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1978-03-22 第84回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十二日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 中山 正暉君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上  泉君 理事 中村  茂君    理事 北側 義一君 理事 渡辺 武三君       愛知 和男君    有馬 元治君       内海 英男君    大塚 雄司君       瓦   力君    志賀  節君       住  栄作君    谷川 寛三君       登坂重次郎君    中島  衛君       中村 弘海君    伊賀 定盛君       福岡 義登君    渡部 行雄君       谷口 是巨君    古川 雅司君       西村 章三君    瀬崎 博義君       中川 秀直君  出席国務大臣         建 設 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 昭治君         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         林野庁指導部林         道課長     人見 啓治君         運輸省海運局定         期船課長    近藤 憲輔君         自治省財政局調         整室長     小林  実君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     森田 松仁君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     平出 三郎君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任   瓦   力君     小坂徳三郎君 同日  辞任         補欠選任   小坂徳三郎君     瓦   力君 同月二十二日  辞任         補欠選任   井出一太郎君     志賀  節君   松野 幸泰君     中村 弘海君   渡辺 紘三君     愛知 和男君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     渡辺 紘三君   志賀  節君     井出一太郎君   中村 弘海君     松野 幸泰君     ――――――――――――― 三月六日  日本住宅公団賃貸住宅家賃プール制反対に関  する請願大出俊紹介)(第一六六五号)  公共事業施行促進に関する請願丹羽喬四郎  君紹介)(第一七〇八号)  岩木川水系改修整備に関する請願田澤吉郎  君紹介)(第一七九六号) 同月九日  尾瀬分水広域的運用に関する請願稲村利幸  君紹介)(第一八四〇号) 同月十四日  公営住宅法改正等に関する請願安藤巖君紹  介)(第二〇三二号)  同(浦井洋紹介)(第二〇三三号)  同(柴田睦夫紹介)(第二〇三四号)  同(瀬崎博義紹介)(第二〇三五号)  同(田中美智子紹介)(第二〇三六号)  同(東中光雄紹介)(第二〇三七号)  同(安田純治紹介)(第二〇三八号)  同(山原健二郎紹介)(第二〇三九号) 同月十六日  尾瀬分水広域的運用に関する請願濱野清吾  君紹介)(第二二七一号)  身体障害者及び家族の使用自動車有料道路通  行料金免除に関する請願和田耕作紹介)(  第二二七二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十三日  関越自動車道直江津線建設促進に関する陳情  書  (第二〇四号)  道路整備五カ年計画策定に関する陳情書  (第二〇五号)  都市公園整備促進に関する陳情書  (第二〇六号)  都市計画街路事業促進に関する陳情書  (第二〇七号)  都市河川改修事業促進に関する陳情書外一件  (第二〇八号)  信濃川河川敷公共利用促進に関する陳情書  (第二〇九号)  水源地域対策確立等に関する陳情書  (第二一〇号)  下水道整備五カ年計画完全実施に関する陳情  書外一件  (第二一一号)  日本住宅公団住宅政策改善等に関する陳情書  外四件(第  二一二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整  備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号)      ――――◇―――――
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、日本道路公団理事森田松仁君及び理事平出三郎君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊賀定盛君。
  5. 伊賀定盛

    伊賀委員 私は、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案等に関して御質問を申し上げたいと思います。  最初に、中国の古典に「山を治め、水を治める者は、よく人を治める」ということわざがありますが、道路局長、これにもう一つ加える必要をお感じになりませんか。——もう一度申し上げます。「山を治め、水を治める者は、よく人を治める」ということわざがありますが、これにもう一つ加える必要を感じませんか。
  6. 浅井新一郎

    浅井政府委員 いきなり目の覚めるような質問をされまして、どういうふうにお答えしてよろしいかちょっと戸惑うわけでございますが、(「道を治める」と呼ぶ者あり)いま言おうとしたことを先に言われた感があるわけでございますが、確かに道路整備国土発展、それから生活基盤づくりということにおいて、その果たす役割りは非常にはかり知れないものがあると思いまして、そういうことから、中国ことわざで「川を治め、山を治める」ということの「山を治める」というその大部分意味は、私ども考えでは恐らく道路整備ということであるというふうに考えているわけでございまして、道路整備は、これから二十年、三十年の国の発展の安定的な成長基盤であるというふうに認識しているわけでございまして、そういうことから、今後長きにわたって着実な道路整備を進めてまいりたいというのがわれわれの姿勢でございます。
  7. 伊賀定盛

    伊賀委員 私はかねてから選挙になりますと、治山治水という言葉がありますが、さらに道路、この三つが今日的な政治の要諦だ、こう言ってきたわけであります。大変適切な道路局長の所信をいただきまして、ありがとうございました。  次に、大臣にお尋ねしますが、古代ローマギリシャ都市国家市民の幸せは何かといいますと、一つ好みに応じた働きができ、そして適当な散歩ができ、そして好きなときに入浴ができる、これが古代ローマギリシャ都市国家市民の幸せ、目標であったわけであります。  これを今日的に解釈しますと、ほかの方は別としまして、適当に散歩できるということは、野原を散歩するわけにいきませんから、森林の中を。したがって、やはり緑したたる、公害のすさまじい今日のそういう姿でなしに、適当な道路がある、こういうふうに今日的には解釈できると思いますが、建設大臣はたしか三十四代目の建設大臣道路局長道路局ができましてから十二代目の道路局長ということになっております。三十四代目の大臣として、第八次道路整備計画も出ておりますが、古代ギリシャローマ市民が望んだ道路行政がいまおありとお考えでしょうか。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 古代ローマお話でございますが、私はとっさにいま話題の中心である飛鳥の都などを思い起こしまして、さぞかし当時は快適な散歩道路飛鳥の都にもあったのではないか、確かに好みに応じた働き場所、あるいは散歩道路、好きなときの入浴、これは現代でもわれわれの一つの理想というか、そういう環境は楽しみだと思うのであります。ただ、近代科学発展のために自動車がはんらんをする、高速道路も必要としてくるというような中で考えますときには、この散歩道路もさることながら、そういう時代要請に応ずる理想的な道路建設ということがわれわれに課せられた任務ではないか、こう思うのであります。ただいまの御趣旨、本当にわれわれとしても、この周辺の道路がより一層快適で生活が楽しめるようにと願うものでございます。
  9. 伊賀定盛

    伊賀委員 そこで私は、この戦後三十年の道路行政を振り返る意味で、法体系というものを年代別に並べて考えてみたのでありますが、ちょっと私の考え方を申し上げますと、二十年代に道路関係して法律が七本、三十年代に十六本、四十年代に十本、五十年代に入りましてから一本、合計三十三本の法律が戦後公布されております。  そして二十年代の前半は、たとえば昭和二十三年に道路修繕に関する法律、法第二百二十八号に見るように、いまだ戦後処理で混沌としておりまして、修繕がもっぱらであった、こういう見方ができます。  それから二十年代後半に入りますと、新道路法の制定が昭和二十七年にございまして、これを法体系から見ますと、基本的なものないしは総論的なもののはしり、前兆が出てきております。  そして、三十年代前半になりますと、法体系整備に入りまして、たとえば、三十一年道路公団法、三十二年高速自動車国道法、同三十二年国土開発幹線自動車道建設法、三十三年道路整備緊急措置法、三十四年首都高速道路公団法、こういう形で法体系整備に入って、いまだ完了はしておりませんが、そうして法体系整備に入りかけた。  三十年代後半になりますと、三十七年阪神高速道路公団法、三十八年にはわずか百キロ未満でありましたけれども高速道路の供用を見る。こういうことで、三十年代後半には、いわば道路法に関する法体系整備完了したということが言えます。  同時に、今度は、総論に対する各論、基本法に対する特別法全国規模に対する地方的なもののはしりが出てくるのでありまして、たとえば、三十年代後半になりますと、踏切道改良促進法共同溝整備等に関する特別措置法、奥産道路法等の、特別法的なもののはしりが出てくるわけであります。  そして、四十年代に入りますと、各論的なものあるいは地方的なものは、法体系整備完了したと見て差し支えはないと思うのであります。  ですから、これを一口で言いますると、三十年代から四十年代にかけまして、修繕から本格的な道路整備に入って、総論的なもの、基本的なものからさらに各論的なものにと波及をして、そして四十年代には合計三十三本の道路法に関する法体系完了を見て、今度は五十年代に入るわけでありますが、五十年代は、たとえばいま問題になっております道路整備特別措置法の一部改正、こういう形で出てきておるわけであります。  そこで、三十年来の道路行政反省の上に立って、五十年代は道路行政はどうあるべきか、こういうことをひとつ伺いたいと思うのでありますが、これはもう、いや、お金さえあれば何ぼでもやりますという答弁では私は満足できないのでありまして、これは道路局長から、ひとつ適切なお話を、三十年の道路行政反省とともに伺いたいと思います。
  10. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から、三十年間の道路関係法体系の変遷を絡めて、いろいろ歴史的な振り返りがあったわけですが、お話の中にもありましたように、日本道路整備本格的段階を迎えましたのは昭和二十九年の第一次の道路整備五カ年計画の発足以来というふうに考えていいわけでございまして、これも当初は大した大きな規模でございませんでしたので、本格的に道路整備か行われたのは、近々ここ二十年というふうに考えてもいいのではないかと思います。しかも、御指摘にもありましたように、戦争直後は維持修繕令というのが出たようなことでも考えられますように、荒廃した道路を維持修繕することに追われていた時代でございまして、そのころの道路のストックはまさにゼロといってもいいような状態だったと思います。  ちなみに、ちょっと数字で御説明させていただきますと、第一次五カ年計画が発足した当時の日本道路現状は、一般国道でさえも、二万四千キロありましたうち舗装済み道路がわずかに三千八百キロ、一六%にすぎなかったという状況でございます。東京−大阪間の国道一号線、これはもう国道の中の一番交通量の激しいルートでございますが、これが舗装道がわずかにその半分しかできてなかったというような状況でも説明できるかと思います。そういったように整備状況がきわめて悪かったわけでございまして、これが戦後の日本経済復興、民政安定のための大きな隘路となっておったわけであります。  その後道路整備が本格化されまして、七次にわたる五カ年計画を経まして、昭和五十二年度末には舗装済み道路延長も、道路延長に対して約四〇%、四十二万キロにも達するように整備が進められたわけでございます。  こういうことによりまして、戦後の混乱期あるいは道路整備が本格化してから二十年、この間に日本経済成長は大きく伸びたわけでございますが、この経済成長国民生活道路網の発達が大きく支えてきたと思います。国土利用均衡化流通コストの軽減、特に生鮮食料品生産地消費地との直結の問題、生活圏域の拡大とかあるいは市街地住宅地整備冬季交通確保、それから孤立集落解消といったような国民経済の振興と生活の安定に、これらの道路網が大きく役割りを果たしてきたというふうに認識いたしておるわけでございます。これが、言ってみれば道路整備のメリットだというふうに考えております。  しかしながら一方、これまでの道路整備を振り返ってみますと、昭和三十年代から四十年代前半にかけては、まず主要幹線道路を車のすれ違いが可能となるように拡幅することに追われていた、それから地方道等舗装を伸ばしていくということに重点を置いたというようなことで、舗装延長は確かに飛躍的に拡大したわけでございますが、一方この間の自動車交通の伸びというものは非常に爆発的なものがあったわけでございまして、道路整備ペースをはるかに上回るペースでモータリゼーションが進んでいったということかございます。その結果、道路施設が追いつかないで交通混雑の激化、交通事故の多発あるいは交通公害の発生といったような問題が出てまいってきておるわけでございます。  さらに、これらの問題に加えて、都市部におきましては防災環境空間の不足とか、新市街地スプロール現象等が問題となるとともに、地方部では車のすれ違えないバス路線や、落石による危険個所というものがまだまだ残っているというような状況で、道路整備の全般はまだ十分でないという状況と私どもは認識しておるわけであります。  こういった現状を踏まえまして、それから、過去の道路整備姿勢も深く反省しながら新しい五カ年計画をわれわれは考えてまいったわけでございますか、昨年十一月に閣議決定されました第三次全国総合開発計画等を踏まえまして、国民道路に期待している多様な役割りを十分発揮できるようにこれからの道路整備を進めていきたい。  それで、計画を策定する場合の基本的な考え方として三つ基本方針考えたわけでございまして、その一つは従来から整備を進めてまいりました交通ネットワーク確保、これは地域社会日常生活基盤としての市町村道から国土構造の骨格としての高速道路に至るまで、道路網を均斉のとれた姿に体系的に整備するということが一つの柱でございます。  そのほかに道路の持つ空間機能先ほど散歩のできる道路というようなお話もございました。やはり道路はいろいろ多面的な機能を持っておるわけでございますので、そういう街区の形成とか、そのほかにも防災、採光、供給処理施設の収容といった道路の持つ空間機能に留意しながら、環境保全に配慮した適正な道路空間確保することがこれからの道路づくりの大きな柱の一つではないかと思います。  それから三番目としまして、道路資産がだんだんふえてまいりますと、この資産十分交通に役立つ姿に年じゅう維持していくということが必要なわけでございまして、適切な維持管理体制、安全で快適な道路交通確保するための管理体制確立が非常に重要になってくる。  こういった三つの柱を立てて、これに対して道路整備を、緊急を要するものから逐次整備を進めていきまして、遠い目標は二十一世紀初頭を目指しなから昭和六十五年までには緊急を要する各種の事業を積み上げて、これらの事業をバランスよく整備を進めていくという形で今回の五カ年計画を組んだ次第でございます。
  11. 伊賀定盛

    伊賀委員 時間がございませんので、二、三問題をしぼって引き続いてお尋ねします。  いまお話しのとおり、三十年間かかって一般国道整備率が五六%、都道府県道が三八%、幹線市町村道が二九%、合わせて平均三五%、一般市町村道は二〇%しか整備されておらないというのが建設省の出した資料によって明らかでございます。  そこで私は、自衛隊演習名目で、いわゆる道路法に言う道路をどれだけ仕事したかという資料を要求しましたところが、四十九年度で道路延長で七十五キロ、費用申し出者負担するわけでありますから、あるときは県であり、あるときは市町村であるわけでありますが、これが一億五千七百万、五十年度延長五十八キロ、一億百万、五十一年一億四千六百万、その他整地工事等費用が三億九千四百万、合わせて五億五千万という数字が出ております。これはいわゆる道路法にいう道路自衛隊がやったものでございます。  そのほか林道林免農道農免漁免等々で一般道路改良しておる部分があると思いまして、林野庁そして水産庁等に要求しましたが、残念ながら出ておりません。  ですから道路局長としては、いま申し上げますように国道県道市町村道、それぞれいまだ日暮れて道遠しという感がするわけでございます。これらに関して、先ほど申し上げますようにそれぞれ建設省以外でやっておるわけであります。道路局長としてこういう姿に責任を感じないのか、これをどう考えるのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  12. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘市町村道整備でございますが、実態はお話にございましたように整備率としては二〇%ちょっとというようなことで、非常に低いわけでございます。改良率ということで見ましても、市町村道全体でわずかに全体の四分の一しか改良が終わっていないというような状況でございますし、舗装にいたしましても全体のまだ三分の一しか舗装ができていない。しかも大部分簡易舗装というような状況でございます。  これらの市町村道は、地方生活基盤として重要な役割りを果たすわけでございますが、幹線市町村道につきましては、従来市町村道の中でも特別重視しながら国が関与して道路整備を進めてまいってきたわけでございますが、何分市町村道延長は九十万キロ、全道路網のうち八五%を占めるわけでございまして、一方道路整備に対する要請幹線道路から市町村道に至るまで非常に強いわけでございまして、特に幹線道路、これは全国県道以上で一五%ぐらいの道路でございますが、この道路が全体の交通量のうちの七二%を支えているわけで、幹線道路隘路打開ということもまた非常に急がれているわけでございます。  そういうことから、確かに幹線道路整備にどうしても追われて、反面市町村道に対する整備の手が若干及ばないということはあろうかと思います。そういうことから、九十万キロある道路のうちの二十万キロを幹線市町村道というふうに指定しまして、この整備重点に従来やってまいってきたわけでございます。  御指摘のように、その他の市町村道あるいは市町村道につながる農道林道というような形で、農林道整備がかなり大規模なものも含めて進められておるわけでございまして、市町村道整備水準と比べるとかなり地域的にはギャップがあるようなところも見受けられます。  道路法上の道路農道とは、本来その設置目的を異にしておりますので、一般交通の用に供する道路整備道路管理者責任としてやっていくわけでございまして、第八次の五カ年計画におきましても、交通不能区間解消重点に、一般道路としての市町村道整備を推進することにしておりますが、農道との関連では、建設省としては結局、御指摘のような分担による事業調整によって、こういった農道との関連はつけていくべきものというふうに考えております。  確かに、おくれておるという認識はいたしております。実際問題として、農道の取りつけとの関係で、市町村道整備についてわれわれの方が比較的広範囲の守備範囲を持っている関係から、なかなか予算が十分に回らないために、道路網という姿では非常にぎくしゃくした形のものが農道との関連で生まれていることは十分認識しておるわけでございます。これらはやはり事前農道等の位置づけをはっきりいたしまして、事業調整という姿で具体的に、一般交通にも役立つものであれば、構造面では十分注文をつけるというようなことで、従来両省の間で十分事前調整をやりながら進めてまいってきておるわけであります。
  13. 伊賀定盛

    伊賀委員 時間が切迫しましたので急ぎます。  この「第8次道路整備五箇年計画(案)」の二ページに「道路整備目的は、」云々とありまして、「生活を営むための生活基盤充実と良好な環境保全云々とあるわけでありますから、今後ひとつ道路整備については、ただいま申し上げましたとおりに農林省その他とよく打ち合わせをして、それぞれの分野に応じて道路行政を進めるべきだと思います。  この際ひとつ林野庁の方に、なぜ資料が提出できないのか。——ということは、この道路目的に「生活基盤充実」ということでありますから、農道であろうが林道であろうが、人間から言いますると、道路の性格、目的のいかんにかかわらず「生活基盤充実」でありますから、したがってこれは当然建設省農林省もそれぞれの分野に応じてこの建設充実を進めるべきだと思いますから、この際、林野庁の見解もあわせて承っておきたいと思います。  もう一つは、ただいま申し上げましたとおり林道農道漁免林免等によりますと、これはそれぞれ国なり県なりの補助金があるわけでありますが、特に自衛隊による場合にはまるまる依頼者負担になるわけでありまして、先ほども申し上げますように、道路に関しましてはことしは一億四千数百万円でありますが、その他のものを加えますと約五億相当のものがいわゆる依頼者、言いかえますと市町村負担になっておるわけでありまして、これについて自治省にあわせて資料を要求いたしましたけれども自治省の方は資料かわからないということで資料が出てきません。しかし、これは現実に一年間に五億円前後、多いときには七億からの費用負担しておるわけでありますが、この市町村負担をしておる費用について、地方自治体を指導監督する責めにある自治省が的確に掌握してないということは、言いかえますと財政措置が講ぜられてないと、こう見ていいと思います。したがって、確かに五億なんというものは自治省予算から言いますと微々たるものかしりませんが、わずか五億か七億の財政規模しかない小さな市町村が、一年に何百万という負担、しかもこれは純町村費でありますから大変な金額になるわけでありますが、これに財政措置が講ぜられてないということはきわめて不適当であると思いますが、あわせて自治省の見解を承っておきたいと思います。
  14. 人見啓治

    ○人見説明員 林道は、適切な林業経営や森林管理のみならず、山村地域の振興や林業就労者の就労条件の改善等にとって重要な役割りを果たすものでありますことから、積極的に整備を進める必要があると考えておるわけでございます。とりわけ国土の適切な管理ときめ細かい森林施業の実施を進めるためには、欠くことのできないものだというふうに考えておりますので、今後とも積極的に林道整備に努めなければならないと考えておる次第でございます。  なお、先ほど先生から一部御指摘のございました県道あるいは市町村道部分について、民有林の林道補助事業でどのくらいやっておるかという御質問でございますけれども、それに対しましては、原則といたしましては、民有林の林道補助事業では市町村道部分あるいは県道部分については、開設、改良工事は行わないということにいたしておるわけでございますが、これらの路線と重複して、森林施業上特に施行を必要とする場合には、道路法の第二十四条による工事として実施することができるという道を開いておるわけでございますけれども、その事例については承知いたしておりません。
  15. 小林実

    小林説明員 自衛隊から委託を受けて実施しております道路整備につきましての財源措置につきましての御質問に対しましてお答え申し上げます。  御質問のような事業ということになりますと、一般的には地方単独事業、こういうことになりますが、たとえば五十三年度の場合で申し上げますと、地方単独事業は、私どもが作成いたしました地方財政計画におきましては約一兆四千億強の事業を予定しておるわけでございます。これに対しましては、基本的には道路目的財源交付税措置を中心にいたしまして対処しているわけでございまして、五十三年度につきましても、この道路関係税の特例措置の延長とか、あるいは間接的にはなるかと思いますが、都市計画税の限定税率も引き上げを図っておるわけでございます。  単独事業を実施する方法の一つとして自衛隊に委託するという場合があるわけでございます。ほかの方法に比較いたしまして、自衛隊員の給与等を除きまして実費的な経費を地方団体か負担をする、こういうことでございまして、私ども実際に行われておるものを詳細に把握しておりませんが、私どもがお聞きしたところでは、五十一年度四十二件で一億四千六百万ということになりますと、一件当たり三百万程度のことになるかと思うわけでございます。また、地方団体からも特段これにつきましての特別の財政措置という要請もないわけでございまして、先ほども申し上げましたように、全体として単独事業に対処しております財政措置によりまして十分対応できるもの、こういうふうに考えております。
  16. 伊賀定盛

    伊賀委員 自治省に要求がないからということで、そうかもしれませんが、今後ひとつ、特にこういう地方自治体の財政が逼迫してまいりますと大きな負担になりますから、十分な御配慮を願いたいと思います。  それから、最近生活道路ということがやかましくなりまして、確かに五十三年度は市町村道が対前年比四三%という大きな伸びを示しておるわけでありまして、大変結構な話であります。ところが、高速道路とか有料道路とかいうものが生活道路であるのかないのかという議論をしたいのでありますが、時間がございませんからいたしません。  ただ同じ高速道路、有料道路にいたしましても、都市部を走っておる有料道路高速道路と、農村部を走っておる有料道路高速道路とはおのずから道路の性格が変わってきております。したがって、たとえば有料道路の融資分を第七次道路計画と第八次道路計画を比較いたしますると、六千三百億に対して六千四百億、第八次でわずか百億ふえただけでありまして、言いかえますと五年間で二%ふえておるという勘定になるわけであります。ですから、一方で市町村道が四三%ふえておることは結構でありますが、いわば道路整備といいましても予算は限られておりますから、限られた予算の中で住民の要求、ニードをどう充足しつつ整備を進めるかというところに行政技術のむずかしさといいますか、そういうものかあろうかと思います。そういう意味で、いま申し上げました生活道路充実ということで、一方で四三%ふえながら、一方でわずか五カ年で二%しかふやしてない、そういう予算の配分ということについてはいささか偏り過ぎてはおらないかという感を強くせざるを得ません。したがって、これについての道路局長の御見解を承りたいと思います。  引き続きまして道路の災害等の資料も要求してございますが、これも時間がございませんのでこの際割愛をいたしますが、四十九年に飛騨川の道路事故を一つの契機としまして、道路事故に対するいろいろな配慮が出てきておることも結構なことであります。道路災害によって国家賠償に応じたものが四十九年で六百五件、九億七千四百万、四十八年に五百四十三件、三億五千万、五十一年に二億九千七百万の道路災害による補償金を払っておるわけであります。四十九年から急速に出てまいりまして、この道路災害による国ないしは市町村負担について、民間保険による道路損害賠償責任保険に、急速に五十年から県、市町村あたりが加入しております。これも自衛手段として市町村としてはやむを得ない措置と思いますが、これを単に民間の保険会社に任せておいていいのかどうか。この際国として道路災害による損害賠償の措置をどうするか。もちろんこれは事故がなければそんな問題は発生しないわけでありますから結構でありますが、現に事故が多量に発生しておるわけでありますから、これに対する国としての考え方はないのかどうかということであります。  それから、引き続いてお尋ねしますが、積雪地帯における交通の確保ということで、除雪消雪等について国がそれぞれ配慮していることも結構であります。ところが、これは車の交通だけを確保しておるのでございまして、人道の除雪消雪装置というものがないわけであります。しかも人道の除雪消雪につきましては、機械その他にしましても道路とは全然異なりますから、かえって道路の除雪消雪をすることによって人道が遮断をされて、交通事故の原因にもなっておるということも明らかでありますから、この際、人道の除雪消雪の機械器具設備の発展充実等々について、国はいかなるお考えをお持ちであるかということについてお尋ねいたしたいと思います。  その他ございますけれども、時間が参りましたので、以上、私のそれぞれの御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  17. 浅井新一郎

    浅井政府委員 三点ばかり御質問がございましたが、お答えしたいと思います。  まず有料道路の問題でございますが、都市部の有料道路地方の有料道路と分けまして、地方の有料道路の伸びが低いのではないかというようなお話でございます。有料道路は、都市部地方部それぞれ交通需要に応じて大きな役割りを果たしておるわけでございますが、有料道路事業が、確かに今日まで制度創設以来地方的な幹線道路整備に大きな役割りを果たしてきたわけでございます。ただ、石油ショック以後、昭和四十八年から四十九年の内外の経済事情の激変に伴いまして、建設費管理費が非常に増高してきたということ、それから交通量が比較的鈍化しているというようなこともございまして、採算が非常に悪くなっている路線がふえてきたということから、地方の有料道路については有料道路として適する個所が比較的少なくなってきているということがございます。しかしながら有料道路でやることは、道路全体の整備ペース考えますとやはり財源的にも相当なシェアを占めるわけでございまして、こういったものにつきましては、今後一般公共の道路でいろいろ助けながら有料道路事業も大きく伸ばしていかなければならないというふうに考えておりまして、そういったような工夫を今後いろいろしながら、有料道路も今後の道路整備の中で大きな役割りを果たしていくこととなると思いますが、何せ採算性が非常に悪くなったということから、具体的な個所が比較的少なくなってきているということもありまして、伸びとしましては若干抑えぎみになっておりますが、今後も有料道路制度の活用による道路整備は積極的に推進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、第二点にございました道路災害によります人身事故等によります被害者の救済問題でございますが、確かにそういった道路管理者が損害賠償を請求される事例が年々増加してまいっておりまして、それによりまして多額の賠償金を支払う事例もまたふえてきておるというような実態にございます。そういうことから、各市町村は自衛的に民間の保険に入っておるわけでございますが、この保険も実態を見ますと、払っております保険料よりむしろ現時点では保険金の方が多いというような事例もございます。こういったことで、制度的にもいろいろ問題を内蔵しておるわけでございまして、現在そういった問題を含めまして、委員会をつくって今後のこういった賠償金に対する保険のあり方、国としての姿勢というようなものをはっきりさせていきたいということでいまいろいろ委員会で議論をしておるわけでございまして、建設省としましては、今後とも被災者に対する賠償責任を十分に果たすべく努力するとともに、現在大部分地方公共団体が入っております賠償責任保険につきましても、その保険金の給付を通じて適正な被災者の救済に当たるよう指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから最後にございました雪寒地域におきます歩道の除雪の問題でございますが、これは確かに従来車道の除雪を中心に伸ばしてきて、これに金がかかることから、これに対する補助等を県道段階まではやってまいってきておるわけでございますが、逐次最近では歩道に対しての除雪を試験的に広げていくというふうな態勢にあります。  ただ御指摘のように、歩道の除雪というのは——歩道の除雪といってもその雪をどこへ持っていくか。まず車道を除雪してから歩道を除雪するという順序にどうしてもなるわけでございますが、その際に、歩道の雪をのけるにつきましてはいろいろな障害物が、ガードレールとか電柱だとかいろいろな障害物があるわけでございまして、歩道除雪のための機械の開発、体制の強化というものは、御指摘のように非常に今後大きな課題としてわれわれも取り組んでいかなければならぬというふうに考えております。  そういうことでいろいろ技術的にむずかしい面がございますので、試験的に逐次拡大していくという姿勢でやっておりますが、昨年まで直轄で大体歩道除雪の試験施行をやってまいりました。そういうことから、五十三年度からは新たにこれを少し補助国道にも広げまして、この問題をもう少し前向きに進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  18. 伏木和雄

    伏木委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。中村茂君。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 私の質問時間は二十分ですから、質問も簡潔にいたしますし、答弁もひとつ要領を得ていただきたいと思います。  まず第一番に、第八次の五カ年計画建設省が当初つくった案、それから五十三年一月三十一日の閣議了解案、この最終的な閣議了解案では総合計額においては二十八兆五千億円で変わりありませんけれども、中身において当初の案と変わっております。一般道路事業は、当初の省案よりも閣議了解案は一兆二千億減額されて十三兆五千億になっています。それから有料道路事業については全く同じ、それから地方単独事業については五千億増額で七兆五千億、予備費がゼロであったものが七千億見積もられております。どうして変わったのか。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 一般道路事業につきましては、いろいろ話し合いをしておりまして、その結果、七次五ヵ年計画と実績を勘案して一兆二千億円の削減で十三兆五千億円になったわけでありますが、これは七次五ヵ年計画計画と実績における構成比を和半した結果でございます。  それから地方単独事業につきましては、やはり計画と実績における構成比を和半して、それに住宅宅地関連公共施設等の促進費を加えて七兆五千億円とすることに話し合いができたわけであります。  それから有料道路事業については、事業の緊急度、採算性等を勘案して必要額を積み上げて六兆八千億円とすることにしたわけであります。  予備費につきましては、第七次五カ年計画における構成比により七千億円とする。私どもは私どもなりの当初案を立てたわけでございまするが、種々折衝の結果、そして折衝の内容はいま申し上げたようなことで、われわれとしてもやむを得ないものといたしたわけであります。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 事業費でありますから、あと国費をどういうふうに見積もっていくか見なければしさいに検討はできないわけでありますか、そこで心配になりますのは、当初、建設省建設省としていままでの経過に基づいて案をつくったんだと思うのです。ところが閣議了解ということで、総合計は違わないで中身をいびった。いままでの伸びは調整したというふうに言われますけれども、特に地方単独事業をふやしたということは私は結構だと思いますけれども、しかしいま申し上げましたように、事業費の総額をそういうふうに伸ばしてみても、国費と地方分担または財政負担がどういうふうになるかというようなことを検討していかなければわからない問題ですから、この問題はもう少し次に譲りたいと思います。  ここで御答弁いただきたいというふうに思いますのは予備費です。予備費は、御存じのように一次計画から四次計画まではゼロだった。それから五次、六次、七次にはそれぞれ予備費があったわけであります。じゃ、どの程度使われているかということを検討してみると、第六次の予備費の中から、沖繩の復帰に伴うときの事業として、閣議了解のもとに百十二億円使っているだけです。あと予備費というものは、ただ見積もったきりでほとんど使われていない。私は、だからこそ全部使うようにしようではないかということで——建設省の当初案というものはゼロだったと思うのです。使われないものをかっこうよく予備費だ、予備費だというふうに見積もっていっても、結果的には使われないで済んでしまうわけでありますから、建設省の案から閣議了解でまた復活したという理由がまだよくわからないのです。そこのところを明らかにしてください。
  22. 浅井新一郎

    浅井政府委員 予備費についてのお尋ねでございますが、過去の予備費使用の経緯は御指摘のようなことだと思います。第五次から初めて予備費計上が行われておるわけでございまして、第五次が千五百億、第六次が一千億、第七次が五千億というふうに計上されておりまして、このうち使われたのは確かに第六次の沖繩関係の百十二億ということでございます。ただ、過去の五カ年計画、五次、六次、七次いずれも三年間やりまして四年目に拡大改定をいたしておりまして、そういうような関係から予備費使用には至らなかったというような実態ではないかと思います。  予備費を設けます理由は、いろいろあるわけでございますが、計画を弾力的に運用していくということと、沖繩といったような不測の事態があるような場合に備えて計上するわけでございますが、今回七千億計上いたしましたのも、第七次の計画と比べますと、比率としてはほぼ同じ比率になっておるわけでございまして、最近は一般のこういった公共事業の長期計画の中には予備費を計上するのが通例になっておりまして、治水の五カ年計画にいたしましても、下水の五カ年計画にいたしましても、あるいは海岸、都市公園、空港、いずれも五カ年計画の中で若干の予備費を計上いたしております。今回七千億という予備費を計上いたしておるわけでございまして、額そのものは大きいわけですが、比率から言いますと、通例の予備費の率というふうに考えてもいいのではないかと思います。今後、道路整備を進めていく上でいろいろ予測しなかったような事態が起きた場合に、積極的にこれを使っていくようにしてまいりたいと考えております。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 私の質問に答えていないのですね。六次は確かに五年切れたのですよ。切れても沖繩があったから使っているのです。七次は五年まるまるやったのです。まるまるやったのは七次だけなんですね。あとはみんな切れているから、そういう中のお話ではわかりますけれども、六次は切れていても沖繩は使った。七次はまるまる五年やったけれども、使わなかった。建設省の当初案はゼロだった。閣議了解でまた復活したのだ。あなたのところでつくったのはゼロだったのだから、その理由を言えと言っているのだ。
  24. 浅井新一郎

    浅井政府委員 いま七次が途中で拡大されたようにお話し申し上げたのは私の方の間違いでございまして、確かに五年やったわけでございますが、ただ七次計画というのは、御承知のように石油ショック以後の事情から全額達成されなかった、八四%程度の達成率に終わったというようなこともございまして、予備費まで手にかからなかったというようなことではないかと思います。  それから、この予備費につきまして、折衝段階でこういったふうに新しく入ってきた、要求のときには実質要求、後で入ってきたような御指摘でございますが、実は五カ年計画の要求ということになりますと、あらかじめ内容のはっきりしない形で予備費を計上していくという形では従来から要求の形としてはしておりませんで、実質的な中身で要求している。したがいまして、二十八兆五千億は中身として全部説明できるような形で要求いたしておるわけでございます。そういう意味から言いますと、閣議了解で七千億だけ予備費として決められたことは、実質的に説明した一般事業がそれだけ圧縮されたということになるわけでございますが、それは御指摘のとおりでございまして、この点についてはやむを得ないのではないかと考えたわけでございます。ただ、中身については、優先順位を十分チェックしながらその中身の縮小をバランスよくまとめたいと考えておるわけでございます。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 次に進みます。  確かに地方の単独は閣議了解でふえたわけですけれども、国費がどうなるか、そういうことがわかりませんが、特に概算要求をしている段階で緊急市町村道債の利子補給事業、五カ年計画を当初立てたときもこの利子の補給制度というものを創設して特に市町村道整備を図っていく、こういうことで概算要求もしております。ところが、結果的にこれが補助に変わってしまった。いままでも補助はしているわけですけれども、概算要求したにもかかわらず、どうしてこの利子補給制度が結果的には消えてしまったのか。それとも、五十三年度予算では消えたけれども、今後要求していくのか。私は、第八次の五カ年計画を策定するに当たっての要求だ、こういうふうに理解しておりましたから、この消えてしまったということについて、特に市町村道の今後の整備の問題を考えていけば非常に重要に考えているわけですが、その点明らかにしていただきたいと思います。
  26. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘の緊急市町村道整備事業債の利子補給制度の創設の問題でございますが、先ほどお話がございましたように、市町村道整備が非常におくれているということで、この事業を拡大していきたいという気持ちは常々われわれ考えておるわけでございまして、御承知のように毎年の予算でも、一般の道路事業の中では一番大きな伸びで伸ばしてまいっているわけでございます。特に昭和五十三年度の予算要求に当たっては、そういうこともありまして、何か市町村道事業を大幅に広げる方法がないかということで考えたのが、借金によりまして市町村道整備を進めて、その利子分だけを国の方からカットしていくというようなことで利子補給事業というものを考えたわけでございます。  そういうようなことで要求したわけでございますが、この問題は、実は地方地方で、最近では臨時市町村道事業をやっておりますというようなことで、それなりに借金を使っての単独事業としての道路整備をやっておるわけでございます。それとの関連もいろいろあるわけでございまして、いろいろ事業の執行の配分の根幹にもかかわる問題でございまして、結果的には認められなかったわけでございますが、その背景には、五十三年度予算というのが非常に大幅な伸びを考えたものですから、一般の補助事業でかなりに伸ばせるというようなことから、この際借金をしてやるということはもう少し見送ってもいいのではないかという考え方もあるわけでございます。  そういうことで、五十三年度事業については、補助事業をそれだけ大きく伸ばしまして、前年対比で一・四三倍ということで、従来やっておりました一般の補助事業を大きく伸ばすことによりまして、制度の創設は見送ったわけでございますが、五カ年計画といたしましては、閣議決定までに結論を得ることといたしまして、現在引き続き検討をしている段階でございまして、今後、十分問題を詰めてまいりたいというふうに考えております。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 制度がどういうふうに変わっても、事業が当初どおりできればいいと私は思うのですけれども、五十三年度これだけ伸びたというふうに言っても、利子補給制度でいくのと、それからいまの補助制度、これでは地方村道の整備が当初の利子補給ほどはできないのではないか。どういうふうに見ても、五十三年度の中で減ってきております。ですから、いまお聞きしますと、まだ消えたわけではない、こういうことですが、特に地方村道の整備については重点を置いてひとつやっていただきたい。これは要望しておきます。  これに関連して自転車置き場、これはいまの利子補給制度では、集落基盤道路整備事業と、それから居住環境整備事業と、三番目に自転車駐車場施設の整備事業、この三つを利子補給制度で行う、こういうふうになったわけですね。  そこで、三番目の自転車置き場の問題ですけれども、確かに概算要求では三十億になっていた。これは利子補給制度でやるということですから、三十億。ところが、今度補助ということになって事業量が六億に減ってしまったですね。ですから個所数も相当減ってきている。  そこで、総理府が来ていると思いますが、時間がありませんけれども、自転車の現在の状況を簡単で結構です。大体いまどのくらい自転車が出ているか、そして整備がどんな程度になされているか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  28. 高橋昭治

    ○高橋説明員 お答えをいたします。  現在、全国で自転車の保有台数は、通産省の推計によりますと、約四千五百五十万台程度と言われております。近年通勤、通学、買い物等における自転車利用が非常にふえてまいったわけでございますが、いま御指摘のように、駅周辺における放置状況というのが非常に大きな問題になっているわけでございます。  昨年の十一月に総理府が調査した数字を申し上げますと、全国における駅周辺の自転車の放置個所数及び放置台数でございますが、放置個所数は二千三百十四カ所、六十七万五千台というようなことになっております。特に、大量放置と考えられます五百台以上の放置個所は三百三十三カ所、放置台数にいたしまして三十三万台、全放置台数のちょうど半分ぐらいということになっております。(中村(茂)委員「ちょっと。二百台以上のところはわかりませんか」と呼ぶ)私ども総理府の調査では、五百台以上というようなことでいたしまして、二百台のところでの調査はいたしてございません。御了解いただきたいと思います。  次に、駅周辺におきます駐車場の設置状況でございますが、地方自治体、鉄道事業者、民間業者等によるもの、これをすべて含めまして、全国で個所数にいたしまして三千六百四十五カ所、収容台数にいたしまして五十九万八千台、約六十万台程度というようなことに相なっているかと思います。  それから今後の問題でございますが、御承知のように本年の一月に、政府の交通対策本部というのがございますが、そこで「自転車駐車対策の推進について」という交通対策本部決定をいたしたわけでございます。この交通対策本部決定は、当面の方針といたしまして、関係省庁が緊密な連絡のもとにこれに取り組んでいくという、その基本的な取り組み方を明らかにしたものでございまして、今後関係省庁におきましては、この交通対策本部決定に基づきまして具体的な措置を講じていくということに相なろうかと思います。  なお、今後生じてくると思われます諸般の問題につきましては、必要に応じまして、関係省庁による連絡協議会等において適切に処理をしていきたい、かように考えております。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 建設省にお伺いしますが、いまあったように、特に鉄道の周辺については自転車はほとんど置きっ放し、しかも、五百台以上も置いてあるところが三百三十三カ所というような状態であります。それで、先ほど申し上げましたように、この利子補給制度でいった場合に、五年間で三百億という事業費を見積もってありましたから、私も相当解決できるんじゃないかというふうに思っていたところが、今度は補助制度で、新しい制度をつくっていただいたのは結構ですけれども、これが見ますと六億で、五百台以上のところ、しかも三大都市圏というようなことなんですが、五十三年度実施する中身と、五十四年度以降これをもっとふやしていくのか、このままでいくのか。先ほどの利子補給制度の全般的な市町村道との関連もございますが、その点、最後に建設省考え方を明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  30. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 お答えいたします。  先ほど道路局長からお答えを申し上げましたように、利子補給という制度で事業量をうんとふやそう、こういうことで当初考えたわけでございますが、来年度につきましては一応補助制度ということになったわけでございまして、五十四年度以降につきましては、これまた道路局長からお答え申し上げたように、引き続き検討してまいりたいということでございます。  そこで、来年度におきましては、この補助事業で四十九カ所の整備を予定しております。なお、これは勘定の仕方がいろいろございますが、五カ年全体で当初考えましたのは、この三百億円で放置台数の約六割、十七万台分ぐらいのものに対して手当てができるというふうなことで考えたわけでございます。そこで補助制度に切りかわりましたために、これをずっと続けてまいりますと、五カ年の当初で考えておりましたようなテンポではこれは残念ながら進まないわけでございます。  ただ、ちょっと申し上げておきたいのは、道路改良事業あるいは街路事業とあわせて行う駐車場、これは従来もやっておりましたが、今後とも必要な場所には、これは改良事業の一環として積極的にやっていくというふうに考えております。これは、特に新しい駐車場に対する補助制度の枠外の問題でございます。したがって、これはそれぞれの改良事業の補助率で対処していくということになるわけでございます。  まあ、この利子補給という形で事業量を伸ばすということは、一つ考え方で出発したわけでございますけれども、反面にこれは自治体の負担は相当重くなるわけでございまして、補助事業のメリットは、個所数においてはなかなか伸びないが、自治体の負担については、補給事業に比べて相当楽になるという点は申し上げられようと思う次第でございます。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 確かに利子補給と補助では違いますけれども、今度特に五十三年度の中で見積もっている補助について見ますと、土地とそれから施設というか上物、私はこれを逆にしてもらいたいというふうに思うのですが、言えば土地に非常にかかってしまうわけですよ、自転車置き場というのは。上物についてはほとんどかからないのですよ。ところが用地については三分の一、それから施設については二分の一の補助です。これは逆にしてやらなければ地方の方にますますかかってしまうので、そういう予算の見積もりをしてありますから、今年度はやむを得ないと思いますけれども、将来はもっと用地の補助について検討していただきたい。少なくも三分の二くらい見てもらえば一番いいのですけれども、これは考え方が逆ですよ。
  32. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 確かに御指摘の点はあるわけでございますが、実は先ほども申し上げましたように、本来道路改良と一緒に行いますものは、直轄の場合でございましたら四分の三、補助事業の場合は原則的に三分の二というふうなことになるわけでございまして、これは工事費、用地費含めてのものでございます。  ただ今回新たに創設しましたこの制度は、道路の付属物として単独に、しかもこれを都市計画事業として行うというものでございまして、何分にもこれは、おっしゃるとおり、高いほどいいわけでございますけれども、新しい制度でございますので、どうしても横並びのものが出てまいります。都市計画事業という面からだけ申しましても、非常によく似たものといたしまして、児童公園等の公園に対する補助がございますが、これの横並びで考えますと、やはり用地三分の一、施設費二分の一というようなことになってくるわけでございまして、私どもこれで十分だとはもちろん思っておりませんので、せっかくスタートしました新しい制度でございますから、今後御意見の点等も十分踏まえまして、できるだけ内容、また量ともに改善をしていくように努力してまいりたい、かように考える次第でございます。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  34. 伏木和雄

  35. 谷口是巨

    ○谷口委員 今回提出されております道路整備緊急措置法改正案に見られるとおり、本法は大体従来が自動車の普及に伴う自動車交通の安全保持と自動車交通の能率化、これが大体主体であったわけでありますが、今回考え方としてはかなりの変化が見られるわけです。しかしながら総合的な輸送体系、交通体系の上でのいわゆる道路の位置づけが必ずしも明確でないように思われるわけであります。したがいまして、道路整備により自動車の交通事情は改善されるけれども、何を輸送するか。いわゆる物を輸送する、そういう面から考えまして、自動車による輸送は効率が大体において悪いし、鉄道、地下鉄、モノレール、バス等、有機的かつ機能的な連係を保った総合的な輸送形態の確立、その中におけるいわゆる道路の位置づけ、あるいは道路整備のあり方、こういうものが私は正確にならなければならないと思うのですが、この点いかがでございますか。
  36. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お話のように、自動車が交通輸送手段として非常に重点が置かれてきておるわけでございますが、道路整備に当たって心得なきゃならぬことは、総合的な交通体系の整備を十分考える、こういうことであろうと思うのであります。鉄道との関連であるとかあるいはその他の交通機関との関連であるとか、それらとの整合性をもちながら輸送能率を上げていくということは論を待たないところだと思います。
  37. 谷口是巨

    ○谷口委員 現在、貨物輸送における鉄道離れというような傾向が非常に見られるわけでございますが、要するに省エネルギーの観点からも、このモータリゼーションの中心の考え方、これは検討すべき時代に入ったのではないか、そのように考えるわけでありますけれども、鉄道と自動車の競合の時代とも言うべき現状は、何らかの形で解決しなければならないと思えるわけでございます。それは道路とあるいは鉄道という二重投資、こういう、一面考えますれば浪費、これを少なくするあるいはなくする、こういうことになると思うのでございますけれども、いわゆる鉄道と道路関係については、どのように認識されておりますか。
  38. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御指摘ではちょっと私として見解の違うところがございます。というのは、自動車に貨物輸送を依存する面は、これは過去の実績を見てまいりますると、昭和四十年当時と五十年度はどうかということになりますと、自動車の利用が非常に多いわけですね。その多い理由は何かと考えてみますると、利用者が鉄道がいいか自動車がいいか、その判断によるわけだと思うのです。交通機関の持つ機動性とか確実性とか経済性などのそういう諸特性を利用者が判断をする、こういうことで、自動車によることがどうこうということには私は直ちにつながらない。  それから、鉄道と二重投資になるんではないかというのですが、鉄道は鉄道、自動車自動車と、やはりそれぞれ特徴がございまするから、両方がうまく連係のとれた形で進んでいくのがいいんではないか。  それと、エネルギー対策から考えてみまして、道路整備が進んでいきますれば、それだけエネルギーの節約にもなっていくわけではございまするし、もう一つ、御承知でございましょうが、揮発油の、原油からの得率ですね。約一二%が石油精製上の自然得率でありますから、必ずしもガソリンを使う自動車がどうということでもないのじゃないか。  それこれ判断していく場合に、鉄道は鉄道としての特徴、また道路道路としての、鉄道を対象にして考えますれば、その関連で有効に活用のできるようにと、こういうふうに見ておるわけでございます。
  39. 谷口是巨

    ○谷口委員 今年度で第七次の道路計画が終わるわけであります。過去の七次にわたる道路整備については、いわゆる「道路行政への提言に関する調査」にさまざまな評価がなされているわけであります。そして第八次道路整備計画案の重点事項の五項目にその一端をうかがうことができるわけでございますけれども、しかしながらその実施に当たっては、行政の裁量によることが非常に大きく、その責任がまた大になっているわけであります。  提言の中で、行政、利用者、学識経験者が共通して指摘しておることは、言葉のみが先行してやはり実態が伴わない。総合交通体系の確立、あるいは道路機能の適正な分類のもとに長期的な整備計画を立てて、いわゆる計画的な施行を図ること、あるいは道路財源の確保と拡充など、こういうことが非常に重点として指摘されておるわけでありますけれども国民道路に対するニーズの多様化に伴って、理想的な道路網整備は非常に道路建設コストまたは維持コストの上昇につながり、現今の非常に財政窮屈な現状においては大きな問題があるだろうと思います。第八次の二十八兆五千億円は五十二年度のいわゆる単価であり、その値段でありますし、物価上昇に伴って当然金額が上昇するということになるのではないかと思うわけですが、現時点でのこの財源は十分に確保できるのか、その点伺っておきたいと思います。
  40. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、今回の八次の五カ年計画は、規模からいきますと七次の実質規模で八四%ということでございますので、実質では縮小した形になるわけでございます。これは、やはり石油ショック以降の安定経済成長の中では、公共事業投資に対する全体の枠からいってやむを得ないのではないか。道路整備事業は相当長期にわたってやらなければならぬことになるわけでありますが、着実にやっていくという姿勢で総体規模を二十八兆五千億に決めたわけでございます。  これの財源について大丈夫かということでございますが、これは御指摘のように、現在、財源については五十四年度予算編成時点までに中身を詰めることにいたしておりますが、試算いたしますと、国費につきましても、約十兆ちょっとの国費所要額に対して特定財源で約八割はもう一応賄える、現状の税率で考えましても大体八割は賄えるということでございます。そういうようなことから考えまして、一般財源を若干投入しながら、また特定財源も逐次強化しながら対応していけば一応いけるものというふうに考えておるわけでございます。
  41. 谷口是巨

    ○谷口委員 第一次からのいわゆる国費の財源の内訳、これを見ますと、一般財源、すなわち建設国債の比率は上昇を続けてきたわけであります。第七次で若干減少し、第八次の五十三年度分も二一・七%、こういう減少傾向にあるわけでございますが、この第八次の財源について、特定財源と一般財源との比率についてはどう考えておられますか。
  42. 浅井新一郎

    浅井政府委員 先ほど申し上げましたように、八次五カ年計画事業内容、資金構成等の詳細につきましては現在検討中でございますが、一応現行税率等を前提に試算いたしてみますと、大体国の特定財源比率は約八〇%程度、それから地方の場合が六〇%程度というふうに考えておりまして、これは第七次の計画が、国の場合では六五%で実績で九〇%にこれが上がっているというような状況、それから地方計画の時点で三六%だったものが実績では五三%に上がっているというような実態から考えまして、先ほどの国の場合の八〇%は、ちょうどこの実績と計画の中間をいくような形のものでございます。地方につきましては、実績よりもさらに特定財源の比率が高まっているというような形でございまして、財源的には特定財源を中心にしながら一般財源も入れて道路整備を進めていくということで、まあ比較的バランスのとれた姿になるのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  43. 谷口是巨

    ○谷口委員 いわゆる五十四年度の予算編成までに所要の検討を行うということでございますけれども、この特定財源の税率というものは、いわゆるアップするというような考え方があるのかないのか、非常に問題になることだと思いますが、どういう考え方をお持ちですか。
  44. 浅井新一郎

    浅井政府委員 特定財源の税率アップはここ二年置きぐらいにやっておるわけでございまして、かなり特定財源の税率として高くなってまいってきておるわけでございます。今回の五カ年計画の財源として今後特定財源の税率アップを考えるのかどうかということでございますが、そういうことも含めまして、この五カ年計画の遂行に当たりましては財源の確保ということが非常に重要な課題でございますので、必要な財源措置については、いま申したことで、そういった問題も含めまして今後十分検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 谷口是巨

    ○谷口委員 それに関連いたしまして、地方費の一般財源、あるいはそれだけ地方財政をこれは圧迫していくことになりかねないわけですけれども、いわゆる道路整備の進行とともに地方財政が借金が増加するということが考えられるわけでございますが、この点についての配慮、どういうふうになされておりますか。
  46. 浅井新一郎

    浅井政府委員 地方費の道路財源ですが、先ほど申し上げましたように、大体五カ年計画、七次では実績で五三%という特定財源比率になっておるわけでございます。これは過去の経緯からずっと見ますと、昭和四十年代前半ぐらいには大体四〇%程度の特定財源比率だったわけでございますが、それが最近になりまして五〇%程度に水準が上がってまいり、年を追って特定財源に頼る姿に逐次なってまいってきておるわけでございます。また、地方の特定財源につきましては、地方道路譲与税、それから軽油引取税等の特定財源があるわけでございまして、これが先ほど申し上げましたように、四十九年度と五十年度、両年度の税制改正によりましてかなり地方の財源強化になっておるわけでございます。そういうようなことで、先ほど申し上げましたように、地方の場合も、従来の五カ年計画と比べますと、特定財源で安定的な財源が比較的確保されている姿になっていようかと思います。  地方につきましては、そのほかに準特定財源というような形で、交通安全対策特別交付金とか、都市計画税といったようなものも一応あるわけで、また、一般財源としての自動車税、軽自動車税といったようなものも自動車関連する税金として入っている。こういうものは現実には道路以外の一般的な使用に流れておるわけでございますが、こういうものも含めてかなり最近は充実してきてはおりますが、やはりこれだけ大きな五カ年計画事業量をこなしていくためには、今後とも地方財源というものを十分確保していかなければならないと思いますので、地方の一般的な財源強化の中で、特定財源のあり方というようなものも十分考えてまいりたいというふうに考えております。
  47. 谷口是巨

    ○谷口委員 次の問題に移りますが、いわゆる高速道路の問題ですけれども首都高速道路公団法あるいは阪神の方も同じでございますけれども自動車専用道路整備促進して交通の円滑化を図る、こういうようになっておるわけですが、現在の実情は非常に渋滞を来しておる。料金を払って通るドライバーの中には、非常に抵抗を感ずるような状態が生じてきているわけです。国鉄などは、おくれますと払い戻しがありますね。これも同じような考え方になってくると、国鉄と同じように、渋滞の慢性化ということからいって無料にするとか、あるいは少し値引きするとか、そういういろいろな問題が実は論議されなければならぬ状態が来ておると思うのですが、この点はいかがですか。
  48. 浅井新一郎

    浅井政府委員 都市高速の渋滞か非常に激しいわけでございまして、そのためにそういった議論も一部では出てまいるかと思います。  御承知のように、都市高速道路の利用というものを考えてみますと、一般道路を通行する自動車が必要に応じて利用するような形で施設が提供されておるわけでございます。その事業に際しては、その利用の便を図るために電光表示盤とか交通情報等からの情報に基づき、個人の自由な意思によって選択できるようないろいろな手当てをしてはきておるわけでございます。都市高速道路の料金というものは、このような施設の建設、管理のために、借り入れた借入金を返済するために当該道路を通行する自動車から徴収するというものでございまして、言ってみれば税金類似の負担金とでも申しましょうか。  鉄道の場合では、ダイヤどおりに運行するということで、これは利用者に対する一つの民法上の通行契約というような形でなされているわけで、おくれるということは契約不履行というような形でとらえられるわけでございます。そういうようなことから払い戻しという話も出てくるわけでございます。  都市高速道路の料金というものは、本来道路が税金でつくられていくべきものが、財源的に苦しいということから、整備を急ぐということから借金でやったものを料金で返していくというような姿でやっておるわけでございまして、利用者の負担する賦課金的な性格のものであるというふうに考えておりますので、ちょっと料金を払い戻すというような形にはならないのではないか。  ただ、交通渋滞に対しましては、これまでも円滑な交通を確保するためにいろいろな工夫を取り入れました電光表示盤だとか、交通情報の提供とかいうようなことに努めてきたところでありますか、今後もさらに交通管制機器の充実というようなことを急ぐ一方、また抜本的には、湾岸道路とかそういうような道路整備をあわせて進めていくというようなことで対処してまいりたいというふうに考えております。
  49. 谷口是巨

    ○谷口委員 大臣に伺いますけれども、現在高速道路建設についてはいろいろ公団があるわけですね。そういう問題についていわゆる行政改革の面からの一本化、こういうことについては大臣どうお考えでございますか。そういう声があることは御承知と存じますが、どうお考えですか。
  50. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 首都高速道路公団、阪神高速道路公団の統合問題につきましては、昨年末閣議決定されました行政改革においては決定をされておりません。いま先生御指摘のようなことは、行政改革論議を進める過程におきまして、自民党の行財政調査会におきましてそういう御議論が出たことは事実でございます。  ただ、建設省といたしましては、両公団の事業量が今後ともなお相当膨大な量が残っておること、また両公団が地元との密接な関係のもとに設立されたという経緯もございますので、この統合は適当でないということで御意見を申し上げ御了解を得たところでございますし、今後ともそういう考えでございます。
  51. 谷口是巨

    ○谷口委員 時間が迫ってきましたので、大分質問したいことがありましたが、そろそろ終わりに近づきたいと思います。  大臣一つ伺いたいのですけれども、たとえば海上を含んでの国道があるわけですね。これについて本来、陸地であるならば国道県道、そういうものがどんどんつくられるわけですけれども、離島であるばかりに船に乗らなければならぬ、経費の面、あるいは天候その他によって左右される、いろいろな不便があるわけですが、海をはさんだ国道という問題については、要するに海も国道と全く同じだというふうに考えていろいろ予算の面その他をやっていかなければならないと思うが、大臣の見解いかがですか。
  52. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御趣旨につきましては私も同じ感じを持っております。しかし、ただいまのような点につきまして、従来、財政当局などと私どもが具体的に検討したことがございませんので、研究課題として承っておきたいと思います。
  53. 谷口是巨

    ○谷口委員 大臣、非常に大事な問題だと思いますので、検討をやっていただきたいと思います。建設省だけでできないことでございましょうけれども。  運輸省がお見えになっておると思いますか、最後にお聞きしますけれども道路というのは途中に海があったりいろいろ問題があるわけですけれども、本土と離島の間、これには要するにフェリー交通の便がいま存在しておるわけでございます。考えてみると、船というものはいわば形を変えた有料道路、移動する有料道路という解釈がされるわけです。そうなってくると、低料金であること、あるいはスピードアップされること、あるいは安全性、いろいろな問題が起こってくるわけでございますが、地元の問題で恐縮でございますが、現在五島列島との間に住民に熱望されておるのはジェットフォイルの就航が非常に望まれておるわけです。この問題について、運輸省としては御存じだと思いますか、どのような見解をお持ちですか。
  54. 近藤憲輔

    ○近藤説明員 お答えいたします。  ただいまお話ございましたように、ジェットフォイルでございますが、何分にも船価の非常に高い船でございますので、かなり高額の運賃でもって、かつ相当程度の利用者を見込めないとなかなか採算に乗せることはむずかしい、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、当該航路の実態を踏まえまして、いま申し上げた点を十分勘案しながら慎重に検討していかなければならないというふうに思っております。  ただ、私どもは、離島航路補助という制度がございまして、全国数多くの離島がございます。これに対して欠損額を補助するという制度をとっているわけでございますが、この離島航路補助制度をそのままジェットフォイルに適用することにつきましては、ほかの航路にまだまだ老朽船が走っておるところが全国的にあるわけでございまして、これらの船質改善等に努めているわけでございますが、そういったほかの航路とのバランス等から言いまして非常に問題があるというふうに実は考えているわけでございます。
  55. 谷口是巨

    ○谷口委員 実際に申請が出てきたような場合、これは拒否する考え方なのか、あるいは何とか考慮する考え方なのか。  それからもう一つ。時間が迫ってきましたが、いま現在、いわゆる貿易収支が非常に黒字なんですね。もうどうして使えばいいか、赤字にすればいいか迷っているときでしょう。こういうときに、米国からの輸入促進、そういう面に関連して、このジェットフォイルを向こうから輸入する、購入して黒字を少し減らすことに協力した方がいいのじゃないですか、どうですか。
  56. 近藤憲輔

    ○近藤説明員 最初の御質問でございますが、これにつきましては先ほどちょっと触れましたように採算性、航路の需給あるいは運賃水準そういったようなものに非常に問題がございますので、これらの問題を慎重に検討しながら結論を出してまいりたいというふうに考えております。  それから後者の御質問でございますか、今後、全国的に各事業者から何隻もジェットフォイルを導入しようという具体的な動きが出てまいりますれば、いま御指摘ございましたような何らかの方策を検討しなければいけないというふうに思いますが、現時点ではまだそういう状況ではないというふうに考えております。
  57. 谷口是巨

    ○谷口委員 最後に大臣でございますが、こういうふうに離島の問題が非常に要望が強いわけですが、先ほど大臣考えとしては将来検討しなければならぬと言ういわゆる海路の問題ですね、この問題と絡めて側面から、いわゆる運輸省の考え方がもっと積極的になるように、黒字対策の問題の一環として、ひとつ機会あるごとに要望していただきたいと思うわけでございますが、一言見解を伺って質問を終わりたいと思います。
  58. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 国道をはさんでの海路の問題については現在の離島航路の補助対象程度では不十分である、こういう御所見であったと思いますが、これは先ほど申し上げたように、国道として扱う上にどの程度のことをしたらいいか、研究させていただきたいと思います。  それから、ジェットフォイルの問題につきましては、過去におきまして大幅な補助をしてくれたらどうかという要請を承ったことはあります。しかし、いかにも額が非常に大きくなりますのでいかがかと思っておったところでございますが、ただいまのお話のように、黒字減らしにこういうものを買ったらどうかということでございまして、これは大変有益な御所見でありますので、運輸大臣とも御相談をしてこういうものを買って貸すとかいうような方法も考えられるなと、いまとっさに考えておったところでございます。
  59. 谷口是巨

    ○谷口委員 終わります。
  60. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  61. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬崎博義君。
  62. 瀬崎博義

    瀬崎委員 道路整備緊急措置法昭和三十三年に制定されてから初めての目的改正になるわけでありますか、このことは、これまでの自動車交通の能率増進とか、経済基盤の強化の法律目的を追求してきた七次にわたる道路整備計画において、今回改正された内容、すなわち道路交通の安全確保生活環境の改善が従来非常に軽視されあるいは無視されたことの反省というか、あるいは政府みずからそういうことを認めた結果と考えてよいのですか。
  63. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 従来の高度成長を背景とした長期構想を抜本的に見直して、安定成長への移行を踏まえた長期構想を新たに設定いたしまして、これに基づいての五カ年計画でございます。  一、二改めましたところを申し上げてみまするに、高速自動車国道につきましては、第七次では五十八年度までに七千六百キロを供用しようというのが、第八次計画ではスローダウンいたしまして、五十七年度までに三千五百キロの供用をしようというようにいたしております。あるいは一般国道につきまして、第七次では一次改築を五十二年度までに概成しようというのが、第八次で六十年以降に延ばすというようなことでございますが、これは要するに高度成長から安定成長への大きな背景の変化を踏まえて、そのときどきの経済社会情勢に対応しておるものでございまして、また御指摘のように、今回この道路整備目的につきまして五つの施策に分類をいたしたわけでございます。道路交通の安全確保生活基盤整備生活環境の改善、国土発展基盤整備、維持管理の充実などを目標といたしておるわけでございます。さらに道路の持つ防災、採光、通風、供給処理施設収容等、多様な空間機能が十分活かせるよう適正な道路空間確保に配慮することといたした次第でございます。
  64. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、そうすると、第七次以前の道路計画のパターンと今回の第八次の計画の一番大きな違いとして御主張になっておる点というのは、一言でいえばどういう点にあるとわれわれは考えたらいいのですか。
  65. 浅井新一郎

    浅井政府委員 一言でと申しますと、これだけ膨大な事業の中身でなかなかむずかしいわけでございますが、従来、道路整備がどうしても車を通すことを急いだために、車道を中心に整備が進められてきたということから歩道等の整備が非常におくれてきたという反省は確かにあるわけで、これからの道路整備では、やはり車と人のバランスをとりながら整備を進めてまいらなければならぬ。一言でいえば、質的な面にもっと重点を移しなから、そういうことになりますと金もかかるわけでございますが、金と時間はかかっても、着実に理想的な道路を実現していくという姿で整備を進めていきたい。その第一歩としての第八次の五カ年計画だというふうに考えておるわけでございます。
  66. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いまの道路局長お話でいけば、今回のはこれから論ずるとして、第七次までの道路計画は結局車優先であった。また金と時間をできるだけ節約して早く車を通せるようにしてきたというお話であったと思うのですが、これからやっと車と人のバランスをとるということなんですが、高速国道の供用が昭和三十八年に開始されたわけですが、それから五十二年度まで十五年間における年平均の供用延長実績は何キロになっておるのか、これは公団の方からお聞きしておきたいと思います。
  67. 浅井新一郎

    浅井政府委員 高速道路の供用以来、大体十五年ばかりたっておるわけでございますが、この間に現時点では二千二百キロの供用をようやく達成したところでございますので、年平均にならしますと百三十キロばかり、百三、四十キロということになろうかと思います。
  68. 瀬崎博義

    瀬崎委員 第七次の五カ年における年平均の供用実績は幾らになっていますか。
  69. 浅井新一郎

    浅井政府委員 七次の五カ年計画では、大体二百キロをちょっと欠ける数字になっておるわけでございます。
  70. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ちょっと、余りにも開きが大きいようなのでもう少し正確を期して、つくっている方の公団でお答えいただいた方かいいと思うのですよ。
  71. 浅井新一郎

    浅井政府委員 七次の五カ年計画で供用されたものが実績で千二百二十五キロでございます。これを五カ年で割りますと約二百キロちょっと、二百四十キロというような数字になります。先ほど二百キロを割ると申し上げましたが間違いでございます。二百キロをちょっと出ております。
  72. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今度の第八次五カ年計画計画されている供用延長、これも年率であらわしてもらえば幾らになりますか。
  73. 浅井新一郎

    浅井政府委員 年平均二百六十キロのペースでやっていきたいというふうに考えています。
  74. 瀬崎博義

    瀬崎委員 確かに第七次は計画に対して実績が大幅に下回っているとは言うものの、いまの数字でもわかりますように、それまでの供用実績に比べればきわめて高い水準を示したことは事実なんですね。逆に言えば、第七次の当初に掲げたような高速道路計画というものはこれは全く無謀なものであった、こういうことであろうかと思うのです。  ところが、抑えた抑えたと言われる第八次五カ年計画でも、いまお話しのように、二百六十キロの年ペースで新たな供用開始をやろうというのですね。これは、ただいまの局長の答弁で明らかなように、十五年間の年平均で見ればそれの約二倍、それからもちろん第七次に比べても一割近い伸びを示す、こういうことですから、決して低いどころか、やはり今後、過去最高水準の伸びを目指しているということになると思うのです。同時に、都市高速道路などを見れば第七次実績の実に三・七倍、こういうふうなことで、さらに高度成長の傾向をこういう道路は強めるというふうに見なければならぬと思うのです。  それに比べて質的な面を考えたと言われるのだけれども国民生活に日常的に関係の深い道路整備は一体どうか。建設省からもらった資料によってでありますが、まず直轄国道改良は、第七次の実績二千百六十キロメートルに対して第八次の計画は二千九十八キロメートル、舗装が、第七次実績二千百六十キロメートルに対して第八次計画が二千九十八キロメートル、都道府県管理の国道について見ますと、改良は、第七次の実績が二千四百四十六キロメートルに対して第八次の計画は二千四十七キロメートル、舗装は、第七次の実績が二千四百二十七キロメートルに対して第八次の計画が二千二百五十三キロメートル、それから主要地方道の改良は、第七次実績三千五百四十五キロメートルに対して第八次計画では三千百三十五キロメートル、舗装は、第七次実績が五千二百二十四キロメートルに対して第八次計画は四千八百七十四キロメートル、どれもこれも一〇%から二〇%程度後退をしているわけですね。それで、国の補助対象となっております幹線市町村道を見ますと、これは確かに伸びているのですね。伸びてはおりますが、ここでお尋ねしたいのは、ではその幹線市町村道の未改良区間の延長は一体幾ら残っているのですか。
  75. 浅井新一郎

    浅井政府委員 幹線市町村道二十万キロのうち、大体改良が終わったのは七万八千キロございます。したがいまして、まだ未改良の区間が約十三万キロ残っておるわけでございます。
  76. 瀬崎博義

    瀬崎委員 第八次五カ年計画では、五カ年間で七千二百二十六キロメートルの改良を行うことにしていますね。そうしますと、このペースで進んだ場合、その未改良延長十三万キロメートルの改良を完成するのには一体何年かかりますか。
  77. 浅井新一郎

    浅井政府委員 そのまま割って計算すれば、二十年ということになるわけでございます。
  78. 瀬崎博義

    瀬崎委員 冗談じゃないでしょう。五年間で七千二百キロでしょう。だから、一年間に直しますと千四百キロでしょう。ちょうどいまの五倍、約百年ということになるのじゃないですか。
  79. 浅井新一郎

    浅井政府委員 おっしゃるとおり約百年でございます。
  80. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは大臣によく聞いていただきたいことなんで、多少中身を変えたとおっしゃいますけれども、現在のこの第八次の五カ年計画程度の市町村道に対する国の援助では、実に、現在ですよ、現在ある未改良部分の残に対してだけでも百年近くかかる。問題はその十三万キロの数字なんですが、これはたしか昭和四十八年ごろの調査結果に基づいておると思うのですね。今度の第八次の計画策定に当たって、国がこういう援助を必要とする市町村道の見直し等は行っておりますか。
  81. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えの前にちょっと、先ほど申し上げました数字、若干誤解があるといけませんので申し上げますが、先ほどの七千二百二十六キロの幹線市町村道を五カ年でやるというのは、これは補助事業でございまして、このほかに地方単独事業でやる延長が相当ございます。合わせますと一万二千キロぐらいでございます。  それから、幹線市町村道の中身を見直す計画があるかどうかということでございますが、御承知のように、市町村道九十万キロのうち幹線市町村道ということで約二十万キロを選び出して、とにかくこの幹線市町村道を地域の骨になる道路ということで緊急に整備をするような態勢で従来やってまいってきておるわけでございますが、この幹線市町村道、実は昭和四十六年度に選定いたしておりまして、しかし、その中をいま申し上げましたように百年もかかるというような形で進めてまいってきておりますので、なかなか、その一部分しか整備が進んでいかないということもございます。しかし、実際問題として、この国道県道等の周辺の道路網整備の進みぐあい、それからまた周辺の土地利用の状況等によりましていろいろ条件が変わってきた際に、やはり新たに幹線市町村道として考えてやるべき路線というものが逐次出てまいっておるわけでございまして、これにつきましては、都道府県の要望等も考慮いたしまして、現在路線の一部の見直し作業を実施すべく検討中でございます。
  82. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、これから検討するというので、少なくも道路の量と質を両方重視しよう、新しい発足だと言われながら、その時点に当たって見直しを行っていない。この点では私は改正に見合った計画になっているかどうか、まず疑わしい第一点だと思うのです。  この間、新しい団地の発生や工場の移転、学校の分離統廃合あるいは交通災害、交通公害、事故がずっと地方に及んでいる等々大きな変化があるわけであります。当然このような五カ年計画の前提としてまず見直しがなくてはならぬと思うのです。  さらに、先ほど百年かかると説明したのに、誤解されてはいけないとわざわざ注解をつけられたけれども、今日まで市町村道については地方単独でほとんど行われておった。そのうち特に重要なものをわずかだけ引き出して、これは国庫補助の対象だとしたのが二十万キロなんですね。それがまだ十三万残っているわけなんです。これを、いまの国の補助ベースでいけば、いやでも応でも百年かかるのはお認めのとおりです。そうはならないとすれば、結局、国が補助すべき道路もまた地方単独事業として市町村単独でやってくださいということを意味するのであって、これでは全然進歩も何もないということになると思います。考え方として過去のパターンそのままです。だからそういう点で言えば、第八次の計画も第七次までの高速道路偏重、幹線自動車道偏重の高度成長型といいましょうか、こういうものの延長にしかなっていないということが大まかに言えるのではないかと思います。  そこで、昭和四十九年の全国道路交通情勢調査結果によりますと、混雑度一以上、つまり道路を通ってよろしいという自動車の交通容量を超えて自動車が走っている道路の区間が全体の四七%、約半分に達していますね。かつ混雑度が一・五以上、つまり五〇%、五割オーバーしている区間が五分の一の一八%もあることになっております。この混雑度というのは、四十九年のもう一つ前の交通情勢調査結果と比べて多少とも改善はしているのですか。
  83. 浅井新一郎

    浅井政府委員 ちょっと正確な数字では申し上げられませんが、道路の幅員というか改良ペースと、それから交通量の伸び方、それとの相対的な関係で混雑率というものは決まるわけでございまして、道路がよくなるよりも高いぺースで自動車がふえていけば、混雑度を超える率は余り減らないということでございまして、四十九年度の交通情勢調査との比較では、そういった混雑度が一以上あるいは一・五以上の数字という視点でとらえると、必ずしも数字としてはよくなっていない。ということは、自動車道路をよくするぺースよりも、それを超えて伸びてきているという実態を示しているものではないかと思います。ほぼ横ばいというような形でございます。
  84. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では今度の第八次五カ年計画では、その混雑度がたとえば二以上、一・五以上、一以上の各ランクについてどれだけ緩和しようという目標を持っていらっしゃるのですか。
  85. 浅井新一郎

    浅井政府委員 今度の五カ年計画の達成された五十七年度末の見込みと五十二年度末の数字とを比較してみますと、混雑度一以上の区間につきましては、一般国道については、現状では一万二千百キロになっておりますが、混雑度としては五十七年度一万三千八百キロと若干区間としてはふえることになります。  しかしながら混雑度というのは、交通量がふえていけばいくほど、現状道路がそのままとすると飛躍的に混雑度がふえる区間か伸びていくわけでございまして、これをいかにして食いとめるかというのが道路整備現状目標でございまして、このまま放置しておけば、渋滞とかあるいは公害問題とか、いわゆる流通に対する影響とか、そういうものが非常に大きな問題になるところを、こういった道路整備現状程度に混雑度を抑えていくということでございまして、道路整備が急速に進めば、自動車の台数以上に道路がよくなっていけば、混雑度はもっと改善されるわけでございますが、こういったものについては長期的に対応していかなければならない。したがって一時的、ここ五年あるいは十年というような現象では、自動車の交通の伸びが依然として高いものと想定しなければいけませんので、そういうことから道路整備が一時まだ追いつかない状況でございますが、長期的には逐次このカーブを改善していくというようなことでやってまいりたいというふうに全体の計画考えておるわけでございます。
  86. 瀬崎博義

    瀬崎委員 実は政府が、道路整備目標としては、第三次五カ年計画ですでに大都市及びその周辺における道路交通緩和を目標にうたっている。たしか昭和三十七年前後だったと思いますが、昭和五十五年度を目標年次とする総額二十三兆円の長期構想が出たことがありますね。この中では目標年次、つまり昭和五十五年度までに道路交通の混雑の解消という言葉を使って目標に掲げている。その後第四次、第五次、第六次、第七次とすべて交通混雑解消をうたい続けてきたわけだけれども、だから五年やそこらではない。もうすでに二十年にわたって混雑解消を言いながらその逆の結果にいまなっているわけですね。この道路の混雑の解消なしに、第八次で掲げた安全で円滑な道路交通確保や良好な生活環境確保などはできっこないと思うのです。  これだけの事実をわれわれ目の前にすれば、本来道路整備の掲げた目標達成のために、道路建設だけではだめなんじゃないか、当然さらにもう一つ大きな前提が生まれてくるのではないか、そこが抜けているのではないかと思うのですが、大臣、その点いかがですか。
  87. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは社会経済情勢が道路計画と即応しておるか、時代の進歩が早くて道路整備が追いついておらないのではないかというようなことになってくると思うのであります。しかし、長期計画を立てていろいろな問題に対応すべく目標を掲げて努めておるということは事実でございまするが、いま御質問のような点につきまして問題点のあることは、私としてもそのとおりに考えなければならないことで、今後の計画遂行上でき得る限りそういう事態の少ないように計画の中におきまして取捨勘案すべきときに、問題の多いところをよく考えながらいきたい、こういうふうに思います。
  88. 瀬崎博義

    瀬崎委員 本当に人優先の安全対策の確立とかあるいは生活環境保全考えるなら、やはり道路建設の前提条件としてモータリゼーションの有効な規制であるとか、あるいは鉄道等も含めた総合的な交通体系、こういうものの確立が迫られておると私は思うのです。そういうことを抜きにして第八次でそういう転換をしたと言っても、これは口先だけのことになると思います。  五十二年版の警察白書では、小都市ほど高い事故率を示しているとして、その理由は、一般に小都市は大都市に比較して安全施設の整備が十分でないこと、道路環境が良好でないことを挙げ、さらに道路幅員が五・五メートル以上七・五メートル未満の道路での死亡率が全体の三八・四%を占めていると報告しているのですが、警察庁おいでいただいておりますね。こういう傾向はやはり今後とも変わらないであろうという予測ですか。
  89. 福島静雄

    ○福島説明員 御指摘のように、人口当たりの交通事故の発生状況を見ますと、小都市、地方部は大都市に比べて高い傾向にあるという状況にあるわけでありますが、警察といたしましても、交通規制あるいはまた交通安全施設の整備、そういった対策をそれらの地域に重点的に進めてまいりたいというふうに考えておりますので、今後、改善が図られていくと考えております。
  90. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ただこれは取り締まりだけでいけるものじゃないと私も思うし、しかもここにはっきりと道路幅員が五・五メートル以上七・五メートル未満、こういう道路で事故が多いという指摘があるわけですね。だとすると、第七次の五カ年計画などにそういうことが反映される必要があると思うのですが、何かこういうふうなデータに基づく建設省へのその点での申し入れとか協議、そういうことは第八次計画に当たってされていますか。
  91. 福島静雄

    ○福島説明員 先生も御承知かと存じますけれども、警察庁、建設省共同いたしまして昭和四十一年度以来、交通安全施設整備事業を進めてきているわけでございまして、警察が交通安全の確保ということに非常に重点を置いているということは建設省も十分に御承知になっておられるところだと存じておりますし、また建設省におかれても近年、道路行政の上でも交通の安全ということを非常に重視しておられるというふうに考えておるところでございます。  そこで、現在、特に第八次の五カ年に当たりまして警察庁から申し入れをしているということはございませんが、今後、計画を決定されるに当たりまして、また警察庁の意見を聞かれるというような時点も来ようというふうに存じておりますので、その時点で御方針を伺って、また警察として意見を出す必要があればその辺について申し述べたいと考えております。
  92. 瀬崎博義

    瀬崎委員 現在の状況を見ますと、建設省直轄の国道ですら幅員七・五メートル未満の道路延長が全体の五六%、半分以上を占めていますね。さらに地方道も加わればこの率はうんと高くなると思うのです。そこで第八次計画では、この七・五メートル以下の道路幅員についてはどれだけの改善目標になっているのですか。
  93. 浅井新一郎

    浅井政府委員 七・五メートル以下の道路改良目標については、具体的な数字は詳細調べないと、いま準備しておりませんが、本来の五カ年計画整備方針といたしまして、全国幹線道路、これは交通量は全体で全国交通量の大体七二%を占める交通が流れておるわけですが、その幹線道路のうちの約半分、八万キロぐらいのものがまだ五・五メートル未満ということで大型車がすれ違えない。大型車がすれ違えないということは、幹線道路の条件としては一人前になっていないということでございますので、そういうことで車を通すという視点から五・五メートル未満のものを早く解消するということで、幹線道路の一次改築の改善に最重点を置いてはおります。しかし五・五メートル以上の区間でも交通事故とかそういった視点で御指摘のようにかなり問題があるわけでございますが、そういう視点からは五カ年計画の中身で、先ほども御説明申し上げましたように、五つの大きな柱の中の主要な柱といたしまして交通安全事業を大きく取り上げてやっているわけでございまして、こういった意味から、現在抱えておる資産としての道路を交通安全の視点から十分万全なものにするためいろいろな施策、歩道をつける問題だとか、ガードレールをつける問題だとか、あるいは標識をつける問題だとかいうようなことで手当てをするという種類の道路整備につきましても、大きな重点を置いてやっておるわけでございます。
  94. 瀬崎博義

    瀬崎委員 地方生活道路にもなっているであろう幹線道路の必要な拡幅、改良なしに高速道路だけがどんどん地方へ伸びていく、そういうことが大型車を地方幹線道路に乗り入れさせる原因になっている、こういうところが先ほどの警察白書にもあらわれる事故激増になる、そういう因果関係になると思うのですね。ここら辺が逆になっていると思うのです。  建設省は、第八次五ヵ年計画では、歩行者交通量百人以上かあるいは歩行者及び自転車交通量が百五十人台以上の道路で、自動車交通量が一日当たり千台以上の道路を緊急に歩道の必要な道路として、大体これが全部で十万キロある、第八次ではこのうち八万キロに歩道を設置する、こういう計画になっているのですね。  そこで、これも具体的に考える必要があると思うのです。滋賀県内の国道百六十一号線は七十二キロメートルあります。この全線にわたって混雑度が一以上、特に混雑度一・五以上が四十五キロ、六二%を占め、なお二倍以上混んでいるところが五キロメートルで七%もあることになっております。しかもこの道路は集落の間をずっと縫っていますし、したがって日常生活道路です。夏は水泳、登山、冬はスキー、春、秋は農作業と、年じゅう人の通行が多いわけです。ところが現在の歩道設置区間は五十二年度末で二十六キロ、全体の三六%、三分の一にすぎないのですよ。当然こういうものは優先的に歩道が設置されねばいかぬと思いますが、現状はどうかといいますと、今度の第八次五ヵ年計画の歩道新設区間は十三・六キロにすぎないのです。したがって既存のものと合わせても四十キロで、ようやく半分です。そういう点では本当に歩道の必要なところにつける計画になっているかどうか疑わしいというのが一点出てきます。  同時にもう一つ、この百六十一号線は全長七十二キロのうちの六〇%、つまり五十キロが道路幅七メートル以下なんです。これではいま建設省が推進している自転車も通れる二メートル幅の歩道はおろか、一・五メートルの歩道すら設置は事実上困難なんです。そういう困難個所の対策を具体的に検討した数字が出ているのかどうか、こういう点が問題になってきます。  私もこの道路は何回も通っています。恐らく現道に歩道をつけることは困難だという個所か幾つもあります。そういうところにこそいわゆる小規模バイパスとか、交通安全事業による歩行者専用道路あるいは自転車専用道路の制度を生かすべきだろうと思うのだけれども、今度の五ヵ年計画ではこういうものをこの百六十一号線に適用する計画が皆無なんです。こうなってきますと、十万キロのうち八万キロ歩道を設置するのだというのはいいけれども、それも数字だけに終わるのではないか、本当に具体的な裏づけを持った計画にしてあるのかどうか、この点についてわれわれとしては疑問を持ちます。何か第七次までと違ったそういう改良困難個所、歩道設置困難個所に対する新たな対策、あるいは現在の制度の拡大、こういうことは検討しているのですか。
  95. 浅井新一郎

    浅井政府委員 百六十一号の実情を例にされて、歩道設置の困難性についていろいろ御指摘があったわけでございますが、確かに現実に国道の幅員の狭いところが多いわけでございまして、全国的に見ましても、そういうところで歩道を設置することが非常に困難な区間がございます。しかしながら現状、交通安全施設整備事業では、こういった狭いスペースの中でも歩道がないよりは若干でもあった方がいいということで、各地でいろいろ見られるような非常に狭い歩道が交通安全事業としてつくられておるわけでございます。そのほかにも歩道整備としましては、この五カ年計画で八万キロの整備水準に引き上げるということにいたしておりますが、その中身といたしましては、いま言いました交通安全対策事業のほかに改築でやる歩導とか——これはもちろん最初からやるわけですからかなり十分な幅員のものをつけていく。あるいは歩道の設置の困難な旧道の区間に新しく小さなバイパスをつくって、これに通過交通を流すことによって旧道を歩行者が利用しやすい形につくり直していくというような種類の事業計画しておりますし、また歩道専用のバイパスをつくるというようなことも、一応五カ年計画の中では百キロ程度のものをそういう形でやっていきたいということで、きめ細かく積み上げた歩道設置の構想を持っておるわけでございますが、御指摘のように歩道の整備というのは、後追いの仕事でやる面と、それからこれから新しくつくる道路についてりっぱな歩道をつくっていくという面と両方あろうかと思いますが、両々相まっていまの整備水準を倍近くに引き上げたいというのが、今度の五カ年計画のおおよその歩道整備に対する考え方でございます。
  96. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういうものが具体的に百六十一号線に適用されることになっていない、ここが問題だというのですね。そういう点は、たとえば専用歩道、つまり歩道だけのバイパスですね。そういう場合はあぜ道とか堤防を利用する場合に限るというふうな制限を取っ払って、用地買収も含めてちゃんとやるようにしてもらいたいと思います。  それから、こういう歩道なんかの設置、交通安全施設の設置を担当しているところがどこかという問題ですね。滋賀国道工事事務所の歩道の担当係は管理課の特車係なんです。そもそも特車係というのは何をするところなんですか。
  97. 浅井新一郎

    浅井政府委員 恐らく特認係のことだと思いますが、道路を利用する車のうち特に大きなもの、一般の条件では通れないようなものにつきましては、あらかじめ申請を出して、通行条件等を指定した上で通行の認可をするということをやっておりまして、そのための窓口になる係ということでございます。
  98. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大体交通安全施設をつくろうというのに、この工事事務所に交通対策課あるいは交通対策係あるいは安全対策の係がないのですよ、滋賀の場合は。今度の新しい五カ年計画では一挙に歩道を二倍にしようというのです。これはむちゃくちゃだと思うのですよ。体制の面でも、本当に人を重点に置いた道路の安全対策を講ずるようになっていない、こういう点もいやでも指摘せざるを得ません。  東京国道のような大きい工事事務所には、確かに交通対策課あるいは対策係をきちっと設けていますけれども全国でこういうちゃんとした交通対策の係を持っているところと持っていないところの数字も聞きたいと思ったのですが、時間がなくなっているのであれですが、恐らくこういう係を特に置いていない工事事務所の方が圧倒的だろうと思うのですね。こういう面にもメスを入れなかったら、これは結局空論にすぎない八次計画だと私は言わざるを得ません。  政府側の答弁が非常に暇が要るので、時間が来てしまって恐縮なんですが、自転車駐車場施設に対して国の補助制度が今年から出発します。私が聞いたところでは、各地方自治体から出されている要望は五十カ所、事業ペースで二十億円ということでありますが、建設省の組んでいる予算はわずかに六億円。大体景気対策だとして公共事業を大いに奨励している今日であります。地方自治体としては渋々ながらもおつき合いをしている公共事業もあるわけでありますが、この自転車置き場などは熱望されている方ですね。したがって、望まれているものについては政府側が逆にこれをお断りすることのないように、全部受け入れることをまず考えていただきたい。この点が一点。  それから、用地確保ができないために、要望したくてもできない自治体も多いのです。駅周辺には国鉄の用地などが多いので、こういう用地のあっせんも建設省が同時に考えるということも必要ではないかと思うのです。この点は予算の問題にもなりますし、ぜひ大臣に御答弁いただきたいと思うのですね。
  99. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 自転車駐車場につきましては、御指摘のとおりかねてから非常に要望が強かったわけでございます。そこで、本来の道路改良あるいは街路改良事業とあわせて行い得るものにつきましては、従来も極力これを進めてきたところでございますが、この辺につきましては今後ともそういうことでやっていきたい。今回新たに発足しましたものは、単独で、道路の付属物として、都市計画事業として行うというもので初めて発足したわけでございます。そこで、要望の非常に多いこともよく承知いたしておりますし、新しいものでございますので、今後御指摘の点等も踏まえまして、質、量ともに整備を図っていくというふうなことを考えていきたい。  なおまた、用地の問題につきましては、これは総理府におきます交対本部におきまして、国鉄、私鉄等の協力というふうなこともいろいろ各省間で寄り寄り協議は進められておりますので、これは地元の自治体等を十分指導しまして、また私どもの方も、運輸省あるいは国鉄等にも必要があれば協力依頼をいたしまして、用地等につきましても、できるだけ鉄道用地を確保していくというふうなことについて努力をしてまいりたい、かように考えております。
  100. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま局長の方から御説明申し上げたように、今回新たにとられた施策でございまするので、私としては、これが実績をも勘案しながら予算獲得のためにはさらに努力をいたしたい。地方からの要望の非常に強いということは私も十分承知をいたしております。  用地確保の問題については、ただいま局長から申し上げたとおり、それぞれの地方自治体の実情に応じて、これが確保にわれわれとしてお世話のできることはいたしたいと思います。
  101. 伏木和雄

    伏木委員長 時間ですから締めくくってください。
  102. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ただ、道路公団に来てもらって一言もしゃべっていただかないのもあれだから、一点だけ。  道路公団の発注工事の中で、大企業、つまり資本金一億円以上向けの発注になっている割合と、それが、中小企業向けにいろいろと発注の努力をしてみた結果なおそういう数字なのか、今後努力をすればなお中小企業向けに相当大幅に発注可能になっていくのか、その辺のお答えをいただきたいと思います。
  103. 森田松仁

    森田参考人 お答えを申し上げます。  道路公団におきましては、工事関係予算は大部分高速道路の新設工事にかかわるものでございまして、新設工事につきましては、御案内のように高速道路といったような大規模な施設でございます関係上、工事の内容、規模等の見地から、あるいはまた工事の効率的な施行といった見地から見ましても、発注規模の単位はどうしても大きくならざるを得ないということでございます。したがいまして、公団全体の発注状況を見まして、金額的に見れば、先生御指摘のように中小建設業者への発注割合は決して大きくございませんが、これらにおきましては、中小建設業者でもたとえば大手業者とジョイントベンチャーを結成する場合、あるいは工事用道路、つけかえ道路といったような技術的に可能な工事等につきましては、極力中小建設業者にも工事を発注いたすように活用を図ってまいりたい、かように考えております。(瀬崎委員「割合はどうなっておりますか」と呼ぶ)  五十一年度の中小建設業者の発注の割合を金額で申し上げますと、全体に対しまして約一五%、件数では逆に全体の約九〇%ということになっております。
  104. 伏木和雄

    伏木委員長 中川秀直君。
  105. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 私は、当委員会に提出をされております道路整備緊急措置法一部改正案については賛成でございますので、なるべく重複を避けて三点にしぼって若干のお尋ねをさせていただきたいと思います。  この法案の柱になっております第八次道路整備五カ年計画でありますが、概算要求のときの投資規模と今回提出をされております投資規模とを比較いたしてみますと、これは当委員会でもほかの委員からお尋ねがあったようでありますが、地方単独事業の投資規模が五千億ばかりふえているわけであります。同時に第七次と比較をいたしまして、地方単独事業については六割という大変な伸びになっているわけであります。私も、現在の地方財政の現況から見まして、確かに第七次においては目標をほぼ達成をしているわけでありますけれども、しかし、今後の地方財政の状況考えてみますと、そう簡単にこのとおりの投資見通しでいくとも、安易なものであるとも考えられないわけであります。その辺の手当て、あるいは賄い切れるかということについて、再度のお尋ねになるかもしれませんが、御当局の見解をお尋ねしておきたいと思います。
  106. 浅井新一郎

    浅井政府委員 今度の五カ年計画に絡んで、地方財源の問題に心配があるのではないかという御趣旨の御質問だと思いますが、先ほどもちょっとお話し申し上げましたように、地方道路財源といたしましては、地方道路譲与税とかあるいは軽油引取税等の特定財源がありまして、これが昭和四十年代前半では特定財源比率がおおむね四〇%程度であったわけでございますが、徐々にその点が改善されまして、その比率が昭和四十九年、五十一年の税制改正によります地方の特定財源の拡充強化の結果、それ以後最近では五〇%を上回る比率になっておるわけでございまして、逐次特定財源の比率が高まっているというようなことでございます。  今後もこの五カ年計画を円滑に遂行していくためには、地方道路財源の確保について、地方道路特定財源の充実を含めました地方財政全体の拡充強化の中でその対策を講ずる必要があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、その具体的な対策につきましては、昭和五十四年度の予算編成時点までに所要の検討を行うことといたしておりますので、まだ時間がありますので、十分その中身を詰めたいと考えておりますが、先ほど申し上げました特定財源比率から言いますと、過去の七次の五カ年計画に比べますと、この特定財源を中心にして安定的な財源の中身になっておるわけでございまして、これに一般財源を若干加えていけば、まずまず財源的にもやれていくのではないかということで組み立てたものでございます。
  107. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 五十三年度の予算編成の際に、財政当局と建設省はこの地方単独事業についての利子補給についていろいろな御協議をなさったように伺っておりますが、第八次五カ年計画計画中もさらにそういった問題について検討を加え、努力をなさるのかどうか、あえてさらに一点お伺いをいたします。
  108. 浅井新一郎

    浅井政府委員 利子補給事業につきましては、市町村道整備を拡大していきたいということから、いわば苦肉の策という形で考えたものでございますが、これはやはり長期的な視点から、まあ借金でやるわけでございますから利子は補給するにしても、その元金を返すための財源というようなことでは後年度の地方道路整備の圧迫要因になることは間違いないわけでございまして、そういうようなことを長期的に十分勘案しながらこの問題を取り上げていかなければならないというふうに考えておるわけでございまして、当面五十三年度につきましては、一般の従来の補助事業を拡大することによりましてこれに対応していこうということにいたしました。五カ年計画につきましては、五カ年計画策定までに関係各省と十分詰めて、どういう扱いにするかを決めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  109. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 鋭意御努力をお願いしたいと存じます。  第二点でありますが、この第八次計画道路整備でありますけれども、この舗装の種別の問題についてちょっとお伺いをしたいと思うのであります。第八次計画では舗装のいわゆる黒と白、アスファルト舗装とコンクリート舗装、この比率はどんなふうに見込んでおられますか、ちょっといただいておる資料には書いていないものですから、お伺いをしたいと思います。
  110. 浅井新一郎

    浅井政府委員 舗装のアスファルト舗装にするかコンクリート舗装にするかにつきましては、現状舗装延長の中身を見ますと、五十年度末現在で大体全体の九三・一%がアスファルト舗装になっておるわけでございまして、残りの六・九%がコンクリート舗装ということで、過去二十年前はコンクリート舗装全盛時代で、ほとんど幹線道路ではコンクリート舗装で行われていたものが、逐次そのシェアが逆転いたしまして、今日ではほとんど大部分がアスファルトで行われているという実態でございます。  今度の五カ年計画に絡んで、この白、黒の比率をどういうふうにするかという問題は、五カ年計画の中身としては特に積み上げておりませんが、傾向的にはやはりこういった傾向にならざるを得ない。しかし、コンクリート舗装としてのメリットもかなりあるわけでございまして、高速道路等の一部につきましては従来もコンクリート舗装を取り入れてやっておりますが、今後も五カ年計画で一部区間についてはコンクリート舗装でやることになると思います。その比率の大筋は変わらないというふうに考えております。
  111. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 しかし、アスファルトは、要するに原油からガソリンやナフサ、灯油などを取った残りのかすが原料ですけれども、今後の原油輸入の見通しというようなことを考えてみますと、たとえば通産省がこの前まとめました長期エネルギー需給の見通しによりましても、石油換算で六十年度には八千万キロリットルのエネルギーが不足する、そういう見通しも出ているわけでございまして、今後のわが国の省エネルギー、省石油対策か急務とされる中で、今回の第八次道路整備五カ年計画にもこのコンクリート舗装についての方針というか、指導というものがもうちょっと強力に打ち出されていってもいいのではないかと私は思うわけであります。  アスファルトとコンクリート舗装の総合評価をお伺いいたしましても、寿命がコンクリートの方は二十年ということで長いわけですね。それから問題とされていた滑りの抵抗性、騒音あるいは走行性といったような問題も、各種の技術開発が行われまして、たとえば連続鉄筋コンクリート舗装とかいろいろな技術開発が行われて、大して差がないようになっているというお話も聞いているわけであります。とするならば、古くて新しい問題ではありますけれども、そういった省資源、省エネルギーという社会的な環境変化の中で、いままでの白、黒、どちらがいいかという争点も当然変えていくべきでありますし、この問題についても大いにきちんとした方針をお立てになってお進めになるべきではないかと思うわけであります。  諸外国の例などを見ましても、アメリカが、これはインターステートハイウエーだそうでありますが五五%、西ドイツのアウトバーンでも四〇%はコンクリート舗装、フランスでも三割、そんな数字もお伺いをしているわけでありますけれども、その辺の行政の一つの方針を第八次あたりにはきちんと打ち立てておやりになっていくべきではないかと私は思うのであります。  特にコンクリート舗装の場合はなかなか技術者がいないという話がありますけれども、これも見方を変えれば黒舗装に偏重したがゆえのマイナス点とも言えるわけで、私は、競争のないところには技術の進歩はないと思います。白舗装、コンクリート舗装のシェアはある程度上げて、白と黒を技術的に切磋琢磨させていくような、そういう方向でおやりになるべきではないかと思います。その辺の御方針、いま一つ突っ込んだところでお伺いをしたいと思います。
  112. 浅井新一郎

    浅井政府委員 舗装の白か黒かという問題はもう昔から議論のあるところでございまして、日本の実情は、先ほど申し上げましたように、九〇%を超えるシェアがアスファルトである。たとえば簡易舗装の分を除いて見ましても、公共舗装で比較しましても八〇%はアスファルト舗装ということで、先ほど先生から御指摘ありましたような諸外国の実情から比べると、日本の場合はかなりアスファルト舗装に偏っていると思われます。  舗装を選ぶ場合のいろいろな考え方でございますが、もちろん省エネルギー的な視点からも物事を判断していかなければいかぬとは思っております。ただ一般的にアスファルト舗装が選ばれる理由といたしましては、まず一般にイニシアルコストがコンクリート舗装より非常に安くできるということ、それから舗設後直ちに交通開放ができるということから現道舗装に非常に適しているというような利点があります。それからイニシァルコストが低いということで、その以後段階的に厚みをふやしていく段階施工が可能である。それから維持修繕の面で、コンクリートに比べて目地等がなくて非常に容易であるというような多くの利点があるわけでございまして、そういうようなことからアスファルト舗装が全般に選ばれるようになった、それがまた理由になってコンクリート舗装の衰退ということでコンクリート舗装の技術者が少なくなってくる、相乗的にコンクリートとアスファルトの差がはっきりしてきたというようなことではないかと思います。  エネルギーの視点から、じゃコンクリートとアスファルトはどういうことかということを考えてみますと、これまたにわかに決めがたい問題でございまして、使用材料の製造、運搬、施工の問題から、また完成後の維持管理までを含めて総合的に評価する必要があるわけでございまして、一概にどっちが有利ということはなかなか言うわけにいかぬわけであります。たとえばアメリカのアスファルトインスティチュートの試算がございますか、それではいろいろな前提条件を入れて計算した結果で、コンクリート舗装よりアスファルト舗装は平米当たりのカロリーで約半分ぐらいで済むというような試算も出ております。しかし、これはまたいろいろな、工事単位の問題だとか、層の厚さの問題だとか、材料の製造方法なんか、米国の事情と違いますので、一概にも比較できないわけでございます。そういうようなことで、エネルギーの視点からどっちをとるかということは非常にむずかしい問題でございますが、そのほかに、やはり日本の場合では、交通条件だとか、地盤のよしあし、沿道条件等に応じて適材を適所に選ばなければならぬという条件もございます。そういうようなことで選び方は非常にむずかしいわけでございますが、コンクリート舗装のメリットというものには今後も十分注目しながら、使えるところには積極的に使っていく。やはりその際に、施工性だとか耐久性といったものを十分考慮してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  113. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 イギリスでは、入札の参加者は、特に限定しない限りアスファルトでもコンクリートでも、白でも黒でも有利な舗装で応札できるという、これは何か新しい、何年からですか、最近と書いてありますが、そういうポリシーを始めたと書いてあるわけですか、わが国の場合でも、行政レベルでコンクリートのメリットのあるところは指導していく、注目していくという局長の御答弁ですが、そういった入札の段階でも、特に限定しない場合はそういうことでいいのだよ、そういう方法はとれないものでしょうか。いかかですか。
  114. 浅井新一郎

    浅井政府委員 アスファルトとコンクリートの場合には、走行性能その他非常にはっきりした性能の差があるわけです。維持管理の段階から考えますと、非常にイニシアルコストを低くしておいて維持管理でカバーしながら使っていくというような財政的な面からの判断もありましょうし、でき上がったものが車が通れればコンクリートでもアスファルト舗装でもいいというような大胆な割り切りがなかなかできないのが現状だと思いますが、しかし、イギリスでそういう画期的な方法をやっているということはやはり何か意味があるのではないかと思いますし、十分研究させていただきたいと思います。
  115. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 最後に一点ですが、山陽自動車道とそれから国道二号線の西条バイパスの計画のことについて、ちょっと簡単にお尋ねをいたします。  先般の委員会でもお尋ねをしたのですが、広島大学の移転に伴います学園都市づくりが進んでいるその骨格をなす道路計画でありますけれども、昨年の予算委員会でお尋ねをした段階では、まず二号線のバイパスは、供用年度の目標は立っていないけれども、広大のキャンパスに近い区間については早く完成する方向で努力するという御答弁がありました。しかし、現状はまだ買収作業にも入っていないという段階でございまして、五十五年の八月には学園都市がスタートするというそのお約束とこの問題を絡めて考えてみますと、このままではとても間に合いそうにないという感じでございます。この点について、御見解をひとつお伺いしたいと思っております。と同時に、山陽自動車道についての同じ学園都市部分についても、いまのところ整備計画の段階にもなっていない基本計画の段階でありますが、三全総の方向を見て検討をなさるというのがこの前の御答弁でしたが、この山陽自動車道の学園都市部分についての整備計画策定のスケジュール。この二点についてお尋ねをしておきます。
  116. 浅井新一郎

    浅井政府委員 最初に国道二号線の西条バイパスの整備計画についてお話し申し上げますと、西条バイパスは全体計画としては八・五キロの計画になっておるわけでございますが、これは四十九年度から一応着手した形になっておりますか、御指摘のように若干おくれております。当面は起点側の御薗宇地区の圃場整備事業区域内の事業を進めることにいたしておりまして、五十三年度にはこの区域内の用地買収に着手する予定にいたしております。また、今度の八次の五カ年計画の期間内におきましては、この御薗宇地区の一・九キロメートル、国道三百七十五号に取りつくまでの間を鋭意進めまして、この間の暫定供用を図ることにいたしておるわけでございまして、その他の区間につきましても用地買収を主体に事業促進を図ることといたしております。  それから、二番目の山陽自動車道のこの区間の整備計画でございますが、これは現在基本計画が四十六年に出ましてからまだそのままになっておるわけでございます。高速道路整備計画区間の追加につきましては昭和四十八年以降やっておりませんので、若干の追加を近々しなければならないというふうには考えております。しかし、今度整備計画を出す区間につきましては、環境アセスメントを実施した上でやりたいというようなこともありまして、秋以降のことというふうに考えておりますが、その際、全国的に高速道路の追加整備計画決定につきましては要望が強いわけでございまして、全国高速道路網を公平にながめまして、できるだけバランスよく整備を進めてまいりたいという視点から、いまいろいろ作業をしておる最中でございまして、現段階でこの区間についてどうこうということはまだ申し上げられない段階でございます。御了承いただきたいと思います。
  117. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 終わります。(拍手)
  118. 伏木和雄

    伏木委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  119. 伏木和雄

    伏木委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷一夫君。
  120. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して、ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、賛成するものであります。  御承知のとおり、昭和二十九年度におきまして、第一次道路整備五カ年計画が策定されて以来、相次ぐ道路投資規模の拡大により積極的に道路整備事業が実施されてきたのでありますが、明治以来、鉄道優先の交通政策のもとに、いわゆる道路ストックの皆無に近かったわが国の道路水準は、いまなお、欧米諸国に比較して著しく立ちおくれた状態に置かれているのが実情であります。  さらに、今後における道路交通情勢は、ますます多様化するものとみられ、道路整備事業も、従来のように単に事業の量的拡大を図るのみでなく、環境保全等その質的配慮が強く要請されるに至るものと考えられるのでありまして、今回、これらの情勢に対処するため、道路整備緊急措置法の制定以来、初めてその目的を改定して、新たに昭和五十三年度を初年度とする第八次道路整備五カ年計画を策定するとともに、これにあわせて、奥地等産業開発道路整備臨時措置法の有効期限を昭和五十八年三月三十一日まで延長する等の措置を講ずることにより、道路整備の円滑な促進を図ることは、時宜を得たものとして、ここに、本法律案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
  121. 伏木和雄

  122. 瀬崎博義

    瀬崎委員 日本共産党・革新共同を代表して、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部改正案に対し、反対討論を行います。  反対理由の第一は、従来からの高速国道等幹線道を根幹とした道路交通体系確立の方針を何らの反省もなく引き継いでいるということであります。  高速道路網を骨格に、開発拠点間の幹線道路整備を中心とした産業基盤優先の道路建設は、七次に及ぶ整備計画の策定ごとに交通混雑の緩和、交通事故道路公害、災害の防止、過密過疎の解消目標に掲げてきましたが、結果はその目標とは全く逆に、交通混雑交通事故の激化を大都市から地方に拡大し、騒音、排気ガス等の道路公害は増加し、自然を破壊して道路災害の多発を招くこととなったのであります。また、常に計画改定の理由にされてきた高度経済成長政策そのものが破綻し、わが国は深刻な経済危機に直面しているのであります。いまこそ高速道路中心の産業基盤整備優先、高度成長道路建設計画の従来の仕組みを、国民生活に密着した道路整備計画に転換すべきときなのであります。政府提出の法律改正案で、道路整備目的として道路交通の安全確保生活環境の改善を掲げざるを得なくなったこと自体、過去の道路政策の継続が困難になってきたことを示しています。  しかるに、改定したはずの長期構想では、依然として高速国道を一万キロメートルにするため、七十五−八十年までに七千六百キロメートルを供用するとし、当面六十五年までには五千七百四十キロメートルを供用するなどとしています。また、第八次道路整備五カ年計画では、一般国道都道府県道改良等が第七次の実績を下回ったものとなっているのに対し、高速国道は第七次実績を上回り、これまでの年平均実績の約二倍という最高水準の計画となっています。市町村道改良については、第七次実績を上回る計画になってはいるものの、そのほとんどが市町村の単独事業であるし、国の補助対象となるわずかな幹線市町村道についても、第八次計画の五年間に七千キロメートルのペースでは、未改良延長十三万キロメートルの改良に九十年間を要することとなるのであります。  反対理由の第二は、量的に市町村道都道府県道生活道路の性格を持っている国道整備が軽視されているだけでなく、歩道等の交通安全対策、緑化などの生活環境対策や、自転車置き場対策などへの予算配分は国民の要求の切実さと比較して余りにも少なく、加えて改良困難個所に対する実効ある対策や、工事事務所の機構体制の裏づけのないことであります。  反対理由の第三は、高速国道等幹線道は、大企業の仕事と利潤の拡大、自動車産業の飛躍的な成長を支えてきたという点であり、引き続きこれを維持するものであることです。地方道の発注実績は七〇%以上が中小企業であるのに対し、日本道路公団の大手企業への発注実績は約九〇%となっており、道路四公団全体ではその九三%が大手企業へ発注されていることを見れば、まさに大企業奉仕の景気対策のためであることは明らかであります。  反対理由の第四は、道路計画か民主的に策定されていないことであります。  国が一方的に決めた計画が天下り的に強行できる仕掛けが残っており、国民の意見を反映することは全くと言っていいほど保障されていないのであります。  反対理由の第五は、引き続き自動車交通量の後追い的道路整備計画となっていることであります。  三全総は今後モータリゼーションが進行することを予測し、第八次計画はこれを前提として、高速国道等の整備促進を図ろうとしています。自動車産業大手企業の生産、販売への統制を強め、モータリゼーションの抑制策を促進し、鉄道を含めた国民本位の総合交通体系の確立こそ急務であると言わなければなりません。  最後に、高度成長道路建設国民生活密着型道路整備に転換することを重ねて要求して、反対討論を終わります。
  123. 伏木和雄

    伏木委員長 以上で討論は終局いたしました。     —————————————
  124. 伏木和雄

    伏木委員長 これより採決いたします。  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 伏木和雄

    伏木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  126. 伏木和雄

    伏木委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、渡辺栄一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラグの六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者中村茂君から趣旨の説明を求めます。中村茂君。
  127. 中村茂

    中村(茂)委員 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、すでに質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。      記  一 第八次道路整備五箇年計画の策定に当たつては、地方公共団体の長の意見を十分に参酌すること。  二 国民の日常生活に密接な関係のある地方道、特に市町村道整備促進するため、国の補助対象の範囲を拡大して、地方公共団体の財政負担の軽減を図るよう配慮すること。  三 道路整備事業の推進に当たつては、環境に及ぼす影響について十分調査検討を行い、整備事業の円滑化と環境保全に特に配慮するとともに、路線の確定、構造、設備(施設)についても、当該地域の住民の意思を尊重すること。  四 道路整備に当たつては、沿道の環境整備と周辺地域の生活環境の向上を図るため、植樹帯、緩衝緑地、遮音壁、自転車道、歩道等の整備促進に努めること。    また、鉄道駅前等においては自転車置場の整備を図るとともに、財政措置を含め、特別の配慮を行うこと。  五 道路防災対策及び交通事故防止と道路交通の安全性向上を図るため、道路構造の改善、交通安全施設の整備道路管理体制の強化等について特に配慮するとともに、昭和五十一年度総点検で明らかとなつた危険箇所については、早急に解消するよう努めること。  六 大規模な地震等に備え、都市の街路をはじめ、避難に要する道路、広場の確保整備に努めるとともに、老朽化等により道路の構造基準に適合しなくなつた橋梁等の構造物については、緊急に補修、改良工事を施工し、防災及び交通の安全の確保を図ること。  七 長期的展望のもと総合的な交通体系の確立促進し、効率的かつ機能的な交通網の整備に努めること。   右決議する。 以上であります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  128. 伏木和雄

    伏木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 伏木和雄

    伏木委員長 起立総員。よって、渡辺栄一君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。櫻内建設大臣
  130. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま全会一致をもって議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  131. 伏木和雄

    伏木委員長 なお、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますか御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  133. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十七分散会