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1978-09-12 第84回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年九月十二日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 宇野  亨君 理事 國場 幸昌君    理事 葉梨 信行君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君 理事 塚本 三郎君       西田  司君    有馬 元治君       瓦   力君    日野 市朗君       村山 喜一君    春田 重昭君       安藤  巖君    甘利  正君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小沢 辰男君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  佐野 国臣君         警察庁警備局警         備課長     依田 智治君         科学技術庁原子         力安全局放射線         安全課長    金平 隆弘君         環境庁大気保全         局大気規制課長 卯木  稔君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         文部省大学局医         学教育課長   五十嵐耕一君         文部省学術国際         局研究機関課長 齋藤 諦淳君         厚生大臣官房会         計課長     加藤 陸美君         厚生省公衆衛生         局長      田中 明夫君         厚生省環境衛生         局長      山中  和君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 国川 建二君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         厚生省薬務局長 中野 徹雄君         厚生省社会局長 八木 哲夫君         厚生省児童家庭         局長      竹内 嘉巳君         厚生省保険局長 石野 清治君         厚生省年金局長 木暮 保成君         食糧庁業務部長 秋川喜司雄君         建設省住宅局建         築指導課建築物         防災対策室長  上田 康二君         自治省財政局公         営企業第二課長 猪原 正芳君         消防庁技術監理         官       矢筈野義郎君         消防庁防災課長 千葉  武君         会計検査院事務         総局第四局長  岡峯佐一郎君         医療金融公庫総         裁       北川 力夫君         環境衛生金融公         庫理事長    坂元貞一郎君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 八月十六日  辞任         補欠選任   玉城 栄一君     森田 重昭君 八月三十一日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     中川 嘉美君 九月七日  辞任         補欠選任   中川 嘉美君     春田 重昭君 九月十二日  辞任         補欠選任   野田 卯一君     有馬 元治君   村上  勇君     瓦   力君   高田 富之君     日野 市朗君   山口 敏夫君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     野田 卯一君   瓦   力君     村上  勇君   日野 市朗君     高田 富之君   甘利  正君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十一年度政府関係機関決算書  昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (厚生省所管医療金融公庫環境衛生金融公  庫)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  この際、去る八月八日から十一日までの四日間にわたり、歳入歳出実情調査のため沖繩県委員を派遣いたしましたので、派遣委員報告聴取いたしたいと存じますが、その調査概要につきまして便宜この席から私が御報告申し上げます。  派遣委員は、葉梨信行君、森下元晴君、馬場猪太郎君、原茂君、林孝矩君、安藤巖君並びに私の七名でありまして、現地において國場幸昌君及び玉城栄一君が参加されました。  調査または視察個所は、沖繩開発庁沖繩総合事務局沖繩県庁経済連農産加工場海洋博覧会記念公園、平安座島の石油貯蔵基地嘉手納飛行場防衛施設庁那覇防衛施設局、海上保安庁第十一管区海上保安本部、尖閣諸島及び八重山支庁等であります。  この際、お諮りいたします。  ただいま報告いたしました内容の詳細につきましては、これを調査報告書として会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕     ————◇—————
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 次に、昭和五十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、厚生省所管医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査を行います。  それでは、まず、厚生大臣から概要説明を求めます。小沢厚生大臣
  5. 小沢辰男

    小沢国務大臣 昭和五十一年度厚生省所管一般会計及び特別会計決算につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算額につきましては、歳出予算現額四兆八千八百九億七千百七十八万円余に対して、支出済歳出額四兆八千三百九十二億一千五百八十七万円余、翌年度繰越額二百四十三億三千八百六十五万円余、不用額百七十四億一千七百二十五万円余で決算を結了いたしました。  以上が、一般会計歳出決算大要であります。  次に、特別会計大要について申し上げます。  第一に、厚生保険特別会計につきましては、健康、日雇健康、年金児童手当及び業務の五勘定を合わせ、一般会計から六千百二十二億一千七百七十五万円を繰り入れました。  その決算額は、収納済歳入額六兆八千五百五億二千九十万円余、支出済歳出額四兆二千六十九億九百六十一万円余、翌年度繰越額十三億三千八十二万円余でありまして、差し引き二兆六千四百二十二億八千四十七万円余については、この会計積立金として積み立てたほか、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  第二に、国民年金特別会計につきましては、国民年金福祉年金及び業務の三勘定を合わせ、一般会計から九千三百四十六億六千百三十五万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済歳入額二兆四百十六億七千八十七万円余、支出済歳出額一兆九千百三十一億七千百十五万円余、翌年度繰越額八百五十億一千百十万円余でありまして、差し引き四百三十四億八千八百六十万円余については、この会計積立金として積み立てたほか、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  第三に、船員保険特別会計につきましては、一般会計から百二十九億四千三百十四万円を繰り入れました。  その決算額は、収納済歳入額一千五百三十九億二百六十万円余、支出済歳出額一千百七十七億三千四百七十六万円余でありまして、差し引き三百六十一億六千七百八十四万円余については、この会計積立金として積み立てたほか、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  第四に、国立病院特別会計につきましては、病院及び療養所の二勘定を合わせ、一般会計から五百三十六億百十七万円を繰り入れました。  その決算額は、収納済歳入額三千三百八十七億三百十三万円余、支出済歳出額三千三百三億三百四十二万円余、翌年度繰越額四十三億二百六十四万円でありまして、差し引き四十億九千七百六万円余については、この会計積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第五に、あへん特別会計につきましては、収納済歳入額九億八千四百八万円余、支出済歳出額七億六千七百五十三万円余でありまして、差し引き二億一千六百五十五万円余については、この会計の翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  以上が、厚生省所管に属する昭和五十一年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算大要であります。  最後に、昭和五十一年度決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾にたえないところであります。  指摘を受けました件につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもってこれが絶滅を期する所存であります。  以上をもちまして、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計決算の御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  6. 楯兼次郎

  7. 岡峯佐一郎

    岡峯会計検査院説明員 昭和五十一年度厚生省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件でございます。  検査報告番号八号及び九号の二件は、健康保険及び厚生年金保険並びに船員保険保険料徴収に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となる報酬月額の把握が的確に行われていなかったことなどのため保険料徴収が不足しているものでございます。  なお、以上のほか、昭和五十年度決算検査報告に掲記しましたように、血液代金自己負担金支給事業について改善の意見を表示しましたが、これに対する厚生省処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  8. 楯兼次郎

  9. 北川力夫

    北川説明員 医療金融公庫昭和五十一年度業務概況について御説明申し上げます。  昭和五十一年度貸付計画額は、貸付契約額七百四十億円、貸付資金交付額七百二億円を予定し、その原資といたしましては、資金運用部資金借入金六百三十九億円、貸付回収金のうち六十三億円、計七百二億円を充てることといたしました。  この計画額に対する実績は、貸付契約額七百四十億円、貸付資金交付額七百二億円でありまして、これを前年度と比較いたしますと、貸付契約額で一四・七%、貸付資金交付額で一〇・六%の増となりました。  貸付契約額の内訳は、設備資金七百三十七億円、長期運転資金三億円であります。  貸付残高は、前年度末三千二百億円でありましたが、昭和五十一年度中に七百四十億円の貸し付けを行い、二百七十六億円を回収いたしましたので、当期末においては三千六百六十四億円となっております。  次に、決算状況について申し上げます。  昭和五十一年度損益計算上の総収益は二百八十九億八千二十八万円余、総損失は二百八十三億三千四百四十六万円余でありまして、差し引き六億四千五百八十二万円余の償却利益を生じましたが、大蔵大臣の定めるところにより、固定資産減価償却引当金へ一千二十五万円余、滞貸償却引当金へ六億三千五百五十六万円余を繰り入れましたので、結局、国庫に納付すべき利益金は生じなかったのであります。  以上で、昭和五十一年度業務概況につきましての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  10. 楯兼次郎

  11. 坂元貞一郎

    坂元説明員 環境衛生金融公庫昭和五十一年度概況につきまして御説明申し上げます。  昭和五十一年度貸付計画額は、一千八百十億円を予定いたしました。  その原資としては、資金運用部資金借入金一千六百四十五億円、貸付回収金等百六十五億円、計一千八百十億円を充てることといたしました。  これに対しまして、貸付実績は、一千八百七億円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、一二%の増となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和五十年度末における貸付残高は、三千六百八億三千万円余でありましたが、昭和五十一年度中に一千八百七億四千万円余の貸し付けを行い、一千八十六億七千万円余を回収いたしましたので、昭和五十一年度末においては、四千三百二十八億七千万円余となっております。  次に、昭和五十一年度収入支出決算について御説明いたします。  昭和五十一年度における収入済額は三百六十一億八千万円余、支出済額は一三百六十七億二千万円余となりました。  まず、収入の部におきましては、本年度収入済額は三百六十一億八千万円余でありまして、これを収入予算額三百六十二億一千万円余に比較いたしますと、二千万円余の減少となっております。  この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度支出予算現額三百七十六億九千万円余に対し、支出済額は三百六十七億二千万円余でありまして、差し引き九億六千万円余の差額を生じましたが、これは借入金利息等予定より減少したためであります。  最後に、昭和五十一年度における損益について申し述べますと、本年度貸付金利息収入等の総利益は四百四十九億一千万円余、借入金利息事務費業務委託費、滞貸償却引当金入等の総損失は四百四十九億一千万円余となりました。  この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はありませんでした。  以上が、昭和五十一年度における環境衛生金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  12. 楯兼次郎

    楯委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  13. 楯兼次郎

    楯委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、厚生省所管、特に防災体制関連してのみ各般にわたってお伺いをしたいと思うのです。  最近の地震予知体制進展状況もなかなか活発になってまいりましたが、まだまだ的確な予知というものは、これは日本ばかりではなくて、中国からも先日学者が来まして、やはり予知のむずかしさを説いて帰りました。しかしながら、日本研究体制も大分整備されておりますので大きな期待が持てる段階にはなっておりますが、しかし、予知がされまして、大規模地震等の総理による警告が発せられる、警戒体制がしかれるという段階ですら、まだ予知中心相当の時間がかかるわけでございます。しかし、現に起きるかもしれない地震というものが実際に起こす災害に対しては、その対策はきわめて不十分あるいはほとんど手がついていない。大きい地震のときには恐らくパニックの起きることが予想されます。したがって、きょうは厚生省所管で一部お伺いいたしますが、今後、順次各省ごとにこの防災体制に対して、シリーズではありませんが、お伺いをして、少しでも注意を喚起し、その体制が促進されるようにと念願をしてお伺いをしてまいりたい。その意味で第一回のきょうは、厚生省にお伺いするわけであります。  そこで、昭和三十六年に制定されました災害対策基本法というのがあります。国、地方を通ずる総合的な防災体制を確立するために、国、都道府県及び市町村においてそれぞれ防災会議を設置し、防災計画を作成することを義務づけるとともに、その内容について毎年検討を加え、必要と認めるときは修正しなければならないとまで規定をいたしております。厚生大臣中央防災会議のメンバーになっておりますが、中央防災会議における厚生省役割りは一体どういうものかを概括的に、最初に厚生大臣から御答弁をいただきたい。
  15. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は中央防災会議委員になっておりまして、防災基本計画の作成、実施に当たりまして、私の所管事項関係関連から意見をいろいろ述べることになっております。  なお、厚生省は、災害対策基本法の第三条四項にありますように、私の所管事項につきまして都道府県または市町村に勧告、助言しと、こういうことを任務といたしておるわけでございますが、中央防災会議において審議、決定されました事項につきましては、都道府県等に対して指導いたしておるところでございます。  なお、災害事項における私の一番大事な事項は、死者あるいは負傷者等情報収集、またこれの対策、それから水道その他の国民生活に必要な応急対策被災状況応急復旧状況あるいはその見通しあるいは必需物資に対する円滑な需給の関係を配慮することでございまして、私ども中央防災会議で当然所掌事務については責任を持っていろいろと考えていかなければならない、かように考えております。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 以下、きょうはもう田中さん、佐分利さん、中野さん等おいでをいただいておりますから、局長方に御答弁をいただき、関係省庁にも答弁をいただいて、最後大臣の御感想なり決意をお伺いいたします。  この中央防災会議の決定した防災基本計画というもの、これは被災害の救援につき、具体的な災害想定に基づく救護組織及び施設輸送手段並びに飲料水その他必需物資及び医薬品等の調達、供給等に関する計画防災業務計画における災害応急対策に関する事項などの整備を基本構想一つとして掲げているわけであります。  厚生省所管事務についていかなる指導を今日までとってこられたのか、またその指導方針どおりに、特に非常事態発生の場合の応急対策計画は整備されているのかどうか。定期的な点検など当然やっていなければいけないのですが、いつごろ、どこで定期的点検をやったか、その有無についてもあわせてまずお答えをいただきたい。
  17. 八木哲夫

    八木説明員 お答え申し上げます。  中央防災会議におきます基本的な防災基本計画に基づきまして、厚生省関係におきましても四十三年十二月に厚生省につきましての防災業務計画というものを策定しておるところでございます。  なお、これは一般的な基本的な問題についてでございまして、具体的なそれぞれの行政の所管の問題につきましては、それぞれの立場におきましてのさらに細かい指導なりあるいは先生指摘ございました点検等を行っているわけでございまして、たとえば社会福祉関係で申し上げますと、四十八年には社会福祉施設における火災防止対策の強化についてというような社会局長児童家庭局長連名通知等によりまして具体的な指導を行っておるところでございます。  さらに、先生指摘ございました非常災害の場合等におきます。先ほど申し上げました厚生省防災業務計画におきましても、厚生省災害対策本部を置くというような措置も講じておるところでございます。あるいは社会同等におきましても、各福祉施設におきます消火設備避難設備あるいはそういうような関連施設につきましての点検というようなことも実施しているという状況でございます。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 きょう、厚生省のいままでやってこられたことが手ぬるいとか適確でないとかいうことをあげつらおうと思うのではないので、これから御答弁いただく皆さんにひとつ虚心坦懐に実情を話していただいて、一日も早くやるべきことがやれるようにという推進の役を果たしてみたいというのが趣旨でございますから、そのつもりで御答弁を願いたい。  いまもお話がありましたように四十八年なり四十三年に何をやりました、かにをやりましたと言っても、近く言ってももうすでに五年以上たっているという状態で、やはり手がない、予算がない、地方計画が伴わない、いろいろな事情から相当のブランクができていることは間違いない。この間に大きな災害のあったことを考えると、身ぶるいをするような気がいたします。したがって、何とかしてきめ細かな、やるべきことを下の方から一つでも二つでも推進をさしてもらうということが私の本意でございますから、そのつもりで御答弁を願いたい。  そこで、細かく例を先日の九月一日の訓練にとって申し上げてみます。  あれは防災の日でございましたが、東京都の防災訓練を初め、国土庁と愛知県知多市をホットラインで結びまして全国初の大規模地震訓練が行われるなど、全国各地防災訓練が確かに実施されました。都市真下型の大規模地震発生するとなりますと、木造建築物家屋を主にしてその倒壊、火災同時多発、上下水道ガス管等破壊、護岸や道路の破壊、さらにこれらの災害が相乗的に人的、物的被害を増大させまして二次災害発生、拡大が間違いなく起きてまいります。まさに一瞬のうちに大混乱状態に陥ることは間違いありません。都市構造過密化が進んでいるわが国において、現在万一東京都を中心真下型の大規模地震発生したとしますと、どのくらいの死傷者家屋焼失が予想されるのかを、一応計算が済んでいるようでございますから、これはまず消防庁にお伺いしたい。
  19. 千葉武

    千葉説明員 お答え申し上げます。  御指摘ございましたように、先般九月一日に東京都におきましては東京総合防災訓練というものを実施いたしました。このときに、訓練前提となります被害想定を行っておりますが、この想定によりますと、特別区全体で人的被害につきましては死者が三万五千六百七十五人、負傷者六万三千二十六人、罹災者三百四十九万九千二百二十人、罹災世帯百二十四万四百九十九世帯。それから火災による焼失木造棟数でございますが、四十七万三千二百六十九棟と、このようなおおよその被害想定に基づきまして訓練をいたしたと聞いております。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 関東大震災における死者焼失家屋はどのくらいになっていますか。
  21. 千葉武

    千葉説明員 お答え申し上げます。  関東大震災におきます死者の数は、東京都で六万四百二十人、焼失棟数が三十一万六千二百十七棟でございます。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 今度の訓練災害予想をするのに、東京中心真下型地震でマグニチュードが八近いもの、七・九以上。東京中心想定するのに、関東大震災のとき東京都だけでも六万以上の死者が出ている。今回はわずか——わずかと言ってはおかしいのですが、三万五千しか見ていない。どこにそんなに軽く見る理由があるのですか。関東大震災当時といまと比べて、同じ規模地震が起きたときに、こんなに大きな違いがありますか。関東大震災のあの災害を受けました全域においては、死者は十四万になっていますね。今度の三万六千というのはどうしても解せないので、その違いをちょっと説明していただきたい。
  23. 千葉武

    千葉説明員 これは御承知のように東京都が訓練前提として被害想定を行ったものでございますので、詳しい事情は私ども聞いておりませんけれども、およそ推測されることは、当時死者が非常に多かった原因は、二次災害である火災によって焼け死んだ方が非常に多かったということでございます。今回の被害想定で比較的死者の数が少なかったという理由一つは、そういった二次災害を防ぐための消防力の充実、あるいは自主防災組織の積極的な活動によりまして、この前の宮城県沖地震のときもそうでございましたが、発災後のアンケート調査などいたしますと、九割以上の方が地震を感じたときに火の始末をされたというようなアンケート結果が出ております。そのように、いわゆる地震と同時に火の始末をするという意識の徹底、あるいは万が一火災が起きましても直ちにそれを小さな火のうちに消すという初期消火の心構え、あるいは隣組が連帯しましてそういうものを消すようにふだんからお互いに連携をとっているというようないろいろな事情が総合的に勘案されて、火災による死者の推定が非常に少なかったのではなかろうか、このように私どもは思っております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 その問題だけに時間をかけるわけにまいりませんが、あの関東大震災当時から見た現在の過密の度合いですね、しかも前と違って建築物の中に新建材などの燃えやすいものをうんと使っている状況、しかも火が出た、その火を消そうとすることで有毒ガスによって窒息死をするような状態というものも織り込んで考えると、この訓練想定が、仙台に見習って九〇%はまず初期消火をやるのだ——場所によっては九〇%どころじゃない、全然初期消火をやらないところも仙台にございました。同じように、ただいいこと、いいことだけを考えた前提で三万六千の死者が出るという、すべてをその考えでやると、私は非常な間違いじゃないかと思う。間違いだ。この種の訓練をやるときには、最悪の場合、最悪の場合を考える。それで数字も非常にでかいものを対象にして訓練を行うということにしませんと、希望的な観測を入れて少しでもいい方に、いい方に災害というものを小さく見て、いろいろな訓練なり対策を立てていくことはどうかなという感じがします。  いま、消防の初期消火は確かにできると思いますが、いまのような立て込んだ過密状態の中に、しかも高層建築があって、そこからガラスは落ちるわ、うっかりするとその建築物自体が崩壊をするような状態ないしはパニックが起きる、自動車が多いですから消防車がもう歩く余地すらないということを考えますと、関東のあの震災に比べていまの方がいいという材料はごくわずかしかないので、大きな意味のいわゆるパニック状態でにっちもさっちも動きがとれない状態になることが想定されますから、せっかく先ほどのような訓練をしたのですけれども、その訓練想定自体が第一過ちだ。したがって、これから厚生省にお伺いするいろいろな問題についても、いわゆる十分な訓練あるいは調査ないしはふだんの指導、そういうものも、いま言ったいい方、いい方へ判断をしての指導なり調査ではないように、ひとつこれもついでに厚生省関係にも要望したいわけです。  それで、これは厚生省関係にずばりお伺いしてみたいのですが、この九月一日の防災の日の防災訓練では、東京都は、都の医師会が参加したようです。そうして災害医療救護訓練というものを実施いたしました。それで、これらの訓練病院、老人ホーム、肢体不自由者更生施設などの身体障害者援護施設、こういったいわゆる社会福祉施設も参加して、実際に入院患者や入所者を運び出していわゆる避難訓練を行ったかどうか。新聞で見る限り、どうも行っていないように思うのですが、せっかくのチャンスだったのですが、厚生省は、いま言った弱者と言われる諸君の施設等を中心訓練がこの日に適確に行われたかどうか、これをまず第一に……。
  25. 八木哲夫

    八木説明員 先生指摘の身体障害者なり老人ホームなり、そういう意味では人命の面からも非常に重視しなければいかぬ施設でございますけれども、私どもの聞いておりますのは、東京都の防災訓練におきまして、社会福祉施設におきましても五施設について実施しているというふうに聞いております。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 五施設で実際に救護訓練をやったわけでしょうか。
  27. 八木哲夫

    八木説明員 救護訓練の一環としての訓練が行われたというふうに聞いております。五カ所でございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 その結果の報告を受けていますか。
  29. 八木哲夫

    八木説明員 訓練が行われたということで、具体的にどういうふうに行われたという報告はまだ受けておりません。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう訓練がせっかく行われたのなら、その結果はどうなったかというプロセスを厚生省としては関心を持って聞いておく必要があるんじゃないでしょうか。どうですか。
  31. 八木哲夫

    八木説明員 十分東京都の方から実情を聞きたいというように思っております。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 聞きたいんじゃなくて、もう当時すでに聞かなければいけないんですよ、こういうことを。関心がないから聞かない。やったんだそうだ、ああそうか、これで終わったんじゃ何も進歩ないですよ。厚生省としては、貴重な訓練なんですから、これを生かしてどうするかがそこから出てきますからね、もっと関心を持って十分、後の検討をする材料にしなければいけないのじゃないかというように思います。  それから、病院を初めとするこれらの施設は、体の自由のままならない、自分ひとりでは逃げようにも逃げられない人、そういう人たちを収容しているだけに、一たん大地震発生したり二次災害としての大火災発生するとなると大きな惨事になることは間違いない。防火、消火に努めることはもちろん、収容者をいかに避難させるか、いかに救出するかを常日ごろから考えていなければならないと思うのですが、この面では何か具体的に厚生省としてきちっとした指針が出ているのでしょうか。
  33. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 病院などの医療機関につきましては、かねてからその都度必要な指示をしてきているところでございまして、最も体系的なものは三十九年の医務局長通達であると思うのでございますけれども、そういったことに基づきまして病院は毎年一回は定期的に防災、防火の避難訓練などを行うことにいたしております。したがって、今回九月一日に東京都の計画と同時に実施した病院も幾つかあるかと思うのでございますが、多くの病院は年に一回程度は随時避難訓練を実施いたしておりますし、またそれにつきましては各都道府県がその都度、また施設とか設備につきましては医療法に基づく医療監視によりまして知事とかあるいは保健所を持っております市長が毎年実施をするということにいたしております。
  34. 八木哲夫

    八木説明員 社会福祉施設関係につきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、四十八年に社会福祉施設におきます火災防止対策の強化についてということで、平素から消防関係諸機関と十分協議を行って非常の際の事態に即した消防計画を策定する、あるいは有時の際には入所者の避難なり収容というような問題についても十分やるようにというような意味での基本的な通達を出しておるところでございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 後で触れていきますが、そういう通達を出しました、指導をいたしております。年一回やっているはずでございますと言うが、その年一回やっているかどうかを十分に監視し、そしてその中身まで指導する役目が厚生省にあるわけです。それをしない限り、やったやったという報告だけで、どんなふうにやっているのか、実際にもし災害のときにこれで効果がある、大丈夫だと自信が持てるものか持てないものか、どこかに欠点があってこうしなければいけないという新たないわゆる示達なり指導を必要とするようになるのか、こういうことを点検の結果出してこない限り、ただやったはずでございます。やりました、先ほどの答弁も大きな一定の病院というのですが、一定の規模以上の病院だけはやります。国公立の病院だって何百あるうちの恐らく百に足らない数でしょう。一定の規模以上の病院、これはやるようになっている。それ以下の病院というものは手放し。これに対する適確点検など、恐らくやっていない。大きな病院ですら、やった結果どうなっているのか、その内容がどうだったのか、その中からこれでいいという自信があったのか、あるいはまだここに欠点があるという新たな指導なり何かを必要とするとお考えになったのか、そのことが常に反復されていかなければ、実際の役には立たないと思う。どうですか、この点。
  36. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 医療機関の場合、地震等に対する対策も考えながら訓練を実施しておりますけれども、現在の計画から、訓練の実施はもっぱら火災に対する訓練が重点になっていると思うのでございます。その点につきまして、医療衛生面では各都道府県とかあるいは保健所を持っております市の衛生当局が指導いたしますが、実際の防火、防災、避難等につきましては、消防関係に立ち会っていただきましていろんな御指導を受け、またいろいろとアドバイスをしていただくというふうにして、できるだけ完璧を期するようにしているわけでございます。  もちろん、ただいま先生指摘になりましたように日本にはいま八千五百の病院がございますが、その病院が全部やっているわけではございませんけれども、一定規模以上の消防法等でいろいろ規制を受けるような病院につきましては、毎年一回は防火、防災訓練を実施するようにいたしております。  結論から申し上げますと、きわめて大きな地震が起こりまして、病院の建物が真っ二つになったようなときにはどうするんだろうかというような問題はあるわけでございますけれども、なかなかそういった問題は計画を練るのも実際の訓練をするのもむずかしゅうございます。しかしながら、軽度の地震で傾いたとか、そういうふうなことは想定しながらふだんの訓練、演習は実施いたしております。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 その八千幾らあるうちの一定規模以上の、毎年一回はやらしております病院の数は百ないんじゃないですか。どうですか。
  38. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 私どもといたしましては、ベッド数がおおむね二百以上の病院はぜひやってもらいたいと考えておりまして、そういった規模病院ということになりますと、八千五百のうちおおむね二千五百程度になろうと思っております。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 二千五百やっているんですか、毎年一回。やっているんですか。
  40. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 実際に訓練をやっているかどうかは、先ほど申し上げました医療監視の際に確認をすることにいたしております。ただいま手元にその資料を持っておりませんけれども、私の経験では大部分の病院が、従来いろいろとこういう問題につきましては関係方面もうるさくなってまいっておりますので、やってくれているものと考えております。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 おたくから取り寄せてもらった資料には全然そんなに数やっていない、後で調べてもらえばわかりますが。  実際の訓練をやったときに、いまもおっしゃったように建物が真っ二つに割れちゃったとか完全に崩壊したというんじゃなくて、傾いた程度のものを対象に避難訓練をする。何人医局員がいるかわかりませんが、あれだけの病人、しかもひとりで歩行困難な病人というようなものを実際に安全な場所に避難をさせるという実際的な訓練が行われていますか。
  42. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 十分に計画を立てて訓練を行っている施設ではそのような訓練も行っております。要は、第一級の病院でございましても、職員が担架で運ばなければならないといったような重い患者さんは一割から一割五分でございます。したがって、そういう方々の緊急な搬送に重点が置かれるわけでございまして、その他の患者さん方につきましては職員が適切に誘導して、みずから避難をしていただくということになると存じます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで大臣にちょっと感想を聞きますがね。いまお聞きのように、と思います。と聞いています。一番大事な局長さんが、このいつ起きるかわからない、しかも人命を預かっている病院なら病院を考えたときに、やっているはずでございます。ということで全然後、点検していないんですね。ですから確信が持てない。  たとえばこれが夜中に起きたらどうでしょうかね。この間は昼間ですから、新聞で見ても一般の市民がずっと並んで正々堂々とみんなうれしそうないい顔をして避難していますよ。これが夜中だったらどうなるか。しかも多分停電をすると思うのですが、停電をしたらどうなるのか。真っ暗やみということで、仙台の地震だってあの時間で非常によかったわけですよ。しかし、たとえばこれから予想されるものが真夜中だったり、しかも停電をしたりという状態を考えたときに、一体どうして避難をさせるのか、これは非常な問題だと思うのですよ。  ですから、先ほどもちょっと申し上げたのですが、大きな病院、一定規模以上、二百床以上の病院はやっているはずだというのじゃなくて、少なくともきょうなんかは私がこの問題を中心に質問を申し上げるということをぴしっと通告してお出ましを願っているわけです。にもかかわらず、全部抽象的で点検が何にもされてない。訓練をしたならその訓練がどことどこで行われた、その内容はどういうものだ、実際に間に合うかどうか。御承知のようにとにかく長くて一分ですから、揺れているのが。その間にいわゆる安全な場所への避難を行わせようと考えたときに、一体どんな適確な処置がとり得るのか、私は非常に至難の事業だと思いますよ。思いますが、できる限りやらなければいけませんね、これは。しかし、それをどうやってやったのか。しかも何人は避難はでき得なかった、何%は避難をさせたが何%は避難をさせ得なかった、これに対する対策は一体どうしたらいいのかということが出てこない限り、具体的ないわゆる防災基本計画に沿った厚生省の持つ責任を果たすことにはならぬと思うのです。  その意味では、いまのような御答弁を聞いて非難をするわけじゃありませんが、いままでそうだったと思うのですが、私は年に一回やるべきだと思う。やっていると思いますと言うが、やった内容がどうだったのか、いわゆるその可否というものを十分に検討した上で、さて本物に対処するにはこの点とこの点を穴を埋めないと、処置をしないとこれは不可能だという答えが訓練の中から出てくるだろうと思うし、そのことが大事だと思うのです。その訓練に対する自主的な検討を必ずやるということをしなければいけないと思いますが、大臣どう思うかが一つ。  もう一つは、いまの一定規模以上の病院の数がたとえば五百といたします。五百以外の七千幾らの病院に対しては手が届かないからしようがない、一定規模以下だから義務も課さないし、まあまあやれるだけやっておけという程度に終わっているとすれば、大問題だ。これに対してもやはり防災に関する限りは大中小にぴしっと合ったものを、厚生省のいわゆる責任ある指導というものがなされてしかるべきだと思うのですが、この二点、大臣の感想をここでちょっと。
  44. 小沢辰男

    小沢国務大臣 前段についてはおっしゃるとおりだと思いますので、私どもも九月一日の今度の防災訓練の設定日に、大々的に災害の主管大臣であります櫻内大臣中心になりまして現場に飛んでいろいろやられましたが、確かにいま反省してみますと、私ども自体も、全体の私ども施設関係のところあるいはそういう一般の市民の想定された、いま消防庁から言われましたような負傷者の手当てをどういうような組織と対策でやったかという点について御指摘を受けますと、確かにどうも私どもの把握が不十分であったと考えております。  局長が申し上げましたのは、従来の計画に基づいて指導をやっております内容を申し上げたわけでございまして、その点検まで至っていない点は御指摘のとおりだと思いますので、これは今後十分に注意していかなければいかぬだろうと思います。  それから第二点の、二百床以上の病院は二千五百ございますが、これらについては少なくとも年一回の義務づけをやっておるわけでございますけれども、おっしゃるように、百五十床ならやらぬでいいかというと、そういうわけにはいきません。これは当然、全病院、医療施設については同じような訓練に基づいて常時対策を考えておくということが必要だと思いますので、私どもも今後一層細心の注意をもってやるように、特に社会福祉施設につきましては、身体障害者あるいは心身の障害者まで含めて、あるいは老人施設等を含めて考えますと慄然たる思いがいたしますので、御指摘のとおりでございますから、いま御指摘のような気持ちを十分体してやらなければいかぬ。  私も九月一日のときは、何か所管大臣が櫻内さんだというような観念がありましたことを、いまお聞きしながら実は反省をいたしておるところでございますので、私どものそれぞれの所管についてこれからもっと真剣にやっていかなければいかぬという気持ちをいま申し上げまして、どの程度地方に対して連絡をし、調査をし、その結果を踏まえてどういう対策をとるかということは、追ってまた、私どもの実際の行動をやりました上でお答えを申し上げます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで消防庁と警察庁にちょっとお伺いしたいのですが、いま申し上げたようないわゆる大規模地震が起きる、しかもそれが夜中停電までというような事態の中で、一体消防庁あるいは警察庁としては、避難誘導なり交通確保の問題なりというものに対して、非常災害のときの基本的な考え方としてはどういう方向でおやりになろうとしているのか。たとえば九月一日の想定の中に入っていませんでしたが、もしそれが真夜中停電して非常なパニックが起きるというようなときに、一体消防庁はどう対処するのか、警察庁としては交通確保を中心にして、まず第一に避難ですが、それができるような方法というものを具体的に考えておられるのかどうか、ついでにお伺いしたい。
  46. 千葉武

    千葉説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、昼間と違いまして夜間地震が起きた場合には大変な混乱が予想されるわけでございます。そういうことで私どもも夜間の地震対策ということは日ごろから十分心がけているわけでございますが、一般的に食事のための火気の使用ということは夜間特に夜中の場合にはあり得ないと思います。暖房も一般的には使っていないということが言えるのじゃないかと思います。ただ、家屋の倒壊でございますとか、そういうことに伴います避難の体制をどうするかというのが一番問題ではなかろうかと思っております。  そういうことのために、私ども消防機関を初めといたします防災機関につきまして、夜間特に夜中における避難誘導の体制、指示の仕方あるいは職員の参集についての指導、こういうようなことをやっていたわけでございますが、一方、先ほど御答弁申し上げましたような自主防災組織というものを十分に活用いたしまして、適確な避難誘導とそれに先立ちます情報の正確なる伝達ということをあわせ用いましてこういった問題に対処いたしたい。特に私どもで考えておりますのは、このために各御家庭において少なくとも懐中電灯は常時備えておいていただきたいということとか、当然報道機関の御協力が得られるわけですから そういった情報を正しくつかむためにトランジスタラジオというようなものを備えつけてください、こういうことを常日ごろお願いを申し上げているわけですが、こういうことをさらに徹底をしてまいりたい。さらに避難地に至ります誘導標識、これを夜間でも見えるようなたとえば反射テープみたいなものを張るとか、そういう面の指導もあわせて講じてまいりたい、このように思っております。
  47. 依田智治

    ○依田説明員 お答えいたします。  警察庁でも、各府県、関係機関等が実施する訓練、その他警察独自でも全国的に訓練を実施しておるわけでございます。  この間も九月一日には一部十四県で実施いたしました。東京都では西新井の方でやられました都の総合訓練、その前段で警視庁の特に高速、幹線道路等における避難誘導という面から一時、五、六分ですが、車をとめてやるというような訓練も実施したわけでございます。  また、先ほどお話のありました養護施設等につきましても、練馬、それから目黒、小平その他五施設で実際に広報して、足の不自由な方が車いす等で主要道路を横断する、一キロくらい行くのに相当時間がかかり難儀したようでございますが、それぞれ所轄の署で所要の十名ないし数十名の警察官等を派遣して訓練しておるわけでございますが、これは日中訓練ということで、これが夜間に行われた場合、夜間高速道路等で車をとめてそこを誘導横断させるというような問題、それから一般の道路その他誘導する場合でも、夜間の場合はまた大変な困難が伴うのじゃないか。一般住民の皆さんも夜暗いとなると非常に不安感もつのりますし、そういう面で警察としては交通の安全確保、規制確保という面からは、現在でもいろいろ夜間に間に合うような資器材、スコッチライトとかいろいろ夜光の目立つような器材というものを導入しておるわけでございます。その他ちょうちんとか、ちょうちんなんというのは比較的よく目立つわけでございますが、それとか誘導するためのスコッチライト的なもの、そういったものもできるだけ数備えて、夜間等いろいろ発生した場合にも直ちに対処できるようにということで通常訓練させておるわけですが、警察の場合、御承知のように交番その他全国津々浦々に夜中でも勤務しておるという職員がございますので、こういう点を十分活用して、夜間発生した場合でもできるだけ所要の態勢を迅速にとって住民の皆さんをできるだけ安全な方向に避難誘導していくということで考えたいと思っておるわけです。夜間の訓練等については今後の問題点としてわれわれとしても真剣に取り組んでいかなければならぬ、このように考えておるわけでございます。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 消防庁、警察庁に重ねて伺いますが、夜間、しかも停電という前提訓練しようというような計画はありますか。それが一つ。  それから消防庁伺いたいのだが、自主防災組織というものはいま全国にどのくらいできているのですか。たとえば東京都はどのくらいできているのか。私の住んでいる範囲あるいは親戚の三軒、東京都、これは自主防災組織なんかに入っていません。一体これは幾つぐらいあるのですか。自主防災組織なんというものは、本当にあなたが言われるほど頼りになるとするなら、これはもう相当程度できてなければいけないのですが、私の目には触れてない。これを、いま答弁されたようにある程度当てにしておられるのですか。
  49. 依田智治

    ○依田説明員 夜間の訓練につきまして現在具体的に計画をしておるということはございませんが、いつも訓練した場合の反省点として、いかにあの訓練の中身を真実に近づけるかというようなこと、たとえば職員の参集訓練にしましても、真夜中ならもう電車もとまり、交通機関は何もないという場合には、みんな地下たび履いて駆けつけてもらわなければならぬわけですが、そういうような意味では、ときどき非常招集訓練というようなことをやりまして、夜歩いてくるというようなこともやっておるわけでございますが、今後地域の皆さんの御協力等も得て、夜間どういう方法でやるかというような問題についてはわれわれとしても真剣に検討すべき課題だというように考えております。
  50. 千葉武

    千葉説明員 お答え申し上げます。  自主防災組織の組織数でございますが、私ども毎年調査をいたしております地方防災体制調査によりますと、五十二年四月一日現在で五千七百六十九組織でございます。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 数を把握しただけ感心ですけれども、とてもじゃないがそんなもので、ここで答弁されるほど頼りになるという考え方ではいけないと思うのですね。もうちょっと、ふやすなら思い切ってふやす、われわれの目につくように。確かに自主防災組織なんというものはいいのじゃないかと思うのですけれどもね。  この間老人クラブの会合に三つ出たのですが、あるところでは地震の話をしていました。年寄りの経験から年寄りの知恵を出してもらいたいというので、対話の中にずいぶんおもしろいいろいろなあれが出まして、いまおっしゃったようなトランジスタラジオだ、それ、何だと、確かにいろいろ出ました。その点ぐらいは、いま非常袋の中に乾パンを入れろ、何を入れろぐらいのことはもう六割以上、相当のPRができているのじゃないかと思うのですよ。思うのですが、その上に、いまおっしゃった自主防災組織というものが本当にしっかりと、東京なんか数多くつくられて、これが常時訓練をしていたらずいぶん違うなという感じがいましたのですがね。しかし、そればかりの数で、それがありますからというほどいま頼っていられたのでは困る。もうちょっと真剣に、どんどんそういった種類のものを新しいアイデアとして工夫をして考えて広めていくということが必要じゃないかと思うのです。  それから、医療施設社会福祉施設等の点検あるいは調査の実施について今度はお伺いをしてみたいと思うのです。  現在全国的に見て、まず、老朽化したいわゆる木造建築あるいは先ほど言った小規模病院などの施設はどのくらいあるのか、実態調査は一体いつごろおやりになったのか、その数をちょっとおっしゃっていただきたい。医療施設社会福祉施設だけ、厚生省関係だけに限って、全国的に見て老朽化したそういう木造あるいは小規模病院、この数、調べてありますか。
  52. 八木哲夫

    八木説明員 社会福祉施設関係についてお答え申し上げます。  木造部分の総面積に対する割合でございますけれども昭和四十七年十月一日現在では四四・八%でございました。しかし、五十一年十月一日現在では三三・七%ということで、逐次改善をしているところでございます。
  53. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 病院につきましては、ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、全部がまだ木造といった病院は大変少なくなってまいりました。しかし、病院の一部が木造として残っているといったようなものはまだ三割程度はあったと思っております。  なお、病院規模とかあるいは木造の状況あるいはその古さの状況、こういったものは毎年の医療監視で調べておりますので、後刻資料を取りそろえまして先生のお手元にお届けいたしたいと存じます。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 いま局長おっしゃったように私のところへ資料をちょうだいするのも非常にありがたいのですが、これは大臣どうですか、これからもまだ質問をずっと続けますが、それらを含めて、厚生省厚生省サイドでいわゆる防災白書みたいなものを、いま私の質問申し上げているようなことを全部一度点検をして、お出しになっていただくと非常にありがたいと思うのです。各省にわたってこれから質問を展開していきますが、厚生省厚生省でこの種の、大規模災害が起きたときの現在持っている施設の老朽化の状態、その他これに対する手当てがどのくらい必要で、予算はどうだというようなことも一度白書としてお出しになるような計画をお持ちいただいたら非常にいいのじゃないかと私は思います。これは各省にお願いをしますけれども、それをやらないと本当のものが出てこないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 小沢辰男

    小沢国務大臣 白書ということになりますかどうかわかりませんが、大変いい御示唆だと思いますので、私として、社会医療関係施設全般について各県と協力しまして、防災設備を含めた現在の実態を一回総まとめをやってみたいと思います。その結果、また必要があれば資料として提出を申し上げたいと思います。ただ、時期的にどれぐらいかかりますか、帰ってみんなと相談してみないといけませんのであれでございますが、ぜひまとめてみたいと思います。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 それはぜひおやりいただきたい。後の質問を含めてぜひ厚生省サイドでお出しいただきたい。各省がそういうものを出す、それが中央防災会議に上がってくるというふうになると具体化してくるんじゃないかと思うのです。  これから、厚生省はもちろんですが、消防庁、建設省にお伺いいたしますが、これらの老朽化した施設はもちろんのこと、高層化された大規模施設について、医療法、建築基準法あるいは消防法などの立場から見て、建物の構造、いわゆる設備基準が守られているのかどうか。消火設備避難設備等の設置状況は一体どうなっているのか。実態の把握がされているかどうか。これはひとつ具体的にお願いをしたい。たとえば厚生省で言えば医療監視の状況、県などに対する指導状況消防庁で言うと、消火設備避難設備等に対する査察状況、建設省で言えば防災査察の実施の状況というふうに、三者からお答えをいただきたい。  ついでに言っておきますが、こういう施設というのはいわゆる弱者の収容施設ですから、最重点を置いて全国的な総点検を大至急にやらなければいけないと思うのですが、今後その大点検を行うとしても、現在までがどうなっているかを把握していないととてもできませんので、これは大至急やる必要があると思いますからあえて御質問をするというふうにお考えの上で、三者からお答えをいただきたい。
  57. 八木哲夫

    八木説明員 福祉施設関係でございますけれども、四十八年に点検調査をいたしたわけでございますが、屋内消火栓の設置状況については一万八千四百七十五施設で九五・二%、それから避難段階の設置については一万八千二百六十五施設で九八・九%が適合施設という結果になっている状況でございます。
  58. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 病院につきましては、まず病院建物の震度の調査を国立病院については四十八年度に終わっております。また日赤については、これは全施設調査をやったそうでございますが、やっと最近全部終わりまして、現在その結果を取りまとめ中でございます。  なお、その他の施設につきましては、ただいま手元に資料がございません。帰りまして医療監視の資料をチェックして御報告を申し上げたいと思っております。  なお、四十九年の消防法改正に基づくスプリンクラー等の消火設備の設置とか避難階段、警報装置の設置、こういったものにつきましても、国立病院につきましては本年度で全部整備を完了いたします。日赤、済生会等の公的病院または県立、市立の大きな病院もおおむね本年度で終わってくれるものと思っておりますけれども、先ほど先生から御指摘のございました八千四百七十病院のうちの小さな病院の中には、本年度中に整備を終わらないところが若干出てくるのではないかと懸念をいたしております。こういったものにつきましては、医療金融公庫等で特別融資などの措置を講じて指導しているところでございますが、今後なお一層強力に推進をいたしたいと考えております。
  59. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 御指摘のとおり、消防法によりまして消火設備、警報設備、避難設備の基準が病院等にも規制が及んでおりますが、特にこういう人命の安全にかかわる問題でございますので、昭和四十九年に法律改正いたして既存遡及をしておるわけでございます。その期限が来年の三月三十一日までということに先生御案内のとおりなっておりますが、その設置状況を大ざっぱに申し上げますと、病院に限りますと、大体七三%スプリンクラー設備が設置されておるという状況でございます。  なお、その他の設備については目下集計中でございますが、それではどの程度消防機関がこういう施設に立ち入り検査をして予防査察を実施しているのかということをお話し申し上げますと、病院に関しましては約八〇%、これは五十二年の一年間でございますが、実施しております。それから社会福祉施設についても七五%実施しております。  その結果、どういう措置命令等を発しているのかということを若干、細かになりますが、御指摘でございますのでお話し申し上げますと、病院については、消火設備に関して命令権を出したのが十四件、そのうち是正が九件、それから警報設備に関しましては、これは火災を早期に警報し、報知する設備でございますけれども病院に関しては命令を発したのが十六件、是正件数はその半数の八件、それから避難関係の設備でございますが、命令を発しましたのが十四件、これも半分の七件、トータルしまして四十四件のうち二十四件是正されておる、こういう状況でございます。  さらに、先ほど申し上げましたように、来年の三月三十一日までに病院社会福祉施設については、消防設備の完全なる基準の適合ということが遡及いたしますので、第一線の消防機関においては鋭意そういう面の努力を重ねておるという状況でございます。消防庁においても強い指導を今後も加えつつ、先ほどお話のありました地震発生ということも想定しつつ、これらの万全を期してまいりたい、かように思っております。
  60. 上田康二

    ○上田説明員 建設省関係の建築物に対する防火、避難関係施設関連しましてお答え申し上げます。  建築物に対する防火、避難施設の規制については建築基準法によって行われているわけでございますが、最近の法令の内容から申しますと、過去数年にわたりまして内容的に相当厳しくなってきておりますので、新しくできるものについてはかなり安全性が高くなってきているということが言えようかと思います。しかし、問題は非常に古くなってきたもの、あるいはこういう法令が厳しく改正されましても、建築基準法のたてまえとして古い建物には適用されないということになっておりますので、これらをどういうふうに新しい施設に改善していくかというのが非常に課題になっているわけでございます。  これに対しましては、建設省としましては毎年春、秋二回建築物防災指導週間を設けまして、本年も三月にも行っておりますが、九月一日の防災の日を起点といたしまして一週間防災指導週間を全国的に実施しております。各都道府県市町村と協力し、あるいは消防部局と協力しながら実施しておりますが、その中で病院等を含む防災査察を実施してきております。本年度の結果につきましては、現在報告を取りまとめているところでございまして数字が出ておりませんけれども、こういう防災指導週間中の防災査察によりまして不備なもの、問題のあるものが出た場合は、これに対しまして適正な維持管理がされるよう、あるいは施設の改善をするよう、場合によっては法律に基づく改善等の措置を行いまして、また一方におきましてはその改修をするための融資等の制度もございますので、そういうものを拡充し、適用しながら改善に努力しているところでございます。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 ついでにお伺いします。消防にお伺いするんですが、例の救急車、それから消防ポンプ車、それから化学消防車、これの整備状況というのはいまどうなっていますか。
  62. 千葉武

    千葉説明員 お答え申し上げます。  五十二年四月現在の整備状況でございますが、消防ポンプ自動車は三万九千二百六十三台、うち化学車は七百三十三台でございます。それから、救急自動車は三千四百台でございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 これはまだまだ整備しなければいけないので、次年度からもどんどんふやすような計画ですか。
  64. 千葉武

    千葉説明員 お答え申し上げます。御指摘のとおりまだまだふやす必要がございます。したがいまして、五十四年度予算におきましても相当程度の台数を増加すべく、予算を大蔵省に提出しております。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、中央防災会議が決定している大都市震災対策推進要綱、これについて三、三お伺いします。  これによりますと、公共施設等は「防災上あるいは避難、救護に重要な施設であり、また、危険物施設等は地震発生に際して大きな被害を及ぼすおそれがあるので、次の施設の耐震性について、早急に点検を行ない、所要の整備を図るため必要な措置または指導を行なうものとする。」 こうあるんですが、病院、老人ホーム、身体障害着施設、社会施設あるいはまた幼稚園、盲学校というようなものは、その性質上特に万全の対策が必要と思うが、これらの施設の耐震性の点検調査はどの程度進められていますか。実施状況、いつごろどのくらいやったのか。  参考までに言っておきますが、法務省ではすでに五十一年度に建物の延べ面積約一千平方メートル以上のもの、たとえば金沢刑務所ほか七カ所の収容施設について耐震性の点検調査をもうすでに実施して、五十三年度防災計画では五十二年度に引き続いて刑務所、少年院、少年鑑別所等のうち建物延べ面積が同じく一千平方メートル以上の施設について耐震性の点検調査を行うことにしています。法務省だけなんですね、この文章に出てくるのは。一体これはおやりになっているかどうか。
  66. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 国立病院につきましては先ほども少し申し上げましたけれども、四十六年の中央防災会議の震災対策推進要綱に基づきまして、古い建物、大きい建物という標準に基づきまして十四施設の耐震テストを四十八年度に終わっております。これらの施設については問題はないという結論になっております。  そのほかの施設については、新しい建物で建設当初からいろいろそういった耐震性等を考慮して整備してございますので、問題はないと考えております。
  67. 八木哲夫

    八木説明員 福祉施設関係でございますけれども先生指摘のような大都市震災対策要綱によります耐震性の点検整備の問題につきまして、五十二年度に鉄筋コンクリートの建物、本年から鉄骨づくりの建物の基準が明確になったわけでございますけれども、むしろその点につきましては、福祉施設はこれからの問題としまして重要な問題として取り上げてまいりたいということで、具体的には静岡県等とも相談しておるわけでございます。静岡県等でも検討中という話は聞いておりますが、まだそこまでは手がついていないという状況でございまして、これからの重要課題として考えてまいりたいと思っております。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 次は、医薬品の整備問題についてちょっとお伺いします。のみならず主要食糧、衣料、すべて生活必需品なんですが、特に医薬品の調達、供給体制、これは一体どうなっているでしょうか。  備蓄の状況もどうなっているかを二つ目。  それから、被災者何人ぐらいについて何日分ぐらいの在庫になるのかを、医薬品関係、これはもちろん薬、血液、ワクチン、防疫対策として厚生省、それから日赤での生活必需品の備蓄状況が何日分ぐらい、何人分ぐらいか、それから農林省から主要食糧の同じく御答弁をいただきたい。
  69. 中野徹雄

    中野説明員 お答え申し上げます。  医薬品につきましては、先生御承知のとおりに一般的に医薬品の需給関係はいわば一種の供給過剰状態がございまして、平均的に申しまして医薬品全般について約四カ月分ほどの製品の在庫があるというふうに理解をいたしております。この四カ月分の製品在庫は大体医療機関に一、メーカー在庫が二、それからさらに卸段階に二というふうに一、二、二の比率で大体分布をしておるというようにわれわれ理解をいたしております。したがいまして、災害規模想定によってもちろん差異はあるかと存じますが、一般的に申せば、特段災害用の備蓄を必要としない状況ではなかろうかというふうに考えております。  ただし、災害発生時におきまして、その在庫がどこにあるかということを的確に把握をいたしまして、メーカー相互間あるいは卸相互間において緊密な情報連絡をする必要がもちろんあるというふうに考えております。このために現在平均四カ月水準の在庫がどのような種別に、どこに分布をしているかということの的確な情報を把握いたすよう、本年度中にその調査を行う予定にいたしておりまして、現在それを準備中の段階でございます。  災害の場合に、特にあと問題になります点といたしましては、いわゆる血液の需給がどのようになるかという問題でございますが、これは幸いにいたしまして、防災体制の中で重要な役割りを果たしますところの日本赤十字社がこの血液の供給事業において主要な役割りを果たしておりまして、現在時点におきましては、保存血液といたしましては全国平均で大体三日分もしくは四日分、さらに新鮮血漿の凍結血漿につきましてはさらにその倍量程度のものが現在在庫として、ランニングストックとして保有されております。したがいまして、通常の使用状況であれば大体十日分前後の保存血液もしくは新鮮凍結血漿がランニングストックとしては保有されておるというふうに考えております。これらの血液あるいは血漿につきましては、日本赤十字社の相互間の連絡を通じまして、災害発生時にはこれを他府県に輸送する等の手続によりまして一応の対処ができるのではなかろうかというふうに考えております。  さらに、災害との関連でよく問題になりますガスえその抗毒素とかあるいは破傷風の抗毒素につきましても一定の在庫を持っておりますが、これらにつきましては、私らの感じといたしましては、その在庫は現在時点におきましては十分なものではなく、この在庫水準の積み増しをしなければならないのではないかというふうに考えておるところでございます。  一応、医薬品関連では以上でございます。
  70. 八木哲夫

    八木説明員 生活必需品の関係でございますけれども厚生省関係で、日赤が防災に関する指定公共機関になっておりまして、現在毛布につきまして約十一万点、それから衣料品につきまして約三万点、日用品セットについて約八万点を確保しております。それから、都道府県におきましても、地域内の災害に備えまして、四十九年四月現在でございますが、毛布が約二十九万点、衣料品約二十四万点というふうに聞いております。  それから、これ以外に通産省の方で生産者在庫の形で約七十万枚の毛布を確保しておるというふうに聞いております。
  71. 秋川喜司雄

    ○秋川説明員 主要食糧の備蓄在庫につきまして御説明申し上げます。  現在、主要食糧につきましては、災害時におきます対策を含めまして十分な在庫を持っておるわけでございます。具体的に申し上げますと、米の場合につきましては、この米穀年度末におきまして大体五百三十万トンに上る米の在庫が発生しそうでございます。それから、麦につきましては、小麦の場合におきまして需要量に対しまして二・五カ月程度の数量を常時備蓄をいたしておるわけでございます。さらに大麦につきましては、主食用につきまして四カ月分相当の在庫を持っておるわけでございます。  したがいまして、在庫量といたしましては十分な在庫を持っておるというふうに考えておるわけでございますが、なおそのほかに、災害対策用の乾パンを手持ちといたしまして目標数量二十六万食程度を全国の八都道府県に配置をいたしておるわけでございます。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで最後に三つお伺いして終わりますが、いまのガスえその抗毒素の問題ですが、これは一定の温度で保管をしなければいけないので保管を委託しているということをお伺いしましたが、災害時、一定の温度で保管されているものがどういうふうに使われるのか、素人ですからついでに聞きたいのが一つ。  それから、毒物、劇物等の危険物実態調査の実施についてお伺いしておきたい。  本年一月の伊豆大島近海地震で崩壊し、狩野川流域を汚染した鉱津堆積場のシアンの流出事故、予想もしなかった危険物がわれわれの生活の回りにあって、地震で大きな被害をもたらしかねないことを改めてわれわれは警告されたわけであります。シアンと同じように地震で一たびその施設が崩壊すれば地域に多くの被害をもたらす危険物が人口の密集した都市部の至るところで住民、住宅と共存しているのがいまの状態であり、危険物施設における火災、爆発、危険物流出等の事故が人命やあるいは周辺地域に与える危険性は日ごとに増大していると思わなければなりません。  これらの危険性を排除するため、保安の徹底を図る行政を進めなければと思いますが、化学工業その他の分野で取り扱われているさまざまな毒劇物の中にはいわゆる有機化学物質も多く含まれておりますために、震災の災害状態、その態様というものも、それ自体の毒性による中毒ばかりではなくて、火災、爆発、それらの複合したものが考えられなければなりません。  これらの毒劇物である化学物質に対しては、毒物及び劇物取締法、高圧ガス取締法、労働安全衛生法、消防法、石油コンビナート等災害防止法により、それぞれの側面から規制がなされておりますが、現在、これらの毒劇物の量はどのくらいあるとお思いになっていますか。調査されていますか。また登録されている製造所、輸入業者、販売業者の数はどのくらいあるのか。それから災害対策としての点検調査を行っているかどうか。いつやったのか。それから毒劇物の保管、取り扱い等についての実態はどうなっているのだろうかということも伺いたい。  なおついでに、ガソリン、灯油、軽油及び重油の危険物施設、いわゆる製造所、貯蔵所あるいは取扱所、屋内貯蔵所、屋内外のタンクの貯蔵所、地下タンクの貯蔵所、給油取扱所の個所数、保安対策はそれぞれどうなっているか。  それから、都市ガス対策として、高圧ガス、各種有毒ガス、燃料用LPG、液化石油ガスですが、これらは貯蔵タンク、パイプ等の事故による個別火災が拡大してタンク群、工場全体の火災、さらに地区全体が火災に巻き込まれ、爆発火災になる危険が大きいが、これに対してはどう対処されているのかということを二つ目に聞きたい。  最後に、これは大臣に、多く申し上げる必要はありませんが、わが国はいま環太平洋地帯に位置する世界有数の地震国であると言われています。そのとおりです。戦後における急速な経済発展は、反面人口、産業の都市への集中、それから木造密集市街地のスプロール化、出火危険度の高い店舗、工場が住宅と混在する無秩序な市街地の形成、石油、ガス等の危険物の集積、慢性的な交通渋滞等をもたらしております。その結果、わが国の都市構造地震に対して署しく脆弱なものとなっておることは事実です。このようなときに大規模地震発生すればどうなるか。火災同時多発により延焼が拡大すればどうなるのか。有毒化学物質あるいは毒劇物が流出すればどうなるのか。大惨事は目に見えておりますが、政府の万全の対策が必要と考えますが、厚生大臣としてのこれら大規模地震に対する総括的な決意を最後にお伺いして、終わりたいと思います。
  73. 中野徹雄

    中野説明員 お答え申し上げます。  御質問中の血液関連の製剤あるいは生物学的な製剤には多く一定の低い温度でこれを備蓄することが必要なものがございます。したがって、それらのものにつきましては一定の冷蔵状態において保管をいたしまして、その使用時までこれを一定温度で保管しなければならないということは、先生指摘のとおりでございます。  なお、毒劇の関係につきましては、いま手元に資料を持ち合わせておりませんので、先生の御質問の取り扱い状況、その所在、あるいは点検状況については追って資料を先生の方に提出をいたしたい、かように考えております。
  74. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 先般の宮城沖地震でも石油タンクが漏洩したという事故がありまして、地震に対する私どもの予防面の関心というものは非常に高いものでございますが、なお不十分な点については現在原因調査等を行っておりまして、徹底的に究明したいと思います。  先生指摘のそういう危険物、いわゆるガソリン、灯油等を扱います施設の数でございますが、これは一定数量以上を許可施設と指定いたします関係上、その数量以上の施設というふうに御理解願いたいのですが、製造所が五十二年三月三十一日現在で四千百四件、それから貯蔵所は全体で三十三万三千四百四十件でございまして、先ほど申し上げました屋外タンク貯蔵所と称するタンクで貯蔵するものが九万九千六百二十六、屋内で、いわゆる倉庫で貯蔵いたしますのが五万六千七百七十二、それから地下タンクで貯蔵いたしますのが八万五千八百七十四、それから街のガソリンスタンド、すなわち給油取扱所でございますが、七万九千九百九十八、トータルいたしまして五十二万七千百十八件でございます。なお、これらの数は毎年少しずつ増加してまいっております。  以上でございます。
  75. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私ども所管の中で、御指摘非常災害時における対策でございますが、いまお聞き取り願いましたように、衣料あるいは食糧等の問題、供給体制、備蓄の問題、それから医薬品、ほぼ相当対策が確立していると思います。それから医療救急体制につきましても、医師会あるいはそれぞれの病院、あるいは日赤、済生会等の組織で従来とも相当訓練、組織が行き届いておると思っておりますが、一番問題は、心身のいろいろな障害者を多数抱えておる施設体制だと思いますので、病院並びに社会福祉施設等について、まだまだ訓練なりあるいはいろいろな非常災害時における対策、対応の仕方ということについて、私は、きょういろいろな御指摘をいただいて、これから十分ひとつ整備をしなければいかぬし、同時に訓練をしなければいけない、またそれに基づきまして、その欠陥を常時反復、反省をしまして、十分なる訓練体制をとっていかなければいけないと思っておりますので、この点を中心にして、今後ひとついろいろな意味での調査とそれから訓練と、さらにその結果に基づきます私どもの対応の仕方というものに真剣に取り組んでいきたいと、かように考えます。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 じゃ、お願いします。  終わります。
  77. 楯兼次郎

    楯委員長 宇野亨君。
  78. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 私は、去年二月二十四日に自治体病院の赤字の問題、この問題を取り上げまして、担当大臣から逐次お話を伺ったわけでございますけれども、新しく小沢厚生大臣が就任されまして、ベテラン中のベテランでございますから、どうかひとつきめ細かい自治体病院に対する御理解と御援助をお願いしたいと思います。  まず、厚生大臣から御答弁いただく前に、自治省におきまして自治体病院に対する指導体制がどうなっているか、自治省の方からお伺いいたします。
  79. 猪原正芳

    ○猪原説明員 先生の御質問の件でございますが、病院事業につきましては、現在、自治省公営企業第二課において所掌いたしておるわけであります。  ただ、公営企業と申しましても、上水道でありますとか、あるいはまた交通でありますとか、そういうような公営企業法の全面適用の部分と、それから、公営企業以外でありますが、いわゆる一部適用、財務適用の病院のようなものがあるわけでございます。  病院につきましては、下水道と同じように準公営企業として現在扱っておるわけでございますが、やはり私どもといたしましては、病院の経営を今後とも常に適切に指導していくためには、ぜひ、管理体制といいますか、組織上の問題を含めて確立いたしたい、こう考えておるわけであります。しかも個々具体の問題が現在生じているような状況でございますので、きめ細かい指導をしていきたいと、こう考えておりまして、現在五十四年度予算に対しまして組織の体制確立のための要求を行っているような現状でございます。そのこととは別にしまして、今後とも病院事業につきまして適切な指導を続けてまいりたい、こう考えておりますので、よろしくお願いします。
  80. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 いま第二課長さんからのお話を伺いましたけれども、千にも及ぶ自治体病院というものが現実にあるわけでございます。その中で、私の方の調査でございますけれども病院担当は、病院係長さん、係員さん、研修生の三人のスタッフと補佐が一人だ、こういうぐあいに私ども承っておりますけれども、実際にそういう管理体制でございますか。
  81. 猪原正芳

    ○猪原説明員 ただいま御質問のとおりのような管理体制でございます。
  82. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 こういう体制下で、非常に赤字に苦しんでおる自治体病院体制をきめ細かく指導するということは非常にむずかしいのじゃないかと私は思っておりますが、これらに対する自治省としての、将来の、厚生省に対する、人事体制あるいは予算等の要求問題、特に補正予算の問題を抱えておるわけでございますから、その点について考えがございましたらお伺いします。
  83. 猪原正芳

    ○猪原説明員 すでにこれまでも、私ども自治省の中におきまして、先ほど申し上げましたように病院事業に対しての適切な指導をしてまいったつもりでございますし、今後とも続ける所存でございます。ただ、先生がおっしゃられるように、現在の管理体制をなお一層強化していただければ、これまで以上の十分な、きめ細かい指導ができるのじゃないかと、こう考えております。そのような方向で五十四年度予算に対して私ども臨みたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
  84. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 管理体制の問題につきましてはやや理解いたしますけれども、五十四年度の公的病院の財政対策予算問題、要求問題がすでに出ていると思うのですけれども、これらについて、差し支えなかったらどの程度の積極姿勢で大蔵省に折衝をしておられるか、お伺いしたいと思います。
  85. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 厚生省関係でございますけれども、まず建物の整備費については、一部自治体病院のほかに日赤等の公的病院の補助金も入りますけれども、本年の六十八億を百億で要求いたしております。また、運営費の補助金でございますが、本年の十四億を二十億で要求をいたしております。特に運営費の補助金につきましては、自治体病院は、まず不採算地区という場合に、過疎四法の縛りがかかっておりました。これを撤廃いたしたいと思っております。また病院規模による縛りが特別交付税と同じようにかかっておりますが、この基準をかなり改善いたしたいと考えております。  さらに新しいものといたしましては、従来不採算とか救急とかがんとか、こういった特殊な機能に着目して運営費の補助金を出してきたわけでございますが、新たに小児医療につきましても補助対象にいたしたい、そのような考え方で、医務局といたしましてはかなり大幅な予算要求をしているつもりでございます。
  86. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 整備費でございますが、百億の予算要求をしておられるというわけでございますが、前年度が六十八億九千八百万、その中で自治体関係予算がどのくらいあったか、また百億予算要求の中で自治体関係予算がどの程度含まれておるか。
  87. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 ただいま詳細な資料を手元に持ち合わせておりませんが、七割五分から八割は自治体病院関係と考えております。
  88. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 自治体病院関係が七割五分というような御答弁でございますけれども、百億のうち七十五億程度が自治体病院の整備費というぐあいに認識してよろしゅうございますか。——ありがとうございました。  自治体病院のいまの補正に関する予算と五十四年度に対する予算要求の問題は、非常に大幅だと私感じます。ですから、この実現にどうかひとつ大臣にも特段のお骨折りをお願いしたいと思います。  続きまして、累積赤字の問題でございますが、二月にも私申し上げましたけれども、すでにもう五十年度には一千七百九十八億、五十一年度には二千百七十八億、五十二年度には大きく上回って二千四百十五億と、年々増加しておりまして、自治体病院の経営は非常に苦しい。そこで地方団体、病院団体、公営企業金融公庫による赤字のたな上げ、償還に当たっての元利補給についての強い要望が出されております。この点については、大臣はどうお考えになっておられますか。  ただいま事業再建という話がございまして、二、三の再建の病院がございますけれども、これらの事業再建が二件ございます。本年度完了する病院二件、五十五年度完了予定病院が一病院とございますけれども、三病院の合理化、他の公営企業と違いまして、病院は合理化、合理化ばかりではなかなか再建がむずかしいのじゃないか、こういうぐあいに私は考えておりますけれども、この点について、大臣のひとつ専門的な責任ある御答弁をお願いしたいと思います。
  89. 小沢辰男

    小沢国務大臣 自治体病院はどこでも赤字だということは私もよく承知をいたしております。したがって、病院経営の面から見ますと、まず、診療報酬の改定のときには、できるだけ入院料等の実態に即する引き上げをやったつもりでございますが、従来の累積赤字等については、やはり自治省側でよくお考え願わないと、厚生省でこれをやるわけになかなかいきません。  なお、自治体病院は、御承知のように公的医療機関として、特に民間ではやれないものをやっていただく。また住民サービスという観点から、私はやはり採算をとっていかなければいかぬとは思いますけれども、ある程度それぞれ住民福祉の観点から市町村なり県が、やはり負担すべきものは考えていただかなければいかぬだろうと思います。  それと、合理化ということにつきましては、私ども全般的に、国立もそうでございますけれども、できるだけひとつ合理的な運営に志していただきまして、重点を医療機関としての本来の方に置いていただくような、人員その他いろいろな面の工夫をやはり図っていただきたいと思っておるわけでございます。  ただ、公的医療機関、国立病院の経営等を、医務局長からも申し上げますけれども、確かにあれだけ設備投資について国がほとんどめんどうを見ておりまして、民間と違って税金あるいは固定資産税その他の面も全くないのになぜやれないのかという面がございまして、われわれいろいろ経営の分析等をいたしておりますが、現在の医療費体系で公的医療機関が本当に十分に採算をとっていけるかという点を考えますと、まだまだ実は、薬の問題を除きまして、医療費の問題を実態に合わせて考えていかなければいかぬ面があるかなと思っておりますけれども、私が長い問いろいろなお世話をしたりあるいは見たり聞いたりしている観点から見まして、少し自治体病院の運営についてなお工夫、改善の余地があるのではないかという、非常に大ざっぱな感じでございますけれども、持っておりますので、この点はぜひ当事者にやはり——もちろん合理化だけですべてが解決するとは私、考えておりませんが、やはり合理的な運営の面に一段と工夫をお願いしたいという気持ちでございます。  ただ、やはり考えていかなければいかぬのは、公的な三団体も含めまして、公的病院というのはどうしてもいろいろな面で規制が強いわけでございますので、また、それが逆に言えばサービスの面で、たとえば差額ベッド等についてはもって範を垂れていただかなければいかぬ面がございますものですから、そういう面から言いますと、どうしても病院の経営上なかなか無理が出てまいります。したがって、そういう面で考えてみますと、私は、保険点数だけで差額ベッドの解消というものはなかなか困難ではなかろうか、したがって、この面で過去の赤字を何とかひとつ国の方で長期的にめんどうを見ていくというようなことをやっていきませんと、非常に困難ではないかと思っておりますので、従来ともやっております運営費の補助、あるいは設備改善の費用の補助等につきまして、できるだけわれわれ厚生省サイドでも努力をしてお助けをしていきたい、かように考えております。
  90. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 大変ありがとうございました。  ただいま大臣から答弁がございましたけれども、公的病院の病床規制でございます。この病床規制につきまして、人口三十万以上の市が三十九年の時点で五十八、十万人、五万人以上十万人未満がそれぞれ五十二と三十八でございまして、三十万人以上の都市との差は六、二十、こうございまして、その後、五十年、五十一年と三十万以上は六十六、七十と変わりまして現在に至っております。ところが、五万人から十万人あるいは五万人未満の市町村、この地域につきましては五十二年までが五十七、現在に至って六十三、こういう枠にはめられておりまして、過疎地域の公的病院につきましては病床の増加、あるいはまた過密地域の病院と同じような枠にしてはどうだろうか、赤字解消の面からしましてもこういう非常に意欲的な姿勢を打ち出しておりますけれども、この点についてどうお考えでございますか。
  91. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 御指摘のとおり、現在の公的病床規制の基準は二段階になっております。人口十万以上の都市部が一万対七十でございますし、十万未満の市町村は六十三ということになっております。  この基本的な考え方は、やはり郡部におきましては生活水準だとか就業構造その他いろいろと市部と違う面がございますので、大都市部と郡部では差があってしかるべきではないかという考え方でございます。この基準のお手本になっておりますアメリカのフィルバートン法、あるいはフランスの病院法あたりも、これは戦後直後の法律でございますが、三段階に分けていたわけでございます。  しかし、先生もいま御指摘になりましたように三十九年発足当時は四段階にしておりましたものをだんだんと統合いたしまして、現在二段階にしてきたわけでございます。またその二段階の格差もだんだんと縮めるようにしてきたわけでございます。  したがいまして、この問題は、従来から二年ごとに基準を改正することにしておりますので、近く医療、審議会を開きまして審議会の御意見をよく聞いて結論を出したいと考えております。  ただ、先ほどもちょっと申し上げましたが、諸外国においてはやはり大都市と郡部では差があるというような態度をとっておりますし、また最近の医療費の著しい増高の傾向、また現在の既存の病床数、そういったものから考えまして、すでにアメリカ、フランス、イギリス、ドイツでは、むしろベッドをできるだけ削減したい、むしろ量よりも質の方に重点を移していきたいという政策をはっきり打ち出しております。そういうふうな点も勘案しながら近く医療審議会の御意見を承りたいと考えております。
  92. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 佐分利局長さんの医療審議会の意見を承りたいという話で、これは年々変えるということですが、過去の歴史、過去の経過を見ますと、年々改定にはなっておらないのです。ですから、厚生省の方で主体性を持たないで審議会の意に沿う、審議会任せというような姿勢が過去の経過では出ております。この点についてどうですか。
  93. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 おおむね二年に一度基準を改正いたしますけれども、御指摘のように過去において、基準そのものは改正しておりませんけれどもいろいろな特例措置の改正をしておりまして、たとえば老人病床とかリハビリ病床とか救急病床、あるいは最近は難病の病床、こういったものは特例措置で上積みできるというような、実質的な改正をして対処をいたしてまいっております。そのようなことを考えますと、見かけ上は基準が改正されないけれども実質はかなり大幅に改正されているというのが過去の実績ではないかと考えております。
  94. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 改正がされないときには実質的に内容的なものを改正しているから数字の上にあらわれない改正があるのだ、こういうことで理解してもよろしゅうございますか。
  95. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 端的に申しますと、もう現在、すでにほとんど考えられるものについては特例措置が設けてございますので、たとえいまの基準でも、その特例措置で運用なさるならばまだかなりの増床ができることになっているはずだと考えております。
  96. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 たとえば加算の制度があるということでございますが、この問題については、ではどういう数値においてどういう加算をされておるか、差し支えなかったらひとつお答え願います。
  97. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 加算につきましては法令で基本原則が定めてございますけれども、具体的には地域の実情に合わせてケース・バイ・ケースになるわけでございます。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕  端的に申しますと、いわゆる普通の一般病床というものは認めないけれども、老人のための病床だとか救急医療のための病床、リハビリテーションのための病床、さらに難病、この難病というのは幾つも種類がございますが、難病患者のための病床であるならば、その地域の実情に応じて、極端なことを申せば幾らでも上積みなさって結構だということになっているわけでございます。
  98. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 私の方の地域は、御承知のとおり非常に過疎地帯、農村地帯でございます。で、老人の患者が非常に多いという実態がございますけれども局長はその点認識しておられますか。
  99. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 私は、千葉県内の事情につきましては一応のことは存じておりますけれども一つ一つの地域を点検施設を訪問したわけではございません。しかし、私は冬季オリンピックのときに北海道の衛生部長を仰せつかっておりましたので、北海道の辺地、離島、山村の模様はつぶさに存じておりますので、おおむね内地においてもそれと同じような状態ではないかと思っております。
  100. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 ありがとうございました。  それでは、ちょうど総理も第三の柱というのを標榜しておられますが、景気対策の一環といたしまして今回特に重要な柱としている第三の道、学校とか病院といった文教、社会福祉の施設等、特に病院にしぼってどのような対策を講ずるお考えがあるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  101. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 病院の場合も、国立病院もあれば自治体病院もあるわけでございます。ただ、今度の補正予算におきましては、国立病院の場合にはみずから広大な土地も持っておりまして、すぐ整備できるといった問題もございますし、直轄の工事でございますから直ちに着工できまして、いろいろな景気浮揚等の施策に即効的な貢献ができるというようなことがございまして、国立病院についてはかなり巨額のものを計上いたしております。大げさに申しますと、史上空前というような額になろうかと思うのでございます。  また、自治体病院につきましても、特に昨年から本年の六、七月までの地方の要望を見まして、自治体の御希望の強いものにつきましては、関係各局それぞれ予算を計上いたしております。  しかし、自治体病院に対する補助金よりも、先ほど申し上げましたように、今回の補正予算では国立病院、国立療養所の整備、拡充、近代化といったところに重点を置いております。
  102. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 史上空前の国立病院に対する医療機械設備の改善ということで、これは大変結構だと思いますけれども、自治体病院についても、同じ病院の運営でございますから、この際思い切った補助体制、この点についてはどう考えておられますか。
  103. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 特に必要なものにつきましては、今回の補正予算でも計上してございます。たとえば局は違いますが、公衆衛生局が精神病院に対する補助金を今度の補正予算で計上いたしております。医務局の場合は、先ほど先生に御説明いたしましたように、本年度六十八億の整備費があるわけでございますが、とかく現在の地方財政の窮迫、また何と申しましても病院施設よりも道路、港湾、ダム、そういった方を急がなければならないという要請があるようでございまして、そういう関係で、ここのところ病院に対する補助金とか融資の申請がかなり落ち込んでいたわけでございます。特に、補助金につきましてはいろいろと要件がついておりますので、どの病院整備にも差し上げるわけにはいかないわけでございます。そういう関係で、たとえば昨年も若干予算を余したというような実績がございます。  要するに、本年度も当初予算の六十八億で都道府県市町村の御要望には医務局としてはおこたえできるであろう、そのように考えて、特に医療施設については補正予算を組んでいないのでございますけれども、たとえば看護学院等についてはここ一、二年の実績から少し足らないであろうということで、今度の補正予算にも予算を計上いたしております。
  104. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 それでは、自治体病院関係はひとまず終わりまして、次に公営企業の水道をお伺いいたします。  御承知のとおり、全国に三千五百三十六事業所がございます。五千人以上が千七百九十一カ所、簡易水道が五千人以下で千七百四十五、こういうような状態の中で、三万人未満の小規模の上水道事業、これが千二百二十三事業所ございます。全体の約七〇%になります。この水道事業というのは、都市水道と非常に違いまして、大変苦しんでおる。その苦しんでおる現況を昨年度から高料金対策ということでカバーをする、それに対して自治省が交付金、特交でこれをめんどうを見るというような状態でございますが、非常に料金格差がひどいわけでございます。最低では二百円、では二千円を突破している、こういうような非常に格差のある料金というものを直視した場合に、どう考えておられるか。
  105. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘のように、水道事業に料金の格差がかなりあるわけでございますが、御承知のように、水道事業というのは大変地域性がある事業でございます。したがいまして、水道事業の給水原価の構成の上から見ますと、まず何と言いましても、立地条件だとか、あるいは水道事業を始めたときの新旧の問題だとか、あるいは都市、農村といいますか、その需要構造の相違といいますか、そういうことがございまして差が出てくるのは一応やむを得ない、必然的に出てくるものだというように私ども認識いたしているわけでございます。  ただ、料金が著しく高いということの原因を追求してみますと、もっぱら水源事情が大変大きなファクターを示している。そういう意味で、ダムのような水源を使わなければいけないとか、あるいは非常に遠距離から水を引っ張らなければならない、そういう部分につきましては、先生御承知のように、水道水源開発施設あるいは遠距離導水路施設というものに対して国庫補助が行われているわけでございます。また他方、規模の小さい水道が多数あるということも、経営面から見れば必ずしも効率的ではないということから、広域化を進めているわけでございまして、そのための補助制度等もございます。  そういうことを通じまして、できるだけ給水原価の上昇を抑える、ひいては料金の高騰を防止いたしたいという観点に立ちまして、いろいろ施策を講じているところでございまして、私どももさらに一層その施策を進めていきたい、このように考えている次第でございます。
  106. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 私は、いまの答弁で全く納得できないのです。というのは、これは例を挙げて御説明申し上げますけれども千葉県に九十九里水道企業団というのがございます。これは私、県会議員時代から手がけた水道でございます。そこで私の方の八匝水道、山武水道、長夷、もう一カ所ございまして、四つの企業団が九十九里水道企業団から原水を受ける。ところが、そういう指導でなくて、それぞれの企業がみんな三町村、私の方は一番少ない地域で、三町村が企業団を組んでいる。この企業団自体が送水管までの補助を受けられる受け入れ体制、組織はあったのですね。ところが、九十九里水道企業団というものを一つにしてしまったために補助を受けられない、こういう経過があるのです。部長さんはその当時どうであったかわからないけれども、せっかく企業団を組織できる環境立地でありながら、それをそういうぐあいに指導しなかったために、私の方は五十六年度には二億円の赤字が出る。これはやむを得ず県から借りてその赤字の補てんをして、百二十円の高料金対策で自治省からその赤字の何割か、全額でございませんけれども、特交で認めてもらっているというような現況、山武水道企業団に至っては五十六年度には二十億の赤字が発生する、こういうような現実になってきた。それは当初給水人口というものを想定した、その何割にしかなっていないじゃないか、高料金でもしようがないだろうと言うけれども、やはり基本的な設備の補助対象というものにならなかったから結局原価が高くなってしまう、こういうような問題について厚生省はどう指導されたかわかりませんけれども、率直な部長の所見を伺いたい。
  107. 国川建二

    ○国川説明員 いま先生お話しの九十九里水道企業団関連の事業との関係でございますが、水道広域化補助金というものがございまして、広域化を推進することによりまして全体のコストを引き下げるという目的、またそれだけじゃございませんで、水の公平な配分といいますか、あるいは効率的な経営ということを目的としているわけでございますが、そういう水道施設の基幹的部分に対しまして補助をするというたてまえに実はなっているわけでございます。  御承知のように、水道施設はいろいろございますけれども、ダムや河口ぜきのような貯水施設水道水源関係の補助対象といたしているわけでございます。その後の、それ以下のと申しますか、取水施設、それから原水を運ぶ導水施設、それから浄水施設、それから浄水場から枢要な地点へ水を送るための送水施設がございます。それからさらに、水を市内といいますか、給水区域内に配るための配水施設、こういう構成になっているわけでございまして、私どもの方の補助対象といたしておりますのはその導水、送水施設まででございまして、実はその配水施設は除外いたしているわけでございます。その結果、先ほど先生おっしゃいましたように、九十九里水道企業団から浄化された水を受けて水を配る八匝企業団とかあるいは山武郡都市企業団というようなところは、施設の面から見ますと配水施設ということに該当することになりまして補助の対象とでき得なかったわけでございます。  先生の御指摘は、水道事業全体を見て考えてはどうかという御指摘かと思いますけれども、建設当時、私どももできるだけ全体としてのコストの低減を図れるように種々御相談も受け、県とも御相談しながら進めたわけでございますけれども、結果としまして、ただいま先生がおっしゃったような形に現在なっておりますのは遺憾に思っておりますけれども、あの地域がもっぱら新設水道という原因もあろうかと思います。もう一つ、コストが大変上がりましたのも、例の石油ショックの時点でもございましたし、そういうもろもろの影響が出た結果だと思っているわけでございますが、そういうことも踏まえまして、全体、私どもの補助制度のあり方をどうすればいいのかということは、今後とも十分検討していきたい、こういうように思っているわけでございます。
  108. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 いまの送水施設までという補助のことですね。ところが、あの実態は、水資源公団と工業用水のジョイントで、どうしてもその時期に事業を開始しなくてはならないという客観情勢があったのです。そのために、指導態勢のもとにわれわれの方は、言うがままというと変でございますけれども、言うがままの事業のスタートをせざるを得なかったというのが実態なのです。  そこで、今度は隣に東総用水事業というものがございます。銚子を中心とした海上郡市の地域がございますけれども、その地域については、ぜひひとつ大臣からも御指導していただいて、そういうような不公平のないように。九十九里水道企業団というのは送水管までなのです。実質上の給水管が。あなたの方で認めてもらわない給水管までが実際には送水管なのです。現実は補助対象になっているのですよ。ですから、今度銚子地域が始まるわけでございます。この点についてはひとつ温かい御指導をしていただかないと、また赤字の累積、これは自治体病院と同じように、赤字赤字ということで申しわけありませんけれども大臣にはひとつ自治体病院の赤字問題、過疎地帯の水道の高料金ということでやっと運営をしておるという水道問題、簡易水道の問題についても、ちょっと時間がなくなってしまったのですけれども、これもまた大変な——私は後追い見直しという言葉を考えているのですけれども、簡易水道の問題についても、全長の十メートルが当初は対象にならない。現在では六メートルか七メートルでも補助対象になっている。では、その時点で振り返って応分の見直しをしてやったらどうだというような考えも持っているわけでございますけれども、きょうは病院水道の問題の赤字赤字ということの連続でございますけれども、どうか最後大臣から、そのような対策について厚生省の本当に温かい気持ちの御答弁をひとつお願いいたしまして、終わらせていただきます。
  109. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は、病院の赤字よりも、本当は水道の問題についてはどうも不合理じゃないかという感想を持っているのです。というのは、病院は、基本的には医療費が画一的に全部きちっといくわけでございます。どんな田舎でも都会でも入院の料金というものは同じわけでございます。たとえば生鮮食料品の物価が違っても、実は田舎の方の入院料を安くして都会の入院料を高くしておりません。ところが、水道問題を考えますと、田舎の方は一戸一戸の配水距離が非常に長くなったりして、不採算の要素というものは非常に強いわけですね。ところが、都会の方はえらい安くて、田舎の方はうんと料金が高い。全国で一番高い水道料金と一番低い水道料金を比べますと、ひどいのは、たしか三千円以上のところが一カ所、広島県のどこかにあったと思うのですが、東京都の羽村町が一番低くて百四十円、そうすると、これはもう驚くなかれ、二十倍以上になっておるわけでございますから、この辺のところは、本当に行政をやる者として考えていかなければいかぬなというふうに考えております。  ただ、この数年間、国のいろいろな補助率というものがなかなか変更になりませんで、だから、これをどうしたらいいかということについて、同じ水を飲んでいる者で、地区によって料金が非常に違ってくるということは、これは福祉全体の面から見てもどうも放置できないのじゃないか、どうしたらいいかということをいろいろ検討していきたいと考えておるわけでございます。  まだ具体案を持っておりませんので、どうも的確にお答えできませんが、いま御提案の銚子の問題につきまして、よく私も実情を知らぬものでございますから、帰りまして水道環境部と相談をいたしてみまして、全体としてとらえてどういうようないい方法があるか、補助率の変更がいますぐできませんので、現状のままでどういうふうにしたら一番いいかということを真剣にひとつ検討してみましてからお答えさせていただきます。しかし、気持ちは十分持っております。
  110. 宇野亨

    ○宇野(亨)委員 どうも温かい御答弁をありがとうございました。  以上をもって終わります。
  111. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 この際、午後二時まで休憩いたします。     午後一時十分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  112. 楯兼次郎

    楯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます一  質疑を続行いたします。村山喜一君。
  113. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 小沢厚生大臣、あなたは最近、ヨーロッパから医療や年金、社会保障の問題等を調査をされて帰国をされたようにお伺いをするわけです。国内は近く臨時国会が始まりますが、健保は継続審査という形でおさまっておりますが、日本医師会は自民党の方と、実質的な自民党案、いまの政府提出法案は廃案にしてそして自民党の案を出すのだというようなことで、近く三回目の調査会が開かれるようでございます。もちろん日本社会党は、実質給付率の切り下げである、あるいは負担増につながる問題があるというようなことで、継続審査にすることも反対をしたことは、大臣御記憶のとおりでございます。こういう状況の中で臨時国会を迎えるわけでございますが、臨時国会にはどういうような気持ちで取り組んでいかれるつもりであるのか、その点についてまず第一点お伺いをいたしたいのであります。  それから第二点は、八月二十九日の日本医師会長の厚生省の行政姿勢についての不信表明、一切の行政関係を停止するという決定をあなたに通告をしていらっしゃるようでございますが、これに対してはどういうように対処されるのですか。  それから第三点は、厚生年金国民年金の問題でございます。すでに恩給局では、人事院勧告に基づいて一定の来年度予算要求の中で改定の原案を提案いたしておるところでございます。もちろん厚生年金なりあるいは国民年金というものの制度の仕組みは恩給や共済年金とは違います。しかしながら、物価が上昇をしていることは間違いない。こういうようなことを考えてまいりますと、五十四年度予算要求の中に当然そういう年金の問題について、厚生省所管の分についての改定については要求をされるだろうと思うのでありますが、それはそのようなお気持ちでございますかどうか。  なお、その際に、新しい年金計画というものを、厚生大臣の私設の諮問機関であります年金制度基本構想懇談会の中間報告、あるいは社会保障制度審議会の基本年金構想というようなもの等が出されておりますが、これらのものを踏まえまして新しい年金制度の考え方というものをいつの時点でおつくりになるつもりでいらっしゃるのか、基本的な問題について大臣の御所見をまずお伺いをいたしておきたいと思います。
  114. 小沢辰男

    小沢国務大臣 まず健保法の改正問題でございますが、私ども政府といたしましては、現在国会で継続審議中の案件、これが最良のものとして御提出を申し上げたわけでございます。しかし、御承知のように、当然政府・与党の立場で私どももございますから、党の方の態度が決まりまして何らか党から政府に申し入れがあります場合は、当然これについて、もちろん私どもの考えも申し上げますけれども、党の最終方針が決定をいたしました場合には、党のもとにおける政府でございますので、この点は十分尊重していかなければならぬだろうと考えております。  いま、約一週間外国へ参りまして勉強してきたんだがその視察の結果等も踏まえて臨時国会の気持ちをというお話でございました。どこでも実は大体私どもが承知しているような制度の内容でございますので、取り上げて今度特別な感想というものを、何か特にいままでわれわれが全く考えつかなかったような点を承知してきたかといいますと、そうではございません。しかし、私は今度、数点について感想を持ってまいりましたが、特にドイツで、昨年医療費のある一定限度の抑制法というものが国会を通過いたしまして、これに各界がどう対処しているかということを関心を持ったわけでございますけれども、その中で、総同盟の福祉関係あるいは健康保険関係の最高責任者であり、かつ、疾病金庫の連邦全体の責任を持って運営する立場にある方と会いましたときに、われわれ労働者側は、使用者と労使協調の基本的な哲学を持ってあらゆる点に対処をしておるんだが、特に健康保険問題については、自分たちは政府の援助すら国家権力の介入に反対する立場から一切受けない、自分たちが自主的に、労使双方で保険というものを必要な保険料で賄っているんだということを非常に強調いたしておりました。この点、非常に自主的な精神といいますか、そういう点について特に私はいろいろな面で見習うべき点があるということを痛感をしてまいりました。  そのほか、医師会等にも会いましたり、開業医そのものにも会いましたり、被保険者の方の声も聞いてまいりましたが、詳しいことはまた機会がありましたらお答えをいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、現在の政府案につきまして継続案件中のものでございますので、その線で私どもは対処していくわけでございますが、政府与党でもございますので、与党の成案がどういうふうになりますか、まだ決定の段階に至っていないようでございますけれども、決定の上、与党とも相談をして私の態度を決めたいと考えておるわけでございます。  第二点の医師会との関係の断絶の点でございますが、私が出発の二日前にそういう文書をいただいたことは事実でございます。その発端は、関西の特に異常と思われるような政府管掌健康保険についてのレセプトの調査をやりまして、その結果を、中医協の支払い側の皆さんとのいろいろな協議の場がございますので、その場でその内容説明を申し上げましたものが発端でございます。いろいろ私どもにも、もちろんまさにごく少数の、ごく例外的な一部のレセプトの調査の結果の模様を、報道ではいかにも全般の医師会の診療報酬に対する請求の態度でないかという誤解を与えるような点がございましたことは、はなはだ遺憾でございまして、少しそういう面、事務的にも事の運びにつきまして手落ちがあったと思っておるわけでございます。  しかし、医療担当者側との意思の疎通については、私着任以来、もちろん他の関係団体ともそうでございますけれども、十分過ぎるぐらい十分私は気をつけてまいっておるつもりでございますので、このようなことだけで一切の行政に協力できないということにつきましては、はなはだ私としては不本意でございます。  しかし、こちらにも確かにいろいろな面で手落ちがあったことは事実でございますので、今後、私として、このような事態というものは決して正常な事態でございませんし、厚生省としては医療担当者側と十分意思の疎通を図る必要がございますので、できるだけ努力をいたしてまいりたいと考えております。  第三点の、五十四年度予算年金改定について特に根本的な改正を考えているかというお尋ねでございます。当然、毎年物価の上昇等をにらみまして必要な改正はしなければいけないわけでございますが、御指摘のありました、制度審等に出ております基本年金構想等を含めた根本的な方針の確立につきましては、今年の通常国会における予算委員会でお話を申し上げておりますように、遅くも大体来年の二月ごろまでには厚生省の基本的な考え方を申し述べて、そうしてその対策といいますか、予算その他一切の準備にかかりたい、こう申し上げております。したがいまして、できるだけ早い機会に年金について——特に私の頭の中にありますのは、福祉年金、五年年金、十年年金のいわば経過年金の受給者の方々についての所得保障としての年金のあり方をどうするか、こういう点について明確な方針を打ち出していきたいと考えておりまして、これは今年いっぱいかかりまして方針を決めたい。したがいまして、来年度予算では、このような基本的な構想を盛るという段階にはまだ至らないと思うわけでございます。ただ、方針としては、来年の予算審議をいただくときにはその方針を確立をしていきたい、かように考えておるところでございます。
  115. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣、物価上昇に伴う当然のスライドの問題は、これは要求されますね。
  116. 小沢辰男

    小沢国務大臣 物価の動向を十分つかんでからでございますし、これはもう基本的な方針が決まっておる点でございますから、この点は、予算要求という具体的な姿でなくとも当然スライド条項を適用していく、こういうことでございます。
  117. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 第二点は、最近新聞をにぎわわせております照射野菜入りのベビーフードの問題でございますが、コバルト60のガンマ線の照射によりまして食品衛生法違反の疑いがありということで、中神食品工業、これは調査をされていらっしゃると思いますが、同時に科学技術庁も、放射線障害防止法違反の疑いありという立場でありましょうか、立ち入り調査をされたやに聞くのでございますが、一体どのような調査のやり方をなさっていらっしゃるのだろうか。調査の進め方ですね。  御案内のように、これは食品衛生法の一部を改正する法律の施行に伴います環境局長の通達で、知事に委任をしておる内容については、取り扱いの内容の管理運営につきましての方法を述べているようでございますが、どうもその処理の仕方が今日まで余りにもずさんであり過ぎたのではないか。で、その管理運営の問題が今日そういうふうに放置をされてきたところに、このような食品衛生法違反の非常にショッキングな事情が生まれてきたのではないか。そしてまた、今後それに対する緊急的な対策がどういう方向で処理をされていこうとしているのか、この点については非常に問題が大きいわけですが、今日までの経過と対応の仕方について、なお将来の規制の方向についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。新聞等によりますると、当然廃棄処分にするとか、あるいは商品の回収をするとかいうような問題等も出ておるようでございますが、いまとろうとしておることはどのようなことでございますか。これは当局の方からお伺いしたいと思います。
  118. 山中和

    ○山中説明員 今回のコバルト60の食品照射の事件は、ただいま御説のとおり中神食品が乾燥野菜をラジエ工業の照射線に当てて、それを原料会社である中神食品が各食品会社に渡したという事件でございます。  それで、照射食品につきましてはただいまいろいろ開発しておりまして、そのうち開発の成ったバレイショだけにこれを許しておるわけでございます。それから、食品を照射する事業につきましてはいろいろ照射会社が、これは工業関係にもございますが、そのうち三カ所を指定いたしまして、当然バレイショだけを照射する、こういうことになっておるわけです。それに対じましてこれはほとんど故意に、食品とわかっておってやったという非常にとんでもない事件であるとわれわれは思っております。  ただいまいろいろずさんであるという御指摘でございます。これは所轄県から数度立入調査は現在までもしておるわけでございますが、これはそれをまた総合いたします科学技術庁原子力局とも協力いたしましてたびたび調査いたしておりますが、見逃してあったことに関しては遺憾に思うわけでございます。  これに対する対処でございますが、食品衛生法の七条違反になるわけでございまして、これはその後の影響いかんにかかわらず法律違反ということで厳重に回収するということで、ただいまこれの流れた全食品会社をリストアップいたしまして、地元の愛知県からそれぞれ連絡があったわけでございますが、非常に錯綜しておりますので、厚生省といたしましては、これを全部国でまとめましてそれぞれ回収を指示いたしました。なお、書類的には本日局長通知をもってその指示をいたしたところでございます。  それで、これに対する国民の動揺を考慮いたしまして、専門家その他から意見聴取いたしまして、これが幸いにして乾燥した野菜であったこと、それからガンマ線の照射であるために放射化のおそれがないこと、あるいは諸外国において、日本はその目的から発芽防止ということでバレイショだけでございますが、諸外国でもこれの許可はしておる動向もいろいろございます。それから、FAO、WHO、IAEAの合同委員会におきましてもそれぞれいろいろな食品に対する照射の妥当性も言っておるわけでございまして、そういう面を総合して専門家からこのデータはないけれども常識的には心配がないということを得ておりますので、それらを県に本日通知をもって参考を申し述べまして、これの周知を図りたい、こう思っております。
  119. 金平隆弘

    ○金平説明員 科学技術庁でございます。  科学技術庁で所管いたしております放射線障害防止法の観点からは、もともとこの法律は、自然の放射線を出しております放射性物質がある場所にあるとしまして、その放射性物質から出る放射線をいかに遮蔽するか、安全をどういうふうに確保するかというのが主なねらいの法律でございます。放射性物質は、その放射性物質の種類、それからそこにあります数量、それからその放射性物質そのものをどういうふうに取り扱うかということによってその安全性が変わってくるものでございますので、そういった観点からこの法律は問題にしております。  今回関係ありましたラジエ工業につきましては、昭和四十八年四月七日付の防止法の使用の許可を、医療品とか食品、そういったものの照射という目的で許可をとっております。今回こういう事件になりましたので、防止法関係ではいかがかということで、昨日検査官二人を派遣いたしまして立入検査をいたしました。その結果では、防止法関係では全く違反事実がないという感じでおります。  簡単でございますが、御報告いたしたいと思います。
  120. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 山中環境衛生局長、中神食品工業が粉末野菜の製造を始めたのは昭和四十九年以降、こういうことでございますね。そうすると、いま科学技術庁の方から放射線障害防止法に違反をしている点はない。そうなると食品衛生法の違反をしていることは間違いない。その食品に対するいわゆる照射の問題について、ラジエ工業もあるいは中神食品工業の場合も食品衛生法によります許可を受けているのはいつでございますか。
  121. 山中和

    ○山中説明員 ラジエ工業は四十九年でございます。ラジエ工業は照射の許可を受けることが食品衛生法上必要でございます。中神食品は別に、照射するのはジャガイモ以外いけないわけですから、それを扱ってない以上中神食品の方ではこの許可の必要は全くないわけでございます。
  122. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私の言い方がちょっとまずかったかもしれませんが、中神食品の場合は、これは飼料だということで封印しましたかん入りのものをラジエ工業に照射して殺菌をしてくれということで委託をしたのでしょう。ラジエ工業の方は、食品照射でなくて単に飼料照射だということで、話を伺いますと木材等についての乾燥のための照射等をやる施設も持っておるようでございますが、食品の照射の資格をラジエ工業は食品衛生法に基づいていつ許可をとっているのかということなんです。
  123. 山中和

    ○山中説明員 ラジエ工業が食品、すなわちバレイショだけでございますが、これの照射の許可を受けたのは四十九年でございます。
  124. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そうすると知らないで、ラジエ工業はだまされて処理をした。中神食品工業は法律に違反をすることを知りながら、そのことを昭和四十九年以降やってきた。その事実関係が今日まで明らかにならなかった、その責任はだれが負うのですか。
  125. 山中和

    ○山中説明員 普通、食品事故というのは、食品を担当している者というのは、やはり一度事故が起こるとその事業全体が全部だめになるという状況がありますので、きわめてその辺はまじめなことが多いわけでございます。したがいまして、食品衛生法違反ということをあらかじめ自分で知っておってこういうことをするという場合はきわめて悪質であると言わざるを得ないわけです。ラジエ工業へ、ある場合実験動物飼料といううわさも聞いておりますが、そういう名目で渡したということは、これは食品衛生監視上からも、この辺は普通の状態ではどうしても監視員によって発見することは非常に困難でございます。したがいまして、これは一に責任はその当事者にあると思います。したがいまして、現在、ラジエ工業と中神食品との関係というものに対しましてはわれわれの想像の域を出ておりませんので、この場でどう言うかということはちょっと控えますが、ただいま愛知県警の手によりましてこの辺の検索をいたしておるところでございます。書類その他もそちらに移っておりまして、そういう捜査の結果を待ちたい、こう考えております。
  126. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 例のバレイショの場合にはこれは最高一万五千ラドですが、この場合には五十万ラドを照射をしたというようなことをうわさに聞くわけでございますが、最高幾らやっているのですか。
  127. 山中和

    ○山中説明員 最初はいろいろな線量で放射しております。五十一年まではやはり菌を殺すという目的があったと想像されますので、その最もいい線量を決めるべくやったと思います。最高は千キロラド、しかし五十一年後はずっと五百キロラドを照射していると聞いております。
  128. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 千キロラドといいますと、これはもう大変な量になるわけですが、バレイショの場合は一万五千ですから十五ですか、それに対して千キロラドという大変な照射線量をなにして、吸収線量でラドの計算をするわけでございますが、これについて学者の意見は、放射能が残らないから大丈夫だろうとかいう非常に楽観的な意見等も出されているようでございますけれども、これについての徹底的ないわゆる今後の、特に投与されましたのが幼児でございますから、それに対する健康の被害調査、特に不溶性の微粒子として肺に結着をした際には発ガンの確率が増大をする可能性があるというようなことも言っている学者もおりますので、徹底的にその事情調査をし、商品の回収をやるだけではなしに、自後の対策というものについては何らかの方針をお立てになっていらっしゃるのでしょうか。
  129. 山中和

    ○山中説明員 ただいまラド数を申し上げたわけでございますが、これはコバルト照射でございまして、コバルトからガンマ線でございます。ガンマ線はエックス線と同じものでございまして、飛程距離が長く、これは透過する線でございます。したがいまして、科学技術庁もいらっしゃいますが、このガンマ線によってその物質が放射化することはほとんどないということでございます。  それから、乾燥してあるということは、ガンマ線に対しては非常に安定した状態にあると考えられます。  それから、これは各学者の意見を全部総合したわけでございますが、まず放射線で変化しやすいのは不飽和脂肪酸とか核酸であります。それから、先ほど申し上げました、食品がガンマ線で放射化されることはない。それからまた、外国での許可状況がいろいろございます。まあこういうことから類推いたしまして、まず心配はないという確証を得ております。  ちなみに、たとえばイギリスで病院食に現在使っておりますのが二千五百キロラド、あるいは西独で使っているのが二千五百キロラドから四千五百キロラドというような実験的なデータもあるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましても、まず自後の人体の方の調査という必要はない、こう考えております。
  130. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういうような非常に楽観をした考え方を厚生省自身が持っているところに、今度の問題が出たのじゃないのですか。だから、あなた方の方では、それであるならば、単にバレイショの発芽を抑制をするというだけのものにしかいま食品衛生法で認めていないわけでしょう。そのほかのものについてはまだ研究を続けている。こういう段階の中で、いまのような発言をされるという姿勢の中から、ああこれは、ガンマ線というのは波長の短い電磁波であって、透過力が強いだけで、放射化することはほとんどないのだ、だから食品の中にはそういうような影響は出てこないから構わぬじゃないかという考え方であなた方が決められたものを見るから、破ってしまうようなそういうような不心得な者が出てきて、そしてみんなに心配をかけているのじゃないですか。だから、そういうようなのであるならば、大体その厚生省の考え方、そういう行政的な姿勢そのものが、こういうような問題を生み出したということになるのじゃございませんか。——いや、これは大臣から答弁してください。
  131. 小沢辰男

    小沢国務大臣 いま局長が申し上げましたのは、放射化しないという点で、いろいろ危険性は、外国の例等も励まして、ないということを申し上げたわけでございますが、この照射によって中の成分がどういうように変わるかという問題等がございますので、これは私どもとしてはいろいろ、いわばまだ確定的に安全だと言えないものですから、食品衛生法では発芽防止以外には使ってない、禁止しておるわけでございまして、したがって今度の問題についても、この点についての究明はなお十分学識経験者にお願いをしてやっていこう、しかも食品そのものについても回収をして適当な処置をするということをやっているわけでございまして、ただいたずらに不安を醸成してはいかぬものでございますから、いまのところ放射化についての心配はないものということを申し上げたわけでございます。したがって、私どもは当然食品衛生法で禁止をいたしておる点でございますから、その精神に基づいてこの処置に当たっては厳正な態度で臨んでいるわけでございます。
  132. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間の関係がございますので、次の桜島降灰対策の問題について尋ねてまいります。  まず環境庁にお尋ねをしますが、降下ばいじんの測定値が、鹿児島の市役所の測定場所の数字があると思いますが、その数字を発表願いたいと思います。
  133. 卯木稔

    ○卯木説明員 環境庁でございます。  五十一年のデータがまとまっておりますのでそれで御説明申し上げますと、鹿児島市の市役所のところのデータでは年平均値で一キロ平方メートルの一カ月の量で百五・七トンございます。そのほか原良小学校では六十二・三トン、甲東中学校のところでは八十四トン、鹿児島大学工学部のところで六十四・一トン、九州電力鹿児島支店のところで五十九・六トン、九州電力紫原住宅のところで三十七・六トン、それから吉野中学校のところで五十三・五トン、この七局が三十トン以上のデータでございまして、全体で鹿児島市の中で十一カ所測定しておるのでございますが、このようなデータになっておるわけでございます。
  134. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ほかのところの地点の測定をやっていらっしゃるわけですが、いま話をなさいましたそれ以外の他の都市でこのような降下ばいじんの測定値で三十以上を占めるようなところがございますか。
  135. 卯木稔

    ○卯木説明員 ただいま同様な三十トン以上の局と申しますのが、全国で千六百九十五局のうちただ一つ栃木県の中にございます。それ以外はございません。
  136. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いまの数字は幾何平均で出された数字だということがこのごろになってわかってまいりました。算術平均でまいりますると、五十二年度の場合には三百五十六・六トンが市役所の測定場所では月当たり測定をされておる、こういうような数字を私はここにもらっているわけでございます。  そこで大垣、私も二日間ぐらい、最近は桜島や鹿児島、垂水だけではなくて私たちが住んでいる地帯にも台風とともに灰が猛烈に降ってまいりまして、ほとんどいままでは降灰地域でないようなところも被害を非常に受けているものですから、これは大変だというので調査をしてまいりました。厚生大臣の所轄にかかわる鹿児島の国立病院とか南九州病院あるいは隼人の霧島病院、そういうところをずっと回りながら調査をして回ったのですが、文部省の方は鹿児島大学の特定研究で認められました調査の研究の結果発表なされたものをお持ちだろうと思いますが、児童、学童のいわゆる降灰地域における健康状態はどのように把握をしていらっしゃいますか。
  137. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 文部省からは鹿児島大学に桜島の噴火災害に関する基礎的研究という特定研究経費を出しておりますが、いま関連の点につきましては、気管支ぜんそくの有症率は降灰量の極度に多い桜島から二十キロメートルのところに非常に多かった、それから気管支ぜんそくの有症率というものは火山灰量との間には相関関係がある、こういうような報告をいただいております。ただし、これは五十二年度並びに五十三年度の事業でございまして、報告では申しておりませんが、口頭で、これは中間報告でございます。なお、結果については異なった結論が出る可能性もある、目下まださらに理論的に研究をしたい、こういう口頭の注釈を得て、先ほどの報告をいただいておる次第でございます。
  138. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 厚生省はたしかことしの法律に基づきます健康調査、学術調査といいますか、これで成人の分について委託をされているというふうに聞くのでありますが、それはどういうふうになっておりますか。
  139. 田中明夫

    田中説明員 厚生省といたしましては、ただいま文部省の方の調査の御報告があったわけですが、この調査に携わりました学者の先生たちの意見も聞き、この調査が小学校、中学校の定期の健康診断の結果をまとめたものであるということで、当然個々の学校医の個別の差もあるというような問題もございますので、この調査に参加いたしました学者を含め、全国的な規模で専門の学者を選び、この降灰の健康に対する、人体に対する影響につきまして鹿児島県と協力いたしまして本年度から系統的な調査を開始しているところでございます。
  140. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最近はますます降灰の量がひどくなりつつありまして、ところによりましては一平米のところに三十七キログラムも降るような地域も出ておるようでございます。そういうような意味で、私も保健所あたりの状況を聞いてみるとなかなか実態が把握できない。子供たちにぜんそくが多いという話は聞いておったのですが、他の地域の三・七倍もあるというような、子供の場合にはその状況がつかみやすい、そういうような影響が過敏にあらわれる、こういうような点もあるんだろうと思うのですが、成人の場合にはなかなかあらわれにくいというようなところから、もっと調査をしなければならないということになっておるだろうと思うのでございますが、この中で灰の分析はしていらっしゃるのでしょうか。  これはどこが、厚生省が灰の分析をやるという形をおとりになるのか、あるいはほかのところでやるのですか。といいますのは、鹿大の研究調査報告によりましても降灰の成分によってそういうような異常な状況が異なっているという報告もございます。とするならば、灰の分析というものをやらなければこういうような問題の究明ができないじゃないか、そういうような問題に直面をすると思うのでございますが、それについてはどのようになされるつもりであるのか。なお、時間がありませんので簡単にお答えをいただきたいと思います。
  141. 田中明夫

    田中説明員 お答え申し上げます。  厚生省の研究は本年度から開始されるわけでございまして、初年度におきましては、呼吸器の疾患に関する集団健診、それから健康障害の疫学的な研究という二つにしぼって開始する予定でございます。当然この健康障害の疫学的研究の中におきまして、ただいま先生が御指摘されました降灰の成分の問題等も問題になることと存じますが、これはその検討の過程におきまして、必要とあれば引き続き来年度からそのことについて研究することになるかと存じます。
  142. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最後大臣にお尋ねいたしたいと思います。  国立病院を回ってみまして、たとえば南九州病院に参りますと、ここは結核患者、それから低肺機能患者、それに小児慢性疾患、それから一般病棟の内科と外科とありまして、そのほかに重心身障害の病棟が、筋ジストロフィーを中心にしまして、ボイター療法による治療棟があるわけでございます。行ってみますると、手足が不自由で、自分で汗がふけないような子供が、これは鉄筋ででき上がっておりますが、灰は入ってくるわ、非常に難儀をしながら治療をしている。その姿を見ながら、これは何とかして建物の冷房装置、空調装置ができないだろうかということで事務長に私が尋ねてみましたら、せめて重症患者室ぐらいはクーラーを入れてあげたいんだけれども、見積もりをとってみたけれども、どうも会計の上から見て承認払いができそうにありませんので、そこに何百万円かあればこういうような問題にこたえられるのですがという話がございました。それから国立の鹿児島病院の場合でも、これも緊急にやらなければならないところはこういうところがございますが、これは八百万円ぐらい金があれば緊急な処理だけはできるのですが、採算の上から見て黒字を上げておりませんので、要求をしてもこれは無理です。こういうような声でございます。それから霧病の場合には、これは木造の建物でございまして、しかも天井が非常に低い。予算を節約をしたのだろうと思います。そのためにスラブも、渡り廊下等も亜鉛板の天井でございまして、室内が三十四度から三十五度という中で灰が降ってくる、窓を閉めなければならない、こういうようなところについては、やはり今度の法律の中では十四条で、医療施設に係る降灰防除のための資金の融通は民間にはいたしますという法律ができたんです。そうなると、国立病院療養所に入っている患者さんたちがそのような状態の中で非常に苦しんでいる姿は、これは関係大臣としては放置をされない問題じゃないか、こういうように考えますので、そんなにたくさん、抜本的にそれをつくりかえて、全部冷暖房完備の完全な病院をつくりなさいということを言っているわけではございません。いま入院している患者たちの最低の苦悩を軽減をするという立場から、降灰対策の問題として、それらの整備の問題については特別の配慮を必要とするのではないかと、私は行ってみて、またそういう訴えを聞きまして感じたのでございますが、大臣の所見をお伺いをすると同時に、できるだけ早く善処をされるように要請申し上げたいのですが、いかがでございますか。
  143. 小沢辰男

    小沢国務大臣 大変御心配かけて恐縮でございます。私ども施設でございますから、今度補正予算等も十分措置をいたす予定でございますので、重症病棟等については、至急ひとつ要望を聞きまして、私から善処するようにいたします。いま私、一体どれぐらいのものかよくわかりませんけれども、必ず整備をして、重症の方々が降灰のために苦しむというようなことのないようにいたしたいと思います。しかも補正予算が通りましたら、できるだけ早くやります。
  144. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 どうもありがとうございました。ぜひそういうようにしていただきたいと思います。  そこで、最後大臣、これもあなたのところに関係あるのですが、生活環境整備の問題で、簡易水道の水の問題でございます。いま一人当たり一日二百リットルで積算をしまして、ただ、学校とか病院とかキャンプ場がある場合には、公共施設のある場合には一日一人三百リットルまでは認めますよと、こういう配分になっているようでございます。そこで、降灰地域は、火山灰地域のところはどうなっているんだと聞いてみたら、いや火山は二十五リットルでございます。こう言うのであります。もうこんなに毎日のように灰が降ってくる姿の中では、自動車を洗いましても、これは五百リットル要るんですよ。それぐらい水が要ることの状況がある中で、しかも水源がこのごろは大分枯渇してまいりまして、生活用水に事欠くような状態が近くにあらわれております。  そこでこの火山灰加算の問題は実情に合うように、そういうような公共施設並みには取り扱うようにせめて処理をしてもらいたいという声がございますが、そこら辺はいかがでございますか。これもあわせて善処を願いたいと思います。
  145. 小沢辰男

    小沢国務大臣 厚生大臣が認める適当な量ということのあれができますので、至急検討してみます。
  146. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 終わります。
  147. 楯兼次郎

  148. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私は、救急医療体制の問題、スモン病、スモン訴訟の問題、食品添加物行政、麻薬覚せい剤対策、伝染病防疫体制、難病対策等に関しまして、数点にわたって質問いたします。多岐にわたっておりますので、時間の関係もございますし、明快に御答弁をお願いしておきます。  最初に、救急医療体制についてでございますが、この救急医療対策の総合的な整備推進について、厚生省では五十二年度より三カ年計画でその推進を図る、こういうことであったわけでありますけれども、それを一年延長する、こういうことになるという話がございますが、この一年延長ということに対して、どういう理由があり、またその整備方針について変更あるいは追加している点があるのかどうか、さらにこの三カ年計画の進捗状況について御説明を願いたいと思います。
  149. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 第一次救急医療対策、当初は三カ年計画でございましたが、御指摘のように一年延長することにいたしました。ただし、国立病院計画いたしましたものは、予定どおり三年で実施する予定でございます。  そこで、国立病院以外の自治体病院とかその他の公的病院の進捗状況でございますが、いろいろと病院間、また関係団体間の意見の調整がおくれている県が約半数あるわけでございまして、そういう県の当局から計画を一年延長してもらいたいという要望が出てきたわけでございます。しかしながら、これもできるだけ早く各都道府県の救急医療計画を完成してもらいまして、四年と言わず、三年半でも第一次計画が達成できるように努力をしたいと思っております。  なお、この一年延長に際しまして当初の計画内容の若干の変更でございますけれども、まず、第一次救急医療を担当いたします休日夜間急患センターの数がどうしても当初計画よりたくさん必要になってまいりました。たとえば北海道札幌市の場合には、当初一カ所で全部を処理するという予定でごいましたが、やはり各区に一カ所ずつ六カ所は欲しいというような希望がその後出てきております。そういった問題がございます。  また、第二次救急医療センターにつきましては、これは後で申しますように、おおむね計画どおり、あるいは計画を上回って進捗いたしておりますが、その場合も、病院群の輪番制で第二次救急医療を担当いたします場合に、当初予定したよりも病院の数が少しふえるといったような問題が出ております。  また、第三次の救急医療センター、いわゆる救命救急センターでございますが、これにつきましても、大きな県のブロックの分け方にその後変化が出てまいりまして、たとえば東京都の場合は六ブロックに分けて、六つの救命救急センターという構想を持っていたのでございますが、最近は、これを九ブロックにできないであろうかというような問題が起こっております。そういう意味で、第三次救急医療センターもかなりふやさなければならないと思っております。そのような第一次計画計画内容の変更がございます。  そこで、最後に、この計画の進捗状況でございますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、第一次の救急医療体制と第二次の救急医療体制計画を若干上回って整備が進んでおります。しかし、残念ながら第三次の救急医療センターが、五十二年度は十五カ所予定いたしましたが、いろいろな関係で十三カ所しか実施に移すことができませんでした。最もおくれておりますのが広域救急医療情報システムの整備でございまして、これにつきましては現在委員会を設けて検討中の県が大部分でございまして、かなり計画数を下回っております。
  150. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この整備事業は、五十一年の七月に救急医療懇談会の答申を受けた形で展開されたと記憶しておりますが、この救急医療懇談会というのは現在どのような状態になっているのか、その後の活動についてお伺いしたいと思います。
  151. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 端的に申し上げますと、五十一年七月に救急医療懇談会からいただきました御答申の中で、現在の第一次計画で積み残したものは一つもございません。  そこで問題は、今後のアフターケアとかアフターローリングの問題になるわけでございまして、これは五十一年七月の御答申でも、その点十分配慮するようにという御指摘があったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、各都道府県また市町村ともよく相談しながら、緊急を要するものにつきましては、個所数の増加その他のいろいろな変更を逐次加えているところでございます。しかし、大きな変更というような問題につきましては、第一次四カ年計画の終わりました後でもう一度いろいろな角度から検討いたしまして、必要な点は第二次計画の問題としてできるだけ早く実施に移したいと考えております。
  152. 林孝矩

    ○林(孝)委員 国民の生存権、健康権を保障しておる憲法の精神から考えると、この救急医療システムの整備に関しても、国及び自治体の責務においてなされるべきである、そういうことなんですが、大臣ももう御存じのように、いわゆる急患のたらい回しというような社会問題を全国各地域で起こす、こういう状態が生まれて救急医療の不備という問題が露呈してきたわけですね。この国の対応として、消防法の救急業務規定、それから省令による救急医療施設告示制度を中心とする体制で来たわけでありますが、有効な対策が講じられたかどうか、これに対して現時点で大臣はどのようにお考えになっておるかをお伺いしたいことと、厚生省が五十二年度よりこの制度の整備に本腰を入れて取り組む、こういうことになったと伺っております。そうしますと、ことしで、今年度ということになりますか、二年目になるわけでありますが、五十二年の三月に、この救急医療の問題について私が国会で取り上げたときに、対策の責任の所在が国及び自治体にあることを厚生省答弁の中で明らかにされてきたわけです。  そこで、この点も含めて、改めて救急医療システムの整備に対しての取り組みについて厚生大臣のお考えを聞いておきたいと思うわけです。
  153. 小沢辰男

    小沢国務大臣 救急医療の充実が国民の生命、健康に直接影響を与えるという基本的な認識に立ちまして、救急医療体制の整備はもちろんでありますが、あらゆる最大限の知恵をひとつ発揮しまして、いわゆるたらい回し等の事態が発生することのないように努力をしていきたいと考えておりますが、なお、内容等につきましては、医務局長からお答えをいたします。
  154. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 まず第一の御質問の、消防法に基づく厚生省令による救急告示病院と五十一年度から始まった救急医療対策の担当病院との関係の問題でございますが、救急告示病院は、三十八年の消防法の改正で消防の救急隊が患者の搬送を引き受けてくれるということになりまして、その救急隊が患者を搬送する病院の基準を定めたのでございますけれども、当時は、現在とは社会情勢も大分変わっておりまして、交通事故が著しく激増していく時代であったわけでございます。そういう関係で、告示病院のいわゆる指定基準は外科系の病院を対象とした指定基準としたわけでございます。ところが、御案内のように交通事故の方は四十五年をピークにいたしまして大変減ってまいりました。また一方、高度成長の末期から国民の健康権あるいは生命権というふうな権利意識が高まってまいりましたし、また核家族も非常にふえてきて年寄りの御指導というものも余り得られなくなってまいりましたし、また、高度成長時代の著しい人口の移動だとか疾病構造の変化だとか、そういったものが重なりまして、四十年代後半からはむしろ交通事故のようなけがの診療よりも、脳卒中とか心筋梗塞だとかぜんそくの急激な発作だとか、そのほかにもいろいろ、異常分娩等もございましょうが、そういった内科的な疾患に対する救急医療の国民の需要が高まってきたわけでございます。  したがいまして、五十一年度に発足いたしました第一次救急医療対策においては、そういった内科系の疾患も含めて、第一次、第三次、第三次の救急医療体制を組むことにしたわけでございますけれども、問題の消防法に基づく外科系の告示病院、診療所といったものの存在価値もまだ決してなくなったわけではございません。しかし、世の中全般の情勢なり国民の要望、こういったものが変わってきているわけでございますから、厚生省といたしましては消防法に基づく告示病院のあり方についてもそろそろ再検討の時期に来ているんじゃないか、将来の姿としては両方の制度がうまく融合されまして、一つのりっぱな救急医療のシステムとして組み立てられていくというようなことになるのじゃないかということで、そういった検討をそろそろ始めたい、また消防庁とも相談をいたしたいと考えているところでございます。
  155. 林孝矩

    ○林(孝)委員 四点伺いますが、まず第一点は、救急告示医療機関をさらにふやしていく方向、いわゆる拡充する必要があると思いますけれども、現在の実情に合わせてどのようにお考えかということが一点。  それから第二点目は、これは搬送を担当している消防庁はどういうお考えを持っておるか。  それから第三点は、国立大学付属病院で指定を受けている病院が非常に少ない。これは文部省にお伺いいたしますけれども、これはどういう理由によるのか。  それから第四点目は、厚生省がいま進めている救急医療システム計画の中で救急告示制度、これをどういう形で位置づけしているか。  この四点についてお伺いしたいと思います。
  156. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 ただいまの御質問のうち、消防法に基づく告示医療機関の問題については、第一の御質問も第四の御質問も密接に絡んでおりますので、あわせて答弁をさせていただきたいと思います。  やはり告示病院として指定され、公示をされているということは、救急隊にいたしましても、また一般住民、患者にいたしましても、医療機関を選択いたします場合に非常に便利でございます。そういう関係で、厚生省といたしましても、国立病院また国立療養所についてもできるだけ告示を受けるように努力をいたしておりますし、また、自治体病院その他の日赤等の公的病院についても告示を受けるように指導をいたしております。  しかし、その際、先ほど申し上げました現在の告示病院というのは外科系の病院を主たる対象にしておりますので、そういった基準等につきましてもよく検討をし、消防庁とも相談をして、将来改善をする必要があるのではないかと思っております。  要するに、告示病院そのものは今後もできるだけふやしてまいりたいと思っております。たとえば国立病院の場合、九十七カ所の国立病院がございますが、そのうち、がんセンターとかあるいは循環器病センターだとかそういった特殊なセンター、あるいは分院が二つございますが、ぜんそくを預かっている病院だとか、そういうふうなものを除いたほかの病院は全部告示を受けることにしておりますし、療養所の中でも外科的な救急医療の診療機能のあるところは告示を受けさせるようにしているところで、さらにそれを今後ふやしてまいりたいと思っております。
  157. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま厚生省の方から告示病院の拡大について、総合的な医療体制の整備の一環として救急問題についても強化を図りたいという御答弁がありましたが、私ども搬送業務を担当いたしております消防の側から申し上げるならば、告示病院が外科中心であるということと、搬送患者が内科のいわば急病の方が多くなったという客観的な、歴史的趨勢の変化に伴って、告示病院そのものの省令のあり方、告示の指定のあり方についてももうそろそろ検討すべきではなかろうかと思っておりまして、その点については厚生省と全く同感でございます。  したがいまして、救急の実態に即応する告示病院の整備強化ということについて今後厚生省と御相談の上、ぜひ厚生省の方で御努力願いまして、救急需要に対応できるような体制の整備を急いで欲しいというふうに考えるわけでございます。
  158. 五十嵐耕一

    ○五十嵐説明員 先生の御指摘にございましたように、現在国立大学の付属病院で救急医療の告示を受けておりますのは三つでございます。私どもは救急医療につきましては、国立大学の付属病院といえども当然協力はしなくてはいけないというふうに考えております。  ただ、大学の付属病院の場合には、教育、研究、高度の診療という三つの機能がございまして、それが十分化かせるような形で救急医療に協力すべきであるということで指導をしておるわけでございます。  そういう意味におきまして、国立大半の付属病院関係者が都道府県に置かれます救急医療対策協議会等に積極的に参加いたしまして、各医療機関のネットワークや情報システムの整備を促進する役割りを果たすとともに、これらの条件整備がなされた段階では早急に告示を受けるよう指導を続けているところでございます。  それで、現に弘前大学につきましては申し出をすでにしておりますし、長崎大学におきましてもそういう申し出をしております。それから九州大学につきましてもそういう申し出をしておりまして、至急に関係都道府県の部局と調整をいたしまして告示を受けるように指導をしておるわけでございます。なお、熊本大学におきましても近くそういう意味の申し出をする予定となっております。  以上でございます。
  159. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その指定されている病院が少ないということに関して、いま説明の中に、いわゆる国立大学というのは教育を重点に置いてやっている大学であるからというニュアンスの説明があったわけでありますけれども、そういう理由が根拠で今日まで指定されてきたところは少ない、こういうふうに理解をしていいのかどうか、その根拠を明確にしていただきたいのです。
  160. 五十嵐耕一

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  大学の場合には、当然そこの付属病院におきましては、教育、研究、診療の三つの機能をあわせ持たなくてはいけません。その場合におきまして、学生に教育する場合に、幅の広い症例を確保していく必要があるということがございます。あるいは研究を進めていく場合におきましても、それに適した症例を集めていくということが非常に大事でございます。そういう意味におきまして、私ども、大学の付属病院に救急医療の告示を受けるように指導してまいります場合に、地元の地方公共団体と十分な調整がなされないままにやりますと、その面、非常に危惧をしているという点もあります。  ただ、先生の御指摘のように、大学の付属病院自体が、そういう救急医療全体に対応する体制が十分でないということも事実でございますので、そういうネットワークの整備と、それから、大学の中における病院の救急に対する体制の整備とあわせてやっていく必要があるというふうに考えております。
  161. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私が申し上げたかったことがいま説明として出ておったわけでありますけれども、その大学の付属病院の中の救急医療に対する対応能力、もちろん人的なもの、あるいは設備等が含まれると思いますが、そういうものが整備されない状態である、だから、指定を受けるということについての地方公共団体との調整が進まない、こういうふうなケースだとか、いろいろな理由があるわけですが、その実態というものが一体どうなっているかということについて、こういう実態が一番多い、こういう実態がその次の理由になるというような具体的な説明をこの際お伺いしておきたいと思います。
  162. 五十嵐耕一

    ○五十嵐説明員 ただいまの実態の中で、やはり一つは、そういう救急医療を受けます場合には、大学付属病院にはある程度の夜間におきます体制はできておりますが、それをさらに整備していく必要がある、そういうことで、五十二年度から特段の予算措置を講じております。ですから、その分の整備がまだ、毎年やっておりますが十分でないということもございます。  それからもう一つは、やはり県との調整を十分やっていく必要があるということもございます。  主にその二点であるというふうに考えております。
  163. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その点に関しては、また機会を改めて話を詰めたいと思います。  人口五万人以上の市に設置される休日夜間急患センター、これは第一次救急として位置づけられているわけでありますけれども、五十二年度までに二百八十五の整備された個所がある。この運営の実態について厚生省は把握をされておりますでしょうか。
  164. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 把握をいたしております。  問題点といたしましては、まだ深夜の救急医療を担当している施設が半分以下でございまして、できるだけ早く全休日夜間急患センターが深夜の救急医療も担当するように持ってまいりたいと考えております。
  165. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま話がありましたように、夜やっていないという休日夜間急患センターがかなりある。  それから、同じく第一次救急とされている在宅当番医制の実施、これについても、地域によって非常にばらつきがあります。これらの実態について厚生省は把握されておりますか。
  166. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 在宅当番医制につきましても、ほとんどの県で把握をいたしております。  問題は、在宅当番医制を実施する場合には、地元の市医師会とか郡医師会、こういったところが計画を立て、当番をするわけでございますが、地域によっては会員数の非常に少ないところがあるわけでございます。そういたしますと、あのようなローテーションが非常に組みにくくなりまして、かつてやっておりましたように、ローテーションで待機しているわけではないけれども、皆さん一応待機しておりまして、患者さんの方から要望があれば出かけていく、あるいは外来の診療に応ずる、そういった昔の体制の方がやりやすいんだと、こういうような地域もあるわけでございます。したがって、そういった地域につきましても、現在、鋭意、県の衛生当局と地元の市町村、また郡、医師会、そういったところと相談を進めているところでございまして、第一次四カ年計画の間には、全国津々浦々の地域で輪番制が組めるようにいたしたいと考えております。
  167. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、この二つの問題点、いわゆる休日夜間急患センターが夜間開かれていないという問題、それから当番医制の実施について答弁がいまございましたけれども、地域によって非常にばらつきがある、いまその調整を行っておる、こういう実態に対して厚生省がどのような協力要請をしているか、あるいは指導しているか、こういう点についてはいかがでしょうか。
  168. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 ただいま申し上げましたように、その地域の医師会の会員数が非常に少なくて当番医制が組めないというようなところにつきましては、やはり何らかの方法で夜勤専門のお医者さんといった方を常勤で、あるいは交代制で雇ってまいりまして手当てをするより仕方がないんじゃなかろうかというふうに考えられます。  要するに、端的に申しますと、現在、休日夜間急患センターは人口五万以上の市ということになっておりますけれども、そういった地域がだんだん小さくなっていくというような傾向を持たざるを得ないのではないかと考えております。
  169. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、広域市町村圏単位に設定するとしていた第二次救急医療体制のことでありますけれども、この問題点は何か、どういうふうに認識されておるか。また、三カ年計画の進捗状態。当初計画数三百三十六に対して、二年目の計画が八十三と、このように減少しているわけでありますけれども、整備の方針はどうなっているのか、この点についてお伺いします。
  170. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 第二次救急医療センターの問題点でございますが、これも、できれば一つ病院で三百六十五日全部引き受けてもらえば最も効率がいいわけでございます。しかしながら、いろいろ専門医の問題もございますし、その他の専門技術者の待機、充足の問題もございまして、なかなか一つ病院で一年じゅう担当することはできません。そこで、幾つかの病院が輪番制をしいております。この輪番制は、われわれの予想以上にうまく進んでいると思っております。  しかし、これについても若干の問題がございます。ある中ぐらいの市が隣接しておりまして、両方の市が病院を持っております場合に、それぞれの市当局としては、やはり自分の市の病院はきょう休むというようなことが言えない。あるいは、隣に行ってくれというようなことが言いにくい。また、両市間のいろんな長年のいきさつもありまして、両方の病院の連携がうまくいかない、そういった問題が起こっておりまして、医療のシステムとしての問題のほかに、整備費から運営費の補助金の配分の問題等も起こってくるわけでございますが、こういった点はいまうまく調整を図るように鋭意努力をいたしております。  最後に残りますのは、余り大きな病院のないいわゆる広域市町村圏あるいは最近自治省が打ち出しました新広域市町村圏の場合でございますが、こういった場合にはどうしても各病院が診療科を協定いたしまして第二次救急を担当する。たとえばAの病院は外科、Bの病院は内科というふうに各病院で診療科を分担して第二次救急を担当するというような問題も起こってまいりますし、さらに一部の地域では地元の医師会の協力を得まして、医師会病院あるいは公的病院の一部をオープン化いたしまして、地元医師会の協力を得て第二次救急に当たるというようなところも少しは出てくるわけでございます。  そのような問題がございますけれども、先ほど来申しておりますように第二次救急医療センターにつきましては、私どもは比較的うまく計画以上に進んでいると判断いたしております。
  171. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に進みます。  第三次救急としての救命救急センターの整備の進捗状況説明願いたいと思います。  それから、当初救命救急センターに配備するということになっておりました必要設備搭載のドクターズカー、これの保有状況はどうなっているか。広域救急医療情報システムの整備状況、これはどうか。医師の常駐が行われているかどうか。この点についてはいかがでしょうか。
  172. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 第三次救急医療センター、つまり救命救急センターは今回の第一次救急医療対策よりも一年早く、五十一年から発足して五十一年度に四カ所整備しておりますので、現在合計十七カ所となっております。  問題はドクターズカーでございますが、現在ドクターズカーを持っておりますセンターは三カ所、自動車が三台でございます。なぜこんなに少ないのかという問題が起こってくるわけでございますが、これは現在の都市交通の事情、交通渋滞その他のいろんな問題がございまして、なかなかうまくまいりません。そういう関係から、十分に利用できるセンターが三カ所持っているだけでございます。この点につきましては、外国の救急センターにおきましても必ずしも全部持っているわけではございません。そのような状況でございますけれども、第三次救命救急センター、本年度はかなりたくさん申請が出てくる模様でございますので、四カ年をもって十分整備できるものと考えております。
  173. 林孝矩

    ○林(孝)委員 救急医療に従事する医師の研修の実施状況はどういうふうになっておりますか。関係医師のすべてが救急医学の研修を受けていると見ていいのかどうか。この点についてはいかがでしょうか。
  174. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 各都道府県に委託いたしまして、外科系を中心にいたしまして告示医療機関の医師などを中心にして実施しております研修、講習会は、これはもうすでに三十九年から長年やっておりまして、おおむねほとんどの関係者の方々が研修をお受けになったものと考えております。また、特に専門性の高い脳外科とか麻酔の特殊な研修につきましては、四十二年度以降学会に委託をして実施をいたしておりまして、これもすでに十年以上の歴史を持っておりますので、必要な方々には一応研修は行き渡っていると考えておりますけれども、今後さらに中央、地方の研修会の内容を充実いたしたいと考えております。  と申しますのは、たとえば地方の研修会の場合には外科系を中心にして講習会、研修会を始めたわけでございますが、先ほど申し上げましたように最近はむしろ脳卒中とか心筋梗塞が問題になっているわけでございますからそういう研修に力を入れなければなりませんし、また中央研修の方でも脳外科、麻酔に重点を置いてきたわけでございますけれども、今後は心臓外科とかあるいはその他の肺臓外科にしても整形外科にしても高度の救命救急手術を行うような研修に内容を充実いたしたいと考えて、予算要求はそのようにいたしております。  なお、先ほど御質問にお答えしておりませんでしたが、広域救急医療情報システムでございますけれども、進捗状況が芳しくございません。すでに実施いたしておりますのは、最も進んでおりますのが茨城県でございますが、それから千葉県、神奈川県、大阪府、こういったところでございまして、そのほか現在鋭意検討を進めております県が五、六県ございます。わりあいに早く実施に移せそうに考えておりますのは、愛知県とか静岡県とか山梨県とか兵庫県とかそういったところではないかと思うのでございますけれども、各県はこの広域救急医療情報システムを設置する場合に、いわゆる包括的な地域医療の情報システムというふうなものに拡大をしたいという希望を持っております。  またもう一つは、具体的に申しますとたとえば山形県の場合、南の方の住民はかなり宮城県の医療機関を利用するわけでございます。そういう関係で、山形県といたしましては、宮城県と一緒になった医療情報システムといったものが組めないであろうかというような考えを持ってみずからも調査委員会をつくって検討しておりますし、隣の宮城県とも相談をいたしております。  ただ、この情報システムにはやりようによりましては非常にお金がかかるわけでございまして、たとえば茨城の場合には年間一億五千万の経費がかかるわけでございますが、そのうち本当のランニングコストというのは五千万ぐらいでございまして、残りの一億といったものはコンピューターのリース代だとかあるいは電電公社に対する電話料とか、そういったものにとられるわけでございます。そこで、コストベネフィットの観点からも各県はいま鋭意検討しているところでございまして、もっと効率的な、はっきり申しますともっと安上がりの、また隣の県とも連携の組めるようないいシステムをつくりたいという基本的な考えで、各県検討を進めているのじゃないかと思っております。
  175. 林孝矩

    ○林(孝)委員 救急医療懇談会の提言の中にもありますが、医学生、医師についての卒前教育、卒後の臨床研修の推進、これに対して特に文部省はどういう取り組み方をしているか、お伺いしたいと思います。
  176. 五十嵐耕一

    ○五十嵐説明員 現下におけるような医療の状態におきましては、学生に救急医療を学ばせるということは非常に大事なことであると考えております。それで、各大学におきまして、それぞれ創意工夫をこらしながら、救急医学を実施するようにということをお願いしているわけでございます。  そして、救急医学を独立した授業科目としている大学は現在十六校ございます。たとえば大阪大学の場合でございますが、ここには救急部が設けられておりますけれども、そこにおきましては、最終学年の学生に対しまして週に三日付属病院の特殊救急部におきまして救急医学の臨床実習を行っております。また、救急医学を独立した授業科目としていない大学の場合でも、内科学あるいは外科学等の各授業科目におきまして救急医学の教育を実施しているところでございます。また、新設の国立の医科大学でございますが、そこでは関連教育病院制度というのをとっておりますが、その関連教育病院の救急部におきまして学生が救急医療の臨床実習をやっているということでございます。
  177. 林孝矩

    ○林(孝)委員 厚生省はどうでしょうか。
  178. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 まず、医科大学の卒前教育でもう少し各大学は救急医療の教育とか実習に力を入れていただきたいと思っておりますが、厚生省自身といたしましても、卒後二年間の研修の中で、臨床実習の指定病院においてできるだけ十分な救急医療の研修、実習を受けさせるようにいたしたいと考えております。そういう関係から、大学付属病院以外の厚生省が指定しております臨床研修の実習指定病院については、救急医療の機能もさらに強めて、学生の教育にも十分こたえられるようにしてまいるという計画で進んでおります。
  179. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これは厚生省と文部省の関係の問題にも関連するわけでありますけれども、文部省大学局から「大学病院の救急医療について」というのが五十一年十二月に出ておるわけでありますが、大学病院は「救急医療全般に十分な対応が困難である。」 そうした上で「地域の診療体制のネットワークが組まれることが大学病院の協力の前提条件となる」、こういう考え方を文部省の大学局では明らかにされているわけですね。  救急医療懇談会の答申では、大学病院に「救急医療に対処できるための基本的な教育を重視することおよび大学附属病院が救急医療に関する体制を整備拡充」することの速やかな実施を求めているわけです。  そこで、厚生省がいま進めている救命救急医療システムと大学病院役割りとの関連を考えますと、いま指摘した大学局の考え方、それから救急医療懇談会の答申の内容には隔たりが感じられるわけです。この隔たりをどう調整していくかということについて、文部省、厚生省の考え方を伺っておきたいと思います。
  180. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 大学医学部あるいは医科大学のうち、国立のものにつきましては厚生省は余り強い影響力を持っておりません。しかしながら、公立の医科大学、それから私立の医科大学につきましてはかなりの影響力を持っております。そういう関係で、すでに私立の医科大学のうち、日本医科大学、東邦大学には私どもの第三次救急医療センター、救命救急センターを設置していただきましたし、また近くは東京医科大学、愛知医科大学、関西医科大学、こういった私立の医科大学には私どもも応援いたしまして救命救急センターをつくっていただくと同時に、そこで卒前の学生の教育、もちろん大学の付属病院でも卒後の研修をするわけでございますが、そういった卒前、卒後の教育、研修にも資していただくように努力をしているところでございます。
  181. 五十嵐耕一

    ○五十嵐説明員 文部省におきましては、先ほど申し上げましたような、大学における教育、研究、診療、その三つの機能が十分に生かされるためには、第三次救命救急の後方的な役割りを果たすのが一番いいであろうという御答申をいただいております。  それで、具体的には、各地域におきまして、係の医療機関と十分連絡協議をしながら、地域における救命救急的な役割りを果たさせたいというふうに考えております。
  182. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣、私がいま懇談会の答申と文部省大学局の提言、この二つを引用したゆえんは、その考え方そのものに少し隔たりがあるということで引用させてもらったわけです。ですから、いま影響力という表現で局長がお話しになったその影響力がないというところの国立大学付属病院、これに対してもこの二つの考え方の相違というものがあらわれているのではないかと思います。そういうことも含めて、この救急医療というものに対する文部省の考え方と厚生省の考え方をうまくぴしっと調整することはできないものでしょうか。
  183. 小沢辰男

    小沢国務大臣 厚生省と文部省の間では考え方の統一をすることは可能であり、容易であり、いまでもちっとも食い違いはないと思うのです。大いに協力を願っておるわけでございますが、ただ、大学病院の使命等が別にございまして、しかもその使命達成の考え方について、大学の自治という問題がございますものですから、そこでなかなか思うようにいかない面がある、こういうことでございますが、私どもとしてはできるだけ文部省とよく意思統一を図りまして協力を願うように、今後とも両省協力して努力をしていきたい、かように考えております。
  184. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、救急業務の実施状況についてになりますけれども、消防法によれば、救急隊の救急業務、これは対象を事故、災害によるもっぱらいわゆる外科的負傷者だけに限る、こういう法律上のたてまえになっておると理解するわけですが、先ほど来答弁がありますように、現実問題として内科的ないわゆる急病者、こういう急患が非常に多くなってきた。現実に搬送されている急病者は内科的な急病者が約半数を占めている、そういうデータも出ておるわけです。したがって、この消防法の法律上のたてまえというものが現実に即さない時代に入ってきたのではないかというふうにも感じるわけですけれども、この点をどのように受けとめられておるか。したがって、現在では、その内科的な急病者の搬送については、消防法上では義務のない任意のサービスということになってしまうわけです。これについての考え方、これは消防庁の方に答弁をお願いしたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  185. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 消防の方で救急の搬送業務を行うようになりましたのは、昭和三十八年の法律改正によってでございますが、そのときに「政令で定める場合」という特例を設けてございます。その中で、屋内において生じた事故も救急搬送の対象とする、私どもの解釈といたしまして、屋内において生じた事故で、かつ搬送する適当な手段がなく、かつ人命にかかわる緊急性が高いという意味で、急病もこの事故の一つというふうに解して搬送業務をいたしております。したがいまして、現在のところ、法律解釈上疑義を感じてはおりません。  しかしながら、御指摘のとおり、立法論的にはもう少し明文化を図った方がいいのではないか、急病が多いから、そういう実態に即する明文化を図った方がいいのではないかという御意見は、貴重な御意見として拝聴させていただきますが、現状では解釈上疑義はないというふうに考えております。
  186. 林孝矩

    ○林(孝)委員 じゃ、法解釈ということでこの問題を消防庁は考えられておるというふうに理解していいわけですね。  そうしますと、たとえば内科の関係で急病患者が出て、解釈上事故というふうにみなしてそれを搬送するということで徹底されておればいいですよ。ところが、もし徹底されてない場合に、搬送業務はおかしいということになったときに、これは法律上は義務のないことなんだというような解釈には立ちませんね。それは確認しておきます。
  187. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 先ほども答弁申し上げましたように、屋内において発生した事故で、かつ緊急性があり、適当な搬送手段がないというのは、ほとんど重要な急病に限られるというふうに私ども解しておりますけれども、そういう場合は消防法で規定している搬送業務の対象になる、こう申し上げておるわけでございます。  そこで、一般論的に申し上げますと、たとえば、ちょっとタクシーを呼んでお隣の病院に行くというような軽症の病気といいましょうか、そういうのはできるだけ消防隊が行う救急搬送業務の方から外してもらうような国民的なコンセンサスもとりたい。そういう啓蒙は当然消防機関の方でもいままでも行っておりますけれども、今後も引き続き行いたいという一面はあることは否めないと思います。
  188. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、この立法時における意図、それと現時点での状態というものが非常に事情変更があったとしても、この消防法に基づいて、法解釈の問題として対処していくというふうに理解していいわけですね。
  189. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 現在の法令の体系下において、正当に消防法に基づいて消防機関が搬送業務を行っておるというふうに解釈して結構でございます。
  190. 林孝矩

    ○林(孝)委員 救護活動として患者を搬送する場合に、医師のもとに届けるまでは救急隊が患者を管理するわけでありますが、その際、当然応急的な医学的判断、処置というものが必要になると思います。隊員の医学的な教育訓練、資質の向上についてどのように具体的に取り組まれておるか、お伺いしたいと思います。
  191. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 現在全国で約三万人ぐらいの救急隊員がおりますけれども、私どもが必要とする応急処置に関する高等な教育訓練を受けた者というのは、そのうちの約三分の一程度でございます。これは救急業務そのものが人命にかかわるという重要な業務であり、現場における適切な措置とかあるいは応急処置がもし早く適切であればという、そういうケースを考えますと、救急隊員の資質の向上というのは当然のことながら私どもが非常に念願いたしておるところでございますが、現状はいまのような状況でございます。  したがいまして、つい最近、どうしてもこの程度の教育は必要であるということで、従前から示しておりますが、百三十五時間にわたる教科目の履修、修得を、来年度より向こう三カ年内において全救急隊員に一〇〇%達成できるよう、消防庁は取り組みたい。具体的には心マッサージ、人工呼吸その他の応急処置をやっておるわけでございますから、それをもう少し徹底させる。そのためには、県の消防学校の救急科、専科あるいは医師会の協力を得ての講習の実施、消防大学校における特設救急隊の養成等を通じまして、目的の達成に努力したいと思っております。
  192. 林孝矩

    ○林(孝)委員 最後に、五十年から一部消防署で救急ドクター制というのを導入していたと思うのですが、現在実施状況はどうなっておりますか、お伺いしたいと思います。  それから、先ほど申し上げましたドクターズカーについて将来的な構想としてどのような方法で取り組まれていくか。この二点をお伺いして、救急医療体制については終わりたいと思います。
  193. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 消防庁が休日夜間時における救急ドクターの制度を予算化いたしましたのが五十年度でございまして、五十、五十一、五十二年度をもって実は終わりにしております。それは、先ほど厚生省の方からもお話がありましたように、総合的な救急医療体制の整備の一環として、もはや私どもの方の救急ドクター制度はその必要がなくなったという判断に基づくものでございます。  それから、救急のドクターズカーというのは、これは非常に理想的なことであって、先ほど私が消防隊員のいわば救急業務に携わる場合の応急処置については訓練を強化し、資質の向上を図ると申し上げましたが、何としてもやはり専門医の方が一番適切な処置がとれるというふうに私は確信いたしております。したがいまして、将来的には救急ドクターの同乗というものが適切だろうと思います。したがいまして、従前から救急業務実施基準の中では、できるだけ医師の同乗を求めなさいという指導はしておりますが、なかなか現実においては実施が困難であるという状況でありますけれども、何とかそういう方向に努力する必要があるのではなかろうか、かように考える次第であります。
  194. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、去る八月にスモン訴訟の判決が出たわけでありますが、先月、大臣局長がスモン患者の方々を訪問されて感じられたことを率直にお伺いしておきたいと思うのです。  それから、厚生省が八月二十六日にスモン総合対策推進協議会でスモン病に対する恒久対策を発表したわけでありますが、特にスモン研究に対する研究費、はり、きゅう、マッサージの無料化、研究費がいかほどか、そしてこの無料化はいつ実現するのか、この点をまずお伺いします。
  195. 中野徹雄

    中野説明員 先般、東京地裁におきます判決以降、スモン訴訟におきます原告団の御要請もございまして、スモン患者の方々の実情に即したいわゆる恒久対策というものを厚生省に十分考えてもらいたい、そのためには、実地についてその患者の方々の実態をよく見て、それを踏まえて恒久対策を真剣に立案をしてもらいたい、こういう御要請がありまして、五人の患者さんの方々につきまして、厚生省から出向きまして、その実態を拝見してまいったわけでございます。  われわれといたしましては、拝見をいたしました患者さんたちの実態をも十分踏まえまして、いわゆる恒久対策、すなわち判決あるいは和解によりますところの金銭的な支払いではカバーし切れない、いわば行政的な国の施策として患者の実際のニードにいかにこたえていくか、こういう問題に取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。当面、省内に、この恒久対策をめぐりまして、省内でも各局にまたがる事項が多うございますので、事務次官を長といたしますところの協議会をつくりまして、さしあたり五項目についての考え方をまとめたところでございます。  それは、いわゆる治療研究費の増額が第一の柱でございますけれども、残念ながら現在の時点におきましては、スモン病の根本的な治療の方策というものは確立されるに至っておりません。今日まで専門家の方々を煩わしまして、その努力を積み重ねてまいったところでございますけれども、ただいまの時点では根本的な治療方法がいまだに確立されていないということでございます。  そこで、一応九月一日の時点で先生御案内のとおりに概算要求は出してございますけれども、なおスモンの治療方法の研究について省内で事務的に取りまとめを行いまして、スモン病について追加の概算要求をするということで大蔵省とも了解をとってあるところでございます。この金額の詰めは現在事務的に検討中でございまして、明確な金額を申し上げられる段階には至っておりません。  次に、いわゆる、はり、きゅう、マッサージ等の治療方法でございますが、これはある面では対症的な療法であるかもしれませんが、患者さん方からの御要請が非常に強い事項でございます。これは現在では保険のシステムによるところのいろいろな制約がございまして、これをもっと弾力的に、はり、きゅう等の治療を受けられるようにしてもらいたいという御要請が非常に強いわけでございまして、これについても現在事務的に詰めを行っております。  この、はり、きゅう等の実施の問題、さらには、つなぎの生活資金等の問題につきましては、われわれといたしましては早急にこれを詰めまして、もちろん来年度予算の要求にも追加をいたすつもりでございますけれども、当面、大臣の強い御指示もございまして、この二項目については年内にも実施の運びに移したいというふうに考えております。ただ、その細目については現在事務的に取りまとめ中でございますので、それがまとまり次第また御報告いたしたい、かように考えております。
  196. 林孝矩

    ○林(孝)委員 スモンについてはもう周知のとおり、社会的疾病である、構造的薬害であった、いろいろなファクターが重なり合っておるわけでありますけれども、こういう悲惨な薬害といいますか、これを今後発生させないためにも、現在進められている薬事法の改正作業が非常に重要になってくると思います。安全性確保についてどのように考えられておるか、それからこの薬事法改正作業というものがいつをめどにして行われておるか、この点が第一点。  それから、具体的に申しますと、現行の薬事法では一たん製造許可を与えた医薬品に対する安全確認の追跡調査、それから許可取り消しの規定、こういうものがないわけでありますけれども、その点はどのようになっておりますか、お伺いしたい。  それから、先ほど大臣答弁がなかったのですが、最初の冒頭の質問、患者を訪問されたことに対する答弁もお願いしたいと思います。
  197. 小沢辰男

    小沢国務大臣 スモン患者の方々を、まず政務次官、局長、私と手分けをいたしまして御訪問申し上げたわけでございますが、私は会津若松に入院されております星さんを見舞ったわけでございます。非常に強烈な印象を受けまして、この訴訟事件は事件としまして、患者さんに対するいろいろな対策は一日も早くいろいろな手を打っていかなければいかぬなということを痛感をいたしました。  御承知のとおり、いま薬務局長申し上げましたように、省内で次官を中心にする協議会を設けまして、とりあえず五項目の恒久対策を決定をいたしまして、大体患者さんと私も二、三回お会いしましたときに来年度予算にはぜひ盛ってくれという要望でございましたが、はり、きゅう、マッサージ等については、私はもうできるだけ早くやれという指示をしまして大蔵省と折衝いたしております。大体私はできると思っておりますので……。  ただ、どういうふうな具体的な手続、方法、あるいはお医者さんの中には、注意してやらぬとかえって、何といいますかもし悪化するようなことがあってはいかぬぞという御注意等も若干一部にはございますので、こういう点について専門家の御意見も十分聞きまして、できるだけ早く実施をしようと思っておるわけでございます。  薬事法につきましては、現在は非常に安全性の点に重点を置いた行政上の取り扱いをやっております。副作用のいろいろな報告を五年間求めておるわけでございますし、まあもちろんその問はいわゆるぞろぞろ製品のあれができないようなことになっておるわけでございます。承認に当たっても非常に厳格なる態度になっておるわけでございます。  ただ、法律上の措置でないものでございますから、これに法律的な根拠を与えようということが大きな主眼点でございます。できるだけ早くやりたいのですが、やはり事柄の性質上、十二月から来年六月までの通常国会にできるだけ早く提出をいたしたい、かように考えております。
  198. 中野徹雄

    中野説明員 主要な点につきましてはただいま大臣から御説明をいたしましたとおりでございます。現行の薬事法が三十五年に制定をされまして以降、不幸にして昭和三十七年御承知のようにサリドマイド事件が発生をいたしました。なおスモンについてはキノホルム原因という原因説が出ましたのが昭和四十五年という経緯がございます。特に昭和三十七年以降全世界的に医薬品の安全性の問題が注目を集めまして、厚生省といたしましても昭和四十年代の早々来、医薬品の安全性あるいは副作用等の問題については厳重な行政上の措置をとってまいったつもりでございます。これに法律上の根拠を与えるということでございまして、その点はただいま大臣から御説明のあったとおりでございますが、その中には当然承認後の一定期間内の安全性の確認のための濃密な副作用報告の期間の設定あるいはその結果によりますところのいわば再審査、さらには安全性に疑いが出た場合におきます承認の取り消し等の措置を必然に含めて考えていきたい、かように考えております。
  199. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、麻薬、覚せい剤対策についてお伺いいたします。  この麻薬、覚せい剤等の薬物乱用、これの社会的問題については、これまた今日まで本委員会でも取り上げてきたことでありますけれども、取り締まり当局の麻薬、労せい剤などの薬物乱用防止の基本方針として、海外の密輸、密造基地に対する対策、それから国内での密売組織の摘発と処分、広報活動の強化、この三点を挙げているわけでありますが、麻薬、覚せい剤事犯に対する検挙の実績と、取り締まり活動において特に重点を置いている点について、御説明を願いたいと思うわけです。  さらに、近年の薬物乱用の実態の趨勢を当局ではどのように分析されておるか、伺います。
  200. 中野徹雄

    中野説明員 近年、麻薬関係、いわゆる狭義の麻薬につきましては、その事犯はほぼ横ばいといったような形でございますが、先生御案内のとおりに、近年急激に増加一方の傾向をたどっておりますものは、覚せい剤の事犯でございます。  覚せい剤事犯に対する取り締まりにつきましては、当然水際におきます密輸を押さえるという意味での税関における取り締まり、さらには本来の全般的な、特に暴力団等の関係におきます警察の力によります取り締まり、さらに薬物中毒についての専門的な取り締まり捜査を行います厚生省の麻薬取締官事務所の三者が国内的に協力をいたしまして、防遏に努力をいたしておるところでございます。  特に現在では、覚せい剤は日本の近隣の地域におきまして密造され、それが密輸されるということが大半でございます。さらにこれが国内におきまして、いわゆる広域暴力団の手を通じまして、暴力団の人たち自身がこれを施用するあるいは一般家庭の主婦あるいは学生にまで末端販売組織を通じましてこれが広がりつつあるというところに、事態の非常な深刻さを感ずる点があるわけでございます。  さような性格からいたしまして、われわれといたしましては特に海外の密造基地を押さえるということ、これについては当然捜査権の問題がございますので、現地警察当局との協力関係が主眼になりまして、そのためには日本と近隣諸国の警察当局の相互の十分な連絡、情報交換、場合によりましては当方で入手いたしました情報を持ちまして現地へ捜査官を派遣いたしまして、現地警察当局との捜査協力を行うといったような問題も含めて、現在鋭意努力中でございます。そのための捜査官の海外出張の旅費等も本年度から計上していただきまして、現に最近も捜査官を外地に派遣をしておるというふうなことでございます。  いずれにせよ、事態は昭和二十年代の覚せい剤中毒の状況と異なりまして、あの当時は、先生御承知のとおりに合法的な流通をいたしておりました薬物の自己施用による中毒であったわけでございますが、最近はすでに厳重に取り締まられておる薬物の密輸、さらにそれが暴力団の資金源となって非常に広範囲に拡散しつつあるというようなことで、しかも近年の警察当局を中心とする非常な努力にもかかわらず一向に衰えを見せないという点が非常に憂慮される点でございます。  その背景には、かつての時代と違いまして、最近の若い世代の方々の中にいわゆる薬物乱用に対するかつてのような深刻な警戒心、そういうものが薄れて来つつあるという一種の風潮と申しますか、そのようなものが背景にあるのと、一つは先ほども触れましたような広域暴力団の有力な、半分以上を占める資金源になっておるというところが最近の事犯の特徴であろうかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、税関における水際作戦、警察当局によりますところの暴力団に対する対策、さらに厚生省の薬物専門の捜査官の協力、三位一体になりましてこの問題の解決を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  201. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまの件に関して、警察当局との協力関係も含めて捜査当局の答弁伺いたいと思います。
  202. 佐野国臣

    ○佐野説明員 最初御指摘がございました検挙の実績等につきまして申し上げてみますと、まず覚せい剤でございますが、この三年、検挙状況は次のようになっております。  五十年には一万三千四百十七件で、人員として八千二百十八人検挙いたしております。それから、五十一年では一万七千七百三十二件、人数で言いますと、一万六百七十八人、それから五十二年には二万三千七百六十五件、人員で申しますと一万四千四百四十七人を検挙いたしております。これはこ三年の間に二倍弱の急増ということでございます。それから、本年上半期におきましてもすでに一万四千五百二十六件、八千六百六十三人を検挙いたしており、昨年同期に比較し、件数で五五%、人員で四九%の増加という状況になっております。  それから、麻薬関係でございますが、麻薬につきましては若干波がございまして、五十年が千百五十五件、人数で千十九人、それから五十一年が千百六十三件、人数で九百七十九人、それから五十二年が千四百十八件、人数で千百六十三人の検挙ということになっております。なお、本年上半期におきましても八百十六件、人数で五百七十人を検挙しておりまして、これも前年同期に比較しますと、倍以上程度の増加という状況になっております。  特に重点を置いておる問題につきましてはすでに厚生省の方からお答えいただきましたのですが、なおさらに補足いたしますと、薬物そのものの危険性というふうな観点から、警察としては物そのもの、ブツの押収、この辺を重点に置いていくということも申し上げられようかと思います。  それから、密輸とか密売につきましては、いわゆる巷間このようなことも言われておるそうです。要するに、暴力団でこの種の覚せい剤を扱わないやつはないというぐらいの話も出ておるようでございます。  いずれにしても、暴力団の主要な財源になっておるというふうなことから、暴力団の検挙というふうな問題も重点に掲げておるということで今後推進してまいりたい、かように考えております。  それからもう一つ、最近、薬物乱用の実態の趨勢の問題につきまして若干お話がございましたので申し上げてみますと、覚せい剤につきましては昭和四十五年ごろから急激に広まっておりまして、四十八年の取り締まり強化や罰則の引き上げにもかかわらず、検挙人員は増加して、ここ八年間に約二十倍になっております。大麻事案も青少年、芸能人、その他の間に広がって、去年の数字あるいはことしの上半期をとってみましても戦後最高という数字を記録いたしております。それから特に覚せい剤につきましては、先ほど申しましたように、暴力団がその資金獲得のために執拗に販路を広げておるというようなことから、一般市民に使用者がふえてきておるという状況でございます。  さらに薬物乱用につきましては米国、ヨーロッパ等におきましてもやはり大きな社会問題という状況になっておりますので、わが国が国際交流が活発化してまいりますと、そういった諸外国の影響も強く受けてくるんじゃないかという気もいたしております。また密輸入量の増加に見られますように、国際的な密輸組織も市場とするのに非常にふさわしいということで日本にねらいを定めておるという状況もございます。このような諸条件を勘案いたしますと、有効適切な対策なしでこのまま推移いたしますと、薬物の乱用という問題は今後さらに増大いたしまして、欧米諸国に見られるような憂慮すべき事態に立ち至るのではないかという判断もできようか、かように考えております。  それから、厚生省さんとの協力関係というお話もございましたので若干触れてみますと、検挙者につきましてはそういった検挙者にまつわる資料の提供というふうな形の協力は当然やっております。さらには検挙以前でも、時と場合によりましては情報を相互に交換するという場面もございますし、また施設の相互利用という問題につきましても緊密な連絡をとっております。  以上、お答え申し上げたいと思います。
  203. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この問題の最後伺いますが、すでに中毒になってしまった患者で、収容されている人はいいのですけれども、されてない人が犯す犯罪も数多いわけです。わかりやすく言えば野放しの状態になっておる。こういう実態があることは事実です。したがって、この中毒患者をどのようにして入院させるかという一つのテーマにつきましては、以前に本委員会でも取り上げた問題でございますけれども、これについても警察当局と厚生省との協力も必要だと思います。この点について現状をお伺いしたいことが一点。  それから、これも薬物乱用の部類に入るのではないかと私は思うのですが、最近特に青少年がトルエンなどを利用して遊んでおる。先日のニュースによりますと、一日八百人の家出少年が新宿区の警察署で補導された。その中にそういうものを利用しておる者があった。それも暴力団から買ったとかというふうな報道もなされておりましたけれども、そういうものに対する対策はどのように立てられておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  204. 中野徹雄

    中野説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問の前段の方の問題につきましては、実は非常にむずかしい問題があるわけでございまして、たとえば覚せい剤の常用者につきましては、普通言われますように非常に被害妄想的な状況になりまして、人を傷つけるとか暴力に訴えるというふうな事犯がよく見られるところでございます。これを警察で検挙されまして、たとえばその暴力事犯についての起訴が行われるという場合に、いわば覚せい剤の作用による心神喪失状態という判定がなされますと、結局その暴力行為自身につきましては責任が問えないというふうな問題がございます。一方そのような状態で仮にその事犯を犯した人間が釈放されたといたしまして、これを精神衛生法によるところの鑑定に付しまして施設に収容するというふうな試みをいたします場合には、覚せい剤の症状はすでに消失をいたしておりまして、その時点においては、覚せい剤を使用してない限りにおいては精神衛生法による施設収容というふうな問題が現行法規ではむずかしいという問題があることは、先生御案内のとおりでございます。  しからば、この問題につきまして、たとえば麻薬の関係のように一種の保安処分的な手続を設けてはいかがかという御意見もございますし、またこれにつきましては警察庁からもそういう趣旨の検討の要請が厚生省に向けてなされているわけでございますが、この問題についてはいわゆる人権絡みの問題がございまして、特に覚せい剤によりますところの影響が薄れてなくなった時点において、その人間が再び覚せい剤を使うかどうかということについては、いわゆる麻薬と違いまして肉体的な依存性と申しますか禁断症状等がないという特殊性もございまして、取り扱い上もなかなかむずかしい問題がございます。これについては、われわれといたしましても非常にむずかしい問題を含んでいるということで、その検討には慎重な取り扱いが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  また後段の御質問でございますが、警察庁からの御指摘もございましたように、世界的にも先進諸国の若い世代における薬物乱用という一般的な傾向がございまして、こういう問題に対処しますためには、いわゆる向精神剤の規制に関するところの国際条約がございまして、これに対応するところの精神作用に影響を及ぼす物質の規制についての各種関連法制の整備ということとあわせて、向精神剤の規制に関する条約の批准というふうな問題が当面われわれの行政的な宿題になっておるということをつけ加えておきたいと思います。
  205. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、伝染病の防疫体制の質問を行いますが、最近の傾向として航空機の発達とともに病原菌も潜伏期間中に検疫の関門を通過してしまう。そして一般に埋没してから発病して周辺に伝染病が広がる、こういう傾向があるわけです。昨年来の大騒ぎになった真性コレラの患者発生、この問題もことしに入って十三人発生して、うち十人が飛行機で帰国した観光旅行者である、こういうことでありますが、現在の検疫体制でその病原菌が日本に入ってくるのを防げなかったわけです。これをどうすれば防ぐことができるかということが一つの大きなテーマになるわけでありますけれども、船舶だとか航空機による入国の際の検疫、そういう問題と、今度は出ていくときの予防注射ですね。これがコレラについては四十九年以降任意ということになっているわけでありますけれども、この任意になっている状態、そのままでいくのかいかないのか、この点に対してどのような見解をお持ちか。  たとえばコレラの常在地区やWHOへ届け出のある汚染流行地域に対してはどのような対処の仕方をするか、旅行者に対してそういう地域に行くときには必ず予防注射を求めるというような形にするとか、その地域に防疫関係の専門家を派遣して現地の情報を取り寄せるとか、いろいろな対策があろうかと思いますけれども、そのようなことを考えられているかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  206. 田中明夫

    田中説明員 先生指摘のとおり、コレラにつきましては、最近、航空機を利用して海外に参る方々が非常に多数に上っておりまして、ことにフィリピン等におけるコレラの蔓延期であります夏にたまたま夏季休暇がぶつかりまして、平常ですと汚染地域から帰ってくる航空旅客の数は二千人から三千人でございますが、夏に入りますと四千人、五千人となり、八月の半ば以降は毎日七千人から八千人の人が汚染地域から帰っているというような実情でございます。  御案内のように、コレラにつきましても当然潜伏期間というのがあるわけでございまして、これらの多数の海外から帰ってくる人の中には、たまたま潜伏期間に当たっておりまして何ら症状を呈しないというような人も含まれておりますし、症状を呈しても非常に軽いというような人もあるわけでございます。  それで、私どもといたしましては、まず第一に、空港あるいは海港におきまして、海外から戻った人につきましてその症状等を問診あるいは視診によって確かめまして、異常のある人につきましては即刻適切な処置をとるというふうに努めておりますけれども、先ほども申しましたように、どうしてもその網にかからないというケースが多数あるわけでございまして、そのような人につきましては、現在、各空港、海港におきましてその旅行者が訪れた国を聞きまして、汚染地域を訪れた人につきましては名簿をつくりまして、各都道府県に連絡しております。そして、そのような人たちにつきまして、何か疑わしいような症状が出た場合にはすぐ最寄りの医療機関を訪れて検査をしてもらうようにというふうに指示もしておりまして、できるだけ初期の段階において患者を把握して、それらの人々による二次感染がないように、私どもとしてできるだけの努力をいたしております。  次に、予防接種の問題でございますが、これは御案内のようにコレラの予防接種はその効果が必ずしも十分でございませんで、そのような意味合いにおきまして、WHOにおきましてもこれを強制的に接種するということを勧告いたしておらないわけでございます。ただ、全く効果がないというわけではございませんので、私どもといたしましては、汚染地域に旅行される方に対しましては、なるべく予防接種をして行かれた方がよろしいだろうという意味で勧告をいたしております。  最後に、感染源を有している汚染地域についての調査等を行うということにつきましては、われわれといたしましては、すでに予算を計上しておりまして、必要があればそのような汚染地域に専門官を派遣して、汚染地域における状態等の把握に的確を期したいというふうに考えております。
  207. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  208. 楯兼次郎

    楯委員長 次に、安藤巖君。
  209. 安藤巖

    安藤委員 私は昨年の三月にこの決算委員会におきまして、学童保育の制度化、都市児童健全育成事業の強化等について質問をいたしましたが、このたび国際連合の総会で来年を国際児童年とする宣言が決議されまして、これを受けてわが国では国際児童年事業推進会議、これが設けられました。そして、児童問題についての啓発をする、二番目には児童に関する国内施策の充実、三番目に児童福祉面の国際協力の拡充という基本方針を決定されておるわけです。  そこで私は、この二番目の児童に関する国内施策の充実、この基本方針の重要な一つとして学童保育の充実の問題について重ねてお尋ねをしたいと思います。  そこで、まずことしの六月、第八十四回国会で学童保育の問題を中心にして請願が採択をされております。これは御承知のとおりだと思うのです。その採択された請願の中身は、一つは「留守家庭児童の放課後の生活を保障するため、専用施設(室)と専任指導員を持ち、年間を通して開設される学童保育を制度化すること、」これが一つです。二つ目は、「都市児童健全育成事業を実態に合わせて改善、拡充すること、」三番目が「すべての子供の生活環境整備のために、児童館、遊び場等を増設すること。」 こういうふうになっております。  それから、さらに全国知事会から国に対して要望がありまして、これは七月ですが、都市児童健全育成事業の強化措置を講ずるよう政府に要望しております。六月末には全国市長会が、学童保育を確立し、財政援助を制度化すること、全国市議会議長会、これは八月、学童保育事業を制度化し、その財政措置を講ずること、こういうふうに要求が出されておるわけです。  そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、こういうふうに採択された請願、それからいま申し上げましたような要望、これは学童保育を制度化してほしい、こういう要望ですが、これに対してどのように対応していかれるおつもりなのか、お尋ねしたいと思います。一番根本的な問題ですから、まず大臣に答えていただきたい。
  210. 小沢辰男

    小沢国務大臣 制度化につきましては、御承知のように、現在、私どもの方で児童館、児童遊園地の整備、あるいは文部省で担当していただいております学校体育施設の開放事業等、それぞれの制度の適正な運営というものをやっているわけでございまして、さらに私どもは、この内容を充実するということでこたえていきたいと考えておるわけでございまして、問題はやはりそれぞれの施策の充実にあるだろうと思いますので、政府として総理府を中心に各省協力し合って、実施を今後とも一層努力していこう、こう考えておるところでございます。
  211. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、学童保育を制度化していくということはこれから具体的に考えていく、そういうふうにお聞きしていいわけですか。
  212. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 お答えいたします。  学童保育、特に留守家庭児童の対応策につきまして、これを制度化という御質問の趣旨でございます。私ども、現在の児童福祉法の中で児童厚生施設というものが実は示されております。いわゆる児童福祉法に言う児童福祉施設としての児童館、児童遊園というものを児童厚生施設として実は制度化されておるわけであります。  問題は、先生の、あるいは先ほど御指摘いただきました請願の趣旨というのは、むしろ特に低学年の留守家庭の児童に対する学童保育を制度的に体系的に、国なり地方公共団体が本来の法の趣旨に従った責務に応じて一定の施設を整備し、あるいは指導員を整備をするという形で全面的に対応すべきだ、こういう御趣旨であろうかと思います。  私ども自身としてもそういう方向それ自体について何ら異存はないわけでございますけれども、これまでの児童厚生施設としての児童福祉施設が逐次整備はされてきましたものの、それ自体の実際の運営には、先ほど大臣からお答えがありましたように、文部省のいわゆる社会教育施設というものとの調整もございまするし、あるいはまた非行防止という観点から見ましたいわゆる矯正保護的な面からのアプローチもあるわけであります。したがいまして、厚生省がこの学童保育ということを焦点にいたしまして、それ自体を単一のシステムとして整備をするということにつきましては、現実問題としては非常にむずかしい問題が多々あろうかと思います。  そういう意味で、いま大臣がお答えをいたしましたように、私どもとしては現在の児童福祉法に基づく児童厚生施設、すなわち屋外型の児童遊園あるいは建設省でもお願いしております児童公園、こういったものの整備、あるいは児童館、場合によっては生活館、公民館、社会教育関係施設といったものの運営を、いかにその各関係省庁の間で調整をとりながら、しかも地域の子供たちの実態にそれぞれ即さなければなりませんので、必ずしも都会の場合と農漁村地帯の間でもそれぞれの差もございまするし、また同じ都会地でありましても生活環境の差というのもかなりございまするので、要はこうした留守家庭の子供たち、特に低学年の児童に対して非行化あるいは事故防止、こういったものを中心にしながら、広い意味での欠けたる保育をどのように補いつつ次代の国民を健全にその資質の向上を図っていくかというところにあろうかと思いまするので、私どもとしてはいまのところはこれまでの施策を充実をさせていくということの中で、請願の御趣旨にも、あるいはまた先生の御質問の御趣旨にもこたえていきたい、かように考えておるわけでございます。
  213. 安藤巖

    安藤委員 いまお答えいただいた中身は、私が昨年の三月にお尋ねしたときにお答えいただいたことからちっとも進んでいないのです。だから私はそのときの議論をまた繰り返そうと思っておりません、もっと進んだ話をしようと思っておりますので、そのつもりでお答えいただきたいのですが、いまお答えいただいた内容は、都市児童健全育成事業、その中の幾つかのメニューがあると言っておられる。その幾つかのメニュー、四つあると言っておられるのですが、そのメニューなんですよ。だから、それ以後私がいま言いましたように採択された請願は、専用の施設と専任の指導員を持つ、こういうのをやってくれということなんですね。そしていまおっしゃったように、児童福祉法の中にある——国もこれは責任を負わなくてはいかぬですから、だから国がちゃんと人件費も持つ、さらにはその施設のための補助金も出す、そういうのを、私はおわかりだと思って制度化というふうに言っておったのですが、そういうような中身をこの請願の趣旨に従っておとりになるのかどうかということをお尋ねしておるのです。
  214. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 お答えいたします。  先ほどお答えも申し上げましたけれども、児童館なり児童センターなり、あるいはまた児童健全育成対策の中でメニュー化をしております四つの問題、これらにつきましては、私どもとしては明年度予算要求の中にもぜひこれは拡充をしていきたいという形で概算要求を取りまとめたいと思っております。  ただ、これらのものにつきましては、財政当局との調整もございまするけれども、また私たち自身も本年度予算の執行の過程で、地方公共団体の熱意もさらにこれを盛り上げながら、ただいま御指摘いただきましたようなメニュー化の問題だけでなくて、さらに児童館、児童センターといったものの運営費の拡充も、現実の予算施策の中ではこれを拡充していくという方向については当然やらなければならないことでもございまするし、またその方向で進んでまいりたい、かように考えております。
  215. 安藤巖

    安藤委員 いや、私がお尋ねしているのは、都市児童健全育成事業の強化が、メニューの充実ということではなくて、専用の施設と専任の指導員を持つ、こういうことを要望しているのですよ。これにはどういうふうにおこたえになるのかということをお尋ねしておる。ちっとも答えになっていないじゃないですか。これは請願があるけれども、とてもじゃないがそれはできぬと言うのか、あるいはもっとほかのことを考えておるのか、どっちですか。
  216. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 お答えいたします。  学童保育についての専用のという御趣旨でございます。私ども、現在の児童館なり児童センターというのは主体は学童保育というものにその運用を当然予定をしておりまして、先生も御承知のように私どもの実施要綱の中にもその旨が明記されておるわけでございます。ただ、その専用のと言うときに、学童でございまするから、いわゆる低学年であっても学校の授業に参加している問については、いわゆる地域の幼児の利用も私どもは十分考えてまいりたい。また場合によっては、留守家庭の低学年の学童保育という問題に関連をした指導員についての研修といったような場にもその児童館なり児童センターというものも活用してまいりたい。そういう意味で、広い意味では幾つかの分野を持ちまするけれども、私ども前回にも前局長からお答えしたと思いまするけれども、児童センターなり児童館というのは主体は留守家庭の低学年児童対策であり、メニューの中に含まれております四つの事項というのも、それぞれ低学年の学童保育というものを中心にしたものとしてその専任の指導員を養成し、あるいは児童福祉法に言う厚生指導員の拡充といいますか整備を図ってまいりたいということで来ておるわけでございます。
  217. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、専用の施設は児童館だ、それから専任の指導員というのは児童館に現在も配置されておる児童館の職員ということで充実を図っていきたい、こういうようなお答えのようですね。うなづいておられるからそうだと思うのですが、そうしますと、現在の児童館で賄っていかれようというわけですが、児童館の施設あるいは人員、これをさらに拡充をしていく、児童館の中に学童保育のための専用の学童保育クラブとかあるいは育成室とか、どういう名前でもいいですが、そういうのを設けるとか、あるいは職員をさらに一人あるいは二人増員するとか、こういうようなことはお考えになっておられるのでしょうか。
  218. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 私ども、児童館につきましては、専任の職員を二名、児童センターについてはさらに一名ふやしまして三名という形で運営費の助成を考えているわけでございます。  それで、児童館あるいは児童センターのほかに、それを補うものとして、いわば児童遊園なり児童公園というものにおける厚生指導員という、児童福祉法上の児童の厚生施設における指導員の配置を児童福祉法上ももともと予定をいたしておりますので、こういった屋外施設における厚生指導員をさらに児童遊園の整備といったような過程の中で並行して、その欠けたところを補うと申しますか、先生から前回のこの席でも御指摘いただきましたように、児童館の数自体が絶対数が決して十分ではございません、十分でないどころかまだまだ至っておりませんので、それらのものを補うという意味でも、屋外施設の児童遊園における児童厚生員といったようなものの配置、そしてまたこれの研修といったようなことを進めながら、留守家庭学童保育といった面についての施策を進めてまいりたい、私どもとしてはかように考えているわけであります。
  219. 安藤巖

    安藤委員 どうもはっきりしないのですが、厚生省でつくっておられる「児童館の設置運営要綱」というのがございますね。そのもとになるのが児童福祉施設最低基準。これによりますと、建物の広さは原則として百八十五・一二平方メートル、約五十六坪。そして建物には集会室、遊戯室、図書室、便所、湯沸かし場及び事務執行に必要な設備、必要に応じて映写室、静養室を設けること、それから職員は二人以上、こういうことになっているのですが、これだといま私が言っているような、それから請願にあるような専用の施設というものはないわけなんですよ。そして現実に児童館には児童館として子供に健全な遊びを与えて、そして健全な体育を育成する、こういう目的があるわけです。それで、かぎっ子ばかりではなくて、普通の家庭の子供たちもたくさん来るわけです。だからその応対がいろいろあります。だからいわゆる学童保育の対象になる子供たちを専門に扱うというには場所もなければ人も足りないというのがいまの児童館の実態じゃないですか。だから請願の中にもありますように、専用の施設、専任職員、指導員を設けなければならぬというふうに私は申し上げておるのですよ。  ですから、たとえば児童館で学童保育をやっているところがあるのです。私の地元の名古屋でもやっておりますし、東京都でもやっておるのですが、こういう実態なんですよ。学童保育をやっているところは、そういう百八十五・何とか平方メートルという狭さではなくて、名古屋の場合ですと五百五十平方メートル、そしていま私が申し上げましたような設置基準のほかに専用の学童室四十平方メートルをちゃんと設けております。それから職員も非常勤一人を含めて四人です。学童保育をやっているところは。東京都の場合でも、広さは五百平方メートル、そして職員は四人、そのうち二人は学童保育専門、こういうような体制でやっておるわけなんです。こうしなければやれないというのが実態なんです。だからこういうような児童館をつくらなければ対応できないと思うのです。そういうような方向でお考えになるということはできないのですか。
  220. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 現在の私どもの力不足ということになりましょうけれども、実際問題といたしまして児童館の現在の状況それ自体、あるいは児童センターも含めまして総数が御承知のように全国で二千三百カ所程度でございます。私どもとしては、まだ質的なものよりも正直に申しまして全面的に量的に児童館をどうやってできるだけふやしていくかということに実は最大の努力目標があるわけでございます。そういう意味で、いま御指摘いただきましたように、名古屋における学童保育所の実態ということについても県当局からもあるいは市の方からもお話を伺って、一応の概念については承知をしておるつもりでございます。  ただ、私どもはそうした大型の児童館と申しますか、そういったものが必要であり望ましいということについては十分承知はしておりますけれども、現在厚生省が全国的な立場でできるだけ全国広域的にできるだけ対処していきたいと思っておりますのは、いまのところ決して十分ではございませんけれども、児童センターなり児童館というものの現在の二千三百カ所をさらに広げていきたいというところに実は焦点がございまして、名古屋の学童保育の五百平米を超えるようなかなりの充実した設備を持っているということについては私どもとしてもぜひできる限りの援助は決して惜しみませんけれども厚生省自身としてまずそれを、その種の、その程度の規模の大きさのものを積極的に進めるというのについては、いま現段階では、いささか申しわけございませんが力不足を感じておりまして、これからの問題として検討させていただきたい、かように考えております。
  221. 安藤巖

    安藤委員 これからの問題として検討していただくのは非常に結構なんですが、いろいろ財政的な面とかあろうかと思います。思いますけれども、基本的に厚生省が、そして竹内さんが、それから大臣が、この学童保育の問題で専用の施設というのはなぜ必要なのか、なぜ専任の指導員が要るのか、その辺のところをしっかりと踏まえていただく必要があると思うのですよ。それを踏まえていただかないと、昨年の三月にお尋ねしましたが、最初は人件費を含めて予算要求したけれども大蔵省に削られてしまった、こういう話でしょう。だからそのときに、しっかり粘っていただきたい、やはり発想の転換を図っていただきたい、学童保育というものはなぜ必要なのかということをしっかり理解していただきたい。これは学校から帰ってきても、普通の家庭はお母さんもいる、あるいはお父さんもいる、あるいは姉さんも何かいるかもしれませんが、その子供たちはかぎっ子でうちへ入れないか、うちに帰ってもだれもいないか、そういう家庭なんですよ。だから、学校であったことも話したいし、学習もしたいし、宿題もやりたいし、健康のことも相談したいし、いろいろあると思うのですよ。だから、そういうような子供の要求にこたえていく、そのためにやはり専用の場と専任の指導員が要るということなんですよ。だからその辺のところをしっかり理解していただきたいと思うのです。  だからそのためにもう一つ答弁をいただきたいのですが、わかっておられるかどうか知りませんが、ほかの理由をあげつろうてなかなかおわかりいただけないものですから言うのですが、これは昭和四十七年の東京都の児童福祉審議会の答申なんですが、四十七年にこういう指摘をしているのですよ。「児童館における学童保育クラブ」というので、よく聞いておってくださいよ。「留守家庭であって児童が年少である場合や保護者の就労時間が長い場合、また欠損家庭や、準欠損家庭の児童で特に福祉的・教育的指導を必要とする児童には家庭にかわる生活の拠点となる場を最も自然に近い形で用意すべきである。この拠点の一つとして地区児童館は」これは児童館の中の話ですが、「育成室」、学童保育クラブと言ってもいいのですが、「を設けるべきである。学童保育クラブは留守家庭児童が構成する集団の継続的な生活の場であるという基本的な性格を有しており、この性格は児童館を利用する他の児童集団には全くなく、無視することはできない。」こういうふうにはっきり言っています。そして、かいつまんで読み上げるにとどめますが、「児童館における「学童保育クラブ」は留守家庭児童に生活の拠点を用意すること」これが目的だ。そういうふうに目的を明らかにして、クラブを担当する特定の指導員二名を置かなくてはならぬ、そして(1)から(8)までのことを掲げておるのですが、そのうちの二つだけ言いますと「基本的な学習態度を養わせること。」「健全な遊びと社会経験の場を用意してやること。」などこの指導内容指摘しまして、そして「育成室」——学童保育クラブですね、「育成室は単なる集会室ではなく、「生活の場」「憩いの場」「遊びの場」「学習の場」として、ふさわしいものでなくてはならない。」こういうふうに指摘しているのです。  だから、いま考えておられるような、とにかく児童館は数が少ないからふやせばいいのだということではなくて、児童館の中身を、そういうふうに学童保育に対応できるようなものに変えていく、これからつくる児童館で学童保育の要望の強いところはそういう児童館をつくっていくということを考えるべきじゃないでしょうか。  そういうことも踏まえて先月の八月二十八日には、文化人十五人の人たちが、「すべての子供たちに生き生きとした放課後を」ということで、学童保育の制度化に対するアピールも出しておられるわけです。これは相当大きな国民運動になっています。だから、この国民のニーズにやはりこたえるべきじゃないでしょうか。  もう一度答えてください。そういう方向で一遍考えてみてください。
  222. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 おっしゃられることまことにごもっともでございまして、私どもとしても先生のいまお述べになられたことについて全く同感でございます。  ただ、現実がなかなか追いついてないということについては、私どものこれからの努力をお誓いするしかないわけでございますけれども、少なくともこれからの児童館あるいは児童センターというものが、ただ単純な一定の設備さえあればというのではなくて、それ自体の運用の仕方なり、あるいはそれの指導については、ただいま御指摘いただきましたように学童保育の生活の場としてのよりどころになるような、いわば、すでに御承知のように都市児童健全育成事業の中で児童育成クラブという形で私ども指摘しておることも、いま御指摘いただいたこととそう径庭はないのではなかろうかと思います。  ただ、それ自体について、私どもが現在ある児童育成クラブというものの四つの事業の中の一つとして推進していること自体も、どちらかと申しますと、お恥ずかしい話ですけれども、児童館の不足を補うというような面も一部あるわけでございます。ですから、そういったことでは決して十分ではございませんので、私どもは、物としての児童館の整備、児童センターの整備を進めると同時に、児童育成クラブというものが、いわばメニュー化の中でなくて、それが主体となって運用できるような方向を今後の努力目標として考えてまいりたい、かように考えております。
  223. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、いまの都市児童健全育成事業というのは、児童館ができるまでの経過的な措置として行っているのだというのがこの前のお話だったのです。ところが、いまのお話だと、児童館が十分でないのでその不備を補う、その育成事業をいまやっているのだというお話でしたね。となると、現在の児童館では留守家庭の児童を健全に育成していくには不十分だ、それで都市児童健全育成事業で補っているのだということになりますか。  そうなりますと、現在のような児童館は幾らつくっても、都市児童健全育成事業でやっているようなことをカバーするわけにはまいらぬ、こういうことになりはしないですか。
  224. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 大変失礼をいたしまして申しわけございません。やや説明不足であったのかもしれませんが、私が申し上げましたのは、先生も前回のこの委員会で御指摘になりましたように、都市児童健全育成事業は、児童館を整備していくその過程で、その欠けたるものを補うという意図があることはもうすでに御承知だと思ったわけであります。そこで、私がただいま申し上げましたのは、児童育成クラブというものがメニューの四つの事業の一つに掲げられております。私どもは、その現在の都市健全育成事業という仕事がそのまま終わるのではなくて、メニューという形から次の段階でこれが脱皮するときには、児童育成クラブといったものが中心の事業として進められていく必要があるであろうということを申し上げたわけでございます。  少なくとも児童館というのは、当然学童保育と留守家庭の児童の保育対策中心的な施設として、中心的な活動拠点として動かなければならないわけであります。ただ、そのときに、児童館なり児童センターというものが営造物ができて活動するといっても、その活動をするときに活動それ自体の中身、主体になり得るようなものとして児童育成クラブというものが、その中に、今度は児童館の整備が終わるまでという経過的なものではなくて、児童館の活動の中の主体となり得るような時点に早くたどり着きたいという意味のことを申し上げたわけであります。
  225. 安藤巖

    安藤委員 時間がなくなってきましたが、まだ一つお尋ねしたいこともありますので、簡単に申し上げますからちょっとお許しいただきたいと思うのですが、現在の児童館では、先ほどから私が具体的に言っている現在の児童館の設置基準からすると、とてもじゃないが、人の面からいっても設備の面からいっても、先ほど言いましたような留守家庭の児童のニーズにこたえられるようなものではない、これはお認めになるのですかお認めにならないのですか、答えてください。  それから、都市児童健全育成事業の運営について二つお尋ねしたいのですが、これは一クラブ当たり三十二万四千円の補助金が交付されますね。これについて中身の項目がありまして、報償費、需用費あるいは役務費、使用料及び賃借料あるいは委託料、備品購入費等とありますね。それで、たとえば備品などは一、二年たてばある程度そろうから、もう備品購入費は要らぬじゃないかということで削られてしまうという話も聞いているのです。最初は備品購入費ということで補助申請をしたけれども、たとえばほかの方の需用費というような項目に使うということは絶対に許されない問題なのかどうか、大分その辺のところでぎくしゃくしているようなんですけれども、この辺のところはこの児童育成クラブの育成事業の趣旨に沿って、いまの項目の範囲内で使う分については弾力的に運用できないのかどうかということと、それから、指導員は月に四回程度研修するというのがありますね。研修というと普通は講師を呼んできていろいろ教えてもらってというようなことを考えるのですが、自分たちがその経験をお互いに話し合うとかあるいは学習するとか、こういうようなことも研修の中に入れるわけにいかぬのか、必ず講師を呼んできてやらなければいかぬのかということで、なかなかぎくしゃくした運営がなされているやに聞いているわけですが、その辺のところをお尋ねして、私の質問を終わります。
  226. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 後の二つの方から先に簡単にお答えさせていただきます。  運営費につきまして、特に研修費の中身が報償費で一本で出されようと、需用費に一本にされようと、その点は弾力的に運用する、いま先生御質問の中で言われましたように幾つか項目が並んでおります。その中のどれか一つに集中されようと、それぞれに分かれようと、それは私どもとしては弾力的な運用という線を崩すつもりは毛頭ございません。もう備品の部分がなくなったからその三十何万というものが今度は削られるというような事態は決してございません。  それから、第二点の研修でございますが、これはもうおっしゃるとおりで、講師を呼ぶということもございましょうし、それからケースについてお互いに話し合う自主研修、これも当然研修でございます。それからまた、四回ということ自体についても、ある時点では月に六回ということもありましょうし、ある月には一回程度で終わる場合もあろうかと思います。あくまでもこれは平均的な数値を一応参考程度に示したものでございまして、年間を通して相当の研修回数というものが行われるということが児童育成クラブについての一つの目的達成に役立つということで、私どもとしては必ずしも一定の回数あるいは講師でなければというふうにぎくしゃくした考え方は持っておりません。ただ、これらの運営が、なかなかまだ緒についたばかりでございますので、いろいろと末端に行きましたときに問題が生ずることがありますれば、十分私どもの方も気をつけて指導をいたしたいと思います。  それから、最後にお答えをしておきますけれども、私どもは、現在の児童館は数こそ少のうございますけれども、児童館なり児童センターというものがそれなりに要請があり、また学童保育の問題について、それは期待をされる方にとって十分であるかどうかは別といたしましても、私どもとしては、留守家庭の児童の保育の問題といいますか、児童対策として、学童保育の一つの拠点として、生活の場を与える場としての児童館、児童センターというものが十分役に立っているのではないかというふうに実は理解をしております。また、そのような児童館なり児童センターでなければならないということを私どもの児童館、児童センターに対する運営指導の方針としても持っておることを申し添えておきたいと思います。
  227. 楯兼次郎

    楯委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後五時十一分散会      ————◇—————