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1978-04-05 第84回国会 衆議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月五日(水曜日)     午後二時五十五分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 塩崎  潤君 理事 増田甲子七君    理事 松永  光君 理事 箕輪  登君    理事 小林  進君 理事 横路 孝弘君    理事 坂井 弘一君 理事 大内 啓伍君       野田  毅君    羽田野忠文君       稲葉 誠一君    大出  俊君       坂本 恭一君    只松 祐治君       横山 利秋君    池田 克也君       鍛冶  清君    和田 一郎君       正森 成二君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君  委員外出席者         ロッキード問題         に関する調査特         別委員会調査室         長       長崎  寛君     ————————————— 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   加地  和君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   依田  実君     加地  和君 同日二十三日  辞任         補欠選任   加地  和君     中馬 弘毅君 同日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     加地  和君 四月五日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     和田 一郎君   加地  和君     中馬 弘毅君 同日  辞任         補欠選任   和田 一郎君     鳥居 一雄君   中馬 弘毅君     加地  和君 同日  理事武藤嘉文君同日理事辞任につき、その補欠  として松永光君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  ロッキード問題に関する件      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事武藤嘉文君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  これは、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。  それでは、松永光君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 ロッキード問題に関する件について調査を進めます。  この際、昭和四十年代以降の航空政策展開と今後の方向について、運輸大臣から報告を求めます。福永運輸大臣
  6. 福永健司

    福永国務大臣 昭和四十年代における航空行政について御報告申し上げます。  昭和四十年代における国内航空輸送需要の急速な伸びを背景に、日本航空及び全日本空輸においては、四十年代後半において低騒音大型機材、すなわちいわゆるエアバス主要路線導入する計画を抱き、そのための機種の選定作業が行われました。このような状況の中でいわゆるロッキード事件は発生したものであると言われておりますが、その間における運輸省航空行政の対応の仕方については、すでに当ロッキード特別委員会において資料をもって提出し、あるいは再三にわたって答弁してまいったところでありますが、その後の調査によっても、これを修正するに足りる事実を運輸省としては把握しておりません。  なお、その間の航空政策展開と今後の方向等について、やや詳細に航空局長をして説明させることにいたします。
  7. 廣瀬正雄

  8. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大臣の御説明を補足させていただきます。  四十年代に入りましてから、経済の高度成長国民所得水準の上昇は、航空輸送需要が急速に増大する基本的な要因でございました。これを受けとめるために航空機ジェット化大型化及びそのための空港整備拡充が全国的に展開された時代でございました。  このような趨勢を背景にいたしまして、航空企業はそれぞれ自社の路線シェアを拡大しようという強い勢いで事業展開いたしました。また、航空企業以外からもこの日本として将来性のある航空事業に対して資本参加をしようという各方面からの動きも活発であったわけであります。  しかしながら、航空交通にとりまして安全の確保至上命令でございました。事実、時として航空事故が発生いたしました。そのたびに、運輸省といたしましては航空企業の秩序を確立いたしまして安定した経営基盤の上に立って安全運航を行うことが強く要請され、そのような観点からわが国航空企業運営体制に関するいろいろの議論展開されました。四十一年にもございました。その後もございました。それらの議論が重ねられた終結的な結果が四十五年の運輸政策審議会答申及びこれを受けましての閣議了解、さらに翌四十七年の運輸大臣通達でございました。  四十五年の運輸政策審議会答申と四十五年の閣議了解及びこれを具体化させましたところの四十七年の運輸大臣通達は、いずれも基本的な考え方一つにいたしております。この中で、企業運営体制につきましては次のようにいたしております。  まず、国際線は国策会社たる日本航空による一元的運営を認めますが、補完的に全日空近距離国際チャーターへの進出余地を与えること。国内幹線につきましては、従前のとおり日本航空及び全日空のほか、将来東亜国内航空進出も認めること。国内ローカル線につきましては、全日空東亜国内航空の分野といたしまして、需要の多い路線につきましては両社による運営、いわゆるダブルトラックを認めまして、公正競争確保を図るという考え方がこのときの企業体制基本的な理念でございます。  この基本方針は、企業間の公正競争原理基本といたしながら、航空会社公共的使命を達成させることによりまして、わが国民間航空企業運営体制を確立させようとしたものでございまして、その後この基本路線に沿いまして行政展開されております。羽田のように空港能力が限界にあるために十分な増便等もできないという制約を受けているものはありますが、これらを除きましては、年々の輸送需要増大に対処いたしまして路線網整備が順調に行われてきております。  一方、これらの間にありまして、空港周辺騒音問題の発生は航空の発達にかなり大きな制約要因となりました。また、大阪空港その他では現実に深刻な社会問題となりました。大阪空港では訴訟問題も起こったわけであります。そこで、それまで航空輸送力増大安全運航とを二大眼目としてまいりました航空行政に、さらに環境対策という第三の眼目が加わりまして、その方向での軌道修正を迫られることになりました。政府といたしましては、空港周辺地域社会航空公害から防護すること、及び空港機能と両立し得る周辺地域社会を形成するということの二点を主眼といたしまして、これに基づく諸般の対策を進めてきているところでございます。  このような経緯の中で、航空企業といたしましては、供給輸送力増大を図りながら、同時に空港周辺騒音問題に対処する、そういう二つの目的に対する有効な方法として、低騒音大型機いわゆるエアバス、これは具体的にはボーイングの747とかあるいはロッキードトライスター等がございますが、これの導入を検討いたしました。わが国増大する輸送需要動向背景に考えますと、かなりの機数エアバスが必要になるだろうと思われるところから、このようなことは、同時に外国の航空機産業あるいはこれを扱う商社にとりまして大きな関心事となりまして、そのためのさまざまな働きかけが展開されたと言われております。  いわゆるロッキード事件は、このような事情背景として発生したものと言われておりますけれども運輸省としては、機材選定はあくまで航空企業が独自に判断し決定すべきものであるという基本線を堅持してきたところであります。その間の経緯は、従来ロキード特別委員会等報告してきたとおりでございまして、その後の再度の調査によりましても、運輸省といたしましては、従来御報告申し上げましたこと以上の事実を把握するに至っておりません。  そこで、今後の航空政策でございますが、次のような社会的要請にこたえるべきものと考えております。まず、国土の総合的開発及び総合的な交通体系見地に立ち、航空の特性を発揮し得るような路線の形成を図る。航空機安全運航及び空港周辺に対する騒音公害の低減と地域整備の促進を図りまして、航空国民生活との完全な調和を図ること。時間便益の増大に伴う航空利用者の増加と、それによる大衆化動向を正しくとらえ、それに見合った輸送サービスの提供に努めること。この三つのことを今後の航空政策を立てる場合の社会的要請ととらえております。  これらの要請現実行政として実施に移していく方法といたしましては、さきに述べました四十五年閣議了解基本線はなお今日も妥当であろうと考えております。当面これを変更する必要を認めておりません。運輸省としては、この基本的方向にのっとりつつ、国民のための公正かつ適正な航空行政展開していくことをその責任と考えておりますので、社会の鏡に照らしまして常時みずからの姿勢を点検反省し、行政の執行に誤りなきを期していきたいと思っております。  以上でございます。     —————————————
  9. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、去る三月六日及び八日の東京地方裁判所における前丸紅株式会社秘書課長副島勲君並びに四月三日の前丸紅株式会社専務伊藤宏君の証言概要について、法務省刑事局長から報告を求めます。伊藤刑事局長
  10. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 副島勲氏は、全日空ルート昭和五十三年三月六日及び同月二十日に開かれました第四十二回及び第四十四回公判並び丸紅ルートの同年三月八日及び同月二十二日に開かれました第三十九回及び第四十一回公判証人として出廷し、検察側の主尋問弁護側反対尋問に対して、次に述べますとおり概要証言をいたしております。  まず、検察官の主尋問に対する証言の骨子を申し上げます。  一、昭和四十七年十月三十日大久保からメモを見せられ、クラッターが三千万円持ってくるから、このリストの先生方に金を渡してもらいたいと言われた。  二、そのメモ内容の詳細については記憶はない。しかし、前後のいきさつからして、そのメモには六名の名前が書いてあったものと推測できる。  三、松井氏同席の上、クラッターから三千万円を受け取ったことに間違いなく、百万円東が三十個あった。  四、伊藤から四人の先生方に届けるように言われた。その中に佐藤名前はあったが、あとの三人は迷惑をかけるし、国会審議がストップするので言いたくない。裁判官命令によって、次いで次のように証言いたしました。氏名及び金額は、佐藤二百万円、佐々木氏三百万円、福永氏三百万円、加藤氏二百万円である。伊藤が届けるのを分担したのは、橋本二階堂氏で合計一千万円である。  五、伊藤から残りの一千万円を田中総理に渡すという話は聞いていない。  六、福永氏には、三百万円を本人に手交した。佐藤については、議員会館佐藤と信ずる人に二百万円を手交した。加藤氏については、運輸政務次官室加藤と信ずる人に渡した。佐々木氏については、議員会館の奥の部屋で、先生秘書が同席しているところで、どちらかに渡した。  七、四名の議員に金を手渡した順序は、福永氏、佐藤加藤氏、佐々木氏の順で、十月三十一日一日で終わった。これらの金を渡す際、いずれの先生にも全日空から預かってきたと話している。  八、田中に対する一千万円については、昭和四十七年十一月十六日料亭木の下」に伊藤一緒に行き榎本と会ったが、そのとき伊藤が一千万円入りのカバンを持っていったことは記憶している。伊藤から席を外してくれと言われ、二、三分外に出た。そのカバン榎本が帰るとき持っていったと思うが、見ていない。  九 本件の金員は、政治献金だと思っていた。取り調べの際、検事からの賄賂ではないかとの質問に対し、うなずいたことはある。  十、昭和四十七年八月二十日前後ころ檜山から電話で指示を受け、総理官邸に電話し、同月二十三日檜山田中に会うアポイントメントをとった。  十一、右の檜山から指示を受けたころ、伊藤からも指示され、越山会と思うが、榎本に電話し、八月二十五日料亭木の下」で同人に会うことになった。伊藤から同席するように言われた。同日午後六時ないし午後六時三十分ころ、伊藤一緒に「木の下」に行った。しばらくして榎本が来て宴会になったが、話題については記憶がない。  以上が主尋問に対する証言でございまして、三月二十日及び三月二十二日の公判における反対尋問及び裁判官補充尋問検察官の再主尋問があったわけでございますが、先ほど申し上げました三月六日及び八日の検察官の主尋問証言した範囲にとどまりまして、特段新しい事実についての証言はなかったようでございます。  次に、全日空ルート公判四月三日におきます伊藤宏証言要旨を御報告申し上げます。  一、昭和四十七年十月三十日大久保及び松井から前後して、「全日空からロッキード社よりの三千万円を橋本ら六先生田中総理に届けてほしいと依頼されたので、秘書課で配付してもらいたい。」旨の依頼を受け、これを了承した。  二、その日、副島に「橋本二階堂両氏の五百万円ずつは私が届け、田中総理への一千万円は別途届けるが、佐々木福永佐藤加藤四氏への三百万円及び二百万円は君が届けろ。」と指示した。松井からの依頼の際、田中総理を含める各氏への配付額は決まっていて、私がこれについて意見を述べる余地はなかった。  三、橋本氏への五百万円については、前日アポイントメントをとり、十月三十一日か十一月一日ころ松岡の運転する車で橋本氏の私邸に行き、玄関へ入ってすぐの応接間橋本氏と面談し、ふろしき包みを解いて五百万円を供与しようとしたところ、「秘書茂木に渡してほしい。」と言われ、そのまま持ち帰り、その日午後丸紅に来社した茂木秘書に渡した。橋本氏には、「全日空からお預かりしたものを届けにまいりました。」と言ったが、ロッキードとか「お礼」とかは言っていない。  四、二階堂氏への五百万円については、橋本氏と同じころ、官房長官公邸二階堂氏を訪ね、応接間本人に会い、選挙区における丸紅活動等を話した後、橋本氏の場合と同様な口上を述べて、本人に直接五百万円を供与した。  五、田中総理への一千万円については、昭和四十七年十一月十六日料亭木の下」で榎本氏と会い、榎本氏を介し田中総理に一千万円を贈った。  以上でございます。
  11. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 この際、私から一言御注意申し上げます。  質疑答弁も、姓だけでは誤解を招くような場合には、名前まではっきりおっしゃっていただきたいと思っております。  伊藤刑事局長のいまの御報告福永とありますのは、福永健司ではなくて、一臣であることは間違いございません。それははっきりひとつおっしゃっていただきたい。
  12. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 証言はおおむね姓だけで行われておりますが、前後の事情からして福永一臣氏であることは間違いございません。     —————————————
  13. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 質疑申し出がありますから、順次これを許します。坂本恭一君。
  14. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 私は、主としてただいま運輸大臣あるいは航空局長から御報告のあった点について御質疑を申し上げるつもりでおりますけれども、いま刑事局長から御報告のあった件について、まず数点お尋ねをして確かめておきたいと思います。  もう一昨年になりますけれども、十一月四日にいわゆる四人の国会議員氏名を当委員会公表をして、それなり弁明をお聞きした経緯があります。したがって、それに関連をして若干確かめておかなければならないと思うわけですが、まずその一つは、いま非常に簡単に証言概要報告をされました。特に十月の三十一日に、いま御報告のあった福永一臣氏、佐藤加藤佐々木、この四名の国会議員に金銭を届けた。その時間的な経過、その辺がおわかりでしたらちょっとお答えをいただきたいと思います。
  15. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 先ほど御説明いたしました名前の出てきます順番に届けた、こういうことになっております。
  16. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 順番はわかりますが、大体の時間、証言があったと思うのですが、いかがですか。
  17. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 ただいま詳細な関係メモを持っておりませんので、間違えるといけませんのでお断りしておきますが、大体午前十一時ごろから午後一時三十分ごろまでの間であったと記憶しております。
  18. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 私ども新聞等証言内容を知った程度なんですが、いま答弁がありましたように、福永一臣氏に十一時少し前、そして最後佐々木氏で十三時二十分ごろということであったようですが、その間、二番目の佐藤氏のところに十一時二十分ごろというのがあるのですが、加藤氏に対しては新聞報道等によりますと何時ごろというのが抜けておるわけです。したがって、その辺をちょっと確かめたいわけですが、いかがですか。
  19. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 議員会館でお渡しした分については、面会証等がございまして、時間が正確に把握できておりますが、いま御指摘の分につきましては、そういう正確な記録がありませんので、その前後の二人の方の間の時間という程度特定しかできないようでございます。
  20. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 そうすると、その点については立会検察官も時間を特定をしていない。副島証人に対する尋問の中で明らかにしていないということですか。
  21. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 正確な時間は明らかにしていないと思います。大体の時間でやっていると思います。
  22. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 そうすると、その大体の時間というのは何時ごろなんですか。
  23. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 非常に細部にわたってのお尋ねでございますから、単なる記憶でお答えしても間違っておると困りますから、調査の上お答えいたします。
  24. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 その点に関連をするという——もっと大きな見地から、要するに証言調書をそのまま当委員会に出してくれというのはなかなか法的にむずかしい問題があろうかと思うのですが、いまお話のあった概要報告証言概要ということでは余りにも簡単過ぎて、いますでに四人の国会議員について証人喚問をやろうかやらないかという懸案の事項もあって、もし証人喚問ということになると、その辺のことがかなり重要な事項になってくるのではないかと思う。したがって、当委員会責任を持って公表した四名については、それに関連したある程度詳細な証言の要録といいますか、そういうものを当委員会に出すことができますか。
  25. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 申し上げるまでもなく証言調書そのもの裁判所の保管するところでありますから、これを私どもからそっくりそのままのものをお出しするわけにはまいりませんが、 (「そんなことないよ、閲覧謄写できる」と呼ぶ者あり)検察権行使という行政権行使に対する国政調査ということでございますれば、できる限りの御協力を申し上げたいと思います。したがいまして、こういう点、こういう点というふうに御指摘をいただきますれば、御要望に最も沿うような形で公判立会検察官からの報告を求めまして、その内容を御報告さしていただこうと思います。
  26. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 いまも後ろの方で声があったのですけれども訴訟関係人閲覧謄写ができますね。その方法を使って法務省から当委員会にその書類を提出するということは不可能なんでしょうか。
  27. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 訴訟関係人訴訟記録を見なければ攻撃、防御ができませんからもちろん見るわけでございますが、刑事訴訟法のたてまえとして事件確定前はこれを公開しないことになっておりますし、そもそも裁判所が保管の責任者でございますので、法務省立場としてはただいま申し上げた程度のできる限りの御協力を申し上げさせていただきたい、こう思うわけでございます。
  28. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 それはまた理事会等で詰めた議論をしていただきたいと思うのですが、まあある程度事項特定をして、いわば尋問事項書みたいなものを法務省の方にお渡しすれば、それに対応した証言内容というものを報告ができるということでよろしいわけですね。
  29. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 ただいま御指摘のようにポイントを示して、ここのところはなるべく詳しく報告しろ、こういうふうにおっしゃっていただけば、御趣旨に沿うようにいたします。
  30. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 もう一点だけ確かめておきたいと思うのですが、当委員会での四名の公表のときもそうであったと思いますが、福永一臣氏に対しては三百万円を渡した、それに対して福永氏は、たしかその際の弁明のときに二百万円受領したというふうに言っています。いま三百万円渡したという副島証言の御報告があったわけですが、その三百万円と二百万円、百万円の差があるわけですが、その点については法廷で特に副島証人検察官の方から確かめたとか、そういう経緯がございますか。
  31. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 特に確かめたというふうな報告は受けておりません。
  32. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 それでは運輸省の方にお尋ねをしたいと思います。  先ほど大臣から簡単に最初に御報告があったのですが、これまでの経過はすでに当委員会資料等を出し、あるいは答弁で済んでいる、それ以後それを変更するようなことは全くないという御報告であったと思います。しかし、これはちょうど一年前になるわけですけれども、たしか昨年の三月のこの委員会で、当時は田村運輸大臣であったと思いますが、横路委員からいろいろ質疑が行われて、それに対してそれなりに再調査をするというような答弁があったように私は記憶をしています。そうなると、この一年間調査を全くされなかったのか、したけれども変更する必要、そういう資料がないということなのか、どちらになるのでしょうか。
  33. 福永健司

    福永国務大臣 局長からも答えさせますが、いまお話しのありました点につきましては、私はこの報告をいたしますに当たりまして私なりに確かめてみましたが、修正するに足りるようなことはなかったのでということでございます。つまり、ただいまの御質問からいたしまするならば、調査をしなかったとか再検討をしなかったとかいう意味ではなくして、それなりのことをやったが、前に申し上げておることと違うという修正をするような、そういうことをするに足るだけのことはございませんでした、こういうように私は報告を受け、そこでさきのように申し上げた次第でございます。
  34. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 昨年のときからその点の最大の争点は、冒頭陳述と従来の私ども報告との食い違いの点の一番大きな点が四十六年二月の大型機導入延期行政指導経緯に関してでございます。この点につきまして、昨年田村大臣のときにお約束を申し上げました線に沿いまして私たち当時の関係者にもう一遍当たりました。しかしながら、いずれもいま大臣がお答え申し上げましたように、従来お答え申し上げましたことを変更するに足る事実をつかむことができませんでしたので、大変残念なことでございますが、もう一遍御報告した次第でございます。
  35. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 先ほどの航空局長報告、ここに口頭説明要旨というものがあります。したがってこれを引用しながら資問をしたいと思いますが、いわゆる四十五年の運政審答申を受けての閣議了解、それと四十七年の運輸大臣通達、これが第二項の一番最後にあります。四十五年の十月二十一日にたしか運政審答申があって、十一月二十日に閣議了解が行われているはずです。そして四十七年運輸大臣通達までの間の問題がいま航空局長答弁があったようにいろいろな問題を含んでいる、そういうふうに私どもは理解をして、そういう立場でいままで運輸省当局に対してもいろいろ追及をしてきたと思うのです。しかし、その間の経緯が全くこの報告では拾象されてしまっている、そういうふうに私は感じるわけですが、その間のことは全く考えておられないということになるわけですか。
  36. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十五年の秋に運政審答申がありまして、直ちに閣議了解があったわけでありますが、その後四十六年を迎えまして、その二月に先ほど申し上げました大型機導入行政指導が行われたわけでありますが、そのときについての経緯は、従来お話ししております以上のことを私どもつかんでいないわけであります。
  37. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 そうすると、四十五年十一月二十日に「航空企業運営体制について」という閣議了解があった。これはジェット化大型化を推進するいわば大型機の導入の方針を明確にしたものだと私どもは理解をしているわけですが、それはそのとおり間違いありませんか。
  38. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 運政審答申の基礎にございましたのは、その後かなり屈折いたしまして見通しを変えましたけれども、当時としてはわが国輸送需要はかなり伸びるという前提のもとに、そういった輸送需要背景大型化ジェット化——ジェット化はもう進んでおりましたけれども、特に大型化というものを進めるということがあの答申の基調になっております。
  39. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 しかしその後、その閣議了解に基づいて大型化を当時の運輸大臣から日航とか全日空に対していわば協力要請している、そういう経過がございますね。
  40. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十五年の運政審答申は、確かに激増する航空輸送の需要に対応いたしまして航空機大型化、そしてまたそれに伴う飛行場の整備ということをうたっておりますけれども、このことは昭和六十年時点というふうなかなり長期の航空輸送需要動向を見て、そしてかなり懐妊期間の長い公共投資というものを進めるということでございましたので、私どもは四十五年の運政審答申なり、それを受けての閣議了解というものは確かに大型機導入という方向づけはなされたものの、それをいつ具体的に導入していくかということにつきましては、これは年々の行政の中で考えていくべきである、こういうふうに考えて当時の人は行動いたしたと思います。
  41. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 そうすると、四十五年の秋の時点でそういう閣議了解がなされた、その背景には恐らく大型機をいつごろ入れようかという考え方はもうすでにあったと私は思うのですが、その辺はいかがですか。
  42. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私は、当時官房におりまして航空行政を横からながめていたわけでありますから、正確には存じておりませんけれども、当時の答申を受け、閣議了解をいたしたときの雰囲気は、大型機導入ということをすぐに行政ベースに乗っけて進めようという雰囲気ではなかったように思います。あのときにすぐに行政ベースに乗っけてしなければならないということで行動を開始された点は、これも運政審答申閣議了解にありますどころのいわゆる日本国内航空という会社と当時東亜航空、これを新しく東亜国内航空という形にする、そして日本国内航空日本航空一緒になるという線を、これは四十一年からの線でございますが、やめたという新しい企業体制の改正という点が一つ眼目でございまして、これについてはたしか直ちにそういうものに向かっての準備が行われたと思いますけれども、大型機導入というのはいささか少し時点としては息の長い時点である、問題であるという観点から、直ちに大型機導入を指導するとか期待するとかいうことはなかったと思っております。
  43. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 従前もたしかその辺の議論は細かくなされているのだろうと思いますが、当時私はそのことを余り存じませんからおさらい的にいまお尋ねをしているわけですが、たしか四十五年の暮れごろに、恐らく日本航空はいわゆるジャンボ機を国際線に使っているものを国内線に使いたいというようなことがあったと思うのですが、それは閣議了解の前の時点ですけれども、そういう動きも含めた上で、私はその大型化の推進というのが出てきたのではないかと思うのですが、その辺についてはいかがですか。
  44. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十五年十一月に、日本航空の重要財産取得認可という運輸省に対しての手続の中で、国際線用の航空機を四機買いたい、こういうことがございまして、これは国際線用の機材でございましたので、それを認可をした事実はございます。ただ、このときに国内線に国際線の機材を三機転用するということがどの程度直接の因果関係を持った前提になっていたかということにつきましては、つまびらかにいたしません。あるいは日本航空といたしましてはそれを当然の前提として国際線の四機導入の取得認可をいたしたのか、あるいはそういうふうに思ったかもしれませんが、その点につきまして、私どもの方ではそのことは直接関連したものとは必ずしも考えていなかったということがございまして、その後四十六年に入りましてから、どうも航空輸送の需要の伸びが思わしくない、これでは国際線の機材三機を国内線に転用する時期というものを四十七年ぐらいにしたいという日本航空の計画は、少し供給過剰になりはしないか、そういう考え方を持ちまして、これは従前御報告申し上げましたような形で、事務的な判断に基づいて行政指導をした、こういうふうに私どもは理解をしておるわけでございます。
  45. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 ですから、当初は四十七年ごろからジャンボ機を入れたいという日本航空の意向はあったわけですね。したがって四十六年の二月ごろに四十八年度以降にした方がいいんじゃないかというような趣旨の行政指導が行われたのじゃないかと思うのです。したがって、その前提にはやはり四十七年に入れるということが念頭になけれれば、四十八年度以降に延期する行政指導というものは全く意味がないんじゃないかと思うのですが、その辺はいかがなんですか。
  46. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十五年の末の時点におきまして、日本航空及び全日空は、長期計画といたしまして、大型ジェット機の投入計画を持っておりました。日本航空は四十五年九月作成、全日空は四十五年十二月作成でございますが、これによりますと、四十七年度におきましては、日本航空は先ほど申し上げましたような国際線からの三機の国内線への転用、それから全日空は四十七年に三機新しく買う、それから四十八年に双方六機ずつ、四十九年に日本航空が八機、全日空が九機、五十年に日本航空が十一機、全日空が十二機、こういう長期計画を持っていたことは私ども承知いたしておりますが、これを直ちに私ども行政立場でこれを是認と申しますか、確認してと申しますか、直ちにそれに向かってこれの取得を認めるようなアクションを起こしたということはなかったわけでありまして、ただ、しかしながら、会社におきましてこういう計画を持ったことは私ども承知いたしておりました。
  47. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 これまでの答弁と趣旨は同じで、全然発展性はないように思いますので、この辺でその問題はやめます。  この報告書といいますか、口頭説明要旨の六項に、かなり運輸省としては客観的に、第三者的に物事をながめている文章があります。「増大する輸送需要動向背景に考えるとかなりの機数エアバスを必要とすることから、このことは同時に外国の航空機産業あるいは関連商社にとって大きな関心事とされ、そのための様々な働きかけが展開されたといわれている。」これは、もう全く運輸省は第三者で、全くその渦中にはなかったということを言いたいのだろうと思うのですが、私は、全く第三者では済まされないのじゃないかと思うのです。やはり運輸省それなりの認可権を持っているわけですから、その渦中に全く巻き込まれない、外にいたんだということが果たして言い切れるのでしょうかね。その辺はいかがですか。
  48. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもは、この辺の経緯につきましては、たとえば裁判所におきます検察官の昌頭陳述の書面あるいは一連の新聞報道、あるいはコーチャン報告等によって知っているわけでございます。それ以上、直接航空行政に当時携わった人間にいろいろ聞きましても、当時の人間がこの働きかけに直接関与しているという事実を私どもはつかんでおりませんので、したがいまして、ここのところは私どもが伝聞しております各種のことによりまして客観的に書かざるを得なかったということで、こういう表現にしたわけでございます。
  49. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 結局昌頭陳述で知ったということなんですが、昌頭陳述が出る前に、このロッキード委員会、五十一年からずっとやっておったわけですね。その中で運輸省はいろいろな答弁をしています。先ほど私が申し上げた昨年三月の横路委員資問の際にも出ていたと思いますけれども、その食い違い、冒陳と皆さん方の答弁が全く食い違っているにもかかわらず、それは再調査をするということだったわけですが、きょうの御報告ですとそれを変えるようなものはない。ということは、五十一年当時、木村運輸大臣当時に答弁をされたものを今日も自信を持って、確信を持って維持をされるということになるわけですか。
  50. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは田村大臣のときに田村大臣の口から答弁されたことだと記憶しておりますけれども、たしか大臣の口から、行政当局としてはできる限りの調査をいたしました、しかしながら行政官には検察官のような強制的に物を調べるという権限がない、したがって、口を割らない場合にこれを検察官のように割らせるという手段はないので、その辺につきましては、運輸省として調べた限りにおきましては新しい事実はないと申し上げる以上のことを申し上げられないということを、たしか田村大臣答弁いたしましたけれども、今日でもその事実に変わりはないというふうに考えるわけでございます。
  51. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 その点に関連してもうちょっとお聞きをしたいと思いますが、導入時期を延期をしたという一連の動きが当委員会でも問題になったと私は思っています。その導入延期のいろいろな追及の中で、当時の監督課長が四十九年度以降にするという行政指導をしたというふうに答弁をされたと聞いていますけれども、その辺のことも、皆さん方の調査では全然それを変更する必要がないといまでもお考えですか。
  52. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 そのとおりでございます。
  53. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 水かけ論になるわけですが、再度同じことを聞いておきます。  冒陳によりますと、行政指導をしたのは当時の住田監理部長だというふうに指摘をされているわけですけれども、その指摘をされる前提に、当初住田監理部長あるいは当時の内村航空局長、その辺にいろいろ働きかけをやったけれども、これはけられてしまった。したがって、橋本運輸大臣のところに行って、そちらからまた事務次官を通じて同じ航空局長、監理部長のところにおりてきたというふうに指摘をされておる。したがって、そのおりてきた時点で住田監理部長はやむを得ずそういう行政指導をしたというふうに指摘をされているわけですが、その辺の事実関係はおわかりになりませんか。
  54. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 冒陳にございますような経緯につきまして当時の庄田監理部長に聞きましたけれども、私どもは新しい事実をつかむことができませんでした。  そこで、監理部長と監督課長の関係でございますが、前にロッキード委員会に御報告申し上げました文書をここに持っておりますが、こういうふうに言っております。「当時監理部長は航空会社機材を買い過ぎるとの認識を強く持っており、監督課長がこの問題について監理部長に相談した結果」行政指導した云々、こう書いておりまして、監理部長と監督課長というのはいわば上下関係、一心同体の形で事務的判断に基づいて行政指導した、こういうのが私どもの把握した事実でございます。
  55. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 法務省にちょっとお尋ねしますが、冒頭陳述があってそれに対する証拠調べというのはある程度なされているのじゃないかと思いますが、いま申し上げた点についてすでに公判廷において何らかの証拠の取り調べが行われていますか。
  56. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 当時の運輸省関係者の方々等を証人として調べておるようでございます。
  57. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 運輸省の方では従前の答弁から一歩も出ないということになりますと、これは判決の結果どうなるかわかりませんが、判決がいまの冒陳のとおり認定されるとしたらかなり違ったことになると申いますね。そうなると、この委員会で、それが明らかになった時点でやった方がいいのかあるいはいまの時点でやった方がいいのか、この判断は別ですけれども、住田監理部長なり、——内村さんはたしか一回証人として当委員会証言もされていると思いますが、その辺のことをもう一度やらなければならなくなるのではないかと思うのですね。したがって、その判決の結果と皆さん方の報告が違った場合に、運輸省としてはどういうことを考えられますか。
  58. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは昨年の田村大臣答弁の趣旨を引用するしか方法がないと思いますけれども、もし万一先生がいま御質問になったようなことが起こった場合に、私ども調査能力の制度上の限界があったのだからやむを得なかったというふうに考えざるを得ないというふうに認識いたしております。
  59. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 どちらが信用性が高いかここでは申し上げませんけれども大臣に一言聞いておきたいと思うのですが、それなり責任を持って答弁をしているはずですから、もしそれがいわば判決というような形で間違っていることが判明した場合には、大臣としてはどうすべきだとお考えですか。
  60. 福永健司

    福永国務大臣 いまいろいろ答弁しておりますように、運輸省運輸省なりの能力をもってやったことですから、これは私がやったわけではないが、いままでのことについてそれが正しいと信じておりますし、また、別の方法でいろいろ強制力等を使って調べたら別のことがあったと言えば、これはまたこれでそういうことをすればそれはできるだろうと思うのです。それが違うからということで直ちに運輸省はどうするかと言われても、私は、そういうことが違っていればこっちが頭を下げますとか、責任を負いますとか、そんなことを言うべきことでは断じてないと思うのです。私は運輸省の信念において貫くべきであると思います。
  61. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 今後のことも関係するのかもしれませんが、七項では、いわゆる機種決定というのは、あくまで航空企業が独自に判断する、そして決定をすべきものだという基本線を堅持してまいりました、これも従来の報告以上の事実を把握するに至っていないという結論になっているわけですけれども、機種の選定はあくまで航空企業が決めるのでしょうが、それが航空企業だけではなくて運輸省が何らかの形でいわば認可権というような中で絡まってきているわけで、それがまさにこのロッキード事件だと私は考えているわけです。したがって、そういう形で、皆さんの方ではそれは断じて否定をされるのだろうと思いますけれども、そのことについて、ここにこう書いてありますから、もうこれ以上追及はいたしませんけれども、「運輸省としては、」云々「基本線を堅持して来た」、そうなると、また冒陳を引用して大変恐縮ですが、大臣とかなんとか上の方から指示があってやったという冒陳になっているわけですから、この「運輸省としては、」という言葉は運輸大臣とか政務次官というのは含まれないというふうに読めるのじゃないかと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  62. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども運輸省と申します場合には当然大臣、政務次官を含んだ運輸省と考えておりますが、私どもの調べた限りにおきましては、ここに書いてありますように、自主的判断に基づいて決定すべきであるという点を変えてなかったと私どもは把握いたしておりますのでこう書いたわけでございます。
  63. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 最後一つだけ。大分古い話なんですが、いわゆるロッキード問題閣僚連絡協議会というのが、たしか五十一年、一昨年の十一月だったと思いますが、再発防止対策というのを出しています。それにいろいろな項目があるわけですが、その四項に「行政の公正確保のための措置の強化」といって幾つか項目が並べられています。その中で運輸省がこれまでこの中身を対策として具体的にやってきたことがありましたらそれを説明してください。
  64. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 官房長もおりませんので、全般の説明が私、資料もありませんし、うまくできるかどうかわかりませんけれども一つは、許認可権限というものが余り多過ぎるとこういったことの種になる基盤ができやすい、こういうところから許認可権限をできるだけ整理するという方向でそれ以来検討してまいりまして、一部は実施されてきたと思います。  それから、各局別に縦割りの行政ということだけに依存せずに、それをもう一遍横にながめてみるという横割り行政的な機能の強化ということでは、昨年もたとえば総合運輸局構想などもございましたけれども、そういった局をつくることは行政整理、行政簡素化の時代からなかなかまたむずかしいということもございまして、官房にいま企画調整部門がございますが、この機能を強化いたしまして横割り行政を強め、各局ごとの縦割り行政をもう一遍横にスクリーンしていくということでずっと強化の道を歩んでおります。  それから、特に運輸省事業法規を扱っておりますので免許認可申請事案が多うございますが、これらの事案をさばくに当たりましては、そのときどきの担当官の行政判断によることなく、あらかじめ要すれば審議会等に諮問いたしまして、明確な行政方針を立てて、そしてその答申等に基づきまして、あるいはまた運輸省みずから考えた方針に基づきまして、できればこの方針を中外に公表いたしまして、ガラス張りの中で仕事をしていく、したがって、行政の処分の結果等も可能な限りその判断の基礎等につきましては公表いたしまして、ガラス張りの中で行政をしていく、こういうふうなことを各局とも痛感いたしまして、その後そういった方向で改善を見つつあると私は思っております。
  65. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 この報告書の八項以降は、これからの問題で、むしろロッキードじゃなくて運輸委員会でやるべきことだと思いますし、あと横路委員関連してございますので、これで終わります。
  66. 廣瀬正雄

  67. 横路孝弘

    横路委員 刑事局長お尋ねしたいのですが、大久保副島伊藤と三十ユニットの関係のお金の流れについての重要な証言が一応終わったわけですが、この証言をどう見るか、これを検察としてどう評価しているのかというのはいかがでございましよう。
  68. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 検察当局としては評価というようなことは一切しておらぬと思います。
  69. 横路孝弘

    横路委員 つまり冒陳に従って立証活動が行われてきたわけですね。つまりその立証は、この三人はほぼ検察では満足すべき結果だというように考えておられるのでしょうか。
  70. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 満足、不満足というと評価になるわけでございますが、冒頭陳述書記載の関係を立証するにはこの証言ではなお不十分である、こういうふうな見方をしております。
  71. 横路孝弘

    横路委員 肝心のアメリカの嘱託尋問書の問題、それから全日空関係の若狭社長等、つまりその趣旨の問題は別にして、三十ユニットのお金の全体の流れとしてはほぼこれで冒陳が立証されたんじゃないですか。
  72. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 三千万円の金が、あるところから来てあるところへ流れたということは、おおむねこれを認定し得るだけの証拠はそろった。ただ問題は、これは収賄罪の被告事件でありますから、趣旨が一番問題になるわけで、その点はまだ残っておる、こういうことでございます。
  73. 横路孝弘

    横路委員 つまり金の流れについてはほぼ証明されたということだろうと思うのですが、そのお金の流れに関して、先日行われた伊藤証言に対して、自民党の二階堂氏が最高検察庁に何か上申書を出したという報道があるのですが、その上申書の内容はどういう内容なのか。どう取り扱うおつもりなのか。
  74. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 去る四月三日に衆議院議員二階堂進氏から検事総長に対しまして上申書が出されておるようでございます。その中身は、要するに伊藤宏が自分に対して五百万円を贈った旨証言したけれども、さような事実は全く存在しないのであるから、検察においてはさらにその点を厳重に調査をして、真相を究明してほしい、こういう内容のようでございます。
  75. 横路孝弘

    横路委員 つまりその内容は考えてみると、伊藤宏は偽証を行っているということですね、内容的には。そういう内容を最高検に、上申書という形ではあるけれども、いわばこれは告訴と同じ扱いに法律的にはなるんじゃないですか。その内容は違うというわけでしょう。その法廷の証言内容が事実に反すると言って、しかるべき処置をせよということで上申書を最高検に出したということは、私は、告訴という言葉は使ってないけれども、偽証罪で告訴したというのと法律的には同じ効果だというように受けとめていいんじゃないかと思うのですが、どういう扱いになるんでしょうか。
  76. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 申し上げるまでもなく、告訴というのは、事実を摘示しまして処罰を求める意思をあらわすことでございまして、どうもこの上申書には伊藤宏の処罰を求める意思はあらわされておらないようでございまして、最高検察庁においてはこれを上申書として受け取っておる。それからどうするかは、まだ検察当局が判断することだと思います。
  77. 横路孝弘

    横路委員 それは本人の意思を聞いてみたらどうですか。処罰を求める意思があるのかないのか。つまり上申書という形でやるより、やはり告訴した方がはっきりするのでして、民事裁判を起こされたそうですけれども、何年かかるかわかりゃしない話よりは、皆さんの方でいろいろ資料もあるのでしょうから、偽証になるのか誣告になるのか、決着つけるには一番いい機会だと思うのです。検察庁の方としてはどうなんですか。法廷の証言を事実に全く反すると言われて、最高検察庁あてに国会議員から上申書が出ておって、これは何も処理しないというわけにいかないんじゃないですか。やはり本人に処罰を求める意思があるのかどうなのか聞いてみて、中身をはっきり——もし告訴をしたということになれば、本人にその理由や何かきちっと皆さんの方で説明されるわけでしょう、どういう処分をとられるにしても、告訴人に対しては事件の処理の内容報告しなければいかぬわけですから。それはどうですか。
  78. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 二階堂氏の代理の方が御持参になったようでございますが、告訴する意思ではない、上申書を出すのである、こういうお話であったようでございます。
  79. 横路孝弘

    横路委員 これはどうなんですか、クロ、シロその決着をつける方法というのはいろいろあると思うのですが、ちょっと証言の中で、一つお尋ねします。  松岡という運転手が運転をして官房長官の公邸に行ったという証言のようですね。この松岡運転手の調書なんかとってあるのでしょうが、これは法廷に出されるのかどうか、あるいは法廷に出さないでおられるのか、その辺の事実関係はどうですか。
  80. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 松岡運転手はすでに一回証人に出ておりますが、いまお尋ね関係でさらに補強する必要があれば再度証人に立てるとか、しかるべき措置がとられるのじゃないかと思います。
  81. 横路孝弘

    横路委員 つまりその運転手からも事実関係は確認してあるわけですね、官房長官公邸伊藤宏が行っているのは間違いないということは。
  82. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 そういう具体的な証拠の内容はちょっと申し上げかねるのでございますが、証人に立てる可能性もあるという意味において御推察をいただきたいと思います。
  83. 横路孝弘

    横路委員 検察としてはもちろん三十ユニットの関係でこの伊藤証言に偽証の疑いがあるなんということは全然考えてないのでしょう、二階堂氏の方は何か訴えてやっておられるようですけれども……。
  84. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 細かい点で記憶違いがあったり、あえて趣旨をぼやかしておったりいろいろな点がございますが、先ほど来おっしゃっています金の流れという関係においては検察官冒頭陳述に沿うわけでありまして、真実をその意味では述べておるというふうに理解しておると思います。
  85. 横路孝弘

    横路委員 ちょっと問題が別になりますが、国会における証人喚問公判への影響ということなんですが、法務省の方から自民党に対して、表でも裏でもいいんですけれども、あなた方の方でともかく困る、この四人の灰色高官の問題に関して国会で証人喚問やってもらっちゃ困る、やめてくれというようなことを皆さんの方から進んで申し入れをしたとかお願いをしたとかというようなことはあるのですかないのですか。
  86. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 私どもは、国会でお決めになることについて、私どもの方から意見を申し上げるということはいたしておりません。それはお聞きになりますれば最小限のことは申し上げておるというのが、従来からの対応ぶりでございます。
  87. 横路孝弘

    横路委員 この丸紅副島の調書は、これは一部いまお話があったように、金の流れは大体冒陳に沿っているけれども、若干の点で不明確な点があるということで、調書をお出しになるのかならないのか、その辺の結論はもう決めておられるのか。それから伊藤反対尋問が今月の中旬ぐらいと聞いておりますが、それが大体終わった段階で調書を提出されるようになるのかどうか、その辺はどういうことになっていますか。
  88. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 私ども法務省立場としまして、検察当局が行います立証活動について事前に報告を求めるとか指示をするという立場にございませんから、あくまで私の経験に基づく推測でございますが、贈収賄事件の一定のパターンがございますから、私が承知しました限りの副島あるいは伊藤といった証言、これでは冒陳記載の事実が完全に立証できたとは言えませんので、当然何らかの機会にそれらの者の検察官面前調書を証拠として申請することになるものと思います。多分その時期は、四月十七日に予定されております伊藤宏に対する反対尋問それから補充尋問、これが終わりまして、さらに裁判所の心証を得るために必要があれば、それらの者たちを取り調べた検察官証人に立てるというような措置をとりました上で検察官調書の申請がなされるのではないか、こういうふうに推測いたしております。
  89. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  90. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、池田克也君。
  91. 池田克也

    ○池田(克)委員 先ほど大臣局長から「昭和四十年代以降の航空政策展開と今後の方向について」こういう御説明があったわけであります。最初に、四十年代のいろいろな情勢と今日とはずいぶん違っていると思うのです。しかしこの四十年代、特に昭和四十五年の運政審答申、四十七年の大臣通達、これが今日でもなお生きておる、基本線はなお妥当なものである、これにはこのようにうたわれているわけですが、私これを拝見するに、当時以降石油ショックもあり、社会の状況は大幅に変わってきているんじゃないかと思う。これがこのまま生きているというのは私はどうも納得ができない。社会の情勢というものの変化に十分対応してないんじゃないか。そこに事情か何かおありになって、あの当時の方針は変わってないんだと言っていらっしゃるような気がするのです。その点はともかくとして、これだけの大きな社会変動があり、予算の問題でも大きな議論をし、赤字国債を発行し、七%経済成長で懸命になって景気の回復をしている。四十五年当時から見たら大変な違いだと思いますね。航空に関して同じだというのは私は納得ができないのです。その間の事情をもう一遍明らかにしていただきたい。
  92. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御説明申し上げます。  先ほどもちょっと触れましたように、四十五年の運政審答申の基礎になりました航空輸送需要はかなり過大でございまして、現実には石油ショック後かなり落ち込みまして、私ども六十年時点の輸送需要につきましても四十五年当時に考えていたものの半分か七割ぐらいにしか達しないんじゃないかといった意味での、ベースの読み違いといいますか、過大な輸送需要の推測というものがあったわけでございます。そこで、私が先ほど御報告申し上げました中に、基本線は変わってない、こう申し上げましたのは、四十五年当時につくられましたわが国航空政策の基調というものはあくまでも航空機安全運航、それから企業秩序の確立、それから企業間の公正な競争、そういったことでございまして、その後新しい事態といたしまして、さっきも触れましたように、騒音問題の対応というものが出てまいりましたけれども騒音問題の対応を除きましては、当時四十五年に考えました、私が申し上げた安全それから企業秩序、公正競争、この点は今日といえども考え方を変える必要がない。特に企業運営体制につきまして四十五年の答申なり閣議了解はかなりそれを中心に据えて述べておりますけれども、先ほども報告申し上げましたような国際線、国内線、国内線につきましても幹線、ローカル線にわたりましての当時決めていただきました基本的な企業運営体制は変わってないということを申し上げたわけでございます。しかしながら、社会は生き物でございますし、航空行政といたしましても、当然社会動向に従ってこれを運営していくべきは当然でございますので、この御報告の第八に掲げましたような「今後の航空政策は、」といたしまして従来の基本線の上に立ちながら、しかしここに書いてございますような考え方に沿って航空行政展開していくという考え方で申し上げたわけでございます。  なぜこういうことを私が申し上げるかと申しますと、四十五年のときに国内企業体制が決まりまして、国際線、国内線それぞれかなり安定した企業体制ができ上がったわけでございますけれども、これを、ためにする議論といたしましてもう一遍見直せというふうな議論が世間にありますので、そういうことの繰り返しが従来の航空政策の混乱を招いた一つの原因であったのじゃないか。つまり航空企業というのは非常に成長率が高いものですから、それぞれの企業をバックアップするいろいろな意見がございまして、その意見が時たま、いまやっている体制はこれでいいのか見直せという場合に、みずからのバックアップする企業が大きくなるような方向で見直せというふうな意見があったりしたこともございまして、そういったことの渦の中にあったのでは、正しい航空行政展開できないという考え方から私はかたくなのようになりまして、四十五年の航空憲法はその大綱においては変えない、こう言って、ロッキード事件にもかんがみまして、いわゆる世間の雑音を排除した航空行政をしたいと思うの余り、四十五年の基本線を踏襲するという点をいささか強く申し上げ過ぎたかもしれませんが、気持ちはそういうことでございまして、先生お示しのように、それ以後の新しいわが国国内交通情勢の展開、エネルギー節約、騒音問題、こういったものに対処いたしましては、この八にございますように、新しい時代の方向に即した新しい航空行政展開していくべきであろう、しかしながら航空企業運営体制につきましては変えずにいけるということを申し上げたかったわけでございます。
  93. 池田克也

    ○池田(克)委員 るるお話がありましたけれども企業体制についてはそうかもしれませんが、問題は航空輸送需要動向ですね。きょうは大臣もお見えですが、今日、成田問題で大臣大変に苦労していらっしゃると思うのです。私は、この成田の問題とこのロッキードの問題と関連はあると思うのです。どういう関連かと言えば、この航空需要動向、特に「増大する輸送需要動向背景に考えるとかなりの機数エアバスを必要とすることから、」こうございます。政府の施策というものはこの航空需要というものをあおってきたんじゃないですか。私は、そういうことを改めてこの場で指摘しなければならないと思う。先日、三十日の本会議で成田問題の集中的な質疑が行われました。そのとき総理はこうおっしゃっておった。ともかくもう羽田空港は過密状態で、一触即発だ、へたすれば本当に大事故が起きる、何とかひとつ成田を順調に出発させてもらいたいという切実な総理の訴えでございました。私、それを伺っておりまして、一部わかる気持ちもありますが、しかし羽田をいっぱいになすったのはだれですか。飛行機の発着の問題については、やはり運輸省はその監督あるいは許認可の権限をお持ちだったんじゃないか。  ここで、私は、そうした問題を指摘するのに当たって、羽田空港を飛び立っている、あるいは着陸しているお客さんの中で、本当に忙しくて飛行機を使わなければならない人と、観光あるいはその他、急を要さないと言ってはなにかもしれませんが、私は二種類に分かれると思うのです。どうしても急ぐというのはこれは飛行機もしようがないと思います。しかしいま月に六万回から七万回かの発着が行われておりますけれども、こういうような状態の中で割合があると思います。何かデータを持っていらっしゃいましょうか。観光客と、本当に急を要するビジネスといったような比率ですね。
  94. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 路線によりましてもかなり違いますが、全体で見まして、観光客の比率は非常に高うございまして、特に国際線の場合には三分の二以上が観光客であります。国内線の場合はそれほど多くないと思いますけれども、しかし半分はやはり観光目的であると思います。
  95. 池田克也

    ○池田(克)委員 観光客の比率が高いとおっしゃる。それであるならば、もう人命の尊重で、警察官と過激派がピストルで撃ち合ってもいいじゃないかという議論が出ているくらい、成田の開港については命がけの争いです。その背景にあるものは羽田がいっぱいだということだからです。そうなると、それほど片方では警察官の命の問題にもかかわってきて、重大な国家の威信がかかっている状態の中で、羽田が本当に過密かどうかという分析が十分になされていないんじゃないか。そういう中で、ここにありますが、飛行機会社は大々的な観光宣伝をしているのです。これはけさの東京新聞です。調べてみますと、きょうから七日までの間に各紙にみんなこの全ページ広告を出す。そしてもうすでに三月の末に出ております。ZEROとかと書いてある。ゼロどころではない、ものすごいミリオンです。大変な客を大々的な宣伝をして集めて、結局そのしわ寄せというものは、飛行場が過密である、過密だから飛行場をつくらなければならない、そして大型機が導入される、だからフィクサー児玉が飛行機の売買に絡んでくる、結局もとをただせば、ロッキード事件というものも、この航空のお客の需要というものをどんどんあおってきた。そうしたしわ寄せというものが全部ここに出てきている。大臣、率直に申しまして、私、航空会社の経営に携わるわけにいきませんが、いまのようなときに毎日毎日連続して幾つもの新聞にこういう全ページ、一回千何百万ですよ、この広告代というものは、十の新聞に出せば一億何千万という金を日本航空は使っていらっしゃる。こういうようなことをして、国民の最大関心事でありながら、レジャーも結構です。結構ですが、いまこういう事態にこういうふうなやり方というものは許されるべきじゃないと私は思うのですが、率直な大臣のお考えを伺いたいのです。
  96. 福永健司

    福永国務大臣 その広告、私まだ見ておりませんが、いずれにしても……(池田(克)委員「どうぞごらんください」と呼ぶ)いや、ここで見てすぐにどうというわけにもいかぬが、いろいろの御批判があろうと思います。しかし、私とすれば、飛行機会社に広告をやめておけと言うわけにもいきませんが、たとえば成田なら成田を開港するということと関連いたしましても、羽田だけでなくて成田が開港された後においても、急激に航空機会社の多くが期待する、ないしはまだ入ってない世界各国から何十というように希望が来ておりますが、そういうものにどんどん発着させてというようなことにつきましては私かなり慎重でございます。各国から私のところへ、大臣とか大使とかいうような諸君がずいぶん大ぜい参りまして、成田が開港になったらさっさとひとつ便をふやしてくれとかあるいは新しく認めてくれとかいうような話があり、なお成田が開かれたら何とかなるように返事を受けているかのごとき話等がございましたので、いずれも、成田が開港したらという返事を受けてあなた方が成田開港後すぐにそうなるなどと考えられては困る、成田が開港になってないという事態のもとにおいてはもちろん話にならぬが、成田開港後適当なる時期に認めるというような意味でいままでの連中は言っておるのだろう、私は少なくともそういう気持ちである、成田が開港になったらすぐにたくさんそういうものを認めるということはできません、こういうようなことを言っておりますということは、航空の状態を考える、まあ確かに政府が先ほどからあおっているとかなんとおっしゃいましたが、あおらなくても時代の趨勢は時代の趨勢で進んでいきますが、しかしそれらを見つつ、なるほどという施策を講じていかなければならぬことは当然でございます。そういうような意味で先ほどからお話を伺っておったわけでございます。今後ともこういうことに対しましてはなるほどという施策の推進を行っていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
  97. 池田克也

    ○池田(克)委員 いま局長からのお話の中で、半分以上、多いときは三分の二ですか、観光客だ。あおらなくても時代の趨勢がそうだとおっしゃいますが、いま私が指摘したのは羽田です。羽田がまた沖にできるとか、成田も第二滑走路ですか、第二期工事とか言われておりますが、いま日本が置かれている状態の中で、緊急を要する飛行機の旅、私はそれは仕方がないと思いますよ。しかし、国鉄だって赤字ですね。たとえば東京−大阪間の飛行機、どのくらい時間がかかりますか。東京駅から私が乗ったとして、伊丹へ着いて大阪の駅まで行くのに、どうですか局長、正直言っていま飛行機の旅で何時間かかっていますか。ハイジャック防止でかなり早く飛行場へ行かなければならない状態ですよ。
  98. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私は非常に飛行機のきらいな人間でありまして、大阪へはほとんど新幹線で参りますけれども、飛行機を使う場合になかなか時間がかかります。まず都心から羽田までやはり二十分や三十分はかかる。それから羽田の空港に着きましてから、最近はハイジャックの検査等がありましてかなり時間がかかる。飛んでいる時間は五、六十分でございます。しかしまた、空港へおりましてから大阪の都心に行きますのにはやはり二、三十分かかる。     〔委員長退席、増田委員長代理着席〕 こう考えますと、新幹線の東京から大阪の都心まで、新大阪から大阪の都心へ行きます交通を考えましても、それほど航空の方が時間がばかに短いと思わないわけですけれども、どうしてもお客さんというのは乗っている時間だけで計算するわけです。必ずしもその計算、正しくないのでありまして、全体の時間を考えるならば、もっと新幹線を活用すべきである。したがって、特に東京−大阪、五百キロでございますね、五百キロ未満につきましては原則としてこれは新幹線等で行く。これ以上超える長距離の航空、たとえば東京から北海道とか九州あるいは裏日本、これはどんなにしても飛行機の方が時間が早いし、鉄道はその倍も三倍もかかりますので、そういったことから、私どもといたしましては、何と申しますか航空の特性を発揮し得るような需要、つまり長大距離あるいは脊梁山脈越え、海峡越え、内海越え、離島、こういうところにつきましては航空需要、今後ふえるものに対処をしていこう。しかしながら、新幹線でかえるものにつきましては新幹線になるべくかわってもらいたい。かわってもらいたいというか、新幹線から航空に来てもらいたくない。  と申しますのは、御指摘のように私ども一生懸命空港政策をやっていますが、田舎の方は別といたしまして、東京、大阪その他の大都市では、空港政策は容易じゃございません。私、航空局長になりまして、空港問題の仕事、八割でございます。そのくらい空港問題でこんなに苦労しているのに、言葉が過ぎるかもしれませんが、ゴルフやスキーに行くのに飛行機を使う。これではやはり困るのじゃないかというところから、何とかしたいのですけれども需要の抑制、選別ができませんので、非常に私心の中に乱れを感じながら行政をしているわけでございますが、今後そういったことは国民教育と申しますか、もっと広い立場から理解をしていただきまして、私たちも本当に航空を使うに必要なふさわしい方にだけ航空輸送を整備していくという方向で今後ともしていきたいと思っております。
  99. 池田克也

    ○池田(克)委員 つまり、成田の問題では閣僚協議会で総理以下ずらりと閣僚がお並びになって重大な協議をする。その根っこになっているのがいまの問題なんですね。局長さんでは確かに無理かもしれません。需要の抑制、確かに自由競争ですが、路線があれば飛行機会社は宣伝します。いまみたいなでっかい広告を出してやります。私は便数を減らすべきだと思うのです。特にいま局長がおっしゃったこと、私、賛成です。東京−大阪間なんかは新幹線の方が早いし、国鉄もそれで潤うし、これは同じ運輸省じゃありませんか。私は別に運輸省の応援団じゃありませんけれども、いまの局長考え方はぜひそうあるべきだ。局長、どうですか、便数削減どうですか。国内線どうですか。便数削減、ひとつ方向として考えていただきたい。
  100. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 東京−大阪間につきましてはいわゆる騒音問題の解決を図るためにエアバスというものを昨年の五月から入れております。エアバスは輸送力が大きくなるのですけれども、同じ便数を飛ばしたのでは供給力増になってしまって、私の申し上げましたことと矛盾いたしますので、昨年来エアバス導入しておりますけれども、提供座席数、供給輸送力は変えておりません。こういうことでいくべきだと思っております。
  101. 池田克也

    ○池田(克)委員 この問題ばかりやっていられないのですが、私の感じは、つまり運輸省航空局がいまの政治の一つのいけにえになっているのじゃないか。たとえばドル減らし、この間ドル減らしで二月の十一日でしたか、閣僚会議が行われました。運輸大臣も御出席だったと思いますが、あのロッキード事件の問題になった当時、箱根会談、エバリー、今度はストラウスですね。     〔増田委員長代理退席、委員長着席〕 そうして田中総理から福田総理、丹羽運輸大臣でしたか佐々木運輸大臣でしたか、福永運輸大臣と、ずっと名前を入れかえますと、あの当時といまと似ているのじゃないか。ドル減らしだから飛行機を買いなさい。それに伴って路線の問題もめんどう見ようという、そこまで断言はされておりませんでしたが、東亜国内航空に関しては要求されている便の問題もあるのじゃなかろうか。あるいは航空会社の三社の社長さんをお集めになって、ぜひとも協力してもらいたいと大臣はおっしゃっている。しかしいま申し上げたように、便数が結局ふえることになる。飛行機会社は飛行機を買ってじっと倉庫に置いておくわけはありません。結局、客を乗せます。乗せれば飛行場におります。そうすれば結局過密になっていくのです。必ず成田の問題、ずっとなっていくのです。もとのところをとめなければ、幾らこの問題でお巡りさんをふやしたって、警備陣をふやしたって、同じことになっていってしまうんですね。この考え方は、結局のところ、私は運輸省だけを責めるわけにいきませんが、いまの日本の政治の流れの中で、ドルが余ったら飛行機を買いなさい、結局運輸省航空行政が、大変お気の毒ですが、失礼な言い方かもしれませんが、しわ寄せされてきてしまっている。そしてこういうところで航空局長答弁をされる。私は、航空局長余りいい気持ちがしていらっしゃらないんじゃないかなと思うのですよ。どうですか、私はこういうような感想を持つのです。もう一遍この問題この四十五年をそっくりこれを生かす、ちょっと言い過ぎだと局長おっしゃっていましたが、私はもう一遍航空のあり方、輸送全般のあり方を見直していくべきだ。そして大臣にお願いしたいのは、あのときのドル減らしのために飛行機をいっぱい買いますという話はぜひとも総理に対して断ります。外務大臣に対して断ります。いま大変なんです。ロッキード事件が片づかない今日の時点で飛行機を買うということはまた臭い事件が起きるのです。そうやって運輸大臣は抵抗されるべきではないかと私は思うのですが、抵抗されましたか。
  102. 福永健司

    福永国務大臣 大変重大な問題が数点含まれております。まず交通政策全体を総合的にいかにあらしむべきかというそういう見方から、なるほどという施策を確立していかなければならない。この総合対策につきましては、もとよりいままでも考えられておりますが、ここでうんと厳しく検討することの必要を私自体も痛感しております。たまたま航空も鉄道も船もみんな一省で担当しているということは、ある意味において厄介なことをうんと引き受けたということではありますが、ある意味において、施策の推進等においては都合のいい場合もございます。私はいずれもそういう点について素人なんでございますが、ただいま伺っておりますようなお話は、むしろ素人が冷静に考えて対処することがより適切な方策を講じられることも——こともと言っておきましょう、こともあろうかと私は思います。そこで、そういう意味で今後対処してまいりたいと思うわけでございます。  それから、ドル減らしとの関連において申しますが、要らない物を買えという話ではないし、そんなことは福永健司という男は断じて聞かないのであります。そういうことでなくて、飛行機は正直な話、注文いたしましても、その年にすぐというわけにはいかないのです。何年か後にやっと入るというようなことでございますから、うんと買えと言われてうんと買うみたいな話を先ほどなさいましたが、そういうわけでは断じてないのでございまして、言うなればそういうことでございますから、私は無理して買えなんて言ってないのです。つまり、こういうようなときに幾らかドルも減らしたり、外国もなるほどと思うようなことも政治全体の中でもちろん考えていかなければならぬが、それなるがゆえに日本の交通政策を著しく曲げるというようなことはもちろん考えておりません。そういうことでございますから、私ども航空会社の考え等々も率直に述べさせて、そういうものをよく検討した上での輸入ということにしております。したがって、あの経過においてある程度われわれ運輸当局がやっておりますことについて、もっと急げ、もっと急げということが一部新聞等で伝わりました。そんなことで、急に急ぐようなわけには、現在のわが運輸省は断じてできないのであります。(「断じてが好きだな」と呼ぶ者あり)そこで、私はそういう意味で今度のことに対処しておりますから、いずれにいたしましても、ドル減らしというようなことで交通政策、特に航空政策が曲げられるというようなことがないということを私はみずからの信念において申し上げておきたいと思います。
  103. 池田克也

    ○池田(克)委員 飛行機を余りたくさん買うのではないと大臣はおっしゃった。私はてっきりドル減らしで飛行機をたくさん買うのだと思っていました。ずいぶんとお話が違うものだと思いますがへ時間がありませんが、ヨーロッパのA300アエロスパシアルですか、これは私日綿実業が代理店だと伺っております。後でまとめて答えていただきたいのですが、日綿実業の有価証券報告書なんかを見ますと、飛行機は全然扱っておりませんね。いろいろなことをやっておりますが、取り扱い品目の中に飛行機というのは一つも出ていません。恐らくこれからがんばっていくのでしょう。経験のないところですね。どうも新聞報道によればヨーロッパの飛行機に相当期待が寄せられているし、ヨーロッパの代表と日本の外交、ドル減らしの問題、こういう問題についても、向こうはマルクですか、かなり期待を寄せられているそうです。また、この代理店である日綿実業にはジョン・E・コニャールというアェロスパシアルのメーカーの副社長が二月の六日に来日いたしまして日綿実業内に事務所を構えた、こういうのですね。これはコーチャンが事務所を構えてがんばっておったのと同じケースですね。ともかく飛行機を買うとかドル減らしに買うとか言ったらわっと来るのです。さっき要らない物を買えという話じゃないと大臣おっしゃったが、飛行機はもう要らない、買いませんよとはっきり言って、少なくともロッキード問題が決着がつくまでは日本は飛行機を買わない。場合によってはどこかきれいなところが買ってリースした方がいいぐらいです。飛行機会社に買わせれば何か起きてくる。そういう毅然とした態度、それが納得できる運輸行政というものじゃないか。時間がありませんが、大臣どうですか、この問題について。
  104. 福永健司

    福永国務大臣 A300についての話がまずございましたが、これらにつきましては実は航空機会社等もかなり利口な行動をとっております。と申しますことは、どの飛行機を幾つ買うというようなことは私どもの方へ余り言ってないのです。そういうことを言うと、いまおっしゃったように、売る方ではそれなりの思惑があっていろいろ、ということになりますし、私どもといたしますと、さっき何も買わすなとおっしゃいますけれども、そうもいかないので、やはり必要なものは買わせていかなければならぬわけでございますが、航空機会社等におきましてはやはりどれだと言わずに、どれとどれとどれというような表現等もしておりまして、最も納得のいくサービスをする、安い高いとかということも一部ありましょうが、そういうようにして買うようにしております。賢明だと思います。そういうことでございますが、A300等ももちろん話題にのっておる一つであります。そういうことで、余り無理をしてというようなことは一切私ども考えておらないところでございます。  事務所を設けるというのは勝手だけれども、そんなことをしたって、金が要るだけでろくなことはないと思うのでございます。けれども、まあしかしそれは外国の商社がいろいろの営業政策でやるのを、そういうのを置くなと言うわけにもまいりません。  いずれにしても、私は、ロッキード委員会等でも非常に熱心に皆さんにいろいろ言っていただいておりますが、ここでいろいろ言われているような不詳事は断じて——断じてと余り言うと言うかしらぬが、確かに断じてなんでございますが、これは繰り返してはならぬと思います。  そういう意味で、いろいろ御指摘がございましたが、そういうことが絶滅されて二度と繰り返されないようにということは、運輸省は言うなればあつものにこりてなますを吹くぐらいなところがちょっとありますけれども、いまはそのくらいでちょうどいいと思うのです。そういう気持ちで臨みたいと思います。
  105. 池田克也

    ○池田(克)委員 時間がありませんが、きょうは刑事局長にもお願いしているので幾つか例を挙げます。  これは裁判で出てきた内容を、それを報道したある新聞社が本にまとめています。ずっと拾ってみました。昭和四十五年十一月二十七日に日航が申請したジャンボ機四機の取得認可は十一月三十日に橋本登美三郎運輸大臣によってオーケーが出ながら、翌四十六年二月にはこれが撤回されている。航空局の住田正二監理部長は日航の稲益氏を呼び、延期を伝えている。ロッキード第十回公判、五十二年五月二十六日。稲益氏は「全日空の場合は大型機導入が遅れた方がいいと思っていたのではないか」と法廷で証言をしている。また丸紅の松岡博厚氏は五十二年四月二十八日の公判で、大型機導入延期を「天佑だと思いました。遅れを取り戻せる」と証言し、堀田検事は五十二年六月九日の公判丸紅の部内資料を示し、「全日空社長が、日航のB747三機の国内線転用には、全日空として採算を度外視しても対抗するといっている」。また稲益証人は六月一日の公判で「全日空が日航の大型機導入延期をいろいろやっていたフシがあったので、」とも証言している。また昨年、五十二年九月二十一日に行われた公判の法廷で、元全日空経営管理室長の藤原亨一氏は「四十五年十月以降に、万国博後の需要減で導入見通しが変更された。導入延期は、四十五年十二月に作られた四十六年度からの五ヵ年計画でも、四十七年八月から四十八年三月までにすると明示されました」、なぜ四十九年に延期されたか、「このことで、自民党に働きかけましたか」という小林検事の問いに、藤原亨一氏は「四十六年五、六月に自民党の航空対策特別委に説明に行ったことがあります」と説明をしています。このときの委員長福永一臣氏だと思います。また五十二年三月九日の第四回公判では、全日空常務会の議事録が取り上げられ「四十六年六月三十日の議事録。日航の国内線ジャンボ乗り入れ問題での渡辺(尚次全日空副社長)発言はこうです。自民党航空部会で検討してもらうことにした。福永一臣と会ったら……」、また四十六年六月三十日、新機種選定準備委員会「本委員会資料ファイルです。機種選定はまだ結論にならずとありまして、日航のB747導入を、あらゆる手段で引き延ばす、日航ジャンボの単独就航をできる限り短縮するとあります。」  こういうふうに七ヵ所、法廷でこういう証言がずらっと出ているのです。こういうことがあったかどうか、新聞報道なので刑事局長に事実の関係を教えていただきたい。
  106. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 御引用になりましたものを私も読んでおりますが、傍聴席におります新聞記者の諸君が筆記をするわけですから正確というわけにはいきませんが、大筋においてただいま御指摘になりましたような証言がなされております。
  107. 池田克也

    ○池田(克)委員 済みません、時間がありませんので最後一つだけですが、ここで「四十六年六月三十日の議事録。日航の国内線ジャンボ乗り入れ問題での渡辺(尚次全日空副社長)発言はこうです。自民党航空部会で検討してもらうことにした。福永一臣と会ったら……」と新聞報道はなっているのです。これは議事録ですから証拠が法廷に出されていると思うのです。この議事録そのものを、特にこの日付の分でも結構なんですが、写しか何かをこの委員会にお出し願うようにお計らいを願えないでしょうか。
  108. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 ただいま御指摘の議事録は現在証拠として裁判所に提出されておりますので、裁判所が保管しておりますから、そのもの自体あるいはそのものの完全なるコピー、こういうものをお出しすることはできないのでありますが、御要望によりましてはその要旨を御報告申し上げます。
  109. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 池田君にお答えいたします。  理事会で協議いたしまして、御意向に応じたいと思っております。
  110. 池田克也

    ○池田(克)委員 時間がございませんので、まだまだお伺いしたいことがございますけれども、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  111. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 大内啓伍君。
  112. 大内啓伍

    ○大内委員 伊藤刑事局長にお伺いをいたします。  先ほど質問に答えられまして、伊藤証言証言として不十分であるというお話がございましたが、一月三十日の大久保証言に始まる副島伊藤、この三証言が行われまして、少なくとも三十ユニットに関する金銭授受については明確になった、こういうふうにお考えでしょうか。
  113. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 お金が物理的にあるところからあるところへ渡ったということは、おおむね立証できたように思います。
  114. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、伊藤証言証言として不十分であるという意味は、その金の性格について必ずしも検察当局が期待した証言が得られなかったという意味でしょうか。
  115. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 なお細かい部分もございますが、大筋から申しますとただいま御指摘のとおりでございます。
  116. 大内啓伍

    ○大内委員 この伊藤証言が行われました際に、二階堂元官房長官は次のような談話を四月三日に発表しておられます。「私は伊藤宏なる人物とは一面識もなく、同人より現金を受け取った事実は天地神明に誓って絶対にない。私は五十一年十一月一日の衆院ロッキード問題調査特委員会に対する政府報告以来、灰色高官なる汚名を着せられ、政治家としての活動を制約された。本日、その源泉が伊藤であることを知り、同人の証言が虚偽であることを明確にし責任を追及するため提訴した」こういう談話を発表いたしまして、金銭の授受を真っ向から否定しておられます。これについてどういうふうにお考えでしょうか。
  117. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 私も新聞でそのような談話をされたことを承知しております。
  118. 大内啓伍

    ○大内委員 いまの二階堂元官房長官の談話では、伊藤氏とは面識もないし金銭授受もない、この二つの点が非常に重要なポイントだと思うのでありますが、これは新聞に報道された伊藤証言のドキュメントという面から見ると、一つには、官房長官の公邸に行った、そしてその行き方は松岡という運転手の車で行った、そして本人には確かに会った、そしてお金も渡した、さらには鹿児島における畜産、養鶏のえさ工場をつくる話もそこでしたというような証言が法廷で行われている。としますと、これは面識並びに金銭授受がもちろんあったという証言でありますが、この証明はできるという自信をお持ちですか。
  119. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 二階堂氏は現在被告人となっておられないわけでありますから、形式論から言えばその関係を十分に立証する必要はないという言い方もできるわけでありますが、先般来申し上げておりますように、起訴されておる方々と一連の関係に——もうすでにだんだん明らかになっておるわけでありますが、一連の関係にありますので、やはりその辺の裁判所の心証が揺らいでくるということになれば、起訴された部分についての裁判所の心証も影響されることになりますので、かっちりと立証に努めておる、こういうのがいま検察の態度でございます。
  120. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、その面識と金銭授受については、立証し得る新たな証拠を出すということですか。
  121. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 およそ訴訟手続におきましては、裁判所が心証をとってくれておるかどうかということを見ながら対応するわけでございまして、それは現場の検察官がそういうことをやるわけでありまして、検察当局でもし裁判所の心証がいまだもう一息だというようなことになれば、さらに補充の立証をするというようなことになるのではないかと思います。
  122. 大内啓伍

    ○大内委員 この伊藤証言では、実は二階堂元官房長官に対して五百万円渡したという正確な日時が証言されておりません。これについてはどういうふうにお考えですか。
  123. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 私が報告を受けておりますところでは、正確な日時ということではなくて、金ができた翌日か翌々日と、若干のアローアンスがあったと思います。朝は相当早い時刻である、こういうふうな証言になっておったと思います。
  124. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、その日にちは正確でないということになりますね。
  125. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 ちょっと御質問の趣旨を的確に把握いたしかねますが、人間の記憶に基づく供述でございますので、一日、二日のずれを何らか是正するような客観的なものでございますとさらに特定される、そういう性質のものだろうと思います。
  126. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、検察当局としてはその日にちを特定する証拠はいまのところ持っていないということですね。
  127. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 その辺は持っておるかもしれませんし、持っておらないかもしれません、報告を受けておりません。
  128. 大内啓伍

    ○大内委員 大久保証言を除きまして、副島伊藤証言では、これまでの調書で述べてきたことを覆しまして、その渡したお金の趣旨についてはお礼ではなかったという証言をいたしております。つまり賄賂性の否定と申しますか、そういう証言になっております。これは、言うまでもなくこれまでの検事調書とははっきり違っておりますが、この点はどういうふうにごらんになっておりますか。
  129. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 およそ贈収賄事件の公判におきましては、関係者が金の授受は認めても趣旨はあいまいに言葉を濁すというのが常でございまして、そういう常の贈収賄事件の形態だな、こういうふうに思っております。
  130. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、大体予想どおりということになりますが、公判における供述と検事調書が違った場合には、言うまでもなく刑事訴訟法三百二十一条の第二項ということで、つまり、公判における供述よりかさらに信用すべき特別の情況の存在というものが必要でございますが、その辺は立証し得る、いやあるいはいろいろな証拠の積み重ねからこれは証拠になり得る、こういうふうにお考えですか。
  131. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 具体的な取り扱いは検察当局がもっぱらその責任と判断でやっておるわけでございますが、私自身の同種事件の過去における経験からいたしまして、たとえば取り調べました検察官証人になって調べた当時の情況を詳しく証言するというようなことによりまして、ほとんどと言っていいぐらい検察官調書が証拠に採用されておるというのが過去における贈収賄事件の例でございます。
  132. 大内啓伍

    ○大内委員 これから全日空の若狭前社長並びに藤原前取締役、両被告の証言が行われることになりますが、その金の趣旨説明においては両者の証言が重要だとお考えですか。
  133. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 証人として調べるかどうかわかりませんが、多分そうではなく被告人質問という形で聞くのだろうと思います。当然被告人の立場では事実を争っておるわけでございますから、その争っておる線に沿った話になる可能性が多いのじゃないかというふうな感じがいたしております。
  134. 大内啓伍

    ○大内委員 伊藤証言では、これまでの調書における供述を覆しまして、田中元総理に対する三十ユニットにかかわる一千万円の贈呈については、はっきり全日空から依頼されたものであって、自分が裁量したものではない、これはもちろん検事調書とは違うわけでございますが、この調書との差、この証言についてどういうふうにお考えでしょう。と申しますのは、これは後の丸紅ルートにかかわる五億円という問題にも若干関連をしてくるようにも思います。しかし、いまお答えいただくのはその問題と一応切り離しまして、はっきり調書との差がこの問題について出てきている、この辺をどういうふうにお考えでしょう。
  135. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 先ほども申し上げましたように、今月の十七日に伊藤証人はもう一回出てまいりまして、弁護側反対尋問を受けるわけでございまして、多分その後に裁判所からの補充尋問とか、検察官からの再主尋問もあるのではないか、そういう吟味を経てこの全体の証言の評価をする、こういうことになろうかと思います。
  136. 大内啓伍

    ○大内委員 そういたしますと、先ほど冒陳の内容はいまの証言では立証できないと申されましたが、この田中被告への一千万円についてもそれらの措置が必要だという意味でございますね。
  137. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 私が必要性の有無を判断するわけではございませんので、何とも申し上げかねますが、尋問について矛盾とかそういうものがあればそこをつくのがやはり検察官の務めでございますから、しかるべき処置をすると思います。
  138. 大内啓伍

    ○大内委員 田中元総理被告は、これまでロッキード社からいかなる名目にせよ金を受け取ってはいないということを言い続けてきたわけであります。もちろん弁護団もそういう主張をとっておったわけなんですが、この伊藤証言によって、田中元総理被告に対してロッキード社の資金である三十ユニットの一部一千万円が渡された、こういう証言がなされたということになりますと、この証言によって、これまて田中元総理被告が言ってまいりましたロッキード社からいかなる名目の金も受け取っていないというこの線は崩れたというふうに理解をされておられますか。
  139. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 その田中元総理が言っておられた線というのがどういうものか私もよくわかりませんが、少なくとも田中元総理に渡すべく一千万円を榎本に渡したという客観的な証言があった、こういうことは事実でございまして、それから何を想像するというようなことは私どもの守備範囲ではないように思います。
  140. 大内啓伍

    ○大内委員 いや、別に想像の問題を聞いているのではなくて、田中総理ロッキード社からいかなる名目にせよ金を受け取ったことはない、こういうふうに主張されているわけです。しかし、いま刑事局長が述べられましたように、田中元総理の秘書榎本氏を通じて伊藤氏から一千万円渡されたというこの事実関係はあったということになりますと、現実ロッキード社の資金が田中元総理に榎本秘書を経由して渡ったということになれば、いかなる名目にせよ受け取ったことはないというこの田中被告の基本的な主張は崩れたということに解釈することがきわめて論理的ではないかと言っているのですが、この辺いかがですか。
  141. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 確かに金が渡ったという客観的事実が裁判所によって認定されたわけではまだございませんで、一応検察側がそういう立証をしてそれに沿う証言があったということでございまして、田中元総理が主張されておるその主張というものは、お引っ込めになりません限りは存在するわけでございまして、崩れるとか崩れないとかいうようなものではないのじゃないかと思います。
  142. 大内啓伍

    ○大内委員 私は裁判所の考えとかそういうものを聞いているわけではないのです。検察当局としては、そういう証言があったことによって、田中被告のいままでのそれらの主張は崩れたと主観的にお考えになっているかどうかということを聞いているわけなんです。
  143. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 そういうお尋ねでございますれば、主張が崩れたというふうには思っていないと思います。なぜかならば、田中元総理に対する訴因は五億円の件でございまして、五億円の授受関係についてはなお立証を尽くさなければならぬわけでございます。そういう意味で検察としては田中元総理の主張が崩れたいうような判断は現在の段階で全くしておらぬと思います。
  144. 大内啓伍

    ○大内委員 それは告訴にかかわる事犯について申し述べられているのだろうと思うのですね。そうすると、この三十ユニットの田中氏に渡された一千万というのはどういう種類の金なんですか。ロッキード社の資金ではないというふうにごらんになっているのですか。
  145. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 私も気づいておりますけれども、いま仰せになっておりますのはきわめて常識に基づいてお尋ねになっておるわけでございまして、私どもは検察当局、非常にかた苦しい法律判断の立場でお答えしておりますので、すれ違うことになって恐縮に存ずるわけでございますが、ひとつ常識で御判断をいただきたいと思います。
  146. 大内啓伍

    ○大内委員 私は常識で聞いているのですから常識的な答弁をもらいたいのです。その告訴にかかわるそのことを聞いているのではなくて、起訴にかかわることを聞いているのではなくて、一千万円伊藤被告は田中被告に対して渡した、その資金はロッキードの資金である、しかし、田中氏はいままでロッキード資金については一切もらったことはないと言っているこのことは崩れているではないかと聞いているのですよ。常識的に答えてくださいよ。
  147. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 常識的に見て崩れておるというふうに見る方が多いであろうと思います。
  148. 大内啓伍

    ○大内委員 やっと出てまいりましたのですが、この証言は、起訴をされております丸紅ルート五億円の請託収賄というものに対して何らかの影響を持つことになりましょうか。
  149. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 丸紅ルート関係副島氏が証人に出ましたときに、検察官料亭木の下」ての会合等を立証事項として追加して証言を求めております。そういう意味において、広い意味の情況証拠として検察は取り扱っておるようでございます。
  150. 大内啓伍

    ○大内委員 大体事実関係に対する認識はわかりましたのですが、そうしますと、この三十ユニットについては全日空が主役であって丸紅はわき役であった、そういう見方をとっておられますか。
  151. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 全日空ルートの請託収賄につきましては、贈賄側が起訴されておりませんので明確な検察の判断は必ずしも示されておりませんが、冒頭陳述等にあらわれておりますように、全日空側と丸紅側とが協力して行った行為である、こういうふうに見ておるようでございます。
  152. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、主役もわき役もなくて大体同じような立場に立って今度のこの事件が遂行されたというふうにごらんになっているわけですか。
  153. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 厳密な法律判断を要する事柄でございますので、主役とかわき役とかいうような言葉で評価いたしますのはむずかしいと思いますが、どちらが欠けておっても起こらなかったことだろうと思います。
  154. 大内啓伍

    ○大内委員 四月三日の二階堂氏の記者会見で、昭和五十一年十一月一日の法務省報告というものは全面的に否定されました。そして、先ほど横路委員も聞きましたように、最高検察庁に対して上申書が提出された。これは法務省立場としても重要な問題だと思いますが、この法務省報告二階堂氏が全面的に否定しているということについてどういう御見解をお持ちですか。
  155. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 検察当局としては法務省が秘密会で御報告申し上げた基礎となりました資料を自信を持って収集し、その証拠評価をしておる、こういうことでございまして、これに対して二階堂氏がどういうふうにおっしゃったか、そういうことについては、私どもとしてはそれについての所見を申し述べることは適当でないと思います。
  156. 大内啓伍

    ○大内委員 二階堂氏の上申書提出に伴いまして、しからば再調査というものは行われるというふうに考えておられますか。
  157. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 まだ最高検察庁へ提出されたばかりの上申書でございますので、これに対して法務当局が検察に対してどうしろこうしろという筋合いでは全くございませんので、検察当局の判断にゆだねておるわけでございますが、今日ただいまのところ何らの報告がございませんから、いま読んでおるのではないかと思います。
  158. 大内啓伍

    ○大内委員 呼んでいるのではなくて読んでいるのでしょう。福永二階堂氏が国会で証人に立つことは三人の証言が終わった段階でも公判に影響して好ましくないというふうに考えられておられますか。
  159. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 しばしば申し上げておりますように、国会がおやりになりますことにつきまして私どもがとやかく申し上げる立場にはないわけでございますが、お尋ねでございますので率直に気持ちを申し上げさせていただきますと、訴訟というものは御承知のように非常に流動的なものでございまして、いついかなる状態が現出するかわからぬわけでございますが、さしあたりただいまの時点で考えますと、先ほど来の各委員の御質問に対して申し上げておりますように、私の推測では、検察官調書、伊藤宏あるいは副島氏の検察官調書の提出ということが今度の冒陳に書いてありますような事項の立証に必要不可欠な事態になっておるのじゃないかと思うのでございます。したがいまして、その検察官調書の採否をめぐってこれからまた議論があると思いますが、この調書が採用されまして証拠調べが終わりませんと、私どもとしてはなるべくそっとしておいていただけましたらありがたいと思っております。
  160. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、確認でございますが、検察官調書というものが出されて、証拠調べがある程度終わった、その段階においては差し支えないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  161. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 先ほど申し上げましたように、訴訟は流動的でございますから、どういう事態が発生するかわかりませんから、ここで検察官調書の取り調べが終わればそれはもういいのかとお聞きいただきましても、ここでそれはそうだとお約束申し上げるようなことはできないわけでございますが一いずれにいたしましても、当面のところ、その検察官調書の採否に影響を及ぼすような形の事柄が起きはしないかという気持ちで、それまでは特にそっとしておいていただけたらなあ、こう思っておるのでございます。
  162. 大内啓伍

    ○大内委員 前のお答えといまのお答えは若干違ってきたのですが——余りにらまないでくださいね、そうすると答弁が変わってくるような感じがしますのでね。そうしますと、特別に事情がない限りは検察官調書というものが出されて、証拠調べが終わった段階ではいいというお答えを先ほどされたんですね。特別の事情がない限りはいいんでしょう。流動的で何が出てくるかわからないという議論をすればこれは切りない議論ですが、一応のめどとしてはそういうふうにお考えになっておるんでしょう。
  163. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 本当に率直に申し上げさせていただきますと、公判の続いておる間は困るなあという気持ちはするわけでございますが、しかしながら、国会の国政調査の一環としておやりになることでございますから、私どもとしては先ほど申し上げた程度に現在考えておるわけです。
  164. 大内啓伍

    ○大内委員 もう時間が参りましたので最後一つだけお伺いして、終了したいと思いますのですが、同じ三日の記者会見で、二階堂元官房長官はこういうふうに言っておるんですね。「国会の委員会は、」この場合はロッキード委員会を指しておると思うのですが、「国会の委員会は、憲法や刑訴法が無視され、真相が解明されると思っていない。」これはなかなか重要なことなんですが、これは刑事局長並びにロッキード委員長に対して——さっき理事会で余り委員長に聞かぬということだったのですが、これは委員会の権威にかかわりますので、国会の委員会は憲法や刑事訴訟法が無視されるところだ、したがって、真相が究明されるところではないというこの発言はなかなか重要だと思いますので、刑事局長並びに委員長の御見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  165. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 ただいまの御質問は、私にお聞きいただきましても全くお答えができない質問でございますので、御勘弁いただきます。
  166. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 私、その文言をよく拝見しまして、そして研究してみたいと思っております。
  167. 大内啓伍

    ○大内委員 これで終わります。
  168. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、正森成二君。
  169. 正森成二

    ○正森委員 私は、最初に二、三の質問法務省にしたいと思います。  それで、いま二階堂氏の上申書の問題について二人の委員から質問がございましたけれども、本来この上申書の、自分は、金を授受したことがないので、よく伊藤などを調べ直してほしいという主張は、これはもしそういう立場でやるとすれば、伊藤副島あるいは大久保などの証言は、ロッキード事件公判維持に不可欠のものであるということで、金銭授受を含めて維持しなければならぬわけですから、検察としては、自分のロッキード事件公判を誤りであるとして調べ直すという自己矛盾を上申しておるということになるのですね。これは検察のいままでの全経過からしてもとうていできないことを言っておる。だからこそ、告訴という正規に事件として判断を仰がなければならないものではなくて、上申書という検察当局が参考にしてくれという形式にしたものにほかならない、こう思われるわけです。  そこで、こういう問題について調べ直すというようなことは、ロッキード事件の全公判をひっくり返すことをしてくれと言うているものだと私は認識いたしますが、刑事局長はどう受け取っていますか。
  170. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 確かに上申書の内容は、検察の現在置かれておる立場からしますと、大変無理な御注文が多々含まれておると思います。その処置については検察当局で適正に判断すると思います。
  171. 正森成二

    ○正森委員 次に、官房長官の公邸を伊藤が訪れたということで、訪問客の名前が記載されていないあるいは書類に載っていないということを大きな口実にされておるようですが、本来官房長官の公邸、これは家ですから、そこの訪問客はすべてチェックされ、記載されるような仕組みになっているのですか、それとも、記載される人もあれば記載されない人もあるということになっているのですか。
  172. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 その点、私まだ報告に接しておりませんので、御質問を契機に調べてみたいと思います。
  173. 正森成二

    ○正森委員 運輸大臣に伺いますが、運輸大臣大臣室への訪問客は、全部チェックされ、名前記録されるようになっているのですか。
  174. 福永健司

    福永国務大臣 いまおっしゃったような意味で、きちんとそういう調べをしてくれる人もありますし、そうでない人もありますし、私余りそういうことをきちょうめんにやっている方じゃございませんですが、いろいろじゃないかと思います。
  175. 正森成二

    ○正森委員 航空局長に伺いますが、運輸政務次官室は、昭和四十七年ころ訪問客は全部記録するようになっていたのですか。
  176. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私は、正確なお答えができるだけの内容を持っておりませんけれども、恐らく一般的にはいま大臣がお話をしたようなことでやっておられると思います。
  177. 正森成二

    ○正森委員 ということは、名前を記載した記録がないからそういう人が訪問したことがないということは言えないということを福永運輸大臣及び航空局長は言われたと思うのですね。  そこで、次にお伺いいたしますが、福永一臣氏は、法務省は、三百万受け取った、こう言っている。福永氏は、二百万円である、もう百万円は、数日前に全日空の渡辺が持ってきたのが受け取ったということを言っているのですね。そこで若干食い違いがありますので、自民党のある方は、そのことをもって、仮に証人として出てきた場合には、偽証罪に問われるのではないかというように考えられる向きがあるのですね。しかし、私が承知しておりますところでは、自分は二百万円を受け取っておる、こう確信し、そして、それについて意図的に三百万だ、二百万だと言っていないという場合には、仮に、万が一それが客観的事実に合致していない場合でも、これは判例上偽証罪ということにはならないということがほぼ確立した考え方ではないのですか。
  178. 福永健司

    福永国務大臣 正森さんのいまの最初のところで、私先ほどああいうように申し上げた、そういうことだから、名前がなかったからこうだというように断定されたようにお話しになりましたが、人によっていろいろ流儀がございまして、私の場合はそうでございましたが、他に、大臣とか官房長官をやった諸君はどうしたかといえば、それなりの流儀がありましょうから、私の場合はということにひとつおとりいただきたい。
  179. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 お尋ねの事柄は、議院証言法の関係のことであるようでございますので、私から的確なお答えはちょっと勘弁願いたいわけですが、一般の刑法上の偽証におきましては、記憶に基づいて、記憶にあるとおり述べれば、それが客観的事実と違っておっても偽証罪は成立しない、こういう判例になっております。
  180. 正森成二

    ○正森委員 通常の偽証罪についての考え方については、私の主張をお認めになったと思います。  そこで、もう一点だけ伺いますが、刑事局長は、検察官の面前調書は、いろいろな手続をして、採用されるまではできるだけそっとしておいていただきたい、もちろん国会でお決めになることだがというように言われましたが、仮に国会で質問をしましても、日本のキャリアの裁判官は法廷での証拠については影響されるけれども、それ以外の国会での証言やあるいは新聞記事の記載などには影響されないように訓練されておりますし、刑事訴訟法上も影響を受けるようなことがあっては全くいけないわけです。だから、そういう点ではそっとしておいていただきたいという気持ちはわからないでもありませんけれども、直接の影響はないのではないですか。
  181. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 いまおっしゃいますように、およそ裁判官というものは、なるべく他から影響されないように、みずから身を慎んでやっておられるものだと思います。しかしながら、人間でございますから、何らか外部の事象があって、それが非常に権威のあるところでなされますればなされるだけに、やはり人の子として何らかの影響を受けないとは言い切れないわけでございます。裁判の公正という観点からそういうことを申し上げておるわけであります。
  182. 正森成二

    ○正森委員 どうも刑事局長裁判官の資質評価というのは、小学校の子供をいたわる母親のような答弁で、私としては納得しがたいというように思います。  そこで、次の問題に移りますが、五十一年の十一月に法務省当局は、ロッキード委員会に、いわゆる灰色高官とされている人についての資料を、事実関係についてお述べになりました。一部の人たちは、証人に出てきてもいいけれども資料が明らかになっていない状況では反論のしようがないから出てこれない、こう言っていることは御承知のとおりです。そこで、先ほど同僚委員質問になりましたが、五十一年の十一月に国会に報告された事項関係する検察官手持ちの一切の資料を、これを要約ないしは調書の謄本を、国会の要求に基づいて提出される意思はありませんか。
  183. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 しばしば申し上げておりますように、国政調査に対してはできる限りの御協力を申し上げるつもりでおるわけでございますが、何分捜査資料と申しますのは、御承知のように被疑者、関係人の名誉を守りながら、かつ、将来における一般国民の検察に対する信頼と協力をつなぎながら行われておるわけでございまして、捜査資料そのものをお出しするということは御勘弁いただきたいと思うわけでございます。ただ、逐次公判へ出まして証拠調べが行われましたものにつきましては、委員会からの御指摘がございますれば、できる限りの協力をして御報告を申し上げたい、こう思っております。
  184. 正森成二

    ○正森委員 それでは、運輸省に対する質問をしたいと思いますが、運輸大臣の通達の策定に参画する権限というのは、運輸政務次官は当然持っておりますね。
  185. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 運輸省のそれぞれの大臣、政務次官、事務次官等々の職務権限から申しますれば、一般的には持っておられます。ただ、政務次官は政務上大事な問題について大臣を補佐するわけでございますから、その種のものについて参画されない場合もありますけれども、参画される権限は持っていらっしゃると思います。
  186. 正森成二

    ○正森委員 被告とされております佐藤は、丹羽運輸相からいわゆる四十七年の大臣通達案の作成については四十七年の三月ごろ特命を受けたという事実はございますね。
  187. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは御指摘のように、丹羽運輸大臣佐藤政務次官に対しまして、四十五年の閣議了解を具体化する作業を御命じになったことは事実でございます。
  188. 正森成二

    ○正森委員 そこで佐藤孝行は内村航空局長、住田監理部長ですかに、全日空の近距離国際線進出を許容するというような方針を示して、案の作成を指示しましたね。事務当局はそれに対して、通達作成の必要はないという旨の意見を述べたのではありませんか。
  189. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 全日空の近距離国際線への進出の問題は、実は当時の佐藤政務次官が初めておっしゃったことではざいませんで、四十五年の運政審答申の中にすでに、全日空は近距離国際線不定期をやるというふうな趣旨のことが書いてございますので、そのことを受けまして閣議了解もできましたわけでございますので、これを具体化する作文を事務当局に指示をしたというふうに私どもは理解いたしております。それに対して、これは冒頭陳述にありますように、通達にすると非常にリジッドになってしまって運用しにくいから、通達にすることについて好ましくないと言ったかどうかは、私は確認いたしておりません。
  190. 正森成二

    ○正森委員 そういうことがどうして確認できないのですか。私どもは、人を逮捕して調べなければならないような内容については、運輸省は検察庁と違うから当然だと思いますけれども、そういう航空行政の、多少とも国民からの疑惑をただすようなことについて、それ自体は犯罪でも何でもないことについて、当時の次官や局長や部長に聞いてみるというようなことは当然行われておってしかるべきだと思うのですね。それを全然やっておらない、あるいは答えようともしない態度のまま放置しておるということになりますと、これは国会へ証人として来てもらう以外には仕方がないという議論にならざるを得ないですね。自主的に運輸省がそういう点を調べて、そしてできるならば国会に報告するというのが当然ではありませんか。
  191. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この点につきましても、私どもいろいろできる限りの努力をいたしたわけでございますけれども、御報告するに足るような事実を把握できなかったわけであります。
  192. 正森成二

    ○正森委員 じゃ私、聞きますが、関係者に聞くことは聞いたのですか。そしてその内容の聞き取り的なものはとったのですか。
  193. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 聞き取りはとっておりませんが、関係者には聞きました。
  194. 正森成二

    ○正森委員 時間の関係であと一、二伺いますけれども佐藤は、結局、全日空からの陳情を受けたこともあって、日航の沖繩線ジャンボ就航のための事業計画の変更認可申請については、策定中の大臣通達案が完成し、各航空企業の位置づけが終わってから可否を決するべきものとして、事務当局の認可すべしという意見に反対しているのですね。また佐藤は、若狭から、大型ジェット機の国内導入時期について請託を受けたこともあって、その後も日航の沖繩線ジャンボ乗り入れに強硬に反対し、事務当局は日航の前記申請に対して可否の判断を示すことができなかったんですね。そこで結局、事務当局と佐藤とが大臣通達案の作成をめぐって対立するということになったんじゃないですか。
  195. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども、具体的にどういうやりとりがあって、どの点で対立があったかということにつきましては、把握いたしておりませんけれども、事務当局案と言われるものに対して、当時の佐藤政務次官がかなり異なった意見を持っていらっしゃいまして、その結果何遍も案が練り直されたことは聞いております。
  196. 正森成二

    ○正森委員 いま一部をお認めになりましたけれども、事務当局としては、当時の佐藤運輸政務次官の極端な民業優先の方針をこのまま黙視したのでは航空行政に重大な支障を生ずるとの危機感を持って、第二次佐藤案の対策として事務当局案を作成したというのが事実じゃないのですか。
  197. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども承知いたしておりますのは、一番初めに航空対策特別委員会にお出しいたしましたのは、かなり事務当局の考え方そのままを出した案だったと思います。それに対しまして特別委員会の席上でいろいろ御議論があったように伺っております。そこでそういった特別委員会、これは自民党の特別委員会ですが、出た意見をさらに参酌して第二次案をつくるという作業が行われたように聞いております。
  198. 正森成二

    ○正森委員 時間の関係で私省略いたしますけれども昭和四十七年五月二十九日に自民党の航空対策特別委員会に丹羽運輸大臣佐藤政務次官、町田事務次官が出席することになっていたのではありませんか。ところがそれを断ったのではありませんか。
  199. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これはすでに当委員会に御報告した資料に書いてございますところでは、四十七年五月二十六日に特別委員会が開かれまして、日本航空全日空東亜国内航空の三社の代表の出席を求め、いわゆる佐藤試案について各社の意見を聴取いたしました。なお、当日の委員会には運輸事務当局は出席をしておりません、こういう御報告をしたわけでございます。
  200. 正森成二

    ○正森委員 出席していないのは、結局佐藤政務次官と事務当局との間に大きな意見の相違があったので、それを調整することができない、あるいは皆の前でそれを明らかにするということが不得策であるので、丹羽運輸大臣が病気であるということを理由にして、委員会への出席を運輸省側は断ったということではないのですか。
  201. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 その事実は私どもは把握いたしておりません。
  202. 正森成二

    ○正森委員 刑事局長に伺いますが、以上私が述べたことは、冒頭陳述にも大部分記載されていることですが、検察当局としてはこういうことを冒頭陳述に記載する以上は、佐藤政務次官から事情聴取したか、あるいは関係者の町田、内村、住田氏から聞いたか、あるいはそれより下級の運輸官僚から聞いたか、何らかの客観的な証拠がなければ、こういうことは冒頭陳述に書けないと思うのです。ですから、そういう資料を入手した上での冒頭陳述の記載だと思いますが、いかがですか。
  203. 伊藤榮樹

    伊藤(栄)政府委員 冒頭陳述はすべて客観的な証拠に基づいて書いてあるわけでございます。
  204. 正森成二

    ○正森委員 いま刑事局長は非常に明快にお答えになったのですね。そうすると、恐らくこのいま私が申し述べました、名前を挙げた人が詳細に述べたからこそ、こういうことが冒頭陳述に書かれていると思うのです。それを全く同じことを運輸省が後追いしなければならないというものではありませんけれども、しかし運輸大臣運輸政務次官経験者がロッキード事件で起訴されておるという運輸行政の姿勢を正さなければならないというときに、いまだ全く事実を把握しておりませんということでは、国民を納得させることができないし、また運輸行政を正していくということもできないのですね。運輸行政を正すというからには、こういう非違があった、あるいは改むべき点があったという自覚、認識があって初めて直していこうというのであって、把握しておらないからどうだかわからぬというのであれば、そもそも運輸行政を正していこうという意欲がわいてこないということになるのです。  時間が参りましたので、私は福永運輸大臣に——福永健司運輸大臣の方でございますが、伺いたいというように思うのですけれども、五十一年八月二十五日の委員会で、当時の木村運輸相は、社会党の稲葉議員質問にお答えになっておりますが、「そういう行政の結果を生む、その前段階におきまして、いまのようないろいろな疑惑や不信を持たれるようなことがあったということは、きわめて遺憾なこと」というように述べておられるのです。さらに、航空行政を進める手続の過程におきましての反省は依然として残っておるということを認めた上で、そういった問題の再検討をしようというのが今回の総点検の基本的な考え方でございますと、こう一応言うておられるのです。ところが、総点検をされた後も、事実は把握していないというのが高橋航空局長のお答えで、今度三月十五日付でお出しになりましたこの「昭和四十年代以降の航空政策展開と今後の方向について」という文書を見ますと、その一番最後の方には、「社会の鏡に照らして常時自らの姿勢を点検反省し、行政の執行に誤りなきを期して行きたい。」こうなっているのです。つまり、これは過去の運輸行政の過程において反省すべき点があったということを認めた上でじゃなしに、そういうことはほったらかして、人間常に行わなければならない、「社会の鏡に照らして常時自らの姿勢を点検反省」したいという一般論にすりかわっておるのです。私は、福永運輸大臣は非常に人格の高い方だと思われますから、こういうことは言いたくないのですけれども、こういうように五十一年当時よりも一見後退されたように見える表現になっておるというのは、決して福永運輸大臣の本旨ではないと思うのです。そこで福永運輸大臣航空行政がいやしくも国民の疑惑を招かないようにすべきであるという所信の御表明をいただきたいと思うのです。
  205. 福永健司

    福永国務大臣 私は、いまいろいろ述べられております事件等につきましては、まことに残念ながらろくに知りません。ろくに知りませんが、この事件の重大性というか、これについてわれわれが大いに考えなければならぬということについては強く感じているものでございます。それだけに、運輸省に過去においてあったとか、あったのではないかという疑惑等を受けられているという事態があったということは私は非常に遺憾に思います。これは、前の大臣の木村君も遺憾であるという言葉を使っておりましょうが、必ずしも同じことではありますまいけれでも、大変そういうことについては残念に存じます。  ただ、正森さんの先ほどからの話を聞いておりますと、ずっとそれをたどっていくと、私ども今度申し上げたことが、何かえらいいいかげんな申し上げ方のように言われますが、これはみんな苦労して一生懸命に調べてああいうように申し上げたので、私もそういう報告を受けて、先ほどのように申し上げました。決していいか、けんにしておるわけじゃないのでございまして、正森さん御指摘のようなことを十分頭に置いていくならば、もっと違った報告書が出てもしかるべきじゃないかというように受け取れる点につきましては、私も、これはお話をよく伺って私なりにいろいろこれからもやらなければならない、こう思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、運輸省にこの種のことがあっては断じてならないという——もう一遍断じてと言えということでございますから、全く絶対そういうことがあってはならぬと私強く考えております。御注意の点等は今後に大いに生かしていきたい、こういう所存でございます。
  206. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  207. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会