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1978-02-28 第84回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十八日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君   理事 石井  一君 理事 小此木彦三郎君    理事 佐藤 守良君 理事 浜田 幸一君    理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君    理事 石田幸四郎君 理事 河村  勝君       加藤 六月君    北川 石松君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       田澤 吉郎君    西村 英一君       原田昇左右君    藤本 孝雄君       古屋  亨君    堀内 光雄君       太田 一夫君    久保 三郎君       佐野  進君    斉藤 正男君       田畑政一郎君    草野  威君       宮井 泰良君    薮仲 義彦君       米沢  隆君    小林 政子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         運輸政務次官  三塚  博君         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         運輸省航空局監         理部企画課長  吉田 耕三君         建設省都市局都         市計画課長   海谷 基治君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   浅井 美幸君     薮仲 義彦君 同月十八日  辞任         補欠選任   草野  威君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     草野  威君 同月二十一日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     加地  和君 同日  辞任         補欠選任   加地  和君     中馬 弘毅君 同月二十二日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   大原 一三君     中馬 弘毅君 同月二十四日  辞任         補欠選任   足立 篤郎君     原田昇左右君 同月二十七日  辞任         補欠選任   田畑政一郎君     藤田 高敏君   草野  威君     林  孝矩君   薮仲 義彦君     権藤 恒夫君   小林 政子君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     田畑政一郎君   権藤 恒夫君     薮仲 義彦君   林  孝矩君     草野  威君   不破 哲三君     小林 政子君 同月二十八日  辞任         補欠選任   宮井 泰良君     二見 伸明君   中馬 弘毅君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   二見 伸明君     宮井 泰良君   大原 一三君     中馬 弘毅君     ————————————— 二月二十七日  国鉄青梅線等快速電車増発に関する請願(古  屋亨紹介)(第一五五六号)  同(有馬元治紹介)(第一六二二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(内  閣提出、第八十二回国会閣法第八号)      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  海運に関する件、特に造船業の不況に関する問題について調査するため、参考人出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  参考人意見聴取は二回に分けて行うこととし、参考人の人選、出頭日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 増岡博之

    増岡委員長 第八十二回国会から継続審査となっております特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案を議題といたします。  本案につきましては、第八十二回国会においてすでに趣旨説明は聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 増岡博之

    増岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、新東京国際空港公団総裁大塚茂君及び理事角坂仁忠君の両君を参考人として出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  9. 増岡博之

    増岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田畑政一郎君。
  10. 田畑政一郎

    田畑委員 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法に関しまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず当初、大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、この法案と関連いたしまして、成田空港は明月末開港の予定と相なっておるわけでございます。ところで、最近の新聞紙上報道するところによりますと、成田空港周辺はまことに騒然たるものがございまして、燃料輸送に対する反対闘争もございますし、あるいはまた俗に言う団結小屋等の問題もございますし、相当膨大な機動隊が配置をされておるということを聞いております。また飛行場のゲートも非常に警戒が厳重であるということも聞いておるわけでございますが、率直に申し上げまして、こうした民間人が利用いたしますところの施設、こういう施設において一種戦争状態と申しますか、パニック状態と申しましょうか、そういったような深刻な状態にあるわけでございますが、このような状況のもとにおきまして、政府の言われるところの年度内開港といったようなものが果たしてできるのかどうか。  あるいはまた、年度内開港をいたしたといたしましても、これは日本の国がいま革命前夜にあるわけではないわけでございまして、そういう成田周辺のような深刻な防衛警備体制をとらなければならないというようなことで、果たして国際空港としての信用と申しましょうか、信頼度が保てるのかどうかということを大変に私、疑問に思うわけでございます。  そういう点に関しまして、政府がどうしてもこれを年度内にやりたいというのならば、そういう緊張状態の中で年度内開港にこぎつけたいというには、それは政府メンツであるのか、あるいはそれほどの、いまどうしても三月三十日までにやらなければならぬというところの緊迫した強い何らかの要請があるのであるかどうか、そういった点も私、非常に疑問に思うわけでございまして、率直にその点を大臣の口からお聞きいたしたい、かように思うわけでございます。
  11. 福永健司

    福永国務大臣 いま田畑さん御指摘のように、空港周辺成田では飛行機でない騒音がある程度あるわけでございまして、この言うなれば一種の物情騒然たる中で開港ということについて御心配をいただくことを大変恐縮に存じます。  実は私も、いろいろそういう点につきましては頭を痛くいたします。ちょうどきのう時間がとれましたので、急遽成田へ行ってまいりました。あちこち見たり、行き帰りの道路の状況等も一応見て帰ったのでございますが、申すまでもなく、すでにいままでずっと前に開港したいということであったが、なかなかそういうわけにいかぬで何年か延びた、そして、ここへ来たというわけでありますが、いよいよ近づけば近づくだけ、果たして開けるのかという御心配国民の多くの人からいただいておることを恐縮に存じておるわけでございます。  私どもは、別にそう言ったからメンツを考えてぜひそうというような態度ではございませんが、まあ話によってはもっと後でもいいというようなことを際限もなく繰り返しておりますと、それじゃどれだけ延ばしたからそのときには何もないかというわけにもなかなかまいりません。そういうことをいろいろ考えまして、あらゆる努力を傾けて、ここで三月三十日に開港しようという方針を明らかにしたものでございますから、その方針に従ってぜひ開港をいたしたい、こういうように考えておる次第でございます。  したがって、政府は申すに及ばず、関係の諸方面にも御協力をいただきつつぜひそうしたい、こういう考えでございますが、さりとて、むちゃくちゃに何でもかんでもという意味ではございません。意味ではございませんが、だからといって、私どもは、場合によっては延びてもいいというようなそんな気持ちでいるわけではなくて、ぜひそうしたいと強く念願しつつ対処いたしておる、こういう次第でございます。
  12. 田畑政一郎

    田畑委員 いま大臣から御答弁があったわけでございますが、恐らくわが国国民が等しく心配しておりますことは、こうした成田周辺における緊張状態のもとで開港いたしまして、その場合に万が一にも何らかの問題が生じないか、危険もありますし、あるいはまた騒動もございますが、そういうことが生じないか。それは特に安全を期待されるところの航空機に対する障害になるということもございますし、あるいはまた、わが国が国際的に協調を深めていきますためには、まあ仮に航空機に支障がない場合でも、騒動等が生じて、外国の人にそういうところを見られるということも、これはまことにおもしろくないことでございます。  そういう意味で、恐らく日本国民は等しく、成田開港と、そしてその後に生ずる問題というものについては深い関心を持っていると私は思うのであります。だから、この問題について政府は、絶対大丈夫ということを、やはりきちんと言うべき責任があると思うのでございます。  それから、第二の点で申し上げれば、仮に今日の緊張状態が続くといたしまして、それにもかかわらず開港するとするならば、その緊張状態については政府はいつごろまでにこういうことをないようにするのだという見通しがなければいかぬと思うのです。いつまでもこんなことをしているということでは、しかも、その中で成田空港だけは何としてもやるのだ、こういうことでは私は問題にならないと思う。だから政府としては、少なくとも半年後には、三カ月後には必ずこの問題は政府責任において解決してみせる、そうした見通しといいますか、そういうものがなければ国民は恐らく納得しないのじゃないかというふうに私は思うわけでございます。その点をやはり大臣にお伺いをしたいと思います。  それからもう一つ、ついでにお伺いいたしますが、二、三日前の新聞によりますと、大臣燃料輸送問題に関しまして閣議において発言をされました。どうも動力車労働組合とはこの話をしてもあかぬのだ、だから見切り発車でいくより仕方がないということを御発言なさった模様というのが新聞報道されております。大臣が少なくともそういう態度でいかれるならば、私は、この問題はいつまでたっても解決しないのじゃないかと思う。これは動力車労組だけが問題を提起しているわけじゃないのであって、まだまだたくさんの人が問題を提起しているわけでありますから、やはりこの前もどなたかの御発言にございましたが、大臣みずからがやはりこの治安といいますか、混乱問題を解決していくのだという体を張っての所信がなければならぬと私は思うわけでございまして、その辺の真意もひとつあわせてお伺いいたしたい、こう思います。
  13. 福永健司

    福永国務大臣 成田を今度開港するということは、まさに御指摘のように世界の注目のもとにおいて行われるというわけでございます。それだけに世界各国に恥をさらさないようなことにしなければならぬことは当然でございます。この種の問題でございますから、先のことはなかなかむずかしいとは言い条、長い間のああした経験を経て今日に来ておりますだけに、何としても、いま大丈夫というお言葉をお使いになりましたが、大丈夫であるという確信を持って対処しなければならぬわけでございます。確かに御指摘のようにいろいろ問題はございます。ございますが、漸次これらが解決への方向に向かっていることも私ども確信をいたしておるわけでございます。  そこで、その確信ないし解決方向へ向かっている程度によって、いろいろそれでいいかとかどうとかという御批判もあろうかと思いますが、私どもといたしますと、ここまで来たし、この上とも万全の努力をして、何とかしてこの程度開港をすることができるようにこぎつけなければならぬという、言うなれば強い念願、一種の悲願を持っておるわけでございまして、誠意を尽くしてそういたしたいということに変わりはないわけでございます。  閣議等で私はきわめて簡単に報告をいたしておききましたが、ただいま御指摘のように、動力車労組と話がつかないから見切り発車をするというようなことは一切申しておりません。それは場合によると、だれか多少意味を取り違えて聞いた人の方から伝わったことだと思うわけでございますが、私どもは、動労人たちとも話し合いをしつつ、ぜひ円満に開港に持っていきたいというのが本旨でございます。  先般、総評以下十幾つかの労働組合代表者人たちにもおいでをいただいて、私もお目にかかってお話をいたしましたときに、組合によっていろいろでございますが、ある程度理解をいただいたように私は思っておりますが、確かに動労人たちはなかなか容易でない事情を言っておられました。そこで私は、そういうことであるから見切り発車をするというようなことを申しておるのでは決してございませんで、念願するところは、円満なる解決を見てということを強く望んでおるわけでございます。動労見通しについては、これはいろいろありましょうが、私は、ここでどういうことになるであろうということを申し上げられる限りではございませんが、誠意を尽くして動労人たちにも御理解を願えるように努力をしなければならぬし、そして、その点につきまして、それが十分に見通しがつかぬからいつまででも延ばすというわけにもこれまたまいりません。そこいらが苦労の種ではございますが、何とかして御理解を得つつ、すでにもう大分前に決めて、すべてがそれに焦点を向けて動いております三月三十日の開港に向かって進まなければならぬし、そのためにぜひ御理解を願うようわれわれもあらゆる努力をしなければならぬ、そういうように考えておる次第でございます。
  14. 田畑政一郎

    田畑委員 大臣の御発言はよくわかるわけでございますが、いろいろこれは新聞報道その他の情報でございますが、この反対派の方と申しますか、これはかなり広範囲にわたりますけれども反対派の方はこれを成田戦争と呼んでいるんですね。こっちは戦争とは言っておりませんけれども、山林は焼ける、あるいは団結小屋はいつでも妨害できるような高さで建つ、しかもそれを、機動隊を入れて撤去する、言うならば、これは一種の、戦争というなにはどうかと思いますけれども治安国家としては一種の極限に近い状態が続いておると思うのです。今度の開港によってこれがおさまるのかというと、これはおさまらない。まだ横風用滑走路あるいはB滑走路が控えておるわけでございますからますますひどくなる。そうすると一体、政府はこれに対してどうするのか。全力投球して、こういうふうに必ずしてみせるというものがなければ、これは国会議員として簡単に、三月三十日の、年度内開港福田総理大臣基本方針だからといって、はいそうですかと言うわけにいきませんよ。そうでしょう。そこら辺に対する明確な答弁というのがいままでない。私、ここが問題だと思うのです。やられること自体に対して、私どもはどうこう言うわけじゃありません。しかしやる以上は、政府責任を持たなければいかぬ。その責任が明確でないから、この成田空港問題というのは問題なんです。だから、単に騒音対策だけじゃない。騒音対策は単なるその一翼です。その基本方針が決まらない限りは、騒音対策であれ何であれ、私は問題にならないと思うのです。  だから私、大臣にお伺いしたいことは、だんだんよくなるだろうとかなんとかということではなしに、この問題については政府として本当に腹を決めて、住民皆さんに御迷惑をかけないような、あるいは旅客の皆さんに御迷惑をかけないような措置を、きっとこの一定の期間にやってみせるという不退転の決意が証明されなければならぬ。これは大臣だけじゃないと思う。福田内閣の命取りだ。そうでしょう。結局、開港するから紛争が起こっている。だから、開港しなければ紛争は起こらない。そうであれば、開港を目指すのが政府であれば、政府はその点を明確にしなければいけません。そうでなくても、私は、いわゆるいろいろなスケジュールというのが問題にならないと思う。いま私の言っているこのスケジュール治安対策のそのスケジュールが、私は一番の基本的なスケジュールでなければならないと思う。住民の方あるいは反対されておる方、そういう方々に対して、政府としてこれに納得してもらえるところの道筋を明らかにすることが、私は一番基本的なスケジュールじゃないかというふうに思うわけでございます。  したがって、重ねて大臣のその点に対する強い決意といいますか、あるいはあなたのお考え方をお伺いしておきたいというふうに思うのです。
  15. 福永健司

    福永国務大臣 御指摘のように、まさに責任を持って対処しなければならぬ問題であると考えます。いまお話しのように、そういうことがすべて何もかも解決されて、その後に開港ということでは、これはもういつまでたってもと申しますか、いつまでたってとは少し言い過ぎであろうかと思いますが、なおこの上ともなかなか開港に至らないという状況が続くようであってもならぬと、こう思います。責任を持って、腹を決めて、ここでどう対処するかということの一部には、また逆にこれが開港できないような内閣では話にならぬ、こういうことも考えなければならぬと思います。  そういう意味で私は、このたびの開港につきましては、まさに田畑さん御指摘のように腹を決めて対処する。これはひとり私のみでもないかもしれませんけれども、本当に責任を持って対処しなければならない、こういうことでございまして、お話のように問題はいろいろございます。これからいろいろ解決していかなければならぬこともございますが、できるだけ開港までに解決をすると同時に、また問題によりましては、開港と並行して、ないしは開港後にわたって、どうしてもそれまでに解決つかない問題等については解決をする、こういうことも考えなければなりません。しかし、当面何としても開港の際にそうした問題が多く解決されて、もう大したことはないということになればまことに幸いであると思いますが、そういうことになるかならぬかは、なおこれからの問題でございますので、誠心誠意あらゆる努力をし、力を傾けてそういうことになるようにしなければならない、こういうように考えるわけでございます。  強く御指摘のありました、内閣や、特に私のような立場の者が責任を持って対処する、本当に腹を決めて対処する、こういうことに対しましては、私は、すべてをささげてそういたしたい、そういうように考えておる次第でございます。
  16. 田畑政一郎

    田畑委員 成田周辺における緊張紛争問題、これにつきましては、成田空港開港できないということになれば内閣自体の重大問題だ、こういうお話でございますが、しかしそうかといって、一方においては緊張問題は必ずしも解けるわけじゃありませんからね。何か最近の新聞によると、団結小屋というのですか、第二鉄塔というのですか、あれを撤去したことによって、反対派の方はますます気勢が上がっておるという記事が出ておりましたが、私は、率直に申し上げまして、成田の問題で政府がこれほど苦心しているのには、やはり幾つかの原因があると思うのです。  一つは、いわゆる成田国際空港、新空港というものは何としても必要なんだ、何としてもこれ以外にないということについて、果たして国民合意を得られているかどうかということですね。なるほど国会の場面では議論されていますよ。しかし国民は、羽田に取ってかわっていわゆる成田空港をもう一つ設けなければならぬということについて、本当に深刻にその必要性というのを、政府に対して協賛の意を示しておるのかどうかということですが、必ずしも私、そうじゃないと思う。やはりある種の疑問というか、あるいはある種のいわゆる中間層的な、中立的な考え方が私は多いのじゃないかと思う。政府は、この問題について、どうしても必要であるということに対する深刻な問題の提起というのがやはり不足していたというふうに考えざるを得ないわけです。一つは。  それからもう一つは、後から順々にひとつ御質問させていただきますが、いまの開港しようとする成田空港、これは計画的にも内容的にも余りにも問題点が多過ぎるということです。これはいろいろな雑誌、あるいはいろいろな報道によって流布されておりますが、政府は、言うならば強行発車と申しますか、見切り発車と申しましょうか、そういうふうに思わざるを得ないような報道がたくさん出ておる。これに対して、いわゆる政府自身がしっかりとこたえておるのかどうか、ここが問題です。だから政府自身は、なるほど内閣のいわゆる命運をかけてこの開港を強行されようとしておるけれども、いま国民の全体の中では、あなた方の御意思というのは、必ずしも理解されておるというような状況ではないように私は思うのです。だから、それが一方においては、いわゆるこの紛争に対する中立的態度になり、一方においては、いわゆる反対派に対するところの援助になっておるというふうに考えざるを得ないのです。そう思うと、政府はこれだけ力をかけ、金をかけてきたけれども、一体何をやってきたのかというふうに、この期に及んで私は思うのです。そういった意味で、ひとつこの問題に対しては、もっと深刻な受けとめ方あるいはもっと謙譲な受けとめ方をしていただかないと、私は、これは大きな政治問題として後々まで残ると思う。  戦争と言うなら、もう十年戦争がある。これからまだ十年は続く。一体こんなに問題を紛糾させていいのかどうか、この点私は、国民代表として政府に対して強く申したいと思うのです。だから、やはり単に弾圧をするとかなんとかということでなくて、十分な合意を得られるような、国民の前に納得のできるような解決策を提示してやってもらわなければならないというふうに思うわけでございます。特に答弁は求めませんが、もし何か御感想があればお伺いしたいと思います。
  17. 福永健司

    福永国務大臣 こういう事態について深刻かつ謙虚な受けとめ方をしなければならぬということは御説のとおりでございまして、ただいまいろいろ御忠告をいただきまして、ありがたく拝聴し、今後の参考にいたしたいと思うわけでございますが、実は私も、運輸大臣になりますまでは、こういう事情に十分に通じていなかったのでございますが、一、二の例を引かしていただきますと、成田開港になったらぜひ日本へ乗り入れをさせてくれ、こういうようなことを言ってくる外国も——いままでに何カ国かが乗り入れしておりますが、その乗り入れをしておる各国がいずれも増便を希望しているというような事情のほかに、新たに三十二カ国から成田へ乗り入れをさせてくれということを、それぞれの国の代表者大臣とか大使とかというような人たちが来て申しますし、また一面、日本の各地では、いままで羽田が込むからといって国内のあちこちから直接東京へ飛行機を飛ばすことができないで非常に不便である、非常に困るから、ぜひともこの機会をとらえて東京へ直接飛べるようにしてくれということが、国内でもあちこちから要請がございます。私も、もとは、羽田でああいうようにやっておりますから、まあまあにいっているというくらいにある程度考えておりました。しかし、責任のある地位になって現実の事態に対処してみますと、なかなか国内も、それから世界じゅうも、いまの羽田のままで、現在の日本世界における地位、また日本国民全体に対する事情、そういうことからいって、このままではいかぬのじゃないかということは、私もしみじみと、きょうこのごろになって、より一層感じておる次第でございます。  しかし、御指摘もございましたように、この種の事態につきましても、国民に広く御理解をいただいて、なるほどそうだ、そうしなければ、日本はもうこれから先世界の中で相当な存在として伸びていくには、このままではいけないのだというような理解を得られるような措置は、確かに必要であろうと思うわけでございます。政府もいままで一生懸命にやっておりましたが、いま御注意の点等もございましたので、今後におきましては、より一層そういう点に力点を注いで対処していかなければならぬ、そういうように存ずる次第でございます。
  18. 田畑政一郎

    田畑委員 余り十分なお答えでございませんでしたけれども、どうかひとつ十年戦争、二十年戦争というようなことにならないように十分な対処をお願いしたいと思います。  さて、本法案に対する二、三の質問をさせていただきたいと思うのでございますが、それは先輩議員の方からも何回か質問がございまして、本法案を策定いたしますにつきましては、当面成田空港を本法案の適用空港にしたい、ところで、それ以外にも十年先の騒音状況あるいは住宅状況などを見きわめまして、この法律を拡大適用するということもあり得る、こういう御答弁をいただいているわけでございます。ただ私は、その十年先というようなことを考えました場合に、この問題は果たして他の空港にまで及ぶことを予定しておかなければならないのかどうか、大変疑問に思うわけでございます。  そもそも、御答弁の中でも出ておりますように、この法律を制定するというか提出するに至った理由といたしましては、地元千葉県等の強い要請があって急遽出したのだということもお答えいただいておる。そういたしますと、本案は、言うならば成田を予定した法律であるというふうに思わざるを得ないわけでございます。いろいろな点から見て。それならこれをはっきりと、成田空港に関する法律ということに特定されたらどうだろうか。特定しないということになると、よその地域にもいろいろ問題が起こるわけですね。もう何人もの委員の方が、福岡は一体どうなるのだ、いやどこどこはどうなるのだと幾つも聞いているように、なるかもしれないし、ならないかもしれないと、いろいろな疑問が出てくるわけです。これは私、かえって問題を混乱に陥れるものじゃないか、だから、はっきりと成田なら成田、こうして、そうして五年後に必要があるならば、さらにそういうものを加えていくということにしたらいいのじゃないかというふうに思うのです。  いまのこの内容で言いますと、政令で決めるわけですから、幾らでも、あすにでもまた広がるような感じも受けるし、また広がらないような感じも受けるし、まことにそこがあいまいでございますが、この点に関しまして御答弁をいただきたいと思います。
  19. 福永健司

    福永国務大臣 ただいまのお話の点は、当面成田についてこの種の規制をするということではございますが、しかし、このことにつきましては、お話にもございましたように、地元からもぜひ何とかしろということでございましたし、政府としても、その必要を感じますので、法案も提出いたしましたわけでございますが、実施するについては、地元ともよく話し合いをした上で対処しなければならぬ問題がいろいろございましょうが、ほかの空港につきましては、ただいまのところ成田を考えての話ではございますが、お話のように成田だけにしておいてということも一つの考えであろうと思いますが、同時に、現在のように非常に急速度に航空時代というものが進んでまいります状況下において、もうあとすぐにほかだって考えなければならないのにということの話も、国民の多くの人々から出るところであろうと私は思うわけでございます。  そこで、ほかの空港につきましても、いままでのところでは成田とほかとは若干違うということではございますけれども日本のようにかなり距離を置いてあちこちに島のあるというような国情からいたしますと、どうしても飛行機をより高度に利用して国民の利便を図らなければならぬということであり、また世界の人々の要請にもこたえなければならぬということでございますから、そういうことになりますと、成田とまではいかなくても、それに類似するような国際空港等も将来は幾つか考える時代が来るのではないかというような気もいたします。また騒音等につきましては、必ずしも国際空港でなくても、同じような事情のあるところもあるわけでございますので、そういうところにも道を開いて、将来対処するのであるという姿勢もまた必要であろう、こういうように考えるわけでございます。しかし、政令に基づく指定等に当たっては、いまもお話がありましたように、いろいろの事態をよく考えて、みだりにそういうことになるということもこれは避けなければなりませんし、同時にまた、考慮すべき幾つかのものについては十分考慮できる道を開いておくということも必要であろうと思うわけでございます。かれこれ考えた末にこの種のことになったわけでございます。
  20. 田畑政一郎

    田畑委員 お話はわかりました。ただ、この法案が出されているにつきましては、航空局長その他の御発言、御答弁によりましても、一応私権のある程度の制約になるわけでございますから、そういう点については、これはいわゆる必要悪と申しますか、やむを得ざる措置としてこの法律を提起して、一定の私権の制限はその中でやってもらう、やらざるを得ないというような、そういう御答弁があるわけでございます。そういうことを考えますと、これはみだりにどんどんとやるべきものではないということですね、この法律の適用は。であるならば、私は、いまここ二、三年は拡大の必要のないものをあえて拡大できるがごとき印象を持った法律で出されることについてはいかがかなというふうに思ったから、御質問申し上げたわけでございまして、これは私の意見として申し上げておきたいというふうに思います。  ただ、この法律によりますと、一つは、この騒音を防止するところの装置と申しましょうか、部屋をつくらなければならぬところと、それからもう一つは、できるだけひとつ立ち退きと申しましょうか、希望によっては立ち退きを促進していく、そして病院、学校、住宅等はできるだけつくらない、こういう地域とに分けられておるわけでございますが、特に、この特別地区と申しましょうか、立ち退きの地区におきましては、これは民家、学校、病院は立ち退くのでございますが、それ以外のものはつくってもいいということになっておりまして、むしろつくれということでございます。ところが、そういう中に御案内のとおり、いわゆる反対派の鉄塔が建っておるわけでございます。この鉄塔は飛行場に対するところの、いわば反対の意思表示のために建てておるわけでございまして、飛行場をスムーズにつくるというためにこの法律ができておるわけでございますが、一方においては鉄塔がどんどん建つ。ところが、これは立ち退かなくてもいいわけですね。一定のいわゆる高さ、基準の高さ程度なら、これは出ていかなくてもいい。また、あの中には団結小屋なんというのがたくさん建っておるわけでございますが、この団結小屋は、これは住宅でございますか、住んでおるのですか。そして、こういうものは最後には買い取り請求が成立すると私は思うのでございますが、そういう問題はどうなんですか。  これは一応局長からか、公団からか知りませんが、聞きたいと思うのですが、問題は、せっかくこういう法律をわざわざつくるのに、ここでもいつも問題になっておりますが、いわゆる進入塔などが建っておる施設の敷地、ああいうところをなぜ結局飛行場の敷地にしなかったのか。そういうところへどんどんと建物が新たに建ってくる。私、この法律の審議を見ておりまして、非常に矛盾を感ずるのです。一方においては、普通の人は出ていけ、出ていけという、一方においては、反対をする者は建ててもいい、こういうふうに言う。せっかく法律をつくって、長い間われわれは審議しているけれども、先ほどもお話があったが、問題の解決には全然ならない。そういう点は一体どういうふうに考えられておるのか、私、ぜひこの際お伺いしておきたいというふうに思います。
  21. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  まず、初めに御理解いただきたい点がございますが、この法律案は、特別地域の中に住んでおられる方を立ち退かせるという法律ではないわけでございまして、あくまでもその土地へ新しく住宅をつくろうというのを規制しようというのが目的でございまして、現在そこに住んでいらっしゃる方が引き続き住むと言われる場合に、この法律は何らの力も持ちません。ただし、その方々がとてもうるさくてかなわないから、こういうところはもう引っ越しをしたいというふうな場合には、引っ越し費用をお出しする、あるいはそういうところに土地を持っておっても、もう値打ちが下がるばかりだから売りたいという場合には、買い取り請求に応ずる、あるいは一定の条件が満たされる場合には損失補償をするというふうな仕組みになっておりまして、決して立ち退きを強要する法律ではないわけでございます。  そこで、お尋ねの点でございますが、鉄塔などの問題は、この鉄塔がそもそも住宅かどうかというふうな問題もありますけれども、これはこの法律案で対象にしている問題というよりも、むしろ鉄塔のように明らかに航空機の運航を妨害しようという目的で建てられるようなものにつきましては、航空法上の妨害物件という考え方で処理すべきものであると思います。したがいまして、団結小屋等のように、これは人間が住むというふうなことでつくられている建物につきましては、その建物が仮に合法的な手続の上に、合法的な権原のもとに建てられたものであり、かつまた、その建物が通常の住宅であるという場合には、この法律案によりますような買い取り請求等の問題も起こってくると思います。  それから、後段のお尋ねのいわゆる事業認定区域の問題であります。この空港の敷地の外側に進入塔を建てるような、保安用地と申しておりますが、ああいう保安施設の用地まで広げて当初から土地収用法の卒業認定をどうしてしなかったかというお尋ねでございます。このことは先国会でもずいぶん問題になった点でございますが、私ども承知しておりますところでは、この成田空港の敷地を千六十五ヘクタールということで決めました十数年前の事態におきましては、できるだけ土地収用法という手続によらないで任意買収によってこの土地を獲得したい、したがって、土地収用法の対象とする範囲は局限をするというところから、どうしても飛行場として必要な滑走路、ターミナル等の最小限度必要な地域だけに限りまして、千六十五ヘクタールというものについて土地収用法の事業認定をしたわけでございますが、いまから考えますならば、やはり空港の運用には当然保安用地が必要でございますので、それぞれの滑走路の両端の保安施設用地も含めて事業認定をしてもよかったというふうに思いますけれども、もういまとなりましては取り返しがつきませんので、現在これらの土地につきましては、できるだけ従来の方法によりまして任意買収で進めていくということにいたしております。  そして、かなりその買収の成果が上がっておりますが、さて最後まで任意買収で買収し切れるかどうかという点につきましては、任意買収の見きわめをいたしました上で、あるいは事業認定を追加的にする場合があるかもしれませんが、当面は任意買収で進めていくつもりで公団が努力をしておるところでございます。
  22. 田畑政一郎

    田畑委員 いま御答弁ありましたこの飛行場の保安川地というのですか、進入塔などが置いてあるところですが、これはこれからの飛行場建設にもいろいろ問題になると思うのです。私は、これをやはり必要敷地として——強制的に収用するかどうかは、これは別ですが、必要敷地として、飛行場をつくる際には、事前に購入しておくということをしていただきたいと思います。そうでないと今度のように、これがいつも最後まで問題になる。私は成田のことは言いたくはありませんけれども、そうなってくると、飛行機に乗っている人にも不安をかけますから、事故はないと言っても乗っている人は非常に不安です。だから、こういうようなことを繰り返されておったのでは困るわけであって、やはり保安施設という以上は、あらかじめ、任意買収であれ何であれ、とにかく購入しておくという姿勢をとっていただくようにお願いをいたしておきたい、かように思います。  きょうは公団の方がお見えになっておりますので、お伺いをいたしておきますが、一つは、民防と移転とを区別いたしまして、この法律案が本委員会で審議をされましたときには、民防三百十四戸、それから移転五十二戸が残っておるということが本委員会の中で議論になりまして、それから相当時間が経過しておりますので、どのように進展をしておるか、あるいは今後どうなっていくのかということをお伺いしたい。
  23. 大塚茂

    大塚参考人 騒音対策につきましては、公団といたしましてあらゆる努力をいたしまして、個別訪問等を行いまして極力勧奨いたしてまいりました。その後、現在、昨年十二月末現在でございますが、移転を要する戸数四十五戸がまだ残っております。それから防音工事を施す必要戸数が二百九十二残っておるというのが現在の状況でございまして、これらに対していま極力勧奨いたしておりますが、開港があと一月でございますので、大体その程度のものは開港後まで持ち越すことになりはせぬかというふうに残念ながら考えておる次第でございます。
  24. 田畑政一郎

    田畑委員 そうすると、約四カ月ほどの間に風防は二十軒ほどですね。それから移転がこれで七軒でございますか、それだけできたということでございまして、ちょっと私は、開港を控えての事前工作といたしましては、やはり実効が上がってないと申しましょうか、そういう感じに受け取れるわけでございますが、これらの原因は一体どこにあるのか簡単にひとつ……。
  25. 大塚茂

    大塚参考人 この原因につきましては、いろいろございまして、実は反対同盟に入っておるので絶対やらない、あるいは立ち退かないという戸数も若干ございます。そのほか実際に音を聞いてから考えるのだという方が相当ございます。それから部落全体の意思で移転とかあるいは防音工事をやるということが決まればやるのだけれども、個々にやるということはしないというようなことで、なかなか部落全体としてそれでは移転しようとかやろうということが決定をしないというようなことで、まだやらないというような、いろいろそうした事情、それから現在の防音工事につきましては、一室あるいは二室ということになっておりますが、その程度では自分たちは不満足だ、全戸防音をやる、そして全額国庫負担ということが決まらない限りはやらないというようなお方もございます。大体そういうふうな理由で現在に至っております。
  26. 田畑政一郎

    田畑委員 これは運輸省でございますか、伺いますが、騒音テストの結果、一応線引きをいたしましたものよりは多少はみ出たところで非常に騒音の率が高い、こういう苦情が出ております。  それから、昨日の新聞によりますと、成田線久住駅北口駅前十二戸は取り残されておるが、どういうわけで取り残されたのか。これはいろいろ問題になっておるということが出ておりましたが、見直しを図るのですか。
  27. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 騒音テストフライトの結果、従来予想しておりました騒音コンターと違うという問題が新聞に出たことも事実でございますが、これは騒音テストフライトのフライト自身が、通常のお客や荷物を乗せた飛行機と違った飛び方になるということもありまして、私どもとしては、実際の飛行機が飛び始めてから一定期間のデータをとりまして、やはり騒音コンターを修正する必要があるとなれば修正するつもりでございます。  それから、久住駅の問題は、何か特殊な経過があるようでございますが、このことにつきましても、この際見直すべきであるということになりますれば、その機会に一緒に見直したいと思います。
  28. 田畑政一郎

    田畑委員 ぜひひとつ見直していただきたいと思います。  まだ大分質問の中身があるのでございますが、時間が参りましたので、要領よく質問をいたします。  まず、空港問題でございますが、一本しか滑走路のないという飛行場は、国際空港でヨーロッパ、アメリカにあるのですか。これを一遍、どこかあるならちょっと御披露いただきたい、こう思います。  それから、私が聞いたところによりますと、成田空港の移転に伴いまして、医療施設、これが十分でない、あるいはないということでございまして、これは多数のいわゆる職員が移動いたしますので、ぜひつくってもらいたい、こういう要求を受けております。  また、通勤問題も必ずしも解決しているようではございませんで、先般の新聞によりますと、パイロット関係におきましては、何か最寄り駅まで四十キロか四十五キロまでは持ってやる、こう言っておるのでありますが、しかし、パイロットの方は成田空港までの通勤費を持ってもらいたいということで対立しておるという話も聞いておる。ですから、こういう通勤問題というのは、いろいろ問題になっているのじゃないかと思うのです。  それから、住宅問題でございます。これは労働者の住宅問題等もいろいろ問題になっておるというふうに聞いておるわけでございますが、特にこれはパイロット関係だと私は思うのでございますが、こういうことはやはりきちんとやっていただかないと、私は、ただ新しい空港に移っただけではやはりうまくいかないのじゃないかというふうに思うわけでございます。  それから、これは公団の関係でございますが、空港管理規則というのがございまして、羽田での空港管理規則におきましては、従業員が組合の活動をする上におきましては、かなりそういうものはオープンでありましたところ、成田の管理規則におきましては、規則の中に厳格に何か制限が設けられておる。本来は、これは労使関係の合意によってつくらるべきものであると私は思っておりますが、現実にはそういうことになっておるということで、大変これも問題になっておるということを聞いておるわけでございます。そういった問題をどういうふうにされるのかというような問題がございます。  それから、これは技術的な問題でございますけれども大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、乱気流問題というのが特に出ておりまして、パイロットの諸君からは非常に気分が悪くなったという報告があるそうでございます。これはこの前、航空局長は、一年に二日間ほどだ、割合としてはその程度というお話でございましたが、その後のテストでは、かなりやはり乱気流がひどい、こういうことになっておるわけでございまして、こういうものに対して、一体この安全性についてどういう対策を講ずるのかということもあわせてお伺いしておきたいと思います。
  29. 福永健司

    福永国務大臣 乱気流のお話でございますが、私も、新聞記事等を見まして、もし航空に支障があるような事態であるのなら困ると思って、すぐ素人ながら話を聞いて判断もいたしたのでありますが、地上にあるいろいろなものなんかから、ごく局部的には小さな乱気流があるというのは、あちこちの空港であるという話は聞いておりますが、成田での話は、確かにその小さなものはあるが、それなるがゆえに、今度成田開港するのに大きな支障があるというような事情では全然ないという報告を受けまして、ある程度安堵をいたしておるわけでございます。しかし事、安全に関することでございますので、なお私より多少専門家であろう諸君からもお答えをいたしますが、こういう点については、私も、今後とも深い関心を持って臨みたい、こういうふうに考えております。
  30. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  まず、滑走路一本の問題でございますが、私ども手元にある資料では、先進国の主要空港はすべて複数滑走路でございますが、ただ一つ、これはやはり最近できましたパリのシャルル・ドゴール空港、このシャルル・ドゴール空港滑走路一本で運用を開始いたしております。第二滑走路は目下建設中ということになっておりまして、これもやはりル・ブルジェ、オルリーだけでは足らなくてシャルル・ドゴールをつくった。第二滑走路までできるのを待てばいいのだけれども、航空需要に追いつけないので、とりあえず開業したということであろうかと存じます。  もちろん成田につきまして、一本滑走路よりも二本、三本がいいわけでございますが、第二期工事の様子を考えますと、まだかなり時間がかかる。一方におきまして、羽田の事情を考えますと、どうしても開港を急がなければならないということがございまして、一本滑走路開港するわけでございますが、横風用のCランウエーができないのになぜ開港するかという点が問題になるわけでございますが、これは再度御答弁申し上げておりますように、成田は、羽田と違いまして内陸空港でございますので、横風の成分が非常に少ない、気象データでは年間一%未満ということでございます。したがいまして、横風用滑走路がなくても大きな支障はないであろう、しかしながら一%未満でも、横風が吹いた場合につきましては、羽田を代替空港として使うという手はずを整えているわけでございますが、大きな支障は起こらないと考えております。  このことと乱気流問題とは実は別の問題でございまして、乱気流の問題は、私どもまだ詳しく解析いたしておりませんけれども、気象庁の係官その他の論文などで読んだところでは、成田という周辺が丘あり谷ありというふうなところでございますので、土地が平たんでない、したがって強い風、特に南風が吹いた場合に、地上の高い低いところを縫って流れる風が波になりまして、その影響で地上のある程度の高さのところに風の乱れができるということでございます。上空は関係なくても、地上のある程度の高さのところに乱れができる、そうしますと、飛行機が着陸すべく入ってまいりますときに、ちょうど低いところにおりますので、そこでがたがた来るということのようでございまして、南風のときにこれが見られるという気象庁の専門家の論文等があるわけでございますが、現実に、先日の慣熟飛行の途中で、これをやりました日本航空のパイロット等が、乱気流のあることを体験いたしております。  したがって私ども、このことは決して無視をするつもりはございませんが、目下のところ、このことが運航の安全に支障があるということでは絶対ないという点では心配いたしておりませんけれども、しかし、機体の揺れ等がやはり旅客に不快な感を与えるというふうなこともあり得ましょうし、また初めて来る外国のパイロット等がおやっと思うということもあり得るということでございますので、さしあたり事実上の方法、つまりパイロットの世界的な協会と申しますか、そういったところを通じまして、パイロット仲間にこれを知らせるというふうなことを事実上の措置として講じておりますけれども、なお開港後ある一定期間のデータをとりまして、必要がありますならば、このことを念のために「航空情報」という、ちょうど航空関係の官報みたいなものがございますが、そういった官報に載せまして世界各国に布告をする、そして念のためにそういったことに気をつけて運転してもらうというふうにすることを考えたいと思っております。  それからなお、第二の問題でございますが、医療施設の問題あるいは住宅の問題、それから通勤の問題、これらにつきましては、成田にたくさんの人が勤務するわけでございますので当然大問題でございます。従来におきましても、こういったものの受け入れ体制を成田市におきましてもとっておりますけれども、なお今後、開港後の状況に応じまして、必要な措置を速やかにとっていきたいと考えております。特にパイロットの方たちの住宅問題あるいは通勤問題等につきましては、日本航空と現在パイロットの組合と折衝いたしておりますけれども、このことが円満に解決がついて開港を迎えるようにということを会社の方に強く指導いたしておりまして、何とかうまく安全に、そして円滑に開港を迎えたいと思っております。
  31. 大塚茂

    大塚参考人 医療関係について若干補足をいたしますと、成田空港には、旅客ターミナルビルの中に内科、外科関係の診療所一カ所と、それから歯科、歯医者さんが一つできることになっております。そのほか日本航空は独自の診療所を設けると聞いておりますし、空港公団でも管理棟内に医務室がございます。  先生がおっしゃるのは、恐らく隔離病舎のことではないかというふうに思うのでございますが、これにつきましても、敷地は決定いたしておりますが、建設が若干厚生省の方でおくれておるという点はございます。  それから、空港の管理規程の問題でございますが、これは航空法の規定によりまして、運輸大臣の認可を受けて公団が決めるということになっておりまして、目下その草案を作成中でございます。その草案の中に表現の誤解を招くような点があったようでございますが、われわれとしては、決して正当な組合活動を抑制するというようなつもりはございませんので、その表現については、なおわれわれとして慎重に検討いたしたいというふうに考えております。
  32. 田畑政一郎

    田畑委員 終わります。
  33. 増岡博之

    増岡委員長 坂本恭一君。
  34. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 この法案、先国会から多くの委員の方々から各方面にわたって質疑が行われてまいりました。最後の質問者になりますので、これまでの幾つかの問題点を整理する意味で、若干の時間質問をさせていただきたいと存じます。  参考人意見聴取をした際に、木村参考人からも提起があったと思いますが、大阪にはいろいろな協議会といいますか騒音対策、公害対策の委員会、協議会というものが数多く設置をされているように聞いております。成田についても騒音対策委員会というのが、公団を主体にしてつくられてきたというふうに伺っておりますけれども、その後どういう活動をやってきたか、協議をやってきたかという中身の問題はお聞きをする時間がありませんが、しかし、この協議会というものについて、今度は、この法律によりますと、都道府県の知事が主体になって、いろいろな基本方針の策定から実施という段階に入ってくるわけですから、そういう面でも新たな協議会、委員会というようなものを設置する必要があるのではないかというふうに考えておるわけですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  35. 福永健司

    福永国務大臣 お話しのように、従来も協議会というものを持っておりましたが、今度は坂本さんの御指摘のように、新しい法律ができたもとにおいて、正式にお話しのような協議会等を設置すべきではないかということでございますが、地域の住民皆さんの御意向等が十分反映されるように、いまお話しのような協議会をつくることは望ましい、そういうことにしてもらうように、われわれの方でも指導、協力する必要があろう、そういうふうに考えます。
  36. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 協議会あるいは委員会、対策委員会というようなものをおつくりになるという方向でお考えのようでございます。  そこで、その中身を若干お聞きしたいわけですが、これまである公団が生体になっている騒音対策委員会ですか、これとの関係はどうなるのでございましょうか。
  37. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 現在ございます騒音対策委員会は、公団が主体になりまして、県、市町村、住民代表等を構成メンバーとして運営されているわけでございますが、今後法案ができました後におきましては、県知事が主体になりましてこれを運営するというふうにぜひ私ども構成していきたいと思っております。そして、そのときに現在の騒音対策委員会を廃止してしまうのかどうかという点につきましては、十分地元の住民の方々の御意見も聞きまして決めたいと思っておりますが、あくまでも、この法律案の施行につきましては、新しくつくる協議会が主体となるということにいたしたいと思っております。
  38. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 従前の、現在ある騒音対策委員会というのは、住民代表の方もかなり大ぜい入った委員会として構成をされているようです。できるだけ住民意見という大臣の御答弁もあったのですが、住民意見を吸い上げる意味で新しく設置をされるその協議会には、従来からあるような騒音対策委員会住民代表、そういうような人たちも含める、そういうようなお考えでございますか。
  39. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 当然そう考えております。
  40. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 いまの航空局長の答弁ですと、新しい協議会みたいなものをつくる、そうすると、騒音対策委員会、協議会というものが二つ並行して設置をされる、そして、それでずっとやっていくということになるのでしょうか、それともいずれは一つにまとめるとか、そういうような方向になるのでしょうか。
  41. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私は、この法律案でできました協議会が主体となるべきものであり、これで一元的にやっていくのがいいと思いますけれども、いまありますものも機能いたしておりますので、これを吸収するかどうかについては、いまの委員会のメンバーの方たちの理解を十分得た上で対処するべきだと考えております。
  42. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その辺はわかりましたが、新しくつくる協議会の中にも、やはり住民代表というものを、従前あるような委員会と同じ、あるいは以上に住民意見を吸い上げるような形でぜひつくっていただきたいと思いますが、その辺はいかがですか。
  43. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 従前のもの以上に、そういった点は的確に吸い上げられるような構成かつ運営にしたいと思っております。
  44. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 新しく都道府県知事が主体になって設置をしていくその協議会、それは現実に皆さん方の説明でいくと、まず当面は成田ということになるわけで、成田の場合にどの時点でそういう協議会が設置をされることになるのでしょうか。
  45. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この法律案が実際にあの都市計画法の地域、地区の設定までいきますのには相当時間がかかると思います。しかしながら、都道府県知事のつくる基本計画の段階からすでに住民意見を聞く必要がございますので、私どもは、この法律が施行になりましたら、なるべく速やかに、そういったものを県知事中心につくるように県に指示したいと思っております。
  46. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そうすると、政令指定があって、県知事がいわゆる基本方針というものを策定いたしますね、その以前に協議会は設置をすることができる、するという意味ですか。
  47. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 そのとおりでございます。
  48. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 そういうことでぜひやっていただきたいと思いますが、これは直接運輸省がおやりになるわけじゃなくて、県知事がおやりになることですから、これは運輸省の方から適切な指導なり何なり、そういうことができるだろうと思いますが、その辺はいかがですか。
  49. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 これは知事に対しまして公文書をもって要請をするつもりでございます。
  50. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 それと、そういうものを設置されて、もちろん基本方針の策定からその意見が反映をされるということですから、この法律の運用だけではなくて、成田空港空港周辺の騒音に関すること、あるいはこの法律でいきますと、都市計画といいますか、基本方針の中にそういうものが含まれるというようなことが書かれているわけですから、そういう点についても、その協議会の意見を聞くというようなことにぜひしていただきたいと思うわけですが、いかがですか。
  51. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 一般的にそうなると思います。ただ、都市計画につきましては、従来都市計画を設定するときの仕組みがございますから、それとダブると思いますけれども、一般的には狭義のこの法律の運用だけじゃなくて、広く騒音問題等につきましての協議機関にすべきであると考えております。
  52. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 別の問題に入りますが、この委員会でいろいろな方から質問があって、それなりに答弁があったのですが、防止地区の罰則強制の関係ですね、防止地区では五条一項で、いわゆる防音構造の義務づけをやる、そして、それに反している場合には六条の二項で措置命令を出す、それに違反した場合には、十二条で二十万円以下の罰金に処せられるということになっています。また一方、特別地区では五条二項で建築禁止、それが十三条では、それに違反したら罰金十万円以下、その場合にも移転命令その他いろいろあるようですが、その命令に反すると、やはり十二条で罰金二十万円以下というような規定になっているわけです。  それで、一方的に騒音をばらまかれて、そして最終的には罰則で強制をされる、これは大変な話じゃないかという観点からいろいろ質疑が行われました。私自身も、この罰金で、罰則で強制をするというのは、ちょっと都市計画法にあるとかなんとかということだけではなかなか納得ができません。もう一度、罰則で強制をするその正当性といいますか、皆さん方の方から言う正当性というものをまず説明していただきたいと思います。
  53. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 空港周辺が新しく住宅地になることを防ぐべきであるということにつきましては、かねてから各方面の御意見がございまして、これを私どもどのような法律技術によって制定するかという点について数年間勉強したわけでありますが、やはり最終的に達しました結論は、都市計画の手法を使うしかわが国の法制として方法がないということになったわけであります。  そういたしますと、騒音防止地区あるいは特別地区というものを都市計画法上の地域、地区制の中に入れて規制していくという以外に有効な方法はない、こうなったわけであります。そういたしますと、現在の都市計画法の地域、地区制に関する他の運用例等も、立法例等も参酌いたしますと、罰則を本法案の関係だけ落とすということにつきましては、どうしても法制上できないということになりまして、罰則が規定されたわけでございますし、その後、本委員会の数々の御質疑で御指摘を受けましたので、私どもも、関係省と寄り寄り検討いたしましたけれども、どうしても都市計画法の運用の一元化というふうな点から、この点についてだけ例外にすることができないということになりまして、この法案としては罰則を落とすわけにいかない、こういうふうになっているわけでございます。
  54. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 罰則で強制すること自体については、ここで議論を詰めていったところで、その立場が変わるわけではなかろうと思います。いわゆる都市計画法とか古都保存法とかいろいろな立地規制の法律があって、その手法でやってきたから、まあ、これもこうならざるを得ないということに結論づけられるのじゃないかと思います。しかし、都市計画法との関係で言えば、いわゆる都市計画法で調整区域とか、そういう指定を受けて、それなりの義務は課せられるわけですけれども、しかしそれは、あくまでその周辺の環境がよくなるとか、それなりに住民にとってメリットがあるわけですね。しかし、この法律の場合には、まさに騒音をばらまかれるだけで、基本方針の中でそういう都市計画法の手法を取り入れて、いろいろ環境の整備等をやるということになっていますけれども、そういうことに説明はしておりますけれども、あくまでこの法律の場合には、その都市計画というのはつけ足しというような感じをどうしてもぬぐえないわけですね。  したがって、そういう意味では、私どもは、罰則で強制をするのなら、その受忍をしなければならないそれなりのメリットを住民に与えるべきじゃないかというふうに考えているわけですが、そのメリットといえば、防音構造を、皆さんの場合には、九八%はサッシを使うのだから、もう無償でいいのだという紋切り口調でずっと答弁を続けられてまいりました。しかし私どもは、罰則で強制する以上はそれなりのメリットを住民に与える、そのメリットは何かといえば、そういうつけ足しの都市計画、環境整備ではなくて、防音構造に必要な経済的負担を国があるいは公団がするべきではないかというふうに考えているわけですが、その辺はいかがでございますか。
  55. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えします。  この点につきましては、先生初め本委員会におきます数々の御指摘によりまして、私どもいろいろ検討いたしてまいりました。そして本日私どもが抱いております結論は、この問題につきましては、特別地区を含めまして障害防止地区内に居住する先住者、前からいらっしゃる方に対しまして、防音構造の義務づけによる経済的負担につきましては、特定空港の設置者による助成を行うということについて、何とか前向きで検討していきたいというふうに考えております。
  56. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 助成の中身をいまここで議論をするわけにはいかないのだろうと思いますが、防音上有効な構造というのも、いわゆる政令でその技術基準は定めるというような形になっていますが、その技術基準というのは、もうすでにできているのでしょうか。
  57. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 大体五ホンといいますか、五WECPNLといいますか、その程度下がるような防音構造にすべきだというふうに考えていますが、具体的にそれではどういうサッシ構造、どういうものにしたらいいかという点につきましては、これから技術的に十分知恵を集めて検討いたしたいと思っております。いまここでは持っておりません。
  58. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 家を一軒建てるときに、どの部分が防音上有効なものになるのか、その辺の計算というのは、これは専門家がやればはじき出せるのだろうと思います。したがって、その計算というか基準もあわせて適正なものをやっていただくように、そして、その助成をするということをぜひ実行をしていただきたいと思います。  それと、さらにこれは五条三項の関係になると思いますが、特別地区の中で例外的に建築が認められる場合がありますね、その場合に、その防止地区でいま申し上げたような助成というものができるでしょうか、そっちは含まれるのでしょうか、含まれないのでしょうか。
  59. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 これも前から住んでいらっしゃる方が増築をなさるというふうな場合につきましては、含めるように検討したいと思っております。
  60. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 助成についても、適切に実行がなされるようにぜひお願いをしたいと思います。  それともう一点、やはりこれもいろいろな方の議論にあったと思いますが、これは八条二項に言う時価で買い取るというその時価の意味ですね、これが質問者と局長の答弁、いろいろ議事録等を見ても余りはっきりしないわけです。時価とは近傍類地の価格だというところまではわかるのですが、その近傍類地の価格というのは、どういうふうに現実にはとっていくというお考えなんでしょうか。
  61. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この点は、運用上非常に配慮を要する問題でございますけれども空港は、御存じのように、飛行機が細長い滑走路に沿いまして滑走路方向で出入りいたしますので、どうしても滑走路の長手の方向の土地は騒音が高いので安くなりますが、横には余り音が広がりませんので、横の方はそう地価が下がらないというふうなことも現実にあるわけでございますが、近傍類地という場合には、その騒音が余り及ばなくて、したがって、騒音による地価の低下が余り及んでいない、そういう横方向の近傍類地をなるべくたくさんとりまして、そういったものとの平均で適正なといいますか、できるだけ目いっぱい高い価格で買えるようにしていきたいと思っております。  このことは、現に大阪空港周辺の移転補償の場合にも、私ども、公共用地の取得基準というルールに縛られておりますけれども、その縛られておりますルールの中で、目いっぱいいろいろなデータをとりまして、なるべく高く評価をいたしまして、土地を手放される方のお立場を考慮するというふうにいたしたいと思っておりますが、今後につきましても、そういう考え方でできるだけ努力をしたいと思っております。
  62. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 横には余り影響がないというその説明は、それなりにわかります。しかし売買例、近傍類地の価格というのは、その辺の売買例から割り出していかなければならない、また、いかざるを得ないというふうに思います。  この前御説明を伺ったら、近傍類地というのは、近傍かつ類地の価格と近傍価格と類地価格と、三つの意味があるという説明を受けたわけですが、いずれにしても、評価をせざるを得ない。全く同じものが外側にあって、その価格で買うというのは、これはまさに時価そのままでいいのだろうと思いますけれども、恐らくそういうものはない。そうすると、評価をする場合に、それはだれが評価をするのかという問題が一つ残っているのじゃないかと思うのです。その評価はだれがすることになるのですか。
  63. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私ども空港関係でそういった土地の評価をする場合には、すべて資格を持った不動産鑑定士、この人の評価によりまして仕事をいたしておりますので、公団の行う場合につきましても、同様のことをすることになると思います。
  64. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 その評価が適正になされないと、適正な時価にはならないだろうと思うのです。ですから、不動産鑑定士というのは、資格のある方がやるわけですから、それほど間違いはないだろうと思いますけれども、私どもは、やはりできれば複数の鑑定評価をさせて、それで、できれば平均値と言わず高い方で買ってもらう。いまの御答弁ですと、できるだけ目いっぱいのところでやっていますということですから、そういう観点でぜひやっていただきたいと思います。これは要望をしておきたいと思います。  最後に、この法律案は、いろいろ問題が指摘をされてきたのですが、いずれにしても政令事項が非常に多いですね。本来、法律事項にならなければならないものが政令に任される、委任をされるという形になっております。したがって、ここでいろいろ議論をしましたけれども、これが政令の中に反映をされていかなければ全く意味がない、そういうふうに考えるわけです。  そういう面で、政令を起案する時点で、できればぜひ説明をしていただきたいと思いますけれども、そういうことが可能でしょうか。
  65. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 やかましく言いますと、政令案の作成は政府の専管事項だからということになるかもしれませんけれども、いろいろこうやって御心配をおかけして御審議いただいている経過もございますので、できるだけフランクにお話しをし、御意見を聞いていきたいと私は思っております。
  66. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 局長、そういう答弁があったのですが、これが言葉だけで終わってもらっては困るわけで、政令を策定する場合には、これはまさに大臣責任になると思いますから、大臣からその辺のことをお聞かせいただきたい。
  67. 福永健司

    福永国務大臣 私といたしましても、ただいまお話しの点は心得て対処いたしたいと存じます。
  68. 坂本恭一

    ○坂本(恭)委員 終わります。
  69. 増岡博之

    増岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  70. 増岡博之

    増岡委員長 ただいま委員長の手元に、本案に対し、小此木彦三郎君外三名から自由民主党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの四派共同提案による修正案が提出されております。  修正案はお手元に配付してあるとおりでございます。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。小此木彦三郎君。     —————————————  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  71. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 私は、自由民主党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの四党を代表して、本案に対する四党共同提案に係る修正案の趣旨について御説明申し上げます。  修正案の案文は、お手元の印刷物のとおりでございます。  修正案の内容は、附則第二項から第六項までの規定にあります本法律案の法律番号に関する公布年の「昭和五十二年」がすでに経過しておりますので、これを「昭和五十三年」に改めるものであります。  何とぞ御賛成をお願い申し上げます。
  72. 増岡博之

    増岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  73. 増岡博之

    増岡委員長 これより特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺芳男君。
  74. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 私は、日本社会党を代表して、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に対して反対の討論をいたします。  この法案は、第八十二国会以来継続審査してまいりましたが、審議の過程で明らかになりました以下問題の諸点につきまして申し上げます。  まず、私権の制限であります。本法案は、当面新東京国際空港を対象としたものでありますが、空港周辺の航空機騒音障害防止特別地区内における住宅等の建築物の禁止であります。このため、現に居住している住民は強制撤去し移転しなければなりません。  現に、この特別地区内に居住している人々は、宅地や家屋の移転費用についての補償、移転先に対する多くの不満があります。  また、騒音障害防止地区内では防音上有効な構造を義務づけられておりますが、現に実施中の防音工事費用についての補償に対する不満があります。  これらについて、今日、現地の関係者から強く指摘されています。強制力を持つこの法案の成立によって、果たして改善されるだろうか、疑問のあるところであります。  新東京国際空港がつくられて、この法案に関係する人々は一種の犠牲者であります。このことを念頭に置いて空港設置者が誠意を持って補償措置など事に処すべきであります。  次に、罰則規定の設定であります。法案の第十二条、十三条、十四条では、違反者に対して罰金刑に処することになっています。多くの善良なる関係住民に対してこの罰則の適用があってはなりません。この罰則の条項をわれわれは了承することができません。  われわれがすでに指摘してきましたように、この種の法案は、国会の附帯決議をまつまでもなく、空港の建設初期において準備されるべきものと考えます。そのことによって恐らく法案の内容もまた変わったものと考えております。  以上の理由によって反対の討論といたします。(拍手)
  75. 増岡博之

    増岡委員長 次に、小林政子君。
  76. 小林政子

    小林(政)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案並びに同修正案について反対の討論を行います。  反対理由の第一は、本法案が実施しようとしている飛行場周辺における建築規制などの私権の制限措置がきわめて不当なもので、航空機騒音による被害者に対して一方的にこれを強制していることであります。  その一つは、航空機騒音を防止するための基本である発生源の規制、すなわち飛行回数、飛行経路、早期・夜間飛行などに対する規制や制限は何ら法的に整備しないままに、被害者である周辺住民には建築規制など私権の制限を行おうとしていることであります。  現に、羽田空港においては、運輸省の指導を無視した夜間十一時以降における到着便が相当数に達しており、これに対する法的規制の必要性については、政府みずからも認めているところであります。  また現在、騒音被害を受けている周辺住民に対する防音対策もきわめて不十分であり、全室、全戸を防音構造に改善する措置でさえ、その必要性を認めながらも、実施については将来目標としています。これでは本法案騒音被害者である周辺住民に対して一方的に規制を求めることになることは明らかであります。  二つ目に、本法案が建築規制の違反者に対してきわめて重い罰則規定を設けているということであります。  線引きされた騒音防止特別地区は、原則として住宅の新築、増改築を禁止し、防止地区内における新築または増改築の場合、自費による防音工事が義務づけられ、これに違反した場合は処罰されるという強権的なものであって、航空機騒音で被害をこうむる被害者に対する私権を不当に制限するものであり、逆立ちした発想と言わなければなりません。  第三に、本法案にある土地利用計画が飛行場周辺の住民の生命、安全を守るという点での視点が全く欠けているということであります。  航空機事故の多くが離着陸時に発生していることは統計上からも明らかであります。ところが本法案では、騒音対策だけに限定して、事故発生に備え被害を防止するという安全対策面からの考え方が全く取り入れられておりません。  反対する理由の第二は、本法案による建築規制などの私権制限が行われる上での民主的手続が皆無に等しく、騒音被害への補償がきわめて不十分であるということです。  その一は、各種の規制を関係住民に行う土地利用計画の基本方針を作成する場合、関係住民の意向が最もよく反映される保障をとることは当然の措置であります。  たとえば公聴会や審議会を設けて住民意見が反映される保障、意見書を提出するための準備に必要な十分な期間や意見書を尊重するための取り扱いに関する保障、五年ごとに行う騒音調査結果の公表を明確に定めておくことなどが必要であります。ところが本法案では、これに対する制度的保障が全くないのであります。  第二に、被害者に対する補償についても、特別地区内に限定されており、それ自体もきわめて不十分なものであります。都市計画法にある生活再建のための措置さえないのであります。  以上明らかなとおり、本法案は、飛行場周辺の住民に対して、騒音被害の防止や安全対策上の必要性から一定の立地規制を行う上でのその前提が欠けており、きわめて不当な私権制限となっており、したがって、本法案には断固反対をするものであります。  以上をもって反対討論を終わります。
  77. 増岡博之

    増岡委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  78. 増岡博之

    増岡委員長 これより採決に入ります。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案及びこれに対する小此木彦三郎君外三名提出の修正案について採決いたします。  まず、小此木彦三郎君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本案は、小此木彦三郎君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  81. 増岡博之

    増岡委員長 この際、本案に対し、小此木彦三郎君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。小此木彦三郎君。
  82. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 ただいま議題となりました本案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  附帯決議の案文は、御手元に配付してありますので、朗読は省略させていただきます。  本附帯決議案は、本法が施行されるに当たり、政府において措置すべき事項を明らかにしようとするものであります。  第一は、本法が施行され、特定空港が指定されました際、特定空港周辺地域の関係地方公共団体である県市町村、関係住民代表、特定空港の設置者その他の関係者による協議会を設置し、この協議会における航空機騒音対策、周辺環境対策などに関する幅広い意見をこれらの施策に反映させることにより、航空機騒音対策の円滑な実施を図るとともに、特定空港と周辺地域との調和ある発展を期すべきであるという趣旨であります。  第二は、従来から航空機騒音障害防止地区内に居住する先住者が、その居住する住宅の老朽化等により改築等を行う場合、航空機騒音による障害の防止のための防音構造の義務による経済的負担が生じますので、この点を配慮し、防音構造の工事について助成を行うようにすべきであるという趣旨であります。  以上をもって提案の趣旨説明を終わります。  何とぞ御賛成下さいますようお願いいたします。(拍手)     —————————————    特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。  一 特定空港周辺の関係地方公共団体、住民代表等の関係者により航空機騒音対策等のための協議会を設置すること。  二 先住者の住宅の改築等に対する本法による防音構造の義務づけについては、当該防音構造に係る経済的負担に対する助成を図ること。   右決議する。     —————————————
  83. 増岡博之

    増岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  小此木彦三郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 増岡博之

    増岡委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  85. 増岡博之

    増岡委員長 お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  87. 増岡博之

    増岡委員長 この際、福永運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福永運輸大臣
  88. 福永健司

    福永国務大臣 ただいまは、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案につきまして、慎重御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。  私といたしましても、本委員会における審議及び附帯決議の内容を十分尊重いたしまして、空港周辺における航空機騒音問題の解決空港と周辺地域社会との調和ある発展に全力を尽くす所存でございます。  ありがとうございました。(拍手)
  89. 増岡博之

    増岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十四分散会      ————◇—————