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戸叶武君 この問題をめぐっては、すでに衆議院、参議院を通じていろいろな
角度から審議がなされておりますが、二十分の短い時間で二、三問題点を質問いたします。
いま
世界は激動変革の時代に当たっておりまして、ことしはちょうどバルフォア宣言がなされてから六十年、ロシア革命をしてから六十年、大きな変革が
世界の各地において行われなけりゃならない転換の年だと思うのです。だれも急にエジプトのサダト大統領がイスラエルを訪問しペギン首相との会談に入るということは予測できなかったほどでありますが、やはり現在置かれている厳しい現実の流れの中において、立ち往生するよりは、一国の指導者が自分を捨てて民族のために
世界のために運命を打開しなければならないという
責任感があのきのうのような
行動を起こしたのだと思います。あの問題から見ると、
日本のこの
ハイジャックの問題に対する取り組みの
政治姿勢というものは、自分の国の安全を考えているが、あたりにどういうふうに迷惑をかけているか、国際的な連帯の上に立ってどうやって共同
責任を果たさなけりゃならないかというのに対して、確固たる方針が確立されていないのじゃないかと思います。
いま、私は、この問題の推移を見て、福田首相はあのとっさの場合に福田首相としては珍しい
決断を敏速に行ったと思うのです。いまの
政府の部内においていろいろな
考え方があったのは当然であって、サダトが
行動を起こす前に側近の外務大臣がやめる、また次に推薦されていた人もやめるというような厳しい基盤の上に立って、そうして祈りを上げながら運命開拓の道を歩んだのです。それだけの土性骨を、一国の少なくとも
総理大臣、また外務大臣、
法務大臣あたりも持ってもらいたいと思うのです。私は、
法務大臣の進退というものは、
法秩序を守るという形において前の福田さんもそれなりのりっぱさはあったけれども、何といってもいつも優柔不断としか思えない福田さんが、
人命がとうといという一語の中に、何だか
憲法改正をするのかしないのかわからないような寝言みたいなことを言っている人にしては、この現実と取り組むときに、
日本は中外に対してどういう決意を表明しなければならぬかということは直感的にわかったのじゃないかと思うのです。
いまの瀬戸山さんは、失礼だけれども、非常にまじめな人だけれども、どうも私は
裁判官弾劾訴追委員をやっていながら感じたことは、鬼頭さんの
裁判に対してもきわめて厳しい
一つのあれはやりましたが、
法律畑に住んだ人としてやはり法というものの厳しさ、冷たさを感ずるだけであって、厳しき一面においてただ法の
権威というものだけにこだわっていては私は今日の
世界の変転する渦の中において動きがとれなくなるのじゃないかと、そのことが心配です。ですから、この
法律においても、これは前のを継承したのでありましょうが、われわれが心配するのは、さっき自民党でも
秦野さんのような良識派は、法を厳しくしただけでは問題解決にはならぬということに触れております。問題はこのニヒルなテロリストを生む根源があるのです。その問題にいきなりメスを入れても簡単に転換はできません。それがゆえに、私は、国の平和
憲法の精神を守ると同時に、西
ドイツのような伝統並びに現実の置かれている
地位と
日本は違うということを明確に認識して、国際連帯、国際協力には同調するけれども、海外派兵をにおわすような、海外に特殊な部隊を派遣してテロリストをやっつけるというような手荒なことはやるべきでない。ことに、
人命のとうとさ、自由のとうとさ、そういう点を、
総理大臣だけでなく、自民党の中じゃ与党の方にも変な
人たちも相当いるでしょうし、閣僚の中にも大分青嵐会も入っているし、揺すぶられたようですが、ほかではみんな見えるので、
日本はどっちを向いて走っているのか危なくて、
ハイジャックだけじゃなく、
ハイジャックを生むような精神が、
ドイツがやはりナチを連想すると同じく、この
ハイジャック問題に取り組む
姿勢の中に
日本のミリタリズムをいやというほど感じているところにほかの国の警戒ができたので、一個の
ハイジャックだけの問題じゃないと思いますが、それに対して特に外務大臣がしっかりしなきゃならないが、その前に瀬戸山さん、余り
法律におっ振り回されないように、法の
権威というものを保つことは大切であるが、やはり
世界の流れの中における苦悩している人々に対しての若干の思いやりというものもし、
日本憲法の精神というものを崩さないように、目先の力み方だけで問題は片づかないということをもう
法務大臣の
地位につかれたらしみじみとそれを感じたと思いましたが、どうぞ、前の福田さん以上に、少なくともいまの
総理大臣の福田さんよりももっとしっかりとした
一つの見識を、
政治家はやはり見識が
生命です、それを持っていかないと、本当の
意味の
日本の国の基本法の精神は守れないと思うのですが、あなたの御所見を承ります。