○原(茂)
委員 あなた、とぼけているのか頭がいいのか悪いのか、いいからとぼけるのがうまいのかもしらぬけれ
ども、答えなさいということにまともに答えられないなら答えられないと言ってもらいたい。答えてない。私は、いまの占有権がないというのなら法的根拠を示してここで話をしなさいと言っている。
それからそういうことに関しても、私の質問は速記録を見て後から説明をしてもらいます。答弁をもっときちっとしてもらう
ようにしないと、問題のけりがつきませんから、後でその答弁を持ってきてもらう。
そこで、本論に入りますが、私はこれまでこの払い下げに関しまして、法的にも
行政的にも余りにも問題があり過ぎるということを
指摘いたしました。払い下げるべきではないということをるる申し上げてまいりました。しかし、昨年九月払い下げはついに行われて、かつこの払い下げ契約の問題は、目下甲府地裁において有効か無効かを含めて係争中であり、司法の場に問題は移っています。
したがって、本日は、この払い下げ契約それ自体が違法無効であるとの従来からの私の
指摘をここで改めて行わんとするものではありません。
私がここでこの払い下げ契約を前提として質問するのも、もっぱらこの払い下げ契約が仮に有効であるとしても、いまなお多くの法的、
行政的
責任が大蔵当局など
関係省庁に存するということを
指摘いたしまして、速やかに適正な
措置を講ぜられんことを強く要請し
ようとするために、これから申し上げるわけであります。
これまでの大蔵当局のこの払い下げについての答弁には、さきにも述べました
ように、「いろいろな問題がございまして、それが全部解決しなければ
大蔵省は契約をしないというわけにもまいらぬ
ような事態になっておりまして、」というのが速記録にもあります。
先ほども言ったとおりです。この一つの答弁からも明らかな
ように、本年の北富士演習場使用協定を更新するための政策の具に国有財産の払い下げを法も条理も無視して行ってきたのが事実であります。
これは明白な違法の払い下げであります。しかも、これまでもたびたび明らかにしてきました
ように、この払い下げ地には、入会権を主張する農民、つまりその権原に基づいて植林をしている、あるいは採草牧草地として利用している、さらには栽培牧草地として利用している農民や、開墾永小作権を主張して農地として利用している農民がたくさんおります。
そのため、私は、払い下げができるわけがないではないかと何度も申し上げてきましたが、大蔵当局は、「
土地の
状況につきましては、現状のままで売り払いを行うということで、国と山梨県とで合意がされております。」その上、これらの該地の利用者つまり農民の占有ということについては、山梨県が円満に解決するために万全の努力を払うという
条件がついておりますということを答弁している。とにかく払い下げるのだということを明らかにし、かつ実行してきたのであります。
ところが、一体どうしたというのか、さきにも述べました
ように、山梨県は、これら該地を占有利用している農民と一度も話し合うことをしておりません。それどころか、五月十二日、県立ち会いのもとで、造林者である富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合に、農民が一千万円以上も今日までかけて丹精した栽培牧草地にブルドーザーを入れさせまして、無残にも根こそぎ掘りくり返させて植林を強行しているのが現状であり、いろいろな問題が起きました。
もちろん、農民の方も、自分の権利は自分で守る以外にはないということで、牧草地死守前線行動隊というのを結成、体を張って阻止せんとしましたが、そこで流血の惨事を生じさせても全く不毛の争いとならざるを得ないとの、これは私の判断で、農民の方々に阻止行動中止を強く、要請いたしまして、ひとまずその日の植林行動についてのトラブルを生起させることを自制してもらいました。
しかし、植林を強行せんがために入会監視小屋の監視員の寝込みを襲い六週間の重傷を負わせたり、草を命とする農民の牧草をブルでめちゃめちゃにしたり、あげくの果てには農民の小屋に放火をしたり、さらには焼き殺すぞと言って農民の現住している入会監視小屋に放火するなどなど、言語に絶する無法地帯といまなってしまっているのが、この国有地の現状であります。
もはやこうなっては、今後私が幾ら要請しても、農民の憤りを制することは不可能かもしれません。
私は、この
ような予測された事態を避ける
ように口を酸っぱくして、大蔵当局が払い下げ以前に
責任を持って現況利用者たる農民との話し合いを持つなどして、いわゆる地元農民と山梨県分収造林者とのトラブルを起こさせる原因となる
ような払い下げは絶対に避けるべきだと主張してきたのでありまして、いまなお現地では殺気立った雰囲気の緊張した
状況にあり、今後いかなる事態が生じるやもわかりません。
そこで、私は、これまで
指摘してきましたトラブルが、乱闘、放火、傷害事件などとして現実化した現在、もっぱらこのトラブルに限って
関係当局の見解と今後の
措置のとり方についてお聞きをしてみたいと思うのであります。が、この際、このトラブルを直接引き起こさせる
ような払い下げを敢行した大蔵当局以外にも、この事件に
関係する防衛庁、防衛
施設庁及び警察庁、環境庁当局等に、いわゆる当該事件についての見解をただしてもみたいと思います。
そこで、最初に警察庁当局に伺いたいのは、五十三年五月一日に発生した入会監視人襲撃事件及び五月十二日と十四日に発生した忍草入会組合所有のいわゆる断食小屋放火既遂事件と入会管理小屋放火事件の三件についてであります。
さて、だれが一体この犯罪行為を行ったのか、つまり被疑者は一体だれなのかという
ようなことではないことをあらかじめ断っておきたいと思います。そういうことではなくて、私が現地の人々と話した際、どうしても聞き逃すことのできない訴えを耳にしたからであります。
つまり、これら一連の事件は、国が払い下げをして植林させることを決定しているのであるし、そもそも演習場を長期的かつ安定的に使用するために払い下げをしているのであるから、それに逆らい、入会権なんて主張している忍草入会組合がある程度やられても仕方がない、要するにこれは基地問題であるから一般の刑事事件として
考えないという
ようなことが、地元の間では公然とささやかれているのを私は聞きました。
もし仮に、この
ような前提で夜討ち、火つけなどの犯罪があいまいにされる
ようなことがあったら、私は絶対に許せないと思います。
私が一番懸念するのは、この
ような夜討ち、火つけなどが堂々と行われ、なおざりの捜査、形ばかりの事情聴取でこの事件が終えんするならば、警察に対する農民の不信は極度に達するということであります。
私は、これまで忍草の農民の人々に強い自制を求めてまいりました。その前提には、相手がとにもかくにも山梨県あるいは一部事務組合という地方公共団体であるから、まさかこの
ような犯罪を生起させる
ようなことはあるまいという、いま
考えてみればかなり甘い判断があったことも事実であります。
しかし、現にこの
ような犯罪が起こってしまったのであり、かつこの
ような犯罪の取り締まりの任にある警察までもが、これは基地問題であり、基地政策推進の障害となっている、入会権を主張している忍草入会組合の農民が襲撃、放火されたのであるから、逆の場合であればともかく、そうではないのであるから、なおざりに、あいまいに事件を握りつぶすという
ような態度であったとすれば、とんでもないことだと思うし、もはや私は、何を理由にしても忍草農民に自制を求めることはできなくなります。
いま現地は極度の緊張
状態にあります。これ以上、分収造林を行わんとする県や吉田恩賜林組合が何ら適正な手続を踏むことなく、忍草農民の現に育成している牧草地を侵奪するという、忍早農民の該地の占有を排除させるための適正な法的手段は、これまでに何一つとっていない。
もちろん、警察当局の民事不介入の原則は大いに尊重さるべきでありますが、それはこれら襲撃事件、放火事件などとは全く
関係のない原則であります。
警察庁当局は、一体どの
ようにこれら入会監視員襲撃事件、断食小屋放火既遂事件及び入会管理小屋放火事件を把握しているのか、その概要を報告してもらい、またどの
ような態度でこれらの犯罪捜査に臨んでおられるのか、その姿勢を明らかにするとともに、犯人逮捕あるいは犯人のいわゆる浮上をしている
状況、見通し、こういうものを伺わしていただきたいと思います。これは警察庁。