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1978-02-28 第84回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十八日(火曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 竹本 孫一君    理事 國場 幸昌君 理事 西銘 順治君    理事 村田敬次郎君 理事 加藤 万吉君    理事 斎藤  実君       有馬 元治君    川田 正則君       熊谷 義雄君    篠田 弘作君       住  栄作君    田澤 吉郎君       村上 茂利君    上原 康助君       河上 民雄君    木島喜兵衞君       島田 琢郎君    市川 雄一君       玉城 栄一君    瀬長亀次郎君       甘利  正君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)     稻村左近四郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      美野輪俊三君         労働大臣官房審         議官      谷口 隆志君  委員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  北村  汎君         自治省財政局調         整室長     小林  実君         沖繩振興開発金         融公庫理事長  岩尾  一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二八号)      ――――◇―――――
  2. 竹本孫一

    竹本委員長 これより会議を開きます。  沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 最初に、提出されております沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたしたいと思います。  振興開発計画を推進していく上で開発金融公庫の果たしてきた役割りは少なからぬものがあると評価をするものですが、今回ちょうど振興開発計画も後期に差しかかった段階で、しかも沖繩経済状況が非常に厳しい関係にあるわけです。そういう県経済の今後の活動を刺激をしていく、あるいは沖繩地場産業なり県民の求めてきた経済環境整備していくということで、この公庫法の一部を改正して、公庫そのものが従来の融資だけではなくして、債務保証あるいは出資機能まで果たしていきたいというのが今回のこの法案提出の主たる目的かと思うのです。  そこで、これまでも各先生方からいろいろお尋ねもあったと思うのですが、改めて、今回この公庫法の一部を改正して、いま申し上げましたような趣旨に照らして、振興開発計画沖繩経済基盤の確立を図る上で、公庫としてあるいはまた開発庁としてどのようなメリットがあるとお考えなのか、どの程度の期待が持てるのか、ここいらの点についていま少し定かにしておいていただきたいと存じます。
  4. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 先生のただいまの御質問の中にもありましたように、沖繩振興開発金融公庫は四十七年に設立されまして、六年目を迎えておるわけでございますが、御案内のように、本土復帰しまして以来、本土におきます一銀行、六特殊金融機関を含めた総合的な金融公庫として、今日まで沖繩におきます地場産業振興のため、あるいは民生安定のために、各般融資を通じまして地元民間金融機関融資補完業務を適切に行ってまいったわけでございます。  今国会の冒頭大臣から所信表明もございましたように、復帰をいたしまして六年目を迎えた沖繩現況にかんがみ、各般社会資本整備産業基盤整備も逐次その目的達成を見つつあるわけでございますが、一面、内外の情勢に基づく経済の悪化、なかんずく景気の停滞による民間設備投資沈滞等を中心に、沖繩産業の伸展につきましては現況必ずしも楽観を許さない面もあるわけでございます。そういったことにかんがみ、沖繩振興開発金融公庫の持つ機能をこの際さらに拡充をすることによりまして、積極的に沖繩地場産業振興を図るということを目的といたしまして今回法律改正を御提案申し上げているわけでございますが、お尋ねのように、私ども考えておりますのは、あくまでも沖繩県内におきますところの有効な地場企業発展と申しますか、民間設備投資をこれによってより適切に誘導することにあることは論をまたないところでございます。  そういう観点から考えますと、いろいろと効果はあるわけでございますが、簡単に申し上げまして、まずこれらの出資公庫から出されることによりまして、沖繩におきます事業、これから起こります事業というものが準公共的と申しますか、公共的な性格がより明確になり、これらの事業地元の各企業間で調整され、県あるいは公共団体が参画されてプロジェクトとして確立される過程において、より有効に関係者の間の理解と申しますか、所要調整が進むものと考えますし、さらには、そういった観点から事業主体づくりが促進されるものと考えているわけでございます。  なお、他面、いろいろなプロジェクト考えられますけれども、端的に言いまして、沖繩地元における経済には役立つ事業ではありましても、当面直ちには採算に乗りがたい、ある程度の期間を見通さなければ安定的な経営には乗っていきがたい、こういった民間企業では、端的に取り組みが困難な事業につきましても、民間企業県ともども企業設立をもくろまれ、これに対して公庫協力をする、こういった場合により適切、合理的にそういった企業誘導設立がなされやすいのではないか、こういうメリット考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、具体的計量でどうこうということは直ちには申し上げにくいのでございますが、諸般のいろいろな面から考えまして、沖繩経済への心理的な刺激効果も十分期待できるものと考えておりますし、この機能付与沖繩地元産業振興にとって非常に有意義なものがあろうと確信をしているところでございます。
  5. 上原康助

    上原委員 後ほど少し私の懸念している点なども含めて問題点指摘していきたいと思うのですが、その前に、大体そういう見通しというのは一般的受けとめ方としてはできると思うのですが、現在この開発金融公庫沖繩県内で占めている金融的シェアはどの程度になっているのか。いま一つは、融資をしてかなり返済なり償還がむずかしい企業ども、最近の不況、経済の落ち込みでいろいろあろうかと思うのですが、そのあたりの実態は全体的にどうなっているのか、御説明を賜りたいと思います。
  6. 岩尾一

    岩尾説明員 最初沖繩公庫沖繩経済に占めますシェアといいますか地位でございますけれども、ちょうど復帰をいたしました四十七年ごろの県内資金量全体が三千億から三千五百億ぐらいだったと思います。現在全体の資金量は一兆をちょっと超えたぐらいではないかと思います。その中で公庫が占めております貸付残高が現在大体三千三百億ぐらいでございます。大体三割を超えたところぐらいのシェア沖繩公庫だけで持っておるというような状態でございます。  それから債権関係でございますけれども、先般の委員会でもお話をいたしましたように、具体的な数字を申し上げるのは金融機関として差し控えたいと思うのでございますが、債権管理の面から見ました状況は決して良好ではございません。いろいろ事情があるかと思いますけれども経済状態が大変沈滞いたしておりますし、各企業体質も大変零細でございますので、さようなこともありまして、債権管理状況は他の金融機関に比べまして非常に悪いというふうに御了解いただきたいと思います。
  7. 上原康助

    上原委員 後段の方は余り内容がさだかでないのですが、ある程度運用状況といいますか、沖繩の各金融機関企業との関係というものがわかるような感じがするわけですね。  そこで、私がなぜこのことをお尋ねしたかといいますと、すでに三三%あるいは三割以上のシェアを占めている。ということは、それだけ金融機関としての力がついているという一つの証左だと思うんですね。それはある面では沖繩経済にそれだけ刺激を与えている、あるいは融資をしているからプラスになっているという見方も成り立つと思うのです。反面、これまでは融資主体にしてやっておったわけですが、それでもおっしゃるとおり設立当初から今日にかけてどんどんシェア拡大をされて、三十数%になんなんとしている。そうしますと、今後出資機能まで果たすということになりますと、ますます県経済県内企業に与える影響拡大をされていくということは、これはまた当然なんですね。またそれがそうなければいかないという面もあるわけですが、そこで懸念されることは、権力を持ち、金力を持つといろいろ弊害が出てくることも、またこれ世の常とまでは言い切れませんが、運用を誤るとむしろ逆効果の面もありはしないかという懸念が成り立つわけですね。したがって、そういう面で、沖繩県経済を支配するというような金融機関になってはいかぬと私は思うんですね。かつて民政府が琉銀なりそのほかの金融機関を政治的に、あるいはいろいろな面でコントロールをして、融資対象とすることもえり分けたり、いろいろないやがらせ等をやった苦い経験を私たちは持っておる。現在の開発庁出先機関やあるいは防衛庁を含めての出先機関も、かつてのUSCAR的存在というまではいかないにしても、少なからずそういう屋上屋的な権力構造になっていないと言い切れない面もまた私はあると思うのですね。  そこで、これらの弊害をどう克服をしていかれようとするのか、この点も篤と皆さんのお考えを聞いておかないと、ただもろ手を挙げて、出資機能まで果たすあるいは債務保証もやる、こういうことだけで喜べるものでもないと私は思うのですね。これは私の杞憂であり単なる懸念であればそれにこしたことはないわけですが、ここいらに対する歯どめというのは、今後公平無私金融行政をやった上で地場産業育成、本来の目的達成をしていくという皆さんの決意がなければいけないと思うので、この点はできれば大臣の方からも御所見を承っておきたいと存じます。
  8. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 大臣からの御所見もあろうかと思いますが、事務当局として一言お答えをさしていただきたいと思います。  先生も御案内のように、沖繩開発金融公庫は、その設立目的に明確に明示されておりますように、沖繩地場におきます産業振興あるいは民生安定上の所要資金供給を、沖繩地元における諸金融機関融資補完機能としてやる、あくまでそういうふうに明示されておるわけでございまして、地元におけるいろいろな諸般情勢を勘案しながら、今日までいわゆる補完機能としての役目を逐次果たしてきたものと考えておるわけでございますが、今回の出資機能等付与も、冒頭しばしばお答えしておりますように、あくまで沖繩経済現況にかんがみまして、さらに積極的に沖繩地場産業振興を果たすよう、地元の要望にこたえて、今回の法律改正案を提案したわけでございます。  先生も御案内のように、この公庫機能付与は、本土で申し上げますと北東公庫にもその例がございますように、北東公庫におきましても、やはり北海道、東北地方におけるそれぞれの特色のある地場企業育成誘導、助長するということでいろいろな出資が行われておるようでございまして、私どもの基本的な考え方は、公庫を含めまして、あくまで沖繩地元関係経済界、これらの方々から自発的にいろいろな有益なプロジェクトを発議、調整をいただいた上で、これらの事業に、公共性の見地から県あるいは地元市町村等も積極的に関与をいただきまして、それらの調整の上に、ぜひ公庫もこれに一枚参画をして協力をすることが、事業の将来性から見て適切である、こういう判断のもとに、与えられた機能を発揮しようというのが目的でございまして、公庫なり国の方で、何と申しますか、国策会社としてのものを沖繩にもくろんでつくるということを第一義にした機能付与では毛頭ないわけでございます。  そういった意味で、先生が御懸念になりましたような、具体的にお答えすることは省かせていただきますけれども公庫出資をすることによって、沖繩のそれらの関連企業公庫ないしは国によって恣意的にコントロールされる、あるいはひいては地場企業圧迫をするということは毛頭ないのではないか、かように考えているわけでございます。
  9. 岩尾一

    岩尾説明員 大臣からお話があるかと思いますけれども担当者といたしましてちょっと御答弁させていただきます。  いま総務局長お話がございましたように、法律補完というふうに書いてございますので、われわれはその補完ということを念頭に置きまして資金運用を図っておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、一兆円の資金全体の中で大体三三%ぐらいのところのシェアでございますけれども、あとの地方銀行、たとえば琉球銀行とか沖繩銀行とか、そういった銀行の現在の状況は、大変に預金が集まって貸付先がないという状況で、非状に預貸率が低いわけでございます。大体七割ぐらいとお考えいただいて結構かと思うのでございます。そういう状況でございますから、政府資金である郵便貯金あるいはそういった零細な国民大衆お金をお預かりしておる当公庫がそういったお金中小企業の方とか、有効に使うようにするには、やはり金利の安い金でないと動かないわけですから、したがってだんだんシェアがふくれてきた、こういう状況でございます。そういったことで、御懸念になっておりますことは全く私も同感でございまして、そういった融資をすることでむしろ押しつけていくというようなことは毛頭考えておりません。
  10. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 沖繩公庫機能拡充ということでありますが、金融シェアにいたしましても三割強を占めておる。先ほど理事長内容については説明ができない、私も当然だと思っております。そういうふうにして、沖繩県金融機関というものは、こういう状態になりますと貸付先というものについて相当厳しい状態である。そういう意味から、沖繩公庫の果たす役割りというものは、やはり沖繩地場産業つなぎ資金であるとか、あるいはまた設備資金であるとか、こういうような関係から、地場産業育成発展のために大きな寄与ができるのではないか、こういうふうに考えております。  もう一つ懸念圧迫をするのではないか、たとえば貸出先というところが地場産業から離れて別のところに融資をされて、むしろそれが圧迫状態になるのではないか、こういうことについては、これは絶対ないということをお約束しておきたい、こういうふうに思っております。
  11. 上原康助

    上原委員 私が申し上げたのも、これまで、あるいは現在、また将来そういうような運用がなされるという前提で言っているわけではなくして、申し上げたように、あくまでも懸念であれば……という前置きをしてのことですから。ただ、だんだんなれていきますと、そういう懸念もなきにしもあらずでありますので、そこいらの点は、篤と関係者の賢明なる御判断を重ねて求めておきたいと思うのです。  それといま一つ自由主義経済体制ですから、ある程度競合があるのは、相互にいい意味の競争をし合って、刺激をし合って経済が活力を生み出していくということも結構なことなんですが、もう一つ懸念されるのは、新しく一つ地場産業なり何か産業を興すと、必ずそのしわ寄せというのは一方には受けるわけですね。いま五十三年度で予定されているのは、宮古空港ターミナルということをたびたび報道などで見るわけですが、これも結構かと思うのですが、たとえば空港ターミナルをデラックスというか近代的なものをつくって、そこにおみやげ品とかいろいろなものを並べると、宮古における一般中小企業から観光客が買っていたものが、空港で買うということで、それだけ地元中小あるいは観光客を相手にするお店というものは、購買力が下がるということになるわけですね。それはある程度はやむを得ない面もあるかと思うのですが、それが極端になって、一方を建てたがゆえに一方がつぶれていくというようなことのないように、総務局長のおっしゃることからすると、あくまでも地元関係者意思に基づいてということなんですが、それは大変たてまえはいいにしても、なかなか調整をするというのはむずかしい面もあると思うのですね。ですから、そういった点もよく当初からいろいろ工夫するなり配慮をする必要があると思うのですね。言葉をかえて言うと、出資を受ける側の企業と、あるいは条件が不備で受けられない、受けなくてやっていくというような企業との格差というものが著しいものであってはならないと思うのですね。そういう面もぜひ配慮していただきたいし、ここいらの点についてはどういうお考えを持っておるかということもお尋ねをしておきたいと思うのです。  それともう一つ出資対象ですが、これまでいろいろ述べられたと思うのですが、  イ 農林畜水産物加工度の高い工業  口 鉱業  ハ 産業振興開発に係る交通運輸業  二 産業振興開発に寄与する事業の用に供する土地の造成事業  ホ イから二までに掲げるもののほか、産業振興開発のため特に必要な事業主務大臣の指定するもの こういう大体五つぐらいに分かれているような感じがするわけですが、これもなかなか実際問題としては地場産業との競合既存企業との競合どもあって、容易ではないと思うのですね。出資をして企業を起こすという場合はこういう面もぜひ十分吟味をしていただきたいということです。  そこで、具体的にお尋ねをしたいのですが、この「産業振興開発に係る交通運輸業」というものには、いま那覇市等で考えられているモノレールなんかも対象になるのかどうか、具体的な例ですが、お答えをしておいていただきたいと思います。
  12. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 この出資関連をしまして、地場企業の中におきましてはいろいろと影響考えられるという御指摘でございますが、先生おっしゃるように端的に言いましてそういう問題も途中においては起こり得るわけでございます。具体的な問題で例をとるのは差し控えますけれども、現地でいまいろいろと論議されておりますような農産物の加工関係関連した事業、たとえば畜産関係で言いますといわゆる飼料工場、サイロ、こういった話もちらほら聞いておりますけれども、こういう場合、先生の御指摘のように地元にすでにそういった関連企業もおありになるわけでございます。私どもが再三お答えしておりますように、これらの出資前提となります手続といいますか、詰めといたしましては、そういった関連企業方々がお集まりになって十分プロジェクトとして煮詰めていただく。さらにそれにつきまして、私どもお答えしておりますように、できればと申しますかぜひお願いをいたしたいのは、県なり関係市町村なり公共団体関与をしていただいていわゆる共同のプロジェクトとして煮詰めていただきたいと言っておりますのは、まさしく先生が御懸念になるような点も配慮した上の考えでございます。そういった意味で、いわば公共的な観点からスクーリングしてもらうということが、やはり先生が御懸念になるような問題に対しての必要な解決の一つの歯どめであろう、こういうことも実は考えておるわけでございまして、そういう面で問題が起こらないような配慮が極力なされるべきでございますし、当然そういったことにはならないものと考えておるわけでございます。  なお、対象事業につきましては法文に一応各般の抽象的な事業科目を掲上しておりますけれども、いま先生が最後に御指摘になりましたモノレールにつきましては、端的に申しまして、モノレール自身出資対象になり得るかどうかといいますよりも、まず私が申し上げましたように現在のモノレールに対する那覇市あるいは県、そういった当局詰めがかなりまだ距離がある、是非論を含めてまだ論議が煮詰まっていない、こういうことも聞いておりますし、かたがた、御案内のようにあの事業はいわゆる国からの補助事業との関連も端的に言って実はあるわけでございます。そういった煮詰めるべき問題がまだ山積をしておりますので、いま私どもから端的にあれに出資できる、できないという答弁を申し上げるのは差し控えさしていただき、まあ交通運輸業というのは幅広い費目であるということは申し上げておきたいと思います。
  13. 上原康助

    上原委員 そうしますと、民間ベースだけではなくして公共部門の参加、参与というか、保証、担保というのが必要だ、これはある面ではいいと思うのです。ですから言葉をかえて言うと、第三セクター方式的なものも考えるということだと思うのですが、そうであれば、現在の公庫運用を――いろいろな面で審議会どもあるし、開発庁振興開発計画を進めていく審議会もあるわけですが、たとえばどういう事業なり企業対象にしていくかというようなことを検討していく審議会というか、運営委員会というか、そういうようなものもお考えになっていいと思うのです。そういうお考えはあるわけですか。県なり市町村なり地元経済団体なり、場合によっては関係する団体等の意向も十分参酌をする、そういうことであれば、いま私が申し上げたような懸念も一〇〇%はなかなか経済行為ですからなくならないとは思いますが、一般県民感じている疑問、懸念というものを除去するという面では私はかなりプラスになり得ると思うのです。そういう点はどういうふうにお考えですか。
  14. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 先生の御質問に対する端的なお答えになるかどうか懸念をいたすわけでございますが、先般この委員会におきましても他の先生方からの御質問の中に、当公庫出資機能が非常に権能として大きくなりますと、先ほどの御質問関連しますけれども、非常に恣意的にコントロールされるのではないか、いわば国の施策の意思といいますか政策金融機関としての公庫コントロール権が過大になるのではないか、こういう意味の御発言がございました反面、私どもが逐次御答弁の中で、あくまで地元の、いわゆる民間企業の自発的な盛り上がり関係公共団体調整の上に公庫としても必要な御援助といいますか、出資の御協力をしたいという基本姿勢に対しまして、国は手ぬるい、むしろ国責任あるいは公庫責任で積極的に会社設立を促進すべきだ、こういう御意見もあったわけでございます。この辺は国あるいは公庫としてどういうふうに受けとめるべきか、私は慎重に考えなければならぬと思いますが、私ども理解が間違いなければ、いわゆる地元企業盛り上がりについてもなおしばらくの間は国なり公庫にも積極的に誘導、助成をしてもらいたいという御希望も、むしろ地元におありになる、こういうふうにも受け取っておるわけでございます。  しかしながら、先生がたびたび御質問でございますように、私どももあくまでこの出資機能の哲学といたしましては、地場の各企業経済界を含めてそれぞれの方が十二分に協議を重ねられ、かつ県あるいは公共団体等もこれに加わって十分御調整をされ、熟度の熟したものについて公庫もこれに出資の御協力をするというたてまえが適当であろうと思っておるわけでございます。したがって、先生の御質問の本旨にございますように、国あるいは公庫というものが一義的に、恣意的にそういうプロジェクトを設定する、それで引っ張っていくということは毛頭考えておらないわけでございます。  ただ、先生も御案内のように、公庫には年間を通じまして公庫の重要な事案につきまして地元の御意見を十分吸い上げる公庫運営協議会が設けられております。そういったところ、あるいは常時公庫に対する地元側の御希望も十分吸い上げるような努力をいたしまして、先生が御懸念ございますような問題について、できるだけ適切な運営が図られるよう努める所存でございます。
  15. 上原康助

    上原委員 あと二点程度この件でお尋ねします。  いまの点は大体わかりましたが、もう一つは、出資した企業がうまくいかなかったということもあり得るわけですね。計画の段階ではこれは有望だから出資しよう、融資もしようということでやったんだが、先ほどもありましたように、焦げつきもあるしなかなか返済も容易じゃないという状況、これはどこだってあることなんですが、いろいろ熟慮に熟慮を重ねてやった企業にしたって、やってみるとあにはからんや思わしくいかぬということはあり得るわけなんで、その企業がふるわなかった、あるいは一定期間は順調にいったけれども何かの経済的波動とか、そういう面でいろいろな変化が出て倒産を余儀なくされたということもあり得るわけですね。今日の経済環境でもそうですし、将来だってあると思うのです。その場合の公庫責任は、出資をしているわけですから、いわば株主だから、おまえ倒れたのだからおれは知らぬよということにはならぬと思うのですが、そこらの関係は一体どうなるのかということです。もちろんこういう最悪の事態というのはない方がましで、御質問を申し上げるのもちょっと気がひけるのですが、しかし、物事は最悪の事態のことも一応考えなければいかぬ、これもまた政治でありますので、そういうことはどうなるのか。地元企業なり、あるいは県なり公共団体があれほど強く要請したのだから出資したのであって、われわれは知らぬよというわけにはまいらぬと思うのですが、そういう関係はどうなるのかということ。  もう一点は、五十三年度は頭を出しただけで一億円の予算措置のようですが、先ほど引用がありました北東公庫にしましても、規模は違うしその対象も違うと思うのですが、年間大体十億前後の予算が措置されている。それから推してみても、先ほど申し上げたいろいろなことを考慮に入れてなお沖繩経済開発振興計画を推進していく上ではそれ相応の出資機能を果たさなければいけないというのも、これまた原則的にどなたも否定はなさらないと思うのですね。そういう面から将来展望としてどのくらいを予想しておられるのか。確定的な見通しというのはなかなか容易でないと思うのですが、恐らくこれだけの機能を果たしていこうという限りにおいては、振興開発計画なり県経済のいろいろな面を総体的に考えてみると、おおよその額というもの、限度というものは当然見通せると私は思うのですが、そういう面はどうなっているのか、お答えをちょうだいしておきたいと思います。
  16. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 公庫出資をいたしました企業が将来経営不振に陥った場合、公庫はどういうふうに考えるのか、こういう御質問でございますが、先生も御案内のように、まだプロジェクトも固まっておらない時期でございますので、この時点において不振企業の見通しに立ったお答えも申し上げにくいのでございますが、当然、出資をいたします考え方は、あくまで民間ベース会社設立と基本的には同じでございます。  ただ、繰り返し申し上げますように、沖繩における地場企業振興のために非常に有益であるという公共性の高いものについて、地元関連企業経済界及び関係地方団体が合意、調整されたものに積極的に公庫も御援助したいということでございますから、万々そういうことはなかろうとは思いますけれども冒頭申し上げましたように、当面直ちには採算に乗りにくいにしても、やはり長期的な観点でその経営を考えなければならない企業も当然出てくるわけでございますから、万一そういう事態が起こるようなことがございましても、その事態におきまして実情に即しまして、いま申し上げましたような出資に加わっておられる地元関連経済企業団体あるいは関連地方公共団体を含めて関係者協力して適切な対策が講じられるべきであろう、こういうふうに考えております。  今後の出資を含めた見通しでございますが、実は先生も御承知のように、先般の委員会でもお答えしましたが、今年度も具体的に熟度が高まりましてすぐにというプロジェクトが必ずしもまだ固まっているわけでもございません。そういうことから、今年度一応出資一億円を予定しておりますが、五十四年度以降におきましても、あくまで沖繩地元において、いま私が申し上げましたような観点から出資に適したプロジェクト詰められ熟度が高まった場合には、それに即応した措置をとることが当然考えられますので、私どもの口からいま直ちにある年度間を通じて幾らというふうな金額についての見通しは申し上げかねる次第でございます。いずれにしても、その年度におきまして適切な、熟度の高まったプロジェクトがございますれば、その全体の見通しを立てた上で、所要資金については準備を図るよう努めてまいる所存でございます。
  17. 上原康助

    上原委員 最後に、公庫側に御要望申し上げておきたいのですが、公庫に働いておられる職員の労働条件、給与の実態等について少し資料として提出をしていただきたい。金融機関ですから、それ相応の労働条件なり賃金が保障されていると思うのです。時折、公庫の職員の方から意見ども聞いているのですが、かなりきつい面もある、不満な面もあるというような声もありますので、これだけの地位を占めている金融機関ですから、職員のそういった不満なり要求に対しても、ぜひ誠意をもってこたえていただきたいし、また、いま申し上げたようなことについてどのような考えで今日までやってきたのか、その点も少し明らかにしておいていただきたいと思います。
  18. 岩尾一

    岩尾説明員 公庫職員の労使関係といいますか労働条件の問題でございますけれども、御承知のように、当公庫は琉球開発公社、大衆金融公庫あるいは沖繩県の特別会計を引き継いで発足をしたわけでございます。したがって、職員の大半の方は、そういった旧沖繩における金融機関の方がそのまま沖繩振興開発金融公庫の職員となっておられるというような状態でございますので、労働に対する考え方は、旧アメリカ統治下の労働条件といいますか労使関係のような考え方が大変強くあったように思います。それで復帰をいたしまして、本土側のいろいろな労使関係というものがそこに入ってまいりまして、いまや六年目になってだんだん本土の方の労働条件あるいは労使関係と同じようになりつつあるというふうに私判断いたしております。  経験上申し上げましても、ちょうど復帰をいたしましたころのいろいろな職員の間の不満だとか、あるいは団体交渉におけるいろいろな問題、トラブルというものがだんだん減ってまいりまして、最近はほとんどそういったトラブルは起きていないという状況になっております。労働条件も、そういった特殊な関係がございますので、なるべく本土のあれに近づくように、あるいはもう近づいておると思いますけれども、そういう点を配慮してまいったつもりでございます。  なお、御必要な資料で提出できるものがございましたらいつでも御提出をいたします。
  19. 上原康助

    上原委員 そういった面もぜひ十分御配慮いただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  賃金関係、職員の労働条件等についての資料は御提出いただけますね。
  20. 岩尾一

    岩尾説明員 はい。
  21. 上原康助

    上原委員 次に、いま労働問題にちょっと触れましたので、簡単に失業、雇用対策についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  せんだってからうちの加藤先生あるいは島田先生お尋ねなどを聞いていますと、また、これまで出先の総合事務局なり開発庁振興局長総務局長もしばしばおっしゃっているのですが、五十三年度の公共事業予算で八千名程度の労働力吸収ができるのだというようなことを言っておられるわけですが、非常に疑問なきにしもあらずということですね。そこで、簡単でいいですから、一体この根拠はどうかということと、八千人のうちに現在失業している人々はどのくらい吸収されるのか、あるいはまた、日数は何日を労働すると試算をしているのかということなどを明らかにしていただきたいということ。  さらに、私がなぜこの雇用失業対策ということを絶えず問題視をするかと言いますと、確かにいまの沖繩の七%近い、最近若干少なくなったようですが、それでも日本全国の三倍以上の率の失業者を抱えている。これは経済活動そのものでありますので特効薬というのはなかなかないわけですね。だが、ある程度というか、政府の政策の立て方なり行政のやり方等によってはかなりの部分吸収をし、失業者というものを少なくしていく努力ができると私は思うのです。それをやるかどうかは意思の問題だと思う。これが今日までなかなかなされておらないので、昨年から実態調査をやるなりあるいは官房長官に申し入れる、また前総務長官なり稻村現長官にもいろいろお尋ねもし申し入れもしたわけですが、政府全体の沖繩の雇用失業対策を立てる意味での連絡機関の設置なり各省庁間の相互の情報交換、いろいろな政策などを総体的に立てながら失業問題、雇用の創出促進をやっていくという姿勢がまだ不十分だと私は思うのです。  そこで、連絡機関の設置の問題はどうなったのか、今後はどうするつもりなのか、この点についてもこの際ぜひ開発庁と労働省の確たる御見解を承っておきたいと思うのです。
  22. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 来年度の公共事業等によります雇用吸収効果につきまして私どもの方で推計をいたしておりますので、ただいまお尋ねのその根拠等についてお答えをいたしたいと思います。  来年度の予算によります雇用効果につきましては、私どもとして入手できますデータといたしまして労働力統計調査あるいは県民所得統計調査、こういったものがあるわけでございますが、これらの最も新しい資料といたしまして、五十一年度のデータをもとにいたしまして雇用効果を推計をいたしたわけでございます。一般公共事業を含む沖繩振興開発事業のほかに沖繩振興開発金融公庫の住宅資金融事業、それから他省庁に計上されております予算のうちで、沖繩関係の投資的経費によるもの、これらを合わせまして民間投資による雇用に移動がないとした場合の雇用増を推計いたしたものでございます。  考え方といたしましては、沖繩県における総固定資本形成額、その中に占める公共事業等による投資額、それにその基準年次の建設業の就業者数、これの中から単位金額当たりの就業者数を計算いたしまして、これを五十三年度におきまして増加いたします分に掛け合わせましてその雇用増の数を計算をいたした、非常に基本的な関係を申し上げますとそのような形での推計をいたしておるわけでございます。  したがいまして、いまもう一つお尋ねのございました労働日数等をどういうふうに考えておるかという点でございます。これは推計においては直接にはこれを使用いたしておりませんけれども沖繩県におきます建設業労働者の平均就業日数が二百七十一日になってございますが、これは大きなマクロ的な数字の中に実績として含まれておるものと私ども理解いたしております。
  23. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 公共事業の中に失業者がどの程度入っておるかというお尋ねでございますが、これは、なかなか正確な判定はいろいろ問題があるわけでございますけれども先生も御案内のように沖繩県におきます十五歳以上の人口の推移、それから労働力率の推移から見まして、労働力人口が来年度は四十二万九千人程度になると推計されております。五十二年度が四十二万四千人でございますから、労働力人口で五千人程度の増加が推定されるわけでございます。先生案内のように五十二年度は現在、年度末に近づいておりますが、実績の見込みで見ますと、労働力人口が五十一年度に比べて一万人ふえておるようでございます。これに対しまして、就業者数からいたしまして、失業者が年間の実績見込みで約二万九千人ということでございますから、前年度に比べまして実質で三千人程度失業者がふえております。一万人の労働力人口の増に対して三千人の失業者の増ということは、差し引きネットで七千名失業者の吸収が行われている形になっていると理解をいたしております。  明年度につきましては、先般来振興局長からも御答弁いたしましたように公共事業等の拡大、こういったことの吸収及び建設業以外の産業への波及効果その他産業全体の景況回復の程度が、現在の時点では沖繩について必ずしも予測しがたいミクロの面もございますので、確定的な見通しを得ることは困難でございますが、いま申し上げましたような部門におきましても、雇用吸収を前提考えますならば、先般来振興局長から御答弁申し上げておりますように、失業者の数としては八千人以上減少することになるのではないか、こう考えておるところでございます。  なお、雇用関係の対策関係省庁会議の事案につきましては、労働省の方からお答えをいただきたいと存じております。
  24. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 沖繩におきまして雇用失業状態は大変深刻な状態が続いております。こういう深刻な雇用失業情勢に対処いたしますためには、その前提となります産業振興の問題、あるいは雇用対策の中で重要な柱となります公共事業への失業者の吸収の問題、こういう問題につきましては、やはり産業振興を所掌いたしております省庁、あるいは公共事業の実施に伴い関連いたします事業の所管官庁、さらには現地におきます県なり市町村でも事業を実施されます。そういうところが相互に緊密な連携をとって一体となって当たる必要があるわけでございまして、昨年終わりごろから先生の方からも主張ございましたように、やはり関係の行政機関が緊密な連携のもとにこの対策に取り組んでいく必要があるということでございます。こういう観点から私ども沖繩開発庁とともども関係各省庁でそういう緊密な連絡をとり協議する機関といたしまして沖繩雇用失業対策推進各省連絡会議というものを設けまして、この一月二十五日に第一回目の会議を開いたところでございます。ここでは開発庁、私ども、ほかに農林省、通産省、建設省、運輸省、防衛施設庁等に集まっていただいたわけでございます。それに現地から、沖繩県の商工労働部から参加されておるわけでございます。  この会議におきましては、まず沖繩におきます雇用失業情勢の深刻な点について、そういう産業振興なり事業所掌をしておられます省庁にまず十分認識をしていただくということと、それから公共事業拡大実施とこれに対します失業者の吸収という面につきまして、失業者吸収率制度というものもございますし、そういうものの積極的な活用につきまして特に関係省庁に御協力いただくような申し合わせを行ったわけでございます。さらに地元沖繩県からも、地元の事情等説明もございまして、私どもの方からも県の方に、これは従来とも密接な連携を保っておりますけれども、重ね重ね申し上げておるところでございまして、現地におきましても同様な形で各関係機関の連絡協議の場を持つというような体制が進んでおるように聞いておるわけでございまして、今後ともこの中では、先ほど申し上げましたような産業振興とか公共事業への失業者吸収とかというようなことについての問題点なり、その問題を解決するためにはどういう措置を講じたらいいか、こういうことを協議してまいりたいというふうに考えております。
  25. 上原康助

    上原委員 ようやくそういう連絡会議を設置なさって具体的に動き出したようで、その点は評価をしたいと思うのですが、若干失業率が回復ぎみ、小康ぎみにあるからということでこのまま傍観してはならないと思うのですね。したがって、この点は絶えず政治なり行政の場でそれぞれの担当者が誠意を持ってじみちに努力を重ねていく以外に解決の方法はないと思うのですよ。そういう意味で特段の御努力を賜りたいし、この件については長官の方からぜひお答えもいただきたいのです。要するに政府全体がその気になっていただかねば沖繩の雇用、失業問題というのは解決できないわけですね。振興開発の問題であるし、同時に復帰をした今日までの諸施策が県民の期待どおりにいっていないという政治の課題なんですね。したがって、行政事務段階で十分御努力をするというのも大変結構なことであるわけですが、内閣全体として沖繩の雇用、失業率、仕事がないほど人間にとって苦痛なものはないですよ。不幸なことはないですよ。中学出ても、高校出ても、大学出ても自分の適当な仕事がない、ぶらぶらしなければいかぬ、そういうような社会というのは、やはりこれは政治の話だと私は思うのですね。したがって、われわれも努力をしなければなりませんけれども県民もそれなりの自力更生の努力を重ねていかなければいかぬと思うのです。なぜ今日の状態、失業問題、経済問題が出たかというのは、やはり沖繩がよって来た今日までの経緯というものがあるわけですから、それを解決するのは大半が政府の責任においてなされなければならない問題でもあると思うのです。  そこで、連絡会議はようやく設置されたようですが、ぜひこの問題は各閣僚間でも十分相互に意見交換をし合って、抜本的に雇用、失業対策を今後も強力に推進をしていくということをこの際やっていただきたいし、またその決意はあると思うのですが、御所見を承っておきたいと思うのです。
  26. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点につきましては、各省庁と連絡を密にいたしまして御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  27. 上原康助

    上原委員 きょうはえらい元気がないですね。もう少し元気出したらどうですか。その程度では余り十分にできません。もう少しお答えください。
  28. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点につきましては、よく私といたしましても承知をいたしております。そういう意味から、今年度は三四・九%、こういう一応財政主導型の景気浮揚の施策を講じたわけであります。そこからいろいろ波及効果があるであろう、こういうふうに考えまして、先ほど来も申し上げたように、公庫法の一部を改正いたしまして沖繩産業の開発に役立たせていく。それから失業の状態等をお聞きいたしておりますと、やはり本土から若年層がUターンをしていく、あるいは基地労務者が減少しつつある、いろいろな原因があるようでありますが、先ほど来申し上げたように、こういったことも各省庁が連絡し合って、できるだけ新しい技術、新しい一つのものを身につける、こういう意味からも本当に就職の促進を図るとかいろいろなきめ細かい施策によって、この失業問題というものは重要な社会問題である、こういうふうに受けとめて全力を注いでまいりたい、こういうふうに思っております。
  29. 上原康助

    上原委員 この点については労働省も開発庁もぜひ継続的に御努力、御協力を賜りたいと思います。  そこで、ほかの質問との関連もありますのでちょっと急ぎますが、例の交通方法変更問題ですが、どうも一歩前進五歩後退ぐらいの感を受けているわけです。これも時間の関係がありますので端的にお尋ねしますが、総務長官は、二月十六日の予算委員会一般質問で私がこの問題を取り上げてただしたのに対して、交通方法変更に伴う要綱についてこういうお答えをなさっておるわけです。いつごろまでにその要綱を出すのかということに対して「これは予算の関係もございましたので、予算の関係も見通しがつきましたので今月中に――まあ見通しがついたと言うとあれですが、大体煮詰まってまいると思いますので、今月中に実施要綱を提出したい、こういうように思っています。」今月中というときょう二十八日、あしたから三月一日ですよ。しかし、いろいろ聞くところによりますと、まだまだ先のことだといって先になるようです。そこで、これではいかぬと思うのです。七月三十日というタイムリミットが刻々と迫って県民はしびれを切らしている、実際問題として各市町村を含めて。御承知のように、これは現地の新聞ですが、「いつ出る「実施要綱」、「迫る交通変更に消極的な政府」、「特別事業実施で難航」、「県との事前調整もまだ」、こういうふうに大々的に報道されている。これはきのうの新聞ですから皆さんも見ていらっしゃると思うのですが、余りにもおかしいんじゃないですか。  もう一つしゃくにさわるのは、こんなことは余り申し上げたくないのですが、七月三十日に交通方法変更というのに、交通方法変更作業を進めている総元締めの対策室長を中途でかえる。これもまた心外な話。これは県民こぞって不満と思っていますよ。私は後任者がどういう方かわからぬし、りっぱな方と思うのですが、七月三十日が迫っているというのに中途で責任者をかえるというのは何か意図的なものがあって、政府は、沖繩の交通革命と言われている変更問題に対してどれだけ熱心なのか疑問に思えてしようがないのです。こういう点についてどうお考えなのか。それと交通方法変更に伴う実施要綱はいつ出すのか、出す前に県側と調整をなさるのか。さらに特別事業については、この間も織り込むとはっきりおっしゃいましたが、この点はどうなるのか、改めて明確な御答弁をちょうだいしておきたいと思うのです。
  30. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先の人事の問題でありますか、これは総理府の職員ということになりますと私のいろいろな権限と申しますか、ただ人事問題というのは、その人の出世という言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、栄達という関係にもございます。私も事務当局に対しては、重要なときに交通対策室長をかえるということはきわめて遺憾である、しかしながら、七月三十日に向けて何ら問題がない、こういうようなことであるとするならば、やはり本人の出世ということにもかかわることだから、これ以上のことは申し上げることはできないということで、そのときには対策室長を取りかえたとしてもこれにはいささかも迷惑のかかることがない、こういうような形からこれを了承することにいたしたわけであります。ただ、実施要綱につきましては、今月中というお約束は私もよく承知をいたしております。そういう意味から督励に督励を重ねまして、昨日実施要綱というものが私の手元に提出をされております。そういう意味から、現地の対策本部長と申しますか副知事に、私の聞くところではきょう沖繩から上京を願って細かく現地の意見を聞きながら、各省庁との連絡、協議を重ねながら、本日中に大体それが決定をするという運びになっておるということを御報告を申し上げておきたいと思います。
  31. 上原康助

    上原委員 そうしますと、副知事がきょう上京なさるので、県側と調整をして直ちに要綱は発表するという手はずをとるのかということと、その要綱の中には、前々から指摘をいたしましたように特別事業についても具体化をしていく方針であるということを明記をしているのかどうか、改めてこの点明確にしてください。
  32. 三島孟

    ○三島政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の対策要綱につきましては、鋭意その策定を急いでまいりましたが、今月中に関係省庁の取りまとめが完了する見込みであります。今月といいましてもきょうでございますから、きょうじゅうに一応各省庁間の取りまとめを完了させる見込みでございます。その上で早速沖繩県に出向きまして、もちろんきょう副知事さんもお見えならば副知事さんにも一通りのお話は申し上げるつもりでございますけれども、正式には沖繩県に出向きまして、沖繩県の連絡会議にお諮りいたしまして十分御意見をちょうだいし、その上で最終的な決定に持ち込みたいというふうに考えております。  なお、内容の問題につきましては、いま最後の詰めを急いでおる段階でございますので、ちょっときょう申し上げる段階ではございませんので、御容赦願いたいと思います。
  33. 上原康助

    上原委員 いや、あなたはそんなことをおっしゃるが、大臣委員会で特別事業についても要綱には明確にするということをおっしゃったんだよ。それが入っているかどうかお答えください。
  34. 三島孟

    ○三島政府委員 ただいまの特別事業の点につきましては、要綱の中に盛り込む予定になっております。
  35. 上原康助

    上原委員 きのうのきょうのようですから余り深追いしませんが、しかし正式な委員会お答えになったことに対しては、ひとつ誠意をもってお答えにならないと都合が悪いので、その場限りのものであってはならないと思うのですね。三島さん、新しく対策室長になって、何か罰則対策室長になったらいけないですよ。顔はおとなしいけれども、警察畑だけ歩いて、交通方法を変更して違反するからびしびし取り締まるような対策室長じゃいかぬ。こんなことを申し上げて失礼かと思うのですが、篤と沖繩の実態をごらんになっていただいて、前対策室長から十分な受け継ぎをやっていただいて、この要綱の内容なり万全を期していただきますように。いいですね、もう一度あなたの決意を聞いておきましょう。
  36. 三島孟

    ○三島政府委員 私も、沖繩県の交通方法変更の問題の重要性は十分認識しているつもりでございます。今後、全力をふるいまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  37. 上原康助

    上原委員 これも残された最後の全県民に共通する重要な復帰特別措置ですから、特別事業の問題とかあるいは市町村道の整備の問題等を含めて万全を期すように、改めて強く御要望を申し上げておきたいと思います。  最後に、外務省と防衛施設庁にお尋ねをしたいのですが、最近の沖繩基地を取り巻く諸情勢というのは非常に目まぐるしく動いているのは御案内のとおりです。そこで、きょうは基本的な点だけをお尋ねをして、いずれこの問題はまとめていろんな角度から政府のお考えをたださなければいけない重要な問題ですので、沖繩県当局なり、あるいはすでに大きく報道されております日米間の取り決め等の問題についてぜひこの際明らかにしていただきたいと思うのですが、言われているところの沖繩復帰に伴って沖繩基地の使用条件について日米間で合意をしたと言われるメモというのはどういう内容なのかということなんです。  そこで、この報道されております五・一五合意メモというのは、一体沖繩基地のすべてを対象にした合意メモなのか、それとも特定の基地あるいは施設を対象にした合意メモなのか、まずそこいらの点から明らかにしてください。
  38. 北村汎

    ○北村説明員 先生指摘の五・一五メモというものが具体的に何を指すかということにつきまして、恐らく昭和四十七年五月十五日の合同委員会の、沖繩返還の際に米軍に提供された施設区域についての合同委員会合意のことを指すものと思いますが、その合同委員会合意におきましては施設区域全体を対象としたものではなくて、個々の施設区域についてそれぞれ別個の合意がなされておるものでございます。
  39. 上原康助

    上原委員 それぞれ別個の合意といいますと、そうすると幾つあるわけですか。
  40. 北村汎

    ○北村説明員 昭和四十七年に提供しました際の合意数は、沖繩につきまして八十七件でございます。その後三十六の施設、区域が全面返還になっておりますので、現在は当初の八十七件の中で五十一件の合意が有効でございます。
  41. 上原康助

    上原委員 当初八十七施設あったわけですから、当然そうなるかと思うのです。  そこで、御承知のように地位協定第二条一項で、個々の施設については日米間の取り決めをなさねばいけない、第二十五条で定める合同委員会において日米間で締結をしていくというふうになっているわけですね。この日米間で取り決める場合の個々の基地の使用条件あるいはその内容というものは、逐次変更されるのか。五月十五日に八十七を決めて、その後三十六が返還をされて現在は五十一ですか、になっているということですが、当初合意を見た事項というものはその後どの程度変更されているのか、あるいは全く変更されなかったのか、そこいらの点を少し説明をしてください。
  42. 北村汎

    ○北村説明員 まず一度合意されました合同委員会の合意が、その後のいろんな事情の変更があっても絶対変更されないものであるかどうかというこの点につきましては、これは日米間の合意でありますから、また変更するという合意がなされれば、これは変更することはもちろん可能でございます。  当初合意されました八十七件のうちで、先ほど申しましたようにもう全面返還になった三十六の施設がありまして、いまは五十一件になっておりますが、この五十一件の合意につきましてその変更がその後合意されたということは承知しておりません。
  43. 上原康助

    上原委員 その後変更はないわけですね。五月十五日に使用目的なり使用条件というものを合意をした内容であって、その後変更はないというお答えですね、いま。変更がある基地があればそれはどこどこなのか明らかにしていただきたいし、全く変更がないのか、この点は明確にしてください。
  44. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  現在のところ御指摘の変更はございません。
  45. 上原康助

    上原委員 これは、たとえば嘉手納空軍基地にしても、キャンプ・シュワブにしても、キャンプ・ハンセンにしても、普天間海兵隊基地にしてもないということですか。
  46. 高島正一

    ○高島政府委員 そのとおりでございます。
  47. 上原康助

    上原委員 そこで、具体的にもう少しお尋ねをしてみたいのですが、合意メモは全体ではどの程度のページ数になっているのかということですね、英文にして。それぞれの個々の基地とおっしゃるのですが、それは全体的にファイルされているわけでしょう、恐らく。  もう一つ、メモランダムナンバー八六九というのは一体どこの基地なのかということ、これは五・一五メモ全体のメモランダムが八六九なのか、特定の基地の番号なのか、この点も明らかにしてください。
  48. 北村汎

    ○北村説明員 合同委員会の合意というものは、これは地位協定ができました昭和三十五年以来非常に多数に上っております。その数は、もうきわめて膨大でございまして、その前の行政協定時代のときに行われました合意も、有効なものも多数含まれておりますので、そういうことを入れますと非常にたくさんのものでございます。これらのものにつきましては、必ずしもそれぞれの下部委員会から上げてまいりましたペーパーで、ある委員会は通し番号がついており、ある委員会は通し番号がついてない、こういうふうなこともございまして、全体の数がどれくらいあるかということは非常に困難でございますがただ施設区域に関するものにつきましては、行政協定時代のものを含めまして大体二千百件くらいの数に上ると承知しております。(上原委員「八六九号はどこですか」と呼ぶ)八六九という数そのものがどの数字であるかということにつきまして、私どもは、ある場合にはそれは下部委員会の通し番号であるという場合もありますし、いろいろな場合が考えられると思います。
  49. 上原康助

    上原委員 そんなあなた、そういうお答えじゃだめですよ、それは。メモランダムナンバi八六九は沖繩基地全体を総称する合意メモなのか、特定の基地の合意メモなのか、その程度のこともわからぬであなた基地の運用できますか。  それともう一つ。この五月十五日は何回目のJCなのか、ジョイントコミュニティーなのか。
  50. 北村汎

    ○北村説明員 一九七二年五月十五日の合同委員会は、二百五十一回の合同委員会でございます。  それから、先ほど先生がおっしゃいました八六九という番号のついております合同委員会の合意というものは、これはキャンプ・シュワブに関するものでございます。
  51. 上原康助

    上原委員 二百五十一回で、八六九はキャンプ・シュワブに関するもの、じゃ、キャンプ・ハンセンは何番ですか。
  52. 北村汎

    ○北村説明員 キャンプ・ハンセンに関するメモは、八七一という番号が付されております。
  53. 上原康助

    上原委員 八六九は英文にしては何枚くらいあるのですか。
  54. 北村汎

    ○北村説明員 これは英語のタイプの打ち方によりましてページ数があれですが、大体普通のタイプの打ち方で七ページくらいのものでございます。
  55. 上原康助

    上原委員 キャンプ・ハンセンも大体同じくらいですか。
  56. 北村汎

    ○北村説明員 大体同じくらいの程度でございます。
  57. 上原康助

    上原委員 嘉手納空軍基地はどうなっていますか。
  58. 北村汎

    ○北村説明員 約三ページでございます。
  59. 上原康助

    上原委員 そうしますと、沖繩の基地全体のいまあなたのお手元にあるもので五・一五に取り決められた八十七、それから三十六返還されて五十一残っている、その現在使用提供している施設にかかわる全体の合意メモというもの、あなた方が持っていま秘密で使っているその文書は何枚くらいのページ数になっているのですか。
  60. 北村汎

    ○北村説明員 先生の御質問でございますが、私ども最初に五月十五日に合意されました八十七の基地についての合同委員会の合意から五十一を選び出しまして、それからさらに関連しない文書を全部取り除いてページ数をいま数えております。ずいぶん時間はかかりますが、ページ数だけでございましたら後で御報告いたします。
  61. 上原康助

    上原委員 そんなページ数だけ報告したって意味ないじゃありませんか。どれだけ膨大なものかという実態を明らかにするために私はそういうことを申し上げているのじゃありませんか。数え切れない、山ほどあるということ。  そこで、この問題はきわめて重要な問題なのですね。これだけの取り決めがなされているにもかかわらず、沖繩県当局あるいは関係市町村、国会、要するに国民や県民の前には全く明らかにされていないわけですね。この明らかにできない根拠というものは一体どこにあるのかということをぜひこの際お答えをいただきたいし、せんだって屋部副知事が上京なさって防衛施設庁なり外務省の関係者といろいろお会いをしたときに、生のままでは出せないけれども、要約した形で関係する部分については資料として提出しますということをはっきりおっしゃったようです。  私はこの際、この種の取り決めというものが全く秘密裏になされて、日米の基地の運用なり基地問題に携わっている一部の政府高官だけがこれで作業を進める、事を運ぶということは、きわめて非民主的であるとともに国民を愚弄するものであると言っても過言ではないと思うのですね、特に沖繩県民の立場に立って申し上げても。したがって、その全貌を明らかにすべきであると思います。少なくともいま数え切れないほど膨大なものがあるが、この中身について明らかにしていただかないと、今後の基地問題というものあるいは沖繩のいまのいろいろな基地に対する問題解明にはつながらない。この点についてぜひ明快に施設庁なり外務省の御見解を承っておきたいと思うのです。
  62. 北村汎

    ○北村説明員 後で施設庁の方からも必要とあらば御説明いただくということにしまして、合同委員会の合意と申しますのは、これは外交文書でございまして、両政府間で合意したことをはっきりと文書にするものでございます。この合同委員会の文書につきましては、当初から日米両国政府間で原則として不公表の扱いとするという合意がなされております。しかし、ただいま先生もおっしゃいましたように、その内容におきましては、国民の生活と密接な関連のある問題が非常にたくさん含まれております。そこでその場合に、必要に応じてアメリカ側の了解を一々そこで取りつけまして、そしてその概要を公表するということにしております。沖繩の施設、区域につきましても、昭和四十七年六月十五日の官報におきましてその施設番号とか施設名、所在地、土地所有関係、面積、使用目的等が防衛施設庁より告示されております。  それから先ほど上原委員がおっしゃいました、屋部沖繩県副知事が去る二十一日に外務政務次官を来訪されました際に、一部であれば発表できるかもしれないというようなことを言われたというふうに御指摘がございましたけれども、そういう発言は一切外務政務次官は行っておらないと承知しております。
  63. 上原康助

    上原委員 それでは納得できませんよ。あなた方官報に告示しているなどと言うが、あんなことでは基地の実態はわからぬではないですか。少なくとも使用条件について――きょう時間がありませんので、細かいハリアの問題まで聞けませんが、要するに五・一五で取り決めたことは変更なくしてその後使っているわけでしょう。ハリアが沖繩に配備されたのはいつですか。戦車道ができたのはいつですか。重要な基地施設の変更があるにもかかわらず、日米間では何の新たな取り決めもやっていないでアメリカの使いほうだいにさせているのがいまの実態じゃありませんか。これは沖繩関係する問題ですので、施設庁も外務省も余りかたくなな態度をおとりにならぬ方がいいですよ。  そこで、そういう発言はしなかったというような御答弁ですが、少なくとも県道一〇四号線とのかかわりあるいは新たな戦車道との問題、また垂直離着陸機、ハリア機の離着陸訓練との関連において、キャンプ・シュワブなりキャンプ・ハンセンあるいは嘉手納空軍基地の最近のいろいろな動き等を見て、沖繩の主要基地にかかわる日米間の合意をしたメモについてはその全貌を明らかにすることがもしできないとするならば、百歩を譲って、どういう使用条件が付されているのか、どういう権限をアメリカ側は使用するに当たって担保されているのか、それをこの際明らかにすることは、私は国民に対する皆さんの責務だと思う。この程度はやっていただけるのかどうか明確にお答えをいただきたいし、同時に、この点については長官の方からも内閣全体の問題として――これまで県民全体がこのことについては大いに疑惑を持っている。さきのブラウン国防長官の発言を引用するまでもない。このことはいずれどこかで徹底的に議論をいたしますが、そういう基地の自由使用につながる問題については解明しなければならぬと思うのですね。その根拠になっているのがこの五・一五合意メモじゃありませんか。これは要約的に沖繩に関する部分はこの際整理をして提示をいたしますね。
  64. 高島正一

    ○高島政府委員 先生指摘のキャンプ・シュワブ等の使用条件の公表の是非につきましては、目下施設庁で鋭意検討中でございます。と申しますのは、先ほども一外務省の方からお話がございましたように非常に膨大な内容でございまして、要約して御発表し、県当局も御検討をいただくということになりますと、まだ相当詰めなければならない部分がございますので、検討を終え次第、外務省とも協議の上措置する考えでございます。
  65. 上原康助

    上原委員 どこに通知するのですか。
  66. 高島正一

    ○高島政府委員 現在、申し上げましたように使用条件の公表の是非について検討中でございます。私の方で検討が終わりましたらば、外務省とも相談の上どのような措置をするかを決定いたしたいというふうにお答えしておるわけでございます。
  67. 上原康助

    上原委員 外務省それでいいですね。検討して要約した分。それでも不明確になりますが、しかしこれを一気に全部皆さんにやれと言ったって、お立場をかたくなにしてはいかぬし、この際、真実であるかどうかはいずれわかる問題ですからね。使用基地について早急に政府部内で御協議をいただいて提示いたしますね。これは外務省からお答えをいただいて、大臣の方からも、ぜひこの際政府全体の問題としてこれを速やかに処理するように御所見を伺っておきたいと思うのです。
  68. 北村汎

    ○北村説明員 ただいま防衛施設庁の方から御説明がございましたように、関係省庁でいろいろ協議された結果を外務省が伺いまして、それをアメリカ側と協議をしまして、アメリカ側がその公表を受諾する場合にはもちろん公表いたしたいと思います。
  69. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 沖繩県民の生活にきわめて関係の深いことでございますので、各省庁連絡をいたしまして検討いたしたい、こういうふうに思っております。
  70. 上原康助

    上原委員 終わります。
  71. 竹本孫一

    竹本委員長 玉城栄一君。
  72. 玉城栄一

    ○玉城委員 きょうは沖繩開発金融公庫法の一部改正であります。その点につきまして先日の本委員会でも概略の質疑はさせていただいたわけでありますが、ただいまの五・一五日米合意メモ、いわゆる沖繩の基地問題につきましては、沖繩の社会経済あるいは沖繩振興開発計画等にも重要なかかわり合いがありますので、私も一言その点をこの機会にお伺いをしておきたいわけであります。  ただいま外務省並びに防衛施設庁の方から御答弁がありましたけれども、私も率直にきわめて常識的な疑問を抱くわけであります。国民生活、県民生活に非常にかかわり合いがあるということで、概要については告示等で公表されておるというようなお話もあったわけであります。その中で、私、率直に疑問を感じますのは、実はたしか今月の十日だったと記憶しておりますが、名護市当局がキャンプ・シュワブへ通ずる道路約二百メートルくらいでしょうか、従来米軍の戦車が頻繁に通っていた、これはいわゆる市道になるわけですね。そういうふうに戦車が通っていて、結局水道管のバルブの破損と申しますか、そういうような地域住民に大きな損害、被害を与えたということで、名護市当局がたまりかねて、これは市道である、米軍の車両は通ってはならないということで道路封鎖を行っておるのはもうすでに御承知のとおりであるわけであります。したがいまして、先ほどの外務省の御答弁の中にもありましたけれども、返還時において八十七ヵ所についての個々の基地使用条件については日米で合意をされた。三十六は返還されて現在五十一、いわゆる五十一についての基地使用条件が日米間で現在合意されて米軍が使用しているわけですが、ああいう小さな島に現在の時点で五十一ヵ所も基地があるわけですね。したがって、全島基地みたいなものなんですね。したがいまして、これは現地の抗議に対して現地の参謀長ですか、いまさっき申し上げましたキャンプ・シュワブに通ずる市道を従来通過していたことは不法使用であったというようなことも認めたというような話も伺っておるわけであります。名護市当局がそういう道路封鎖をやった措置はきわめて当然だろうということなんです。そうしますと、従来米軍がその市道を通っていたことは不法であったのかどうか、その点が私はっきりわからないわけですが、その点いかがでしょうか。
  73. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  名護市が封鎖いたしました市道が地位協定上違法になるのかという御指摘でございますが、地位協定上の問題としてはいろいろ議論があろうかと思います。施設、区域には米軍が出入できる権利、権能を持っておるわけでございます。そこで、施設庁といたしましては、そういった地位協定上の議論とは別に、米軍と交渉いたしました結果、米軍はこれは今後通らない、名護市に御迷惑をかけることはいたさないということで話し合いがつきまして、その旨名護市にも御連絡を申し上げているところでございます。
  74. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、現在の時点では、従来通っていたその名護の市道については通らないということで問題はないということなんですが、もし仮に今後米軍が演習の都合によってそこを通りたい、名護市当局が封鎖しているその部分を通っていきたいということになった場合、これはどういうことになるのでしょうか。
  75. 高島正一

    ○高島政府委員 御指摘のような事態が起きました場合には、私どもの方から名護市の了解を得て米側に通行させるという手続をとることになると思います。
  76. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのように基地間を米軍の車両あるいは戦車、そういうものが通るわけですが、これは地位協定上どういうふうな根拠に基づいて、どういう権利といいますか、米軍が通過したり、何かするというのは、地位協定上はどういう条文によってそういうことがなされているわけですか。
  77. 北村汎

    ○北村説明員 地位協定第五条によりまして、アメリカ軍が施設、区域に出入する場合――出入及び移動でございますが、その場合に日本国の領域を通ることができるということでございます。
  78. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題はまた日を改めましてその委員会でまた御質疑をしてまいりたいと思うわけでありますが、これは実は先ほどの御質疑がありました点とも非常にかかわり合いがあるわけです。したがって、さっきも申し上げましたとおり、沖繩の場合至るところ基地があるわけですね。米軍はどの道路を通過する権限が与えられているのか、そういうものが現地の方でわからないと、地域住民にとっては、これは軍隊でありますので、一つの例で名護の場合であれば、水道管のバルブが戦車によって破損された、そういうことが発端になって道路封鎖が起こったわけですけれども、いずれにしましても、県道にしても市道にしても、どういうふうにして米軍にその使用の権利権限が与えられているのかということが知らされておらないと、非常に困るわけですね。ですから、先ほどの御答弁もありましたけれども、そういうものも含めて、これは現地の場合においては切実な問題として、日常生活の面、安全の問題でこれは知らされなくてはならないわけです。米軍が市道を勝手に通っている。どこでも勝手に通れるというものではないと私は思います。それもやはり多分日米合意メモによって使用条件がきちっとされているのではないかと私は思うわけです。したがいまして、そういうものについて具体的に現地の方に知らせるということは当然なされなくてはならないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  79. 高島正一

    ○高島政府委員 ただいまの施設、区域間の移動の権利というのは地位協定上明記されておるわけでございます。したがいまして、個々の使用条件等にそういったことは含まれないと思います。地位協定上、日本国の領域内における合衆国軍に提供した施設、区域間の移動あるいは出入の権利というのは、一般論として与えられておるわけでございますので、何々路線をどのように通過するというふうな細かいことは必要がないと思います。ただ、再三御指摘のありますように、当該市町村あるいは関係住民にとって、米軍が通行することがきわめて重大な民生上の問題があるというときは、米側に交渉をいたしまして、そこは通行しないようにというふうなことを米側に約束させることは可能であるというふうに承知しております。
  80. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの問題につきましては、沖繩県にとりましてはきわめて重要な問題でありますので、また日を改めてお伺いしてまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、今回そういう五・一五日米合意メモがあった、その合意メモの正確なものはわれわれには知らされておらない、どういう形で米軍の使用条件が日米で合意されているのかということもわからないというような問題は、いま沖繩県では県民こぞって重大な関心を持っておるわけですね。ですから、復帰してもう六年経過しておるわけですし、いろいろな外交上の問題等々のお話がありましたけれども、少なくとも県民生活に重大なかかわりのある問題については、速やかにこれが公表されて、安心して日常の県民生活が送れる、そういうものだけは当然必要であろう、このように思うわけであります。  それでは、次にお伺いをいたしますが、これは二十二日の本委員会でも申し上げましたが、これは開発庁の方になろうと思います。  新しい五十三年度予算案の中で、沖繩関係の公共工事、大型公共投資が行われ、そしてその結果として雇用効果もおおよそ八千人は期待ができる、そういう論議が展開もされたわけでありますが、果たしてそれがそのとおり実効があるかどうか、いろいろと疑問な点があるという点についても私は申し上げたわけであります。     〔委員長退席、國場委員長代理着席〕 したがいまして、公庫法改正、これは沖繩振興開発地場産業育成とも関連をいたしますので、その点についてもう一回お伺いしておきたいわけですが、私たちがアンケート調査を行いましたその結果からいたしまして、公共工事が非常に偏っているという状況が明らかになっておるわけです。入札業者はAランクからB、C、Dその他というふうにランクがあるわけでありますけれども、ほとんどAランク、Bランクに集中しておるわけですね。したがいまして、私たちは五百社の関係事業者を対象にして調査を行ったわけでありますが、その五百社の中で、二十名未満が八〇%なんですね。二十人以上の従業員を抱えている業者というのはあとの二〇%です。八割近い方々が、二十人未満というきわめて零細業者であるわけですね。したがいまして、従来の政府の行っております公共投資、公共工事の入札の状況を見ますと、ほとんど上の方に偏ってしまって、そのすそ野の二十人未満という方々は、入札もできないという状況にあるわけですね。これは資金の問題、規模の問題、あるいは陣容の問題等々あるわけでありますけれども、こういう形で、これは海洋博の問題とも関連するわけですが、公共投資を行っていきますと非常に偏っていく。したがって、そういう零細業者に力をつけて、そういう方々が漏れなく、まんべんなく、それはいろいろな技術的な問題もあろうかと思いますけれども、やはり政府が雇用効果をねらい、あるいは景気回復をねらって大型公共投資が行われていくのであれば、当然そういう配慮がなされなくてはいけないと思うわけですね。したがいまして、この点につきまして、数字の点は申し上げませんけれども、概要としましてそういう形になっているということは事実なんですね。したがって、今後の公共投資特に新年度は大型ですから、開発庁とされて、ただいま私が申し上げた点について、どういう配慮が今後されていくのか、その対策をお伺いしておきたいと思います。     〔国場委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 先生ただいま御指摘中小企業者への発注の問題でございますが、この点につきましては、中小企業育成という観点からも、また現実に沖繩県内中小業者の施工能力等も向上を見つつございますので、そういった中におきまして、できるだけその発注を拡大するということに努力をしてきたところでございまして、昨年の四月には、開発庁の出先であります総合事務局、これは国の直轄工事の関係でございますが、また県等に対しましても、できるだけ中小企業の受注の機会を確保するようにという趣旨の通達等も流しておるところでございます。また実際に可能な限り工事を分割して発注をするとか、あるいは受注資格のない業者につきましても共同企業体をつくらせまして、それに入札をさせるというような指導も実際に行っているところでございます。そういった努力を私ども今後とも続けてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  82. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの件でありますが、今後の政府の施策に反映していただきたい意味で御参考に申し上げておきたいわけですが、大型投資が主で生活関連工事が少ない、こういう意見が非常に強いですね。それから資材購入の指定制限がある、これは特に防衛庁、施設庁関係が多いようです。それから地元製品の利用が少ない、あるいは零細業者への発注がなされていない、あるいは本土の大手企業の進出で地元企業への圧迫がある、こういうような地元中小零細業者の声が強いわけです。  そして、要望としましては、地元企業優先に発注してもらいたい、これは四四・二二%ですね。それから零細企業への仕事量の拡大、これは約三九・四%ですね。さっきおっしゃいました集中的発注、これはやめてもらいたい、こういうような要望があるわけです。これは実際に海洋博時におきましても、この件についてもわれわれ今回の調査で聞いたわけですけれども、海洋博関係工事を通してみましても、政府が行っている公共投資のあり方については、現地の方では非常に不満があります。地元においては非常に工事量が少なかった、全然なかった、私たちの五百社の調査の結果では、全然なかったというのは五九・三%、そういうような状況ですね。したがって、そういう国家的事業が地域的配慮に欠けている。公共投資のあり方についてやはり大きく反省されなくてはならない。したがいまして、新年度におきまして予算が通っていきますと、ただいま申し上げましたような点を十分配慮されながら、きめ細かく、これが現地の地場産業育成につながり、そして雇用の効果も期待できる、そういうことがなされなくてはならないと思うわけです。  そういう点で、私は今度は公庫側の方に伺っておきたいわけですけれども、やはり中小企業関係資金もあるわけですから、ただ基準に合っておれば貸すということだけではなくして、政府系金融機関としての基本的な、ただいま私が申し上げましたような点についての考え方があると思うわけです。ひとつその点について、従来そしてこれからどういうふうな考え方を持って、そういう業者育成のための融資なりあるいはまた出資ということも考えておられるのかお伺いいたしたいと思います。
  83. 岩尾一

    岩尾説明員 中小企業に対する融資あるいは出資の問題でございますけれども先生も御承知のように政府関係機関というのは、郵便貯金を主にいたしました零細な資金を原資としてこれを運用しておるわけでございます。その運用につきましては、安全、確実であるとともに、公共性の高い運用をしろというふうに法律で規定がされております。したがって、いま沖繩におきます中小企業についてどういうふうに考えていくかという点は、公共性ということを中心に考えまして、できるだけそういった方に御不便のかからないように全力を挙げたいというつもりで対処をいたしておるわけでございます。
  84. 玉城栄一

    ○玉城委員 これも開発庁になると思いますが、この出資率についてであります。先日の委員会においてはこの点の議論がまだなされませんでしたけれども出資限度額と申しましょうか、これは具体的にどういうふうな形になるのか、お伺いしたいと思います。
  85. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 先般の委員会におきましてもお答えをしたところでございますが、私どもはあくまで地元におきます企業設立につきまして、関係企業経済団体間におきまして意思の疎通と調整がなされ、しばしばお答えしておりますように、関係の地方公共団体等関与、参加いただきまして、熟度の高いものについて、公庫の方も御協力をする、こういう体制でございますので、おのずからそこに目安というものがあろうかと思いますが、やはり個々のケースによってあれもございますので、厳密に幾らということは申すことはできませんが、一応の制度のたてまえといたしましては、北東公庫の例にならいましてその目安を決めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  86. 玉城栄一

    ○玉城委員 その北東公庫の例と申しますと、数字的にはどういう――たとえば出資限度額としては、パーセントで言えば何%とかそういうものはお答えいただけませんか。
  87. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 いま申し上げましたように、個々のケースと具体的にはそういった地元企業皆さん方あるいは県、市町村というふうな関係機関等を含めた目安というものがあるわけでございますが、制度といたしましては、北東公庫におきまして、一応出資限度額は総額の二分の一以内、こういう規定を設けられておるというふうにも承知しておりますので、おおよそそういう制度としての歯どめと申しますか、一応形式的な制度等の仕組みはそういうふうに考えて、内々検討しておるところでございます。しかし、具体的な実施につきましてはケース・バイ・ケースになりまして、おのずからそこに一定の幅と申しますか、仕組みを考えていかなければならないであろう、かように考えております。
  88. 玉城栄一

    ○玉城委員 この出資の問題につきまして、ひとつ具体的な問題を伺っておきたいわけですが、その問題によって、政府の考え方、姿勢というものがある程度理解できるのではないかという感じがしまして、ひとつ具体的な問題を申し上げたいのです。アルコール製造事業設立認可が、これは地元関係者から非常に要請がありますし、県も沖繩の第一次産業関連の製造事業あるいは第二次産業振興という観点から、これは県内で非常に数少ない有望な事業であるというような考え方があって、その推進を強く要請をしているやに伺っております。これは設立認可が難航していると伺っておりますが、開発庁とされまして、ただいま申し上げましたこういう具体的な事業についてはどのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  89. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 しばしば申し上げますように、具体的なプロジェクトの煮詰まりがややまだ確定をしていないわけでございまして、いま御質問内容につきましても、私の方から明確にこうであるということは申し上げにくいのでございますが、私ども地元県並びに関係団体で現在考えておられますことにつきまして、このアルコール専売は御案内のように通産省のアルコール事業部との関係になろうかと思いますが、私どもが聞いております感触では、率直に申し上げまして現在わが国におきますいわゆるアルコールの需給関係、それからもう一点は製造コスト、この二つについて問題があるやに聞いております。  第一点の需給の問題でございますが、これは私ども理解をいたしております範囲では、現在の需給関係では、国内の関係工場で現在の生産能力から見ました現状では、五十二年度以降今後の需要の伸びを含めましても、なお現在の設備でほぼ生産の需給はギャップが生じないのではないか、こういうふうな見通しに承っております。また民間の現実に稼働していない設備能力もあるようでございます。したがいまして、私どもの聞いております範囲では、何らかの形で需要が急激に伸びない場合には現状で十分対応できる、こういったことで、設備の需給関係からいけばそういう状況である。  それから第二点目はコストの問題でございますけれども、現地企業プロジェクトをいろいろ検討しておられますが、具体的に言えば分蜜糖工業会等で御検討のコストでは、必ずしもなかなか実際にこれが運営された場合のみ込めないのではないか、若干そういったことでコスト面についてももう少し詰める問題がある。  いずれにしましてもそういった問題点がありますので、いま軽々にアルコール事業部を中心にした政府サイドとしてこれが直ちに実現に道が開かれるというには、若干まだ検討しなければならない面がある、こういうふうに理解をしておるところでございます。
  90. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいま伺いまして、いろいろな問題点も、まだまだ詰めなくちゃならない点もあろうかと思いますが、非常に数少ない有望な事業一つであるので、沖繩地場産業育成というこの公庫法改正の趣旨からいいましても、これはやはり出資あるいは融資ということになるのでしょうか。いろいろな問題点の解決が図られた段階においては出資対象として当然検討の対象になり得ると私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  91. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 ただいま答弁申し上げましたように、今後のアルコール関係の需給それから生産コストとの経営採算の問題、あらゆる面から専門当局においてもこれは慎重に検討すべき問題だということで、ただいまのところは非常に困難性の高い点を指摘されているのでございますが、私ども現地の要望も十分踏まえまして、今後そういった検討がさらに煮詰められまして、可能性があるといたしましたならば、できるだけ地元の御要望にも沿いたい、こういう気持ちでさらに検討を進めてまいりたいと思っております。
  92. 玉城栄一

    ○玉城委員 雇用の問題につきましてちょっともう一回お伺いしておきたいのですけれども、これは労働省に伺っておきますが、実は政府の雇用拡大についての諸制度について、関係方々に既存の制度の存在そのものがまだ知られていないわけですね。したがいまして、そういう統計が出ておりまして、国の雇用制度について知っているのかということに対して、知っていると答えた方が三七・六六%で、知っていないと答えた方が六二・三四%、約六割強の方々がその制度の存在すらわかっていらっしゃらない。三七%の方々が知っている。そしてさらに、その制度を活用したことがあるかどうか、これを伺いましたら、たとえば心身障害者雇用奨励金制度、これを活用したという答えが四八・三四%、高齢者雇用奨励金制度、これが四六・三六%。全体の中で約四割近い方々が知っていて、そしてその四割近い方々の中で制度を活用したのがいま心身障害者雇用奨励金制度については四八・三%ということになりますと、全体からしますと約二割ぐらいの方々しかその制度を知った上で活用はしておらないというのが一つのデータとして出てきておるわけです。したがいまして、そういう実態からしましたときに、やはりこういう制度について啓蒙あるいは――このままの状態だったらせっかくある制度が知られないままに活用されない、そしてこれがいろいろな雇用拡大につながっていかないという実態が出ているわけですね。今後そういう問題について労働省としてどのようにお考えなんでしょうか。
  93. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 ただいま御指摘のございましたような、たとえば心身障害者の方々あるいは高年齢者の方々の雇用問題は非常に重要な問題でございまして、こういう方々の雇用を促進いたしますためには何よりもやはり雇われる方の事業主の方々に十分その問題の重要性を認識していただく必要がありますし、また同時に、そういう雇用促進をいたします場合に御指摘のございましたような各種の奨励措置をいたしておりまして、そういうものを活用していただいて雇用促進の成果が上がるようにするということが非常に重要でございます。その点につきましてまさに御指摘のとおりでございまして、いま指摘のありましたような周知なり活用の状況につきましてはなはだ遺憾でございまして、現地とまたよく連絡をして周知に努めたいと思いますけれども、私どもといたしましては、そういういろいろな雇用促進のための助成制度が現在非常にきめ細かくいろいろな制度をつくっておりまして非常に複雑になっておることもございますけれども、各種のPRの資料もつくり、あるいはいろいろな事業主の説明会等を設け、また地域の商工業関係団体等の機関紙等を通じるとか、いろいろな形で周知に努めておるところでございますけれども、いま御指摘のありましたようなことでは各種の雇用促進あるいは雇用対策を進めていく際に非常に問題でございますし、さらに十分それぞれの地域について調査しながら周知のための努力を続けてまいりたいというふうに考えます。
  94. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの件につきましては、これはちょっと要望になりますが、私たちのアンケートの結果によって、中小零細業者の方々が一貫して非常に要請しているのは、制度資金というようなものを設けて技術者の養成を強力にやってもらいたい。いわゆる技術者とかあるいは熟練工とかそういう方々を雇用したいけれども、なかなかそういう方々が得られないというようなこともありますので、その点は要望しておきたいと思います。  時間がございませんので最後に交通方法変更について私も一言申し上げておきたいわけですが、先ほどの御質疑で、実施要綱が近々発表されるというふうに伺ったわけでありますが、県、地元の要請項目というのは去年の七月、八月のころから明確に出ているわけですね。そしていまもって政府がその実施要綱を出し切れない。これは本当にどういうわけなのかということを非常に疑問に思うわけですね。今月中に出す――今月もきょうで終わり、そして来月というようなことで、果たして本当に政府が本気になって沖繩の交通方法変更について取り組んでいるのかどうか、非常に消極的ではないか、あるいは地元の要請というものを何かうまいぐあいに避けよう避けようという、そういうことからずるずるになりまして、結局実施要綱すらいまもって出し切れない。これは非常に政府としてはまずいと思うのですね。現地では非常に心配になってわいわい言っているわけですけれども、政府がそれに対応し切れない、これはきわめてまずい、このように思うわけであります。したがいまして、今度具体的にその実施要綱の中に特別事業を盛り込む予定になっているという御答弁が先ほどございました。これはどういうふうに特別事業をやるということがその実施要綱の中に書かれるわけでしょうか、お伺いいたします。
  95. 三島孟

    ○三島政府委員 その点につきましては先ほども答弁申し上げましたとおり、実は本日中に各省庁間の検討を終わりまして取りまとめを終えたいと思いますし、それから沖繩県の方にお伺いいたしまして、御相談の上最終決定まで持ち込む、こういう段取りになっておりますので、実はいま最終的にはどういう表現で盛り込むかについて最後の詰めを行っている段階でございますので、その表現につきましてはいまちょっと申し上げかねますので、その点は御了解いただきたいと思います。
  96. 玉城栄一

    ○玉城委員 この交通方法変更の問題につきましては、本委員会におきまして近いうちに、委員会独自の集中審議かあるいは連合審査かというこの運営の仕方については今後委員会でも検討がされるというように伺っております。したがいまして、そのときにいろいろな問題点につきましては伺っていきたいわけでありますが、時間がございませんので一点だけ、政府の直接補助の対象になっていない県並びに市町村の負担になる経費については、従来地元の方では、これは原則的に国の行う事業であるので全額国庫負担という原則からすれば、当然国が交付金なりで出すべきではないかというような要請があったようでありますが、新年度予算の中にはこの交付金が計上されておらない。したがって、あと残される点は特別交付税で考えられないかということでありますが、自治省の方では前向きでその問題を検討している、このように伺っておりますが、自治省の方からちょっとお答えいただきたいと思います。
  97. 小林実

    ○小林説明員 沖繩の交通方法の変更に要する経費は、原則としていま国において措置するということで処置をしておりまして、関係省庁におきまして所要の予算措置が講じられているところでございますが、これらの対象経費を除きましてなお県や市町村が要した経費につきましては、内容をよく地元の地方公共団体から聞かせていただきまして、特別交付税で措置することを検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
  98. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  99. 竹本孫一

  100. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初開発金融公庫出資及び債務保証について、二十二日の委員会で私、CTSなど公害企業に対しては出資債務保証はやらないと思うがどうかという質問に対して亀谷総務局長は、当面そのようなことはないということを言われましたが、将来はあり得るということなんですか。これをちょっとお伺いしたいと思います。
  101. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 先般の委員会でもお答えをしたのでございますが、公庫出資機能及び債務保証機能沖繩に現在ございます企業圧迫するような形で運営されることがないよう当然配慮していただくことにいたしておるわけでございます。お尋ねのCTSにつきましても環境政策等の面から十分な配慮が払われる必要は当然あるわけでございますが、政府としてはこの国策にのっとって全国でいま行われております石油備蓄、いわゆるCTSそのものにつきまして公害企業とは考えていないわけでございます。ただし、お尋ね出資機能付与目的等にかんがみまして、CTSにつきまして出資または債務保証を行うことは必要がない、こういうふうに考えております。
  102. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、この前保留いたしました沖繩の基地、演習その他についてお伺いします。  最初に、防衛施設庁の施設部長さん、来ておられますね――この前出砂島に照明弾を落とすつもりであったのが誤って、誤認で渡名喜村に落としたということを那覇防衛施設局長は言っておりますが、これは共産党の沖繩県委員会の代表にそのことを明言しております。施設庁はそれを認めるかどうか、簡単にお答え願います。
  103. 高島正一

    ○高島政府委員 先生指摘のように去る二十日に那覇防衛局長が共産党県本部の副委員長さんに対しまして申し上げた内容でございますが、私も直接多田局長に問い合わせたところでございますが、多田局長が副委員長に申し上げましたのは、コースを外れて飛んでいるうちに照明弾を誤って落下したものと考えるというふうに、お答えしたものでございまして、島を間違えたという意味の発言ではないということでございます。
  104. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 島を間違えたのでなくて何を間違えて落としたのですか。
  105. 高島正一

    ○高島政府委員 この渡名喜島の上空は飛行しないということが約束されておるわけでございます。したがいまして、先生案内のように那覇局は直ちに米軍に対し抗議をし、米軍も隷下部隊に去る六日に今後このようなことは絶対ないようにというふうに布告をし、日本政府に対しても遺憾の意を表明してきておるわけでございます。そういう事情を那覇防衛局長は当然承知しておりますので、どうしてこのような事故が起きたかということを問いただしたところ、先ほど申し上げましたようにどうもコースを外れて飛んでいるうちにそのような事故になったというふうなことで、非常に遺憾の意を表してきたという回答があったということでございます。
  106. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 アメリカはいわゆる誤認ですね。出砂島に落とすはずが、四キロ離れている渡名喜村に落としたのだから、誤認は間違いない。私がそれを聞いておりますのは、実弾が落ちる可能性が出てきたということなんですよ。アメリカが安保条約、地位協定に基づいて与えられた施設について何の規制もなくて自由自在に演習ができるという場合にはこのような危険な事態が起こるということを、渡名喜村における照明弾の落下というのは示している。だから聞いているわけなんです。この問題の締めは後で行います。  それから次は、この前保留しておりました「五・一五メモ」についてお聞きしますが、委員長、これ、特に長官と外務省、施設庁にちょっとお見せしたいと思いますが、いいですか。
  107. 竹本孫一

    竹本委員長 はい、どうぞ。
  108. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この下の「アイクリー」と書いてあるでしょう。これは表の名刺です。いわゆる参謀長、大佐ですね。それから人間の妙なかっこうしたのがあるでしょう、ふざけた。あれ、裏です。裏の英語は私、よくわかりませんが、この人が名護の市長、市当局と名護の議会議員にやった名刺をコピーしたやつです。  そこで、五・一五といいますから五月十五日に合意されたという八六九号、これは何の番号であるか、これだけ答えてください、外務省。
  109. 北村汎

    ○北村説明員 いま先生指摘の八六九という番号がついております合同委員会の合意は昭和四十七年の五月十五日に第二百五十一回の合同委員会で取り決められました沖繩における基地に関するそれぞれの合意を盛り込んだメモの中でキャンプ・シュワブに関するものでございます。
  110. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 キャンプ・シュワブでは非常に危険なハリア、御承知のように垂直離着陸爆撃機でありますが、この被害が非常に大きいので、演習をやめてほしいということをこれまで数回にわたって抗議し、要請しております。これに対してアイクリー参謀長は常にいまの「五・一五メモ」、これだ――渡しはしないそうです。赤い表紙のを見せて、これに合意されておるので、あなた方の要請、抗議、受けるわけにいかないと、これを盾にして拒否している。そのときに、この合意メモは、いわゆる「五・一五メモ」というが、これは軍事機密ではない、政治的な配慮で公表されていないので、日米両政府の合意があれば発表できる性質のものだということを言っているのですね。これについてどうお考えですか。
  111. 北村汎

    ○北村説明員 一般に合同委員会の合意につきましては、これは日米両政府間の外交文書でございますので、原則として不公表という扱いになってございます。ただし、その内容が日本の国民生活に非常に密接な関連がある、それについて公表する必要があるという場合には、そのときアメリカ側の了解を得ましてその概要を公表することにしております。事実、御指摘のそのキャンプ・シュワブについてのメモにつきましても、施設庁から昭和四十七年六月十五日付の官報でその概要が告示されております。
  112. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、この前嘉手納の三一三航空師団長に会いましたが、そのとききわめて重大な発言がありました。これはきょうここでは討論いたしません。また質問いたしません。それと関連しまして、嘉手納基地、あれは合意文書では何号になっているのですか。
  113. 北村汎

    ○北村説明員 嘉手納の飛行エアベースにつきましての合意は八九七号であります。
  114. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはファシリティーナンバーとは違いますね。
  115. 北村汎

    ○北村説明員 ファシリティーナンバーとは違います。
  116. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この嘉手納基地に関する合意事項の中に、核兵器の訓練、その他核兵器の事故訓練、こういったような核に関する訓練をやってよろしいという意味のことが書かれておりますか。たとえばブロークンアローとかPALとかいうふうな訓練です。
  117. 北村汎

    ○北村説明員 御指摘のブロークンアローの訓練とかということについては書かれてないと承知しております。
  118. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 基地司令官に会いましたときに、ブロークンアロー、あれは折れた矢と言いますね、ダルソード、そういったような核事故についての訓練は、PALといま申し上げましたブロークンアロー、年に四回ずつやって八回やっている。東京のど真ん中の横田でもやっておると思うということを言っております。横田の施設、あれはいま申し上げました合意事項のナンバー幾つですか。
  119. 北村汎

    ○北村説明員 沖繩に関する基地の資料は用意してまいりましたけれども本土におけるものはいま手元にございませんので、番号はいまつまびらかにいたしません。
  120. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは調べてお知らせ願えますか。
  121. 北村汎

    ○北村説明員 後でお知らせいたします。
  122. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その場合、たとえば三沢、あれは海軍ですか、そういった本土の基地関係の番号もお知らせ願いたいと思いますが、よろしゅうございますか、参事官。
  123. 北村汎

    ○北村説明員 結構でございます。
  124. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 さてその内容でございますが、アメリカを皆さん信じますね。われわれが提出する資料よりはむしろアメリカを信ずる、アメリカがこう言うからこうだということを言っております。ではお聞きしますが、いまお見せしましたアイクリー参謀長、この人は機密ではないのだ、日米両政府が合意すれば発表できる性格のものであると言っております。そうなると、いまおっしゃったように日本国民の生命とか財産とかいうものに関係するものであれば、当然日本政府は公表しなければならないと私は思うのです。いわゆる見せず、聞かせず、知らせずといったようなことではなくて――これは封建君主のやったことなんです。現代民主主義の世の中では、当然国会は国権の最高機関でしょう。あなたおわかりかもしらぬが、現在沖繩における演習基地の強化は大変ですよ。ですから、これは生命財産に関係しておるのです。この場合なぜ内容を発表できぬのか。いわゆる軍事機密でないとすれば――海兵隊の参謀長、大佐が言っておるのです。そうなると、政治的配慮で、公表できないということは、公表すると、ははあ日米合同委員会はこんな反国民的合意をしたのだなと思われるから、その配慮に基づいて公表できないのか、どうなんですか。
  125. 北村汎

    ○北村説明員 先ほども説明いたしましたように、合同委員会の合意は原則として不公表ということに日米間の合意ができております。しかし、先生指摘のように、この内容で国民生活にきわめて密接な関係のある部分につきましては、アメリカ側の合意を得まして、その概要を発表するということになっております。今回の基地のキャンプ・シュワブの点につきまして施設庁の方で御検討になっておるやに伺いますが、関係省庁の協議が調いまして、それにアメリカ側が合意する限り外務省としてその公表にやぶさかではございません。
  126. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 関係省庁はどこどこですか。
  127. 高島正一

    ○高島政府委員 関係省庁の一番密接な機関は防衛施設庁であるというふうに思っております。
  128. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま参事官がおっしゃった合意文書の管理者はどこですか。外務省ですか防衛庁ですか。外務省であれば条約局かあるいはアメリカ局か、ちょっとはっきりしてください。
  129. 北村汎

    ○北村説明員 合同委員会というものは日本政府とアメリカ政府との協議の機関でございます。ただ、合同委員会に対する日本政府の代表は外務省のアメリカ局長がなっております。したがいまして、そういうことで合同委員会に対する日本側の事務局は外務省がやっております。
  130. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務省のアメリカ局ですね。そうしていまおっしゃったことは、外務省を代表しての答弁だというふうに理解していいですね。
  131. 北村汎

    ○北村説明員 結構でございます。
  132. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 去る二十二日でしたか、屋部沖繩県副知事に対して、外務省の政務次官は、全部の合意文書ではないが、とりわけ五・一五メモなるものの一部を発表してよろしいが、これは防衛庁と協議の上発表すると言われたそうでありますが、これは参事官、お聞きですか。
  133. 北村汎

    ○北村説明員 ただいまの件につきましては、私もその場に立ち会った者から聞いてまいりました。これは去る二月二十一日に屋部沖繩県副知事が愛野外務政務次官を来訪いたしまして、その際キャンプ・シュワブでのハリアの訓練に関連しまして、先方から、キャンプ・シュワブに対する合同委員会の使用条件を明らかにしてほしい、こういう要請がありましたのに対しまして、外務政務次官より、個々の施設、区域についての使用条件というものは、合同委員会で個別に合意されて決定されるということになっておるけれども、この合意自体については、先ほどからも御説明しておりますように、原則として公表することはできないのだということを御説明しまして、いま先生が御指摘になられましたように、外務省の政務次官がその一部は発表できるかもしれぬというような趣旨の発言をそのとき行ったということはないと承知いたしております。
  134. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 副知事から直接聞いたのですよ。それでは副知事がうそを言っていることになりますね。これは副知事はこっちにおられないから……。私、伝え聞きじゃないのです。私に直接、そういうことであるので国会でもできるだけこの合意メモを公表してもらうように努力してほしいと言われたから、それを聞いているわけなんです。  そこで、キャンプ・シュワブ、このアイクリー参謀長のいわくは、あらゆる兵器、オールウエポン、これを使うことができるようになっている。この場合、海兵隊が持っている兵器に百五十五ミリがありますね。これは核、非核両方の兵器であるという点はお認めですか。
  135. 高島正一

    ○高島政府委員 百五十五ミリのりゅう弾砲を使用できるということは私ども承知いたしております。しかし、核の問題につきましては、当然日本国には持ち込まれないということになっておるものと承知しております。
  136. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 持ち込まれないとか持ち込むとかいうことじゃないのです。その百五十五ミリりゅう弾砲は核、非核両方撃てるような大砲だということなんです。それを認めるかどうかという問題なんです。
  137. 高島正一

    ○高島政府委員 これは専門的な観点お答えする部局があろうかと思いますが、私どもの方から防衛局長にお伺いいたしまして、その点については詳細に御説明を申し上げたいというふうに存じます。
  138. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 キャンプ・シュワブでハリアの訓練は許されていますか。いまの八六九ですか、書かれているのですか。
  139. 高島正一

    ○高島政府委員 先般の当委員会先生答弁申し上げましたように、海兵隊が通常装備する兵器の演習ができるというふうにわれわれは承知しておるわけでございます。したがいまして、通常の海兵隊が装備している兵器の範疇に入るというふうにわれわれは承知しているわけでございます。
  140. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま参事官が嘉手納基地を使用する協定の中には、核訓練、たとえば核兵器の事故の訓練、ブロークンアローとかダルソードとかスピアとか三つくらいの種類がありますね。一番危険なのはブロークンアローなんです。ブロークンアローというのは、放射能が漏れるとか、あるいは放射能漏れはないが、核爆発のおそれが十分ある問題とか、非常に緊急な事態に行う訓練なんだ、こういった訓練というものは、いわゆる安全装置をつけて、あるいは外してという訓練を現にやっていると司令官は認めた。あなたはそういった核に関する訓練、演習、そういうのはあの基地協定の中――合意文書ですか、これにないと言われましたね。ないと言われたが、なぜそれをやっているのか、これは合意文書に違反しているということになりますね。
  141. 北村汎

    ○北村説明員 海外に配備されておりますアメリカの軍隊があらゆる事態に直ちに対応できるような体制というものを確保しておくということは、軍隊の性格上当然のことでございまして、いろいろな訓練をアメリカ軍はやっております。また、その必要性はわれわれとしても十分理解するところでございまして、核の事故が起きた場合を想定した訓練でございますから、これはどこにその軍隊がいるか、アメリカは全く属人主義をとっておりますので、ある場合には沖繩にいるかもしれない、ある場合にはもっとほかの外国におる、あるいは本国にいるということがございますので、いろいろなそういう訓練は常時やっておかなければならぬということでやっておることでございまして、これはその核の持ち込みというものとは全然別問題でございます。安保条約上何ら問題はございません。したがいまして、このことにつきましては、たとえば昭和四十九年の時点でアメリカ側に照会したことがございます。このブロークンアローという用語は、先ほども申し上げましたように、核事故に対する、すなわち核の事故が起きた場合に対する対応の能力をテストすることを目的としたものでございまして、通常このような訓練は、災害対処計画及び実施に関する空軍の規則、そういう手引きに従いまして世界じゅうどこでもアメリカ軍が定期的に行っておるという回答を得ております。したがいまして、このことはこの訓練を行っておるということを別に合意議事録の中に書かなくても、当然軍として安保条約の目的に従って行動する範囲のものであると了解しております。
  142. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がございませんので……。  いや、あなたが言ったから、これは核訓練が行えるように合意文書にあるかと言ったときに、ありませんと言ったので、やっているじゃないか、ただこれだけの話なんだ。だからそれに書かれていないということはお認めになった。  最後にお伺いしたいのは、当然のことながらいまおっしゃったように、この沖繩基地の使用の問題に対する合同委員会の取り決めは実に危険な取り決めをやっていますね。だから公表できない。だからこの公表をいつ、どういった程度、範囲においてやるのか。そしてやれば、日本国民はなるほどということで安心はするかもしらぬ、その発表内容によってはあるいはより以上疑惑を持つかもしらぬが、いずれにしても、いつそれを公表するのか。軍事機密でないということははっきりしている。これが一つ。  もう一つは、地位協定の二十五条ですか、合同委員会の規定によって一方の政府がこれを合同委員会でやりたいと提起すれば合同委員会は持てる、その場合、沖繩を問わず住民の生命と安全にかかわるような、環境破壊にかかわるようなものはこうこうこういうことであるので規制しようではないかということをこの際日本政府、外務省はアメリカに――ベストは、われわれは基地がない方がいいのですよ。せめてベターでも、そのくらいの意欲はないのか、それを検討してもらいたいと思いますが、外務省代表の参事官、いかがですか。
  143. 北村汎

    ○北村説明員 まず第一の点につきまして、先ほどもお答えいたしましたように、防衛施設庁の方で御検討いただき、また関係の省庁があればそれを協議した上で、国民生活に密接な関係ある内容につきましては、それをアメリカの方と了解をとりまして、そして外務省としてもそれは公表することにやぶさかではございません。  それから第二の点につきましては、これはいままでも国民生活に非常に危険があるとかあるいは環境を破壊するとか、そういういろいろな問題につきましてはもう何度もアメリカ軍の方に申し入れております。また、合同委員会の席上においても、われわれの方からこういう問題を持ち出していろいろ協議をし、またそれによってアメリカ軍の方でも当初予定したものを変更するなりいろいろなことをしたことがございます。そうしたことを随時やっておるわけでございます。
  144. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたので、質疑はこれで終わりますが、要望だけ申し上げておきます。  いま質疑の中であらわれましたように、沖繩の基地、施設、これに対してどういうふうな協定、ナンバーですね。キャンプ・シュワブは八百幾ら、あるいはキャンプ・コート二一は幾ら、それから日本本土の基地まで含めてそのナンバーと大体の概要、これを委員会に出してもらいたいと思いますが、これを要望いたしまして私の質問を終わります。  委員長、よろしくお願いいたします。
  145. 竹本孫一

    竹本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  146. 竹本孫一

    竹本委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  147. 竹本孫一

    竹本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  148. 竹本孫一

    竹本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえさせていただきます。     沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本法施行に当つて、政府は、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一 沖繩振興開発金融公庫の運営については、地元の意向を十分反映させるよう努めること。  二 沖繩振興開発金融公庫出資及び債務保証については、伝統工芸を含む地場産業の保護育成及び雇用の拡大が図られるよう留意するとともに、県内既存企業圧迫することとならないよう配慮すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  本附帯決議案を本案に付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  149. 竹本孫一

    竹本委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、沖繩開発庁長官より発言を求められております。これを許します。稻村長官。
  150. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、十分にその趣旨を尊重いたしまして努力をいたします。  なお、沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案について御可決をいただきましてありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  151. 竹本孫一

    竹本委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 竹本孫一

    竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  153. 竹本孫一

    竹本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。      午後四時二十七分散会