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1978-04-12 第84回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十二日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 北側 義一君       有馬 元治君    内海 英男君       大塚 雄司君    瓦   力君       住  栄作君    谷川 寛三君       登坂重次郎君    中島  衛君       松野 幸泰君    渡辺 紘三君       伊賀 定盛君    渡部 行雄君       谷口 是巨君    古川 雅司君       瀬崎 博義君    中川 秀直君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  委員外出席者         通商産業省産業         政策局規模小         売店舗調整官  粟屋  忠君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     有岡 恭助君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 佐野 豪一君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社建設局長   高橋 敏朗君         日本電信電話公         社経理局長   小川  晃君         日本電信電話公         社建築局長   小野 哲男君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     中西 啓介君   田川 誠一君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中西 啓介君     有馬 元治君 同月十一日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     中川 秀直君     ————————————— 四月十日  身体障害者及び家族の使用自動車有料道路通  行料金免除に関する請願草野威紹介)(第  二八〇三号)  東北電力柳津発電所地点の護岸、かさ上げ工事  等促進に関する請願渡部行雄紹介)(第二  八八三号)  過疎地域対策緊急措置法期限延長等に関する  請願椎名悦三郎紹介)(第二九九九号)  岩手県内横断高速道建設に関する請願椎名  悦三郎紹介)(第三〇〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊賀定盛君。
  5. 伊賀定盛

    伊賀委員 第一番に、私は三全総と地域振興整備公団との関連についてお伺いをいたします。  法律の経過を申し上げますと、昭和二十五年に国土総合開発法が制定され、昭和三十七年に産炭地域振興臨時措置法、そして四十七年に工業配置促進法、四十九年に地域振興整備公団法が制定されて今日に至っていることは御承知のとおりであります。  そこで、三全総が本年発表になりまして、定住圏モデル地区というものが最近十地区新聞によりますと発表されております。この三全総という全体計画に基づいて、産炭地域振興臨時措置法は別といたしましても、工業配置促進法地域振興整備公団法は三全総の中でどのような位置づけをされておるのか。その任務役割りであります。  具体的には、四十七年制定の工業配置促進法に基づいて六十年目標の基本計画が策定されております。そしてこのたび三全総計画発表されたのであります。一定の工場用地は事実上地方自治体民間、そして地域振興整備公団実施しているわけであります。公団地方自治体の委託を受けないと事業実施できないことになっております。言いかえますと、みずからの計画はない。余り適切な表現ではないかもしれませんが、一人歩きできない、飛しょう能力を持たないツバメの赤ちゃんは、黄色いくちばしをぱくぱくあけて親ツバメの運んでくるえさをじっとがまんの子で待つ以外にない。ツバメの親には深い愛情で結ばれておりますが、親たる三全総、工業配置計画発注者たる地方自治体には、実施部隊である公団にいかなる愛情があるのか。三全総に基づく定住圏通産省工業配置計画公団業務内容と、どんな科学的な結びつき、関連があるのか。そして政府は対前年比三四・五%増、国債比率三七%というかつてない公共事業主導型の予算を編成して景気浮揚策をとっております。その中で公団業務はいかなる役目を果たすのか。  公団造成した用地自治体みずからつくったものよりも民間がつくったものよりもより安くて環境がよければ、地域住民工場の来ることを歓迎するでありましょうし、経営者も進んで工場用地を買い求めるはずであります。もっと具体的には、金利の安い、もしくは無利子財投資金を思い切って投入する等、また関連公共施設を立てかえ施行する場合でも、国だ県だ市町村だと、なわ張り争い責任転嫁かわかりませんが、そのうちに地価はもうすでに上がり始めております。言いかえますと、五十二年度と五十三年度との間に実施部隊たる公団業務の中身に何か変化があるのかどうか、これをまずお伺いをしたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大変広範囲の御質問でございましたが、まず三全総と工業配置あるいは地域振興整備公団の絡み合いの点でございますね。  三全総におきましては、定住構想推進のために、工業配置を重要な課題として取り上げておりまして、既成工業地帯におきましては、環境整備等の観点から、立地の抑制、移転の促進を図り、地方においては、工業用地、用水、エネルギーの確保などの基盤整備等施策を充実して、工業立地の誘導を図ることとしておるわけであります。  それから地域振興整備公団は、発足以来、大都市からの人口及び産業地方分散地域開発のため、一つには地方都市開発整備、それから産炭地域振興業務、それと工業配置業務実施してきておるわけでありますが、残念なことに、石油危機以来の景気情勢の中では、この地域振興整備公団業務は必ずしも期待どおりに進捗しておらないわけであります。しかし、三全総の定住構想実現する上で地域公団役割りは一層重要なものとなっておりますので、公団の全機能を積極的に活用してまいりたい、これが基本的な考え方でございます。  次に、地域公団が主導的に仕事はやっておらないじゃないかという点であります。  確かに、地域公団が行う、たとえば中核工業団地造成事業などを考えてみまするに、事業規模事業内容等において、当該事業実施される地域開発整備住民生活権利等に大きな影響を与えるものでありますから、国家的見地から実施される事業といえども、地方公共団体の要請のない場合にまで実施することは適当でないと考えておるわけであります。むしろ地方公共団体の積極的な協力が不可欠なものでありますから、地域尊重の考えをもとに要請した事業実施していこう、こういうたてまえをとった次第でございます。  この公団の行う事業が余り成果が上がっておらないんではないか、造成地価も高くなってきておるのではないか。公団事業についていろいろ御心配をいただいたわけでありますが、公団のやっております中核工業団地造成について考えてみますと、借入金利なんかも実効金利は相当安いものだと思います。それから、現在まだ、残念なことでございますが、公団造成した土地を現実に売買しておる段階まで来ておりませんから、実際の取引上高いものができたということは、これはないと思うのであります。  それから、現在、地方都市開発整備工業配置及び産炭地域三つ事業実施しておりますが、それぞれの事業を見てまいりますと、必ずしも公団事業が大したことではないということではないように思います。  中核工業団地造成事業については、基礎調査が五カ所、精密調査が三カ所、事業個所が十二カ所、こういうことでございます。  それから、融資事業につきましては、一般的資金コスト引き下げのための利子補給をやっておりますし、産炭地域振興業務の方では、石特会計からの出資あるいは資金コスト引き下げのための石特会計からの利子補給あるいは工業用水道事業に対する石特会計補助金等をやっておりまして、いろいろ御批判はございましょうが、現在の経済情勢の反映で物足りない点は私も認めますが、三全総の定住圏構想との整合性を持ってこれからも大いに事業をやりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 有岡恭助

    有岡説明員 通産省の方から若干補足説明をさせていただきたいと思います。  ただいま大臣御答弁のとおりでございますが、先生指摘ございました財政投融資関係につきましては、実は運用部資金の借り入れをいたしておりますほか、政府保証債がございまして、さらに一般会計から利子補給をいたしまして、コスト的には非常に安い金利団地造成いたしております。  さらに、御指摘のございました関連公共施設の立てかえ施行も昨年度から公団実施できることになりましたので、この点におきましても地域開発に御協力ができる状態になっております。  それから、もう一つ指摘ございました造成の点でございますが、長期的には工業地方分散受けざらといたしまして工業団地造成いたします等、産業基盤整備が必要であるという点は御指摘のとおりでございますが、実は工業団地の九割はただいま地方公共団体造成いたしておりまして、造成はできましても販売ができておりませんいわゆる売れ残り団地というのが現在約七千ヘクタールほどございます。御承知のとおり企業の設備投資の意欲も停滞傾向にございますので、そういった点から考えまして、できました団地の効率的な投資ということを考えまして、そのコストの高騰を避けます意味からも、立地の見通しのついたものというものを優先的に考えてまいりたい、しかも売れ残っております地方公共団体団地と競合しないような形で造成を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  8. 伊賀定盛

    伊賀委員 国土庁伺いますが、この間、新聞では「定住圏モデル地区」こうなっておりました、正式に言うと「高次都市機能整備計画」と言うのだそうでありますが、三全総に基づきますと、二百五十ないし三百の地区を指定して定住圏を定着させるのだ、こう言っておりますが、この間発表になったのは多分五十三年度という意味だと思います。そうしますと、これは、三百カ所というと、三十年がかりで定住圏地区をこしらえていこう、こういう意味でしょうか。そして、また、定住圏モデル地区に指定されますとどんなメリットがあるのか。そして、いま申し上げました、この地域振興整備公団自治体の依託を受けて工場用地造成しておることと三全総との具体的な関連はどこにあるのかということを伺います。
  9. 土屋佳照

    土屋政府委員 いまお話のございましたように、先ほどモデル地区として十圏域を決定したわけでございますが、先生よく御承知のとおり、三全総ではこの地方定住構想実現ということを主要課題にしておりまして、その実現のために私どもとしては地域社会中心でございます地方都市周辺農山漁村一体として整備をしていこうというふうに考えておるわけでございますが、特に地方において整備がおくれております高次の教育、文化、医療等都市機能整備することが緊急の課題であると考えられますことから、これに対応するために本年度予算におきまして、定住圏モデル地区ということではございませんが、御指摘のございましたように高次都市機能整備のためのモデル地区を設定して、施策のあり方とか、その進め方をいろいろと模索、検討していこう、こういうことでございます。  したがって、そういう性格のものでございますから、一応五十三年度圏域ということをやったわけでございまして、先々その定住圏が一応二百ないし三百とは言っておりますが、地方団体意向等を十分聞いて詰めるわけでございますから、幾つ定住圏になるかこれは不明でございますけれども、そういったものに全部いまのような形で計画助成をして進めるということは考えていないわけでございます。  その計画をつくる団体に対してはどんな助成をするかということでございますが、それについては、その計画についていろいろ関係省庁協力して指導をいたしますとともに、計画作成費の二分の一の補助を行うということにいたしております。そして計画に盛り込まれた事業実施に当たりましては、当面各省庁協力を得まして、補助金の効果的な配分とか、あるいは地域総合整備債などの地方債とか、国土総合開発事業調整費などの積極的な活用を図ることによりまして円滑な促進に努めたい。同時にまた、このモデル事業等計画を立て事業を進める間におきましていろいろな課題が出てまいります。そういったものを通じまして今後定住圏整備を進めるにはどういう手法がいいのだろうかといったような今後の施策についての検討にも資したい、こう思っておるわけでございます。  したがいまして、まあ幾つになるかわかりませんが、一応二百ないし三百と言っておるところを全部やるわけではございません。ただ五十三年度圏域をやってみて、その結果なおこの新しい圏域等でそういったことをモデル的にでもやりたいという希望がございますならば、五十四年度あたりにおいてもなおその点は施策を進める方向で検討してみたいと思っておるわけでございます。  いま申し上げたようなことで、一応中核になる地方都市都市機能整備をする、それから周辺農山漁村については別途予算を組んでもらっておりますが、そことあわせて一体的な定住圏構想を立てる中で、先ほどからおっしゃいましたような中核となるような工業としてはどういうことを考えるか、あるいはどういった大学を考えるのか、いろいろなそういうものが地方都市等性格に応じて決定されてまいることになろうかと思います。  特に工業等につきましては、お話のございました工業配置との関連等を踏まえて進め方が検討されていく、その中でいわゆる地振公団がどういった役割りを果たしていくことになるのか、それは進め方の中で関係省庁十分相談をして進めることに相なろうかと思っておるわけでございます。
  10. 伊賀定盛

    伊賀委員 通産省にお伺いしますが、公団造成したものの公募予定が五十三年の五月の予定だそうですか、すでに出ております——もちろんこれはその地域等にもよりますが、坪単価どれくらいで発売する予定になっておりましょうか。
  11. 有岡恭助

    有岡説明員 御指摘のように山形県の米沢、それから岡山県の勝央、それから佐賀県の佐賀東部という三団地につきましては、新年度早々公募に入るわけでございますが、ただいまのところその販売条件について内部的に検討しておりまして、最終的に幾らという販売価格についてはまだ決定をいたしておりません。  以上でございます。
  12. 伊賀定盛

    伊賀委員 まあ売り手と買い手ですから、買う方は安い方がいいし、売る方は高い方がいいわけですから、この場で単価が何ぼと言うことは言いにくいかもわかりません。いずれまたお伺いしたいと思います。  その他、この問題につきましてはたくさん問題がありますが、質問事項をたくさん抱えておるものですから、この程度にさせてもらいますが、どうぞひとつ大臣も、必ずしも十分に公団機能を発揮してないというお答えがございましたので、政府公共事業主導型で景気を浮揚しようとしておりますが、なかなか思うようにいきません。この際やはり公団先行投資型の任務を果たさせることが、政府の言う景気浮揚策の一環を担うものとして重要ではなかろうかと思います。今後一層ひとつこの公団業務が充実するように要望いたしておきます。  次は、地元の問題で大変恐縮でありますが、兵庫県の円山川の問題であります。その一つ小野川ショートカットということが一つの問題であります。二つ目六方川の改修、これは県がやっておりまして、ほぼ完了しておる。三つ目水門、毎秒三百トンを要するそうでありますが、すでに二百八十トンの水門と、副水門が幅六メートルのものが一基、これもほぼ完了。  そこで、この流域面積七十二・六平方キロメートルのうちの二五%の十八・二平方キロメートルをショートカットして、残る五十四・四平方キロメートルのものを六方川に自然流出させる。その場合、いま二十一・四五トンのポンプがあるのでありますが、あと九十トンの新設を要する、こういうことに計画ではなっております。  御承知のとおり、この六方川を含めた改修昭和四十五年に計画を決定して関係市町村に提示しております。もうすでに八年たっておるわけであります。このショートガットをやりますと、受益地域豊岡市で、そして被害地域出石町だということで、出石町の方では根強い要望なり抵抗がありまして、八年間なかなか思うように進捗しておりません。その被害地域は、単に河川関係だけでなしに、いろいろな学校の問題、公民館の問題あるいはたんぼが浸水するというようなことがあります。したがって、土木行政建設行政以外のところにも影響しておるわけでありますから、この際ひとつ国なり県なりあるいは関係市町村等々の総合的な解決策を見出す必要があろうかと思います。  これは国ではありませんけれども、圃場整備関係地域に、県が、これを納得しないならば圃場整備をやらせないというようなことをやって圃場整備ができないというようなうわさもあります。事実かどうかは別として。一種の報復行政とも言っていいと思いますが、こういうことは好ましくないと思います。  そこで、ショートカットができない——だから、二五%をショートカットして本川に流す。で、なお九十トンのポンプが必要なんでありますから、ショートカットができなければポンプの増設をしてもいいではないかということが考えられるのですが、この辺、局長どう考えておられますか。
  13. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  いま先生指摘ありました円山川右支川六方川でございます。これは出石町、豊岡市の山地の雨水を集めまして下流部の低平地を流れております非常にゆっくりした川でございます。したがいまして、円山川洪水の上昇に従いまして六方川の洪水がはけ切れないということで、現在しばしば広範囲な内水湛水というものを生じておるわけでございます。  それで、いまお話のありました捷水路事業を先にすべきかあるいはポンプを先にすべきかという問題でございます。先ほど先生おっしゃいましたように、建設省としましてはこの内水被害を防ぐために、すでに昭和二十一年から中小河川改修しまして、一応一期計画昭和三十六年に完成しております。これは河道改修ポンプの設置ということでございます。引き続きまして、直轄水におきましては六方川と円山川との合流点に約十五億円の事業費をかけまして排水樋門建設している。それで本年度出水期前までにはその効用を発揮したいというふうに考えておるわけでございます。それでさらに、六方流域の低平地におきます湛水被害というものを軽減するために、小野川捷水路事業というものに着手すべく、現在鋭意準備を進めておるわけでございます。  じゃ、なぜ捷水路というもの、ショートカットポンプよりか先にするかという問題になるわけでございますけれども、このような、六方川のような地域治水対策としましては、まず山水をできるだけ多く安全に流下させるということが、いわゆる基本的でありまた合理的であるというふうに考えるからでございます。と申しますのは、いわゆる山水を別の水路に、出石川に放水路をつくりますと、その分だけ下流に水が入ってこないということで湛水が防げる、まず山水を防ぐということが第一点。と同時に、分派点後の下流六方川の安全度が高くなる。それだけ洪水が入ってきませんので、現在の河道におきましても中小洪水は安全に流し得る。それからさらに、小野川捷水路事業というものは袴狭川あるいは入佐川改修もあわせて行うということでございますので、出石町内の袴狭川、入佐川浸水被害もあわせて軽減することができるというような総合的なことから、現在捷水路事業をまずやっていきたい。そして、こういう方法というものは、こういう地形におきましては全国的に通常とられておる問題でございます。  しかしながら、先生おっしゃいましたように、いわゆる受益地の大半は下流豊岡市である。そして用地がつぶれるのは上流の出石町であるということでございますので、建設省としましては、県、それから地元地元出石町、豊岡市を含めまして一体となって、十分その出石町のことも配慮しながら円滑な事業推進に努めていきたいというふうに考えてございます。
  14. 伊賀定盛

    伊賀委員 先ほど申し上げましたように、もう八年を経過しております。ひとつ出石町の被害地域地域住民要望も十分配慮しつつ、一層の事業促進要望しておきます。  次は道路局長伺います。  国道九号線の八鹿バイパス現状とこれからの計画について伺います。
  15. 浅井新一郎

    浅井政府委員 国道九号線の主として兵庫県北部を通過する区間の現状でございますが、九号線のうち兵庫県の八鹿町の宮越交差点以南の部分につきましては、一般国道三百十二号と九号線とが重複しておりまして、九号線のただでさえ多い交通の中に、また三百十二号を通じて但馬方面から阪神方面へ行く交通が合流しているということのために、特に八鹿宮越交差点中心にいたしまして相当の交通混雑を生じておるわけでございます。  数字的に申し上げますと、あの付近で平日で大体一万八千台ぐらいの交通量が流れている。二車線交通としてはかなりのものだと思います。しかも、これが海水浴シーズンになりますと、さらにこれに一万台ぐらい上乗せされるというようなことでございまして、交通渋帯が非常に激しいわけでございます。  このために、現在、八鹿宮越交差点を含みます八鹿市街地の現国道交通混雑を解消する目的で八鹿バイパス計画しているわけでございまして、これは延長五・一キロのとりあえず二車線道路計画するわけでございますが、この計画昭和四十九年度から事業に着手されておりまして、八鹿町、養父町と、ルート、構造について鋭意協議を進めまして、ようやく昭和五十二年の三月、昨年の三月に両町とルートについて最終的な合意を見たわけでございます。  しかしながら、八鹿町のこのルートの中にあります浅倉地区の水田地域で、圃場整備事業と調整をとりながらパイパスの整備を図る予定でありましたものが、この事業関係者の一部から反対の意見が出されまして、圃場整備事業についても一部中断されたままになっている状況でございまして、この辺がちょっとバイパスの進まない事情になっております。  その他の地域につきましては、道路構造について現在鋭意協議を進めている状況でございます。  今後はああいったネックを早く解消しなければなりませんので、関係地方公共団体と十分密接な連携をとりながら、これらの問題を早急に解決を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  16. 伊賀定盛

    伊賀委員 時間がありませんので、あと二つ、道路局長伺います。  近畿自動車道舞鶴線が、昨年丹南町−福知山間二十八キロの路線が発表になりました。これの着工と完成の目途、それからもう一つは、これが完成しましても、三田インターと丹南町の間ができなければ十分その効果を発揮しません。この三田インターそれから丹南町、概略二十六キロの路線発表はいつごろになるのかということ。  それからもう一つは、福知山から舞鶴まで概算三十四キロだそうでありますが、これの基本計画調査中だそうでありますが、この完了のめどを伺いたい。  それからもう一つは、俗称右岸道路と言っておるわけでありますが、一部バイパス等ができておりますが、兵庫県の北部に三百十二号線、九号線、それから播但有料道路が市川町まで来ておるわけですが、市川町以北がいつになるのか見通しも立たない現状であります。したがって、この際兵庫県北部に高速道路を入れる必要があると思うわけですが、もしそれができなければ、せめてこの国道三百十二号、九号線、有料道路ないしは農免道路、林免道路等々を併用しながらでも早期にひとつ高速道路を入れるべきだと思いますが、以上二点について伺います。
  17. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  最初に、近畿自動車道の舞鶴線の現況でございますが、御指摘の神戸−福知山間五十四キロについては整備計画が現在決められておりまして、鋭意道路公団事業を進めておるわけでございますが、御指摘のように、丹南町から福知山間二十八キロにつきましては、昨年九月に路線発表をすでに終えておりますので、これからは地元と鋭意協議を進めまして、五十三年度には用地買収に入る予定にいたしております。用地の進捗状況を見ながら逐次工事に手をつけていくということを考えております。大体従来高速道路の建設ペースは、路線発表を終えて用地買収に入る時点から七、八年で大体完成いたしておりますので、昭和六十年前後には一応完成に持っていけるというペースでございます。  また、若干おくれておりますそれより南の神戸−丹南問の二十六キロにつきましては、地元と路線について調整中でございまして、今年度中には路線発表を行いたいというふうに考えております。  それから北の福知山から舞鶴までの区間でございますが、基本計画が定められておりまして、現在整備計画策定のための調査をやっておる段階でございます。整備計画策定の時期につきましては、いまの時点でははっきり申し上げられませんが、いずれにしても今年度秋以降には高速道路全般について若干の整備計画の追加をしなければならないというふうに考えておりますので、その中で十分検討いたしたいというふうに考えております。  それから二番目に御質問のありました兵庫県北部地域の幹線道路の整備でございますが、現在、先ほど御質問のありました九号線それから三百十二号線、これが大体北部地域の骨組みになる道路網でございます。  そのうち山東町−豊岡市の間につきましては、現在県道山東柏原線におきまして、遠坂有料道路を五十二年度に完成しております。それから九号線につきましても、先ほどの養父−八鹿町の間で八鹿バイパスに手をつけている。それからさらに北に行きまして、三百十二号の日高町地先では日高バイパスというようなことで、現在兵庫県が用地買収に入っているという状況でございます。  大体このルートに沿って、いろいろと部分的には改良に手をつけておるわけでございますが、御指摘のようにこの地域の将来の発展の姿、あるいは近畿自動車道の舞鶴線の開通というようなことをいろいろ考えますと、現実の交通量から見まして、かなりこの地域に、現道の拡幅、バイパスを含めまして相当強い路線の整備が必要になろうかというふうに考えておるわけでございますが、これにつきましては、御指摘のような円山川右岸道路というような構想もあるいはあろうかと思います。こういう構想もあろうと思いますが、いずれにいたしましても、非常に大規模な路線に手をつけることになるわけでございますので、この辺は十分慎重な調査をやりまして、その結果を踏まえて考えてまいりたいということでございまして、現在兵庫県において右岸道路について調査を進めておりますので、具体的な事業計画が現時点では作成されてはおりませんが、そういった調査結果等を見ながら今後引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
  18. 伊賀定盛

    伊賀委員 最後に同じく兵庫県の北部の問題でありますが、結論から言いますと、飛行場の設置ができないものかどうかということであります。鳥取県が人口六十万で、米子と鳥取に二つの飛行場があるわけでありまして、これは人口三十万あたり一つということになります。北部の人口は、一市五郡でありますが、京都府の与謝郡、熊野郡はいわばこの地域一つの経済圏になっており、合わせますとざっと三十万以上の人口になるわけであります。海、空、陸、広義の道路行政ということにもなるわけでありますので、この際運輸省に、兵庫県はヘリコプターというような考え方を持っておるのでありますが、ヘリコプターか飛行場かということになります。このいずれがいいか。私はヘリコプターではだめだ、同じやるなら飛行場を設置すべきだと思うのですが、この点についての見解と、そして今後の航空行政といいましょうか、二百キロ未満は陸上輸送に依拠し、五百キロ以上は空路だ、こういうのだそうでありますが、それなら二百キロと五百キロとの間の三百キロはどういうふうに埋めていくのかというようなことについて伺います。
  19. 佐野豪一

    ○佐野説明員 お答え申し上げます。  現在空港の整備につきましては、将来の各地区の航空需要の増加に対処するように、高速交通対策の一環としまして、国内の航空ネットワークの充実を図るために現在空港整備五カ年計画を立てまして、現在では五十一年度を初年度とします第三次空整を策定しまして推進している段階でございます。  私ども、いま先生質問ございました兵庫県の北部につきましては、空港を設置するという考え方はまだ現在ございません。一応、運輸省としましては、この当該地区におきます高速交通体系のあり方につきまして兵庫県からの御意向を聞きまして、その御意向を踏まえて検討したいというように考えております。それがまず一つでございます。  それから二番目の五百キロと二百キロ、この間の三百キロでございますか、おのおの各交通機関によりましてそれぞれ特色があると思います。一応、航空局としましては、航空機の特色を一番発揮するのは五百キロ以上だということで、お客に乗っていただくには一番いいんじゃないかということを考えておりまして、あとは当然高速道路なりあるいは鉄道なりという分野がお互いに成立していくんじゃないかというように考えております。  それから、ヘリコプターと飛行場につきまして、どちらがいいという話は、まずその前にそこでどの程度の需要があるのか、それからそれを飛ばしましてどちらの方が採算が合うのか、それがポイントになると思います。ですから、一般的には、ヘリコプターは単価が非常に高くなりますので、やはり設けるのでしたら飛行場の方がよろしいんじゃないかということが言えると思います。
  20. 伊賀定盛

    伊賀委員 全国的にヘリコプターを運輸省が許可した前例なり、現在あるところはありますか。
  21. 佐野豪一

    ○佐野説明員 ヘリコプターで定期路線というのは余りございませんけれども、現在、東京都で設置、管理しております東京ヘリポートが十四号埋立地にございます。ほかにはいま定期路線的なものはございません。東北電力が東北各県にヘリポートをつくっている、それから海上保安庁が警備、救難のためにつくっているという例はございます。
  22. 伊賀定盛

    伊賀委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  23. 伏木和雄

    伏木委員長 古川雅司君。
  24. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 建設省より先日配付されました「建設省所管公共事業等の執行の確保に関する報告」にありますとおり、政府昭和五十三年度予算に係る公共事業について、第一・四半期においてできる限り多くの契約ができるように努力を払いつつ、上半期末に契約済み額の割合が全体として七〇%程度になるということを目途として準備を進めていることが決定されているわけでございますが、本日は、この大型と言われる公共事業に伴う建設業の実態について若干お伺いを進めてまいりたいと思います。  最初に大臣にお伺いをいたしますが、建設省は、直轄工事の下請状況を昭和五十二年十一月二十四日から十二月二十五日まで調査を行い、現在まとめている段階であると伺っております。この調査結果を見ますと、元請一業者当たり下請業者に平均三・四の割合で仕事をおろしていることがすでに明らかにされております。しかも元請業者は前払い金、部分払いあるいは完成払いとも現金で発注者から受け取っているにもかかわらず、下請業者に対しては最も長期なもので百九十数日間という約束手形で支払われている、そういう実態も報告されておりまして、こういう状況は、いわゆる超大型の公共事業費のねらいである景気刺激効果が、順当に予算が支出されましても下請重層構造を経て数カ月たたないとその効果があらわれてこない、そういうおそれが非常に多いわけでありまして、大蔵省を中心とした政府の公共事業等施行推進本部におきましても、まず第一点として下請の発注状況、第二点として下請代金支払い、受け取り状況、第三点に下請への前払い金の支払い状況、第四点として、下請代金の手形期間など、こういった点を調査していると言われております。     〔委員長退席、北側委員長代理着席〕 この結果は四月末か五月の初めには調査結果をまとめて、建設業の監督官庁である建設省に提出する予定になっているということも伺っております。建設大臣として、この五十三年度の公共事業が適正かつ円滑に施行され、しかも景気刺激の効果を得るためにどう対処していかれるのか、まず基本的な考え方を示していただきたいと思います。
  25. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 五十三年度予算実施に入ったわけでございますが、四月四日に建設事務次官をして、これらの執行について、関係団体及び地方建設局に指示をしておるところでございます。  そこで、いま御質問の中にもありましたように、景気効果の適確な発現を図る観点からいたしましても、中小企業にどう配慮していくか、また元請、下請関係についてどう注意をしていくかということはきわめて重要なことでございます。したがって、次官通達の中で細かく指示を与えておりますが、この事業の効率的な施行ということが非常に大事だと思うのであります。そういう意味から言うと、中小企業に配慮しながら分割発注をしていくということが好ましいのですが、しかし果たして分割がいいかどうかというような御議論も先般来ちょうだいしておりますが、中小建設業者に受注の機会を与え、しかも効率的に効果の上がるようにということを配慮しながら執行してまいりたいと思います。     〔北側委員長代理退席、委員長着席〕  また元請、下請の適正化につきましては、特に下請代金の支払い等についての不適正な条件による下請とか、不必要な重層下請のないようにその指導の徹底をいたしたい、これは通達の中で明らかにしておるところであります。  また、先ほど大蔵省推進本部の調査の現在の模様、あるいは建設省自体の調査の点にお触れになりましたが、支払い実情というものについてはまだ的確な報告は受けておりませんが、建設省調査では、昨年の暮れにおきまして、重層下請の事実についてはまずないと見ていい状況にあると思うのであります。一次下請、二次下請が大部分であって、もう三次以下はきわめてまれな状態でございます。直轄工事のより適正な、そして下請との関係が、仮にも元請に出された前渡し前払い金などが不適正な支払い状況にならざるようこれからもよく指導をしてまいりまして、そしてこの大型の公共事業費のより効率のいい、また景気浮揚の上に寄与するように、スムーズな事業執行に配慮してまいりたいと思います。
  26. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 本日は、この委員会に、日本鉄道建設公団から篠原総裁、それから日本国有鉄道から馬渡常務理事日本電信電話公社から長田総務理事外三名の方においでをいただいております。  まず基本的なことをお伺いをいたしますが、五十二年の四月に、中央建設業審議会の議を経て、建設工事標準下請契約約款を作成しております。これは、第一次下請段階における標準的な工事請負契約を念頭に置いて、下請段階における請負契約の標準的約款になっているわけであります。現在、各省庁公団、公社、地方公共団体などにおいてこの約款が使用されているわけでありますが、この契約約款についてどう見ていらっしゃるか。電電公社、国鉄、鉄建公団の順に、それぞれ簡単に御見解を伺いたいと思います。
  27. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  契約約款に準じまして、これを尊重して現在契約を進めておる次第でございます。
  28. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 国鉄におきましても、その契約約款の趣旨に従って指導をいたしております。
  29. 篠原武司

    篠原参考人 公団は国鉄と同じようにやっております。
  30. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 建設省伺いますが、この中央建設業審議会のまとめた建設工事標準下請契約約款を各省庁公団、公社、地方公共団体に対して使用するように、協力要請、そしてまた指導をしていると思うわけでありますが、特に政府機関においてこの標準契約約款を使用していない機関がございましたら、御説明いただきたいと思います。
  31. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  公共約款は、四十七年に改正いたしましたものにつきましては、政府省庁及び政府関係機関において全面的に採用されております。
  32. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そこで、同じく建設省に公共事業の前払い金についてお伺いいたします。  公共工事の前払金保証事業に関する法律が昭和二十七年七月三十一日に施行をされているわけでありますが、この法律の目的は、条文によりますと、第一条の中に「公共工事の適正な施工に寄与することを目的とする」というふうにうたわれておりますが、これに間違いございませんか。
  33. 大富宏

    ○大富政府委員 御指摘のとおり間違いございません。
  34. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 それでは国鉄にお伺いいたしますが、この公共工事の前払金保証事業に関する法律の第二条に「「公共工事」とは、国、日本国有鉄道、日本専売公社、日本電信電話公社又は地方公共団体その他の公共団体の発注する土木建築に関する工事又は測量をいい」というふうになっているわけであります。ところが、国鉄はこの前払い金に対して、この法律に示された前払金保証事業会社の保証を担保として認めていないわけであります。この法律の意味から見てちょっと矛盾をするのではないかと思いますが、この点いかがでございますか。
  35. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 お答えいたします。  確かにただいま御指摘のように、国鉄としては、保証事業会社の保証を適格担保として認めておらないわけでございますが、これにつきましては、むしろ国鉄の事情から申しますと、現在国鉄は、鉄道債券あるいは銀行の連帯保証等を担保として取り扱っておりまして、その間、業者側から特にその点の御要望を受けてないということで、ただいまの段階では、保証事業会社の保証を担保として認めていない状態であるということでございまして、特にこれを排除しておるという意味ではございません。
  36. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 国鉄の場合は、ただいま御答弁にありましたとおり、国鉄の債券それから銀行、保険会社の保証を前払い金の担保としているわけであります。現実に建設業界が銀行から保証を受けるということは、大手建設業者でも非常に厳しい状況にあるわけであります。しかも、銀行の保証料も、前払金保証事業会社と比較して安いとは言えないわけであります。ところが、一方では国鉄債券を担保にしているわけであります。このことは電電公社、鉄建公団の場合も同様でありますし、言うなればこの仕組みは、金融業界で禁止をされているいわゆる歩積み両建てと同類のものではないかという感じがするわけであります。すなわち、自分のところの出している債券を担保にすれば前払い金に対する金利も少なくいたしますということになれば、当然建設業者としては、債券を持っていた方が得になるわけでありますから、その債券を取得せざるを得ない。しかも、建設業界の元請の方は債券を手に入れてそれでいいわけでありますが、下請の中小建設業者になりますと、この前払い金に対しての金利分を現金で支払わなければならないわけでありますから、これは下請業者を非常に圧迫するわけであります。現実に私のところにもこうした建設業者からずいぶん苦情が来ておりますし、このような法律に矛盾した行為については私は納得できないのであります。少なくとも、保証事業会社の保証も今後の担保として当然認めるべきではないかというふうに考えるのですが、いかがでございますか。
  37. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 やや国鉄の事情を申し上げさせていただきますけれども、いま申し上げましたように、国鉄におきましては、鉄道債券というものが工事をやります場合の資金の大きな源泉になっておりまして、五十三年度予算をとってみますると、工事の総額九千五百億に対して、自己調達をしなければならない金額がその約半分にもなっているわけでございます。恐らく五十一年度、五十二年度を通じてみましてもそうだと存じますが、自己調達をして工事をしなければならないという国鉄の事情は、今後五十三年度以降におきましても変わらないのではないかという気がいたしております。  その意味で、鉄道債券の消化ということにつきましては非常に努力を払っておるわけでございまして、実は昭和四十年度に、自己調達というかっこうで国鉄が独自に政府保証なしの鉄道債券を発行することになりまして以来、その債券の消化のための努力を続けておりまして、その意味で、ただいま先生が御指摘のようなかっこうでやらざるを得なかったという点が、国鉄の場合は非常にほかのところとは事情が異なっておるのではないかというふうに思っております。
  38. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そこで、建設省にお伺いいたしますが、先ほど私は、公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部、その目的条項を読み上げたわけであります。くどいようですけれども、公共事業を適正かつ円滑に推進するためにこの前払い金制度というものが設けられているわけであります。この前払い金の支払いに伴いまして、一部の政府機関においては金利を取っている、そういうところがあるわけであります。本来、公共工事の完成した段階で支払うべき性格のものを、事前に前払い金として支払っているということから、銀行の工事資金の貸し出しと同じとの考え方も一方にあるわけであります。質問の準備の段階で建設省にお伺いをいたしましたら、建設省としては、この公共工事に関する前払い金に対しては金利を取っていないと伺っておりますが、これはどういうわけですか。
  39. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 建設省の直轄工事の場合におきましては、あくまでも会計法令の規定に従うわけでございます。先生承知のように、会計法によりますれば、前払い金を支払う場合が書いてございますが、それは、その経費の性質上あらかじめその全部または一部を支出しなければ事務に支障を及ぼすような経費について前払い金を行うことができることとされております。さらに、予算決算及び会計令臨時特例第二条の規定によりまして、いわゆる公共工事、土木請負工事等について前払い金が支払われるものというふうに書いてあるわけでございます。建設省といたしましては、前払い金はあくまでも契約による支払い条件の一部として会計法令に認められたもので、そのまま支払うものとして利息を取っていないわけでございます。
  40. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そこで、日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本鉄道建設公団、この三機関にこちらからお伺いをいたしました公共事業費に対する前払い金の実績について、時間がございませんのでこちらで読み上げさしていただきます。  一つは、五十一年度の公共事業予算額。二番目に前払い金支払いの実態、件数と金額でございます。それから三番目に、担保の設定として認めているもの。それから四番目に、担保内容によって前払い金にかかる金利の相違、これだけ列挙したいと思います。  まず日本国有鉄道は、五十一年度公共事業予算が六千八百七十億円。前払い金支払いの実態は国鉄では調べてないというふうに伺いました。金額が六百億円。担保として認めているものは国鉄債券、銀行、保険会社の保証、それから鉄道債券、前払保証事業会社の保証、金利の方は、担保内容の金利の方は国鉄債券については年六・六%、その他のものについては年七・三%。  次に、電信電話公社につきましては、五十一年度公共事業予算が一兆三千五百億円、前払い金支払いの実態は千三百六十件で二百八十億円。担保は電信電話債券または指定する金融機関、金利は電電公社債については六・二五%、その他のものについては六・五〇%。  日本鉄道建設公団については、五十一年度公共事業予算が二千五百九十五億円。前払い金支払いの実態の件数が二百四十件で三百四十億円。担保として鉄道債券、国鉄債券、金融債券、銀行、保険会社の保証、金利の方は鉄道債券については六・六%、その他のものについては年七・三%、これは国鉄と同じであります。  こういう実態になっているわけでございますが、まずこの点、それぞれ間違いございませんか。
  41. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 国鉄につきましては、先生いまおっしゃったとおりでございます。
  42. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  いま先生指摘になりました支払い件数千三百六十件、それから支払い金額約二百八十億円と申しますのは、私ども通信設備の建設工事について支払いました件数並びに金額で、ございまして、実はこのほかに局舎の建築工事をいたしておりますが、その関係につきまして約百七十件、約五十三億円の支払いをいたしております。  以上、つけ加えさせていただきます。
  43. 篠原武司

    篠原参考人 鉄道公団の場合も間違いございませんが、ただ担保につきましては保証事業会社のものも取り上げられております。
  44. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 いま三機関についての前払い金の実績を伺ったわけでありますが、昭和五十一年度に取得をした前払い金に対する金利の額は、これもそれぞれ三機関からお伺いしておりますが、国鉄が約三十億円、鉄建公団が約十億円、電電公社は明確ではないということでございました。私の方できわめて低目に試算をいたしますと、約八億円程度かと思います。これで合計大体四十八億円になるわけでありますが、先ほど建設省の方から前払い金の定義について御説明をいただいたわけでございますけれども、この前払い金はあくまでも工事代金に対する前払いであって、融資をする性質のもあとはまた違うわけであります。したがって、他の各省庁、公社、公団も、前払い金に対しては金利を取っていないわけであります。なぜこの三機関のみ金利を取っているのか、当然法的な根拠に基づいてこの金利を取っていらっしゃるとは思いますけれども、いつからこういう金利を取ることを始められたのか、また法的な根拠がありましたらお示しをいただきたいと思います。それぞれ順に御答弁をお願いいたします。
  45. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 法的な根拠というよりは、国鉄の事情からということでございますので、まず国鉄の事情を申し上げますと、先ほどもお答え申し上げましたように、国鉄の工事資金は五十一年度に関しましては全部借金でございます。それから五十二年度につきましては予算上二百五億、それから五十三年度につきましては約四百億、これは利子のつかない工事資金を一部はいただいておりますけれども、全体の五十三年度九千五百億の金額から見ますとほとんど全額借金であるという状態でございまして、その利子につきまして、ただいま五十二年度の調達をいたしました平均金利を調べてみますと、大体七・八%に相当をいたしております。そういう金利のものを私ども工事資金に充てておるわけでございまして、そういう点から申しまして、国鉄の事情としては、これは金利をつけて前払い金をお払いせざるを得ないという事情が根本にございます。  そういう点、御了解いただきたいと存じます。
  46. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  電電公社におきましては、公社法第七十一条に基づきまして、郵政大臣の認可を得て定められた会計規程がございますが、これにおきまして、事業運営上特に必要がある場合、相手方の信用が確実である場合もしくは確実な保証がある場合に限って前金払いをすることができるように規定をされているわけでございます。  これが根拠でございますが、それで、まず利子を課すという問題でございますけれども、公社では工事代金等を前払いした場合におきまして、その提供した資金に対する対価分の扱いにつきまして、工事代金の精算時に支払い代金から利子に相当する額を値引きして精算し、支払うことにしているわけでございます。これは、電電公社におきましては工事代金を積算いたします段階で、その契約が果たして前金払いの対象になる工事であるかどうかということは必ずしも判明していないわけでございます。すべての工事に前金を払うということにはしておらないわけでございます。したがいまして、工事代金を積算いたします場合には、相手方が通常要する金融費用というものを積算の中に含めて算出をしているわけでございます。したがいまして、前金払いを受けた相手方の支払い代金からこの利子相当分を値引かないことにいたしますと、当然公社が過払いということになりますし、あるいはまた前金払いを受けた相手は前金を受けなかった者よりも余分に利益を受けるということで、不公平になるわけでございますので、この両者間の公平を図る、こういうふうな考え方から、利子相当分を工事代金から精算する、こういうふうな仕方をやっているわけでございます。
  47. 篠原武司

    篠原参考人 鉄道公団といたしましても、国鉄と同じような仕事をしておりますので、国鉄と同じように仕事をいたしております。
  48. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ただいま三機関から御答弁をいただきまして、公共工事の前払い金に対して金利を取る理由を伺ったわけでございます。いずれも、国鉄を初めといたしましてもともと財政的に非常に苦しい、しかも財政融資を国から受けている、そのために財政上やむを得ず金利を取っているんだというような御答弁と私、受け取ったわけでございますが、そうしますと、たとえ財政的に苦しい状況であっても、前払い金そのものの性格からいって、前払い金に対して金利を取るというのはあくまでおかしいのではないか、この点はお認めになりますか。
  49. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 前払い金を全部の業者に同じような形でお払いする場合には、その業者間の不均衡ということは生じないと存じますけれども、通常の場合は仕事が完了した後に払うという原則に立ちますと、先に払うものについて、ほかの、仕上がった後に支払いを受ける者との均衡の問題はやはり考えざるを得ないのではないかという気持ちがございます。
  50. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答えいたします。  私の方で前払い金の利子を値引きするという理由は、先ほども申し上げたとおりでございますけれども、私どもの設備の建設工事の契約額は、五十一年度で申し上げますと約四千五百億でございます。その代金の前払いをするかどうかということは、あくまでも業者の希望と公社の資金事情を勘案して決めることでございまして、先ほど先生指摘のございましたように、前払いをした実績はわずかに二百八十億円でございます。  そういうことでございますので、私どもの方は工事予定価格の積算との関係で、利子相当分を工事代金から値引きして精算する方が妥当である、こういうふうに考えて実施しているわけでございます。
  51. 篠原武司

    篠原参考人 国鉄と同じでございます。
  52. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 建設省にお伺いいたしますが、この三機関と同じように政府の財政融資を受けている日本住宅公団、日本道路公団の場合には、前払い金に対しては金利を取っていないわけですね。
  53. 大富宏

    ○大富政府委員 取っておりません。
  54. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 同様のこうした住宅公団、道路公団も決して財政事情は豊かではないと思います。むしろ大変な赤字で四苦八苦をいたしております。これは先ほど以来の三機関の御説明によれば金利を取ってもいいという理屈になるんじゃないですか。これはいかがですか。
  55. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 先ほど国の直轄工事の例について御説明申し上げましたように、国の直轄工事は会計法及び予決令の臨時特例によってやっておるところでございまして、前払いし得る理由といたしましては、前払いをしなければ事務に支障を及ぼすような経費ということでございます。そしてかつ、こういう工事につきましては事前に建設業者が必要な資材、労務等の手当てをするわけでございますので、それに前払いをすることによって工事の適確な施工を確保するという見地で行っておるわけでございます。建設省関係公団につきましては建設省の例に準じまして会計規定を定めておりますので、そういう理屈でもって前払いをしておるわけでございます。
  56. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 建設大臣は公共事業建設業者に発注する側の指導監督の立場にあるわけでございますから、当然、いまお聞き及びのとおりこの問題については十分関心をお持ちであろうと私は思います。  五十一年度にこの三機関が取得した前払い金に対する金利の合計額が先ほど申し上げたとおり約四十八億円になるわけであります。同じくこの三機関の五十一年度の前払い金の実績から見て、これは私の方の試算でございますが、非常に低目に見て、しかも一年以内の短期工事として試算をいたしますと国鉄が三十九億円、鉄建公団が二十二億円、電電公社が十七億円、合計大体七十八億円になるわけでございます。むしろこの倍ぐらいになるかもしれません。私どもの素人の試算でございます。金利を取得し始めた年度にさかのぼってみますと、莫大な金額になるわけであります。公共事業費が大型化されればされるほどこれまた前払い金の額も、またそれに伴う金利の取得も非常に大きくなっていくわけでございまして、これは結果的には工事を受注した元請の会社の負担には終わらないで下請の中小建設業者に全部押しつけられるわけでございます。中小建設業者にとっては非常に苦しい実態になっておるわけであります。  したがいまして、こうした建設業界の監督大臣として、いまおいでいただいておるこの三機関に対してそれなりに建設大臣中心になって働きかけをして、この問題については十分検討をして改めるべき点は改めるべきではないかというふうに考えるわけであります。少なくとも第一段階といたしまして、標準下請契約約款をきちんと使用させるということを手始めにいたしまして、次の段階では前払い金に対して、国鉄について御指摘申し上げましたが、担保を自己の債権に指定するというようなこと、これも検討の余地があると思いますし、さらには、前払い金に対して金利を取ってこれがそのまま下請中小建設業者の経営を圧迫しておるという事実に対してしかるべき処置をとるべきではないかと考えるわけでございます。金額としてあるいは件数として、全体の予算の額から見れば微々たるものだとおっしゃるかもしれませんけれども、中小建設業者にとっては決してささいな金額ではございません。これは公共工事によるいわゆる内需の喚起という大きな目的に対しても非常に大きな支障があるのではないかと私は考えるわけでございます。大臣の御所見を伺いまして私の質問を終わります。
  57. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まず包括的なお答えを申し上げておきます。  御指摘のような措置をとっている公共工事発注機関については、工事請負契約を締結するに当たって根拠となる会計処理原則の相違、契約の考え方、財政需要等、諸般の事情によりこのような措置をとっているものと考えられます。ただいま御所見を交えて種々御質問がございましたが、建設省としてはこれらの点も踏まえ、関係発注機関とも相談してまいりたいと思います。
  58. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 終わります。
  59. 伏木和雄

    伏木委員長 瀬崎博義君。
  60. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、この前の一般質問のときに、西華産業という商社で、特定業者の許可を一応とっているんでありますが、これがその責任を果たしていないために、末端の下請零細業者やあるいは下請労働者に大変な被害を及ぼしている件をここで質問して、政府調査を求め、その処置を要求したのであります。  西華産業は、この間も指摘しましたように資本金は二十四億円で一部上場会社であり、三菱系の機械専門商社であります。本社は一応北九州市になっていますが、実質本社は東京に置いております。二十六年から建設業者、そして特定業者の許可をとっている。  この西華産業が日本鋼管から、日本鋼管が輸入した鉄鉱石のサンプリングを自動的に行う設備の発注を受けて、川崎市の扇島に五十年の六月から五十二年の六月ごろにかけてこれを建設しました。日本鋼管から受注した金額が十億四千万で、西華がこれを小川精機に九億一千六百九十万円で一括下請をさせている。この西華産業が元請責任、とりわけ特定業者としての建設業法が課している責任と、それから大企業の社会的責任を全く顧みなかったことから小川精機の破産という事態が起こって、二次、三次下請の段階で零細な業者の倒産が相次ぐ、賃金不払いが起こる。しかも、その業者の一人の奥さんが自殺をされるという悲劇まで巻き添えにしてきたわけであります。  そこで、まず一括下請の疑いの問題でありますが、建設業法は「元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合」を除いては「如何なる方法をもってするを問わず、」と明記して、一括下請させてはならないと規定しているわけであります。元請西華産業は、発注者の日本鋼管からの受注段階からプランニング、設計、施工の一切を小川精機に任せていたことは、これはもう関係者の証言や資料、それから西華産業自身の担当者証言で明らかになっているわけですね。営業本部次長自身が、売買契約であって売買すれば後のことは知らないとか、うちは金利だけ取ったのであって鋼管と小川精機の実質取引である、こういうふうに言っているわけであります。結局、一括下請違反を免れるケースとしては、西華産業が発祥者の日本鋼管から事前に書面による一括下請承諾をとっている場合に限られるわけでありますが、この事前の書面による承諾はあったのですか、なかったのですか。
  61. 大富宏

    ○大富政府委員 書面による承諾はいたしておりません。
  62. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 当然そうなってくると、やはり一括下請の規定には違反してくる、監督処分の対象になるということではないんですか。
  63. 大富宏

    ○大富政府委員 御指摘のように、日本鋼管に口頭による了解は得ているわけでございますけれども、法律には御指摘のとおり書面でと明確に書いてあるわけでございまして、形式的にはこの二十二条三項違反になります。
  64. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらに建設業法では、建設業許可の基準として、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないものであることを規定し、その請負内容としては十一項目を法定しているわけですね。この西華産業が下請の小川精機との間に結んだ契約書には、この法定要件を満たしていたのかどうかというのが一点。  それから四十九年十二月七日の「下請代金の支払条件の適正化について」の通達の中では、下請契約書には建設業法十九条の十一項目全部について必ず記載せよとしているし、それから現在使用中の契約書様式が適法でないときは速やかに是正せよと言い、さらに下請契約書の相互交付は必ず工事着手前に行えとしているわけであります。  私どもの調査した範囲では、この契約書の日付が、後の増額契約書などはひどいので、小川精機の倒産直前、決算印などは後になっているというふうな事態があったわけですね。建設省調査で、契約締結に当たってこのような法定要件が守られていたのかどうか、さらにその契約を結ぶ時点等について建設省の通達が遵守されていたのかどうか、この点はいかがですか。
  65. 大富宏

    ○大富政府委員 建設業法では十九条に、工事内容、請負代金、支払い条件等、十一項目にわたって詳細に規定しておりまして、これは「書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」非常に厳重に書いてあるわけでございます。まだ民間では、標準請負約款等がなかなか実施されてない状況でございますけれども、当該事件におきましても、下請請負契約の中身というのは、建設業法で言うこういう形式をとらないで、通常行われておりますところの注文書とか請書とかいうかっこうで規制されているわけでございます。それにいたしましても、建設業法で十一項目書いてある全部の条件が整っているということではございません。そういう点では、この十九条の条件を十分満足していると言えないわけでございます。(瀬崎委員「日付の方はどうですか」と呼ぶ)日付につきましては、注文書の前後、非常にぴったりいってないようでございます。
  66. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もちろん建設業者は、非常に規模の小さい零細な業者もいらっしゃるわけで、事務能力等でなかなか標準約款を守れと言っても守れないようなところもあるわけですね。われわれはそういうのに、画一的にどうせい、こうせい言っているのではなく、この西華産業のごときは、その事務能力からいってもやる意思さえあれば十分できる、できるのにやってない、そこに問題がある、こういうことを指摘しているわけであります。  それから次に、許可申請段階で正確といいますか、正しい申請を出したかどうかという問題なんですね。建設省に出された西華産業の許可申請書の付属書類である工事経歴書で見ますと、当該工事の着工年月日が五十年の十二月、完成年月日五十一年の一月、これは一年以上も狂っているわけですね。建設省に言わせれば、この日付は余り大したことはない、こういうわけなんですが、請負代金の方はそうはいかぬと思うのです。やはりその工事業者の能力を判定する場合の最も重要な基礎になる。この請負代金は三千七百万円となっているわけでありますが、これが正しいかどうか、建設省は何によって判断をしたのか、答えてほしいと思います。
  67. 大富宏

    ○大富政府委員 建設業の許可申請書には工事経歴書を添付することになっているわけでございますが、この工事経歴書について虚偽の記載があるのではないかという御指摘でございます。御指摘の日本鋼管扇島の第一期工事の請負金額、これは八億一千七百二十万円、追加変更額が九億一千六百九十万円でございますが、この工期が五十年六月から五十二年の一月までとなっているわけでございますが、西華産業の許可申請書に添付された工事経歴書の該当欄では、請負代金額が三千七百万円及び工期が五十一年十一月から五十二年六月という記載になっております。これについては確かに御指摘のとおり間違いでございまして、私どもこの辺を西華産業にも指摘をいたしたわけであります。けさ入った報告では、これは記載のミスであったということを告白いたしております。  そのほかの点につきましても若干抽出で調査いたしておるわけでございますが、現在のところ注文書、請書等の資料から見まして、その他については虚偽の記載は認められないようでございます。
  68. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 指摘された本件が明らかに事実を正しく申請していない、虚偽であることはいま明確になったわけですね。他を抽出してただすと言われてもそれだけではにわかに信用しがたいのです。第一、工事台帳等も備えていない建設業者なんてあるものだろうか、こういうことを指摘しておきたいと思うのですね。  それから、この発注価格そのものが妥当であったかどうかという問題があります。というのも、西華産業金利及び手数料として最終的には一億二千三百十万円を取っているわけですね。ところがそのほかに工事がおくれたことを理由にして延滞金利も三千五百八十万円取っているわけであります。そういうところから、小川精機へ下請させた金額が原価を割るようなものであるのかどうかというのが一つの大きな問題であると思う。  さらには、日本鋼管自身も、これは性能保証契約ですから、きちっとした仕様書や設計図があったわけではない。そういうところから途中で一億円ちょっとの増額にも応じているわけでありますが、この増額が西華の要求額の二分の一であり、小川精機の出した赤字の三分の一ということはこの間指摘しました。この点から見れば日本鋼管の発注価格にも問題があったのではないかと思われるわけであります。  特に、この小川精機自身が大体こういう大きな工事をやれるような能力のない会社で、当時もうすでに非常に経理内容が悪かったことは、その前からつき合っていた西華にはわかっておるはずだったのでありますが、それを無理させた関係上、工期が一年前後もおくれてきた。そのために最終段階のダクトの据えつけ工事などは、下でベルトコンベヤーが動いている中、労基法違反だと思いますが、非常に危険な天井への据えつけ工事をやらせる、しかも徹夜作業をやらせる、こういうことになったわけですから、これはきわめて通常の工事原価より高くついていることは関係者は皆認めているわけですね。そういう点から言って、逆に延滞金利まで取るとかあるいは最終的に三千万円の支払い手形を不渡りにまでして西華がわが身を守ろうとした、こういうこと自体が一体妥当なのかどうか、いかがですか。
  69. 大富宏

    ○大富政府委員 非常にむずかしい御指摘でございますが、日本鋼管がサンプリング設備に関する専門業者でございます小川精機と他の一社に対しまして競争見積もりさせた上で小川精機に決定したという経緯があるわけでございます。御意見にもございましたように、工事施工中に認めた追加代金というものを合計しますと、他の一社の見積もり額と同額の工事代金になるのではないかと思います。  また日本鋼管は、四十六年ごろから小川精機に対しまして各地で同種の工事をやっているわけでございまして、扇島の工事に関する積算内容、これらの先行工事に比しまして大体遜色はないのではないかと思うわけでございます。ですから、建設業法では十九条の三で「不当に低い請負代金の禁止」という規定はございますけれども、以上考えますと、この条文にひっかかるほど不当に低い代金というぐあいには考えないわけでございます。
  70. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから特定業者たる元請負人の義務がきちんと果たされておったかどうかという疑いですね。特定業者に対しては、下請代金の支払い期日とか下請負に対する指導について建設業法が相当広範な義務を課していますね。しかも、これを具体化した四十九年五月十七日の建設省の通達「下請負人の保護について」という中では、「下請負人が」「倒産、資金繰り悪化等により他人(当該下請負人以外の下請負人を含む。)に損害を加えることのないよう下請負人の保護及び指導に十分配慮すること。」と明記をしているわけであります。西華産業がこの特定業者の義務を果たしておったかどうか、これはもう建設省も調べてわかったと思います。それと、もし西華産業が特定業者の責任をきちんと果たしていた場合、当然工期が一年もおくれているのですから、そこで何らかの指導を小川精機に及ぼすとかあるいは下請業者の取りかえを行うとか、それに下請業者が応じなければ、当然許可をした建設大臣に通知をするとかしているはずだと思うのです。そういうことがきちっと行われていたら、私はこういう悲劇は避けられたと思うのです。そういう点では建設省いかがでしょう。
  71. 大富宏

    ○大富政府委員 建設業法では、特定建設業者に対しまして工事現場の施工の管理をやりますところの監理技術者を置きなさいということが書いてございます。さらには、下請負人が下請工事に関しまして建設業法、建設労働者の使用に関する法令などに違反しないよう指導に努めなさいということも書いてあるわけでありまして、御指摘のとおり、この点については西華産業は重々反省をいたしまして、今後は特定建設業者としての責任を十分認識いたしまして、社内の管理体制等点検、整備に努めると言っておるわけでございまして、御指摘のとおりこの問題に関しては特定建設業の責任には欠ける点があったとわれわれも見ております。
  72. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこで、この問題の最後に大臣伺いたいのです。  この間、櫻内建設大臣はこのようにお答えになっているのです。「西華産業の場合は、」「今後調査をする点が多々あると思うのであります。」「何らの能力もないのに建設業の許可を与えておった、あるいは与えるような場合があるというようなことは、これはもう当を得ないことでありまするから、調査の結果を見てよく検討」したい、こうおっしゃっているのです。  そこで、私は大臣に具体的に申し上げたい。  まず第一は、西華産業に対してです。建設業法の規定に反した事項はいま認められているとおりでありますから、これにはやはり厳格な指示とか勧告を出して、それが守られるように十分監督すること。それでも守られなければ、これはやはり法に基づく営業停止等の処分は検討されてしかるべきだと思うのです。西華産業に対しては、もう一つ、特定業者としての責任は果たされていなかったといま明確に言われているのですから、後追いにはなるけれども、現時点でなし得る責任を果たさせるようきちっとした行政指導を行ってほしいこと。  それから第二は、商社が建設業を兼業する場合、しかもそれが資本金十億というふうな大きい業者になりますと、特定業者の資格もとっていると思う。こういうことが起こると、影響が非常に大きいですね。だからやはり特に注意を喚起する必要があると思うので、そういう点では、大商社で建設業の兼業については何らかの注意喚起の通達ぐらいは出す必要があるのではないかと思います。  第三点は、やはり業者団体に対しても過去いろいろ通達が出ているんだけれども、守られていないわけですね。だから今回のような件については、具体的に問題点、教訓を明らかにして周知徹底させる必要があるのではないかと思うのです。  この点を大臣に答弁いただいて、次の問題に移りたいと思います。
  73. 大富宏

    ○大富政府委員 大臣にお答えいただく前に、二点、三点について私からお答え申し上げたいと思いますが、建設業者の中には商社とか百貨店とかいう兼業の大企業がございます。これらはいずれも建設業の許可を持っているわけでございますが、御指摘のように、建設業法についての十分な認識がないやにもうかがわれる点が多々あるわけでございまして、この問題について私ども早急に点検をいたしまして、必要な指導をいたしたいと思います。  第三番目の御指摘につきましても、今後いろいろな問題が出てくるわけでございますので、重々検討してまいりたいと思っております。
  74. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この前お約束のように、その後十分な調査をいたしたつもりでございます。  そこで、調査の結果及びその後の経過を踏まえまして、建設業法の趣旨に基づき、指示等の措置を含め適切に対処し、指導してまいりたいと思います。
  75. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次に、道路行政の問題について伺いたいと思います。  道路の上空に、空間に構造物をつくるような場合に、道路管理者の自由裁量にゆだねられているのか、それとも建設省として一定の基準を設けるとか、あるいは建設省に対する事前協議等を義務づけるといいますか、指導するといいますか、どちらになっていますか。
  76. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  道路上空占用につきましては、安全上、防災上、衛生上あるいは都市計画的な見地からいろいろ問題があるわけでございまして、これについては特に建設省では「道路の上空に設ける通路の取扱等について」というような通達を流して厳正に取り扱っておるつもりでございます。
  77. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に基準だけがつくられているのじゃなくて、一応建設省との事前協議なども指導しているのじゃないですか。
  78. 浅井新一郎

    浅井政府委員 上空を占用する場合には道路管理者の許可でやるわけでございますが、その基準に従って必要な協議を事前にするように求めております。
  79. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの通達を見ますと、「みだりに設置を認めないこと。」というふうなことも述べられておりますね。それから、通路は、交通、防火、安全など周囲の環境を害するおそれのあるものであってはならないというふうな規定も設けられていると思うのですね。  建設省としては、こういう人通りの多い道路の上空に通路、構造物がつくられることは、どちらかといえば好ましいことではないという考えなのか、そういう希望者があればどんどんやってもいいという考えなのか、どちらですか。
  80. 浅井新一郎

    浅井政府委員 先ほど申し上げましたように、一般的には道路の上空はあけておく方が望ましいわけでございまして、安全上、防災上、衛生上の見地からも上空を占用させるということはいろいろ問題があるわけでございます。しかし、土地利用の関係周辺のいろいろな諸条件を考えて、避難のためとかあるいは道路の交通の緩和になるとかいうような相当公共的な利便に寄与する場合も考えられるわけでございまして、そういった場合には交通、防火、安全、衛生、周囲の環境等を十分に配慮した上で許可することもあり得るわけでございまして、その場合には厳正に基準に照らしてチェックしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  81. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、道路の上空にそういう通路ではなしに建物そのものを建てて両側の建物とつないでしまう、つまり道路はその建物の中へトンネルのように入ってしまう、そういうふうなケースについて何らかの基準なり制限というものは設けているのですか。
  82. 浅井新一郎

    浅井政府委員 そういう場合は恐らくその下の道路を供用廃止するというようなことで、全体の土地利用の視点から、そういう形にした方が地域の発展あるいは土地利用の観点からより望ましいというようなことである場合には、そういった道路を含んだ一定の地域をとらえて建物を建てることもあり得るわけでございまして、市街地の改造、再開発等もそれの大きなものであるわけでございまして、これは一概に道路占用ということでは律し切れない場合があるわけでございまして、そういう場合には、全体の地域の利用を考えて必要な道路、その中に含まれる道路を廃止するということもあり得るわけでございます。
  83. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いているのは、それについて先ほどの通路に似たような何らかの基準とか事前協議というふうな制度を設けていますか、こういうことなのです。あるのかないのかだけ。
  84. 浅井新一郎

    浅井政府委員 これは一般的な道路占用とは違いますので、これについては特に許可等を求める場合の基準等は設けておりません。
  85. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、道路を廃止して現にその上に建物を建てさせて、道路の両側のビルと一体のものにしてしまう、こういうふうな例が全国にあったかなかったか、その点いかがですか。
  86. 浅井新一郎

    浅井政府委員 市町村道の供用廃止の例になろうかと思いますが、この供用廃止の例は、道路ができた場合に区域を変更して古い道路区域を供用廃止するという例は非常に多いわけでございますが、一般的に、普通に使っている道路を何かの理由で廃止するという場合の実態は実は把握してございません。一般的には、道路は日常生活の用に供されておりますことから、これを特別な理由がない限り廃止するということは非常にむずかしいわけでございまして、全国的にもこういうケースは少ないというふうに考えております。
  87. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題が起こっておりますのは、香川県の丸亀市であります。そこに琴参電鉄が現在八メートルほどの道路の両側に土地を持っているのです。このままでいきますと、当然道路をはさんで別々に建物を建てて、つなぐ必要があるのなら通路でつなぐということになると思うのです。ところが、この琴参電鉄は、去年の十月二十七日に大店法三条の届け出をしたわけでありますが、これはダイエーと組んでそこに琴参ショッピングという大きなスーパーをつくるということです。  その届け出によりますと、道路部分を完全に取り込んで、先ほど言いました、上に建物を建てて、つまり道路の両側とまさに一体のビルディングをつくって、道路がその中のトンネルになってしまう、こういう計画を出してきたわけです。その対象となっている道路は富屋町と通町の間で、幅八メートル、長さが四十二メートルであります。ここの交通量は、十二時間で人が千三百人、自動車が六百台、二輪車が七百三十台、こういう統計調査が出ております。  丸亀市はこれを道路法十条で廃止できるとしているのでありますが、これだけの交通量が現にある道路が、「一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」に入るのかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
  88. 浅井新一郎

    浅井政府委員 交通量等、このお話をいま初めて聞くわけでございますが、二つのブロックを一つにまとめてそこに大きな建物を建てようという考え方ですが、周辺の車の流れ等を勘案して、そういう形で交通の流れとしては十分支障がないということもあるいはあるかもしれません。それから、そこへ建物をつくってその建物の利用がその地域の社会に非常に大きなメリットをもたらすということであれば、その両者をはかりにかけていい方をとるという選択はあり得ると思います。  そういうことで、これには個々のケースについて十分検討してみないとわかりませんので、一概にこの道路を廃止することが一般的に妥当かどうかということは言えないかと思います。
  89. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは法的なことになるのですが、丸亀市側はこの十条で廃止できると言っているのです。もう一つ、十八条の「道路の区域の決定及び供用の開始等」については検討の必要なしという考え方を示しているのですが、これは法的に見たらどうでしょうか、合法ですか。
  90. 浅井新一郎

    浅井政府委員 十条で路線廃止することは不当とは言えないと思います。合法だと思います。
  91. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の言っているのは、その場合、十八条の供用の廃止、この項の適用は要らないのかと聞いているのです。
  92. 浅井新一郎

    浅井政府委員 路線を廃止した場合に、あわせてこの十条の路線の廃止は市町村長が行うわけでございますが、これについてはあらかじめ議会の議決を経る必要があるわけでございますが、路線の一部を廃止した場合に、当然供用の廃止を伴うわけでございますが、この場合、これは十八条で供用の廃止の公示を同時に行うということでやることになろうかと思います。
  93. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 通産省、お見えでございますね。−−去年十月二十七日に大店法三条の届け出が出ていると思うのです。その時点では法的にも現実にも問題の道路は厳然と市道として存在はしているし、その廃止の計画などは一般市民にも全く知られていないし、市側もその手続に何ら手をつけていない、こういう時点であります。ところが届け出そのものの図面にはいまお見せしたようにちゃんと道路取り込みで建物が建つようになっている。こんな例が過去にありましたか。
  94. 粟屋忠

    粟屋説明員 ただいま御指摘の琴参電鉄の大店法三条の届け出につきましては、昨年の十月二十七日に四国通産局において届け出が受理されまして、同年十一月十五日に公示がなされたところでございます。  ただいま御指摘の、こういう例が全国的にあったかどうかという点につきましては、まだ調査が行き届いておりませんで、恐縮でございますが、ただいま直ちにはお答えできません。
  95. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はあったら不思議だと思うのです。大体通産省は、三条については届け出だから単純受理でよいけれども、スーパーについては地元業者とのトラブルもいろいろ起こるから事前に出店予定者が地元工業者と協議をしてくるよう相当綿密な行政指導をやっていますね。じゃ、この琴参電鉄のスーパーについて、地元工業者との協議を通産省はちゃんと指導したのかどうか、いかがですか。
  96. 粟屋忠

    粟屋説明員 大店法の運用に当たりましては、先生よく御承知のとおりでございますが、この法律の第三条の建物設置者の届け出が出されました場合に、地元の商工会議所ないし商工会に商業調整のための協議会が置かれまして、この場には地元の小売業者の代表者のみならず消費者代表それから地元の学識経験者の方も加わっていただいて、その場で十分御協議をしていただくことになっておりまして、最終的な調整にはそういう御意見が組み入れられる仕組みになっております。したがいまして、法律に基づく届け出前にそういう話し合いがなされなければならないという形での運用は、私ども必ずしも必要事項といたしていないところでございます。
  97. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、しかしほかのケースでは、私自身が承知している平和堂なんかのケースも相当期間かけて事前の協議を指導していたわけですね。だから、このケースの場合にそういうことをやっているのかやっていないのかということを聞いているわけです。
  98. 粟屋忠

    粟屋説明員 本件のケースにつきまして、届け出前に十分に地元の小売業者の方との話し合いがあったかどうか、まだ四国通産局から確認を得ておりませんので、ただいま直ちにお答えできないわけでございます。
  99. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いた段階では、商工会議所の同意は得ている、こう言っているわけなんですよ。商工会や商工会議所を中心にしていろいろと地元と協議すると言うけれども、商工会議所の会頭が琴参電鉄の社長の小野季雄氏なんですよ。うまくできているのですね、この場合は。でなければこんな無理が、道路がどうなるかわからないものを取り込んで届け出できるわけがない、そう考えるのが私は常識ではないかと思うのですよ。  だから、この点では大臣に伺っておきたいのです。私は別にせんさくをするわけではないのだけれども、地元の人々の意見とすれば、小野季雄氏がそういう地元の有力者である上に大平正芳代議士の後援会のこの地区の会長さんもしていらっしゃる。こういう背景もあるものですから、どうしても政治絡みに物が見られる。そういう背景があるからこういう無理がやれるのじゃないかとなってくるわけですね。  現在商工会議所が賛成している以外、会頭さんが同一人ですからそうなるのですが、丸亀中央商店会連合会、香川県飲食業環境同業組合丸亀支部、丸亀菓子工業組合、丸亀喫茶業協会、丸亀呉服商組合といった十一の、ほとんどすべての地元工業団体は反対を表明しておるわけですね。  反対というのも、スーパーそのものがというよりも、市民の財産である市道を取り込み、その地下と二階以上をダイエーの売り場二千平米余りとして使うことによってダイエーと琴参は莫大な利益を得ようとしている、このことに反対だと言っておるわけなんです。しかも先ほどから言われておるように、法律から見てもそう簡単に道路を廃止すべきではないのですから、建設大臣としては、一度よく調査をして厳格な処置を考えられるべきだと思うのですが、いかがですか。
  100. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど来いろいろ御意見また答弁を聞いておりまして、これは二つに分けて考えなければならないと思います。  一つは、丸亀市が管理に当たるこの道路がこのように変更されることが法律的にどういうものであるか、あるいは丸亀市自身、管理者自身がどう判断したものであるか、これらの点につきましてはまだ明白に欠ける点がございますね、ここでの質疑応答の中では。まだ十分調査しなければならない点があると思います。  それからもう一つは、百貨店とかスーパーをつくる場合の通産省の方にとられた手続でありますが、そういう場合に、御質問からいたしますと、当然事前に地域住民との協議、あるいは納得を得るべきではないか、これは法律的に何か根拠になるものがあるように私は記憶をするわけでございますが、この点については通産省側でも十分に掌握しておらない、こういうことでございまして、お話を聞いておれば、常識的に言ってずいぶん無理な建築のように受けとめられますが、しかし、事こういう国会の委員会での責任ある御答弁をする上におきましては、まだ明白を欠く点があると思いますので、お話のように、私としても十分調査をいたしまして対処したいと思います。
  101. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 時間ですから最後に。  第一、常識的に考えてもわかるでしょう。先ほどの法律、法律ということから言えば、道路の上空に通路をつくることだって道路管理者に任せればいいんです。それでもやはり交通上の問題等を考慮して建設省がいろいろと厳しい条件をつけているわけです。もしこういうことが自由自在にできるとなって、しかもこれが合法だからいいんだとなってごらんなさい。たとえば新宿へ行けば伊勢丹の本館と新館がいま通路でつながっていますが、あれだってビルでつないだ方が便利でしょう。そういうことが起こってくる。渋谷へ行けば西武百貨店も同じくいまは上空に通路でつながっています。これだってビルにしようということになるでしょう。大変なことになると思うのです。  さらに、この問題についてはずいぶんそういう反対意見も強く、現在秋山市会議員が、わが党の議員ですが、市道の用途廃止処分の差しとめの監査請求も出している、こういう事態もありますし、市議会の中ではその他にもいろいろと反対なり態度を保留されている方も多いということを聞いております。  ですから、そういう点では重ねて大臣にはっきりさせておいていただきたいのは、いまここで結論を出せとは言わないけれども、調査だけは必ずやって、建設省の一定の見解だけは示してもらいたい、この点だけ明らかにしていただいて、終わりたいと思います。
  102. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 不明確な点があれば十分にしなければなりません。そこで、先ほど私申し上げたように、一つには通産省関係でなお明白にする必要の点があると思います。建設省におきましても同様でございますから、そういうことが明白になって、その上で適法か不法か、その他の判断をいたすべきものと思います。
  103. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 終わります。
  104. 伏木和雄

  105. 中川秀直

    中川(秀)委員 昼食抜きの御答弁、御苦労さまでございます。できるだけポイントをしぼりまして、非常に大ざっぱな総論で恐縮でございますが、きょうは二、三の点についてお尋ねをしたいと思うのであります。  まず、大変大ざっぱな議論でございますけれども、わが国の公共事業、国づくりの一つの大きな柱になっておるわけでありますが、その公共事業をどういう分野に展開していくのか、あるいは具体的にどういう地域で展開していくのか。こういった公共事業を決定する場合の基準というか、あるいは原則、選択をするための原則、あるいは、言葉をかえますと、もっと細かい言い方になるならば、地方からいろいろな要望が出てくるときに、それを選択する場合の優先順位を決めるシステムといったようなものが確立されているのかどうか。大変総論で恐縮でございますけれども、御見解を賜りたいのでございます。
  106. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 わが国の社会資本の整備の状況というものが各国に比較してなお相当おくれておるということは、しばしば御指摘を受けておるところでございます。したがいまして、それらの整備充実に努めるということは建設省の大きな役割りだと思うのです。少なくとも所管事業につきましては。そういうふうに踏まえております。  ただ、公共投資をやる場合におきまして、限りある国民負担を伴うものでありますから、その場合の取捨選択の必要が出てまいりますが、これはそのときどきの社会情勢、経済情勢が相当反映してくると思います。最近におきましては、公共投資をやる場合に生活関連投資を大いにやれ、こういう声も非常に強いわけでございますから、今回の公共投資の場合を考えますと、第一には、石油ショック後に足踏み状態をいたしました道路整備につきまして、国民世論動向から見ても相当強い要望があるということから、道路投資を相当考えました。それから国民生活関連といたしまして下水道とか公園とかそういうようなものについても配慮する。また、特に住宅などについての要望が強いのでありますから、住宅及びその関連について配慮をするというようなことで、一概にここでこうでありますという方程式のようなものをお示しすることは至難であるかと思いますが、ただいま申し上げましたような観点に立って公共投資の取捨選択をしておる次第でございます。
  107. 中川秀直

    中川(秀)委員 大臣の御見解、それなりに正しいと思いますし、それで結構だと思うのですが、ただこういう議論があるわけであります。  非常に不況の中で、景気刺激効果を公共事業に求める、公共投資に求める、そういうことの余り、都市に住んでいる住民が、あるときに山の中へ行ったら大変すばらしい道路がついている。私の方のところにはヒバゴンという怪物が出るなどという秘境がありますが、そこに大変すばらしい道路がついている。ところが、そこへ出かけていった町に住む者が、わが町に帰って五十三年度予算個所づけでこういうものがついたという、そういうことを聞いてみると、下水道で四百万、治山の関係で四百万、その二つだけであった。税負担の還元ということから言うと、おかしいではないか。  都市に住む者は都市に住む者なりに、市街地再開発あるいは生活環境整備等でいろいろやってほしいこともある。しかし現実には、ことしだけの問題かもしれないけれども、感覚として受け取るのに、どうも景気刺激効果で、土地の買収も比較的やさしいそういうところに道路をつくろうと、それなりに経済効果も考えてのことだとは思いますけれども、しかし、都市あたりの非常に複雑な事情でなかなか市街地再開発ができないかもしれませんが、そういう問題については避けて通ってしまって問題の解決をおくらしていくばかりだ、こういう疑問をよく耳にするわけでありますけれども、私は何もそれは税負担と公共投資の還元というようなものがパラレルでなければいけないなどというようなことは考えておりません。それなりに三全総もありますし、いろいろな御計画を立ててお進めになるということだと思いますが、しかし、少なくとも都市に住む人間が、市部人口というものが国民の七割以上を超える中にありまして、そういった市街地再開発、たとえばせいぜい車がすれ違うのさえ容易でないという道路に商店街が密集している地帯などの再開発という問題は、これからの入れ物の時代、いわゆる住宅だとか都市環境だとかいうものの整備を図らなければならないという社会資本投資の時代を迎えるに当たりまして、そういうところにかなりの重点を置いていかなければいけないということを非常に痛感するわけであります。  どうも感覚で物を申し上げて恐縮でございますけれども、大臣その辺の御感想いかがでございますか。私と同じような感想をお持ちになる点はございませんか。あるいは一部かもしれませんが、そういう感想を持っている国民の方々にこれからどういう説明をし、また、その声に対処なさっていくか、ひとつ基本的な御見解をお伺いをしたいと思うのであります。
  108. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 基本的な考え方としますと、国が市町村の末端まですべて目を配ることはなかなかむずかしいことだと思うのです。したがって、それぞれの地域地域住民を代表して各種の地方議員がおられて、議会も形成されておる。そこで、もう御説明するまでもなく各年度事業計画もお立てになっていく、またそれに対しては必要に応じて国が補助もするということであって、この基本的な仕組みは御了解がしていただけると思うのです。  ただ現実に、りっぱな高速道路が進んでおる、自分らの町へ帰れば狭隘な道に自動車がはんらんしておる、そこに何となく矛盾を感ずる、そういう市民感情はあると思います。したがって、国としては、東京とか大阪とか特別都市などにつきましては特に市街地の再開発事業などを促進するように努めておるわけでございます。  それはそれなりの効果が上がるとしても、なおはだ身に近いところ、こういうところにもっと国の手が伸びないのかということになるわけでございますから、それらの点につきましては、国それから県、市町村の緊密な連絡の上に、必要があればもっと補助金を出す、そしてそういう身近な問題の解決が促進されるように努力すべきだと思いますが、そういう基本の仕組みについては当然国会でお取り上げになっていただく問題だ、こう思います。
  109. 中川秀直

    中川(秀)委員 非常に大ざっぱな御提案でございますけれども、新しい時代を迎えて、費用対効果も十分御計算になって、都市環境で何か指数を挙げて、基準以下のところは積極的にやるべきである、この指数以上のところは現状の段階でいまのところ御勘弁願いたいとかいう、治水にしても都市計画にいたしましてもあるいは道路にいたしましても、そういったシステムというか原則というか基準というか、そんなものをそれぞれきちっとおつくりになって、その上で仕事を進めていかれる、地方自治体等にも、国の考え方としてはこういう一応の目安をつくっているんだけれども御協力願いたいとか、そういうようなものをおつくりになって事業をお進めになるということがそろそろ大切な時期に来ているんじゃないかという気がするのでありますが、大臣もう一回いかがでございましょうか。
  110. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昨年十一月に閣議で決定をいたしました第三次全国総合開発計画の基本的理念もまさにそこにあると思うのであります。従来自治省においては広域市町村圏、建設省において地方生活圏を推進してまいってきておるわけでございますが、今後十年を展望いたしまして、これからの国土の開発をどういうふうにやっていくべきであるか、そこに定住圏構想というものができたと思うのであります。  簡単に言えば、住民の皆さん方の御不満がある都市における状況、こういうものを考えますときに、産業や人口の集中というものがそういう結果をもたらしておるんではないか。そこで工場を分散する新たな定住圏構想を考えるというように考え方が発展してまいりまして、三全総というものをお示しした、こういうわけでございます。  ただこの三全総は、御質問の御趣旨を考えますと、現在まだかゆいところに手の届くような状況になっておらない、一つの大きな青写真であるということは否めません。そういう点につきましては、これからの定住圏構想の具体化に際しまして十分配慮をしていく点ではないかと思うのであります。
  111. 中川秀直

    中川(秀)委員 結構でございます。大いに御努力を願いたいと思うのでありますが、大臣、いまお触れになりました三全総でございますけれども、おおむね十年ということでこれから始まるわけであります。先般、国土庁発表になった本年一月一日現在の地価の現況についてちょっと拝見いたしましたが、わが国の地価は、四十九年に過去最高を記録したものが五十年に一転して九%弱ですか下がりまして、五十一年に〇・八%高とほぼ横ばい、五十二年に一・九%高ですね。今回は三・三%高、こういうのが地価公示価格の平均値ということでございます。特に注目されるのは北海道、東北をトップに地方都市地価上昇率が非常に高くなってきておるということであります。たとえば山形六%、弘前五・九%、酒田五・八%、旭川五・七%、青森、秋田、帯広、釧路の各市が五・六%といったぐあいに、全国平均の上昇率を二倍近く上回っているわけであります。これが三全総の地方都市中核とする地域開発あるいはいろいろなプロジェクトと何がしか連動しているのかどうか。このような地方都市地価高騰の芽生えというものをどういうふうにお考えになっているのか、ちょっと御見解を賜りたいと存じます。
  112. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 おっしゃるとおり、住宅地に例をとりますと北海道、東北等の地方都市の住宅地の伸び率が全国平均を相当上回っております。これは御承知のように、東京の住宅地価格を一〇〇といたしますと、北海道、東北の地方都市の住宅地価格は大体一〇%から二〇%ぐらいの範囲に絶対価格がおさまっておるわけです。したがって坪当たり価格が非常に安い。そこのところで多少の道路整備等が行われますと利便度が上がる。それが絶対額が非常に安いものですから伸び率としては相当強く響くということだと思います。たとえば坪一万円のところが千円上がれば一〇%アップということになるわけでございます。  御承知のように三全総で、地方都市の振興整備中心としながら農村もあわせまして良好な定住圏をつくっていくことを、昨年十一月に決定をし、発表をしたわけでございますが、一昨年の一月から昨年の十二月三十一日までの地価の上昇度合いを発表したのが一月一日の地価公示でございますので、この三全総の考え方がそれほど直に地方都市地価上昇に結びついているというふうには考えていないのでございます。
  113. 中川秀直

    中川(秀)委員 現況ではそういうことだという御見解だと思うのですが、じゃ将来どうですか。三全総の定住圏構想というものがこれからの問題として、投機的な心理というほどまではいろいろな法的規制もあるからいかないと思いますが、しかし、さはさりながら、今後の土地利用計画をむずかしくするとか、あるいはかつての新全総のような、極論すれば、巨大プロジェクトによる地価高騰を引き起こすそういうおそれは全くないのか、あるいはおそれが仮にあるとすればこういう手だてを考えているというのがございますか、いかがでしょう。
  114. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 御承知のように昭和四十八年、四十九年と非常な地価上昇が全国的に見られました。それは列島改造の影響等もあるのじゃないかということを当時国会におきましても非常に心配されたところでございます。これらの現象に対しまし七四党共同提案による国土利用計画法ができますとともに、それよりも一年ほど前になりますが、税制改正等も行われまして、投機的投資の抑制ということの手だてがある程度整備されすした。したがいまして今日以降におきましては、かつてのような投機目的での土地取引が非常に一定地域に集中をして異常な地価上昇を引き起こすというようなことはあり得ない仕組みは、おかげさまで皆様方のお力でつくっていただけたというふうに考えているのでございます。  しかしながら、地価の上昇というのは、御承知のように基本的には需要と供給の関係の上に成り立つ、さらにその上に投機的な需要、仮需要が横行するとさらにあおられる、こういう構造でございますから、投機的投資そのものが抑制されましても、基本的な需要、供給の関係があれば根強い地価上昇が見られるという地域も予想されるのでございます。  これらに対しましては、国土利用計画法のさらに一層の適確な運営を図りますとともに、必要な場合には同法に言う規制区域の制度の活用等も図りながら、今後とも気をつけて監視を続けてまいりたいと考えるわけでございます。
  115. 中川秀直

    中川(秀)委員 鋭意御努力をこれまたお願いをするわけでありますが、先ほど大臣もちょっとお触れになったのですけれども、三全総で言う定住圏構想、それからもちろん自治省にも広域市町村圏の構想があるわけですが、私きょうちょっとお伺いをしようと思うのは、建設省がお進めになっている、昭和四十九年からおつくりになった地方生活圏、これとこの三全総の定住圏構想というものが今後どのように絡み合うのか、あるいはどう調整なさるのかというようなことをお尋ねしたいと思うのです。  たとえば、時間がありませんから一例だけ申し上げますけれども、この三全総の定住圏構想によれば、もちろんこれは都市も入れてですが、全国でおよそ二百ないし三百の定住圏で都市を含め構成される、こういうふうになっています。一方、建設省がお進めになっている地方生活圏は、もっと細かくきちっとおつくりになっておられるのは敬意を表するのでありますが、全国百六十八の圏域ということで大都市、沖縄を除いて策定になっているわけですが、事業目的はそれほどいろいろ変わっているとは、両方読ませていただいても、そう違いを見つけることはなかなかむずかしい点があります。ほぼ同じと言ってもいいのじゃないかという気がいたします。  この両方の構想の事業が恐らく同時に生きているのだろうと思うのですが、それをお進めになるときにダブリの行政というか、ダブリの物の考え方が出てきやしないか。あるいは地域公団の都市整備事業等との関連もいろいろ出てくるはずであります。その辺をどのように整理なさっていかれるのか、今後のこととしてひとつ御見解を賜りたいと思います。
  116. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 広域生活圏の施策といたしましては、ただいま先生仰せのとおり、建設省地方生活圏百六十八カ所、それから自治省で広域市町村圏、大体倍の数でございますが、現在圏域施策がとられているわけでございます。三全総で定住圏を提唱いたしましたが、三全総にも明記してございますように、これらの既存の広域圏施策をベースにして、それをより一層発展させる方向で定住圏を掲げてまいりたいということを申し上げておるわけでございます。数としては二百ないし三百ということを掲げておりますけれども、これはあくまでも地方自治体住民の意向をしんしゃくしながら決めていただくということでございますから、私どもは二百ないし三百と掲げておるから二百ないし三百の範囲内におさめるべきであるということを主張してまいるつもりは実はございません。計画の構想の過程でわれわれなりに圏域というものを考えてみると、それが大体二百ないし三百の間におさまるであろうということを掲げたものであるというふうに理解しておるわけでございます。  今後の調整の問題でございますが、国土庁では昨年暮れから庁内に定住圏整備検討委員会というものを設けまして、各局それぞれ担当者が集まりまして種々検討を深めているわけでございます。一方本年度予算においても見られますが、自治省、農林省、建設省それぞれ既存の広域生活圏等につきましてのいろいろな見直しと申しますか、実は再検討の予算も組んでおります。  それから、そういうこともございますので、私どもも調整官庁として、かつまた三全総計画推進官庁としての立場から、これらの省庁と実はいま個別に意見交換を重ねておりまして、よりよい圏域をどうして形づくっていったらいいかということについていま調整を進めておる段階でございます。  さらに、一とおり終わりました後で、地方団体、これは中軸となるべき存在でございますから、地方団体の御意見等も伺ってまいりたい。そういった上で今後のあるべき圏域の姿はどうであるかという視点からの定住圏整備の方向を固めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  117. 中川秀直

    中川(秀)委員 各般にわたって考え方が左に行ったり右に行ったり、それぞれ同じ町や同じ地域において方向が違ってしまうようなことにならないように、これは大いに御調整なさる必要があるだろうと私も思います。御努力をお願いしたいと思います。  いま一つ、公営住宅の問題でございますが、現在の公営住宅建設五カ年計画四十五万戸と理解をいたしておりますが、この計画は五十三年度で三年目でありますけれども、この計画自身を見直そうとか、あるいはつくり直そうとかいうことはお考えになっていないのでしょうか。いかがでしょうか。
  118. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 公営住宅の計画でございますが、第三期住宅建設五カ年計画の中で四十五万戸という計画を組んでいる次第でございます。最近公営住宅の建設につきまして、特に大都市地域中心計画のおくれが目立っているということは事実でございます。五十三年度まで含めまして全国平均では四七%くらいの進捗率でございますが、三大都市圏の大都市地域でございますと、四四・六%というような低い進捗率になっております。  この原因は、やはり公営住宅として適当な用地がなかなか取得しにくい問題、あるいは関連公共公益施設の整備にかかわります地方公共団体の財政負担との調整の問題、あるいは地元周辺住民の方々とのいろんな環境問題をめぐるような問題がございまして、そういったことで難航しているわけでございます。  そういったことで、私どもとしましてはそういったいろいろな隘路を打開しながら、どうしてもこの計画の目標にできるだけ、あと二年、ことしも入れますと三年でございますが、含めまして努力したいと考えておりまして、五十三年度におきましても、住宅宅地関連公共施設整備促進事業とか、あるいは公営住宅につきまして、敷地を先行的に整備するような二万戸分の公営住宅敷地整備事業等を新しく設けますとともに、古い公営住宅の建てかえ事業推進を図るために、仮住居の借り上げ費に対する補助とかあるいは建てかえ分譲住宅制度の創設とか、そういったいろいろな手を講じましてこの達成に努めたいというように考えております。したがいまして、御指摘でございますが、現在のところこの計画を見直し、改定をするという考えは持っていないわけでございます。
  119. 中川秀直

    中川(秀)委員 そういたしますと、大体五カ年で四十五万戸ですから一年に九万戸、パラレルに割ってしまえばそういうふうになるわけですが、大体実績は二万戸弱くらい下回っているわけですね。いまお伺いをしたわけですが、土地の問題あるいはその他関連施設、環境整備の問題、地域の問題、いろいろあると思いますが、これから恐らく夏にかけてまた来年度の概算の御検討も進められるわけですが、ことしの予算の場合は、もう何回も御議論になっているように、予算総額が五十一、二年度よりも大方一万戸くらい少ない七万五千戸としておられるわけですね。その土地なりそういったいろいろな御努力と同時に、やはり計画は四十五万戸ですから、これを達成しようと思えば、それについての予算措置というものは当然していかなければならないと思うわけです。  そうすると五十四年度は、これからの問題でありますけれども、どうなさいますか。少なくともことしは一万戸少なくしたわけですね。そうすると五十四年度からは相当ピッチを上げていかないと、ただでさえ積み残しがある、二万戸ずつ減っている、ことしはさらに少し減らしたということですから、あと二年間相当のピッチでやらなければいけないと思うわけですけれども、最後にその辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  120. 救仁郷斉

    ○救仁郷政府委員 実は五十一年、五十二年、公営住宅は八万五千戸の計画を組み、予算を組んでおりましたが、現実の執行状況は残念ながらそこまで至っていない。五十二年度におきましては、五十一年からの繰り越しを含めまして七万二千戸、五十二年度分だけをとりますと六万七千戸しか達成できなかったというような状態になっております。  そういった事態を踏まえまして、私ども先ほど申し上げましたような、むしろいろいろな隘路打開の方策に力を入れていかなければならないということで、実は五十三年度予算の当初要求に当たりまして、そういった地方公共団体から実現可能ないろいろな戸数をヒアリングいたしました。そして昨年の八月段階におきましては大体七万戸程度ということで、実は当初要求では七万戸の要求をいたしたわけでございます。ところが予算編成の十二月時点で再度地方公共団体のヒアリングをしましたところ、そういったいろいろな隘路打開の努力を各公共団体ともした結果、大体七万五千戸というようなヒアリングの結果が出ましたので、急遽当初要求以上に七万五千戸の予算を組んでいただいたということで、私どもはまだ一〇〇%完全とは申しませんが、相当そういった隘路打開の手が打たれて、そして今後上向き基調になっていくというような判断をしております。  そういったことで、私ども正直に申し上げまして、四十五万戸が一〇〇%あと二年でできるとは考えておりませんが、できるだけこれに近づけるような努力をしてまいりたい、予算編成上も、またそういった隘路打開の上でも努力をしてまいりたいというように考えております。
  121. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  122. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十五分散会