○
園田国務大臣 ただいまの御
意見は非常に大事なところでございますので、私もそのまま率直に御
意見を申し上げたいと存じます。
私が
自民党の
外交調査会で言ったのは、
戦略という
言葉は悪かったので
井上委員におわびをしたわけでありますが、これは一部の中で、
米国の
意見と食い違うのじゃないか、こういう話がありましたから、
日本が
友好条約を進めることは
米国も
希望しておって、
米国の
考え方とも一致している、こういう
趣旨のことを申し上げたわけであります。今度私は
条約を
締結するに当たって、
最初は
第三国条項というのがあったわけでありますが、いやしくも二国間で
条約を結ぶ場合に、
第三国を意識して
条約を結ぶことは
条約としても風格のある
条約ではない、目の前の状況に応じてある国を
相手にして
条約を結べば、それは再び中
ソ同盟条約みたいに名存実亡の時期が来るであろう。そうではなくて、今度の
条約は終末の
条約ではなくてこれが
出発点で、日中の
未来にわたる、将来のことを規定する
条約であるから、何年たっても、よかったと
世界の
人々から祝福されるような
条約を結ぼう、こう言って、そして
第三国条項を削って
お互いの
外交基本方針は拘束するものではないということを書いたわけであります。
香港等の新聞も
日中米の線を強調しておりますが、
米国自体もそのようなことは考えておりません。たとえばアフリカ問題にいたしましても、
中東和平工作にいたしましても、
米国と
ソ連が
お互いに利害対立しているということは当然でありますけれ
ども、
米国は内々は
連絡とれるものは緊密に
連絡をとって
ソ連とも話をしておりますので、この
状態は、
米国も不測の事態を起こしたくないという気持ちがあるわけであります。わが
日本は
平和外交に徹するということは、どこの国にも平等に交際するという
意味ではございません。どの
地域においても、どこの
国境においても対決の火を噴くようなことがないように、緩和の方に向かうように、そして平和が本当にだんだんと確保されていくというのがわが
日本の
外交のねらいでありますから、一方に加担して、そして
ソ連を敵にするということは断じてこれはいたしません。このことは
日本も
米国も、
日米中が連携をして
ソ連に対する
包囲網をつくるということは決してございません。
米国が
日本の
友好条約締結を歓迎しておるというのは、先生よく御承知のとおりに、
米国にも米中が正常化しようという機運が相当あるわけであります。そこで、その正常化するのに、
日本が
友好条約を結べばそれがやりやすいという
観点から歓迎しておるものと私は考えるわけであります。そういうわけで、
米国自体も
ソ連に対してもちゃんと
外交上の重要なポイントはやりつつやっておりますので、ここで
米中日が組んで
ソ連と敵対して、そして中ソの対立を激化させるようなことは、これは人類の不幸であり、わが
日本としても絶滅への道でありますから、そのようなことは断じてやってはならぬし、またやるつもりもないし、またやらないように
中国にもはっきり話しております。