○
矢原秀男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました
昭和五十二年度
補正予算三案に対し賛成の討論を行うものであります。
公明党は、現下のきわめて困難な経済情勢の克服は、一刻の猶予も許されない深刻な事態であり、
国民生活を守る緊急避難的な意味から、
補正予算三案に賛成の立場をとるものであります。
明確にしておきたいのは、これによって福田内閣の経済政策の万般を認め、かつ、今回の総合経済政策を肯定するものでは断じてありません。むしろこの機会に福田内閣の諸政策に対し、反省と政策の転換をより一層強く求めたいのであります。
さて、現在の深刻な経済情勢によって、
国民生活、中小企業など、あらゆる面にわたって社会的弱者に対するしわ寄せが増幅されております。中小企業を主に倒産件数は毎月千五百件を上回り、構造不況業種については先行きの光明を見出せないまま経営危機に追い込まれ、高い失業率の持続、また有効求人倍率は月を追って低下し、
国民は生活水準を切り詰めることで毎日を何とか切り抜けているのが実情であります。加えて、最近の円高によって輸出の道がとざされ、繊維、雑貨など極端な経営難にあえいでおります。
わが党は、早期から今日の事態に思いをいたし、六月の二十四日に
政府に対し、景気回復をし、
国民生活を守るため
補正予算の速やかな編成を求める見解を発表し、その後、
政府へ強く申し入れを行ってまいりました。しかるに
政府は、八月の景気
対策の発表の段階においてさえ
補正予算の編成をあいまいにし、結局無為無策のまま今日に至ったことは、まことに遺憾なことと言わざるを得ません。しかし、日本経済を一刻も早く景気回復の軌道に乗せ、雇用不安を解消し、生活不安を取り除いていくために、本
補正予算は不満足な点が多々ありますが、次善の策として
政府案を成立させることが
国民の期待に沿うものであると判断したのであります。
また、衆議院段階における公明党、民社党、新自由クラブの共同要求による、住宅金融公庫の貸し出しについて低所得者に対する無抽せんの優遇措置等についての
政府・自民党との確約は、マイホームの夢が持てなかった人々への一歩前進の措置として評価するものであります。
以下、わが党の本
補正予算に賛成する理由を簡明に申し上げます。
第一は、さきに申し述べたごとく、現下の深刻な経済情勢を克服するためには、
補正予算の編成は欠くことのできない措置であり、早期の成立が緊要の課題であります。
第二には、今回補正における住宅金融公庫の貸出枠十万戸追加において、特に今年度における低所得者に優遇措置を講じ、来年度からの金融について貸付総枠並びに貸付限度額の増額等を含め、金利負担の実質的引き下げを積極的に推進することを
政府が確約したことであります。
第三に、今回の
補正予算は、これまでのわが党を初めとする野党側の主張を幾つか取り入れていることであります。その一は、
政府関係機関の貸し倒れ準備金を産投会計を経て一般会計への繰り入れを行っていること、その二は、所得税の減税実施による地方税の減額分を財政投融資で補てんし、将来、臨時地方特例交付金とする措置をとったこと等であります。わが党は、
政府関係機関の貸し倒れ準備金の取り崩しについては、第八十国会でも提唱し、
昭和五十年度予算の参議院における修正案では共同提案者として同様の主張をしましたので、今日の措置で予算計上の仕方に工夫の余地の前もっての話し合いの必要性があるものの、
政府の決断に一定の評価をするにやぶさかではありません。
以上が本
補正予算三案に賛成する理由であります。
最後に、われわれがこの際明確にしておきたいことは、この
補正予算三案に賛成することが、国鉄運賃改正案や、主任手当を具体化するいわゆる教員給与改善に関する法律案等、
政府提出の法律案のすべてを認めることではありません。これら法律案に対する
態度は
補正予算案と立て分けることをここに明確にいたすものであります。
さらに、経済情勢の推移の中で必要な場合には速やかに第二次
補正予算を編成し、景気
対策を実施すべきこと、中長期の経済見通し、財政計画を改定し、
国民の先行き不安感を払拭すべきことを強く要求し、賛成討論を終わります。(拍手)