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参考人(
澤田悌君) 公団賃貸住宅の家賃の値上げにつきまして問題になっておるわけでありますけれども、これをプールと申すのがいいのかどうか、私いま勉強中でございまするが、家賃を見直すに至りました経緯をこの際若干申し上げて、それからその
内容を申し上げたいと存じますが、公団住宅の家賃は、御
承知のように、空き家家賃として新たにまた入りかえた方々の場合は是正されておりますが、それを除きまして、入居時の家賃を一切改定することなく今日に及んでおるわけでございます。何回か改定の機運があったようでありますが、実現しなかったのであります。その結果、新旧住宅相互間におきまする家賃に著しい不均衡が生じておるのでございます。たとえば
昭和五十一年度管理開始いたしました住宅については、国から毎月一戸
当たり二万四千円の援助を受けておるのであります。入居者の方々の家賃負担の軽減をこれで図っておるわけでありますけれども、それでも
昭和三十一年度に供給されました住宅の
平均家賃に対しまして
昭和五十一年度の
平均家賃は八・八倍、同じく
平均原価家賃では十四倍を超えておるという状況でございます。このようにして、建設年度の古い住宅に必要な維持管理費すら問題になってきておる状況でございます。また、建設年度の古い住宅の入居者の方々の家賃負担率、これは私ども住宅供給いたします場合に、
収入に対してどの程度の負担率がいいかということをいろいろ
検討するのでありますが、大体一六%前後というのが標準でございます。一般的にこれが所得上昇に伴いまして著しく低下いたしまして、二%にも満たないというようなものも出てきておる状況でございます。一方、御
承知の公営住宅につきましては、近年、逐次家賃が改定されておりまして、その結果、本来は所得の少ない方々を対象とする公営住宅の家賃が公団住宅の家賃よりも高くなっておると、公団住宅の家賃が安いというような不合理も生じておるのであります。こういうような実態を見まして、建設
大臣の諮問機関であります住宅宅地審議会からも、新旧住宅相互間の家賃の不均衡を改め、社会的不公正の是正に努めるべきであると
指摘されておるのでございます。こういうことを考えまして、公団といたしましては、私どもの政策的に供給する住宅が国家資金によりまして多大の公的援助を受けておるということも十分考えまして、新旧住宅相互間の家賃の不均衡あるいは差別、これを是正する必要があると、そしてその増収額を必要な維持管理費あるいは家賃の抑制、こういう必要な経費に緊要度に応じて充当していく必要があると考えた次第でございまして、なお、念のためでございますが、賃貸住宅相互間の家賃の不均衡が生じたというときには、入居者の方々との間に取り交わされている契約書によりまして家賃改定ができるということになっておる次第でございます。
それでは、どういうような
内容の改定を実施する方針かということでございますが、これは予算との関連におきましていろいろまだ
検討中のものでもありますけれども、入居開始後五年を経過した
昭和四十七年度以前の供給住宅、これは先ほど先生御
指摘のように約四十三万戸ございます。ただ、そのうち三万戸は途中で入れかわりまして家賃が改定されております。大体四十万戸が対象ではないか。それに対しまして現在公営住宅の家賃改定に際して用いられておりますところのいわゆる公営限度額方式に準じまして
昭和五十三年七月をめどに家賃の見直しを行いたい、こういう考えでございまして、ただ、その場合でも、これは家賃の改定というのは居住者の方々にきわめて重大な関係がございますので、急激に変化をするというようなことは当然避けなければならない。その緩和を十分考えましてこの公営限度額方式ではじきましたものの半分を引き上げる、そこにとどめたいと考えておるわけでございます。また、これも予算の問題でありますが、家賃改定に際しましては環境整備を行うために国からの援助を新たにお願いをいたしておるのでございます。
以上が私どもの考えております必要性とその
内容でございますので、何とぞよろしく御理解を願いたいと存じます。