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西山参考人 社団法人
日本造船協力事業者団体連合会の副
会長の西山でございます。見なければわからぬほど長い名前でございますので、略称日造協ということで話させていただきます。
先ほど三団体の方が
お話しなさいましたけれ
ども、私たちは、またその一番下のいわゆる下請業者でございまして、私たちのようないわば底辺の者をこういうところへ呼んでいただいて
実情を聞いていただくということに非常に感激しております。
私
どもの所属しております日造協は、
昭和四十六年の八月に
運輸大臣の許可を得ましたいわゆる
造船下請業のための公益法人でございまして、
会員が約六十団体ございます。所属
企業が約二千、
従業員が七万人、全国の主要な
造船所のほとんどの協同組合、協力会が
メンバーとなっております。
造船業と下請の問題でございますが、御
承知のように
労働集約産業でございますし、また、いわゆる総合組み立て
産業であり、これがストックのできないいわゆるオーダーメイドのものでございますから、勢い傍ら修繕業も兼ねております。そういうふうな関係で、修繕というものもかなり振幅が激しいものでございますから、下請に対する依存度がきわめて高かったわけでございます。かつて
造船業が盛んなときには、これは構内だけでございますが、下請の依存度は四二%ございました。ところがこれが逆に、今度のような
不況になりますと、たちまち下請を減らせということになってくるわけでございます。
下請の
実態を申し上げますと、まず構内で
仕事をする、本工さんと一緒になって同じような作業をする構内下請と、それから、これは私
どもがやっておりますが、外で工場を持ちまして
造船所から材料をいただいて加工外注をするという加工外注業者、さらにもう
一つは、エンジンとかプロペラとかいう製品を納入する業者というふうに分かれますけれ
ども、日造協の
メンバーは、いわゆる構内の業者と、それから構外で加工外注をするこの二つの業者で構成されております。
それで、構内業者は四十九年の
ピーク町には約九万人おりました。それがいわゆる依存率四二・五%でございますが、これが五十年で、一
年間で一万六千人減っております。五十一年には四千六百人減っております。昨年の五十二年になりますと、一万二千人減っております。恐らくこのまま推移していきますと、もうことしの夏には何がしかしか残らぬのではないだろうかというふうに言われております。
一方の構外の加工外注業者でございますが、これも
造船所の方がだんだんと暇になってきますと、いままで出ているものが全部内作に取り上げられますので、
受注率は低下しております。
そこへもってきまして、
先ほど中
造工の
会長さんも
お話しになりましたが、ずいぶんたくさん
造船所が
倒産いたしまして、これによりますいわゆる不渡り
手形を、当
会員の中でも百件ぐらい受けておりまして、その被害は四十億ぐらいでございます。これはほとんど加工賃でございまして、非常に大きな
影響を受けております。
私個人のことを申し上げて非常に恐縮でございますが、私
どもの団地でも一
年間で約七億円ぐらい被害を受けておる状況でございます。
それともう
一つ、
地域社会に対する問題が
先ほどから
お話ございましたけれ
ども、
造船業の場合は、たんぼの中、山の中でする
仕事と違いまして、やはり海の深い、いわゆる立地条件のいいところを選んでありまして、そこへどんどんと人が集まってきて
一つの都邑が形成されるという非常に地場
産業的な性格が強いわけでございます。ですから、
造船界が
不況になりますと、これはまた後ほど御質問があったらお答えいたしますが、もう非常に与える
影響が大きいわけでございます。
長崎あるいは佐世保あるいは瀬戸内海周辺、いまの函館と、全部
造船を
中心にいろいろな事業が発展したところでございますので、もう最近のようになりますと、非常に
地域的に下安な
状態が出ております。
われわれとしましては、ただじっとしておるわけじゃございませんし、また
先生方にいろいろ御苦心いただきましたいわゆる離職者法案あるいはその他のいろいろな
制度の恩典に浴しておるわけでございますけれ
ども、これはどう考えてみましても、大体後ろ向きのことでございまして、やはりわれわれとして一番欲しいものは
仕事でございます。
まあ、いままでいろいろやりました。沖へ行って
仕事をする、あるいは解撤をやるとか、ありとあらゆることをやってみましたけれ
ども、もともと下請でございますので、大きな財政
規模でもございませんし、やはり
先ほどお話がございましたいわゆる三団体の方に
仕事を与えていただいて、そのおすそ分けをいただくしかないのじゃないかと思います。
それで実は、この会合がございますので、その準備のために一昨日の午後全国から副
会長、支部長が寄りまして、何を要望するかということについていろいろ協議いたしましたけれ
ども、あれやこれやと言うてもしょうがないじゃないか、とにかく国会の
先生方に
お願いするのだから
一つだけ
お願いしよう、それは
スクラップ・アンド・ビルドという言葉が出ておりましたけれ
ども、そんななまぬるいのじゃ困るんや、もうビルド・アンド・スクラップですぐ船をつくるような計画を立てていただきたい。船というものは一日でできませんので、その間にスクラップの方法はいろいろ考えていただいたらいいじゃないか。私
どもの方でもいろいろ話しましたのですけれ
ども、この六月、七月ごろになると、ほとんど全滅するのじゃないかと思うのです。
それで、
造船業界というのは、いま瀕死のような病人でございますので、ここで一本カンフル注射を打ってとりあえず命は取りとめて、それから外科手術をするなり内科療法をするなり、あるいは安楽死をさすなりと、いろいろ方法もございましょうが、とりあえずとにかく命だけちょっと取りとめてもらえるわけにはいかないだろうかというのがわれわれの考えたところでございます。
御
承知のように、いわゆる燃料革命で石炭が廃山になりましたときに、ずいぶんいろんな法律をおつくりになりまして、まあ雇用
促進事業団なんかもありまして、私
どももそういうふうなものを使わしてもらっておりますが、繊維につきましても、第三近促に至るまで繊維の構造
改善等に長年ずいぶん国費を投じておられるわけです。
造船も基幹
産業としましていわゆる雇用の方面でも大きな役割りも果たしておりますし、かつて外貨のない時分には、いわゆる外貨獲得の花形
産業でもあったわけでございますが、これが昨年からわずか一
年間に二十何件
倒産というような悲惨な状況で社会淘汰されるというのは、ちょっと問題があるのじゃないかとわれわれは思っております。
まあ
倒産する
造船所にはそれぞれ原因があるかもしれませんけれ
ども、これでわれわれのようなものが受ける被害というものは実に大きなものでございまして、
先ほど中
造工の
会長は十六社
倒産したと言われましたが、私の方の団地ではそのうちの十二社に被害を受けております。それで何か
倒産というようなことでなく、善意の第三者に迷惑のかからぬ方法でひとつ治療をやっていただきたい。それにはまずカンフル注射を一本打っていただきたい。
造工の副
会長が一兆五千億を三年と言われましたけれ
ども、できましたらこの際、財政投
融資で五千億か六千億、これで船をつくれということを
先生方に
お願いしてこいと言われてきました。それについてはいろんな問題点があるだろうというような話も出ましたけれ
ども、国政の最高権威の
先生方に
お願いするのだから、
先生方が船をつくってやるとおっしゃれば、後のことはいわゆる
業界、行政でいろんな細かい問題があるけれ
ども、そういうごちゃごちゃしたことは言うな、とにかくこれ一本にしぼってこい、ただし条件があるぞ、と申しますのは、
造船所だけにやりまして何にも条件がないと、われわれ何か大きな
企業の手助けをやっているようなことになりますので、そのうち四〇%は絶対に下請と外注に回してもらえ、そうすると、その
地域社会に金が及んでいくから、これは
企業救済でなくて社会救済ということになるのだ、絶対にこの
一つだけを言うてこいと言われましたので、幾多の要望事項、後ほどまた御質問があれば出しますが、一番
お願いしたいことはこれなんです。
これは非常に時間的な問題がございまして、もう秋まで待っていただきますと、とてもカンフルでも及びませんので、できましたら今月、来月の間にとにかく船はつくれと言うていただきますと、
先ほど言いましたように銀行あたりもちょっと考えを変えてまいります。銀行さんというのは天気のいいときにかさ貸して雨が降ると取り上げるようなふうでございますので、最近の
倒産の
造船所を見てみますと、何百億というて出ておりますけれ
ども、実質には何億かの不渡りが落とせぬでつぶれたわけでございまして、ああいうふうな書き方もちょっとおかしいと思うのです。ですからこの際、国が財政投
融資で何千億か出して船をつくるということになりますと、
先ほど小船工の副
会長が言われましたように、銀行も、それなら何ぼか助けてやらなければいかぬじゃないかというようなことになると思いますので、私
どもは早期に取り上げていただきたいと思います。
それからもう
一つは、非常な
先生方のお骨折りでもって
倒産関連に対してのいろいろの
融資制度あるいは円高等につきましての
融資制度、いろいろつくっていただきまして、
政府系の金融機関も出してやろうと言うておられるわけです。ところが御
承知のように、四十八年以降ほとんど
設備をしておりませんので
担保能力がございません。そこで結局、信用保証協会にかけるわけですが、信用保証協会も非常に代弁が多いものですから、このごろは金融機関よりもやかましく
担保のことを言うわけでございます。そうすると、せっかくの
制度融資ができない、受けられないということになるわけです。信用保証
制度というものを乱用しますと問題がありますので、会社更生法の申請をした不渡り
手形、あるいは和議申請をした不渡り
手形の信用保証をつけるときには弾力的にその枠を伸ばしていただきたい。
たとえば五千万円の信用保証協会の枠がございまして、二千五百万円返したといたしますと残りが二千五百万円ある、そこへ五千万円の不渡りを食った、そうすると二千五百万円だけは保証がつかないわけでございますから、そういういわゆる不渡り
手形、特に会社更生法あるいは和議申請等による不渡り
手形の分だけは
担保の見直しをして、これは全然本人の知らぬところで起こった問題でございますので、この辺のところをひとつ指導していただきたい、何か方法を考えていただきたい、この二点でございます。
はなはだ勝手なことを申し上げたのでございますが、非常に切実な問題で、昨日みんなと別れるときに、今度ひょっとしたら会えぬかもわからぬと言うて笑いながら帰っていった方もおりますので、どうかわれわれ一番底辺の者の
窮状をお察しいただきまして、ひとつよろしく
お願いいたします。