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1978-04-27 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十七日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君    理事 佐々木義武君 理事 石野 久男君    理事 日野 市朗君 理事 貝沼 次郎君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    玉沢徳一郎君       原田昇左右君    与謝野 馨君       渡辺 栄一君    安島 友義君       上坂  昇君    田畑政一郎君       中村 重光君    近江巳記夫君       古寺  宏君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         科学技術庁計画         局長      大澤 弘之君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     若田 末人君         環境庁企画調整         局研究調整課長 加来 利一君         外務省国際連合         局科学課長   太田  博君         通商産業省生活         産業局住宅産業         課長      野口 昌吾君         工業技術院総務         部総括研究開発         官       吉田 方明君         運輸省船舶局監         理課長     熊代  健君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      森  孝顕君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団専務         理事)     倉本 昌昭君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   馬場猪太郎君     中村 重光君   近江巳記夫君     古寺  宏君 同日  辞任         補欠選任   中村 重光君     馬場猪太郎君   古寺  宏君     近江巳記夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出があります。順次これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 私は、「むつ」の修理の問題についてお尋ねをするのですが、その前に、伊方原発判決がなされたわけですが、この判決科学技術庁長官としてはどう評価をしておられるのか、伺っておきたいと思います。
  4. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 伊方につきましては御承知のように、判決におきまして国の従来主張してまいりましたことが大体認められた形になっておるものと思っております。しかし、まだ要旨等につきましても十分検討をいたしておるところでございます。われわれといたしましては、あの判決そのものにつきましてもいま申し上げたような考えでございますが、しかし、どこまでもこの原発問題については安全性の推進ということは、この上とも第一に考えなければならない。それに合わせまして、住民の方により深い御理解と御納得を得るようにしなければならぬ。この点は、今後ともますます念頭に置きまして、そうして原発開発に当たっていきたい、このように考えておるわけでございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えのように、おおむね政府考えていたことが取り入れられたということが言えるわけですが、しかし、これは伊方判決であって全体ではないということですね。いまお答えになったように、安全性の追及ということはいささかも緩めることなく、積極的に取り組んでいくということがやはり原発に対する理解と認識を強めていくことになるわけですから、問題は非常に多いわけですから、十分ひとつそのお答えを今後さらに発展させて対処していかれるように強く望んでおきたいと思います。  それから、原子力船むつ」の問題ですが、先般決算委員会科学技術庁関係の審査の場合におきましても、同僚の村山委員から質疑がなされているようであります。私がお尋ねすることも大体同じような方向になるわけでございますが、長官は、原子炉封印についで久保知事から公式に伝えられたようですが、その内容経過見通しについてお聞かせいただきたい。
  6. 山野正登

    山野政府委員 いわゆる原子炉封印中身につきましては、四月の十七日に長崎県の副知事事務レベルの者が上京されまして、まず会議を持ちまして、その席で初めて現地で言っておられます原子炉封印なるものの具体的内容というものを承知いたしたわけございますが、長崎県の言っておられます点は二点ございまして、一つ圧力容器上ぶたを撤去しないで総点検改修を行うこと。第二点は、原子炉運転のために設けられております運転モードスイッチかぎ制御棒駆動盤かぎ知事が預かって、佐世保での修理、総点検期間これを知事が管理保管する、この二点がいわゆる原子炉封印という乙との具体的内容であるという御説明を聞いた次第でございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 いまのような知事考え方が明らかにされた。副知事はたしか四日間滞在された。そうして山野局長は四名の科学技術庁の方を伴って、県側は高田副知事中心にいたしまして、これまた五名、双方から五名ずつで、赤坂プリンスホテルでずいぶん長時間にわたって検討を加えられたようであります。また、たしか二十日、長官久保知事に会われて、これまた昼夜相当の時間をかけて会われたようであります。そのことについて具体的な詰めがなされたと思います。それらの点についてそれぞれお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 私と久保知事とお会いしたことについてもお触れになりましたので、その方を私の方から御説明申し上げます。  私は、あのときには知事さんが御上京になるというお話を聞きまして、もう私としては新しいお話をする考えはありませんでしたが、しかし、従来からいろいろ御承知のようにお願いもいたしておりますので、せっかく東京へお見えになった機会でございますから、ごあいさつしたいというだけの考えであったわけでございます。  その際は、ほかの何か国会議員の方と、どういうお話か知りませんが、御懇談されておりましたその機会にごあいさつをしただけでありまして、皆さんの前でお話をしましたので、内容的には新しいことは何も申し上げておりませんし、承ってもおりません。ただ、いろいろわれわれの申し入れたことについて御検討願っております点のお礼を申し上げた、今後ともよろしく、こういうだけの内容でございます。
  9. 山野正登

    山野政府委員 先週、私と副知事とを中心にしまして事務レベルでの打ち合わせの話し合った内容でございますが、一つは、先ほど申し上げました原子炉封印なるものの中身についてのお話し合い、それからそれ以外に三つございまして、一つは、昨年の四月に長崎県議会並びに佐世保市議会はそれぞれ「むつ」の受け入れについてある方針を打ち出しておられるわけでございますが、それ以降政府部内におきましていかなる検討を行ってきたかといったふうなことの御説明、それから、さらにまた、長崎並び佐世保地元におかれては、日本原子力船開発事業団の設立の基礎になっております日本原子力船開発事業団法改正法案というものに非常に注目をしておられたわけでございますが、これについてのその後の扱い、それからまた、これも国会で御審議を煩わしております原子力基本法等についての審議状況、これもまた原子力行政体制のあり方という意味で地元が非常に注目されておったわけでございますが、これの審議経過審議状況、今後の見通しといったふうなもの、これが第二点でございます。それから第三点としまして、県の事務当局におかれましてこの「むつ」問題をいろいろ事務処理されるに当たりまして、技術的な細部の問題について勉強したいというお話がありまして、先方の提起されます細かい技術的諸問題についていろいろ科学技術庁の知る限りにおいてお話し申し上げた、こういったようなことが先週先方と会談を持ちましたときの内容でございます。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 私は社会党の「むつ」の問題をどう処理するかということについての特別委員会委員長でありますとともに、佐世保長崎県の地元の問題でありますから、特別な関心を持って研究もし、調査もし、また関係方面との懇談もいたしています。久保知事が上京される前も知事にも会いましたし、また漁業団体とか被爆者団体、その他の民主団体、それから住民の方々とも懇談をいたしました。いろいろと意見を伺ってきているわけであります。また知事が二十一日長崎に帰られて、その直後にこれまた知事とお会いいたしましたし、長官いろいろ話し合いをされたことに対してもそれなりに伺っています。さらに考え方も実は聞いているわけです。漁業団体その他に対しても同じようなことなんです。長官もこの非常に重要な段階、大湊港だって、四者協定もあるわけでありますからいつまでもそのままほっておくというわけにもまいらない問題であります。  いずれにいたしましても、話し合いを進めなければいけないということであろうというように考えるわけですから、そのことを考えると、久保知事が上ってきたから単にあいさつをしたかったんだというふうな、そんなことではあってはならないし、またなかったんだ。詳しい、細かい技術的なことはあなたはおわかりにならない点も多々あるだろうし、具体的な詰め山野原子力局長、その他の段階の中で詰めていくということは常識ですから、私もそれはそれなりに素直に受けとめているわけです。だからあなたも木で鼻をくくったとは申しませんけれども、単なるあいさつだったんだというようなことでなくて、もっと突っ込んだ対処の仕方ということが私は当然なされなければならないし、なされたであろうということは、私なりに知っておると申し上げた方がよろしかろうと思います。どうしようとお考えになっていらっしゃるのか。いまこういう話があったということでございますから、山野局長もそれについて四日間、五日間という長い期間にわたっての話し合いですから、相当突っ込んだ、どう対応するかということについての話し合いはなされているはずです。率直にお話しになったらいかがですか。
  11. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま、この間二十一日においでになりましたときに会った内容についてのお尋ねでございますから、ありのまま申し上げているわけでございまして、それまでに四、五回お会いしておりましていろいろお願いをいたしております。ですから、そのときにお会いしましたときには別段具体的な話は何にもなかった。ひとつまたよろしくお願いしますということ、いろいろ御心配かけて本当に申しわけない、きょうは別にお会いするこれという用事はありませんが、せっかくお見えになりましたのに、お顔を見てお礼も申し上げないとかよろしくとも申し上げない、そういうことは私の気持ちが許しませんから――そういう言葉ではありませんが、そういう気持ちをあらわして、具体的な話はそのときはいたしておりません。これは率直にそのとおりでございます。だれからお聞きいただきましても、それはちょっとおかしい話ですが、そのときは何にもありません。
  12. 山野正登

    山野政府委員 先週、地元のそういう話を承りまして、私どもとしましては五十一年の初めに政府の方から長崎県と佐世保市にお願いしております修理内容で十分安全に修理はできますし、それが一番望ましいという考えには変わりはございませんが、せっかく地元の方で努力されまして、何とか受け入れ方法はないものかということでいろいろお考えになった末の一つ提案でもあるわけでございますので、私どもは早速この御提案につきまして、これが受け入れ可能かどうか、まず第一着手としまして日本原子力船開発事業団中心にしまして、この方法が技術的に可能なりやいなやという検討をいたしておるさなかでございます。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 委員会においてはきょうお尋ねをするのですが、その前に科学技術庁を訪れて二回にわたって封印案が出てからあなたと話をしているわけです。その際、相当時間をかけて考え方も伺って、正式の委員会でなければいけませんからいま委員会お尋ねをしているわけですから、こうした問題は率直にお尋ねもし、お答えもしていただくということが本当なのではないでしょうか。なぜに抽象的に答弁をばかそうとばかりされるのか、全く理解できないのです。放射線漏れがあって、大山委員会のこれに対する調査検討が加えられて、そしてその報告がなされた。それから安藤委員会も、この修理に当たってはどうあるべきか、どうしたら大丈夫だといったような提言がなされている。それを受けてあなたの方は修理、総点検計画を立てて長崎県に要請をしている。その要請に対して、いまお答えがあったような圧力容器上ぶたをしたまま修理をするのだ、それから原子炉を動かす手動スイッチ制御棒駆動盤かぎをかけて、そのかぎ知事が預かる。知事漁連住江会長に、会長が預かってもよろしい、こう言っている。そうすると、修理上ぶたをそのままにしておいても不可能だということは言えないかもしれぬ。しかし、そう簡単な問題ではない。制御棒点検というものは当然スイッチを入れなければできないわけです。だからして県側が提示している二つ条件というものは、計画のとおりのいわゆる修理、総点検をやっていこうということになってくると、科学技術庁受け入れられない問題である。それは非公式というのか、科学技術庁で話をした際にも明確にそのことをお答えになっているし、原子力船事業団にも私は行ったのですが、事業団もはっきり言っているのです。制御棒駆動試験というものは、これは修理にかかる前もやらなければいかぬ、修理をしてしまって組み立てが終わった段階でこれはやらなければいかぬのであって、洋上では不可能だということも言っているわけでありますから、そのことに対してできないものはできない、できるものはできる、できるけれどもこういう条件があるということを明確にお答えになることが当然ではありますまいか。
  14. 山野正登

    山野政府委員 まず圧力容器上ぶたを撤去しないでそのままで遮蔽の改修ができるかどうかという点、これは多分に技術的な問題でございまして、現在事業団検討中でございます。  それから、制御棒駆動試験でございますが、かぎ長崎県知事にお預けして管理、保管していただくということは、このかぎ修理、総点検期間中一切使わないという趣旨ではございませんで、これは、もともと船は冷態停止状態で入港し、修理期間中はその原子炉冷態停止状態を続けるわけでございますが、なおあくまでも安全性を確認する、地元で安心していただくというために知事かぎを預かりたいというお申し出だと私ども考えておるわけでございまして、制御棒駆動試験をいたします際には当然にこの運転モードスイッチかぎ制御棒駆動盤かぎとは要るわけでございますので、制御棒駆動試験をするときには、知事から知事の御了解を得てまた借り受けまして、これを使って制御棒駆動試験をする、こういう運びになるということでございまして、制御棒駆動試験佐世保港でするのをやめたという趣旨ではないというふうに理解しております。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 そんなごまかしを言われても、むしろ漁業団体にしても被爆者団体にしても、長崎県民を刺激して反対の動きというものをさらに活発にするということになるのですよ。知事県議会でも封印受け入れについて説明をしているわけですね。上ぶたを外さないで修理をやらせるということと、それから原子炉始動スイッチ制御棒駆動盤かぎをかけ、そのかぎを私が預かる、原子炉始動につながる点検は一切認めない、これがぎりぎり容認される線である、こう言っているんですよ。あなたの言うように、修理が終わるまで一切知事かぎを押さえて貸さない、渡さないということじゃないのだという、それでは県議会に対して――あるいはもうこれは各紙の報道機関が一斉に報道をして、しかも知事とは何回も会っている。それから私も知事とは会っているんです。渡さないのかということについては渡さないとはっきり言っているんですよ。長官と会って帰ってきてから少しニュアンスが変わったんですね。修理をする、そしてその修理がうまくできているかどうかということについてはこれはやはり駆動試験をしてみなければわからないだろうなということ。それから先は言わない。新聞にも一切そう書いてない。県議会にも言ってない。もう貸さないのだ、炉を動かすということ、制御棒を動かすということは一切やらさないのだ、こう言っているんだから、いまあなたが答えられたようなそんなものじゃありません。それはあなたとの間にもそういうやりとりはしているはずなんです。  それから長官、これはこういう上ぶたを外さないで修理をするということになってくると、あの狭いところですから、修理が非常にやりにくいのです。ブロックもいま計画をしているブロックではだめなんで、さらにそれを細分化しなければいけない、そしてもうずっと詰め込みをやっていかなければならぬということですから、それがうまくいくかどうかもわからないのです。時間は長くかかる、それから費用はかかる。まあ三十億ぐらい上乗せしなければならないだろうということを科学技術庁は言っているようですけれども、そうすると三年の計画というのが四年になる、あるいはそれ以上になるかもしれない。長官、そのときはあなたは長官じゃない。久保知事ももう知事じゃないんだ。私はあえて、いまのところ何とか妥協さえしておけばあとは野となれ山となれ、そういう無責任なことを考えておるとは言いません。しかし、どうですか。この「むつ」の佐世保入港修理の問題について宇野科学技術庁長官が言ってきたことと、長官がかわって熊谷さん、あなたになってから態度が変わってしまったじゃありませんか。あなたは前任者から少なくともこういった話があったというのは受け継いでいらっしゃるはずです。しかし、おれがかわったんだから、前任者とのいろいろ話し合いをされたことは私ごとである、だから自分は関係ないのだ、そのようにあなたは変わってきたんですよ。ならば、いま知事かぎを渡した、それで仮に修理を終わり、最終的に総点検をする段階で、洋上においては不可能なんだから、どうしても港においてそれをやるという段階で、その際にかぎを貸すか貸さないかという問題は、これはもう長官でもなければ久保知事でもないということなんです。したがって、先は先というようなそういったことは許されません。はっきりした書類上におけるところの取り交わしというものがなされなければならない。またそういうことでないと、そしてこれなら大丈夫だという確信がない限り、漁業団体にしましても被爆者団体にいたしましても、あるいはその他の団体住民も絶対にこれを納得するものではない。いま局長が答えられたようなそういう安易なものではないということを頭に置いて、長時間にわたって話し合いをしたことについてもっと詳細にお答えをいただきたい。
  16. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いろいろ細部の点に関しましては、必要があれば私の漏らしたような点につきましては政府委員からお答えさせますが、第一に、後はどうでもいい、当面糊塗さえできればいいじゃないか、そういう無責任な態度でやるべきではないという御意見でございまして、これはごもっともな御意見であります。したがって、先ほどから局長からも申し上げておるかと思いますが、いろいろ核封印と言われておりますものの内容については十分検討し、それからそれについて果たしてわれわれとして受け入れられるかどうかということは目下検討中でありまして、まだ結論が出ているわけではありませんから、その検討しました段階におきましてわれわれの所信を明らかにするというつもりでおります。  それからもう一つ。実は宇野長官と私との考えがすっかり変わっているではないか、あるいはまた引き継ぎがあったのではないかというようなお話。特に後の問題につきましてはたびたび委員会の席でも承っておりまして、私もそれについて余りああやこうやということを申し上げることが何かはばかられましてはっきり申し上げておりませんが、この場合に私が、その問題について私の率直な考えを申し上げたいと思います。  これは、私の引き継ぎ云々という言葉ではありませんが、第一に、私が就任しますまでの間どういうことであったかということにつきましては、私は原子力発電の方は大分頭を突っ込んできましたが、原子力船むつ」の経緯につきましては、いわば直接に触れてはおりませんのでよくわからなかったわけでございます。ただ、なってみまして気づきましたことは、これはいま現在佐世保湾ないしは長崎県に向かって政府としては要請半ばであるが、これが受け入れられるということはなかなか困難な状態ではないかということを感じたわけであります。  ところで、私の考え方といたしましては、この際、現在の「むつ」は何としても、できることならば一刻も早く修理を始めなければならぬ。そうしなければわが国原子力船開発ということがそれだけおくれていくということになりますから、これはわが国全体の立場から見まして、一日も早く修理ということが実現できねばならぬと私は考えたわけであります。そうしますと、修理を実現しますためには、いま、先ほど申し上げましたように要請半ばにあります佐世保港ないし長崎県に対して誠心誠意お願いをしてみなければならぬ、こういう決意を固めたわけでありまして、今日までこの二つ信念に、信念というとちょっとおこがましい話でありますが、方針に基づいて行動してきているわけであります。  そこで、前長官との間の食い達いとでもいうようなお話に承るのですが、率直に申し上げまして、別にこれに関してどうこういうような引き継ぎ、ないし引き継ぎ考えられるようなことは何にもありません。ただ、いまいろいろそう言われますので、当時のことを考えてみますと、これは私の想像でありますが、宇野長官は非常に皆さん反対が強硬であって、そしてこれを御理解を願うことはなかなか困難でないかというような御趣旨のお言葉があったということを先般来思い出しているわけでありますが、引き継ぎというようなことは何にもございません。これは私がはっきり申し上げますが、私としてはそういうふうに受け取っている点はございません。ただ、私は、そういうふうに強い御反対があったということは感じ取っていました。私どもとしましても、与党、野党のいかんにかかわらず、御反対されることをやるということは、私情においては非常に心苦しく感じますけれども、やはり国のためにこうしなければならぬという信念だけは、できる、できぬは別問題といたしまして、貫いていかなければならぬという考えでいるわけでございますので、その点を御了承いただければ幸いでございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 時間が限られていますから、いろいろ経過について申し上げる時間的余裕がありません。  いずれにいたしましても、佐世保辻市長核つき久保知事核抜き県議会核抜きということで決議をした。その調整科学技術庁がやらなければならないということになった。ところが、科学技術庁は、やはり核抜きでは適当ではない、核つきでなければならない。しかし、久保知事の強い態度、また漁連や被爆団体核抜きということで、それじゃ十分安全性を注意してやってほしい、もうそれ以上のことは譲れない、そうした関係団体の意向というものも体して、久保知事核つきということはとうてい受け入れられるものではないというので、やはり長崎県はあきらめざるを得ないであろうというような空気が科学技術庁内あるいは与党の中にも恐らく出ていたであろうと私は思うのです。その段階で、辻市長は上京して、そういうような空気を察知して辻市長は返上の意思表示をやった。それを今度は長官がかわって、あなたが辻市長を説得して、その返事を撤回させるという態度をおとりになった。それらのことについては、あなたが一番よくおわかりになっていらっしゃるところであります。いま私はそれを一つ一つここで取り上げて議論しようとは思いません。  要は、どうするかという問題。科学技術庁としては、長崎県に対して修理、総点検計画をお出しになった。しかも、それは欠陥船「むつ」の修理点検をするに当たってはぎりぎりの線であったと思う。したがって、それ以上のものは譲り得ないんだろうと私は思う。いかがですか。この計画を変更して、完全な修理点検が行われ得ると考えますか。
  18. 山野正登

    山野政府委員 私ども、従来長崎県並びに佐世保市にお願いしております修理、総点検の項目というものは、これは現在でも変える意思を持っておるわけでは決してないわけでございます。御承知のとおり、こういう修理、総点検の各項目につきましては、「むつ」の総点検改修技術検討委員会で御審議いただきまして、これだけの改修と総点検をすれば「むつ」は再度開発の軌道に乗せ得るであろうどいうお墨つきをちょうだいして始めておるわけでございますから、現在といえどもその項目を変える意思はないわけでございます。  長崎県で提案しておられますのは、その項目を落とせという趣旨ではないわけでございまして、そういう修理とか総点検をするにつきまして、一つ上ぶたをとらないでする、一つかぎ知事が管理、保管をするという二つ条件をつけてやってはどうかというお話だと思うわけでございます。  先ほど先生御指摘の制御棒駆動試験というのは、総点検の中でも大事な点検項目だと私ども考えておるわけでございまして、この点が私どもと県と同床異夢であってはならない、あいまいであってはならない点であるというふうに考えまして、先週もその点は十分に話をいたしまして、制御棒駆動試験をする際には、知事申し出て、知事がその時点で安全性等を知事なりに判断をなさいまして、そしてかぎ事業団に貸して、事業団はそのかぎを使って制御棒駆動試験をする、そういう運びになりますねということも確認しておるわけでございまして、この辺、大事な話でございますので、あいまいなことはぜひ避けたいというふうに考えております。その点は先生御指摘のとおりでございます。  それから、果たしてそういったふうな条件を付して修理、総点検が行い得るかどうかという点につきましては、先ほどお話し申し上げましたとおり、現在原子力船開発事業団において検討中でございますので、可能かどうかというのは、いましばらくその検討結果をお待ちいただきたいという意味でございます。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 いまはっきりしたことは、長崎県に要請をしている、修理点検計画を変える意思はないということですね。  そこで、上ぶたを外さないで修理ができるかどうかということについては、事業団に十分研究をするようにということを指示しているということなんですが、事業団に私どもも会いまして、いろいろとただしましたが、大変むずかしい。できるかどうかを検討するのに一カ月以上かかりますということ。それで、仮に遮蔽の修理ができたといたしましても、今度は制御棒駆動試験は二回やらなければならないですね。あなたも、それはやらなければならぬということをお認めになる。しかし、それは、やるとすると、かぎが必要になる。ところがかぎは、長崎県としては一応預かるけれども、預かりっ放しということではなくて、駆動試験をするときにはそのかぎを貸してもらえる、こういうことだということがはっきりしたわけです。ところが、先ほども申し上げましたが、長崎県議会に対して、久保知事説明をいたしております内容、それから、各報道機関との、いわゆる記者会見の中で知事が明らかにしている内容、今度上京されて、地元に二十日に帰られて、二十一日、これは全部の新聞ではありませんけれども、二、三の新聞を持っているのですが、これはもうどの新聞もはっきり狂いなしです。かぎは貸さない、これはいま、科学技術庁に提起したこの線は、いわゆるぎりぎりの線である、こう言っている。だとしたならば、知事県議会説明をしたこと、記者会見の中で各報道機関に明らかにしたこと、また、私も知事と会いましたが、私に対して違ったことを言うといったことはあえて問いませんけれども、いずれにいたしましても、違うわけですね。だから、県議会説明をし、あるいは報道機関の記者会見の中で知事説明をしたこと、そのとおりであるとするならば、この修理点検はできないということになるわけでございます。それは確認なさいますね。
  20. 山野正登

    山野政府委員 知事地元にお帰りになりまして、運転モードスイッチかぎ事業団に貸さないとおっしゃった点につきましては、私どもは、先週の私どもと県、両事務レベル話し合いのことを考えまして、そういうふうなことはないであろうと思いますが、なお念のために県には確認をいたします。  それから、制御棒駆動試験と申しますのは、これは、運転モードスイッチ、それから制御棒駆動盤かぎというものがなければできないということはそのとおりで、ございます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 ですから、かぎがなければでない、この点もはっきりしたわけです。  そこで、私はお尋ねを先に進めてまいりますが、「むつ」の原子炉の設計許可というのは、大湊港を母港として行われているのだろうと思いますが、その点いかがでしょうか。
  22. 山野正登

    山野政府委員 これは、陸上附帯施設が青森県にあるという意味におきまして、先生のおっしゃるとおりであろうかと存じます。     〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕
  23. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、むつ市の母港設備を前提として行われたその母港設備が実質的に今度なくなる、母港の機能が失われるということになるわけですから、許可を取り直さなければならないということになると思いますが、いかがですか。
  24. 山野正登

    山野政府委員 むつの陸上附帯施設につきましては、当初許可が行われました以降、四十九年の放射線漏れの後、内容が変更されておりまして、四十九年の十月と五十二年の四月におのおの内容の変更が行われて現在に至っております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 どのように内容の変更がなされたのかわかりませんが、その「むつ」の原子炉の設置許可をやり直すためには、改めて母港設備を新設してそれを審査をするという必要が起こるのじゃありませんか。いかがですか。
  26. 山野正登

    山野政府委員 これは、私がお答えする範囲を越えるわけでございますが、いずれ「むつ」の修理、総点検計画が基本設計から進みまして、詳細設計段階になりますれば、当初の設置申請の記載事項に変更があるといったふうなことになるだろうと私は予測しておりますので、その時点で設置の変更許可申請を出しまして、そして当局の変更許可を得るといった運びになるかと思います。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 母港設備というものをまず決めて、そして許可を受けるというような形を従来とっているわけですから、今度は修理港、この大湊港というのが母港としての機能を失うという形になってまいりますと、まず修理港の選定よりも、母港の選定をやるということが先決でなければならないというように考えるのですけれども、そうではありませんか。
  28. 山野正登

    山野政府委員 これは私ども、たびたび本院でも御説明を申し上げておるわけでございますが、青森県、地元との四者協定によりますれば、先生おっしゃいますように、六カ月以内に新定係港を決めて、二年六カ月以内に現定係港を撤去するという約束になっておるわけでございますので、その線に沿って新定係港を探すという仕事を最優先にすべきであるというお説もごもっともかと存じますし、また現に私どもは、放射線漏れ以降、その手順に従って事を進めてまいったわけでございますが、現在の「むつ」の――原子力船でございますが、「むつ」の現状のままでは新定係港の選定作業も意に任せないということで、政府としまして、むしろ修理、総点検を先行して行いまして、その後で新定係港を探すという方がよかろうということで、私、確実に覚えておりませんが、五十年の夏か秋ぐらいであったかと存じますが、そういうふうに手順を変更したわけでございます。五十年の十二月でございます。その結果、五十一年の初めに長崎県並びに佐世保市に修理港の受け入れお願いするという運びになったわけでございまして、私どもとしましては、今後この修理港問題が決着をし次第、至急に新定係港の選定作業に入って、できるだけ早く新定係港を決めたいというふうに考えております。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 変更された手順が合法的であるかどうかということをただしてみたいと思いますけれども、時間がありませんので、いずれ何らかの形でその点を明らかにしてまいりたいというように考えます。  いずれにいたしましても、この修理港と母港の関係をあいまいにしたまま、修理港として佐世保港あるいはその他のところを要請をしていく、母港には一切いたしません、こう言うが、なし崩し的に母港ということになるというような懸念というものはあり得る、私はそのように考えるわけであります。その点は、私は申し上げることにとどめておきたいと思います。  それから、制御棒一本抜いただけでは、炉は停止したままだと説明をしているわけですけれども、一本抜いただけで臨界に達した事例というのもあるわけです。だから問題は、十分な修理点検を行うということでないと、一本抜いただけで臨界に達することがないのかどうか、設計はどうなっているのかといったようなこと、それらの点を考えると、ますますもってこの修理点検というものの重要性が本当に大きくクローズアップしてくるであろうと考えます。  したがって、何が何でも佐世保に入れて、そうしていろいろな条件が出ているけれども長崎県の久保知事が提示している条件計画の変更になるからそれはのめないということは明らかにされたわけでございますけれども、この点はやむを得ないということで、無理をしていわゆる妥協というのか、そういうことをやりますと、修理にいたしましても、先ほど触れましたようにふたを取らないでやれるかどうかについては、非常に狭いところですから、非常にむずかしい条件、難工事が伴う。それは修理が不完全になるおそれがある。そういったまま洋上に出まして、また放射線漏れを引き起こすおそれはないという保証は全くない。そういったようなことでありますと、決して無理をしないように対処していかれる必要があるということを私は申し上げるわけですが、これらの問題を取り上げて考えてみますと、根本的に解決をしなければならない問題が残されているのではないかという感じがいたします。  ということは、原子力船事業団法というのを実質三年延長いたしました。その延長の際は、研究所法に切りかえるということ、研究所法案を制定をするということにあったわけであります。ところが、研究所法案の中身はどういうものにするかということについては具体的な詰めがなされておるとは考えません。私ども社会党は、船体と炉を切り離して、そしてその炉を陸上において舶用炉としての実験を十分行うということ、そして切り離した船体はどこかのドックに入れて整備をするということを提案をいたしてまいりました。それが私どもの言う研究所法案の中身である。ところが、自民党の方で具体的に詰めをしたわけでなかったとは思いますけれども、一応の考え方が出ておったのはそうではなかった。原子力船事業団の名称を変えるというものにとどまるというような懸念がありましたからなかなか一致点を見出せない。相当な時間がたちましたが、いずれにいたしましても研究所法案を制定をする必要があるということで、そこで事業団法の実質三年の延長になっているわけですから、この研究所法案のあり方、どうするかという問題を詰めて、そしてこの事業団法から研究所法案に切りかえていくということがここではっきり確立をいたしますと、この修理点検という問題はおのずと解決すると私は思う。まず、いまのように、さあどうだろうかどうだろうかと言って相当長い時間をかけて、そしてある場合はやるといたしましても、むだな金をつぎ込んで、そうして完全な修理ができるかどうかもわからない、そういう形をとるよりも、研究所法案をここで確立をする中において、お互いに納得の上に立って受け入れ側も喜んで受け入れる。これに協力をするという体制を整えることの方が賢明である、それが常識でなければならぬと私は考えますが、長官、この点いかがでしょうか。
  30. 山野正登

    山野政府委員 まず第一点、制御棒の問題にちょっと注釈をつけさせていただきますが、制御棒駆動試験をします際に一本ずつこれを抜いて試験をするわけですが、制御棒一本を抜きましてもこれは臨界にならない。これは設計上もそうなっておりますし、また一本抜いて臨界に達した事例もないということを御報告申し上げます。  それから研究所法案の方でございますが、これはさきに原子力船事業団法の改正法を成立させていただきましたときの審議経過等から私ども考えまして、この御趣旨というものは原子力船開発事業団が従来進めてまいりました「むつ」の開発に加えまして、舶用炉の研究等を含めた基礎研究があわせて重大な問題ではないか、ついては「むつ」の開発に加えてそのような基礎研究もあわせ行う研究開発機関に衣がえをすべきであるという御趣旨であったかと存じまして、そういうふうな方向でこの新しい開発機関のあり方とか体制あるいは関係機関との関係といったようなことについて現在詰めておる段階でございまして、この研究開発機関に移行するということをもって「むつ」の開発は中断してしまうのだというふうには考えていないわけでございまして、「むつ」の開発は従来どおりに続行させていただきますが、それに加えて、非常に重要な舶用炉研究等を中心とした基礎研究も鋭意力を入れる、こういう二本柱で進めていくことになると考えております。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 それは解釈の問題になりましょうから、もう時間がありませんからその点は触れませんが、いずれにいたしましても、研究所法案に切りかえるということは、いまの「むつ」そのものがその法律の趣旨に沿った形で運営されなければならぬということになることは常識なんです。してみると、この舶用炉の基礎実験をやる、これはもう研究所法のきわめて重要な柱という形になってくるわけです。これをやらなかった、これを手を抜いたところにいわゆる放射線漏れが起こって、そこで欠陥船「むつ」ということになって、今日このような大変な問題になっておるということを私は反省する必要があると思うのです。  海運不況のいまの時代です。世界的にも実用原子力船の建造というような動きもない。いまは世界的にも原子力船時代は遠のいたという説が非常に強いわけであります。アメリカのサバンナ号も一九七〇年から八年近く岸壁につないだままでしょう。それから西ドイツのオット・ハーン号も改良型の炉心部の研究を続けている段階。これらのことを考えてみますと、このような形で時間をとるのではなくて、本格的な研究所法が制定された場合に意図する舶用炉の基礎実験、基礎研究、これをひとつやる、一から出直す、こうした態度が私はいま必要なことだと考えるわけであります。このことに対して科学技術庁としても決断をされ、そういう方向に対処されるように強く望んでおきたいと考えます。先ほど局長から、いま要請をしておる修理、総点検計画を変更する意思はない、これをするためにはこういうことが必要であるということも明確にされたわけでありますから、そのようなことを決して安易な妥協をやってあいまいにするというようなことがないように強く望みたいと思います。  最後に長官お答えをいただいて、私の時間が参りましたから質問を終わることにいたします。
  32. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いろいろ具体的な問題、特に原子力船開発事業団法の問題等について御発言がありまして、これに対して政府委員からお答えしたとおりでございます。  ただ、先ほど御発言の中にありました、できるだけ納得ずくのいろいろな進め方をしたい、すべきである、こういうお話がございましたが、これは御趣旨としてまことにわれわれも同感するところであります。特に原子力の問題につきましてはいろいろな点においてたくさんの人の考えることでありますから、そごがありましても、安全性に関します限りは、全部一人残らずというわけにはいきませんでしょうが、常識的に見て納得のできるような安全性の確認ということを第一に考えて、それで御納得していただく線を打ち出して、それで進んでいくべきである、このように思っておる次第でございます。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたの答弁というのは何を言ったのかわからない。全部一人の反対もないというわけにもいかないだろうけれども安全性について確認をしてもらうというようなことでないといけない、こう言われたのですね。その点がどうもはっきりしない。私の質問のどこに対してお答えになりたのか、それは何ですか。あなたの方では、佐世保に入港させることについていままで強行は絶対にいたしません、漁業団体であるとかあるいは被爆者団体であるとか、住民の方々の納得の上でないと絶対にこれを入港させることはいたしませんということは、いつの質問にも明確に答えてきたことでございますから、その点に対していまあなたがそれを変更しようとお考えになっていらっしゃるとは私は思わない。何ですか、いまのお答えは。それを変更するという意思が――全員じゃなくて、一人や二人というのですか、反対があっても、それは入港することだってあり得るというようなことを意味するのか、大多数の方々が合意をする、納得する、こういう形で入港させるんだということにつながるのですか。いままで、絶対に強行なんかはいたしません、すべてのいわゆる漁業団体被爆者団体あるいはその他の諸団体住民の方々が納得の上でなければ入港はいたしませんと言ってきたことをまさか変更するというようなことではないでしょうね。非常に重要な点ですから、その点ははっきりしておいてください。
  34. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いままでいろいろなことを申し上げてまいりましたが、従来のやり方を急に変更する、いまここで変更するということは申し上げていないつもりであります。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 あいまいな答弁じゃだめじゃないですか。急だとか何とかとは何ですか。
  36. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 さっき言われましたことは、納得ずくのことでやっていけ、すべて運んでいけ、こういうことでございますから、それはそのとおりです。ただし、特に原子力の問題については安全性の確認については納得を得なければならぬ。これは一人や二人ということを申し上げたことは、これは言葉の行き過ぎかもしれませんが、あるいはほかの意味に取られたのかもしれませんが、しかし、それならば一人、二人ということは別に申し上げませんが、安全性の確認については特に納得ということが必要である、こういうことを申し上げておるつもりでございます。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 私は、冒頭伊方原発の問題についてお尋ねをいたしました。その際あなたは、おおむね政府考えておったとおりの判決が出たけれども、これは安全性という問題はきわめて重要であるから、今後安全性の問題について十分追及をしていくということをお答えになった。冒頭の私の質問に対するお答えであるというように理解をいたして質問を終わることにいたしますが、それはそういうことですね。
  38. 山野正登

    山野政府委員 先生の先ほど御確認されましたこと、大事な点がありますので申し上げておきますが、修理と遮蔽改修計画を変える意思はないと局長が言ったことを確認するとおっしゃいましたが、私、先ほど申し上げましたのは、修理と総点検の項目についてこれを変更する意思はないということを申し上げたわけでございまして、地元のつけておられます条件というのは、そういう項目を変える、具体的には制御棒駆動試験を落とすということではなくて、そのやり方の内容について条件をつけたいと言っておられるという趣旨でございまして、五十一年に申し入れをしたその項目とやり方すべてを全く変える意思はないということを申し上げておるわけじゃないわけでございますから、その点誤解なきようにお願いしたいと思います。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは、修理、総点検をやるためには制御棒駆動試験をやらなければいけない、そのためにはキーが要るのだ、こう言った。ところが、久保知事が言ったように、キーを渡さないということは、預かりっ放しで、実験すらもさせないという意味ではないということでございます。今度副知事が上京してきて、その点は重要なことでございましたから、十分詰めましたとあなたはお答えになったわけです。だから、それが必要であるということははっきりあなたの答弁によって確認をされたことなんだ。だから要請をしているとおりのことがなされなければ、いわゆる修理、総点検にならないということは、これは明らかになったわけだ。だから、そのことを私は確認をしたのであって、それは何も改めて変更される必要はないし、また変更ということにはならない。ただ、残るところは、久保知事県議会で言っていること、あるいは記者会見等において言っていることと、あなた方と詰めたという内容との違いというのは残るわけなんで、その問題はきょうここで解決しようといったって、これは当事者同士で話し合いをしてもらわないと解決のできる問題ではない。だから、その問題は残るわけなんです。これで終わります。
  40. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 次に、安島友義君。
  41. 安島友義

    ○安島委員 私は、長期エネルギー需給の見通しと対策についてお伺いしたいと思います。  まず、通産省の諮問機関である総合エネルギー調査会の見通しによれば、五十年度の実績は石油換算で三・九億キロリットル、消費エネルギーの総量ですね。六十年度の推定として七億キロリットルが必要である。これは現在の石油の需給事情から見て、これだけの輸入石油を確保するというのは困難であるということで、五十年度の輸入石油が二・八六億キロリットル、六十年度が五・〇五億キロリットル、これは非常にむずかしいということで、省エネルギー対策を積極的に推進し、新エネルギーの開発が必要である、こういう提言をしているわけです。  質問の第一は、省エネルギー計画として二通り、つまり現在のような対策を続けていくという場合、これは一応五・五%を節約するということで、石油換算で四千万キロリットル、もう一つの、対策を促進する、もっと強化するというケースでいきますと、一〇・八%、八千万キロリットルを節約する、大まかに言いまして、こういう計画ですが、政府はこのどちらのケースを目標にして施策を講じているのか、まず第一にお伺いしたいと思います。
  42. 武田康

    ○武田政府委員 昨年の夏でございますけれども、昭和六十年度、六十五年度をめどといたします総合エネルギー需給の暫定見通しを、先ほど先生おっしゃいましたように、総合エネルギー調査会で出されております。これは閣僚会議にも報告されたことでございます。  そこでは二つのケースを考えておりまして、一つは対策現状維持ケースでございまして、従来の対策をそのまま続ければという仮定のもとのものでございます。もう一つは対策促進ケースでございまして、これは官民挙げて全力を尽くしてという前提のもとで達成すべき努力目標、こういうことでございます。  現在私どもは、その二つのうちの対策促進ケースの実現を図るために官民挙げて全力を尽くしていくというようなことで必要な施策を講じ、または講じようとしているところでございます。
  43. 安島友義

    ○安島委員 この場合は、当然新エネルギーの開発ということをそれまでの間に積極的に進めるということが重要な施策として挙げられると思いますが、特に日本の場合は産業構造上に大きな問題があると思われますが、この問題との関連、対策促進ケースには含まれておるのですか。
  44. 武田康

    ○武田政府委員 二点あろうかと思います。  一つは、省エネルギーの関係でいろいろ合理化をする、原単位を下げるというようなことでございますが、省エネルギーで、結果的に考えてみますと、現在のままの産業構造でいった場合にはこんなぐあいになる、将来産業構造が変わればこういうふうに総合原単位が変わってくる、下がったり上がったりいたしますが、いまのお話が、そういった意味で産業構造の変化を考えているのかどうかということでございますと、昭和六十年度の産業構造というのはある仮定をいたしております。現状とすべてのものの比率が同じではございません。したがいまして、ある程度の産業構造の変化によるエネルギーの需要の増減といいますか、総合原単位の変化というものは需要想定の段階で含まれております。
  45. 安島友義

    ○安島委員 通産省の具体的な計画がそういうようではちょっと困ると思うのですね。たとえば日本の場合、時間がないから私は簡潔に聞いているのですが、諸外国と比べても産業用のエネルギー消費量が民生と比べるとかなり比重が高いということは周知の事実である。したがって急激な構造転換は無理としても、積極的にこの面からの対策を強化しなければ、エネルギー調査会というのは、これは大まかな見通しを立てておるわけであって、これが全く狂いがないということは、いろいろな変動でそうはいかない場合もあるでしょうが、通産省の場合は、具体的に現在のエネルギー全体の消費量が、これからの国の基本政策として経済成長率を一定の目標のもとに進めていく場合には必然的にこれだけのものが必要だ、そのためにはどういう対策を講じるのかという具体的な計画というものがなければならない。その中には、当然現在の産業構造というものも徐々に転換していくという考えが含まれているというのは常識的な見方と考えて、簡潔で結構ですから、その点だけをお伺いします。
  46. 武田康

    ○武田政府委員 ある特定の産業をつぶすとかそういうようなことは考えておりませんけれども、高度成長から低成長といいますか、安定成長に移ると自然に変わってまいります。そういったような意味で、産業構造の変化は前提に織り込んでございます。
  47. 安島友義

    ○安島委員 次に、原子力発電は着工してから完成までにこれまでの経過を見ますと大体七年間ぐらいかかっていますね。そこで現在計画中のものを含めて、具体的に六十年度までに運転できるというのは二千三百万キロワットですね。そこで、このエネルギー調査会の見通しの中に現状維持ケースの場合で原子力発電は二千六百万キロワット、それから対策促進ケースの場合で三千三百万キロワットというように見ているわけですけれども、答弁の方が対策促進ケースでお答えになりましたが、二千六百万キロワットの場合でも、あと三百万キロワットをここ一年から二年ぐらいの間に具体的に軌道に乗せなければならないということになるわけですが、これはある程度可能性があると思いますが、対策促進ケースの場合ですと、これは相当、一千万キロワットをいま計画中のものにさらに増設するということになるのですが、具体的にどのような計画を持っておられるのですか。
  48. 武田康

    ○武田政府委員 六十年度対策促進ケース三千三百万キロワットの達成のためには、現在までに電源開発調整審議会の議をすでに経ておりますもの、運転中のもの、工事中のものを含めまして、先生御指摘のとおり二千三百六十万キロワットでございますので、残り九百四十万キロワット相当分の開発をこれからしなければいけないわけでございます。そして、御指摘のように建設期間がございますので、遅くとも今明年中には電源開発調整審議会の議を経なければいけないというのが現在のポジションでございます。  それで、私どもといたしましては、今後とも地域住民の御理解と御協力を得ながらその九百万キロワット相当分の開発というものをぜひとも達成していきたいということでいま努力しているところでございまして、一方、電気事業者の方では個別プランといいますか、ブレークダウンしたプランをつくっておりますが、これでも、この一両年の間にそれに相当するようなものを電源開発調整審議会の議にかけて六十年度三千三百万キロワットを達成したいというようなもくろみで進めておるところでございます。
  49. 安島友義

    ○安島委員 当面はこの計画中のもの以外には具体的に計画はないというふうに考えていいのですか、あったらその点を示していただきたい。
  50. 武田康

    ○武田政府委員 現在までに電源開発調整審議会を通りました二千三百六十万キロワット以外に、幾つかの地点につきましていろいろ電気事業者が計画を立てているところでございます。
  51. 安島友義

    ○安島委員 一方、電力の需給計画を見ますと、六十年度の電源構成は一億七千六百万キロワットというふうに推定しておりますが、これを一〇〇としますと、原子力は二千六百万キロワットで一四・八%、促進ケースですと三千三百万キロワットですから一八・八%の比重を占めることになります。  一方、電力需要の長期見通しによりますと、六十年度の最大需要電力、これはピーク時で一億四千八百万キロワットで、この電源構成の一億七千六百万キロワットに対しては大体八〇%ということになりますね。それから年間の負荷率というものは五七・七%と見込んでいます。私、専門外ですけれども、これで見ますと、電力の特殊事情というものもあろうかと思いますが、かなり余裕率を見ているように考えます。  私がこの件について質問しますのは、どうも原子力が三千三百万キロワット、このベースに乗せるというのは、大変いろいろな問題があるのではないか、現在まで、この委員会でもいろいろな問題点の指摘がありまして、そういう点を考えますとかなりむずかしいと見ているわけなので、そういう場合の、現実のエネルギー全体にどういうふうに需給関係が狂ってくるのかということから、電力だけではございませんが、電力だけの面から考えますと、いまの建設計画と実際の送電量というものを見ますと、計画に若干の狂いが生じても、石油等の輸入の見込みが大幅に狂いがない限りは電力需給関係は、地域的な問題は多少出ても、全体として心配がない、こういうふうに考えてよろしいのかどうか、お伺いしたいのです。
  52. 武田康

    ○武田政府委員 六十年度のピーク時を約一億四千万キロワット、御指摘のとおりでございます。そして、現在こうしなければいけないという電源開発計画で、電源全体が一億七千六百万キロワット、したがいまして、その差だけを見ますと約二〇%というふうに一見非常に余裕があるわけでございます。ただ現実問題といたしまして、その供給能力と現実の需要の間には、電力の需要というのはいつも瞬間的にも揺れ動くものでございますし、それから水力でも火力でも原子力でも、たとえば事故、故障でとまるというようなことも考えなければいけませんので、そういったことをあわせましてピーク需要に比べまして一割程度、一割近くの予備力を持っておりませんと安定的に電気を供給するわけにまいりません。したがいまして、先ほどの二割のその一割はそういういつでも予備を持っていなければいけないという分で使わなければいけないわけでございます。その予備を考えますと六十年度に必要な供給力というのは一億五千四百万キロワットといった程度になるわけでございます。したがいまして、先ほどの設備との差が一割ちょっと、こういうかっこうでございます。  実は現在一番需要が多いのは夏でございますが、来年の夏ということを考えますと、この一年間に一年分の需要増加に相当する設備を建設しなければいけません。したがいまして、私ども需給バランス表で設備のこれだけというのを書きますときには、年度末の設備というのをいつもとっております。翌年三月末でございます。それで八月と三月の差、半年分の差が設備としては余分に要るかっこうでございます。それから一方、発電所の設備がございますが、発電所自身でも電気を使う部分がございます。そういったものを発電所所内の電力消費と言っております。さらに、火力、原子力共通でございますが、一年動かしますと補修をする。その期間が、正常にいった場合でございますが、一カ月であったり三カ月であったりというようなことでございますが、やはり夏にもある程度の補修をしなければいけない、たくさん発電所がございますので。そういう現象が起こってまいります。そういったいまの所内で使うもの、補修の部分、それから半年間の数字を勘定する期間のずれ、その間にも新しいものができてくることが必要である、こういったようなものを合わせますと、やはり一割程度ぐらいの計算上の余裕がないと現実のつじつまが合わないというかっこうでございます。したがいまして、一見二割の余裕というのは非常に大きなふうに感じますけれども、現実のプランとしましてそれが毎月毎月需給バランスをとり、毎月毎月新しい設備をつくっていかなければいかぬという点から考えますと、計算上あるいは数字上そういう差が出ても、ぎりぎりの線というふうに考えられるわけでございます。したがいまして、その一億七千六百万キロワットの内数になっています原子力の三千三百万キロワットにつきましても、これは是が非でも達成しなければいけないということで、もしそれがずれ込むあるいは落ちるということになりますと、何かのかっこうで補完しなければいけないというような性質のものであろうかと思います。
  53. 安島友義

    ○安島委員 非常に設備稼働率、利用率がこれまで悪いわけですけれども、五十三年度はどういう見込みですか。それから、現在定検中のところはどことどこで、定検中のものを除いて運転をまだ休止中のところはどこですか。それから、いつごろ運転再開の見通しがあるんですか。
  54. 武田康

    ○武田政府委員 昭和五十二年度の稼働率は御指摘のように非常に低くて、時間稼働率で四六%台、設備稼働率で四一%台でございます。私どもは長期的に六〇%以上の稼働率というような目標で考えておりますが、さしずめ昭和五十三年度につきましては設備稼働率で五五%を超し、時間稼働率で六五%を超すというような予想をいましているところでございます。  それから、現在営業運転に入っております発電所は十五基でございますが、そのうちきょう現在動いておりますのが八台、とまっておるのが七台でございます。その七台のうち六台は定期検査中でございまして、一台は美浜一号機で、別の理由でなおとまっておるものでございます。  さて、定期検査が終わる見通しでございますが、これは何分進行中なので断定的なことは申し上げかねますけれども、現在予想している範囲で申し上げますと、定期検査でとまっているのは、順不同でございますが、中部電力の浜岡発電所、これは秋くらいになってしまうかと思われます。先月でございますが私ども一般にも発表し、国会にもどこかで御報告したかと思いますけれども、トラブルの手直しをしなければいけないことになりまして、かなり長期にとまる予想でございます。それから関西電力美浜発電所の二号機と高浜発電所の二号機、いずれも定期検査中でございますが、これは六月いっぱいにはいずれも運転に入るというふうに目下の段階では予想しております。それから中国電力の島根発電所、それと九州電力の玄海発電所でございますが、これはこれから一カ月くらいの間にいずれも営業運転になるのじゃないかという予想でございます。もう少し早くなる可能性もございます。それからもう一つ四国電力の伊方発電所でございますが、これは三月の下旬だったと思いますが定期検査に入りました。まだ一カ月でございますので、ちょっといまから予想するのは早過ぎるかと思いますが、プランといたしましては三カ月とか三カ月半くらい、まあ三、四カ月の間に運転再開というようなプランで、現在その定期検査のスタートの段階が進行中でございます。
  55. 安島友義

    ○安島委員 今後の見通しとして、通産省が考えておられます稼働率七〇%の確保は大丈夫なんですか。
  56. 武田康

    ○武田政府委員 私ども原子力発電、軽水炉に着目してでございますが、スタートしたとき以来七〇%というのをいろいろな計算の前提に使い、あるいは目標として持ってきたわけでございますが、昨年の五十二年度の経験あるいは五十年度の経験等から、七〇%必ず確保できるということを申し上げるところまでは現在まだ自信を持っておりません。ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、六〇%台は必ず確保していきたいし、六五ということ、さらに希望的には七〇まで持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、内容的には具体的な措置をしなければそうならないわけでございますが、すでにいろいろな故障なり手直しすべき点が発見された部分につきましては、当該発電所はもちろん、ほかのものについてもそういう処置をしております。一方、改良標準化作業を進行しておりまして、これは新設のものに適用し、既設のものにも部分的には考えられるわけでございますが、そういったことによりまして改修工事等々あるいは定期検査等々がもう少し合理的、能率的になるようなことも考えているわけでございますし、そういったようなベースになる措置を積み上げまして先ほど申し上げましたように六〇台は確保したいし、六五、さらに希望としては七〇近くに持っていきたい、こういうことでございます。
  57. 安島友義

    ○安島委員 私は、三原則の中で特に自主開発ということが最もわが国にとっては重要な問題だと考えているわけです。きょうは時間の関係からこの自主という問題については後に回しますが、仮に原子力発電に今後依存しなければならないとしても、石油の二の舞のようになっては何にもならないわけで、核燃料の長期安定計画といいますか、長期的に確保するためにどのような対策を講じているのか。それからもう一つは、最近石油価格と同じように、天然ウランを初め核燃料の国際的な価格がかなり高騰しているように思われます。私がお伺いしました設備稼働率というのは、恐らく電力コストを計算する場合の目標と密接な関連がありますから、稼働率が落ち込むということはそれだけ電力コストが高くつく。さらに、最近は以前のように入手できない、これまでのような価格では入手できなくなっている点からいくと、経済性という点からもいろいろな問題がありますが、それよりもまず自主開発といいますか、自主的にこれらのものを長期的にどう確保していくかという体制がますます重要な問題になってきている、このように思いますので、この二点についてお伺いしたいと思います。
  58. 山野正登

    山野政府委員 原子力発電を定着させます上で、先生御指摘の核燃料の長期安定供給というのはまことに大事な問題でございまして、私どもも最重点項目としてこれを施策に反映しておるわけでございますが、まず天然ウランについての現状を申し上げますと、ウラン資源は国内にほとんどないわけでございますけれども、現在のところ長期契約によりまして、総量で十五万トン弱の天然ウラン、大体昭和六十年代の中ごろまでに必要な天然ウランというのは確保いたしております。しかし、この天然ウランというのは、探鉱を始めましてウランを入手いたしますまでに相当リードタイムの長いものでございますので、現在確保してありますものに加えまして、さらにその先の安定確保という趣旨から動力炉・核燃料開発事業団中心に、海外におきます探鉱活動を活発にいたしておりますし、また民間企業による探鉱につきましても、金属鉱業事業団による成功払い融資による助成といった施策を講じておるわけでございまして、できれば、将来はわが国の所要量の大体三分の一程度はこういう開発輸入という方法によって確保してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、いま一つ、濃縮役務の方でございますが、これも現在のところアメリカとの契約によりまして五千百万キロワット分の濃縮役務を、またフランスを中心に設立されておりますユーロディフとの契約で、一九八〇年から八九年までの十年間に約九百万キロワット分の濃縮役務、合計しまして昭和六十五年度の目標といたしております六千万キロワット相当程度のものは現在確保しておるわけでございます。  しかし、これにつきましても先生御指摘のように、将来は国内に自主的な濃縮工場をつくりまして、できるだけ自給率を高めたいと考えておりまして、現在岡山県の人形峠に動燃事業団が濃縮のパイロットプラントをつくりまして研究開発に努力しておるわけでございまして、昭和六十年代の早い時期に何とか実用工場に持っていきたいと考えております。  それから、核燃料の価格が高騰しておるという御指摘でございますが、これはそのとおりでございまして、オイルショックの前後を比較しますと、相当大幅な価格の高騰を招いておるわけでございまして、アメリカのウラン取引の仲介業者でありますニューエクスコという会社の発表によりますと、天然ウランの価格はオイルショック前の昭和四十七年度で酸化ウラン一ポンド当たり六ドル前後が、現在では同じく酸化ウラン一ポンド当たりで四十三ドル前後というふうに大幅な高騰を示しております。  それから、ウランの濃縮役務の価格というのも相当上がっておりまして、昭和四十七年には一キログラムSWU分離作業量当たり三十二ドルというものが、現在では八十ドル前後というふうに大幅に上がっておるわけでございます。  私ども、今後とも、先ほど申し上げました開発輸入の促進とかあるいは濃縮の国内における自給率の向上といった方向で鋭意努力したいと考えております。
  59. 安島友義

    ○安島委員 私が自主開発と言ったのはそういう狭い意味ではなくて、原子力開発が特定の国、燃料も含めて特定の国に依存しているような体制から早く脱却すべきだ、それは技術の研究開発も含めて当然のことながら、そういう意味で申し上げたわけです。  それから、核燃料の長期的な、六十年ないしは六十五年度くらいまではいまのベースでは確保できるということは、価格の方まで決めてあるのですか、それとも価格はこれから――それは量だけの契約なのですか、価格まで含めた契約なのですか。
  60. 山野正登

    山野政府委員 現在の契約は量がベースになっておりまして、価格の方はスライド制になっております。
  61. 安島友義

    ○安島委員 そうすると、この数年の間に五倍以上も高騰しているということは、世界の主要国がこれから原子力の依存度が高まれば高まるほど核燃料の価格は高騰するということになるわけですが、こういうことを想定した電力コストの試算は通産省では行われているのですか。
  62. 武田康

    ○武田政府委員 原子力発電のコストと石油のコストの比較というようなことで、標準的な場所、標準的な建設費、標準的な設置台数、規模という標準ケースにつきまして、比較のような計算はいたしております。そして、それによりますと、昭和五十一年度、一昨年度運転開始という発電所につきましては原子力の方が少し安いという勘定ができております。一方原子力の場合に、先ほどの原子力局長お話のように燃料代が上がってきておるわけでありますが、実は原子力発電に占めます燃料費のウエートというのは二割程度、火力発電が六割とか七割、八割というウエートの違いがございます。したがいまして、先ほどのような燃料の高騰はございますけれども、これからつくるものにつきましても、燃料というかウランの値段の上昇はございますが、先ほど五十一年度の試算で申し上げましたような、少し原子力の方が安いという勘定は変わっていないというふうに判断しているわけでございます。
  63. 安島友義

    ○安島委員 時間の関係もありますので、若干問題がありますが先に進ませていただきます。  次に、核融合研究所の設置についてお伺いしたいと思いますが、トカマク型臨界プラズマ装置、JT60と言っていますが、これはいつごろ完成の見込みかが第一です。第二は、研究所の建設はいつごろ着工する見込みなのか。  さらに、立地点について地元ではいろいろな憶測があるわけですけれども、水戸射爆場の跡地は現時点においても有力候補地として挙がっているのかどうか。  それから、この研究所設置にかかわる総予算の規模、並びに本体部分というのはその予算の中で大体どの程度の割合を占めているのかについてお伺いしたい。
  64. 山野正登

    山野政府委員 臨界プラズマ実験装置、JT60の計画でございますが、ことしの四月十七日に原研がメーカーと契約を締結をいたしまして、現存いよいよその本格的な建設に着手した段階でございますが、現在のところ昭和五十七年の完成を目標に考えております。  それから建設用地でございますが、これは当初は先生がおっしゃいましたように水戸の射爆場跡地を予定いたしておったわけでございますが、地元の御意見等を勘案しまして、現在では茨城県内に三つばかり誘致をしておられる場所がございますので、この候補地につきまして、ことしの二月に熊谷大臣から竹内茨城県知事にも協力をお願いしまして、ぜひこのJT60の建設用地は茨城県内に立地をしたいので協力をお願いしたいという協力の要請をいたしております。この三つの誘致地区のうちどれにするかということにつきましては、現在原研が茨城県当局等といろいろ御相談を進めておる段階でございます。五十三年度には用地の買収費が一部認められておりますので、この話し合いが済んで用地が決定し次第なるべく早く整地作業には着手したいというふうに考えております。  それから総工費でございますが、JT60計画で全体で一千数百億円程度というふうに見込んでおりまして、そのうち大体一千億円程度がJT60の本体ではないかと考えております。
  65. 安島友義

    ○安島委員 そうすると、本体の完成が五十七年ごろということになりますと、これとの関連において少なくとも本体を納める場所の着工というのはいつごろか。やはり何といいますか、これよりおくらせてはいけないという一つの目安があるはずですね。それはいつごろと見ているわけですか。
  66. 山野正登

    山野政府委員 これは現在誘致をしておられます場所のうちどれを選ぶかということによっても違ってくるわけでございます。と申しますのは、すでに整地をして工業団地に造成してあるところもありますし、まだ山林であるところもあるわけでございますが、そのいずれを選定するかによって違うわけでございます。私どもの予定としましては、先ほど申し上げましたように五十三年度中には整地に着手したいというふうに考えております。
  67. 安島友義

    ○安島委員 私が聞いているのはそういうことじゃなくて、本体の完成ということから逆算して、大体納めるのは――すぐ簡単にできるわけじゃないでしょう。ですから、その用地の場所をどこにするかとか用地買収をいつから始めるのかということをいまいろいろ地元話し合い中ですから、そのことについて聞いているのではなくて、そういうことを含めても、これより遅くなってはいけないということが逆算的に出てくるんじゃないですか。施設関係が建設に着工してから完成するまで、それを逆算すれば、これまでにはやはり何としても用地を決めて、そして本体装置を取りつける、いわゆる一式のいろいろな建物とか付属施設があるわけでしょう、それをいつごろに見ているのかと聞いているわけです。
  68. 山野正登

    山野政府委員 先ほどのJT60本体の工場製作後の納期を五十七年度と申し上げましたが、五十六年の五月の末、まあ五十七年度の初期を頭に置いておるわけでございまして、そういう意味で工場の取得と整地の開始というのは遅くとも本年度末までに開始する必要があるというふうに考えております。
  69. 安島友義

    ○安島委員 次に、これは商工委員会等ですでにいろいろ論議されている問題ですけれども、この委員会とのかかわりもありますのでお伺いしておくわけです。  サンシャイン計画について、まず第一に地熱発電については、現在運転中のものが五カ所で十一万八千キロワット、建設中のものが二カ所で十万キロワット、有望地点は全国二百カ所と言われているわけですが、この建設中の二カ所以外に現在建設を計画中のものはどことどこで、大体どの程度の出力のものが計画されているのか。それから、六十年度までの計画目標でいきますと、対策促進ケースの場合は百万キロワットというふうに見込まれているわけですが、これは可能性があるのかどうかについてお伺いしたいと思います。
  70. 武田康

    ○武田政府委員 地熱は貴重な資源でございますので私どもとしても積極的に開発を推進したいと思っているわけでございます。  それで、地熱発電所は電気事業用のものと自家用のものと現実にあるわけでございますが、まず電気事業用のものについてのみ先に申し上げますと、稼働中のものが五万キロワットでございまして、建設中のものと電源開発調整審議会に上程すべくいま準備中のものが十五万キロワット、それ以外に、昭和六十年度を目標に電気事業者としてプロパーで具体的に開発を進めたいとしているところが約三十万キロワット、計五十万キロワットでございます。地域的には九州とか東北とか北海道、そういう地域でございます。そしてそのほかに、約三十万キロワットでございますが、六十年度までの開発を目標にいろいろその調査調整をしているところがございます。  一方、電気事業用以外の自家発でございますが、自家用につきましてもいろいろ計画しているところが約二十万キロ近くございます。もっとも計画中のもの、調整中のものが一〇〇%必ず完成するという保証はないわけでございますが、それまで含めて合計百万キロワットでございまして、それらがすべて実現するように私どもとしては努力したいというふうに思っているところでございます。
  71. 安島友義

    ○安島委員 この地熱発電の建設計画に伴う問題として、まず環境問題等もありますけれども、技術的な問題として、噴出音が非常に高いのを低くするというふうな問題、それから、日本の場合はほとんどくみ上げた蒸気ないし熱水というのはもとのところに戻すということですから問題がないかと思いますが、外国の場合は、これを河川に放流していまして多量の塩分が含まれているのでその辺の問題があるというふうに聞いておりますし、それから地盤低下の例もあるようです。さらにまた既存の温泉にどういう影響が出てくるかというような問題この辺の問題について、日本の場合は技術的な問題も含めてどの程度解明されているのか。つまり私がお伺いしたいのは、日本の場合これから積極的に開発を進めなければならない地熱発電所建設計画を具体的に軌道に乗せるための現状における問題点は一体何なのかということをお伺いしたいわけです。
  72. 武田康

    ○武田政府委員 地熱発電所は、井戸を掘りましてそこから蒸気なり熱水なりが出てまいりまして、現在動いていますものではその蒸気を使う、将来は熱水を使うというのが出てくるかと思いますが、その熱水をまたもとに戻すということでございます。何分、井戸を掘り、戻すことにしておりますが、蒸気なり熱水なりには、温泉にも微量成分が入っていますのと似たような微量成分が、程度は違いますが入っております。また、やはり発電所でございますので、建物を建てる、パイプを引くというような意味では、環境への影響、先生数点御指摘になりましたが、そういったものを心配しなければいけない性質を持っているものでございます。それ以外に私どもとしましては環境に対する考え方として、一つは景観との調和、植生、それから微量といえども排気ガスが漏れるかもしれませんのでそういった問題、それから、熱水は戻すことにしておりますけれども、戻さないとどうなるのだろうという意味で戻し方の問題、それから先ほどおっしゃった騒音とか暴噴、こういった問題等いずれも考えなければいけない問題と考えているわけでございます。  騒音につきましては、蒸気がそのまま噴出いたしますと相当大きな音を出すのは事実でございます。しかし現在では蒸気の大気中への放出というのは、ちょうど蒸気のパイプの先でございますが、高性能の消音装置、サイレンサーと言っておりますけれども、それを通して行うというようなことをやっておりまして、それでまた通常の運転中に蒸気を放出するようなことをやっておりませんので、実際上の問題として、現実問題起こっていないと理解しております。  それから地盤沈下のお話がございましたけれども、現在わが国の地熱地域というのについて考えてみますと、熱水の地下還元というのをやっております関係もあるかと思いますけれども、地盤の沈下が現実的な現象としてはまだ認められておりません。今後ともその熱水を戻すというようなことは引き続き実施しなければいけないわけでございます。  そしてそのほか環境保全の重要性等々考えまして、実は地熱の生産井を掘る前から事業者から開発計画を求めまして、そしてそこで環境上の問題を起こさないかどうか、どんなような措置をするのが一番いいか、あるいは適切であるかというような検討を私どもとしてもして、適切な指導をしていきたいと考えているところでございます。  一方、技術問題もというお話がございましたのでちょっと触れさせていただきますと、地熱の熱水なりその中に入っておりますたとえば硫化水素等々の微量成分がございます。そういったものをとる研究であるとか、あるいはそれがどうなっていくのだろうかという調査であるとか、地下に水を戻しますが、戻した水がどうなっていくのだろうか、そういったようないろいろな調査を現在行っております。  一方、先ほど、事業者の計画を出させて、それが環境にいかなる影響を及ぼすかというようなことを申し上げましたが、そういったような意味で、開発計画地において調査井を掘って環境への影響を調べるというようなことを国の予算をかけてやっております。  そんなようなことが、現在やや技術面も含めました環境について地熱を推進するに当たって考えているところでございます。
  73. 安島友義

    ○安島委員 これはどの場合でも、地元住民理解を得るようにやらなければなりませんので、そういう問題は別問題として、やはり高度の技術開発も含めて積極的に地熱発電の開発を促進したと仮定した場合には、近い将来において何千万キロワットくらい可能と見ているのか。これはあくまでもいま言うような幾つかの前提を置いての話ですから、その点についてお伺いしたいと思うのです。
  74. 武田康

    ○武田政府委員 冒頭にお話がございました総合エネルギー調査会の見通しでございますが、それでは昭和六十年度百万キロワット、それから昭和六十五年度二百万キロワットという努力目標を設定してございます。地熱につきましてもやはり事前調査をし、井戸を掘り、それから上物をつくるというのに結構リードタイムがございまして、六十五年度を前提にする限りでは何千万という数字にするのはなかなか無理でございまして、対策促進ケースで考えております六十五年二百万キロワットというのが上限かと思います。ただ現在工業技術院を中心にサンシャイン計画のもとで、地熱の、現在は使っておりません熱水の利用というようなことを考え、それからもう少し深いところで掘って、そして高温の蒸気を入れるというようなシステムを考える、こういった研究が進んでおりまして、六十五年時点ぐらいの段階ではぼつぼつそういうものの成果も出てくるということを実は期待しているわけでございます。ただ断定的にこれだけは出るということは、ちょっと現状では無理でございます。ただ、それから先、仮に六十五年度で蒸気で二百万キロワット、それからその他のものも芽が出る、こういうことになりますと、それから十年、十五年先につきましては、資源の賦存量等々でかなりのものが期待できるということも考えられますが、もう少し調べが進行いたしませんと、断定的に申し上げるのは無理かと思います。  なお、六十五年二百万キロワットと申し上げましたが、六十五年三百万キロワットでございます。間違えましたので訂正さしていただきます。
  75. 安島友義

    ○安島委員 次に、ソーラーハウスについて質問したいと思うのですが、日本の将来のエネルギーの長期的な見通しと対策で最も重要な問題は、いまの地熱やあるいは太陽熱等の天然エネルギーの利用というか開発をいまから積極的に進めておかないと、石油がなくなるころあわてても間に合わなくなる。いろいろな問題点がありましょうけれども、もっと積極的にこれらの問題の開発を促進すべきじゃないかという観点からお伺いするわけです。  このソーラーハウスも試作あるいは実用の段階にいまようやく差しかかってきていると言われているわけですが、技術的な問題としてはどういう問題があるのか。それから一般的にやはり施設費が高過ぎるという問題に難点があるわけですけれども、これは研究開発の一元化やあるいは政府の政策がこれを積極的に推進させ、そして連動させるような形で大量生産システムに向かうならば、ある程度解決する問題だと思うのですけれども、これらの問題について現状はどうなっているのか、お伺いしたい。
  76. 吉田方明

    ○吉田説明員 技術的問題についてというお話がございましたので、最初に技術的問題についてお話しいたしたいと思います。  現在サンシャイン計画ではソーラーハウスの実験施設を建設いたしまして技術的な解明に努力しております。従来太陽熱利用の温水器等が一部普及されておりますが、その耐用年数の問題それから効率の問題等がございまして、現在のサンシャイン計画ではその大幅な耐用年数の更新及び熱効率の向上を図る意味におきまして研究開発を進めているわけでございます。  その場合サンシャイン計画では、特にコレクター、屋根の上に載せます集熱器の効率向上を一つの大きなテーマにしております。それから実際のソーラーハウスの実験施設といたしましては、新築個人用の住宅、既設個人用の住宅それから集合住宅、すなわちアパート、マンション等に適用できる大型建物、それから事務所、学校等に適用できる大型建物、こういった四種類のものについて技術開発を進めている状況でございます。
  77. 野口昌吾

    ○野口説明員 御説明申し上げます。  普及の問題、コスト面、これからどうやって需要をつくっていくかということにつきまして御説明をさしていただきたいと思います。  まず、普及面でございますけれども、先生御指摘のようにようやく緒についたばかりでございまして、個人住宅それから公共施設を入れまして現在では大体二百件程度の実物、商品化と言えるかどうかはわかりませんけれども、できております。これはいずれも政府の助成策なり地方公共団体の非常な熱意でできているのが多うございますけれども、一番ポイントは、先生御指摘のようにやはりコスト、特にイニシアルコストが非常に高くて、量産ができないから高いという議論がございますけれども、そこが一応問題になっております。長期間使える、耐用年数が非常に長くなればなるほど、維持管理の費用は安くなるものですから、それは全体で見れば安くなるのでございますけれども、その辺の技術的究明もまだ不十分という状況ではございます。そういう実態ではございますけれども、私どもとしましても、今後のエネルギー源として、公害もございませんし、無尽蔵でございますので、積極的に推進をしたいわけでございます。  具体的にどういうことをしておるかと申し上げますと、まず一つは、投資税額控除、投資促進税制というのが今年度からできましたけれども、その一環といたしまして、ソーラーシステムを事業用に設置したものに対しまして、税額控除を他の施設と同じように設ける税制上の措置をことしからつくってございます。  それから二番目に、従来からあるシステムでございますけれども、メーカーがソーラーシステムの機器等を生産する場合につきましては日本開発銀行から融資をいたしまして支援をしております。個人住宅用についてもすでに昨年度から融資を実施いたしております。  それから三番目に、普及事業の一環といたしまして、今年度から業務用あるいは住宅建物につきましてはまだ予算当局と調整中でございますけれども、設置した場合につきまして、その設置の費用の半分を補助するという補助金システムも導入いたすことにしております。これは実証研究を兼ねておりまして、ある意味では普及措置ではございますが、そういう補助金制度も、そう大きな額ではございませんけれども、とりあえず普及措置として考えておる次第でございます。  将来の問題としまして、私ども需要をどう期待するかということが一番ポイントでございますけれども、個人住宅につきましてはコストが非常に高いために当面無理かなという気はございまして、さしあたりはむしろ老人ホームであるとか体育館、学校とかそういう公共施設でこの需要をつくってまいりたいと思いますので、私ども関係各省庁また関係団体等ともいろいろ連絡をとりながら、需要創出と同時に技術開発を十分いたしますが、図ってまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  78. 安島友義

    ○安島委員 日本の将来のエネルギー問題というのが非常に多くの問題を抱えているというのに、これまでこの種の問題について政策的にどう位置づけて推進するかという点がどうも弱いように思われるわけですね。それぞれの所轄の官庁や研究しているところは非常にたくさんあるのだけれども、これを具体的に連動させるような政府の基本的な枠組みといいますか、そういうものが少なくともこれまでは不十分だったように思われるわけです。  いまもお話がありましたが、今後は学校、病院、福祉施設等政府の予算が伴うような建物、あるいは現在もそういうようなところの施設に対してはモデルケース的に一定の奨励金とか補助金というものを――現在の段階は非常に高くつきますから、これはやりなさいというだけでは普及しないと思うので、そういうところからモデルケースをつくって積極的にそういう施策を講じることが周辺住民の関心を高め、そしてそのことがさらに実用化、普及化への前進につながるように思われるので、この点は特に要望しておきたい、こう思っております。  次に、時間がなくなりましたが、私が非常に強い関心を持っておりますのは石炭の利用ですね。このガス化、液化の技術開発はかなり時間がかかるように言われているわけですが、これが実用化の段階になりますと、いま世界の石炭の埋蔵量というのは相当長期にわたって確保できる状態でありますから、やはり問題は、この石炭の、もう少し利用しやすい形で現在の設備や何かにマッチするような利用方法という点で、これが非常に大きな課題なんですけれども、現時点における展望を含めて簡潔に御説明いただきたいと思います。
  79. 吉田方明

    ○吉田説明員 石炭のガス化、液化技術の開発の現状を申し上げたいと思います。  サンシャイン計画におきましては、石炭のガス化につきまして二手に分けて行っております。一つは、低カロリーガス化でございまして、これは石炭をガス化してそれでガスタービンを回す、ガス化発電のためのものでございます。現在、石炭処理量五トン・パー・デーのガス化炉を運転中でございます。それから次に高カロリーガス化でございますが、これは五十三年度、日量七千立方メートルのガス化プラントを詳細設計を進めている段階でございます。  それから石炭の液化でございますが、石炭の液化につきましては三方式を検討しております。一つは直接水添、水素を添加させまして直接液化させる技術でございます。それからもう一つは、溶剤によって石炭を溶かしてそれから液化させる、溶剤処理液化技術でございます。三番目が、アスファルトを利用しましたわが国独自のものでございまして、ソルボリシス法という液化法でございます。このうち直接液化法と溶剤処理技術につきましては、五十三年度からそれの装置化実験設備を設けるという段階に達しております。それから第三番目のソルボリシス法液化法につきましては、一トン・パー・デーのパイロットプラントが部分的に完成いたしまして、現在試験運転を始めつつあるところでございます。
  80. 安島友義

    ○安島委員 最後になりますが、私はきょう一通り長期的なエネルギーの需給関係見通しと、現在どういう対策を進めているかという問題を質問したわけですが、これは私は、どうもいまの政府の施策というのは、高度成長時代の機構のままでそれぞれ予算を組み、あるいは民間は民間でそれぞれの企業で多くの研究機関を持っている、今日の日本の現状からすれば、これらを具体的に技術者や技術を総合的に見直して、そして一貫した指導体制のもとに積極的に進めるべき時期が来ているように思われます。あるいは問題によっては商業ベースに乗る、乗らない、各企業がただ利潤本位のために、もうかりそうならばやってみようかというふうなことで市販されると粗悪品のようなものが出てくるとか、こういういろいろな問題があるわけですから、少なくともエネルギー政策としてはこの辺、それぞれ分かれて専門的に研究開発も進められている、そのことを私は否定するわけじゃないのです。政府の政策として、どうも横の関係を見直して、もっと効率のよいような形で進めようという点に弱点があるように思われるわけです。  それから、その中における科学技術庁の果たすべき役割りというふうなことを考えてみますと、もっとその辺のところにメスを入れてみる必要が今日あるのではないかと思われますので、最後に大臣の所見をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  81. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 特にエネルギーの問題について、それぞれの官庁において研究開発を進めるということは、これはやむを得ないが、その辺を総合調整することに一層科学技術庁としての考え方を強く推進していくべきではないかという御意見のように承りましたが、もちろんそのとおりでございまして、今後ともそういう総合調整を強力にいたしまして、特にエネルギー資源のいろいろな開発にさらに一段と力を入れていくように努力したいと考える次第でございます。
  82. 安島友義

    ○安島委員 以上で終わります。
  83. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十九分開議
  84. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力船むつ」に関する問題調査のため、本日、参考人として日本原子力船開発事業団専務理事倉本昌昭君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  86. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 質疑を続行いたします。古寺宏君。
  87. 古寺宏

    古寺委員 最初に長官お尋ねいたしますが、四者協定の期限がもう切れてすでに大分になるわけでございますが、政府としてこの協定をどのように考えていらっしゃるのか、また青森県の竹内知事からも再三、四者協定を履行するように申し入れがあったと思いますが、その点について長官のお考えを承りたいと思います。
  88. 山野正登

    山野政府委員 この四者協定につきましては、私ども政府といたしまして、誠意を持ってこれを守るべきものであるというふうに考えておるわけでございまして、まことに遺憾ながら昨年四月十四日の期限に至るまで私どもこの四者協定を履行できなかったわけでございますが、今後とも地元の意向を尊重しながら、本件が円満に解決するように努力してまいりたいと考えております。  私どもむつ」問題についていろいろ活動しております状況につきましては、四者協定地元当事者の方々には逐一御報告をするように努めておるわけでございますし、また昨年の十一月には、この四者協定の当事者、当時の鈴木自民党総務会長も参加されましてお会いになりました結果、地元の方々は、まずこの定係港問題解決に先立ちまして、「むつ」の修理をすることが先決である。ついては、政府修理港問題の解決を一日も早く急ぐようにといったようなことで四者の意見が一致したというような経緯がございます。
  89. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ただいま四者協定の履行について政府はどういう考えを持っているかというお尋ねでございますが、申すまでもなく、昨年の四日十四日をもちまして期限が切れたわけでございますので、もう一言で申し上げれば、まことに申しわけないと考えておるわけでありまして、言うまでもなく四者協定につきましては忠実に履行しなければならぬと考えておるわけでございます。ただしかし、現状がごらんのような状態でもございますので、先般青森県の知事とたまたまお目にかかる機会がありましたときには、おわびを申し上げておきましたが、これはおわびで十分いいわけではありませんので、一日も早く修理港の決定を急ぎまして、この趣旨を一刻も早く履行したい、このように考えておるわけでございます。
  90. 古寺宏

    古寺委員 四者協定を誠意を持って履行するように努力をしている、また地元の意向については十分に尊重して、問題の解決に当たりたい、こういうふうに私は理解をしたのでございますが、もしそうであるならば、この新しい定係港については、修理港の選定と同時に並行して進めなければならない問題であると私は考えるわけでございますが、ただいまの答弁によりますと、修理港が解決をしてから新定係港は定めるのだというような、これが青森県側お話であるような答弁があったわけでございますが、昭和五十一年六月の科学技術庁と運輸省から出されております「「修理港における原子力船むつ」の安全性等の説明に対する質問事項」に対する回答」この中の百八十ページに「母港設定は、如何にするのか。」こういうふうにここに書いてあるわけでございますが、「政府修理港が定まると引続き母港の選定を進めることとしている。」こういうふうに書かれてあるわけでございまして、青森県側がそう言っているのではなくして、科学技術庁が、あるいは運輸省がそういうふうに考えているのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  91. 山野正登

    山野政府委員 新定係港選定の過去の経緯を振り返ってみますと、四十九年の放射線漏れの後、この四者協定に従いまして、政府としましては直ちに新しい定係港の選定作業に入ったわけでございますが、五十年の四月に九州のある場所を一つの候補地として内定いたしたのでございますが、その際、地元知事から、その内定を白紙に還元してほしいといったような申し入れがございまして、この内定が崩れた経緯がございます。その後同年の十二月に、原子力船関係閣僚懇談会を開催いたしまして、その後の進め方につきましていろいろ協議をいただきましたあげく、新しい定係港を決めるにつきましては「むつ」の安全性の確認をまずして、必要な修理等を施した後に行うのが適当であろうということで、まず修理港を選定して、引き続き定係港を選定するというふうに政府の方で作業手順というものを変えたわけでございます。その点は先生が御指摘のとおりでございますが、この件につきまして先ほど私が申し上げましたのは、昨年の十一月に、四者協定の当事者でございました鈴木農林大臣と地元三者とがお会いになりまして、この四者協定問題をお話し合いになりましたときに、政府のこういった、まず修理港を決めて、引き続き定係港を決めるといった手順について理解が示されたという趣旨のことを申し上げたわけでございます。
  92. 古寺宏

    古寺委員 定係港が候補地がたくさんございまして簡単に決まるならば、これはもうそういうような修理港が決まって修理が終わった段階でもそういう候補地を選定してよろしいかもしれませんが、いままでの経緯を見ましても、引受手がないわけでしょう。候補地がないわけでしょう。しかもせっかく九州のどこか候補地があったのですが、白紙還元されているわけです。仮に修理港が可及的速やかに決定されたとしましても、その後の定係港の問題については、もういまから準備をしておかなければならぬわけです。そういうことをやってこそ、私は四者協定を尊重して、誠実に誠意を持って当たっている、こういうふうに理解できるわけなんですが、そういうことが現実には行われていないということは、科学技術庁あるいは政府のお考えというものは、四者協定に対して非常に安易に考えているのじゃないか、私はこういうふうに受け取れるのですが、長官どうですか。
  93. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 四者協定を実行することができていない今日におきましては、余り胸を張って十分なことは言えない立場でございますが、表面的にはとにかくとしまして、内々ではいろいろな選考をいたしておるような実情でございます。ただ何にしましても、これをいろいろ折衝を進めますのにつきましては、まず修理港が決定しませんと表面的な動きとしまして次の母港の話に移るということが困難なわけでございますので、いろいろあれこれ考えてはおりますが、そういうことが実際行われていないという意味でありまして、決して母港の問題を軽々しく考えているつもりではございませんので、その点はさようにお答えを申し上げたいと考えるわけでございます。
  94. 古寺宏

    古寺委員 軽々に考えていないとおっしゃいますが、現実のいままでの経過を見ますというと、四者協定というものを顧みていない、こういうふうに判断せざるを得ないわけですね。  そこでまずお尋ねしたいのですが、「むつ」の原子炉の設置許可、これは原子炉等規制法の第二十三条によって許可がなされておりますが、その許可というのは安全審査を行って許可をしたわけでございますから、当然これは母港のいわゆる安全性という、一つ条件になるわけでございましょう、どうですか。
  95. 牧村信之

    ○牧村政府委員 御指摘のとおり、「むつ」につきましては附帯陸上施設を合わせて規制法の許可基準に適合しておるということで許可されたものでございますので、原子炉及びその附属施設が十分安全であるかどうかということを安全審査会におきまして十分審査をした上で許可されたものでございます。
  96. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、その母港設備がない場合にはこれはどういうふうになりますか、母港設備がなくなった場合には。
  97. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいま申し上げましたように、一般的に考えますと、「むつ」あるいは「むつ」と同じような設計の原子力船を建造するような場合には、附帯陸上施設がなくて申請が行われたと仮定いたしますと、これは許可基準に該当いたしませんので不許可になるわけでございますが、「むつ」の放射線漏れという、事前に予想し得なかった不可抗力的な事由によりまして現在原子力船むつ」は冷態停止状態に置いてあるわけでございます。したがいまして、そのような状態のもとにおきましては、このむつにございます附帯陸上施設の一部の機能が一時的にこれは設置許可上は変更いたしまして昭和五十四年度までの変更許可になっておりますが、このような機能が停止いたしましても問題ないと考えている次第でございます。このような考え方から所要の変更許可を行っておるということでございます。
  98. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、所要の変更許可と申しますのは、四十九年の十月に行われていますね、一遍。その後はいつでございますか。
  99. 牧村信之

    ○牧村政府委員 五十二年の四月に再度変更許可を行っております。
  100. 古寺宏

    古寺委員 その許可証はいまそこにございますか。
  101. 牧村信之

    ○牧村政府委員 許可証はただいま手元に持っておりません。
  102. 古寺宏

    古寺委員 それじゃその内容を簡単に説明してください。
  103. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいまも御指摘ございましたように、昭和四十九年十月三十一日に最初の変更許可を与えたわけでございますが、五十二年四月の変更許可の概要を申し上げますと、原子炉安全性点検及び遮蔽改修工事を終わる昭和五十四年度までの間は燃料交換は行わないので、燃料交換設備はむつ事業所に設置せず、早急に新たな附帯陸上施設の設置場所を確定して設置するものとする、というような事柄の変更によりまして変更許可を行ったということでございます。
  104. 古寺宏

    古寺委員 ちょっとそれをお見せくださいませんか。――そこで、これは昭和四十九年の十月の変更の際に同じような内容になっていますよね。「原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の記載事項の一部を次のとおり変更する。」その一番最後のところを見ますというと、「附帯陸上施設の変更に係る工事計画」というのがございまして、「使用済燃料貯蔵設備の廃止・埋立 燃料交換キヤスクの廃止・搬出 クレーンの廃止」こういうのがございまして、そしてさらにこの五十二年の変更と同じように、早急に「新たな附帯陸上施設の設置場所を確定し、設置する。」こういうふうになっているわけですね。ですから、非常に回りくどいお話になりましたが、新しい定係港を可及的速やかに決定をして、その新しい定係港に対して附帯設備を建設するんだ、こういうふうに変更をしているわけでございますね。したがって、法律的な手続の上からいくならば、現在の原子力船むつ」がいるところのむつ港はこれは定係港ではなくして、もう定係港としてのいわゆる資格を失った、ただ単なる港である、こういうふうに理解してよろしいわけでございますか。
  105. 牧村信之

    ○牧村政府委員 必ずしもそうではございませんで、先ほども申し上げましたように、陸上附帯施設の一部の機能を一時的に停止しておるという段階でございます。したがいまして、私どもの方といたしましては、そのような陸上附帯施設の機能がいま完全ではないわけでございますので、原子炉は冷態状態に置くということを条件にいたしておるわけでございます。
  106. 古寺宏

    古寺委員 原子炉を冷態状態に置くことは、それはともかくとして、一応いわゆる母港としての審査をして、その設備によって許可をしたわけでございます。ところが、その設備がなくなった以上は、これは許可を取り消さなければいけないのじゃないですか。
  107. 牧村信之

    ○牧村政府委員 冷態状態におきまして現在の「むつ」の附帯施設は、先生御承知のように、燃料交換の施設、クレーンであるとか、あるいは使用済み燃料の貯蔵施設の機能を停止しておるわけでございますが、これは冷態状態にあるから燃料を交換する必要がないという状態にあるわけでございますので、それに関連する機能につきまして、一時的に一部のものにつきまして陸上附帯施設の機能を停止しておるということでございますので、私どもは、そのような条件におきまして変更の許可を行なったということでございまして、何ら問題はないと考えておる次第でございます。
  108. 古寺宏

    古寺委員 どうもそこがぴんとこないのですが、許可の条件を失った以上は、当然これは許可を取り消すべきじゃないか、私はこう思うのですが、どうなんですか。
  109. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、新しい「むつ」のような設計の原子力船をつくるときは、先生おっしゃるとおり、陸上附帯施設の機能が完全でないものに対して設置許可を与えられないことは当然でございますけれども、この「むつ」の放射線漏れという不可抗力的な事由によりまして、いま原子力船むつ」は、今後修理をする必要が出てきておるわけでございます。その間冷態停止状態に置く、原子炉の出力を全然上げないという状態であれば、このような陸上附帯施設を一時的に機能を停止されたものといたしましても、設置許可の変更を与え得るというふうに判断したものでございます。
  110. 古寺宏

    古寺委員 前の四十九年の場合には、これは撤去して全然なくなっていることになっているはずなんですね。さらに、また五十二年に変更しているわけでしょう。そうしますと、新しい母港、新しい定係港を早く決めるというのを修理港と一緒にあわしてやるということが先決問題ではないですか。この変更の理由からいきましても、修理港が決定してからではなしに、もう修理港の選定と同時に新しい定係港の交渉を進めなければならぬわけでしょう。それはどうなんですか。
  111. 山野正登

    山野政府委員 私の立場から御答弁申し上げますと、新しい定係港の選定作業というのを、修理港選定とあわせて並行的に行うという方法もあるいはあろうかと存じますが、私どもはむしろそうするよりも、修理港をまず選定しまして修理し得る状況に持っていっておいた後、全力を定係港の選定に向けるという直列的に行う方がより早く本件を解決できるであろうという判断をいたしまして、同時並行的ではなくて、修理港をまず選定し、引き続き定係港を選定するという方法を選びまして努力をしておるという状況でございます。
  112. 古寺宏

    古寺委員 それはどうも判断の仕方が誤っているのじゃないかと私は思うのですよ。やはり法的な順序からいきましても、変更はしておるものの、いろいろな手続の上からいくならば、当然新しい定係港を探しながら、求めながら修理港の方も並行していろいろな交渉を進めていく、そういうことが私は必要じゃないかと思うのですが、どうも直列的に修理港にだけ集中をして、新定係港の選定は後だという考え方が納得できないのですが、どうなんですか、長官
  113. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま、政府委員といたしまして安全局長原子力局長から実情をいろいろ申し上げたわけでございます。筋合いといたしましてはやはり同時にやるべきだという御発言でございまして、私どもとしましては、筋合いとしてはそういうことになろうかと考えますが、しかし、どこまでも実際に四者協定を履行した、母港撤去ということを実現しますためには、その手段として、そういう方法に、すなわちまず修理港を決めて、そして、引き続いて急いで新定係港の実現ということに進まざるを得ない、実情としましてそういうふうに考えているわけでございまして、筋合いとしてまず修理港をやって、その後で新定係港を選べばいいのだというふうには考えてはおりません。重ねて申し上げますが、いろいろな状況から判断しまして、手段としてそうせざるを得ないのではないか、このように考えているわけでございます。
  114. 古寺宏

    古寺委員 それはなぜなんですか。どういう理由なんですか。具体的におっしゃってください。
  115. 山野正登

    山野政府委員 私どもが、同時並行的ではなくて、まず修理港を選んで定係港を選定するという手順の方がかえってよろしかろうという判断の根拠としましては、先ほども若干申し上げましたけれども、現在の「むつ」といのは、四十九年に放射線漏れを起こしたままの状態に維持されておるわけでございまして、いまのままの状態受け入れていただく定係港を探すということよりも、現在の姿を少しでも改善しまして、遮蔽の改修及び総点検をいたしまして、できるだけ一般の方々にも、また、将来受け入れていただく地域の方々にも、安全であるということにつきまして御理解をいただける状態に近づけておいて定係港の選定をする。これは定係港におきましては、先生御承知のように出力上昇試験等を行うわけでございますので、そういう趣旨からも、まず修理をして、それから定係港を探すという方が、回り道のように見えても結局は早いのではないかというのが政府の判断でございまして、そういう理由で同時並行的ではなくて、修理港をまず決めて、引き続き定係港を決める手順を選んだということでございます。
  116. 古寺宏

    古寺委員 それでは、修理港を佐世保市と長崎県の方にお願いをして、いままで折衝をしてきているわけでございますが、佐世保市では核燃料体つきと申しますか、市議会ではそれを受け入れているようでございますし、長崎県としては、県議会としては核燃料体抜き、核抜きと申しますか、こういうことで議会の方は態度を決めております。ところが最近になりまして、長崎県知事は、核封印という、今度は新しい方法をおっしゃっているわけでございますが、一体科学技術庁政府としてはどういう方向で修理港において修理をするおつもりなんでございますか。核抜きなのか、核つきなのか、核封印なのか、どういう状態原子力船むつ」を修理なさろうとしているのか、この点について、どういう交渉をなさっているのか、承りたいと思います。
  117. 山野正登

    山野政府委員 私どもといたしましては、従来からお願いしております修理、総点検内容方法で十分に安全に遮蔽改修、総点検はできるというふうに考えておりますが、一方地元の市長、県知事におかれましても、何とか本件を円満に解決すべくいろいろ努力していただいておるわけでございまして、県知事が本件の解決の一つ方法としまして、いま御指摘の原子炉封印というふうなことを言っておられるわけでございます。  この中身といたしましては、従来私どもお願いいしております修理とか総点検の項目の中で、別にこれを落とす、あれを加えるといったふうなことではございませんで、修理項目はそのままでございますけれども、これを実行するに際しまして条件二つつけるという話でございまして、一つは遮蔽の改修工事をするに当たりまして圧力容器の上蓋を撤去しないで遮蔽の改修をするということ。それから二つ目には修理、総点検期間の間、原子炉運転モードスイッチかぎ制御棒駆動盤かぎとを県知事に預けまして、県知事がこれを管理、保管するということ、この二つ条件としてやってはどうであろうかというお話でございまして、私どもはこれで可能かどうか、ただいま事業団中心検討を進めておる、こういう状況でございます。  そこで先生御指摘のように、昨年の春に佐世保市議会県議会とは違う結論を出されまして、核燃料棒をつけるか、核燃料棒を抜くかといったふうな二者択一的な議論があったわけでございますが、冒頭申し上げましたように、私どもは燃料棒をつけたままでも十分安全にできるという立場をとっておるわけでございまして、こういう立場に対しまして、知事理解ある御提案に対して、せっかくの御提案を私どもも鋭意誠意を持って検討しておる、そういう状況でございます。
  118. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、現在、長崎知事さんがおっしゃっておるような核封印の方式でいきますと、遮蔽、総点検が可能かどうかまだ具体的な結論が出ていない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  119. 山野正登

    山野政府委員 そのとおりでございます。
  120. 古寺宏

    古寺委員 先ほど御答弁の中で、修理港をまず急がなければならない、それは原子力船むつ」は欠陥原子力船であるからして修理港の選定をまず急がなければならない、そして修理後において新定係港をこれから決めていくのだ、選定するのだ、そういうお話がありましたが、そういたしますと、現在青森県の大湊港にいる原子力船むつ」は欠陥原子力船でございますね。
  121. 山野正登

    山野政府委員 欠陥という言葉の意味があいまいだと存じますが、少なくとも四十九年に放射線漏れを起こした、つまり原子力船開発事業団開発を目標としておりました仕様に合わない船であったという状況のままであるということはお説のとおりでございます。
  122. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、一歩譲って、今度長崎なら長崎で遮蔽、総点検を行います。それで長崎から出て、どこかへ行ってまた洋上でテストをしますね。そのときに今度事故が起きた場合には、それでは「むつ」は一体どこへ行くことになるのですか。
  123. 山野正登

    山野政府委員 遮蔽改修点検を行いました後は、新しい定係港に参りまして、出力上昇試験を行うわけでございますが、その出力上昇試験のある段階で、洋上において出力上昇試験を行うといったふうなこともあろうかと思いますが、それがどこの海域でどういう状況で起こるか、また先生の御指摘のような再度のトラブルといったふうなものがどの程度のものが起こるかといったふうな、そのときの状況によって変わるわけでございまして、今回佐世保市に入港をお願いしておりますのは、今回の放射線漏れに対する遮蔽改修と総点検でございまして、将来再度何らかのトラブルがあるといったふうな際にもあわせての修理港という趣旨ではございません。したがって、将来もし再度そのようなことがあれば、そういったふうなことは私どももちろん望みませんけれども、その時点で考えるということでございます。
  124. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、長崎県の知事さんのおっしゃっているいわゆる核封印というものによりまして、現在、科学技術庁考えているいわゆる遮蔽改修点検がすべてできないとしても、そのうちの一部が可能であるとすれば、これは政府はのむのですか。
  125. 山野正登

    山野政府委員 私どもは現在修理港で行おうとしております遮蔽改修と総点検の項目というものは削除する意思はございませんで、現在予定しておりますものは、修理港において全項目を実施いたしたいというふうに考えております。
  126. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、全項目を修理することは認めるわけにいかない、核封印ならばよろしい、こうなった場合はどうでございますか。
  127. 山野正登

    山野政府委員 ただいま長崎県の言っておられます核封印原子炉封印という中身は、先ほど申し上げたとおりでございまして、これは私どもお願いしております項目の一部を削るという趣旨ではございませんで、やり方を、条件をつけて少し変えるということでございまして、先生のおっしゃるように、修理項目のあるものを欠落させるという趣旨ではないというふうに考えております。
  128. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、核封印という長崎県がおっしゃっているのと、修理が完全にできるということがもし可能であるならば、核封印長崎県の知事さんがおっしゃっているとおりにできる、それからまた遮蔽、総点検科学技術庁がおっしゃっているように全項目にわたってできるということになれば、具体的に私ども考えている以外の何かしらの方法によって修理が行われるということでございますか。
  129. 山野正登

    山野政府委員 先生の御質問の趣旨をよく理解しかねておりますが、現在検討しておりますものは、五十一年にお願いしました修理、総点検の項目につきまして、これを圧力容器上ぶたを撤去しないままで行い、かつ修理、総点検期間の間、運転モードスイッチかぎ制御棒駆動盤かぎとを県知事に預けるという二つ条件を付して、これらの修理点検、項目をすべて行う、こういう趣旨でございまして、特段、先生の御想像を超えるようなことを考えておるということではないと思います。
  130. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、圧力容器上ぶたを外さないままで修理を行うということは可能なわけでございますね。
  131. 山野正登

    山野政府委員 その点につきましては、現在事業団におきまして検討を進めておる最中であるということでございます。
  132. 古寺宏

    古寺委員 この修理項目の中に「上部遮蔽」「下部遮蔽」――これは五十年の十一月でございますが、ここに修理の概要をいろいろ書いてございますけれども上ぶたを外さないでやれるのは常識的に言ってこの中でどれとどれでございますか。昭和五十年十一月の「遮蔽改修案の概要」というのがございますね。
  133. 山野正登

    山野政府委員 従来考えておりました方法というのは、圧力容器上ぶたを取り外しまして、格納容器外で上蓋上部の遮蔽の改修をしようとしておったわけでございます。これはもっぱら作業性ということを考えましてそのように考えておったわけでございまして、これを今回のように圧力容器上ぶたを取らないで作業するとなりますと、この圧力容器上蓋と格納容器との非常に狭い中で作業をしなければならない、作業性が悪くなるという点があるわけでございます。
  134. 古寺宏

    古寺委員 それは可能なのでございますか。
  135. 山野正登

    山野政府委員 その点を事業団でただいま検討中であると申し上げておるわけでございます。
  136. 古寺宏

    古寺委員 もしそれが不可能な場合には、修理港は新たに求めることになりますか。
  137. 山野正登

    山野政府委員 これが不可能な場合には、いま言われております原子炉封印ということの内容一つ受け入れることができないという状況になるわけでございますので、その点を長崎県知事に十分に御説明して、また御相談を申し上げるということになろうかと思います。
  138. 古寺宏

    古寺委員 その検討の結論は大体いつごろまでに出る予定でございますが。
  139. 山野正登

    山野政府委員 事業団にはできるだけ早急に検討を進めるようにお願いいたしておりますが、特段日限は切っておりません。
  140. 古寺宏

    古寺委員 無期限でございますか。
  141. 山野正登

    山野政府委員 私どもこの技術的な細部につきましては素人でございますので、原子力船事業団の方にできるだけ早く検討の結果を出していただきたいというお願いをしておるだけでございます。
  142. 古寺宏

    古寺委員 事業団の方にお伺いしますが、現在検討経過はどういうふうになっておりますか。
  143. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 お話が出ますまでの間、私どもの方では、先ほどお話も出ておりましたように圧力容器上ぶたは取り外しまして、外へ持ち出してそこで工事をするという手順で、この設計、工事施行の方法考えておりました。これを外さないということになりますと、格納容器の中の工事をいたします場所が非常に狭うございますので、ここで、その工事手順あるいはそこへ詰め物をいたします物の形等もあるいは変えなければならぬかもしれないということで、現在これにつきまして技術陣またメーカーサイドと日夜努力をいたしておるところでございますので、やがてこの結果が出てまいると思いますが、現在のところまだはっきりした結論は申し上げかねるという状況でございます。
  144. 古寺宏

    古寺委員 はっきりしたことが出てこないというのは、大変御苦労なさっていることはわかりますが、最初からそういうことが不可能であるならばあるように、やはり早いうちにきちんと結論を出して急がなければ、日本の原子力行政というものに対する国民の不信感はますます強まる一方ではないですか。しかも事業団には職員の方もいらっしゃって、欠陥原子力船の上に毎日乗り組んでいろいろやっていらっしゃるわけでしょう。それはすべて国民の血税じゃないですか。しかも四者協定という、政府・自民党が地方自治体やあるいは漁業協同組合、そういうところと協定をちゃんと結んでいながらその約束も守らない。それで誠心誠意やっているとは私は思えないのです。しかも、その間において何回か現地との折衝が行われまして、そのたびごとに、申しわけないとか御迷惑をおかけしておりますとか、近いうちに解決しますと言って延び延びになっているわけですね。そういう経過からするならば、この長崎県の知事さんがおっしゃっている核封印というのは、そういう考え方というものがどういう意図で出てきたのか、この辺の事情については、事業団はどういうふうにお考えですか。
  145. 倉本昌昭

    ○倉本参考人 知事さんその他の御本心等は御推察申し上げるしかございませんのですが、やはり日本の原子力船開発を何とかこの際物にする方向で好意を持って解決の方へいろいろ御努力いただいておる、かように存じ上げて御推察申し上げながら、常に感謝もいたしており、私ども事業団一同これにこたえるべく努力をいたしておるというところでございます。
  146. 古寺宏

    古寺委員 長官、いま私どもが新聞の報道承知していることは、長崎県の知事さんは、核封印修理佐世保でやることを引き受けようと思っているのでということで、漁業協同組合あるいは被爆者団体の方々を説得しているわけですね。もし仮に漁業協同組合あるいは被爆者団体の方々が核封印ならばよろしいというような結論を出した場合に、政府がのまなかったら一体これはだれが責任を持つのですか、どうなんですか。
  147. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 だれが責任を持つかというお尋ねでございますが、そういう一々の場合を含めましてこれがおくれておりますことは一にかかって政府の責任である、このように思います。  それからいま、いつまでにそういう結論が出るかということでございますが、これは技術的な検討の問題でございますから、大体何月何日までということは公式の場合にはっきり申し上げることができませんので率直に申し上げてはおりませんが、なるべく早い機会にできるだけ早くその結論が出るようにということを私どもも命じておるわけでございます。  大体そういうことでございまして、いまいろいろ日にちをかけておりますのは、やはり技術的な非常に細かい点にわたる問題でございますから、念には念を入れて検討しなければならぬということで心ならずも遅延しているという状態でございますので、そういうことを緻密に綿密にそれから早急に検討いたしまして、一刻も早く結論を出したい、またそれを含めましてどこの責任かと言われました場合には、当然政府の責任であるというふうに考えております。
  148. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、政府の責任であるということをお認めになっている以上は、長崎県の久保知事さんは、核封印という方法被爆者団体や漁業協同組合の方々と説得のための折衝をしてもよろしいという内々のお話し合いがあったわけでございますか。
  149. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 私がさきに申し上げましたのは非常に包括的なことでございまして、こういうことがおくれるとすれば全体的にそれは政府の責任であるということを申し上げたわけでありまして、いま内々の話で云々というようなことにつきましては、別にそういうなにはいたしておりません。
  150. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、核封印構想というのは長崎県の久保知事さんが勝手に考え出した構想でございますか。
  151. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 勝手と言われますと、それは大変言葉が、相手様のやられたことをそれこそ勝手に憶測するようなことになりまして、勝手ということは申し上げませんが、一応いろいろ向こうさんなりに御検討なさって、こういうことではどうだろうかということを思いつかれたのではないかというふうに考えます。
  152. 古寺宏

    古寺委員 そうすると、思いつきでございますか、久保知事さんの思いつきでございますか。
  153. 山野正登

    山野政府委員 思いつきと言うと大変軽く聞こえるわけでございますが、長崎県知事とされましても、本件の解決というのには日夜非常に心を砕いていただいておるわけでございまして、いろいろ御苦心の末に、こういったふうな方法ではどうであろうかということで御提示になったものだと考えておるわけでございまして、やはり知事の下のスタッフを活用されまして、いろいろ慎重な検討をされた結果の御提案であろうというふうに考えております。
  154. 古寺宏

    古寺委員 長崎県側が日夜心を砕いていらっしゃるのに、こちらの方の検討の方はいつになったら結論が出るかわからぬのだ、核封印で果たしてすべての項目の修理ができるかどうかという結論は当分まだ見込みがないのだ、こういうふうなお話をおっしゃっているでしょう。そういう取り組み方は私はいかぬと思う。昨年七月に参議院の選挙のさなかに福田総理が青森で記者会見しているじゃないですか。四者協定は守ります。「むつ」の定係港は撤去いたします。こういうふうに新聞記者にちゃんと発表しているじゃないですか。総理がそう言っているのに、長官は一体どうなんですか。はっきりしてください。
  155. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 当分見込みがないということには申し上げておらぬつもりでございますが、明らかに日にちが大体いつまでかかるかということは大事をとって申し上げておらぬわけでございますので、極力急いでおります。また急ぐように再三指示もいたしておるわけでございます。
  156. 古寺宏

    古寺委員 その場合に、また同じようなことを繰り返しますが、核封印であっては十分に――十分にというよりも、先ほどからお話のございますところのすべての修理項目が修理ができないという結論が出た場合には長崎県とまた新しく折衝を開始するというお話でございますが、今度はどういう条件でそれではお話し合いをするわけですか。
  157. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変先々のお尋ねでございまして、具体的ないろいろな現実の状況が出てまいりませんと、それに対してこうする、ああするということもちょっとお答えしかねるかと思うのでございますが、また、その時点になりませんと、こうだ、ああだということを申し上げるのは早計ではないかと考えるわけでございます。
  158. 古寺宏

    古寺委員 この問題の解決には、やはり政府佐世保市あるいは当面は長崎県との調整に全力を尽くさぬといかぬと思うのです。その場合に、この問題と一生懸命取り組んで御心配をいただいている久保知事さんの方から核封印という問題が出てこられまして、これが核封印では科学技術庁考えているような修理ができないというようなことになったら、これは大変なことになると思うのですがね。そういう問題の調整と申しますか打ち合わせとか、そういうことについてはわれわれ何も承っていないわけなんですが、そういう問題が起きた場合、これはどうやって収拾するおつもりですか。事業団の方の結論は、核封印ではうまくいかない、長崎県の方では、核封印でなければいかぬ。それで知事さんが日夜いろいろ御心配して、いろいろな団体を説得して回っていらっしゃる。そしてそういうような結論が出た。その場合に、これはもう、どうも修理は全項目できぬから核封印はのむわけにいかぬ、こうなった場合に、どうやって収拾するおつもりですか。ただ政府の責任というだけでは済まされぬでしょう。
  159. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変厳しいお言葉でございますので、どういう適当な御返事を申し上げていいかわかりませんが、ただ、政府の責任だけでは済まされぬぞというお言葉でございますが、そのお言葉どおりに受け取って、これ以上、そういう責任がどうしたこうしたということはひとつ申し上げることを避けさしていただきたいと考えるわけでございます。
  160. 古寺宏

    古寺委員 それはお答えにならないものを無理に聞くわけにまいりませんが、いずれはそういう事態が当然出てまいるわけでございますよ。そういう結果が必ず出てくる。その場合に、じゃどういうふうに対処するかということぐらいいまから手を打っておかなかったら、これは大変なことになるのじゃないでしょうか。  いずれにいたしましても、この原子力船むつ」の四者協定はもう期限切れになっておるし、先ほども申し上げましたように、総理もはっきりとこれは明言をしているわけです。ですから、国民をいつまでもだますようなそういう誠意のない原子力行政であってはこれは今後の日本の原子力開発に大きな障害になると思うから私は申し上げているわけでございますので、どうか、そういう点につきまして今後もっと真剣にこれらの問題とひとつ取り組んでいただきたいということを御要望申し上げます。  最後に御決意を承って、終わります。
  161. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 先ほどいろいろ、この修理ができてから定係港というふうな考え政府委員から申し上げましたが、私どもとしましては、やはり修理港が一応決まってこれから引き受けていただくんだということが決まりましたならば直ちに新定係港の選考にかかりたい、その方が、いまからかかっても、結局やはりその修理港という問題が決まらなければ、率直に言えば本気でお相手にはしてはいただけぬじゃないかということを、言葉は違いますが、さっき局長も申し上げたとおりでありまして、繰り返して申し上げますと、修理港ということが幸いに決まりましたら、その時点におきまして直ちに新しい母港の選定にかかろう、こういうつもりでおるわけでございます。  それから、いろいろ先ほどから非常な御心配の余り切々たる御意見を承りまして、身にしみて痛感しているところでございます。ただ、十分な御返事ができないことは、これまた怒られるかもしれませんが、まことに申しわけないと存じますが、お言葉趣旨は十分に私どもの肝に銘じまして拝聴しているところでございますので、ひとつその点も申し上げておきたい、かように思うわけでございます。
  162. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 次に、小宮武喜君。
  163. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの「むつ」問題に対する質問のやりとりを聞いておりまして、科学技術庁の姿勢について私は疑問を持つわけですけれども、しかしながら、これ以上私がまた質問をして、大臣がお困りになるのも気の毒ですから、私はきょうは「むつ」問題は質問いたしません。別の問題について質問します。  動力炉・核燃料開発事業団が一九六七年以来十年余の歳月と一千億を投じて開発した新型転換炉の「ふげん」が臨界に達しているわけですが、この「ふげん」の臨界に達した意義についてどう考えるのか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  164. 山野正登

    山野政府委員 新型転換炉につきましては昭和四十二年以来官民一体となって進めてまいりました国のプロジェクトでございますが、これは現在定着しております軽水型発電炉の技術を最大限に活用しながら、しかも核燃料の有効利用を図ろうという趣旨開発された炉でございまして、今回これの臨界を迎えたということは、わが国の自主技術による新しい炉の開発というものが大きな躍進を遂げたという意味において大変意義があると考えておるわけでございまして、私どもは今後、この臨界以後必要な検査、運転をいたしまして、その成果を生かして、その後に続きます実証炉の建設等に備えてまいりたい、そのように考えております。
  165. 小宮武喜

    ○小宮委員 原子力開発長期計画の中では、核燃料利用は現在の軽水炉から高速増殖炉への開発に最大の重点が置かれているわけですね。ところが、この「ふげん」は高速増殖炉が実用化されるまでのつなぎとして位置づけておるかどうか、その点いかがですか。
  166. 山野正登

    山野政府委員 わが国におきます発電用の炉型の将来構想としましては、御指摘のように、現在実用化されております軽水型発電炉が今世紀いっぱいの主流になるわけでございますが、これを定着させまして、これに続くものとしてはやはり高速増殖炉というものが本命であろうかと考えておるわけでございます。ただ、高速増殖炉と申しますのは、御承知のように、新しい技術を使って開発するものでございまして、ただいまのところ一九九〇年代の半ばには実用化する目標で努力いたしておりますが、これが期待どおりその時期に実用化できるかどうかといったふうな問題、さらには今回臨界に達しましたATR「ふげん」の運転の実績、成果といったふうなものをあわせて考えてATRの実用化というものを五十年代の半ばに決心しようとしておるわけでございまして、そういう意味合いにおきましては、軽水炉と高速増殖炉とをつなぐ補完的な炉型であるという表明もできようかと思います。
  167. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、新型転換炉の、いまいわゆる実験炉ですから、次は実証炉、次は実用炉に移るわけですけれども、それでは実証炉の建設はいつごろやるつもりですか。
  168. 山野正登

    山野政府委員 もし実証炉の建設に入るということになれば大体一九八〇年代の半ばぐらいには建設を終了するといったふうなタイミングになろうかと思います。
  169. 小宮武喜

    ○小宮委員 原子力委員会が、新型転換炉を高速増殖炉までのつなぎとして考えた理由は、新型転換炉が実用段階に達するまではかなりの時間がかかる、したがってそのころには高速増殖炉の実用化のめどが立つであろうということでつなぎとしての位置づけをされた、こういうふうに、われわれ理解しておるわけです。そういうことで、実証炉それから実用炉に移るということになった場合に、高速増殖炉の実用化の時期はいつごろになるのか。高速増殖炉の実験炉の「常陽」がすでに臨界に達しておるわけですが、そうすると、この「常陽」の実証炉はいつごろになるのか。さらに、実用化の段階はいつになるのか。
  170. 山野正登

    山野政府委員 高速増殖炉につきましては現在出力上昇試験をいたしておりまして、ことしの夏ぐらいまでには五万キロワットの熱出力に達する見込みでございます。この実験炉「常陽」の運転の実績を踏まえまして、これに続く原型炉の建設に入るわけでございますが、現在の予定では大体昭和五十九年から六十年ぐらいを目標にこの原型炉の建設というものを考えております。この原型炉で所要の開発をいたしました後に引き続き実証炉、実用炉と続くわけでございますが、先ほども申し上げましたように、実用段階に達するのは一九九〇年代の半ば、昭和七十年程度ではないかというふうに考えているわけでございます。
  171. 小宮武喜

    ○小宮委員 「ふげん」というのはわが国が独自で開発した初めての国産原子炉ですね。したがって当初は、「ふげん」の開発についても原子力委員会政府も余り熱意はなかった。ところが、せっかくこういうふうな国産原子炉開発されたので、それでは今度は実証炉、実用炉までやろうか。一方では、高速増殖炉の方がすでに実証炉の段階から実用化の方向に進んでおるという中で、この「ふげん」、いわゆる新型転換炉の位置づけを今後もつなぎとして考えていくのか、その点がどうも少しあいまいのような気がしますけれども、これはあくまでやはりつなぎとしての考え方でいるわけですか。
  172. 山野正登

    山野政府委員 ATRにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在実証炉にいつでも移り得ますように実証炉の概念設計等もして準備を進めておりますけれども、これを実証炉から実用段階に持っていくかどうかというのは、FBRの出現時期でございますとか、あるいはこの「ふげん」の運転実績というものを勘案して、五十五、六年ごろに決心しようということにしておるわけでございまして、そういう意味合いにおきましては軽水炉から高速増殖炉へ参ります場合のつなぎという位置づけとなろうかと考えております。
  173. 小宮武喜

    ○小宮委員 その辺がちょっと明確にわからぬわけですが、動燃事業団では、いまの「ふげん」が出力十六万五千キロ、続いて六十万キロの実証炉建設に取り組む意向を明らかにしておるようですが、政府はこの「ふげん」の運転実績を見た上で新型転換炉の信頼性と経済性を十分見きわめた上で、次の段階へ進もうということを考えておるようです。だから、新型転換炉が実証炉、実用炉に入った場合に、一方では高速増殖炉の方は実証炉、実用化になるという場合に、そういう中で位置づけがそれだけでいいのかどうか。特に私は、やはり新型転換炉の性能から見ても、いまの軽水炉よりうんとこれは核燃料の利用効率もいいわけですから、むしろそういったつなぎということではなくて、もっとやはり積極的に、初の国産技術ですからそれを育成するという考え方があってもいいのではないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  174. 山野正登

    山野政府委員 将来わが国の発電用の炉型の組み合わせとしまして、軽水炉と高速増殖炉という二つの炉型の組み合わせだけでよろしいのか、あるいはそれにさらに新型転換炉という第三の炉も含めまして三つの組み合わせというのがよろしいのか、どれが一番たとえば費用対効果というふうな観点から有利であろうかといったふうなことにつきまして、先ほど申し上げましたように、高速増殖炉の実用化の時期とかあるいは現在の「ふげん」の運転実績といったふうなものの成果を勘案して、その辺をアセスメントをいたしまして評価をしたいということでございます。お説のように、ATR自身が現在の軽水炉に比べまして核燃料経済の上で有利であるというのは、それはそのとおりでありますので、それも当然評価の中に加えまして最終結論を出したい、こういう趣旨でございます。
  175. 小宮武喜

    ○小宮委員 軽水炉は濃縮ウランだけを燃やすわけですから、したがってウランの効率が悪い。それに比べて「ふげん」は天然ウランも濃縮ウランもプルトニウムも燃やすことができるということですから、その意味では私はむしろ、いまの軽水炉の状況から見た場合に、新型転換炉の方をもっともっと育てていくべきではないかということを考えるわけですが、原子力委員会は今後のわが国原子力開発利用長期計画の見直し作業を来年の四月ごろまでに行うということを聞いておりますが、検討されておりますか。
  176. 山野正登

    山野政府委員 この問題につきましては、かねて原子力委員会の中に新型動力炉開発専門部会というのがありまして、それが一応の結論を出しておりまして、私が先ほど来御説明申し上げておりますのはその結論に即して御回答申し上げているわけでございます。一方、原子力開発利用長期計画の見直しというのもされておりまして、これは来年の四月ではございませんで、ことしの夏を目標にこの見直しを終了しようといたしております。その中で、先ほど申し上げた新型動力炉開発専門部会の結論というものも参考にされながら、いま見直しが行われておる、こういう状況でございます。
  177. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから、原子力委員会がこの新型転換炉の開発のテンポを落とすということを決めた背景には、やはり核燃料サイクルに有利な点は認めるとしながらも、実用化までには多大の資金と人材を要するということで、当面、この軽水炉定着化や再処理、ウランの濃縮計画の推進、放射性廃棄物対策、高速増殖炉や核融合の開発などに莫大な金が要るということで、新型転換炉の開発のテンポを落とそうとしたわけですが、こういうことになれば、やはり今後のわが国の核燃料政策の立場から言っても、原子力政策について、これらのいま私が申し上げましたようなものの整合性と資金の効率的配分ということも考えられなければならぬのじゃないか。これはこうだけれどもこれもやらなければいかぬ、これもやらなければいかぬ、そのために金がかかる、したがってこちらの転換炉の方は開発のテンポを落とすということであれば、今後のこれらの核燃料サイクル全体の整合性とどこに重点を置いていくのかというような資金の有効的な配分もやはり考えなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えます。その点はどういうふうに考えておりますか。
  178. 山野正登

    山野政府委員 新しい動力炉の開発のみならず核燃料サイクルについての各種段階における開発につきましても原子力関係には大変重要な開発課題がたくさんあるわけでございまして、それらにつきまして総合的に開発資金の適正な配分を図る必要があるということは先生の御指摘のとおりでございまして、現在原子力委員会において長期計画の見直しをしておられますが、その際にもその点は最も重要なポイントの一つとして検討されておるわけでございます。ただ、この資金問題というのがすべてを決定するわけではございませんで、やはり将来のわが国のエネルギーの需給という目的に向かいましてどういう炉型の組み合わせが一番よろしいかという点からももちろん判断するわけでございまして、そういう意味合いにおきましては、確保しなければならない資金はどうしても確保するという方針で、資金による制約によってプロジェクトの死活というものを決めてはならないというように考えております。
  179. 小宮武喜

    ○小宮委員 やはり問題は、現在の主役である軽水炉から抽出される使用済み燃料の中のプルトニウムをどう扱うかということが一番大きな問題になっているわけですね。これはさきの日米再処理交渉でも、現在討議されている国際核燃料サイクル計画でも日本はプルトニウムの核燃料使用を一貫して主張はしておりますけれども、これらの政策も、原子力をめぐる国際情勢の変化によっては流動的にならざるを得ないのではないかということも私は考えておるわけです。幸い「ふげん」は米国が再処理交渉で強く主張していたいわゆる混合抽出法でできたプルトニウムを混合燃料として使うことができるというふうに理解しておるわけですが、そのとおりですか。
  180. 山野正登

    山野政府委員 ATRは重水を減速材に使っておるわけでございますので、プルトニウム富化ウランも燃料に使えるということはお説のとおりでございまして、そういう意味で、将来混合抽出法というものが技術的に可能になりまして、あわせてこの混合抽出したものから直ちに混合酸化物燃料ができる、いわゆる共沈法の技術というものが実用化されました段階には、混合抽出した燃料を直ちにATRに活用するといったふうなことも可能になろうかと存じます。
  181. 小宮武喜

    ○小宮委員 やはりアメリカは現在も核拡散防止の立場からプルトニウム利用の凍結を主張しているわけです。プルトニウムを燃やす新型転換炉に対するアメリカの反応はどうでしょうか。新型転換炉にしてもあるいは人形峠の再処理の問題にしても、わが国で国産で開発するとすぐアメリカからいろいろクレームがついてくるということが従来もあったわけであります。そういうふうな点で、この新型転換炉に対するアメリカの反応はどうでしょうか。
  182. 山野正登

    山野政府委員 新型転換炉につきまして米国政府が何らかのコメントをしたとか見解を述べたといったふうなことはないと思いますが、私いま確認して承知いたしておりません。  先ほど先生がおっしゃいました、プルトニウムを利用するという点におきまして日米の立場に若干微妙な差があるのは御指摘のとおりでございまして、わが国原子力利用の基本的な考えとしましては、炉型としては軽水炉、高速増殖炉を基本とする。したがってこれを支えます核燃料サイクルとしましては、使用済み燃料を再処理をしてプルトニウムの利用を図るというのが基本ラインになっておるわけでございまして、そういう意味でわが国においてはプルトニウムの利用というのは原子力の平和利用にとりまして不可欠の要件でございます。一方米国はただいまのところ原子力以外の豊富なエネルギー資源といったふうなものを持っておるわけでありますので、そういう背景もありまして使用済み燃料の再処理とかあるいは高速増殖炉の開発といったふうなものを若干スローダウンをする、昨年カーター大統領が出されました新原子力政策によればこれらを期間を定めず延期するということを言われておるわけでございます。しかしこれは期間を定めず延期するというだけでございまして、高速増殖炉の開発を全くやめてしまうとか、あるいはプルトニウムの利用を全くギブアップするという趣旨ではございませんで、現に今年度の米国の予算にも高速増殖炉の開発予算というのは計上されておるわけでございまして、ただ単にタイミングをスローダウンをしようというだけにとどまっておるわけでございます。そういう意味でやはりウラン資源の有効利用を図るためには再処理プルの利用、また高速増殖炉の開発というものは原子力平和利用を行っておる国にとりまして早かれ遅かれ不可欠のものではないかと考えておるわけでございます。ただ、この平和利用の仕方につきまして、核の不拡散を強化するという立場から、先生御案内の核燃料サイクル評価計画でございますとか、あるいは近くは米国の核不拡散法等に見られますようにいろいろな工夫をしようといたしておる。わが国もこういった国際的な努力には国際社会の一員として積極的に参加しておるというふうな状況でございますが、そういう努力の中から必ずやわが国原子力平和利用の進み得る道というものが見出し得るものであろうというふうに考えておるわけでございます。
  183. 小宮武喜

    ○小宮委員 「ふげん」に対して電力業界の反応は予想外に冷たいという話も聞いておるわけですが、電力業界が冷たいという理由はどこにありますか。
  184. 山野正登

    山野政府委員 ATRの開発につきましては、もともと電力業界を初めとする産業界も建設費の半分を負担して建設したわけでございまして、電力業界がこのATR「ふげん」に冷たいというのは私解しかねるわけでございます。やはりこれは官民挙げて進めてまいったプロジェクトでございまして、先ほどのようなアセスメントの結果これは実用化すべきであるという結論が出ました場合には引き続き民間も最大限の協力をしてくれると考えております。現に本件を扱っております長期計画を見直します専門部会にも電力業界を初め各界の有識者というのが集まって、皆様の知恵を結集して結論を出しておるわけでございますので、この結論によって官民を挙げてその方向についての努力というのは引き続き行われ得るものであるというふうに考えております。
  185. 小宮武喜

    ○小宮委員 大体いま各電力会社が使っておる軽水炉、これは寿命は大体何年ぐらいですか。
  186. 山野正登

    山野政府委員 大体三十年ぐらい使えるのじゃないかと考えております。
  187. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから最近電力業界の中に、といっても電源開発あたりでカナダ炉の導入が計画されているように聞くわけですが、このカナダ炉は、「ふげん」と同じように重水炉ではありますけれども、天然ウランを燃料として、プルトニウムの再利用を目的としない、いわば核燃料使い捨ての原子炉であるということが言われているわけです。そうなりますと、この問題はまだまだ具体的にどうなるかわかりませんけれども、そうなれば、わが国原子力政策、いわゆる核燃料政策というのは、そういった使い捨てのウランもやはり再利用して、資源の少ないわが国としてはできるだけ一〇〇%使い捨てをなくするということで、高速増殖炉の問題とかあるいは新型転換炉の問題がいろいろ出てきておるわけですけれども、カナダ炉の導入ということになれば、わが国原子力政策、核燃料政策に何か若干矛盾するような感じもするわけですが、その点、いかがでしょうか。
  188. 山野正登

    山野政府委員 CANDUはすでにカナダを初め幾つかの国で実用されている炉でございまして、国内のある会社がこれの導入を検討しておるというのもまた事実でございますが、これを導入するにつきましては先生御指摘のようにわが国の核燃料サイクル体系というものに大変大きなインパクトがある、これは事実でございます。一方ウラン資源の有効活用とかあるいは再処理をしないという意味におきまして燃料サイクルのダウンストリームに対して、まあプラスの要因もあるということもまた否み得ない事実でございますが、そういったふうなことを含め、さらにまた将来受け入れることを前提に考えます場合には、わが国の安全基準に合うかどうか、耐震設計上どうなっておるかといったふうな検討も必要でございますが、そういうもろもろの観点から慎重に検討をして決定すべきことでございまして、安易に、先ほど申し上げた天然ウランが利用できるからとかあるいは再処理が省略し得るからという単純な理由だけで導入してはいけないというふうに考えております。この件につきましては、非常に重要な問題でもございますので、原子力委員会の中にこれを担当します新しい専門部会を設けまして、このCANDUを含め、また先ほど来御指摘のATRを含め、新しい炉についての開発あるいは導入についての基本姿勢について御検討をされるということになっております。
  189. 小宮武喜

    ○小宮委員 この新型転換炉と従来の軽水炉の場合に、発電コストはどうなりますか。
  190. 山野正登

    山野政府委員 これはまだATR「ふげん」の運転状況等見ていないわけでございますので、なかなか細かい話をできかねるわけでございますが、ごくごくマクロな大ざっぱな議論としまして、ATRにつきましては――ATRと申しますか新型転換炉は、軽水炉に比べまして建設費は二割程度高くなるだろう、しかしその程度のものは核燃料の有効利用ということによりまして燃料費の方で吸収し得て、発電コストとしては軽水炉とほぼコンパラブルなものになり得るであろうといったふうな予測が行われております。
  191. 小宮武喜

    ○小宮委員 現在の軽水炉は故障その他の問題で非常に稼働率が落ち込んでおる、そのために原子力発電に対する反対運動の一つの大きな柱になっておるというような現状から考えまして、これは通産省にお伺いしますが、確かに現在の原子力発電所の稼働率は、五十年が三二%、五十一年が五二・八%、五十二年が四月から九月までで三八・九%、こういうふうになっておるわけです。そこで通産省は目標稼働率七〇%に引き上げるためにいろいろ努力しておるようですが、まず、稼働率が低下しておる原因はどこにありますか。
  192. 武田康

    ○武田政府委員 先生御指摘のように、昨年度を通じまして設備利用率で四二%弱という低い記録を出したわけでございます。その一番大きな理由は、原子力発電所は一年動かしますととめまして、その機器、システム各部の点検をいたします。点検をして、手入れをすべき部分、すべて手直しをするわけでございます。これは配管の取りかえをしてみたり、あるいは傷を削ってみたり、またはほかの措置をするというような、いろんな多種多様のものでございますが、実は昨年におきましては、一部の原子力発電所につきまして多数手入れをすべき点が見つかりまして、その手入れは放射線下作業を伴うケースが多いものでございますので、結構時間がかかりまして、中には一年間ほとんどまるまるに近いぐらいとまってしまったというような発電所も出たわけでございます。したがいまして、中には七割ぐらいの稼働率を示した発電所もございますが、平均いたしますと、先ほど申し上げましたように五十二年度四二%弱でございますが、そういった数字になってしまったわけでございます。
  193. 小宮武喜

    ○小宮委員 定期点検は、これは毎年やるわけでしょう。それでその定期点検に要する期間は大体どれぐらい見ておるわけですか。
  194. 武田康

    ○武田政府委員 仮に大がかりな修理が必要がないというような状態を仮定いたしまして、細かい取りかえだとか細かい手直しはやる、こういうことでスケジュールどおりいきますと、大体三カ月あるいは四カ月ぐらいのスケジュールでございます。
  195. 小宮武喜

    ○小宮委員 毎年やるわけじゃないのですか。これは電気事業法で毎年一回はやらなきゃいかぬのじゃないですか。
  196. 武田康

    ○武田政府委員 一年動かしますと一回とめて、したがいまして大ざっぱに言えば毎年三、四カ月スケジュールとしてとめる。こういうようなかっこうでございます。
  197. 小宮武喜

    ○小宮委員 毎年やるにしては、三カ月も四カ月もそんなことになったら稼働率が低下するのはあたりまえですよね。  そこで、通産省はいまの、現在は原子力発電所の出力が最低十六万六千キロから最高八十三万六千キロになっているわけですが、この原子炉のタイプを八十万キロワット、それから百十万キロワットの二種類に統一する方針を決めたようですね。いわゆる規格化する、これで稼働率がこれによってやはりある程度アップすることができるという判断ですか。
  198. 武田康

    ○武田政府委員 昭和五十年以来民間関係者の協力も得まして改良標準化作業というのを進めております。現在進行中でございますけれども、これは規模で言いますと八十万キロワットクラス、百中万キロワットクラスというレベルのもの、P、B両方ございますけれども、改良標準化の作業の中で第一ステップは、実は一例を申し上げますと核の容器を大きくするというようなことで、点検修理作業等におきます作業性の向上、被曝の低減等々というような、そういう入れ物の大きさなり、レイアウトなりの観点が中心でございますけれども、そういったような改良標準化でございます。これをこれからつくります発電所に適用していこうということでございますが、仮にそういったものが適用された発電所ができますと、先ほど定期点検、大きな問題が何もなくて三、四カ月と申し上げましたけれども、そういったものも、同じ効果を上げながら作業能率も上がるし被曝も下がるということで、実質的に定期点検期間の短縮に結果としてつながるということはあろうかと思っております。  それから、それ以外にいろんな意味での信頼性の向上というのが盛り込まれますと、その故障の発生頻度とでも言ったらいいかと思いますけれども、そういうものが低下していく、もちろん安全レベルなり何なりはいまよりも向上してしかもなおということでございますが、そういったような積み重ねができますと、将来に向かいましては定期点検期間あるいは手直し期間、こういったものが短くなっていくものである、こう考えておるわけでございます。
  199. 小宮武喜

    ○小宮委員 またぞろアメリカから、核拡散防止法の成立もあって日米原子力協定の改定交渉に即座に応ずるように日本政府に通告してきたということが伝えられているわけです。それぞれ新聞紙上を見ても、何かきのうまでで予備会談が終わったという話が報道されておりますけれども政府はこの日米原子力協定の改定交渉に応ずる意思があるのかどうか、その点いかがですか。
  200. 山野正登

    山野政府委員 現在までのところ、米側から協定改定の交渉の申し入れというのはまだ受けていない状況でございますが、先日米側から担当者が日本に参りまして、核不拡散法の内容についてわが方に説明をしたいということで、外務省において関係省庁の担当者を集めて説明があったというふうなことは承知いたしております。これはいずれわが国に対して協定改定の申し入れというものはあろうかと思うわけでございますが、これはあくまでも日米両国が当事者となっておる協定の改定交渉でございますから、その結末のいかんにかかわらずこの交渉に応ずるというのは当然かと存じます。
  201. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまアメリカから欧州の原子力共同体ですね、ユーラトムにやはり改定の申し入れがあって、それでユーラトムの方ではそれを拒否したとか言われておるわけですが、このユーラトムの方で拒否しておるという理由は何ですか。これは外務省でも、どちらでもいいです。
  202. 山野正登

    山野政府委員 ユーラトムが拒否したという事実も確認いたしておりませんが、現在までのところ、アメリカ、ユーラトム双方とも何らの発表をいたしておりませんので、私ども情報を持っておりません。鋭意そのあたりの情報を収集しておるという段階でございます。
  203. 小宮武喜

    ○小宮委員 科学技術庁は情報を収集してなくても、少なくとも外務省としてはその点についてはキャッチして、あるいは情報を把握しておりますか。
  204. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  ユーラトムとの関係におきましては、今度成立いたしましたアメリカの核不拡散法の中に、その法律が発効してから三十日以内に交渉に臨む意思表示をしてくれという条項がございます。それで核不拡散法が発効いたしましたのが三月十日でございまして、四月十日までにユーラトムがアメリカに対して協定の改定の交渉に応ずるという意思表示はしていないようでございます。したがいまして、いまアメリカはユーラトムに早く交渉に応ずるようにという働きかけをやっておるようでございます。
  205. 小宮武喜

    ○小宮委員 特にフランスの方はかなり強硬に拒否しておるようですけれども、いろいろあっちこっちの情報を収集しますと、ユーラトムにアメリカが申し入れておるという内容は、やはり米国製核燃料を買う国がこれを再輸出しようとする場合、もう一つは米国製の核燃料を再処理する場合に米国に拒否権を与えろという内容のものだということが言われておりますし、特にこの供給される国が改定交渉を拒否した場合には米国が核燃料の供給を停止するというような厳しい条件がつけられておるというふうにも承っておるわけです。当然外務省はそういうことは御存じのはずでしょうが、どうですか、事実ですか。
  206. 太田博

    ○太田説明員 まず先ほど申しましたアメリカの核不拡散法上のたてまえでございますが、確かに三十日以内にユーラトムがアメリカとの協定の改定の交渉に応じない場合にはアメリカとして供給をそれ以上続けないという規定になっております。ただし、もし話し合いに応ずるという意思表示がされますと、その後二十三カ月間、合計通しまして二年間、交渉の、いわば話をまとめる時間的な余裕が法律で規定されております。  それからユーラトムの態度でございますが、これはただいま先生御指摘のとおりにユーラトムと申しましてもいろいろな国がございますが、特にフランスが、このようにアメリカが国内法で一方的に三十日という期限を切ってそれまでに交渉に応じなければ核物質の輸出をとめるというやり方については納得しがたいというようなことを言っているようでございます。  ちなみに、一カ月以内に交渉に応じなければ核物質の輸出を停止するというのは、ユーラトムと、それからこれは特殊な例でございますけれども国際原子力機関を相手とする場合だけでございまして、わが国そのほかの国につきましてはこのような交渉に応ずる意思表示のための期限というものはございません。
  207. 小宮武喜

    ○小宮委員 特にフランスが反対する理由の一つとしてわれわれが漏れ伺っておることは、ユーラトムと米国との現行協定は一九九五年まで有効である、したがって、改定する必要はない、もう一つは、昨年米国が提唱した核燃料サイクル評価計画、いわゆるINFCEへの参加を受諾したそのときの条件として、同計画の結論が出るまでは米国の現行のウラン供給のあり方を変更しないということに同意をしておるという理由のようです。  そこで、日本の場合の日米原子力協定の問題ですが、核不拡散法の説明を受けたわけですから、どうせいずれ改定交渉に応じざるを得ないと考えるわけですが、そういったことについて、たとえばいつごろから交渉を始めようとか、そういうことは日本に対しては全然ないのですか。ただ核不拡散法ができたからそれを説明します。それでは聞きましょうということだけですか。たとえば、もう改定交渉をやろうじゃないかという通告が日本にも来て、日本政府の立場としては、ユーラトムとの関係もあるしそういう関係を見ながら一応説明だけは受けようということのように私は理解するわけですが、いま原子力局長はそういう報告の事実もないということを言っておるわけですが、外務省どうですか。
  208. 太田博

    ○太田説明員 今回の協議では、先ほど原子力局長の御説明にありましたようにアメリカの核不拡散法の説明を聞いただけでございまして、今度の機会にアメリカとして早々にあるいはいつまでに交渉を開始したいという形の意思表示はございませんでした。ただ、いずれ交渉をやりたいという感じでございまして、いろいろな説明から察しますと、アメリカとしてはまずユーラトム諸国、それからまた核防条約に入っておりませんブラジルとかパキスタン、インド、こういう国との交渉を最優先させたいというふうに考えているようでございます。  核不拡散法のたてまえからアメリカとしてまず満たしてほしい輸出基準と、それからいずれ協定を改定してその中に盛り込んでほしい輸出基準と二本立てになっておりますけれども、今回のアメリカ側の説明によりますと、日本は当面満たしてほしい基準についてはすべて満たしているということでございますので、ただいま申しましたようにアメリカとしてはその当面の基準を満たしていない片やユーラトム、片や核防条約の非当事国、ブラジルとかパキスタンとか、そういう国との交渉をまず優先させてやりたいというふうに考えているように見受けられました。
  209. 小宮武喜

    ○小宮委員 まあ説明を聞いたわけですね。説明を聞いた中で、いまの日米原子力協定の改定を要求してくるような内容のものは何もないというふうに理解できますか。やはりこの交渉を向こうが申し入れてくる以上は、いまの日米原子力協定の改定の中身についても具体的に出してくると私は思うのです。その点いかがですか。それで、あるとすればどういう点を要求してくると思われますか。
  210. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  これは直ちに交渉をしてくれと言わなかったこととそれから現行協定を改定する必要がないということは全く別でございまして、アメリカとして核不拡散法の今度の規定で新たに協定に盛り込んでもらわなければ困るという要件を当たってみますと、これのうちの幾つかは現行の日米協定の中には入っておりませんので、現行の日米協定はいずれ改定をしなければならないということは明らかかと思います。  それで、核不拡散法の規定及び今回のアメリカの説明から、たとえばどういう点を新たに協定に盛り込まなければならないかという点でございますが、その一つは、プルトニウム等の貯蔵に際しましてその貯蔵施設について事前の同意を必要とするという要件、これは今度新たに核不核散法の中で規定された要件でございまして、現行の日米協定には入っておりません。それからアメリカの天然ウランを濃縮する場合にはやはりアメリカの事前の同意をとってほしいという規定がございますが、これも現行の日米協定にはございませんので、この点を新たな協定に盛り込む必要がある。それからもう一つ、供給国の規制権の有効期間という問題がございまして、現行協定のたてまえでは、協定の有効期限が切れますと供給国の規制権はそれとともに消滅するわけでございますけれども、最近のたとえばロンドン協議という輸出国の申し合わせがございますけれども、そこでも合意されておりますとおり、供給したものがある限りは供給国の規制権が適用され続けるというのが国際的にだんだん確立されてまいっておりまして、今回のアメリカの核不拡散法にもそのようにアメリカから供給したものがある限りアメリカの規制権がかかり続けるという新たな要件が加えられておりまして、これもやはり現行協定にはございませんので新たに盛り込む必要がある。こういうのがたとえばの例でございます。
  211. 小宮武喜

    ○小宮委員 しかしその中に、アメリカは核ジャックの問題を非常に真剣に考えておるようですから、そういう意味ではこの核ジャック問題も出てくるのではないかと私は考えるのです。この問題について、わが国でも東海の再処理工場でも施設内での防護対策は十分できておるかもしれませんけれども、一番危険なのはやはり輸送の途中で核ジャックが起きはしないかということです。現にアメリカあたりでは、警官がピストルを持っておるわけですから、また最近の成田空港の管制塔襲撃事件にせよ、そういう意味で核ジャックの問題は真剣に考えなければいかぬと思うのです。特にアメリカではハーバード大学の一学生がいわゆる原子爆弾をつくる設計の論文さえ発表しておるくらいですから、そうすればこちらの学生だってやはりそういうものを入れてつくらぬとも限らぬし、そういう意味で、私は、核燃料輸送の途中での核ジャックのことがちょっと心配になるわけですよ。これは恐らくアメリカの改定要求の中にも出てくるのではないか、私はこういうように考えるのですが、その点について、むしろこれは警察庁、運輸省海上保安庁にお聞きするのですが、こういう核燃料の輸送の際の警備体制は万全の措置をとっておるのかどうか、警察庁と海上保安庁にお聞きします。
  212. 若田末人

    ○若田説明員 御指摘のとおりに、核防護の問題につきましては、施設の問題と輸送中の問題がございますが、施設関係につきましては、物理的にも相当防護されているやに聞いているわけでございまして、この点につきましては、警察も鋭意力を尽くしているところでございます。  特に、いま御指摘のとおりに、輸送途中におきましてはある意味では、施設に比べまして大変弱いと私も判断いたしております。そういうことで、警察部内におきましても、この方面の警備強化が非常に重要な事柄になりつつあるというようなことでございまして、従来、この種のものの輸送につきましては、いわば火薬等の運搬等と同じように、警察部内では保安という部門で担当をいたしておったわけでございますが、最近、警備局の方に所管がえをいたしまして、厳重にこれを警備するというようなことになりまして、この燃料の輸送に当たりましては、事業者あるいは科学技術庁等と緊密な連絡をとりまして、パトカーにより、あるいは特別な情勢がありますときには機動隊をつけまして厳重な警備を行っておるところでございます。
  213. 森孝顕

    ○森説明員 海上保安庁におきましては、核燃料の海上輸送というような事態がありました場合、船舶の出入港の場合には、関係機関と密接な連絡をとりながら、かつまた、輸送に当たる事業者自体の自主的な警備体制というものも十分に指導いたしまして、また、不審な情報といったものにつきましても、十分、関係機関からの情報その他の情報をとりまして、必要に応じまして巡視船艇を適所に配備する、同時にまた、定期的に、その輸送する船舶からの定時通報、位置通報をとりながら十分な警備を行っております。情報によりまして、巡視船艇が当該輸送船舶に直接護衛に当たる、あるいはまた、海上保安官が直接警乗するといったようなことで十分な体制をとって行っております。  また、今年度、実は本庁に特殊警備専門官というものが認められておりますので、これらを中心といたしまして、今後の核ジャック等の対策について十分な強化対策を検討してまいりたいと思っております。
  214. 小宮武喜

    ○小宮委員 まだ質問が残っておりますけれども、時間が来ておりますので、きょうはこれくらいで質問を終わりますけれども、また次の機会に改めて質問をしたいと思います。
  215. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 次に、瀬崎博義君。
  216. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 「むつ」の修理問題と佐世保重工、SSKの再建問題が絡んで、長崎などの地元中心に「むつ」の宝船論とか、あるいは「むつ」助け船論とか、はなはだしきは「むつ」人質論、こういうことが言われているということをわれわれも聞くわけであります。たとえば、「むつ」を質ぐさにして、防衛庁の艦艇を中心にSSKに政府から優先発注をさせようとか、あるいはまた佐世保重工で「むつ」を修理すれば、国も修理期間の三年間は会社をつぶさないだろう、これは知事が言ったとか言わないとかいうふうに聞きますが、そこで、いま運輸省が中心になって一生懸命この佐世保重工の再建問題の世話をしてますね。この表の話と別に、裏の話として、「むつ」と交換になるような話は何か出ているのですか。
  217. 熊代健

    熊代説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、現在、佐世保重工につきまして、最悪の事態を招かないようにということでやっておりますけれども、おっしゃるような、「むつ」につきましてそういう観点からわれわれとしてはやっておるつもりはございませんし、そういう事実はありません。
  218. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 従来とも、構造不況業種である造船については、波止浜初め相当な企業まで倒産等の事態を引き起こしていますね。そういうものと比較して、今回のSSKの場合は運輸省が非常に力を入れているように見られるのですけれども、それにはそれなりの理由もあると思うのです。どういう理由があるのですか。
  219. 熊代健

    熊代説明員 おっしゃるように、造船業が不況を深刻に迎えましたのは、昨年の初め、三重造船が最初に倒産いたしました。それで、倒産防止につきましては、われわれとして従前からも個別にできるだけのことは、本省だけじゃなくて、地方の海運局も一緒になりまして、関係機関の協力も仰ぎながらやってきたつもりでございます。ただ、御承知だと思いますけれども、こういう問題は、表に出ますと、逆に金融不安を起こすとか、そういうことがございますので、われわれとしては、そういうことも配慮しながらできるだけのことをやってまいったつもりでございます。  御指摘の佐世保重工につきましては、いまの状態になったことにはいろいろ原因がございますけれども、率直に申し上げまして、現在、中長期的な見通しに立った構造改善であるとか、あるいは仕事量の確保というものを鋭意検討しておる段階でございます。そのときに、大手七社に次ぐ造船所と目されてきております佐世保重工がもうだめだというふうな話になりますと、それ以下の造船業全体に対します不安を起こす、特に金融上の面からのそういう悪い影響を及ぼすことになりかねないということ、それから、もちろん地域経済に非常に大きな影響を及ぼすということで、われわれとしては最悪の事態にならないようにということでやっております。  それからもう一つは、佐世保重工、特殊の問題と思われますけれども、株主の問題あるいは金融機関の問題等が複雑でございまして、それらに対して協力要請を受けたというようなことでございます。
  220. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一つ気になることを言われたので言わざるを得ないのだけれども、SSKの場合は大手七社に次ぐ大きい造船会社だから、これがつぶれると、あとさらに深刻になるというわけでしょう。そうすると、いままでのは、SSKに比べれば小さかったから、社会的影響が少ないから見殺しにした、こういうことですか。大を救い、小を殺すんだな。
  221. 熊代健

    熊代説明員 いいえ、そういう意味ではございません。昨年の秋以来急激な円高で造船不況が非常に深刻になっている。そのときに、われわれとしましては、ことしのできるだけ早くということで、六月ごろをめどに、倒産防止対策でございますとか仕事量を確保するための対策とか、それから構造改善等をやっていこうということでやっておるやさきに、そういう大手に次ぐところがだめだということになりますと、造船業全体がもうだめなのじゃないかということを一般の、特に金融機関等にそういう影響を与えるという観点であるということでございまして、小さいのを殺すというような意味は毛頭ございません。
  222. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣、きょうは運輸大臣がいないから、かわってお答えをいただこうと思うのです。  いまの説明を聞いておられてもわかるように、説得力がないわけでしょう、SSKに特別に力を入れる。だから、何か「むつ」と引きかえ条件なんだろうなんていうようなことになるわけですね。私は、こういうふうな立場を政府が十分考慮しているかどうか尋ねておきたいのです。  先ほどもやはり地域経済に与える影響が大きいと言われた。そうだと思うのですよ。聞くところによれば、佐世保市の工業出荷額の約半分をSSKに頼っているというふうなことでありますから、今回のSSKの異常事態がより深刻になれば、佐世保の市民に与える影響というのは確かに大きいと思うのですね。  それでは、なぜ佐世保市とSSKとの関係がこのような深いつながりになってしまったか、こういう点について言えば、やはり佐世保は、戦前は軍港、戦後は米軍基地、自衛隊基地、それが経済の面にも反映して、朝鮮戦争特需。ベトナム戦争特需、さらには炭鉱ブームと逆にそれに次ぐ石炭合理化政策、こういうそのときどきの政府の政策に揺さぶられて地域経済の自主的な、総合的な発展が阻害されてきた、ここに一番大きな原因があるんじゃないかと私は思うのですね。だから、今回、私は決してSSKの再建に政府は手をかすなと言っているんじゃない。その場合に配慮すべきは、やはり佐世保市の自主的な、総合的な本当の発展、SSKが左前になれば心中せざるを得ないようなこういうことだけは今後避ける、こういうふうな意味での政府の対策がなければならないんだと思うのですが、いかがでしょうか。
  223. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 どうも、運輸大臣がいないから、おまえに聞くんだというお話がありましたが、したがって、適切なお答えはできないかもしれませんが……(瀬崎委員「そういう基本的な観点が必要なんじゃないかと聞いているんです」と呼ぶ)すわったままで結構ですから、どうぞおっしゃってください、基本的な……。
  224. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、時間がもったいないんですね。何なら時間を外してもらって、すわって説明するならいいですよ。大体、佐世保の経済をSSKと心中せざるを得ないような事態に追い込んできた責任が、戦前は軍港、戦後は自衛隊基地、米軍基地、そういうことから佐世保の経済は朝鮮特需に沸くとか、ベトナム特需に沸くとか、その反動で非常に深刻になるとか、さらには炭鉱ブームのときはいいが、これが政府の合理化政策が出てくれば火の経済になる。常に政府の政策に左右されてきた。地域の自主的な発展というのがなし得なくなってきたんですね。ここに根本的な欠陥があるんだから、今回のSSKの再建は急務として手を打たざるを得ぬとしても、それだけで佐世保市民や長崎県に対する政府としての責任ある救済策にならないのじゃないか。この際、SSKがどうなってもいいとは言わないけれども、しかし、そういうものには全面依存じゃなくて、もっと多面的な経済の発展を政府が援助すべきじゃないか、そういう態度が欠けているところに「むつ」とのあらぬうわさが――あらぬか、あるうわさか知りませんが、立てられるのじゃないかと思うのですね。そういうことを聞いているのです。
  225. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 基本的な態度において政府依存型の産業ばかりではなしに、もっと自主的な産業を盛り立てるようにすべきじゃないか、こういう御意見かと思いますが、そのとおりだと思います。
  226. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは運輸省に言っておきたいことですが、政府が通常の公正な行政のやり方をねじ曲げてまでSSKのしりぬぐいするなんということは、国民が許さないと思うのですね。と言いますのは、いま言われたように、大手七社に次ぐ大企業ですね。経営者は日本鋼管から出ているわけでしょう。大株主はと言えば、日本鋼管とか新日鉄とか、日商岩井とか来島どっくなんかが控えておるわけですね。佐世保市もその一人とか聞きますが、銀行は第一勧銀と、こうなっておるわけです。だから、ここらの力でも十分支えられるべき性質のものだと思うのですね。その経営者の責任問題がやはり相当批判の的になっている。さらには、株主の態度が、いま言われたようにやはり批判の的になっている。もうけるところだけもうけて、利用するところだけ利用して、あとは知らぬ、こういうようなことのしりぬぐいを政府がやるようであれば、これはとんでもない方向違いだと思うのです。こういう点について、改めてそういう経営者、大株主、銀行の責任をきちっと守らせる立場の指導をしているのですか。
  227. 熊代健

    熊代説明員 おっしゃるとおりでございます。ただ、私どもとしまして、いま言われたようなことではあるけれども、地域経済に及ぼす影響ということも十分考えまして、とにかくこのまま倒産というようなかっこうに追い込むことはできないということでやっております。  それと、いまおっしゃった、株主なり銀行等についてはそれなりの責任といいますか、を守っていただくということで、当然やってもらうという態度で臨んでおります。  それから、もう一つ付言しておきたいのですけれども、こういう形で表にオープンになりましたのは、先ほど申し上げましたように、われわれとしては、こういう問題は、オープンになると逆に悪化の度を深めるということで、いままで、先ほど御指摘のありました波止浜等につきましてもできるだけ内密にと言うと語弊がありますけれども、そういうことでやってまいっております。  それから、おっしゃるように、本来株主なり、金融機関でできれば、それが一番いいわけですけれども、不幸にして今回の場合そういうことでなかったために、われわれとしてもできるだけの支援をする。それから国としてできる範囲等について――批判のあるようなことは当然われわれとしては考えるべきではないというのは、おっしゃるとおりで、その点は心してやっているつもりであります。
  228. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大体「むつ」の佐世保修理の問題は、いつも交換条件がついて回っているわけです。宇野長官時代は、いわゆる長崎新幹線とかあるいは佐世保市の補償金というんですか、何か基金みたいなものを政府が出すとか、そういうこととセットになっていろいろと世間を騒がしておったわけです。宇野長官関係がないんだときっぱり言っておった。今回は「むつ」人質論なるものが出て、それによってSSKの再建ということになっているんですね。これは結局「むつ」が本当に国民の役に立つもの、国民が必要と思っているものであれば、こんな話にならないわけです。これは全国民に毛ぎらいされ、厄介者扱いを受けているからこそ、これが質ぐさの役を果たすわけでしょう。見返りの役割りになるわけですね。こういう点について、大臣、率直に認識されておりますか。
  229. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変複雑なお尋ねでございますから、真意を十分把握しかねる点もでございますが、われわれとしましては、佐世保重工の問題と、それから「むつ」の修理との問題を結びつけて考えたことはありません。  それからもう一つ、「むつ」は日本じゅうのきらわれ者になっているというお話でございますが、お言葉を返すようでございますが、私どもとしては、これは一日も早く修理しなければならぬものであるという考えを持っているつもりでございます。
  230. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう中で、根本の認識の違いがやはりわれわれとの論議の根本的な違いを生み出すと思うのですね。結局、やはり「むつ」が厄介なお荷物であればこそ、それを引き受けるかわりに、いや、新幹線を持ってこいとか、そのかわりにSSKを助けろとか、政府側はそうは思っていないと言うけれども地元側はそういう形で世論が広がるわけです。こういう点だけはやはり客観的事実として政府は認めておくべきだろうと思うのです。  そこで、前回の委員会の私の質問に、大臣並びに局長が答えて、一つは、現在日本には「むつ」の核を抜く場所は公的にはないんだ、そういうように言われた。だから、長崎核抜きで持ってこいと言われてもありがとうございましたと言うわけにいかないということが一つ明らかになりましたね。  それからいま一つは、久保知事の新しい提案核封印、これは実質核つきと同じであるということもこの間答弁された。その点では核を抜く場所がないというこの障害は、核封印説で取り払われたわけですね。したがって、いま問題になっているのは、この核封印案で果たして既定の総点検改修ができるのかできないのか、ここがいま大きな論点になっていると思うのですね。  先ほどからの山野局長のいろいろな答弁を聞いておったのでありますが、現在の改修計画では上ぶたを外すとしておりますね。外すとした以上は、当然のことながら技術的な必然性があったはずなんで、その理由をまず聞いておきたいと思います。
  231. 山野正登

    山野政府委員 圧力容器上蓋上部というのは、非常に空間的に狭い場所でございまして、各種の機器もたくさん積んであるところでございますが、そういう狭いところで、あるがままの姿で圧力容器上蓋上部の遮蔽修理をするということは、大変作業の能率が悪い、いわば作業性が悪いわけでございますので、そういう意味で、従来考えておりました修理方法としましては、圧力容器の上蓋を取り外しまして、外に出しまして、そうしてその部分の遮蔽の改修をして、再度圧力容器の上蓋でふたをする、そういう手順を考えておったわけでございます。  今度長崎県の方で言っておられますのは、そういったふうなことをしないで、上蓋を撤去しないそのままの姿でもってその上の修理はできないかということでございまして、作業性が悪くなるということはこれは疑いのないところですが、作業性が悪くなるだけなのか、修理はできるのかできないのか、また、できるとしてもどの程度作業性が悪くなるかといったふうなことを現在検討しておる、そういう状況でございます。
  232. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ところが、一番問題になるのは、そのいろいろ補強しなければならない遮蔽のうちでも、いわゆる圧力容器ふた部遮蔽体というところなんじゃないですか。これは、われわれが説明を受けている現在の工事方法でいけば、小さなブロックを組み合わせ、積み上げてこの遮蔽の補強をしようというのでしょう。ところが、ただ場所が狭いだけではなくて、そのふたのところには、制御棒の案内管であるとかあるいは熱電対の取り出し管であるとか、こういう管がたくさんついているわけですね。また、必ずしも形状が真ん丸でない部品もあるわけでしょう。そういうものに全部ブロックを合わせなければならない。あらかたは恐らく設計図に基づいて工場で成形加工して現場に運んでいくのだろうけれども、当然そういう丸みを帯びたとかあるいは不規則な形にブロックを合わせなければならないとした場合には、現場でのすり合わせということも要るだろうし、とても現場のすり合わせではだめだから、もう一遍持ち出して工場でやらなくてはいけない、こういうことを考えたときに、果たして、われわれも直接体験しているあの複雑で狭い場所でそういうふうな作業が可能なんでしょうかね。
  233. 山野正登

    山野政府委員 制御棒の案内管等各種の機器があるのはお説のとおりでございまして、そういうところで可能かどうかわからないからいま検討しておる、こういうことでございます。
  234. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その場合、常識的にわれわれが見て――あるいは局長も恐らく現場を知っていらっしゃると思うのですね。通常の常識的な考え方からして、現場でやることが普通の方法では不可能に近いのではないか、こう考えるべきじゃないのですか。
  235. 山野正登

    山野政府委員 技術的に余り詳しくない私が、不可能に近いとか近くないという表現をするのはまことに不適当でございますので、事業団検討の結果というのをいましばらくお待ちいただきたいと存じます。
  236. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 たしかあの材質は、水素化ジルコニウムを中心としたブロックじゃなかったんですかね。
  237. 山野正登

    山野政府委員 そのとおりでございます。
  238. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いかに事業団に任せているとはいいながら、原子力局長でしょう、あなたは。だから、相当強度の高いこういうブロックで、そういう非常に不規則な形状のすり合わせ等があの狭い現場で、合わなければ一々船外に持って出なければいけない、そういう作業が実際問題として普通の方法で可能かどうかぐらいの判断はつくでしょう。
  239. 山野正登

    山野政府委員 大変重要な、かつ微妙な問題でございまして、私が全く個人的に、多分できるでしょうとかできないでしょうといったふうな無責任な発言を許される問題ではないと思いますので、その点は専門家の事業団がいま鋭意検討しておるわけでございますので、その結論が出次第御報告申し上げたいと思います。
  240. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一つ聞きますが、このいわゆるたくさんの数のブロックを結局組み合わせ、積み上げるわけなんですが、それは、つまり周辺部の一次遮蔽体などに取りつけるのではなくて、そのふたそのものに固定するという方法が現在の設計でしょう。
  241. 山野正登

    山野政府委員 ふたの上に取りつけるというのが現在の設計でございます。
  242. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、つまり燃料棒の取りかえなどの際にはふたを外すわけですが、その操作は、今後補強しようとしているそういうブロックの遮蔽つきでふたをつけたり外したりすることを予定しているのじゃないですか。
  243. 山野正登

    山野政府委員 いま先生のおっしゃいますふたをとったりつけたりというのは、どういうふたでございますか。
  244. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 圧力容器上ぶたですね。つまり、燃料棒の入れかえをするときには圧力容器上ぶたを外さなければならないでしょう。そういうときに、いまこれから改修しようとしているブロックの組み合わせによる遮蔽体は上ぶたに取りつけるわけですから、今後は圧力容器上ぶたの取り外しは遮蔽つきでの取り外しということに予定されているんじゃないんですか、こういうことです。
  245. 山野正登

    山野政府委員 確答はしかねますが、多分そうであろうと存じます。
  246. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうだとすれば、これまた常識的に考えてごらんなさい、この圧力容器のふたを固定したままでブロックをつけたとしませんか、いろいろな困難を押して。ところが、その状態で今度は圧力容器のふたがうまく外せるのかどうかのテストは、いまの知事提案では、できるのですかできないのですか。
  247. 山野正登

    山野政府委員 圧力容器のふたが外せるか外せないかというテストというのは……(瀬崎委員「遮蔽体をつけてですよ」と呼ぶ)具体的に現在圧力容器上蓋をつけたままでその修理が可能かどうかという中に含まれると思うのでございます。と申しますのは、そういう修理をしても、後全く使いものにならない、燃料交換も何もできないというふうな状態になってしまうということであれば、これは所期の目的を達成し得ないわけでございますから、それは当然に検討の中に入ると思いますが、実際にその実験をその場でするかどうか、これはまた別の問題でございます。
  248. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、可動部分の追加工事を行った場合に、果たしてその追加工事を含めて――ふたが可動部分に当たるわけですが、取り外しがスムーズにいくかどうかということを、実際のテストなしにこれで検査合格とか合格でないとか言えるのでしょうか。
  249. 山野正登

    山野政府委員 それも、事業団検討結果にまちたいと思います。
  250. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 何もかも検討結果に逃げるわけだけれども、実際、いわゆる遮蔽つきで今後はふたを取り外ししなければならないことだけは事実ですね、これは認められたとおり。だとすれば、このふたを圧力容器に固定したまま遮蔽体をつけてみて、それの取り外しテストもしないでそのままできましたなどということに、いまのままいけばなるわけですね。こういう点では、いまの知事封印提案は、実際の作業面、改修工事の面から言えば非常に困難な作業になるということと、そういうテストができないのですから不完全なものになるであろう、こういうことだけは明らかに認めざるを得ないのじゃないかと思うのですね。長官、いかがですか。
  251. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 まあそういう専門的なことは、私からお答えするのは不適当でございますから、御勘弁願いたいと思います。
  252. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原子力局長は、私は素人だからといって答えないのでしょう。長官は、私は専門家じゃないからと答えない。科学技術庁の中に、この問題について答えられるのは一体だれなんですか。
  253. 山野正登

    山野政府委員 私どもは、原子力船開発する主体としまして日本原子力船開発事業団というものをつくっておるわけでございまして、行政官がこの「むつ」の開発をすべてやっておるわけではないわけでございます。そこは十分に原子力船開発事業団理事長以下の理事にお任せしてやっていただいておるわけでございますから、そういう専門的事項というのは、責任ある地位にある理事長以下の方々の御判断があって、それを聞きました上で、改めて私どもは判断してしかるべき行政措置を講じたい、こういうふうに考えているというわけでございいます。
  254. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、ただ一つだけ聞きますけれども、もう一遍聞きますが、先ほど言ったように、この遮蔽改修を行った後、ふたの取り外しのテストは、いまの知事封印というこの案では可能なのか不可能なのか、ここだけはっきりしてください。
  255. 山野正登

    山野政府委員 可能か不可能か、私は答える技術的知識を現在持っておりません。したがって、それは先ほど来申し上げておりますように、事業団が技術的によく検討して結論を出す問題であるというふうに考えております。
  256. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 全く科学技術庁の無責任ぶりというか、存在価値を私は疑うわけですね。だれが考えたって、圧力容器のふたをつけたままで修理せいと言っているのですから、修理した結果、それを取り外すテストを知事が認めるはずがない。それだったら別に何も封印じゃないわけでしょう。封印をしてしまう以上は、恐らく工事中も工事が完成後も、知事がその封印を解くというものではないと思う。もし知事が、工事ができ上がったら、そのテストのときには封印を解いて、圧力容器のふたを外してもいいということであるならば、今度は封印説なるものが長崎県民を欺いていることになるんじゃないかと思うのですね。  もう一つ。先ほど材質の検討も必要であろう、こういうふうなことが言われているわけなんですね。その場合になりますと、水素化ジルコニウムにかわる新しい材質で、しかも加工のしやすいものになってくると思うのです。これは並みや大抵で探せるものではないと思うのですね。そういうふうなことを検討すると、よしんば困難を押して封印のまま改修工事をやるとしても、それは相当困難な作業になるのではないかと私どもは予想するわけですね。この点はいかがですか。
  257. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 先ほどからいろいろ政府委員からお答えしているわけでございますが、大変無責任だとか、科学技術庁でだれでも答えられる者がいないじゃないかというおしかりでございますが、やはり検討すべきものは検討すべきポストにおきまして検討いたしまして、その結果をわれわれとして責任を持つということをしなければ、一々圧力容器のそういう細かい問題は、これはけしからぬじゃないかと言われましても、どうしてもわからぬことはわからぬと申し上げるよりしようがありませんが、しかし、期限はさっきも申し上げましたように、はっきりは言えませんけれども、取り急いで検討をいたしておりますので、その検討の結果については、しかるべき場においてお答えすることはできると思います。
  258. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、その検討期間の問題ですけれども、いまの私の話で大体おわかりのように、相当この検討はむずかしい検討だろうということだけはもうはっきりしますね。したがって、大臣の主観的な御希望はあろうけれども事業団検討期間はやはり相当長くかかる、こういうふうに見なければならないのじゃないですか。
  259. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 長いとも短いとも申し上げられません。
  260. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 同時に、これは現在の改修計画を相当大幅に変更しないと、とてもじゃないが修理はできないと私は思います。その点で、技術検討委員会が一応事業団改修計画検討して、お墨つきを与えているわけですが、今度また、新しい事業団改修計画が出てきた場合には、検討委員会を開かなければならぬじゃないかと思うのですね。この点が一つ。  もう一つは、私は、当然予算にもはね返って、現在三十億とか言われているような範囲ではおさまらなくなってくると思うのです。この場合は大蔵省との折衝も出てくるのではないですか。
  261. 山野正登

    山野政府委員 技術検討委員会にかけるかかけないかというのは、現在まだ決めておりませんが、これは事業団検討経過も見ながら早急に決めたいと考えます。  それから予算の方でございますが、これは五十三年度予算にはいわゆる修理工事のための予算というのはまだ計上していないわけでございまして、恐らく次年度以降の予算に計上することになろうかと考えますが、可能であっても作業性が悪くなるということで、そういうふうな方向でやるという仮定のもとで考えた場合には、当初考えたよりも予算がふえるといったようなことは、仮定の議論でございますがあり得るというふうに考えます。
  262. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 検討委員会の報告を見れば、現時点での当該スケジュールを妥当なものとして考えるというふうに結論づけているわけですね。したがって、いま言われるように、非常に困難な作業だから外してやることになったものをつけてやるわけですから、当然工事期間も相当長びくと思うのです。スケジュールも狂ってくると思うのですね。だからその場合、これは当然検討委員会にかけざるを得ないものだろうと私は思うのですね、どちらかまだ検討していないということなんですが。だからそういう意味でいえば、どんなにせいてみたところで、私は一カ月や二カ月で結論が出せる問題じゃなさそうに思うのですが、大臣の感じは一体どれぐらいと見ておるのですか。
  263. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 私はさっきも申し上げましたように、専門家ではございませんので、そういう感じを申し上げることは不適当じゃないかと考えます。
  264. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 事業団体にこの新しい核封印提案に基づく検討を正式に指示したのは、一体いつなんですか。
  265. 山野正登

    山野政府委員 先週のたしか金曜日であったと思います。
  266. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうことは、実質的にはまさにこれから検討に入るというところで、事実上検討は緒につくかつかぬかというところと理解しておけばいいですね。
  267. 山野正登

    山野政府委員 現に事業団はもうすでに鋭意検討のさなかでございます。
  268. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ということは、あらかじめこういう案が出てくるであろうということを予期した準備をしておったというようにわれわれ理解していいですか。
  269. 山野正登

    山野政府委員 地元からこの二つの新しい条件について説明を聞きましたのは、先週月曜日、十七日でございますが、その時点で不確実な内容ではございましたが、情報は事業団にすでに流しておりますから、そういう意味で、正式に事業団説明したのは先週金曜日ではございますが、事業団は事前にどういう方向であるかというのをあらまし承知しておる状況でございましたから、その段階から準備作業を始めておると考えております。
  270. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局科技庁の非常に無責任ぶりだけがはっきりしてきて、こういうことになればなるほど、長崎受け入れ側は不安が出てくるのじゃないかと思いますが、政府側に答える準備が何もないという状態ですから、この問題はそれでおいて、いま一つ。大湊港ですね、「むつ」の現在係留されている港ですが、ここの陸上施設、つまり炉規制法二十三条の二項の五号でいわれる附属施設を全面廃止するというふうなことになってきますと、現在の「むつ」は原子炉としての許可対象ではなくなってしまうのじゃないですか。
  271. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在の「むつ」の陸上附帯施設は、先生御指摘のような全部の機能を停止しているものではございませんで……(瀬崎委員「いやいや、全部機能を廃止した場合」と呼ぶ)これは私どもの規制の立場といたしましては、原子力局長の方からも御答弁しておるわけでございますが、新しい定係港を他の場所等につくるということでの作業を進めることになっておりますので、原子力船むつ」が原子炉の出力を上昇しない冷態停止の状況であれば、現在の許可の形で何ら差し支えないというふうに考えております。
  272. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、私が聞いているのは、そういう現状を聞いているのじゃないのです。もしも大湊港の附属施設の機能の全面停止というふうな事態になれば、もはや「むつ」は法律上は原子力船としての資格は失う、つまり設置許可の対象物ではなくなってしまう、そういうふうに考えるべきじゃないかということを聞いているのですね、仮定の話ですが。
  273. 牧村信之

    ○牧村政府委員 私どもそのような仮定の段階に現在置かれておるわけでございませんので、そういう仮定のことにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  274. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、つまりこの二十三条二項五号に言う原子炉の附属施設を伴わない許可申請書が出た場合、それは適格なものとして許可の対象になるのですか、ならないのですか。
  275. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ちょっと御質問の趣旨がはっきりつかめないのでございますが……。
  276. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それではもう一遍言います。  いわゆる原子炉の附属施設の構造及び設備を伴わない原子炉設置の許可申請が出た場合、これは許可の対象になるのですか、こう聞いておるのです。
  277. 牧村信之

    ○牧村政府委員 事柄にもよろうかと思いますが、許可の対象になろうかと思います。(瀬崎委員「いや、原子力船ですよ」と呼ぶ)たとえば「むつ」を佐世保に持ってまいりまして修理をする予定をしておるわけでございますが、当然この場合には原子炉等の工事を行う際の船舶の所在が変わるわけでございます。そういうようなことにつきましても変更の許可が必要になるわけでございます。
  278. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は変更の場合を言っているのではなくて、ここに新しく原子力船をつくるという設置許可申請が出されておる、その申請書にこの二項の五号、いわゆる附属施設の構造等を欠いておる場合、これは一体設置許可の対象になるかと聞いているのです。
  279. 牧村信之

    ○牧村政府委員 現在、「むつ」の陸上附帯施設の機能が一部停止されておるわけでございます。それは……(瀬崎委員「いや、それを聞いているんじゃないのです。全く新しい問題です」と呼ぶ)そこへそのような施設を使うということを仮定して新しい原子力船の設置許可申請が出た場合には許可にならぬと思います。
  280. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうことではなくて、いわゆる陸上の附帯施設を伴わないで原子力船の設置許可というものが扱われますかと聞いているのですよ。何を言っているのですか。
  281. 牧村信之

    ○牧村政府委員 原子力船の設計によりましては陸上の附帯施設のないものが全くあり得ないわけではございませんので、そういうような特殊な設計がされておれば、場合によりましては許可になろうかと思います。
  282. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは「むつ」のような設計のものではどうなんですか。
  283. 牧村信之

    ○牧村政府委員 「むつ」のような設計のものであれば新しく建造許可を求められた場合には設置の許可の対象にはならないと思います。
  284. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現在大湊港の施設については岸壁のクレーンとかそれからキャスクとか燃料貯蔵地の使用を一時停止しているわけですね。そういう意味ではあのむつは一応法律上は母港として残っているのですか、残っていないのですか。
  285. 牧村信之

    ○牧村政府委員 一部機能は失われておりますが、残っておるものと考えております。
  286. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 従来母港は撤去した撤去したと言われながら、現実法律上は政府はあれを母港として残しておるわけでしょう。でなかったら、今度は「むつ」は原子力船として認められなくなる、こういうことになるのではないですか。
  287. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生の御指摘のような言い方もできようかと思います。
  288. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それはどういう意味ですか。では、それでない言い方というのはどういうことなんですか。
  289. 牧村信之

    ○牧村政府委員 原子力船むつ」のいまの状態は、原子炉冷態停止状態にあるわけでございます。そこで、このことは原子炉を運転しないということで燃料交換をする必要がないわけでございますので、その部分の機能を停止しても原子力船としてすでに設置の許可をした船舶であるということには何ら変わりないというふうに考えます。
  290. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、今度長崎で当然修理するという場合を仮定しますと、その修理に伴う変更許可の申請が出ますね。これは今度は原子力船として運転することを前提にしている。そういう場合、いま大湊港の機能の一部は停止されていますね。こういう状態のままで安全審査の対象にはなり得ますか。
  291. 牧村信之

    ○牧村政府委員 原子力船むつ」を修理した後出力上昇をする段階になれば定係港の機能が全部活用されなくちゃならぬわけでございますが、いまの「むつ」の修理、総点検はすべて原子炉を冷態状態に置くということでございますので、そのような御懸念はないと思います。
  292. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 永久に冷態停止するのであれば、これは原子炉ではないわけでしょう。当然出力上昇をやるわけですね。そういう前提の修理でしょう。安全審査をするときに、設置許可の申請に義務づけられた八項目ですか、この項目を満たしていないような申請でも安全審査し得るのですか。
  293. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この定係港の機能を一部停止しておるのは不可抗力的な理由によりましてこういう措置をとっているわけでございますが、原子力船修理が終わり、定係港が見つかり、陸上附帯施設の機能がちゃんと整った上でなければ原子力船の出力上昇はできないと思いますし、そのような定係港の附帯施設につきましてはさらに改めて申請をとり、安全審査をするというふうな段取りになろうかと思います。
  294. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、それまでは部分的には機能を失っているけれども、大湊港が「むつ」の母港であるという前提のもとに「むつ」を原子力船として扱い、改修計画の安全審査に応ずる、こういうふうに理解すればいいのですか。
  295. 牧村信之

    ○牧村政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  296. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局むつは現在なお母港である、こういうことが非常に明確になってきたわけで、この点でも四者協定を二重三重に踏みにじっているんじゃないかと私は思うのですね。  時間が来ておりますので、最後に、全然問題は違うのですが、二点だけ質問して、終わりたいと思います。  国民生活に密着した科学技術振興が科学技術行政の一つの大きな柱になっていることから、私は、琵琶湖の保全に必要な研究が進められているのかどうか、これを科技庁と環境庁に尋ねておきたいと思うのです。  御承知のように、瀬戸内海も非常に大事だけれども、琵琶湖も近畿一千三百万人の直接の飲み水になっているわけですね。この現状が、高度成長期は悪化の一途をたどっておりましたが、その水質は、ここ二、三年、経済成長の鈍化と、県の方の行政努力もあって、COD、BOD、SS等の指標で見る限りは一進一退状態になってきましたが、燐と窒素についてはさらに今日なお悪化を続けて、それが本来水のきれいなはずの北湖にまで広がってきているわけであります。去年のちょうど五月、六月に琵琶湖にも赤潮の大量発生がありました。それが汚い南湖だけではなしに北湖一円、その中でも有名な竹生島周辺など、一番きれいな水のところまで含めて十数カ所同時発生しているわけです。実はことしもその季節になってきたのですね。私も心配だから尋ねるわけであります。  政府として、琵琶湖の汚染源とか汚染のメカニズムあるいは最近南湖の汚染が北湖に波及してきている原因とか、それから湖周辺では湖流が南下しているのではなくて北上している、そういう複雑な湖の水の流れの問題、あるいは水の入れかわりに非常に長い年月がかかる、あるいは赤潮発生の直接的な原因とかその予測、それから自然の浄化作用、今後の汚染予測、さらには水質の回復手段等々について科学的に解明されたと政府考えているのかどうか。もし解明されていないと考えるのなら、解明するための特別な研究、たとえば特別研究費というような制度もありますが、こういうものを適用してどれくらいの件数の研究が行われたのか、そういう点お聞きしたいと思うのです。
  297. 加来利一

    ○加来説明員 環境庁におきましては、四十九年に国立の公害研究所を設立させまして、そこの中でいま御指摘の陸水域の富栄養化に関する総合研究その他の研究を行なっておるわけでございます。それからそのほかに、一般の関係行政機関が行なっております試験研究の一括計上を環境庁の方がやっております。私の御説明できますのはその部分のみになりますけれども、その部分におきましては、琵琶湖を直接対象としたいま先生御指摘がありましたような研究は行ってはおりません。ただ、いま申し上げましたような国立公害研究所で行っておりますような研究でありますとか、それからその他の政府関係機関が行っております燐や窒素の防除技術に関する研究、これらの研究は琵琶湖の水質汚濁の防止にも非常に役に立つものであると考えております。
  298. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 実は、琵琶湖総合開発特別措置法が四十七年にできて、それに基づく琵琶湖総合開発事業が進んでおるのです。これは当時といまとは県政の姿勢も大分変わりまして、当時の開発優先型から現在保全優先型に見直しが行われつつあるのですが、それでもなお下流の水需要にこたえる、主として大企業の水需要でありますが、そのために豊水期には水位を一・五メートル上げて水をできるだけためておこう、渇水期には逆に現在の水位から一・五メートル下げて、出せるだけ下流に水を出していこう、こういう人工的なプラス・マイナス一・五メートルの変動が前提になっているのです。こういうことが現在の琵琶湖の水質にさらに上乗せ悪化要因になるであろうことは必至なんで、関係者がそのことをひどく憂えているわけであります。当然こういう計画の前提には十分なアセスメントが行われなければならないと思うのだけれども、いまお聞きのように、環境庁を中心にしても、特に琵琶湖を対象にした汚染メカニズムあるいはそういう水位変動の影響等は調査されていないのです。確かに県は琵琶湖問題研究機構というのをつくっています。しかし、これは県単独予算でやっているために、約十九項目の調査研究を実施したのですが、その十九項目全部合わせて三千万の予算で出発して後は年額数百万程度、研究成果の発表のための印刷費くらいを組んでいるだけなんです。まだ部門によっては、研究は終わっているけれども印刷費がないので成果の発表もできない、こういう状態にあるわけです。確かに閉鎖水域に対する基本的な調査研究はいま公害研でもやられているようであります。この間私も現地に視察に行ったら、中国工業試験所が十七億ほど投資をして瀬戸内海の大型水利実験の模型をつくって実際の水流調査や汚染の拡散状況等を調査しているわけです。あれと同じものが琵琶湖に必要なのかどうか私は知りませんけれども、しかし少なくともそういう公害研でいまやっておるような基礎理論的な調査研究、さらには、何か数値モデル化していろいろ予測を出したりすることもあるそうですね、そういう理論的なことに加えてそういう模型をつくって実験することとか、あるいは実物に対して観測を強化するというふうなことを総合的にやることが非常に重要だということを聞くわけです。そういう意味で、ひとつ国の責任と国の力による特別な研究を琵琶湖を対象にして実行することを検討してほしい。滋賀県の琵琶湖は代表的な湖沼でありますから、できればこれを対象にした国の研究機関が、どこが受け持つかは別にして、あってもしかるべきではないかと思うのです。こういう点について、環境庁と、最後に、調整機能を持った大臣の見解を伺って終わりたいと思うのです。
  299. 加来利一

    ○加来説明員 ただいま先生のおっしゃられました点につきましては、帰りまして上司に御報告申し上げます。そのような方向になるようになりますかどうか、さらに上司の方で判断されると思いますので、報告したいと思います。
  300. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 お話しの点につきましては、環境庁ともよく協議いたしまして、われわれとして当然しなければならぬ点につきましては十分努力をする考えでおります。
  301. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 これにて本日の質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  302. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、来る五月十日、動力炉・核燃料開発事業団及び電気事業連合会から参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その人選等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  303. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、来る五月十日水曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十六分散会