○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました
原子力関係二
法案につき、
総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
国連を初めとして、多くの
機関、専門家によって
石油の枯渇が叫ばれている現在、先進工業国であり、かつまた造船王国、海運王国である
わが国が
原子力船の
研究をおろそかにできないことは認めるものであります。十年前、夢の
原子力船としてもてはやされてスタートした「
むつ」
建造計画が今日のような惨めな姿になってしまった責任は、残念ながら
政府の
原子力行政そのものにあったと言わなければなりません。すでに、いわゆる大山
委員会の調査報告書がはっきりと明らかにしているとおり、「
むつ」をめぐるトラブルは決して偶然ではなく、起こるべくして起こったものであります。
政府はどのように反省をしているのか、
総理にお伺いしたい。
この
法律は、本来、
原子力第一船「
むつ」が完成するまでの
期間を推定して、時限
立法として成立したものであります。その後、「
むつ」に欠陥が認められ、さらに延長しようとしております。
政府は、「
むつ」が放射線事故を起こした後も、地元に行き当たりばったりの約束をし、一方、
原子力船計画をどう位置づけ、どう発展させるかという方針も明示しないまま、この
法律の
期限のみを延長しようとしています。
政府は、この際
わが国の
原子力船政策を明確にすべきと思うが、
総理の所見をお伺いしたいのであります。
原子力船の
実用化の時期は、一ころよりおくれて、一九九〇年代以降と見られています。
実用化のためには、中心となる船舶用
原子炉を中心に、周辺
技術を基礎から積み上げ、
安全性の
確立が先決であります。
わが国で現在稼働している
原子力発電所がまことに低い稼働率を示し、多くの問題を抱えていることを
考えるとき、船の上という、より困難な条件下に置かれる船舶用炉としてはまだまだ未完成であり、さらに
研究を重ね、解決せねばならぬ問題が余りにも多いと
考えますが、
政府の今後の方針を伺っておきたい。
原子力船事業団は、当初九年間という短い時限
立法であったため、
研究者の身分が安定せず、基本設計から
建造、
運転に至る過程を一貫して担当する人材を固定することが困難であったのであります。その結果、使命感を持って当たった方々を十分生かし切れなかったきらいがあります。すぐれた
研究開発は、
研究者の身分の安定と使命感から生まれるものであり、その点から
考えて、事業団を時限
立法から恒久的な
研究機関に改組しようとする今回の
衆議院における修正は評価できると思うのでありますが、
政府は、どう受けとめ、どう対処する方針か、お伺いしたい。また、財政当局の
立場から、大蔵
大臣の御所見も伺っておきたい。
さらに、
政府は、「
むつ」の
改修計画、
安全性総
点検計画等の事業団の当初の計画をどうするのか、また、事業団の今年度予算十七億六千万円の執行はどうなるのか、伺っておきたい。
次に、「
むつ」の
修理港、
母港の問題についてお伺いしたい。
造船不況にあえぐ
佐世保には新幹線を、
開発のおくれている
むつ地方には下北大
開発をと、
原子力船「
むつ」は、いまや
開発利益の還元という見返りを満載した政治の船と言われ、経済不況の深刻化をよいことに、金の力と裏取引で地元を引きずろうとする
政府の
姿勢は、問題の本質をはぐらかすものであり、世論の厳しい批判を浴びております。港がその役割りを円滑に果たすためには、地元住民の信頼と協力が不可欠であります。しかるに、住民の信頼感が回復されないのは、ひとえにこのような
政府の
原子力行政に対する不信感に基づくものであり、
政府に強く反省を求めるものであります。
原子力船「
むつ」の
修理港、
母港問題の解決について、
政府は今後どのような手順で進めていく方針であるか、明らかこしていただきたいのであります。
さらに、
むつ市に関するいわゆる四
者協定についてでありますが、「
むつ」
母港撤去
期限は今年四月十四日でとっくに切れているが、全く履行されず、また、履行のめども全く立っておりません。このような
政府の態度こそ国民の
政府不信を増大するものであることを強く警告するものであります。
協定不履行の
政府の責任についてどう
考えるか、お伺いしたい。
また、四
者協定の当事者の一人だった
むつ市の菊池市長が今回の選挙で敗れ、
母港存置派の河野市長が誕生したことによって、「
むつ」
母港撤去問題は複雑な局面を迎えております。
青森県知事は、
協定は市長個人が結んだものではないから
協定履行をこれまでどおり
政府に迫っていくと主張している旨伝えられておりますが、四
者協定について
政府はどう対処するか、お伺いしたい。
最後に、
原子炉等規制法改正案について伺いたい。
この
法案は、核防
条約保障措置協定に伴う国内体制
整備と再
処理事業の民営化という二本建ての
政府原案のうち、一本の柱である再
処理条項の部分が
衆議院で全面的に削除されて本院へ送付されたものであります。言うまでもなく、来る十二月四日までに
保障措置協定を発効させなければ、
わが国は核防
条約の義務違反となるものであります。しかるに、再
処理事業の民間移行のように、内外ともに問題が多く、しかも、核防体制の
整備と直接
関係のない条項を何ゆえに一本化した
法律案として
国会に提出したのか、理解に苦しむものであります。
政府の
考えを伺いたい。また、再
処理に固執して、
衆議院の審議を難航させ、保障
協定を
期限ぎりぎりまでおくらせた政治責任についてどう
考えるのか、お伺いしておきます。
使用済み燃料の再
処理事業については、五年前、
政府の民営移行方針が打ち出され、三年前に電力業界中心に第二再
処理工場準備会が設立されておりますが、当時と現在とでは内外の情勢は大きく変わってきております。一方、
わが国東海村の再
処理工場も試
運転が始まったばかりであります。
国会の意思は、このたび民営移行について慎重な再
検討を求めたのであります。再
処理体制の将来については、
政府は、従来の民営移行を推し進めるのがよいのかどうか、内外の情勢を見て再
検討をすべき時期が来ていると思うのでありますが、この点について
政府の
見解を求めて私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣福田赳夫君
登壇、
拍手〕