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1978-03-31 第84回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三十一日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 北側 義一君       有馬 元治君    井出一太郎君       大塚 雄司君    瓦   力君       住  栄作君    谷川 寛三君       玉沢徳一郎君    登坂重次郎君       中島  衛君    松野 幸泰君       渡辺 紘三君    井上 普方君       伊賀 定盛君    福岡 義登君       吉原 米治君    渡部 行雄君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         建設省住宅局参         事官      丸山 良仁君  委員外出席者         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 三月三十一日  辞任         補欠選任   内海 英明君     玉沢徳一郎君   佐野 憲治君     井上 普方君   田川 誠一君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   玉沢徳一郎君     内海 英男君   甘利  正君     田川 誠一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六号)      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  3. 吉原米治

    吉原委員 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案について質問をいたします。一昨日の渡部中村同僚議員質問と重複しないように進めていくつもりでございますが、若干関連する部分も、あるいは確認する部分も出てこようかと思いますが、よろしくお願いいたします。  まず、質問の第一は、住宅金融公庫法十七条及び二十条で規定しております標準建設費についてお尋ねをいたします。  法によりますと、地域別規模別構造別標準価格公庫主務大臣の承認を得て決めることになっておりますが、その具体的内容説明をまず最初にお願いいたします。
  4. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 現在、住宅金融公庫標準建設費を定めておりますが、これはまず平米当たり単価を定めまして、それに標準面積を掛けまして、もちろん地域別でありますが、そして建築費を出すというような仕組みで地域別に決めているわけでございます。
  5. 吉原米治

    吉原委員 具体的に御説明をお願いしたいという質問でございますから、いまのような説明ではちょっと理解をいたしかねますので、単価はどういうふうに決めておるのか、単価内容についても触れていただきたいし、また構造別規模別、こういうふうなものについてももう一度もっと細かく説明を願いたいと思います。
  6. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 単価につきましては、公庫融資してつくられた単価実績を見まして、まあ実績平均よりは低うございますが、最低これくらいではできるだろうというような線のところで単価を決めております。  たとえば東京でございますと、五十二年度でございますが、木造でございますと平米当たり単価が八万七百円というようなことになっております。それから不燃構造で八万五千四百円、簡易耐火構造で九万一千七百円、耐火構造で九万四千九百円というようなことに相なっております。
  7. 吉原米治

    吉原委員 大抵この程度なら建設できるだろうという考え方単価設定をしておるという御答弁でございますが、それでは具体的に質問いたしますが、特別地域とそれぞれ甲、乙、丙という形で地域別に分類されております。私の所属する地域乙地域にたまたま該当しますから、建設単価についてはよく承知をいたしております。したがってこの乙地域の場合は、木造の場合平米当たり六万二千八百円、坪に直しますと約二十万ちょっとの単価でございますが、こんな単価ではとても家は建てられない、これがまず第一でございます。  それから公庫法の二十条の貸付金限度、これが定義づけをされておりますが、それによりますと「住宅建設費及び土地又は借地権の価額の八割に相当する金額」これが貸付金限度額になっております。なおまた「標準建設費は、地域別規模別及び構造別に、住宅については国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅建設のため通常必要な費用を、」云々、こういうのが実は二十条の五項に出ておるわけでございます。  そうしてみますと、いま御答弁なさった大抵このぐらいなら建設できるだろう、こういう考え方で出された単価そのものが余りにも低過ぎるということと、法二十条で言う貸付金限度、八割に相当する金額限度とする、こういうことになっておりますが、現実にはどうも一戸当たり幾らという概算といいますか、実は根拠のない形で融資がされておるやに理解をいたしておるのですが、その点公庫の方はどういう立場でこの問題を考えておられるのかはっきり御答弁を願いたいと思います。
  8. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 確かに先生指摘のように、住宅金融公庫個人融資額というものが、従来非常に低うございました。したがいまして、これを年々改善してまいっておりまして、現在、御承知のように、五十三年度最高五百万というようなことにいたしたわけでございます。  その考え方の基礎には、先生のおっしゃるように、四百五十万を五百万に引き上げるというような形で、年々実態に合うような改善をしてきております。たとえば五十三年度の予算でございますと、一応融資率については、規模が七十平米融資率七九%、単価が六万六千八百円、これは全国平均でございますが、そういうような形で組まれております。実行ベースにいたします場合に、これをいろいろ地域別規模別に分けてまいりますので、実行ベースに直しました場合には、たとえば東京特別地域では五十三年度におきましては八万六千六百円で、八十平米融資率七二・二%というような形で積算しております。  御指摘のように、法律上八〇%を限度とするということでございますが、私どもはせいぜい八〇%の以内、限度でございますから以内ということでございますが、これに近づけるべく年々改善してまいりたいというように考えている次第でございます。
  9. 吉原米治

    吉原委員 年々改善をしてきているという御答弁でございますが、ことしを含めて過去七年間の個人住宅貸付限度額の経過を見てみますと、昭和五十年度までは確かに法で定めておる八〇%ずばり融資をしてきておるのです。ところが五十一年、五十二年と限度額頭打ちになっております。単価はそれぞれ年々上乗せしてございますけれども限度額頭打ちになっておりますので、いま御答弁されたような年々改善してきておるのだ、八〇%相当額に近づける努力をしてきておるのだということにはなっておらないわけでございますが、どうですか。
  10. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 確かに、御指摘のようにここ二年ずっと足踏みしております。この考え方は、その当時融資の申し込みが非常に多うございました。抽せんにせざるを得ないという状態で、戸数枠も少なかったということで、そのために私ども判断として、一応建築費値上がりも若干おさまってきておりますし、むしろそういう機会に戸数枠をふやすべきではないかというような判断で二年据え置いた。それが実質融資率が若干下がってまいりましたので、五十三年度においては五百万というように今回手直ししたということでございます。
  11. 吉原米治

    吉原委員 残念ながら、どうも現状認識なさってないような気がするのです。木造の場合で試算をいたしますと、現実に当てはめて八〇%というパーセントは乙地域において計算し直しますと五一%、そういうことになっております。いまあなたが答弁されたような現実になってない。  そこで単価内訳について、乙地域では五十二年度で平米当たり六万二千八百円、この単価内訳をお知らせ願いたいと思います。
  12. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども単価積算します場合に、一つ一つ材料あるいは労務というものを拾って積算しているというようなことではございません。むしろ、住宅金融公庫実績、そういう実績調査をやっておりますから、その実績調査を参考にしながら、それがどういう値上がり傾向で過去一年に値上がりしたかというようなことで構成比を調べまして、そして各構成比要素ごと値上がり率によって昨年より幾ら上げようというようなことで積算しているわけでございます。
  13. 吉原米治

    吉原委員 実績調査とおっしゃいますけれども、このぐらいの値段でおよそ家は建てられるだろう、こういうことで単価を決めておる、こういうことを最初におっしゃっておるのですが、実績調査をして果たして平米六万二千八百円というような木造建築乙地域現実になされておるのかどうか。乙地域ではもうほとんどそういう価格でやられておるんだ、こういう説明なら納得行くのですよ。ところがいまおっしゃったように、たまたま希望者が多いものだから、全体の財源とにらみ合わせてより薄く、広く希望者にこたえようという、これは政策的な単価だというふうに私は理解するのですが、どうですか。
  14. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生指摘のように、できればやはりいい住宅をつくっていただきたいということでございます。たとえば乙地域実績を見てみますと、これは乙地域と申しますより島根県下全体でございますが、この平均が五十二年度におきまして平米八万一千百五十九円ということになっております。これは当然平均でございまして、りっぱなおうちをお建てになる方の分も含めた平均でございます。したがいまして、私どももこの単価をできるだけ高くしたいということは念願しておりますが、少なくともこういった平均単価の八割程度単価のところまでは改善しようということで、現在五十三年度におきましては六万七千四百円というような形で設定する予定でございます。
  15. 吉原米治

    吉原委員 恐らく予算要求段階では単価積算等についてはされておるだろうと思いますが、具体的に大工の手間賃幾ら、左官の手間賃幾ら、その他の付帯人件費幾ら資材費幾らという細かい計算根拠が私はあると思うのです。できれば一つ一つ説明を願いたいのですが、もし細かく金額が言えぬということになれば、せめて単価の中で占める割合労務費資材費割合とか、そういった割合では説明ができるはずでございますから、その説明をお願いしたいと思います。
  16. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、個々の資材労務というような形で積み上げているわけではございませんで、実績単価を調べまして、それに値上がり率というものを掛けて積算いたします。その値上がり率積算の場合に、いろいろな資材なり労務なりというものを大きくくくりまして、その中でその部門が幾ら値上がりしたかというようなことを算定いたします。したがいまして、大きく分けますと、資材労務という形に二つに分かれまして、資材が約五三%、労務が四七%ということになります。資材の方は、たとえば木造でございますと、その中で木材が二四・五%というように細かく分かれているわけでございます。それごと値上がり率というものを算定いたしまして、総合的な、ちょうど物価指数を出すような形で値上がり指数を出しまして、実績に掛けて予算要求しているというような形に相なっているわけでございます。
  17. 吉原米治

    吉原委員 したがって、後で大臣お尋ねいたしますが、こういった現実とかなりかけ離れた単価設定、それのまた八掛けにも到達しないような融資限度、いま乙地域で試算しますと五一%にも満たないような、つまりもう実質半額補助、あとの半分は勢い他の金融機関から金を借りなければ家が建てられないという非常に現実から離れた取り扱いがされておるということを、最初に御認識をしていただきたいと思います。  質問の二点目は担保設定についてお尋ねをいたします。そもそも公庫法目的は、「銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的」としているのでございます。したがって、公庫から融資を受けた場合は当然のことのように一番抵当を組む。ところが、先ほど答弁の中で明らかになっておりますように、実際の費用の二分の一しか実は融資してもらえない関係で、どうしても残りの二分の一は他の金融機関に頼らざるを得ない。ところが、他の金融機関から借りようとしても、二番抵当じゃ私のところはお金を貸すわけにはいきません、こう断られるケースが非常に多いのですよ。こうなってまいりますと、現実には金融公庫の金を借りて家を建てられない、これが現実の姿なんです。そうは言っても、昨年までは抽せんをしなければならぬほど希望者があるじゃないか、こうおっしゃるでしょうけれども現実にいままで金融公庫を利用してきた人たちは、考え方によれば他の金融機関からでも金が借りられる、そういう階層なんです。ところで、そういうケースにぶつかったときに担保順位を下位の担保順位に変えることができるんですか。
  18. 大津留温

    大津留説明員 公庫債権保全のために抵当権設定しておりますが、第一順位抵当権設定をお願いしておるわけでございます。それで、普通、金融機関は、公庫がやはりまずお金を貸して、その足らない分を銀行その他に借りに行かれるわけですね。したがって、まず公庫融資があって、したがって第一抵当がまずついておる、そういう状況を是認されて、そういうものを前提とされてお貸しいただくというので、大体私が承っておるところでは、金融機関は第二抵当でよろしいというふうに言っていただいておるわけでございますが、しかし何かの関係で他に第一順位のものがあって公庫が第二順位にならざるを得ないというような場合は、それはそれでもやむを得ないというふうに考えております。
  19. 吉原米治

    吉原委員 もう一度確認しますが、どういう場合に第二順位になってもいいとおっしゃったのですか。何かの都合でというのはどういうことを連想されておるのですか。
  20. 大津留温

    大津留説明員 抵当権担保になお余裕がある場合がございますね。その状況を見まして、第一抵当がついておるけれどもその担保範囲が非常に狭い、なお余力があるというところを見まして、それでも公庫債権保全には差し支えないという場合には第二抵当にするということがございます。
  21. 吉原米治

    吉原委員 わかりました。必ずしも第一順位にこだわらぬ、状況次第で第二順位になってもよろしい、こういう御答弁をいただきましたから、前段言いましたようなケースの場合にはひとつぜひそういう面で運用をしていただきたいと思います。  それから、質問の三点目は金利の問題でございます。今日まで、住宅金融公庫勤労者階級にはかなり好評を得てきております。抽せんをしなければならぬほどたくさんの応募者が過去あったわけでございますが、これは他の金融機関よりも比較的金利が安い、こういうことが大きな魅力になっておったわけでございますが、これは一昨日のわが党議員質問の中でも答弁をされております。したがって、確認のような形になると思いますが、そのときにも答弁の中でおっしゃっておるように、財投資金金利が下がれば連動して公庫も下げる、この種の答弁をされておりますけれども、その見通しについてお尋ねをいたしたい。  特に、昨日開かれておるようでございますが、郵政審議会における財投資金の六制を占めていると言われる郵便貯金の利下げの問題です。郵政審議会ではかなり問題が難航しておるように伺っておりますが、そういう郵政審議会審議のほど、あるいはどの程度内容のものが決定されるだろうか、まだ不明な点が多いわけでございますが、そこらを含めて金利の引き下げができる見通しあるいはその時期、こういったものについて両度ひとつお尋ねをいたしておきたいと思います。
  22. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先日も大臣からお答え申し上げましたように、財投金利が下がった場合には公庫金利も下げるということは、これは経済対策閣僚会議で決定されております。ただ、先生の御質問のいわゆる郵政審議会見通し等につきまして、あるいは下げ幅あるいはそれに伴う財投金利の問題につきましては、私、新聞でしか見ておりませんが、きのうもいわゆる白紙で御討議願っているというような状態で、まだ御提案もされてないというような段階でございまして、私どももそういったことは内容見通し等も全然伺っておりません。  それからもう一点は、時期の問題でございます。私どもはこういった状態の中でできるだけ早く募集を開始したいということで、四月中には募集を開始すべく手続、準備を進めているところでございますが、もしそういったものに仮に郵便貯金あるいは財投資金金利というものが間に合わなかった場合どうするのだということでございます。これにつきましては私どもは当然に、もし決定がおくれた場合でも四月募集分からさかのぼって適用したいというように考えておりますし、そういった態度で財政当局と協議してまいるというように考えております。
  23. 吉原米治

    吉原委員 もう一つ確認しておきたいのですが、財投資金金利下げ幅イコールになるのでございますか。
  24. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 私どもは少なくともイコールにしたいというように考えております。
  25. 吉原米治

    吉原委員 続いて質問を進めたいと思います。  このたびの改正で、構造物だけでなくて土地に対しても融資対象となるわけでございますが、従来よりどの範囲宅地拡大をされたのか。従前は土地区面整理事業施行区域内に限るというふうに認識をしておったのですが、範囲拡大された。この拡大された範囲次第によっては、大変都市計画との整合性がとれなくなるおそれが実はあるわけでございますので、従来からどの範囲にひとつ宅地範囲拡大したのか、これを御説明願いたいと思います。
  26. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生指摘のように、特貸しという制度の中で、災害に遭われた方あるいは公共事業で立ち退かれた方、こういう方は別にしまして、一般的に土地費をお貸ししているというものは、先生の御指摘のいわゆる土地区画整理の済んだ保留地とか等をお買いになった方ということになっております。今回これをもっと広げるべきではないかということで、土地区画整理分も含めて約五万戸分、土地つきを用意しておるわけでございます。  ただ、私どもも同様に、これがミニ開発的なものにつながったら大変なことになるという認識を持っておりまして、五十三年度においては、都市計画法による開発許可を受けた宅地開発、あるいは都市計画区域外でございますと、租税特別措置法による優良宅地として知事の認定を受けた宅地開発、こういった優良な宅地開発で、かつミニ開発にならないように、かつ百四十平米以上の敷地を対象といたしたいと考えている次第でございます。
  27. 吉原米治

    吉原委員 ここで、ひとつ大臣お尋ねをしたいわけでございます。  いままでの質問なり答弁を聞いておられておわかりになったと思いますけれども、今度の法改正のねらいは、景気回復の一環として低所得者階層にもひとつマイホームを持たせようじゃないか、こういう御配慮かと思っております。しかし、一昨日からの答弁を聞いておりまして、あるいはまたきょうの質問答弁を聞いていまして、償還期間延長といっても結果は総額でよけい払わされることになるし、金利は現在までは従来と変わっていない。そうでなくても不況下でお先真っ暗の現状で、しかも薄給で悩む多くの国民は自分の家を建てようなんという気に少なくともならないと思います。したがって、金融公庫法目的を一〇〇%生かそうという立場からのお考えだとするなら、もっと大幅に金利を下げるとか、あるいはそれができなければ無利子の期間を一定期間おくとか、建設戸数をいまの計画から減らして一戸当たり限度枠をせめて実際の建設費の八割から九割ぐらいに相当するような融資額にしないと実効性が上がらない、金融公庫法目的からして余りにも法改正の意義がないように思えてならないのですが、大臣はその点をどうお考えでございますか。
  28. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の法改正に先だって、御承知のように前倒しをいたしたわけであります。当時、その前倒しがどの程度になるかは皆さんとともに非常に関心を持っておったわけでありますが、予想外一般民間の意欲が大きいことが実証されておると思うのであります。  そこで、金利関係については、これは原資が下がれば下げるという方針には立っておりますから、この方は御理解をいただけるものと思いますし、また新たな減税措置もとられておりますし、その他の、すでに御質問になりました枠の拡大とか償還期間延長あるいは据え置きとかいうものを総合して考えますれば、今岡のは従来よりは所得の低い方に対応した措置ではないか。  ただ、吉原委員のおっしゃるように、据え置き期間中無利息でもっと期間を延ばしたらどうか、これは一つ考え方ではございます。しかし、それには財政負担必要性が出てくるわけでございますから、なかなかそこまでは行き切れないと思うのであります。  なお、償還期間延長は結局返済総額においてはふえるのではないか。これは借入金の返済の場合に長期になればそういう結果にはなります。しかし、返済の都度の負担はそのことによってわりあいにやわらいでいくということも事実でありますし、またその返済期間については最高期間を設けてその期間以内ということで、もう少し短期に返済するとか、時と場合によっては一括で払うのだということについては相当弾力性を持っての措置をとり得るものと思っております。  一つ一つ取り上げて、いろいろ御批判の点も出てまいりますが、今回の措置はそういうワンセットで御理解をちょうだいしたいと思います。
  29. 吉原米治

    吉原委員 肝心の点を一つ大臣お答えになっていないのでもう一度お尋ねするのですが、私が大臣お尋ねしたかったのは、いま言われたこともさることながら、一番肝心なことは、現実に低所得者公庫融資を利用しようとする場合に、融資の額が乙地域のようなところでは実際の建設費の五〇%相当しか融資がされてない。これは余りにも現実から離れた制度ではないか。この点は、今回は修正をされる用意はございますまいからあえて申し上げませんが、今後の公庫融資制度をもっと現実にマッチした、本当に利用する立場に立った内容改正することを考えるべきじゃないか。この点を大臣にお考えを願いたかったのであえて質問をしておるわけでございます。  現実に、半額補助では残る半額を他の金融機関に頼らざるを得ぬ。他の金融機関にお願いしてもだめなら、この五〇%の補助では家を建てられぬというのが現実なんです。それでも家を建てられるのはむしろ他の金融機関に依拠しても建てられる階層なんだから、その点を大臣に篤と御認識を願いたい、またそういう方向で今後の改正についても御検討を願いたいという立場質問をしておるのでございます。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 乙地域吉原委員の御計算で五一%程度だ、これは私もよく研究させていただきたいと思います。建設の御専門の吉原委員の御計算で、それを疑うとかどうとかでないので、私も一方において八〇%と宣伝しておりながら、現実には五一%だということについては研究の価値は十分あると思います。  ただ、乙地域の場合あるいは勤労者の方々の場合に、財形貯蓄制度であるとか他の勤労者に対応する金融機関とかいろいろあるのではないかと思うのです。それらを勘案しながらおやり願うならばそう非常に困難な状況にあるのではないのではないか、こういうふうに思いますが、せっかくのきょうの御指摘でありますので、私も誠意を持って研究させていただきたいと思います。
  31. 吉原米治

    吉原委員 大臣、研究するとおっしゃるからちょっと申し上げますが、単純にわかっていただけると思っておりましたのでしつこくお尋ねしませんでしたけれども単価実質単価よりもはるかに低く見積もって、それでいま八十平米以上は八十平米として計算をするわけでございますが、単価を低く見て、それに八十平米なら八十平米以上の建物は八十平米として計算をする。それの八掛けということでございますから、だから実質大臣も同出身地、私も同県でございますが、考えてみてすぐわかると思いますけれども、坪二十万やそこらの金ではとうてい木造建築というものも建たない。そういうところから非常に現実離れをした、単なる公庫側の全体の枠組みといいますか、財源の枠といいますか、希望者に広く浅く利用してもらおう、そういう考え方があるように思いますので、実質計算をいたしますと、五〇%そこそこの融資制度にしかなっていないのだ。こういう点、私は先ほどから平米単価の問題についても、その現実離れをした不当性といいますか、矛盾している点を指摘してきたわけでございます。どうぞひとつ、特別にむずかしい数学を勉強していただくということでなしに、ごく簡単な問題でございますので、ぜひそういう——片一方では八割あるいは耐火構造では八割五分に相当する金額限度として融資をします。一般的には八割なり八割五分が出るものなりと、そういう理解をするのです。にもかかわらず、片一方ではそういうことを置いておいて、一戸当たり乙地域幾ら、甲地域幾らというような、つまみ財源を当てはめるような、そういう形で処理してあるところに私は矛盾がある、現実離れがしておる、こういう点を強調したわけでございます。ひとつ勉強なさるとおっしゃるのですから、大いに研究していただいて、少なくとも現実に低所得者層の勤労者が利用し得るような、そういう制度に今後はひとつ御検討願いたいと思います。
  32. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ちょっと私からも、御理解していただいてない点があるので申し上げますが、住宅局長の方からは、現在とられているのは実績によって、それをもとに考えておる、それからもう一つは、五十三年については、ただいまお示しの六万二千八百円じゃなくて六万七千四百円にする予定である、こういうふうに申し上げておりますから、今後乙地域の実際がどうなるか、そこのところが私としては一番研究したいというところでございます。  ただ、おっしゃっておる現在までの数字は、御専門の志原委員で、それはもうおっしゃるとおりだろう、こう私は前提を置いておるわけで、五一%にしかなっていないよ、それは八〇%と言っておるのにこれは私としてもどうかな、しかしいま申し上げたような点からひとつ研究をさしていただきたい。御質問の御趣旨はよく承知しておるつもりでございます。
  33. 吉原米治

    吉原委員 続いて五点目の質問に入りたいと思いますが、これは簡単な質問でございますから、ひとつ時間をかけずに御回答を願いたいと思いますけれども、財形住宅についてでございます。  三月三日の日経新聞の報道によりますと、五十二年度予定戸数一万五千戸に対してわずか融資希望は四百四十一人という報道がなされております。一体これはどういう理由に基づくものなのか、あるいはまたこういう状況を踏まえて新しい五十三年度としてはどういう見通しを持っておられるのか、お答えを願いたい。
  34. 大津留温

    大津留説明員 財形住宅融資は五十二年度から始めたわけでございますが、PRの不足もございましたためか、お示しのように実績は上がっておりません。これはPR不足のほかに原因がいろいろ考えられますが、一つは、財形貯蓄そのものがまだ始まって五、六年というところで、貯蓄額が平均で二十四万円と聞いております。したがって、これをもとに住宅資金を借り入れるほどの額に至っていないというところも原因であろうかと思います。  また、貸し付けの条件がちょっと実情に沿わない点があったんじゃないかという反省もございます。  したがいまして、五十三年度におきましては、いろいろ改善策をとりましてこの伸張を図っておるわけですが、その第一点は、融資額を引き上げる。これは従来貯蓄額の二倍までということでございましたが、これを三倍まで貸し付ける。それから融資対象でございますが、いままでは住宅の新設に限っておりましたが、これからは中古住宅の買い入れあるいは住宅改良、これにも融資する。なお、公務員、公社員等につきましては私の方の融資対象に入れていませんでしたが、これは労働省の方の法律改正が行われまして、これを対象に加えるということになりました。償還期限も住宅金融公庫融資に合わせて延長する。こういうような改善策をとりましたので、五十三年度におきましてはこれは相当伸びるのじゃなかろうか。  それから、先ほど大臣の御答弁にもありましたが、この跡形住宅融資公庫融資と合わせ貸しができますので、したがいまして、この両方を御利用になると相当額融資が受けられるということになろうと思います。
  35. 吉原米治

    吉原委員 再質問したいのですが、ちょっと時間が迫りましたので、次の質問の第六点目に入りたいと思います。  住宅建設と並行して考えなければならない問題は、宅地の問題があるわけでございます。そこでお尋ねをしたいのは、第三期住宅建設五カ年計画、五十一年から五十五年度の間の計画でございますが、これが達成のために必要な宅地供給の見通し、こういうものはどのように立てておられるのか。新聞報道によりますと、至ってさびしい報道がなされております。七割程度しか確保できないのじゃないかという報道も実はされております。そういう立場でひとつ見通しの点についてお尋ねをしておきたいと思います。  また、宅地供給が円滑にいかない理由の一つに、地方自治体が、宅地開発に伴う道路や下水道、こういった関連公共公益施設整備費の負担に今日の地方自治体の現状から耐えられない、開発はこれ以上もうごめんだ、そういう地方自治体の実は実情があります。したがって、そういう面では五十三年度予算では新規に三百億ばかりの予算が組まれておるようでございますが、これらが一体どのように使われようとしておるのか、その計画をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。  さらに、昨年の住宅委員会でも実は確認をしておりますけれども昭和四十七年の本衆議院の建設委員会で決議がなされております。これは先ほど前段に申し上げました、関連公共公益施設整備費の負担にたえられないという地方自治体の現状を救済する意味で、四十七年にこの建設委員会で決議がされております。その内容、その趣旨が、一体その後の執行面にどのように反映されてきたのか、ひとつ御説明を願いたい。
  36. 大富宏

    ○大富政府委員 第三期住宅建設五カ年計画に必要な新規宅地用地というのは六万六千ヘクタールと計算いたしておるわけでございます。六万六千ヘクタールと申しますと、年平均少なくとも一万三千ヘクタールずつは供給しなければならない、こういう事情でございますが、御案内のとおり、石油ショック以降非常に宅地供給量が激減している状況でございまして、四十七年をピークにいたしまして逐年、大体五十年度は一万八百ヘクタールくらい出ようかと思いますが、五十一年、五十二年の実績はまだ出ておりませんけれども、ほぼ横ばい、一万一千ヘクタールぐらいじゃないかと思います。そうしますと、六万六千ヘクタールに足りないじゃないかという御質問になろうかと思いますけれども、現在すでに過去に宅地供給したストック、いわば区画整理で生み出したものとか、あるいはその他の民間、公的開発機関が生み出したところの宅地ストックというのが、私ども計画では約四万ヘクタール程度現在あるわけでございます。この第三期住宅五カ年計画に必要な六万六千ヘクタールを、第三期住宅五カ年計画のタイミングに合わせて宅地供給したのでは、実は間に合わないわけでございますから、この第三期住宅五カ年計画に使用する宅地というのは、もうすでに造成をやりつつあり、あるいは完成した宅地が充てられる。私ども今後必要なものについては、長期的にやはり相当宅地が要る、良好な市街地が要るという観点から施策を進める必要がある。そういう意味におきまして、毎年毎年非常に減少はいたしましたけれども、一万一千ヘクタール程度は横ばいとして出ているということと、それから過去の宅地ストックを考えますと、第三期住宅五カ年計画六万六千ヘクタールに対処する宅地量としては心配はないと思うわけでございますが、長期的に見て、このように非常に減少した宅地供給で将来大丈夫かという問題があるわけでございますので、これに対しましては公的、民間の宅地開発事業に対して低利の資金を確保するとか、あるいは御指摘にありましたように、現在宅地供給のネックになっておりますところの関公の整備の助成をやるというような施策を通じまして、良好な宅地供給に努力いたしたいと思っておる次第でございます。  そこで、次の関連公共公益負担の問題でございますけれども、やはり現在住宅宅地開発を進めるに当たりまして一番ネックになっているのは、宅地開発のコストの中に占めるところの関公負担が非常に大きい、しかもそれが最終需要者にしわ寄せされるという問題があるわけでございまして、御指摘のように、この四十七年の衆議院の建設委員会におきましても決議され、また昨年の五月にも当建設委員会の小委員会で報告がされたところでございまして、その後の改善状況について御説明申し上げたいと思います。  まず四十七年の衆議院建設委員会で決議されたものは五点ございまして、一つは、公共公益施設の整備のための財源強化、二番目には立てかえ施行制度、特に住宅金融公庫の立てかえ融資制度改善、三番目に負担範囲の基準の明確化、四番目に団地と周辺地区の格差是正、五番目に民間宅地開発事業の立てかえ融資制度の検討、この五点だろうと思います。  まず、公共公益施設の整備のための財源強化でございますが、児童生徒急増市町村等における小中学校校舎、屋内運動場、幼稚園園舎、消防施設、こういったものの国庫補助率の引き上げを行っております。四十七年の決議をなされた段階におきましては二分の一あるいは三分の一という補助率を、現在時点におきましては三分の二あるいは二分の一というぐあいに改善を見ております。  それから、地方債のかさ上げと利子補給等の問題につきましては、地方債の充当率、当時三〇ないし七五%でございましたけれども、それを六〇ないし一〇〇%に充当率を上げるとか、あるいは地方債のかさ上げ、それに対する利子補給というものも現在やっておるところでございます。  それから五十三年度、こういった関公対策に対する全く新しい施策といたしまして、従前の補助に加えまして別枠で三百億を計上したところでございます。余り時間がございませんので簡単に申し上げますと、この三百億は、住宅宅地開発の促進に資するために、従前の補助枠に加えまして計上した国費でございまして、対象になりますのは建設省所管の道路、河川、公園、下水道という公共施設に対する補助でございまして、補助申請者は通常の公共施設の補助申請者でございまして、開発デベロッパーに対する補助じゃございません、こういった公共施設管理者に対する助成でございます。これによって、従来の補助にも加えて相当関公に対する整備が促進されるものと考えておるわけでございます。  それから、決議の中にございますところの立てかえ施行制度、特に住宅金融公庫の立てかえ融資制度につきましては、対象事業の規模、当時三十三ヘクタール、千戸以上ということでございましたが、これを現在十六ヘクタールあるいは五百戸以上というぐあいに規模を引き下げております。それから融資率の引き上げなり償還条件の大幅な改善なりあるいは対象施設の拡大なりということを行ってまいりました。  さらに、団地と周辺地区の格差是正等の問題につきましては、住宅金融公庫の立てかえ施行制度対象施設に児童館とか公民館、体育館というような地域環境施設整備を追加して、その充実を図っているところでございます。  さらに、民間宅地開発事業の立てかえ融資制度の検討につきましても、四十九年度から住宅金融公庫融資にかかる民間宅地開発事業につきまして、公庫の立てかえ融資制度を適用している次第でございます。  このように逐年、関公につきましては、従来の制度の整備拡充、改善に努力してまいったわけでございますが、当委員会の決議の御趣旨に基づきまして今後も努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  37. 吉原米治

    吉原委員 時間が参りましたので終わりにしたいと思いますけれども、いまお尋ねしたように、お答えの中にありましたが、五年前の四十七年に今日あるを見越してこの委員会はいい決議をしておるわけでございますから、いまお答えになったように内容部分的には前進した部分がございますけれども、総体的に言ってまだまだその決議の内容にはほど遠い感じがいたします。まあ公庫の立てかえ資金を民間宅地開発専業にも融資という制度も四十八年には創設されておりますけれども、あるいは小中学校の校舎建設については決議どおり前進しておる、そういう部分的な前進は評価いたしますけれども、全体としてはやはりほど遠い感じがいたしますので、より今後もひとつ執行面にこの決議の内容、趣旨を生かしていただいて、ぜひ宅地供給問題、なかんずくこの地方自治体の抱えております悩みを解消するために御努力を払っていただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わります。(拍手)
  38. 伏木和雄

    伏木委員長 北川義一君。
  39. 北側義一

    ○北側委員 今回の住宅金融公庫法の一部改正につきましては、貸付金償還期間延長や、また貸付金に一年以内の据え置き期間を設ける等、限度額の引き上げ等につきましては一歩前進と私たち理解しておるわけでありますが、住宅金融公庫が行いました昭和五十二年度一般個人住宅の資金利用者調査によりますと、公庫金利用者の低所得層化が非常に目立っておるわけです。たとえば一戸建て住宅の利用世帯の収入区分、これを見ますと、第一分位は、昭和五十年が四・八%、五十一年が一〇・一%、昭和五十二年が中間集計で一五・九%、このように所得の低い人たち、こういう人たちが利用する分が非常に増加しておるわけです。で、高額所得者は、それに相対しまして比較的減少傾向にあるわけです。これは、高層住宅の利用者世帯の収入区分、これを見てもやはり同じような傾向があるわけであります。  今後の公庫資金というのはやはり、どうしてもその利用者が所得の低い、そういう階層に移行していくのではないか、このように私は思うわけでありますが、そう考えてみた場合に、これはやはり一つ限度、借りられる限度があるのではないかと私考えるわけです。そうした場合に、わが国の今後の住宅政策の方向というものは——現在では公的資金住宅というのは、これはもう御存じのとおり公営、公団その他いろいろありますが、そのほかこの公庫融資になっておるわけですね、一体どういう方向にわが国の住宅政策というのはこれから進んでいくのか、それをまずお伺いしたいと思うのです。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 従来しばしば申し上げておるところでございますが、低所得者層については公営住宅、また中堅所得といいましょうか、そういう階層には公団住宅というようなこと、それから昭和六十年を目標にいたしまして低い所得の方でも三DKの住宅には入れるように、それから中堅所得者は三LDKには入れるようにというような目標も掲げて努力をしておる次第でございますが、いまお示しのように、公庫の借り入れの方々は次第に低所得層がふえつつある、したがって、私どももそれにできるだけこたえていく必要があるのではないかということが今回の公庫融資の各種条件の緩和ということになっております。  基本的には前段に申し上げたような考え方に立っておりますが、公庫融資の利用者の傾向についても十分配慮いたしながら、今後も低所得者層の方にできるだけの御利用を願えるように工夫をしていくべきである、このように考えます。
  41. 北側義一

    ○北側委員 今回の措置先ほど申し上げましたとおりやはり一歩前進の施策であった、こう考えておるわけです。しかし、これは五十二年度の調査ですから今回の金額とかなり変わってくるのじゃないか、こう思うのですが、いずれにいたしましても、この調査報告によりますと、建築工事費が土地費を除いて一戸当たり約八百七十五万、こうなっておるわけですね。その資金調達を見ますと、手持ち資金が二百五十一万、公庫借入金が三百七十三万、公庫以外の借入金が二百五十一万、こうなっておるわけです。  ここで問題になりますのは、やはり土地費が除かれておる計算でこうなっておるわけですね。たとえばいまこの関東、三大都市圏、こういうところの地価というのは、御存じのとおり非常に高い地価なんです。それを加えますと、一般の都市サラリーマン、勤労大衆にはこれじゃとてもじゃないが手の出せるしろものではないということは、もう御理解願えると思うのです。そこらがやはり——たとえばいまこの金融公庫法改正しまして条件の緩和がなされましても、では、この条件の緩和がなされたその分で、果たしてそういう土地を持たない都市サラリーマンとかまた一般勤労者大衆が公庫の金を使って家を建てられるだろうかということを考えてみますと、私は、不可能に近いということは言えるのじゃないか、こう考えるわけなんです。  だから、やはり国のこれからの政策というのは、いま大臣も仰せになりましたとおり、低所得者層に対しては公営住宅、中産階級いわゆる中堅階級には公団住宅公庫もできるだけそういう安い所得者に使っていただこう、こういうお考えはよくわかるわけですが、やはり国の住宅対策の進むべき方向として、ここらで抜本的に考え方を変えなければいけない時期が来ているのじゃないかというような気が私はしてならないのです。そういう点をいま一度御答弁いただきたいと思うのです。
  42. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先生指摘のように、特に東京、大阪等の大都市におきまして年収三百万程度のサラリーマンの方が年収程度の貯金を持って土地つきの一戸建ての住宅を現在お買いになるということは、これは確かに大変でございます。したがいまして、現在の段階では、いわゆる大都市でございますとマンションがございます。五十二年度の東京におきます住宅金融公庫融資を受けてお買いになった方々の平均価格というのは、千三百五十万でございます。これでございますと、私どもの試算では三百万以下の方々でも手が届くというように考えております。そういったこともございますし、またさらに、先生の御指摘の、今後そういった年収二百万円台あるいは三百万円台という方々が容易に家が持てるような政策をとる、これが住宅政策の基本だとわれわれも認識しております。  そのためには、いろいろな融資条件を改善していくという一方、やはり土地価格住宅価格というものを上がらないようにしていくということも並行して大切なことではないかというように考えておる次第であります。
  43. 北側義一

    ○北側委員 特に昭和五十三年度におきましては、御存じのとおりこの住宅対策がいわゆる景気浮揚の目玉商品として取り上げられておるわけです。この公庫住宅は、第三期住宅建設五カ年計画、この中に占めるいわゆる公的資金住宅の中心的な存在に現在なっておるのじゃないかと思うのですね。たとえば今回の予算でもそうですか、公営、公団の賃貸が減っておる。公庫住宅はその融資枠が非常に拡大されておる。これを調べてみますと、昭和五十一年度は当初計画三十五万戸に二万戸の追加、昭和五十二年度は当初計画三十七万戸に十分戸の追加、この結果、公的資金住宅の中に占める公庫住宅の比率というのは、五十一年度、五十二年度が約六〇%、こうなってきておるわけですね。きょうあたりの新聞を見ますと、公団住宅の方が予算減額して二万五千戸減らす、そういうことですから、またこの率は高くなってくるのじゃないかと思うのです。  こういうことを考えますと、私は思うのですが、公庫住宅融資拡大また償還期間延長とか限度額の引き上げとか、非常に結構なんです。非常に結構なんですが、それに反して公的資金住宅の中心が公庫住宅になるようでは、これは私少しおかしいんじゃないかという考えを持っておるわけです。というのは、そういう資金を借りられない階層というのは非常に多いわけですね。そういう人たちのための住宅というのは、これどうしても公営住宅なり公団住宅の賃貸を期待せざるを得ないわけです。それに対するいろんな障害があることもよく知っております。であるならば、その障害をどのようにして取り除いていくのか、それがなければいけないんじゃないかと思うのですね。そういう点、どうお考えになっておられるか、ちょっとお伺いしたいのです。
  44. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 御指摘のとおり、私どもも公的賃貸住宅をもっと拡充しなければならないというのは先生と同じ意見でございます。  現在、公営、公団合わせまして約二百三十万戸程度の公的賃貸住宅のストックを持っているわけでありますが、まだまだ私どもはこれで十分だということは考えておりません。今後ともそういった建設をもっと進めなければならないというように考えております。  ただ、これは残念ながらいろんな障害がございます。特に大都市におきまして、そういった公営、公団住宅建設計画どおりいっていないということでございます。これはいわゆる地方公共団体の財政難、特に関連公共施設を中心といたします財政負担の問題、それから周辺住民の方々との調整の問題、いろんな問題がございます。こういった問題を一つ一つ解決していきながら住宅建設を進めていかなければならないわけでございますが、五十三年度におきましては、先ほど計画局長からお答え申し上げました住宅宅地関連公共施設整備促進事業ということで、従来の公共事業費のほかに三百億の予算を計上いたしているわけでございまして、こういったものを今後とも拡充することによりまして、ネックになっておりますそういった関連公共施設の問題を解決し、また公営住宅におきましては、従来公営住宅土地を買って建物を建てるというのが単年度事業として行われ、着工するまで単年度というような形でなっておりましたのを、先行的に公営住宅用地を買って敷地を整備をするというものを、来年度二万戸分計上いたしました。そして計画的な建設が図られるようにということを処置したところでございます。
  45. 北側義一

    ○北側委員 この公団住宅の二万五千戸の予算削減ですが、これに対する今後の対応策、それをいまいろいろお述べになりましたが、具体的にどう考えておられるのか、それをお聞きしたいと思うのです。
  46. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 本日の新聞にも出ておりましたが、公団住宅五十二年度当初計画六万戸に対しまして、二万五千戸カットいたしまして、三万五千戸の事業計画に変更せざるを得なかったという事態になったわけでございます。これは私どもとしては実に残念でございますし、申しわけないというように考えている次第でございます。  この原因は、これは昨年来御指摘を受けましたいわゆる未入居空き家問題あるいは保守管理中の住宅というものが四万戸近い数に上っておりまして、それをどうやって見直していくか、そして現在発注済みの住宅につきましてもこういった事態に至らない前に処置するということで、全団地見直しをいたしております。そして設計変更できるものは設計変更し、そして需要にできるだけ合わせるような作業を五十二年度精いっぱい公団やってきたところでございます。そういったことの影響を受けまして、五十二年度の新規発注分がどうしてもおくれざるを得なかったという事情になったわけでございます。  そういった見直し作業が終わりまして、年度末になりまして、五十二年度の新規発注を次々に現在行っているところでございます。私どもとしましては、一応の見直し作業が終わりましたので、五十三年度に入りましたら、従来ベースでの計画的な建設ができるというように考えております。したがいまして五十三年度、これも残念ながら四万戸に削減しておりますが、この計画達成は十分できるというように確信している次第でございます。
  47. 北側義一

    ○北側委員 四万戸の本年度、昭和五十三年度分については計画達成できる、こういうお話でございますので、ひとつ削減された上に予算で五十三年度減っておるわけですから、それをまたこのようなことになりますと、これはやはり一般のこういう住宅を期待なさっておられる方々に対して裏切ることになりますので、何とかそれをやってもらいたいと思うんです。  それと私思いますのは、たとえば先ほど少し大臣もお話しになっておられましたが、政府が第三期住宅建設五カ年計画の閣議決定で、住宅の質的向上、こういうことで昭和五十五年を目標に標準世帯で三DK約五十平方メートル、昭和六十年を目標に全世帯の五〇%が確保する住宅の目標に三LDK約八十六平方メートル、このように質的向上の達成ですね、これをうたっておられるわけです。ここで非常に問題になりますのは、たとえばこの公団の三万九千戸の空き家にしましても、いろいろな原因があろうと私は思うわけですが、その中に一つやはり家賃が高いということが非常に大きな原因になっておると思うんですね。  もちろん、立地条件が悪いとかまた狭いとかいろいろありますが、その中でもやはり家賃が高いというのが大きな一つの原因だと思うのです。そうしますと、この住宅の質的向上と家賃問題というのは、どうしても絡んでくるわけです。それを解決しなければ、この住宅のいわゆる質的向上の目標達成というのはできないと思うんですね。そこらをどうお考えになっておられるか。
  48. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 住宅政策の目的は、適正な負担で良好な住宅にお住まいいただくということが究極の住宅政策の目的でございます。したがいまして、御指摘のように規模を上げていくということと家賃等の負担が上がっていくということは、これは当然並行して起こってまいります。したがいまして、それをどうやってカバーしていくかということも、これも住宅政策でございます。  御承知のように五十三年度におきましても、公的住宅につきましてはそれぞれ規模拡大を図っております。したがいまして、それに対しまして家賃負担あるいは償還の負担というようなものを軽減すべく、いろんな対策を講じなければならないというように考えております。たとえば公団住宅につきましては、昨年来御審議いただきましたいわゆる既存の公団住宅の値上げ等の処置によりまして、新規家賃の一部の値下げというようなこともいたしております。そういったことを踏まえまして、今後そういった家賃が適正になるような施策を講じてまいりたいというように考えている次第でございます。
  49. 北側義一

    ○北側委員 その家賃が引き上げられるような施策というのは、これは非常に大事だと思うんですね。これをやらなければ、質的向上の達成はとてもじゃないができないんじゃないかと思うのです。そこらのこれからの住宅政策につきまして、いま私、住宅金融公庫法の貸付条件の緩和とかいろいろ、それも重要でしょうが、やはり所得の低い階層に対する公営、公団の住宅建設、特に家賃問題、これを早急に検討しなければならない時期が来ておるんじゃないかと考えておるわけです。そのような施策を講じていくというお話ですから、私もじっとながめておりたいと考えております。  特に先ほど質問ございましたが、この第三期住宅建設五カ年計画で新規宅地需要が六万六千ヘクタール、先ほど答弁を聞いておりますと、第三期分についてはすでに十分使用するだけの宅地はあるんだ、こういう御答弁で安心をいたしておるわけです。しかし、いまの宅地供給の状況を見ておりますと、非常に先細りしております。私の聞くところでは、たとえば大手の不動産、デベロッパーあたりでも五十四年、五十五年になると首都圏には宅地の手持ちは全然なくなる、こういう話も実は私聞いておるわけです。そう考えますと、これから五カ年計画、いま五十三年ですからあと五十五年まで少しあるわけでありますが、次の宅地供給という問題を短期に見てはいけないと思うのですね、長期に見なければ。たとえば三全総におきましても必要宅地の量を明かされております。そういう点考えますと、私自身が今後の宅地供給について非常に不安を持っておるわけです。やはり土地政策これ自身を抜本的に見直してやらなければいけないそういう時期が来ておるんじゃないか。  私、実は先般一般質問で、地価公示法に絡んでここで質問いたしましたときに、いわゆる中間発表ですと、住宅地で三・三%値上がり、こう言っておりますが、実際私らいろんな人に聞いてみますと、住宅がずっと建っておるところは三年間でいま大体倍になっております。これは調べればすぐわかります。どこへ行って調べても、住宅がいっぱい建っているところを調べてみればわかります。これは網を打つわけにはいかぬわけです。国土利用計画法の規制区域にも入ってない。それでなければ売らないわけです。そういう状況から判断しますと、この宅地問題というのは日本経済に非常に大きな影響を与えてくるんじゃないかという危惧が私しているわけです。そういう点で今後の宅地供給のあり方についてどのような方向を大体考えておられるのか。もう毎度でえらいしつこいようですが、お聞きしたいと思うのです。
  50. 大富宏

    ○大富政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、この第三期住宅五カ年計画に必要な新規宅地六万六千ヘクタールは、今後毎年出てくるであろう一万一千ヘクタール前後の宅地とそれから従来の既存のストックでほぼ賄えるだろうと私は思います。  ただ御指摘のとおり、長期的に見てどうだ。この辺が私どもも全く心配は共通でございます。三全総にも申しておりますように、六十年までに約十二万八千ヘクタール、六十五年までに十九万ヘクタール要るんだ。ことに私ども一番心配なのは、住宅宅地対策を集中してやらなければならない大都市圏において、宅地の供給が四十七年に比べますと五五%くらいに激減している、こういう問題があるわけでございます。したがって、将来の六十年あるいは六十五年という長期的観点に立っての宅地供給対策が急がれるわけでございますが、問題は、六十年ないし六十五年までの増加人口約五割近いのを大都市圏で受け入れなければならない。その増加人口を一体どこで吸収するかということになりますと、やはり既成市街地の密度を上げて再開発で吸収するか、あるいは新市街地に計画的な都市施設整備をして進めるか、こういう問題だろうと思います。  御案内のように、既成市街地の再開発はいろいろ時間もかかるし、非常にむずかしい問題がございます。そうしますと、勢い新市街地におけるところの計画的な宅地開発に全力を注ぐべきだろうと思います。現在新市街化区域に約六十万ヘクタールくらいございますが、その中に約二割近くのものが農地とか山林というかっこうで宅地適地として存在する。こういうものを余りスプロールの対象にしないで計画的に開発をするにはどうしたらいいだろうかという対策が非常に重要になるだろうと思って、目下いろいろな施策を勉強いたしているところでございます。
  51. 北側義一

    ○北側委員 時間がありませんので、もうこれ以上申し上げることはできないわけですが、この問題は非常に重要な問題であり、私たちも大いにこれから研究してまいりたい、こう考えております。  それから、現在のマンション購入資金の融資ですが、これは融資案内では大都市地域、こうなっているわけです。私の知っている範囲では三大都市圏に限定されておる。そこで考えるわけでありますが、最近地方の主要都市への人口集中の兆しが非常に現象として起こっておるわけです。Uターン現象と言われておりますが、また三全総でも定住圏構想を策定いたしまして、地方への人口分散を図る計画があるわけですが、このマンション融資についてもそういう三大都市圏に限定しないで、いわゆる地方主要都市へも融資制度を開いていく、こういう考えはないのでしょうか。
  52. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 マンション融資につきましては、出発しましたときに、三大都市圏の住宅不足の著しい、逼迫している地域に限定して出発したわけでございます。現在御承知のように三大都市圏だけでやっているわけでございますが、お尋ねの地方都市にもマンションがたくさん建っていることは私も存じております。しかし、地方都市ではそういったマンションみたいなものは公庫融資対象にならないのかというと、実は分譲住宅融資あるいは計画建て売りの枠というような形で、地方都市におきましてもそういったマンションを御利用いただくことができるわけでございます。地方都市におきましては大都市ほどマンションの数が多くございませんので、そういった形で現在までは対処をし得ております。  しかし、先ほどもお話し申し上げました、大都市だけでなくて、本当に土地を持っていない勤労者の方々が家を最初に持とうと言われるときは、マンションみたいなものの方が価格が安うございますので、そういう方向にいくというようなことで、そういったことを今後伸ばしていかなければならないということはございます。したがいまして、そういった必要度に応じてこういったマンションの対象地域は将来拡大していくべきものだというような考えでおります。
  53. 北側義一

    ○北側委員 最後に、豪雪地帯におきます公庫融資、これは従来二階構造を認めておられるわけでありますが、積雪量が非常に多い、そういうところから三階建て構造が最近非常に増加しておるわけです。そういう豪雪地につきましては、冬期の使用等も考えまして三階構造が非常に合理的ではないか、こう私考えておるのですが、融資対象に三階構造を含めるようなお考えはないのでしょうか。
  54. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 従来木造の三階建ては、建築基準法では準防火地域以外でございますと別に禁止しておりませんが、ただいろいろな防災上の観点等から好ましくないという形で、一般的に公庫融資対象にしていないわけでございます。しかし、御指摘のように豪雪地帯におきましては、最近だけでなくて昔から三階建てを町並みとして使っておられるような地域もあるやに伺っております。残念ながらそういった本当の実態を私どもも把握しておりません。したがいまして、そういった実態を調査いたしまして検討さしていただきたいと考えております。
  55. 北側義一

    ○北側委員 あと利下げの問題いろいろあるのですが、時間が参りましたので、一応これで終わらしていただきます。
  56. 伏木和雄

    伏木委員長 瀬崎博義君。
  57. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私どもも今回の住宅金融公庫法改正、償還期限の延長には賛成であります。  まず大臣に伺っておきたいのですが、今回の償還期限の延長目的、それからまた貸付戸数を五十二年度当初二十四万四千戸から五十三年度一挙に四十万戸へと約二倍にふやしているわけですが、その理由が景気対策にウエートが置かれてのことなのか、それとも国民住宅難解決に重点が置かれてのことなのか、伺いたいと思います。
  58. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは基本的には国民の需要動向に即して施策の方向を定めるべきである、こう思うのであります。ところが非常に問題なのは、たとえば公団住宅の空き家未利用、これは三百万九千戸もある。それは一体国民の需要動向でこれが余ったのかと言えば、厳しい御批判をいただいておるように国民の期待に沿ってない面もある。これが改善されれば、もちろん公団住宅というものはもっとやれるのではないかということにもなります。そういう点にむずかしさがございますが、五カ年計画における公的援助による住宅の供給に当たっては、大都市地域を重点として低所得者層、社会的流動属等に対しては必要な量の公的賃貸住宅を供給し、そして持ち家志向の強い層に対しては長期、低利の融資を行い、あるいは公的分譲住宅を供給するなど、地域の特性や国民住宅需要の動向に即し、バランスのとれた供給を図る必要がある、そういうような考え方現状に対処しておるわけでございます。
  59. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 元金の償還の一年据え置きですね。これが当面五十三年度限りの施策となっていると聞いているのですが、そのように限った理由は何ですか。
  60. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 私どもは、こういった一年間の元金据え置き期間を設けますのは、住宅金融という立場から見ますと異例の措置だというように考えております。したがいまして私どもは、一年間の据え置きというものは景気対策上行うものである、したがって五十三年度に限るというような形で、附則で提案させていただいているということでございます。
  61. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は国民生活に役立つことであるならば、その意味で景気対策として住宅を利用することがある、それはそれでいいと思うのだけれども、しかし、やはり住宅政策は住宅難解決がその主だと思うのですね、それは大臣のお話のとおり。それなら露骨に景気対策として一年に限って元金据え置き、こういうふうなことを住宅局長が答弁するのはおかしいと思うのです。私はこういうのは継続することを検討すべき性質のものではないかと思う。  次に、大臣国民住宅需要に合わす必要があるという原則は認められた。確かに公団住宅は四万戸の空き家を抱えているわけだけれども、公営住宅状況を見ますと、全国で五十年度は一種で四倍、二種で四・一倍、五十一年度が一種で三・三倍、二種で三・二倍という応募率になっていますね。だからこの面では目立って応募者が減っているという状況ではない。公営住宅がふえているにかかわらず、依然として応募率は高いという特徴があると思うのです。このように公営の応募率が高い理由を政府はどのように見ていますか。
  62. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 これは、住宅統計調査あるいは住宅需要実態調査に見られますように、公営住宅階層住宅難世帯、住宅困窮世帯が多いということは事実でございます。そういった意味で、低家賃の公営住宅というものに需要が高いということは事実でございます。しかも特に大都市におきまして最近新規の公爵住宅建設というのが伸び悩んでおりまして、そういった新規供給の戸数も少ないということもございましてそういった倍率になっているのだというように認識しております。
  63. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これはもちろん応募した人と入居できた人の差だけですから、これが実態というのではないと思いますが、それですら現在応募して入れない人が約四十万世帯は少なくも残っているという数字がありますね。それに加えて東京都の特定目的住宅を見ますと、母子家庭向きの二種などでは、五十年度が十一・三倍、五十一年度が実に十三・二倍という数字が出ているし、老人向け二種では、五十年度六・五倍、五十一年度が七・八倍、身障者向け二種では、五十年度六・一倍、五十一年度が八・二倍、いずれも年ごと住宅事情がこういう人々にとって厳しくなっていることを示していると思うのです。バランスをとった住宅建設と言われますが、果たして今回のこの公庫融資拡大、若干の制度改善を含んでではありますが、これによってこういう人々の住宅難が解決できると政府は考えているのですか。
  64. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 私どもも、そういった公営住宅建設の促進ということにつきまして精いっぱい努力しているつもりでございます。しかし、残念ながら毎年政府の計画どおり進んでいないということも事実でございます。これは先ほども申し上げましたような、特に大都市におきまして地元との調整等に非常にいろいろな問題が起きまして建設が伸び悩んでいるということがその原因でございます。そういった原因を取り除く、そして公営住宅計画どおり建設されるというように、私ども今後努力いたしたいというように考えております。
  65. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原因を取り除くと言われるけれども、あるいはまた先ほども公営や公団も充実したい気持ちは持っているとも言われた。それから公団のことしの特別な減少は見直しをやっているからと言われる。しかし、ここ十年来の住宅建設の傾向を見てみますと、はっきりした政府の政策が私はあらわれているのではないかと思う。たとえば公営、公団の状況を四十七年度から見てみますと、公営の方は、これは計画ベースでございますが、四十七年十三万三千戸、四十八年十三万八千、ちょっとふえたけれども、四十九年はぐっと減って十万三千、五十年九万一千、五十一年九万二千、五十二年九万二千五百、五十三年八万三千五百。当初から見れば、まず計画を立てる段階で六割くらいに減ってしまっている。公団の方はもっとひどくて、四十七年八万八千戸、四十八年八万、四十九年七万、五十年六万、五十一年六万、五十二年六万、五十三年四万、これは半分以下になっている。もともと計画がこういうふうな減らし方をしているところに、果たして本当に原因を取り除く姿勢が政府にあったのかどうか、これを私はまず問いたい。  同時に、そういうように減らしていった計画をきちっと建てたかどうかという実績で見た場合、公営の方は大体平均して二、三割計画より下回って、四十七年十一万戸、四十八年十万四千、四十九年八万二千、五十年七万四千、五十一年七万六千、五十二年七万六千、これはどうなるかわかりませんが。公団の賃貸なんかを見ますとひどいもので、四十七年三万三千戸、四十八年二万九千、四十九年二万四千、五十年二万三千、五十一年二万四千、五十二年一万七千、これも予定であります。これなんか完全に四割ぐらいに落ちてしまっている。こう見ていきますと、これだけの、十年からの長い傾向がありながら、政府は手を打たなかった、こう言われても仕方がないんじゃないかと思うのですね。結局、この間公庫だけが、先ほどもお話になったように着実にふえている。四十七年の三十万三千から見れば五十三年あたりは実質でそれの倍くらいになるのじゃないかと思いますね。一、六倍くらいになりますね。  こうなってきますと、政府の住宅政府の方針そのものが、いわゆる賃貸を減らして持ち家でその穴埋めをしていく、持ち家主義に転換しているのじゃないか、このように見られるのでありますが、これは大臣に伺いたいのですが、このような持ち家中心傾向の住宅政策を今後とも続けるのか、明確に今後その原因を取り除いて公団、公営、こういうものを再度確実にふやしていくのか、その点はいかがですか。
  66. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 もう十分御承知のことと思いますが、公営、公団につきましては、意欲が仮にありましても、種々支障がある。用地難であるとか、あるいは財政負担の増加であるとか、あるいは地域住民との調和がうまくいかないとか、一方にそういう非常にむずかしいいろいろな要素を持っておりますから、われわれも苦労しておるわけでございます。  公営の方につきまして、仮に円滑に建設ができるとするならば、これは国として助成をするにやぶさかでございませんが、公団の方につきましては、現在非常な批判を受けてその改善に努めておるところでありますから、五十三年四万戸といっても、改善されて一体どうなるのか、そこのところを注目をしてまいりたい。特に恣意をもって公営、公団を減らし、持ち家をふやしていくということではないのであります。  しかし、一方におきまして持ち家に対しては非常に需要がある。従来御承知のような抽せん方式をとらなければならない、ことしそういうことでなく、戸数を大幅にふやしてやろう、こういうことで一月に前倒しをやってみると、一週間くらいでもう大体の戸数は応募されてしまうというような傾向でありますから、別段特に持ち家を中心にではなくて、先ほども申し上げましたような社会経済情勢に対応して、持ち家もやりますが、またできるならその悪条件を克服して公営、公団のことについても配慮してまいりたい、こう思うのであります。
  67. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 われわれは別に持ち家をやめろと言っているのではありません。公庫住宅の拡充は賛成だと言っているのですね。だけど、そんなに公庫の需要が多いことを強調されるのなら、先ほど数字を挙げましたように、公営の需要に対しては一体どうするのか。特に母子家庭とか身障者、老人、こういう者の住宅についてはなおさら要求が強い。これをただ困難を理由にして十年間放置しておる、こういうことは許されないと思うのですね。少なくとも政策として国が住宅を建てる以上は、まさにそういう人々のために建てるのがまず第一義的な任務ではないかと私は思うのです。したがって、ことし三百億円ほどの関連公共施設整備費を予算化されたわけでありますが、いままで放置してきたものを急に三百億つけたからといってこれでどうなるものでもないし、これがさらにふえて継続される制度かどうかも地方自治体から見れば不安だと思うのです。本気になって解決されるのなら、まず三百億円予算を出してみた、これでいまのそういう賃貸住宅建設難が解決されるのかどうかも見きわめつつ、なおこれで不足だということになるならばもっとこれを広げる、現在は建設関係公共事業対象にしているが、その他にも広げる、そういうような用意があるのかどうか、これも伺っておきたいと思います。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 関連公共施設整備を促進することにつきましては、これは明年度以降におきましても十分考える所存でございます。特に公益施設などにつきましては、これは学校、保育所、所管が変わってくるわけでございますが、国といたしましては、他の諸事業との関係上促進しなければならないという場合におきましては、国土庁の事業調整費も使う、こういうことで公共公益について力を入れ、そして先ほど来御指摘がありますように、従来、計画を立ててもそれを相当下回っておる現状ですね。その計画も下がってきておる、こういう御批判で、その原因は、ただいまおっしやっておるような関連公共公益問題に相当ウエートがありますから、これからその面については鋭意努力をしていく考えでございます。
  69. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうふうに求められている低家賃の公共住宅はちゃんと建設をしていく、この努力をするという前提での話なんでありますが、公庫融資の方についても利用者の実態に合わせた可能な改善はやはりやってもらいたいと思うのです。  まずその第一でありますが、公庫融資の利用者が身近に借りられるようにする必要があろうと思います。私がおります滋賀県の実態なんですが、住宅金融公庫の業務取扱店は現在全部で四十店あります。しかしこのうちの十二店は大津市、それから六店が彦根市、四店は草津市に集中している。結局これで二十二店になるでしょう。半分以上が三市に集中している。滋賀県は全体で五十市町村あるわけです。だから残り四十七市町村をわずか十八店がカバーしているというのが現状になっているわけですね。  さらに具体的に言いますと、甲賀郡というところがあるのですが、ここは七町から成って人口約十万です。ところが、ここの住宅金融公庫取扱店は、水口町というところに滋賀銀行の水口支店とそれから農協の水口支所と二つしかないわけです。したがって場所によっては、そこそこ団地が開けているようなところではありますが、行くのに乗り物を利用して二時間近くかかるというふうなことになってきますね。しかもこういう不便さに加えて、普通預金しているような近くの銀行に行くと、遠いところへ行って手間をかけるより、うちのローンを使ったらどうですかなんというような話になると、ついそれに乗っていく、いやおうなしに、住金を借りられる資格がありながら、わざわざ高い金利を使っているというふうなことも多くて、近くで、少なくともふだん頭金をしたりあるいは公共料金の振りかえを頼んでいるような銀行で借りられないものかという希望は非常に強いです。大体こんなことになってくるのは——他府県も私は似たり寄ったりだと思うのです。滋賀県でも、県内にある都市銀行あるいは大手の相互銀行、皆委託銀行であるために業務取扱店になっているんですね。たとえば大和銀行、第一勧銀、こういうものは大津支店だけしかないわけです。それから三和銀行や太陽神戸の場合は革津支店だけしかない、一支店しかないのですから。しかもこういうのは同じ大津市や草津市の同じようなところに皆かたまっておるわけですね。結局支店網をたくさん持っている滋賀銀行とか滋賀相互あるいは地元信用金雄、信用組合、こういうものが非常に少ない、こういうところからきておるのだろうと思う。  さらにこれを全国的な数字で見ますと、東京圏の東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪圏の大阪、京都、兵庫、それから中京圏の愛知、この八都府県に実に三千三百三十六店集中していますね。全国で八千四百八十七取扱店ですから、このうちの四割が八都府県に集中する。いやおうなしに地方はそういうことになっていると思うのです。何せ今度は四十万戸にも対象を広げたわけでしょう。したがって、やはりひとしく国民が利用できるような機会を一方で保障する責任が当然政府並びに公庫にあると思う。  それから借りる人の所得などが、今日非常に低くなってきている、これも事実であります。それから融資に頼る割合というのが大きくなっている、これも事実であります。そういう点では、五回ないし六回はどうしても取扱店に通わなければならない実情から見れば、できるだけ会社も休まないで済むように、できるだけ日常的に相談できるところというのが一番好ましいと思うんです。  まず政府に態度を、あるいは公庫に対する指導の問題についてただしたいんですが、こういう取扱店舗を銀行ベースに任しておいていいのかどうか。むしろ、やはり政策上枠を広げているんですから、そういう点では国民に便利なような取扱店配置になっているかどうか、こういう点のチェックは十分しなければならないのじゃないか、指導もやらなければいけないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  70. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 現在取扱店は全国で八千五百になっております。私どもは、金融公庫がそういった従来の実績等を踏まえて十分そういったことについて配慮していただいているというように考えております。  確かに先生の御指摘のように、取扱店舖をふやすということは、ある面では国民の方にとって近いから便利だという面もございます。しかしながら、また逆な面から見ますと、仮に八千五百店舗ございますと十万戸のあれをした場合には、場合によってはそこの店舗には一件もなかったというような場合も起こり得ると思います。そうなりますと、勢い金融機関の側として窓口にそういった住宅金融公庫あるいは住宅ローン等に詳しい専門の店員を配置するということもおろそかになって、かえって逆に間違ったことを指導するあるいは教えるというようなことも起こりかねない、そういった配慮を総合的に勘案しなければならないのじゃないかというように考えております。したがって、私どもは、住宅金融公庫が従来のいろいろな実績に基づいてやってきていると思いますし、今後ともそういった点につきまして住宅金融公庫によく調査して実情に合うようにやっていただきたいというように考えております。
  71. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 すでに私自身もそういう実情の上に立っていま質問を申し上げているわけですし、現に大都市の中心部で金融機関はかたまっていますけれども土地を求めるにも求められない実情もわかります。どうしたってその周辺あるいはこの三大都市圏のまた周辺というようなところに現在新規の住宅建設がふえているわけですから、これは当然金融公庫総裁としても改めて一度実情をよく調べて見合った配置にし直す、全体をふやすかどうかは別にして。そういうことを要望したいと思うのです。いかがですか。
  72. 大津留温

    大津留説明員 ただいま住宅局長が答弁なさいましたように、利用者の便も十分に図らなければならない、また、一たん店舗窓口を開きますと、お客さんがそこにいらっしゃったら十分説明し、対応できるような人を配置していなければかえってマイナスになる、そういうことから、現在の八千五百に近い窓口は大体そういう意味からは適当な状況じゃないかとは思いますけれども、しかし利用軒がふえてまいりますことでもありますし、よくよく点検をいたしまして御不便のないようにしたいと考えます。
  73. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次は、金利の引き下げ問題であります。これももう周知のことでありますが、大体収入階層別に見て、最近ではどんどん第一分位、第二分位の方々の利用が広がっている。これはこれ自体としていいことではあろうと思います。五十年で見ますと、第一分位、第二分位の利用者二七・四%、五十一年三七・四%、五十二年が四丁一%、こうなっているんですね。それから建策費に占める資金構成を見ますと、手持ち資金の割合が減って借り入れ依存がふえている。四十三年度ですと、手持ちが四四%、借り入れが五六%だったものが、五十二年度は手持ちがわずかに二八%、それから借り入れが七二%、こういうことになっていますね。それから用意された利用者の敷地面積を見ましても、大体四十八、九年から五十年ぐらいをピークにして、逆に五十二年などは二百五十八平米最高は二百七十九平米ですが、減っている傾向にありますね。つまり、狭い土地を何とか確保して家を建てる傾向が出ているのじゃないかと思う。絶対数は確かに少ないけれども、六カ月以上の返済滞納者が五十一年から五十三年のわずか三年間で約三倍にふえてきていますね。こういった指標は、やはり住宅金融公庫で借り得たとしても、利用者にとっては住宅建設負担相当重くなってきていることを示しているのじゃないか。言葉を変えて言いますと、入りたい便利な賃貸住宅がないものだからやむを得ず無理して、あるいは公団住宅の家賃が非常に高いからそれならいっそ住金ということで無理をして建てていらっしゃるのではないかとも読み取れる点があると思うのです。したがって、こういうことを考えるならば、五十三年度からの貸し付けの金利の引き下げについても、何か伝えられるところでは〇・三ぐらいとかなんとか言われますが、私はもう少し配慮すべきじゃないかと思うのです。大臣、いかがですか。
  74. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 原資の引き下げに伴う、また公定歩合の引き下げに関連したことでありますが、まだ住宅金融公庫金利を下げるということだけ決めまして、その中身につきましては郵政審議会の方の結論も出ておらないので、残念ながらいまここでどの程度と申し上げかねるわけで、われわれとしては皆さんと同じように少しでもよけい下げてもらいたい、こう思っておるのでありますが、残念ながら原資の方がまだはっきりしない、こういう実情になっております。  ただいま借入者が低所得者層にだんだんパーセンテージがふえておるじゃないか、手持ち資金と借入資金との割合も借入金がふえておるじゃないか、あるいは土地などについても狭くなってきておる、滞納者もふえておる。これは端的に言えば、借入者の内容というものがだんだん悪くなってきておる傾向を示しておると思います。一般的な経済情勢も反映しておるようにも思えますが、できればこういうような点が改善されて、より堅実なものになるような施策、方向が望ましいことは言うまでもない次第でございます。したがって、金利の点もできるだけ下げ幅が大きい方を望んでおるわけであります。
  75. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣認識が少し間違っていると思うのですよ。借入者の内容が悪くなっておるというような言葉を使われましたけれども、今日の深刻な不況が長引いている中で、勤労者の苦しさというものをまずもっと理解してほしいと思うのですね。そういう人々が本当に望んでいる質のよい、家賃の安い公供住宅が実際建ってないわけでしょう。そういうところから生まれてきている現象なんだ。だからそういう意味で、国が施策としてそういう人に四十万戸の枠を提供しようと言うのなら、せめて金利ぐらい思い切って下げて負担を軽くする、こういうふうになってこないと、私はそれこそ限られた人のための施策だという批判を免れないと思うのです。  加えて預金金利の方の下がり方はひどいですね。ここわずか三、四年で銀行の定期預金、たとえば一年もので見れば四十九年の九月が七・七五%であったものが今日どうでしょう、四・五%に下がるのでしょう。半分とまでは行きませんけれども、それに近いですよ。郵便貯金だって、われわれは引き下げには大反対だけれども、これも下げるというんでしょう。六・五%だったものが三%台になりそうな無配ですね。こういうふうなところから見ても、預ける方の利息はどんどん下げておきながら、利用者が借りる方だけ大して下げないとか、既往分はもう据え置きだとか、こういうことは理屈に合わないし、第一実情も無視されていると思うのです。この点では既往金利についても一遍検討すべきじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  76. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 住宅ローン、これは民間の銀行ローンあるいは公庫も含めてでございますが、一般の金融から申しますと非常に超長期の金融でございます。したがいまして、短期的な金利変動にもちろんある程度は影響を受けますが、本来そう大きく影響を受けるべき性格のものではないということは御承知のとおりだと思います。特に住宅金融公庫金利というものは、国の利子補給をいたしましたいわゆる政策金利ということになっております。したがいまして、五・五%という金利は政策金利でございますので、財投金利が画期的に下がったからといって既往分を手直しするということは困難じゃないかというように考えております。ただ、民間の住宅ローン金利につきましては、先ほど申し上げましたように、上がるときも上げ幅は少ないし、下がるときも下げ幅が少ないというような傾向を持っておりまして、若干そういった時の金利に従って動くという傾向を持っております。したがいまして、今回の公定歩合の引き下げによりまして、既往分につきましても〇・一、二%の引き下げをすることになっているやに聞いております。
  77. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど住宅金融公庫の借入者のことについて、瀬崎委員のおっしゃる分析を私は理解してこれに対応しなければならない、こう言っておるので、私は、こういうことになったからそれでいいんだとかどうとかいうことじゃないのですから、ちょっと誤解のないように。
  78. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 四十万戸に件数がふえてくるわけですね。そういう点では実際の工事の審査を受け持つ地方自治体に対する配慮もないとそこに無理が起こるし、おくれが生ずる、こういうことが当然あると思うのです。現益は、地方自治体の審査受託料はたしか三千六百円だと思うのですが、これはいつから据え置きになっていますか。
  79. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 三千六百円は四十八年から据え置きになっております。これは五十三年に改定いたすつもりでおります。
  80. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 改定はたしか五千円程度だと聞いているのですが、そうじゃないですか。
  81. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 そのとおりでございます。
  82. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 六年か七年据え置いた上で五千円。では実際に地方自治体が受け持っている業務の内容の主な点はどういうものがありますか。
  83. 大津留温

    大津留説明員 公共団体にお願いしているのは設計審査と現場審査、個人住宅の場合は現場審査は一回でございますが、マンション建設というような大きなものになりますと、大体階層で二階をやるごとに一回、こういう割合でやっております。
  84. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 建築基準法に基づく設計審査は、住金以外の場合でも共通するものとして手数料も別に払われます。しかし現場審査を伴う住金の場合、今日少なくとも住金の現場審査となれば、一軒の家をするのに一定の交通費もかかるし、半日で私は済まないと思いますね、後の処理も含めれば。そういうものに対して五千円でいわゆる超過負担ということにならないとお考えなんですか、超過負担が起こっているとお考えですか。
  85. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 地方公共団体が公庫の委託を受けまして現場審査をいたしております。これはただいま御指摘の建築基準法に基づきます確認の場合、これもたてまえ上現場検査することになっております。それと合わせてやっておりますので、必ずしもそれが公庫のためにだけ行くのだということではございません。建築基準法の現場審査と公庫の現場審査とを合わせてやるというたてまえでございますので、五千円という金額が私ども十分だとは思っておりませんが、決してそう全部持ち出しだということにはならないんじゃないかというふうに考えております。
  86. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それに比べて銀行に払われる手数料なんですが、たとえば五百万円貸し付けの場合の個人住宅銀行手数料は幾らになりますか。
  87. 大津留温

    大津留説明員 地域によって若干の差異がございますが、大都市圏で行います場合に、五百万円借りて銀行の貸付手数料は四万円でございます。
  88. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかもそのほかに、資金回収については自動振りかえだけれども一件一月百七十円かついているんじゃないですか。
  89. 大津留温

    大津留説明員 回収手数料といたしまして、月に百七十円。
  90. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現在はいろいろな指摘もあって公庫の申込手続というのはずいぶん簡素化されているわけですね。だから最初申し込みのときは、主として問題になるのは給与証明と、これに収入証明をつけますね。それからあとは土地が自分の土地であるか、借り地の場合には果たして条件に合っているかどうかということでしょう。それではがきの通知が来るわけですね。あとは結局貸し付けのための書類上の手続があるだけで、自治体のように現場にまで行くというふうな仕事は銀行にはないわけでしょう。そういう点から見て、銀行に四万円、地方自治体に五千円、上がってですよ。これは余りにも不均衡過ぎるんじゃないかと私は思うのですね。そのために全国的に見れば百数十億円の金が銀行に行くわけですからね。もう少しこの点はバランスから見ても合理化すべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  91. 大津留温

    大津留説明員 御指摘のように、公共団体に対する手数料は安いんじゃないかというふうに私は印象として持っております。したがいまして、五十三年度におきましては従来の手数料から四割アップいたしましたようなわけで、銀行の方は従来からの計算方式を若干変えまして、幾らか抑えたといいますか、若干従来の方程式よりは安く算定するようなことにしたわけでございます。
  92. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に、住宅金融公庫の場合は、取扱店に債権回収の責任を負わしているわけじゃないのですから、そういう点で窓口の役目だけですから、この点は銀行のが多くないとすれば自治体が低過ぎるし、自治体を当然だと言えば銀行が大き過ぎる、こういうことだけは私ははっきり言っておきたいと思うのです。  時間もありませんので、最後にまとめて二点質問して終わりたいと思うのです。  一つは景気対策という含みもあるわけです。しかも公庫貸付金額が大きくなってきました。これに依存する率が高くなっているわけです。建てる建築屋さん、大工さんが非常に零細業者であること、不況で資金的に非常に苦しい、こういうことも勘案すれば、現在むね上げを終わった段階で審査を受けて六割、それから完工後登記を終わって四割ですが、第一回目を七割にしてあげるとか、あるいはまた着工時点でたとえ全体の二割でも支払ってあげるとかいうふうなことを検討すべきじゃないかと思うのです。これが一つです。これは公庫の方に聞いてみたいと思います。  それからもう一つは、これだけ間口を広げてくるとすれば、土地の手当てのできる人だけに借り入れが可能だというのは非常に不公平だと思うのです。政府は土地についても融資をしたと言われるけれども、これはもっと拡大しないと住宅政策とは言えないと思う。と同時に、それでも宅地の確保をできるのは限られてくると思います。そういう意味では、民間にしたってまだ未利用地はたくさん抱えているわけだし、地方開発公社あたりもずいぶん遊休地を抱えているわけですから、そういうものに国が適切な対策を立てて、公共機関による公的な宅地の賃貸制度、こういうこともこの際検討してはどうかと思うのです。これを大臣に伺って、終わりたいと思います。
  93. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 事務的な問題を私からお話しさせていただきたいと思います。  まず、資金交付の問題でございます。現在、むね上げ完了で六〇%、竣工時点で残り四〇%ということになっておりますが、もっと早く、あるいは三回に分けてやるべきじゃないかということでございます。これは先ほどお話がございました地方公共団体の手数料との関係も若干ございますが、そういった中間でお支払いするということになりますと、そこに検査とかなんとかという体制が必要でございます。そういった問題も含めまして、現在そういった形にしているわけでございます。ただ、景気対策といった観点から考えますと、先ほどから御指摘がございましたように、公庫資金というのがせいぜい五〇%ぐらいでございますので、自己資金をまず最初に充てて中間から公庫資金でつないでいただくということでございますので、今後私どもいろいろな形で検討はさせていただきますが、少なくとも現在の時点では現在の方法でいいのじゃないかと考えている次第でございます。  それから、土地つき融資をもっとふやすべきじゃないかという御指摘でございます。これは私どもも同じでございまして、土地を持っていない方々に家を持っていただくということをこれから進めなければならない。そのために今回土地つき融資の拡充を行ったわけでございますが、それとあわせて分譲住宅といったようなものももっとこれから優遇し、枠を広げていかなければならないのじゃないかというような感じを持っております。
  94. 大富宏

    ○大富政府委員 宅地供給面につきましては、御指摘のように公的機関、民間開発ともにやっているわけでございますが、公的機関はシェアも約二〇%、民間開発部門が非常に大きいシェアを占めておるわけでございます。金融公庫自身が公的開発、民間開発に宅造融資を二十九年来やっておるわけでございまして、公庫、民間を問わずこういった宅地造成融資の助成というのはどんどん拡張すべきだと思います。五十三年度につきましても、従来百万都市までに限定しておりました民間融資対象地域をおおむね五十万都市まで拡大いたしておりますが、さらに融資条件の改善等についても今後大いに努力したいと思います。
  95. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 瀬崎委員から公的機関による宅地の賃貸制度のお話でございますが、公的機関が宅地を造成した場合に、分譲の方がいいのではないかという気がいたします。それは、長い将来に向かって、そこに住宅を建てれば当然地上権というものも生じてまいりまして後々にトラブルを残すようではいけない、こう思うのでありますが、実際上土地がなくて建てられないというような人が多い状況にもかんがみまして、御提案についてはよく研究させていただきます。
  96. 伏木和雄

    伏木委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  97. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、本案に対し、渡辺栄一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六派共同提案に係る修正案が提出されております。  まず、提出渡辺栄一君から趣旨の説明を求めます。渡辺栄一君。     —————————————  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  98. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、その趣旨を申し上げます。  案文はお手元に配付してあります。  御承知のとおり、政府原案では、この法律は「昭和五十三年四月一日」から施行することとしておりますが、国会の審議とにらみ合わせて必要と認められますので、これを「公布の日」から施行することに改めようとするものであります。  以上で修正案の趣旨説明を終わります。
  99. 伏木和雄

    伏木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本修正案について別に発言の申し出もありません。     —————————————
  100. 伏木和雄

    伏木委員長 これより本案及び本案に対する修正案の討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありません。  これより住宅金融公庫法の一部を改正する法律案及び渡辺栄一君外五名提出の修正案の採決に入ります。  まず、渡辺栄一君外五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  101. 伏木和雄

    伏木委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  102. 伏木和雄

    伏木委員長 起立総員。よって、本案は渡辺栄一君外五名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  103. 伏木和雄

    伏木委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、渡辺栄一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者北川義一君から趣旨の説明を求めます。北川義一君。
  104. 北側義一

    ○北側委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してあります。  御承知のとおり、本法律案につきましては、委員会において慎重に審議されてまいったのでありますが、貸付金金利の引き下げ、貸付限度額の引き上げ、償還方法の改善、中古住宅取得に対する貸付条件等の改善、火災保険契約の窓口の拡大、関連公共利便施設に対する貸付条件の改善住宅基本法制定促進と住宅行政の一元化等については、審議の過程において特に議論されました重要な問題でありますので、ここに附帯決議を付し、政府の適切な措置を要望するものであります。  以上が本案に附帯決議を付さんとする理由であります。  各位の御賛同をお願いいたす次第であります。     —————————————    住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたつては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一 公定歩合の引下げに伴い、資金運用部資金金利の引下げが行われた場合、公庫貸付金金利を引下げるよう努力すること。 二 個人住宅貸付限度額を引上げるとともに償還方法の改善をも検討する等貸付条件の改善に努力すること。 三 中古マンションの取得を容易にするとともに、戸建ての中古住宅融資対象とするよう貸付条件を改善するほか、取得にかかわる諸税の軽減措置を講ずるよう努力すること。 四 個人住宅建設資金とあわせて貸付ける土地費については、その貸付対象の量を増加するとともに貸付限度額を実態に即して大幅に引上げるよう努力すること。 五 公庫融資に伴う火災保険契約については、特約火災保険にかかわらず、これと同等の内容の他の保険(共済を含む。)も契約ができるよう改善に努力すること。 六 大規模な開発事業に伴い増加する地方負担の軽減を図るため、関連公共、利便施設建設資金に対する貸付条件の改善に努力すること。 七 住宅政策の強化を図るため、住宅基本法の制定を促進するとともに、住宅行政の一元化について、格段の努力をすること。  右決議する。     —————————————
  105. 伏木和雄

    伏木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 伏木和雄

    伏木委員長 起立総員。よって、渡辺栄一君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。櫻内建設大臣
  107. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすように努めるとともに、ただいま全会一致をもって議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分尊重し、今後の運用に万全を期して各位の御期待に沿うようにする所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  108. 伏木和雄

    伏木委員長 なお、お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  110. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、来る四月五日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十二分散会      ————◇—————     午後零時五十二分散会