○
国務大臣(
福田赳夫君) お答えいたします。
まず、今回の
ハイジャック事件につきましては、
再発防止、この問題が重大なことではあるまいか――全く私はそのとおりに
考えておるのでありまして、
事件が一段落いたした直後、
内閣に
対策本部をつくりまして、一昨日、その初会合をいたしまして、私からその初会合の席上で、これはもうじんぜん日を許すわけにはいかぬ、日がたてば、これがとにかくうやむやになるおそれがある、もう直ちにこの問題に着手し、早急に結論を出さなきゃならぬと、こういうので、今月いっぱいに結論を出すということを要請をいたしておるわけでありますが、
内容につきましては、
外交的な
処置を要する問題もあります。これは時間がかかる。しかし、
国内的
処置ですね、これはもう
国内で決めればそのとおりやれるわけでありますから、早急に万全の
施策を講じたいと、かように
考えておる次第でございます。
なお、園田さんから、この厳しい世界情勢の中で、福田、おまえはどういうふうに姿勢をとっていくんだと、こういうお話でございますが、確かに私はいま厳しい世界情勢だと思うのです。いま世界を離れて
わが国の安全を、
わが国の
経済を論ずるわけにはまいりません。この世界情勢というものを見てみますと、私は、戦後三十年とちょっと違う問題が出てきておると思うのです。南北問題、これはまあ六〇年代から厳しくなってきておりますが、いよいよこれが激化する
時代になってきておる。また、この資源・エネルギー有限という問題、これももう世界に定着する動きと、こういうふうになってきておる。そこへもっていって、やっぱりあの五〇年代以降のあの厳しい東西の
関係、これもまた依然として続いておる。この複雑多様な要因を抱えた世界の今後を
考えますと、私は、世界情勢というものは、これからやはり当分の間というものは波乱含みの非常に不安定な
時代が続くんじゃないか、そんなような感じがしてならないんです。そういう中で、
わが国の安全と
わが国の繁栄をどうしてやっていくか、これが私は当面
政治に課せられた
最大の
課題である、こういうふうに思うわけでありますが、そういう中で、とにかく先々の可能な限りの
展望の中におきまして、
わが国の
社会を、
わが国の
経済をどういうふうにやっていくか、これが忘れることのできない
最大の
課題になってくるわけであります。
そういうことを
考えますと、高度成長もう再びというような
考え方はできない。そうなりますと、やはり
国民の各界各層に、いろいろ厳しいことにつきましても率直に申し上げて、そして御理解を願わなきゃならぬというふうに思いますが、私がかねて申し上げておる協調と連帯、この精神こそはこれからいよいよ重大になってくるし、これは
国際社会においてもまたそのとおりであろう、こういうふうに思うわけでございます。私は、この
立場を与えられたものといたしまして、本当に、
所信表明でも申し上げましたとおり、
日本丸の前途を誤らしめないということを旨といたしましてやっていくということを申し上げて、お答えといたしたいと思います。
それに関連いたしまして、園田さんから、福田、おまえ、大型の諮問機関でも持ったらどうだというような御提言でございます。私も、これからの
日本国民がどういう気持ちで
最大公約数としてまとまった
考え方を持つかということ、これができれば大変いいことだと思っておるんです。そういうことで、二十一世紀のビジョンづくり、そういうことについて大型の諮問機関などというものをつくったらどうだろうというような方もあります。ありますが、私は、そこまで
考えて、私が私の
意見を決めて、そしてみんなに呼びかけるというのは、ちょっと出過ぎた行き方じゃあるまいか。何となく世論というものがコンセンサスの
方向に向かう
方向が出てくればなあというふうに
考えておるのです。まあ、よく言われますが、明治
時代には、追いつき追い越せという
国民の目標があった。富国強兵という合い言葉もあった。文明開化という
国民的な願いもあった。いま、それがちょっと追いつき追い越せというような
状態が実現され、文明開化というような
時代にもなり、また富国強兵ということは、これはもう強兵の方は放棄しちゃったわけですから、ちょっと
国民的なコンセンサスが、こう、穴があいたというような気がするのです。しかし、この変動期でありまするから、そういうこともやむを得ませんけれども、これから先を見回して、
国民全体の中で何かコンセンサスができたらいいのじゃないか、そう思いまして、それとなく私は各界の
指導者あるいはまた若い人、あるいは中年層の人、御婦人の方、各界の人、そういう人と対話をしてみる、そういう中でどんな感じが出てくるかということも見きわめてみたい、そのように
考えておる次第でございます。
経済問題に触れられまして、六・七%成長というのは一体可能なのか、こういうようなお話でございますが、これは私は可能である、こういうふうに
考える次第でございます。とにかく、ほうっておきましても大体五・九%ぐらいいきそうだ、そこへとにかくあれだけの
需要をつぎ込むのですから、六・七%は可能になるだろうと思う。しかし、それで問題は
解決されたかというと、そうではないのです。これは園田さんが後からるる御指摘ありましたが、いろいろの問題がある。
その中で最も大きな問題は、私は
構造不況の問題である、このように
考えておるわけでありまして、
構造不況につきましては、
不況業種につきましては、
一つ一つそれぞれ具体的な
対策を進めておるわけでございますが、その
一つ一つを示せというのでありますが、これはずいぶん時間がかかりますのでお許しを願いたいのですが、一般的に申し上げますと、これはやっぱり
企業間におきまして生産・
価格調整を進めておるわけでございます。その方法としては、独禁法による
不況カルテルの結成、あるいは
中小企業団体法によるところのカルテルの結成、そういうようなことがあります。それから、
政府におきましては減産指導をする業種もあります。そういうものは、紡績業、また塩化ビニール樹脂産業、またアルミ圧延、小棒産業、平電炉、綿紡、毛紡などの紡績業、絹織物、そういうような業種でございますが、生産・
価格調整をそういうものについて進めておる。
それから、過剰設備
対策というものが必要なんです。つまり過剰設備を封印をいたしますとか、あるいは廃棄いたしますとか、そういうことになりますと、平電炉産業とか綿紡あるいは毛紡、絹織物などの種類がそれに該当する、こういうふうに
考えます。また、減産、設備廃棄、そういうことをやるものに対しての
金融対策、これも必要になってくるわけでありますが、それに対しましては、債務保証基金を平電炉産業に対しまして設置するということでありますとか、
中小企業振興事業団によりまするところの設備共同廃棄事業融資
制度というのがあるのです。これは無
利子で十六年までの融資ができるというような、非常にこれは強力な手段でございまするが、それの活用でありまするとか、その他、
政府関係金融機関の
条件の
緩和でありますとか、いろいろなことをやっております。
それから
雇用対策、これはやっぱり今度動き出しました
雇用安定
資金制度、これが非常に物を言う
制度である、また言わせたいと、こういうふうに
考えておりまして、これはもう五十前後の業種にこれを適用いたしておる。それから特定産業の離職者
雇用促進給付金
制度、これも大いに活用しなけりゃならぬ、そういうように
考えております。
なお、そういう
構造不況業種対策をやった後、これらの産業がどういうふうに安定していくかという
長期的な
展望も、いまとる当面の
対策そのほかにおきましても
考えながらやっておるわけであります。この
構造不況業種問題、これが非常に深刻な問題でありまして、これが片づきますと、非常に
日本の
経済社会というものも明るくなってくるんじゃないか。
しかし、同時に、
中小企業問題、一般的に
中小企業問題もあるわけであります。いま園田さんから御指摘がありましたが、為替変動、これに対する特別
措置、これはすでに実行をいたしておる、始めております。それから
倒産関連防止
対策、これにつきましては皆さんからも御指摘があったのでございまするが、
政府におきましても、何らかそういうような
関係で共済
制度的なものはできないかということを
検討をいたしておるわけであります。いずれにいたしましても、
中小企業、これは
わが国の
経済におきまして非常に重要な
立場を占めるわけでありまして、この
中小企業階層に全体として問題が起きてくるということは、これはもう絶対に避けなけりゃならぬという意識を持ちましてこの問題には取り組んでまいりたい、かように
考えておる次第でございます。
次に、農業問題についてお触れになられましたが、農業問題、これは
所信表明演説でも申し上げたところでございますが、どうも
需要構造が非常に変わってきている。米は余っちゃう、しかし、必要な小麦だとか大豆だとか穀類、飼料作物とか、そういうものを大変輸入しなければならぬ、こういうような
状態になってきておりまするので、いろいろ御議論なんかあるところでございまするけれども、ある程度の米の減産
政策、これはやっていかなければならぬ。そのかわりに、その代替作物、これを奨励をする。そのための積極的な
対策をとる。そして全体としての自給力を向上させる。また同時に、
価格政策についての御指摘がありましたが、これは
一つ一つの農作物について事情が違います。ですから、画一的な、米のような生産費所得補償方式というような、ああいうものを画一的にとるということはむずかしゅうございまするけれども、その作物の特性に応じて、できるだけ
価格安定の
施策をとっていきたい、かように
考えておる次第でございます。また、米につきましては、とにかく消費の
拡大、これを
考えなければならぬし、やっぱり米につきましては、能率よく米が栽培できるという主産地形成というような
考え方も、これは時間のかかる問題ではありまするけれども、取り入れていかなければならない問題ではなかろうか、そのように思うわけであります。
それから、
物価の問題にお触れになられまして、五十二年度七%台の
物価上昇、これは実現できるかと、こういうお話ですが、これは実現できる
見通しでございます。とにかく卸売
物価が世界最低の水準になった。これはじわじわと響いてくると、こういうふうに思います。
消費者物価のこれからの成り行きを
考えますと、これは安定基調で動いていく、こういうふうに思いますが、その間において、生鮮食料品なんかの動き、これについては格段の配慮をいたしてまいりたい、注意をしてまいりたいと、かように
考えております。
なおまた、
円高の問題につきまして御指摘がありましたが、
円高による影響はすでに卸売
物価には出ておりまするけれども、個別の商品につきましても、できる限りの順応のための指導をいたしたいと、かようにいま
考えておる次第でございます。
また、今回の
金利改定に伴いまして弱者救済をどうするかというお話でございますが、これはごもっともなことでございます。まあしかし、一律的に少額
預金について特例
措置を設けるということは技術的にもできません。そこで、
生活保障、
社会保障対象者の
預金につきましては特例を設けるということにいたしたわけでありますが、非常に気持ちといたしましては私も園田さんと同じようなことでございまするけれども、
政策的、技術的にやむを得ざる
措置であると、かように
考えております。
それから、地方財政の問題にお触れになられました。地方財政も、国の財政と同様に、私は、来年もまた苦しい年になるんじゃないかと、こういうふうに思っておるんです。苦しい者同士がどういうふうにその間を調整するかという大きな問題になってくるだろう、こういうふうに思いますが、いま交付税交付金の交付率の改定はどうかというようなお話ですが、まだそこまでの結論を出す時期ではございませんが、いずれにいたしましても、地方財政がその行政を執行する上に支障を生ずる、こういうことのないようにはしなければならない、かように
考えておる次第でございます。
それから、これに関連いたしまして、地方税源の充実というようなお話もありましたが、この問題は、これは数日前の
税制調査会においてもそのような趣旨の答申をいたしておるわけでございます。いつ、いかなる形においてこれをそういうふうにするか、これについてはよくこれから
検討をいたしてみたいと、かように
考えます。
次に、
外交問題に転ぜられまして、世界に臨む
外交姿勢はどうかというような大きな御
質問でございますが、やっぱりわが
日本は、世界におきまして、これは何と申しましても、平和国家という旗印を掲げたんです。これはそれを掲げるにふさわしい
条件も持っておるわけであります。核は持たず、つくらず、持ち込ませず、非核三
原則。また、他国を脅かすに足るところの軍備を持たない、こういうこと。この平和国家。そうすると、ただ乗り論という議論が出てくるわけでございますが、それに対しましては、開発途上国等に奉仕、貢献をしよう。さらに、その上、これから人類としてもう大変な問題になってくる資源・エネルギーの問題です。その新しい資源・エネルギーの問題、その中で石油にかわるエネルギーの開発なんという問題に
日本が積極的に貢献するというようなことも、私は、このただ乗り論と言われる前に、わが
日本がなすべきことではなかろうかというような感じもいたしますが、要するに、軍事国にはならぬというたてまえのもとに世界の平和と繁栄に貢献をする。これが
わが国の基本的な
外交の構えでなければならぬ。さように
考えまして、
国内においては協調と連帯ということを申し上げておりますが、
国際社会におきましても、そのようなことを基本といたしまして
外交政策を進めてまいりたいと、かように
考える次第でございます。
それから、
東南アジア諸国に対しまして、私が先般回ったそのとき
東南アジア諸国と
約束をした
経済諸
協力、これが実現できるかというようなお話でございますが、これは必ず実現しますよ。私もちゃんとそろばんをはじいて、これは実現可能であるか、不可能であるか、よく見きわめをつけてやっているんですから、この点につきましては、いささかの御不安もないようにお願いをしたい、かように
考える次第でございます。
それからさらに、
ASEAN問題に関しまして、文化交流基金構想というのが伝えられたがどうかというお話でございますが、私は、
ASEANのみならず、
東南アジア諸国、この間に
経済の
関係、これがとにかく主軸をなし過ぎてきたんです。そうではなくて、文化的な心と心との
関係というものにとにかく主力を置くような
状態につくり直さなけりゃならぬだろうと、こういうふうにいま
考えまして、
日本とこれらの国々との文化交流を大いに進めたいと思います。しかし、同時に、とにかく
ASEAN五カ国というかたまりができて、そして、これからお互いの
経済を、お互いの文化を向上しようという
努力が始まった。でありますので――
日本じゃありませんよ、そうじゃなくて、この五カ国の間でいろいろ学術あるいは文化の交流をしようという
計画がある場合におきましては、
日本はそれに対しましてできる限りの御
協力を申し上げましょうと、こういうことも申してきておるわけでありまして、いま
ASEAN諸国において、どういうそういう面の交流をしようか――つまり、
ASEAN諸国というのは
経済でかたまったんです。それをさらに文化、学術、そういう面まで拡充しようと、こういう動きにつきまして具体的な
検討を始めておる、こういう段階であります。
検討が固まり、そして
日本政府もこれは大変結構だという認識ができますれば、
わが国としても所要の御
協力を申し上げたいと、かように
考える次第でございます。
なお、南北問題を重視せよというお話でございます。南北問題は二つの面に分けられると思うのです。
一つは貿易の面です。
ASEAN諸国を回りましても、
経済協力、これはもうお願いしますよと、しかし、それよりも何よりも、
日本はひとつこのわれわれの第一次産品、これをもっともっと買ってくださいよということなんです。そういう貿易の面。それからもう
一つは、それと同時に
経済的な御
援助を願いたいという、二つの面があるわけでありますが、南北問題と言われる問題、大きく区分けすると、そういうものに分けられる、こういうふうに思うわけであります。南の国々が北の国々に対して、なるべく売りいいような
体制を整える、北の国々はその要請にこたえると同時に、
経済的な
協力も
強化すると、こういうことだろうと思いますが、そのような
考え方、
国際社会におきましていろいろな企画が進められておりまするが、
わが国も積極的にこれに参加し、
協力いたしてまいりたいと、さように
考えております。
日中平和友好条約の問題でありますが、これは
所信表明演説の中で申し上げましたので、ここでは省略さしていただきます。
それから、核燃料再処理問題についての
わが国の基本的
立場はどうなっておるかということでございますが、これはこの前の
臨時国会でも申し上げたかと思うのでありまするけれども、
わが国は核が拡散されるということは絶対に困る、その
立場は、これはもう世界じゅうで私は理解されておると思うのです。しかし、同時に、
わが国の生命線とも申すべき核燃料サイクルの確立、そのための核燃料の再処理、これが妨げられるということも困る。この両者を両立させなきゃならぬと、こういう
わが国の基本的な
立場でございます。今回の日米
交渉におきましては、この両者が大体におきまして両立し得たということになったわけであります。そこで、今後
国際社会におきまして、いわゆるINFCEPの
会議が進行するわけでありますが、
わが国といたしましては、このINFCEPの
会議に積極的に参加いたしまして、今後の
わが国の
考えておるような
方針、つまり、平和的利用を阻害してはならない、しかし同時に核が拡散されるという危険は絶対に防止しなけりゃならぬ、これが両立するような方途につきまして
検討を進めていきたいと、こういうふうに
考えておる次第でございます。
さて、さらにエネルギー問題の先の先につきましてのお尋ねでございます。世界のいま大体の見方は、石油は三十年、四十年もつかもしらぬけれども、あと十年たちますると、この石油の供給自体、これがかなり窮屈になってくるであろうと、こういうようなことが一般的に
展望されておるわけです。さて、それに対してどういうふうな対処をするかということになる。とにかく、なるべく石油の輸入が確保されるようにという
努力をすることは当然でありまするけれども、同時に、代替エネルギーの開発、代替エネルギーと申しましても、これは原子エネルギー、これがとにかく
最大の頼りなんでありまして、どうしてもわが
日本としてはこの原子エネルギーを急がなけりゃならぬという
立場に置かれておるわけです。しかし、それにもまた限界があるだろうと、原子力エネルギーの根源であるところのウラン、これが無限であるかというと、これも資源有限である。そうなると、その先をどうするんだという問題がまた起こってくるわけです。そういうことを
考えますと、いまかなり学術的に進行しておるところの核融合の問題でありますとか、サンシャイン、太陽熱利用の問題でありますとか、そういう問題もいまから
検討いたしておかなければならぬだろう、こういうふうに思います。
わが国におきましても、かなりこの
検討は進んでおるんです。世界では有数の、指折りの国の
一つになってきておりまするけれども、さらに私はこれらの問題につきまして積極的に研究に参加、貢献をすべきであるというふうに存じ、この間宇野長官が訪米いたしたときも、そのような
見解を
アメリカ側に伝え、
アメリカもこれに賛成であるということであったことをつけ加えて申し上げます。
行政改革に臨む理念、決意いかんというようなお
考えでございますが、この行政改革の
考え方につきましては、先月初めに発表いたしたわけであります。ただ、別途
検討だというふうになっておるのは中央省庁の問題であります。その他の問題は、あの要綱に示されております線に従いましていま具体的な詰めを進めておるわけでございまして、成案ができますれば、次の
国会から逐次
国会の御審議に、必要なものにつきましては、これを付していきたい、こういうふうに
考えております。
やはり、御指摘のように、定員の管理の問題、これは重要な問題であります。いま定員管理
計画が進められておるわけでありますが、あれとても実行するにはなかなかむずかしいような
状態で、完全に実行されておるかというと、そうでもないところもあります。しかし、今度あれを完全実行する、また同時に、新規定員の
増加、これは各省からいろんな要求がありまするけれども、これは他のところからこれを振りかえて使うというようなことを厳格に実行していきたい、こういうふうに
考えておりまするし、それから補助金、助成金、そういうものにつきましても、これを整理、合理化を進めてまいります。これは五十三年度からいたすようにいたします。
それから、定年制についての御言及がありましたが、これはなかなかむずかしいんです。いま六十歳定年制という話でありますが、さあ、まあ六十歳としたら、いま五十歳だ五十五歳でやめていかれる、今度はだんだん六十歳までおるんだということにもなりかねないのでありまして、この定年制をつくるということ、それは目標としては、私は、やっぱりそこまでいかなけりゃならぬけれども、そこへだんだんとなだらかに持っていくようなことにしなければならないんじゃないか、そのように
考えておるわけであります。
なお、特殊
法人について整理統合、役職員の給与、退職金、役員選考基準の
見直し、そういうような御提言でありましたが、それはそのように心得ておりまして、いま具体化をどうするか、これを急いでおるような
状態でございます。
最後に、水俣病の問題についての御所見でございますが、病人の認定問題につきましては、今月からさらに熊本県の検診
体制を一段と
強化するということにいたしておる。これは園田さんもよく御承知のとおりと思いますが、水俣、芦北地区の産業振興、これはまた県当局等とも相談いたしまして、できる限りのことをいたします。また、同地区における水産業、これは、非常に水産業が苦しい
立場にあるわけでございますが、これも地域の実態、知事等の
意見も十分お聞きし、また、園田さん等の御
意見も伺いまして、そして善処してまいりたい、かように
考える次第でございます。
一番むずかしいのは、最後のこのチッソの問題でございますが、非常にこれは負担がかさんでまいりまして、苦しい
立場にある。しかし、何といたしましても、このチッソが健在であってもらいませんと、この被害者の救済、これに非常にむずかしい問題が出てくるわけでありまして、何とかこのチッソが健在であって、そうして被害者に対して補償金の支払いができるような
状態にあることを希望しておるわけでございますが、しかし、一
企業に対しまして特別にどうということにも限界がありますので、その辺が非常にむずかしいところでございますが、行政的にできること、そういうことにつきましては最善を尽くしてまいりたいと、かように
考えております。(
拍手)