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1978-02-22 第84回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十二日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 竹本 孫一君    理事 國場 幸昌君 理事 西銘 順治君    理事 本名  武君 理事 村田敬次郎君    理事 加藤 万吉君       有馬 元治君    川田 正則君       田澤 吉郎君    村上 茂利君       上原 康助君    河上 民雄君       島田 琢郎君    玉城 栄一君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)     稻村左近四郎君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      美野輪俊三君  委員外出席者         運輸省航空局監         理部監督課長  松村 義弘君         労働大臣官房労         働保険徴収課長 小林 直之君         労働大臣官房参         事官      鹿野  茂君         沖繩振興開発金         融公庫理事長  岩尾  一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二八号)      ――――◇―――――
  2. 竹本孫一

    竹本委員長 これより会議を開きます。  沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 本日議題となっております沖繩振興開発金融公庫法改正案ですが、沖繩経済にとりまして当金庫が果たす役割りが非常に大きいのでありまして、私はその観点から、沖繩経済発展と当金庫かかわり合いあるいはそれが及ぼす影響などについて多少質問をしてみたいというように思います。  最初に総理府にお聞きをいたしますが、沖繩の県が策定をいたしました県内県民生産指標が先般報道をされました。これによりますと、今年度沖繩成長率は五%。この五%をして五十主年度の国の予算と連動する公共事業中心にして経済発展を試みる、こういう指標が出ているわけであります。  さて、昭和五十六年度、第三次計画の終末するときには、沖繩県民所得国内全国平均の八〇%に達しようというその計画のもとに今日まで開発庁並び関係機関努力をしてきたわけですが、昭和五十三年度のこの県が策定をいたしました五%をもってして、五十六年に県民所得全国平均値の八〇%に至る、そういう指標になっているのでございましょうか。まずこの辺を第一に確認をしておきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  4. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりました昭和五十三年度沖繩におきます県民経済計算と申しますか、県民所得推計経済成長、こういった内容の計数につきましては、私どもも先般その資料を入手したところでございますが、県が試算をされましたこの基礎となった項目ごとのそれぞれの予測される想定数値につきましては、そのすべてにつきまして私どもいま詳細に承っておるわけではございませんので、県がおつくりになったその想定数値それ自身が適切妥当のものであるかどうかということにつきまして、軽々に評価することはこの際差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。しかしながら、この成長率五%という試算が行われたということ自体につきまして、沖繩県経済を取り巻く情勢がいまきわめて厳しいものであるということは私どももそれなりに謙虚に受けとめておるところでございます。  先生も御承知のように、沖繩が四十七年に復帰いたしまして五年を過ぎ、六年目に入っておるわけでございますが、いわゆる前期、前般の経済推移を見ますと、当初計画策定しましたときに比べまして、概括的に言いますと、この前期四年間程度におきましては、本土経済成長率実質経済成長を約二倍近く上回る、こういう非常にハイスピードで外観的な所得伸びはあったわけでございます。これは当然国の公共投資中心にしたてこ入れ、あるいは海洋博その他いろいろな施策の相乗的な作用でございます。  そういったことで五十年度までの経過を見ますと、いわゆる県民所得復帰直後の六〇%台から七五%と非常に大きな伸びを示しております。そういったことで、伸長率も非常に高かったわけでございますが、御案内のように海洋博が済みました直後、本土における石油ショック後の低経済成長への移行等全国的な問題の中の沖繩と申しますか、海洋博後の落ち込みというものも相乗的に作用いたしまして、五十一年におきましては実質的な経済成長及び名目経済成長本土に比べて落ち込む、こういうことでややまたその所得格差が開きかげんであるということは私ども率直に認めておるところでございます。  いずれにしましても、当初の計画で、十年間の目標といたしまして、県民百万前後の人口のもとに当時の所得を約三倍に伸ばす、したがって、全国平均所得想定数値の八割程度目標にしておりますこの経済計算は、今後の後期五ヵ年におきます見通しとしては非常に厳しいものがあるということは率直に認めるにやぶさかではございません。しかしながら、そういった事態を踏まえながらも、今年度と申しますか、明年度予算案にも盛り込まれておりますように、沖繩における各種公共事業中心にした諸般の施策を重点的に進めるとともに、地場産業振興等にもきめ細かい意を払いながら、残る後期五年については政府としても全力を挙げて計画目標達成するよう努めてまいるというふうに申し上げておきたいと思います。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 五十一年度本土成長率よりも沖繩は低いわけですね。五十三年度は国の策定した成長率は七%、沖繩の場合には実質五%ですね。そうしますと、五十二年度の結果は出ておりませんが、二年、三年、引き続き沖繩成長率下降ぎみ、そういうことになりますと、この最終年度の五十六年に、本土成長率と比例をしながら、五十年度では七五・一%ですから、それを四・九%引き上げる、これにはよほどのてこ入れがなければ、私はそこまで拡大をしないのではないかと思うのです。確かに、いまおっしゃられましたように、たとえば海洋博投資であるとか、いわゆる中央政府が直接的に景気刺激策をとった、ないしは成長刺激策をとった、その面で伸びている面はその時点時点ではうかがえますが、今日のように安定成長になってまいりまして、沖繩における特別の事業拡大というものがない限りは、私は、八〇%に至る道は非常にむずかしい、よほど何かのてこ入れがなければこの達成は不可能ではないか、こういうように思うのですが、五十三年度の国の七%の経済成長率と県が策定している五%の成長率との対比の上からどのようにこの辺は判断されますか、
  6. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 冒頭お答えいたしましたとおり、後期五年を見込みました最終的な十年間の沖繩振興開発計画における所得達成目標に到達するには非常に厳しいものがあると率直に申し上げておるところでございます。ただ、冒頭申し上げましたように、沖繩県予測をされております数値も、いろいろな仮定の数値積み上げられまして予測をされておるようでございまして――これは経済のイロハでございますから、先生に申し上げるのに屋上屋ではございましょうか、マクロの国の経済成長と同様、沖繩県内における単年度ごと経済予測数値も、当然その中に政府投資をいたします政府固定資本形成の占める割合が非常に高いことはもちろんでございますが、同時に、民間の設備投資あるいは個人消費等その他の要因がどの程度見込まれるかという点も、非常に大きなウエートがあるわけでございます。先生が御指摘のように、必ずしも楽観は許さないと申しますのは、私どもが当初想定した計画のもとには、まず人口推計と、それから第二次産業における工業出荷額等を主要のファクターとする第二次産業生産所得の問題があります。私どもが当初計画策定しました時点におきましては、人口想定を十年後に約百万人程度、端的に申しまして約百三万人程度予測しておるわけでございますが、今日の時点においてすでに沖繩では人口が百六万人に達しております。これは端的に害いまして、自然増の問題に加えて私どもが当初予測した以上に社会増、いわゆる域外転出域内転入との格差が逆説的に非常に大きく出ておる、こういったことが非常に大きな要因一つになっております。二点目は、当初県も非常に強い希望を持っておりましたいわゆる第二次産業の中の工業中心にした立地あるいは拡大というものが思うとおりにいかない。この二つが非常に大きな要因になっていることは否めない事実でございます。  しかしながら、私ども冒頭にもちょっと申し上げましたように、この県開発計画自身沖繩県及び日本政府で相協調してつくりました計画でございまして、目標は端的に見まして、当然県民所得本土レベルに上げることが大きな眼目ではございますが、同時に、沖繩における各種資本整備社会資本整備を完成することによって、国民ひとしく享受し得る国民的な標準を確保するということをあわせた総合的なマスタープランでもございますので、冒頭申し上げましたように、所得乖離を極力、今後きめ細かく、地場産業振興等一つ一つじみちに積み上げることとあわせまして、今後の大きな一つ所得の源泉と申しますか  幸い、海洋博の直後、一時非常に落ち込みました観光客の入り込みも、五十二年におきましてはすでに百二十万人に達しておる、先生案内のように、海洋博のときの入り込みが百五十万人ということから考えますと、ここ数年の傾向として非常に有望なファクターも出てきておるわけでございますしあれこれそういったじみちなそれぞれのプロジェクト積み上げをさらに政府と県で努力して推進することにいたしまして、今後、極力県民所得目標数値乖離が起こらないよう努力をいたしてまいるということを御答弁申し上げたいと思うわけでございます。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、いまお話にありましたように、やはり第一次産業、第二次産業から来る所得の創出、この面の指導体制が弱かったのではないかということを率直に申し上げたいと思うのです。  たとえば、鉱工業生産に最も必要なものはエネルギーですが、同時に水資源沖繩における多目的ダム建設であるとか水資源確保のための行政施策というのが全般的におくれたのではないでしょうかしあるいはエネルギーのないところには工業発展をしないわけですから、エネルギーをつくり出すための投資計画、そういうものが相対的におくれたのではないか。したがって、片方がおくれているわけですから、相対的には、第三次産業の面で多少のカバーがあっても、この八〇%に至る道は非常に遠い、困難だ、こういうことになっておるのではないかと思うのです。  そこで、今年度公共投資全般的に非常に大きくついているわけですが、なかんずく、今度開発庁予算の中でも公共投資関係全般で三六%の増ですね。この三六%の公共投資は、いま言いましたような面ではどのようなかかわり合いを持って第一次産業なりあるいは第二次産業の面への寄与があるのでしょうか。もし大型のプロジェクト等があれば御紹介していただければと思います。
  8. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 昭和五十三年度予算におきましては、ただいま先生指摘のとおり公共事業費関係で三六%増の予算を組んでおるところでございます。この公共事業予算を組むに当たりましては、私ども沖繩振興開発計画基本方針でございます本土との格差の是正、それから沖繩自立的発展基礎条件整備を目指すというこの振興開発計画基本方針にのっとりまして、予算を大幅に伸ばしておるところでございます。その中でも特に、先生ただいま御指摘のございました産業基盤整備関係でございますが、たとえば農業基盤あるいは漁港、沿岸漁場整備事業等の第一次産業基盤整備、あるいはただいまお話のございました水資源確保のためのダム建設、それから県内県外との交通の確保のための港湾、空港整備事業、そういった産業基盤を強化するということに重点的な配慮を用いているところでもございます。それから、さらに現在の沖繩経済雇用等の諸情勢、これは非常に厳しいものがございますが、それに対しても公共投資の面からなし得る限りの対応はしたものと考えております。これらの措置によりまして、直接的にはたとえば建設業労働者に対するかなり雇用効果が見込める。そういったことのほかに、先ほど来総務局長からも御説明しましたように、財政に依存する度合いの強い経済でございますので、これらの公共事業施行によりまして、県経済へのかなり波及効果も期待できるのではないか、このように考えている次第でございます。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 特に第一次産業投資予算では五七%強ですね。それを受けてか、県の農漁業成長率は一九%見ているのですよ。どうでしょうね。いま漁業整備あるいは農業基盤整備土地基盤整備、そういう事業投資が行われて、この一九%という第一次産業成長は可能だというふうにお考えになりますか。もちろん、これは県が策定したものでありますから、開発庁から、これが完全に行われるという答えは出ないと思いますけれども、しかし、五七%の一方の農業漁業基盤整備資金をもってすれば、従来の経過からしてこれくらいの成長率は可能だというふうに判断されますか。いかがでしょう。
  10. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 再三の御指摘にもございますように、総合的ないまの経済計算予測は、県が五十三年度予算に関連して策定をされた試算でございますので、詳細な積み上げを県からお聞きした上でないと的確な評価はできかねるわけでございますが、先生も御案内のように、復帰後五年間沖繩農業生産を、生産性を含めて上げるために累年開発庁農業基盤整備中心に非常に多額の伸びを伴う公共投資を続けてきたわけでございます。ただ、沖繩基幹作目でございますサトウキビ及びパインにつきましては、この作物が連年、気候等に非常に左右されまして、その増減が、基盤のもとでございます農用地面積等影響を含めて変動が激しいわけでございますが、近年、国のいわゆる価格としての措置等も行われまして、生産意欲も非常に伸びてきておるところでございます。かたがた、御案内のように、国も県と協力して進めております畜産関係伸びあるいは野菜類等作目多様化にも近年かなり力を注いできておりますので、これら一連施策が逐次累年効果を発揮してくるものと考えておるところでございます。  もちろん、農業基盤整備は、先生も御案内のように、その年に投下いたしまして直ちに翌年あるいはその年からそれが直接的に効果をあらわすということにはなかなかなりにくい業種でもございますが、いま申し上げましたような一連傾向と過去の罫線の数値から見まして、私ども的確には申し上げることは差し控えたいと思いますが、全体としまして、一九%程度伸びを見込んだものにつきまして特に大きな乖離はないのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 単に第一次産業は量的な生産だけではないと思うですね。特にパインなどは対米輸出入関係のオレンジとの連動というのはあるのじゃないかと推定されるわけです。あるいは亜熱帯地帯生産物ですから、結果的には日本人の嗜好とあわせて輸入品との関係が出てまいりまして、農産物価格の下落という問題が想定をされるわけです。したがって、従来の価格、従来の投資の中での一九%の成長は一応お話の筋を承るといたしましても、今年度の例の外圧から来る対米輸出入関係等含めて、この農産物、第一次産業の一九%というのは甘過ぎるのではないか、こう思いますが、輸出入品との関係でどのような状況がこの場合想定されるでしょうか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  12. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 ただいま冒頭お答えをいたしましたように、沖繩農業振興というのは、沖繩振興計画でも一つの大きな柱にいたしておるところでございます。この中では、やはり繰り返し申し上げておりますように、基幹作目でありますサトウキビパインにつきまして、基盤整備及び品種改良等、総合的な施策を遂行することによって生産性の向上を逐年図っておるところでございますが、同時に沖繩気候、風土というものを積極的に活用するという意味で、畜産振興、それからいわゆる端境期農業と申しますか、本土に対する野菜類生産基地としての基盤整備、その他各般の作目多様化をやっておるところでございます。  御指摘のような、いわゆる外国からのそういった農産物輸入との関係でございますが、沖繩は、先生案内のように、復帰時点におきまして、本土及び諸外国との間の特殊の物品税中心にした関税制度がございます。これにつきましては、復帰後五年間、特別の制度として緩衝的なシステムをとってきておつだわけでございますが、昨年の復帰特別措置法の見直しの際に、いま私申し上げましたように、沖繩における農業生産が急激に高まりつつある、農民の方の意欲も非常に強くなってきておるということもございまして、御案内畜産物中心にしましたそういった制度につきましても、一応本土並みに順次移行するというふうなことで、御案内かと思いますが、一例をとりますと、沖繩におきましては畜産振興のための県策の公社をつくりまして、そういうところで輸入農産物についての、いわゆる本土における畜産振興事業団と同じような、価格調整制度をあわせた県内の積極的な畜産振興制度も取り入れ、逐次そういったものの活用によって積極的な振興を図っておるところでございます。  今後、いろいろと諸外国との本土全体におけるそういった問題も起こってくると思いますが、そういった問題の中で、できる限り沖繩県内におきます農業生産振興、あるいは復帰のときの特殊事情としての消費物資取り扱い等、慎重に考えながら、御指摘のような基本の線を極力伸ばしていくということで政府も取り運んでまいりたいと考えておるところでございます。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 沖繩の全面積の大変広い地域が基地になっているわけですね。ですから、私は、第一次産業にいたしましても、この基地経済との関係抜きにしては内地との比較はできない、こう思っているのです。したがって、内地との所得格差を縮める、八〇%に至る道を切り開くとすれば、基地によって広大な面積が占められているという現実があるわけですから、その上に立って第一次産業への助成、あるいは第二次産業への振興施策、こういうものが提起をされなければ、とてもじゃないけれども、あの基地の障害というものが県民経済を阻害している要因を除くことはできない、こう考えるわけです。  確かに、第一次産業はおっしゃられるような形で推移をするかもしれません。しかし、第二次産業に至っては、これは先ほどの本土からの投下資金投資資金等を含めて伸び悩みのかっこうになるわけですね。したがって、私は、第二次産業についても相当思い切った誘導的な政策がなければいけない、こう思うのです。  何かお聞きするところですと、沖繩の分みつ糖を原料にしてアルコール専売工場をつくる、こういう動き、あるいは通産その他に対する意見聴取といいましょうか、そういうこと等もあるようですが、本土産業沖繩への誘導という問題については、たとえばいまのアルコール専売事業例一つをとってみても、これを本土におけるオーバーフロー状態等抜きにして、政策として取り入れるべき課題ではないか、こういうように思うのです。  さらに、沖繩への第三次産業観光事業観光客増加は、確かにおっしゃるとおり数字で明らかです。しかし、総合運賃体系の中で、沖繩-東京間の航空運賃の問題が再び話題になり、同時にまた、県の方からは、この運賃システムに対する沖繩における運賃体系といいましょうか、こういうことを要請されているように聞いているわけです。  そうして、第一次から第三次まで通しまして、よほどの誘導的な、しかも、この八〇%に到達するために必要な、思い切った国側処置がなければ、この五%の五十三年度における成長率もきわめて困難ではないか、こういうように私は思うのです。現在まである沖繩の特別な補助ないしは租税に至るまでの処置も含めて、これから起きるだろう運賃問題、あるいはそういう第二次産業への誘導政策等を含めて、もっとその施策を強められる必要があるんじゃないかと思うのですが、これは総務長官からその決意のほどをひとつお聞きをしておきたいと思うのです。
  14. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 沖繩経済全般につきましては、あらゆる施策をとってまいっておるわけです。いま御指摘の問題でありますが、運賃の問題、これは観光客誘致ということで大変大きな決め手になると思いますが、問題は、これは運輸省の所管でありまして、うわさによりますとまた値上げ等々が考えられておるということですが、いま御指摘の点は、私の立場から強くいろいろ申し述べなければならぬ、こういう点があるのではないかと思います。  もう一つの五%等の問題に対する御指摘でありますが、そのためには、先ほど来局長の方からお話がありましたように、まず財政主導型の公共事業三六%増、その他全般を合わせましても三四九%増という、かつてない財政主導型の公共事業というものに投資をしたわけであります。しかし、これをもって足れりというわけにはまいりませんので、やはり沖繩地場産業――沖繩は御承知のように、中小零細企業が大変多いわけでありますから、そういう意味でも沖繩振興開発金融公庫の機能を拡充する、こういったことを呼び水として、できるだけ沖繩中小企業開発振興のために役立たせていかなければならぬ。特に私は考えておりますのは、やはり伝統工芸産業と申しますか、これが本土で見ることのできないすぐれたものがたくさんあるわけであります。そういう意味から、こういった問題にも、あらゆる流通関係等々をもいろいろ考えながら、沖繩地場産業伝統工芸――先ほど来御指摘の工場誘致問題というのは、いかにせん、現在は本土そのものがこういう状態でございますので、努力はいたしますけれども、やはりその面の効果が出ないのではないか。こういったことから、先ほど来申し上げましたように、財政主導型で公共投資を有効にきめ細かく施行ができていくということと、いま申し上げたところの地場産業、それから伝統工芸産業、こういったことをできるだけひとつ積極的に進めることによって、いま目的のものはそんなに心配をされたものではないのではないか。総合的に浮上していきますと必ずやそれは実現ができる、こういう確信を私は持っておるのであります。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そういう形で沖繩経済が五十三年度推移するわけですが、仮に推移をいたしましても、先般当委員会総務長官は、この間の雇用拡大公共事業投資を含めて大体七千から八千人とおっしゃいましたが、この数字は間違いございませんか。
  16. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先般大臣からお答えしたとおりでございまして、来年度、五十三年度予算によります沖繩における雇用効果につきましては、公共事業だけでございませんで、公共事業のほかに沖繩振興開発金融公庫による住宅融資による事業、それから他省庁計上予算の中で投資的な経費、これらの増加をも含めまして当庁におきまして推計いたしまして、大体来年度八千人の雇用増があるもの、こういうふうに見込んでおるところでございます。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 八千から九千と想定して、切り上げて一万としておきましょう。  先般予算委員会宮澤経済企画庁長官は、わが国の失業者の吸収は全国でこの公共事業を含めて三万から五万と言われたわけですね。仮にもしその数字がそのまま沖繩に転用されるといたしますと、そのうちの約一万人が沖繩雇用を創出されるということになりますが、こんな高い数字になりますか。
  18. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 経済企画庁長官が、その答弁におきまして五万人という数字を挙げましたのは、いわゆる完全失業者の減少数ということで御答弁があったというふうに記憶いたしております。そのもとになりましたのは、就業雇用者等は五十五万人増加する、それから新たに参加する労働力が五十万ある、差し引き大体五万人完全失業者が減るであろう、こういう数字を御答弁されたように記憶いたしております。  私ども、先ほど八千人と申し上げましたのは、来年度における政府投資的な経費の中で民間における投資等が変わらないもの、こう仮定した場合におきます雇用増数字推計いたしたものでございまして、そういったことでちょっと直接的に対応する数字はないのではないか、こういうふうに考えております。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣が先ほどおっしゃいましたように、沖繩では民間設備投資伸びが期待できないのですよ。第三次産業の民間設備投資が、たとえば観光事業関係でホテルといいましても、実際問題ではホテルはオーバーフローでしょう。これから百五十万人ぐらいになれば、これはまた海洋博と同じようにいま遊んでいるホテルが復旧するかもしれませんけれども、当面民間設備投資拡大する要素というのは、沖繩の場合は特に工場誘致その他がなければ拡大の要素がないと見るのが一般的には至当だろうと思うのです。そうしますと、一万人、まあ八千人の雇用創出は、結局おっしゃられるように主として公共事業と民間住宅等による雇用創出ですよ。確かにおっしゃられるように、宮澤企画庁長官は完全失業者の吸収、新規労働力を含めると五十五万、こう言われておるのですね。沖繩では御承知のように本土と全く大きな差をもって完全失業率が存在をいたしております。五万人というのは完全失業者の中の吸収なんですよ。沖繩と対比した場合には、二万二千人に対して何人吸収できるかということになるわけですね。二万二千人というのは五十二年十二月現在の失業率五・一%の数字ですが、八千、私は切り上げて一万と言ったのですが、この雇用創出は実は新規労働力も含めているわけですね、新しい労働力の吸収を含めているわけです。ということになりますと、これだけの規模の公共投資を行っても雇用の吸収、いわゆる失業者の吸収ということにはなっていかないのではないか。七千人から八千人の雇用拡大ということは、結果的には新規労働力の吸収だけであって、沖繩における失業率は依然として高い。今度の五十三年度予算でその失業率を低下することには残念ながら至らない、こういうふうに私は見ているのです。沖繩の場合に、対比をされる五万人と二万二千人、本土における百二十万と言われている完全失業者沖繩における二万二千人、百二十万に対しては五万人の雇用の吸収、二万二千人に対してはどのくらい吸収できるでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  20. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 これは実は見込み違いがあったのです。ということは、沖繩人口が減るであろう、こういう計画を実は立てたのです。四十七年から五十六年の十ヵ年計画の推定の中で、過疎という言葉を使ってどうかと思いますが、そういう意味から三万人ぐらい減るであろうと考えたのが、沖繩の場合は本土で一番必要とする若年層がむしろふえてきた、こういうところにもこの推定というか見込み違い、また考え方によっては大変いい結果ではなかろうか。そういう意味から、昨年から順次七%、六%、現在は五%、二万二千人ということであります。本土の方は二%ということで百十一万人、こういうことでありまして、なるほど沖繩の失業率は高い、こういうことは私も率直に認めておりますが、先ほど申し上げましたように、その推定というものが減るものがふえた。ふえるということは大変結構なことでございますので、精力的に今度はそういう踏まえ方を、過去の踏まえ方を新しい踏まえ方にして積極的施策を加えよう、こういうことでございますので、御了承を賜りたい、こういうように思います。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 域外から人口の流入――逆に言えばいわゆる流出がなかった、ないしは自然増が非常にふえたという現象は去年の話だけじゃないですね。もうすでに百万を超えるであろうという時点からのお話で、したがって、私はその施策というものは今年度――いわゆる見込み違いというのは、まさにいままでの経過をしっかり踏んまえた中での計画が立てられずに見込みが違ったのであって、五十三年度に起きる現象じゃないのですよ。したがって、どうしてもやはり公共事業をこれだけ拡大するわけですから、結果的には失業率が沖繩の場合にもどんどんどんどん低下をしている。人口増加というのはすでにもうここ四、五年続いている現象ですから、そういうように施策をとられるべきだと思うのです。  そこで、一体いまの二万二千人と言われる失業者が、大臣に言わせればかつてない予算をつけたこの中で八千人、こうおっしゃいますけれども、新規労働力を完全に吸収してなお残りの完全失業者がどのくらい吸収できるでしょうか。推定される数字があればお聞かせいただきたいと思うのです。
  22. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいま先生指摘の来年度沖繩県においてどのくらい失業者が減るかということの見通しでございますが、この点につきましては先ほど総務局長からの答弁にもございましたように、いわゆる新規の学卒、それから本土に来ております者のUターン等に基づく社会増、それからまた現在沖繩におります失業者本土への流出、他地域への流出ということになりますか、そういった絡みの中で出てくるということで、大変に予測のむずかしい問題でございます。先ほども大臣の答弁にございましたように、失業率は徐々に低下をいたしてきております。そういうことの中で、政府といたしましてはできるだけ広域職業紹介等を行っていく、また県内での雇用機会の創出のために地場産業等の育成というものに力を入れていくということで努力をいたしておるわけでございまして、そういった総合的な努力の中でその数をできるだけ、可能な限り小さくいたしたい、このように努めておるところでございます。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 経済企画庁長官が五万という数字をおはじきになったのです。長官は先ほどの答弁で八千人前後とおはじきになっているのです。私は、その中で完全失業者がどのくらい吸収できるのか、新規労働力がどのくらいかということは当然数字としては挙げられていいと思うのです。それでなければ長官の八千人という数字は出ないでしょう。どうですか。いま一遍お聞きします。
  24. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいま先生の御指摘にございました八千人の雇用増といいますのは、そういう完全失業者を減らす、雇用者をふやすというその努力一つということでございまして、来年度予算増の中からはこれだけの雇用増、したがってそれは失業者を減少させるあるいは新規に創出されます労働力を吸収する力として働く、こういう意味合いであろうかと思います。  それから、それじゃそれらの努力の結果として完全失業者がどのくらい減るかということになりますと、それは県外との人の移動、かなり流動性の高いものでございますので、そういったなかなか予測困難なものを含めて取り込みませんと、完全失業者が来年度どのくらいになるかということの見通しはなかなかむずかしい問題ではなかろうかというふうに考えております。ただ、いずれにいたしましても、そういった公共事業でも雇用機会をふやしていく、あるいは広域職業紹介等によりまして、できるだけ県外への雇用機会があればそこに失業者を振り向けていく、また先ほど来申しましたように、県内地場産業の育成というようなことによりまして雇用機会をつくり上げてその中に吸収していく、こういう努力は真剣にいたしていきたい、このように考えております。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 抽象論でお答えになってはだめですよ、だってわかるでしょう。新規労働力がどのくらい発生するかというのは、中学、高校卒あるいは大学卒の県外流出と県内へとどまる人口を出してみればわかるわけですよ。公共事業をこれだけやるのに、沖繩で労働力確保ができなければ現実の問題としては公共事業の三六%の伸びは消化できませんよ。したがって、当然労働力確保の面から見ても、大臣がおっしゃられた数字というのは出ているのだと思う。当然県外から入ってくる者あるいはUターンする就労人口等は過去の統計を見ればこれまた明らかですよ。私はそういうずさんな計画でやってはいけないと思うのです。特に沖繩では失業問題が深刻な問題だけに、もっと失業者をどう吸収するかという問題については緻密なしかも真剣な取り組みをしてもらわなければならないと思うのです。これはいまここで数字をはじき出すことも困難かもしれませんけれども、いずれかの機会にきちっと私は、開発庁からもこの予算の裏づけをするためにも明確な数字の提示を要求しておきたいと思うのです。  そこで、労働省にお聞きしますが、完全失業者が五十二年の五月には七・九%、三万三千人、十二月に五・一%、二万二千人、約六カ月の間にこれほどの失業者の吸収ができた理由はどこにありましょうか。
  26. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 先生指摘のように沖繩県における失業率、五十二年の五月においては七・九%と、従来経験しなかった非常に高い率を示したわけでございます。その後九月以降若干の改善が見られまして、十二月現在におきましては失業者数二万二千人、失業率五・一%になったわけでございます。  この失業率の低下についての理由というのはなかなかむずかしいわけでございますが、諸般の状況から総合的に判断してみますと、まず第一点は、先ほどから御説明ございましたように、五十二年度における補正予算等によりまして公共事業拡大された、しかもその早期かつ円滑な施行があったということによって、この公共事業の方へかなりの吸収が行われたのではないかということでございます。  それから第二点としましては、十二月という時期はたまたまサトウキビ、製糖関係の時期でございます。この製糖関係事業かなり失業者の方が就労されたのではないかというふうに考えておるわけでございます。その量的な推計も非常に困難でございますが、地元の当局等の判断からいたしますと、約四千名くらいの方が製糖事業に就労されたのではないかという推定もされているところでございます。  さらに最近におきます産業別の動向を見ますと、三次産業への就労者の増加が目立っておるわけでございます。これは観光客等の増加によりましてホテル関係等を含めた第三次産業への就労者が見られたのではないか。  このようなことが失業率を低下させた原因ではないかというふうに考えておるわけでございますが、しかし先ほど申し上げましたように、この中にはかなり季節的な要因もあるわけでございまして、労働省といたしましては、その推移について必ずしも楽観を許さないものがあると考えているところでございます。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先ほど私と開発庁とのやりとりはお聞きになったと思いますが、どうですか、労働省の方から見ていまの新規労働力ブラス失業者総務長官の答えは八千、失業者はどのくらい減ると思いますか。完全失業者の中からどのくらい逆に言えば雇用の吸収ができると思いますか。たとえば十二月に四千人サトウキビ関係で臨時的な雇用の創出ができた。この状態は三六%の公共事業事業費の拡大が行われれば、短期的でしょうから、この吸収が可能でしょうか。それらを含めて見通し、見解を述べていただきたいと思います。
  28. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 見通しについては大変むずかしい問題があるわけでございますが、まず第一点としまして、新規の労働力といたしまして中学、高校並びに大学卒業生が先生指摘のとおりあろうかと思うわけでございます。沖繩県内におきますこれら新規学校卒業者からの新規就職希望者は、沖繩県の大学には県外からの在学者もおりますので、必ずしもその推移をはっきり推定することはできませんが、五千から六千の新規就職希望者が出るのではないかと思っております。これら新規の学校卒業者につきましては、従来から沖繩県の新規学校卒業者につきましてはその八〇%から九〇%が県外へ就職しているという動向があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この新規の学卒者につきましては今後とも県外への就職の促進に万全を尽くしてまいりたいと思っておるわけでございます。  そこで問題は、先ほどから指摘ございましたように、まずUターンの方々でございます。このUターンの方々が年間どのぐらいあるかということは、非常に推計がむずかしいのですが、安定所の窓口で調べた結果によりますと、一年間に二千八百、約三千近い数字がUターンしてまいられたという数字もあるわけでございます。このUターンされた方々に対する対策というのが一つの問題になるわけでございますが、これらの方々は、大体非常に若い方が多いわけでございます。沖繩県失業者の特徴としまして若い失業者が多いということ、五十一年の統計で見てみますと、完全失業者のうち二十九歳以下の方が六五・四%になっておるわけでございます。全国平均では三九・八%でございますので、若い失業者の方が沖繩県に多い。これらの方々につきましては、Uターン者も含めてでございますけれども、やはり将来の沖繩県産業の基幹労働力になっていただく、こういう観点からも、ぜひ本土できちんとした産業、職業に従事していただきたいというふうな考え方を持っておるわけでございます。そういう意味で、若い人たちについてはできる限り広域職業紹介によって本土就職を推進したいということで、五十三年度につきましては、たとえば就職するに当たっての資金の貸し付けであるとか、しかも一定期間本土で定着していただいたならばその返還を免除する、このような貸付基金制度であるとか、あるいは本土沖繩県の方を採用していただく企業については雇用奨励金を支給するとか、あるいはさらにきめ細かな紹介と申しましょうか、相談と申しましょうか、やるために、本土から職業安定行政職員なりあるいは事業主の方々も行っていただく現地の求人説明会をやるとか、このようなきめ細かい対策を考えて、この若い方々の本土就職を推進してまいりたいと思っておるわけでございます。  そこで、問題はどうしても本土へ就職できない、すなわち基地関係からの離職者等の中高年齢者の方々であるわけでございます。これらの方々の雇用機会を創出するためには、先ほどから御指摘がありましたように、何としても公共事業を活用していかなければならないと思っておるわけでございます。この公共事業の活用に当たっては、特に沖繩県につきましては沖繩振興開発特別措置法によりまして、本土にはない六〇%という高い無技能者についての失業者の吸収率が課せられておるわけでございます。この高い吸収率というものを何としても、各行政機関の協力を得ながら達成していく、それによって、本当の意味での失業者にまず公共事業に入っていただく、さらに来年度におきます公共事業予算拡大に伴う公共事業への雇用吸収力の増があるわけでございますので、この増とあわせまして、沖繩県内におきます雇用機会の拡大に努めたい、こういうふうな考え方を持っておるところでございます。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)委員 労働省では完全失業者の把握をきちっとされていますか。というのは、いまおっしゃられた雇用の吸収、たとえば特別措置法によって吸収率を六〇%と義務づけられておるわけですが、いま沖繩での雇用保険適用労働者は、私の調べたところでは、雇用保険適用事業所に対して、これは強制加入ですけれども、実際加入率は二七%ですよ。七割が雇用保険に入っていないわけです。雇用保険に入っていなければ、職安に求職のために来るのはリストで上がるでしょうけれども、少なくとも失業保険給付という形では上がってまいりませんね、完全失業者の把握が物すごく誤差が大きいのじゃないでしょうか。私は、いまいろいろな施策を言われましたけれども、労働省の最もやるべきことは、雇用拡大と同時に、失業者の救済措置、補償措置を配慮しなければいけないと思う、昭和五十年から強制適用保険になって、もう三年経過をして、なお三〇%に至らない強制適用事業所なんて、ありますか。こんなずさんな労働行政はだめですよ。沖繩に労働保険事務組合があるかどうかわかりませんけれども、そういう制度をもっと活用して、少なくとも私は特に第三次産業雇用がふえればふえるほど、御案内のように第三次産業雇用保険適用率が非常に低いわけですから、恐らく私はその部分に非常に大きな潜在的な失業者があると思うのですけれども、どうでしょう、雇用保険の拡大についてどのような施策をこれからとられようといたしておりますか。
  30. 小林直之

    ○小林説明員 御説明申し上げますが、ただいま先生指摘のように、沖繩県における雇用保険の適用状況は、五十一年度末、五十二年の三月末で五千三百四十三事業所になっております。その後、五十二年度に入りまして、毎月鋭意努力いたしまして、ふえつつございますが、最近の数字として、昨年の九月末で五千八百七十四事業所ということになっております。それで、法律のたてまえと比べましてまだ実際に把握、適用されていない事業所が相当数ございます。先生指摘のとおりでございますが、果たしてそういう小さいところを含めてどれくらい残っておるか、なかなか正確な把握というのはむずかしいわけでございますが、私ども一つの目安といたしまして、全事業所を調査しております総理府統計局の事業所センサスをいつも参考にするわけでございますが、その事業所センサスにおきます常用雇用労働者一人以上使っておる事業所の比較では、事業所の適用率で、先生おっしゃいましたように二七%程度。ただし、これは保険の適用単位の事業という概念と統計調査の事業の単位が違いますので、厳密な比較ではございませんが、現在のところそんな状況でございます。  それに対しましてどのように対策を進めておるかというお尋ねでございますが、私ども第一線の、沖繩の場合は沖繩労働基準局と沖繩県の労働主管部、それからその第一線の機関、それぞれ相協力して、そういう対象事業所に対する法令の周知徹底あるいは具体的な把握、適用、これに毎日努力しておるわけでございますが、いま残っておりますようなそういう未加入の事業所、これは主として五人未満の零細事業、それも産業別に見ますと商業、サービス業というような第三次産業関係が多いわけでございます。全国平均より沖繩が特にこの辺の数字が低いというのは、沖繩事業の構成が零細企業の割合が多いとか、そういう第三次産業関係が多いとか、そういうことが大きな原因になっていると思うのでございますが、そういう中で、私どもとして、いま先生ちょっと御指摘がございましたように、こういうものを把握していくにはできるだけ団体的に把握していきたい、これが最も有効な方法だと思っておるわけでございまして、いろいろ事業主団体を調べ、特にそういうものの中で能力のあるところにつきましては、労働保険事務組合制度を活用して、事務組合をふやしていく。現に事務組合の数もふえておりますし、そういう事務組合を通じて適用を進めておるいわゆる委託事業というのもどんどんふえてきておるわけでございます。さらに今後ともこういうことで努力を続けてまいりたいと思っております。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)委員 時間がありませんからもう質問はやめますが、いずれにしても、雇用の吸収、失業者の救済に最善の努力を払っていただきたいと思うのです。せっかくの公共事業雇用につながらなければ何にもならないわけです。  一問だけ最後に金庫について質問しますが、今度の法改正は、国内の法、たとえば北海道東北開発公庫並みに民間出資への条件を満たす、こういうことですが、いまの開発金融公庫の諸業務はほとんどすべて本土並み金庫の処理になっているでしょうか。私の聞くところでは、一つだけ例を挙げますが、たとえば開発金融公庫から委託業務を受けた金融機関の代理店の収納期間が、本土では三十日、沖繩では三日間ということになっておるというように聞いておるのです。そうなりますと、たとえばAという銀行が代理業務を行いまして返済の金額を受け取って、それから三日後に金庫に納入しなければならない。こうなりますと、その手間暇が非常に短期間のために選別融資をする、こういうことをしばしばお伺いをするわけです。これは一例でありますけれども、挙げればたくさん例があります。  そういうように、出資の面で金庫本土並みに法改正をしようとするならば、業務内容についてもすべて本土並みにし、しかも特にいまもお話ありましたように中小零細企業が多いわけですから、こういう人たちが複雑な手続と時間を必要としないような制度、業務内容の改正あるいは改善をされるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  32. 岩尾一

    ○岩尾説明員 沖繩金融公庫の業務内容をなるべく簡素化して、そして弾力的に運用できるようにしたらどうかという御意見でございますけれども、御質問にございました、たとえば代理店の領収期間でございますけれども、これはむしろ本土の各公庫がほとんど三営業日でやっております。それで私の方も大体三営業日でやっておりますけれども、御承知のように離島が多いものでございますから、遠い離島については五営業日というのが若干ございます。それ以外は全部三営業日で、むしろ本土公庫よりは手続その他については簡素にいたしておりまして、総合公庫としての特徴をよく発揮できるようにということで鋭意努力をいたしております。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 以上で終わりますが、最後に、いま申し上げました今年度開発庁予算、県の予算、国の予算雇用創出と沖繩の新しい産業転換というものを求めている状況でありますから、公庫の方の運営も、その辺の利用する顧客に対する業務が円滑にいくように、業務内容の再検討をお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  34. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 先ほど先生からの御質問で大臣お答えしたことに関連しまして補足をさせていただきたいと思います。  失業に関連しまして大臣から、沖繩県振興計画に関連した人口推計について、当初の想定より人口の減少を来して減少をする予定が増加をしたというふうに申し上げましたのは、いわゆる社会減及び社会増県内移入、県外移動等の実数の推計乖離が予想に反して大きかったという意味で申しげましたので、自然増を含めたネットの増加の問題ではございません。先生にもそういうふうに御理解いただいたと思っておりますが、事務当局から補足をさせていただきます。
  35. 竹本孫一

    竹本委員長 島田琢郎君。
  36. 島田琢郎

    ○島田委員 提案を受けております沖繩振興開発金融公庫法の改正に当たりましての若干の質問を申し上げるに先立ちまして、非常にこの公庫法の改正にも大事な関連のございます点を二、三点、主として大臣に伺ってまいりたいと思います。持ち時間がきわめて制限をされております関係で、どうかひとつ大臣には生来の歯切れのよさを十分発揮願って、明快にお答えをいただきたい、こう思うのであります。  まず、振興開発計画でありますけれども大臣はこの点についても所信でお述べになっているわけでありますが、全体的に非常に開発計画がある一定の役割りを果たしつつあると自画自賛なさっているわけであります。しかし、その中で非常に心配される部分もある、こういう点も幾つか述べておられます。特に、ただいま議論のありました雇用の問題、さらに経済的なあるいは社会的な諸問題が幾つか発生をしているというようなことを述べているわけであります。具体的にいま雇用の問題については御議論のあったところでありますから、おおよそ私も聞いておりましたのでわかりましたが、後ほどまたこの点には質問を改めてしたいと思います。  経済的、社会的な諸問題、こういうふうなことをおっしゃっているわけでありますが、これは抽象的で、私自身も余り大臣のおっしゃろうとしていることがのみ込めないのでありますが、この点ひとつ具体的におっしゃってもらいたい。  それから、振興開発計画は、各地域で三全総に従って目下計画が立案されている。あるいは立案の終わったところもございます。私は北海道におきます新開発計画に参加をいたしたわけでありますが、従来の開発計画は、いかにもりっぱに計画が立てられるのでありますけれども、その後におきます経過に対してアフターケアともいうべきものが非常に欠けている。この点は沖繩にも私はある意味では当てはまる部分があるのではないかと思っているのです。しっかりしたアフターケアを進めてまいりませんと、せっかくのりっぱな開発計画が生きてこない。計画がりっぱであっても現実にそれが現地で生かされないことにはいかぬのでありまして、そういう点では幾つか反省点として述べておられることは大事な点でございますから、そこのところをしっかりとした一つの反省点として踏まえて、沖繩がいかにあるべきかを考え直していくことは非常に大事なことであると私は思うのであります。  そういう意味で、先ほど議論のありました雇用の問題というのはもう少し私は見解を聞きたいと思っておりますが、まずいま申し上げました経済的、社会的な諸問題というのは一体何を指していらっしゃるのか、お聞きをいたします。
  37. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 雇用問題については先ほど労働省から推移数字を挙げて細かく報告があり、また後で事務当局から報告をさせますが、問題はやはり沖繩経済は一日も早く自立をしていただかなければならぬ、特に本土との格差を一日も早く是正しなければならぬという責任があるのではないか、私はこういうふうに考えております。そういう意味から、先ほど申し上げましたように、まず沖繩産業開発等々を踏まえまして、やはり交通の体系、すなわち陸、空、海、この整備は当然急がなければなりませんし、また特に大事なことはやはり環境の整備、こういったことに最重点を置いていかなければならぬ。特に沖繩は水で大変不安な状態があります。そういう意味から本部においては福地ダム中心として、福地ダムのかさ上げを行い、少なくとも五十五年ごろまでには現在三十五万トンの必要量といたしておりますが、まあできるだけ早くこういったことを満たすということよりか、むしろ四十五万トンの確保を目指して今年度予算の裏づけをいたしておるわけであります。     〔委員長退席、國場委員長代理着席〕  そういうような意味から、環境の整備あるいは産業振興あるいは第一次産業振興、こういうような形から特に先ほど来申し上げたところの雇用の促進、社会的問題というのは、民間というものは大変頼りにしておりますけれども、民間の計算をせずに、すなわち先ほど来の雇用数字を申し上げたということは、これはあらゆる各省間のいろいろな集計に基づいて先ほどの数字を申し上げております。こういうような関係から、ひとつ私は積極的に自信を持って本土との格差の是正を一日も早く図る、しかもまた沖繩経済が自立できるような態勢を一日も早くしくということが私に課せられた最大の任務である、こういうふうに受けとめて鋭意努力をいたしておるわけであります。
  38. 島田琢郎

    ○島田委員 そこで、大臣から幾つかの問題点が示されました。きょうは、交通問題については、先般も同僚議員がかなり突っ込んだ質問をしておりますから、これはひとつおかしていただいて、環境の問題とかあるいは産業振興にかかわります問題、それから雇用の問題は非常に重要な点を含んでおりますから、加藤委員の質問になるべく重複しないところでさらにお尋ねをしていきたい、こう思いますが、まず本土との格差をなくす、これが最大の課題であり、このために全力を尽くす、こうおっしゃっておるのでありますが、数字的なことでありますから事務当局からお答えいただいて結構でありますが、昨年度といいますか、五十年の県民所得と国民所得は幾らになっていて、その差はどれぐらいになっているのですか。それからことしの見込みは一体どれぐらいになりますか。
  39. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 お答え申し上げます。  五十年の沖繩県民所得でございますが、五十年におきましては、一人当たり県民所得で八十六万四千円、同年度本土が国民所得で百十六万円でございますので、所得格差といたしましては約七五%、この数字復帰時点におきます四十七年の本土一人当たりの国民所得平均との格差が六二・七%でございますので、約十二ポイント格差が縮まった、こういうふうに理解をしております。ただ、先ほどの加藤委員の御質問にも若干触れて御答弁をしたところでございますが、五十一年におきましては海洋博後の景気の落ち込みに加えまして、本土全体のいわゆる経済の鈍化といったふうな環境も相乗的に影響をもたらしまして、やや伸びが鈍化をいたしまして、格差が広がったわけでございます。結果的に約七〇%程度に鈍化をしておるという状況でございます。     〔國場委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 島田琢郎

    ○島田委員 それは沖繩振興開発計画と比較してどの程度の進捗率になるのですか。
  41. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 御案内のように、沖繩振興開発計画所得目標といたしましては、十年間に一応県民所得を基準年次の三倍にいたす。想定される国民所得伸びとの相関におきましておおむね八〇%程度目標にしておるわけでございます。したがいまして、この五十一年の事例でいきますと、達成率として後期五年に約一〇%の格差をなお縮めなければならない、こういうことに相なるわけでございます。
  42. 島田琢郎

    ○島田委員 沖繩の開発計画の中で見込まれております経済成長率は何%ですか。
  43. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 いま申し上げました昭和四十五年を基準にします現在の沖繩振興開発計画におきましては、本土との県民所得格差を縮めるためには当然本土経済成長にプラスをいたしまして高い伸び率を想定をいたすわけでございます。当時の計算では国全体の長期経済計画における実質的な経済成長予測を約七%前後と私ども想定をしておりまして、これに対しまして一〇%ないし一一%程度のオンをした実質経済成長を見込んで、最終的に本土との経済格差を平均の八〇%に埋める、こういう計算でございました。ただ、御案内のように本土全体の現在の経済成長が著しく環境が変化をしておりますので、この数字をそのまま現在実質的な成長率ファクターとして使うということは適当ではないのではないかと思っております。
  44. 島田琢郎

    ○島田委員 一〇%の差がいまあるのですけれども、これは五十六年の計画年次の終わります時点では、そうすると達成できないということですか。
  45. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 先ほど先生の御質問に関連してございました問題にも触れるわけでございますが、私どもはすでに五年を経過する時点におきまして計画のアフターケアと申しますか関係の専門委員とも協議、検討いたしまして、いわゆる中期展望、計画の中期における今後の見通しについてまとめておるわけでございます。その中にも端的に指摘をしておるところでございますが、現在の計画推移を見ますと、当初予定をいたしました人口推計かなり予想を超えまして人口伸びが大きい。加えまして第二次産業にシェアを求めました県民所得の創出効果というものが必ずしも企業の立地動向からいってはかばかしくない。こういうことを踏まえまして、率直に申し上げまして後期五年に相当の努力を払いませんと、計算の上からいきますいわゆる県民所得本土平均に対する達成率は非常に努力を要する、こういうことは率直に申し上げざるを得ないと考えております。
  46. 島田琢郎

    ○島田委員 計画達成はほとんど絶望的だ、私はこういうふうに考えられるのです。あなたも、絶望的という言葉は使いませんけれどもかなりむずかしいと言われた。そうすると長官、この計画は変更されるお考えですか。
  47. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 先生がいま御指摘の議論は、一昨年、昨年来、当委員会でもしばしば御指摘を受けた点でございますが、この中期展望を沖繩振興開発審議会の総合部会というところで御議論をいただいたのでございますが、その中でもいま申し上げましたように率直に言ってこの五十六年度までの十年計画における県民所得目標達成は相当の困難を伴うと指摘をしておりますが、しかしながら計画それ自身は先ほども触れましたように沖繩県民の労苦に報い、沖繩県民本土一般の国民の水準として享受すべき国民的標準を確保するとともに県民所得目標達成するわけでございますので、先ほど大臣からもしばしば御答弁がありましたようにいろいろと困難はございましょうが、地場産業振興等いろいろな観点から、もちろん第一次産業振興も当然入りますが、じみちにきめ細かく積み上げることによって何とか達成をしたい、こういうことで今後も取り運んでいくつもりでございますので、基本のマスタープランでございます現計画を現在直ちに改定するということは考えていないわけでございます。
  48. 島田琢郎

    ○島田委員 だから私は、冒頭計画のアフターケアが必要ですと言った。幾ら逆立ちして努力してみてもとても手の届かないような計画だったら、これはただつくったというだけにすぎないのであって、そんなむだな労力を計画策定に当たって浪費する必要はないのではないかと私は思うのです。北海道開発計画の中でも、私は審議会でしばしばこういう点を強調しました。法律にあるから計画をつくる、達成しようがしまいがそれはお構いなしだというそんなことではせっかくわれわれが計画に参加もし、一生懸命やったって意味がないではないか。計画というのは、天下に公表され、県民はこの計画に対して非常に大きな期待を持つ、こういうことでありますから、詐欺みたいな結果に終わるのなら計画をつくる意味がないのであります。しかし、努力をしてみたけれどもどうしても計画達成がむずかしいということが明らかなら、率直に、素直に計画を変更されて協力を求めるという姿勢が基本的に必要ではないか、私はこう思います。これは、後ほど大臣の率直な御意見をひとつ伺いたいのであります。  そこで、もう少し県民所得と国民所得との格差是正という問題についてお尋ねをしたいのであります。  そもそも幾つかの所得格差が生じている。あるいはまた一時非常に伸び所得が五十一年に入ってまたがくっと落ちた。これは、沖繩海洋博の時期を境にしてそういう数字に変わってきた、こういうことを言っているわけでありますが、私はこの沖繩海洋博の開催以前から、海洋博が終わった後のいわゆる事後処理というのは、経済にもあるいは県民所得にも大変大きな影響を及ぼすと、相当古いことでありますけれども、たしかその当時指摘をいたしました。私ども指摘をしたとおりの結果にいまなっていくわけでありますから、その点についてやはりしっかりした見直しが必要だ、こういうふうに思うのですが、私は、いま局長が挙げられただけの原因で果たしてこの格差が生じているかどうかにはもう少し意見のあるところであります。たとえば、沖繩経済を見てまいりますと、沖繩海洋博の時期をピークにしてほとんど経済の動向というのは変わっていない、こういうふうにも言えると思うのです。第一次、第二次、第三次産業のタイプと、進んでまいっております動向などを調査いたしてみましても、一口に言えばやはり基地経済の延長線上にある、こういうところから脱皮し切っていない、こんな感じがいたします。したがって、もう少し第一次産業、とりわけ農業振興に対して積極的な力を入れていかなければ、とても雇用の創出あるいは失業の解消、そしてまた県民所得確保、こういうようなことはおぼつかないのではないか、そういう意味で私は、とりわけ第一次産業の面で若干の意見を述べてみたいと思うのであります。  第一次産業といえば、農業、漁業、もちろん林業も沖繩にはあるのでありますけれども、何といっても特徴的なのはサトウキビパインという、奄美大島を除きますれば本土では余りたくさん見ることのできない作物が実は基幹になっている。ところが、しばしばこのサトウキビの問題を論じますときに、単位当たりの収量といいますか、単位当たりの所得にもなるわけでありますけれども、これが非常に低い。それは、基盤が非常に脆弱だという点が識者が一致して指摘をするところであり、本委員会でも、あるいは私の所属いたします農林水産委員会でも、サトウキビの問題が議論されますと、これが必ずと言っていいほど出てまいります。つまり、急がれるのは所得拡大していくための条件づくりに最も大事な基盤整備である、こういう点が言えると思うのです。私が基盤整備という問題を考えますときに、北海道の私どもの地域とは違いまして永年作という特性を持っている沖繩サトウキビの性格でありますから、これを無視して基盤整備というのはなかなかできません。そこのところに実は非常に大きなネックがあるといえばあるのでありますが、どうしてもここで休耕補償というような面を含めた基盤整備をやらなくてはならぬということが出てくるのです。それがなかなか政府当局も踏み切れないという原因になっているという説明をしばしばするのでありますけれども、私はこの際、第一次産業をもっと振興させていく、その大事な柱になっているサトウキビ基盤整備に思い切って手をつけていく、思い切ったやり方をするということが必要だ、こういうふうに考えているのであります。  したがって、若干の提言をしたいと思いますが、その前に大臣、いま振興開発計画計画以上に達成するという大臣の意気込みがおありなら、従来のような第三次産業主導型の基地経済から脱皮をして、第一次産業、そしてまた第一次産業生産されます大事なサトウキビパイン、こういう問題を含めた第二次産業の面に力を入れるという方向転換を図っていかなければいけないのではないかと思っていますが、この私の意見に対しては大臣はどうお考えですか。
  49. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 大臣からも御答弁があろうと思いますが、私の方からまずお答えをいたしたいと思います。  先生が御指摘のように、沖繩振興開発計画におきまして、第三次産業のウェートが本土の平均的な類似県に比して復帰のときに非常に高い。これは御指摘のとおり基地経済というものの大きな要因影響しているわけでございますが、いろいろと世上言われておりますいわゆる第三次産業偏重の経済という見方でございますけれども、私ども考えてみますのに、沖繩の第三次産業の実態を見ますと、先生も御案内のように中小零細の卸小売業が非常に多いわけでございます。全体の第三次産業県民所得等を考えてみますと、類似の県に比べまして第三次産業そのものが個々の力として非常にウエートを高く持っておるというふうには必ずしも考えておりません。むしろ逆な意味先生から御指摘がありますように、沖繩の第三次産業が非常に強過ぎるのではなくて、相対的に一次、二次産業が非常に弱い、こういうふうに理解しておりますしたがいまして、しばしばお答えをいたしますように、第三次産業につきましても、今後貴重な観光資源というものを極力伸ばすという意味で、伝統工芸産業大臣が触れられましたように、もっともっと発展拡大をしていく必要があろうと思いますが、御指摘のとおり第一次あるいは第二次産業というものについてはもっと力を入れていく必要があるわけてございます。  先生は御専門でございますので、私からでは至らないかと思いますが、沖繩開発庁といたしましても、農林省と十分連携をとりまして、基幹作目でありますサトウキビ中心にいたしまして、毎年本土のいわゆる農業基盤整備に比べて非常に高い伸び率の基盤整備事業予算を計上しておるところでございますし、そのほか各般のいわゆる病害虫防除を初め、資源研究のための予算、あるいは農用地の改良、拡大等のためのいわゆる水資源中心にした土地改良事業を含めて投資を非常に大きく伸ばしておるところでございます。  さらには、先ほどもお答えしましたように、単一の基幹作目でございますサトウキビパインにだけ頼るということでもまいりませんので、いわゆる畜産を初めとした作目多様化によりまして、非常に付加価値の高い農産加工事業を含めて今後非常に有望な業種としてさらに伸ばしていく必要がある、そういうことで関係方面とも十分連携をとりながら、沖繩農業振興には今後より一層力を入れていくということが肝要であろうと考えております。
  50. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 沖繩振興開発計画を変更する気がないか、こういうことでありますが、これは県も参加をいたしておりますし、また学識経験者その他多く参加をしておられまして、決してこれが遂行できないものではない、こういう私は確信を持っております。その例といたしまして、先ほどいろいろ触れられたわけでございますが、所得の問題でも逐年向上をいたしております。特に沖繩海洋博におきましては、沖繩海洋博開幕当時は百五十万、やはり驚異的な観光客であったことは御承知のとおりでありますが、その後いろんな諸情勢の変化と申しますか、オイルショックその他いろんな形で八十万ということに一応減少いたしましたが、しかし昨年はまた、これを驚くべき数字というわけではありませんが百二十万、こういうふうな形から、今度は亜熱帯植物園という、これは恐らく国際的なものでございまして、日本の新宿御苑というか、あそこの倍ぐらいの大きさのもので、国際的なそういうものをつくるとか、あるいはその他いろんな考え方を持っておりまして、必ずや観光客の面においては将来相当の誘致ができるのではないか、こういうふうに私は思っております。  第一次産業の問題は、いま局長の方から答弁をいたしましたが、できるだけやはり第一次産業振興を図れるように農林省ともよく打ち合わせをいたしまして全力を尽くしてまいりたい、そういうふうに思っております。  そういう意味で、この沖繩振興開発というものは夢ではないか、ひとつやはりわれわれには夢も大事でありますから、その夢を実現をさせていく、こういうことに政治の心、行政の心というものが必要ではないか、こういうふうに思いますので、今後はより積極的に、残された短い期間ではありますが、その目的達成のために全力を注いでまいる、こういうことを申し上げておきたい、こういうふうに思います。
  51. 島田琢郎

    ○島田委員 私は夢まで否定しているのではありませんし、大臣のその積極的なお考えがぜひ実現してほしいと願うからであります。夢といったって正夢もあれば悪夢みたいのもありますから、夢ばかりが全部いいわけじゃありませんで、若干悪夢の部分もいまの沖繩にはあるんじゃないですか。それはいま大臣のおっしゃっているように観光客を目当てにするだけの産業の行き方というのにはこれは大いに反省せんければならない。そういう点について、反省は確かに大臣はこの中で述べておられるようでありますけれども、それじゃかわって飛躍的な地場産業、とりわけ大事な沖繩農業とかあるいはそのほかの地場にかかわります産業振興を図ると言っていますけれども、その大事な農業の部分をどうするかということについて真剣にお考えになっているというふうには私は思えないから――なかなか沖繩農業を語るというのは専門家でも余り喜びませんで、沖繩農業というのは一つの限定された部分が多くあるものですから、明快に沖繩農業かくあるべしというような答えが出にくいというせいもあって、なかなか取っつきづらいというのが専門家の一致したところでもあるわけです。  私も北の方におって沖繩農業を語るなんというのはおこがましい話でありますけれども、実は同じ砂糖をつくっているという立場から、しばしば沖繩に強い関心を持ってまいりました。大臣承知でもありましょうけれども、いま日本の砂糖の状態というのは精製糖業界を含めて大変でありまして、せっかく国内にあります砂糖は、南の沖繩と北の北海道の両極端に限定されているというような状態でありますが、北海道の場合はビートのほかにもいろいろつくる作物はありますけれども沖繩はもうこのサトウキビをなくしてはとても考えることができないというのがあの県の農業の実態なんですよ。私どもは早くこの沖繩サトウキビが、大事な農業の基幹として名実ともに国策に沿ったそういう方向で農業が行われる、サトウキビづくりが行われるようにするべきだという立場からずいぶんいままでもこの点について問題提起を行ってきたのでありますが、たまたま今日の、先ほど御議論のありました雇用という問題、あるいは失業救済というような問題を含めて考えます中では、非常に大事な施策一つとして私ども効果を上げるのではないかというふうな自信を持って、党内でもいろいろと議論をしながら方向を模索してまいりました。これは農林省サイドで強調すべきものでありましょうけれども、きょうは細かなことをお尋ねするというよりは、私は第一次産業、とりわけ農業振興に力を入れてもらいたい、そういう立場から一つの方向としてこういう点が沖繩の大事な仕事の中にありますという点で、大臣の考えの中にぜひひとつ入れてもらいたい、こう思って問題の提起を行うのであります。  先ほどちょっと触れましたように、実はサトウキビの特性からいいまして、基盤整備をやるといったって、春まいて秋にとれるという一年の単年度作物ではありません。ですから畑があくことがない。その間に基盤整備をやるということになりますと、どうしてもそこのところのサトウキビをのけなくてはいけません。したがって、そこからは生産が上がらない状態が発生するわけですから、そこにいるサトウキビ農家は生活ができないというような状態が生まれてきますので、そこのところをきちっと補償しないとこの基盤整備は進まないという、これはほかの県に見られない特徴あるものなんであります。ですから私どもは休業補償というものを含めた基盤整備事業を起こせ、こういうことを言ってきましたが、先ほどたまたま議論になりました失業率の問題あるいは完全失業者の問題などが出ましたが、私はいまのこのサトウキビ基盤整備を積極的に行うことによってここに雇用の創出ができる、こういう計算を実はしてみました。  沖繩サトウキビ畑における圃場を整備しなければならない条件にあります面積は、おおよそ二万二千三百ヘクタールほどあります。あわせて灌漑排水事業を起こさなければならない面積も、ややこれに近い二万一千六百ヘクタールあるのであります。そうしますと、これを単年度で全部やるなんということはむちゃくちゃな話でありますが、最低五年計画一つ基盤整備事業を起こすといたしますと、単年度でおおよそ一万ヘクタールこの工事をしなくてはなりません。工事費は、農林省サイドではじき出しておりますヘクタール当たりの単価は圃場整備で五百六十万円、それから灌漑排水工事で三百五十万円というふうに現在はじき出されております。そういたしますと、おおよそ四百億ほどの金がこれはかかります。かかりますけれども、私どもが従来、これは沖繩に限らず日本全体について言えることでありますけれども農業基盤整備などという面で考えてみました場合だけでも、非常にいまは機械化が進んでおりまして、ほとんど機械でもってやってのけるというようなことが多いんですけれども、この沖繩基盤整備については完全機械化でやるのではなくて、少なくとも半分ないしは三分の二くらいは、ここでかせぐことのできる雇用創出という面を考えて人手でやるというようなことを計算の中で考えていかなければならぬと思うのです。そういたしますと、四百億の工事費のうち二百六十八億くらいは大体人手による、つまり労賃ということになるわけでありまして、そういうふうに考えますと、おおよそ五十二年度で計算されております労働者の平均賃金から言いますと二百万ぐらいを補償しなくてはいけないということになりますが、これで割り返してまいりますと一万二千人くらいの就業者の人数が必要になる、こういうふうになるわけであります。そういたしますと、さっきの八千人の云々なんというような問題はこのサトウキビ基盤整備を積極的にやることによって完全にここで吸収できる。これは一つの例でありますよ。私の計算は単純でありますから、単純計算で物を言うのはいかぬかもしれませんけれども、少なくとも計算上はそういうことになるのであります。  これは五ヵ年間、こういう数字でおおよそこの工事が継続できる。こういうふうになりますと単年度最低一万人の雇用創出ができて、五ヵ年間継続できる。こういう面なども沖繩では積極的に計画としてお持ちになってはいかがだろうか。決してこれはどぶに金を捨てるような話ではありませんで、沖繩の大事な第一次産業振興させていく上での一つのポイントでもありますし、そしてまた同時にいま本土に比べて比較にならぬぐらいたくさん失業者が出ている、こういう面に対しても一定程度の解決を図っていく、歯どめにもなっていく、こういうふうにも考えるのです。これは幾つかの沖繩に対します考え方を持っております私の立場から専門的な分だけを引き出していま問題の提起を行ったのでありますが、こういう積極的なやり方ということが沖繩振興開発に結びついていく、そしてまた県民所得をふやし、そこで安心して雇用できる、そしてまた確実に最低二百万の年間の労賃補償もできる、一石二鳥、三鳥にもなるのではないか、こういう前向きの検討が今日沖繩に必要なのではないでしょうか。第三次産業に頼るような考え方ではもういけないのでありますから、それは大臣もお認めになっているのだから、そういう点で進歩していくべきではないでしょうか。そこからサトウキビがさらにいまの三割、五割の増産が図られるとすれば、第二次産業に及ぼす影響もまた大きくなってくる。第二次産業の部分におきます雇用効果によってあらわれる数字というのはまた別に持っておりますけれども、きょうはそこが私の言いたいところではございませんから、第一次産業にもっと力を入れるべきだという点でのある一つの問題だけを提起してみたのでありますが、大臣、御感想はいかがですか。
  52. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生ただいま御指摘沖繩産業における第一次産業の位置づけあるいは第一次産業振興のための農業基盤整備の緊急性、こういったことにつきましては、私ども全く先生の御意見と同様でございます。私どもといたしましても、そのための予算確保につきましては、これまでも最大限の努力をいたしてきたところでございます。先ほど総務局長からも答弁がございましたように、ここ数年、対前年比約五〇%増の予算確保をいたしておりますし、また来年度予算におきましても約五〇%弱の予算の計上を見ておるところでございます。これらによりましてできるだけ早く沖繩農業基盤整備するということでやっていきたい、このように考えておりますし、また先生の御提案もございました、ただいまのところこのような方向でできるだけ予算確保に努め、早急にその目標達成していくという努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  53. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 復帰後日も浅く、基地産業と言われておった沖繩であります。しかし逐年減少しつつありますが、やはり産業の構成ということを見ますと、まだ第三次産業というものが圧倒的な数字になっておることは承知をいたしております。そういう意味から、島田さんの大変専門的な御意見をちょうだいいたしまして、もちろん第二次産業ということの産業の構成から言っても第二次産業も低いわけです。そういう意味から特に将来の安定的な雇用、安定した産業、こういったことを考えた場合に、積極的にひとつ農業基盤整備、こういうことについて予算のこれからのいろいろな仕組みの中で、私としても御意見は御意見として大きく参考にいたしまして、全力を挙げてその方向に持っていく努力をいたします。
  54. 島田琢郎

    ○島田委員 私はもう一つの、いま大臣も触れております基地産業といいますか基地経済からの脱皮で非常に気になっておりますのは、沖繩の農地あるいは水の問題を考えます場合でも、やはりそこに厳然と基地があるということが沖繩の第一次産業発展させていく上での非常な障害になっている。農地だって金網の張ってある中の方がはるかに平らで条件がよくて、外で農業を行っている人たちの条件とは比較にならない。私どもは一日も早い基地の撤去というものを望んでいるのでありますけれども、当面それを言ってもなかなかそうなりますまいが、そうだとすれば、こういういわゆるリスクをもろに沖繩の農民はかぶっている、きわめて劣悪な条件の中で農業をしなければならぬ、こういうことでありますから、その面を政治の立場で補完をするという親切な態度がなかったら、あそこのサトウキビパインもとても経営が成り立つようなしかけのものではありません。そこのところをもう一つ私はしっかりと大臣に踏まえておいてもらいたい。まあ踏まえていらっしゃるのでありましょうけれども、重ねて私はその点について大臣のお考えを聞かせてもらいたいと思うのであります。  同時に、戦後処理問題につきましては、これもしばしばこの委員会におきまして議論のなされてきたところでありますが、土地の位置境界の線引きという問題が当委員会における答弁で五十六年度までに完了を目指して努力をしている、こういうことでありますが、果たしてそのようにいま計画どおりに進んでいるのでしょうか。そういう点がはっきりしてまいりますと、よけい沖繩におきます第一次産業をどういうふうにしていくかという点が鮮明になってくると思うのでありますが、もう一つの大事な、もちろんこれは農地の線引きばかりではございませんで一般も全部含まっていることでありますけれども、しかしそれにしても農業基盤整備していく上でこの大事な基本にかかわる土地の境界というようなものがきちっとしませんと、安心して経営者は農業経営ができない、こういうことになるわけでありますが、この作業の進みぐあいはいかがですか。
  55. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 お答え申し上げます。  農用地の確保に関連をしました沖繩の米軍施設、区域の問題、あるいは境界不明の土地の画定作業についての御質問でございますが、基本的には先生も御案内のように沖繩振興開発計画の中におきましても、米軍施設、区域をできるだけ整理縮小することによって沖繩産業開発のための土地利用の促進を図るということはうたわれておるところでございまして、関係省庁に対しましても開発庁長官より随時これらの早期の返還、縮小整理が図られるよう申し入れをしてきておるところでございます。  なお、境界明確化の作業でございますが、御案内のように昨年の秋、法律の政令に関連をいたしました所要の政令を施行いたしました。現在、沖繩開発庁所管の分として確定をいたしております二十五・〇九平方キロメートルを指定いたしますとともに、昭和五十二年度から五十六年度までの五ヵ年間に位置境界の明確化を完結するという計画を県と協議の上定めたところでございます。この計画に基づきまして調査を続行いたしておりますが、今後、県あるいは関係市町村、また関係土地所有者の方々と十分御協力をいただきながらこの法律に盛られた所期の目的を達成するよう効率的に調査を進めていく所存でございます。
  56. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  防衛施設庁におきましては、昨年五月成立を見ましたいわゆる位置境界明確化法の趣旨に沿いまして、防衛施設庁が所管いたします大部分の施設の明確化作業は三ヵ年内に終了させ、残された施設につきましても今後逐次作業に着手いたしまして、所定の五ヵ年内には確実に達成することといたしまして、現在、施設庁挙げて全力を傾注しておるところでございます。従来の実施状況から見まして十分その達成は可能であると考えております。  具体的な調査数量、調査状況及び計画について申し述べますと、防衛施設庁の所管いたします位置境界不明確と目される面積は約百十六平方キロメートルでございます。施設の数は三十六施設でございます。  現在、この対象に対してどのような状況にあるかということを申し述べますと、昭和五十二年度までに完了予定の施設が十四施設、約四十二平方キロメートルでございます。それから昭和五十三年度中に完了予定の施設が五施設、約二十七平方キロメートルでございます。したがいまして、十九施設六十九平方キロメートルは昭和五十三年度までに完成させるという計画でございます。これは全体の六〇%に相当いたします。なお、昭和五十四年度に完了を予定しておりますのが十二施設約四十四平方キロメートルでございます。したがいまして、これを累計いたしますと、三十一施設百十三平方キロメートルに相なるわけでございますが、残る三平方キロメートル五施設については、これは比較的作業的にはむしろ簡単といいますか、細かいといいますか、そういう部類に属しますので、以上の状況から見まして、施設庁といたしましては所定の五ヵ年内には完了できるという計画でございます。
  57. 島田琢郎

    ○島田委員 防衛施設庁の方が作業は容易でしょうね。問題は亀谷さんの方だと思います。こっちの方が、果たしてあなたおっしゃるようなそういうことでうまく進んでいきますか。
  58. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 御質問の趣旨を私の方で敷衍して考えますのに、恐らく先生の御質問は、防衛施設庁区域は完全に防衛施設目的に供用されておりまして、権利の入り組みその他、施設の障害が比較的ない、それに反して、すでに復帰前に返還されたところを含めた民地はそういう関係が非常に錯綜しておる、こういう御趣旨であろうと思っておりますが、御案内のように、戦後長い間これらの土地関係所有者の方は、この境界の紛争のために困っておられるわけでございまして、皆さん方にいろいろお聞きしてみますと、一日も早くこれらの紛争の解決を図った上で、それぞれの方の有効な土地利用を図りたいという気持ちがいま非常に高まっておられるやに伺っております。そういったことで、多少私どもの我田引水の見解になるかと思いますが、所要の境界不明地の調査に入っておる者の感触を聞いてみますと、それぞれの土地所有者の方は積極的にこれらの境界不明紛争地域の解決にみずからの意思で関与、参加をされ、なるべく早い時期に解決をするという熱意が非常に高まっておるというふうにも聞いておりますので、先生が御指摘のように、かなり長い間の時間のかかった入り組んだ紛争、不明地もございますが、いま申し上げましたようなこの法律の趣旨にのっとり、制度の活用を図ることによって、所期の期間内にできるだけ効率的に解決が完了するよう今後も努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  59. 島田琢郎

    ○島田委員 ぼくは、本土における開発を強行するための土地収用法等のことを引き合いに出して言うのではないのですけれども、いま局長が楽観的におっしゃっている中にも、私は、法を振りかざして強行するというようなことがあってはいかぬ、こう思いますので、この点についてはきょうは時間がありませんから詰めたことは申し上げません、また別の機会に譲りますが、法のねらうところは、私どもが非常に心配をいたしております点が大変たくさんこの法律に盛られておりますから、それが現地で使われる段階でこの法が強行、そういう意味合いを持って進められるというようなことがあってはこれは大変でありますから、時間を急ぐの余り強行策をおとりになるというようなことがあってはいけないと思うので、この点は厳に注意をしておきたいと思います。  時間がもう余りなくなりましたが、今回提案をされておりますこの公庫法の中身についてこれから触れます。  先ほども出ていたわけでありますが、北東公庫に見習ったそういう公庫法の改正である、こういう説明でございます。今後は民間企業に対する出資基準というものが中心になってこの公庫出資が行われる、こういうことでありますが、この出資の額と、それから当面予定をされておるといいますか、予想される出資先というのはどこどこですか。それから、いままでの沖繩の金融公庫が果たしてまいりました地方の貢献度といいますか、これは漠とした話になって恐縮ですけれども、具体的にこういう点で大変大きな貢献をしてきたというものがありますれば、事例を二、三挙げてもらいたい、こう思うのであります。まずそれから先にお聞きいたします。
  60. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 具体的な問題がございますれば、理事長も御出席でございますのでお答えをいただくことにしまして、政府側から概括的な御答弁をまず申し上げたいと思います。  今回この法案を提案いたしました趣旨は、先ほど大臣も申し述べられたところでございますが、現下の沖繩経済の状況等にかんがみ、沖繩振興開発をさらに積極的に推進するために、民間の資本投資、設備立地等を積極的に誘導する誘い水として今回の機能付与の改正法案を提案申し上げたわけでございます。  今後この具体的な運用をどうするかということはまさに公庫の業務の運営の中身にかかわることでございまして、先生も御案内のところであろうかと思いますが、北東公庫の例にもならい、公庫の運営の基本となります業務方法書等におきまして今後十分詰めていく所存でございます。  ただ、当然のことでございますが、この出資ということの基本的な概念は、あくまで沖繩県の中におきます民間の経済、いわゆる企業の自発的な御熱意によりまして沖繩におけるそういった貢献度の高いプロジェクトが逐次醸成されます際、かたがた県あるいは地元市町村等公共団体とも十分お話し合いの上で、下から盛り上がる形で地場においてそういうプロジェクトが固まってくる。こういうものに対して公庫が適切な判断をされまして、これに対して政策誘導、誘い水としてさらに出資を申し上げる。これがいわゆる哲学と申しますか基本的な考え方であろうと思います。したがって、当然のことでございますが、国なり公庫が先駆的にそういった企業を自分で設立するという主体性を持って取り仕切るということではございませんので、これは北東公庫の例も先生よく御案内のところであると思いますが、そういう観念からいたしますと、当然まず地元の企業団体あるいは県、市町村といった機関におきまして十分煮詰まったものについて必要な分野において公庫が御援助をする、こういったことでおのずからその出資の幅なり運用なりというものは適切に定められてくるものと思いますが、冒頭申し上げましたように、今後北東公庫等の例も千分しんしゃくしまして、公庫と御相談をした上で公庫側において業務方法書の作成がなされると理解しております。  なお、具体的に現在どのようなことが考えられておるかというお尋ねでございますが、今回御提案申し上げている法律のいわゆる対象業種にも関連をいたしますけれども、率直に申し上げまして、まだ沖繩現地でいま直ちに発足をするという具体的なプロジェクトが目の前にあるわけではございません。ただ、県を初め関係団体でいろいろ議論されております中から御参考までに申し上げますと、先生も御案内のように、沖繩の中南部にはかなり広範囲に埋蔵されております天然ガスがございます。これは相当以前から国も調査研究費を投下しまして、地下埋蔵量の調査も続けてきておりますが、この発掘は非常に有望だと言われておりまして、県当局におきましては、関係企業団体との調整が済めば、県策会社としてこれらの天然ガスの採掘、利用といったものの企業化をできるだけ早い機会に図りたいという御意向もあるようでございます。  なお、そのほかいわゆる流通関係に関連をいたしまして、海上輸送関係に関連したターミナル施設、あるいはまた島内を現在運航しております南西航空が先島におきましてジェット化を近く実現する予定でございますが、そういうものに関連をした当該地域のターミナル施設、あるいはまた農林畜産関係で申し上げますと、県内の地場畜産業振興のために飼料の工場、穀物サイロ等を含めました飼料工場の建設、こういったプロジェクトが数点上っておりますが、これらが実現するのにまだやや時間を要する、こういう段階のように伺っております。
  61. 島田琢郎

    ○島田委員 時間がなくなってしまいましたからこれでやめなくちゃいけませんが、いま具体的に挙げられましたプロジェクトは県の産業に寄与する面が大きいという点について現地からもいろいろな意見を私自身ももらっております。これらは早急に実現をさせていくべきものだというふうな判断も私自身にはあります。  ただ、前段で局長から公庫の持っておる性格についてお話があったのでありますが、確かにそれはそういう方法でなければ民主的とは言えないわけですから、私はそのことを否定して言うのではありませんけれども、北東公庫の例を見てもいろいろな点で指摘がありますのは、先ほど加藤委員からもお話がありましたけれども、せっかくお金を貸すのでしたらやはりそのお金が生きるような親切な貸し方、担保にしても金利にしても――金利もべらぼう安いものをと言ってもそれは無理な面があるかもしれませんけれども、しかし私は沖繩の場合は相当この点にも配慮を加えていく必要があると思いますし、そうでありませんと、限定されております沖繩の条件下ではこういう企業も育っていかないだろう、こういうふうに懸念されますので、北東公庫の例にならってということを盛んにおっしゃっていますけれども、私はそれ以上の機能を備えていくべきだと思っているのです。そういう点についてはやや北海道の場合と例を異にするのではないか、あるいは東北の場合と意味合いを違えていってしかるべきではないかというふうにも思っています。右へならえ方式でいけば一番指摘されなくていいし、いま局長がおっしゃったような論理で進めていかれれば、私なんかも何だこらと言って指摘することはできぬ、それは原則論でありますから私は否定しないのですけれども、これが本当に生きていくようにひとつ公庫の機能をある面においては改善をされてしかるべきだ。ですから、貸し出しの条件などというのは大いに沖繩に合ったような、沖繩産業やいままでるる議論してまいりました雇用創出あるいは失業救済といった面について機能できるようなものにする。あるいは本土に比べて比較にならぬほどたくさんの倒産が相継ぐなんということは非常事態だと思いますから、そういう面で、減速経済下における沖繩経済というようなことを言う人もいますけれども、やはりそれより以前に二十七年間という長い基地経済の中に置かれてきたこの格差にわれわれ本土の人間が大きな理解を示しながら、それを政治的に救い上げていくという諸般の施策があってこそ、初めて長官がおっしゃっている前向きに一生懸命やりますということが口先だけではない、現実にそれが実現できるということにつながるのだと私は思うのです。長官いかがですか。
  62. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 お答えをいたします。  口先だけと言われると大変私もあれですが、やはり先ほどおっしゃったように沖繩は二十七年間アメリカの施政権下で、私は心の痛手、その傷というものは大きいと思います。また、経済的な問題というのがあらゆる面においておくれをなしておる。そういう意味から、これは積極的に一日も早く本島との格差を是正していく。この点については日も浅いが全力を注いでまいっている、こういうふうに思っているわけです。  その中で公庫の問題でありますが、いま御指摘があったように金利等については、こちらの開発では〇・四%、中小公庫では〇・六%と低く実行しているわけです。貸し出し等についても、これは政策的な金融であるということを踏まえて、できるだけ効果が上がるような貸し出しをしてもらうように私の方から強く申し上げておるところであります。  いろいろ御指摘のあった点については参考に資するところきわめて多かったと私も考えておりますので、全力を挙げてその方向にやってまいることをお約束申し上げておきたいと思います。
  63. 島田琢郎

    ○島田委員 終わります。
  64. 竹本孫一

    竹本委員長 島田君の質疑は終了いたしました。  この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  65. 竹本孫一

    竹本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。玉城栄一君。
  66. 玉城栄一

    ○玉城委員 午前中に引き続きまして、午前中の御議論の流れもございますので、いま沖繩の深刻な雇用、失業の問題につきまして私も私の立場からちょっと伺っておきたいわけであります。  午前中の御議論の中でも私感じたのですが、五十三年度、新年度予算沖繩関係公共事業は対前年度比三六%アップ、大型公共事業ということで、その雇用効果がおおよそ八千人内外見込まれる、そういう御議論が展開されまして、これはきわめてずさんではないか、果たしてその八千人ということが実現でききるのかどうか、あるいは現在の沖繩の完全失業者二万二千名、完全失業率五・二%というその完全失業者がその八千人の中にどれぐらい含まれているかというようなことにつきまして、まだ明確な数字的なお答えがなかったわけであります。私、おっしゃいますとおり、その八千人の雇用効果が新年度予算施行に伴って実現されますことを本当に心から期待を申し上げるわけでありますけれども、先ほどの政府側の御説明の中からは、それが果たしてできるかどうか大きな疑問を抱かざるを得ないという感じがしてならないわけであります。確かに対前年度比三六%増の大型公共事業施行、それだけの事業施行されると、労働力というものは単純計算であるいは数字的には八千人という数字が出てくるかもしれません。しかし、現在の沖繩の実態というものは決してそのような期待には沿っていかないのではないかという気が私はいたします。  実はその裏づけといたしまして、私どもが現地の県本部段階でありますけれども、「公共事業雇用問題に及ぼす影響調査」という実態調査を今月の初めから行って、現在中間の集計段階であります。これは政府の行っている公共事業が、現在あるいはこれからも一景気の回復あるいは雇用拡大に、果たして政府のおっしゃるようにそういう効果があるのかどうかということを見きわめるために、実態調査をアンケート方式で土木関係あるいは建築関係の中小業者の方々を主体にして行っているわけです。これは中間段階ですけれども、その中で非常に特徴的なものを先ほどの雇用問題に関連して申し上げますと、「今後の雇用計画について」という設問に対して「現状維持」と答えたのが約八〇%近くあるわけです。それから「人員縮少も考えている」というものもかなりあるわけです。それで、現在の沖繩公共事業をされる場合にその実施主体でありますところのそういう企業者、中小企業の方々というものは、今後の雇用計画については現状維持だ、いわゆる新しく人を採用する計画はありません、こういうことを言っておるわけです。といいますのは、現在でも、抱えている陣容がだぶついているわけですね。ですから現状維持で、どういう仕事が来ようとも現在の体制で何とかやっていかなければいけないというのが実態です。ですから、そういう雇用効果が現場の経営者の方々の感覚からは出てこないということがこのアンケートの結果からも言えるわけです。「人員縮小も考えている」その理由としては「経営不振」、それから「規模を縮小したい」というようなことであります。  したがいまして、経営者の中には、公共事業といいましてもこれは短期的なものである。短いのになれば三ヵ月とか、あるいは半年とか、採用したにしてもいずれは首を切らなければならない、そうするとこれは首を切る段階で大きな労働問題に発展するというような心配もあるわけです。そういう立場から改めて先ほどの八千人の雇用効果が期待できるという点について、私たちの実態調査の結果はいまお聞きになられたとおりでありますけれども、それを踏まえてどのようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  67. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 来年度公共事業等によりまして私ども雇用増八千人が見込まれる、こういう御説明をしているわけでございますけれども、これは先生承知のように、一つ推計でございます。もちろん推計といっても、実際からかけ離れていいということではなくて、できるだけ実態に近い、あるいは現実に実現するであろうような状況を推計するという努力はしておるわけでございますけれども、やはりあくまでも推計であるという意味においていろいろの前提条件を置いて計算する、こういう形にならざるを得ないのであろうというふうに私ども思います。したがいまして、その推計の前提がどうだったかというようなことが問題になろうかと思うのでございますが、私ども午前中の御質問にお答えしましたとおり、五十二年度当初予算比五十三年度予算伸び、この予算伸びの中でほかの、たとえば民間の雇用等がそのまま動かないものというふうに仮定をいたしまして、それでは、換言すれば、来年度国の予算等の伸びの中で直接的にどれだけの雇用増が見込めるかというようなことで計算をいたしたわけでございます。  現実の雇用の問題、各企業の雇用等の問題になりますと、それぞれの企業経営者の経済の先行きに対する見通し、あるいは経営の内部に抱えておりますいろいろな問題に対する対応、そういったものがいろいろ作用してまいりますので、個別的に拾いますとそういった方向にも動かないものもありますし、あるいは先に進んでしまうというようなところも出てくるのではなかろうか、こういうふうに思いますが、実際の来年度公共事業等の中ではこれだけの人員が余分にないと恐らく仕事が回っていかないのではなかろうか、こういうようなことになるのではないか。したがいまして、全体としてはそのような形に推移していくもの、大きく県全体の建設業等の従業者等の推移からいたしますと、そのような形で推移するもの、こう予測いたしておるわけでございます。
  68. 玉城栄一

    ○玉城委員 私も、最初に申し上げましたとおりに、そのようにぜひ推移していってもらいたいわけであります。またそのとおり、いまの深刻な失業、雇用の問題の中で八千人という雇用拡大ができるということはきわめて望ましいことなんです。せめてその八千人でも実現できればという期待を持って私は申し上げているわけでありますけれども、現実におっしゃるとおりの効果は非常に疑わしいということが感ぜられるわけであります。御存じのとおり、いま沖繩中小企業の方々は非常に深刻です。それこそ抱えている人員も首を切らなければならない、あるいは倒産も、というような状況です。新たに仕事が来たからといって新たに人を採用できるというようなそういう状況でないことは、もうはっきりしているわけですね。  それで、その二番目の問題ですが、先ほどの私たちの実態調査の中で、公共投資が本当に景気回復あるいは雇用拡大に役立っているのかという五百社の土木あるいは建設業を中心とした方々に対する設問に対して、役立っていないと答えておられるのが七〇%いらっしゃいます。その理由が、本土の大手企業の進出で地元企業への圧迫が非常に強い、二番目に零細業者への発注が非常に少ないというようなことを主な理由として言っておるわけです。そういうようなことなどを考えますと、本当に皆さん方の八千人というものを実効あらしめるためには、何らかの手を打っていかないとその効果は出てこないと思うのです。あるいは雇用の義務づけとまではいかなくても、そういうような実効あらしめる措置を強力にしていかないと、これは単なるペーパープラン、数字の寄せ集めということに終わってしまう、このように思うわけです。したがいまして、特にいま申し上げました本土の大手企業の進出で地元企業が非常に圧迫されている、こういうことが非常にたくさん理由に挙げられておるわけですけれども、この問題についてどういうふうに対処されようとするのか、お伺いしたいと思います。
  69. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいま先生指摘の問題につきましては、私どもとしてもかねがね問題点としてとらまえておるところでございまして、地元業者への発注、それから中小企業振興というような意味合いも含めまして、できるだけ事業を細かく分割して発注するというような指導をこれまでも行ってきておるところでございます。現実には発注の金額等によりまして種々の業者のランク等もございます。そういった点でも運用上弾力的に行うというようなことがなされているやに聞いております。先生指摘のような問題は私どもも十分意識しておるところでございますので、今後とも遺漏のないように指導をしてまいりたい、このように考えております。
  70. 玉城栄一

    ○玉城委員 私たちが調べた実態調査の結果につきましては、また次の機会にお上げしましてぜひ御参考にしていただきたいと思うわけですが、政府とされましても、アンケートとは言わなくてもやはり何らかの措置をとって、そういう現場の方々、経営者の意識というものを調査しながら、本当に八千人とおっしゃる数字効果が出るようなことを強力にやっていただかないと、対前年度比三六%増の大型公共事業をやった、八千人の雇用効果があるといっても、実際に現場の方々は現状もう自己防衛で大変なんです。新しく事業をふやすという感覚はいまのところはないわけですね。ですから、そういうことなどを踏まえて、それこそ大型公共投資はされた、公共事業はあったけれども、一部の企業だけが利益を吸い上げた、実際にこのアンケートの結果に出ていますように、地元の中小企業にはあるいは雇用効果も期待できないというような結果に終わったら、これは政府としてもきわめて無責任だ、こう思うわけです。その点につきまして、ぜひ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  71. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 財政主導型の景気浮揚ということで千五百七十億国費を投ずるわけでございますから、当然これは浮揚してくる、これはそういうふうに私は考えております。ただこの施行に当たって、地元産業育成というか、地元の建設業界にできるだけそのしわ寄せがいかないようにと、私もそのとおりだと思います。しかしながら、建設業というのはやはり特殊の技能を有するという場合もありますし、ごく最近、特にこの建設業が三百人に一人の割合で登録をされておる、こういう実態等々を踏まえながら、やはり公共事業というこの性格を正しく把握をする、そしてやはりその執行に大手であるがゆえに締め出してやるとか、大手であるがゆえにこうだということの偏見的な物の見方ではなくして、あくまでも公共事業というものは一体何たるものであるかという認識の上に立って、いま御指摘のあったところの技術、経験その他を踏まえて地場建設業界へのしわ寄せにならないように配慮する、こういうことがきわめて大事なことだというふうに受けとめております。
  72. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に進ましていただきますが、今回の開発金融公庫に出資機能を持たせるという法律改正案でありますけれども、率直に申し上げまして、復帰時点沖繩開発金融公庫が設立をされて、個人あるいは企業等に政策的に融資がされる、県内産業育成に一定の役割りを果たしてきたということについては評価をいたします。さらに今回、そういう従来の融資機能にさらに出資機能という両面から沖繩産業振興という立場に積極的に貢献をしていこうということについては、沖繩のきわめて脆弱な経済といいますか資本蓄積の弱い沖繩の場合におきましては非常に現地の方でも期待する声が大きいわけです。したがって、午前中の総務局長の御答弁の中にもございましたけれども、まあ哲学ということをおっしゃいましたけれども、その運用していく基本的な方針をぜひもう一回お聞かせいただきたいと思います。
  73. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 午前中もお答えをしたとおりでございますが、大臣の所信表明、また午前中大臣からも御答弁ありましたように、沖繩経済の現況、労働、雇用情勢等各般の現況にかんがみまして、沖繩振興開発をこの五年有半進めてまいりました経緯にかんがみ、さらに積極的に沖繩地場におきます企業の振興と申しますか、資本の投下、企業立地を積極的に誘導する意味を含めまして、従来の民間における融資を補完する機能としての公庫の機能に加えまして、今回、出資及び保証機能を付与したいということで、この法案を御提案しているわけでございます。当然、沖繩における地場の産業を興すということでございますから、本日午前中からしばしば公共事業公共投資沖繩経済に及ぼす役割りということについて各般の御議論があったところでございますが、端的に申しまして公共事業は、あくまで沖繩振興開発計画の当初の目標におきます国民的標準を沖繩においても確保するという意味において、社会資本ないし産業基盤整備本土格差を縮小するというのが大眼目でございます。たまたま沖繩における景気の諸般の情勢から、雇用対策の一面も担っておるわけでございますが、何といいましても社会資本のストックの整備はもちろん、産業基盤への政府固定資本形成の投下自身、それみずからが歩き出して沖繩経済の起爆剤になるわけではございません。よく沖繩でも議論されております昨今の新聞論調を見ましても、沖繩における政府資本投下は非常に盛んでございますけれども経済を担う沖繩現地の主役がない、舞台で踊る主役のない沖繩経済だと言われておるのは、まさに端的に申し上げてその点を突いておると思うわけでございます。そういう意味で、これは釈迦に説法でございますけれども、最後に沖繩自立的発展を担うのはやはり沖繩経済人でございますから、沖繩経済界におかれて自立的に各種のいわゆる企業を計画され、そのプロジェクトが公共性の度合いが高く、しばしば申し上げますように県あるいは関係地方公共団体が積極的にそういう企業の設立誘導に参加され、そういった形で機運が熟したものについて、政策金融機関である公庫の御判断で適切な助成をされる、これが今回提案を申し上げております出資ないし保証の基本的な理念であろうと考えておるわけでございます。
  74. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこなんですが、午前中の質疑にも非常に民主的な運営の仕方であるというような御発言もあったわけです。県並びに関係地方自治体あるいは関係企業の方々が話し合いをして煮詰まって、機運ができ上って、その段階から公庫が判断をしあるいは開発庁も乗っていくというようなことなんですね。いわゆる下から積み上げてきたものに乗るというようなことになろうかと思うわけです。公庫は、融資の段階では産業開発という立場から非常に受け身で積極的な誘導策はとれない、したがって、出資機能を持たせて積極的に沖繩産業開発を誘導していこうというようなことになると私は理解しているわけです。しかし、最初は県、地方自治体あるいは関係業者が話し合いをして、これは大体煮詰まったというところで国が乗っていくということは、ある面から言えば、公庫はいわゆる政府系金融機関でありますから株主になる、出資者になるわけですから、私は何か責任転嫁のような気がしてならないわけです。もし万一そういう形で出資した、しかしその事業がうまいぐあいにいかない、そうなるとその責任はこういうことに――これは最初県か、あるいは地方自治体あるいは企業がというようなことになって、何かそこに抜け道が出てくるような感じがして、おっしゃるところの積極的な誘導をしていくという役割りが、どの段階から公庫にしましても開発庁にしましても入ってくるのか、その辺が定かでないわけですね。ですから、その点もう少しわかりやすく、国が本当に責任を持って積極的に振興開発に貢献していこう、誘導していこうというそれはどの段階から入ってくるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  75. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 御質問が非常に微妙な御質問でございまして、端的なお答えになるか危惧を抱くわけでございますが、一つの例で申し上げますと、先生も御案内のように、国の経済刺激政策誘導あるいは産業開発助成としては、いわゆる特殊法人としての特殊持ち株会社もあるわけでございます。しかしながら、今回御提案しておりますこの出資という方法は、現在北車公庫でもとられておりますとおり、先生も御案内かと思いますが、あるいは北海道、東北の地域において有望だと思われるある種のプロジェクトについて、具体的に言いますと、かなり長期の採算を目指した場合に非常に経済エフェクトも高いけれども、当面やはり地場の企業だけではなかなか成り立ちにくい、こういうものに、北海道、東北の場合でございますと現地の関係公共機関等も参加されておつくりになる。企業の設立に国の政策金融機関が参加をすればなお一層その設立が助長される。なおまた、こういった経済のプロジェクトの設立にはいろいろな利害が伴うわけでございまして、そういったものには各般の調整という問題も起こるだろうと思います。そういった場合は、当然地元のそういった関係公共機関が第一にそういう任に当たられるわけでございますが、そういう場合も、政策金融機関である政府金融機関が参加することによってなお一層合理的といいますか円滑な調整が図られる、こういう場合もあろうかと思うのでございます。したがいまして、いま端的に先生の御質問のように、地元の関係機関なり経済界がすべて設立の準備を終わったものにただ単純に乗っかるというふうには毛頭考えておりませんで、先生の御指摘のように、できる会社というものはいわゆる一般における社会通念上の企業であることは当然間違いございませんから、そのいわゆる責任の一端を担う公庫として、主務大臣の認可の上で出資される上においては、おのずから適切なリーダーシップもその面においてはとられる、そういうふうに考えておるわけであります。
  76. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの点ですけれども、公庫としては一%とか二%程度の少額の出資じゃないわけですね。出資率は五〇%以内だったと思いますが、それ相応の金を出していくわけですから、当然それには責任が伴ってくると思うわけです。ですからあくまでも――もちろん国か独走してもらいたいというような、そういう気持ちじゃありません。たてまえとしましてはなかなか民主的なようにおっしゃいますけれども、実態としては私は、最初からやはり、いまもお話のあったとおり、国側の意見というものも当然おっしゃっていくと思うのですね。ですからそれはそれとして、特に沖繩の場合、これから強く産業開発あるいは雇用拡大等やらなくちゃならぬ場合には、やはり当初の段階から国もあるいは県も関係地方公共団体もあるいは関係業者も話し合っていくべきではないか。ただ下から積み上がってきたものを、これはいい、これは悪いという形で参加するというような、非常に何か逃げ場をつくるような感じではなくして、最初から積極的に話し合いはしていただきたいと思うわけです。それが行き過ぎまして、今度はまた逆に出資もする、資本参加もする、そして今度は設備融資もしていくということになっていくと、完全に公庫あるいは国のひもつき事業になって、経営の主体が侵されるんではないかというような心配も出てくるわけですけれども、その辺のことは決してそうあってはならないと思うわけです。  いずれにしましても、いま沖繩振興開発計画というものを見ました場合にも、まだまだ軌道に乗っていない、これは現実の沖繩の実態が証明をされているわけですから、そういうときに公庫が出資機能を持って積極的に誘導していこうというのであれば、やはりそれ相応のことはきちっとやっていただきたいというのが私の率直な意見であるわけです。  さてもう一点は、この例として、北海道東北開発公庫が三十一年に設立されて二十年余、実績があると思うのですね。ですから、この二十年余にわたる北東公庫の実績について、北海道あるいは東北の関係地域に果たした役割りをどのように評価しておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  77. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 北東公庫は、いま先生が御指摘のように、設立以来出資及び保証機能というものを融資補完機能とあわせて運営上やっておられるわけでございます。私ども、全体の投資実績なり詳細な資料についていま直ちにここでお答えするだけの資料を持ち合わせておらないのが恐縮でございますが、事例として申し上げさせていただきますならば、全体としまして今日まで、北東公庫が北海道及び東北地域で出資し設立された企業としましては、実績で二十三社というふうに聞いております。  具体的な事例をピックアップして申し上げますと、たとえば北海道におきましては、四十五年にできております例で言いますと、北海道トラックターミナル、いわゆる交通運輸の一つのプロジェクトとしましてトラックターミナル事業、あるいはこれは先生も御案内のとおり、非常にいま苫小牧東部の開発も行っておりますが、苫小牧東部開発株式会社、いわゆる工業用地の造成販売をやっておるわけですが、こういったプロジェクト。それから東北で事例を申し上げますと、岩手の流通センター、いわゆる岩手県の特別の地域につきましてそういった流通関係の施設を設立する会社ないしはトラックターミナル、先ほど申し上げたようないわゆるトラックターミナル事業、こういったものが事例で出ておるように理解しております。  こういうことから見まして、やはり北海道、東北の場合も、そういった産業開発に直接間接関連をします資源の開発あるいは工業開発のための基盤整備、あるいは交通運輸に関連しました流通施設整備、そういったものが非常に事例としては多いようでございます。
  78. 玉城栄一

    ○玉城委員 すでに現在の時点におきましても、沖繩振興開発金融公庫沖繩の金融システムの中に占めるシェアというものは、四十七年、四十八年が一五・一%であったものが、現在ではこれはもう五十二年九月ですね、三二・五%とシェアが非常に大きいわけですね。影響性もそれだけ大きいわけです。したがいまして、今回出資機能が付与されていくということになりますと、やはりこの公庫の果たす役割りというものは、その影響にしましても非常に大きいと思うわけです。したがいまして、そういう意味におきましても、今度公庫の運営につきましては、われわれも十分御注文も申し上げていかなくてはならないと思うのですが、実は先月でしょうか、二十一回目のこの公庫運営協議会が行われまして、その公庫運営協議会の中で地元側委員の要望がされていたと思いますが、その地元側委員の要望の概要とそれについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  79. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 公庫運営協議会は、先生も御理解いただいておるかとは思いますが、この当公庫が四十七年に発足します際の閣議決定をもちまして、公庫の運営上重要な事案について積極的に地元の意見を聴取するという目的のために設けられた運営協議会でございます。おおむね原則といたしまして一・四半期に一回という回数で年に四回程度開催をいたし、その都度当面の所要期間の事業資金計画の御報告を申し上げているところでございます。  先生が御指摘のありました二十一回の運営協議会の詳細につきまして、地元側委員からいろいろと御意見なり御希望なり出ておりますので、全体について正確な把握を現在しておりませんが、先生の御指摘委員のお一人であります知事の御発言であるといたしますならば、いろいろ御要望、御意見はございましたが、その中で知事からは、沖繩におけるいわゆるCTSの施設について、いわゆる産業開発資金を当開発公庫等が融資をしておるわけでございますが、これについて当公庫の機能、業務に関して知事の御意見として、これは本土の開発銀行の方で取り扱うべき部門ではないのだろうか、こういう御意見を含めた御発言があったと記憶をしております。
  80. 玉城栄一

    ○玉城委員 それについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  81. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 私、事務の方の担当でございましたので、私から御答弁を申し上げた記憶がございますが、私どもからお答えをいたしましたのは、知事の御発言の趣旨がCTSのプロジェクトは沖繩県内における地場と申しますか、中の主要プロジェクトではないという観点から、もっぱら国の政策あるいは端的に言えば会社自身も、何と申しますか、国の直接のそういう政策の遂行ということでたまたま沖繩現地にそういうCTSを立地される、こういう企業について、沖繩開発金融公庫というものが沖繩産業開発を対象に融資をする以上、もっぱら国の政策ないし全国的な視野のそういったプロジェクトについては沖繩振興開発金融公庫の融資になじまないのではないかという御発言と理解をしましたので、私からお答えしましたのは、沖繩における企業の立地、振興ということを、今後を含めて考えた場合に、その資本なりプロジェクトの主眼が本土から入るものである、あるいは沖繩のものでないというふうな選別で沖繩における産業開発の資金を融資する判断というふうには政府も当公庫も考えていないということをまず申し上げました。  それから、そういう考え方のもとに、当然沖繩に今後も立地されるであろう企業の性格、そういったものが本土資本である、あるいは県内資本である、あるいは事業の大半がプロジェクトとして本土の方から入ってくるプロジェクトであるというようなことは、必ずしも当公庫の産発資金を融資する際の判断の対象とは考えていないということでございます。  第二点は、当然知事の危惧されたところとして、これらの資金には多量の資金を伴うわけでございますので、沖繩地場の中小企業を含めた産業開発資金等もろもろの資金にこれが影響するのではないか、これらの資金を供与することによって、他の零細中小企業なり産業開発所要資金が圧迫をされるあるいはショートする、こういうことに対する御危惧もあったかと理解をしております。  この点につきましては、御案内のように、五十三年度につきまして言いましても、千三百億を超える融資の総事業計画を持っておりまして、過去五年間の実績に照らしましても、現実の資金需要との間においてショートを来す、あるいは不足をするという事態は起こっておらないわけでございまして、そういう面における御懸念はないのではないかということもあわせて申し上げたところでございます。
  82. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは公庫の運営協議会で県の知事が要望されたということについて、その中の理由の一つに、結局CTS関係融資を公庫の資金からこれは外してもらいたい、それが他の資金にしわ寄せをするのではないか。しかし、いまのお話を伺いますと、決してしわ寄せはしていないというようなお話でありますけれども、しかし、五十一年度の公庫予算を見ますと、当初はCTS関係融資予算枠が四十億に対して、年度末ぎりぎりに九十億プラスしまして百三十億の融資がされておるわけですね。ですから、その九十億というのは他の資金から流用してきたということなんですが、この他の資金にしわ寄せをしないということと、この九十億の流用を他の資金からしたということとの関連ですね、それをちょっと説明していただきたいと思います。
  83. 岩尾一

    ○岩尾説明員 五十一年度当初、四十億という積算でCTSは考えておったわけでございますけれども、その積算の基礎になりましたのは、県の方で消防法なりいろいろな建設の前提になる認可条件というものが満たされるかどうかということが非常に不明でございましたので、その程度にしたわけでございます。  それから、予算をずうっと実行してまいりましたところ、全体の枠の中で農林資金あるいは環衛資金、特に農林資金が多うございますけれども、非常に需要が少なくて、むしろ消化しにくい、未消化になるという状態になってまいりました。たまたま三月でございましたか、県の方で全部認可を済ますという事態になりまして、そうしてそれまでに発注したものについて融資をしてもらいたいという要望が参りましたししたがって、片っ方で非常にお金が余っている、片っ方でもう工事ができてそうして早く融資をしてほしいという要望がありましたので、こっちの金をこっちへ持っていったという形で調整をしたわけでございます。
  84. 玉城栄一

    ○玉城委員 金が、ほかの資金が消化しきれなかったので、その余った分をCTS関係の融資に回した、こういうことだと思うわけですね。もちろんその資金の流用については公庫法でできるようになっておることは承知しておりますが、御存じのとおり、沖繩の石油備蓄問題につきましては県側の方でも考え方があるわけです。ですからその公庫の資金の中から、今後も予想されるわけですけれども、どんどんそういう融資がされていくとなりますと、沖繩にとっては非常に困るわけですね。問題は、他の資金が余っていたからそこに回したということは、これは私は、公庫がその資金を消化するためにどれぐらいの努力をしたのか、この公庫の執行態勢の問題になってくると思うわけですね。ですから、そういうことで資金が余っているからということでどんどん流用されていくということになる、それが理由になりますと、特にこのCTS関係の融資については今後問題が出てくると思うのですね。そういうようなことで、私はこの知事の要望の別枠にできないかという問題と、他の資金にしわ寄せをさせるおそれがあるという問題、これはやはり今後慎重に検討していただきたい、このように思うわけです。いかがでしょうか。
  85. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 御質問の要点は二点あろうかと思いますが、まずこの五年間の公庫の運営の実績にかんがみまして、政府側としてお答えを申し上げられますのは、先生も御案内のように沖繩公庫は本土の一銀行、六政府政策金融機関をあわせた総合公庫で発足をいたしております。それから先生も御案内のように、沖繩復帰しましたときのいわば制度の世がわりと申しますか、かなり各般の制度のふくそうしているものを逐次ならしていくということも含めて、金利体系を含めて各種措置もとってきておるわけでございますが、そういった中で午前中から累次御審議がありますように、各般の政府公共投資も累増して投下をしておる、こういう中で、たとえば農業資金の需要も逐年伸びてはきておるわけでございます。しかしながら、何分本土に返りましてまだ日が浅いということで、現地側のニードに立つ需要の皆さんも十分御習熟が行き届かない面もございます。これは政府も十分PRもしていかなければならぬわけでございますが、そういう面をなお含めました上、沖繩の公庫の特性もございまして、われわれ政府側としても十二分な手当てを当初からする、途中でいやしくもショートなど起こらないようにということで、多目といいますと非常に語弊がございますが、かなり十二分な資金計画年度当初から組むということでやってきておるわけでございます。したがって、年度の途中で当然各種事業プロジェクト間における繁閑と申しますか、繁忙と申しますか、そういったことで入り組みが出ました場合は、当公庫が他の政策金融機関にない特性として自由にこれを流用し得るということで、たまたま先生はいまCTSと比べた形で御指摘がございましたけれども、CTS以外、むしろ他の資金間の流用を地元の需要とのショートを起こさない範囲で活発にやっておるわけでございます。そういったことも利点と申しますと語弊がございますが、私は沖繩現地におけるバランスのとれたニードの充足からいったら当然望ましい運用ではないかと思っております。  なお、CTSの問題につきましては、しばしば御議論があるところでございますが……
  86. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっと、それだけで結構です。  CTSのことにつきましては、やはり新しい大臣の見解をぜひ伺っておきたいわけです。といいますのは沖繩の石油備蓄の問題につきましては、すでに既説の石油備蓄関係施設でも公害の問題とか、あるいは自然環境の破壊の問題であるとか、あるいは事故による油の流出とか、あの金武湾一帯にしましても相当深刻な問題が現在でも出ておるわけです。したがいまして、現地の方ではこのCTSはこれ以上増設なんかもってのほかだというような強固な意見もあるわけですね。したがいまして、沖繩県側としましても一定のガイドラインを設定しまして、これ以上の増設は困る、沖繩の亜熱帯資源をこれ以上石油備蓄によって破壊されては困るというような意見もあるわけです。したがいまして、それらを踏まえた上で、これは去年の十一月の本委員会におきましても前長官にその問題を私、御質問申し上げましたら、きわめて強固な姿勢で、そういう県の要請については通産大臣に話すこともしないというような、変な御答弁をされたわけですね。そういうことでは困るわけですね。当然やはり地元の県の要請は要請としまして、沖繩を担当しておられる大臣が通産大臣といろいろ御相談されるということは大いにすべきことでありまして、そして現地の意見というものは十分尊重されなくてはならない、こう思うわけですけれども、長官とされてやはり前の長官と同じように、この県の要請については通産大臣ともお話し合いを今後されないおつもりであるのかどうか、その辺をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  87. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 石油備蓄というのは、これは国の大きな政策でありまして、できるだけ強力に進めていく必要がある、こういうふうに考えております。ただし、進めるに当たっては、地元、県等の意見を十二分に尊重してまいらなければならない。通産大臣と話し合うかどうかという、こういう問題でありますか、いま私が申し上げたように地元と県の意見というものは十二分に聞き入れる必要がある、こういうことを申し上げておきたい、こういうふうに思います。
  88. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、公庫の方にお伺いしたいのですが、これまでの各種資金の回収状況と申しますか、あるいは延滞状況と申しますか、その各種資金の中で非常に悪い部面と言いましょうか、その状況を御説明いただいて、なぜそれが悪いのか、その辺の御説明をあわせてお願いしたいと思います。
  89. 岩尾一

    ○岩尾説明員 公庫資金の回収状況でございますけれども、率直に申しまして、ほかの金融機関と比べますと悪い、大変悪いというふうに申し上げていいのではないかと思います。それで、どういうお金が悪いのかと言いますと、数字を申し上げればいいのですけれども、これは企業秘密みたいになりますので、ちょっと公式の席上では申し上げられませんので申し上げませんが、環衛資金とかあるいは中小企業資金生産資金といったような小口雰細なお金が回収状況は非常に悪い。それから一方、産業資金の中でも、たとえば海洋博のときにたくさん出しましたホテルなんかに対するお金、こういうものも非常に回収が悪い。  そういうような状況でございまして、その理由は何かと言いますと、私は三つあると思うのでございますけれども、第一はやはり経済状況が大変厳しいということが一番大きな理由ではないかと思います。それから二番目には、企業内容が非常に脆弱な企業が多いということでございます。これが第二点。第三点に、やはり、そういうことを申し上げるのはよくないかと思いますけれども、全体として借金というものに対する観念が余り強くないということもあるのではないか。対策といたしましては、私らはそういう点をできるだけ、お金を借りられた方の御迷惑にならない範囲で、借りたものは返す、それにはやはり業況を回復しなければいけない、そちらの方もできるだけやっていただくということで努力をしておるような段階でございます。
  90. 玉城栄一

    ○玉城委員 公庫側に伺いたいのですが、大分焦げつきもあるように聞いておるわけですね。御存じのとおり海洋博後の急激な経済落ち込みによりまして、現在の沖繩経済情勢というものはきわめて深刻でありますから、いろいろと問題もあろうかと思うわけです。したがいまして、去年の十月だったですか、そういう回収状況を強化するためにというような理由だったかと思いますが、管理部の方に第三課というものをつくられまして、それを強化してやられたというお話も伺っておるわけですが、それはどんなものですか。
  91. 岩尾一

    ○岩尾説明員 去年の暮れに私らの方でやりました延滞対策というのは、むしろ私らの努力不足で回収状況が悪いのではないかという点をカバーしようという改正でございまして、したがって、借金の照会だとか、納付日はいつですよというようなことをお知らせ申し上げるというような、そういうサービスが非常に足らない、そのために回収が悪いというんではいけませんから、そういう点をしっかりやってもらうために課を分けまして、そこにそういう専門の方を集めてやっていこうということで改組をやったわけでございます。
  92. 玉城栄一

    ○玉城委員 その回収をハッパをかけて強化をする――さっきも申し上げましたとおり、これは去年の沖特の本委員会でも申し上げたんですが、きわめて経済情勢が悪いわけですね。そういう中で取るべきものはじゃんじゃん取ろうというような形でいきますと、もうこれはきわめて困るわけですね。ですから、そういう沖繩の置かれておる経済の実態というものを分析されまして、それに対してどう対策をとるかということまで考えていかないと、回収業務ばかり強化をして、金だけ取っていくということになりますと、これは重大な問題になると思うわけです。  去年の十一月だったかと思うのでありますが、企業名は申しませんけれども大きな倒産がありました。これにつきましても、公庫としても大分融資をされたように伺っております。同時に、そのすそ野の方には普通の主婦の方々が相当数多く債権者としているわけですね。この件につきましては、公庫に申し上げますよりは開発庁の方がいいのではないかと思いますけれども、こういういわゆる家庭の主婦の方々が投資をしたといいますか、そういう方々がまだ保護されないままにそのままの状態にあるわけです。開発庁とされましては、これは去年の十一月の沖繩における大きな企業の倒産ですから御存じだと思いますけれども、そういう実態について知っておられるかどうか、そして今後どういう対策をとられようとしておるか、お伺いしたいと思います。
  93. 岩尾一

    ○岩尾説明員 ちょっと、私の方の関連だと思いますから、私から答弁さしていただきます。  最初の、非常に景気が悪いんで回収状況が悪いという点について配慮をしないかということですが、これはもう当然でございまして、私らは金融機関として、まずそういう経済状況の悪いものに対しては条件変更をやろうということで、たとえば据え置き期間を延長するとか、元金の払う期間を伸ばしていくとか、償還期間を延長するとかいろんな手段を講じて、負担にならないように、そして返しやすくできるように配慮を払っております。それから、それをやってもなおかつ入ってこないというものについて、できるだけサービスをしようということでございますから、さように御了承願います。  それから、お話は多分サン沖繩ではないかと思うのですが、サン沖繩といいますのは、ちょうど沖繩の町の中にありますホテルでございまして、親会社が沖繩ヤクルトでございました。沖繩ヤクルトが大体資本金の八割ぐらいをたしか持っておったと思います。したがって、いま先生のおっしゃいました株主というのは、あと二割ぐらいの中に入っておられる方ではないかと思うのですけれども、大半は沖繩ヤクルトでございます。この沖繩ヤクルトが、私の記憶でございますけれども、昨年手形のパクリに遭いまして、そして運転資金を手配することが不可能になってきたわけです。サン沖繩沖繩ヤクルトの子会社でしたから、沖繩ヤクルトから運転資金をもらっておったのが、その親会社がそういう状態になったものですからサン沖繩も手を挙げたという状況でございまして、これが再建については、会社整理を申し立てておるわけでございますから、裁判所その他と調整をとりながらできるだけ御迷惑のかからないように処理をしていこう、こういうふうに考えております。
  94. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまの件につきまして公庫もきわめて密接なかかわり合いのある問題でありますので、特に零細なそういう債権者の方々については十分救済策を講じていただきたいということを御要望申し上げます。  それから開発庁に、先ほど出資対象事業につきまして具体的にもおっしゃいましたけれども、例の中城湾の後背地整備関係の出資については、今後の問題としてどういうお考えを持っておられるのか、お伺いいたしたいと思います。  あわせて、進学のローン、進学資金の貸し付けの問題につきましてもお伺いをしておきたいと思います。
  95. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 午前中の御質疑でも私から、具体的な出資のプロジェクトについては現在現地で調整中で、確実にいまどうということは申し上げられない旨をお答えしたところでございますが、先生指摘の中城湾の開発という問題は、中城湾の港湾整備及び後背地整備という大きなプロジェクトの今後の詰めと申しますか、具体的なプロジェクトとしての詰めがどういうふうになるかという問題に関連をしてくるわけでございまして、私ども承知しておりますのでは、県の土木を中心に地元の関係機関の意見を調整しながら、中城湾の港湾の整備計画、これは後背地にどういう土地利用を考えた場合の後背地計画が成り立つか、こういった各般の問題に関連をいたすものですから、目下そういった問題が県段階で調整の段階である、こういうふうに理解をしております。したがいまして、いま先生の御指摘は多分、この公庫法の制度が発足しますとそういった地域開発的なプロジェクトというものとの結びつきにおいての御質問だと思いますが、そういった前提としての実際の調整、調査的な積み上げかなり必要でございますので、その間のタイミングとしてはやや距離があるのではないか、こういうふうに考えております。いずれにしても、そういう問題が煮詰まったといたしますれば、一つの問題としてそういう問題が取り上げられることもあろうかと考えております。  進学ローンは、先生も御案内のように五十三年度予算関係におきまして国としての政策が決まったわけでございますが、現在これの実際の細目ないし制度システム、運営について詰められていない段階でございますので、現在直ちにこれが具体的にどういう形でなされるということはお答えができかねるわけでございますが、いずれにしても、制度の運営が明確に決まりました際には、当公庫におきましてもこれを沖繩地区について受け持つことになることは当然でございます。まだ実施の細目が確定しておりませんので、詳細は現在の段階ではお答えできかねるわけでございます。
  96. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、ただいま進学資金の貸し付けにつきましては予算のめどは一応つけておられるわけですね。と申しますのは、沖繩の場合、御存じのとおり県民所得がまだ全国レベルまでいっていないわけです。したがって、大学に行くにしても、あるいは高校に行くにしましても、そういうことによってできないということがあっては非常に困るわけです。この件につきましては、ぜひ資金も大幅にとっていただきましてやっていただきたいと思います。  最後に、この出資機能の点が改正されまして当面まず具体的に考えられます事業というのは何でしょうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  97. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 午前中もいろいろと企画、立案、調整中のプロジェクトがあるというふうに申し上げたところでございまして、現在のところは、いますぐあすからでもというふうな問題企業というのはないわけでございます。ただ現地における空気として私どもの理解しておりますのは、南西航空が先島にジェット機を乗り入れまして、具体的に言いますと宮古でございますが、ことしの秋の十一月からオープニングするそうでございますが、こういった際にそういったジェット機の発着に伴いまして現地におきますいわゆる空港関連施設としてのターミナルの整備が行われるそうでございます。そういったものがやや距離の近い具体的なプロジェクトとして現在考えられておるというふうに聞いております。
  98. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  99. 竹本孫一

  100. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、この前の委員会で、日米合同委員会のキャンプ・シュワブに関する合意メモ、八六九号の公表を要請しましたが、きょうの理事会でこれはできないといったようなことでありましたので、この点についてはなぜ公表できないのか、いろいろ理由をたださなければいかぬ問題も多々あります。ところが、きょうは理事会でもお話し申し上げましたように、この点については、次の委員会で質問することにして、この質問は保留いたします。  ただ、委員長理事会でもお話しになったように、外務省に少し勉強してもらいたいと思うことがありますので、簡単でありますので報告しておきます。  これは県からただいま報告のあったことでありますが、現在屋部県副知事が上京中です。この副知事に対して、外務省の政務次官が、キャンプ・シュワブに関する合意メモは、全部ではないかもしれぬが、一部は発表できるかもしれない、ただし、それは施設庁と相談の上やりたい、今度は施設庁は、これもまた同じことで、外務省と相談して決めたいという報告であるそうです。一歩前進させられたような状態。  もう一つ。現地ですが、二十三日から二十四日まで二日間、いよいよ百五十五ミリりゅう弾砲を撃ち込むことになっていたが、これも今度は取りやめる、ハリア、これも県知事に対して三月いっぱいはやらない、中止するという返事であったそうであります。  この点は、外務省、施設庁、ひとつ勉強してもらって、次の委員会でこういったものも含めて、県民や国民が十分安心できるような御答弁をお願いして、公庫法の改正の問題について質問いたします。  稻村長官は所信表明で、「地場産業振興を図るため沖繩振興開発金融公庫に民間企業への出資機能を付与する」と述べられました。いいことであります。そこで質問でありますが、その出資機能の問題について、当面地場産業を育成発展させるわけですが、具体的にいま何々、これは余り長いことではなくて二言、三言で御答弁をお願いしたい。長官でなくてもいいと思います。
  101. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 先ほども御質問があったことでございますが、いま設立を目途にして出資を対象としたプロジェクトがすぐに御説明できるものはないわけでございますが、先ほども答弁しましたように、非常に現実に問題として取り上げられつつありますのが先島へのジェットの飛行機の就航に関連しました宮古空港のターミナルビルの建設というものが一応現地関係機関で詰められつつあるというふうに承っております。
  102. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それからこれは長官にお答え願いたいと思います。CTSとの関連性ですね。これは非常に心配しております。このCTSの問題については、沖繩振興開発金融公庫産業開発資金の中でいわゆる貸し付けが全体の八七・九%を占めておるのですね。さらに、ことにCTS関係は五十一年度が百三十億円、五十二年度予算が百二十億円、これはもちろん未執行、五十三年度は百二十七億円が計上されているのですね。これを見ると公庫がCTS建設のために重大な役割りを担っていることはわかります。これと関連いたしましての質問ですが、CTS問題は公害産業として特に金武湾、いろいろ問題が出されていると思いますが、むしろいままでのようなままで放置するとまさに金武湾は死の海になるのではないかと非常に心配されております。  そこでお尋ねですが、今回の公庫の出資機能の付与がCTSのような地場産業振興とは全く関係のない、しかも県民生活に犠牲を強いるような事業への出資などが行われるのではないかといった懸念が事実あるわけですね。それについて、このような懸念は無用である、そういったCTSなんぞに投資することはやらぬということをお約束できるかできないか。理由はいいです。ただこれだけ、お約束できないのであればできない、お約束できるのであればできますということだけでいいですから、長官お願いします。
  103. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほどもお答えをいたしたのですが、国の施策である、こういうような関係から強力に進めてまいりたい、こう思いますが、公害、自然環境にはやはり厳しく対処しなければならぬ、こういうふうに思っております。と同時に、また、県側であるとかあるいは地域住民の方々の意見も十二分に尊重しなければならぬ。  そこで、沖繩振興開発金融公庫の問題でありますが、沖繩産業に貸し付けのシェアというのは三〇%を占めておる。特に五十三年度は千三百二十五億、こういうような貸し付けの枠を持っておるわけでございまして、石油備蓄基地に対するそういった問題が沖繩振興開発と沖繩産業にしわ寄せになる、そういったことは毛頭ない、責任を持ってお答えをすることができると思います。
  104. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これを聞くつもりじゃなかったのですが、そういった答弁なんでもう少しお聞きしますが、CTS関係、本法の改正された時点でこの企業に出資されるかどうか。ただこれだけなんです。
  105. 亀谷禮次

    亀谷政府委員 法律の改正法案を御提案しておるわけでございますが、しばしば申し上げておりますように、われわれといたしましては沖繩の地場における自発的な盛り上がりによる企業の新規プロジェクトを原則として考えておりまして、これに県並びに関係機関が協力されて設立される公共性の高いプロジェクトに当面公庫の判断で所要の出資がなされるものと考えておりますので、いま御指摘のようなCTSにつきまして当面特別の出資が現実にあり得るというふうには考えておりません。
  106. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もちろんこれは沖繩振興の問題と関連しますが、次は、空の足の問題について特に運輸省、さらに長官にも後でお聞きしたいと思います。  第一番目に、いま航空運賃の値上げの問題が県民の世論を相当奮起の方向に巻き上げていますが、二十四日には那覇でいわゆる値上げ反対の県民大会があるそうであります。  そこで、結論から言えば、現時点航空運賃の値上げをするということは沖繩振興開発にとっても非常に大きな打撃を与えるという意味で私は資料を集めてみました。これは一九五四年、太平洋線にツーリストクラスが設定されたときの料金は十七万五千六百八十円であります。次に六〇年、ジェット機の就航に伴いエコノミークラスが設定されたときの料金は十五万六千六百円。これはもちろん東京からアメリカ西海岸のサンフランシスコ、ロサンゼルスまでの航空運賃であります。ところが七八年「ことしになりますと、いま申し上げました東京からアメリカ西海岸のサンフランシスコ、ロサンゼルスまでの航空運賃は下がりまして、十四万八千六百円であります。これは二十年間における国際的な航空運賃の値下げの趨勢を如実に示しております。運輸省はこの点を認められるかあるいは認められぬのか。調査の上でなければ回答できないというのであればそれでもいいですが、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  107. 松村義弘

    ○松村説明員 ただいま先生の御質問にございました太平洋横断航空運賃の話でございますが、昭和二十九年の四月にツーリストクラス運賃を新設いたしました。そのとき東京-サンフランシスコは十七万五千七百円、現行の太平洋のエコノミークラスの運賃は十四万八千六百円でございます。先生のおっしゃった数字と多少違いますけれども、おおむね合っていると思います。
  108. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 趨勢は、そういった値上げじゃなしにむしろ値下げの趨勢にある。  もう一つは、東京-那覇間は千七百二キロで三万円、一キロ当たり十八円六十銭。これに比べまして、シカゴ-マイアミ間は千八百五十二キロで二万八千九百円、一キロ当たり十五円六十銭。国内線は三円高い、サンフランシスコ-デンバー間は千七百六十七キロで二万四千六百円、一キロ当たり十三円九十三銭。日本は五円割高になっています。これはお認めになりますか。
  109. 松村義弘

    ○松村説明員 ただいまお聞きしました数字については、手元に資料がございませんので確認はできませんが、一般論として申し上げますと、世界にはいろいろな航空路線がございまして、その中にはあるものは、東京-那覇十七円六十銭だと思いますけれども、それよりも安いところもあれば、また高いところもあるかと思います。先生御質問の趣旨を私なりに解釈いたしましてお答えいたしたいと思いますが、本土沖繩の……(瀬長委員「ただ確認するのか、せぬのかでいいのです」と呼ぶ)ちょっと手元に数字がございませんので確認できません。
  110. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは確認できないということでありますが、後でまとめます。  それでは沖繩県の内線を見ますと、那覇-宮古間は三百三キロ、八千六百円、キロ当たり二十八円二十八銭、那覇-石垣間は四百二十九キロ、一万一千七百円、キロ当たり二十七円二十七銭となっています。  これに近いのを本土のローカル線で見てみますと、大阪-米子間が三百十キロで七千七百円、キロ当たり二十四円八十銭、さらに鹿児島-奄美間が四百三十キロ、一万円、キロ当たり二十三円二十五銭、東京-仙台間が四百十キロ、八千百円、キロ当たり何と十九円七十五銭であります。  この問題はもちろん列車との競合関係もあってのことでありますが、こういったのが現状です。沖繩は南西航空だから資本金がどうのこうのということはあるかもしれませんが、いずれにしてもローカル線に比較するとむしろ沖繩は高くはあっても安くはないという実態があります。この事実は運輸省認められるのか認められぬのか。いま申し上げましたように長い説明をしますともうあと十分しかないから、認めることはできぬならできぬでいいのです。
  111. 松村義弘

    ○松村説明員 具体的な路線につきましてキロ当たりの運賃がいかようになっているか、ちょっと手元に資料がないので確認できませんが、むしろ比較なさるのでしたら、沖繩ローカル線の平均運賃は二十円二十一銭、それから本土全体のローカル線の平均運賃は二十二円三十七銭である、かように考えております。したがいまして、沖繩のローカル路線のキロ当たりの航空運賃が高いというのは必ずしも当たらないと考えております。
  112. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 運輸省はだんだん値上げの方向への理論づけをやろうと……、それでかみ合わぬようですが、私が取り上げましたのは、全国的平均じゃなしに大体距離的に那覇-宮古間あるいは那覇-石垣間というふうなキロでもってやるのが正確を期する上からもいいのじゃないかということでこれはとったわけです。  次に、きのうまでずっと調査いたしましたが、日本航空、全日空、東亜国内航空の国内三社の昭和五十一年度営業実績を見ますと、沖繩線は、旅客輸送実績は三社全体の二千七百三十七万二千人のうちの六・三%の百七十二万八千人となっているのに対しまして、売上高では幾らになっているかというと、三社の総売上高のおよそ一一%に上る約三百四十八億円に達するという資料になっております。これから見ると、航空会社はむしろ沖繩線の方は売上高では一一%に当たる三百四十八億円に達する営業実績を持っておるわけです。この点お認めになるかどうか。  もう一つは、沖繩の場合、広告を各新聞社は毎日出していますが、いわゆるスカイメイトの広告なんです。これは本来空席があった場合にスカイメイトの券は発行されるわけだ。ところが、空席があろうがなかろうが前もってちゃんと広告でやっておいて、空席であるような方向で半分で来られているというのが実態なんです。私はこの点について――もちろん団体割引も二五%なら二五%になる、これが悪いとは言いません。むしろ値下げするのはいいことであって悪いこととは言いませんが、ただ正直に言って、一般に対してこういったような政策をとりながら、航空料金を値上げしなければ営業が立たないのだという理屈は通らないような状態なんだな。これも私が勝手につくり上げたものではなくて、毎日の新聞広告に――これは二月十九日の新報ですか、タイムスにも出ておりますがスカイメイトというふうに、座席予約敗売中、こうある。この前、前長官も話しておりましたが、できるだけ割引をして観光事業として団体客を多く寄せて、それで大きいホテルだけに行くのでなしに、中小企業のホテルにも泊まれるように開発庁はそう努力しているという答弁でした。それは正しいと思います。ところで、航空運賃の値上げに関して言うならば、こういうことが現実に行われていて、なお営業困難だから二〇%値上げしろなんというふうな意見が会社内部でも出ているようなんですね。だから二十四日には大会を開いて航空運賃の値上げ反対――この点につきましては特に長官の答弁をお願いしたいのですが、沖繩だけが国鉄がないのです。国鉄がないのは沖繩だけなんです。したがって、国鉄がないものだから国鉄の連絡船もない。それから離島航路に対しても国鉄としての恩恵に浴していない。沖繩の交通事情はおわかりのとおり、長い占領支配の中でアメリカの作戦に役立つための道路をつくったりいろいろしたわけなんです。したがって、沖繩の交通体系を考える場合に、政策的にもそういった状態であるので沖繩における空の足賃、航空運賃の値上げはむしろ抑制すべきである、検討を加えてこういった点は国から補助をして値下げさせるかという政策的な面まで出してしかるべきではないかというふうに私は考えているのですよ。長官、どのようにお考えか、いまこれは深刻な問題になっておりますので、特に振興開発計画との関連で交通体系の問題は非常に重大だということは稻村長官もお認めになると思いますが、これに対する長官のお考えを聞かしてほしいと思います。
  113. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘航空運賃値上げの問題でありますが、これは所管は運輸省所管ということでありますが、私の考え方といたしましては、御指摘のとおり観光の方々を誘致するという場合においても、沖繩経済と申しますか、沖繩のあらゆる人たちの航空運賃の値上げというのは大変大きな影響がある、私はこういうふうに考えております。  そういう意味から、値上げ問題をどう考えるかということでございますが、これは運輸省当局ともよく話し合って御期待に沿うように努力をしたい、こういうふうに思っております。
  114. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの長官の御答弁、非常に期待しておりますので、ぜひその方向で努力してほしいと思います。  最後に運輸省にお聞きしますが、この二〇%値上げについて何か運輸省に申請が出ておるのか、あるいはそういった風聞か何か聞いておられるか、ちょっと御答弁お願いしたいと思います。
  115. 松村義弘

    ○松村説明員 今日現在、申請は出ておりません。私どもが聞いておりますのは、新聞紙上におきまして航空会社の首脳部が、現在の航空運賃を設定してから三年有余経ている、それでその間のいろいろな諸経費の上昇、それから空港使用料が大分上がるのですけれども、そういった経費の増高がございますので非常に経営が苦しい、運賃認可申請をやりたいけれども考えているのだ、そういうことを新聞報道で見たことは事実でございます。
  116. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、スカイメートという問題。こういった広告が堂々と出ているのです。スカイメイトは御存じだと思いますが、こういった問題についてどうお考えですか。
  117. 松村義弘

    ○松村説明員 スカイメイトという制度が導入されましたのは、非常に空席の多い航空路線の場合に、空席をそのまま飛ばすのは採算上非常に問題がございますので、できるだけ利用者を誘致したいというところから出てきたものだと考えております。  制度としましては、飛行機に乗りたい方は飛行場にいらっしゃってお待ちいただく、それで飛行機の出発直前になっても空席があるようであればその方々を到着順番にお乗せする、そういった制度でございます。そのかわり運賃はお安くしておるというわけでございます。  先生指摘の新聞広告をしてスカイメイトを募集している、予約もやってあげる、そういった新聞広告があるという話でございますが、私それを知りませんでした。もしそういうふうな予約もいたしますという制度ですと、そういう広告をしているとしますと、これは制度設立当初の考えからちょっと離れていると思います。
  118. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がございませんので結論を申し上げますが、いま長官がおっしゃった御意見、この結論は私は非常に歓迎します。そういった方向で運輸省としても、たとえば二〇%値上げを出される場合に、沖繩の現実は値上げに耐え得るような経済構造ではないという問題。沖繩経済構造は本土と違った経済構造を持っております。中小企業の倒産の問題にしても、失業者全国の失業率の三倍余りという問題なんかにいたしましても、これは経済構造自体が占領支配の後遺症もあって非常に異質なものを持っているだけに、現にすぐ二〇%値上げされるということになると、沖繩振興開発事業のブレーキにはなっても機関車にはなり得ない、そういった意味でぜひ現実の問題となった場合には値上げを食いとめる。いろいろ検討されて、そこら辺はこういったこともあるので、やはり値下げすべきだなという点があればむしろ値下げをして、沖繩県民の民生の安定のために開発庁運輸省もぜひお考えくださいますよう要請しまして、私の質問を終わります。
  119. 竹本孫一

    竹本委員長 これにて瀬長君の質問は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時散会