○久保(三)
委員 造船の
不況問題というのは、
造船とはうらはらというか、
海運・
造船というか、そういう形で問題をとらえていかねばならぬことは、いまさら言うまでもないのでありますが、これまでの二回の集中審議というか、その中でも申し上げたとおり、最近の
政府の
施策というのは、たとえば
特定不況産業安定臨時措置法というようなものに見られるように、後追いというか、事後
対策が中心なんですね。先ほど
大臣がおっしゃったように、火事が消えてからポンプが到着する。ポンプじゃ用が立ちませんからポンプでなくて清掃単かなんかでも持ってきた方がいいのですが、まあポンプなんですね、だから全然役に立たない。つぶれるものにそれじゃだめなんです。
構造不況対策の法案、いま参議院で審議中でありますが、これを静かに見ていっても、
造船業の
対策に一体なるのだろうかというような疑問を私は持っているのです。というのは、
スクラップをするわけなんですが、その
スクラップする船台に担保がついている、その担保を抜かなければ
スクラップはできない、だから信用保証をしよう、
一つはそのための基金を設けようというようなことにとれるわけなんでありまして、これはまあ、全然なくてもいいとは私は申し上げませんけれ
ども、物の
考え方が少し違うのじゃないかというふうに思っておるのです。
いま
造船の問題が一番問題になっておることは事実でありますが、同時に、
海運の問題も問題になっているんですね。何が一番問題かと言うと、不景気が問題じゃなくて、もちろん不景気というのは原因なんですが、結果としてやはり
雇用の問題が問題なんですね。飯が食えなくなるという問題です。だから、これはやはりそういうものに焦点を合わせていただかないと問題が解決しない。
たとえば先ほ
どもお話が出ましたような
仕組船の買い戻し、なるほど買い戻しした場合に、
船主側において利息の差額が多少メリットとして出るだろう、それからもう
一つは、
政府の
ドル減らし政策には多少メリットがあるかもしれない、しかし、これは
雇用安定とか
業界の体質改善には、はっきり言ってさっぱり役に立たないのです。
そこで、この
造船、
海運の問題に焦点をしぼりますならば、害うまでもありませんが、
造船は何と言ったって船をつくることが中心産業であります。その他にもいろいろ、先ほどの
浮体構造物とかいうようなものもありますが、これは言うならば余技というか本業ではないのであります。もっとも大手には本業として陸上部門の問題もありますが、
造船という問題にしぼれば、船をつくること以外に問題はないのです。その船をつくる、それがつくれない。これは言うならば、つくっておいてストックしておいて、売れるときにひとつ適当に売っていこうという品物ではありません、オーダーメードでありますから。そこにオーダーするものは
海運産業であるということになるわけですね。
だから、いま
対策としてやるのには、
造船業のためには船をつくらせる、船をつくらせるためには
海運の問題をまず解決しなければならぬ。その
海運の問題というのに何があるかと言うと、国際
競争力が低下しているという理由のもとに、今日まで
仕組船あるいはマルシップ、便宜置籍船、こういう形を含めて外国用船の比重が多くなってきた、大体半々ぐらい、あるいはそれ以上に支配船腹量は持っておるわけですね。そのかたがた、今度は船員の
雇用はどうかと言うと、予備員率は七二%ぐらいになっている。適正予備員率をはるかに上回っているというようなことがあるわけですね。
そこで、先般通過した
雇用安定の離職者
対策法ですか、これは
雇用促進センターというか、そういうものを設けて、そこのルートを通して外国船に
日本の船員を配乗させるというようなことも窮余の一策として考えてきている。しかし、大筋からいけば、これはオーソドックスなやり方ではない。もっとも
政策が変われば、これもそうであるかもしらぬ。しかし、船員の
雇用の安定ということになれば、いまの船員法のたてまえから言って、これは
日本船籍の船をふやすということ、だから、いま言ったように外国用船が多いのですから、外国用船から
日本船籍の船に置きかえるということをまず
一つ考えるのが当然だと思うのです。そして置きかえる場合には、船腹過剰でもありますから、やはり減船の傾向は多少やむを得ぬ、しかしながら、経済性は追求していかなければならぬ。だから、
スクラップするものは不経済な船をひとつ探して
スクラップの対象にしたらどうか。これはだれも考え得ることですが、そうすることによって
造船の方の
仕事は
スクラップとビルドが出てくるということだと思うのです。そうすれば両方の
雇用が一応確保され、安定するだろうというように考えるのは理の当然だと思うのです。そういうところに焦点を合わせないと、少し
政策がぼやけてくると思うのです。
それからもう
一つは、いま焦眉の急という言葉がありますが、ことしの夏くらいには船台には船が一隻もない、予約もないというかっこうが予想される。そうすれば、五年先や十年先の話をいますることは、むだとは言いませんけれ
ども、それを含めての必要はありますが、まずさし
あたり何をするかという問題を取り上げてもらわなければ、問題の解決にはならぬと私
どもは思うのであります。そういう
意味で、これから幾つか御
質問をするのですが、運輸
大臣、どうですか。
それからもう
一つは、いままでの御答弁の中で
かなり積極的でありましたが、五十三年度予算は通ったばかりでありますが、われわれがいま言っているようなことは新たな予算
措置なり
政策の展開です。しかし、五十三年度予算の中には、そういうものの展開ははっきり言ってないのです。だから少なくとも、国会がまだ終わらぬうちに補正を組めとは私は言いませんが、補正の芽を出せ、言うなら
項目だけでもいいからつける工夫はないものか。ちょっと性急な話でありますが、というのは、繰り返し申し上げますように、船台にはこの夏で船はなくなってしまう、将来の見込みもないということでは、これはどうにも維持する方法はないと思うので、そういう
対策をとるべきではないかというふうに思うので、
大臣からひとつ御所見を伺いたいと思います。