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1978-04-20 第84回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 宇野  亨君 理事 國場 幸昌君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 馬場猪太郎君 理事 原   茂君       西田  司君    野田 卯一君       高田 富之君    村山 喜一君       春田 重昭君    安藤  巖君       工藤  晃君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小沢 辰男君  出席政府委員         総理府人事局次         長       篠田 信義君         厚生省公衆衛生         局長      松浦十四郎君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 国川 建二君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         厚生省薬務局長 中野 徹雄君         厚生省児童家庭         局長      石野 清治君         厚生省保険局長 八木 哲夫君         厚生省年金局長 木暮 保成君  委員外出席者         法務省矯正局参         事官      土橋 英幸君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         運輸省港湾局環         境整備課長   須田ひろし君         会計検査院事務         総局第四局長  阿部 一夫君         医療金融公庫総         裁       北川 力夫君         医療金融公庫経         理部長     笹川 義一君         環境衛生金融公         庫理事長    坂元貞一郎君         環境衛生金融公         庫経理部長   松倉 清治君         参  考  人         (年金福祉事業         団理事)    中村 一成君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   工藤  晃君     山口 敏夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (厚生省所管医療金融公庫環境衛生金融公  庫)      ――――◇―――――
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、厚生省所管医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として年金福祉事業団理事中村一成君の御出席を願い、その意見聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取は、委員質疑によって行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 それでは、まず厚生大臣から概要説明を求めます。小沢厚生大臣
  5. 小沢辰男

    小沢国務大臣 昭和五十年度厚生省所管一般会計及び特別会計決算につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算額につきましては、歳出予算現額四兆八百三十七億八千五百九十六万円余に対して、支出済歳出額四兆三百六億四千八十一万円余、翌年度繰越額二面七十一億三千九百三十八万円余、不用額二百六十億五百七十六万円余で決算を結了いたしました。  以上が、一般会計歳出決算大要であります。  次に、特別会計大要について申し上げます。  第一に、厚生保険特別会計につきましては、健康、日雇健康、年金児童手当及び業務の五勘定を合わせ、一般会計から四千七百六十一億七千四百十七万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済歳入額五兆五千二百五十一億五千百五万円余、支出済歳出額三兆三千六百三十九億四千五百三十七万円余、翌年度繰越額三億六千七百十九万円余でありまして、差し引き二兆一千六百八億三千八百四十八万円余については、この会計積立金として積み立てたほか、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  第二に、国民年金特別会計につきましては、国民年金福祉年金及び業務の三勘定を合わせ、一般会計から八千二百十三億二千二百四万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済歳入額一兆六千五百八十七億四千六百六十三万円余、支出済歳出額一兆三千四百七十六億五千三百五十四万円余、翌年度繰越額六百五十億百五十九万円余でありまして、差し引き二千四百六十億九千百五十万円余については、この会計積立金として積み立てたほか、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  第三に、船員保険特別会計につきましては、一般会計から百六億一千五百三十八万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済歳入額一千二百九十七億五千六百四十三万円余、支出済歳出額九百六十六億四千五百三十八万円余、翌年度繰越額一億五千六百六十九万円余でありまして、差し引き三百二十九億五千四百三十六万円余については、この会計積立金として積み立てたほか、翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  第四に、国立病院特別会計につきましては、病院及び療養所の二勘定を合わせ、一般会計から五百二十億三千八百九十六万円余を繰り入れました。  その決算額は、収納済歳入額三千七十五億三千九百八十九万円余、支出済歳出額二千九百四十億八千三十四万円余、翌年度繰越額四十七億一千五百三十九万円余でありまして、差し引き八十七億四千四百十五万円余については、この会計積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。  第五に、あへん特別会計につきましては、収納済歳入額十億八百九十四万円余、支出済歳出額八億四百六十一万円余でありまして、差し引き二億四百三十二万円余については、この会計の翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  以上が、厚生省所管に属する昭和五十年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算大要であります。  最後に、昭和五十年度決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾にたえないところであります。  指摘を受けました件につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもってこれが絶滅を期する所存であります。  以上をもちまして、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計決算の御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  6. 楯兼次郎

  7. 阿部一夫

    阿部会計検査院説明員 昭和五十年度厚生省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項十件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び特に掲記を要すると認めた事項一件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一〇号及び一一号の二件は、健康保険及び厚生年金保険並びに船員保険保険料徴収に関するもので、いずれも保険料算定基礎となる報酬月額の把握が適確に行われなかったことなどのため保険料徴収が不足しているものでございます。  また、検査報告番号一二号から一九号までの八件は、保育所措置費補助金経理が不当と認められるもので、いずれも事業主体において、補助対象額算定基礎となる徴収金について基準の適用を誤ったことなどのため補助対象額を過大に精算しているものでございます。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  これは、血液代金自己負担金支給事業について改善意見を表示したもので、この血液代金自己負担金支給事業といいますのは、疾病の治療のため輸血を受けた患者医療機関に支払う血液代金自己負担分を無料化しようという趣旨で設けられた事業でありまして、四十九、五十両年度において日本赤十字社等に対して血液代金自己負担に相当する額として厚生省から補助金が交付されておりますが、この血液代金自己負担に相当する額は、この補助金支給要綱などで、輸血を受けた患者に適用される各種医療保険給付率に基づいて、医療費保険給付額自己負担額との割合を使って計算することにしておりました。しかし、医療保険には、患者医療機関に対して支払った自己負担額一定額を超える場合にはその超える額を高額療養費として後日払い戻す高額療養費支給制度などもありまして、一律にさきに述べました方法補助金額算定いたしますと実際の自己負担額以上に補助金が交付される結果となるという不合理な事態が見受けられましたので、血液代金として患者が実際に負担する額を補助対象とするよう補助金支給方法について改善意見を表示したものであります。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  これは、厚生保険特別会計損益に関するもので、五十年度決算損益において同会計のうち健康勘定及び日雇健康勘定は相当の損失を生じており、しかも、両勘定の五十年度累積損失はいずれも相当多額に上っていて、著しく財政状態が悪化している現状にかんがみ特に掲記したものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  8. 楯兼次郎

  9. 北川力夫

    北川説明員 医療金融公庫昭和五十年度業務概況について御説明申し上げます。  昭和五十年度貸付計画額は、貸付契約額六百億円、貸付資金交付額五百九十億円を予定し、その原資としては、資金運用部資金借入金五百五十八億円、貸付回収金のうち三十二億円、計五百九十億円を充てることといたしました。  この計画額に対する実績は、貸付契約額六百四十五億円、貸付資金交付額六百三十五億円でありまして、これを前年度と比較いたしますと、貸付契約額で一七・九%、貸付資金交付額で一七・六%の増となりました。  なお、貸付計画額六百億円と貸付実績額六百四十五億円との差額四十五億円は、前年度からの繰り延べとなったものであります。  貸付契約額の内訳は、設備資金六百四十一億円、長期運転資金四億円であります。  貸付残高は、前年度末二千七百七十六億円でありましたが、昭和五十年度中に六百四十五億円の貸し付けを行い、二百二十一億円を回収いたしましたので、当期末においては三千二百億円となっております。  次に、決算状況について申し上げます。  昭和五十年度損益計算上の総収益は二百四十二億二千八十一万円余、総損失は二百三十四億四百七十四万円余でありまして、差し引き八億一千六百六万円余の償却利益を生じましたが、大蔵大臣の定めるところにより、固定資産減価償却引当金へ一千三十九万円余、滞貸償却引当金へ八億五百六十七万円余を繰り入れましたので、結局、国庫に納付すべき利益金は生じなかったのであります。  以上で、昭和五十年度業務概況につきましての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  10. 楯兼次郎

  11. 坂元貞一郎

    坂元説明員 環境衛生金融公庫昭和五十年度業務概況につきまして御説明申し上げます。  昭和五十年度貸付金は、当初一千五百三十億円でありましたが、経済情勢の変化に対応し八十四億円を追加しましたので、総額一千六百十四億円を予定いたしました。  その原資としましては、資金運用部資金借入金一千五百十億円、貸付回収金等百四億円、計一千六百十四億円を充てることといたしました。  これに対しまして、貸付実績は、一千六百十三億円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、三三・一%の増となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和四十九年度末における貸付残高は、二千八百九十四億円余でありましたが、昭和五十年度中に一千六百十三億円余の貸し付けを行い、八百九十八億五千万円余を回収いたしましたので、昭和五十年度末においては、三千六百八億三千万円余となっております。  次に、昭和五十年度収入支出決算について御説明いたします。  昭和五十年度における収入済額は二百七十億二千万円余、支出済額は二百六十五億七千万円余となりました。  まず、収入の部におきましては、本年度収入済額は二百七十億二千万円余でありまして、これを収入予算額二百七十一億四千万円余に比較いたしますと、一億一千万円余の減少となっております。  この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度支出予算現額二百九十四億二千万円余に対し、支出済額は二百六十五億七千万円余でありまして、差し引き二十八億四千万円余の差額を生じましたが、これは借入金利息等予定より減少したためであります。  最後に、昭和五十年度における損益について申し述べますと、本年度貸付金利息収入等の総利益は三百四十二億五千万円余、借入金利息事務費業務委託費、滞貸償却引当金繰り入れ等の総損失は三百四十二億五千万円余となりました。  この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はありませんでした。  以上が、昭和五十年度における環境衛生金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  12. 楯兼次郎

    楯委員長 これにて説明聴取を終わります。     ―――――――――――――
  13. 楯兼次郎

    楯委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 厚生省関係の問題も含めまして、少し人事の問題もあわせてお伺いをしたいと思うんですが、それで母子福祉の問題を第一にお伺いします。次に、医薬品管理の問題についてお伺いをして、その次に公務員の兼職の問題について第三にお伺いをする。最後に大規模保養基地の問題をお聞きして終わりたい、このように考えます。  最初の母子福祉問題に関しては一点だけお伺いしたいのですが、母子、寡婦などの福祉資金のいわゆる貸付限度額の問題でございますが、これが現在どのようになっているのか資料をちょうだいいたしましたから、その資料に基づいて私が少し申し上げてみます。  事業開始資金個人百万円、母子福祉団体二百万円、事業継続資金個人五十万円、母子福祉団体が七十万円、就学資金として高校月額七千円、特別な場合は月額九千円、それから大学または高等専門学校月額一万四千円、これも特別な場合は月額一万七千円、それから技能習得資金月額六千円、就業資金月額六千円、就職支度資金が五万円、療養資金が十万円、これも特別な場合は十五万円、生活資金月額四万八千円、住宅資金が八十五万円、転宅資金が三万円、それから就学支度資金が五万円、結婚資金が十万円、現状貸付限度額はこのようになっていると聞いていますが、間違いありませんか。
  15. 石野清治

    石野政府委員 ただいま御指摘になりました貸付限度額、そのとおりでございます。この金額につきまして限度額を今後引き上げるという形でただいま財政当局と折衝中でございますが、その金額につきましてはまだ明確でございません。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 後段の説明はいまお伺いしようと思ったのですが、五十三年度についてというお話だろうと思うのですね。五十三年度何がしか増額をいたしますか。それからいつまでに決定しますか。
  17. 石野清治

    石野政府委員 第二点の方はちょっと聞き漏らしたのですが、第一点の問題でございますが、生活資金その他いろんな資金につきまして、生活消費物価指数等の点を考慮いたしまして、その範囲を考えながら検討いたしたい。  それから、いつまでということでございますけれども、できれば五月中には解決していきたい、こう思っております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 いま増額するための五十三年度の作業をやっている、それが生活資金等と言っていましたが、いま申し上げた中のどれとどれを増額を目当てで作業していますか。
  19. 石野清治

    石野政府委員 全般的でございます。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 五月までにそれが決定されることがわかりましたので、その問題は終わります。  それから、医薬品管理の問題についてお伺いをしたい。  これは去年、五十二年の十二月、行政管理庁から、医薬品メーカー行政関係者医薬品管理の危険な実態というものを指摘しつつ、医薬品等の規制に関する行政監察の結果が明らかにされたことは御承知のことと思います。行管庁は、厚生省に対して、その監察の結果、次の二点を強く要望しました。  一つは、医薬品効能を調べる再評価を徹底すること、二つ目に、再評価した後の製造販売中止製品回収が確実に実施されるように行政指導をすることという、強い勧告をされました。この事実はありますか。
  21. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 昨年の十二月の行政監察の結果に基づく勧告は、先生おっしゃるような点を主たる問題点として指摘されて出されたものでございます。これに基づきまして、厚生省といたしましては、この勧告を十二分に尊重し、この行政改善を図るために、五十三年の三月二十三日にこれに対応するところの改善方策について通達を出したところでございます。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 その前に厚生省としても四十六年からこの再評価を始めておられた。医薬品安全性有効性を確保するために、五十二年八月までに九千五耳八十九品目の検討を終わったはずです、厚生省自体が。その結果、薬として全く用をなさないものが四百七品目あった。それから効能書き通りでないものが四四・六%に上る四千二百七十八品目もあった。次に、有効性が認められたもの、これが四千九百四品目、パーセントにして五一・一%ということがわかったはずです。このことを踏まえてこの行政監察というのは実は勧告がされたわけです。  いま申し上げたような無効の薬が出回る中で、この勧告の視点、ねらいというのは、医薬品の再評価行政がどのように行われているだろうか、二つ目に、副作用がわかった場合の連絡体制などがどうなっているだろうかということに、勧告はしぼられているはずです。  そこで、再評価の結果有効性がないと判定された医薬品は一ヵ月以内に回収しなければならないことになっているが、調査した三十メーカーの四十六品目のうち三メーカーの三品目回収に二ヵ月から五ヵ月の期間を必要としました。  また、効能の一部について効果がないと判定された場合、効能書きを書きかえなければいけないということになっておりますのに、そのままで売っていたのが四業者、四品目もあるという、まさにでたらめぶりといいますか、これは薬を購入する国民にとってはえらい迷惑、まさにでたらめだと言って過言ではない。  さらに、すぐ製造販売中止すべき、たとえば副作用等で、義務のある医薬品、その中止回収状況をつかんでいる都道府県というのはほとんどないということがわかったのですね。あるメーカーは、再評価申請を出さない、にせのホルモン剤を半年以上も売り続けていたという事実も指摘されました。  次に、副作用情報というのを、厚生省から都道府県を通じて病院へ知らせているのが現状ですが、モニター病院を含む四十六の病院を調査した結果、半数以上の病院で、医師への連絡が悪くて、医師が知らなかったことがわかりました。とんでもない話です。  私は、そういうことを私が言うのでなくて、検討した結果そのことがわかったのですが、まずそのことは事実ですかということだけお答えください。
  23. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 先生の御指摘のような事実があり、これに対して厚生省といたしましては、その改善方に今後全力を挙げて取り組む所存であるわけでございます。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、ずばりお伺いしたいのですが、これは見当でいいのですが、現在全国に、病院から薬局を含めて、効かない薬や副作用のある薬がどのくらい放置されてわれわれが買わされていると思いますか。副作用のあるもの、効かないものと思われるものは、まだ完全に手当てができてないのですから、したがって、どのくらいわれわれが、その効かないもの、副作用のあるものを服用しているとお思いになりますか。
  25. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 先生承知のとおりに、昭和四十二年以降医薬品製造承認の新しい非常に厳格な基準が設定をされ、現在その方式により薬務行政が動いているわけでございます。再評価は、御承知のとおりに、四十二年以前、つまり新しい製造承認方針以前につくられました薬、大衆薬を含めまして約四万品目でございますが、これについて再評価を現在実施中でございます。一部配合剤もすでに再評価の終わったものもございますけれども、主として現在再評価が終了いたしておりますのは、医家向けの単味剤の約七割相当でございます。先生指摘の、効かない、有効性がないとかあるいはその副作用という面につきましては、医家向けの単味剤の約七割についてその再評価が終わりまして、これについては、先生指摘のような行政上の不備がございまして、回収が一ヵ月でなくて二ヵ月ないし五ヵ月を要したというような事実はございますけれども、この再評価結果がすでに判明しておりますものについては、厚生省としては、できるだけの、何と申しますか行政措置によりまして、これは実は先生承知のとおりに、直接の法規上の根拠なしに行政上の指導としてやっていることでございますので、その面からくる不徹底と申しますか努力の限界みたいなものもございますけれども、この再評価の終わったものについては、適正な措置がとられるというふうに考えております。  ただ、いま申しましたように、再評価が終わってない、したがって、その有効性なりあるいはその副作用等について最終的な確認が終わっていないものが、単味剤については約三割残っておりますし、配合剤につきましてはこの一部に着手をした、さらに今後は、いわゆる大衆薬と言われる一般用医薬品でございますね、これの再評価を五十三年度から開始をするという状況でございます。  したがいまして、その結果の判明しているものについては、われわれとしては適切な措置をとっているつもりでございますけれども、その再評価の終わっていないものがまだそれだけあるということを御理解をいただきたい、かように考えております。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 それで、いまの再評価をした品目数を見ますと、いずれも四十二年以前のものですね。その後のやつはどうなっておるか別にして、これも問題はあります。しかし、第一次が四十八年十一月二十一日に答申がされています。六百五十一品目のうち、効かない、いわゆる有用性を示す根拠がもうないというもの二十七品目。第二次が四十九年、九百四十三品目のうち百一品目。第三次が四十九年、これは十一月、二百十一品目のうち二品目。第四次が三百十六品目のうち四品目。第五次が二百四十五品目のうち四品目。第六次が八百四十二品目のうち十七品目。第七次が六百六十三品目のうち十六品目。第八次が千三百六十一品目のうち十二品目。第九次が千百三十二品目のうち五十一品目。第八次からは五十一年の四月、七月、十月ですが、五十一年十月の第十次、六百三十五品目のうち九十一品目。第十一次が五十二年五月、千三百四十五品目のうち十七品目。第十二次が五十二年七月六日、千二百四十五品目のうち六十五品目。第十三次が五十二年十月二十八日、七百六十一品目のうち三十二品目。第十四次、五十三年、ことしの三月二十四日答申、五百六十五品目のうち七品目。効かないもの、もう有効性を認めることのできないもの、危険すらあるもの、四百四十六品目。製造中止または出回ったものを回収した、それが四百四十六品目、四十八年から五十三年三月までにあるわけであります。これはすべて四十二年以前の薬に対しての数字でございます。  この点はお認めになると思うのですが、こういう状態を数字で類推をいたしますと、大体現在出回っている薬、医薬品のうちの約四割程度というものは、いわゆる効かないもの、有効性を認めることのできないものが出回ったままになっている。どういう手当てをしてでも大至急これらのものの製造中止、販売中止あるいは回収等を緊急にやらないと、こうやっているうちにも善意な国民は効かない薬を飲まされているおそれがある。病院等でも、先ほど言ったようにそういった情報を流しても、それが医師に徹底しないものがたくさんありますから、病院などでも平気でこれが使われているというようなことを考えますと、これはいつごろになったら全部、効かないもの、有効性を認めることのできないものの回収なり販売禁止ができるとお思いになっていますか。
  27. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 数字等につきましては先生指摘のとおりでございますが、一点御理解を賜りたいと思いますのは、再評価の上で有用性を示す根拠がないとされているものということの意味でございます。これについては、たとえば医薬品というのは当然その効能、効果と、避けがたい副作用のいわば均衡の上に成り立っているものでございますけれども、たとえばその菌に耐性を生じたとか、あるいは他によりすぐれた医薬品があり、治療効果がより有効に行われているというような医薬品がある場合において、これとの対比において有用性がないというものも含めて、有用性ということを考えております。その意味におきまして非常に厳格な意味での有用性という判断をしているわけでございまして、その有用性を示す根拠がないものが先生指摘のとおりに四百四十六品目、四・一%でございます。もちろんそのような同様ないわば他の薬との比較論を含めまして、適応の一部についてこれを訂正する必要があるというものが四〇・六%あったということでございます。  その有用性というのは、言葉といたしましては、その薬自身が効かない、全く医学的に効かないという意味ではなくて、その後の医学技術の進歩の中で薬としてのいわば有用性を示す根拠がないという判断に達したものをかように定義づけているわけでございまして、その点はひとつ御理解を賜りたいというふうに考えるわけでございます。  なお、医療用単味剤につきましては、すでに品目にいたしまして七割方の検討が終わり、配合剤につきましては比較的数が少なうございますけれども、現在すでに少なうございますけれども、これが四・三%の結果が出ております。一般用医薬品につきましては先ほど御説明いたしましたように本年度から着手をいたすわけでございますが、医療用医薬品についての全体の四十二年以降の全部の再評価が完了いたしますには、なお両三年程度の時間的な余裕が必要ではなかろうか、かように考えております。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 その前段の説明の、時期的に他に優秀な薬ができて、その有効性を比べると有効性がないというのであって、別に効かないのではないということは、これはやはり中野局長、私どもひがんで考えるのかもしれませんが、薬屋、薬の製造業者の方を向いて物を言っているように思えてならない。日進月歩している中で医薬の効能というものがどんどん進んでいるときに、非常に効能のある薬ができた、それと比較したらもう非常に薄い、だめだといったようなものより、同じ値段を出すなら近代的な、しかも研究された結果の有効性の強い効く薬を飲むように国民に仕向けたり、指導をしたり、行政的な措置を講ずるのが厚生省の仕事なんです。そんな売薬業者あるいは製薬会社をかばうような言い方をしても納得がいきません。  後段の説明もありましたが、それらについては深入りをしません。  そこで私が申し上げたいのは、新聞なども書いているように、厚生省のこの面に関する行政というのはお願い行政だ。まさに皆さんがせっかく勧告を出されていても、その勧告に基づいて出した厚生省の各都道府県知事あてのいわゆる通知を見ましても、お願い、お願いしますがやたらに出てくるのです。願いたい、お願いしたい、努められたい。なるほど新聞の見出しにあるお願い行政というのは当たっているように思うのですね。この状態が続いて、さっきもちょっと局長おっしゃったけれども、これは御承知のように行政指導なんだとこうおっしゃった、そのとおりなんですが、このままでこれを放置しておいていいと私は思わない。これじゃ弱くてだめです。違反した者に対する罰則もない。ただ立入調査ができる、これはどうしてそんな強権が与えられたのか知りませんが、都道府県に置かれている監視員制度があります、何千人かいます。これもどんどんふやす必要があるでしょうが、せっかくこういうものがほんの一部にあるのですが、かと言って罰則の規定がない。いま行政指導でなくて、かくかくのことをしなければいけないといって、厳しい法律のもとにこの種のことは指導をし監督をしていかなければ、まあ知らない間に国民全体はどんなに迷惑をこうむっているかわからない。しかも、日本人は世界に例がないほど、薬を食うほどとにかく売薬をやっている。みずから診断をして薬局に頼っている率が非常に多い。私なんかだって飲み過ぎて頭が痛いといえば、いつもコマーシャルを見ているものだから、あんなの効くかどうか知りませんが、つい飲んじゃう。  というように、これは、国民のこうむっている迷惑を考えたら一日も早くもっと厳しい、処罰を含めたいわゆる監督行政のあり方ができるような法令化をどうしてもしなければだめだと思う。ただ行政指導でございます。指導でございます。こんなことを幾らやっていたって、やらなくたって別にどうってことはないのですから。で、薬屋さんが回収しなくたって別にどうってことはないのですから。あるいは医者がそれをつい、おれは知らなかったよ、だから効かないと指摘された情報が流れているけれどもそれを使っちゃったんだ、半年使っているよ、いまになって知らされたけれども、まあまあ今度は気をつけるよ、それで済んじゃう。これは大変無責任な話です。したがって、法令化する必要があると思う。  これは大臣にお伺いしたいのですが、いまのやりとりでおわかりでしょうが、現在でも有効性の薄い、効かない、ある意味では副作用のある、こういう薬が出回っていることは事実です。国民は知らずにこれを飲んでいる。したがって、基本的には、行政指導しかできないようないまのあり方をまず直す。したがって、法令化を進めて急速に厳しい監督指導をすべきだと思いますが、法令化をするという非常に大事なことですから、大臣からお答えをいただきます。
  29. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 大臣の御答弁の前に恐縮でございますが、一、二補足をさせていただきます。  先生指摘のとおりに、現行薬事法は昭和三十五年に制定されたものでございまして、世界共通の医薬品のいわば安全性有効性の問題について急速に世界的な関心が高まりましたのは、不幸にしてその直後でございました。西ドイツ等におきましても、最近のそのような物の考え方に基づきまして新しい薬事法を、非常に厳格な薬事法を制定いたしましたのが、一九七六年でございます。  で、当然われわれ、たとえば現在の医薬品行政の柱になっております安全性の問題、あるいはその副作用情報等の問題、モニタリングの問題、このような問題につきましては、再評価の問題も含めまして、先ほど御説明したように全く法規上の根拠なしに行政上の努力としてこれを行っている、現行法規は製造承認の取り消しの規定すら欠いておるという点がございます。それで、先生指摘のようなことはまことにそのとおりであると私は考えておるところでございまして、これは早い時期に薬事法の改正の中に関連事項を盛り込まなければいけない、かように考えております。  それからなお、有効性がないというふうなもの、あるいは一部の適応がないというようなものが出回って使われておるじゃないかという御意見でございますが、これについて、もちろん一〇〇%そうでないということは、行管の指摘もございましてございますけれども、しかし、たとえば保険の薬価基準というようなものがございまして、医療保険の薬価基準の上からは、再評価に基づきますところの医療性のないものは薬価基準から直ちに削除し、以下は臨床家がこれを使っても保険の請求はできないというふうに、非常に厳しい措置を保険行政と連動させてとっておるところでございます。その点もお含みおきを願いたいと存じます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 いま前段の説明のおっしゃること、第三者に医薬品安全性有効性の確保ということ、確かにおっしゃるとおりです。わかっております。  後段の薬事法その他によって法的にもきちっと指導できるのだという説明なんですが、実際に有効であるかないかという再評価が現に遅滞なく行われていない限り、いかに厳重にそれをやることができるとなっていても、先ほどから問題にしているような再評価というものが遅滞なくいつでも行われているように、しかもそれがぴちっと下部まで浸透するように、非常に厳しい法律のもとに守られていくということにしない限り、幾らいまのような説明があったって、現に先ほど申し上げたような四百四十六品目のあれが四十八年から五十三年三月までにあることは間違いないのですから。それを早くなくしてやるということが厚生省の仕事なんですから、その意味で、大臣にもう一度、先ほど言った答弁をお聞きしたい。
  31. 小沢辰男

    小沢国務大臣 まず第一に、この再評価の結果が出ますとすぐ製造の禁止を求めて、これはやっております。有効性が認められないもので出回っているものの回収、これは確かに努力はいたしておりましても、先生指摘のような残留の問題は相当あるわけでございまして、これは一層努力をして早期に回収をしなければならぬと思います。  それから、御指摘の、根本的には薬事法の改正をやって法的な根拠を与えなければならない、これはもうそのとおりでございますので、私どもは薬事法の改正のときにこの点を明確にいたしたいと思っておりまして、いま立法の作業を進めておるところでございます。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣から薬事法の改正、すなわち、法令による厳格な指導監督ということをやるという意思表示がございました。なるべく早急にそれをやらなければいけないと思います。  そこで、局長にもう一度、先ほどの答弁につれて二つだけお伺いしたいのですが、一つは、両三年の間に四十二年以前のものの再評価を終わる、だから三年ぐらいの間にはぴちっとその面における結論を出す、こうおっしゃったように聞きましたが、そのとおりかどうか。  もう一つは、四十二年以降のものに対して一体どう処置をなさるのか。  こういうふうに細かく聞いておかないと、現在のものをどうするかが出てこないわけですから、その二つに分けてひとつお答えいただきたい。
  33. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 前段の四十二年以前に製造承認されました医家向け医薬品につきまして、両三年中にこの再評価を完了する、これは先生の御理解いただいたとおりでございます。  さらに、四十二年以降の現行の製造承認基準のもとで承認されました医薬品といえども、その後の、よく言われますようにたとえば菌に耐性を生ずるとか、あるいは医学的な知見がどんどん進歩をしていくというふうなことでございまして、再評価というものは、私どもの考えといたしましてはこれを常に、何と申しますか、いわばリボルビングというふうな形で繰り返しながら動かしていくという必要があるというふうに考えております。したがいまして、四十二年以前の医薬品についての再評価が終わりましたならば、その後に四十二年以降のものをさらに再評価を行い、さらにその後で、一定の周期で繰り返しながら全体の再評価を絶えずやっていくということが、医薬品の特殊性にかんがみまして必要なことであると考えております。また、さような趣旨で立法の際には考えてまいりたい、かように考えております。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、医薬品の問題はそれで終わります。  そこで、公務員の兼職の問題についてこれからお伺いをしたいと思うのです。  ここでお伺いしておきますが、最近まで、公務員の兼職について総理大臣の承認を得る必要がある二等級以上の公務員、それから所轄庁の長の許可を得て現在兼職を許している者は各省別にどのくらいあるかをひとつお伺いしたいと思います。
  35. 篠田信義

    ○篠田政府委員 総数で、総理大臣の許可を得た件数は、昭和五十二年分で樹七十八件でございまして、各省の長のみの許可が昭和五十二年で四千十件でございます。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一回お伺いしますが、それでは五十一年、いまの総理大臣、所轄庁、それから五十二年というふうに分けて……。
  37. 篠田信義

    ○篠田政府委員 昭和五十一年では、内閣総理大臣の許可によるものが百六十七件でございまして、所轄庁の長のみによる許可件数が三千五百四十九件でございます。合わせて総計三千七百十六件となります。  昭和五十二年は、内閣総理大臣にかかわるものが百七十八件、所轄庁の長のみにかかわるものが四千十件で、合わせて四千百八十八件という数字になります。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、各省別の内訳をひとつ、いまの年別で……。
  39. 篠田信義

    ○篠田政府委員 各省別に申し上げますと、昭和五十一年では、内閣総理大臣承認分、人事院一、総理府本府三、公正取引委員会四、宮内庁二、行政管理庁一、経済企画庁七、科学技術庁十、国土庁三、法務省十、大蔵省一、国税庁三、文部省四十一、文化庁六、厚生省八、農林省十五、水産庁二、工業技術院三十六、特許庁二、海上保安庁一、気象庁四、郵政省三、資源エネルギー庁一、労働省一、建設省二、合計百六十七件。  五十一年の所轄庁の長の許可によるもの、総理府本麻二、公害等調整委員会一、宮内庁九、経済企画庁四、科学技術庁五、環境庁一、法務省二十七、公安調査庁二、大蔵省四、国税庁十六、印刷局一、文部省二千九百六十二、文化庁四、厚生省四十、農林省三十、林野庁十九、水産庁二十一、通産省三十四、工業技術院四十四、特許庁二、運輸省十一、海上保安庁三、気象庁十、郵政省二百六十八、労働省二、建設省二十七、合計三千五百四十九でございます。  五十二年について申し上げます。内閣総理大臣にかかわるもの、人事院二、総理府本府四、公正取引委員会二、宮内庁四、行政管理庁一、経済企画庁三、科学技術庁九、環境庁一、国土庁二、法務省九、国税庁三、文部省五十二、文化庁五、厚生省七、農林省八、林野庁二、水産庁二、通商産業省四、工業技術院三十九、資源エネルギー庁二、特許庁三、運輸省一、気象庁八、公共企業体等労働委員会二、建設省三、合計百七十八件。  所轄庁の長の許可分、内閣一、人事院二、総理府十一、公正取引委員会二、公害等調整委員会一、宮内庁十五、行政管理庁一、経済企画庁六、科学技術庁十三、環境庁五、国土庁二、法務省三十二、大蔵省五、国税庁十八、文部省三千四百八十五、文化庁八、厚生省三十四、農林省三十三、食糧庁一、林野庁二十九、水産庁二十二、通商産業省三十五、工業技術院六十七、資源エネルギー庁三、特許庁四、運輸省十六、海上保安庁一、気象庁十八、郵政省二百四十九、労働省九、公共企業体等労働委員会二、建設省十六、印刷局三、合計四千十件となります。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 この兼業先別の内訳をやはり年別にひとつ……。
  41. 篠田信義

    ○篠田政府委員 五十一年の内閣総理大臣承認分、特別職二、地方公共団体四、三公社五現業四、学校百二十八、研究所七、営利企業二、その他二十。  所轄庁の長の許可分、特別職八十、地方公共団体二千四百二十八、三公社三十七、学校二百六十、研究所七十四、営利企業五十八、その他六百十二。  五十二年にまいります。内閣総理大臣承認分、特別職三、地方公共団体十一、三公社四、学校百二十三、研究所六、営利企業二、その他二十九。  所轄庁の長の許可分、特別職六十九、地方公共団体二千七百三十六、三公社三十、学校二百五十七、研究所六十二、営利企業六十三、その他七百九十三。  以上でございます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで大ざっぱにちょっとお伺いしておきたいのですが、所轄庁の長の許可分はおきます。内閣総理大臣承認分の中で、いまの営利企業、五十一年に二つあります。それから五十二年にこれも二つあります。これはたとえばどういう企業の許可をしたのですか。
  43. 篠田信義

    ○篠田政府委員 この内容につきましては、現在手元に詳しい資料を持っておりませんのでお答え申し上げかねるのですが、元来営利企業と申しましても、その企業の役員ではなくて、一般の事務ないしは事業に従事しているということで、非常に短期間のものでございます。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 よくわからない。決算決算の立場で国政を調査しようというときに、この種のことを事前に話してあった限り、営利企業の内訳はいま手元にないからわからないなどという答弁をするようなことなら、出てくる必要ないんですよ。そんなばかなことを言って、この決算委員会をなめている。すぐ電話で問い合わせなさい。そんなばかなことがありますか。事前に言ってあるじゃないですか。  それで、いまの答弁の中で、別に役員をやっているわけではない。何かやっているというがよくわからないのですが、どう違うのですか。営利企業で役員をやっているわけではない。何か自分で、個人でやっているということらしいが、もうちょっと細かくわかるように……。
  45. 篠田信義

    ○篠田政府委員 営利企業の役員の分につきましては、人事院の方の承認を必要とするわけでございまして、総理府の方の許可は、役員以外の職員ということになっております。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは営利企業の内容を後で大至急聞きたい。  いまおっしゃった役員としての職員でないというのは、たとえば法務省なんかで言うとどういうことになるのですか。役員でない公務員、職員だというのはどういう意味ですか。
  47. 篠田信義

    ○篠田政府委員 法務省からわれわれの方に報告がまいっておるところによりますと、たとえば法務省の医者の関係の仕事をやっている人が、夜間勤務時間外に家庭で医療業務をやっているということでございます。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 先走って答弁されても、ありがたいけれども……。  そこで、ちょっと先にお伺いしておきますが、夜間、たとえば自分の営業をやるというようなことなら、いまの答弁は兼職を認める、承認するということに解釈していいわけですか。
  49. 篠田信義

    ○篠田政府委員 必ずしも先生のおっしゃるような意味ではございません。総理府人事局の方で人事局長通達が四十一年に出ておりまして、これによって指導しているわけでございますが、一般的には公務の遂行に支障が生じないということが認められるときということでございますので、時間外であれば、そのために心身の疲れが非常にひどくて翌日の公務に差し支えるということでない限り許可するという考え方でございます。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 夜間のプライベートな営業をやってもあしたの職務に疲れを感じないような状態なら、その判定はむずかしいでしょうが、それは聞き流しておきましょう。  そこで、一等級、二等級以上の公務員、特に法務省の関係で、法務省からきょう来てもらっていますのでかわっていただいて結構ですが、現実の勤務は週二日、そうして一日二時間しか勤務していない。管理職にある人です。もちろん、その週二日のどれかが祭日などに当たりますと、それも休むことが当然のことのようにされているということになると、その人はお医者様です、お医者様の場合に自分で医院の開業をやっているという兼職を許すかどうかの判定の前提になるかならないか知りませんが、ただ週二回、二日だけ勤務して、その一日が二時間以内の勤務だというような公務員が、他の公務員と同等の手当をすべて受けているというようなことはあり得ますか、あり得ませんか。
  51. 土橋英幸

    ○土橋説明員 先生が御指摘のようないわゆる勤務の条件と申しますか、そういうことでの兼業は認められないと私どもは思っております。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 どの範囲なら認めますか。一週間幾日勤めて一日の勤務時間が何時間ぐらいがまずまずだ、そういうことならばよろしい、こういうことになりますか。
  53. 土橋英幸

    ○土橋説明員 勤務条件につきましては、先ほど総理府からも概括的なお話がございましたが、いま先生がおっしゃるように一週間のうち何日だとか、何時から何時までだとかいうような勤務条件を設定した上で兼業を許すというようなことは考えておりませんし、できないと考えております。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 公務員法の百一条の「専念する義務」というのは、いまおっしゃったように非常に厳しいものですね。そう解釈していいわけですね。ところが、百三条には「私企業からの隔離」というものがぴしっとまた明記されていますね。その私企業との関係は今度はどうなんでしょう。たとえば一週間五日なら五日ちゃんと、土日休みじゃない場合は六日、そうして朝九時なら九時から五時まで勤めているという場合には、先ほどちょっとお話があったように夜間なら、しかも翌日の仕事に差し支えない範囲なら、何をやっても差し支えないということになりますか。  要するに、もっと突っ込んで言いますと、五時まで勤めて、五時半からすぐ隣に営業所を置いて、そこでずっと私の営業をやる、私企業をやるということは差し支えありませんか。
  55. 篠田信義

    ○篠田政府委員 先ほどの私の説明、少し舌足らずで大変失礼いたしましたのですが、一般に医者につきましては医師法等で不定量の診療義務が課されておりますので、人事局の指導では原則として認めないということになっております。法務省の方からまた説明があろうかと思いますけれども、特別やむを得ない事情がある場合には、先ほど申し上げましたような翌日の公務に差し支えがない短時間において時間を限ってやるということで認めたものと考えております。
  56. 土橋英幸

    ○土橋説明員 医師の場合は、私どもで兼業を認めている条件の中に、医療というものは当該患者先生とのかかわり合いがございます。そういう関係では、いま総理府から御答弁がありましたように、夜間において、自分のところに診療所があって、地域の住民がぜひ先生の診療が欲しいというような事情がある場合がございます。そういうものは一つの条件として私どもは考えさせていただいておるというのが実情でございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 いまそれに承認を与えた例がありますか。
  58. 土橋英幸

    ○土橋説明員 ございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 その例を二、三言ってみてください。
  60. 土橋英幸

    ○土橋説明員 たとえば長野県の須坂というところに刑務所がございますが、近くに轟という医院を開業している先生がいらっしゃいます。その先生は私どもの医師をしていただいていると同時に、いわゆる通常の勤務を終わってから御自分の診療所で従来の患者の診療に当たっておるということを聞いております。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 私が長野県だから長野県を出したのかどうか知らないけれども、その轟先生というのは、たとえば公務員何等級の人ですか。
  62. 土橋英幸

    ○土橋説明員 医療俸給表の三等級でございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、所轄庁の許可……。
  64. 土橋英幸

    ○土橋説明員 さようでございます。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 総理大臣の承認を必要とするものの例はありますか。
  66. 篠田信義

    ○篠田政府委員 昭和四十九年に法務省について同じ医業についての兼職一件ございましたが、現在この本人はやめておりまして、現在のところございません。法務省の関係については現在のところございません。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 それは四十九年でやめているのですが、東京ですか。県はどこですか。
  68. 篠田信義

    ○篠田政府委員 東京と記憶しております。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 勤務籍が東京都ですね。
  70. 篠田信義

    ○篠田政府委員 はい。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、もう一歩突っ込んでお伺いしたいのですが、私の知っている範囲でたくさんあると言うと語弊がありますが、公務員の兼職が現に行われていて、私どもがいろいろな人事院規則その他公務員法から見てもこれはおかしいなあと思うのは、注意をされたり、私自身が気がついたりしているものが幾つかございます。それを全部申し上げようとは思わないのですが、しかし、役所にいる皆さんがちょっとごちそうになった、接待問題が起きた、これはけしからぬ、戒告だ、訓告だ。汚職が起き、大きな問題となって世間的な処断も受ける。やはり公務員である限り綱紀の厳守というものは、規則を厳に守るということは、公務員として国民に対する当然の責めだと私は思う。ある意味では頂門の一針といいますか、おきゅうを据えるといいますか、一つだけ特に取り上げて、全体がえりを正していただけばなあという考えで申し上げているわけです。  その観点からいってお聞きしたいのは、これは少年刑務所に勤めている医務部長さんであります。当然二等級の職員だと思います。この人が、先ほどから言うように現に週二回勤務しています。そうして、勤務したその日二時間だけしか原則としてはおりません。俸給、手当その他は一般公務員と同じように受領しています。しかも、東京都内で開業医として仕事をしています。営業をしています。その例は御存じですか。法務省の関係です。
  72. 土橋英幸

    ○土橋説明員 いま先生指摘のようなことでございますと、これはまことに遺憾だと考えます。そういうことがありますれば、私どもしっかり調査をいたしまして、しかるべき対応をしていきたいと考えます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 これは埼玉県です。うっかりすると私と同郷かもしれないのです、その医者は。少年刑務所の医務部長さんです。  あえてもっとずばずば言いたくはありませんが、先ほど申し上げたように、何といっても公務員と言われる人々がやはりえりを正し、法に従い、規則を守るようにしていくという意味では、この種の弛緩したあり方は許されてはいけないと思う。現に公務員法なりいろいろと規則があるわけですから、まず率先して公務員の諸君は、その法治国家の役人として、職員として厳守してもらわなければ困る。そういう意味で、許されない事例の一つとして、気の毒ですがこれを持ち上げたわけであります。先ほど申し上げたように一つだけではありません。私の知る範囲、私のところに投書が来ている範囲でも、約五点ございます。しかし、それをあえて申し上げようとは思わないのです。先ほど言った理由から一点だけ申し上げているわけです。  この埼玉県における少年刑務所の医務部長、これが東京都豊島区において私企業的な医院の開業をして、これに大半の時間をかけ、そして公務員としての本職である少年刑務所においては、いま申し上げたように火、木以外には勤めない。しかも、少年刑務所の車なども、私的に自由自在に使っている。その他その態度も、どういうのか知りませんが、全職員から見て横暴でいけないとか、いろいろなことがあるようです。そのことをあえて申し上げようとは思いませんが、頂門の一針として、公務員全体に警鐘を鳴らす意味であえて私は申し上げるわけですから、これに対してぴちっとした処置を講じていただくように、この点だけ私から強く要望をしておきたい。もう一度これに対して答えていただきたい。
  74. 土橋英幸

    ○土橋説明員 御指摘のことをよくわきまえまして、調査の上、しかるべき適当な措置を講じていきたいと考えます。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 処置の結果を私まで報告をいただきたい。
  76. 土橋英幸

    ○土橋説明員 申し上げます。
  77. 篠田信義

    ○篠田政府委員 先ほどの総理大臣承認分にかかわる営利企業の関係でございますが、この点につきましては、私どもの方の大変な手違いで連絡に不十分なところがございまして、準備不足で失礼いたしました。詳細につきましては、現在事務方の方で資料を集めてやっておりますので、後日お届けいたし、御説明いたしたい、こういうふうに考えておりますが、大体営利企業に関するものの一般的な兼職は、民間の研究機関に専門的、技術的なスタッフあるいは委員として兼職するというようなものが主なものでございまして、土曜日の午後、年数同程度ということでございます。
  78. 原茂

    ○原(茂)委員 ついでに、これは法務省と両方にお伺いして、法務省が中心で回答をいただきたい。先ほども申し上げたように、法務省の総理大臣の承認分として五十一年に十人、それから五十二年に九人、五十一、五十二で十九人います。この中に、いま私が申し上げた埼玉県の少年刑務所の医務部長はいますか、いませんか。
  79. 土橋英幸

    ○土橋説明員 先ほど先生に申し上げましたように、三等級でございますので、総理府の方の範疇ではございません。
  80. 篠田信義

    ○篠田政府委員 この中にはございません。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの土橋さんですか、あなたの答弁、三等級だからございませんというんですが、総理の承認を得る必要のある人間が十人兼職をしているというのが五十一年にあるんですよ。三等級も総理の承認ですか。三等級以下は所轄庁の許可じゃないでしょうか。もう一度。
  82. 土橋英幸

    ○土橋説明員 総理府令、政令その他で、三等級以下はいわゆる所轄庁の長の許可権限に委任されておるわけでございます。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 私の質問がわからないかな。いま申し上げた法務省の五十一年、五十二年の十人と九人というのは二等級以上で、内閣総理大臣の承認分としてあるんですよ。さっきも確認されましたね。どうなんですか、これは。
  84. 土橋英幸

    ○土橋説明員 いまの総理府の方で申しました数字は、いわゆる医者の関係以外のものだというように私ども考えます。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 医者の関係以外で結構なのですが、要するに、この中にはいま私の言っている埼玉県は入っていませんねと聞いておる。
  86. 土橋英幸

    ○土橋説明員 含まれておりません。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 これ以上追及いたしませんが、先ほど言った二つ、私に報告していただくことをお約束願ったわけですから、報告をお待ちしております。その結果、必要があればもう一点、二点、この同種の問題でそのときに申し上げるかもしれません。処置の仕方、それから先ほどの約束どおり二件についての御報告をぜひお願いしたい。それはこれで終わります。  それから次に、大規模年金保養地の問題についてお伺いをします。  たしか昭和四十八年、これは田中内閣の福祉元年の目玉として打ち出したもの、その基地十一ヵ所をつくろう、一ヵ所二百億円、基地の広さというのは最低三百三十ヘクタール約百万坪、二千人の老人が住める施設にしよう、なおそのほかにも健康増進センターやゴルフ場、図書館、児童遊園などもつくりたいというのが当初の計画なのです。先ほど言った一ヵ所当たり二百億円も使った大変大きなプロジェクトでありますが、いま私が申し上げたことに違いがないかどうかというのと同時に、すでに用地買収は全部終わっているのか、どことどこが終わっているのか、十一ヵ所の中の用地買収済みのものを、二つ目にお答えをいただきたい。
  88. 木暮保成

    ○木暮政府委員 ただいま先生の御指摘のことは、そのとおりでございます。ただ、一番先に構想を発表いたしましたのは、四十七年十月でございました。  土地買収につきましては、事業団の方から御申告申し上げます。
  89. 中村一成

    中村参考人 用地買収につきまして御説明申し上げますと、厚生大臣の指定のありました十一基地につきましては、昭和四十九年三月から買収を開始いたしまして、昭和五十二年昨年の三月をもって全部終了いたしております。総面積が三千八百八十九ヘクタール、取得価格約三百七十五億円でございます。
  90. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの一ヵ所平均三百七十五億円というのは土地だけですか。
  91. 中村一成

    中村参考人 十一基地の土地購入の総額でございます。
  92. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  そこで、この資金というのはどこから仰ぐのですか。
  93. 木暮保成

    ○木暮政府委員 ただいま厚生省で、厚生年金国民年金船員保険の三つの年金保険を所管いたしておりますが、この三保険の積立金から支出をいたしております。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの三つの年金積立金は、いま十何兆くらいになっていますか。
  95. 木暮保成

    ○木暮政府委員 五十三年予算編成時の見込みでございますが、五十三年度末で二十二兆二千億円になるというふうに考えております。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、変なことをまず最初にお伺いしておくのですが、この基地の現に決まったところ、土地はもうみんな買って、それから現に建設の工事が進んでいるようなところはどことどこでしょう。
  97. 中村一成

    中村参考人 工事に着工いたしておりますのは、兵庫県の三木基地というのがございますが、その基地につきましてことしの三月から土木工事に着工しております。
  98. 原茂

    ○原(茂)委員 これは全体的にはいつまでに完成する予定ですか。この計画全体でいいです、全体はいつまで。
  99. 木暮保成

    ○木暮政府委員 この十一基地につきましては、四十七年に構想を発表いたしまして、各地元の御協力等を得まして土地の買収等を終わった段階でございますけれども、かなり大型の事業でございますし、また一方では、この構想の発表当時と若干社会経済情勢も違ってまいったわけでございます。被保険者や地元の御期待に速やかにこたえると同時に、やはり大型の基地でございますので、経営にも慎重を期していかなければならないという両方の兼ね合いがございますので、この十一基地をいつまでにつくるかということを現在慎重に検討いたしておる段階でございます。
  100. 原茂

    ○原(茂)委員 これは厚生大臣にお伺いすることでしょうが、最近はとみに年金受給者がふえてきていますね。去年などは八百万人ですか。だんだんに積立金にゆとりがなくなってきているのが現状だと思います。二十二兆何千億円とあるのですが、しかし受給者がどんどんふえてくる、その計数もわかっているのですが。すると、年金のゆとりというのは非常に幅が狭まってくる、まだまだありますが。  この兵庫県の三木がようやくことしの三月に地ならしが始まった。この構想をそのままずっと、この年金を当てにして今後おやりになっていいかどうか。この構想は、まだ土地を買っただけで緒についていないところもある。これをこのまま進めていいのか。いまの資金との関連、年金のあり方などを考えたときに、ぴちっと計算済みで、受給者はどんどんふえていくのだが、大丈夫完成時期がこうだ、それまでにはこうやっていくんだというようなことが、いまの答弁でははっきり出てきていないように思うのですが、このままこれを進めていいのかどうか、非常な疑問があるように私は思う。  これは資金的な面もありますね。せっかく決めたんだし、どうもいまさら変更なんてできない。これは何でも、役所だけでなく個人の場合でも、一遍決めたものを変更するというのは非常にむずかしいと思うのですね。ですが、私は現在の情勢から判断したとき、特に第一には資金の面から判断したときに、これが本当に足手まといになるような、非常に困難な問題が起きてくるような、そういう心配があるように、これは私としては考えられます。そこまで検討してみないからまだわかっていないというのかどうか。これは大臣に私の心配にこたえていただきたいのは、資金的な面です。受給者がふえてくる、ゆとりが減ってくる、この大型の計画というものが緒についたばかりのいまの状態の中で、何かを考えなければいけないなら考える時期じゃないかなというのが一つなんですね。  そういうことを考える二つ目の理由として、この場所を考えますと、いずれもある意味ではその土地におけるへんぴなところ。全国の利用者の立場から言うと、これを保養センターだというので利用したいという人々が、ここまで行くのに非常な時間と金がかかるということが当然起きてくると思うのです。  この場所、三木、北海道の大沼、新潟県津南、岩手県田老、紀南、横浪、南東北、中央高原、安浦、北九州、鹿児島県の指宿、この十一ヵ所を見ましても、図面もちょうだいしましたが、非常にへんぴなところで、全国がこれを利用しようというんじゃなくて、結果的には主に地元の人間が利用するということになるんじゃないかと、場所的に考えたときに考えるのですが、このことも含めて、いま言った第一の問題と、第二に申し上げた問題から、この大規模年金保養基地なるものが、まだまだ土地の選定が終わって買ったというだけで、実際には手のついたものは兵庫県の三木だけだということになれば、いまこそ一度思い切って第一、第二の理由で再検討してみる必要があるんじゃないかという感じがするのですが、いかがでしょうか。
  101. 小沢辰男

    小沢国務大臣 おっしゃるとおりの気持ちをわれわれ持っておるわけでございます。  私は、当時聞いておりましたのは、ブロック別に一つくらいを、国民年金、厚生年金の被保険者のための保養基地を、特に老齢化社会を迎えますので、国民年金の被保険者等の福祉施設として考えていこうじゃないかという発想じゃなかったかと思うのですが、その後いろいろな被保険者の数とか、関東地区、近畿地方あるいは九州全部で考えましたときに、利用という面を考えますと、だんだんふくれてきたんじゃないかと思うのでございます。  おっしゃるように、一つには、建設関係だけを考えますと、規模の縮小等十分考えていけばそう困難ではないと思いますけれども、自後の経営をどうするか、これはいま事業団でも非常に慎重に各候補地について採算が一体とれそうなのかどうか、うんと高くすれば別でしょうけれども、それじゃ保健施設の役になりませんし、本当に被保険者のための施設として運営をしながら、まあまあ何とか大きな赤字を出さないでやっていけるかどうかという検討等も相当慎重にやっているようでございます。私どもも当然それらを頭に置いて考えていかなければいかぬと思っております。  ただ、困りますのは、土地を全部地元の協力によって提供を受けて、当初、四十七年の構想のときにいち早く新潟県が名乗りを上げて、私も当時関係ではありませんでしたが、自分の選挙区でもありませんけれども、新幹線との絡み合いで実は津南をぜひということで、そのときには比較してみますとおわかりのように、実は津南が土地代金は一番少ないわけでございます。これは地元が相当犠牲を払って協力をいたしたところで、道路等については県がやってもらえるものと思って、県の公共事業として地元負担等もあれしながら道路の改造等をどんどんやっておるわけでございます。  最近、各地から私のところへ早く計画承認をしてくれというような陳情等がたくさん来ております。これは地元の町やあるいは市が非常に協力をしてみんなで誘致連動を一生懸命にやっておるのに、いつまでたっても手がつかぬというので、どうしてくれるのですかというような陳情等もあるわけでございます。また、社会労働委員会でもそれぞれ非常に強く要望等が各先生方、野党を通じまして出ておるわけでございます。  しかし、私どもは、年金資金なりあるいは将来の運営等を考えますと、従来のいきさつはいきさつでございますが、やはり慎重にやらざるを得ない面をいろいろと御説明申し上げて御理解をいただいておるわけでございます。非常に二律背反的な問題を抱えて弱っておるというのが率直な感想でございますが、慎重にそれぞれの状況等をよく検討いたしまして、先ほど局長言いましたように、実施時期はお答えできないわけでございます。私は相当期間をかけていかなければならぬだろうと思っておりますので、基本的な態度としては、大事な年金積立金でございますので、あくまでも慎重に対処させていただきたいと思っておるわけであります。
  102. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、これも私の感じで、ずいぶんいやなことを言うなということになるかもしれませんが、兵庫県の三木、大沼、津南、田老、これは岩手県ですね、和歌山県紀南、高知の横浪等見ますと、元厚生大臣あるいは政務次官、事務次官の方々の地元に設置されるようになっている。ひがみかもしれませんけれども、そう思われる。野党だからこんなことを、次官にも大臣にもなっていませんから、しかし、もちろん野党がひっかかりをという意味ではないのです。しかし、野党といえども地元の問題ですから一生懸命に誘致はしているのだろうと思います。思いますが、たまたま表に書いてみると、どうも厚生大臣、厚生政務次官、厚生事務次官の地元にずらりと決まったような感じになるのですね。これも私のひがみっぽい目で見たからそうなるということかもしれませんが、北九州の熊本だって全くそのとおりというふうになってきますと、どうもそんなふうな傾向でこの基地の設定がされたように考えられてならない。  これは大臣が、もちろんそんなことはありませんと弁護しなければいけないでしょうけれども、誘致される場所が決まるその決定の過程はどんな審議会でどんなところで決定をされたのでしょうか。少なくとも、これを見ますと、なるほど厚生省に関係した人々のところにみんな持っていってしまった。こういうふうにひがみっぽく見える。そうじゃない、ちゃんとこういう正規のあれでやったのだから大丈夫というような答弁をひとつ。
  103. 木暮保成

    ○木暮政府委員 十一ヵ所の決定は厚生省でいたしました。そのときの選定基準でございますが、保養基地としての適性にかなった自然環境あるいは立地条件が整っていることというのが第一でございます。  また、実際には三十七府県が立候補と申しますか誘致のお申し出がありましたのでございますが、現実に土地取得の可能性がない場合もございまして、その候補の土地について取得の可能性があるというのが第二の条件でございます。  それから、第三の条件といたしましては、その土地が公有地であるか、あるいは地元において公有地化していただけるということを次の条件にいたしておるわけでございます。  それから、土地それから上物につきましては年金積立金でやりたいということでございますけれども、大型の基地でございますので周辺整備等が要るわけでございますが、その周辺整備につきましては、地元の県なり市町村の積極的な御協力をいただけるというのが、もう一つの条件でございます。  そういう条件と、さらにやはり全国的に配置を考えまして特定の地域に偏らないというようなことを加味いたしまして、総合的に判断をして厚生省で決定をいたしたわけでございます。
  104. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで重ねて聞きますが、長野県は三十七の中で立候補しましたか。
  105. 木暮保成

    ○木暮政府委員 長野県は駒ヶ根市が誘致をしたいというお申し出があったというふうに聞いております。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 それがだめになった理由は何ですか。
  107. 木暮保成

    ○木暮政府委員 当時の状況、大変恐縮ですが詳しく承知いたしておりませんのですが、一番先に決まりました保養基地といたしまして北海道の大沼、それから先ほど申し上げました工事の始まった三木、それと新潟の津南というようなことでございまして、また新潟の津南が先に決まりました関係で、同じブロックというか近間に二つできるというようなことが一つの問題点であったろうと思うわけでございます。
  108. 原茂

    ○原(茂)委員 立候補させるまでに、新潟の方が先に気がついて立候補して、新潟の方がどんどん話が進んで、それが決まっていったために、もう駒ヶ根はだめになったんだというふうにいまの答弁聞くのですが、それでいいんですか。
  109. 木暮保成

    ○木暮政府委員 大変恐縮ですが、当時の事情必ずしも詳しく知っておらないのでございますけれども、全国的な配置の問題がいま申し上げたように一つあったと思いますし、それから当時の記録を見ますと、足場と申しますか、そういう利用状況の点でも若干問題があるというような記録が残っておるわけでございまして、そういう点が総合的に判断されたんだろうというふうに思っております。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 長野県へ持ってこいということを言う意味じゃありませんからこれで終わりますが、さっき大臣にも申し上げ、大臣もおっしゃったように、私は大乗的な見地から思い切って、ただ決めたんだからやっていくんだという惰性みたいなことにならないような、諸般の私が申し上げたような状況を勘案して、検討は常に怠らずにやっていくということをすべきだと思う。  全部廃止しろと私は言っているんじゃ絶対ありませんから。必要なものなんだ。しかしながら、資金的な問題その他いろいろ考えて、遠隔の地であること、利用者の立場を考えたりしたときに、いま持っている構想そのまま、決めたんだから惰性でやるんだというようなことはすべきではない。たまたまやろうと思えばどういうふうにでも再検討ができるようないま時期だというふうに考えますから、私はどうしてもそのことを強く要望しておきたいと思うのです。大臣からもう一度それを聞いて、終わります。
  111. 小沢辰男

    小沢国務大臣 全く先生のお考えに私もいま同感でございまして、慎重にそれぞれのところを個別に、政治的配慮を度外視しまして、事務的に役所の内部で事業団の関係者と年金当局者とそれから私、幹部集まりまして、早急に徹底的な研究をやっていきたいと思います。  私は、やはり余り大規模な施設をたとえブロックといいましてもつくりましても、最初にお話がありましたように年金受給者のための保養基地といいますと、それは遠方へ年寄りが出かけていくということもなかなか困難でございますし、むしろ数をふやしてでも小さいものをたくさんつくってあげた方がより有効ではないかという考えを持っておるわけでございまして、十一にこだわらないで全体的に考えていく。  ただ、いままでの土地購入のあれをどうするかということを考えますと、日本のわれわれが後代に伝えていく自然環境というものを考えた場合に、国で持っていくことは国民がみんな持っていることになるわけでございますから、必ずしももったいないという考えに立つ必要もないんじゃないか。この狭い日本の中で自然環境を残していくということも、一つの大きな目的でもございます。  ですから、土地を全部使って百万坪の大規模保養基地をつくるという必要もなかろう。むしろ、被保険者のためになるような面でどうしたらいいかということ、しかも年金のそれぞれの将来経営等について、負担がうんとかからないような仕組みをどうしたらいいか、十分あらゆる角度から御趣旨に沿うように私も検討してまいりますので、またそういうようなことが計画が立ちましたり方針が決まりましたら、御意見をぜひ求めたいと思っております。
  112. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わります。
  113. 楯兼次郎

    楯委員長 午後一時四十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ――――◇―――――     午後二時十八分開議
  114. 楯兼次郎

    楯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬場猪太郎君。
  115. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ちょうど去年の夏ですか、初夏ころに、有田でコレラ事件が起こりました。ついこの間また川崎で起こり、恐らく水際でとめてほとんどこういったことが起こらないだろうと予想しておったのに、一年間に二回もこういうコレラ事件が起こっているわけですが、一年たったわけですから、有田の方はある程度感染経路等々もお調べになったと思いますし、川崎の方も、発生源と思われている医院のところまでわかったわけですが、感染経路をおつかめになったのかどうかということについて、まずお尋ねいたしたいと思います。
  116. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 まず最初に、昨年の有田のコレラの汚染源でございますが、結論的に申しますと、専門家がずっと疫学調査で根元まで追っかけようということでいろいろ努力をいたしたわけでございますが、結局わからずじまいでございました。現在出ております結論は、有田につきましては、コレラの汚染地域から帰ってきた方が健康保菌者ということで帰国されて、その方の便から次々と感染が起こったのではないか、そういう結論が学者の間で出ておりまして、これ以上もはや追及することができないという状況になっております。  それから、今回の鶴見川の事件でございますが、これも先生先ほど御指摘になりました鷺沼の医療機関の浄化槽の中から出たということまできたわけでございます。現在まで調べておりますのは、その医療機関の従業員とその家族、それからそこの人工透析に来ておられる患者さんとその家族、それからそこの外来で通院してきた患者さんとその家族ということで検査をいたしております。  まず第一に、クリニック関係でございますが、ここの家族、従業員の方は、過去三年以内に外国へ行ったことがないということでございまして、現在までの検便結果は十四名の方マイナスでございます。  それから人工透析に来られる方、一月からでございますが、十四名、これにつきまして検便を実行しておりますが、この患者さん、家族の中には、外国へ行かれた方、それからまた下痢をしておられる方がございませんでした。それで現在五十三人の方について検便をいたしておりますが、四十二名まで検査結果が出ておりますが、これも全部マイナスでございます。  それからなお、通院患者、その家族、これは通院患者約七十名でございます。この方々の家族を含めますと二百二、三十人になろうかと思いますが、現在までのところこの七十人の患者の方は、渡航歴はことしの一月に一名外国に行かれた方がありますが、この方は検便結果がマイナス、当時も下痢をしたことがないということで、通院患者につきましても、先ほど申しました約二百数十名のうち九十八名の検便結果が出ておりますが、これは全部マイナスでございます。  ということで、現在、もちろん患者の訴え出もございませんので、これもやはりどうもはっきり感染経路がわからなくなるのではないかという確率の方が高いのではないかという予想をいたしております。
  117. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最近では衛生思想も行き届いたし、そして検疫体制も十分とられていると思うし、まさかそんなことと思っているのに、一年間に二回もこういうふうな問題が起こり、しかもいま局長がおっしゃったように、なかなか事実上感染経路がつかめない。今回の分も見通しとしては非常に危ないというふうにおっしゃっているのですが、これはもうなかなかそういうことの実態がつかめないものでしょうか。  といいますのは、いままで海外への渡航、もう三百十五万以上超えているわけですね。そしてまた、海外から来られる方も七十七、八万、八十万近いわけですから、四百万近い人たちがどんどん出入りをなさっているのですから、恐らく相当そういう危険な菌を持ち込むというような状態もあると思うのです。いまのままでは、結局発病するかもしくは今回の川崎のように指定地域になっておったために発見できたということであって、それ以外のところにはひょっとしてまだあるのかもわからないのですが、これに対しては何らかの対応策というのは考えられないものでしょうか。
  118. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 まず第一に、コレラについて申し上げますと、コレラは潜伏期が五日と考えられております。そういたしますと、現在東南アジア地区にコレラの汚染地区が多いわけでございますが、そこからおいでになられる方は、大体において皆さんぐあいが悪くないときに帰っておいでになるわけですから、潜伏期である方が非常に多いというふうに考えられるわけでございます。そういたしますと、どうしても、通常よく水際という話があるわけでございますが、現在みたいに航空機で出入りしている場合には、水際というのは私ども全く不可能であるというふうに考えております。  そうすると、どういうことが大事かと申しますと、結局その方が発病するような状態になったときに、いち早くこれを知るということが重要なことだと思っております。  そのため、現在検疫には、南回りの飛行機で来られた方につきましては、その飛行機から降りるときにカードを差し上げまして、どういう体の状態かということをそのカードにいろいろ御記入をいただくということをやっております。それから、そこでそのカードを検疫官が空港で見まして、そのカードの上で、少しこれは危いなと思われる方はそこで医師の診察をしていただくことになっております。そうして医師の診察を受けた方につきましては、さらに指示書といいますか、そういう紙を差し上げまして、こういうことが何日以内に起こることがありましたらすぐ保健所なりお医者さんに、実は私はこういうところに行きましたということを申し出てくださいという紙を差し上げます。それから、そうじゃなくて全く健康であるという方にもやはり健康カードというのを差し上げまして、これには、やはりぐあいが悪くなったらお医者さんに、いついつ私は外国から帰ってきましたということを添えて申し出てくださいということで書いてございます。  なお、そのコレラの問題でございますが、現在世界的にあるのはエルトール型でございますが、このエルトール型というのは非常に軽い症状でございます。そういたしますと、ちょっとした下痢ぐらいですと、現在のわが国のような医療体制のもとでございますと、お医者さんにかかって治療をいたしますと、ほとんどちょっとした下痢ぐらいで治ってしまう。いわゆる昔から考えられておりました非常に激症の下痢を起こすということはまずないわけでございます。そういう意味で、そうやって済んでしまっている方がある可能性はこれは十分にあろうかと思いますが、ただ一つ、今回の経験で非常によくわかったわけでございますが、コレラにつきましては下水道が完備しておればまず大丈夫。と申しますのは、コレラというのは、いわゆる便からしか人間の体に入りませんものですから、一つは、下水道が完備していることが非常によろしい。しかし、今回は必ずしも完備していないところから出ましても患者さんが次に伝染していないということから考えまして、上水、いわゆる飲み水の方がしっかりしておればやはり出ないのだなという一つの教訓を得たわけでございます。  いずれにしましても、私ども、そういった帰ってきた方が注意して届け出ていただく、何百万という方でございますので、それを徹底させるということが一番であろうかと思います。  なお、申しおくれましたが、そういった汚染地域から帰ってこられた方々のリストは飛行場でつくりまして、これを全部その方の住所の県に送ってございます。毎日毎日、きょうどこからこういう名前でこういう住所の方が帰ったと送っておりまして、問題が起きましたときには直ちに全国的に対応できるという処置はいたしております。
  119. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言われたように、健康カード等から発見されたというような例はございますか。未然に防げたというようなことはございますか。
  120. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 現在健康カードから出た例はございませんが、昨年やはり神戸で、いわゆる青年の何とかという、船を一そう借り切りまして東南アジアの方へ出かけていって帰ってきた方が、その場合はぐあいが悪い、少し下痢しているということで、検疫所の方で便をとりまして、そうしてその便を調べた結果コレラ菌がいたということがわかりまして、これは直ちに、先ほど申し上げました、その場合当然全部のリストがわかっておるわけでございますから、それを兵庫県の方で患者さんと、それから同時にそれに乗船した全員の方につきましてこの健康をチェックして、そしてそれだけで、この場合発病でございませんで保菌でございましたが、それでその持っておられた方につきましては伝染病院に入っていただき、そして残りの方も保健所が全部追跡いたしまして事なきを得たというケースが、昨年ございました。
  121. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 今回の川崎の場合は検疫指定地域にあったからたまたま検疫をなさったのでしょうけれども、それ以外の地域にもそういう可能性はやはりあるのでしょうね。
  122. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 先生指摘のように、横浜港という港の検疫区域内でまず発見されたわけでございますが、そういう意味から、ほかでもあり得るのではないかというお話でございますが、それは確率とすればあり得る可能性ゼロとは申し上げられないと思います。  ただ、実は海の水の中から発見しましたのは、私ども日本で検疫を始めまして今回が初めてのケースである、そういうことでございます。
  123. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 検疫指定地区というのは大体八十八地区ぐらいですか、そうして検疫指定地域になっていないけれども、そういうおそれがある地域というのはどれぐらいあるんですか。
  124. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 検疫地区と申しますのは、外国の船がわが国に入港いたしまして、そこで私ども検疫所もしくは支所、出張所がございまして、通常で申しますと船は検疫港でなければ入れないことになっておりますが、その検疫港に参りますと、その港の海面上でございますが検疫地域というのを決めてございます。まずそこに停泊していただきまして、そこで私ども検疫の船が出て停泊している船のところに上がりまして、そしてその船に乗っておられる方の状況を見るというのが原則になっております。ただいま申し上げましたそういった検疫区域というのがいわゆる検疫港の港には指定されておるわけでございます。  その検疫港の指定地域につきまして私どもは水質のそういった検査をやっておるわけでございまして、これはちょっといま数字をよく覚えておりませんが、検疫支所をまぜまして日本で九十五ヵ所の港にございますが、そこについてのみやっておりまして、当然のことでございますが、これは海から持ち込まれる伝染病につきましてその水を調べておるわけでございますから、このように今回たまたま鶴見川というものの出口が横浜の検疫区域であったということでございまして、そういうようなことを想定して海の水を調べているというのは、それ以外の地域ではやっておりません。
  125. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 先ほども申し上げましたように、年々外国への出入りというのは非常に多くなっているわけですが、検疫所関係の職員の皆さんを見ますと、特にお医者さんあたりがむしろ四十八年当時からだんだん減ってきておりますね。あるいは看護婦さんの数も減ってきておりますね。人がふえている、検疫対象がふえておるのに、医療技術者であるとかあるいはそれに付随する人たちが減ってきている、スタッフが減ってきているというような状態で、検疫というのは十分機能を果たせるんでしょうか。
  126. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 検疫関係で、たとえば東京空港で申し上げますと現在八十三名を配置しておるわけでございます。もちろん医師が大勢いることが望ましいわけでございますが、先生承知のように医師の方というのは確保することがなかなかむずかしいわけでございます。特にこういった検疫所につきましては御承知のようにお医者様、臨床がなかなかできないと得にくいということでございまして、実際定員として張りついている方は少なくなっておるわけでございますが、いわゆる非常勤という形で近所の病院等から応援をいただいているのが実情でございます。
  127. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もう一つは、今度は予想もされなかった浄化槽から出たということですね。浄化槽については、これはいま飲用もあるし、そしてまた個人の家庭の浄化槽もありますね。最近では個人の一軒一軒の浄化槽等も出ているのですが、そういう問題については全部掌握していらっしゃるでしょうか。公営のものであるとかそういうことでなしに、そういうものは全部掌握していらっしゃるでしょうか。
  128. 国川建二

    ○国川政府委員 私どもの所管しておりますと申しますのは、廃棄物処理法上のいわゆる屎尿浄化槽でございまして、ただいま先生おっしゃいました家庭用のものでございますけれども、この実態と申しますのはなかなか正確にきちっというわけにはいきませんけれども、私どもの掌握している範囲では、五十二年度末で全国で約二百五十一万五千基ほどございます。このうち五百人以下のいわゆる規模の小さいもの、これが大部分でございまして、この数が二百五十万五千ほどでございます。残りの約一万ぐらいが五百一人以上の大きな規模の屎尿浄化槽でございます。これは事務所とか寮とかそういうところの大型の屎尿浄化槽でございます。そういう全体把握しておるつもりでございますけれども、なお届けられてないというようなものもあるという状況承知しておりますので、できるだけその実態を把握いたすように努めているわけでございます。  なお、その維持管理状況等につきましても、廃棄物処理法で維持管理方法、やり方等が省令で定められております。それが確実に守られて管理されることが望ましいと申しますか、当然ではございますけれども、実態といたしましては、一般家庭では、みずからはなかなか困難であるというようなことで、そういう場合には市町村の許可を受けました屎尿浄化槽清掃業者というものが全国におられますので、それらの人に管理を委託する、そういうような形で管理をきちんとやっていただくように指導しているところでございます。
  129. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 数ははっきりつかめておらないけれども、無許可のものもあるようだと言われるのですが、推定どれぐらいあると思われますか。
  130. 国川建二

    ○国川政府委員 私どもの承知しておりますのが、先ほど申しましたように、二百五十万ということでございます。そのほかに無届けというようなものがどのくらいあるか、実はなかなか実数はまだ承知しておりません。
  131. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 届け出というのは、結局建築基準法上自家用の浄化槽をつけているということで届け出ていると思うのです。それ以外に、建築基準法上本来届け出なければならないけれども、近くにそういう公有水面等がなかったり、あるいは下水道がなかったり、あるいは市の下水設備がなかったりということで、届け出れば結局許可がおりないのですね。そうすると、くみ取り式ということで申請をして、実際は浄化槽を使っているというのが相当あるのですね。こういう数字をお調べになったことは全然ないんですか。  たとえば工業生産上どれくらいの生産をやっているか、これは八つか九つぐらいしかメーカーはないと思いますから、これは数字がすぐ出るのです。そして届け出があるのがいま言われた二百五十万だとすれば、その差額ですぐ出るんじゃないでしょうか。そういう調査というのはできないのでしょうか。
  132. 国川建二

    ○国川政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、メーカーと申しますか、生産量の方から推定することは一応できようかと思いますけれども、とれも大変マクロの数字になろうかと思いまして、地域的にも相当異なる。県等によりましてはそういうものの実態把握のために調査しているところもございますけれども、全国ベースであとどのくらいあるかというようなことは、ちょっとどうも私ども推定いたしかねております。
  133. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 たまたま浄化槽の中から今度のコレラ菌が出たということですから、いま問題になっておりませんけれども、そういう可能性はずいぶんあるわけです。特に新興地帯で公的な機関がやっているような下水道設備のないところは、やむを得ず個人的に持たなければならないということは非常に多いわけですから、私どもの周辺の過密地帯を見ますと、むしろ届け出ているよりか届け出てない方が多いという実態をよく目の当たり見ております。  ですから、こういう数字もひとつはっきりつかまえていただいて、ただコレラ菌が出るとか、ほかの菌が出るとかいう以外にも、あとの維持管理あるいは業者のちゃんとしたチェックというものがきちっとできているか、できてないかということは非常に大事なことだと思いますので、数字をひとつ把握すると同時に、維持管理についての指導もしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  134. 国川建二

    ○国川政府委員 屎尿浄化槽の問題はいろいろあるということは承知しておりますし、今回のコレラの問題は、これは廃棄物処理法上の屎尿浄化槽ではございませんでしたけれども、しかし一般論といたしましていろいろな水質汚濁の問題等もございますので、私どもといたしましては、この維持管理あるいは放流水がきちんと水質基準に合致するようなそういう管理体制を強化しなければならないというように考えております。御指摘のように、届け出られてないような浄化槽もあると思いますから、そういうものも含めまして何か検査制度と申しますか、管理制度、そういうようなものを考えなければいけないというつもりで、目下いろいろ検討しているところでございます。
  135. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もしそういう調査ができまして、数字なんかがわかりましたら、ひとつまた資料を出していただきたいと思います。一応この件についてはこれで終わりたいと思います。  次に、廃棄物の処理問題についてお伺いをいたしたいと思います。  六〇年代というのは、大体生産に伴う公害、硫黄酸化物だとか大気汚染を中心とする公害の年だと言われておりました。そして七〇年代の初めから公害防止関係の諸法令も進み、施設も進んでいったと思いますが、七〇年代の中間ごろは、今度は食品添加物だとかあるいは食器等々、中間の消費過程における公害の時代だと言われている。そして今度の八〇年代は、これからの公害というのは廃棄物時代だ、廃棄物による公害だ、第三の公害だ、こう言われておると思うのですが、そういったことが言われる背景の中には、各種物質の循環過程の中で特に廃棄物がわれわれの生活だとかあるいは人体とか環境等々に非常に影響を及ぼすことが多いというような状態が至るところに見られる。たとえば東京ごみ戦争という言葉で言われたり、不法投棄の問題がいろいろ新聞紙上をにぎわしたり、あるいは六価クロムの入ったような残土を捨てられたという問題等々も新聞紙上をにぎわしておるわけですが、このままでは家庭のごみや産業廃棄物のごみで埋まってしまうのではないかというような警告が発せられております。  それについて、当然ごみの原料の問題であるとか規制の問題であるとかあるいはリサイクルの問題等々いろいろ考えていらっしゃると思いますが、とりあえず応急的な措置として、ごみ対策として五十一年の暮れに閣議決定された第四次五ヵ年計画で、いま家庭ごみの五五%の焼却をさらに五十五年までに六八%へひとつふやしていくんだということで七千七百四十億の予算をお組みになっておるのですが、この四、五年の経過を見ておりますと、この計画がなかなかそうスムーズにいっておらない。たとえば五十年と五十一年の数字を見ますと五十六件残っておるし、五十一年と五十二年の中では八十七件、約三五%が残っておる。そういう実態について、どういうわけでそういうふうなことが起こり、そしてまた今後もそういう状態がまだまだふえていくのかということについて、ひとつ教えていただきたいと思います。
  136. 国川建二

    ○国川政府委員 五ヵ年計画の進捗状況かと存じますが、それに関連しまして、残っておるとおっしゃいましたのは予算的に繰越部分の御指摘のことかと思います。予算面等につきますと、五十三年度の予算、これまで含めまして現在の第四次五ヵ年計画は第三年次を迎えておるわけですが、五十三年度予算も含めまして事業量で言いますと、ごみの処理施設につきましては五七・五%という進捗率ということに相なるわけでございます。屎尿の方はもう少し進んでおりまして六七・八%ということに相なるわけでございます。また事業費で見てみますと全体で一兆一千三百億でございますが、五七%の執行、進捗状況ということに相なるわけでございまして、ほぼ順調な進捗だというふうに考えられるわけでございます。  いま先生の御指摘は繰越事業のことかと思いますが、これにつきましては御承知のようにごみ、屎尿処理施設、いずれもなかなか実際問題、工事に着手する前あるいは着手した直後あたりから、用地の問題等、地域住民の方との話がうまくいかないというようなことで工事が中止される、あるいは引き続きできないというようなことがございまして、そういうケースが大変目立っておるわけであります。そういうことを解消する必要が当然あるわけでございまして、私どもがその個々の事情を調べますといろいろなケースがございますので、そういったものを教訓といたしまして、可能な限り地域住民の方の理解と協力を得るような、そういう市町村の執行体制と申しますか、たとえば計画をきちんと公開して、よく的確な説明をして差し上げるというようなことも必要ではないかということで、私ども担当者会議等で常々そういうことについて注意を喚起し、あるいは指導をいたしているところでございまして、まあ繰越事業分の問題は確かにございますが、全体としては五ヵ年計画予定どおり進んでいるということが言えようかと思います。
  137. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 あれですか、ごみで五七・五%くらい、屎尿の方で六七・八%くらいで、それでこれは非常に順調にスムーズにいっているという経過になるのですか。パーセンテージで言えば、ごみの場合半分と少ししか進んでいませんね。そしてまた繰越件数もだんだん多くなっていますね。それでやはり順調にいっているのですか。
  138. 国川建二

    ○国川政府委員 第三年次でございますので、完全に数字的に申しますと率も若干下がっているかと思いますけれども、毎年度、予算面で裏づけされております事業量そのものはほぼ順調に予算化されてきているというような意味で、申し上げたわけでございます。
  139. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 しかし、今後は特にごみ処理施設にしろ屎尿処理施設にしても、人口がだんだんふえていくような地域に寄るわけですから、そういったところは立地条件の問題であるとか、あるいはまた今後は周辺の環境の問題であるとか等々ますますむずかしくなっていくんじゃないでしょうか。厚生省で考えていらっしゃるように幾ら指導なさっても簡単に話のつかないような問題が多いと思うのですが、見通しとしては今後むずかしくなっていくのではないですか。
  140. 国川建二

    ○国川政府委員 御指摘のように決してなまやさしい道ではないと思っております。残されたいろいろな立地条件等はだんだん狭まってくるという感じでございますから、従来より以上にいい施設をきちっとした体制で建設するような方針といいますか、あらかじめ前広にいま取り組んでいく必要がある、決してやさしい道だとは思っておりません。
  141. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 やさしい道だとは思っておらない――むずかしいだろうとは思うけれども、しかし厚生省としては市町村なり府県なりを督励するというだけで、そんなにうまくいくでしょうか。
  142. 国川建二

    ○国川政府委員 現在この施設建設に関する制度がございます。どのような問題が残されて、これが財政的にあるいは技術的にいろいろな面で打開しなければならない問題も今後出てこようかと思いますが、そういう面については、当然でございますけれども積極的にそういうものの解決に取り組んでいきたい。五ヵ年計画そのものが、第三次五ヵ年計画、まあ前回でございますが、それでは大体一〇〇%近い事業を完成いたしております。特に屎尿につきましては計画以上の事業の執行をいたしたわけでございます。そういうことから考えまして、私どもといたしましては計画は予定どおりきちんと仕上げたいというように思っております。
  143. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 なぜこんなことを申し上げるかと言いますと、やはり厚生省としては、あくまでごみ問題というのは自治体の問題だ、市町村の固有事務だという感覚はいまだに持っていらっしゃるわけでしょう。ですから、つい最後は市町村の責任だというところがどこかにあって、たとえばごみ処理場を一つつくるために、その反対をある程度理解していただくためには、その周辺に公園を持ってこいという地元の要求がくる、そうした関連設備に対しても市町村としては投資しなければならぬというような問題がたびたびありますね。最近は屎尿処理場とかあるいはごみ処理場だけではなしに下水処理場もそうなんです。地域の住民にとってみれば余り歓迎すべき施設でないものについてはそういう要望が非常にたくさん来ておりますね。最近では府県営の住宅ですら、都市計画のサイドから見ればあるいはまた住宅政策の上から言えば喜ばれるべき府県営の住宅でも、付帯関連設備等々に対する要望がある、そのためになかなか進まないというときがあるのですが、あくまで厚生省はこれはもう市町村の固有事務だということで、そういう点で目をつぶっていらっしゃるという状態であれば、市町村が超過負担をますます多くするとか、あるいはなけなしの自己財源をはたくというような形で苦心しなければならぬわけですが、それに対して何らかの形で援助を強めようというような考え方をお持ちであるかないか、その点をお伺いしたいわけなんです。
  144. 国川建二

    ○国川政府委員 ただいま先生おっしゃいました周辺整備事業と申しますか、一口で申しますとそういうことでございますが、なかなかそれぞれ地域の問題になりますと住民の方々の要望等もいろいろ幅の広い内容のものもあるわけでございます。私どもといたしましては、これは補助事業でございますので当然でございますけれども、補助対象範囲を可能な限り拡大するということを今日までやってきているわけでございます。  たとえば、環境対策という意味もございますが、排水処理施設だとかあるいは排ガス処理施設が必要になってくるということになりますと、こういうものもここ一、二年の間で次々と補助対象にしてきておるわけです。また、今年度からではございますけれども、施設の門、さく、へい、そういうものも最小限必要なものであるという認識で、補助対象範囲に広げていくという努力を重ねてきておるわけでありまして、そういう方向は当然今後も堅持していきたいと考えております。  ただ、公園とかあるいは他のいろいろ道路とか、直接的な施設との関連が比較的薄いというような事業も要望として含まれる場合もございます。そういう点につきましては、当然でございますけれどもほかの制度の関連もございますので、私どもも十分注意しながら、市町村の計画策定時におきましてそういう整合性のあるような事業の執行ができるように可能な限り指導していきたい、そういうつもりでおります。
  145. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もちろん、直接廃棄物処理に関しないような問題にまでストレートに助成を強めようということはむずかしいかもわかりません。ただしかし、実際に、ではごみ焼却場を一つつくるには最近は三十億くらい要るというのは普通常識ですね。これが一応四分の一補助ということであり、そして地域の特殊な事由によっては二分の一ということになって、大都市周辺はほとんど二分の一支給されていると思いますが、実態はどうなっているのでしょう。三十億に対して、実態は一基についてどのくらいの補助率になっておりますか。
  146. 国川建二

    ○国川政府委員 御承知のようにごみの焼却処理施設につきましては単価方式ということになっておりまして、日量一トン当たり幾らというのが補助の計算単価になっております。  私どもかねてから、この単価が実勢に合わなかったということが過去においてございまして、特に五十年度から五十一年度、それからなお五十二年度、五十三年度にかけまして非常に大幅な単価の引き上げを実は行ってまいっておりまして、五十年度の時点で実感として実勢単価にほぼ来ているというように認識しております。  もちろん、その平均単価よりも高いものもございます。特に大都市等で、りっぱな施設で高いケースもございますけれども、安いものもございますので、その平均単価どおり執行するわけではなくて、そこにある一定の幅を持たせまして補助対象事業にするという形でカバーしているわけでございます。そのカバーの範囲を超えてさらに高くなるというようなケースはほとんどないのではないかというふうに、実感として思っております。  これは、一面にはどこまで高度な処理施設を設置するかという問題もございます。法律も当然ございますが、府県条例等で必要最小限と目された施設以上にさらに高度な施設等が設置されます場合には、補助事業としてはなかなかそこまではちょっとカバーできないといううらみがございますけれども、実態としてはきわめて少ないのではないかと思っています。
  147. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 具体的な例として、たとえば大都市周辺、私どものように寝屋川とか門真、ああいう地域でいま言いましたように三十億くらい、これは用地代も皆含めてですけれども、もちろんいまのところは用地代に対しては何らの手当てもしていただけないわけですから、補助金的なものはないわけです。市町村にすれば土地を含めてそれだけのものが要るわけですから、そういうものに対して、実際自治体は三十億に対してどれくらいの額になっておりますか、実例でひとつお教えをいただきたいと思います。
  148. 国川建二

    ○国川政府委員 御質問の意味が私もちょっとわかりかねますが、一日に三百トン焼却するという処理施設でこれが三十億かかるのだということになりますと、たとえば公害防止地域でございましたら、二分の一実額として補助金がいくような仕組みになっております。
  149. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると三十億に対して十五億実額があるということですか。実際そういうふうになっておりますか。じゃどこそこのでどれくらいになっておるかということをひとつ。
  150. 国川建二

    ○国川政府委員 先ほども私申し上げましたけれども、四、五年前まではこの補助単価が非常に低かったために、三百トン三十億ということでなくて、平均単価を超える部分は全体の予算の関係で補助できなかったという事実がございまして、そこで私がいま申し上げましたのは、たとえば五十二年度あるいは五十二年度に三百トンの三十億ということでございましたならば、現在は財政措置といたしましてその二分の一、実額が補助できる。過去におきましてどうであったかと申し上げれば、過去においてはそこまでいっていないケースがあったかと思います。たとえば茨木市の例で申し上げますが、日量四百五十トンの焼却処理施設で五十三億建設費がかかった。これに対しては二分の一額がいっております。
  151. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 市町村にとりましては焼却場問題というのは非常に重要な問題ですし、地域の実情に合わせてできるだけ御援助をいただきたいということを、今後ともお願い申し上げたいと思います。  それでもう一つ。そこでごみ焼却場で焼いて今度二次処理の問題ですね。残った燃えかす、完全に焼ければせいぜい三-五%と言われておりますけれども、実態としては平均二〇%ぐらい二次処理をしなければならないようなところがたくさんあると思うのです。そして東京都あたりも聞いてみますと、あと二、三年しか捨て場がないというふうに言われておりますが、もうすでに四、五年前から捨て場が全くないところがたくさんあります。特に私どものような狭い面積の門真であるとか、守口であるとか大東というようなところはほとんどないわけですね。そういうところはやむを得ず業者に委託してどこかへ捨ててもらっておるわけです。これについてもし具体的に、本当に法律どおりきちっと委託業者が決められたとおりのことをやっておるかどうか、そこまで点検しますと、恐らく法律どおり守られてない点がたくさんあると思うのです。  そういう捨て場をいまもし法律どおりにやれと言われたら私たちどうしていったらいいでしょうかという質問を、皆さんに御相談に来た場合に、どういうふうな御指導がいただけるでしょうか。
  152. 国川建二

    ○国川政府委員 いわゆる最終処分場の確保の問題だと思いますが、御指摘のように、特に大都市圏の周辺の衛星都市と申しますか、市街化が大変進んでおる都市におきましては、内陸部での最終処分地の確保というのは大変むずかしい問題であることは承知いたしております。一般的に申し上げますならば、この最終処分地の確保というのはすぐれて地域性がありますので、一概にはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、私どもといたしましては、個々の市町村で対応できないそういう最終処分地の確保のようなものは、可能な限り共同でと申しますか、あるいは広域的にこれを共通の問題として取り上げて対策を講ずる必要があるのではないか、そうしなければ打開できないと思っておるわけでございます。  当面、きょうの問題としてさあどうするかということになりますと、解決のむずかしい問題でございまして、都道府県の段階で何とかその方法はないものか。最終処分地の確保対策あるいはその確保のための手法とかいうようないろいろなことを私どもも検討はいたしておりますけれども、そういうこそくと申しますか、きょうあすの問題ではなかなかむずかしいということで、私どもといたしましては、大都市圏では相当大規模に広域的な最終処分場の確保を目指した計画をつくり、それを遂行していかなければいけないんじゃないかと思っているわけでございます。  最終処分地の場所としましては、もちろん従来の内陸部でのことも考えなければいけませんけれども、場合によりましては海面ということも当然含めまして、大都市圏等で数府県にまたがるような形の処分地確保対策というものを進めていきたい、そういうように思っておるわけでございます。
  153. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 抽象論でなしに、具体的にいま捨て場がないんです、困っていると言われたときにどうなさいますか。というのは、吹田の問題も御存じでしょう。五年前から用地を買収して、相手が京都府下であるために話がつかずに、いまだに毎月五十四万の利息を払っておるんだということで困っておる例がありますね。これは吹田市が公社をこしらえてやったから直接表ざたになりました。そしていまだに困っているわけですね。ほかの市では、大阪では三十一市ありますけれども、三分の二ぐらいの市がそうじゃないでしょうか。皆業者に委託して、業者がこっそりどこかへほうっておる、はっきり申し上げて奈良県であるとか滋賀県であるとか京都府へほうっておるわけですね。これは四年も五年も前からやっているのですよ。それでここの市長あるいは町村長から厚生省に対しても、広域的にやろうと思えば早く何とかしなければならないんだ、国の力をおかしいただきたいと四、五年前からやっておるわけです。  ところが、いままでの厚生省の姿勢は、ごみというのは市町村の固有事務なんだから地域であるいは府県と相談してやりなさいということですが、奈良県なり滋賀県、京都府というのはすでに府県の枠を越えているのですよ。それに対して五年間何にも御指導もいただけなかったし御援助もいただけなかった。だから、やむを得ず処理業者に頼んでこっそりとほうっておるというのが実情じゃないでしょうか。いま初めて起こったことじゃないのです。この四、五年間それに対して指導性も何も全く発揮していただけなかった結果がここに来ているんじゃないでしょうか。もし奈良県なりあるいは京都府の地域の住民が何かのきっかけでこれの告発でもあれば、そこはまたほうれなくなりますね。  去年の秋だったと思いますが、東京の三多摩地域の三市が長野県までほうりにいって、車が向こうまで着いたけれども、話がつかなくて帰ってきたということもお耳に入っていると思います。その点について四、五年間全く何もなされてなかったんじゃないですか。  当時は厚生大臣でございませんでしたけれども、大臣その点どうでしょう。
  154. 小沢辰男

    小沢国務大臣 廃棄物の処理場の確保それから産廃の処理場の確保、これについては本当にほとほと頭を悩ましておるわけでございます。おっしゃるとおりだと思うのです。国に持ち込まれても、さて一体国がどうするかといいますと、できるだけ公害防止事業団等の融資をやるとかあるいは国がいろいろあっせんをしてやろうとかいう程度でございます。  ところが、現実には各府県ともそういうことについてほかの町村まで手が回らぬという実態でございますし、おっしゃるように本当にほとほと手をやいておるというのがいままでの実情でございます。  したがって、今度はとにかく国が相当大がかりな調査費を計上いたしまして、とりあえず首都圏、近畿圏についてこの問題の解決のために乗り出したわけでございますが、従来のことを言われますとおっしゃるとおりだと思います。これからはいよいよ国が乗り出してやらなければいかぬということで、大蔵省にも踏み切ってもらいましたし、テストケースとして首都圏、近畿圏でやってみますが、これはこの両地域だけじゃないと思いますので、これから真剣に本腰を入れて解決に努力をしなければいけない問題だと思っております。
  155. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 過去のことを申し上げても仕方ありませんけれども、しかし、四、五年前からいま大臣のおっしゃったような、いわゆるフェニックス計画と新聞に載っておりましたが、こういうものを少しでも取り上げていただいていたら、あるいは来年、再来年からそういう捨て場が確保できたんじゃないかと思うのですが、やっと五十三年度から一億円の調査費を計上されておるわけですね。運輸省との共管でおやりになるようですが、いまおわかりになる範囲でそのフェニックス計画の構想についてお教えをいただきたいと思います。
  156. 国川建二

    ○国川政府委員 通称フェニックス計画と私ども申しているのでございますが、いわゆる広域的に最終処分場を確保するという構想のものでございまして、ただいま大臣からも申し上げましたように本年度そのための調査費を計上し、具体的な内容を固めたいと思っておるわけでございますので、アウトラインでございますけれども、首都圏と近畿圏、両方の地域を対象とし、地域といたしましては一応海面を考えております。海面の埋め立てによりまして最終処分場のスペースを用意したい。その規模とか位置とか、それからどういうような形で計画を進めるかは今年度の予算で進めていくわけでございます。  大変重要な問題といたしましては、私どもこういう構想を進めるに当たりましてはこの計画に参加します地方公共団体の方々の意思というか考え方、そういうものがポイントであろうと思います。関係地方公共団体の合意ができるかどうか。若干利害関係も出てくるかと思いますから、そこらの合意形成の問題が一つ。  それから処分場の位置とか規模等は地方公共団体の将来の廃棄物に対する見通し、計画、そういったものとのうらはらの関係になります。  それから廃棄物の輸送の問題あるいは環境保全の問題、そういう問題がございます。  どういう形で進めたらいいのかということも含めまして、全体の構想を今年度の調査で内容を固めたいというように思っております。
  157. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 調査費を組まれて、ある程度市町村のメンバーあるいは都道府県のメンバーも入れてこれから練っていかれるのでしょうから、それに入っていただくか、入っていただかないか、どのくらいの負担がかかるかということもあるでしょうから、アウトラインになるような予算の規模とか大きさとか、それからいつごろから始まってというようなことはある程度わかっているのじゃないですか。新聞にはある程度のことは出ておりますけれども、新聞以上出なければ出ないで結構ですから、わかる範囲でお教えいただきたい。
  158. 国川建二

    ○国川政府委員 一応の素案でございますけれども、昭和六十五年までに発生する廃棄物の量、もちろんこの全部ではございませんけれども、おおむねその八割程度をカバーするに必要なスペースと申しますか、埋め立て処分場が必要ではないかという考え方でございます。そういたしますと、これはいろいろ前提がございますが、そういう規模等も前提にいたしまして、単純に申しますと、首都圏域ではボリュームとして大体二億六千万立方メートル程度、近畿圏では一億七千万立方メートル程度のボリュームが必要ではないかという考えでございます。先ほど申しましたようにこの地域の関係地方公共団体がこれに参加するのかどうかということも今後の詰めでございますので、もちろんいま申し上げました数字は変わるかと思いますけれども、一応の試算ではこんなことを考えております。(馬場(猪)委員「いつごろから」と呼ぶ)  これは、実は五十三年度におきまして調査に着手いたします。これが単年度で終わるかどうか。それから、五十四年度の予算と申しますのはこの夏の話でございますので、現在のところまだもちろん確定しているわけではございませんけれども、工事ということになりますと、常識的には五十五年か五十六年度から着手ということになるのじゃないかという気がいたしますけれども、今後関係省とも十分協議いたしたいと思っております。
  159. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 本来から言えば厚生省が、私先ほども申しましたように、四、五年前から出発していなければいかぬのですよ。いまお聞きしたら、まだまだ本当にたたき台とも言えないような程度なんですが、今度運輸省と一緒におやりになるのでしょう。そして、運輸省の方はまた違った立場かもわかりませんけれども、五十一年から調査をなさっているわけですね。ですから、運輸省の方でいままで調査をなさった範囲で、一緒におやりになるのだから、二年先に出発していらっしゃるのだから、今度のこのフェニックス計画の中にどういうふうに生かされてくるのかということ、過去の経験から運輸省の方でどういう程度のことまで調査ができるかということについて、ひとつお教えをいただきたいと思います。
  160. 須田ひろし

    ○須田説明員 それでは、運輸省の方で調査してまいりましたことについて申し上げる前に、運輸省がいままでどういう立場でやってきたかということをちょっとお話し申し上げたいと思います。  廃棄物の埋め立て護岸いわゆる海面の埋め立て護岸につきましては、港湾環境整備の一環といたしまして昭和四十八年に行われました港湾法の一部改正によりまして港湾法上設けられた制度でございます。これは近年高まっております港湾内における廃棄物の埋め立て処分地確保の要請にこたえまして、また港湾内の船舶の航行の安全確保あるいは荷役活動の円滑化等、秩序立った港湾整備と適正な港湾の運営というものを図るといった観点から、港湾施設として海面の廃棄物埋め立て護岸を定義したものでございます。  このような廃棄物埋め立て護岸を、港湾整備事業の一環といたしまして現在補助事業として実施しております。たとえば先生の御出身地の近畿圏では、大阪港あるいは尼崎、西宮、芦屋港で実施してきております。  しかしながら、特に首都圏あるいは近畿圏等の大都市圏におきましては、廃棄物の発生量の増大に伴いまして海面におきます埋め立て処分地確保の要請が非常に強くなってきております反面、これらの都市圏の機能確保という観点から各種の海面利用というものが競合しておりますため、今後海面におきます埋め立て処分地の適地を見出すことが必ずしも容易でないという状態でございます。  このため、これらの地域におきまして、長期的かつ広域的観点に立ちまして関係者が共同で利用し得る海面埋め立て処分地を整備していく必要がありまして、運輸省港湾局としましては、五十一年度から、広域廃棄物埋め立て護岸整備のための基礎資料を得るために、海面埋め立て処分量、それから廃棄物の輸送あるいは埋め立て適地選定などの基礎調査を実施してきております。昭和五十一年度は一千三百万円、五十二年度は五千五百万円というお金でやってきておるわけでございます。五十三年度におきましては、これらに引き続きまして、この構想をさらに具体化するために、運輸省と厚生省と共同してそれぞれ五千万円ずつ調査費がついているわけでございますが、私どもといたしましても、海面埋め立ての処分量、どのぐらいの量になるかということ、あるいは廃棄物の輸送をどうするのかということ、あるいは埋め立て適地の選定、さらには事業方式をどういうふうにしたらいいか、あるいはその処分場の建設というものが周辺の環境に及ぼす影響あるいは地域に及ぼす影響、これらにつきまして厚生省初め関係各省庁ともお打ち合わせをしながら、あるいは関係の港湾管理者とも調整を図りつつ、調査を実施していく予定にしております。
  161. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最初の目的、趣旨というものは違うにしろ、本来から言えば、厚生省がこういうことを先に説明していただくような立場でなきゃいけないのじゃないでしょうか。運輸省の方がほかの港湾の関係で出発はいたしましたけれども、厚生省はその間じっと、市町村からたくさん要望があったにもかかわらずなかなか踏み込んでいただかなかった。あくまでこれは市町村の事務だということで、国が直接矢面に立って積極的に超広域的にやろうという姿勢を示していただかなかったので、こうなったわけでしょう。  そうしたら、はからずもいま運輸省の言われた立地の問題も、これは大変だと言われているのですね。近畿圏及び東京・関東圏、首都圏、全部入れますと、結局は大阪湾あるいは東京湾ということでしょう。これは簡単に立地条件だけでも整うでしょうか。先ほど部長の言われたように、できたら五十四年度ぐらいから着工したいし、五十六年ぐらいには何とかめどをつけられたいというようなニュアンスのことと聞いておったのですが、そういうことは実際にできるでしょうか。
  162. 小沢辰男

    小沢国務大臣 確かに御指摘のように、厚生省がごみの最終責任者、監督者、指導者でございますから、前からやるべきであったというお話、ごもっともだと思いますが、これは現在でも私は考え方は変わっていないのですが、やはりごみの処理というものは、これはもうほかのいろいろな事業と比べてみて、まさにまさに市町村の固有事務なんですね。ただわれわれ、いままで地方官庁と中央との関係というのは、それに対して技術的な指導なりあるいは財政的な援助なり、こういうことでよかりたわけでございますし、広域的に処理をしなきゃいかぬときには、これはやはり都道府県知事というものがおるわけですから、今日までそういうことできたことは現実問題としてこれはやむを得なかったのじゃないかと思うのです。  といいますのは、運輸省の方は港湾の関係から、いろいろ地方で埋め立ての要望が出てまいりますと、港湾管理者としてこれにどうこたえるかという問題がありますし、海面埋め立ての主管官庁は運輸省でございますから、したがって、相当進んでこられたことは事実だろうと思うのですが、これからの問題は、私の方の計画というのは、運輸省と一緒になって何とか海面の適地をまず確保し、それから関係市町村と協議会を持ちまして、どの程度参加していただけるか、それから必要な量の推定をやって、そして事業計画全体としては約七千億から八千億考えておるわけでございますが、その前に環境アセスメントを十分やりませんと、近ごろはなかなかそう簡単にはいきませんので、これにある程度時間を要すると思いますので、本当にうまくまとまって、そして適地が見つかって、そしてアセスメントが十分関係住民の御協力を得ても、実施開始はやはり二年先になるだろうと思います。  海上だけに頼っていることができるかといいますと、これはもう本当にいろいろな問題等がございますから、陸地の方もあわせて全体として検討していかなければいかぬとは思いますが、陸上はこの過密な日本列島というものは本当に適地が少ないわけでございますので、やはり何としても海面埋め立てを中心にして考えざるを得ないわけでございまして、御指摘のように、従来の欠陥をいろいろ言われますとそのとおりだと思います。これからどうしてもやっていかなければいかぬ問題ですから、関係住民の御協力も得、各市町村の御協力も得て、みんなの力を合わせて、これはもう日本列島ごみの山になっちゃ大変でございますから何とかしなければいかぬということで、せっかく御意見も承り、また御指導もいただいてやってまいりますから、よろしくひとつお願いをしたいと思います。
  163. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大臣、それは確かに従来の意味でのごみの処理は市町村の固有事務であり、あるいは府県のやるべきことかもわかりません。しかし、最近のように粗大ごみがふえてきたり産業廃棄物がふえてきたり、ごみの質もずいぶん変わってきていますよね。特に重金属等々毒性のあるようなものも含めて、一府県、一市町村だけではどうにもならないことが多くなってきているわけでしょう。だから、いつでも私は姿勢として言っているのです。市町村固有の事務だというような考え方で閉じ込もっておったからおくれてきたんじゃないんですか。だから、姿勢としては、もっと超広域的にやるという意味では、これはやはり厚生省が中心にならなければしょうがないわけですよ。  行政改革によって、ごみ処理が別の環境庁に行くんならそれは別ですよ。しかし、いまのところ厚生省が中心になってやっていただかなければならぬわけですから、どうも先ほどからお話聞いておりましても一つも姿勢としてそういうものがあらわれておらないから、これじゃやはり進みにくいんじゃないか、こういうふうに申し上げておるわけなんですね。  それからまた、幾らそういう施設をつくったり焼却炉をふやしたりやったところで、解決のつかない問題でしょう。人口もふえますし、そしてまた、世の中が発達するに従って廃棄物の数もふえていくわけですね。このままいったんじゃどちらが先にいくかわかりませんけれども、ごみに埋まってしまうことの方が先じゃないかと思う。  それじゃひとつ、厚生省厚生省としての考え方でごみを減らす方向については何かお考えになっておるのかどうか、その点いわゆるリサイクルの問題も含めていろいろの問題も含めて、厚生省としてのごみを減らす方向についての考え方をお示しいただきたいと思うのです。
  164. 小沢辰男

    小沢国務大臣 当然私どもは、最終処分地の確保については国として積極的に乗り出すという姿勢を固めたわけでございますから、それはそれとして進みまして、一方において減量運動を展開をしていかなければならない。私はよく言うのですが、一人一つのちり紙でもあるいは普通の紙でもいいのですが、これをあれしますと一億一千二百万枚のごみが減量することになります。これは一ヵ月たてばそれこそ三十三億六千万枚のごみがなくなるということでございますので、国民にもこういうことを理解願って減量運動を大いに進めていかなきゃいけませんし、同時に食物にしてもその他のものにしても、完全消化を進めていくだけの指導もしていかなければなりません。これもわが省の関係でございます。  それから、資源リサイクルの問題を、これは技術的にもやはり検討していかなければいけませんし、あらゆる方面からごみ戦争に立ち向かっていきたいと思って、従来のことはとにかく御批判は甘んじて受けますが、これから一生懸命にやってまいりますので、できるだけ応援を得まして、予算確保等についても努力をしていきたいと思います。
  165. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大臣もああいうふうに、ひとつ積極的に今後は取り組むんだと言っていらっしゃるのですが、それじゃ何か減量についての厚生省としての方針とか考え方とか、あるいはまた具体的な何かありましたら、ひとつ教えていただきたいのです。
  166. 国川建二

    ○国川政府委員 ただいまのごみの減量運動でございますけれども、具体的に私どもといたしましては、五十二年度におきまして地方自治体でそういう有効利用のため、減量のためにどういうことが行われているかという実態調査を行いました。また五十三年度におきましては、ごみの分別の収集あるいは集団回収、そういういろいろな収集のやり方があるわけでございますが、そういうものについてのケーススタディーを行うことにいたしております。  また、市町村がそういう有効利用、減量化を含めまして行う場合のそういう指針をつくりたいという予算措置を講じておるわけでございまして、あわせてたとえば不用品の交換会、そういうようなものも行えるようなモデル地区を選定する。そしていま申しました有効利用の啓蒙、普及を進めるというようなことを予算措置されましたので、五十三年度それを精力的に進めていきたいと思っております。
  167. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 焼却炉もどんどんふやさなきゃならぬだろうし、あるいはそういういま言われたモデル地区を設定して減量もやらなければいかぬ。そういうことをやっていこうと思ったら、全体の数字なんか、もちろんお打ちになっているでしょうね。たとえば全国的な廃棄物の量ですね、市町村別の量あるいは種類――産業廃棄物なのか家庭廃棄物なのか、あるいはまた再利用できるのかできないのか、燃やせるのか燃やせないのか、そういった種類、そういったものについての数量的なものは全部掌握していらっしゃいますか。
  168. 国川建二

    ○国川政府委員 一般廃棄物につきましては、現状及び将来とも含めまして計画として持っているわけでございます。さらに産業廃棄物関係に関しましては、これは内容も大変複雑多様にわたるわけでございまして、特に五十年度から引き続き五十一年度、有害産業廃棄物に関する実態把握に努めているところでございまして、かなりのアウトラインといいますか、かなりの内容までつかんでおります。また、その有害産業廃棄物の処理状況とか処分状況というものも掌握しております。その他の産業廃棄物、これは量も大変多く、一応の全体の量、種類別の量などはわかっておりますけれども、さらに詳しい実態をつかみたいということで、引き続き五十三年度行うということにいたしております。
  169. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 一般廃棄物はわかっておるけれども、ほかのものはさらに詳しくということは、いま数字として使えるような数字じゃないということなんですか。
  170. 国川建二

    ○国川政府委員 そういうわけではございませんで、産業廃棄物の全体の排出量、それから種類別の排出量等もつかんでおります。ただ、量自体も大変膨大なものでございまして、内容的にその精度の面につきましては、各県によって調査年度がちょっと違っていたりすることがございますから、そういう意味では完全なものではございませんけれども、全体の内容は掌握しているつもりでございます。
  171. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 内容掌握していらっしゃるんだったら、別にこんなもの秘密でも何でもないんですから、資料要求したら全国的なレベルの量、府県別、市町村別のやつはすぐわかるわけですから、いただきたいんですよ。なかなかそれがないということだったんですね、お知らせいただけないんですよね。  ですから、あるんだったら、また時日を経てもいいですから、そういうものの総量、廃棄物の量とか種類とか、これも一般廃棄物、産業廃棄物、それから鉱津等、そういった重金属等含んだもの、そういったものの種類も全部ひとつお知らせいただきたいと思いますし、そしてまたそれを処理できる市町村、府県の状態がどの程度まであり、そしてどの程度の耐用年数で、あと何年でまた更新しなければならぬかというようなこともわかっておらなければ計画が立たないわけでしょうから、そういう数字もいただきたいと思います。  それから、いま現在での埋立地、最終処理地は、どれぐらい確保できて、どれぐらい足りないのか、そして今後何年間にどれぐらい必要なのか、そういった数字もひとつお教えをいただきたいと思います。  それからさらに、通産省との間で省資源対策としていろいろやっていらっしゃると思いますから、そのいろいろ御協議なさっているような内容、アセスメント等も含めてお教えをいただきたいと思います。  時間が参りましたので一応その資料要求だけいたしまして、この程度で終わりたいと思いますが、最後にひとつ大臣からも、ぜひいままでの姿勢じゃなしに、厚生省としても広域的にごみ対策について取り組むんだということについての決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  172. 小沢辰男

    小沢国務大臣 資料は、あるものは何でも提出をいたします。先ほど言いましたように恐らく持っていると思います。  それから、これからはもちろん、先ほど来申し上げておりますように真剣にごみ戦争に取り組んでまいります。
  173. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  174. 楯兼次郎

    楯委員長 春田重昭君。
  175. 春田重昭

    ○春田委員 きょうは厚生省に三点につきまして御質問したいと思います。  一つは薬務行政について伺います。二番目ははり、きゅう師の問題でございます。三番目が、いま質問がありましたごみの問題でございます。よろしくお願いいたします。  そこで、その前に、先月起こったコレラの問題でございますが、いま患者ないし保菌者がおるかどうか、確認は鋭意進められていると思いますが、現時点で保菌者といいますか患者といいますか、そういう方はおられるのですか、全然発見されなかったのですか。
  176. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 現時点では患者、保菌者、いわゆる人間については全然発見されておりません。
  177. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、今回の事件に際しまして、三月二十二日、厚生省が鶴見川から菌を検出したわけです。四月十五日に特定の病院が挙がってまいりましたけれども、そこまでかなり日数がかかっているわけでございます。そこで四月十一日、地元川崎市においてはこれ以上待てないということで上流である有馬川の方に消毒、塩素を大量に投薬したわけですね。この影響は下流の方には来ていませんか。
  178. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 ただいま先生おっしゃいました、最初に川崎市が消毒をいたしましたが、これはわりに量が少のうございまして、有馬川で大体消毒ができるだろうという量でございました。その後の消毒を申し上げますと、十三日の日に海の、生麦の運河のところの消毒をいたしております。それから十四日の日に川崎が九ヵ所、横浜が三ヵ所、それから十五日の日に同じように川崎、横浜で塩素を中心に消毒をいたしたわけでございます。これが上の方から下の方へ流れてまいりますのと、一つはあそこに下水道の処理場がございますので、その下水道処理場におきまして能力いっぱいに塩素を使って流すということで、その塩素の効果もあろうかと思います。いずれにいたしましても十五日まで川崎、横浜両市が川の消毒をいたしました。さらに十七、十八日の二日間川崎だけで上流の方でいたしております。  この結果菌が死んだかどうかということにつきまして、現在水を、と申しますのは、流してしまってすぐでございますと菌が死んでおるわけでございますから、まだ残っているかというのを確かめるために現在水を取りまして、その中に菌が残っているかどうかということを調べております。  なお、この医院の浄化槽につきましては、その浄化槽の中にございますものを全部バキュームで吸い取りまして、そしてその吸い取ったものにつきましては全部消毒、焼却いたしました。それから当然その後におきまして、その浄化槽の中を全部完全に消毒いたしておりますので、この浄化槽からもう出る可能性はないと思います。  以上でございます。
  179. 春田重昭

    ○春田委員 今回の事件は、三月二十二日検出して四月十五日わかるまで約三週間以上かかっているわけですよ。従来の伝染病の汚染ルートからすれば非常に時間的にかかっております。そういう面においてはこういう問題は迅速に調査して、その菌を発見しなかったらいけないと思うのです。そういう面では一生懸命厚生省等もやっているし、地元でもやっていると思いますが、そういう体制を組んでいただきたい。このことを要望して、この問題を終わります。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕  薬務行政についてはさまざまな議論があるわけでございますが、若干厚生省の見解をこれからお尋ねしてまいりたいと思います。  わが国は世界でも有数の薬消費国と言われているわけでございます。特にビタミン剤等においては毎日テレビのコマーシャルで出てくるくらい非常に多いわけでございまして、薬日本と言われても仕方がないと思うのですが、こうした状況にいった背景は、厚生省としてはどのようにとらえているのか、また小沢大臣としてもこうした風潮をどうとらえておられるのか、大臣、また厚生省の見解をお尋ねしたいと思います。
  180. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりに、日本の国内における医薬品の消費量、これを国民一人当たりで計算をいたしますと、西ドイツが大体世界最高の水準でありまして、これに次いでいるというふうに計算をされるわけでございます。生産量全体からいたしますと当然アメリカが第一位でございますが、生産量に関して申しますれば日本は世界第二位、それから国民一人当たりの薬消費量も世界第二位、こういう感じになっております。  この急速な薬の消費量の増加の問題につきましては、先生承知のとおりに特に昭和三十六年以降国民皆保険制度が実現をされまして、医療に対する国民の受診機会の保障が非常に強くなされ、いわば医療が非常に容易に国民にとって利用でき、また医薬品の投与の機会も平等化し、容易になったということがまず第一の背景にあるかと存じます。  アメリカ等と比べまして薬の消費量が国民一人当り日本の方が多いというような現象につきましては、アメリカはアメリカなりにいろいろ医療保障の制度を考えておりますけれども、日本のように非常に国民全般に及ぶような制度を持っていない、したがって、その受診機会がアメリカの場合日本に比べて劣っているというようなこともございまして、アメリカのパーヘッドの消費量が日本より少ないというようなことになっておるのではなかろうか、かように考えております。  ただ、薬の金額面で見ますところの上昇速度は非常に急速でございまして、特に最近は抗生物質等を中心といたしまして非常な金額の伸びが見受けられるわけでございます。これは特に抗生物質につきましては、従前からの古いタイプの抗生物質が、より高い、かつ効果のある、有効性ということからいっても優れた抗生物質に入れかわっておりまして、そのために現在ではすでに抗生物質が金額的にも全薬剤の四分の一を占めるというふうな状況になっております。ここら辺は他の国に比べますと非常に際立って抗生物質の使用量が大きいというようなことは数字上も言えるのではなかろうか、かように考えております。
  181. 小沢辰男

    小沢国務大臣 日本は薬づけ社会だと言われておりますが、私は全部が全部不必要だとは思っておりません。ただ、余りにも諸外国と比べて薬の保険の中に占める割合も、それから一人当たりの生産量等を見ましても、これは即消費量につながっていくわけでございますが、高いことは否めない事実でございますから、この点の姿勢は正していかなければいかぬだろうと思っております。  ただ、日本はこの点は諸外国と比べて、皆保険下において新薬なり、あるいは保険で採用している薬の種類というものは非常に多いわけで、それだけ患者さんのためにはなっていることも事実でございます。  それからもう一つは、何といいましても諸外国では、現在薬を保険で見ない。自己負担分というものがほとんどで、注射薬についても買ってきてくださいというようなことをやっているところが大分ございます。ところが日本は、薬についての一部負担等はございませんし、全部保険で見ているわけでございますから、安易に流れるのか、あるいは患者さんのためにいいのか、これはいろいろ批判があろうかと思いますけれども、そういう意味において、薬が使いやすくなっていることも事実だと思っております。
  182. 春田重昭

    ○春田委員 大臣からいみじくも薬づけ社会という形でお話がございましたように、確かに使用量、生産高からいっても、わが日本というのは世界第二をいっているわけです。そういう面におきましては、確かに薬務行政というのは非常に重要になってくると私たちは考えておるわけでございます。  そこで、薬といっても多種多様でございます。また患者さんによってその使用状態も違うわけでございますけれども、一般的に言って、服用する側からすれば、薬というのは病院側、お医者さんからもらう薬と、店頭で売っている薬と、二通りあると思うのですが、この二つのルートの今日までの推移、どういう流れで来たか、これを御説明願いたいと思います。
  183. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 先生指摘医家向けのいわゆる医薬品、それから一般薬と申しますか大衆薬の区分でございますけれども、これはかつてはそれが四五対五五とか、あるいは三対七とかというふうに言われてきたわけですが、最近におきましては、すでに医家向け医薬品の比重が全生産量の八割を超しております。いわゆる大衆薬と申しますか一般薬品の生産額は、横ばいあるいは微増程度のものでございまして、急速に医家向け医薬品のシェアが増加していることは事実でございます。
  184. 春田重昭

    ○春田委員 ただいまの局長からの御説明のとおり、生産高からいっても五十一年度二兆一千六百二十億円出ております。内訳を言いますと、正確に言いますと、医家向けは八三%を占めております。一般用は一七%になっております。ところが、昭和三十年当時は、医家向けは四五%で、一般向けは五五%、いま局長がおっしゃったとおりでございますけれども、このように最近になって医家向けが全体の八割以上を占めているという現象になっているわけでございます。  こういった背景はどういう理由なのか、明らかにしていただきたいと思います。
  185. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 これは先ほど大臣から御指摘のありました問題と密接に関連いたすと思いますが、つまり、たとえば医療保険によりますところの給付の率が、現在被用者保険でございますと、初診時一部負担六百円を除いては、全面的に現物給付のたてまえをとられております。このような場合に、いわば大衆薬を自分のふところから金を出して買うということと、それから医師に行って非常に容易に、またわずかな一部負担で医薬品の投薬が受けられるということの間の選択の問題もあろうかと存じます。そのような選択からすれば、たとえば一部負担が非常に低い額のまま据え置かれておりますと、やはりふところから金を出さなくて済むということの結果として、言葉があるいは適切でないかもしれませんが、非常に安易に医師のもとに赴いて投薬を受けるという現象が起こる。そういたしますと、その結果といたしまして医家向け医薬品のシェアが急速に高まり、一方では大衆薬の生産の伸び悩みという現象が起こる、かように考えられるわけでございます。背景の一つは少なくともそういうところにあるのではなかろうか、かように考えます。
  186. 春田重昭

    ○春田委員 確かに、昭和三十六年に国民皆保険になったわけでございまして、三十七年からぐっとそういう点で薬の量がふえているわけですよ。当然診療報酬制度等の問題があるわけでございますけれども、これはさておくとしまして、五十一年度の二兆一千六百二十四億円という生産高、これを国民一人一人に割り当てた場合約二万円になります。  国民の間には、先ほど大臣がおっしゃったように薬づけ社会という批判の声が一部あるわけでございますけれども、アメリカなどでは、患者さんが四人ぐらいおっても、そのうち一人ぐらいには薬を絶対与えない。注射も打たない。健康指導なんかやって帰すということで、余り薬に頼っていない面があるのです。このことは医療費に占める薬剤費の比率を見ても、日本の場合は、古い資料しかございませんけれども、四十八年には四八・四%、ところが欧米等においては約一〇%だというのです。結局それだけ医療費の中に占める薬剤費というのは非常に高まっているわけです。  こうしたいわゆる薬づけ社会という国民の批判に対しまして、大臣としてはどのようにお考えになっていますか。
  187. 小沢辰男

    小沢国務大臣 一方においては、私どもやはり安全性の問題を考えますと薬の種類をどんどん要指示薬に切りかえておりまして、一般の薬屋さんへわれわれ買いに行って何でも手に入るということを、どんどん狭めてきているわけでございますね。御承知のとおり指示薬といって、医師の指示がなければこれが手に入らない。疾病の治癒という責任を持つ医師が判断をしてすべてやるという体制、いわゆる安全性確保の見地からそういうことを推進してまいりました。したがって、これが医家向けの薬が圧倒的に比重が高まった一つの原因でもあるわけでございます。  それは同時に、裏返せば安全性の問題を特に私どもが考慮してきたということになるわけでございますが、それはさておきまして、いま保険点数の中で、総医療費の中で、外来がたしか薬剤が四〇%くらいになっておると思います。入院も全部含めまして考えますと、総平均しまして、いま保険の総支払い点数の中での薬価が大体三割七分と考えておるわけでございます。これは外国から見ますと確かに比重は高いわけでございます。これは先ほど申し上げました制度の違い等もありまして、薬の自己負担をほとんど各国でやっているという点もありますので、一概に保険の中でのウエートだけで言うわけにはいきません。患者に全部負担をさせているという面は、統計上は保険点数の中に入ってきません。それはそうでございますが、いずれにしても多いことは事実だろうと思います。  そこで、私は物と技術の分離をどうしても今回はやっていただきたい。そして物については、物といいますのはいろいろなものがございましょうけれども、薬と技術の分離をやってもらおう、それによって正しく薬剤が使用されるように持っていきたいし、同時にある程度、お気の毒ではありますが、チェック機能を果たすために患者さんの負担の方へこの一部を持っていくということを考えたわけでございますが、こういうようなことによってできるだけ正しい医療のあり方に御協力を願いたいと思っているわけでございます。  それと、薬の側から見ますと、今度は薬価基準と実勢価格の間の開きを、できるだけ実勢価格の正確な把握をやりまして薬価基準の適正化を図っていくことによって、合理的な姿勢をとっていくようにいたしたい。  いまこの二つの対策で努力をしていくつもりでいるわけでございます。
  188. 春田重昭

    ○春田委員 私は健保改正の問題につきましてはここで論議するつもりはありませんので、問題は違う面で申し上げたいと思うのですが、いま大臣も、厚生省としては安全性の確保に特に留意していきたいという話がありましたので、そちらの方に入りたいと思います。  昨年の一月東京の地裁で起きましたスモン裁判で可部裁判長が判決を出しているわけでございますけれども、これについて大臣の御感触は、どのように思われますか。
  189. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私どもが可部和解に応じましたのは、患者さんの救済を実は最も重点に置いたわけでございまして、私どもの製造承認行為が補償までいかなければならない法的な責任を認めた結果ではないのでございまして、ただ一般的に薬の行政をやっております厚生省として考えますと、これだけの患者さんが発生をしておって、しかもキノホルムとの因果関係が否定できないとすれば、やはり薬務行政をつかさどっている厚生省としては一般的に行政上の責任をあらわす方が適当だろうということで、三分の一の負担を引き受けまして和解に応じている、こういうことでございます。
  190. 春田重昭

    ○春田委員 確かに法的な根拠はないわけでございますけれども、いま大胆がおっしゃった和解の線がそういう形できたということは、やはり国も責任を認めた、こういうことではないかと私は思うわけでございます。  そこで、現在薬害訴訟といいますか、係争中のものはたくさんございますけれども、どういうものがいまあるのか、それをお示しいただきたいと思います。
  191. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 お答え申し上げます。  わが国のいわゆる薬害問題として最初に社会の関心を集めましたものは、先生承知のとおりにサリドマイドによるサリドマイド胎芽症の事件でございます。これにつきましては、全体といたしましてすでに最初の訴訟に参加されました方、それから二次と訴外の方も含めまして三百三人という数が確定いたしておりまして、これについてはやはり国が和解金の中の三分の一を負担いたしまして、すでにこれが解決済みになっております。  これ以外に、史上空前と言われているものでございますけれども、いま御指摘の例のスモン訴訟がございまして、現在のところまででは患者さんたちの数で計算をいたしまして約三千六百名、その後多少ふえているかと思いますが、死亡された方の親族関係等を含めますと、原告数にして四千名程度の者が現在全国二十二の地方裁判所において係属中でございます。その一部についてはその判決があり、被告、原告双方が控訴しているというのは金沢でございます。  それ以外に、種類といたしましては、例をずっと挙げてまいりますと、たとえばこれは原告数は非常に少ない、患者さんとしては一人でございますストレプトマイシンの事件がございます。それから、いわゆるコラルジル事件というのがございます。これは患者さんの数としては二十五人。それから、ミオブタゾリジン事件、これは患者さんの数は一人でございます。それからクロラムフェニコール事件、これは患者さんの数として二人。それからクロロキン事件というのがございまして、これが患者さんの数としましては八十五人。それからクロタオン、これは一種の抗生物質でございますが、これが同様に患者さんの数としては一人でございます。  これ以外に、薬害というふうに分類することが正しいかどうかは別としまして、規模の大きな事件としましては、いわゆる大腿四頭筋短縮症とか拘縮症とか言っておりますが、この事件が各地で提訴をされているというようなところでございます。
  192. 春田重昭

    ○春田委員 こうした事件が起きた背景というのは、やはり企業としては利潤追求のために大量の薬を生産し販売し、それを監督する国の安全義務に手落ちがあった、このように私たちは思っているわけでございますけれども こうした事件というものは、いわゆる薬づけ社会と言われた日本の一つの象徴的な事件ではなかろうかと私は思っておりますけれども、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  193. 小沢辰男

    小沢国務大臣 まことに残念な不幸な事件だと思うのでございますが、薬というのは御承知のように有効性と同時に、そのうらはらとして場合によってそういう副作用があるということを否定できません。ただ、大部分の有効性を完全に否定をしてしまうというわけにはまいりません。したがって、私どもは製造承認に当たって、最近は徹底的な副作用に対するデータを、承認前の審議会の手続をとりながらも繰り返し求めまして、より入念に安全性に対するチェックをいたしておるわけでございまして、これからますますそういう点についての配慮を中心にして薬務行政を進めてまいりたい、かように考えます。
  194. 春田重昭

    ○春田委員 いまはそういう点で調査、実態把握等を厳しくやっているという話でございますけれども、こうした事件が起こったというのも国の安全確保という面で従来手落ちがあったのではなかろうかと私は指摘をしておきます。  そこで、五十一年の十月厚生省が行った調査によりますと、約八人に一人がいわゆる何らかの形で医者や薬に頼っている、こういう結果が出ております。いま大臣おっしゃいましたように、こうした事件を繰り返さないために十分な対策が講じられていると聞いておりますけれども、どういう対策なのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
  195. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 失礼でございますが、安全性をめぐる問題でございますね。――薬の安全性有効性の問題につきましては全世界的に、例のサリドマイド事件が契機となりまして、先進国共通のことでございますが、新薬の製造承認についての基準が非常に厳格化されたという風潮がございます。わが国におきましても昭和四十二年以降、新しい製造承認に当たっての基準を定めまして非常な厳格な手続を課しておるわけでございます。そのために、具体的に理解のされやすい数字で申し上げますと、現在では新薬の開発には最低限、たとえば動物実験、これは毒性試験でございますけれども、このために約二年間、それから人試験、いわゆる臨床試験の期間が最低約二年間、したがって、新薬の開発にはどうしても合計四年以上の歳月がかかる。さらに、一つの新薬の開発のためのそのような実験あるいは人試験の経費等を全部合算いたしますと、一件当たり十数億円の経費がかかると一般的に言われているところでございます。このために新薬の開発が、安全性の問題から言えば当然のことではございますが、非常にむずかしくなってきているということがありのままの話でございます。  四十二年以前に製造承認をされました薬につきましては、昭和四十六年以降薬効再評価の作業を進めておりまして、現在医家向け医薬品のうち単味剤、つまり配合剤でないものでございますが、この単味剤につきましては七割方がすでに再評価を終えております。あと残りの単味剤の三割及び配合剤につきまして、二、三年のうちには薬の再評価が終わると考えられております。この再評価結果につきましては、たとえば有用性のないと認められたものにつきましては薬価基準から削除する、使わなくするというふうな措置医療保険と連動してとっておりまして、これが一わたり終われば、厚生省といたしましては、四十二年以降に製造承認されたものについてもさらに薬効の再評価の作業を進めたい、かように考えておるところでございます。
  196. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、再評価昭和四十八年から五十三年の三月まで行われているわけでございますけれども、その中で行別性が認められるもの、それから一部認められるもの、全然根拠がないものという形で数字が出ておりますけれども、この数字を御説明いただきたいと思います。
  197. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 医療用医薬品の単味剤及び配合剤につきまして、現在再評価終了品目が一万九百十五品目でございます。この中に有用性が認められるもの、つまり無条件でパスという形のものが六千三十八品目、五五・三%でございます。それから逆に有用性を示す根拠がないとされたものが四百四十六品目でございまして、四・一%に相当いたします。それから適応の一部につきまして有用性が認められる、つまり適応の範囲を変ええなければいかぬ、一部修正を要するものが四千四面三十一品目、四〇・六%でございます。  ただし、この場合の有用性と申しますのは、先生承知のとおりに、たとえば抗生物質等で菌に耐性を生ずる、あるいはより副作用の少ない、より有効な医薬品がすでに開発されておるというような状況のもとにおきましては、あえてこの薬を使わなくても他により安全、より有効な薬がすでに出現しているという配慮から有用性を示す根拠がないと判定されるものも含んでおるわけでございまして、もともとまるっきり効かないという意味ではございません。  そういう事情変化のもとで、今日の時点では有用性を示す根拠がないと判定されたものが、先ほど申し上げた四・一%、四百四十六品目であるわけでございます。
  198. 春田重昭

    ○春田委員 いまの局長説明の中にありました適応の一部について有用性が認められるもの四千四百三十一、これについては製造中止するということなんですか、それともラベル等を変えて製造会社で販売するという形になるわけですか。
  199. 中野徹雄

    中野(徹)政府委員 まず、有用性を示す根拠がないものにつきましては、直ちに、一ヵ月以内にこれを全部やめて回収いたします。一部変更ということにつきましては、添付文書に適応が誓いてあるわけでございますが、これを訂正する文書を薬につけるという形で臨床医家の間にも徹底をさせるという形の手続をとっております。
  200. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、薬害は非常に大きな社会問題になっております。こうした薬禍問題を絶滅していくためにも、厳重の上にも厳重を期して薬品の安全度を周めていただきたい、このようにお願いしておきます。  この問題はこれで終わりますけれども、一点だけお尋ねしたいと思います。  去る十八日の新聞で、米国制ガン協会の創設者であるディーン・パーク博士が全米保健連盟ニューイングランド支部の大会で「虫歯予防のため水道水にフッソ化合物を添加することは虫歯を予防するという利益よりも、ガンを発生させる危険性のほうが高いため禁止すべきである」このような大講演をやったそうでございますけれども、博士の講演によりますと、年間三十五万人のがんによる死者の十分の一は弗素化合物入りの水道水を飲んでいた、こういうデータを示しながら講演したそうでございますけれども、厚生省としてはこの  ニュースをキャッチしていますか。
  201. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 パーク博士がこの説を初めて唱えましたのは、たしか昨年の四月にイギリスのオックスフォードで行われました弗素の学会であったと思います。その後新聞等にかなり大きく報道をされました。したがって、私どもはその内容も取り寄せまして検討も済ませたところでございます。  確かにパーク博士はあのように主張していらっしゃいますけれども、私どもといたしましても、弗素を使った地域の住民構造、対照地域、つまり弗素を使っていない地域の住民構造あるいは住民の密度その他いろいろ問題がございまして、パーク博士がおっしゃるような結論には直ちにはならないのじゃないかという見解を持っておりますし、また同様の見解を、WHO、アメリカ、イギリスの国立医学研究所も持っております。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  202. 春田重昭

    ○春田委員 日本ではたとえば歯みがき等に弗素が添加されて販売されておりますね。歯みがきですから飲み込まないわけでございますけれども、子供なんかわからずに一緒に飲んでしまう例があるわけですよ。そういう点から危険性がないかどうかということを私たち心配するわけでございますけれども、その点どうですか。
  203. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 第素もやはり化学薬品でございまして、その使い方によっては有害でございます。大量、つまり五ppm以上になりますと問題が起こってくるわけでございまして、その場合に骨の変化が起こってくるとか、甲状腺の変化が起こってくるとか、歯に斑点ができて斑状歯ができてくる、そういうことがすでに三十年前からいろいろ検討されております。  ただ、ただいま先生からお話がございました歯みがき等に入っておりますものはそれほど多い量でもございませんし、また確かに、小さな子供でございますと大人と違って飲み込んだりするわけでございますが、そういうことも米英を初め日本においてもいろいろ研究いたしておりまして、ただいまの国際的な歯学界の通説としては問題がないということになっております。
  204. 春田重昭

    ○春田委員 それでは続きまして、はり、きゅうの治療と健康保険制につきましてお尋ねしていきたいと思いますが、わが国の医学界は西洋医学一辺倒でございまして、東洋医学というのは非常に軽視されているわけでございますけれども、最近このはりときゅうの治療が非常に注目されてきているわけでございます。若干余談になると思いますが、私の友人の主婦の方でございますが、医者から子宮がんでもう先がない、このような宣告を受けたそうでございまして、家族全部集めて親族会議もやったそうでございますが、たまたまこの主婦の親戚の方が、あきらめるのは早い、きゅうを据えたら治るということで、本人はもうだまされた思いできゅうを据えたそうでございまして、数年間病院に通って治らなかった病気が数カ月して治った、こういう例があります。それはたまたま奥さんの体質でそういうことになったのでしょうと言ったら、実は大阪のこのおきゅうの治療所に行ったらそういう例がたくさんあるというのですね。全国から、北は北海道から南は九州ぐらいの患者がそこに殺到してくるということなんです。  こういうことで、おきゅうが非常に注目を浴びている。私にも、先生一回行ってみたらどうですかということを言われたのですが、まだ忙しくて行っていないのですけれども、最近こういうはり、きゅうが非常に注目されてきている現状をどのようにお考えになっていますか。
  205. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 私ども、はり、きゅうの需要の状況というものを的確に把握いたしておりませんけれども、ただ免許を与えた施術者の方の数はわかっているわけでございます。そういうところから考えますと、だんだんとはり、きゅうの需要者はふえている。また最近、特にはりの場合は中国医学のはり麻酔等の報道もございまして、一種のブームが起こりつつあるような感じを持っております。
  206. 春田重昭

    ○春田委員 現在、このはり、きゅうは医療の範疇に入っていないわけでございますが、大臣としてはどのようにお考えになっておられますか。
  207. 小沢辰男

    小沢国務大臣 鍼きゅうは、これは保険点数の中に入っていないわけではないのです。医師の同意等を要件にいたしまして、それから一定の回数の制限等はありますけれども、これは保険で採用いたしております。  それで、私は、たとえば東洋医学研究所の方に出向きまして話を聞きましたり、正しい鍼きゅうの治療ということについては、われわれも明治以来の西洋医学一辺倒の考え方から見直しをしていかなければいかぬだろうと思っておりますが、まだやはり基礎的には医学の知識を持って、しかも、そのはりの技術をそれに活用するというような考え方の方がよりいいんじゃないかというふうには思います。  東洋医学全般について見直しをやるというわけじゃありませんけれども、厚生省としてもこれに十分対応したいし、また研究も進めたいというような気持ちから、私いま答弁しましたように、医務局長を中心にして、しかるべき衛生関係の者を中国の招待があれば派遣をして、向こうのいろいろな状況等も視察をし、いわゆる日本医学と中国の東洋医学との交流等も進めていったらどうだ、こういう考えのもとにいま指示をしているところでございますが、これからの正しい鉱きゅうの普及ということについては、これは私ども決して反対ではありませんし、いいことではないかと考えております。
  208. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、大目がいまおっしゃった保険の適用でございますけれども、確かに保険はききます。しかし、一定の歯どめがあるわけですね。一定の歯どめというのは医者の同意ということでございます。それで、昨日私がいただいた資料によると、これは政管健保でございますけれども、政管健保から支給された患者数が四十七年に十三万、四十八年で十五万、四十九年で十七万、五十年で十八万、五十一年度で二十一万と、毎年一、二万ずつ上昇はしておりますけれども、医療全体の患者数からしたら非常に少ないと私は思っております。  そういう点で、この医者の同意という問題でございますけれども、これは非常にむずかしいと思うのですよね。医者だって同意書を出すということは自分の患者を失うことでありますし、また、自分の腕がだめだからあっちへ行きなさいという形にもなるし、また患者としても、実を言うと、これ出してくださいと言ったら気まずい思いもしますし、非常に問題があると思うのです。また、全く知らない人もあると思うのですよね。保険が適用されるということを知らない人もあるわけです。そういう点でこの同意書の問題については、何らか手を加えて緩和する方向に行かなかったならば――大体いま鍼きゅうへ行って、安いところで千五百円、高いところは五千円、まあ、いろいろあるわけでございますけれども、そういう点からいったら、東洋医学が非常に注目されてきているときに、このはり、きゅうというものを普及させるためにも、医者の同意書、いわゆるこの歯どめを何とか緩和する方向に持っていけないか。私は、何とかしてほしいと大臣に要望するわけでございますけれども、いい考えはありませんか。
  209. 小沢辰男

    小沢国務大臣 これは、同意書を外すということはいまちょっとできません。なぜかといいますと、いろいろ御批判はあっても、明治以来私どもの医制の体系というものは、医師でなければ医療をしてはいかぬということになっております。また、今日の段階で、医学的な治療を全然やらないで鍼きゅう一本に頼るということは、私はいろいろな意味で、弊害とまでは言いませんけれども、決して十分ではないと思いますものですから、やはり医学的な治療というものを基礎にしながら、それに必要な鍼きゅうの治療を加えていくということの方が、まだ正しい考え方ではないかと思われます。  ただ、一件一件、来た都度同意をとってやらなきゃいかぬというような手数を考えますと、ちょうど柔道整復師、いわゆる骨接ぎの方々が、手続の簡素化等についてはそれぞれの医師会ともよく相談をされて円満な話し合いの上でやっておられる、ああいうやり方でできるだけ簡素化をするような方向に、それぞれ治療に当たる医師会側との話し合いの上でうまく持っていく方法はないだろうか。まあ、これについては私どもも関心を持って、特に治療に支障を来すような非常にめんどうな、その都度厳格な同意書を要件にするような行き方を、できるだけ御趣旨に沿うような方向で指導をしていくつもりでございますから、今日のところ、一遍にこの同意書の要件を撤廃するということはとても困難でございますので、この点は逐次改善をしてまいりますから……。
  210. 春田重昭

    ○春田委員 大臣、これは局長通知があるわけですよ。その中には、慢性病に適当な治療手段のないものと判断した者についてはいわゆる同意書を発行してもいいという形になっているわけでしょう。ということは、医療の限界、いわゆる西洋医学である程度限界があるものについては、こちらに頼ってもいい、手段を講じてもいいというような局長通達が出ているわけであって、そういう点からいったら、もう少し緩和してもいいんじゃないかと私は思うんですよ。  そういう面で、これはいま大臣から前向きに検討したいという話がございましたけれども、医者なりなんなりの中に指導とか通達とかそういうものは出ているのですか。たとえば医者によっては、同意書をお願いしたいと患者が言ったら、そんなもの行く必要はないですよと断わる人だってあるし、中にはいい先生は出してくれる先生だってあるし、しんきゅう師も知っているというのですね、あそこの医者に行ったら出してくれるからあそこへ行ったらどうですかと、いろいろあると言うのですよ。だから、そういう点においては、やはり医者全体、こういう同意書を患者が請求した場合においてはすぐ出していけるようなそういう体制、こういうものを、いわゆる即座に同意書をなくせと言うのではないのですよ、そういう面からも考える必要があるのではなかろうかと言うのです。どうでしょうか。
  211. 八木哲夫

    ○八木政府委員 先生からただいまお話ございましたが、大臣からも御答弁申し上げましたように、やはり医療保険対象にしておりますのは一つの治療行為であるということになりますと、どうしても医師の適切な指示ということを基礎にするわけでございまして、先ほど先生が御指摘になりました慢性病等で適当な治療手段のない者に限るという範囲は言っているわけでございますけれども、その場合におきましても医師の同意ということを前提としているわけでございまして、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、事務面の簡素化ということにつきましては鋭意工夫しているわけでございますけれども、基本的に一つのやはり治療行為であるというような際に、医師の同意なり指示ということを外すというのはなかなかむずかしいのではないかというふうに考える次第でございます。
  212. 春田重昭

    ○春田委員 私が言いました周知徹底、これは国民に対してなされているのですか。こんなもの案外知らないですよ。  また、医者に対して同意書の要請があった場合は出してくださいよという、そういう通達とか何か出したことがあるのですか。
  213. 八木哲夫

    ○八木政府委員 医療保険制度の内容につきましては、かなり国民の皆さん方にはもう御理解いただいているというふうに思いますし、御承知いただいていると思います。現に先ほど先生からお話ございましたように、件数につきましても逐年ふえているというような実情でございますし、この点につきましては私どもかなり御理解いただいているというふうに考えております。(春田委員「医者に対しては」と呼ぶ)  医療機関等に対しましても、こういうような通達等につきましては、県等に通知しておりますし、十分御存じになっているというふうに思っております。
  214. 春田重昭

    ○春田委員 地方団体では、市の保険課が窓口になりまして、いろんな給付金を支給している例もあるわけです。地方公共団体それなりにいろんな工夫をしてこれらもPRしているみたいでございますけれども、国が先駆けてやってほしい、このように要望しておきます。  そこで、先ほど大臣がおっしゃった中国に視察団を送りたいという話がございましたけれども、これはそういう計画があるんですか。
  215. 小沢辰男

    小沢国務大臣 実はこれは何といいますか、私の考え方で、医務局長が団長になって衛生三局から一人ずつしかるべき者を連れてひとつ一回視察に行ってこいということを指示してございます。しかし、向こうの招待がなければなかなか困難でございますから、いま恐らく向こうも歓迎するだろうと思いますので、近く実現するんじゃないかと思っております。
  216. 春田重昭

    ○春田委員 いま中国とは尖閣諸島の問題でちょっと険悪なものになっておりますけれども、平和条約もその機が熟しているわけでございまして、一衣帯水の関係にある中国と日本のそういう間柄でありますから、ぜひ行ってほしいと思うのです。  私も昨年の九月に行きまして、ちょうどはり麻酔のそういう治療をこの目で見てきたわけでございますけれども、非常にびっくりするぐらい確かに発達しております。たまたま日本の慶応を卒業した中国の医師の方もありまして、これはなぜ日本が取り上げないのか、それは保険のせいでないですかということで言っておりましたけれども、結局金がかからないものだから日本の医者は取り上げないのですよとか言っていましたけれどもね。それは別として、中国においては、そういうはり麻酔というのは非常に発達しております。ただ、最近中国は東洋医学一辺倒でなくして、西洋医学も取り入れて、込みでやっているみたいでございますし、そういう点ではわが国は西洋医学一辺倒でございますし、こういう面にも目を向けていくことが必要ではないか。早急に実現していただきたい、このことを要望しておきます。  それでは、最後に、ごみの問題でございます。  先ほど質問がありましたけれども、若干重複する点があると思いますけれどもその点は御了承願いたいと思いますが、去る一月、厚生省は有害物質を含むいわゆる産業廃棄物の実態調査を発表なさいましたけれども、その概要につきまして簡単に御説明いただきたいと思います。
  217. 国川建二

    ○国川政府委員 有害産業廃棄物の実態が十分把握できていなかったために、五十年度と五十一年度に、二ヵ年にわたりまして調査をいたしたわけでございます。  調査対象は、有害産業廃棄物にかかっているわけでございますが、それから主として汚泥、鉱滓等の処理処分状況の実情、たとえばその処分状況、それから委託業者に対する委託の状況等でございまして、全般的にある程度は新法の施行が――施行前でございますから十分でない点もございましたけれども、そのつど必要な実態の是正措置等もいたしまして、さらに今後これをフォローして十分実態を見きわめ、適切な対策をとりたいと思っております。
  218. 春田重昭

    ○春田委員 調査の発表では年間の排出するごみの量が六百三十万トンという形で発表なさっておりますけれども、どういうものが出てきたのか、種類別に御説明いただきたいと思います。
  219. 国川建二

    ○国川政府委員 まず汚泥について申し上げますと、事業所数にいたしまして、これは四十九年度でございますが、七千百二十ヵ所で排出量が百四十九万四百四トンでございます。  それから、鉱滓について申し上げますと、事業所数が全国で五百三十二事業、排出量が二百九十九万三千三百トンということになっております。
  220. 春田重昭

    ○春田委員 それだけでは六百三十万トンにならないでしょう。故紙と、いわゆる有機物がありますね。合わせて六百三十万トン、一日当たり約一万七千トンという非常に膨大ないわゆるごみの量が出てきたわけでございまして、このごみ問題というのは、もう決して無視することができない。  私も先ほど質問された馬場先生とお隣の町に住んでおりまして、私のところはもう人口急増地帯で、住宅密集地なんですよ。したがって、もう余地もないということで、このごみというのは非常に関心を持っているわけです。  そういう点でお尋ねしていきたいわけでございますが、この調査の中で、汚泥に含まれている有害物質が百四十九万トンと出ているわけでございますけれども、この百四十九万トンの中で、その処分状況でございますが、処分状況は埋め立て処分、それから海洋投棄、それから再生利用、それから保管その他という形で区別されておりますが、この中で保管ですけれども、工場内保管というのが約十万二千六百十トン出ているわけです。比率からいったら全体の六・九%にもなっておりますが、このように工場内保管が全体の工場数からいったら三千四百八十七、四九%を占めております。二社に一社がいわゆる汚泥の処分に窮しているという実態が出ているわけでございます。量としては少ないですよ。しかし、事業所数からいったら全体の約半分が工場内に保管しておるわけです。この実態というのはどのように厚生省としてはとらえているのですか。
  221. 国川建二

    ○国川政府委員 この年度におきます。これは断面の調査でございますが、事業場数で申し上げますと、いま先生指摘のように約半数の事業場が保管している計算でございます。  その実態を幾つかの事例で申し上げますと、大体において中小の事業場が多いわけでございますけれども、理由はいろいろございます。たとえば排出量自体がその事業場にとりましてはわずかで、ある程度たまったところで処分するというような意味での保管ということもございますし、またある場合には汚泥等の処理、処分の方法を開発と申しますか、技術的に検討しているために保管しているというような場合もございます。いろいろなケースがございますから一概には申せませんけれども、断面の調査でございますから実態としてはこのようなことかなというように理解いたしております。
  222. 春田重昭

    ○春田委員 確かに局長の言ったような理由もあるでしょう。それは私は一部だと思うのですよ。中小というよりもむしろ零細家内企業的な会社が四九%の中に含まれておるのではないかと私は読んでおるわけでございまして、その理由というのはやはり処分法に困っている。恐らくそういう企業ですから敷地内もそう広くないと思うのですよ。だから、敷地内にそういう埋立地もないわけであって、どこかに処分する以外にないわけでしょう。処分するには当然業者委託等があって金がかかる、こういうことで、処分したいけれども処分できない、そういう金銭的な面が多くウエートを占めているのではないかと私は思っておるわけでございますけれども、そういう点からしたら、このような実態調査で出てくることによって指摘される、指摘されることによって、当然お金もないということで不法投棄というのが考えられるおそれがあるわけでございますけれども、その点どうでしょうか。
  223. 国川建二

    ○国川政府委員 従来、以前におきましてはこういう不適切な処理が行われたという実態等もございまして、先生承知のように五十一年に法律改正いたしまして昨年から施行されているわけでございます。実態といたしまして先生のおっしゃるような費用の面というようなことももちろんないとは申せないと思いますけれども、幾つかの事例、実態調査に当たりましてわかりました事例は、先ほど申しましたようなこともございまして、実態としましては許可業者に渡す、許可業者が、量がわずかでございましたならば定期的に巡回して収集していくというようなケースもあるようでございます。  そういうものが不法投棄につながらないのかというような御指摘でございますが、その点は先ほど申しましたような制度面での規制が大変厳しくなったということが第一点ございまして、それから許可業者等につきましてもいろいろな面での規制が厳しくなりまして再委託等も十分できない、またそういうことが行われた場合には、排出事業者にまず責任が戻ってくるというようなこともございますので、そういった面で意識して抜け道を抜けようと思えば、これはなかなかとめられないかと思いますけれども、私どもはそういうことのないようにできるだけそういうような指導、監督をぜひいたしまして、不法投棄等につながらないようにいたしたいというように思っておるわけであります。
  224. 春田重昭

    ○春田委員 時間がありませんのでその問題は次のときといたしますけれども、この中で埋め立て処分が九十六万トン出ております。全体の六五%を占めておるわけでございますが、この数字だけでははっきりわかりませんけれども、これはいわゆる産廃法に照らしてみてきちっとした処理、処分がされておるわけでございますか。  たとえばコンクリートの擁壁がきちっとされていたとか、排水処理がされていたとか、さくがちゃんとしてあったとか、一般といわゆる産廃の場合は、看板をきちっと立てて、ここは一般のごみですよ、ここは産廃のごみですよ、そのようにきちっとその法に照らして埋め立てられていたかどうか、御説明いただきたいと思います。
  225. 国川建二

    ○国川政府委員 調査の時点では必ずしも十分でないという点がうかがわれております。御指摘のように、埋立地でたとえば構造的に擁壁に亀裂が入っていた、あるいは埋め立て処分地から排出される水について水質基準に適合していないものがあったというような事例も伺いました。  したがいまして、実態調査、これは私ども全薮いたしたわけでございまして、有害産業廃棄物のその時点での埋立地は全国で二千三十四ヵ所ということになったわけでございますが、御承知のように新法の改正によりまして今後つくられるもの等につきましては、当然でございますが、適正なものがつくられることが期待されておりますし、調査時点で不適切な処分地がございましたものはフォローしましてすべて改善措置をいたさせたつもりでございます。
  226. 春田重昭

    ○春田委員 昨年の三月施行されたわけでございますけれども、この法そのものは四十六年からあるわけでありまして、二ヵ年にわたりまして大規模な実態調査をされてそういうものが出てきたわけでございますが、しかしこれはいまから七年前からあるわけですから、それなりに十分指導、監督をやっていればこういう問題もなかったと思うのです。今後とも十分そういう監視体制を厳しくしていただきたいと思います。  そこで、先ほど局長からもお話がありましたいわゆる委託業者の問題でございますが、この実態調査の中においては、全体の約二五%がいわゆる免許を持ってない不法業者という形で出ておりますけれども、これが大体集中しているのが関東方面とそれから近畿方面、この地域に多いですね。これはどのようにお考えになっていますか。
  227. 国川建二

    ○国川政府委員 やはり両地域がそういう該当する事業場そのものも大変多いということではないかというように思いますが、それ以外に特殊な事情があるかどうか、承知しておりません。
  228. 春田重昭

    ○春田委員 もぐり業者が四人に一人、こういう実態が出ていることは、こうしたいわゆる現在の事業所ないしは市町村段階では、すでにごみを処理していく能力、それ以上のものが出ている。したがって、すでにもう市町村や事業所段階では、とてもじゃないが、処理し切れない。それでこうしたもぐり業者の方に委託せざるを得ない。そこへ委託せざるを得ないからもぐり業者がこうして出てきているわけであって、これは本質的にいけば、やはり先ほど局長もおっしゃっていたように、首都圏におきましては最終処分地の問題があると思うのです。  したがって、産廃法におきましては、一般ごみにおいては市町村また産廃においては事業者ということで責任を持ってやれという形になっておりますけれども、この法がありますので枠内でやっていかなければなりませんが、少なくとも市町村事業者の責任を超えた国の手厚い保護がなかったならば、人間が存在する限り企業が活動する限りごみは毎日出るわけですから、この問題は解決しないと思うのですね。共同または広域的な処理、こういう問題につきましては、先ほども御説明がございましたけれども、特に首都圏に限っては緊急的な課題なんですよ。どうでしょうか。
  229. 国川建二

    ○国川政府委員 先生指摘のとおりだと思っております。  地域別に見まして、何と申しましても高密度に人口、事業場等の集中しております首都圏、近畿圏等におきましては、その地域内で排出される量も大変膨大なものでございます。もちろんこれは一般廃棄物も含めまして、まして産業廃棄物の量も膨大でございまして、この中間処理もございますけれども、一番の問題は、先生指摘のように最終処分地の確保問題ということに帰すると思うわけでございます。  先ほど馬場先生のお話もございましたけれども、厚生省といたしましては、当面とにかく数府県にまたがった、首都圏、近畿圏での最終処分地の確保を何としても図りたいということで、五十三年度予算措置等もできたわけでございますが、これに本格的に取り組んで進めていきたいというように思っておるわけでございます。
  230. 春田重昭

    ○春田委員 教えていただきたいのですが、一日に排出する一般ごみは大体どのくらいなんですか。それから産廃はどのくらいなんですか。大体でいいです。
  231. 国川建二

    ○国川政府委員 産業廃棄物で申しますと、最終処分を要する量というのは年間大体一億トン程度ではないかというように考えております。  それから一般廃棄物につきましては、現状実績は、日量でございますが、五万二千四百トンということになっております。
  232. 春田重昭

    ○春田委員 五万トンだったら年間千八百万トンになるのですか。合わせて一億二千万トンくらいになるのですか。これだけのごみを処分するほか下水の汚泥だって出てきますから、相当な最終処分が必要になってくると思います。  一説によりますと十年くらいまだもつ、余力があるという話もございますが、大都市圏におきましては、地域によって違いますけれども、たとえば周辺の人口急増地帯なんかも二、三年しかない、こういう話もありますけれども、なべて大体何年くらいまでは余力があるのですか。
  233. 国川建二

    ○国川政府委員 実は大変むずかしい御質問でございますが、一般廃棄物につきまして、先生いまおっしゃいましたように全国的なトータルといたしましていま確保されている埋立地の余裕量から計算いたしますと、大体十年分くらいまだあるという計算にはなるわけでございます。ところが、実際問題としましては個々の市町村の問題でございますから、特に首都圏、近畿圏等の近郊地帯、人口過密地帯では、場合によっては一年、二年先、あるいは毎年次の処分地を探し求めているという実態があるわけでございまして、大変開きが多うございます。  私どもといたしましては、個々の市町村でできないものは、当面は都道府県内での共同的な取り組みはできないのかということで、従来府県の方にもいろいろお願いしておったわけでありますが、それをさらに超える部分について国として取り組みたいという気持ちでございます。  それから、産業廃棄物につきましては、先ほど申しましたように大体年間一億トンくらい出てくるということでございますが、これは特に大きな企業等では自家用の処分地をかなり持っているというケースもございますし、それから中小産業の場合には依存しなければならないというケースもございますので、現在のところ先行きどれくらいというところまで実は掌握されていないわけでございます。  それから、排出量そのものも経済情勢その他によって変動してくるというようなことも考えられますので、今後引き続き十分注意していきたいと思っております。  現状はそうでございます。
  234. 春田重昭

    ○春田委員 実態がはっきりつかめてないということですから、私は問題が残ると思うのです。五十二年度では調査費として初めて五千万つけられました。これとても東京や大阪の自治体からの要望は二億円という形で出ていたわけでしょう。調査費を二億円つけろという形で出ていたわけですが、それが五千万になったわけでございまして、先ほどの答弁からいったら、五十三年、五十四年くらいに調査して、できたら五十五年ぐらいから東京湾あるいは大阪湾あたりを工事にかかりたいという話がありましたけれども、私は何回も言いますけれども、人間が生活をやっておる以上、企業活動をやっている以上、このごみというのはどうしても避けられない問題になってきておるわけです。そういう点で最終処分地の問題、これは市町村に行ったらいろいろな、私もそれは言ってもいいのですけれども、法律違反をかなりやっております。実はそれをやらざるを得ないわけです。一般ごみのところに下水の汚泥を捨てたり産廃を捨てたり、現実にあるのです。処分地がないわけですから。特に私のところなんか全く住宅密集地帯ですから、よその市町村に捨てに行っておるのですよ。全国で調べたらそういうのは数限りないほどあると思うのですよ。私たちも実態をよく知っておるからなかなかそういう点は言いがたい、そういうものがあるのです。そういう点では市町村段階の能力をはるかに超えておる現段階では、やはり都道府県でも、大阪もいまは再建団体に落ちそうで、なかなかやらないのです。東京だってそうでしょう。ということで、最終的には国という形でこっちの方に返ってくるわけです。だから、もうちょっと国が前向きの姿勢になって広域的な最終処分地の確保については全力を挙げてやっていただきたいと思うのです。  この構想を先ほど話がございましたけれども、これは国が建設するのですか。それとも市町村が建設するのですか。二通りあると聞いておりますけれども、国が建設して、捨てるとき市町村からお金をもらうという話がありますけれども、どっちなんですか。
  235. 国川建二

    ○国川政府委員 当面私どもは、首都圏と近畿圏の関係市で参加しようとする地方自治体等にお集まりいただいて準備会をつくりまして、検討しなければいけないと思っているわけでございます。いろいろな制度問題等もございますので、現在のところ国の直轄事業にするとか、あるいはそうじゃないとかいうようなところまで結論は得ていないわけでございます。  いずれにしても相当大規模なものになり、相当技術力、資金手当て等々が必要でございますから、そういうことも十分勘案しまして、地方自治体等ともよく相談しながら、そこらは検討していきたいというように思っておるわけであります。
  236. 春田重昭

    ○春田委員 特に大阪、東京は、いま言ったように赤字転落寸前の地方自治体なんですよ。だから市町村が、府県が、出していくというのはとてもできないじゃないかと思うのです。そういう点では国が建設して使用料を応分の負担として取っていくというやり方でないと、この事業は問題が残ると思うのですよ。その点だけ指摘しておきます。  時間が参りましたので、最後に大臣のこれに対する御決意など聞いて、終わりたいと思います。
  237. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先ほども馬場先生にお答えしましたのですが、従来厚生省の取り組みがどうも悪いじゃないかというお話について、結果的に見れば確かに御非難のとおりだ。しかし、私はこれは何としても市町村の自分たちの住民のごみや屎尿の始末というものはまさに固有事務でございますから、本当は各市町村が、今日の段階に至るまでの間にやはりこうしてくれああしてくれ、国はそれを指導し助成する機関でございますので、もっと工夫をして最後にどうにも――何か全部国だと言われるような風潮では困るので、やはり両々相まっていかなければいかぬだろうと思うのですね。やはりどうしても、地方住民の一番大事な固有事務なんですから、そういうことの意思をはっきり持っていただいて、そして国も今日の現実を打開するためには乗り出すということでないとうまくいきません。それじゃ国の方が調査費をつくった、そしてどこかつくってくれるだろうというようなことで、たとえば減量運動にしてもあるいはごみの資源再利用の問題にしても、やはり自治体が熱意を失っては困るわけでございますから、両々相まってこの問題を解決していかなければいかぬと私は思うのです。  しかし、国もいよいよどうも放置できないというので乗り出したわけでございますから、先ほども申し上げましたように日本列島は本当に大変なごみの山で、環境が汚染をされるようなことになっては困りますので、真剣にこれから取り組んでまいりますし、また予算等についても、環境衛生関係の予算については毎年計画どおり大体伸ばしてきておりますが、なお特別に一番大事な三つの問題、最終処分地の確保、それから減量運動、それから資源再利用の技術開発並びにこれに対するいろいろな適応の施設等、この三つにつきまして真剣に今後は努力をして何とか解決を図っていきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  238. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  239. 楯兼次郎

    楯委員長 安藤巖君。
  240. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、保健所の問題、それからそれとの関連で虫歯の問題についてお尋ねしたいと思います。  地域の住民の疾病予防あるいは健康の保持に保健所が相当大きな役割りを果たしているわけでございますが、保健所の所管地域人口といいますか、これは保健所法の施行令によりますとおおむね十万人を基準にして設置するというふうにうたわれておりますけれども、現状は大体そういう基準に適合している状態と見ておられるかどうか、まず最初にお尋ねをいたします。
  241. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 先生おっしゃいますとおりに人口十万を基準として設置するということが施行令に書いてあるわけでございます。実際問題としては、現在人口がふえておりますので、一保健所当たり平均的には大体十三万人ぐらいになっております。しかし、これは地域によりましていろいろと差があることは事実でございますが、一応おおむね十万というラインで――施行令には「但し、交通事情、他の官公署との関係、公衆衛生状態、人口の分布状態等を考慮し、特別の事情があるときは、この限りでない。」こういうただし書きもついておりますが、一応この程度で機能は果たしておるのではないかというふうに考えております。
  242. 安藤巖

    ○安藤委員 保健所の運営についてという、これは大分古いのですが、昭和三十五年九月二日、それから一次、二次と改正がありまして来ておるのですが、それによりますと、人口二十万人以上で、そのときには分割するのだ、二つの保健所をつくるのだ、分割した後にいずれの所管人口も七万五千人以上という条件が達成されなければいかぬという趣旨のものがあるのですけれども、これによると二十万人以上にならないと新しい保健所をさらに設けるということにはならぬ。だから、聞くところによると、十万人ということを言っておるけれども、それは十万人単位ということで、十九万人までは一つの保健所でいいのだということを厚生省当局は言っておるという話も聞いておるのですが、この基準は、いま一体どういうふうになっておるのですか。
  243. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 確かに、先生おっしゃいますように、この基準というのは現在生きているということば事実でございます。ただ、これは昭和三十五年でございますので、それから相当の年数がたっております。そのために、いろいろ周囲の事情が非常に変化をしてきております。たとえば、人口の移動が非常に激しゅうございまして、現在一番小さな人口を抱えておる保健所はもう一万を切っているという事情が一方ではございます。一方では、先生おっしゃいますように二十万を超える人口の保健所というところも出てきておる、こういうことで、その保健所を、ある程度小さいところはいわゆる合併をしていただくというようなことで整理し、一方ではそういうところへつくっていくという全体的な計画というものをもっと立て直さなければならないという時期に来ているというふうに、私どもは考えております。  そういう意味で、先ほどの昭和三十五年の通知というのはいま生きてはおりますけれども、非常に実態に沿わなくなってきているというのが実情でございますから、私ども、保健所のあり方というものをこれから鋭意再検討したいというふうに現在考えております。
  244. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、お尋ねしたいのは、いま大体平均十三万程度、これは最初の施行令の基準に大体、まあおおむねという表現ですが、それに合致しているというお話ですが、これが十四万あるいは十五万ということになってきた場合、二十万近くにならなくても新たに保健所をつくるというようなことはお考えになっているのかどうかという点は、どうでしょうか。
  245. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 実は私ども、本年度の予算で市町村保健センターということを考えたわけでございます。これは、いわゆる対人保健サービスというのはできるだけ地域住民に密着した場で行うのが望ましいという考え方でございまして、そういうことで市町村に保健センターをつくるということを考えたわけでございます。先生おっしゃいますように、保健所というのはわりに広い地域に一ヵ所ということがあるわけでございまして、そういった意味で対人保健サービスをもっときめ細かく進めていくという考え方でそういうふうな新しい施策を考えたわけでございます。そういたしますと、今度は、保健所とその市町村保健センターというのがそれぞれどういう役割りを持つかということが、これからは問題になってくるのではないかと思います。  そこで、先ほど申し上げましたように、人口の移動の問題もあり、さらに新しくその市町村に対人保健サービス部分を強化していくということと相まちまして、保健所のあり方というのを、これから本年にもすぐにも検討したいというのが、実際いま私どもが考えているところでございます。
  246. 安藤巖

    ○安藤委員 具体的な、私がいま質問しましたような人口割りで何人以上になったらというところまではお答えはしにくいだろうと思いますし、いま保健センターの話もあることは知っておりますので、それとの絡み合いでいろいろ見直しをしていきたいというお話ですね。  そこで、保健所の職員の問題についてお尋ねをしたいのです。  いろいろな職種があります。が、地方自治体あるいは住民の人たちの要望としてどういう職種の人をもっとふやしてほしいというような要望があるか、どういう職種が一番強い要望になっているかという点はいかがでしょうか。
  247. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 ちょっとなかなか、各県によりましてこういう人員がふやしたいということは必ずしも一本化されているような形ではございませんが、現在、やはり対人保健サービス関係、それから環境問題関係、公害関係、こういったようなところが比較的要望が多いところではないかというふうに感じております。
  248. 安藤巖

    ○安藤委員 全部の市町村についてお尋ねしておると範囲が広くなり過ぎますのでお答えになりにくい点があろうかと思います。ですから、都市部に限ってお尋ねしたいと思うのです。いま何々関係というふうにおっしゃったのですが、職種ですね。保健婦さんとか、栄養士さんとか、それから後でお尋ねします歯科衛生士さんとか、いろいろ職種があります。レントゲンの技師さんとか、いろいろあると思うのですが、職種の関係で都市部ではどうなんでしょうか。私が聞いておるところでは、保健婦さんに対する要望が非常に強いと聞いておるのですが、いかがでしょうか。
  249. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 保健婦さんに対する要望が強いところもございますが、一面、たとえば環境の監視とかあるいは公害の調査とか、そういったことに対する要望も都市部ではわりに強いということが言えると思います。
  250. 安藤巖

    ○安藤委員 いまいろいろおっしゃったような、所によってはそういうような職種の人たちに対する要望というものも強いだろうと思うのです。  ここに私が持ってきております。もちろん厚生省の公衆衛生局保健所課でおつくりになった報告書ですから御承知のとおりなんですが、これによると、たとえば「健康を守り育てるために――基本的な考え方」という項目では、「医師、歯科医師等の必要な要員が確保されなければならない。とくに保健婦の計画的な養成、確保こそ急務である。」という指摘があるわけですね。それから、「地区レベルでは保健婦等の活動に期待される分野が極めて大きいので、その必要数を確保すべきである。」「現状では、保健婦は絶対数が不足しており、その大幅な増員を図ることは急務である。」という指摘があるわけなんです。  だから、こういうところからすると、保健婦さんの増員というのはまさにこの指摘のように急務であるという状態ではなかろうかと思うのですが、そういうような認識は持っておられないのですか。
  251. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 確かに保健婦さんが一体どのくらい必要かということでございますけれども、これは非常に常識的なことで言えば多ければ多いほどいいということにもなってしまいますし、実際保健婦さんがどの程度いれば一番適当かというのは、現在のところまだはっきりとした数字は私ども現実に持っておりません。これも先ほど申し上げましたように、市町村保健センターというのは、実際に保健婦さんが地域で活動するというのに便利な施設をつくろう、こういう考え方でございまして、結局保健婦さんができるだけ効率的に働けるというようなことを考えて市町村保健センターというのをつくる予定をしておるわけでございます。  そういった意味で、先ほど申しましたように保健所の保健婦さん、市町村保健センターの保健婦さんはそれぞれこれからどう働くのか、そして、確かに足りないといえばいつでも足りないということにもなるわけでございますが、一体どの程度あれば現在の社会に最も適応するニードにこたえられるのかということ、これは需給計画も含めまして、先ほど申し上げましたようにこれからできるだけ早急に検討しよう、こういうふうに考えております。
  252. 安藤巖

    ○安藤委員 必要最小限度というようなところを考えるのが普通だと思うのですけれども、多ければ多いほどいいということでは解決つかぬと思いますね。しかし、先ほどの保健所の所管人口じゃございませんけれども、保健婦さん一人当たり大体人口何人くらいが妥当だろうかというような目安というようなものは持っておられるのじゃないでしょうか。
  253. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 現在のところ、ただいま申し上げましたように目安というのも実際には持っておらないというのが実態でございます。
  254. 安藤巖

    ○安藤委員 目安も持っておられないということになりますと、それぞれのニーズに応じてということですが、私が実務に当たっている人から聞いた話ですが、大体保健婦さん一人当たり五千人くらいを担当するというのが適当じゃなかろうかという意見も聞いておるのですが、そういうような考え方というのは厚生省としてはお持ちになったことはないのでしょうか。
  255. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 従来公衆衛生の専門家の間で、何人くらいいたらいいのか、何人に一人保健婦さんが必要かというような検討をいたしておるわけでございますが、大体そういう先生方がおっしゃっている研究の基礎となっておりますのは、たとえば乳児は何ヵ月に一遍訪問すべきだ、結核は何ヵ月に一遍行くべきだ、こういうようにして積み上げるわけでございまして、その一番問題になりますことは、何ヵ月に一遍というところが、一体どれが一番リーズナブルといいますかそういうのがあるだろうかというので、学者の方々によってまちまちになっているというのが実情でございます。そういうことから、時代によりましてそういった必要回数というのはいろいろずれておりますので、いろいろな説がございますが、先ほど申し上げましたように、私どもはっきりした考えを持ってないというのはそういういきさつからでございます。
  256. 安藤巖

    ○安藤委員 しかし、そういう所管人口保健所当たりというのはあっても、保健婦さん一人当たり何人ぐらいが適当かという考え方を全く持っていないということになると、保健所の中には先ほど言いましたように幾つかの職種があります。厚生省の方はそれを込みで予算を組んで予算定員というふうにしておられる、これもわかっておりますけれども、その保健婦さんを多くするか、ほかの職種を多くするかということは、それぞれの自治体において定員を決めておやりになるということですが、保健婦という職種で何人に一人くらいというような目安がなければ、これはほかの職種にも当てはまると思うのですが、予算定員というのをどうやってはじき出すんだというようなことになってくるわけですね。結局大蔵省と交渉して、大蔵省がここまでだと言って、予算の面からの規制によってニーズがそうなっておりますということを言わざるを得ぬことになると思うんですよ。  だから、五千人なら五千人に一人の保健婦さんがいるのが本当にリーズナブルなんだ、いまの流行じゃないけれども、まさにニーズに相応するものだ、こたえるものだということではじき出して、大蔵省へきちっと要求して、そしてちゃんと予算措置をするというのが考え方の基本じゃないですか。それを、保健婦さん一人に人口何人か、いろいろの説があってさっぱり見当がつきません、考えておりませんというのでは全然答弁にならぬと思うのですが、それは全く考えてないのですか。何らかの目安がなければおかしいと思うんですがね。
  257. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 全く目安がないというのはちょっとあれなんでございますが、先生承知のように現在保健所の補助定員というのがあるわけでございますが、これにつきましては従来から、現に保健所で当時働いていた実態に応じて予算的にずっと動いてきているというのが実情でございます。そういう意味では実情をそのまま肯定しているというような形でございます。  ですが、先生がおっしゃいますように計画を建てろ、こういうことになりますと、これは私ども相当慎重にならなければならないというのは、たとえば何回健診をするとか何回訪問するとかいう前提がすべてにかかりますし、それと同時に地域の問題、広さの問題も絡んでしまうわけでございます。田舎の方に参りますと、訪問するのに一人の人が何人できるかというのは都市の場合とも違いますし、そういうようなことをわれわれもう少しきちんと細かく考えてみたいということで、コンクリートな形でこんな計画なりあるいは予想なりということはちょっといまのところ持ち合わせておらぬ、こういう意味合いで申し上げたわけでございます。
  258. 安藤巖

    ○安藤委員 持ち合わせておられないということであれば無理にお答えいただくわけにはまいらぬと思うのですが、これは早急にお立てになる必要があると思うのです。いま農村の場合をお話しになったのですが、先ほど言いましたように、私は都市部に限ってお尋ねをしているんですけれどもね。いろいろ実務をやっておられる人の話からすると五千人くらいという話があるんですね。だから、これは早急にお立てになってしかるべき話じゃないかと思うのです。  そこで、たとえば名古屋市の場合で言いますと、一つの保健所に六、七人保健婦さんがお見えになるんだそうです。十万人の区ですと一人一万五千人、それから十二万人の区だと一人の保健婦さんが二万人ということになります。だから、先ほどの五千人というのはどうかということ、まだこれははっきりしたことをお答えいただいていないわけですけれども、それが妥当だということになると、三倍ないし四倍の人を一人の保健婦さんが担当しているということなんですね。となると、これは地域の住民の健康保持あるいは疾病の予防ということになると手が回りかねるのじゃないかということを憂慮するわけなんです。だから、これは増員を図ってしかるべきじゃないかということを強く希望し、申し上げておきたいと思うのです。  しかも、保健所にいろいろ新しい仕事がだんだんふえてきておりますね。これは私が教えていただいた範囲ですから御存じのとおりですけれども、たとえば五十二年だけでも先天性代謝異常検査、それから一歳六ヵ月健康診査、それから風疹予犯接種、こういうふうにふえているわけでしょう。それから五十一年度でも、乳児保健相談事業というのですか、こういうのも保健所で新たにやっているところがあるというふうに聞いております。しかし、前の古いのはやめたというわけじゃなくて、あるわけです。そして新しい仕事がどんどんふえてくるわけですから、それによってやはり人もふやしていくべきじゃないか、予算定員をふやすべきじゃないかということを申し上げたいと思うのです。  さっきの保健婦さん一人当たり何人かということはこれは早急にはじき出していただきたいのです。訪問する場合に月に何回がいいかということもやはりはじき出して、毎日というわけにはまいりません、一週間に一遍というわけにもいかぬかもわからぬですが、大体の目安というものをはじき出してその基準をつくっていただきたいと思います。  そこで、虫歯、特に子供さんの虫歯の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、しばらく前から幼児の虫歯が非常に多い。これは子供さんの成長にとってもよくないし永久歯にも影響があるということで、大きな社会問題にもなっていると思うのですね。  まず大臣に、そういう問題についてどういうふうにお考えになっておられるかということをお尋ねしたいと思います。
  259. 小沢辰男

    小沢国務大臣 幼児の虫歯というものは、本当にいろいろやっておりましても最近の増加傾向というのはなかなかとまらないわけでございます。そこで、やはりこれはまず第一に家庭教育、広報活動をやりまして常に清潔を保つ運動の展開というものをやっていかなければいけない。また学校歯科保健医等の活躍を願ってできるだけ予防思想を植えつけていく。それから、早期発見、早期治療をしていかなければいけない。それから、食べ物等についても十分気をつけるような教育の徹底もしていかなければならない。一部にはいろいろ異論がありますけれども、弗素の問題について、これは検討を加えるべきだと思いますが、住民の理解を得つつ、そういうような鶴歯の予防に役立つ点の普及というものも図ってまいらなければならぬと考えておりますし、特に最近、いま国会にもお願いをいたしまして、診療科名の中にたしか今度小児歯科の診療科名を特設をしていただくようにしておるのも、子供の鶴歯予防の一つの姿勢のあらわれと御理解いただきたいと思うわけでございまして、御指摘のように大事な問題でございますから、大いに努力をしてまいります。  専門的なことは、医務局長が来ておりますから……。
  260. 安藤巖

    ○安藤委員 時間が余りありませんので、そうしていま大臣の方から相当高率な虫歯の疾病があるというお話もありましたので、細かいことは一々申し上げませんが、虫歯を持っている者の率、乳歯、一歳から十五歳未満で六二・六%、永久歯、五歳以上八五・五%、乳歯プラス永久歯、五歳から十五歳未満で九七・二%という数字が出ておるわけですね。これは「歯科疾患実態調査の概要」というものの中にあるわけですけれども、厚生白書でもほかの疾病とは比較にならない異常な高率、そしてこれは自然治癒がないということで大きく問題点指摘しているわけです。  そこで、家庭の衛生思想の普及等々、学校での教育とかいろいろおっしゃったのですが、先ほど話に出ました弗素塗布、この弗素塗布の問題についていろいろお尋ねするつもりはありませんが、弗素塗布を契機にして設けられました歯科衛生士、これはやはり先ほどの保健所の職種の中にもあるわけなんですけれども、この歯科衛生士の人たちは弗素塗布が発端にはなっておりますけれども、弗素塗布ばかりやっているんじゃなくて、いま大臣がおっしゃったようないろいろな啓蒙活動、教育、宣伝というようなこともやっておられるということは厚生省の方も御存じだろうと思うのですが、いかがでしょう。
  261. 佐分利輝彦

    ○佐分利政府委員 歯科衛生士の業務といたしましては、歯科医師の直接の指導のもとに歯の付着物、沈着物を機械的に除去するというのが一つ、それから口腔内に薬を塗るというのが二つ、それから最後に診療の補助をするということでございますが、当然、ただいま御指摘ございましたように、地域の歯科保健指導も行えるわけでございます。
  262. 安藤巖

    ○安藤委員 そのほかに地域のこういうことも行える云々というふうにおっしゃったのですが、私が現実に歯科衛生士の人に聞いてみますと、こういう仕事をやっておるのですよ。月一回の母親教室、これはおなかに子供さんのあるお母さんの時代からいい歯を持った子供さんが生まれてくるようにということで、栄養補給の関係ですね。それから三ヵ月児に対する、これもお母さんに対する指導、月三回。それから新しくことしから実施に移されております一歳六ヵ月の、先ほど言いました健診の中の一環としての指導、それから三歳児の指導、それから弗素塗布がもちろんこの中に希望によってあるわけですが、地域婦人を対象にした口腔衛生の普及、幼稚園児に対するもの、それから歯の衛生週間にいろいろやるとか、こういうふうにいま非常にたくさんの仕事を持っておられるわけです。ですから、歯科医師の介助とかあるいは機械的にどうこうする、ほじくるとか、あるいは弗素塗布をするとかということばかりではないということを、まずはっきり御認識いただく必要があると思うのです。  そこで、私お尋ねしたいのは、弗素塗布にしても、これは歯科医師の人が弗素塗布をしてもいいかどうかということをきちっと診断をした上でやる必要がありますね。それからいろいろな相談にあずかるにしても――相談ということはできるのですが、健診ということは歯科衛生士さんはできない。これは歯科医師さんをふやさなければいかぬことになるわけですが、しかしお母さん方が必要としているのは、健診もそうですか、どういうふうなことで子供さんに物を食べさせたらいいかとか、甘い物はどういうふうに控えたらいいかとか、あるいは歯みがきはどうしたらいいかとか、あるいはすぐお医者さんにがかった方がいいかどうか、そういう点についての相談というのをお母さん方は非常に望んでおられるということが出てきておるのです。だから、これにおいて、いま私が言いましたような活動をたくさんやっておられるというのが現状だろうと思うのです。  そこで、先ほども名古屋の例を申し上げたのですが、名古屋の例で言いますと、名古屋は十六の行政区があります。各区に保健所が一つずつあります。だから十六保健所があるわけですけれども、現在は八人しか歯科衛生士の人がいない。だから一人の歯科衛生士さんが二つの行政区を担当している。そしていま言いましたような仕事をやっておるわけなんです。だからとてもじゃないが、これは忙しくてたまらぬ。先ほど言いましたように、保育園児に対するいろいろな啓蒙活動などもやりたいと思うけれども、そこまでは手が回らぬというのが実情です。それで二つの行政区を担当しておるといいましても、所属している一つの行政区に一週間のうち五日間いて、あと一日だけをもう一つの応援に行く区に行くしかできないんだという切々たる訴えがあるわけなんです。  だから、こういうことからしますと、これは都市部に限るんじゃないかと思うのですが、そうでないかもしれませんが、一つの保健所に一人の歯科衛生士の人はどうしても必要だという状況になっているのではないかというふうに思うのですが、そういうような方向でお考えになることはどうかということを、まずお尋ねしたいと思います。
  263. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 私ども確かに、口腔衛生というのは非常に保健サービスとして重要な分野だということはそのとおりだと思います。しかし、保健所の歯科衛生士に対しますところの需要というのは地域特性その他の状況によっていろいろ変わっているのではないかと思います。最初に先生指摘なさいましたように、われわれの方で予算定員というのがあるけれどもそれは適当にやりくりしておるということもよく御存じだということでございまして、そういう意味では歯科衛生士も国家補助対象ではございますが、それぞれの保健所におきまして、こういう職種が一番欲しいというのに適当に配置をなさるということは可能ではないかというふうに思っておりますが、さしあたり全保健所に全部一人ずつ置くというのはちょっと考えておりません。
  264. 安藤巖

    ○安藤委員 それは所によって違うと思うのです。しかし、少なくとも都市部においては、いま私が言いましたような非常にたくさんの要望があって口腔衛生の啓蒙活動をたくさんやっているわけなんです。これをお母さん方が望んでいるわけなんですね。こういう多面的な活動をしておる歯科衛生士という人。ですから、厚生省の方から必ずこの人はすべての保健所に一人ずつ置けということを指示されるということはいろいろな問題があろうかと思います。しかし、先ほど言いましたように、これは結局保健婦さんの問題と同じことなんです。予算定員をもっとふやしていただいて、それぞれの地方公共団体が歯科衛生士さんを必ずそれぞれの保健所に一人ずつ置けるようなことを考えていただくべきじゃないか。だから、最終的には予算定員をもっとふやしてほしいということなんですが、その中身としては、歯科衛生士の問題にしろ保健婦さんの問題にしろそういう具体的な問題があることを理解していただいて、人員をふやすことをお考えいただきたいということをお願いしておきます。  最後にもう一点ですが、いまの歯科衛生士さんは女性でないとなれない職種なんです。栄養士の人は男性でもなれますけれども、実際問題としてはほとんどの人が女性ということになっております。首をかしげておられるようですが、歯科衛生士さんはそうなんですよ。それは違うというならまた別ですけれども。  そこで、この歯科衛生士さん、それから栄養士さんの産休代替要員の雇い上げ賃金の保障がなされてないのですよ。これは何とかしていただく必要があると思うんですね。女性でなくちゃできない職種ですよ。それはお産もしますよ。ところが、そういう代替の要員の人たちの雇い上げの保障がなされてないということになれば、市があるいは地方公共団体が単費でということがいま地方公共団体の財政難の折でむずかしいということになればサービスできない、保健所の仕事はできない、こういうことになるわけですね。だから、これはぜひとも考えていただきたいと思うのです.が、いかがですか。
  265. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 現在、産休代替職員の雇い上げというのは、保健婦、助産婦、看護婦につきましてはやっておるわけでございます。この考え方の中には、保健婦、助産婦、看護婦につきましては、ある意味でいけば相当緊急な事態が起こることもあり得るので、そういうときにいないということが大変な問題を起こすことになりかねないということから代替という考え方をとっておるわけでございます。そういう意味からしますと、歯科衛生士、栄養士という場合に、いままでの考え方で緊急な事態が起こったときにいなければならぬということとちょっとずれがあるというところから、産休代替という考え方をとっておらないわけでございます。
  266. 安藤巖

    ○安藤委員 発想の転換をぜひともしていただきたいと思うのですが、先ほど私が言いましたように、たとえば三ヵ月児に対する指導とか、一歳六ヵ月児に対する指導とか、三歳児の指導、あるいは母親教室とか、地域婦人に対する口腔衛生の教育指導とか、たくさんあるのですよ。これが月一回、月二回、月三回、ずっとあるわけです。だから、それは緊急の場合じゃないかもしれませんが、その間すぽんと抜けてしまう。しかも人数は、名古屋の場合は二つの行政区一人でしょう。具体的な問題としては二つの区が抜けてしまう、こういうことになるわけですね。だから、これは考え直していただく必要があると思うのですね。  それからもう一つ、育児休業の場合、育児休業の期間中の代替要員の賃金の保障の関係についても歯科衛生士と栄養士の人たちは抜けているわけですね。これは相当長期にわたるわけです。ですから、これも考えていただくべきじゃないかと思うのですが、両方まとめてもう一度発想の転換を求めてお尋ねします。いかがでしょうか。これは大臣にもお尋ねしたいと思うのです。
  267. 小沢辰男

    小沢国務大臣 地方庁が財政上容易でないから国がそこまでめんどう見ろ、こういうお説でございますが、地方と比較しても国の方もいま財政上もっと大変な事態でございますから、やはり全部を見ないというわけじゃないので、女子の勤務員のうちで緊急事態が発生するおそれがあるような職種については見ているわけでございますから、そのほかはやはり地域住民のためでもありますので、国全体は国民の保健を守っていかなければいけませんけれども、それぞれ分担をしていただいていいんじゃないかと思いますから、地方が苦しいから何でも国で持てとおっしゃらないで、先生せっかく名古屋におられたら名古屋の市長にも大いに言っていただいて、ひとつ名古屋市でもがんばっていただきたいと思うのです。国が徐々に広げていかなければいかぬということはわかりますけれども、一遍にそこまでいまやれと言われましてもなかなか容易でありません。国も財政がいま容易でないのですから、ひとつその点は御理解をいただきたいのです。  定員を増すことについては、私もこれは、たとえばいまの一つの保健所で一人という御要望については理解できますので、この点は逐次努力をしてまいらなければいかぬと思いますが、産休代替あるいは育児休暇の代替の賃金の裏づけを予算的にやれ、こう言われましても、一遍にはなかなか困難だと私は思うのです。というのは、やはりこっちも財政がありますものですから、看護婦さんや助産婦さんや保健婦さんについては国の方でめんどうを見るから、そのほかの女性の勤務者の代替というと栄養士と歯科衛生士でございましょうが、それらについては、どうでしょうか、地方の方でも負担を願って、両々相まって女性のそうした職場における処遇のためにひとつ尽力していく、こういうことでいかせていただきたいと思います。
  268. 安藤巖

    ○安藤委員 もう一点だけですが、大臣、いまのお話は地方の自治体の財政が困難だからどうか、もちろん結果においてはそういうことになるのですが、国の方からの補助の出ている地域の住民に対するサービス、地域の住民の健康保持、疾病予防という大事な仕事を担当して、これは国の方から予算の措置が出ている職種なんですから、そういう意味で産休あるいは育児休業の間それが抜けるということになってはいけないので、地方自治体も努力するけれども、国の方からそれは処置をしてもらいたいということなんです。そういう趣旨で申し上げておるのですから、発想の転換ということをやはり考えていただきたいと思うのですよ。
  269. 小沢辰男

    小沢国務大臣 だから必要な配置要員については人件費は見ているわけですから、その人がたまたま臨時的にそういうような事情で欠けるようなときの穴埋めの予算は地方でもやっていただきたい。しかし、全部というわけにいかないということで、助産婦、保健婦、看護婦について、これは理屈かもしれませんけれども一応緊急事態発生等の場合のこともありますので見ているわけですから、他の二職種についてはひとつそういう臨時的なものについて見てください、こう申し上げているので、私はそんなに無理を申し上げているつもりはないのです。
  270. 楯兼次郎

    楯委員長 次回は、明二十一日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会