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内藤功君 私は、
日本共産党を代表して、
国有鉄道運賃法及び
日本国有鉄道法の一部を改正する
法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
まず私は、本
法案と何のかかわりもない国鉄職員に対するボーナスを、国鉄
法案が
成立しなければその支払いを拒否すると不当な言いがかりをつけ、まさにこれを人質にして
国会の審議権にまで不当に干渉してきた勢力の卑劣なやり方に対し、断固抗議の意思を表明するものであります。
同時に重大な問題は、一昨日、六日夜のわが党を除く五党幹事長・書記長会談のきわめて異常な合意なるものについてであります。前臨時
国会では、意見不一致のまま本
法案は廃案に至ったのであります。にもかかわらず、そのわずか十一日後の本
国会開会の前日に、全く同一
内容の
法案が、審議も始まらぬうちから議了することが決められ、初めからその
成立について、いわゆる五党間合意がなされたというのであります。私は、これこそ
国会の審議権を
国会みずから放棄し、
国会を
法案成立のセレモニーの場に変える危険がここにうかがわれると思うのであります。これは多くの新聞におきましても批判をしておりますように、議会制民主主義の放棄につながるおそれがあると指摘せざるを得ません。
このような
事態の中で、わが党に与えられた質問はごくわずかであって、全く新しい
法案であるのに公聴会、連合審査等の正規の手続は行われることなく、実質的な審議は十分保障されず、本
法案の問題点が十分解明されぬままいま採決されようとしていることに対し、はなはだ遺憾に感ずるものであります。
以下、本
法案に反対する理由を三点にわたって申し述べます。
第一に、本
法案は
国鉄再建につながらないどころか、危機を一層深刻にするものであるからであります。国鉄経営が、乗客離れなど新たな
事態に直面しているにもかかわらず、抜本的再建策は何ら示さずに、本
法案の
成立で運賃値上げだけは、国鉄総裁も
答弁されているように、これまでよりしばしば行われることになるのであります。本
法案はまさに連続値上げの
条件をつくるもので、多くの国民が求める
国鉄再建対策とは全く相入れないものであります。
国鉄再建策がないまま運賃値上げだけは先行する、これでは国鉄危機は深刻にならざるを得ないと断言せざるを得ません。
第二に、
政府は本
法案を、国鉄運賃法定制の緩和などと称しておりますが、
実態は緩和どころか、事実上の撤廃にほかならないことであります。厳重な歯どめをかけたという値上げ率の最上限にいたしましても、来年度値上げについて三六%、三七%とか、二六・六%とか、またはそれより十数%も下がるとか、きわめてあいまい区々たる上限率か、本
委員会でも各人ばらばらに
答弁がなされましたが、
運輸大臣の認可に任される値上げ幅さえいまだにかように明確にされていないのであります。これは値上げ率上限が
国会の意思にはかかわりなく、見込みや予想で決められるということを意味するのであり、
国会の重要な権能の
一つを奪うことにほかなりません。
さらに
政府は、期限についても限定されているとしておりますが、本
法案でいう「当分の間」について、何年間なのか、何ら明確にでき得ないのであります。
以上明らかなとおり、値上げ率上限や期限についてさえ
国会を無視して決められる本
法案が、憲法八十三条、八十四条及びそれに基づく財政法三条の定める国鉄運賃の法定制の
規定に反すること、財政民主主義を踏みにじる重大問題であることは明白であります。同時に、本
法案を突破口として、専売、電信、電話など、他の公共料金の法定制についても骨抜きにしようとしており、本
法案の持つ不当性はきわめて重大であります。
反対の第三の理由は、国鉄経営にはびこる浪費が値上げ率の上限をさらに押し上げ、大幅運賃値上げに拍車をかけるということについてであります。
昭和四十九年度、
昭和五十年度の二年間に、会計検査院からの指摘分だけを見ましても、用途
計画不明な資材の過大購入など約百七十億円のむだ遣いが指摘されております。また、国鉄の実地検査を行っておる会計検査院に対し
運輸省、国鉄が不当にも、もてなしをして、検査自体にも手心が加えられた疑いか明らかにされました。これら
実態の究明こそ緊急になされなければなりません。国鉄の民主的な再建にとっても、国鉄からこれらの浪費を生み出す体質、また組織ぐるみの選挙違反事件などに見られる官僚的な体質を取り除くことはまさに急務であります。
以上、私は、すでにわが党が提案しております「五つの転換こそ急務」と題する
国鉄再建策こそ、国鉄を国民本位の公共交通機関として真に再建する道であるということを強く表明するとともに、このような真の
国鉄再建対策とは全く相入れない本
法案に強く反対をし、討論を終わります。