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森下委員 この問題は自民党だけではなしに、三宅副議長も非常に力を入れられまして、超党派的にやろうというような力強い後押しもございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
次の問題に移ります。
次の問題は、原子力の平和利用の問題、特に発電用原子炉の商業
製品としての開発の問題です。去年の
決算委員会で
通産省所管のときに質問をさせていただいたわけでございますけれ
ども、その後情勢も多少変わっておりますし、将来
わが国が知識集約型の産業、いわゆる商品として輸出するには最もふさわしい発電用の原子炉の開発であるべきである、私は実はこのように思っております。かつては造船においては世界一でございましたし、いまは電気
製品とか自動車は非常にいいわけでございますけれ
ども、これがアメリカとかヨーロッパに集中的に輸出されるものですから、ダンピングでないだろうかというようなことを言われまして、また、いろいろ告訴までされてやっておるようでございますけれ
ども、自動車とか電気
製品も結構でございますが、単体で二千億、三千億もするそういう高度な知識集約型の軽水炉、これに私はもう少し力を入れてもらいたい。これは科学
技術庁の方へも申し上げなければいけない問題でございますけれ
ども、私は、商業
製品として将来
日本の輸出産業の花形として伸びるためには、ぜひこの原子炉の開発を——しかも、御
承知のように軽水炉はいまアメリカからほとんど買っておりまして、アメリカの軽水炉は一〇〇%安全だというようなことでアメリカに頼ったのだろうと思いますけれ
ども、残念ながらあちこち故障が起こりますし、アメリカで同じ型のもので故障があった場合には、
日本で使っておる同じ型のものは全部ストップしなければいけない。原子力発電の効率がいま非常によくないと実は聞いております。
最近、東京電力がドイツからKWUの、これはクラフトベルクウニオンというシーメンス系の会社ですが、ここから発電用の加圧型の原子炉を買いたいというふうなことも
新聞に載っております。西ドイツはすでに
ブラジルに五基も契約して着々とやっておると思うのです。イランにも建設しております。
このドイツと
日本は、原子力の平和利用のために出発したのは大体同じ時期でございますけれ
ども、その金の使われ方が全然逆でございます。
日本の場合は、将来は軽水炉はもうアメリカに頼ればよろしい、だから
日本は高速増殖炉、それから核融合の方をやる方がいいんだというような
考え方で、これは私は思い違いだと思うのですが、少し早とちりしたような
感じで、それに数千億の金を出しております。しかし、軽水炉の開発のためには残念ながら三百億か四百億ぐらいの金しか出しておらない、こういう現状なんです。だから、原子力の平和利用の
方向、方針が間違っておったんじゃなかろうか。その点ドイツは初めから軽水炉の開発に力を入れて、アメリカ型でない、いわゆるドイツ型の軽水炉をつくるんだということでやってきた。そして標準型の、いま申し上げましたKWUの加圧型の
製品がまさに
日本にまで入れられようとしておる。
こういう
状況で、
日本はかなり立ちおくれをしておりますし、一昨年五月に締結いたしました核拡散防止条約の
内容を見ましても、この第四条には、平和利用のためには絶対にこれを応援する、こういうことを実は書いてあるわけなんです。しかし、どうも情勢が多少変わってまいりまして、アメリカが
日本に対して少し干渉をし過ぎる。何かこう
日本自身が
日本型の軽水炉を持つことにアメリカの干渉があるようにわれわれは実は
感じます。われわれは核防条約を批准いたしまして、そしてそれに批准さえすれば、平和利用であれば——この条約の第四条には、原子力の平和利用は、加盟国の基本的権利であり、条約のいかなる条項も、この基本的権利に影響する解釈を行ってはならない、こういうことを書いてあるわけでございますけれ
ども、残念ながら国際査察の問題等で実はアメリカからも国際信義に反するようないろいろな注文がつけられております。
たとえば人形峠なんかのパイロットプラントですね。これは五十四年の六月、運転開始予定でございます。これについても、少なくともイギリス、西ドイツ、オランダ、この三つの国で構成しておりますウランの濃縮共同体、これはURENCOという名前で呼んでおりますけれ
ども、この
程度の国際的な査察を受け入れることで済むと思っておりましたけれ
ども、残念ながら実はそれ以上の厳しい査察を受けるようなんです。
もちろん
日本がこれを軍事に利用するはずもございませんし、いわゆる濃縮ウランをつくる場合には、海外に委託する場合と、何カ国かで共同利用する場合と、自主
技術の三つがあるわけですが、その自主
技術の人形峠の問題さえも干渉をされようとしておる。何か産業スパイを入れられるような
感じで、このためにどうしても
日本型の軽水炉ができないように私は思うわけなんです。この点、
大臣の御見解は多少違うかもわかりませんが、将来の
日本の花形、知識集約型の軽水炉を商業
製品としてつくっていく場合に、私はこれがかなり足かせ、手かせになるような
感じがしておるわけでございます。
この点につきまして、これは
通産省だけの所管でございませんけれ
ども、簡単で結構でございますから、
大臣の御所見をお伺いしたいと思います。