○武田政府委員 お
答え申し上げます。
いま表を見せていただきましたので、恐らくこういう表をつくりますとこういうような数字に大ざっぱになろうかと思います。ですから、この表自身につきましては
先生御
指摘のとおりと思います。ただ、
先生もよく御
承知のとおり、この一両年でございますけれ
ども、個別発電所ごとに定期検査の過程等々でいろいろ特定な故障といいますか事故といいますかそういう手直しをいたしております。この中の個別発電所で申し上げますと、たとえば福島第一の一号機、二号機、それから美浜の一号機、これはまた別の理由でございますが、福島一号、二号につきましては、配管のひび割れあるいはノズルの問題ということでこの一両年手直しのために定期検査でとめて、定期検査そのものは順調にいけば三、四カ月で終わるわけでございますが、手直しが物によりまして半年、もっとかかりまして、一年近くとまってしまっているというようなことでございます。また一方、美浜につきましては、蒸気発生器細管のリークというので、そのもとが何分にも水の中に入れておりました薬、これがたまってということで、その除去がなかなかできないという事情もございまして、まだしばらくとまっておりますけれ
ども、三年ちょっととまった。同時に、その過程では、
先生から御
指摘のございました
燃料棒破損事故が後でわかったというようなこともございまして、それも含めて三年、もう少しとまりますので四年近くとまることになろうかと思いますが、そういった事故、故障、あるいは高浜一号も全く同様の理由の蒸気発生器細管リークで、これも水の中に入れております薬の除去をしなければいかぬというようなことでかなりな
期間とまっていた。
こういうふうに特定の発電所で特定のトラブルあるいは手直しというようなことで非常に時間がかかったわけでございます。そんなことで
昭和五十年度、
昭和五十二年度、いずれも設備利用率の方で申し上げますと四一、二%というようなことがあったわけでございます。したがいまして、それが至近年度でございますので、確かに
先生のおつくりいただきました表のように年数がたてばたつほど下がっている、こういうことが出ているわけでございます。
では、今後この
傾向が続くかどうかということでございますが、先ほど申し上げましたような特定の
部分、配管なりノズルなりあるいは蒸気発出器という
部分の手直し
作業、これがまだ完全に済んだわけではございませんけれ
どもかなり
進行しております。そういう
意味でそういったものの出てくる
可能性といいますか、確率とでもいったようなものは今後減ってまいるかと思います。そういう
経験を生かして、いまつくっているものあるいはこれからつくるものにつきましては、あらかじめ手直しに相当することを
設計上できるものにつきましては採用いたしておりますし、それから改良・標準化
作業ということで、改良・標準化の第一次
設計ができまして、これからつくるものはそういったものに沿っていく。これは
一つは、手直し等々の
作業を容易にするというような要素も中に入っておりますので、仮に手直しが将来起こる場合におきましても、そのために必要な時間というのは短くなっていくだろう、こんなような措置をいたしております。またデータ的にも、
昭和五十三年度につきましては実はやっとまとまったはかりでございますが、この五月の実績で申し上げますと、全体の平均でございますが、時間
稼働率で六〇%をちょっと超し、設備利用率、ちょっとうろ覚えでございますけれ
ども、五四、五%になっていたかと思います。五十三年度発電所全部を足しましての平均値は、恐らく時間
稼働率では六〇を超し、設備
稼働率では五五を超すというようなことで、私
どもとしては、
昭和五十年度及び
昭和五十二年度、残渣が少し残っておりますけれ
ども、その二年はやや例外的な、異常に平均
稼働率の低かった年度である、こう
考えておりまして、本年度、これは予測の話でございますので、断定するとまた間違ったりするかもしれませんけれ
ども、本年度はさっき申し上げたような数字。それでもうしばらく
たちますと、設備利用率でも六〇台になっていくというようなことが、先ほど申し上げましたような手直し、補修の
進行、その
経験の新しい発電所、別の発電所への採用、さらに改良・標準化ということでできていくのではなかろうかと思っているわけでございます。
もう一点、こういうふうにたとえば昨年のように四〇%の利用率でございますと、
先生御
指摘のように、原子力発電のコストは安いんだというふうな言い方はなかなかむずかしくて、どうかなというふうに首をひねるような
稼働率でございます。いろんな計算をいたしますと、実は同じ
稼働率のもとでは、きょう現在の原子力発電所
建設中のものを含めまして、火力に比べて二、三割安いような試算になります。そして原子力発電所の
稼働率が仮に四〇%でも、六〇%台ぐらいの
稼働率の火力と計算上の比較でございますが、大体似たようなもので、そんなに極端にコストが悪いということではございません。しかし、同じ電気を出すものでございまして、火力も原子力も将来とも生き残るといたしますと、同じ製品でございますから、お互いに競争いたしまして、似たようなコストになるというようなことであろうかと思いますので、原子力の
稼働率が四〇とか五〇とかいうような低いものでいいと思っているわけでは決してございませんで、私
どもの目標としては七〇というような数字が欲しいわけでございますし、現実にも六〇%台は続けていきたい。実は残念ながら五十二年度はだめでございましたが、五十三年度もいま申した六〇台の利用率というのはちょっと無理かと思っておりますけれ
ども、この一両年
たちました
段階で、先ほどの改良・標準化なり手直しなりの効果が十分に出てくるということになりますと、その域には達するんじゃないか、こう思っているわけでございます。