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1978-03-01 第84回国会 衆議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月一日(水曜日)     午前十一時四十六分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 塩崎  潤君 理事 増田甲子七君    理事 箕輪  登君 理事 小林  進君    理事 横路 孝弘君 理事 坂井 弘一君    理事 大内 啓伍君       佐藤 文生君    竹内 黎一君       松永  光君    保岡 興治君       稲葉 誠一君    大出  俊君       坂本 恭一君    只松 祐治君       横山 利秋君    池田 克也君       鍛冶  清君    鳥居 一雄君       中野 寛成君    正森 成二君       加地  和君  出席国務大臣         法 務 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         法務省刑事局長 伊藤 榮樹君  委員外出席者         ロッキード問題         に関する調査特         別委員会調査室         長       長崎  寛君     ————————————— 委員の異動 二月六日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     竹内 黎一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  ロッキード問題に関する件      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  ロッキード問題に関する件について調査を進めます。  この際、委員長から御報告申し上げます。  前回の理事会要請のありました加藤六月君、佐々木秀世君、二階堂進君、福永一臣君の四人について、これは五十音順に申したわけでございますが、証人喚問にみずから進んで応ずるかどうかを私から尋ねましたところ、四人とも応じないという意向でございました。  その理由として、私が聴取しました要旨は、左のように理解いたしました。  一つには、目下公判進行中だから、それに影響を与えてはならないので差し控えたい。また一つには、一切の捜査資料委員会に示されなければ反論の根拠がないので証言ができない。  右のうち、理由一つであったり、二つ重なったりいたしております。     —————————————
  3. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 この際、ロッキード事件公判状況及び去る一月三十日の東京地方裁判所における前丸紅株式会社専務大久保利春君の証言の概要について、法務大臣より報告を求めます。瀬戸山法務大臣
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ロッキード事件公判については、丸紅ルート関係及び全日空ルート関係では一週間に一回くらい、児玉関係では一ヵ月に一回ないし二回、小佐野関係では一ヵ月に一回程度割合で、公判は比較的順調に進行しておりますが、開廷回数等公判具体的状況については政府委員から答えさせることといたします。  また、去る一月三十日の東京地方裁判所における大久保証人証言の骨子は、証人大久保利春が元丸紅輸送機械部部長松井直氏から、全日空トライスター決定するについて世話になった橋本佐藤被告人を含む六名の国会議員お礼をしたいと言っているので、ロッキード社から三千万円出させてほしい旨の電話連絡を受け、コーチャンと折衝し三千万円を受け取ったが、右六名に対する贈与状況については直接知らない、後で元丸紅秘書課長副島勲氏から希望どおり任務を果たしたと聞かされたというものでありますが、詳しい内容については、これも政府委員から答えさせることにいたします。
  5. 廣瀬正雄

  6. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 まず、ロッキード事件公判状況について御説明申し上げます。  ただいま大臣から申し上げましたように、この事件公判につきましては、丸紅ルート及び全日空ルートが一週間に一回ぐらい、児玉関係が一ヵ月に一回ないし二回、小佐野関係が一ヵ月に一回程度割合で開廷され、進行状況はほぼ予定どおりと見ております。  それぞれの公判開廷回数及び審理の状況はこれから申し述べるとおりでございますが、いずれの法廷におきましても、検察官といたしましては、被告人公訴事実を否認し、また、あるいは一部証人が取り調べ時の供述を翻すなどという状況のもとにあって、鋭意公訴事実の立証に努めておりまして、公判は、概括的に申し上げますと、米側嘱託証人尋問調書証拠能力をめぐる問題、金員授受に直接、間接関与した者の証人尋問など、事件の核心に関する重要な立証段階に入りつつあると申せると思います。  まず第一に、丸紅ルートについて申し述べます。  被告人は、御案内のように田中角榮榎本敏夫檜山廣伊藤宏大久保利春の五名でありまして、主要な公訴事実は、檜山伊藤大久保被告人コーチャン氏と共謀して、田中被告現金五億円を贈賄し、田中被告はこれを収受したという事実、さらに、右に関連いたします各被告人外為法違反、並びに檜山伊藤大久保被告人議院証言法違反等の事実でございますが、すでに三十八回の公判が開かれ、五億円の現金を入れたダンボール箱授受に関し、その日時、場所、状況等について、丸紅社員など関係者証人調べが一応終わりまして、現在、三億二千万ドルの緊急輸入計画発表に至る背景事情等について、通産省及び運輸省の当時の係官の証人調べを行っております。  第二に、全日空ルートについて申し上げます。  被告人は、橋本登美三郎佐藤孝行若狭得治渡辺尚次沢雄次藤原亨一、植木忠夫青木久頼の八名でございまして、主要な公訴事実は、橋本被告の五百万円の受託収賄佐藤被告の二百万円の受託収賄若狭等全日空関係者外為法違反、及び若狭渡辺被告議院証言法違反等の各事実でありますが、すでに四十一回の公判が開かれまして、これらの各事実の背景立証をほぼ終了し、去る一月三十日と二月十三日の二回にわたりまして、橋本佐藤被告人に贈賄した金銭を含めたいわゆる三十ユニット、三千万円の金を調達した大久保利春証人調べが行われたのでございますが、これから四月までにかけまして、これらの金銭授受の事実につき、関係者とされております丸紅社員副島勲氏及び同伊藤宏証人調べが予定されておるところであります。  第三に、児玉関係でございます。  被告人は、児玉譽士夫大刀川恒夫の二人でありまして、主要な公訴事実は、児玉被告所得税法違反及び外為法違反大刀被告の強要及び外為法違反の各事実でございますが、すでに十四回の公判が開かれました。もっとも、児玉が出廷しましたのは一回だけでございます。この公判が開かれまして、児玉被告昭和四十九年分の雑所得であります台糖の株式の受領及び売買関係等についての現在証人調べを行っております。  四番目に小佐野関係でありますが、被告人小佐野賢治一名でありまして、その公訴事実は、議院証言法違反に係る事実でございます。これまで七回の公判が開かれております。いずれも医師が付き添って出廷しておるようでございますが、この公判におきまして、全日空の新機種決定に至る経緯について全日空関係証人調べを現在行っておるところでございます。  次に、大久保証人証言要旨について御報告申し上げます。  大久保利春は、全日空ルートの本年一月三十日及び二月十三日に開かれました第三十八回及び第三十九回の公判証人として出廷しまして、検察側の主尋問弁護側反対尋問に対しまして、大要次のような証言をいたしております。  以下、証言内容でございますが、昭和四十七年十月二十九日の夜、丸紅輸送機械部部長松井直氏から電話があり、「全日空では明日機種決定を行うが、これまでお世話になった方々お礼をしたいので、コーチャンから三千万円出してくれるよう交渉してもらいたいと言ってきた。」松井氏のその電話によれば、右三千万円は、橋本登美三郎に七百万円、二階堂進氏に七百万円、佐藤孝行及び佐々木秀世福永一臣加藤六月の各氏に各四百万円を渡したいとのことであった。その晩、ホテルオークラでコーチャン氏と面会し、右の話を伝え、その金を出してくれるよう説得したところ、コーチャン氏は話の内容をメモし、結局全日空要請を受け入れてくれた。その結果、十月三十日午前十時ごろ、クラッター氏が三千万円を持ってきた。三千万円を六名に贈与した状況については知らない。これは当時の秘書課長副島勲が知っていると思う。  その後、同年十一月初めごろ副島から、「御希望のとおり任務を果たしました。」と言われている。また、そのころ機種決定お礼に参上して若狭に会ったとき、若狭から、「あのことはやってくれたか。」と尋ねられたので、「要請のとおり済ませている。」と答えた。  以上が証言要旨でございます。
  7. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 午後一時委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。箕輪登君。
  9. 箕輪登

    箕輪委員 私は、ロッキード事件に関するいわゆる灰色高官の問題は、一昨年十一月の国会において公表され、一応終了した、あとは刑事責任の追及の場である公判において真相が逐次明らかにされていくものと考え、これを見守るつもりでおったわけであります。  ところが、去る一月三十日の全日空ルート大久保証言を契機としまして、この問題が再燃してまいった感があります。また、去る二月十四日の予算委員会において、社会党の横路議員質問答え刑事局長は、刑事上の立証がほぼ終了した段階で、国会からの要望があれば、ロッキード事件関係資料の詳細を国会報告する旨の答弁が行われたのであります。また、これも新聞等に報道されたところでありますが、この立証がほぼ終了した段階、その段階では関係資料の詳細を国会報告する、こう言っているわけですね。その経緯について、刑事局長から御説明をいただきたいと思います。
  10. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の、先般の予算委員会における横路委員の御質問に対しましての私のお答えでございますが、正確には速記録をごらんいただければはっきりしておると思いますが、私が御答弁を申し上げましたのは、横路委員から、大久保証言に続いて副島証人など、この関連証言が近いうち行われる、大体三、四月ぐらいでこの関連立証が大体終わることになるから、その時点では資料を提出すべきではないか、こういうお尋ねがあったのに対しまして、私がお答えしたのでございます。  私がお答えしましたのは、裁判上の立証がほぼ終わった段階において、裁判所へ提出された資料については、御要望があれば詳細御報告申し上げる、こう言ったわけでございます。これを敷衍して申し上げますと、公判期日において証拠調べが適法に行われましたもの、これは公開の法廷で行われるわけでございますから、訴訟関係人はこれを了知し得る状況にございます。訴訟記録そのもの裁判所が保管するところでありますから、法務、検察当局がこれを国政調査権の御要求に応じて提出する立場にございませんが、検察活動に対する国政調査という観点から資料の御要求がございますれば、公判証拠調べの終わったものについては、検察官が了知しておる限りにおいて詳細に御報告申し上げる、これが従来からの態度であるわけでございます。したがいまして、大久保証言が終われば大久保証言内容について御要望により御説明申し上げる。あるいは今後、副島伊藤というような証人が予定されておりますが、それらの証言が終わった段階で御要望があれば、公判で供述した内容を詳細御報告申し上げる。また書類による証拠、こういうものが提出されまして、裁判所検事朗読といった適法な証拠調べが行われました場合には、その内容も御要望があれば御説明する。こういうことを申し上げたわけでございます。当時の予算委員会の雰囲気を思い起こしてみますと、私ども従来から申し上げていることを申し上げたわけでございまして、横路委員はやや前進したというような評価をしておられたように記憶しますが、私としては、従来どおり、あくまで基本的なたてまえを申し上げたつもりでおるわけでございます。
  11. 箕輪登

    箕輪委員 新聞などで読んだ限りでは、私も何か前進したのかなという感じを受けたのですが、ただいまの刑事局長の御答弁を聞いておりますと、全く従来と同じである。公判廷に出されたものだけは報告する。報告すると言うけれども、すぐ翌日の新聞には公判廷に出されたことは載ってしまう。それを求められれば報告する、それだけのことなんですね。そうですか。その他の捜査資料ども求められれば公判廷に出されない資料も出すということなのか。ここのところをはっきりひとつお答えいただきたい。
  12. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 私が申し上げました趣旨は、公判で明らかになったものはお出しをいたしますということでございます。  なお、公判状況は翌日の新聞にはすぐ出るということはございますが、先ほど予算委員会での横路委員の御質疑関連のものも必ずしも正確に出なかった例もございますので、正確なところを私報告をさせていただこうと思っております。
  13. 箕輪登

    箕輪委員 もう一つ答弁漏れがありますが、公判に出されないような資料がほかにあるとすれば、その資料要求された場合には、この四人に関するものをお出しいただけるかどうかという質問を最後にしたわけです。御答弁がございませんでしたのでお願いいたします。
  14. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 いずれにいたしましても、起訴されなかった人の捜査の過程において収集をいたしました資料は、個人の名誉その他にもかかわりますし、それから、今後における検察捜査に対する一般国民協力という問題もございまして、遺憾ながらお出しできない、こういうふうに考えております。
  15. 箕輪登

    箕輪委員 非常によくわかりました。何かぼくもあるいは一切のものが出るのか出ないのかちょっと疑問であったから確認の意味で聞いたわけであります。  そこでもう一つ局長に聞きたいのですが、私どもの認識では、先ほどもちょっと申し上げましたが、一昨年十一月に国会のこの委員会で、たしか十一月二日だと覚えておりますが、この四人の人方お金を受け取ったと認定されたわけであります。そしてその政治的道義的責任があるものと認定された。そして一日おいてたしか十一月四日だと思いますが、一身上の弁明が行われた。その後、日数が経過いたしまして昨年の十二月十四日でございましたか、東京地検捜査本部看板がおろされた。そのとき法務省は何がしかのコメントをいたしておりまして、一切終わった、こう言っておるわけであります。それで私が聞きたいのは、一昨年十一月二日から昨年十二月十四日看板をおろした日まで、この四人の方々関係で何か新しい事実が出たかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
  16. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 四人の方々の問題につきましては、一昨年十一月に申し上げたところがすべてでございまして、その後何らつけ加えるものはございません。
  17. 箕輪登

    箕輪委員 それではひとつ次の質問に移りたいと思います。  同じく二月十四日の衆議院予算委員会におきまして法務大臣は、いわゆる九十ユニット関連してお金を贈られたと言われている十三名の国会議員について、やはり横路議員質問に対しまして、国会において政治的道義的責任範囲、基準を決めれば、氏名などを含む資料秘密会で明らかにすることもやぶさかでないと述べられた旨の報道がなされておりますけれども、実際そうなのかどうか、いま一度法務大臣真意お尋ねしたいと思います。
  18. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いまお尋ねのような趣旨のことを予算委員会でお答えしたことは事実でございます。  真意ということでございますがどういう意味かわかりませんが、私は真意で申し上げたわけでございます。従来から、皆さん御承知だと思いますが、ロッキード事件について検察当局としては犯罪ありや否や捜査をいたして、犯罪ありと検察段階で認められた者は裁判所裁判を求めるために起訴して「現在進行中でございます。その他にも、起訴はされておらないけれども政治的道義的責任を負うべき立場にある人があるのじゃないかということがずっと議論になってきたことはなるほど御承知のとおりであります。そこで政治的道義的責任——世間では灰色高官なんて言われておりますが、灰色高官という言葉は、こう言っては恐縮でありますが、私個人としてはきわめて不明確な言葉でございますからできるだけ使わぬようにしておりますけれども、いずれにしても、道義的あるいは政治的責任を問われる人があるのじゃないかということがずっと議論されました。しかし法務省なり検察当局としてやりますことは、犯罪ありや否や捜査、検討するだけでございまして、道義的責任ありや、政治的責任ありやというところを追及し捜査するところじゃありませんから、犯罪ありとして起訴されない方々に対して、それを問うという立場じゃございません。ありませんが、国政調査関係で、あの事件を中心として、起訴はされなかった、けれども道義的政治的責任が関わるべき立場にある人があるんじゃないかということで、それを出しなさいということでずっと続いてきたわけでございます。そのことは、国会においていかなる関係にある人が道義的責任なり政治的責任を関わるべきものであるかということをお決めになって、もしお決めになった要件といいますか、そういうものに当たると検察段階で認められるものは、重要な国政調査進行に御協力を申し上げます。こういうことで来たわけでございます。  そして、いわゆる三十ユニットと言われておるその関係の四人の方ですか、国会決められた条件に当てはまると思われる、捜査段階でさように思われる方々はこういうことでございますということで、当ロッキード委員会秘密理事会にその御説明を申し上げた、こういういきさつになっております。  そこで、今度はまた別に、いわゆる九十ユニット、その当時の額で九千万円という金が動いておる、これについても道義的あるいは政治的責任を関わるべきものがあるんじゃないかという議論を最近なされております。しかし、これは繰り返すようでありますが、それはわれわれとして認定すべきものじゃない、検察当局として認定すべきものじゃない。同じく、国会道義的責任あるいは政治的責任がありと要件決められて、もしそれに当たると思われる人があれば出すことにやぶさかでない、秘密会で御報告申し上げることにやぶさかでない、こういう答えをしておるわけでございます。  しかし、一昨年の十一月でございますか、日は忘れておりますが、その段階では三十ユニット道義的責任があり、政治的責任があるとか、九十ユニット道義的責任政治的責任があるとか、こういう問題ではなくして、ロッキード事件関係した人でそういうものに当たるのはかくかくしかじかの者である、こういうことを国会決められて、その捜査段階であらわれました全体の中から、先ほど申し上げましたようにこの四人の方がそれに当たると思われますと、こういうことを出したのが今日までの経過でございます。それ以上は、国会でさらに新たな道義的責任あるいは政治的責任を問われる要件があるのかどうかわかりませんが、もしそういうことが決められれば、当たると思われる者がありますれば、これは同じく国政調査に御協力申し上げるという立場で、出すのにやぶさかでない、かように申し上げた、これが真意でございます。
  19. 箕輪登

    箕輪委員 いわゆる九十ユニット関係の十三名の方々は、従来の法務省の御答弁によりますと、これは単なる政治献金であったり、お中元だとかあるいはお歳暮のようなものであったり、また外国旅行等せんべつであったりするものであって、いわゆるロッキード社トライスター売り込みに関して、行政府その他に政治的な介入をした事実は全くなかった、そういう御答弁を従来いただいておるわけであります。  いま、政治的道義的責任云々という問題が問題になっているわけでありますが、売り込みに対して行政府その他に対する政治的な介入というものが一切行われていなかった事実、そこで、何らかの政治的道義的責任範囲とか条件とかいうものをつくってくれれば、その条件に当てはまると思われるものをお出ししましょう、こういう御答弁のようなんです。  実際、政治的に行政府に対する介入等を全く行われない、政治的責任のないものに、何かつくれ、つくるならば出すと、これはちょっと理解がしづらいように思うのであります。これはどのように解したらよろしゅうございますか。
  20. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そこは私の方で判断すべきところじゃございません。いま箕輪さんからお話しのように、いわゆる九十ユニット関係して金銭の出入りがあったという捜査段階で、検察官としてはあらゆる捜査資料によって認められるという関係のものは、いまおっしゃったように、あるいは海外旅行せんべつであったり、また盆暮れのおつき合いといいますかごあいさつであったり、あるいは政治献金であったり、こういう事情にあると認められておるわけでございます。でありますから、先ほども申し上げましたように、三十ユニット、かどうであるとか九十ユニットがどうであるとかいうことでなしに、ロッキード事件起訴された以外に金銭授受があった事実の中で、政治的あるいは道義的責任を関わるべき立場にあると思われる人はこういう条件の人だということを決められた、その中でその条件に当たると思われるものはかくかく四人の方でございますということを出しておるわけでございますから、私どもとしては、それでその問題は済んだのじゃないかと思っております。  そこで、いまもう一つ申し上げておきますが、いわゆる九十ユニット関係が、いまも申し上げましたように世間に多く行われておるせんべつであるとか、盆暮れのごあいさつであるとか、政治献金であるとか、こういうことになっておりますが、それを道義的あるいは政治的責任がありと関わるべき性質のものであるかどうか、これは国会の御判断でございます。
  21. 箕輪登

    箕輪委員 それでは、ひとつ別な質問に移りたいと思いますが、去る一月三十日の全日空ルート公判において大久保証人が、二名の被告人以外に四名の国会議員金員を渡すことを計画し、その計画が実行されたとの報告を受けた旨の証言をされたわけでありますが、一方、いまの四名の国会議員方々は、そのような金を受け取った事実はないと、はっきり明言しているわけであります。  そこで、先ほどこの委員会が開かれる冒頭で、この四名の人方証人喚問について、みずから進んで証人としてこの委員会に来てくれるかどうか、委員長個々に当たって聞いた四人の方々の御意見、それは、この証人喚問に応ずることはできないという結論でありますが、その理由一つに、金を受け取ったとするならば、受け取ったと言っている捜査関係資料全部を一切出してくれ。さもなければ、反論することができない。一切の資料を全部出してくれ。それによって、考えようによっては反論のためにこの委員会に出てくるということを意味しているような御報告であったに私は考えるのであります。  そこで、法務大臣お尋ねしたいことは、この四名の人方は受け取っていないと言っている。しかし、この委員会でも金を受け取ったと当時の委員長が認定をされたわけです。したがって、政治的道義的責任はあるのだと認定したわけであります。委員会からあるいは当時の委員長から、一回の事情聴取もない、一回の電話での質問も何もなかった、一方的にされた、まことに残念である、こういう答えを私ども個々に会ってみますと聞かされるのであります。  そこで、われわれの人権はどうなるのか、自分たち人権を守るために一切の資料を出してくれ、こういうことを個々のそれぞれの先生方がおっしゃるわけであります。お聞きしたいことは、一切の捜査資料をこの委員会に御提出願えるかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  22. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 結論を申し上げると、一切の資料を残念ながらこの委員会に出す段階ではない、こういうことでございます。  それは、先ほど来御報告もいたしておりますように、現在この事件関係して起訴されておる事案の裁判進行中でございます。先ほども、立証段階の微妙な段階になっておるということを、やや詳細に刑事局長から御報告をいたしておるわけでございますが、そういう際に、ここに裁判所関係しておる資料を出すわけにいきませんが、検察が知り得ておる状況を申し上げるということは裁判に支障を来すおそれがある、あるいは裁判がまだ進行中に、事前に他のところでいろいろな証拠の問題等で議論をすることは、裁判官にあるいは予断を抱かせたりするおそれもある、こういうことを慎重に考えるのは当然でございます。  それと同時にもう一つは、これは一般原則でございますが、箕輪さんも御承知のとおり、警察、検察と法律に従って調査をいたします場合は、これは犯罪の捜査、犯罪があればそれを立証して処断をする、こういうための調査でございますから、これは原則として他の場合に利用することはできない仕組みになっておるわけでございます。そうしないと、裁判のためあるいは犯罪捜査のために調べた資料をどんどん外に明らかにするというようなことになりますと、それこそまた人権関係する、人に迷惑をかける、こういう状況もありますから、将来の犯罪捜査に大きな支障を来すおそれがある、こういう観点から刑事訴訟法は、やはり外には出すべきものではない、こういうふうにいたしておるものと考えております。
  23. 箕輪登

    箕輪委員 時間がないそうでありますから、最後に一問だけお尋ねいたしますが、一切の捜査資料、それは出せない、公判廷に出されたものだけは御報告いたします。こういう御答弁であります。それならば、一体この人方人権というものを守る意味でどうしようもないのじゃないか。(「出てくればいいんだよ」と呼ぶ者あり)  そこで、いま不規則発言がありましたように、本人たちが出てくればいいじゃないかという議論が出てくるわけであります。そこでこの四人の人方証人としてこの委員会に出てきて、かくかくしかじかだ、事実関係の存否、そういうことがあったかないかということを明らかにすべきであるという意見が出てくるわけであります。  そこで、先ほど刑事局長から承ったところでありますが、これで最後でございますので、一つだけ法務大臣からお答えいただきたい。  この四人の人方証人として喚問され、ここでいろいろなことを聞いたり、弁明をしたりする、そのことが裁判の公正やあるいは検察公訴の維持や、そういうものに及ぼす影響があるということを刑事局長はおっしゃっておられたわけでありますけれども法務大臣として、四人の証人喚問をどのようにお考えになるか、お尋ねしたいと思います。裁判との関連であります。
  24. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 四人の人にかかわらず、国会国政調査のために証人として呼ばれるかどうかということについて、その可否を法務大臣として申し上げる立場にはございません。適当でないと思います。けれども裁判とのかかわり合い云々とおっしゃいますと、これはやはり他の証拠と同じことでありまして、特に四人の方については、いわゆる三十ユニットと一連の関係にあります。その問題が、先ほども申し上げましたように、いま裁判進行中で立証段階になっています。証言その他の証拠をいかに評価するかということは、これは裁判官の職責でありますから、とやかくこちらで言う段階でございませんか、その判断をしつつ証拠調べをしておるときに、一連の関係で他の場所でとかくの議論があるということは、あるいは三十ユニット関係ありとされておる人々の意見、発言等が裁判進行中に他の場所でやられるということは、先ほど申し上げましたような意味で、やはり裁判に影響なしとは言えない。そういう意味で、やっちゃいけませんなんという、そういう大それたことは申し上げませんが、わが国の裁判が正常に、間違いなく、真実を発見するために御協力いただくという意味で、できればそういうことは好ましくないというのが私ども立場でございます。
  25. 箕輪登

    箕輪委員 わかりました。  以上で、質問を終わります。
  26. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に小林進君。
  27. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、まず委員長にお伺いをいたしたいと思うのであります。  それは、われわれ理事会の前回の話し合いに基づいて、いわゆる灰色と言われる四人の方々に、このロッキード特別委員会証人台に立つ意思があるかどうかということを確かめていただくという、その申し合わせに従って四人の方の意思を確かめられた、その御報告がございました。先ほどございました。で、四人の方々ともこのロッキードの委員会証人台に立つことを拒否をせられた。その理由は二つある。一つは、目下公判進行中であるから、これに影響を与えるおそれがあるので出ない。第二番目は、一切の捜査資料が示されない限り、どうも証人台に立った四人の方々反論ができない。そういうような形の中で出席することは好ましくないから出席をしない。こういう理由であった。ところが、全部が全部この二つの理由のために出ないわけではないのであって、四人の中には、いま申し上げた二つの理由一つによって出ない人もあるし、二つの理由そのもののために出ない人もあって、それぞればらばらである、こういうお話がございました。一体四人の方のだれがその一つ理由のために出ないとおっしゃるのか、どの人が二つの理由のために出ないとおっしゃるのか、まずそれを委員長にお伺いをいたしたいと思うのであります。
  28. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 それでは、私からその点お答え申し上げます。  その問題につきましては、先刻理事会で私が御説明いたしましたように、これは証言というきわめて重大な問題に関連いたしましたデリケートな事柄でございますから、それで四人を一括いたしまして、応じない理由を御説明申し上げたわけでございまして、理事会でもいろいろ御不満はございましたけれども理事会では、聞き流すとおっしゃった方もありますし、またお気持ちの上では了承された方もあるかもしれませんけれども、とにかく理事会では、そういうことで四人の個々別別の理由は申し上げなかったわけでございます。小林先生がどうしても御調査関係で必要だということであれば、後日もう一回理事会を開いて、そういう言葉をお認めになるかならないかということを論議されて、その上でひとつ御決定いただきたい、このように考えております。
  29. 小林進

    ○小林(進)委員 委員長が、もしどうしても必要であるとするならば後日理事会を開いて、そこでまたこの問題を取り上げたいというお答えでございますから、それはそれで、私は委員長の誠実さといいますか、それをお認めするにやぶさかではございません。ただ、私も、この四人の方々をむしろ悪く解して、この人たちの立場を悪くしようなどという意地悪い立場で言っているのではない。できればこういうオープンの場所で、四人の方々が願わくはシロである灰色からシロだ、りっぱな人たちだということを証明したい。また、委員長を通じて証明する御協力もいただきたい。まことに善意あふれる気持ちで言っているのでありますから、その点は、委員長、誤解のないように素直にお聞き願いたいと思う。  私も素直な気持ちで質問をいたします。この二つの理由の中で、第一番目の、目下公判進行中だからこれに影響を与えるおそれがあるので出ない、これは裁判官や検察庁がおっしゃるならば、私はそのお立場はわかるのでありますけれども、目下灰色であると言われて、どこかで自分の身分を明らかにしなければならぬ人が、何か客観的な、自分が裁判官にでもなったような気持ちで、どうも裁判に影響するから出られないなどと言うのは、いかにも理由としてはいただきかねるのだね。こういう理由委員長はどういう気持ちでお聞きになってわれわれ理事会に御報告になったのかわかりませんけれども、われわれの言葉で言えば、いかにもピンぼけておる、これくらいぼけた理由の羅列の仕方はないのじゃないか、こういうことでございます。  そこで、委員長、どうして灰色と言われている方々公判進行中だからなどという理由をおつけになっておいでにならなかったのか、こういう矛盾している言葉委員長は理解をされてお帰りになったのかどうか、これを私は委員長にお伺いをしておきたいと思うのであります。これは、委員長の権威にも関する問題でございますので、あえて伺っておきます。
  30. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 お答えいたします。  いまの問題につきましては、私は素直に承っただけでございまして、やっぱり国会議員でございますから、国会のことばかりではなくて裁判のこともお考えになってのことかと私は理解いたしまして、承ったままを申し上げたわけでございます。
  31. 小林進

    ○小林(進)委員 私は委員長の御人格を尊敬しておりますから、委員長のお言葉に若干の矛盾があろうとも、なるべくそれを素直に聞いていこう、こういう気持ちで御質問申し上げているのでありまするけれども、こうやって新聞には全部出ているのです。四人の意思確認だ、口事件灰色高官の喚問問題、自民表明、こういうわけで、中を読んでまいりますと、それはいま委員長答弁されたようなことよりももっと詳しく四人の方の意思も全部出ているのです。この新聞は朝日でありまするけれども、毎日新聞にも読売新聞にも皆同じような記事が出ている。両方合わせて一応国民にそれぞれ四人の意思が全部伝わるように出ているのです。それにもかかわらず、われわれが、先ほど委員長の御報告のように、世間の人が常識として四人の意思を確かめて知っていることさえもこの委員会で確認もできない、その問題の表明も聞かれないといったら、それこそ世間の物笑いにならざるを得ない。私どもは、この委員会を持ち、国会議員の職責にあるならば、世間の人がもう熟知していることよりもいま一歩深く、いま一歩広く知って理解しておかなければならぬのがわれわれの立場でございます。それをやり得ないなどということは、委員長、どうしてもこれは了承できませんので、私はそれを申し上げるのであります。  それで、委員長がちょっとせつなそうな顔をされておりますから、私もこれをつけ加えて申し上げます。  証人喚問に応ずるかどうかの意思について、四氏のうち二階堂進代議士だけはすでに拒否の態度を決めた、福永一臣加藤六月両代議士と佐々木秀世前代議士の王氏は党と相談の上決めたいとしているが、福永、佐々木両氏は個人的には応じてもよいと言っている、四氏とも灰色高官の汚名をそそぐ場が必要であるとの意思が強く——次が問題なんです。二階堂氏は全証拠の提出、全関係者証人喚問なら応じてもよろしい。二階堂氏の意思がここで表明されております。いわゆる全容解明を二階堂氏は主張していられる、こういうことであります。佐々木氏も、証人人権無視と言われる喚問のやり方が改善されるなら調査に応じてもよい、こういうことを言っておられる。  なお加えて四氏の談話が発表されておる。四氏の談話は次のとおり。   二階堂進氏 一方的な証人喚問には応じな  い。検察は「先生頼むから話を聞かせてくれ」というので、私はロッキードの売り込みと全く関係ないなど私の意見を述べておいた。そうした調書も含めてすべての証拠書類を提出し、関係者すべての証人喚問しようというなら応じてもよいが、一方的な証拠で一方的に「灰色高官」と断じられての証人喚問は納得できない。自民党理事を通じて広瀬委員長にそう伝えるよう答えてある。こういうことであります。  それから福永一臣氏です。「党の立場もあるので、一人歩きできない。」「私個人としては、どちらでもよい。」、証人に応じてもよい。「すでに一昨年十一月のロ特委で「私は金をもらった」と公表ずみだ。もちろん、政治献金として帳面にもついている。売り込みには関係ないし、汚れた金だなど思ってもみなかった。改めて証人喚問されても、この前いったこと以外になにもない。党執行部とロ特委の自民党理事は苦悩しているのだろうから、その意思を無視するわけにもいかない。」こういうことを言っていられるのであります。  加藤六月氏、「委員長からどういうことなのか聞いてみないと、何とも答えられない。気持ちは(灰色高官といわれて)煮えくり返っているが、私の一存で決められる問題でもない。党の方と相談する。」  佐々木秀世氏であります。「私も党に所属しているのだから党と相談する必要がある。ほんとうの気持ちは、委員会が真相解明するのは結構だし、調査しようというならあらゆる機会に応じたい。」いいじゃないですか。いま一回読み直しますよ。「委員会が真相解明するのは結構だし、調査しようというならあらゆる機会に応じたい。ただ、いままでのやり方は、テレビがはいった与野党対決で、好ましくない。政争の具、サラシ者にされるのは困る。」こういう談話を四人の方々がそれぞれ発表されておるのであります。こういう談話を見ながら私ども委員長に、それぞれのお気持ちがわれわれにはわかっておりますから、こういう資料を通じてわかっておりますから、こういう意思を尊重しながら委員長から確かめていただいて、そうしていま読み上げたことをもっと強く、この人たちが公の場所で証言をしていただくことをわれわれはお手伝いするのは同僚、先輩国会議員に対する人の道ではないか、こう考えたものでありますから、委員長にその意思を確かめていただきたい、こう申し上げたわけであります。新聞にもこれだけ出ているのでありますから、委員長のところへはもっと強くそれぞれの個人個人のいいお考えが、お答えが反映していると推定をしてまず間違いないと私は思うのであります。それをお認めになりますなら、委員長、いま委員長に寄せられた一人一人のその回答をひとつここで御披露をいただきたいと思うのであります。
  32. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 ただいま新聞記事を御引用の上重ねての御質問がございましたが、私もそういう記事は読んでおりますけれども、記事の内容については全く、本当に文字どおり全く関知しないところでありまして、四人銘々最終のみずからの結論を出すには、かなり精神的に流動した方があったんじゃないかとも思われますけれども、私は最後の結論をまとめただけのことでありまして、しかも要点だけを承って先刻御報告をいたしたわけでございますから、途中の経過については存じませんし、それからまた、その新聞の記事も恐らく銘銘から、あるいは党からお聞きとりになったんじゃないかと思うのでありまして、私の口からはそうしたことは一言半句、四人が反対だということはある機会に言ったかもしれませんけれども理事会にその理由報告する前に新聞関係者に、こういう理由で断ってきましたなんということは言った事実は全くないのでありまして、その点はひとつ御信頼願いたいと思っております。
  33. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、委員長の御発言を疑うなどという、そういう悪意の推定はいたしませんが、往々にして、ほかの委員会に参りますと、委員長委員全部にまつわる公平妥当な職責にあるということを忘れて、一つの党から選ばれた委員長の気持ちを強く出して、どうも不公平な裁きをする者なきにしもあらずであります。大変残念にたえない場合が往々にあるのであります。この委員会における廣瀬委員長にはさようなことはないと私は思います。ないと思って信じますが、しかしこれはくどいようでありますけれども申し上げますが、あなたは自民党に党籍はおありになるかもしれませんけれども、決して自民党の委員長ではないのであります。衆議院のロ特委員会委員長でありまして、公平妥当に物を処理していただかなければならぬし、神聖な地位に置かれているのでありますから、その点はどうぞひとつお忘れなく。いまも言われまして、ほかの四人の灰色の高官からいま御報告のあった以上に何も別な話がなかったということは残念ながら私はそのお答えはちょうだいできません。  なお、私は、われわれの同僚議員の名誉に関する問題でありますから四人の方々の名前はこれ以上申し上げませんけれども、私直接にこの問題についてお話を承っております。その四人の方々も声涙下る、と言ったらまことに言葉がオーバーかもしれませんけれども、真実を吐露しながら、私実はロッキードの特別委員会に出たいんだと言う方もいらっしゃるんです。金ももらったという方もいらっしゃる。いま初めてもらったんじゃないんだ、私は前から政治献金として継続してもらったんだ、今回は、この金の動いたのは四十七年の選挙、選挙はたしか十一月の何日でありますから、選挙が行われる一月以内、十日か十五日の直前なんだ、だから当然私はその金を受けたが、これは選挙も間近いし、政治献金として来たんだろう、初めて来た金じゃないのでありますから、前にももらった関係なんだ、それでそういう関係の会社にも友人もおれば旧友もおる、知己もおる、そういう関係で私は素直に金は受けて、受取も出した、その金が、いつも出てくるその企業から流れた金じゃなくて、後になったら、ロッキードなどという特別の方の窓口からその金が流れてきた、いつも来る企業から来る金が白い色で、ロッキードの方から来る金に黄色い色でもつけてきてくれれば私は拒否したんだろうけれども、札に色の区別がないから、従来どおり、従来の企業から来たんだろうと思って私は受けた、私は本当にその話を公明天地に恥じず、公の前でしゃべりたい、こういうことを私に言われた方がある。これは真実だと思います。私は裁判官でも検事でもありません。政治家でありますから、政治家は政治家の感覚はわかります。私は、あなたの言われることはうそじゃないと思いますから、あなたがその話をしてくださる場合には同僚の一員として、あなたの言葉を裏づけするくらいの、私はその方へ回ってもよろしいという話をした経験もあります。だれだれと申し上げませんけれども。そのときにはほかの関係者もみんな来られまして、あるいは新聞社の方も来られましたよ。みんなああやって、検察庁も法務大臣も言っているんだ、もらっていることは確かだと言っているんだから、もらったことはもらったと言ったけれども、しかしそれはロッキードの色のつかない金で政治献金だくらいさばさば言われた方が問題の処理にはいいんでしょうがねということをみんなに言われた。そのこともほかの方々に慫慂したこともある、あなた方もこの人のようにさばさばと、もらったものはもらったと言われたらどうですか、問題の処理の仕方でいいじゃないですかと言ったというのです。初めからもらわないと言っちゃったんだから、いまさら途中で方向転換はできない、と。そう言われたかどうかは知りませんけれども、私はそういう心情も承っておるのであります。もし私の言うことがうそであるならば、私も政治家ですから、この道で飯を食って二十数年、みずからの人格を下げるようなことは言いませんから、私の顔を見てください委員長、うそ言っているか本当を言っているか。そういうことでございますから、いま少しやっぱり真実をお互いに追求するという姿勢が必要じゃないか。  そこで、この新聞なんです。新聞の記事、私は記事は間違っていないと思う。結局、出たいという人もいるのだが、党側の国会対策上の配慮や、いわゆる四氏が共同歩調をとることが必要だ、こういうことのために、個人個人の意思をある程度制限をしながら一括拒否という形に出たのではないか、こういうことが言われているのであります。党の方からそういう指示、そういう強圧、そういう統制があったのかどうか、この際委員長にも承っておきたいのであります。
  34. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 その点は私は全く聞いておりません。
  35. 小林進

    ○小林(進)委員 それでは委員長、私はこのことだけで問題を引き延ばしているわけにいきませんから、一つ提案をいたしたいと思う。  あなたは先ほど、もっと詳しくその事情を知りたいならば、また理事会を開いて相談してもよろしいというお話、かさっきありましたね。それに加えまして、私は今度は、この四人の方々に、証人としてここへ来てもらうのじゃない、証人の前の、この新聞で報道せられているように、二階堂さんなら二階堂さんに、その全容をひとつ明らかに解明する、あるいはみんな関係者証人に出るというならおれも出てもよろしいという、この言い分だけでもここで言っていただく。言っていただくために参考人として、証人じゃない、参考人として出ていただいて、二階堂さんの言い分だけ言ってもらう機会、福永さんなら福永さん、どちらでも出てもいいんだと言われている、そういう言い分をここでちゃんと言っていただく、いわば釈明の場所であります。証人としてではない。証人に出る前の釈明の場所として、四人の方々に、四人の方々が腹の底から言いたいことを言っていただく場所をここでおつくりになったらどうか。私はそれを提案したいのでありますが、いかがでございましょう。委員長のお考えをお伺いしておきたいのであります。
  36. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 ただいまの御提案につきましては、理事会で御協議するということにいたします。
  37. 小林進

    ○小林(進)委員 それではひとつ委員長の公明な裁きをお願いいたしまして、この問題は理事会に持ち込むということにいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  法務大臣にお伺いいたしますけれども法務大臣昭和五十二年四月七日、友人、民社党の大内さんの質問答えて、ロッキード問題について最終報告をする、こういうことを前に答えられているのであります。原委員長の時代であります。福田法務大臣がお答えになっておる。一体その最終報告先ほど公判状況だけは御報告を受けましたが、ロッキード問題全般についての最終報告をされるというこの約束を一体いつ実行していただくのかどうか、また、捜査終了の際最終報告をする約束になっていたのでありますが、その最終報告は単に捜査上の犯罪報告だけではなくて、多国籍企業の問題を含め、再犯防止のための福田内閣の政治姿勢そのものを明確にしていただく。その中にはもちろん灰色から十三名の九十ユニットも含めて、政治的道義的、それらを全部含めた格調の高い報告をやっていただいて、国民の前にロッキード事件の全貌を明らかにする、そういう報告を得たいと思っておるわけであります。これは法務大臣というよりは福田内閣の国務大臣としての法相の御見解です。約束も含めまして、御見解を承っておきたいと思うのであります。
  38. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ロッキード事件については、前々から、三木内閣当時から、全貌を報告しなさいという国会の御要請もあるし、そういうことをしたいということをずっと申し上げてきておるわけであります。内閣がかわりましてもその考え方は変わっておらないと申し上げたいと思います。  ただ、この事件の概要については、過去二回にわたっていわゆる中間報告という形で申し上げております。事件の経過、その当時の概要を申し上げておるわけでございます。第二回目の中間報告以来、前にも申し上げたと思いますが、新たな事実は検察段階では発見されておらない、こういう状況でありますから、その上に国会であるいはロ特委員会報告をしなさいということであれば、どういう報告になるか、また、いまおっしゃるようなことをどの時期にできるかと、これは慎重に検討をしなければならない問題だと思います。ただこういうことでございましたというだけでは、私は、これはいまの考えでございますが、この事件の経過なり今日まで国会で取り上げられた姿を見ますと、こういう次第でこういうことになった、でありますからこういうことは将来こういう点を法制上なり行政上なり改めることをしなければならぬとか、そういう意味を含めてやらなければ、大した意味がないのじゃないかという気がいたしますので、そういうことを含めるということになると、内閣全体で相談をして、時期も慎重に考えて、これは裁判との関係でございます。しなければならないと考えておりますが、いつということは、今日の段階ではまだ裁判の推移を見なければわかりませんから申し上げられませんが、国会がお求めになればそれをやらなければならない、こう考えておりますし、過去にもそういうことを申し上げてきたわけでございます。
  39. 小林進

    ○小林(進)委員 大体大臣の御答弁は前向きで私も結構だと思っております。単なる捜査上の経過だとかそういうことではなくて、内閣全体の責任において政治的道義的にロッキード問題の全貌を明らかにしたい、具体的に言えば、この問題が起こるまでに至った、あるいは右翼の巨頭の児玉氏あたりがこの問題の政治の舞台に入ってきてそしてロッキード問題関係する、そういう経緯、あるいは戦後の新しい政商といわれる小佐野賢治氏がどういう形でロッキード会社や政治と結びついてこういうものに介入されてきたか、そういうことを国民は一番知りたがっているのであります。そういうことも含めて、内閣全般の責任でこれを明らかにしていただきたいというのでありまして、いままでの公判の状態では、丸紅事件全日空事件、あるいは児玉事件、あるいは小佐野事件、一ヵ月に一回というような形で、ばらばらで捜査が進められておりますから、なかなか国民にはその全貌を、すべてをとらえることができない。これをやはり全貌を明らかにしていただくことによって、おのおの深く考えるところも出てき、反省するところも出てき、将来の禍根を絶つという道も出てきます。また、国民の側からもみずから反省すべき問題も出てくると思います。でありますから、そういう形において、内閣の責任において全貌を発表することを御考慮いただきたいと思います。その時期については、いま法務大臣が言われたように、今日どの段階ということは言えないというお気持ちもわかりますから、すべからくその日の早からんことをお願いをいたしまして、次の問題に移りたいと思います。  ロッキードの裁判進行状態でございますが、これは先ほど公判の問題でやや明らかにされました。しかも法務大臣は、順調に推移している、こういうふうに言われたのでありますが、われわれが新聞やその他の報道を見ておりますと、証人等の供述書の内容が否認されたり変更されたり、どうも安定性がない。たとえば丸紅の坂だとかあるいは金を運んだ運転手松岡とか、あるいは松田功、全日空大庭前社長の子分だと思っていたのが敵になっていたり、そういうことでどうも検察側公判廷で提出される証人内容もくるくる変わっているようでございますが、裁判内容についてはいま進行中でありまするから、私どもはこれに言及することは避けたいと思いまするけれども、過去の疑獄事件裁判等にもかんがみますると、これは相当の期間を要する。期間を要すると同時に、国民の関心が薄らいでいくために何かあやふやな形で終わってしまう、国民の側から見るとこういう懸念なきにしもあらずであります。田中前総理の側近からは、もう無罪なんだ、明らかなんだ、検察陣は完全に敗北した、いつの日か青天白日の身になって堂々天下を闊歩し、また総理総裁のいすにつく日もあらんや、こういう無責任放言も聞こえてくるという。それは私は何も問題にしようというのではありませんけれども、そういう気持ちが国民の中に、もはやぶつぶつ出てきているのでありますから、この際、裁判内容に支障ない程度に、私が御質問申し上げましたこれらの問題についてひとつ御回答をいただきたい。確信があるなら確信がある、裁判進行について自信があるなら自信がある、ひとつこういう御見解を承っておきたいと思うのであります。
  40. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 けさほども説明しましたように、いろいろな証人の供述の変遷等がありますけれども検察としては所期の目標に向かって着実に立証活動に努めております。ところで、ロッキード事件につきましてこれ以上具体的な証言の評価等をいたすことは適当ではございませんから差し控えますが、私の経験に徴しまして、私は長らく検事として汚職事件と会社犯罪ばかりやってまいりましたので、多少この種の事件は知っておりますが、それらの事件におきましては、証人が当該会社の人情のしがらみと申しますかそういうものに絡まれたり、その他諸般の事情から、公判においていわゆる敵性証人と化する場合がわりあい多うございます。多うございますが、それだからといって公訴の維持ができなかったという事例も私自身ないわけでございまして、私は、そういう私自身の経験に徴しまして、すべての意味で順調にいっておるというふうに思っております。
  41. 小林進

    ○小林(進)委員 法務大臣、いまの局長の答弁でよろしゅうございますか。この問題に対して別に御意見がないとおっしゃれば、いまの刑事局長答弁で次の問題に移りたいと思います。  私ども、最近非常に不愉快といってはなんでございまするけれども、そう感じている問題は、これはほかの委員会でも論ぜられたことですから言わずもがなとおっしゃれば言わずもがなでもございましょうが、福田首相が大久保証言を聞いて、どうも四人の灰色高官は気の毒だ、こう言われたんです。四人の高官は灰色だ、金はもらっているんだと法務大臣は明確に言われた。それが灰色であり、もらったというのは、法務省を通じての検察庁の調査の結果だ。一体、検察庁というのは法務大臣を通じて総理大臣の系統にないのかどうか。これは行政官です。同じ行政官の頂点にある、俗な言葉で言えばこれは皆総理大臣の直系ですよ、法務大臣検察庁、これは行政官ですから。それがやって、確信あっていま進行している事件に対して、片一方の灰色は総理大臣と同じ政党、政党という一つのパーティーのこれは仲間だ。そっちの仲間の方だけはかわいそうだと言って、自分の指揮下にある行政官のやることがいかにも信頼に足らぬように国民に思わせる発言を総理がしておられること、これが政治の姿勢としていいことかどうか、私はこの点非常に疑いを持たざるを得ないのであります。もし総理が公平に行政の長として君臨をされているならば、私の部下、私の指揮下にある行政官、検察庁のやっていることに対しては、そう間違いはないと言うくらいのことはあってしかるべきだと思うのであります。これに対して法務大臣は、いや私の信頼する部下諸君のやった調査に間違いはない、調査の結果はちゃんと金銭授受はあったと言われた。そうすると、われわれ第三者から見ると、総理大臣の言われたことと法務大臣の言われておることが相矛盾しておる、こういう矛盾を感ぜざるを得ないわけであります。この問題について、ひとつ法務大臣から明快な答弁を承っておきたい。
  42. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 福田内閣総理大臣が四人——四人と言われたかどうか知りませんが、気の毒だと言われた、その心境はどうだ、こう言われても、私はその場におったわけではありませんからよくわかりませんが、この間も予算委員会でその問題が、どなたであったか、取り上げられました。私も同席をいたしておりました。福田総理大臣は、いまあなたがおっしゃったような気持ち、そういう意味で言っておられるのではないと、私は総理の答弁をそばで聞きながら、また、ここに速記録もありますけれども、受け取っております。  こういうことだと私は解しておるのです。大久保証人証言があった後でございますから、大久保証言内容は、先ほど申し上げましたように、大久保証人自身が四人の方に金銭を渡したということではなくて、渡す計画があって、それを途中まで知っておるという、それで先ほど申し上げたようなことでございます。そこで四人の方は、私は違っておるように思いますけれども、そういう事実はないと否定をしておられる、いわゆる否認をしておられる、こういう環境にあるわけでございます。しかし、それは福田総理の発言をそのまま受け取りますと、そのことを証明するすべがない、受け取っておらないという消極的な事実を証明するすべがない立場におられる方々、そこに大久保証言のように、そういう計画があって途中までのことを証言されたので、そういう立場を気の毒だな、こういう感じを言われた、こういうように私受け取っておるわけでございまして、裁判を否定するとか——否定と言うとおかしゅうございますが、信用しないとかなんとかそういう立場ではなくて、一方の方は否定しておられる、しかしそれを、これは起訴されておるわけではありませんから、公判に出ておるわけではありませんから、その証明のしようが現在ない立場にある、そういうことを心に置いて、気の毒だといいますか、かわいそうだな、こういうことだということで御答弁をされておるように思います。
  43. 小林進

    ○小林(進)委員 総理がそういう発言をされたときに法務大臣はそのそばにおられて、そしてそれを聞いて、真意はこうだ、こう解したという御答弁でございましたが、私は、法務大臣はそう解釈されたことはそれは間違いないと思いますけれども、これを聞いた国民がどう感じたかということはいま私があなたに申し上げた。これが国民の気持ちです。一国の総理たる者が、国民に司法の尊厳と司法の公平を疑わしむるようなそういう発言をやられたということは、非常に軽率だったと私は思う。あなたがそばにいられてそうでないとお感じになったとしても、国民がそうとらざるを得ないような発言をされたということは軽率であると私は考えております。今後ともこういう発言は厳重に差し控えていただきたい。特に、いまではこういうロッキード事件関係をいたしまして、この関係者の筋合いから、どうもあの検察庁なんというのは不公平きわまるんだ、何も証拠がないものをやっているんだ、これは政治策動だ、こうやって非常にわが検察行政に対する不信をあおるような風評がいまちまたに満ちているのだ。意図的に流されている。そういうさなかでありますから、その長に立つ者、その監督指揮の立場に立つ者は、さらにその信頼をむしろ守るような形の発言をしてもらわなければいけないにもかかわらず、それに火をつけて、さらに不信感をあおるようなことは、総理大臣として厳重に慎んでもらわなければならぬと私は思いますが、どうか法務大臣、あなたから総理大臣にひとつ軽率な行動をなさらないように厳重に忠告をしていただきたいと思います。法務大臣から、自己の管轄事項でありますから厳重に忠告を与えておいていただきたいと思います。よろしゅうございますか。総理はあなたの上級職でありましょうけれども、必要に応じてはやはりそういう忠言も必要でございましょうから、やっておいていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  44. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 総理の発言を世間の国民の皆さんがどう受け取っておられるか私はつまびらかにしておりませんが、先ほど申し上げましたように、そう受け取られるような発言ではない。私はさように考えておりません。また速記録を読み上げてもよろしゅうございますが、そういう趣旨でないと受け取れる発言をしておられるわけでございます。裁判に対して、これはわれわれ自身もとやかく言うべき立場でなくて、やはり冷静な、公正な裁判を、裁判所に信頼する、これ以外にはないわけでございます。
  45. 小林進

    ○小林(進)委員 この問題で論争する必要はありませんけれども、国民の多くが私のようなとり方をしていることは、予算委員会を初めほかの委員会でもこの問題を一様に取り上げていることに照らしても明らかであります。これは数字をもって論ずるわけにはいきませんけれども、明らかでありますから、自己の所属する総理大臣のことでありますから、簡単に認めるわけにはいかぬと思いますけれども法務大臣は謙虚な気持ちで、こういう発言がないように総理には申し入れておいていただきたいと思います。  次に、私はこれもお伺いいたしておきたいのでございますけれども、嘱託尋問書についての問題であります。  いまロ事件裁判において嘱託尋問書の証拠能力が何といっても一番大きな争点になっている。弁護団も争って求釈明申し立て書というものを出しておるのであります。裁判に関することでございますから、個々の問題については質問いたしませんけれども、なかなかこういう機会はございませんから、私は一般論としてこの際お聞きしておきたい。すなわち、免責条項は日本に法制度がない、よって米国関係者を不起訴としたことは法のもとの平等に反し、反対尋問が許されない証言では信頼性がない等の弁護側の意見書が出されておるが、まず、この嘱託尋問を行うに至った法的根拠が一体どこにあるか、これが第一点であります。  次に、昭和四十一年七月一日の最高裁の判決であります。すなわち、被疑者が、起訴、不起訴決定権を持つ検察官が自白をすれば起訴猶予にしてやるからというようなことを育った、その言葉を信じて起訴猶予になることを期待していた、これは自白の任意性に疑いがある、こういう利益誘導みたいなことをやったことは自白の任意性を疑わしめる、証拠能力を欠くと解するのが相当である、こういう判決が出てきた。この判例と、いまのロッキード事件における五十一年七月二十一日の最高検の宣明書、五十一年七月二十九日の最高裁の宣明書との関係であります。これを一体どう説明をするのか、一般論としてお伺いをしておきたいのであります。
  46. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 まず、嘱託尋問の手続でありますが、刑事訴訟法の二百二十六条で、「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、」検察官等の取り調べに対して出頭あるいは供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限って裁判官に証人尋問を請求することができることとされております。  東京地方検察庁の検事がアメリカへ行きまして、コーチャンその他の人に会いまして、任意の取り調べに応ずるように説得をいたしましたけれども、どうしても応じてくれない。そこで、東京地検から東京地方裁判所に対しまして起訴前の証人尋問の請求をいたしました。これを受けました東京地方裁判所におかれましては、最高裁経由、さらに外交ルートを経由してアメリカ合衆国に証人尋問の嘱託をされました。米合衆国においてこれを受諾されましたので、ロサンゼルスの連邦地方裁判所において嘱託尋問が実施され、ただいま御説明申し上げたのと逆のルートでわが方へ戻ってきて、現在検察官の手元に調書がある、こういう状況でございます。  ところで、アメリカの連邦地裁が嘱託に基づいた証人尋問をしようといたしましたところ、コーチャン氏が、日本の法律による供述自己負罪特権を主張いたしたわけでございます。自分が犯罪によって訴追されることとなるような事項については供述を強要されない、そういう権利を主張したわけでございます。そこで、この自己負罪特権の主張を破りますためには、アメリカで行われております方法としては、イミュニティーという、刑事免責を与えるという方法があるわけでございます。そこでコーチャンは、アメリカにおけるイミュニティーのような措置をとってくれなければ自己負罪特権を主張する、こういうことになってまいりまして、そこで、わが国にはそういうイミュニティーという制度がございませんから、それにかわるものといたしまして、刑事訴訟法の二百四十八条であったかと思いますが、検察官が有します起訴猶予の権限を利用いたしまして、検事正並びに検事総長から、この者については将来わが国の刑事手続において訴追されることはないという保証をしたわけでございます。そういたしまして嘱託証人尋問が始まったわけでございますが、嘱託証人尋問の主宰者でありました裁判官が、アメリカにおけるイミュニティーというものは、検察官裁判所に申し立ててイミュニティーを付与してもらうということになっております。すなわち、裁判所が最終的に決定することになっておる、そういう頭でおられたからだと思いますが、検察庁の検察官が宣明しただけではなお不十分であるから、最高裁判所においてこの裏づけをしてもらうべきである、それがない間は、でき上がった調書を日本側に引き渡さないという決定をされたわけでございます。そこで、検察当局といたしましては、法務省を通じまして最高裁判所の方へ、こういう状況になっておるけれども最高裁として何らかの措置がとり得るというふうにお考えになるかどうか、もしとり得るとお考えになるならばとっていただけるだろうかということを御相談申し上げたわけでございます。その結果、最高裁御当局におきましては、係官をアメリカまで派遣されまして、よく先方の考えておることも把握されました上で、それまでに例がないという意味では異例でございましたが、最高裁判所裁判官全員一致の意見で宣明ということをなさったわけでございます。それによって調書がわが方の手に入った、こういう経緯でございます。  さて、証拠能力の問題でございますが、この問題はただいま御指摘をいただきましたように、目下のところロッキード事件公判をめぐる最も大きな争点の一つになっておりますので、私がここでどちらかに軍配を挙げるというようなことは適当でないと思いますが、ただ、御引用になりました最高裁判例と申しますのは、被疑者に不起訴の約束をしておきながらこれを起訴した、そうしてその被疑者であった者が被告人になってしまった、そういう案件でございまして、今回問題になっております嘱託尋問関係は、もともと被疑者でもありませんし、いわば証人的なものでございます。そこで問題となりますのは、アメリカにおきましてはイミュニティーを与えて宣誓すれば本当のことを言う、言わなければならぬという感覚が定着しておりますし、また、コーチャンその他の証人になった人にはそれぞれ弁護士が弁護人としてつき添って証人尋問に立ち会っておる、こういういろいろな状況がございまして、検察当局としてはきわめて証拠能力の高いものであるという主張をしておるわけでございます。私としてはその主張には十分理由があるというふうに考えております。
  47. 小林進

    ○小林(進)委員 こういう専門的な問題になりますと、なかなかわれわれの能力の及ぶところではございませんけれども、問題の発生は刑訴法の二百二十六条、裁判官に尋問を依頼することから始まっていってアメリカへ持っていった。それから、二百四十八条の起訴猶予の権限をとったということについては、日本の最高裁がアメリカに使者まで飛ばして実際に調査して、これが妥当であると言って全会一致で宣明書を出したということは大変重大な問題だと私は思うわけでございます。今後、この公判を通じて、この問題が脚光を浴びて堂々と論ぜられると思うのでありまするが、仮に弁護団の主張が通って、アメリカの法律に基づくこういう尋問の仕方は証拠能力はないということになると、単なる検察庁の敗北だけにあらずして、日本の最高裁全員にも敗北の責任がおぶさってくるという大変おもしろい問題だというふうに考えざるを得ないわけでございまして、まさに興味しんしんたるところでございますが、私も公平妥当な立場でありますから、どっちが勝てとか負けるとか、そういうことは軽率に申し上げませんけれども、事ははなはだ重大であるということを感じて、ひとつ厳重な監視を立法府の立場で続けたいと思うわけであります。この問題はこれで終わります。  次は灰色高官の問題でございますけれども、ロッキードの特別委員会は、設置の経緯からも明らかなように、ロッキード事件の徹底的解明とその政治的責任の有無について調査するのである。法的責任の解明はまさに検察が行うのは当然でありまするが、このたびの全日空ルート先ほどから言われておりまする二月十三日の公判廷で、大久保証人により、法的責任を問われていない数人の国会議員政治的道義的責任を負うほかないと思われる証言がなされたわけであります。これは、法務大臣の御回答は、もうそのものずばり、国会議員政治的道義的責任を負いなさいと言わんばかりの御所見だったわけです。  そこで、この際改めてお伺いするわけでございますが、さきの五十一年十一月二日のロッキード委員会秘密会における報告内容については、先ほど横路質問に対して答弁された。これは言わずもがなでありますけれども、やはり法務省としては確然として確信をお持ちになっているものと私は考えざるを得ないのでありまするけれども、これはもらったのだと法務大臣は言われたのでありまするから、この確信をいま一度私はここで念を押しておきたいと思います。確信をお持ちになっていると思いますが、念を押しておきたい。法務大臣は非常に明快にお答えになったのだけれども、お隣の伊藤局長は何か秘密会のことだから責任は持てないようなお話があったり、福田首相のその後の発言があったりして、どうも国民も若干この点を疑っておりまするので、いま一度その確信のほどを明確にしておいていただいて、灰色高官はやはり政治的道義的責任はあるのだ、金はもらっているのだと、ひとつ明確に御答弁をいただきたいと思うのであります。これが一点であります。  なお、アメリカにおきましては、この灰色高官に関して上下両院においていずれも倫理規定というものを持っていて、これが国会内のルールとして政治的道義的責任の限界を明確にしているわけでございまして、これは先ほど理事会の中でも、ややこういう規定を設けたらどうかというふうな発言が大内さんからもあったと私は思うのでありまするけれども、これは日本の国会にもこういうアメリカシステムがあるいは必要なのではないか、そうすれば灰色などというあいまい不可解なことも必要がなくなってくるのではないかと考えますが、このことについて法務大臣は一体どうお考えになるか、以上二点についてお伺いをいたしておきたいのであります。
  48. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 小林さんから、いわゆる四人の灰色高官という方々灰色高官であるということを私に言えという趣旨でしょうか。——それはこういうことでございます。くどくど先ほど来申し上げておりますが、ロッキード委員会でかくかくしかじかの者は道義的あるいは政治的責任を関わるべき立場にある者と認めるから、これに該当する関係者がおれば、それを国政調査のためにロッキード委員会に出しなさい、それに応じていわゆる秘密会としての理事会に、ロッキード委員会決められました要件にはまる者と認められる者は捜査段階ではこれこれの者と思います。こういうことで出しておるわけでございます。これは検察当局としては、いろいろな証拠によって検察段階でそういうことを認めたということでございますから、これはそれ以上に出るわけではございません。私は、検察庁が周到に調査をして、そういう証拠の上からこれに当たるものと認めたということを信頼をいたしております。検察がやっているのは間違いでございますとか疑わしいとかいう立場にはございません。信頼をいたしております。これを申し上げておるわけであって、四人の人が金をもらったんだ、それは灰色だとこちらが断定しておるわけではございません。そういう事実関係を申し上げて、その事実を検察庁がこれに当たるものと認めたことは私は信頼をいたしております。こういうことでございます。  それから第二のことは、ちょっと私聞き漏らしておったものですから隣に聞いたわけですが、アメリカの国会においては倫理委員会とかいろいろありまして、いわゆる政治的道義的、政治的と言うのでしょうか、責任を問わるべき場合はこうだということをいろいろやっておるということでございますが、それは私から申し上げるまでもなく、これはアメリカといえども司法当局がそういうことをやっておるとは思いません。やはり国会においてそういう方式を考えられるか、決められるか、これは非常に意味のあることである、意義のあることであると私も考えますが、アメリカの国情と日本の国情、また両方の国会の姿が違いますから、これをどう運ぶかということは今後の問題だと思います。
  49. 小林進

    ○小林(進)委員 第二番目の、アメリカの倫理規定は上下両院とも規定がありまして、理由のいかんを問わず、政治献金なら政治献金、ちゃんと一定の額があって、それ以上もらえば倫理規定違反だ、事のいかんを問わず、それは法的に一つの制裁を受ける、こういうふうになっておりますから、だから灰色も白も黒もないわけであります。そういう規定は日本の国会でも必要なのではないかということを私は御質問したわけでありまするが、大体御回答はそれでいただいたことにしておきましょう。  第一の問題です。あなたは検察庁を御信頼になる、私はりっぱだと思います。ただその御信頼になる検察が、ともかく金はもらった。確信がある。ただ、二人は時効が成立した。二人はその職権に基づかざる行為だ、だから起訴はしなかった。起訴はしなかったけれども、これは事実は事実として確かだ。あなたはその確かだということを信頼をする。検察庁のあらゆる資料に基づく調査を信頼するという言葉で言われたのでありまするけれども、これは確定したということになる。確定すれば、そういう時効とか職権の問題で起訴はしなかったけれども、道義的政治的にはやはり責任はある、こういう結論にならざるを得ないと思う。あなたの言葉をそのまま私が受けとめるとしても、あなたの言葉を路線上に押していけば、起訴はしないけれども刑事犯罪は成立しないけれども、政治家として道義的政治的責任はあるという結論になると思うのであります。そういうふうに受け取ってよろしゅうございましょう。
  50. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 よろしゅうございましょうということでなしに、それは国会決められたことでございますということであります。
  51. 小林進

    ○小林(進)委員 それを国会でお決めになれとおっしゃるというと、狭義の検察行政の上では、起訴要件を満たさざるものは法務省の関与するところではないことになりましょうかな。これはやはり国務大臣としてはいささか頼りない回答ですな。法務省という人倫道徳を明らかにしていくその頂点に立つ者が、そういうどうもあいまいな、国会でお決めなさい、私は知らぬなんというような答弁では心もとない。大体実体法などというものは、これはやはり人倫道徳、人の道の上に立つものでありまするから、経済犯と違うのでありまするから、そういう人の道に反するような灰色の行為は、やはり道義的に許されるべきでないというようなことは、法務大臣、堂々と言うだけの勇気と決意がなくてはならぬと思います。どうです。もう一回。
  52. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 なかなか小林さんはお話がうまいですから、ついつり込まれるような気がいたしますが、これはしばしば申し上げておりますように、検察とか法務省というところは犯罪ありや否や調査いたしまして、犯罪ありと確信を持った場合は起訴すべきものは起訴をいたして裁判にゆだねる、ここまででございます。そこで、犯罪にならなかったがかくかくの金銭授受がありましたということを、しばしば申し上げて恐縮でありますが、当委員会秘密理事会報告をしろとおっしゃったから、これこれの条件にはまるものがあったら出しなさい、国政調査上きわめて重要なことである。私どもそれを、私どもというか、法務省としては国会のおっしゃることはしごくごもっともであるということで、御協力を申し上げるために、こういう関係金銭授受をしたという方方は捜査段階ではあらゆる証拠からこういうふうに認めます。これを理事会に差し上げたわけでございます。それがいわゆる政治的に道義的責任を問われるものだ、こう決められたのは国会でありますということを申し上げておるわけで、こちらがこれこれが道義的責任を問われるべきものでありますということを言える立場ではない、またそういう職責ではない、これを申し上げておるわけでございます。
  53. 小林進

    ○小林(進)委員 残された時間もわずかでございますから、ひとつ次に移りたいと思いますけれども一つは、先ほど箕輪質問に出ましたが、灰色高官に対する資料提出の問題であります。資料提出について総理大臣以下法務大臣は、何遍も抽象的に国政調査権協力をする、こういうことを述べられているわけであります。  ところで、過日、公判廷において大久保証言が行われた。政治的道義的責任を追及すべき責任を持つ国会といたしましては、大久保証言を裏づける事実を調査しなければならぬわけであります。事実関係については国会には調査する権限もなければ機能もないわけで、どうしても法務当局の御協力を得なければならない。これに対しては先ほど伊藤局長の御答弁もありました。何か公判における任務が終わったときには出してもというお話がありました。その意味において、先ほど答弁をいま少し具体的に、いつ一体国会協力する姿勢でこの資料を出していただけるのか、これを私はお伺いをしておきたいわけであります。私は先ほど理事会でも言いましたけれども国会はこのロッキード問題では、一方には与党の先生方にもしかられ、しかられながら検察当局捜査当局にはずいぶん協力いたしてまいりました。いやだいやだという小佐野氏を国会に呼んで偽証罪の形をとったり、あるいは若狭氏を国会に呼んで偽証罪で起訴したり、皆さん方が捜査をお進めになっているそこには、国会側の協力が過半を占めていると言っても私は過言ではないと思う。初めに手をつけたのは国会である。検察庁がのうのうとしておいでになるときに、国会が先鞭をつけてこの問題を進めてきた。これほど国会、立法府が協力していることに対して、どうも司法当局の協力の仕方が足りない。私は率直に言って足りない。いま少し歩み寄るころじゃないか。こっちがこれだけ行ったなら、そっちもこれだけ来てもよろしいじゃないかという気持ちが非常に強いのであります。でありまするから、せめてこの資料提出ぐらいはわれわれの方へひとつ早急にやっていただきたい。  そこでお伺いするのであります。具体的にいつ協力いただくか。金銭授受が明らかになった後ならば資料を出していただけるのか、第一審が終わった後ならば資料を出していただけるのか、遠き先に行って最高裁の判決が出るまでは資料を出せない、それが済んだ後に出す、こういう一体お考えになっているのか、その的確な提出される時期をいま少し明確にお聞かせをいただきたい。
  54. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 一審が終わったらとか、最高裁が終わったらとかいうことでなく、毎公判開廷ごとにでも結構でございますから、公判で明らかになったものにつきましては御報告申し上げます。
  55. 小林進

    ○小林(進)委員 いまお話のとおり、公判廷証言が済んだ後には出してくださるということでありますから、それは一歩前進でありますが、あわせて、どの範囲のものを出していただけるのか、それにまつわるすべての関係資料を微に入り細に入り出していただければまことにありがたい、それが協力というものでございますので、ひとつそういう御協力をちょうだいをいたしたい。私に与えられた時間が参りましたから、もうこれ一問で終わりたいと思いますけれども、第六問です。  P3Cの導入の問題であります。防衛庁は、本年度予算に対潜哨戒機としてP3Cの採用を予定している。防衛庁の間淵装備局長は、五十二年九月十二日、本委員会において、法務当局に問い合わせたところ、PXLの導入に関しては犯罪の容疑は存在しない、こういうことであったという答弁をしておられるのでありますけれども、少なくとも、口事件公判が行われ、これからどのような発展があるかわからない段階で、しかも小佐野、児玉の冒頭陳述でも、P3Cについてこれはちゃんと陳述されている、これは立証されようとしている、そういうときに、法務大臣は、その法的解明の責任者として、また国務大臣として、この口事件公判の審決を含めた全貌の解明を後にして、このP3C導入問題に結論をつけるという政府の姿勢、防衛庁の姿勢は、これはどうも正しいとは私は考えられない。  また、防衛庁は、技術的、軍事的な観点からこれを決定したと述べておりますけれども、政治的には、このロッキード事件はまだ解明をされたわけじゃないのでありますから、そういう問題の中心にあるこういう飛行機を購入することは、どうしても国民の側は納得できないのでありますけれども法務大臣はどうお考えになりますか。これは刑事局長ではちょっと答弁できないと思いますから、彼が生理的現象を解決して帰ってくるまで、しばらく休むことにしましょう。——もし刑事局長、大臣に成りかわって回答ができるとおっしゃるなら、ひとつ承っておきたいと思います。
  56. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 防衛庁の当局の方からは、私どもの方へP3Cをめぐって犯罪の嫌疑があったような事実があるのかどうかというような問い合わせがございまして、私の方からは、P3Cをめぐっていろいろな方面でロッキードからの金が動いたという事実はない、こういうことをお答えしたことがございます。それを踏まえて、それも一つの参考資料とされまして、P3Cの採用を決定されたものと思いますが、防衛庁のお考えの、あるいは国防会議での御決定経緯等を存じませんので、私としてはこの程度しかお答えできません。
  57. 小林進

    ○小林(進)委員 伊藤局長の御答弁には重大な問題が含まれている。事務当局の事務的な回答であるとおっしゃればそれまででありますけれども児玉のあの十七億に達せんとする膨大なロッキードから受けた金、その中のコンサルタント料、そのコンサルタント料は単なるトライスターの購入ではなくて、これほど莫大な金をコンサルタント料として出した裏には、本命はP3Cだ、対潜哨戒機を日本に売り込むためのコンサルタント料なんだ、これはもう国民の一致した考え方なんです。  そういう疑惑のある中に、最も問題を正しく解明をしなければならない法務省刑事局長ともあろうものが、そのP3Cの問題は出てこなかったと言うことは、何か免罪符を検察庁みずからが防衛庁に与え、児玉に与え、あるいは小佐野に与えたという結果にならざるを得ないのではないかと思っている。私はその意味においてこれは実に重大なる発言ではなかろうかと感じたのでありますが、この点について法務大臣いかがでございますか。P3Cは口事件関係なし、そういう免罪符を刑事局長がお出しになったというのでありますが、その点はいかがでございますか。
  58. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 答弁を簡単にし過ぎまして大変失礼いたしましたが、冒頭陳述書に出ておりますようなP3Cと児玉あるいは小佐野とのかかわり合い、この事実もあわせてもちろん防衛庁に話してございます。  ただ、私が申し上げましたのは、P3Cをめぐってロッキードからの金が動いたということはない、そういうことを先ほど申し上げたのでございます。
  59. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いわゆるP3C飛行機に対しては、先ほど刑事局長からお答えしたとおりで、これにまつわって犯罪ありということが認められる状況にはなかったということでございます。  さて、そういう話題になったP3Cを防衛庁が今度新たに購入する決定をした、これはおかしいじゃないか、こういう御趣旨だと思います。防衛庁も、このロッキード事件というのがあった後でございますから、私、直接の担当ではありませんけれども、話に聞いておりますのは、そういう調査の結果等、十分法務省から報告を受け、そういうことをすべて検討をして、問題は飛行機の性能でありますから、飛行機の性能は現在のわが国の防衛力維持については適切な飛行機である、そういう観点から選定をされたと聞いております。と同時に、従来小佐野等にまつわって、多くのこれにまつわる金が要るようなかっこうではこの際やってはいけない、そういうところまで注意を払って、ロッキード社ともいろいろ話し合いをつけ、そういう不純なものがまつわらない、こういう状況下で選定をした、こういうことでございますから、これは飛行機の性能との関係であって、私はこれが適当でない、こういう感想は現に持っておらないわけでございます。
  60. 小林進

    ○小林(進)委員 まだたくさん質問は残っておりますが、約束の時間が参りましたようでございますから、私の質問はこれで終わることにいたします。  ありがとうございました。
  61. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 坂井弘一君。
  62. 坂井弘一

    ○坂井委員 最初に委員長に、御提案、お願いをいたしたいと思います。  政治的道義的責任ありとして、四人の方々をいわゆる灰色と認定したのは国会でありますし、紛れもなく当委員会、ロッキード調査特委員会が認定をしたわけであります。したがって、申すまでもないことでありますが、この認定に当たっては、与野党の別なく本委員会が責任を負わなければならない。これは理の当然であろうと思います。委員長のお立場は、まさに厳正公平な本委員会委員長でございます。  さて、そこで、国会が認定をいたしましたこの四人の方々は、金銭授受の問題をめぐりまして、そのほとんどの方々がこれを明確に否定をしていらっしゃる。そういう中で、私ども証人として本委員会に出席を求めて証言を得たい。その意向を委員長から個々お尋ねをいただいたところ、先ほど報告のあったとおり、要約いたしまして、喚問に応ずることはできないという理由は二点でありました。つまり、その一つは、公判維持上影響があるのではないか。したがって差し控えたい。いま一つは、実際の捜査資料が本委員会に提出されない限り、われわれ、と言ったかどうか知りませんが、的確なる反論はできない。この二つの理由をもって喚問を拒否された。応ずることはできない。しかし、先ほど小林委員からも指摘のありましたとおり、これは包括的な報告でございますし、きわめて個々の、それぞれの四人の人たちのそれぞれが喚問に応じられないとする理由と、いま述べられました二つのこの理由とは必ずしも一致するものではない。そこで、改めての提案でございますが、少なくとも次の理事会において、私はあえて委員会とは申しません。次の理事会において、委員長がこの四人の方々から聞かれました拒否の内容といいますか、その事由といいますか、それを一人一人について非常に重要な人権問題が一方かかってございますから、事の正確さを期さなければならぬとも思いますので、文書でもって十分本人の意思を尊重しながら、正確にひとつ委員長から理事会に御提出をされますよう計らっていただいてはどうか、こういう提案でございます。いかがでしょうか。
  63. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 ただいまの御提案につきましては、これまた理事会でよく御相談いたしまして、そして私の態度を決めたいと思っております。
  64. 坂井弘一

    ○坂井委員 あえて私がなぜそういうことを申し上げるかといいますと、先ほども小林委員からございました、新聞を初めいろいろな報道において、御本人たちの言い分といいますか、はなはだ心外である、その辺のいきさつ、事情についていろいろ述べられておる。少なくともやはり弁明の場はいま一度与えられたいという希望は、これは強いと思います。したがって、少なくともその辺の事情を踏まえた上で、改めて灰色と認定をした当委員会の責任において、その真実の声をいま一度正確に聞いてみるという必要があるのではないか、こう思うからあえて御提案を申し上げたわけでございますので、ひとつ前向きに御検討、受け入れられるようにお願いをしておきたいと思います。  さて、実は本委員会の真相解明、そのためにこの口特委員会が設置をされたその出発点といいますか、一番最初のこの委員会の目的としたもの、それは一体何であったのかということを、いま一度、今日の事態を迎えて冷静にお互いに振り返りながら、出発点にやはり立ち戻る必要があるのではないか、実はそのことを強く感ずるわけでございまして、つまり言いたいことは、いわゆる刑事事件における犯罪捜査、それによる立件、あるいはまた犯罪事実なし、そういう刑事事件、これをきわめる場では本委員会は決してございません。つまり、国会において決議をいたしました。真相解明を行う国会の意図するものは、この真相、真実というものをことごとく解明する中で、少なくともこの種の事件が再び起こらないようにということをわれわれは決意しながら、一体ロッキードの黒い金がどのような経路でどういう意味合いを持ちながら政治と行政の間にかかわり合って、ある種の行政のあるべき方向を変えていったか、政策を変えていったか等々、たとえばエアバス導入等に関しましてこの黒い金が絡んだ、そうした中での政治と行政の絡み、その辺を明確にしていかなければならぬ。また、そこにおいておのずから政治的道義的責任を問われる者が存在するとするならば、それはまた国民の目の前に明らかにしなければならぬ、こういうことでありまして、犯人捜しでありますとか探偵ごっこをやるのはこの委員会の決して意図するものではない。そこのところを踏まえて、それをしっかり踏まえて、さて、この事態でこの真相解明の目的に向かって十二分に本委員会が今日まで活動、指導し得たかどうか。はなはだ残念ながらその大部分についてはいまだ未解明である。こういう認識を実は私は持っております。同時に、一つ一つの事実をもってそれが真相、真実であると断定するには、これははなはだ大きな誤りが犯される心配もある。つまり、言いたいことは、一つ一つの事実というものを明らかにする中でそういうものを積み重ねていって、初めて真実は一つと言われる真相というものが浮かび上がってくる。単に一事実をもって、それがイコール真相である、こういう錯覚をしては断じてならぬ、実は私はこういう考えでおります。  したがって、そういう意味合いにおいても、真相解明のために必要な証人はことごとく証言台に立っていただいて、その一つ一つの事実を正確にお述べいただく中で、それをつなぎ合わせてみて初めて真相の解明ができる。それが本委員会の目的であったはずである。この認識においては、首尾一貫して今日に至っておるつもりでございます。したがって、そういう意味合いと、そういう目的と、いま一つ問題になっておりますことは、いわゆる灰色と認定された四人の方々が金を受け取った事実はないと明確にこれを否定していらっしゃること、この二つのことを同時にあわせて本委員会において解明をする。明らかにしていく。これは委員長御自身の、本委員会委員長としての重大な責任であると思いますし、また私どもも与野党の別なくその責任を負っておる、こう考えております。  したがって、法務大臣に私はいま私の認識論として申し上げたわけでございますが、法務大臣としてのお考えをひとつお聞きしておきたい。  先ほども触れてございましたが、国会の真相解明に対して協力する、その協力の中身は一体何か。それは、一つにはいま検察なりが捜査上得た資料である、その資料国会に提出していただきたい、こうわれわれは要請をしておる。ところが公判維持上あるいは裁判官に対する予断偏見を与える等々の理由をもって直ちに協力するわけにはいかぬ。国会に対して最大の協力をしなければならぬ政府は、法務省は、やはり一方において重大な責任を負っていることも事実だと思います。したがって、最大の協力をするその一つとして資料国会に提出する、ところがいま言った理由でもってなかなかできないとするならば、資料を提出できる条件、どういう条件下であるならばかくかくの資料は提出できるというようなお考えがあるのかないのか。全く一般論的に、いま公判進行中であるからすべてが終わらなければ出せません、こういうことなのかどうなのか。少なくとも法務大臣としてきわめて前向きに国会協力をするという姿勢の中で、何が協力できるのか、どういう形ならば資料の提出ができるのか、その辺について法務大臣としてのお考えをいま一度ひとつお聞かせをいただきたい。
  65. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 当委員会はもう二年ぐらい続いておりますが、当委員会の職責、責務といいますか、私がそういうことを言うとまことに失礼なことでございますが、いま坂井さんが言われたような趣旨であろうと私も解しております。  ただ、それに対して協力の問題でございますが、これはしばしば同じことを申し上げてまことに恐縮でございますけれども、普通の行政府と違いまして、検察は御承知のとおり犯罪の、特に検察関係犯罪の捜査及び起訴すれば公判の維持ということが職責でございます。そういう中で得た資料を、いまおっしゃったような当委員会の職責を果たす上で可能な限りお手伝いをいたしましょう、こういう立場で可能な限りの御協力をいたしますということを申し上げておるわけでございます。ただ、いま申し上げましたように法務、検察の職責がそういうことであって、その職責を遂行するためには刑事訴訟法その他いろいろな定めがありまして、その定めがあるというのは申し上げるまでもないことでありますけれども捜査の完成を期するということと、公判維持を期するためと、それから一面においては公判関係する者だの捜査関係して出てくる人々の信用なりあるいはいわゆる人権、名誉、こういうものを阻害しないようにというために各種の法律の規定ができておるわけでございます。でありますからその範囲内においてしかできないわけでございます。これはぜひ御理解を願いたい。法務、検察趣旨、目的がこうでありますから、それについていろいろな配慮をしてわれわれが行動し得る範囲決めてあるわけでございます。法律を越えてこちらがやるというわけには当然いかないわけでございますから、その範囲で許される限度において、また許される時期において御協力申し上げるということが今日までずっといろいろな場合で申し上げておる趣旨でありますから、これはぜひひとつ御理解を願いたい。御協力を申し上げないとかあるいは隠しおおせようとか、またそういう性質のものでもありませんし、そういう立場法務省が行政をすべきものではない、かようなことは御理解を願っておきたいと思います。
  66. 坂井弘一

    ○坂井委員 福田総理が四人の方々を指して気の毒だという発言があった。何が気の毒かと言いますと、先ほど答弁ございましたが、まず事実を、真実をはっきりさせるすべがない。すべがないと言うが、本当にないのでしょうか。人権の重さということを一方に踏まえたならば、すべはあると思います。少なくともわが党がロ特委員会の冒頭申し上げましたように、認定した責任は私も一端の責任を負う立場でございますから。しかるに四人の方々がこれを否定する、気の毒である、そのすべがないからだとおっしゃる。すべがないことはない。  伊藤刑事局長にお伺いいたしますが、あなたは先般の予算委員会におきまして横路委員質問答えまして、一定の段階意味するのだろうと思いますが、裁判上の立証がほぼ終わった段階であれば資料は詳しく国会に提出をいたしましょう。ほぼ終わった段階というのは一体いつでしょうか。それからここで出される資料とは一体どの種の資料を指しておっしゃったのでしょうか。
  67. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 ほぼ終わった段階というのは私にも実はよくわかりません。横路委員の御質問が、大体三、四月を越えれば立証がほぼ終わると思うから、その段階になったら資料が出せないかというお尋ねがありましたので、それをそのとおりオウム返しに受けまして、立証がほぼ終わりました段階にはと申しまして、それから後がちょっと違うわけですけれども公判へ提出された資料については国会の御要望があれば詳細御報告申し上げます。こういうふうにに申し上げたわけでございまして、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、公判廷証言をされました証言内容でございますとか、あるいは法廷証拠調べが行われました書証の中身でございますとか、そういうものは御要望があれば検察行政に対する国政調査の一環でもあり、また当委員会国政調査に対する御協力として御要望のとおり御説明申し上げさせていただく、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  68. 坂井弘一

    ○坂井委員 それならば単なる公判記録じゃないですか。この公判に、表に出ない関係資料は一切含まない、公判廷に出されました記録として残る資料についてはお出しをいたします。仮にそういうことであるならばいまでもお出しいただけるのじゃないでしょうか。これは一定の手続はとります。いかがでしょう。
  69. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 公判記録は裁判所が保管するところでありますから、国会から裁判所に対しして御要求になるべき筋合いだろうと思います。法務、検察としては訴訟記録そのもの国会にお出しするという能力がございません。そこで、私どもは、検察活動という一種の行政権の行使に関しまして国政調査が行われますならば、これに対しては十分な御協力を申し上げる必要があろう。そこで、公判で起きました出来事につきまして、その骨子ないし要旨をなるべく詳細に御報告申しげます。こういうことでございます。  なお、申し上げるまでもないことでございますが、公判へ出ました資料で裏の資料というものは一切ないわけでございまして、公判へ出ましたものはすべて公開の法廷で口頭で取り調べが行われるわけでございますので、それらについては、実は横路委員予算委員会での御質問の際には、御質問が、立証がほぼ終わった段階という前提でございましたのでそう申し上げましたけれども公判に出されましたものにつきましては立証がほぼ終わろうが終わるまいが、きょうの時点できのうまでの分について説明しろとおっしゃれば、至急資料を取り寄せて御説明する、そういうようなテンポで御協力申し上げたい、こう申し上げておるわけでございます。
  70. 坂井弘一

    ○坂井委員 公判に提出されました資料につきましては、委員長、お計らいください。当委員会にひとつ御提出をいただけるように裁判所の方に手続をとっていただきたい。お願いとして申し上げておきます。
  71. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 理事会で御相談いたしまして……。
  72. 坂井弘一

    ○坂井委員 すべての資料というところに実は意味があるのでありまして、この辺につきましては、いま公判進行中でありますし、特に起訴された二人と四人との関係ということになりますと、丸紅、全日空にかかる行為の、両者間の金の流れの中で密接不可分な関係にある。したがって、その辺もありますので、関連する一切の資料というものはいま直ちに本委員会に提出することはできない、こういうことだろうと思うのですが、まあ一般論としてあえてお伺いしておきますけれども、刑訴法四十七条のただし書きということになりますと、これはまた話は別ですね。
  73. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 御質問趣旨が必ずしも私、的確に把握できないのですけれども、要は、先ほど来大臣がお答え申し上げておりますように、公判の運営に悪影響を及ぼさないということ、あるいは関係者人権、名誉、それから国民一般の捜査に対する信頼感、こういうものを考慮しながら、なるべく御協力申し上げられる分については御協力申し上げるという方向で対処してまいりたいと思っております。
  74. 坂井弘一

    ○坂井委員 あの起訴されました二人と、それからいわゆる灰色の四人の受け取ったとされる金、この金は二人の分と四人の分がそれぞれに交錯するといいますか、どういう関係で密接不可分になるのか、その辺少し具体的に御説明いただきたい。
  75. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 冒頭陳述の際にも明らかにいたしておりますけれども、三千万円というお金がございまして、これを六人の人にそれぞれ渡そうという計画があったということを、先般、大久保証人証言をしたわけでございます。冒頭陳述書によりますと、この六人に対しというのが、後に伊藤宏副島あたりの段階でもう一人ふえまして七人になって、渡すべき金額も多少変動しまして、そこで、ちょっと比愉的に申し上げますと、一山三千万円の金が七包みに分けられて、二名の者によってごく短時間の間にぐるっと配付されたというようなことでございまして、そういう意味において事実関係証拠関係が二対四というふうに載然と区別できない密接不可分な関係にある、こういうことでございます。
  76. 坂井弘一

    ○坂井委員 法務大臣に伺いますが、どうでしょうか、いまのところ最終報告というか、全容報告はする御意思はございませんか。ありません、ありと思うのだけれども、どうでしょう。
  77. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ない方にお尋ねですか、ある方にお尋ねかわかりませんが、現段階ですぐというわけには事実上まいらないと思います。先ほど来申し上げておりますように、委員会国会で御要求があれば、これは従来からのいきさつもありますし、全容といいますか、明らかにすべきことをお約束しておりますから、政府としてはやるべきだと思います。ただ、いまというわけにはまいらないことは先ほども申し上げたとおりでありますから、その時期が裁判との兼ね合いもありますので、これはしかも、ただ犯罪あるいはそれに関連する事案の報告だけということになりますと、法務省単独でできないわけでございませんけれども先ほどいろいろお話がありましたように、また私も触れましたが、当委員会が目標としておられるような、こういうことが将来にわたって再び起こらないような方策をとるにはどういう点に欠陥があったか、あるいは行政上、法律上どこに不備があったか、こういう点を含みますと、これは政府全体の問題になりますから、政府全体と協議をして、この趣旨に沿うような——委員会が目標とされる趣旨に沿うようなものができるかどうかわかりませんけれども、沿うようなものとして報告しなければ意味がないのじゃないかと思いますから、そういう意味でやはり時期を見なければならない、かように申し上げておるわけでございます。
  78. 坂井弘一

    ○坂井委員 私の認識から申し上げますと、意見として申し上げますと、まだとても全容報告はできる段階には至っていないし、ましてや全容報告ということになりますと、つまり全容でございますので、児玉・小佐野ルート等のその内容についても、これはまず国民の目から見てほぼ納得のできるような内容が盛り込まれてなければ、およそ全容報告の名には値しないであろう。ただしこれは児玉・小佐野ルート、とりわけPXLの白紙還元に絡むP3Cの導入に至る経路等についての児玉ないしは小佐野、あるいはその間に介在する防衛庁の問題等々については、捜査上もきわめて困難を来しておる、こういう報告を受けております。したがって、その限りにおいては全容報告、一体その名に値する報告ができるのかどうかということになりますと、きわめて疑問なしとしない。しかしながら、全容報告は政府の国会に対し、国民に対する公約でもあるわけであります。前段に申しましたように、やはり国民の期待する全容というものはそのすべてということでありますから、それを満足させるだけの、やはり今後においてさらに児玉小佐野ルートの解明に対する努力というものは、捜査当局もしっかりやってもらわなければならぬ。同時にこの児玉・小佐野ルートを解明するいまひとつの手だてというものは、やはり本委員会のこの活動というものがきわめて大きなウエートを今後占めていくであろう、実は私はこういう認識でありまして、そういう意味合いにおいては、いつかは全容報告はしなければならぬけれども、なかなか、まだまだ先のことであろう。少なくともいま言えることは、第一次、第二次中間報告に続いて、第三次の中間報告を仮にやるとすれば、国会がそのことを要請するとするならば、いま法務大臣がおっしゃったような一次、二次の単なる捜査上の断片的な事実関係経緯を述べるにとどまるようなものではなくて、少なくとも政治報告、行政等のゆがみがどこにあったかどうかというような内容等も含めて、本委員会の真相解明へのそういう目的と軌を一にするかどうか、その方向性、そういう同じような方向性の中身のある政治的な報告を第三次報告でなさる御意思なのかどうか。同時にその場合、相当期間がかかるかどうか。いま国会がそれを要請すれば、第三次報告に至る期間というものはかなりかかるということになるでしょうか。
  79. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 期間といいますと、いまいつということは正直なところめどを立てるわけにはまいらないと思います。  それで、いかがでしょうか、坂井さん、こういうものをちびちび——まだ新しいといいますか、重要な問題もわからないというようなときに、ちびちび中間報告することがいいのかどうかということも私は考えなければならぬと思います。これは委員会の御意向等をよく十分聞いてからでないと判断できませんけれども、大した値打ちというとおかしゅうございますが、中身もないものを形式的なことをやること自体が、かえって国会の審議あるいは政府のあり方、措置について信頼を失うおそれがあっても、もうこの段階でいけないと私は思います。そういうことも含めていろいろ皆さんの御意見等を承ってからのことにしないといかぬのじゃないか、かように考えております。
  80. 坂井弘一

    ○坂井委員 まさにその内容いかんだと私も思うのです。したがって、内容等についてあらましどういうお含みといいますか、お考えであろうかということでお尋ねをしたということでございます。  最後に伺っておきますが、PXL白紙還元、P3C導入、これは冒頭陳述での児玉との関係になるわけですが、防衛庁に対します調査、これはその後どうなりましたか。あるいは今後の見通し及び同じく児玉状況、これは病状を含めましてお答えいただきたいと思います。
  81. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 まず、児玉、小佐野の病状について御報告申し上げます。  児玉の脳血栓後遺症でございますが、病状はさして好転しておらないようでございまして、依然として自宅での静養を要するということでございます。公判も昨年七月二十五日の第二回から本年二月二十三日の第十四回公判まで、そのつど診断書を提出いたしまして、裁判所の許可を得て、被告人不出廷のまま裁判を進めております。  それから小佐野の冠不全、俗に言う狭心症でございましょうが、及び高血圧症の病状は若干好転の兆しを示しつつあるやに伺いますが、なお安静加療を要するということでございまして、月一回の公判、前回は二月十六日でございましたが、それには一応出頭しておりますが、終始医師が付き添って、一回の公判も同人の病状を考慮して二時間程度とし、かつ、その途中で休憩して血圧を測定するなど、きわめて慎重な配慮のもとに公判審理が進められているということでございます。  なお、ロッキード事件捜査の過程で防衛庁関係者を若干名取り調べたことにつきましては、以前にも御報告申し上げてあると思いますが、その後、さらにつけ加えてそういった関係の取り調べをやったということはございません。
  82. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  83. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 大内啓伍君。
  84. 大内啓伍

    ○大内委員 一月三十日のロッキード事件全日空ルート第三十九回公判におきましての大久保証言というのは、私どもが見る範囲では、相当重要な証言だというふうに思われる節がたくさんあるのであります。現に新聞等から拝見いたしますと、検察当局はこの証言に対して大変満足しているというような報道もなされているのでありますが、先ほど刑事局長もおっしゃっておりましたように、微に入り細に入りのこの論評、評価というものはなかなかやりにくいと思うのであります。したがって、私は、そういう評価という問題じゃなくて、この大久保証言と他の問題との事実関係についての認識——これは評価ということではなくて、事実の認識の問題について確かめておきたいと思うのであります。  これはある意味では非常に重要なことだと思うのでありますが、先ほど刑事局長からこの大久保証言内容についてるる御説明がございました。この内容はもうすでに明らかになっているわけなんでありますが、一つ私がお伺いをしたいのは、東京地検がさきに法廷に出しております米側の資料とこの大久保証言とは、ほとんど一致するのではないかというふうに思われますが、その事実関係についてはどういう御認識をお持ちでしょうか。これは刑事局長で結構でございます。
  85. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 大久保証言につきましては、先ほど説明したとおりでございまして、いまの米側の資料と仰せになりましたものは、主として嘱託尋問調書の関係であると思いますが、嘱託尋問調書は、その証拠能力をめぐって、検察官それから弁護人の間で論戦が闘わされておりまして、まだ公判廷へ提出されておりませんので、その内容に触れることは御勘弁いただきたいと思います。したがいまして、両方を比べるということができかねる状況でございます。
  86. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは一言だけ、少なくとも検察当局においてはその米側資料も出そうとしているわけです。自信はおありですか。この米側資料大久保証言を照らして自信はおありですか。
  87. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 自信と申しましても、証拠能力について非常な自信を持って取り調べ請求をしておるように聞いております。
  88. 大内啓伍

    ○大内委員 私が聞いておりますのは、大久保証言という新しい事実が生まれて、それとの関係で一層の自信をお持ちかということをお伺いしているのであります。  それはともかくといたしまして、この大久保証言が行われたときに、コーチャン元米ロッキード社副会長は、「私がこれまで証言してきたことが裏付けされ、確証されたことになる」「この三千万円以外の金の支払いについても私のいったことに間違いはない」こういうふうにある新聞電話インタビューで答えられておりますが、この大久保証言と、三十ユニット配分に関するコーチャン・メモとは大体一致していると見られますが、法務省当局はどういうふうにごらんになっておりますか。
  89. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 コーチャン氏の書いたメモのコピーを当日大久保に示して証言を求めておりますが、その結果、そのメモのとおり間違いないというふうに大久保証言したようでございます。
  90. 大内啓伍

    ○大内委員 もう一つの問題でございますが、言うまでもなく、大久保氏は偽証罪ということで告発をされているわけでありますが、今度の大久保証言では、あの当時国会におきまして、それら政治関係者に対して資金が流れたということは全く知らないということを証言してきた。しかし、この一月三十日の証言はそれを覆すものであることは明々白々だと思うのであります。そうしますと、みずから偽証罪というものを事実上認めた証言である、こういうふうに考えておられますか。
  91. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 おっしゃいますように偽証で起訴されておりますが、その事実の関係では自白に当たる内容が含まれておると思います。
  92. 大内啓伍

    ○大内委員 刑事訴訟法の何条でございましたか、みずからの不利にかかわる自白については証拠性を持つ。したがって、この大久保証言は偽証の裏づけの証拠になり得る、こういうふうに解釈しておられますか。
  93. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の条文は、刑事訴訟法の三百二十二条だと思いますが、大久保被告人とする偽証被告事件関係では、一月三十日の大久保証言の結果を記載しました証人尋問調書は、三百二十二条のいわゆる自白調書に当たると思います。したがって、検察官がこれを大久保事件で用いようとすれば用いることができると思います。
  94. 大内啓伍

    ○大内委員 そういう意味では今度の大久保証言というものは非常に重要な意味を持っている。つまり、一つは、みずからの偽証というものを事実上自白することになった。また、明確に言えないとおっしゃっていたけれども東京地検が出されたいわゆる嘱託尋問関係の米側資料との間に検察当局は相当の自信を深める証言であった。  さらには、いわゆる三十ユニット配分に関するコーチャン・メモというものと事実上一致するものであるという意味で、この大久保証言というのは非常に重要だということがここではっきりしたわけでありますが、問題は、そこで指摘されました六名の政治家に関する政治献金についてであります。  法務大臣にこれはお伺いをしたいのでありますが、灰色四人の政治責任問題は、一昨年のあの十一月の二日のロッキード委員会報告等を通じまして事実上決着済みだというふうにお考えなのかどうか。と申しますのは、先ほど非常に重要な答弁をなされておった。というのは、この灰色四人の政治責任の問題について質疑が行われていた段階で、法務大臣はこの問題は済んだのではないかというふうな御答弁をされております。これに間違いないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  95. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 よく言われますが、灰色高官の問題が決着したことかどうかということをこちらで申し上げる立場でないということでございます。ただ、しばしば申し上げておりますように、いわゆるロッキード事件に関して金銭授受が行われておるらしい、その当時はらしいでございます。それが捜査の結果どういうふうになっておるか。だから、そういうもので政治的あるいは道義的責任を関わるべき立場にある人があるのではないか。これはこちら法務当局や検察で言うべき立場でございませんから、国会といいますかロッキード委員会で、その職責といいますか、政治的責任を追及する立場にあるというロッキード委員会でどういうものをそういう立場にあるとされるのか、それをお決めなさらないと、捜査資料によって認めておる事実がどれに当たるかわかりませんからということでいろいろあったわけでございまして、御承知のとおりロッキード委員会で、かくかくの事情に当たるものがあればそれを出しなさい、ロッキード委員会ではそれをいわゆる責任を問わるべき立場にある人だ、こういうふうにされたわけでありまして、こちらでそうだとかそうでないとか認定する職責もありませんし、立場でもないということでございます。これはしばしば申し上げておる。ただ、捜査段階であらゆる資料を総合して、トライスターの問題に関連して金銭授受されておると認められる方々はいまおっしゃったような方々でございますということは、検察当局調査を信頼しておる私は、それは間違いないものと認めます。こういうことを申し上げておるわけでございます。
  96. 大内啓伍

    ○大内委員 それは、二月十五日の衆議院の法務委員会においても同様のことが答えられているわけなんです。実は当時の新聞によりますと、法務大臣の見解として、ロッキード事件の灰色四高官については政治責任あり、そういう見出しで報道しているように、このやりとりを見ておりますと、法務大臣は、言葉はいろいろ使っておりますが政治責任はある。つまり、法務大臣ないしは法務省当局としては、本来それは国会がやるべきものであるから、自分たちがそんなことを認定すべき立場にはないと言いながら、国会決めたことなんだからその考えはいまも変わるものではないと言い、さらに検察としては金銭授受を認定する理由を持っている、私は検察を信用している、こういうお言葉なんでありますが、私はこの答弁を聞いていておやと思いましたのは、実はきょうの答弁でも、それは検察段階でそういうふうに認めている、そういうことを私は信頼している、しかしその金銭授受の有無というものは、法務省法務大臣決定することではなくて、つまり断定することではなくて、言うまでもなくこれは裁判所裁判官がやらなければならぬ。法務行政官としてそういう言葉は行き過ぎなんじゃないでしょうか、法務大臣いかがでしょう。
  97. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 しばしば申し上げておりますように、いまもお話に出ましたが、検察捜査段階でどうなっておるかということを求められて、検察段階調査の結果、あらゆる資料を総合してこういうふうな事実を認めておりますということを報告しておるわけでございまして、その報告が間違いでございます。インチキでございます。そういう考えは持っておりませんから、その検察段階で認めておるという事実については確信を持っております。こういうことでございます。
  98. 大内啓伍

    ○大内委員 これは法務大臣のお言葉でございますから、内閣全体もそういう意思を持つ必要があります。それは、内閣でも統一的に理解されているいまの御見解でございますか。
  99. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そういうことを内閣で協議をしたことはありません。しかし、いままでしばしば申し上げておりますように、その要求は、いわゆるロッキード委員会からの国政調査に対する協力要求は政府に対してなされたものであります。捜査の任にあります法務大臣から政府の意向を受けて報告した、こういう事情にあります。
  100. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、いまの法務大臣の見解は総理大臣もそういうふうな御見解ですか。
  101. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 総理大臣もそういう御見解かという言葉は微妙でありますが、政府が国会要請にこたえて、法務省が担当しておりますから法務省を通じて御協力を申し上げた、こういうことでございます。
  102. 大内啓伍

    ○大内委員 実は私が問題にしておりますのは、ただいまの法務大臣の見解というものは、福田総理が一月三十一日の参議院予算委員会で行った発言の根拠を覆すものではないかという疑問を抱かざるを得ないのであります。というのは、少なくともこの参議院の予算委員会において福田総理は、四人の人々は金銭授受の事実を否定しており、それが事実ならかわいそうである一もちろんここに正確な議事録も一応はとってございますが、趣旨を申し上げますとそういうことであります。つまり少なくとも福田総理は、その金銭授受が行われたかどうかということについて完全な疑問を提起している。しかし、その福田内閣の重要な閣僚である法務大臣は、法務省当局あるいは検察当局調査によって、その金銭授受が行われたとはっきり断定している。両者の間に完全に不統一があるじゃございませんか。いかがでしょう。
  103. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 政府に国会から要請があり、それを担当しております。捜査の任に当たっておる検察庁の資料によって法務大臣報告した、これはいまも申し上げましたが、その段階では、先ほどからくどいように申し上げますけれども、あらゆる資料を総合すると金銭授受があったと捜査段階では認めておる、これを御報告申し上げておるわけでございます。福田総理大臣の、御本人じゃないから、私の受けておる、答弁から受けておる印象でございますが、四人の方は、全部であるかどうか私わかりませんけれども金銭授受を否認されておる、否定されておる、ところがたまたま、一月三十日でございますか、大久保証人が四人の方に渡したというところまでの、事実関係には関係しておらないような証言でございますが、四人の方を含めて、三千万円を分けてお世話になった方々お金を渡すという計画があった、それを自分がコーチャンと相談をして金を受け取って、そして何とかという人に渡した、その後また別な人から、あの計画は全部完了いたしましたというような報告を受けておるという証言でございます。そこで福田総理大臣は、その速記録もあると思いますが、四人の方は否認されておる、これは裁判にかかっておりませんから、否認はされておるが、否定をされておる事実を証明するすべがいまのところない、一方においては証言がなされておる、大久保証言がなされておる、そういう意味で気の毒だな、こういう趣旨を言われたと私は受け取っておるわけでございます。
  104. 大内啓伍

    ○大内委員 くどいようでございますが、この問題はわりあい大事な問題でございますので、きちっとしておきたいと思うのですが、私もあの当時、福田総理が答弁されておった予算委員会の席におりました。したがって、この発言は非常に重要だなと思って、新聞が正確に書くかどうかということも私は相当注意を払っておったのでありますが、やはり速記をそのまま写して実は書かれておりました。  そこで、いまの法務大臣と福田総理との基本的な違いというのは、金銭授受については、法務大臣は、いまも申されておりましたが、金銭授受があったということを認定する理由を持っている、こういうふうにおっしゃっているのです。福田総理は、金銭授受については立証されていない、こう言っているのであります。これは相当な違いじゃありませんか。内閣総理大臣と法務大臣、しかもそれは個人的な名誉にかかわる非常に重要なポイントについて、全然違うじゃありませんか。私はそれを問題にしているのです。ですから、福田総理大臣と法務大臣の御見解は同じですかというのもそういう意味なんです。そして、本来金銭授受があったかどうかという最終的な決着というのは、言うまでもなく裁判所がやる。いや、検察当局を私は信頼しているので、それが出した資料によればそういうのだというような言い方で、本当に法務行政官、最高責任者として妥当な発言なんでしょうか。しかも、総理大臣との間にはこんなに食い違いがある。これはどういうことなんですか。つまり、総理大臣は立証されていないとはっきり言っている。法務大臣は認定する理由をはっきり持っていると言っている。内閣不統一じゃありませんか。いかがでしょう。
  105. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 大内さんはそう受け取られたかもしれませんが、私はそう受け取っておらない。これを読みますけれども……(大内委員「事実の問題を聞いているのです。受け取り方の問題じゃない」と呼ぶ)事実に基づいて申し上げます。福田総理大臣はこういうお答えをしております。「六人の方々自分たちの無実を主張しておるわけです。それがしかし、立証はされておらない」受け取っておらないということの立証がされておらないということであります。こういうことでありますから……(「同じことじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、受け取ったということが立証されておらないということではないので、受け取っておらないということが立証されておらない。しかし……(「金銭授受はあった」と呼ぶ者あり)そうですよ。(「同じことじゃないか」と呼ぶ者あり)しかし、受け取ったという立証じゃないですよ。受け取っておらないということが立証されておらない。しかし、そういうところに大久保証言はこういうことになっておるから気の毒だということを言ておられるわけでございます。
  106. 大内啓伍

    ○大内委員 まあこれは押し問答になりそうですから……(「いや、明らかに食い違っているのだ」と呼ぶ者あり)この辺は私はやっぱり非常に大きな問題だと思っているのです。いまいろいろ法務大臣はおっしゃったけれども、私がさっき言っていたことをなぞっただけなんです。受け取ったかどうか立証されていないということをいまお読みになった福田総理の発言ではちゃんと裏づけている。あなたは金銭授受があった、そういうことを認定する理由を持っている。全く違うじゃありませんか。違うなら違うと素直にお認めになった方がいいのです。しかし、この問題はやはり重要な問題として今後議論されなければならないと思います。これ以上議論してもしようがありませんから一応先に進みます。  私はちょっと問題を戻りたいと思うのですが、もちろん灰色高官の認定という問題は国会がやるべきことであって、法務大臣法務省が認定すべきことではない。そんなことは百も承知先ほどからお伺いをしているわけなんですが、そうしますと、法務大臣の認識としては、あの五十一年の十一月二日に当委員会においてこの灰色、四人のいわゆる高官について灰色認定が行われたというふうに御認識になっているのかどうか。つまり、国会の場としてはそういう措置がもう完了しているという認識を法務大臣としてお持ちかどうか。この辺はやはり重要だと思うのです。国会のやったことに対する法務大臣としての見方であります。
  107. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 これも先ほど来たびたび申し上げておりますが、国会では、かくかくに当たる者を出しなさい、こういうことで、当たる者というものは捜査段階ではこういう方々になっております。それをもとにして国会でそれを認定されたのでありますから、その段階で私は終わっておると思います。
  108. 大内啓伍

    ○大内委員 これは重要な発言ですよ。灰色高官四人の問題はもう決着済みである、終わったということになったら、国会証人喚問要求するということだっておかしいじゃございませんか。その辺はどうなんですか。終わって決着がついたというのなら、灰色四人の高官を証人として喚問を要求する国会の姿勢というのはおかしいということに論理的になりませんか。法務大臣の見解はどうでしょう。
  109. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 大内さんは非常におかしな考え方で問うておられるように私には思えます。灰色高官という言葉は、私先ほど申し上げましたように、これは非常に漠然たる言葉で、私はそういう言葉を使いたくないのです。かくかくのものに当たるものは、ここは政治的あるいは道義的責任を問う場所である、こういうケースに当たる人はそういう意味で責任が関わるべき立場にある、こういうことを国会決められたのですから、その段階ではそれは終わっておるということを申し上げておるわけでございます。
  110. 大内啓伍

    ○大内委員 言葉じりをとるわけじゃありませんけれども灰色高官と言ってはいけませんか。総理大臣もあなたもおっしゃっているじゃありませんか、いままでに。そして、これが一般的な言い方じゃございませんか。なぜこっちがおかしいのですか。私は一般に言われている言葉を使って質問しているのですよ。そうでしょう。
  111. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほどほかの委員の方からの御質問にも私はそう申し上げているのです。灰色高官というものは定義のあるものではありませんから、漠然たる言葉でありますから、私は常に、政治的あるいは道義的責任を関わるべき立場の人、こういう考え方で申し上げておるのでありまして、灰色高官というのはどこの字引にもありません。
  112. 大内啓伍

    ○大内委員 そんな議論をしているのじゃありません。政治的道義的な責任を追及する問題として灰色という定義を示せば幾らでも資料も出しましょうと、あなた自身がおっしゃってきたじゃありませんか。灰色高官という言葉はあなた自身が使ってきたじゃございませんか。  それは結構でございますが、問題は、さっき終わったというお話なんですね。この問題は一応終わった——これは箕輪先生の質問の中にも実はあった問題なんであります。しかし、少なくとも十一月二日にそういう認定がこのロッキード委員会で行われた後のあの四日の一身上の弁明において、皆さんはこれを全面的に否定した。そして今度大久保証言が行われた後においても、実はいろんな発言をこの方々はやっているのであります。そして実際には終わってないということを事実上これらの人々は裏づけるような発言をしているのであります。たとえば二階堂氏は、大久保証言の後にこの証言に対して論評を加えまして、私は金銭を受け取った事実は断じてない、福永氏は、勝手に名前を使われた、加藤六月氏に至っては、いつどこでだれから幾らもらったかを私の方が教えてもらいたいくらいだ、国会で再度証言してもよろしい、こういうことを言いまして、事実上その問題については論争が起こっているのじゃありませんか。しかも、それは国会の場においてもなされているのじゃありませんか。どうして決着がついて終わったと言い得るのでしょう。いまの段階においてはそれぞれがやはり相当な反論を出している。したがって、国会においてもこの問題について決着をつけるために四人の方々証人喚問を野党側は要求している。私は客観的に見てそういう状況にあると思うのです。したがって、国民の皆さんも、それらの人々を証人喚問するということについては世論調査だって相当の支持が高い。ですから、それを一方的に終わったというような形で断定するというこの法務大臣の姿勢は、私はこれから相当問題にしなければならぬ重要な問題だと思っているのであります。  そこで、先ほど委員長からこの証人喚問について四人の方々が拒否をされたということについて、簡単な理由が述べられたわけでありますが、これはすでに小林委員からもるる質問がなされているわけですが、私の見る限り、自民党の首脳の方々は、国会証人喚問することに対して真っ向から反対する談話を出されてきた。そしてこの四人の証人方々も、先ほど加藤六月氏の談話ではありませんが、国会で再度証言してもよろしいと言いながらだんだん崩れていったという背景には、明らかに自民党そのものの党の意向というものがこの四人の方々の意思に大きく反映した、これは、私はいまの政党政治の中ではむしろ常識的だと思うのです。それから同時に、四人の足が乱れておりましたけれども、これが軌を一にして同じような理由になっていったということに大変作為的なものを感ぜざるを得ない。私は正直に見てこの四人の方々の、目下公判進行中であるから影響を与えてはならないので差し控えたいとか、一切の捜査資料が出されなければ委員会反論はできないからだめだとかいったようなこと、これはまさに自民党の国対でつくられた一つの言いわけなのではないか。第一、目下公判進行中で影響を与えてはならないので差し控えると言ったって、本人はこの問題について何の公判も受けてないのじゃありませんか。(箕輪委員「三権分立だからな」と呼ぶ)したがって、先ほど委員長は四人の方々に……(箕輪委員「本人たちの意見だよ、国対の意見じゃない」と呼ぶ)本人の素直な意見だとおっしゃった。それ以上のことを言ったって、いやそのとおりですと委員長答えざるを得ないと思うのでありますが、私は、私の見解をこの際申し述べておいた方がいいと思うのです。  委員長は、これが天地神明に誓って、本当に四人の個人的な意思だ、もう一回確認されますか。
  113. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 お答えいたします。  天地神明に誓って、四人の意思として私は承りました。
  114. 大内啓伍

    ○大内委員 まだたくさん問題が残っておりますが、私に与えられた時間はすでにほぼ終了いたしております。ただ私は法務大臣に一言、これは今後の問題として御検討をいただきたいと思うのでありますが、またこれは国会全体の問題だと思うのでありますが、たとえばアメリカの場合、今度の朴東宣氏の証言に当たりましてアメリカの司法省当局は、議会において証言することを差し控えてほしい、こういうふうに議会に対して要望しております。しかしそれに対して議会は、まさしくいま箕輪さんが不規則発言で言っておりましたように、三権分立のたてまえから、司法省当局は司法省当局でやれ、われわれはわれわれでやるんだと言って断固として議会証言に持ち込んでいることは御案内のとおりであります。私はその基礎を調べてみますと、アメリカの上下両院で設定されております倫理規定というものが、刑事責任というものと政治的道義的責任というものとをはっきり分けている。一つの基礎を持っているために三権分立の行使、特に立法段階におけるそういう調査の行使というものが非常にスムーズにいっているのではないか。  したがって、今後この極事件の再発を防止するためにも、これはもちろん法務省当局でもお考えになることであるし、同時に国会の場においても考えなければならぬことでありますが、そうした意味での倫理規定的なもの、そういう問題をやはり検討すべき段階に入ったのではないかと思います。法務大臣の所見をお伺いいたしまして、まだたくさん質問は残っておりますが、私の質問を終了したいと思うのであります。
  115. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いまのお問いの前に、一言申し上げておきます。  何か、いわゆる道義的責任政治的責任の問題、決着したんだと法務大臣が言った、こういうようにお受け取りのようでございますが、そういうことを申し上げておるわけではありません。先ほど申し上げましたように、あの段階ではそれは終わっておるということを申し上げておるわけでありまして、それをどういうふうにされるかは当委員会あるいは国会の問題であろうと存じます。  それからアメリカの議会制度あるいは司法省との関係、そういうものに遺憾ながら私はつまびらかではありませんが、いまおっしゃったように国会の中に倫理委員会とかなんとかいうことを定めてこういう問題の解明に当たる、これを法務省に云々ということよりも、国会の問題として御検討なさることが適当じゃないかと私は思っております。
  116. 大内啓伍

    ○大内委員 終わります。
  117. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 正森成二君。
  118. 正森成二

    ○正森委員 ロッキード事件の真相を明らかにして、特に国会では政治的道義的責任の問題、それからどのような政治工作が行われたかということについて明らかにするということは、国民全体が非常に望んでいることであるというように私としては思うわけであります。ところが、そういう国会への国民からの期待に対して非常に好ましくない現象がこのごろ起こっているのではないか。国会に非常に期待していたけれども、思っているほど国会はいろいろやってくれないのではないか、こういう風潮が一部にあることもまた事実であります。  ところで、私は二月六日から二週間近くアメリカに調査に行ってまいりましたが、帰ってまいりまして留守中の新聞を見て、私の目を疑う記事が載っていたのであります。  廣瀬委員長に伺いたいと思います。特に耳をよくあけて聞いておいていただきたいのです。それは、二月十三日の朝日新聞に「ひと」という欄がございますが、この中で、「衆院ロッキード特別委員長廣瀬正雄」ということで、「そこに飛び出した灰色高官六人を名指した「大久保証言」。いちばんびっくりしたのは、この人、だったらしい。」という書き方で、あなたの言葉が括弧づきで載っているのですね。読んでみますと、申しわけありませんが、私は委員長の人格について云々するわけではありません。非常にいいお人柄であるとは思っておりますが、この記事によりますと、「いや、面くらいました。大変なものが出てきたもんだ、と。事件について特別勉強していたとはいえないし、正直なところ、ロ特委の店じまいに幕引き役ぐらいのつもりでお引き受けしたばかりだったので……」、こう言っておられるのです。国民の期待にこたえて一生懸命やらなければならない口特委の委員長に就任されたあなたが、自分は「正直なところ、ロ特委の店じまいに幕引き役ぐらいのつもりでお引き受けした」ということになると、われわれがやらなければならないのは、資料を調べていろいろまじめに追及することではなしに、ほうきはどこにあるか、引っ越しのトラックはどこにあるかということの方に目を向けなければならないということになるのですね。  そこで、私は、非常に失礼でございますけれども、こういう記事が本当なのかどうか、もし本当だとすればどのような真意でおっしゃったのかを委員長にまず伺いたいと思います。
  119. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 お答えいたします。  党から御相談がありまして私がロッキード委員長を受諾いたしましたのは、一月二十一日の委員会で互選をされます一両日前でございまして、そのときは、このロッキード委員会は、委員会ができましたのは昭和五十一年の五月でございましたか、あの当初ほど活発な問題が起こっておりませんで、最近は非常に平穏な委員会のように承っておったものですから、それで大して問題の多い委員会とは私思わなかったわけでございます。  そこで、私は、ロッキード委員会はもう二年以上でございますか、二年以上とは言えないかもしれませんけれども、二年ばかり続いておる長い委員会でございますから、ぼつぼつ事件の再発防止対策ぐらい考えなければならない段階じゃなかろうか、平素の運営についてはもうほとんど大した問題はなくて、むしろ将来のことを考究すべき委員会の使命がありゃせぬだろうかというような考えで実はおったわけでございます。その気持ちを率直に言ったわけでございます。
  120. 正森成二

    ○正森委員 委員長のお人柄と御真意に疑いをはさむわけでは毛頭ございませんけれども、この御発言を率直に読みますと、「ロ特委の店じまいに幕引き役」、こうなりますと、真相究明もあるいは政治的道義的責任の究明もやらないで、そろそろもうロッキード委員会は終わりにしようというお気持ちであるということが非常にあらわれているわけですね。これは御真意ではなかったと思います。引き続き公平を期するために後の文章を見ますと、「もちろん、政治的道義的責任の締めくくりはつけなければいけない。再発防止のための国会決議ぐらいはやりたいと考えていました」というように続きますから、何もなさらないというお気持ちでないということは明らかでございますけれども、しかし、国民の期待が非常に大きいこのロ特委において、特に大久保証言もあらわれてくるという状況で、政治的道義的責任ありとされている人についても、その責任をお認めにならないというように、いまなお係争点として残っておるところが非常に大きい。こういう状況の中で、いやしくも国民全体から、委員長個人に対してではなしに、衆議院のロッキード特別委員会に対する国民の信頼、ひいては国会に対する国民の信頼を失いかねないような御発言というのはお慎みになられた方がいいのではないか。大先輩に対して非常に失礼ですが、そういう気持ちがするのでございますが、その点について御了承いただけますでしょうか。
  121. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 そういうやさきに、大久保証言などという意外な問題が起こってまいりましてろうばいしております気持ちも新聞記者の方にお話ししたわけでございまして、最後の締めくくりは、側隠の気持ちを持ちながら破邪のやいばもふるわなくちゃならないというように結んでおるつもりですから、それに特に重点を置いてお読み願いたいと思います。
  122. 正森成二

    ○正森委員 それでは、いまそういう御釈明がございましたので、「破邪の剣を振るう。」というそのお言葉を信頼して今後も進めてまいりたいと思います。  そこで法務省に伺いたいと思いますが、先ほど理事会の席で伊藤刑事局長が、名前の挙がっておられる、政治的道義的責任ありとされる四人の方について国会が調べることについて、もちろんそれは国会が独自にお決めになることである、とやかく法務省として申すべきことではないけれども、強いて言えば望ましくないと思うという意味の御発言をされました。その中で、私もメモをとっておりましたが、理解が間違っておらないとすれば、二人の代議士先生の被告と四人のいわゆる政治的道義的責任ありとされている人は、一連の丸紅等の行為により金を受け取ったとされており、大久保証言によっても、使途に充てられた金が用意されたということを言っておって、今後現金の受け渡しの立証に入るところである。二人と四人は密接不可分の立証になり、金の授受、背景、状況を四人に国会で聞かれると、それが新聞に報道されて裁判所の耳に入る。そうすると裁判所が予断を抱く可能性があるので一定の影響が出るのではないかという意味のことを言われたと思います。大体そういう趣旨に間違いはありませんか。
  123. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 私の通常のテンポで申し上げましたので、全部をお書き取りにはなっておらぬと思いますが、そういう趣旨のことを申し上げたように思います。
  124. 正森成二

    ○正森委員 そこで私は伺いたいのですけれども国会で、名前を申し上げてあれですが、たとえば田中角榮氏、元運輸大臣をされていた方あるいは運輸政務次官をされていた方で被告になっておられる方、そういう人を証人に呼んできて、だれが、いつ、どこで、どういうぐあいに金を渡し、その趣旨はどういうことであったかということを聞く、あるいはお金を渡したとされる人を証人に呼んできてそのことだけを聞くということになれば、現在裁判が係属中ですから、私たちは国会といえども三権分立のたてまえから慎まなければならないのじゃないかという気がしております。けれども、その他の四人の、いわゆる政治的道義的責任ありとされている方について、これらの方が果たしてお金を受け取ったのか受け取っていないのか、どういうように全日空のお世話を願ったのでお金をいただかれたのかというような問題について聞くということは、一定の関係がありましても、裁判所に予断を抱かせるということにはなかなかならないと思うのです。特にアメリカその他と違いまして、素人の陪審の方が事実認定を行い法律判断をされるというのと違って、わが国はキャリアの裁判官、職業裁判官でございますから、そういう報道がされたことによって予断を抱かれ、裁判が左右されるというようなことはほとんど起こり得ないと思うのです。もしそれが起こるということであれば、昭和五十一年十一月二日に法務省の安原刑事局長が、これらの人々は金銭授受があった、そういうように国会で言われたことはその後広く報道されておるわけですから、それ自体裁判所に対して予断を抱かせることになった、こういう論法もまたできるわけです。ですから私は、法務省側が言っている四人の政治的道義的責任ありとされる人が国会に出てこられて証言をされるということは望ましくないという先ほど刑事局長の発言、法務省側の考えというのは必ずしも妥当でないのではないか、こう思うのですがいかがですか。
  125. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 ただいま被告人になっている二人あるいは三人の人と、それからそうでない四人の人を分けてお述べになりましたが、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる三十ユニットから発します。人の人への金の受け渡し、これは事実関係証拠関係は密接不可分の関係にございます。  たとえば、例でございますが、ここに三人の人が金をもらっておって、そのうち一人だけが起訴されておる、あとの二人の人は起訴されてないけれども、同じ機会に同じような意味で金をもらったことである、こういたしました場合に、検察側立証としては、三人の人に金が行ったことを一律に立証をいたしてまいります。そのうち二人については立証をしない、あるいは二人については授受がない、しかし一人だけはあったのだ、こういうような主張、立証はとうてい通らないわけでございます。  そういう意味におきまして、ロッキード事件全日空ルート起訴されております代議士である二人の被告人と、それから、起訴されませんでしたが四人の人との関係は、事実関係証拠関係が密接不可分でございますから、そういう意味裁判所に予断を与える余地が非常にあろう、こういうことを申し上げたわけでございます。  さらに、証人等の形でお調べになります機関が重い機関であればあるほど権威ある御質疑、あるいはそれに基づく御判断が示されるでありましょうから、一層裁判に及ぼす影響というのはその意味では大きいのではないかと思うのでございます。ただ、先ほど私にかわっておっしゃっていただきましたけれども、これは私ども希望でございまして、すべては国会でお決めになることでございます。それに対して結論的にとやかく申し上げる気持ちは一切ございませんことを申し添えておきます。
  126. 正森成二

    ○正森委員 いま伊藤刑事局長からの答えがございましたけれども、その答えをもってしても、わが国の裁判所がキャリア裁判官であり、そして被告になっている人とそうなっていない人との間の区別というのは十分につけられるだけの素養を身につけた人たちであるという点を考えますと、私は、裁判に対して不当な影響を及ぼすというようなことはそもそもあり得ないし、もしそれがあり得るとすれば、五十一年の十一月二日に国会で発表したそのこと自体が裁判に予断を抱かせることになった、こういう論法もまた可能であるというように思うわけです。  そこで、一応そういう答弁がありましたから次に進みたいと思います。  四人の政治的道義的責任ありとされる方の国会へ出てこられないというお断りの理由を見ますと、そのうちで非常に注目すべき御主張は、一切の資料が提出されるなら出てもいいけれども、それがないので反論のしょうがないのだ、反論の根拠がないのだと言っておられる点であります。私は、この点については一定の合理的な理由を有している部分もある、こう思うのです。たとえば、お名前は申しませんが、十一月一日に金銭授受をしたというように言われておられるある方は、そのときは自分は選挙区に帰って、午前中はだれに会っておるのだ、午後はどうしておるのだということをアリバイ的な要素としておっしゃっておられるわけですね。そして十一月二日の安原刑事局長のあのときの事実説明を見ますと、すべての方について、どこで渡したかという点について一律に東京都内において、こういうことになっておるわけですね。そして、やむを得ないとして十一月一日ごろと、ごろをつけるにいたしましても、お金を受け取ったのが果たして本人であるのか家族であるのか、あるいは国会で秘書が受け取っておるのかという点については、一切明らかにされていないわけであります。ですからいろいろな問題が起こってくるわけで、私は裁判進行中に調書その他の資料を、たとえば伊藤宏副島の調書を国会に出せない、まだ、立証がほぼ終わるまでは出せないと言うなら、それについては無理もないという考えをとってもよろしゅうございますけれども、せめて東京都内というのは、それは自宅なのか、政治的な事務所なのか、国会の会館なのかというその場所を特定すること、それから、本人が受け取ったのではないけれども秘書を介してそれをお渡ししたのだということであれば、自分は受け取ってないけれども、秘書が受け取ったのだ、それなら秘書を調べてみてそんな事実があったとかなかったということで反論できるということも可能でありますから、私はこの説明の中の東京都内においてという部分と、それから相手方は本人に渡したのかあるいは秘書なり家族を介して渡したのかという点については、これは調書を出すのではなしに、法務省側がその点を補足して説明するということは、ここまで明らかにされたわけですから、政治的道義的責任ありとされた方のいろいろな防御のためにも、また社会的にもそれは必要であるというように思うのですが、その点を御相談の上、補足なさるお気持ちはありませんか。
  127. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 まずもってただいまのお尋ねは、その前の御質問から引き続きまして秘密会で申し上げたことが基盤になっておるのではないかと思うのでございますが、それを、秘密会で申し上げましたことを前提として公開の場で申し上げることはいかがかと思っております。  それから、お尋ねに正面からお答えする分ですけれども、いずれにいたしましてももうすでに御承知のとおり、全日空ルートにつきましては、間もなく金銭授受の場面の立証が始まるわけでございますので、ひとつそれをごらんになっていただきたいと思います。
  128. 正森成二

    ○正森委員 これが秘密会で出されたことだと言われましたが、これは国会の公刊されておる速記録にも載り、それに基づいて弁明が行われている問題であるということは指摘したいと思います。  そうすると、いまの刑事局長の後段の答えから類推いたしますと、今度の三月の副島、四月の伊藤宏証言には、ただ単に起訴されている代議士さんの金銭授受状況だけでなしに、政治的道義的責任ありとされている四名の方についても、東京都内というような抽象的なことではなしにもつと具体的な場所が、そして受け取ったのが本人なのか秘書なのか家族なのかという点も含めて詳細な答弁証言が出るであろう、もしそれが出なければ、検察官反対尋問の中でそれが明らかにされるであろう、そういう趣旨でお答えになったと理解してよろしいか。それならそういうことで私はもう一ヵ月くらい待ってもよろしい。
  129. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 実際に公判に立会します検察官がどのような尋問をし、どのような手続で立証していくかということは私どもが容喙すべきことではありませんから、どういうふうに行われるか、これを私がいま申し上げるわけにはいきません。ただ先ほど来申し上げておりますように、私の見るところ、事実関係が密接不可分、証拠関係が密接不可分のようでありますから、多分そうなるであろうと思っております。
  130. 正森成二

    ○正森委員 それではそういうような答弁がありましたから、次回の公判を一定の期待を持って見守りたいというように考えます。  では、もう時間が過ぎてまいりましたので、最後に一問だけ伺いたいと思うのです。  それは、いま大内委員あるいは他の委員も仰せになりましたが、アメリカでは、政治的道義的責任というのは、倫理規定というのがございますから、それに違反したかあるいは違反しないかということだけで決まるわけですね。私はこの間十日間余り行って参りましたので、上下両院に参りまして、その倫理規範を原文でですけれどももらってきて読ましていただいたわけです。それを見ますと、たとえば百ドル以上のお金を一定の人間から一会計年度の間にもらってはならない、それは国会の法案等の審議に直接的に影響を与えるというようなものであるならばいけない、こういうようになっておりまして、何が直接的に影響を与えるか、ディレクトインタレスト、こういう言葉を使っておりますが、その中で二つのカテゴリーを挙げておるわけです。一つには、ロビイストに関する法律というのがありますが、それでロビイストとして登録されているような団体や個人からお金をもらった場合には、それは直接的に利害関係があるというようにもう自動的に認定をするのだ。もう一つには、政治的目的として分離された資金というもの、そういうものを持っている団体、そういうところから政治献金としてお金をもらっている場合には、それは直接的な利害関係があると認定するのだというように、認定の定義まで書いてあるわけですね。  そこで、法務大臣ないしは刑事局長に伺いたいと私は思うのですが、本件で政治的道義的責任ありとされている四名、あるいは九十ユニット関係の十三名についてはいずれも、私は速記録を一々読みませんけれども、安原刑事局長あるいは当時の吉田課長は、全日空の権益拡張のために便宜を図るというような広い目的を持ってやはりお金全日空側は出しておる、これはまさにロビイスト活動であります。それからそのお金の出どころというのは、三十ユニットと九十ユニットにしても、政治目的のための簿外資金であるということは非常にはっきりしておるわけですね。そうすると、二つながら、アメリカの上下両院のこの倫理規範に触れるような行為であったということは非常にはっきりしていると思うのですが、その点についてはどう思われるでしょうか。
  131. 伊藤榮樹

    伊藤(榮)政府委員 米議会の倫理規定、私も最近ざっと読んだだけでございますが、必ずしもいま正森委員がおっしゃったとおりでもないように私は読んだのです。どうも私も余り語学力が余りありませんから、と思いますが。しかしながら、いずれにいたしましても、米議会の基準に当てはめてどうだ、こう仰せられましても、ちょっとお答えが困難でございます。
  132. 正森成二

    ○正森委員 私は、米議会の基準に当てはめてこれらの人が政治的道義的責任があるということなのかと聞いているのじゃなしに、そういう考え方からすれば合致する事実関係があるのではないか、こういうことを聞いているわけです。ですから、その点についてはお答え願えると思いますが、いまそういう答弁でしたので、一応そういう答弁を附いておくということにしたいと思います。  最後に瀬戸山法務大臣に伺いたいと思いますが、瀬戸山法務大臣としては、いま同僚委員質問の中で、福田総理大臣との間で見解が違うのではないかというようなことが言われました。もちろん専門的に考えますと、金を受け取っていないと言っている、それは立証されていないという言い方と、それから金は受け取ったということが立証されていないというのとは、厳密に言えばそれは違うわけですね。違うわけですけれども、いやしくも総理大臣が、法務省国会政治的道義的責任ありとの定義に基づいて事実関係がこうだと言ったものに対して、かわいそうだというような発言をされるというのは非常に遺憾なことであるというのは国民の多くが考えているところであります。法務大臣といえども内閣総理大臣の指揮下にあるわけですけれども、そういう関係にある中で国会要請にこたえて、できるだけ真相を明らかにするというために努力は最大限していただきたいと思いますが、それについての御決意に揺らぎはございませんか。お答え願いたいと思います。
  133. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 どういう趣旨かちょっとわかりかねておるわけですけれども、しばしば申し上げておりますように、法律の範囲内で、われわれの職責の範囲内で可能なことは最大限に御協力を申し上げる、これは従来から一貫しておる立場でございます。
  134. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は来る十五日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十五分散会