現行の法と秩序とを無視して、空想というか、何かしら自分たちだけひとりよがりな独善的な考え方で、そして権力には反抗してしゃにむに暴力行動に走るということでは、極右と極左、左の左へ行っても右の右へ行っても結果は同じようなことだ。そうするなら、右回りも左回りも一緒ということは地球と一緒で同じもので、ともに過激派と言われるもの。過激派と言う方が国民にわかりいいです。暴力集団に極左がつくから、何か学生とか学者、文化人がやっているような感じを持ちます。  そこで、用語ということに気をつけてもらった方がいいような気もしますので、ちょっと用語のことについて伺ったのですが、本当を言うと内閣の統一見解を聞きたいところなんです。衆議院が過激派という言葉を使って決議したときに、政府としては過激派という言葉は適当でないと言っていただかなければ困るんですね。しかしそういう言葉は容認されておりますから、それならば過激派で統一されてもいいような気がします。極左暴力集団という言葉をお使いになるのは、最初から私が実例を申し上げましたが、公安委員長も最初何かイデオロギー集団のようにとっていらっしゃった点があったような気がして、それでは学生がやっておるのかと思いまして、この間逮捕された人たちの分類をちょっと調べてみたら、大分違うようでございますね。百六十六人つかまった中で身元が八十六人わかって、大学生は三十三人だったというお話がありますが、この間の逮捕者の中から身元確認をされた者の数、それからその身元から職業分類別数字、その一番新しいのはどうなっておりますか。
  44. 武士孝

    武士説明員 百六十六人を検挙いたしているわけでありますが、身元の判明いたしておりますのは八十六人でございます。これは着用していたヘルメット等からの推定も入るわけでございます。職業別では学生が三十三人、それから公務員等が十五人、高校生二人、その他三十六人でありまして、そのその他の中には病院職員、工員、保母等が含まれております。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 これは違っておるんですかね。私がどこかで聞いた数なんですが、郵政省職員が六人、電電公社四人、東大阪市役所職員二人、国鉄職員一人、東京工大助手が一人、民間労働者三十七人、そのほかにあなたのおっしゃった高校生二人、大学生三十三人、こうなってくるわけですが、民間労働者三十七人というのもあります。これも本当でしょうか。もし民間労働者三十七人がわかっていたら、それはどういうところのどういう会社に勤めておった人ですか。これはわかりませんか。
  46. 武士孝

    武士説明員 公務員等の十五人の中に、先ほど先生が言われました郵政職員六人、それから電報電話局員四人、市役所職員三人、国鉄職員一人、大学職員一人、その他三十六人の中に工員等が含まれるわけでありまして、具体的にどこの会社でどうということにつきましては、まだよく承知いたしておりません。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 わかっていて集約ができておらないのかどうか知りませんけれども、民間の労働者と言われると何か組織労働者のような気もしますし、そうでないかもしれませんが、これは対策を講ずる上においてある程度明らかにしていただいた方がいいと思うんですね。だから彼らの集団、特に逮捕された人はその中の中心でございましょうね。と考えてみますと、言うなら、あなたの方のおっしゃる極左暴力集団というものの内容はこういうものだということになりますね。階級が雑然としておる。民間労働者だから経営者はないんですか。資本家も入っておるでしょう。
  48. 武士孝

    武士説明員 現在何せ捜査中でございまして、まだ詳細を発表する段階ではございません。その点御了承いただきたいわけであります。  それから、職業のいかんにかかわらず暴力主義的行動をとるということについては、警察の立場から違法行為は看過しないという基本方針でございますので検挙をいたすのは当然のこと、そのように私ども考えております。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 左ではなくて真ん中で、真ん中で歩いてきたけれども、思想は真ん中の思想を持っておる、中道の思想を持っていてもね、何か気に入らないからといって、かっとなってやるということもあり得る世の中のことですから、今後その集団を一括してお呼びになる場合に、極左という言葉が妥当であるかどうかということを私はちょっと疑っているわけです。世間に誤解を招くものではないか。だから、衆議院が決議した過激派集団、過激派というのがいいのじゃありませんか。おっしゃるように、暴力集団ということはだれだっておっしゃるとおりに暴力集団であることに異議を持つ者はないのだから。だから私は過激派でいいと思うのですよ。(「革命が入るのですよ」と呼ぶ者あり)革命が入るか入らないかわからないが、私は空想的な冒険主義者がたくさんおると思うものですから、これは暴力集団と申しますか、過激派であることに間違いない。右の革命か、左の革命か。真ん中の革命か。資本家も入っておる。地主がおれば資本家です。まあそれはいいです。それだけやっておりますと、こだわりますとどうも抽象論で終わってしまいますから。  そこで公安委員長にお尋ねをいたしますが、五月二十日の土曜日ということになりましたね。ちょっとお急ぎになった感じもいたしますが、あなたの方がオーケーをお出しにならなければ運輸大臣も五月二十日をお決めにならなかったと思いますが、オーケーをお出しになったその御決意というものはいわゆる万全の体制が整ったということですね。  そこでお尋ねをしますが、五月二十日以降いわゆる多人数が出入りいたします空港のターミナル、これを中心とした警備体制は、水も漏らさぬというのじゃないですが、それは人がきによって遮断するということじゃありませんが、あなたの方では万全を期す構えあり、用意あり、したがいまして、五月二十日開港は世界に向かって安全であるということを宣言して差し支えないとあなたの方は考えていらっしゃいますか。
  50. 加藤武徳

    加藤国務大臣 極左暴力集団という表現につきましていま御意見がございましたが、私どもは、極左的な思想を持つ、現状を暴力によって破壊をする考え方の集団、かようなことでございまして、これらの諸君が今後どのような活動に出ますか、なかなか予測は困難なのでありますけれども、しかし五月二十日までには空港それ自体の防護体制も私どもの期待しております程度に完成いたしますことも明らかになってまいりました。警察といたしましては、さようなことを前提にいたしながら開港を迎え、そして断じて開港阻止はやらさないという体制をとることが可能であるという見通しを持っておるのでございますし、なお開港後につきましても、戸村一作委員長が称しておりますようなゲリラ的な活動等が考えられないではないのでございますけれども、これを制圧し得る、かような自信を持って開港を決定いたした、かようなことであります。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 基本的にそういうことですね。     〔新井委員長代理退席、委員長着席〕  じゃ武士さんにお尋ねいたしますが、五月二十日から自由出入りになりますね。それから空港警備隊という構想もあったようですが、これはまだちょっとそのときには実現しておらぬようでありますが、それは別といたしまして、自由に出入りできるターミナルにおいて、テルアビブのような、岡本公三がやりましたね、あのようなことは心配しなくてもよろしいか。起きる心配はありませんか。
  52. 武士孝

    武士説明員 私ども開港時それから開港後、それぞれの警備体制をとってまいるつもりであります。開港後につきましては空港警備隊、これを現在検討中でありますが、なるべく早く設置できるように、いま関係省庁とも話を進めておるところであります。  それから先生御指摘の、御不安のような事案につきましても、私どもとしてはそれらに対処し得るような体制を考えておるわけでありまして、その具体的内容につきましては相手のあることでもありますので答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  それから、先ほどちょっと答弁がおくれましたが、極左暴力集団の関係につきましては、彼らが究極的には暴力革命ということで共産主義社会を実現するということをはっきり標榜しての闘争実態がうかがわれるところでありますし、機関紙等についてもそのようなことを大々的に宣伝しているのが実情でございます。
  53. 太田一夫

    ○太田委員 それはそういうことを言っておるビラもあるでしょうね。農民がそこまでいっているかどうかは問題だと思うし、私は言うなら無政府主義者と申しますか、その手合いであろう、最もそれに近い暴力集団であろうと思っていますが、それはどちらでもよろしい。どちらでもよろしいが、彼らが蠢動して無軌道なことをするのを抑えるだけの秩序とそれから力があることが必要であって、開港が五月二十日ということになってくればそう遠い将来じゃありませんから、世界の各国がみんな、東京は危ないところだ、成田は恐ろしいところだと思っているとするなら大変でありますから、世界に向けて安全でありますよということをわが国の政府、特に警察当局は、公安委員長としてはおっしゃっていただく必要がある。そこでいまあなたがおっしゃったことは大体それでいいと思いますが、何か心にかかるものはあるのですかないのですか。
  54. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私どもは、心にかからないと言いますとうそになろうかと思うのでございますけれども、どのような行動に出ますか定かに前もって決めがたい要素はございますけれども、しかし万難を排除いたしまして絶対にさようなことのないような体制をとってまいる、かような決意で臨むつもりでございます。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 警察関係の質問はこれで最後にしますが、空港警備隊というのは千五百人、なかなか数が多うございますね。粒よりということになると全国から募集するのですが、もう見通しはついているのですか。
  56. 武士孝

    武士説明員 その要員の確保等についても現在警察庁、総力を挙げまして地元県警と協議をいたしておるところであります。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 こいねがわくは、進んで警備隊に加わろうという人たちが数多くあって、あなたたちがにせの、見せかけのかかし警備隊をおつくりにならぬことを望んでおきます。  運輸省にお尋ねいたします。運輸大臣はいつもいいことをおっしゃっていらっしゃるので、私は別に運輸省の方針あるいは精神が間違っておるということを運輸省には言うわけじゃありませんし、その点についてのお言葉は理解しております。最初から運輸大臣は参議院の本会議で三月二十九日にもう、心の触れ合いを真剣に考えていると述べ、地元民とは可能な限り理解、協力を図ってきたし、今後も最大の努力を払うと、同じく三月二十九日、参議院本会議の答弁の中にあります。それから三月三十日の衆議院本会議では、心の通う話し合いを望む、こう発言されております。この辺のところ、私非常に高く評価しておるのです。  そこで、それならば、あの人になってからそういう気持ちがわいてきたので、それまでわかなかったのでしょうか。もしわいておるとするなら、かつていまから一昔も二昔も前からそういう気持ちがあるとするならば、こんな事態は起きなかったのではないか。運輸省としては大臣というのはかわっていますから……。  きょうはだれが来ていらっしゃる。——航空局長から答弁してもらいましょうか。なぜこうした事態が起きたのか。そういう温かい気持ちを持ちながら、なぜ過激派と農民とを結びつけてしまったのか、何か反省的なお言葉があるとするならば、この際承っておきたい。
  58. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 成田十二年間の歴史の間には、いろいろ時代の変遷もございまして、行政の当局あるいは政治の立場にあられる方々考え方も社会の動きとともにやはりいろいろ変わってくる。そういったことでございまして、私どもが十二年の昔のことをここでいろいろ論評することはできないと思いますけれども、感想を申し上げますならば、恐らく昭和四十六年にはもう空港を開港しなければいけないというふうな至上命令に近い形で空港公団は追い込まれて、あれだけの大工事をやった経験は日本にはなかったわけでありますけれども、そのためにやはりかなり仕事を焦ったと申しますか。それからやはりもう一つは、一番大事な点は、日本の表玄関である国際空港をつくるということは、もう国家的至上命令であって、このことの実現のためには、いわばかなりのことが許されるというふうな思い詰めた気持ちが、当時の、特に空港公団方々に強い責任感とともにあったと思うのであります。恐らくいまでございましたらば、そういう表玄関である国際空港をつくることも至上命令であろうけれども、やはり同時にその建設をスムーズに行い、かつまた空港ができ上がった後での空港の運営を円滑にするためにはどうしても地元との協調がなければならないということははっきりしているわけでありますけれども、やはりそういった気持ち、もちろんあったわけでありましょうけれども、四十六年春の開港ということに責任を感ずるの余り、ちょっと地元との協調ということが、心がけていたものの実際の手だてが必ずしも十分じゃなかったと思います。もちろん当時の経緯をいろいろ調べてみましても、何遍かにわたって公団責任者と地元反対農民の間で話し合いをした経緯もあるようでありますけれども、どうもいい成果が生まれないままここまで来てしまったということでございます。  私どもといたしましては、運輸大臣が先ごろも表明いたしておりますように、おくればせではございますけれども、いまからでもひとつそういった形で地元の話し合いを進めまして、今後の安全な開港開港後の円滑な運営にどうしても不可欠なものとしてこれをしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 四十六年と言えば七年前。そのときに開港できるであろうとしたらばよかろうと切に願われた気持ちから、若干の焦りというものがあったりして、そそうありがちということでございましたね。これは後になって大変なことになりましたから、残念とも何とも言いようがありませんけれども、話し合いとか触れ合いとか、心の通うというような状態を望むとおっしゃったお気持ちというのは、福永運輸大臣をもって嚆矢とし、これをもって最後とするということじゃ困るのでありまして、いまの民主政治の真髄をそこに求めていってほしいと私は思います。  そこで、航空局長、公団という方式をおつくりになってあそこを管理されたのですが、公団も空港内の安全を図る義務があるというたてまえになっていますか、どうですか。
  60. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 当然、公団は空港の管理者でございますから、空港の中の安全を図るためのいわゆる第一次的な責任は持っております。ただ、実力といたしまして過激派等に対する警備力等については欠けるところがありますので、そういう点につきましては必要に応じて警察の手伝いをいただくということでございますけれども、やはり第一次的な責任はみずから守るということが基本だろうと思います。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、この間管制塔に乱入した暴徒に対して公団は何かやりましたか。
  62. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 二十六日の事態につきましては、公団と千葉県警本部との間で何遍も作戦を練りまして、外周部の警備、それからゲートの警備、それから管制塔の入っている管理ビルの警備等々につきまして、もうできる限りの打ち合わせを済ませて臨んだわけでございますけれども、大変残念な事態になってしまったということでございまして、当事者としてはできるだけのことをしたということに私は理解いたしております。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 大塚公団総裁がいらっしゃいますからちょっと伺いますが、公団が空港内の安全に対してこれを守る義務がある、安全を確立する義務があるといま運輸省のお答えでありますし、すでにそのような気持ちで動いていらっしゃるということでありますが、今度の再開港日の五月二十日を目指して警察当局との間ないしは運輸省との間の連絡は、十分その安全を確保するという立場において何事かが図られ、相談をされ、対策が講じられておらなければならないと思いますが、それに対しては、公団として本来やるべき義務というものに対して粗漏なく準備を整えておるといまここで言明していただくことができますか。
  64. 大塚茂

    大塚参考人 ただいま航空局長からお答えいたしましたように、空港の管理者として公団が第一次的な責任を持っておるという自覚を私ども持っております。しかし、力が足りませんので、従来から警備当局の御指導と御協力をいただきながらやってきておりまして、五月二十日に備えましても、やはり同じように警備当局と御相談をし、その御指導を得ながら警備に万全を期すということで現在努力中でございます。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 努力中では私は困るんで、そういうお答えを期待しておらなかったのですけれども、万全を期しておりますということでなければならぬわけですが、これは航空局ですか、運輸省の指導、悪いね。局長さん、もうちょっときつく指導してくださいよ。公団というものはそろばんを持ったり判を押したりするあれではないしね。空港内の安全を確保する第一義的な管理義務があると言ったらばこの間の三・二六もぶざまであったし、五・二〇に対する対策は二重丸であるかどうかということは問題がある。これは局長、もう少し、局なり運輸省として十分、あなたは指導をするという立場にあるわけですから、指導してください。これはそういうふうにお願いしておきます。  それで、もう一度、運輸省と公団かな、これは両方にお尋ねしてよろしいかな、最後のお尋ねになりますが、いままでずいぶんたくさんのお百姓さんたちが土地をお売りになりましたね。すでに土地をお売りになった方が三百八戸である。三百八世帯と申しますか、三百八軒あった。現在残っている農民の戸数というものは十七戸、こう一口に言われておりますね。農民との話し合いを進めて、そして温かい心の触れ合いを求め、過激派と農民とは別だと認識していらっしゃる運輸省といたしましては、この際あそこにある怨念というものは全部払うという構えをひとつお取りにならなければいけませんね。警察の方は取り締まり、治安当局は取り締まりであり、いささかどちらかというと力というものに中心が置いてありますね。これでなければ、秩序を守る方ですから仕方がありませんね。これはいかめしいわ。加藤公安委員長だって、なかなか弟さんに比べていかめしい顔だもの。それはもうあなた、いかめしくなければ公安委員長らしくない。もみ手をしておってはいかぬわけだ。ところが、航空局、運輸大臣は、心の触れ合い、温かい気持ちといういわゆる実にいい面を強調していらっしゃる。だとするなら、怨念というのは満ち満ちておる。農民の怨念というのは、土地を取り上げられた人、これは売ったにしても何にしても、たとえば一反を百四十万で当初売ったんでしょう。いま幾らですか、考えてみなさいよ。それで開港は七年も八年もおくれてしまっておる。金は使い果たし、借金の金利は重なる人もたくさんあるとすると、土地を売って、円満に大挙して国の政策というものに強力に協力した人、進んで積極的に協力のあった方々も、いまや前途途方に暮れる人も私は多いのじゃないかという気がしてしようがない。そういう怨念というものにどう対処していますか。勘弁してくれと手を合わせて拝むというだけのことじゃ、向こうは通じませんよ。だから、私はこの際、二億か三億か四億か、三億前後くらいの金を抱いて協力感謝御礼金でも金一封包んだらどうか。いやあ、ありがとうございました、そのときに真からの気持ちであなたの方が頭を下げられたら——もうすでにそういう土地を売った人ですよ。知れたものでしょう、三百八軒だもの。そういうことが私は必要だと思うのですね。そのことで、三億や四億程度の金で済むような気がするが、そのくらいの金で怨念が払拭されるならいいことじゃありませんか。そんなことを考えられたことがありますか、どうですか。
  66. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 本当にできればそうしたい気持ちでいっぱいでございますけれども、お金の問題になりますと、早く売った人、遅く売った人、それから横並び、いろいろありまして、なかなかむずかしいこともあるように聞いておりますので、できれば結構なんですが、もしむずかしい場合には、それにかわる方法として、空港公団が中心になりまして、こういった方々生活設計あるいは転業指導、その他もろもろの面でお世話をするということをしていくべきであるし、現にしていると思いますけれども、いまの先生御指摘の、協力者に対しましてはこれからもその御恩を忘れずに、私ども公団一緒になりまして、いわゆる制度上違法にならない限りにおいてできるだけのことをしたいと思っております。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 制度上違法にならないようにということは、手続上の形式的な話ですから、心と政策の問題とは別の問題で、やれるものならおやりになればいいのです。たとえばいま百万円包んで持っていらっしゃったときに、十町歩売ったお百姓さんがこれをもらうと、また国会に証人として換問されるのじゃないかと思わないでしょう。喜んで、ああ、成田空港というのは血も涙もないと思ったら、こんなに情けがある、がらっと黒い墨色から桃色に変わってきますよ。それは本当に、きょうは福永大臣いらっしゃいませんが、福永大臣のお言葉、各方面でおっしゃった言葉は、これは単なる言葉の上の言葉でなくして、実のあるものとするなら、行動はそのようなことになっていくであろうし、そうならなければうそだ、私がそう思ったのでありまして、具体的な問題として提起してみましたけれども、ひとつ考えてください。そして、世界の空港の中で一体成田というのはどういう空港であるか、何もかも悪いもの尽くしということでは困るのでありまして、観光立国をもってこれからがんばらなければならないわが国といたしましては、ここに気軽に楽しく多くの世界の方々に来ていただいて、日本という国の伝統と民情に触れて、そうして一層の平和を謳歌するというふうになってこなければうそですね。運輸省の御健闘を祈ります。がんばってくださいよ。あなた、そういう点をしっかりしてもらわなければ、成田の問題の安全なんて図られない、機械では図られないということを申し上げておきたいと思います。  終わりにします。
  68. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に野坂浩賢君。
  69. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、せっかく国家公安委員長がおいででありますからお尋ねをいたしますが、三月二十六日のあの事件を受けて、修復その他世界各国の伝達、動き等を見て、五月二十日開港に踏み切った、それには国家公安委員長も御参加になったと思いますが、まず万全の体制である、こういうふうに建言もされたのかどうかわかりませんが、その背景について御承知の点があれば詳しくお述べをいただきたいと思いますし、また、公団大塚総裁もおいででございますから、あなたの方も自信がありますということなのかどうか、その点についてはっきりお答えをいただきたい、こう思います。
  70. 加藤武徳

    加藤国務大臣 五月の二十日の開港を内定いたすに当たりましては、総理と官房長官と運輸大臣と私の四者がまず集まりまして、そしていろいろ検討いたしたのでございますけれども、その検討の内容の概略を申し上げますと、まず機器類が破壊されておりますので、この破壊を修復いたしますのに、いつの時点までに修復が可能であるか、このことの見通しにつきまして運輸大臣から報告がございました。警察庁といたしましては、運輸省並びに公団に対しまして、自主防護の体制をとってもらわなければならぬ、そのためにはかようかような点をぜひ防護体制を強化願いたい、かような文書による申し入れをいたしておりまして、その申し入れをいたしておりまする中身がおおむねいつごろまでには完成が可能である、かような見通しについてのこれまた運輸大臣の報告がございました。そして、さような前提のもとに警察といたしましては、開港日を中心にいたします警備の体制や、また、開港後におきまする警備の体制が、かようかような体制をとっていけば万全を期し得るであろう、かような考え方を述べまして、さようなことを総合いたしまして五月の二十日、このことを内定いたし、なお、このことを閣議にかけまして皆さんが了承された、かような経緯でございます。
  71. 大塚茂

    大塚参考人 公団といたしましては、目下施設の防護強化あるいは監視、情報のシステムあるいは警備の体制というものを強化いたしておりまして、これが五月二十日までにでき上がりますので、そうなれば万全であるというふうに考えております。
  72. 野坂浩賢

    ○野坂委員 万全であるということでありますが、開港前と開港後と警備体制は変わるのか変わらないのか、そして開港後どの程度の人数でどの期間そういう配備につこう、こういうふうにお考えですか。
  73. 武士孝

    武士説明員 お答えいたします。  現在も応援体制を含めまして万全を期しているところでありますが、開港時につきましては、警視庁の機動隊を初め他府県の機動隊等一万人の応援体制を組む計画を立てております。千葉県警の三千名と合わせまして一万三千名の体制で開港時の警備に当たる所存でございます。開港後につきましては、私どもは現在空港警備隊の設置を検討いたしているところでありますが、空港警備隊の人員は約千五百名を考えておりますので、それのフル活動ができるまでの間は当然他府県からの応援体制を続ける所存でございますが、どの程度の応援体制にするかはそのときの情勢によって変わるものでございますので、御了承いただきたいと思います。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂委員 万全の体制を整えてはいただきたいと思います。  この三月二十六日の事件についてやはり問題があった。一体どこに問題があったか。先ほど同僚議員の皆さんからお話がございましたが、あの暴力行為というものは民主主義に挑戦をする、そのとおりだと思うのであります。その点については厳しく対処しなければならぬ、こう思います。しかし、政府側は、あの警備体制の中で万全を期するという、こういう答弁が国会ではそれぞれいまもありましたが、もしまたあると、きわめて遺憾であった、残念至極であったというような声明に変わるわけでありますから、そういうことがないようにしなければならぬ。これには現行法を駆使して十分に対処できたものではなかろうか、こういうふうに思うのです。  たとえば、新聞を見ますと、陽動作戦にはまるとか、警備に大穴があったとか、たくさんのミスがあったとか、きょうの朝日新聞をごらんいただきますと、写真入りで出ておりますね。こういうふうにいろいろと移動したり、過激派の諸君たちが行進するのを見ておるとか、だからこういうところに警備のミスがはっきりしておる、こういうふうにも出ております。これは全部です。その程度あるわけですが、警備上のミスによって起こった事件であった、こういうふうに認識してよろしいわけですか。
  75. 武士孝

    武士説明員 警備全般を考えますると、大綱においては措置について間違いはなかったと思っております。当日の集会デモが三里塚公園で八千名で行われるとありました、それの警備、それから横堀要塞等のいわゆる極左暴力集団不法行動に対する措置等、それから重要施設の警備等々、多面的な警備であったわけであります。空港内に侵入されたということについては、各ゲートの守り方、部隊運用等について反省すべき点があると思いますけれども、九ゲート、八ゲートであるわけですが、それらについては、九ゲートから侵入した九人については空港署前の道路上において全員逮捕いたしておるところでありますし、八ゲートから侵入した連中につきましては、彼らはその前に約七百名で八ゲーのはるかかなたを来たところを機動隊が規制をしてそこで多数検挙し、その残り三百が八ゲーに参ったわけでありまして、八ゲーに入る際にも、八ゲーには一個小隊を配備しておったわけでありますが、その小隊が宿舎方面の警備に当たるということで、八ゲーをバリケードでしっかりして、それで若干離れたところの宿舎方面の警備に当たったわけです。その警備は、保安協会の研修センター方面でも一つゲリラ行動がありましたので、また、規制した約七百名のうちの三百の者が押しかけるとすれば宿舎方面から来るであろうという想定のもとに、若干の距離でございますが、転進をいたしておったわけであります。それで、その侵入した者について、その写真にありますように増援部隊がそこにおったわけでありますが、彼ら三百名が二台の車を先頭にしてくるについてバリケードを破って入ってきたわけであります。その部隊がそばにいながらと言われますけれども、急遽態勢をとるのに若干手間がかかった。火炎びんを持ち進んでくるのに対して、態勢を整えて臨みませんと、殉職を出す警備になります。態勢をとるのに若干時間がかかったということで、その後、その部隊等によりまして、あるいは空港署部隊等によって三百名のうち多数検挙し、あとは逃げ去ったというのが実態でありまして、侵入はされましたけれども検挙活動等により管制塔への侵入はさせなかったわけであります。  また、問題は管制塔に入られ管制室を占拠されて破壊されたということにあるわけでありますけれども、これをつらつらいま反省してみますと、やはりマンホールの点検に手抜かりがあったということは私どもいま断腸の思いでございます。七ヵ所のマンホールにつきまして、六ヵ所については公団と緊密な連携のもとに開口部をふさいでおったわけでありますけれども、もう一ヵ所のマンホール、これは、京成駅の近くから出てきたわけでありますけれども、はるかかなた千メートルも先の、しかも場周フェンスの道路沿いをずっと離れたところのがさやぶの中にあります。都心部のマンホールの実態とはかなり違います。私どもそれに対する検索が足りなかったことについては謙虚に反省いたしておりますけれども、事前に公団との打ち合わせで私ども承知いたしてなかったということ、それから管制室については電子ロックが施錠されており大丈夫であるというふうに私ども管制塔の施設について過信をし過ぎていたという面も否めない事実でございます。ですから、やはり今後は公団、空港当局と緊密な連携をとって、事前の段階で穴のあかないようなことを十分に詰めてまいりまして、二度とかような点のないようにいたしたい、かように考えております。
  76. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いろいろとお話をいただきました。私は決して警察を非難しておるわけではありません。一生懸命やられたことはよくわかっておるのですが、問題があるとするならばこれから起こしてはならぬことでありますから、具体的にその反省点は反省点として浮き彫りにしていかなければならぬ、こう思うのですね。  二十六日の午後一時ごろにマンホールから出てきた、こういうところから問題が起きておるわけですけれども、新聞で見る範囲でありますから私どもはよくわかりませんが、そこから真っすぐに通用門に突っ込んでおるわけですね。そこは袋小路になっておる。しかし、その鉄製のとびらというものは外開きのとびらでして、普通は施錠してある。こういうところですけれどもあいておる。そこから一気に入った。こういうことになっておるわけですね。そういう点については一体どうだろうかということと、あるいは、三井警備局長ですか、警備体制か部隊の運用などのどこかに問題があったのだ、この点については警備上のミスがあったと言われても仕方があるまい、こう言って、浅沼長官もお述べになっております。そういう点から見ると、将来の問題は別にして、三・二六事件というものは現行法規を駆使して警備体制その他をやれば十分でき得たものだ、こういうふうに警察当局も御認識になっておる。考えなければならぬことは将来あるけれども、この点とこの点にミスがあった、こういうふうにお考えでありますが、そのとおりと考えてよろしゅうございますか。現行法規でできなかったのだということがあればお話をいただければ結構だと思います。
  77. 武士孝

    武士説明員 私ども現行法を十分活用して対処してまいるつもりであります。  それから、先ほど先生御指摘の管理棟のフェンスの問題でございますが、それは外周の横にありまして歩道上から約十数メートル入ったところに観音開きになっているのも事実でありますが、当日それがあいておったというのも事実でございます。私ども大変そういう点当局との連携について残念であったと思っておるわけであります。  それから、警備上の問題で、先ほど朝日新聞の中で、八ゲーを入ってこさせなかったならば管制塔に入らなかったであろうという、同時刻のように書いてありますけれども、管制塔にマンホールから出た連中が入りましたのは一時ちょっと過ぎ、おおむね一時前後でありまして、その朝日新聞に載っております八ゲーの状況は一時半過ぎのころの状況でございますので、その点を御理解いただきたいわけであります。
  78. 野坂浩賢

    ○野坂委員 警備に、その部隊の運用なり体制に問題があった。また、通用門のドアはあいておった。そういう点については、通用門のドア等については公団側はいつもあけておくのですか。
  79. 大塚茂

    大塚参考人 通常、錠をおろしておりますが、当日は、警備車が出入するというようなことも考えて、錠はしてなかったというふうに報告を受けております。
  80. 野坂浩賢

    ○野坂委員 警備車が出入をするというような場合には、やはりその都度施錠をあけて入るということが私は筋ではないかと思うのですが、そういうことが事前に警察から連絡をされて、逆にあけるという結果になったのは、それは非常に連絡のそごなり問題があろう、こういうふうに思うのですが、そのとおりですかということが一つと、問題は、いま参事官からお話がありましたように、現行法で十分やれたんだ、そういう点についてはこれから反省点は抜き出して、ぜひその体制で進みたい、こういうふうに確認してもよろしいのですか。
  81. 武士孝

    武士説明員 施錠の問題につきましては、御指摘のとおり、私ども今後緊密な連携を公団と図ってまいりたいと思っております。  二番目の問題についても、私どもは反省すべき点は謙虚に反省し、それなりの体制をとって、現在警備に従事をしているところであります。開港時に向けては、さらに謙虚な気持ちで、警備に万全を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  82. 野坂浩賢

    ○野坂委員 わかりました。  それでは、今後の問題でありますが、御案内のように、エレベーターでぐうっと上がれるようになっておりますね。あのエレベーターの施設をかえていく、直していくということが必要ではないかと思うのです。というのは、ボタンを、ここを押せば何階まで上がるとか、だれもができるのではなしに、エレベーターでも錠で回す場合もあるわけですから、それらを取っておくとか、そういう措置をとっていかなければ今後の対策にならぬではないかということが一つ。  それから、全部冷暖房がありますね。あれで下の方から煙を出せば上まで上がっていく。その重要な七階以上といいますか、心臓部なり、あるいは管制塔というものについては一たん切っていく、こういう措置をしておかなければ問題がある。  さらに、木製のとびらがありますね。あれは全部金属製にかえていく、こういうことでなければ、今後、いやあのときはああだったけれども大丈夫だ、またやられてから大変だということであっては困るわけですから、それらの点については、航空局ですか、あるいは公団の方か、私はわかりませんが、どちらかでも結構ですから、どのようにされるおつもりか、お尋ねをしたいと思います。
  83. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 先日破壊されました管制塔の付近の問題は運輸省の所管でございますが、従来、階段から管制塔の方に入ってくるとびらがありますが、そのもう一つ手前に鉄のとびらをつけて電子ロックをするとか、そういうことで、二重、三重の防護措置を講じたいと思っております。  また、私ども、管制官の組合の諸君と話し合いをいたしまして、彼らからもいろいろ要望事項をもらいました。それらにつきましても、いま一つ一つまじめに検討し、かつ実現を図っております。  御指摘のように、予算の関係等で合板製のとびら等があるような部分もございますので、これらはたたき割っても壊れないような鉄のとびらにかえるというようなことをいたしまして、まず物理的な面で完全に防護してもらうということで、いま工事にかかっております。  それから、エレベーター等につきましては、ビルが公団の管理でございますので、公団にお願いいたしまして、安全第一の運用方式にしてもらうように頼んでいるところであります。
  84. 野坂浩賢

    ○野坂委員 三・二六の事件のときに、管制室から屋上へ上がっておりますね。あのときに、アンテナ等がいっぱいあって、キャットウォークといいますか、ああいう点も全部ついておるわけではなくて、なかなか警視庁なりNHKのヘリコプターが、着陸とまではいきませんが、ここだとするとこのあたりまでしか来れない。だから浮き袋みたいなものを投げて入っていかなければならぬ、こういうかっこうになって救出作業に非常に難渋があったというように承知をしておりますが、ああいうものは、障害物といいますか必要であっても取って、近くまで来れて、ああいうつり下げをしなくてもそこにすぐ入れる、そういうようなかっこうにする必要があるのではないかと思いますが、その点はどうか。  それからレーダーサイトでありますが、山田にもありますね。あそこは二百マイルですか、非常に画面が広い。これは東京空港の方にも、東京の管制部にも送っておるわけですが、山田のレーダーサイトも一遍襲われたことがあるわけです。これについては非常に薄いというふうに私たちは聞いておるわけでありますが、それらについてはどのような対策を立てようとしておられるか、また、対策を立てられたのか、伺っておきたいと思うのです。
  85. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  まず、管制塔の屋上でございますが、私どもも二度とああいうことが起きることを予期したくございませんけれども火災等の非常の場合も考えて、働く人の安全を保たなければいけませんので、そういった場合にヘリコプターが容易に近づけるように、あそこにありましたのは、たとえば気象の観測のための塔とかそれぞれございますけれども、どうしても置かなければならないものはすぐばたんと倒せるような形にする、置かなくともいいものは撤去するということで、この次はああいった事態にならないようにしたいと思います。  それから、いま山田をお挙げになりましたけれども成田空港の運営をバックアップするために山田以外にもたくさんの航空保安施設が各地にございます。こういったものはおおむね人里離れたところにあることが多うございますので、これがやられますと大変だということで、昨年の秋以来、管区警察局、県警本部等にも御相談しながら、厳重な警備をいたしております。  まず第一には、私ども自主的に防護対策ということでフェンスを完全にする、あるいは警報装置をつけるということだけじゃなくて、ガードマンの増強等をやりまして、一朝有事の際には直ちに地元警察と連携がとれるような万般の措置をとっております。今後も一つ一つ点検を重ねまして、万全の措置をさらに強化したいと思っております。
  86. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まだいろいろと細かい問題がありますが、たとえば管制卓、そういう壊された卓がありますね。あれは大阪や東京の空港では予備がございますが、あれが一つやられれば非常に不安だというような点についても、成田はそういう状況にかんがみて、支障のないようにそういう予備配置をする必要があるんじゃないか、こういうふうに思いますが、その点はどうか。  それから二管制の問題でありますが、グランドコントロールとランプコントロールがそれぞれ運輸省と公団側にあるわけでありますが、飛行機が着陸をしてあそこに入って、また整備工場に行くときには、その範囲からまた公団側に移る。管制官は、公団側がやっていらっしゃる場合の管制官というのは、普通航空局に申請をしてやるというかっこうで、資格の辺は、技量その他は同じようなものかどうかわかりませんが、私たちから見て、何か不安感もあるわけですけれども、一元化運営の方がいいではないかというふうに私どもは思うわけです。外国では二元化されておるんだ、こう航空局の答弁書に、対策には書いてありますけれども、そういう点はむしろ一元化の方がスムーズにいくのではないか、こういうふうに思うのでありますが、どのようにお考えでしょうか。
  87. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 まず第一の問題につきましては、今回の経験にかんがみまして、機器はできるだけ予備を配置したいと思います。お金で済むことでございますれば、やはりそういった配慮をいたしたいと思っております。  それから、管制の問題でございますが、成田空港に飛んでくる飛行機が滑走路に着地するまで、それから滑走路から離れた以後、こういう空中に関する管制は全部運輸省の管制官が一元的に行っております。これは全国の管制ネットワークの一部分でございますから、どうしても運輸省でやる必要がございますが、一たん地面に着いた後飛行機を転がす仕事は、これは管制という言葉が少しオーバーなのでございまして、いわば地上の交通整理と同じようなものでございます。だたそれを、遠く離れていますから、操縦士との間で無電でやるということが違うだけでございますので、これは運輸省の管制技術に比べればずっと初歩的な技術でできます。それは空港の平面の管理運営の一部分ということで空港公団に頼んでいるわけでありますけれども、もちろん管制類似の仕事でございますから、当然運輸省の管制の機関で研修指導いたしまして、完全な仕事ができるようにしてございます。したがって、二元的になっているというよりも、公団がやっておりますいわゆるエプロンコントロール、ランプコントロールというものは、管制ではなくていわば地上の飛行機の誘導作業にすぎないというふうなことで御理解をいただきたいと思います。しかし、いずれにしましても誘導中の事故等も考えられますので、十分これは安全を期してやっていきたいと思っております。
  88. 野坂浩賢

    ○野坂委員 技術的な小さな問題は別にして、これからの安全を期していかなければならぬわけでありますが、またないとも限らぬですね。これはたしか昭和四十一年の七月、佐藤内閣時代に成田に決まった経緯があります。それから十二年、十三年にもなるわけですけれども、いかに法律をつくり、いかに警備を厳重にしても、人間のやることでありますからいろいろ問題があろうと思います。これを根本的に除去するのは、力だけではなしに、やはりなぜそういうことが起きたのか、そのよって来る原因というものを追求をして、その原因を除去していかなければならない。それはやはり農家の皆さんと話し合わなければいかぬ。昭和四十一年の七月から今日まで十六人の大臣がありますね。地元農家の皆さん、地主の皆さんといいますか、そういう方々、地方住民の皆さんとお話し合いになったのは、十六人の大臣のうち大橋さんと中曽根さんだ、こういうふうに聞いておるわけですね。それほど出先の航空局等でやっておられたというところに問題があるのではないかと思うのです。  いま公団敷地内に土地を有していらっしゃる方は十八戸で四十四ヘクタールと聞いておりますが、そうですか。それから、防音対策として第三種地域の人が四十五戸、第二種、第一種が合わせて二百五十戸、全体で千名の皆さんがそういうことで悩まされておる。怨念というか、いまいろいろ話がありましたが、そういう方々と十分に話し合っていかなければならぬ。なぜいままで話し合わなかったのか。幾らどんな法律をつくっても、この皆さんの理解と協力を得ない限り、いつまでも安全は万全だというふうなことは言えません。きわめて不安定な要素を残しておると私は思うのです。それらについてはどのようにこれから対処されようとしておるのか。  そのことが一つと、三月二十七日に反対同盟の方と中村次官ですか、あるいは高橋局長も御列席だったと思いますが、お話し合いをされて、どういう印象を受けられたのか。  さらに、千葉県知事も話し合いをしようとおっしゃっておる。あるいは総評も仲に入ろうとしておる。そういうことをなぜ今日まで放てきをされてきたのか、なぜやられないのか、そういう点について考え方があればお話しいただきたいと思います。
  89. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私もかねがね空港の開港ということは、単に空港施設を開港することだけではなくて、地元農民の心を開くということがない限り、完全な開港があり得ないということを考えまして、いろいろそのパイプを探りました。公団は直接地元でいろいろやっていらっしゃいますので、かなりパイプを持っていらっしゃいます。そういうパイプを使っていろいろやることも考えました。しかしながら、過激派の人たち地元農民人たちとの間というもの、その辺の関係が微妙に揺らいできましたのはごく最近のことでございまして、過激派を分断して農民とだけ話し合うという、そういう状況がなかなかつくりにくかったという状況もございました。そういったことで、過去におきまして歴代の大臣あるいは当局関係者が心にかげながらなかなかできなかったこともございましたけれども、三・二六というものが一つの大きなショック療法になりまして、やはりこれをしなければいかぬということになって、ほうはいとしてそういった世論の支持もございますし、政治的にもそういった方向が打ち出されましたので、これからはその方向を推し進めることにいたしております。  二十七日のことでございますが、私は大臣と一緒に参議院運輸委員会に出ておりまして立ち会っておりませんが、事務次官に聞いた限りでは、三十分の約束で話し始めたのですけれども二時間にわたってお話を伺った、地元の方も非常に喜ばれて、こういうことをなぜ早くしてくれなかったという感想で帰られたと聞いております。実は運輸省としては、環境庁で座り込みがあったりした直後でございましたので、大変庁舎警備上は問題視する向きもあったわけでございますが、大臣の御指示もございましたし、私どもやはりこの機会を逃して反対派農民を過激派の方に回してしまっては取り返しがつかないというところから、事務次官も腹を決めて会ったわけでありますが、大変結果はようございました。  そこで、今後でございますけれども、千葉県がいま先生が御指摘のように知事さんもそういう姿勢でございますし、私たちかねがね千葉県庁の中にパイプを持っておりますので、こういったパイプも、実はきのうもおとといも詰めておりますが、そういう道を一つ一つ探りまして、なるべく早くそういう手段を講じてまいりたい。そして地元農民を含む住民方々から本当にこの開港というものが心から喜んでもらえるようにしたいというふうに考えて、努力をしたいと思っております。
  90. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まあ話ができる。この間、これは週刊誌でありますけれども反対同盟の島事務局次長や石橋委員長との対談で「とにかく政府が妥協案なり和解案なりを出してみることだろう、いま必要なのは。」こういうふうに反対同盟の皆さんはおっしゃっておりますね。そういうことがある、話し合えるというのに、これが起きなければならなかった。いま言ってもせんのないことでありますけれども、元来成田に設定をされたというのは、いまは亡い当時の実力者の川島さん等が相当力も入れられた。権力と金さえあればできるのだ、こういうところで、農家の皆さんに何の相談もなしに、何の関係もなく、一方的に政府が決めたというところに一番の問題の発祥があるわけですから、あなた方は御苦労ですけれども後始末をしなければならぬわけですし、ここまで来たわけですから、早急に、いまはそういうムードで話し合おうとおっしゃっておるわけですから、これらの皆さん方が納得のできるような解決案を早急にやっていかなければ、開港後も決して安全であるというようなことは言い切ることはできないと思うのですね、いつまでたっても。またゲリラも潜入する。開港があって一遍落ちついて、だれでも入れるようになるということになれば、どのような警備体制警察当局がしいたとしても、それにはやはり限界があろうと思うのですよ。それほど警察の制服の皆さんがあの中にうようよしておれば、飛行機に乗ろうと思ってもみんな乗りたくないような心境にまでなるわけですね。また世界の定期航空の操縦士の会の皆さんは、新東京国際空港に発着陸するのは本当に大丈夫なのか、行ってもいいのか、こう言って疑問を投げかけておるというのが今日の現状ですからね。それにどう対処するのかというのは、農家の皆さん、千葉県民の皆さん、全体の皆さんの理解を得ない限り安全とは言えない。その目標に向かって、単に権力と力だけで押しまくるという策をやめて、もっともっと民主的に平和的に話し合うということを早急に実施をすべきだ、こういうふうに思いますが、高橋航空局長、大塚公団総裁、そして国家公安委員長もおいででございますから、それぞれみずからの考え方を明らかにして、安全は万全だという体制をつくっていただきたいと思いますが、最後にそれぞれの関係の皆さんから決意をお述べいただいて、私の質問を終わりたい、こう思います。
  91. 加藤武徳

    加藤国務大臣 最近の反対同盟方々は、極左暴力集団とは縁を切りたい、かような気持ちを強く持っていらっしゃるのでございます。そのためには、地元皆さん方の御納得のいきますような体制をとってまいらなければならぬのでございまして、警察の立場からいたしますと、なすべき多くのことは何と何であろうか、かようなことも検討いたしておりますが、運輸省や公団ともよく連携を保ちながら、ただいま御発言のような趣旨に沿いまして努めてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  92. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 もとを正すということが一番大事であると思いますので、いま御指摘のような点につきまして先ほど申し上げましたような努力を早急にやりまして、早く解決したいと思います。
  93. 大塚茂

    大塚参考人 基本的な考え方は先生と全く同一でございまして、公団としましては、初めから農民の方とは話し合うということで話し合いをいたしてきております。ただそれが、表向き公然と行われるという形がなかなかとりにくかったというのがいままでの状況でございますが、このごろ大分世論等も変わってまいりましたので、表向きも何とか話し合いのできるようにひとつ呼びかけをいたしていきたいと思います。それと同時に、施設の防護等を万全にいたしまして、ぜひこの開港を安全に迎えるということにしたいという決意でございます。
  94. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話がございましたが、知事とか総評とか、いろいろパイプになろうという方々もたくさんあるわけでありますから、航空局長からお話がありましたように十分そういう点に留意をされまして、成田は治安問題だけだ、こういう世論喚起をしながら反対農家皆さん方を追いやるという姿は、日本の国策上にとっても決して適当でありませんし、十分に御意見を聞きながら妥協案なり和解案なり、そして理解と納得をしてもらうという姿で千葉問題の解決に一層の努力をいただくと同時に、使われていく労働者も、修復はこうだというかっこうで労働強化というようなことになりがちでありますから、十分その点も配慮されまして、整正とした成田空港にしていただきますようにお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  95. 沖本泰幸

    沖本委員長 この際、午後零時四十五分まで休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後零時四十六分開議
  96. 沖本泰幸

    沖本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新井彬之君。
  97. 新井彬之

    ○新井委員 先ほどからいろいろ質問が出ておるわけでございますけれども、非常に細かい点にわたるかもわかりませんけれどもお聞きしてまいりたいと思います。  先ほども話がありましたが、加藤国家公安委員長にいたしましてもあるいはまた運輸大臣にいたしましても一また空港公団の総裁にいたしましても、非常に御努力をされておる。これはもう、もともとの四十一年七月に閣議決定をしたときからボタンのかけ違いということでございまして、現在まで来て何とかこれを解決しなければいかぬということで、その処理を担って立っておられるような苦労でございます。そういうことですから、いまここで過去のことを論じてもしようがないわけでございますけれども、やはり今回のこの空港の安全な開港ということにつきましては、そういうものもよく勘案をして考えていかなければならぬのじゃないかということを考えるわけでございます。  先ほどからの答弁によりますと、五月二十日の開港、これは大丈夫だ、こういうことでございます。そこで、もしも大丈夫ということになるならば、これは極左暴力集団がいろいろな手を使ってどこからやってきてもそれを防げるというひとつの完璧さがありますね。これは、そういう意味で安全だ。それからもう一つは、やはりそういう発生源というものを基本的になくすということが、これは安全の第一になるわけでございます。したがいまして、現在は反対農民極左暴力集団、こういうものが一緒になってこういうことをやっておると理解しておるわけでございますが、政府の方としてはこれはもう当然分離して、反対農民の方には話し合いをしていこう、そして暴力集団についてはあらゆる法律を適用して根絶を図っていきたい、こういうようなお考えになっているのじゃないかと思います。  そこで、先ほどからの質問にありますように、拠点をなくすとかあるいはまた資金源はどうなっているのだとか、あるいはまた多くの法律がございますけれども、そういうものを一つ一つ適用してそういうものの根絶を図る、こういうことでございますが、ここでもう一度確認をしておきたいわけでございますが、安全というのはどこまでが安全なのかということをまず確認をしたいわけでございます。  一つは期間の問題ですね。期間というのは、二十日は大丈夫だった、二十一日の飛行機の初便も大丈夫だった、ところが一週間後にやられたというのは、期間的に見て非常にだめだ。もう一つは、たとえて言うと、空港内であのターミナルの中で火炎びん三つも四つも投げられて火災が発生した。こういう場合は安全と見るのか、それともそれぐらいのことはしようがないと見るのか、どういう見方をするのか。確かに管制塔がやられて飛行機の発着ができない、これはとんでもないことでございますが、そういうような問題ですね。あるいはまた、燃料タンクが襲撃をされる。けが人はなかったけれども爆発が起こった、これは安全のうちに入るのかどうか。  そういうようないろいろな面が考えられるわけでございますけれども、一体安全というものは、そういうものをひっくるめて全部完璧なのかということをまずお伺いしておきたいと思います。
  98. 武士孝

    武士説明員 いろいろありますが、やはり羽田空港並みの安全さというのが一つの目安になるのじゃないかと思います。
  99. 新井彬之

    ○新井委員 これは一つの具体論になりますけれども、週刊誌とか新聞等にいろいろそういう過激派の連中が発言をしておる中で、開港になった場合に、極端に言えば、飛行機の切符を買いまして、そして本来旅行に行くようなかっこうをして、その中に何らかの武器を持ち、火炎ぴんとかあるいはまた何か爆発物を持ち、そして行って、あるところで爆発をさせたというようなときの警備なんというものは、実際問題ちょっとできにくいのではないか。爆発をしてからつかまえることはすぐできると思いますよ。しかし、そういうようなことが起こる場合に、どういう時点でどうチェックをしていくのかということですね。そういうことについてちょっと具体的にお伺いしておきたいと思います。
  100. 武士孝

    武士説明員 相手もあることでありますので、具体的な警備のやり方、中身については御容赦いただきたいと思いますが、開港になりますれば、一般の人々の出入りが一定の地域は自由になるわけでございますから、そういうものに対する体制等も、恒久的なものとして空港警備隊を設置して、所要の体制をとりたいと私どもは思っておりますが、公団あるいは空港の管理をする方の立場の自主防衛体制と申しますか、そういうものと相まった警察活動ということによって一つは確保されると思います。  それから、成田に限って言いますれば、やはりあの極左暴力集団に対する国民一人一人の暴力排除の決意とかそういうムードというものが根底にあることが、治安を支える最も大事なことではないかというふうに考えるものでございます。
  101. 新井彬之

    ○新井委員 そこで、さっきからも答弁で出ているわけでございますが、運輸省あるいはまた警察、空港公団、この三者が話し合いをして、緊密な連携をとって安全対策に備えるということなんですけれども、これは実際問題として、もしも問題があった場合には、一体どこが中心になって責任をとるわけですか。空港公団はこの部分については自分たちの責任です。それから警察の方はこの部分については責任でございますということがあるかもわかりません。しかし、この三月二十六日の状況を見ましても、やはりそういう打ち合わせを完璧にやっていましても、最終的にはそういう問題について、過激派とかそういう者が来たときの防衛をするためにだれが指示をして、もしもそれが失敗した場合はだれが責任をとるという体制になっておるのですか。それをまずお聞きしておきたいと思います。
  102. 武士孝

    武士説明員 治安維持の最終的な責任というのはやはり警察であるわけでありますが、警察がより効果的なことをやり、だれもが望む安全対策ということについては、まず管理措置が確立されなければならぬと思います。それと相まった警察活動ということに相なるわけでありますが、そういう面で三・二六の反省に立ちまして、先生御懸念のような緊密な連絡体制ということについては、今後二度と失敗のないように、十分、公団、運輸省とも私どもは本当に細部に至るまで打ち合わせを重ねていきたい、かように考えております。
  103. 新井彬之

    ○新井委員 これは公安委員長、実際警備する側として打ち合わせも非常に大事だろうと思います。しかし、実際問題、その指示する人というのはその現場にいる何人かだと思いますね。そうすると、ドアの向こうへ行っちゃったからこれは今度空港公団の問題なんだとかいうようなことでは済まされない問題がございますね。そのときには、よしんば空港公団の職員であっても、この場合においてはこのように協力をしてこうしなさいという指示系統、命令系統は明確にしなければいかぬ。それでなければやはり再び三月二十六日のことは繰り返す、こう思いますけれども、そういう件についてはどのように検討されておりますか。
  104. 加藤武徳

    加藤国務大臣 警察の立場からいたしますと、その場所、場所によりまして、一〇〇%警察責任を負うかあるいは共同の体制をとるか、いろいろ違いがあろうかと思います。  そこで、警察が一〇〇%責任を持って体制づくりをし、万全を期さなければなりませんのは、まず空港周辺でございまして、空港周辺にまで公団や運輸省の力が及ぶことを期待いたしますことは困難だと思いますから、私どもは、空港周辺につきましては警察が一〇〇%責任を持って万全の体制をとらなければならぬ。それから、ゲートから内のいわゆる空港内におきましては、たてまえといたしましては空港公団責任を持ちますことを主体といたしながら、警備を強化していかなければならぬのでありまして、それは物の面の防護施設もございますし、またガードマン等の人の面の強化のこともあろうかと思うのでございますが、といって、警察責任を持たないなんということではみじんもございませんで、今回考えております空港警備隊は主として空港周辺の警備に当たることをねらいといたしておりますし、それから、空港警察がすでに三月の初めにスタートいたしておりまして、二百数十名の署員を擁しておるのでございますけれども、この署員だけで空港内の警備が困難であるといたしますならば、応援等をいたしまして万全の体制をとる。その際、施設の防護は、施設を防護いたします体制をとってまいりますと同時に、またガードマンと警察職員が緊密な連携を保っていかなければなりませんから、具体的には、この施設はここまでは警察処置をいたしますよ、しかしここから内部の、たとえば執務いたす中でありますとか、さようなところにつきましては、公団みずからが体制をとっていかなければならぬでございましょうし、また空港のロビー等におきましてはどういうぐあいな体制をとるか、あるいは九つもありますゲートを入ります際の検索等をどの程度いたしますか、そういう具体的なことにつきましては、公団側とよくきめの細かい打ち合わせをいたしまして、この間にそごのないような体制をとっていかなければならぬ、かように考えているところであります。
  105. 新井彬之

    ○新井委員 じゃ運輸省にお伺いしますけれども、この前、管制塔に乱入をしましたね。それで、管制官が何人かいたわけですけれども暴力集団は、人には傷をつけるな、逃がしてから器物を破損しろという指示でやったらしいですね。そこで、よしんばその管制官がこの器物は壊されちゃならぬ、これはもう警備をするんだということでやった場合は、ここに何らかのけが人が出るとか、もっとひどい状態も考えられますね。そういう場合に、管制官というのは、全然別個の一つの任務を持ってそんな暴力集団に対するような人がいるようなことはありませんね。そうすると、今度管制塔を守るということについては一体どういうぐあいに守ってもらったらいいのか、あるいはそういう中で自発的にどういう形にしたらいいのかということについて、どういう考えを持っておりますか。
  106. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 まず、管制塔は空港公団と同じ建物に入っておりますので、その建物の正面玄関、裏口を含めまして、建物の入り口をガードしていただく、これは公団の方にお願いをしなければならないわけでございます。それから上へ上がっていくエレベーターの使い方等についても、公団側にいろいろ御配慮をお願いする。そういたしまして、エレベーターが終わったところから今度われわれの領分になりますのですけれども、エレベーターからすぐに管制室のドアに来られないように、途中にもう一つ鉄のとびらをつくりまして内側からロックするという形にして、管制官が安心して仕事ができるようにしたい。この間の事件は、十四階の非常口から外へ出て、それで上に上ってガラスを壊したわけでありますが、その上に上るところにつきましても、今度は簡単に上れないように下向きに忍び返しをつけるというふうなことで、今度は外からもはいれないようにしたい、こういうふうにいま考えて工事に取りかかっております。
  107. 新井彬之

    ○新井委員 公安委員長、やはりこれはおのおのの任務というのがございます。この前の三・二六の問題にいたしましても、これはやはり起こるべくして起こったと私は見るわけです。といいますのは、何でそれなら成田空港周辺に一万四千名も警官を集めたか、これは当然何か開港までに襲撃があるのじゃないか、そのために五百人や千人じゃ一発でやられるのだということがもう前提にあって警備をやっているわけです。そうしますと、だれに対する警備かということも明確であります。明確でありますから、それをとめるために、管制官がこうしなさいとか、あるいは一般の雇ってきたガードマンがこうしなさいと言ったって、ピストル一つ使えるわけじゃないわけです。そうすると、当然そのときに、専門的にそういう警備体制の勉強をしておる警察官なりそういう指示者が、全体に対して避難しなさいとか、これはこうしなさいとかということをやらなければ、これは打ち合わせと言ったって、打ち合わせのとおりやれるような、芝居をやっているわけじゃないのです。  だから、今度は管制塔をもう一遍ねらうということは無理だから、次はよそをねらうということを考えてくると思います。そのときに、結果的にまた責任の所在がなくて、もう一遍打ち合わせをするということに必ずなるのではないか、私はこう思うので、この件についてはよほどよく検討していただいて、指示の一元化というものを図らなければならぬのだということを私は思うわけでございますけれども、いかがでございますか。
  108. 加藤武徳

    加藤国務大臣 二十六日の警備体制は、反対大集会が三里塚第一公園で持たれて、そこに約八千名が結集いたしたわけでありますが、あらかじめ集会とその後のデモ行進の届け出があり、これを許可いたしておるのでありまして、それは、大清水に至りますコースと岩山に至りますコースと二コースでございまして、このデモ行進中に事故が起こることを心配いたしており、ここへ大部分の警察官を配置しておった、かようなことでございます。  ところが、菱田小学校に第四インター諸君が約千五百名結集いたしておりますが、この方の情報入手が実は非常におくれたのでございまして、いまにして逐次わかってきつつございますけれども、二十五日の深夜に至りまして、第四インターを中心にいたしましての向こうの作戦会議が持たれた、かようなことも次第にわかってきておるのでございますが、同時にまた、いわゆる横堀要塞と言われます地点での行動もございましたので、さように多元的に配置をいたさなければならぬ、かようなことでございました。  いまにして思いますと、なるほど全国から約一万人の機動隊の応援がございまして、地元警察と合わせまして一万三千人の警備体制ではあったのでございますが、しかし警備の布陣をいたしましたのが前の日の三月二十五日、かようなことでございました。ですから、千葉県外から応援に来ました諸君の多くは、いわゆる土地カンのない諸君が多うございましたことが一つと、それから、幹部だけは若干前に集まりまして作戦会議等はやっておるのでありますけれども、それでも気心の十分わかり切った部隊編成ということにはなっておらなかったのでございますから、さような点も深刻に反省をいたしております。  それから、情報の入手がきわめて困難でございまして、最初は第五ゲートないし第七ゲートを襲撃する心配がある、かようなことで、その面に実は重点配備をいたしておったのでありますけれども、結果といたしましては第八と第九ゲートを襲われた。これもあらかじめ察し得なかったことでございますけれども、しかし両ゲートは制圧をすることが可能でございました。  最大の私どもの反省の点は、やはりもっと徹底してマンホール等の検索をやるべきであった、かような反省の上に立っておるのでございます。そこで、三・二六のかような経緯をよく分析をいたしまして、その反省の上に立ちまして、今後は断じてさような手抜かりがないように万全の配備を考えているところでございます。
  109. 新井彬之

    ○新井委員 開港後、千五百名の、それも三交代ということですね。私がここで申し上げたいことは、警察が何もサボっているとか、あるいは打ち合わせに不備があったというようなことではなしに、これはもう不可能みたいな形で出てくるのが当然ではないかと思うのです。といいますのは、ゲリラ側というのは、いつ、どこにすきがあるんだろうということを、ゆっくり一年でもあるいはまた二年でも待ってでも、すきがあったらやってやろう、こう考えているわけでしょう。そうしますと、警察の方では、あの三・二六のときでも、結果的にここにこうしておけば問題なかったのだということにはなりますよ、なりますが、必ず次のときも、ここにこうしておけばよかったのだということになると思うのです。だから、これは表現がいいか悪いかわかりませんけれども、攻撃してくる方というのは絶対作戦勝ちで、まず先手をとれますね。それに対して、ただ防御してつかまえるというだけのことであれば、これはなかなか至難のことだと思うのです。緊張してやっているときに、ばかみたいに来る者はないと思うのです。  そういうわけでございますから、私は本当に三・二六のときに、これはこうしたらよかったんじゃないか、ああしたらよかったんじゃないかということをここで何回も言おうと思ったのですけれども、そういうことを言ったら次に役に立つかというと、次は必ずまた、ちょっとしたアリの一穴といいますか、そういうところから出てきてやるだろう。そうしてまた、もう一遍警備体制ということになるだろう。  その一つが、さっき警備のことだから具体的には話ができませんと言いましたけれども、たとえて言うと、空港が開港になってしまった、そのときに切符まで買って、はい、私はちゃんと搭乗券も買っております。何番で、どこどこへ行く客ですというようなことまでやって、そうしてトランクに爆発物等を持ってくる。事前にチェックができて、それでいけばいい。しかしそれをうまく通り越した、それも何回も何回もやってくるでしょう。そうしてその上でバカンと一発、ターミナルかどこかでやっただけでも、ああこれは警備の手落ちだったと言われれば、そんなことを初めからそこまでやるのだったら、よほど検問所みたいなものを設けて完璧にやる以外に、手の打ちようなんであるわけはないのです。  それは管制塔だけ守れというのなら、管制塔には絶対はいれないようにできるでしょう。しかし、彼らは管制塔をやった、しかしターミナルで火炎びんを五、六本やって火事になっただけでも一日や二日とまってまた大騒ぎになるのだ、見てみろ、まだこんな状態だぞということだって話題にできるようなことも考えるでしょう。あるいはそれだけではなしに、今度は外国から飛行機で帰ってきて、どこかの国でそういうものを仕入れて、おりたときにそれでバカンとやってやろう、それは何も税関がどうのこうのじゃないんですね、どこでもいいから爆発させればいいのですから。そんなことだって考えてくる。だからこれを防ぐということは、本当に安全という面について——だからわれわれが聞いているのは、この五月二十日は完璧でございます。だからどの辺までが完璧かということがちっともわからないのです。だから、管制塔も大丈夫でしょう、ここも大丈夫でしょう、だけれども、実際問題として、私が一乗客としてたまたま外国へ行くためにターミナルに行った、ところが突然火炎びんが爆発して、それが飛び散ってやけどをし、けがをした、こういうようなこともひっくるめて、そんなことはないのだという警備体制なんというものは、これはもう、逆に言えば、現状から見まして不可能なんだというのがこの三・二六の教訓ではなかったかと私は思うのですが、いかがでございますか。
  110. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま新井議員がおっしゃいますように、一〇〇%これなら大丈夫だ、絶対に大丈夫だという態勢は、言うべくしてなかなか困難であろうと思います。ことに極左暴力集団が存在をいたします限り、あらゆる知恵をしぼりながら間隙を縫う分別をいたそうかと思うのでございまして、三・二六の教訓を踏まえますと同時に、警備の専門家はいろいろ過去の経験等を積んでもおりますし、また専門的な知識を持っておるのでございますから、たとえばいまのチェックの仕方は、チェックいたします際のチェックインと、そしてゲートインと、この二ヵ所がチェックの場所になっておるのでありますけれども、しかし第三、第四のチェックの方法を設けなければならぬとも考えておりますし、それから空港警備隊は約一千五百名でございますが、三交代といたしますと、常時勤務できますのは、その三分の一にしかすぎない、かようなことでございます。この諸君は主として空港の外周を中心にした警備態勢をとりながら、空港警察の署員が二百数十名おりますから、この諸君が主として空港内の警備の態勢をとるのでありますけれども、私は空港が円滑にできたといたしましても、その後の警備の態勢が相当長期間にわたって大切であると思うのでありますし、空港警備隊と空港署及び公団の職員だけの手ではとうてい完全な態勢はとり得ないと思うのでありますから、相当期間やはり千葉県警並びに各都道府県の応援を得ながら警備の態勢をとっていかなければならぬ。いま御指摘がございましたように、どこかに小さい穴でも穴はないか、穴があればその間隙を縫って、またいろいろ悪知恵を働かしながらやってきますことが予想されるのでありますから、そういうことを想定いたしながら、これで絶対大丈夫とは言いがたいのでありますけれども、これで万全であるという態勢だけはぜひとりまして、無事開港を迎え、開港後の完全を期してまいる、かような決意でございます。
  111. 新井彬之

    ○新井委員 私は本当に国家公安委員長がいろいろなことを悩まれ、あるいはまた、浅沼長官が今回の問題で更迭になるとかいろいろ出ておりますけれども、実際問題、そういう面においては非常に同じグラウンドに出て、確かに押し合いみたいな形でそういうデモや何かを規制するについては、これはできると思いますけれども、今回の暴力集団のやり方というのは、あらゆる知識とあらゆる知恵とそれからタイミングを見てやっているということですから、これを事故があってすぐつかまえることは可能であっても、事故を起こさないまでやろうと思えば、これは大変なことではないか、そのことを非常に懸念をするわけです。そういうわけで、それこそ公安委員長がこういう法律をつくってくれ、あるいはまたそういうぐあいにすればできるのだということなら、われわれ幾らでも協力できますけれども、そういうことは何もなしに、大丈夫です。大丈夫ですと言われて事故が起こったのでは、これは申しわけないという感じがいっぱいありますので、いまそういうお話をしているわけです。  そこで、三月の二十六日ですね。あのときにたまたまあそこへ、管制塔へ入られちゃったということなんですが、そのときに上へ向けて空砲を十八発ぐらい撃っていますね。そこでピストルを使用するかしないかというようなことについても、現行法の見直しとかいろいろありますが、これは現行法でいけるということの結論になったようですね。確かにそれはそれなりにきちっとありますけれども、もしももう一度、三月二十六日と同じような状態にあった場合は、確かにマンホールのチェックもして、あそこに人が立っているでしょうけれども、そのときにピストルを使用するというときに、これは私非常に微妙な問題になると思うのは、水平撃ちができるというときは、とにかく相手がこっちに対して、もうこっち側の命にかかわる、だから正当防衛とかそういうようなことでないと、なかなか、自分がちょっとよければすうっといっちゃうようなものに対して、何でもかんでも撃つということについては、これは現場の警察官がピストルを撃て、撃てといって撃てるものでないし、撃つなといってとめられるような状況ではやはりないと思いますね。やはり警察官職務執行法にあるピストルの三段階の撃ち方というものは非常に検討されておりますし、日ごろからよく徹底されておるわけですから、現場の警察官とすれば当然やはり上に向けてこうして撃つべきだったのだろうという判断だと思いますよ。それを、こういう問題が起こったからというので、今度は、さあ、全部撃ち殺せ、ピストルをみんな持たすぞと言ったからといって、今度は警察官の方でそれを納得してみんなが撃てるかというと、ぼくはそういうものではないと思う。そうすると、彼らがねらってくるのは、何も警察官をまず殺すとかいうようなことよりも、空港が開設ができないようにしなければいけないというのですから、器具を壊したり何か騒ぎが起きるようなことさえやれば、これはそれで事足りるわけです。そうすると、なかなかピストルを持っていても、このピストルを使うことが、現実的にはこれをあわせてみるとできないわけですね。こういうようなことになるわけでございますけれども、このピストルの使用については国家公安委員長も、いや、これからはもう時と場合によっては使うぞということを言われておりますけれども、それはどういうようなことでそういうような発言になったのか、それをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  112. 加藤武徳

    加藤国務大臣 三月二十六日には拳銃を十八発撃っておりますが、四発は第九ゲートを中心にいたしましての威嚇射撃であり、十四発は管制塔中心の発射でございまして、いずれの場合もいわゆる威嚇射撃でございまして、極左暴力集団の何びとかを射殺をいたす、かような意図のもとではなかったのでございます。  そこで拳銃につきましては、まず拳銃を装備させる、拳銃を持たせます対象でございますが、一般の警察官は拳銃を所持いたしておりますけれども、機動隊はかつてトラブルがございまして、また拳銃を奪われた等の事件もございますので、警備警戒体制に当たります際には持たせない方がいいという考え方のもとに、現在は持っておらないのでありますけれども、しかし今回は非常ないい教訓でございますから、教訓を踏まえながら機動隊の諸君にも拳銃を持たすべきかどうか、これを検討いたしておる点が一点でございます。  いま一点は、警察官職務執行法やまたこれを受けましての諸規則におきまして拳銃を使用し得ます場合を厳重に制約をいたしておることは、これは当然なことであろうと思うのでありまして、二つ目の問題といたしましては、いかなる場合に拳銃を使用いたすか、このことでございます。私ども警察官がみだりに拳銃を発射し、そして相手を殺傷いたしますようなことは厳に慎まなければならぬことは申すまでもないことでございますから、三月二十六日にあのような事件があったからといって、そのために拳銃を使用いたします範囲が拡大、ことに他の場所において拡大されますようなことは厳に慎んでいかなければならぬのでございますから、これは警察官職務執行法等に定めてありますことを忠実に守っていく。また厳格に守ってまいりましても使用し得る場合もあるのでございますから、その辺の機微に属しますことを警察官に誤まって理解をせしめたり、また誤まった使用方法の拡大等があってはならぬ、かような慎重な態度で対処いたしてまいる、かような考え方でございます。
  113. 新井彬之

    ○新井委員 聞きたいことがたくさんあるのですけれども、時間が余りありませんので飛ばしますが、この戸村委員長が、これはきのうの新聞に出ておりますが、アメリカのニューズウイーク誌のインタビューでいろいろ言ったということで破防法教唆罪適用ということですね。これはやはり法律から照らしましても当然そういう形になるのではないか。これはもう適用されるのではないかと思いますが、慎重に証拠を集めているということでございますが、今回の暴力集団を含めまして第四インター千五百人ですか、それから中核派七千人、共産同戦旗派千人、革労協三千三百人、その他で二千六百人ですか、こういうことでデータが出ておるわけでございますが、そういう農民運動とは全然別個な勢力というものに対して、これは十二年間やっているわけですね。その間には殉職者も出ておるわけなんですね。その中で本来ならば、あらゆる法律を適用しまして、そうしてその一番の根源であるところを押さえていかなければいけない。あるいはさっきからも話が出ておりますように、農民方々とは福永運輸大臣が本当に話し合いをしていくのだ。また、国家公安委員長もそういうふうに言われております。あるいはまた公団の総裁だってそういう気はあると思うのですけれども、そういうことからいくと、何かいままで余り調査してなくて、今回急にこれがひっかかるのじゃないかという、いままでの資料がなさ過ぎるような感じがするのでございますが、この問題を聞いても答弁が出ないかもわかりませんけれども、そういう点についてもっと調査するとともに、こういう一つの問題についても慎重に証拠集めということになるのですけれども、こういうことについてももっと全力を挙げてひとつ現行法で適用できるようにやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  114. 加藤武徳

    加藤国務大臣 極左暴力集団は、大変な数でございまして、核マル派の諸君の大部分は参加いたしておりませんけれども、その他のセクトは、ほとんど成田に力を結集いたしておる、かようなことでございます。  そこで、警察といたしましての警備体制をとってまいります上では、情報の収集がきわめて重要なことでございますが、なかなかそれが困難でございまして、今回百六十六名検挙いたしまして、いまけがをした一名を除いて百六十五名が拘禁中でございますけれども、しかし、いわゆる口を割ります者がほとんどおりませんで、わずか二名の者が若干口を割った、この程度で、あとは絶対の黙秘、かようなことを続けております。そして、逮捕歴のあります者で処罰を受けました者も、前回氏名を名のらない、身元の判明いたさないままに処罰を受けております者もありますけれども、指紋によってその者が参加していることが明確でありましても、しかし、身元は依然として定かでない、かような状況でございますから、なかなか捜査が困難でございます。  それから、戸村一作氏の言動につきましては、警察といたしましては、従来から非常な関心を持ち、資料の収集等をいたしておりまして、ことにニューズウイークの四月十日号にその記事が出ておりますことも、私どもは重視いたしておるのであります。ただ、直ちに戸村一作氏の言動が破壊活動防止法に該当するかどうかにつきましては、これまた慎重を期さなければならぬのでありまして、戸村一作氏が委員長をいたしております反対同盟のメンバーは二百人前後でございますが、しかし、その中のほとんどの方がいわば極左暴力集団とは縁を切りたいという考え方方々が大部分でありますから、破壊活動防止法は組織に対する規制が主たる目的であり、また、政治目的を持って教唆扇動いたしました場合に処罰いたします条項はございますけれども、どの程度破防法の活用は可能であるか、このことにつきましては今後とも法務省とよく連携をとっていかなければならぬ、かように考えております。そうして、あらゆる法規を活用して対処せよ、こういう御意見でございますが、私ども現行法規を最大限に活用いたしまして対処いたしてまいる決意でまいっておりますけれども、しかし、現行法で足らずとする面もあるのでございますから、さような面につきましては新しい立法を期待いたしておる、かような考え方でございます。
  115. 新井彬之

    ○新井委員 時間でございますから質問をこの程度にしますが、団結小屋撤去できたからといって、この問題が、それは一部プラスにはなるでしょうけれども、基本的にそれで何もなくなるなんということはありませんですね。そういうわけでいろいろのことが考えられます。さっきも石橋委員の方から、過激派がなぜそんなところに結びついてやっているのかといえば、資金源の問題があるというのです。食べ物それにプラスまだ二千万くらいの金があるのだ、こう言っているわけですね。そういうような調査なんというのは、これは空港公団がちゃんとやるのかあるいは運輸省がやるのかあるいは警察関係がやるのか、それはわかりませんけれども、とにかくそういうものを本当に真剣になって検討をして、そしてそれに対する一つ一つの手というものを打っていかなければこの問題は解決できないのだ、それを各省で打ち合わせばかりやって、現実に問題が起こったら何も手が打てなかったということではとんでもないことだ、このように思うわけでございます。  先ほどからも、空港公団総裁が、第一義的には全部責任を持っておやりになるということでございますね。運輸大臣も本当に現地農民の方と会って、いろいろこれからも話し合いをしていこうというようなことでありますし、この前事務次官と会った結果も非常に好評だということでございますので、ひとつ公団総裁も、いままでの経緯等もよく御承知でございまして、いろいろなことがあろうかと思いますが、とにかく自分の全力を挙げて、責任は私なんだという気持ちで、その解決の衝に当たっていただきたい、そのように心からお願いをいたしまして、質問を終わります。
  116. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に青山丘君。
  117. 青山丘

    ○青山委員 私は、国家公安委員長にまずお尋ねをいたしたいと思います。  成田空港はこの三月三十日、いろいろと欠陥空港と批判、中傷はされてまいりましたが、一応開港する予定でありました。それが去る三月二十六日、管制塔に侵入した数人の過激派ゲリラによって、空港の心臓部ともいえる管制室が無残にも破壊されました。そのために開港日が五月二十日に延期されることになってまいりました。あれほどの体制をとって警備してきたにもかかわらず、すきをつかれて、しかも心臓部といわれる管制室があのように破壊をされてきてしまった。一つの国がこれほどの醜態を全世界にさらけ出してきた例は他にないのではないかと私は思うのです。  成田は、確かに内陸空港としてたくさんの問題を抱えておりました。燃料輸送の問題、交通アクセスの問題、過激派暴力集団に対する対策あるいは第二期拡張工事、難問が山積している現状において、これらの問題が解決されないでたとえ五月二十日に開港されたとしても、果たして空港の機能がそのまま十分存続されていくものかどうか、私はその点で大変暗たんたる気持ちでいるわけであります。  先ほど来の質疑の中に、一万三千名の機動隊員を北は北海道から南は九州まで大動員して厳戒態勢をとってきた、にもかかわらずそのすきをつかれた。聞くところによりますと、当日は管制塔の周辺はきわめて警備が手薄であった、こういうふうに聞いておるのですが、警察の警備態勢において、航空交通の安全上一番大切な管制塔を守るという自覚に欠けておったのではないか。  そこで国家公安委員長、いろいろなところを守らなければならないということでありましょうが、一体どこを守っていくのか、そしてそこはどのような警備態勢で守っていくのかという最も基本的な問題についてきわめてあいまいであったのではないか。漫然と暴徒に対する対応ということで追われてきておったように私どもは受け取っておるのですが、その辺の基本的な取り組みについてやはり相当反省しなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。その辺のあいまいさがあったのではないか。つまり、管制室だけではないでしょうけれども、これは守らなければならない最たるものだ、一つの守らなければならない典型的なものである。にもかかわらず、それがあのように無残にも破壊をされて手も出なかった。このことに対する当局責任をどのように感じておられるのか、まずお伺いいたします。
  118. 加藤武徳

    加藤国務大臣 警察の警備態勢は漫然とその態勢をとっておったのでは断じてないのでありまして、どこにどのような形で侵入してこようといたしましてもこれを断じて制圧し得る、かような前提で専門家が専門的に検討いたした配備であったことだけは御理解をいただきたいのであります。  ただ、先ほどお答えをいたしましたように、私どもの入手いたしておりました情報は、あるいは菱田小学校跡地に集まった第四インターが第五ゲートないし第七ゲートを襲撃するのではないか、かような情報でございましたが、結果といたしましては第八並びに第九をねらってきまして、ゲートから侵入しようとした極左暴力集団はこれを制圧することができたのでございますが、ただ残念なことにマンホールの検索がなされておらなかったことが原因で十五名が管制塔に侵入して、うち十名が機器の破壊を行った、かようなことでございます。  管制塔ももとより重要な拠点の一つでございますけれども、聞くところによりますと、襲撃されますと機能の麻痺が生ずると考えられまする施設がまだずいぶんあるということでございまして、さようなところにも警備の態勢をとっており、管制塔並びに警察を含めまして一個小隊の警察官の配置をいたしておったのでありますが、いまにして思いますと、この配置態勢が不足しておった。マンホールから上がることが仮に予期されておったといたしますならば若干の増強等も可能であり、そのことが暴徒が入りますことを防遏し得たのではないか、かような反省もあるのでございます。  さような反省に立ちながら、今後はどこをどのようにすきをつこうとしても、そのすきは一つ一つ小さくても、これはつぶしていきまして万全の態勢をとる、かような決意で臨んでおりますようなことでございまして、五月二十日の開港はぜひ予定どおりになさしめなければならぬ、かような決意で臨んでおるところであります。
  119. 青山丘

    ○青山委員 管制室以外にも守らなければならないところはたくさんあると思います。しかし、私ども素人目であるかもしれませんが、管制室というのは航空安全上最も心臓部であるように感じているのですが、そこがあのようにやすやすと、たとえマンホールから侵入したとしてもあんなにまで簡単に破壊を許してしまうという警備態勢は、基本的な認識において甘さがあったのではないか。別に前のことばかり非難、中傷してみようという気持ちはさらさらありません、ありませんけれども、やはり反省すべきは反省すべきであるという点に立って考えてみますと、こことここはどうしても守らなければならない、その中の一つではないかと思うのです。そこがあのように——新聞社がヘリコプターで写真を撮っておりまして、まざまざと管制室が壊されているにもかかわらず手も出なかったというあの警備態勢、それで果たしてあの成田空港が五月二十日に開港されて大丈夫かしらんという見方は、一般的にだれでも持っておられる大変深刻な不安です。その国民の不安を払拭していただくためには、やはりよほどの決意と具体的な対策を講じていただかなければならないと思うのですが、その辺いかがでしょう。
  120. 武士孝

    武士説明員 重要なところとして守るべき一つであるというふうにも私ども考え、それなりの態勢をとっておったところでございます。彼らが一時ちょっと前ですか、マンホールから出たと捜査の結果はっきりわかったわけでありますけれども、当時警察官、空港署員五名が彼ら約二十名の暴徒に対しまして拳銃を構えまして、一時はホールドアップさせたわけでありますけれども、一瞬の虚をつかれ火炎びんを投げられたということで逃げられ、それを後を追いかけるというようなことに相なってしまったわけであります。管理棟周辺にも所要の部隊、空港署部隊等もおったわけでありまして、それなりにすぐ追尾し、十六階にある管制室の入り口は十五階になるわけでありますが、そこへ行って、その後いろいろ活動もしておったということで、管理棟内の捜索等にもその後回ってしまったというような現場での判断もありますけれども警察としては、部隊についていろいろとそれなりのことをやっていたわけであります。  ただ、結果的にあのようになってしまいましたので即日、張りつけの要員をあそこに置くということにいたしております。今後とも警備、自主防衛態勢というものを強化するやに先ほど来局長も御答弁されておりますが、私どももそういうものと相まった、また公団側のガードマンの配置、そういうものとわれわれとの緊密な連携をとって、警察がやはり最終的には治安の責任があるわけでありますから、今後二度とないように最善を尽くしてまいりたいと思っております。
  121. 青山丘

    ○青山委員 私は、あの管制室に入るドアが、木製であったものが今度スチールになるというニュースを聞きまして、こんな程度の対応策ではとても基本的な対策にはなっておらない、やはり抜本的に暴徒に対して立ち向かうという姿勢がなければ——確かにホールトアップしたということでありますが、一瞬の虚をつかれて火炎びんを投げられて侵入を許す結果になってしまったということなんですが、そういうことに対する基本的な対応策を抜本的に、成田に限ってということになっておりますが、暴徒に対してはっきりと武器の使用をするのだというような決意を出さなければ、これはとても一つ一つの——総合的な警備ですからそれはそれなりに効果がないとは言いません。けれども基本的な解決策にはならないと思うのですがその辺いかがでしょう。
  122. 武士孝

    武士説明員 先般の教訓を十分生かして現在も所要の具体的体制をとっておりますし、今後開港に向けて遺憾のないようにしていくということで種々検討いたしておるところであります。  それから武器の使用の問題につきましては、使うべき事態に使うのは警職法の範囲でこれはもとより当然の職務であると思いますが、警備実施の多くの現場におきましては、状況により拳銃を使うよりもガス銃あるいは放水等の方が、双方にけが人を出さないということも基本方針の一つとしておりますので、要は、鎮圧し検挙をするという警察活動の原則から申しますれば、けが人は出さない警備で目的を達するというのが一番望ましい姿であるわけでありまして、拳銃を使うよりもむしろ放水なりガス銃の方が事態を鎮圧する上に効果的であるという場面も多いわけであります。しかし、拳銃を使わなければならない事態というものも先般の警備を見まして、私自身現地におったわけでありますけれども、そういう使うべき事態というものが今後ふえるのではないかということを相手の凶悪性にかんがみていろいろと痛感をいたしております。
  123. 青山丘

    ○青山委員 お互いに被害がないようにということなんですが、そういう姿勢に過激派の方はすっかり調子に乗っているわけですよ。身の危険を全然感じていないからああいうむちゃなことを平気でやっているわけですよ。そこらが彼らを防ぎ切れない基本的な問題だと思うのです。私、恐らくよそで質疑されておりますから、こればかりでとらわれているつもりはございませんが、確かに警察官の人権は守ってください、それは最も守られなければなりません。危害があってはいけません。同時に、ああいう危害を加える意思を持っている者に対して、相手に対してできるだけ被害のないようにというような立場が、やはり基本的な解決策にはなっていかない。第二、第三の同じ事故が必ず起きる。被害がないことにこしたことばありませんけれども、それで本当に目的が達せられるのかどうか、これは基本的な問題で疑問を感ぜざるを得ません。何も喜んで発砲しろと言っているわけじゃありませんよ。けれども、そういう姿勢というものが厳然とあるという立場を示さないといけません。いま、これから徐々にそういう武器使用のケースがふえてくるでありましょう、こういう答弁ですから、きょうは私はそれで了とさせていただこうと思います。  そこで、空港公団警備当局に対してゲートの個所を地図つきでチェックを依頼されたと聞いておりますが、問題は、それ以外の入り口から過激派が管制塔に入ったものだと見られております。千葉県警は九日までにゲリラの首謀者である者からある程度事実をつかんでおられるのではないかと思います。すなわち空港関係者から事件直前、詳細な空港青写真を入手していた事実をつかんでおられるのではないか。乱入に際しては内部通報者の手引きがあったとして関係者について捜査を始めているとのことでありますが、事実でありますか。
  124. 武士孝

    武士説明員 現在、三・二六それから横堀要塞事件で百六十六名を検挙いたしたわけですが、その捜査の最中でございます。そういう捜査の過程を通じて今後そういう問題を明らかにいたしていきたいと思っております。
  125. 青山丘

    ○青山委員 私の質問は事実かどうかということを聞いておるのですが、答えにくいでしょうかね。余り答えてはいけないこともあるかもしれませんが、いかがでしょうか。
  126. 武士孝

    武士説明員 これまでの捜査では明らかになっておらないということでございます。御了承をお願いいたします。
  127. 青山丘

    ○青山委員 明らかになっておらないということですが、やはりその問題が取りざたされております。いまの段階ではまだ十分明らかではないということなんでしょうか。もしこれが事実であったとしますと、運輸省、空港公団、これは人事管理について重大な責任があると思うのですが、いかがでしょう。仮定の問題に答えられませんか。
  128. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 もし事実がそうでありますれば重大な責任があると思います。
  129. 青山丘

    ○青山委員 空港公団、いかがでしょう。
  130. 大塚茂

    大塚参考人 私はそういうことはないと確信いたしておりますが、もし事実だとすれば重大な責任があると思っております。
  131. 青山丘

    ○青山委員 きょうは本当は公団にこんなことを言いたくなかったのですが、話のついででちょっとお尋ねするのです。この事故のある二日ぐらい前に総裁は、開港が阻止される暴力事故といいますか事件が起き得ることはない、そんな心配は心配のし過ぎではないかという発言をされたというふうに聞いておりますが、事実ですか。
  132. 大塚茂

    大塚参考人 私、はっきり記憶にないのでございますが、とにかく開港直前にして非常に不安な状態にあるんだというようなことを私が言える立場にないことは御推察をいただけると思います。
  133. 青山丘

    ○青山委員 問題は、空港公団も、守るのは警察の仕事なんだ、われわれは別にそこまで守らなくたっていいんだというような、そんな気持ちはないと私は思うけれども、しかし、同じように責任を全うしていくという決意をたまたまその話の中で感じられなかった、残念なことだと私は感じたのです。これは運輸省も公団警察も一体になって同じ基盤で物を考えてお互いに守り合っていくという姿勢でなければ、守ることは警察の仕事なんですからというような姿勢はないでしょうけれども、この取り組みに対しては新たに決意していただきたいと思います。答えは要りません。  政府は、航空機の発着する地区及び空港管理施設には絶対に侵入させることのないよう措置する、こう言っておられますが、問題はその具体的な対応策、具体化でありますが、政治不在だと言われて、そして成田問題の不始末がただこのような措置だけでけりをつけられるものではないと思うのです。開港までの短い期間、あと一ヵ月と十日ぐらいですか、このわずかな期間に十二年近くもこり固まってきた開港への障害を少しでも取り除こうとする政治の姿勢、成田問題への真剣な取り組み方、こういうものがいま最も問われていることではないか。万が一開港されても、それらの姿勢に対する信頼感がなければその後の開港に対する不安というのはつきまとってまいります。警備対策も必要でありますが、警備対策の面だけにとらわれておっては大局を見失っていくのではないかと心配するのです。私は、運輸省に国際信用をかけての二度目の開港宣言に対して、この開港宣言にこたえていただく意味でも無事に開港にこぎつけてもらいたいと思うのですが、どのような抜本的な対策を考えておられるのか、お尋ねいたします。
  134. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私は、今度の開港を迎えるに当たりまして、やるべきことは四つあると考えておりました。一つは、壊された機器の修復、これはもう済みました。二番目に、新しい物理的な各種の防備体制の増強、それから三番目は、警察警備体制のさらに充実強化、四番目に、地元住民、特に農民との間の心の通い合いを強め、そしてこの成田問題の十年間の障害をもとからなくすという努力をいますぐにも始めることというふうに、四つの点に整理して考えているわけでございます。
  135. 青山丘

    ○青山委員 それはぜひやっていただかなければ、開港されてもその後の機能が十分果たし得るというわけにはいかないのではないかという不安を持っております。  それから、そのほかには、これは公安委員長の方の関係かもしれませんが、運輸省にも関係があると思うのですが、この機能とこの機能は絶対確保する、たとえば燃料輸送の問題、あるいは燃料備蓄に対する確保の問題、交通アクセスの問題、これは交通安全で取り上げてきましたが、あるいはその他第二期工事、まだまだ問題はあります。  さてしかし、問題は、警備、防備ということなんですが、具体的に過激派の攻撃に対してただ守るだけなのか。私は、農民運動と暴力集団と、やはり分けて考えていかなければならないと思うのです。農民に対してはかなり理解をされつつあるように私は受けとめているのです。残ってくるのは、やはりこういう過激派集団に対する基本的な対応策ということになってくると思うのですね。これは警察の問題ではありません。運輸省、その辺も十分対応していただかなければならぬと思います。  政府は、関係閣僚会議で、新たに千五百人規模の成田空港特別警備隊を編成するようでありますが、これはいつごろからその編成に入られるのか、お尋ねします。
  136. 武士孝

    武士説明員 空港警備隊員につきましては、千葉県警本部に所属させるということでありますが、恒常的な空港警備に専従する警察部隊であります。人員については、千五百人をもって編成するということを現在検討中であります。設置の時期につきましては、現下の治安情勢にかんがみ、早期に設置をしたいということで、現在検討を各省庁と進めておるというのが事実でございます。
  137. 青山丘

    ○青山委員 具体的に時期はまだ出ていませんか、早期にとは……。
  138. 武士孝

    武士説明員 なるべく早く発足さしたいということであります。
  139. 青山丘

    ○青山委員 開港に間に合いますね。
  140. 武士孝

    武士説明員 なるべく早くということでありまして、開港時に千五百名の警備隊がそっくり千葉県警の定員増でできるというのは、事実上大変むずかしゅうございます。それにつきましては、当分の間は他県からの機動隊の応援をもって賄うということでありますが、私どもとしては本当に早くつくりたいというのが本心でございます。
  141. 青山丘

    ○青山委員 当分は全国からの機動隊の応援体制を続けて、そして、いまの御答弁ですと、開港後ということになるかもしれませんが、特別警備隊と併置されるということでありますが、ただむやみに編成を仕上げただけでは実戦的にその役に立つかどうかということはなかなか疑問であろうと思います。  先ほど来の質疑の中で、守り切るということが大体むずかしいのではないかと言われてきておるような状況ですし、私もそういう疑問を持っています。大量の警察官と警備隊の数だけふやしても、守るべきところがどこで、その機能だけはどうしても守るということであれば、あのような混乱が起きなかったのではないかと思うのです。つまり、守らなければならない機能というものがある。たとえば空港のフェンスをめくられたとか、これも開港に支障にならないとは言いません。あるいは開港前にターミナルビルに火炎びんがぶち込まれたというような問題についても、これは開港に支障があるという問題ではないというふうに受けとめています。つまり、開港にとって避けられない機能そのものがあるわけですから、それを重点的に防いでいけばできることではないかというような気もするわけですね。これは素人考えですか。いかがでしょう。
  142. 武士孝

    武士説明員 いま先生、私ども警察活動に対しましていろいろとお尋ねでございますし、また、ありがたい背景のもとの御質問と私承知いたしております。  私どもも、警備については何が重点であるかということを当然考えてやっておることでありまして、今後の警備におきましても、先般の警備の反省の上に立って十分検討を重ねて、現にそういう観点から現実の警備はいたしております。今後開港後の問題についても、御懸念の点を十分私どもは踏まえて検討を重ねてまいる、また、厳に守っており、検討をさらに重ねていくという基本的な態度でございます。
  143. 青山丘

    ○青山委員 お差し支えなければ聞かしていただきたいのですが、三・二六事件で反省される材料は幾つかあったと思います。それは反省される材料として幾つぐらいあったのか、やはりそういう面を十分整理していかないと具体的に対応策というのは生まれてきません。それはかなり整理されていると思うのです。そういう一つ一つの反省材料に対する対応策を検討されておると思うのですが、お差し支えなかったら聞かしていただきたい。  さらにもう一つは、それと相まって、基本的な抜本策というのは何か、聞かしていただきたいのです。
  144. 武士孝

    武士説明員 基本的というか、抜本的と申しますならば、やはり最終的には国民の一人一人が極左暴力に対して敢然として否定をする、そういう主義というか行動を否定する、そういうものが国民の中に強くなければ、私ども日本国の治安全体を考えた場合いろいろと問題が出てくるのではないかと思うわけであります。成田の警備につきましても、警察活動に対する国民の理解と協力というものが根底にあって初めて最終的な治安は維持されるものと思っております。当面は、公団、運輸当局等と緊密な連携をとって、それぞれの管理者としてみずから物を守るという形での管理措置を強化していただきまして、私どもはそれとタイアップした形で警備活動を今後続けてまいりたいというふうに考えておるわけであります。  警察といたしましては、そういう空港の安全を確保するためにいろいろと関係機関にもお願いしておるわけでありますが、それと相まって、あの事件以降、その翌々日でございましたか、警察庁では次長を中心とする極左暴力集団対策委員会を設置いたしまして、警備活動の各般にわたりまして総合的な検討を、ただいま先生御指摘の点等を十分踏まえながら現在対策を立てておるというのが現状でありまして、私どもは、反省すべきところは謙虚に反省し、二度とこういうことのないように今後警備に精進してまいりたいと思っております。私は、やはり暴力排除の国民的機運の盛り上がりを期待しております。
  145. 青山丘

    ○青山委員 確かに国民的な合意がなければ——私は、警察官は決して力を抜いているというふうには受けとめておりません。それなりの、職務を必死で守っておられる、しかも四人の殉職者を出しております。そういう意味で私は国民的な合意はある程度取りつけられていると思います。これ以上国民の合意が必要だということで、警察がむしろ手をこまねいていることの方が、私は、もっとファッショ化していくような思想が台頭してきてはかえって大変だと思います。私はいまの段階で十分国民の合意、つまり警察はもっとやってほしい、拳銃使用はできるじゃないか、なぜ警察はそういう法律の範囲で最大限守ってくれないのだろうというような気持ちの方があると思うのですよ。まだまだ国民の合意が足らない——それはごく一部の思想的な活動をしておられる人に、あなた方も考え方を変えてくれと言ってみても無理じゃないか、大多数の国民は十分警察を信頼し、警察の警備に対して期待をしていると思うのです。またその気持ちもあの事件によってかなり合意されてきておると私は受けとめておるのです。したがって、この基盤の上に警察が断固として守っていただけるのではないか、その決意を私はぜひ聞かせていただきたいと思います。
  146. 武士孝

    武士説明員 私どもは現場を預かるものとして、国会の御決議については重々その趣旨に沿って精進努力してまいる所存でございます。  また先ほどお答え申し上げましたように、武器使用等については最も効果的な事態というか、使うべきときに使わないというのではなくて、現行法令を厳格に厳正な態度で処理していけば、私は事態を収拾し得るものと思っております。
  147. 青山丘

    ○青山委員 それじゃ、時間がありませんので先へ急きます。通告してある質問を飛ばしますが、御了解いただきたいと思います。  成田空港周辺の道路上において過激派の投げた火炎びん等によって乗用車、トラックが相次いで火災事故を起こしてきました。これら暴徒による自動車の火災等の事故は道交法七十二条の違反に当てはまるのではありませんか。一般的に車両に対する事故の届け出等は守られておりますか。  また、例の改造車両というものがありました。車両法違反行為といいますか、これらについて警察庁はどのように指導して、また対処していかれるおつもりかお尋ねいたします。
  148. 杉原正

    ○杉原政府委員 成田事件あるいは一般的に三・二六以前の時点でも高速道路等にかなり車両を使用した妨害事案がございました。道路交通法の適用のあるものもございますし、それからこの間の改造車両のようなものは道路運送車両法の系統の違反、それから往来妨害その他さまざまの法令が考えられます。現在、このいわゆる道路交通関係法令の違反につきましては、公安委員長から話がありましたように現行法をフル活用していこう、こういうことでございます。  ただ、先ほど先生からお話がございましたのは、事故その他が——車を使った人間がまだ特定ができないということでございますので、容疑事実を固め、車も押収してございますから、問題はこれからの捜査の過程で、一体だれが運転したのか、だれがこの車を改造したのかということをこれから詰めていくという段階でございます。
  149. 青山丘

    ○青山委員 時間が来ましたので質問を終わります。
  150. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、東中光雄君。
  151. 東中光雄

    ○東中委員 今回、成田における集団的かつ計画的かつ非常に組織的な暴力破壊行為があったわけですが、そういう行動が起こるだろうということは事前にある程度予想ができた、具体的行為については別でありますけれども。そういう中で警察は一万三千人ですか動員をされて出動をされたわけですが、警察の責務というのは、申すまでもありませんが、捜査だけではなくて犯罪の予防、鎮圧だと思うのです。捜査も入っていますけれども。大体の予想された破壊行為に対して、それに対応する体制を整えて、そして予防しもしくは鎮圧するために警備出動されたと思うのでありますけれども、その結果がこういった、いわば鎮圧はできなかった、予防はできなかった、かつてないような被害が生じたということについて、警察の責務から言って責務は果たされたとお考えなのか、その点についての責任をどうお考えかまずお伺いしたいと思います。
  152. 加藤武徳

    加藤国務大臣 警察といたしましては警備の万全を期さなければならぬこと申すまでもないことでございまして、三月二十六日にも八千名を超えます反対大集会が催されることはあらかじめ承知をいたしておったところでございますし、かつまた場合によってはゲート等を襲撃いたしますことも予想いたしておったのでございますが、結果といたしましては、マンホールから出てまいりました二十名の諸君のうち十五名が管理棟に入って機器類を破壊いたす、かような結果を招きましてまことに遺憾でございまして、完全に犯罪の予防ができ得なかった、このことはきわめて残念に思っている次第であります。
  153. 東中光雄

    ○東中委員 予防ができなかったというか、警察官も出動している前での犯罪が敢行されたわけですね。鎮圧するのも警察の責務であります。これは警察法に書いてあるとおりであります。その責務が果たせなかった、これは厳然たる事実だと思うのですが、その点について、それくらい向こう側の攻撃がすさまじいというのだったらそれに対応した警備態勢をとるべきであったし、予想したとおりのことであったとすれば、警備態勢上あるいは警備活動上、鎮圧行為を適切にやれなかったということについての責任があるのではないか。単に残念だというのは、第三者が言うのは別として、いわば警察の面前でやられたということになるわけですね。そのことについての責任はどうお考えになっているのだろうか、率直に私はそう思いますので、率直な国家公安委員長の御所見を承りたい、こう思います。
  154. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど来御説明申し上げておりますように、第九ゲートと第八ゲートから侵入しようといたした者につきましては、これを鎮圧することができたのでありますが、マンホールから出てまいりました二十名のうち十五名が管制塔に侵入いたす、十名が機器類の破壊をいたした、このことは、まことに残念でございまして、これを鎮圧し、事前に取り押さえることができなかったことは、まことに遺憾なことでございまして、責任を痛感いたしておるところであります。
  155. 東中光雄

    ○東中委員 それではお伺いしたいのですが、三井警備局長は、管制塔の防衛の必要性について、空港公団に問い合わせをしたら、大丈夫だという返事があったから重点警備態勢に入らなかったんだという趣旨の答弁を三月二十八日の参議院の地行、あるいは四月六日の参議院の運輸委員会で答弁されておるわけでありますが、大丈夫だということを公団が言ってきたというのであれば、だれが、いつ、だれに対して、どういう時期に言ってきたのかということをお伺いしたい。
  156. 武士孝

    武士説明員 管制塔の、なかんずく重要な部分であります管制室、それについて電子ロックがしてあるというようなことで、非常に防護がしっかりしておりますよということは、もう大分前の段階からそういうことをしょっちゅう言われておりましたのが現状でございます。
  157. 東中光雄

    ○東中委員 公団に問い合わせをしたら大丈夫だという趣旨の公団からの答えがあったという趣旨の答弁をしていますね。あなたがいま言われたのは、そういう設備状況になっておるという説明があったというだけですか。
  158. 武士孝

    武士説明員 運輸省の方と思います。また、管理塔については全般的にまた公団の方からお話があるのかと思いますけれども、私どもは、管制室については、重要な部分について電子ロックをしてあるというようなことで、大変がっちりしているものであるということ、それから、ガードマンの配置等も、入り口、そういうところにはあるやに聞いておったわけでありまして、いつ、だれがということはちょっと定かではありませんけれども、もう大丈夫だ、非常にがっちりしているということは、平常いろいろな形で承っておったところであります。
  159. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、電子ロックがあってがっちりしているからということを聞いておったから、警察は、それの破壊活動を許さない警備につくについて、警備配置をするについて、もう大丈夫だからという施設の条件だけを見て、あるいは聞いて、それで重点配備をしなかった、こういうことですか。
  160. 武士孝

    武士説明員 それと、警備を配置しなかったかどうかは別でございます。
  161. 東中光雄

    ○東中委員 警備配置しなかったのでしょう。
  162. 武士孝

    武士説明員 しておりました。
  163. 東中光雄

    ○東中委員 その前にもう一つ公団の総裁にお聞きしておきたいのですが、当日、私は警備の責任者だった、私には問い合わせはなかった、警察がそういう問い合わせをしたかどうかは調べてみる、わからぬ、こういうことだったのですが、公団の総裁、調査されて、どうですか、そういう問い合わせがあって、それについて答えたということになっているのですか、どうでしょう。
  164. 大塚茂

    大塚参考人 調べてみましたが、改めて問い合わせがあって、それにお答えをしたというような事実はつかめませんでございました。あるいはあったのかもしれませんが、どうもいままでの調査ではつかめないということでございます。
  165. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると警察は、先ほど申し上げた、三月二十八日なり四月六日——二十八日でしたかね、四月六日は警察はおられなかったようですが、参議院の地行で、公団の方から大丈夫だということがあったから重点警備でないという趣旨の答弁を三井さんがやっているわけです。このときば非常に過熱しておるときですよ。そのときに責任を回避するような発言をしておった。いま聞けば、特に警備配備をするについて問い合わせたら、大丈夫と言っているということではなくて、電子ロックがあって、がんじょうにやっておるということ、それは状況として聞いたということにしかすぎない。そこに警備は配備した、配備したけれども、完全に突破されたということになるわけですね。それなら、警察の重大な責任じゃないか。国会の答弁を、時期がたつに従って変えていくというようなことはやるべきじゃないですよ。その点はどうですか。
  166. 武士孝

    武士説明員 結果的にあのような事態になったことについては、私も遺憾であると思っておりますけれども警察署の部隊の一部がすでに遊動警戒をしておりまして、マンホールから出てきて間もなく、一時ちょっと前の時刻と、現在捜査をして、そういう時間的経過は詰めておるところでありますが、おおむね一時前だと思います。それに対しては、拳銃を持った警察署員、部隊の五名がそこで職務質問といいますか、ホールドアップをさせた。先ほどお答えしましたように、そういう事実もあるわけでございまして、また管理塔周辺について遊動警戒の部隊もおったわけでありますので、彼らが管理塔に入ったということをすぐ聞きつけて、彼らの後を追いかけて逮捕に向かったというのは事実としてあるわけであります。
  167. 東中光雄

    ○東中委員 警察の責務というものは、あなた方はどう考えているのかということを私は疑いたくなります。この連中は非常に凶暴な暴力破壊集団なんだ。私たちはこれを、単に思想的なものが背景になっておるとか、政治犯的なものだとかいうふうに考えておったら、これはとんでもないことなんだ、これは暴力集団であり、犯罪者集団なんだということを何遍も指摘してきた。それを、その連中が来るというときに、大丈夫だという返事があったから、しかし警備はしておいたと。それでいま、捜査をしてどうのこうのと捜査のことを言っているけれども、私の言っているのは、犯罪の鎮圧ですよ。予防ですよ。警察法の責務の中には、予防、鎮圧及び捜査があるでしょう。そして秩序維持でしょう。そういうことになっておる。その予防なり鎮圧にとって、実際にそういう態勢をとっておったのだったら、それが効果を発生しなければいかぬが、現に発生していないじゃないですか。そういうことについての責任を全く回避するようなことを言われておったら、警察は泳がしているのじゃないかとわれわれがしょっちゅう言わざるを得ないような事態をここでもまたやっておるわけじゃないですか。そのことを言っているのです。どうですか。
  168. 武士孝

    武士説明員 私どもは、とうとい殉職者を出してまでの警備をここ十年以上続けてきておるわけでありまして、予防ということについて最善の努力をいたしておるつもりであります。闘争の行われる数日前から私ども周辺の捜索等をやり、できる限り凶器等の発見を、何とかして事前にこちらの方の手に入れたいということで捜索もいたしておるところであります。また、鎮圧と申しますけれども、予防のために警察部隊は活動をいたしている面も非常に多いわけであります。ちなみに申しますと……(東中委員「予防されていないじゃないか」と呼ぶ)だから、そのために、不法事案を大きくしないためにいろいろと工夫をし、事案を早期のうちになるべく鎮圧したいということでやるわけでありますが、現場のあの地形上、部隊運用上はいろいろと苦労が伴います。当日、三月二十六日、正午から三里塚第一公園で約八千名の集会、デモがあったわけであります。八千名の極左暴力集団等が集まりますれば、私どもとしては、その勢いのおもむくところどうなるかということに大変な関心を持たざるを得ない。それの警備もあります。また、この日、例の菱田小学校グラウンドに第四インターを中心といたします約千五百名が、集会とは別に十二時過ぎに三梯団に分かれて同所を出発した。それに対して私どもは、すでに東峰十字路を経て九ゲート方向に向かった、例の二台の車を炎上させていった者に対しましても、その後、九ゲートを破られましたけれども、捕捉をいたして九人全員逮捕しております。(東中委員「そんなことは聞いていないんだ」と呼ぶ)いや、私どもはそういう検挙活動を——誠心誠意警備活動をいたしておるつもりです。
  169. 東中光雄

    ○東中委員 国家公安委員長が管制塔の問題について、重い口でありましたけれども責任を痛感しているといま言われたのですよ。それをあなたは、管制塔の問題について聞いているときに、こんなこともやりました、こんなこともやりました、そういうことを言うのが本当に責任をとる立場じゃないということを私は言いたいのですよ。そういう警備状態についていま聞いているのじゃないのですから。  マンホールについて聞きます。マンホールの問題一つにしても、それじゃあなた方は、このマンホールは、だれがどういう方法であけて、出てきたというふうにいま見ているのですか。
  170. 武士孝

    武士説明員 侵入したマンホールの部分につきまして、どういう状況で入ったかということを現在捜査をしている途中でございます。
  171. 東中光雄

    ○東中委員 現在もまだわからないという状態である。ところが、このマンホールの侵入口は、この写真によれば警察のたまり場からも見える位置ではなかったのですか。
  172. 武士孝

    武士説明員 彼らが出てきたところから約千メーターぐらい離れていると思います。場周フェンスの外側に道路があって、さらに向こうの方に丘陵地帯みたいなのがある、その草むら、そういうところと承知いたしております。それは将来第二期工事のために使用するということのマンホールであり、現在使用していないマンホールであるというふうに承知いたしております。
  173. 東中光雄

    ○東中委員 マンホール自体は注意をすれば道路からも見えるし、約四百メーター北にある機動隊のプレハブ製の仮宿舎からもまる見えだ。そして、マンホールの下付近にも、数日前のものと見られる弁当の食い散らしや作業員のものではない多人数の足跡があったというふうなことも言われていますね。あなたが一千メーターと言うのはどこから一千メーターか知りませんけれども、まだ埋め立てしてないんだから、マンホールの入り口というのは非常に高いわけでしょう。そして、千メーターほど地下をくぐって、出てくるときはどうして出られるのか。あのマンホールの実情というのは、下からとびらをあけられるような状態になっていないでしょう。それはどうですか。
  174. 武士孝

    武士説明員 出口は空港内の京成の駅の近くの歩道上であります。私も現場を見ておりますけれども、十五メーターか二十メーターぐらい、かなり深い、地下の本管に通じる非常に深い穴でございます。そこにはしごがかかっています。ちょっと細かい数字を忘れましたけれども、地上から一メーターか二メーターぐらいのところに今度は横へ行く普通の小さいマンホールのみぞがあるわけです。そこから今度また上にもう一つマンホールがちょっと出ているということで、彼らが使ったのは、はしごを上がってきて、今度はその小さい排水溝でございますか、そちらへ若干進んで、それははわないと入れないようなところで、そこから人が手を挙げて立ってこうやるとあくようなマンホールでございました。
  175. 東中光雄

    ○東中委員 そのはわなければいかぬようなところから出たとは考えられないんで、そこから出て本来の大きな方のマンホールをあけるのに、このマンホールは七十キロもあるといいますから、実際にやろうと思ったら二人でやろうとしてもなかなかあかないような形態と重さがあるんですね。だから、恐らく外からあけるということになっているはずなんですよ。だから、その侵入はある程度卒然とそこから侵入されて、警察は知らなかったというふうなことでは済ますことのできない——警察としてはそこを警備しているんだったら、当然そんなものは発見しなければおかしいわけですよね。それを全く知らなかったということになっているのははなはだ解せないじゃないですか。     〔委員長退席、新井委員長代理着席〕 警備の体制はここでとっておったんだとあなたは先ほど言ったんですから。大丈夫だからというんでもうとってなかったというんだったら、その配備自体が問題なのです。  私が先ほどから言っているのは、現場の警察官が非常に苦労されている、本当に敬意を表します。しかし、それを全体として動かしていく警察警備体制なり、その警備を実施する責任者の人のやり方に問題があったのではないかということを言っているのです。  いまのマンホールの場合は、あなたいま言われたようなそんな小さい十五メーターほど上がって、横へはっていって一人一人やっておったら暇かかってしょうがないのですね。恐らくそこから出て、外からマンホールをあけて、そして次々に出てくるという体制だったんじゃないか、普通はそう思われますね。そういう作業をやっておるのが全然わからないというのはどういうことなのかということを聞いているわけですよ。
  176. 武士孝

    武士説明員 どのようにして出たかというのは、現在捜査中でございます。当時の状況は、一時ちょっと前に約二十名ぐらいがマンホールの近くにたむろしていた、下が若干ぬれていたということで、そこを警察官遊動——固定配備以外に警察は空港の中を、要所を遊動警戒しています。その管理棟周辺の遊動警戒に当たっていた警察署部隊の五名の警察官がそれを発見したということで、出てくるところを発見したのじゃなくて、もう出終わって火炎びんを持っておるところを見つけたというのが当時の状況であります。マンホールは、管理棟があるビル、さらにそこにフェンスがあるわけですけれども、八ゲートの方へ向かって若干行きますと、東関道の陸橋みたいなのがあるわけです。その下を通ってしばらく行くと、そのマンホールが二つ穴がある。一つの穴は深い方で、もう一つは浅い方、そこで発見したわけです。
  177. 東中光雄

    ○東中委員 私はその地形を聞いているのじゃなくて、そういう作業をしながら入ってきている、それについての警備体制がちゃんとできておればそれはその時点で鎮圧ができるし、フェンスがあいておったという問題もあるし、そういう点について、それをやったやつは悪い、しかしそれをやることを警備体制にありながら結局結果において容認した警察というものについて警察はいまどう思っているのだということです。
  178. 武士孝

    武士説明員 現場の五名の警察官が職務質問をして、責務を果たしているわけであります。
  179. 東中光雄

    ○東中委員 それで管制塔がやられたことについては、ではどう思っているのですか。
  180. 武士孝

    武士説明員 結果的に侵入されまして管制室が破壊された。最終的には全員検挙しましたけれども、破壊されてしまってこういう事態を招いたということについてはまことに遺憾に思っているわけであります。現場におりました私としては断腸の思いです。
  181. 東中光雄

    ○東中委員 遺憾に思っているというのは、それはあなた自身遺憾に思うでしょう。いわば犯罪行為と犯罪鎮圧部隊とが衝突して、あなたの方が責務を果たすことができなかったのだから遺憾だけれども、遺憾だけではなくてそれについての責任なり、そこから出発してこそ次の体制ということがあり得るわけでしょう。いま捜査してますということだけではなくて、そこのところを私は言っているのですよ。体制としてどうだったのです。
  182. 武士孝

    武士説明員 二度とそういうことがないように警察庁では事件後速やかに極左暴力集団対策委員会を設置いたしまして警察活動の各面にわたる総合的な検討を行い、種々の対策を講じているところであります。また関係機関に対しては自主的防護体制の整備についても申し入れているところであります。関係機関においても自主的防護体制について一生懸命いま取り組んでいただいておるところであります。また二度とそういう失態のないように、私どもとしてはあの事件の翌日からさらに部隊配備を変えて、現在は所要の部隊を張りつけ警備をさせているというのが実情でございます。
  183. 東中光雄

    ○東中委員 マンホールの地図の問題が前から問題になっていますけれども公団からもらった方の地図にはなかった、これは二期分だからという趣旨のことが言われておりますが、警察公団から言われたことだけやるわけですか。警備するのだったら警備する体制というのは警察独自の責任で検討もし、そして点検もし、調査もする。親告罪ならそれは被害者側からの何かなければできないけれども、これはそういう性質とまるきり違うわけですから、そういう点についてはどう考えておられますか。
  184. 武士孝

    武士説明員 マンホールのことにつきましては、最終的には七ヵ所外から入る口があったわけですが、六ヵ所につきましては事前に公団側と十分に打ち合わせてはいれないような措置を講じておったわけでございますが、今回問題となっておるマンホールにつきましては私ども事前に公団から連絡をいただいてなかったのも事実でございます。事実そういうことでありますので、連絡をいただいておりましたならばまた私ども公団一緒になってはいれないような措置を講じたと思っております。しかし、私どもはその連絡があるなしにかかわらず、やはり徹底した事前検索とか事前の調査、そういうものを大いにやっておくべきであったということを痛感しておる次第でございます。今後はさらにそういうことのないように公団当局とも緊密な連携をとって、十分自主的防護体制の強化を図っておられますので、公団側ともさらに緊密に連携をとって管理措置、それに伴う警察活動について遺憾のないようにしてまいりたいと思っております。
  185. 東中光雄

    ○東中委員 公団側と連携をとるのはいい、大いにそうしなければいかぬわけですが、暴徒の側、暴力集団の側がそういうものをちゃんと知っておるのに今度は警備に当たる方が知らなかったということについて、これははっきりと責任責任として認めて、そこから初めて今後そういうことのないようにということになるのであって、きわめて遺憾でありましたというようなことだけ言っておったのでは本当に国民の側が納得しませんよ。悪いですよ、悪いやつを相手にやっているときにこっち側がそういう体制をとってないということについて、私たちは前から言ってきたしいまも言っているわけです。このマンホール関係の地図、そういうものはここへ出してもらえますか。過激派さえ持っておるのに、国会でもその関係の問題が審議されておって、それを警察がいまわかっている問題を出さないというのはおかしな話なんで、これはどうですか。
  186. 大塚茂

    大塚参考人 ただいまその図面を持参しておりませんが、後刻御説明に担当者を上がらせたいというふうに思います。
  187. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんので、公用地に建てられたいわゆる不動産侵奪罪関係の案件についてでありますが、三十三個所と言われている暴行の拠点といいますか暴力活動の拠点になっておる建物、工作物でありますが、そのうち不動産侵奪罪告訴されておるものは建物、工作物で幾つあるのですか。
  188. 武士孝

    武士説明員 二個所と承知しております。一つ芝山朝倉にあります公団所有地に建てられておりますいわゆる野戦病院というものであります。もう一つは第四インター朝倉団結小屋と言われるものでございます。
  189. 東中光雄

    ○東中委員 この建物不動産侵奪罪の犯罪組成物件であると思いますが、そうではございませんか。
  190. 武士孝

    武士説明員 本件につきましては公団側から告訴が四十九年二月十四日付なされておりまして、現在捜査を続けておるところでございます。
  191. 東中光雄

    ○東中委員 あなた何を言っているのです。捜査していますかと聞いているのじゃないですよ。これは不動産侵奪罪の犯罪組成物件、いわゆる刑事訴訟法上言うそれじゃないかと聞いているのです。警察の方はどう思っておりますか。
  192. 武士孝

    武士説明員 現在捜査中でありますので、御了承いただきたいと思います。
  193. 東中光雄

    ○東中委員 では、この物件について警察はいまどういう処置をとっていますか。
  194. 武士孝

    武士説明員 被疑者の特定に現在至っておりません。私どもとしては現行犯でやれるのが一番望ましいわけであります。当時告訴を受理いたしましたときはもうすでに建て終わって、しばらくたった後での告訴ということで、現行犯処理ができなかったものでございます。現在捜査をしておるところであります。まことに残念なことでありますが、その後の暴力集団がつくろうとしたもの等につきましては現行犯処理をしている事例もございます。
  195. 東中光雄

    ○東中委員 あなた私の質問を聞いていないのですか。この物件について警察はどういう措置をとっているか、とっていないならいない、とったならどういう措置をとったということを聞いているのですよ。物件は公然とあるわけでしょう。ちょっと隠しておくというわけにいかぬでしょう、野戦病院と言っているのだから。
  196. 武士孝

    武士説明員 現在被疑者の特定に努めているところでありまして、いわゆる団結小屋自身については現在措置をとっておりません。
  197. 東中光雄

    ○東中委員 不動産侵奪罪というのはいわゆる状態犯ですね。そうでしょう。現に侵奪した状態がずっと続いているわけですよ。これは不動産侵奪罪の犯罪組成物件でしょう、これがなかったら侵奪にならないのだから、これによって侵奪が起こっているわけですから。建築するのは過程がありますよ。建築を始めたときに着手行為があって、建築を終わったときにあるいは占有をしてしまったときには犯罪は既遂になるでしょう。その後ずっとそういう状態が続いておるいわゆる状態犯でしょう。いま国会でも、いわゆる団結小屋、特にこういう公用地に建てた侵奪罪を構成する物件についてどうするか、撤去さすか使用禁止にするか、いろいろ問題になっているわけでしょう。状態犯なんですから捜索をし差し押さえをすることができるでしょう。なぜそれをやらないのですか。なぜそれを野放しにしておくのですか。告訴されてから四年もたっておるのに今日においてなおそれをほってある。どういうわけですか。
  198. 武士孝

    武士説明員 そういう措置の検討を含めて捜査をしているというのが現状でございます。
  199. 東中光雄

    ○東中委員 現行法上できることを断固としてやれという国会決議がこの間あったばかりです。そして、それは政府がやれというのが全会一致の決議です。当然やらなければいかぬことがそのままほうってある。いわゆる暴力集団といいますか、それをいま使っているんじゃないですか。どうですか。
  200. 武士孝

    武士説明員 そのとおりでございます。ただ、私どもとしては、それを撤去できないかどうかということについていろいろ思い悩んでおるところでありますが、現在、撤去ということにはどうもできそうもないというふうなことで、どうすべきかということについて全般的な警備とのにらみで検討しておるところでございます。
  201. 東中光雄

    ○東中委員 警察建物撤去を考えるのはそもそも間違っていますよ。建物撤去警察が考えるとしたら、それは明らかに権限外のことにいってしまうではないですか。重要な証拠物件でしょう。しかも状態犯で現に続いておるのです。いわゆる暴力集団がいま使っているのでしょう。なぜ差し押さえしないのですか。差し押さえすれば占有は排除できるでしょう。使えなくなるでしょう。いま使用禁止ということの措置をとることがいろいろ論議されています。警察はやれることをやってないじゃないですか。いわゆる第二要塞については差し押さえをやったのでしょう。そうじゃないですか。
  202. 武士孝

    武士説明員 いわゆる横堀要塞につきましては、先般刑事訴訟法によって物を押さえておるわけであります。あの場合は刑事訴訟法第二百十八条第一項それから同法第二百二十二条第一項において準用する同法第九十九条第一項の規定に基づいてやっているわけであります。あの場合には、三月二十五日から二十七日にかけまして、極左暴力集団が凶器準備集合、火災びんの使用等の処罰に関する法律違反、公務執行妨害、さらには殺人未遂、そういうような容疑がありますまことに凶悪な事件であったわけで、その事件捜査及び刑事裁判の重要な証拠資料でありますが、将来刑法第十九条第一項第二号に定める犯罪供用物件として没収刑の執行を確保するために現状に近い状態で保管しておく必要があると認められること、及び第三者等がこの形状変更、破壊等をすることにより検証した当時の形状と相違し証拠価値を減殺することにならないようにするため、刑事訴訟法の定める手続に従って令状の発付を得て差し押さえたというのがあの横堀要塞の場合であります。
  203. 東中光雄

    ○東中委員 横堀要塞のときはそれをやった。これは犯罪に利用したというのじゃなくて犯罪そのものの組成物件です。あなたがいま言うた犯罪の用に供したというよりもそれ以上にそのものずばりじゃないですか。しかも四年前から告訴されているのですよ。そしてこれが第四インターの拠点になっている、野戦病院になっているのですよ。そういうものをいまにおいてもまだほっておく。やれるということは、いまあなたは第二要塞の場合については言うておるわけです。そしてこれについてはやろうとしない。現行犯だったらやれたのだけれどもとあなたは言います。しかし、この家が建ったころには警察はこの付近は警備してなかったのですか。公団から告訴がなければ動けないというような親告罪じゃないのです。当時も警備しておったはずです。そうでしょう。大きな野戦病院というような家を建てよるのにそれを現認できないような警備というのは一体何ですか。ぽっと一日で建てられるというようなものじゃないでしょう。それを現認しておって現行犯としての措置をしなかったとすれば責任重大です。現認しなかったとしたら警備にえらい穴があいておったということになるのです。とことこと人が動いたというのじゃないのです。家を建てるのですから。そして公団が後から告訴したがそれでもなお動かない。今日においてもやれることもやってないということになっておるということを指摘をしておきたい。  それからもう一つ、いま空港の機能及び航空機の安全を確保するため暴力主義的な破壊、阻害活動の拠点となる建物については使用を禁止しようということがいろいろ言われておるわけですけれども、それは暴力主義的破壊、阻害活動を行う拠点へその人たちが入っていくということになったら当然警職法上の制止行為はできますね。できませんか。
  204. 武士孝

    武士説明員 まだ私ちょっと不勉強で申しわけないのですけれども、どういう状況でどうなるのかということについてにわかに即答いたしかねます。
  205. 東中光雄

    ○東中委員 時間が過ぎてしまいましたが、警職法による制止行為というのはあるでしょう。それは犯罪が起こってからではなくて起こる前にやることでしなう。だから航空機や飛行場の機能を破壊し阻害する行動を行うための拠点、そこへ結集するのを警察はほっておくというような、警職法上それもできないというようなことはまさか言えないでしょう。言えますか。それをほっておくのだったらまさに泳がしになるわけです。警職法はそれをやれるでしょう。
  206. 武士孝

    武士説明員 私、どういう法律ができ上がるのかちょっと予測できませんけれども、警職法の五条というのは、その状況によって、その現場でいろいろ判断すべき問題であります。
  207. 東中光雄

    ○東中委員 わかり切ったことを言ってはいかぬですよ。犯罪行為が行われる拠点に人が結集しておるときに——犯罪行為と結びついていなかったら別ですよ。結びついておるそういう行動を制止する、あるいは警告を発する、そのための警職法五条じゃないのですか。デモなんかやっているからといってすぐ規制する、あれは行き過ぎですよ。肝心のときには、やれるかやれぬかはその状況を見なければわかりません、こうあなたは言っているわけですけれども、警職法五条による制止行為をする権限を、犯罪行為に対して、まさに行われようとしておるときに、拠点としてそこに結集するというようなときに制止行為ができるのは当然じゃないですか。そういうことを、どういう立法がされようかということではなくて、警察官の職務として、そういう点についての自覚がいま十分やられていない。そして、何か立法上の不備があったんだというような式の姿勢というのは非常によくない、私はこう思いますので、公安委員長に最後にお聞きしておきたいのですが、失敗があった、うまくいかなかったということが起こった場合に、それはわしの責任じゃなくて法律が整備されていないのだ。あるいは現行犯で、こんな団結小屋なんか建てさせなければよかったものを、警備していたのにそれを見逃してしまった。今度は、それを撤去するのにどうしたらいいかという撤去のことを考えておる。しかし、それは差し押さえができる。こういう警察のやれることをやって、それで万全の措置をとって新立法ということを考えるなら考えるべきだ、こう思うのですが、最後に公安委員長の御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  208. 加藤武徳

    加藤国務大臣 今日、振り返ってみまして、警察活動の中におきまして、現行法規のすべてが完全に適用できておったか否かにつきましては、反省すべき多くの点があろうかと思いますが、それは、一つには、極左暴力集団が三月二十六日のようなゲリラ的な活動をいたそうことを予想いたさなかった甘さもあろうかと思うのでございますけれども、あの教訓を契機といたしまして、現行法上対処し得ます最大の努力をいたしてまいる、かような決意をさらに固めているところでございます。しかし、現行法上対処し得ないものがありといたしますならば、それは新たな立法措置にまたなければならぬ、さような措置がとられることによりまして警察活動がさらに徹底いたす、かような考え方を持っておるのでありますけれども、当面の課題といたしましては、現行法を最大限に活用いたしまして対処いたす、かような決意でございます。
  209. 東中光雄

    ○東中委員 終わります。
  210. 新井彬之

    ○新井委員長代理 次回は、明十三日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十四分散会