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国務大臣(
園田直君)
政府は、一番最初は、
バングラデシュで
最後の
解決をつけたいと、こういうわけで
バングラ政府に対して何とかそこで
解決をしてくれと、こういうことを
最後まで粘ったわけであります。そして、
最後には、行き先は一切ございませんと。各地に当たりましたけれ
ども給油、領空通過、それから
着陸を承諾する国がないと。そこで、行き先がわからぬうちに飛び立つと
人命に影響するから、そういう
立場からも行き先がわからないうちは離陸を許さないでくれということを
最後までやったわけでありますが、
バングラデシュはついに
最後は自分の国の都合で自分の国の安全に問題があるということで離陸命令を出したわけであります。
そこで、
政府としては、
犯人側に対しては、行き先はないぞと、出たら降りる場所がないぞということを
犯人並びに外部に対しては言っておりましたけれ
ども、もし仮に
犯人が強行離陸をするか、あるいは
現地から離陸命令を出されると、車輪が離れた途端に
日本の国籍である
日本航空乗務員、乗客等の生命は
日本政府が守らなければならぬ責任があるわけでありますから、一方には行き先がないと言いながら、内々には極秘で各所に
着陸をさせてくれる国はないかと当たっておって、大体二十九カ国当たったわけでありますが、どこの国も領空通過、給油、
着陸一切認めないと。国際的に批判を浴びるし、その後いろいろな問題が起きてくる、
ハイジャックに協力
体制をとれないと、こういうことでありました。
そこで、だんだん詰まってきて時間が迫ってくると、いよいよ飛び立ったと、こういう段階で大体三カ国ぐらいにしぼりまして
外務省はこれに対する折衝をしたわけであります。内々は本当は飛び立つ前から大体行きそうだという地点についてはやっておったわけでありますが、どこの国の言い分も、
政府と
政府の相談で自分のところへ受け入れるということを言うことは国際上困ると。そこで、
犯人の飛行機が無理やりにやってきたら人道上の
立場からまあ
着陸だけは許すということにしてもらわぬと困るというのが本当の話であります。そこで、第二、第三の
着陸地点も全部新聞で御承知のとおりに滑走路には自動車または装甲車を並べて
着陸拒否の
体制をとり、
ハイジャック機が上空を数十分飛んでからこれを取りのけて
着陸をする。
最後のアルジェリアも滑走路でないところに外れて
着陸するというようなこともあったわけでありますが、そこで、その場合、どこの国も、もし自分のところへ来たら、内々の話だが、身のしろ金と
犯人は
要求されちゃ困ると、先般のリビアがひどい目に遭ったと、こういうことの条件がついておると、こういう経過の報告が
総理並びに
対策本部長にあったわけであります。そこで、いまの行き先がないということを秘密にするためと、そういう点と合わして、あとのことは横には連絡をしてなかったわけでありますが、その際その経過を聞きながら
最後にはそういうことで仕方がないんじゃないかと、そういう方向で
処置しろと、こういうことを
総理から内々言ってあったわけであります。
そこで、これも打診でありまして、いよいよ
最後の第三の地点を離陸いたしましてしばらくしてからロンドンの日航支店長から、
犯人の交信によるとアルジェリアに向かうと、こういうことが入りましたので、これから初めてアルジェリアと
日本の
外務省が正式の
交渉に入ったわけであります。そこで、飛行機は上空に到達をする、アルジェリアと折衝をすると、こういう段階でありましたので、
外務省としては、かねてから報告してある線に従って
外務省から訓令を出し、宮崎大使はそういう相手の申し出に対して受諾をしたと、こういうことでありまして、
外務省の勝手にやったことではございません。ただ、その後、ああいう火急の場でありますから事後の報告とか連絡等について手落ちがありましてごたごたしたことは、本
部長としてまことに申しわけないと存じます。
その後、閣議、
対策本部等で
議論されましたことは、それは仕方がないと。しかし、約束はしたものの、
ハイジャックを再び起こさないということを考えたならば、相手に対する
要求はできないかもしれぬが、
要請なりお願いはできるのじゃないかと。そこで、ああいう約束はしましたものの、ひとつ
犯人は返してもらえぬでしょうかと、特に二名の
刑事犯は返していただけぬでしょうかと。どうしても返せぬとおっしゃるなら、国内で拘束をしていただきたい。身のしろ金についても、没収して返していただきたいが、返せぬとおっしゃるならば、
犯人から没収をして、
犯人が再びこういう行動を起こすための資金にならぬようにお国の方で没収をしていただきたいという内々の、これは申し入れではなくて、一遍約束して要らぬと言ったものでありますから、国際上の慣例を失しないように相手に礼儀を尽くしつつ再発防止の観点からお願いをいたしますと、こういうお願いをしたわけでありますが、向こうの
政府では一応これを断わられましたが、これは今後いろいろ考えて粘り強く礼儀を失しないように
努力をするように考えております。
以上でございます。