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福永国務大臣 関西国際新
空港を建設する目的というのは、申すまでもなく現在の大阪国際
空港の
騒音問題を解消し、
公害のない
空港を
海上に建設して、将来における関西地方の
航空輸送需要に
対応しようとするものでございますが、このために、
運輸省といたしましては、すでに
昭和五十一年度から新
空港の建設が周辺の
環境に与える影響等につきまして事前
調査を
実施しているところでございますが、その結果はこれを地元に公表し、関係府県の
合意を得て建設に着手する、これに変わりはございません。
そこで、
航空審議会の方から、こういう
観点からの諮問に対して答申を得ておりますが、棧橋工法、埋立工法あるいは浮体工法、さらにはもう一つ干拓云々とありますが、まあこの四つのうち先に述べました三つが主たるものでございまして、答申では、こういうようにいろいろあるが、その時点では埋立工法を主体とするという表現になっております。しかし、あれだけの大きな
空港をつくるということであれば、こういうように工法は幾つかあるということで理念的には分けられるけれども、実際の工事というものは、ある部分はどの工法による、他の部分は別の工法によるという、総合的にりっぱなものをつくることが大事であろうと思うわけでございます。
そこで、いま私が申しましたことは、これに決めたという意味じゃございません。それはそういう性質のものではないので、第一まだ、その種の
空港をつくる、つくらぬということについては、先ほども申し上げましたような手順を経る必要があり、その手順を経て関係方面の御
協力を願う、こういうことでございますが、あの答申がありましてから今日まで、いまお話しのように、かなり時日も過ぎましたし、それから、その間にいろんな技術的の進歩もございます。おまけに、あの答申がありましたころには、造船であれ鉄鋼であれ、今日とはおよそ事情が違っておって、それなりに仕事もやっておったのでございますが、現在は非常に深刻な
不況下にあります。
そこで私は、政治全体を考えて、まさに政治というものはそういう必要があろうと思うのでございますが、いまいろいろ論議されております公共事業がどうのこうのということ等から考えましても、実は造船なら造船を一つ例にとってみますと、一般の公共事業がそこへ波及して、造船の労働者がそれで大変仕事がある、よくなったというわけにはなかなか簡単にいかないのでございますので、そこで、造船なら造船という、そういう仕事に関係する人たちの仕事が得られて、そして将来に残るこういう
空港が、日本の技術の粋を尽くしてりっぱなものができるということになれば、まさに一石数鳥になるということでございます。
そういう
観点から言うならば、その後浮体工法の技術等も進歩してきておるし、このことによって、造船を初めその他いろいろありますが、そういうような関係の人たちの仕事もこれでできるし、かてて加えて、そういうことをやりますと、言うならば、ある程度そういうことに日本は手を染めておりますけれども、今度そういうことに成功いたしますと、
世界各国から大いに注目されることになるであろう。国土の狭い日本は、北の方では歯舞、色丹以下の四島をすぐ返してくれということ、これはこれで一生懸命にやるが、同時に、日本民族の頭脳や腕から出た新領土の頭脳的造成というか、これはちょっと表現はいかがかと思いますが、こういうようなことを幾らかでも考えられた結果が得られるということになれば、やはり政治の目指すところも、そういうところに一部あるような気がいたしますので、そういうことで、私は、確かにこの種の問題には全然素人でございます。素人ではございますが、専門家がいろいろ考えてくれる、それとともに、政治をやる者は政治をやる者としてその種のことも考えて、これらを総合的に考えて、どういうことにするのがよかろうか、こういう結論にいくのが望ましい、こういうように考えておるわけでございます。
ただ、素人
福永健司の構想をもって単にそれだけというつもりではございませんで、いまも申し上げたように、日本人の頭脳、日本人の技能を十分に生かした方途がとられるべきである、私の本旨はそういうつもりでございます。