○
国務大臣(
福田赳夫君)
お答え申し
上げます。
今回、
政府は
運賃引き
上げ第一主義で
国鉄問題に対処しようとしておるという
お話でございますが、(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりじゃないんです。(笑声)私どもは、先ほどからるる申し
上げておりますとおり、まず何よりも大事なことは、
国鉄自体の自主
再建の
努力です。これをやってもらわなけりゃ、この問題の解決ができない。それができたら、その上に立ちまして
財政も
援助いたしましょう、
利用者にも御
協力願いましょうと、こう言っておるのでありまして、決して
運賃値上げ至上主義、第一主義、そんな
考え方は持っておらない。これは篤と御了知をお願いしたいのであります。
なお、本法案によりますと、
運輸大臣の
認可だけで三七%もの大幅
値上げが可能となると、こういうような御所見でございますが、これは、二年間まとめてやるということになると、これは大幅なものになります。しかし、三七%になると、これはいろいろの前提がありますから、
物価が鎮静した、
賃金もそう高くないということになれば、そんな一局いものになりません。それにいたしましても、単
年度といたしますと、かなり低いものなんです。と同時に、これは
政府だって健全な常識を持っております。客観情勢を見る、
物価、
国民生活に及ぼす影響を十分考慮いたしまして、上限の
範囲内において決める、こういうことでありますので、正しい御理解のほどをお願い申し
上げたいのであります。
なお、私鉄、航空等他の交通
運賃への影響、これをどう
考えるかという
お話でございますが、それらはいずれも、これは
企業体、
事業体でございます。その
事業体の
経営の合理化の徹底に努めることを、これまた前提といたしまして、原価を償い得る水準に決める、こういう
考え方でございまして、特に
国鉄運賃の改定に便乗して航空、私鉄等が
値上げをする、そういうふうなことにつきましては、絶対にそのようなことはいたさせません。それから、郵便、電信電話
料金、たばこ
料金等につきまして御言及がありましたが、これも、
国鉄運賃がこうなったから、こっちもこうするというような、そういう
考え方は持っておりません。
なお、自民党、民社党、新自由クラブの決められました「
国鉄再建の
基本方向」、それでは、この
地方交通線につきまして、
公的助成と言っておるが、一体地方
財政に
負担をかぶせるのか、こういうような
お話でございますが、これは理屈を言いますと、
公的助成と言いますれば、国もあり地方公共団体もあるわけでございます。しかし、地方公共団体の
財政が非常に窮乏しておるということは私どもよく
承知しておるところでございまして、その辺は具体的にまた妥当な処理をいたすというふうに
考えておる次第でございます。
それから、道路整備
計画を縮減いたしまして、それを
国鉄の方に回したらどうだと、こういう御提言でございますが、道路整備問題、これは、わが国といたしまして、とにかく狭い国土でございまするから、もう全国を開発
利用しなけりゃならぬ。そういう上から申しますと、これは道路網、特にモータリゼーションのこの世の中におきまして、道路網の整備ということは非常に大事な問題であると、こういうふうに
考えておりまして、これを縮減をするという
考え方は持ちません。したがって、その縮減した余剰を
国鉄に回すという
考え方はとりません。そうじゃなくて、モータリゼーション下における需要に対応いたしまする道路政策、これは進めなけりゃならぬと思うのです。過密過疎という問題の打開、これを
考えますると、この問題を放置することはできません。しかしながら、
国鉄につきましては、先ほど申し
上げましたように、これはもう整備をこの際本当に完全なものにするという必要がある。それに対しましては、
国鉄の自主的
努力、それから
利用者の
負担、国の
助成、この三本柱の上に立って堅実に進めていきたいと、こういうふうに
考えております。
また、これに関連いたしまして、
国鉄の基礎
施設の建設、補修、改良、そういうものは国の費用でやるべきではな
いか、こういうような
お話でございますが、これは、
国鉄も
企業でございまするから、
企業が
企業といたしまして適正な利潤を
上げ得るという
投資、それにつきまして、
国鉄が
国鉄の
財政の力でこれを行うということは
企業原則上当然のことでありまして、それに対しまして国が
助成をするという
考え方は、これは妥当でないと、かように
考えております。
また、新幹線、物資別専用列車等、大
企業貨物優遇政策を改め、
在来線の路線整備、ダイヤ
改善等を急げと、こういう
お話でございますが、
国鉄は、申し
上げるまでもございませんけれども、
総合交通体系の中で大量輸送という
鉄道輸送の特性を発揮するということになっており、また、これからそれをさらに強化する次第でございまして、決してその優遇政策というような、ある種のものにつきましての優遇政策というような
考え方をとっておるわけではございません。新幹線、貨物輸送につきましても、このような見地から輸送体系を整備いたしていきたいと、かように
考えておる次第でございます。
それからさらに、輸送実態の変化から見て、
地方交通線の切り捨て政策をとるのではなく、積極的にこれを維持すべきではあるま
いかと、こういうお
考えを示されましたが、決して切り捨て政策というような、そういう冷たい
考え方をとっておるわけじゃございません。そうじゃないんです。先ほども申し
上げましたが、世の中が非常に変わってきておるじゃありませんか。まあ、モータリゼーションという問題もある。それから
経済の成長、これが大きな変化を示しておる、こういう問題もあるし、
国鉄の
財政、これが非常に苦しい
状態に立ち至っておる、これをどうするかという困難な問題もあるわけでありまして、そういう問題を、条件の変化を踏まえまして今回の
考え方を打ち出したと、こういうことでございます。しかし、そういう中において、時代の変化にどう対応するかという具体的な
あり方につきましては、これは運輸省において目下
検討をいたしておるわけであります。
それから、モータリゼーション優先政策を改めて、大量・長距離貨物は
国鉄で輸送するという
基本的方向を確立し、また、下請トラック運輸業者に対する大
企業荷主の不当な
運賃切り下げを規制すべきではな
いかと、こういう御所見でございますが、各種
交通機関はそれぞれの特性に応じまして、その適合した分野において十分に機能を発揮することができると、こういうことが交通政策のかなめでございます。先ほどから申し
上げておるとおり、モータリゼーションを優先的に
考えるというのじゃなくて、
交通機関各分野が調整のとれた形で、おのおの
交通体系、それに応じた任務をそれぞれ尽くすということが大事であろうと思います。それから、トラック
運賃の適正化、こういう問題につきましては、これは今後とも
努力をいたしてまいります。
それから、夏の
参議院選挙での選挙違反問題についての御
指摘でございましたが、これはこの前の
国会でも申し
上げましたが、これは違反があれば
国鉄に限らず厳重に処理する、こういうことでございますが、目下、
国鉄を中心とした選挙違反問題につきましては、これは捜査当局、検察当局におきまして、また司法当局において事案の処理が進行中であると、これは厳正な立場においてこれが進行されておるというふうに御理解を願いたいのであります。
また、今回の
運賃法定主義の
緩和は、
国会の権能を事実上奪うものであり、
財政民主主義に逆行するものではな
いかという
お話でございますが、これも先ほどるる申し
上げたところでございまするけれども、これは、
財政法第三条というものは、もう本当に小さい細かいところまで、
国会というか、
法律で決めなきゃならぬということを言っておるわけじゃないんです、これは。今回の
改正案は、上限を設定いたしまして、その下の
部分だけを
政府において決定しよう、しかも、その上限の設定につきましては、これは
国会の御審議をお願いをする、
法律でこれを決める、こういうことでありまして、
財政民主主義を破壊すると、そういう性格のものじゃありません。
以上。(
拍手)
〔
国務大臣田村元君
登壇、
拍手〕