○森下
委員 大臣の答弁も安全の上に安全を重ねて指導していきたいということですが、よろしくお願いしたいと思います。
この
原子力基本法の
審議の過程でいろいろな意見が出た中に、安全
委員会を公正取引
委員会のような強力な権限を持たせる行政
委員会としての性格とせよ、こういうような意見も実はあったようにわれわれは聞いております。そういうものがあれば、裁判まで持っていかぬでもよかったのではないかという気持ちもするわけです。なぜ司法まで持ち込んで安全性の問題で争わなくてはいけないか。しかし、今回の基本法の改正によって、これは総理大臣の諮問機関にとどまりましたけれ
ども、附帯決議の中で、強い信念と科学知識を兼ねた学識経験者の起用が全党一致で決議された。その
意味で、安全
委員会の方は五名決めるわけでございますけれ
ども、安全
委員の人選をかなりしっかりやってもらわないと、過去の人選はわれわれが
考えてもおざなりであった、もう少し専門的な立場の人を入れていただいてやってもらいたい。官庁の機関の中で
審議会とか調査会とかいろいろな諮問機関がございますけれ
ども、どうも御用機関的な場合が多いわけでございますが、少なくともこの
原子力の場合はかなり権威のある人材を
委員会の人選の基準にしてもらいたい、そういうことをお願いしたいと思います。これは答弁要りません。
それから次は、核防条約、これは一昨年の五月に批准をいたしまして、もうすでにやられておるわけでございますけれ
ども、この中の平和利用の問題については四条にかなり詳しく書いてございますし、平和利用の場合には核防条約に加盟し、また批准すればかなり有利にいける、また協力もいたしますというようなことを実は書いてございます。核防条約に入らないとそういう恩典がないのですよというようなことで調印もしたしまた批准も実はしたと思うわけでございますけれ
ども、最近の動きを見ました場合に、アメリカとかソ連の大国主義がせっかくのNPT、核拡散防止条約の
内容と違う方向に行っておる、いわゆる大国のエゴがそのまままる出しになって、核の不拡散どころかますます核は拡散されておる。しかも、持っておらない国にはますます締めつけが激しい。
だから、せっかく通産省あたりが将来日本型の軽水炉を商業製品として知識集約型の花形産業としてやりたくても、査察が非常に厳しいわけでございますから、それすらもできにくい。
皆さん方も非常に頭を痛めておると思いますけれ
ども、実はきのうからきょうにかけてアメリカの方からおいでになってそのことの相談をしておるようでございますけれ
ども、濃縮問題ですね。再処理の問題は宇野長官のときにいろいろとアメリカまで行ってやられましたけれ
ども、ウラン濃縮の規制の問題、これなんか私は非常におかしいと思うのです。
核防条約の第四条では、平和利用について可能なときには単独でやってもよろしいというようなことを書いてありますね。「可能なときは、単独で又は他の国若しくは国際機関と共同して、世界の
開発途上にある地域の必要に妥当な考慮を払って、平和的目的のための
原子力の応用、特に締約国である非核兵器国の領域におけるその応用の一層の発展に貢献することに協力する。」そういうことをうたいながら、昨年は再処理の問題でかなりアメリカから厳しい注文がございました。その釈明のために宇野長官もアメリカにおいでになった。
今度は山陰の人形峠の、たくさんはないと思いますけれ
ども、ここのウラニウムを原料とする建設中のウラン濃縮パイロットプラントの商業化にアメリカがクレームをつけてきております。これなんか完全に核防条約の精神に違反するわけでございまして、いわゆる濃縮のためには共同
開発もいいし、また濃縮したものをアメリカから、またよその国から買うこともいいわけでございますけれ
ども、やはり自主
開発の分野も残されておるわけでございますから、これまでも規制を受ける。また国際査察を受けなくてはいけない。
もちろん日本は非核三原則とか
原子力基本法がございまして、核兵器をつくることは絶対にできないし、強く規制されておりますし、また国会の決議もされておりますから、そういうことはございませんけれ
ども、いろいろ学術的な研究をする場合には多少高濃縮のウランをつくる必要がある場合もございます。それまでもなぜ規制されなければいけないか。これは大国の核独占の一つのエゴのあらわれであって、こういうことではいつまでたってもドイツのような商業製品としての
原子炉の商品化はできない、こういうふうに思うわけでございます。
きょうたまたま日米
原子力協定の改定のための予備交渉が始まっておるわけでございますから、ひとつこの点アメリカの方へ、われわれは核防条約を批准しておるのだから平和的な利用のためには自主的
開発も大らかな気持ちで見てもらいたい、変なスパイ的な査察をやらぬようにしてくれ、こういう注文は強くやるべきである、このように思っております。
もう一つは、アメリカばかりのことを言うとおかしいわけでありまして、いわゆるソ連の例の
原子力衛星が一月二十四日カナダの北部に落ちまして、世界じゅうが大変衝撃を受けました。先般もNHKのテレビでそれをずっとドキュメンタリーふうに
報道しておりました。どこへ落ちるかわからない。特に日本の場合は核については非常に神経質になっておりますから、もしあれが事前に発表されたら大変なパニックになるような事態であったと思います。しかし、問題はこれだけではございません。幸いカナダの北部の余り人のおらない氷の上に落ちたわけでございますから、大したことはなかったかもわかりませんけれ
ども、まだ残る九体が飛行中である。出力が大体四十キロワットで電力出力にして三キロワット、アメリカに比べてソ連の
原子力衛星はまだまだ幼稚なようでございまして、この点われわれも非常に心配しております。国内で
原子力、核の問題また放射能の問題等に非常に神経質になっておりますけれ
ども、いつ頭の上からそういうものが落ちてくるかもわからない。
こういうことを
考えました場合、大国による——大国というのは
原子力兵器を持っている国を私は大国と言いたいわけでございますけれ
ども、アメリカ、ソ連、中国またフランス、イギリス、そういう国はこの条約に入っている国と入っておらない国がございますけれ
ども、まことに勝手なことをやっておるという点も言うべきときにはちゃんと言わないと、どうも日本の、これは外務省の問題でございますけれ
ども、弱いと思うのですね。そういう点で
科学技術庁の方も、ただ技術だけの問題じゃなしに、将来は、
原子力発電が安全であって、しかも商業製品としてドイツ以上にりっぱな商品として、自動車とかまた過去の造船にかわる花形産業として外貨が獲得できるように、そういうように実は願っておるわけでございます。
そこで、いま私が申し上げたことにつきまして、大臣から、何か御所見ございましたら御発言願いたいと思います。