○島田
委員 私は夢まで否定しているのではありませんし、
大臣のその積極的なお考えがぜひ実現してほしいと願うからであります。夢といったって正夢もあれば悪夢みたいのもありますから、夢ばかりが全部いいわけじゃありませんで、若干悪夢の部分もいまの
沖繩にはあるんじゃないですか。それはいま
大臣のおっしゃっているように
観光客を目当てにするだけの
産業の行き方というのにはこれは大いに反省せんければならない。そういう点について、反省は確かに
大臣はこの中で述べておられるようでありますけれ
ども、それじゃかわって飛躍的な
地場産業、とりわけ大事な
沖繩の
農業とかあるいはそのほかの地場にかかわります
産業の
振興を図ると言っていますけれ
ども、その大事な
農業の部分をどうするかということについて真剣にお考えになっているというふうには私は思えないから――なかなか
沖繩の
農業を語るというのは専門家でも余り喜びませんで、
沖繩の
農業というのは
一つの限定された部分が多くあるものですから、明快に
沖繩の
農業かくあるべしというような答えが出にくいというせいもあって、なかなか取っつきづらいというのが専門家の一致したところでもあるわけです。
私も北の方におって
沖繩の
農業を語るなんというのはおこがましい話でありますけれ
ども、実は同じ砂糖をつくっているという立場から、しばしば
沖繩に強い関心を持ってまいりました。
大臣御
承知でもありましょうけれ
ども、いま日本の砂糖の
状態というのは精製糖業界を含めて大変でありまして、せっかく国内にあります砂糖は、南の
沖繩と北の北海道の両極端に限定されているというような
状態でありますが、北海道の場合はビートのほかにもいろいろつくる作物はありますけれ
ども、
沖繩はもうこの
サトウキビをなくしてはとても考えることができないというのがあの県の
農業の実態なんですよ。私
どもは早くこの
沖繩の
サトウキビが、大事な
農業の基幹として名実ともに国策に沿ったそういう方向で
農業が行われる、
サトウキビづくりが行われるようにするべきだという立場からずいぶんいままでもこの点について問題提起を行ってきたのでありますが、たまたま今日の、先ほど御議論のありました
雇用という問題、あるいは失業救済というような問題を含めて考えます中では、非常に大事な
施策の
一つとして私
どもは
効果を上げるのではないかというふうな自信を持って、党内でもいろいろと議論をしながら方向を模索してまいりました。これは農林省サイドで強調すべきものでありましょうけれ
ども、きょうは細かなことをお尋ねするというよりは、私は第一次
産業、とりわけ
農業の
振興に力を入れてもらいたい、そういう立場から
一つの方向としてこういう点が
沖繩の大事な仕事の中にありますという点で、
大臣の考えの中にぜひひとつ入れてもらいたい、こう思って問題の提起を行うのであります。
先ほどちょっと触れましたように、実は
サトウキビの特性からいいまして、
基盤整備をやるといったって、春まいて秋にとれるという一年の単
年度作物ではありません。ですから畑があくことがない。その間に
基盤整備をやるということになりますと、どうしてもそこのところの
サトウキビをのけなくてはいけません。したがって、そこからは
生産が上がらない
状態が発生するわけですから、そこにいる
サトウキビ農家は生活ができないというような
状態が生まれてきますので、そこのところをきちっと補償しないとこの
基盤整備は進まないという、これはほかの県に見られない特徴あるものなんであります。ですから私
どもは休業補償というものを含めた
基盤整備事業を起こせ、こういうことを言ってきましたが、先ほどたまたま議論になりました失業率の問題あるいは完全
失業者の問題などが出ましたが、私はいまのこの
サトウキビの
基盤整備を積極的に行うことによってここに
雇用の創出ができる、こういう計算を実はしてみました。
沖繩の
サトウキビ畑における圃場を
整備しなければならない条件にあります
面積は、おおよそ二万二千三百ヘクタールほどあります。あわせて灌漑排水
事業を起こさなければならない
面積も、ややこれに近い二万一千六百ヘクタールあるのであります。そうしますと、これを単
年度で全部やるなんということはむちゃくちゃな話でありますが、最低五年
計画で
一つの
基盤整備事業を起こすといたしますと、単
年度でおおよそ一万ヘクタールこの工事をしなくてはなりません。工事費は、農林省サイドではじき出しておりますヘクタール当たりの単価は圃場
整備で五百六十万円、それから灌漑排水工事で三百五十万円というふうに現在はじき出されております。そういたしますと、おおよそ四百億ほどの金がこれはかかります。かかりますけれ
ども、私
どもが従来、これは
沖繩に限らず日本全体について言えることでありますけれ
ども、
農業の
基盤整備などという面で考えてみました場合だけでも、非常にいまは機械化が進んでおりまして、ほとんど機械でもってやってのけるというようなことが多いんですけれ
ども、この
沖繩の
基盤整備については完全機械化でやるのではなくて、少なくとも半分ないしは三分の二くらいは、ここでかせぐことのできる
雇用創出という面を考えて人手でやるというようなことを計算の中で考えていかなければならぬと思うのです。そういたしますと、四百億の工事費のうち二百六十八億くらいは大体人手による、つまり労賃ということになるわけでありまして、そういうふうに考えますと、おおよそ五十二
年度で計算されております労働者の平均賃金から言いますと二百万ぐらいを補償しなくてはいけないということになりますが、これで割り返してまいりますと一万二千人くらいの就業者の人数が必要になる、こういうふうになるわけであります。そういたしますと、さっきの八千人の云々なんというような問題はこの
サトウキビの
基盤整備を積極的にやることによって完全にここで吸収できる。これは
一つの例でありますよ。私の計算は単純でありますから、単純計算で物を言うのはいかぬかもしれませんけれ
ども、少なくとも計算上はそういうことになるのであります。
これは五ヵ年間、こういう
数字でおおよそこの工事が継続できる。こういうふうになりますと単
年度最低一万人の
雇用創出ができて、五ヵ年間継続できる。こういう面な
ども沖繩では積極的に
計画としてお持ちになってはいかがだろうか。決してこれはどぶに金を捨てるような話ではありませんで、
沖繩の大事な第一次
産業を
振興させていく上での
一つのポイントでもありますし、そしてまた同時にいま
本土に比べて比較にならぬぐらいたくさん
失業者が出ている、こういう面に対しても一定
程度の解決を図っていく、歯どめにもなっていく、こういうふうにも考えるのです。これは幾つかの
沖繩に対します考え方を持っております私の立場から専門的な分だけを引き出していま問題の提起を行ったのでありますが、こういう積極的なやり方ということが
沖繩の
振興開発に結びついていく、そしてまた
県民の
所得をふやし、そこで安心して
雇用できる、そしてまた確実に最低二百万の年間の労賃補償もできる、一石二鳥、三鳥にもなるのではないか、こういう前向きの検討が今日
沖繩に必要なのではないでしょうか。第三次
産業に頼るような考え方ではもういけないのでありますから、それは
大臣もお認めになっているのだから、そういう点で進歩していくべきではないでしょうか。そこから
サトウキビがさらにいまの三割、五割の増産が図られるとすれば、第二次
産業に及ぼす
影響もまた大きくなってくる。第二次
産業の部分におきます
雇用効果によってあらわれる
数字というのはまた別に持っておりますけれ
ども、きょうはそこが私の言いたいところではございませんから、第一次
産業にもっと力を入れるべきだという点でのある
一つの問題だけを提起してみたのでありますが、
大臣、御感想はいかがですか。