○中江
政府委員 まず第一点の、
日本漁船の竹島周辺における操業はいままでどうであったかという点でございますが、竹島周辺という言葉の
意味が必ずしも明確に、どの辺までが周辺かということを抜きにいたしますと、竹島周辺を含みまして、あの海域での
日本漁船の操業は行われておりました。ただ、竹島に非常に近接した水域、つまり三海里でありますとか、六海里でありますとか、いわゆる領土主権に基づいて領海の主張が行われるであろうような近接した水域にまで近寄って操業したかどうかという点につきましては、いままで日韓双方とも、そんなに近くにまで行って操業するということは少なかったと、これは水産庁の方から聞いておりますが、昔から御
承知のように、あの水域で台風その他、海が荒れたときには、竹島というのは一種の退避場の役目をしていた。つまり、波よけ、風よけの役目をしていたということで、島陰に避難するというようなことはあったようでございますけれども、非常に近接した水域に及んでまで操業するということはなかったと聞いております。これは、御
承知のように、あの島が深海から急に突出した岩礁のようなもので、いわゆる浅瀬をずっと抱えた島でありませんので、魚群の存在としては、近接して操業することによって妙味のあるというたぐいのものでないんだという
説明も私は水産庁から受けておりました。ただ、竹島という島そのものが韓国によって、
日本から見ますと、不法に占拠されて、いろいろの施設を持っているということでございますし、無用の摩擦に巻き込まれ、無用のトラブルに巻き込まれないために、
日本漁船がいろいろと配慮していたということはあったかもしれない、こう思います。
それから第二点の、今度竹島周辺でいろいろあった、
報道されておりますことの中に、漁民の方で何か別な考えなり
動きなりがあったのかという点については、これも私どもが水産庁を通じて聞いておりますところでは、特にそういうものはない。たまたま天候が荒れて、イカ釣りをやっていた船が波と風をよけて竹島の近くの方に行って操業を継続したということではなかろうかという
説明を受けております。
第三点の、今回の韓国側が退去を要請したことについて、
日本政府はどういう措置をとり、また将来の操業の安全について何らかの手を打ったかという点につきましては、その前者については、韓国側の退去要請を含む申し入れに対して、毎回のことでございますが、その場で
日本政府は、竹島が
日本の固有の領土であるという一貫した
立場に立っておるので、韓国側の申し入れを受け入れるわけにまいらないということで反駁しております。それに加えまして、韓国の警備艇が退去要請をしたのではないかという
情報もあるものですから、そうなりますと、これは韓国の公の機関による現場における排除ということになりますので、相当重く見なければならない、その事実の確認を待ってしかるべき申し入れをする必要があろうということで、いまはその事実の確認を待っているということでございます。
他方、竹島周辺水域における操業の安全につきましては、先ほど申し上げましたように、現在まで
日本の漁船の操業が行われていたその背景に、
日本と韓国とでこの島の領有権について争いがあるということを韓国側も念頭に置いて、それを顕在化した、つまり具体化した争い、あるいは力を行使しての実力の争いというようなことに持っていくことを極力避けるという態度に立っているというふうに私どもは受けとめておりますので、その状態が続く限りにおきましては、あの水域を含みまして日韓漁業協定に基づく操業秩序の問題といたしまして、日韓漁業
委員会その他の場で、引き続き操業の秩序と安全が保護されるように、双方の漁民の利益のために措置をしていくという
話し合いはしていく必要があろうか、こういうふうに思っております。
新しい事態といたしましては、韓国が四月三十日に領海を十二海里にしたという問題がございますが、これは
日本の方が先に十二海里にしておるわけでございますので、それについては
お互いに十分
情報を交換してやっているということでございます。