運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-11 第82回国会 参議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十一日(金曜日)    午前十時三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第八号     —————————————   昭和五十二年十一月十一日    午前十時 本会議     —————————————  第一 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一   部を改正する法律案趣旨説明)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  以下 議事日程のとおり      ——————————
  2. 安井謙

    議長安井謙君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  黒柳明君から海外旅行のため十一日間、前島英三郎君から海外旅行のため来る十三日から十一日間、それぞれ請暇の申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安井謙

    議長安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。      ——————————
  4. 安井謙

    議長安井謙君) 日程第一 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案趣旨説明)  本案について提出者趣旨説明を求めます。田村運輸大臣。    〔国務大臣田村元登壇拍手
  5. 田村元

    国務大臣田村元君) ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  国鉄は、過去百年間、国内輸送の大動脈として、国民生活の向上と国民経済の発展に寄与してまいりました。今日、全輸送機関の中で国鉄が占める輸送割合は逐年低下し、かつての独占的地位は薄れてきてはおりますが、今後とも、国鉄は、わが国の交通体系の中で、主として都市間旅客輸送大都市圏旅客輸送及び中長距離・大量貨物輸送の分野に重点を置きながらその役割りを果たしていくことが強く期待されているのであります。  国鉄財政は、昭和三十九年度赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどっており、昭和四十四年度及び昭和四十八年度の二回にわたる財政再建対策もその目標を達成することが困難な状態に立ち至ったのであります。このため、政府におきましては、昭和五十年十二月に、日本国有鉄道再建対策要綱を閣議了解し、速やかに収支均衡の回復を図るとともに、その後における健全経営を維持するための抜本的な再建対策を策定して、その実施を推進してきたところでありますが、今回、諸般の情勢にかんがみ、再建対策基本は維持しつつも、収支均衡目標年度をおおむね昭和五十四年度に変更するとともに、国鉄経営改善のための措置と国の援助についての方針を明らかにすることとし、本年一月に同要綱の一部を修正した次第であります。  今後、国鉄経営健全性を確立するためには、徹底した国鉄経営改善政府による所要行政上、財政上の援助を行うとともに、国鉄がその自主的な判断に基づき適切な収入を確保することができるように措置することが必要であります。このため、今後の運賃改定に当たって、経済、社会の動向、他の交通機関との関係等を考慮しながら、適時適切にこれを行うことができるよう、今回、暫定的に、運賃改定についての一定限度法律上明らかにした上で、具体的な額の決定について運輸大臣認可を受けて国鉄が定めることとしようとするものであります。  また、国鉄再建を確実に達成するためには、所要運賃改定とあわせて国鉄経営全般にわたって改善を行っていくことが必要でありますので、この際、こうした経営改善の一環として、国鉄投資対象事業範囲を拡大し、新たな発想のもとに、関連事業の充実、資産有効活用等を推進して経営健全化に資する道を開こうとした次第であります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法改正内容について申し上げます。  第一に、当分の間、鉄道普通旅客運賃賃率、航路の普通旅客運賃及び車扱い貨物運賃賃率につきましては、運輸大臣認可を受けて国鉄が定める賃率または運賃によることといたしております。  第二に、右の期間中、一事業年度における賃率または運賃改定率は、決算損失が生じたときは物価等変動率に一五%を加えた率を限度とし、決算で利益が生じたときは物価等変動率に五%を加えた率を限度とすることといたしておりましたが、これにつきましては、衆議院におきまして修正され、右の賃率または運賃のほか、国有鉄道運賃法規定により運輸大臣認可いたしますその他の運賃または料金につきまして運輸大臣認可をしようとするときは、一の事業年度において、実施されるすべての新たな賃率等実施による平年度収入増加見込み額の総額が当該年度国鉄経費増加見込み額を超えないものとすることとされております。  なお、物価等変動率とは、国鉄経費変動に影響する物価及び賃金変動を示す指標として、卸売物価指数消費者物価指数及び賃金指数を基礎とし、国鉄経費の構成を勘案して算定される率であり、具体的な算定方法は政令で定めることといたしております。  第三に、さき日本国有鉄道法改正によりいわゆるたな上げ措置を講じた特定債務に相当する額である二兆五千四百四億五百万円を除いた国鉄累積赤字が解消されたときは、右の措置により新たな賃率または運賃を定めることはできないことといたしております。  次に、日本国有鉄道法改正内容について申し上げます。  第一に、国鉄投資対象事業範囲を拡大いたしまして、国鉄の委託によりその業務の一部を行う事業国鉄の所有する施設または土地の高度利用に資する事業及びその営業線利用の促進に資する事業を追加することといたしております。  第二に、政府は、国鉄経営健全性の確立のため必要があると認めるときは、国鉄に対し、無利子貸付を行うことができることといたしております。  なお、衆議院におきまして、さきに述べました修正のほか、この法律案中、国有鉄道運賃法改正に係る規定につきましては、公布の日から施行することといたしておりましたのを昭和工十三年三月三十一日から施行することと修正されております。  以上が、この法律案趣旨であります。(拍手
  6. 安井謙

    議長安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。青木薪次君。    〔青木薪次登壇拍手
  7. 青木薪次

    青木薪次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました国有鉄道運賃法改正並びに日本国有鉄道法の一部改正につきまして、総理並びに関係大臣質問いたします。  国鉄財政事情は、昭和三十九年度以降今日に至る十三年間の間、とどまるところを知らない、まさに雪だるま式赤字財政に悩まされ、五十年度一部財政措置はあったものの、昭和五十二年度末において累積赤字一兆七千億円、累積債務実に六兆八千億円を予測するという、文字どおり破局的状態となりました。これは、患者の診断を見誤るか、知っていくも知らぬ顔の半兵衛を決め込んで、金がかかるからといって腹痛にかぜ薬を飲ませている医者のようなものだったと思うのであります。  すなわち、昭和四十四年に第一次国鉄再建十カ年計画が策定されました。当時の佐藤総理は、「国鉄はいま輸送構造の変化によって競争力が低下し続けており、特に貨物輸送量が全く伸び悩んでいる、しかも、借金による投資額の増大が国鉄財政を圧迫している、したがって、国と企業受益者の三者によって再建を推進します」と本院で述べています。  第二次国鉄再建十カ年計画昭和四十七年に提案されました。昭和四十八年、当時の田中総理は、「国鉄に対しては総合交通体系の中の国鉄位置をさだかにして、膨大化する輸送需要に対し責任位置を定めて、公共的使命が果たせるよう国と国鉄負担割合をきめていきます」と参議院会議で約束いたしました。  第三次国鉄再建の新計画がまた昭和五十年に提案され、今度は短期決戦型として、運賃法定緩和もさることながら、長期債務の全額たな上げ工事費助成地方交通線欠損助成をうたっていたのであります。三木総理大臣は、「このたびの方針により、昭和五十一年と五十二年で必ず国鉄収支均衡を達成いたします」と答弁しましたが、今日見られるごとく、重大な事態を迎えることになったのであります。  そこで、私は、基本的な問題について福田総理にお伺いいたします。歴代総理答弁をどう思いますか。いま国民は、総理答弁国政執行最高責任者答弁として、権威ある実行性の裏づけのあるものとして確認したいのでありますが、福田総理自身答弁に一〇〇%責任をお持ちになりますか、お伺いいたします。  日本社会党は、一貫して、国鉄に巣くっているそのしがらみを取り除くよう主張いたしてまいりました。すなわち、構造的な欠損負担をそのままにして、相も変わらず運賃値上げによる独立採算制がんこに踏襲してきたところに最も大きな問題点があると言わなければなりません。すなわち、政府が行った昨年十一月の運賃値上げ五〇%によって、国鉄からのお客離れ、貨物離れは深刻であります。昭和五十一年度日本国有鉄道監査報告書によれば、五十一年度営業収入は一兆九千九百三十一億円、営業経費二兆九千百五十六億円となり、これに営業外損益を加えて純損失は九千百四十一億円であり、これは運賃値上げのなかった昭和五十年度赤字に匹敵するものであります。国鉄グリーン料金を値下げを行いました。総理、もはや運賃値上げ中心再建方策では国鉄再建はできません。  私は、昨年十一月参議院運輸委員会で決議した附帯決議について質問いたします。  いま地方交通線赤字については深刻です。百円かせぐのに三千三百七十六円の経費を使うといった線区が各所にあります。いま国鉄では、地方住民のことを考えて、やめることもできず、走らせること以外にはないのであります。このことだけで二千五百億円の赤字です。附帯決議では、「国の責任において解決する」となっています。総理、国の責任をどのようにされたか、質問いたします。  また、「国鉄の過去債務国鉄負担を軽減するよう積極的に処理する」となっています。国家目的でつくった東海道新幹線、山陽新幹線、現に建設中の東北新幹線などは、他の電化、ディーゼル化通勤対策に対する投資も含めて、全部借金です。昭和五十二年度末の累積債務六兆八千億円、利子だけで年間四千七百二十三億円、これから運賃法定緩和して、上げたいとき上げるというが、運賃値上げで得た収入利子にも足りません。国鉄の過去債務は直ちに処理すべきだと思いますが、いかがですか。  次に、「国家的政策にもとづく国鉄公共負担は、それぞれの政策実行部門負担するよう努力する」という点です。国鉄公共負担は、五十年度四百十九億円、五十一年度五百五十八億円、五十二年度で約七百七十億円であり、公社発足以来、実に五十二年度末までに一兆四千六百五十億円に上ることになるのであります。国鉄公共企業体だから、利潤追求企業ではないか公共負担はあたりまえだと言われてきました。そして、文教政策福祉政策農林政策やマスコミの新聞輸送に至るまで原価を割って輸送していますが、これらこそ政策実施部門によって負担すべきだと思いますが、運輸大臣いかがお考えですか。また、学生割引分児童生徒負担させることはできません。文教政策担当海部文部大臣見解を承りたいと存じます。  なお、「通勤通学輸送改善在来線輸送力強化を促進する」とあります。国鉄は、大都市間の旅客輸送のために新幹線輸送を重視する一方、都市圏通勤通学輸送でも、東京、大阪だけで昭和五十二年度七百六十億の投資を行っております。国の交通対策でありながら、これも借金です。工事費約八千三百億円のうち、たった二百五億円の補助金では、通勤通学輸送改善はおろか、在来線輸送力強化はできません。この附帯決議について運輸大臣はどう対処されたのか、また、今後の方針を聞きたいと思います。  総理に伺います。国鉄自身企業努力労使関係正常化により責任ある経営体制を確立するという点につきましては、国鉄を初め公労協は、労使基本姿勢として、対決でなく話し合いによってスト権時代に備えております。藤井前国鉄総裁は、条件つきスト権付与国鉄意思として政府意見具申しました。前三木総理は、この意見すら党内をまとめることができず、福田総理にバトンタッチされたのであります。労働者基本権は与えるということを福田総理いかがお考えですか。基本問題会議も、一年たって、意見も資料も整いました。労使関係の安定と近代国家役割りについて、円高問題などを含めて日本政府労働行政に対して世界は見つめています。スト権を与えれば、かえってストは今日なくなるでありましょう。少なくなっていくでありましょう。総理スト権を与えることをいつ決断なさいますか、お伺いいたしたいと思います。  さらに総理に伺いますが、十月二十八日、衆議院運輸委員会において、「国鉄再建基本方向」が決定されました。これは、国鉄赤字体質をこれ以上悪化させないために、国鉄の持っている構造的欠損負担をなくすことを考えると言っています。ただし、運賃法定主義緩和法国会が承認することが前提だと言っているのであります。「国鉄再建基本方向」というのは、従来わが党を初めとした国会での真剣な議論を踏まえて、国鉄労使では絶対に解決できない財政悪化根本原因を打開していこうとする点で、一定評価を惜しむものではありません。総理構造的欠損とはどういうものか、御説明願いたいと思います。そこで、運賃法定主義緩和をして、国会での関与を取り去ることとは直接的には無関係であります。国会国民意思の反映であり、国鉄再建の課題は行政府の決意で決まるものだと考えるのであります。運賃改定ルールだけを決めて、助成ルールを決めないのはおかしいと思うのであります。総理いかがお考えですか。  運輸大臣に伺いますが、衆議院において法定主義緩和法案修正されました。先ほどの提案にありましたように、原案物価変動率プラス五ないし一五%の値上げ限度を示し、修正案では物価変動率による経費増加見込み額だと言っています。衆議院運輸委員会における政府側委員説明によれば、値上げ限度は三七%だと説明したのであります。これで原案修正したと言うならば、むしろ改悪でありましょう。法定という枠が外された以上、歯どめがなくなると思いますが、いかがですか。今回の値上げ計画は、九月一日から一九%値上げ修正されて、来年一月一日よりの値上げとなり、そして、さらに修正されて、本年度値上げは見送るということになりました。したがって、本臨時国会で何もあわてて運賃法定主義緩和法の制定を急がずとも、通常国会でゆっくり議論いたしましょう。どう考えているのか、御答弁願います。  さらに、私は、総理にお伺いいたします。十月三十一日、公共企業体等基本問題会議において、国鉄高木総裁は、「経営問題についての意見」を述べました。朝日新聞を初め、各社一斉に社説で評価をしているのであります。国鉄総裁ほど割りの悪い仕事はないと世間で言われております。国鉄の生え抜きでない、しかも、福田総理の後輩に当たる大蔵省出身高木総裁が、国鉄民営論国鉄分割論を断って、経営の基盤を確立するためにと、国の助成を受ける部分を、一として、九千二百キロの地方交通線から生ずる負担、二として、主として借金による投資のための過去債務、三として、戦時中の軍人軍属として国策遂行協力した帰還者内閣の命令によって大量に国鉄に受け入れたため要員のひずみが生じたことによる負担をお願いしたいと言っております。幹線系の一万三千キロについては、赤字だけれども必ず経営努力をいたしますと言っているのであります。この助成を受けたいとする三点について、いままでなおざりにされてまいりました。総理に、衆議院における答弁をさらに本院において具体化する意味も含めて要請いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答えいたします。  まず、国鉄問題についての歴代内閣責任を問うと、こういう御趣旨の御質問でございますが、とにかく国鉄問題は、まあ非常にむずかしいことになってきた。その間、歴代内閣としても最大努力はしてきたつもりでございます。しかし、事志と違いまして、今日の事態になってきた。これは、一つは国鉄をめぐる環境の激変と、こういう問題があるわけであります。その他にもいろいろ事情があるわけでございまするけれども、ともかく、事志と違って今日に至ったと、全くこういうことは非常に残念至極でございます。問題は、しかし、過去のことを言ってもしようがない、これからどうするかということでございます。基本的な考え方といたしましては、やっぱり国鉄が自主的な努力をする、また政府も適正な協力をする、さらに利用者におきましても適正な負担をしていただく、この三本以外に考える道はないのであります。こういう意味におきまして、政府も全力を尽くしまするけれども、国会におきましても、できる限りの御理解と御協力を賜りたいと、かように考える次第でございます。  さらに、過去債務の問題、これについて国会の意向もあるじゃないかと、こういうお話でございますが、確かに、過去の債務六兆七千億円、これが国鉄財政重圧になっておると、これはそのとおりでございます。政府におきましては、そのうち、資産に見合う分を差し引き、かつ資本の積立金を取り崩すというような措置を講じました上の残高、これは二兆五千四百億円になります。これにつきましては、たな上げ措置を講じたわけでありまして、国会の御意思を尊重しておる、このように考えております。  さらに、運賃改定ルールだけを決めまして、そして政府助成の方はルールを決めないと、これは本末転倒ではあるまいか、そのようなお話でございまするけれども、私どもは、それは先ほども申し上げましたように、政府においてもこれを助成する、このために最大努力をすると、こういうことを申し上げておるわけでありまして、本末転倒とは考えておりません。  なお、スト権スト、これについての見解いかんと、こういう問題でありますが、これは申し上げるまでもありませんけれども(「スト権ストじゃない」と呼ぶ者あり)——スト権付与についての見解いかんと、こういうお話でございまするけれども、これは、皆さん御承知のとおり、長い間の歴史のある問題なんです。実に昭和四十年以来の問題である。歴代政府におきましても、これは慎重に、また真剣に検討してきたわけでありまするけれども、問題が問題だけに結論を得ないで今日に至っておるわけでございます。しかしながら、公共企業体等基本問題会議におきまして、いま鋭意検討中であります。これもそう私は時間はかからないで結論が出ると、こういうふうに思いますが、その結論を待ちまして対処いたしたいと、かように考えております。  それから、公共企業体等基本問題会議高木総裁がいろいろ意見を述べられておる。その中で、地方交通線問題、これが国鉄重圧になっておる、これを一体どうするんだと、これに対して政府も善処せられたいという御意見でございますが、これは運輸政策審議会でいま最終結論を出そうとしておるわけです。この結果を待ちまして善処をいたしますけれども、しかし、それを待つまでもなく、国の予算におきましても暫定的な助成を行っておるということは御承知のとおりであります。また、国鉄債務処理についての国鉄総裁の御意見、これはただいま申し上げたとおりです。必要な部分のたな上げ措置を講じておる、こういうことでございます。また、戦争中の軍人軍属大量受け入れによる国鉄財政への重圧、この問題は、今度国鉄の抜本的な再建策を講ずるわけでございまするけれども、その中において処理いたしたいと、かように考える次第でございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣田村元登壇拍手
  9. 田村元

    国務大臣田村元君) いま相当詳しく総理大臣から御答弁を申し上げましたので、私から特にお名指しで御質問があった点についてお答えをいたしたいと思います。  公共負担に関しましては、いわゆる公共割引制度につきましては、それぞれの割引の性格を十分検討しなければなりません。また、現にいたしております。公共的な見地から実施されておりますものにつきましては、所要割引率の是正とあわせまして、国鉄経営上の負担についてこれはやはり考えいかなきゃならぬということで、関係省庁と協議してその軽減を図るように努力をしてまいる所存でございます。現にまた話し合いもいたしております。  それから、通勤通学輸送改善につきましては、五十二年度予算におきまして、通勤通学輸送改善を図るために、特に混雑度の高い大都市交通施設整備費の一部に対しまして国庫補助を新たに行うことといたしました。二百億円を計上いたしました。国鉄鉄建公団から有償で借り受けまして運営している大都市交通線の借料につきましても、その一部を補助することとして、これに二十億円を計上いたしております。  なお、構造的欠損とは何かということでございましたが、国鉄が最善の努力をしてもなお解消し得ない赤字地方ローカル線赤字がその一例でございますが、これらの欠損につきましては、衆議院運輸委員会で示されました「国鉄再建基本方向」では、公的助成を含む所要対策を講ずることといたしております。  それから、三月三十一日だから、ゆっくりでよいではないかという御意見でございましたが、国鉄再建につきましては、その大前提をまず先に整えておかなければなりませんので、どうぞ、ゆっくりとおっしゃらずに、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣海部俊樹登壇拍手
  10. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 学生割引制度についてのお尋ねでございますが、この制度ができましたのは明治時代でございまして、修学上の経済負担教育振興のためにこの制度はぜひ存続させていきたいと考えておりますが、御指摘公共負担分あり方については、文部省といたしましてもいろいろ検討はしておりますが、文部省として対応困難な問題も多々ございますので、関係当局と今後十分協議をしながら検討を続けさしていただきたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣坊秀男登壇拍手
  11. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私に与えられましたる御質問に対しましてお答えを申し上げます。  すでに総理から大分お答えがございましたけれども、重複を避けながらお答えを申します。  国鉄再建について地方交通線あり方をどのように考えていくかということは大変大きな問題でありまして、現在、運輸省に国鉄地方交通線問題小委員会を設けまして検討が行われておるところでございます。その結論を待って、助成あり方も含め具体的な対策を確立していく考えでありますが、他方、現実に地方交通線収支内容が悪い状況にかんがみまして、五十一年度予算において初めて地方交通線に対して百七十二億円の助成を計上しております。この助成地方交通線対策結論が出るまでの暫定的なものでありますが、御指摘附帯決議も十分尊重いたしまして、五十二年度予算においては、五十一年度予算の三倍に近い四百九十億円を計上したところであります。なお、五十二年度から新たに地方バス路線運営費に対しまして十一億円の助成を計上しております。地方交通線問題については、今後、小委員会結論を待ちまして、十分検討してまいる所存でございます。  それから、国鉄の過去債務については、五十一年度に成立した国鉄再建法に基づき、五十年度末の累積赤字を処理するため約二兆五千四百億円の過去債務をたな上げし、毎年、総理も申し上げましたが、二千四百四十一億円の助成を行っているところでございます。しかしながら、五十一年度以降においてなお赤字が発生しているため、御指摘附帯決議を十分尊重し、五十二年度予算において新たな過去債務対策として臨時補助金百七十七億円を計上したところでございます。今後とも、国の財政事情を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。(拍手
  12. 安井謙

    議長安井謙君) 答弁の補足があります。田村運輸大臣。    〔国務大臣田村元登壇拍手
  13. 田村元

    国務大臣田村元君) 大変失礼をいたしました。政府原案衆議院修正案との関係を御質問になりました。お答えをいたしたいと思います。  政府原案におきましては、運賃改定限度物価変動率プラス一五%となっております。この一五%の中には、経費の増加分を吸収するほかに収支均衡回復分を含んでおります。でございますから、今回の修正案ではそういうプラスアルファを全面的に否定いたしておりますから、少なくとも現在以上に収支悪化しないよう措置することをもって限度と、こう抑えられておりますので、政府原案よりは、はるかに厳しい制約が加えられたというふうに御解釈いただいてよかろうかと、その意味では、いわゆる改悪というものではないというふうに考えます。(拍手)    〔青木薪次君発言の許可を求む〕
  14. 安井謙

    議長安井謙君) 青木君、何ですか。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 再質問。(「まだ時間が残っている」と呼ぶ者あり。)
  16. 安井謙

    議長安井謙君) 時間が二分残っておるようですから、再質問を許します。    〔青木薪次登壇拍手
  17. 青木薪次

    青木薪次君 過去債務の関係で、総理も坊大蔵大臣も言われましたけれども、昭和五十二年度で二兆五千四百億円を措置したのでこれで十分だといったような答弁がありました。これはまさに本末転倒でありまして、累積債務というのは、総理も大蔵大臣も聞いてもらいたいと思うのでありますが、新幹線をつくるとか、あるいはまた通勤対策を講ずるとかということで借金をして、そうしてそれが全部そういう投資部門に向けられていくのでありますから、それが合計して今日六兆七千億に達したということなのであります。累積赤字は、昭和五十一年度で三兆一千億ということになっておりました。そのうち、資産の裏づけのあるものを除いて二兆五千四百億円は措置いたしましたけれども、これとはやはり関係はないとは言いませんけれども、非常に性格の異なるものである。その点について、衆議院運輸委員会やその他におきましてさらに修正されまして、総理が、この過去債務については五十三、五十四年度で今日助成を強化して、五十五年度ではこれを全部たな上げにすると、こういう結論があったはずでありますけれども、それを取り除いて答弁をしているということについては、私はまことにけしからぬ話だと、こう思うのでありますので、その点をひとつ質問したいことと、スト権を与えるということについては、これはいつ決意するのか、総理の決意いかんにかかっているわけでありますから、この二点をさらに質問いたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国鉄累積赤字の問題でありますが、累積赤字は、先ほども申し上げたわけでありますが、これは六兆七千億円あるのです。その累積赤字と申しましても、いろいろ種類があるわけでありまして、資産に見合う健全な赤字もあります。それから、いわゆる経営赤字から出たところの、まあ不良赤字と申しますか、そういう性格のものもあるわけであります。その不良と申しますか、累積赤字、この総額が三兆一千億円に相なるわけであります。それを一体どうするかということにつきましては、資本金の取り崩しをやるというようなこともこれは企業会計上当然考えられることなんで、その取り崩しをやる。これが五千六百億円になるわけであります。そうすると、残高が二兆五千四百億円という額になるわけで、これがつまりいわゆる累積赤字と、こういうものでありまして、これを全部たな上げにしちゃうんですから、これは相当政府としては思い切った措置を講じたと、こういうことでございます。これは五十年度までの話でございますが、さらに五十一年度につきましては、これはまた赤字が出た、それにつきましては、先ほど大蔵大臣がお答え申し上げましたように、との支払い利子について臨時補給金を出す、こういう措置までとっておるわけであります。この健全な累積赤字、これを今後どうするか、こういう問題につきましては、これは今後、国鉄再建考えていく、そういう中において、国鉄経理全体の処理の中で、とにかく国鉄財政が相成り立っていくという、そういう考え方の上に立って考えていくべき問題である、このように考えております。  また、国鉄労働組合、このスト権につきまして、私は、これを付与すべきものであるとか、ないとか、そういうことは申し上げなかったわけであります。つまりこれは、この問題の検討会議におきましていま検討しておる、この検討の結果を待って政府が決断をする、こういうことになっておりますので、ずうっとこれはもう四十年以来の長い長い懸案です。そうして、その流れがそういうふうになってきておるわけでありますから、その流れを変える考え方はない、会議結論を待って政府は決断をする、このようにお考え願います。(拍手)     —————————————
  19. 安井謙

    議長安井謙君) 田代富士男君。    〔田代富士男君登壇拍手
  20. 田代富士男

    ○田代富士男君 私は、公明党を代表して、ただいま政府より提案されました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案並びにその修正案について、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。  昭和五十一年度日本国有鉄道監査報告書によれば、国鉄昭和五十一年度の純損失額は実に九千百四十一億円もの巨大な金額に上っているのであります。しかも、長期債務の一部二兆五千四百四億円のたな上げと、資産評価積立金の半額五千六百四億円による減額整理をしたとはいえ、それでも一般勘定における長期債務の現存額五兆四千五百八十二億円は、四十九年度における長期債務の額とほぼ同じであるということであります。まさに国鉄の命運は風前のともしびであり、その姿は疲労こんぱいし切った無残な姿であります。いまや、これほどの危機に陥った国鉄経営いか再建するかは、今日の政治に課せられた最も重要な課題であります。まず、国鉄再建に臨む総理基本方針を伺いたい。  以下、国鉄再建に関する具体的問題についてお尋ねいたします。  第一に、国鉄運賃法定緩和財政民主主義のあり方についてであります。  わが国では、国鉄運賃の決定は、憲法が定める財政民主主義の大原則に基づき、戦後一貫して国会の議決によって行われ続けてきたのであります。これによって国鉄運賃値上げが安易に行われることを防ぎ、国民生活に与える影響も最小限に食いとめることができたのであります。しかるに、今回の法定制を緩和しようとする政府原案並びに修正案では、大臣認可にゆだねるには理論的にも余りにも大幅値上げが可能となっており、これがためにこの修正案財政民主主義の大原則を破るものとして厳しく批判されているのであります。政府はこの批判をどう受けとめているか、総理並びに大蔵、運輸両大臣にお伺いしたい。  第二には、運賃値上げ国鉄再建に及ぼす影響についてであります。  昨年十一月に五〇%の運賃値上げが行われましたが、そのために、旅客、貨物両部門において国民国鉄離れが大きくあらわれ、予想だにしなかった、実に一兆円近い赤字を見たのであります。その結果、ことしに入り、グリーン料金などの値下げをせざるを得なかったわけでありますが、これはまさに前代未聞の出来事であります。現在の国鉄が上限いっぱいに運賃上げることができるような環境に置かれていないことは、政府並びに国鉄当局がみずから認めているところであります。値上げを控えるとしても、これにかわるべき政府の明確なる対策のない現在、国鉄再建ができると断言できるのかどうか、総理並びに運輸大臣にお伺いしたい。また、このように再建のめどすら全く立たない状況にあって、原案規定されている「当分の間」とは一体いつまでを指しているのか、明らかにしていただきたい、また、もしここ数年のうちに「当分の間」を迎えることができず、五年も十年も、あるいはそれ以上に長引くことになった場合どうするのか、あわせて総理並びに運輸大臣にお伺いしたい。  第三に、貨物輸送合理化計画についてであります。  国鉄は、さきに二百七十六駅の廃止による貨物輸送の合理化計画を発表しましたが、これでは国鉄貨物をかえって萎縮させ、今後の輸送量の伸びを期待することができないことになるのではないかと思うのであります。この際、政府並びに国鉄は、貨物輸送合理化計画を洗い直して、過去に怠った貨物輸送における施設、設備への投資を大きく伸ばすことによって貨物部門における国鉄離れを防ぎ、貨物輸送量の微増を目指すべきであり、これこそが国鉄再建への直道であると思うのであります。運輸大臣の所見を伺っておきたい。  第四は、総合交通政策の実現と国鉄再建のあるべき姿についてであります。  国鉄がかつてのような独占的な地位を失った今日、国民には、多様な交通手段の中から国鉄を選ぶかどうかは全くフリーハンドであり、しかも、これら多様な交通手段の組み合わせにも整合性がなく、一方においては鉄道と並行する道路などへのむだな投資があるかと思えば、他方においては地方における交通が極端に不便であるということなど、総合交通政策の欠如が、ひとり、国鉄財政悪化さしているのであります。加えて、都市交通問題、省エネルギー、環境保全等の交通経済全体の諸問題をも総合的に判断し、その中に占める国鉄の地位と役割りを明確にしてこそ、国鉄再建も可能であると言わねばなりません。政府は、総合交通政策の樹立についてどのように進めていくのか、また、それはどのような姿であり、総合交通政策樹立の暁には国鉄はどのような立場であると考え、また、そのとき国鉄財政いかなる形となっていると考えているのか、総理並びに運輸大臣にお伺いしたい。  第五に、国鉄助成に対する政府の姿勢についてであります。  ヨーロッパ各国においては、国鉄に対するその基本的な考え方が、国鉄国民共有の財産であるとしており、その助成率も国鉄収入の四〇ないし五〇%に及んでいるのであります。それに引きかえ、わが国の国鉄助成はヨーロッパの半分ぐらいにとどまっているにすぎず、そのため、国鉄財政再建や強化にはほとんど役立つことがないと言っても過言ではありません。国鉄再建に十分な力を発揮し得るような強力な助成を行うことが、いまや最も待ち望まれているところであります。総理並びに大蔵、運輸両大臣はいかなる所見をお持ちであるか、お伺いしたい。  第六に、地方交通線についてであります。  国鉄財政健全化を図るためには、何としてでも地方交通線の建設に一定の歯どめをしなければならないと思うのであります。政府は、一方では地方交通線に四百九十五億円からの補助をしながら、他方においては、赤字が必至の三十一線区、千三百五十キロメートルに及ぶ路線を建設しており、この矛盾こそが国鉄無策の実態を端的に示している以外の何物でもないと思うのであります。国鉄財政並びに国土整備の現状、経済事情等を勘案した新しい観点から、赤字線建設の根拠となる鉄道敷設法の見直しを行うとともに、鉄道建設審議会の改善と、その使命をすでに終えたと見られる鉄道公団を廃止し、国鉄に一元的に鉄道建設をゆだねるべきであると思うが、総理並びに運輸大臣にお伺いしたい。  最後に、国鉄当局の当事者能力の拡大についてであります。  国鉄の当事者能力の欠如が国鉄を今日の財政危機に至らしめたということについては、広く識者や労働組合などからも指摘されているところであります。日本国有鉄道法によれば、現在の国鉄経営施策についてその裁量権がきわめて狭く、機動性のある動きがまことにとりにくいと言わざるを得ません。それを改めることは、今後の国鉄再建に不可欠の要素の一つであると考えるものであります。政府は、現行の日本国有鉄道法鉄道営業法を抜本改正し、国鉄総裁経営責任の強化と当事者能力の拡大によって、国鉄に真の自主経営権を与えるとともに、これに対応した労働組合へのスト権の付与などを考えるべきと思うが、総理並びに運輸大臣の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  国鉄再建についての基本的な姿勢はどうかと、こういうお話でございますが、非常にこれは長いいきさつを経た問題でありますが、長い間を考えてみて、結局、これはもう三つの方針、つまり、徹底した国鉄当局の自主努力、また適切な利用者負担、それから国の援助協力、この三つ以外にはないと思うのであります。政府においても全力を尽くしますが、国会におきましても何とぞ御協力賜りたい、かように存ずる次第でございます。  なおまた、田代さんは、今度の修正案によっても財政民主主義を破壊するものじゃないか、このようなお尋ねでございますが、私どもはそうは考えておりません。運賃改定法律によるべきものであるとされておりますが、今回は、改定の上限を設けて、それ以下の改定につきましては政府にこれをゆだねる、こういう考え方のものであり、その上限の設定自体につきましては国会に御審議をお願いする、こういうことでありますので、これが財政民主主義、すなわち財政法第三条違反であるという考え方はいたしておりません。  また、今日の客観情勢から見まして、仮に運賃値上げを幾らしても再建にはつながってこないんじゃないか、さような御疑問を投げられたわけでございます。もちろん、私どもは、運賃値上げだけで国鉄の問題が解決すると、こういうふうには考えておりませんし、値上げ自体もなかなかむずかしい情勢であるということもよく承知しております。でありますがゆえに、政府におきましては、国鉄に対しましてその自主的努力、これは強く求めるつもりでございまするし、政府におきましても、適正な財政上の協力援助をするという決意でございます。しかし、さらばといって、利用者負担の問題、これがなくてこの再建問題が片づくかというと、これはそういうわけにはまいりません。やっぱり三本立ての基礎の上において初めて国鉄再建されるものであるという点につきましては、ひとつぜひ御理解を願いたいと思うのであります。  また、当分の間今度の改正案でいくんだというが、その「当分の間」はどうかと、いつをめどにするんだというようなお尋ねでございますが、これは青木薪次さんに対し運輸大臣お答えをしたとおりの考えでございます。  また次に、総合交通政策、これについていろいろお尋ねでございますが、これをいかに進めていくんだということでございますが、これはやっぱり、昭和四十六年策定いたしました総合交通政策、これを考え方の基本にしてしかるべきであると、かように考えておるのであります。つまり、あのときの考え方というものは、各交通機関基本的な職能に応じた効率的な交通体系を形成する上で、できるだけ市場原理を活用する、それからさらに、輸送需要と各交通機関の特性に応じ、各交通機関が重点を置くべき分野を示す、こういうことでございます。その後、この客観事情の変化があります。ありますから、その変化に応じて、この考え方の適用につきましては、弾力的に現実的な考え方をとらなきゃなりません。そうは考えておりまするが、考え方といたしましては、そういう思想でしかるべきではあるまいか、そのように考えております。  また、そういう際に、国鉄役割りは一体どうなんだろうと、こういうようなお話でございまするけれども、国鉄輸送の特性を発揮する、つまり、都市間の旅客輸送大都市圏旅客輸送大量貨物輸送、そういうようなもの、これにつきまして国鉄が主たる責任、任務を分担する、こういうことになろうかと思うのであります。  なお、新線建設について、今後一体どういうふうにこれを取り進めるかというお話でございますが、これは私は、あるいは在来線につきましても、あるいは在来型の新線につきましても、あるいは新幹線につきましても、いままでと考え方を相当変えていかなきゃならぬだろうと、こういうふうに思うのです。つまり、世は高度成長時代から安定成長時代に入ってきておる。それからモータリゼーション、それに見られるごとく、地域交通事情も非常に変化をしてきておる。それから国鉄財政自体が非常に悪化しておる。そういうようなことを考えますと、在来の新線建設、これは在来線、新幹線等を含めてでございまするけれども、そのような考え方でまいるわけにはいかない、さように考えておるのでありまして、さてしからば、それをどういうふうに具体化していくかということにつきましては、いま運輸省で鋭意検討をいたしております。検討の結果を踏まえまして、所要対策をそういう考え方に従って立てていきたいというふうに考えます。  なお、国鉄鉄道建設公団、これを一元化すべきじゃないかというようなお話でございますが、これは一つのお考えかと思います。いま国鉄鉄道建設公団、そういうような意見もありますので、それを踏まえまして、その担当任務をこれはもう明確に分離いたしましてその分野調整をいたしておりますので、さしあたって支障はないと、こういう状態でありまするが、御見識は御見識といたしまして私も覚えておきたい、かように考えておる次第でございます。  なおまた、スト権を付与する、もうそういうことは当然じゃあるまいかというような御所見でございます。しかし、これは長い歴史を持った非常にむずかしい問題であります。先ほども青木薪次さんにお答えしたんですが、公共企業体等基本問題会議におきまして、いま検討いたしておるわけであります。そう時間は私はかからぬと思いまするけれども、その検討の結果を踏まえまして対処をいたしたい、かような考えでございます。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣田村元登壇拍手
  22. 田村元

    国務大臣田村元君) 修正案財政民主主義との関係とか、運賃値上げ再建の可能性の問題、総合交通政策についての考え方、国鉄当事者能力の拡大とスト権問題について、また国鉄鉄建公団との関係、そういう問題につきましては、ただいま総理が詳しく答弁されましたので、私も同じ意見でございますので、この際省略をさしていただきます。  それから、運賃値上げ再建の可能性の問題の中で「当分の間」とは何ぞやということでございますが、昭和五十一年度にたな上げをいたしました債務に相当する額以外の累積赤、字が解消されて次の運賃改定が行われるまでの期間でございます。  また、長引いた場合どうするのかと、こういう御質問でございますが、国鉄自身の徹底した経営努力、これを前提にすべてを考えております。そうして、適時適切な運賃改定と適切な行財政上の援助と、こういうふうに考えておりますので、できるだけ早く累積赤字を解消したいということで、そう長引くということを私どもは期待いたしておりません。  それから次に、貨物輸送の合理化の問題につきましては、大量定形輸送という鉄道輸送の特性が発揮できる分野を中心として、市場原理にのっとった徹底的な体質改善を行う、そして競争力を強化する、そういう必要があると考えております。このような体質改善を図っていく上で必要な設備投資につきましては、投資効果を十分見きわめながら実施すべきであると考えております。また、国鉄に対する助成につきましては、個々の赤字要因をよく見きわめながら、国鉄経営努力とも相まって、所要措置を講じてまいる所存でございます。  それから、新線建設の方針でございますが、大体ただいま総理がお述べになったとおりでございます。  ところで、鉄道敷設法の扱いについてでありますが、当面、法改正という方法よりも、むしろ行政運営上の問題として対処いたしたいと、このように考えております。  また、鉄道建設審議会、いわゆる鉄建審の運営は、公正妥当に行われていると私どもは信じております。  以上でございます。    〔国務大臣坊秀男登壇拍手
  23. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 今回の修正案財政民主主義にもとるんじゃないかという御質問でございますが、これにつきましては総理から詳しく御回答がありましたので、私も省略させていただきます。  次に、国鉄財政状況は極度に悪化しておりますが、これを立て直すためには、まず諸外国の国鉄が行ってきたように、国鉄自体が経営合理化を推進して経費を節減するということが第一であると考えられます。また、国鉄利用するものに適正な運賃負担をお願いしなければならないことも考えられます。国の助成国鉄利用しない人も含めて一般国民の税負担によるものである点にかんがみまして、経営合理化の徹底、利用者負担の適正化に対応して、所要助成を行ってまいりたいと思います。特に国鉄運賃法等改正案が成立いたしますれば、新しい再建対策のもとに助成の充実に努めたいと考えております。法案の速やかな御審議をお願いいたします。(拍手)     —————————————
  24. 安井謙

    議長安井謙君) 内藤功君。    〔内藤功君登壇拍手
  25. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣質問いたします。  第一に、政府国鉄当局は、昭和四十年度から五十一年度までの十二年間に運賃及び料金を六回も値上げをし、特に昨年の値上げは五〇%を超える大幅なものでありました。    〔議長退席、副議長着席〕 しかるに、この結果はどうであったか。従来からの貨物離れに加え、今度は乗客離れを引き起こし、赤字額は五十年度に引き続いて五十一年度も九千億円を超え、まさに国鉄財政経営の全面的危機を招いたのであります。すでに失敗の明らかな運賃値上げ第一主義のやり方を改めることこそ、まさにいま政府に求められているのであります。  しかるに、政府は、運賃値上げだけを自由にする本法案を、会期の延長をしてまで成立させようとしているのであります。政府は、一方において、本年度内の運賃値上げを断念したと言っております。それならば、会期の延長までして急いで成立させる理由は全くないではありませんか。しかも、政府みずからも認めているように、政府国鉄再建対策要綱のよって立つ基盤の破綻は、もはや明白であります。まず、政府責任ある国鉄再建対策を抜本的に作成し直して、それを国会に提出すること、そのことこそが参議院における本法案審議に先立つ前提であると思いますが、総理並びに運輸大臣の所見を求めるものであります。  第二に、自民、民社、新自由クラブ共同修正による本法案は、運賃法定制を骨抜きにし、大幅値上げ政府に白紙委任しようというものであり、断じて認めることのできないものであります。  衆議院での政府答弁によっても、本法案の通過により、五十一年度決算を基礎にすると二〇%程度の値上げが可能となり、さらに値上げを一年見送った場合には来年度値上げは三七%まで可能であると答弁しているのであります。わが党の試算によれば、もう少し多く、四〇%台に上る計算であります。このような大幅値上げが可能である以上、まさに本法律案は、運賃法定制といういままでの物価高を抑制してきた一つの歯どめを外し、政府主導型の公共料金つり上げの促進剤となることは必至と言わなければなりません。総理は、本法案が私鉄、航空などの交通運賃に及ぼす影響をどう考えているか、また、電電、専売などの公社役員は相次いで法定制撤廃の意向を表明しておりますが、本法案を突破口として、郵便、電信電話、たばこなどの法定制の骨抜きをやろうとしているのではないか物価高に苦しむ国民にかわり、総理の明確な答弁を求めます。  第三に、自民党など三党の「国鉄再建基本方向」なるものについて伺います。  政府は、この「基本方向」の実現について努力を約束しております以上、特に質問しておきたいのであります。この「基本方向」は、私は、国鉄の公共機関としての責務を放棄せしめんとする内容だと思うのです。国鉄経営企業主義的な方向を一層露骨に打ち出しているものと指摘せざるを得ません。ところで、この「基本方向」なる文書には、地方交通線公的助成の名のもとに、地方自治体に財政負担を負わせる方向が打ち出されています。しかし、全国町村会からも強い反対の意思が表明されていますように、現在の自治体財政の実態から見て、このような負担を受け入れることができないことは明らかであります。また、昨年十一月、本院運輸委員会における附帯決議では、地方交通線等の赤字に対して国の助成を強化し、国の責任で解決するとうたっておるのであります。いわゆる「基本方向」は、この附帯決議とも全く内容を異にしていると言わざるを得ませんが、総理運輸大臣、自治大臣の御見解いかがか。  第四に、十一月一日、わが党は、国鉄再建に関する詳細かつ現実的な見解を発表いたしました。そこで、私は、右政策に基づき、さらに五点にわたって立ち入って質問をしたいと思うのです。  その第一点は、運賃値上げと膨大な借金に依存する従来型の政策の抜本的転換についてであります。  昭和五十年度までのこの十年間に、営業収入に対する国の助成比率は、フランスの五一・四%に比べますると、日本はわずか八・二%にすぎません。歴代自民党内閣は、一方において、道路に対しましてはこの十年間に八兆四千六百億円という巨額な国費を投入してまいりましたが、一方、国鉄に対する出資はわずか五%の四千四百七十億円、助成金を含めましても九千八百億円にしかなりません。これまさに公共交通機関をないがしろにしたモータリゼーション優先政策と言わなければなりません。私は、この道路整備計画を縮減し、その資金を国鉄の線路など基礎施設建設に回すべきである、将来にわたって基礎施設は国費で賄うなど、公共交通機関にふさわしい費用負担の原則を確立すべきと考えます。この点の総理運輸大臣見解を求めます。  第二点は、新幹線に巨額な資金を投入し、在来線では大企業貨物優遇の政策をとってきました。しかし、博多まで延長された新幹線は、並行在来線と合わせた場合、五十年度、五十一年度と連続赤字であり、赤字額も七百億円を超えております。このような新幹線、大企業貨物中心のやり方を転換して、在来線の路線整備など、国民の足たるにふさわしい輸送網づくりを行うことこそ急務だと考えます。この点の答弁を求めたいと思います。  第三点は、地方交通線の見直しについてであります。  地方交通線は、昭和三十五年当時と比べますると、二十八の線区では利用客はかえって増加をしております。七十四の線区では、いまなお三十五年の九割の輸送量を維持しております。この実態に立つならば、地方交通線の切り捨てではなく、地方交通線を積極的に維持する努力を尽くすべきであると思いますが、総理並びに運輸大臣答弁を求めたい。  第四点は、いわゆるモータリゼーション優先政策を改める点であります。  大量・長距離貨物は国鉄で輸送するという基本方向を確立し、下請トラック運輸業者に対する大企業荷主の不当な運賃のダンピングを規制する行政指導などを強めることについて、総理並びに運輸大臣はどうお考えか、この点であります。  第五点、国鉄の体質の民主的改革の問題です。  さき参議院選挙で、国鉄ぐるみの大がかりな選挙違反問題が起きました。これは八十国会の本院予算委員会で、わが党議員の追及に対し、総理は是正すると約束をした。しかし、五百人の取り調べ、三十人の逮捕者が出て、自殺者も出た。国鉄再建のために努力し専念すべき責務ある者が選挙運動に熱中し、あまつさえ法を犯し、司直の手にゆだねられる、心ある国民の許さざるところであります。しかるに、この点の何らの釈明も謝罪もないまま、運賃値上げを自由にする法案を通してくれと言ってくることは言語道断であります。私は、総理運輸大臣、あなた方に対して、これにいかに対応し、どのように責任をとられるおつもりか、明確な答弁を求めるものであります。  最後に、私は、総理の民主主義に対する姿勢を伺いたい。  一つは、ストライキ権の問題。さっきからいろいろ質問がありますが、憲法に書かれた当然の権利を、審議会、諮問機関を口実におくらしている。重大な問題であります。もう一つは、国鉄運賃法定制と財政民主主義の関係です。昭和二十三年以来二十九年間続いてきた制度であり、財政民主主義を認める以上は、当然積極的に維持すべき制度がこの運賃法定制であると思う。総理は、上限は国会が決めるから、国会にかけたじゃないかと言う。これは詭弁であります。上限を一たん決めてしまえば、後は自由にその上限の範囲内で政府がやれる。審議権をその範囲で奪い取る。まさに、これは国鉄運賃に対する国会の権能を事実上大幅に奪い取るものであり、財政民主主義に逆行するものであることは明らかだと思うのであります。この点についての総理見解を私は問いたい。これはまさに福田総理と福田内閣の民主主義に対する理解の何たるかを問う重大な質問であります。  以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  今回、政府運賃引き上げ第一主義で国鉄問題に対処しようとしておるというお話でございますが、(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりじゃないんです。(笑声)私どもは、先ほどからるる申し上げておりますとおり、まず何よりも大事なことは、国鉄自体の自主再建努力です。これをやってもらわなけりゃ、この問題の解決ができない。それができたら、その上に立ちまして財政援助いたしましょう、利用者にも御協力願いましょうと、こう言っておるのでありまして、決して運賃値上げ至上主義、第一主義、そんな考え方は持っておらない。これは篤と御了知をお願いしたいのであります。  なお、本法案によりますと、運輸大臣認可だけで三七%もの大幅値上げが可能となると、こういうような御所見でございますが、これは、二年間まとめてやるということになると、これは大幅なものになります。しかし、三七%になると、これはいろいろの前提がありますから、物価が鎮静した、賃金もそう高くないということになれば、そんな一局いものになりません。それにいたしましても、単年度といたしますと、かなり低いものなんです。と同時に、これは政府だって健全な常識を持っております。客観情勢を見る、物価国民生活に及ぼす影響を十分考慮いたしまして、上限の範囲内において決める、こういうことでありますので、正しい御理解のほどをお願い申し上げたいのであります。  なお、私鉄、航空等他の交通運賃への影響、これをどう考えるかというお話でございますが、それらはいずれも、これは企業体、事業体でございます。その事業体の経営の合理化の徹底に努めることを、これまた前提といたしまして、原価を償い得る水準に決める、こういう考え方でございまして、特に国鉄運賃の改定に便乗して航空、私鉄等が値上げをする、そういうふうなことにつきましては、絶対にそのようなことはいたさせません。それから、郵便、電信電話料金、たばこ料金等につきまして御言及がありましたが、これも、国鉄運賃がこうなったから、こっちもこうするというような、そういう考え方は持っておりません。  なお、自民党、民社党、新自由クラブの決められました「国鉄再建基本方向」、それでは、この地方交通線につきまして、公的助成と言っておるが、一体地方財政負担をかぶせるのか、こういうようなお話でございますが、これは理屈を言いますと、公的助成と言いますれば、国もあり地方公共団体もあるわけでございます。しかし、地方公共団体の財政が非常に窮乏しておるということは私どもよく承知しておるところでございまして、その辺は具体的にまた妥当な処理をいたすというふうに考えておる次第でございます。  それから、道路整備計画を縮減いたしまして、それを国鉄の方に回したらどうだと、こういう御提言でございますが、道路整備問題、これは、わが国といたしまして、とにかく狭い国土でございまするから、もう全国を開発利用しなけりゃならぬ。そういう上から申しますと、これは道路網、特にモータリゼーションのこの世の中におきまして、道路網の整備ということは非常に大事な問題であると、こういうふうに考えておりまして、これを縮減をするという考え方は持ちません。したがって、その縮減した余剰を国鉄に回すという考え方はとりません。そうじゃなくて、モータリゼーション下における需要に対応いたしまする道路政策、これは進めなけりゃならぬと思うのです。過密過疎という問題の打開、これを考えますると、この問題を放置することはできません。しかしながら、国鉄につきましては、先ほど申し上げましたように、これはもう整備をこの際本当に完全なものにするという必要がある。それに対しましては、国鉄の自主的努力、それから利用者負担、国の助成、この三本柱の上に立って堅実に進めていきたいと、こういうふうに考えております。  また、これに関連いたしまして、国鉄の基礎施設の建設、補修、改良、そういうものは国の費用でやるべきではないか、こういうようなお話でございますが、これは、国鉄企業でございまするから、企業企業といたしまして適正な利潤を上げ得るという投資、それにつきまして、国鉄国鉄財政の力でこれを行うということは企業原則上当然のことでありまして、それに対しまして国が助成をするという考え方は、これは妥当でないと、かように考えております。  また、新幹線、物資別専用列車等、大企業貨物優遇政策を改め、在来線の路線整備、ダイヤ改善等を急げと、こういうお話でございますが、国鉄は、申し上げるまでもございませんけれども、総合交通体系の中で大量輸送という鉄道輸送の特性を発揮するということになっており、また、これからそれをさらに強化する次第でございまして、決してその優遇政策というような、ある種のものにつきましての優遇政策というような考え方をとっておるわけではございません。新幹線、貨物輸送につきましても、このような見地から輸送体系を整備いたしていきたいと、かように考えておる次第でございます。  それからさらに、輸送実態の変化から見て、地方交通線の切り捨て政策をとるのではなく、積極的にこれを維持すべきではあるまいかと、こういうお考えを示されましたが、決して切り捨て政策というような、そういう冷たい考え方をとっておるわけじゃございません。そうじゃないんです。先ほども申し上げましたが、世の中が非常に変わってきておるじゃありませんか。まあ、モータリゼーションという問題もある。それから経済の成長、これが大きな変化を示しておる、こういう問題もあるし、国鉄財政、これが非常に苦しい状態に立ち至っておる、これをどうするかという困難な問題もあるわけでありまして、そういう問題を、条件の変化を踏まえまして今回の考え方を打ち出したと、こういうことでございます。しかし、そういう中において、時代の変化にどう対応するかという具体的なあり方につきましては、これは運輸省において目下検討をいたしておるわけであります。  それから、モータリゼーション優先政策を改めて、大量・長距離貨物は国鉄で輸送するという基本的方向を確立し、また、下請トラック運輸業者に対する大企業荷主の不当な運賃切り下げを規制すべきではないかと、こういう御所見でございますが、各種交通機関はそれぞれの特性に応じまして、その適合した分野において十分に機能を発揮することができると、こういうことが交通政策のかなめでございます。先ほどから申し上げておるとおり、モータリゼーションを優先的に考えるというのじゃなくて、交通機関各分野が調整のとれた形で、おのおの交通体系、それに応じた任務をそれぞれ尽くすということが大事であろうと思います。それから、トラック運賃の適正化、こういう問題につきましては、これは今後とも努力をいたしてまいります。  それから、夏の参議院選挙での選挙違反問題についての御指摘でございましたが、これはこの前の国会でも申し上げましたが、これは違反があれば国鉄に限らず厳重に処理する、こういうことでございますが、目下、国鉄を中心とした選挙違反問題につきましては、これは捜査当局、検察当局におきまして、また司法当局において事案の処理が進行中であると、これは厳正な立場においてこれが進行されておるというふうに御理解を願いたいのであります。  また、今回の運賃法定主義緩和は、国会の権能を事実上奪うものであり、財政民主主義に逆行するものではないかというお話でございますが、これも先ほどるる申し上げたところでございまするけれども、これは、財政法第三条というものは、もう本当に小さい細かいところまで、国会というか、法律で決めなきゃならぬということを言っておるわけじゃないんです、これは。今回の改正案は、上限を設定いたしまして、その下の部分だけを政府において決定しよう、しかも、その上限の設定につきましては、これは国会の御審議をお願いをする、法律でこれを決める、こういうことでありまして、財政民主主義を破壊すると、そういう性格のものじゃありません。  以上。(拍手)    〔国務大臣田村元登壇拍手
  27. 田村元

    国務大臣田村元君) お答えいたします。  御質問の諸点につきましては、総理から実にきめ細かく、るるお答えがございましたので、私から特に取り上げて補足をいたす必要はないかと思います。  ただ、このような異常とも言える国鉄の危機でございます。私どもも思いを新たにして取り組んでいきたいと思っております。その意欲を強くしておりますが、国鉄に対しても厳しい態度で臨んでいきたい。そうして労使も協調してもらって、りっぱに再建の実を上げていただきたいと、これをこいねがっております。そういう意味におきましても、どうぞ国会におかれても、この二法について御理解あるお取り扱いを願いますように心からお願いを申し上げる次第でございます。  また、例の国鉄関係の選挙違反につきましては、大変残念な出来事でございました。所管大臣として、私は国民に本当に申しわけないことと心より感じております。今後再びこのような事件が出ませんように厳しく指導監督をいたしてまいる所存でございます。(拍手)    〔国務大臣小川平二君登壇拍手
  28. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) お答えいたします。  国鉄赤字ローカル線に対しまして地方公共団体が財政負担を行うということは、国の企業たる国鉄の性格、また、地方財政の厳しい状況から考えまして、できないことだと考えております。今後、国鉄再建方策につきまして見直しが行われまする場合には、国並びに国鉄責任において適切な対策が講ぜられまするように関係省庁と協議をしてまいるつもりでございます。(拍手)     —————————————
  29. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) 柳澤錬造君。    〔柳澤錬造君登壇拍手
  30. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は、民社党を代表して、国鉄運賃法定緩和法案に対し、これを是とする立場にありますが、特に本法案の目的である国鉄企業体の再建問題を中心として、次の諸点について総理並びに運輸大臣質問いたします。  まず第一に取り上げたいのは、国鉄経営責任体制についてであります。  昨年度の監査報告書によりますと、収入が約二兆円で、支出が三兆円、差し引き一兆円弱の赤字という異常決算であります。このような常識外れの決算がなされても、だれ一人として責任をとる者もございません。責任の所在すら明確ではありません。これは、経営に対する責任体制がはっきりとしていないからと言えましょう。そもそも、国鉄企業体は、全国に二万数千キロの鉄道を持って、人口の多い大都市圏でも、人口の少ない山間僻地でも列車を走らせている、わが国交通体系の骨格をなしているものであります。それを一企業体として考え、判断しているところに誤りのもとがあると言えます。それに加えて、赤字になれば運賃値上げをすれば採算はとれるとして、安易な気持ちで、昨年も五〇%という大幅値上げをしました。日ごろ、たび重なるストで列車をとめられ、不満を持っていた国民がこれに反発をして、国鉄離れに拍車がかかったと言えましょう。この機会に従来の姿勢を反省して、国鉄幹部に当事者能力を与え、経営者としての権限を持たせ、責任体制を確立して再建に取り組むべきであると思いますが、それについて特に総理の御見解をお聞きしたいと思います。  第二としては、労使関係についてです。  労使関係正常化、安定なくして、国鉄再建はあり得ません。この点でどうしても理解できないのは、暴力事件などで解雇した者を再雇用しているという事実であります。これを知ったときには偶然といたしました。なぜかといって、民間企業においては、自分で退職した場合でも、再びその企業に就職することは困難なことであり、ましてや、解雇された者が再雇用されるというようなことは考えられないことです。安易な妥協は混乱を生むだけです。秩序のないところに労使関係の安定などありません。解雇した者を再雇用して、それで職場の秩序が保たれるでしょうか。職場で一生懸命働いている職員が何と感じるか、考えたことがあるでしょうか。このまじめな人々がばかばかしくなって働く意欲を失ったら、国鉄企業体は、再建どころか、職場から崩壊していくでしょう。このような国鉄当局の態度を見ていますと、果たして労使関係正常化する意思があるのか、国鉄再建する意思があるのか、はなはだ疑問に感ぜざるを得ません。これらについて、政府はどのように判断し、いかなる方法で労使関係正常化させ、安定させようとしているのか、具体的な御答弁をいただきたい。(発言する者多し)お静かにお聞きいただきたいと思います。  第三としては、生産性向上についてです。  いまの国鉄を本気になって再建しようとするならば、なぜ生産性向上運動に取り組まないのでしょうか。生産性向上は、人類社会の進歩、発展のために欠くことのできないものです。日本全国で生産性向上が推進されだからこそ、日本経済もここまで成長したものであれば、国民の生活水準もここまで向上したと言えましょう。それを、経営が危殆に瀕している国鉄において、労使がみずからの努力でやれる生産性向上運動もしないで、どのようにして再建しようと考えているのか、理解に苦しむものであります。(拍手)従来からの、赤字になれば運賃値上げを税金によって賄えばよいとする安易な態度では、もう国民は納得しません。しかも、経営がどうなっていようと、国民の気持ちが何を考えていようと、それらを無視して、再三再四違法なストライキによって列車をとめられ、それを当局までも黙認しているようなあり方には、もう国民はがまんできません。(拍手)そのあらわれが、これでは安心して貨物輸送も託せないとして、国鉄輸送をやめて、あえて運賃の高いトラック輸送など、他の交通機関に依存しているのであって、これを国鉄労使は何と考えているんでしょうか。その結果、国鉄の貨物輸送のシェアはわずか一二%に転落をしています。(発言する者多し)お静かに。この原因を探究して改革しようとせず、輸送量が減少したから貨物駅を合理化するという国鉄当局の考え方は、本末転倒再建案と言わざるを得ません。いまこそ、国鉄労使が生産性向上運動に取り組み、国民の信頼を回復し、国民の支持と協力のもとに、本気になって再建に取り組む態度を国民の前に示すべきときであると思うが、それについて政府の御見解をお聞かせいただきたい。  最後に、本法案の三党修正案についてです。  三党修正案に基づく運賃法定主義緩和の基準は、物価変動によって生ずるコスト増を補てんするために必要な額を限度とするものであります。これはあくまでも運賃値上げの上限を示すものであります。本来、企業はコスト増をすべて価格に転嫁し得るものではなく、生産性の向上によってコストの減少を図るのが一般の原則です。いわんや、運賃の上昇に伴って利用者の減少を来し、それによって生ずる収入見込みの減少を予測して、それを運賃に上乗せすることをもくろむような行為は、本修正案の法の精神に違背するものであります。にもかかわらず、さき衆議院運輸委員会において、政府側から、そのような意図を持つ大幅な運賃値上げの可能性を示唆するような答弁があったため、国民に大きな疑惑を与えています。この際、本修正案に基づく法定主義緩和の基準をいかに理解し、いかに運用しようとしているのか、運輸大臣の明確な御答弁をいただきたい。  以上をもちまして質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫登壇拍手
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答えを申し上げます。  国鉄に当事者能力を与えて、経営の権限を持たせ、責任体制をつけると、こういうお話でございますが、経営の権限をなるべく拡大いたしまして、そして責任体制をつくるという点につきましては、全く私は同感です。  ただ、いわゆるスト権の問題、これにつきましては、これは長い長い歴史があることは御承知のとおりでありますが、いよいよその問題も最後の段階に入っておりますが、公共企業体等基本問題会議でいま鋭意検討中でございます。その検討の結果を待ちまして政府としては結論を出したい、かように考えております。  しかし、だからといいまして、国鉄再建を、これをほうっておくというわけにはまいりません。その問題が解決するまで国鉄再建はお預けだというわけにはまいらない。やっぱり国鉄再建は、もうぎりぎりのところまで来ているわけでありまして、その考え方は、先ほどからるる申し上げておるとおり、国鉄の自主的努力、これができなければ、ほかのいかなる対策を打ち出しましても、私は国鉄再建というものはできない、このように考えておるわけであります。その国鉄の自主的努力、そういう中におきまして労使関係正常化というような問題、これは非常に重要なことだろうと、こういうふうに思いますが、これらの問題につきまして柳澤さんが触れられた諸問題私も傾聴をいたした次第でございます。ともかく、責任体制の確立、この問題につきましては、スト権の問題は先ほど申し上げたとおりでありますが、その他の分野におきましてはできる限りの努力をいたしてみたい、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣田村元登壇拍手
  32. 田村元

    国務大臣田村元君) 総理お答えいたしました問題外のことについてお答えいたしたいと思います。  先般の再雇用の措置でございますが、これは、裁判所の強い和解勧告がございました。それを踏まえまして、労使関係をも考慮して行われたものと、そのように私は理解をいたしております。このような措置の決定は、本来国鉄当局がなすべきものでございます。私としましては、ただ国鉄総裁の判断についてこれを信頼するという気持ちでございます。  それから、これに関連して、国鉄の職場管理の適正化につきましては、今後とも十分に配慮する必要がございます。その方向で国鉄を指導してまいりたい、こう考えております。  次に、生産性向上についてでございますが、当然、国鉄再建を達成するために、適切な収入の確保と所要の行財政上の援助のほかに、何よりもまず国鉄自身努力、徹底した経営改善、これを進めることがきわめて重要でございます。先ほど来総理が申したとおりでございます。その際、御指摘のとおり、業務全般にわたってその効率化を図って生産性を高めることはぜひとも必要であると考えております。  さらに、運賃値上げ幅の問題についてでございますが、今回の修正案は、御指摘のように、あくまで上限でございます。現実の運賃値上げ幅は、極力この限度内で圧縮するように努力していかなければならないことは申すまでもございません。したがいまして、国鉄は今後経費の節減とか増収努力を徹底させて、経費上昇額を極力カバーする、そうして、具体的な運賃改定額の決定に当たりましても、利用減については経営努力の中で吸い上げていく、そういうふうにやっていかなきゃならぬ、私どもそういう気持ちで国鉄を強力に指導いたすつもりでございます。法の運用につきましても厳しい態度で臨みたいと考えております。  なお、いまの点につきまして、さき衆議院運輸委員会におきまして局長答弁が不明確でございました。私は、きょうこの点を明確にいたしまして、今後は以上のように理解をしていただきたいとこいねがうものでございます。(拍手
  33. 加瀬完

    ○副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会