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委員以外の議員(和田春生君) 西ドイツ
政府の例をお出しになりましたけれども、私は、今回の西ドイツ
政府がとったことと、
日本政府がとった
措置というものをここで単純に比較をして、どっちがいいか悪いかという議論をしようとしているわけではありません。この種の
事件を起こさないように、万が一発生した場合には適切に解決をするということのためには、あらゆる事前の防止策というのが必要だと
思います。それが第一だと思うのです。しかし、向こうはすきをねらってやろうという凶悪な意図を持って計画的に挑戦をしてくるわけでありますから、やはり一〇〇%完全に防ぐということはなかなかむずかしい。不幸にして、また同種の
事件が起こるという場合があり得る。起こった場合に、それに対しては
犯人の意図を達成させないという対応策というものが後ろの備えとしてなければ、防止策を幾らきちんとやってみたところで、起きてしまったらおしまいで、お手上げになって、結局
犯人の
要求の言いなりになってしまうということでは、幾らそのエスカレートさせないようにしようと、再発をさせないようにしようと、こういうことを言ってみても何にもならぬわけですね。同時に、こういう
事件を防止しようとすれば、国際的な協力が必要だということが再々強調されております。これも非常に必要です。やはり
政府としてはベストを尽くして
努力をしていただきたいと私は思う。しかし私が接触した範囲内でも、それを国際的な世論というかどうかわかりませんが、外国
人たちの今回の
日本政府のとった
措置に対する目というものは非常に冷たい、あるいは侮べつ的な感情を持っておる。それはなぜかといえば、今回
釈放して、しかも彼らの軍資金になるであろうと思われる巨額の金をつけてともかく
日本は放してやったわけです。そしてその赤軍にいわば力をかしてやったわけです。これらの諸君が世界のどこかで、またどこかの国の飛行機を
ハイジャックする。そして人質をとって膨大もない身のしろ金をゆすり取ろうとしたり、あるいはその
政府に対してとうていのむことのできない政治的な
要求を突きつけたり、あるいは人質の
人たちを殺害をしたり、そういう
事件を起こしたときに、今回の
日本政府のとった
措置は、まさにそういう赤軍派の今後起こるかもわからない
ハイジャックに対しては、少なくとも共犯幇助の罪は免れないと思うのです、法的にそうなるかどうかは別として、助けてやったわけですから。例はよくないかもしらないけれども、自分の庭のごみを掃き出して自分の庭はきれいになったというけれども、隣のうちにはごみが行ったと、もっとそれよりも悪いことをやっているのじゃないかと
思いますね。そういうことをやっておいて、国際的に協力しましょう、
ハイジャックは二度と起こさないことにいたしましょう、
日本も率先してやりますから協力してくださいといったって、冷笑をこうむるのは私はあたりまえだと思うのです。そういう点についての
措置というものについての
政府のやはり深刻な反省と、今後防止をするためにベストを尽くすと同時に、もし
事件が起きたときに
犯人の
要求に屈しないように、しかも人質の
人命を最大限尊
重して助けるようにするための具体的な対策と、それに対する準備と、こういうものがなければ何もならないと思うのです。ところが、
政府から出てきましたこの
ハイジャック防止に対するいろいろな面についても、なるほど防止という面についてはいろいろ書かれておりますよ、あるいは赤軍について国際的な協力を求めてその根源を断つということを言っているわけです。幾ら根源を断つといっても、今回、
政府がとったことは根源を断ったのじゃなくて、赤軍派の戦力増強に加担しているわけでしょう、はっきり言って。だから、その点を徹底的に改めていってどういう
措置を講ずるかということがなければ、やはりその対策というものは決して満足されるものに私はならないと思うのですね。幾ら予防を一生懸命やっておっても千仞の功を一簀に虧くということになるのじゃないか、したがって、予防の方はこれからもいろいろやりましょう、われわれも全面的に協力をします。しかも
防止対策というものについては、
人間が
考えることですから一〇〇%完全なものはないと思う。それぞれ一長一短あるでしょう。そういうものはできるだけ積み重ねていってその長所をお互いに牛かしながら防止するために
努力をすると、そういう
政府の
措置について私たちも協力するにやぶさかではありません。しかし、私がさっきから言っている肝心なところが抜けておったら、また起きたときに何もならないことになる。その対策はないじゃないですか。それに対する
政府の決意もありません。総理からも聞いたことがない。
法務大臣からも具体的に
説明をされていない。それをどうするのですか、その点をお伺いしたいと思う。