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1978-03-29 第84回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十九日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上  泉君 理事 中村  茂君    理事 北側 義一君       有馬 元治君    井出一太郎君       内海 英男君    大塚 雄司君       谷川 寛三君    登坂重次郎君       中島  衛君    松野 幸泰君       渡辺 紘三君    伊賀 定盛君       福岡 義登君    吉原 米治君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         経済企画庁物価         局審議官    水田 治雄君         大蔵大臣官房審         議官      渡辺 喜一君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         建設省住宅局参         事官      丸山 良仁君  委員外出席者         大蔵省理財局資         金第二課長   廣瀬  勝君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         住宅金融公庫理         事       立川 宗正君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澤田 光英君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     田川 誠一君 同月二十四日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     中川 秀直君 同月二十八日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     田川 誠一君 同月二十九日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     田川 誠一君     ————————————— 三月二十二日  尾瀬分水広域的運用に関する請願始関伊平  君紹介)(第二三九〇号)  身体障害者及び家族使用自動車有料道路通  行料金免除に関する請願住栄作紹介)(第  二三九一号)  同(中川秀直紹介)(第二四八七号) 同月二十七日  身体障害者及び家族使用自動車有料道路通  行料金免除に関する請願川本敏美紹介)(  第二五二八号)  同(渡部行雄紹介)(第二六三三号)  尾瀬分水広域的運用に関する請願丹羽喬四  郎君紹介)(第二五二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六号)      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出住宅金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、日本住宅公団理事澤田光英君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚雄司君。
  5. 大塚雄司

    大塚委員 質問に先立ちまして、予定時間が十五分ほど割愛されましたので、どうぞひとつ要領よくお答えいただいて御協力をお願い申し上げたいと思います。  ただいま議題となっております住宅金融公庫法の一部改正について若干お尋ねをしまして、さらに住宅政策全般についてお尋ねをして、この執行がスムーズにいくようにいたしたいと思うわけでございます。  まず最初に、今度の改正案の骨子であります貸付金償還年限の延長でありますけれども木造については十八年から二十五年、簡易耐火構造が二十五年から三十年、五十三年度に予定されている五十五万戸のうちの戸建て分四十五万戸分について主として対象になると思うのですが、この改正によりまして具体的にどういう影響があり、そしてまたこの執行によりどういう効果があるのか、まずその辺を伺っておきたいと思います。できれば、現場と言ってはなんですが、公庫総裁からお尋ねをしておきたいと思います。
  6. 大津留温

    大津留説明員 償還期間を延長いたしますと、当然のことでございますが、月々の償還額がそれだけ少なくなります。したがいまして、公庫融資を受けて持ち家を建てようとなさる方の負担力が、それだけ収入が少ない方も公庫を利用できるということが大きなねらいでございます。したがいまして、今日住宅建設をして住生活のレベルを上げよう、それと同時に景気振興のてこにしよう、こういうことから負担力軽減して利用される方の範囲をそれだけ広げよう、こういう趣旨でございます。
  7. 大塚雄司

    大塚委員 確かにねらいはそういうところにあると思うのですが、具体的にということは、償還金、それぞれ貸付額が違いますから一がいには言えないと思うのですけれども、十八年から二十五年に延ばすことによって標準的な例で月額で大体どのくらい安くなるか、具体例を挙げてひとつお願いします。
  8. 大津留温

    大津留説明員 貸付金を五百万円といたしました場合に、木造現行十八年といたしますと、年の償還額が四十三万八千円余になります。これが償還期限を二十五年に延ばしますと、年の償還額が三十六万八千余円となりまして、約六万円の軽減になります。
  9. 大塚雄司

    大塚委員 年六万円ということは月額にすると五千円前後、それは延びた方がいいには違いありませんけれども、果たしてそれだけのことで申し込みがうんとふえてくるかどうかについても大変懸念があるわけです。このことそのものについては私は大いに賛成でありますけれども、ただ実際に五十五万戸のうちの四十万戸を除いた十五万戸のいわゆる中高層住宅融資の方にはさほど大きな影響がないということでございまして、大都市住宅供給という観点から考えますと、むしろこの十五万戸の方に力点を置かなければいけないと思うのですけれども、これは公庫の数年来の仕事の状況からしまして、木造は確かに戦後三十年たっているのですから、申し込みの中に占める割合からすると、新規宅地を購入して建てるというよりは、従来の建物の建てかえということの方がかなりウェートを占めてきているのではないか、その変化がわかりましたらお答えをいただきたいと思います。
  10. 大津留温

    大津留説明員 御指摘のように、年々建てかえの数字はふえております。ことに東京のような既成都市におきましては建てかえの割合がふえております。不正確かもしれませんが、私の記憶では約三〇%のものが建てかえでございますが、大都市におきましてはそれが三八%程度になっております。
  11. 大塚雄司

    大塚委員 いまのお話のように三〇%、昨年は二〇%台であった。だんだん建てかえが中心になっていくということになると、新規住宅政策というか供給というところには余りつながっていかないような感じもしないではないのですが、そのこと自体は建てかえでも非常に大事なことで、景気刺激策としてはもちろんやるべきだと私は思いますので、その辺はそれ以上申し上げませんけれども、ただ、先ほど申し上げた公庫の方の中高層共同住宅の方に対しての力点をもっと置いていただきたいということをひとつ要望させていただきます。  そこで、いまお話をした中で、私は、戦後三十余年たって、日本住宅政策をやや振り返りながら、今後の住宅政策あり方がどうあるべきかということについて、建設省中心公団も含めて、ひとつお尋ねをしてまいりたいと思うのであります。  御承知のように、戦後あの焼け野原になった日本の国土ですが、昭和二十年から二十五年までは、いわゆる応急簡易住宅という制度による供給時代昭和二十五年に住宅公庫法が成立して公庫発足をし、また二十六年に公営住宅という制度発足をした。そして、昭和三十年には日本住宅公団法ができ、公団が設立された。いわば公庫融資住宅公営住宅公団住宅の三本柱で日本住宅政策は推移してきたと思うのであります。これを所得層別に私なりに考えてみたのですが、日本所得層をグラフにしますと富士山型になる。一合目から二合目は公営住宅によって救済をする。それから三合目から五合目のあたりを公団あるいは公社住宅、そして五合目から七合目は公庫融資あるいは民間融資、七合目以上は全く民間自力建設というような形で推移してきたと思うわけです。  今回の改正の目的は、いま総裁がおっしゃるように、償還金が少なくなることによって、やや所得の少ない方でも建てられるという意味は、五合目から七合目だったのを四合目、三合目まで下げていこう、そういうことを考えるのは大変いい方向ではあるのですけれども、ただ問題は、過去の実績を振り返ってみて、公営住宅が戦後三十余年に、トータルですと約二百万戸、それから公団住宅が約百万戸、それから公庫住宅が四百万戸、しかし公庫住宅というのは融資制度中心ですから、もちろんこれは民間資金による民間自力建設というものによって住宅建てられてきた。しかし、この戸数全部合わせましても七百万戸でございますから、日本人口世帯数というものからすれば、いわゆる公的資金による住宅供給というのは全体の二五%から前後したところではないかと思うのであります。したがって、いわゆる今後の公的資金住宅制度というものがどういう方向をたどっていくべきか。大変恐縮ですが、昨年も公団住宅空き家問題ではいろいろ頭を痛めたところですし、三十年、木造住宅建てかえの時期に来たということは、すなわち住宅政策そのものもとの辺で方向をもう一回見直しをして転換をするべきときがやってきたのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  特に昨年公団家賃の値上げで相当御苦労された。実際に入っている方は大変恵まれておりますけれども公営住宅入居者もそのとおりで、抽せんに当たった人が恵まれて、抽せんに当たらないで二十回も三十回も外れて、依然としていわゆる民間木賃アパートの、それこそ大変過小なところに居住している勤労者もたくさんいるということを忘れてはならない。  したがって今度のような、いわゆる年限を延ばして少し所得の低い方にも恵まれた住宅政策をやろう、その点は評価するのですけれども、ただ公営住宅そのものが本当の住宅政策だ、いわゆる戸数主義だという時代はもうこの辺で変えなければいかぬ。いわば低家賃住宅というのは社会福祉的な意味を持っているもので、もちろん大事にしていかなければなりませんけれども、本来の住宅政策というのはそういう方向では決してないというふうに思うわけです。そういう観点から、まずこれからの、第三次五カ年計画とかいろいろありますけれども住宅政策方向としてまず住宅局長から、どういう方向をたどっていくかということについて御見解を承りたいと思います。
  12. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 ただいま先生から戦後の住宅政策の変遷について御意見を伺いましたが、まことにそのとおりだと考えております。私ども基本的に申し上げますと、やはり戦後からいわゆる戦災による住宅不足、それから昭和三十年代に入りましてからの世帯増、いわゆる核家族化、それから大都市人口集中ということで、とにかく住宅需要そのものが非常に旺盛でございました。数に追いかけられた、端的に申しましてそういうことじゃないかというふうに考えております。  そういった中で、公的な直接供給もふやし、民間建設も促進しなければならぬという状態の中で、とにかく住宅不足を何とか解消しなければならぬということが住宅政策中心になったということは、否めない事実だろうと思います。ただ四十八年の住宅統計調査、あるいは最近の需要を見ておりますと、いわゆる数の上では充足された。これからは本当にいい住宅を後世に残していくんだ。それも少なくとも都市の中での住宅というもののあり方、これを考えなければいけないというように考えております。  また、所得階層別に申し上げましても、ただいま先生指摘のような、いわゆる五合目から七合目をねらう公団住宅公庫住宅というようなものが、最近の傾向としましてだんだん三合目、四合目の方で対象にするような方がふえてきておられる、こういったものを含めまして、総合的にどういうような対策をとっていくべきかということは、これから先生の御指摘のように非常に大きな問題になろうかというように考えております。
  13. 大塚雄司

    大塚委員 局長お話しになるように、まさに私と意見は一致しておるわけです。しかしそうは言うものの、過去の公営住宅というものは、もちろん公営住宅法によって家賃軽減というものも相当大幅にあるわけですから、勢い住宅政策というと、そういう安くて負担の軽い住宅建てることの方が国民は喜ぶわけですから、どうしてもそういう志向型になる。しかし私は応分の負担というもの、公平の原理というものからすれば、もうそういう時代は過ぎたのではないか。したがってくどいようですが、公営住宅というものについてまず今後どういうふうな検討を加えていくべきか。実際に公営住宅に入りますと、もうすでに御承知のように一回入った人は永久に住めるというのが今日の状況です。したがって収入制限をして所得の低い方を入れてあげるという手だてを幾らやりましても、数年たてばみんな所得が上がってきちゃいますから、そうすると、そういうところに入っている人を見た木賃アパートに住んでいる人にすれば、大変に不満の材料になるわけです。しかし、個々に住んでおるものですから、なかなか公団公営に住んでいる人のように団結して物を言う機会もありませんから、そういう人を救っていくという方向からすれば、公営住宅というのは、諸外国にもありますけれども、むしろ社会福祉的なものにしぼっていくという路線を、いま直ちにはとれなくても、そういうことを志向していくんだというくらいのことは考えていいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  14. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 ヨーロッパ住宅政策の歴史、これは先生承知のとおりでございまして、ヨーロッパでも、第二次世界大戦後の戦災復興という中でいろいろな直接供給的な住宅供給というものの比重が非常に高かったわけでございますが、最近だんだんこういつた世の中が落ちついてまいりますと同時に、やはりそういった中でいわゆるいい質の住宅にいかにして適正な住居費負担で入っていただくかという議論が非常に盛んになりまして、最近でもヨーロッパではそういったいろいろな政策の改定というものが行われております。その基本的な方向は、先生の御指摘のようにすべての国民がやはり能力に応じて住居費負担して、そうして適正な水準の住宅に住めるにはどうしたらいいか、いわゆる応能家賃あるいは応能負担と申しますかそういう方向考え、そしてまたそれに対して家賃補助あるいは住居費負担補助というような形で処理していくというような方向世界の大勢はなっているのではないか。これは五十年八月の住宅宅地審議会の御答申にも、基本的な方向としてはそういう考えが示されておりますが、やはりこれを基本に私どもはこれからの住宅政策を組み立てていかなければならないのではないかというような考えを持っておる次第でございます。
  15. 大塚雄司

    大塚委員 まさにそのとおりであるので、その方向でひとつ進んでいただきたいと思います。  そこで、そういう方向になっていくプロセスでは、やはり公団住宅というのが昨年のいろいろな問題からまた発展して、これを少なくともそういう方向に持っていくためには、もっといろいろな手だてをしなければならぬというふうに思います。  それに先だちまして、公団住宅がなぜ郊外団地空き家になってきたか、これは私なりにいろいろ考えたのですが、もちろん都市計画との整合性に欠けたという面は反省一つとしてはあると私は思う。しかし、郊外でなぜ申し込みが少なくなったかという理由一つには、もちろん公共公益施設負担がふえてきて郊外団地といえども家賃が相当高いということもあろうと思います。しかし、それもありますけれども、四万も五万も出して郊外住宅に入るなら、都心民間アパートでも倍とはいかなくても七、八万出して入れるならば、やはり都心の便利なところに住んでおった万がいいという、これが率直に言って国民の気持ちだろうと思うのですね。そのことが空き家というものにつながっていったというふうに私は理解するわけです。  したがって、やはりこれからの住宅政策都心既成市街地における住宅供給というところに転換をしていかなければならぬということは大方の方向ですけれども、ともかくそういう意味では、郊外開発都市開発かという二つの路線のどっちを選択するかというところにもうやってきた。実際に、そういう観点からしますと、住宅公団事業というものが、従来のような大量供給ということもわかりますけれども、むしろ既成市街地の中での住宅供給というところに方向転換をしていくべきではないか、こういうふうに私は思うのでございますが、その辺について公団の方で何かお考えになっておることが具体的にありましたら、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  16. 澤田光英

    澤田参考人 空き家問題では皆様方に大変御迷惑をかけておりますが、この反省からいたしまして、ただいま先生のおっしゃるように、私ども住宅都市の近くに、あるいは中に帰ってこないと国民のニーズに合わないということを痛切に感じております。まさに御説のとおりだと思います。  従来も、実は郊外団地のほかにも中心地市街地住宅等をかなりやっておるわけでございます。ただし、これは量的にはまだまだ外の方が多いという状態でございます。これには幾つか理由がございまして、遠過ぎれば困るという話は自明の理でございますから、中の方に入りたいのでございますが、しかしなかなか中に敷地が求められないということがございます。さらには、そういうところに建てます際にも、いろいろと郊外団地よりもトラブルと申しますか、条件が多い。たとえば関連公共郊外と同様に、あるいはそれ以上に費用がかかります。さらに周囲とのなじみの問題、野原の真ん中に建つわけでございませんので、そういうコミュニティーとしての成立というふうなことが非常に重要な問題になってきておりまして、したがいまして、私ども努力にもかかわらず都市の中に建ちにくかったということでございます。  しかし、私ども反省からいたしまして、ぜひさようなことにしなければなりませんので、今後はこういうところに適地を求め、単なる更地だけではなしに、再開発そのもの、あるいは再開発に準ずるもの、こういう形で都市の中に入ってきて適正な住宅供給することが私どもの生きる道だ、こういうふうに考えております。そのためには各種の新しい制度とかあるいは新しいお金とかこういうものが必要なので、実は建設省の方とも御相談を申し上げて、公団の新しい道を開くために、都市整備的な条件を加えて事業を展開していきたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 大塚雄司

    大塚委員 大変前向きな御答弁でございますので、この点についてはぜひ住宅局長にも私からお尋ねをしたいわけです。  特にいまのお話にもありますように、いま澤田理事の方では、郊外公共公益施設負担といわゆる既成市街地での公共公益施設負担、どちらも大変になってきた、これは事実でございます。しかし私は長期で物を考えますと、既成市街地での公共公益施設負担郊外でのそれを比べますと、それに付随する、たとえば交通機関であるとかいろいろな総合的な第二次、第三次的な設備、施設等考えますと、むしろこれからは郊外は相当高くなるぞ、したがって都心で多少かかっても、これは結果的にはそう高負担にならないんだという説得力がなくてはいけないというふうに思うわけでございます。  仰せのとおり、住宅公団が、名前を変えるわけにいかないでしょうけれども都市整備公団くらいの意気込みで、ひとつ英知をしぼってむしろ都心地域において住宅供給するという御努力をぜひ願いたいということは、私ならずともあるいは皆様も御要望のところではないかと思うのですが、そういう手だてをしていく上において相当な資金の援助というものもありますし、また地方公共団体とても、住宅が建つことによって税収が上がっていくという大きなメリットもあるわけですから、そういうものを還元させるということも組み合わせながら、これを促進するという施策が必要だと思うのです。住宅公団では地方公共団体との調整という問題になりますとなかなか問題があるわけで、これはどうしても建設省中心になってそういう問題を解決していかなければならない。そんなことに局長がどんな見解お答えをいただけたらありがたいと思います。
  18. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 ただいま住宅公団からお話ししましたし、また先生からも御指摘のように、住宅公団が従来のいわゆる郊外団地建設していく形から、やはり都心へ再開発的な方向住宅供給していく、そのためには都市施設整備というような観点からやっていくべきだということは、もう私ども一も同意見でございます。  ただ、再開発的なやり方ということは、先生も御指摘のように、これはそう簡単にいく問題ではない。いろいろな問題がございます。一つは、そういった関連公共施設中心とするいわゆる家賃高額化対策をどうするか。そのために関連公共施設の手当てをどうしていくのか。それからまたそういった資金的な問題のほかに、再開発というのは、先生も御承知のように、郊外の野っ原に建てるのと違いまして、やはりそこに住んでおられた住民の方々の対策をどうしていくのかというようないろいろな地方の自治体の行政そのものにかかわるような問題もございます。そういったことをやはり建設省中心となりまして、資金面あるいは公共団体関係等調整しながら、公団がその役目を十分果たし得るように今後とも検討してまいりたいというように考えております。
  19. 大塚雄司

    大塚委員 まさに局長がおっしゃるように、資金面あるいは公共団体との調整、それもありますけれども、一方で、また私は基本的な問題に戻るんですけれども建築基準法都市計画法の問題も大いにあると思うわけです。  日本建築基準法というのは木造中心主義時代に制定され、それが手直しで今日まで来ておる。その間相当な御努力は私は評価はするんですけれども、必ずしも、当面している問題を一、二挙げますと、せっかく公団がそういう方向に志向しようと思っても、また法律面での壁に大きくぶち当たってくると思うのです。  特に五十一年の十一月の改正に伴って昨年の十一月から施行になりました建築基準法改正のそれぞれの問題の中で、特に日影規制という問題が都道府県の条例によって指定をしていくということに相なっております。指定をしているところとまだ指定をしていないところ、また指定の準備中のところとそれぞれありますから、にわかにまだ、いわゆる住民の反応というのが的確につかめないとは思いますけれども、少なくとも私は、この法案が国会で改正をされたときに私は都議会におりましたけれども、大変この問題が問題になるのじゃないかということを心配しておった一人であります。まさにいま、日影規制の問い直しを東京で言うならば各区が地元とやっておりますけれども指定をされると相当中高層の建築には大きな影響があって、それこそ都心での住宅供給というのは絶望とは申しませんけれども、いろいろな負担がふえると同時に、ある意味では半ばあきらめに近づくようなことにもなりかねないというふうにも思うのです。  そこでまず、日影規制影響というものを実際にどういうふうにお考えかも含めまして、改正の目的は一体何であったかということをもう一回論議をしてみたい。あの改正は何が目的だったんだろうか、その辺ちょっとお答えいただきたい。
  20. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 日影規制というものを建築基準法改正の中へ織り込みましたのは、目的は、むしろ大都市におけるいわゆる中高層建築物を推進していくためにいろいろなトラブルが起きておりました。そこで、そのトラブルが円満に解決をするためにどうしても一つの基本的なルールづくりというものが必要ではないかということで、その基本的なルールづくりをしようという形で建築基準法の中に日影規制というものを織り込んだわけでございます。  御指摘のように、やはり都市のあるべき姿あるいは都市の中における住宅のあるべき姿ということとこの日影規制というものをどう調和させていくべきなのかということは、私どももこういった規制基準をつくる場合一番念頭に置いた点でございまして、私どもがこういった規制基準をつくりますに当たりまして、いろいろな民間のマンション建築あるいは公的な公団を初めとする都心団地建設、そういったものを一応全部実例を洗いましたところでは、民間の非常に紛争が激しかったものについてはある程度、たとえば階数を削減するというようなことが必要でございますが、それ以外の民間のマンションあるいは住宅公団がやっておりました面開発等につきましては、一部設計を変えるというような個所はございますが、たとえば戸数を削減するというようなことなしに規制基準に合致するようなことができるという判断のもとに現在の規制基準を決めたということでございます。したがいまして、私どもはそういった都心におきますいわゆる住宅建設にそう大きな影響は出ないだろうというようなこととともに、またそういったルールづくりということで、いままで非常に紛争が長引いて建設ができなかったものが解決しやすくなる方向もあり得るのではないかというような感じを持っておるわけでございます。
  21. 大塚雄司

    大塚委員 改正の目的が、どうも建築紛争が絶え間なく起こる、これを少なくするというようなところにあるやの感触なんですが、私はそれは大きな間違いである、むしろ都市において環境のいい住宅供給するための法律でなくてはならないと思うのですね。ところがどうも、ある意味では、表現が適切でないかもしれぬけれども、マスコミ迎合型の改正だと私はよく言うのですけれども、建物を削ることによってその環境が本当によくなるかどうか。  私はあえて申しますけれども、東京や大阪の大都市宅地の大部分は二百平米以下ですよ、標準が。しかもそれが全体の七〇%ぐらいを占めている。ところがそういう方々は、大概建物の高さというものは十メートル以下、あるいは木造なら軒高七メートル五十以下です。そうすると、今度の日影規制には何の関係もない人が七〇%いて、残りの三〇%の最も住宅建てやすく供給をしやすいような宅地にそういう規制をかけるということでして、どうも本来の方向からすると七〇%のそういう人たちは日影の問題からは全然救われていない、極端に言えば。よく新幹線から見ますと、建て売りの並んだ建物がありますが、あの住宅の日照というのは、それじゃ果たして今度の日影規制の基準とどっちが日照があるかと言ったら、私は木造の過密の住宅の方が日照なんというものははるかにないと言って過言でないと思うのですね。ですから、そういう観点からしますと、むしろ今度の規制というのは、いまおっしゃるように、本当にただ紛争だけを解決することになるのかというふうにしか受け取れないのですね。しかし、それでは大都市住宅供給はできない。  物には表と裏があったり、世の中は明るかったり暗かったりする二面があるように、一億一千万の日本国民がこの狭い国土で生活をしていく上において、山林やそういう平地の少ない国土の中では、大都市に住む以上は、そういう高層化ということはどうしてもせざるを得ない方向である。しかも職住接近というような観点からすれば、やはり都心住宅建てなければならぬという方向に現実になっている中で、職住接近も求めます。太陽も要ります。両面全部享受しようということ自体、私は方向としては、都市生活としては考えなければならぬところじゃないか。太陽が欲しいというんだったら郊外に行くよりしようがない。極論ですけれども都心に住む以上は多少の太陽の犠牲は覚悟しなければいかぬ。現実に大臣を初めわれわれは一日に何時間日照を受けているかといったら、国会の中にいたら全然日に当たっていないわけですよ。恐らくそうだろうと思うのですね。そういうことから考えると、余りにも神経をとがらせ過ぎて、都市政策としては本当にマイナス方向のこういう制度をつくってしまったなという感がしないでもないのです。  大変に恐縮ですが、大臣にそういうことをお伺いしてはいけないのだけれども都市の生活というものはそういう方向を志向していかなければいかぬし、またそういう指導をすることが日本都市計画住宅行政の方向ではないかと私は思うのですが、大臣にも御見解を承りながら、住宅局長からもう一度お答えをいただきたい。
  22. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 ちょっと先ほどの言葉が足らずに恐縮でございましたが、私ども都市住宅がいかにあるべきかということがやはり基本だというように認識しております。先生指摘のように、よく言われますように、東京を初めとする大都市の平均の階数が一・八階だとか二階だとか、そして百平米以下の敷地が過半を占めている、こういった状態の中で、環境というものをどう考えるかということは基本的な問題でございまして、私どももそういった低層の木造住宅が並んでいる都市をこのまま放置していいということは決して考えておりません。そしてむしろ現在のそういった木造稠密の市街地、これの容積率を見てみましても、せいぜい一〇〇%とか一二〇%しか利用していない。ところが、これを再開発いたしまして倍の二〇〇%に入れましても、日照を犠牲にしないでも十分日照の当たる住宅供給できるということで、私どもはこういったことを考えたわけでございます。  したがって、私どもいろいろ試算をしておりますが、今度の日影規制ができましても、設計の工夫によって二〇〇%以上、うまく設計を工夫すれぱ二四〇から二五〇%まではいけるのではないかというような感じを持っておりまして、いまの市街地の密度の倍くらいまではいまの規制の中で十分対処し得るのではないかというようなことを考えております。  なおまた、そういった木造の市街地をそのまま放置していくという形でなくて、将来にわたって再開発への努力をすることは当然のことだというように認識している次第でございます。
  23. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 局長から御答弁いたしましたことで尽きておると思うのでありますが、私は、この日影規制によって、太陽を求めておる谷間のようなところになった住宅の方々が救われていく、しかしまた、それらの住宅が今度再開発によって中高層のマンションに変わっていく必要も認める、まあいろいろ、単純に考えられないと思うのです。しかし、現実に一方においてはトラブルもあることでございますから、そういうことでこの日影規制が当面効果を上げるようにする、しかし将来に向かっての都市全体の考え方からいけば、大塚委員のおっしゃっておるような、都心需要者の希望するような職住近接、職場に近い住宅が得られるということも必要なことだと思うのです。また都市開発の場合でもある程度の空地とか緑地、そういうものを確保していく必要もあろうかと思いますので、私はどっちかというと、大塚委員のおっしゃっていることもなるほどと思いつつ、しかしせっかく日照権の問題もある折から、いろいろの例を前提にしての日影規制を設けたのでありますから、これらの実績を少しながめてまいりたいというのが私の率直な意見でございます。
  24. 大塚雄司

    大塚委員 もちろん、日影規制はやってみないと、まだいろいろな問題が出てくるでしょうからなにですが、大方の方向として、両方というか、何もかも満点という都市行政はないので、その辺を国民に、都市に住むメリットがあるならば太陽については若干のデメリットがあっても仕方がないということが理解されないと住宅政策はできないということで申し上げたわけでございます。  いま住宅局長から建築紛争がなくなるというような御示唆もありましたけれども、これは質疑をしておると時間がないので一方的に申し上げますが、私はこの日影規制が施行されても建築紛争がなくなるという理解を持っておりません。これは日照だけの問題じゃなくてそれ以外の問題もあるし、この数年来の方向で、必ずしも建築紛争が本当に太陽がほしいとか環境がよくなるということだけじゃなくて、経済的なものによって左右されている向きもあるということを考えますと、そう簡単に建築紛争がなくなるとは思わない。  しかし、せっかく日影規制をやるのですから、確認申請は法廷で三十一日間でおろすということを決めている以上は、こういう規制をした以上は、建築指導行政に携わる各出先の皆さんがもっと勇気を持って、法律に適合したものはきちっと法律に照らして二十一日間でおろすというぐらいの姿勢を構えてもらうように、これは要望ですけれども、ぜひお願いしておきたいと思うのです。  そこで、この日影規制によっていささか救いを見出そうということは、これによってろうそくビルが比較的ふえるかもしれないけれども、そんなビルなら建ててもしようがない、東京などを挙げると、わりあいに密度も高く指定してありますので、土地の価格も大分高くなっている、そのぐらいしか建てられないなら建てない方がいいというようなことで、むしろこの規制によってろうそくビルが余り建たぬ方向にいけばなお結構だ。  ただし、それを救済していく制度としては、総合設計制度とか特定街区の制度でもっと大型のプロジェクトの住宅供給を誘導していく、これが公団都市整備に関連しての、また推進の非常に大きな課題だと思うのです。  ところが、総合設計制度そのものが創設されて以来、大阪はかなりやっていますけれども、東京は大変おくれてきた。しかも東京都のセクションと二十三区ではかなり総合設計制度の理解が違いまして、ごく最近の例ですが、二つの宅地を一体利用する、一団地の経営による総合的設計制度の採用ということなんですが、どうも理解が十分でないので、あるところでその制度を採用しても地下で建物をつなげなければいかぬとか、一つの建物になっていなければ許可しないというようなことも出先ではあるようですけれども、そういう二宅地にまたがる場合、片側に容積を積みかえて片側を公園にするというようなことは、都市にとってはいわゆる広場をつくっていく意味においても大変にメリットがあるわけです。  これについて一言でいいのですが、建設省見解、どういうことをやればそういうことは建物をつながなくても、一体性がなくてもらいと言えるかどうか、御専門ですから一言ずばりお答え願いたいと思います。
  25. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 総合設計あるいは特定街区ということは、民間の自主的な再開発を促進するという意味で私どもこれを十分活用していきたいという気持ちは先生と同じでございます。  そこで、昨年の改正によりまして、従来の総合設計というのがどちらかと言うとただし書き許可だというような観点から、むしろ総合設計というものが都市整備に寄与するのだというような趣旨に思想を変えたことは御承知のとおりでございまして、ややもすれば第一線では、ただし書き許可なんだから例外だというような認識があったことは事実でございます。これをむしろ都市整備上これはいいことなんだというように、法律改正によってはっきり打ち出したということで、私ども地方公共団体に対してそういったことをどんどん勇気を持って進めるように指導しているところでございます。  ただいま御指摘の案件につきましては、私は十分に具体的なことを承知しておりませんので具体的にはお答えできませんが、そういった観点から、むしろ前向きにこれは運用していくべきだという基本的な方向で対処してまいりたいというように考えております。
  26. 大塚雄司

    大塚委員 具体的には結構なんですが、ともかくこの制度地方公共団体の方では必ずしも正確に理解されていないということもあって、そういうトラブルもあるのだろう、しかし、これは前向きにいまお話がありましたので、むしろこういうような制度住宅公団民間と協力して大いに活用して、都市住宅供給をやるということが大変望ましい。もちろんその場所によっては従来の特定街区という制度も必要なんですが、ただ総合設計制度の方はどうも例外許可というような感覚もありまして、何か容積の割り増しなんかも大変シビアにお考えになっている。それはいろいろ事情もありましょうけれども、本来の趣旨を誤りなく出先機関といいますか、現場で理解をしてもらいませんと、せっかく仏をつくっても魂入れずということになるので、ぜひこれは重ねて要望をいたしておきたいと思います。  時間がございませんので、最後に、実はついせんだって三井不動産がフランチャイズシステムを採用するということで、全宅建との間でトラブルといいますか若干問題が起きているようであります。分野法の第一号ということで、たしか三月一日付で調整の申し出が出ておる、これにつきまして三井不動産と全宅建では十分話し合いをしていくという姿勢にあるということでございますけれども、全宅建の皆さんにしてみればやはり大手に余り荒らされては困るというような意向もあるようですが、その辺について状況がわかりましたらお答えいただきたい。
  27. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  お尋ねの三井不動産販売株式会社が昨年四月来実施しておりました専属特約代理店方式でございますが、これをことしの四月一日から拡充するという計画があるということで、社団法人でございます全国宅地建物取引業協会連合会、これは現在九万の業者のうち七万が会員に入っておりますが、この連合会から同計画が中小宅建業者の事業機会を奪うおそれがあるということで、分野調整法に基づきまして、五十二年の十月二十七日付をもちまして調査の申し出が建設大臣にございました。これを受けまして、建設省では十二月二十七日にその調査結果を全宅建に通知いたしたわけでございますが、その内容は、現在、神奈川県、千葉県、埼玉県の各県に合計十店舗の専属特約代理店を今後新たに設置するという計画がございます。  これに対しまして、全宅連の方から、この計画の実施によって中小の宅建業者の経営の安定に著しい悪影響があるということで、この三月一日に分野調整法に基づく調整の申し出が建設大臣にあったわけでございます。建設省といたしましては、分野調整法に基づきまして調整の申し出を受理いたしたわけでございますけれども、この内容が「大企業が不動産流通仲介市場の独占化計画を進め拡大すれぱ、」というぐあいに非常に抽象的でございまして、具体的な定量的な記述がございませんでしたので、これにつきましてさらに詳細に疎明をしていただきたいということで、現在全宅連にもう少し詳しく疎明を書いてほしいということを言っておるところでございます。  もう一方の当事者でございます三井不動産販売株式会社でございますが、これと全宅連は、分野調整法の四条にも書いてございますが、極力両当事者は自主的解決に努めなさいという法の趣旨に基づきまして自主的に解決を図るということで、目下両当事者間で二月十四日それから三月十六日、二回にわたって話し合いを行っているわけでございます。その結果、三井不動産販売株式会社は、四月一日から拡大計画を実施するということでございましたけれども、これをさらに三カ月間延期するということによりまして、その間十分話し合いを進めたいということになっております。  そこで、建設省といたしましては、両当事者間の自主的解決への努力を尊重いたしまして、十分その間の推移を見守っている段階でございます。  さらに、この内容を省略いたしたわけでございますけれども、問題になりますところのフランチャイズシステムの内容について若干御紹介いたしますと、三井不動産販売株式会社と同社の特約代理店あるいは地場有力宅建業者が共同で出資いたしまして、住販会社、これをフランチャイズ店と言っているわけでございますが、これを設立するわけでございます。その際に、三井の方から出資比率は三五%ということで出資いたしまして、非常勤監査役一名を除きまして役職員を派遣することはございません。それで三井不動産販売株式会社とフランチャイズ店との間の契約に基づきまして、もっぱら仲介契約が三井不動産販売店の名前で行われるということになるわけでございます。  仲介手数料というのは、いまのところ原則といたしまして住販会社が六〇%、三井が四〇%という割合で行うというのが、おおむねフランチャイズシステムの仕組みでございます。目下、両当事者の自主的話し合いに任せておるわけでございまして、建設省といたしましてはこの推移を十分見守ってまいりたいと思っております。
  28. 大塚雄司

    大塚委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、どうかこの問題はその三カ月の猶予期間に精力的に調整をしていただいて円満解決を図っていただきたいことを要望して、終わります。ありがとうございました。
  29. 伏木和雄

  30. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は住宅金融公庫法の一部を改正する法律案について質問をするものでございますが、まず最初に、本改正案で個人住宅にかかる貸付金の問題についてお伺いいたします。  その第一点は、本改正案が「住宅建設の促進に資するため」ということで出されてきたわけでありますが、それでは過去の改正時と比べて今度の改正はどのような意味を持っておるのか、あるいはどういう重要性、緊急度を持っておるのか、その位置づけについて御説明を願いたいと思います。  次に、第二点についてお伺いいたしますが、本案では木造簡易耐火構造住宅についてだけ償還期間の延長措置がなされましたが、これで重要な改善策あるいは優遇措置と言えるだろうか、非常に疑問を持つものであります。  何となれば、庶民の最も望んでいることは、貸付利率の引き下げであり、融資限度枠の拡充であるからでございます。しかるに、この一番重要な問題には全然手をつけずに、たとえば木造の場合償還月額が五千八百十一円減少するということが強調されておりますけれども、先ほどの答弁の中でも、償還月額が非常に減る、そこで融資を受ける人には大変優遇をしたように言われましたけれども、これは見方によって非常に性格が違ってくるという点であります。それは、七年間の延長で百三十二万三千九百六十円の負担増となる。このことは公庫側にとっては、従前の利率で二十五年間取り続けるわけでございますから、何らの損失も譲歩もしていないわけです。全く従来どおり、しかもこれは担保を設定されて取るわけですから危険負担もない、こういう形で少しも温情というものをそこに感ずることはできません。ところが、返済する側に立って考えれば、従前より七年間多く返済の重荷に耐えなければならないわけでございます。  こういうふうに考えてまいりますと、これは果たして改善と言えるだろうか、非常に疑問があるわけです。そこで、この際思い切って利率の引き下げをすべきではないか。しかも、今日金融情勢というのは、史上最低の公定歩合となっている。そういう中で市中銀行の金利はすべてこれに連動して金融の円滑化を図っているにもかかわらず、住宅金融公庫だけが従前どおりでほおかぶりしようということは許されないと私は思うわけでございます。この点、どういうお考えであるかをお聞かせ願いたいわけでございます。  次には、融資限定の要素の見直しをすべきである。  これは、いまの融資というものは、単価に融資率を掛けて、さらに面積を掛けて出すというふうになっておりますが、この単価についても私は非常に問題があるのではなかろうか、これは五十三年度単価はどのくらいに見積もっておるか、ひとつ御説明願いたいと思います。  さらに、融資率が木造で八〇%、耐火で八五%というふうになっております。これもそろそろ考え直して、もっと引き上げていいのではなかろうか。  それから、一番問題なのはこの面積でございますが、八十平方メートルが最高限度になっておるわけです。しかし、この八十平方メートルという対象というのは一体どこから出てきたのか。住宅金融公庫年報を見ますと、八十平方メートルの基準というのは、新設住宅一戸当たり床面積の平均でとってまいりますと、これは昭和四十年以前の面積に相当するわけです。もう現在では昭和五十一年度が百八・三平方メートルになっておるわけで、こういうふうに考えてまいりますと、全く金融行政というものが時代の後追いをして、先に待っていて誘導するという役割りを放棄しているのではなかろうか、こういう点についてひとつお伺いいたします。
  31. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 今回の改正意味でございますが、これは私ども住宅政策という観点からまず第一に考えますと、最近統計にも出ておりますように、住宅金融公庫をお借り願っている方々の所得層というものがだんだん下の方に下がってきております。そういった意味で、どうしてもこういった方々に御利用いただくためには負担を軽くしていただかなければならない。そのためには、先生指摘のように償還期間の延長のほかにも、利子を下げたり、限度額を上げたりするような方策があるわけでございますが、とりあえず法律改正が必要だということで、償還期間の延長ということをお願いしているわけでございます。それとあわせて、それは住宅政策基本の問題でございますが、当面の課題たる景気対策上も、こういった対策というものが非常に緊急を要するということでお願いしている次第でございます。  それから、利子とか限度額につきましては、これは後でまた触れたいと思いますが、利子につきましては、公定歩合の今回の引き下げに伴いまして当然財投金利等の一連の引き下げがあるということになりますと、私どもはこういった金融公庫の金利も自動的に引き下げられるというように考えておりますし、ただ、これは法律改正では五・五%以内ということで四十八年に改正していただきましたので、これは法律によらずに事務的に引き下げる場合には引き下げられるということに相なるわけでございます。  それから限度額につきましては、これはまだ私どもも十分だとは考えておりませんが、木造につきまして最高限四百五十万を五百万円、マンション購入につきましては六百五十万円を七百五十万円というように引き上げた次第でございます。  それから、償還期間について、なぜ木造簡易耐火構造についてはいじったが、耐火構造については三十五年を据え置いたのかという御質問でございますが、この点につきまして、たとえば耐火構造の三十五年ということは、個人の融資としては一応私どもは感じとしては最高の形ではないかというように考えております。もちろん住宅金融公庫融資は、御本人が亡くなられた場合には債務承継で相続の方に引き継いでいただくというような形をとっておりますので、その点は別に支障ないわけでございますが、ただ、必ず二世代にわたってそういったものを払っていかなければならないというようなシステムが、いまの公庫融資の個人融資という中で日本的に受け入れられるのかどうかということから、三十五年は据え置いた。  それからもう一つ、実質的な意味で申しますと、木造の十八年を二十五年にいたしますと、百万円当たりで千百六十三円引き下げられることになります。それから簡易耐火構造の二十五年を三十年に延ばしますと、百万円当たりで四百六十三円引き下げられる。ところが、仮に耐火構造の三十五年を四十年に五年延長いたしましても、これは二百十二円しか下がらない。これは当然長くなれば長くなるほど少々いじっても響いてこないというような結果がございます。そういったことを総合的に勘案いたしまして、私ども一応耐火構造の三十五年は据え置いたという次第でございます。  それから、償還期間を延ばしても結局返済総額はトータルとしてふえるではないかというような御指摘でございます。これは当然結果的にそうなるわけでございますが、私どもは、同じ金利で同じ条件の貸し付けの場合には、むしろ返済総額が多くなるほど有利な借り方だというような認識をしているわけでございます。ただ、常識的にと申しますか、一応一般の方々が償還金額がふえるのはいやだというような御認識の方もあろうかと思いまして、私ども実行上は、これは二十五年以内ということでございますので、二十年あるいは十五年というようなことも、ユーザーの方の御希望によりましては選択できるような形で運営してまいりたいというように考えている次第でございます。  それから融資の単価、融資率等につきましての御指摘もございましたが、それから融資対象面積の八十平米、これも実態に合わないじゃないかというような御指摘でございます。私どもも単価につきましてもあるいは融資率につきましても、融資対象面積につきましても、これはもっともっと上げなければならないということは、やはり今後も努力をしなければならないことは当然でございます。ただ、いまの私どもの個人の四百五十万円を五百万円に上げた、五百万円というのはむしろそういった融資率を計算上は掛け合わせた結果として出しておりますが、ただ五百万円がいいのか、四百五十万円がいいのか、あるいは六百万円が実態に合っているのかというような認識で検討していく段階に来ているのではないかというように考えております。したがいまして、私どもも四百五十万円を五百万円、もっと上げたかったわけでございますが、財投資金全体の中で戸数枠もふやさなければならない、単価も上げなければならない、そういったことを総合的に勘案しまして、一応五百万円ということで五十三年度はお願いしているというところでございます。
  32. 渡部行雄

    渡部(行)委員 何か毎月の返済額が若干減れば非常に借りやすくなり、かつ、借りている者に大変利益を与えたような錯覚を持っておられるようですが、もしそういうお考えならば、均等割をやめて、そうしてむしろ据え置き期間一年たったら二年目から均等割の七〇%くらいにして、だんだん年数がたつに従って次第に金額が増加する、こういうようなやり方でいけば、労働者も賃金が上昇しますし、物価も上がってまいりますから非常に借りやすくなるのではないか、そこまで親切な一つのやり方を検討していただくわけにはまいらないか、こういうふうに考えますが、その点については一体どういうふうに考えておられるのか。  それからまた、今度の予算の中で公共事業に非常に重点が置かれ、しかもその中でも住宅建設というものは大きな役割りを果たしていくわけで、いまの円高の中で七%成長率実現という一つの至上命令があるわけですから、そういう立場でこの住宅建設考えた場合、このままでいいだろうか、非常に私は疑問があるわけです。  たとえば、五十一年度の住宅建設の特徴、こういうものを見てまいりますと、五十一年度の伸びというのはほとんど民間投資に支えられて、公的資金投資は逆に減ってきているわけです。こういうものとあわせ考えてまいりますと、やはり相当思い切った改正なり改善策をここで立てていくべきではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがでしょう。
  33. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 第一点の、いわゆる逓増方式と申しますか、最初償還金が少なくてだんだん後に行くに従って、所得が伸びるに従ってふやすような考えがないかということでございます。私どもはこういった逓増方式ということも一つの非常に有力な案だということで、いろいろ種々検討しているところでございます。ただ、その逓増の率がどうのこうの、あるいは将来の所得の上昇の率がどうのというようなことのほかに、事務的にも非常にめんどうな計算が必要だというようなことで、今回は一応十八年償還期間の延長ということで対処したわけでございますが、これはいろんな経済情勢、そういったことにおきまして、将来は確かに検討の課題の一つだと私どもも認識しているわけでございます。ただ、こういった逓増方式をとりますと、現在の元利均等方式と比べますと、先ほど御指摘償還期間を延ばしたと同じように、総額全体は逓増方式の方がふくらむことになります。したがって、日本の中でうまく受け入れられるかどうかという問題も、確かにそういった検討課題もございますが、御指摘のように、これは将来の課題として検討させていただきたいというように考えているわけでございます。  それから、景気対策として、いわゆる民間投資と政府投資の関係がどうかというようなお話でございますが、国民経済計算におきます政府の住宅投資という範疇の中には、いわゆる公団の分譲住宅とかあるいは公庫融資住宅とか、そういうものは民間住宅投資の方に分類されております。したがいまして、確かに御指摘のように、公的な直接の供給住宅というものは、特に大都市におきましていろんな事情から伸び悩んでいるということは事実でございます。また、その解決策といたしまして、関連公共事業の促進のための三百億の計上とか、公営住宅の用地の二万戸分の先行取得とか、いろんな手だてを講じまして、これの促進も図っているところでございますが、ただ、そういった手だても、すぐに特効薬としてどんどん公的な直接供給住宅が来年度ふやせるというような状態ではございません。したがいまして、当面の対策としては、公庫融資中心民間建設に頼らざるを得ないというのが実情でございます。しかし、私ども、決してそういった公的直接供給住宅を忘れているわけではございませんで、今後ともそういったものを拡充していきたいというように考えている次第でございます。
  34. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、その逓増方式になれば確かに総額としては大きく金額がかさむというのはわかっておるわけですが、問題はそういう期間の延長や逓増方式を実施する場合に、公定歩合が三・五%ですか、こんなふうに非常に下がっているときは、恐らく、どこまでこれが続くかは問題ですが、将来はそうないじゃないか、またこれは上げられる時期が必ず来ると思いますけれども、この際やはりそういうものに見合わせて連動させて、そうして利率を下げることによってこの負担増を抑制していくということが非常に私は大事ではなかろうか。この辺については後で大蔵省にも御質問しますけれども、ただ、財政投融資の利率が下がらなければ下げないのだ、こういう公式的な判断ではいかないじゃないか。もっと一般会計からの金を出して利子補給をさせるなり、そういう手だてはあるわけですよ。本当にやる気があるかないかが問題であって。しかしこれは、当然そういう利率を下げる場合には、強力にまた大蔵省なり郵政省なりに預託金利やあるいは財投の融資利率というものを下げさせる。こういうのは、同じ政府の中ですから、話し合いができないはずはないと思うのです。そういう積極的な姿勢をひとつとっていただけないかどうか。  もう一つは、いまも申し上げました逓増方式なりは、これは法律改正しなくともこの運用面でできると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  35. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 正式に法文上細かく検討しておりませんが、多分できるはずでございます。  また、先生指摘のように、公庫の金利につきましては、先般の経済対策閣僚会議でも一応引き下げる方針はお決めいただきまして、今後郵便貯金の金利あるいは財投金利、そういうものも勘案いたしまして、これは私どもは当然、もしそういったものが下げられる場合には、公庫の金利は下げられるのだというように認識している次第でございます。また、そういう方向で関係各省にお願いしたいというように考えている次第でございます。
  36. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それからもう一つ問題になってくるのは、個人住宅建設の促進がどんどんとなされてまいりますと、それがミニ開発になっていかないかどうか。そこで、そのミニ開発と一体どういうふうに今後調和をとっていくのか。いわゆるミニ開発をどういう方法で抑制していくか、このことがまず第一点であります。  それから、住宅全般の問題についてですが、住宅金融政策は、日本住宅の理想的条件整備と環境整備の誘導的な役割りを果たす、そして、かつ住宅希望者の心に充足感を与えていくということが非常に重要ではなかろうかと思うわけでございます。現在の住宅金融のあり方は、そういう点では非常におくれておるのではなかろうか。  また、先ほども申しました四十年以前の八十平方メートルというようなものを対象にして考えておる、こういう不備について早急にこれは手直しをする必要があるだろう。  そういう点でのこれからの住宅政策の全般的な進め方について、これは大臣にお伺いいたします。
  37. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 全般的な答弁は大臣にしていただくとしまして、細かい実務的な面から先に御説明させていただきたいと思います。  まず、ミニ開発対策でございます。これは、一般にミニ開発と言われておりますのは、いわゆる小さい敷地で、そして業者が分譲していく、これが非常に問題になっているわけでございます。したがいまして、公庫融資がそういうものの促進に使われないように私どもも常に配慮しているところでございまして、まず一般の個人の方が自分で持っておられた敷地に建てる場合、この場合は、先ほども大塚先生の御質問の中で触れましたが、現在の大都市におきます土地というのが百平米以下が大体半分ぐらいございます。したがいまして、それには全然住宅金融公庫融資しないというわけにもまいりません。したがいまして、そういう個人ですでに持っておられる方につきましては、これはいまのところやはり融資して差し上げるというような形になろうかと思いますが、そういった分譲住宅につきましては、これはこういったミニ開発対策ということで、大きな集団的なものにつきましては、これは公庫建設基準でもちまして、そして環境のいいものしか貸さないというような形にしておりますし、あるいは小さい分譲住宅につきましても、たとえば百平米以下の敷地につきましては住宅金融公庫融資はしない、そういった形でミニ開発の促進にならないように心がけてまいりたいというように考えております。  それから、住宅金融公庫融資というのが、単なる融資ということでなくて、環境整備に役立つような形で融資していくべきではないか、これは御指摘のとおりでございまして、住宅金融公庫におきましては、そういった意味でいわゆる建設基準というものを設けまして、そういった環境整備上好ましいものに貸していくんだというような形で貸付方針を決めておるところでございます。  それから、四十年以前——四十年以前とは限りませんが、古い住宅のいわゆる狭いものの処置をどうするんだということでございますが、これにつきましては、公庫は昔から住宅改良資金という制度を設けまして、そういった古い住宅を増築される場合あるいは手直しをされる場合には改良融資というものをやっております。そういったことを通じまして、やはりせっかくございます日本住宅のストックをいい形で活用していくという方向にも今後十分力を入れていかなければならないのじゃないかというようなことを考えている次第でございます。
  38. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま局長から申し上げましたように、今回の土地に対する融資あるいは改良住宅に対する融資につきましては御承知いただけたものと思います。  渡部委員の先ほどからの御質問は、今度住宅金融公庫融資枠の拡大とか、償還期限の延長とか、据え置きとかいろいろやっておるが、それじゃまだ不十分ではないかということが一番の中心での御質問のようであります。私もそのことは十分考えておるところでございますが、しかし今回、この融資枠とか、償還期限とか、据え置きとか、さらに取得に対する減税とかというものをワンセットにお考えいただくと、昨年あたりまでの条件でも相当な申し込みがあったのでございますが、今回のこういう、いわば条件緩和と申しますか、そのことによりまして第一のわれわれのねらいである、より低所得の方に借りやすくしようということには一歩でも二歩でも前進したんではないか、こう思います。  きょう御質問の中で御批判の向きもございましたが、それらのことにつきましては、今回のこの条件緩和に伴っての実績を踏まえながらさらに明年以降の施策の上に反映させていきたいと思います。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いまの御答弁で、低所得者になるべく行き渡るようにというその御趣旨は大変ありがたいわけでございますが、しかし環境整備という場合に、住宅の建築物そのものと、もう一つは、それの建っておる土地というこの二つの条件の中で私は考えていかなければならないのではなかろうか。そうした場合に、いまの建物それ自体もとてもこのような方式、計算ではりっぱな建物は建っていかない。しかも低所得者がなぜ住宅金融公庫資金を欲しがるかというのは、民間住宅ローンに比べて非常に金利が安いということです。非常に安いということではないにしても、比較的安い、こういうことで住宅金融公庫資金というものを歓迎しておるわけでございまして、その際、一体ことしの春闘で労働者の賃上げ率はどのくらいになるだろうか、こういうふうに考えてまいりますと、私は昨年より落ちるのではなかろうか、こういうふうに思います。そうした際に、果たして低所得者に喜ばれる住宅供給ということがいまのままでできるだろうかというのが非常に私は心配でならないわけです。ですから、そういう意味合いも含めまして、ぜひこの改善策を検討していただきたい。そして、やはり土地を買う際に金がないと、狭い土地を買って何とかぎりぎり建物が建つというようなことで建てますから、これは結局ミニ開発になっていくわけです。そうでなくて、ある程度百坪くらいか八十坪以上くらいの土地が取得できるように、そういう金融措置を考えるべきではなかろうか。毎日のようにマンションや一戸建て住宅の広告が入ってきますが、それの値段はほとんど一千五百万円台から二千万、ひどいのは五千万というようなものもあります。そういう五千万というものは別といたしましても、一千五百万をそれじゃ調達する際に、この金融公庫がそこに果たす役割りというものは一体どのくらいだろうか、こういうふうに考えていくと、やはりいまのままではちょっと困るんじゃなかろうか、こういうように思いますが、その点ひとつお伺いいたします。
  40. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、住宅金融公庫の役割りというものが、できるだけ所得の低い方々にも御利用いただけるというような方向で検討すべきことは、これは当然でございます。また、現実の需要そのものが、先ほどからお答えしておりますように、そういった低所得の方へシフトをしてきております。そういった対策から、今回のいろいろな、償還期間の延長とか貸付限度額の引き上げとか、あるいはローン減税とか、いろいろな総合的な政策をとったわけでございます。もちろんこれで私どもも十分だとは思っておりませんが、今後ともそういう方向で検討いたしたいというように考えている次第でございます。  また、特に大都市においては土地の問題というのが非常に大きな問題でございまして、土地つきの住宅を取得するということ、これが非常に大きな問題でございますし、これからもそういったものに力を入れなければ、おっしゃるとおりミニ開発というようなものがどんどんどんどん多くなっていくというようなこともございます。そういった意味を含めまして、今回のいわゆる土地つき融資限度の引き上げを行ったわけでございます。私ども先生の例にお引きいただきました千五百万円の住宅、これが私どもは平均的な勤労者がいわゆる公庫融資民間ローンを借りていわゆる土地つきで住宅を持てるという一つの標準的な姿ではないかというように考えておりますし、私どももこういった特に千五百万の住宅というものを東京で考えました場合には、これは一戸建て庭つきでそういった環境のいいものというのは、これは残念ながら現在のところ不可能でございます。したがってこれはもうマンションみたいなものにしかならない。  そう考えますと、大体七百五十万の公庫融資というものが大体半分というような感じになろうかと思います。そういったことを勘案いたしますと、もっとこの金額を上げて利用しやすい形にしていきたいということは、私どもも念願としているところでございますが、今後ともそういった形でできるだけ平均的以下の勤労者の方々にこういった住宅が取得しやすくなるような努力を傾けていきたいというように考えている次第でございます。
  41. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次には、省エネルギー住宅建設についての問題に対してお伺いいたします。  去る一月二十三日に建築審議会から、「住宅等の建築物における省エネルギー対策の推進方策に関する答申」というものが出されておるわけでございます。その中には、「住宅建設」という項で、新築される住宅、それから既存の住宅において基準に適合する場合には優遇措置を講ずるということがうたわれておるわけです。さらにその「立法措置」として、「省エネルギー対策の有効な実施を図るため、以上の事項を含めた所要の立法措置を講じる必要がある。」こういうふうに指摘されているのですが、時間の関係上趣旨だけを申し上げまして省略いたしますけれども、それを受けて去る二月二十三日の新聞ですが、通産省がまとめたエネルギー使用の合理化の促進に関する法案、この中に、やはり「助成措置」として、「国は省エネルギーを促進するため必要な資金の確保につとめる。」あるいは「住宅の断熱に関する構造基準を定める。」という趣旨のものが盛られておるようでございます。これについて、今後の住宅金融についてはどういうふうに考えておられるのか、あるいはこれからどういうふうにやろうとするのか、具体的なものがあるのか、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  42. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 御指摘のように、本年の一月の答申を受けまして、私ども現在省エネルギーの問題につきまして検討を続けているところでございますが、先生の御指摘のように、現在通産省を中心として関係各省とそういった省エネルギーの法案につきまして今国会に提出すべく検討を続けているところでございます。その中で、いわゆる住宅の断熱構造の基準というものを定めまして、そういったものに対して金融あるいは税制上の配慮をしていこうというようなことを考えている次第でございます。したがいまして、新築住宅につきましては、そういった法案に基づく基準をつくりまして、それに適合するものにということで、現在の住宅金融公庫の中にはまだ入っておりませんが、法案をまってそういった対策を講じたいというように考えております。  ただ、そういった新築住宅でなくて、既存の住宅を改良する場合につきましては、そういった新築の場合と違いまして、行政ベースである程度対処できるということで、来年度の公庫融資につきまして、既存の建物の改修費用につきまして、従来限度額が百四十万ということにいたしておりましたが、これを省エネルギーのために断熱構造化する場合には、百五十万円まで限度額を引き上げるというような措置をとらしていただいている次第でございます。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは大臣にむしろ聞いた方がいいと思いますが、先ほど私が申しました通産省から出されるという法案は、三月末日ごろ出るだろうと書かれておるのですが、この内容を見ると建設省も相当関係しておりますので、大臣の見通しではこの法案はいつごろ出そうですか。
  44. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 現在のところ事務当局間の折衝でございまして、こういうふうに煮詰まったからどうというふうに私の手元まで上がってきておりません。ただ、私といたしましては、省エネルギー住宅の推進につきましてはぜひやりたい、積極的な意向を持っておるわけでございますから、幸い事務当局間で大体見当がつきますなら私は大いに推進いたしたいと思いますが、いまのところまだ私の手元に上がってきておりません。
  45. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 大臣からお答えいたしましたように、私どもは省エネルギー住宅の問題につきましては、通産省と打ち合わせまして、これは基本的には私どもと通産省等とこれから調整すべき問題は別にございません。ただ省エネルギー全体の問題はいろいろ産業面あるいは自動車の問題いろいろな問題がございまして、そういったものを総合的な最後の調整をいたしている段階でございまして、できるだけ早く私ども調整の上御提出いたしたいということで努力している次第でございます。
  46. 渡部行雄

    渡部(行)委員 できるだけ早くと言っておりますけれども、できるだけ早くというのは事務レベルでは見通しが立てられると思うのですよ。大体いつごろか。  それからもう一つは、断熱に関する構造基準というものはすでに策定されたのでしょうか。その点が第二点。  それから最後に、大蔵省にお伺いいたしますけれども、先ほども議論しましたように、公定歩合が史上最低に下がった。これについて財政投融資貸付金の金利を引き下げる用意があるのかどうか、この点についてひとつお伺いいたします。  それから、住宅ローンについても減税する考え方があるかどうか。  それから第三番目には、いま申し上げました省エネルギー住宅建設促進、既存住宅の省エネルギー化に対して、たとえば所得の控除あるいはその他の税制上の減免措置を考えておられるかどうか。この三点を大蔵省にお伺いいたします。  最後に、これもやはり新聞に出ておったのですが、いま公団は約四万戸の空き家を抱えておる。これを解消するために空き家住宅地方自治体の公営住宅に切りかえていこうというような趣旨の考え方が新聞に出されましたが、そういうものについて、いま具体的に進んでいるのかどうか、もし進んでいるとすればその具体的な内容をお聞かせ願って私の質問を終わりたいと思います。
  47. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 省エネルギー法案の提出期日でございますが、これは先ほども申し上げましたように、私ども建設省の担当でございます住宅あるいは建築物の省エネルギーというものにつきましては、これはもう調整をほとんど終わっておりますので、ただほかの問題で調整がまだこれからの問題がございます。したがいまして、私ども建設省といたしまして、この調整がいつできるかというような、これは担当ではございませんのでちょっと正確には申し上げられないので、御容赦いただきたいというふうに考えております。  それから構造基準につきましては、これは審議会の答申をいただく過程で、相当突っ込んだ細かいところまで構造基準の原案みたいなものはおつくり願っております。したがいまして、私ども法案ができましたら、この構造基準はすぐにでももう作業にかかれる段階にあるというように考えております。(渡部(行)委員「この国会に提案できるのですか、法律」と呼ぶ)  法案は、私どもは当然これは今国会に提出するんだということで、私どもの分野につきましては鋭意やっているところでございます。  それから、公団住宅の空き屋を公営住宅にということは、これは予算委員会等でもいろいろ御指摘を受けまして、大臣も前向きにお話し申し上げましたところでございますが、現在私どもはそれを受けまして、事務的に各地方公共団体に対しましてそういった受け入れといいますか、希望があるかどうかというようなことを聞きますと同時に、現在の公営住宅法に基づきます補助のやり方がどういうふうにできるかどうかというような事務的な検討をいたしているところでございます。  まず地方公共団体につきましては、地方公共団体も相当前向きに検討をしていただいて、そういった公営住宅に転用できるような適当なものがあれば、これは当然積極的に受け入れてもいいというような意向を持っておられるところが非常にたくさんございます。それから事務的な面では、現在の公営住宅法がいわゆる建設費補助というような形になっておりますので、それがいわゆる購入という形まで拡大して読めるのかどうかというようなことを法制局と現在詰めているところでございまして、事務的にも私ども前向きにこれは対処してまいりたいというように考えている次第でございます。
  48. 廣瀬勝

    ○廣瀬説明員 お答えさせていただきます。  まず第一番の資金運用部の貸付金利についてでございますが、最大の預託者、これは約六〇%を占めておるわけでございますが、その最大の預託者でございます郵便貯金の金利がどのように決定されるかといったその決定を待ちまして、資金運用審議会の御意見を聞いて定めてまいる所存でございます。  第二番目の減税でございますが、これは私実は担当ではございませんが、今年度の税制改正におきましても手当てをさせていただいておることもございまして、今後建設省当局の御検討もまって慎重に対応する問題だろうと存じております。  それから省エネルギー対策でございますが、これにつきましても資源有限時代に対応いたしまして、十分私どもも五十三年度の財政編成あるいは予算編成において検討させていただきまして、具体的に申しますと、先ほど住宅局長から御説明がございましたように、住宅金融公庫融資限度枠も十万円を引き上げるといったような対応をさせていただいておるわけでございます。そういった基本姿勢を踏まえまして、今後検討させていただくという所存でございます。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうもありがとうございました。
  50. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  51. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村茂君。
  52. 中村茂

    ○中村(茂)委員 午前中も金融公庫貸付金利について話が出たわけでありますが、非常に漠然としていてよくわかりませんので、改めてお聞きいたしたいと思います。  特に貸付金利で幾つかの項目があるわけでありますが、その中で個人住宅にかかわる貸付金利、昭和二十五年に金融公庫発足以来五・五%でずっと来たわけであります。四十八年にこの法律の一部改正を行ったわけでありますが、そのときに今度五・五%以内と以内がついて、以内にした場合には政令で定めることができたわけであります。そのときに初めて〇・三%下げられて、一時五・二%になったことがあるわけです。今度公定歩合の大幅な引き下げが年に四回にもわたってずっと行われてきたわけでありますし、それに連動して郵便貯金についても預金金利が下げられる。ですから私は、この五・五%の金利をひとつ大幅に下げることによって、お借りして家を建てようとする人たちの意欲をわかしていただきたい、こういうふうに思うのです。  そういう立場に立って、まず大蔵省にお聞きしたいと思いますが、今度の公定歩合の引き下げに伴って、お聞きいたしますと、今月の暮れか来月の初めに郵便貯金の預金について御決定なさる。その後、特に財投面についてはその金利をどういうふうにするかというのが決まると思うんですけれども、特に財投についての今度の公定歩合引責下げに絡む大蔵省の考え方をお聞きいたしたいと思います。
  53. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 いま、先生のおっしゃったように、郵便貯金金利につきましては、私どもとしては民間の金融機関との関連もございますので、民間預金の金利の引き下げに準じてこれを引き下げてもらいたい、こういう希望を申し述べておるわけでございます。現在、決まっておりますスケジュールによりますと、三十日、つまりあしたでございますが、あした郵政審議会が招集される、こういうふうに聞いております。民間の預金の方は四月の十七日からの引き下げということがすでに決定しておりますので、郵便貯金につきましてもできるだけ同時実施ということで引き下げをお願いしたいと私ども考えておる次第でございます。  郵便貯金の金利が下がりますと、当然のことでございますが、運用部の預託金利等についても調整が必要になる、こういうことになろうかと思います。いまお話しの住宅金融公庫の金利あるいはその他の政府関係金融機関の諸金利等も運用部の預託金利に応じてそれぞれ調整が行われる、こういうことになろうかと思います。
  54. 中村茂

    ○中村(茂)委員 郵政審議会で郵便貯金の預金金利について決めるわけですけれども、大蔵省としては郵政省を通じてどの程度下げようとしているわけですか。それで、それがそのとおりに行われるとすれば、財投については大体どのくらいの金利になるのですか。計画なり考え方をひとつお聞きしたいと思います。
  55. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 民間の預金につきましては、定期性の預金については〇・七五%の下げ、それから通知預金につきましては〇・五%の下げということを決定いたしておりますので、郵便貯金につきましても、私どもの立場といたしましては、民間と同様の基準で下げを図っていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  56. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そういう預金金利、郵便貯金がそういうふうになりますと、大体財投の貸出金利はどういう形になってくるのですか。
  57. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 私、銀行局を担当いたしておりますので、財投の関係は理財局ということで直接の所管ではございませんが、当然財投の預託金利につきましてもそれに応じた調整が行われる、かように考えております。  ただ、財投の運用部の預託金利につきましては、いろいろまた法的な問題等もあるようでございますので、その辺は理財局の方で現在検討中というふうに聞いております。
  58. 中村茂

    ○中村(茂)委員 建設省にお聞きいたしますが、先ほども申し上げましたように、長い間続いてきた個人貸し付けの五・五%、この際大蔵省等と強力な折衝をしていただきまして、少なくとも〇・五%ぐらいは引き下げてもらいたい。五%の金利ぐらいにすべきではないか、私はこういうふうに思うのです。特に公定歩合が九%というような高い時代にも一五・五%だったわけですが、先ほど申し上げましたように四十八年一年だけ〇・三%下がっただけ、あと一貫して五・五%。どう考えてみても、これからの財政事情というようなものについて考えてみますと、日本も低金利時代に入ったんではないか、こういうふうに思うのです。ですから、そういう中において特に住宅問題は大きく取り上げられているわけでありますから、少なくとも最低〇・五%ぐらい下げて五%の金利にしてやっていったらどうだろう、こういうふうに思うのですが、ひとつ大臣の考え方、そこらをお聞きしたいと思います。
  59. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 実は中村委員承知のように、四月に住宅金融公庫の個人住宅一般募集分をやらなければならない。そうすると、いま大蔵省の説明のように、四月十七日には一般金融機関の金利の引き下げが行われる。応募する方々から言えば、当然今回の公定歩合の引き下げによって下がるであろうということを予想する。その予想しておる際に、金利の引き下げなく募集することはいかがかというようなことで、この間経済対策閣僚会議では、なかなか問題がありましたが、下げるということだけは合意に達したのでありますが、ただいま御意見のような、どの程度に下げられるかということにつきましては、従来の大蔵当局とこういう問題の折衝の過程からいきますと、一概にわれわれの希望だけでいけないようでございます。これから担当者をして折衝をさせなければならない、こう思いますが、この際できるだけ下げてもらいたいということについては、私の気持ちとしてはそういうことでございます。
  60. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それでは確認いたしますが、五十三年度の新しい募集については、そのときにどのくらい引き下げるかはわからないけれども、いずれにしても引き下げて募集する。いままでの五・五%の金利で募集しておいて、途中でたとえどれだけでも下げるというようなことはしない。第一回始めるときに、今度に連動してきて下げるものについては下げてやる、こういうお考えだということですね。
  61. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 仮に最悪の場合——この募集もできるだけ早くしなければならぬと思っておりますので、われわれの募集するそういう時期に金利が下がっておらなくとも、下がった場合には繰り上げてでも必ずやる、こういう決意でおります。
  62. 中村茂

    ○中村(茂)委員 住宅ローンについては、新聞などを通じて知る限りでは、新規のも一のも既存のものも行う。引き下げる額は違うようでありますけれども、いずれにしても既存のものまでやっていく、こういうことのようでありますから、再度強く要請をしておきたいと思いますが、大蔵省との折衝の中で、私は違うのはそう強く要求いたしませんけれども、特に一番普及している個人のもの、これについては、もう思い切ってこの際大幅に金利の引き下げをやっていただきたい。新聞などによりますと、もう辞令が出ていまして、〇・三ぐらい引き下がるだろうというような記事も見ますけれども、こういう低金利時代になり、特に庶民が一番要請しております五・五というものについてはこの際思い切って〇・五ぐらい引き下げて、五%の金利ぐらいにしていただきたいということを強く要請しておきたいというふうに私は思います。  それから次に、やはり同僚の渡部委員からも質問が出ておりましたけれども、土地に対する融資、これはいままでもやってきたわけでありますけれども、五十三年度では少しふやしているようであります。したがって、五十二年度は土地に対する融資はどのくらいであったか、そして五十三年度はどのくらいふやしたのか、そしてこの融資条件はどうなっているのか、ひとつお聞きいたしたいと思います。
  63. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 五十二年度まではいわゆる土地つきの融資、これは分譲住宅系のものにつきましては当然土地費をつけてお貸しをしているわけでございますが、個人の場合には、いわゆる計画建て売り、そういったものについては個人の枠の中でも土地費をお貸ししている。それで、一般に土地費をお貸しするというものにつきましては、いわゆる特貸しと申しまして、公共事業の立ち退き者あるいは災害に遭った方あるいは区画整理の保留地等をお買いになった方あるいは公的宅造をお買いになった方、そういった方々にしぼっていたわけでございますが、これを五十三年度から大幅に引き上げまして、一般の宅地を購入なさった方についてもこの土地つきの融資を拡充したいということでございます。ただ、どういった宅地でもいいのかと申しますと、先ほども指摘ございましたように、ミニ開発的なものにつながるおそれもあります。あるいは仮需要、土地騰貴等にもつながるおそれもございます。したがいまして、五十三年度におきましては、原則的には開発許可を受けた、あるいはそれと同等以上の水準の宅地で百四十平米以上の宅地をお買いになった方につきましては、土地つきで上物と同時にお貸ししたいということで考えておりまして、おおよその枠といたしまして、その分として大体五万戸程度を考えている次第でございます。
  64. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私はいままでも要求してきたのですけれども、一軒の家を建てようという場合に、上物だけでは手落ちだ、やはり土地まで大幅に融資するようにしたらどうだということを強く主張してきたわけであります。そういう意味からすれば、今回、五万戸にしても枠を広げていただいたことは結構でありますが、これからもこの枠は大いに広げていただきたいと思いますし、一戸の貸出額についてもふやすようにひとつ努力していただきたいというふうに思います。  そこで心配なのは、先ほども話が出ておりましたけれども、一般の貸し付けになった場合に、ただ坪数なりそういう条件があったからということだけで貸し付けていった場合に、ミニ開発が促進されやしないかという心配が片方に出てくるわけであります。ですから、そういう点まで含めて十分対処しながらその枠をふやしていただきたい。これは要望を申し上げておきたいというふうに思います。  次に、据え置き期間の特例の問題でありますけれども、これは改正案どおり五十三年度一年だけ実施したいということで、将来はこういうことをしていくという考え方はないのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  65. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 今回の一年据え置きというのは、目下の景気対策住宅建設促進という観点からとったわけでございまして、私どもとしては、住宅金融という立場からいたしますと、これは異例の措置というように考えております。したがいまして、今回の改正におきましては、附則におきまして、五十三年度限りという形でお願いしている次第でございまして、これを恒久的な制度にするという考えは現在のところ持っておりません。
  66. 中村茂

    ○中村(茂)委員 住宅政策というのは、景気対策に追われて一年ぐらいニンジンをぶら下げたようにこんなことをしてみたって、実際は価値ないわけですよ。やるならずっと続ける制度にしてもらいたいと私は思う。景気対策だ景気対策だといって一年ぐらいやっても、利息を一年据え置くだけで別にまけてくれるわけじゃない。ですから、一年分そっくり利息のかかったのを二年目から取られるわけでありますから、二年目からはなお多く取られるようになる。だから、こんな一年ぐらいな制度を本当に思い切ってやったなんというようなことでは、住宅対策の基本的なものをただ景気対策ということでいじっているにほかならぬじゃないか、こういうふうに私は思うのです。やるなら思い切ってそういう制度を取り入れる、こういうふうにすべきだし、一年ぐらいのものならやらない方がましだ。利息を全然つけないわけじゃないのですから、二年目から払っていくんだから。そういうことをするよりも、先ほど渡部委員も言っておりましたけれども、返還について逓増方式をとる。ちょうど住宅公団の傾斜家賃と同じですね。皆さん家賃が高くなって困って、そういうところは傾斜家賃を適用しているんだから、今度は返済についてもそういう制度を取り入れていくという方が、お家をお建てになって返済していく皆さんについては非常に返済しやすくなるわけです。一年ぐらい据え置きでやってみても、これは利息をまけるわけじゃない。制度としてやるなら一年ばかりではなしに、二年、三年とこういう制度を取り入れてやっていただきたいと私は思うのですが、そこら辺のところはいかがですか。
  67. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 先ほども申し上げましたように、住宅政策の基本は住宅建てようとする方の負担がなるべく少ないように図ることだと思います。したがいまして、据え置きの問題、償還期間の問題あるいは金利の問題、いろいろなものを総合して考えなければなりませんし、また、そういった金融だけの問題ではなくて、税制上の問題も絡みまして、どういう方法で負担を軽くするかを総合的に検討しなければならないと考えております。したがいまして、先ほども渡部先生の御質問にお答えいたしましたように、逓増償還方式も一つ考え方であろうと思いますし、そういったものを含めまして、総合的な対策として考えていかなければならないだろうと考えております。  その中で一年据え置きを一応五十三年度限りでお願いしているわけでございますが、これをもっと幅を広げて恒久的な制度にしたらどうかという御意見もございます。これもある意味では後期逓増方式の一種の変形になろうかと思いますが、それも今後どういう仕組みが一番いいのかという形で検討しなければならない問題ではないかと考えております。
  68. 中村茂

    ○中村(茂)委員 次に進みますが、金融公庫の五十三年度の事業計画は五十五万戸、個人住宅四十万戸と聞いておりますけれども、その実施はどういう計画になっているでしょうか、お聞きしたいと思います。
  69. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 実施の問題はいろいろございますが、いま現在考えておりますのは、先ほども経済対策閣僚会議の御決定をいただきましたように、一応五十三年度においては、公庫融資住宅全般について四月中に過半数の募集を開始することをお決めいただいたわけでございます。私ども、まだ正確に四月の募集戸数を決めておりませんが、その中の四十万戸につきましても、前倒し分で繰り上げ募集したのが三万戸ございまして、現在三十七万戸残っておりますが、その分につきましても四月中にその半分以上を募集するようにしたいと考えている次第でございます。
  70. 中村茂

    ○中村(茂)委員 細かいことを言うようですけれども、五十三年度分を食っているのは、三万戸と言われるけれども、二万七千戸ですね。五十一年度で五十二年度の分を二万九千戸先食いして、五十二年度には五十三年度の分を二万七千戸先食いした、こういうふうになっているのじゃないでしようか。
  71. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 四十万戸の中には、先生承知のとおり、一般の個人建設とマンション購入と二とおりございます。これは同時に募集しておりますが、先生の二万七千戸は一般個人建設分でございまして、マンション購入分三千戸と合わせて三万戸を一月に繰り上げ募集しているということに相なっております。
  72. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、一回申し込みを行ってその家が完成するまでには大体何カ月かかるのですか。契約したときに最初に六〇%ですか、それから完了したときにあとの四〇%ですね。ですから、申し込みを受けて大体何カ月たったときにその六〇%の金をやって、何カ月どういうように建ったときに最後の金をやって、全体の工事は何カ月くらいかかるのか。これは公団にお聞きします。
  73. 大津留温

    大津留説明員 建築の期間でございますが、いろいろありますが、通常六カ月程度ででき上がると思います。  そこで融資の仕方でございますが、設計の審査を終わりまして着工いたします。それから棟上げの段階で一度現場審査をいたしまして、そのときに半額支払います。それから家が完成いたしまして登記を済ませた段階で残額を支払います。
  74. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私が調査したのでは、申し込みから設計まで三十日、それから設計から貸付契約をして工事にかかる間が約二十日間、工事から棟上げの第一回の貸し付けまでが六十日の二月間、今度は棟上げから竣工までが百二十日、三カ月間、それで七カ月から八カ月実際にはかかっています。しかし、無抽せんになってすぐ受け付けられるときには二十日くらい減ると思いますけれども、いずれにしても七カ月くらいかかるのです。  そこで、今度景気対策ということで四十万戸のうち半分を四月に入ったら募集する。五十二年は抽せんしたわけですけれども、最後にした一月のものは無抽せんにした。いままで抽せんしたのは申し込みが多かったからそういうふうにしたと思うのです。それが減ってきて、募集しても受け付けいっぱいというようになってきたから無抽せんにしたと思うのです。そうして、追加分まで含めて五十二年のときには四回に分けて募集いたしましたけれども、今度は半分以上四月中にやってしまいたいということになれば、あと半分はいつになるかわかりませんけれども、景気景気と騒いでいるのだから、またそれも早くというかっこうになるのじゃないでしょうかね。  そういうふうになってきますと二つ心配が出てくるのです。一つは全般の公共投資にも言われることなんですけれども、この間の閣僚会議で、全般の公共投資についても前半に七〇%やってしまう、今度の住宅についても半分以上やる。後はどうなるか。これで少し景気がよくなるのかならないのかわからないけれども、こういうふうにやってみても、事業は一年間通じてあるわけだし、五十四年度もあるわけだ。だから、火事を見て水を探すような、どろぼうを見てなわをなうような感じを強く受けるわけですよ。したがって、結論はどうするのだ。  もう一つは、建設資材がこういう状況の中では値上がりしやしないか、これが二番目の心配です。もう非常に上がってきております。特に生コン等については、私どもは生コン業界はやみカルテルだと言っているわけですけれども、一応協定を結んで抑えるかっこうが出てきて生コンが上がっている。それからアルミ製品、材料にする小棒、こういうものも上がり始めている。特にアルミ製品については調整生産までするという手だてをしてきたその中における製品です。小棒などについては不況カルテルを何回か結んできた製品、そういう物がもう上がり始めている、こういうことであります。したがって先食いばかりしてしまって将来どうなるのかということと、こういう値上がりについてどういうふうに対処していくか、この二点についてお考え方をお聞きいたしたいと思います。
  75. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 まず募集の点でございますが、この点につきましては、私ども、個人の募集につきましても、先ほど申し上げておりますが、過半数四月中に募集したい。その中でいわゆる通年募集に当たる分、先ほど申し上げました特貸し系統の分、これは四月中から通年募集いたします。したがいまして、この点が四月にどっとすぐ満杯になるというような形式のものではございません。そのほか、一般の個人募集の分がございます。この分は恐らく四月中にいっぱいになって、そして工事が進んでいくことというように考えております。  ただ、その点、先ほども先生から御指摘ございましたように、景気対策という観点から見ますと、やはり本年度は無抽せんでその場で決定するとは申せ、わずか二十日ないし一カ月ほど早まるということで、やはり工期というものがございますので年度前半から後半、秋口にまでかけて実需というものは影響していくのじゃないかというように考えております。そういった意味で、私どもはできるだけ前に多く持っていきたいという計画を持っておるわけでございます。  後の方をどうするんだということでございますが、私どもの現在の予算を編成いたします場合のいわゆる積算上のことでございますが、一応あと九月、十月に第二回目を行い、一月に第三回目を行うというような計画を持っております。  ただ、この場合でも、住宅建設は私どもは最も力を入れていかなければならないということで、実際の募集に当たりましては、そういう点弾力的に配慮していきたいというように考えております。  それから資材の値上がりの状況でございますが、これはセメントあるいは棒鋼といったように、住宅建設だけでなくて、公共事業全体を含めてのいわゆる資材の問題、特にセメント、棒鋼等につきましては、今度の個人住宅建設等のいわゆる二戸建て住宅の占めるシェアというものはそれほど大きくございません。したがいまして、むしろ公共事業全体の中でのいわゆる価格対策、需給対策というものを考えなければならないというように考えておりますが、いつもお答えしておりますように、確かに昨年はカルテル等で生産制限したこともございますが、生産能力そのものから判断いたしますと、十分まだ余力があるというように考えております。  それから建築と申しますか住宅そのものが主に使うような資材、特に御指摘のございましたアルミサッシ等は住宅専門の資材でございます。これにつきましては、昨年の操業度が六九%というようなまだ低率でございます。したがいまして、生産能力としては十分余力がございますし、心理的な影響、そういったものに対しては十分われわれがPRして、影響が出ないような形でやりたいと思っておりますし、実際の需給関係から申しますと、そういった値上がりは起こる心配はないと私ども考えている次第でございます。(「現実に上がっているじゃないか」と呼ぶ者あり)
  76. 中村茂

    ○中村(茂)委員 確かに需給関係では、生産調整や不況カルテルやってきた製品ですから、余力はあるわけです。しかし、それが何で上がるんですか。業者に行って聞いてください。次々来る仕切りでこれだけ上がったらたまらない、みんな業者は言っております。建設業者ですよ。何で需給関係で余力がある物が上がるのか、そこのところなんです。大臣、ひとつ、どんどん上がってきている問題についてどういうふうに対処するか、大臣の決意をはっきりさせてください。
  77. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これは本当にたまったもんじゃないです。そこで本委員会でも繰り返し申し上げましたように、全国の地建に対しまして、資材関係者、また公共事業関係は、建設省だけでなく、運輸省、文部省などの出先と横の連絡をとって、それから使う方の工事会社、これらみんな連絡協議会を持って、地域的に、時期的に問題の起こらないようにやれ、もし地域的に問題があるとするなら、それは中央に連絡をして中央の方でそれにできるだけの対策をしようというようなことで臨んでおるわけでございますが、先ほど来私語もございまして、上がっておるじゃないか、私、それは否定はいたしません。ただ、これは甘いことを言うわけではないんですが、昨年の暮れまでセメント、棒鋼、木材、塩化ビニールその他全部これは不況カルテルを結んで生産制限をしておる、こういうことで青息吐息であったと思うのです。それが一次補正以降、十五カ月予算、公共事業が大幅に拡大されるという機運に乗ってどんどんどんどん不況カルテルにもかかわらず上げられたんじゃかなわない。一番先にセメントにその現象があらわれました。これは公取とも連絡して、制限の枠をどんどん解いていきました。いまカルテルはしておらない。他の物でも逐次不況カルテルは解除すべきときに来ておると思います。  そういう段階で全般を見るときに、たとえば棒鋼のようなものは、昨年十二月、本年一、二月という価格の趨勢は、一昨年の上期当時の水準になっておる。ですから、冷え切っておったのであるから、ある程度許容のできるところへ価格が戻った、と言うと大変表現がよ過ぎるのですが、もとへ戻すぐらい上がったというところはこれはいたし方ないのではないか。そういう見地で見てまいりますと、三月現在のセメント、生コンは明らかに行き過ぎである、こう思うのです。それでオイルショック当時にこのような事態に対応した諸施策がとられて、当時の法律も現在生きておるわけですから、だからそういう場合にはそういう法律でもひとつ適用するぐらいの気構えでいこうということで、しかしできるだけ業界自身が自粛をしてもらいたい。まだいまそういう段階で、もうこれ以上になっていけば特別な手を打たなければならないかと思います。
  78. 中村茂

    ○中村(茂)委員 生産調整したり、不況カルテルを結んできて青息吐息できて、だから値が戻ったなんという甘い考え方で大臣がいれば、こんな物はどんどん上がる。もっと厳しい態度で臨んでもらわなければ、そんなもとへ戻ったなんということでは——現実に業者の方によく大臣も聞いてください。もうここのところ、発注してその仕切りが来ればまた上がっている、また上がっていると言う。すきを見れば上げようと思っているのだから、十分態勢をとってそういうことのないようにしていただきたいというふうに思います。  それから次に、住宅金融公庫の特約火災保険について質問いたしたいと思います。  この特約火災保険という制度、これは普通の火災保険とどこが違うのですか。それと現在の契約状況、件数、契約高を明らかにしていただきたいと思います。
  79. 大津留温

    大津留説明員 公庫の債権を保全する方法の一つといたしまして、万一災害に遭いました場合に備えて債務者に火災保険の付保をお願いしております。  一般の災害保険と違う点といいますと、たくさんの損保会社がございますが、公庫融資の貸し付けをめぐって各社が競争して付保するのは好ましくないというので、損保社を共同で付保の対象にしておるといことでございます。そのために、保険料もできるだけ低廉にするようにということでいま相当安く掛けております。また、この付保の担保の範囲もできるだけ拡大して、お客さんの利益に還元するようにということで、風水雪害、それから地震等もこの対象にしておる、こういう状況でございます。
  80. 中村茂

    ○中村(茂)委員 結局、民間二十社を一つにして契約しているわけでしょう。それで責任が安田火災ということだそうでございますけれども、これを見ますと、件数については全部同じですね。それで金額が全部違うのですけれども、これは契約の実績に基づいて、この会社は大きいから何%、この会社は大きいから何%、こういう仕組みになっているのですか。  それと、先ほど漏れております現在の状況、件数と契約高。
  81. 大津留温

    大津留説明員 五十二年度まだ集計できておりませんので、五十一年度について申し上げますと、契約高が、百二十万件で契約額の総額は五兆四千億ということになっております。  保険料の収入は百七十七億円、それから保険金の支払いは火災が二千九十五件、風水雪害等が二千四百三十九件で、合計四千五百三十四件、保険金の支払い額は五十一億七千七百万、こういう数字になっております。  契約高の累計は、十一兆六千億円になっております。
  82. 中村茂

    ○中村(茂)委員 火災保険というのはどういう契約なんですか。一年の契約なんですか。
  83. 大津留温

    大津留説明員 一年で契約するという契約の方式もございますし、三年、五年、十年、最長二十五年まで、これはお客さんの御希望によっていずれでも選択できる、こういうことになっております。
  84. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私の言わんとするところは、結局民間二十社で大きいところは大きく割り振っておる、というその考え方も納得できませんけれども、いずれにしても金を借りた、家を建てた。だから火災保険に入らなければいけない。ここまでは義務づけになっておるのです。しかし皆さんのところがここのところの保険に入らなければだめですよと言って民間の二十社に特別契約の保険をやらしておるわけだ。じゃ金を借りたときに、農協なら農協の窓口でその人は皆さんの公庫の金を借りた。それでも保険のときになればここの民間のところに持っていかなければいけない。こういう仕組みなんだ。農協の火災保険にやるわけにいかなくなってしまう。労金を通じて金を借りて家を建てた。しかし今度は民間のところへ金を払って皆さんの保険に入らなければいけない。ですから、門戸を開放してもらいたいと思うのです。入る者の自由ですよ。皆さん恩に着せて、掛金も安くしたの、条件もいいからいいから、こういうふうに言うけれども、確かにいいですね。しかし私が調べたところによれば、労済というふうに言っておりますけれども、全国労済の火災共済というのは九十円から百円の掛金で十万ですね。それで最近は風水害、地震等、そういう災害まで含めてできる保険もついておる。だから条件はかえっていいぐらいになっておる。そういう保険があるとすれば、門戸を開放して、金を借りた人が自由にできる道を開くべきではないか。金を貸したからといってこの保険以外にはいけないなんというこの制度については、門戸を開放してもらいたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  85. 大津留温

    大津留説明員 損保の火災保険と農協なり労組の関係の火災共済制度というのは中身は類似しておりますけれども、それぞれ基づく根拠の法令が違っておりますので、これを直ちに同じ扱いにできるかどうか、ちょっと検討を要する問題ではなかろうかと思いますが、せっかくのお示しでございますから、よく研究させていただきます。
  86. 中村茂

    ○中村(茂)委員 あなたのところでつくった契約書を改正すれぱできるのですよ。あなたのところで勝手につくっておいて、それがあるからだめだだめだと言ったって、あなたのところのそれを検討して、こういうものに加入する人が自由にできる門戸を開放しなさい、そんな一方的なことはありませんよと言っておるわけだから、必要を感じたらそれを改正すればいいですから実施してください。強く要求しておきます。  時間がありませんが、もう一件ひとつお願いしたいと思います。  先ほども質問があったと思いますけれども、分野調整法に基づく調整の申し出に係る件でございますが、不動産取引の問題でこの分野調整法ができて初めて調整申請がなされている、こういう問題でありますので、先ほど説明をお聞きしますと、それぞれ話し合いによって三井不動産及び三井不動産販売会社は開始を三カ月延ばす、その中で話し合いを進められている、こういう話で、それを見詰めているというか、そこで解決できるという方向で対処しているという説明でございます。  そこで、大臣にひとつお願いしておきたいというふうに思うのですが、いまも申し上げましたように、この分野調整法というのは何も三井不動産の立場に立ってできた法律ではなしに、小さな中小零細企業、言えばこの場では全宅連、こういう小さな不動産業をやっている人たちの立場を守る、こういう立場でできた法案ですね。そういう中における調整申請がなされたわけでありますから、その立場を守りながら、そういう立場に立ってこの事件をひとつ考えていただきたいというふうに思う。私は、この状況を見てみますと、四月一日を三カ月延ばして話し合いを進めていっても恐らく解決困難ではないか、こういうふうに思うのです。そこで解決できれば結構です。その際解決できないとすれば、今度は三カ月たって解決できないから、すぐ開店していきますよ、こういうふうにならないようにこの法案に基づく停止命令、停止勧告なりそういう措置をしていただきたいと思うのです。そうしてすぐ審議会にかけて勧告できるような措置をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、その点いかがでしょうか。
  87. 大富宏

    ○大富政府委員 大臣がお答えになる前に、法律に関することでございますので私からちょっと御説明いたしますが、ただいま私どものところに全宅連の方から分野調整法に基づくところの調整の申し出が出ておるわけでございますが、それは午前中にもちょっと御説明いたしましたけれども、まだ申し出の点について十分な点がございませんので、いま疎明をしていただいているところでございます。  それと同時に、もう一方の当事者でございますところの三井不動産販売株式会社の方も、お互い当事者同士自主的に話し合うという精神のもとに、四月一日開始の予定を三カ月自発的に延期をしているわけでございます。この三カ月の調整期間というのは、分野調整法で言うところの六カ月とは全然別の議論でございますので、あくまでもこの三カ月の自主調整が思うようにまいらないというときに、初めて主務大臣として建設大臣が調整に乗り出し、分野調整審議会にかけるべしという決断が下ったときに、初めて一時停止の勧告六カ月というのが発動するわけでございますので、いまの三カ月というのは全く分野調整の正規の手続に入る以前の手続でございますので、御了承いただきたいと思います。
  88. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 建設省としては、私の手元の資料、報告に基づきますと、全宅連の申し出に伴ってのまず調査をいたして、その調査の結果を全宅連の方にお伝えを申し上げておる。それから正式に調整の申し出がございまして、それに対しての疎明を今度全宅連に求めておる。一方におきまして三井不動産と全宅連の間は、法四条によっての自主的な解決を図るべく、両当事者間での話し合いが行われておる、こういう順序になっておりますので、この分野調整法の第一条目的に沿って、「大企業者の事業の開始又は拡大に関し、一般消費者等の利益の保護に配慮しつつ、その事業活動を調整することにより、中小企業の事業活動の機会を適正に確保」せよということにつきましては、十分われわれは念頭に置きまして、ただいま申し上げたような経緯を踏みつつあるわけでございますが、今後とも法の趣旨に沿っての具体的な処理の推移を見守ってまいりたいと思います。
  89. 中村茂

    ○中村(茂)委員 簡単ですが、大体わかりました。  それで、この四条に基づく自主的解決の努力をいましているということでございますね。そうすると、すでに出ております調整の申請書、これは受理していま調査の段階にあるというふうに理解すればいいわけですか、それともまだ受理されていないのか、この書類と法律との関係についてひとつ明らかにしてください。
  90. 大富宏

    ○大富政府委員 調整の申し出は三月一日に参りましたので、この時点におきまして受理いたしております。ただ、調整申請の理由についてもう少し詳しく書いてほしいという、いま疎明を命じている段階でございます。
  91. 中村茂

    ○中村(茂)委員 終わります。
  92. 伏木和雄

    伏木委員 長古川雅司君。
  93. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ただいま議題になっております住宅金融公庫法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  御提案の改正案の内容につきましては、三つの条項にわたりまして、これを柱としてそれぞれ改正を図っておるようでありますが、この内容については一応理解できるといたしまして、住宅供給並びに金融という部面にわたりまして、一般的に二、三御質問を進めてまいりたいと思います。  政府は、五十三年度の経済成長率七%達成のために、個人住宅建設への住宅金融公庫融資を三十万戸ふやし、無抽せんとして合計四十五万戸、住宅ローン減税及びローンの返済猶予などの施策をとりまして、公共事業と並んで民間住宅建設を据え、各種の刺激策を盛り込んでいるわけでありますが、都市問題それから融資枠などの解決法がないままに、単なる金融措置ではいわゆる庶民の住宅への不満を解消することはできないし、果たしてこれで景気浮揚に効果があるのかという疑問と批判が非常に多いわけであります。  それで大臣にお伺いいたしますが、五十三年度の民間住宅建設は、五十二年度の百五十五万戸を上回る百六十万戸とし、国民総生産GNPの七・  一%を占める計画、また伸び率では名目では一三・六%、実質で一〇%弱ふえ、経済成長率の七%のうち〇・七%を担う関連産業への波及効果を考え、景気牽引力として大きな期待をかけているわけでありますが、現実に失業は減っておりませんし、むしろふえる傾向にありますし、また勤労者所得の大幅な伸びも期待できない不況の中で、しかも五十二年度の場合、政府は昨年の九月に総合景気対策住宅金融公庫分の十万戸を追加して合計四十八万七千戸とし、年度全体で百六十万戸程度の着工を期待したわけでありますが、実際にふたをあけてみると、公庫でふえた分が民間ローンで減ってしまう状況が出てきたわけであります。したがって、政府がいかにてこ入れをしても、政府融資分は民間ローン分の振りかえに消えてしまい、住宅建設全体を押し上げる力にはならないのではないか、五十三年度経済成長率達成のためにはこのような要因をどう取り除くのか、最初に大臣の所見を伺いたいと思います。
  94. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま、今回の住宅金融公庫融資枠の拡大が民間自力建設住宅をその分だけ減少させるじゃないかという御疑問でございます。私どもは過去における一般個人住宅申込者アンケート調査結果に基づきまして、その自力建設がほとんど従来どおりにいくとは思いません。若干の移行は考えられますが、しかし、われわれは新規需要となることが大部分はではないかというふうに見ておるわけでございます。  それからなお、古川委員承知のように、本年一月の前倒しによる住宅金融公庫の応募の際に、私どもも十五カ月予算遂行の上にどういう傾向を示すか、非常に大きな関心を持っておったのでありますが、大体十日間ぐらいですぐ消化をした、こういうような点からも見まして、相当民間における住宅に対する需要は強い、こういうふうに見ておるわけでございます。  昨年に比較して五十三年度をふやしておるがどうか。そのふやしたということについては、きょう御審議をちょうだいしておるように、いろいろな措置を今回とっておるわけでございますから、この程度の増加は望める、こういうふうに判断しておるわけでございます。
  95. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ところが、昨年四月に住宅金融公庫融資を行った人を対象に利用状況をまとめているわけでありますが、利用者の平均年齢は三十八・四歳で、三十歳代が全体の三八・三%を占めているわけであります。また、所得階層では年収二百万円未満が一五・九%、前年度の一〇・一%から大幅にふえて、逆にそれ以上の所得者は割合が落ちている状況であります。  このことからして、まず第一点として低所得層に対して大型融資の拡大をし、半面中高所得者には融資限度を検討するなど新しい考え方が必要ではないか。しかも三十歳から四十歳は働き盛りであり、中堅社員からしてベースアップも思うように伸びない情勢の中で、政府が期待するほど家を新築する気になるかどうか、非常に疑問が多いわけであります。特に、持ち家奨励策をとりながら、実際は一戸建ての場合、政府融資のない土地の購入が問題になるわけであります。宅地の平均価格を見ますと、東京、大阪、名古屋などの大都会に対し、地方都市におきましては大差があるわけであります。したがって、第二点として、公庫融資額、戸数の増大という施策だけでなくて、実情に見合うような、また新たに宅地価格の高い主要都市に対しても土地購入に対する融資制度を検討すべきではないかという点が非常に問題になると思うのでありますが、以上、二点についてお伺いいたします。
  96. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 ただいま御指摘ございましたように、五十二年度の第一回の個人住宅の申込者を見ますと、第一分位、第二分位の方々が四一%、非常にふえてきております。これは四十九年が二二%でございましたので、これはそういった所得の低い方々に御利用を願っておる率が非常に高くなっておる。したがって、先ほど民間住宅からも流れるのじゃないかということでございますが、私ども若干はそういうものがあるとしても、こういった第一分位、第二分位の方々が民間ローンだけで建てられるというふうには考えておりません。したがいまして、おっしゃるとおり、私どもはこういった方々に本当に持ち家を持っていただくためにあらゆる負担軽減措置を考えなければならないということで、御承知のとおり貸付額の限度額の引き上げとか、あるいは償還期間の延長だとかあるいは一年据え置きだとか、あるいは住宅ローン減税とかいうようないろいろな手を打つとともに、第二点で御指摘の、いわゆる土地つき融資というものを、いままで一般の特貸しという形だけでございましたのに、一般の宅造地を買って家をお建てになるというところまで広げたわけでございます。  御指摘の第二点の問題は、一般的に土地だけの融資公庫はやったらどうかというお尋ねかというように思っております。確かに住宅、特に大都市における住宅建設というものは、土地をまず手に入れて、それから二、三年あるいは四、五年たってから家を建てるという傾向が非常に強まっております。したがいまして、私どももこういった土地に対する融資というものを考えなければ住宅の促進ということにはならないということは重々承知しております。ただ土地のみの融資ということになりますと、これはいろいろな問題がございます。一つは、そういった仮需要というものをふくらますおそれはないか、あるいは先ほどもお話ございましたようなミニ開発的な、悪い宅地に対しての需要を促進するような結果にならないかというようないろいろな問題がございます。したがいまして、現在私どもがとっておりますのは、そういった土地つきの融資をやります場合に、家をお建てになる場合に土地分もあわせてお貸しします。その土地につきましては過去二年前までにお買いになった方にも土地分はあわせて融資して差し上げます。そういうような形をとりますと、そういった仮需要の問題とかそういった問題につながりませんので、現在はそういう仕組みをとっているわけでございまして、できるだけそういった土地つきの融資というものを今後とも拡大してまいりたいというように考えている次第でございます。
  97. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ここでけさほどから問題になっております不動産取引の大型系列化の問題について伺っておきたいと思います。御答弁を伺っておりまして私も非常に理解できないところが随所にございました。重複するかと思いますが、お許しいただきたいと思います。  最近大手不動産会社による、いわゆるこれまで中小業者の領域とされていた仲介市場への進出また計画が目立ってきているわけであります。特に三井不動産株式会社及び三井不動産販売株式会社は、昭和五十年四月ごろから不動産流通仲介事業分野にいわゆるフランチャイズシステム方式による進出計画を進めてきているわけでありますが、これに対して全国宅地建物取引業協会連合会、いわゆる全宅連は、中小不動産取引業者の経営の安定に著しい悪影響を及ぼす、そういう実態を見逃すことはできないとして、昨年五十二年の十月二十七日に調査の申し出をし、本年五十三年三月一日に調整の申し出をしたわけであります。中小企業事業機会確保法、いわゆる分野調整法に基づいているわけでございますが、先ほど来の答弁を伺ってまいりまして、いま建設省としては三カ月間の調整期間を置いて調整をしているということでございますが、果たしてこの三カ月の調整期間で調整が整うのか、その確信を持って進めていらっしゃるのかどうか、その点もう一度確認をしておきたいと思います。
  98. 大富宏

    ○大富政府委員 目下三カ月の期間を置きまして話し合いをしておりますのは、両当事者間の自主努力による話し合いでございまして、まだ建設省はこれには入っていないわけでございます。私どもの見通しといたしましては、三井不動産販売株式会社が専属契約、フランチャイズシステム方式として契約をしておりますところの中小地場産業の業者も調整申し出をしておりますところの全宅連の会員でございます。したがいまして、全宅連対大手企業という対立じゃなくて、三井不動産と契約をしているのもやはり一方の当事者の会員であるという観点でございますので、私どもは十分に両当事者が話し合いを進めればおのずから解決のめどはつくものと思っております。
  99. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 実質的な調整でなくて、いわゆる自主的な調整であるという先ほど来の答弁でございますが、一応建設省がそういう形で受けとめておるということは、いわゆる中小企業団体が大手の進出によって相当数の業者が経営に対して著しい悪影響を受ける、事業の経営が困難に陥るというような認識を持って、自主的であれ調整に乗り出しているのか、その点が一つ。もう一つは、不動産の取引業界にこうしたフランチャイズシステムというような形を持ち込むことが一般消費者にとってはどうなのか、利益なのか不利益なのか、その辺の受けとめ方をどう考えていらっしゃるか。この二点をお伺いしたい。
  100. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  先ほど大臣からも答弁ございましたように、やはり一番重要なのは両当事者の話し合いと、さらにその結果がやはり一般消費者の利益に合致するというところが重要でございますので、私どもはそういう点に観点を置きながら、両当事者の話し合いの内容、またぽつぽつ両当事者からも話し合いの経過についても報告を徴しながら事態を見てまいっている次第でございます。
  101. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 大臣に伺いますが、建設省としてはこういう現象に直面をいたしまして、これは単なる中小企業者に対する経営の近代化を要求するということだけでは済まされないと思う。大臣としてはやはりこうした中小企業者に対する擁護ということも具体的にお考えおく必要があるのではないか、このように考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  102. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 古川委員のおっしゃるとおりに、いわゆる分野調整法の目的は一言で言えば中小企業者の擁護にあると思います。これは二つに分けてお考えいただく必要があるんですね。  先ほど御質問がございましたように、十月二十七日付で調査の申し出があった。そうすると建設省はそれに伴って調査をして、その調査の模様を全宅連の方にこういうことです。そうすると、全宅連はそれに伴って三月一日に今度は調整の申し出をした、それにつきましては疎明の必要があるというので三月二十四日に全宅連にそれを求めた、この手順がずっと踏まれておるわけですね。一方に法の四条があって、当事者間の自主的な話し合いをせい、こういうことがあって、これは建設省との関係でなく両当事者間が——もちろんヒントは担当者が与えておると思うんですが、法四条によりやれ、いまその法四条による建設省とは離れての話し合いが行われておる、こういう段階ですから、法の趣旨はわれわれはもうそのとおり踏まえておりますが、いま現在そういうことが行われつつあるということについては、しばらく推移を見るのが当然じゃないか、こういうことでございます。
  103. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そこで、お伺いを進めてまいりますが、こうして大手の不動産会社が本格的に進出をし始めている実態にもあらわれておりますとおり、いわゆる住宅の買いかえが活発化しているわけであります。こうした中古住宅市場の動きに呼応して一部の銀行も中古住宅専門のローンを開始しておりますし、住宅販売の中でも中古住宅の比重は非常に高まっている状況であります。  そこでお伺いしますが、建設省は中古住宅の取引件数など流通市場の実態について掌握をしていらっしゃるかどうか。質問の準備の段階で伺ったときには、されていないということでございましたが、今後こうした中古住宅の流通市場の実態調査についてすべきではないかと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  104. 大富宏

    ○大富政府委員 御指摘のとおり今後はやはり住みかえ需要等がどんどん拡大してまいりますので、中古住宅の流通市場が住宅政策の中でも大変大きい分野を占めると私は思うのです。ただ、残念ながら、取引件数等についてまだ系統的な実態調査の結果を実は私ども持っていないわけでございます。非常にに重要性があるにもかかわらず、まだこういった市場構造が未整備、したがってまたこういう分野調整の問題も出てくるんじゃないかと私どもは思います。  そこで一番重要な問題は、中古住宅物件の情報システムというのがどうしてもまだ確立されていない。業界が非常に千差万別という問題もありましょう。そういうような情報処理システムがまだ非常に不完全である。それともう一つは、仲介の依頼者と仲介業者との間の契約内容というものがこれまた非常に不分明、一体どこまで頼まれたのか、どこまで仕事をやればいいかということも余り明確でない。それともう一つは、一概に中古物件と言いますけれども、これがまたどのくらいの年数たったものか、どの程度構造上の問題があるかといった評価、鑑定の手法がまだ確立していない。非常に重要な問題が山積しているわけでございますので、私どもでは、局内ではございますけれども、昨年七月に業界団体も入れまして不動産流通問題の研究会をつくっておりまして、ここで一番肝心なところの実態把握に努めますとともに、いま申し上げるようないろいろ非常にむずかしい問題等についても、そのあり方等について早急に解明をいたしたい、このように思っている次第でございます。
  105. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 本委員会に経済企画庁から水田審議官においでをいただいておるわけでございますが、私の手元に昭和五十二年四月に出されました経済企画庁の「中古住宅流通市場実態解明のための基礎調査報告書」というものがございます。  三点にわたってお伺いをいたしますが、最初に、この調査の目的は、中古住宅の流通市場が急速に高まり、また、一般の住宅建築価格が上昇し、中古住宅が割り安になってきたことから、その流通量、価格、市場、金融の面から実態解明への基礎調査を行ったものであるとされておりますが、そのとおりかどうか。  ページを開きまして、その「はしがき」の中に私ちょっと理解に苦しむところがあるわけでございますが、「はしがき」の最後の方に「また、経済企画庁物価局をはじめ、建設省住宅金融公庫、大阪不動産取引センター等関係者からのご協力を得たことを記し、感謝の意を表したい。」ということが書いてありまして、それから二行おきまして「最後に、本報告書は当研究所の責任において、調査したものであり、政府ならびに他の機関の立場を反映するものでないことを付記しておきたい。」というふうに、この研究を委託された日本不動産金融研究所の理事長中尾満壽夫氏が記述しているわけでございます。これはどういう意味なのか。  したがいまして、第三点として、この調査に基づいて明らかにされた実態というのは事実なのかどうか。それを経済企画庁としてはどう受けとめていらっしゃるか、この三点をまずお伺いしたい。
  106. 水田治雄

    ○水田政府委員 お答え申し上げます。  三点御質問があったわけでございますが、第一点のこの委託調査の目的でございますが、これは経済企画庁が昭和五十一年度に中古住宅の流通の実態解明に資するために株式会社日本不動産金融研究所に委託調査したものでございまして、大体先生の申されたそのとおりでございます。  第二点の、日本不動産金融研究所の企画庁の委託に基づいて出しました報告書の最初にございます「はしがき」の終わりごろに書いてございます「研究所の責任において、調査したものであり、政府ならびに他の機関の立場を反映するものでない」ということにつきましては、これは役所の委託調査でございますので、委託を受けたものは、その機関の自主性とその考え方に基づきまして、その役所の委託目的に従った調査をやりまして、その受託団体なりに考え方をまとめて出すものでございます。それで経済企画庁なり政府、各役所の方は、それを受けて参考にするわけでございますが、それぞれの施策につきましての考え方というのは、これは独自に持っておるものでございます。委託の趣旨に基づいて調査をするわけでございますから、具体的にはその委託を受けた団体の考え方と、まとめたところと政府の考え方というのはそう違うわけではございませんが、念のためにその辺を正確に言うとこういうことであるということを書いたものでございます。  それから第三点の実態につきましては、ただいまも建設省の方からお答えがございましたが、およその中古住宅の流通量の把握、それから価格とか住宅市場の実態、あり方、中古住宅金融についての問題、大体そんなことを調査しておりますが、流通量のおよそのものにつきましても、なかなか見当はつきかねるわけでございますが、建設省の方も、先ほど言われましたように、ただいまこれを把握すべく努力をしておられるような段階で、われわれとしても、この最初の調査で、流通量なり価格、中古住宅金融についての最初の調査でございますので、正確にそれぞれの項目についてのものがつかめるということは、十分のことは望めなかったわけでございますが、その年間の取引量なり価格の見当なり住宅金融の問題点ということにつきまして、第一次調査としては予備的なことがつかめたのではないかということで、この報告書につきましては、企画庁内部の国民生活局そのほかの局、関係各省としましては建設省初め関係各省にこの結果を配付いたしております。  以上でございます。
  107. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 基礎調査の報告書であるということで、この報告書をまとめられたいきさつをるるお述べになったわけでありますけれども、いずれにしても、昨年の四月にこのような冊子の形でできているわけでございまして、その後いろいろ御検討は加えられていると思います。  それでは、この調査報告書の中で、中古住宅金融の現状として、中古住宅ローンが住宅ローンの中でどの程度の割合を占めているか、また、統計がまだ未整理のために把握はできないとしておりますけれども、新築住宅ローンに比べて活発でない原因について、金融機関側及び借り手側から見ての指摘を報告書の中でまとめているわけですが、経企庁としては、この点についてどのような見解をお持ちか、御答弁いただきたいと思います。
  108. 水田治雄

    ○水田政府委員 お答えします。  中古住宅の流通の実態なりその金融につきましては、必要性は非常に高いわけでございますが、未開拓の分野でございます。それで、中古住宅金融の問題点といたしましては、先生もお読みになったと思いますが、先ほど言われました新築住宅ローンに比べて活発的とは言えないということで、貸し手側の金融機関の側から見ました場合には、中古住宅の価格づけがまず非常にむずかしい、いろいろ担保がついておりまして、その評価に手間がかかる、また現場にも行かないといかぬのでコストがかかるというのが第一点。第二点としましては、非常に住宅ごとに個別性が高い品物であって、売り手と買い手の間に値段についての評価がなかなか一致しにくい。それから第三点としましては、中古住宅市場が不完全である。  貸し手の側から見まして、その三つくらいのことを挙げておりますし、借り手の側から見ましては、三つ四つ挙げておりますが、中古住宅に対する融資制度が確立されていない、むしろ少ない。したがって中古住宅を買い求める人は、個別に金融機関、銀行と交渉しないといかぬ。  第二点としましては、住宅金融公庫の既存住宅購入制度の貸付対象はマンションに限られておる、その条件が厳しいというのをこの報告書は挙げておるわけでございます。  三点としましては、新築住宅に与えられておる税の優遇措置が与えられていないと、直接金融の問題ではございませんが、税の問題も挙げております。  それから、買いかえの際に生じる売りと買いの時間的ずれに対応するつなぎ融資なり下取り制度も徹底していないと、借り手側の中古住宅金融の問題点としては四つ挙げております。  それから、住宅金融公庫の調査を引用をいたしまして、中古住宅の購入者というのは、わりに借家に住んでいる人、民間のマンションの居住者で手金を持っておられる方が多いのであって、住宅に非常に困窮しておられる人の中古住宅購入というのは、事実上非常に困難であるということの指摘がございます。  そういうような指摘とあわせて、最後に、住宅金融専門会社のことにつきまして、金利の高いというようなことについて指摘がございます。  どうもくどいようで申しわけございませんが、物価局の立場からは、中古住宅の価格につきまして、住居費観点からまず最初に手をつけた問題でございまして、報告書は、受けまして、その報告書を関係のある役所なり関係方面に配付しておりますが、これに基づいて検討した結果というのはまだ持ち合わせておりませんが、建設省等でもその検討が行われているようでございますし、関係各省の意見も聞きまして、今後さらに詰めていきたいというように思っております。
  109. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 建設省にお伺いいたしますが、こうして経済企画庁の方で調査を委託してこうした報告書がまとまりました。いま詳しく御答弁がありましたとおり、幾つかの具体的な問題点も列挙をいたしまして、いわゆる中古住宅流通についての検討の一つの糸口ができているわけでございます。すでに建設省としてもいろいろこれは御検討を加えていらっしゃると思いますけれども、この調査報告について、現時点でどのように受けとめていらっしゃるか、またこれを今後どのように展開をしていくお考えか、お示しいただきたいと思います。
  110. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 第三期住宅建設五カ年計画をつくります際にも、いわゆる住宅ストックの活用、それから当然その質を上げていくためには住みかえが必要だということで、そういった中古住宅問題についてこれから非常に重大な問題になるという指摘がなされておりますし、われわれもそういう認識のもとにやっているわけでございます。したがいまして、経済企画庁の調査をわれわれも拝見いたしまして、当然のことながら、これをもっと突っ込んでいかなければならない。しかし、この実態というものがなかなか私どもつかめません。総戸数にいたしましても、いろんな推計をやっておりますが、それぞれいろんな推計ごとに違った数字が出てまいります。したがいまして、私ども、まずその実態を把握しなければならないわけでございますが、それにつきましては、一応業界を通じての実態把握、これは計画局長から先ほど申し上げましたが、そういう立場からの実態把握が一つございます。  もう一つは、今度はユーザー側を通じての実態把握がございます。これは本年実施いたす予定にしております住宅需要実態調査、この中を通じまして、従来も若干やっておりましたが、これにある程度焦点を強く当てまして、そういった中古住宅がどういう形で流れて、そしてどういう人たちが、どういう動機でそういう中古住宅に住んでおられるのかというような、そういうユーザー側からの調査もあわせてやってまいりたいというように考えております。  それと同時に、御承知のように一昨年から公庫住宅のいわゆる中古住宅融資を始めております。これも最初のうちは高層住宅から始まりまして、なかなか需要がございませんので、だんだん範囲を拡大してきておりますが、今後ともそういう調査結果とあわせながら、この問題を拡大してまいりたいというように考えている次第でございます。
  111. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そこで、質問を進めてまいりますが、五十年七月二十三日に発表されました住宅宅地審議会住宅金融小委員会におきまして「今後の住宅金融のあり方の報告」というものがございます。その中で、当面実現するものとして「個人に対する政策金融の改善」という項目がありまして、さらにその中で「現行制度融資対象新規住宅建設又は取得に限定されているが、既存住宅ストックの活用を図る為、中古住宅の取得に対する融資制度を検討する必要がある」というふうに指摘しておりました。ただいまの局長の御答弁の中にもそれに対応した現実の政策が述べられたわけでございますが、さらに五十年八月九日、同じく住宅宅地審議会建設大臣に答申をした「今後の住宅政策の基本的体系について」という答申の中には、「既存住宅ストックについても有効活用を図る必要があり、その保全、改良、増改築を推進し、世帯構成ライフサイクル等に応じた住み替えを積極的に推進しなければならない」、このように述べております。既存の中古住宅の流動化のための市場の整備、税制の改善、さらに融資制度の拡大、融資保険制度整備等を促進すべきである、このように示されているわけであります。  ところが、現状では、中古住宅の購入者は手持ち金を多く持っている所得の高い者に限られているとされておりますし、中古住宅購入者の資金調達方法は、提携ローンによる場合が少なく、購入者が金融機関と個別に交渉して融資を受ける方法が大部分であります。しかも、利用する金融機関の中には金利が比較的高い、先ほど経企庁の万からの御説明の中に出てまいりましたが、住宅金融専門会社なるものの比重が非常に高いわけであります。中古住宅に対する住宅ローンのおくれが目立っているわけでありますが、住宅困窮者が住みかえにより住居水準の向上を図ることができるように、政府融資住宅金融公庫による比較的低利で長期の購入資金融資を、これは当然検討してすでに実現しているべきではないか、このように思うのでございますが、いかがでございますか。
  112. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 住宅金融公庫によりますいわゆる既存住宅の購入制度、これは五十一年度から始めておりまして、逐年内容の改善を行っておるところでございます。五十一年度始めましたときには、いわゆる六階建て以上のマンションで、そして新築後五年から十年という範囲でありましたが、五十二年度にそれを拡大いたしまして三年以上十年以内というような形に拡大しております。さらに、五十三年度におきましては、この対象を中層住宅にまで広げまして、三階以上のものにまで中古住宅ローンが公庫融資として貸せるようにというような形で現在考えている次第でございます。
  113. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 きょう、さらに大蔵省から渡辺議官においでいただいておりますので、大蔵省にお伺いをいたしますが、先ほど御説明がありました経企庁の資料によりますと、中古住宅ローンの借入先金融機関の五十一年、五十二年度の利用状況について見ますと、都市銀行が二三・九%、それからただいまも述べました住宅金融専門会社、七社ございますが、合わせまして同じく二三・九%と最も高く、そのあと信用金庫、信用組合が一四・八%、地方銀行が七・四%、相互銀行、生命保険会社が六・三%、こういう順序になっております。五十二年三月、四月、九月と公定歩合が引き下げられたわけでありますが、それに伴って住宅ローンの金利も下げられているわけでございます。  時間がございませんので、こちらで一応読み上げますが、五十二年の四月の時点で公定歩合が五%、五月に住宅ローンの市中銀行の金利が八・四、これに対して住宅金融専門会社七社の方は一〇・六八、この差二・二八の開きがございます。九月の引き下げによりまして四・二五%になりました。これが八月になりまして住宅ローン市中銀行分は八・一六%、それに対して住宅金融専門会社七社の方は一〇・三二%、その開き二・三二%となっております。十月の引き下げにおきましては住宅ローン市中銀行分が七・九二%、住宅金融専門会社七社の方が九・七二%となっております。今回、五十三年三月にさらに公定歩合の引き下げがあったわけでございまして三・五%となったわけでございますが、今後、この市中銀行分住宅ローンの金利とまた住宅金融専門会社七社の方の金利がどのようになっていくか、その開きはどうなるか、御説明をいただきたいと思います。
  114. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 金利の経過の推移はいま先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、住宅ローンというのは非常に長期の貸し付けでございます。二十年というふうな長い期間にわたる貸し付けでございますから、そういう意味では公定歩合の上げ下げとは直接には関連しない別の問題であるというふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。どちらかといえば長期プライムレートというふうな、長期の金利体系にむしろ関連する問題である、こういうふうにお考え願いたいと思っております。  今回も長期金利体系一連の引き下げがあったわけでございます。もちろん短期の金利も公定歩合を初めといたしまして引き下げられたわけでございますが、長期の方も大体、国債金利その他長期プライムあるいは金融債等々〇・五%前後の引き下げが行われたわけであります。民間金融機関の住宅ローンの金利につきましても、今回の一連の金利水準の低下に関連いたしまして、新規契約については〇・三%の引き下げを行う、それから既契約分についても原則として〇・一二%の引き下げをする、なお現在やや高い過去の金利のものについては、引き下げ幅を〇・一八に広げるというふうな措置が各金融機関によって行われたわけであります。  住宅金融の専門会社の方でございますが、これは一連の銀行その他の金融機関とは違う性格の会社でございますので、法律上は貸し金業者というものでございまして、この貸し金業者というものにつきましては、一般の金融機関のような大蔵大臣の監督権というものは及ばない、いわば自由営業の形態の会社である、こういうことになっておるわけであります。一般金融機関につきましては、これは大衆から預金を集めて、その預金を運用しておる、こういう性格のものでございますから、したがって、預金者保護でありますとかあるいは金融秩序の維持というふうな、そういう非常に社会的な機能を担っておるという観点で、法律上も非常に強い政府の監督権限があるわけでございますが、貸し金業者の方はこれは全くの自由営業でございまして、営業についての認可とか許可とか、そういうものは全く不要の営業形態でございます。ただ、住宅というものは、非常に国民の社会生活に密接な利害関係を持つ重要な事項でございます。現に、住宅に対する国民のニーズというものが非常に強い、こういうことにかんがみまして、現在こういう住宅についての長期金利を貸し付けるそういう貸金業者であって、しかもそれらの母体が大蔵大臣の監督に服しておる金融機関あるいは保険会社、証券会社等である場合に、それらのものを特別に大蔵大臣の直轄指定をいたしまして、そういうものを通じて間接的ではありますがこれに対する監督を行っておる、こういう実情にあるわけでございます。  もちろん金利は、こういう情勢でございますからできるだけ下げるということが望ましいわけでございまして、こういう住宅金融専門会社につきましても、金利水準の低下に従いまして、私どもとしても強力に貸付金利を引き下げていくように指導を行っておるところでございます。
  115. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 先ほども申し上げましたとおり、中古住宅ローンの借入先の金融機関の利用状況で見ましても、この住宅金融専門会社七社が二三・九%を占めているわけでございまして、決してこれはささいな実態ではないと思います。しかも、私の手元にあります昭和五十一年十一月、十二月、そして五十二年一月と、この三カ月にわたる住宅金融専門会社の残高推移表がございますが、この三カ月で九千百七十二件、六百十六億千九百万円の貸し出しをいたしております。これまでの累計によりますと、実に八千五百五十四億五千四百万円という多きに上っております。  そこで、いま大蔵省から御説明のございました一般金融機関とは違う、自由営業であるという御説明のございました住宅金融専門会社七社の内容について、これは御質問の形でお伺いをすればいいわけでありますが、非常に時間が迫っておりますので、私の方からこれは読み上げさしていただきます。設立年月日、社長のお名前、それから役員構成、そして資本金とその出資構成の概要を申し上げます。  日本住宅金融、四十六年六月二十三日設立。社長、前中小企業金融公庫理事庭山慶一郎氏。役員、都銀より八名、信託より二名、生保より二名。資本金二十五億千九百五十億円。その構成は、都銀七行六億三千万、地銀三十七行九億一千万、相銀十五行で一億五千五百万、損保十二社二億二千五百万円となっております。  住宅ローンサービス、四十六年九月一日設立。社長は、前日本勧業銀行常務の堀正典氏。役員構成は、都銀より十三名、生保より一名、損保より一名。資本金が十億円であります。主なものを拾ってみますと、都銀七行で四億二千万、地銀十八行で一億八千万、相銀七行で七千万、生保十三社で一億三千万。  住宅総合センターが、四十六年十月一日の設立で、社長は前日本専売公社副総裁の佐々木庸一氏。役員は、信託より十四名でなっております。資本金が十億円。主なものは信託七行から七億円、住宅関連会社七社から二億九千八百万。  次に相銀住宅ローン、四十七年七月十八日設立。社長は、前日本貿易振興会理事の中嶋晴雄氏。役員の構成は、相銀より十五名、相互銀行協会より二名。資本金は十億六千万。主なものは、相銀七十一行で八億三千四百万、生保十七社で七千二百万、損保十九社で三千六百万。  第一住宅金融が、設立四十八年七月十七日、合併で新発足をしておりまして、これが五十年の十二月一日。社長は、前証券投資信託協会専務理事の崎谷武男氏。役員構成は、長信銀より四名、証券会社より三名。資本金が八億円で、地銀二十九行一億七千四百万円、相銀二十一行一億二千六百万円、証券会社十一社で一億七千二百万円、生保十三社で一億三千二百万円、損保十八社で六千六百万円。  地銀生保住宅ローン、これは五十一年六月一日の設立です。社長は、前国民金融公庫総裁の有吉正氏。役員構成は、地銀より六名、地銀協会より一名、生保より七名。資本金はこれはまだ小さいですね、一億円。地銀六十三行から四億一千八百万円、生保二十社から二億七千八百万円。  最後に日本ハウジングローン、五十一年六月二十三日設立。社長は、前同和火災海上保険の会長大月高氏。長信銀より四名、証券会社より六名の役員構成であります。資本金八億円。出資内容の主なものは、地銀十七行から八千五百万円、相銀十八行から九千万円、証券会社十三社から二億四千七百万円、生保十七社から一億一千二百万円、損保十九社から一億二千万円。  概要を申し上げました。役員の名前等こちらに資料がございますけれども、それは省略をさせていただきます。以上、大要間違いはございませんでしょうか。
  116. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 地銀生保住宅ローンの資本金一億円とおっしゃったように聞きましたけれども、これは七億円でございます。そのほかはおっしゃるとおりでございます。
  117. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 本来、住宅ローンの貸し付けは、政府金融機関及び市中銀行が、当然、業務として行うにもかかわらず、非常に一般消費者のニーズが高まってきたところから、各金融機関が出資をして、いま内容を述べましたような住宅金融専門会社というようないわばダミー会社を設立いたしました。しかも、金利が一段と高く利用されているわけでございます。これを借りる人は、ほぼすべての需要を満たし、また条件もやわらかいために、さらには請負建設会社や不動産会社などが仲介の労をとってあっせんをいたしました。利用者としては、いわば泣く泣くこの金利の高い住宅金融専門会社から融資を受けざるを得ないという、そういう現状であります。特に、住宅金融専門会社七社につきましては、内容につきましては、先ほどの大蔵省の御答弁では、一般金融機関とは違う、自由営業の会社だと言いながら、中身はこれは銀行と直結をしているわけでございまして、この点このような実態について、監督官庁ではないと先ほど直接責任は回避された御答弁をいたしましたけれども、大蔵省としてはどのような見解をお持ちなのか。先ほどの御答弁ではどうも納得がいきません。金利についても、これから引き下げるよう行政指導をしていくというようなことをおっしゃったわけでございますが、この辺も非常に納得のいかない、非常に矛盾したところであると思います。この点、明確にお示しいただきたいと思います。
  118. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 住宅ローンにつきましては、都銀を初め各金融機関に対しまして、今後の方向としてこういうものを大いに強化、拡充していくという指導をしてまいっておるわけでございます。現に、各金融機関の住宅ローンの実績というのは、一般貸し付けに比べまして、非常に大きな伸びで伸びてきておるというのが現状でございます。  住宅金融専門会社につきましては、先ほど申しましたように一応一般の金融機関とは別の形のものではございますが、やはり同じように住宅に対する金融という、現在の社会情勢から考えまして非常に大きな公共的な役割りというものを果たしておるわけでございますから、そういう意味で特に大蔵大臣の直轄指定ということをいたしまして、間接的ではございますが、これに対する指導を強化してきておるというのが現状でございます。  なお、住宅金融専門会社がなぜ要るんだという点でございますが、これは申すまでもなく、一般の金融機関というものは個別の金融情勢に応じまして資金の繁閑というものがあるわけでございます。そういう意味で、一般金融機関だけにこういう非常に長期の金融を頼る、しかも一般金融機関の資金源泉というのは長い資金源泉ではございませんから、それだけに頼るというのは、ある意味では安定した資金供給というものについて問題があるおそれもある、こういうことでございます。  それから、個別の金融機関につきましては、それぞれの資金事情あるいは各地域地域の資金事情というものがありまして、なかなかそれぞれの地域あるいはそれぞれの銀行の個別の住宅ニーズといいますか、そういうものに対応するような体制にない場合が多いわけでございます。この専門金融機関は、その点いろいろな金融機関が相集まってやっておるという先ほどのような形態でございますので、そういう資金の繁閑を調整するという機能を果たし得るわけでございます。  それからさらに、たとえば生保でありますとか損保でありますとか、あるいは農業系統金融の金でありますとか、証券系統の金であるとか、そういう金融機関以外の金をも集め得る、こういうことでございますので、一般金融機関では果たし得ないような面を持っておる。したがって、それぞれがやはり相補いながら住宅金融のニーズにこたえていく、こういうことではなかろうかと思うわけでございます。
  119. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 建設大臣もこれは決して御承知のないことではないと思います。この住宅金融専門会社七社の存在については御理解いただいているものと私は思います。  一番問題になりますのは、いわゆる一般消費者は、私は特に中古住宅の購入にしぼっていまお伺いをしているわけでございますが、好んでこの住宅金融専門会社の住宅資金を利用しているわけではないわけでございます。そこが問題です。したがいまして、どうしても資金が欲しいためにやむを得ず利用していくというのが実態でございます。これは、私はちょうどいま非常に大きな社会問題化しているサラ金と同様の傾向を見る思いがするわけでございます。  銀行は国民から安い金利で預金を受けまして、その原資をもとにこうした住宅金融専門会社をつくって高い利息で住民に還流をしている。これは大銀行による又貸し、トンネル融資と同じことになるわけでございます。これはトンネル融資のために利子を極端に高くしているサラ金と全く同じ性格であります。  ちなみに、住宅宅地審議会住宅部会、住宅金融小委員会におきましても、五十年七月の報告の中で、「今後の住宅金融のあり方」として、「住宅金融専門会社は受信機能をもたず、住宅貸付の原資を多くの場合、その会社の出資者である民間金融機関からの借り入れによっているため、その母体金融機関等の資金事情に著しく影響され、又母体金融機関に比べてその金利は高くなっている。従って将来は、資金コストの引き下げ及び原資調達方法の多様化と円滑化を図るため、長期資金を調達しうる方策を検討し経営基盤の一層の強化を図る必要がある」と報告しております。これは五十年の七月であります。  このように住宅金融専門会社は、当然行政上の監督義務があるのは私は大蔵大臣であると思うわけでありますが、この融資の目的対象になっているのは住宅であります。したがって建設大臣とされましても、このような金融制度あり方に対しては決して無関心であってはならないと存じますし、むしろ重大な関心をお持ちになるべきではないかと考えるわけでございます。  持ち時間が参りましたので、最後の質問になりましたが、いずれにいたしましても、五十三年度予算の目玉商品として住宅金融公庫の貸付戸数、額とも大幅な増加になっているわけでございますけれども、その融資対象とならない、特に中古住宅、マンション、一戸建ての分について融資を受けるのに、非常に高い利子で住宅金融専門会社を経由してしか借りることができない、つまりこうした金融の二重構造になっている実態につきまして、住宅金融制度の未整備な問題も含めて、中古住宅流通市場に必要な条件が非常に不十分であるところからこういう問題が起こっているのでありますから、今後この問題について、大臣の重大な決意のもとに解決に乗り出されるよう強く要望をいたしますし、大臣の所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  120. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 中古住宅につきましていろいろ掘り下げての御質問をちょうだいいたし、まことにありがとうございます。  なお、この住宅金融専門会社につきましては、私の所管である住宅宅地審議会金融小委員会からいろいろ御指摘を受けておるのでございまして、私も、この小委員会の提案のように、長期的には資金コストの引き下げ、原資調達の方法の多様化と円滑化とを図ることが望ましいと考えておりまして、きょうちょうだいした御意見を十分参考にいたしまして、今後の中古住宅問題に対処してまいりたいと思います。
  121. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 終わります。
  122. 伏木和雄

    伏木委員長 西村章三君。
  123. 西村章三

    ○西村(章)委員 最初に住宅政策あり方についてお伺いをいたします。  不況の長期化と深刻化が増大をする中で、政府は景気振興の具体策として住宅対策を重点施策に取り上げ、特に五十三年度予算では住宅建設を公共投資拡大の目玉として取り上げております。今回の公庫法の一部改正も、こうした現在の経済情勢が背景となっての住宅建設促進策、これの一環だとわれわれは受けとめております。ところで、第三期住宅建設五カ年計画、これにおける公的資金による住宅の中では、公営住宅公団住宅、この建設の進捗率が余り伸びておらず、むしろ五十三年度予算におきましては建設戸数そのものが減少の方向にある。五十二年度に比較をいたしまして、公営住宅で一万戸、公団住宅で一万七千戸減っておる。これに反しまして、公庫住宅は年々融資枠の拡大が恒例となってきておりまして、五十一年度は当初計画三十五万戸に二万戸、五十二年度は当初計画三十七万戸に十万戸それぞれ追加の融資がなされておりまして、この結果公的資金による住宅中に占める公庫住宅の比率といいますものは、五十一年度、五十二年度ともに約六〇%、公的住宅の施策は公庫住宅中心になってきておりまして、必然的に政府主導型の持ち家住宅政策となってきております。  公庫住宅の拡大も結構でありますが、本来国の行う住宅政策中心は、先般の委員会でも私からお尋ねをしたわけでありますが、社会福祉政策的な見地から住宅問題を取り上げるべきだ。そういう立場に立ちますと、今後住宅建設を遂行するためには、政府は、持ち家を望めない、望んでも手の届かない低所得者、勤労者のために、公的資金による低家賃で適切な規模の賃貸住宅をもっと最大限に努力をする中で供給すべきではないか、かように思いますが、この点についてまず見解を聞かせていただきたいと思います。
  124. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御指摘のように公営住宅公団住宅建設戸数が、五十三年度予算ではその計画が非常に下がっておるわけでございます。また、社会福祉政策も加味してむしろ公営住宅あるいは公的賃貸住宅について重点を、置くようにという御趣旨と承ったのでありますが、まことに残念なことに、大都市地域における用地取得難あるいは関連公共施設整備にかかる地方公共団体の財政負担の増大、あるいは地元公共団体や周辺住民との調整の難航ということが大きな原因となりまして、ただいま申し上げたように、公営公団ともに戸数が減るという状況にあるわけでございます。  なお、もう一つ考えなければならないことは、社会経済の情勢の変化で、私どもの立場から言うと、どちらかと言うと持ち家住宅に対する要望が強いのではないか、これも考えなければならないことでございますので、今回の住宅金融公庫を通じての低金利融資や、その融資に対する条件の大幅な緩和などを講じてあるわけでございます。主た、しかし、おっしゃるとおりに公営公団住宅についてできるだけの手を打っていかなければならない、こういうことで五十三年度の予算の中に住宅宅地関連公共施設整備促進事業公営住宅敷地整備事業を取り上げて御趣旨の点も十分踏まえておるつもりでございます。
  125. 西村章三

    ○西村(章)委員 公的住宅建設についてはいろいろと隘路のあることも承知いたしておりますし、また、いま大臣がおっしゃいましたように、持ち家住宅志向の強いということもそれなりに理解ができます。  本年の一月、総理府から発表されました大都市地域における住宅、地価に関する世論調査、これによりますと、一戸建て住宅の志向層が六三%。その内訳は、一戸建て住宅以外は考えられないという層が一五%で、一戸建て住宅が望ましいという層四八%を加えまして六三%。これと逆に共同住宅の容認層、これは三二%でありますが、その内訳は、一戸建て住宅でなくてもやむを得ない、また、一戸建て住宅はあきらめるべきだ、それぞれ二四%、八%、これを合わせて三二%、このような数字になってきております。  確かにそろいう意味では、一戸建て住宅の志向層六三%の大多数は持ち家を志向するものと考えられますけれども、この中には、だれしも団地よりも庭つき一戸建て住宅の方が欲しいのだ、これはあたりまえの話で、願望としての持ち家志向も多く含まれているということが言えるわけであります。同時にこのことは、もはや低家賃の公的賃貸住宅に多くを期待できないとする勤労大衆の志向につながるものだという理解もできるわけでございまして、そうだとすれば、公営住宅公団住宅戸数の減少とともに、社会福祉政策におきまして、また景気振興対策においても多くを期待することができずに、これは政府の住宅政策の根幹を揺することになると思うのでありますが、この点についての見解はいかがでございますか。
  126. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 一戸建て志向というものがまだ非常に根強いものとして、特に先生指摘の調査は、東京、大阪、名古屋という大都市圏のものでございます。そこでも一戸建て志向が六三%あるということでございます。ただ、その一戸建て志向と共同住宅志向というものと、持ち家あるいは借家というようなものと必ずしも相関関係はございません。最近では、持ち家志向の中で共同住宅志向というものが大都市地域におきましては非常に高くなっているということも事実でございます。そういった問題を踏まえまして、私どもは、持ち家志向の問題と共同住宅あるいは一戸建て志向という問題は区別して物を考えなければならないのじゃないかというような認識は持っております。  ただ、先生指摘のように、公共賃貸住宅というものがなかなか建設難であるということから持ち家志向ということにつながっているのではないかという御指摘かと思いますが、確かにそういう一面もございます。私もそういった面から、先ほど御説明しておりますように、公団の分譲住宅あるいは公庫住宅融資を受ける方々の階層が公営住宅階層等と最近相当オーバーラップしているということも事実でございます。ただ、そういう面から見ますと、私どもは、必ずしもそういった公的賃貸住宅が建たないから持ち家志向ということでなくて、一般的な国民がいわゆる中堅階層意識を特に日本はたくさん持っているというようなことから、そういう面が出てきているのではないかというようなことも考えるわけでございます。  そういった面を総合的に判断しまして、本年行います住宅統計調査あるいは住宅需要実態調査という中で、そういった先生指摘の点も数字的に明らかになろうかと考えております。そういったものを踏まえた上で今後の住宅対策に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
  127. 西村章三

    ○西村(章)委員 次に、公庫法の改正及び公庫融資制度について伺いたいのでありますが、五十三年度の住宅金融公庫事業資金が総額で二兆五千百十億円、このうち二兆二千三百十億円が財投資金であります。これは本年度の財投資金総額十四兆八千八百七十六億円の実に一五%に相当する額でございます。今後公庫融資がさらに拡大を続けていくといった場合に、現在のように事業資金の大半を財投資金のみに依存していたのでは早晩資金不足に直面する危険性があるのではないか、かように懸念されるわけであります。さらに、けさの新聞に載っておりましたが、総理府が発表されました貯蓄動向調査によりましても、全般的に貯蓄残高の伸びが非常に低下している。まして今回の公定歩合の引き下げに伴いまして郵便貯金の預金金利が引き下げられる、勢い貯金意欲が低下をし、また預金金額も減少する可能性があるということを考え合わせますと、財投資金のみに公庫資金を大幅依存するのではなくて、公庫が自主的に事業資金を調達できるような方向、将来に対する何らかの方策を考えなければいけないと思うのでありますが、この点について総裁はどう考えておられますか。
  128. 大津留温

    大津留説明員 現在、公庫資金の原資は、お示しのとおり財投に頼っておるわけでございますが、これからますます資金が増大していくといたしますと、民間資金の導入も当然検討しなければならないと考えます。  実は公庫融資の中に財形住宅融資というのがございまして、これは民間資金を導入いたしましてその原資にいたしております。したがいまして、これを今後拡充していく等の方法によりまして、お示しの方向に検討を進めてまいりたいと思います。
  129. 西村章三

    ○西村(章)委員 五十二年度の一般個人住宅資金需要者調査が、中間集計でありますが、ここに出ております。これによりますと、利用者中に第一分位層が五十年度の四・八%から一五・九%、第二分位層が五十年度の二二・六%から二五・二%へと、この一、二年利用者の低所得者層への移行が著しいわけであります。  そこで、公庫が国の住宅政策の重要な柱である以上、こうした傾向に対応して低所得者層に対する優先貸し付けが行えるような方法論を考えてみるべきではないか。たとえば昨年十月、五十二年度の補正予算成立時点で与党と一部野党で合意を見ました低所得者層への無抽せん優先貸し付け、この趣旨をさらに前進をせしめた何らかの制度的なものが必要ではないか、かようにも思うわけであります。  これに関連をいたしまして、さらに今年度は貸付枠が拡大をされまして、受け付け順で抽せんなしだと伺っておるわけでありますが、本年度の受け付け回数は一体どうなるのか。また、応募者が多い場合には果たしてどういう方法をとろうとするのか。  さらにもう一つ、現在実施されております規模による融資制限がありますね。六・七五%口といいますか、これに加えて、ここに新聞がございます。昨年の九月十三日に建設省と大蔵省で合意をされて翌日十四日に新聞報道がなされているわけでありますが、公庫利用者に所得による上限を設ける、こういう構想も載ったわけであります。今回の改正にはそういうものは出ておらないのでありますが、この構想はその後どうなったのか。  この三点についてお示しをいただきたいと思います。
  130. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 まず最初に御指摘の低所得者の対策でございます。  五十二年度は、本年一月の公庫融資におきまして低所得者の方々に無抽せん二十万の割り増しというようなことをやりましたのは御指摘のとおりでございまして、われわれも現在の公庫融資の実態から見まして、そういった低所得者に対して何らかの恒久的な制度考えるべきだということは同じように考えているわけでございます。  ただ、ことし一月に行いました対策の中で、無抽せんということは、今回四十万戸の枠をふやしましたことによって私どもはこれは十分一般化されたと考えておりますし、また割り増しにつきましても、四百五十万を五百万に上げたことによって一応その中に包含されたということで、五十三年度においては一応そういうことを考えたわけでございますが、今後こういう問題をどうするかという問題につきましては、これは非常に重要な御指摘でございますし、私どもも真剣に考えていかなければならぬと考えております。  それから、五十三年度の受け付けをどうするのだということでございますが、私どもは何回かに分けまして、抽せんでなくて先着順に受け付けていくのだという基本姿勢をとりたいと考えております。  それから受け付け回数につきましては、まだ最終的に私ども決めておりませんが、一応予算編成段階での積算としましては、年三回ということで積算いたしております。ただ、これは積算だけの話でございますので、今後の受け付けの申込状況等を見て弾力的に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから所得制限の問題でございますが、これは五十一年の法律改正の際に、当時財投金利は六・五%でございましたが、財投金利で貸し付ける枠を設けていただきまして、大きな規模の住宅をつくる方、それから所得の比較的高い方について六・五%の新しい枠を設けることに法律上なっているわけでございます。一応原則的に百二十平米以上の大きな住宅をおつくりになる方については現在六・五%にしてあるわけでございますが、実はその政令で所得の高い方についての制限、制約をまだ設けておりません。これはわれわれも法律でお示しいただきましたので当然検討を続けておりますが、五十三年度におきましては、こういった景気対策もございまして、それから枠も四十万戸とふやしたこともございまして、とりあえず所得制限は行わないことといたしたわけでございます。今後検討する時期が来るかと考えております。
  131. 西村章三

    ○西村(章)委員 いま申し上げました貸付対象者の所得制限の構想も、将来は検討していかれるということでございます。さらに今回予測されます公庫金利の引き下げと考え合わせますと、ここで一つの提案でございますが、たとえば現行の個人向け融資五・五%口を一定の所得水準に応じて、それぞれ低所得者層に対しましては三・五%、また中所得者に対しては五ないし五・五%程度、高所得者には五・五%という三段階なり段階制を持った金利制度考えられると思うのでありますが、この点についてはどうお考えでございましょうか。
  132. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 所得に応じて金利を変えるべきではないかということでございますが、これは五十年八月の住宅宅地審議会の答申におきまして、いわゆる応能家賃という考え方が示されておりまして、これと同じ思想の流れかと考えております。現に家賃だけでなくて、たとえばヨーロッパにおきましては、最近の傾向としまして、家賃とともにそういった住居費負担全般を含めまして、所得に応じて、国庫補助的なものを含めまして手厚いあれを行うというような制度が一般化いたしてきております。そういった流れの中で、答申を受けまして私どもも一生懸命検討しているわけでございます。  ただ、ヨーロッパと違いましてわが国の非常に特異な事情がございます。一つの問題は、所得の把握がヨーロッパに比べて日本の場合には非常に甘いと申しますか、そういう面があること。第二点は、ヨーロッパにおきましては個人の資産の把握がある程度できております。ところが日本の場合には資産の把握が非常にわからない部面がございます。ですから、たとえば家賃みたいな所得の中から払う性格のものと、住宅のローンみたいに資産となるべきものを償還していく考えとは、若干その辺に差が出てまいりまして、やはり資産として持つ者の償還ということになりますと、その個人の方が持っておられるいわゆる資産がどうかということまであわせて考えなければ不公平なことになるんではないかというようないろいろの問題がございます。しかし、考え方としては私どももそういう考えで将来いくべきじゃないかということを考えておりまして、これは長期的な検討として私ども考えさせていただきたいというふうに考えております。
  133. 西村章三

    ○西村(章)委員 次に参ります。  先ほどの質問と重複をいたすわけでありますが、今回の公定歩合の引き下げに伴いまして政府系の金融機関の貸出金利も一斉に引き下げられる、さような方針だと伝えられておりますし、また、公庫融資資金であります資金運用部の預託金利もこれが引き下げられるような方向づけ、さらには、民間ローンはすでに新規におきまして〇・二四%、既契約分で〇・一二%、それぞれ引き下げられる方針が固まったようでありますが、公庫の現行金利五・五%も当然これは引き下げられるべきものだと思います。引き下げられる幅はどうなるというのか、その辺の見通し、また、既契約分についてはどうしようというのか、この辺のお考え方も聞かせていただきたいと思います。  それと関連いたしまして、従来五・五%の金利は非常に長期間据え置かれてきたのでありますが、貸付金償還期間の今回の延長に伴いまして、将来の経済情勢あるいは金融情勢、それぞれの変動なり変化、こういう動向を考え合わせますと、二十五年間固定することが非常にむずかしい場面も出てくるのではないか、こういうことも予想されるわけであります。いま民間金融機関では変動金利制というものを真剣に検討されているようでありますが、この長期間の据え置きという問題と変動金利制、これにつきまして基本的にどういう考え方を持っておられるか明らかにできればしていただきたいと思います。
  134. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 まず公庫金利の問題でございますが、この辺につきましては、私どもは、先ほどから大臣お答え申し上げましたように、財投資金が下がれば当然にこれは下げられるものというように考えております。  ただ、旧家賃につきましては、これは住宅金融公庫の金利がいわゆる政策金利でございまして、本来政策金利というものがそういった市中の金利動向に左右されるべきではないというのがたてまえでございます。したがいまして、五・五%は、財投金利が七・五あるいは一時八・五まで上がりましたが、そのときでも据え置いているという趣旨はそういうところにあろうかというように考えております。したがいまして、今回五・五%を下げるということは、これは一種の異例の措置だというように私ども考えておりますので、旧家賃にまでそれを及ぼすというのはこれは不可能ではないかというように考えております。  それから、変動金利制の問題でございますが、これは確かにいろんな問題がございます。しかし、基本的な考えを申し上げますと、先ほども申し上げましたように、住宅金融公庫の金利というものは政策金利でございます。したがいまして、将来の金利変動、あるいはそういった金利変動に応じてむやみに上げ下げすべき性格のものではないということでございます。したがいまして、住宅金融公庫につきましては、変動金利制というものは原則的にはやはり好ましくないのではないかというように考えております。  ただ、民間住宅ローンにつきましては、先ほど来いろんな問題点御指摘ございましたが、これにつきましては、現在アメリカを除きまして大体変動金利制というものの導入の方向に動いております。したがいまして、わが国でもやはりこの点につきましては、民間住宅ローンにつきましては研究の余地があるんではないかというように私ども考えておるところでございます。
  135. 西村章三

    ○西村(章)委員 次に、来年度から土地つきの個人住宅融資制度、これが貸付限度額、貸付対象ともに拡充されたようでありますが、わが党は従来から、一定の条件のもとで個人の居住用の宅地取得に対する一般貸付制度の創設というものを主張しておりました。今回の措置はそういう意味では一歩前進であろう、かように評価をいたしておるのでありますが、今回の措置によって新たに融資対象となる優良宅地、これは一体具体的にどういうものを指すのか、また融資条件は従来の特別貸し付けと比べてどうなるのか。今後この制度力点を置くとすれば、限度額三百五十万円、これがけでは三大都市圏ではせいぜい十坪程度しか取得ができないということもございまして、きわめて不十分であると思いますが、これの増額についてどう考えておられますか。
  136. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 今回の融資対象になります優良宅地と申しますのは、現在考えておりますところでは、まずミニ開発対策等もございまして、開発許可を受けた宅地、それからこれは当然のことでございますが、開発許可の要らない地域がございます。したがいまして、この地域につきましては租税特別措置法における優良宅地という認定制度がございますが、そういった宅地、この優良宅地開発許可に準じて認定いたします。そういった租税特別措置法におきます優良宅地として都道府県知事が認定した宅地で、しかも百四十平米以上の宅地というようにするつもりでございます。  貸付条件につきましては、従来の特別貸し付けと同じように五分五厘、償還年限は、通常の木造なら今回の延長によりまして二十五年ということに相なるわけでございます。
  137. 西村章三

    ○西村(章)委員 昨日発表されました総理府の統計局の五十二年度貯蓄動向調査、これによりますと、五十二年度は収入の伸び悩みから勤労者の貯蓄の伸び率は四十二年度以来の低い伸び率にとどまったということであります。  一方、サラリーマン世帯の借金のほとんどは住宅や土地への購入資金で、土地、住宅のために負債額は平均三百三十三万円となっておりますし、特に住宅ローンの保有世帯のうちローン総額が五百万円以上の世帯が五三・七%、半数を超えておる。借入金額もだんだんと高額化の傾向もあらわれている、こうした傾向でございます。  そこでこの四、五年住宅ローンの返済に行き詰まる人が非常に多くなってきた。たとえば住宅ローンを借りた本人が返せなくなって、連帯保証人の損害保険会社が本人にかわって銀行その他の金融機関に支払うケース、これが、四十八年度の八十件から四十九年度の三百七十件、五十年度は八百件と急増し、五十一年度には五十年度の三倍にもなっていると言われております。  ここにも一つの新聞がございますが、兵庫県の小野市で借金を苦に一家五人が心中をした。月収二十二万円で月二十五万円も金利を払っておる。こういう事例が悲劇として掲載をされておりました。このように非常に返済に行き詰まる人が多くなっておる。もちろんむちゃな資金計画を立てたところにも原因があるのでございましょうけれども、こういった返済に困っている人の実態というものを把握しておられるかどうか、把握しておられるとすれば、その主な理由というのは一体何か、これに対する対応策というものをどのように考えておられるか、お尋ねをいたします。
  138. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 民間の損害保険会社のいわゆる事故でございますが、これは私ども正確な数字は把握しておりません。ただ、聞きましたところ、最近ふえているということは事実のようでございます。そのほか住宅金融公庫の保険がございます。これにつきましても、四十九年十六件に対しまして、五十年二十五件、五十一年二十四件、最近増加傾向にあるという事実はそのとおりでございますし、住宅金融公庫のいわゆる六カ月以上の延滞の状況を見ましても、昨年の一月が三百四十二件に対しまして本年一月では七百件というようにやはりふえております。もっとも、七百件と申しましても、総貸付件数は三百万件ございますので、事故率で言えば非常に少ないものでございますが、そういった傾向にあることは事実でございます。  その原因等につきまして私どもいろいろ調べておりますが、その中でやはり一番多いのは、自家営業がうまくいかなくなったということ、これが件数としては一番多いようでございまして、最近の不況におきます離職とかなんとかということに伴うものは、私どものいままで調べている範囲内ではパーセンテージとしては案外少ないようでございます。ただ、それがまだ失業保険とかなんとか出ている間でございますので、不況が長引いた場合にはやはりそういうものが増加するのではないかというようなことを憂えている次第でございます。
  139. 西村章三

    ○西村(章)委員 時間がなくなってまいりましたが、最後に住宅金融の窓口一元化についてお尋ねをしたいと思います。  住宅金融が公的資金民間資金を問わずに非常に多様化いたしておるわけでありますが、それに伴いまして窓口業務も非常に複雑化してきておる。公的な住宅金融におきましても、住宅金融公庫と年金福祉事業団、雇用促進事業団の窓口がおのおの別でございまして、利用者は非常に不便を感じておる。また、民間都市銀行の中でも、一部を除きまして住宅金融の窓口は一元化されておらず、住宅ローンの窓口と銀行そのもの住宅ローンの窓口と公庫融資の窓口が別であったり、そういうところも多いわけでありまして、利用者のために可能な限り公的な窓口業務、これを一元化する努力をすべきだと思いますし、また民間の業務につきましても、もっと簡便化を図るような指導をすべきだと思うのでありますが、この点についていかがでございますか。
  140. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 公的住宅融資につきましては、住宅金融公庫のほかに年金福祉事業団、雇用促進事業団等によります融資がございます。ただこの場合に、融資の手続が非常にいろいろな経路がございます。ただ私どもといたしましては、一般の国民の方、個人の方が住宅ローンの貸し付けが欲しいと言って申し込まれる場合、それから事業者を通じて申し込まれる場合、いろいろございます。したがいまして、事業者等が住宅ローンをたとえば従業員にお貸しするための銀行の窓口等、これはいろいろございますが、少なくとも個人の方々が行かれる場合の窓口は一本化すべきであるということで、従来とも年金福祉事業団関係あるいは雇用促進事業団関係も住宅金融公庫の取扱店の窓口に一本化するということで、少なくとも個人の方々が申し込まれる場合の窓口は統一しているつもりでございます。ただ、制度が非常に複雑でございますので一般国民にわかりにくいという点はございますが、窓口は一本化されているというようにお考えいただいて結構だと思います。  それから、民間の銀行の窓口、これも私どもまだ実態を全部把握しているわけではございませんが、確かに御指摘のように、ある銀行では、公庫融資の窓口と自社のローンの窓口がたとえば一階と二階で違っていたりというようなこともあるやに聞いております。これが実態上どうなり、それがどういうふうな御不便をかけているかというようなことも調べまして、できるだけそういうような御不便のないように、わかりやすいような体制をとるように考えてまいりたいというように考えております。
  141. 西村章三

    ○西村(章)委員 時間がなくなりました。最後に、いま局長から御答弁ありましたように、住宅金融制度そのものが非常に多様化しており、それぞれの制度を正確に理解することが非常にむずかしくなっておる。そのために基本的な資金計画を誤ることがあったり、せっかく使えるものが使えなかったり、不必要なトラブルが発生をいたしております。また、一人で複数の住宅資金というものを併用するとなりますと、借入資格や受け付け期間、これが相違しているために、金融機関の窓口で相談を十分しない限り的確に把握をできない、また申し込みもできないというのが実情であります。  従来からも、公庫公団、都道府県、事業団等に住宅相談所が設置され、利用者も増加をいたしておるようでございますが、相談内容も非常に広範になってきております。しかし、それはあくまでも一機関で専門的な相談になってしまう。そこで、一機関だけではなしに他のあらゆる金融機関の融資制度とあらゆる住宅問題について相談、指導のできるたとえば総合相談センター、この設置というものが今日段階必要になってきたのではないか、かように考えられるのでありますが、この点についてお答えを求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
  142. 救仁郷斉

    救仁郷政府委員 御指摘のように、これからの住宅行政の中でそういった分野というものが、いままで各方面でやってはおりましたが、非常に総合的な視野に欠けていたということは事実でございます。私どもも長くそういったことを考えまして、たとえば東京では日本住宅協会が、いろいろな機関からの情報を集めて銀座の松屋で相談所を開いております。しかし、東京だけでなくて、住宅相談というのは非常にローカルな問題がございます。したがいまして、私ども地方公共団体にお願いしまして、各地方公共団体ごとにそういったものをおつくりいただきたい。現在も地方公共団体ではそういった住宅行政の窓口ということで、役所の窓口でそういった相談所を設けている、これは非常に多うございます。しかし、先生指摘のようないろいろな機関を集めての総合的な相談所というものは、これは最近二、三の府県でだんだんおつくりいただいておりますが、これをもっと拡充して、少なくとも各府県及び政令都市ぐらいには置いてまいりたい、また、そういう指導をし、お願いをしてまいりたいというように考えている次第でございます。
  143. 西村章三

    ○西村(章)委員 終わります。      ————◇—————
  144. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、委員長から一言申し上げます。  去る三月二十五日、国際協力事業団派遣によるビルマ橋梁技術訓練センター実施協議チーム六名の塔乗したビルマ旅客機がミンガラドン空港を離陸直後に墜落し、全員遭難されました。  ここに謹んで哀悼の意を表しますとともに、この際、建設大臣に対し、本件の善後策に遺漏なきを期されるよう要望する次第であります。
  145. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 今回の事故により、当省において国際協力に挺身してきた有為な人材を失いましたことはまことに残念なことであり、ここに謹んで哀悼の意を表する次第であります。  ただいま委員長より温かいお言葉をちょうだいいたしましたが、まことに感謝にたえない次第であります。  当省といたしましても、死亡した職員に係る公務災害補償に十全を期するとともに、退職金、年金等につきましても制度上可能な限りの優遇措置を講ずるよう検討しているところでありますが、あわせまして、御遺族の今後の生活設計、子弟の教育等につきましてもできる限り御協力を申し上げる等、事後措置について万全を期する所存であります。(拍手)
  146. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、来る三十一日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十九分散会