○
小沢国務大臣 まず健保法の改正問題でございますが、私
ども政府といたしましては、現在国会で継続
審議中の案件、これが最良のものとして御提出を申し上げたわけでございます。しかし、御承知のように、当然政府・与党の立場で私
どももございますから、党の方の態度が決まりまして何らか党から政府に申し入れがあります場合は、当然これについて、もちろん私
どもの考えも申し上げますけれ
ども、党の最終方針が決定をいたしました場合には、党のもとにおける政府でございますので、この点は十分尊重していかなければならぬだろうと考えております。
いま、約一週間外国へ参りまして勉強してきたんだがその視察の結果等も踏まえて臨時国会の気持ちをというお話でございました。どこでも実は大体私
どもが承知しているような制度の
内容でございますので、取り上げて今度特別な感想というものを、何か特にいままでわれわれが全く考えつかなかったような点を承知してきたかといいますと、そうではございません。しかし、私は今度、数点について感想を持ってまいりましたが、特にドイツで、昨年医療費のある一定限度の抑制法というものが国会を通過いたしまして、これに各界がどう対処しているかということを関心を持ったわけでございますけれ
ども、その中で、総同盟の福祉
関係あるいは
健康保険関係の最高責任者であり、かつ、疾病金庫の連邦全体の責任を持って運営する立場にある方と会いましたときに、われわれ労働者側は、使用者と労使協調の基本的な哲学を持ってあらゆる点に対処をしておるんだが、特に
健康保険問題については、自分たちは政府の援助すら国家権力の介入に反対する立場から一切受けない、自分たちが自主的に、労使双方で保険というものを必要な
保険料で賄っているんだということを非常に強調いたしておりました。この点、非常に自主的な精神といいますか、そういう点について特に私はいろいろな面で見習うべき点があるということを痛感をしてまいりました。
そのほか、医師会等にも会いましたり、開業医そのものにも会いましたり、被保険者の方の声も聞いてまいりましたが、詳しいことはまた機会がありましたらお答えをいたしたいと思います。
いずれにいたしましても、現在の政府案につきまして継続案件中のものでございますので、その線で私
どもは対処していくわけでございますが、政府与党でもございますので、与党の成案がどういうふうになりますか、まだ決定の
段階に至っていないようでございますけれ
ども、決定の上、与党とも相談をして私の態度を決めたいと考えておるわけでございます。
第二点の医師会との
関係の断絶の点でございますが、私が出発の二日前にそういう文書をいただいたことは事実でございます。その発端は、関西の特に異常と思われるような政府管掌
健康保険についてのレセプトの
調査をやりまして、その結果を、中医協の支払い側の皆さんとのいろいろな協議の場がございますので、その場でその
内容を
説明を申し上げましたものが発端でございます。いろいろ私
どもにも、もちろんまさにごく少数の、ごく例外的な一部のレセプトの
調査の結果の模様を、報道ではいかにも全般の医師会の診療報酬に対する請求の態度でないかという誤解を与えるような点がございましたことは、はなはだ遺憾でございまして、少しそういう面、事務的にも事の運びにつきまして手落ちがあったと思っておるわけでございます。
しかし、医療担当者側との意思の疎通については、私着任以来、もちろん他の
関係団体ともそうでございますけれ
ども、十分過ぎるぐらい十分私は気をつけてまいっておるつもりでございますので、このようなことだけで一切の行政に協力できないということにつきましては、はなはだ私としては不本意でございます。
しかし、こちらにも確かにいろいろな面で手落ちがあったことは事実でございますので、今後、私として、このような事態というものは決して正常な事態でございませんし、
厚生省としては医療担当者側と十分意思の疎通を図る必要がございますので、できるだけ努力をいたしてまいりたいと考えております。
第三点の、五十四
年度予算で
年金改定について特に根本的な改正を考えているかというお尋ねでございます。当然、毎年物価の上昇等をにらみまして必要な改正はしなければいけないわけでございますが、御
指摘のありました、制度審等に出ております基本
年金構想等を含めた根本的な方針の確立につきましては、今年の通常国会における
予算委員会でお話を申し上げておりますように、遅くも大体来年の二月ごろまでには
厚生省の基本的な考え方を申し述べて、そうしてその
対策といいますか、
予算その他一切の準備にかかりたい、こう申し上げております。したがいまして、できるだけ早い機会に
年金について——特に私の頭の中にありますのは、
福祉年金、五年
年金、十年
年金のいわば経過
年金の受給者の方々についての所得保障としての
年金のあり方をどうするか、こういう点について明確な方針を打ち出していきたいと考えておりまして、これは今年いっぱいかかりまして方針を決めたい。したがいまして、来
年度の
予算では、このような基本的な構想を盛るという
段階にはまだ至らないと思うわけでございます。ただ、方針としては、来年の
予算審議をいただくときにはその方針を確立をしていきたい、かように考えておるところでございます。