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1978-03-22 第84回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十二日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君    理事 加藤 六月君 理事 左藤  恵君    理事 佐藤 守良君 理事 中村 弘海君    理事 太田 一夫君 理事 野坂 浩賢君    理事 新井 彬之君 理事 青山  丘君       井上  裕君    石橋 一弥君       瓦   力君    北川 石松君       玉生 孝久君    水平 豊彦君       井上  泉君    岡田 哲児君       後藤  茂君    長田 武士君       草野  威君    東中 光雄君       伊藤 公介君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)     稻村左近四郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         警察庁交通局長 杉原  正君         通商産業政務次         官       野中 英二君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局次         長       松本  操君         建設省計画局長 大富  宏君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  広田 徳久君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 宮沢美智雄君         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         文部省体育局学         校保健課長   遠藤  丞君         厚生省医務局医         事課長     内藤  洌君         厚生省社会局更         生課長     金瀬 忠夫君         建設省都市局街         路課長     渡部與四郎君         建設省道路局路         政課長     山本 重三君         建設省道路局道         路交通管理課長 浪岡 洋一君         日本国有鉄道施         設局長     村山  煕君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     東中 光雄君 同月二十二日  辞任         補欠選任   草野  威君     長田 武士君 同日  辞任         補欠選任   長田 武士君     草野  威君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  3. 北川石松

    北川委員 本日、交通安全対策特別委員会におきまして党を代表する質問機会を与えられまして、先輩議員同僚議員また関係各位に厚く感謝の意を表するものでございます。  去る二月九日に総理府長官は、第二次交通安全基本計画によって、いままでの成果によりなお一層交通安全対策の諸政策を推進したいと述べられましたが、具体的にどのような形をもってこれを推進されるのであろうか、お伺いいたします。
  4. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 この前所信表明で申し上げましたが、具体的な点については政府委員から御答弁をさせます。
  5. 三島孟

    三島政府委員 お答え申し上げます。  先般の総務長官所信表明でも明らかにいたしましたとおり、確かに交通事故が逐年減ってきておることは事実でございますが、しかしながら、現状におきましても六十万人の死傷者が相変わらず出ている現実は、まことに放置できない問題であろう。そこで、今後の交通事故防止対策考える場合、やはり何といいましても一つには運転者側対策ということが大きな問題だろう。運転者側にやはり交通事故を防ぐという強い意識責任を持ってもらう、こういう意味での運転者対策というものが今後の一つの大きな重点的な施策になっていくべきじゃないか。いま一つは弱い立場にある方、事故は確かに減ってきたとは申せ、弱い立場にある子供あるいは老人の方々、これらの方々安全対策を今後重点的に考えていくべきではないか、やはりこれらの方々はそれぞれの特性に応じた安全教育というものを今後重点的に考えていくべきではなかろうか、そういう基本的な考え方に立ちまして関係省庁と協力しながら今後強力に施策を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  6. 北川石松

    北川委員 稻村長官もまた運輸大臣もきょうは御出席を願ったのでありますが、連日の予算委員会その他の質問いろいろのためにお疲れもあろうと思いますが、私は所信表明を読ましていただき、また聞かしていただくにつきましても、政治というものが形を持って国民の前にあらわされなくては信頼を得ないと思うのであります。ただ具体的にこういうふうにしたいという、安全計画の中で総額八千四百六十八億円を計上しておられる。ところが実際の形にあらわれてくるものがなくてはならぬ。そういう点で、たとえば長官所信表明の中で、ダンプカーに対しての補助というものをうたっておられますね。ダンプカーは大体交通安全の中で非常に悪い形を出しておる。各街路通行において決していいマナーであり、いいところの空気を醸成してない。悪い空気、言うならばほこりっぽい干からびた空気の一助をなしておる。これに補助を出すと、こう言っておられるわけです。総額の中でどういう形でこれに補助を出されるのかをひとつお聞き申し上げたいと思います。
  7. 三島孟

    三島政府委員 ダンプカーの問題は確かに交通事故防止対策上非常に重要な問題でございます。そこでこれまで長年にわたりまして関係各省庁と連絡しましていろいろな施策を講じてまいりまして、確かに形の上ではかなり事故は減ってきております。しかしながら現実にはまだかなりの事故が発生しておりますし、いざ事故が発生した場合は非常に重大な事故が発生することは事実でございます。この場合しからばどういうふうに対策を講じていくべきか。一般的な事故防止対策も必要でございますけれども、何といいましてもこれの組織化を図りまして、やはりこの組織を通じてそういう交通事故防止対策を徹底していくということが必要であろうと思います。そういう意味でのこの組織化対策としての費用を計上しておるわけでございます。
  8. 北川石松

    北川委員 いまおっしゃるのはダンプカー協会に対する補助というもので、それはダンプカーマナーをなお高めるとか、ダンプカー組織化の中でよいものを運行させるように努力するという点において結構でありますが、私は、先ほど申し上げましたように形を国民の前に示さなくてはならない。それで縦割り行政日本でなされておるけれども、たとえば運輸省、たとえば建設省あるいは公安委員会等日本交通安全対策をいろいろな形で見ておられまするが、陸海空、この三方面にわたっての交通安全を見るときに私は横の連絡というものが必要である。その横の連絡の総元締めは運輸省であるかあるいは総理府でどのように各省にアドバイス的な指示をなされるのか。私はやはりその要素をつかんでいただくのは総理府長官でなくちゃならぬと思うのです。運輸行政については運輸大臣がやっていただかなくちゃならぬ、建設行政建設大臣がやっていただかなくちゃならぬが、その総括的なものは総理府長官においてやはりよろしく把握をしていただいて、そしてここは運輸省どうなんだ、ここは建設省どうなんだというぐらいの前向きのアクティブな姿勢でやっていただきたいと私は思いますが、長官いかがでございましょう。
  9. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘陸上海上、空輸ですね、これは運輸省の所管でございます。その他全般につきましては、御指摘のとおり安全対策室というものを設けまして、各省庁連絡を密にして安全を期すべく対策を立てておるわけでございますが、いま申し上げたところの海上陸上については御指摘の線に沿って今後いろいろ各省庁連絡をとり合ってみたい、こういうふうに考えております。
  10. 北川石松

    北川委員 いま長官の御答弁をちょうだいいたしまして、私の心の中に全く十分とは言えない理解度ではありましても、たとえば文部省が、これは教育ばかりだと言っておるのだが、運転者交通マナー教育、また児童交通教育子供の中にしみ込ませていかなければならないものがあると私は思うのです。ところが、このごろ車を恐れない子供街路に横行しておる。車が行って警笛を鳴らしても、知らぬ顔で悠々と道路上で遊んでおる、こういう形を随所に見受けるのですが、そういう点で、私は文部省の方の御見解も聞きたいと思いますが、いかがでございますか。
  11. 遠藤丞

    遠藤説明員 小中学校におきます児童生徒に対する交通安全教育でございますけれども、これは相当前から、学級指導あるいは学校行事というような形で、大変力を入れてやってまいっておるつもりでございますし、文部省が直接行っておることといたしましては、「小学校安全指導の手びき」、「中学校安全指導の手引」というような教師用のガイドブックをつくりまして、毎年各地域におきまして、講習会を開き、さらに児童生徒に対する交通安全指導といったものが徹底するように、そのための教師指導能力を高めるという事業を行ってまいっております。今後もさらに一層力を入れてまいりたい、かように考えております。
  12. 北川石松

    北川委員 いま御答弁を受けましたが、過保護の形が今日いろいろうわさされております。家においても学校においても、交通事故から子供を守るために子供に対して過保護教育を与えている。つまり、自動車は恐ろしいというのじゃなくて、自動車をなめた形の教育を与えておってはならないと私は思うのです。そういう点で、中学生、高校生の方が車に対する危険を熟知しておるが、児童に対するマナー教育を今後十分にやってもらいたいと私は思います。  と同時に、五十三年度において自動車免許の数というものは非常に多くなってくると思うのですが、言うなれば国民免許時代になってきたんじゃないか。こういう点になってくればくるほど、私は、自動車運転するものに対する、ただ免許証試験を行うのでなしに、免許証試験の中でもっと道徳的な感覚、マナーといいますか、これを今後どのように強化していかれるか、植えつけていかれるか、実際に実践していかれるかという点について政府の御答弁をお願いしたい。
  13. 杉原正

    杉原政府委員 先ほど委員から御質問ありました、この皆免許時代を迎える車社会という点については、私ども全く同じ認識に立っておるわけでございます。したがいまして、ドライバーの安全意識とかあるいは運転マナー、こういうものにつきまして、決していまだ十分でないという認識でございます。一つは、指定自動車教習所というものがございまして、ほとんどがここを通るわけでございますが、この教習内容、それから、三年に一遍は更新があります。それから、処分を受けますと処分者講習というのがございます。こういう機会に、重点的なマナーとか安全意識を高めることを内容とした事柄もいままでもいろいろ工夫をしてきておりますが、もっとこれに力を入れていきたいということでございます。  また、今回国会に御提案をして御審議をいただく予定にしております道交法の改正につきましても、先ほど先生からお話のありましたような観点から、法全体を見直してみたわけでございます。そういう意味で、たとえば運転が上手とか下手とかということだけではなくて、車社会の中で車を運転するにふさわしいかどうか、たとえば保険に入っているのか、あるいは車検を受けて運転しているのか、車の保管場所を持っているのかというふうなこと、あるいは高速道路に入るとき等によくガス欠等で車がえんこして後続の車に大変な迷惑を及ぼすというふうな事柄についても、仕業点検をして、高速に入るときにはそういうふうにガス欠だとかあるいは積み荷の状態を調べて入るような、そういう領域にまでやはり力を入れて今後施策を推進すべきものであるというふうに考えております。
  14. 北川石松

    北川委員 非常に具体的に御説明を願ったのでありますが、私は、交通関係災害にも大自然による災害もあるだろうと思う。たとえばこの問の突風事故による地下鉄の横転、また伊豆の大地震による落石、あれは、放置のままにして、少し手入れをすれば落石が起きないのに落石をして大事故が起きた。昨年これを御質問申し上げたのですが、そういう大自然による事故災害と、作為とは言わないが、人為的による災害とがあると思うのでございます。私は、この人為的な交通災害というものをなくするところの前向きの施策をいろいろの形で国民の前にあらわしていってほしいとこいねがうものであります。そういう点について、今回計上されました交通安全対策予算の中で、政府はたとえば形においてどの個所にこれだけの費用を使うというのがあれば、ひとつ示していただきたいと思います。
  15. 三島孟

    三島政府委員 予算の点につきましては、関係省庁でそれぞれ重点的に今後推し進める問題につきまして盛り込んでいただいておるわけでございます。  私の方の総理府関係から申し上げますと、先ほどちょっと申し上げましたけれども、今後の安全教育活動をどうやって強力に進めていくかという点に重点を置いて予算を組ましていただいたわけでございます。そのためには、一つにはやはり安全教育指導者養成強化を図っていこうということで、その面での予算を新たにお願いすることにしております。それからダンプカー協会に対する助成の充実、こういったところにも配慮したつもりでございます。また、交通事故被害者救済の問題につきましては、それぞれの都道府県の交通事故相談所の増設なども図ってまいりたいというふうに考えております。  それぞれの省庁の分につきましてはまたそれぞれの省庁から御説明をお願いしたいと思います。
  16. 北川石松

    北川委員 限られた時間でありますので、詳細にわたっての答弁、また質問もできないと思いますし、それを改めて書類その他でまた御要望申し上げることにいたしまして、次に移りたいと思います。  先ほど冒頭に少し述べましたが、運輸省関係運輸大臣に御質問申し上げたいと思いますが、最近の大都市繁雑状況というものは目に余るものがあると思います。ところが、たとえば朝早くそれぞれのターミナルへ行きましても非常に自動車が少ない。少ないときの道路というものは非常に広く見えておるのです。そこには交通事故というものは、突発的にあるにしても、交通繁雑によるあらゆる弊害というものはそれほど生じてこないと私は思います。こういうことを見ますときに、道路を広くすることも車を制限することも、いろいろそれにはおのおのの、アンバランスというか、ギャップがあると思うのです。いま大都市の中に車がたくさん繁雑しておる、その原因の一つに、マイカー族が一人で朝のあのラッシュ時に都心に向かって非常に集中してきておる、しかも停滞を来しておる、この対策というものについて政府は具体的にお考えになっていると思うのです。が、どういうお考えでこれを解消しようとしておられるか、まずそれをお聞き申し上げたいと思います。
  17. 福永健司

    福永国務大臣 お話の点については、私も常日ごろ強く感じております一人でございます。行政責任者としても当然でございますが、けさも実は私、家は大宮にございますが、普通の日は東京におるのでございますが、休み明けでございますので、閣議に問に合うために実は家を六時半に出ました。もともと余り繁雑でなかったときには、五十分くらいで行ったり来たりできたところが、きょうは二時間半でやっとだった。よくよく急いで行くときには急いで国電に乗るなりいたしまして、自分の車で走らないことの方がいいということで、おおむね私はその種のことをやっておったのでございます。昨今は、自分だけで国電に乗られちゃ困るということを護衛の諸君等から言われるから、きょうはやむなく車で参りましたが、実はそういうことでございました。  このことは、私のみならず多くの国民各位が同じ思いで、これじゃいかぬというように言われていると思うのであります。しかし、一面において、自動車の所有ないし走行、特に自家用車についてそういう制限をするということもいまの世の中ではなかなかめんどうでございますから、いろいろ具体的に施策は講じられているものの、国民全体がこういう交通手段を、一面においてはぜいたくというような方法、これを余り多くの者が好む、やむを得ない者が自家用車で往復するのは結構でございますが、この節はモータリゼーションの過度の発達で、いまも御指摘のようなこと等になっておりますだけに、私はこういう意味で、国民考え全体を多少方向を変えるようなことにしなければならない。そのことのためには、行政官庁等が特に考慮をしていかなければならないことは当然であります。思いつつなかなかそれが実現化されていないことをはなはだ残念に思うわけでございます。関係省庁責任者諸君とも、いまもお話もございましたし、ここいらあたりで本格的にその方途を講ずるようにいたしたい、私はそれを念願いたしております。
  18. 北川石松

    北川委員 ただいま非常に前向きの運輸大臣の御答弁を聞きまして意を強くするものでありますが、都心部に入ってくるマイカーに乗る人たちが通勤に、たとえば都心部にある地下鉄、私鉄道その他を郊外に延長いたしまして、乗ってくる人たちをそれに乗せるという形、たとえばスウェーデンでございましたか、そして都心部自動車を入れない、こういう形を現実の形であらわしておって、それを実行しておるんですね、外国の一つの例を見ますと。そういう点で、これは東京都、大阪という二つの非常な人口稠密のところで、また都心部交通繁雑事故、そういう点を考えますときに、私は、この地下鉄道を延長する、この点につきましては、過般の運輸委員会で、大阪地下鉄二号線を寝屋川、枚方に持っていけということを言ったのでありますが、こういう点について、運輸大臣、いま変えなくちゃならないときが来ておる、こうおっしゃったのでありますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  19. 福永健司

    福永国務大臣 御説の点も大変大事だと私は思います。  具体的に私も例を挙げさせていただきますが、たとえば私ども埼玉県の南部地区でございますと、三十万から四十万ぐらいの都市幾つもございます。これを一つにすると百数十万にすぐなるわけでございますが、そういうように人口がたくさんあるところが東京大阪の周辺、またほかにもいろいろございます。そういうところの多数の市民が自動車をうんと使うようなままでは、これはますます混雑する、道をよくすればよくするほど車がふえるというようなことがいま進行しつつありますが、これはもう交通安全対策上大いに考えなければならぬことであろうと思うのでございます。  そこで、地下鉄等につきましては当然そうでございます。われわれの関係のところなんかもいまどんどん工事をやらせております。これもその企業体が公共的なものとあるいは私鉄によるものといろいろあるわけでございますけれども、いずれにしても、そういうことを促進させなければならない。幾つかいま私が例を挙げました地帯についても進行中でございます。  そこで、そういうような地下鉄に対してただやれやれと言っているだけではどうにもならない、しかもその必要性は非常に高い、そういうことで、最近はこういう事業に対して、たとえば地方自治体等がこれに大いに意を注いで工事等をやるという場合において国もまた何分の一かの協力をする、こういうことも法律である程度決められたのでございますけれども、これとて、確かに前進はする方途ではございますが、やはり妙なもので、もっとたくさんというような説がだんだん出てまいります。いずれにいたしましても、こういう方途ひとり国と申すに及ばず、関係自治体その他関係者が大いにいまの御説のような点を頭に置いて促進するという方途をさらにさらに進めなければならぬ、こう申すことが必要だと私は思うのでございますが、そのことの実際をいまあちこちで進めております。ここしばらくの間に地下鉄等も大分ふえることになりましょうが、一層そういう心構えで今後に臨みたい、そういうように存ずるわけでございます。しかし、これはひとり私のみならず財政当局その他が同じ気持ちで前進しなければならないし、またそういう傾向にあることを申し上げたいと存じます。
  20. 北川石松

    北川委員 運輸大臣が前向きで御答弁いただきまして感謝申し上げますが、警察庁の方、こういうのに対してどうお考えでしょうか。
  21. 杉原正

    杉原政府委員 都市へのマイカーの集中というものをできるだけ抑制していくためには、先ほど運輸大臣からお話がございましたような方向がぜひ必要であるというふうに思っておりますが、同時に私らといたしましても、この交通規制の面から、やはり都心への交通総量の抑制あるいは交通量適正化というふうなものを考えていかなければならないと思っております。  現在、御案内のように都心駐車禁止強化あるいはバスレーンを設定してバス優先通行確保等の措置をいろいろ講じております。これを総合交通規制というふうに呼んでおりますけれども、これを中心にしました対策を推進する、あるいは五十年から五十二年の二ヵ年にかけまして、東京大阪ほか十大都市につきまして交通量の一割削減というものを、これは直接には交通公害のあるいは排ガスの排除ということをねらいにしたものでございますが、ここ二ヵ年かかってやりました一割削減施策はおおむね功を奏したと思っておりますし、そういった形での大都市総合交通規制というのは今後も積極的に地下鉄私鉄等の延長の問題と相まって、できるだけパーク・アンド・ライド方式都心に向かえるようなそういう方法を側面的に促進していく方策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  22. 北川石松

    北川委員 一つの形で交通流れをよくする、あるいはいいことをしてくれたなということを国民の前にあらわすということで、私は国会の前のあそこが非常によく渋滞するのを自分タクシーに乗っておって、身に感ずるんですね。苦しみを経たものが血にし肉にしてひらめきを得るという言葉がもし通用するならば、あそこで急いでいる者が、タクシーに乗っている者が非常な苦しみで、あの公園を少し削ってくれたらもう少しよく流れるんじゃないか、あるいは首都高速の七号線の入り口を、料金所をちょっと手を加えてくれれば、あそこのところの流れがよくなるんじゃないかということを私みずから感じて、タクシー運転手に聞きましたところ、それはそうさしていただいたらいいんですが、国はそんなことしてくれませんでしょうということを聞いたのでありますが、きょうはちょうど総理府長官もいらっしゃるし、運輸大臣もいらっしゃる。建設大臣がおられないのは残念でありますけれども、私は、そういう点でこのところをお考えおき願いたい。いまここで御答弁してくれと言ったって、私はいまここで申し上げたのだから、私の方が御答弁を願うということは無理だと思いますから、そこのところどうだということを一応調査願って、じゃこういうふうにしたらどうだという新しい形を一遍示してもらいたい、こういうことをお願いいたしておきたいと思います。  次に、今度この三月で新東京国際空港が開港されますが、これについては関係各省、各大臣を初めとする国会の中においても、いろいろの角度から非常な心配あるいは非常な推理、そして非常な新しい構想のもとにいろんな形を示してこられたが、開港と同時に果たして、新国際空港とこれを利用する方たち、また成田空港と各国内空港との連絡、そういう点について完全であると言えるかどうかという点に心配をいたします。その心配というものは、あわてるあるいはいらいらする、そういう形でそれが交通事故に通じないか、またこれに対してどのように――まだ形は何も出てませんよ、出てないけれども、いろいろな推理の上に立って、私は大変なものであろうと思いますが、具体的、簡明に御答弁を願いたいと思います。
  23. 福永健司

    福永国務大臣 私も実は就任いたしまして、成田は弱ったものだということで大変心配をいたしました。まあ三十日になって皆さんの御批判を仰ぎますが、率直に申し上げまして、成田と言えばろくなことじゃないというようにさんざん言われつけてきたが、実際はそう悪くないということです。私はこれを、開港数日前にしてあなたの御質問でございますから正直に申し上げるのでありますが、私も余り目につかぬように何回も行ったり、それから調査したりしておりますが、行くにしても来るにしても二時間も三時間もかかるというふうな話が盛んに出ておりましたが、そういう事態ではございません。しかし、まだ現実に成田に飛行機が発着してないときに言うことでは説得力も余りありませんから、私は余り言おうとは思いませんけれども、話とは大分違うということをまず申し上げます。  それと第二点として、必ず三十日以後の開港に対してはそれなりの準備をしてきております。もちろんいま完全、不完全というような意味での言葉をお使いになりました。完全ということになりますと何が完全かによっては、これはなかなかおしかりを受けないわけにはいかないところもありますが、まあまあだと私は実は思っているわけでございます。それは先ほども申し上げましたように、現実に三十日の開港以後に御批判を仰がないと、ここでそんなことを申し上げても、まだその機能が十分に発揮されない時点での話はそれは話にならぬ、こう思いますので、私といたしましてはできるだけ国民各位からまあよかったと言っていただけるようにと思って鋭意努力をいたす。また、私のみならず関係者もそうでございます。  それから先ほど国会周辺のお話がございました。実は私、三十年近く前に議院運営委員長をいたしておりまして、そのときに私は国会の周辺をどうするか、いまの議員会館なんか全然ないときで、その一部は国有地ではないところ等もございました。ここの一角をどうするかということで、私みずから図面に筆をとりましていろいろやった一人として、いまお話しのように、その当時としては実に道も広かったり、それから率直に申し上げますが、いま国会の前のあたりにあります公園のようになっているところ、あれは、だれとは私は申しませんけれども、当時係の違う方の政府責任者等は、あのいま公園になっているあたり、うんとビルを建てようという考えであった。考えそうなことですね。ところが私は、断じてそれはいけない。そこで国会の用地のような名においてあそこを確保して、あそこに木を植えたりしたことは私は意義があったと思います。それから地下鉄等にしましても、私があのときにこういうふうに通してなにすることが皆さんの便宜であろうというようなことでやった。しかしあなたの御指摘のように、三十年近く前に考えたことは、そのときとしてはまあこれでよかろうと思ったことが、いまやそうではなかなかないということでございますが、先ほどのお話についてはなお考えさせていただくことにいたします。
  24. 北川石松

    北川委員 他の大臣の方、また関係理事者の方の御答弁をちょうだいいたしたい気がいっぱいあるのでありますが、質問、があと三分余り、こういうことでございますので、答弁を得る時間がないと思います。  たとえば昭和四十四年に建運協定というか、運輸省建設省との協定によって連続立体交差が今日全国で進められて、これは地域住民また各府県の中で繁雑になる交通対策に非常に役立ってきておる。もちろん政府の負担の大きいことは私もまたもって多とし、感謝いたしております。そういう点でございますので、今後これを進めることが非常に重大な、大きな交通緩和になると思うのです。今後これを進めていっていただきたいという考え一つ持っております。  また青少年対策交通の繁雑で、道路で遊ぶ子供たちのために、公園をつくってやって、子供の遊び場をつくってやるということで今回九百四十億八千七百万の事業費、国の負担が三百八十五億一千一百万計上されておる。これは三年目になっておる。五十二年度も残っておるであろうということも質問申し上げたいし、今後これをどういうふうにやっていかれるかということも質問申し上げたいが、時間がないということ。  また特に今日の海運業に関連して、船の建造業者の事業が非常に逼迫しておる、こういう点について――海洋二百海里になった。二百海里になって海上警備艇というものも大きくしなければいけない。たとえば、ここに長官もいらっしゃるが、この間東京湾を視察したときに、あの小さな三十メートル余りの船で波の中に翻弄された、こういうことでは二百海里の海上警備も十分できないじゃないか、こういう点で、大きな海上警備艇をつくって、船舶業に発注をして不振の一端を救うところの計画も立ててほしい。  こういういろいろの質問を申し上げたいので、個条書きにして理事者の方に提示をいたしまして、きょうは御答弁を本当に十分に得たい、こういう考えを持って張り切って参りまして、感謝を申し上げながら、そして国民の期待に沿うところの形を一つ一つつくっていただく、こういうことをお願い申し上げたいと思って参ったのでありますが、質問時間がここに迫りましたので、いま申し上げたような点について所管大臣の方でいま一応こうしていくというところの御答弁を得られれば結構だと思います。
  25. 福永健司

    福永国務大臣 主要な点についてちょっと申し上げさしていただきます。  連続立体交差については、国とか地方公共団体等が非常に多額を出して、たとえば私鉄とかあるいは国鉄の場合も多少率は違いますが、ほんのわずかで大事業をやるというようにちょっと見れば見れるわけでございます。実はこちらではございませんが、ほかである議員さんから、私鉄がちょっぴり出すと言ってあんなに大変な工事をして、そこでうんと商店、デパートのようなものを拡張してあれでいいのかという意味での御批判もございました。これはこれなりの見方があろうと思います。ある部分だけについて見るとそういうことになる。したがって、連続立体交差の意味は広くやるのだから、局部だけごらんになるとということがあると思います。しかし、それとてもやはり一つの見方であろうと思います。いまああいうのを大いに進めて、国民の利便に供するようにという御鞭撻に対しては私も感謝するものでございまして、一面においてある批判等を念頭に置きつつなお今後も合理的に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  二百海里時代に入ってああいうことではどうかというお話、これはもう当然そうでございまして、私も着任早々、うんとりっぱな船を買ってこういうことをしっかりやろうじゃないかということを関係者に命令等もいたしましたが、いかんせん予算の折衝の終わりごろでございましたので、急にそれから増すというわけにもいきませんでしたが、いまお話しのような考え方で、ここらあたりで、まさにこの新海洋秩序の時代に世界で有数の海洋国である日本がなるほどという対処をしなければならない、これを強く感じ、かつ今後の施策に実現してまいりたいと考えるところであります。
  26. 北川石松

    北川委員 時間がまいりましたので終わりますが、福永大臣、稻村大臣、どうぞ御自愛の上、各関係の中でリーダーシップをとってやっていただきたいとお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
  27. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、太田一夫君。
  28. 太田一夫

    ○太田委員 最初に、総理府長官にお尋ねをいたしたいと思います。  総理府長官は、さきの本委員会におきます所信表明におかれまして、これまでの成果を基礎に「総合的な交通安全対策を強力に推進したい」また「五十三年度の予算編成に際しましては、関係省庁陸上交通安全対策関係予算の調整を行い、その結果、総額八千四百六十八億円を計上いたしました。」また「各般にわたりきめ細かく予算が計上されております。」このようにおっしゃいましたね。  そこでお尋ねをいたしますが、各省庁施策の成果というものはいまおっしゃった内容にあります。それはそれといたしまして、総理府としての独自の成果、独自の対策、独自の調整という姿勢があってよいと思うわけですが、それをあなたはどうお考えなのか、まずその長官の総合的な見解をお聞きしたい。
  29. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 お答えをいたします。  総理府は全省庁の推進役の役割りを果たしておるわけでございまして、総理府としてこういう点でこうであるとか、こういう点がこうであったという成果、こういうものについてははなはだ残念でありますが、いま申し上げた推進役の役割りを果たしておる、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  30. 太田一夫

    ○太田委員 あなたは新しく就任されて、交通安全に関する股肱の臣と頼む者は室長でしょうね。だが室長も新しくかわってしまいましたね。いわゆる素人同士で今度やろうというわけですね。いまのお話は、素人同士だからまあぽつぽつやろうかと思っておるというふうに受け取れますが、そういうことじゃありませんか。
  31. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 お答えいたします。  対策室長の人事の問題でありますが、特に沖繩県の交通区分の七月三十日も控えておることでございますし、私といたしましてはできるだけかえたくないという考え方でございましたが、御承知のように出向をされておる職員でありますし、またその人のやはり将来のことも考えた場合に、まあやむを得ない。特にここでかえて支障がないかということは、再三再四これについていろいろ意見を求めたのでございます。が、今度の室長は決してまさるとも劣らない、こういうようなことでやむを得ず人事の更新をいたしたわけであります。
  32. 太田一夫

    ○太田委員 言うなら荒法師で通っているあなたのことですから、いままでのしきたりを縦横無尽に切りまくって新秩序をつくるというようなことがあってもいいじゃないかと期待しておるのですよ。だから、ここであなたが先ほどおっしゃったことは、だれかがおやりになったことを一段上から見て、建設省はああいうことをやることになって幾ら予算がついた、運輸省は幾ら、交通関係では幾らというようなふうにおっしゃったように、客観的な御意見のように承られてしようがなかったのでいま聞いたわけです。  しかし、あなたはいま沖繩の問題があるからとおっしゃったが、所信には沖繩の問題なんか入ってないじゃないですか。せっかくそれだけお考えになっていらっしゃるのに、なぜそのことをおっしゃらなかったのですか。
  33. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 お答えいたします。  沖繩の交通変更の問題につきましては本土復帰の復帰事業として行う、こういうような関係から、御指摘をいただきました点について沖繩県の問題を入れてなかったということでございますが、全体を考えて所信の表明をいたしたわけでございますのでひとつ御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。
  34. 太田一夫

    ○太田委員 抜かすことが強力に推進するという意思であったのですか。
  35. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 沖繩の交通区分はきわめて重大な問題である。これを何としても国の施策によって実行しなければならぬわけでございますから、沖繩の交通変更というものはきわめて重大な問題である。決して入れなかったことが重大であるとか、入れたことが重大であるとかということでなくして、入れる入れないは別といたしましても、私といたしましては、真正面から重要な問題として受けとめております。
  36. 太田一夫

    ○太田委員 運輸大臣の時間の都合があるそうですから、それは一番後に聞きますが、私はその考え方は別にマイナス点として考えない。いわゆる国家的大事業だという立場から交通方法の変更という問題に取り組んでいこうということになるなら、その安全対策の、道路のすみを切るとか、標識はどうするという問題じゃない、国家的な大きな政策があるということが非常に内容として重大だ、この認識があれば、私も後でお尋ねしやすいから、一番後でお尋ねします。  しかし、一番最初あなたがおっしゃった「国民交通事故の脅威から守り、交通安全を確保することは、大きな政治的課題であると言わなければなりません。」私は、この所信はそれなりにそれはりっぱなことですが、一度改めてお聞きしたいことは、これには交通事故の脅威から守るというのですが、あなたはその後、陸だけ述べて、先ほど北川さんのときにも陸上のことだけに限定されておっしゃった。このとおり陸上のことしか述べてありませんが、空と海が抜けておるわけですね。空と海の交通安全対策が抜けておるということは残念だと思いまして、その対策の強力な推進があって初めて国民交通事故の脅威から守ることができると思いますが、そういう立場から見ますと、あなたの所信には海と空が抜けたことは残念なのでありますが、今後あなたはこの海と空との交通の安全に対しては、いままでの慣習からもう一歩出て、当然総理府にあるわけなんだから、どうですか、一歩出て、これに真っ正面から取り組んでいく、本来の機能を発揮する、こういう立場をおとりになる決意はありませんか。
  37. 三島孟

    三島政府委員 先生おっしゃいますとおり、確かに陸海空全般にわたる交通安全対策が推進されてこそ、国民交通事故の脅威から守っていけることと思います。そういう趣旨から考えまして、交通安全基本計画では、海上交通及び航空交通を含めた交通安全全般についての総合的かつ長期的な施策の大綱が定められておるわけでございます。これに基づきまして、私どもといたしましては、関係省庁との連絡をさらに一層密にいたしまして、施策の一体的な実施につきまして努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  38. 太田一夫

    ○太田委員 新しい決意と新しい方針というのが決められる、明らかにされるということは望ましいことでありますし、基本法の精神から見ましても、海のことは知らないとおっしゃると、先国会では海上の衝突予防に関しまして当委員会は一生懸命に審議をしたという実績があるわけですね。ところが、当委員会において、その束ねであるはずの総理府長官は、海の問題には言及しないで、それは運輸省の問題だよとおっしゃると、変な話なんですね。もしそういう陸の問題が中心になるなら、先ほど交通局長がいらっしゃって今度道交法を出しましたと言うが、道交法なんというのは当委員会にかからないでしょう。地方行政にかかるなら、陸上の問題だって、総理府は必ずしも完全に全体の調整を図っておるとかどうとかこうとか言えない。ですから、海上及び航空交通の安全に関する施策の総合的調整機能というものがあなたのところにはっきりと確立されておらなければならぬと思う。私もいまの意見、大体そういう意見であったと思いますから了解しておきますから、ひとつその点について一歩進めていただきたいと思います。  運輸大臣がちょっと時間の御都合がおありのようでございますから、沖繩の問題は一番後回しにいたしまして、運輸大臣にお尋ねをさせていただきます。  運輸大臣に最初にお尋ねをいたしたいのは成田空港の問題でございますが、大臣は、所信表明においてこういうことをおっしゃいましたね。航空交通の安全については、第三次空港整備五ヵ年計画に基づき、引き続き空港、航空保安施設等の整備充実に努めてまいります。  そこでお尋ねしますが、成田空港というのはこの計画の一部と言ってよいと私も思いますが、それがいよいよ近く三月三十日に開港となった。そこで世間も、私もですが、この三月三十日開港というのは余りにも急ぎ過ぎておるという感じがしてならない。だから、その開港に危惧の念がある。危なくはないかと危惧の念を禁じ得ませんが、先ほどからのお話にちょっと成田の問題に触れていらっしゃいましたけれども、完全ということには物の考え方の側面があるから一概に答えられないとおっしゃったようでありますが、しかし開港には大臣は支障はないと自信を持って考えていらっしゃいますか。
  39. 福永健司

    福永国務大臣 御心配をいただきまして恐縮に存じます。率直な話、あれだけ長い間かかって、いろいろな問題をたくさん抱えながら今日まで来た、こういう姿において、皆さんからいろいろ御心配をいただくというのは、それなりにゆえあることであり、私はこれに対しては感謝をしなければならぬと思うわけでございますが、いま言及されました点から申しますと、飛行場施設にいたしましても、航空保安施設にいたしましても、管制施設にいたしましても、いずれにしても特に航空交通の安全につきましては、万全を期しております。そこで、完全かというお聞きに対しては、多少私は気が弱いものでございますから、どうも完全という言葉をそのまま使うことはいたしませんでございましたが、万全を期して対処しているわけでございます。そういう点から、施設ばかりでなくて、管制官の慣熟訓練等にも万全を期して対処してまいったのでございますが、いまいよいよ一週間後に開港を控えて大丈夫かという点に関しましては、私は大丈夫皆さんからまあまあよかったと言っていただけるように、一生懸命に対処すべく関係者一同やっておるわけでございますし、それについての私は私なりの自信は持っているわけでございまして、この上ともよろしくお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。
  40. 太田一夫

    ○太田委員 まあまあよかったとみんなから言ってほしいということは、まあまあですから、言うなら、万全を期すということは、目指すわけですね。具体的にはまあまあのところで三月三十日が来るわけですね。  そこでちょっと聞きますよ。私は実は二遍成田空港を見せていただきました。どうにも腑に落ちないことがある。十一年の歳月だとか、膨大な予算だとか、りっぱなものであろう。施設そのものについては、そんなに急造のバラックじゃありません。それはわかる。しかし、機能という点から、整備されないものが残っているような気がしてしようがない。まず燃料は暫定措置だ。燃料の暫定措置が気になる。交通が不便ということは否めない。それから滑走路は四千メートルと言って誇示される向きもあるけれども、これは一本のみでありまして、横風用の滑走路は次に延ばされて実現をしておりません。それからまた、空港を取り巻く周辺には反対勢力が非常に強くて、依然として警察の護衛のもとに人垣をつくらなければ何ともならぬような状態になっておる。それから公団の中はどうか。一体化しておるかというと、運輸官僚天下り反対という労働組合の大きな運動がある。これも手をつけておられない。内外ともにあなたの方は、敵を受けておると言っちゃなんですが、困難な事態にいまなお直面しておると思いますが、そういう状態のもとに開港しても、まあまあと言えるのでしょうか。
  41. 福永健司

    福永国務大臣 私がまあまあと申し上げているのは、かなり心臓の弱い面を率直に示しているわけでございますが、しかし、そういう、聞き方によっては頼りないというような意味では断じてございません。  いろいろなことを経てここまで参りました。人によっては傷だらけの姿だと言われます。長い間苦労をしてある面で傷はついておりましょう。だがしかし、瀕死の重傷とまでは至らなかったことは幸いであると私は思うわけでございます。むしろ難産の子は強い、こういうように育ってもらいたいというのが私の切なる願いでございます。そういう点から申しまして、いまお挙げになりました機能、燃料暫定輸送、交通あるいは滑走路の問題等々、いろいろお挙げになりましたが、開港をするに危ないというような機能ではない。機能はそういう意味において万全を期しましたし、燃料暫定輸送はまさに仰せのごとく本格的なパイプラインをということになりますと、また三年後を期しているというようなことでございますから、私はその理由だけでもう三年あの開港をおくらすというようなことではとてもいかぬ、こういうように判断をいたしております。なるほど何もかも初めから考えたように完璧にできてということはより一層望ましいことではありますが、現実がそういっていないことを残念に思います。だからしたがって、暫定でしばらくやるということについてはそれなりの国民各位の御安心もいただけるような措置をとっていかなければなりませんが、これもまあまあと私は考えております。まあまあと言いますとまたおしかりをいただくかもしれませんが、まあ大丈夫だ、こういう意味で申し上げておるわけでございます。  交通につきましては、これはずいぶんいろいろございました。確かにございましたが、私、正直に申し上げますと、昨今、話よりは大分よくなっておる、こういう表現は私は自信を持って申し上げます。何時間もかかるだろうとずいぶん言われたのが、行きは一時間とちょっとぐらい、帰りは一時間半ぐらいというように考えておられる人もかなりふえてまいるようになりました。なお多少の危惧の念は覆い去りがたいものがあると思うのでございますけれども、これらについてはなお善処していかなければなりません。  滑走路につきましては、御指摘のごとく、主要なものは確かにりっぱにできましたけれども、横風用のもの、それからもう一つの短い方の滑走路とがまだできておりません。これとても、できていた方がいいには違いありませんが、しかし、これがすっかりできてというと、さっきの話じゃないが、燃料の関係等よりもさらに時間がかかる。一体何年先になったら成田空港ができるのかわからぬというような状態では、これはもう断じて国民に対してそういう姿のままであっては申しわけない、こういうように思いましたわけでございまして、これは引き続きできるだけ早くやる。できるまでの間は、太田さんよく御存じのように、これを補う方法は講じてあるわけでございます。  まあいろいろ反対の動き等もございますが、これらの方々には誠心誠意御理解を得るように今後も努力をしていかなければならぬ。公団の中に天下りのやつがおるということで御批判もあるようでございます。私は一人一人正直当たっておりませんが、大体調べたところでは天下っておるようなやつはなかなか役に立つからいいやつを使っておる、こういうわけでございまして、なおこの点については、私一層厳しく調査をいたしまして、国民の御負託にこたえるように処置をしていきたい、こういうふうに考えております。
  42. 太田一夫

    ○太田委員 公団の天下り人事反対というのは、運輸省のお役人が向こうへ行く、これが気に入らぬというのですが、そんなことが開港前に中からがたがた吹き上がっちゃまずいということです。あなたがおっしゃるように、それはひとつ力を合わせて、よく考えて円満な成田開港ができるというなら、少なくとも完全無欠じゃないんだから、完全無欠に近づくようにあなたの方としてお考えにならないと、安全上の問題にいろいろな問題が起きてくるんじゃないかと心配するわけです。その問題はそれでいいです。  それでは、航空管制の問題でちょっと具体的な話、これは新聞に大きく報道されたのです。「成田空港 レーダー誘導に“穴”」こう大きく報道されたのがございます。「進入時、約十五キロ空白」これは二十キロとも言われておりますが、パイロットが市街地上空の高度規制空域であるということから非常に不安を強めておる。言うならパイロットそのものも、熟練したパイロットも、その十五キロか二十キロ航空管制から外されるということで、この管制の空白地域に入ったときにもしも間違えてしまったときには、もしものときには、パイロットの不安は大きいと言われておる。もしコースから飛び出してしまったらどういうことになるか。もともとここは羽田、百里基地、成田の三つの管制空域と分かれて、これはお互いに連携しておるわけですけれども、連携しながら、これは十五キロも二十キロも誘導はしない、勝手に飛べなんというところがあるのはおかしい、この問題はどうなっておるでしょう。
  43. 福永健司

    福永国務大臣 技術的には一部補わせることにいたしますが、まず私から申し上げます。  私もその種の記事を見まして、そういうことが本当にあるなら大変だと思いまして、早速調査をいたしました。とんでもない話だということでございます。つまり、そういうことだからとんでもないということでなしに、この記事はとんでもない、こういうことなんです。私、もう安心をいたしました。そこで、それならそれで安心できるんだという記事をとも思いましたけれども、それも大人げないと思いまして、私は、実際においてなるほど全然心配ないという実を上げるように強く督促をいたしておったのでございますが、私から言われるまでもなく、成田のレーダー管制については穴は全然あいてない、大丈夫だということでございます。その点につきまして、私は安心しましたのでございますが、私の説明だけでは確かに十分ではないと思います。いまから学術的に専門家に説明させるのでお聞き取りをいただきたいと思います。
  44. 松本操

    ○松本(操)政府委員 大筋についてはいま大臣がお答え申し上げたとおりでございますが、成田につきましては、着陸直前及び出発直後から全部レーダーを用いた管制、進入管制でございますが、これを行っております。いわゆるターミナルレーダー管制というのを成田の空域の中では完全に行っておるわけでございます。  レーダー管制というものをかいつまんで申上しげますと、レーダーを使いまして飛行機と飛行機との間の安全間隔を設定する、レーダーを使いまして飛行機を誘導する、レーダーを使いまして飛行機の飛び方を監視する、この三つのいずれかあるいは全部、これを組み合わせて行いますのがレーダー管制でございます。  そこで、いま御指摘の成田につきましてどのようになっているかということを申し上げますと、北から進入する場合のコースについての御指摘であろうかと思いますが、まず、成田に入ってまいります飛行機は、東京管制部が遠くの方でつかまえまして、これもレーダーを使いまして、高度を下げ、コースを指定しながら、だんだんと成田の空域のそばまで持ってくるわけでございます。その場合に、東京管制部はどこまでの責任範囲を持つかということになりますと、霞ケ浦の南の端の方にレイクという名前をつけたポイントがございますが、高度六千フィートということでそこまで持ってくる、これが東京管制部の所管になっております。その少し手前のところから、手前と申しますか、成田から見ると先の方でございますが、その時点でレーダーからレーダーへという形、これをレーダー・ハンド・オフと言っておりますが、レーダーからレーダーへという形で成田の管制所へ渡してしまいます。それを引き取りまして、成田の管制所は自分のレーダーを使いながらレイクまで引っ張ってまいります。  そこで、レイクから先はどうなっておるかと申しますと、レイクから先は計器進入方式というものが決められておるわけでございます。したがって、レイクから守谷のVOR/DMEを使ってある一定の距離を飛び、その守谷のVOR/DMEから一定の距離まで来ましたときに左へ旋回をいたします。大体十数度の旋回角度で左へ回りますと、成田の空港から出ておりますILSという電波誘導装置がございますが、これの電波をキャッチする。これは、もし航空機に自動操縦装置を入れておきますと、パイロットは監視をしておるだけで、通常の場合でございましたらまず間違いなく飛行できるコースでございます。計器進入コースというものにつきましては、レーダーで一々右へ行けの左へ行けのということをやらないというのが原則でございます。しかし、レーダーで十分に見ておりまして、したがって、いまのコースから外れるような場合がございますれば、当然のことながら、下で見ておるわけでございますので、おまえはコースから外れておる、回らないで真っすぐ行ってしまえば早よう回れとか、手前で回ってしまった場合には少し回り方が小さ過ぎるとか、こういうふうなことを指示して、正確に計器進入コースに乗せて着陸させる、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、御指摘のようにレーダー管制の空白の空域が存在しているということではございません。原制としてレーダーを使ってやりますのはレイクまででございますが、しかしその場合でも、なおかっ飛行機と飛行機との間の間隔が適切にとれないような場合、レイクからさらに中へ入ってまいりましてもまだ間隔が適切にとれないというふうな場合には、積極的にレーダーを使いますし、適切な間隔がとれているときには、先ほど冒頭申し上げましたように、レーダーで監視をしておりまして、コースを外れないかどうかということを見ながら、外れた場合には適宜適切なアドバイスをする、こういう形で管制をすることにいたしております。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、新聞に大きく報道された、成田空港のレーダー管制に穴があって、空白コースがあるということは、これは事実誤認であるというふうに理解していいわけですね。これは確認しておきます。  それからもう一つ。シドニーとか東南アジア方面に行く出発便の通るコースには、米軍の訓練空域と重なるところがあるからそれは一部削ってもらって、訓練空域を南に伸ばすとか伸ばさぬとか、あるいは上方だけ削るとか、東南アジア便のコースについてはいろいろなことが起きているようです。これはどこからでもよろしい、施設庁の方からでもいいですから、この安全問題について、ついでにお答えをいただきたいのだが、大臣の時間がありませんので、この質問の後にお答えいただくことにして、もう一つの欠陥的な問題点である箱崎のエアターミナルの効用についてお尋ねをしておきます。  これはどうしても一遍大臣に答えてもらわなければいかぬのですが、箱崎のシティ・エアターミナルというのは、わが国の試みとしては確かに斬新なものだし、おもしろい試みだと思います。この奇抜な搭乗手続という方法はなるほどと考えられますけれども、よく考えてみると、交通の不便というところから、この効用があるかないか問題だ。たとえば上野から成田空港に行きます場合、京成を使った場合が時間で一番短い。これは七十分あれば千百円で行ける、この宣伝文にそうなっておる。それから国鉄で東京から行きます場合には、九十分かかって千九百四十円で行ける。一番かかるのがエアターミナルから行くのでありまして、これは二百二十分かかって千九百円となる。二百二十分ということは、三時間半前にエアターミナルに着かなければいかぬのですから、相当早く行かなければならぬ。何ということなしに余分に早く出てこいというのが箱崎ターミナルの条件。そうでないと搭乗手続ができない、チェックインはしてくれない。そうすると、二百分からかかって一番高い、しかも道路だ。果たしてこれがそんなに斬新な施設として生きていくかどうかが心配。  そこでもう一つ問題になるのは、箱崎で搭乗手続して、国鉄や電車で行こうとしてもこれはだめだ、これがおかしい。それから電車で上野から行った場合、一番早く正確であるが、どういうかげんか、八百メーター手前から先は乗り入れ相ならぬと、運輸省はそこから先の乗り入れ計画を拒否してしまった。あなたの方がわざと不便なことにした。これもおかしい。そういう箱崎というのは一体何であるか。しかも新聞の伝えるところによれば、ハイジャックだとかいろいろなことに、二重手間だとかそういう問題もあって、何か数社の外国航空会社はそこに事務所を設けることを依然としてためらっておるということですが、日航だけのお客さんのためにつくったというならそれでもいいが、このことについてどうお考えなのか、一遍大臣からお答えいただきたい。
  46. 福永健司

    福永国務大臣 おっしゃることだけでございますとまことに妙なものをつくりたかのごとき印象を受けるのでありますが、なおいろいろお聞きいただくとそうかと言っていただける節もあろうかと思うのでございます。この種の考え方を採用した空港は世界にほかにもございます。しかし、東京が最も混雑することが予想される空港としてうまくやってもらいたいと私も考えておるわけでございまして、もちろん、多少時間はかかりますが、そのことによって、成田へ行ってからやたら時間がかかるというようなことではない、その差し引きの点も考慮しなければならぬと思います。しかし、ただいま拝聴いたしました時間、それだけを伺いますと多少不便なような気も私しないでもございません。なお調べさせていただきたいと思います。幾つかの航空会社がおりるというか余り賛成しがたいというようなのも出てきておるようでございます。私はそれを無理にどうこうということはないと思いますし、これはこれでそういう形で若干やって、いろいろやってなるほどいいなという理解のもとによけい利用されるということが望ましいと思います。それでまずいようならまずいで、これはまたこれで考えなければならない問題でございます。いろいろ説明等を伺っておりますと、余りまずくないような話なんでございまして、これも実務を扱う者から多少補わさせていただきたいと思います。
  47. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生おっしゃいました中に多少時間とか料金とかという点も入っておりますので、数字を交えて御説明したいと思いますが、大体私どもが予測しております成田開港に伴う航空旅客というのは、一日片道九千三百人であろう、これは都心部から発生する旅客であろうというふうに見ております。そのほかに八ないし一〇%程度の乗り継ぎ客がおりますが、これは成田から出てくるわけではございませんので、成田だけについてみますと、九千数百人ということであろうかと思います。その場合に、それを鉄道で持っていきます方法と、それから自動車道路を使って持っていく方法と両方あるのはただいま御指摘のとおりでありまして、鉄道で参ります場合には、たとえて申しますならば京成のスカイライナーに乗ってまいりますと、大体三十分間隔でございますが、上野駅から、バスでターミナルにとどきます時間を含めて七十分、運賃が千百十円、おっしゃったとおりでございます。ところが、この場合にはチェックインという手続がまだ何もしてございません。チェックインという手続は、航空会社の窓口で切符を渡した客に対しまして、手荷物を受け取り、搭乗券を渡し、座席を指定する、これがチェックインでございます。それをいたしますのは二時間半前からしておるわけです。少なくとも一時間前には来ていただかないと間に合わないかもしれませんよ、飛行機に乗りおくれるかもしれませんよ、これは一般的に国際線の場合のならいでございますので、仮にぎりぎり一時間前に成田に着かなければならないということにいたしますと、一時間七十分でございますから、二時間十分前には上野駅を出ていなければならない、こういうことになるわけでございます。  次に、シティ・エアターミナルでございますが、これは、法律的な立場を申しますと、自動車ターミナル法に基づくバスターミナルになっております。ここから東京空港交通という一般の定期運送の免許道路運送法によってもらっております会社がバスを運行するわけでございますが、この場合に、まずチェックインをする場合としない場合に分けまして、しないといたしますと、大体七十分ありますとまず一〇〇%は空港へ届くでしょう。ですから、箱崎から七十分かかって成田へ着きまして、成田で一時間前ということでございますと、合わせて二時間十分前に箱崎を出なければならない、こういうことになります。しかし、バスはもうちょっと早く出しましょう、二時間前には必ず出しましょう、こう言っておりますので、この点について、上野から行きます場合とそれから箱崎を使う場合と、時間的にほとんど差はないのではないか、このように思います。  次に、チェックインをするかしないかの問題でございますが、これは、現在成田を使うであろうと予測されております航空会社が三十四社ございますが、三十四社のうちの八社、旅客にして一六%程度のものが箱崎にチェックインカウンターを設けることについてまだためらっておるというふうに私ども聞いております。したがいまして、まあ八四、五%というものは箱崎を使いましょう、こう申しておりますので、先生御指摘のように日航のためだけというふうに御理解いただかなくてもよろしいのではないだろうか、このように思います。したがって、箱崎に参りますとどういう便利があるかといいますと、そこで搭乗券まで受け取ってしまいますので、あと旅客は、今度は成田へ着きましてからのチェックインの手続というものが全く要りません。ボーディングカードを持っておるわけでありますから、あとは案内がありましたときにCIQを通り、ボディーチェックを受けまして、飛行機に乗ればいい、こういうことでございますので、成田へ着いてから非常に楽になる、こういうことであろうと思います。  どちらをとるかはその旅客の好みあるいはどこに住んでおるかというふうなこととの関連であろうかと思いますので、私どもとしては特にぜひとも箱崎を使えというふうなことを申しておるわけでもございませんし、また、道路交通という点を考えますとなるべく鉄道の方に転移していくということは望ましい、こういうふうにも考えておりますので、現在のところは、大臣が申し上げましたとおり、成り行きを見ながら、しかし箱崎における作業が円滑にいくようにというだけの配慮は十分にしてまいりたい、このように考えております。
  48. 太田一夫

    ○太田委員 箱崎ターミナルの効用問題についてはなお幾多問題があると思いますが、これは実施した後においておのずから勝負はつくでしょう。お客様というのは義理じゃ来ませんから、これは利用者の厳正な判断にまつ。ただ、余り箱崎が優秀だ、優秀だということについてはいささか問題があると思うことと同時に、最も便利であるべきはずの京成電鉄の成田空港駅を少なくとも八百メートル遠くに退けたということは、まことに利用者に対する反逆行為と同じだと私は先ほど申し上げておいたが、これに対して答弁は要りませんが、そう思うのです。  そこで、時間がなくなったから、米軍訓練空域と東南アジアコースとが重なっておる問題について、防衛施設庁の方においてはどういう内容でどういうことを同意されたのか、一度その件についてお答えをいただきたいと思う。
  49. 広田徳久

    ○広田説明員 お答えいたします。  房総半島の野島崎南東に、米軍の訓練区域といたしまして、公海上でございますが、チャーリー区域というのがございます。そこの訓練空域の一部を今回成田国際空港の航空機の経路として削減をしたのが内容でございまして、具体的に申し上げますと、そのチャーリー区域の北側の面積約八百三十平方メートルの部分の上空一万五千フィート、メートルに換算いたしますと約四千七百五十メートルでございますが、一万五千フィート以上の空域を削減し、成田国際空港の航空機の経路としたものでございます。去る三月十五日に日米合同委員会で合意いたしました。
  50. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっと要求しておきますが、これは上の方だけを削ったって、下がそのまま残っておるということは一体安全上どうなのか、そういう問題がありますから、この米軍訓練空域の削減問題というのは、ひとつ内容運輸省において明らかにして、何か資料として出してほしいと思うのです。なぜ上だけやって下の方はそのままなのか、それは危険はないのか、心配があります。ただ、この問題を議論すると、時間がもうなくなりましたから保留しておきます。その資料だけは航空局においてまとめて報告してください。  最後に総務長官にお伺いします。  先ほどの沖繩の交通方法の変更に関する問題でありますが、これは七月三十日を期して実施されることになっておるのですね。この問題ですけれども、これは、沖繩のわが国に復帰したこの処理事業のうちで一番大きものだと思うのですが、従来常に政府では沖繩に対しては理解のあるような態度をとっておられたですね。そういう態度をとっておられたにかかわらず、どうも今回の態度というのは一方的であって、県民の要望にこたえておらない。三十年来の習慣を一挙に変えるというときに、たとえば公共施設に対しては対策を講じた。一部の公共事業に対してはその負担をし、経済的な負担もした。しかし、個人とか法人、会社等の今後の犠牲に対してはほおかむりしたままだ。沖繩の交通方法の変更について、県民に負担をかけないということは、しばしば言われているような気がしておる。それにもかかわらず、個人の問題、法人の問題等はそっちのけになったままだ。そうしておって、この間出された要綱でも、特別事業などについてはやりますと、こう確たる返答がない。確たる決意が述べられておらない。これから検討していく……。それをその場は逃げる。実施してしまったらそれではいさようなら、そういうことでは沖繩県民は承知しないのではないか。われわれは、復帰事業の最後の仕上げとするなら、このときにこそ、すべて国の負担においてきめ細かく措置すべきだと思う。県民の被害に対して補償はどうするつもりなのか、そして記念事業のあり方、取り扱い方について、どういうつもりなのか、長官からお答えをいただきたい。
  51. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点でございますが、交通変更をする、これは長い間なじんでこられた県民の方々に大変大きな損失を与えることになっております。そういう意味から、いま御指摘の公共の問題について、記念事業としては道路問題と交通安全教育センター、それから緊急医療センターというものが県の方から上がってまいっております。これは各省庁連絡をとって必ず実現をいたしたい。これは、復帰事業の最後の完結――この後も相当起こるであろうが、これは最大のものであろう、こういうふうに私は考えております。  ただ、補償の問題でありますが、これは大変御迷惑をおかけいたしますが、利害得失――いい面の場合、たとえば右側の場合は右から左ということでございますから、右側の人たちに対しては大変に大きな損失を与えることはよく承知いたしております。また、左側の人たちについてはさほどの損失も与えない、こういうふうな関係から、いろいろ利害得失がございますが、これはケース・バイ・ケースで責任を持って解決をしてまいりたい。そういう意味から、対策本部も一定の期間、それから県内の窓口も、こういった問題が処理されるまで存続させておきたい、私はこういうふうに思っておりますので、できるだけ県民各位、先ほども太田委員の最初の御質問にお答えをしたとおり国の施策で、すなわち交通法の条約に基づく国の施策で行うことでありますから、すべて国の責任において実行してまいりたい、こういうふうにお答えをしておきたいと思います。
  52. 太田一夫

    ○太田委員 時間がなくなりましたから終わります。  長官、その特別事業は県から上がってくる問題というのもありますが、各地の民間世論としてまた別に提起しておるのもあるわけですから、それぞれかれこれにらみ合わせ、国の事業として、沖繩県民の要請にこたえ、その気持ちにこたえるというような、ひとつ実現を図っていただきたい。  それから、補償問題については、本当によく検討してみなければわからぬことはたくさんありますから、いまおっしゃるように、七月三十日に実現した後におきましても窓口は閉ざさない、そして解決すべきものは必ず責任を持って解決するというように――その場合に、個人のことは知らないよという原則があるわけじゃないでしょう。この問題については温かい気持ちで対処していただくことを求めておきます。よろしゅうございますね。
  53. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点については当然のことでございますので、逃げて通る、こういうようなことは絶対しないことを申し上げておきます。
  54. 沖本泰幸

    沖本委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  55. 沖本泰幸

    沖本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上泉君。
  56. 井上泉

    井上(泉)委員 毎日、新聞を見て、必ずと言っていいほど交通事故のニュースが載っておるわけですが、最近における交通事故が、昭和四十五年から漸次減少して、今日その死者も昨年の実績では九千人を割ったということはまことに喜ばしいニュースでありますけれども、しかしなお六十万人に及ぶ多くの人が交通事故による災害を受けておる。その数は今日わが国の人口から見ればこれは大変な数になるし、十一年間のベトナム戦争でさえアメリカ軍の死傷者は三百万人を超えた。ところがわが国の過去十一年間の交通事故による死傷者はその三倍近い約八百七十万人。その被害がいかに甚大であるかということと、そしてまた、交通事故は減少といいましても、減少のカーブは非常に緩やかであるわけですが、そういう点からも、政府が五十三年度の予算総額八千四百六十八億、今年度よりは二千二百二十六億円も多い交通安全対策関係経費を計上しておる。その額から見る限りにおいては、これはかなり大幅に交通安全対策が進められておる、こういうふうに当然理解はされるわけでありますけれども、しかしやはりこうした整備に伴っても、交通事故の絶滅を図っていくために、事故防止をするためには国民交通事故に対する理解といいますか認識が高まらなければ、どんなに予算をつぎ込んでも交通事故を大幅に減少さすことは困難だと思うので、そういう点で、総理府総務長官が過日の所信表明で、「これからの厳しい情勢を踏まえ第二次交通安全基本計画にのっとり、交通安全施設等の整備を初め、交通安全運動、交通安全教育の充実を図ること等を重点として、」対策を強力に推進するとの考えを示されておるわけですが、この安全運動、安全教育など交通安全思想の普及についてどのような配慮をしておるのか、まず総務長官と、そして文部、警察両当局にもこの運動についての見解を承りたいと思います。
  57. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、四十五年をピークといたしまして、その後減少を続けておりまして、昨年度は九千台を割り八千台ということでありまして、結果としては大変いい結果を生みつつあります。ただ、死傷者にいたしましてはまだ六十万、こういうことでございますので、総理府といたしましても第二次交通安全対策要綱を決めまして、全国的に毎年交通安全運動を実施いたし、教育指導、広報に努めておるわけであります。特に幼児交通安全教本などを定め、安全教育の徹底を図っております。また、本年度から新しく交通安全フェアを開催することにいたしましたが、交通安全活動における指導の役割りの重要性を考え、明年度からは新たに交通安全教育指導者養成講座を開設するなど、交通安全思想の普及に力を注いでまいりますが、今後さらに努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  58. 遠藤丞

    遠藤説明員 文部省におきましては、かねてから「小学校安全指導の手びき」「中学校安全指導の手引」という学校教師用の指導資料を作成して教師指導能力を高めるための講習会を行ってまいりましたが、五十三年度におきましては、自転車による事故が最近目立っておるということもございまして、安全な自転車の乗り方ということにつきましての手引書をまとめましたので、五十三年度におきましては、その点に重点を置いて教職員の現職教育をさらに充実してまいりたいという考え方を持っております。
  59. 杉原正

    杉原政府委員 お答えいたします。  先ほどお話がありましたように年々事故が減っておりまして、昨年九千人台を割ったということではございますが、子供と老人、それから自転車乗り、この三つにつきましては減少傾向になく、むしろ逆に形態によってはふえつつあるような状況がございます。そこで、子供につきましては、成長段階に応じた安全教育、これは先ほども話がありましたように学校教育等でも当然そういう問題が出てくるわけでございますが、私どもの方といたしましても、各種の実地指導によりましてこの習慣化を図るということをねらいにして、婦人警察官等を活用しまして、腹話術だとか紙芝居とかいうふうなことをやっておりますし、あるいは学校のグラウンドを利用した正しい歩き方教室だとか正しい自転車の乗り方教室等、あらゆる機会を利用した子供に対する安全教育をやる。またお年寄りに対しましては、老人家庭に対する巡回指導でありますとか、老人クラブ、老人ホーム等の自主的かつ組織的な活動を促進する。それから自転車乗りでございますが、この自転車の正しい乗り方につきましては、免許機会というようなそういう場がないために非常にむずかしいわけでございますが、他方に、いまの道路交通法の体系の中で自転車の安全な道路の通行ということにつきまして、自転車の地位が必ずしも明確でない面もあります。そういう点は今後手当てをしていかなければならないというふうに考えております。
  60. 井上泉

    井上(泉)委員 いろいろ施設に関する予算というものから考えますと、交通安全思想というか、これに対する啓蒙活動の予算というものが非常に少ないように思われるわけでありますが、文部、警察においてもそれぞれこういう問題について、子供と老人ということについて主眼を置いた取り組み方をされておるということはまことに結構であります。私は後でまた国鉄に質問をするつもりでありますが、ちょうどいま幼稚園、保育園を終わって学校に入る前そしてまた学校の休み、このときには子供の自転車乗りというものが非常に多いわけで、この前も高知市の踏切で、ことしから小学校へ入る保育園を終わった子供事故に遭って亡くなった。母親の目の前で列車にひかれて死んだという痛ましい事故があったわけですが、この春のいまの休み期間等における学校児童交通安全について文部省としては特別な配慮なり指導なりなされておるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  61. 遠藤丞

    遠藤説明員 就学前の子供さんにつきましては、就学時健康診断というのを一月に行いまして、その際、健康上の注意その他入学までにしておかなければならない準備等についての心構えといいますか、注意事項を親御さんにお話をしております。そのときには当然に交通安全のための注意事項もパンフレットのようなものにいたしまして配付をいたしております。
  62. 井上泉

    井上(泉)委員 そうじゃないですよ。私の質問を聞いておってもらいたいが、この春の休みの時期の小学校児童交通安全に対する特別な指導、教育というようなものをやるように配慮しておるのか、あるいは文部省としては春休みにおける交通安全については特にこういう点を注意しなさい、自転車なら特にこういう注意をしなさいという指導をなさっておるのかどうか、こういうことを問うておるのです。いま言うたことは事務的なことです。
  63. 遠藤丞

    遠藤説明員 大変失礼いたしました。  春休みに限りませず夏、冬の長期間の休みに入ります前には健康上の注意、交通安全上の注意、いろいろな危険な遊びをしないようにというような注意をまとめて、ふだんの学級指導よりもさらにきめの細かい指導を終業式直前に行っております。
  64. 井上泉

    井上(泉)委員 その点についてはまた次の機会にいたしたいと思います。  そこで、交通事故の被害者の救済対策についてその法人化が問題になっていた交通事故裁定委員会についてですが、昭和五十年の十二月十八日、当委員会において当時の下平委員長から被害者の救済対策強化という共通の立場に立って一日も早い被害者救済機関の確立を希望するとの見解が示されたのでありますが、この問題はその後どうなっておるのか、総務長官にお伺いしたいと思います。
  65. 三島孟

    三島政府委員 当委員会で示されました委員長見解に従いまして、関係省庁及び日本弁護士連合会と調整を重ねてまいりました結果、昨年末までにそれぞれの了解を得ることができまして、新たに財団法人交通事故紛争処理センターの設立許可申請がなされてまいりましたので、去る三月十五日付でこれを許可いたした次第でございます。
  66. 井上泉

    井上(泉)委員 これに対する国庫補助金とか国庫支出金はどれくらいありますか。
  67. 三島孟

    三島政府委員 これに対します国庫支出金はございません。
  68. 井上泉

    井上(泉)委員 運輸省は五十二年度でも自賠責の特別会計で十二億円以上の自動車事故対策費遍助金を計上している。この交通事故被害者救済を目的とするセンターに補助金を交付せずして、どうやって処理センターを運営されるおつもりなのか。
  69. 福永健司

    福永国務大臣 私に対して御質問のようでございますが、いま伺ったところでは三月十五日にいまお挙げになった組織の認可をしたということでございますが、率直に申しまして、予算措置等におきましては、三月にできたのにその予算が入っておるというそれほど手回しよくというわけにはなかなかまいらなかったのだと私は思います。事務的にはさらに調査してみますが、いずれにいたしましても、そういうわけで近く成立するこどが期待されております予算にはそれが入ってはおりませんが、それは特にそういうことをしなかったというほどのことではないと思います。思いますが、自賠責特会からのその種の措置をとるということにつきましては、これは全体として検討しなければなりませんが、いまあなたのお話しのようなことにつきましては今後の問題でございますので、そういうことで検討をさせていただきたい。何としましても、つい数日前に認可になりましたようなものに対して四月一日からの予算が計上されていないということは、これは御了承いただきたいと存ずるわけでございます。
  70. 三島孟

    三島政府委員 ただいま運輸大臣からお話がございましたけれども、予算としましては自賠責の運用益金から支出されることになっております。
  71. 井上泉

    井上(泉)委員 自賠責の運用益から支出をすることによって当面はこの処理センターの運営ができるといたしましても、やはり私は国の補助、今年度はいま大臣の言われるとおりでありますからこれは当然だと思うわけですが、少なくとも五十四年度の予算においてはやはりセンターに対する補助金は計上するように考えておくのが当然だと思うので、この際大臣の見解を改めてお伺いしておきたいと思います。
  72. 福永健司

    福永国務大臣 たてまえといたしますと、五十四年度の予算のことについていまから出すとか出さぬとかと言うのは、私の性格だと言いたいところでございますけれども、大蔵省的センスから言うと、いまごろから何を言うかということもあろうと思います。多少そういうことも頭に置いてお答えしなければならぬのでございますが、よく井上さんのお話を伺っておきたいと思います。五十四年度にどうするかということは、ちょっとそういうわけで申し上げにくいのですが、有益なことには金を出すのが望ましい、こういうことで御了承をいただきたいと思います。
  73. 井上泉

    井上(泉)委員 そつのない御見解の御答弁ですが、やはりせっかくつくったものでありますので、国がこうしたものについては十分金銭的な面からも位置づけた形において、この設立の趣旨に沿うような運営ができるように取り計らっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  そこで、私は保険のことでお伺いするわけですが、自賠責保険において傷害の場合はいまでも支払い限度は百万円である。それで近く死亡の場合の支払い限度額の引き上げに合わせてこの限度額を引き上げるということを聞いておるわけですが、これはそういう方向で検討されておるのかどうか承りたいと思います。
  74. 中村四郎

    中村政府委員 自賠責の保険金の限度額の引き上げにつきましては、裁判例あるいは賠償水準、賃金、物価の動向といったいろいろなファクターを参照いたしまして現在検討いたしておるわけでありますが、その場合におきまして、死亡保険金について改定を行うという際、それとの均衡をよく考慮いたしまして、傷害の限度額についても配慮してまいりたいと思っております。
  75. 井上泉

    井上(泉)委員 傷害の場合の限度額の引き上げについては、当委員会において私もしばしば申し上げたことでありますので、引き上げをされるのは当然だと思うわけです。しかしまた一方においては、自動車の損害保険ほど医師による過剰診療ということが問題にされておるものはないと思うわけです。ですから、そういうふうなものの解決もあわせてやらないと、幾ら引き上げてもとても傷害を受けた場合における損害補償ということにはならない面もたくさんある。過剰診療でもうける者はあっても、一方においては診療費がなくなったがために非常に苦しい目に遭わなければならぬ、そういう面で泣く被害者もある。こういうことを考えた場合に、健康保険の診療単価と交通事故の場合の診療単価が非常に違うわけですが、これは一体どういうふうな理由に基づくのか。そしてまた、自動車の料率の算定会においても、高額の治療費を請求した事案についても五十一年三月末までの四年間で約三十九万四千件、金額にして二十四億円というものが減額修正をされておるということは、過剰診療が多く出ている。それから、もとの診療の単価というものが、健康保険の単価と自賠責の単価とがどうして違うのか、そういう点について説明を承りたいと思います。
  76. 中村四郎

    中村政府委員 私どもといたしましては、自賠責保険の医療費の支払いの適正化ということは非常に大切な問題でございますので、かねてから診療報酬明細書の添付を保険金請求に際しましては義務づけをいたしましたり、あるいは損害査定を現実に行う自動車保険料率算定会の本部に医療費調査部を設けまして、また、同本部あるいは地方の調査事務所に顧問医を委嘱いたしまして、過剰にわたる診療と認められる請求事案をチェックしてきた。さらに、自動車保険料率算定会と日本医師会、各地区の医師会との懇談等を開催いたしまして、いろいろな改善策を講じてきたわけであります。そこで、先ほど先生が申されたような実態というものが出ておるのじゃないかというふうに思うわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、今後ともこういった手だてを充実させまして、医師会との話し合いも促進し、関係省庁連絡をとりながら改善を促進していきたい、かように考えております。
  77. 井上泉

    井上(泉)委員 厚生省は、こういった過剰診療というもののために行政指導を従来どのように行っておるのか。また、あわせて今後の対策等について、厚生省、おいでであれば……。
  78. 内藤洌

    ○内藤説明員 お答えいたします。  御指摘のような過剰診療あるいは過剰請求というような問題を起こしております医師は、全体の医師の中ではごく一部の医師だと思いますけれども、一部にせよ、そういう医師がいるということは医師全体の信用に傷をつけるというようなことにもなりかねないわけでございまして、大変残念なことであるかと思います。  この対策等につきましては、すでに御答弁がありましたように、自賠責の制度の中でいろいろな御努力がなされているわけでございまして、第一義的には自賠責の制度内でその問題の解決に当たられることが一番適当なことではないかというふうに考えるわけでございます。  なお、医師の一般的な倫理の問題につきましては、厚生省といたしましては、基本的には各医師の良識に待つべき問題ではございますけれども、その医師の養成あるいは卒業後の教育研修等の機会を通じまして、よりよい臨床医というものを養成していく必要がある、そのために従来から、卒前の医学教育文部省の所管でございますが、文部省とも連携をとりまして、いろいろな形で努力をいたしておるところでございます。  また、自賠責の具体的な問題につきましては、関係省より御相談があれば、私どもといたしましてもこれに御協力するにやぶさかではございません。
  79. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、厚生省の方にお尋ねするわけですが、健康保険の診療単価と自賠責の診療単価とが非常に違うわけですが、これはどういう理由でしょうね。
  80. 内藤洌

    ○内藤説明員 健康保険あるいはその他の社会保険の診療報酬の点数単価につきましては、社会保険の制度の中で定めておるわけでございます。自賠責の制度につきましては、私自身、所管外でございますのでつまびらかにいたしませんけれども、基本的な制度の相違あるいは診療内容等に特殊な面があるというようなことを考慮されて自賠責の方で定められておるというふうに了解いたしております。
  81. 井上泉

    井上(泉)委員 厚生省の方は自賠責の診療単価についてはあずかり知らぬ、こういうことですか、結論するところは。
  82. 内藤洌

    ○内藤説明員 さようでございます。
  83. 井上泉

    井上(泉)委員 それはあずかり知らぬでは、同じ国民が健康保険で受けるのと自賠責で受けるのと診療単価が、同じようななにの場合にもこんなに大きく違うというのは非常におかしいと私は思うのですが、こういうふうなことに対して運輸大臣は、こうした事実というものと、いわゆる過剰診療防止というものについてどういう御見解を持っておられるのか、承りたいと思います。
  84. 福永健司

    福永国務大臣 結論の方を先に申し上げますが、私も、あなたのその御質問があるということで少し調べてみまして、同じような疑問を、御質問の前にも私は持った次第でございます。あずかり知らぬというのは、所管的に言ってそういうことでありましょう、と思いますが、私の方にいたしましても、同じようなことで、いまお話の事例等に徴するに、いろいろ違ったことというのは余りいいことじゃないように私は思います。素人考えでございますけれども。素人考えだけれども、案外素人考えの方がいい場合もある、こう思うわけでございまして、この問題につきまして私はもう少し検討させていただいて――ただ検討するだけじゃなくて、いまお話しのような疑問が出ないような措置を政府としては考える必要があるのじゃないか、こういうように考えます。  ただ、これとともにおっしゃいました過剰診療等につきましてはいろいろな面からチェックしなければなりませんが、私どもといたしましては、自動車保険料率算定会等に対しましてさような過剰措置が行われないように――過剰措置が行われるということは、診療それ自体もそうでございますけれども、支払いについてもそういうことが起こるということははなはだ遺憾でございますから、そういうことのないように鋭意指導をしてまいりたいと思いますが、しかし、それとともに、やはり医者たる者がどうすべきかということについては、私どもは、こういうことをすることのほかに問題もあろうかと思います。いまの御質問の御趣旨等を体して、私は私なりに善処したいと考えております。
  85. 井上泉

    井上(泉)委員 とにかく私は、自動車の任意保険を準強制保険とみなしてこの普及率の向上には努力をするように強く要望してまいったわけですが、それがなかなか任意保険に加入する方が少ない。いまだにその普及が不十分だということを非常に遺憾に思うわけですが、被害者救済という観点からすれば、やはりこの普及率を、限度額を引き上げるにしても、強制には限度があると思うので、任意保険というものをかなり入れなければならぬと思うわけです。  そこで、杉原交通局長は、任意保険に入っている車と入っていない車とが客観的にもわかるように、たとえば保険に入っている車にはステッカーを張るようにというようなことを提言しているような話も聞くわけでありますし、私もそのことは、車検切れのステッカーを張ってあるのと同じように、任意保険に加入しておるということをやはりステッカーで掲示をするなり何なりして、ドライバーが心情的にも、乗っておる人あるいは同乗者にこの保険についての理解を高めるようなこともできはしないか、こういうように思うわけですが、何か任意保険にもっと加入さすアイデアなり何なりないものであろうか、ひとつこれは担当の運輸省の方で考えてもらいたいと私は思うわけですが、どういう御意見をお持ちでしょうか。
  86. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  任意保険の普及率の向上につきましては、この委員会でもしばしば取り上げられまして、私たちも鋭意損害保険業界を指導しているわけでございますが、先生おっしゃいましたように、依然として。パーセントは半分ないしちょっとそれ以上ということで、日夜いろいろ方策を考えているわけでございますが、その一つとしていま先生のおっしゃいましたステッカーの問題でございます。  これはいろいろ研究したわけでございますが、いろいろな問題がありまして、まずフロントガラスに張るのか、それとも横へ張るのか後ろへ張るのかという場所の問題がございますね。やはりこういうものを普及させ、権威づけるためにはフロントガラスに張らないと権威がないんではないか、横や後ろへ張っても余り権威がないんではないかと思っておりますので、このフロントガラスに張ることにつきまして調べましたところ、あるいは運輸省の方からお答え願った方がいいかもしれませんが、道路運送車両法でフロントガラスに張るものは非常に限られているように聞いております。限られておるわけで、絶対不可能というわけではないようでございますけれども限られておりますので、この問題はまず残ると思います。これは、張るといたしましても契約者が張るわけでございますから、張るには相当権威といいますかメリットを与えないとなかなか張ってくれないのではないか、そういう有効なメリットが果たしてあるかどうか、こういうことにつきましても考える必要があるのではないかと思います。  それから、これは先生御承知のように、自賠責というのは車につきますが、任意というのは人単位でございますから、人がかわったとき、車がかわったときどうするか、そういう問題がございますが、われわれこういった問題につきましては前向きに関係省庁とも協議いたしますし、任意保険の普及につきましてはあらゆる方策をこれからとろうと思っておりますので、貴重な御意見として今後検討させていただきたいと思います。  以上でございます。
  87. 井上泉

    井上(泉)委員 それから保険金の不正、いわば詐欺事件というものが自動車保険の場合には特に多いわけですが、こういうふうな犯罪に対して警察としてはどういうふうに対処しておるのか。そして大蔵当局としてもこれに対しては当然防止策というものを考えなければいかぬわけですが、その点について簡単にお答えを願いたいと思います。
  88. 杉原正

    杉原政府委員 先ほどお話のありました保険金の詐欺事件でございますが、これだけの大きな車社会になったということから当然そういう問題が出てくると思うのですが、保険金詐欺事件の最近の特徴といたしますと、非常に範囲が広がる、それから被害金額が大型化する、暴力団等が介在するというふうなことで、最近の不況の中で新たな資金源になっているんではないかと思われるような事案が相次いでおるわけでございます。ちなみに検挙いたしました件数で申し上げますと、五十年が百七十四件、被害金額約二億二千万、五十一年につきまして百五十三件の一億三千万、五十二年は非常に多くなりまして四百六十九件の五億四千八百万の被害金額になっております。こういう犯罪につきましては徹底して検挙していかなければならないということで力を入れておりますし、今後、関係機関、業界等ともいろいろ相談をいたしましてこういう事案の絶無を期するように対策を講じてまいりたいと考えております。
  89. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 交通事故のこういった問題につきましては損害保険の方は実損てん補ということでございますので、これは余り詐欺事件は起こらないと思いますが、生命保険というのは一定の金額を払うというふうに法律になっておりますので、間々生命保険にこういう例が見受けられる。ほかのものもございますけれども、ウェートは生命保険に非常に多いというのが実態でございます。  どんな例があるかといいますと、やはり身体の傷害に対する給付を目的とする場合、それから入院給付を受ける場合、そういったときに詐欺事件が起こるわけでございますが、前の方の傷害給付を受けるためには身体上の傷害状態が確認されなければ払わないとなっておりますので、これは余り利用されるケースとしては少ないわけでございまして、主として入院給付を目的とする詐欺事件というのが多いわけでございます。これにつきましては、われわれといたしましてまず第一に一線の外務員が契約を受けるときに十分に注意するように、と申しますのは、傷害というのは独立で受けませんで、主契約の生命保険にくっつけて特約という形で受けますので、主契約との。パーセンテージが非常に多いものなどはやはり注意しなければならないということをよく申しております。  それから最近、ただいま交通局長の方からお話がございましたように、金額が大きくなりましたので、給付の単価といいますか口数をある一定限度以下に減らしてはどうかというようなことを生命保険業界では検討しておるわけでございますが、そういったことも一つの防止策になるのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、生命保険の方から詐欺そのものをなくすようなことは無理でございますが、一般の善良な契約者に迷惑がかからないように指導してまいりたい、こう思っております。
  90. 井上泉

    井上(泉)委員 時間がありませんので、保険の問題については次の機会にこれ以上は譲りたいと思います。  そこで運輸大臣にお尋ねするわけですが、自動車整備業者に対する指導監督の強化ということを所信表明の中に述べられておるわけで、そして道路運送車両法の施行規則の一部を改正して、自動車分解整備事業の認証基準の引き上げを行ったわけですが、その引き上げを行ったことによって、私は、いまですら相当数のいわばだんなと母ちゃんと二人でやっておるという整備工場がたくさんあるわけですが、そういう中で、ちょっと講習を受けたことによって三級の整備士をもらって、そこでこの基準に沿うようにして、いわば整備工場というものがこの法に適用さすような乱設というようなことが考えられるのではないかという点から、ことにまたこれから排気ガス規制のエンジンの整備とか合格車のエンジンの整備とかいうような非常に高度な自動車整備の知識の必要な車種がふえてきた中で、単にこうした整備事業の認証基準の引き上げを行うことだけでその目的が達せられるかどうか非常に疑問を持つものなので、この点について大臣の見解を承っておきたいと思います。
  91. 福永健司

    福永国務大臣 お話しのように、自動車についていろいろなことが進歩をし、したがって、これらをよく心得た状況のもとにおいて仕事が行われなければならぬということは当然のことでございます。これらと並行いたしまして認証基準を改めるというようなこと等になりましたが、一面、いまお話しのようなことをよく気をつけないと、形の上では非常に進歩したごとくであるが、内容それに伴わないということになってはいけませんので、鋭意内容が伴うようにしていかなければなりませんが、先ほどだんなと母ちゃんでそういうようなのがとおっしゃった、私はよくわかるのでございます。しかし、同時に、このだんなと母ちゃんも、前のだんなと母ちゃんよりもこのごろのだんなと母ちゃんは大分進歩してきておるという時代でございますから、また進歩しなければ時代についていけないというようなこと等もございまして、そうした実情に合う措置を私どもは心得ていかなければいけない、そういうふうに存じます。
  92. 井上泉

    井上(泉)委員 整備工場と自動車保険の問題等についてまだ質問したいわけですけれども、時間が参りましたので、最後に一問だけお尋ねをして私の質問を終わりたいと思います。  私は質問の冒頭に、自転車の園児が踏切の悲劇、これは私どもの郷里高知県に起こった出来事ですが、土讃線というところはこうした踏切事故が非常に多いところで、前にも比島の踏切で事故があって、太田委員長初め調査にも行ったこともあるわけですが、高知市の福井町における園児の踏切事故というのは、これはその地域の人たちがその前からこれの危険性を指摘をしておった。それから昨年の暮れに聾唖者が踏切で汽車にはねられて亡くなったこともあるわけです。本当に相次ぐこういうふうな悲惨事というものが土讃線では特に多発をしておるような状態にあるわけなんです。しかも踏切事故は往々にして子供、老人に多いわけですから、これについての対策をどう考えておるのか、運輸当局の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 住田正二

    ○住田政府委員 踏切事故につきましては昭和三十五、六年をピークにいたしましてかなり減少いたしておるわけでございます。その間いろいろな対策を講じてきた結果によるものと考えておりますが、なお、いま御指摘ありましたような事故が依然として生じているということは大変遺憾なことと考えております。そういうような現状を認識いたしまして、従来は私鉄については踏切道の改良について助成をいたしておったわけでございますけれども、五十三年度予算案におきましては国鉄につきましても踏切道の改良を促進するということで三十三億円の助成金を新たに計上いたしたわけでございます。今後ともそういうような金を使いまして踏切道の改良に努力をいたしたいと考えております。
  94. 井上泉

    井上(泉)委員 時間が参りましたけれども、もう一点大臣に。  従前はほとんど通行者がいなかったようなところでも最近では交通量がふえて、踏切道の安全ということは非常に大事なことになっているわけですが、なおそういうふうな踏切事故の多発する地点については、それぞれの所轄の国鉄総局に言って、総点検をさせて対策を立て直すとかというような指導というものをしていただきたいと思うわけです。が、大臣どうですか。
  95. 福永健司

    福永国務大臣 踏切事故等の絶滅を期して、いま段々お話しのありましたようなことをよく念頭に置きまして、国鉄その他関係の方面に強く指導してまいりたいと存じます。
  96. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  97. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、長田武士君。
  98. 長田武士

    長田委員 まず運輸大臣に、交通事故による被害救済についてお尋ねをしたいわけでありますが、先ほど井上委員から質問が出ております。さらに私は続けてまいりたいと思っております。  去る二月十五日の運輸委員会でわが党の石田委員が、さらに二月十八日の予算委員会でも草野委員が自賠責保険の限度額引き上げについて、現行の一千五百万円の限度は五十年に決められたわけでありますが、その後物価の変動、医療費の上昇等を勘案いたしました場合、その限度額が早急に引き上げられなくてはならないのではないか、この趣旨の質問をいたしたわけであります。これに対しまして大臣は、現在のところ直ちに引き上げるべき状況ではない、必ずしも至っていない、被害者保護に欠けることのないように検討してまいりたい、このように答弁をいたしておるわけであります。さらに昨年の予算委員会でも同じような答弁をされておりますが、かれこれ一年有余たっておりますが、現在までの検討された状況、経過、さらに内容についてお示しをいただきたいと思います。
  99. 福永健司

    福永国務大臣 確かに私、いま直ちには引き上げということは困難であるという趣旨のことを申し上げております。一年前のときは私じゃございませんけれども、いずれにしてもある時間的経過を経て、まだ上がっていないということはそのとおりでございますが、いま直ちにはと私が申し上げましたことは、いつまででもよろしいというわけにはいかぬということが裏にあるわけでございます。ただし予算審議のさなかにもう上げなければいかぬというようなことも私としてはなかなか言いにくいことでございました。いま直ちには上げることについては私は消極的ではございますが、長くこのままではいけないということは私も重々承知をいたしております。その辺のところで、遠からず措置は必要なんじゃないかということを考えていることについて御了承いただきたいと思います。
  100. 長田武士

    長田委員 聞くところによりますと、五十年の七月でありますが、その改正のときには限度額を一千五百万円にすることについて当初予算には組み込まれていなかったわけです。これについてはそういう経緯があるわけでありますが、であるならば、本年度の予算では限度額が千五百万円と計上されております。五十三年度中の引き上げについては予算上の問題もあろうかと思いますけれども、五十年度のときと同様工夫するならば可能ではないか、二千万円まで可能ではないか、私はそういうふうに考えるのですが、大臣、いかがでしょうか。
  101. 福永健司

    福永国務大臣 後になりましてから、よく似たことだったなとおっしゃるようなことがあるかどうかは知りませんけれども、いずれにいたしましてもまだその前に、先ほども申し上げましたように、予算が審議されているさなかにその種のことの発言をいたしますことは大いに慎まなければならぬわけでございまして、ただいまお話がございましたけれども、そんなことではございましょうとは私言いにくいのでございます。言いにくいのでございましょうが、そうお考えになることは、これはこれでいろいろの観測があろうかと思います。いずれにいたしましても、余り長くはこのままではいけまいと私が思っていることを御了承いただきたいと思います。
  102. 長田武士

    長田委員 いまの大臣の御答弁ですと、その気持ちは十分あり得るというふうに私はとっております。この問題については改めて同僚議員から質問をお願いすることといたしまして、本題に入りたいと思っております。  近年交通の混雑、排気ガス汚染の深刻化などを背景といたしまして、簡便に利用でき、自在性に富んだ自転車が短距離の交通手段といたしまして再評価されておるわけであります。そういう意味で、日常生活はもちろんスポーツ、レクリエーションに至るまで幅広く利用されておるわけであります。ちなみに全国の自転車保有台数を挙げるならば現在四千五百万台と言われております。また生産台数も年々約六百万台とも言われておるわけであります。利用者も非常に増大の一途をたどっておるわけであります。こうした実情から自転車利用にまつわるさまざまな社会問題が顕在化しつつあることも事実であります。  そこで、私の地元でありますところの豊島区と練馬区の両区におきまして、自転車安全利用のためのアンケート調査を実施いたしました。豊島区では一月二十一、二十二の二日間、練馬区では二月十九日にそれぞれ面接記入による方法で、両区合わせて三千四百人中二千八百十人の回収が得られたわけであります。これを見ますと非常に回収率が高い。八二・六%ですね。自転車に対する関心が非常に強かったことを示しておると思います。お手元にこの資料をお渡ししてございますが、私はこのアンケート調査の結果を踏まえながら順次質問と提案をいたしてまいります。  まず最初に、自転車の安全利用対策は結果的に利用の抑制を招くようなことではなく、国民が安全かつ快適な環境の中で、安心して大いに利用できるように、総合的な観点から進める必要があると私は考えます。  総務長官並びに運輸大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  103. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の自転車の問題でありますが、これは短距離用として通学、通勤、あるいはまた買い物、日常の生活に欠くべからざる条件となっております。また、その反面、いろいろな事故等々も多発をいたしております。こういうふうな関係から、今後各省と連携をとりながら総合的な対策を打ち立ててまいりたい、こういうふうに考えております。
  104. 福永健司

    福永国務大臣 御説のところは、ある程度抽象的に御表現になっておられますが、大体私はそういうことでないかと思います。
  105. 長田武士

    長田委員 次に、交通局長にお尋ねをしたいのでありますが、交通事故の件数は、昭和四十四年をピークといたしまして年々減少をしておりまして、非常に喜ばしいことだと私も考えます。  その中で、自転車に関する事故は減少の度合いが少ないのではないかという感じを私は持っておるわけであります。これは交通事故全体の比率からいけば逆に増加しているとも言えるわけであります。自転車事故で亡くなった人も、昨年の例を見ますと、子供では一昨年よりも増加しておるという状況ではないかと思います。  そこで、五十二年度はどのようになっておるのか、またどのような形態の事故がふえておるのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  106. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  先ほどお話がありましたが、四十五年がピークでございまして、全体はそれ以降減少をいたしております。  ただ、昨年五十二年の自転車乗車中の事故について申し上げますと、死者が千八十三人、けが人が八万二千四百八十六人ということでございます。事故全体が減少していると申し上げましたが、全体の死者数の減が八・一%であるのに対しまして、自転車は減少率が半分の四・三%しか減っておりません。けが人につきましては、全体が三・六%の減に対しまして、自転車のけが人は、逆に四%増加しているというのが実態でございます。  交通事故の形態といたしましては、一番多いのが出会い頭、これが全体の二七・六%、右折中、これが全体の一二・九%、これが自動車と衝突をしているという状況でございます。  なお、ちなみに子供さんの自転車乗車中の死者数、これは二百四十一人で、前年に比べて四人ふえております。また、七十歳以上の老人の死者も二百十人でございまして、前年に比べて十七人、八・八%増ということで、全体が減っている中で、自転車、なかんずく子供と老人の方の事故が増加しておるという実態でございます。
  107. 長田武士

    長田委員 御答弁がありましたように、特に子供やお年寄りなどの事故が非常に多いわけであります。それらの死亡数、事故の形態などを見て、その原因をどのように考えていらっしゃるのか、また、こうした事故を防止するためにいかなる対策が必要であるか、この点について再度お答えを願います。
  108. 杉原正

    杉原政府委員 警察といたしましては、先ほど申し上げましたような事故の実態が多いわけでございまして、一つには、そういう問題というものを更新時講習とか処分者講習機会にドライバーにしっかり頭の中に入れてもらうということが前提でございますが、同時に、自転車に乗られる方々に対しましては、交差点等における一時停止の規制、それから一時停止を励行するための指導標示、いま街頭にぺイントでいろいろなことをかいておりますが、そういう指導標示の設置、それから自転車通行帯や路側帯の設置、それから自転車の歩道通行可の規制等々をあわせまして、街頭での交通の、これは取り締まりというよりも、むしろ指導に重点を置いた施策強化する一方、関係機関、団体等と協力しまして、特に夜間におきます自転車の事故防止というのが非常に大きな問題でございますので、この自転車に反射材等を貼付してもらうというふうなことの促進、あるいは子供さんとか老人の方々を対象にした自転車の安全教室、こういうものを開催して、自転車の正しい乗り方指導というものを強化していこうと思っておりますし、同時に、先ほどもお話をいたしましたが、いまの道路交通法の中で自転車の乗り方について十分手当てがしてないと思われるような面があります。そういう点につきましては、道路交通法の中で自転車の地位というものをはっきりさせるような措置もこれから積極的にとっていかなければならないというふうに考えております。
  109. 長田武士

    長田委員 では通産省にお尋ねするわけでありますが、自転車の安全利用を図るためには、自転車そのものの構造、それから品質などの欠陥をなくなしていかなければならないことは当然であります。  このような欠陥商品の実態や付属品が粗悪で壊れやすいなどの苦情等、その実態を当局は把握していらっしゃるかどうか、この点お尋ねいたします。
  110. 野中英二

    ○野中政府委員 お答えいたします。  通産省といたしましては、消費経済課に事故情報収集制度をつくりまして、それによって自転車の安全性について情報を収集いたしておるわけでございますが、昭和五十年一月以降現在までで十五件であります。その内容は、大体におきましてブレーキの作動不良というのが圧倒的に多いわけでございます。  なお、経済企画庁の国民生活センターで収集いたしました自転車の安全性に関する情報は、昭和五十二年一ヵ年だけで二十件に及んでおるわけでございます。  さらに、自転車産業振興協会の方で無料奉仕をやってくださっております学校の通学用の自転車を対象として行った結果が出ておりますが、対象といたしましたのが、五十一年、総数百七十三万五千台、そのうち八万一千台、四・九%というものが実は不良車であったということをわれわれは承知しているわけでございます。
  111. 長田武士

    長田委員 さらに交通局長にお尋ねいたしますが、このような自転車の欠陥が起因となって生じた交通事故、この状況を把握していらっしゃるかどうか。
  112. 杉原正

    杉原政府委員 昨年の自転車乗車中の死亡と重傷事故を例にとりますと、全体が二千五十件あるわけでございますが、この中で自転車自体の車両の欠陥が第一原因と思われるものが五十九件ございます。そのうち、欠陥個所につきましては、五十九件のうちでブレーキが二十五件、四二・四%、次いで前照灯、ハンドル、こういうふうなものがいずれも車両上十分措置が講ぜられてないというふうな形になっております。
  113. 長田武士

    長田委員 消費者保護の見地から見てまいりましても、自転車メーカー及び代理店の責任は重大であると私は考えます。これらに対してどのような指導をされておるのか。たとえば製造段階ではJIS規格では不十分なので、国において一定の安全基準を定めてこれに従わせるとか、また販売に際してはスーパーを含めて自転車の車体にメーカーの名前や最終組み立て責任者の氏名を明示させることなど一定の資格者に組み立てさせるとか、販売した自転車は番号を表示いたしまして、同時に傷害、盗難を含めた総合的な保険を付加して防犯登録等のサービス業務を取り扱うほか、その後の定期的な修理、点検も責任を持って行わせるなど安全利用のためのサービスを総合的、継続的にシステム化した制度を製品安全法の対象とすれば、私はこれは一石三鳥の効果があるのではないかと考えるわけであります。  そこで、本来ならばこうした問題は通産大臣にお伺いしたいところでございますが、大臣出席されておりませんので、総務長官にお尋ねいたしますが、長官、まず政府部内といたしましてこうした問題等について検討されてはいかがでしょうか。
  114. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 交通事故発生というものは年々減少しつつあり、特に死者に対しては、先ほど申し上げましたように九千台を割るというふうな、こういうところに減少いたしましたといたしましても、まだきわめて遺憾な点がある、これには壊滅を期さなければならぬ、こういうかたい決意で望んでいるわけであります。しかし、交通事故が減少しつつある中で、幼児、子供さんですね、それから老人、特に自転車等の交通の被害がある、こういうことの御指摘をちょうだいいたしました。いま自転車の製造台数が六百万台、消費者に好感を持たすべく販売競争が私は恐らくなされておるだろう。まあ言うなれば三人乗りあるいは前に二つの車のついたもの、後に二つ車のついたもの。ただ、規制の方法はJISマーク等々によってのみのことであろうか、こういうふうに私は解釈をいたしております。そういう意味から、どういう方法がいいのか。自転車による事故発生が多いというこの現状をやはり真正面から受けとめる必要がある、こういうふうに私は思いますので、所管というわけではありませんが、いろいろ調整、連絡、推進を務める総理府といたしましては、各省連絡をとりつつ、御意見を、きわめて重要なものであろう、こういう受けとめ方をいたしておるわけであります。
  115. 長田武士

    長田委員 ここで、大蔵省銀行局保険部長出席されておりますので伺いますが、現在一部のメーカーで自転車保険を売り出しておりますが、私は大衆商品としての傷害、盗難等を含めた自転車総合保険を推進するべきであると考えておりますが、いかがでしょうか。
  116. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 御質問のありました自転車の総合保険は、いま御指摘のように四十九年の三月に東洋火災海上というのが一社バイコロジー保険という名前で売り出しております。それ以外の会社でも、そういった総合保険ではございませんが、自転車だけを対象といたしまして既存の傷害保険でございますとか、それから賠償保険でございますとか、盗難保険でございますとか、そういうものをセットして売っておりますので、一応そういう対応はできておると思いますが、ちょっと聞くところによりますと、まだ日が浅いのでございますけれども、盗難の事故が多いので非常に保険のロスが多いという話は聞いております。しかし、社会的要請がございましたり、あるいは市場の動向を見まして、ほかの社から自転車の総合保険の申請がありましたら前向きで認可する方針でございます。
  117. 長田武士

    長田委員 先ほど申し上げましたとおりサービス、特にアフターサービスの問題でありますが、これは利用者が最も要望いたしておることだと思うのですね。どこへ出しても、自分のところで売った商品でないとなかなか修理のめんどうを見ない、そういう傾向が強いと思うわけであります。特に自転車販売店以外で売られておる自転車のアフターサービスが非常に問題だということであります。したがって、スーパー等の自転車販売に対しても、アフターサービスの強化等、指導を徹底する必要があると私は考えるのですが、この点どうでしょうか。
  118. 野中英二

    ○野中政府委員 お答えいたします。  御意見ごもっともでございまして、御存じのとおり自転車はJISマークにいたしまして部品、部品ごとのあれがありますけれども、要は組み立てが問題でありまして、しかもこの自転車は乗り手によってすぐにがたがくる。乗り方の訓練もしなければならない。こういうことでなかなか規格がむずかしいところでございます。そういうことを思い合わせますと、これは大体三月後には欠陥車が出てくる。大体一七%程度出てくる、こういうふうなことでございますから、その後のアフターケアというものは十二分にわれわれとしては留意をしてやらなければならない、かように考えている次第でございます。
  119. 長田武士

    長田委員 私はいま申し上げましたのは、スーパー等の自転車の販売、これについてはサービスの強化をすべきであるということを端的に質問したわけですが、この点どうですか。
  120. 野中英二

    ○野中政府委員 御存じのとおり、これは組み立てというのが一つの技術でございますので、われわれとしても安売りをするスーパー等の自転車売り上げに対しましては、今後も十分注意をいたして監督をしてまいりたいというふうに考えております。
  121. 長田武士

    長田委員 自転車の保有台数は先ほど申し上げましたとおり四千五百万台、これは昭和四十五年の保有台数と比べて五〇%以上も伸びておるわけであります。近年はこれが通勤、通学、買い物、サイクリング等幅広く利用されております。そういうことで、こういう事情のもとに東京都が調査した結果、都内の駅周辺における自転車の放置台数というのは昭和四十九年以降三年間で三倍以上にもなっておる、こういう実態調査が出ておるわけであります。全国的に見た場合、放置台数はどのぐらいになるか、交通安全対策室長にその実態についてお尋ねをしたいと思います。
  122. 三島孟

    三島政府委員 昨年、昭和五十二年の十一月に総理府で全国的に調査したところによりますと、全国における駅周辺の自転車放置台数は六十七万台に達しております。特に大量放置と考えられる五百台以上の放置個所は三百三十三ヵ所に上っております。放置台数にして三十三万台であり、全放置台数の約五〇%を占めております。なお、大都市交通圏における放置個所は千四百七ヵ所で、放置台数にして五十四万台、これは全国の約八〇%となっておりまして、自転車の放置問題は大都市交通圏において非常に著しい、こういう状況でございます。
  123. 長田武士

    長田委員 こうした問題を解決するためには何と言っても自転車置き場といいますか、これを整備しなくてはならないわけであります。そのためには当然用地が必要となってくるわけであります。したがいまして、これには鉄道事業者の協力を得なければならないわけでありますが、交通対策本部決定において、極力その事業との調整に努め、協力すると定められておることは御存じのとおりであります。が、国鉄及び民鉄のこれに対する方針はどのように変化しておるのか。また、用地提供の実績及び鉄道事業者に対する指導の方針についてお伺いをしたいと思っております。
  124. 福永健司

    福永国務大臣 国鉄及び私鉄等に対しまして、この種のことについて当然協力させるように指導をいたしておるところでありますが、何と申しましてもわれわれは関係閣僚の間で、いまも御指摘にありましたこと等を決めたのでございますが、道路管理者とか地方公共団体とかが設置主体となって公共自転車置き場をつくるということが、当然望ましいわけでございます。私も正直な話、駅周辺でずいぶんたくさん自転車のある情景を見ます。これがきちんとうまくいっているのもたくさんありますけれども、何日間もほうりっ放しだなということが一見してわかるような状態等もあります。でございますから、せっかくそういう場所をつくるならば、できるだけ秩序のある、大事にその場所を使う、そういう措置が望ましいと思います。  そこで、国鉄の駅なんかも、いまお話しのように、その国鉄の仕事を遂行する事業目的に背馳しないようにできるだけ協力するということが望ましいし、そういうようにさせておるわけでございますが、私鉄は、国鉄に対するのと同じような形で申すわけにもいきませんけれども、おおむねその意はそんたくしてくれているようであります。ただ、料金をどういうように取るかとかなんとかいうことにつきましては、ただならいいという考えも確かにございますけれども、物をただにすると、余り大事に使わない、人間には多少そういうくせもあります。その点等をある程度考慮して、大事に物を使う、場所についてもそうだということが望ましいと思っております。  そこで、民鉄等ではただのところもあるようであります。しかし、これは地元とよく話をしてよく理解し合って、それはありがとうということで進んでおるのであり、国鉄等で、ごく若干料金をいただいているところもあるようでございますけれども、これは別に、それでもうけようとか、それで幾らか国鉄の赤字を減らそうなんて、そんなちゃちな意味ではなくて――そういうこともありますけれども、むしろ大事にその場所を使うということを相互に理解し合って、料金等についても取り決めをしている、こういうように私は理解しております。
  125. 住田正二

    ○住田政府委員 ただいま御質問の中で、国鉄、私鉄が自転車置き場としてどの程度貸しているかという具体的な数字でございますけれども、国鉄につきましては、自転車置き場を設置いたしております駅の数が六百七十四駅、設置件数が七百六十二件でございます。それから大手私鉄の場合でございますが、駅の数が三百十一駅、設置件数が四百二ヵ所ということになっております。
  126. 長田武士

    長田委員 それでは具体的にお尋ねいたしますが、地方自治体に対しまして、首都圏管内における国鉄の用地及び高架下の貸し付け状況、この点はどうなっていますか。
  127. 村山煕

    ○村山説明員 国鉄がただいま地方自治体に土地とか高架下を貸し付けております数は、有償の貸し付けが全国で件数にいたしまして、土地が八千百八十九件、高架下は四十一件でございます。また無償で貸し付けております件数が、土地につきましては二万四千十七件、高架下は五十四件でございます。これは全国の数字でございますが、これを首都圏管内で見ますと、有償貸し付けは、土地が八百二件、高架下が十八件、また無償で貸し付けておりますのは、土地が二千九十五件、高架下は二十三件でございます。
  128. 長田武士

    長田委員 私が調査したところによりますと、民間鉄道では、地方自治体に無償で用地を貸与しているケースが多いのですね。国鉄では公共用地を有償で貸しておる。いま大臣が、お金はあてにしてないということでありますけれども、こうした現状についてはどう考えていらっしゃいますか。鉄監局長いらっしゃいますね。
  129. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄、私鉄を問わず、所有地を貸すという場合には、やはり有償が原則ではないかと思います。  ただ自転車置き場等につきましては、私鉄について先ほど大臣からお答え申し上げましたように無償の例がかなりあるわけでございます。これは私鉄と地方公共団体との問にいろいろな関係もございまして、協力する場合に無償になるというケースが生まれてきているわけでございますが、私どもといたしましては、原則的には有償で行うべきではないかというように考えております。先ほど国鉄の方から御答弁いたしましたのは、相手が地方公共団体の例で、しかもお巡りさんの派出所の場所をつくるとかあるいは駅前広場で用地が一部使われる、そういう例が多いのではないかと思いますけれども、一般的には国鉄の場合にも、国の財産と同じように有償で貸し付けるのが原則というように考えております。
  130. 長田武士

    長田委員 この件は、道路をこれからつくるとかいうケースよりも、すでに道路もでき、家も建ち、町そのものもすでにでき上がっておる、こういうケースの場合は、これから自転車置き場をつくろうというのは困難なのであります。土地も高いし、どうしてもそれは非常に困難な状況に追い込まれる。そこで、これは国鉄に乗っていくお客さんが自転車で駅まで来る。国鉄のお客さんじゃありませんか。それに対して、国鉄は高架下を有償で貸しましょう、私鉄はただで貸しましょう。私は絶対に国鉄もこれは無償にすべきだと思うのです。どうですか、これはあたりまえじゃないですか。
  131. 福永健司

    福永国務大臣 その辺がむずかしいところだと私は思うのでございます。大事な国有地ないし国鉄の持っておる土地、これは原則はやはり有償ということにしておかなければならないと思いますが、いまあなたも御指摘のように、国鉄の公共性というようなことを考えますと、なるべくなら、そんなに高くかかるようなことでなくて貸すということも一面望ましいと思います。国鉄も赤字がたくさん出てぼろくそに言われておりますが、国鉄だってかわいそうだと思うところが相当あるのです。  そこでいまの話でございますけれども、無償だということを頭から決めてしまいまして、そういうような大事な土地が自転車置き場という名において非常に大事に使われなくて、妙な金もうけの手段なんかに供されては断じていけない、こういうように思いますから、そういうことは避けなければなりませんが、あなたのなるべく無償がいいんじゃないかとおっしゃる意味はよくわかります。わかりますが、一つたてまえとしては、国鉄の土地は何しろただでいいんだというようなことを頭から原則としていくという行き方に対しましては、少なくとも国鉄をこれから大いに立て直していこうというたてまえから申しまして、直ちにそういうわけにはいかない、私がこう申し上げることを御理解いただきたいと思います。
  132. 長田武士

    長田委員 私は国鉄いじめをしているのではないのですよ、大臣私鉄は乗客に対してはサービス精神を非常に旺盛に持っておるわけですね。それに対して国鉄は冷たいんじゃないかということを言いたいのですよ。私は、他に例がなかったらそんなことを言わないのです。私鉄さえ努力してそれをやっているんじゃないですか。その点で国鉄としては前向きに取り組むべきではないかということなんです。大臣御存じでしょう、高架下は、国鉄を退職した人が会社をつくりまして、それで全部貸しておるのですよ。同じ貸すのだったら公共性の最も高い、通勤者が利用できるそういうものに貸すべきだ、優先順位はそこにあるべきだと私はお尋ねしているのですよ。答弁いいですよ、同じようなことしか言わないだろうから。  次に、今回道交法の改正が国会に提出されておるわけでありますが、この改正案には、自転車の違法駐車ですね、総理府より強い要望があったにもかかわらず、最終的にはどうも条文化されないのじゃないかという話が出ておりますが、この点いかがでしょうか。
  133. 杉原正

    杉原政府委員 道路の特に歩道だと思いますけれども、違法駐車の問題は、これは言うまでもありませんけれども、歩行者が安全かつ安心して歩道を通行できるようにするという観点から言いますと、歩道における駐車というものは原則として禁止をしていかなければいかぬ。ただ、禁止はいたしますが、その違反行為をそれじゃ処罰すれば足りるのかということの実態であるとは私は考えておりませんので、むしろこの現下の自転車利用の実態を十分勘案しながら歩行者と自転車のあり方というものを区分けしながら進めていくべきものだと思います。  ただ、いま道交法をすぐ直して歩道の上の駐車の問題を、こう取り上げても、実態がまだなかなかそこまでいっていない。それをどうするかということについては、もう少し時間をかけて検討すべきものであるというふうに考えております。
  134. 長田武士

    長田委員 最後に総括的に伺いますが、自転車の放置問題については先般交通対策本部の決定がなされたところでもありますし、私は一応の前進であろうかと考えておるわけであります。しかし、まだまだ多くの問題が残っておるわけでありまして、そこで交通対策本部で決定した、関係省庁は速やかに具体的措置を講ずるものとするとの文書もありますが、その対応についてはいまだ不十分であると思われるわけであります。したがって、政府としては今後どのような方針でこの問題に対処されるのか、総務長官の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思っております。
  135. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の自転車駐車場問題というのは、自転車の利用者の急増につきまして大変重大な問題だ、こういうふうに受けとめております。そういう意味から今年から、来年度からということでありますが、新しく駐車場に対しては助成を加える、こういう一つの大きな前進をもいたしております。そういう意味から各省庁連絡協議会をつくりまして、できるだけ秩序ある駐車場の確立――いま無秩序に放置されておりますから、地域住民の方々に大変な御迷惑をおかけしておるということはよく承知いたしております。そういう意味から各省庁連絡協議会をつくりまして速やかにこの問題の解決のために全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
  136. 長田武士

    長田委員 以上で終わります。
  137. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、青山丘君。
  138. 青山丘

    ○青山委員 まず最初に総務長官にお尋ねいたします。  昭和五十二年中の交通事故の発生状況は、資料によりますと、交通事故の死者数は九千人を下回って八千九百四十五人、前年に比較しますと七百八十九人、八・一%の減少ということであります。特に死者数は、年間減少目標であった五%を大幅に上回って、昭和三十三年以来十九年ぶりに九千人を下回ったということでございます。大変な御苦労があったと思うのです。自動車台数が年々増加しております。これは国民の需要、要求、こういう意味ではやむを得ない状況の中で、事故の絶対数を減らすということは容易なことではないと思うのですが、これが減少してきた理由をどのように受けとめておられるか、まずお尋ねをいたします。
  139. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 お答えいたします。  死者数においては半減をした。まだまだこれでも目的達成をされていないわけでありますから、今後も全力を挙げていかなければならぬ。ただ、この減少した理由でありますが、各省庁の大変なこれに対する御協力もさることながら、各種民間団体が、交通事故から守るということで、各県ごとに自然発生的に組織が大変強化をされたということと、それからドライバーにいたしましても、やはり交通事故の恐ろしさというか、人命を尊重するというか、こういう面に対する理解度も深まってきた。特にまた、家庭におけるところの教育もこれに並行して、交通事故から守らねばならぬ、こういう意欲が官民一体となってあらわれつつあるというところにこの効果が生まれたのではないか、こういうふうに私は考え、今後なお一層官民一体となって交通事故から守る運動を強力に進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  140. 青山丘

    ○青山委員 私はある意味では評価をしております。学校その他各種団体における安全教育が次第に定着してきた、それから交通規制が進められてきた、あるいは各地で安全施設が年次計画として実施され、整備されてきました。その意味でそれなりの成果を上げてこられたわけですが、さて問題は、やはり子供それから老人、一般の歩行者、それから先ほどから言われておりました自転車の利用者、こうしたいわゆる交通弱者と言われる人たちの死亡事故がかなり高くなっております。こういう交通弱者の死亡事故がなぜ高いのか、その辺をどういうふうに受けとめておられるのか、あるいはまた交通弱者に対する対策は具体的にどういうふうに進めようとしておられるのか、お尋ねをいたします。
  141. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 率直に申し上げて、運転者子供さんそれから老人に対する保護意識が低いということも言うことができるのではないかと思いますが、もう一つ、それよりか――ドライバーの意識を高めることもきわめて大事でありますが、もう一つ進んで、やはり家庭の環境であるとか、あるいはまたこれに参画される方々に、この弱者を守るという歩行、歩道の問題についても、その他危険と思われる個所においては、周囲の温かい一つの協力と申しますか、保護と申しますか、指導と申しますか、こういったことも欠かすことのできないことではないか。いま御指摘の点は、私も交通対策本部の責任者をいたしておりまして、弱者の事故が大変多いということについては今後もっともっと強力に進めていく必要がある、こういうことを真正面から受けとめておるわけであります。
  142. 青山丘

    ○青山委員 私は、これからの交通事故防止対策一つの基本的な立場として、交通弱者に対する事故防止対策というものに取り組んでいただかなければならぬと思うのです。  そこで、総務長官文部省にお尋ねをいたしますが、これまで進められてきました施策の中で、歩道の整備とか交通安全施設の整備などが進められてまいりましたが、このような物理的な施策で効果を生み出してきたことは率直に評価できると思います。したがってこれからは、いま申し上げた交通弱者に対する事故防止対策、それからもう一つはドライバーに対する行政的な指導といいますか、ドライバー行政が必要になってくるのではないかと思います。ドライバーと歩行者などの交通安全教育を普及させる、そのためのいろいろな取り組みが必要でありましょうが、従来のように歩行者対ドライバーという対立する概念で物をとらえていく、これは必ずしも正しい見方ではないと私は思うのです。  たとえば学校教育の中に組み入れられてきているということなんですが、歩行者はいつまでも歩行者ではない、やがてドライバーになっていく、そういう立場に立った安全教育というものを進めていかなければならないと思うのですが、総務長官及び文部省の御見解を求めます。
  143. 遠藤丞

    遠藤説明員 文部省におきましては、学級指導あるいは学校行事というようなかっこうで小中学校交通安全教育あるいは交通安全指導を行ってまいっております。ただいま先生御指摘のように将来のドライバーになる、そういうよき歩行者であると同時に将来のよきドライバーになれるようにということにつきましては、学年が進むに従いまして、中学校における自転車の安全な乗り方についての指導、あるいは高等学校におきましては近年相当数の高校生が自動二輪車を利用するようになっておりますので、そういった高等学校の段階におきましてはすでに、四輪ではございませんけれども、ドライバーの立場に立っておりますので、そういった場合におきますマナーでありますとか、単に技術の問題でなくマナーというか心構えの問題についても相当の時間をかけて指導をしてまいっておるところでございます。
  144. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点につきましてはきわめて重要なことでございますので、各省庁連絡をとりながらできるだけ御趣旨の線に沿うよう努力をいたしてまいりたいと思っております。
  145. 青山丘

    ○青山委員 そういう意味で、やがてドライバーになっていくための安全教育というものを進めていただきたいと思います。  次に、公安委員長所信表明の中で、道路交通法の改正に積極的に取り組んで、自動車交通と人間生活との調和のとれた新しい道路交通秩序の確立を図るのだと述べておられますが、私はドライバーの社会的責任、特に国民免許の時代を迎えてのドライバーの社会的責任についてどのように取り組んでいかれるのかお尋ねをするわけです。  現在の自動車保有台数が約三千二百万台、免許取得者数が三千七百万人という時代にマッチした道交法でなければならない、そういう意味で新しく道交法改正の要綱が今度警察庁の手でまとめられました。これは運転免許人口が年間百七十万人から百八十万人毎年ふえている、特に働き盛りの男性は四人のうち三人がドライバーである、まさしく国民免許の時代を迎えているわけです。いわゆる国民免許の時代として交通安全問題を新たに見直していかなければいけない。今後の安全対策考えていく中で、特にドライバー対策考えていかなければいけないのではないか。車両行政免許行政というのはこれまで進められてきてはおりますが、問題はドライバー行政というのが空白であったのではないか、したがって今後、ドライバー行政を確立していく意味で、しっかりと根を据えたものにしていくためには、ドライバーは車を持ち、それを運転するに当たって、もっと社会的に責任を持っていかなければいけない。それを運転者に対して、ただ取り締まりを強化していくとか罰則だけを強化していくというやり方だけではいけない。具体的にどういうふうに進められていくのかお尋ねいたします。
  146. 杉原正

    杉原政府委員 お答えをいたします。  御質問の御趣旨につきましては、全く同じ認識に立っております。先ほど来お話がありましたように、交通事故が減ったとは申しましても、まだ年間六十万を超える犠牲者が出ているということでございまして、やはりこの交通事故防止というのは、依然として重要な国民的な課題であると思っております。  先ほどお話がありましたように、十六歳になるのを待っていて二輪を取る、十八歳になるのを待っていて四輪に乗るというふうなことで、国民免許というのが社会の実態になりつつあるということでございます。そういうことを考えていきますと、従来のようなドライバー対歩行者という、対するような物の見方として車社会をとらえるのではなくて、運転者を含めたすべての国民の真の理解と協力を得て、物も大事でありますが、同時に心の通った車社会をつくり上げていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  一方におきまして、暴走族でありますとかあるいは覚せい剤中毒の運転者がいる、あるいはクラクションをちょっと鳴らすとおりてきて相手のドライバーを殺傷するというふうな暴力ドライバーがございます。またそういった従来予想しなかったようないろいろな事案が出てくる。それから、運転が上手、下手とは別に、先ほどおっしゃいましたドライバーの社会的な責任から言いましても、強制保険にも入らない、保管場所も持たない、車検も受けないということで運転しているようなことであってはならないということでございまして、そういう意味から考えますと、先ほども申しましたようないろいろなドライバーというのは、やはり善良なドライバーにとっては大変に迷惑なドライバーでありますし、それらのドライバーというのは、本当の意味の社会的な責任を果たしていないという意味で、運転者としての適格性を欠く者であるというふうに考えるわけでございます。  そういう観点から、今度の道路交通法の改正の際も、法全体を見直して所要の改正措置を講じておるわけでございますが、そういったいわゆる悪質と言いますか、反社会的なドライバーというものを排除する一方で、大多数を占めておりますのは無事故、無違反の善良なドライバーでございます。こういった方が片方では社会的にもこれが適正に評価されるような施策行政施策として推進していくのは当然なことであるというふうに考えておるわけでございます。  また、これまでの行政というのは、われわれの行政免許行政はありました。片方に車両行政というものはあります。しかし、ドライバーと車との結びつきという、いわゆる人と車を結びつけたという形、いわゆるドライバーというものの実態に着目した行政は必ずしも従来ない。したがって、免許を受けている人がどういう車に乗って、その車をどういう使い方をしているのかといった点を把握しないと本当の意味のドライバー行政にならないというふうな点をこれから考えながら、運転者と車の結びつきというものを考えた上で、運転者のニーズを考慮した講習その他の行政をやっていくというふうなことで、新しい車社会に対応した形でドライバーの理解と協力を得て、安全で快適な車社会をつくり上げていかなければならないという決意でおります。
  147. 青山丘

    ○青山委員 交通局長さんおっしゃったとおり、これまで進められてきた車両行政免許行政、さらにこれからはドライバー行政に力を入れていただきたい。事故を起こすのは車ではないのです。車を運転しているドライバーの資質の問題でずいぶん起きているわけです。そういう意味では事故を起こしているその基本が車ではない、ドライバーの資質なんだということから、ドライバー行政というものにひとつぜひ積極的に取り組んで、国民免許の中で本当の意味でのドライバー行政というものを確立していただきたい、こういう気持ちでおります。  次に運輸大臣にお尋ねをいたします。  運輸大臣所信表明の中で、航空交通の安全については、第三次空港整備五ヵ年計画に基づいて、航空交通管制業務の近代化を推進すると述べておられますが、いよいよこの三月三十日開港予定になっております新東京国際空港、この成田空港は、東京国際空港である現在の羽田飛行場、さらには自衛隊百里基地あるいは米軍の横田基地との管制空域が接近しております。これらの空域を飛ぶ飛行機のコントロールが非常にむずかしいものとなっていくのではないかと予想されます。ちなみにこのような空港が接近しているのはニューヨークでケネディ空港、ラガーディア空港、さらにはニューアーク空港の例もあるわけですが、ニューヨークではケネディ空港内に共通の計器飛行室を設けて三空港の発着機あるいはこの空域を通過する航空機のコントロールをしているというふうに聞いております。しかしこれは、三空港とも民間空港である場合なんです。しかもアメリカでは航路上のコントロールは軍用機あるいは民間機の別なく航空局の管制官が行っているので問題はないというかもしれません。ところが日本の場合は、東京、千葉、この上空では全く管轄が異なるものが空域を区切ってコントロールを行うことになっているわけです。民間機、自衛隊機、米軍機がそれぞれ図面上で区切られた空域それから定められた航路に沿って飛行するならば問題はありません。しかし、迷子になっていく機体がないとはいえませんし、違反機がないという保証はありません。そこで、三者の管制官を結ぶホットラインがつくられると思うのですが、どうなんでしょう。  それからもう一つ、三者が計画どおりうまく協調して航空交通の安全に対し十分コントロールを行えるのかどうか、いままでたくさん出てきたニアミスの例を見ても大変疑問だと私は思うのです。そういう意味で、担当大臣として航空交通安全対策は完璧であると考えておられるのかどうか。民間機、自衛隊機あるいは米軍機、この三者間の管制空域のコントロールの主導権は一体どこが持つのかお尋ねをいたします。
  148. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろ御心配になる、これはこれで私もよくわかるわけでございます。私自身もこの種のことにつきましては素人ながら責任者である立場において深く関心を持って検討をいたします。後刻、専門家というか、そういう知識をよく持った者から十分お答えさせますが、私は、いろいろ調査をし、質問等をいたしまして、なるほどそれじゃ大丈夫だという確信を持っております。その点についてはさらに裏打ちをさせることにいたしますが、お話にありましたニューヨーク方式等ももって参考とすべきものではございますが、これよりも多少複雑な姿がわが東京において、わが成田においてあるわけです。  そこで、これはそういう複雑なところであるが、日本は、東京はうまくやっているということにするように実はさせておって、いささか聞いていただきたいところもあるくらいでございまして、大丈夫であるということを私は確信を持って申し上げたいのであります。ことにいまおっしゃいましたような事案の管制につきましては、かく申す私が、運輸大臣が最高責任者である。これは別にアメリカの関係がある、自衛隊の関係がある、よって民間航空の責任者であるこっちには大して責任がなくてそば役であるか何かのようにあるいは誤解を受けるかもしれませんが、決してそういうことではなくて最高責任者としてこのことに当たる、こういうことになっております。いずれにいたしましても国民各位から心配していただかなければならぬようなことはしないつもりでおります。  以下若干補わせて答弁をさせます。
  149. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  いま大臣答弁申し上げましたように、わが国におきます航空交通の安全の責任者運輸大臣でございます。したがいまして、いま問題になっております。たとえば航空交通管制の管制官の資格の問題につきましても運輸大臣が全責任を持っております。  御指摘のように、防衛庁をしてある一定の空域の管制を行わしめることはございますが、これは運輸大臣が航空法に基づきまして防衛庁長官にその権限を委任する、こういうことになっておりますし、さらにまた同じく航空法の中に統制権というものを運輸大臣が所有することになっておりますので、防衛庁の管制官といえどもわが方の管制官に係ります試験に合格しなければ管制官の免状が取れない、こういう仕組みになっておりますので、軍であると民であるとを問わず、おしなべて管制の責任運輸大臣に帰属して、またその実施についても運輸大臣としての十分な手当てをしておるというふうにまず第一に御了承いただきたいと思います。  第二点でニューヨークの例について、ケネディ、ラガーディア、ニューアーク等の空港を一元的に管制しているという方法があるではないかという御指摘でございます。いわゆるコモンIFRと呼ばれるものについての御指摘であろうと思います。この方法につきましては確かに一つの新しい管制のやり方としてそれなりの効果というものがあることは私どもも承知をしておるわけでございますが、問題の空域についてこれを与えますと、羽田と成田と百里と、この三つの空域が恐らく該当するのではなかろうか、横田の点についても言及されたわけでございますが、横田は羽田のさらに西側の空域でございますので、直接的に成田の管制等について関連のあるものというふうには私ども理解をしていないわけでございます。  これはさておきまして、羽田と成田と百里につきまして一元的に管制するという方法は当然あり得るわけでございます。私どももそういうような形で管制を行うかどうかということを技術的に検討したわけでございますが、遺憾ながらこの航空交通管制という業務の内容が戦後、昭和三十年ごろに米国から輸入された新しい技術ということでございますので、私どもの先人が大変努力をしてまいってはおるわけでございますけれども、まだ残念ながら世界第一級というところまではなかなかまいらない、ようやく追いついてまいったというのが実情ではなかろうかと思います。そこで一元的に管制をするということを避けまして、それぞれの空域を分ける、一つの空域には一つの管制機関しか置かない、これが管制の原則でございますので、この原則に従ってやる限りにおきましては、御指摘のような問題はまず起こらないはずでございますが、さらに念には念を入れよということもございますので、この三つの空域ともすべてレーダー管制を実施する、すべての航空機の運航をレーダースコープの絵で確実にとらえるというふうにしてございます。したがって、確かに一定の航路、飛行経路等がノータムで出ておるわけでございますが、これから外れて飛ぶような飛行機はまずないとは思いますが、外れて飛ぶような場合には当然それぞれの管制機関はレーダーで監視をしておりますので、一定の経路から外れたということがわかりました場合には直ちにそれなりの措置をとるというふうにしてまいります。  それから羽田と成田、成田と百里、これらの間には御指摘のようにホットラインがございまして、電話機を上げさえすれば直ちに相手方の管制機関が出る、ダイヤルを回すとかボタンを押すとかいう必要が全くないようになっておりますので、もし緊急、異常の事態が生じましたときには電話機を上げさえすれば所要の相手方の管制機関が出てまいります。いまこれこれの飛行機をどうしろとか、わが方の飛行機を右へ回すからおまえの方は左へ回せとか、こういうふうなことが即刻措置できるようになっております。  それからまたそれぞれの管制機関、私どもの方の管制機関は民間の機関ではございますが、しかし軍用機につきましてもモニターはできるような無線装置を持っておりますので、軍用機と民間機の間に周波数の違いがございますが、それにもかかわらず私どもの方としては十分に監視をすることができる、こういうふうな仕組みにもしてあるわけでございます。したがいまして先ほど来具体的な点についての御指摘ではございましたけれども、少なくとも空域の分離のありようから始まってコースの設定、それからレーダーによる管制のありよう等について委細をきわめて専門家が詰めたわけでございますし、さらに具体的に私どもの方が飛行機を飛ばしてみまして、これで完全にやれるかどうかということもチェックをいたしましたし、さらに五十何名、六十名近くの管制官がおるわけでございますが、この六十名の管制官につきましてもシミュレーターその他を使って十分に訓練をしておりますので、まさに仕上がり直前の状態まで来ておるものというふうに私ども考えております。ただおごりは禁物でございますので、先生の御指摘を十分にかみしめまして、今後ともそういったような不幸な事態が生ずることのないようさらに入念に心を詰めて緊張した状態で管制をやってまいりたい、このように考えております。
  150. 青山丘

    ○青山委員 しかし、もとより起こり得べくもない事故というのがこれまで起きてきているわけです。したがって計算どおりなかなかいかないところに、たとえばニアミス等の心配もあるのではないか、そういう点で私は不安を持っているわけであります。問題は、運輸大臣所信表明の中に出ていました「航空交通管制業務の近代化を推進する」というのは、それぞれの機関でコントロールをしていきなさい、こういうことではないかと私は受け取ったのですね、違いますか。つまり、ある意味では、コントロールの主導権を空域に与えていくんだ、そういう意味で成田の飛行場があの空域一帯の主導権を発揮していくんだというふうにとるということはないのですね。百里は百里、羽田は羽田、成田は成田でやっていくんだ、それぞれの立場でコントロールしていく、こういうことなんですね。
  151. 松本操

    ○松本(操)政府委員 私がお答えいたしましたのは、それぞれの空域の中においては一つの管制機関が責任を持って管制を行うという趣旨を申し上げたわけでございますが、それを総合してどうなるのかという点につきましては、この関東空域はもちろんのこと、あの近辺、東経百六十五度、南は硫黄島の南に至るまでの広い空域を東京航空交通管制部というところが握っております。これは先ほどもお話に出てまいりましたエンルート、つまり航空路上の管制というものは東京航空交通管制部がこの広い空域にわたって一元的に握っております。したがいまして、入る飛行機も出る飛行機もそこが全部基本的なコントロールをするわけでございますが、たとえば成田の空域に入ってまいりました飛行機については東京管制部から成田の管制機関に渡す、そのかわりそこは成田の管制機関が一元的にコントロールをいたしまして、他のコントロール機関のくちばしを入れるゆとりを認めない、ただし相談を受ければ御相談に応じましょう、こういう形で管制をするわけでございますので、先ほど私がお答えしました、三カ所を一括して行うコモンIFRと申しますのは、いわば中二階のようなものでございまして、東京管制部がエンルートと申しますか、航空路の管制を握る、その下のかなり広い、広域航空管制と私ども呼んでおりますけれども、かなり広い空域についてそこが一元的に管制を行う、そしていよいよそれぞれの空港のごくそばに来ました場合にはそれぞれの空港の管制機関に渡す、こういうふうな形になるわけでございます。  そこで、先生の御質問に立ち返って、それぞれの、たとえば成田なら成田、羽田なら羽田がばらばらにやるのかというと、そういう意味ではございません。羽田の空域にこの航空機を入れるかわりに成田からはこの航空機を出してこようとか、そういうふうな裁量はその上に乗っかっております東京航空交通管制部が一元的にしておる。その下請として、と言うと言葉がちょっと悪いのでございますが、任された部分についてはそれぞれの管制機関がおのれに与えられた空域の中で一元的に行う、こういう趣旨でございます。
  152. 青山丘

    ○青山委員 国際空港として成田の新東京国際空港が果たしていく役割りは私は非常に大きなものがあると思うのです。したがってこの空港が十分機能を果たしていくために、ニアミス等の事故のないようにひとつ十分配慮していただきたいと思うのです。  実は、成田なんですが、最近在日外国大使館のパーティーなんかで最も話題になっているのが成田の飛行場開港に伴う問題だということで、非常に多くの皆さんが不安を持っておられる。空港が開設されれば何とかなるだろうというような日本人的な発想に対する不安を持っておられるというんですね。そこで運輸大臣にお尋ねしますが、新東京国際空港都心間を結ぶ主要な交通手段として成田新幹線が建設されるということで見てはきたのですが、沿線住民の反対運動で実質的御破算になったのではないか。したがって京成の新空港線あるいは国鉄の総武線が開港時の主要な足になるであろう、さらに加えて、例のリムジンバスあるいはマイカータクシー、いわゆる道路交通に頼らざるを得ないと聞いているのです。新空港の建設予定地として成田が決定されてから今年まで一体何年たってきたのか。成田新幹線が建設されないためにその分のしわ寄せが道路に来るでしょう。開港に伴ってかなりの交通渋滞が予想されているわけですが、これが現実になった場合、運輸大臣、一体どのように対処していかれるのか。私は、これは国際的な信用問題ということで、非常に深刻な事態を迎えるのではないかと憂慮しておりますが、いかがでしょうか。
  153. 福永健司

    福永国務大臣 各国の連中が非常に不安がっているという御指摘でございます。ある程度そうであろうと思います。だがしかし、いろいろお話が出る中には必ずしも不安でなくて、深い関心を示すという意味においていろいろな話が出ているという節も非常に多いと、私自身も接触いたしまして思うわけでございます。  いまおっしゃった成田と都心、あるいは成田と羽田、こういうのを考えますと、確かに御指摘のように、何もかもできておったら、これはもっとはるかによかったということであり、私は責任者といたしましてそういうことがより望ましかった、こういうふうに存じます。十一年内外を経て、こんなはずではなかったという感じは確かに多くの人の頭の中にあるわけです。私自身もさように考えます。したがって、できるだけ開港に間に合わせるように努力をするとともに、開港後に、一日も早く及ばなかったことに追いつくという措置も講じなければならぬ、それが私の責任の一部でもあろう、こういうように思うわけでございます。  率直に申しまして、安心し過ぎているというのでしかられるかもしれませんけれども、初め考えましたほど――行きにどのくらい、帰りにどのくらいということでいろいろな言葉が出ておりました、私も本当にそんなことになったら大変だなと思っていたのでございますが、それよりは大分いいというのが現状認識の公平な見方であろうと思います。  だがしかし、先ほどお話になったように、いよいよ開港になったら、またえらい忙しい、道がいっぱいだ、三十日のようなお祭り騒ぎの日にはちょっとは、これは別でございましょうけれども、話よりは大分いいということについては、私も何回かいろいろな方法で、自分でも行ったり、人に見てもらったりして、ある程度確信を得ているわけでございますが、まだまだこれではいけませんので、これから一生懸命にやらなければいかぬと思います。  鉄道道路その他、いろいろな方法でございますが、成田と羽田の間等につきましても、私は湾岸道路を走ってみて、これまた思ったよりは大分早いので、やれやれと思っているわけでございますが、しかし、いよいよ三月三十日以後にどうだということについては、これはよく気をつけておかなければなりませんが、あの間にいたしましても、湾岸道路等を走れば非常に早いようになったし、連絡するバス等も当然出すわけでございますが、余り遠くないうちに、羽田-成田の間というか、むしろ直接国際線との関係を言いますと、たとえば札幌であるとか大阪であるとか、あるいは福岡であるとか、こういうところとの連絡を、いまのままでございますと成田まで来ると後ぽっきりとぎれたような形でございますが、これを朝夕にでも、また将来はさらにそれより多くでも飛行機を出して、飛行機そのもので連絡する方途等も余り遠くなくて講じたいと思っておりますが、これはほんの一例でございまして、いろいろそういう手段を講じまして、いま段々お話もございましたような点について、できるだけよかったと言っていただけるようにいたしたいと思っております。
  154. 青山丘

    ○青山委員 時間が来ましたので最後になるかもしれませんが、一体成田新幹線はできるのかどうか。  それから、大臣いまちょっとおっしゃいましたが、新国際空港と国内線になる羽田空港との直結する乗り継ぎ、これは二時間くらい片道にかかる。私もかつて京葉道路から成田を見学して帰ってくるときに、いまでもそうですが、あのときはまだ成田開港ではなかった、あの高速七号線に入る前の渋滞というのは大変なものです。この十何年間に何か手を打たなければならなかったのじゃないか、成田が開港しなくてもあのような渋滞の姿なんですから、これで開港されたら一体どうなるか。外国から日本へ着いたらこの交通渋滞、湾岸道路の問題もありますが、あの京葉道路で入ってくるときに、一体日本というのはどういう交通渋滞の国なんだという第一印象を非常に強く持たれると思うと、私は残念で仕方がない。一体これまで運輸省は何をしておったのか、こういう気持ちでいたわけなんであります。この問題が一つ。  それから、首都高速七号線の交通混雑があるために湾岸道路の一部が開通になりました。したがって、その点についてはかなり改善されてきた。しかしまだ、逆に言うと、ある違うところでは渋滞が長引いてきておるというような問題があります。  そこで最後に、首都高速七号線の混雑解消、この問題が一つ。それから、湾岸道路の建設促進についてどのように取り組んでいかれるのかお尋ねをして、質問を終わります。
  155. 福永健司

    福永国務大臣 湾岸道路等については、刻一刻というくらいによくなってきております。いま先生お話しの、運輸省何をしておったのかとおっしゃるが、相当やっておったのでございまして、この点については、決して誇らしげに申し上げるわけではございませんが、この長い間みんなが苦労してくれましてようやくここに参りましただけに、私は責任者に対しても、督励するとともに、御苦労だったという気持ちでもいるわけでございます。しかしまだ何日かございますので、なお一層よくなるようにと考えております。  成田新幹線につきましては、御指摘のとおり私自身も非常に残念に思う節がございます。いわば暗礁に乗り上げたようなところもあるわけでございます。これにつきましては、鉄道監督局長から的確に答えさせることにいたします。
  156. 住田正二

    ○住田政府委員 成田新幹線につきましては、四十七年に工事を始めたわけでございますけれども、残念ながら地元の反対で空港周辺の一部につきまして工事をやっているような現状でございます。やはりこういう大きなプロジェクトにつきましては、地元の協力というか、御理解がなければなかなか進まないということで、昨年来地元といろいろお話をいたしまして、成田新幹線とは別に、あそこにニュータウンがございますので、成田ニュータウンとかあるいは北総ニュータウン、そういうニュ一タウンの通勤輸送もあわせて行うということで、現在成田と東京とを結ぶ新線につきまして、関係者の間でいろいろ話を進めております。  この点については、地元の方で、前向きといいますか、ぜひやってほしいという御要望もあるわけでございますので、もしそういうような構想が実現できる段階におきましては、新幹線ではなくて、そういう通勤線を兼ねた高速鉄道を建設していきたいというように考えております。
  157. 浪岡洋一

    ○浪岡説明員 ただいま御指摘首都高速七号線の渋滞解消でございます。  成田行きの主要路線であります。号線につきましては、成田へ行く下りにつきましてはほとんど問題はございません。ただ、上りは朝夕のピーク時には六キロないし七キロ程度の渋滞が始終起こっているわけでございます。  第一にその解決策といたしましては、千葉方面の京葉工業地帯にあります工場から発生する重車両を幕張から湾岸道路に迂回させるための道路案内標識あるいは情報板等を設置いたしましてドライバーに積極的にPRをいたしたい。それによって京葉道路、七号線の交通負荷を軽減したいというのが第一点でございます。  第二は、現在首都公団は、朝夕のピーク時には道路容量をはるか超えた車が入ってまいりますので、首都公団の、あるいは警視庁の交通管制センターにおきまして、時々刻々その状況を把握し、高速道路の入り口閉鎖の流入制限を実はやっているわけでございます。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕  御指摘の七号線、特に錦糸町周辺あるいは箱崎インター、江戸橋インター等につきましては御承知のとおりの状態でございまして、今後警視庁――現在すでに警視庁とこの辺の処理について協議をいたしておりますが、ある程度流入制限等をやっていかないと、成田の方面からのお客が十分に早く都心に到達できないというようなことになるわけでございますので、現在そのやり方については協議中でございます。  なお湾岸線の全面供用でございますが、箱崎から湾岸線に取りつく高速七号線につきましては、五十四年度に完成の予定でございます。現在鋭意工事中でございます。  それから平面道路と高架道路の混在しております湾岸道路につきましては、昭和五十六年度に全線高架化の予定で現在工事を進めている状態でございます。
  158. 青山丘

    ○青山委員 終わります。
  159. 太田一夫

    ○太田委員長代理 次に、東中光雄君。
  160. 東中光雄

    東中委員 最初にダンプカーにおける過積載問題について若干お伺いしたいと思います。  昭和五十一年の九月二十九日付で交通対策本部幹事と内閣総理大臣官房交通安全対策室の室長の名前で「ダンプカーにおける過積載取締りに対する協力依頼について」という文書が建設省計画局長等に出されておりますが、「ダンプカーに係る交通事故の防止については、政府として昭和三十六年以来数次にわたる交通対策本部決定に基づき諸般の施策を講じ、その結果、交通事故の減少をみているところであるが、最近、違法な運行、特に過積載違反が増加する傾向にあり、なかには「さしわく」を装着するもの等悪質なものを相当見受けられる現状にある。」ということを指摘して、「取締まりの実施及び背後責任の追求に対する協力はもとより、取締りに並行して、「さしわく」装着に対する道路運送車両法違反についての所要の措置、関係業界の自粛体制の徹底等各省庁における行政上の対策を推進することが必要である」こういうふうに言っておるわけでありますが、依然としていま過積載問題というのは非常に大きな問題になっております。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕  全日本自由労働組合建設資材ダンプ分会が、昨年の七月二十八日に、午後十一時から翌朝八時まで、ダンプ街道と言われている栃木県の栃木-古河線の八幡屋ドライブイン付近で通ってきた百七十三台のダンプ運転手から聞き取りをしたわけでありますが、そのうち、回答を拒否された人が二台、一・二%あったわけですが、回答された人たちは全部過積載になっている。五割までの過積載、表記トン数の五割まで過積載になっているのが四十七台で二七・一%、それから五割以上二倍近くになっているのが六十六台で三八・一%、二・倍以上が六十台で三四・六%。いわば定量運行車が全くないというふうにこの調査の結果では出ておるわけでありますが、これの取り締まりだけを言っていたのではどうにもなりませんので、これはなぜこういうふうになるのか、その原因について――運転手さんはやりたくてやっておるわけでないことは明白であります。危険であるし、労働は非常に強化されるし、それにもかかわらずこういう事態が起こっているということについては、交通安全という立場から見てその原因は一体何かというふうにお考えになっておるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  161. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  建設業にかかわるダンプの過積みの問題ということでございますので、私の方からまずお答えをいたしておきたいと思いますが、いま御指摘のございましたように、ダンプカーによりますところの交通違反事故というのが、全体の事故の中で過積みによるものが三〇%くらい占めているということで、私ども建設省といたしましてもこれについては非常に重大な関心を持っているわけでございます。いままで四十五年以来、総理府交通安全対策本部の方から屡次いろいろな通達が出され、各省の申し合わせもやっておるわけでございますが、それに対しまして建設省といたしましても事務次官通達あるいは建設計画局長名をもってこれらのフォローをやってまいったわけでございますが、一体こういう政府を挙げての対策をやっているにもかかわらず、一向この現象が減らない、その原因は何だという御指摘でございます。  問題は、やはりこの骨材の運搬にかかわる建設業あるいは生産販売業、こういう業に携わるところが非常に零細業者であるということ、したがって経営基盤が非常に貧弱なために常にコストダウンというものを考えなければいけない。それが勢いこういった骨材の運搬コストの引き下げというところにしわ寄せをされる。それが過積みになり、あるいはダンプカー運転手の長時間労働というものにつながり、ひいてはこれが交通違反につながる、こういう認識を持っておるわけでございます。したがいまして、いま東中委員指摘のとおり、単に交通遵守ということを言うだけでは問題の基本的な解決にはならない。むしろそういった零細業者にかかわる構造上の問題にやはりメスを入れなければならないというぐあいに私どもも認識いたしておるわけでございます。  そこで、一貫して建設省はこれの指導に対しましては、基本的には建設業の不必要な重層下請というものを排除する。それから中小建設業者の体質改善のために協業化を奨励していくということがより基本的な問題でございますけれども、短期的な政策といたしましては、何よりもやはり適切な工期、それから適切な工程、それから適正な単価というものを確保するということが一番重要だろうと思います。現象的な対策といたしましては、やはりこういった違反事項を続出する建設業者に対しましては、この指名あるいは建設業法上の業者の監督、処分という問題についてもやはり目を光らせてやるべきだ、こういう姿勢で、今後一層こういうような指導、監督については力を入れたいと思っておる次第でございます。
  162. 東中光雄

    東中委員 まさに言われたとおり、先ほど申し上げた全日自労の調査でも、百六十五台の運転者が、したがって九五・四%の運転者が運賃が安いので仕方がないんだ、定量で走っておったのでは経費も出ないんだということを言っておるようであります。いまここにことしの三月一日の茨城新聞を持ってきておりますが、運賃が余りに安過ぎて一昨年十一月の水準にまで戻してくれ、そうでないとやれないということで百台のダンプがストップをしているというふうな状態になっています。非常に積載業者あるいは運転手にしわ寄せがいく。それから特に石油ショック以後、骨材業界は完全な買い手市場になってしまって、ダンピング競争をせざるを得ない状況になっておるというところにこの原因があるわけであります。それで、こういう骨材を買い入れるのは、建設省の公共事業あるいは公団等の公共的事業、それが七割ないし八割を占めていると思うのですが、それの工事現場の方がむしろ価格を決定していくという形になるわけであります。  いま私が調べたものによりますと、たとえば埼玉県の比企郡川島町でやられておる道路改良工事、一般国道二百五十四号川島バイパスの建設工事ですが、発注元は建設省の東松山土木事務所、こうなっておるのですけれども、これを見ますと、工事請負をやっておるのは島村組、ここが工事を施工しておる。そして骨材の販売業者は東和産業というのでありますが、ここでトン当たり千二百二十円なんです。山元渡しの代金が八百二十円。だから運賃はトン当たり四百円ということになります。神川村というところから川島町まで運ぶわけですけれども、その距離は一往復百二十キロある。そうすると、一日三回往復しようとすれば大変な労働でありますけれども、三回往復して定量で走っておったら、十トン積みとして四百円の十倍の三往復ですから、一万二千円にしかならない。だから実際量は倍、十トン車に二十トン積んで走って、二万四千円になる。ところが、それじゃこの二万四千円で採算がとれるのかと言えば、自動車の、たとえばオイル、タイヤ、パンク修理、車両償却費、強制保険、重量税、税金、車検、修理、任意保険、これだけの項目の出費があるわけです。これを計算してみますと、二万三千二百十四円という数字が統計的に調査の結果出ておるわけであります。そうしたら、結局これだけの重労働をやって倍に積んで走っておって、日当になるのは、純粋の運賃は八百円そこそこということになるわけですね。こういう事態だから、過積みになるのがあたりまえなんです。みんな差し枠をやって走っておるということになっておる。そこのところを改善する努力といいますか、特に建設省は、過積みを行っている資材納入業者から資材の購入をやめろ、指名も考えなければいけないという趣旨のことをいま言われたわけですけれども、実際は、建設省のやっておる工事現場へどんどん過積みのものが入ってきておる、それでもやっていけない、ついに百台もとまってしまう、こういう事態でありますから、これの改善の方向というのは、いま言われました請負建設業者に対する強力な指導が要るんじゃないか。そしてそういう建設業者、特に国がやっておるような建設工事現場へは過積みのトラックは入れないということまでやればいいと思うのですよ。というのは、もともと犯罪行為をやってきていることになるわけですからね。それをなくしようとして努力しておるはずの建設省なり運輸省なりあるいは交通安全対策室が、その国の現場で、それが入ってくるのをまだ容認しておる、あるいはそういう状態に誘導しておるということになっては解決がつかないと思いますので、そういう点についての減少だけではなくて、もとからなくしていく方策という点について建設省はどう考えられるか、お伺いしたいと思います。
  163. 大富宏

    ○大富政府委員 私どもの持っておりますものでは、砂利、標準物では大体二十五ミリ以下でございますが、これは店頭渡しでトン当たり千八百十三円、土場渡し、トン当たり千二百五十円、これが大体平均の標準物の単価のようでございます。いま具体にお述べになりましたので、私どもも、早速具体に一体どういうことになっておるのか調べたいとは思いますが、いずれにいたしましても骨材、ことに砂利というものは、四十八年の石油ショック以降、需要が落ちたということで相当過当競争に入り、四十九年をピークにして、逐次、砂利の価格は非常にダウンをしているというのは事実でございます。ことにこの骨材というのは地域性の非常に強いものでございますので、私はいま標準的なものを申し上げたわけでございますが、地域によっては若干の差があるのではないかと思います。いずれにいたしましても、具体的な例の御指摘を受けたものでございますから、調査をいたしたいと思います。  問題は、冒頭に御指摘になりました五十一年の通達でございますが、五十一年の対策本部の通達にあわせまして、私どもの方でも五十七の建設業団体に、ダンプカーによる資材の過積載の防止につきまして指導通達を流したわけでございます。その際には相当具体的な通達を流してありまして、「過積載を行っている資材納入業者から資材を購入しないこと。」あるいは「元請業者は下請業者が工事用資材の過積載を行わないよう指導すること。」というような相当きつい通達も出しまして、業界団体にもこういうような指導通達を出したので、各都道府県知事においても十分な指導をするようにということもあわせて通達を流した次第でございます。  問題は、やはりこういう通達だけじゃなくて、通達の結果、正しく守られたかどうかということをフォローする必要があろうと思います。そこで先ほど申し上げましたように、相当悪質なものにつきましては、建設業者に対する発注者サイドとしての指名の回避とか指名の停止とかいう問題もございましょうし、あるいは法令違反という問題でございましたら、やはり建設業法上の問題としても十分にこれを取り締まる姿勢を持って、単に通達のみならず、フォローについても十分心していきたいと思っております。
  164. 東中光雄

    東中委員 建設業者、それから特に官公需の国が工事主体である場合は、実際にいま言ったような安いということでそうせざるを得なくなってきているという状態があるわけですから、砂利や砕石の価格決定そのものについても、過積みをしなければいられないような状態に置かないことが非常に大切だと思うのです。官公需が七割、八割を占めているというだけに、そういう点の処置が非常に大切なのではないか。  それから、いま出されました通達について、五十一年十月六日の通達について言われましたけれども、これ自体はいいことだと思うのですけれども、実際にこれがフォローされていない。むしろ堂々と過積載が工事現場に入っていっているという状態は、空文になってしまっているということになると思うのです。そういう点での具体的な保障とそれから処置というものを、建設業者側がやれば、保障することができるのも建設業者側であるし、それからシャットアウトするのも建設業者側であるわけですから、そこをやるのが一番強いわけであるし、それが決定的だと思うのですが、そういう点について強くそれを進めてもらいたいということを要望しておきたいと思います。  建設省は、どうもありがとうございました。  運輸省にお伺いするのですが、実は古い話のようでありますが、昭和四十五年の十一月六日明石で、横断歩道で手を挙げて下校中の学童の列に三菱のT390型四十年式十一トン車が飛び込んで、そして死者一名、負傷者二名を出した悲惨な大事故が起こりましたが、これの経過が、昨年になってやっと民事上の問題として全般的な解決がついたように承知しておるわけでございますけれども、非常に異常な経過だと私は思うわけであります。警察、検察当局は、運転者や整備工場関係者や、特に運輸省の陸運事務所の検査官まで含めて刑事責任の追及を前提にした捜査をやった。それが四十七年の一月には不起訴になっておる。そしてその後、被害者側が今度は国と県と陸運事務所の検査官と整備工場、運転者、所持者、六者を相手に、学童の遺族が民事訴訟、損害賠償の裁判を起こした。その後五十年の三月四日になって運転者と整備工場が、いままでは加害者とされておったわけでありますけれども、その人たちが、メーカーである三菱自動車を相手に三百七十九万円の損害賠償を起こした。これが昨年五月になって全部解決ついたように聞いておりますけれども、こういう例というのは恐らくいまだかつてなかったろうと思うのです。国を相手にし、検査官を相手にし、そうして加害者とされた人が今度は被害者の立場でメーカーに裁判を起こしたというような事態が起こっておるわけでございます。実に延々七年間も続いた。  そこで、私聞きたいのですが、この捜査をやって、そうして不起訴になって、運輸省はその経過を全部知っておられるはずでありますが、結局は、この事故責任はどこにあったのか、何が原因であったと考えておられるのかという点を運輸省にお伺いしたいと思います。
  165. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 ただいま御指摘の、明石における昭和四十五年十一月六日の事故についてでございますが、この問題につきましては、事故の原因はブレーキパイプが後車軸の外管に接触し、その摩耗によりパイプが破損し、制動不能となったものと推定されておるわけでございまして、これは鑑定の結果でございます。  私ども、この原因について警察、検察当局が調査された結果及び運輸省独自の立場で調査をいたしたのでございますが、まず経緯を申し上げますと、この事故が起こりましたときに、明石警察署の指示によりまして、メーカーは、周辺の同じ型式の車約百台について、デフハウジングとブレーキパイプが接触する、そういった事例があるのかどうかということを調査いたしております。百台くらいについて調査いたしました結果、そういったものはなかった。運輸省といたしましては、同種の事故はこの部分についてないのかどうかという点をメーカーその他について調査いたしました。この点につきましては同種の事故はございませんでした。それから構造が、この問題につきまして他のメーカーと製作段階において非常に違った形になっているのかどうかという点についても調べたのでございますが、ブレーキパイプのクリップ、これは大体二ヵ所が普通でございまして、特に変わっているとは考えなかったわけでございます。  また、この問運輸省に、この機関に対して自動車の装置の変更、構造変更の届け出等がなされているわけでありますが、それとの関連について調べましたが、この部分についてはございませんでした。私ども考えるのでございますけれども、この部分につきましては、鑑定の結果、当該部分がブレーキパイプがデフハウジングと接触して、そして摩耗して破損するに至りました期間が二年九ヵ月から三年であるというふうに推定されておるわけでございます。ブレーキパイプは非常に重要な保安部品でございまして、自動車の点検基準によりまして道路運送車両法によりその点検を義務づけておるところでございます。その点検時期は、当該自動車につきましては毎月一回点検するということを義務づけております。  したがいまして、その点検の要領についてでございますが、点検要領といたしましては、ホース、パイプ及びパイプジョイントに損傷、漏れ、及びその他の部分との接触のおそれがないかどうかを点検する、こういったことになっておりますので、毎月一回の点検の実施を適確にやっておればこういった事故は防げたのではないかと考えております。
  166. 東中光雄

    東中委員 あなたはいま鑑定の結果と言われましたが、この鑑定が出たのは不起訴記録中の鑑定結果に載っておった鑑定ですが、神戸大学工学部の岩壼卓三さんの昭和四十六年二月二十三日付の鑑定のことを言われたのだと思うのでありますが、これによれば、あなたのいま言われたこととは違って、「パイプの摩耗は、ブレーキパイプが振動して、リヤーフロントアクスルと衝突して、その衝突によって摩耗したものと推察される。」振動して、そうしてリヤーフロントアクスルとの衝突ということを言っておりますし、鑑定書の最後にある「その他参考事項として、リヤーフロントアクスルの頂上の部分にクリップがないが、次年度以後の車種については、頂上にクリップが設置され、ブレーキパイプが固定されている。自動車メーカーがこの車種についても、」昭和四十年のこの車種についても、「責任を持って、アフターサービスしていれば、このような事故は免れたであろう。」というふうに結論を出しておることは御承知だと思うのです。  言うならば、次年度にその頂上部分にクリップをしたということによって事故は起こっていないので、それならその前の一年間に売られた分についてはなぜリコールしなかったのか、それをやっておけば、アフターサービスをしておけば、このような事故は免れたであろう。鑑定書の結論はそうでしょう。そうじゃないですか。
  167. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 ただいま先生の御指摘の点は、そのとおりでございます。私どもも、三菱自動車が昭和四十年の十二月十五日付で対策の通知を出しておりますことを、その後の調査の結果承知いたしております。このことによりまして、デフハウジングにおけるところのクリップを従来の二個から三個にいたしております。このことによってパイプの組み立ての容易化を図っておると言っておるわけでございますが、それにしても、パイプの振動を防止するのに役に立つ可能性はございます。  しかしながら、それならばこれをやったことによりまして、今後この種の事故は絶対にないかという点になりますと、必ずしもそういった保証がないのでございまして、鑑定書に書いてございますところの、振動により接触、摩耗したという点につきましては、通常の状態においては振動によっても接触しない装置になっておるわけでございまして、鑑定書にも示されておりますとおり、約一センチのすき間がありまして、点検によりましてそのすき間の確認をしておればそういったことはなかった。しかしながら、何らかの取りつけの緩み、もしくは走行中石が当たったか何かによってブレーキパイプが変形したものだと思います。それに対して、すき間がなくなってきておるということは点検すれば発見は可能であるということを鑑定書に示されておりますので、その辺の問題は、このクリップの取りつけ一つによって事故があったかなかったかということには必ずしもかかわらないというふうに私どもは考えております。
  168. 東中光雄

    東中委員 鑑定結果はそのとおりだとあなたは言っておって、それと違うような結論を言ったって始まらぬわけで、取りつけておけばこういう事故は起こらなかったであろう。三菱もそのことを思うたからこそあえて次年度から取りつけたのであります。しかし、取りつけたけれども、先に出ておる分についてはクリップをつけないままでほうっておいたというところに問題があるわけです。だから三菱自身がそういう訂正をする、実質上の補修をする、サービスをする。しかし、手直しはするけれども前の分はそのままほうっておく。そのほうっておくという状態をそのままに置いておいた運輸省としての犬丸さんの責任というのはどういうことなんですか。こういう悲惨な事故というのは起こらなかったであろうというのですから。
  169. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 鑑定結果につきましては、その二つのことが併記されておるということを申し上げたかったわけでございます。  それから、当該クリップを二個から三個にふやしたというのは、事故が起こったのは四十五年でございますが、クリップを取りつけたのは四十年の十二月ということでございまして、相当以前である。それにしても、先生ただいま御指摘の改善をしたら古い車にもそれをやるべきではないのかという御意見につきましては、保安上どうしてもそれをしなければ危険であるということが非常に顕著である、そういったものについては、リコールによってすでに販売された自動車についてもそういった対策がなされるべきであると思います。しかしながら、この対策、クリップを二個から三個にふやすことによりましても必ずしも万全というわけにはまいりませんで、やはり自動車の走行によりまして石が当たる等によってブレーキパイプの変形が可能であります。そういたしますと、その点検義務というものは依然としてきわめて重要でありまして、このことによって事故を防いでいく努力は必要であろうと私どもは考えておりますわけで、そういう意味で申し上げたところでございます。
  170. 東中光雄

    東中委員 別のことを私は言っているのではないのです。クリップをつけてそういう問題が起こらないようにしなければいけない。それで完全だとは思わないまでも、実際にそうする必要があるといって三菱はやった。しかし、次年度からやって、前に売った分はリコールしなかった。この場合は、それをやっておればこうはならなかったであろうということになっておる。それを知ったのが、鑑定結果で言えば四十六年の段階で運輸省は知っているはずですね。そうでしょう。それではその前に出ておる、次年度からの措置がとられていない分についてなぜリコールをさせなかったのだ。初年度に何台出ておったのか。そういうものは全くほうりっ放しじゃないですか。とんでもない悲惨な事故が、ちょっと考えられぬ学童の悲惨な事故が起こった、たまったものじゃないという被害者一般の声が新聞でも出ておるというときに、それから延々七年間裁判で争っておるというふうな状態は、運輸行政としては本当に考えなければいかぬ問題じゃないか。三菱に対して、三菱さんの言うことだからほっておこう、向こうのなすままという形になっていはせぬかということを私は言っているわけです。  同じ三菱の、いま大型トラックやバスで使われている。パワーステアリングホースの問題で、これは五十二年三月九日現在ですが、二百二十九車種、一万九十三台使われているというパワーステアリングホースの問題について、エンジンのパワーステアリングポンプの高圧側のホースについては、ポンプ吐出側とブースター側と両方にゴムホースがついているわけですが、このゴムホースが耐寒性が不足している、亀裂する、そしてオイルが流出するという事故が起こっておるわけですけれども、これのリコールはポンプ吐出側だけに限定をしていますね。ブースター側の高圧ホースの方はリコールしていない。しかも、この車のリコールする範囲を北海道だけに限定をしておる。北海道外から北海道へ行く車はずいぶんあるわけですし、そういう関係があるのに、地区的にそういう限定をし、リコールの必要を認めながら、しかもポンプ吐出側だけをやってブースター側はやっていない。こういう形で、一万台も出ておる自動車のごく一部しかリコールしない、こういう事態が起こっていますね。一体運輸省はどういうふうに考えておられますか。
  171. 犬丸令門

    ○犬丸(令)政府委員 三菱の大型自動車につきましてのパワーステアリングの装着車、これに対するリコールは昨年三月九日に実施いたしました。先生の御指摘の点でございますが、この原因は、北海道は非常に寒うございまして、特に昨年、一昨年の冬は寒かったのでございまして、零下三十度から四十度近い、最低温が出たわけでございます。そういった状態になりますと、エンジンをかけたときに、パワーステアリング用のポンプ、これが非常に油の粘度が高くなっておると同時に、ゴムホースがもろくなっておるわけでございまして、ポンプをかけた場合には、この吐出側には一時的に八十気圧の圧力がかかる。それに対しまして、戻し側もしくはブースター側は五気圧程度の圧力に下がるわけでございます。そういった意味で、同じ材質でありましても、破損いたしますのは、エンジンを始動してパワーステアリングのポンプが作動し始めたときに、八十気圧の高圧で破損する、こういう観点から、特に寒い北海道に限って、そしてその吐出側のホースに限ってリコールを行ったわけでございます。なお、北海道だけではなく、北海道にフェリー等で行く大型トラックも十分あるわけでございまして、この辺の対策につきましても配慮をいたしまして、本州から北海道に移転登録で入る車につきましては全数やっておりますし、それからフェリーで定常的に行く車、これらにつきましてはサービスニュース等によりユーザーにPRいたしまして、現在までつかんでおります実績でありますと、約三百五十台くらいのものについて実施いたしておるわけでございます。リコールをやっております。  この冬はそういった関係でこの種の事故はなかったのでありますけれども、今後、新しく北海道へ渡る車も出てまいると思いますので、なおその辺の対策を徹底させてまいりたいと考えております。
  172. 東中光雄

    東中委員 なかったと言われますけれども、ここに私、持っておりますのを見ますと、これは東京の車でありますが、北海道へ行った。そして帯広で、昨年の十月十三日、車はFU113Sです。これが同じ状態で高圧のパイプのブースター側のホース、そこで事故を起こしている。そして帯広で直して、その関係費用を八千八百円請求されていますね。だからこれは、私、きょうはちょっと時間がないので中途半端になりますけれども、両方同じ高圧の側で、一方に圧力がかかって、始動時に高圧があって反対側はならない、そんなばかなことはあり得ぬわけで、同じパイプのものでありますから、戻し管の側とは違うわけですから、そして現にこういう事故が起こっている。リコールはしているけれども、これでは――ちゃんと東京の車である。そしてその修理費を取っている。全国的に車が、たとえば本土内でもスキー場へ行って、高いところで低温になった。これが破損した。もうブレーキが事実上きかなくなるというようなことになったら、これは大変な事故が起こるわけであります。そういうようなものについて、地区的にも、そしてまたいまの部品の面においても非常に限定的にやっているというのは、これは全く三菱に対して特別な扱いをしているんじゃないかという感さえ持つわけであります。  私、ちょっとほかの委員会の関係でどうしても時間がありませんので、中途半端になりますけれども、そういう点について、これは運輸大臣に申し上げておきたいのですが、相手が何であろうと厳格に、事は安全に関することでありますし、欠陥車の責任をはっきり指摘されておっても、そのままずっと七年間も裁判で延びておるというようなことになったり、いま言ったような事態が起こらないように姿勢を正してやってもらいたいということを申し上げて、私、時間がないものですから、質問を終わります。
  173. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に、伊藤公介君。
  174. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は、これからの交通安全対策という問題は、単に事故が起きれば歩道橋をつくればいい、あるいはガードレールをふやせばいいという小手先の交通安全対策だけに目を奪われているのではなくて、新しい都市づくり、また新しい都市の中における、特に大都市の中における交通体系というものを新しい発想で考え直してみる必要があるのではないかという気がするわけであります。  たまたま私は五ヵ年間海外で生活をしておりましたけれども、特に東京オリンピックを境にして、まあ私もいま東京に住んでいるわけでありますけれども、東京はガードレールが非常にふえたり、あるいは歩道橋が急速にふえました。これは子供たちを初め生命を守るために、交通の安全のためにということで、もちろん急をしのいでつくったという場面もありましょうけれども、これからの町づくりはできるだけ歩道橋のない町をつくる、あるいはガードレールのない、こうしたできるだけ精神衛生的にも快適な町づくりをするということが、ハンドルを握る人たちに対しても、私はやはり長い目で見て交通安全対策につながっていくという気がするわけであります。恐らく東京ほど歩道橋の多い町は世界のどこの町に行ってもないだろうと思います。  そうした観点から新しい交通体系を考えなければならないと思いますけれども、最近の東京における通勤客を初め人々の足の、通勤の流れというものが大分変わってきているのではないかという気がいたしますが、現状では、特に東京のこの人の流れの調査についてはどのようにいま調査を進められているのか、現状の御報告を承りたいと思います。
  175. 真島健

    ○真島政府委員 首都圏の交通の実態調査でございますが、これにつきましては、四十六年に地下鉄整備を主体といたします都市交通計画をつくりました。この際に一度、流れその他の需要の資料をいろいろと集めまして、それに基づきまして都市高速鉄道整備計画がつくられたわけでございます。  いま先生御指摘のように、特にオイルショックその他を経まして現在いろいろな面で流れその他も非常に変わっております。私ども、そういう点で実は昨年以来一、二年かけましてそういうふうな流れの問題、交通量の問題、これを現在調査中でございます。間もなくその結果が出てまいると思います。
  176. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 東京あるいは東京周辺の具体的な町づくりの問題でひとつお尋ねをしたいと思います。  都内でいま四十万を超える、周辺を集めて五十万都市という、いままで武蔵野と言われてきた、武蔵野の面影をわずかばかり残している多摩の地に、その山を切り崩して五十万人近い多摩ニュータウンづくりが進められているわけでありますが、このニュータウンに非常に短期間に人口が急増してお住まいをいただくということになるわけでありますけれども、多摩ニュータウンの足の問題については、これから当面問題はないのかどうなのか、現状はどうなっているか、お尋ねをしたいと思います。
  177. 住田正二

    ○住田政府委員 多摩ニュータウンの足の問題といいますのは、恐らく京王線及び小田急線の多摩ニュータウン線の問題ではないかと思いますけれども、一般に足なし団地と言われている場合が多いわけですけれども、この場合にはむしろ足の方が先行して住宅の整備がおくれているという状況でございまして、せっかく整備いたしております小田急、京王の両線の利用状況は余り芳しくない状況でございます。
  178. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 ちょうどその多摩ニュータウンと隣接をしておりますところに多摩弾薬庫の跡地がございます。この多摩弾薬庫の跡地と立川の基地跡を二眼レフのような形にして昭和公園の指定をしてほしいという要望がずっとありまして、いよいよ天皇在位五十周年を記念して、昭和公園の指定が立川の基地跡に内定をした、こう私は伺っているわけでございますけれども、そうしますと、もちろんニュータウンの問題も、足を含めて――東京周辺では最大の公園が指定をされて、もちろんその中にはいろいろな施設が建設をされることになると思いますけれども、昭和公園までの足の問題もあるわけであります。  まず、その前に、立川の基地跡の利用はどのようになっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  179. 宮沢美智雄

    ○宮沢説明員 お答えいたします。  立川基地の跡地の利用に関しましては関係方面からいろいろの要望が出ておりますが、御承知のとおり、このような跡地の利用に関しましては大蔵省が決定することになっておりまして、国土庁としては大蔵省の決定に協力するという立場で、首都圏整備という立場から検討を現在しておるところでございます。跡地の利用要望に関しましては、いま御指摘の昭和記念公園もございますが、そのほかにも各種の要望がございまして、現在検討を続けておる段階でございまして、具体的な利用計画について、大変恐縮でございますが、現在申し上げる段階にまだ至っておりません。
  180. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 昭和公園の指定が内定をしたという状況の中で、昭和公園がつくられ、そしていろいろな施設が当然この立川の基地跡にできるわけでありますけれども、そうしますと、この多摩地域はもちろん、東京の都内の方々の土曜日、日曜日含めて公園までの足の問題が非常に重要な問題だと思うのですね。現状では、現在でも特に都内どこもそうでありますけれども、東西の大量輸送あるいは道路というものはかなり広がってきていますけれども、南北の連絡は非常に東京都内は悪いわけであります。こうした問題を含めて、現状でも大変な混雑をしているところに昭和公園の指定をされて、公園まで大量の方々が土曜、日曜あるいは行楽シーズンに押しかける。あるいは、もちろん週末はそういう状況がずっと続くだろうと思いますけれども、こうした足の問題については、昭和公園の指定と相まってどのように考えていられるのか、見通しはどのように持っていられるのか。昭和公園の指定が、そう具体的な内容に踏み込んだ計画がまだ進められていない段階でありますけれども、しかしいずれにしても、内定したという状況の中で交通の問題をどうするかということは当然考えなければならない問題でありますから、お尋ねをしておきたいと思います。
  181. 宮沢美智雄

    ○宮沢説明員 御指摘交通問題につきましては、立川跡地の利用の問題ともあわせまして検討する必要があろうというふうに私ども考えておりまして、現在検討しておりますが、関係地方公共団体の要請なども十分に配慮しながら、将来の、立川跡地も含めました多摩地域全体の総合計画の中でどのような交通体系が望ましいかという方向を検討してまいりたいというふうに考えております。
  182. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 実は各地域の市町村でも具体的な計画をすでに検討しているわけでございます。昭和公園の問題は急速にこの計画が進められることになると思いますけれども、特に、その内定をしている立川市で、これは東京都でもかつてそういう構想として検討された経過があるわけでありますけれども、多摩連環都市構想というもの、これは、ちょうどいま山手線で東京の二十三区をつないでいるわけでありますけれども、それと同じような形で――東京を二分する多摩地域、二十六市、五町一村ありますけれども、その多摩のそれぞれの市町村を、ちょうど山手線と同じような形でつないで相互の連絡をとれるようにしよう。しかもそれは、山手線というような形では非常に公害の問題もある、あるいは土地買収も大変だという状況で、これはひとつモノレールで結ぼうではないかという構想がいま地元でも持ち上がっております。これはいろいろいままでも検討された経過があるわけでありますけれども、この三多摩連環都市構想、モノレール構想についてはどのような感触を持っておられるか、御見解を伺いたいと思います。
  183. 宮沢美智雄

    ○宮沢説明員 御指摘のように、多摩地域の市町村が相互に連絡し合いながらその地域の自立性を高めていく、その中ですぐれた生活環境を整備していくという方向づけについては、私ども国土庁の立場といたしましてもそういう方向でありたいというふうに考えております。  ただ、具体的な連絡する交通手段の問題につきましては、各種の交通手段考えられるわけでございますが、相互の長所、欠点を比較検討しながら今後詰めてまいりたいというふうに考えております。
  184. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 これはすでに二月七日の新聞にも出ているわけでありますけれども、「昭和記念公園を立川基地跡に建設する計画が内定し、立川市は、基地跡周辺の交通システムの検討をしはじめたが、この一環として、都が七年前に打ち出していた多摩連環都市を結ぶ”夢のモノレール計画”が、同市の手で改めて推進されることになった。」これは多摩地域の立川、秋川、八王子あるいは多摩ニュータウン、町田等を結ぶ壮大な計画であります。これはもちろん将来の都市構想でありますけれども、昭和公園の指定ということが非常に現実的になってまいりましたので、あるいは先ほど申し上げた多摩ニュータウンの四十万を超える都市の建設が急速に進んでいる状況の中で、建設省あるいは国土庁の中に――これは一地域の問題ではありませんので、東京の将来の都市づくりをどうするか、またニュータウンづくりは、東京だけではなしに千葉ニュータウンあるいは関西方面でもずいぶん計画をされてまいりましたし、これからも計画をされているところがあるわけでありますから、こうしたことを含めて、新しい都市における都市交通の問題の非常にいいテストケースだというふうに私は思いますので、どこが適当であるか私もわかりませんが、建設省かあるいは国土庁だと思いますけれども、その中に小委員会ぐらいのものを設けて、そして早急にこの問題をひとつ検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  185. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるように、私たちも、三全総も出たことでもあるし、三多摩地域がいわゆるベッドタウン的な多摩ニュータウンではなくて、連環とか連結とかいう言葉を使っておりますけれども、連合的に一つの自立性のある都市をつくる。そのためにはいま以上に都市間を確実性のある交通手段で結び合う必要があるという問題とか、それから日本列島の一つの新しい軸線をさらに考える必要があるという観点で、先ほど先生のおっしゃった東京都の計画をさらに実現するという立場もありますので、国土庁の所管しております調整費等を使いまして、五十二、五十三にかけまして委員会をもって十分その辺の検討を始めているわけであります。そういう意味で、地元の体制づくり、関係する公共団体の熱意の問題もありますけれども、そういう関係者がこういうふうにしてもらいたいというふうなことがさらにあれば、その実現は早まるんじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  186. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私はこの委員会の中でもずいぶんモノレール構想を何回も取り上げさせていただいてまいりました。必ずしもモノレールだけが万能だと思っているわけでは決してありませんけれども、やはり公害の問題が非常に深刻な問題だという状況、あるいは都市における土地の買収というものが何をおいても物事をやると言えば非常にネックになるわけでありますから、そうした観点。それからもう一つは大きな高層団地と通勤の駅とをモノレールで結ぶというようなことによって、いま通勤時はバスが駅まで数珠つなぎになっていて、そのバスの間をマイカーが縫っていくというような状況がどこでも見受けられるわけでありますから、もう少し夢のある町づくりをするという意味においても、モノレールで自分の住宅なりあるいは団地からすぐ駅まで通勤ができるということになれば、恐らくマイカーでなしに、大量輸送という形でモノレールをもっと利用して通勤できる、そして混雑もかなり避けられるのではないか。地下鉄の問題ももちろん大事な問題だと私も思いますけれども、かかる経費というような問題から考えますと、むしろモノレールというものがもっと積極的に都市交通の中で考えられていいのじゃないかというふうに思うのです。モノレールであるとかあるいは新交通システムについて全国でいまいろいろなテストケース、あるいは具体的にもう実施されている状況があると思うのですけれども、その状況について概要を御報告いただければ大変ありがたいと思います。
  187. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 現在都市モノレールは北九州市と千葉市において事業化しつつあります。新交通システムは大阪市、神戸市、小牧でやはり事業化しつつあります。五十三年度からは筑波の研究学園都市においても一部実施する予定でございまして、全国で合わせまして六都市について実施することになります。このうち北九州市、大阪市、神戸市ついては事業実施も決まりまして、工事に着手しておりまして、それぞれ昭和五十五年度の供用開始を予定しております。その他の都市についてもできるだけ早急に事業を促進したいと考えておるわけであります。
  188. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 新交通システムのメリットはどういう点でございますか。
  189. 山本重三

    ○山本説明員 新交通システムといいましてもいろいろなものが考えられて、必ずしも定義ははっきりしておりませんが、中量輸送を前提としたガイドウエーシステム、こういうものであると考えますれば、特に現在の都市交通が抱えておる交通空間の不足の問題あるいは環境保全の問題あるいは労働力不足の問題、こういった制約条件のもとで新しい交通需要に対応するものとして、交通サービスの水準の向上を図るという点から非常にメリットがあると思います。  具体的に言いますと、たとえば専用の路面を使用しますために、先生から御指摘のありました、バス等では道路の状況によっては非常に定時性がなくなる、そういう面ではバスに比較して高速性、定時性の確保ができる、あるいは個々のマイカーのような自動車に比較して大量輸送ができる、そういう点が第一点だろうと思います。  第二番目には、やはり先生の御指摘になりましたように、新交通システムは電気駆動式のものが大半でございますから、これによって低公害システムがとれるという意味で環境保全に資することができると思います。第三番目には、地下鉄高速鉄道に比較しまして、建設費が比較的低廉でございます。またコンピューター制御によって無人運転を行う場合には省力化も可能になりますし、運営費も低廉になる、こういった利点があろうかと思います。
  190. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 せっかく運輸大臣出席でございますから、夜間人口が非常に急増しております東京の多摩地域の連環都市構想、これは私はまさに歴史に残る仕事だと思うのです。いままでも、かつて歴史の中には、広い道路をつくって、それが後世まで非常にいい例として伝えられているケースもあるわけでありますけれども、新しい東京づくり、日本の中心でありますから、その東京づくりの非常に大きな仕事でございますので、ひとつ大臣、ぜひ東京の新しい町づくりをするという意味で、連環都市構想ですね、これはモノレールがいいのか、いまお話しの新交通システム、いろいろな問題を含めて東京の新しい地域の都市交通を抜本的に考える、検討する小委員会ぐらい省の中につくっていただいて検討していただきたいと思うのです。これは地方各地域の地方自治体それぞれの市や町の協力ももちろん必要だと思いますけれども、昭和公園、多摩ニュータウンの五十万都市、五十万都市というと日本の代表的な都市ですから、こうした問題を含めて、ひとつ御検討をいただきたいと思いますけれども、大臣の勇気ある御発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  191. 福永健司

    福永国務大臣 先ほどから私は興味深く拝聴いたしておったわけでありますが、私も明治生まれで年はとっておりますが、常に、人生たれか夢なきというような所懐を持っておる一人でございます。モノレールあるいは新交通システム等をうまく使って、夢につながる連環都市をというお考えに対しましては私敬意を表したいと思うのでありますが、交通機関というものは、夢のつもりでやったのがなかなか夢のとおりにいかない場合がよくありまして、現に私は国鉄の大赤字等を抱えておりますからすぐそういうことも頭にくるのでございましょうが、夢の都市がうんと大きくなると、鉄道を引いておいた方がよかったのじゃないかと後で人が言うだろうし、それから余り細々とやっているとなかなか勘定に合わないだろうし、むずかしいと思います。むずかしいと思いますけれども、私は必ずしも古い考え方の交通機関だけを考えることはないというように考えている次第でございます。まだ私どもも十分自信を持って国民各位に問うところに至っておりませんけれども、いま使っているようなエネルギーを使わないような交通機関も考える必要があろうというので、運輸省関係等におきましても世界でトップを行っている研究がございます。やがて発表すべきものであると私は考えておりますが、これも余り早くやってもいかがかと思っておりますが、私の気持ちの中ではぜひそういうものも開発していかなければいかぬ。いま日本はいろいろなことで悩んでおる。それは確かにガソリンがない、油がないということで悩んでおりますが、同時にガソリン、油からはどういうものが発生しているか、公害問題等を考えたり、とつおいついろいろ考えますと、このままではいけないのだということから、やや違った、いままでになかった発想をもって対処したいというようにも考えます。  そこで、先ほどからお話を伺っておりましたが、私も実を申しますとモノレールや新交通システムについて十分の認識を持っているところまでいっておりません。おりませんけれども、日本国民全体としてもこれからいろいろ新しい考え方のもとに民族の将来の運命を切り開いていくことも必要であろうと思います。先ほどから謹んで拝聴をしておったのでございますが、まだその御構想に対して、私も賛成します。一緒にやりましょうと言うほどの勇気は実はないのでございます。といっていたずらに憶病であるというわけではございません。先ほども申し上げましたように、考え方全体としては、日本民族はもっと新しいところに着目して新たなる運命の開拓をしていかなければいかぬ、こういうことでございます。お答えになるかならぬかわかりませんが、私もよく研究させていただきまして、いろいろのお話がございましたが、ともに実現まではもっと研究が要ると思いますけれども、検討をさせていただきたいと考える次第でございます。
  192. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 大変御丁寧な答弁をありがとうございました。  しかし、一方、東京の新しい都市づくりに勇断をふるってくださるかどうかは後世に運輸大臣の名前が残るかどうかにもかかっておりますから、十分な認識をまだお持ちでないというお話でございますが、地域におきましては具体的な問題になっているわけですから、先ほど申し上げたとおりすでに新聞にまで出てきているわけですから、しかも昭和公園は内定をしてきている、いろいろな問題がすべて出そろって資料が来ているわけですから、いよいよにっちもさっちもいかなくなってからまた交通安全対策だなどと言っているのではなくて、やはり政治はもっと夢のある町づくりをいろいろな知恵を出し合ってぜひ早急に――私は、連環都市構想がどういう形でやるかということはいろいろな問題がまだあると思います。しかし、その問題について建設省なり国土庁の中にこうした――役人の皆様方も夢を持った国づくり町づくりに具体的に踏み出していただきたい。地域ではそういう声が非常に高まっているわけですから、ぜひ、役所の方が遅くなってしまうということではなしに、むしろその先頭に立っていただきたいことを私は強く要望をさせていただいて、次の問題に触れさせていただきたいと思います。  これは東京だけではないと思いますし、具体的な例は、いま実は運輸大臣の地元でございます埼玉県からの資料を私いただいておるわけでございますが、体の不自由な方々、身障者あるいは車いすの利用者それから傷病者、たとえば寝たきり老人、こうした方々の日常生活の中における輸送をどうするかという問題は非常に切実な問題だと私は思うのです。  いま実際にタクシーを経営している方々の中でも実はこの問題が検討されてまいりました。タクシーを身障者の方にもできるだけ快適に利用していただこう。ところが現実にはタクシー運転手さんの方も生活がかかっていますから、そう手間のかかることにはそう善意ばかりではやっていられないという現状があるわけでございます。しかし、善意あるタクシー会社の方々あるいは運転手さんの方々から、会社としても少しこれは補助をしよう、地方自治体の中でも少しこれは援助をして身障者の方々も十分活用していただける交通機関、タクシーというものを考えてみようではないかという声が非常にあるわけでございます。福祉タクシーについての現状、実態をどのように把握をされて、その助成の内容についてはどのような実態になっているのか、まず概要をお尋ね申し上げたいと思います。
  193. 福永健司

    福永国務大臣 あちこちの部署の諸君がこれをある程度検討していると思いますが、まず私からお答えいたします。  私どもの方では国鉄その他においてそういう配意をいたした対策を講じておるところでございますが、率直に申しましてまだまだもっと考えなければならないのだと思います。現実にわれわれはそれなりの方途を講じておりますが、しかしいまお話がありましたように、この種のことは関係者がいろいろ寄り集まってやらなければいけないので、この種のことを、たとえば赤字の国鉄に、これもやれあれもやれと言うばっかりでも私はかわいそうだと思うのです。ですから、厚生省なら厚生省が、国という立場においてはこういうのに対してはどういうことが望ましい、そしてそういうことをやってくれるとするならば国はこういう程度のことをというような考え、また同時に、いま伊藤さんがおっしゃった地方公共団体その他がみんなそういう気持ちになってこの種のことをやるということになりますと、同じそういうことをやっても、みんなで心のこもったことをやるということになるので、ぜひそういうことが政治の中で必要であろうというように私は考えます。
  194. 金瀬忠夫

    金瀬説明員 お答えいたします。  私ども各地で福祉タクシーという制度がそれぞれタクシー会社の協力等によりまして行われていることは一部承知いたしております。それに対しまして、私ども現在、昨年の八月現在でございますけれども、十四の市町村で一部料金に対する助成をしているというところがあるというふうに承知いたしております。
  195. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 福祉バスの設置につきましては、私のお聞きしているところでは、恐らく昭和五十三年度からの三ヵ年計画だったと思いますけれども、全国で百八十八ヵ所、約二十万の人口都市には福祉バスを設置させるということに関して、車両購入費の援助をする、こういう制度を設けるということが具体化していると思います。もちろん私は、この福祉バスの設置についても百八十八ヵ所ではきわめて部分的だと思いますけれども、この福祉バスの設置については、さらに今後もっと助成を、今年度といいますか、五十三年度から制度化するということは非常に大きな前進だと思いますけれども、まだまだ十分ではないという気がいたします。福祉バスの今後はどんなふうになっていくのかということを一点、まずお尋ねを申し上げたいと思います。  それから、先ほどの福祉タクシーの件でありますけれども、ちょうど運輸大臣おりますから、この点も厚生省からちょっとお聞きしたいのです。福祉タクシーを実行するに当たって、私は実はちょっと資料をいただいているのでありますが、これはちょうど大臣の地元でございますけれども、埼玉県のタクシー会社が約十社一緒になって、福祉観光輸送株式会社というものをつくって、それで会社が負担をしても身障者の方々に利用していただけるタクシーというものをひとつつくろうではないかという計画を持たれて、すでに東京の陸運局へ免許の申請をしているという話でありますが、これは具体的におわかりならお尋ねをしたいと思います。――これはすでに許可になっているそうでございますけれども、今後こうした――会社の方も善意でやっているわけでありますが、しかし、すでに実施をしている実績の報告書を実は私見せていただいたわけでありますが、これを見ますと、どこの会社でもこういう形でやるということはなかなかできない、もちろん生産ベースには乗らないわけでありますし、なかなか善意だけに頼っているわけにはいかないだろうと思いますけれども、こうした問題をひとつ国の立場から、――各地方自治体でもその何分の一かを負担するという地方自治体が出てきているようでございますが、厚生省としても、国の立場から、ひとつこの身障者に利用していただく福祉タクシーについては少し国も負担をしていただくという方向が、私は今後の福祉問題の立場からも正しいあり方ではないかというふうに思いますけれども、厚生省の方、どんなふうにお考えでしょうか、御意見をお伺いしたいと思います。
  196. 金瀬忠夫

    金瀬説明員 第一点の、先ほどお触れになりました福祉バスでございますけれども、これは先生御指摘のとおり、五十三年度予算で実は新規に考えたものでございます。これは個々の路線バスというようなことではなくて、障害者の方が集団的に移動する場合、たとえば講習会であるとか、あるいはスポーツ大会であるとか、そういう各種の地域活動におきます行事がございますが、その場合に利用していただこうというふうなことで実は考えました。  現在予定いたしておりますのは、当面、地域的な問題もございますので、人口二十万程度以上の市に一台ずつとりあえず助成していこう、それが終わりました段階で、また、それが非常に効果があるということになれば、それなりに対応を考えてみたいというふうに実は思っておるわけでございます。  それから二番目に、福祉タクシーに対して福祉行政立場から助成することを考えられないかという御趣旨でございますけれども、国といたしましては、障害者の方のいわば日常生活におきます個々の経済的な需要というものでございますから、それに対応するものといたしまして、やはり所得保障の充実というふうな見地から対応していかなければいけないのではなかろうかというふうにも実は考えておりまして、そういう意味におきましては、現在その福祉タクシーの料金に対して公費の助成というふうなことは考えておりません。
  197. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 時間が参りましたから質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、いまお話を伺いました福祉バスは、これは講習会、研修会、レクリエーションその他各種スポーツ大会への参加を手助けするのが目的だ、そのための足を国と地方自治体が一体となって確保しようという御趣旨で福祉バスの設置を制度化するということに踏み切られたわけでありますが、もちろんこういうことは私は大事な問題だと思いますけれども、しかしやはり欠かせないことは、日常生活を、五体満足の方々と同じような生活ができるために、あるいはそうした活動ができる、あるいは働くことも自分の力でできるという道を開いてあげる意味からしても、これはタクシー自分で乗っかって出かけていかれるという形は、私はもっと、福祉バスとは違った意味で活用していただく意味においても非常に重要な問題だと思いますので、地方自治体だけに、いま非常に財源難の状況でありますから、地方自治体やあるいは善意あるタクシー会社だけに任せておくのではなしに、国もその何分の一かは手助けをしてもらうということを、私は将来の問題としてぜひひとつ検討していただきたい、来年度あたりから厚生省でこの問題をぜひ御検討いただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  198. 金瀬忠夫

    金瀬説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、そういう障害者の方の需要についてはよくわかりますが、そうした個々の方のいわば経済的な需要でございますので、そういう面につきまして、やはり総体的な障害者の方に対するいわば所得保障と申しますか、年金その他を含めました所得保障でもって対応するというふうな考え方で実はおるわけでございます。  先ほど先生がおっしゃいましたようなこともございますが、いま私どもが申し上げました立場も踏まえまして、将来の問題ということではまた少し検討させていただきたいと思います。
  199. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 終わります。  ありがとうございました。
  200. 沖本泰幸

    沖本委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会