○原(茂)
委員 こんなことは冷静に考えてみれば、これは我田引水かもしれないが、私の言うのが正しいと思う。しかし
長官がそう言うなら結構です。いま
長官が
答弁したように、ひとついまの
答弁の範囲で結構ですから、意見を示していただくようにお願いする。いいですね。それで、そのことの当、不当も含めて後から順次物を言っていきます。
いま施設庁にも聞いていたのですが、施設庁は、とにかく
個人の
秘密だからといって出さない、われわれ調査をしようとする人間の方から言うと、これは
個人の
秘密に値しない、こういうところでいま壁にぶつかっているのですね。そのときに、法律的な解釈が一番正しいと私は思うのです。やはり立法国ですから、法によってあちらからもこちらからも攻めていって法的な結論を出すことが一番正しいのです。そういう意味であなたに申し上げているのですから、きょうの速記録も見ながらもう一度考えていただいて、いま私の言うとおりの
資料の
提出は
要求しませんから、いまあなたが
答弁された範囲、四つのことを言いましたが、その範囲で文書で
答弁をするなり、私に対する適切な意思表示をお願いをして――いまあなたは施設庁に対しても物を言うと言いましたが、ぜひ言っていただく、そしてこういうことを言いましたということもあわせて報告をいただくということをお願いしておきます。
それで、いまの問題に直接入る前に、今日まで
資料提出要求を拒否してきた
防衛施設庁の態度に対して、もうちょっと違った角度から物を言う。
国会の
審議権なかんずく
決算の
審議権に対する
行政府の否定として私はとらえている。これはあらゆる
委員会において、ロッキードが、ソウルの地下鉄の問題が、あるいはまた数々の汚職があったそのときの
国会の
審議において、常に
行政府は、われわれの
審議権なり調査権を否定していると同じような
答弁やごまかしや、そういう態度でずっと押してき、それが習慣になったように、いまや
国会の
権威というものは
行政府によってだんだん地に落ちているのが現状なんです。今回の
防衛施設庁の態度も全くこれと同断であります。
以下、重ねてその意味から私は追及をしていきたいと思うのです。
防衛施設庁に見舞い金という
林雑補償金を
申請するその書類及び
個人別の
補償金の明細書には
プライバシーなどは存在していない。仮にしているとしても、いま申し上げたように、それはみずからそこでの
個人の
秘密として保護されるような権利は、これを放棄しているものと考えております。
山梨県という地方公共団体が出している
申請書などは、厳密な意味でそもそも
プライバシーなるものは成立するでしょうか。絶対しないと思う。
しかるに、
防衛施設庁は、
理由にならない
理由をあえてこじつけまして、自己の行っている違法、不当な
支出について、それを覆い隠さんとして、
申請者が同意しないということにその責任を転嫁している。これこそたださるべき姿勢であると私は考えておりますし、このことがいかに不当なのか、それはいま述べたように、法的にも成立し得ない
虚偽の
理由づけを行っているからだけではない。このことは、ほかならぬ
国会の財政事項に対する
審議権を真っ向から否定するものであり、
憲法違反をあえて行っているものと断ぜざるを得ない。
申すまでもなく、
憲法第九十条は、
政府に、
決算につき
国会にこれを報告させ、
国会においてこれについての当否、批判を行わしめる制度を規定しているものである。
国会は、
政府より
決算について報告を受けて、個々の具体的事実について批判、検討、
審議しなければならない
憲法上の責務と権限を有しているのである。このことは、
昭和三十六年六月六日、
決算委員会で、当時の池田国務大臣がはっきりと
答弁をしているところであります。
しかるに、その責務を果たさんとするに、何も
資料がない、ただ数字が羅列されている
決算書をもらって、一体どのように批判、検討、
審議することができるというのか。当然これを
審議するに当たっては、
決算に関する
資料を各
委員がその
関係する主務官庁に
要求できると解さなければ、
憲法第九十条の当然予想している
決算についての個々の具体的事実についての批判、検討、
審議は、これをなし得ないと言わざるを得ません。
事実を知る権利を否定することは、暗やみで医薬の処方を
要求するのと全く同じであり、まさしく
申請書などの書類及びこれについての主務官庁たる
防衛施設庁の判断等を示す書類など、
決算についての不可欠なる
資料の
提出を拒否することは、この意味において、単に
虚偽の
理由づけをやる不当な拒否にとどまらず、
憲法上の
決算に関する
審議権を事実上否定しているのと全く同じであります。
この
決算に関する
審議権こそ、
政府の財政に関する各事項について、国民の代表としての
国会が監督する機能を負担させられているものであります。もちろん、
国会と言っても実質的には衆参両議院において行われるものでありまして、またその議院においては、
決算委員会においてこれを行わしめていることも事実であります。したがって、
決算を
審議すべき
決算委員会が、その
決算に直接関連する
資料を
要求するのは、単に権利と言うにとどまらず、義務ですらあります。そうでない限り、われわれの構成する議会は、
行政庁の
決算についての翼賛機関となってしまうのであります。
このことは断じて
憲法の許容するところではない。またこれは、国民の厳粛な信託を受けた国政についての監督を果たすことができなくなるのであり、主権者たる国民に対してその責任を果たすことができなくなります。まさしく
防衛施設庁のこの
資料提出要求拒否は、その
資料が
決算について直接関連性を有することにおいて、拒否する
理由は全くないと言わざるを得ない。
このように、
決算委員会に属する議員が、その
決算審議のために必要不可欠な
資料の
提出要求を各
関係主務官庁に
要求できるとすることは、別段の規定を待たずして自明のことであると私は確信しています。まことにかかる
要求を行えると解することは、規定の有無にかかわらず、当然各
決算議員の有するところであると言わざるを得ない。
また、このことはあえて論ずるまでもなく、慣習的に当然のこととして行われているのであり、確立されている慣行でもあり、
憲法、慣習法上も、これを承認していると言っても構わないと思います。
かように、
決算委員が
決算に直接関連する
資料を
関係主務官庁に
要求することができるとすることを、
行政庁は法的に承認することができるのかどうか。蓋然性があるからという程度のものについてではなく、直接関連性を有するものについてなのであります。言えかえれば、
一般的に見ても、日常的に各
国会議員が、各
関係主務官庁に、自己の属する
委員会の職責を全うするために、それに直接関連する
資料を
要求し、各
関係主務官庁もこれに応じているのは、
行政庁の
国会議員に対する恩恵としてではなく、あくまでも
国会の有する
行政庁に対する監督
権能に対しこたえるべきものとして行っているものであると私は解釈をいたします。しかし、いまここでこれは
一般的に論ずるのではありません。特に
決算については
憲法第九十条の規定が存するのであるから、その
決算に直接
関係のある
資料は、
決算委員から
要求があればこれを
提出すべき義務が
行政庁にはあると言っているのであります。
なるほどわれわれ
国会議員は、いま全国民の
国会議員としてあらゆる
行政について
政府に対し
質問をなすことができると解釈すべきで、またこのことは
国会法第七十四条により明示的に、御承知のとおり、規定されているところでもあります。しかし、私がここで言っているのは、かかる国政
一般についての
内閣に対する
質問という問題についてではない。したがって、
国会法第七十四条の
質問権によって、
資料の
要求をすることができるかどうかを問題にしているのではない。そのような意味において、もっぱら単に
資料を求めることを
目的とする
質問主意書は受理すべきではないかもしれません。これはわかりません。このことは、わが衆議院において、
質問主意書で
資料の
要求を含むものは受理しないという先例もあることであります。御存じの衆議院の先例集三十八年にございます。
しかし、私が言っているのは、
決算委員会が
内閣の
提出した
決算を
審議するに当たり、その
審議に直接関連する
資料をその
委員の一人が
要求し、これに主務官庁がこたえることは、恩恵的にこたえていることなのか、それとも義務として行っているのか、この点を明らかにしてほしいと思います。
ここでこの件に関しては
官房長官から
答弁をいただきますので、
官房の方はひとつ
長官が来たらこのことを言っていただきお答えをいただく。私は、義務として行っているのだというふうに解釈しますが、恩恵としてやっているのではないと思いますけれども、一体どう考えているか、そのことをまず
長官からもお
伺いをしたい。
法制局長官からこの件に関しての
答弁を、まずここでちょうだいする。