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津島委員 ただいまの
大臣の御答弁で、はしなくも
大学の
管理問題、
大学のいわゆる
自治をどう考えるかという問題に、
昭和四十三、四年のあの紛争に触れながらお触れになったのでございますが、その問題に触れるちょっと前に、これは後ほど
委員長に見ていただきたいのでございますが、いま
東大の中にあるいろんなビラでございますけれ
ども、私はこれが
国有財産を汚しているというような程度の低い議論はするつもりはありませんけれ
ども、この中で非常に目立ちますのは、第一点が特定の教授に対する人身攻撃、つまりこれは教授の
姿勢、物の考え方に対する重大なる脅威であります。つまり、これが平気でおられるというところに、一体
東大当局が
学問の自由をどう考えているのか、私はこういうことを問いたいのでございます。
いまの神経科
病棟については、幸か不幸か共産党と自民党とブル新と三つ並べてしかられておりますから、大変幅の広い戦線を張っておるようでありますけれ
ども、特定の方が非常に強い攻撃を受けている。私のような気の弱い者であれば、ちょっと
大学には行く気が出ないというようなビラでございます。さらに三里塚の闘争を非常に強く宣伝をするビラがたくさん張られてあったようであります。これは新学期を控えていまちょうど法文系を塗りかえておりますから大分ばがれてはきておりますけれ
ども、これも明らかに
暴力行為を使嗾するビラを平気で張らせるということ、このことをもう少し
学校当局も深刻に受けとめていただきたいのです。
先ほど
大臣が言われたように、まさに
学問の自由とそれから学ぶ権利に対する挑戦が内部から起こっているんだという危機感を持った場合に、いままでのような
大学当局の対応では済まされないということが言えるのではないかと思うのであります。
さて、それではあれだけの
昭和四十三年、四十四年の紛争を経験して、
大学の方も大分対応策を考えられたといま
大臣は言われたのですが、私は東京
大学の
昭和四十四年に出た「
大学改革準備
調査会第一次
報告書」という、これを通読させていただきました。この中で感心をした面もありますが、非常に驚いた面がある。この中に「
学問の自由と
大学の
自治の基本的問題点」とありまして、その第一に、「教官の独善と
大学の頽廃の可能性」、つまり
大学の教官というものは、絶えず独善的にならないように社会的な要請を頭に置いてやっていかないと、これは社会から遊離するし、ひいては
大学の頽廃を生むという問題点を
指摘しておるのでありますが、さて今回のこの
大学紛争を乗り越えて新しい
大学の
自治の基本的方向を模索するとなりますと、五つの提案をしておりますけれ
ども、この中で一般社会の正常な意見をどのようにして
大学の
教育と
大学の
管理の中に持ち込むかということは、いつの間にかすうっとなくなっているのであります。つまり、ここにいまの
国立大学の
管理体制が教授陣を
中心に行われているところから、必然的に出てくる独善性がおのずから出てきている。自分で独善的にならないようにしましょうと書いておいて、それはわれわれだけで、
大学の内部だけで議論すればいいんですという結論になっていると言わざるを得ないのであります。
これは、いまの
国立大学が旧制の総合
大学、いわゆる帝国
大学のタイプ、そしてそれに新制
大学が併設されてきた中で、
大学の
管理体制を旧制
大学の
教授会を
中心に組み立てていった。それに対して、何度も
占領時代から
大学の
管理の
あり方についていろんな提案がなされたのを全部はねのけて、結局は旧制
大学の教授陣
中心の
管理体制になっているというところから出てきた。重要な宿題をそのままにして、形だけは戦前の旧制帝国
大学の
管理陣がそのまま残っている。その
管理陣に対して、いかなる外部からの批判をも受けつけない、つまりそれが
大学の
自治であると言わしめるような現状になってきていると言わざるを得ないのであります。
私は、これを非常に心配するのであります。なぜかと申しますと、いまこれだけの内部から問題が起こっている。また外部から見ましても、いまのたとえば東京
大学を見ますと、ただ
東大に入るために若い人たちにああやってむなしい受験勉強をさせている。さて入ってからの
教育がどうなっている。私は大蔵省におりましたときに、
東大から入ってくる若い者を部下に使ったことが何度もありますけれ
ども、まあ十年近く訓練しないと、経済学部を出てきた学生も一人前にはとうていなれない。法律を出てきた学生も、税法を理解するのにはやはり十年近い厳しい訓練が要るということを、みずから経験しております。
つまり、いま
大学の教科の内容が、本当に社会のニーズに合わなくなっているという現実がございます。このように
大学の内部と外側の双方から問題が出ているにもかかわらず、いまの
大学の
管理の形態はまさに戦前の旧制帝国
大学の
教授会中心であり、これに一指をもつけさせないという現状であると言わざるを得ないのでございます。
私は、かつて
大学管理法がいろいろ議論されました
昭和三十七、八年に、いわゆる
大学の
国民に対する責任ということが強く言われたのでありますが、いまもう一度それを喚起しなければならない時期に来ていると思うのでございます。時間があればもう少し細かく中身に入りますけれ
ども、このような点を考えますと、いまもう一度この
大学の閉鎖性を破って、本当の意味で
大学の
自治を尊重しながら、教授の意見で尊重しながら、しかし同時に健全な
国民的な要請と生きた社会との接触を取り戻すような
大学管理体制の御検討をぜひ始めていただくべき時期に来ていると思うのでございますが、
大臣の御意見はいかがでございましょうか。