○井上計君 いま公取
委員長から
栗林委員の
質問に対しましての御答弁がありました。
不況カルテルについてはかなり弾力的に認めておるというふうな御答弁であったわけでありますが、もちろん私どもは独禁法の抜本的な改善につきましてはこれを強く主張をいたしましたし、また厳正な運用等につきましてもいささかもこの主張に変化はございません。ただしかし、現実にこの深刻な
不況の中で
企業をつぶさないためにどうするかということで大変な苦労をいたしておる
中小企業者が非常に多いわけであります。
そこで、関連
質問として公取
委員長にお伺いいたしたいと思いますが、独禁法第二十四条におきましては、
中小企業協同組合等を同法の適用除外の団体といたしております。これは、
経済的に非常に弱い小規模の事業者の相互扶助を目的とする協同組合を組織することによって初めて同法の理想とするところの「公正且つ自由な競争」の単位となることを
考えて、一定の要件を備えておれば協同組合の行為については特別な場合を除いて独禁法の規定を適用しないと、まあこのように定めてあるわけであります。ところが、この長年の
不況のために、多くの
中小企業者は、生き延びるためにはもう自分の首を締めるというふうなことがわかっておってもなかなかそうはまいらねと、原価を無視して販売をしたり、やむを得ないそういう
状況の中で過当競争で共倒れになってもう倒産寸前だというふうな
状態に追い込まれております。最近、三当二落という言葉が実は言われております。これは選挙用語ではございませんで、実は入札に参加をしたり販売をする場合に、原価を三割割れば何とか落札もできる、あるいは販売もできるけれども、原価を二割程度しか割らなければ全くだめだということで三当二落と、こう言われておるわけでありますが、実はこのような
状態であるわけであります。したがって、これをこのまま放置いたしておりますと、
国民経済の発展のためには大変な阻害は当然でありますし、
中小企業の大
部分はもう壊滅をして、業種によっては大
企業だけしか残らぬ、まあこのような業種さえ実は発生するおそれがあるわけであります。そこで、この難局を切り抜けるためには、どうしても
中小企業の過当競争を避けていかなくてはいかぬ。これについては通産当局も非常に行政
指導を活発にされておるわけでありますが、どうしてもそこで必要なことは、自主的に原価を基準とした適正価格によって健全な経営に戻す努力をしなくてはいけないわけであります。しかし、そのためにはだれかが音頭をとらなくちゃいけません。すなわち、
中小企業団体、協同組合等を活用してその機能をこの際十二分に発揮をさすと、まあこれが緊要であろうというふうに
考えます。ところが、協同組合等が適正価格を示してこれを組合員に通知したりあるいは組合員の自発的な協力を求める
指導をしておりますと、実はこの程度のことでありましても、価格協定では全くないのに、実質的にはこれが独禁法違反のおそれがあるということで、いわばきつい厳しい取り締まりがなされておるということでありますが、私は、この程度の行為はやはり是認すべきではなかろうか、このように
考えますけれども、これにつきましてどうお
考えか。私は、このような
実態を
考えますときに、これらの
中小企業の安定を図らなければ労働者の雇用安定のためにも大変なことになるのではなかろうかと、こう
考えております。公取
委員長のひとつ御
見解をお伺いをいたしたいと思います。
なお、このことは調整事業を行っております商工組合についても同様であろうと、このように
考えておりますが、いかがでありましょうか。