○松本(操)
政府委員 お答え申し上げます。
いま
大臣御
答弁申し上げましたように、わが国におきます航空
交通の安全の
責任者は
運輸大臣でございます。したがいまして、いま問題になっております。たとえば航空
交通管制の管制官の資格の問題につきましても
運輸大臣が全
責任を持っております。
御
指摘のように、防衛庁をしてある一定の空域の管制を行わしめることはございますが、これは
運輸大臣が航空法に基づきまして防衛庁
長官にその権限を委任する、こういうことになっておりますし、さらにまた同じく航空法の中に統制権というものを
運輸大臣が所有することになっておりますので、防衛庁の管制官といえどもわが方の管制官に係ります
試験に合格しなければ管制官の免状が取れない、こういう仕組みになっておりますので、軍であると民であるとを問わず、おしなべて管制の
責任は
運輸大臣に帰属して、またその実施についても
運輸大臣としての十分な手当てをしておるというふうにまず第一に御了承いただきたいと思います。
第二点でニューヨークの例について、ケネディ、ラガーディア、ニューアーク等の空港を一元的に管制しているという
方法があるではないかという御
指摘でございます。いわゆるコモンIFRと呼ばれるものについての御
指摘であろうと思います。この
方法につきましては確かに
一つの新しい管制のやり方としてそれなりの効果というものがあることは私どもも承知をしておるわけでございますが、問題の空域についてこれを与えますと、羽田と成田と百里と、この三つの空域が恐らく該当するのではなかろうか、横田の点についても言及されたわけでございますが、横田は羽田のさらに西側の空域でございますので、直接的に成田の管制等について関連のあるものというふうには私ども理解をしていないわけでございます。
これはさておきまして、羽田と成田と百里につきまして一元的に管制するという
方法は当然あり得るわけでございます。私どももそういうような形で管制を行うかどうかということを技術的に検討したわけでございますが、遺憾ながらこの航空
交通管制という業務の
内容が戦後、昭和三十年ごろに米国から輸入された新しい技術ということでございますので、私どもの先人が大変努力をしてまいってはおるわけでございますけれども、まだ残念ながら世界第一級というところまではなかなかまいらない、ようやく追いついてまいったというのが実情ではなかろうかと思います。そこで一元的に管制をするということを避けまして、それぞれの空域を分ける、
一つの空域には
一つの管制機関しか置かない、これが管制の原則でございますので、この原則に従ってやる限りにおきましては、御
指摘のような問題はまず起こらないはずでございますが、さらに念には念を入れよということもございますので、この三つの空域ともすべてレーダー管制を実施する、すべての航空機の運航をレーダースコープの絵で確実にとらえるというふうにしてございます。したがって、確かに一定の航路、飛行経路等がノータムで出ておるわけでございますが、これから外れて飛ぶような飛行機はまずないとは思いますが、外れて飛ぶような場合には当然それぞれの管制機関はレーダーで監視をしておりますので、一定の経路から外れたということがわかりました場合には直ちにそれなりの措置をとるというふうにしてまいります。
それから羽田と成田、成田と百里、これらの間には御
指摘のようにホットラインがございまして、電話機を上げさえすれば直ちに相手方の管制機関が出る、ダイヤルを回すとかボタンを押すとかいう必要が全くないようになっておりますので、もし緊急、異常の事態が生じましたときには電話機を上げさえすれば所要の相手方の管制機関が出てまいります。いまこれこれの飛行機をどうしろとか、わが方の飛行機を右へ回すからおまえの方は左へ回せとか、こういうふうなことが即刻措置できるようになっております。
それからまたそれぞれの管制機関、私どもの方の管制機関は民間の機関ではございますが、しかし軍用機につきましてもモニターはできるような無線装置を持っておりますので、軍用機と民間機の間に周波数の違いがございますが、それにもかかわらず私どもの方としては十分に監視をすることができる、こういうふうな仕組みにもしてあるわけでございます。したがいまして先ほど来具体的な点についての御
指摘ではございましたけれども、少なくとも空域の分離のありようから始まってコースの設定、それからレーダーによる管制のありよう等について委細をきわめて専門家が詰めたわけでございますし、さらに具体的に私どもの方が飛行機を飛ばしてみまして、これで完全にやれるかどうかということもチェックをいたしましたし、さらに五十何名、六十名近くの管制官がおるわけでございますが、この六十名の管制官につきましてもシミュレーターその他を使って十分に訓練をしておりますので、まさに仕上がり直前の状態まで来ておるものというふうに私ども
考えております。ただおごりは禁物でございますので、先生の御
指摘を十分にかみしめまして、今後ともそういったような不幸な事態が生ずることのないようさらに入念に心を詰めて緊張した状態で管制をやってまいりたい、このように
考えております。