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1978-04-28 第84回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十八日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君   理事 石井  一君 理事 小此木彦三郎君    理事 佐藤 守良君 理事 浜田 幸一君    理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君    理事 石田幸四郎君 理事 河村  勝君       井上  裕君    加藤 六月君       北川 石松君    佐藤 文生君       関谷 勝嗣君    田澤 吉郎君       玉生 孝久君    原田昇左右君       藤本 孝雄君    古屋  亨君       堀内 光雄君    渡辺 秀央君       小川 国彦君    太田 一夫君       久保 三郎君    佐野  進君       斉藤 正男君    草野  威君       宮井 泰良君    薮仲 義彦君       米沢  隆君    小林 政子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         運輸政務次官  三塚  博君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君  委員外出席者         議     員 足立 篤郎君         衆議院法制局長 大井 民雄君         衆議院法制局第         一部長     上田  章君         警察庁警備局参         事官      近藤 恭二君         運輸省航空局参         事官      上田  浩君         運輸委員会調査         室長      榎本 善臣君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     中馬 弘毅君 同月二十八日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     玉生 孝久君   西村 英一君     井上  裕君   藤本 孝雄君     渡辺 秀央君   田畑政一郎君     小川 国彦君 同日  辞任         補欠選任   井上  裕君     西村 英一君   玉生 孝久君     関谷 勝嗣君   渡辺 秀央君     藤本 孝雄君   小川 国彦君     田畑政一郎君     ————————————— 四月二十八日  新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法  案(足立篤郎君外十一名提出衆法第二一号) 同月二十五日  台風常襲地帯における気象官署拡充強化に関  する請願山原健二郎紹介)(第三四六六  号)  安全輸送確保に関する請願佐藤観樹君紹  介)(第三五五一号)  同(斉藤正男紹介)(第三五五二号)  同(山花貞夫紹介)(第三五五三号) 同月二十六日  安全輸送確保に関する請願草野威紹介)  (第三五七七号)  同(鳥居一雄紹介)(第三五七八号)  同(田畑政一郎紹介)(第三六二一号)  同(田口一男紹介)(第三七一八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法  案(足立篤郎君外十一名提出衆法第二一号)      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  本日付託になりました足立篤郎君外十一名提出の新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案議題とし、提出者から趣旨説明を聴取いたします。足立篤郎君。     —————————————  新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 足立篤郎

    足立議員 ただいま議題となりました新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案につきまして、自由民主党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表し、提案理由を御説明申し上げます。  去る三月二十六日、新東京国際空港開港阻止を叫ぶ過激派暴力集団が同空港内に乱入し、その一部が管制室に侵入して、管制機器類が破壊されたことにより、同空港開港は一時延期のやむなきに至りました。  衆参両院におきましては、全党一致の決議をもって、再びかかる不祥事を引き起こさざるよう暴力排除に断固たる処置をとるとともに、地元住民理解と協力を得るよう一段の努力を傾注すべきこと及び新空港の平穏と安全を確保し、わが国内外の信用回復のため万全の諸施策を強力に推進すべきことを、政府に対し強く要請したのであります。  政府においては、新東京国際空港安全確保について責任を持って対処することを明らかにし、開港期日を来る五月二十日とすることを決定するとともに、同空港安全強化等の諸対策を決定し、その推進に努めているところであります。  しかしながら、同空港及びその周辺過激派集団活動の拠点となっている団結小屋等工作物が存在している現状においては、同空港及び航空機航行の安全を確保するためには、きわめて重大な不安があり、現行法の適用を検討した結果、いずれの法律もこのような事態は予想しておらず、その解決は不可能との結論に達したのであります。  したがって、当分の間の緊急措置として、新東京国際空港もしくはその機能に関連する施設設置もしくは管理を阻害し、または新東京国際空港もしくはその周辺における航空機航行を妨害する暴力主義的破壊活動を防止するため、新たに法律を制定する必要があると考え、この法律案提案した次第であります。  次に、本案の内容について御説明を申し上げます。  第一に、この法律は、新東京国際空港及びその周辺において暴力主義的破壊活動が行われている最近の異常な事態にかんがみ、当分の間、暴力主義的破壊活動の用に供される工作物使用禁止等措置を定め、もって新東京国際空港及びその機能に関連する施設設置及び管理の安全の確保を図るとともに、航空の安全に資することを目的といたしております。  第二に、暴力主義的破壊活動等暴力主義的破壊活動者及び規制区域についての定義を規定し、規制区域は、空港内及びその外側三千メートルの範囲区域並びに航空保安施設または空港機能確保するために必要な施設のうち政令で定めるものから三千メートルの範囲内で政令で定める区域といたしております。  第三に、規制区域内に所在する工作物暴力主義的破壊活動者集合場所として、爆発物火炎びん等製造または保管場所として、または航空機航行を妨害するために用いられまたは用いられるおそれがあるときには、運輸大臣は、その工作物所有者管理者または占有者に対して、期限を付して、当該工作物をこれらの用に供することを禁止することを命ずることができることといたしております。  さらに、この禁止命令に違反してこれらの用に供されているときは、当該工作物について封鎖その他その用に供させないために必要な措置を講ずることができ、また、諸般状況から判断して、暴力主義的破壊活動等にかかわるおそれが著しいと認められ、かつ、他の手段によっては禁止命令の履行を確保することができないと認められるときであって、本法目的を達成するために特に必要があると認められるときに限り、当該工作物を除去することができることといたしております。  第四に、これらの命令または措置に関し、立ち入り・質問土地使用等、現場にある者の退去、物件を除去した場合の保管等に関する規定を定めております。  第五に、国は、封鎖、除去、土地使用等措置を講じたことにより、損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償することといたしております。  第六に、運輸大臣は、規制区域内において暴力主義的破壊活動者の所持し、または使用する物件が、暴力主義的破壊活動者集合爆発物火炎びん等製造または保管場所または航空機航行に対する妨害の用に供され、または供されるおそれがある場合において、諸般状況から判断して、暴力主義的破壊活動等にかかわるおそれが著しいと認められ、かつ、本法目的を達成するため特に必要があると認められるときに限り、当該物件を一時保管することができることといたしております。  第七に、この法律に基づく運輸大臣措置の一部は、これを新東京国際空港公団に行わせることができることとし、また、関係行政機関は、この法律の実施について、運輸大臣に協力しなければならないことといたしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願いを申し上げます。(拍手)
  4. 増岡博之

    増岡委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 増岡博之

    増岡委員長 これより質疑に入ります。久保三郎君。
  6. 久保三郎

    久保(三)委員 この法律案法律的な質問は、後ほど専門家もおりますからそれに譲りまして、私は、こういうものを出すに至った背景、そういうものを中心にしてお伺いしたいと思うのであります。  まず第一に、この法律案でも法の執行の主体は運輸大臣でありますが、成田空港については運輸大臣の専管とも言うべきものでありまして、運輸大臣にこれまでの経緯、これからの措置について改めてお伺いしたいと思うのであります。  お尋ねする前提としてわれわれの考えの基礎を申し上げておかないといけないと思うのでありますが、三月二十六日の成田空港の管制塔を中心にする破壊活動に対して、これは法秩序を乱すばかりではなくて非民主的なやり方でありますから、これらについて断固たる取り締まりをすることは理の当然であります。しかしながら、もう一つは、この反権力的な闘いの根源は何から出てきたのかということであります。その根源について冷静に判断し、適切な対策をとらぬ限りは、いかなる手段を弄しようとも問題の解決にはならないであろうとわれわれは思っているのであります。  そこで、むしろいまわれわれがとるべき措置は何であるかということ、これを考えてもらいたいし、また早急に勇気を持って決断する必要があると考えているのであります。  私は、たしか二月のこの委員会で、運輸大臣に対する運輸行政全体についての総括質問の中で成田開港についてわれわれの考え方を申し上げております。その要点は、言うまでもありませんが、問題の解決は何と言っても地元反対農民中心とする関係者との話し合いをこの際誠意を持ってやるべきではないか、まず第一に政府はそういう態度を鮮明にしなさいという要求をしたのであります。ところが、今日に至るまでそういう意味政府態度表明はありませんで来ております。そこに私は問題があろうと思うのです。  まず第一に、三月二十六日の事件が起こる前に、わが党は政府に対し、運輸大臣を通じて申し入れをしておきましたが、幸か不幸かその申し入れ内容が的中してしまった。このままでいくならば、残念ながら不測の事態を招くであろうというような意味申し入れをしておりましたが、二十六日にそのとおりになった。そこで、二十六日に起きた後、政府は直ちに二十九日に声明を出した。それで、この声明書の中にそういう意味のことが書いてあるかというと、過激派集団によるところの暴力行為に対する単なる態度表明声明は終わっているのであります。これは国民に対しても問題の本質をはぐらかすものではないかと思うのであります。  その次には、四月四日に政府が「新東京国際空港開港安全確保対策要綱」なるものを関係閣僚会議を経て決めましたが、この全体について見まして言えることは、五月二十日に開港します。空港の安全を強化する、極左暴力集団対策をやるそれからもう一つ地元支持世論喚起、これが第四であります。  問題は、この第四でありますが、地元支持というのは、関係農民中心とした支持が必要であることはいまさら言うまでもないのであります。しかも、話がなかなか困難であることは当然だと思うのであります。しかしながら、最後まで誠意を示してやるという熱意がなくて、ただ単に権力をかさに着てと言っては語弊があるが、権力で押しまくるということは、目には目、歯には歯をもって報いるということでありまして、問題の解決にはならないと思うのです。  しかも、この対策要綱の中の「地元支持世論喚起」の中でお聞きしたいのは、これまで何をおやりになりましたかということ。私が知っている範囲でやったことは、この中の一つの文句の「開港促進に関する世論喚起に努める。」ということで先般新聞広告を出しておりますが、この新聞広告は、政府広報運輸省警察庁の連名でありまして、半ページ大であります。この中に書いてあるのは、別に理解を深めるとかいうことでなくて、不法行為暴力行為から安全を守るということだけに尽きているのであります。最も大事な関係農民との話し合い促進については一つもない。  それからもう一つは、政府態度が全然変わっていないということ、反省がないということ。われわれが三月二十四日に申し入れをした内容一つには、これまで十三年間やってきた中で、政府、公団がやってきた仕事がすべて完全であり、非の打ちどころがないということにはならない。むしろ後手後手に回ったり、踏むべき順序を踏まなかったりということでありますし、特に四十三年ですか、七月の空港設定の時期には、ここに浜田議員もいらっしゃるけれども浜田議員は当時千葉県の県議会議員でありましたが、要件について県議会質問をしておられまして、その要件を満たすことが条件であるということを強調しておられました。そして当時の知事は、この条件を満たすことについて約束というか返事をしております。ところが、それがいまだに政府によって守られないということ、そういうところから不信の念がエスカレートしてまいりまして、今日の事態を引き起こしている。  戸村一作氏は農民でないそうでありますが、反対同盟委員長であります。これは外国に打った文書の一節ですが、その中に「反対根源反対農民によって支えられております。」こう書いてあります。私もそう思っております。だとするならば、その反対している関係農民に対して、胸襟を開いて、非は非としておのずから認めて、反省を加えて対等の立場で話をするという姿勢が先決ではないかと思っているわけなんであります。  今日まで政府はそういう点で何をおやりになりましたか、運輸大臣から明確に答えてもらうと同時に、この問題に対処する姿勢としていままで出した声明並びに四日に出した対策要綱に尽きるのか、それともそれ以上に姿勢を鮮明にし、民主的な態度をとる考えがあるのかどうか、あるとするならば、抽象的でなく明確に、具体的にお述べいただきたいと思うのであります。
  7. 福永健司

    福永国務大臣 久保さんから、本件につきましていろいろ御意見等も拝聴いたしました。  御説のごとく、私どもといたしましては、誠意を尽くして関係農民各位等に御理解を願い、そして開港及びその後の運営に支障のないようにいたすべきは当然のことであると考えておるわけでございます。  私は、まだ責任者になりましてから必ずしも長くはありません。ではございますが、過去十三年の足取りの中に、御指摘のごとく、これがすべて完全であって、おしかりを受けるようなことが何もないなどとはもちろん考えておりませんし、過去の責任者諸君それなりにいろいろと考えてきておったと思うわけでございます。  現在の責任者といたしましての私は、いまお話しのように、そういう気持ちでいろいろ対策はありますけれども久保さんの強調されるようなことについてわれわれは対処してまいっておるわけでございます。  具体的にどうかというお話でございますが、これがなかなか微妙なむずかしい問題でございまして、ただいまお挙げになりました戸村一作氏を長とする反対同盟との関係等につきましても、私があえて申し上げなくても久保さんよく御存じのとおり、いろいろ接触をして事態促進を図ることはもとより必要でございますが、向こう向こう幾つかの条件を示しまして一ということは、たとえば成田開港、何月何日に開くことそれ自体を否定しておりますが、その他幾つかのことを示しており、それが正式に接触を保つことについての前提である、こういう表現もされております。  しかし、およそ物事は、いろいろそういうこともあろうが、いろいろな方法でいろいろなルートで努力をしなければならないことは当然でございます。私どもは私どもなりにそういうことをいたしておりますが、ただいま進捗中でございますので、進捗と申しましても思わしく進捗していない部面もあるわけでございますが、そういうことでございますだけに、いつだれと話をしてどういうことでございますということなどは、これは事態解決のために簡単に申すべきではございません。そういうようなことになりますと、具体的に示すことがろくにないじゃないかというおしかりを受けるかもしれませんが、その辺に苦労があるわけでございます。そういう観点から、この上とも大いに努力をいたしたいと考える次第でございます。  すでに発表した要綱等に尽きるのかという御質問がございましたが、われわれああした要綱等につきましては、これはもうもとより政府関係において申し上げているところではございますが、こういうことに尽きるということではなくして、その要綱等一つのあらわれでございます。しかし、これからの折衝等もあり、微妙な点については必ずしも明確な表現をいたしておりませんが、これを要するに、誠意を尽くしていろいろ心の交流を図ることにいたしたい、こういうわけでございます。そういう意味で、今後とも広く誠意を持ってこの問題に対処してまいりたい所存でございます。
  8. 久保三郎

    久保(三)委員 運輸大臣、いまのようなお話しできないということ自体に私は問題があろうかと思うのです。いい悪いは別にして五月二十日にお決めになったとすれば、あと幾日残っているのですか。いまだに態度表明されない。表明されたのは対策要綱だけなんですね。対策要綱では地元に対する話し合いというか理解を深めるということについては、一つも具体的ではないと私は思うのです。  私が申し上げているのは、政府政治姿勢についてこれまでの反省をし、遺憾であったという点があるなら遺憾であると率直に言うこと自体は、決して政府威信を傷つけるものでもなし、むしろこれは威信を高めるものだと思う。ところが、一言半句もこれまで彼らが指摘しているそういう態度について表明をなされない。  いま福永運輸大臣は、自分は日が浅い、前の大臣などはいろいろ考えているかもしれぬが、こういうお話ですが、政府として一貫しているのでありますから、この際は、総理大臣なり担当大臣政治姿勢についてきちんと反省するところは反省するということをまず前提に置いて、どうだろうかという話し合いにならなければいかぬと私は思うのです。  なるほど、反対同盟からの話し合い条件は、いろいろむずかしい条件があるようであります。しかし、これがいい悪いなんという論評を加える立場に私はありません。なぜならこれは政府と彼らとの話し合い条件であります。政府には政府条件があるはずだと思う。そういう条件がのめないからおれは知らぬぞということでは話し合い態度ではないと私は思うのです。  重ねて伺いますが、担当大臣としてあるいは閣僚として政府全体を代表して、いま福永運輸大臣、あなたは私の質問に答えられますか。答えられないとすれば、委員長、相済まぬけれども総理大臣を呼んでもらわなければならない。これは非常に根幹にかかわることでありますから、大事な点でありまして法案審議の根底にもなるわけでありますから、一言この席でお述べをいただかないと問題の解決にはならぬと私は思うのです。技術的な問題ではなくて政治姿勢の問題だと私は思う。大臣、いかがですか。
  9. 福永健司

    福永国務大臣 私のみならず政府といたしましては、反省すべきことは当然反省することがしかるべきであると考えております。本件に関しましては、私が責任を持ってお答えをいたしたい、こう考えておる次第でございます。  その反省につきまして、それをいかに表明するかについてはいろいろございますが、久保さんお話しのように、政府としてその種のことについてできるだけのことをしなければならぬことは私、重々考えております。現時点まででは必ずしも御納得がいくような措置がとられていないという御指摘に対しましては、まあそう受け取られていたし方のないことでございます。今後そういうことにつきまして、私は、皆さんも御理解願えるように大いに努力をいたします。私のみではございません。現内閣がそういうことで当然やるべきであると考えておる次第でございます。  率直に申しまして、表面にあらわれております具体的事実等では、いま久保さんにおしかりを受けるような節も確かにあると私、思うのです。だがしかし、必ずしも表に出して申すべきことでない中に、言うなれば表面には余り目につかないが、そのもとに流るる水はそれなりの動きをしている、こういうように私は思っておるわけでございます。それがまだ余り、それでいいとお認めいただけるようなところまでいってないということは、これははなはだ遺憾に思うところでございますが、過去十二年間におけるいろいろのことは、これは一々申し上げることでもございませんが、いま御指摘をいただいたような意味における過去の累積につきましては、政府としても大いに反省し、その反省の上に立って今後に対処すべきものであるということは考えておる次第でございます。  率直に申しまして、いろいろ話し合いを進めるべきであるという考え方は、皆さんから御注意等も伺っておりますし、私の強い熱願でございます。そのことによって何とか先ほどから御指摘があるような点についての打開を図っていきたい、そういうことが私のみならず、現在の内閣の方針であるということには間違いございません。
  10. 久保三郎

    久保(三)委員 福永大臣もなかなか言いにくそうに、奥歯に物がはさまったようなお話なんで、これはお立場上そういうこともあるのかというふうに思うのでありますが、お立場である限りやはり明確に、奥歯に物がはさまっているならはさまった物を取ってお話しすることが、今日運輸大臣に課せられた大きな政治的な責任じゃないかというふうに私は思っているのです。  そういう意味でくどく申し上げているのでありますが、やることはやっているような話ですが、そういうことを私は聞いているのじゃないのであります。そういうことは当然これまでもやってしかるべきだし、やっていいんですよ。政治姿勢政府として明確にしなさい。話し合いするなら話し合いするということで明確にしてやるべきではないか、この際は。しかも、これは国民がみんな大きな関心を持っている事件でありますから、国民世論支持というか、そういうものを得ようとするならするほど、やはりそういう政治姿勢を明確にして、話し合いを開始したいという、そういう声明を私はすべきだと思うのです。  ただ断固取り締まるの、排除するのということは、はっきり言えばわかり切った話なんです。問題はそんなことじゃないのです。だから、その点をひとつ明確にしなければ問題の解決には私はならぬではないかと思う。  それからもう一つ、これは足立議員提案者としてお聞きしたいのでありますが、問題の解決というか原因は、すでに御承知のとおりであります。いま提案の御説明がありました法律案は、その派生的な、言うならば問題の処理の一つ方法として提案をされていると思うのでありますが、反対同盟というか、関係者声明を見ますれば、この種の立法を出すことが、いま奥歯に物がはさまったような言い方ではありますが、運輸大臣が申しておるような話し合いで一応いこう、話し合いをしようという、解決できるかどうか、これはこれからでありますからわかりませんが、しかしながら、話し合いでいきましょうということでいくためには、これはいささかも支えにはならなくて、むしろこれに障害を与えるのじゃないかというふうにわれわれは思うのであります。しかし、これはこれ、あれはあれということの分離ができない事件でありますから、その辺のことについての御認識はいかようにお持ちですか。
  11. 福永健司

    福永国務大臣 まず最初に、話し合いはするのかしないのかという意味でのお尋ねでございますが、話し合いはぜひ進めたい、そういうように考えております。進めたいというのみでなく、国民各位が納得されるような結論に到達することを私は心から願っておる次第でございます。
  12. 足立篤郎

    足立議員 いま運輸大臣がお答えになりましたとおり、政府としては政府責任において話し合いは精力的にもっと熱意を持ってやってもらいたいと私も思っております。  しかし、あえてきょうお諮りしましたこの提案についてですが、暴力主義的な破壊活動によって日本の民主主義、そして平和と治安が乱されている。しかも、成田空港は国際空港でございまして、この安全を守るということは、言うならば至上命令だというふうに考えております。したがって、暴力主義者によってこの成田空港の安全が脅かされているという面については、現行法でできる限りの処置をとるということは政府は決断をし、種々対策を進めておりますが、いま御提案申し上げているこの点に関しては、遺憾ながら現行法ではどうにもならない、また、この提案にあるような措置をとらない限り、本当に成田空港の安全を確保することはできない、こういう信念を持ってお諮りしているわけでございまして、久保委員の御意見の話し合いとこの暴力主義者の集団の行動、これは切り離すことはできないという御見解もありますが、しかし、少なくとも暴力主義に屈してはならない、こういう考え方で私ども提案をしておりますので、私どもの気持ちも御理解をいただきたいと思います。
  13. 久保三郎

    久保(三)委員 いまの足立議員お話の中の、暴力主義に屈してはならぬ、私もそう思っている。これは私どもの信念でもあります。だから、先般の国会の衆議院の決議にも賛成をし、案の作成にもわが党としてタッチしているわけですから、その点は誤解のないようにしていただきたい。  ただ私は、問題の解決にはいろいろな方法はあるけれども、この問題では順序がありはしないかという感じもします。現行法でできるかどうかという問題については、後ほど専門家質問しますから、それは私があえて質問しない方がいいと思うのでありますが、いずれにしても、根源を絶つということには、その人たち、彼らが暴力行為をやめようということにならなければ完全ではないと思うのです。  それが証拠にこういうことが書いてあるのです。これは反対同盟声明文でありまして、外国に送ったものでその一つでありますが、いわゆる国際定期操縦士連盟ですか、そこへ送った戸村一作氏の書簡ですが、その中でこういうふうなことを言っているのです。これを真に受けるかどうかは別ですよ。ただ言っている事実は、一番最後の方で「我々は長引いた闘いをすることにより、空港をいつも不安全かつ危険な状態にしておき、最後には全く廃止させてしまうだろう。」こういうことを言っているのです。  だから、こういう法律が必要だとお考えかもしれませんが、よしんば五月二十日までに、こういう法律によってそれぞれの団結小屋と言われるようなものを撤去すれば、あとは現行法律で全部安全が確保できることになるのかどうかと言うと、彼がある新聞社のインタビューに応じて言うのには、あらゆる方法をとってやろう、はっきり言うとこういうことです。そうなりますと、これはとめようがないのです。いかなるときにもいかなる方法でどういう形で問題を起こすかということは予測ができないのです。だからこの際は、新たな立法よりは話し合いというか、解決への糸口に一歩でも半歩でも近づく工夫をすることが先決ではないかと手前どもは思っているわけです。  そこで、運輸大臣にお聞きするのですが、四月六日本院で決議をしました。その決議の文章は、簡単でありますからお読みになったでしょうし、また議員の一人として決議に参画されただろうと思うのですが、「暴力排除に断固たる処置をとるとともに、」この「断固たる処置をとる」というのは四日の要綱の中にもあります。こういう現行法をもってやるというのと、いま提案になったようなものもつくろうじゃないかというのがある。それから「地元住民理解と協力を得るよう一段の努力を傾注すべきである。」それから最後には「新空港の平穏と安全を確保し、我が国内外の信用回復のため万全の諸施策を強力に推進すべきである。」こういうことで、本院の決議は政府に対して施策の展開を要求しているわけですが、この決議があってから何を展開されましたか。いかがでしょうか。
  14. 福永健司

    福永国務大臣 御説のごとく、暴力排除について断固たる処置をとるとともに、地元農民等の理解を得ることに大いに努力をしなければならないことは当然でございます。それに向かって特に私といたしましては、後段の地元の人々の理解を得ることに努力をしてまいっておるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、戸村一作氏の名において、いつも不安な状態に置いて、ついには廃港に追い込むのだというようなことを言われておりますだけに、率直に言いまして、少なくとも言っている御本人とは話はなかなか容易でないと、いうことでございます。だからと言って、努力はもちろん大いにしなければならないわけでございまして、そこいらに非常に苦悩があるわけでございます。  いまの世界の航空事情、そして特にわが国の中での東京の国際空港、これは羽田といい成田といい、それが持つ意義は実に大きなものであり、そういうものがどうなければならぬかということ等については、もちろん国民各位それぞれにお考えがあるところではございますが、戸村氏の名において言われているようなことでありますと、日本としても大変なことでございます。  私は、そういうことであるだけに、御理解を得て御納得がいくように、ということは、今後もあらゆる努力をいたしますが、なかなか容易でないということについては、遺憾ながら私は頭を痛くしておる次第でございます。だが、幾ら頭が痛かろうと、今後とも大いに努力をしてまいりたい、そういうように考えます。
  15. 久保三郎

    久保(三)委員 率直にお聞きしますが、福永運輸大臣は政治家としての経歴も古いし、手前どもは尊敬し、時を得れば、というよりはもう近く総理の代理をするそうですか、代理でなくて本物の総理大臣にもなる資格を十分に備えられておる政治家であります。総理大臣になることのいい悪いは別にして、一口に言うなら大物政治家というふうにわれわれは尊敬した考え方を持っているわけです。口幅ったい言い方で大変失礼なんでありますが、政治家として勇気ある決断というのはいつかはしなければならぬと思う。結果がどう出ようが、自分の信ずるところに向かって決断をするということだろうし、特に、いまお話があったように、成田空港は国際的な問題であります。そうなりますと、この間開港ができなくて、今度五月三十日に開港するということでありますが、五月二十日に万が一開港できなかった、あるいは何とか五月二十日には開港に持っていった、しかし、その直後なりその後において、成田空港は欠陥空港として、単なるアクセスとか騒音とか空域とかそういう問題だけじゃなくて、最も直接的に不安のある空港であるというふうな状況が続くならば、残念ながら国際的な信用はゼロに等しいと思っているのです。  そういう意味で、私は、誠心誠意を持って、この際勇気を持って決断すべきときは決断したらどうか、それをもってしてもなおだめであるというなら、それは次のことを考えざるを得ません。やることは考えているのだがどうもできませんとか、やっちゃいるのだが表に出せませんとか、そういうような時期ではないと私は思うのです。  私は、総理自身がここに出てこられることを強く要求しているのです。国際的な問題だし、福田総理の指示によって五月二十日と、今度も決められているんですね。これができなかったときには福田総理は桂冠せざるを得ないのじゃないか。内閣に列する福永運輸大臣も連帯責任をおとりになることは当然だと思う。できなかったら、あるいは不祥事件が起きたら、やはりそういうことになると思うのです。一警察庁長官の責任問題ではないと私は思う。そういう事態になっているのでありますから、もっと性根を据えて決断する、そういう必要があるというふうに私は思っているわけであります。しかし、なかなかそこまでいかないようであります。私は、別に不測の事態が起きることを期待も何もしているわけじゃない。起きないように祈っております。しかし、いまのままでは残念ながらそういう事態を予想せざるを得ない状況だと思うのです。  これはちょっと話がそれますが、五月二十日に絶対開港できると本当に確信して事を進めていらっしゃるのですか。
  16. 福永健司

    福永国務大臣 お話しのように、政治に携わる者は特に勇気ある決断を必要とすると私は強く考えております。  いま関連のことにつきまして、率直に申しまして明確に決断したなというようにお認めいただけるような措置がとられていないという点については、私も残念に存ずる次第でございますが、そういう意味においても、決断をしたなと思っていただけるようにすべく、いろいろ事を進めておるわけでございます。久保さんおっしゃるような意味の形においてのものは不十分であるというようにごらんになるかもしれませんし、それなるがゆえに、いろいろ心配をして御忠告等もいただいておることに対しましては、衷心感謝するものであります。  正直、私は腹の中には強く決意していることがございます。だがしかし、そういうことができるだけ早く形の上でも、いまお話しのようななるほど決断をしたなというように言っていただけるときが早く来ることを望んでおるわけでございますが、問題の処理それ自体が非常に大切でございます。決意だけ先に走ってしまっても、これはなかなか問題の解決がむずかしい場合もございまして、その辺に悩みもあるわけでございます。  総理大臣は、明後日出発いたしまして、久保さんもよく御存じのような使命でアメリカに参りますが、そういう時期でありますだけに、留守番をする者がそれなりの決意で臨まなければならぬことは当然でございます。いろいろいま一生懸命にそういうことにも携わっておりますので、総理が来ましても、申し上げることは同じようなことだと実は思うのでございまして、ひとつ私が申し上げておることで十分おしかりをいただきつつ御理解をいただきたい、切にそう存ずる次第でございます。
  17. 久保三郎

    久保(三)委員 強いて総理大臣を呼ばなければ、運輸大臣では物が足りないということではないのでありますから、誤解のないようにひとつお願いしたいと思います。  ただ、政府の最高責任者として問題の処理の方針をきちんと決める立場にあるし、責任を負わねばならぬ直接的な最高責任者でありますから、一言伺っておきたいというふうに私は思っているわけなんであります。しかも、この大事な時期にアメリカへおいでになる、来月の七日でないとお帰りにならないということなんでありますが、その間、福永運輸大臣総理大臣代理をされるそうでありますから、その間にでも、もちろん福田さんが言いにくいことをあなたが言うチャンスはそのときはございますが、それまで待っていいのかどうかわかりませんが、いまのままでは残念ながら問題の解決への前進には私はちっともならないというふうに考えているわけです。  そこで、その問題はわきにおきまして、次の問題を聞きましょう。  警察庁にお聞きいたしますが、三月二十六日の管制塔襲撃事件、これは世間では俗な言葉で言うと、警備のミスであるというふうに指摘しているわけです。私は、ミスであるかどうかというのはよくわかりませんからお聞きするのでありますが、ミスという意味がもしそのとおりなら、一つは予測ができなかったのか、あるいは予測できても、そういうものに対抗する手段がなかったというのか、いずれであるのか、それをお聞きしたい。  繰り返し申し上げますと、三月三十六日の事件は警備のミスだ、手落ちであるというふうに言われているが、手落ちであるかどうかは別にして、事件が起きたのでありますから、ああいうことは予測できなかったのか、予測できても防止ができなかったのか、どうなんですか。
  18. 近藤恭二

    ○近藤説明員 三月二十六日の事件は、まことに残念な事件でございましたが、予測できなかったということではないのでございますけれども、十分に検討しました中で、問題の起こりました個所等についての配慮、配置が、いまから考えますと十分ではなかったという点について、非常に反省をし、今後の教訓にしているところでございます。そして予測を、その周辺について十分にいたしておりました場合には、三月二十六日のような事態そのものの発生については防止ができたのではないかという面についても、その辺の反省をいたしております。
  19. 久保三郎

    久保(三)委員 そうしますと、予測はできたが配備に事を欠いたということですか、どうなんですか。
  20. 近藤恭二

    ○近藤説明員 ちょっと言葉が不十分でございました。問題の起こりました場所についての予測につきましても、不十分な点があったというふうに思っております。
  21. 久保三郎

    久保(三)委員 足立議員お聞きのとおり、三月二十六日の事件は、予測の点においても配備の点においても欠陥があったというふうにいまお話がありました。だから、現行法でやろうとすれば、私は一つはできることだと思うのであります。  それからもう一つは、これも警察庁に先に聞きますが、いま提案されているこの法律案が成立すれば万全を期せられるのかどうか、いかがですか。
  22. 近藤恭二

    ○近藤説明員 警察庁と申しますか警察の立場といたしましては、いま審議されております法律案ができると否とにかかわりませず、現行の法律で最善を尽くして使命を果たしたいと思っておりますけれども、御審議法律案が成立いたしまして有効に機能するようになりますと、空港周辺に限っての条件というものが、治安と申しますよりは空港全体の安全にとりまして非常に有利に働きますので、大変これは有効な、また警察にとりましても願わしい条件を現出する法律であるというふうに思っております。
  23. 久保三郎

    久保(三)委員 そうおっしゃっても、五月二十日開港だそうですか、開港前あるいは開港後において不測の事態が起きるということは、いまの状態では私どもはいやだけれども予測しております。だから、警察当局、警備当局として、この法律案が通れば、いまの御答弁のとおり、言うならば警備にはパーフェクトの条件である、そうなるとその延長線上で不測の事態は起きません、起こさせませんということに結論はなろうかと思いますが、それは保証できますか。
  24. 近藤恭二

    ○近藤説明員 一般論で大変恐縮でございますが、警察はどういう場合にも与えられた条件のもとで最善を尽くしまして、責任を果たすというのが使命でございますので、この法律の成立いかんにかかわらず、目的が達せられますように努力いたしますけれども、先ほど申しましたように、この法律ができますれば、それがパーフェクトというのではなくて、警備にとりまして、また空港の安全開港にとりましての非常によい条件ができるということで、私ども警備の立場からも願わしく思っております。(「まだ不安があるということだな」と呼ぶ者あり)
  25. 久保三郎

    久保(三)委員 いまの不規則発言にあったとおり、一抹の不安はあるわけだね。一抹の不安というより、完全ではありません、私どもは完全になるように努力しますという努力目標、それはりっぱな目標でありまして、ぜひそういうことで完璧を期して警備の任に当たっていただきたいのであります。  警備当局としてそうは言うものの、完全にお任せくださいというようなことにはならないのではないかと思いますが、なりますか。
  26. 近藤恭二

    ○近藤説明員 警備当局といたしましては、この法律以外の面におきましても、空港周辺施設の防護の問題等で関係当局と十分に協議を申し上げ、自主防護を進めていただいております。したがいまして、この前の三月三十日開港を目指しての時期と比べますと、数段に責任を持てる体制になっておるというふうに思っております。したがって、完璧を期すのが私どもの使命であり、全責任を持っておりますけれども、そのためにできるだけのことは関係御当局とともに私ども全面参加、責任参加をいたしまして、安全開港のために努力をいたしたいというふうに思っております。
  27. 久保三郎

    久保(三)委員 参事官、もう一つお聞きしたいのですが、そういう事件が完全に起きないためにはどういう措置がありますか。完全に起きないということをあなたがここで言明できるためにはどういう条件が必要でありますか。
  28. 近藤恭二

    ○近藤説明員 事件が起きないことを完全に想定するということは非常にむずかしいことでございますけれども、たとえば三月二十六日のような事件を起こすなということでございますならば、完全にその事件を阻止するという自信がございます。決意を持っております。
  29. 久保三郎

    久保(三)委員 事件を阻止するというのは、自信をもっておられるというのは、そうすると大丈夫なんですね。——大丈夫ですか。
  30. 近藤恭二

    ○近藤説明員 三月二十六日のような事件は完全に阻止ができます。しかし、これからの問題といたしまして、いろいろゲリラ的な状況というのが想定できると思います。その場合に何を守れば完全と言えるかどうかということは非常に微妙な点があろうと思います。私どもは、空港が一応安全に開港できて、そして機能が有効に働き、供用が続けられるという状態になれば、使命は一応果たせたと言えるのではないかと思うのです。  たとえば周辺で火炎びんが一つ投げられたから、これが完全でないではないかということを言われても、これはちょっと私どもカバーできない面があろうと思います。一番大事な守るべき点は一〇〇%守って、周辺条件につきましては、できるだけの努力をして、あとう限りの責任を持つということであろうかと思います。
  31. 久保三郎

    久保(三)委員 ゲリラ的な活動を完全に封じ込めるということは、あなたの御答弁でも非常にむずかしい。というのは、付近で火炎びん一本投げられたから完全じゃないじゃないかと言われれば完全じゃありません。その一本が物を言うときがあるのです。だから、問題の解決は、一つ反対同盟に結集する者が解散していくこと、襲撃というか、そういうものをやめるということが基本的なことだと思うのです。  運輸大臣、それから足立議員もお聞きのとおりであります。私が言っているのはそういうことなんです。  そこで、これは運輸大臣にお聞きしますが、この法律案運輸大臣が運用するわけなんでありますが、運用する場合にどういうふうな形で運用するのですか。ほとんど空港公団にお任せするようになりはしないかと思うのでありますが、いままでも運輸省並びに公団というのは、そういう問題を起こすことはできるが、防ぐことはなかなかむずかしいのではないかと私は思っている。言葉は悪いのですが、そういうふうに思っている。これは治安立法と間違われないようにということが先走って運輸大臣を出してきたのじゃないか。本来は警察なり何なりが、司法当局の手によっておそれがあるという認定をしたり、あるいは執行したりということが筋だろうと私は思うのです。  これは後で専門家提案者である足立議員にお聞きすることだと思うのですが、運輸大臣としてそういうことを果たして完全にやれる自信がありますか。
  32. 福永健司

    福永国務大臣 運輸大臣というだけではなかなかむずかしい問題であろうと私は思います。この立法は国会で御審議をいただいてお決めになるということでございますが、私は、国会でお決めになりましたことに対しましては、忠実にこれを守ってその使命を果たすことでなければならぬ、こういうように考えます。  元来私は、成田空港につきましての担当大臣という辞令も別に受け取っておるわけでございますが、今度のこの条文を拝見いたしますと、運輸大臣責任を持ってやるようにお決めになる形になっております。そういうことが決まりましたら、決まったことによって私は忠実にこの職務を行わなければならない、こういうように感ずるわけでございます。  責任を持ってやれるかというお話でございますが、ぜひ責任を持って一生懸命にその職務の遂行をいたしたい、そのように考えております。
  33. 久保三郎

    久保(三)委員 努力したいということは、気持ちとしてはよくわかるのですが、努力してもなかなかできない問題がありはしないかというふうに思うのです。しかしその問題は、さっき申し上げたように、専門家法律案については後から一々お聞きしますから、私は次の問題に行きましょう。  それは国際定期航空操縦士協会から運輸大臣あてに手紙が来ているのです。四月十六日の書面でありますが、これによりますと、フランクフルトで、第三十三回の年次航空会社のパイロット会の国際連盟というか、そういう会議があって、新東京国際空港に関して反対同盟による問題が起きた、これについて重大な関心を持っている。そこで、この会議は緊急に日本政府から次の保証を求める、こう言っているのです。「即ち、成田を通過する乗客、乗組員ならびに航行に対して保護を与えるため、厳しい安心かつ安全措置がとられるという保証である。」いわゆる安全の保証をしてくれ。それからもう一つは、日本の航空当局と会って直接討議をしたい、この会議は四月十七日十三時からこの問題を討論する、その前にこの返事をくれということなんですね。これについてはどういう対応をされているのかどうか。  それからもう一つは、これらの要求は、成田がいわゆる欠陥空港であるという問題ではなくて、空域の複雑さとかあるいは航路の複雑さとかそういう問題ではなくて、いま申し上げたように、反対同盟によるところの不安全、不安心な状態について保証をもらいたい、そういうことは絶対ないということなのかどうかという意味なんですね。それについて会談したいということなんです。その会談する前に私が先にお聞きしたいのですが、保証を与えることができますか。
  34. 福永健司

    福永国務大臣 IFALPAの会長がこの種の電報をよこしました。その中で冒頭に述べておりますことは、新空港反対する三里塚・芝山反対同盟の警告文、これが関心事になっておる。ということは、この反対同盟の警告文をそちらの方へ届けるなり何なり、そういう人たちが知るようなことになるような措置がとられて、こういうことではという心配で私のところへ電報等が参っておるわけでございます。  率直に申しまして、こういうものが、警告文等がなければ、この種の機関の皆さんもこういう心配はされないのでありましょうけれども、こういうことが向こうへ行っておりますので、一体大丈夫かという意味での私どもの方への電報等もございました。私どもといたしましては、そういう警告文等が行っているかもしれないが、このことについては、かくかくのごとくこれに対処しておりますので、警告文にあるようなそのままの心配をおかけするようなことはないという意味の電報を責任者が打っておるわけでございます。  先ほどからお話もございますように、絶対大丈夫か、こう言われますと、なかなかその答えがむずかしいわけでございますけれども、いろいろの物的条件その他、それからまた、先ほどから警察当局等でも述べておりますように、これに当たります者の決意等から申しまして、すなわち、それは精神的な条件でございますが、そういうようなことを挙げてわれわれは大丈夫であるということを心から念願し、そういう気持ちでこの種のものに対処しておるわけでございます。  私に会いたいというようなことがございますれば、もちろん会いますし、また専門家と若干打ち合わせをしたいということ等も向こうから言ってきておるように聞いておりますので、これらの措置はもとよりとるつもりでございますが、その際には、いま申し上げましたような決意でおりますことを前提としてお目にかかる、こういうことになろうかと思います。  いずれにいたしましても、久保さんいろいろ御主張になりますように、反対同盟からあちこちへこういう文書が行くというようなことが全然なければ、これはもう関係者も安心していてくれるということでございます。そういう限りにおいて、先ほどからお話しのように、そういう人々との話し合いというものがうまくいくということがぜひ必要であるという趣旨のことにつきましては、私も重々考えておるところでございます。
  35. 久保三郎

    久保(三)委員 大臣、いまあなたがお述べになったのは、私が申し上げたこととは違うのです。それはハマーショルドのIATAから来た書類か何か知りませんけれども、私が読んでいるのは、西ドイツのフランクフルト発で四月十六日の電報があるわけです。翻訳文を読みますと、これには「西独フランクフルトで現在開催中の第三十三回年次IFALPA会議は新東京国際空港に対する三里塚・芝山農民反対同盟による事実となった脅迫行為および管制塔への驚くべき襲撃により予定された開港を遅らせたという事実について重大な関心を寄せている。」それでこの会議は、先ほど申し上げたような保証を取りつけたい、こういうことなんです。  脅迫というか、反対同盟の、ここはこういう欠陥があるとかなんとかという警告文も行っているはずです。そしてこの電報は、航空局長というか運輸大臣にお会いしたい、保証をもらいたいというのは、事実三月二十六日の事件について保証をもらいたい、こう言っているのです。これは自信があるというほかはないのだろうと思います。五月二十日開港と言っているんですから。しかし、万が一そういう保証をつけられないというときには、もちろんパイロットは飛んでくるわけにはまいりませんから拒否するだろうと思うのです。これは単に日本航空のパイロットばかりじゃないのであります。そういうことをこれは言っているのです。  これは十七日に向こうが討議するというわけですね。だから、これにお会いになるのですか、ならないのですか。
  36. 福永健司

    福永国務大臣 先ほどハマーショルドのお話がございましたが、ハマーショルド氏には、私、この前参りましたときも会いましたし、それからハマーショルドはハマーショルドで別途私のところへ会いたいというような話もございますが、先ほど私がお答えいたしましたのは、いま久保さんが言われた組織の会長であります機長のデリー・F・ピアースという人の名において私あてに来ておるものでございます。いまお読みになりましたことと若干違いますが、これは事によると別のものかもしれませんし、同じものを、訳した人間が違うので、警告文というようなところの言葉が多少違う表現になっているのじゃないかという気もいたします。  いずれにいたしましても、そういう心配が起こるような事態であるということを私、大変心配しておるわけでございますが、これらにつきましては、われわれはわれわれなりの返信等もいたしております。やや詳細に局長の方から答えさせることにいたします。
  37. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 ただいまの四月十七日に到着いたしましたIFALPAから大臣あての手紙に対しましては、翌日、十八日に航空局次長の名前をもって答えております。  その中身は、政府は、五月二十日の開港に備えて政府声明を出し、また安全対策の総合的な要綱を定めて実施中である、また国会におきましても、衆参両院で決議を行われて、日本政府は挙げて安全対策に取り組んでいるところである、したがって、今度の開港は大丈夫であると言っております。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕 しかしながら、もしあなた方が日本へ来て議論したいとおっしゃるなら、喜んでお迎えするということを返事いたしております。恐らく連休後ぐらいには来ると思います。そのときには当方の専門家とひざを交えまして十分議論し、安全に心配がないということを説明してあげたいと思っております。
  38. 久保三郎

    久保(三)委員 安全であるということは言わざるを得ないし、また言うことが筋だと思いますよ。だけれども、言葉の問題じゃなくて実態として、航空局長なり政府当局が心配ありませんよ、飛んできてくださいと言っていまのような事態のままで推移していくならば、残念ながら私は危ないなという感じもするのです。  だから、もう少し政府誠意というものがわかるように反対農民というかそういうものに直接示す、国民にも示して、そういうことを土台にして話し合いに入ることが必要だと冒頭から申し上げているわけであります。これを抜きにして、暴徒はけしからぬというだけでやったのではどうにもならぬ。私もけしからぬと思うんですよ。こんなのがけしかるなんということはありませんよ。ありませんけれども、これは追っても追っても恐らくまた来るでしょう。たとえば団結小屋をつぶします。だけれども、道路に立っているかもしれない。いつどういう場所に来るかわからぬ。警備当局はいろいろな想定をされているとは思うのですが、彼らは自由に考えて自由な場所に自由なときに来るかもしれない。そういうものを三百六十五日間そういう体制で固められるのかどうかということも問題があります。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし私は、その問題をいま議論しようとしているのではなくて、そういうことをなくすための努力をもう少し本筋として進めなければならぬだろうと思っているわけです。  航空局長、どうなんです。これは翻訳を違う人がしていますから違うことだと思うのですが、反対同盟による事実となった脅迫、あなた方が言う脅迫的な警告文が行っているんですよ。ここはこういう点で危ないからだめですよというものが恐らく行っているのです。四月十六日の議長の手紙は、それが事実となったじゃないかと言っているのです。これで国際会議は重大な関心を持った、ついては次の保証を求めたい、こういうことなんですね。恐らく来ると思いますよ。なぜかと言うと反対同盟の方は、たしか五月五日の夜だったかどうかに外国の関係者に来てくださいと呼びかけている。六日に現地を見てください、説明も聞いてくださいと言っているようですから、これは来るだろうと思うのです。私は、来ることについて別に問題はないと思うのです。  ただ問題は、そういう形式的なことだけで済むのか。保証はとっております。国会でも決議しました、政府も万全の策をとっています。言葉の上ではなるほどそうかもしれないが、実際はどうなのかと言うと、これははかり知れない要素をたくさん含んでいるということなんです。  そういうことを念頭に置かないでじんぜん日を過ごすようでは困る。国会の決議というのは抽象的かもしれません。その点を申し上げているのです。断固たる措置をとり、それから関係の住民とも話を進めなさい。公式に話し合いが進められないではどうにもならぬでしょう。三週間あるかないかでしょう。そういうことを考えると、どうも手ぬるいのじゃないかと思っておる。  それからもう一つは、 ハマーショルドは一つ提案をしてきていますが、この提案についてはどういうふうな考えがあるのですか。
  39. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 IATA、国際民間航空協会のハマーショルド事務局長から四月二日に大臣あてに電報が参りまして、いろいろ抽象的な懸念が書いてございますが、「このような状況において、私は、国際線を三年ほど羽田に据え置き、その間に国内線を漸次成田空港に移すことを提案したいと思います。」こういう具体的な提案をしているわけでございます。  これに対しましては、すでに返事をいたしまして、せっかくの御提案であるけれども、三年間云々ということについては、私どもとして受け入れがたい、そしてハマーショルド氏の心配はやはり成田の安全ということでしょう、それにつきましてはということで、IFALPAに対して答えましたようなことをるる挙げまして返電を打ちました。  なお、聞くところによりますと、IATAといたしましても、安全の専門家を来日させたいと言っております。これに対しましては、喜んでお受けするということで返事をいたしました。またハマーショルド氏自身も、IATAの幹部数名と来日したいということを言ってきております。これに対しましても、喜んでお迎えする、そして私ども立場なりとっている施策について十分具体的に御説明をして御心配を解消したい、こういう返事を打ちました。
  40. 久保三郎

    久保(三)委員 反対同盟からの警告文というか、そういうものを土台にしての回答は航空局長にもできると思うのです。しかし、最も不安な要素の反対同盟の行動に対して、いまのままでは完全に保証してあげますということは言い切れないのじゃないかと思うのです。それではこの法案で押さえられるかどうかというと完全ではない。問題は、何とかして彼らに納得してもらう。  それには、くどいようでありますが、政府政治姿勢も少し改める——少しというより大きく改める必要がある。政府のやってきたことに何が間違いがあるのだという傲慢な態度にしか表向きは出ていないんですね。声明文を読んでも、これからの対策要綱を見ましても、一片の反省もないわけです。これは別に反対とか賛成の立場を乗り越えて、いま世論ではそれを言っているわけでしょう。これにもこたえていない。これは私としては残念なことだ。少なくともこういうものにこたえることが先決じゃないかと思うのです。ああなるほど政府もわかったかということなんですね。  この間、中村事務次官が反対同盟の若干の人とお会いになったのでありますが、私が聞いた範囲では、初めてこういう席でお話ができてありがとうございますと言って帰ったそうですね。そういう対等に扱わなかったというところに彼らのふんまんがある。民主主義というのは、お互いに権利があるのだ。あたりまえの話を言っているのですが、今日までの成田空港については、そのあたりまえのことが通用していない。政府側の権力だけがずっと出てきている。関係者農民の権利というものは無視されてきたということに大きな憤りの根底があるわけです。ふんまんというか、それがいま怨念に変わっているのです。  これをどうやって解きほぐすかというのが政治の要諦だろうと思うのです。それをしないで小手先だけと言ったら大変失礼でありますが、ただ枝葉末節と言っても失礼かもしれませんが、技術的なことや何かだけで政治家が対処しようと思ったら間違いだと思うのです。空港反対とか賛成とかの立場じゃなくて、国家の威信をどうやって保つかということになりますれば、いま申し上げたことを土台にして維持していかなければならぬと私は思うのです。くどいようですが、福永運輸大臣に御所見を伺いたいのだが、もう一つ加えたい。  ここに、三里塚の反対同盟から来ている声明書があります。これは福永大臣あてに来ているんですね。戸村一作委員長の名前で運輸大臣に来ているわけです。これは四月の十七日に来ているわけなんですが、これに対してはどういうふうなお考えでありますか。
  41. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろお話がございましたが、最後の点で、声明書ということで参っております文書、これはかなり長いのでございますが、この中には、われわれはわれわれなりに考えなければならぬことももちろんございますし、また同時に、過般の事態によって逮捕された百六十八名を直ちに釈放しろとか「開港計画の一切を凍結し、二期工事区域に踏みこまぬこと」とか、それから「砦や団結小屋等に対する治安のための新規立法案を撤回し、治安弾圧をただちに中止し、機動隊を即時撤退させること。」この「三」につきましては誤解があるようで、何か政府提案しているのを、それを「撤回し」というような表現になっておりますが、まあ、あの当時の情勢では、この誤解もあるいはやむを得ないのではないかと思います。そういうような誤解等もございますが、いずれにしても、こういうようなことでございますと、まあ立法のことは国会で提出されていることでございますから、これは向こうが書いてきたとおりの触れ方をわれわれすべきではないかと思っておりますが、その他のことにつきましても、いま申し上げましたような表現等でございますので、私どもといたしましても、こういうことを前提としての話につきましては、これを全面的にごもっともですなどとはなかなか言えないところでございます。  さりとて、先ほどから久保さんがいろいろおっしゃいますように、話し合いというものは、正面にそういうことは出していても、それはそれとして、心の交流が行われるような措置もとらなければならぬとおっしゃっておりますことにつきましては、私も私なりに考えているところでございまして、そういうようなことを考えつつ事態に対処しているという次第でございます。
  42. 久保三郎

    久保(三)委員 さっきも申し上げましたが、四月の二十七日にこういう政府の広告文が出ていますが、これは所信広告というんですか、意見広告というんですかね。「安全確保に全力をあげています。」という大きなタイトルで「新東京国際空港成田空港)五月二十日開港をひかえて」というようなことなんですが、私が繰り返し何遍も申し上げているようなことは、この中には一切入っていないのです。ただ、極左暴力集団の暴力はけしからぬ、しかし、われわれは安全を確保しますからというようなことなんで、それを引き起こしてきた遠い原因というか、そういうものに対するところの政治責任というか、そういうことにちっともお触れになっていないんですね。本当に誠意を持って、国民に対しても「全力をあげています」と言うのなら、それがこの中に当然入るべきだと私は思うのですが、それは入っていない。  それから「これまでにも機会あるごとに、地元のみなさんと話し合いを行ってきましたが、今後なおいっそう積極的に話し合いをすすめ、必要な諸施策を推進していく考えです。」と言うのだが、「これまでにも機会あるごとに」というのは、彼らはこれまでも機会あるごとに話をしてくれなかったと言うのです。それは中村事務次官と会ったときの話にも出ておりますね。  それで私は、こういう文章の文言について一々あげつらうことをことさらにするわけではありませんけれども、もう少し誠意のある広告をお出しになったらいかがかというふうに思うのです。「極左暴力集団暴力行為によって、一時延期のやむなきに至ったことは、まことに残念です。」というのは、これは警察庁が言う分には差し支えない。運輸大臣というか、運輸省が言うこととしてはもう一言足りない。この陰に隠れて自分の責任を回避している。運輸省というより政府敵すね。そういうことを考えれば考えるほど、もう少し政府政治姿勢をきちんと整理してもらわなきゃいかぬと私は思う。  また、それが国会の決議でもあるんですよ。ただし、この国会の決議は簡単ですから、そういうことは書いてありませんが、事態の収拾に「毅然たる態度」というのは、そういうものが入ってなければ「毅然たる態度」にならぬ、実際言うと。それから「再びかかる不祥事をひき起こさざるよう暴力排除に断固たる処置をとるとともに、地元住民理解と協力を得るよう一段の努力を傾注すべきである」という、この「断固たる処置をとる」ということについては、ややはっきりしてきたのですが、さっき警察庁の参事官からのお話でも、大分なれてきたというか、習ってきたというか、そういう意味の御発言がありました。それから、いま御提案になっているものも、考えようによっては一つかもしれません。しかし、この後段については、繰り返し申しますが前進も何もない。  先ほど申し上げたこの声明書も、お話があったように、これにこたえるかどうかというのは、政府の御判断だと私は思うのであります。ただし、向こう声明書を出したのです。それを知らぬ顔の半兵衛で、新聞広告一遍で、それで通るものではないのではないか。この声明書は、声明書であっても「運輸大臣福永健司殿」ということで来ているんですね。そうしたらば、運輸大臣声明書にこたえる声明をすべき筋合いでないですか。しかも、これはいま世間で一般的に大きな問題になって、行く末はどうなるんだろうということで心配をしているのが国民全体だと思うのです。事を間違うと、これは大変だということなんです。だから、そういう点でもう少しきちっとできないのですか。それとも総理の外遊中にあなたが全部処理しますか。絶好のチャンスです。これは。
  43. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろ御注意をいただいて、ありがたく拝聴をいたしました。実はその広告は、福永健司の名においてとか運輸省とかで出したものでないわけでございまして、職制上、総理府にその種のことをするところがございます。もちろんそれについては、恐らく運輸省へも何らかの方法で意見を求めてきたであろうと思いますし、それは事務的に出したと思います。  そこで、そういうことであっても、いずれにしても、その種の広告が出るについては、先ほどから久保さん繰り返し繰り返しお話のあったようなこと等について、私の、やはり適切な表現は望ましいと思うわけでございまして、それならどうして久保さんからしかられなくても済むような誠意ある文書等が出ていないのだということになりましょうが、この点は大いに反省もしなければならないと思います。私といたしますと、私なりにしかと心得て臨まなければならないというように決意をいたしておるところでございますが、先ほども申し上げましたように、表にあらわれましたことではどうもまだ御納得のいくようなところへいっていないことを非常に残念に思うわけでございます。  総理の留守中くらいに決意をして、適切な処置をとったらどうだというお話でございますが、これは総理がいてもいなくても同じことでなければならぬ、こういうように思うわけでございます。私は、いずれにいたしましても、適切な措置をとりたいといま思っているところでございます。いま思っているというよりも、ずっと思ってきているところでございます。そこいらの方法、そこいらのタイミング等について、それが出ていない現在においては、ちょっと申し上げるのを遠慮させていただきたいと思うのでございます。  いずれにいたしましても、いまいろいろおっしゃっていただいておりますようなことを念頭に置いて適切なる措置に出たい、こういうように私は思っておる次第でございます。
  44. 久保三郎

    久保(三)委員 どうも禅問答みたいで、周りをぐるぐる回っているだけで、これではぼく自身も前進にならないだろうと思うのです。おやりになっていることは多少何かおやりになっているのだろうと推測されますが、ぼくが言うのは、政治姿勢をきちっと表明されることが先決だ、その上で話し合いをするかどうかというのが決まっていくことであって、いままで出ていた対策要綱政府政治姿勢なのか。そうだとするならば、ちょっとこれは違う、一文句欠落していやしませんかということなんです。実際は。そういうことについて言いにくいのか。しかし、政治家福永健司ということでありますれば、この機会を逸しては表明する機会はないのじゃないかというふうに私は思うのです。だから、くどいようですが、何遍も聞いているわけなんです。  まずかったらまずかったと、きちんと政府の中でも反省していますと言い得るのかどうか。反省していない、そんなことはおれ一人は反省しているけれども、ほかの人はわからぬというようなことなのか。その辺のことも含めてこのチャンスに、この機会にやはり表明しないと、また表明する機会は私はないのじゃないかと思うのです。  下の方の工作その他についておやりになっているのかもしれませんが、それについては全然私は触れるつもりはありません。少なくとも、そういう政治姿勢前提にして、踏まえてどうだろうか。そのためにはお互いにある種の条件はっけなければなりません。その条件などいまとやかく私どもは言う筋合いではありませんが、わが党はきょう総理大臣に三項目にわたって申し入れをしました。昨日は自民党大平幹事長にも申し入れをしました。大体同じようなことでありますが、そういう申し入れをしました。お聞きになっていないと思うのですが、それはやはり私が言う政治姿勢前提でそういう問題をひとつ三項目についておやりになったらどうだろうかということなんです。  いずれにしても、この問題について、総理はあしたからアメリカへ行っちゃうのですが、きょうじゅうに政治姿勢その他について総理とお話しになりますか。
  45. 福永健司

    福永国務大臣 重要な問題であり、いままでにも話し合っていることはございますが、出発される前にこういう点についても協議をすべきものであると思うわけでございまして、私は私なりの考え方反省等をいたしてきておるわけでございますが、内閣でも、係であるとないとでは多少認識の相違はあろうかと思いますが、私の主軸とする考え方につきましては、他の人たちも理解をしてくれているものと私は確信をしております。  いま、あしたと言われましたが、総理はあさって行かれるわけでございますが、そこのところは一日、二日のことでございますけれども、いずれにいたしましても、久保さんからいろいろ伺ったこと等を念頭に置きつつ、明日あたりよく打ち合わせをいたしたい、こういうふうに考えております。
  46. 久保三郎

    久保(三)委員 これは航空局長にお聞きした方がいいでしょうね、運輸大臣と言っても担当の局長は航空局長だから。実はこの法律案の中では、運輸大臣が運用の責任者になっているわけなんですが、これはどういう手続を踏みながらやるのですか。そのやる方法をちょっと説明してください。
  47. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この法案では、運輸大臣担当することになっておりまして、そしてやります主たる行為は、いわゆる団結小屋の使用禁止等の処分でございます。ところが、現在までのところ、運輸省自体では、団結小屋の実態あるいはそれが暴力主義的破壊活動に使われるかどうかということについても、各種の過去の証拠等につきまして必ずしも持ち合わせておりません。したがいまして、この法律案の中には、運輸大臣はそういう処分をする場合には関係行政機関に資料の提供を求める、そして判断をする場合には関係行政機関に意見を聞くものとするという規定もございまして、また別の条文では、政府の各機関は運輸大臣に全面的に協力をするという規定もございます。そういうことによりまして、政府の各部署、部局の協力をいただきまして、運輸大臣としては、必要な資料を集め、必要な判断をして、実施をしていくということになろうと思います。
  48. 久保三郎

    久保(三)委員 大変だろうと思うんですね、おやりになるのは。  たとえば、この法律案で言うと、空港の周囲は三キロでずっとこうなるのでしょうが、それ以外に、いま燃料輸送の場合は鉄道を使っておりますから、これは鉄道線路を中心にして三キロ、三キロですから六キロの幅であるわけですね。そういうものの中で、運輸大臣責任を持って、そういう不法行為をする建物というもの、あるいはおそれのあるもの、そういうものをまず認定しなきゃならない。関係各省庁の協力を求めるというのは、協力を求めるというからには、自分でやはり一遍やってみるということになりはしないかと思うんですね。これはとてもじゃないが、航空局で手に負える仕事ではない。公団そのものでも手に負える仕事ではなくて、これは警察庁に全面的に教わらなければできない。おそれのあることも警察庁に教わらなければならぬということだろうと推測するのです。そういう法体系というのはあるのだろうか。  航空局長、そうなると、あすこ危ないぞ、あれはだめだ、そうですか、それじゃ行きましょうか、おまえ出ろ、というようなことでやるのですか。そういう法体系なんですか。  法制局から聞きますが、法制局は、そういうことについて、どういうふうに考えて立案されましたか。
  49. 大井民雄

    ○大井法制局長 お答え申し上げます。  ただいまの点は、この法案におきまする実施面において立法上どのように考えたかという点だろうと思いますが、この法案目的が、明示してございますように、新東京国際空港施設及び航空機の安全を確保するために、暴力主義的破壊活動を防止するというためにはその拠点となる、あるいはなるおそれのある建造物を使用禁止等にかけるというのが目的及び処置でございますが、この目的に照らしまして、政府部内の行政機関としてどこが主たる実施の任に当たるかというのは、いわば行政部内における権限調整の問題でございまして、この主管を一条の目的に照らしまして運輸大臣ということに提案者の方で定められたわけでございます。  ただ、御指摘がございましたように、運輸省一存でいけるかどうかという点は、実態に即しまして、これをさらに関係行政機関の協力を得てやるという形をとった方が実態に合うだろうということでございますので、挙げて行政機関内部における権限分配の問題として立案上処理した次第でございます。
  50. 久保三郎

    久保(三)委員 いまの御説明、専門用語があって、素人ですからよくわからない。だけれども、結局は警察当局の御指示を待って運輸当局が動く。動く場合にも一人じゃまる腰ですから、どけと言ったってどかないときは強制退去でしょう。そのときには警備保障会社でも頼むのですか、どうなんですか、航空局長。
  51. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この法案の規定の仕方としては、運輸大臣の権限は運輸省の職員に行使をさせる、これは当然でございまして、そのほかに新東京国際空港公団に事務の実施を行わせるという規定もございます。  いま先生のお尋ねの、実際そういった処分をしに行く場合どうするかということにつきましては、運輸省の職員も公団の職員もまる腰でございますので、当然みずからを守るためのガードマンのみならず、必要に応じまして警察の後ろ盾といいますか、いざというときのバックアップもしていただかなければできないというふうに考えます。  そういったことで警察にもお話をし、それはバックアップしてやるという御返事をもらっているわけでございます。
  52. 久保三郎

    久保(三)委員 おそれのあるという認定は、航空局長、あなたのところでするんですね。おそれがあるかどうか、警察であそこおそれがありますよ局長、と言われたときにどうするんですか。どっちなんですか。
  53. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 ここの最終的に判断をする権限は運輸大臣でございますけれども、その場合には、やはり何と言っても警察が一番たくさんの資料を持っていらっしゃると思いますので、そこで警察の資料提供なり助言をいただきまして、最終的には運輸大臣が判断するということでございますので、警察の意見そのままに運輸大臣が判断するというわけでもないと思いますので、そこのところは警察との間で十分な意見交換をいたしまして判断をする、そういうことになろうかと思います。
  54. 久保三郎

    久保(三)委員 これは法制局に伺いますが、空港安全確保、特に暴力主義的破壊活動を防止するためということになるわけですが、暴力主義的破壊行動を防止するという本来の任務は警察庁、いわゆる司法当局というか、そういうところにあるのであって、運輸大臣のところではないのじゃないか。もしも不安に思ったときには、そういう関係省庁に連絡をして排除してもらうなり何なりしてもらうということだろうと思うのですが、この立法といま警察当局自身が配備している警備体制、そういうものとの関係からすればどこが違うのですか。
  55. 大井民雄

    ○大井法制局長 警察は、社会秩序一般を守るという本来の使命を持っておるわけでございますが、この法律におきましては、新東京国際空港という特定の施設のみを対象としまして、なるほど手段暴力主義的破壊活動ではございますが、目的はあくまで空港施設管理の安全、航空の安全を図るというところにあるわけでございまして、おのずからその間に警察と運輸省運輸行政当局との間には違いがあるものと考えております。
  56. 久保三郎

    久保(三)委員 暴力主義的破壊活動を防止するという主たる任務を持っているのはどこの省庁ですか。行政機関の中ではどこが主たる任務なんですか。
  57. 大井民雄

    ○大井法制局長 ここに書いてございます「暴力主義的破壊活動を防止するため、」というのは、この法案の最終的な目的でございますが、同時に「もって」以下にございますように、施設そのものの安全を図っていくということでございまして、一般的に暴力主義的破壊活動、つまり空港だけを対象にするというようなことじゃなくて、空港だろうとどこだろうと、暴力主義的破壊活動が社会悪だという限りでこれを防止する責務が行政機関に現行制度であるとすれば、それは第一義的には警察であります。
  58. 久保三郎

    久保(三)委員 何で区別しなければならないのか、警察が一般的にやるのなら、空港の内であろうが、外であろうが、これは同じにやってもらわなければ困る。あるいは周辺であろうがなかろうが、現にやってきているわけだ。そういう暴力行為については、防止するための手段をやって、いまでも現実にそのための警備体制を固めておるでしょう。何でここの区域だけ運輸大臣責任をとるのか。責任のあり個所は運輸大臣なんでしょう。もし間違って、おそれがなかったのにおそれがあったということでやった場合はどうなんですか。そういう法体系を一々あげつらうわけではないけれども、これはどうも木に竹を継いだような形は否めないだろうと思うのです。  これは運輸省航空局長に聞きますが、あなたは安全を保つためには、いかなることでもやらなくちゃならない任務が本来的にあるのですか、運輸省というのは。たとえば、これから三里塚の空港を破壊しますというので、東京駅に爆弾を仕掛けますと言うときにはどういうことになるのか。東京空港です。一般的な空港じゃない。東京のいわゆる成田空港をやめろと、そのためには東京駅を爆破する、そういうことを言ってきたらだれがやるのか。空港の安全を守ると言うならば、そこが先にやらなければならない。だから、そういう点で何かどうも木に竹継いだような法律案だというふうに感じて、そういうものを運用する立場から言って、できるのかどうかという問題もあるんですね。  むしろ率直に言って、本来的に必要ならば、これは警察当局がおやりになることが当然ではないのかというような考えをするわけです。ことさらに運輸省が何もしょってくるというよりも、あなたらがやることは、過激派集団の押さえをすることが本来の任務じゃなくて、その根っこになっている、さっきから何遍も言っている、反対者、農民との話し合いによって平和裏に解決するということに力点を置くことが一つなんですね。ところが、これでもってこのやろうというやつを持つということになると、これは何か片方ではこのやろう 片方では話をしようということで、どうもちぐはぐなんですね。それを運輸省自体が持っているのだからおかしいじゃないか。  さっきの運輸大臣お話では、何か話し合いムードみたいのをつくりつつあって、何かおやりになっていると言うのだが、おやりになっていても、片方でおまえけ飛ばすかもしらぬぞというようなことでやっていたのでは、話し合いが軌道に乗らないのではないかというふうに私どもは心配するわけなんです。かと言って破壊活動過激派集団暴力行為を認めていくとか取り締まらなくてもいいということではありませんよ、誤解のないように言っておきますけれども。ただし、運輸大臣の本来的な職務が、成田空港に関しては安全確保であるならば、先ほどからるる申し上げているとおりの行動を起こすことが先決である。ところが、片方には剣を持つ、片方にはあめを持つということでは問題の解決にならぬし、不信の念を抱かれるのは当然ではないかというふうに思うのです。法体系については別としてもね。  だから、その点で議員立法だからやむを得ぬということになるかもしれませんが、これからやっていくんですからね。しかし、果たしてやれる体制にあるかどうか。大体空港公団が一部の事務代行をするのじゃなくて、ほとんどの事務代行をせざるを得ないのじゃないか。はっきり言って空港公団にそういう能力はありませんね。彼らには間違った認定はできる、なぜならば、いままでの十三年間、彼らは間違ったことばかりやってきたから。後手後手に回っている。だから、ああいうものの判定とか、ああいうものの仕事を頼りにしていくなんということは、私は危険千万だと思うのだが、どうですか、航空局長。
  59. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 まず運輸省が、運輸大臣がやることがいいのか、警察がやるべきかという点につきましては、この法律案の骨子が議員の方から内閣側に伝えられましたときに、実は政府部内でもいろいろ議論を重ねたわけでございます。確かに運輸大臣は、空港の正常な運営の管理といいますか、これを確保する責任はありますそれから、そこを使う航空機の安全を確保する責任もあります。そこでこの二つの、空港の安全な管理航空機の運航の完全な確保ということは、いずれも運輸大臣の仕事であります。その場合に、では手段として、たとえば本法案にございますような団結小屋の処理ということまでも含めて運輸大臣が全部所管しなければならないかどうかという点につきましては議論があるわけです。その点につきましては、いろいろ議論がございまして、最終的には内閣官房の調整によりまして、きょうお出しになっておりますこの法案のような形であるならば、まあ運輸省もお引き受けしますという御返事を確かにしたわけでございます。  したがいまして、先ほど来お話し申し上げておりますように、関係行政機関と十分連絡をとりつつ私たちとしては最大限の仕事をしてまいりたいと思います。  そこで、公団との関係でございますが、公団に任せますのは実施業務だけになると思います。したがいまして、運輸大臣がこの法律案によります禁止命令等の判断をするのば、やはり運輸大臣みずからがやるべきことである、そしてそれを実際に現場に封印をしに行ったり、そういう仕事につきましては一部を任せることがある、こういうふうに考えております。そういった限りにおきましては、公団は事務能力はあると考えております。
  60. 久保三郎

    久保(三)委員 回りくどい手続、連絡、そういうものを回していって、いまの事態に——たとえば、それが最大の原因だから、団結小屋を押さえれば空港は万全だというならば、そういう回りくどい手続も私は評価していいと思う。ところがそうではない。回りくどくて、おそれがあるなんということも、考えたら大変なことになると思う。  では、実務行為というのは何をやるのですか。おまえどけと言うのですか。それとも建物を壊す場合にやるのか、封印する場合にやるのか、そういうことだと思うのだが、これだってまる腰でできるはずはないんですよ、暴力集団だから。何を持っているのかわからない、そんなところにまる腰の公団の職員かその下請の警備保障会社か知らぬが、行ってできるはずないでしょう。いま警察が手に負えないのだから。その警察が手に負えないところに行ったって、できっこないじゃないか。  だから、いま運輸大臣考えるべきことは、政府考えるべきことは、まず第一に反対農民と、いままでの姿勢を正して話し合うというルールをつくるべきだということなんです。そのルールが全然なくてこれをやっていることは、本末転倒のような気がするということなんです。提案者には大変申しわけないが、そういうふうに考える。  そういうことで、間違ってはいけません。最初からチョッキのボタンをかけ違っておるのだから、今度またかけ違ったら、チョッキでなくなってもう着ていられなくなってしまう。上着まで脱がなければならなくなってくる。五月二十日に開港ができなかったら、あるいはしても、その後において満足な運航ができないというような事態でも起きたら、福田内閣責任をとるほかはないような大事件になる。そればかりではなくて、日本の政治について国際的な信用失墜もいいところだ。だから、真剣に考えなさいということだ。ただ単にこのやつはけしからぬということだけでは済まぬということをるる私は申し上げているわけです。  これ以上申し上げても堂々めぐりのようだけれども、重ねて運輸大臣に申し上げますが、いまこそ決断をするときですよ。決断をしないではもうどうにもならぬ。それを決断して、そういう門戸を開くことがまず先決で、その門に入ってくるか入ってこないかは、いまから何も予測する必要はない。ただ、そうすることが国民の信頼も得られるし、世論支持も得られると私は思うのです。だから二月以来、公式にも非公式にも申し上げておるわけです。  そういう点でどうかもう一遍、はっきりした御返事をいただきたい、いかがでしょうか。
  61. 足立篤郎

    足立議員 運輸大臣がお答えになる前に、いま久保さんから質問がありました公団の職員に任せる、行わせることができる事務は、第六条に規定がございまして、きわめて事務的なものに限られております。たとえば撤去した団結小屋等の材料を保管する事務であるとか、これが長期に保管してかえってマイナスが多いという場合に売却して現金で預かる、あるいは必要な費用を徴収するとか、そういう事務だけに限られておりますので、全般的について立ち入り検査その他を事前に行うとか、その判定をするのを公団にやらせるとかいうことではございませんので、この点は御理解をいただきたいと思います。  それから、先ほど来の質疑応答を私も拝聴しておりまして、問題点は結局、今度の提案は団結小屋その他暴力主義的破壊活動の集団が集結する、あるいは寝泊まりする、あるいは火炎びんその他の武器を製造する、そういう場所に供されているものの使用禁止等を行おう、こういうことでございますが、私も、立案者の一人として先般成田空港を視察してまいりましたが、あの壊された管制塔の上から周囲を見ますと、すぐ目と鼻の先にいわゆる団結小屋と称するものが散在をしております。これはちょうど西部劇に出てくるとりでみたいなものでありまして、これを野放しにしておきまして、そして国会の決議にある断固として暴力を排除せよと言われても、これは労多くして功が少ないということを実感として感じました。  そこで御協議した結果、公明、民社、新自の御協力もいただいてきょう提案をしておるということですから、私どもの気持ちは、あの国会の決議の前段にございます趣旨を尊重して提案しておるということを御理解いただきたいと思います。
  62. 福永健司

    福永国務大臣 久保さんお話のように、私は、ぜひ国民の信頼にこたえたい、こういうふうに考えております。そのためにいろいろ心得ておけというお話等も拝聴をいたしました。  私、率直に申しまして、いかなる前世の因縁からか、こんなことになってしまったわけでございますが、それはそれといたしまして、やはりだれかが決意をして信頼にこたえなければならぬと思うわけでございます。  私は、国会でこういうような制度にという案をお出しになるには、それなり理由があろうと思いますから、これからどういうように御決定になるかは別といたしまして、それにはこたえなければならぬと思います。  ただそういう際に、破壊的極左暴力等の先般のようなことが繰り返されるようなことはもう絶対あってはならぬと思いますだけに、一面において、先ほどからお話しのような努力は誠心誠意いたさなければならぬと思います。  それとともに、過去においてはああしたこともありましたけれども、私は、国民の良識を信頼したいと思います。こういうことが何回も何回も繰り返されるような日本であっては断じてならぬと私は思う。そういう意味で、私は、先ほどからいろいろお話も伺いましたので、誠心誠意これに対処してまいりたいと思います。私の気持ちを何とぞ御理解いただきたいと存ずる次第であります。
  63. 久保三郎

    久保(三)委員 足立さんからの御意見にも、これは後で専門家が御質問しますから、私は、この法律の全分野について余り明るくありませんから、それはそれでおいておきましょう。  運輸大臣、余り私がしつこいのであなたも多少興奮ぎみだと思うのでありますが、私も興奮ぎみなんです。実際言って。はっきり言って、どうして私の話がわからぬのかというもどかしさがあるのです。いま高い声でお述べになったような決意をされているのならば、タイミングを失しないでやるべきだし、また、どうして因果なめぐり合わせにのような話もありましたが、私は、因果というのはいい意味で、いい時期にあなたは際会しているのではないか、ただし、これは処理のしようでは、あなたがいま別な意味で言った悪い因果に通ずるかとも思います。私は、そうであってはならぬと思います。     〔委員長退席、石井委員長代理着席〕 しかも、いままで十何代かの運輸大臣がやってきて、間違いに間違いをやってきたのが大半だ。ここへきていよいよ大詰めで、福永運輸大臣の手によって円満に解決したと言えば、これはあなたの政治家としての評価ばかりではなくて、人間福永健司としての評価も当然されるわけですから、暗い意味での因果、前世で悪いことをしないのにどうしてこうなったのだろうかなどというふうに思われてはちょっと困る。これでは国民としても頼りない話であります。われわれ自身も運輸大臣としては頼りないことになる。どうかそうではなくて、いいときにおれは運輸大臣になったなとやはり勇気を出してこの際はおやりになることだと思う。  時間も来ましたからやめますが、いずれにしても、そういう観点から真剣に取り組んでもらいたい。もっとも真剣に取り組んでいない人は一人もいないと思うのですが、ただ、道を間違っては何ぼ真剣でもこれはだめだというふうに思うのです。  そういう意味で、今後の審議はどうか慎重にやってもらいたいし、委員長に申し上げますが、先ほど来から総理大臣あるいは官房長官の出席を要求しているのでありますが、都合で急にこの議案の審議になったものだから、所用があって来られないということのようです。こういう重大な問題ですから、福永運輸大臣に御答弁いただけばなるほど全部事は足りるかもしれません、しかし事は、機構の上から言ってやっぱり政府全体の問題でありますから、これは福永大臣を軽く見るとかないがしろにするのじゃなくて、しかるべき者が出てきて答弁をしてもらわなければいけません。だから私は、総理大臣に対する質問を留保しておきます。  以上できょうの質問は終わります。
  64. 福永健司

    福永国務大臣 久保さんからいろいろお言葉をちょうだいいたしまして、ありがたく感謝をいたします。一生懸命努力をいたしまして、何とか久保さんの御期待に、全面的にはどうかと思いますけれども、なるたけ沿えるように一生懸命に努力をいたしたいと思います。
  65. 石井一

    ○石井委員長代理 次に、小林政子君。
  66. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案の質疑に入ります前に、この法案は、成田開港が目前に迫っているということでできるだけ早く審議を済ませてほしい、こういう意見が理事会で出まして、私どもは、連合審査もする必要があるし、また現地調査も行う必要がある、こういうことの意見を述べましたけれども、結局、何か急ぐ必要があるのだということで、この問題については、また後ほどの協議になるのかもしれませんけれども、そういう事態理事会でございました。  いま、いろいろと審議の中でもございましたように、この法案審議については、あくまで現状把握ということが大事ですが、いままで私が何回も資料をお願いいたしましても、十分なそういうものも出てまいりません。現状把握が十分でない中で法案審議を行うということは、これはまた本当に不見識になるのではないか。そしてまた私どもは、現行法でどこまでやれるかという点などについて、はっきりとした資料も要求をしていたわけですけれども、それも提出をされない。  こういう中で、ともかく五月二十日の開港が目前に迫っているのだから早く審議をと、こういうやり方に対して反対でございます。五月二十日の開港は、これは確かに政府が一方的にお決めになりましたけれども、私どもは、このように数々の憲法に抵触するような問題も含めての重要な内容について審議を行いますについては、やはりこれは十分時間もかけて慎重にこの取り扱いをしていくべきである、このように考えておりますので、この点について委員長申し入れをいたしたいと思います。  成田国際空港において、いわゆる過激派暴力集団に管制塔への侵入を許したということは、これは明らかに警察当局の警備のミスであると同時に、政府、警備当局が、これまで長年にわたって過激派の暴力活動を野放しにしてきた結果であると私は考えます。わが党は、空港の安全体制の確立の点については、一貫してこの点を要求し、主張もしてまいったところでございますけれども空港機能あるいはまた航空の安全を確保するためには、政府がこれまでとってきた姿勢をまず正して、暴力排除に断固たる態度で臨み、そして現行法で実効ある措置をとることがきわめて必要であると私は考えます。     〔石井委員長代理退席、委員長着席〕  以下、そのような立場から御質問をいたしたいと思います。  四党が共同提案されました新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法は、団結小屋などを対象に規制をすることをうたっておりますが、建築物や工作物が現在どのように犯罪の拠点になってきたのか、そして現在どのように使われているのか、これらの点について把握をするということは当然のことであろうと考えます。したがって、現在暴力集団の出撃拠点となっているいわゆる団結小屋が三十五カ所と言われておりますけれども、これは一区画を一カ所と数えておりますので、この三十五カ所の出撃拠点の中に、団結小屋と称するものが何戸建っているのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。また犯罪拠点として使われたもの、あるいは使われるおそれがあると認められるものはどのくらいあるのか、この点についてもお伺いをいたします。
  67. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私どもが公団から入手いたしました資料によりまして調べたところでは、団結小屋は常駐しているところが三十五あるという資料になっております。これらにつきましては、二つの場所一つが建っている場合とかいろいろありますので、数え方がいろいろあるかもしれませんが、一応常駐三十五カ所という資料を得ております。どこの団結小屋が、本法案に書かれておりますような行為に該当するおそれがあるかどうかということにつきましては、私どもは資料を持っておりません。
  68. 小林政子

    ○小林(政)委員 運輸省から提出をされた資料によりますと、確かに団結小屋は三十五カ所、そして地名も入っております。しかし、これが一体どれとどれが犯罪の用に供されたのか、あるいはそのおそれがあるのか、いままでの実績の中でどうであったのか、こういう点について警察当局からお答えを願いたいと思います。
  69. 近藤恭二

    ○近藤説明員 団結小屋と言われるものの中で、どれだけが暴力的破壊活動にいままで供されたかということでございますけれども、これは粗いことを言えば、ほぼすべてがこれに当たるということは言えようと思います。個別的にはそれぞれにまだ詰めて調査すべき点はございます。しかし、法律に申しておりますような集合、あるいはそのほかの用に供せられるというふうな面につきましては、ほぼ全体に向かって言えることだと思います。
  70. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、ほぼ三十五カ所全体であるということでございますけれども、この団結小屋と称するものについては、具体的に捜査をやられたことはありますか。
  71. 近藤恭二

    ○近藤説明員 捜索という形でこれは繰り返し捜査をやっております。
  72. 小林政子

    ○小林(政)委員 具体的にこの運輸省から提出をされました資料とともに、私どもは何回も警察当局に資料の提出を要求していたのですけれども、ついに今日まで出てこない、こういう実態でございます。  そうすると、捜索を行ってきた、これだけほとんどのところの捜索が行われた、こういうことは、具体的にその中でどのような事態が起きているというふうに判断をされるのですか。具体的な事実についてお聞かせください。
  73. 近藤恭二

    ○近藤説明員 三十五カ所と言いますのは、先ほども運輸省から御答弁ございましたように、常駐の場所でございますので、常駐というのは集合ということでございますが、いままでの捜索にどういう法律でもってこれをやったかということにつきましては、それぞれ各別でございますので、私、いま手元にそういうものを持っておりませんけれども、いろいろな形でできるだけこうした不法な用に供せられる建築物について、そうした事態が起こりませんように警察としてできるだけの努力をいままでも重ねておったということでございます。
  74. 小林政子

    ○小林(政)委員 この点については、ぜひこの法案審議の間に資料の提出をお願いいたしたいと思います。委員長、お諮りをいただきたいと思います。
  75. 増岡博之

    増岡委員長 小林君に申し上げます。  理事間で御相談を願いたいと思います。
  76. 小林政子

    ○小林(政)委員 いや、出せるか出せないか、はっきり答弁さしたらどうですか。
  77. 近藤恭二

    ○近藤説明員 今後も捜査するという面もございますので、資料の点につきましては、ちょっと御要望に応じかねると思います。
  78. 小林政子

    ○小林(政)委員 それじゃ、審議できませんよ、犯罪の用に供されたのかどうかという点も定かでないのだから。私はその資料をぜひ出してもらいたい。いままでの分だけ出してもらいたいと思います。
  79. 増岡博之

    増岡委員長 小林君に申し上げます。  近藤参事官の発言はもっともだと思います。ただし、いま一度理事間で御相談願いたいと思います。
  80. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは休憩してください。
  81. 増岡博之

    増岡委員長 この際、暫時休憩し、本会議休憩後再開いたします。     午後一時二十分休憩      ————◇—————     午後三時二十九分開議
  82. 増岡博之

    増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林政子君。
  83. 小林政子

    ○小林(政)委員 午前中に引き続きまして午後の質問をいたしたいと思います。  午前中の質疑の中で、暴力集団の出撃拠点となっている三十五カ所と言われます団結小屋の実態というものがまだ資料として提出がされていない、こういう状況ですと、具体的に法案審議ということは、きわめてむずかしくなってまいりました。私は、この点について、ぜひひとつ委員長に、提出をしていただくようにお取り計らいを重ねてお願いいたしておきたいというふうに思います。  そこで二、三聞いてみたいと思いますけれども運輸省から先般いただきましたこの団結小屋一覧表という資料を見てまいりますと、この中に一という番号がございまして、それには天神峰現闘本部と書かれておりますが、これは成田の天神峰四十二の二にあります昭和四十三年に建設をされたと言われる最も古い団結小屋でございまして、しかも闘争本部ということになっております。  これは警察にお伺いをいたしたいと思いますけれども、現在この団結小屋には何人の常駐者がいるのでしょうか、そして現在の使用状況というものはどのような状況になっているのですか、また、いままで捜査をしたことがあるのかないのか、そしてどのような犯罪名で捜査がされたのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  84. 近藤恭二

    ○近藤説明員 団結小屋は全体として現地の常駐活動家の生活の場や会議の場に利用されておりますし、また現地闘争の際の大量動員のときには、全国から動員された活動家の宿泊の場所や連絡の場所、出撃拠点として利用されておるわけでございます。また闘争時に使用される鉄パイプや竹ざおなどの凶器類の隠匿や保管場所として利用されている例もございます。  ただ、いま御指摘のございました天神峰のそこはどうかということでございますが、常駐者の数も一定いたしておりませんし、それから、そこから出た者がいままでどうであったかというふうなことも、ここではちょっとわかりかねますので、御了承いただきたいと思います。
  85. 小林政子

    ○小林(政)委員 今回の質疑が突然であったということもあって、事前に連絡をできなかったということもありますけれども、先ほど来から私がお聞きをいたしております具体的な問題等については、何を聞いてもよくまだ実態というものがわからない、こういった状態がずっとこの質疑の中で続けられているわけでございます。私、これは本当に遺憾なことだというふうに思いますが、それはまた後で何らかの形で善処してもらう、資料を提出してもらう、こういうことにいたしまして、今回の三月二十六日のあの成田空港管制塔への侵入事件、これに伴っていわゆる第二要塞、横堀要塞と言われております第二期工事の予定地、しかも、ここは民間地に建てられておりますが、この横堀要塞に対して、三月二十七日に裁判所の令状をとって現に差し押さえが行われておりますけれども、この差し押さえをした根拠と申しますか、それはどういうことで差し押さえをされたのか、まずお伺いをいたします。
  86. 近藤恭二

    ○近藤説明員 差し押さえの根拠といたしましては、火炎びん法とか凶器準備集合罪その他でございます。
  87. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、火炎びん法だとかあるいは凶器準備集合罪とかあるいは公務執行妨害など、こういった犯罪に使われた拠点であるということが明確になれば、それはあるいは現行犯として、あるいは裁判所の令状をとって差し押さえをするということができるわけですね。
  88. 近藤恭二

    ○近藤説明員 個々の場合について十分に検討しないとお答えをしにくい面がございますけれども、横堀の要塞につきましては、犯罪の供用物件と申しますか、しかも、それ自体が重要な証拠物であるというふうなことで差し押さえをいたしたわけでございます。そうした重要な証拠物で、ああした形でだれが見ても明らかな供用物件であるという状態がございませんと。建物自体の差し押さえというふうなことは困難であろうかというふうに思っております。
  89. 小林政子

    ○小林(政)委員 結局、重要な証拠物あるいはまた供用物件、こういうことであれば、裁判所の令状がとれるということで今回の措置がとられたのだというふうに思いますけれども、いままで出撃拠点となっておりましたいわゆる他の団結小屋は差し押さえを行ったということを私は余り聞いておりませんけれども、この場合には、裁判所からの令状が請求してもとれないであろう、こういうことで事実上はこれを今日まで放置してきたのか、それともこの中でも取り上げてやられたことがあったかどうか、こういう点も含めてお伺いをいたしたいと思います。
  90. 近藤恭二

    ○近藤説明員 成田の問題の地区において、いわゆる横堀要塞以外に、ああした形で犯罪の供用物件である、あるいは犯罪を組成したものであるということで、いわゆる刑事訴訟法の条件を満たしたものとして差し押さえをした例はございません。
  91. 小林政子

    ○小林(政)委員 この差し押さえを行うということでいわゆる暴力的集団の占有を解除するということは、これは実質的に使用を禁止するということと同じ効果になるわけでございますけれども、他のいわゆる出撃小屋と申しますか過激派集団の拠点について、そうすると横堀要塞を除いては一度もやったことがない、いままでやったことがなかったということでございますか。
  92. 近藤恭二

    ○近藤説明員 御質問のとおりでございます。横堀要塞以外にはいたしておりません。
  93. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはり証拠物件だとかあるいは供用の証拠ということで——供用物件というのですか、そういうことで、明らかにここでは犯罪行為が行われたし、それに対しての証拠としてこれを押さえておかなければならない、こういうことであれば、これはやはり裁判所の手続をとって、そしてこの差し押さえ処分を行っていくということが具体的には可能ではないか。これについて、最初から手続をとってもなかなかむずかしいというふうに独自で判断をされて、そしていままではそのような措置を一度もとってこなかった。こういうことは、いまこんなに大きな世論にもなり、問題になっております過激派集団に対する警察の態度の中にこういう問題が放置されてきた、こういうことが言えるのではないか、私はこのように思いますけれども、いかがでしょうか。
  94. 近藤恭二

    ○近藤説明員 先ほど来から御説明をいたしておりますように、横堀の要塞は特殊な状態でございまして、犯罪を組成した、あるいは犯罪に供用された、使われた物件ということでございまして、そういう状態がございませんと、裁判官の令状で差し押さえということはできないわけでございます。あの周辺におけるほかの団結小屋等につきましては、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな形でできるだけの法律を駆使いたしまして捜索なり、あるいはいろいろな形でこれに対する取り締まりを加えているという状況でございます。
  95. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうすると、他の団結小屋には犯罪に使われたというものは、いままで一件もなかったということにもなるわけでございます。私は、こういうことについては、いまこれだけ大きな問題になっておるときに、これの適用について本当に犯罪の用に供されたという点が明確であれば、それについては、私は、現行法でこれに対しては何らかの措置を、あるいはまた裁判所の手続をとって、そしてこの問題については現行法で処置をしていく、結局差し押さえをするということは、先ほど来から申し上げているように、この法律でもって使用を禁止し、封鎖するということと実質的には同じことになるわけであります。ですから、こういう問題については、やはりきちっと整備をした上で、私は、現行法でやっていくことが可能ではないか、このように思います。  もう一つ伺いますけれども、いわゆる野戦病院と言われておりました公団所有地、これを不法占拠しておりますが、この公団から告訴されている野戦病院、これの現状というものはいまどうなっていますか。
  96. 近藤恭二

    ○近藤説明員 先ほど来の差し押さえの話がちょっとまだ不十分と思いますので、つけ加えて一言だけお許しいただいて申し上げますが、私どもの申しております差し押さえの条件というものは、組成した、供用した、あるいは重要な証拠物件と申しておりますが、これは建物そのもの自体が犯罪に使われたということでございまして、ほかの建物、工作物と全く条件が違いますが、ほかのところでも目をつぶっておったというわけではございません。  ただいまの御質問のございました野戦病院につきましては、ただいまは現地の私どもで言う極左暴力集団、暴力主義的破壊主義者の集団の側で撤去をいたしております。そのもの自体はございません。
  97. 小林政子

    ○小林(政)委員 新聞等の報道によっても、みずから撤去をしたというふうに報道されておりますけれども、これは電話をかけて聞いてみますと、彼ら自身が、いや二メートルほど先のところに移ったのだということでありますし、そこには電話も当然前の電話でかかりますし、電電公社の調査によれば四月十七日、同じ区画内にある別の棟、ここに電話の移設工事を完了した、こういうことも聞いております。公団用地のこの不法占拠は、野戦病院にとどまらず、あの一画の中には四カ所もあるわけです。こういった問題について、証拠物件として不法占拠をしていたという、告訴もされているという問題について、こういう撤去をしてしまったということは、証拠がなくなってしまう、こういうことにはならないのか。私は、むしろ差し押さえをしておけば、具体的にはこういった事態というものも起きなかったのではないか、このように思いますけれども、いかがですか。
  98. 近藤恭二

    ○近藤説明員 空港公団の用地における不法建築物の問題でございますが、野戦病院自体につきましては、御指摘のように撤去と申しますか、あるいは公団用地からの撤退と申しますか、そうした形がとられたというふうに思っております。(小林(政)委員「それは公団用地ですよ」と呼ぶ)中に小さな小屋、納屋等もございます。そういう点のことかと思います。  それから、不動産侵奪罪でも告訴がございましたのは、これも御指摘のとおりでございまして、これは関係者十数名から事情聴取を行っておりまして、いろいろとこれが地籍の関係の戸主の確認の問題等がございますので、引き続き捜査を継続しているという状況でございます。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  99. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはり本気になってやる気になれば、やりようはいろいろあると思うのです。たとえば警職法の第五条の適用をして犯罪の予防あるいはまた制止、こういったような条項の適用をしたり、いろいろとこの法の上で実際にはいまのような暴力集団、こういうものを押さえていくことは当然できるのではないか。現行法でもいろいろと研究をしてみれば、このようにいま幾つか私が申し上げましたことを適用しても、何らかやはり現行法でこれを押さえていくということはできるのじゃないか。  むしろこの法案が、具体的にはいまの出撃拠点になっている団結小屋、これをいかに撤去するかという点に重点が置かれていて、そして結局はその建物だとか工作物そのものが空港の安全だとかあるいは機能を妨害しているわけじゃなくて、拠点としてそれを使用しているところに大きな問題点が出てきているわけですから、これをいかに押さえていくかということ、これこそが重要ではないかと考えますが、こういう点について、この新しい立法、これでいきますと、いろいろ私はむしろ問題が出てくるのではないかとさえ考えております。たとえば、運輸大臣が危険のおそれがあると認めた場合には、建築所有者やまた占有者、これに期限を付してその使用を禁止することができる、そしてまた、その命令は、建築所有者占有者、これが確定できない場合あるいは伝達できない場合には、この公告をする、こういうことになっておりまして、禁止命令に違反した場合ということでいろいろとここにも法律の上で書かれているわけでございますけれども、特別の手続を経ないで一方的に建物の除去を行うということは、やはり憲法二十九条にも抵触をする問題でもありますし、また三十一条にも具体的には抵触をしてくるのではないか、このように思います。  この特別立法は、地域を一定に限定したというものでありましても、やはり非常立法としての性格を今後拡大していく、こういうおそれもございますし、国民の権利を制限したり奪ったりというような、こういうものにつながっていく、こういうことが起これば大変な問題ではないか、私はこのように考えております。  結局、いろいろと土地収用法などの場合でもちゃんと手続が決められておりますけれども運輸大臣の権限だけでこれらの手続を抜かしてできるというような法律内容、これは立法として非常に危険なおそれがあるのではないか、私は、このように考えますので、これについて法律提案されております立場足立さんと運輸大臣からお伺いをいたしたいと思います。
  100. 足立篤郎

    足立議員 私どもは、いやしくも治安立法とか、あるいはいまおっしゃった非常立法とかいうようなそしりを受けないようにと思いまして、十分慎重に検討いたしましたが、法文の方は衆議院の法制局の方に、これは専門家でございますから依頼をいたしまして、そうしたそしりを受けないようにということで提案をしておりますから、法制局の方から説明してもらいたいと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 福永健司

    福永国務大臣 同じようなことを何度も申し上げますように、いま提案者たる足立さんがああいうようなお話でございましたが、私の立場はまたさらに違うわけでございまして、ぜひ法制局から御回答をお聞きいただきたいと思います。
  102. 大井民雄

    ○大井法制局長 この法案の憲法上の問題につきまして、衆議院法制局としての見解を申し上げます。  結論的に申しますと、緊急やむを得ない点におきまして憲法上違反の疑いはないというのが私の見解でございます。  簡単に理由を申し上げますと、その前提に二つのことを認識しておる次第でございます。一つは、新東京国際空港関連施設航空機航行という安全確保のためには、暴力主義的破壊活動からこれを守ることが絶対の要請であるという認識が一つ、いま一つは、御指摘がございましたが、この法案は、あくまで成田空港周辺三キロ地帯、しかも異常な事態に対処するためのみの文字どおり特別立法だという点でございます。したがいまして、財産権の侵害ということに関しましても、守るべき法益と規制を加える財産権との比較考量から見ましても、また与えられました強制措置が、三月二十六日のような事件が二度と起こっては困るという、緊急異常な事態に対処するためには、一定の法手続を踏む真にいとまがないということを前提にいたしまして考えるならば、例外中の例外として憲法上許されるものと考えております。
  103. 小林政子

    ○小林(政)委員 緊急やむを得ない、そして法の手続をするいとまがない場合、そういう場合に対処する立法措置である、こういうことでございますけれども、私は、きょうの質疑の中でも、この暴力主義的な破壊活動に対して本当に真剣に具体的に警察がこれを押さえる措置をいままでどれだけとってきたか、私自身、野戦病院の問題一つをとっても、あるいは公団が告訴をしているあの団結小屋の五年間も放置されている実態を見ても、緊急やむを得ない、こういったことに果たして受けとれるのだろうかどうだろうか。この問題については、いままでこういった問題を放置してまいりました政府や警察の態度に問題があって、今回の立法は、むしろそれを覆い隠すような結果にしかならないのじゃないか、私はこのようにすら思うわけでございます。  運輸大臣、非常に憲法上の問題を含んでいる、しかも非常に重大な権限を運輸大臣は今後持つわけでございますけれども、果たしてこの司法問題といいますか、午前中も問題になっておりましたけれども、暴力的破壊集団の動向だとか、あるいはそれに基づく判断だとか、こういうものを運輸大臣は本当に責任を持っておやりになる自信をお持ちなんでしょうか。
  104. 福永健司

    福永国務大臣 議員提案としていま御審議をいただいており、現在ではまだ成立していないわけでございますが、いまのお尋ねは、そういうものが完全に立法化された後に運輸大臣はどうだという意味だと思います。  法律が決定されました暁には、その法の精神に従って万全を期したいと存じます。
  105. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、大臣もこれは筋違いの問題を引き受けさせられたと思っているのではないかというふうに思っておりますけれども、時間の関係で次へ進みます。  法律の第四条の損失補償の問題でございますけれども、この四条は、提案理由で見てみますと「国は、封鎖、除去、土地使用等措置を講じたことにより、損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償することといたしております。」このように書かれております。これは暴力集団、破壊活動を行った者にも損失補償をするということはちょっと筋違いではないだろうか。暴力主義的破壊活動者の拠点をつぶすというためにつくられている法律でございますし、そのつぶすというためにつくられている法律の中で、暴力集団に対しても補償を行うということは、国民感情から考えましても、ちょっと問題ではないか、このように思いますけれども提案者足立さんにお伺いをいたします。
  106. 足立篤郎

    足立議員 心情としては私も全く同感でございます。ただ、憲法違反のそしりを受けないようにという万全の配慮をいたしまして、こういうたてまえにいたしました。ただし、暴力集団というのは、いわゆる人格なき社団といいますか、団体ではありますが、果たして、この人格なき社団に国庫から補償をするということが適当かどうか、私も法律専門家ではありませんが、私有物につきまして、特に第三者に対しては補償の責任を負わなければならぬと思っておるわけであります。一言で申し上げれば、憲法違反のそしりは受けたくない、何が何でもやるのだという非常立法、治安立法的な色彩は帯びたくない、こういう気持ちから、いま御指摘いただいたような点、心情は同感でございますが、そういう法律案にいたしましたので、御了承いただきたいと思います。
  107. 小林政子

    ○小林(政)委員 最後に、罰則の問題について、この工作物使用禁止命令が出されました場合には、建物の所有者管理者占有者、この人がその違反をした場合には処罰の対象になるわけでございますけれども、結局その建物を利用いたしましたとか、あるいは火炎びんの製造責任者だとか、あるいはそこを拠点として寝泊まりをしたとか、こういった人たちに対しては、これは取り締まりの対象ということにはなっておらないわけでございます。あくまでも、その工作物占有者あるいは管理者所有者、これが対象になっておりますけれども、こういうことでは、結局、一番規制をしなければならない過激派暴力集団の人たちの動きというものを規制することは実際にはできないのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  108. 足立篤郎

    足立議員 この法案の第二条に幾つありますか、二十九くらいあるのじゃないかと思いますが、「暴力主義的破壊活動等」とはという定義がずっと出ておりますが、これらはいずれも現行の法律に基づいて罪となるものばかりでございまして、こういう行動を行った者が、結局いまおっしゃる団結小屋等に住んでおったり、そこで火炎びんを製造したりいろいろしているわけでありますから、これはこれとして私は現行法の発動によって、それぞれの犯罪人として処罰ができると思っております。  ただ、さっきもちょっと申し上げたように、団結小屋というのはだれが所有者か、だれが管理者であるのか、一体所属する団体はどこなのか明確でない場合が、実はこれは私の想像ですが、大部分ではなかろうかというふうに思っております。したがって、いまおっしゃる罰則の問題でございますが、これは明らかになっている場合にはもちろんこの罰則が適用されるわけでありますが、明らかになってない場合には次の段階、封鎖とか除去とかいう方向へ進むのではなかろうかというふうに考えております。
  109. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、このような新立法を結局つくって、そして団結小屋全部を撤去したとしても、空港安全確保の保障にはならない、むしろ現行法を適用して、これらの建物を暴力集団に使わせない、こういう措置を強化していくことの方がむしろ可能なのではないだろうか、このことを申し上げて私の質問を終わります。
  110. 増岡博之

    増岡委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  111. 増岡博之

    増岡委員長 速記を始めてください。  ただいま、日本社会党及び日本共産党・革新共同の出席がありませんので、事務局をして連絡をいたさせております。しばらくお待ちください。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  112. 増岡博之

    増岡委員長 速記を始めてください。  日本社会党に御出席をお願いいたしましたが、出席がありません。やむを得ずこのまま議事を進めます。(発言する者あり)  この際、堀内光雄君より発言を求められておりますので、これを許します。堀内光雄君。
  113. 堀内光雄

    ○堀内委員 この際、動議を提出いたします。  御承知のとおり、本案の立案に当たりましては、先日来の国対副委員長レベルの会議におきまして、日本社会党及び日本共産党・革新共同も含め六党において十分協議をいたしてまいったものでありまして、緊急に成立をさせる必要があります。したがって、本案に対する質疑はこれにて終了されんことを望みます。(発言する者あり)
  114. 増岡博之

    増岡委員長 ただいまの堀内光雄君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  116. 増岡博之

    増岡委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三により、内閣の意見があればお述べ願いたいと思います。福永運輸大臣
  117. 福永健司

    福永国務大臣 新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案につきましては、政府といたしましては、これに応ずることといたしたいとの意見であります。     —————————————
  118. 増岡博之

    増岡委員長 討論の申し出はありませんか。(発言する者あり)  申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  新東京国際空港安全確保に関する緊急措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  119. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  121. 増岡博之

    増岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会      ————◇—————