○
久保(三)
委員 この
法律案の
法律的な
質問は、後ほど
専門家もおりますからそれに譲りまして、私は、こういうものを出すに至った背景、そういうものを
中心にしてお伺いしたいと思うのであります。
まず第一に、この
法律案でも法の執行の主体は
運輸大臣でありますが、
成田の
空港については
運輸大臣の専管とも言うべきものでありまして、
運輸大臣にこれまでの経緯、これからの
措置について改めてお伺いしたいと思うのであります。
お尋ねする
前提としてわれわれの
考えの基礎を申し上げておかないといけないと思うのでありますが、三月二十六日の
成田空港の管制塔を
中心にする
破壊活動に対して、これは
法秩序を乱すばかりではなくて非民主的なやり方でありますから、これらについて断固たる取り締まりをすることは理の当然であります。しかしながら、もう
一つは、この反
権力的な闘いの
根源は何から出てきたのかということであります。その
根源について冷静に判断し、適切な
対策をとらぬ限りは、いかなる
手段を弄しようとも問題の
解決にはならないであろうとわれわれは思っているのであります。
そこで、むしろいまわれわれがとるべき
措置は何であるかということ、これを
考えてもらいたいし、また早急に勇気を持って決断する必要があると
考えているのであります。
私は、たしか二月のこの
委員会で、
運輸大臣に対する
運輸行政全体についての
総括質問の中で
成田開港についてわれわれの
考え方を申し上げております。その要点は、言うまでもありませんが、問題の
解決は何と言っても
地元反対農民を
中心とする
関係者との
話し合いをこの際
誠意を持ってやるべきではないか、まず第一に
政府はそういう
態度を鮮明にしなさいという要求をしたのであります。ところが、今日に至るまでそういう
意味の
政府の
態度の
表明はありませんで来ております。そこに私は問題があろうと思うのです。
まず第一に、三月二十六日の
事件が起こる前に、わが党は
政府に対し、
運輸大臣を通じて
申し入れをしておきましたが、幸か不幸かその
申し入れの
内容が的中してしまった。このままでいくならば、残念ながら不測の
事態を招くであろうというような
意味の
申し入れをしておりましたが、二十六日にそのとおりになった。そこで、二十六日に起きた後、
政府は直ちに二十九日に
声明を出した。それで、この
声明書の中にそういう
意味のことが書いてあるかというと、
過激派集団によるところの
暴力行為に対する単なる
態度の
表明で
声明は終わっているのであります。これは
国民に対しても問題の本質をはぐらかすものではないかと思うのであります。
その次には、四月四日に
政府が「新
東京国際空港の
開港と
安全確保対策要綱」なるものを
関係閣僚会議を経て決めましたが、この全体について見まして言えることは、五月二十日に
開港します。
空港の安全を強化する、
極左暴力集団の
対策をやるそれからもう
一つは
地元の
支持と
世論の
喚起、これが第四であります。
問題は、この第四でありますが、
地元の
支持というのは、
関係農民を
中心とした
支持が必要であることはいまさら言うまでもないのであります。しかも、話がなかなか困難であることは当然だと思うのであります。しかしながら、最後まで
誠意を示してやるという熱意がなくて、ただ単に
権力をかさに着てと言っては語弊があるが、
権力で押しまくるということは、目には目、歯には歯をもって報いるということでありまして、問題の
解決にはならないと思うのです。
しかも、この
対策要綱の中の「
地元の
支持と
世論の
喚起」の中でお聞きしたいのは、これまで何をおやりになりましたかということ。私が知っている
範囲でやったことは、この中の
一つの文句の「
開港促進に関する
世論喚起に努める。」ということで先般
新聞広告を出しておりますが、この
新聞広告は、
政府広報、
運輸省、
警察庁の連名でありまして、半
ページ大であります。この中に書いてあるのは、別に
理解を深めるとかいうことでなくて、
不法行為、
暴力行為から安全を守るということだけに尽きているのであります。最も大事な
関係農民との
話し合いの
促進については
一つもない。
それからもう
一つは、
政府の
態度が全然変わっていないということ、
反省がないということ。われわれが三月二十四日に
申し入れをした
内容の
一つには、これまで十三年間やってきた中で、
政府、公団がやってきた仕事がすべて完全であり、非の打ちどころがないということにはならない。むしろ
後手後手に回ったり、踏むべき順序を踏まなかったりということでありますし、特に四十三年ですか、七月の
空港設定の時期には、ここに
浜田議員もいらっしゃるけれ
ども、
浜田議員は当時千葉県の
県議会議員でありましたが、
要件について
県議会で
質問をしておられまして、その
要件を満たすことが
条件であるということを強調しておられました。そして当時の知事は、この
条件を満たすことについて約束というか返事をしております。ところが、それがいまだに
政府によって守られないということ、そういうところから不信の念がエスカレートしてまいりまして、今日の
事態を引き起こしている。
戸村一作氏は
農民でないそうでありますが、
反対同盟の
委員長であります。これは外国に打った文書の一節ですが、その中に「
反対の
根源は
反対の
農民によって支えられております。」こう書いてあります。私もそう思っております。だとするならば、その
反対している
関係の
農民に対して、胸襟を開いて、非は非としておのずから認めて、
反省を加えて対等の
立場で話をするという
姿勢が先決ではないかと思っているわけなんであります。
今日まで
政府はそういう点で何をおやりになりましたか、
運輸大臣から明確に答えてもらうと同時に、この問題に対処する
姿勢としていままで出した
声明並びに四日に出した
対策要綱に尽きるのか、それともそれ以上に
姿勢を鮮明にし、民主的な
態度をとる
考えがあるのかどうか、あるとするならば、抽象的でなく明確に、具体的にお述べいただきたいと思うのであります。