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1978-03-23 第84回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十三日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 國場 幸昌君 理事 葉梨 信行君    理事 森下 元晴君 理事 馬場猪太郎君    理事 原   茂君 理事 林  孝矩君       津島 雄二君    西田  司君       村上  勇君    高田 富之君       村山 喜一君    春田 重昭君       安藤  巖君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)     稻村左近四郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      清水  汪君         内閣法制局長官 真田 秀夫君         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         内閣総理大臣官         房会計課長兼内         閣参事官    京須  実君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         内閣総理大臣官         房広報室長兼内         閣官房内閣広報         室長      島村 史郎君         内閣総理大臣官         房総務審議官  大濱 忠志君         総理府人事局長 秋富 公正君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         沖繩開発庁総務         局会計課長   永瀬 徳一君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    文田 久雄君         行政管理庁行政         管理局管理官  佐々木晴夫君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         会計検査院事務         総局第三局長  松尾恭一郎君         沖繩振興開発金         融公庫理事長  岩尾  一君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ――――――――――――― 委員の移動 二月二十一日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月二十二日  辞任         補欠選任   林  孝矩君     坂井 弘一君   春田 重昭君     矢野 絢也君 三月一日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     岡田 春夫君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     村山 喜一君 同月四日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     林  孝矩君   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月七日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月二十二日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     安藤  巖君 同月二十三日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     山口 敏夫君 同日  理事林孝矩君二月二十二日委員辞任につき、そ  の補欠として林孝矩君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月二十八日  昭和五十二年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その1)  昭和五十二年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その1)  昭和五十二年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  (承諾を求  (その1)           めるの件) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔内閣所管総理府所管総理本府、沖繩開発  庁)沖繩振興開発金融公庫〕      ――――◇―――――
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。  それでは、林孝矩君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 次に、昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、内閣所管総理府所管総理本府等、沖繩開発庁及び沖繩振興開発金融公庫について審査を行います。  まず、内閣官房長官から概要説明を求めます。安倍内閣官房長官
  5. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 昭和五十年度における内閣所管一般会計歳入歳出につきまして、その概要を御説明申し上げます。  内閣主管歳入につきまして、歳入予算額は、九百五十四万円余でありますが、収納済歳入額は、二千四百六十九万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、一千五百十五万円余の増加となっております。  次に、内閣所管歳出につきまして、歳出予算現額は、七十六億四千三百九十九万円でありまして、支出済歳出額は、七十億六千五百四万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、五億七千八百九十四万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  6. 楯兼次郎

  7. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和五十年度内閣の決算検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。
  8. 楯兼次郎

    楯委員長 次に、稻村国務大臣から総理本府等及び沖繩開発庁について概要説明を求めます。稻村国務大臣
  9. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 昭和五十年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管歳入につきまして、歳入予算額は、四百八十七億五千九百七十五万円余でありますが、収納済歳入額は、六百一億七千七百八十三万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、百十四億一千八百七万円余の増加となっております。  次に、総理府所管歳出につきまして、歳出予算現額は、二兆八千四十四億三千四百八十七万円余でありまして、支出済歳出額は、二兆七千六百四十九億三千四百三十七万円余であります。この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、三百九十五億四十九万円余の差額を生じます。この差額のうち、翌年度繰越額は、三百三億八千六百九十六万円余であり、不用額は、九十一億一千三百五十二万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖繩開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係にっき申し上げますと、歳出予算額は、七千四百五十億六千八百三十一万円余でありまして、支出済歳出額は、七千三百七十四億三千四百七十四万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、七十六億三千三百五十七万円余の差額を生じます。この差額のうち、翌年度繰越額は、六十八億七千四百四十三万円余であり、不用額は、七億五千九百十三万円余であります。  翌年度繰越額は、恩給費等でありまして、これは旧軍人遺族等恩給の請求の遅延及び軍歴調査確認に不測の日数を要したこと等のため年度内支出を終わらなかったものであります。  また、不用額は、人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。  欠に、昭和五十年度における沖繩開発庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖繩開発庁歳出予算現額は、五百十六億九千四百九十七万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は、五百三億七千八百八万円余、翌年度へ繰り越した額は、八億五千百四十四万円余、不用となった額は、四億六千五百四十四万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額八百三十三億七千七十一万円余、予算補正追加額九十二億二千四百六十二万円余、予算補正修正減少額七千二百六十万余、予算移管増加額四百八十一万円余、予算移管減少額四百三十六億五千八百八十八万円余、前年度繰越額二十八億二千五百十七万円、予備費使用額百十三万円余を増減しまして五百十六億九千四百九十七万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖繩振興開発のための財源として、道路整備特別会計治水特別会計国有林野事業特別会計港湾整備特別会計及び空港整備特別会計へ繰り入れた経費四百三十四億四千六百五十一万円余であります。  次に、翌年度へ繰り越した額八億五千百四十四万円余は、港湾整備特別会計において、計画または設計に関する諸条件、用地の関係補償処理が困難であったことにより同特別会計への繰り入れが年度内に完了しなかったこと等によるものであります。  また、不用となった四億六千五百四十四万円余は、退職手当必要額予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして、昭和五十年度沖繩開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  10. 楯兼次郎

  11. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和五十年度総理府所管決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。
  12. 楯兼次郎

  13. 松尾恭一郎

    松尾会計検査院説明員 昭和五十年度沖繩開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  14. 楯兼次郎

  15. 岩尾一

    岩尾説明員 沖繩振興開発金融公庫昭和五十年度業務概況につきまして御説明申し上げます。  沖繩振興開発金融公庫は、沖繩における産業の開発を促進するため、長期資金を供給して、一般金融機関が行う金融を補完し、また奨励するとともに、沖繩国民大衆住宅を必要とする者、農林漁業者中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係営業者等に対する資金で、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖繩における経済の振興及び社会の開発に資することを目的として、昭和四十七年五月に発足いたしたものであります。  昭和五十年度事業計画は、当初九百六億円の予定でありましたが、年度中に、中小企業金融対策として三十億円、住宅資金として二十三億円をそれぞれ追加しまして、九百五十九億円に改定されました。  これに対しまして、実績は八百二十七億五千万円余であります。  次に貸付残高について御説明申し上げます。  昭和四十九年度末における貸付残高は、千七百七十億七千万円余でありましたが、昭和五十年度における貸付額八百六億七千万円余が加わり、一方、貸付回収金二百四十二億円余がありましたので、差し引き二千三百三十五億三千万円余の貸付残高となっております。  次に、昭和五十年度収入支出決算について御説明いたします。  昭和五十年度における収入済額は、百三十七億一千万円余、支出済額は百三十五億三千万円余でありまして、収入支出を上回ること一億七千万円余となっております。  まず、収入の部におきましては、本年度収入済額は百三十七億一千万円余でありまして、これを収入予算額百四十六億七千万円余に比較いたしますと、九億六千万円余の減少となっております。  この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入等予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度支出予算現額は百五十億八千万円余に対し、支出済額は百三十五億三千万円余でありまして、差し引き十五億四千万円余の差額が生じましたが、これは借入金利息等予定より減少したためであります。  最後に、昭和五十年度における損益について申し述べますと、本年度の総利益百七十六億四千万円余に対し、総損失は百六十億二千万円余でありまして、差し引き十六億一千万円余の償却引当金繰入前利益を上げましたが、これを全額滞貸償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、国庫に納入すべき利益はありませんでした。  以上が、昭和五十年度における沖繩振興開発金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  16. 楯兼次郎

    楯委員長 これにて説明の聴取を終わります。     ―――――――――――――
  17. 楯兼次郎

    楯委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 総務長官おいでになるうちにちょっと一つだけ聞きたいことがありますが、いま地震に対する特別対策をおやりになっているようですね。これはいつごろ国会提案をしますか。いま内容をつくっているのでしょうけれども、いつごろ提案予定ですか。
  19. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 これは所管国土庁ということでありまして、国土庁といいましても各省へまたがるところきわめて多いわけでございますので、目下各省庁と連絡をとりながらその成案に全力を挙げておるということのようであります。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、きょうは特に法制局長官にも出ていただきまして、国政調査権そのものについてできる限り枝葉に走らずにお伺いをして、要は国会権威を確立するために国政調査権というもののしっかりした法的な位置づけを確認したいというのが目的でございますから、だんだんにある種の事例を取り入れながらお伺いしてまいります。防衛施設庁並びに法制局答弁をちょうだいしながら、なお関連がありますので法務省からも最後のくだりでお答えをいただくようになります。  この質問をしております間に二点ばかり官房長官答弁を必要とするものがございますが、官房長官の時間の都合で残念ながら質問中には出席ができないようでございますから、官房のどなたかおいでになっていて、私が申し上げました件は二時から長官がここへ来たときの冒頭にその二点についての答弁だけをお伺いするようにしたいと思いますから、官房からおいでになっている方はどうぞひとつ聞き耳を立てて、これとこれが答弁が要るんだということをメモしていただくように。時間の都合で重ねて質問をいたしませんから。  そこで、まず現在の国会を考えてみますと、重要な機能の一部をすでに喪失しているように考えられてなりません。それは国会としての権限である国政調査権が有名無実化しているところに集約的にあらわれていると感じられます。いわゆる田中金脈問題では有効な国政調査権を発動できないままに行政機構守秘義務の壁に突き当たり、いわゆるロッキード汚職問題では国政調査権制度的運用の未熟に基づく行政府つけ込みを許してしまい、鬼頭問題に至っては国会国政調査権そのものが空転させられてしまったように存じます。  これらは何も世間の耳目をそばだてる問題であったから国政調査権が政治的に喪失させられただけではなくて、実は国政調査権そのものがすでにすべてにわたって行政庁によって拒否、否定をされている違憲状態が恒常的に生起しているのでありまして、そもそも国政調査権そのものが初めから有効に機能していないことがこれらの一連の事件において明らかにされたにすぎない、このように感じております。  ここに、かねてから取り上げてまいりました防衛施設庁北富士演習場にかかる基地行政においても、ひとしく国会権能である国政調査権等を愚弄、否定していることを明らかにし、国会権威と威信にかけてその違憲、違法の行政処理をただし、もって日本国憲法の規定する真の国民主権国家の実現を期さなければと、一国会議員として強く決意をいたしておるわけでございます。私の二十五有余年国会生活を通じまして、すべて問題は実践しなければ解決しないということが現実である、実践しなければ理論の正しさはわからないということを今日までに達観いたしております。  問題点の指摘をこれから行ってまいりますが、まず質疑に入るに当たりまして、本日、私が伺いたいと思うのは、かねてから問題としてまいりました北富士演習場にかかる基地行政に関しての問題であります。周知のように北富士演習場使用協定は本年四月十日をもって期限切れになることは御承知のとおりです。しかるに、それ以前に当然処理すべき演習場に関連する問題がいまだに山積している状態なのである。私は異常なほどにこの問題を取り上げてまいりました。しかし、今日に至るも、その解決の糸口すらつかめない状態であります。  ここで私が言う問題とは、一つ林雑補償であり、他は山中湖浅間神社社有地問題、障害防止工事問題等であります。しかし私は、本日は時間の都合上、この問題に具体的に立ち入りその当、不当を論じようとは思わない。ただこれらの問題に共通する一つの問題を明らかにして、そのことをもってゆがめられている国会権能を回復し、政府に対しその違法なる不作為を直ちに改めただし、速やかに憲法に従った適正な行政を行うよう申し入れたいと考えています。  まず、質問の前提として、私が再三再四にわたって要求してきた資料提出要求について、確認しておきたいと思います。  すなわち、林雑補償に関して、北富士関係林雑補償金交付組合別個人別明細資料提出防衛施設庁要求されたことがあると思いますが、ありますかどうか。されたとすればだれからされたのか。それは何回されたか。その提出要求に十全にこたえていない理由は一体何か。  同様に、山中湖浅間神社社有地借料をどれだけ支払っているのか。その対象区域面積及びその借料明細資料提出防衛施設庁要求されたことがあるかどうか。だれから、何度、そして提出要求にこたえていない理由は一体何か。  三つ目に、また同様に、山梨県の実施している神田堀侭堀障害防止工事に関し、その申請書など一切及び申請を受理した根拠を示す記録、書類の提出防衛施設庁要求されたことがあるかどうか。だれから、何回、それにこたえていない理由は一体何か。  まず、この点に関して明快な答弁を先にお伺いをしたい、簡単にどうぞ。
  21. 高島正一

    高島政府委員 お答えいたします。  衆議院の決算委員会から五十二年の四月十二日、北富士演習場の用に供しておる山中浅間神社社有地にかかる接収時より現在に至るまでの年度別借地料借地面積借地料支払い年月日等資料要求がございました。同じく五十二年の四月二十一日、林野雑産物補償に関する資料の御要求がございました。さらに四月二十七日、山中浅間神社社有地にかかる借地料についての御要求がございました。さらに六月八日、北富士演習場にかかる林雑補償障害防止事業借り上げ料についての資料卸要求がございました。  防衛施設庁といたしましては、演習場の安定的な使用を期する上において、これらの資料を御提出申し上げることは、従来からのこれらに関する問題の歴史的な経緯から、混乱を避ける上において好ましくないという判断から、提出は差し控えさしていただきたいというふうにお願い申し上げておるところでございます。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 そのときの答弁に、個人秘密プライバシーということもつけ加えて、これとこれは提出ができないという答弁がありましたが、間違いありませんか。
  23. 高島正一

    高島政府委員 お答えいたします。  そのとおり、担当者が先生のところにお伺いして御説明申し上げたというふうに承知しております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの答弁で明らかにされましたが、これらの問題すべて、相手の同意がなければだめだとか、いわば相手秘密に属するというようなことに中心があって、提出を拒否してこられました。しかし、これは断じて理由にはならないと私は思う。なるほど議会において審議、論ずる場合においても、それがプライバシーに属するものであり、真にプライバシーとして保護されるべきようなものであるならば、この理由をもって行政府がその秘密に関する部分についての資料提出することを拒むことができるというべきかもしれません。しかし、本件はそのようなものでは決してないと思います。ただプライバシーに属するという理由づけをもって防衛施設庁みずからの違法、不当な支出を覆い隠さんがために、これに関する資料提出要求を拒んでいるにすぎないからであります。  資料提出を拒んでいる真の理由は、林雑補償障害防止工事に関して言えば、その申請理由、事実が虚偽であるからなのであります。つまりその資料提出すれば、その虚偽を真実なものとして金銭をばらまいていることが一見して明白にわかってしまう。それで出せないのであります。  現に、富士吉田市新屋入会組合の中には、みずから林雑補償についての申請理由虚偽であるとして、その旨横浜防衛施設局に告白、入会組合から支払われた補償金をそっくり同局に返還している事実もある。ここに同じ写しがございますから必要があればごらんいただいて結構であります。  また、同市上吉田入会組合においては、このような納得できない補償はもらえないとし、本年二月二十八日付をもって申請保留演対協会長に通告した事実もあります。これも資料があります。皆さんのところに行っているはずですからおわかりと思います。  他方、借地問題、特に山中浅間神社社有地については、当初は部隊集結地予定で接収しましたが、一度もその用に供したことはない、保安地区としての必要性もないのに、新聞報道によれば、七十余ヘクタールの溶岩雑木地区を年間一億数千万円支払って借りているのが事実であります。このことについて、山中湖村の某氏は、昭和四十八年の使用協定時に国に返還の予定であったが、山中部落が東京の渡辺某氏と同地をめぐり係争中であり、訴訟費用がかさむので、無理やり借り上げてもらったのだと言う。その真偽は別として、私の調査したところ、全く演習場として不必要な土地であることは間違いありません。  さらに、山梨県の行っている神田堀侭堀障害防止工事についても、現地住民から補助金等適正化法違反として現在告発されている事実もあり、資料を出せばその不当性、違法性が一見明白に露見するから出そうにも出せない、これが実態であり、その理由なのだと信じております。  そこで、いま申し上げたような防衛施設庁の苦しい答弁が、求めれば恐らく出てくると思うのです、相手の同意がなければ出せないとか、これは相手秘密に属するものであると。しかし相手方の同意、すなわちプライバシー理由とすることがいかに不当であるか、また単に不当にとどまらず、法的にも理由となり得ないこじつけの理由であり、かつそれが議院、国会権能を事実否定することにおいて全く許しがたい憲法違反の暴挙であることを指摘しなければならないと思います。私は、かかる虚偽理由づけをもって資料提出を拒否することなく、速やかに防衛施設庁憲法に従うことを要求したい。  そこで、法制局長官にお伺いしたいのです。すなわち、いま私が問題にしている林雑補償にかかわる申請書などは、いわゆる個人秘密プライバシーとして保護さるべきものであるのか。無限定にそれを一般に公表することが許されるかどうかの問題としてではなく、あくまでも国会決算委員会においてその防衛庁予算の決算審議において必要であるから、これに関する資料提出されたいとして要求している場合のこととして答弁をしていただきたいのであります。  私は、決算委員会において何度もこの問題を取り上げ、その決算審議においてどうしても必要であるから、これに関する資料提出せよと要求してまいりました。しかるに防衛施設庁は、相手方の同意を得られないから提出要求には応じられないと言ってこれを拒否して今日に至っているのであります。その真の理由が那辺にあるのかは私が先に述べたとおりと確信をいたしておりますが、しかしそれはそれとして、相手方の同意やプライバシーにかかわるので提出できないという法的構成ができるのかどうか、まずもって納得できないところであります。私も、プライバシーが直接にその法的根拠を明文上に有していない現在においても、尊重すべきであるということはきわめて当然のこととして賛成しているものの一人であります。しかし事本件に関してそもそもプライバシーなるものが成立し得るのか、当該事案に関して問題にしているのであります。  言うまでもなく、プライバシーには、私生活をみだりに公開されないという法的保障ないしは権利が、三十九年九月の、これはもう言わないでもおわかりでしょう、参考資料もございますが、与えられなければならないが、本件にあって一体どうして申請者等が政府防衛施設庁提出した申請書を出すことが私生活をみだりに公開するということにたり、個人秘密を侵すことになるというのか、私には全く納得がいかないところであります。  そもそも本件のごとき申請書などはプライバシーたり得ないと私は思う。したがって、まずこの点について明らかにしてもらい、その上で仮に申請書などを個人秘密プライバシーとして法的にもなお保護さるべきものと解すべきとすれば、そもそも「〃働く農民〃実はエキストラ」昭和五十二年十一月二十二日朝日夕刊とか、「幻の基地被害」同じく五十二年十一月二十二日朝刊とかなど、いろいろと社会の耳目にも触れ、当然決算委員会としてはその職責上財政事項としてこれを調査確認せねばならない。したがってその批判に服すべきものとしてある申請書及び関係書類等のごときものは、国会なかんずく決算委員会においては公の存在となるべきものと確信しています。したがって仮に申請書及び関係書類等が個人秘密に該当するものとしても、すでにそれは私生活をみだりに公開されないという法的保障は与えられないものと考えます。  すなわち、このような申請書及び関係書類等は、公の存在として存するのであり、個人秘密などというがごときものの保護外にあるものであり、申請書について言えば、申請者は申請した時点でその権利を放棄したものと思う。これは法律学上パブリックフィギュアの法理、公の存在の法理、あるいはフェアコメントの法理、公正評論の法理としてすでに確立した判例となっていることも御承知のとおりであります。したがって当該申請書及び関係書類等は個人秘密たり得ない。また、仮にたり得たとしてもそれは公の存在となることによってその保護外にあるという、この二つの観点から、防衛施設庁が拒否の理由としてあえてこじつけた理由は法的理由たり得ないと確信をしますが、まずこの点について、個人秘密というのは当該申請書及び関係書類等に成立するのかどうか、あるいは個人の非常にプライバシーにわたる事項として成立するものかどうか、内閣法制局長官の見解をまず示していただきたい。
  25. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お答えを申し上げたいと存じますが、まず最初にお断りしておかなければならないことは、北富士演習場問題についての具体的事案の中身というのは、私は全く存じておりません。それからまた、従来国会の方から防衛施設庁に対してどういう資料提出要求をなさったかというような点についても、もちろんその詳細を知っているわけではございません。また、仮によく知っておりましても、私の立場として、こういう資料提出要求に応じなさいとかこういうのは提出する必要がありませんというような、そういう具体的な資料提出についての判断を申し上げるべき立場でもございませんので、その点は最初に御了解をお願いいたしたいと思います。  したがいまして、おのずから私のお答えはそういう具体的な事案を離れて、国政調査権というものの性格を一体どう思っているのか、そういうような観点からのお答えとならざるを得ないわけなんですが、もともと国政調査権国会が、院がお持ちになっている権能でございますので、その性格等についてはあるいは衆議院の法制局あたりの御見解をまずお聞きいただいた方がいいと思いますけれども、政府として国政調査権をどんなふうに受けとめておるかというような観点からの御質問だとすれば、それに対して私はお答えしたいと思うわけなんですが、もともと国政調査権につきましては、これは憲法六十二条に由来する権能でございまして、民主主義国家における国会権能としては非常に大事な重要な権能であることは、もう十分私たちも承知しております。この国政調査権が国政の全般にわたって適正に行使されることが、民主主義の社会における政治の十分なる履行が行われるという担保になるんだろうと思います。  もちろん、国政調査権は国政の全般にわたってと申しましたけれども、これは事の性質上、裁判所の裁判権に影響を与えるとか、あるいは先ほどお触れになりましたように、純粋に個人のプライバジーにわたるような事項については国政調査権の対象から外れるという点はあると思いますけれども、原則としては国政の全般にわたってそれが適正に行われなければならないということは、私たちも重々承知しております。  ただ一方、行政権は内閣に属する、これも憲法上の大原則でございまして、その内閣に属する行政権が民主的にかつ能率的に運営されるためにはやはりいろいろな規律があるわけで、その一つとして国家公務員法というのがございまして、そこで守秘義務という制度がございます。したがいまして、国家公務員法の守秘義務によって、国の職務上の秘密あるいは職務上知った個人秘密はやはり漏らしてはならないという規律があります。これは罰則をもって担保されている公務員の義務でございます。  それももちろん大事なわけでございますが、しかし、そこで国政調査権と公務員の守秘義務とが間々衝突する場合があり得るわけでございまして、その場合にどんなふうな解決をするかというのが問題なんで、われわれといたしましては従来から、これは常に国政調査権が優先しているとかあるいは常に公務員の守秘義務の方が優先するというふうに一概に言えるものではないんだ、これはやはり個別具体的な資料提出あるいは証言をお求めになったその事案の中身によって、その守秘義務を守ることによって守られる国益と、国政調査権に応じて証言をしあるいは資料提出することによって得られる法益とをよく比較して事を処理すべきである、そういう原則を打ち立てております。ただ心構えとしては……
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 ちょっとやめて。長官、私の言っていることを聞いていたのかどうか知りませんが、公務員の守秘義務を論じたりなんかしようと思っていない。そのことも関連はありますよ。ありますけれども、もっと真剣に、ぼやっとしていないで聞いていてもらいたい。私が何を質問したと思っている。貴重な時間をつぶして国会、立法府の権威と威信にかけて、いま問題を区切って質問をしているわけですから、いいかげんにぼやっと一般論に走らないようにしてもらいたい。そのことが必要ならそのことが必要なように質問します。いまのあなたの答弁なんかは私の聞いていることに何も答えていない。よけいなことを言っているんだ。長官たる者がそんな態度では困る。  私の聞いているのは、個人秘密プライバシーというものは、何らかの補償金をもらおうといったときに、その補償金をもらうための申請書、内訳を書いて出しているその申請書を出した、その瞬間に個人プライバシーはない。しかも、この事案のような林雑補償障害防止工事というような問題に関してはプライバシーが存在するはずがないじゃないか。法的に存在するなら、その解釈を示してもらいたい。このことだけに答えていただけばいい。私のいま言ったことはお聞きになっているのでしょうね。聞いているなら、いま言ったことにだけずばり答えてもらえばいい。わからなければわからない、検討するなら検討するでいい。
  27. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先ほどお答えしましたように、個別具体的な提出要求の中身につきましては、実は私は知らないわけなんでございまして、ただ制度としては、そういう純粋のプライバシーにかかわる事項については、先ほど申しました法益比較論の場合の比較の一方の法益として考える対象にはなり得る、そういうことを申し述べているわけでございまして、御要求になった申請書プライバシーを侵すことになるかならぬかというのは、その事案の中身あるいは申請書の中身、それからどういう趣旨でどういう状況のもとで行われたかというようなことも含めて、これは当該衝に当たる行政庁において先ほど申しました原則に従って御判断願うよりほかにしようがない、こういう意味でございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 高島さんひとつ答えてもらいますが、いま長官わからないらしいから、林雑補償障害防止工事、二つに関して申請書の中身、申請する目的、その内容を大ざっぱに、素人じゃないのですからわかりますから、こういう中身というのをちょっと答えてもらいたい。
  29. 高島正一

    高島政府委員 お答えいたします。  林雑補償に関しましては、従来北富士演習場に立ち入って農業経営上必要とする草あるいはその他の林野雑産物を採取していた方々が演習のために立ち入りができなくなったために、その損失に対して補償をしてほしいという申請がございまして、それに対し施設庁の方で所定の規定に基づく審査を行いまして補償をしておるというのが、林雑補償関係でございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 障害防止工事も一緒に。
  31. 高島正一

    高島政府委員 障害防関係につきましては、演習場が存在することによりまして、たとえば雪しろが起きた場合に周辺の河川あるいはその流域に対して損害を与えるという実態に着目しまして、山梨県から申請を受けまして、その障害を防止するための工事を法律に定める所定の方式に従いまして補償をしておるというのが、障害防止の関係でございます。  そういった補助金の申請書が県から提出され、補助金の適正化法に基づく審査をした後に処理をしておるというのが実情でございます。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 長官、お聞きになったとおりです。林雑補償とは前段に言ったことですね。障害防止工事とは後のことです。決算で審査する必要があるので、一体どのぐらいの広さに対して幾ら払ったのか、部落別に、個人別申請書の内容を書類と一緒に示しなさいと言ったときに、プライバシーだとかそのほかの理由をつけて拒否しているのですが、いまそれが問題なんです。個人秘密たり得るか。私は、申請した瞬間にこの種のものは公の存在になると思う。どうですか。
  33. 真田秀夫

    ○真田政府委員 問題の概略はいまお聞きいたしました。お聞きいたしましたが、先ほども申しましたように、御要求にかかる具体的な資料を、これは出すべきであるとか、これは出す必要がないのだというようなことを判断すべき立場には私はございませんので、いまなるほど中身の御説明は聞きましたけれども、だからといって、ここですぐに、これはとても拒否の理由にはならないとかそういうようなことを申し上げることは、御容赦願いたいと思います。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは長官、宿題で大至急にお願いをしておきたいのだが、いまの二つの事案で結構ですから防衛施設庁から詳細に聞いて、必要なら書類も見せてもらって、いま施設庁の言うように、個人秘密に値するから出さないとか、国会決算委員会において調査をしようというときに、その調査上必要とする資料提出を拒否するに値するような個人秘密として絶対に保護さるべきものなのか。あるいは、私の言うように、この種のものは保護さるべきものではない、公の存在としていつでも資料提出はすべきである、個人秘密に該当しないことになるかどうかを、施設庁と至急に相談をしてもらって、見るものは見て詳細にわたって検討した後に、文書で長官から回答をいただきたいと思う。これは委員長から計らってもらいたい。
  35. 真田秀夫

    ○真田政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、これは詳細に中身をお聞きいたしましても、私は裁判所ではございませんので、これはシロだ、クロだ、あるいは提出すべきものだ、提出する必要がないのだというような判断をすべき立場にはございません。  ただ、一言申し上げておきますと、先ほど申しましたような原則、つまり守秘義務を守ることによって得られる法益と国政調査権の求めに応じて披瀝する、開披することによって得られる利益とをよく比較しなさい、それによってその結果決める、その決めるのは、当該事項を所管している責任官庁である防衛施設庁の責任で判断をしていただかなければならない、こういうふうな論理になるのだろうと思います。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。なかなかむずかしい言い回しをして何とかかんとか逃げたいのでしょう。わかりますが、では、提出すべきかどうかの判断はあなたに求めません。  個人秘密に当たるかどうかだけ、その判断は法的にできるでしょう。施設庁で調べてもらって、よく聞いてもらって、もしこれが当たるというなら当たる法的な根拠を示していただく、それならいいでしょう。これなら長官として当然でしょう。そのことだけを答えてもらう。これはぜひ答えてもらいたい。文書でもらいたい。委員長、どうですか。
  37. 真田秀夫

    ○真田政府委員 個人秘密とは何かという定義といいますかそういうものの解釈は、これは私の方で知恵をしぼってでも回答しなければならぬかと思いますけれども、問題の文書が秘密であるかどうかという具体的事案についての判断は、どうも私どもの職掌の範囲外になるというふうに考えるわけでございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、あなたの職掌外だとは考えない。少なくともこの種の問題の法的解釈が国会審議を通じて起きたときには、長官はこれに対して自分の意見を述べる義務があると私は思う。問題がややこしい、行政上複雑にこんがらがっているから逃げたいというような答弁にしか私には聞こえない。少なくともいま防衛施設庁の扱っている書類、特に林雑補償障害防止工事に関するこの二件に対して、その申請目的というのはお金をもらいたいということなのだ。補償金をもらいたい。ずっと何年もやっている。ずいぶん広くやっている。それのある一部をいま国会審議に必要だから提出をせよと言うのに、提出を拒否した。理由個人秘密プライバシーだという。個人プライバシーを尊重すべきことは私もよくわかる。わかるのだが、この種の事案に関して、いろいろ広範な代償をもらおう、補償金をもらおうといった、その補償金をもらう申請を出した。その書類の内容、いまはわからないなら施設庁から見せてもらいなさい、よくお聞きなさい。聞いた上で、この種のものが国会提出するに値しないほど保護さるべき秘密なのかどうかという法的な解釈を下すことは、長官として当然じゃありませんか。  いまやろうというのですから、だれがこの判断を下す。裁判所に行って裁判を求める事案ではない。国会審議、しかも決算委員会がそれを必要とする資料である。その資料が軒並みにいっぱい出ている。何年もやってきた。その一部の申請書を見せること、提出することが、個人秘密であるといって保護さるべきものと解釈できるかどうか。私はいままでの事案は細かいこともよく知っています。あなたは知らない。だから、後で勉強してもらう。そうして、個人秘密たり得るかどうか、個人秘密という法的な解釈の枠の中でぴっちりと保護すべきものと解釈するならするで結構。もしそうならば法的な論拠を示しながらそのことを答えていただく。文書で出すのがいやだったら口頭でも結構ですが、いますぐ答えは出ないでしょう。よく調べた後に、この個人秘密、この問題に関しては一体保護さるべき個人秘密として厳に守らざるべきものなのか。私の解釈によれば、すでに申請書を出した瞬間にこの種のものは公の存在となっているのだ。それが違うかどうかという解釈を法的に下す、この点だけにしぼってどうしても見解を示してもらいたいと思う。もう一度。
  39. 真田秀夫

    ○真田政府委員 決算委員会で国の会計、つまり国の歳出が適正であったかどうかということをお調べになる、これは本来の決算委員会のお仕事でございますから、しかもその手段として特定の資料提出をお求めになるということは当然所掌事務の範囲内でやはり十分尊重しなければいけないという原則は、先ほど来私が申し上げたとおりでございます。  それで、一方、職務上知った個人秘密はやはり守らなければならないという守秘義務が法律によって課せられておるわけでございますから、それを、個別具体的な事案についてどちらを立てるかという調整をしなければいけない。そしてそれは、当該事案の処理をすべき役所がその責任において判断することであって、そういう具体的な事案についての解決のしぶりを法制局がとやかく申すというのは、それは私の所掌事務の範囲内であるとはどうしても思えないわけなんです。ですから、考え方の順序であるとかあるいは法的な仕組み、それは申し上げます。防衛施設庁に対しても申し上げるつもりでございます。また、秘密とは何だということについての解釈も申し上げますが、特定の事案の解決の判断は、これは当該事務を預かっている責任のある官庁が自分のところでやっていただく、これが筋道であろうと思います。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 こんなことは冷静に考えてみれば、これは我田引水かもしれないが、私の言うのが正しいと思う。しかし長官がそう言うなら結構です。いま長官答弁したように、ひとついまの答弁の範囲で結構ですから、意見を示していただくようにお願いする。いいですね。それで、そのことの当、不当も含めて後から順次物を言っていきます。  いま施設庁にも聞いていたのですが、施設庁は、とにかく個人秘密だからといって出さない、われわれ調査をしようとする人間の方から言うと、これは個人秘密に値しない、こういうところでいま壁にぶつかっているのですね。そのときに、法律的な解釈が一番正しいと私は思うのです。やはり立法国ですから、法によってあちらからもこちらからも攻めていって法的な結論を出すことが一番正しいのです。そういう意味であなたに申し上げているのですから、きょうの速記録も見ながらもう一度考えていただいて、いま私の言うとおりの資料提出要求しませんから、いまあなたが答弁された範囲、四つのことを言いましたが、その範囲で文書で答弁をするなり、私に対する適切な意思表示をお願いをして――いまあなたは施設庁に対しても物を言うと言いましたが、ぜひ言っていただく、そしてこういうことを言いましたということもあわせて報告をいただくということをお願いしておきます。  それで、いまの問題に直接入る前に、今日まで資料提出要求を拒否してきた防衛施設庁の態度に対して、もうちょっと違った角度から物を言う。  国会審議権なかんずく決算審議権に対する行政府の否定として私はとらえている。これはあらゆる委員会において、ロッキードが、ソウルの地下鉄の問題が、あるいはまた数々の汚職があったそのときの国会審議において、常に行政府は、われわれの審議権なり調査権を否定していると同じような答弁やごまかしや、そういう態度でずっと押してき、それが習慣になったように、いまや国会権威というものは行政府によってだんだん地に落ちているのが現状なんです。今回の防衛施設庁の態度も全くこれと同断であります。  以下、重ねてその意味から私は追及をしていきたいと思うのです。  防衛施設庁に見舞い金という林雑補償金を申請するその書類及び個人別補償金の明細書にはプライバシーなどは存在していない。仮にしているとしても、いま申し上げたように、それはみずからそこでの個人秘密として保護されるような権利は、これを放棄しているものと考えております。山梨県という地方公共団体が出している申請書などは、厳密な意味でそもそもプライバシーなるものは成立するでしょうか。絶対しないと思う。  しかるに、防衛施設庁は、理由にならない理由をあえてこじつけまして、自己の行っている違法、不当な支出について、それを覆い隠さんとして、申請者が同意しないということにその責任を転嫁している。これこそたださるべき姿勢であると私は考えておりますし、このことがいかに不当なのか、それはいま述べたように、法的にも成立し得ない虚偽理由づけを行っているからだけではない。このことは、ほかならぬ国会の財政事項に対する審議権を真っ向から否定するものであり、憲法違反をあえて行っているものと断ぜざるを得ない。  申すまでもなく、憲法第九十条は、政府に、決算につき国会にこれを報告させ、国会においてこれについての当否、批判を行わしめる制度を規定しているものである。国会は、政府より決算について報告を受けて、個々の具体的事実について批判、検討、審議しなければならない憲法上の責務と権限を有しているのである。このことは、昭和三十六年六月六日、決算委員会で、当時の池田国務大臣がはっきりと答弁をしているところであります。  しかるに、その責務を果たさんとするに、何も資料がない、ただ数字が羅列されている決算書をもらって、一体どのように批判、検討、審議することができるというのか。当然これを審議するに当たっては、決算に関する資料を各委員がその関係する主務官庁に要求できると解さなければ、憲法第九十条の当然予想している決算についての個々の具体的事実についての批判、検討、審議は、これをなし得ないと言わざるを得ません。  事実を知る権利を否定することは、暗やみで医薬の処方を要求するのと全く同じであり、まさしく申請書などの書類及びこれについての主務官庁たる防衛施設庁の判断等を示す書類など、決算についての不可欠なる資料提出を拒否することは、この意味において、単に虚偽理由づけをやる不当な拒否にとどまらず、憲法上の決算に関する審議権を事実上否定しているのと全く同じであります。  この決算に関する審議権こそ、政府の財政に関する各事項について、国民の代表としての国会が監督する機能を負担させられているものであります。もちろん、国会と言っても実質的には衆参両議院において行われるものでありまして、またその議院においては、決算委員会においてこれを行わしめていることも事実であります。したがって、決算審議すべき決算委員会が、その決算に直接関連する資料要求するのは、単に権利と言うにとどまらず、義務ですらあります。そうでない限り、われわれの構成する議会は、行政庁決算についての翼賛機関となってしまうのであります。  このことは断じて憲法の許容するところではない。またこれは、国民の厳粛な信託を受けた国政についての監督を果たすことができなくなるのであり、主権者たる国民に対してその責任を果たすことができなくなります。まさしく防衛施設庁のこの資料提出要求拒否は、その資料決算について直接関連性を有することにおいて、拒否する理由は全くないと言わざるを得ない。  このように、決算委員会に属する議員が、その決算審議のために必要不可欠な資料提出要求を各関係主務官庁に要求できるとすることは、別段の規定を待たずして自明のことであると私は確信しています。まことにかかる要求を行えると解することは、規定の有無にかかわらず、当然各決算議員の有するところであると言わざるを得ない。  また、このことはあえて論ずるまでもなく、慣習的に当然のこととして行われているのであり、確立されている慣行でもあり、憲法、慣習法上も、これを承認していると言っても構わないと思います。  かように、決算委員決算に直接関連する資料関係主務官庁に要求することができるとすることを、行政庁は法的に承認することができるのかどうか。蓋然性があるからという程度のものについてではなく、直接関連性を有するものについてなのであります。言えかえれば、一般的に見ても、日常的に各国会議員が、各関係主務官庁に、自己の属する委員会の職責を全うするために、それに直接関連する資料要求し、各関係主務官庁もこれに応じているのは、行政庁国会議員に対する恩恵としてではなく、あくまでも国会の有する行政庁に対する監督権能に対しこたえるべきものとして行っているものであると私は解釈をいたします。しかし、いまここでこれは一般的に論ずるのではありません。特に決算については憲法第九十条の規定が存するのであるから、その決算に直接関係のある資料は、決算委員から要求があればこれを提出すべき義務が行政庁にはあると言っているのであります。  なるほどわれわれ国会議員は、いま全国民の国会議員としてあらゆる行政について政府に対し質問をなすことができると解釈すべきで、またこのことは国会法第七十四条により明示的に、御承知のとおり、規定されているところでもあります。しかし、私がここで言っているのは、かかる国政一般についての内閣に対する質問という問題についてではない。したがって、国会法第七十四条の質問権によって、資料要求をすることができるかどうかを問題にしているのではない。そのような意味において、もっぱら単に資料を求めることを目的とする質問主意書は受理すべきではないかもしれません。これはわかりません。このことは、わが衆議院において、質問主意書で資料要求を含むものは受理しないという先例もあることであります。御存じの衆議院の先例集三十八年にございます。  しかし、私が言っているのは、決算委員会内閣提出した決算審議するに当たり、その審議に直接関連する資料をその委員の一人が要求し、これに主務官庁がこたえることは、恩恵的にこたえていることなのか、それとも義務として行っているのか、この点を明らかにしてほしいと思います。  ここでこの件に関しては官房長官から答弁をいただきますので、官房の方はひとつ長官が来たらこのことを言っていただきお答えをいただく。私は、義務として行っているのだというふうに解釈しますが、恩恵としてやっているのではないと思いますけれども、一体どう考えているか、そのことをまず長官からもお伺いをしたい。  法制局長官からこの件に関しての答弁を、まずここでちょうだいする。
  41. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お答えを申し上げますが、決算委員会委員の方が決算審議のために直接必要な資料提出行政府に対してお求めになった場合に、そのお求めに応じて行政府の方から資料を出すという場合に、それが恩恵であるなどとは毛頭考えておりません。これは政府としては、先ほど申しましたような原理原則を踏まえた上で、できるだけの御協力を申し上げる、それが政府の態度であるべきであるというふうに考えます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 次いで、その問題ははっきりしましたので、固有の意味での国政調査権を論じていきたいと思うのです。  私は、いままで申し上げてきたような法的観点から、防衛施設庁はその決算審議のために、ぜひともこれらの申請書及びこれに対して防衛施設庁が作成した文書等を、要求している決算委員提出すべき法的義務があるものとまず考えている。防衛施設庁がその提出を拒むのは一体なぜか。繰り返し指摘すると、それはほかならぬ防衛施設庁の違法、不当な支出の証拠をみずから出すことになるから出さない。しかし決算審議には必要不可欠な資料であるから、これを提出すべき義務を有しているのである。そしてその場においてこそ国民の血税の違法、不当な支出を追及しなければならない義務を私も負っている。  そこで、さきの二つの観点からこの拒否の不当性、違法性を指摘しているのでありますが、行政庁がいわれなく違法、違反の不作為を続け、それをも否定するというのであれば、国会権威にかけて国政調査権一つとしてこれを追及していかなければと決意をしているわけであります。党の問題としてやってごらんに入れます。  私の確認している事実、私の行った調査からは、明らかに支出できない者に対する金銭を防衛施設庁は支払っている。すなわち、林雑補償はその典型であり、よしんば見舞い金とするにせよ、見舞い金支払いの基準に該当しない者に支払っているのであり、かつ、演習と被害との因果関係を要する障害防止工事の補助金支払いは、これまたでたらめであり、また、きわめて不当な土地の借り上げと借料支払いを行っています。  これらは、その林雑補償に関する申請書及び個人別補償金の明細書などを提出さえしてくれれば、そこに記載されている申請理由、対象田畑等の記載事項が事実か否かを確認すれば直ちに明らかになることであり、山梨県の出している神田堀侭堀障害防止工事についての補助金申請も、その申請理由に記されているはずの演習における被害が本当にあったのかどうか、またその被害が障害のすべての原因になっているのかどうかを確認すればすぐにわかることである。また、山中浅間神社社有地の借り上げについても、その借料の明細書などを検討すれば、直ちにその不当性が明らかになるのであります。だからこそ出さない。いや、出せないというのが真相だと思う。  しかし、なぜこのような違法、不当な支出防衛施設庁はあえてやっているのか。  防衛庁は、昭和四十八年四月以来、防衛事務次官を長として広報委員会を庁内に設け、積極的に自衛隊をめぐる広報活動に力を注いできている。積極的に自衛隊を認知させんとする従来の活動から、いまでは自衛隊をより強大、屈強かつ精鋭なものにせんとする方向に変化しております。このことの是非はいま問題にせんとするところではございません。しかし、その変化と相まって、ひとり防衛施設庁が、その施設、基地等を維持せんとするために、憲法など法治主義の枠を外してその活動を行っていることは、問題としないわけにはいかない、断じて許すことのできない点であります。  私は、このような観点から、防衛施設庁行政権の行使、すなわち基地行政というもののあり方について、国会議員としてこれまでに幾度となく申し入れを行ってまいりました。もっとも、そのすべてが無視されてきてはおりますが。  基地確保のため国有地を払い下げるとの密約をしたのは、ほかならぬ防衛施設庁長官であったし、その密約のもとに昨年は国有地二百十四ヘクタールが山梨県に払い下げられたのである。もっともこれは最終的には政府の判断、裁量で行ったものであるから、表面的には防衛施設庁を非難することはできないものかもしれません。しかし、政府をしてその払い下げをなさしめたのは防衛施設庁であったことは間違いないのである。  このように、防衛政策、その物的基礎を固める基地行政が、きわめて憲法、財政法等国家財政の基本法を無視して行われているのであり、それが恒常化すらしてしまっているのであります。その最たるものが、いま問題として取り上げている林雑補償問題、山梨県の行っている障害防止工事問題、山中浅間神社社有地の借り上げ問題と言うことができる。  思うに防衛施設庁の北富士行政は、すべて田辺山梨県知事の発意によって設立された北富士演習場対策協議会を唯一の当事者として運営されております。たとえば、対策協議会に所属していない者であっても、さて交渉となれば、この協議会を通らなければ一切相手にしない。つまり裁判所以外では相手にならないというのがたてまえになっています。  そして、地方公共団体には違法、不当な周辺整備事業の助成、地元住民には違法な林雑補償の給付、不必要な用地の借り上げ、もって関係者を自家薬籠中のものにする。しかも、そこには、法の歯どめも条理の枠もない。その典型が、地元民生の安定をうたいながら実は地方公共団体の安定、これが前述の国有地二百十四ヘクタールの払い下げで明瞭に浮かび上がってまいりました。  しかし、いま私が問題としているこれらの例証としての障害防止工事のための補助金制度や見舞い金とされている林雑補償制度については、法令による公の制度であります。これらは公開された基準に合致するものだけしかこれを活用することができないものであることは、言うまでもない。防衛施設庁の自由な裁量なるものは許容されていないからであります。  それにもかかわらず、公開されている基準そのものをあえて無視し、これを逸脱し、違法、不当にも防衛施設庁のさじかげん、胸三寸でこれを活用しているのが実態であります。まさしく、かかる防衛施設庁基地行政は腐敗の温床であると言わなければならない。現在の防衛施設庁基地行政は、事北富士に関しては庁ぐるみの制度化された腐敗であると言っても私は過言でないと信じております。私の調査した事実、関係当事者から確認した事実は、このことを確実に裏づけております。また防衛施設庁が私の要求した資料提出しないということは、このことが真実であるということを決定的に意味しております。  このような行政権の行使についての監視をしなければならない国会は、まずもってその調査をすることから始めなければなりません。  そこで官房長官法制局長官にこれからお伺いをしたいと思う。  衆議院においては、国政調査権の行使として、防衛施設庁等官公庁に対し報告または記録の提出を求めるときは、成規の手続を省略して、委員会において行われた委員要求に基づいて委員長から直接これを行うのを例としていると解していいのかどうか。すなわち、国政調査権の行使として、便宜上内閣、官公庁に対して委員会から直接報告または記録の提出を求めたことがあるかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思う。  また、この国政調査権の対象としての記録とは、当然、いま私が問題としているように、防衛施設庁が整理保存をしなければならない文書、すなわち、補助金にかかわる申請書等あるいは見舞い金にかかわる申請書などを含むものであると解するが、一体どうか。この点もあわせて明らかにしてほしいと思います。
  43. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お尋ねでございますけれども、衆議院の決算委員会における資料提出要求の方式がどうであるか、どういう慣例であるかというようなことは、どうも私の方では調べる方法もございませんし、むしろ衆議院の事務当局なり衆議院の法制局の方からお聞き取りを願いたいと思います。  それから、その次におっしゃいましたいろんな書類が決算審議のために必要であるかどうかという点は、私、お聞きしておりまして、常識的に該当するんではなかろうかというふうには思いますけれども、これ自身も実は当委員会でお決めになるべきことであって、私が、いやそれはとても対象でないというようなことを申し上げる立場ではございませんので、御了承願います。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 不満足ですが、後でまたその点は追及いたします。  官房長官答弁は、いま申し上げたように、来られたら、その二つ目の、いまのことに答弁をいただきたいと思う。  いま長官の言われた後段の問題、前段はともかく後段の問題に関しては、私の聞いたのは、法制局としていま私の申し上げたような法的な立場での解釈をお伺いしたかったのですが、それは後でまた時間があったらお伺いいたしますが、そういう行き違いが多少あるようですから申し上げておきます。  私が決算委員として委員長を通じてこれらの資料要求をすれば、防衛施設庁はこれらの記録を提出しなければならない法的義務があると私は思いますが、これはまさしく憲法第六十二条の規定する国政調査権に基づく要求でございますから、私は、かかる国政調査権に基づくまでもなく、そもそも決算委員会委員がその決算審議に当たり、その所管事項と直接関連性を有する資料憲法第九十条によって当然要求することができると考える。  なるほど決算委員会は森羅万象についてそれを審議することができると言われておりますように、その領域が広いことは間違いありません。しかし、私が言わんとしているのは、このようなすべてについてではない。少なくとも決算審議にとって必要不可欠、直接関連を有する関係官庁が整備保存している記録などは、これを資料として提出要求することができると言っているのであります。決算委員として暗やみの中では決して手術ができない。しかし、この点の論議は別にしても、絶対に国政調査権の対象にならざるを得ないと思います。  言うまでもなく、国政調査権日本国憲法の規定する議会制にとって本質的なものである。しかし、私の国会議員としての二十五有余年の経験は、実際の議会活動において、行政庁の圧倒的な支配力と、それによる調査権の恐るべき有名無実化をひしひしと感じておるのであります。しかもその感じを今日ほど鋭く感じたことはありません。またこのことは、ひとしく多くの世人の目に露呈された時代でもあるはずである。すなわち、国会は今日その機能を喪失させられていて、そのことは国会としての権限である国政調査権が有名無実化されているところに集約的にあらわれていると言うことができます。いわゆる田中金脈問題では、有効な国政調査権の発動ができないまま、行政機構守秘義務という名の壁を突きつけられ、またロッキード汚職問題では、国政調査権制度的運用の未熟に基づく行政庁つけ込みがあり、先ほど申し上げたように、鬼頭問題に及んでは、国会国政調査権そのものが空転させられてしまったように感じます。これは何も世間の耳目をそばだてた政治問題であったから国政調査権が政治的に喪失させられたわけではない。先ほど申し上げたように、実は国政調査権そのものがすべてにわたって行政庁によって拒否、否定されている違憲状態が恒常的に生起しているのであり、そもそも国政調査権そのものが初めから有効に機能していないことが、これら一連の事件において明らかにされたにすぎないものであります。  私はここで、かねてから取り上げてきた防衛施設庁北富士演習場に係る基地行政においても、ひとしく国会の機能である国政調査権を愚弄し、否定していることを明らかにし得たと確信いたしております。私は国会権威と威信にかけて、その違憲、違法の行政処理をただし、もって日本国憲法の規定する真の国民主権国家の実現を期さなければと存じます。まさにここで問題にした国政調査権の有名無実化は、このような意味でわが国の議会政治のあり方をきわめていびつな、極端に言えば、官庁行政の翼賛機構におとしめられるか否かというほどに重大な意味を持つように、いま痛感をいたしております。  なるほど、いま私が問題にしているのは、北富士演習場に係る基地行政の、しかもそのうちのごく一部の問題にしかすぎないかもしれません。そのような意味においては、これら政治内時珠異例な事件と比較することはできないかもしれない。しかしまた、だからこそ、逆にこれらの事件にも増してその意味は重大であると言わなければならない面もあります。なぜならば、防衛施設庁は、このように日常的に行われているごとき普通の行政についてすら、国会資料提出要求を拒否し、何にも資料提出しないで事足れりとしているからであります。  もはやこうなると、旧帝国憲法下の時代と何ら異なるところはありません。旧帝国憲法下においては、各議院が政府の措置につき自主的に審査しようという場合において、「各議院ハ審査ノ為ニ人民ヲ召喚シ及議員ヲ派出スルコトヲ得ス」明治二十二年の法二号、いわゆる議院法第七十三条に規定されておりましたり、「各議院ハ国務大臣及政府委員ノ外他ノ官庁及地方議会ニ向テ照会往復スルコトヲ得ス」とし、また「秘密ニ渉ルモノ」については「必要ナル報告又ハ文書ヲ求ムル」ことができないとする議院法があり、いま私が問題としているような単に政府からの答弁を求めるだけではなく、直接に各官庁に対し報告を徴し、さらにその目的のために官公庁はもちろん国民等を含めて審問するようなことは、真っ向から否定されていたことは、周知の事実であります。まさしくいまの防衛施設庁基地行政に関する国会に対する態度は、旧憲法下のそれと全く異ならないと私は思う。  ここで確認のために法制局長官にまたお伺いをしたい。すなわち、旧憲法下における帝国議会の各議院がその調査をなすに当たって有する手段は、政府に向かって必要な報告または文書を求めることだけであり、かつその場合でも、政府は「秘密ニ渉ルモノ」についてはその要求に応じなくてもよいとされていた。いわゆる議院法の第七十四条にあります。その結果として、各院の有する調査権は、そこではきわめて名のみのものとなり、実効性を伴わざるものとなっておりました。まさしくかかるような状態を改め、議院に対してその調査権を実効的に持たしめる手段を与える、それがいまの日本国憲法第六十二条の法意であると思います。  すなわち、本条の法意、目的は、国会各院の有する調査権を単に名目的なものに終わらせないためにこそ存在しているのである、このように解すべきだと私は考えますが、長官の見解を伺いたい。  同時に、行政に関する事柄も、当然本条に言う国政に含まれると解すべきであると思う。言いかえれば、国会は立法機関であるにとどまらない、広く行政についての一般的な監視看たる権能と国民に対する義務を有している。したがって、広く行政一般に及ぶと解するが、この点についてもあわせて答弁を、まずここでお伺いをしたいと思う。
  45. 真田秀夫

    ○真田政府委員 憲法第六十二条に明定してございます議院の国政調査権の制度、これは旧帝国憲法に比べて格段の相違のうかがわれる点でございまして、これはいまおっしゃいましたように民主主義国家における議会の、国会権能として非常に尊重すべきものである、これは私たちも重々心得ております。  この際、ちょっと申し上げておきたい点が一つあるわけですが、国政調査権は、国会がお持ちになっている法律とか予算とか決算とかの審査あるいは行政府に対するコントロール、そういう本来の権能を行使される場合の手段として認められているものなのか、あるいはそういう本来の法律なら法律の審査、予算の審査とはまた別個に、独立して与えられているものかという点についていろいろ学説があるようでございますが、私たちの見解は実は前者でございまして、独立したものではなくて、法律の審査、決算、予算、条約の審査等の権能を行使される場合に、その審査の手段としていろいろ資料提出、承認を求めるという国政調査権を発動されるものである。もちろんその中には行政府に対する監督権限、いわゆる行政に対する国会のコントロールという作用も含まれておるというふうに考えております。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 これまでの質問で、防衛施設庁国政調査権がいかなるものであるかの大略を理解させようと努力してまいりました。いろいろ千々に悩んでいるだろうと思うのですが、私は何も憲法論議を、学をてらうようなつもりで持ち出したのではありませんから、そんなことをしようという意味ではない。ただ、旧憲法と現憲法の比較を持ち出した真意というのは、いままでずっと申し上げてきたその点にあります。  周知のように、日本国憲法は敗戦によってその産声を上げたのであります。あたかもコウノトリが運んできたように与えられましたと言っては言い過ぎかもしれませんが、まずまずその感を深くいたします。しかし、国民が憲法のために角逐し闘争し血を流さなかった歴史的事実は、ちょうどお産のときに命をかけたという事情がないのと同じである。お産のとき命をかけたという事情こそ母と子を内面的にしっかりと結びつけるものだと思います。苦労なしに得た憲法はコウノトリが持ってきた子供のようなもので、コウノトリが連れてきた子供ならばキツネやタヌキに連れ去られることもあります。しかし、その子を生んだ母親ならばその子を奪われるようなことは絶対しません。同様に、国民が血のにじむような苦労のあげくにかち取った憲法であったならば、あえてこのようなことを論ずる必要もないかもしれない。  防衛施設庁は狸の穴と書くところの近くに本拠を置いている。あたかもその地名があらわしているのと同じように、防衛施設庁ダヌキは国会から決算審議権及び国政調査権を侵奪せんとしていると私は思うのであります。  私はこれを国会議員及び国会そのものに挑戦する不当な侵害であると考える。したがって、かかる侵害に対し断固たる攻撃をしなければやまないのであります。国会議員としてのやらねばならぬ義務だと私は考えて、ずっと北富士中心に今日まで論議を展開してまいりました。官房長官に後に答弁をいただきますが、いままでの法制局長官答弁でもある程度まあまあわかってまいりました。防衛施設庁国会及び国会議員に対し要求されている資料提出しなければならない憲法上の義務を有しているということは、ほぼ明らかになったように私は思うのです、理由にならない理由はこれを聞くことはできない。要求のあり次第直ちにこれを提出すべきものだと私は思いますが、この点についての防衛施設庁当局の答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  47. 高島正一

    高島政府委員 お答えいたします。  防衛施設庁国政調査権を無視し、要求資料提出を拒否しておるということの指弾を受けたわけでございますが、防衛施設庁といたしましては、先生御案内のとおり、北富士演習場の安定的使用のために全力を尽くしておるわけでございます。  先ほど御指摘の山中浅間神社あるいは林野雑産物補償に関する諸資料につきましても、いろいろいきさつがあるわけでございます。私どもは先ほど御指摘のありました個人プライバシーあるいは秘密に関すること、あるいは担当者がそういうふうな御説明をした事実があったかもしれませんが、先生に対する御説明には、私の承知しておるところでは、これは個人の財産に関することであり、相手方が了承していただけないので、私ども何とかこれを発表したいというふうに、たとえば浅間神社の方にも数回にわたって申し入れたわけでございますが、これは出していただきたくないというお話がございます。また演対協の方とも、事は円満に解決したいのでひとつ了解を得てはしいということもいろいろ相談をしたわけでございますが、全体をまとめる上においてこれが阻害になる、あるいは支障になるということであるから、国の方から出すことは困るというふうな答えが返ってくるのが実態でございます。  私どもとしては事態を円満に解決するために何とか先生の御要望に従う措置はとりたいという考えは十分持っておるわけでございますが、長年の北富士演習場にまつわる諸問題を解決するためには全体の意見を尊重しなければならないというのが、われわれ行政的な立場でございます。  先ほど御指摘の調査権の問題あるいは守秘義務の問題、いろいろ法的な問題がございますが、私どもの基本的な姿勢はそういった現在当面しておる問題を解決するためにそれが必要であるという立場になっておるということを、何とぞ御了解を賜りたいというふうに思う次第でございます。  それから重ねて申し上げますが、言葉が足りなかったことはおわびさせていただきますが、個人プライバシーあるいは個人秘密というふうなことを申し上げたとすればそれは言葉が足りなかったというふうに私は考えるのでございます。私どもが申し上げておりますのは、個人の財産に関することであって、相手方からの御了承を得られないものを防衛施設庁として発表することは差し控えてくれという強い要求がございますので、その点を委員会の方にもお願いを申し上げ、先生にも御説明しておる次第でございます。  なお、その他の資料につきましては、先生からの御要求あるいは当委員会からの御要求に対してはすべて提出しておると承知しておる次第でございます。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 ここでちょっと時間がもったいないけれども、いまの、部長にもう一度意見を言っておきますが、個人秘密ではない、個人の財産上の発表されては困るという問題だからというふうに言葉が改まったのですが、これは財産を含めた発表してもらいたくない秘密であるというふうに解釈していいんじゃないかと思いますから、私のところに来た人が言葉が多かったとか足りなかったんではなくて、そういう言葉で言うことが全体をグローバルに表現するために必要な表現の仕方だったんじゃないかなというふうに私は考えますから、いまあなたが言った個人の財産の中身を発表することは困るから発表しないでくれと言われたということは、個人秘密と何が違うのか。もう一遍それを答えてもらう。それが一つ。  それから、全体の意見をまとめていかなければいけないからそういった個人の意見を聞いているんだというのですが、全体とは一体何か。北富士演習場周辺に住んでいる農民全体なのか。演対協によって白紙一任をして皆さんから金をもらっている諸君だけなのか。この点を二つ目。  それから三つ目に、いまお話しになったような全体の空気から言うと、いままで資料は出せというのは大半出しました、だが、それは個人の財産だから発表してくれるなと言われたものだけは出さなかったのだ、こう言われていますが、一番大事なものを出さないで、国政調査権なり決算委員会審議権なりで、その審議、調査をしようとするのに不可欠の書類を、一番大事なものを出さないでおいて、ほかのものは出しましたといったような言い方で、速記録を見るとおまえの言っている八割は出したじゃないか、あとちょっとだったんだというようなことをただそのまま残されると困るからあえて言っておくのですが、一番大事なものだという認識を持っている。なぜか。それを出すと、防衛施設庁が払うべきでないものを払っている、基地を安定的に使用するために全く条件のないところに血税を払って、その金で住民を操作しているという指摘を私は何回もしてきたということを、やはり強く指摘せざるを得ませんが、この三つ目の件に関しても答弁があるなら御答弁を願う。二つはぜひ答弁を、三つ目にも答弁があるならしていただく。  で、この間の衆議院の予算委員会分科会で申し上げておきましたように、必要があればいつでも明らかにする用意を持ちながら、盗人に追い銭だと私は言ったんだ、どろぼうに金を与えているじゃないかと言いました。これに対しては、何か先日は時間がなかったからごく簡単な答弁がありました。しかし、これに対しても具体的にそうでないならそうでないということを皆さんも立証をする、私も立証をするということをひとつここで、もし部長が要求するならはっきりと私に言っていただけば、約束をいたします。そのことの明白を、いわゆる黒白をはっきりつけるということをしようじゃありませんかということに対しても、答えていただく。どうぞ。
  49. 高島正一

    高島政府委員 お答え申し上げます。  第一点の、個人の財産にかかわることは個人プライバシーに関することと何ら選ぶところがないではないかというふうに思うがどうかというふうな御指摘だと思います。私は、先ほど特に申し上げましたのは、個人プライバシーという広範な概念でもってとらえられるとちょっと問題が違うのではないかという意味合いで申し上げましたが、先生の御指摘のような御解釈であれば、私は結構であるというふうに存ずる次第でございます。  それから第二番目の、全体のうち一番大事なものが欠けた場合には意味がないのではないかという御指摘であるというふうに理解いたしますが、その点については同感ではございます。  ただ、私たびたび申し上げておりますとおり、北富士演習場には長い長い歴史的な経緯がございます。私どもは行政の立場から、何とか事態を円満に解決したいということで腐心してまいったわけでございますが、先生御案内のように、昭和四十四年に地方公共団体、各入会組合その他県の総意を挙げて、御案内の北富士演習場対策協議会というのが設立されまして、その演習場対策協議会を窓口にしてすべてを処理してほしいというのが、県の首脳部並びに各入会組合の首脳部の方々の御要請であったというふうにわれわれは理解しておるわけでございます。その態度は今日も変わっておらないわけでございます。  そういった意味合いにおきまして、北富士演習場対策協議会の首脳部の方々から、事態を円満におさめるためにはこうしてほしい、ああしてほしいというもろもろのお話がございます。その線に沿ってわれわれが動いておるということでございまして、それが先生の御指摘のごく一部であるというふうにはわれわれは考えないわけでございます。  しかしながら、先生御指摘の点もわれわれは十分理解はできますので、何とか事態を円満に解決するために、この際御指摘の問題も含めて解決ができればというふうにわれわれは考えておるというのが、基本的な現在の心境であり態度でございます。  それから第三点につきましては、何か防衛施設庁は違法なこと、不法なことをしておる。たとえば神田堀侭堀あるいは林雑補償、これらについてもきわめて不当な行政を行っておるという御指摘であろうと思いますが、御案内のように私どもは法律あるいはそれに基づく政令、諸規定に基づいて仕事を進めておるわけでございまして、それ以外の自由裁量は全くしておらないということをこの際申し上げさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 余り深追いはしませんが、二つ目の答弁の中で、山梨県の各種団体等一緒になって演対協を窓口にして処理をしてもらいたい、そのことをやって苦心をしているんだ、長い歴史があるんだ、おっしゃるとおり。その歴史を、おくればせながらずいぶん勉強をさせてもらいました。そして防衛庁のやっていることが全部いいとは思わないどころか、防衛庁のやっていることが悪いから、この演対協にも入らない、そうでない一部の諸君のとんでもないいまの大きな不満なり、また国に対する要求なり告発なりというような問題が起きているんだというふうに考えている。したがって、この問題があるから今日まで私はこんなに一生懸命にやってきているわけだ。何とかあなたの言うように、少なくとも四月十日がもう期限でございますから、それまでには一切この北富士に関係する問題の解決をしたいものだという気持ちだけで、いまも、いままでもずっと、きょうも発言をしているということもぜひ知っておいていただきたい。あなただけじゃない、私もその考えでやっている。  第三の問題は、あえていま深追いはしません。  そこで次に、北富士演習場行政をめぐって二つの告発がされています。林雑補償についての詐欺告発事件と障害防止工事についての補助金等適正化法違反告発事件が起きています。しかるにその一つは不起訴処分という形で、けりがついた形となりました。だが、本当に捜査したのか、おざなりの形式的なものではなかったのかなど、種々の疑問が残る不起訴処分だと私は思う。よって警察庁など、法務省当局からその処理についての報告を求めんがために、ここに国政調査権による報告、記録の提出要求の可能であることを確認して、あわせて法務当局の見解をただしておきたいと思うのです。  これまでるる述べてきた北富士演習場行政をめぐっては、そのばらまかれている金銭が法に触れるようなやり方で行われているというような趣旨で、すでに告発されるに及んでおります。すなわち、林雑補償についての詐欺告発事件と障害防止工事についての補償金等適正化法違反事件の二つが、いま申し上げたとおり、この不当といいますか、全く払うべきでないところに払われている、こんなものはもらえないというような趣旨で告発が起きているわけであります。私は、かかる告発事件についても、それが直接決算審議とかかわりを有するものであると思いますので、これまで慎重に見守ってまいりました。  そこで、この件に関して、先ほどから問題としてきている国政調査権との関係で、まず一般原則論を長官伺い、次いで法務省当局の見解を伺いたいと思います。  申すまでもなく、刑事司法が公正に行われるためには、まずその前提として、検察事務が政治的考慮等によって左右されることのないように、あくまでも公正に行われなければなりません。たとえば起訴、不起訴がそのときどきの政治的あるいは政策的考慮によって左右されることになってしまえば、刑事司法の公正はその根底から崩壊していくものである。このような意味において、司法権の独立の精神は、また可及的に検察権についても推し及ぼされなければならない。  なるほど検察事務は、法務大臣を通じて究極的には内閣が責任を負っている行政作用には違いないでしょう。しかし、同時に司法権と密接不可分の関係にあり、政策的、政治的に左右されては絶対いけません。検察庁法が検察官に強い身分保障をしているのも、法第二十五条、法務大臣が検察官を一般的にしか指揮監督することができないのも、法第十四条、検察事務についての政治的、政策的な影響を防止せんとする趣旨だと思う。  このような観点から、検察事務は準司法的性格を持つ特殊な行政作用なのでありますから、通常の行政作用についての国政調査権の法理をそのまま適用することはできないと思います。しかしなお、検察事務は内閣の一員たる法務大臣の下に立つ行政権の一作用であるから、犯罪の捜査、公訴の提起や不起訴処分などが調査の対象になることも明らかであります。  したがって、この二つの性格を前提とすると、一つ、捜査の続行に重大な障害を与え、起訴、不起訴の決定を不可能にするような調査、二つ、将来の捜査に関し、捜査計画や一斉取り締まりの日時等を明らかにさせるような調査、三つ、もっぱら有罪性の探査を目的とするような調査――議院の調査は行政監督等の目的か基本ですか――なとのようなものは、これをすることは困難であろうかと思う。この三つに該当する場合には困難であろうと思う。  しかし、不起訴になった本件については、現に係属中の検察事務の執行と関連性があるのであればとにかく、いわば孤立的な事案であった場合には、真の意味での個人秘密への配慮は要するものの、これを調査の対象とすることができるものと考えますが、この点について見解を伺いたい。  また、あわせてお聞きしますが、このような場合において、捜査記録や不起訴記録なども国政調査権の対象、すなわち資料要求の対象となるかどうかを明らかにしていただきたい。なお、この点については、刑事訴訟法第四十七条のただし書きが、憲法第六十二条国政調査権国会法第百四条国会資料要求権を考慮して立法されたのでありますから、当然のことだと思うが、念のために伺っておきたいと思うのであります。  この二つについては両者からお答えいただきたい。
  51. 真田秀夫

    ○真田政府委員 検察権の行使は、もちろんこれは行政権の作用の一部でございますから、一般論として申しますと、当然に国政調査権の対象となる性格のものでございます。ただし、先生もお触れになりましたように、検察権は司法権と非常に密接な関連を持っておりまして、この検察権が適法に行使されなければ、ひいては司法権の適正な行使も望み得ないということにも相なりますので、検察行政についての国政調査権に関しましては、一般行政事務と比べて検察権のただいま申しましたような特殊性から、国政調査権を発動されるについては十分慎重にやっていただきたいというふうに考えるわけでございます。  そういうまた考え方が実定法上、先生もお触れになりました刑事訴訟法の四十七条にあらわれておるわけでございまして、刑事事件に関する記録は、公判期日前は公にしてはならない。ただし書きがついておりまして、条文をはっきり覚えておりませんが、公の必要があって相当と認めるときにはこの限りでない、こういうことになっておりまして、これは御承知のとおりロッキード事件のときもさんざん問題になりまして、結局われわれの考え方としては、捜査記録を公にすることによって、個人の名誉なりあるいは裁判の内容なりあるいは今後における検察権の円滑なる運用に支障が生じないかどうかということも十分に考えて、それから国政調査権に応じて捜査記録を公にすることによって果たされる国益と比較考量してどちらかに決めるのだというふうに考えておるわけで、またそういうお答えを繰り返し国会でも答弁しているわけでございます。
  52. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  北富士演習場をめぐる事件につきましては、関係者から幾多の告訴告発が出されておりまして、この中にはただいま先生御指摘のとおり、すでに不起訴処分に付されているものもございますし、現在甲府地検におきまして鋭意捜査中の案件もございます。いずれにいたしましても関係者が多数である、あるいはまた事案が複雑である等の理由によりまして、現在捜査中の事件はなかなか難航しておるようでございますけれども、近いうちに適正な処理がなされるものと考えております。  次に、記録の公開の問題でございますけれども、一般原則といたしますのはただいま法制局長官から申し述べたとおりでございまして、われわれといたしましても、法令の許す範囲におきまして国会の国政調査にはできるだけ御協力申し上げるという原則を確立して、またそういう方針で臨んできておるところでございますが、事件記録そのものを公開するということにつきましては、刑事訴訟法の四十七条に規定がございまして、関係者の名誉保護、あるいはまた刑事事件捜査というものは、そもそもが刑事責任を確定するという目的で、刑事訴訟法等によって許されました規定を使ってかなり強制処分を行うということでございますので、さような目的のために収集したものを刑事裁判以外の場において公開するということにつきましては、やはり関係者の名誉とか人権とか等を十分に検討の上で行わねばならないということで、従来の例からいきましても、不起訴記録そのものを公開したということはございませんので、できるだけその辺のところも御理解いただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 法務省にだけ追加してお伺いしておきますが、もし不起訴処分になった問題の告発をした側が公開して結構ですと言ったときにどうなりますか。
  54. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 ただいま関係者と申し上げましたのは、告発人にとどまらずに被告発人も含むわけでございますし、その他事件の関係で参考人という立場でいろいろ事情を話していただいた方の名誉、人権等のことも考えねばならないことでございますので、告発人側が了承したということだけで記録を公開するというわけにはまいらないわけでございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、法務省に二点お伺いします。  この二つの告発事件を受理した日から今日に至る間での間、それらの事案をどのように取り扱いをしたのか、あるいはしているか、どのような処理をしたのか、年月日を追って明らかにされたい。地元では林雑補償については、県、演対協、地元入会組合幹部等がエキストラを使ってあたかも真に実損があるがごとき演出を行わしめて、草刈りをしているという証拠写真等を検察庁に提出したから不起訴になったんだと言われています。果たして、だから不起訴になったか否かなど私はわかりませんけれども、しかし私には、当該事案が刑事事件として立件されるべきであるか否かという問題としてではなく、実損を要件とする見舞い金的金銭がその実損の不存在にもかかわらず白昼堂々と支払われ、何のとがも受くることがないとするなら、きわめて重大な問題ではないかと考えているのであります。  第二は、決算審議においてその関連で捜査記録や不起訴記録を資料として提出要求をされたら、差し支えない範囲、万が一あるなら条件をつけてその範囲で提出をすることが妥当だと私は思いますが、重ねてこの第二点もお伺いしたい。
  56. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 お答えいたします。ただいまも申し上げましたとおり、北富士演習場をめぐる事件というものはたくさんございまして、そのすべてが当局の方に報告がまいっておるわけでもございませんので、年月日あるいは事案等の詳細をいま申し上げるだけの資料を私、持ち合わせておりませんので、その点御了承いただきたいと思いますが、現在甲府地検におきまして捜査しておりますのは虚偽公文書作成行使罪及び補助金等の適正化に関する法律違反事件で、これは告発人が富士吉田在住の渡辺という方で、被告発人が山梨県知事ということになっております。事案の概要等は先生御承知と思いますけれども、いずれにいたしましても適正な補助金を受給できる資格がないのにこれを交付を受けたということでございますが、この事件につきましてつ、やはり関係者が多数であるあるいはまた内容が複雑である等の事情によりまして、今日それらのところを躍まえた上で甲府地検におきまして鋭意捜査を行っておる、近く適正な処理がなされるものと考えております。  それから、第二の点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、法令の許す範囲におきまして国会の国政調査にはできる限り協力してまいりたいと考えておりますが、記録そのものを提出するということにつきましては、やはり御容赦いただきたいと考えておるわけでございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの後段の問題について、御容赦いただきたいということは、きょう主論として申し上げた国政調査権なり審議権なりというものとの関連においてまだ、よろしゅうございます。納得いたしましたとは私は申し上げません。しかし、司法、立法、行政三権分立の今日、いま法務省に対してとやこう言おうとは考えていません。まずおのれの立法府の中における少なくともこの種の問題のけりがついた上で、関連してまた法務省との関連を逐次検討をしていきたいと考えています。  そこで、けじめをつけるために申し上げておきたいんですが、四月六日にはまた防衛庁プロパーでこの決算委員会がございます。私は少なくとも四月十日前、四月六日以前――いわゆる基地の安定的使用ということが国家的な命題であり、皆さんの主目的であることだけは認めないわけにまいりません。日米安保条約に基づく軍事基地そのものに対してわれわれは基本的に反対の態度を崩してはおりません。しかし現実にすでに演習場があり、演習が行われ、わが国二番目の広大な演習場として機能を発揮している、そのことを否定しただけではいけないわけでありますから、われわれの反対にもかかわらずその基地が使用されている限り、せめてその基地周辺における住民の安定ということだけはわれわれ国会議員として責任を負う必要があるという立場で、今日まで種々論議を進めてきたわけであります。少なくともその中に軍人林の問題あるいはいま言う林雑補償の問題、障害防止工事の問題あるいは浅間神社の問題、演対協一任の問題、まことに不当なこの一任という問題、これは大きなネックになっているわけですが、これら五つの問題に関して、少なくとも四月十日の基地更改の時点までにできるなら問題の解決がされるようにということを念願して今日まで努力をしたつもりです。高島さんの言をもってしても、大変な苦労をされ努力をしてきたことを認めます。認めますが、問題のあることだけは事実なんであります。その問題をよけて通ろう、何とかしてオブラートに包んでいきたい、何とかカーテンを引いて、より多数の人間の言い分に従っていく以外ないというようなあきらめといいますかずうずうしいといいますか、その陰では私の指摘するような不当な支払いまでされているという、盗人呼ばわりをされるような指摘まで受けるような事件が現にあるという限り、これに真っ向から取り組んでどう解決するかを真剣に考えないと、もし四月十日が過ぎて新たに基地更改ができたにしても、問題はこれからずっと尾を引いていく。そしてある意味では、解決することを考えるなら、むだな時間、むだなエネルギー、行政府にとっても全く貴重な労力という七のがこれに割かれていくというようなことをだれかが解決しなければいけない。その解決の衝に当たるのが不幸にも施設庁長官であり、また部長であるとするなら、私はこの問題に関する限り、寝ても覚めてもいられないという顔に部長がなって、先週会ったときより今週、来週会ったらもう本当に真っ青になって、いま私と同じようにいい顔していますが、もう全くこれじゃ本当に息がつけないというほどに取り組んでいい問題だと思うのです。その問題が依然として四月六日まで同じように推移して何ら進展を見ないというようなことがありましたときに備えて、四月六日にもう一度この問題を中心の、けじめをつける意味の皆さんに対する要求なり私の意見をお聞きいただきますが、とにかく早くこの問題を解決して、北富士演習場周辺における問題がなくなったという状態にするための努力の跡が皆さんから私に見えるようにぜひひとつやっていただきたいと思う。  口ではいろいろ言っていますが、努力の跡は何にもない。国会でいいかげんに答弁して決算委員会のこの時間が過ぎればまずまず大したことはない、こういうふうに考えてはいないでしょうが、考えたと同じ結果にずっと今日までなってまいりました。結果的にはわれわれに対する侮辱であり、結果的にはあなた方の怠慢なんだというふうな悪いとり方もできるほどだ。この問題に関しての取り組みはもっと真剣でなければいけないと私は思う。どうかそういう意味で皆さんも心して、ある一つのけじめはあるのですから、そのけじめの中にこの問題の解決をしようという強い決意で、まだ日がありますから取り組んでいただいて、できるなら三度、四度、五度と今後この問題について私か発言することのないように――余りにも長過ぎます。歴史的にも古い問題ではあっても、問題に当面してから長過ぎます。こんな無能な行政府は存在しないのと同じだと私は思う。結果的にはそう言えると思います。そう言われるほど困難な問題ですからよくわかりますが、それだけに真剣に、金丸防衛庁長官、施設庁長官、皆さんがこれに取り組んで、少なくとも六日の前にこの問題の曙光を見出すように努力をしていただくことを最後に強く要望して、私の質問を終わります。
  58. 楯兼次郎

    楯委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十六分開議
  59. 楯兼次郎

    楯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬場猪太郎君。
  60. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最初に総務長官政府の広報というのはどういうふうにあるべきだという基本的な考え方をひとつお示しいただきたいと思います。
  61. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 政府広報ということでございますから、政府の今後の指針と申しましょうか、そういったことに対して広報活動をたゆみなく続けていく、そのほか世論の動向であるとか、こういうことについても的確に把握をしていく、こういうことで政府広報活動が続けられておるわけであります。
  62. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それじゃ自分のやっていることを知らせるだけでいいわけですか。
  63. 島村史郎

    ○島村政府委員 私ども政府広報をやります場合に、まず第一に私どもは世論の動向を把握いたしまして、その世論の動向を把握しながら国民の生活に非常に密着した広報、それからもう一つ、わが国の非常に長期にわたります基幹的な問題についての広報、それから政府の重要施策についての広報、大体この三つの項目を重点に置きまして広報をやっておるわけでございますが、私どもの態度といたしましては、国民生活に密着した広報というものをその中でも最もウエートを置いて実は広報をしているつもりでございます。
  64. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 せんだっていただきました資料を見ますと、四十八年、四十九年、五十年とずっと見てますと、四十八年当時三十四億六千六百万ですか、それが四十九年に約六七%くらいふえている。急激に四十八、九、五十年くらいまで非常な伸びを示しておると思うのですが、これはどういうふうな理由で、ほかの一般の予算と比べて伸び率が非常に高いのですか、どういうふうな事情でこれだけ伸び率が上がったのか、お教えいただきたい。
  65. 島村史郎

    ○島村政府委員 御指摘のとおり四十九年につきましては約六五%、それから五十年度につきましては三三%の伸びになっておるわけでございますが、当時は予算も総理府本府につきましては相当伸びておりまして、五十年度につきましては総理府本府の予算の伸び全体が二九%でございます。それに対しまして五十年度の広報予算が三三%の伸びでございまして若干上回っておるわけでございますが、私どもといたしましては、外国に比較いたしましてもわりに広報予算というものは少ないわけでございまして、そういう意味から政府広報をその当時の内閣において特に重要視されて広報予算を増額されたものというふうに考えております。
  66. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 重要視されたということは、それだけいままでの政府広報というのは弱かったということになると思うのですが、増額されて、ここ三年ほどの経過を見て、その結果はどういうふうに感じていらっしゃいますか。
  67. 島村史郎

    ○島村政府委員 私どもといたしましては、政府広報につきまして、テーマといたしましては、さっき申しましたように国民生活に密着した広報を実施すると同時に、広報の内容につきまして民間のいろいろの専門家の意見を聞き、その質的向上を図ってまいりたいということで、昨年以降民間の方々の御意見を十分拝聴しながら中身の改善に努めてまいったというのが現状でございます。
  68. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 改善してこられて、これは確かに効果があったという何か目立ったようなことはございますか。
  69. 島村史郎

    ○島村政府委員 昨年の例をとってみますと、いままで政府広報につきましてそれぞれ新聞あるいは週刊誌等につきまして広告の賞というものが実はいままで余りなかったわけでございますけれども、昨年につきましてはこの賞を非常に得るようになりました。私の手元にございますのでも六つくらいの賞を実はいただいておるわけでございます。また、手元にはございませんが、いま広告の専門の一流誌で「コマーシャル・フォト」というのがございます。それが五十二年の広告、商業広告も含めてでございますが、それを総括して評を述べておるくだりを読みましても、五十二年の広告界において非常に注目すべきことは政府広報が非常によくなった、いままでは余り見られない広報であったものが非常に見られるようになり、また専門家の評価にもたえ得るようになった、そういうふうに「コマーシャル・フォト」にも書いてございますけれども、それはそれぞれの各専門誌においても同様に触れられておるところでございまして、私どももまだ十分とは考えておりませんけれども、それなりに一応の前進は見たというふうに考えております。
  70. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 六つの賞というのはどういうふうな賞であり、そして具体的にどういう点でよくなったか、そして政府みずから考えていらっしゃるのはどの点がまだ足りないと考えていらっしゃるのでしょうか。この予算を見ましても、一番大幅にふえておるのは放送諸費ですね。四十八年度が当初予算十一億ですか、それが四十九年度は二十三億、これは一〇〇%以上、決算で言っても十四億が二十六億になっているわけですから、非常に大幅を示しておる。これだけ、倍にもなるような予算を組まれたわけですから、当然六つの賞をもらわれるようなこともあったのでしょうけれども、その内容について大体どういうものか教えていただきたいと思います。
  71. 島村史郎

    ○島村政府委員 いろいろ賞がございますが、一つ政府広報の広告のデザイン及びコピーが非常によくなったということがございます。  それから、たとえば消費者のための広告コンクールというのがございますが、消費者のサイドから見てこれは非常に国民あるいは消費者のためになる広告であるということで実は賞をいただいているというのが現状でございます。  要するに、制作者の側からの賞と消費者サイドから見た賞、こういうふうなかっこうで賞をいただいておるわけでございますが、いずれにしましても、そういうデザイン及びコピーというものが非常に改善されてきたというのが特色であろうかと思います。
  72. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 広告担当者だとかデザイナーだとかそういう専門家が見てよくても、国民の皆さんが果たして喜んでいらっしゃるかどうか、その点についてはどういう受けとめ方をされているか。
  73. 島村史郎

    ○島村政府委員 いまさっきもちょっと申し上げましたように、消費者が中心になっていいか悪いかというコンクールと申しますかそういう賞があるわけでございますが、それにおいても賞をいただいたということ、それからたとえばテレビなんかにつきましても、視聴率が非常に改善されてきているというのが現状でございます。
  74. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 中身がよくても国民の側でどれだけ見られてどれだけ理解されておるかということが問題です。したがって、視聴率そのものが果たしていい悪いの判断になるかならぬは別といたしまして、見ていなければ何もならぬわけです。たとえば五十年度と五十一年度の比較をいただいた表から見ますとみな倍になっていますね。五十年、五十一年と五十二年とはまた中身が変わっているのです。それから五十年当時にはたとえば「あすの世界と日本」というのが制作費が百五十万から百万くらい、そして企画料等が二百六十万ぐらいかかって、大体年間二十六回で六千六百万のが、五十一年度はその倍の一億三千五百万になっておる。あるいは「世界の先生たち」というのも予算は倍になっていっておる。ですから、こういう面から五十一年にかけて予算がずっと倍になっていっておって、そして視聴率も非常に上がってきたから、そういうふうに言われておるわけですか。
  75. 島村史郎

    ○島村政府委員 予算が伸びましたのは、いまちょっと細かな資料をここに持っておりませんけれども、主に制作費それから放送回数がふえたというふうに考えておるわけでございますが、そういう視聴率が非常にいいものにつきましては量的に伸ばしますと同時に、視聴率の悪いものについてはその視聴率を改善するように努力をしておるわけでございます。  それからまた、新聞あるいは月刊誌等につきましても、世論調査等によりまして、私どもは注目率というのを調査いたしておりまして、その注目率によって一応私どもはそれぞれの効果を判断しているというのが現状でございます。
  76. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 だからいまお聞きしておると、予算もふえて中身もよくなってきたというのに、五十年、五十一年にやっていたのに、五十二年度は全部番組が変わっていますね。よくなってきたものをまたわざわざ変えられたわけです。
  77. 島村史郎

    ○島村政府委員 御承知のように、テレビにつきましては大体四月に番組の編成がえをするというのがたてまえでございます。あるいは十月に編成がえをするというのが一応たてまえでございまして、私どもはそういう編成がえをいたしますときにいろいろいままでの番組等を比較検討いたしまして、そして視聴率の低いものは改善するように努力をいたす、あるいはその番組を極端に申しますと切る、そして新しい番組を作成していくという努力をしておるわけでございます。
  78. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 その当時五十年、五十一年でやってこられたのはどれくらいの視聴率があったのですか。あるいは視聴率だけじゃなしに中身が至ってよかったという資料、そういうものがあるのですか。
  79. 島村史郎

    ○島村政府委員 大ざっぱに申し上げまして、五十年ぐらいの視聴率は大体二ないし三%ぐらいのところではなかろうかというふうに、過去のことでございますので私ども正確な記憶はございませんが、それがいまは大体三%から五%ぐらいの間にだんだんと入るように実はなってきているというふうに考えます。  また一方、そのテレビを放映いたしますときに、私どもは自身でもモニターというものを必ずつけておりますし、それからテレビ局自体におきましてもそれぞれ各局にモニターをつけておりまして、そのモニターからいろいろの反応をお聞きしておるわけでございます。その国民の方々の反応を十分聞きながらテレビの番組の改善を図っていくということもやっておるわけでございます。
  80. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま現在やっておられる「日本のひろば」とか「にっぽんレポート」とかあるいは「あまから問答」とか「ホームジャーナル」あるいは「サンデー記者会見」というのがずっと続いていらっしゃるのですが、それぞれどういう視聴率を上げ、どれだけの国民の皆さんに見ていただいているのか。視聴率だけじゃなしにそういうことを立証する何かがあったら教えていただきたい。
  81. 島村史郎

    ○島村政府委員 現在私どもがやっております番組の中で一番高い視聴率を上げております「ほかほか家族」というのがございますが、これが現在のところ五十二年度通しまして大体五・七%、特に第四クールと申しますか、ことしの一月から三月にかけましては七・四%というような視聴率でございます。その次が「日本のひろば」でございまして、これが五・五くらいの視聴率、それから三番目に「世界の先生たち」というのがございますが、これも大体同じくらいの五・五%の視聴率でございます。それから次に「にっぽんレポート」というのがございますが、これが四・三%くらいの視聴率でございます。一番最後に、御指摘になりました「サンデー記者会見」とか「あまから問答」というのがございますけれども、これは対談番組でございまして、対談番組につきましては若干視聴率が落ちておりまして、これは一%から二%くらいの視聴率でございます。  この視聴率から人口を掛けますと大体見ていただいている方々の数が実は出るわけでございますけれども、いまちょっとその人口の計算までは実はここへ手持ち資料は持っておりません。
  82. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いいものはそのままずっと来年度も続けられるわけですか。
  83. 島村史郎

    ○島村政府委員 全テレビ局の教養番組の平均の視聴率が大体二%ないし三%というふうに実は言われておるわけでございまして、私どもは高い視聴率を持っておるものにつきましてはさらに内容を改善をしてまいりたいというふうには考えておりますけれども、一応それを継続してまいりたい。それからまた、低い視聴率につきましてはそれを打ち切る、あるいはその番組を稿を新たにして再出発をさせていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  84. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大体どれくらいの視聴率を示しておれば及第点であり、どれくらいになれば変えていかなければならぬ、そういうふうな基準的なものはあるのですか。
  85. 島村史郎

    ○島村政府委員 私どもは現在大体の目安として三%程度のところを一応考えておるわけでございます。
  86. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 総理府が広報をやっておると同時に各省庁もまた別に政府のPRをやっていらっしゃる。そういうことについてももちろん総理府は全部の省庁の広報活動については掌握して、意見も調整しながらやっていらっしゃると思うのですが、その他の省庁についても大体似たような広報番組をお持ちなんですが、掌握していらっしゃるでしょうか。
  87. 島村史郎

    ○島村政府委員 御指摘のとおり各省庁におきましてもテレビ番組等を持っておりまして、一応私どもとしてはそれを掌握をいたしておりまして、大体知っております。その上で私どもとしてはいま総合的な調整を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  88. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 掌握しておられるんなら資料要求したときに各省庁の予算とか内容についてお知らせをいただきたいのですが、掌握してないとおっしゃるんですね。来てないのですよ。各自でとってくれ、こう言われるのですが、まだいま全部集めていませんけれども、掌握しておられるのだったら、後ほどでいいですから各省庁の広報予算、全部資料としてお知らせいただきたいのですが、いただけますでしょうか。
  89. 島村史郎

    ○島村政府委員 これは要するに各省庁の提出の問題でございまして、私どもとしては大体の大づかみのことは知っておりますけれども、細部については実は必ずしも十分には把握してない面もございます。大づかみのことは知っておるわけでございますが、提出することについては各省庁の御判断に任さざるを得ないというのが現状でございます。
  90. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大体のことしか掌握してなくて各省庁間の調整というのはうまくつくのですか。わずか五分の番組、十五分の番組、三十分の番組と限られているわけでしょう。ですから、それぞれの時間帯の問題であるとか内容の問題であると、大体だけじゃ調整はうまくつかないのじゃないですか。きちっと的確に掌握しておってこそ初めて全体の政府広報としての統一のある方針が保てると思うのですが、それを大体の程度で、全然はっきりしたことをつかんでないということじゃおかしいのじゃないですか。
  91. 島村史郎

    ○島村政府委員 私どもが掌握しておりますのは、各省の要するにテレビの時間帯、それからどういうことをやっているかという大体のテーマ、それからそれをドラマにするとかあるいはルポルタージュにするとかドキュメントにするとかいうような概略の内容は実は知っておるのでございますが、さらにそれを細かに打ち割って、対談をするにしてもきょうの対談相手は大体だれとだれであるとか来週のレポートはどこをやるとかいうような具体的なところまでは、必ずしも私どもは掌握していないというのが現状でございます。
  92. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 予算の上でも掌握してないわけですか。政府広報が同じようなものが重なっている場合もあるでしょうし、調整しなければならぬわけでしょうから、当然総理府が中心になって予算の上でも全体を掌握してなければ、政府広報の一貫性は保てないのじゃないですか。
  93. 島村史郎

    ○島村政府委員 各省のテレビ予算のことにつきましては掌握をいたしておるわけでございますが、さっき申し上げましたように、国会提出するのは各省庁の御判断にならざるを得ないということでございます。
  94. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 資料をお持ちだったら、各省庁がどうであろうとおたくの方で握っておられる資料をコピーをいただけばいいわけですから、いただけますか。
  95. 島村史郎

    ○島村政府委員 これはいろいろ問題があるかと思いますけれども、私どもとしてはやはり各省庁の御判断に任さざるを得ないと考えております。
  96. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 各省庁のと言ったって、おたくの方で掌握されて全部数字をお持ちなんでしょう。出せない理由があるのですか。
  97. 島村史郎

    ○島村政府委員 一応予算的には大体大蔵省でもわかるわけでございますが、実行予算は確かに若干食い違うところもございますけれども、私どもが一応掌握しておりましても、これは私どもは事務的に要するに横の連絡上とっておるわけでございまして、要するに各省が御判断の上で資料提出していただくことになるのではないかと考えます。
  98. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ちょっと中断いたします。官房長官おいでになりましたから中断いたしまして、あと官房長官に対する質問をやっていただきます。
  99. 楯兼次郎

    楯委員長 官房長官が見えられました。官房長官に対する質問が二名ありますので、これを許します。まず、安藤巌君。
  100. 安藤巖

    安藤委員 いろいろ具体的な事実を挙げまして、これを官房長官にお聞きいただいてその上でお尋ねするのが本来なのですが、官房長官の時間の都合でそれもならないということですので、そういうのを抜きでお尋ねするのでちょっと私も調子悪いし、官房長官も調子悪いかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思うのです。  といいますのは、閣議の了解に基づいて公営競技問題懇談会というのが設けられまして、これが総務長官の主宰で開催されるという運びになっているわけです。この公営競技問題懇談会というのは、公営競技のあり方について見直しを行うというふうに私どもは聞いておるし、そういう趣旨だと思います。  そこで、公営競技の収益金の中から幾つかの団体に交付金が支給されるわけですけれども、この交付金の配分の問題について、競技の所轄官庁が幾つかあります。たとえば自転車、オートレースは通産省、競馬は農林省、そして競艇の方は運輸省、こういうふうに所管が違っておりますし、その根拠法も幾つかに分かれております。だから、その配分の問題につきまして、自転車、オートレース関係審議会があって、大臣が認可するについてはその審議会の意見を聞かなければならぬというふうになっているわけですが、地方競馬、それから競艇関係についてはこの審議会というのがないわけなんですね。こういうようなアンバランスがあります。だから、こういう懇談会が設けられたのをひとつ機会にいたしまして、内閣として各省庁の連絡調整をしていただいて、交付金の分配について公正、民主的な方法で行われるという筋を通すために、審議会も構成の問題、いろいろ問題がありますけれども、たとえばすべての競技の分配についてこういう審議会を設けたらどうかというような方向で官房長官の方でまとめていただいて、公正、民主的な分配の方向ということで前進をしていただくようなお考えを持っておられないかどうか、また、そういうふうに考えていただきたいということでお尋ねするわけなんです。  それからもう一つ、ついでにお尋ねしておきたいのですが、交付金の配分の問題について会計検査院の検査が及んでいないという実態があります。これは一つだけは、地方競馬の関係につきましては、交付金の配分を受ける施行者ですか、そこにだけ会計検査院の検査をすることができるというのがあるのです。ところが、ほかは全然会計検査院の検査は及ばないという仕組みになっております。だからこれはこの際、公平、民主的な配分ということを目指して会計検査院の検査が及ぶような法改正、そういうようなことを考える余地はないのかどうか、そういうことを考えておられないのかどうか、また、考えるべきであると思うがどうかということで、この二点だけお尋ねします。
  101. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いまいろいろと御指摘があったわけでございますが、御指摘のありましたような交付金の配分手続のアンバランスその他の問題につきましては、これは当然公営競技問題懇談会で十分議論されるものというふうに考えておりますし、また議論すべきものであることは当然でございますから、いまの御発言につきましては十分尊重して対処してまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。  同時に、いま会計検査院の検査が及ぶようにしる、そういう法改正等も考えろという御意見でございますが、この点につきましては、いま突然の御質問でございまして用意をしておりませんが、御質問の趣旨につきましては早速勉強いたしまして御答弁申し上げたいと思います。
  102. 安藤巖

    安藤委員 もう一点だけ関連して。  いま官房長官からは、懇談会が設けられたので、前の方の問題については懇談会の中でということをおっしゃったのですが、もちろん懇談会の中でこのことを大いに議論していただくようにする、そういうような取り回しということもお願いしたいのですが、それとは別個に、やはり内閣として官房長官がそういう各省庁の連絡をちゃんととっていただいて、また独自にやっていただくということもお考えになっていただきたい、そういう点はどうかということもお尋ねしておりますので、そういうこともよろしくお願いしたいと思います。
  103. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 懇談会で当然そういう問題は審議がされるわけでありますけれども、内閣としての責任はやはり各省庁の調整にあるわけでございますから、いまお話しのような各省庁間のそうした公営競技につきましていろいろなアンバランスが生ずるということになれば、これはもう内閣の持っておる調整機能として調整のために力を尽くすということは当然のことであろうと思うわけであります。
  104. 楯兼次郎

    楯委員長 この際、午前中の原茂君の質疑に対し、安倍内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。安倍官房長官
  105. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 先ほど原委員からいろいろ御質問がございましたので、お答えを申し上げます。  その第一点は、決算委員会委員決算審議に必要不可欠の資料行政庁要求した場合、行政庁は、これにこたえるのは恩恵としてかあるいは義務としてか、こういうふうな御質問でございましたが、決算委員会委員から決算審議に直接必要な資料要求された場合、これに対して、政府としては、その立場から許される最大限の協力をすべきものと考えておりまして、恩恵といったような考えは毛頭持っていないわけでございます。  次に、第二点といたしましては、決算委員会委員が法定の手続を経ずに決算委員長を経由して官庁に資料要求したものは、正式の委員会要求にかわるものとして受けとめているかどうか、こういう御質問でございますが、決算委員会委員がどのような手続を経て資料要求をされるべきかは、委員会または議院においてお決めいただくべきものであると考えておりますが、政府としては、先ほども御答弁申し上げたとおり、決算審議に不可欠な資料については、その立場から許される最大限の協力をすべきであるとの立場に立って対処していく考えでございます。  次に、第三の御質問といたしまして、見舞い金や補助金も当然決算の対象となるから、その明細についての資料決算審査の必要上提出する義務があると思うがどうか、こういう御質問でございましたが、決算上必要な資料か否かの判断は決算委員会が御判断される問題であると思われるわけでありますが、政府といたしましては、何回も申し上げたとおり、決算審議の上で必要不可欠とされる資料については、許される最大限の御協力をすべきである、こういうふうに考えておるわけであります。
  106. 楯兼次郎

  107. 春田重昭

    春田委員 私も、官房長官に対する質問は、審議の最終点でその決意なりをお尋ねしたかったわけでございますけれども、せっかくおいでになりましたので、あわせて御答弁いただきたいわけでございますけれども、先ほど安藤委員からも質問がありました公営競技問題懇談会の問題でございますが、三月八日の新聞によれば、懇談会をいわゆる審議会の方に格上げしようという動きがある。政府も答申の次第によっては考えざるを得ないんではないかということで報道されておりますけれども、いま行政改革の一環として審議会の廃止、縮小、統合というものがそういう形で問題になっておるわけでございますけれども、このように懇談会を審議会へ時っていくということは時代の流れに逆行しているのではないかという感を私は持つわけでございますけれども、この点官房長官としてはどのようにお考えになっていますか。
  108. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 審議会につきましては、閣議了解の線に沿いまして、政府としては行政改革の一環として審議会の整理統合を行うための準備を進めておるわけでございますが、現在は、既存の審議会二百四十六ありますが、このうちの四十八を整理したい、こういうふうに考えて、これが行政簡素化の見地からの行政改革を推進する一環であるというふうに考えるわけでございます。そういう意味におきましては、審議会自体につきましては行政改革を進めるわけで、これに対するところの所要の法律改正を国会でお願いいたしておるわけであります。  いま懇談会と審議会の関連についてのお尋ねかとも思うわけでありますが、この公営競技問題懇談会につきましては、現在公営競技がいろいろと問題になっておるわけでありまして、そうした御批判等にこたえて公営競技の問題についても、政府としても積極的にこれについてのいろいろな問題点を整理をし、そして公営競技のあり方等について改めるべきものは改めていかなければならぬという現在のそうした情勢を踏まえて懇談会をつくるわけでございますから、審議会の行政整理の一環として整理するという問題とは別個に、やはり社会的に必要な公営競技問題のための懇談会というものはこれを設置して、そしてこの懇談会によっていろいろな問題点を総合的に積極的に議論して結論を出していくのが、政府としてはその責任の一環である、こういうふうに考えるわけであります。
  109. 春田重昭

    春田委員 懇談会というのはすでに設置されているのでしょう。その懇談会を審議会に格上げしようという動きがあるということですから、私は、時代の流れに逆らっているのではないかということなのですよ。どうなんですか。
  110. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 公営競技懇談会というのが、三十六年時代と相当収益も変わってまいっております。当時は千何百億、こう言われたのでございますが、いまでは四兆何千億、こういう形になっておりまして、これがいろいろ世間の話題にもなっておる。こういうような関係から、昨年の十一月、閣議了解事項として懇談会が設置されました。その後七回にわたって懇談を続けておりまして、あと十三回ぐらいで最終的な結論を出してまいりたい。いまたとえば、先ほど御指摘の交付金問題、収益の均てん化問題あるいはまたのみ行為問題とか団体の管理の問題であるとかということが懇談会の中できわめて積極的に議論がなされております。そういう意味から、これを将来において審議会にするとか調査会にするとか、そういう問題は現在のところは一つも考えておりません。ただ、この議論の成り行きによって国民の各位に御了解が得られないとするならば、これは調査会になる場合もあり得るということでございまして、現在のところは調査会、審議会ということは一つも考えていないということを御報告をいたしておきます。
  111. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いま稻村総務長官からお答えしたとおりでありますが、法律に基づく調査会が必要であるかどうかということにつきましては、いま懇談会でいろいろと検討が進められておるわけでありますが、懇談会の状況を見ながら判断する必要がある、こういうふうに考えるわけです。
  112. 春田重昭

    春田委員 最後に、官房長官に御認識いただきたいと思うわけでございますけれども、長官からは非常に積極的に懇談会が行われている、七回行われたということでありますけれども、新聞の報道においては、いわゆる出席率が非常に悪い。中には、メンバーの作家の佐藤愛子さんですか、この方は最初聞いたのと中身が全然違うじゃないかということで、一回だけ出席してその後ほとんど出席してないという形で書かれておりますし、こういう点から中身が非常に薄い、また委員のメンパーの方もほとんど出席していないという形で書いてありますし、そういう懇談会が長官から言えば積極的に行われている――まあ一部の方はやっているかもしれませんけれども、全体の機能としては非常にお寒い状態である。こういうさなかに懇談会を審議会に持っていくということは、私は時代の流れに逆らうのじゃないかということでお伺いしたわけでございまして、長官からはそういうことは全然考えていないとなれば結構でございますけれども、いずれにしても懇談会として設置している以上においても中身をもっと濃いものにしていただきたい、このことをお願いいたしまして、関連でございますけれども、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  113. 楯兼次郎

  114. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまちょうど原先生に対する御答弁をいただいた中でも、できる限り最大限の協力をして資料提出する、こういうふうにお答えがあるのですが、広報室長の方は、それは各省庁でおとりになるのがあたりまえだ、こういうふうにおっしゃるのです。私どももとっておりますよ、全部は集めておりませんけれども。しかし、事務的に考えてみたら二遍も三遍も資料を寄せなければならぬのですよ。相手の立場もあるから、おとりになっておるならいただけませんかと言っているのです。これはよその省庁だからうちは関係ありません、平たく言えばそういう言い方なんですね。開き直っているのです。おかしいと思いませんか。官房長官はできる限り最大限の協力をするという御答弁があったのですよ。その資料要求に対して、よその分はよそでおとりください、こういう答弁なんですよ。おかしいと思いませんか。
  115. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほど来広報室長が答えているわけでありますが、これは各省庁に広報活動を主として分配されておるわけであります。そういう意味から、行政の縦割りの線から見ましても独立の権限を持っておる、こういうような形から、私が各省にさあ出してくれよ、こう言って横取りをするというわけにもまいらない。ただ私の省の分につきましては、これは御提出することはやぶさかではありません。そういう意味から、先ほどの御指摘を私じっと聞いておりまして、そういうふうにして各省庁等に配分をされておって、それが重なり合うような広報をしておるのではないか、そのようなことがあっては困るではないか、こういう御指摘でございますが、これは資料提出のほかに、こういったことがないように各省庁との調整機能の役割りを十分に果たしてまいりたい、こういうふうにお答えをしておきたいと思います。
  116. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 長官おいでになるまでに、総理府では広報関係の予算については各省庁と調整しながら事業を円滑にやるために資料を集めているという御答弁なんですよ。そうしたら、わざわざ私どもの方から各省庁にいただくのだったら、お持ちだったら各省庁の広報予算についていただけませんかと言ったら、それは出せません、各自とってくれという返事なんです。そうすると、官房長官のできるだけ協力して資料委員会の必要なものであれば出しますということと食い違っていませんか。官房長官にお聞きしているのです。
  117. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は政府という立場で申し上げておるわけでありますが、政府全体としては許される資料提出につきましては許される最大限の協力は申し上げます、こういうことを申し上げているわけで、その中にあっていま総務長官が申し上げたのは、総務長官として総務長官所管をする資料についてはできるだけの御協力は申し上げますということでございますから、そう食い違っておるようにも思いませんけれども、私は政府全体としての立場から許される最大限の御協力を申し上げたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  118. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 資料はお持ちなんでしょう。お持ちの資料は、総理府所管のものばかりではないから、ほかの所管の分については資料を持っておっても出せない、こうおっしゃるのでしょう。そういうことじゃないのですか、意味が違うのですか。
  119. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 いま官房長官もお答えになりましたが、私どもの省の問題については先ほど来申し上げたとおりでありますが、各省庁については各省庁なりのいろいろな関係があると思います。しかしながら、せっかくの御指摘でございますから、各省庁に働きかけまして調整しながら御期待に沿う努力をいたします。
  120. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それじゃ長官、ひとつ御努力をいただいて、資料を出していただきたいと思います。  そこで、出版物がいろいろありますが、たとえばテレビについてお伺いしたいと思うのです。  テレビの契約はどういうふうな仕組みになっておるのか。たとえば総理府のテレビの胆当者が直接相手の局となされるのか。それらについてひとつお教えいただきたい。
  121. 島村史郎

    ○島村政府委員 テレビ関係の契約については、私どもとしては直接テレビ局と契約をいたします。四月に契約をいたしまして、一年は大体四クールでございますが、四クールのことについて一週に一回、何曜日に何時から何時までというような契約をいたします。その内容につきましては、個々の実態に応じて広報室と協議をして実施してまいるのが現状でございます。
  122. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 具体的に教えていただけませんか。たとえばいまの比較的好評だと言われる「日本のひろば」の場合は、キー局である東京放送に  ついてはどういうふうな契約になっておるのか。電波料とか制作費の内容、契約の金額の構成もひとつ教えていただきたい。
  123. 島村史郎

    ○島村政府委員 たとえば「日本のひろば」でございますと四月に、日曜日の九時四十五分から十時までということで一年間に何回、それについて制作費を一回当たり幾ら、それから電波料を幾らということで契約をいたします。
  124. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると、いまテレビの担当者は何名ですか。
  125. 島村史郎

    ○島村政府委員 テレビの担当者はいま五名でございます。
  126. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 その五名で電波料とか回線料あるいは制作費だとかそういうことを全部、それも一局だけじゃなしにスポットも何もかも入れて、そういうことを全部消化できるのですか。
  127. 島村史郎

    ○島村政府委員 契約自体につきましては一年間通して一回限りの契約でございますので、実は簡単にできるわけでございますが、問題はその各週ごとの番組の制作をどういうふうにやっていくかということでございます。  この問題につきましては、番組をつくります場合に、いまさっきもちょっと触れましたけれども、まずテーマの決定がございます。それからテーマを決定いたしましてテレビ局と打ち合わせをする。それから、テレビ局と打ち合わせをいたしますと今度はテレビ局が各省とさらに細かに詰めまして取材活動を始める、こういうことでございまして、具体的な内容につきましては、テーマの決定は担当者の方ではやりませんで、全体のことが十分把握できておる企画担当の方で実はテーマの決定をいたします。あとテレビ局との打ち合わせ、それからテレビ局が各省庁に参りまして細部の打ち合わせをし、さらにその実施をしていくことの調整をテレビ担当の者が実はやっておるわけでございまして、現在この職員数で必ずしも十分なものであるとは私も考えておりませんけれども、与えられた定員の範囲内で最善の努力を重ねているというのが現状でございます。
  128. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それじゃ、契約をなさるのですから、当然電波料の内訳であるとか回線料であるとか制作費の内訳についても皆ある程度のことは御存じのはずですね。たとえば「日本のひろば」を通じて電波料をキー局には幾ら払い、そしてネットワークの各局にはどういう状況で払っていくのか、そういうことを教えていただきたいのです。
  129. 島村史郎

    ○島村政府委員 私どもは、三十分番組物で制作費が大体百五十万が平均でございます。  それから、いまおっしゃられました電波料は、キー局の電波料が三十分物で五十二万円でございます。それから各地方局の電波料につきましては、各地方局ごとに全部違っております。現在二十数局でネットを構成いたしておりますけれども、地方局別に全部電波料が違ってきております。
  130. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうしますと、この「日本のひろば」は五十一年度決算で見ますと二億四千五百万円になっておるのですが、それを一本当たりに直しますと幾らになりますか、五十二回ですから、制作費も何もかも含めて一本当たり四百八十万くらいになるのです。ところが、いま言われるようにキー局と各局全部合計しますと、もっとごつうなるのですよ。四百八十万でなしに、「日本のひろば」だけ見ても電波料を全部拾ってみたら六百十何万円かかるのですね。そして、これだけではなしに、「にっぽんレポート」も調べてみたら、平均額と皆金額が合わないのですね。「にっぽんレポート」を見ますと、九百三十一万平均かかっておるのです。ところが、これの平均額は六百六十八万ぐらいになっておるわけですね。それはどういうふうな構成になっておるのですか。
  131. 島村史郎

    ○島村政府委員 いま私どもが申し上げました電波料は、ちょっと申し上げませんでしたけれどもこれは規定の料金でございまして、私どもが契約いたします場合は、これは民放連との話し合いで、私どもには割当率というものがかかっておりまして、この規定料金の大体六五%、電波料金につきましては六五%でいいということで、私どもとしては六五%分のものを支払っているということでございます。  制作費につきましては、これは全部私どもの方で、別に規定料金というものはございませんで、そのまま支払いをしているということで、いま先生が御指摘のような数字になるのではないかというふうに考えます。
  132. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 制作はどこに委託をしていらっしゃるのですか。
  133. 島村史郎

    ○島村政府委員 これはテレビ局に委託をいたしております。
  134. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それじゃ、日本広報センターや日本経済教育センターというものは、どういう存在価値があるのでしょう。日本後方センターを見ますと、テレビの制作の委託を受けて百五十万ないし百万の制作費をかけておる。あるいはこの中に五十年度、五十一年度の予算が皆載っておるのですが、この外郭団体とはどういう関係になるのでしょう。
  135. 島村史郎

    ○島村政府委員 広報センターと経済教育センターにつきましては、これはそれぞれ広報センターなりあるいは経済教育センターなりでこういう番組をつくりたいといういろいろの企画がございます。その中で政府として非常に適当な企画であるというものにつきましては、その分の制作費だけを広報センター及び経済教育センターに委託支出をするというかっこうでございまして、この経済広報センター等でやっております「世界と日本」というものにつきましては、一応私どもで制作費だけを負担をしている。電波料につきましては、テレビ局の方でそれぞれスポンサーを見つけて負担をしているという仕組みになっておるわけでございます。
  136. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 先ほどは、電通だとかああいう広告代理業がありますね、そちらで企画したのを持ってきて契約すると言われたのですよ。そうすると、この二つの外郭団体はどういうことになるのでしょう。トンネル機関になるのじゃないですか。
  137. 島村史郎

    ○島村政府委員 私が先ほど申し上げましたテレビ局との契約につきましては、これは広告代理店は全然入っておりません。私どもとテレビ局と直接契約でございます。  ただ、いろいろ政府が広報をやります場合に、非常にいい番組についてはその制作費を一部負担するということが非常にいい方法ではないかということで、広報センター及び経済教育センターにおいていろいろ企画立案されたものの中から、そのいい番組の制作費を負担するということで、広報セシターにその番組の制作を依頼するということにしておるわけでございまして、いま現在私どもとしては要するに二通りの、広報センター及び経済教育センターを通じての番組と、それから私どもがテレビ局と直接契約しますものと、一応二種類に分けて考えておるわけでございます。
  138. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 制作費については、そうするとテレビ局で直接企画立案してもらったのにこちらが乗るのと、いま言われた二つの団体ですね、広報センターと経済教育センター、この二つ、二手に分けて制作費を払っているということですか。
  139. 島村史郎

    ○島村政府委員 大体そういうことでございまして、テレビ局の分につきましては、要するに代理店を通さずに私どもの方でテレビ局と契約をいたしますが、その場合にはテーマの決定なりなんなりは私どもの方で一応やりまして、それでテレビ局と打ち合わせて最終的に決めていくという方式をとっているわけでございます。
  140. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 制作費というのは、これは内容によってはずいぶん差があると思うのです。平均百五十万ぐらいと言われているのですが、その範囲でみんないけるのか。映画によってやる場合も違うでしょうし、また対談によっても違うでしょうし、ずっと全部違うと思うのですが、その範囲でいけるわけですか。
  141. 島村史郎

    ○島村政府委員 一応私どもは、これを海外取材番組とそれから国内での取材番組というように二つに大きく分けておりまして、海外取材番組につきましてはこれは制作費は当然高くなります。一応現在三十分番組で考えます場合に、海外取材番組につきましては大体二百五十万程度の金額を出している。それから国内取材番組につきましては一応百五十万程度の制作費を実は出しているというのが現状でございます。国内取材番組につきましても、そういう対談のものとかそれからルポというものについて、要するにそれぞれによって若干値段が違いますけれども、一応それは年間を通しましてある程度総体的に考えているというのが現状でございます。
  142. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 アイデアとか企画とかいうものについては非常にむずかしいものがあると思いますから、いいと思ってもさらにいいものもあるし、そういうものについて、競争させていいものを選ぶというような制度をとっていないのですか。これを見ますと、各局平等に割り当てて平均に出しておる、政府がスポンサーで出しているような感じがするのですが、その点はいかがですか。
  143. 島村史郎

    ○島村政府委員 私どもとしては、確かに御指摘の点は十分問題として実は考えておるわけでございますが、現在の仕組みがそういうことで、私どもはテレビ局と直接契約をいたしておりますので、できるだけ私どもとしては民間の方々の意見を十分に聞いて、そしてこのテレビ番組をこういうふうに直すべきであるということでまた考えておるわけでございます。また番組の作成に当たりましては、テレビ局と本当に甲論乙駁ということでそれぞれディスカッションをしながら実は番組を作成しているということでございます。
  144. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 どちらが主体性を持ってこの広報をやっておるかということです。たとえば時間帯だって皆限られていますね。もっといい時間をとろうと思っても、実際問題としてないわけでしょう。そうすると、あなた方の方で主体性を持ってやっておられるのかどうか。結局はテレビ局側のペースで、向こうの持ってきた時間帯で、向こうの持ってきた企画に乗ってやらざるを得ない、三人や五人でやるのですから。そういう結果に陥っているのじゃないでしょうか。なるほど専門家から見ればデザインもよくなったかもわかりませんけれども、一般的に見て、まだまだ政府広報がそんなに皆さんに浸透しておらないことは事実なんですよ。その点についてはいろいろ御説明は受けたけれども、実際にはあなた方のペースで主体性を持ってやれているのかどうか。いま言われたように、実際には各局に平等に割り当ててやっておるだけじゃないのでしょうか。
  145. 島村史郎

    ○島村政府委員 ある程度結果的には御指摘のようなかっこうになっておりますけれども、私どもといたしましては、要するにテーマをどういうふうに持っていくか、まずそれが問題でございます。それから、その内容をどうしていくかというのが問題でございまして、この辺につきましては、いま申しましたように、いろいろ努力をいたしております。しかし、先生の御指摘のように、私どもこれでもう十分であるというふうには考えておりません。さらに私どもも努力を重ねていく必要があるというふうに考えております。  また一方、時間帯につきましては、これは四月の番組の構成のときに実は絶えず問題になる問題でございますが、現在私どもが考えておりますのは、ゴールデンアワーに政府広報の番組を入れたらどうかという意見が実はございます。私どももなるべくそういうふうなかっこうに実は持っていきたいというふうに考えておるのではございますけれども、歌謡番組あるいは娯楽番組と政府広報番組と裏と表の関係になるわけでございますけれども、娯楽番組と政府広報番組、A局が娯楽番組、ても視聴率の関係でなかなかうまくいかないという問題もございます。その辺が私ども非常に苦慮しているのが現状でございまして、必ずしも私ども、ゴールデンアワーに政府広報番組を入れるのがすべていいというふうには判断していないわけでございますが、御指摘の点は私ども十分考えて、さらに今後努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  146. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 時間が参りましたから最後一つ。  民放ばかりを対象にしていらっしゃるのですけれども、NHKにも教養番組もあり、NHKにもやはり政府広報としての何らかの形でひとつ乗せるというふうなことにはならないんでしょうか。
  147. 島村史郎

    ○島村政府委員 NHKにつきましては、これは放送法によりまして、要するに広告放送をやっちゃいかぬという規定がございます。それで、すべてNHKの自主的判断に基づいて番組を制作し放送するということでございまして、私どもも、政府といたしましてもこれに容喙するということは現在していないわけでございます。  ただ、私どもとしては、大体こういうテーマで政府広報を実はやっておるので協力はしていただきたいということでお願いはいたしておるというのが現段階の状況でございます。
  148. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ただ政府のCMが入るということでなしに、物価なら物価問題について、円高についてはこういうふうになるんですと、いわゆる教養的な意味で、そういうものについて政府からNHKの方へお願いをしてやってもらうということもひとつ今後努力としてやっていただきたいということをお願い申し上げまして、一応これで終わりたいと思います。
  149. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほど来御指摘がありまして、なかなか広報活動というものはむずかしいものだなと。そういう意味で、私も所管大臣になりましてからやはり全体を一応洗い直しをしてみて、過去の流れそのままにいくのではなくして、先ほど来も申し上げたところの、やはり行政の政策というものを国民に周知徹底さす責任もある。また長期的な期間に関するものに対しても、これはいろいろ広報活動を粘り強く続けていかなければならない。また、国民のきわめて密接な緊急を要する問題についても、いま御指摘の円高等の問題につきましても、やはりいろいろ広報活動を続けていかなければならぬという、この政府広報の重要性というものをよく私は承知をいたしております。そういう意味から、これにつきましては競争の原理を打ち立てる、こういうような形から、来年度からの予算につきましては、民間の権威者からも、最近の広報活動は大変よくなった、こういうふうに言われて励ましを受けておりますが、なお一層これについて努力をしなければならぬと思っておりますが、予算は倍になりましたものの、残念なことには人員が先ほど来も申し上げたように五名でやっておる、こういうふうな関係からいろいろの欠陥の点もございましょうし、また政府広報そのものが九十二億という、たとえばほかの国に比較しまして半分にも満たない、こういう予算の枠組みの中で創意工夫をこらして政府広報活動を続けているわけでございますが、いま御指摘の点につきましては身にしみて真正面からこれを受けとめて、政府広報の何ものか、こういうことについて全力を注いでまいるということをお約束申し上げてまいりたいと思います。
  150. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 やめておくつもりだったんですが、いまの長官、おかしいんですよ。施政を知らしめると、教えてやるという態度なんです。そうじゃなしに、室長は最初に住民のニードにこたえてと、こうおっしゃっているんですよ。国民の聞きたいものを知ってもらうという態度、政府の施策を徹底させるためにやるのだという態度、そういう基本姿勢がおかしいんじゃありませんかと言っているのに、最後の決意の中でそういうことを言われるということは疑わしいと思いますよ。
  151. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 決意の方ばかり強く申し上げて大変あれですが、やはり国民の声をまじめに素直に聞きながら広報活動を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
  152. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  153. 楯兼次郎

  154. 春田重昭

    春田委員 最初に、公務員の定年制の問題について若干お尋ねしてまいりたいと思いますけれども、政府行政改革の一環として、昨年の十二月二十三日の閣議決定によりまして、国家公務員の定年制の導入を図ることを決定されたわけでございまして、その具体的な準備及びこれに関連する現行諸制度の見直しを行う、このように発表されておりますけれども、その後の経過はどのように進んでいるのか、御説明願いたいと思います。具体的な報告ができないとすれば、この定年制導入に対する長官の基本的なお考え、これをお尋ねしていきたいと思います。
  155. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 国家公務員の定年制につきましては、昨年の十二月二十三日、これを導入するという方針が閣議で決定されたわけであります。しかしながら、定年制は職員の身分の保障に関する重大な問題でありますので、人事院の意見を求めることにいたしまして、本年の二月三日、私から人事院総裁あての書簡をもって人事院の見解を求めたわけであります。
  156. 春田重昭

    春田委員 人事院の見解は、二月三日ですから、結論出ないと思います。  そこで、長官御自身はどのようなお考えを持っているか、それをお尋ねしたいのです。
  157. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 いま申し上げたとおりでございまして、定年制という問題は、やはり職員の身分の保障にかかわる重大な問題でございまして、人事院のたてまえを尊重する、こういう意味から人事院の意見をお聞きをすることにいたしました。
  158. 春田重昭

    春田委員 そこで、最近人事院の外郭団体である財団法人の日本人事行政研究所というのがありますね。あそこで研究会を設けて公務員の六十五歳定年制の採用、これを骨子とする提言をまとめて、近く政府の方へ提出するということで新聞報道されておりますけれども、非常に思い切った提言ではないか、私はこのように思っているわけでございますが、これに対しては、長官、どのような御見解を持っているか。
  159. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいまの先生のお話でございますが、私の方は正式には何ら人事院からも承っておりませんし、またあの研究所の方からも承っておりません。
  160. 春田重昭

    春田委員 新聞報道によれば、五月にも政府の方に提出するという形で書いてありますので、届いてないと思いますけれども、非常に興味ある提言じゃないかと私は思っておるわけでございます。  そこで、人事院の方にお尋ねしたいわけでございますけれども、今回の行政改革の一環として定年制の導入というのを図ったわけでございますけれども、非常に注目されているわけでございます。御存じのとおり、現在の社会経済状態というのは非常に厳しい状態になっておりまして、定年と非常に密接なかかわりのある中高年の雇用問題というものが大きな社会問題としてクローズアップされておるわけでございます。ことしの一月で百二十六万人の失業者、三月には百三十五万ないし百四十万人の失業者が出るのじゃなかろうか、このように言われておるわけでございます。そのような失業者が多い割りにはこれらの人たちの求人倍率は非常に低い、十人に一人ないし二十人に一人と言われております。このように厳しい社会情勢で今回の定年制の導入ということは非常に多くの人が注目しているところではなかろうかと思うのです。  そこで、二月三日ですから現在まだまだ具体的な作業は進んでいないと思いますけれども、一つの判断の基準として、現在民間企業が多く採用している五十五歳定年制というのがあります。また、各省庁には慣行といいますか慣習というものがありまして、肩たたき勧奨ですか、各省によって違うそうでございますけれども、五十五歳ないし六十五歳くらいの定年制を勧奨といいますか持っております。さらに今回の提言では六十五歳と、こういう形になっておりますけれども、どの辺を基準に置くのか非常に私も興味があるわけでございます。この辺のニュアンスも現在では出ませんか。どの辺に基準を置くのか、これは人事院の方にお尋ねしたいと思うのです。
  161. 今村久明

    ○今村(久)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま定年制の問題に関連いたしましてかなり重要な関連問題があるという御指摘でございましたが、まさにそのとおりでございます。私ども、二月の三日に総理府の方から定年制問題について検討するようにという依頼がございましたので目下検討中でございますけれども、この問題は、もう先刻御承知かと思いますが非常に深い根のある問題でございまして、法律論的に申し上げますと、国家公務員法の規定の中にはいま定年制の規定がないわけでございます。離職に関する規定はございますけれども、その中では分限免職と言いまして、能率が悪い者等について免職処分することができるという規定がございますけれども、これは定年制と直接かかわるかどうかという問題があるわけでございますが、アメリカ流な考え方でいきますと、職務遂行能力が減退して、そして能率が減退したというときには分限処分ができる、つまり免職処分ができるという考え方があるわけでございます。ところが日本の場合には、これも御承知だと思いますが、終身雇用の慣行というのがございまして、よほどのことがないと免職にすることがないわけでございます。そして大体一生の間めんどうを見ていこうという考え方が非常に強いわけでございます。したがいまして、日本の場合の定年制という問題を考える場合、この終身雇用の慣行という基本的な日本の雇用慣行というものとの関連で考えなければいかぬという問題が一つございます。  それから、これも私ども、身分保障にかかわる重要な問題であるという、そういう意味で申し上げておるわけでございますけれども、身分保障といいますのは、これも法律の規定に身分保障という言葉は出てまいりますけれども、定義ははっきり書いてございません。一応講学上の解釈といたしましては、職員の地位及び権利というものはみだりに奪われないというのが身分保障であるという考え方でございまして、したがいまして、その職員の地位あるいは権利というものを奪う場合には必ず法定の事由によらなければいけないということで、非常に手厚い身分の保障があるというのが身分保障でございます。  定年制の問題はこの身分保障の事項でございますので、当然定年制を規定するという場合には法律で規定しなければいけないという考え方が出てくるわけでございまして、したがいまして、非常に定年制の持つ意味というのは公務員法上大きな意味合いがあるというのが、まず基本的な問題として、法律上の問題でございますがございます。  それから、ただいま御指摘がございましたけれども、いろいろな実態上の問題、これはいまも御指摘がございました退職勧奨というふうなものが現在ありまして、高齢者につきましては、それぞれの省庁におきまして人事慣行としまして、俗に肩たたきというようなことで言われておりますけれども退職を勧奨するということをしておるわけでございます。実は、その実態等につきましては私どもこれから調査したいと思っておりますけれども、いままで私どもが聞いておりますところでは、各省庁ごとに、あるいは職種ごとに、あるいは役職の段階ごとに、それぞれいろいろな決め方をしておるということでございまして、その整合性といいますか統一性というものは必ずしも保たれていないというふうに聞いております。  これも御承知だと思いますけれども、国家公務員の職種というのは非常に多種多様でございます。民間にない職種がたくさんあるわけでございまして、一番わかりやすいのは、警察官とかあるいは消防に従事する職員とか、いわゆる公安関係の職員ですが、あるいは刑務官であるとか入国警備官であるとかあるいは海上保安官であるとか、こういう公安関係の職種というのは全く民間にございません。それからまた、税務職員、これもたくさんいるわけですが民間にある職種ではございません。そのほかの職種、これも千差万別でございますけれども、一般行政事務のほかに技能労務の職員もおりますし、それから医療関係の職員、あるいは先生方、大学の先生から小学校の先生までおりますが、教育に従事する教職員の方々、これも国家公務員にたくさんおるわけでございます。そのほか研究所の職員もいますし、それから船員もおります。それから非常に特殊な仕事がたくさんございまして、たとえば海難審判庁というところがございまして、海難審判官ということで、もう裁判官に近い仕事をしておるというふうな仕事の方もおります。それから官内庁には、たとえば雅楽を演奏する職員がいる、あるいは外国の賓客が来たときに料理をつくるような方々もいる。いろいろな職種がございまして実に多種多様でございますので、これらの多種多様な職種につきまして、その退職の年齢というものを簡単に画一的に決めるということはなかなか困難であろうという事情は、これはおわかりいただけると思います。そういう問題が一つございます。  それから、これも非常に特殊な状況なんですが、私どもは、言葉が悪くて恐縮ですが中ぶくれ層とこう言っておりますけれども、国家公務員の年齢別の職員構成は、戦後に大変大量の採用をいたした関係で現在四十八歳あたりがピークになりまして、いわゆる年齢構成の山がございまして、四十八歳前後のところに大変人数が集中しておるわけでございます。したがいまして、仮に将来六十歳前後までこの方々がいくとすれば、昨年が四十八歳のピークでございますから恐らくことしは四十九歳になっていると思いますが、そういたしますと、あと十一年くらいするとその山が六十歳くらいのところにかかってくるという問題がございます。そういうことの関係の処理、この取り扱いという問題が各省庁の人事管理者の一番頭の痛いところでございまして、この多人数の層をどういうふうに処理していくかという問題に一番苦慮しておるわけでございます。そういう問題も実はこの定年制の問題に絡んでくるわけでございまして、そのあたりもどういうふうに対応していくかということを考えなければ現実の解決策になりませんものですから、そこら辺の問題が一番頭の痛い問題である。  それから、そのほか退職年金であるとか退職手当であるとかあるいは高齢者の給与のあり方であるとか、こういうことはまたきわめて重要な関連問題でございますし、それから先ほど御指摘がありましたように、近年きわめて急激な高齢化社会という問題が出ておりまして、中高齢者の失業問題というのが非常に厳しいという状況もございます。しかも、今後ますます高齢者がふえるという状況はもう明らかであるわけでございますので、こういう状況の中で高齢者の退職関係をどう考えるかというのは、これはもう一つの、非常に大げさな言い方をすれば国民的な課題ではなかろうかということもございますので、こういうものを全体を含めまして多角的に検討しなければいかぬということで、非常にきめの細かい検討をしたいというふうに思っております。  まだ現在本格的な検討を始めたばかりでございますので、結論がいつ出るかということはいまのところ全く申し上げられない段階でございますが、そういう事情にあるということを申し上げておきたいと思います。
  162. 春田重昭

    春田委員 詳しい御答弁がありましたのでそれ以上質問いたしませんけれども、いずれにいたしましても失業者の約四割が四十五歳以上の中高年の方で占められている。ただいま御説明があったようにわが国は高齢化社会に入っていく、こういう非常に厳しい現状でございますし、国家公務員の定年制のその線引きのいかんによっては民間にも大きな影響を及ぼすわけでございますので、ひとつ慎重に対処していただきたい、このようにお願いしておきます。  それで、続きまして審議会のあり方についてお尋ねしていきたいと思います。  まず行政管理庁の方にお尋ねしてまいりますけれども、行政改革の一環として審議会の統廃合、また委員の構成の見直し、こういうものが発表されておりますけれども、現在どこまで進んでいるのか、その進捗状態を、時間がございませんので簡単に御説明願いたいと思います。
  163. 佐々木晴夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  審議会の整理統廃合の問題につきましては、従来から政府としてはいろいろと努力をしてまいったものでございますけれども、今回行政改革の一環としてさらに一層の合理化を進めるという精神のもとに種々検討を進めまして、昨年十二月二十三日の閣議決定で、現在の二百四十六の審議会のうち四十八の審議会の整理統廃合並びに委員構成の改善を行うことといたしまして、このたび審議会等の整理等についての法律案を国会提出しているところでございます。  その内容をごく簡単に申し上げますと、まず整理統合の問題といたしましては、廃止するものは台風常襲地帯対策審議会等六つでございます。また、統合するものは国土総合開発審議会等三十九でございまして、これによる純減が二十七ということになっております。その他、たとえば地方支分部局への移管等がございますけれども、これが二つございます。合わせまして、すでに法律措置済みの一を除きましても四十七、純減三十五の整理をいたすことにいたしております。  また、委員等の構成の改善でございますけれども、今回審議会等の整理等に関する法律案の中ですでに提案いたしておりますものは、まず行政機関職員を除外をするというのが二十一審議会ございます。また、大臣会長制を廃止するものが一、それから、これは行政機関職員を除外するものの中にあるものを再掲するわけでございますけれども、行政機関職員会長制を廃止するものが一、それから委員定数を縮減するものが一でございます。  このようなことでもって、合わせまして委員定数も四百十四を縮減するということで、今回すでに法案を提出いたしておるわけでございます。
  164. 春田重昭

    春田委員 今国会に法案が提出されているわけでございますけれども、私から言わせれば非常に遅過ぎた感がある、こう指摘したいと思うのです。  すでに行政改革は特殊法人、公益法人、部局の削減等を順次進められておりますし、すでに実施されているものもあるわけでございますが、それらに比べれば審議会の行政改革というのは非常に遅いし、まだ実施もされてないわけですね。今回内閣委員会に法案の提出がされているそうでございますけれども、その中身でございますけれども、よほどしっかりした内容でなかったならば委員会の採択も非常にむずかしいのじゃなかろうかと思うのでございますが、行政管理庁としては最大限の配慮をなさったと思いますが、いわゆる自信というものはありますか。
  165. 佐々木晴夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  審議会の整理につきましては、実はすでに四十年代に入りましても、四十二年にまず一括整理で三十四の審議会の整理を行っております。またさらに、四十四年におきましても二十六の審議会を対象にしまして整理合理化を行っております。こうしたような段階ではそれぞれ種々御配慮をいただきまして、これにつきまして簡素合理化を進めさせていただいたわけでございます。  今回につきましても、私ども各省庁と種々調整を重ね、また関係方面とも種々調整をいたしまして、現在の法律案の形にして提案をいたしておりますわけで、私どもとしてはこれにつきまして速やかに御審議をいただいた上で御可決いただけるものと信じておるわけでございます。
  166. 春田重昭

    春田委員 自信、確信とまではおっしゃっていませんけれども、今回の行政改革においては各省庁の協力がなかったらできませんけれども、私、率直に言いまして、総理府所管審議会もかなりあるわけでございますけれども、総理府の十分な協力は得られたという感触はありますか。
  167. 佐々木晴夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  行政改革の問題は、私どもいわば行政改革を推進する立場と、それから各省庁で実務においてそれぞれの行政を進められる立場でもって御検討願う内容と、そのあたりに当初段階では種々意見のそごを来すこともございます。そのあたりの調和が一応図られました上でもって改革を十全に進めてまいるというのでなければ達成は見込みがないと思うのであります。  今回総理府の協力が得られたかということでございますけれども、これは審議会につきましてあるいはほかの行政改革すべての問題につきましても、各省庁それぞれ私どもの趣旨も十分御理解をいただきまして御検討を願ってきたものと考えておるわけでございます。
  168. 春田重昭

    春田委員 何か奥歯にはさまっておるような感じがいたしますけれども、一応今回の法案改正は最大限の一つの調和の結果として出てきた、このように自信を持っておる、このように理解していいわけですね。  それから、総理府の方にお尋ねしてまいりますけれども、総理府が主管しておる審議会は現在何件あるのか、お答え願いたいと思います。
  169. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 お答えします。  総理本府に置かれております審議会は五十六審議会でございます。
  170. 春田重昭

    春田委員 その中で、たとえば総理府のいわゆる専管といいますか、事務一切合財やっておる審議会、他省庁と共管しておるような審議会と、また全く外局の審議会、このように分けることができるのじゃなかろうかと思いますけれども、三つに分けた場合、その数はどうなりますか。
  171. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 大体庶務担当別に三つに分けてみますと、総理府本府で十五でございます。それから総理府の外局としまして二十九、これは内訳としましては経済企画庁三、科学技術庁五、環境庁一、国土庁二十ということになっております。それから総理府の外局を除く各省分としまして十二ございます。内訳は法務省一、大蔵省一、厚生省一、農林省三、通産省二、建設省二、自治省二。以上でございます。
  172. 春田重昭

    春田委員 そこで、先ほど行政管理庁の方から四十八の審議会を対象に廃止、整理統合をやったということでございますけれども、総理府のいわゆる五十六の審議会の中でどういう変化がもたらされたか、最終的にどういう形になったのか、三つに分けて御説明願いたい。
  173. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 国土庁へ移管されたもの、それから定員削減というものがございます。数字を具体的に申しましょうか。――国土庁へ移管しまして統合されたものが十四、単なる移管が四、それから廃止されたものが一で、十九のものが国土庁に移っております。
  174. 春田重昭

    春田委員 ということは、いわゆる総理府本府が庶務を担当しているのが十五そのまま残っているということですね。それから共管となるものはそのまま十二残っている。いわゆる外局に当たる二十九、この中の十九がなくなった、こういうことで理解していいわけですね。したがって残り十ですか。
  175. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  176. 春田重昭

    春田委員 そこで、このように大きく分けたら三つになっているわけでございますけれども、これは庶務を担当しているかどうかによって区別されているわけでございますか。このように総理府本府の専管的ないわゆる審議会と、いま言ったように通産や農林や厚生省、各省にまたがる審議会がございます。それと全く外局のもの、このように区別されたその基準というものが私は非常にあいまいに思えてならないのです。これはどういう基準がこの基本となっているのですか。その点御説明願いたいと思います。
  177. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、それぞれに設置の経緯がございます。本来ならば、昭和四十四年の閣議決定等もございまして、こういう趣旨から言いますと関係の最も深い省庁にこれが移されるというのがいいのかと思いますけれども、審議事項の内容の問題ですとか、あるいは各省庁における所管の問題ですとか、個々にわたりましていろいろ経緯がございまして、これを一概にどういう基準でということがなかなかむずかしゅうございまして、最終的にいずれかの省庁にということを調整することがなかなかむずかしかったという結果が、このような状態になったのだろうと思います。
  178. 春田重昭

    春田委員 確かに過去の経緯があるでしょう。しかしこの問題は再三指摘されてきているわけです。御存じのとおり、昭和四十二年の閣議口頭了解、四十四年七月の閣議決定の中で「審議会等の設置および運営について」という八項にわたるいわゆる項目が出ておるわけでございますけれども、この四番目には、「所掌事務が複数の省庁に関連する審議会等については、原則として、特に事務の関連が深い特定の省庁に設置するものとする。」このようにきちっと書いてありますね。ところが、今回の行政改革では、国土審議会等に、約十八ですか、いわゆる統合されまして、しかもそれは国土庁の方に移管されておりますね。ところが、そのほかの経企庁、科学技術庁または環境庁、これらのいわゆる外局というのは、そのまま残っておるわけですよ。これは総理府本府には全く予算がないわけです。また、事務もほとんどとっていないわけでしょう。庶務はほとんど外局にあるわけです。また、他省庁にあるこの十二の審議会にしても、一応総理府本府の方に予算があるけれども、実際の中身の事務をとっているのは各省庁がとっておるわけですよ。形の上だけでいわゆる総理府の主管、こうなっておるわけです。中身は全然実態がないわけですよ。  だから、私は、今回このように国土審議会の方に十八審議会がいわゆる統合された、これとあわせて当然これらをほかの省庁のものも外局のものもやるべきである、このように思っておったわけですよ。ところが、そのままになっておる。これは全く矛盾しておるのじゃないですか。これは過去の経緯だけじゃ済まされない問題ですよ。どういう点でこのまま据え置きになっておるのですか。
  179. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 この問題につきましても、従来ともわれわれ総理府としましては最も関係の深いいずれかの省庁にこれを移管すべきであるという基本姿勢のもとに努力はしてきておるわけでございますけれども、いかんせんなかなか力不足でございまして、現状なおかような次第でございますけれども、せっかく四十四年の閣議決定等もありましたり、また、総理府といたしましてもむしろ積極的に、これらの審議会はそれぞれの最も深い関係のある省庁に移管して一刻も早くすっきりした形のものにしたい、そういう念願ではございますので、今後とも積極的に各省庁と協議してまいりたい、かように思っている次第でございます。
  180. 春田重昭

    春田委員 だめですよ。これは四十二年、四十四年のいわゆる閣議了解から九年もたったのですよ。これが全くそのままになっておったらいいですよ。ところが、今回の行政改革の一環として、いわゆる国土総合開発やまた東北開発やこれらは全部国土審議会の方に統合されて、国土庁に移管するわけでしょう。全然力がないなんか言って、できておるじゃないですか。これが全くそのままに据え置きになっておったら、それはわかりますよ。全く矛盾していますよ。この共管となっておる十二の審議会と、いわゆる外局になっておる審議会、本府としては実際どういう仕事をなさっておるのですか。どういう事務的なことをなさっておるのですか。一応主管庁となっておるのだから、何らかの形でやっておるのでしょう。
  181. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 これら審議会に要する運営費につきましては、一括して総理府の所管として計上されておりまして、それからまた、任命につきましては、これは総理府の方で任命しております。まあ、実態的な審議内容につきましては、これはどうも総理府がすべての審議内容について専門的でもございませんので、関係する省庁と協議をしながら進めておる、かような状況になっております。
  182. 春田重昭

    春田委員 たとえば審議会を開きますね。そのとき、総理府は実際にいわゆるその審議会の場に参加するのですか。
  183. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 ケース・バイ・ケースで、総理府として関与しているものと、必ずしもそうでないというものもございます。
  184. 春田重昭

    春田委員 要するに、外局や共管となっている審議会には、ほとんど総理府の方たちはタッチしていないわけですよ。せめて連絡ぐらいじゃないですか。何月何日審議会開きますよ、これだけをやることがせめても総理府の仕事じゃないですか、予算がないのですから、全くこれはおかしいですよ。力不足ということをおっしゃっておりますけれども、長官、この問題はもう前から再三指摘されているわけです。少なくとも私は閣議で大臣が胸を張って、こういうときですから当然環境庁さん、この審議会おたくの実務的な審議会ですからお引き取り願いたいとか言うべきじゃないですか。そういう発言なんかされないのですか。
  185. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 ただいま事務当局が説明をいたしておりましたが、御指摘の点につきましては十分今後検討してみたい、こういうふうに思っております。
  186. 春田重昭

    春田委員 検討してもらうのもいいのですけれども、長官としては閣議でこの問題について発言なさったことはありませんか。
  187. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 こういうふうに見ましても、五十六の中で十五が本府で庶務を担当している。あとが他の省庁で庶務を担当しておる、こういう形でありまして、過去の経過等々もありますし、たとえばその中で、引き取ってもらうというと大変語弊がありますが、やはり当然こちらの方で参画もしないものもあるようでありますし、また事務的にこれを連絡をしないという点もあるようでありますから、そういったものを個々に選別をいたしまして、御指摘のように閣議の席上で御了解を賜る努力をいたしたいと思います。
  188. 春田重昭

    春田委員 いままで一回も発言なさってないみたいでございますので、今後に期待せざるを得ないと思いますけれども、長官、過去の経緯によりましてどうしても引き取り手がないという先ほど局長答弁がございましたけれども、四十四年以降でも審議会ができたところがあるのです。これは条文にはきちっと第四項目に載っておりますけれども、それ以降にもあるわけでしょう。これはどのように考えたらいいんですか。
  189. 文田久雄

    ○文田説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生から御指摘のありました四十四年の七月十一日の閣議決定がございます。御指摘のとおり、関連の深い省庁に存置することという趣旨になっております。私どもの総理府といたしましても、その後たとえば沖繩振興開発審議会等の設置に際しましても、これをどこに置くべきであるかという点につきましては、これは主務省庁たる沖繩開発庁存置が至当であるという姿勢も持っておりますし、それと四十六年の七月一日でございますが、環境庁が設置されるに際しましても、中央公害対策審議会、これにつきましては同庁にお移し申し上げたいということで話し合いもつき、環境庁の方に移管されているという努力も片や重ねつつやっております。  ただ、先ほど総務審議官がお答え申し上げましたとおり、審議事項等につきまして複数省庁にまたがることがありまして、その設置について最終的な決着として総理府に存置されたということもございますけれども、長官もお答え申し上げましたとおり、同閣議決定の趣旨を踏まえまして、今後とも各省庁と話をいたしまして協議し、移管方について努力したい、かように考えております。
  190. 春田重昭

    春田委員 重ねてもう一回確認しておきたいのですが、今回の行政改革で国土審議会に統合されます、国土庁に移管されます、それ以外の審議会につきまして、たとえば外局、各省庁共管の審議会は、一応行政改革でこういう審議会も他局やまた他省庁に移そうという動きはあったんですか、その点どうですか。
  191. 大濱忠志

    ○大濱政府委員 実際問題といたしましては、それはもちろんそういう事務ベースでのいろいろな話し合いは行われたことは事実でございますが、いかんせん、いろいろまだ未調整というふうなことで、少なくとも今回の機会にはそれが間に合わないというような現状でございます。
  192. 春田重昭

    春田委員 間に合わないじゃないんですよ、国土審議会はやっているんですからね。そういう点では、先ほど行政管理庁の方から御報告いただきましたけれども、一応万全だということですが、私はこういう点はまだ未整理のままになっているんじゃないかと思うんですよ。行管庁としてはどういう見解なんですか。
  193. 佐々木晴夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、昭和四十四年の閣議決定でもって、審議会の設置につきましては極力関係の深い省庁にこれを設置するものとするという閣議決定が行われております。ただ、ただいまの行政事務の実態を一応申しますと、審議会の審議を経なければならないいわば重要問題に、各省庁がそれぞれ関連する場合がしばしばございます。したがいまして、各省庁に個別的に設置することにつきましては、ほかのところからその所掌事務上種々問題を指摘されるというふうな面も一応ございます。  総理府の場合に、これも先生御承知のとおり、総理府設置法第三条の四号の、これは任務の規定でございますけれども、「各行政機関の施策及び事務の総合調整」という規定が、総理府の所掌事務として一応規定されておるわけでございましていわば各省庁にまたがるような事務あるいは各省庁のそれぞれが関連するような事務につきましては、その組織としましては総理府に設置されるということもある意味ではやむを得ざる部分が一応あると思います。もちろん事務の性質によりまして、関係省庁、大変特定の省庁に関連するところが大きいということであれば、閣議決定の精神に従いまして、その特定省庁にこれを設置すべきものでありますけれども、そのあたりの所掌事務の分界が必ずしも明確でない。また、各省庁でそのあたりのコンセンサスが得られないというふうな場合にありまして、総理府に所属することもこれはやむを得ないもの、ないし総理府設置法の趣旨からいたしましてこれは当然であろうかと考えます。  今回、御承知のとおり国土開発関係の十四審議会その他幾つかの審議会につきまして国土庁にこれを移管せしめたということは、国土庁昭和四十九年に設置されましてから、そのあたりの事務の整理がついたということも一つの大きな原因でございまして、そのほかのものにつきましても、今回事務的な折衝は総理府においても行われましたし、私どもの方でも行ったことは事実でございますけれども、そのあたりの整理が今回の段階では十分につきかねたということでありまして、今後とも閣議決定の先生御指摘の線に沿いまして、審議会の所属のあり方につきましては検討してまいりたいと考えております。
  194. 春田重昭

    春田委員 当然閣議決定を一つの線として考えていかなければなりませんよ。しかし中身が問題なんですよ、いまほとんど連絡係に終わっているような総理府のあり方なんですから。各省庁との話し合いがなかったら当然移管できないと思いますけれども、少なくともこの外局等においては予算が全然ない、ただ連絡だけなんです。総理府としては名前があるだけなんだ。中身がないんです。有名無実なんですよ。そういう点を私は、話し合いがついてから他省庁にお願いします、引き取ってくださいと言うんじゃなくして、当然他省庁に審議会を移管させるべきだ、移行させるべきである、そういう強い姿勢でもって、長官、閣議等でも主張すべきは主張しなかったらいけないと思うのです。社会情勢は変わってきているのです。これは意見として言っておきますので、長官も機会あるごとに声を大にしてひとつ主張していただきたいと思います。  さらに審議会の委員手当の問題でございますけれども、私の手元にある決算書によりますと、四十九年度委員手当、当初予算額が五千六百四十四万九千円つきました。それの支出済みの額は千九百二十三万五千円。したがって不用額は三千七百二十一万三千円出ております。不用率ということでパーセンテージを出してみますれば六五・九二%なんです。五十年度も当初予算が七千百七万六千円でございますが、流用で減になっております。三百四十四万八千円減になっておりますので、差し引き六千七百六十二万八千円が予算としてついたわけです。この使用済み額は二千二百八十八万。したがって、不用額が四千四百七十四万八千円。不用率が六二・九五%。五十一年度は七千五百九十二万四千円の予算がついた。支出は二千五百三十六万三千円。残り不用額五千五十六万円。不用率六六・五九%。予算を組んでその半分も使ってない。約六割強が使われてないわけですよ。私は、こんないいかげんな、でたらめといいますか予算の措置はないと思うのです。どういう計画でこういう予算を決められたのか、明確にしていただきたいと思うのです。
  195. 京須実

    京須政府委員 各審議会の予算でございますが、先生御指摘のように非常に消化率が低いものもございます。これは当初開催予定のありましたものが開催されなかったとか、あるいは非常に開催回数が少ないとか、あるいはまた、たまたまその時期におきまして審議事項に波がございまして余り審議の必要がなかったとか、そういったようないろいろな事情がございます。  ただ、予算の差異でございますが、これは通常経常経費でございまして、大体毎年度同額をつけていただくといったようなことをやっておりまして、毎年、前年度の予算執行が少ないために直ちに翌年度落とす、そういったことになっておりませんので、御指摘のような消化率の低いものが出るわけでございます。
  196. 春田重昭

    春田委員 それではちょっと理由にならないんじゃないですか。要するにただ形式的に予算を前年度より下回らない程度に組んでいく。たとえば四十九年度はそういう開催回数が少なかった。委員の人の出席も悪かった。たまたまこういう不用率が六〇%くらい出た。五十年度にはそれによって反省して努力して出席率を高める、開催回数もふやす、こういう努力をされたのならわかりますよ。四十九年も五十年も五十一年も毎年じゃないですか、不用率が六〇%以上出ているのは。ということは、審議会そのものに大きな問題が残るわけでしょう。もっと明確な答弁をしてくださいよ。
  197. 京須実

    京須政府委員 おっしゃるように、先ほど御答弁もありましたが、今後審議会の統廃合あるいは適切な事務をやっているところへの移管等を含めまして、今後十分注意したいと考えております。
  198. 春田重昭

    春田委員 それだけではちょっと答弁にならないですよ。要するに開催計画は立てられるのですか。予算措置をやる以上は当然計画を立てられると思うのですけれども、それはありますか。
  199. 京須実

    京須政府委員 当初開催計画をとります際には大体予算程度の要望が出るわけでございますが、実態に入りますと必ずしも予算どおりに実施されない、そういったようなあれがあるわけでございます。
  200. 春田重昭

    春田委員 なぜ計画どおり開催されないのですか。なぜいかないのですか。
  201. 京須実

    京須政府委員 やはりその後の推移によりまして審議会の開催の必要が、たとえば委員会のものが幹事会で済むとかあるいは小委員会で済むとかいろいろな事態がございますし、予算でございますと、いわば最大限と申しますとちょっと語弊がございますが、必要になった場合に予算が足らぬというようなことのないように十分考えて立てておりますので、そういった面で予算よりも少ない消化になる、そういったような実態があるわけでございます。
  202. 春田重昭

    春田委員 となれば、小委員会や幹事会では委員手当は出ないわけですね。
  203. 京須実

    京須政府委員 手当は出ますが、手当を支給する対象の方の数が減るわけでございます。
  204. 春田重昭

    春田委員 私の手元に委員会の開催というのがあるわけでございますけれども、これによりますと公務員制度審議会というのがあります。これは五十年度、五十一年度とも開催がゼロなんです。それから観光政策審議会というのがございます。これは総会が五十年度三回、五十一年度二回なんです。それから海外移住審議会というのがあります。この総会が五十年度一回、五十一年度一回。それから港湾調整審議会ですか、これも五十年度一回、五十一年度一回なんです。このように非常に少ないわけです。予算の不用額がふえるのは当然だと私は思うのです。なぜもっと開かないのですか。要するに、委員の方が出席しないから開かないのか、そういう審議事項がないから開かないのか、どっちですか。
  205. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま御指摘の中の公務員制度審議会でございますが、これは私の総理府人事局がその事務局をいたしておりますので申し上げますと、この公務員制度審議会は先生御承知のとおり労働者代表、使用者代表、公益代表といった三者構成の機関でございまして、総理府設置法に基づいてできているものでございます。人事局ができました四十年以来ずっと回を重ねてきておりまして、現在四十八年に第三回目の答申をいただきまして、それの実施をやっているわけでございます。  この審議会は、公務員の労働基本権に関する根本問題を扱う審議会でございまして、総理府といたしましてもきわめて重要な審議会でございますが、現在はその答申の具体化を図っているという段階でございますが、いっこの審議会を再び開くかということで、毎年予算に計止しておりますけれども、現在はまだ新しい問題を御審議いただく段階に至ってないために、御指摘のとおり五十年、五十一年と開かれていない実態でございます。しかし、これは問題が起こりましたときには、三者構成のものでございまして、いつでも開かれる体制にしておく必要がございますので、予算的にも措置をしておるという実態でございます。一つの例でございますが、御報告申し上げます。
  206. 春田重昭

    春田委員 公務員制度審議会だって、審議しょうと思ったらいろいろな事項があるのではないのですか。たとえばいま週休二日制の問題だって大きな問題になっているわけですから、やろうと思ったらあるわけでしょう。それを、五十年も五十一年も全然やってない。私は、こういう審議会のあり方というものが非常に大きな問題になっているときに、全くやってなかったら、今回の行政改革でこういうのは切るべきだと思うのですよ。また海外移住審議会にしても、過去総会を一回かやっておりますけれども、それをやっただけで顔見せだけなんですよ。開催しても答申すら出てない、こういう現況ですよ。  だからもう一度、この審議会というものはただ置くだけじゃなくして、本当に国民のためになるような審議会に真剣に考えていかなかったならば、名前だけあるだけで中身は全然ないわけですから、私はもっと真剣に考えてほしいと思うのですよ。  それから、人選の問題でもあると思うのです。たとえば海外移住審議会というのは五十年度一回開かれております。五十一年度も一回開かれておりますけれども、この審議会の例をとってみても、五十年に参加した人は会長が一名だけ、委員の方は定員二十名で十五名ですか。五十一年におきましては会長が一名ですね。委員の方が十一名。五十一年においては約半分の方が出席していないわけです。そういう実態があるわけです。私は、こういう人選の問題が、審議会が非常に開催が少ないし出席者も少ない、結果として、不用額が非常に大きくなっている、その原区ではなかろうかと思うのです。  ここに政府広報誌の「時の動き」というのがありますけれども、その中で農政審議会会長の川野さんという方が発言をなさっているのですけれども、  役所は委員の人選に頭をなやます。なるべくなら、役所の立場に理解の得られやすい人が望ましい。といって、余り役所べったりでは「かくれみの」ではないかとの非難を招く。(中略)   さらに、審議そのものが暴走しては困る。出来るならば、役所の諮問――諮問のある場合――や要請の線に即して進んで貰いたい。そこで、事前の「説明」ということで、いわゆる「根廻し」も行われることとなる。(中略)   しかし、これは本来どこか狂っていないか。このように一つの提言として、審議会の会長そのものが、告白みたいな形で言っているわけです。  先ほどの安倍官房長官出席のときにも言いましたように、作家の佐藤愛子さんも、いみじくも新聞紙上でおっしゃっておりますけれども、   本当に人選をよく考えているのだろうか。素人の意見にいいのがあるというのはごまかしのような気がする。懇談会というものの、これは役人独得の発想で、格好がつけば事が足りるとでも思っているのでしょう こういう痛烈な批判を行っているわけです。  そういう点で審議会が開催されない。開催しても委員の方の出席が少ない。これは本当にもう一度そこら辺を真剣に考えていくときが来たのではなかろうかと私は思うのです。人選の面においても、原則として二十名以下ということになっておりますけれども、観光の審議会ですか、あれは二十七名いますね。そういう点も、改革する点はたくさんあるわけですよ。それが今回未解決のままになっているという点で私は非常に不満を覚えるわけです。これらを総合して今後の審議会のあり方、これはもう一度抜本的に見直して徹底的にやる必要があるのではなかろうかと私は思います。ここら辺は長官にお聞きした方がいいのではないかと思いますけれども、長官、どのようにお考えになっていますか。
  207. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点につきましては、各省庁と連絡をとり合いまして、できるだけその線に沿うよう努力いたしたいと思います。
  208. 春田重昭

    春田委員 最後に行管庁の方に聞きますけれども、先ほどは万全な体制で今回審議会の行政改革をやったということでございますけれども、私がいま指摘しているように、非常に問題点が数多くあるわけですよ。こういう点も今後行政改革の一環として当然取り上げていくべきじゃないか、私はこのように思いますけれども、どうですか。
  209. 佐々木晴夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  審議会のあり方につきましては、実はかねてから種々御指摘をいただいております。先ほど先生から御指摘いただきました昭和四十二年閣議口頭了解並びに四十四年の閣議決定につきましても、そのあたりの趣旨を踏まえまして全政府的にその原則を定めたわけでございます。言われますように、運営の実態面から見ました場合に、不十分な点はなしとしないかと思います。私どもで行い得る範囲、これは限られておりますけれども、それぞれ所管の部局とも一応連絡をとりまして、今後とも先生御指摘の線、また従前の閣議決定の線に沿いまして審議会のあり方の検討を進め、また改善を進めてまいりたいというふうに考えております。
  210. 春田重昭

    春田委員 時間がありませんのでこの点でおきますけれども、いずれにいたしましても、総理府も行管庁においても、審議会というものをもう一回抜本的に考え直して、本当の意味の審議会にしていただきたい、このことを要望しておきます。  それでは最後に、週休二日制の問題についてお尋ねしてまいりたいと思うのです。  週休二日制の問題は、一昨年の十月から昨年の九月まで一年間試験的に行われたわけでございますけれども、結果としてどのような感触を得られたのか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
  211. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 週休二日制の問題については議論の多いところでございまして、五十年の十月から一カ年間試行いたしたわけであります。その中でまだ調査をしなかった、こういう省庁もございまして、また問題点も幾つか出てまいりまして、本年度の四月から人事院の要請もこれあり、再試行に踏み切ったわけであります。
  212. 春田重昭

    春田委員 前回参加しなかった省庁が一部あると聞いておりますけれども、その省庁は今回いわゆる再試行には参加するわけですか。
  213. 秋富公正

    秋富政府委員 前回は法務省、あるいは海上保安庁の船舶部門、あるいは防衛施設庁といったところが参加いたしませんでしたが、ただいま大臣が申しました四月からの第二回の試行におきましては、全省庁の参加という予定で進めております。
  214. 春田重昭

    春田委員 公務員の週休二日制については、四十七年ごろからたびたび人事院の勧告があっているわけでございまして、そろそろ一定の線を出してもおかしくないのじゃないかと私は思っておるわけでございます。とりわけ民間企業の約七〇%が週休二日制をとっている。最近では国民にサービスを行う銀行関係でもその機運が高まっておると聞いておりますし、時代の一つの要請ではなかろうか。海外でも先進諸国はほとんどやっておりますし、やってないのは日本だけだと言われております。  ただ、現行予算内で、現行の定員の枠内で、しかもサービスが低下しないというのが条件でございますので、非常にむずかしい問題もあると思いますけれども、これらも鋭意検討されて、まあ来年の三月まで再試行ですからいまからどうのというのは聞けないと思いますけれども、これも非常に注目しているところでございますので、一つの方向を持っていただきたい、このことを要望いたしまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  215. 楯兼次郎

    楯委員長 安藤巌君。
  216. 安藤巖

    安藤委員 私は公営競技の問題について、総務長官にお尋ねしたいと思います。  御承知のように、いま日本には公営競技は五つございます。中央競馬、地方競馬、競艇、競輪、オートレースがございますが、昭和五十一年度開催の延べ日数は一万八百二十六日。ですからこれは一日平均で約三十回も行われている、こういうような状態ですね。それから先ほども長官の方からちょっと話がありましたが、売り上げ総額は四兆二千二百七十二億円、これは十年前の約五倍というような状態になっております。  御承知のように、昭和三十六年七月のいわゆる長沼答申、この基本的な方向は、少なくとも現状以上にギャンブルを奨励しないということを基本的な態度とするということで、いろいろな提言がなされておるわけですけれども、この数字を見ますと、ギャンブル公害とかあるいは家庭破壊の大きな原因になっているとかいろいろな非難がされております公営ギャンブルが、まさに花盛りというような感じがするのです。  そこで、先ほども官房長官にもお尋ねしたのですけれども、公営競技のあり方を根本的に見直す、そういう作業をするということで公営競技問題懇談会というのが開催されることになりまして、総務長官はその主宰者ということでこの懇談会にも参加しておられるわけですが、その総務長官の立場として、こういうような公営ギャンブル花盛りというような状態についてどういうような考えをいま持っておられるか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
  217. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 長沼答申には、できるだけふやしていかないという線が決められておったことも承知しております。その後、地方財政その他いろいろな関係から徐々に――徐々にと申し上げて大変あれですが、すでに四兆数千億という膨大な収益を上げるということになったわけです。この中で果たしてそれが公営としての役割りを果たしておるかどうかという議論が近年大変多くなってまいりました。それで、これは各省にまたがっておりますが、総理府が調整機能を果たすという意味合いから総理府にそれが移管されまして、そして昨年の十二月からこれについての根本的な検討を加える、こういうような意味から懇談会が設置されたわけであります。  そこでその懇談会が、先ほど御指摘もありましたように、何も動いていないじゃないかというような意見もありました。私もできるだけこれに時間を割きまして出席をさせていただいておるわけでございますが、大変活発な、きわめて有意義な参考になる意見が展開をされておると思います。  ただ、問題といたしましては、この次ぐらいから基本的な核心に入っていく、こういうことになりますので、なるほどこの懇談会も積極的にやっているということがやはり報道もされる時期になってきておるんじゃないか、こういうふうに御報告を申し上げておきたいと思います。
  218. 安藤巖

    安藤委員 そこで長官にお尋ねしたいのですが、これは先ほども官房長官にお尋ねしたことですけれども、運営の問題等もいろいろばらつきがありますけれども、やはり一つの大きな問題としては、収益金の分配の問題ですね。特に交付金の配分の問題、これは大きな問題だと思いますが、この配分の問題について、競輪の方は自転車競技法、それからオートレースの方は小型自動車競走法、この中に、大臣が認可するに当たってはそれぞれ車両競技審議会の意見を聞かなければならないということになっております。ところが、ほかの、中央競馬会の方は収益金はほとんど国庫へ入りますからこれは抜きにしますが、地方競馬の方では全国協会というのがあるのですが、これは競馬法の中に、そういう審議会の意見を聞かなければならないという義務づけはないわけです。それから競艇の方も、モーターボート競走法にも審議会の意見を聞かなければならないという義務づけもないわけです。  だから、交付金の分配の問題についてもこういうようにばらつきがあるわけですが、先ほどおっしゃったような懇談会の趣旨、それから先ほどの答弁にもありましたような総理府としての姿勢ということからしますと、ばらつきというものをなくすという方向で、懇談会の中に総務長官として意見を出していくというようなことも含めて、この改善を図るというお考えはないのでしょうか。
  219. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 総理府の方としまして、できるだけこういうまとめ方をしてもらいたいとか、こういうふうな形でこうしてくれという注文をつけるということは、やはり懇談会の性格上これは失礼かと思います。  しかしながら、いま御指摘の点を十二分に踏まえて、今後結論が出されたときには、私は私なりの見解を出していきたい、こういうように思っております。
  220. 安藤巖

    安藤委員 ばらつき等の関連でもう一つお願いかたがたお尋ねしたいのは、それぞれの公営競技が農林省、通産省、運輸省というふうに分かれております。それぞれの省庁に任されておるわけなんですけれども、これは各省庁に任しておったのでは、本当に交付金の分配について公正、民主的に行われるかどうか、これは非常に問題だと思うのです。  たとえば、具体的な問題を提示いたしまして御意見を伺いたいんですけれども、競艇の関係で言いますと、日本船舶振興会、これは笹川良一さんという人が会長をやっておられるのですが、ここが受け取る交付金、それを補助金として幾つかの公共団体に交付されるわけですが、ところが補助金を受け取る公共団体に運輸省からのいわゆる天下り官僚と言われておるような実態があるわけです。ロッキード事件で有名な運輸次官をやっておられた若狭得治さん、この人が日本海事科学振興財団の役員あるいは航空公害防止協会、これは全部船舶振興会から補助金を受けているところですよ。あるいはBG財団、これは最近のブルー・シー・アンド・グリーンランド財団、それから日本顕彰会。それからやはり運輸省の船舶局長、山縣昌夫さんほか六名の船舶局長が、いまのBG財団あるいは日本船舶振興会、さらには全国モーターボート競走会連合会、これは笹川さんが会長です。BG財団、日本船舶振興会、マラッカ海峡協議会、先ほど言いました日本顕彰会、そういうところの役員をやっておられるわけなんですよ。それから船員局長をやっておられた人が海難防止協会に入っておられるし、それから地方の海運局長をやっておられた人五人が、いま言いました振興会とか海事広報協会とかそういうところの役員をしておられる。あるいは海上保安庁の長官、次長その他全部で九名の人たちが、マラッカ海峡協議会、日本水路協会、全部これは日本船舶振興会から補助金を受けておるところです。こういうところの役員をしておられる、あるいは代表者をしておられる。ということになると、これは運輸省ばかりじゃない、ほかのところにもあると思うのですけれども、これは一つの典型的な例として出したわけですけれども、ほかも大なり小なり同じじゃないかと思うのですが、こういうようなことが起こるのは、やはり各省庁に任せ切っておるからこういうことが起こっているのじゃないかと思うのですね。  だから、こういうような問題をなくしていくためには、各省庁任せにしないという方向で、ひとつ先ほども言っております懇談会には、懇談会の意見をどういうふうにまとめるかということはもちろんおっしゃるように懇談会のことなんですけれども、そこへいろいろ総務長官として提言をされたり、あるいはこういう意見もある、こういう点はどうですかというような提言をされる、あるいは総理府としてもそういう問題について前向きにお考えになるということはいかがでしょうか。
  221. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点につきましても、懇談会を設置をする、こういうときにおいてどういう構成であるかということもよく報告を聞いておりますが、残念ながら人事権というものは持ち合わせていない。しかしながら、今後提言として、極端な例というか、いま御指摘のあったようなこういう問題についてはできるだけ疑惑を取り除く、こういう意味でも提言をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  222. 安藤巖

    安藤委員 いろいろ提言をしていきたい、いろいろこうこうしていきたいという御答弁をいただいておるんですが、やはりいろいろな問題があるものですから、時間がありませんから全部申し上げるわけにはまいりませんけれども、もう一つ、こういうような実態だという、御認識を改めていただくという意味で申し上げるのですが、やはり競艇の関係で、これはいわゆる笹川ファミリーと言われている団体、こういうところへ船舶振興会からの交付金の配分が偏っていっているのじゃないかというふうに私は思えるのですけれども、目につくわけですが、日本船舶振興会の「昭和五十二年度 振興事業計画概要」、これは運輸省へ提出されているものです。ここでずっと私は調べてみたんですけれども、こういうような実態があるわけなんですよ。  いま申し上げるのは、たとえば造船関係事業、これは一号交付金の関係なんですけれども、これは二十四団体やって八十八億円配分されているんですが、この一位が日本海事科学振興財団、笹川会長、三位が日本造船振興財団、笹川会長、そのほかに日本モーターボート協会、日本顕彰会、いずれも笹川会長なんです。だから、こういうふうに笹川系と言われている団体にどうもたくさん出ている。これは総額にして約五十億で、造船事業関係では六〇%この団体にいっているわけなんですよ。  それから、海難防止事業関係では、十九団体で二十二億円いっておるわけなんですけれども、このうち一位がマラッカ海峡協議会。それから日本顕彰会、モーターボート協会へもいくわけですが、全部で十五億円、七〇%近くいっているんです。  さらに、海事思想の普及、これは七団体に三億四千七百万円いっているんですが、日本海事科学振興財団が第二位で、結局ファミリーというふうに言われているところへいっているのは七〇%近く。  それから、観光事業関係は、七団体、全部で四億五千七百万円あるんですが、二位が笹川さんが会長をしている日本ホテル教育センターなどで、これは合計二億五千万円で五割強いっているんです。こういうようなことです。  それから、文教の振興関係、四十一団体、二十三億円ですが、この一位が日本科学協会、それから二位が日本青少年育成会、前会長は笹川さん。これはこの前新聞にも出ておりましたからよく知っておられると思います。それから三位が日本吟剣詩舞振興会など、九億近く、これは二十三億円のうち四割近くいっているわけなんですよ。  それから、先ほど言いましたBG財団、これに十八億八千九百万円いっておりまして、この交付金の補助金が合計二百六十七億七千百万円あるんですけれども、そのうちの百億円以上、四割以上がいわゆる笹川ファミリーと言われている団体のところへいっている、こういう実態があるわけなんですよ。  こういうようなことからしますと、ギャンブルは公営で行われており一般にはやることができません。公営しかできません。そうすると、一種の官許事業だと思うのですよ。その収益金が特定の人だとかあるいは特定の団体の利益のみに使われるということがあってはならぬと思うのですよ。あるいは一部の人の支配力の拡大のために使われるというようなこともあってはならぬことだと思うのです。だから、そういうような点で、厳正に公正、民主的に配分の問題はチェックされるべきじゃないかと思います。  先ほどいろいろ審議会の問題がありました。私も審議会をつくったらいいのじゃないかということを申し上げるつもりはありません。しかしたとえば、最初に申し上げましたように、審議会の意見を大臣が聞かなければならないシステムになっているのとそうでないのとある。ばらつきですね。だから、たとえばこういうような審議会を一つに統合してやるなり、あるいはもっとほかのいい方法をお考えになるなり、何か公正、民主的に行われるようなことを考えてしかるべきじゃないかと思うのです。そして、また戻りますけれども、先ほどの懇談会の中へもこういうような意見を総務長官として出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  223. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の問題でありますが、交付金の配分問題、それから施行権の均てん化問題であるとか、あるいは収益のそれについての配分方法とか、いろいろ問題があったために懇談会ができたわけであります。そこで、この懇談会の結論はできるだけ早く出していただきまして、その結論の結果どういう形がいいかということはまたいろいろ御相談を申し上げて、できるだけ公営競技という精神を貫いていくことが国民から疑惑を招かざる問題であるのではないのか、こういうふうに考えております。
  224. 安藤巖

    安藤委員 それから、これも先ほど官房長官に意見を申し上げかたがたお尋ねしたことなんですけれども、これは官許事業であるということからしますと、売り上げは先ほど申し上げたとおりなんですけれども、交付金の総額は相当な金額になっているのです。五十一年度で千三百九億二千九百万円。官許事業であるというようなこと、それから交付金が使われる目的ですね、これは本来政府がしっかりと予算を組んでやらなければいかぬような海難防止だとか青少年の育成だとか福祉だとか体育だとかいろいろなんですが、そういうふうに使われているということからしますと、これは国費に準ずるものだという位置づけをしてもいいものじゃないかと思うのです。だからそういう点で会計検査院の検査の対象にすべきじゃないかということを申し上げたのです。  いま合計を申し上げたのですが、たとえば競艇の関係でいきますと、これは一号、二号とあるのですが、合計しますと五百六十二億九千百万円。それから地方競馬で、これは五十一年度ですが、九十八億四千三百万円。競輪が五百五十九億千二百万円。オートレースで八十八億八千三百万円。物すごい金額ですよ。だからこれだけの金額、先ほど申し上げましたような国費に準ずるというような位置づけをしてもいいんじゃないかという金、その行方について全く会計検査院の検査の対象になっていないというようなことは問題じゃないかと思うのです。  これも先ほど言ったのですが、会計検査院の検査の対象になっているのが一つあるのです。競馬法の二十六条に、都道府県と指定市町村が施行者になっているわけなんですけれども、この全部の施行者に対して会計検査院の検査を行うことができるというのが一つあることはあるのです。これは一つの突破口じゃないかと思うけれどもね。これもアンバランスの一つだと思うのですが、もちろんこれでは不十分。  ですから、私が申し上げたいのは、施行者から交付金をそれぞれの振興会が受けることになっています。競艇の場合は船舶振興会、あるいは競輪は自転車振興会、あるいは競馬の場合は地方競馬全国協会ですか、それぞれが受けることになっているわけです。そこまで、その交付金をどういうふうに分配したのか、どういうふうん使ったのかということで会計検査院の検査の対象にすることができるというところまで、これは立法するという方向でお考えになることができないのかということなんです。御承知のように、法律によれば会計検査の対象にすることができるというのがちゃんとあるのですから、そういうような議論も公営競技問題懇談会の中に、こういうような点はどうなんだろうかということもぜひとも出していただきたいと思うし、またそこでいろいろ議論をされるのとは別に、せっかくこういう懇談会の主宰者となられた総理府の総務長官、総理府としてもこういう方向で一遍検討を加えていただくことはできぬだろうか、こういう点でひとつお尋ねしたいのですが、いかがでしょうか。
  225. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 懇談会の構成メンバーというのは学識経験者を網羅いたしておりまして、できるだけこの結論を待ちたい。御指摘の点はよくわかりますけれども、いまここで私の方からこういうことを検討していただけないだろうか、こういうふうにしていただけないだろうかということはやはり懇談会の性格上申し上げるわけにはまいりませんので、この懇談会の結論を待って、いろいろ検討なり、あるいはまた結論を下してまいりたい、こういうふうに考えております。
  226. 安藤巖

    安藤委員 その関係でもう一点だけですが、懇談会の結論をお待ちになるということもわかりますが、それから具体的な問題を諮問して答申を受けるという性質のものでないこともわかりますけれども、やはりいま私が申し上げましたようなことを頭のどこかに入れておいていただいて、懇談会の中で、実はこういう問題も決算委員会質問として出されているのですがいかがでございましょうぐらいのことは言っていただいてもいいんじゃないかと思うのですね。あるいはそういう方向で何らか考えてみようじゃないかという点を閣議の中で発言していただくということだってあってもいいんじゃないかと思うのですが、そういう点でお尋ねしているわけなんです。そういう点はどうなんですかね。
  227. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 きょう初めてこの問題について国会の論議の場でお聞きをしたわけです。そういう意味から、きょう御指摘のあった点については国会論議の中でこのような意見があったということは、私は申し上げることをあえてちゅうちょする必要はない、御意見は御意見として申し上げる考え方であります。
  228. 安藤巖

    安藤委員 終わります。
  229. 楯兼次郎

    楯委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十六分散会