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1978-03-03 第84回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三日(金曜日)     午後一時十六分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 小沢 一郎君 理事 塩谷 一夫君    理事 中山 正暉君 理事 井上  泉君    理事 中村  茂君 理事 北側 義一君    理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    井出一太郎君       内海 英男君    大塚 雄司君       瓦   力君    住  栄作君       田中伊三次君    谷川 寛三君       中島  衛君    松野 幸泰君       渡辺 紘三君    伊賀 定盛君       福岡 義登君    吉原 米治君       渡部 行雄君    古川 雅司君       西村 章三君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君  出席政府委員         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 小林 幸雄君         建設省道路局長 浅井新一郎君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第二課長   水野  勝君         自治省財政局調         整室長     小林  実君         自治省税務局固         定資産税課長  吉住 俊彦君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     前田 光嘉君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     石野 久男君   谷口 是巨君     権藤 恒夫君   中川 秀直君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   石野 久男君     伊賀 定盛君   権藤 恒夫君     谷口 是巨君   田川 誠一君     中川 秀直君 同月三日  辞任         補欠選任   住  栄作君     田中伊三次君   中川 秀直君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   田中伊三次君     住  栄作君   甘利  正君     中川 秀直君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整  備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号)      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、日本道路公団総裁前田光嘉君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚雄司君。
  5. 大塚雄司

    大塚委員 一昨日上程されました二改正案のうち、道路整備緊急措置法を主として順次質問をさせていただきたいと思います。  質問に先立ちまして、道路というものに対しての基本的な考え方を二点にわたって質問をいたしたいと思います。  まず第一に、今回の改正案の中で第一条の最も基本になる目的につきましては、この法案が制定以来初めての改正ということになるわけでありますけれども、その中で対比して見ますと、特に現行の目的には「自動車交通の安全の保持とその能率の増進」、そして「経済基盤強化」ということが目的の骨子でありますけれども、今度の改正案にはどういうわけか「自動車」というのが消えて、それに「生活向上」ということが一つの柱として加わったということでありますけれども、その意図するところはまずどういうところにあるのか、そのことから伺わしていただきたいと思います。
  6. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  今回、緊急措置法改正中身といたしまして、目的規定を二十年ぶりにいじるということにいたしたわけでございますが、目的規定につきましては、制定当時、昭和三十三年でございますが、その当時は経済力の増強がわが国の緊急課題であったというような状況を踏まえまして、表現の中に経済基盤強化を究極の目的として道路整備をやるという形でとらえられたわけでございますが、近年道路整備に期待されております効果は、安全かつ円滑な交通の確保はもとより、流通合理化物価の安定、エネルギー使用の節減あるいは地域格差の是正、生活水準向上、それから生活環境改善といったきわめて多様なものであることにかんがみまして、これらを包括した表現として「国民経済の健全な発展国民生活向上」という表現にしたわけでございます。  御指摘のように、従来は「自動車交通」という表現をとっておったわけでございますが、また今回の目的改定で「道路交通」というような表現に改めるように考えましたのは、やはり道路整備目的は、自動車交通のためだけのものではなくて、歩行者あるいは自転車その他、また歩道の下にはいろいろな公共施設の収容というような非常に多角的な目的を一応担っておるわけでございまして、そういうようなことから、自動車交通という表現だけでは非常に今日の道路整備実態に合わないというような観点から目的改正したものでございます。
  7. 大塚雄司

    大塚委員 ただいまのお話ですと、それなりに二十年の間に客観情勢が変わったりしていることは私はもちろん十分わかるわけですけれども、むしろ観点を変えて見るならば、自動車交通のための道路ではない、そのほかの目的道路も最近はふえてきたという中には、やはり自動車公害に対する物の見方ということ、一般的なとらえ方としては自動車だけの道路をつくるんじゃないというふうな方向を示さないと、事業を推進しにくいというようなことがあると思います。しかし実態は、全国道路網を見ましても、むしろ二十年前のときよりは自動車交通そのもののウエートがずっとふえてきておるし、特に国鉄の貨物輸送等を見ますと、いま貨物輸送物流の分担をしている割合というのはもう激減をしてきておる、むしろ自動車による物流というものが主体になってきているということになればなるほど、やはり国民生活向上させるとか、あるいは経済基盤強化することこそが結果的に一番大事なことである。むしろ自動車がもっと円滑に走ることが物価の抑制であるとかそういうものに役に立つはずであるのに、私はむしろ逆じゃないかというような見方さえしないでもない。何かこんなことが支障になるのかどうか。その辺の苦衷があったら苦衷でもいいんですが、ちょっともう一回お答えをいただきたいと思います。
  8. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のように、道路交通中身実態は、確かに先生おっしゃいますように自動車交通が主流でございまして、自動車交通道路交通実態的には大部分を占めるということはお説のとおりだと思います。しかし、道路交通という表現の中には自動車交通も当然含まれておるわけでございまして、むしろ自動車交通というふうに限ることが問題があるのではないか。やはり道路交通ということで歩行者自転車も含めた、確かに自動車は主流でありますが、そのほかのものを含めた全体の交通目的に対応していくというのが道路整備方向ではないか、そういうような観点から一応包括的な表現をこの際とるべきではないかというような考え方をとったわけでございます。
  9. 大塚雄司

    大塚委員 大変しつこくて申しわけないのですけれども、そういうふうに変えなければならぬ客観情勢の変化、これはそんなに顕著に具体的にはなかなか表現しにくいと思うんですけれども、こういうふうに変えなければならぬというと、過去それじゃ自動車交通だけの道路をつくってきたということにもなりかねないわけですね。従来だってやはり道路というものは、自動車もあれば、歩行者もあれば、自転車もあれば、何ら形態は変わっていない。私はこういうことをくどく言うのは、一つには道路整備には大変な膨大な資金がかかるのですから、財源の問題でも、こういう法律によって年次計画を立てながら特定財源を大幅に取り入れて今日まで整備してきた。そういうふうに区分が変わっていくということになると、これからの道路整備については一部では一般財源をもっとふやしていこうという指向になるのか。そういう自動車交通というものを切り離して物を考えますと、そういう方向にもなりかねない。むしろ私は、そういうことは実態に沿った考え方という方がもっと大事であって、何でこんな自動車交通を外すのかということがまだ理解できないわけですよ。  しかも道路というものの哲学といいますか、私は東京都議会にかつておりまして美濃部さんともずいぶんやってきた。道路というのは道路法用語の定義の中にも、最近言われるような生活道路とか、避難道路とか、サイクリング道路とか、そういうような道路法律用語としては全くないわけです。しかし、公害という問題から発端してそういうような道路名称というのが最近は特に使われるようになった。しかし、そういう道路というのはむしろ市町村道とか東京の二十三区で言えば特別区道というようなものが該当するのであって、国道とか少なくとも都道府県道の幅員の広いもの、幹線道路、これはやはり自動車交通主体でなければいかぬし、それからまた、そういう方向転換をしていくと道路整備の費用の問題にもずいぶん問題が関連してくる。  自動車道路であるからこそ、地盤についてもその重量に耐えられるような道路整備をしてきているわけですね。それも特定財源に関係してくる。そういうことになると、何か避けて通るような感じがしないでもないのですよ。むしろ国道とか都道府県道の広いものは自動車交通主体じゃないですか。その辺を曲げていっちゃうともろもろに関連していくという意味では、どういう見解を持っておられるか。
  10. 浅井新一郎

    浅井政府委員 自動車交通という表現を外したということじゃなくて、実は自動車交通を含めた道路交通という形で表現した方が妥当だろうというふうに考えたわけでございますが、おっしゃるように財源等を考えてみますと、道路財源特定財源一般財源で構成されているわけでございまして、自動車の関係の税金というのは、もちろん車を通すスペースを中心に使われておるわけでございますが、そのほかに歩道とか自転車道とかそういった面、いわゆる特定財源を使わないでもいいというような、一般財源を当然投入して整備してもいいような場所もあるわけでございます。そういうものも現実には一般財源をかなり——最近こそ一般財源の比率が非常に落ちてまいりましたけれども、形としては一般財源プラス特定財源という姿で道路整備が行われておる。そういうことから考えますと、やはり財源構成もそうでありますし、それから実態道路を使っている中身から言いましても、自動車歩行者自転車、それぞれ使っておるわけです。ただ、歩行者自転車については、自動車交通のために歩道自転車道整備が逆に必要になるということで、歩道自転車道整備に対してもやはり特定財源を使ってもいい筋合いはあると思いますが、それにしても一般財源皆無ということはおかしいわけで、今後も一般財源も含めて道路整備を進めていきたい、そういうようなことを考えておりますので、やはり道路整備の全体の姿を表現するというためには、道路交通という表現が一応妥当なのではないか。その中には当然自動車交通というものも含まれるという考え方でございます。
  11. 大塚雄司

    大塚委員 この問題でくどくどやりましてもなかなか結論は出ないと思いますけれども、いま私が申し上げたように、特定財源にも大きく影響をしていくだろう。しかも石油問題というのは石油ショック以来非常に問題があって、石油新税というものも今度ありますけれども、そういう特定財源を、今度は備蓄の方とかいろいろな方向に割かなければならぬような時代的趨勢にあるところで、道路の方は自動車ばかりじゃないのだというふうに変えていきますと、この予算というのは食われる方向に行かざるを得ないんですね。ですから私は、第八次道路整備五カ年計画、この計画を遂行していく上においてはさらに大型になってきているということも踏まえて、そういう方向に行きますと財源問題が出てくるというふうになるおそれもあるものですから、あえてこのことについてしつこくお尋ねをしたわけです。この辺は十分ひとつ、従来の自動車交通自動車交通のための道路だけじゃないんだということもありますし、むしろこれからの物流というものに、これは全国都市計画、三全総にも関連して、むしろ自動車交通道路をもっともっと整備しなければ物流問題にはまた大きな影響があるということですから、思想は大幅に変わるわけではないと思いますけれども、ひとつその辺の道路哲学だけはきちっと踏まえた形でやっていただきたいというふうに思うわけであります。  そこで、基本的なもう一つの問題としまして、第八次道路整備五カ年計画の中で総額二十八兆ということでありますけれども、この中身について、三全総、それから五十年代前期経済計画とどういう関連でいくのか、その辺についてまずお伺いしたいと思います。
  12. 浅井新一郎

    浅井政府委員 二十八兆五千億の計画中身は、五十年代前期経済計画並びに昨年の秋に決まりました三全総の中身との整合を図ってまいってきているわけでございます。五十年代前期経済計画につきましては、道路について十九兆五千億という枠組みが一応閣議で決められております。これは昭和五十一年から五十五年の計画でございますので、今度の五カ年計画は五十三年から五十七年ということで二カ年ずれておるわけでございます。この二カ年間の考え方もいろいろあるわけでございますが、これにつきましては、現在の五十年代前期経済計画を引き伸ばした形で一応考えておりますが、中身としては算定時点価格修正を若干考えて引き伸ばしたわけでございまして、規模としては五十年代前期経済計画の十九兆五千億がもとになっておるわけでございます。     〔委員長退席北側委員長代理着席〕  それから三全総につきましては、これも五カ年計画を積み上げるための各種フレームにつきましては作業段階十分調整を図っております。そういうことで、ただ、今後この五カ年計画をいろいろ中身を固め、実行していく段階で、三全総で言われております生活圏構想といいますか、定住圏構想といいますか、そういうものにおける道路整備の果たす役割りというものが非常に重要だという認識のもとに、十分その計画に沿った姿で実施してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 大塚雄司

    大塚委員 その特に三全総のお話関連ですね、新全総から三全総に変わった主要な部分というのは定住型構想である。いま局長も言われたように、定住型構想になったことによって道路役割りというものが変わったと思うのです。その変わり方にどう対応していくかということが一つの問題だと思うのですけれども、特に新全総から三全総に変わって、それに対応して五カ年計画の中で変わった点があれば御指摘をしていただきたいと思うのです。
  14. 浅井新一郎

    浅井政府委員 五カ年計画中身は、これは実は今回、新しい安定経済成長の中でどういうような公共投資が考えられ、その中でどういうふうに道路投資を位置づけるかというような考え方から、三全総で考えられておりますGNP投資に対して大体昭和六十五年までにGNP投資の二%台、三%を超えない範囲の投資を一応続けることによって総額百兆に及ぶ道路整備中期目標というのを立てまして、その目標に向かって緊急を要する事業を積み上げた中身になっておるわけでございます。  そういうことで、その後三全総についてはああいう形ではっきり定住圏構想が打ち出されたわけでございますが、時点から言いますと、五カ年計画概算要求時点で固めて、後に三全総が出たわけでございます。そういう意味で、一応三全総そのものはそう細かい中身を規定しているものではございませんが、思想的にはそういうことで作業段階でいろいろすりつけておりますので整合しているわけですが、ただ、定住圏構想を育てるためには今後やはり五カ年計画中身をそれに沿って十分すりつけていかなければならないというふうに考えているわけでございまして、特に三全総ができたことによって前回の五カ年計画とどういうふうに違うかということにつきましては、中身を詳細に申し上げないとわからないわけですが、第七次の五カ年計画とは——非常に新しい構想でいろいろ考えております。  大きく申し上げますと、大体今度の五カ年計画中身といたしましては五つの柱を立てる。その一つは、道路交通の安全を確保するための道路事業、それから二番目には生活環境整備のための道路事業、それから三番目には国土発展基盤整備のための道路事業、それから四番目には生活基盤整備のための道路事業、それから維持、修繕というような考え方五つ施策を立てまして、その施策をそれぞれバランスよく進めていくということによりまして、将来の豊かな生活基盤のもとになります道路整備を実現してまいりたいというような考え方中身を積み上げてきておるわけでございます。
  15. 大塚雄司

    大塚委員 三全総と五カ年計画整合性という問題、いま局長がおっしゃるように、後になったということで細かいところ——細かいことを私聞くんじゃなくて、第一条の目的変更と同じように方向の問題なんです。いま五つの柱の中で生活環境整備生活基盤整備するというような言葉が二つも出てきた。そういう中で一体道路というものが、また蒸し返しになるのですけれども、生活基盤型の整備というものを志向した道路と、いままでの経済基盤型の道路と、どこが具体的にどう違うのかなというふうに考えてみましても、私実態はそんなに違わないような気がするのです。どうもぼくはそこにこだわって申しわけないのだけれども、その問題を一つと、もう一つは、やはり新全総と三全総の違いで、定住型構想になった。定住型ということは、人口を地方都市になるべく定着する方向で行くと仮にしますと、道路という一つの大きな流通経路は、なお拡充整備する方向に行くのかあるいはそうじゃないのか、その辺のおおむねの方向というものが整合性関連してあろうかと思うのです。その辺を私はちょっとお伺いしたい。
  16. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のように、一口に生活基盤整備とかあるいは生活環境改善といいましても、中身としていろいろ重なる部分もありますし、道路役割りというものはその両面を兼ね備えておるというふうに言う方がむしろ適当かと思います。  ただ、道路事業の種類によりましては、それぞれ、生活基盤整備に強い目的を持つ事業もありますし、逆に生活環境改善の方というふうに考えるべき事業もいろいろあるわけでございます。この中身をいろいろな形で仕分けたわけでございますが、先ほどの五つ政策目的ということも確かにいろいろダブってまいるわけで、各種道路事業を全部この五つに割り当てて表現するというのは若干問題があるわけでございますけれども、そういうふうにした方がわかりいいんじゃないかということから、そういう分け方をいたしておるわけでございます。  生活基盤整備として代表的な事業と考えられますのは、やはり一般地方道の一次改築だとか国道の一次改築、あるいはバス路線整備とかあるいは橋梁のかけかえとか、そういったようなものがむしろ生活基盤整備として重要な事業ではないかというふうに考えております。  生活環境改善ということでは、いわゆる環境対策としてのいろいろな事業緑化対策事業もありますし、それから都市周辺バイパス事業なんかやっておりますが、これらはまさに、都市の中へ流入してくる交通都市生活環境を非常に乱しているということもございまして、そういうことから、バイパス事業を促進することによって都市環境を守るということですので、これはむしろ生活環境改善のための重要な事業だというように認識しております。  そんなように、いろいろな事業をこの五つ政策目標に仕分けて、それぞれの重点のバランスをとりながら事業を進めてまいりたいというような考え方に立ったわけでございます。
  17. 大塚雄司

    大塚委員 この問題はまた切りがなくなります。時間もありますので、整備五カ年計画が膨大になってきているわけですが、いまのお話にもありますように、生活環境改善するとか生活基盤を守るとかいろいろおっしゃっても、道路そのものはあくまでも自動車交通主体なんですよ。ですから、その辺は余りこだわらずに、従来の路線をそんなに曲げるものでもないと思うし、むしろ私は、さっきも申し上げたように、人間の通行というものもあるけれども、物流というものも絶対に忘れてはならない。だからこそ経済基盤を守っていくための道路だということになると思うので、これはひとつそういう方針で前向きにやってもらいたいと思います。  次に、やや具体的な問題を数点伺います。  まず第一に、ただいま百兆円に及ぶ道路整備というものが国土全体である。その問題の中で、いわゆる都市計画決定をした道路の問題に触れるわけですが、その問題を整理する前に、建設省では道路局都市局がそれぞれ道路部門を分担しておるのですけれども、道路街路というのはどういうように違うのか、まず端的にちょっと伺ってみたいと思うのです。
  18. 浅井新一郎

    浅井政府委員 道路街路区分、こう改まって質問されると非常に答弁に窮するような感じもするわけですが、道路事業をやっていく場合、都市内のDIDといいますか、要するに都市部でビルドアップされたエリアの中の道路事業、これを一口に街路と言っておりまして、街路事業道路事業とは建設省内部で一応道路局所管都市局所管というふうに分けていますが、どういう道路街路とし、どういう道路一般道路として道路局所管とするかは、内部でいろいろ内規的なものを設けまして考えておるわけでございまして、一般的には、都市部道路街路というというふうに定義してもいいんじゃないかと思います。
  19. 大塚雄司

    大塚委員 私がなぜそんなことを伺ったかというのは、一般の方が受けとめる感触としては、道路局でやっておるのが道路都市局でやっておるのは街路だ。それからいまのお話のように、都市を、いわゆる既成市街地を通るのが街路で、山林とかそういうところを通っておるのが道路だ。これは大変にわからないのですよ。また建設省内部でも、私は道路局都市局でなわ張り争いがあるとかなんとか決して言いませんけれども、所管がその両方にまたがって不明確なことが道路事業を進める上において大変支障になっているのではないか。そう言えば、そんなことありませんというお答えしか返ってこないから聞きませんけれども。しかし、かつて私この委員会でも申し上げたように、住宅局都市局との間にも——そういう点で支障はないとは思いますけれども、たとえば都市計画区域の中の道路街路だとか、そういう所管別だからという区分をするんじゃなくて、国道地方道とか、何かそういう区分で分けるという方が——いろいろな表を見ても非常に複雑でわれわれにわかりにくいのですね。その辺については質問はいたしませんが、両局の調整を一回十分やってもらって、この事業推進支障のないようなことをぜひ考えていただきたい。これは要望だけ申し上げておきます。  実は主として都市計画街路の方ですが、御承知のように、東京、大阪、名古屋、この三大都市道路の問題というのは、お金の問題もあるし、また住民側の反対も多くて大変に遅々として進まない。これが交通渋滞を起こし、ある意味では公害の元凶だと言われた時代もありました。東京、大阪、名古屋、この都市計画街路整備状況ですね、私資料を出してもらったのですけれども、やはり東京が一番おくれておるわけです。特に三多摩を除いた区部で言うと整備率が四六・六%。それから大阪は十数%上で六〇・八%、これは大阪市です。名古屋が六七%。ですから、名古屋は道路がいい、道路がいいと言うけれども、この進捗率によっても顕著にその数字が出ておると私は思うのです。しかし東京道路については、これは美濃部さんとも私はずいぶんやりましたけれども、道路をつくると自動車がふえて、自動車がふえると公害がふえるから、道路はつくらぬというのが彼の哲学だった。そのおくれがこの十年間こんなに出てきていることによって生ずるいろいろな問題が、ここへ吹きだまりのようになって出てきているのです。  たとえば下水道を整備しよう。ことしは下水道がマンホールからあふれるくらいの予算がついたのだけれども、実情を聞いてみますと、道路整備されていないからとても執行できない、そういう問題もあるわけです。  それからもう一つは、都市計画街路の決定をしているところは、従来の幹線に拡幅のいわゆる都市計画線が全部入っておるわけですね。最近住宅政策を進めようということで、住宅公庫の枠もうんとふやしたりあるいはその他民間の住宅建設も大いにふるい起こそうと言うけれども、大概建築をする場所は道路の拡幅で変わっておるわけです。御承知のように、ひっかかった部分というのは建築制限がある、したがって二階しか建てられないというのが現状である。そういうことで、またいつどうなるかということもわからないままに三十年たってきた。三十年というと日本の人口も三千万ふえたし、東京で言えば倍になったわけですね。しかし、その道路計画はそのままでいいかということになると、やはり人口がふえたものに対応して道路も公園も、そういう都市施設は変えていかなければいかぬ。それに対応するようなものにしなければいかぬ。しかし変えるどころじゃなくて、計画したものがいつできるかという状態の中で、基本的に建設省がこれをどういうふうに考えているか、これは都市局道路局と両方になるのですが、ちょっとお答えいただきたいのです。
  20. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 御指摘のとおり街路事業整備道路全般の整備に比べておくれております。道路全体の整備率約五五、六%から六〇%くらい、その中で街路事業は約三二%というのが全国の数字でございます。  それから先ほど御指摘のとおり、東京都区部と大阪市、名古屋市とこの平均でまいりますと約五五%、したがいましてこの三大都市におきましては全国平均の街路整備率よりは相当いいということは言えますが、しかし、個々の状況を見ますとまだまだというところが相当ございます。  そこで、計画決定をしながらなかなか事業に着手しない、その間に交通の様相も町の形もいろいろ変わってくる、都市計画を、昔決めたものをそのままほうりっぱなしで一体いいのか、こういうふうな御指摘であろうかと思いますが、この辺はまさに二十年、三十年前の計画をそのままほっておいていいというものではないと思います。  東京都の街路計画について申し上げますと、これは先生御承知とは思いますが、実は東京都は街路事業計画決定全線二千数百キロの計画延長を持っておりました。しかしながら、いま申し上げた、あるいは御指摘のような状況に対応しまして、三十九年度から四十一年度にかけまして再検討を行いまして、非常に地域的な路線につきましては約千キロメートルを計画を廃止したわけでございます。そこで、残りました約千二百キロくらいございますが、幹線街路あるいは幹線街路に対する重要な補助幹線、こういうふうなものはどうしてもやめるわけにはいかないということで、これは残しております。半分近くのものを計画を廃止したということでございます。しかしながら、残りましたものの中でも、たとえばよく例に挙げられます三田通りのごときものは、地元の商店街の方々は早く都市計画街路を築造してくれという長年にわたる御要望があるにもかかわらず、なかなかこれが追いつかない。そこで一部の方はもう計画を廃止してくれ、こういうふうな声すら上がっておる。しかしあの路線街路事業としましても非常に重要な計画路線でございますから、この計画をやめるわけにはいかないということで、これは近くごく一部でございますけれども、事業化をして予算をつけまして若干の前進を図りたいというふうに考えておるわけでございますが、これはたとえばの話でございます。  そこで、街路事業全体としましては、実は三大都市のみならず地方の都市におきましても相当町の中が込んできているということから、街路整備に対する要望が各方面から非常に強くなってまいりまして、そこで今度の八次五カ年計画におきましても、従前の道路全体の中における伸び率よりも街路の伸び率を高くしてもらっております。まだ、来年度予算につきましても市町村道に次ぐ高い伸び率になっておるわけでございまして、街路事業の予算も逐次拡大の方向をたどりつつあるということは申し上げられると思います。しかし、いかんせんこの街路事業は非常に金がかかるわけでございまして、相当膨大な金を使っておりますけれども、なかなか目に見えて一遍にはよくならない。今後は幹線の街路につきまして、あるいは都市によりましてなるべく重点的な投資というようなことも検討していかなければいかぬだろうというふうに考えておる次第でございます。
  21. 大塚雄司

    大塚委員 この問題につきましては、ともかく見直しをしなければならないことは明らかだと思うのです。東京都の方で一部廃止したなんというのはずいぶん古い話で、現実に放置をされたままでいる方々は大変深刻だ。特に私権の制限があるということですから、それがいつできるかわからぬという大変な不安な気持ちでいるわけです。  特にいま数字の話で膨大な金がかかる、まさにそのとおりで、たとえばいまお話になった東京都の過去五年間の道路整備投資額というのを調べてみますと、これは区部だけですね、大阪市も名古屋市もありますけれども、ともかく東京では三百億前後、ずっと五年間その程度しか道路整備に金をかけていなかった。しかし、このペースでいま都市計画決定している道路を全部整備するということを逆算をしてやってみると、大体三兆七千億くらいかかるのですから、三百億から三百五十億くらいだと百年かかるわけです。さっきの全体と同じように。そうするとあと百年間都市計画決定をしたままにしている人は、子供の時代か孫の時代になって初めて道路整備が始まることになるわけです。  そういう制限があるからこそ、さっきお話があったように、私もたしか五年くらい前に再検討したらどうかということで調査をし、何かことしの三月には基準をつくって、廃止するかどうかはわかりませんよ、わからぬけれども見直しをする。これは東京のみならず大阪も名古屋も大都市には同じような問題としてあるので、これはむしろ建設省の立場で、一度見直しをするということを各都道府県に行政指導してやることが大変大事なことではないかと思うのです。地方都市によっては生活態様も変わってきているし、あるいは三全総のように定住圏構想になればあるいは廃止をしてあげてもいいようなところもあるかもしれない。しかしまたその逆に構想が変われば、新しい都市計画決定をしてこれからもう家が建たぬように抑えておく必要のある場所もあるかもしれないという意味では、道路計画の再検討というのは特にこの五カ年計画を決めるに当たっては大変に重要なものではないかと私は思うのです。そういうことをまずどういう方針で臨むかお答えをいただきたい。  と同時に、時間がありませんから次の問題として、私権を制限されている方々、仮に百年後ということになりますと、片方は鉄筋が建てられて片方は木造のままで百年といったら大変な不利益なんですね。それをたとえば一つの救済策としては、これも私は五年前に、これは東京都が都市計画街路にかかった人たちの固定資産税の減免というのをやって救済をしてきたわけです。これは他の道府県でやっているかどうかわかりませんが、大阪、名古屋も同じだろう。そういう手だてをするか、あるいは逆に、五十年、百年ということになるならば、木造の二階で抑えるのじゃなくて、ある程度固い建物を建てさせてもいいじゃないか、そして公平を期するようなことを考えなければいかぬ、そういうふうに思うのですが、それに対する見解をお願いします。
  22. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 まず前段の計画の見直しの問題でございますが、現在街路と言わず都市施設全般について、全国都市につきまして都市整備基本計画というふうなものを都市局が指導しまして逐次つくってきていただいております。こういうふうなものの中で一つの長期にわたる当該都市整備の基本の理念、具体的な方法、形というものが出てまいりますと、おのずからこれに従って街路についての都市計画も、場合によりましては変えていくということに相なってくると思います。  東京の場合でもその辺はなかなかむずかしい問題がございますが、この二十三区を例にとりましても、二十三区の中だけで発生し、その中だけで行ったり来たりしているという交通のほかに、通過交通といいますか、こういうものも相当多いわけでございます。この辺は、先ほどお話もございましたように、物流基地の整備とか外郭環状線というふうなものを早急に整備しましてなるべく町の外を通していく、それによって都市内の交通量をなるべく減らす、こういうような総合的な対策もあわせて考えなければいけない。また、既存の街路を拡幅する場合に、単に街路事業ということだけじゃなくて、やはり再開発の手法等々も併用しまして考えていくというふうなことも検討しなければならぬというように思うわけでございます。  それから、権利制限がありまして、そのために非常に迷惑をこうむっている、こういう沿道の方々に対する救済措置といいますか、これは抜本的な、何といいましても街路整備を早急に進めるということに尽きるわけでございますけれども、なかなか予算がついていかないという場面に、いま御提案の税制その他の措置による救済措置といいますか、これは十分傾聴に値する御意見だと思いますので、またいろいろと今後検討、勉強をさせていただきたいと思います。
  23. 大塚雄司

    大塚委員 実はその傾聴に値する意見だということでとまっちゃうとちょっと困るわけなのです。といいますのは、すでに東京都では都市計画審議会の中に道路再検討特別調査委員会というものを設けまして、この三月末で基本と基準が決まるわけですね。それで、来年には具体的な個所についてかなり意欲的に路線についての改廃を考えようということなんです。もちろんその改廃の中には新設も含めるわけですけれども、そういうことと同時に、そういうものの結果を都民に発表すれば、当然、この道路については将来引き続き計画を進めるということになりますと、三十年後、五十年後というのがうんと出てくるわけです。特にそういうものを、率直に言ったら権利者に対して向こう三十年はありませんよというようなことをやりませんと、戦後三十年たっていますから木造の建物を持っている人はいまはもう大体建てかえ時期に来ているわけですよ。建てかえたい、住宅公庫の枠も広げてくれたから借りて建てようと思っても、五年後に道路ができちゃうのじゃそれは建てない方がいいということになると、今度は住宅公庫の消化にも影響してくる。ですからそういう意味では、都の方はかなり早急に結論を出してこようという雰囲気にあるものですから、これはぜひひとつ考えてほしい。  それを進める意味で、ひとつきょうは自治省にもおいでいただいているのですが、東京都で固定資産税の減免をやりましたけれども、これはどういう制度でやったか私は詳細はわかりませんけれども、そういう減免をするということについては、いま東京だけがやっておるのですが、自治省の方ではどういうふうに考えているか、ちょっとお伺いしたい。
  24. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 お答えを申し上げます。  実は東京都の場合は、四十八年ごろから独自の減免措置を講じていらっしゃるように聞いておりますけれども、全国共通の問題といたしましては、昭和五十年に私どもの方から通達を出しまして、それによりまして、いわゆる街路都市計画施設の一種でございますが、都市計画施設の予定地に当たっているようなところにつきましては、その方の持っていらっしゃる土地のうち予定地の割合がどのくらいかというその割合に応じまして、最高三割まで評価を減額する、こういう行政指導をやっておりまして、御指摘東京都の特別区につきましては一割、二割、三割と三本立ての補正を使っております。こういう東京方式をとっておりますのは、ほかにも川崎、名古屋、こういうようなものがございます。大阪は若干段階のきめが細かいやり方をとっておりますが、全国的に見ましても恐らくそういう類似の方式によりまして適切に対処をしているはずでございますので、お答え申し上げます。
  25. 大塚雄司

    大塚委員 いまのお話で、固定資産税の評価額を下げているということは、制度的に一応評価はするけれども、それから何割引くというんじゃなくて、固定資産の評価額そのものを評価審議会においてここは都市計画街路だから安くするという方法を指示しておるのか、それからもう一ついま都市計画街路とおっしゃったけれども、街路以外に公園もあれば、鉄道の敷地もあります。そういうものも包含して通達を出されているかどうか、その二点について。
  26. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 評価額そのものを最高三割引きます。第一点は、そのようなことでございます。  第二点は、先ほどお答え申しましたように、都市計画施設の予定地ということでございますので、おっしゃいました公園その他も含まれる、こういうことでございます。
  27. 大塚雄司

    大塚委員 税制面では、いまのお話を伺ってもかなり救済措置をやっておるというふうに理解しますけれども、さてそこで、先ほどの傾聴に値するという部分ですね。ただこれも一方では五カ年計画道路整備していくという過程にあって、その三年後に整備する、五年後に整備するというところまではもちろんできないでしょうけれども、大変むずかしい問題ですが、ただ東京都が、聞くところによると、現行の都市計画法五十三条、五十四条でそういう私権の、建築の制限をしておるわけですね。これについて一部では法改正をしなくてもできるという意見もあったり、法改正が必要だという意見もあったりして、どうも東京都の方では大変困っておるというような感触なんですけれども、建設省都市局内部ではこの法改正とかそういう問題についてはどういうふうにお考えになっておるのか。
  28. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 都市計画施設の区域内の建築制限でございますが、     〔北側委員長代理退席、委員長着席〕 これは御承知のとおり、将来の施設の整備を確保するという観点から、木造とか鉄骨、コンクリートブロックづくり程度の二階建て以下の建築物であれば、これは許可しなければならぬ、こういうことにしておりまして、宅地としての一定の利用は保障しておる、そこでこの私権の制限をこれ以上緩和することが妥当かどうか、また仮に妥当としても法改正を伴わず運用上可能なものであるかどうかというのが御質問の御趣旨かと思いますが、私どもは解釈上、先ほど申し上げましたような現在行っております制限、この辺が限界であろう、やはり都市計画法あるいは都市計画そのものの本質から見まして、これをもっと緩和するというふうなことは、たとえ法改正をするということであっても、やはり将来における都市施設の整備を確保するという観点からするならば、これはどうも余り積極的には考えられないというふうに考えております。
  29. 大塚雄司

    大塚委員 建設省のお立場では、いま直ちにこれを白とか黒とか言いがたいと思いますけれども、しかし現実に、地方公共団体の方ではかなり住民と近いわけですから、こういう要望がきついわけですね。それでまた財源の問題も含めまして、相当長期にわたるということになれば、たとえば同じ構造にしても軽量鉄骨ぐらいは許したらいいじゃないかとか、いろいろ論議があるわけです。ただし、その場合の法律の解釈についてはどんなふうにお考えになっておるか。やる、やらぬをぼくはここで聞くのじゃなくて、そういうことがこの都市計画法五十三条、五十四条ではどういうふうに考えた思想でできておるのか、法律見解をちょっと聞いておきたい。
  30. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 申し上げましたように、木造、鉄骨づくり、それからコンクリートブロックづくり程度の二階建て以下の建築物であれば、これは許可をしなければならないというふうに考えております。
  31. 大塚雄司

    大塚委員 それは許可をしなければならないということはわかるんですが、この五十四条の第一号、第二号、この二つはもちろんあるんですから、これを逆に言えば三階とか四階というのはいけないということはわかるんですよ。しかし第五十三条では、建築しようとする者は知事の許可を受けなければならないというふうに決めておいて、五十四条でこういうことを決めておるわけでしょう。ですから、地方自治体の方の考え方では、これだから運用はできるというような見解もあるということなんです。しかし、ここでその法律論争をやっても時間もないので、ぜひ、さっき傾聴に値するというお話もあるわけですから、速やかに、東京ばかりじゃなくて大阪、名古屋でも恐らくそういうことは相当盛り上がっておると思うので、結論を出す方向で御努力を願いたいということを要望しておきます。  それともう一つ具体的な問題としましては、東京湾の湾岸道路、それから外郭環状線、大阪にも湾岸道路の問題がありますけれども、さっきの自動車交通の問題にまた戻ると話が蒸し返しになりますけれども、これは経済基盤整備の上においては大変重要な路線なんですが、どうも調べますと、埼玉県と千葉県はいわゆる外郭環状線についてはかなり進行しておる、東京がどうしても進んでない、これじゃ、せっかく投資を続けていっても先細りである、道路としての態様をなさないということなんですけれども、この辺についてはどういう方法で推進していくか。東京にもっと積極的に働きかけるとか、そういうことをどうするかということについて一言伺っておきたいと思います。
  32. 浅井新一郎

    浅井政府委員 東京外郭環状道路でございますが、御指摘のように全体の進行はきわめて悪いわけでございます。この東京外郭環状道路は首都に放射状に集中している交通を適切に分散、導入する機能と、それからまた東京都区部に起終点を持たない交通をバイパスさせるという役割りを果たすという重要な道路ということで、東京は御承知のようにこれだけの大都市でありながら、環状線としては環七、環八がわずかにある程度で強い環状道路は皆無に等しいわけでございます。東京都の都市構造から言いますと、当然なければならない動脈路であろうというふうに考えておるわけでございます。  これが現状では御指摘のように、わずかに埼玉県内、それから湾岸道路はこの環状道路の一部というふうに考えておりますが、湾岸道路部分はかなり進んでおるわけでございますが、そのほかはほとんど進んでないような状況でございます。御指摘のように、東京区部については埼玉県界から東名高速間の十八・二キロ、これは住宅の密集した中を通るようなことになるわけでございますが、これは都市計画決定はされておりますが、昭和四十三年に都議会に地元三区、三市、一町から提出された建設反対請願を採択するなどの動きがありまして、建設省としても現計画の構造の再検討を行うこととしておるわけであります。その後、中身を高架式とか掘り割り形式とかいろいろ検討いたしまして、十分検討いたした結果で、多摩川沿いの区間についての計画案と合わせまして、東京都に実は都市計画変更とその都市計画の一部の決定、多摩川沿いの区間の決定の推進を要請しているわけでございます。  しかし、その後情勢は進展してないということでございますが、当面の整備は、一般国道の二百九十八号として指定済みの東側区間、主として埼玉県、千葉県にかかる区間でございますが、ここに重点を置いてやってまいりたい。それから第八次の道路整備五カ年計画におきましては、新大宮バイパスから東北縦貫道の間の十キロの供用を目標に、ここを重点的に早くあけたいということで考えておりますが、その他の区間につきましても、先ほど申し上げましたように、首都東京にとっては都市構造的に最終的にどうしても要る道路というふうに私ども考えておりますので、時間はかかっても実現の方向に努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 大塚雄司

    大塚委員 時間が参りましたので、最後に、ともかくいまの湾岸道路にしても都市計画決定にすらしてないところもあったり、計画決定ですらそういうふうなおくれなんですね。それから先ほど来いろいろな道路都市計画決定、それから道路の築造ということになると、ともかく住民の反対でなかなかできない。実際にこの五カ年計画が予定どおりいくかどうかについては大変疑問もありますけれども、ともかくやらなければならぬ。人間の体の血管と同じような大事なものであって、しかも、第一条で目的が大きく変わりましたけれども、しかしやはり産業基盤あるいは経済基盤に手助けになるから——そういう道路はいかぬなんて言ってみたって、自治体はそうじゃないんです。結局は国民の一人一人に大きく影響していく道路ですから、そういうマイナス方向になるようなことになっては困るし、また同時に計画決定をして道路整備するときには勇気を持って、住民の反対意見を聞くことも大事なんですけれども、やはりもっと公共性というものを国民に知らしめることが非常に大事だ、そういう姿勢をぜひ強く打ち立てていただきたい。そういう意味で、最後に大臣からこのいまのお話について一言承って質問を終わりたいと思います。
  34. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 東京都の御出身でありますから、東京都の現状からの御意見をいろいろ承りまして、概して都市の方の御意見というものが少ない折から、非常に敬意を表して承った次第でございます。今後の施策の上に参考にしたいと思います。
  35. 大塚雄司

    大塚委員 ありがとうございました。
  36. 伏木和雄

    伏木委員長 渡部行雄君。
  37. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 まず最初に大臣に、この間の去る二月十日の私の質問に対する答弁について、非常にそのまま承服しかねるような発言がありましたので、それを冒頭ただしておいてから道路関係法案についての御質問をしたいと思います。  と申しますのは、私が尾瀬分水問題について質問をしましたところが、大臣はこれに対して、「私が、国土庁長官にいたしましても建設大臣にいたしましても、就任後まだ三カ月未満の者が、ずいぶん長い間問題になっておるこの利根川及び阿賀野川両水系の全般的な利水計画に、ここでいま、それはもうおっしゃるとおりでございますと、こういうお答えを申し上げることの方がこれはちょっと軽率ではないかと思うのであります。」こういう答弁をいただいたのであります。それでは、大臣になってから三カ月足らずでということになりますと、一体何カ月たてば責任ある御答弁ができるのか、そこを私はっきりと聞かないと、それじゃ短い期間のうちは重要な問題は大臣に聞いても仕方がないというふうになるわけですので、その辺の大臣の本当の気持ちを教えていただきたいと思います。
  38. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 尾瀬分水の問題、御質問を承って、これは非常に長い歴史的経緯のあることが、私、頭にありまして、それで軽率にお答えしてはいけない、こういう単純な気持ちで言っておるのでありまして、渡部委員のおっしゃっておったことに私が理解を示さないとか、そういうことは考えておらぬとかいうことを言ったわけじゃないのです。ただ単純にそういうことを申し上げたので、私としては、渡部委員のおっしゃっていることについて、十分参考になって、またそのときの心境を率直に申し上げれば、御意見を尊重しなければならないという気持ちであったわけであります。
  39. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはきょうの質問外の問題ですから、この問題は私から強く、期間がどうこうということではなしに十分検討するというようなお話ならばわかりますが、そういう就任以来の期間で問題を左右するようなことのないようにぜひともお願いをしたいと思います。  そこで、いよいよ本論に入りますが、道路管理のあり方についてでございますけれども、この間の二月二十四日の朝日新聞に出ておったのでございますが、これは、高速道路で煙や霧で非常に視界が悪くなって、そのために追突された事故で公団が訴えられて、そしてその判決が出たわけでございますが、その判決によると、「管理者は単に道路そのものを管理するだけでなく、交通事故につながる煙や霧にも十分注意して災害防止につとめなければならない」こういう趣旨の判決が出されて、公団側が敗訴に終わったわけでございますが、この中で重要なことは、その当時霧が濃いので非常に危険であるということを注意したにもかかわらず、その注意義務を怠り、かつまたそういう濃霧によって危険が予想される地域には危険防止の標示なり何か注意書き等をしてその交通者に注意を喚起するような措置を全然とっておらなかった、こういうことでございます。しかしいずれにいたしましても、こういう判決は道路管理に対する一つの新しい方向を示唆したものではなかろうか。いまヨーロッパ等ではとにかく交通事故は全部国家賠償法で国がその経済的な負担をやる、刑事罰とは切り離して考える、こういうような一つの法思想の推移があるようでございますが、こういうものと考え合わせてみますと、やはりこれからの道路管理に対する新たな方向というものを示唆したものとして、私は十分これは検討すべきものだと思います。そういう点で、これは道路公団は直接の当事者でございますから公団総裁はもちろんですが、しかし高速道路だけでなしに、こういう考え方道路全般の管理というものを考えた場合、大臣は一体こういう傾向に対してどういうお考えであるか。あわせて大臣と総裁にお伺いいたします。
  40. 前田光嘉

    前田参考人 ただいま御指摘ございました事件は、去る四十九年の三月二十九日に、私の方の管理しております西名阪自動車道におきまして、夜の零時五十五分でございましたが、煙と霧が出まして、通行しておりました車両が視界を妨げられましたので、車線の上に一時停車をしておりました。そこへ後続車両が来まして追突して事件を起こしたわけでございますが、これにつきまして原告から賠償の要求がございまして、去る二月には、いまお話がございましたように、大阪地方裁判所におきまして、道路公団としてこういう事態が予見し得たのに所要の措置をとらなかったということから、原告の請求の九割に相当する賠償額の判決がありました。  われわれも平常から高速道路及び管理する一般道路等につきまして平穏かつ快適に道路交通できますように配慮いたしておりましたが、残念ながらこの日はこんな事件が起こったわけでございまして、常に気象の状況の把握及び把握し得た状況はできるだけ速やかに関係のドライバー等に周知せしめる、あるいは情報板の設置等につきましても配慮しておりましたが、こういう判決を得ましたので、さらにこの判決につきましては検討いたしますけれども、われわれとして管理上しなければならないと思いますことにつきましては十分配慮し、同時に措置をいたしまして、関係方面とも連絡して管理の万全を期したいと考えております。
  41. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 道路管理に当たる者として予想される危険な個所に対する注意喚起を怠る、そういうことがあってはならないということをこの判決は示しておりまして、今後そのようにわれわれも守っていきたいと思います。
  42. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、道路公団ではこの判決を不服として控訴するやに聞いておりますが、しかしいまのお答えからいけば、あるいは大臣のお答えからいけば、この判決を認めておられると私は思うのですが、そういう点ではどういう不服というものがあるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  43. 前田光嘉

    前田参考人 この判決は、道路公団及び追突した者を含めまして、ことに道路公団につきましては、道路の管理について予見し得たにもかかわらず所要の措置ができなかったということで敗訴いたしましたけれども、よく検討いたしますと、霧あるいは煙、しかも外から来る煙等につきまして道路公団側で果たして予見が可能であるかどうかという点、同時にまた、道路を走行しておる走行の仕方等について問題がなかったかどうか、こういう点につきまして一審の判決の内容を慎重に検討いたしましたが、われわれとしてまだ十分に納得できない点がございましたのでさらに上級の判断を仰ぎたい、こう思いまして過般控訴したところでございます。
  44. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、私はこの内容を具体的に裁判上知ったわけではございませんからなにですが、ただ、注意をされておることに対して全然それをやろうとしなかった。ですから、予見し得なかったということにはならないと思うのです。事前に知らされておれば、それに対する予防措置は当然とらなければならない。ところが、予防措置はとったが、たまたま風の向きが変わって煙がそちらに吹いてきたというなら、これは人間の力では阻止できないものだろうと思います。しかしそうでないときには、公団側の瑕疵は一体本当になかったのかということに対する確たる認識が必要だろうと思うのです。そういう点で私は、注意義務というもの、通行者と道路管理者の関係と、それから道路管理者と交通妨害者の関係というのはおのずから違っていると思うのです。ですから、そういう点について相当慎重にやらないと、この上また敗訴になれば、訴訟費用等いろいろの点で逆に出血を大きくしていくだけではなかろうか。しかも、相当の専門家がおられるわけでございますから、この点は慎重に対処をしていただきたいと思います。それが一つ。  それから、ついでに管理問題で大事なことは、五十一年度に道路の危険個所の点検がなされまして、その際大体三つのランクに区分されてその数字が出ておりますが、その第一、第二、第三のランクを総合しまして、危険個所は七万五千七百六十五カ所、しかもその中にバス路線の中に含まれている危険個所が四万四千三十カ所、こういうことでございます。これは早急に解消していかないとますますこういう問題を惹起する危険性があるのではなかろうか。しかも、災害というのは人の命にかかわる問題が発生しますから、これを一層緊急に措置する必要があろうかと思います。これに対する今後の対策についてお聞かせを願いたいと思います。
  45. 浅井新一郎

    浅井政府委員 道路の危険個所の解消は、これからの道路事業の中でも最も重点を置いてやっていかなければならぬ問題だと考えております。  防災対策につきましては、御指摘のように昭和五十一年度に全国的な点検をやっておりまして、落石、のり面崩壊等の危険個所七万五千八百カ所をおおむね六十年までに解消したいというような考え方でいま計画中身を固めておるわけでございますが、五十一年の総点検は、過去の総点検に比べますとかなり範囲を広げてやったわけでございまして、その個所数も相当大きくふえておるわけでございます。  これを今後どういう形で解消していくかということでございますが、御指摘のように、この中でどこに重点を置いていくかといいますと、バス路線等については従来何度かそういう事故が起きておりますので、バス路線なんかが一番緊急性が高いわけでございまして、そういうところに重点を置きながら、緊急度の高い個所四万八千四百ヵ所を五十七年度までに五カ年計画期間中に解消したい。  中身を申し上げますと、七万五千七百六十五カ所のうち八次の五カ年計画でやります個所は三万七千四百十カ所、バス路線は四万四千三十カ所のうち三万三千三百三十四カ所ということでございまして、解消します率は、全体が六七%に対しましてバス路線は七九%を五カ年計画のうちで緊急を要する個所から解消してまいりたいと考えております。
  46. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、この危険個所を完全にやるには大体どのくらいの予算がかかりますか。
  47. 浅井新一郎

    浅井政府委員 これに要します事業費といたしましては、全体として六千三百四十八億を一応考えております。うちバス路線に対するものとして四千九百三十五億、五カ年計画決定時点までに若干細かい数字の動きがあるかもしれませんが、現時点では大体そのくらいのものをやりたいと考えております。
  48. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題はこれで終わりまして、次に道路整備緊急措置法目的が今度改正されましたが、私は、先ほどの質問とは違って、この目的は非常によく改正されたと思っております。いままで道路というのはとかく自動車だけが主体に考えられておりましたが、これからの道路というのはそうではなしに、交通の安全あるいは美観、環境、そういうもの一切を総合して考えられなければならないと思いますので、そういう点では今度の改正案を支持するものでございます。  そこで、目的改正がなされたことによって、実際の計画上それに見合う具体的な施策としてはどういうものが出てきたでしょうか、それについてお答えを願いたいと思います。
  49. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 大きな柱が三点あると思うんです。第一が道路交通の安全確保でございます。次が道路交通の円滑化でございます。それから三本目の柱が生活環境改善に資することだと思いますが、ちょっと時間を拝借して具体的に申し上げますと、第一の柱につきましては、道路の防災、震災対策の推進、歩道自転車道整備、避難路の整備、踏切道の立体交差化等の交通の安全を確保するための事業を積極的にやりたい。  それから二番目の柱では、バス路線整備、木橋、老朽橋等のかけかえ、交通不能区間の解消、住宅宅地開発に関連する道路整備国民生活上必要不可欠な生活基盤としての道路整備を推進いたしたいということであります。また、国土の均衡ある発展を担う高速自動車国道等の幹線道路の建設を推進したいと思います。  三番目の柱としては、道路交通機能ばかりでなく街区の形成、防災、美観、供給処理施設の収容等、生活環境を形成する多様な機能を持っており、このような道路の持つ生活環境面の機能を増進するための事業を推進いたしますとともに、沿道環境保全対策等の事業を推進したいと思います。  以上でございます。
  50. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、これらの事業を今後五カ年にわたって推進していく中で、その財源の措置として一体いままでのような財源構成でいいのかどうか。それからまた、道路関係に吸収されていく、たとえば揮発油税、石油ガス税、自動車重量税、その他道路関係のいろいろな諸税について、その見通し、伸び等について十分確信を持っておられるのかどうか。その点をひとつお伺いいたします。
  51. 浅井新一郎

    浅井政府委員 今度の五カ年計画財源の見通しでございますが、まず現行の七次の五カ年計画中身を見てみますと、国費の特定財源の比率は、自動車重量税の国分の八割、これは準特定財源という扱いで考えておるわけでございますが、これを含めまして、計画時点では六五%でございました。しかし、その後税金のアップ等もございまして、実績では九〇%になっておるわけでございます。今度の八次の五カ年計画では事業内容、資金構成の詳細については現在検討中でございまして、要求時の国費率で概算いたしてみますと、特定財源比率は自動車重量税の国分の八割を含めましておおむね八〇%程度というふうに見込まれます。  第八次の五カ年計画を遂行するために必要な財源措置については、政府として昭和五十四年度の予算編成時点までに所要の検討を行うという閣議了解になっております。今後五カ年計画の円滑な実施を図るためには、この財源の確保がきわめて重要な課題でありますので、十分検討してまいりたいというふうに考えております。  なお特定財源、揮発油税の見込みでございますが、伸びと申しますか、これはいろいろな見方があるわけでございますが、現時点では、現行税率を前提といたしまして、消費の伸びにつきましては石油供給計画等を参考にいたしまして五%弱ということで、かなり控え目な伸びを一応想定いたしておるわけで、見込み額としてはかなり堅実な見込み額というふうに考えておるわけでございます。
  52. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 確かにこれからは石油の消費量もそれほどいままでのような伸びではなくなって、だんだんと伸びが低下してきておりますし、自動車の保有台数の伸びもだんだんと鈍ってきておりますから、そういう点では相当かたく財源を見込んでいかないと、将来計画にそごを来す危険があると思いますので、その辺はひとついまのお答えのようなかたい考え方で進んでいただきたいと思います。  そこで次に問題なのは、市町村道整備の問題でございますが、これは御承知のとおり、いま建設省関係の仕事の中で一番おくれておると言っても過言ではなかろうと思います。この市町村道整備を積極的に推し進めていかなければ、国土の均衡ある発展を図るということは困難になるのではなかろうか、あるいは生活環境改善というこのお題目も、結局はお題目倒れになりはしないか、こういう心配があるわけでございます。  そこで、これをこの二十八兆五千億の中で特にまた推進をしようとすれば、この枠組みの中身をある程度変えていくか、さもなければ各地方団体に起債を大幅に認めていって、その利子補給なりそういうことで地方単独事業をどんどんとふやすような方向で考えていくことも一つは重要でなかろうか、こういうふうに考えるのですが、この市町村道整備促進についてあるいは拡充強化についてひとつお考えを示していただきたいと存じます。
  53. 浅井新一郎

    浅井政府委員 市町村道整備については、従来かなりおくれてきておるわけでございますが、七次の五カ年計画の策定時にもいろいろ御指摘があったところでございまして、逐次伸ばしてまいってきておるわけでございます。道路事業都市から農山漁村に至るまで全国津々浦々で多くの問題を抱えておりまして、市町村道以外の事業についても国民の要請はきわめて強いわけで、全体の道路バランスを見ながら整備していくというたてまえをとるわけでございますが、総体的に見てやはり市町村道の立ちおくれが他の事業に比べて著しいというのは、統計的な数字を見ても明らかなわけでございます。  過去の数字をちょっと見てみますと、一般道路事業に占める市町村道事業のシェアは、昭和四十年度では一・一%でございました。それが昭和五十三年度には六・二%というふうにシェアはかなり伸びてまいってきているわけでございます。それから各五カ年計画を比較してみましても、四次の五カ年計画のときには一・四%のシェアでございました。それが七次では四・八%に改定しておるわけであります。大体これまでに改定するごとに約一・三%程度のシェアの拡大を図ってきておるわけでございます。第八次の五カ年計画におきましても、先ほどもちょっと申し上げましたバス路線整備だとか木橋等の整備に重点を置きながら、市町村道事業をできるだけ伸ばしていきたいということで、ほかの道路事業の中では最も高い伸び率を一応予定しておるわけでございます。
  54. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、政府は市町村道について、特に二十万キロを基幹道路として認定して、やりたいというような計画でおるようでございますが、一体この二十万キロは初めから各市町村にそれを割り当てて決めさせるのか、それとも市町村から市町村幹線道として中央に上げて、それを建設省が判断して取捨選択して決めるのか、その辺はどういうふうな順序でやられるのか、お示し願いたいと思います。
  55. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御承知のように市町村道は、全国道路網百六万キロのうちの八五%、九十万キロが市町村道でございます。市町村道の各県別の実態を見てみますと、かなりアンバランスがあるわけでございます。道路網の均斉のとれた姿という形で考えますと、市町村道の県別のアンバランスというのは非常に問題があるわけでございます。そういうこともありまして、幹線市町村道ということで国が積極的に予算を投じて整備していくべき市町村道につきましては、ある枠を設けながら全体的なバランスを見ながら整備していく必要があろうということから、幹線市町村道というものを一応決めておるわけでございます。  これは一級、二級というような分け方をいたしておりまして、一応道路網としての採択の基準を設けまして、その基準を各府県に流して、それに基づいて各府県がいろいろ道路網バランスを考えながら決めてきたものを、各県のバランス調整をいたしまして現在二十万キロという姿で一応決めておるわけでございます。
  56. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 ただ、二十八兆五千億のこの膨大な計画を進めていく中で、私どもが一番心配になるのは、この工事を実施する中で必要な技能労働者をどういうふうに確保されていくのか。これは道路関係だけで押さえるわけにもいきませんし、他の公共事業関係でもどんどんとそういうものを確保することに真剣になるわけですから、それなりに分捕り合戦と申しますか、そういうのがある時期には展開されるかもしれないと思います。  そこで、そういう技能労働者を確保する名案とか、それを育成する何か指導機関というものを考えておるのかどうか、その辺についてお伺いします。
  57. 浅井新一郎

    浅井政府委員 五カ年計画の遂行に当たりまして、建設資材面とか技能労働者に対するチェックをいろいろいたしておるわけでございますが、五カ年計画の規模そのものが、大体ならして平均伸び率で見ますと、一〇%程度の伸びでございます。五十三年度の予算が二八%伸ばしたものと比較してみましても、これは大体石油ショック前の四十八年ぐらいの事業量に見合うものでありまして、そういう意味から当時の事業消化の実態を考えてみますと、そう支障はないと考えておるわけでございますが、やはり道路事業を適正に執行していくためには技能労働者が安定的に確保されることが非常に重要だと思います。そういうことで、建設省としては道路事業だけの問題じゃなくて、全体の事業をにらんで必要な技能労働者が確保できるように諸施策を講じておるわけでございます。
  58. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 次に、この間私ちょっと質問しました東北横断高速道路の件についてお伺いいたします。  局長は、一応五十三年度中には若干の追加を考えることといたしたいと思っております。こういう御答弁ですが、若干の追加の中に郡山−会津坂下間の計画路線が入っているのかどうか。つまり、基本計画として現在六千六百九十四キロメートルが計画されておるわけですが、その中から整備計画四千八百十六キロこの中に追加されるというお考えのようですが、この追加の中にそれは入っていると解釈していいでしょうか。
  59. 浅井新一郎

    浅井政府委員 東北横断自動車道の現在建設中の状況でございますが、すでに御承知のように東北道が盛岡まで開通しておるわけでございます。日本を縦貫するルートにつきましては今度の五カ年計画で概成する形になりますので、そろそろ横断時代に入ることになるわけでございます。  東北の横断自動車道ということになりますと、御承知のように平新潟線のほかに秋田線それから酒田線がございます。秋田線につきましては、実は秋田という県庁所在地を控えながら、この間は基本計画でまだ整備計画が出ていないような状況でございます。酒田線につきましては、現在山形と寒河江の間の整備計画ができております。そのほかはまだ基本計画、一部については基本計画もまだ決まってないという状況の路線もございます。  御指摘の平新潟線でございますが、これはお話のように昭和四十八年の十一月に郡山−会津坂下間の基本計画が策定されております。現在東北地方建設局におきまして関連公共事業調査あるいは環境調査を中心に整備計画の策定のための諸調査を行っているわけでございます。残りのいわき−郡山間の八十キロ、それから会津坂下から新潟の百十キロにつきましては、基本計画策定のための調査を行っている段階でございます。  先ほど言いましたように、現在道路公団で抱えております四千八百キロの施行命令区間を若干追加すべき時期に来ております。と申しますのは、ここ四、五年整備計画は、いわゆる総需要抑制で建設費の伸びがはかばかしくなかったことのためにずっと抑えてまいってきたわけでございますが、今後の建設ベースを考えますと若干の追加をこの時点でやるべきではないかと判断しておるわけでございまして、秋以降のことになろうかと思いますが整備計画の追加をいたしたい。  ただ現状は、この追加区間につきましては、全国バランスのとれた姿でやはりやっていかなければならぬわけでございまして、それについては開通した場合の交通量とかあるいは建設費、採算性、そういったものを総合的に勘案しながら必要区間について整備計画を固めるということになろうかと思います。それとあわせて環境アセスメントを実施することといたしておりますので、そういうものを総合的に勘案いたしまして、具体的な整備計画区間を決めていきたいと考えております。  御指摘の郡山−会津坂下間につきましては、非常に重要なルートという認識は持っておりますが、この区間を取り上げるかどうかは現時点ではまだ白紙でございます。
  60. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大変回りくどい、いろいろそういう面では御親切な御答弁なのですが、肝心かなめのところへくるとさっぱりわからないという、これでは本当に困るのです。  実際、局長、高速道路の図面を見てもはっきりしているように、全く関東、中部、近畿、中国に集中しているのですよね。東北は縦貫道一本だけで、横断道路はほとんど手がつけられていない。九州は助骨二つぐらいもう手がついておる。こういうような状態で、しかも今度の三全総は全国の均衡とれた発展ということをうたっているとなると、この三全総との整合性の上からも、いまのこの計画推進では私は合わないのじゃないか、整合していかないのじゃないか、こういうふうに思うのです。  しかも、先ほどわが党の福岡委員から、首都の分都化、遷都化という重大な問題についての質問もありましたように、まさに首都が分都化、遷都化あるいは分散化という議論のされている中で、この道路を見ると首都集中型なんですね。これは逆にこれから政府がやっていこうとする一つの基本政策と逆行しているのじゃないですか。そういう意味で特に強く改めて東北の開発に重点を入れないと、日本に南北問題が出てくる、そういうことを指摘しながら、もう一度ある程度誠意ある答弁をお願いしたいと思います。
  61. 浅井新一郎

    浅井政府委員 高速道路の建設は、従来縦貫道、いわゆる縦貫五道を最初につくろうという形で進められてきたわけでございます。  それに対して関東地方は、縦貫五道に並ぶものとして、関越、常磐、この二路線が採択されて、いわゆる七道という形で従来やってまいりました。したがいまして、その関係が非常に現時点では進捗しておるわけでございますが、御指摘のように、確かにこの東北を見ますと、縦貫道は一本ようやく盛岡まで到達したという形でございます。横断道については、まだほとんどできてない。しかし、四国を見ていただきますと、四国はこれはまた全然まだできていないというような状況でございまして、全国バランスをとりながらやっていかなければならぬということですが、やはり考え方として二つあるといいますか、高速道路は、国土の将来のバランスある開発、国土利用を最も効率的にするために全国的なネットワークとして七千六百を考えたわけです。  ですから、開発という大きなねらいがあるわけでございますが、反面、またこの七千六百キロのネットワークが完成するためには、やはり採算性を考えながらなるべく早くこのネットワークを実現するという形で考えていきますと、採算性の高いところ、つくった場合に交通量の多いところ、そういうところからやっていかざるを得ないというのが自然の考え方になります。そういう両方の要素を考えながら、全国的に早く七千六百キロを完成するという形をとらざるを得ないというようなことで、五道がまず考えられ、七道になり、いよいよ横断道路時代ということになるわけでございますので、横断道路整備につきましては、全国バランスよく整備していくように十分慎重に検討いたしたいと考えております。
  62. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が参りましたので、それでは強くいまの新潟−いわき間の高速道路の促進をお願いして、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  63. 伏木和雄

    伏木委員長 井上泉君。
  64. 井上泉

    ○井上(泉)委員 最初に、今度の第八次道路整備五カ年計画は、これは渡部議員も言われたように、目的が明確に変更されたわけです。その点について私ども、こうした目的の変更、この改正法の目的というものには賛成をしておるわけでありますし、やはりこの目的に従った道路整備計画というものがこれからの中で進められなければならないわけです。ところが、これはその目的に沿うておるかどうか私ども幾ら質問しても、沿うておるという答弁以外には一向具体的に返ってこないと思うのです。  そこで私は、沿うておるかどうかは別といたしまして、たとえば本四架橋が非常に大きな課題として、これは国土の均衡ある発展の上で本四架橋というのは非常に大きな課題ですが、この三本のルートの中で児島坂出ルート、このルートについては、一体いつ着工のサインが出る見通しであるのかどうか、まずその点をお伺いをしたいと思います。
  65. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘の本四架橋児島坂出ルートでございますが、御承知のように、本四架橋につきましては、一昨年八月に一ルート三橋方式で当面の建設方針が決められ、その線に沿って三橋についてはすでに手をつけて、逐次本ルートの着工に向けて準備が進められておるわけでございます。しかし、本ルートにつきましては、先生御承知のように、環境アセスメントの問題、それからこの架橋に伴う旅客船に対する救済の問題、それからまたそのために職を失う海員の皆様に対する救済措置、そういうようなことを十分はっきりさせた上で着工するということになっておりますので、このアセスメントの問題と旅客船関係の問題を現在鋭意詰めておる段階でございます。  旅客船問題につきましては、実は本日九回目の懇談会を開いたりしておりますし、アセスメントの問題につきましては、現在、昨年の地方公共団体その他の意見を取りまとめて環境影響評価書に仕上げる作業を鋭意やっているわけです。こういう問題をクリアにした上で着工という運びになるわけでございまして、実は三月末、年度いっぱいに着工することをいろいろ当初考えておったわけですが、そういった作業が若干おくれているわけでございます。来年度に入ることはやむを得ないと思いますが、できるだけ早い機会に着工するように最後の努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  66. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういういま局長の言われたような問題等が十分解決した上でこうしたことに踏み切らなければならないと思うわけです。こうしたことが解決しないうちに刺激をするような強行着工とかいうことのないようにひとつ十分慎重に配慮し、そしてまたそのことが定まった場合には、たとえばこのルートについては昭和六十一年か二年にいわば完成の見込みだ、こういうように予定をされておるとかいうようなことも書かれておるわけですが、これはずいぶん気の長い話になるわけなので、そういう点については十分な着工までの事前の準備といいますか手はずを整えて、そしてまた着工することができるようになった段階には早急な完成を目途としていただきたいと思うのです。  ところがこの本四架橋と相関連して、いま渡部議員も言ったのですが、やはり今度の道路整備五カ年計画では、高速自動車道ということも大きな課題の一つになっている。これは大臣がいま説明したわけですが、その課題がやはり、これはローカルのことを言って恐縮ですけれども、たまたま私が四国の高知に住んでおるからそのことが出るわけですが、これは大臣、この地図を見ても、いま局長も言われたが、四国がどうのと、こう言われておるとおり、何もないのです。そこで大臣は、この間の私の質問に対して「四国の高速道路、これはX型を8型にせいというようなことで、そういうものができると大分模様も変わるし、高知と愛媛の間トンネルを抜くようにという皆さん方の御要請で、この間よかろうというようなことも言ったなど、そういうことを頭に置いて見ますると、」こういうふうに言われておるわけですが、やはりこれは、いまのX型というのを8型に変えようと、こういう意思のあらわれとして受けとめておいていいですか。
  67. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 早急にこの8型にということについてはなかなかむずかしいことではないか。現にX型の方も、先ほど来局長が申し上げたように、まだ高速道路として一カ所もできておらないという状況にございまするから、私が申し上げておるのは、そういう四国四県に大変強い要望があるということを私自身が受けとめておるわけであります。そして、順序としてはやはりこのXの中で四カ地点整備計画のできておるところがあると思うのでありまして、その整備計画の策定されている区間の環境調査など、あるいは地域住民などの十分な御理解が得られて、どこからか早く着工すべきが順序であろう。また、基本計画のものの中からやはり整備計画へという御要望もありますから、それを近い機会に審議会で御審議申し上げるというようなことが順序になっていくと思うのでありますが、長い将来を考えて、8型の御要望がある、そういうものをも実現いたせば四国の皆さんがお喜びになると、こういう感じお答え申し上げておるのでありまして、順序よくやってまいりたいと思います。
  68. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは四国の方が喜ぶというのじゃなしに、やはり国土の中の四国のこういう状態に対して、つければ喜ぶ。喜ばすためには、つけなければ喜ばぬでしょう。早くつけることが当然考えられるべきことであるのにかかわらず、高速自動車道についても、いま大臣も言われたような五十八年度以降の供用予定区間というような状態の中で、本四架橋ができて、たとえばどこのルートからでもいい、本四架橋ができた場合は相当量の交通量が激増するわけです。そうなりますと、四国内に入った、島内に入った交通量というものは飛躍的に拡大されるわけだから、そういう点から考えても、この本四架橋と相並行して島内の道路網整備ということは必要ではないか、こういうように思うわけです。  そういう認識の上に立つならば、私はこれは直轄であろうが補助事業であろうが府県道の整備であろうが、そうしたことから考えて、こうした島内の道路網整備ということについては力点を置かなくてはならない地域ではないか、こういうふうに思うわけですが、どうですか。
  69. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のように本四架橋ができる時点で、まあ先ほどの御説明で昭和六十一年に一ルートは完成いたします。本州と結ばれるような姿になった時点で、やはり四国地域の主要な高速道路は、その時点に同時につながるような形に持っていくのが理想だと思います。そういうことで、いま主要区間の整備を急いでいるわけでございますが、たとえば横断道路について申しますれば、現在いち早く手をつけておりますのは南国−大豊間でございまして、路線発表をいたしまして、ようやく五十三年度から用地買収に手がつけられるような状況になりました。そういうことで今後急速に四国にも高速道路整備が進むものと思いますし、また高速道路整備関連して、やはり国道から市町村道までの全体の道路整備水準が上がらなければいけないという面もあります。確かに統計的に見ましても高知、愛媛等の道路整備はおくれておるわけでございまして、やはり今後新しい五カ年計画の中におきまして、またそれからそれに続く中期計画の中におきましても、できるだけその整備の促進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  70. 井上泉

    ○井上(泉)委員 日本の国土全体が道路がおくれておるわけですから、だからそれぞれの地域の問題を提起するのは、これは当然だと思うわけです。  そこで、この道路の施工、建設省の工事全般、公共工事をする場合に、この前私は大臣に、道路工事に伴う建設業に従事する労働者の身分関係というものについて調査を要求してあるわけですけれども、まだその調査は出てきてないのです。相当時間がかかると思うので、そのことはここで言わないわけですけれども、やはり道路工事をやると、今日新しい路線をつけるところには既存の交通量というようなものは考えなくてもいいわけですが、大半のところが道路工事で、既存の道路の、あるいは歩道の設置にいたしましても、あるいは拡幅にいたしましても、非常に交通の激しい中での道路作業で、これは作業しておる労働者にとっても大変危険なことがあるし、あるいは通行人にとっても危険なことが多いわけなので、そういう点で工事の安全という点から、高速自動車道の道路公団に例をとって御質問申し上げるわけですが、道路公団となると新しい道路をつくるわけですけれども、新しい道路をつくる場合においても工事現場における安全、そして道路交通の安全というものをどういうふうにして指導されてやっておるのか、道路公団から御説明を受けたい。
  71. 前田光嘉

    前田参考人 御指摘のとおり、道路をつくります場合にやはり従業者の安全が一番大事でございます。道路公団におきましても、工事の作業の仕方につきまして安全確保のための詳細な要領をつくりまして、現地にそれを示達して、要領に従ってやるように、また必要な施設等につきましては十分設けるように、特に建設業界におきましても、道路公団の大規模事業に重点を置いていると私は考えておりますけれども、業界自身がみずから災害事故の起こらないようにいろいろ配慮し、自分自身でも関係者の訓練及び指導を徹底していくように考えておりまして、今後とも道路関連した災害事故等は絶無を期するように努力したいと考えております。
  72. 井上泉

    ○井上(泉)委員 建設省から工事を受注して工事を施工するに当たって、いわば工程表なりを出して、そこで工事が始まるわけですが、工程表を出す段階において、その工事に従事する労働者の数、技術職員の数、そういうようなものを、およその数字というようなものを提示すれば、その労働者がどういう身分関係に位置づけられておるのか、その辺の調査ができるわけなので、そうしたことを建設省の工事関係ではなすべきではないかと私は思うわけです。道路工事で、技術者だけは出しても、一体これにはどれだけの労働人員を要するものであるのかというようなことについての、労働者のいわば雇用状態というもの、就労状態というものを掌握をするようなそういう取り決めというものは、建設省の工事関係にないのかあるのか聞きたいと思います。
  73. 浅井新一郎

    浅井政府委員 道路工事を計画する場合に、工事の中でどれだけ労働者を吸収するか、それから資材がどういうものか、これはもちろん設計段階で全部チェックいたします。その際に、先ほど御指摘にありましたような工事安全面でのチェックというようなものも、労働、資材それから単価の面でも十分織り込んでおるわけでございます。
  74. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、建設業に従事する労働者で、政府管掌の保険にもあるいは日雇い保険にも加入してない者が圧倒的多数であるということはお認めになっておられると思うし、そのことは労働省自体からも、この間分科会でもその状態を報告を受けたわけですが、私は、労働者のことは労働省だ、保険のことは厚生省だということでなしに、この間大臣にも言ったように、やはり建設省の仕事に従事をする企業は労働者をどういうふうに位置づけておるかということを把握することを考えなくてはならないじゃないかと思うのです。これは道路に限らず、もう全般的なことですけれども、そういう必要はないのか、意思があるのかどうか。
  75. 大富宏

    ○大富政府委員 御指摘のとおり建設労働者の災害が非常に多うございまして、死傷者も全産業の三割は占めている。最近死者は逐次減ったといいましても、全産業から見ますとやはり五割近い死者が建設業関係に出ておるわけでございます。これは建設労働者のうち約一五%くらいが日雇い、臨時工に依存している、未熟練労働者が相当あるというところも大きい要因だと私は思うわけでございます。そういう観点で、労働災害を根本的に防止する基本策は、いま先生御指摘になりましたように、建設業の雇用関係を明確化する、雇用を安定する、適正な賃金を払う、それから健康保険にいたしましてもあるいは退職金制度にいたしましても、そういった労働福祉関係を手厚くしていくということが一番重要なことだと思います。  御案内のとおり、五十二年の七月に建設雇用改善計画というものを決めたわけでございまして、五十五年まで計画的に建設労働者の雇用を改善するという計画が盛られているわけでございますが、ここでは、職業訓練体制を整備するということもさることながら、何といいましても建設労働福祉を手厚くしていくということが基本だと思います。  建設省におきましても、労働省と提携をとりまして、五十二年の二月に、労働災害防止のために、都道府県単位で、建設省の出先機関の工事事務所とそれから都道府県の労働基準局と常時労働情報を交換しながら、災害防止の対策を推進するという仕組みもつくったわけでございまして、今後とも大いに労働災害防止には意を尽くしたいと思っております。
  76. 井上泉

    ○井上(泉)委員 いま局長の言われるようなことが実際に現場で行われていくならば、非常に改善をされると私は思うわけです。  それで、未熟者が多いということですが、これからますます未熟者が多くなる。造船が不況で失職するあるいはその他の産業の不況のために失職する。そういう人たちの救済の道というのは、公共事業によって吸収をしようとされておるわけで、そうすると勢い未熟者が多くなるわけなので、労働安全の監督というか、一定規模の小さな工事現場に、そういう監督員をどうということになると問題だと思うのですけれども、少なくとも現場の作業の安全を確保するだけの指導員だとかいうものは義務づけするようなことを考えてはどうか。義務づけておるかどうか私は承知をしませんけれども。  それから、建設省の方はそうした工事現場における災害については非常に厳しいという話は承知をするわけですけれども、これが府県、市町村、こういう段階になると非常にその辺が緩やかではないか。その点で、工事現場の安全規則といいますかそういうようなものについては、建設省が関係者と協議をして一定の基準を定めて、工事現場でそれを実施さすような、そういうことができないものかどうか。その点について。
  77. 大富宏

    ○大富政府委員 建設省では労働安全衛生法、そういった諸法規を守ることは当然でございますが、そのほかに、労働安全対策といたしましては事務次官通達でも流しているわけでございまして、労働災害防止の観点から、祝祭日とか日曜日というのは適宜休むようなことで、適正な工期を設定しなさいという指導をいたしております。  それともう一つは、工事請負契約における共通仕様書におきまして「土木工事安全施工基準指針」、これは五十年六月につくったわけでございますが、これを共通仕様書に盛り込みまして、請負者はこの指針を参考にいたしまして、災害防止に努める旨を定めているわけでございます。  それからさらに、道路も当然そういうことになっているわけでございますが、積算に当たりまして十分な安全管理費を計上する、こういうことも指導いたしております。
  78. 井上泉

    ○井上(泉)委員 いろいろなことをやっておられると思うわけですけれども、局長もみずからお認めになっておるとおり、圧倒的に未熟者の多いこうした産業の状態であるので、私は、建設産業に従事する労働者の安全というものについては、なお一層適正な雇用関係というものを追求していかねばならないと思うわけです。普通、大きな工事になると下請、下請という関係になってきて、結局、元請の方は災害を受けた労働者との身分関係がないというようなことになって、労働者は労災の面からも非常に不遇な取り扱いを受ける、こういうような形になるわけなので、下請産業に従事する労働者も元請にすべての責任が存在する、つまり労働上起こる問題についてはすべて元請に責任がある、こういうことは当然なされておるものだと思うわけですが、どうなっておるでしょうか。
  79. 大富宏

    ○大富政府委員 建設労働者の雇用の改善等に関する法律、先ほどちょっと申し上げましたが、やはりここで非常に大きい柱になっておりますのは雇用管理体制を整理するということでございまして、元請関係に雇用管理の責任者を置きまして末端まで掌握するということを法律上も定めておりまして、こういうことを十分現場末端において実行するように、私ども指導したいと思います。
  80. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そのことは、建設工事現場で働いておる労働者は、下請関係がどうあろうとも、その労働者における問題についての責任というのは元請に存在をする、こう確認をしておっていいわけですね。
  81. 大富宏

    ○大富政府委員 元請の定めますところの雇用管理責任者が責任を持つということでございます。
  82. 井上泉

    ○井上(泉)委員 元請がそういう雇用管理者の責任を持つということは、これはやはりその元請会社の者ですから元請が責任を持つ、こういうふうに私は理解をしておって間違いないじゃないか、こう思うので、あえてこのことは追及いたしませんが、この前大臣に、少なくとも大手の建設業者の中で本当に現場で働いておる労働者と正規に雇用関係を結んでおるものはどれだけあるかという調査をお願いをしたわけですが、大臣そのことの指示はなされておるのでしょうか、まだだめでしょうか。
  83. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 指示をいたしましたが、まだ調査が済んでおりません。私の手元に報告が来ておりませんので、きょう重ねての御質問でありまするから督促をいたします。
  84. 大富宏

    ○大富政府委員 前回御指摘を受けまして、私どもまだたとえば大林組とか鹿島建設、大成建設といった職員の身分を持っている者だけのところでございまして、これら大手の建設会社が雇用している下請の段階まではまだ調査が進んでおりません。
  85. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは、大手のなにが雇用しておるということは、いまそういう大手の会社は職員がおって、実際労働者を雇用していない、労働者を雇用しておるのは下請の関係者である、そういうことがいわば公然たる事実である、こういうように私は理解をしておるわけですが、いま局長の言をかりましても、やはり大手の建設業者としては直接現場労働者というものとの雇用関係は非常に少ないという認識を私はしておると思うのですが、認識しておりますか。
  86. 大富宏

    ○大富政府委員 そのとおりでございます。したがいまして、いわゆる専属下請と称するところの調査まではまだ及んでおりません。
  87. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは、専属下請というのは私もおおよそ若干の知識はあるつもりでしたけれども、こういう専属下請という——国が発注した工事について大林なら大林、鹿島なら鹿島、大成なら大成に発注をしている、それが専属の下請にその仕事をさすことについては、専属の下請と元詰との関係というものは建設省段階ではどういうふうな取り扱いなんですか。
  88. 大富宏

    ○大富政府委員 おのずから建設業主体としては別個でございますから、元請や、鹿島なら鹿島という場合、専属下請の建設許可業者の下請業者にさらに発注するということであれば、それはまた下請の会社ということになるわけでございます。
  89. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そうするとその専属の下請業者というものは、これは大成なら大成、大林なら大林の大手の業者が専属の下請を幾つか持っておる、こういうことですか。
  90. 大富宏

    ○大富政府委員 大手総合建設業者、まあ規模にもよると思いますけれども、専属下請という言葉はもっぱらその大手の業者に依存する率が非常に高いということでございまして、多かれ少なかれ、そういった専属下請というものは持っておるわけでございます。
  91. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それではさらにお尋ねするわけですが、この専属下請というのは、これはやはり下請にさしちゃいかぬという決まりがあるのと違うんですか。私の乏しい知識では、建設工事の下請というものを排除しておるようによく聞くわけですけれども。
  92. 大富宏

    ○大富政府委員 発注しようという仕事にふさわしい会社であれば、専属であれ専属でなくても下請発注していいわけでございますが、その場合でも、あくまでもやはり建設業の許可業者であるということと、たとえば建設業法に書いておりますように、施主の承諾を得ないで一括下請するとか、建設業法上の禁止規定はもちろんこれはだめでございますけれども、その他につきましては一般の請負と同じことでございます。
  93. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、受注は大手の建設会社が受注はした、仕事はそれぞれ建設業として登録を持っておる業者に下請をさす、こういうことになると、こういうことが合法的であるということになれば、私は発注の段階で大手業者に往々にして非常に下請は搾取をされるわけ——搾取という言葉が悪いかもしれぬけれども、ピンはねされるということをよく聞くわけですが、そういうように下請にやらせる企業なら、部分的に分割をして中小業者にも発注の機会を与えるようなことが当然考えられるではないかと思うんですが、そういう考え間違うておるでしょうか。
  94. 大富宏

    ○大富政府委員 受注しました仕事の内容、地域によって相当異なると思いますけれども、建設省の指導方針といたしましては、なるべく地元業者を優先して発注しなさいというような指導をしているわけでございますから、私、専属という言葉を使いましたけれども、いまこういうぐあいに仕事量が限定されておる場合、必ずしも下請業者が、ある大手だけに一〇〇%専属しているという形態は非常に少なくなってきたと思いますが、まあ大手建設業者に対する依存率が非常に高いものを私は一応専属と申したわけでございます。必ずしも仕事の内容で、大手が引き受けたものは必ず専属下請の方に仕事が回るということじゃないと思います。
  95. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その建設業に従事をする労働者の身分関係というものが不安定な一番の根源というものは、私はこの大手業者が持っておる専属下請制度にありゃしないかと思う。そういう下請工事を主体とするような工事形態というものについて、さらにそういう大手業者の下請に雇用されておる労働者の身分関係というものが非常に劣悪な労働条件に放置をされておるということから、下請業者を監督するというか指導するところの道というものは、発注者側には現在のいろいろな契約条項等の中にも規制されたものはないんでしょうか。
  96. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 建設省の直轄の場合につきまして申し上げますと、毎年度予算が成立をいたしまして予算の執行通達を出すわけでございますが、その際には、不適正な条件による下請及び不必要な重層下請がなされないよう請負業者を指導するということで、徹底を図っております。  さらに、発注をいたします際に現場説明をいたすわけでございますが、その際に、下請関係の適正化ということについて特に説明をいたしまして、その履行の状況を見守るというようなことをやっておる次第でございます。  なお、下請関係につきましては報告を求めることができるわけでございますが、その報告を求める内容につきまして、どの程度の範囲で求めることができるかという点は、建設業法並びに標準請負約款との関係でいろいろ問題があるようでございますけれども、われわれとしてはできる限り、発注者においても下請関係の適正化を図るために、下請条件等についての報告を求めるように努力をいたしておるところでございます。  なお、昨年末、建設省に二百二十ほど工事事務所がございますけれども、そのうち一億円以上の工事につきまして各事務所一人ずつ、数にいたしますと、百七十六になったわけでございますが、それについて下請関係の調査をいたしまして、現在その結果を集計中でございます。その調査結果を得まして、さらに下請関係の適正化について発注者の立場からも指導するようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  97. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私もその下請というものが、オールこれが必要なし、こう言うわけではないわけで、いろいろ専門的な下請作業のできる、たとえばとび職だとか鉄管工だとかいうようなものが存在するわけですから、そういうことからも下請というものの存在の必要性というものは建設業の中で認めるものですけれども、その下請労働者の雇用関係が、大手の業者が自分が労働者を抱えておったらしんどいから、うるさいから、まずそういう関係は全部下請に任す、こういうやり方であるのが気に入らぬわけで、そのことが建設作業の労働者に災害事故が非常に多い、利潤追求の中で、安全を確認せぬで作業をする、そういう中で労働災害というものが建設業に圧倒的に多いという証拠になっておると思うので、そういう点については、なお一層建設産業に従事をする労働者を、少なくとも不況回復の目玉と言われておる公共事業に従事する労働者ですから、この労働者の身分関係というものがより一層確実に保護されるような、積極的な建設省としての意欲を持った取り組み方をしてもらいたい、かように思うわけなので、その点について大臣の意見をお聞きしておきたいと思います。
  98. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先ほどから担当者からお答えを申し上げているように、五十二年七月に建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づいて定められた建設雇用改善計画が出されております。そして、いまの御趣旨のとおり、建設業の雇用の明確化、あるいは管理体制の整備、あるいは訓練がきわめて重要である、そういうことによりまして労働災害を未然に防止してまいりたい、これは建設省として確たる方針でございますので、申し上げておきます。
  99. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは計画局の方でも今日の建設業の問題点というものを明確に把握をしておるのでありまするから、私はこの把握をしておることが実際に第一線で実行されなければ意味をなさない、こう思うわけです。そして建設業自体が受注産業であるということから、幾ら雇用しておっても仕事がもらえなかったらその雇用した人は遊ばさなければいけない、だから受注したときどきに労働者を雇用するというような関係がよけいに労働条件を悪化しておると思うので、そういう点についても、やはり一定の資格要件を備えてやって、そして一定の労働者を抱えておる建設業というようなものが、そういう受注の機会を得ることができなくて倒産をするとか、建設業の倒産にはいろいろありましょうが、倒産するとかいうことのないような行政上の配慮というものが望ましいのではないか。職人は五人か十人しかおらぬで、社長はゴルフに走り回っておる。そしてあっちこっちで借りて倒産をするというような悪質な業者ならいざ知らず、自分みずからも第一線に立って働かねばとても中小建設業というものはやっていけないわけですが、そういう中小建設業というものが、大手の支配の中で受注の機会を失うというようなことになると、私はたまったものじゃないと思う。そういう点からも中小企業の建設業に対する指導育成、さらには建設現場の労働者の労働条件の改善、こういうふうなことについて、さらに意を用いて積極的に進めていただきたい。  特に建設省段階では非常に厳しいという話を聞くわけですけれども、府県の段階ではそういうことが案外なおざりにされておる。公共事業の数は、国がやるのと地方公共団体がやるのと、言えば地方公共団体の方が数が多いくらいですから、そういう点からも、地方公共団体の、地方自治の自主性と言えばそれまでですけれども、やはり建設省が十分な指導をなされるよう強く要望して私の質問を終わります。
  100. 伏木和雄

    伏木委員長 北側義一君。
  101. 北側義一

    北側委員 今回の第八次道路整備五カ年計画の策定に当たりましては、昭和五十年代の前期計画と、先般閣議決定されました第三次全国総合開発計画、この整合を図ってつくられた、このように言われておるわけです。  そこで、この五十三年度を初年度として二十八兆五千億、このような膨大な総投資規模になっておるわけでありますが、五年後の昭和五十七年においては、現在の道路状況はどのように変化してきておるのか、それをわかりましたらまずお伺いしたいと思います。
  102. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  まず高速自動車国道でございますが、これにつきましては、五十二年度末で二千二百二キロの供用になる予定でございます。これを五カ年間に千二百八十八キロやる予定にいたしておりまして、五十七年度末には三千四百九十キロになる予定でございます。  それから一般道路につきましては、国道から市町村道まで合わせまして、一次改良、一次改築の延長は二万五千二百キロやる予定にいたしております。それから二次改築を三千二百キロやる予定にいたしております。  この結果、整備率といたしましては、まず改良率が五十七年末の状況で国道は九二・五%の改良率になります。それから都道府県道が六八・八%、幹線市町村道が四三・一%の改良率になります。それから舗装率を申し上げますと、舗装率は国道が九六・九%、都道府県道が八五・三%、幹線市町村道が五五・四%という姿になるように想定いたしております。
  103. 北側義一

    北側委員 この前期経済計画について、実は一月二十五日の代表質問の際に、福田総理がわが党の竹入委員長に次のように答弁なさっておるわけです。前期経済計画は策定後二年間でずれが生じてきており、それを踏まえて見直したい、このように前期経済計画は見直しをしたいというような発言があったわけでありますが、そうしますと、それをもとに策定されましたこの道路五カ年計画、これに影響が出てくるのではないか、このように私自身は考えるわけですが、それについて影響が出た場合には、この道路五カ年計画も見直しをされるのかどうか、そこはどうでしょうか。
  104. 浅井新一郎

    浅井政府委員 前期経済計画との整合性につきましては、現時点で五十年代前期経済計画が一応ああいう形で決められて、各事業の長期計画があれに基づいて決められておるわけでございますので、第八次の五カ年計画もこれにすり合わせてできておるわけでございます。  しかしながら、五十年代前期経済計画につきましてもいずれ見直しの時期が来るのかもしれませんが、そういうことで中身が見直された段階では、計画中身をチェックいたしまして、一応改定の時期は、事業計画の前倒し的な使い方もいろいろあるわけでございまして、時期についてはかなり幅があるわけでございますが、必要な中身が食い違ってまいったというようなことでございますれば、その時点で新しく計画を練り直す、中身を見直して必要な改定を行うということはあり得ると考えております。
  105. 北側義一

    北側委員 特に今回のこの第八次計画で見てみますと、地方単独事業、これが前回の第七次計画に比較しまして非常に伸びておるわけです。それが約一・六倍、金額で七兆五千億、こうなっておるわけです。計画の全体の伸びは一・四六倍ですから、地方単独事業にいわゆる重点配分がなされておる、このように思うわけです。  しかし、現在の私たちが心配いたしますのは、地方自治体の財政事情、これを考えますと、果たして七兆五千億ものそういう計画がスムーズに実行に移されるのか、そういう疑問を私自身は持っておるわけです。御承知のとおり、この地方単独事業以外にも地方のいわゆる負担金、そういう持ち出し分がずいぶんあるわけです。その財源はやはり、後から財源の問題に少し触れますが、大半を一般財源、これで求めていかなければならないわけです。そういうことを考えた場合に、この地方の財政負担、これを少しでも軽減するような施策がなければ計画が達成しないのではないか、こういう危惧を私自身は持っておるわけなんですが、その点についてはどうお考えですか。
  106. 浅井新一郎

    浅井政府委員 第八次の五カ年計画二十八兆五千億の中で、御指摘のように、地方単独事業が七兆五千億というふうに計上してありますが、これは第七次の五カ年計画の地方単独事業の実績シェアに大体見合うものでございまして、そういう意味から言いますと、これは現時点での財源措置で実行可能というふうに見ておるわけでございますが、国と地方両方見まして、やはり財源措置は今後非常に大きな課題であろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、五十四年度の予算編成時点までに中身を固めることになっておりますが、その時点で国、地方の特定財源中身、それから一般財源中身等十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  107. 北側義一

    北側委員 自治省お見えになっておると思うのですが、自治省どうですか、地方自治体の財政事情から勘案してこの七兆五千億というのは。
  108. 小林実

    小林説明員 ただいま建設省の方からもお話があったわけでございますが、地方道整備がおくれておりまして、今度の計画におきましても大幅に伸ばしていただいておるわけでございます。第七次の五カ年計画では四兆七千億でございましたが、ほぼ一〇〇%近い事業事業費規模で消化することができたわけでございます。第八次におきましても、道路目的財源強化とか、あるいは交付税措置を主体といたしまして達成できるように努力をしたいというふうに考えております。
  109. 北側義一

    北側委員 特定財源強化という問題をいま言っておられるわけですが、たとえば建設省が第八次五カ年計画財源見通し案でこのように言っておるわけですね。財源内容、いわゆる国費で特定財源が六兆六千百億円、一般財源が国費で四兆二千五百二億円。そうしますと、特定財源は六一%見込んでおられるわけですね。地方費につきましては、特定財源が四兆八千十億円、一般財源が五兆四千二百二十一億円。こう見ますと、国費の方では六一%と特定財源は非常に多いわけですが、地方費になりますと一般財源が五五%と非常にふえてきておるわけです。現在のようなこういう低成長の時代に、いわゆる燃料消費量、また自動車の保有台数は、先ほど来お話ありますとおり、やはり伸び悩みが予想されておるわけです。五十四年度のいわゆる予算編成時までに所要の検討をして財源措置を講じる、こうなっておるわけですが、そこらについて見通しはどうなんでしょうか。
  110. 浅井新一郎

    浅井政府委員 今度の五カ年計画特定財源比率でございますが、先ほど先生からお伺いした数字は概算要求時点の数字で若干違っているとも思いますが、国の分が、これから細かい積算をしなければいかぬわけですが、大体八〇%程度になるわけでございますが、地方費について見ますと、財源比率が大体六〇%というふうに試算しております。  第七次の五カ年計画のときの地方費の特定財源比率は計画段階で三六%でスタートしておるわけでございます。それに比べますと、かなり特定財源比率が高まっているわけです。実績でも五三%ということで。そういうことから考えますと、特定財源がかなり十分に充てられているということになります。地方の道路財源といたしましては、この地方道路譲与税等の特定財源のほかに、いわゆる自動車関係の諸税が入っているというようなことがございます。そういうようなものを十分に生かしながらやっていけば財源的には何とか手当てができるのではないかというふうに考えておりますが、これは自治省のお答えになることかと思います。
  111. 北側義一

    北側委員 大蔵省お見えになっておると思うのですが、昨年の十月四日に税制調査会が福田総理に提出いたしました中期税制答申の中で、自動車関係諸税、「特に従量税ないし定額税により課税されるものについては、所得、物価水準の推移に応じ随時負担の見直しを行うことが必要である。」このように言われておるわけですね。今後の税制改正で増税を検討しておるのかどうか、その点どうでしょうか。
  112. 水野勝

    ○水野説明員 ただいまの先生のお話もございましたように、税制調査会としては、そういう税負担が適正な水準に維持されるように常々検討しろと言っておるわけでございまして、私どもといたしましても、税負担水準の推移、外国のそういった負担水準との比較それからまた道路整備財源の需要、そういったものを常々検討いたしまして、その答申の趣旨に沿うように勉強をいたしておるところでございます。
  113. 北側義一

    北側委員 自動車関係諸税は五十一年度に改正されておるわけです。たとえば自動車重量税を見ますと、五十一年五月に改正されまして、自家用車で〇・五トンにつき年間五千円であったものが二六%アップいたしまして六千三百円、こうなっておるわけです。その他、揮発油税などもそれぞれ二五%から約三〇%増税されております。そこで道路財源を確保するための税制改正がなされたわけでありますが、そうしますと、第七次計画の最終年度に当たる五十二年度の財源は十分満たされておるのではないか、このように私は思うわけです。しかし、五十二年度当初予算の特定財源収入は、五十一年度に比べまして一・一四倍、これしか伸びていないわけです。また五十二年度の一般財源からの受け入れ額に含まれるべき自動車重量税収入の八割相当額を計算しますと二千三百十二億円、こうなるわけです。一般財源一千四百一億円。九百十一億円少なくなっておるわけですね。この九百十一億円の使い道を明確にしておかなければ、今後仮に増税があって、自動車関係諸税を納税する人たちが納得がいかないのではないか、このように私は考えるわけですが、それについてはどうなんでしょうか。
  114. 浅井新一郎

    浅井政府委員 五十二年度、五十三年度の道路財源について考えてみますと、五十三年度で従来の重量税の国分の八割で投入すべきものはほぼ投入いたした姿になっております。したがいまして、現時点までで考えますと、道路財源は、大体ガソリン税と、重量税の国分の八割相当額だけで道路整備事業全体がやられているという姿に一応なっておるわけでございますが、先ほどもお話ございましたように、一般財源の投入ということも道路事業を遂行する上に当然ある範囲は考えてしかるべきだとわれわれも考えておるわけでございまして、今後その辺のバランスをどうするかということは十分慎重に検討してまいりたいと考えております。
  115. 北側義一

    北側委員 いまの答弁ちょっとわからなかったような感じもするのですが、私の質問と少し違うような答弁が出たように思うのです。  私申しましたのは、五十二年度の当初予算の特定財源の収入が、増税されましたけれども、五十一年に比べて一・一四倍しか伸びていないわけです。計算しますと、五十二年度の一般財源からの受け入れ額に含まれるべき自動車重量税収入の八割相当額が二千三百十二億になるのですよ。一般財源が一千四百一億円。九百十一億円が少なくなっておるということを私言っておるわけです。この九百十一億円についてはどういうふうに使われたのかということを聞いておるわけです。
  116. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘の九百十一億につきましては、五十二年度二回にわたる補正をやっておりまして、その補正の財源として見られておりますので、そういうものを全部差し引きしますと、先ほど申し上げましたように全部道路財源に使われておるということでございます。
  117. 北側義一

    北側委員 今回のこの計画を見ますと、特に道路交通の安全確保、生活基盤整備生活環境改善国土発展基盤整備、維持管理の充実、この五つ施策目標が柱になっておるわけですが、第七次計画と比べてみてどういうところが主な相違点か、それを述べていただきたいと思うのです。
  118. 浅井新一郎

    浅井政府委員 今度の五カ年計画と七次五カ年計画と比べますと、いろいろな点に特色を持っていると思いますが、その主な点といたしましては、従来の高度成長を背景とした長期構想を抜本的に見直しまして、安定成長への移行ということを原則にいたしまして、長期構想を二十一世紀初頭ということで新たに設定いたしまして、これに基づいて策定する五カ年計画という考え方をとったわけでございます。そういった長期構想の中で、特に緊急を要する事業を着実に投資効果の上がるように積み上げていくといったような姿に中身はなっておるわけでございます。  たとえば高速自動車国道につきましては、第七次の計画では五十八年度までに七千六百キロという非常に早いペースのものを考えておったわけでございます。今度の計画ではこれを大幅にスローダウンいたしまして、五十七年度までに三千五百キロという計画に縮小いたしております。これもまたやむを得ないことだと思います。  また、七次の計画一般国道の一次改築昭和五十二年度までに概成するという目標を掲げておりましたが、今回はこれを六十年度以降に延ばすといったようなことで、全体の計画は七次の計画に比べますとペースダウンせざるを得なかったわけでございますが、事業内容といたしましては、その中で特に緊急を要するバス路線事業だとか、防災対策だとか、歩道整備というような必要なものをなるべく前倒しでやっていくように配慮しながら、効率的な整備を図ることといたしておるわけでございます。
  119. 北側義一

    北側委員 これは概算要求のときの資料だと思うのですが、ここに「施策事業費内訳」というのがあるのです。いま私が申しました五本の柱がここにあるわけです。概算要求のこれで大体わかりますか。そのほかにこういうものがあるのでしょうか、はっきりした見通しのものが。
  120. 浅井新一郎

    浅井政府委員 実は概算要求の資料をつくったわけでございますが、これは二十八兆五千億ということで要求いたしております。全体の規模としては二十八兆五千億ということで決まったわけでございますが、その後予備費等の取り扱いで中身が若干動いております。総体の数字としてはそう大きく狂っておりませんが、ごく最近、まだこれは五カ年計画が正式に閣議決定するまでに数字が動くものでございますが、その中間的な数字として持っているものがございますので、またお手元に届けたいと思います。
  121. 北側義一

    北側委員 私はそれをいただいてないので、一応この概算要求の資料で第七次と第八次とを比較してみたわけなんです。そうしますと、道路交通の安全確保、これが第七次で構成比が二三・六%、第八次で二四・五%、少し上がっているんですね。二番目、生活基盤整備、これの構成比が第七次で二七・五%、第八次が二六・五%。第三番目の生活環境改善、これの第七次の構成比が一二・一%、第八次が一三・五%、これも少し上がっています。国土発展基盤整備、第七次の構成比が二〇・九%、第八次の構成比が一九・九%。五番目の維持管理、これが第七次が一五・九%、第八次が一五・六%、このようになっているんです。予算面のいわゆる「施策事業費内訳」から見ますと、第七次も第八次もそう大きく変わったようには思えないわけなんです。その点はどうなんでしょうかね。
  122. 浅井新一郎

    浅井政府委員 第七次の五カ年計画事業の項目そのものは今度の事業項目とそう違ったわけではございません。したがいまして、ああいうふうに五つ施策別に分けますと、施策別のシェアはそれほど動いていないわけでございます。  しかし、この五つ施策はそれぞれが皆重要なものでございまして、どの施策をもって最重点にするというような考え方は持っていないわけでございます。この五つ施策バランスよく進めていくという考え方中身をチェックしておるわけでございまして、したがいまして、事業種類を一応こういうカテゴリーに分けて比較してみますと、シェアとしてはそう変わっておりませんが、中身の、たとえば交通安全確保の事業につきましても、防災事業等の仕事はぐんと伸びているというようなこと、それから歩道整備についても七次に対して伸び率は非常に高いというようなことで、この中の個々の事業種別で見ていただきますと、若干その色合いがはっきりするというふうに思っております。
  123. 北側義一

    北側委員 よくわかりました。  次に、先般建設省が地方有料道路百十路線について五十一年度の営業分析をなさったそうですが、その結果はどうなんでしょうか。
  124. 浅井新一郎

    浅井政府委員 地方の有料道路につきましては、最近建設費が過去の石油ショック以来の非常な値上がり等もありますことと、それから開発に基づくいろいろな誘発交通量等を期待して、料金収益が相当上がるというような見込みについて若干そごを生じたというようなこともありまして、採算性が全般に非常に落ちてきているというのが実態でございます。そういうことから昨年度、地方の道路公社並びに地方公共団体のやっております地方の有料道路について、採算性をいろいろチェックしたわけでございます。  それによりますと、まず地方公共団体のやっております供用中の路線が六十二路線ございますが、その中で、五十一年度だけに限って、その収支差で年間五億以上の赤字を生じておるようなものにつきまして見ますと、地方公共団体は六十二路線調べましたが、一方、地方道路公社についても四十八路線調べておりまして、地方道路公社の方で四カ所ございます。それから、同じく年間二億五千万ないし五億の赤字を生じておりますところが、それぞれ地方公共団体一カ所、地方道路公社が一カ所というふうになっております。  さらに、今度は五十一年度までの収益差の累計で見まして、その時点までで赤字が相当多いものを調べてみました。それで見ますと、十五億以上にも達するものが地方道路公社では一カ所、地方公共団体ではありません。それから、十億から十五億の赤字になっているものが地方道路公社で一カ所というようになっております。そのほか、赤字の規模別に細かく数字を持っておりますが、もし何なら細かく御説明したいと思います。
  125. 北側義一

    北側委員 いま私もいただいた資料によりますと、累計差で六十二路線が赤字になっておるわけですね。ひどいのは、いま言われたとおり十五億以上のものが地方道路公社の一件、また十億から十五億のものが一件、このように出てきておるわけですね。建設省として、こういう路線に対してどのような対策を講じていかれるのか、そこらをお伺いしたいと思うのです。
  126. 浅井新一郎

    浅井政府委員 これらの赤字路線は、先ほど申し上げましたように、建設費の増大と交通量の伸びの停滞によってだんだん採算が悪化してきたわけでございますが、これにつきましては、供用中の道路については、料金をアップしていけるものは料金の改定あるいは経営の合理化等を行う、それから工事中の道路につきましては、一般道路事業と施行区分調整をするということで、一般道路事業を区間的に取り入れるというようなことも含めまして、なるべく採算的にやっていける範囲のものにするといった措置をやっていくというようなことをしながら、現在採算の改善に努めているところでございます。  こういうことによりまして、大部分道路については収支の均衡が図れるわけでございますが、なお一部路線につきましては、これだけの措置だけでは収支を均衡させることが著しく困難であると予想をされるわけでございます。そのために昭和五十三年度予算におきましては、国の無利子貸付金の貸付率を、採算悪化の程度それから道路の性格等を勘案しながら、五%から三〇%の範囲で十二路線について引き上げるというふうなことをいたしまして、また同時に、地方公共団体におきましても、その出資金の出資率を引き上げるというようなことで、あわせてこういった有料道がやっていけるような姿に持っていきたい。  なお、建設省といたしましては、地方的幹線道路整備を推進する上におきまして、こういった有料道路制度を活用することが今後とも必要であるというふうに考えておりますので、先ほどのような措置を講じながら今後とも有料道路の採算を確保しながら、引き続き有料道路整備をやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  127. 北側義一

    北側委員 それでは、先ほど大塚委員都市局長にお話しになっておられたのですが、いわゆる街路の問題なんです。というのは、たとえば私一つの例を申し上げますと、大阪に長柄堺線というのがあるのですね。天満橋筋六丁目から墨江中八丁目約十二・八五キロ、これが幅員を四十メートル拡幅するというのです。都市計画決定された年月日は、昭和二十五年三月三十一日なんです。先ほど大塚委員もおっしゃっておられたとおり、この道路は両翼にずっと商店街なり民家が建っておるわけです。とてもじゃないがこれは拡幅できるような見通しは全然ないわけなんです。ところが、都市計画法の五十三条の第一項また五十四条、これによって、いわゆる建物が二階以下であること、また地階を有したらいけない、主要構造物がいわゆる鉄筋コンクリートの場合は都合が悪い。実際古い町並みですから、鉄筋のコンクリートの建物がすでにもうずっと並んでいる場所がいっぱいあるのです。雨漏り等いろいろしますので、早く建てかえたい、こういう意見が非常に強いのですね。ところが、これはどうにもならない。いつまで一体待ったらちゃんとなるんでしょうかなんてよく私のところへ言ってくるのです。また大阪市のいわゆる建築局の方に行きますと、これは国の問題だから国に言ってもらわなければどうにもならぬ、こういう返事しか返ってこないのです。先ほど大塚委員質問に対して、検討する、このような御返事があったのですが、これはやはり早急にやるべき必要があるのではないかと思うのです。  というのは、ここの、いま私が申し上げました長柄堺線というのは、これは絶対見通し立っておらないんです。もしやるとしたら、莫大な用地買収から、営業補償から、立ち退き料、大変な金額で、とてもできそうな額じゃないのです。先ほど答弁なさっておられましたが、再度ひとつこの問題につきまして、できたら大臣も、これは先ほど来大塚委員お話しになっておられるので、ずいぶん聞いておられると思いますので、御答弁いただけたらありがたいと思うのです。
  128. 小林幸雄

    小林(幸)政府委員 都市計画法の五十四条では、いま御指摘のように、当該建築が都市計画施設等に関する都市計画に適合し、またはその建築物が次に掲げるような要件に該当し、かつ容易に移転し、もしくは除却することができるものであると認めるときに許可をしなければならぬ、こういうことがございまして、その各号と申しますのは、いま先生がおっしゃいましたように、階数が二以下でかつ地階を持たない、それから主要構造部が木造、鉄骨づくり、コンクリートブロックづくりその他これらに類する構造であることというふうになっておるわけでございます。  そこで、これは少し厳し過ぎるのではないかということで、二つといいますか、三つといいますか、議論があるわけでございますが、一つは、金をつけてどんどん街路工事をやってりっぱな町並みにしろ、こういうことが一つございます。それからもう一つは、とにかくその計画はもう変更してしまえ、現状に合わせて、できぬことをいつまでも計画だと言って制限しているのではひどいじゃないか、幾ら幹線でも計画の幅員を狭めたらどうか、こういうふうな議論が一つ。もう一つは、そこまではいかぬけれども、とにかく幹線で計画は大事なものであるということはわかるから、とりあえず街路を広げるまでの間は、制限が厳し過ぎる、もう少し法律の要件を緩和できないか、これは法律改正という問題も一つございます。もう一つは、運用上の問題としまして、たとえば、将来街路工事がある場合は、自分で費用を負担するから、この制限にかからない、もうちょっと制限以上の建物を建てさせてくれ、こう言ってきたら条件づきで許可したらどうかとか、あるいは三階建てぐらいまではどうかとかいうふうな、まあいろいろなやり方、要するにこれは緩和ということでございます。  そこで、まず一番最後の緩和の問題でございますけれども、これはいろんな議論があることは先ほど大塚先生もおっしゃいましたように事実でございます。ただ、どうもやはりむずかしい点がある。たとえば木造の三階建てはいいじゃないか、これは建築基準法の方で問題がある。それから、先ほど申しました、将来街路工事がある場合には、もう文句言わずに自分で負担するから、いつのことやらわからぬのだから、りっぱな建物を建てさせろ、こういうことにしましても、これを許可条件にするということはやはり相当問題がある、疑義がある。これはなかなかやはりむずかしい。議論はございますが、どうもやはりむずかしいということでございます。  そこで、計画変更して狭めたらどうかという問題でございますが、これは本省の問題と申しますよりは、認可はございますけれども、御承知のとおりやはり都市計画は、これは第一にその都市自体の問題でございます。したがって、そこの市民の中でそういう声がはい然として起こってきまして、また、この直接の許可権者である知事なりなんなりが、あるいは責任者である市長なりが、どうもこれはやむを得ぬ、将来の都市構造を考えれば、これはやはり計画としてはとっておくべきであるけれども、まあいろんな事情からこれはやむを得ぬ、そういうふうなコンセンサスができまして、そういうものの認可申請が上がってくる、こういうふうなことになりますと、それは所管大臣である建設相としても、幾ら市民の合意であってもそんなことはだめだというふうに、これは事務的には言い切りたいところでございますけれども、これはなかなかむずかしい問題があると思います。  そこでやはり私どもは、どうもお答えにならないようなことで申しわけございませんけれども、第一の方法といいますか、相当街路予算も明るくなってきましたので、やはり重点的に投資をする。そこで路線全体に同時に着工するということはなかなか無理であっても、部分的に、街区単位ででも、とにかく仕事を始めるというふうなことをやはりこれからは考えていかなければならぬじゃないかということが一つあると思います。  それからいま一つは、この沿道の建物につきまして中高層化が行われるというふうな場合には、できる限りこれに応じられるように、街路事業費の重点配分はもとよりでございますが、先行取得制度あるいは都市開発資金の活用というふうな手段を使いながら、できるだけこれは前向きに、少しでも、部分的でも、実施していきたいというふうに考えておるわけでございます。  なおまた、現行制度で果たして十分か、街路事業というものと、言うなればいまの中高層化というふうな問題でございますが、これは一種の線的再開発みたいな問題でございますが、その辺のところについて制度上の議論もいろいろあるわけでございまして、この辺につきましても、うまい組み合わせ方法がないか。街路事業とまた線的な都市改造、こういうふうな意味で線的再開発とでも申しますか、何か有効なシステムはないかということは、私どもいろいろ目下議論はしておる段階でございます。  そういうことで、まことにどうも百年河清を待つような話じゃないかとおしかりをこうむるかもしれませんが、いろいろと努力はしておるつもりでございますし、今後もそういうところにつきましては重点的に予算配分を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  129. 北側義一

    北側委員 改良事業は、御存じのとおり三分の二国が補助して、三分の一地方が持っておるわけですが、これは私一つ路線だけ申し上げたわけですが、実際はそういう街路がずいぶん方々にいっぱいあるのですね。そういうのを、できたらやはり一度、都市計画決定されてどれぐらいたつのか、またこれからどれぐらいたつとこの街路が完成するのか、そこらを本当は調べていただくと非常にありがたいと思うのです。そうしないと、やはり実際問題としては、私らの見た目ではこの街路なんかは全然仕事をやろうといったって無理です。そういうところはいっぱいあるんです。そういうところはいっそのこと計画を廃止した方がいいんじゃないかと思うのです。そういうことで要望だけしておきます。  次に、これは建設委員会で前に一遍視察したことがあるんですが、近畿自動車道、これについて、吹田から天理、吹田と松原間二十七キロ、この建設工事が非常におくれておるわけです。  この整備計画が決定されたのが昭和四十三年三月六日ですから、かれこれもうじき十年になるわけですね。いまだにこれが供用開始されておらないわけです。おくれた原因というのは、荒本−松原間の十・六キロ、これに遺跡が散在しまして、それの調査に非常に時間がかかっておる、このように聞いておるわけですが、私自身は埋蔵文化財の重要性、これは否定するわけではないんですが、やはりこの問題は各地で非常に工事の進展の支障になっておるわけなんです。そういう点でひとつやはり、この問題で合理化、また効率化を図る観点から、私思うに、関係省庁間で早急に対策を講じなければいけないのじゃないか、こういう考えを私自身は持っておるわけですが、まずその点について、建設大臣、どうでしょうか。
  130. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘の区間でございますが、近畿自動車道は吹田−松原間のうち、いま通っていない区間のうちで東大阪北から荒本間二・二キロにつきましては、阪神高速道路の東大阪線に合わせて供用することを目途に、現在、五十二年度から工事にかかっておりますので、これはいずれ開通になるわけですが、御指摘の荒本−松原間、これにつきましてはほぼ全域にわたって遺跡があるわけでございます。これは十三遺跡というふうになっております。昭和四十六年以来、日本道路公団が文化庁、大阪府教育委員会と発掘調査について協議をしているところでございます。そのうち一つだけ長原遺跡についての調査が今年度末ようやく終わる状況にあるわけでございまして、まだ十二残っているということでございます。  荒本−松原間の近畿道は御指摘がありましたように、近畿圏の幹線道路網において、大阪と和歌山、奈良、あるは中部圏等を結ぶ枢要な役割りを果たすべき道路でありますので、早急に供用する必要があるわけでございます。そういうことで急ぎたいわけでございますが、現在まだ、残る十二遺跡のうち瓜生堂遺跡だけについて発掘調査に関する契約を日本道路公団と大阪府教育委員会が取り交わした段階でありますので、他の遺跡についても道路公団及び大阪府において早急に調査方針を取りまとめて調査に着手するよう強く要請してまいるつもりでございます。
  131. 北側義一

    北側委員 いま言われたとおり、まだあと十二残っておるというのですね。これはこのままいったら、名阪ができておりますね、松原インターから天理まで。あれとやはり結びつかぬとこの道路は余り効果はないのです。どうですか、いまの見通しとして、ちょうど公団の総裁もお見えですので、供用開始、いつごろになりますか。
  132. 前田光嘉

    前田参考人 近畿道のこの区間の概況につきましては、ただいま道路局長から御説明申し上げたところでございますが、幸い大阪府の教育委員会、文化庁と私どもの協議が最近になりまして順調に滑り出したような感じがいたします。と申しますのは、いまお話がございましたように、一番大事であると文化財関係者が言っておりますところの瓜生堂の遺跡につきましても、やっと先般二月の十七日でしたか、大阪府が委託を受けて調査をしよう、こういう方針が決まりました。これがもし順調に調査が進みますと、五十三年度中には調査を完了したいと思っておりますが、この調査によりまして、あの地区における文化財の状況が、現在のところ一番大事であるというこの瓜生堂の遺跡の調査が終わりますと、あと十一カ所残りますけれども、私は案外順調にいくのじゃないか、こう思っておりますし、幸い文化庁及び教育委員会の方におかれましても、道路の必要性と文化財の必要性と十分勘案されまして、長年の間われわれがお願いしておったことにつきまして理解が進んだ、こう思っておりますので、いままでおくれましたことは非常に残念でございますけれども、これからは関係の方々の御協力を得まして一刻も早く調査を終わって、工事の計画を確定をして、御指摘のように早く近畿道を松原によって天理まで結びたい、こう思って日夜努力をしている段階でございます。
  133. 北側義一

    北側委員 御苦労なさっておられることはよくわかるのですが、これは前にも建設委員会で、ちょうど荒本のところで大阪府の土木部長も来ていただいていろいろ話し合ったわけですが、それから見ておりましても余り進んでおらないように思うのです。このままいくと、やはり朝夕のラッシュなんか、あそこの中環状が猛烈に込むんです。大変なんです。何とかやはり総合的に文部省その他とかけ合っていただいて、できるだけ早くできるようなやり方をやってもらいたいと思うのです。そうしないと、あの道路がせっかくあそこまでできて、吹田から来ても全部死んでおるわけです。やはり交通量も非常に少ないですね。その点お願いしておきます。  それから首都高速、それから阪神高速、主要幹線が非常に込むわけなんです。たとえば首都高速の一号線、阪神高速の大阪堺線、これなんか全く低速道路と言われてもやむを得ないような込み方なんです。いつも渋滞のマークがついておるのです。こういう交通量の予測というものをなされて当然建設されておると思うのですが、そういう慢性化されたいわゆる渋滞の場所、こういうものについて何か対応策を考えておられるのでしょうか。
  134. 浅井新一郎

    浅井政府委員 首都高速、阪神高速、御指摘のようにいろいろな個所で渋滞を毎日生じておるわけでございます。いろいろ御迷惑をかけているわけでございますが、当面御承知のように阪神高速にしろ、首都高速にしろ、従来ある街路幅員の中でいろいろな制約のもとに計画した路線でございますので、当初の予想交通量に見合う姿で初めから計画が必ずしもされてない。ネットワークが全部完成した時点では一応バランスがとれるものというふうに考えておりますが、まだ部分的にいろいろな区間が残っている段階でああいう状況になっておるわけでございます。  これに対する当面の対策といたしましては、より円滑な交通処理を行うために現在まで交通管制システムの整備を鋭意進めるということで、可変情報板とかラジオ情報による適切な交通情報の利用者への提供、それから入路におきます流入調整を行うというようなこともやっております。それから非常駐車帯の設置についてはいろいろやれる個所についてはやっているというようなことで、いまの施設をなるべく円滑に使うということで渋滞緩和の努力をしていたところでございますが、環境対策についてもいろいろ最近はやっております。環境施設帯の整備だとか防音工事の助成等もやっております。  しかしながら、大都市圏域において発生する大量の交通需要を処理する抜本的な対策としましては、通過交通を都心から積極的に転換させるための湾岸道路だとか、あるいは都心に集中する交通の効果的分散導入を図るための環状道路といったものの整備を急速に進めなければいけないわけでございます。そのために首都圏の湾岸道路につきましては市川から大田区の昭和島まで二十六キロについては、首都高速道路として五十六年度完成を目途にその建設を進めておるところでございますので、こういうものができたり、あるいは首都高速の荒川沿いの葛飾江戸川線、これは五十二年度から着工いたしておりますので、こういったネットワークがつながってくるというようなことになりますと、かなり緩和されてくる。  それから阪神圏の湾岸道路につきましても、いま港区の港晴から堺市の出島西町までの十二キロやっておるわけでございます。こういったものができますと、こちらに転換するというようなこともありまして、かなり緩和されるということが期待されるわけでございます。
  135. 北側義一

    北側委員 必ずしも交通量の予測をして建設されたものでない、こういうお話なんです。しかし、これからいわゆる都市交通、特に阪神、首都、こういうものを建設する場合に、やはり大都会の住民が車公害、この問題で高速道路が通ることを非常にきらうわけです。私の住んでおります大阪松原線、これも通るわけですね。そうして住民に環境基準を示して建設にかかるわけですよ。建設されるときにそういう車の予測をしなければ、環境基準なんというのは予測できないわけでしょう。だから、そういうところがやはり猛烈に渋滞が慢性化してずっとなっておる場合の車公害ですね、これは環境基準を必ず上回ると思うのですよ。そこらの考え方というのが非常に大事ではないかと思うのですよ。そうしなければ、つくるときには住民の皆さんに環環基準を示して、車の渋滞が慢性化して結局環境基準が破壊される、これはいたし方ない、これでは住民は納得しないと思うのです。その点どうでしょうか。
  136. 浅井新一郎

    浅井政府委員 都市高速道路計画の場合には一応予想交通量をはじくわけでございます。しかし、これは御承知のように首都高速についても二百数十キロの計画があるわけでございます。その中に外郭環状とかあるいは東京湾岸道路とか、そういう幹線道路計画がネットとしてつながった形でどのくらいの交通量が出るか、それに到達するまでの断面では、いろいろな形で使われ方が当初の予定どおりに使われないというケースも出てくるわけです。そういうことも原因して、部分的にあちこちが詰まるというようなこともあるわけでございます。  そういうようなことがあって、現実に阪神高速道路でも、いろいろ渋滞が繰り返されることによって環境条件の悪化を倍加しているというような状況がいろいろ見られるわけでございますが、それについては対症療法的に防音壁の設置あるいは環境施設帯の整備、緑化事業というものをやっておりますが、これについても必ずしも十分ということではございません。しかし、新しい五カ年計画の中では、こういった環境対策事業費を相当見込んでおりますので、この中で十分積極的に対応していきたいと考えているわけであります。
  137. 北側義一

    北側委員 それからまだ質問したいことが一ぱいあるのですが、もう時間のようですから最後に一つだけお聞きしたいと思うのです。  それは御存じのとおり、ことしも裏日本、東北方面では豪雪がありまして各地で交通網が分断されておるわけです。その中で、特に地方自治体の除雪対策予算が底をついておるようなんです。このような状況のもとで積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づく除雪事業に対する国庫補助、これは国道と県道には行われておるのですが、住民が日常生活に最も必要な市町村道こういうものは行われておらない、このように聞いておるわけです。これについて市町村道の除雪事業にも国庫補助を行う、そういう考え方ができないかどうか。どうでしょうか。
  138. 浅井新一郎

    浅井政府委員 積寒地域の道路交通の確保については、積寒法施行以来年を追って中身を充実してまいっておりまして、かなり手厚く対応してきておるわけでございます。積寒事業につきましても、六次までその規模を拡大しながら積寒事業の確保を努めてきたわけであります。  御指摘市町村道に対する除雪費の補助ということでございますが、これにつきましても、従来国道に限っておりましたものを、逐次補助事業にも除雪を拡大してまいりまして、現在県道まで一応実施しておるわけでございます。ただ除雪事業に対する補助ということになりますと、補助事業というのはいろいろ事業を一応計画してやられた量を確認していかなければならないという補助事業としての制約があるわけでございまして、雪の場合には、積もった雪の量に対してほっておけば解けてしまうようなものでございますので、量の確認がむずかしいということもございまして、補助事業になかなかなじまない面がある。そういうところから、これにかわる措置としまして、従来市町村の除雪の手助けというような意味で、除雪機械については除雪機械の補助をかなり実施してきておりますし、年々これを拡大してきております。  それから、重要な市町村道で冬期間交通確保が必要なものは積極的に県道に上げていったらどうか、こういう積寒地域については、県道の採択基準をできるだけ緩めまして県道にしていくという措置も講じております。  それから豪雪地域では代行事業というようなこともありまして、県で市町村のうちの重要な事業については代行でやっていくということもやる。そういういろいろな措置を市町村に対しては除雪にかわる措置としてやっておるわけでございまして、そういうことから市町村除雪費に対しては別途交付税でかなり手当ていたしておりますので、そういう形の方がなじむということもありまして、従来こういう形をとってきておるわけであります。今後とも十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  139. 北側義一

    北側委員 では時間が参りましたので、終わります。
  140. 伏木和雄

    伏木委員長 渡辺武三君。
  141. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 与えられておる時間が限られておりますから、きわめて重点的に質問を行いたいと思いますので、的確にお答えを願いたいと思います。もたもた回答が続きますと時間が延びることをあらかじめ警告をしておきたいと思います。  そこで、建設大臣にお伺いをいたすわけでございますが、現在、世界の政治経済の状態というものは、いわゆるエネルギー資源問題というものを中心に実は動いておると言っても決して過言ではないと思います。特に公共事業を預かる建設省には大変関係の深い問題でございますから、冒頭に御質問を申し上げるわけでございますが、このエネルギー問題、エネルギー政策は、つまりはそのよって来るところは、アメリカメジャーの発する資料によって、三十年ないし三十五年後には石油資源が枯渇するであろうというようなことから端を発し、それぞれの政策が各国においていろいろな段階で具体化をされんといたしておると思います。  しかし、よほど気をつけて見ていかなければならないと思いますのは、一説によれば、中東の石油というものは今後百年掘ろうが二百年掘ろうが枯渇する状態ではないという説さえ実はある。むしろ逆に言えば、高等戦術戦略によって、長い間発展を遂げてきたアメリカ経済が、その設備の老朽化に従って他国との競争力が低下をしておる、したがって、エネルギー政策をもって他国の経済成長を抑制しながら、その間に何とか基礎的な挽回をしてしまおう、こういうような高等戦術戦略をとっておるのではないかという説さえ実は流布されておるわけでございます。わが国が外務省や通産省を通じて入手できる資料というものは、もとをたどればアメリカのメジャーが発する資料にほかならないものでございまして、そのような一方的なニュースをすべて信頼していろいろな諸政策がとられていくとしたならば、もしそれが本当に正しければいいわけでございますけれども、非常に危険のあることではないか、こう考えるわけでございます。  これは建設大臣の領分ではないとおっしゃるかもしれませんが、建設大臣も国務大臣でございますから、そういう点も十分お考え合わせの上、どのような方法でより正しい情報を収集なさっていられるのか、あるいは現在流布されておるような、三十年ないし三十五年の間に枯渇するであろうというようなことが十分信頼性を持って取り入れられ、あらゆる基本的な施策が講ぜられておるのかどうか、この辺についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  142. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 現在のエネルギー問題に対してわが国は、各国の情報を収集し、細心の注意を払っていかなければならぬことは言うまでもないことと思うのであります。その間にはその情報に信憑性のないものもあるかもしれませんが、ただ私どもは、わが国は石油資源が皆無に等しいということを頭に置かなければなりません。したがって、いまお話しのように、中東地域の資源が三十年、四十年でなく百年も、それ以上もあるかもしれぬ、こう申しましても、わが国が何らかのことで石油の入手ができない、タンカーの事故というようなことの影響部分的でありましょうが、中東諸国が日本に対してどう出るかというようなことなども頭に置きますと、わが国独自のエネルギー政策が必要である。石油の入手ができておる間は従来どおりの行き方でいいのでありますが、しかし、それが入ってこないという前提、あるいは中東地域を中心で得ておる物をどこで補っていくかというようなことを考えながら、これからのエネルギー対策を立てていかなければならないと思います。
  143. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この問題は深く論議をしようと思いませんが、そういういろいろな各般にわたる情報もあるわけでございますから、政府としては十分なる情報収集に努められて、国家百年の大計に誤りなきを期せられていかれるように特に要望しておきたいと思うわけでございます。  そこで、まず今回の質問は、道路行政の基本と申しますか、基本的な認識と申しますか、そういう問題と五十三年度の道路予算との関係について、さらには、今回提案をされております第八次道路五カ年計画の案に対しまして、若干の御質問を申し上げたいと存じます。  道路というものは、私が申し上げるまでもなく国民にとって大変重要なものでございまして、国土の均衡ある発展だとか、国民生活向上させるためにはなくてはならないものであり、特に居住環境改善生活環境改善、こういうものの施策の中では最も基本的な施策であるというふうに私は考えておるわけです。したがって、その道路整備拡充に当たっては、そのような認識からいきますと、広い地域と長期間の年月を要するものでありますから、当然長期的観点から先行的かつ計画的に投資が必要となってまいるというふうに考えます。  ところが、昨年あたりでしたか、このエネルギー枯渇問題から端を発して、わが国も石油の備蓄をする必要があるというようなことから、道路はもう長年にわたって整備をしてきたのでもう整備をする必要がないのではないか、そこで道路特会に使われているガソリン税をこちらによこせ、こういう議論が巻き起こったことは御案内のとおりでございますが、そのような状況から判断をいたしますと、いまも各委員からもいろいろ御質問がありましたように、わが国の道路整備というものは決してそんな状態ではないということは、少なくとも建設委員会に所属する議員はすべて認識をしておるわけでございます。ところが、そういう新たな問題が出てまいりますと、誤った認識が流布されるということが現実にすでに昨年あたりは起こっておるわけでございます。そういうような現状から考えまして、建設省自身は道路というものの現状をどのように認識をし、今後どのような方針で整備拡充を図っていかれようとしておるのか、まずこの原点について大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  144. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 わが国の道路整備が本格的に行われるようになってまだ二十年余でございます。そして道路整備の現状は、国県道十六万キロのうち約半分の八万キロメートルは自動車が満足にすれ違い得ない、また国県道のうち交通渋滞区間は三〇%にも及んでおりますし、緊急に整備を要する歩道のうち五〇%が未整備であるという現状でありますから、今後、市町村道から高速自動車国道に至るまで多様な道路整備の需要に計画的にこたえていく必要がある、そういう熱意で臨みたい、こう思っております。
  145. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは次に五十三年度道路予算について若干御質問をしたいと思います。  特に今年度の予算は、不況の克服、国民生活の維持向上ということが至上目的として実は予算編成がなされておると思います。特に、国外との公約で経済成長を七%というふうに設定をいたしまして、公共投資主導型予算が編成をされておるわけでございます。道路予算も五十二年度予算の一・三倍というふうに数字的にはなっておりますが、この道路予算というものが、景気浮揚の効果という点から考えてまいりますと、従来と比べまして用地費も大変高騰いたしておりますし、建設費そのものも増大をいたしております。したがいまして、その道路整備拡充というものが、今回のこの不況克服といった重要課題についてその実効が危ぶまれておるという見方も実はあるわけでございます。したがいまして、道路投資の景気浮揚効果を一体どのように見込んでおられるのかこういう点の見解をひとつ大臣にただしておきたいと思います。
  146. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のように、五十三年度予算は公共投資主導型ということで、政府資本支出で二〇・八%増という高い伸びを見ているわけです。道路事業につきましても三兆三千億ということで、用地補償費を除きますと二兆三千六百億になるわけでございます。この事業を実施しまして民間への波及も含めた五十三年度の誘発生産額を試算してみますと、約五兆円程度に達するのではないかと見込まれます。それとあわせて、道路事業は一部の地域に偏する事業ではなくて、全国津々浦々で行われる事業ということで、景気浮揚効果も全国各地において期待できるというような形でございますので、そういう期待があるのではないかというふうに考えます。
  147. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 期待だけをされておるようですが、また後の方で数字的に再度ただしてまいりたいと思いますから、次に進んでいきたいと思います。  そのような景気浮揚に関連をしまして、現在産業界が大変不況に陥っております。さらには構造転換という問題もございますし、いろいろな工場が閉鎖をしたり、あるいは大変な問題が起こっておるわけでございますが、これからは、やはり雇用の創出ということも考えながら、あるいは新しい産業を興していかなければならぬという問題も、当然、やはり国民生活を守るためには必要不可欠な問題として出てくるわけでございます。そういたしますと、とかく批判があるわけでございますけれども、それらの産業を雇用を守るために発展をさせる、そういう観点から言って、産業道路というものはやはりなおざりにできないものがあろうかと存じます。そういう産業道路というものの建設を促進する必要があるわけですが、道路の建設というものは、私は委員会でもたびたび申し上げましたけれども、やはり道路構造そのものを根本的に考え直していかなくてはいかぬのではないか。つまり、道路をつくった、じきに騒音やら振動やらの問題が起きてくる。ところが、その反省が新設道路を見ましても一向に、なかなか起きてこない、実際に取り入れられたというふうに見られない。というのは、道路沿道にすぐに私有地があって、そこに住居が建ってしまうというような日本の現状の中では、これはまあ国土が狭いからやむを得ぬのだという説もございますが、そういう国土の狭い中、住居面積が狭いという中でも、やはり何らかの知恵をしぼってやる方法というものがあるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、いまの前段に申し上げました産業道路の建設促進の問題、さらには道路構造そのもの改善の問題についてはどのようにお考えなのか、所見をただしておきたいと思います。
  148. 浅井新一郎

    浅井政府委員 産業道路の建設ということでございますが、今度の五カ年計画では、先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、足元道路である市町村道から高速自動車道までの全体の道路網バランスよく整備していくというわけでございまして、その中の幹線的な道路、高速道路あるいは国道等につきましては、いわゆるその交通量の中身から見ましても、産業活動に大きく寄与している役割りを持っておるわけでございまして、こういう道路整備は、この五カ年計画の中でも積極的に進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  また、産業道路を初めとしまして、特に幹線道路の構造の問題でございますが、これは先生御指摘のように、いろいろ工夫があってしかるべきだと思います。構造そのものもさることながら、ルート選定の段階でいろいろ、土地利用計画との競合関係をできるだけうまく調整をとるとか、またルートが選ばれれば、ルートに沿っていろいろな道路の設計計画をする場合に、やはり構造的に住居その他人の生活の場と近接するような場所では、掘り割り、骨格構造のほかに、十分な路側の余裕あるいは環境施設帯的なものを設けるとかいうようなことを十分考えながらやっていかなければならないし、また、自動車専用道路ということでなく一般道路について言えば、やはり歩道整備等をあわせて十分行っていく、同時に、部分的には歩道と車道との分離というものを、いままでと違った視点からの工夫をいろいろと入れていくべきではないか。たとえば、ルートを全然別々に選ぶというような形で、人と車の道路というものを別系統でつくるというような工夫も部分的には取り入れていくというようなことも含めまして、構造的にはいろいろとこれから検討していく必要のある面が多いと思います。
  149. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長その考え方はいいのですけれども、それはしかし、実際はもう何回も何回も、来る年も来る年も同じような質問を繰り返して、同じような答弁が繰り返されておるのですよ。道路の研究所等もあろうと思いますけれども、そこで研究され実際に実効あるものと思われるものが一体どのように実施をされていくのでしょうかね。これは大学じゃないから実際は研究だけで終わらぬはずですよ。いわば生活環境をよりよくしていかなければいかぬという問題が起こったとき、あるいは公害が発生するという問題が起こったとき、そのときどきにそういう問題が何回となく論議をされ、そのたびごとに局長の方からはいまもおっしゃいましたような御答弁がなされたというふうに私は記憶をしております。だから、考え方としては決してその考え方が間違っておるとか言うものではありませんが、要は、そういういま現実に考えられる問題が新しくできていく道路にどういうふうに生かされていっておるのか。われわれが実際に新設される道路等を見に行きましても、さしてそんなに画期的に新しい手法が取り入れられるというふうには残念ながら見受けられないのですね。その辺はいかがでしょうか。
  150. 浅井新一郎

    浅井政府委員 まあ道路の構造と一口に言いましてもいろいろな面があると思いますが、主として断面構成等について申し上げますと、先ほど言いました歩道整備というふうなものが、従来、急速度モータリゼーションを追っかけて道路整備を進めたために車道の確保に追われていたということから、歩道自転車道整備がおくれていた。そういうものを、今後の道路整備の中ではもう少し車道、歩道バランスのとれた整備をやっていこうということで、道路の構造につきましては、御承知のように道路構造令というものがございますが、その構造令の中でいろいろ構造を計画していくわけでございます。構造令というのは大体何々以上というようなことで最低限を表示しているわけですが、その限界の中で最低限に近いもので計画するのではなくて、もっとゆとりのある道路計画をやっていくべきだということで、今度の二十一世紀に向けての道路整備計画の中には、やはり標準幅員の考え方と申しますか、道路幅員の定型化と申しますか、道路の幅員と構成というものは、主要幹線道路あるいは補助幹線道路、市街地の道路で、それぞれこうあるべきであるという姿を一応決めまして、これはすでにこれからの道路をつくっていく場合の手順として道路幅員の標準化ということで、二、三年前に通達を流しまして今後の道路計画一つの標準にしておるわけでございまして、ただ非常に目立ってそういうものができてくるのは、やはりバイパス等が五年、十年というペースででき上がっていくものですから、なかなかいますぐにどこでどうという形では目立ってきませんが、逐次よくなっていくものということで、われわれ新しい五カ年計画を契機に、そういうゆとりのある道路整備に向けてスタートしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  151. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 以前の委員会でも指摘をいたしておきましたが、たとえばわが国の一番幹線道路であると思われる国道一号線。この国道一号線を見ましても、その歩道たるやまことにお粗末なものであって、道路沿道にブロックを並べて歩道と称しておる。歩道とは何ぞやと言って聞いていきますと、全然規格に合っていない。実際はそれが現実の姿なんですね。したがいまして、これが一番幹線道路だと思えば実にお寒い限りになってしまうのです。したがって、十分そういうことに配慮をして、よりよい道路づくりにひとつ専念をしていただきたいと存じます。  そこで、景気の浮揚、不況克服を早期に実現をするためには、やはりこの公共事業の予算執行ということが大変必要になってまいるわけですが、もちろんこれは予算が成立をしなければどうにもならないことでございますけれども、予算成立後は早期に着手をされることが望まれておるわけでございます。  とかく従来から、公共事業の着手についていろいろな手続上の繁雑さ等々があってなかなかできないのだ、あるいは予算配分のおくれ等々から地方自治団体からはいろんな注文がつけられていると思いますが、特にことしはそういう点には相当重点的に配慮をしていかなければならない情勢からそういうことが言われるわけでございますけれども、この点について特に建設大臣の姿勢をひとつ伺っておきたいと思います。
  152. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 早期執行はもう当然のことである、またこれを執行する上に効率的にやらなければならぬということは、もう重々感じておるところでございまして、そのために建設省内に公共事業の執行対策本部を設け、あるいは各地建に連絡協議会を設け、あるいは業界の主だった団体七団体の代表を呼んで懇談をするというようなことで、鋭意準備に努めておるわけであります。予算成立後には早速に発注のできるように、あとう限りの予備準備はいたしておるところでございます。
  153. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 予算関連についてもう一問だけ御質問をいたしますが、道路予算は御承知のように国の負担分と地方の負担分がございます。しかし、御承知のように地方財政が大変に逼迫をいたしておるわけでございまして、そういう現状から見ますと、この公共事業は、大きくなればなるほど地方に対する過大な負担が要求をされていくというふうに懸念がされるわけでございますが、国としましては地方とは十分慎重な調整と検討がされるべきだ、こう考えておるわけですけれども、これは主として自治省の仕事かもしれませんが、建設省としてはどのような配慮をしておられるのか、御質問をしておきたいと思います。
  154. 浅井新一郎

    浅井政府委員 五十三年度の道路事業に係る直轄負担金は、全体で千八百七十一億になります。それから補助事業の裏負担額が四千八百六十三億ということで相当な額になるわけでございますが、これらはいずれも地方財政計画に計上されておりまして、全体として必要な財源の裏づけがなされているところでございます。  なお、具体的な事業の執行に当たりましては、地方公共団体との事前調整を十分に行いまして、その円滑な執行に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  155. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 次に、今回提案をされております第八次道路五カ年計画について、若干お尋ねをしておきたいと存じます。  今回の計画は、第七次道路計画が本年三月三十一日をもって終了いたしますから、五十三年度から五カ年間に向かってその整備計画が必要とされておるわけでございますけれども、その投資規模が二十八兆五千億というふうにされておるわけでございます。第七次と比較をいたしますと、金額的には確かに増加をしておるというふうに見られるわけでございますけれども、第七次の五カ年計画の算出基礎になりましたいわば価格年度というものは、たしか四十七年だったと思います。したがいまして、今年度の五十二年度価格にこれを積算をし直しますと、実はこの二十八兆五千億では、実質的に第七次五カ年計画よりも大変縮小したことになるんではないか。これは価格の高騰等によって、試算をいたしますとそうなってまいるわけでございますが、具体的に言いますれば、現行計画事業量の規模を確保するだけでも、実際は三十六兆円必要だということが実は試算をされるわけでございます。  しかしいま申し上げましたように、今度の新しい計画は二十八兆五千億ということになっておりまして、単純な試算の上から見ますと、約八兆円の規模が縮小されておる、こういうことが言われるわけでございますが、この辺についてはどのような根拠に基づいて策定をされたのか、これについてまずお伺いをしておきたいと思います。
  156. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のように、七次の五カ年計画の規模と同じ価格水準で比較しますと、八六%に圧縮したような姿になるわけでございます。先ほど来お話にございますように、日本の道路整備がまだ本格的に推進されるようになってから二十年ちょっとということでございまして、まだまだ道路整備の立ちおくれが著しいということで、国民道路整備に対する要望も非常に強いわけで、何とか道路整備を緊急性の高いものから急速に進めたいというのがわれわれの気持ちなんでございます。  しかし一方、道路整備も他の公共事業全体と合わせまして、国の経済計画と調和を図りながら実施すべきものであるわけでございまして、この八次の五カ年計画を考えるときは、昭和五十年代前期経済計画の経済運営の基本方針に基づいて、それと投資規模を整合させながら考えたものでございまして、一方この投資規模は、従来の高度成長を背景としました長期構想を抜本的に見直したということもございます。安定成長への移行を踏まえまして、新しく設定した長期構想、二十一世紀初頭を目標とする長期構想に基づきまして、その中で特に緊急を要する事業を推進するための必要最小限の規模ということで決定したものでありまして、この規模はまた、長期構想に基づいて中期計画というものを昭和六十五年時点で考えております。この六十五年までの間に道路投資額としまして、GNPに比べて大体二%台の比率の投資をするというような形で事業を進めていけば、当面緊急を要する事業は六十五年までに一応できるというようなチェックもいたしまして、そういうようなことから規模を固めたものでございます。
  157. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いままで道路についての数々の問題点を実はいろいろ指摘をしてまいりまして、道路整備が大変におくれておるという認識は一致をいたしておるわけでございます。そういう現状から反省をして、第七次道路五カ年計画に見積もられた金額を現時点における価格に計算をし直すと、大体今度の価格から見ると大変に少ないではないか、こういうふうに実は申し上げておるのです。これは価格面から申し上げたわけですが、それならば、本当にそのような減少をしていってもいいような道路整備状況だろうか、道路の新設状況だろうか、こう考えていきますと、すでに他の委員からもいろいろ御注文が出ておりましたように、早くもっと道路整備をしてくれという声が大変に高い。さらに世論調査等を見ましても、総理府が行った調査を見ましても、実は道路に対する要望というものがあらゆる世論調査の第一位を占めておる。国民的要望がきわめて高い、こういうことが言い得るわけでございます。だから、そういう諸条件を基礎にして考えますと、これでいいのかということを実は御質問をしておるわけです。  長期計画か中期計画か知りませんが、それに合わせてこうだああだ、安定成長になったからどうだとおっしゃいますが、現実に国民のニーズも非常に高い。あらゆる地方自治団体もその要望が非常に高い。そういう中で考えていくのに、第七次よりも第八次の方が数字の上では縮小されたような計画、それで本当に国民的要望を満たすことができるだろうか、実はこういう疑問があるわけでございますが、この辺はいかがでしょうか。
  158. 浅井新一郎

    浅井政府委員 先生の御指摘はまことにもっともだと思いますし、私どもも実はそういうつもりで、道路事業を今度の改定に際してできるだけ大きくふくらましてまいりたいという考え方を持ったわけでございます。  しかし現実の問題として、安定成長経済の中で公共投資にやはりある程度の限界がある。石油ショック以来一つの天井を迎えて、その後の経済計画というものは五十年代前期経済計画で一応枠組みをされているわけでございますので、その枠組みを前提としてやはり物を考えていかなければならぬということと、一方、先生のお話のように道路整備に対する全国的な需要は非常に高いわけでございまして、これにこたえるにはどういう形で持っていくべきかということをいろいろと検討したわけでございます。しかし、道路事業というのは御承知のように非常に金のかかるもの、全国津々浦々でやらなければならない仕事、しかもこれだけの山地を抱え、川を抱えた国土の中で、幹線道路から市町村道まで全部やっていかなければならないということになりますと、膨大な事業費がかかるわけでございます。  したがいまして、道路整備というものは、先ほど申し上げましたより豊かなゆとりのある道路をつくっていくということからも、さらに大きな金がかかるということでございますので、これは目標としては相当先になりますが、やはり全体として質のいいものを着実につくっていくという姿勢をとりながら、当面緊急を要する事業だけは早い時点で完成したいということから、長期目標を全体目標といたしますれば、緊急事業を六十五年までの中期に完成するという別の目標を立てまして、これにすりつくような姿で五カ年計画をつくっていくという基本的な構想でございます。  そのための投資をGNPの三%を超えない範囲、二%台の投資ぐらいは当然やっていってもいいんではないか。石油ショック前の数年間の道路投資のGNPに対する比率は大体二・五%前後でございました。その時点で西ドイツでは二・四%ぐらいの投資をやっておる。あれだけ道路整備の進んだ西ドイツであのくらいの投資をやっているということを考えましても、今後の投資として二%台の投資はほぼ妥当であろう、しかし三%を超えるのは、ほかの事業との関連あるいは財政事情等からいってもやや無理があるのじゃないか、そういうことから五カ年計画の規模を五十年代前期経済計画とすり合わせながらチェックしたわけでございます。
  159. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大体そういう御答弁をなさるだろうと思いましてあらかじめ実は建設大臣にお尋ねをしておいたわけです。つまりいま局長のおっしゃいますのは、石油ショック以来低成長に移行して一定の枠組みがある、その枠組みの中でしか考えていけないんだ、こうおっしゃったわけでありますが、だから、そういう状態が世界的に起こっているエネルギー政策を中心とした政治、経済の動きというものが本当に正しいかどうかという分析をしておられますかどうかということをわざわざ建設大臣にお尋ねをしておるのです。これは長期にわたる計画ですからね。だから当然そういうことに頭を使いながらよりよく国民的要望が実現できるようにしていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。  そこで、今回基本法たる道路整備緊急措置法目的条項が初めて改定されるわけでございますが、この点に関しましてはどのような趣旨をもって改正をされるのか、また、この目的改正によって、従来行われてきた道路事業というものの変革がなされるかどうか、こういう点についてまず御質問したいと思います。
  160. 浅井新一郎

    浅井政府委員 今度の法案の中で目的条項が改正されるわけでございますが、この意味は、最近の道路整備に対する社会的要請の内容がますます多様化してきておりまして、従来の目的規定道路の緊急整備目的としては実態に適合しないきらいがあるためにいじりたいということで考えたわけでございます。  まず「自動車交通」という表現でございますが、これは自動車交通を初め道路交通全般にわたる安全確保と円滑化を図るというような表現に改める、これはまあ実態に沿うように考えたわけでございます。  それから、自動車交通に起因する障害を防止、軽減するとともに、道路が持っている多様な生活環境機能を最大限に発揮させること等により生活環境改善に資するという考え方、これらを通じて国民経済の健全な発展国民生活向上に寄与するという考え方道路整備目的に掲げたわけでございます。  したがって、この改正は従来の道路整備についての基本的な考え方を変更したものではなくて、増大し多様化する社会的要請に対応して、現にやっております道路整備中身の一層の促進を図る必要があるという考え方に基づいておるものでございます。
  161. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私の質問の意図も、これからも道路整備に万全を期していくんだ、特に生活環境整備に重点を移しながら国民の快適な生活を保持するために行っていく、それはもちろん道路整備を中心として、こういうことでございますから当然よろしいわけでございますが、ややもすると、この目的改正することによって——一昨年でしたか、総需要抑制政策がとられた時点で、先ほど北側委員質問しておったと思いますけれども、重量税の八割相当が道路に投入されることになっておるにもかかわらず、その一部が他に流用されたという事実が実はあるわけですね。これは大蔵省との約束において、後で必ず返してもらうという約束のもとに他に流用させた、こういうことが現実に起こっておったわけですから、そのような観点から考えて、果たしてこのように目的改正をされて、せっかく集めた道路財源というものが他に流用されていく道を開くのではないか、こういうおそれがあったものですから御質問を申し上げたわけでございまして、そういうことが絶対ない、こういうことでございますから、それはそれとして了といたしておきましょう。  ところで、若干質問が残っておりますけれども、時間が参りましたから後日にゆだねておきたいと思います。それは、今回のこの計画財源の見込みについて一体どのような方法があるのかということについて、いずれ時間がありましたならばまた再質問をさしていただきたいと思いますので、本日は、これにて終わります。
  162. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会