運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-03-29 第84回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十九日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 岡本 富夫君    理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君    理事 佐々木義武君 理事 石野 久男君    理事 日野 市朗君 理事 貝沼 次郎君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    玉沢徳一郎君       原田昇左右君    与謝野 馨君       渡辺 栄一君    安島 友義君       上坂  昇君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     半澤 治雄君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁振興         局長      杉浦  博君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君  委員外出席者         外務省国際連合         局科学課長   太田  博君         通商産業省立地         公害局保安課長 水野  哲君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(宇宙開発に関す  る問題等)      ————◇—————
  2. 岡本富夫

    岡本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 きょうは一般質問でございますので、大臣にいろいろなことをお伺いいたしますが、きょうの新聞中国スカイラブ計画科学技術大綱の草案というのが発表されております。中国科学技術の方で日本より進んでおるかおくれておるか、それはわかりませんけれども、この発表を見て日本政府科学技術庁はどういうふうにお考えになっておられるか、まずその点からお聞かせいただきたい。
  4. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  私どもも、けさの報道で、中国科学技術振興の中の一つの柱といたしまして宇宙を掲げまして、特にスカイラブというような人間の乗った宇宙船につきましても一九八五年ごろまでに開発をしたいということを発表していると聞いた次第でございます。宇宙に関しましては、すでに新聞等報道されておりますが、わが国も三月に宇宙開発委員会におかれまして宇宙開発政策大綱というものをお決めになりまして、今後十五年間にわたる日本宇宙開発の基本的な枠組みと方向についてお示しをいただいたところでございますが、その中で日本もやはり従来型の人工衛星というものだけでなくて将来は人間の乗った宇宙船と称すべきもの、中国で言っておる、新聞報道等によるスカイラブというものに相当するかと思いますけれども、こういったものに着手しなければならないということを表明されておるわけでございます。当然宇宙開発というものがそれぞれ国益の問題とそれから今後国際間の協調によります宇宙空間というものを人類が活用していくという面におきまして非常に大きな意義を有しておると存じておりますので、宇宙開発につきまして、日本として、私どもも大いに努力をしてまいる所存でございます。また、これらを含む科学技術全般についてできるだけの寄与をするべく進めていかなければならないと考えておるところでございます。
  5. 石野久男

    石野委員 私は中国科学技術大綱なるものをまだ詳細勉強しておりませんし、わかっておりませんが、ただ新聞報道で特に注目されまするのは、「研究人員八十万人に」という見出しが出ておるわけですね。科学において研究人員をどのように充実するかということはいずれの国においても非常に重要なことだと思うのです。わが国における科学技術の問題で人員がどのように焦点として重視されておるかという点で、私自身としては一点疑義を持っております。八十万人という中国研究人員人口が多いからこれは当然のことだ、こういうふうに見られるのだろうか、それとも、科学技術振興というたてまえからすればこれをどういうふうにごらんになっておられるか、そしてまたわが国研究人員の問題についてはどういうふうにお考えになっておるか、所見を承りたい。
  6. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のように科学技術振興のためには、やはり研究者というものがすべての根幹になるものでございますので、その育成ということが非常に重要な問題かと考えております。ただいま私は詳細な数字をここに持っておりませんけれども日本におきましていわゆる研究者の数が総体で二十六万人というような一つ数字を持っております。御指摘のように中国の全体の人口ということを考えますと、八十万人というのがいまのわが国と比較いたしまして特に巨大という感じではないと思いますけれども、恐らくは、あれだけの多くの人口の中からすぐれた研究者を育てていくという方針で臨まれた場合に、非常に優秀な研究者が育ってくるものと思われます。日本といたしましても、当然、今後の日本国益を守るために科学技術振興ということはきわめて重要でございますので、研究者養成ということについては十分意を尽くしていくべきものと考える次第でございます。
  7. 石野久男

    石野委員 中国人口日本の八倍ありますから、研究人員中国が八十万人だったら日本は十万人ぐらいでいい、こういうような算術計算での人員に対する見解というものを政府は持っておられるのでしょうか。それとも、研究人員についてはどういうような考え方をお持ちでしょうか、そういう点をちょっとお聞かせ願いたい。
  8. 園山重道

    園山政府委員 単に算術計算人口比率幾らについて研究者が何人おればいいという問題では決してないと思っております。特に日本のようによく言われます資源のない国で技術立国を図っていかなければならない立場にございますと、諸外国に比べましても研究者の数というのはむしろ多くあるべきであり、しかもその質も非常に高いことが要求されるものと思う次第でございます。こういった研究者科学者養成につきましてのそれぞれの各省庁におきます責任もございますので、それら各省それぞれの所管に従っての努力が必要かと存じます。
  9. 石野久男

    石野委員 科学技術全般から見ればなかなか問題が多いと思いますが、宇宙衛星の問題、宇宙科学あるいは原子力科学というようなものについて、各国日本のそれとを比較しまして大体どんなふうになっておるのだろうか、そこをひとつ。
  10. 園山重道

    園山政府委員 まず宇宙関係について御説明をいたしますけれども、御承知のように日本宇宙開発は、本格的に開始されましてから十数年でございますけれども、諸外国に比べまして、特に先進国におきましては宇宙開発基盤といたしまして、いろいろ軍用のロケットその他の研究基盤というものがございまして、その上に立っておりますが、日本では純粋に平和志向ということで始まっておりますので、この十数年間、特に宇宙開発事業団等におきましては、できるだけ先進国、特にアメリカ技術を、金で導入できるものにつきましては導入して、効率的にレベルを高めるということに専念をいたしております。したがいまして、宇宙開発についての研究者科学者等人口が、現在まだ十分層厚く整備されたという状態ではないと思っております。  しかし、これからの宇宙開発につきましては、非常に技術的先導力があるということで、各方面の科学技術の進展に寄与できるということでございますので、私どもといたしましては、できるだけ幅広く層の厚い研究者技術者を育てていきたい、こう考えておるところでございます。
  11. 石野久男

    石野委員 その目標はどういうところにまで持っておりますか。
  12. 園山重道

    園山政府委員 現在、研究者技術者人数につきまして、明確な目標というものを持っておるわけではございません。今後プロジェクトその他が進展いたしますのにつれて、これに必要な直接的な技術者研究者あるいはそれを支える技術者研究者の層を広めていくというように考えておるところでございます。
  13. 石野久男

    石野委員 科学技術の問題は、宇宙だけでなく原子力もそうですけれども、よその国の技術を土台にして日本がいろいろな仕事をしていくということでは、いつまでたっても自主的な開発というものを期待することができない。もういずれの分野においても、日本が自主的な能力の開発ということを学問的にも技術的にもやっていかなくちゃならぬ時期に来ていると思いますけれども、いま宇宙について、必ずしも一定方針といいますか、そういう目安を持っていないということになりますと、科学技術全般について政府が何をやろうとしているのかちっともわからなくなってしまいますが、宇宙にしても原子力にしても、もう現状のままでいいというふうにお考えなのだろうか、それとも何かそういう研究員なり技術員増強ということについて特定な方策をお持ちなのか、そこのところを明確にしてもらいたい。
  14. 園山重道

    園山政府委員 先ほどの御質問で、特に研究者人数ということに焦点を当てましたので、具体的な数字としての目標を設定していないということを申し上げたわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、自主技術育成ということは、目下宇宙関係におきましても最大の重要な事項と考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました三月に宇宙開発委員会で決められました政策大綱という中におきましても、従来、導入技術基盤として築いてきたものを自主技術として定着させ、そこからさらにいわゆる日本独自の技術というものを育てて、できるだけ一九九〇年代という時点には、日本独自の技術を持って、国際的な需要にも応じ得るレベルに達しなければならないということを目標にいたしております。  これをやります場合にも、宇宙開発というのは、よく言われますようにシステム技術の典型でありまして、大きなプロジェクトを進めていくというところに大きな意義がございますので、いわゆる一般的な研究者技術者養成ということももちろん重要でございますけれども、こういったプロジェクトを推進しながらそれに携わる技術者研究者が力をつけていくということがきわめて重要であり、その中からやはり独自の技術創造性というものが生まれてくる、このように考えておりますので、できるだけプロジェクトを整々と進めていくという計画を今後具体化していく必要があると考えておるところでございます。
  15. 石野久男

    石野委員 諸外国状態は、わが国科学技術政策の上で一つの参考にもなるし、また場合によっては、それと同等の人員を整備しなければ、一つ学問体系というものに成功することはできないのではないだろうかというような考えを私は持っております。それは、特に優秀な人が一人おれば他国の百人に匹敵するという方もままあるでしょうけれども、しかし、全体としては、人口が多いから研究員が多く、人口が少ないから研究員が少ない、それで同じような結果が出るとは思われない。ですから、中国で八十万の研究員が必要だとすれば、日本だってそれだけのものがないと、それに相対応する成果を期待することはできないだろう、こう思う。アメリカのそれに比較してなお劣っておるというようなことを考えると、人員の整備というのは非常に重要だと思うのです。これは科学技術庁としては、宇宙開発だけではなしにすべての分野について、他の省庁よりももっと研究員なりそういう部面での人員増強するということに力を入れるべきでないだろうか、こういうように私は思いますけれども、そういう点について、予算上の措置等で特に顕著な努力をなさっておられるようにも思われない。これでいいんだろうかどうだろうかと私は疑問を持っておりますが、なぜこういうことになっておるのだろうか。これは宇宙開発関係だけではなく、科学技術全般についてですが、どういうところにその原因があるのか、お聞かせ願いたい。
  16. 園山重道

    園山政府委員 当庁全般の具体的な研究者技術者養成充実の問題につきまして私からお答えするのもいかがかとも思いますけれども、私の承知いたしておりますところでは、今日、非常に高度な研究者技術者というものを養成する第一の過程は、学校教育にあるものと思うわけでございます。文部省の所管しておられます大学教育を初め、学校教育の中で十分その点についての御配慮がなされておるものと理解いたしておりますが、科学技術庁といたしましては、そういう学校教育を終えて研究技術的な方に進む人たちにつきまして、当然、科学技術庁あるいはその傘下の研究所法人等におきましてできるだけ規模を拡大いたしまして、多くの研究者技術者を使ってそこで働いてもらうという施策一つ行われておるのでございますが、そのほかにも、各省庁付属研究機関等におきましてできるだけ研究活動が活発化するように、私ども調整機能の中におきましてできるだけの努力をいたしておるわけでございます。  さらに、資質の向上ということで、国立の研究機関等に勤務する職員に対しまして海外留学制度、あるいは国内におきまして大学等に入学する制度というものも持っておりまして、そういった総合的な施策の中で、できるだけ科学技術の人的なパワーをふやしていくという努力を重ねておるというように承知しているところでございます。
  17. 石野久男

    石野委員 大臣にお尋ねしますが、科学技術庁はいま各部局がありますけれども各局における人員はもうこれで十分だとお考えになっておられるのだろうか。それとも、不十分ではあるけれども予算でどうしてもこれ以上はとれない、そういうような壁にぶつかっておるので仕方がない、こういうことなのだろうか、そこらのところをひとつお聞かせ願いたいのです。
  18. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 決してこれで十分であるとは思っておりません。特にその中でも必要なものもございますので、そういう必要な部局につきましてはさらに努力を重ねまして、その充実を図ってまいりたい、このように考えております。
  19. 石野久男

    石野委員 必要なところには充実を図っていきたいと思っても、できなければこれはどうにもなりませんが、特にいま科学技術庁として研究員なりあるいは人員充実を図らなければならない局なり部というのはどういうところなんですか。
  20. 園山重道

    園山政府委員 科学技術庁の中にも内局及び付属機関としての研究機関があるわけでございまして、内局につきまして各局別重点いかんという御質問でございますが、これはやはりそれぞれの必要性に応じまして、バランスをもって構成しておるところでございますし、また、特に政府全体としての定員削減というような一連の御方針もございますので、その中で当庁だけということはなかなかむずかしいことかと考えております。付属試験研究機関等につきましては、厳しい定員削減の全体の方針の中でも、できるだけ必要な人員が確保されるように努力をいたしておるところでございまして、これは当庁だけでなく、全部の国の付属研究機関等におきます研究職定員というのは、昨年度一万七十五名でございましたのが、一万百十六名と、全体としてわずかではございますが、全体の定員を減らしていくという中におきまして、研究機関関係職員については増員が図られております。今後ともこういった努力は全般的に進めていかなければならないのじゃないか、このように考えておる次第でございます。
  21. 石野久男

    石野委員 政府定員削減という方針を持っておるときに、科学技術庁は若干の増員があったのだからということで、わが国科学技術の前進に大きく役立つかどうかということについては、なかなかそのことだけでは決めにくいのだろうと思うのです。私は、この定員削減という政府方針と、科学技術庁の管掌する人員との関係では、政府方針どおりで仕方ないのだということになりますと、各国との科学技術に対する競争というわけじゃないけれども他国をぬきんでて、よりよい成果を上げるということは非常にむずかしかろうと思いますが、そういう点については一定主張をなさっておるのだろうか。そしてまた、本年度予算は衆議院を通っていますが、参議院も通るのでしょうが、次年度についてはどういうように考えておられるか、そこらのところをひとつ聞かしてもらいたい。
  22. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 もっともな御意見であり、またお尋ねであると考えます。  御承知でございますが、それぞれに研究の問題につきましては計画がございますので、そういう計画が支障なく推進できますように、それに必要な人員は、できるだけ確保できるようにしながら今日まで来ているわけでございますので、今後もその方針を貫きまして、計画どおり仕事が進みますように努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  それからもう一つ。全体の人員が減るから科学技術庁もそれに応じて減らしていいというような性格のものではないことは言うまでもないわけであります。したがって、行政改革等の点につきましても、やはりそういう一般行政事務取り扱い研究開発取り扱いとは、これは全く別個のものであるということは仰せられるまでもなくごもっともでありまして、そういう方針を今後とも貫いてまいりたい、このように考えております。
  23. 石野久男

    石野委員 大臣の言うことは一般論で、それはわからないわけじゃありませんが、それならば現状人員問題については科学技術庁としてはこれで満足しているのかどうかという問題にかかわるのですが、これでいいのですか、どうなんですか。足りないのですか。もうこれでいいというのですか。どっちですか。
  24. 園山重道

    園山政府委員 先ほど、いわゆる国の付属研究機関あるいは内局等を対象に申し上げたわけでございますけれども、特に大きなプロジェクトとして推進しております原子力あるいは宇宙関係海洋開発等につきましては、直接の国家公務員ではございませんので、それぞれに充実する事業団等人員につきましては相当大きな増員も認められておるわけでございます。  御指摘のように、それでは現在のような体制あるいは定員でいいのかという御質問でございますけれども、これはそれぞれの機関におきます計画につきまして、恐らくは、それぞれの機関におきまして、もっと定員が欲しいということは痛切に感じておられるところと思いますけれども、私どもとしては、できるだけこの研究開発の有効な進め方ということを考えまして、政府全体としてできるだけ公務員規模を小さくおさめるということに協力をしながら、必要な分野についての定員は確保していく。特に御指摘のように、科学技術振興というのは、私どもは今後日本にとってきわめて重要だと考えておりますし、それを推進すべき立場にある科学技術庁といたしましては、今後とも特段の努力をしていかなければならないことと存じておる次第でございます。
  25. 石野久男

    石野委員 人員問題については、また他日各省庁にお聞きする機会を持ちたいと思いますけれども、いずれにしても、必ずしも十分な人員じゃないと思うのです。  一つお聞きしておきたいのは、中国で主な科学技術分野で八十万人の専門的な研究員をつくろうということがはっきりしておりますね。日本の場合は、それに見合うようなものとして、仮に二十六万人という研究員がおりますといっても、これは恐らく宇宙開発関係だけじゃないのだろうと思います。科学技術庁全般を言ったことだろうと思いますが、アメリカなんかと比較すればてんで問題にならない研究員の不足でしょう。そういうことと見合って、もう少し全体としての研究員をふやすということをやりませんと、資源の乏しい日本のような国では、他国との競争に勝ち抜いていくことはできないし、そのしわ寄せは結局労働者の低賃金ということに行かざるを得なくなってしまうのですね。頭脳開発はなかなかできないということになる。そういう観点からも、研究員増強というのはもっと積極的に施策の中に反映されなければいけないだろう、こういうふうに思います。  そういう意味で、政府部内における科学技術庁としての主張点というものを明確に打ち出すべきじゃないかということ、それに対するお考えをお聞きしたいし、それから、なお十分でない人を、質的向上を図るために学校にやったり、あるいはその他海外研究視察などをさせるというようなことも一つの手でございましょうけれども研究員というのは頭を働かすわけですから、肉体労働とちょっと違って年とともにだんだん練れていくし、その深さも深まっていくと思うのです。そういう点で研究員というものは、大学の教授などに定年がないと同じように、年次が深まっていくからといって、それはほかの肉体労働者のように扱うべきでないだろう、こう思います。そういう点についての扱い方の問題、これはぜひひとつ特に考えるべきじゃないだろうか、こういうように思うのです。概括しまして、そういう人材を時間的にも長く、しかも深みのあるものにしていくためにも、やはり普通の肉体労働者のような扱いをすべきじゃなくて、定年の問題などは特に、他と比べてもっとゆとりのある扱いをすべきでないだろうか、こういうように思いますけれども、その点はどうでしょうか。
  26. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま研究開発要員の数の問題、それからいわば質の問題などについて御意見がございました。もちろん先ほどから申し上げておりますように、きわめて重要な問題で、私ども考え方において少しも異存があるわけではございません。ただ、実際問題になりますと、十分御期待に沿っているような現状ではあるいはないかもしれませんが、今後ともできるだけそういう御発言の趣旨を取り入れて、より強力に進めてまいりたいと考えております。
  27. 石野久男

    石野委員 大臣、それは一般論としてよくわかるのだけれども、たとえば、原子力研究所従業員の諸君が定年延長の問題を長いこと研究所に対して要請しているわけですよ。科学技術庁所管内においても、原子力研究所従業員定年というのは、よそのところから見れば低いし、一年間ぐらいの嘱託とかなにかでの延長のようなものはあったとしても、それが十分にいかない。本院においても、この問題では何遍も宗像さんにも来てもらったりして、その問題についてのお話もお聞きしたりしております。昨年からことしの初めにかけてこの委員会でも、原子力研究所定年延長の問題について、一定方針というものは受けとめられるようなものとして私ども研究所長の答弁も聞いたし、それから科学技術庁の意向もお聞きしておったのです。ところが、現実にはどうもやはり組合との話し合いの中でそのようにいっていない。せいぜい嘱託期間を一年ぐらい延ばすというようなところでとまりだということです。原子力研究所定年延長というものをそんなにむずかしく考えなければならない理由はどういうところにあるのだろうか。雇用の問題等を含めてこうしなければならぬということなのだろうか、予算がないからなのであろうか、これはどういうことなのだろうか、ちょっと私も解せないのです。科学技術庁としてはこの問題をどういうふうにお考えになっておられるか、ひとつ割ったところを話を聞かせてもらいたいのです。
  28. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 具体的な詳しい内容はまた政府委員から御説明させますが、これにつきましては、私ども承知しておりますところでは、延長すべきだという考え方と、また別の見地からそれをある程度に抑えるべきだという考え方といろいろありまして、これは原研の当局と組合との間にいろいろ話し合いが続けられてきておりまして、その話し合いで双方の意見調整できるような点を、科学技術庁で認めたいというように考えているわけでございます。その問題で、たしかもう調整ができたように承っておりますが、詳細はまた政府委員からお答えいたさせます。後ですぐ所管局長が参りまして、その点についてもう少し詳細にお答えをいたしたいと存じます。
  29. 石野久男

    石野委員 原子力局長が来たらその話をまたお聞きしたいと思いますけれども大臣にお聞きします。  増員をするというのと、いやしばらくそんなにしないでもという考え方とがあるということですが、研究人員が足りないということは、もう一般的に見てもだれも認めることで、そうじゃない、研究員があり余っているのだと言う人は一人もいないと思うのですよ。特に原子力研究所というのは、日本原子力研究開発についてのメッカだと言われる根城でもございます。そこでの研究所員が、もう五十五か六になったら使いものにならないのだということなのだろうか。六十、七十になったって、むしろそういうときにこそもっともっとその頭脳を使っていくようにしなければいけないのに、定年が五十五、嘱託期限をさらに一年延ばす、そんなことをやらなければならない理由はどこにあるのか、私はちょっとわからないのですよ。なぜ定年延長ができないのか。予算の問題ならば、また予算の問題の解決の仕方があるのではないだろうか。それとも研究所研究員というものはもうふやさない方がいいのだという基本的な考え方があって、けれども労働問題としては首を切るわけにいかないから、仕方がないから一年間嘱託にでもして置いておくのだということなのだろうか、どちらなのだろうかということについて、局長はまた局長で細かいことはございましょうが、大臣はその点についてどういうふうにお考えになっておるか、ひとつ聞かせてもらいたい。
  30. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いまの点でございますが、第一、数もはっきり覚えておりませんが、今年度予算で幾らか増員したように思っております。いま人員の増加は積極的には非常に困難な状態であることは御承知のとおりでございますが、たしか原研の場合はふやしたように思っております。  それから、定年延長することが予算関係とかあるいはいろいろな関係とかいうふうなお考え方もあるようにお聞きしましたが、そういう簡単な理由ではないように思っております。それも後でまた答弁させますが、決してそのような簡単な理由ではないように思っております。  それからもう一つ。これは非常に率直な話でございますが、待遇などの問題につきましても、先般も私どもとしましては、特に原研はたくさん要員もおられますので、そういう点で、十分なことはできませんが、絶えずほかのいろいろな機関と比べまして、そういう点に均衡を失するようなことがないか、十分ひとつ調べてもらって、万一そういうことがあるとしたならば、そういうことが万々ないようにしなければならぬ、そういうことも考えまして、いま申しましたように、待遇等の点で考えなければならぬ点がないかということも関心を持っておるわけでございまして、いろいろな点でできるだけそういう点を考慮しているつもりでございます。
  31. 石野久男

    石野委員 予算等のようなそういう簡単な理由じゃなさそうだということになると、これはもっと聞かないといけない。定年問題は予算などの簡単な理由じゃない理由があるとすると、これはちょっと聞かなくちゃいけない。それからなお、待遇の問題でよそ様よりもよ過ぎるんじゃないだろうかというようなことになるとまた考えなくちゃならぬ、こういうことになりますと、これまた一つ問題がある。実は、原子力研究所というのは特殊法人で、どちらかというと、研究所をつくった当初から待遇の問題ではほかよりもいいようにしてあるはずなんですよ。当時の事情から言えば、この部門は新しく開発する部門であって、ほかよりも優遇しないとなかなか人は集まらない、特に大学などにおる人たちをできるだけあそこへ集めてというような意図もあって、そういうようなものになっているはずなんであって、それを平準化させようという意図がもしこの定年延長の問題と絡んでいるとするならば、これはゆゆしい問題になってくると私は思いますので、いまの御答弁は私はやはりちょっと理解できませんから、もう一度聞かしてもらいましょう。
  32. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 人員の問題ははっきり記憶しておりませんのでさっきわからないということを申しましたが、今年度は、十分ではありませんが、大体三十人増員しているような状態でございます。  それから最後の、いまの問題でございますが、それはあべこべでございまして、むしろ、いろいろな点から考えて、そういう考え方から低いことはないかということを調べさせているわけでありまして、決して高過ぎるからどうの、何がどうのなんということは夢にも思っておりませんので、その点はひとつ御了承いただきたいと考えます。     〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕
  33. 石野久男

    石野委員 じゃ、局長が来てからこの問題は聞かしていただくようにいたします。  外務省がおいでになっておると思いますが、衛星、特にソ連の原子炉衛星がカナダに落ちたということで、この問題については国際的な問題になっており、日本も国連の宇宙空間平和利用委員会の方に一定の申し入れなどもして、その後どういうふうになっているかは私どもはっきりわからないのですが、その間の経緯と現在どういうふうに問題が扱われているのかについて御説明いただきたいと思います。
  34. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  原子力衛星の問題につきましては、これは御承知のように一月の二十四日にソ連の原子炉を搭載した衛星がカナダ上空の大気圏に再突入したわけでございますけれども、二月の中旬から三月の上旬にかけまして国連の宇宙空間平和利用委員会科学技術委員会というのが開催されまして、そこでわが国は、このような危険というのはあらゆる手段を通じて防がれるべきである、人工衛星の安全性はあらゆる手段によって確保されなければならないという観点から、この問題を直ちに検討するように提案いたしまして、科学技術委員会でございましたので、特にまず科学技術的な関連の情報を関係国に出してほしいということを申すとともに、どういうふうにしたら原子力衛星の安全が確保できるかという点について総合的な検討を行うべきであって、そのために特別作業部会を設置すべきであるという提案をいたしました。  この提案に対しまして、本件問題に特に関心の深いカナダそれからスウェーデン等が賛意を表しまして、わが国の代表がこれらの関心を持っている国の代表と一緒になりましていろいろ各国に働きかけたわけでございます。大体各国の反応は好意的でございましたけれども、ソ連それから一部の東欧諸国が、原子力衛星の安全性は十分確保されているのでそのような形で本件を検討する必要はないということを強く主張いたしまして、残念ながら科学技術委員会の期間の間にはこの特別作業部会の設置ということについて合意が得られませんでした。  それから今月の十三日から、実は現在も行われておりますけれども、ジュネーブで今度は国連の宇宙空間平和利用委員会の法律小委員会というのが行われまして、     〔佐々木(義)委員長代理退席、小沢(一)委員長代理着席〕 ここでまたわが国は、さきの科学技術委員会における提案の続きといたしまして、法律小委員会でございますから、法律的な側面からもやはり安全性確保の問題を総合的に検討すべきであるという発言をいたしまして、特に事前通報をもう少し強化すべきであるというようなことを中心にいたしましてわが方の代表が提案をいたしました。現在もこの法律小委員会というのが行われておりまして、特にわが国とカナダとスウェーデンが中心になりまして、法律小委員会として事前通報制度の拡充を中心といたしまして、親委員会の国連の宇宙空間平和利用委員会が六月に行われることになっておりますけれども、その親委員会に出すべき勧告と申しますか、その案を現在ジュネーブで検討中でございます。それで、日本とスウェーデンとカナダの間では大体案が固まりまして、これから関係国に打診をいたしまして、それでいいということになりましたらばそれを法律小委員会の勧告として親委員会に報告する、そういう作業を行っているところでございます。
  35. 石野久男

    石野委員 そうしますと、いまそういう動きに対して、ソ連及び東欧には安全性は確保されているんだからということで作業部会についての提案を拒否するという態勢があり、その他の諸国、アメリカとかその他のところはどういうような傾向でございますか。
  36. 太田博

    ○太田説明員 米国は特別作業部会を設置して総合的に安全性の問題を検討するということに賛成しております。それからその他の国も一部の東欧諸国を除きましては大体賛成でございまして、それぞれどの側面を重視するかという点については各国ニュアンスの差はございますけれども、全体としてはこの問題を一つの特別の問題として総合的に検討すべきであるということについては大体賛成のようでございます。
  37. 石野久男

    石野委員 そうした総合的に賛成を得られておる、カナダ、スウェーデン、日本のまとめられたという案の骨子になるものはどういうような点でございますか。
  38. 太田博

    ○太田説明員 お答え申します。  これは、先ほど申しましたように、大体三カ国の問で意見調整がつきまして、これから打診するところでございまして、この案そのものについてはまだこれから各国の反応を徴するところでございます。ただ、ただいま申しましたように、一般的に言って、総合的に検討すべきであるということでは大体各国の感触が得られているというわけでございます。  それで、三カ国で検討いたしまして、これから関係国の感触を聞こうという案の骨子でございますが、これは法律小委員会でございますので、科学技術的な検討は先ほど申しましたように、まだこれから進められるということでございますので、科学技術的な検討を待たずに、法律小委員会だけでまずできるものについてやろうではないかということでございまして、二つございます。  一つは、通報制度の拡充ということでございまして、現在では宇宙関係の登録条約というのがございまして、打ち上げた衛星については国連に登録するということになっておりますけれども、今回の事件に照らしますと、この登録制度では必ずしも安全性に関する十分な情報が得られないのではないかということで、人工衛星、特に原子力衛星の打ち上げのいろいろな段階、たとえば打ち上げ前ですとか、打ち上げた直後でございますとか、それから異常運航が生じたと思われる時点でございますとか、いよいよ落ちそうだという段階でございますとか、そういういろいろな段階に、主として打ち上げ国が責任を持って関係国に通報するような制度を検討するのはどうかというのが一つ。それからもう一つは、異常事態が生じたときに緊急援助体制と申しますか、通報と、それから必要に応じて、たとえば放射性物質の排除その他につきまして国際的な協力のもとに対処する。そういう二点につきまして、できるだけ早く関係国の合意を得ようというのが三カ国の案の大体の骨子でございます。
  39. 石野久男

    石野委員 その骨子は、法律小委員会ですけれども、法律小委員会のそれだけでは十分でない、いわゆる特別作業部会に提案すべきであったと思われる提案骨子というようなものの内容はどんなことなんですか。
  40. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  これは、わが国の代表が科学技術委員会、法律小委員会の両方で行ったステートメントのうちの提案に相当する部分のことかと思われますけれども科学技術委員会の方では、まず、今回の事件及び原子力衛星の打ち上げ状況等につきまして、できるだけ詳細な情報及びデータを提供してほしい、それに基づきまして科学技術的な見地から、新たな規制が必要であるかないか、また必要であるとすればどういう規制が原子力衛星の安全確保のために必要か、そういうことを検討したい。それで、場合によりましては、原子力衛星の打ち上げ禁止の可能性も含めまして、厳しい規制措置が講ぜられるような検討を特別作業部会ですべきであるという提案をいたしました。  それから、法律小委員会でも大体同じでございますが、これは法律的な側面の検討でございますので、やはり人工衛星、特に原子力衛星の安全の基準の強化、安全確保の見地から、どういう法的規制に関する処置をとるべきであるか、それから、ただいま申しました三回の案の中に含まれております事前通報の制度の拡充と、いざという場合の国際協力体制、これを検討すべきであるということを提案いたしております。
  41. 石野久男

    石野委員 科学技術庁にお尋ねします。  特別作業部会の提案をしたときに、ソ連、東欧諸国が、十分安全が保障されておるからということで特別作業部会を拒否されたそうですが、わが国科学技術庁としても、ソ連、東欧諸国が安全性は十分保障されているということについて果たして納得されておるのですか、どうですか。
  42. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  ただいま外務省からの話がございましたけれども、先般開かれました科学技術委員会におきまして米国、ソ連等の説明によりますと、この原子力衛星についての安全措置というものには幾つかの方法が考えられておる。一つは、衛星が装備しております推進装置を働かして衛星の軌道を制御しまして、落ちてくる心配のない高い軌道へ上げる方法である。それから二番目は、落下の前に破壊しまして、大気圏に入りましたときに燃やしてしまう方法である。あるいは放射性物質を密閉したまま回収する方法、こういう措置が打ち上げ国によってとられているという説明があったと聞いております。  しかしながら、私ども、この問題につきまして詳細な資料その他を持っておるわけではございませんで、従来、そういった研究もこの分野につきましてはしておりませんので、果たしてどのような措置がとられているかということについて詳細な状態を把握しておるわけではございませんが、いまこれで確かに安全措置がとられておる、こう確信しておるわけではございません。そういうこともございまして、この原子力衛星に対する資料をもっと詳細に発表するようにということが提案の中に入っておるわけでございまして、これらにつきましては、国連の宇宙空間平和利用委員会の中でも、ただいま外務省から御説明がありましたように、なお努力が続けられておる、このように承知しておるわけでございます。
  43. 石野久男

    石野委員 ソ連や東欧諸国が安全性は確保されているということで、いま高い軌道に乗せておるとか早く燃やすような措置をしてある、あるいは落ちてくるときは密閉されている云々と言っているけれども、現実にはそうじゃないのですよ。落っこっちゃったんだし、密閉もされていないんだ。全部暴露されて、放射能はどんどん外へ出ている。こういう状態になると、この言い分というものは国際的に通用するような理屈じゃないというように思いますけれども、しかし国際会議では、こういうふうなことは現実と理論との間は遊離した形で論議が進んでいくものなんですか。現実に落っこっちゃって、あっちこっちに迷惑をかけている。その点どうなんだろうか。  それと同時に、これがカナダだったからいいようなものですけれども、もしこれが日本に落ちて、東京の真ん中に落ちたらどうなんだろう、私は東京の真ん中に落ちたときにはどういうようなことが想定されるんだろうかということについて実は心配しているのですが、はっきりわかりませんけれども、もし東京の都心にいまカナダに落ちたものと同じようなものが落ちたときにはわれわれはどういうようにこれに対処すべきなんだろうかということを少し考えてみなくちゃいけないのですが、科学技術庁でどのくらいのそれについての調査をなさっておられるか、細かいことがなければおおよそのところでもいいのですけれども、われわれに注意すべきことを教えてもらいたいと思います。
  44. 牧村信之

    ○牧村政府委員 東京の上に今回のような原子力衛星が落っこちた場合の想定等の勉強をしておるかということでございますが、端的に申し上げまして、私どもまだそこまでどういうような災害が起こるかということを判断し得る的確な情報をつかんでいないわけでございます。ただ、今回アメリカから事前にこういう衛星が落下するおそれがあるという連絡を受けました際に、先ほど研究調整局長もお答えいたしましたように、大気圏に突入する際には分解しあるいは焼失するように設計されておるというようなことを連絡されております。事実、ただいま先生がおっしゃいましたように、焼失しないで部分的には機材であるとかあるいは原子炉の構成部品と思われるようなものがカナダの地上に落っこちておるわけでございます。ただその他は大気中で相当程度焼えたことも想定されるわけでございます。と申しますのは、カナダの上空の放射能レベルは何ら上がっていないというふうに情報は伝えておりまして、相当燃えたけれども一部が落っこちてきたということでございます。しかもカナダは非常に広大な、人口の密集地帯ではございませんところに落ちましたために人的あるいは物的な被害は出なかったわけでございますが、東京の上空でそういうような一部の物体が落ちれば当然損害が起きるということは考えられるわけでございます。そういうようなことではございますけれども、今回カナダ政府がとりました汚染調査の結果であるとかどういうような体制で調査したかというようなことの情報を十分入手した上で、わが国としてもこれの対応を考えなければいけない問題ではないか、かように考えておる次第でございます。またその被害につきましても、放射能による被害と物体が落ちてくる物理的な被害等、いろいろ考えられるわけでございまして、その対策もそれぞれ当然異なるわけでございます。ただ、科学技術庁といたしましては、放射性物質による国民に与える被害を最低にすべき責任を持っておるわけでございますので、特にこの面につきましては今後も、カナダの実際の状況等のデータを入手次第、いろいろな検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  45. 石野久男

    石野委員 一度あることは二度あるとも言われておりますし、各国ともみな安全性を確保するために努力していることもよくわかるけれども、こういうような事実が具体的に出てまいりますと、相当数の衛星が飛んでおる限り同じようなことが出ないとは言い切れません。そこでそういうことに対する対応として、軍縮委員会の中で、特に六月の親委員会に対する法律小委員会でつくった案なりあるいは科学技術委員会でつくる案というものが提起されると思いますが、これはひとつ積極的にその線を進めてもらいたい。同時に国連の中でだけでなく、日本のように衛星の軌道のもとに国土がみんな横たわっている以上は、いっこういうことが出てこないとも限らないのですから、そのときの対応、国内的にわが国自身が対応する防衛策といいますか、被害を小さくとめるための案のようなものをつくらなければならぬと思いますけれども、その作業は政府としてやられますかどうですか、そこのところを聞かせてもらいたい。
  46. 園山重道

    園山政府委員 先生御指摘のように、今後国際的な場におきまして、こういった原子力衛星落下による事故というようなものが再び起きないように、最大限の努力を私どもは進めなければならないと思っておるところでございます。さらにまた、落ちてくるということが物理的に避けられないという状態が続きますならば、その場合に日本としてどういう対応策をするかということも非常に重要な問題でございます。衛星の落ちそうなものを発見いたしまして、これがどこに落ちるかということをあらかじめ予測するということはなかなかむずかしい問題でございまして、そのための観測施設等を完全にそろえるということになりますと非常に膨大な予算人員を要するものかと思います。むしろこの点につきましては、国際的に提案しておりますような国際間で相互に情報の連絡を密にして危険を予防するという方策を推進することが必要でございましょう。また、もし落ちてまいりました場合の対策につきましては、先ほど原子力安全局長がお答えいたしましたように、諸般の施策を検討しておかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  47. 石野久男

    石野委員 これは、幾ら観測しても落っこちてくるものを途中で網で受けるわけにもいかないのでしょうから、落っこちた場合にどうするかということの対策は、具体的にどこへでも当てはまるような一つ方針を持っていなくてはいけないと思われるのです。したがって、これについては早急に対応策としての政府方針を明確にしておいて、どこにでもそれが当てはまるような方針を立てておくべきだと思いますが、政府でそういうことを具体的にやられますか。
  48. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変むずかしい問題でございますが、問題は提起いたしまして政府部内で十分検討しなければならぬと思っております。特に、そういう放射能関係の問題は当庁の守備範囲でございますから、できるだけの対策を当庁として立てていきたい、このように考えております。
  49. 石野久男

    石野委員 ちょっと持ち時間をオーバーしておりますが、原子力局長おいでになっているようですから、原研の定年問題について、現状どうなっているか、またどういうふうにされようとしておるか、ひとつ聞かしてもらいたい。
  50. 山野正登

    ○山野政府委員 原研の定年問題につきましてただいまの状況を御報告申し上げますが、二月の下旬、先月の下旬から原研当局と労働組合との間で団体交渉が開始されておりまして、きょう現在も交渉が続いておるわけであります。理事者側としましては何とか今月中には決着を見たいということで、鋭意労使双方努力をいたしておるわけでございますが、二月の末に原研の当局が提示しました案と申しますのを御紹介申し上げますと、まず一つは、五十三年度中に定年退職になる職員について、本人が希望する場合には、研究所が業務上必要と認めた場合定年退職になった日の翌日から一年間の嘱託契約を交わす、それで給与は退職時の十分の六を支給するというのが第一項目でございます。第二項目は、当面の具体案は以上のとおりでございますが、定年延長問題については研究所は今後とも前向きに検討を進めていく。さらに第三項目としまして、五十三年九月に退職となる者については、四月に入り次第本人の希望を聴取したいので、研究所側としては三月末までに交渉を妥結したい。こういったふうな案を提示いたしておりまして、今月内の決着を目指して現在双方が努力をしているという段階でございます。  先ほど伺いますと、この定年延長問題がなかなか決着がむずかしいという理由についての御質問もあったように拝聴いたしておりますが、先生御承知のようにこの定年延長問題というのは、その組織の職員の年齢構成でございますとか、あるいは職員の昇進の問題といったふうなことにも絡む問題でございますので、そういういろいろな要素を勘案しながら総合的に理事者の方も決定していかなければならぬという事情もあるわけでございまして、決して当局側がサボタージュをしておるわけではないということでございます。今後とも理事者側は誠意をもって交渉を進めていくであろうということを私どもは期待をして見守っておるというのが現状でございます。
  51. 石野久男

    石野委員 そこで問題になるのは、理事者側の立場では、働いておる労働者の諸君に対して、年齢構成の問題や昇進の問題があるのでということから定年の問題はどうもむずかしい、こういうことになりますと、総体としての原子力研究所の所員をもうこれ以上ふやすということについては余り大きな希望もなければ要請もないということが前提でないとそういうことは出てこないのです。全体としての人員が足りない、もっとふやしてほしいというときならば、昇進とかあるいは年齢構成の問題は、下で新しいものが出てくれば必然的に上へせり上がっていくわけですから。ところが採用人員は、政府の規制によって人員の増加は抑えられているわけです。むしろ削減の方向へ行っているくらいですから、そうすると、研究所質的向上などということになるならば、定年延長ということはむしろそれに当てはまる。内容的にはむしろ質的向上充実させていき、作業効果を上げていく、よい結果をもたらすことになるはずです。それが、ただ昇進の問題とか早く課長にならなければいかぬ、早く部長にならなければならぬということだけで、定年延長するとそこへ来た人がまたおくれてしまうから、こういう意味ですか。     〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま申し上げましたのは、理事者側から私どもの聞いております総合的に判断しなければならないという事項の一例でございまして、それがもちろんすべてではないわけでございます。また御指摘のように、原研の組織自体、将来の業務量に応じて必要なものは人員を拡大していくということももちろん必要でございますので、そういったことも考慮に入れる。それから、新規の要員というものも五十三年度四十八名ばかりの者をいま予定をいたしておるわけでございまして、そういった定年延長をやりやすくする要素ももちろんあるわけでございますが、一方これをむずかしくする要素もあるわけでございますので、そういう両方の要素を総合勘案しながら決定をしていくということになっておる、そういう実情を御説明申し上げたわけでございます。もちろん御指摘のように定年延長しやすい方向の要因というものもあることは当然でございます。
  53. 石野久男

    石野委員 この定年延長を必要とする理由は、生活の問題、経済の情勢の変化等いろいろあるわけです。いまやどこの職場へ行っても定年延長は常識化しているわけです。とにかく科学技術庁関係だけでも一番おくれているのは原子力研究所ですよね。ほかはみんな五十八歳とか、場所によっては六十になっているわけでしょう。同じ科学技術庁関係の法人で原子力研究所だけがこんなにおくれているということについて、監督官庁としては足並みをそろえさせるようにしていくことの方が指導としてはいいのではないか。現場がもし足踏みしている場合であっても、あなた方の方で引き上げていって、定年延長に見合うような指導をすべきでないかというふうに思います。特に、前の長官の宇野さんのときには、いろいろな理由があってもとにかく定年延長の意向にはこたえようという答弁をこの委員会でしているのです。なぜその指導ができないのか。科学技術庁はそれを指導する意思はないのかどうか。科学技術庁意見をちょっと聞かしてもらいたい。
  54. 山野正登

    ○山野政府委員 この定年延長問題というのは本来労使間の話し合いで決めるべき問題というふうに私ども考えておるわけでございますが、御指摘のように、各法人間での不均衡がない方が望ましいであろうということは私どもも同感の立場であるわけでございますので、現在原研において労使間の話し合いでほかの法人と均衡をとり得る方向に進みつつあるということを私どもは期待して見守っておるという状況でございます。進んで労使間の話し合いの中に介入していくという姿勢はいまのところ差し控えたいというふうに考えております。
  55. 石野久男

    石野委員 介入ということでなくて、指導の問題、管理監督の面があると私は思うのです。科学技術庁がそういうふうに考えていない、もう現場当局が言うとおりにしておればいいんだということならば、何事についても監督官庁は必要でなくなってしまうと思うのです。人事管理の問題とか労務行政の問題等についてあなた方は、厳しくやるときはどんどん積極的に出ていく。むしろ、労働者の権利なり生活上の問題で、有利に展開し、また均衡がとれるように慫慂してやるということが必要なのではないか。科学技術庁はそういう考えはないのですか。労働組合側と折衝している調査官が、経営者が出した回答だから私どもはあれこれ言う必要はないということを言っている意味は、いま局長が言っていることと同じ意味だと思いますけれども、そうすると全然あなた方としてはこの問題については指導をする意図はないわけですね。宇野長官は定員増加の問題では、定年制を延長することになって若い人を採用しなくなるというのは理屈にならない、問題があっても私は財政当局と渾身の力をしぼって折衝するという前向きの答弁をしているのです。だから、あなた方はもうちょっと指導的役割りを果たしていいのではないか、それともその必要はないとお考えになっているのか、そこのところだけちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  56. 山野正登

    ○山野政府委員 私どもは、組合側に不利な問題、有利な問題、いずれを問わず、労使間の話し合いにゆだねてある問題には介入しないという姿勢をとっておるわけでございます。もちろん御指摘のように日本原子力研究所法によりまして私どもは指導監督をする立場にはございますけれども、労使間の話し合いで決めるべき問題というのは理事者側にお任せしておる問題でございまして、この指導監督の権限をもって労使間の話し合いに介入するという姿勢はとるつもりはございません。
  57. 石野久男

    石野委員 大臣、ちょっとお尋ねしておきます。  時間もございませんから、いずれこの問題はまた後で聞きますが、定年延長という問題は研究者質的向上の問題とも絡んでくる問題であり、それから、労働者の職場におけるところの心理的安定感を確保する上からいっても、あるいは生活権を確保してやるという意味からいっても、非常に重要であると思うのです。局長は、とにかく人事問題についてはもう介入しないんだ、労使間で話し合いをするものについては介入しないんだというような御趣旨の答弁をなさいました。科学技術庁はもうこの局長の答弁に尽きるのでございますかどうですか、その点だけちょっと聞かしておいてもらいたい。
  58. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 まあいまお答えしましたことは、一応はやはり労使間の問題であるから、大体は労使間の協調といいますか、話し合いを自主的にひとつ進めてもらってというお答えをしたものと思います。もっと基本的な、定年延長も含めた本当の意味の指導、また指導というよりはむしろ先ほど申しましたようにこちらが給与等の問題で積極的に考えなければならぬというような点がもしあるとしましたら、そういう点も含めまして、広い意味の指導ということはやはりしてまいりたい。当面労使の間で解決できます限りはひとつ労使間の協調ということを土台にしていこう、こういう考えでございまして、広義の意味で指導を放棄したわけでは決してありませんから、その点御了承願いたいと思います。
  59. 石野久男

    石野委員 確認しておきますが、局長はもう介入する意思はないということでございますが、大臣は広義の意味においての介入ということよりも話し合い、指導性を確保するということの御答弁がありました。局長との間のニュアンスは大分違うのです。だけれども、私は大臣の意向の方が庁の意向であろうと思っておりますから、そういうふうに理解してよろしいのですね。
  60. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 局長も私も本当の気持ちは変わっていないと思いますが、ちょっと表現が、ニュアンスが違ったのかと思いますので、どうか私が申し上げたことを御信頼いただきたいと思います。
  61. 山野正登

    ○山野政府委員 若干大臣の御答弁を補足さしていただきますが、私どもももちろん心情的には各法人が均衡のとれた姿にあるというのが最も望ましいということはよく理解しておるわけでございますし、そういう意味で、そういう方向にいくことを希望しながら期待しておるというような現状でございます。先ほど来申し上げておりますのは、かと申しまして法律による指導監督の権限を行使して介入するといったふうなことはする立場にないことを申し上げておるわけでございまして、大臣のおっしゃいます政治的な立場におきまして、法律で言う指導監督権限以外、まあいろいろな機会を通じましてよくわれわれの心情的な気持ちを先方に伝えるという趣旨における御指導というのは、これは当然あってしかるべきかと存じます。
  62. 岡本富夫

    岡本委員長 次に、日野市朗君。
  63. 日野市朗

    ○日野委員 ソ連の原子炉衛星コスモス954号が墜落をしたということで大分世情が騒然となりまして、マスコミなどからもずいぶん多くの情報が流れました。これは国の内外を問わず、かなりの騒然たる世情となったわけでありますが、このことは日本の国民のみならず、国際的にもかなり原子炉衛星というものに対する不安感といいますか、恐れといいますか、そういったものが非常に広範であり、根強いものであるというふうに私は考えますし、マスコミ等の取り扱い、それからみんなが大騒ぎをしたということもみんなの心の中に横たわっているそういった恐れ、不安感、これを如実に示したものだと思います。どうでしょう、同感いただけるでしょうか、まず大臣に伺いたいと思います。
  64. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 全く国民全般とされましては、このような、特に原子力衛星については非常に重大な不安を持っているものと考えます。
  65. 日野市朗

    ○日野委員 また大臣に伺いますからよく質問をお聞きいただきたいと思います。  その不安というのは結局帰するところ放射能に対する不安ですね、そういうふうに私思いますし、原子炉そのものに対する不安である、こういうふうにも私は理解できると思います。大臣はいかがでしょう。
  66. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 不安ということを厳密に申し上げれば、やはり破片がぶつかるということも物理的には可能でございます。したがって、そういう不安もありますが、主としては衛星の中に搭載されております原子炉から放射能が放射線となって漏れるということに対する不安、しかもこれは何ら予期しないところへ、また防護体制のできておらないところへこういうものが落ちてくるということに対する不安というふうに受けとめていいのではないかと考えます。
  67. 日野市朗

    ○日野委員 この事件が発生してから、予算委員会などで内閣総理大臣を初め外務大臣ども答弁しておられるのでありますが、全般の基調において政府のとられたこの事件に対する姿勢といいますか、反応といいますか、非常によろしいと思うわけです。つまりこういった危険を避けるためには、政府の方でもできるだけの努力を進めるという姿勢であろうかというふうに会議録などから読み取れるわけですが、長官の意見もやはり同様ですね。
  68. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 全く同様でございます。
  69. 日野市朗

    ○日野委員 この原子炉衛星については、まさに青天のへきれきといいますか、予想外の物が空から降ってきたような感じが現実にはするわけであります。しかし従来からのいろいろなデータを総合して考えてまいりますと、原子炉衛星が空を飛んでいる、またはプルトニウムなんかを使った原子力電池を装備した衛星が空を飛んでいるということについてはかなりデータはあったのではなかろうかというふうに考えられるところなんですが、わが国科学技術庁は、この原子力衛星がどの程度飛んでいて、どのようなものであるか、そしてどのような軌道上にあるか、つまりわが国の国民の安全という点から見てかなり強度の関心を本来であれば払っていなければならなかったのではないかと私考えるわけですが、どの程度の認識を持っておられたのでありましょうか。
  70. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように人工衛星にある種の原子力装置を積んでいるものが飛んでいるということにつきましては、従来から情報も入っておるわけでございまして、特にアメリカにつきましては、各年次の大統領の議会への報告の中でそういう衛星を上げているということにつきまして公式に発表されておりますので、その点は承知しておったところでございます。  ただソ連につきましては全く情報が入りませんで、どのような原子力装置を積んだものが飛んでいるかというのは、今回のコスモス954号の事故で初めて知ったわけでございまして、ソ連のものにつきましては、公式な国連等への通報の中にも、いわゆる一般的な科学研究的な表現がすべてコスーモスについてはとられておるわけでございます。  アメリカの方につきましては、私ども承知いたしておりますところでは、従来打ち上げましたものが二十二個でございますか、現在宇宙空間に飛んでおるものは二十個と承知いたしております。なお、アメリカ原子力装置を積みました衛星の一個だけ原子炉を積んだものがございまして、そのほかにつきましては、放射性同位元素、アイソトープを使った電池を搭載しているもの、こう承知をいたしております。特に二十個のうちの十一個というのは、例のアポロ計画によりまして月の探査であるとかその後の惑星探査等に使われているものでございまして、現在地球の周りを回っているものは九個というふうに承知いたしております。  先生御指摘のように、そういったものが宇宙空間を飛んでおれば、これが落ちてきたときの危険について当然予測すべきではなかったかということでございますけれども、確かに物理的な可能性としては考えられるものでございます。現在飛んでおります人工衛星一般、ロケットの残骸等を含めますと、全体で約四千五百個と言われておりますし、いままでに六十個ほどの人工の宇宙物体が地上に落下しているわけでございますが、ほとんどが燃え尽きまして、現在まで人体その他に対する具体的被害を与えたというものは一件もございませんでした。こういう宇宙空間を飛ぶものが地上に落下しますときは、よほど特殊なものでない限り燃え尽きてしまうというようなごく常識的な理解を私どもいたしておったわけでございまして、今回のコスモス954の落下によって初めてそういう危険性というものが具体的に知らされたということでございまして、今後はその点についても十分な研究をしていかなければならぬのじゃないか、こう考えておる次第でございます。
  71. 日野市朗

    ○日野委員 アメリカ原子力衛星についてはスナップ計画というものがございまして、これはかなり詳細な内容が現に公表されているわけであります。これは余りうまくいかなくて、余り使われていないようでありますが、しかし、現実に、一九六四年ですか、原子力電池のプルトニウム238約一キログラムを搭載した衛星が墜落、大気圏に突入して放射能がかなりばらまかれたというアメリカの例があります。またもう一つの例は、海中に電池そのものが墜落して、これは回収をされた。現実に墜落をしてきて、一つは燃え尽きた、もう一つは、これは海中に落ちたようでありますが、現物がそのまま地球上に落下した、こういう事態があった。このような事態については認識しておられたわけですね。
  72. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございまして、先生いま御指摘の一九六四年に、ナブサットあるいはトランシットという衛星がスナップ9Aという原子炉を積みまして、これが打ち上げロケットの故障によって大気圏に再突入したということを私ども承知いたしております。これについては、アメリカの大統領報告によりますと、大気圏に再突入した際に燃えて非常に微細な粒子となって広範囲に分散したということで、現実的にこれが被害を及ぼしたということはなくて、やはり一般的に燃え尽きたものというような理解でおったわけでございます。なお、最近のアメリカの報告によりますと、原子炉について燃え尽きるという方式はこの衛星のみであって、その後のものは密封して回収するとかいうような方式がとられるということも聞いております。  また、もう一件御指摘がございましたのも、一九六八年に、これは気象衛星でございますが、やはりロケットの誘導装置が誤動作をしたためロケットが破壊いたしまして、海中から原子力装置を回収したというように聞いております。したがいまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、これらの問題が特に具体的被害を及ぼしたということではないというような一般的な理解をいたしておった次第でございます。
  73. 日野市朗

    ○日野委員 いまの答弁にありましたように、アメリカの場合は、その後、電池を密封した箱に入れて回収するという方式がとられているわけでありますが、これは何しろえらい高いところから落ちてくるわけであります。幸いに海中に落ちたからその箱が破損しないで回収できたとも言えるのではないかと思うのですが、それが地上に落下した場合は、海に落ちた場合とはおのずから衝撃が違うであろうし、それが破壊されないという保証はないと思うのです。また、密封してあるということは、危険な放射能を帯びた物質がそれだけ密度濃く一カ所に集中的に落ちてくるということを意味するので、これはやはりわれわれとしては非常にマークして考えておかなければならないのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  74. 園山重道

    園山政府委員 確かに、私どもの接します資料、情報の中では、先生御指摘のような点が心配されるかと思います。ただ、私どもの理解といたしましては、いつ、どこに落ちてくるかわからないということではなくて、たとえばロケットに故障が生じました場合には、このロケットを破壊して落下する地域というのは大体海中になるような打ち上げ、経路の設計等も行われておりますので、そういったところを目指しておるものかと思っております。  なお、実際に宇宙に上がりまして人工衛星になった後、これは軌道を高く上げるとか、いろいろな方法があるようでございますけれども、これらは具体的にどこまで信頼性があるものか、確度高いものであるかということにつきましては私ども承知したいところでございまして、このようなことを含めて、国連の場において原子力衛星打ち上げ国はその資料について十分各国に公開するようにということを求めているところでございます。
  75. 日野市朗

    ○日野委員 いまの局長の答弁は、私は専門家ではないからよくわからない点も含めて、ちょっと甘いのじゃないかという感じもあるのです。これは海中に落下するように打ち上げて、それが成功すれば海中に落下するのであって、本当はそういう事態がないようにセットされているものでしょう。それが大体海中に落ちるように打ち上げられるのだというのはちょっと甘いような感じが私としてはするわけでありますが、それは私の参考意見として申し上げておいて、どうも時間がなくなってきましたので先を急ぎます。  ソ連のコスモス計画については、その内容はつまびらかにされないわけでありますが、コスモス計画の一連の衛星がどうも奇妙な動きをしたということはアメリカあたりでもちゃんと把握しているわけですね。そしてアメリカあたりでは、これは恐らく原子力衛星であろうというふうに見当をつけまして、現実にその見当がきちんと当たっていたわけですが、こういうコスモス計画で打ち上げられた一連の衛星なども、こっちから十分な関心を払っていれば、これは臭いぞということぐらいはわかったのではなかろうかという感じがするのですが、いかがでしょうか。
  76. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のように、コスモス衛星につきましては、これが954号という号数であることからもわかりますように、非常にたくさんのものが打ち上げられております。その目的につきましては一般に公表されておりません。ごく一般的な宇宙での科学あるいは技術研究というようなことが言われておりますので、個々の衛星につきまして、アメリカ側が今回どのような方法によりましてこれが原子力衛星であり、この軌道がおかしいということを把握したのか、その詳細につきましては発表されておりませんので、私どももよく承知していないのでございますけれども一般的に申し上げますと、アメリカはあらゆる宇宙物体に対します監視装置を整備いたしておりまして、恐らくは相当強力な全天空捜査できるようなレーダーとか、あるいは非常に高性能の光学望遠鏡カメラといったようなものを多数配置いたしまして把握しているのではないかと思われます。したがいまして、そういったことですべての宇宙飛しょう物体につきまして、それぞれの挙動を連続監視するということができますならば、その中で軌道がおかしく、だんだん下がっているというようなものを発見することは可能でございましょうし、それについて恐らくは今回もそのような情報に基づいて日本にも事前の通報があったのかと思われます。しかしながら、私ども日本でそれをやろうといたしますと、非常に膨大な施設と人員がかかるわけでございまして、私どもはいまそれを日本でやることはまず困難と申しますか、ほとんど不可能に近いということではないかと考えておるわけでございます。
  77. 日野市朗

    ○日野委員 これは非常に膨大な予算がかかるであろうし、大変な仕事であることはわかるのですが、大体米ソの主だった打ち上げのシリーズといいますか、そういったものは、原則的には国連には打ち上げますよということを報告するシステムは一応あるわけですね、これは強制力を別に持っているわけではないようでありますが。そういう中にコスモスのシリーズが報告されていなかったかどうか、これを日本で知っていなかったかどうか。いかがでしょうか。
  78. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、国連決議に基づく国連への通報というのが行われております。これで私どももこの954号についての情報は一応知っているわけでございますけれども、この通報の内容というのはきわめて簡単なものでございまして、私どもがコスモス954の国連への通報の内容というものを見てみますと、衛星名はコスモス954、打ち上げの目的は上層大気及び宇宙研究、打ち上げ日は一九七七年九月十八日。基本特性といたしまして、軌道の近地点、地球に一番近いところが二百五十九キロメートル、遠地点、遠いところが二百七十七キロメートル、赤道に対する傾斜角が六十五度、これだけしか出ておりませんので、たとえばわが国で追跡をいたすといたしますと、電波が出ているか出ていないかとか、あるいはもし出ている場合にはどういう周波数かということがわかりませんと、一般的な追跡ができませんので、これだけではこれに注目して監視を続けるということは、ちょっと現実的にはできないものかと思っておるわけでございます。
  79. 日野市朗

    ○日野委員 これは電波が出ていないとなかなか追跡できない、現実にはそういう問題はあろうかと思うのですが、そういうものを追跡するという努力を——これはいろいろな国際的な取り決め、条約等にまつのが本筋かとも思いますが、それ以外に何かこれを追跡する方法を開発していくという努力、こういうものはできないものでしょうか。
  80. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  技術的、物理的には、現にもうアメリカ等で相当高い精度でやっておりますので、できないということではないと思います。ただ、実際にそういう設備を日本にそろえまして、現在宇宙空間を飛んでおります衛星だけでも九百五十個、ロケットの残骸を入れますと、約四千五百個と言われておりますけれども、これ全部につきまして、常に気を配っているということになりますと、やはり非常に膨大な施設と膨大な人員というものが必要になるかと思われまして、私どもはちょっといま現実的な手段ではなくて、むしろ先生の御指摘のように、国際的な連絡、協調によりまして、そういう自分の国が打ち上げたものにつきましては、やはり当然自分でそれをチェックしていくというある種の義務もございましょうから、そういうところが積極的に情報を提供するというシステムをつくる方が、むしろ現実的な努力の方向ではないか、このように考えておるところでございます。
  81. 日野市朗

    ○日野委員 日本は、その国の位置、形状からいって、いわば衛星の軌道からいいますと、衛星銀座みたいなものですね。日本の上を飛び交っている衛星というものは非常に多いと思うのですが、いつ打ち上げたもので、その軌道がどういう軌道で、近地点がどのくらいで、遠地点がどのくらい、そしてその周期はどのくらいということであれば、これは臭いなと思われるようなものは——これは人工衛生とかそれからロケットの残骸とか、すべてを知り尽くせということはできないにしても、そのうちの幾つかに的をしぼって軌道をちゃんと見ていく。それからその軌道も、原子力衛星の場合はまず近いところを回して、それから遠いところにさらに押し上げるというようなことをコスモスなんかやっているわけでありますから、そういう軌道からある程度これはわかるような感じも私は実はするわけなんで、そういう努力もできるだけやっていただきたいものだというふうに思うのですが、そういう点について、これは非常に技術的な難点や何かがあることはわかりますが、大臣なんかどのようにお考えになっておられましょうか。
  82. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 もちろん大変重要な問題でございますから、できるならばそういう研究をしたいというふうに考えますが、これは先ほどから申しておりますように、非常に膨大な経費もかかりますし、それからまた技術も要りますし、それから国際的ななにもなければなかなか完全にうまくいかぬのじゃないかと思いますので、そういう点をいろいろ合わせまして、要望としては何とかそういうふうにしたいと思いますが、実行になりますと、よく専門家の間にも相談しなければ、さらに的確なことを申し上げるというわけにはいかぬと考えるわけでございます。
  83. 日野市朗

    ○日野委員 不幸にして日本にそのような原子炉衛星がおっこちてきた、また原子力電池を積んだ衛星がそのままおっこちてきたというような場合の予想される被害というようなもの、先ほど石野委員からの質問についてもどうも明確な答弁は出ていないようであります。ということは、まだそこらの検討も十分されていないということであろうかとも思うのでありますが、これはどういうような被害が予想されるのか、どのような規模のものが予想されるのかということを一応国民にもちゃんと知らしめておく必要があるのではなかろうか、そういうふうに私は考えるわけなんですが、どうですか。そういう被害の予測、それから被害の規模、そういったものについての検討を進めて、国民にこれを知らしめるという努力をこれからなさるおつもりはございますか。
  84. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変専門的なことにもなってまいりますから、また必要なことは政府委員から補完してお答えすることになるかもしれませんが、要するにそういう原子炉を搭載しました衛星が落ちてまいりますと、一番重大な問題は放射能でございます。放射能といいますか、その放射能の強さが一番問題であろうと思います。したがって、私も専門的に衛星の放射能の強さがどれくらいであるかということは申し上げられませんが、その放射能の強さに応じまして、その範囲内に、被曝をしない適切な方法をとっていかねばならぬ。われわれの考えておりますようなことを率直に申し上げますと、直撃を受けました地点におきましては相当の放射能あるいは放射線が出ると思いますが、離れていけば離れるに従って放射線は非常に希薄になっていくであろうと考えます。われわれとしては、そういうことが起きましたときには、直ちにそれに対する必要な放射線の監視は当然しますし、その放射線の強さによりまして、それに対する万全の手当ては、これはしたいではなしに、しなければならぬ。また現在でもする体制になっております。ただ、直撃して落ちましたところがどういうことになるか、この辺はちょっと私の素人考えでは申し上げにくいと思いますので、政府委員からお答えさせていただきます。
  85. 牧村信之

    ○牧村政府委員 被害の想定の問題でございますが、先ほども石野先生の御質問にお答えしたわけでございますけれども、この衛星が地上に落下した場合、米国、英国の発表によりますと、大気圏に再突入した際に分解して焼失するということが行われるように設計されておると言われておるわけでございます。しかしながら、今回カナダのケースに見られるように、一部の物体は地上に落下するかもしれないということが現実にあり、過去におきましても衛星の破片が地球上に落ちたのが何件か発見されておると聞いております。ただ、それがいままでのところ人畜に影響を与えたことがないということで、今回の事件が非常に世界じゅうの人々に衝撃を与えた、それが原子炉衛星であったからということで衝撃を与えたことかとも思いますけれども、冷静にカナダに落ちた問題をいろいろな新聞情報等も入れまして評価してみますと、物体に一部放射能を持ったものが落ちておることは事実のようでございます。しかしながら、大部分のものが上空で燃え尽きて、しかも、恐らく成層圏で燃え尽きて落下してきておるのではなかろうかと考えられるわけでございます。したがって、原子力衛星の中に含まれておりました核燃料等は大部分成層圏の中で飛散したのではなかろうかと思われるわけでございます。これは、日本を含めましてヨーロッパ諸国におきましても、落下後空中の放射能のレベルの測定をやっておるわけでございます。詳細な報告を逐一受けておるわけではございませんけれども、この衛星による空気中の放射能汚染の異常というものは、新聞報道等も含めましていままで何ら発表されておりません。そういうことでございますので、大体の衛星は成層圏で燃え尽きるとした場合には、原子力衛星であっても地球上の人間に放射能の影響を及ぼすということはきわめて少ないと考えられるわけでございます。しかも、この原子力衛星に搭載しております原子炉が、あるいは電池としてRIを使っております放射能の量が、アイソトープ電池につきましてはアメリカは比較的発表しておりまして、どのくらいのキュリー数を持っておるかということはわかっておるわけでございますが、ソ連の衛星につきましては(日野委員「時間がありませんから簡単に」と呼ぶ)わかっておりません。しかし、アメリカなどの発表とか想定によりますと、きわめてキュリー数が少ない、中国が行っております空気中の原爆よりきわめて少ない、そういう点で成層圏で燃えてくれれば影響は少ない、そういうふうに考えられる次第でございます。
  86. 日野市朗

    ○日野委員 どうも科技庁の皆さん非常に楽観的でいらっしゃるのですね。少なくとも私はこういう例を考える場合は、余り確率の数字に酔っぱらうべきではないと思うのですね。現にこの数年前に、ほとんど完全な形でソ連の秘密衛星のものと思われる球形の部品がそのままの形でニュージーランドの農園に落下しているというような例も言われておりますし、それから、本来ならば燃え尽きるのじゃなかろうかと思われる衛星のからとかロケットのからが落ちてくるなんというのはいっぱいあることですね。そして現に今度のコスモスの部品も燃え尽きることなく下まで落ちてきているのです。そういうことを見ますと、成層圏の中でみんな燃え尽きてどこかに雲散霧消してしまうなんという考え方にはちょっと私は賛同できないのですね。  私と同じような不安を持っている人はいっぱいいるのですよ。これは二月二日のニューヨーク・タイムズの社説でありますが、その中でこういうふうに言っている。「最悪の事故は、原子炉衛星が大気圏の下層で分解し、人口密集地帯の上空で放射性物質とガスの雨を降らせた場合である。そうなれば、数百人、いや数千人もの人々が殺されるだろう。」ニューヨーク・タイムズあたりですから、やみくもに変なことを書く新聞でもないと思うのですが、その社説でもこういう指摘をしておられるので、科技庁でもやはりこういう事態をも想定したいろいろなケースを考えて、どのような被害規模が予想されるのか、それに対してどういう措置をとるのか、そして国民の心構えとしてはどういうものでなければならないのか、こういうことをきちんと検討をする、このことはお約束いただけますか、大臣どうでしょう。
  87. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 決して酔っているわけではございませんので、ひとつ可能な限りそういう研究をいたします。
  88. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先ほど私はカナダに落ちたこのケースについて申し上げたわけで、先生おっしゃいますように、これが対流圏で主として燃えたということになりますと、広域な放射能の降下という被害があろうかと思います。そういうものに対して今後私どもも十分勉強していかなければいけない、また必要な対策は立てなくちゃいけないと考えております。しかしながら、私ども科学技術庁だけでできることではございませんので、関係各省とも慎重に相談しつつ、対策を立てる必要性等につきまして検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  89. 日野市朗

    ○日野委員 外務省に伺います。  先ほど石野委員質問に答えられて宇宙空間平和利用委員会科学技術委員会で幾つかの提起をなされたということを伺ったのですが、特に科学技術の側面からいろいろな提起をなされたというふうな御答弁がありました。禁止の可能性をも含めてやられたということなんですが、これはもう少し具体的にお示しいただけませんか。
  90. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  より具体的には、まずどういう安全措置を講ずるべきかということを検討するために、科学技術的なデータ及び情報をできるだけ詳細に知る必要がある、それが前提になるという認識に立ちまして、まずそういうデータなり情報を、主として打ち上げ国あるいは他の関係国からできるだけ出してほしいということをわが国の代表が発言したわけでございます。それで、できましたらばそういう問題を特別作業部会で検討して、先ほどからの御質問等にございましたけれども、われわれとしても、一体どの程度安全なのか、核物質がどのくらい積まれていて、安全装置としてはどういう安全装置が施されていて、どういう安全対策が講せられているか、そういうことがわかりませんと何をしたらいいかということがはっきり打ち出せませんので、まず科学技術委員会の場ではそういうデータ、情報の検討を行うべきであるということを申した次第でございます。
  91. 日野市朗

    ○日野委員 外務省の基本的な立場としては、こういう平和利用委員会というような場で国際間の協力を通してというようなことは当然でありましょうし、これをもっともっと強くやはり推していってもらいたいというふうにも思いますし、それから園田外相の予算委員会での答弁なんかによりましても、かなりの意欲を持ってこの問題に国際社会で取り組んでいこうという姿勢がうかがわれるところであるというふうに思うのですが、これはやはり、日本が被爆国としての立場からかなりイニシアチブをとった動きがもっともっと必要であろうというふうに思うのです。それで、特にソ連とかアメリカに対して、そういった情報をもらうという努力は、それぞれの大使館などを通してやっておられるわけでしょうか。
  92. 太田博

    ○太田説明員 その点につきましては、できるだけの努力はいままでもしてきたつもりでございます。先ほど園山局長の方からも御紹介がありましたように、アメリカにつきましてはかなり公表されている資料もございますので、そういう資料の入手には遺漏なきを期すとともに、そのほか関係の情報資料につきましても、適宜できるだけ速やかにこれを入手するように努めておるということでございます。  なお、ソ連につきましては、特に今回の落下事件に際しまして、在京のソ連の公使に対してできるだけ関連情報を教えてほしいということを欧亜局長から申し入れまして、一応の回答はあったわけでございますけれども、われわれから見てきわめて不十分でございますので、なお一層の関連情報を提供してほしいということを言い続けている次第でございます。
  93. 日野市朗

    ○日野委員 いわゆる宇宙三条約と言われるものを積極的に推進していくという立場でございますね。
  94. 太田博

    ○太田説明員 そのとおりでございます。
  95. 日野市朗

    ○日野委員 じゃ、時間がなくなりましたので、これで終わります。
  96. 岡本富夫

    岡本委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  97. 岡本富夫

    岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
  98. 貝沼次郎

    貝沼委員 きょうは、一般質問でありますので、原子力衛星の問題、それから先般地震の予知の問題につきまして参考人から意見を聴取いたしておりますので、それについての当局の見解、それを伺っておきたいと思います。なお、それにつけ加えて防災の立場から二つばかりただしておきたい、こう思っております。  初めに、午前中原子力衛星の問題、ずいぶんいろいろな角度から議論がございましたが、外国でもって飛ばしておる原子力衛星でありますので、日本としては、とる対策というのは非常にむずかしいと私は思いますが、まず初めに、けさのNHKのニュースによりますと、AP共同として、国連の宇宙空間平和利用委員会の年次会議に提出する報告書の中で、米国政府が明らかにしたとして、一九六一年から二十二個の原子力衛星を打ち上げた。そのうち五番番目の原子力衛星が、これはアメリカのものでありますが、一九六四年四月に誘導失敗をして大気圏に再突入して燃え尽きた、その際、全世界に放射能をまき散らした、こういうような意味の報道があったやに承っております。したがって、このことについて外務省で何か知っておることがありましたら、この際述べていただきたいと思います。
  99. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のニュースは、けさの新聞の幾つかにも報じられているようでございますが、実は、詳細につきましてはただいま照会中でございます。ただ、先般ニューヨークで行われました宇宙空間平和利用委員会科学技術委員会の報告書で、原子力衛星問題に関連した情報を各国が四月の末までに事務局に提出することという一項がございまして、恐らく報ぜられました報告書なるものは、アメリカがそのために用意したものではないかというふうに推察いたしております。  ただ、その報道によりますと、世界じゅうに放射能がまき散らされたとなっておりますが、その辺の書きぶり等を含めまして、ただいまアメリカの方に照会中でございます。
  100. 貝沼次郎

    貝沼委員 全世界に放射能をまき散らしたという表現はただごとでない表現でありますので、私も重大な関心を持っておるわけであります。また、恐らく、日本の国におきましては、原子爆弾の洗礼を受けておりますので、非常に関心が高いと思います。そういった点からも早く照会をしていただき、そしてその結果については当委員会にまた報告をしていただくようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  101. 太田博

    ○太田説明員 そのように取り計らいたいと思います。
  102. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、外国で飛ばしておる原子力衛星、それを日本は非常に心配をするという立場になるわけであります。そこで、ただ心配しておっただけでもいけませんし、向こうが勝手にやるものを、こっちがどうこうというのもまたむずかしい話でありますから、やはりそこは国際的なルールに従ってやらなければならぬだろうと思うのです。  そこで、たとえば俗に言う宇宙条約でありますが、この宇宙条約をずっと見てみますと、第四条は、核兵器を宇宙空間、地球を回る軌道に乗せてはならないというようなこと、あるいは第九条も、いろいろな環境問題が扱われておるように思えるわけでございます。そういったことから考えまして、この宇宙条約そのものについても、現在原子力衛星がカナダにおっこちた事故が起こったわけでありますから、もう一度この内容を検討し、そうして、そういうようなものが落ちてこないように措置をするのがまず大事なのではないか、こう考えるわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
  103. 太田博

    ○太田説明員 ただいま先生御指摘のとおり、現行の宇宙条約で、宇宙空間の平和利用の観点から幾つかの規定がございますけれども、今度の事件を契機といたしまして、人工衛星特に原子力衛星の安全確保の見地から、国際的な規制が現在のままで十分であるかどうか、もし新たな規制をするとしたらどのような規制が適当であるかということを至急検討すべきであるというのがわが国考え方でございまして、その線に沿いまして、さきの科学技術委員会でも発言をいたしましたし、現在行われております法律小委員会でも、そういう新たな国際規制措置の可能性、これをあらゆる角度から検討すべきであるということで臨んでおります。
  104. 貝沼次郎

    貝沼委員 洗い直しをしなければならない、そして日本の国もそれに沿って発言なり行動をとっておるということでございますが、この衛星の問題を、先ほど午前中のお話を聞いておりまして日本の国はわりとその情報が入ってくるのが少ないわけですね。今回のカナダに落下した分につきましてもアメリカにはちゃんと情報が入っておる。アメリカから日本に対して教えてくれたからこれがわかったということなんですね。したがってアメリカも黙っておるならばこれは全然わからないわけであります。かといって日本の国がすべてを知るということもまた不可能でありましょうから、どうすればわが国はそういう衛星に対する情報というものが入手できるのか。要するに日本がより多くの情報を入手できる方法というものはどうすればよいのか、この辺のところはやはり私は大事じゃないかと思うのですね。したがって、アメリカにしてもソ連にしても、あるいは何らかのことを求めているかもしれませんし、あるいは別の方法である程度危険性があった場合には入手できる方法が考えられるかもしれません。この辺のところについては外務省はどのようにお考えですか。
  105. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、関係国が必要な情報をいち早く入手するということが安全確保の観点から不可欠でございまして、ただいまジュネーブで行われております法律小委員会の場におきまして、わが国は特にカナダ、スウェーデンと協力いたしまして、そのような関連の必要な情報をあらゆる段階で関係国が入手できるような制度の確立、これを法律的な側面から検討したい、そういうラインで話し合いをしておりまして、三カ国で大体意見の一致を見ましたので、これから法律小委員会のほかのメンバーに諮りまして、もし各国の賛同が得られましたら、その旨の勧告を法律小委員会の報告書の中に盛り込む、そしてそのラインに沿って将来そういう制度の検討がいち早くなされるように図りたいというふうに考えております。
  106. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一点だけ御質問しておきたいと思いますが、そういうお話し合いがなされておるということはわかりました。方向性はわかったのでありますが、ただ、具体的にたとえばこういうことをわが国主張しておるのだというようなことがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  107. 太田博

    ○太田説明員 わが国がカナダ、スウェーデンなどと協議の上考えております点は、現在の宇宙条約、特に登録条約は事後の登録でございますし、それからあと国連の決議に基づきます通報というのもございますけれども、これをもう少し総合的にしたい、たとえば打ち上げる前に通報をして、それから打ち上げた直後に通報をし、それから異常運航が生じたときに関係国に通報して、それからいよいよ落ちる、あるいは落ちたというときにまたその状況を通報する、こういういろいろな段階で、関係国に何を通報するかというのがまた一つ問題かと思いますけれども、安全の確保の観点から必要な情報はできるだけ全部通報してもらいたいというのがわれわれの希望でございますが、そういう通報の制度をぜひ確立したいというふうに考えております。
  108. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、これは科技庁にちょっとお尋ねいたしますが、原子力衛星がこのたびのように要するに不能になったという場合、その衛星がどこに落ちてくるかということを推定するのは、これは単なる力学的な計算で推定されるのでしょうか。それともほかにその衛星には装置があって、ある程度はこちらの方からコントロールできるという体制になっておるものなのか、この辺のところはいかがでしょう。
  109. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  私どもも詳細なデータを把握しておるわけではございませんけれども、先般の科学技術委員会で米ソ等が説明いたしておりました中に、一つの安全措置といたしまして衛星の機能が停止するとか、ぐあい悪くなりましたときに高い軌道に押し上げまして、これで落ちてくるのを千年とか、そういう先にするという装置がつけられているという説明がございます。今回の954号にしましてもそういう装置があったという説もございますけれども、それが何らかの原因で機能しなかったというような説明もあったようでございます。ただ、実際にそういう装置が働かなくて落ちてくるという場合に、どこに落ちるかということの予測でございますけれども、これは非常に精密にその軌道を測定いたしておりますと、だんだん高度が下がってまいりまして、大体地上からの高度が二百キロメートルくらいになりますと大気の抵抗が非常に多くなりまして急激に落ちてくるということのようでございますが、これはやはり衛星の形、重さその他によりましていろいろ変化するようでございまして、したがいまして、正確な予測というのはなかなか困難なようでございます。今回のコスモス954につきましても米ソ両方で相当な追跡等をやったということだと思うのでございますが、最後まで正確にどこに落ちるという予測はできなくてカナダの大気圏に入ってからそれがわかったということで、事前に正確な位置を予測するというのはなかなかむずかしいことかと承知いたしております。
  110. 貝沼次郎

    貝沼委員 この前のカナダのノースウエストの場合、これは報告によりますと、たしか一月二十一日午前、アメリカから外務省に通報が入っておるわけですね。そして実際落ちたのは一月二十四日、この間大体三日か四日あるわけであります。したがって、その落ちる場所がある程度はっきり推定ができますと、それを逃げるとかあるいは何らかの措置というものがとれると思うのでありますが、これが全くわからないとなるとぐあいが悪いのですね。そこで、一つの方法としては、やはりかなり高いところでどこに落ちるかということを推定できるような、そういう技術も非常に大事になってきたのではないか。落ちることを前提にしてやるというのはおかしいかもしれませんけれども、現実に落ちておるわけでありますから、そういう研究も必要ではないか、こう考えるわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
  111. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のように先般のコスモス954の場合にもアメリカからの最初の通報がございまして、私どももそう大した設備を持っているわけではございませんけれども、軌道の要素等がわかりますれば、少なくとも日本の上空を通過するのはいつごろであるというようなことを計算することも可能でございますので、軌道に関する情報が入らないかということを外務省を通じてアメリカ側にも言ったわけでございますが、最終的に全然情報が入りませんでしたので、結局何もできなかったわけでございます。  先生御指摘のようにどういう形のどういう重さのものがどういう角度で大気圏に入ってくる場合にはどういう落ち方をするかというようなことにつきましても、これは一般的な衛星の回収の問題というようなことも関連いたしますので、今後、できるだけ研究はしていかなければならない問題ではないかと考えております。
  112. 貝沼次郎

    貝沼委員 外務省にお尋ねいたします。  先般落下いたしましたソ連の衛星の破片、これがアメリカでかなり究明がされたようでありますが、このことについて外務省で知っておることがありましたら、お知らせ願いたいと思います。
  113. 太田博

    ○太田説明員 カナダ政府の方から、現在までの調査の報告につきまして一応の通報というのは受けております。ただ、まだ必ずしも完全に調査が終了したということでもないようでございまして、引き続きいろいろな面からの検討は行われているということのようでございます。     〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
  114. 貝沼次郎

    貝沼委員 実は、この破片についてはいろいろな憶測が飛んでおりまして、非常に不気味な話があるわけであります。たとえば、ソ連の殺人光線兵器開発がこれに絡んでおるとか、したがってアメリカ予算もぐっとふえたとか、いろいろな話が飛んでおりますので、別の機会にでもこういったことに対する事情をお聞かせ願えればと思うわけであります。  それから、私は二月十六日に大臣にも、この原子力衛星問題につきまして質問をいたしました。そのとき大臣は、国連の場におきましていろいろ具体的な提案をするようにいたしましてというふうに、非常に積極的な答弁をしていただいたわけでございます。そこで、その後わが国が具体的にとった行動とはどういうことであったのか、これをお尋ねします。
  115. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先般、国会においても御決議がございまして、この原子力衛星落下問題については、国民の非常に重大な関心事であり、国際的に十分対処しなければならないという御決議もございました。先ほど外務省の方から御説明がありました国連の宇宙空間平和利用委員会科学技術委員会並びに法律小委員会におきますわが国の提案というのは、外務省がおまとめになりまして、私どもも十分御相談をしてまとめた提案がされたわけでございまして、関係各省の意向全部を踏まえられて、外務省が国連の場で進めておられるわけでございますので、そういう関係になっておるかと理解いたしております。
  116. 貝沼次郎

    貝沼委員 外務省にお尋ねいたします。  二月十四日、国連宇宙空間平和利用委員会科学技術委員会で、日本、ベルギー、イタリア、カナダ、スウェーデンが、原子炉衛星の打ち上げ禁止と安全対策を検討するための特別作業部会の設置を求めた。それに対して、ソ連はこれを拒否したというふうに報じられたわけですね。これはどういう理由によったものなのでしょうか。
  117. 太田博

    ○太田説明員 ソ連がこの問題を検討するための特別作業部会の設置に反対した理由でございますが、ソ連の言い分によりますと、原子力衛星の安全というのは十分確保されていて、このような特別作業部会を設けて議論するまでもないという理由を申しておりまして、それと同時に、ソ連は、この問題が純粋に科学技術の観点からではなくて、かなり政治的に取り上げられているようだということを申しまして、そういう観点からも特別作業部会を設置して総合的に検討することには賛成しかねるというふうに申しておりました。
  118. 貝沼次郎

    貝沼委員 実際に落としておきながらそういうことを言うのは、私は非常に気に入らないわけでありますが、今後、国際の場においてわが国がとろうとしておる行動、そのスケジュール、こういったものはどういうものがありますか。
  119. 太田博

    ○太田説明員 まず、現在ジュネーブで行われております国連の宇宙空間平和利用委員会の法律小委員会、ここにおきまして、わが国はカナダ、スウェーデンと協力いたしまして、人工衛星、特に原子力衛星の関連通報制度の確立、それから、緊急時の援助に関する国際協力、これを内容といたします勧告を採択すべく、現在、関係国に働きかけを行っておるところでございます。  それから、引き続きまして、六月の後半から、今度は親委員会、国連の宇宙空間平和利用委員会そのものが開催されることになっておりますので、この親委員会で、いままでの科学技術委員会、それから、現在行っております法律小委員会、これでの議論を踏まえまして、今度は親委員会でございますので、もう少し科学技術面、法律面、両方を総合いたしまして、安全確保の観点より、国際的に何をなすべきかについて積極的に提案をいたしていきたいというふうに考えております。
  120. 貝沼次郎

    貝沼委員 科技庁にお尋ねいたします。  この「宇宙開発ハンドブック」をもとにしていまお尋ねをしておるわけでありますが、たとえば、ここに表がありまして、「原子力宇宙空間等への利用」というので、各国のラジオアイソトープを利用する発電機によるものがずっと並んでおります。それには、たとえば米国であるとか、あるいはフランス、ソ連、西独、みんな書いてあります。それから、「原子炉利用の宇宙開発用補助電源装置」というのが、やはり幾つかアメリカのものも書いてあります。私は、こういったものについて詳細は存じておりませんので、こういうようなものを使ったものは、落ちた場合には危険性はないのでしょうか。
  121. 牧村信之

    ○牧村政府委員 落下の態様によってもいろいろ被害は変わるかと思いますが、特に、放射能が対流圏で飛散するということになれば、これは当然放射能のちりとなって地球に落ちてくるわけでございます。成層圏でございますと、その落ち方が非常に遅いということでございます。  それから、もう一点は、燃え残りの原子炉の部品と申しますか、破片であるとかアイソトープのかたまり等、あるいは放射能を持った物質、機材等が落ちてくれば、それなりの放射能障害なり、物理的な影響を受けるのは当然であろうと考えております。
  122. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうすると、ラジオアイソトープを利用する発電機で、燃料をずっと見てみますと、たとえばプルトニウム238であるとかポロニウム210であるとか、いろいろありますね。あるいは原子炉利用の場合もいろいろなものが書いてありますけれども、これらについても要するに相当注意をしていかなければならないということになりますか。
  123. 牧村信之

    ○牧村政府委員 従来、カナダに落ちました事例を聞きますまでは、いろいろな事故を三件ぐらい聞いておりますけれども、これが地球上並びに人類に与える影響が比較的少ないというように判断しておりましたけれども、今回のようなケースを目の当たりに体験いたしますと、おっしゃいますように十分その危険性は常に考慮しなければいけない問題である、かように考える次第でございます。
  124. 貝沼次郎

    貝沼委員 次に、地震の問題でお尋ねいたします。  先日、参考人からいろいろ貴重な御意見を聴取したわけでありますが、そのときの意見一つに、地震予知の場合、ある意味において何か一つ本部のようなものをつくって、そしてデータの処理であるとか、あるいはすぐ何かを知りたければ知り得るというような体制が必要なのではないかというような意見が出ておりました。これに対して、科学技術庁の見解を求めたいと思います。
  125. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  確かに参考人の先生の方から本部というようなものの設置を考えるべきではないかという御提案があったわけでございますけれども、私どもの理解いたしておりますところでは、地震予知というのは、何と申しますか、まだ完全に手法が確立されたということではないわけでございまして、今回、東海地域に地震の危険性が指摘されましたので、ここに非常にたくさんの観測機器を集中いたしております。これだけ観測をいたしますと、必ずや直前の前兆現象というものはとらえられるだろうということで対策をいたしておるわけでございますが、たとえば数カ月前あるいは一年前から、いつどこでどのくらいの地震が起きるというようなことが、まだ実用化できる段階に来ているわけではないわけでございます。したがいまして、どういう手法をとれば最も地震予知に有効であるかということにつきましては、いろいろな先生方の説もあるわけでございまして、相手が自然現象でございますので、観測を行わなければなりません。これに対しまして、現在、一昨年東海地震の危険性が指摘されましてから、内閣に科学技術庁長官を本部長とします地震予知推進本部というものを閣議決定でつくっていただきまして、関係機関、これは大学も含めまして、その観測をお互いによく協力して実効を上げようということを行っておるわけでございます。したがいまして、いろいろな機関がそれぞれの特色を生かして、たとえば国土地理院におきます昔からの測量技術を生かすとか、あるいは気象庁が地震が起きました場合の津波の予測あるいは震源の決定のために行います地震計のネットワークでございますとか、それから大学等が行っております非常に微小な地震の観測でありますとか、こういうあらゆる手段を連携をとって行う必要がありますので、これを一つの本部に集中するということはなかなか困難なことかと思っております。つまり、既存の機関から全部そういう部門を切り離して本部に集中するということはなかなかむずかしい問題ではないかと思っております。  現在、日本の地震予知の研究、観測の進め方につきましては、文部省に置かれております測地学審議会というところで、地震の専門の学者の方あるいは専門家の方々がお集まりになりまして計画を立てておられまして、五カ年計画をすでに立てておられます。現在、第三次五カ年計画、これは五十三年度までの五カ年の計画でございますが、これが進行中でございまして、次の五十四年度からの新しい五カ年計画を現在測地学審議会で御検討されておるところでございまして、だんだんと予知も進んできておりますので、今度の第四次の五カ年計画というのは非常に重要なものではないかと思っておりますが、その中で今後の予知の体制いかにあるべきかを含めて検討がされております。また、先ほど申し上げました内閣に置かれました地震予知推進本部におきましても、この測地学審議会と連絡をとりましてその体制を検討いたしておるところでございますので、その中で今後のあるべき姿というものは結論が出てくるのではないか、こう思っておるところでございます。
  126. 貝沼次郎

    貝沼委員 予知の方はなかなかむずかしいということはよくわかります。ことに日本の場合地震の予知がむずかしいのは、地震の起こる可能性のあるところが大都会に近いというようなところから、人工的なノイズが非常に多いということが言われておりました。私も確かにそうだと思います。そしてそのノイズを取り除いて精度を上げるためにはどうすればよいのかということをお尋ねしたときに、やはり井戸を深く掘るとかいうようなことが非常に大事である。したがって、そのためには財源的な措置がかなり必要であるというような話だったと思いますが、財源的な措置というふうになってまいりますと、これはやはり大臣の決意というものが非常に大事になってくるわけでありますが、大臣、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  127. 園山重道

    園山政府委員 一応ノイズの問題について若干御説明をさしていただきたいと思います。  先生御指摘のとおり、大都市の周辺のノイズというのは、地震予知観測をいたしますために相当程度支障になるものでございます。特に都市のございます。たとえば関東平野というのは、堆積層が非常に厚いと申しますか、岩盤は非常に深いところにあるわけでございますので、地上のいろいろなノイズ、雑音、振動に煩わされないためには、非常に深い井戸を掘る必要があります。それで、いま科学技術庁付属機関でございます防災科学技術センターにおきまして、東京を囲む三つの深い井戸を掘って、その底に非常に高感度の微小地震計を入れる計画を進めておりまして、すでに岩槻と、それから下総、船橋付近でございますが、この二本の井戸は完成をいたしまして、それぞれ深さが約二千数百メートルから三千メートルでございますが、この二本の井戸が完成いたしておりまして、さらに三番目の井戸を府中の付近に掘ることにいたしておりまして、この財源措置が来年度予算案の中に計上されております。  したがいまして、特にこういう平野部、堆積層の厚い平野、しかも大都市である東京につきましてのノイズを避けての微小地震観測ということにつきましては一応手が打たれておるところでございまして、なおこれを全国につきまして地震の危険のあるところにそういう大規模な施設をつくってまいりますのには相当な財源が必要でございますが、この点につきましては、いわゆる堆積層の厚いところは非常に深い井戸を掘らなければいかぬということがございますし、必ずしも深いところに掘らなければならないというわけではございませんので、地方地方によりまして、岩盤の浅いところは浅い井戸でも問に合いますので、そういった点を十分勘案しながら、全国的な微小地震観測のネットワークというものも逐次整備をしていきたいと考えておるところでございます。
  128. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ただいま大体御説明申し上げたとおりでございますが、今後こういう地震予知の関係予算の獲得につきましては十分力を入れてまいりたいと考えます。
  129. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、ついででありますから防災上の問題で二つばかりただしておきたいと思います。  その一つは、建築の基準のあり方ということになるだろうと思いますが、実は、一九五七年の二月に東京千代田区役所の若手技師たちが報告書を発表いたしております。これは、たとえば鉄骨の溶接の部分が非常に心配だという専門家の声をもとにして、実際に確認申請の出たものについて調査をした結果でありますが、これについては政府は存じておるでしょうか。
  130. 大田敏彦

    ○大田説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃいました、千代田区役所の関係職員研究というかっこうで、管内の鉄骨構造の建築物の設計と実態とを調べたレポートが出ております。私どもも十分拝見しました。鉄骨構造がオリンピック以来非常に盛んになりましたが、設計方面あるいは施工方面、非常に高度な技術を要するものながらも、必要な設計者とかあるいは溶接工が不足しておるということをそういったレポートが裏書きしているのではないか、このように感じております。
  131. 貝沼次郎

    貝沼委員 レポートの内容については説明はまだありませんでしたが、かいつまんで申しますと、要するに確認申請の出た現場を一つ一つチェックして回った。ところがその溶接のやり方が非常に安易であった。たとえば、前はアングルリベット工法というのですか、これをやっていたものが最近はH形鋼の溶接工法と変わって、そしてそれは要するに理論どおりにつければ非常に強度な溶接になるわけでありますけれども、実際の現場はただ上と下をちょんちょんとつけてあるだけで、全く手際の悪いものであった。そこで四十三件の鉄骨ビルを調べた結果、四十二件、率にして九八%が溶接不完全で不合格という結果を出しておるわけであります。こういうようなものが東京都内にどんどんできていきますと、東京にもし地震が起こった場合これは大変なことになるのではないかという問題でありますが、この点は建設省、どのようにお考えですか。
  132. 大田敏彦

    ○大田説明員 ただいまのレポートで相当の件数が設計と実際が違うという結果が出ておりますが、すべてが即安全性に問題があるというものでもないというふうに聞いております。しかし、かなりのものが設計と食い違った完成をしておりますと、仮定と実際が違うということになりますので、ゆゆしき問題だとわれわれは考えております。
  133. 貝沼次郎

    貝沼委員 さあ、それはゆゆしい問題だから私も取り上げておるわけでありますが、ゆゆしき問題を今後どのようになさろうというお考えですか。
  134. 大田敏彦

    ○大田説明員 そういったこと等がございましたので、われわれ行政側のみならず、建築界全体を挙げまして、建築学会あるいは実際に施工する建設業協会あるいは設計をなさる設計団体、そういったところで総意を結集しまして、こういったことをどうしたら防げるかということで、寄り寄りずっと検討しております。まず設計者あるいは実際に現場で施工なさる方に対しまする非常に手近なマニュアルの発行あるいは研修会、それから私どもとしましては、既存の建築物を簡単に耐震上安全であるかどうかを判定できるような判定基準あるいはそれを改善するための施工指針、そういうものをつくりまして、いま行政側あるいは設計者側あるいは施工側、そういうものに対して一生懸命周知に努めているところでございます。
  135. 貝沼次郎

    貝沼委員 この鉄骨の溶接がすべてであると私も言っているわけではありませんで、要するに、いま東京には高層ビルあるいは超高層ビルがたくさんできておりますが、大体、鉄骨の溶接のやり方が、このH形鋼の溶接工法というのが非常に多いそうでありますので、大変な問題だな、こう思っておるわけであります。したがって、ただいま答弁がありましたので、それに対する対策は進むだろうと思いますが、国民の不安を解消する意味においても、ひとつこれを早く進めていただきたいと思うわけであります。  それから、次の問題は土壌の問題であります。これは具体的には、十何年も前でありますが、新潟地震のときに昭和大橋が落ちたとかあるいは四階建てのアパートが傾いたとか、それから余り離れていないところで目立った被害がなかったのに、なぜそこだけというような疑問が出ておりまして、後で学者の意見としては、地盤の液状化である、流砂ということなのかもしれませんが、液状化であるというふうな話があり、そのほか、たとえばいろいろなところで、秋田県下の羽越本線で高さ八メートルの線路が百メートルも流れた、あるいは堤防がそっくり六メートルも横すべりをしたというふうな例もあるそうでありますけれども、こういうふうにざあっと流れるということは地震のとき非常に問題があるわけですね。  それで、要するにこの液状化という問題はどういうことなのか、どういう条件のもとにこれが起こるのか、この点についての説明はできますか。
  136. 園山重道

    園山政府委員 先生御指摘の、地盤が軟弱である、あるいはまたそれが水を含んで液状化というような問題が種々あるということを伺っておりますが、現在科学技術庁といたしましては、そういう問題の一環といたしまして、先ほど申し上げました国立防災科学技術センターにおきまして軟弱地盤の振動挙動に関する研究ということを行っております。これは、いま御指摘のような地盤が軟弱なときには、いわゆるそこにおきます建築物等の工法といいますよりは、そういう軟弱地盤のところに地震が起きたときにどう地盤が振動するのかということにつきましての研究をいま行っておるところでございまして、そういった研究がまとまってまいりますと、それを参考にいたしまして、そういうところに建築物を構築するときにどういう配慮が必要であるかというようなことがだんだん明らかになってくるかと思っている次第でございます。
  137. 貝沼次郎

    貝沼委員 東大の生産技術研究所の久保教授の意見によりますと、この液状化が起こる条件として、一つは砂地の層が三メートル以上というのが条件になっております。それからもう一つは、砂層が水を十分に含んでいる。三番目として、地盤がよく締まっていない、こういったような条件がそろった場合に液状化することがあるというふうになっております。そこで、こういう条件を満たすものというのは一体どこにあるのか、新潟だけなのかというふうに考えてみますと、そうではありませんで、たとえば埋立地というのは大体これに相当するわけです。そこで、ことに関東方面の埋立地においては、時間がありませんので私申し上げますが、たとえば東京の場合は安政地震以降に埋め立てた晴海とか豊洲、それから新砂などの海岸沿いは液状化の危険が大きい。さらに川崎市ではコンビナート群を持つ市の臨海埋立地は震度五の強震で広い範囲で液状化し、大きな被害を出すだろう。また大阪の場合は、液状化しやすい地盤は新淀川であるとか、神崎川の流域及び安治川下流部に集中している、こういうように言われておるわけでありますけれども、これは本当なんでしょうか、どうでしょうか。
  138. 園山重道

    園山政府委員 私も直接そういったものの専門家ではありませんので余り正確な答えができないかと思いますけれども、確かに先生御指摘のように、砂質の地盤のところに水を含みますと非常に崩れやすくなる、新潟地震のときのアパートが傾いたのはそれが原因であるというようなお話も伺っております。先生御指摘のような現在の埋立地というものがどういう土質構造になっておって、危険性がどの程度あるかということにつきまして私ども残念ながら把握をいたしておりませんけれども、そういった面につきましてもいわゆる防災対策研究の一環ということで科学技術庁といたしましても研究の面から十分注意をしていきたい、このように考えます。
  139. 貝沼次郎

    貝沼委員 通産省にお尋ねいたします。  いまの液状化現象に対して一番心配なのはやはり住宅と、それから石油コンビナート——私は岡山でありますので、水島は一番関係が深いわけでありますが、先般は重油の流出事件とかいろいろありまして、コンビナートに対しては非常に関心を持っておるわけであります。ところがコンビナート地帯というのはほとんど埋立地でありますので、これが動き出しますと大変な災害が起こるだろうと予想されるわけであります。そこで通産省の関係としては、石油タンクの方は関係ないのでしょうけれども、高圧ガスの方は通産省で答えられると思いますので、こういったものについての防災といいますか、こういうものはいま研究をしておるのでしょうか。
  140. 水野哲

    ○水野説明員 お答えいたします。  高圧ガス設備につきましては高圧ガス取締法に基づき、先生がおっしゃられましたとおりに、設備本体はもちろん設備の基礎につきましても保安上の措置が義務づけられております。したがいまして、地盤の液状化とかあるいは不同沈下等が起こりましても、高圧ガス設備にひずみが生じないような義務づけが法律上なされております。したがいまして設置者の方は必要に応じまして地盤改良なり、あるいは十分な支持力が得られる地層まで基礎を延ばすなどの措置を法律上要求されております。と同時に、私どもの監督いたしております特殊法人高圧ガス保安協会におきましても、コンビナートにおける地震対策の重要性にかんがみまして、昭和四十九年にコンビナート保安防災技術指針というものをまとめておりまして、これを一般に公表しております。この基準が一般のそういったコンビナートの設置の際の一つの目安になっております。  以上でございます。
  141. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後に、大臣に要望しておきたいと思います。  要するにこういう地震に関する問題は各省庁全部にまたがりまして、私もいま細かいことを一々質問できないのは、実は各省に来てもらわないとできませんのでこれだけにしたわけでありますが、たとえば住宅の問題、それからいまの高圧ガスの問題、それから石油タンクなんかの場合はこれまた消防庁になるとか、いろいろなところにまたがっております。したがってこういうような対策を一つや二つの省に、ただ対策を講じろと言うことは非常に無理な話でありまして、やはり内閣全体として取り上げて、そして適確な対策を講じていかないと後手後手になってしまうのではないかという感じがいたします。     〔石野委員長代理退席、佐々木(義)委員長代理着席〕 そこで大臣にお願いしたいのは、内閣全体の立場でそういう発議なり、あるいは意見を述べるようにして、対策が進むようにしていただきたいということでありますが、いかがですか。
  142. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 地震の問題につきましてはきわめて重要な問題でございまして、従来からもそれぞれの管轄の範囲におきましていろいろな対策が進められておりますが、さらにただいまの御発言の趣旨に基づきまして一層強力な対策が進められるように閣僚の一人といたしまして推進いたしたいと考えております。
  143. 貝沼次郎

    貝沼委員 以上で終わります。
  144. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員長代理 小宮武喜君。
  145. 小宮武喜

    ○小宮委員 最初に大臣に、原子力船「むつ」に取り組む科技庁の姿勢についてまずお聞きしたいと思います。  大臣は最近非常に積極的にこの問題に取り組んでおるようでありますけれども、私の印象を率直に言わしてもらえば、科技庁の内部全体が大臣と同一意思のもとに、背水の陣をしいて、佐世保で絶対やるんだという方向で統一されておるのかどうかということについて私は若干疑義を持ちますので、原子力船「むつ」の佐世保修理に対して、背水の陣をしいて、絶対佐世保でやるんだという意思のもとに科学技術庁内部は統一されておるのかどうか、この点、大臣いかがでしょうか。
  146. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 申すまでもございませんが、統一といいますか、何といいますか、言葉は適当でないかもしれませんが、いわば一丸となって進んでおるつもりでございますから、その点はどうか御懸念がないようにお願いいたしたいと存じます。
  147. 小宮武喜

    ○小宮委員 私がいろいろあちらこちらの意見を聞いてみる場合に、また耳に入ってくるところを聞けば、極端に言えば、どうも大臣が一人相撲をとって、それに科技庁内部は引きずられておるというような印象すら受けますので、その点大臣の答弁をひとつ信じまして、この問題はやはり背水の陣をしいて絶対佐世保でやるんだというような意思を統一してこの問題に取り組んでもらいたいと思います。  そこで、それでは長崎県に対して、新聞報道によれば、大体四月の上旬だというような報道もされておりますけれども、大体四月上旬と言ってももう二、三日したら四月に入るわけですが、大体いつごろになりますか。何日ということまでは言えなくとも、大体何日ごろというところくらいまで地元の立場としてお聞きしたいと思いますが、これはなかなかむずかしい問題で大臣もなかなか言いにくいことだと思いますが、もし言えるならばここでひとつ御答弁を願いたい。
  148. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 ちょっと先ほどのお答えにつけ加えますが、大変デリケートな問題でございますので、一々大がかりな会議をやったり打ち合わせをしたりしてこの問題の処理を進めていくというやり方でもございませんので、あるいは私どもといいますか幹部の進めておりますことが十分徹底しないで、ということは、徹底させなくていい部分には徹底しませんから、そういうことで憶測などがあるいは一部に行われまして先ほど御発言になったふうにお感じになる点があるかもしれませんが、幹部とは十分話をし合って進めてまいっておりますので、その点はそういう意味のことは決してありませんということを重ねて申し上げておきたいと思います。  それから時期の問題、この時期もいろいろな意味があるわけでございますが、恐らくいま仰せになりました御趣旨は正式の再要請というような形のことをおっしゃるのではないかと思っております。御承知のように「むつ」の問題は、たとえどこへ持ってまいりましょうとも非常に長く未解決になってきた問題でございますから、一刻も早く何とかいい結論を出したいと思っているわけでございます。それにつきましては、やはり従来からの経緯にかんがみまして、佐世保港ないし長崎県にお願いする、どこまでもひとつお願いしてみるということが筋であると考えまして、その方向に向かって進んできておるわけでございます。ただ、私が就任しましてから直ちに知事さんにお目にかかりましたが、大体意向は一応聞いておくが、知事選挙もあるのでそれまではひとつ話をこれ以上余り進めないでおいてほしいということでございまして、知事さんに対しては余り深く話はしてこなかったわけでございます。選挙後、先生御承知のように先月の十九日くらいに終わったかと思いますが、いろいろ先方の御都合もありまして、今月の十五日にお会いいたしましてそのお話を早速進めたわけでございます。まだそれから今日まで半月もたっていないようなわけでございまして、再要請という形になりますといわば大変固い話になりますので、この固い話をしてまだ半月もたつかたたぬうちに、私どもとしては何とかして一日も早くとは思っておりましても、相手さんに対してここまでおくれてきたものを、いま、さあいつ幾日返事せいというふうな正式の再要請を申し上げることは、いろいろな情勢から考えましてちょっと御無理に当たりはしないか。私どもは一日も早くと思っておりますが、そういうことで、いろいろな話し合いもありますし、しばらく再要請ということはお待ちしているわけでございます。したがって、いまここでいつごろということを申しますと、またそれがすぐ一般に伝わり、先方さんのお耳にも入りまして、実はこの間記者会見で何かちょっと申しましたことでも、いやなのを話だけでも聞いてやろうかと思って聞くと、すぐにこうして再要請を四月しまいに一方的に押しつけるというようなことを言われたのでは考えもあると言わんばかりの話も承ったようなわけでございますので、とにかく一刻も早くやらねばならないと思っておりますし、またそういうお気持ちは伝わっていることと思いますので、そのお気持ちは十分意を体しておりますが、ここでそういう日にちの御明答をさせていただくことだけはそういうわけでひとつ御勘弁を願いたい、このように考えておるわけでございます。
  149. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣のお気持ちもわかりますけれども、われわれ地元の人間としてはそれを早く知りたいという気持ちがいっぱいで、むしろそういう立場の方々の意向を代表して私は質問をしておるわけです。私自身は大臣の言われることはよくわかるのです。そこで、いつ再要請を長崎県にするかどうかは別として、私は大臣に忘れてもらっては困るのは、もし大臣が県に要請をして、仮に——仮にですよ、仮にオーケーになったとしても、それでは実際に修理してくれるところの佐世保重工なりこういうところがもし修理をしないということになれば、それもやはりだめなんですよ。幸い御承知のように佐世保重工の会社も修理を受け入れましょうということを言っておりましたし、また労働組合もそういうように態度を変えてまいりました。しかしながら、御承知のようにいま造船界の不況で、佐世保重工はいま非常に危機に瀕しているわけです。だから要請がもう半年もおくれるというようなことになれば、受けざらの佐世保重工がそれまでもたないというような事態にならないとも限らぬのですが、そういう意味ではこの佐世保重工の危機に対して大臣立場でいろいろな努力をする方法もあるのではないかということを考えるわけですが、この佐世保重工の危機に対して大臣としてどういうような努力をされたのか、またしようとしておるのか。この問題について、所見があったらひとつお聞きしたいと思います。
  150. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 要請を受け入れていただいております佐世保市側のお立場としての御発言を十分了承いたしております。いまお話にありましたような現在の状態ということもいろいろ承っておりまして、そういうことももちろん念頭に入れながら既定の方針に向かって進んでいる、こういうことだけは申し上げられるかと思うわけでございます。なおお答え足りない点があったら、ひとつおっしゃっていただけば差し支えない限りお答えいたします。
  151. 小宮武喜

    ○小宮委員 まあ「むつ」を早く持っていくということも一つの方法でしょうが、また大臣として側面からでもいろいろな問題で努力しようと思えば努力する余地もあるかもしれませんので、そういうような点についてお尋ねしたわけですが、なかなかこれも答弁しにくい問題かと思いますが、ひとつこの点。  それともう一つは、やはり最初佐世保重工の労働組合原子力船「むつ」問題に対しては現時点では反対であるという態度を打ち出しておったわけですが、それがいろいろな研修とか学習とかをやってみて、まあこれであれば受け入れても安全には支障がないということで賛成に態度が変わったわけですが、これに対して大臣はどのように評価されておるのか。その点ひとつ御意見をお伺いしたい。
  152. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いまお話にあったような件につきましては、政府としては心からありがたく存じております。  なお、いまいろいろ受け入れの問題につきまして、佐世保重工の問題もあわせていろいろ御心配になっておられるような御発言でございますが、幸いに考えているとおりに進み得るとすれば、そういう問題のいささかのお役にも立つような結果が出るのではないか、このように思っております。
  153. 小宮武喜

    ○小宮委員 きょうは大体宇宙開発の問題が大きな問題でございますが、もう二、三点お尋ねします。  長官は、昨日も県会議長、それから佐世保市議会議長と会われたようですけれども、どうですか、感触として。自信を深められたのかどうか、その点いかがですか。
  154. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 公言をはばかりますので、また御必要があれば先生に直接申し上げたいと思います。
  155. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣、やはり漁業組合とは、これは非常に大事ですから、漁業組合の代表とはいままで会われたことはございませんか。それとも会おうとは思いませんか。その点いかがですか。
  156. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大体何とかして「むつ」の受け入れを国策のために実現したいと思っておられます方は、私のみならず、国会の諸先生も通じて、同じことを考えておられるだろうということを申し上げておきます。
  157. 小宮武喜

    ○小宮委員 どうもよくわかりませんがね。われわれを通じて会うとかなんとかじゃなくて、そういうような漁業組合の組織も全国にいろいろあるわけですから、大臣がいま県会議長とか市議会議長といろいろ会われておる努力は買いますけれども、やはりこういう漁業組合の代表とか、あるいは被爆者の代表だとか、こういう人たちとも、もし会っていなければやはり会って、協力を要請するような努力をすべきだと思いますが、そういう努力をする必要はない、しないということなんですか。
  158. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変回りくどい言い方になりまして失礼でございますが、先生は必要がありはしないかというお話かと思いますが、さっき申し上げましたように、先生がお考えになるようなことは私も考えておる、こういうことをひとつ申し上げて御了承を得たいと思います。
  159. 小宮武喜

    ○小宮委員 この「むつ」の問題について、一方青森県側でもとかくのいろいろなうわさもわれわれ耳に入ってくるわけですけれども、青森県側の最近の動向というのはどういうことになっておるのか、これも大臣がここで答弁できる範囲内でひとつ答弁してください。
  160. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 多少いろいろなことも耳には入っておりますが、公式には私はそういうことは聞いておりません。「むつ」の情報といいますか、状態については聞いてもおりませんし、いまそれを聞こうとも思っていない。決してそれは無視するとかなんとかという意味ではありませんが、そういうことは私の立場ではいまできないと考えているわけでございます。
  161. 小宮武喜

    ○小宮委員 先ほどから大臣の答弁にありましたように、やはり佐世保一本やりでいくのだという考えであれば、そうあちらこちらのうわさを耳にしたり、または浮気心を出してもらっては困るわけですから、その点は見向きもしないということは、大臣のほれたが一念ということであくまで一念を通すという気持ちには敬意を表します。  そこで、大臣、もう一つ意見を申しまして私この問題は終わりたいと思いますが、いま地元では非常に「むつ」問題に対する関心が、いい関心と、あるいは悪い関心もあるかもわからないけれども、いずれにしても関心が高まってきておるという中で、原子力船「むつ」の安全性について、もっと科学技術庁はPRすべきじゃないか。いま非常に高まってきていますから。その点はいかがですか。
  162. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 もちろん安全性のPR、いろいろなことも必要でございますが、そういう問題も含めまして、十分考えているということだけをひとつお答えさせていただきます。
  163. 小宮武喜

    ○小宮委員 考えるだけではなくて、やはり実行に移してもらわぬと困りますが、次に、今度は宇宙開発の問題について質問しますけれども、現在宇宙空間に打ち上げられている各種衛星は合計幾つありますか。
  164. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  現在宇宙空間に飛んでおりますいわゆる人工衛星、それから人工衛星を打ち上げましたロケットの最終段というようなものがやはり一緒に宇宙を回っているわけでございますけれども、現在地球を回っております人工衛星そのものは約九百五十個でございます。そのほかに、いま申し上げましたロケットの残骸などが約三千五百個回っていると聞いております。したがいまして、合計いたしますと約四千五百個が地球の周りを回っているということでございまして、さらにこのほかに、例の惑星探査というようなことで、地球の周りではなくて、真宇宙と言っておりますけれども、月より遠いところへ飛んでいっております惑星探査機など、あるいはそれに伴いますロケットの残骸といったものが、合わせまして約百個ございますので、全体を合わせますと、宇宙空間を飛んでおります人工物体というものが約四千六百個というのが概数であるかと承知いたしております。
  165. 小宮武喜

    ○小宮委員 そのうち原子炉衛星は幾つ打ち上げられておりますか。
  166. 園山重道

    園山政府委員 このうちの原子力衛星の数でございますけれども、ソ連につきましては正確な数が不明でございまして、この間コスモス954号が落ちましたときに、これは米国のブレジンスキー大統領補佐官などが説明いたしておりますところでは、コスモス954号のほかに、なお十個以上あるという話が伝わっております。  それから、米国につきましては比較的はっきりいたしておりまして、現在までに打ち上げました原子力装置を積んだ衛星は、全体で二十三個と聞いておりますが、このうち三個は打ち上げに失敗したということでございますので、現在宇宙にございますアメリカ製の原子力装置を積みましたものは二十個と聞いております。なお、この二十個のうち、先ほど申し上げましたように、地球の周りをいま回っているというのは九個でございまして、そのほか、例のアポロ計画によりまして月にいろいろな装置を持っていったりしておりますけれども、そういうことで月面に置いてあるものあるいは惑星探査に飛んでいっておるものというのが十一個ということでございまして、合わせて二十個ということ、いわば地球の周りを回って落下の危険も物理的にはあり得るというのがアメリカ製のものでは九個、このように承知いたしております。
  167. 小宮武喜

    ○小宮委員 この原子炉衛星にはウラン235をどれくらい積んでありますか。
  168. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ソ連のコスモス衛星の概要につきましては、ソ連が発表しておりませんのでわかりかねるところでございますが、アメリカの推定で伝えられてきておるところによりますと、ウラン235が四・五キロぐらい、したがいまして四、五キロは積んでおるんじゃなかろうかと想像されております。
  169. 小宮武喜

    ○小宮委員 先ほどからもいろいろ質問が出ておりますようにソ連の原子炉衛星コスモス954号が墜落するという非常にショッキングな事件が発生したわけですが、二、三日前の新聞報道によれば、西ドイツの天文台ではソ連の人工衛星コスモス954号が軌道を外れて四月の二十日ごろか、そこらあたりにまた落下するのではないかということが報道されておりますし、またアメリカの国防総省でもスポークスマンが、落下する日時においてはちょっと違っておりますけれどもやはり地上に落下するというようなことを肯定しておるわけですが、このコスモス849号は原子炉衛星であるのかどうか。
  170. 園山重道

    園山政府委員 先生御指摘のように私どももコスモス849号というのが近く落下するのではないかという報道承知いたしております。この849号というのは、国連に対しまして通報されておるところでは一九七六年の八月十八日に打ち上げられておりまして、その目的は上層大気及び宇宙研究、こうされております。原子力衛星コスモス954号、この間落ちたものでございますけれども、これもやはりコスモスシリーズということで国連に対する通報では同じく上層大気及び宇宙研究ということが目的として記載されているわけでございます。しかしこのソ連のコスモス衛星というのは、いままで九百個以上打ち上げられているわけでございますけれども、公式な打ち上げ目的の表現といたしましてはいずれも上層大気及び宇宙研究という表現がされておりますので、この問の954号とこの849号が同じ打ち上げ目的を掲げておるからこれを原子力衛星と言うことは必ずしもできないものと思っております。この849号につきまして原子力衛星であるという情報はいまのところございません。念のため情報の収集に努めたいと思っておるところでございます。なお、三月二十四日付のAP電によりますと、米国の国防総省のスポークスマンがコスモス849号は原子炉を搭載していないと述べたという報道も受けております。
  171. 小宮武喜

    ○小宮委員 国連に報告する場合は、原子炉衛星だとか、いや原子炉衛星でないのだということも報告されるわけですか。
  172. 園山重道

    園山政府委員 現在の国連への通報制度におきましては多分に任意的な面がございますので、どういうことを書かなければならないということは余りはっきりいたしておりませんで、御質問のような原子炉衛星であるかどうかということの明示はほとんどなされていない、このように承知しております。
  173. 小宮武喜

    ○小宮委員 それじゃコスモス954号はどうだったのですか。
  174. 園山重道

    園山政府委員 コスモス954号も、先ほど申し上げましたように、国連への正式な通報の中では上層大気及び宇宙研究ということが目的として掲げられておりまして、そのほかには打ち上げ日とそれから軌道の遠地点、近地点ということが書かれているだけでございます。
  175. 小宮武喜

    ○小宮委員 われわれはやはり原子炉衛星というのは単なる探査ということ以外に軍事目的ということも多分にありはしないかということを考えるわけですが、いまの原子炉衛星についてもいろいろ、アメリカは禁止しろと言うし、ソ連の方は、自分たちは原子炉衛星はいわゆる宇宙飛行を保障するために原子力エネルギーの方が最も将来性のある最も効率的なエネルギー源であるという経済面と効率面から今後も打ち上げるということを公言しているわけですけれども、われわれから見れば、やはり原子炉衛星というのは、目的はわかりますけれども、それが軍事用に使われていないかどうかということを心配をするわけです。特に国連の宇宙平和利用条約の中では核兵器を搭載することは禁じられておるけれども、原子炉については何ら触れられておらないということから、そういう報告をする必要もないかもしれませんけれども、実際は原子炉衛星そのものが軍事的目的に使われるのではないかということになれば、墜落した場合、単なる放射能の問題もありますけれども、やはりわれわれはもし戦争でも起きた場合に大変なことになりはせぬかということを恐れるわけです。だからそういう意味でこれらの問題について規制する何らかの手段があるのかどうかという点について、たとえばいま言われたように、核兵器を搭載することはできないが、原子炉については規制の条項がない、その辺が盲点ですが、これはどうでしょう、外務省。
  176. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  多数の国によって批准されております宇宙条約、これの四条でございますが、これは先生が御指摘のとおり、条約の当事国が核兵器及び他の種類の大量破壊兵器、これを運ぶ物体を軌道に乗せてはならないということは明文の規定がございますが、ただいま御指摘のように原子力衛星を打ち上げてはならないという国際約束は現在のところございません。それで、今回のソ連のコスモス衛星の落下を契機といたしまして安全性の問題が非常に重要な問題として浮かび上がったわけでございますけれどもわが国といたしましては、安全確保の見地から、場合によりましては原子力衛星の打ち上げの禁止の可能性、これも含めまして、現在の宇宙条約の規定で果たして宇宙空間の平和利用の確保、これに十分であるかどうかをもう一回総合的に検討すべきであるというふうに考えております。
  177. 小宮武喜

    ○小宮委員 ソ連のコスモス954号が落ちた場合に、アメリカがその破片を調査した結果、いわゆる殺人光線といいますか、むずかしく言えば荷電粒子兵器というのだそうですが、そういうものを見てアメリカが七九年度予算で急遽予算を二倍にふやしたということも伝わっておりますし、私も素人ですけれども、何かこの荷電粒子兵器というのは、相手方から発射される核ミサイルとかあるいは軍事衛星を数千分の一秒で破壊することができる。それからまた、近距離でもミサイルの要撃だとか航空機の撃墜もたやすくできる、地上で走行している戦車に対してもこれを一瞬にして破壊することができる、こういうようにわれわれもいろいろ生かじりで知るわけですけれども、こういうものが発達してきますと、これからの戦争というのは宇宙で決まるということが言われておるわけです。われわれの知らぬ間に宇宙戦争でミサイルが落ちてみたり、飛行機が落ちてみたりしたら大変なことで、この問題は人類の破滅にもつながる問題でもありますから、ただ放射能の問題ばかりでなく、こういう非常に物騒な殺人兵器を積んだと思われる原子炉衛星については、やはりアメリカも含めて禁止するための努力をしなければならぬのじゃないか。特にわが国は被爆国でもありますし、そういう立場から日本の果たす役割りというのは非常に重大ではないか、こういうふうに考えます。  そういう意味で、いまの国連の宇宙空間平和利用委員会で取り上げる以外に場はないと思いますけれども、幸い第二十一回の年次会議が六月二十六日に開かれるわけですから、そういう場において日本はイニシアチブをとって、原子炉衛星の規制の問題について、もちろん全面禁止でいくべきだと思いますが、そういう努力をやるべきだというふうに考えますが、そういうイニシアチブを握って積極的に動く意思が日本としてはございますかどうか、その点いかがでしょうか。
  178. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の点に関連いたしまして、わが国といたしましては、この間の事件を契機といたしまして、単に原子力衛星の安全性の確保の問題のみならず、ただいま御指摘のような宇宙における軍拡競争、この可能性があるということをきわめて憂慮している次第でございます。そういう点を踏まえまして、実は科学技術委員会及び現在ジュネーブで行われております法律小委員会の両方の機会をとらえまして、わが国原子力衛星の打ち上げ禁止の可能性の検討と並びまして破壊兵器として使用することを目的とする人工衛星の打ち上げの禁止の可能性も検討の対象にすべきであるという提案を実はいたしております。現在までのところ破壊兵器として使用することを目的とした人工衛星の打ち上げの禁止の可能性の検討ということよりもその前に、まず原子力衛星そのものの問題について検討すべきであろうということでございまして、まだその点の細かい議論には入っておりませんけれども、六月に開かれます親委員会におきまして、また機会がございましたら、宇宙空間における将来の軍拡競争の防止という観点から、ただいま御指摘がありましたイニシアチブをわが国としてもとっていきたいというふうに考えております。
  179. 小宮武喜

    ○小宮委員 一方、わが国宇宙開発もすでに研究用の人工衛星八個と気象観測や通信用の実用衛星六個が打ち上げられているわけですけれども、今回宇宙開発委員会、これは長官が委員長ですね、委員会が決めた宇宙開発政策の大綱によりますと、今後十五年間に総額三兆三千億で観測、通信、実験用の各種人工衛星を七十六個打ち上げるという計画になっておりますが、宇宙開発には非常に巨額の金が要るだけに、やはり目的と位置づけを明確にしていただかないと、これは国民もなかなか理解しにくいし、また説得力もないのではないか、こういうふうに考えます。そういうことで宇宙開発科学者として当然必要だと思うし、わが国も必要でございますけれども、それよりもっとわれわれがやらなければならない問題が、三兆三千億も使ってやる以外に、まだたとえばエネルギー問題とか資源の問題、海洋開発の問題あたりにもいろいろ緊急度の高いものがあるわけです。そういう意味で、計画計画として出されておりますけれども、目的なり宇宙開発の位置づけなりを明らかにしてもらいたいと思いますが、ひとつ御答弁を願いたい。
  180. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、三月十七日でございますが、宇宙開発委員会が「宇宙開発政策大綱」ということで、今後十五年間を見渡しました日本宇宙開発の基本的枠組みと方向をお示しになったわけでありますけれども、御質問の三兆三千億円、七十六個というのは、いわば大綱の中で決められていることではございませんで、こういう大綱をもって進めていった場合、現実的な予算規模、それから今後日本がやらなければならないものの間で一つの試算をいたしてみますとこういった数字が出てくるということでございます。  数字はともかくといたしまして、先生御指摘のように日本宇宙開発の行くべき方向というものを国民にも十分御理解いただけるようにしなければならないということが実はこの政策大綱委員会でお決めになる御発想の出発点でございまして、従来の宇宙開発計画というのは何年度にどういう衛星を上げるということが計画であったわけでございますが、やはり先生御指摘のように、今後、いままでの十四個の衛星打ち上げによりまして一つの基礎的段階は終えましたので、今後実用あるいは科学研究という分野で展開しなければならない、そういうときに日本の重点を置く開発分野宇宙での開発分野はこうであるということを具体的に、数種のシリーズという名前を使っておられますが、これでお示しになりまして、その方向の中で具体的にいつどういう人工衛星を上げるかということは、財政の状態その他十分に勘案いたしまして個々の計画というものをさらにまた決めていくということでございます。  先生御指摘のように、当然宇宙以外にもいろいろな分野があるわけでございますけれども宇宙開発につきまして、日本の必要とする宇宙開発活動を進めていくためにはある種の規模が当然必要でございます。しかし、そのことによってほかの分野をないがしろにするということではございませんで、御指摘のようなエネルギー問題、海洋問題等を含めましてすべての点で将来の日本にとって必要な科学技術振興が図られるように努力をしてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
  181. 小宮武喜

    ○小宮委員 この大綱は、M系ロケット、N系ロケット、H系ロケットの従来のロケット開発を中心にして、しかも大型化の方向を目指しておるわけですが、今後の各種人工衛星の打ち上げは——従来は大型のやつはアメリカに依頼して打ち上げておったという経過があるわけですけれども、今後はアメリカに依頼せずに国産のロケットを打ち上げるということを考えておるわけですか。
  182. 園山重道

    園山政府委員 日本が必要といたします人工衛星というものは日本のロケットで打ち上げることができるということが理想でございます。特に、今後ますます実用の分野で発展してまいりますと、御承知のような気象衛星でありますとか通信衛星でありますとか、すべて国民の生活にきっちりと組み込まれてくるものでございますので、こういったものが必要なときに打ち上げられるという能力を持つということは、宇宙開発をやる上におきましてやはり一つの大事なポイントであるというように理解をいたしております。しかしながら、いろいろ財政上の制約その他あるわけでございますので、すべてを日本でということはなかなかむずかしい点もございますので、その時点におきまして、日本のロケットの能力を超えた必要性が生じました場合には、これはアメリカのシャトルを使うとかいうようないろいろな手段で対処していきたいというのが基本的な考え方でございます。
  183. 小宮武喜

    ○小宮委員 駆け足でいきます。  いまシャトルという言葉が出ましたけれどもアメリカでも来年くらいに地上と宇宙を往復するスペースシャトルを打ち上げる計画になっておるということを伺っておるわけです。しかも数年もすると、全面的にシャトルに切りかえられるということで、わが国もこのシャトルを利用して宇宙飛行士を送ろうとか、いろいろ考えられておりまして、何かもう科学技術庁では人選にも入っておるということまで言われておるわけですけれども、このシャトルを利用すると人工衛星の打ち上げはかなり値段が安くなるのではないか。そうなると、日本の国内だけでロケット開発をどんどんやるよりは、むしろこういうようなスペースシャトルあたりを利用して、安いものというばかりではいけませんけれども、余り金のかからないもので目的を達成するためにはこのシャトルを利用することも考えられるのではないか。そうすれば、ロケット開発意義というものは薄らいでくるのではないかと考えますが、どうですか。
  184. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のように、アメリカのスペースシャトルがすでに二、三年後には実用のオペレーションに入るということでございます。これは、特に人間が乗っていくわけでございますから、いろいろな活動に非常に有効であるということは当然でございます。日本人もということで、別に人選を始めたわけではございませんけれどもアメリカがこういうシャトルというものを各国に開放いたしまして、乗っていく研究者技術者等についても話をどんどん進めているという時代になってまいりますと、日本人といたしましても、必要な研究あるいは作業というものをやりますためには日本人が乗っていくということも当然考えなければならない。今度の政策大綱の中ではそういったことの検討を至急開始しなければならないということでございまして、宇宙委員会みずからがこういう有人計画にどうアプローチしていくべきかということについての検討を始められようとしているところでございます。  一方、その経済性ということで、先生の御指摘はシャトルを使った方が非常に安くできるのではないかという御質問でございますけれども、非常に大きな計画というものには当然シャトルを使うということを考えていくことは先ほど申し上げたとおりでございます。しかしながら、これはアメリカでも、すべてこのシャトルで各国の要求に間に合うということではございませんで、恐らくは、有効であればあるだけこれを使いたいという希望は殺到するはずでございます。したがいまして、わが国といたしましては、やはり先ほど申し上げましたように、必要とするものがなかなか上げられないということでは困る事態が生じますので、どうしても必要な規模の衛星が打ち上げられるという手段は持っておく必要があるのではないかというのがこの考え方でございまして、非常に巨大な計画等につきましては、当然国際協力その他も使いましてシャトルの利用等が考えられていくものでございます。
  185. 小宮武喜

    ○小宮委員 いろいろお聞きしたいことがございますけれども、最後に一つだけ。  宇宙開発を効率的に進めるためには国際協力が一番大事ではないか。特に欧州諸国でも、宇宙開発費の六〇%を欧州宇宙機関に支出して、そしてその宇宙機関がまた研究投資の三分の一をアメリカのスペースシャトルの協力費に充てているということも伺っておりますし、そういう意味からすれば、私は必ずしも科学技術の中の宇宙開発を否定するものでも何でもございません。科学技術振興ということは非常に大事なことですからどんどんやってもらいたいのだけれども、国民の負担というものもあるし、そういうことを考えると、わが国もたとえばスペースシャトルに協力して——独自で巨額の投資までしてロケット開発をやることも必要だと思うけれども、スペースシャトルの方にできるだけ協力して、投資くらいやって利用するということも大事ではないのかということを考えますのでいろいろ質問をしたわけです。いろいろ小さい質問はありますけれども、もう時間がないのでこの次に譲りますが、最後の国際協力の問題だけ御答弁を願いたいと思うのです。
  186. 園山重道

    園山政府委員 先生御指摘のように、宇宙開発活動というのは、特に、その広がりから申しましても国際協力というのが非常に重要な問題だと考えております。しかしながら、真の国際協力というのはお互いの協力でございまして、日本日本の必要とする活動を安く上げるために向こうの手段を使うということでは、なかなか真の国際協力にはならないのではないか。そのためには、日本自体が相当程度協力できる技術レベルを持っておらなければなりませんし、わが国宇宙開発、ようやく十四個の衛星を上げておると申しましても、まだまだアメリカに比べますと非常に低いわけでございますので、できるだけ自分の力をつけまして、かつ国際的な協力という形で宇宙開発が進められるように努力をしていくというのが現在の考え方でございます。
  187. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま局長から申しましたとおりに、ひとつがんばってやりたいと思います。
  188. 小宮武喜

    ○小宮委員 質問を終わります。
  189. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員長代理 牧村原子力安全局長より発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  190. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ちょっと先ほどの御答弁を訂正させていただきたいと思います。  私、先ほどコスモス954に使っております核燃料の量を四・五キロと申しましたが、これはアメリカの原子炉衛星の場合でございまして、四十五キロに訂正させていただきます。
  191. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員長代理 瀬崎博義君。
  192. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 本題の米国の核不拡散法の質問に入る前に、この前の委員会で地震に関して参考人から貴重な意見をいただいておりますから、それについて二、三質問をさせてもらおうと思います。  その一つは、いま政府で用意されている地震対策の特別措置法についてなんですが、これは自衛隊出動条項も入っておるというので、いずれこれは大きな論議を呼ぶと思います。同時に、そういう行動であるとかあるいは予定された法案要綱の中では、「地震予知情報の報告を受けたときは、直ちに警戒態勢をとるべき旨の布告を行う」などとなっていて、地震予知情報が出し得るという前提にあるように思うのですね。そこで、地震予知推進本部長でもある科学技術庁長官にお尋ねするのですが、こういう立法に当たって、地震予知は事実上実用段階に入った、こういう認識を持つことについての大臣の見解を伺っておきたいと思うのです。
  193. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 大変微妙な問題でございますから、政府委員からまた補足して説明させますが、はっきり客観的な実用段階に入ったというのにはまだちょっと問題がありはしないか、このように考えております。
  194. 園山重道

    園山政府委員 若干補足して御説明をさせていただきますが、地震予知というのが一言に言われておりますけれども、いろいろな要素を含んでおりまして、ただいま大臣からも、実用段階と言っていいかどうか疑問というお話でございますが、これは地震予知という言葉の中で期待されます。いつ、どこで、どれだけの大さきの地震が起こるかということを明確に予知するということにつきましてはまだ確立されていない。それが確立されるまでには、まだ相当期間がかかるということでございます。  しかしながら、今日特別立法のいわば背景にもなりました東海地方の大地震説というのが指摘されまして、これが学説あるいは歴史的なものあるいは測量の結果等から、東海地方に相当なエネルギーがたまっておるということで、ここにあらゆる観測手段を集中いたしておりますので、これだけの観測手段を集中しておけば、もし大きい地震が起こるとするならば、必ずその直前の前兆現象、これは数時間ないし一日、二日ということでございましょうが、その前兆現象はつかむことができるというのが、地震学者の先生方を含めて現在確信されておるところでございまして、そういう意味で、直前の前兆現象把握ということは確実にできるだろうということで、今回の立法措置等もそこから出発した、このように理解いたしております。
  195. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この間の先生方の御意見でも、たとえば力武先生は、こういう特別措置法ができること自体については進歩だという評価をされながら、予知技術開発段階の域を出ていないということもおっしゃっているし、それから浅田先生は、地震予知技術は、とば口に立っている、これはいわゆる実用に入り得る可能性があるということも示すが、入れない場合もあるという意味のことをおっしゃっておられましたし、いまの説明のように前兆現象がとらえられるという現在の段階なんですから、そういう点についてはやはり権威ある科学者意見をよく聞いて、立法措置をされることが、与える影響が大きいので非常に重要ではないかと思うのです。その点は、この間の学者の意見など十分に参考にされたいと思うのです。  それからもう一つ。先般の参考人の力武、浅田両先生の共通の意見としては、地震予知の推進のために観測項目をふやすこと、それから観測データを地震予知に生かすためには、地震の発生過程の研究が必要だということで、この時期になって、改めて基礎研究の重要性を強調しておられたと思うのですね。そのためには、金というものは政府がその気になればすぐにでも投入できるだろうけれども、基礎研究などは相当な期間がかかるから、そう簡単に人の方はふやそうといったってふやせない事態だ。そういう人材の養成は非常に重要であるという指摘がありましたね。こういう基礎研究の重要性、それからそれに携わる人材の養成の重要性、そういう点について科技庁の認識がどうであるのか、また、そのためには、こういう先生方の意見を聞いて何か具体的に手を打とうとしているのであれば、それをひとつ答えてほしいと思うのです。
  196. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  確かに先生方の御意見にもございますように、地震予知というものが現段階では、相手が何分にも地下深いところに起こります自然の破壊現象ということでございますので、これを解明するためには、多くの研究が必要であり、特にその基礎研究ということを軽視してはならないという御指摘はごもっともであるかと思います。  これにつきましては、もともと地震関係の御研究というのは最初に大学関係において行われておったわけでございまして、今日でも地震の理論の問題から、いろいろ岩石破壊のメカニズムの研究等が行われておりますし、また、私どもの防災科学技術センターにおきましても、地震発生機構の研究というのを来年度から力を入れてやっていきたいということで、ある程度の予算措置をいたしておるところでございます。  また、人員の問題でございますが、これもいわば若干特殊な分野でございますので、にわかにたくさんの人を一遍に集めるということは困難でございますし、また、無理に集めても余り意味がないという御感覚も先生方はお持ちである、このように理解いたしております。しかし、何分にも日本全国にわたっての地震予知を進めるためには、逐次体制を整備していかなければいけませんので、各機関がそれぞれの努力をして、また、科学技術庁としてはこれを応援し、推進する立場をとらなければいかぬと考えております。  なお、具体的に、今後の研究観測をどうするかということにつきまして、このようなまだいわゆる学問、学術的段階を脱していない問題でございますので、現在文部省にございます測地学審議会で、学識者を初めとする御検討によりまして、地震予知の推進の計画、具体的な研究計画がつくられております。現在は第三次の五カ年計画中でございますが、これが五十三年度に終わりまして、現在五十四年度からの第四次五カ年計画を御検討中でございますので、この結果が出ましたならば、政府としましても地震予知推進本部を中心に、できるだけその線に沿った研究が推進されるよう努力をいたしたいと考えております。     〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  197. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次に、本題の、三月十日にアメリカで発効した核不拡散法について質問したいと思うのです。  まず、外務省に伺いますが、このアメリカの核不拡散法の成立によって、いわゆるわが国原子力開発にどういう影響があるかという点で、第一に日米原子力協定があるので、この核不拡散法による新たな影響は受けない、こういうことなのか。それから第二は、不拡散法の成立に伴って、日米原子力協定の改定を迫られることになるということなのか。それから第三に、日米原子力協定や、この間の東海再処理工場に関する日米共同決定に盛られていない部分あるいはそこに記載されている以上の内容を持つ部分については、核不拡散法の影響をわが国は受けるのか、この三つのうちのどの点に該当してきますか。
  198. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  アメリカの新しい不拡散法がわが国原子力政策にどういう影響があるだろうかという御質問でございますけれども、日米原子力協定の問題でございますが、これは不拡散法に盛られました新しい要件、これが現在ございます日米の原子力協定ですべてカバーされているわけではございませんので、新しい核不拡散法の成立に伴いまして、現行の協定の見直しが必要になるわけでございます。  具体的に、いつどのようにこれが行われることになるかは、今後アメリカと相談していくことと思われますけれども、いずれにせよ、協定の見直しは必要となるものと思われます。
  199. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこで、具体的な項目について、分野ごとに伺っていきたいと思うのですが、引き続いて外務省に伺いますけれども、私の持っておる訳文が必ずしも決定版ではないようでありますが、そういうことを前提にして、いわゆる再処理をわが国外国に委託する問題についてなんです。  この核不拡散法では、アメリカの濃縮ウランの使用を通じて生産された特殊核物質の再移転についての合衆国の事前承認が要るわけなんですが、それについて、こう述べているのです。「合衆国は、そのような再移転を受領すると指定された当該第三国または国家集団が、この節で要求される条件に従うべきことに合意する場合にのみ、そのような再移転を承認することが出来る。」と出ているわけなんですね。  そこで、わかりにくい文章なんですが、現実の問題としてお答えいただきたいのですが、いま日本ではアメリカの濃縮ウランを発電所で使っている。その使用済み核燃料の再処理を現在イギリスに委託している、あるいはフランスにも委託しようとしている。このイギリスやフランスがいわゆるこの節で要求される条件に従うことを承諾しなかった場合、日本がイギリスやフランスに再処理を委託することは一体どうなります。
  200. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  一般的な規定は、ただいま御指摘のとおりでございまして、移転先の第三国において核不拡散法が要求しているような要件が満たされない限りは、アメリカは再移転を承認しないということでございます。ただ問題は、ただいま御指摘のイギリス、フランスでございますが、これは御承知のようにいずれもユーラトムのメンバーでございます。それでユーラトムの取り扱い、これはいままでもアメリカはいろいろな政治的その他の観点からほかの二国間協定とは違った取り扱いをいたしておりますが、今度の場合にもある程度ユーラトムに対する配慮というのもございまして、具体的に今後アメリカがユーラトムに対してどういう政策をとっていくか、この点をもう少し見きわめませんと、いまの先生の御質問に対してはっきりした答えは申し上げられないのではないかというふうに感じております。
  201. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 科技庁の方に伺いますが、もちろんそれはユーラトムの中での意見等については、例外規定とか明記されているけれども、いまの外務省の答弁からいってもわかるように、ユーラトム対アメリカ関係がこの核不拡散法をめぐってどうなるかということも将来不確定要素が多い。場合によっては、ユーラトムとアメリカとの関係アメリカの望むようなことにならない場合に、日本がそのユーラトムの一員であるイギリスやフランスに再処理を委託することが困難になる場合があり得るというふうに考えていますか、どうですか。
  202. 山野正登

    ○山野政府委員 今回のアメリカの核不拡散法の主たる目的と申しますのは、申すまでもなく核不拡散を強化するという方向での法案でございまして、これに基づいて今後日本、ユーラトムを含め、関係各国と協定改定の交渉に入るわけでございますが、その際に私どもが看過してはならない問題としまして、別途同じく核不拡散の強化と原子力の平和利用というものの調和点を求める作業というものが国際核燃料サイクル評価計画としていま実施されておるわけでございまして、この場である程度の核不拡散強化の国際的なコンセンサスというものはつくり得るであろうと私どもは見ておるわけでございます。そういう意味で、この米国の核不拡散法が将来実行に移されます段階で、自由主義陣営が恐らく共通した立場で核不拡散強化に具体的にどう対応しようかといったふうなことについての解決策といったふうなものを見出すだろうというふうに私どもは期待しておりますし、また、そういう方向でわが国努力をしなければならないというふうに考えておりますので、先生のお説のようなことは、理論的には起こり得るかもしれませんが、実態としては全く起こらない方向で努力したいというふうに考えております。
  203. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 科技庁としても、この法律の結論としてやはりそういう危険性があることは否定できないと思うのです。いま理論的にはそういうことはあり得ると言われたのでしょう。そうならないようにというのは希望なんですね。同時に、「更に進んだ輸出規制の交渉」という項がありますが、そこでは日本がさらに第三国に輸出しようとする核物質、施設またはセンシティブな原子力技術、再処理とか濃縮などを指すそうですが、この技術と、もう一つアメリカが輸出した核物質を使用して生産された特殊核物質、これが前段の方の規制対象なんだけれども、将来の進んだ交渉の段階で、こう述べていますね。「協力協定に従って移転されたすべての生産施設または利用施設もしくは当該施設を利用するかまたは協定に従い移転された物質を利用して生産されたすべての特殊核物質」、こうなってきますと、つまり日本にあるアメリカ技術でつくられた発電所で燃やせば、その燃やした燃料はどこの国のものであろうとも、全部これに該当すると思うのですが、それは「アメリカ合衆国の同意なくしては承認を受けていない者または協力の相手国の管轄もしくは管理を超えて再移転されてはならないとする保証を相手国から取りつけること。」つまりそういうふうなものについては、日本が第三国には絶対移転しない、こういうふうな保証をアメリカにしない限りはアメリカの協力が得られない、こういうふうなことに進むようなことも明記されていますね。この点は外務省の方はどういう見解をとっているのか。結局私どもが見たところでは、アメリカ産以外の天然ウランで、アメリカ以外で濃縮したものであっても、要は日本にある発電所がアメリカ技術でつくられたものである限り、そこで燃やせばそこから生まれてくる特殊核物質については第三国に移転はできない、こういうふうな理解になるのじゃないですか。
  204. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  実は核不拡散法をただいま一生懸命勉強中でございまして、いろいろ細かいなかなかむずかしい規定もございますので、アメリカのしかるべき法律専門家から十分な説明を受ける必要があるとは思いますが、とりあえずの解釈といたしましては、ただいま御指摘のとおり、いままでのようにアメリカから買った米国産の燃料のみならず、米国産の原子炉で使用された燃料についてもアメリカの規制がかかるということになると思います。  ただ問題は、米国産のファシリティー、具体的には原子炉でございますが、これが何であろうかということでございますが、関連条項の前後関係、使われた用語等からいたしますと、これは実際に部品その他をアメリカから持ってきて、日本でつくった炉に関して当てはまるものではないか。したがいまして、技術アメリカからライセンス契約で入れまして、それで日本でつくりました炉については、その原子炉の技術アメリカ産のものであっても、この条項は該当しないのではないかというふうにとりあえず解釈いたしております。
  205. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし日本に現在ある軽水炉で、確かにアメリカ技術導入で生産は日本でやったという部分も多いだろうけれども、またアメリカの原子炉部品をそのまま日本に輸入してつくられている部分もあるわけなんですね。そうなってくると、いまのような説明というのは希望的な解釈であって、むしろ事実上、日本の場合はアメリカの部品等を入れての原子炉が圧倒的に多いし、技術的にはもちろん、ほぼ全面的なアメリカからの導入、そういう場合ですから、今後URENCOなどから濃縮ウランを輸入しようとしているけれども、こういうものについても全部規制が及んでくる、こういうことを覚悟しておかなければならないと見る方が正しいのではないですか。これは科技庁に聞いてみたいと思います。
  206. 山野正登

    ○山野政府委員 協定に基づいて移転された施設というふうなものを米国がどういうふうにいま具体的に考えているか、これは不明でございます。将来わが国と協定改定に入りました段階で米側の見解というのは明確になるわけでございますので、その際わが国が、この核不拡散強化のために、不当に原子力の平和利用というものが損なわれないように私どもは対処しなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、いずれにしましても、この核不拡散法というのは、各国との協定改定を経て初めて意味のある問題でございますので、現在の時点で早々に判断するというのはきわめてむずかしい問題かと考えております。
  207. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこで私は最初に外務省に三点に分けて説明を聞いたのですね。日米原子力協定の改定に及ぶであろう、これは答弁にありました。現在の日米の原子力協定の状態のままでアメリカの核不拡散法だけが成立している。このもとで、ではいまの山野原子力局長の答弁のように、何ら影響を受けることはない、こう言い切れますか。これは外務省に聞きたいと思います。
  208. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  ただいまの点につきましては、米国政府がこの核不拡散の運用に当たりましてどのような態度をとるかということに係るところが多いかと思われますが、先ほど山野局長からも御説明がありましたように、アメリカが核拡散の防止という点にきわめて強い意欲を示していると同時に、通常の原子力協力、これに対して不当な悪影響があってはならないという考慮も十分払っておりまして、そういう観点からの規定、たとえばそれが例外規定というような書き方でございましたりいろいろな書き方はございますけれども、そういう核不拡散の見地から規制を強化すると同時に、通常の原子力国際取引に不当な制約がかかってはならないという配慮もなされておりますので、その両者を踏まえた上で、アメリカわが国に対して臨んでくるものと思われます。
  209. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらに具体的な問題でお尋ねしますが、動燃がいま人形峠などでやっている濃縮プラントあるいはその後に予定されている実用的なウラン濃縮プラントとの関係なんですが、この核不拡散法では、「協力協定に従って移転された物質、および協力協定により移転された物質または生産施設もしくは利用施設に利用されるかまたは当該物質もしくは当該施設を利用することにより生産された物質は、合衆国の事前同意なくしては、一切再処理」、現在は、もう日本は当然これはひっかかっているわけですが、次の「または濃縮もしくは形状・内容の変更をされないとする保証を協力の相手国から取りつけること。」と、こうなっているのです。この点は、今後わが国の、つまりやろうとしている濃縮にアメリカの規制がかかってくる、いわゆる事前同意が要求されてくる、こういうように見なければならないのじゃないかと思うのですが、外務省の見解はいかがですか。
  210. 太田博

    ○太田説明員 アメリカの天然ウランを日本で濃縮しようとする限りはただいまの御指摘のとおりでございます。
  211. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次は、高濃縮ウランを使用するわが国研究炉の運転との関係です。これはINFCEの第八部会でも問題になったと報道されておりますが、二〇%以上の濃縮ウランの輸出規制の問題がありまして、これが今回の核不拡散法と関係があるのか、それともまた別途のアメリカの規制措置として行われているのか、これは科学技術庁いかがですか。
  212. 山野正登

    ○山野政府委員 精神においては核不拡散を強化するという方向で、全く同一の発想、精神に基づいたものと思われますが、内容としましては、核不拡散法の中には高濃縮ウランの輸出規制問題というのは特記されておりませんで、これは別個の問題だと考えております。
  213. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これも新聞に出ておった天野原研理事の談話でありますけれども、要約すれば、高濃縮ウランが使えないとなると、原研の研究炉などは実質的には研究不可能になってくるというふうなことであるわけですね。今後ともこういうアメリカの政策は続くと科技庁は見ているのですか。見ているのなら、それに対する対策は何か立てているのか、いかがですか。
  214. 山野正登

    ○山野政府委員 従来米国は、昨年の十一月でございましたか、新しく発表しました高濃縮ウランの輸出規制手続を実行します前にも、現行の日米原子力協力協定に基づきまして、わが国からの高濃縮ウランの輸入申請に対しましては必要な審査というものをやっているわけでございます。今回これを具体的にさらに細かく定めたというのが実情でございまして、従来は自由に輸出されておったというわけではないわけでございます。  その際の米側の基本的な判断基準と申しますのは、その高濃縮ウランが技術的にあるいは経済的に必要かどうかということが判断の基準でございまして、これは過去も現在も変わらないわけでございますので、将来ともわが国が必要とする高濃縮ウランの輸出を申請しました際には、当然そういう基準で審査して、もし経済的、技術的に必要であるという認定をすれば、米側は当然輸出を許可するというふうに考えております。  その際、昨年十一月の新しい手続の中にも言われておりますが、高濃縮ウランでなくてもっと低濃縮のウランで同じ研究目的を達成し得るものは低濃縮ウランに切りかえてほしいという米側の希望もあるわけでございますので、これもわが国としましては核不拡散の強化という方向ではむしろ賛成の立場にあるわけでございますから、技術的にあるいは経済的に特段の支障のない限りそういう方向もあわせ検討するというのが現在の実情でございます。
  215. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もちろん私が天野理事に直接会ったのではないので、その点では、注釈つきでではありますけれども、いまの山野局長の言われるように、低濃縮ウランが使えないかということに対して、天野理事がそういうわけにいかないと言っているわけですね。「研究炉の炉心から取り出した高速中性子線ビームを当てて金属などの性質を調べる固体物理実験や炉心内での原子炉材料、燃料照射実験などができなくなる。」こういうものは低濃縮ウランではできない、こう言っているわけですね。そういう点では、同じ政府部内でありながら、原研の言っていることと局長の言っていることとは相反するのじゃないかと思うのです。対策ができていないと思います。  それからさらに、今度の核不拡散法では新たにプルトニウム、ウラン233それから二〇%以上の濃縮ウランの貯蔵施設に対する事前承認権をアメリカが規定してきたと思うのですね。ところが、現行の日米原子力協定の第十一条でも一応貯蔵施設に対するアメリカの承認権をうたっているわけなんです。その現行の原子力協定の貯蔵施設に対するアメリカの事前承認の問題と、それから今度アメリカで成立した核不拡散法での貯蔵施設に対する事前承認権との違いは一体どこにあるのですか。
  216. 山野正登

    ○山野政府委員 まず、ただいまの御質問の前に先ほどの答弁を補足させていただきますが、私は原研の研究炉はすべて低濃縮ウランに切りかえ得ると申し上げておるわけじゃ決してないわけでございまして、わが国研究炉に使います高濃縮ウランを、一般論としまして低濃縮ウランに切りかえ得ないかどうかというものを検討しておるという意味でございます。それで、原研について申し上げますと、少なくともただいまのところは引き続き高濃縮ウランで米国から輸入したいという立場にあるわけでございます。  それから、高濃縮ウランの貯蔵につきまして、新しく、今回の米国の核不拡散法におきましては、プルトニウム並びに高濃縮ウランの貯蔵施設については米国の事前同意というものをうたっておるわけでございますが、現行の日米原子力協力協定では高濃縮ウランの貯蔵施設の事前同意というのは特にうたっていないと私は承知いたしております。
  217. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 たしかそれはIAEAの保障措置を受け入れている限りはアメリカの事前承認は要らないけれども、もしそういうものを日本が拒否するとすれば事前承認が働く、こういうふうになっておったと私は思うのですが、違いますか。
  218. 山野正登

    ○山野政府委員 十一条のBの(3)項にお説のようなことがうたわれております。
  219. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると今度の核不拡散法では、日本がIAEAの保障措置を受け入れていたとしても、なおその上に高濃縮ウランなどの貯蔵施設に対してはアメリカの事前同意が必要になってくるというふうに理解すべきなんですか。これは科技庁でも外務省からでも結構です。
  220. 山野正登

    ○山野政府委員 米国の核不拡散法の、用語でございますが、この定義というものが現在必ずしも明確になっていない。これは先ほど外務省の方の御答弁にもあったとおりでございますので、今後米側にこの点を確認していくとともに、将来日米間で協定改定交渉に入りました際にはいやおうなしにこのあたりは明確にせざるを得ないわけでございますから、その時点で判断すべき問題と考えております。
  221. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから、結局この核不拡散法では、アメリカの権限によるフルスコープ・セーフガードつまり原子力の全範囲について保障措置を要求するといいますか、あるいは安全規制を要求するといいますか、一口で言えばこういうふうなことになると思うのですが、法律上、これはいわゆるNPTに加盟している国と、それから加盟していない国に対しては扱いは変わってくるのですか、全く同一扱いになるということになっているのですか。これは外務省。
  222. 太田博

    ○太田説明員 核不拡散法の規定の中に、アメリカの政策といたしまして、できるだけ多くの国が核防条約の当事国となるように働きかけることという一項がございまして、アメリカとしてはすべての国が核防条約の当事国となることによってただいま御指摘のフルスコープ・セーフガーズの要件を満たすということを期待していると思われます。ただ、理論的に申しますと、核防条約に入らなくてもフルスコープ・セーフガーズを実施する手段が可能でありますれば、そういう手段によってフルスコープ・セーフガーズの要件を満たすということも可能でございます。
  223. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もともとNPTの体制というのは原子力の平和利用の軍事転用を防ぐ体制としてつくられたんではなかったかと思うのですが、その上にまた去年日本は東海再処理工場の運転開始については新しい共同決定を要求された。そこへもってきてアメリカの国内法として今度また核不拡散法ができてその影響をわれわれが受けてくる。こうなってくると、NPT体制とは一体何ぞやということをわれわれは改めて問わざるを得なくなってくるのですが、アメリカ側にしてみればNPTでは軍事転用は十分防げない、こういう認識が今日基礎にあるからこういう法律が生まれてきた、こういうふうに考えてよいわけですか。これは外務省。
  224. 太田博

    ○太田説明員 ただいまの点でございますが、アメリカとしては、核の拡散を防止するために核防条約体制が最も重要な体制であるということは十分認識して、今度の核不拡散法にもその趣旨がはっきりとうたわれております。ただ、その核防条約体制をもっていたしましても残念ながら一〇〇%核の拡散を防ぐわけにはいかないという認識があることは確かでございまして、そういう意味でアメリカとしては核防条約の体制の補完強化という観点から幾つかの新しい措置を講じようとしているものと考えられます。
  225. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 時間がないのでまとめざるを得ないのですが、今度の核不拡散法では随所に「第九十一c、第百四十四b、または第百四十四c各項により取りきめられた協力協定の場合を除き」などという除外があるわけですね。これは一言で言えばいわゆる軍事協力協定の場合を指すんだそうですね。そうすると、この核不拡散法というのは事実上軍事的な協力関係にある国には適用されない、こういうことになってくるのですか。
  226. 太田博

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  アメリカ原子力の軍事的な分野で協力している国との関係には適用されないというのは必ずしも正確ではございませんで、これは当然のことながら相手が核兵器国の場合でございますけれども、相手が核兵器国でその国と軍事的な原子力分野での協力を行っている場合にはその軍事協力の分野に関しては適用がないという趣旨でございまして、相手がそういう軍事協力を行っている国でございましても原子力の平和利用の分野についてはこの法律が適用されるものと思われます。
  227. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この核不拡散法の及ぶ期間の問題なんですけれども、文面から見ますと、「協定書の他の条項に定められた期間、または理由のいかんを問わず協定が終結するか、若しくは中止されるかにかかわらず、協力協定書に定められた保障措置が必らず適用されることの保証を協力相手国に取りつけること。」というふうにうたっているわけですね。こうなってくると、現在の日米原子力協定ですと、いずれかの当事国が協定廃棄の意思を持てば一定の条件はついているけれども廃棄することが可能であって、その後にどうのこうのという条件はついてないけれども、今度の核不拡散法が効力を発してくると、そういう二国間協定が事実上どちらか一方の意思で廃棄されたとしても、このアメリカの法律に定められた保障措置を相手が承知する、こういう前提がなければアメリカは濃縮ウランを供給しないとかあるいは技術の供給をしないとか、こういうふうに受け取れるのですが、そういうことになる、つまり、まあ半永久的に日本なら日本がこの法律の影響を受けていく、こういうふうなことになるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  228. 太田博

    ○太田説明員 ただいま御指摘のとおりでございます。ただしこの受け取り方でございますが、この協定自体が廃棄されても供給されたものがある限りは保障措置がかかり続ける、あるいは供給国の権利が生き続けるという考え方は、何もアメリカが今度核不拡散法で初めて盛り込んだ考えではございませんで、特にインドの核爆発以降、いかにして核の拡散を防止するかという観点からいろいろな補完策が考えられておりますけれども、そのうちの一つでございまして、実はこれは歴史的には非常に短い有効期間の原子力協定がございまして、それが切れた後は、ただいまの先生の御説明とは全く逆に、供給国から供給された核物質あるいは原子炉があっても供給国の権限が全く及ばなくなってしまう、それで受け取った国が何をやってもいいというような状況は、やはり核拡散防止上防ぐべきであろうという観点から生まれてきた考え方かと思われまして、たとえば米国以外にも、主な原子力の供給国は最近こういう考え方を次第に取り入れつつあります。
  229. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最後に、これは大臣に伺いたいのですけれども、私、時間の都合で省略した部分も大分あるのですが、一応、現在試運転に入っている東海の再処理工場についても、この不拡散法では例外扱いにしておりますが、二年後、つまり今後の一年半後の運転再開に当たっては、核物質の兵器への転用に対して事前に時宜を得た警告が可能な条件のもとで行われるか否かを第一に考慮しなければならぬというふうなことも言っているのですね。こうなりますと、いわゆるプルトニウムを単体抽出するピューレックス法などは事実上これで否定されて、わが国の選択の幅なるものはきわめて少なくなっているんじゃないかというふうにも理解されるのです。これはいま質問しておりませんから、確定的な結論ではありませんが。  先ほど来の政府側答弁をずっとお聞きのとおり、現在政府方針では、わが国の再処理をイギリス、フランスに委託している。こういうものについても、今後のアメリカとユーラトムとの交渉結果にはよるでしょうけれども一定の影響が出る可能性は十分ある。あるいはまた今後のわが国の濃縮技術開発についても、アメリカ産のウランを使う限りはこれも影響を受けてくる。あるいはまた原研なんかが使う研究炉の高濃縮ウランの供給も、一々アメリカとの特別な協議も必要になってくる等々、従来とはまた質の違ったアメリカの強力な支配を日本原子力開発が受ける、こういう事態になってきていると思うのですね。しかも、米国の見解不明のためにわが国の態度自身が決めかねるというふうな答弁も出てくるわけでしょう。ここまで日本の主権が侵されて、果たして安全な自主的な日本原子力開発がうまくいくのかどうか、これは心配してあたりまえだと思うのです。  そこでなんですが、まず第一点は、原子力を代替エネルギーの主力と考えるいまの政府の政策に検討を加えるべきではないか、これが第一。  それから第二は、アメリカ技術それから軽水炉、濃縮ウラン等々に依存してきているこの道がきわめて危険なので、もしこのまま進んでいくと、今度は抜け出そうにも、自主的な道に転換しようにもし得ないように、アメリカの国内法によってがんじがらめになるおそれも出てくる。この点では、やはりいまのうちに日本の自主的な技術開発の道に転換する必要があるのではないか、これが第二点。  それから第三点は、そもそも、セーフガード、つまり保障措置、安全規制ですね、これは日本国民に対しては日本政府の主権で行うべきこと、日本政府の責任で行われなければならないことなのに、一々アメリカの尺度に照らして、どうだろうか、こうなってくるわけですね。これは非常に危険なことだと私は思うのです。そういう点では、日本国民には日本政府が安全に責任を持つ、こういうふうなことを今後不可能にしてしまうことのないように、そういう主権まで放棄することのないように、いまやはり改めて政府がこの原子力開発の安全問題について、アメリカにとやかく言われるのじゃなしに、アメリカの政策によって左右されるのじゃなしに、日本独自でやっていけるような毅然とした態度を示しておくことが必要ではないか、こういうふうに思うのです。  全体として言えば、既定方針どおりどんどんアメリカ型の軽水型の原子炉で原子力開発を追っかけていく、こういう路線にいまこそ再検討を加えるべき時期じゃないか、アメリカがこういう法律をつくった機会にですね。その点の大臣の見解を伺って、終わりたいと思います。
  230. 熊谷太三郎

    熊谷国務大臣 いま三点につきましていろいろお話がございましたが、これはいま改めてそういうことではございませんが、ということはいろいろ自主的な開発でありますとか、あるいは原子力一本やりということについての代替エネルギー的な考え方を検討しなければならぬとか、日本の主権が侵されぬようにしなければならぬとか、いまいろいろな点のお話がありまして、これはいまさらのことではありませんが、これを契機としてさらにそういう道を追求していかねばならぬということについては、御同様の意見だと考えております。
  231. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 終わります。
  232. 岡本富夫

    岡本委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。  次回は、明三十日木曜日、午前十時理事会、午後二時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会