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1978-06-07 第84回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月七日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君   理事 石井  一君 理事 小此木彦三郎君    理事 佐藤 守良君 理事 坂本 恭一君    理事 渡辺 芳男君 理事 石田幸四郎君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    北川 石松君       関谷 勝嗣君    田澤 吉郎君       西村 英一君    堀内 光雄君       久保 三郎君    佐野  進君       斉藤 正男君    宮井 泰良君       薮仲 義彦君    米沢  隆君       小林 政子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         業務部長    梶原  清君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   広谷 干城君         自治省財政局公         営企業第一課長 金子 憲五君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     山口 茂夫君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     尾関 雅則君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道貨         物局長     山崎 忠政君         運輸委員会調査         室長      榎本 善臣君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(都市交通に関する問題及びト  ラックの過積みに関する問題等)  陸運海運及び航空に関する件(総合交通体系  に関する問題)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題  等)  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内光雄君。
  3. 堀内光雄

    堀内委員 私は、中央新幹線問題について質疑を行いたいと思います。  日本全土にわたる七千キロに及ぶ新幹線網の中で東海道新幹線、山陽新幹線の千百キロメートルは、営業を開始してからすでに十数年を経ているわけでありますし、さらに東北新幹線、上越新幹線の九百キロメートルに及ぶものが五十五年度の完成ということで進展をいたしております。     〔委員長退席佐藤(守)委員長代理着席〕 一昨日の六月五日には、この五十五年完成を前にした東北新幹線では、列車の試運転も行われるようになったというような状態でありますし、また、この秋には整備五線の千五百キロメートルの動きが出始めるというような状態になってきております。これに対しまして一歩も二歩もおくれて、ちょっと取り残された感じのするのが中央新幹線でありまして、この中央新幹線について促進を図る意味合いを含めて質問をいたしたいと思っておるわけでございます。  現在、中央新幹線につきましては、昭和四十九年の七月十六日に、甲府付近名古屋付近間の山岳トンネル部分にかかる区間について地形地質等に関する事項について、大体三年をめどとして調査を行うというような命令が出ているわけでございまして、すでに五年目を迎えているわけでありますが、八億を超える調査費調査が行われておるわけでございますので、その調査進展状況はどのような状態になっているか。要するに調査の結果はどういうようなものになるか、あるいはそれがいつごろ提出されるものであるか。そういうことについて伺いたいと思います。
  4. 高橋浩二

    高橋説明員 お答えいたします。  ただいま先生の申されましたように、四十九年に運輸大臣から調査命令が出ております。とりあえず命令をいただきましたのは、甲府付近から名古屋付近のあの急峻な山岳地帯技術的に可能であるかどうかということを中心といたしました調査でございまして、私の方は、ただいまのところ地形地質等をボーリングあるいは弾性波試験等で確認をいたしておりますけれども、技術的にはおおよそ可能ではないかと考えておりますが、なお細部にわたっての調査が必要かと思っております。  とりあえずこれまでの調査につきましては、おおむね三年を目途にという御指示でございましたけれども、若干おくれておりまして、ことしの夏ぐらいには運輸大臣の方へ御報告ができるのではないかという段階に至っております。
  5. 堀内光雄

    堀内委員 その夏に提出される報告書、これはその時点にならなければ正確なものとして伺うわけにはいかないと思いますが、調査もこの四年間行われてきたというような状態でありますので、その調査内容について、調査を行った範囲調査の方法、調査対象になったルート、そういうようなものについて差し支えない範囲でお聞かせいただければありがたいと思います。
  6. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいまも申し上げましたように、範囲といたしましては、甲府付近から名古屋付近山岳地帯でございまして、その間で非常に幅広く、北の方から南の方にかけまして全体の地形地質調査を進めております。非常に長大なトンネル、しかもこの付近は、中央構造線の走っております地質的には非常にむずかしいところでございますので、非常に幅の広い調査をただいまのところ行っておりまして、その中から技術的に可能なルート——技術的と申し上げますのは、非常に長い期間がかかったのではいけないと思いますので、工期等も考えて実態に即した技術的な可能性というものをいま調べておりまして、まだ最終結論ではございませんので、これからもっと続けてこの区間につきましても詳細な調査が必要かと思いますが、非常に幅の広い範囲地質地形調査をいたしたところでございます。
  7. 堀内光雄

    堀内委員 幅の広いというのは面を指すことになると思いますが、その面について、北はどの辺、南はどの辺という何か概略の内容あるいはめちゃくちゃに全部調べるわけじゃないでしょうし、そのルート二つ、三つあるようにも聞いておりますが、どういうルートのようなものを考えられたのか、差し支えなければ承りたいと思います。
  8. 高橋浩二

    高橋説明員 甲府付近から名古屋でございますが、北の方諏訪湖付近まで調査をいたしております。南の方では静岡県との県境付近まで、そういう意味で非常に幅の広い範囲調査をいたしておりまして、その中から何本かの可能性のあるルートを検討いたしておるわけでございまして、どのルートがよろしいとか、どのルートならどのくらいのお金工期何年だという的確な結論にはまだ至っておりません。そういう意味で面積的には非常に幅の広い調査をいたしておるわけで、内容は、いま申し上げましたように、主に地質調査地形状況でございます。
  9. 堀内光雄

    堀内委員 その幅の広い調査をされ、いろいろのルートを調べてみて、先ほど技術的には可能というふうな御答弁があったと思いますが、どのルート技術的には実現が可能であるという考え方にとっていいのでございますか。
  10. 高橋浩二

    高橋説明員 技術的に可能という言葉も、非常に幅の広い言葉でございますが、どのルートならば工期お金がおよそどうだということも含めましてこの中からいろいろ検討していかなくちゃならぬと思います。すべてが実現可能だというふうには考えておりませんので、もう少し詳しい調査をしないと、ただいまのところちょっと申し上げられない状況でございます。
  11. 堀内光雄

    堀内委員 調査対象地質地形でありますが、特に中央新幹線問題になるのは長大トンネルだろうと思うわけです。そのトンネルについて、非常に長大になるのでしょうが、技術的には問題はないという結論は出ているのかどうか、それをちょっと承りたいと思います。
  12. 高橋浩二

    高橋説明員 技術的というのをもう少し細かく申し上げますと、物理的に掘れるかどうかという問題と、それから工事期間がどのくらいかかるかという二つ問題がございまして、調査した中で幾つかのルートについては工期等については、トンネルの長さは長くなりますけれども、中間で立て坑なり斜坑なりを入れますと、トンネルを分割して工事をいたしますので、そうすればおおよそ七、八年ぐらいではできるのではないかというようなそういうルートを探し出しまして、いま物理的にできるかどうかということについては、もう少し詳しく引き続いて調査が必要かというふうに考えておりますが、ただいまのところまでは技術的に不可能ではなさそうだという見当はついてまいりましたということでございます。
  13. 堀内光雄

    堀内委員 物理的な問題と、もう一つ技術的な問題というふうに分けられたわけですが、技術的には大体不可能ではないような状態だろうということになりますと、ある程度何か対象として取り上げて研究もなさったのだろうというふうに思いますが、そのトンネルについて特に見た場合、大体どのぐらいの長大トンネルというものが考えられるものか、工事期間というのはそれに対してどのぐらいかかるものか。いま七、八年というふうな話がありましたが、どういう程度トンネルに対しての七、八年なのか、ちょっと承りたいと思います。
  14. 高橋浩二

    高橋説明員 トンネルの長さ、たとえば青函トンネル等は五十数キロもございますけれども、トンネルの長さ自体が五十キロありましても六十キロありましても、技術的に考えた場合には、幾つにこれが工事として分割できるかということでございます。  私の方のただいまの技術では、通常のトンネルですと、一口一年間に一キロメートルというのが、ただいまの技術の標準でございますので、したがって、十キロのトンネルを両日から掘りますと二キロずつ進みますので、五年プラス準備期間の一年の六年ぐらいということになります。したがいまして、十キロぐらいにほぼ分割できるような横坑なり立て坑が入れられる範囲トンネルですと、あとは長さが幾ら長くてもよろしいということで、私の方も、おおよそ十キロないし十二、三キロに分割できるというルートを探さなければならないということでございます。その程度見当範囲内において甲府から名古屋の間にはトンネルが掘削可能であろうというふうに考えております。
  15. 堀内光雄

    堀内委員 そういう技術的な問題の中で七、八年というお話が先ほど出たわけでございますが、この七、八年というのは工事に着工してからの期間でありますか。それとも現在は部分調査というような状態、地域を分けての部分調査地質地形というような限定されたような調査だけでありますから、これがさらにもう一歩進むには、全線にわたる調査だとか整備計画の作成の期間だとかいうようなものも必要になってくると思うのですが、それを入れた期間かどうかということ。もしそれが入っていないのでしたら、何年くらいそれがかかるものかということをちょっと承りたいと思うのです。
  16. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま申し上げました七、八年と申しますのは、トンネルを掘削する技術的な期間を申し上げたのでございますけれども、御承知のように、この区間には非常に大きな断層がございまして、順調に参りますれば、いま一口一年ぐらいで掘れる、大断層にぶつかりますと、一年間に百メートルぐらいしか掘れないということもございまして、それらを含めましてこの区間は非常に地質がむずかしいというふうに判断をいたしておりますので、七、八年ぐらいの工事期間が要るのではないかというふうに申し上げましたけれども、なお精密な調査をいたしますれば、あるいはもう少し早く掘れるかもしれないというような見当もつけてございます。したがって、いまの段階で七、八年と申しますのは、非常に大ざっぱな申し方で恐縮でございますけれども、工事期間が七、八年ぐらいはかかるのではなかろうかというふうに考えております。
  17. 堀内光雄

    堀内委員 いまのは回答漏れがあると思うのですが、調査期間というようなもの、そういうものについてはどういうことになりますか。
  18. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいまも実は調査を進めている期間でございまして、いままで調査を始めましてから三年有余たっておりますので、これから後、調査をもう少し私の方は精密に、詳しくと申し上げたのは、これは調査のやり方によりまして一年ぐらいあるいは二年ぐらい、まあ一、二年徹底的に調査をいたしますれば、調査というものはほぼ完了させることができようかと考えております。  ただ、ここの区間だけは、非常に大断層等ございまして、いまの地質的な問題のほかに、じゃ水脈がどうなるかといったような環境問題も、場合によってはもう少し徹底的に調べなければならないというふうに考えておりますが、まあ、おおむね一、二年の調査を徹底的にやれば、そのくらいでできるのではないかというふうに考えております。
  19. 堀内光雄

    堀内委員 そうしますと、いますぐ調査にかかったとしても、大体完成までの間には調査が一、二年、工事が七、八年というと、八、九年から十年、平均とっても九年ぐらいはかかるというふうに考えてよろしゅうございますね。  そこで、近ごろの新幹線をちょっとながめてみますと、なかなか事故故障が多くなってきているような感じがいたします。六月六日の新聞にも「ひかり」が大揺れ運転を打ち切ったというようなことが大見出しで出ております。揺れが激しいために速度を落として、新大阪駅に約十一分おくれて到着して運転を打ち切ったとか、あるいは五月三十日には「こだま」が火を噴くというような記事が出ておりまして、ダイヤが大幅に混乱をした、豊橋の駅の問題であります。こういう問題も出ておりますし、また、ことしの冬には雪のために連続八日間運休をしたというようなことが、東海道新幹線運行状態の中に出てきております。  昭和四十五年ごろには非常に安定をした輸送を行っており、そういう状態の中で正確無比代名詞をとっていた新幹線というものが、非常に故障事故が多くなってきた。何か予定が立てにくいものの代名詞になりかねないような状態になってきているわけでございます。  そういう意味で、この運転阻害状況というようなもの、これを昭和四十五年から五十二年に至る間についてどんなような状態になっているか、お知らせいただきたいと思います。
  20. 高橋浩二

    高橋説明員 私の方の運転阻害と申しますのは、列車が十分以上おくれた件数ということで統計的に申し上げておりますけれども、新幹線としては、いま先生申されたように、列車運転百万キロ当たり阻害件数にして見ましても、四十五年ぐらいが一番件数は少のうございまして、その後、逐次わずかでございますけれども、ふえ続けてまいりました。昭和五十一年ぐらいでは、四十五年に比べまして百万キロ当たり件数で約二・五倍から三倍ぐらいの件数が発生するようになりました。  その一つ原因は、設備その他が約十年ぐらいたってまいりまして、レール等折損件数等も逐次ふえてまいる、あるいは十年ぐらいたって車両故障等もふえるというようなこともございますが、それとともに列車本数が非常にふえてまいりまして、岡山開業あるいは博多開業等を含めて列車本数もふえてまいりましたので、列車本数がふえてまいりますと、列車列車の間隔が非常に密になってくるために、いま言った設備の老朽というもの以外に、たとえば雪等が降りまして、一つ列車がちょっとおくれますと、次々に列車がおくれていくというような、実はそういう問題もございまして、新幹線列車が非常におくれるという、われわれにとってまことにうれしくない評判をとったわけであります。  その後、そういう設備上の問題、これは主として車両レールでございますけれども、これを逐次交換しながら設備の点については心配のないように図っております。  ただ、列車本数の方については、最近お客さんが減っておりますけれども、逐次実は列車本数はふえてまいりましたので、これはそう簡単には減らすわけにはまいりませんということで、これに対する対応策としては、一番大きな問題は、雪等でおくれた場合に、おくれが次々に残っていくという最大原因が、東京駅のホーム面数が足らないというところにその最大原因がありまして、新幹線開業当時は三線で扱っておりましたものが、ただいま五線で扱っておりますので、そういう問題を解決するために、近く東京駅のホーム東海道新幹線用として六線使えるようにいま改造いたしております。  そういったようなことで、列車のおくれ等も減らすようにいろいろ考えておりますけれども、そういう両方の面から列車阻害という問題が実は非常に多くなっているというのが今日ただいまの現況であります。ただ一、二年前から、設備等については更新に鋭意努力をいたしておりますので、ただいまのところは、少し減りぎみになってまいりましたということをつけ加えさせていただきたいと思います。
  21. 堀内光雄

    堀内委員 非常に前向きに阻害問題について取り組んでいらっしゃる、また時間のおくれを出さないように幅広い意味での対策をなさっている、これはよくわかっているわけでございます。ただ、四十五年当時に阻害件数が七十件の状態が、昨年、五十二年には三百五十九件というぐあいにふえている。ちょうど五・六倍になった。これは線路の延びた面もございますし、運行回数のふえたこともありますが、何と言っても五・六倍になっている。特に部内原因によるものとして車両、電路、線路、こういうものの原因による阻害が、四十五年に比べて六倍にふえているというような状態が出ているわけでございます。ですから、この東海道新幹線につきましては、設備としての疲労がたまってきているのではないかというような考え方もできると思うのであります。  そういう意味で、国鉄でも計画運休というようなものを特に五十年から始められて、半日まるまる休まして工事をするというようなことも行っております。これは五十年に二回、五十一年には七回、五十二年には八回、これから後三年間にわたっては毎年八回行うというようなことも伺っておりますが、こういうような計画運休をすることによって、初めて大きいポイントの取りかえなどの重作業が行われる可能性が出てきたというようなことで、これは事故防止にとって非常に重要なことで結構なことだとは思いますが、そういう計画運休をしなければならない状態にいま来ているということが言えると思います。これも疲労がたまってきているということを除くための一つ努力だろうと思います。  そういう意味で、もっと根本的な改修、整備をやらないと安全が保てなくなるおそれというのが将来出てくるのじゃないかというような危惧の念を私は持っているわけでございます。現在の対策程度の形では、十年足らずで設備疲労限界が来るのではないかという見方も出てきていると思いますし、私も、多少そういうような感じを持っているものでございます。  特に五十二年三月の新幹線総合調査委員会報告というのがございますが、これを見てまいりますと「輸送力限界対策」というところで「将来の東海道新幹線輸送需要体質強化のための各種更新工事等を考えると、その代替効果が期待できる中央新幹線の建設について検討を進める必要がある。」ということが言われている。これは代替ということが、整備の面で大工事なり、ある程度期間を切っての疲労をとるような工事なりというようなものを考えて、それについての代替という意味合いも含まれているものだというふうに私は思いますが、こういう問題を考えてみますと、やはり東海道新幹線の疲れをとる、あるいは疲労限界を将来において取り去るための意味での中央新幹線というものは非常に重要性を持つものではないかというふうに考えるわけでございます。  同時に、この報告書によりますと、ただいまもちょっと申し上げましたが、東海道新幹線輸送能力限界ということをうたってありまして、「一時間当たり、ひかり、こだま合計十本までが実用上の限界である。」これは間違いないことであります。五−五ダイヤというものでありますが、「この輸送力では、昭和四十九年度時点で想定した輸送需要伸びに対し、昭和五十年代の後半に年間平均乗車効率七〇%以上となって限界に到達するであろう」という結論が出ているということになっております。その後多少利用変化乗車効率変化もあらわれてきているようにも承っておりますが、国鉄として、東海道新幹線輸送能力限界というものは大体いつごろくるというふうにお考えになっていらっしゃるか。要するに年間平均乗車効率七〇%に達する時期というものがいつごろになるかというふうに考えていらっしゃるかを承りたいと思います。
  22. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま先生のおっしゃいましたとおり、東海道線がいろいろな面で行き詰まってくるだろうというのには二つの面がございまして、一つ輸送量の面でございます。もう一つは、最初に触れました設備上の問題という二点があろうかと思います。そのうちの、いま先生の御質問は、輸送量は一体どういうふうに考えているかということでございますが、これは東京大阪間でございますが、新幹線開業以来の輸送の推移から、お客さんの一番多いのが四十九年度でございます。そのころの推定では非常に早くお客さんが五−五ダイヤいっぱいになるのではないかというふうに考えておりましたけれども、ちょうど経済の低成長と申しますか、その他の問題がございまして、四十九年以降は実は若干下がってまいりましたので、これから先の輸送見当をつけるのは、いろいろな問題がございまして、非常にむずかしい問題かと思います。しかし、一応国の経済伸びその他を考えて、なおかつ過去の長い期間輸送増加傾向その他から判断をいたしますと、五−五ダイヤでほぼお客さんがいっぱいになるのはおよそ六十年代の半ばぐらいではなかろうかというのが、ただいま私どもが考えておりますおおよその見当時期でございます。
  23. 堀内光雄

    堀内委員 六十年代の半ばというお話でございますが、その理由の一つとして、四十九年をピークにして利用客が下がってきている面があるということを言われたわけであります。そうおっしゃるだろうと思って、私も国鉄からいただいた資料で少し計算をしてみたのですが、四十九年から東京大阪間のダイレクトの輸送というものを見ますと、四十九年から決して減っていないのです。というのは、減ったのはグリーン車が減っております。グリーン利用者は減っておりますが、全体の利用者の中の普通車両利用者はずっとふえております。四十九年の一千五十九万四千人に対して五十年は一千七十万人と十一万人ふえ、五十一年は一千八十五万二千人と十五万人ふえているわけでございます。これは全く東京大阪間のダイレクトの客だけであって、それを越えてさらに西に行くお客さんは含めていないわけでございますから、そういう意味で考えますと、東京大阪間というものは、実際問題として毎年毎年増加傾向をたどってきているということが言えるわけです。  それだけではなくて、飛行機による転移というものがまた非常に大きくなっております。飛行機では五十年から五十一年に三十八万人、東京大阪間の利用者増加をいたしております。これに対してグリーン車利用客は二十八万五千人減っているということで、グリーンの料金を含めて一万二千三百円に対して航空機利用の場合は一万四百円という差、こういうもので飛行機にみんな流れていった。約二十八万五千人は流れて、さらにふえて東京大阪航空機が三十八万人ふえたということになる。五十一年から五十二年を比較いたしますと、グリーンの方は十五万人減りまして、そして航空機の方は四十六万人ふえているという状態になっております。こういう数字を見ますと、東京大阪間の利用客というものは毎年毎年ふえているが、それが一般客の方で多少ふえ、そのほかの余ったものはみんな飛行機の方に行ってしまったということであって、四十九年当時のものを数字とした統計で将来五十年代の後半にはいっぱいになるだろう、七〇%の乗車効率になるだろうというような状態、それが急にここで変わってきたという状況では決してないと思うのです。  したがって、こういうものを基盤に考えると、六十年代前半というよりも六十年前後には恐らく年間平均乗車効率七〇%を超える状態で、言うならば乗りたい列車に乗ろうと思っても、東京大阪間においては「ひかり」には乗れない、違う列車に押し込んでいくようなことをしなければ乗れない状態になり、またシーズンの間には一三〇%から一五〇%というような乗車効率が出てくるようなことになりかねないと私は思うわけでございます。  そういう意味と同時に、また景気も回復期を迎えてきているわけでございますし、将来において運賃のバランス、鉄道と航空機のバランスというようなものも是正をしていくような面が出てくると思います。そういうことを考えてまいりますと、六十年前後、もし大まけにまけても六十年の早々、この時期には安全面、輸送力ともに限界に達する状態になるというふうに私は判断をしているわけでございます。  そういう意味から考えても、これの対応策というものは、中央新幹線をつくること以外には私はないと思うのです。そういう点から考えて、先ほど十年かかるということのお話をいただいたわけですが、ことしは五十三年ですから、いますぐかかっても六十三年までかかる。これでは六十年早々には安全面、輸送面で限界に達することを考えたときには、もうタイムリミットのぎりぎりまで来ているということになると私は思うわけでございます。  そういう意味で、第二東海道新幹線というような意味合いを含めた中央新幹線の緊急性、必要性というものについて総裁の御所見、お考えを承りたいと思います。
  24. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま詳細に見解をお示しいただきましたように、確かに現在のところ、だんだん東海道新幹線のユーティリティーの限界が見えてきたという感じがいたしております。ただ、全体として鉄道による輸送に対する需要の強さというものにいささか変化が見られてきておるわけでございまして、飛行機利用への転移というようなことがかなり顕著にあらわれてきております。大体時間にして四時間から四時間半ぐらいまでのところにつきましては十分鉄道を利用していただけるわけでございますけれども、それを超えるところについては、価格の関係とかその他の事情を越えましてどうも飛行機利用者がふえるというような状況になっておるわけでございまして、その意味で将来にわたって利用者の選択がどういうふうに移っていくかということを予測することが非常にむずかしい状況にございます。どうも過去のトレンドで延ばして将来の姿を予測するという手法だけでは危険な状態になってきているようにも思うわけでございます。  そこで、一方においては現在の新幹線限界ということ、それは六十年代の半ばであるのか、あるいはもう少し早い時期であるのか、あるいはまた少し延びるのかというあたりがなかなかつかめないわけでございまして、中央新幹線というものを考えます場合に、そこが非常に大きなポイントになるのでございますけれども、その最も大事なところがなかなかつかめないというので、私自身も、いわば迷っておるといいますか、決断をするのに迷っておるという現状でございます。大分経済の動向も落ちついてまいりましたし、それから高度成長から安定成長への対応というようなことがだんだん進んでまいりましたので、それらの経済の大きな変化に見合いながら、私どもの見当を早くつけなければならないと思っております。  きょうの段階でどう思っているかというお尋ねでございますけれども、残念ながらまだ今日の段階でこのように見通しますというところまでは申し上げかねるというのが正直なところでございます。
  25. 堀内光雄

    堀内委員 いまどうするかというところまで総裁に答弁を求めようと思っても、これは無理なことだろうと思います。ただ、先ほど総裁の言われましたように、飛行機との競争ということ、三時間、四時間について競争ができるというのは、少なくとも東海道新幹線、この東京大阪間については飛行機との競争は十分できる、技術的と時間的にはできる対象だというふうに私は思うのです。  その中で、特に先ほども申し上げましたように、普通車については毎年ずっと増加をいたしておりますが、グリーン車が減ってきたということ、これはやはり大衆の足としての国鉄というものがグリーン車ではなくて普通車をみんな大変利用して、それが増加をしているということ、これは忘れてはならないことだというふうに思うのです。  そういう普通車が増加をしている、グリーンが料金の面で飛行機との競争に負けているというような状態を考えたとき、やはり大衆の足としての確保を考えれば、将来六十年の前半には来るであろう限界というものに対して国鉄が早目に手を打っていかなければいけない、そういう緊急性、必要性というものをお考えになるかどうかということを私は承りたいわけであります。  現に五十一年度の平均乗車効率というのは「ひかり」を見ますと七四%、五十三年の三月時点平均乗車効率は七七%に増加をいたしております。「こだま」の方は五十一年が五〇%で五十三年三月は四六%というように下がっておりますが、「ひかり」の東京大阪間を区切って考える限りにおいては、五十一年より五十三年は非常に増加をしている、乗車効率は上がっているということであります。「ひかり」だけで八〇%にいけば恐らく限界になるのじゃないかというふうな気が私はいたしますが、六十年というような状態を待たずにもっと早く「ひかり」の面では限界が来るのではないかというような気が私はします。そして「ひかり」がいっぱいになって「こだま」に乗りかえろと大阪に行く人に言ったって、これは私、無理なことだと思うのです。時間はずっとかかるわけですし、時間的な競争は、今度は「こだま」と飛行機では飛行機の方にずっととられてしまうことも出てくる。  そういうことを考えますと、いまの状態というのは、トップに立つ方の判断が、大変むずかしいところでありますが、私は、重要なときに来ていると思っているわけでありまして、いますぐどうこうするということよりも、この緊急性、必要性というものに対しての判断をひとつ総裁にお願いしたいということでございます。いかがでございますか。
  26. 高木文雄

    ○高木説明員 お言葉ではございますけれども、四十九年から五十年、五十一年、五十二年という傾向を見ておりますと、従来のトレンドとは違ってきておるわけでございまして、おっしゃるように、グリーングリーンでないものとの関係といったようなものもございます。これは急激に最近グリーンが高くなりました関係でどうしてもそうなったわけでございますけれども、全体をとらえてみましても、長い間にだんだんと伸びてまいいりました輸送実績に伸びどまりといいますか停滞が見られていることは事実でございまして、ごく最近、数年の状況から言いますと、いま直ちに緊急性を認めなければならないというところまでは来ていないわけでございます。  現在、新幹線だけ見まして、複線で東京大阪を結んでいるわけでございますが、もう一本引くということになりますと倍の輸送力になる。複線が複々線になるということで倍になるわけでございますので、よほどの伸びが見込まれませんことには、いま乗車効率七割ということを中心に議論が進んでおりますが、開設当時には五割をはるかに割るような姿になってしまうわけでございますので、建設のための投資の額が大分上がってきております現状から考えますと、よほど慎重に考えませんと、採算的には合わないという危険があるわけでございまして、いましばしば言われております整備五線というようなものに比べますれば、交通量が多いわけでございますから採算的にははるかによろしいのでございますけれども、それにしましても採算的にかなり危険な状態になりますので、堀内委員がおっしゃいますような緊急性という判断をいまするには、まだ少しデータが不ぞろいであると考えておるわけでございます。
  27. 堀内光雄

    堀内委員 余り総裁に申し上げても申しわけないかもしれませんが、いま総裁もおっしゃられたとおりに、経済性という問題が片方に大いに出てくることだと思います。中央新幹線に必然性あるいは重要性、緊急性というようなものがあっても、経済性がなければ、これまた進めるわけにいかないことになると思うのですが、経済性について、断面輸送力だとかいろいろな数字をもとにして考えますと、中央新幹線は十分採算性のあるような数字が出てくるように私は思うわけです。経済線として十分成り立つという要素を持っていると思うのですが、専門家の住田局長にその辺についての御見解を承りたいと思います。
  28. 住田正二

    ○住田政府委員 中央新幹線の採算性の問題でございますが、先ほど来国鉄から御答弁申し上げておりますように、中央新幹線ができました段階における需要がどうであるかとか、あるいは運賃水準がどれくらいになっているかというようなことについての見通しを的確に立てることが非常にむずかしいわけでございます。したがって、中央新幹線の採算がどうであるかということをいま明確に申し上げることは非常にむずかしいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、中央新幹線をつくりますときには、東海道新幹線がパンクする、飽和状態に達しているという前提でございますので、東海道新幹線お客さんが中央新幹線に相当流れてくるということになろうかと思います。したがって御承知のように、現在東海道新幹線では相当の利益を上げておりますが、そういう東海道新幹線の利益が中央新幹線の方へ移ってくるということでございまして、全体として見た場合には、中央新幹線は相当お客さんが乗って採算はとれるけれども、東海道新幹線の方は利益が減ってくるという結果になろうかと思います。  したがって、中央新幹線だけを取り上げれば採算的にはそう問題はないけれども、逆に東海道の方では従来得ていた利益が減ってくるという結果が生ずるのではないかと思います。しかし、それにいたしましても、中央新幹線をつくった場合に、それが国鉄経営に大きな負担になるというようには考えておりません。しかし、正確なことはいまの段階で非常に申し上げにくいわけで、漠然とした感じでございますけれども、そういう需要に見合って中央新幹線をつくれば国鉄経営に大きな負担になるということにはならないものというように見ております。
  29. 堀内光雄

    堀内委員 ただいまの住田局長お話で、中央新幹線ができてもそう国鉄の負担になるようなものではなくて、東海道新幹線の利益が減っても中央新幹線の方で大体採算がとれるのではないかというようなニュアンスのお言葉でありました。もちろんこれは第二東海道新幹線という意味合いを持てば、両方を足して二で割って考えていいことになるので、少なくとも負担になるとは考えられないということは、条件として適格性という面から見ますと大いに認められる点があるのではないかと私は思います。  そこで、東海道新幹線輸送能力限界あるいは技術的な点については中央新幹線問題ない、あるいは採算の面では国鉄の負担になるようなことではなく採算がとれるのではないだろうか、もう一つは、東海道新幹線の安全確保の意味というようなものをあわせて考えますと、中央新幹線の建設の必要性は大いにあるのではないかと思うわけでございます。そういう意味で、現在のおくれている状態から一歩前進させなければならないところに来ているのではないかと私は申し上げたいわけでございます。  もちろん私は、整備五線の問題と順位を争うというようなことで申し上げているのではございません。整備五線の必要性は十分理解をいたしているつもりでございますし、地域開発に占める整備五線の意味合いは大変重要性があると思います。しかし、中央新幹線を他の線と比較してどうこうと言うのではなくて、東京大阪という日本の二つの大都市を結ぶ大動脈としての別な意味あるいは別な角度から考えていった場合に、非常に重要性があるというふうに認識されるものではないかと思うのでございまして、この点について大臣の御所見と、同時に、中央新幹線を一歩前進させる意味で全線にわたる調査命令、いまはまだ甲府付近並びに名古屋付近山岳地帯部分に限って、しかも地質地形調査ということになっておりますが、これを全線にわたって調査していただけるような命令をしていただきたい。タイムリミットに来ているような感覚のもとに、ぜひそういう点についての御配慮をいただきたいと思いますが、これはあわせて大臣の御答弁をちょうだいいたしたいと思います。
  30. 福永健司

    ○福永国務大臣 いま堀内さんお話しの中央新幹線が非常に大事なものであるということについては、私も全然同感でございます。  大事なものに対してどうするかという観点からいろいろお尋ねがございましたが、一歩前進という御表現でございますが、このあたりで一歩前進せしめること、結構であろうと思います。結構というか必要があろうと思います。  先ほどから聞いておりますと、国鉄の諸君はずいぶん控え目に物を言っているようであります。赤字がいかぬとかなんとかかんとかしかられればああなるのも無理はない。そこで、皆さんと私は政治をやるという立場でございますから、この政治をやるという立場からいたしますと、国鉄が手がたくああいうように言うことは信頼しつつこれを理解していくのではあるが、同時に、そういうことだけてもいかぬというように——これは私が言うことではないかもしれませんが、お互いに政治をやるという共通の立場において私はあえて申し上げたいのでありますが、たとえば成田の開港に当たりまして、新しく成田へ乗り入れを希望した国が三十数カ国ある。そのうちのほんのわずかをやっと認めたわけですが、早く認めてくれ、早く認めてくれと言っている。そのほかに従来入っている国の多数が増便を希望している。それで、最近私が思いますことは、お客が減ったとか、そのわりにふえないとか、ことにグリーンについてはどうかという話を先ほどから拝聴をいたしておりましたが、世界じゅうから来る私どもの友人がこのごろ言うことは、前よりもずっとそういう傾向がふえてきたのでありますが、東京を見ただけでは日本を誤解すると言う。そういう傾向はお互いにあるわけです。パリを見ただけでフランスを云々すると大変な間違いを起こすのと同じでございます。古き日本、伝統の日本というものを見つつ本当の日本を理解させるということは、われわれの立場においてもぜひ望ましいことである。このごろの外人は、東京へ来てすぐに帰ってしまう、そういうのももちろんいますけれども、その際に、ぜひ新幹線にも乗って大阪あたりまで行ってというのが大変ふえてきております。これからますますそれはふえていくであろうと思います。また、そういうのがふえるように持っていくことがお互いの考えることでもあろうと思います。  そういうふうなことから申しまして、私は、これはまだ結論的に申し上げるわけではございませんけれども、国鉄なんかにも、大いに合理化をして赤字を出すなということはお互いにやかましく言わなければなりませんが、同時に、もう少し違った観点から、日本の国民全体を伸ばすというような意味から伸び伸びとやらせるようにも考えなければいかぬ。そういう観点からいたしますと、鉄道を敷設するということについて、ますます国鉄の赤字がふえるという心配ばかりをさせるようなことではなくて、国が大いにめんどうを見てやるということ、これは委員の皆さんから、そういう意味で私自体がしょっちゅうおしかりも受けているところでありますが、私も閣内等で、まあ道路等に対してはそれなりの配意が行われているが、そのわりに鉄道等については同じような配意等も行われていないが、多面的によく似たところと思う、そういう意味から、建設公債その他を考慮してやらなければ鉄道はどうにもならぬではないかというようなことを言っておりますし、これがある程度理解されてくるようになりましたことは、これもあなたのお言葉をかりるならば一歩前進していると思うのです。  それで私は、いまお話の点等につきましては、ぜひ一歩前進させたいと思いますし、先ほどから中央新幹線については、その代替機能等を強調されましたが、確かにその一面はありますけれども、地域の開発に資するという点もかなりあろうと思うわけであります。したがって、いろいろな面から見てその特徴を——まあ経済的にとうだというようなこと等も、いままでの例からしますと、こうということもございますが、進んで経済性をより開発して将来に明るさを求めるということも政治の上でお互いにしなければならない、まあ、こんなようなことを思っているわけでございますが、そういうようなことをいろいろ考えますと、確かにここいらあたりで一歩前進するのが必要であろうし、先ほど、山岳地帯についてこういう調査をしているということを国鉄当局が申しておりましたが、まだまだ大都市周辺等ではいろいろな問題がございまして、いよいよこれからやって完成させるまでにはいろいろな問題がございますから、着手については余りぐずぐずしないでやるということが必要ではないか、こういうように私は率直に考えておるわけでございます。
  31. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど中央新幹線の採算の問題について御答弁申し上げたわけでございますが、一言補足させていただきたいと思います。  いま大臣からお話がございましたように、今後つくる新幹線については、下部構造部分については国費で賄う必要があるのではないかということを現在考えているわけでございますが、先ほど申し上げました採算の問題も、中央新幹線についてもそういうような取り扱いがなされているという前提でのお話でございますので、そういうことで御理解いただきたいと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 堀内光雄

    堀内委員 大臣から非常に前向きな御答弁をいただいて、一歩前進させようということで非常に感激をいたしておりますが、その一歩前進をさせるということは、先ほどから私もお願い申し上げております調査対象を広げていくということに、せっかくのおみやげでございますから、大臣、ひとつその辺もう一ついい御返事をいただけないでしょうか、ちょっとお願いを申し上げます。
  33. 福永健司

    ○福永国務大臣 先ほどは、全面的に調査を進めよという号令を発しろ、こういうお話でございますが、受け取りようによりますと、これは一歩でなくて大前進というような印象を与えますので、私は先ほど、山岳地帯等のほかに大都市周辺等には問題も多いから、こういうところを手をつけたらと言っておりますが、そういうところを除けばほかのところの調査は、これは素人考えでございますけれども、そう長いことかかるものじゃない。でございますが、なるたけ調査範囲を広げようという趣旨で申し上げたのです。全面的にということになりますと、これは反響がかなり大きいと思いますので、その辺多少控え目に申し上げた次第でございます。それによって御理解をいただきたいと思います。
  34. 堀内光雄

    堀内委員 言葉の裏に隠されているものも含めて非常に前進をさせていただいたというふうに思うわけでございます。都市といえば東京に入るところ、大阪に入るところ、あるいは名古屋周辺ということにもなってまいりますし、さらに古都の奈良を通ってまいりますから、それだけにそういうものの調査も含まれなければならなくなってくるというふうに思うわけでございまして、ほとんど入ってしまうのではないかというふうに考えられるわけでございます。そういうことで、前向きな形の中で御答弁いただきましたことに心から御礼を申し上げます。  最後に、昨日、この委員会におきましても、リニアモーターの問題が提起をされまして、いろいろの質疑が行われました。私は、日本の新しい技術で、そして次の世代の輸送機関をつくり出していくということは非常に重要なことであり、意義深いことだというふうに思っているわけでございます。そういう意味で、将来において、中央新幹線にもこのリニアモーターというようなものを使用できるような状態が考えられないものかというふうに思っているわけでございますが、端的に言えば、非常に新しい技術の中で新しい中央新幹線をつくっていく。リニアモーターが間に合わないからおくれるというのでは、これはまた困るのでありますが、そうではなくて並行してそういうものを検討して、ぜひひとつ夢のある中央新幹線というものにつくり上げていっていただきたいというふうに思うのであります。そうすることによって航空機との競争に打ちかてるということもございますし、さらに東海道新幹線代替というような次元からもう一歩踏み出した次元、先ほど大臣もおっしゃいました地域開発も含めて、あるいは飛行機に打ちかつような新しい競争力を持つ国鉄というような意味、そういうような新しい次元での中央新幹線にもつくり上げていくことができるのではないかというふうに思うわけでございます。  大臣は、この非常に新しい技術に対して、また将来の日本の技術をしょって立つようなこのリニアモーターに対して非常に意欲をお持ちになっていらっしゃるというふうに承っておりますし、現在、技術がどんどん開発されながら研究をされている状態でありますので、これについての大臣のお考えが何かございましたら承りたいと思います。
  35. 福永健司

    ○福永国務大臣 このリニアモーターにつきましては、私が申し上げるまでもなく、国鉄でもやっているし日航等でもやっている、ドイツその他でもある程度の研究をしているが、はるかに日本がいまのところ離しているということでございまして、国鉄総裁等に伺いますと、なかなか手がたいことを言っております。  これはこれで意味があるのでございますが、先年、お互いの同僚であります列国議会同盟の世界の会議東京で、前にもやりましたが、第二回目を先年やりましたときに、そのときに世界各国の議員諸君の希望は、ぜひひとつ真ん中の日曜日に関西あたり、京都あたりまで連れていけ、こういうことでございます。これは新幹線を見ながらということもありますが、先ほど申し上げた、より広く真の日本を理解する、こういう見地からの各国の希望でございます。グリーン車を十何車か連ねて参りました。私は、こういう際に、少し日本を認識してもらうというために、ちょうど二百二十キロぐらい、いまの新幹線がかなり速く走っているというようなスピードで走っているところで、放送を車内でいたせまして、そのときにいろんなことを言った中に、実はいま二百二十キロぐらいのスピードで走っているが、やがて、そのときは実は数年のうちにと言ったのですが、数年というともうじき数年が来るようなことに実はなるのでございますが、日本ではこれを五百キロ内外のスピードで走るような鉄道をいま開発しつつある、まだ何年かかかるであろうけれども、そういうことだというお話をいたしましたら、各国の議長その他の諸君が、私が乗っている真ん中の方の車に、後で集まってきまして、いや、この新幹線に乗っていても非常に感心していたのだが、数年のうちにそういうことになると、これは人類にとって大変いいことだ。そのうち、中には非常に国土の広い国の代表等が何人かおりまして、日本のようなちっちゃいところでもこうするのだから、ぜひひとつ、金は幾らでも出すから、そういうのをおれの国の方へも広めてくれというような話等がございました。  もとよりそういうことは結構なんでございまして、そんなようなことを言っておりましたときに、私は、リニアモーターの話を聞いておりましたので、実はそういうことを申したのでありますが、いま世界も大変注目しておりますし、現に鉄道については世界のあちこちから日本に協力を求めてきております。恐らく国鉄総裁も、議会の御用がちょっと一体みになったら、あちこちから引っ張られていくと思うのですが、そういうことは大変結構だと思います。そういうことであればあるほど、いまのリニアの開発等は急ぐべきである、こういうように思います。私たちが初めに考えていたよりは多少おくれる模様ではありますが、もう理論的にはかなりのところまで行っておりますので、ぜひこれを工業的にも経済的にもりっぱに成功するところへ持っていかなければならぬと思います。  そこで、先ほど申し上げたように、東海道新幹線に乗っていながら、そのときよりも半分くらいな時間で東京大阪が、ないしあの周辺とが往復できるようなことを言っております私といたしますと、ぜひ東海道線にもこういうのをと思いますが、こいつはどういうことになりますか、素人の私がなにしてもなんでございますが、しかし、およそこういうような問題につきましては、技術も非常に大事でございますが、常に政治が伴わなければならない、こういうように思います。  この政治的な問題というものはたくさんございましょう。ございましょうが、日本民族をこれから伸ばしていくという見地からいたしまするならば、ぜひ、こういうことによって世界の人たちにも恵沢を及ぼす。どうも金もうけの競争をして、日本がよけいもうけると、日本はがめついとかもうけ過ぎるとかと言うのでございますけれども、こういうことで大いにやるということだと、敬意を表されつつ日本民族が伸びていける、先ほど夢の新幹線というお話をなさいましたが、そういう意味においても、まあ日本人の夢、それを世界の人々の夢につなげていくということにぜひいたしたい、そういうふうに考えております。
  36. 堀内光雄

    堀内委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  37. 増岡博之

    増岡委員長 渡辺芳男君。
  38. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 昨日来いろいろ新幹線問題について質疑がありましたが、運輸大臣整備五線の促進論者のようでございますが、この整備五線について、五月十八日の新聞に、これは来年から同時着工する、こういうふうなことが報道されました。  私は、率直に申し上げまして、国鉄のいまの財政の状況などからして、政府がこれを決意するにはいろんなことを検討してやられたと思いますが、どうも時期尚早ではないかというふうな気がいたします。  言うまでもございませんが、いま国鉄財政の再建の準備に取りかかって、国鉄内部では大変な合理化を進めております。あるいは運賃の値上げなども申請をいたしておりますが、どうもこの新幹線のいままでの営業状況を見ておりますと、東海道新幹線は黒字でございますね、山陽新幹線の方で大阪−岡山間ですか、これは五十一年度の決算によりますと、収入が七百五十六億円で経費が四百九十億円である、新幹線自体は黒字になっていますね、岡山から博多までの区間でいきますと、収入が九百四十九億円で経費が千九十七億円、これは新幹線自体が赤字なんですね。  いま考えてみますと、新幹線というのは、最大の競争相手というのは航空機ですね。きのう航空局長も答弁をされておりましたが、成田の国際空港が開港した、羽田が国内航空の基地になる。いままで羽田が非常にふくそうをしておって、過密状態でパンクのような状態にあるから新東京国際空港、国際線が必要だというわけでつくったわけですね。それが六十年になると、また同じような過密状態になるというふうに言っております。ということは、国内航空線というのは、これ以上どんどんこれからふやすということになりますね、ところが整備五幹線、五つの新幹線をつくるというのは、これは率直に申し上げさしていただければ、東海道メガロポリスという人口密集地帯ではありませんから、やはり利用する客というのは限度がある、そして遠くでございますから航空機との競争で負けていく、ですから、もしつくられて開業しても赤字になっていくわけです。  先ほど大臣は建設費などは国費でと、また鉄監局長もそういうふうに答弁されましたが、いまの国鉄財政ではどうにもなりませんね。建設費を出すわけにはいかない。そういうことになりまして開業した暁にまた赤字になる。ローカル線などは、これは政府の補助金は、実際の赤字より五分の一くらいしか出しておらないわけです。そうすると、この新幹線開業しても、将来補助金を出さなければならないという状況になる。しかも在来線の並行線というのはなお一層赤字になる。日本の人口がどんどんふえていくわけではない、限界がありますから。  そういうことを考えていきますと、いま国鉄は財政を再建中であって、なお一層これをつくっていいかどうかということについては、私、先ほど申し上げましたように、幾ら政府が景気対策を主眼としてやると言っても、五整備新幹線を来年同時に着工するというのは、技術的にも、着工すると言っても、土地の買収から始めなければなりませんから、そう簡単にはいきませんけれども、それだけの技術陣の動員をすることも容易ではない。いろいろなことを運輸大臣よりも私の方が心配しているようなことを言って恐縮でございますが、あなたは責任者でございますから、それ相当の用意もできるということでお考えになっていると思いますが、大臣の見識に私も信頼いたしておりますが、この五つの新幹線の建設に当たっての将来展望、それから開業の暁についてのあり方、こういうものもきちっとここでひとつお話をいただきたいと思うのです。
  39. 福永健司

    ○福永国務大臣 いま渡辺さんに御心配をいただいて御発言をいただいておることを恐縮に存じますが、これは多少伝わっていることが事実に反していることがあるわけでございます。来年度に五線全部着工するというようなことを私どもが申したわけではないのでございます。党の方でいろいろ相談をいたしましたときに、それに類するような話があったようでございまして、そこで、それが総理大臣の方へも申し入れがあったし、した後、私、総理大臣とも話をいたしましたし、それから関係の閣僚等の間でも若干の話をいたしたのでございます。  いま御指摘のように、五つ一遍に着工するというようなことは、そう簡単なことでもございませんし、また、そういうことをやるというようなことをもちろん政府は決めたわけじゃございません。景気対策その他も考慮しつつ、できるだけ多くというような、そういう傾向の議論は確かに党側においてございました。  初め私は、そういう発表がなされるよりも前に関係者と話しておりましたことは、五つの関係者がどれもこれもやれと皆言われるが、とても一緒にやれるものじゃない、そこで、やれと言うときには皆さんそろっているが、いよいよ着工するということになると、一緒に言っていた中で自分のところの方が先だという話がたくさん出てくるのじゃないか、そういうときに、党自体ではなかなか決めるわけには恐らくいかぬであろうと思います。そういうときの話に、それは運輸大臣に任したというような話ではございました。  その話だけですと、簡単なようでございますが、いざとなったら、なかなか任したとは言いながら任してくれないと言っちゃいけませんが、くれにくいという話が起こってくるだろうと思うのです。  そこで、私はいろいろ念を押しましたし、また、いまはやれと言うのだから、何にも文句は出てきてないようだけれども、いよいよやるということが決まったらいろいろ文句が出てくるのじゃないかと思う、こういうようなことを考えると、容易ならざる次第であるというような話をかなり相互にいたしておりましたし、また特に、先ほどお話がございましたように、膨大な資金を必要とする、これを何らかますます大きな国鉄の負担になるというような形でなくて進める方法を考えてやらないと、いままでのようなことでは無理だという議論等もいたしました。非公式ながら閣僚間等においては、それに対しては考慮すべきである——閣僚間と言いますと、もちろん大蔵大臣も入っておりましたが、一例を挙げれば、建設公債の話なんかも出て、それは考えようじゃないかというような話等もあったわけでございます。そういうことを心配したといたしましても、五つはとても容易じゃないと思っております。  そこで、党側で五線について甲乙をつけがたいから一緒にというような表現になっておりますが、実際に工事をやる方は五つ一緒にというわけにはとてもいかぬ、こういうように私は思っております。これも聞く人によっては、そう言うとごきげんが悪いのでございますけれども、しかし、これはそんなことを言って全部が来年から着工になるのだと御期待になると、これはまたその時点で当てが外れたという話が出ると思いますので、私は、あの話が出まして以来、五つ一緒にやると私自身は決して言っておりませんし、運輸省の方針といたしまして、五つ同時ということ、一斉にやるということはとても無理だ、こういうように考えております。  そこで、そういうことを関係の人たちとさらによく相談をいたしまして、私どもは私どもで率直にその事情を言って、しかる後進めたいと思いますが、あれは運輸省が言ったというのではなくして、党がそういう構えで臨んでいるということではないかと思います。  そういうことでございますので、何とぞ御理解をいただきたいし、いまのように御心配いただきますことに対しまして恐縮に存ずる次第でございます。
  40. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 大臣のいまの御答弁でいきますと、きわめて慎重にやられるということですから、私の心配というのは、そういう意味では率直に申し上げまして解消されますが、ただ私は、この際大臣に御検討いただきたいと思いますのは、かねがね私どもが交通体系というものをひとつ確立しようではないかということを、この委員会でもそれぞれの委員からも言われているわけでありますが、航空機を、需要があるからどんどんこれからもふやす、新幹線は、乗ってみたところがなかなか便利がいいからつくろう、こういうふうな発想で物をやっていきますと、どこか競争に負けるところはつぶれていくわけです。つぶれていくというのは恐縮だけれども、経営が非常に困難になってくる。その最大の今日の状況というのは国鉄だと思うのです。トラックに貨物輸送は負けていく。ちょっと遠くになりますと航空機に負けていく。こういう状態を、それぞれ交通体系について文書も出されておりますし、いま見直し中だということも聞いておりますが、それぞれ鉄道、自動車、飛行機、内航海運、こういうものを総合的に、競争させるということだけではいけないと私は思うのです。そういうところまで事態は来ておると思うのです。  でありますから、総合的な交通体系というものがいかにあるべきかという、よく言われる低成長時代の交通政策を、この際私どももそれぞれ方針を持っておりますが、時間がありませんから、この問題だけでやるわけにはまいりませんけれども、大臣、ひとつ御検討いただきたいと思うのです。それぞれ各局で局長が責任をとって行政を行っていっておりますが、ばらばらではいけない。運輸省の中だけは大臣がきっちり決めていただけるようなものにしていただきたい。交通体系を、この際そんな一冊の本にしなくてもいいと私は思うのです。  たとえば、これは極端な話で恐縮でございますが、東京大阪間をどうして飛行機を飛ばさなければならぬかということを私は最近考えるです。東京−札幌はいいです。あるいは鹿児島はいいです。このこと一つとっても、交通体系というものを考えていかなければならぬじゃないか。このことについてひとつ大臣、お考えいただきたいのです。
  41. 福永健司

    ○福永国務大臣 いまのお話、多分に私も同感でございまして、交通体系全体につきましても、いま御指摘のようにどうもばらばらであるというような印象をお持ちになる向きもあるのでございますが、まさしくそうであってはならないので、競争しながら協力をするということにさせなければならぬ、私はこういうように思います。競争も過度にこれが行われては、なかなかその後の協力が容易でないことでございますから、その辺におのずから節度があるべきだ、こういうように思うわけでございます。  なお、航空機と鉄道等との関係につきましては、比較的後進の地域にあっては別でございますけれども、早くそういう交通手段が発達しましたところでは、一時鉄道がふうふう言っておりましたのが、このごろは逆に、やはり鉄道もいいところがあるなというので、回復の徴候を呈しているところも世界にはあちこちあるようでございます。したがって、日本のような国土はそれにふさわしいような方策が講じていかれなければならぬ。  いま渡辺さん、若干具体的な例等もお示しになりましたが、いずれにしても、そういうこと等について余り一時的な、ブーム的な現象のみにとらわれることなく対処していかなければならない。ただいまの御注意拳々服膺いたしまして今後に対処いたしたいと考えます。
  42. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 それでは、次に移らしていただきます。  国鉄がいま貨物の取り扱いの集約ということで、貨物取扱駅の廃止を五十五年度までに約三分の一、五百駅ほど計画をして進めておりますが、その中で総裁、貨物取扱駅を廃止するということで、その地域の自治体なりあるいは業者なり荷主、こういう人たちが困るという陳情も大変来ておると思いますが、取扱駅を廃止するということは、何かの都合で利用したいというときに困るというのもありましょう、あるいは激減をしているところがある、貨物の発着が全くなくなってきつつあるというところもありましょう、ただしかし、その地域においてこれから国鉄に貨物を発送いたします。あるいは到着も大いに利用いたします。こういうような約束をするといいますか、陳情なりがあるところもあると思いますので、無理に廃止をするというふうなことは、この際率直に申し上げまして、やめてもらって、慎重を期すべき個所が幾つかあると思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  43. 高木文雄

    ○高木説明員 御指摘のように、かなり多くのケースについて関係の市町村長なり、あるいは荷主の方々から廃止をされては困る、あるいはまた、いずれは別としていまはまだちょっと困るというお話がかなり寄せられております。それに対して私どもとしては、しかし私どもの考え方もございますので、先方のお立場あるいは考え方を十分伺いながら、国鉄側の考え方をよく御説明いたしておるわけでございまして、いずれにいたしましても、十分御理解をいただいた上で最終結論に持っていきたい、決して無理ずく、ごり押しということにならないようにいたしたいと考えておるわけでございます。  その場合に、しばしば多くのケースにつきまして、当方の御説明である程度最初の考え方を変えていただける場合がございますのは、やはり今回の措置によりまして、ある面では確かに駅が減りますから不便になるということでございますけれども、そればかりではないわけでございまして、むしろ便利になる面もあるということでございます。  全体として減らされる方の駅の関係の方々にとりましては、もちろんマイナス要素の方が多いわけでございますし、残る駅の方から言いますと、むしろプラス要素が多いわけでございまして、そこがなかなかむずかしいところなんでございますが、それにしましても、そうマイナスばかりではないということもだんだんおわかりいただけるわけでございまして、だんだん日にちが迫ってはおりますけれども、しんぼう強くといいますか、粘り強くといいますか、実情をよく御説明して、いまだんだんと御理解を広げておるところでございます。しかし、どうしても私どもの判断が間違っておったものもないわけではないと思われます。十分考えたつもりではあったが、言われてみればなるほどそういうことがあったかということもあり得るわけでございまして、その辺は十分承って、妙なフリクションを起こさないようにいたしたいと思っております。
  44. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 わかりました。そういうふうにひとつ取り扱っていただきたいと思うのです。  国鉄が総裁の名前で五月十日に「物流秩序の改善について」という文書を出されておりまして、その中でいろいろ言われておりますが、趣旨としていろいろな対策を講じていただけませんかというお話でございます。その中で国鉄の任務として、長距離貨物輸送というものをこれから確保していきたいという気持ちがあると思います。最近どうも長距離の貨物がトラックに食われている傾向があります。これはいろいろと輸送上のネックなどもあると思うし、トラックがふえておるということもありましょう。しかし、いまのトラック運賃と国鉄の運賃とを見ていきますと、積みおろし料も国鉄の場合入りますが、四百キロぐらいが分岐点だと思いますね。ですから、本来的に長距離輸送を担当するのが国鉄の任務だとも私は思っていますが、そうは言っても、いろいろな隘路があってトラックの方に移っている。運賃のダンピングもありましょう、正確、迅速の面もトラックの方がいいじゃないかということもありましょう。そういうことから考えて、この改善策を——五十三年、ことしの十月にダイヤ改正をやられますが、それらのことも全部見通しの上でこの長距離輸送の貨物を国鉄レールの上へ上げていこうという戦略を持っておられますか、この点をひとつお伺いいたしたいと思うのです。
  45. 田口通夫

    ○田口説明員 五十一年の十二月二十日に「今後の国鉄貨物営業について」という五十五年度までを見通した一つのビジョンというもの、改善計画を発表いたしましたけれども、これの大きな骨子は三つございます。一つは、従来非常に硬直化いたしておりますその制度を運用面から弾力的に運用いたしまして、しっかりした営業体制で営業を展開したいということでございます。もう一つは、やはり将来コストコンペティションに勝ち得るだけの体質をつくるために貨物輸送自体を効率化する、これが二本目でございます。三本目は、先ほど御指摘ございましたように、総合交通体系の中で国鉄貨物としてサービスコンペティションをやっていくためには、やはり政府に対してもいろいろと要求していきたい、これが先ほど御指摘の「物流の改善」ということになっておりまして、五十三年十月につきましては、いかにも二番目の柱が前面に出ておりますけれども、五十五年度を見通してこの三本の柱を戦略といたしまして整合性を持って進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  46. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 私の方のお尋ねが抽象的でありますからそうならざるを得ないと思いますが、トラックの問題はこれから自動車局長にお伺いをいたしますが、たとえばフレートライナーも相当期待をして取り組んできて、現実には伸びていないというか逆に減っているというふうなことがありますね。ですから、ダイヤ改正だけがすべてを解決するということばかりにはどうも考えられないような気が私もいたします。  そこで一つは、それが長距離の場合が主でありましょうし、また荷主が要望する出荷時間などということもありましょう、到着の時間ということもありましょう、でありますから、車扱いは一般的にそう減っていないというふうにこの資料の中には出ておりますが、そのネックになることは、田口常務、考えておられるでしょうね。この改善策の中には、これをこうすればいいというふうなことはあるでしょうね。その点はいかがですか。
  47. 田口通夫

    ○田口説明員 いま御指摘なさいましたように、たとえば輸送をとってみました場合に、ぜひこの時間帯発の列車にしてもらいたい——従来は早く切り過ぎたために集荷がなかなかその時間までにできないというような列車上の問題点のネックあるいは日曜祭日のように非常に出荷の少ないときの列車本数あるいは月曜から金曜日までの非常に張ります場合の弾力的な列車運行、そういうような点につきましては、従来一定の基本につきましてはダイヤの構想は出ておりますが、これから現実的に詰めまして、一本ずつできるだけ荷主のニーズにマッチした列車体系をつくっていくというような努力をしていくつもりでございます。
  48. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 次に、過積み問題で警察庁にお伺いしますが、道交法の改正がありましたから、これはこれから積極的に取り組んでいきたいという方針のようでありますが、大体過積みの中で特に私がどうしても問題だというふうに考えているのは、ダンプなどはいままで国会の中でも非常に議論になってきましたのでそれはさておいて、一般のトラックの過積みです。  この過積みで極端な例を一つ申し上げますが、私の居住地で白トラックがたくさんございます。これはまあ摘発をするというふうなことにすればいいわけですが、地域の事情として、運送業者もありますからいろいろな問題があるわけでございます。その中で、二月の初旬に、十一トンのトラックが二十八トン積んでおった、たまたまバックをしてきて、四十二歳の女性が非常に強度の近眼のためにひかれて大変な死に方をされたわけです。そして検量計へかけてみたらば二十八トンある。警察は、人身事故でありますから当然飛んできましたが、考えてみますると、どうも過積み問題は、青ナンバーのものもありますが、白トラックが多いのじゃないだろうか。たとえば警察が去年過積み問題で検挙したのはどのくらいありますか。荷主の慫慂といいますか、君、これだけ積みなさい、こういうふうなことで弱みにつけ込まれて積んでいるということもあって、荷主の方も罰則を強化しろ、強化しろということがよく要求をされてまいりましたが、この荷主の、罰則というよりは検挙ですね、このことについてデータがありましたらひとつ御説明いただきたいのです。
  49. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えをいたします。  過積みの問題につきましては、交通の安全上大変危険なわけでございますけれども、同時に、お話がございましたように、二倍あるいはそれ以上の貨物を積載して大きな貨物がどんどん走るというふうなことは、交通秩序の維持という面から見ましても大変大きな問題でございまして、警察といたしましても、取り締まりの最重点に掲げまして実は取り締まりに当たっておるわけでございまして、昨年中、全国で約十五万件の過積載事犯を検挙いたしておるわけでございます。  御指摘ございましたように、過積載というのは必ずしもダンプということだけではございませんで、実は昨年の六月でございますけれども、全国一斉に取り締まりの月間を設定いたしまして、四千二百台ばかりの過積みのトラックを検挙いたしておりますけれども、その内訳を見てみましても、もちろん砂利みたいなものも相当たくさん含まれておりますけれども、木材であるとか鋼材であるとかあるいは生鮮食料品、冷凍品、こういうふうなものにも大変過積みの状態が見られる。  たとえば数字を申し上げますと、木材の過積みが四千二百台くらいのうちの一二%、あるいは鋼材を積んでおったトラックの違反が全体の台数の中の一一%である、あるいは生鮮食料品、冷凍食品等を積んでおるものが四千二百台のうちの一〇%近くを占めておる、こういうふうな状況が出ておりまして、過積載問題は、単にダンプトラックだけではないということを十分認識をいたしまして、取り締まりに当たっておる状況でございます。  また、御指摘ございましたように、過積載を行うトラックの中には、いわゆる白トラというものもあるわけでございまして、昨年中に道路運送法の違反といたしまして、白トラにつきましては二百九件ばかりの検挙をいたしておる、こういうふうな状況でございます。  なお、過積みの実態の中で、業者が運賃をできるだけ安くするという観点から、過積載の下命なり容認なりをするというケースももちろんございますけれども、同時に、荷主の方で過積載をして運ばなければ荷物を出さないぞというふうなことで違反をさせるという状況もあること、これは事実でございまして、これは法律的に申し上げますと、過積載の教唆あるいは幇助という形で刑法の総則を適用いたしまして検挙いたしておりますけれども、こういうふうな事例として昨年におきましては八十八件検挙を見ております。  ただ、いま申し上げましたような数字が実態と合致しておるかどうかということになりますと、これはもちろんまだまだ十分ではないというふうにわれわれ自身も考えておりまして、今後、事業者の方はもちろんでございますけれども、荷主のこういうふうな教唆、幇助というものにつきましても取り締まりを強化していくということで努めたい、かように考えております。
  50. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 道交法の七十五条が改正をされて過積み問題についても一層強化をしていこう、そうは言っても、取り締まりに当たる人たちは別に増員をするわけじゃない。しかし、それぞれの地域における警察署は大体わかっておりますから、これはトラック業界にしても運輸省の自動車局長にしても十分な指導をやらなければいけませんが、やっておっても、それがなお後を絶たないというより多いというのは、確かに、いまあなたが言われましたように、荷主からの要求によって過積みするのもあれば、先ほど私が一つの例を申し上げましたが、実は過積みをして運賃ダンピングをしているから、過積みをしなければ採算が合わない、この二つの面がありますからね。だから、それらをやめさせるというのは、それ相応の行政の面の指導も必要でありましょうし、罰則だけが万全ではございませんが、ともかくせっかく改正をされて、過積み問題は、特に参議院でも附帯決議がございますから、この際ひとつ大いに取り組んでいただきたいと思うわけです。  ついでに、運賃の問題で警察庁の広谷さんにお伺いします。  これも道路運送法八条で認可運賃料金が決められておりますが、これは契約をしたときには、規定の認可運賃なり料金を収受するというのがあたりまえな話でありますが、ダンピングが横行しているというのは、よく巷間伝えられていることであります。これをやらないでダンピングした場合には、道路運送法の百二十九条、五万円以下の罰金に処する。警察は過積みなりスピード違反なり、そういうものの取り締まりに忙殺されて、あなたの方では運賃の方のダンピングというのは現実にはわからない。むしろ運輸省の出先機関の方がこれはわかるかもしらぬ。告発か密告か何かなければ、実際には百二十九条の罰則というのは適用しておりませんか。いままでこういうことをどんどん適用したという例がありますか。
  51. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  運賃のダンピング等の問題につきましては、御指摘のとおり契約の中身の問題でございまして、現実にこれを外側から操作をしていくということにつきましては、大変な困難が伴うものでございまして、私、いま統計を見てみますと、昨年中におきまして、このようなダンピングの問題が中に含まれておるかどうかわかりませんけれども、無認可運賃の収受ということで全国的に十件の検挙が出ておるだけの状況でございます。したがいまして、われわれそっちの方に関心がないというわけでは決してございませんけれども、捜査のむずかしさからくる隘路があるわけでございまして、もちろん、こういうふうな運賃ダンピングの問題も、実は過積載の要因になっておるということは当然でございまして、この方面からもぜひ取り締まりを徹底していくような努力をいたしたいものだ、かように考えております。
  52. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 警察としても運賃問題は、いまのような制度の中でそれぞれの行政機関が分かれている状況ではなかなかむずかしいと私も思います。フランスや西ドイツのように、取らなければ政府機関がかわって取ってやる、こういうふうな機関もないわけでございますから大変でございますが、本来的な任務と言うのは恐縮ですが、過積みなどの問題については、事故誘発の大きな原因にもなっていますから、特にこれからも対策をやっていただきたいと思うのです。  それから過積み問題で、これは自動車局長にお伺いした方がいいと思うのですが、フェリーを利用したトラックが、トラック協会の資料によりますと、五十一年度で五十二万台あるというのです。このフェリー利用のトラックは過積みが非常に多いということも言われています。たとえば、これから船にトラックごと積み込むときに、三台で来たのが、一台を空にして一台分を二台に積み込んで船に乗せる。運賃は二台分しか払わない。あるいは荷台だけをそのまま入れておいて、牽引をする方は、エンジンの方を外してそのまま持っていく。これは、たとえば東京から苫小牧、あるいは神戸から東京、いろいろなことがありますが、特に大型のフェリーが就航をしているところは、どっちみちそちらへ着けばまた過積みのものがそのまま行くのですから、中には頭のいいのがおりまして、また三台にするかもしらぬ。いずれにしても、船の方に載せて運搬するということは、陸上よりは取り締まりが厳しくはない。ですから、先般神戸で問題がありましたね。これは地域のトラック業者から文句が出たのです。  そこで、このフェリーに載せる場合に、これは一体どれくらい積んでおるかという、検重計というのですか、そういうものをつくっておいてやらせるということはできませんか、いかがですか。
  53. 中村四郎

    ○中村政府委員 過積載問題につきましては、多方面からアプローチして追い上げていくと申しますか、やっていかなければならぬわけでありまして、その場合に、一つの面として、御指摘の車両重量計の設置という問題があるわけであります。それにつきましても、やはり物流の拠点となっておる一つのフェリーヤードというようなものに設置するということは、効果の上におきまして大きいものがあるだろうというふうに私どもも認識いたしております。  そこで、トラック業界におきましても、一部の地域におきまして、運輸事業振興交付金を使用いたしまして重量計の設置を進めておる地域もあるわけでございます。しかし、やはりフェリーヤードの出入り口にそういうものを構えてチェックするという場合には、施設の設置管理者のサイドにおきまして、そういったものを設けていただけたらどうかということで、私どもは、建設省の方ともその点お話し合いに入っておる段階でございます。
  54. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 運賃のダンピングのことについてお伺いします。  一つには、これは過積みの原因にもなりましょうが、もともとが過当競争ということからダンピングが行われていると私も思っています。この運賃のダンピングで、いろいろと業界などでも正当な運賃を収受しよう、こういう運動も行政指導で非常にやられておりますね。私は、これはお互いに業者間で暗黙のうちに認めるというか、そういう状況があると思うのです。これはそういうことを公式な場で言えば、そんなことはありませんよということで否定をされればそれまでです。だが、私が言うまでもないことでございますけれども、トラック業界というのは零細業者が多いわけですから、そこで過当競争になる、これではどうにもならないわけです。業界からも先般、新免の許可はひとつしばらく停止をしてくれぬか、こういうふうな要望もありましたね。あるいは運賃についてはいろいろ言ってもどうも実際問題として解決はなかなかむずかしい、ダンピングを防止することはむずかしい、こういうことからひとつお互いに監視団もつくろうかという動きもあるようでございますが、それはともかくとして、何か一番効果的なものはないだろうか、効果的な指導というものが現実問題としてないだろうか、こんなことを私も最近つくづく思うのです。  実効が上がっているということがありますか。最近のこんな不況でも、それぞれ地域によって格差はありますけれども、相当な新免の許可の申請を出しておると思うのですが、これらについてどういう対策をとっておりますか。
  55. 中村四郎

    ○中村政府委員 御指摘のように、トラック事業者には、非常に零細であり、中小企業が多い、こういう状態になっておるわけであります。  そこで私どもの方としては、取り締まり面におきましては、貨物輸送管理官制度というものを発足させて、ダンピング防止ということを考えておるわけでありますが、しかし、やはり基本にはもちろん荷主との関係はございますが、事業者自体が横の連携をとって認可運賃を守るということにならなければ根本的な解決にはならぬわけであります。事業者団体におきましても、いま先生お話のように、この六月から十二月にかけまして従来に増した適正運賃収受の運動の展開に入っておるわけであります。しかし、そうやっても、やはり新規免許の関係で新規参入がどんどんふえてくればなかなか足並みがそろわぬじゃないか、こういうお話であろうと思うのでありますが、私どもとしては、先般特にトラックの新規参入につきましては、現在の経済情勢もこういう状態でございますので、慎重な取り扱いを各陸運局に対して通達、指示をいたしたわけでございます。
  56. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 なかなかむずかしい問題でありますが、運賃自体が認可運賃と言っても標準的な性格を持っておりますし、上下一〇%はいいですよ、あるいは常時大量の荷物を持つ荷主についてはさらに一五%下げてもいいという制度というかやり方になっていますから、これはたとえば帳面を監査してもなかなかむずかしい面があるんですね。  ですから、これはなかなかむずかしいと言っても、もう放置はできませんから、どうかひとつこの点はいつも指導をしてもらいたい。罰則の適用というのが、道路運送法にあっても、現実にはなかなかできない、このことも一つはネックでしょう。しかし、いろいろ対策を講じていただきたいと思うのです。  それから、運送業界には元請、下請、極端なのは孫請、こういう状況があるわけでありますが、聞くところによると、どうもこのトラックの保有台数が二十両以下の業者が全体の八五%を占めている、あるいは最近新免の許可をするには大体一千万円ぐらいの資本金でなければ免許を出さないと思うのですが、それでも資本金一千万円以下の輸送業者が全体の七〇%を超しておるわけですね。でありますから、零細業者が多い。私が聞くところによると、この零細業者の五〇%から六〇%ぐらいは下請だろうと言うのです。私は、やはり運送の契約をして、荷主から運送する業者が運賃をもらうというのが、本来的な姿だと思うのです。  自動車局の係官に言わせれば、道路運送法の二条に実は取次店もありますよ、こう言うのですが、元請から下請の業者に、あの荷物を運んでくれよ、そういうのは運賃とは言えないのじゃないだろうか。ここでその論争は、余り時間もありませんからしたくはございませんが、いずれにしても、元請、下請の関係が確立されていない。  でありますから、極端なことを言えば、つかみ金で、これでどうだろうかというふうなことで運送をしておったのでは、これまた運賃のダンピング以上のものになってしまいますから、一定の基準なりを——何しろ物すごく下請が多いのですから、正当な運賃を収受した元請が下請に渡す場合に管理費などを引いて、たとえば一〇%なり一五%引いて渡す指導というものはできないですか。この点いかがですか。
  57. 中村四郎

    ○中村政府委員 先生も申しておられますように、下請と申しましても、その実態につきましては、いわゆる下請の場合と利用運送の形で他にこれを運送させているというような形、いろいろあると思うわけでありますが、本来は、下請と申しますのは、荷物の波動があった場合に、その急増に対応するのだということから出てきておると思うのであります。しかしながら、その実態を見た場合に、その中に恒常的に下請形態で運営されているというものを私、否定するわけにはいかないわけでございまして、それらにつきましては、私どもとして一定の目安を置きまして、適正運営と供給力の安定化という見地からも指導してまいりたいと思っております。  それから、取扱手数料と申しますか、その点につきましては、私どもとしても、それが原因になりまして運賃の収受が乱れ、あるいはダンピングにつながっていくという要因もございますので、その取扱手数料につきまして、何らかの指標をわれわれで検討いたしまして、業界に対しても指導していきたい、かように思っております。
  58. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 それはなるべく早く、近いうちに業界とも話し合いがあると思いますが、やっていただきたいと思うのです。  恐縮ですが、あと五分しかございませんが、二つ自動車局長にお伺いいたします。  現行の免許制度でいろいろなことが言われています。白トラックがいつも問題になりますが、これはなかなか解消するということはできないと思うのです。できないというより困難だと思うのです。  そこで、たとえば五トン以上が大型ですが、この五トン以上の車は青ナンバーでなければ走らせないというふうなことを、免許のときにやるような方策はできないものでしょうか。自家用車というのは、特殊車を抜かして普通のトラックなら大きなものはそう必要ではないのじゃないだろうか、私は、こんなふうに考えるのです。五トン以上の大型トラックというのは青ナンバーでなければいけないのじゃないか、免許の際にそういうふうな仕組みにできないだろうか、このことによって大型の白トラックというのはなくなりますね。  繰り返して言いますが、自家用車というのは、そんな大型は必要ないのじゃないだろうか、こんなふうに思うのですが、どうでしょうか。
  59. 中村四郎

    ○中村政府委員 五トン以上のトラック約五十万台ほどあるわけでありますが、その中で営業用が二十六万台、自家用が二十四万台、自家用二十四万台の中で多数がダンプトラックであろうというふうに思っております。一般のトラックの五トン以上の自家用について、これが使用を抑制させるということにつきましては、非常にむずかしい問題があると思います。しかし、私ども御指摘のように、自家用自動車の中で五トン以上、その中でも十トン以上とか、そういった大型の自家用トラックというものが本当の意味の自家用に使われているかどうか、この点について、その実態をもう少し掘り下げて調査して、その結果を踏まえまして措置を考えていきたい、かように思っております。
  60. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 最後に、もう一つ対策をお伺いしますが、青ナンバーのナンバー貸しの問題でございます。いままでトラックのナンバー貸しといいますか青ナンバー貸しが多少問題にされてきましたが、最近白トラの取り締まりといいますか、これが取り締まりばかりじゃなくて、業界からの相互的な牽制もございまして、白トラに対する締めつけといいますか、これが非常に強くなってきました関係もございまして、青ナンバーをとってやるからとか、あるいは現実にいま業者の中で、この車は古くなったけれども、君にやるから、それでやってくれぬかという、ナンバー貸しはこの二つの面があります。  この青ナンバーというのは、まことにけしからぬことでございまして、大体私の聞くところによりますと、ナンバー貸しの料金は金額にして五万円ぐらい、あるいは水揚げの二割ぐらいを徴収している。これは現実に業者がやっていることでございます。これはまことにけしからぬことだと私は思っておりますが、この取り締まりといいますか、これはただ実態を見ただけではなかなかわかりません。しかし、給与台帳などを監査すればわかることです。いままでも陸運局で陸運監理官もできましたけれども、なかなか手が回らぬと思うのです。そこまでトラック業界というものをもう少し正常化するということ、業界ばかりじゃなくてトラックの正常化、正常化するのには監理官も少ない、手が回り切らぬと思うのですが、ナンバー貸しのことについては特にひどいのは大体わかると思いますよ、調べてみれば。これはひとつ摘発して是正をするような端緒にしていただいたらどうかなと思うのですが、いかがですか。
  61. 中村四郎

    ○中村政府委員 トラック事業の運営につきましては、輸送秩序の問題としていろいろな法令違反につきまして、これを適正活動という上から遵守させていかなければいかぬじゃないかという御指摘が多々あるわけであります。しかし、その中におきましても、私は、名義貸しというのが一番悪質じゃないかというふうに思っておるわけであります。業界の中で違法白トラの排除を叫んでおるわけでありますけれども、その人たちの中に、本来の事業計画を遂行しないで、かえって違法白トラの助長になるような名義貸しを行うということは、額に汗しないで利益を得るということでありますので、私どもとしては、いろいろな違反の中でも特に名義貸しについては厳重に処理していきたい、かように思っておりますし、処分に当たりましても、免許の取り消し等も現実に行っておるわけでありますが、処分の段階におきましても、重い処分を考えて対処していきたい、かように思っております。
  62. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  63. 増岡博之

    増岡委員長 午後一時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時八分開議
  64. 増岡博之

    増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐野進君。
  65. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣が三十分ほどおくれるということでありますから、質問の順序を若干変更いたしまして、最初に、都市交通問題について若干の質問をしてみたいと思います。  きょうは鉄監局長、自動車局長、官房審議官、それぞれそろっておりますし、さらに自治省から公営企業第一課長も来ておるようでございますので、最初は航空局長に聞きたいと思ったのですが、これは後に回しまして、これらの方々を中心にして質問をしてみたいと思います。  今日の都市交通行政の中で特に重要な問題は、いわゆる通勤圏の問題であろうと思うのでございます。五十キロ圏と言われる大都市、特に首都圏を中心とする交通機関の整備充実は、今日の都市生活を営む首都圏に住む多くの人たちにとって最大の関心事となっておるわけであります。そしてまた、そのことに対応するがごとく、各種審議会における答申を初め、当局においてもそれぞれこれらに対応する具体的な対策をつくられつつあるわけでありますけれども、今日の交通情勢全体を見てみるとき、特に通勤問題を中心にしてこれらの交通問題を見るとき、ラッシュ時における混雑あるいはまた特殊の地域におけるところの集中的な状況等々が反映し、この通勤圏問題は非常に大きな課題となりつつあるわけであります。  しかも、これに対応して立てられた対策が、それぞれの地域におけるところの事情等もこれあり、その計画どおり進展を見ていないことはもう御承知のとおりであり、ここ数日来報道されておりまするように、いわゆる鶴見新線と申しましょうか、それを初めとする湘南地域あるいはまた成田を中心とするところの北総地域さらにまたその他等々、数え上げれば数限りない課題が残されておるわけであります。  しかして、これらの問題に対して当局は、いわゆる反対運動が存在する、その理由についていまここで議論をする時間的余裕はございませんが、そういうことを一つの言いわけと申しましょうか条件と言いましょうか、そういうことによっていたずらに日を送っているような印象を深くするわけでありまするが、これらの問題についてそれぞれどのように対応されておるか、特に官房審議官、鉄監局長の見解をお伺いし、また自動車局長の所信もこの際お伺いしておきたいと思います。
  66. 真島健

    ○真島政府委員 都市交通問題これは運輸省の幾つかの課題のうちでも最も重要な課題だとわれわれは考えております。高度成長に伴いまして、大都市における非常な人口集中がございます。その中で、やはり通勤通学時の混雑の緩和、これが一つの非常に大きな課題であるというふうに私ども認識をしておりまして、これを中心に都市交通機関の整備充実という観点で施策を進めてまいっております。  何と申しましても、都市空間は限られておるわけでございます。しかし通勤通学者は非常に多い。したがって、この都市空間の効率的な利用最大限に図る必要があるという観点から、都市高速鉄道あるいはバスといった大量、中量の公共交通機関の輸送力の増強、これを基本方針といたしまして、さらに警察庁その他関係省庁と連絡をとりながら、バスレーンの設定その他ソフト面での交通混雑の緩和ということを従来実施してまいりました。都市高速鉄道につきましても、その建設につきまして、財政助成の方向を従来から次第に強めてまいっておるわけでございまして、官房といたしましては、そういうふうな観点から、さらにこういう方向の施策を強力に推し進めてまいりたい、基本的にはそう考えております。
  67. 住田正二

    ○住田政府委員 都市通勤の問題の解消の決め手といいますか、やはり一番大きな役割りを果たすのは鉄道ではないかと考えております。鉄道の場合、地下鉄と郊外の鉄道と両方あるわけでございます。いま御指摘のように、確かに計画どおり進捗していないわけでございますけれども、これには幾つかの理由があるわけでございます。  まず第一に、やはり現在のような社会情勢から言いまして、こういう計画を行うに当たって地元と十分話し合いをする必要があったのではないか、計画が先行して地元との話し合いがおくれてしまったために、かえって無用の摩擦を生じて進捗していないというのが一つ原因ではないかと思います。  それに関連いたしまして、現在、輸送力増強というようなことで複線化工事あるいは複々線化工事をやっておりますけれども、こういうような事業は都市計画事業の一環として行われておるわけでございます。都市計画事業をやります場合には、やはり都市側の意向というものが強く反映されるわけでございますが、そういう都市計画事業についても、やはり地元との関係でいろいろトラブルが起きている。現在進んでいない大きな原因としては、むしろこの都市計画事業の問題があろうかと思います。  それから、三番目の問題でございますけれども、これは特に東京問題でございますが、営団地下鉄の場合には、財政的にもかなり基礎がしっかりいたしておりますので、建設工事を進めるに当たりまして財政上の制約はないわけでございますけれども、御承知のように東京都の場合には、東京都の財政が非常に逼迫しておりますし、また交通局の損失、欠損というものが巨額になっておりますので、そういう面からの制約が出ております。  そういうようないろいろな制約があるわけでございますが、私どもとして、そういう問題について積極的に対処していかなければならないわけでございますけれども、いま申し上げましたような理由から言いまして、私どもが幾ら号令をかけても、なかなか解決しない問題が多いわけでございます。そういう点で、先生の方からごらんになりますと御不満を持たれるかと思いますけれども、私どもとしては私どもなりの努力はいたしておるつもりでございますけれども、むしろ都市側あるいは東京都の財政問題、そういうちょっとわれわれの手の届かないような問題が多いものですから、弁解がましい話でございますけれども、そういうような理由が大きいということで御了承いただきたいと思います。
  68. 中村四郎

    ○中村政府委員 先生御案内のように、私どもの担当しておりますバス輸送は、きめの細かいサービスを提供する輸送機関ということになっておりまして、都市交通にお幸ましても、地下高速鉄道あるいは通常の高速鉄道を根幹とする有機的な交通網の中でバス輸送というものも位置づけられておるわけであります。  しかし、最近のバス輸送におきましては、若干輸送量等の減少を見ておる。そこで、私どもとしては、信頼性の回復ということを申しておりまして、要するにバス輸送に魅力を持たせよう、こういう考えてございます。  そのためには、やはり基本は経営の能率化でございますが、交通環境の整備、これはバスレーンの問題あるいは鉄道駅における乗り継ぎ施設の問題あるいはバス車両そのものの低床式広ドアの問題、試みに実施しておりますバス・ロケーション・システム、いろいろな試みを見ながら、われわれとしては、バス輸送に魅力を持たせて国民の信頼をかち得よう、こういうことをやっておるわけでありまして、若干面が違いますが、新住宅地バス路線というような新規の需要に対しましても助成等を行って、その路線を維持していく、こういう考えも持っておりまして、われわれとしては、やはりきめの細かい輸送を担当するバス輸送の使命にかんがみまして、都市交通の中において役割り分担を十分果たせるように努力していきたい、かように思っております。
  69. 佐野進

    ○佐野(進)委員 基本的な考え方はそれぞれいまお伺いしました。  そこで私は、いろいろ考えておるわけでございますけれども、問題は大都市交通、首都圏を中心でございますが、これは関西においても同様あるいは北九州その他の地域においても同様であろうと思うのでありますが、何としても基本交通機関としてのいわゆる地下鉄なりあるいは国電なりそれぞれの輸送機関、いわゆる鉄道・軌道輸送機関を中心として、さらにバス路線がそれに補強されて大都市交通におけるところの交通難の打開、それが行われていくということになろうと思うのでありまするが、しかし、これは御承知のとおり、国有ありあるいは民有あり、さらには公営ありという形で、それぞれふくそうされた条件の中でそれぞれの役割りを果たしておるわけであります。  したがって、それぞれの役割りを果たす過程の中で、それぞれ同業間におけるところの調整も必要になってまいりますし、特にいま鉄監局長の御指摘になりましたように、それぞれの都市におけるところの行政上の措置を経ずしてそれらの計画を実行することはでき得ないし、さらに地域住民の理解と協力を得ずしてはこれまたでき得ないという錯綜した条件が存在しているわけであります。しかし、利用する人たちの立場に立ってみれば、それらの問題を乗り越えていま現実にこうなっておることをどうするのか、こういうことになってくるわけでありまして、それにこたえることが行政の責任であり政治の責任であるとするならば、われわれは一歩進んで、それらに対応することのできる状態をつくり出していくことが必要ではないかと判断されるわけであります。  そこで、これは官房審議官に聞くことがいいのか、あるいは新聞辞令によりますと、もう鉄監局長は何々であり、自動車局長は何々であるなんて出ておりますが、ここで言うと差しさわりがありますから、余り具体的な名前は言いませんが、そうなりますと、それぞれ重要なポストにおいてそれぞれの問題を処理する立場に立たれるようであります。  そこで、再び三者にお伺いしておきたいと思うのでありますが、こういうものは一元的に処理することのできる機関をやはりつくる、これはその行政単位の中でつくるのか、あるいはそれを乗り越えた内閣という状態の中で審議会組織としてつくるのか、そのいずれがいいかということになれば、もちろん内閣全体としての立場でつくることが必要ではないかと思うのであります。少なくとも都市圏の交通審議会、大都市圏という表現がいいのか、あるいは都市圏という表現がいいのかわかりませんが、今日、最大の課題となっておる都市交通行政の中におけるところの五十キロ通勤圏を初めとするそれぞれの地域の実情に相対応したそれぞれの問題を抜本的に処理することのできる大型審議会、こういうものを設置する必要があろうと判断するわけでございますが、三人の方々から、それぞれ私の認識について御見解を賜りたい。
  70. 真島健

    ○真島政府委員 たとえば首都圏の交通審議会というようなものをつくって、そこで一元的に諸問題を審議した方がいいのではないか、こういう御意見かと思います。私ども、実は地下高速鉄道あるいはその他の高速鉄道も含めました鉄道について、運輸政策審議会の中に都市交通審議会を換骨奪胎いたしまして部会を一つ持っております。この運輸政策審議会の都市交通部会、これはもちろん全国的な問題をそこで論議をするわけでございますけれども、具体的にたとえば東京、たとえば大阪という場合には、東京におきまして関係の方々にお集まりを願いまして、そこで練り上げましたものを、中央の運輸政策審議会の都市交通部会においてオーソライズしていく、こういう方式が一つあるわけでございまして、そういう意味では、先生の御提唱の趣旨も、この運輸政策審議会の都市交通部会、これを適切に運用することによってある程度満足がいただけるのじゃないか、このように考えております。
  71. 住田正二

    ○住田政府委員 いま官房審議官からお話ございましたように、運輸省の組織といたしましては、運輸政策審議会の中の都市交通部会でこの問題を扱うというたてまえになっているわけでございます。私の個人的な意見でございますが、確かに大都市通勤圏、のみならず各地方都市においてもいろいろ交通問題が起きているわけでございます。これまでの交通問題の対処の仕方は、運輸省が指導権を握って計画をつくってやっていくというようなやり方をとってきたわけでございます。  もちろん、これは政府としていろいろ調整の必要があるわけでございますから、そういう機能を果たすことは今後とも必要だと思いますけれども、それより前に各都道府県が自分の責任においていろいろな計画をつくる。それも鉄道の場合には多ければ多いほどいいということにはなるわけでございますけれども、しかし、計画を責任を持ってつくるということになれば、当然裏づけの財政問題その他もあるわけでございまして、どういうような都市交通整備したら、最も住民の福祉にこたえられるかということで、まず県がいろいろ案をつくってその上で調整する。もちろん東京のような大きなところであれば、各県が持ち寄っていろいろ調整する必要があると思いますけれども、従来のように政府の方で一方的につくっていくというやり方では今後は済まないので、むしろ関係の都道府県が主体となっていろいろ計画を練って、その上で政府が調整していくというやり方の方が実現性も高いし、むだな投資も省けるのではないかというように考えております。これは全く個人的な意見でございます。
  72. 中村四郎

    ○中村政府委員 私も、運輸省に都市交通審議会がございましたとき、そのときにタッチしていた経緯がございますので、先ほど審議官が御答弁申し上げましたように、現在は運政審の中にございますが、もう少し格の高いそういった審議機関ということについては私、積極的にとらえておるわけであります。しかし、そういったときの経緯等を見ますと、やはり実行できるような計画ということになりますと、その裏打ちと申しますか裏づけが、そういった審議会自体になければプランだけに終わってしまうというような感じがいたしますので、そういったことができるような審議機関というものにつきましては、それはあった方がいいのじゃないか、これは個人的にそういう感じがいたしております。
  73. 佐野進

    ○佐野(進)委員 もちろん質問が唐突ですから、個人的見解で結構でございます。私は、お二方が前向きにそれらの問題をとらえて対処されるということについては、大いに意を強うしておるわけですが、官房審議官、あなたの担当だからもっと積極的な答弁をしてくださいよ、これからいろいろ質問するけれども。  そこで、いま鉄監局長からお話があった問題について、これは審議官にその見解を聞いてみたいと思うのですが、要するに、これらの問題を大所高所の立場からあるいは政府直接あるいは運輸省がもっと積極的な形の中で審議会をつくるとしても、結果的にそれぞれの都道府県ないしそれぞれの地方圏の中において対応する措置が必要だということは当然だと思うのです。  したがって、審議会問題については、いまの見解で一応満足するといたしまして、そうであるとするならば、それぞれ都道府県段階において何を設置するのかということになってこようかと思うわけであります。結果的に地域住民の声が交通行政の中に都道府県段階で反映され、それが政府に反映されてくる形の中で、政府の方針と都道府県段階における地域住民との関係が円滑化され、結果的にそれぞれの計画を実行する上にきわめてプラスの要因として働いてくる。それは今日置かなければならない情勢になっている。われわれは、それらの問題については、いわゆる地域における交通委員会制度、これは中央においては、いま言った審議会の問題と関連いたしますから、しばらくおくといたしまして、地域においてそれぞれ交通問題を専門的に取り扱う交通委員会制度なるものを、それぞれの都道府県段階あるいは大きな市において設置させるというようなことはきわめて適切な措置ではないかと、いまの鉄監局長の個人的見解だとは言いながら、判断するわけですが、官房審議官の見解及び自治省はこれについてどう判断されておるか、公営企業課長の答弁をひとついただいておきたいと思います。
  74. 真島健

    ○真島政府委員 各地方都道府県段階でそういったような委員会あるいは審議会、これが必要な時期に来ているのではないか、こういう御指摘でございます。確かに私どもも、これからの交通問題全般をながめますときに、都市交通と言わず全体の交通政策を展開する上で、いままでのように非常にマクロに上から計画あるいは何かそういったようなたぐいのものを出していくということよりも、地域に密着した、地域の方々がこうしたいのだという声を十分に反映しなければうまくいかないのじゃないか、こういう感じは非常に強く持っておるわけでございまして、そういう意味では、先ほど鉄監局長からも申し上げました都道府県段階における何らかの、審議会ということになるのですか、委員会ということになりましょうか、都道府県段階でそういうものが生まれ、適切に運営されるということは非常に結構なことではないか、このように思っております。
  75. 金子憲五

    ○金子説明員 交通一般の問題について交通委員会制度をつくるかどうかにつきましては、どちらかと申しますと、運輸省の所管事項であろうかと思いますが、私ども自治省といたしまして関係しております。たとえば僻地におきます過疎バスあるいは新住宅地においてのバス路線、こういったような問題につきましては、運輸省の方にいろいろ要請をいたしまして、年々補助制度の拡充を図っていただいておるところであります。  それからさらに、公共輸送機関であるバス、これが大都市において運行が非常に困難になっておるという状況がございますが、これにつきまして、警察の協力を得まして優先レーンあるいは専用レーン、駐車規制等の措置を行っておりますが、これも警察の方と協議を行ってやってきております。  このような個別的な問題につきましては、私ども国の段階においては個別的な協議でやっていく方が適当ではないかというふうに思っておりますが、地方の段階におきましては、先ほどお話のございました総合計画あるいは部門別計画としての都道府県で行われる計画につきましては、多くの場合には審議会といったような形式で行われているものが多いのではなかろうかというふうに思っております。  その他の問題につきましては、その項目ごとに協議によるのが適当であるのか、あるいは審議会の形式によってやっていくのが適当であるのか、問題ごとに違うかと思いますが、現在におきましても、それぞれ実情に応じて措置を行っておるというような状況ではないかというふうに思っております。
  76. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは次に、業務部長質問をしてみたいと思うわけでありますが、まずその前にもう一点、要するにこういうことはどうなのかということで、これは鉄監局長にも関係するか、あるいは関係しないで官房審議官になるのかわかりませんが、いわゆる今日の交通情勢の中で、先ほど局長からお話もございましたとおり、大都市交通の中における公営交通はきわめて厳しい情勢の中でその運営をされておるわけであります。結果的に申し上げますならば、その累積の債務がその事業体全体の運営に重大な影響を与える。特に今日の地方財政の赤字は、さらにその運営に対する大きな負担となってあらわれ、結果的には行うべき事業も行えないという形の中で大都市交通問題に対する大きな阻害要因になりつつあることは御承知のとおりであります。  したがって、国有鉄道に対しては、いわゆる不良債権なるものについてはたな上げ措置がとられておる、都市交通についても、それぞれ地方財政の中で一定の処理はされつつあるわけでありますけれども、むしろこの際、積極的にそのような処置をすることによって今日の都市交通行政、なかんずく公営交通の問題に対してその解決を図るべきではないかという声が非常に大きく出ておるわけでございますが、この点についてそれぞれひとつお答えをいただきたい。
  77. 住田正二

    ○住田政府委員 公営交通の財政問題でございますけれども、私どもが所管いたしております地下鉄を経営しておるものとして大阪名古屋、横浜、札幌、東京等があるわけでございますが、一般的に言いますと、全部が悪いというわけではないわけでございます。もちろん大きな黒字を出しておるという状態でございませんが、適時適切な運賃値上げがあれば健全な経営が維持できるというように見ておるわけであります。  ただ東京都の場合は、これは別格でございまして、運賃を幾ら上げても運賃収入では人件費も賄えないというような情勢にあるわけでございます。一方の営団地下鉄の方は、同じ運賃で本年度は三十億近い黒字を出している状態でございます。したがいまして、東京都の交通局をどうするかというのは、むしろ運輸省の問題ではなくて、やはり自治省の方で公営企業をどうするかという観点から御検討いただく問題ではないかと思います。  地下鉄に限定した話でございますが、公営企業であるからすべて体質が悪いということでは決してないわけでございます。
  78. 佐野進

    ○佐野(進)委員 自治省から後まとめて答弁をいただきますが、いまの鉄監局長の答弁に関連して質問を続けてみたいと思うのですが、私は、御承知のとおり東京都の出身議員でありますし、いわゆる営団地下鉄とさらに都営地下鉄との関連の問題もよく知っておる者の一人だと思うのであります。したがって、いま局長の答弁された内容について議論してみようとは思いません。ただ、その前提条件がいろいろな事情の中で差があるということは、局長はもちろん御理解の上でそう答弁しておると思うのであります。  そこで私は、これに関連して、自動車局長がちょっとおりませんから後に回しまして、鉄監局長に最初に聞いておきたいと思うのでありますが、たとえば今度自治省、運輸省、大蔵省が、それぞれの調整の上に、営団地下鉄の関係等これあり、都市交通における地下鉄事業、特に公営地下鉄事業に対する全体的な補助の立場において、六六%の補助率を七〇%に引き上げたということについては評価するにやぶさかではないのでありますけれども、しかし、それが二分の一、二分の一という形で、しかも期間を六年から十年にした、こういうような形の中で、結果的にその効果を非常に大きなマイナス要因にしてしまった、こういうようなことが言われておるわけでありますが、私は、この際、この期間問題、いわゆる期間の十年をさらに六年に短くするとか、あるいは二分の一、二分の一を、国三分の二、地方三分の一にするとかという措置の中で、いま少しくその持っておる特殊な条件を基礎にいたしまして判断し、措置を変更していくべきではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、鉄監局長の見解をこの際聞いておきたいと思います。
  79. 住田正二

    ○住田政府委員 御質問二つございまして、一つは、従来の交付期間六年を十年に延ばしたというのは適当でないのではないかという点と、国と地方公共団体の持ち分を、従来の二分の一ずつから国三分の二、地元三分の一に変えたらどうかという二つの御質問だと思います。  まず、第一点の問題でございますけれども、現在の地下鉄建設に対する助成の仕組みでございますが、建設費の方は地方債で全額賄っております。同時に、従来ですと六年に分けまして国が金を出しております。したがって、最初六年間というのは金がダブってしまうわけでございます。資金的には非常に余裕ができてしまう。この余裕というのは、必ずしも理由のある余裕じゃなくて、二重に金が出ているということによって生ずる余裕でございます。したがって、六年間たちますと、急速に資金需要が悪くなるということになって、六年目までは楽々の状態が資金的に非常に逼迫してしまう、これは非常にまずいのじゃないかという反省があるわけでございます。単に従来の六年を十年に延ばすということになりますと、助成が改悪されたのではないかということになりますので、今回は御承知のように助成率も上げましたし、それから助成の対象範囲も拡大をいたしましたので、この機会に実情に合わせて六年を十年にした方が資金的な安定を図れるということでそういう措置をとったわけでございます。  二番目の助成を行う場合の国と地方公共団体の負担割合の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、地下鉄というのは、大都市通勤あるいは大都市住民の足の確保という任務を担当いたしているわけでございまして、一次的に言えば、地方公共団体が住民の福祉を図るために必要な施設であるというように考えるのが妥当であろうかと思います。そういう意味で各大都市が公営事業として実施しているわけでございます。したがって、国はもちろん利害関係も有するわけでございますけれども、一次的にはやはり地方公共団体の問題である。したがって、地方公共団体のやる事業について国が応援するというのがたてまえ、筋ではないかというように考えているわけでございます。そういうことで従来二分の一ずつやっておったわけでございますけれども、今回もやはり従来と同じような考え方で二分の一、二分の一という率を踏襲したわけでございます。国の事業であるということであれば、また分担率も変わってくると思いますけれども、こういうような事業は一次的には大都市住民の福祉の問題であって、都道府県あるいは大都市の行政の範囲の業務であるというふうに認識いたしているわけでございます。
  80. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣も見えましたし、このような問題については、まだ幾つもあるわけでございますので、総括的に一応都市交通問題について質問して、次の問題に入りたいと思います。  そこで、鉄監局長と自治省にお伺いしたいわけでありますが、それらの考え方の基本を私どもも理解しておるわけでございますけれども、今日、地方財政の危機はきわめて深刻であることは御承知のことでありますので、国の面からもさらに検討を加えていただきたいという要望を申し上げたいと思います。  それからもう一つ、地下鉄で、たとえばいまお話のございましたとおり、営団は非常に黒字である、あるいは大阪も古い交通、地下鉄を持っておるから、ある程度条件は新設路線に比べればいい、こういうようなことが言われるわけであります。しかし、いずれにせよ、これらの改良事業というものも、今日また非常に大きな負担になりつつあることは事実でありますので、地方財政全体の赤字、さらにはまた企業体としての赤字に関連して、この改良事業に対しては対策が非常におくれている、サービスに対しても重大な影響を与えるという条件も大阪等においては出てきつつあるというようなことを聞くわけでありますけれども、これらの改良事業に対してどう対処していくべきか、この点もう一度聞いておきたいと思います。
  81. 住田正二

    ○住田政府委員 地下鉄の助成に当たりまして、建設のみならず改良工事についても対象にすべきではないかということで昨年来いろいろ検討を加えてきたわけでございます。確かに御指摘のように、東京の場合ですと、霞ケ関の駅であるとかあるいは赤坂見附の駅であるとか、また大阪の方でも大きな改良工事を計画あるいは実施いたしているわけでございます。  ただ、私どもいろいろ検討いたしました際に、改良をやっております路線ごとの収支を調べてみたわけでございますが、大阪の例をとりますと、大阪の一号線というのは、お客さんが非常に多くて、昨年度でも年間百億以上の利益を上げているという状況でございます。したがって、改良工事を必要するといういうことは、お客さんが非常にふえるということでそういう必要性が生ずるわけでございますので、そういう改良工事をやっても路線の経営には大きな影響を与えないというように考えられますので、そういう意味で改良工事を助成対象にすることは、いまの段階では妥当でないのではないかという結論に達したわけでございます。
  82. 佐野進

    ○佐野(進)委員 これは検討課題としてひとつ検討を続けておいてください。  そこで、自動車局に質問したいと思うのでありますが、これらの問題と関連いたしまして、直接的に今日、路面交通事業の状態は各事業体とも、それぞれ交通渋滞等々の関連から大変経営難に陥っていることは御承知のとおりであります。なかんずく公営交通においては、それらの問題が深刻な課題になっておるわけでありますが、先ほど自動車局長からの答弁にありましたように、あるいは自治省からの答弁にありましたように、新しい状態に対応する運輸行政として、それぞれ自動車行政が展開されておるということについては、私どもは評価するにやぶさかではございません。特に過疎地帯に対する補助あるいはまたバス購入費に対する補助、さらには新住宅団地等に対する補助等々適切なる措置をとりながら、地域住民の福祉を守っていっておられるということについては評価するわけでございますが、なお、これらについては、いわゆる行政路線問題、さらにはまたバス事業の運営費の一部補助を行うこと等に対する都市交通整備調査会からの第六次の提案等々、幾つかの新しい事態に対応する、路面交通事業、なかんずくバス事業に対する支援をすべきであるという声がほうはいとして起こりつつあるわけでありますが、自動車局は、この行政路線問題あるいは一部補助の問題についてどう理解し、処置をされようとしておるか、前向きの答弁をいただきたいと思います。
  83. 梶原清

    ○梶原政府委員 先生御指摘のとおりに、最近におけるバス事業は、都市におきましては、自家用自動車の増加、交通渋滞の激化、地方におきましては、同様に自家用自動車の増加と過疎化の進展によりまして、バス事業が非常に苦しい経営を余儀なくされておるところでございます。運輸省におきましては、ただいま先生御指摘の地方バス路線維持費国庫補助金制度を創設いたしまして、従来から補助をいたしておるところでございますが、また四、五年前から新住宅地バス路線開設運行費補助金を設けまして、補助を続けておるところでございます。特に問題として御提起になりました公営バスの問題についてでございますけれども、自治省におきまして、再建債に対する利子補給とか車両購入費に対する補助につきまして、従来から助成措置が講じられておるところでございます。このほか、私どもといたしましては、第一に公営バス事業者による路線再編成等による経営の合理化、これをまず進めていただきたい。その次に自家用自動車は非常に利便性が高いわけでございますが、この自家用車からバスの方へお客を吸収すると言いましょうか、利用しやすい、また利用してもらえるようなバスの状態というものをつくらなければいけませんので、いろいろの輸送施設を整備いたしまして、輸送バスサービスを改善、向上していきたい、これが第二点でございます。  第三点としまして、バス優先レーンの拡充とかそうした道路交通環境の整備をする、また適正な運賃水準の確保を図る、このようなもろもろの助成措置を講じまして、公営バス事業の経営健全化に努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  84. 佐野進

    ○佐野(進)委員 業務部長、勉強しておられるから熱心に答弁をされるのだけれども、時間がなくなってしまうので、大変恐縮だけれども、ポイントだけひとつもう一度答弁していただきたい。  それから自治省の方で、これは答弁は要りませんけれども、いままでお聞きになっておられた内容について十分ひとつ検討を続けられるよう強く求めておきたいと思うわけであります。  いま業務部長にお尋ねをしたのは、行政路線問題については基準づくりがもう進められておるということになって、具体的な措置としてさっき言った幾つかの問題があるわけですが、これはいつごろそういうような問題について結論が出されるような状況になるのか、あるいはなかなか出せないのか、この点をひとつお聞かせいただきたい。  それから二つ目は、いわゆる運営費の一部補助については、都市交通整備調査会から第六次提案がなされておるのですが、これをどのように受けとめておられるか、この点ひとつ簡単にお答えをいただきたい。  それからもう一つは、いまお話のあった交通環境ですが、これの整備については、これは要望ですが、積極的にひとつ対応していただきたい。  前の三点についてお答えをもう一度承っておきたいと思う。
  85. 梶原清

    ○梶原政府委員 お答えをいたします。  まず、行政路線問題でございますが、これは自治省におきまして、従来から鋭意検討、協議を加えられておるところでございまして、問題は行政路線の基準づくりというところに問題があるわけでございまして、関係の労働組合との間におきまして鋭意折衝も進められておるところでございます。私どもとしましては、従来からの補助制度との整合性等の関係もございますので、関係省庁と十分連絡をとりまして、全体的な補助制度の枠づくりを急がなければいけない、かように考えておるところでございます。  それから、第六次の提案がございました内容につきましては、十分承知いたしておるところでございますが、これまた自治省におきまして鋭意検討されておるところであろう、かように考えるわけでございます。
  86. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、大臣が来られましたので、時間が若干足りなくなりましたけれども、問題質問をしてみたいと思います。  成田空港の開港に伴うアクセス問題については、きわめて大きな問題として、開港前から大きな論議を招いておったわけであります。しかし今日、開港後における情勢として、新聞報道等において積み残しがあったとかあるいはどうだとかこうだとかという議論が大変多いわけでありまするが、航空局長に、現在の状況がどのようになり、将来どのように見通されるか、簡単で結構でございまするから、その状態をひとつ報告していただきたい。
  87. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えします。  成田空港開港後のアクセスの問題は、当初予想したほどの混乱は起こっておりません。この一番大きな原因は、恐らく空港自体の保安体制の問題から見学者、送迎者等まだ制限いたしております。このために空港を往復する数が少ないものですから、それもかなり原因をしておると思いますけれども、従来までのところ大きな混乱はございません。  いま御指摘のように、一部リムジンバスを、成田−箱崎町間で非常に予想以上にお客さんが乗るものですから、あちらの方にお客を運ぶべくバスを回してしまったら、東京都内のホテルと連絡するバスが足らなくなったというようなことがあって、一部混乱は起こりましたけれども、これはこれで手当てをいたしまして、さしたる混乱は起こっておりません。
  88. 佐野進

    ○佐野(進)委員 将来どうですか。将来、いまの状況からするとアクセス問題はそう心配ないと断言していいということですか。
  89. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私は、大変残念ながら心配をいたしております。それは見学者、送迎者等が全部フリーになった状態におきまして、特に夏の海水浴シーズンにおきますところの海水浴の帰りのお客東京へ向かってくるお客と成田空港からおりて東京へ向かうお客がぶつかる七月、八月の夕方の交通は相当問題があろうかと思います。この場合には、ほとんど路面交通の問題でありますので、航空旅客なり航空関係のお客さんをできるだけ国鉄なり京成に誘導いたしまして、物量的には間に合うわけですから、なるべく道路を利用なさらぬようにその期間だけは鉄道に誘導するということをすれば、ここ一、二年の混乱は避けられると思います。その後につきましては、たとえば地元から要望がありますところの成田線を東京国際空港の地下まで臨時的に入れる話ですとか、あるいは湾岸道路の高架部分を早くつくるとか、こういったことによりまして解決は可能であると考えております。
  90. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、これらの問題を中心にして若干の質問をしてみたいと思うわけでありまするが、鉄監局長にお尋ねをします。  いわゆる成田新幹線なるものは、成田空港開港に伴う関連の新幹線としてこれが計画せられ、その実行によっていわゆるアクセス問題の大きなネックは一つ解消される、こういうことで大きく打ち出されておったと思うのでありまするが、今日ではその問題が何だか全然消えてなくなったような感じがするのですが、この成田新幹線問題は消滅したのか、あるいはそうでないとすると、これは一体どういうようなところに置かれているのか、この点ひとつお答えをいただきたい。
  91. 住田正二

    ○住田政府委員 成田新幹線につきましては、現在、成田線と空港の間の用地買収あるいは構内の工事をやっております。その他の地域につきましては、御承知のように、地元の反対が強いために現在中断している状況でございます。  申し上げるまでもなく、こういう大きなプロジェクトにつきましては、先ほども申し上げましたように、やはり地元との間に十分話し合いがないと進まないということではないかと思います。  この問題に関連いたしまして、地元の千葉県知事から、通勤線と成田のアクセスとを共用した新線をつくったらどうかという提案といいますか要望が出ております。この構想は、現在、工事をやっております成田線との交差部から成田ニュータウンの北を通り千葉ニュータウンを通って、その後、現在工事をやっております北総鉄道、さらには京成に乗りまして一部は上野に行く、一部は現在計画されております八号線に乗せまして東京駅に持ってくるという構想でございます。この構想にはいろいろな方が関係いたしているわけでございます。千葉県、東京都、国鉄、鉄建公団、宅地開発公団、京成、北総鉄道という関係者が非常に多いものですから、果たしてこういう構想が成り立つかどうかということで、昨年来協議会を設けまして、この構想が実現できるかどうかということについていろいろな角度から現在検討いたしております。この検討を待って将来新幹線をどうするかということを決めたいと考えております。
  92. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣、まだ座ったばかりでのみ込めない状態だろうと思うのですが、いまの問題について聞きたいのですが、要するに成田新幹線というのがもし通れば、これの一番問題は、何年も前に、十年近く前にこの計画は発表されておるわけですから、そうむずかしい問題でなく処理されると思うのですが、ところが昨年の十一月、前田村運輸大臣がやめる直前、もうやめる四、五日前か二、三日前か、成田空港の開港時期を決定すると同時に、この問題についていま鉄監局長が説明されたような新線構想を打ち上げたわけですね。それで打ち上げたままやめてしまったわけです。  そこで、あなたは当然、その後申し送りを受けておられると思うのでありまするが、各地に大きな波紋を描いておるわけですね。実際上の問題としては広軌であるとか狭軌であるとか、いわゆる軌道上の問題その他いろいろな問題で、これはなかなか実行不可能であろうという見解が、それぞれの地域の中で充満しているような状況なんですね。しかし、その構想が発表されると、これは非常にいいことであるということで、また積極的に推進している面もあるわけで、大混乱を招いているというのが現実の状態だと思うのです。  そこで、技術的な面についてはこれから鉄監局長にお尋ねしたいのですが、運輸大臣として、新幹線計画とこの新線計画とをどのように判断され、どういうぐあいに推進していこうと位置づけられておるのか。この二つ以外に東京−成田間における軌道によるところのアクセス問題解決の道はないと御判断なされるか。この三点について大臣の見解をお伺いしておきたいと思います。
  93. 福永健司

    ○福永国務大臣 率直に申し上げまして、あなたがいまおっしゃったとおり、私、十分のみ込めていないのでございます。のみ込めてないと言うと、頼りない話のようでございますけれども、成田の開港にいたしましても、少し間違えると長い間とても容易なことじゃないというごとく、このアクセスの問題も片一方だけから話を聞きますと、至ってうまくいくかのごとくでございますけれども、立場の違う人から聞くと、なるほどそういうことがあるかということのようでございます。  したがって、いまたとえば新幹線考え方と田村構想というか新高速鉄道と申しますか、そういうようなものにつきましても、どちらにするかということは私、正直言って決めかねております。決めかねておるということは、優柔不断であるということではございませんで、いまの状況でどちらと簡単に言えるようなことではとてもございません。  そこで、問題は急ぐわけでございますから、急いでやらなければならぬけれども、同時に、どうもあの周辺の問題は急いでやって、かえって時間がかかるということももうすでに経験をいたしております。  そこで、正直に申しまして、いままでのところ空港を開港することの順序といたしまして、まずこれをと考えておりましたが、いまやその次に解決しなければならない問題幾つかございます。ただいま御指摘の問題もその一つであると思うわけでございます。率直に申しまして、私自身どちらであるべきだとまでは思っておりません。話を聞きますと、ややそのうちのどっちかにつきまして自分なりにこうかなというような感じを受けていることもございますが、まだそれを思い切って言うほどの自信も実はないわけです。でございますけれども、急いでやらないとこの問題はいけませんので、開港も済んだことでございますけれども、これとてもたくさん問題がございますが、このアクセスとの関連でいま迷っている、正直そうでございますけれども、いつまでもそんなことを言っちゃいられません、できるだけ急いで対処いたしたいと考えておる次第でございます。
  94. 佐野進

    ○佐野(進)委員 田村前大臣がばっと出した問題だから、それが悪いとも言えないし、新幹線構想も今日まで長い間の懸案ですから、もうこれをやめるよとも言えないでしょうから、そういう答弁にならざるを得ないと私は思うのです。しかし、田村構想なるものが千葉県知事との話し合いで推進すべきだと決まったとするならば、千葉県側においては少なくともその構想を実行するだけの必要なる手段を——特にこの場合においては新幹線を重複する部面もたくさんあるわけです。したがって、それを採用することについて、たとえば松虫から先ですか、小室から先ですか、これは新幹線の路線上を走っていくということですから、そこいらは千葉県が賛成しているということになるならば、いずれにせよ反対はないわけですから、これは早急に対策を立てるべきではないかと考えるわけです。  さらに、その問題の前提として、たとえば西船橋から地下鉄五号線は勝田台に行くのを、免許を営団に与えていたのを京成に与えかえて、これを成田空港と通勤用と関連して使うのだとか、その他いろいろな案が出てきているわけですね。十号線については、もはや財政事情があれだから、これをやめて、この新線建設をもって通勤線にするのだとか、これは鉄監局長にこれからお答えをいただくのですが、これら出ている幾つかの問題は、そのとおりの単なる情報だけの場合もあると私はあると思うのです。新聞報道がそのまま正しいなんとは考えないのです。しかし大きな混乱を招くと思うのです。混乱を招くような情報を、運輸省筋の発言によればなんという形でどんどん流されるのは、地域の住民にとっては大変大きな迷惑だと思うのです。  それらについては統一的な形で、たとえば新幹線構想は、田村構想が実現する場合は、消滅するのだというなら消滅するようにはっきりして田村構想を出してもらわなければならぬし、新幹線構想をやるのだということなら、田村構想をいたずらに出すような形を運輸省が推進するようなことはしないでもらいたい、これは当然のことじゃないかと思うのです。あるいは大都市交通圏の中におけるいわゆる五十キロ圏、冒頭私が質問したような形の中で必要だというなら必要だということでの一つの明確なる方針を出してもらって地域住民に対応してもらいたい。これは私、当然のことではないかと思うのですが、鉄監局長、どうですか。
  95. 住田正二

    ○住田政府委員 いま先生から御指摘がございましたように、東京と千葉の間の交通問題についていろいろな案が出ているわけでございます。  先ほども申し上げたわけでございますけれども、千葉県自体として一体どう考えているのかということを、昨年来千葉県側に申し上げているわけでございます。いま先生からお話がありました以外にいわゆる京葉線の旅客化の問題もございます。また現在、総武線の複々線化もやっております。いろいろな問題があるわけでございまして、すべての問題を一時に取り上げるわけにもなかなかまいらないわけでございます。千葉県として一体何を一番望んでいるのか、千葉県側としてもどうしてもらいたいのかということが、われわれとしては一番聞きたいことでございます。  いま田村構想ということで出ておりますけれども、先ほども申し上げましたように、新幹線についてはもともと千葉県知事が非常に強い反対をしておられるわけでございまして、それが新幹線を進める上の大きなネックになっているわけでございます。千葉県知事としては、先ほど申し上げましたような形の提案、要望が出てまいりまして、それではひとつ検討してみようということでいま検討をいたしておるわけでございます。この問題も、先ほど申し上げましたように、関係者が非常に多いわけでございまして、図面の上では簡単に書けますけれども、そう簡単に実現できる、あるいは利害関係の調整が容易であるとは必ずしも考えていないわけでございます。しかし、千葉県がやってもらいたいということは、もし計画が決まれば、千葉県としては十分協力すると受け取っていいわけでございますので、新幹線のように反対している路線よりも、千葉県側が積極的に応援している路線の方が実現性が容易であろうということで、いま関係者が集まっていろいろ検討しているわけでございます。  また、十号線の問題についても、千葉県側としてもはっきり言いにくい問題があるわけでございますけれども、現在のところはそう積極的に進める気持ちがない。免許は残っておりますけれども、御承知のように、一部免許は宅地開発公団に移譲したという経緯もございまして、東京都の財政事情も相まちましてこれが早急に実現する可能性は非常に少ないのではないか。  また、五号線の延長の問題も出ましたけれども、先ほど営団に免許したというお話がございましたが、まだ免許はいたしておりません。この問題につきましても、並行線に京成電鉄が走っておりまして、御承知のように現在、京成電鉄は非常な赤字でございますので、相当大きな影響を受けるという問題がございます。また営団が千葉県まで出ていって、果たしてあそこで地下鉄事業ができるのだろうかというような業務範囲上の問題もございます。そういういろいろな問題がございますので、この点につきましても、千葉県あるいは船橋、八千代、勝田台ですか、そういう関係市町村の間でよく話をしてもらいたい、その上で円満に解決をしてもらいたいということを申し上げているわけでございまして、私どもとして京成がいいとか、そういうことを申し上げているわけではございません。
  96. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、まだ幾つ質問したいのですが、時間が来ましたので、最後の質問をしてみたいと思います。  大臣、先ほど来私、都市交通問題について、大臣おられなかったのですが、質問いたしました。それは特に、成田空港の問題に関連いたしまして、五十キロ通勤圏の中におけるところのいわゆる都市交通行政というものが、地域住民に対して非常に大きな影響を与えるものであるのに、行き当たりばったり、いまも鉄監局長がお答えになりましたように、何か成田を取り巻くところの交通網の問題については、朝令暮改とまでは言わないけれども、いわゆる計画はできたわ、実行しないわ、次の計画はできたわ、実行しないわ、次の線は免許は与えないけれども、計画でたとえば営団にやらせるのだと言ったのが変わってみたり、あるいは千葉県と都営交通とを統合してやるのだよと言ってみたり、また、それが変わってみたり、まさにネコの目が変わるという表現が適当であるがごとき印象を受けるわけです。そしてそのたびごとに地域の住民が非常に困惑をするわけですね。  いわゆる地域の住民だけでなく、関係する市町村も、いま言ったように勝田台までは五十年にそれぞれ着工して進むのだという形の中で一定の計画は立てられておる、それが五十三年になっても五十四年になっても恐らく実行されないだろう。しかし、成田を中心にするところの交通渋滞は、先ほど航空局長お話のように、ことしの夏をピークにして恐らく大混乱が起きるのではないかということが予想される。ふだんのときでも海水浴帰りが京葉道路はひしめき合っている状況ですから、これは大変な問題になる。とするならば、どうしても軌道によるところの運行計画を明確にやはりつくらなければならぬ。これは昨日から論議になっておるところの問題もそれに関連しておると思うのです。  したがって、そういう問題については、ひとつこの際明確に、通勤圏の問題は別といたしまして、いま質問いたしておりますこの地域、特に千葉県と東京都との関連の中におけるところの交通網はこれだよということを至急出していただくように、ひとつ積極的に対応していただきたいが、大臣の見解はどうかということを聞きたいと思います。  それから、鉄監局長に最後にお聞きしたいのは、実は、この問題に関連して去年十二月にこの新線計画はできるということを聞きまして、東京都の中における一部地域、特に地下鉄網が整備されていない地域、この計画による八号線を越中島から押上まで活用するのだということが言われて、これは全くの新線計画、最も工事のむずかしい地域だけれども、これをやってくれるのだということで、地域の住民がもう即八号線の着工が行われるがごとき印象を持って、大きな期待を持って、たとえばイルミネーションなんかにも「八号線早期着工」だなんということが書かれておるわけですが、これはこれと切り離してでも、八号線はすでに銀座一丁目まで来ておるのだから、それを延伸すればそこへ行けるのだということになろうと思うのでありますが、その問題の全体的な解決がなくとも八号線の着工はあり得るのだ、そういうふうな判断も一部にあるわけです。しかし、これがもし成田におけるところの新線計画ということになると、軌道敷の問題その他また変わってくるということも判断されるわけですが、これらの問題はどのように運輸大臣としては、鉄監局長としてはお考えになっておられるか、この際ひとつお二方から聞いて質問を終わりたいと思います。
  97. 福永健司

    ○福永国務大臣 非常に構想が多くて、しかも一長一短というか、短所があるという表現をするといけないかもしれませんが、いろいろ意にまかせぬ点があるようなものがたくさんある中で、考えようによっては、全然手がないより、そういうようにたくさんあるというのだから、その中から何かうまくやればよさそうなものではございますが、私も実際就任以来、これについていろいろな関係者から話も伺いましたけれども、聞けば聞くほど、なかなか容易でないなという感をより一層深くしております。しかし、先ほども申し上げましたように、ぜひ急ぎたいと思います。幾らかそういうことをじっくり考える時間もできそうでございますから、急いで問題の解決をするように努めたいと思います。何分この上とも御指導をいただきたいと存じます。
  98. 住田正二

    ○住田政府委員 八号線につきましては、御承知のように現在、明石町までの工事をやっておりまして、さらに月島、豊洲の方に延伸いたしたいと考えております。その後、東の方へさらに伸ばす案と、それから北の方へ上がりまして亀有の方へ延ばすという二つの計画があるわけでございます。現在のところ、営団といたしましては、十一号線の工事であるとか、それから八号線の池袋以北の方工事に重点を置いてやっておりまして、したがって、八号線につきまして月島、豊洲以降をどうするかという具体的な計画は、まだ現在のところできていないわけでございます。  したがいまして、先ほど申し上げました新しい通勤、それから成田アクセス、共用鉄道の問題に関連してこの八号線を取り上げてみたらどうかという問題が出てきたわけでございまして、そういう問題と切り離して八号線を着工するという計画はいまのところないわけでございます。  何遍も繰り返しますが、たくさんの関係者が入っている計画でございますので、もしこの計画がやはり実現不可能であるというときには、八号線だけを建設するということは考えておりません。
  99. 増岡博之

    増岡委員長 薮仲義彦君。
  100. 薮仲義彦

    薮仲委員 まず、運輸省の基本的な姿勢について確認をしておきたいのでございますが、運輸省が輸送という任務をつかさどる以上、最も要求されるのは無事故であり、安全ということであることは異論のないところでございますが、特に人命尊重ということが何ものにも優先しなければならない、このことは当然であります。  しかし最近、特にこのことにあわせて地域の方との協調といいますか、理解がなければ運輸行政の円滑な推進はないのじゃないか。卑近な例では成田空港、あるいはその他の空港での騒音の問題、東北・上越両新幹線の建設、こういうものを見ますと、やはり地域との話し合いが非常に大事だな、大臣もそのように考えられていると思うのです。成田空港につきましては、大臣が非常に心を痛め、多大な努力をされ、誠意を尽くしていらっしゃる、その労に対して敬意を表するものであります。  しかし、これらのケースを通じて、いま私たちが改めて問い直されるのは、ごくわずかな人の意見であっても、その人の意見というものは無視することはいけないのじゃないか。やはり反対の立場の人の意見でも、お互いが理解できるまでよく話し合い、そして互いに納得できるような形での結果を生まなければならない。この運輸行政は、今後、無事故、安全、人命尊重と同時に、本当に地域住民から理解され、親しまれるような姿勢で行わなければならないと思うのでございますが、この辺の基本問題についての、当然のことながら大臣と国鉄総裁のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  101. 福永健司

    ○福永国務大臣 ただいまお話の点につきましては、一部の問題はある程度進行いたしましたが、まだまだたくさん問題もございまするし、いずれにいたしましても、人命を尊重する意味においての安全の確保を期し、また、いろいろな話し合いを経て地域の関係の人々の御理解を願っていく措置をとらなければならないということは、もういまお話しのとおりでございます。おおむねそういう考え方で臨んでまいりましたが、今後もそういうことに努めてまいりたいと思います。なかなかそういう手順で進めるということは、時間的にも相当多くのものを必要とするわけではございますが、さりとてその種のことが不足なるままいたずらに急いでも、かえってまたそのゆえにめんどうが起こること等もございますので、重々そのあたりのあんばいにつきましては過ちのないようにということで今後とも気をつけてまいりたいと存じます。
  102. 高木文雄

    ○高木説明員 国鉄では、仕事をやります場合のモットーとして非常に古くから安全ということと、確実ということと、そして敏速ということを旨として輸送の仕事に当たることになっておるわけでございまして、その精神は本社たると現場たるとを問わず、かなりよく徹底しておると思っております。おかげさまで最近はこれだけの頻度でたくさんの列車、電車が走っておりましても、お客様に御迷惑をかける事故というものが、少なくとも人身事故を生ずるようなトラブルというものがしばらくない状態で進んでおるわけでございまして、そのことは、いろいろな問題が山のようにございますけれども、日ごろの心構えが結果としてあらわれてきたものだということで、私ども非常に喜んでおるわけでございまして、今後とも安全ということは最大のものとして大事にしていきたいと思います。
  103. 薮仲義彦

    薮仲委員 次の質問の前に、ちょっとこれを見ていただけませんか。  ただいまごらんいただきましたのは、東海道線の用宗駅の近くの線路上の写真でございますけれども、私は、このような事態というのは全国で相当、あってはいけないことですけれども、現実はあるだろうということを仄聞いたしております。  きょう私がこの問題を取り上げさせていただいたのは、どういうためかと申しますと、一つは、この事態が、過去十年以上にわたってこういう状態が続いてきていた、それからもう一つは、この事態について父兄にせよ学校の先生にせよすべての人が、この事態は好ましいことではない、あってはいけないことだと大きな不安を抱いてこういう事態を見ているわけです。しかし、幼稚園を出たばかりの小さな子供が学校へ通うのに、正規の踏切を渡りますと、約二キロ以上遠回りになって三十分以上かかってしまう。さらにまた、その踏切も非常に幅員が狭くて、朝のラッシュ時は車の往来が激しくて、親とすれば非常に心が痛む。また、それよりちょっと近いところにあるバイパスを通ってくれないかという意見があるわけです。しかし、このバイパスも車のためにつくった道路であって、跨線橋、線路の上をまたいでおりますから高さが十七メーター、そのバイパスに上るのに階段が八十二段、手すりが非常に古くて、子供にとっては危険で通れない。そうしますと、他の手段としては、必ずしもすべてが安全でないということで先生も御父兄も心を痛めながらも、やむなくこういう形で過去十年間過ぎてきたわけですね。  私は、このことについて云々することはいたしませんけれども、やはりこの解決というものは、第一義的に道路管理者、当然市が持つべきである、このことはよく理解をいたしておりますし、教育委員会の立場とか警察の考えも十分反映しなければならない、このこともよくわかります。しかし万が一事故が起きたとき、そこで出てくる問題は、やはり第一義的には国鉄という声が挙がってしまうのではないか。  そういうことを考えますと、この問題の解決に、私はいろいろ異論もあろうかと思いますが、国鉄が何とかこの問題は積極的に解決しよう、こういう形で取り組んでいただきたいと思うのでございますが、総裁のお考えいかがでしょうか。
  104. 高木文雄

    ○高木説明員 まことに恐縮でございますが、具体的な案件について私、実はまだ承知をしておりませんので、どのように対応をいたしたらよろしいか、直ちにはお答えいたしにくいわけでございます。ただ一般的に申しまして、残念ながら全国的にこうした事態、つまり踏切がないところで人の往来があるという事態は、たくさんではありませんけれどもあるわけでございまして、この対策には非常に苦慮をいたしておるわけでございます。しかしながら、やはりたてまえはたてまえとして守っていただきませんと、片方の市町村では当然のルールに従って市町村の方で御処理願う、ところが片方の市町村ではいろいろな御事情がおありにもせよ、それがなかなか進んでいないという場合に、確かに当面、非常に危険であるからということで、私の方としても、率直なところはほっておけないという場合がないわけではないのでございますけれども、それを私の方でとりあえずということで処理、対処いたしますと、ルールどおりにやってくださっている市町村との関係が非常にぐあいが悪くなるものでございますから、何としてでもやはりお話し合いを重ねることによって、ルールどおりに処理をしていただきたいという姿勢をとらざるを得ないわけでございまして、これは全国を相手にして非常に広い範囲で仕事をしております私どもとしては、そのような進め方でないと物事が進まないということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  105. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではもう一つ、私は具体的な、これは総裁のところに要望書が行っていると思うのですが、この件について総裁のお考えをきょう改めてお伺いいたします。これもやはり東海道線の藤枝の踏切の件で、それに関係する小学校長、PTA会長、中学校長と中学校PTA会長からの総裁への要望書でございますが、一部だけ読んでみます。「特に朝夕のラッシュ時には、児童、生徒、一般通勤者の徒歩と、自転車と、自動車、営業用トラック、ダンプカー等の交錯で危険この上ない状況であります。本校の通学路となっており、通行児童数は約二百三十名で、澁滞している車の間を縫い、せまい踏切内では上下する自動車のすれ違いで踏切板が一ぱいになり、子どもたちは線路内におし出される状況であります。この為、児童が自動車に接触した事故もありました。」これは小学校長の要望書でございますけれども、これもやはり地元とすれば国鉄側に何とか処理をしてほしい。しかしわれわれは、第一義的には先ほど申し上げたとおり、道路管理者が解決すべき問題だというのは十分わかっておるわけでございますが、しかしこの問題、また先ほど指摘した写真の問題、こういう問題等を考えたときに、私は、やはり国鉄が今後この問題を処理するときに、当然市がやるべきだ、町がやるべきだ、村がやるべきだ、まだ話し合いがない、ということもあろうかと思いますが、むしろ私は、先ほどの例、ただいまの小学校長の要望書にもあるとおり、やはりこういうものに取り組むとき、国鉄側のそういう難関を乗り越えても解決しよう、そういう誠意が地域住民との連帯を生むのじゃないか、そう思うのですが、総裁いかがですか。
  106. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま御指摘をいただきました踏切は、幅約六メートル余りの市道でございまして、いま先生の御指摘のように、踏切が遮断されたときに通学児童等が大分滞留いたしまして、踏切をあけるとともに児童の方々がどっと踏切を渡るというような状況になっていると思います。この件につきましては、私の方も、踏切の拡幅につきましては、いま先生もおっしゃいましたように、自治体側、いわゆる道路管理者とよく協議を申し上げて、費用の御負担をいただくというようなことになっておりますので、この点についても費用の負担等について十分お話し合いをしてまいりたいと思います。ただ踏切だけを拡幅したのでは、危険の程度については幾らか残ると思いますので、踏切の前後の道路も同時に、ある区間でもよろしいと思いますので、その区間の拡幅を一緒にやっていただきまして、踏切の通行の安全の確保ということについて努力をしていきたいと思っております。  いま先生のおっしゃいますのは、もっと国鉄が積極的に市その他地域の方々とよく協議をせよ、こういうことかと思いますが、その点もあわせて努力をしてまいりたいと思います。
  107. 薮仲義彦

    薮仲委員 こういう問題はまだ二、三あるわけですが、きょうは時間の関係でやめておきますが、総裁に私からお願いをしたいことがある。それはどういうことかと申しますと、国鉄はこれだけの巨大な、いわゆるマンモスと言われるような機構、組織というものをいまは持っておるわけです。  そこで、特にお願いしたいのですが、機構とか組織の上でいきますと、たてまえ論とか筋論というものが必要であり、大事なことであると思います。また、われわれ事を処するのに、その機構における責任というものを明確にして処理しなければならない、これはよくわかるのです。ただ、こういう問題を見たときに、総裁がたとえばこの踏切を渡っているところの、住んでいなければならない親御さんの立場に立ったならば、どういうことが心をよぎるか、これは総裁という立場を離れて、一人の人の子の親として、子供の通学がこういう状態であるということを一人の人間として考えたときにどう思うか。今後、地域住民の皆さんの信頼を回復し、事を解決するときに、決して情にほだされて処理しろということは私は言わない。当然、機構なり組織なり、その立場に立って責任ある判断を下さなければならない。しかし、その心の底ににじみ出る人間性というか、その機構の表に人間の顔というか、人間のぬくもりというか、そういうものをだれしも求めているのじゃないか。  確かに制度上でいけばそれはだめかもしれない。でもそれを解決するために、相手に理解させるために、今後、国鉄の持っているその機構の中に、人間的な立場に立って物を処理しようという姿勢があってほしいがために、私は、この二つの例を挙げたわけでございますが、私はそういうことを総裁に望んでおきたいのですが、いかがでしょう。
  108. 高木文雄

    ○高木説明員 まさにおっしゃるとおりでございまして、安全の問題人命の問題ということにつきましては、すべての場合について際限のない絶対的な人命の尊重ということを頭に置いて処理をしなければならないと思います。  ただ、いまの踏切のことは、これは全国にいろいろ問題がございますが、これを安全に維持するためにあらゆる努力をしなければならないという点においては、全く先生の御指摘のとおりであるわけでございますけれども、問題は非常に多くの場合に経費の分担の話になってくるわけでございます。経費の分担の話ということに関する限りは、どの市町村もなるべく負担が少ない方がよろしいということになってしまいますので、これは全国統一ルールをつくる必要があるわけでございまして、この踏切のいろんなケースについてどう処理するかということは、大筋は私どもと自治省なりあるいは道路管理者の元締めである建設省なりと話をいたしまして、ほとんどの場合適用できるルールがすでにもう確立をいたしておるわけでございます。場合によっていろいろな事情がございましょうけれども、その確立したルールでほとんどすべてのケースがいま解決がついておるわけでございますので、私どもとしては、冒頭申し上げたような気持ちを一方において持ちながら、経費分担に関する限りは、定められたルールによって処理することについて、粘り強く関係市町村の御理解を求めるということで臨んでおるわけでございます。  ルールによればこうなっておりますということだけを申し上げますと、大変しゃくし定規のような、冷たいような御感触でお受け取りかと思いますけれども、そこはやはり人命問題についての基本的な心構えと、それから経費分担についての原則とを両立さしていくという努力をお互いにしていかなければならないのではないかというふうに考えております。  ただ、そうした気持ちが現場に十分徹底しておりますかどうか、あるいは一部その点についてとかく形式的なと申しますか、結論だけで物を言うような空気が必ずしもないとは言えないわけでございますので、御指摘のようなことについては、今後とも、そうした余り気持ちがよくないような感じを地域住民の方々に与えることのないように、繰り返し注意をして指導してまいりたいと思います。
  109. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの問題については、これで終わりますけれども、どうか今後の解決のためにそういう姿勢で取り組んでいただきたいと重ねてお願いをして次の問題に移ります。  今回の国鉄運賃の改定についてお伺いしたいわけでございますが、この国鉄運賃というのは、もうすでにすべての人が理解しているように、公共料金の中でも、お米と並んで非常に重要な柱であって、そういう立場から大幅な値上げはすべきじゃない、これはわれわれの立場であります。しかしわれわれは、国鉄経営の健全化のために、運賃改定は絶対にすべきじゃない、こういう立場には立っておりません。  しかし、ここで問題にしたいのは、あの五十一年、五〇%の値上げをした際、国民が国鉄から離れてしまった、今回のこの値上げというものは、この現象にますます加速度を加えて、かえって経営を圧迫する要因になるのじゃないか、こう思うわけでございますが、この辺についての大臣と総裁のお考えを伺っておきたいと思うのです。
  110. 福永健司

    ○福永国務大臣 国鉄運賃につきましては、国鉄というものの公共性にかんがみて、多くの国民が納得してくれるように、余り上げるようなことのないようにということはもとより望ましいことでございます。さりとて、一面において赤字にあえいでおります国鉄に値上げをかいもく認めないというわけにもまいりません。その辺に苦しいところがあるわけでございまして、そういうことと関連する国鉄法の改正後の最初の事例がこのたび行われんとしつつある値上げと関係があるわけでございます。  そこで、こういう点について、私どもも、この両方の一見相矛盾するがごとき事項ではございますけれども、何としてもその辺に何とか納得が得られるような調和を求めていきたい、こういうように考えておるわけでございます。  ことに従来とは少し変わりまして、運輸大臣として最後の決定のところでこれを認可するという手順があるわけでございますので、いま申しましたようなことを重々心得て、まあまあだと言っていただけるように対処していかなければならぬという強い気持ちでいる次第でございます。
  111. 高木文雄

    ○高木説明員 いまさら申し上げるまでもございませんけれども、昨年の秋にお認めいただきましたいわゆる弾力化法案では、手続に関しましては、従来よりも比較的適時適切に改定ができるようにという簡素な方向に進んでおるわけでございますけれども、内容としては、経費の増加に見合う金額を限度として改定を認めるということでございまして、むしろ従来よりもある意味ではよりシビアな枠をはめられた形の法律になっているわけでございます。  この法律では、たとえば前年二年上げなければ二年分の経費の増加率を横にらみにした改定をしてもよろしいということにはなっておりますけれども、いまおっしゃいますように、何と言いましても、国鉄の運賃水準というものは、一般的な他の運賃水準に影響するところがきわめて大でございますことから、法律上の限度額は約五千億弱でございますけれども、今回の値上げでは二千五百億程度にとどめておくべきだということで予算も組まれておりますし、私どもも、いまその線に沿って改定案をお願いしておるわけでございます。  一方において、国鉄の現状を考え、そしてさらに今後、赤字がふえないように工夫をしながら、一方において物価への影響を考慮する、国民の皆さんへの御迷惑を考えるということの綱渡りみたいなもので考えておりますのが今回の改定案でございます。  率直に言いまして、私どもも大変心配をいたしております。お客さんからきらわれるということがあってはならぬわけでございますので、大変心配はいたしております。しかし、そうは言いながらも、こういう経営状態ではほうっておくこともできないということで、決して上げることがよろしいのだというのではなくて、むしろ上げざるを得ないという追い込まれたような感じで改定案をつくったような心境でおるわけでございまして、その辺御理解をいただきたいと思います。
  112. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、鉄監局長にお伺いしますけれども、これからの国鉄の運賃改定に対して、ただいまの大臣の御答弁の中にありましたように、やはり国民の理解、これはどうしてもその前提として必要な条件だろうと思うわけでございます。しかし、国鉄運賃の持つ性格というものは、どうしても最後までついて回ると思う公共性、もう一面はそれに相反する経済性、今後この公共性と経済性をどう整合させていくのか。  あるいはまた第二点は、現在、国鉄運賃は総合原価主義をとっておられます。しかし、これも個別原価主義を取り入れなければならないのではないか。と申しますのは、現在のような形で値上げをしていけば、国民は地方閑散線に乗っていらっしゃる方、朝夕の都心でのラッシュ時に乗っていらっしゃる方、その負担も細かく見ていきますと、国民の理解を得るには限界があるのじゃないか。今回の値上げを見ましても、貨物は五%、旅客が一九・二%、近距離に値上げのウエートがかかっているという値上げの姿勢、これを続けることは、国民の理解を得るに非常に困難な条件が数多くあるのじゃないか。  こういう観点から、今後の値上げに対して公共性と経済性、総合原価主義と個別原価主義、こういうものを含めた値上げについての理解を国民にしていただく明らかな方向を選択しなければならない時が来ているのじゃないかと思うのですが、その辺の鉄監局長のお考えを承りたい。
  113. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄が運賃値上げをするに当たりまして、国民の理解を求めるように努力をすることが必要であるということは御指摘のとおりでございます。  ただいま経済性と公共性という問題についてどう考えるかという御指摘があったわけでございます。この問題は昨年、一昨年の国会でも議論のあったところであると記憶いたしておりますが、昨年この委員会で運賃法の改正が成立をいたしましたときの附帯決議といいますか「国鉄再建の基本方向」という申し合わせによりまして、今後二年間に国鉄の現在やっている業務について十分検討をする、その上で国鉄が企業ベースで経営できるものと国鉄がいかに努力しても企業的には経営がやっていけない分野、そういうものをはっきりと分けた上で適切な措置をするということが述べられているわけでございます。  したがいまして、いま御指摘の公共性というのは、国鉄が企業努力をしてもどうしても経営的には採算がとれない、しかも、なおかつそういう路線は一般利用者のために残さなければいけないという分野ではなかろうかと考えているわけでございます。  そういう分野が具体的にどういう範囲のものであるかということについて、従来からローカル線であるとかあるいはバス事業であるとかいろいろな事業が挙げられておりましたけれども、この二年間にそういう事業について国鉄が一体どこまで努力したら現在の赤字がどこまでなくなるか、逆に言えば、どこまで国が助成すればいいのかということを明らかにした上で国が助成をすることにいたしたいと考えているわけでございます。  そういう公共的な負担を国鉄に強制しておいて、そのつけを一般利用者に回すということは妥当ではないと考えているわけでございまして、一般利用者に負担していただくのは国鉄が企業的に経営できる分野、国鉄経営努力いたしまして、その上でどうしても経費の吸収ができないものを利用者に負担していただく、国鉄が公共的な使命からいかに努力してもやっていけないものについては国がめんどうを見るという考え方で対処していきたいと考えているわけでございます。  また、総合原価主義の問題でございますが、この点について限界が来ているのではないかということは、私どもも同じように考えておりますし、最近は、学者あるいは論説委員の方々からも、そういう意見がかなり強く出ております。そういう点から、いずれ特別運賃制度というようなものを考慮しなければいけない時期が来ると思いますけれども、新しい制度の導入でございますので、今回の値上げの時期が妥当であるかどうか、これは国鉄総裁が判断される問題ではあろうかと思いますけれども、いずれはそういう特別運賃制的なものが導入される方向にあるのではないか、また、そうしなければ地方の赤字を大都市の人が負担するということでは、なかなか大都市の方も納得できない面があると思いますので、原価を反映した運賃制度、いわゆる特別運賃制度に移行していく可能性があるというように考えております。
  114. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題についてはもう少しやりたいのですが、きょうは時間の関係でとどめておきますけれども、いま申し上げた点は、今後、国鉄がいずれ国民の理解を得るような明確な姿勢を示すときが来るのではないか、こう思いますので、その辺のところを十分踏まえた考えを今後示していただきたいと思うのであります。  次に、これは特に総裁にお願いというよりは、考えを改める気はないかということですが、今度の値上げの中で、特に通勤通学の問題、中でも通学定期あるいは身障者の割引率の問題、これについて総裁のお考えを伺いたいのでございます。  われわれは、子供の教育のために負担がかさむということは基本的に好ましいことではない、こう考えているわけです。公共性の強い国鉄が、子供の教育のための父兄負担を非常に増加させて苦しめるということは、国鉄の立場から最も避けなければならないのではないか、こう思うのですが、今回の通学定期の割引率の三%引き下げ、これに運賃値上げが加わりますと、一挙に四〇・八%という値上げになるわけです。  ちなみに、私鉄大手十四社の平均割引率は、御承知のように八五・六%、割引率の一番最高の名鉄が八八・五%、あるいは西武の八八%、低いところでは東急の八〇・四、最低は阪神の七九・八です。ところが今度、国鉄のこの割引率引き下げは三%ですから、現行の八一・八%から三%割引率が引き下げられますと七八・八、私鉄大手十四社の最低よりもさらに下の水準になってしまう。これは国鉄の持っている公共性の立場から再検討すべき重要な問題じゃないか。子供を通わせているお母様方あるいは体の御不自由な方にとっては、国鉄の方針は何と説明されても納得いたしかねるのではないか、こう思うのでございますが、総裁のお考えはいかがでしょう。
  115. 高木文雄

    ○高木説明員 国民の一人一人にとって教育費負担の問題が非常に大きな関心事であることは、おっしゃるとおりでございまして、私どもも、その一員としてこれに配慮しなければならぬと思っておるわけでございます。しかし、そのことと国鉄が割引をするということは、全く別の問題でございまして、国鉄が割引の長い歴史を持っておりますのは、それだけ国鉄に財政的な余裕があったからでございます。  いま私鉄と比較して御指摘いただきましたけれども、なるほど私鉄とは違って私どもは公共的使命は持っておりますが、財政的内容から言いますと、私鉄とは比較して問題にならない悪い状態にあるわけでございます。その何ともならない悪い状態のもとにおいて、なおかつ割引をするということは、逆に申しますれば、学生さん以外のお客さんからよけいいただくということ以外にないわけでございます。あるいはまた、それを後年の問題として赤字のまま残しておくということの中にその分が潜入してくるということでございますので、そうした形ではなしに、もし教育のために通学費の負担を軽減しようというポリシーがとられるとするならば、むしろ文教施策としておとりいただきたいと考えるわけでございまして、明治の時代から今日まで長年の間にわたりまして、国鉄自体が割引制度をとってまいりましたのは、それなりにそのときの国鉄の財政事情から言って当然であったと思いますが、いまはそれをお断りすることがむしろ当然であるというふうに考えております。
  116. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、ここで私、大臣にお伺いするわけでございますが、ただいまの身障者の皆さん、体の御不自由な方あるいは通学定期の割引率の問題、こういう問題は、申すまでもなく社会福祉政策上の問題であり、文教政策上の問題であろうことは論をまたないことであります。いま総裁がおっしゃられたように、われわれとしても、こういう社会福祉にかかわるような問題、文教政策上の問題を、ただ国鉄だけに負担させるということがいかがなものか、これは論議のあるところであると理解するものであります。  そこで、私は大臣にしかとお願いいたしたい点がございます。大臣は、今度関係閣僚会議を招集なさるやに伺っておりますが、その席でただ大臣が集まって、お互いに理解し合ったということではなく、今後、国鉄再建という大事な問題を抱えた大臣として、身障者の割引あるいは通学定期の割引率の問題についてはどうすべきが本来的に最も望ましい形なのか、負担区分というのはどうすべきか、国鉄が持たなければならない部分はどれくらいなのだ、あるいは他の私鉄も同じでございますけれども、そういう問題に対して何らかの解決の糸口を今度の閣僚会議の中で見出していただきたい、また見出していただくことを多くの国民が注目しておりますし、また、そうあらねばならないとわれわれも理解するものであります。どうか、その辺の大臣の御決意をしかとお伺いしておきたいのであります。
  117. 福永健司

    ○福永国務大臣 この点については何回か申し上げておるわけでございますが、できるだけ早く関係閣僚会議を開きたいと思います。きのうまでで打ち合わせをいたしまして、実は十三日にそれをやろうかと思っておりますが、十三日にそれをやりましても、一回でそういうことについて最終結論が得られるかどうか、なかなか骨だろうと私は思います。したがって、今度の運賃値上げということと関連いたしますと、それに間に合うということはなかなか容易ではないと思いますが、それはそれといたしまして、いずれにしても、いまお話がありましたような点を関係閣僚諸君とも話し合いまして善処いたしたい、そういうように存ずるわけでございます。  いま、一回ではということを私、心配いたしまして申し上げたのでございますが、もちろん、一回で済めばまことに結構なんでございますが、立場の違う諸君としては、簡単にそれはわかった、それじゃ自分の方で負担するとはなかなか言わぬと思います。政治全体としてどうあるべきかというところから解決を求めていかなければならぬと思いますが、いまもいろいろお話を伺いましたが、せいぜい努力をいたしたいと考えております。
  118. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題は、非常に大事な問題でございますので、今度の関係閣僚会議で解決の糸口を見出して、願わくは今回の割引率三%引き下げを幾分でも緩和して、通学児童を抱える多くのお母さん、あるいは体の御不自由な方から理解、納得されるような結果を生み出していただけるように重ねて要望をいたしておくものでございます。  それでは、次の問題に移らさせていただきたいと思うのです。上越・東北新幹線についてですが、この問題は新聞で御承知のように、五月三十一日、東京の北区議会において新幹線建設については条件つきで賛成する方向が確認されたわけでございます。この問題についてわが党の地元にいる松本忠助議員も関係の皆さんと話し合い、鋭意努力しておられるのですが、この問題は、確かにいままでも非常に困難であったと思うのです。ですから、区議会の決議を得たと言っても、今後もさらに困難な問題が山積しているのじゃないか、しかも、それはどうしてもある時点までに解決しなければならない、こういうことだと思うのです。  そこで、この新線建設に当たって私が特に要望しておきたいことは、先ほど来冒頭から私が指摘しておりますように、やはり話し合いであり、誠意を尽くしてお互いに理解する、これ以外に新線建設の好ましい解決はないのじゃないか、こう思うわけでございますが、その辺についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  119. 高木文雄

    ○高木説明員 新線建設の場合に、あるいはまた複線化を進めるという場合に、利益を受ける程度の高い方々と、むしろどうしても何らかの意味において損害をこうむる方々との間において、なかなか一致を見ない場合があることは、具体的な事例で日々経験をいたしておるところでございます。特に最近は、騒音の問題とか振動の問題とか、その他生活環境の問題に関連をいたしまして、関連の住民の方々から、いろいろ具体的な御要請が参っておるわけでございまして、それについて一つ一つ深い御理解を得ないことには、事業が一歩も前に進まないという現実の厳しい情勢を体験いたしております。  したがって、その点につきましては、先ほどお話しになりました踏切の問題のような、いわばルール化したものの実現ということと、またちょっと違った角度の問題でございまして、いままさにルールをつくりつつあるというようなことでございます。それだけに一層誠意を持ってお互いの立場を理解しながら話し合うという姿勢をとことんまで詰めていかなければならないわけでございまして、私どもとしては、よほどのことがない限り、それをもってそういう姿勢で最後まで結論を導いていくということで臨みたいと考えておるわけでございます。  先般来、東京都の北区の方々には大変御迷惑をかけているわけでございますけれども、あの場合にも、極力誠意を尽くしてお話し申し上げて、御理解を求めるということで進んでまいりました。関係の区会議員の方々を初めとして大ぜいの方々の御理解をようやく得ることができて、ここまで進んでまいったわけでございますが、問題はむしろこれからでございますので、今後につきましても、さらにまだまだ大ぜいいらっしゃる反対の方々を初めとして、一般的に住民の方々との話し合いを深めるよう指導してまいりたいと思っております。
  120. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、重ねてお伺いするわけでございますが、これは鉄監局長と総裁とお二人にお答えいただきたいのです。  くどいようでございますが、こういう問題というものは、やはり地元からいろいろな要求あるいは各種の条件というものが出てくると思うのです。今度の条件つき賛成も、なぜ賛成したかと言えば、そういう条件が満たされるということを前提にしての賛成であり、さらには国家的な見地に立つならば、東北や上越方面の皆さんの今後の発展、これにどうしても必要だ、さらにはまた、今日まで進捗している工事の関係から、北区内の通過はやむを得ないだろう、こういう立場に立ってくださった、それだけの理解と譲歩をしているわけです。  そこで私、特にお願いしたいことは、このような地元の皆さんが、日本の将来のために必要であろうという立場で、言うならば地域の問題というものを、いろいろ困難な問題はあっても、何とか解決してほしいという願望を込めて理解を示したわけです。ですから、この問題についてはやはり誠意をもって最後までやっていただきたい。特に沿線の皆さんにとっては被害と言いますと騒音とか振動とかいろいろな問題があるわけです。どうか国鉄の最新の技術、粋を尽くして、このような被害を最小限にしていただきたいと思いますし、また、その条件についていろいろ要望がありますから、それについては具体的に解決をしていただきたいと思います。  と同時に、こういう問題というものは、走る前にいろいろ条件をお願いして、新幹線がいざ開通しました、でも走ってみますと、今度は予想もしなかった問題が重ねて発生するというのが、いままでの空港の問題にせよ、この新幹線でも出てくるわけでございます。そういうことを考えますと、やはり一応条件を満たして列車は走りました、でも走った上でこのような問題が重ねて出てまいりました、そのときも、やはり誠意をもって解決に当たっていただきたいと思うのでございます。  また、隣接する板橋区等は、通過だけで、被害をこうむるだけでございますから、北区の皆さんと同じように、板橋区に対してもどうか誠意のある解決を示していただきたい、こう思うのです。  まとめて質問して大変恐縮なんでございますけれども、地元の要望の中で一番大きな問題は、この新幹線と同時に、通勤緩和のために通勤の新線ができる、こういう要望といいますか、期待を持っておるわけです。これはできるということになっておりまして、この通勤新線で、東京都内に二カ所とめてくれないかなという声がある。そういう切なる願望があることも聞いております。この問題についても、先ほど申し上げましたが、松本忠助議員を紹介議員として請願も出ているようでございますけれども、やはり地元の要望というものを十分くんで、誠意を持って解決をしていただきたい、こう思うのでございますが、鉄監局長と総裁の御決意を伺って終わりたいと思います。
  121. 高木文雄

    ○高木説明員 北区の方々の中で、東北の方、上越の方のことを考えて、いつまでもただ反対と言っているのもよろしくないであろう、しかし、北区はいわば被害者であって、被害を受けるばかりであるので、この機会に従来からの懸案事項を片づけるということについて国鉄の理解ある態度を求めたいというお話があることは先刻承知をいたしております。  ただその場合に、どういう条件といいますか、どういう御要望をお持ちかということについては、近くそれを関係者の間でおまとめなさいまして、私どもの方に御提案があるというふうに聞いておるわけでございまして、赤羽の駅の周辺のもろもろの問題であるとか、ただいまちょっとお触れになりました通勤線の問題であるとかいうことを初めとして、ほかにもいろいろと御要請があるやに承っておりますので、それについては誠意を持ってお話し合いをいたしたい、なるべく御希望に沿うようにいたしたいというふうに考えております。  その中で、通勤線の問題でございますが、これはお約束でもございます。必ず新幹線沿いに通勤線を整備するということを方針として決めております。  ただ問題は、駅をどこにつくるかという問題でございますが、これはまた非常に利害関係が複雑でございますので、それこそ私の方だけでなかなか決められない。住民の方々の御意向を十分くみ取った上でなければ決められないという現状でございます。ただ駅をつくるというだけですと、簡単なように聞こえますが、いままでの経験に徴しましても、非常に利害関係が錯綜をいたすわけでございますので、むしろ北区の地元の方々の、また板橋区の地元の方々の御要望といいますか、実情をよく承った上でなるべくそれに沿えるようにして対処してまいりたいと思っておる次第でございます。
  122. 住田正二

    ○住田政府委員 新幹線の北区内の通過につきまして、北区が大局的な見地から賛成に回られたということにつきましては、非常に敬意を表しているわけでございます。  いま総裁から話がございましたように、今後、地元と国鉄の間でいろいろ条件が詰められると思います。決まりました条件につきましては、それが必ず達成できるように責任を持って国鉄を指導してまいりたいと考えております。  また、当初いろいろな条件が決まりましても、実際に新幹線が走った場合には、新しい問題も出てくるかと思います。そういう問題につきましても、十分地元と話し合うように国鉄等を指導してまいりたいと考えております。  この問題は、もちろん北区だけではなくて、板橋の問題も当然であろうかと思います。特に先ほど駅の問題が出ておりますが、駅について総裁から話がありましたように、地元としてはあるいはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、地元の方で意見がまとまってこういう場所につくりたいということであれば、できるだけ地元の意向に沿って善処していくという方向で対処したいと考えております。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席
  123. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  124. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長代理 石田幸四郎君。
  125. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 関連で若干国鉄にお伺いをいたします。  国鉄経営悪化の一途をたどっていることは、私から申し上げるまでもないわけでございます。したがって、当然国鉄としては収益の拡大を図らなければならない。しかし、本命はいわゆる運賃の値上げによる収入増という方向に行かざるを得ないわけではございますけれども、その基本を踏まえながらも、さらにやはり国鉄の収益部門というものを拡大していかなければならない。私は、積極的にこの問題を研究すべきだということを主張している一人なんですけれども、国鉄にはそういうような問題を踏まえて関連の事業本部ができたことが、先般来言われておるわけでございますが、関連事業本部というのは、事業局、開発局、両局を含んでおるそうでありますし、また地方にも開発部等を設置いたしておるところだそうでございますが、一体将来どういう方向へこれを進めていこうとするのか、また、たとえば五十三年度の収入計画というものはどういうものを見込んでおるのか、そういった点について若干お伺いをしておきたいと思うわけでございます。  もちろんこの事業局、開発局というものを考えた場合に、既存のそういった関連事業の問題、それから開発局における新規の開発事業、そういうものはあると思うのですけれども、既存のものも当然私は見直しをしてしかるべきではないか、こういうふうに思います。  国鉄がこれから多くの退職者を抱えていく、その退職者の問題等も昨日の委員会で若干話題が出たわけでございますけれども、そういうような問題も当然考えなければならないにいたしましても、それよりもさらにもう一歩進んだ方向をとるべきではないかと私は思っておるわけであります。時間もありませんけれども、ひとつ簡単にお答えをいただきたい。
  126. 山口茂夫

    ○山口説明員 最初に、関連事業関係の収入でございますが、五十三年度では、五十二年度の決算見込み額およそ四百三十億ございますが、これに対しまして約百億増の五百三十億を予定に組んでございます。  それから第二番目に、事業局と開発局のお話がございましたが、御指摘のとおり、事業局と申しますのは、すでにでき上がっております駅ビルあるいは関連事業関係の管理をやる組織でございます。開発局と申しますのは、新しくこれから仕組みをつくっている、もっぱら前向きの方の仕事を担当させております。開発局でつくりました新しい客体は、でき上りますと事業局の方に移管して管理するという仕組みを考えております。  それから第三番目に、五十三年度でどういうところを考えておるかというお話でございますが、一番主眼になりますのは、現在、工事中の新幹線関係の駅中心の開発、それから東海道関係では浜松、静岡等の高架事業がかなり進んでおりますので、そういうものを手がけたい。そのほかに、地方で御要望のございますのは、駅舎等が相当古くなっているものが相当ございまして、北は旭川から南は三ノ宮付近まで、周辺の状況が変わりましたもの、駅設備が古くなりましたもの等を加えまして約二十カ所程度を勉強いたしております。  以上でございます。
  127. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一つ伺っておきたいのですけれども、五十三年度は前年度の百億増というような目標を立てておられるようでございますが、これがそういったパーセントで進み得るのかどうか。たとえば五年なら五年という目標を掲げたときに、大体そのペースぐらいではいけるのではないかということになりますと、たとえば五年後は一千億の収入増というようなことが期待できるわけでございます。そうなりますと、国鉄にとってはかなりの大きな収入の一つのあれになるわけでございますので、そういう見通しはどうかという問題、それから、どうも最近の状況を聞いておりますと、国鉄用地、そういうものが全国各地にあるようですが、そういうものを貸している傾向があるのです。それはそれでそれなりの意味があると思うのですけれども、そういうものももう少し活用の仕方はないのか。単なる賃貸しということになりますと、ある企業が国鉄の土地を借りて収益を上げていくわけですから、もちろん賃貸料等を考えてみてもかなりの利幅を生むから、そういう事業の計画ができるのであって、そこら辺まで踏み出す考えがあるのかどうかという問題等についてもお触れをいただきたい。
  128. 山口茂夫

    ○山口説明員 関連事業収入につきましては、昭和六十年にはおおむね千億台に乗るように計画を進めております。したがいまして、現在の二倍以上の収入を上げるということを考えております。  それから、用地の管理あるいは地代の取り方あるいはビルの賃借料の取り方、これは実はこういう仕組みになっておりまして、昭和四十六年の国鉄法の改正で駅ビルに国鉄が出資できます以前は、もっぱら土地代を評価いたしまして、それの七%プラス公租公課分ということで賃借料をちょうだいしておりました。昭和四十六年以後、国鉄が出資できるようになりましてからは、これを地代相当分と売上高比例分と両方に賃料を分けまして、ビルの収益が上がれば連動して国鉄の収益が上がるという仕組みに料金体系を変えてまいりました。すでに四十六年以前にできておりましたものにつきましても、昨年以来こういう売上高比例制を取り入れるように交渉いたしまして、順次五十三年度中ぐらいから、御了解を得られるものについては売上高比例を加味しまして賃料をいただくということになっております。したがいまして、一たん貸してしまったらそれっきりということのないように、繁盛すれば国鉄にも実入りが多くなるという仕組みに考えております。  それから、そのほかに新しい構造物ができますまで、都市計画その他がまだ未成熟な場合には、中途半端な用地が残るわけでございますが、これは一時的に暫定利用としまして、駐車場とか、あるいは一般の展示場とか、そういうことに積極的に使用いたしまして、臨時的な収益を上げるように努力をいたしております。
  129. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間でございますので、これでやめますが、大臣に一つだけ御要望申し上げておきたいと思います。  先ほど薮仲委員が触れられた通学定期の問題でございますが、総裁からもお話がございましたように、国鉄の今日の経営状態を見れば、当然国鉄が負担すべき状況ではない。しかしながら、教育費の高騰という一般家庭の状況を見ますと、大幅に上げてもらっては困る。まあいわゆるジレンマに陥っているわけです。確かに四〇%ではちょっと厳しいと私も思いますよ。物価の上昇率、賃金のアップ率等を比べますと、四〇%というのはむちゃくちゃだ、こういう感じがするのです。  しかし、いずれにしても、これはもう国鉄経営の中で考えるべき問題でない、新しい方向を確かに踏み出さなければならぬわけですから、これはひとつ大臣の在任中に何としても方向性だけでも見出してもらいたい、これを特に御要望申し上げておきたいと思うのです。福永さんから大臣がかわられてまた新しい大臣になると、どうもそういう問題がないがしろにされたのでは困るのです。ぜひとも在任中にその方向性だけは見出していただきたいことを強く御要望申し上げておきたいと思います。  終わります。
  130. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長代理 米沢隆君。
  131. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、総合交通体系問題と道路運送法の見直しの点について、時間の許す限り質問させていただきたいと思います。  御承知のとおり、わが国におきます総合交通体系の確立あるいは総合交通体系形成の必要性が提起されましてから、すでに長い年月が経過をいたしました。その背景には、もちろん交通機関の目覚ましい多様化あるいはアンバランスな発展によりいろいろな問題が提起されてくる、そういう実態があったのでありますが、時代の変遷に応じまして、総合交通体系として要請される中身も変化していることは事実でございます。昭和三十年代では、各交通機関が公正な競争をしながら適正な発展をすることによって、国土の経済的な発展にどのように寄与できるかという位置づけが基本的な課題でございました。ところが、昭和三十九年度に国鉄が赤字に転落したのを契機といたしまして、昭和四十年代は鉄道、海運、自動車、航空機、この四つの交通機関のバランスをいかにして確立しながら発展させるか、すなわち四つの交通機関のバランスは、基本的には相互の競争を通じて達成されるものであるとしながらも、競争的基盤が不均等であったのでは、ゆがめられた交通体系になってしまうということで、いわゆるイコールフッティング政策が唱えられ、それぞれ共通な競争条件下に置くことによって競争的な交通政策の基盤形成を果たそう、そういう努力がなされたと思います。  しかし、このイコールフッティング政策も、国鉄財政の再建には有効な手段として機能しなかったのは現実が示すとおりでございまして、逆に各交通機関の基礎的な交通施設の投資財源を受益者に求める考え方が一般化するだけにとどまりました。加えて、大都市交通問題、地方交通問題が新たにクローズアップされるようになって今日に至っておるのでございます。  また、昭和四十六年七月、運輸政策審議会は総合交通体系に関する答申を発表し、同じ年の十二月には臨時閣議におきまして、ほぼその旨了解されたところでありますけれども、問題点を解消する政策手段や制度改革までに至る十分な検討がなされなかったために、総合交通体系の方向性は依然として定かではありません。その上、昭和四十八年十一月以降の例のエネルギーショックによりまして、事態は大きく変わり、エネルギー問題あるいは交通公害問題、環境問題、労働力不足、さらには交通空間的な制約を総合交通体系形成の制約条件として重視しなければならないという事態にいま立ち至っておるのであります。  こういういろいろな歴史的な経緯はありましたけれども現に総合交通体系の必要性については、口を開けばみんな必要だと言う。しかし、その理解の仕方が全然ばらばらでありまして、そういう意味では、実際にその総合交通体系の中身を競争政策として見るのか、あるいは調整という目で見るのか。また、各業界の思惑がいろいろ働きまして、必要性はわかっても、実際確固とした総合交通体系のあり方というものが、運輸省主導型で何もなされていないというところに問題があるような気がいたします。  そこで、大臣にお尋ねしたいことは、例の四十六年に出された答申は、現に生きているのかどうか。それから先かなりの変化があったわけでありますが、生きておるとするならば、その社会的な変化に応じてどういう手が打たれて今日に至っておるのか。同時に、総合交通体系確立の必要性について、現時点での運輸大臣の御認識を御披露いただきたいと思います。
  132. 福永健司

    ○福永国務大臣 いまお話のものは、もとより生きているわけでございますが、あなたからごらんになると、生きてはいるが余り生き生きとしていないというようにお考えかもしれません。私も、幾らかそういう感じがするのでございます。  そこで、先ほどもちょっと申し上げましたように、四つのものがある意味では競争をするという姿ではありますが、これもやり方を間違えると、相互にブレーキがかかるようなこと等もございます。したがって、その辺は競争はしながら協力することが望ましいということを先ほど実は申し上げたのでございます。そういうことが十分行われておりますとまでは言えませんが、その後の情勢のいろいろな変化等も考慮に入れつつ、いろいろの施策が講じられてきたわけでございます。しかし、いまお触れになりました、運輸省がそういう方針で交通全体を非常に強力な統制下に置きつつやったというようなことにはもちろんなっておりません。でございますから、その辺にやはりどうも歯がゆい感じを持たれるところもあるかと思いますが、現在の経済機構そのものの全体を何とかというときには、その種の歯がゆさというものはある程度やむを得ないかとも思います。  そこで、現状をどうすべきかということでございますが、決して私は放任しておいていいと言うのではございません。ここいらあたりでひとつ、もう一度たがを締め直す意味において大いに研究してみたい、こういうように思っておりますが、まだ具体的にどういう方面をどうということを考えているわけではございません。いずれにいたしましても、先ほどお触れになったように、整合性を保ちつつそれぞれ機能を十分発揮していくようにさせなければならぬ、そういうふうに考えております。
  133. 米沢隆

    ○米沢委員 整合性を図りつつそれぞれを伸ばしていく、そういう御趣旨かと思いますが、私は、やはりいまのような調子で各個ばらばらにそれぞれ——競争ですから、だめなものはすたれていくと思いますけれども、単に競争だけにゆだねて、果たして整合性のある交通網というものが発展するかと言いますと、やはりある程度一つの指針的なものが示されない限り、総合交通体系という、もっぱらいままで言われてきましたいわゆる概念みたいなものがもう少し具体化されない限り、大変いびつな形が今後も残り、そのいびつなものを直すためにまた別ないびつな問題を生じる、そういうことになりかねない実勢にあるのではないかという感じが私はするのであります。  したがいまして、いろいろ歴史的な経過はありましたけれども、現時点において新たに総合交通体系というものをもう少しまじめに体系づけをされる、見直しをされる、そうしていろいろと各四つの交通機関のバランスのとれた発展を目指す、そういうものが今日ほど必要なときはないのではないかという感じがしてなりません。  特に、総合交通体系を述べるときには、たとえば国鉄国鉄なりに自分の有利な方向で総合交通体系を理解しますし、トラックはトラック、自動車は自動車、あるいは航空機航空機海運海運、それぞれが都合のいいときだけは総合交通体系という大義名分を立てながらいろいろされますけれども、実際はそこあたりのバランスがとれていない結果、今日に至るようないろいろな問題が提起されるような状態になっておるわけでありまして、そういう意味では、もう少し運輸省そのものが強力なリーダーシップをとられながら総合交通体系をもう一回見直し、新しいものをつくり直す、そういう時期に来ておるのではないかという感じがしてなりません。  特に、いまは不景気一色でありまして、荷動きも大変少のうございますから、各社とも不景気に大変悩んでおりますけれども、逆に景気が悪いときであるからこそ、将来に向かって新しい展望をつくり出す、その展望によって各社がまた努力をしていく、競争的な基盤も強化していく、そういう一番いい時期ではないかと思うのでありますが、運輸大臣総合交通体系をもう一回見直して新しいものを現時点でつくり上げるという御意思はございませんか。
  134. 福永健司

    ○福永国務大臣 なかなか重大な問題であり、かつ困難な問題でございますが、見直すということにはやぶさかではないのでございますが、いまのお話では、見直して新しいものをつくったらどうかということでございますけれども、いずれにいたしましても、研究して見直し、新しいものとまでいくかどうか、少なくともある程度の修正は施していかなければならないと思いますが、いまのお話もございますので、ひとつ大いに研究をさせていただきたいと存じます。
  135. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、ぜひ聞かしておいていただきたいことは、総合交通体系という言葉はかなり頻繁に使われるようになっておりますけれども、その総合交通体系という中身が、性格づけというものがそれぞれ違いますから、それなりに期待もし、それなりに失望もしておるのが今日の状態ではないかと思うのです。  そういう意味で、いま運輸大臣は、前向きに研究したいという話もなさいましたけれども、その際、この総合交通体系というのは、一体どういう性格のものなのか、単に今後の方向性を示すにとどまる内容のものなのか、それとも運輸省が行政指導されるような指針的なものにまでかなりアウフヘーベンされたようなものなのか、その性格づけについて、四十六年のあの答申のときの性格は一体どんなものであったのか、いまから先考えるべきことはどういう性格の総合交通体系としてとらえるべきなのか、そのあたりをちょっと御説明いただきたいと思うのであります。
  136. 真島健

    ○真島政府委員 先生がいまおっしゃいました四十六年の答申、これは基本の考え方といたしまして市場原理の活用ということ、つまり公正な競争の中で各交通機関がその特性に応じて十分に機能を発揮するようなそういう組み立て方、これが基本的な考え方として出ておりまして、それをこれから——これからと申しますか、当時実現していくための政策課題として流れてまいったものが、大づかみに言って三つぐらいに分かれておったかと思います。  先ほどお話のございましたように、競争条件の平等化、こういうことがまずなければ公正な競争ができないのじゃないか、そういう意味で競争条件の平等化、さらに運賃等につきまして、現在と申しますか、当時の運賃が社会的需要その他を一体含んでおったのかどうか、利用者負担の原則というようなものをはっきりとさせていく必要があるのじゃないか、そういうベース的な考え方に立ちまして、しかしながら、大都市交通でありますとか過疎地域の交通といったような、ほうっておいたのでは住民の皆さん、市民の皆さんがどうにもならなくなるような分野がある、こういう分野については相当積極的に政策的に介入をして、皆さんが困らないような運輸サービスを提供するように持っていくべきじゃないか、このような大きく言いまして三つぐらいが課題として出されておる、そういう感じでございまして、その後、競争条件の適正化につきましては、これは御承知のとおり、自動車重量税の創設その他自動車関係の利用者負担をもう少し増す必要があるのじゃないかというようなことでの一つの政策展開、さらに、いろいろ御批判はあるかと思いますけれども、国鉄自体に対する財政助成の強化というふうなことでわれわれ進めてまいったわけでございます。  さらに運賃の問題につきましては、石油ショックということで非常に混乱をいたしましたけれども、やはり適正な原価に基づく適正な運賃という政策を推し進めてまいっておるわけでございます。  さらに、そういうように競争条件が、ほうっておいては皆さんが困るという大都市交通なり、あるいは過疎地域の交通という面につきましては、これもいろいろ御批判はあるかと思いますけれども、地下鉄助成あるいはバスレーンの設定というようなやり方、さらには過疎地のバスについて補助助成を強めていく、こういうような形で、われわれとしてはできるだけの努力を払ってまいったわけでございますが、御指摘のとおり、石油ショック以来の情勢はいろいろと変わってまいりました。少なくとも四十六年答申でいろいろと予想いたしておりました輸送需要その他の見通し、あるいはそれを受けまして交通投資その他についていろいろと考えておった部分、これは当然大幅に修正をしていかなければならないだろう。さらに基本的な考え方につきましては、これはエネルギー制約の強まり、労働問題あるいは空間の問題、環境問題こういうことを含めまして、これから一九八〇年代ぐらいを目標年次といたします総合的な交通政策の樹立ということを図ってまいりたい、このように考えております。
  137. 米沢隆

    ○米沢委員 いろいろと御説明いただきましたけれども、たとえばエネルギーショック以後、今後の交通体系をかなり変革しなければ省資源という形にならない、そういう問題提起がなされながらも、たとえばこの前の三全総なんかでは、今後、自動車と航空機をかなり重点的に見ていく、そういう話になっておりますから、実際おっしゃったようなかっこうでエネルギーを少なく使って交通網を発展させるなんというのは全然生きていないのが現実じゃないか、私はそう思うのです。  それからまた、いま競争条件を同一にすると言いましても、それぞれいろいろな問題が出てきて、その問題を解決するためにいろいろと手を出されるのは結構でありますけれども、やはりあるべき姿というものがあって初めて公正な手が差し伸べられるのであって、競争条件を同一にするということで、逆に保護したり、妙なところで妙な政策でいろいろな問題、いちゃもんを起こしたり、そういうものがその都度、その都度の行政の中には出てきはしないか。そういう意味で、総合交通体系のあり方というもの、指針をもう少しはっきり示すことが必要ではないか、私は、そういう気がしまして御質問させていただいておるわけであります。  同時にまた、海運、自動車、航空、鉄道等々、これは有名な縦割り行政でありまして、総合交通体系というものを議論する以前の問題として、今後、お互いの交通機関がバランスのとれた発展をしようとする場合には、本当はその横断的な話し合いというものができ得ない限り、実際はそんなに総合的に均斉のとれた交通網を発展させるということはないと私は思うのです。しかしながら、縦割り行政の問題もありましょうけれども、横断的な話し合いというものが一向になされない、なされないがゆえに逆に、このあたりでリーダーシップをとられて、話し合いのできる素地をつくっていただく、そして総合交通体系のあり方を研究されて、それを合意させていく、そういうものが大臣のお仕事ではないかと私は思うのでありますが、最後にその点をお聞かせいただいて、次に移りたいと思います。
  138. 福永健司

    ○福永国務大臣 複雑な業界等のいまの状態をながめますと、お説のことはなかなか容易ではないと思います。しかし、いずれにいたしましても、そうしたことについてわれわれはわれわれなりにその使命の推進を図っていかなければならぬと存じます。お話のあったことのほかに、新しい部門についての考慮も必要となるであろう。特に、燃料事情等の昨今を考えますと、これからわが国のような事情の国がどうするかということ等も考慮のうちに加えつつ対処しなければならぬと思います。いずれにいたしましても、ただいま激励をいただいておりますことについて鋭意努力いたしたいと考えます。
  139. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、道路運送法の問題について若干の御質問をしたいと思います。  御案内のとおり、道路運送法というのは昭和二十六年に制定されたものであります。それ以来、わが国の道路運送は、当時では予測もしなかった大きな発展を遂げました。その間、道路運送法も二十八年、昭和三十五年と一部法改正がなされて今日に至っておりますけれども、いまだに部分的には道路運送法の法規制の枠組みをはみ出したり、あるいは法規制の執行について十分な担保力のある制度がないために、現実には法的な効力を失ったり、あるいは例外的な事象が一般的なものになってしまう、そういう現象が出現してきておるのでありますけれども、当局はどういう御判断をなさっておりますか。
  140. 中村四郎

    ○中村政府委員 道路運送法につきましては、昭和二十六年に制定されたわけでありまして、私も、その作業に参画した経験がございます。その当時と現在と比べて自動車は飛躍的に発展しているということは間違いない事実でありまして、現在三千三百万台の時代だ、こう言われております。その中におきまして、営業用自動車に比べて自家用自動車のウエートが圧倒的に高いわけでございます。  そこで私どもとしては、現在の道路運送法につきましては、各規定についての規制を遵守してもらう、遵守させる。輸送秩序の問題としてよくいろいろな問題の御指摘を受けるわけでありますが、私どもとしましては、現在、精力的にやるべきことは輸送秩序の確立でありますし、たとえばトラックにしても国内物流で中枢を担うような地位になったわけでありますから、整々としてそれにふさわしいような運営をしてもらわなければならぬ。そういう意味で業界の方も精力的に、たとえば適正運賃収受運動等を展開しているわけであります。そういう中でどうしても制度的に守れない面、それからまた制度的に改正を加えていった場合には、現在より以上に輸送秩序の確立の上に貢献できるのだ、こういった問題点を現行法を守るという中からえぐり出していきまして、そしてそれを道路運送法の将来のあり方へ結びつけていく、こういう考え方で臨みたい、かように思っておるわけでございます。
  141. 米沢隆

    ○米沢委員 道路運送法を遵守させる、これはもうあたりまえのことです。しかし、遵守させようとしても遵守できない部分がたくさん出てきて、結局いろいろな輸送秩序を乱しておるわけですね。乱しておる原因は、道路運送法の規定そのものに無理があったり、こんなに三千三百万台も自動車がはびこるなんというのを予想しなかったときの法律の制定でありますから、そういう意味では、大量に輸送車がふえる、あるいはまた道路運送法を守らないがゆえに現にいろいろな問題が発生しておる、その発生しておる問題が減少の一途をたどるならば、法の厳正な遵守によってうまく事が運んでおるというように見ていいのでありましょうけれども、残念ながら、後からまた話題にしますけれども、逆にいろいろな問題が大きく出てきて、道路運送法そのものの中身というものが、もう少し実態に適用されるような方向に改正されない限り、実際は野放し状況をいつまでも続けるということになりはせぬか、そういう指摘がいろいろなところから出てきておると思うのです。  その点について、道路運送法をすぐ改正しろというよりも、もう一回、現行の道路運送法そのものが、今日の交通網の実態をうまくさばいていくために本当に寄与しておるのかどうか、そういう見直しなり、あるいは検討というものがなされてしかるべきだと私は思うのでありますが、どうでしょうか。
  142. 中村四郎

    ○中村政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、ルールの改正をした場合におきましても、それがより守りやすい、守られるということでなければ現在の状態を見た場合に効果的じゃないだろう、こういうことを申し上げたわけであります。私どもとしましても、実態にそぐわない、あるいは将来の道路運送のあり方というものを、先ほど総合交通体系お話もございましたが、そういうものを掲げまして、その中において、将来のあり方として法規制の面でどういうふうに持っていったらいいか、そういう問題点のえぐり出しをやってまいりたい、かように申し上げたわけでございます。
  143. 米沢隆

    ○米沢委員 具体的なものに入っていきたいと思いますが、まず第一に、道路運送法の法の目的に関連してでございます。この道路運送法の第一条には「この法律は、道路運送事業の適正な運営及び公正な競争を確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立することにより、道路運送の総合的な発達を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする。」と、こうあります。文字どおり読みますと、前段は御案内のとおり道路運送の規制法的な性格を持っております。それから後段になりますと、産業の発展を促進する、事業をうまく育成していこうという事業育成的な性格を持っておると読めるのでありますけれども、理解はこれでよろしいのでしょうか。
  144. 中村四郎

    ○中村政府委員 現行法の目的としましては、やはり公共輸送事業であるということで、道路運送事業が適正に運営されるということ、それから戦後におきまして、公正な競争ということが叫ばれておりますし、今日におきましても、公正な競争を確保するということは妥当するわけであります。そういたしまして、全体として道路運送が整々として発展していくのだということから、輸送秩序の確立ということをうたっておるわけであります。他方、自家用自動車というものにつきましても、道路運送法が規定を置いておりまして、そういった営業用、自家用ともども道路運送の総合的な発達を目指していく、こういうことになっておるわけであります。したがって、規制法と申しますと、何か取り締まり的な、抑圧的な印象があるわけでありますが、これはそういった手段として免許、認可という手続をとりながら、事業の適正な運営とあわせて道路運送の総合的発達を図るのだということに相なっておるわけでございます。
  145. 米沢隆

    ○米沢委員 簡単に申しますならば、この法の目的は、輸送秩序を守っていくためのもの、同時に一方では、いわゆる輸送産業というものを育成していくという面はないのですか、あるのですか。
  146. 中村四郎

    ○中村政府委員 もちろん、道路運送法におきましては、道路運送事業の適正な運営を図るというのをねらいとしております道路運送事業の育成、発展、これを考えておるわけでございます。
  147. 米沢隆

    ○米沢委員 これは法文ですから、抽象的にならざるを得ませんけれども、もう少しはっきりしたものが出てこない限り、どうもそこらが一番がんになっていくのではないかという気がするのです。たとえば輸送秩序を守るという意味でも、ある程度の規制は必要ですね。そしてまた免許とかなんとかというかっこうで許認可行政も入っておるわけですから、そういう意味では、そこらはしっかりするものはもう少ししっかりしてほしい。同時に、現に乱れておるのは事実ですし、輸送秩序がどうのこうのと言いながらも、実際は白トラがどんどんはびこっておるわけですから、そういうものに全然対応できないとするならば、その産業そのものに携わる皆さんをどう育成していくのかという、そういう問題ももう少し前面に出さない限り、この法律を読んで、何かあいまいもことしたかっこうでどうでも受け取れるというものが行政であってはならないと思うのです。規制するものははっきり規制しよう、同時に、育成するものは育成しようという、もう少しその性格そのものをストレートに前に出した行政というものがなされない限り、私は、現在のこの何となくもやもやしたというものは解消できないのではないかという気がしてならぬのでございます。そういう意味で、規制法としての性格を強めるための改正あるいはまた産業の健全な発展を考慮した法体系、そういうものをもう一回見直しする時期に来ておると私は思っておるのでございます。  そこで、まずお伺いしたいことは、現在常に問題になっております。営業用と自家用の判定基準の問題でございます。自動車運送事業というものは、こう書いてあります。他人の需要に応じて旅客や貨物を輸送する事業を言う。有償運送事業は一般運送事業と特定運送事業に分けられております。それに対して自家用自動車の使用に当たっては優賞運送を禁止しておる。その意味では、いわゆる有償運送行為というものが、自家用の営業行為を判定する一つの基準になっておると言ってもいいのじゃないかと思います。しかし、有償運送行為だけでは、自家用車による貨物の売買問題、結局、運賃をもらって働いているのではない、そこで買って次のところまで送っていって売るのだ、そんな議論をされたのでは白トラは全然野放しになるわけです。現にそういうかっこうで白トラは野放しになっておるのです。そういう意味では、単に有償運送行為という概念だけでは、営業用と自家用の判定をうまく分けられないというところに、もともといまの現実の白トラが発生するという問題一つ原因があるのじゃないか、私はそう思うのです。  そういう意味で、自家用自動車による営業行為については、結果的には不明確な部分が残っておる、これが現実の問題です。それから自家用自動車の運送と営業自動車の運送の境界がそういうかっこうではっきりしない。そういう意味で、実際の運送行為において安全基準の遵守に問題が発生したり、あるいは先ほどから何回も言いますように白トラ行為が横行したりしておる。この問題をもう少し真っ正面に受けとめてほしいという感じがしてならぬのでございます。運転免許をもらうのは、現在のところそうむずかしい問題ではありません。だから、比較的安易に運転免許を取って、比較的安易に営業行為が行われる。白トラも何も規制できない。そういう意味では、運送産業は大変重要な社会的責任を持ちながら、いろいろな交通事犯を起こしたり、あるいは過度なめちゃくちゃをやったり、そういうものが逆に社会的な問題を起こしているわけです。  そういう意味で、この際、自家用と営業用を判定する基準というものを、単に有償営業行為だけではなくて、主たる業務は一体何をするのかという判定を持ち得ることによって白トラを退治するという道があるのではないかと思うのでありますけれども、このあたりの自家用車と営業用の自動車を判定する基準を、もう一回実態に合わして考え直すということが必要じゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
  148. 中村四郎

    ○中村政府委員 営業用と自家用の区分の考え方というのは、従前からなかなかむずかしい問題を含んでおるわけであります。現行法におきましては、営業用というのは、他人の需要に応ずるのだ、自家用というのは自己の需要に応ずるのだ、これが大きな判定の仕方になっておるわけであります。需要の自家、他家と、こういうところにポイントがあるわけであります。  もちろん、先生おっしゃいましたように、営業用の場合に、運賃料金の問題ということで、有償性というのは随伴してくるわけでございます。私ども、いま先生お話にもありました主業務が何であるか、こういったことについて、アメリカ等でもそういう考え方を取り入れてやっておるという話を聞いておるわけでありますが、そういった点につきましても、私どもさらに勉強いたしまして、大いに参考にいたしたい、かように思っておるわけでありますが、やはり何と言っても、そういった区分について明確に割り切れませんと、たとえば主業務という場合でも、何が主か従かという問題が、やはり出てくる可能性があるわけであります。したがって、そういうむずかしい問題を含んでおりますけれども、これは何とかして私どもとしても外国の例等も参考にしながら研究、検討していきたい、かように思っておるわけでございます。
  149. 米沢隆

    ○米沢委員 その検討は、何でもむずかしく考えたら大変むずかしいのであります。しかし、現在のそういう有償営業行為、有償運送行為というのですか、そういうものを判定する以上に、主業務は何かという、そういう一つ判断基準を示した方が白トラがいまよりもやや退治が進むとするならば、むずかしく考えてあれもできない、これもできない、こうしたらどうだという議論よりも、現実に輸送秩序を乱しておるというその問題を解決するために、ここはどんどん改正していただきたい。     〔小此木委員長代理退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 そのとき悪かったらまた改正すればいいわけです。そういうもう少し前向きな取り組みというものを、私はぜひ強調しておきたいと思います。  それから、そういうことですから、現に自家用自動車の営業類似行為みたいなものは目に余るのであります。いま現実に自家用自動車の営業類似行為というのはどれぐらいあるか、どういうふうに把握されておりますか、その対策とともに御説明いただきたいと思います。
  150. 中村四郎

    ○中村政府委員 自家用自動車に関します営業類似行為については、従来から各陸運局に指示しまして取り締まりを行っておるわけであります。また貨物につきましては、貨物輸送監理官制度というものも昨年発足いたしたわけであります。他方、街頭におきます監査、これは警察庁との連携ということを前提にしてでございますが、そういった手段で、輸送秩序に貢献するたてまえから自家用自動車の取り締まりということをやっておるわけでありまして、五十一年度におきまして摘発して処分をいたしましたものが、いわゆる白バスが四百四十一件、白タクが八十三件、白トラが千六百一件というような状況でございます。
  151. 米沢隆

    ○米沢委員 対策はどうなっていますか。
  152. 中村四郎

    ○中村政府委員 これらの対策といたしましては、トラックとそれからバスの方との関係は一律にはまいりませんが、いまも触れましたように、やはり一つは、取り締まり体制を確立してこれを実行していくということと、それから地方におきましては、そういった違反が起きてくる源というものを見た場合には、そこに何らかの需要がある、こういうことになるわけでありますので、これらについて営業自動車運送事業の方でそういった需要を吸収していくということが必要だろうというふうに思っておるわけであります。  たとえばトラック等におきましても、そういった荷主に対して魅力を感じさせるような運営、それから自家用と違った特質を持った運営というものをどうしてもわれわれとして指導してまいらなければならない、かように思っておるわけでございます。
  153. 米沢隆

    ○米沢委員 いま営業類似行為を摘発した数を読み上げられましたけれども、本当はこんなものじゃありませんね。実際はこれの十倍か百倍くらいですね、目の前にあるやつはみんなそうですから。建設会社が下請で雇っているやつだとか砂利を運ぶやつなんかはみんなこれですよ。それはいろいろ証拠固めができないとかむずかしいものがあって、また取締官が少ないということで摘発されないだけであって、実際は余りにもこういう数字では理解できないぐらいあるのが事実です。  ですから、結局先ほどおっしゃったように、需要があるからそういうものになる、それなら需要があるなら、逆にそんなものは違法だという法律をつくること自体がおかしいのであって、実際は、運送秩序を何とかして公正に保ちたいというならば、そこらに何らかの線を引く。そういう意味では、道路運送法そのものではどうしてもこたえられない部分が出てきているというのが実態の姿だという反省をしてほしいと私は思うのであります。  ところで、国鉄の方に伺いますが、この前五月に国鉄が、これは朝日新聞の切り抜きですが、「国鉄悲鳴の要望書 公正な競争呼びかけ」「輸送業界は秩序正して」「積載量オーバー 運賃ダンピング白ナンバー営業」等々、貨物でいまからもうけようという国鉄にとっては、ほかの分野にもう少しまじめにやってもらわなければうまくいかないということでしょうか、そういうことで異例なこういう要望書を運輸省等にも出された、こういう話を聞いておりますが、意図は一体何ですか。
  154. 山崎忠政

    ○山崎説明員 国鉄の貨物営業につきましては、大変大きな問題を抱えておるわけでございまして、私どもは、何とか自助の精神をもって立て直したいということで、いま安定と効率ということを目標といたしました貨物輸送体質の改善に取り組んでおるわけでございます。  いま貨物輸送を考えます場合に、私ども国鉄貨物営業といたしまして、トラックを初めとする業界の方と協調してやっていく部面、具体的にはたとえばフレートライナーというものを四十四年から発足させまして、広くトラック業界の方々と協調してやっていきたい、こういう部面を持っておるわけでございますが、反面また同時に、今日の国鉄の貨物営業が荷主さんの選択から外れてきた事情があるわけでございまして、この辺の問題につきましては、やはり私どもの努力不足があったと思っておるわけでございまして、これにつきましては、先ほど申し上げました体質改善を通じまして、今後十分他の輸送機関と競争し得る体制に持っていきたい、こういうように思っておるわけでございます。  ただ、競争を考えます場合に、やはり条件というものを公正にしていただきたい、こういうことを念願するものでございまして、この場合、いま現在社会的にも非常に問題になっておりますし、いま先生御指摘のように、具体的な問題として、たとえば過積みの問題であるとか白トラの問題であるとかあるいは運賃のダンピングの問題であるとか、私どもが今後公正競争をやっていこうと意気込んでみましても、どうも客観条件が整っていないうらみがあるわけでございます。こういった問題につきましては、ひとつ関係省庁の間で、高度のお立場で条件を整えていただきたい、こういう趣旨のものでございます。
  155. 米沢隆

    ○米沢委員 局長、いま国鉄の方からも話がありましたように、現に輸送秩序が乱れておるがゆえに、国鉄もいまからまじめにやろうとして困っておるわけですね。また昭和二十九年の八月に、御承知のとおり「貨物自動車輸送秩序の確立について」という通達が出ておるのですが、この通達が出るということは、二十九年以前からこういう問題が発生しておったということ、それが依然として全然問題が解決していないがゆえに、いまだにこういう問題が取り上げられるということ、そういう意味では、いかにいろいろ行政努力がなされたとしても、輸送秩序の確立という問題は本当にいままで永遠の宿願であった。これからも永遠なものにするか、それとも自家用車と営業車の判定の基準を変えていくなり、あるいは免許制度をちょっと変えていくなり、そういうことをしながら、少なくとも輸送秩序を確保するために、法改正という面で貢献できる分野については積極的に改善をしていくということが必要じゃないか、私はそう思うのです。  細かいことは、きょうは時間がありませんからできませんので、後日細かい点について順次御質問をさせていただきたいと思いますけれども、一応道路運送法というものが現に大きな社会的な変化に応じてついていけない部分があり、そして改正当時からこの輸送秩序というものが一向に確立される方向に向かっていないということだけは事実ですし、現にいろいろな問題が出てきておることも事実ですから、そういう意味で道路運送法をいじればすぐなくなるとは思いません。しかし、道路運送法を変えることによって、そういうものがなくなる方向に向かうならば、私は、勇気を持って積極的に改正に手を出していくという、そういう積極的な姿勢を求めて、きょうは前段の御質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  156. 佐藤守良

    佐藤(守)委員長代理 小林政子君。
  157. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、まず、国鉄のこのたびの運賃値上げの問題についてお伺いをいたしたいと思います。  今回、国鉄側から申請が出されました運賃改定は、いわゆる取れるところから取ろうという、きわめて意図的なものだと一般でも言われております。中でも通学定期は四〇・八%という大幅な値上げというもので、まさにこれはねらい撃ちされたのではないかという感すら持つものでございます。先ほど国鉄総裁は、今回の運賃値上げは、上げたくはないけれどもやむを得ない、追い込まれるというような思いでございますという御答弁がございましたけれども、通学定期の四〇・八%という大幅値上げ、これは一体どういうことなんだろうか。  もちろん、国鉄が公共割引と呼んでいるものには通勤通学定期のほかに、農林水産物だとか新聞だとか雑誌輸送だとか、多くのものがございますけれども、その中でも通学定期に対して大幅な値上げが行われたということは、現在の学生生活に大きな影響を与えることはもう必至でございますし、先ほどの総裁の追い込まれるような思いでということとこのこととはどういう関連を持つのか、このことをまずお伺いいたしたいと思います。
  158. 高木文雄

    ○高木説明員 通学定期につきまして、現在割引率が八〇%を超えている。つまり国鉄は現在、全体として大体コスト百四十円ぐらいの品物を百円ぐらいでお売りしているという感じでございますが、そのまた百円のところを二十円ぐらいでお売りしておるというのは一体いかがなものであろうかということ、これは経営的には言えると思います。  それから、今度は通学費の負担、父兄の負担なり学生さんの負担なりという意味においては、どういう位置づけで考えるべきかということにつきましては、私どもにはよくわかりません。安ければ安いほど喜ばれるであろうということはわかりますけれども、もろもろの教育費負担の中においてどのような位置づけがあるのかということはよくわからないわけでございまして、父兄の負担、学生さん本人の負担の中で、学費を初めとしたもろもろの負担について、どのようないわば教育奨励制度をとられるべきかということは、やはり教育の主務官庁である文部省の方でいろいろお考えいただきたいと思うわけでございます。  際限なく学生割引をやめる方向で持っていっていいとは思いませんけれども、しかし、いまのように八割も割り引いておるというのは余りにもかけ離れていると思われるわけでございます。さればこそ、過去十年間にわたりまして、繰り返し繰り返し、私どもの諮問委員会等におきましても、学割りの負担は何とか勘弁してもらうようにがんばりなさいよと言われてきたわけでございますし、国会の御審議の過程におきましても、あるいは附帯決議等の形におきましても、公共負担割引についての考え直しを指摘されてきたわけでございまして、私は、全体としての値上げにつきましては、かなり追い詰められた気持ち、決して進んで値上げをしたいという気持ちはないわけでございますが、どうしても値上げをせざるを得ないというのであれば、やはりその中でバランスをとっていかなければならないので、現在のようなものはいかがなものかと考えております。  なお、もう一つ考えていただきたいのは、いまの学生割引というのは、主として大学生と高等学校の学生さんでございまして、義務教育とは関係ないと言ってもいいわけで、義務教育の方で学生割引の適用者もございますけれども、これはきわめて希有の例でございます。そうしますと、学校に行かれる方と、学校に行くことのできない貧窮家庭とのバランスというような問題もあるわけでございまして、いまやそういう点から考えますと、国鉄が学生さんのために身を切る、肉を切るというのはいかがなものかということについて、私は、相当程度、大ぜいの方の御理解を得られるものと考えておる次第でございます。
  159. 小林政子

    ○小林(政)委員 現在、学生の生活実態という問題がどんなに深刻であるかということは、これはいろいろな団体が調査もいたしておりますけれども、結局、その収入は家庭からの仕送りがやはり主でありますが、それだけではとうてい足らないということで、大部分の、五〇%の学生がアルバイトを現在している、あるいは学校からの奨学金を受けて勉強しているというのがいまの実態であります。これは大学生協連の人が調査をいたしました資料によりましても、特にその中でもアルバイトの内容は重労働でやっているという、最近はこういう状況も出てきております。また親の仕送りという問題も、その仕送りの依存率は四年前に比べて一〇%も高くなって、実際にはもうこれが限界ではないかというような具体的な調査をした資料が私の手元にございます。こういった実情というものを考えますときに、単に国鉄経営ということだけでこの問題を割り切るということはできないというふうに言わなければならないと私は思います。  そこで現在、実際の生活費というのはどのくらいかかっているのかという点も調べてみますと、大都市で下宿をしている学生の場合には、月当たり生活費が国公立で七万円を超えているという数字もはっきりしております。結局、アルバイトをやり、あるいは足らないところは何らかの形で補って生活をしている学生にとって、四〇・八%というようなこういう負担は、これは私、非常に重要な問題だと思いますし、また交通費についても、国鉄を大部分利用しているという数字も出ております。七〇・六%の学生が国鉄利用しているというアンケートも出ていますし、また交通費も、一カ月の交通費で五千円以上が二一・五%、三千円以上が二一・八%、一カ月の生活費に占める交通費は、特に自宅生については全国平均で月四千円、生活費の中に占める割合は一二・三%、こういった具体的な数字も出ており、いかに学生というものがいま大変であるか、こういうことを考えますときに、交通費の占める割合というものが書籍費や文具費をはるかに上回るというこのような統計数字を見ましても、今回の四〇・八%の値上げというものは、全くひどい内容であると言わなければならないというふうに私は思います。  そこで、この学生への影響や父母にどれだけ負担がかかるかという点については、総裁がそれはよくわからないと言うこと自体がおかしいのであって、その点については知っていながら、なおかつ今回三%のこの割引率の引き下げということをやってきたところに問題があるのではないか、私は、このように受けとめておりますけれども、総裁にもう一回、お答えをいただきたいと思います。
  160. 高木文雄

    ○高木説明員 先般も参議院で、やはり同趣旨のお尋ねがございましたので、そのときにもお答えいたしたのでございますが、率直に申しまして、私どもも学生さんの生活実態というのはよくわかっておりません。ただいまお示しの数字は、先般参議院の運輸委員会におきましてもお示しいただいたのでございますが、月に四千円と言いますと、そしてそれが国鉄をお使いになっているということになりますと、五十キロ以上の遠いところから通っていらっしゃるということになるわけです。うちの通学定期で言いますと。学生さんの平均通学距離が五十キロを超えているということは、ちょっと考えられないわけでございまして、どうもいまの統計、そういう統計があるようでございますけれども、平均でございますから、五十キロということになりますと、十キロの方も二十キロの方もあってそれで五十キロということでございますから、百キロも通っていらっしゃる方がいらっしゃるのかなということになってしまって、どうもつじつまが合わない。それがもし通学費でなくて交通費であるということであれば、これはまた郷里にお帰りになる経費がそこに入っているのであれば、これは確かに遠いおくにへお帰りになるには、ずいぶんかかりますから、それを一月に割ればかなりの額になる。そういう分が入っているのだとすれば、これは四〇・八%と関係ない方の話になってしまうわけでございます。  その辺をもう少しよく研究したいわけでございまして、ぜひひとつ文部省の方からも、そうしたものを数字に基づいて御主張願えないかということをいま考えておるわけでございます。どう考えましてもおかしい。あるいはまた交通費ということで、アルバイトのときに乗り物に乗られる経費も入っているのだということになれば、これはアルバイト収入との経費率の問題になってくるわけでして、ちょっとそういう点をよほど分析して議論する必要があるのではないか。確かに私どもも無責任と言われれば無責任なんでございますけれども、これまで何遍も文部省の方には申しておるわけでございまして、一向そうした調査もしていただけませんが、ここまで来ましたので、もう一遍、文部省ともよく話をして、調査等もいたしまして、十分その生活実態等を分解しながら今後議論を進めていくことにしてはどうか。しかし私どもとしては、それにしても八割というのは余り引き過ぎではないかと考えているわけでございます。
  161. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、私鉄との関係も調べてみました。結局、値上げ後の国鉄と現在の私鉄との一ヵ月の通学定期の運賃を比較いたしますと、これは品川−横浜ですが、京浜急行ですと千五百十円、国鉄ですと二千九百七十円、新宿−八王子を京王と国鉄とで比較いたしてみますと、京王の場合には千八百五十円、国鉄の場合には四千五百五十円になるわけです。  私は、私鉄というのは、どちらかと言えば、営利を目的としている鉄道で、国鉄の場合には公共性ということで、全く機械的にこれを比べられる性格のものではないと思います。そしてこれはほんの一、二例をいま例に挙げたにすぎませんけれども、しかし私どもは、いま相当数調べてここに資料を持っておりますけれども、こういう点から考えても、やはり今回の値上げというものが、どんなに負担が高いかということを示す一つの例ではないか、このように考えます。  八二%を割り引いても——今度は七九%になりますけれども、それだけ割り引いても、実際に負担する額が私鉄の二倍にもなるというような、こういうことについて具体的にどうお考えになりますか。
  162. 高木文雄

    ○高木説明員 まさにそこが国鉄全体として困っている点でございます。通学に限らず通勤につきましても、あるいはまた普通の乗車券につきましても、東京なり大阪なりでは、私鉄と比べて必ずしも国鉄が安くないという状態にだんだんなってまいりました。これは非常に困ったことだと思っているわけでございます。  なぜそうなっているかと申しますと、全国均一運賃制をとっている関係でそうなってくるわけでございまして、いまお挙げになりました小田急でございますとか京成でございますとかという私鉄は、全国私鉄の中でも大変成績のいいところ、つまり人口が多いところで経営をしていらっしゃいますからお客さんが多いわけで、したがって、単価を安くできるということでございますが、過疎地帯に参りますと、私鉄というのはほとんどございませんせいもありましょう、公営バスその他のバス等が交通の主体になるわけでございますが、そういうところに参りますと、学生さんの負担で見ましても、国鉄と私バスあるいは公営バスでは問題にならない大変大きな差で、今度は国鉄の方が非常に安いという実態になっているわけでございます。  それはどこから問題になるかと言うと、通学の割引の問題ではなくて、むしろ基本の料金の立て方についてどう考えたらいいのかということ、私鉄なり国鉄なりが原則的にはそれぞれの企業体ごとの個別原価主義によっております関係上、都市に基盤を置いております私鉄は比較的運賃が安うございますし、地方に基盤を置いておりますところは高くなってしまう、私の方は全国一律だ、こういうところからくる矛盾でございまして、これは何とか考えていかなければならぬ問題だと思っておりますか、百年間続いてきました——百年間というのはちょっと大げさでございますが、明治の終わりごろから続いてきました均一運賃制に手を入れるということは、これまた非常にむずかしいことでございます。  この問題については、至急手をつけていかなければならぬということでございまして、これは小林委員の御指摘ではございますが、制度論として考えますと、必ずしも割引だけの問題として議論されるべきではなくて、そもそも基本の運賃の立て方について議論さるべき問題で、そこに非常にはっきり問題の所在を暴露している問題だというように考えておる次第でございまして、運賃問題にはなかなかむずかしい問題がまだ山のようにあるということを示す一つの例ではないかというように考えております。
  163. 小林政子

    ○小林(政)委員 いろいろ考え方の点については、経営の立場からもあるでしょう。しかし、現実の問題として、営利を目的とする私鉄の方が、定期の割引率にしてもあるいは額にしても国鉄よりも低いという、そういうようないまの実態を考えれば、これはいろいろとおっしゃっても、実際この問題については、やはり学生の現状というものをそういう点からどう見ていくのか、このことを抜きにしては考えられないというふうに思いますし、まして通学定期の値上げに関しては、文部省は据え置きを強く要求いたしているわけでございます。  この点について大臣にお伺いいたしたいと思いますけれども、三%の実施時期を来年の一月実施ということに延ばされた理由はどういうことなのか、明確にしていただきたいと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、小此木委員長代理着席
  164. 福永健司

    ○福永国務大臣 そういうようにしたわけではございませんが、運輸審議会に諮問するに当たって、私の意見として、通学についてはある程度実施時期をおくらせることにしてはどうかという意見を確かにつけました。そのつけましたゆえんのものは、まあ学生については少し時間を置いて考える余地がありとするならば、その間に考えてやってもらえないかなというような気持ちでございます。  そのときに実は、そのとおり事実であるかどうかわかりませんが、私のところへ何人か人が参りまして、おまえは余りいろいろなことを知らないのだなと、こう言うのです。何だと言ったら、昨年東京都営の地下鉄が一〇〇%上げた、営団も上げたそうですか、大体一〇〇%以上のところと九〇何%で、両方合算しても一〇〇%、通学通勤ともにそういうようにした。大変皮肉なことで恐縮でございますが、その際は、小林さんの方の共産党はそれに御賛成なすった、自民党が反対したとか、そんなようなことを言った。そのとおりであるかどうかわかりません、私も余り詳細に調べておりませんから。それは別問題ではございますけれども、私は私なりに、学生の問題については、時期でもせめてというような気持ちで、それならどうかなと思って、私の意見をつけたわけでございます。  しかし、これは私の意見等がありましても、運輸審議会ではいろいろの手順を経て、それを専門に検討する委員も任命したり、公聴会をやったり、その他いろいろなことをやって、私どもの方へ答申が参るわけでございますが、それらを見た上で、今度新しく国会でお決めいただいた法律改正によりまして、認可するかせぬかというようなことを決めたいと私は思っておるわけでございます。  いまの御質問の点につきましては、私は私なりに、多少の考慮する期間をというように考えたということでございますので、一面、先ほどから国鉄総裁が申しております点もわからぬじゃないのでございますが、その辺をあれもこれも考えた上での私の措置であった、こういうことに御理解をいただきます。
  165. 小林政子

    ○小林(政)委員 先ほどの大臣の、東京都市交通の話というのは、これは全く次元の違う話です。もともと地方財政がこのような状態の中で、本来全然次元の違う問題をここに持ち出してこられたのは、ちょっとおかしいのじゃないですか。いま求められておるのは、国会の意思に沿った形で、公共割引に対する国の保証措置をどう実行していくかというこのことだと私は思うのです。  だから大臣が、来年の一月までこの割引率の引き下げについては延ばしたということは、その間に話し合いをつけて、何とかこの問題については解決をするという方向を出すためだったのか、それとも三%引き下げというのは、もう既定のことでやむを得ないというふうに見ているのか、一体どっちなのだろうか、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。
  166. 福永健司

    ○福永国務大臣 先ほど私が申し上げたことは次元が違うとおっしゃいましたが、私、議論するつもりはございません。ことに尊敬する御婦人と議論をするつもりはないのでございますが、ちょうど同じ時期にそういうことを言って、いろいろ交通手段があるがどうだと私に相当強い主張をされた人があります。聞いてみると、それはそれなりにごもっともだと私は思ったのでございます。  ただいまの御質問につきましては、時期をずらすことによって、近く私も関係の閣僚会議でその他のことも含めて相談をしたいというようなことを考えておりまする次第でございますので、その間にそういうことについてさらにいろいろ協議することができればという気持ちもあったわけでございまして、時期をと言ったことは、いつまででも上げないでおいた方がいいと言っているつもりではないので、国鉄の言い分も、これはまたこれで考えなければならない。だがしかし、時期的にそういう意見を付したということにつきましては、時間があることによって、その間に何らかの努力をし、その成果があればということも念頭に置いてのことでございます。
  167. 小林政子

    ○小林(政)委員 この問題については「国鉄再建の基本方針」を閣議でも決定し、すでに本年度の予算で一応助成金として五千四百億円を計上しているわけですけれども、こういったことしの予算措置でも、具体的には閣議で決定したときに、公共負担については新たに見直すということが「基本方針」の中に入っているのですが、その見直した結果がこういうことなんですか。はっきりしてくださいよ。
  168. 福永健司

    ○福永国務大臣 いまお聞きの点は、そういう内容までを決めてやったというわけではないので、それらのことはこれから決めていく、こういうことに了承しております。
  169. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、同じ政府の中で、運輸省の場合にはこれについてある程度異論があるようでございますけれども、文部省の方は何とかこれを据え置きで抑えてもらいたいという問題が起こっている。この問題については結局、両大臣の間でも、あるいは政府の間でも意思の相違というものを残したまま、意見が一致しないままで具体的に認可を行うというようなことは、少し問題が出てくるのじゃないか、このように思いますけれども、こういう点についてどのようにお考えでしょうか。
  170. 福永健司

    ○福永国務大臣 文部大臣ないし文部省から意見があるということは、私も承知をいたしております。私自身も考えたところがあるわけでございますが、文部省がそう言うから決まらぬということにはならぬと思います。こういう問題でございますから、できるだけ関係者が相談して結論を出すということが望ましいと思いますので、私は、その努力をいたしますが、そういうことで意見が対立してどうしても決まらぬという内閣ではないだろうと思います。そういう内閣なら、これはまた話にならぬ、こう思いますので、そういう点についてどういうように決めたいということは、この時点では申し上げるべきものではありません。よく相談いたしまして結論を出すようにいたしたいと存じます。
  171. 小林政子

    ○小林(政)委員 この問題については、意見の相違があるままこれが通るということのないように、大臣に政治力を発揮してもらいまして、話し合いをしてもらうと同時に、この問題は文部省対運輸省という関係ではないと思います。公共負担の問題をめぐって、この問題については「基本方針」でもはっきりとこの問題の見直しということも言われており、さらにこの問題については、当然公共負担分については国が赤字の国鉄に全部おんぶして、そして負担だけをしょわせてということでは私は納得できないと思います。この問題については当然、国が責任を持って公共負担に対しては解決の方向をはっきりと出していくという態度で臨んでもらいたいと思いますけれども、大臣の決意をもう一度お伺いしたいと思います。
  172. 福永健司

    ○福永国務大臣 公共割引に関しまして、ただいま激励をいただいておりまして、私はありがたいと思いますが、これからそういうこと等についてなおいろいろと相談してまいりたいと存じます。思うようにいくかどうか、これは相談する前からそんなことを言ったのじゃいけませんけれども、せいぜい努力をいたしたいと考えます。
  173. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間の関係もありますので、私は次の問題に入りたいと思います。  運輸審議会の運営のあり方、この問題についてお伺いをいたしたいと思います。  昨年の法改正で、国鉄運賃についての決定は国会の審議を必要とせず、大臣の認可で決定できるということに変わってしまいましたけれども、この法案を審議いたしております際に、田村前運輸大臣は、運輸審議会の運営や機構の改善を図って広く国民の声を反映させるために、すなわち運審に対するダブルチェック機能の役割りを果たすようにしたいという意味の考えを持っているということを発言されておりますけれども、今回、運賃改定に際して運輸審議会が一般規則の一部を改正する省令によって、六名の専門調査員を委嘱されたわけでございますけれども、この専門調査員の持つ権限は具体的にどういうものなのか、まずこの点からお伺いいたしたいと思います。
  174. 山上孝史

    ○山上政府委員 国鉄の運賃専門調査員というものは、法律上の根拠といたしましては、運輸省設置法の十七条の第三号に基づきまして運輸審議会が出頭を求めて、その意見あるいは報告を徴する、いわゆる参考人でありますが、一般の参考人と違いまして、と申しますのは、御承知のように昨年の第八十三国会におきます当委員会における運賃法の改正の御審議の経緯等を踏まえまして、一般の参考人とは違って一回限りのものではなく、国鉄運賃事案の諮問を速やかに委嘱を申し上げ、これはすでに五月十八日に委嘱をいたしましたが、その国鉄の当該事案につきまして答申が行われるまでの間に、公聴会あるいは聴聞会におきまして、申請人である国鉄質問をしていただくということ、あるいは公聴会、それから聴聞会におきまして、運輸審議会に対しまして当該事案についての意見を述べていただく、そういう特別の役割りを持ったものといたしまして、去る四月十八日に運輸審議会の一般規制の改正、省令の改正ですが、特に新たに制度化したものでございます。そのような新たな制度化に基づく権限を持ったものでございます。
  175. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまのお話ですと、聴聞を行ったり、あるいは公聴会で意見を述べたり、あるいは申請者に対して質問を行うといういわゆる参考人ということでこれらのことを実施していくのだ、こういうことでございますけれども、そうしますと、この答申を行う際に、専門調査員の意見というものが具体的にはどのように尊重されて、そしてその答申に保証されているのかという点についてお伺いをいたしたいと思います。
  176. 山上孝史

    ○山上政府委員 運輸審議会の決定というものは、御承知のとおり運輸審議会の一般規則の二十七条というのに記載されてありますように、各委員の自由な心証によりまして事実に基づいて判断をするというものでございます。しかし、この場合におきましても、先ほど申し上げました運賃法改正の国会の審議の経緯を十分に踏まえまして、運輸審議会が新制度を特に確立し、これに基づいて委嘱をした専門調査員でございますので、その意見につきましては、答申に当たって当然特に重要な参考にされるものと考えております。
  177. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、結局は参考人ということですから、その参考人の方が具体的に聴聞を行ったり、あるいは公聴会で意見を述べたり、あるいは審議をしたというようなそういう内容等については、これは具体的に審議会がそういった答申を出す際の判断材料として参考にされるのでしょうけれども、しかし結局、答申の意見というものの中にはそういうものはどのように位置づけられて明記されるのでしょうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  178. 山上孝史

    ○山上政府委員 運賃専門調査員の意見あるいは質問内容等につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、聴聞会あるいは公聴会において行われるわけです。特に公聴会におきましては、公開の席上でございますので、それは一般の傍聴人の方々にも十分公開されているということでございます。
  179. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは、ちょっと角度を変えまして、二十六日と三十日と二回にわたって聴聞会がすでに開かれているというお話を聞いておりますけれども、その聴聞会の具体的な特徴だとか、どんな意見が出され、どのような審議が行われたのか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  180. 山上孝史

    ○山上政府委員 御指摘のとおり、専門調査員に対します聴聞、これは五月二十六日と三十日と二回すでに行われました。また第三回目の聴聞はあした行われる予定であります。——いま運賃専門調査員に対すると申し上げましたが、国鉄に対する聴聞、このように正確に申し上げます。  それで、この聴聞におきましては、申請者である国鉄からの説明を受けるというところに目的がありました。したがいまして、国鉄の運賃専門調査員から国鉄に対しまして質問が行われております。すなわち申請者たる国鉄に対しまして、申請の内容あるいは申請の理由等につきまして陳述を運輸審議会が聞いたわけでありますが、その陳述に対しまして運賃専門調査員がいろいろ質問をしたということでございます。したがいまして、意見につきましては、今後の問題となっております。
  181. 小林政子

    ○小林(政)委員 国会審議にかわるべく新しい制度としてせっかく国鉄運賃専門調査員ができたわけでございますので、過去二回にわたって行われております具体的な陳述の内容とか意見とか、こういったものは何らかの形で資料として公表をする意思があるかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  182. 山上孝史

    ○山上政府委員 すでに終わりました二回の聴聞における専門調査員の質問につきましては、たとえばこのようなことがありました。通勤輸送のコストはどうなっているか、同じ赤字でありながら、定期を大幅に値上げする反面、貨物は小幅にとどめているのはどういう理由であるか、国鉄は貨物部門を縮小しようとしているように思われるが、貨物部門を生かす方途はないのか、このような質問が行われた、こういうことを聞いております。
  183. 小林政子

    ○小林(政)委員 そういう問題を広く一般の国民がわかるような形で何らかの資料を提出される意思があるかどうか。この前の国会審議のときに、この制度をつくることによって、国会審議がなくなってしまうわけですから、それにかわるべき専門調査員の人たちの審議の状況についてはできるだけ資料を提出するようにしたい、これを審議会にもお願いしたいと田村運輸大臣は言っておられましたけれども、この検討結果は具体的にどうなったのでしょうか。今回の答申では実行される予定なのですか。
  184. 山上孝史

    ○山上政府委員 答申の出るに至る間の審議の過程あるいはその判断の資料等につきましての公表の問題だと思いますが、この問題につきましては、まず一般論といたしましては、審議会の審議において参考とされる資料につきましてはできるだけ公表すべきだと思います。しかし、これらの資料の中では、たとえば関係者の機密に属するものが含まれていたりすることがままあります。そういうこともありますので、資料を公表することが適当でない場合もありますが、国鉄の場合には、その性格から言いまして、こうした配慮を必要とするような場合は少なくて、むしろその実態をできる限り国民に示すことが望ましいと考えております。このため運輸審議会が国鉄運賃事案につきまして、その審議に当たりまして重要な参考資料となった文書等につきましては、一般規則に基づきましてこれを公示いたします。その公示の中で答申書、それから関係の書類等は閲覧に供することが示されておりますが、その閲覧に供する際に、あわせてその参考資料等を閲覧させるというような方法で極力公開することを運輸審議会に要望したい、このように考えております。
  185. 小林政子

    ○小林(政)委員 やはり国民生活に大きな影響を与えるわけですから、国鉄運賃などという公共性の問題を審議いたします際には、できるだけ公開をして行っていく、原則としてそういう方向で進んでもらいたい、このように考えますし、これまではこれは国会で論議をされ、それを国民が知り、判断をしていくということで、国会審議が持つ重要な役割りに対してはガラス張りでやられたわけでございますけれども、全面的に非公開ということになっております現在の運輸審議会では、国会が果たしていたこういった国民に知ってもらう、国民は知る権利があるという重要な役割りが全く失われてしまう。これに対して何らかの工夫を行って、これは個人の財産その他にかかわる問題が審議されるわけではありませんので、公の立場で、公共性を持っている国鉄運賃問題の審議などは原則としてできるだけ公開にすべきではないかというふうに考えますけれども、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  186. 山上孝史

    ○山上政府委員 運輸審議会自体の審議の公開の問題といたしましては、遺憾ながらこれは非常にむずかしいということであります。と申しますのは、運輸審議会の設置法にありますとおり、公平かつ合理的な結論を得るために、両院の同意を得まして任命される広い経験と高い識見を有する各委員が自由な発言を保障されて、その結果、その審議の結論が出るというたてまえであります。したがいまして、この審議過程をオーブンにする、公にすることは、委員の自由な討議を阻害するおそれがないわけでもありませんので、これを公開性にすることにつきましては非常に困難であると思います。  しかし、先ほどもお答え申し上げましたとおり、答申が出ますと、その答申の内容あるいはその付属書類等は、関係者を初め一般の国民の方々に公開をするという制度になっておりますし、また運輸審議会の会長の談話というのが後で発表されるのがしきたりであります。その中で審議の過程等につきまして、できるだけ詳細に公開することに今後とも運輸審議会において善処されるように特に要望をいたしたいと思っております。
  187. 小林政子

    ○小林(政)委員 国民に公開という点でもう一つ大事な役割りを持っているのは、公聴会であろうというふうに私は思いますが、六月二日に締め切った公聴会の応募状況がどんな実情になっているか、人員だとか居住地の範囲だとか、それらを含めてお伺いをいたします。
  188. 山上孝史

    ○山上政府委員 六月二日に締め切りました今回の事案の公述人は、賛成が二十三人、反対が八十七人、計百十人でありました。しかし、提出すべき公述書というのがありますが、反対の八十七人の中には、これが印刷されて他と全く同じ物を提出した者が四十五人おりますので、これを除きますと、実質的には反対が四十二人ということになります。賛成二十三人、反対四十二人の申請があったということであります。この中で運輸審議会におかれましては一般の公述人として、各層各界からの代表として賛成が七人、反対が十三人、計二十人を選定したわけであります。
  189. 小林政子

    ○小林(政)委員 前回の場合には、公聴会の公述人は三十名、今回、いま二十名ということですけれども、国民の声を十分反映させていくという点から、これではむしろ後退ではないだろうか。また公聴会は東京だけじゃなく、全国の主要都市でも開いて、広く利用者の意見を聞くということ、これは当然のことではないか。これらの点について具体的にはどうなっているのか。  そしてまた最後に、運輸大臣にちょっとお伺いいたしますけれども、これを本当に広く国民に公開をするという点で、運輸審議会は一回だけでいいのかどうか、あるいはまた運輸省設置法の十六条で大臣がこの開催を決定することになっておりますけれども、一回だけなどということは何も書かれていないわけです。こういう点も含めて私は、大臣のこれに対する見解をお伺いいたしたいと思います。
  190. 山上孝史

    ○山上政府委員 いま先生御指摘の一回しか開かないということは正確ではないと思います。今回の公聴会は六月十三日それから六月十四日の両日、東京で開催されるということであります。東京でしかやらないという御趣旨だといたしますと、これは三つ理由があると聞いております。  一つは、国鉄の運賃は御承知のとおり、全国に関係する事案でありますが、東京は申すまでもなく政治経済の中心地であります。したがいまして、各種の団体とか会社とか事業所等の中枢機能が集中しております。したがいまして、国民各界各層からの意見を聞く上におきましても最も好適であるということが言えるわけであります。第二点は、運輸審議会自体の問題でありますが、これが海陸空にわたりまして早期に処理すべき事案というのはたくさんあります。ほかの事案にも支障を及ぼさないようにする必要があるわけであります。第三点は、公聴会の円滑な運営を図るためには、運輸省の各原局から協力を得ることやあるいは関係官庁等の職員の出席が必要になります。これが容易でなければならない。こういうような理由で公聴会は今回も東京で行われるということになったわけであります。  なお、東京以外の土地の方々の御意見等につきましても、先ほど申し上げました二十人の一般公述人の選定に当たりまして、東京以外からも数人、それから全国的な団体の方々も数人が、この一般公述人の中に入っております。そのようにいろいろ配慮を尽くしておるわけであります。
  191. 福永健司

    ○福永国務大臣 ただいま官房長がお答えしたような次第でございますが、小林さんの御意見の点は、こういう趣旨の御発言がありましたということを適当な方法において審議会の方へも伝えておきたいと存じます。
  192. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはりこの公聴会あるいはまた専門調査員の人たちの活動については、これはもっと国民の人たちによく知ってもらうような、そういう立場でやっていくことが必要だと思います。確かに守秘義務等との関係で運輸審議会の全面的な公開ができないということは、前回も論議をしたところでございますけれども、しかし、工夫を一層新たにして、何らかの形でこれを公開に近いところに持っていってほしい。そのためには、いまの法律でできないのであれば、それはやはり何らかの形で法改正をしてでもこういう問題については国民の前に明らかにできるような、そういう措置をとる必要があるのではないか、このように考えますけれども、大臣、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  193. 福永健司

    ○福永国務大臣 いまのお話の点は、小林さんのようなお考えももちろんございますし、同時に、運輸審議会等がいかにあるべきかという考え方ではまた別の意見もあるわけでございまして、その辺にわかに一挙に変えるというわけにもいかないと思うのでございますが、御意見のほどは私はよく伺っておきたいと存じます。  いずれにいたしましても、法改正ということ等と関係いたしますと、これもそう簡単にやれるものではございません。よく考えさせていただきたいと思います。
  194. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間の関係でもう一点だけ質問をいたしたいと思います。これは国鉄の総裁にお伺いをいたします。  通勤通学をも含めてとりわけ首都圏の交通状況というものは、年々乗車人員も増加をしております。具体的には、昭和三十五年に七百八万人であった国鉄利用者が五十年の段階では千百十一万人と、シェアの点についても各輸送機関の中で第一位というような数字がこの「国鉄通信」の中にも書いてございますけれども、私は、この中でとりわけ乗車効率というものを見てみますと、一時期ちょっとダウンをしたことがございますけれども、しかし、これも年々上がってきておりまして、大変な混雑率、こういう状況のもとで国鉄の方でも通勤通学対策を含めてこの問題に対しては取り組みを強めているところでございますけれども、たとえば快速のサービスだとかあるいは直通運転だとか駅の改良だとか車両の新製そして能率化を図っていくとか、こういった措置をとられておりますけれども、私は、時間の関係で一つだけしか言えないことを残念に思いますけれども、これから夏に向かって、とりわけ冷房の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  いま冷房の問題については、昨年来からの国鉄当局の一定の努力も実ってはきております。新幹線、特急は一〇〇%もうすでに実施済みでございます。東京地区の通勤電車、これは一応の進捗はしておりますけれども、まだ相当のアンバランスがございます。私は、この問題については、やはり今後五カ年ぐらいのきちっとした計画を持って実施をしていくということがどうしても必要じゃないかと思うのです。確かに新幹線などについては、一定の年度を設けてその時期に実施をする、こういう計画が立てられておりますけれども、一般の電車の冷房の問題あるいは車両の新旧の取りかえの問題、こういった問題等については、具体的な中期計画というようなものをひとつぜひ立てていただきたい、そして実施を早めてもらうようにしてほしいというふうに考えますけれども、この点について、総裁と運輸大臣、両方の答弁を伺いたいと思います。
  195. 高木文雄

    ○高木説明員 いろいろな事情でどうしても運賃を改定させていただかざるを得ないということについて各方面にお願いいたしますと、皆様から寄せられます御意見の中には、それはそうかもしれないが、それに応じてサービスをよくしなさいということを、よく御指摘を受けるわけでございます。そのサービスをよくしなさいというのはきわめて多面にわたりますが、通勤地域におきまして言われますことは、車両を新しくしなさいということと冷房化率を高めなさいということの御意見が一番多いように思います。  したがいまして、いま小林委員から御指摘いただきました点は、大都市の通勤地帯におきますところのきわめて一般的な強い御要請ではないかというふうに私どもも理解をいたしておりますが、現状は、東京は一昨年の冷房化率が二七%でございましたが、昨年が三八%になり四七%になりました。これは走っております車両の中で冷房の設備を持っているものの率でございますが、二七から三八、四七というテンポで改善されてきております。大阪地域では、三六から昨年が四三で、ことしは五二%ぐらいまでいくだろうというふうに見ております。ただ問題は、東京におきましても線区によって非常にアンバランスになっておるわけでございますので、今後だんだんこのアンバランスを解消してまいりたいというふうに思っております。  ただ問題は、ことしはよろしいのでございますが、来年冷房化率をどのぐらい上げることができるかという点でございますけれども、実は車両の新製計画というのは、年によりまして余り変動がありますと高いものにつくわけでございまして、毎年の車両製造の数が大体安定しでおります方がいいわけで、車両工場の経営の底が大変日本の場合は浅いものでございますから、余りこの変動を大きく持ちますと、車両工業界の方がウイークでございまして値が上がってしまうということがございますので、総体として毎年つくります車両数を余り波を大きくしたくないということがございます。  ところが五十三年、ことしでございますが、ことしの車両製造計画では、この十月に行いますダイヤ改正との関係でいろいろな形の車両をつくらなければならないという要請がたまたま重なっておりまして、都会地におきますところの、東京大阪におきますところの通勤電車へ充当する新製車両を、今年度は残念ながら少しスローダウンせざるを得ない状況になっております。  したがいまして、一昨年、昨年、ことしは大体順調にまいりましたのですが、どうも来年うまくいまのテンポで冷房化率をよくしていけるかどうかは、ちょっと自信がないという現状でございます。  ただ、長期的に計画を立てなさいということは同感でございまして、現在ではどうも車両に投入しておりますお金が少し不足ぎみでございまして、全体としての耐用命数もだんだん延びていくような形態になっておりますので、もうちょっと車両新製の方に全体として金を回すことによって更新を進めてまいりたい、その計画を立ててまいりたいと思っておりますが、この点につきましても、実は東北新幹線と上越新幹線のための新製車両というのが、非常にだんごになって需要といいますか、つくらなければならぬという要請がございますので、今日の段階輸送計画をお示しすることはなかなかできない。したがって、たとえば冷房については五年先なり七年先なり、何年たったら完全冷房できますかということを各方面から聞かれるわけでございますが、いまの東北・上越新幹線向けの車両新製計画との関係で、ちょっといまそれをお示しできないのを非常に残念に思っております。  ただ基本的には、御指摘のように冷房につきましても、その他の面につきましても、車両計画をもう少しやや中期的に立てる習慣をつけてまいりたいというふうに考えております。
  196. 小林政子

    ○小林(政)委員 自動車局長お見えでございますけれども、私、時間が来てしまいましたので、またこの次にお願いをしたいと思います。
  197. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長代理 次回は、来る十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会