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1977-11-22 第82回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員の異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      下田 京子君     宮本 顕治君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      青井 政美君     三善 信二君      山内 一郎君     山本 富雄君      宮本 顕治君     下田 京子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 三善 信二君                 山本 富雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 吉田 正雄君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        農林省構造改善        局長       森  整治君        農林省農蚕園芸        局長       堀川 春彦君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君        農林水産技術会        議事務局長    下浦 静平君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の  規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについ  ての臨時特例に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 三治重信

    三治重信君 今回、特別に数量規制をしなければならなくなった。これがいままでの糖価安定法についての臨時応急措置であろうと、こうされるわけなんですが、いままでの法律数量規制をやらなかったと、それでこの上限下限価格調整でやっていけるだろうと、こういうことでやった。ほかの畜産品なんかも大体そういうようなことの法案になっているようなんですけれども、この価格上限下限を示してその中へはめていこうとすると、やはり基本的に数量もチェックできる体制というものを恒久的にやっていく必要があろうかと思うんですが、そういうことについて、従来の農林省のいわゆる数量の問題について外しているという理由はどういうことにあるんですか。
  4. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 現行の糖安法輸入粗糖価格調整する、そして粗糖価格を具体的な一定価格帯、ベルトの中に安定させるということを通じまして砂糖の適正な価格形成全般が図られるということを予定しているわけでございます。国際的にもそれから国内経済運営の面でも、自由経済のたてまえのもと考え方もとでは、そういう価格調整を通じて需給調整もおのずと図られるということで、価格需給の安定は相関連した立場で実現できるという考え方をとっているわけでございます。  ただ、それは合理的な、何といいますか愚かでない一般的な経済行為もとではそういうことが実現されるはずなんでございますが、今日の現実を見ますと、基本的に砂糖消費が減退あるいは停滞している、そういう中で過剰設備があらわになってきている。また、割り高豪州糖の引き取りということから、業界の各企業の中での格差が出てきている。そのことによって協調が図られがたくなって競争が激烈になる。そういう結果、普通の常識では考えられないような、コストを大幅に上回って赤字を生みながら物をつくっていくというような事態が出てまいったわけでございます。こういう異常な事態になりますというと、価格そのもの形成がきわめて不自然なものになって、需給そのものもまた逆に乱れるということで、やはり価格需給とを関連させて、特に今回のような特別な需給を直接調整するような措置が必要となるということになったわけでございます。  今後一体どうなるのか、一般的にそれでもってある期間を経過したらもとに復するのかというような基本的な議論はいろいろありますが、私どもはやはり今日の異常な事態がそういう措置を必要とするに至ったのであるというふうに考えておりまして、全体の業界の秩序が保たれるならば、いまの価格調整ということを通じて価格安定は図り得るというふうに考えておるわけでございます。
  5. 三治重信

    三治重信君 そうすると、結局豪州糖というようなこういう結果としてえらい高い値段のものを長期協定したというところに、何というんですか価格調整の枠からはみ出た原因があると、こういうふうに考えるわけですか。
  6. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 豪州糖一つの大きな要素でございます。ただ、それ以前から消費の停滞という問題、それから業界に基本的にある過当競争商社の介入による云々というようなことも批判されますが、そういう過当競争の存在、それらと一緒になって豪州糖の問題が拍車をかけたということであろうかと思います。
  7. 三治重信

    三治重信君 それで、この臨時立法大臣指定糖の売り戻しによる数量規制ができると、こういうことになるわけなんですが、その結果、やはり数量調整豪州糖は枠を外して数量規制をやるのか、豪州糖もその中に入れるということになるんですか。
  8. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) この法律の仕組みは、輸入したものが事業団粗糖を売り渡す、その売り戻しについて、従来でありますればおよそ瞬間タッチで直ちに行ったものを、必要がある場合は時期をおくらせるというような調整をすることにしているわけでございます。その場合、対象のものについて法律上具体的にどの砂糖、どの国から輸入されるものというような特定はいたしておりません。ですから、形の上で豪州糖を特別区分するということにはなっておりませんけれども、この法律を運用した結果が、直接ではありませんにいたしましても、輸入自身を抑制する効果を持つことは事実でございます。  その抑制が、具体的にどういうところのものにはね返った形になるかということになりますというと、それは豪州糖についてはすでに長期契約が成立しておるわけでございますから、それを現実に抑えるということはあり得ない、結果としてそれ以外のものが抑えられるという形になると思います。ですから、制度的に当然に豪州糖を除外しておるということではございませんが、豪州糖はこの法律のいかんにかかわらず、当然すでに既定の契約対象となっている分は、これはそのとおり輸入されるというふうに考えております。
  9. 三治重信

    三治重信君 そうしますと、結局豪州糖以外のもので、実質上大臣の方は、農林省ですか、砂糖輸入規制というのですか、それをやらざるを得ないかっこうになるわけですね。そこに、結局一つ大きな問題が残るだろうと思うのですがね。そして、そういう豪州糖長期協定数量まで、価格も決まっているということが重要な問題の一つだと言われるわけなんですが、それを解決していくためにはやはり数量は入れざるを得ないということになると、問題は価格のようなんですけれども、これが入れてから普通の国際価格の二倍を超えるような状態になった、この原因は何にあると思われるのですか。ただ見通しが立たなかったということだけで済まされる問題か。いわゆるこういう農産物国際長期協定について、基本的にこういう価格数量を決定するということがいま国際慣例上通常のことなのか。  あるいは、いまほかの砂糖輸入は、何か聞くところによると、商社長期協定をやっているけれども価格だけはそのときそのときの値段で入れているというようなふうにも聞いているが、実際の砂糖各国輸入の場合に、こういうことは、私は豪州糖のような輸入長期協定というものは、やはり一次産品については先進国ではアメリカやイギリスなんかでは普通の考え方だったと思うんですよね。日本が初めてやって、ここにえらい二倍以上の価格で買わされたという結果になっているけれども、そういう長期協定価格数量を今後一次産品についてやっていかなくちゃならぬという基本姿勢を、このためにこりてこういうことは一切もうやめたということになると、これから農産物輸入のやり方についてまた今度はむずかしい問題が起きるのじゃないか。この基本的な問題で、豪州糖の高価格輸入というただ現実の結果だけを見て対処してはならぬ問題じゃないかと思うのですが、その点をどう考えるか。
  10. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国際相場から見て割り高豪州糖輸入は、今後も、新しい改定された水準もとでもなお四年間続くということになるわけでございます。国際価格はそれ自身も変動するでございましょうが、豪州糖割り高であるということは今後当分の間続くということは、覚悟せざるを得ない思います。  そこで、長契自身あり方、それから今後どう考えるかということでございますが、長期契約は確かに四十八、九年のころから全体的に量的にもふえてまいりました。今日では全体の輸入量の約八割を長契の形でもって海外から輸入しているという状況になっております。私ども、いまは国際的に過剰でございまして、格別特段確保対策というようなことをやらなくてもどこからでも買えるという状況ではございますが、こういう重要な物資長期にわたる将来を見通しての安定確保ということならば、やはり何らかの形での長期契約、これは必要であると考えております。やはり問題は、豪州糖について五年間にわたって固定価格契約したというところにあろうかと思います。長契自身が悪いのではなくて、国際相場がこれほどまで大きく変動することを予測し得なかった、そして今日となってみればきわめて割り高となったような水準での固定価格契約を結んだというところに問題があったと思います。その意味では非常に残念な話ではございましたが、ただ、固定価格による長契が全くなかったというわけではなく、特に豪州という国は一般的に計画経済とまでは言えませんが、計画的な経済運営を非常に重点に考えております。そのほかの物資についても、各国との間で砂糖以外の物資につきましてもかなり固定価格での契約ということは結ばれております。豪州を相手にした場合、その取引先豪州側の要望も入れて固定価格で決めるということがしばしばあったわけでございます。  今後、こういうことについて今回の反省をどう生かしていくかということでございますが、私どもとしては、長契それ自身は今後とも必要であろうというふうに考えております。ただ、価格の決め方を豪州糖契約のようにがっちりした固定価格で決める、そして後で動かしようの全くないとは言えませんまでもほとんど動かせないというような事態になるのは、これは好ましくないと考えております。固定価格で仮に決めるようなことがありましても、一定安定帯といいますか幅の中での変動を認めるとか、あるいは逆に、その一定価格帯の中では固定価格であるけれども、その幅を超えて上がる、下がるというようなときは、その幅を超えての騰落部分固定価格に若干の変更を加え得るというような、そういう何か変形は当然あってしかるべきじゃないかというふうに思うわけでございます。その点、今回の豪州との長契につきましてはそれらの条項もなかった、価格見直し条項についても必ずしも十分でなかったという点が、問題として指摘されるかと思います。  今後、一般的にどう持っていくかということについては、いま申し上げましたようなことをいろいろ反省して誤りなきを期してまいりたいというふうに考えております。
  11. 三治重信

    三治重信君 その価格の固定的なのが一つ問題だということはわかりました。  それから、聞くところによると、それに加えて、日本のいまの現実の現時点での一番大きなむずかしい問題は調整——結局、そういう各社事業規模からいって、原料の輸入割合に非常に幅がある。これを今度の価格の安定で調整しようとしても、三〇%とか二五%以上のところと、一〇%、一五%の会社で、これだけやってもらってもなお非常に従来の赤字を現在の時点においても解消することができない会社がまだ相当あるということなんです。そういうことから言って、この価格の問題を考慮するという場合に、輸入数量長期協定をやる場合に、これは民間主導型だ、あんまり農林省は口を出さなかったことかもしれませんけれども、やはりこういうことを考慮すると。やはり長期協定なんかの場合に、輸入についての一応の各社の割り当てですね、生産に対する購入比率、こういうものの数量的な調整をやはり事前にやっておかないと、同じようにもうかったとき、損するときも、各社負担のアンバランスの調整に非常に困難を来す、こういう問題だろうと思うのですが、その点についての御意見。そういう問題が一つ。  今度のこの措置をとってもなお豪州糖が優先的に輸入される、こういうことになると、との不況にまだ救われない会社について、いま少し個別的に豪州糖について特別に、暫定的なこれは時限立法なわけだから、法律はとにかくとして、実際上もう少しそういうととろを救う道は考えられないのですか。
  12. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 先生御指摘のように、豪州糖の問題は、価格国際価格に比べて割り高になったというコスト負担一般の話だけでなく、その負担の仕方が企業によって格差がある、つまり豪州糖の引き取り割合いが多い企業もあれば少ない企業もある。多い企業は、コスト的に圧迫要因がそれだけ大きいということになるわけでございます。そこで、この格差をできるだけならすということはこれは望ましいのでございますが、ただ、結果的に相場が下落したために損をした、そのことを強制的にならすというようなことはこれは現実問題としてできないので、むしろそれが有利と考えられた時期に、ほかの企業にしてみれば、そういう有利な豪州糖の分け前をもう少し欲しかったのだというようなこともあったと思うのでございます。そういうことで、これを業界自身、個々に責任を持って運営している企業立場考えますというと、国がならすというようなことは、これはなかなかできない問題であろうかと思います。  そこで、格差を縮める第一の手段としては、やはり豪州にその値引きを要求するということになったわけでございます。値引きの幅は必ずしも十分満足すべきものとは言えませんが、一応いままでの価格よりは若干引いたところを豪州側も承諾をしたわけでございます。  それから、価格水準もさることながら、国際価格を基準とするもので薄めるという考え方をとりまして、残りの数量百八十万トンを三年間で引き取るというところを、四年間で引き取るという形にしておるわけでございます。ですから、絶対的な負担は同じであるにしても、三年と四年とではその負担の仕方が各年の単価では薄まったという形になって、これはしのぎやすくなるというようなことも出てまいっておるわけでございます。  それから、各社のその競争条件——現在は一番コストの安いところ、あるいはそれをさらに下回るような糖価形成というようなことで市価が実現できているわけでございますが、これを今回の需給調整措置によって平均生産費平均コストまで引き上げようということにしておるわけでございます。その意味から言うと、豪州糖コストの高いところも、従来の極端に下回った市価水準から見れば、かなりその点コスト的に改善される。それから、やはりそういう豪州糖負担の重い企業経営条件の悪いところは、それなりに今後経営努力もしていただく。消費者にもいろいろその将来の展望、再建のあり方について協力を受けながら企業努力を払っていく。それに対して、政府が一切そういう自主努力だけに待って何もやらないのか、今回の需給調整需給調整としてそれ以外にないのかという話になりますと、私ども豪州糖の高い価格このものに対して、現在の糖安法上、調整金として輸入糖から徴収されるところの賦課、これはいわば国内産糖が高い、その国内産糖に対する政策費財源として徴収するということになっているわけでございます。ところが、豪州糖は、一時は国内産糖よりも高い、現在でも国内産糖相当程度近いようなまだ高い水準でございますので、そういう高いものから調整金を取って国内産糖に対する財源に充てるということは、これは猶予してもいいのじゃないかという考え方もとに、昨年来調整金免除という措置を行ってまいっております。  これを今後どうするかということがございますが、全体の企業経営推移等も見ながら、私どもとしては検討してまいりたいというふうに考えております。
  13. 三治重信

    三治重信君 この長期協定、先ほどおっしゃったいわゆる協定の最初の契約するときには、非常に有利な条件のようだからおれにも加えさせろという会社も相当あったのだと、こういうような話があったのですが、そういう契約の有利な見通しでやらなければある程度やらなかったのだろうと思うのですが、今度のこの価格協定では初めは少しはもうかったのですか。それが一つ。  何か、聞くところによると、契約のときにはそうだったけれども、実際実行段階においては初めからえらい損だったということのようですし、それからもう一つは、いまの豪州糖が高いために、国内糖割り高のやつを調整するための調整金の徴収を免除しているのだ、こういうことですが、これはそうすると、昨年来ということになると、今後はどうなるのですか。
  14. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 豪州糖割り高な分を各社に均分できていれば問題は確かになかったのでございますが、それまでの過去の取引経緯等考えて、業界の中で均分でない現在の姿のシェア割りになったわけでございます。これは、今日になってみれば非常に残念なことでありますが、事実としてそうなっている。それから、そういう格差は確かに契約時点では考えられなかった、むしろ国際価格よりは有利な水準であるというふうに考えておったのでございますが、それが契約実行する、実際に砂糖を引き取るという段階になりますと、そのわずか数ヵ月の間に国際相場が急落しておりまして、実行の当初から国際相場より割り高なものを引き取る、つまり契約履行の初めから損をしたというような結果になっておるわけでございます。  それで、そういう格差を是正するという趣旨ではございませんが、割り高豪州糖から調整金負担免除するというこの措置を今後どうするかということでございますが、これは一つ財源的に調整金自身がどれだけ全体として賄い得るかと、調整金はやはり国内産糖に対する政策費として財源として必要なものでございますから、そういう財源的な問題も見きわめながら、それから今回の措置も含めて、全体としての精糖企業がどう運営されていくか、立ち直っていくかという動向も見ながら今後検討してまいりたい。現在これができるからといって、直ちに廃止するというようなことは考えておりません。
  15. 三治重信

    三治重信君 ちょっと、その調整金豪州糖から取らないというのは、結局豪州糖輸入している会社赤字を解消している間はその免除をするという、大まかなところはそういうところに理解していいわけですか。
  16. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国内産糖との価格対比でもって、まあ豪州糖財源負担するには著しく割り高であるというような判断ができるかどうかということと、いま一つは、財源的にいまの調整金全体の運営の中でやりくりができるかということ、それからいま一つは、企業経営自身格差はある中でも安定的に今後推移し得るかどうかというような見きわめ、それらを総合的に判断した上で時期を限るべきではないかというふうに思っております。したがいまして、およそ割り高のものがずっと残っている限りは残っている期間ずっと調整金免除するのだというような、そこまではっきり考えているわけではございません。
  17. 三治重信

    三治重信君 大臣、いまお聞きのように、この問題は、裏には豪州糖輸入という問題がこういう特別臨時立法をつくらす大きな原因になっているということだと思うんですが、しかもこういう一次産品の中で、私はこの価格数量まで含めた長期協定というものをやはり日本が今後積極的に行っていく原則を立てていかないと、いまの日米ばかりでなくて、国際的な今後の日本貿易立国としてやっていく場合の主導権を取れない貿易政策になっていくと思うんです。したがって、これは非常に臨時的な法律であるけれども、私から見ると、農林省を主体とする一次産品輸入についてのいわゆる貿易政策ですね、これについて非常に大きな意味を私は持っている問題だと思うんです。  したがって、これは当面の措置としてやむを得ないといいますか、適切な合意をされた措置だろうと思うんです。しかし、この措置に結局痛手を食うということで、農林省がこういう輸入問題について、こういう協定について非常に態度を離れるということなくて、むしろ積極的にもう少しこの業界全体が共同的な平等的な利益、損害、またその国の砂糖行政や一次産品行政について協力できるための基本的なものをしっかり持って、もっとリードしていく体制をとってほしいと思うんですが、その点はいかがですか。
  18. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 農産物食糧等輸入の問題につきましては、しばしば申し上げておりますように、国内生産可能なものは極力国内生産を高める、自給力を向上せしむるという方策をとりながら、足らないものはこれを海外から安定的に輸入をいたしまして、国民の皆さんに安定確保を図るようにしてまいると、これが基本的な考えでございます。  この甘味資源の問題につきましても、重要な食糧でございますから、国内甘味資源生産の振興あるいは生産農家経営の安定と、こういうものを図ってまいらなければなりませんし、そのためには甘味資源自給率の向上を図るということが大事であり、そういう面で農林省といたしましても今後生産対策価格対策等を今後とも重視いたしまして努力を払ってまいる考えであります。しかしながら、何と申しましても、砂糖につきましては相当長期にわたりまして海外から相当量輸入をしなければならない、安定確保を図らなければならない、こういう状況にあるわけでございます。現在、豪州あるいは南アフリカ等六ヵ国から約二百万トンぐらいのものを長期契約によりまして輸入をいたしておるわけでございます。私はそういう意味合いからいたしまして、今後とも長期契約等によって足らない分は海外から安定的に輸入を図っていくことが重要な問題であると、こう考えております。  ただ、その場合に、相場商品的な性格を持っております砂糖につきまして、長契の中で固定価格でやるかどうかという問題につきましては、これは慎重にやはり検討する必要があると考えております。そこに、国際糖価、国際砂糖協定等もございますから、そういうものも一つの目安といたしまして、今回の苦い経験を教訓としまして、長契に当たってはそういう点については十分慎重な対処が必要なのではないかと、このように考えております。しかし、基本的には国内生産は二〇%程度、どうしても当分の間は輸入に依存しなければならないという事情からいたしまして、長期契約によって安定確保を図ると、そういう政策もと業界も指導してまいると、こういう考えでございます。
  19. 三治重信

    三治重信君 まあ大臣のいまの御答弁で、できるだけ長期計画に基づく輸入をやっていくと、こういう方針で、これはまあ非常にそれが国内甘味資源生産を安定さす基本だと思うんですが、これを業者だけに任さぬで、やはり国のそういう貿易政策の中へ浸透——新しい積極的な政策として入れていって、全体の日本輸入政策というか、新しい国際貿易に対処する考え方も出してもらいたい、こういうように思います。  先ほど大臣の前にもう一つ質問する予定にしていたのをちょっと忘れたので、また前にちょっと戻りますけれども、その調整金免除というのは、財政の問題と企業経営の問題を両方にらみながらこれはそうすると、行政措置として弾力的に考えていくと、こういうことのようですが、これにプラス豪州糖輸入契約に従って全量を入れなくちゃならぬ。そういうときに、なお企業経営が、今後の砂糖値段の動き方にもよるんでしょうけれども、これをやってもなかなか豪州糖をたくさん入れているところは、具体的に言えば二五%から三〇%以上入れているところは非常な経営の困難、それがまた糖価の安定に非常に困難だと、こういうような事態が続く場合には、やはりこの豪州糖輸入糖の平均価格の算定の中へ入れないで一部外すというようなことは考えられませんか。
  20. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いまたまたま国際価格から極端に遊離している状況になっている、それから国内価格にもかなり近い高水準になっているということで、豪州糖に対する特別な調整金免除措置をとっているわけでございます。これは、ほかの一般糖と区分して豪州糖だけを何かそういう調整金あるいは安定資金の徴収対象から外してしまうということになりますというと、実はこれは法律上の問題がございます。いまの制度のもとでは一括して粗糖という考え方もとに、どこの国から輸入されるものも問わず、糖価安定制度の一般的な仕組みの中で機能すると、動くということになっております。運用の問題で、実態に即してたまたまある時期の調整金の徴収は免除できても、全般的に制度としてそういうものをそもそも対象にしないというようなことにすることは、正直申し上げましてこれは法律論もあってむずかしい問題だと考えております。
  21. 三治重信

    三治重信君 じゃ、豪州糖の問題については以上で終わりますが、砂糖の乱高下の問題は、輸入砂糖価格の非常な暴落とそれから過剰設備過当競争と、こういうのはよく議論されたところですが、もう一つ私は、この間の参考人の意見聴取のときにもちょっと意見を聞いてみたんですが、やはり砂糖取引所の価格形成、こういう商品取引所における価格形成の問題なんです。商品取引所の取引というものはやはり自由経済というものの象徴なわけなんですが、しかし実際、農林省はこういう一次産品について糖価安定の法律までつくって一つ価格統制を間接ながらやろうと、こういう立場が実際その目的を外れるような、それを妨げるような実際の取引所の砂糖の構成と申しますか、現状じゃないかと思うんですが、こういうものに対してどういうふうな基本的な考え方なんでしょうか。
  22. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 今回の措置によりまして、確かに糖価は極端な乱高下、乱高の方よりはむしろ暴落ということになりますが、その暴落は相当程度防止し得る、価格変動の幅は小さくなるというふうに考えます。統制価格で一本だというなら格別でございますが、幅は小さくなっても価格の騰落があるということなら、それを先物の上でも反映させるということで商品取引所でもって先物の取引を行うということは、これは当然あってしかるべき話であろうかと存じます。その意味では、いままででも制度的には安定上限価格、安定下限価格、この幅の中で価格は制度的には動くというふうに予定されておったのでございます。実際にはそれをさらに超えて上がったり下がったりすることもあったわけでございますが、そういう仕組みの中でも取引自身の存在理由が認められているわけでございまして、今回の措置を講じたからといって、その点は基本的には変わりないと思います。  ただ、価格変動の幅が小さくなれば、取引自身としてはやはり何といいますか投機のうまみといいますか、そういうつけ入る余地といいますかそういうものは小さくなってくる、取引自身は少しやりにくくなってくるという問題はあろうかと思います。そういう取引所に、商品取引、先物取引に及ぼす影響の問題は問題といたしまして、取引相場形成、これが現実を離れて一部投機家による過当投機が行われていないか、そのことによる価格の本来の実勢を離れての暴騰、暴落が本来の現物の価格にもまたはね返って悪影響を及ぼしていないかということになりますと、ときにそういうことを全くなしとはいたしませんが、その点については取引所なり私ども農林省でも管理、監督しているところでございます。今日の価格の推移を見る限り、私ども先物取引も現物の価格の推移とよく関連して適正な価格形成が行われているというふうに見ております。今後ともいろいろ取引の問題については、まだ確かにわれわれとしても厳重に監督し注意していかなければならぬ問題があると思いますが、一層努力を続けたいと考えます。
  23. 三治重信

    三治重信君 それからもう一つは、取引所の商品として取り扱われる同じ砂糖でも、品物の銘柄の問題なんですが、取引所の銘柄としてこれは一番特殊に精製された砂糖、最終消費財を商品の銘柄に上げられているわけですね。世界の砂糖取引の商品の銘柄というのはみんな粗糖だと、いわゆる原料糖なんだと。取引所の取引というものは、そういう最終消費財というんじゃなくってその原料がしかるべきなので、ほかの国においてもそうなんで、一時パリで何か精製糖が上場されたことがあるけれどもそれはほんのわずかな期間だったと、こういうことですから、日本も戦前はたしか粗糖じゃなかったかと思うんですが、そういう精製糖を商品取引所の商品としてやっていく特殊事情というのはどういう関係なのか。そういう砂糖価格形成に、投機じゃなくして、正しい何ですか、需給を円滑にする取引所の商品の取り扱いとするんだったら、原料糖である粗糖の方を取引所の対象とすべきだと指導すべきじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。
  24. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国際的に、いま砂糖取引を行っている取引所というのは幾つかあるわけでございます。砂糖自身が非常に大きな国際商品であるということから、ロンドン、ニューヨーク、ここらではまさに粗糖がその取引対象となっておるわけでございます。国際的な相場がそこで形成される。ただ、日本取引所の場合、国際的なそういう粗糖ということもありますが、日本国内で使われる産物について取引所に上場するその必要性ということになりますと、先生御指摘のように原料段階にとどめるべきで、最終製品、消費者消費商品という段階で物をとらえるべきでないというお考えはごもっともでございます。日本の場合、粗糖も上場の対象にいたしております。ただ、これは国際相場に追随するというようなことから、実際問題としてそれほどの取引量はない。量的にはそれほど大きくない。現在、一般的に取引が行われるのはむしろ精製糖の方でございます。  ただ、精製糖は、家庭の立場から見ますというと家庭消費も確かにあるわけでございまして、最終製品であるかのごとくに思われますが、実は精製糖はお菓子でありますとか調味料でありますとか、あるいは清涼飲料でありますとか、加工食品全般にもろもろの物に使われておりまして、原料としての機能を大きく果たしております。現在、家庭用に直接向けられる精製糖の割合は四分の一程度というふうにいま承知いたしております。そういうようなことで原料としても重要な地位を占めている精製糖でありますので、その価格形成について取引所に上場して公正な価格形成を図るということにいたしておるわけでございます。
  25. 三治重信

    三治重信君 大臣、お聞きのように、取引所の問題でそう問題がないようにいま答弁なんですけれども、製造関係の会社やそれから一般の者から見ても、会社の方も先日の参考人の意見聴取のときには、取引所のこういう精製糖の取引で非常に価格が変動するし、しかもどっちかと言えば値段を下げられるというんですか、過剰になるとものすごくコスト以下に下げられる可能性がある。それから、少し足りなくなるとものすごく上げられる可能性がある。そういうのに対してやはり農林省がこれだけ糖価の安定をやっていくからには、それは一応指導体制をとってきたということがあるかもわかりませんが、やはりその点は取引所に対して今後ともこういう砂糖値段について相当関心を持って、国の財政も使いながら法律も持ってやっていくからには、取引所との関係を自由放任にしていていいことではない。もちろん、取引所の上場をやめろということではないわけなんです。一定値段の範囲内、しかも法律で罰則的な上限下限を決めている、それ以外にはみ出ることは厳に戒めるような対策ですか、対応策が農林省としてとられるべきだと私は思うわけなんです。  もちろん統制価格で、そんな何というんですか、非常に統一価格とか値幅の狭いものでは意味のないものです。しかし、現在の上限下限価格のこの法律考え方の中で十分取引所の機能は発揮されるんじゃないか。それについて厳重なその範囲の中でやられるべきであり、それを超すというような価格形成が行われる場合には、農林省は事前またはそういうものについて早急に改善策をとろうという態度をしっかり示してもらいたい。それが価格の安定にもつながるんじゃないかと思うわけなんです。こういうことに対処する心構えと対策について、ひとつ大臣から御意見を承りたいと思います。
  26. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 三治先生が御指摘のように、国際的に商品としての砂糖相場、これが粗糖を中心に形成をされておるということでございまして、日本ではそれが精製糖まで相場商品として上場されておると、これは一つの特色でございますが、いま食品流通局長から申し上げたように、精製糖の四分の三がいろいろの加工食品あるいはお菓子、清涼飲料とかそういうようなものの原材料に使われておるという点がございまして、現在精製糖も商品取引所に上場しておるという関係にございます。しかし、御指摘のように、一方におきましては糖安法によってできるだけ価格の安定、また今回はさらに一歩を進めまして需給計画という目安を立てまして需給の面からも安定化を図ろうと、こういう法的措置も講じようとしておる際でございますので、商品取引所における過度の投機的なことがなされないように、政府としてもその指導、監視等につきましては今後十分対処してまいりたいと、こう考えております。
  27. 三治重信

    三治重信君 若干時間があるから、まだ通知しなかった問題をひとつ局長に聞きますが、砂糖には関税と砂糖消費税がかかっておることは御承知のとおりですね。今度のいろいろな貿易関係で、粗糖の関税について外せとかどうこうという問題は出ていないのかどうか。
  28. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 今度の問題と絡めてというよりは、むしろ以前から砂糖を実際に使う実需者の立場から、国際的に見て日本の関税、消費税、砂糖の税負担は重いではないかと、これを国際水準並みに下げてしかるべきだという議論が前からあるわけでございます。特に最近、外国からのいろいろな競争商品の輸入が懸念されるというような情勢のもとにおいては、そういう声が一般的にございます。それから、今回の措置に関連して一部で関税あるいは消費税を減免すべきだという議論は確かにございましたが、私ども特に豪州糖との問題と絡んで特定のもの、特定の対象だけをそういう減免の対象にするということは税制の一般論からしてもできないという話で、それはお断りしてまいったわけでございます。  ただ、今後これらの税負担についてどう考えるかということになりますと、私どもも関税、消費税、もちろん税制上の、あるいは国家財政上のむずかしい事情はいろいろあるかと思いますが、負担は決して軽くないと考えておりますし、今日までも特に消費税についてはその減免方を大蔵省に要請いたしておるわけでございます。今後ともそういう考え方もとに、関係省の間で検討を進めてまいりたいと考えております。
  29. 三治重信

    三治重信君 臨時の措置なんですが、やはり一次産品の今後の取り扱いについて、いま農林省の行われておりますのは価格規制だけで、数量の問題は、全部とは申しませんけれども、わりあいに法の規制対象にしていない、価格だけの問題になっているようですけれども、そういう問題と、国内輸入品との問題をどういうふうに解決していくかというのは、非常に農産物輸入問題と価格の問題と国内生産者の保護の問題と、こう三つを関連さして議論をしていかなければならぬと思う。今回のこの法案についてのやつは豪州糖という特殊な問題だけなもんですから、なかなか一般論の議論が展開しにくく、ほんの一部に触れておったんですが、今後の審議においてひとつしっかり農林省として生産者の立場とやはり消費者立場と、それから国際関係というものを広く見て対策をいろいろ立ててもらいたいと思いますし、私もそういう問題をまた一度議論したいと思っております。  どうかそういう意味において、これは当面の暫定的な措置であって、当面のやつを終われば一応これでいいんだということでなくして、問題はこれから、問題はいまからこういう農産場、一次産品輸入問題、価格の問題、あらゆる問題が国際的なスケールの中で議論をされなければならぬし、国内生産者に対してもそれを十分了解をつけ、改良、改善を指導していかなければならぬ問題だと思っております。そういう意味において、ひとつ今後とも新しい農政の価格政策を展開して新しい観点に立った、また基本的な問題まで下げた対策をぜひ立てるべく努力をしていただきたい、かように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  30. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、初めに砂糖需給問題を中心にお尋ねしたいと思います。  まず第一にお尋ねしたいことは、今年度の世界における砂糖生産量はどういう状況にあるのか、この状況をお尋ねしたい。
  31. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 砂糖の国際的な需給事情は、一九七三年の終わりごろから一九七五年の初めにかけて、この一年数ヵ月の間の価格が著しく高い水準にあったということを反映いたしまして、生産がその後増大いたしております。反面、消費は伸び悩んでいるということのため、一番最近の一九七六年から七七年にかけての状況で見ますというと、八千八百万トンの生産が見込まれる、これは史上最高でございます。それに対しまして消費は八千三百万トンが見込まれる、そういうことで、単年度におきましても五百万トン程度の過剰が予想されております。しかも、これは七六年−七七年だけでなく、その以前から、いま申し上げましたように生産がふえて消費が低滞しているというようなことのため在庫がずっと累積しておりまして、これも在庫率も大体その年消費量の三〇%を超えるのではないかという状況になっております。一言で申し上げれば、著しい供給過剰の状態になっているということでございます。
  32. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、年々増産の傾向にあると、こういうことなんでしょうか。  次に、わが国の輸入の実績ですね、詳しい量はもうわかっておりますから、どういう国々から輸入しておるのか、その順位で述べていただきたいと思います。
  33. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国別には、年によりまして大きな変動がございます。かつてはキューバが一番大きな日本輸入先であったわけでございますが、今日ではオーストラリアが一番大きな輸入先ということになっております。それに次ぎましてタイ、それから南アフリカ、それから台湾、ブラジル、フィリピン、キューバはその次というような順位になっております。
  34. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この輸入国との輸入協定、これは日豪の長期協定と同じような他国との協定があるのか、それとも日豪だけがいま問題になっておる協定であるのか、それを確かめたいと思います。
  35. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 長期契約は、日豪が問題になる以前からも民間当事者と輸入国の関係者との間でそれぞれ個別に行われておったわけでございます。その態様はさまざまでございますが、期間でありますとか数量でありますとか、それぞれこれはまあ三年、五年あるいは七年、それから数量はそれぞれ何がしということで共通の問題でございますが、価格については一般的には国際相場、若干のそれに対する幅をつけるようなことはありましても、国際価格を基準にするということでできております。豪州だけがそれとは異なって、固定価格で五年間という形になっております。固定価格はまさに豪州だけの特徴でございます。
  36. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 豪州だけを固定、長期協定にした理由は何ですか。
  37. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) これは、端的に申し上げれば、豪州側が強く要求したからだということでございます。豪州は一般的に資源をたくさん輸出している国でございますが、ほかの資源の場合でも、一般に見通しをきちんと立てて、生産者に対する一つの対策というような観点からでもございましょうし、それから増産というか、計画を実行する必要上からでもありましょうが、将来の価格についても固定した価格で安定した見通しを得たいということを強く主張するわけでございます。まあそれはそれなりに豪州国内事情としてわかるわけでございまして、当時きわめて緊迫した国際需給もとでは、いろいろその折衝はありましたけれども、最終的には国際価格ということでなしに固定価格ということで契約を結ばざるを得なかったという事情がございます。
  38. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 世界的にはだんだん増産の傾向にあるという見通しに立つならば、こういう豪州との契約あり方というものは私はどうかと思うんですね。と申しますのは、今度の混乱を起こした引き金はまさにこの日豪長期協定にあるんですからね。  そこで、キューバとブラジルの先ほど話がありましたが、この輸入パーセントからしますと、たとえばキューバの場合には四十九年は輸入率の四三%を占めておったんですね。それから五十年には一七%、五十一年三%に、このように激減していますね。それからブラジルの場合は、五十年が一六%から、五十一年度七%にこれまた激減しておりますね。この理由は何でしょうか。
  39. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 前段の方の御質問で、まあ価格が——価格がというより生産が増大する、したがって相場も下落するであろう、そういう状況もと豪州との間で固定契約を結んだのはおかしいではないかと言われれば、今日の時点になって見れば確かにそのとおり指摘されると思います。ただ、何度も申し上げておりますように、契約を結びました時点ではむしろ異常とも言えるような国際的に緊迫した資源不足、もう砂糖が今後手に入らなくなるのじゃないかというような空気がみなぎっておったわけでございます。むしろそういう状況があって需要がきわめて強い、価格もきわめて有利であるというようなことから、その後大増産が図られ、四十九、五十、五十一と、こうふえてきたという状況なわけでございます。その点ではまさに裏目に出たわけでございますが、初めから下落することを予想しておってこういう固定価格を結ぶというようなことは、当然あり得なかった話でございます。  それから、キューバが確かにかつて日本の一番大きな輸入先で、百万トン以上、比率にして四割以上も輸入しておった時期があるわけでございます。これは五十年以降数量は激減しております。これは一つは、当時の国際価格の動向から見てキューバの条件がきわめて輸入国にとって不利、早く申し上げれば相場が高いところでもって契約を要求したからだと。したがって、それ以外のところから輸入するということで、キューバ自身が国際的にも、それから日本の関係者からも好まれないということで数量がむしろ減ったわけでございます。キューバ自身はそのことを非常に悔やんでおりまして、今日ではむしろ日本にぜひ買ってもらいたいというようなことで、いろいろ働きかけを行っている状況でございます。
  40. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ブラジルですね、特に私、南米視察に参りまして、日本人移住者からこういう切実な要望があったんです。われわれは日本の国策に沿って南米に移住してきた。そして精いっぱい働いて生産をしておるが、母国である日本はわれわれがつくったその生産品、たとえば砂糖とか、それから養蚕の繭、こういうものを買い取ってくれないと、こういう訴えがあったわけなんです。そういうことも含めて、キューバ、ブラジル、特にブラジルですね、南米を含めて今後の見通し大臣にお聞きしたいと思います。
  41. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) その前にひとつ。  ブラジルの問題について答弁漏れがございましたが、ブラジル自身は、以前はほとんど日本との間で取引がなかったのでございます。手元の数字でも四十六年のころは二万六千トンくらい、それが四十七年に十一万トン、四十八年は九万七千トン、四十九年に十八万トン、五十年にちょっと国際的にほかの国からの供給がむずかしくなったというようなことも反映して三十八万トンとふえて、その後は十数万トンという台で推移してまいっております。これは五十年に一時的にふくらんだことを別にすれば、継続的にだんだんブラジルからの輸入量はふえてまいっている状況にあるわけでございます。経済物でございますし、条件がどうかということでやはり取引量も決まってくるところでございますが、私どもとしましてもそういう国際的な物の関係を念頭に置きながら、やはり業界にもいろいろ指導をしてまいりたいというように考えております。
  42. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣にお尋ねしますが、特に南米の場合、日系市民がおり日本の移住者が大部分を占めておる。そういった方々の切実な要求があるわけですよね。このことに目を向けなければいけないのじゃないかと、こう思いますが、今後の見通しとしてぜひこのことを政府として、特に農林省として配慮をしてもらう必要があると思うんですが、どうでしょうか。
  43. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 砂糖の八〇%程度、国内自給力向上に努力しておりますが、当分の間は七、八〇%のものは海外から輸入をしなければいけない。この安定的な輸入を図ってまいりますためには、余り偏ったことでなしに、できるだけ友好国各国から安定的に分散をし輸入をするということが安定輸入のためにも必要であると、こう考えております。特にブラジルは、御指摘のように日系人等が砂糖裁培農業に従事して努力をしておる。また、最近、ブラジルとわが国との関係は非常に友好緊密の関係を深めておるわけでございますから、ブラジル等のこの要請に対しましては私どもも前向きに対処していきたいと、こう考えております。ただ、何分にも遠隔の地であり、輸送費その他も相当かかる地理的な事情もございます。そういう点等も勘案をしながら業界を十分指導してまいりたいと、こう考えております。
  44. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、わが国の主要農産物輸入実績、これを概略で結構ですからお願いします。
  45. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 日本全体の総輸入金額は五百七十八億六千三百万ドル、これは五十年でございます。それから、五十一年は六百四十七億九千九百万ドル。その中で農林水産物の金額は、五十年は百五十六億四千万ドル、五十一年は百七十五億九千五百万ドル。総輸入金額の中で五十年は二七%、五十一年は二七・二%、こういう比率になっております。そのまた農林水産物の中で農産物は、これは農林水産物の中で一番ウエートも高く百十二億一千二百万ドル、百十六億二百万ドルということで、まあ二〇%近い比率を占めております。それから、農産物の中で物はどういう物が多いかということでございますというと、これは金額の関係で価格が変動することによって年の変動が結構あるわけでございますが、五十年は粗糖が一番大きく十六億八千九百万ドル、五十一年は九億六千四百万ドルということになっております。それから、トウモロコシが五十年は十一億三千八百ドル、五十一年は十一億一千二百万ドル。それから、小麦が五十年が十一億一千七百万ドル、五十一年が十億五千百万ドル。それから、綿が五十年が八億四千七百万ドル、五十一年が九億二千七百万ドル。それから、大豆が五十年が九億四千万ドル、五十一年が八億四千二百万ドル。以上申し上げました五品目が、農産物の中での大きな物資でございます。
  46. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま述べられたように、五十一年度は粗糖輸入食糧では第三位に一応ダウンしていますね。五十年までは首位を占めておりましたね。これは結局値段が安くなったためと思うのですが、こういう実情からいたしましても、当然裏を返せば、国内でできる物は最大限につくって、いわゆる国内自給を高めて、そしてやむを得ないものは外国から輸入をするという、こういうような原則はこれはきわめて当然でなければいかぬと、こう思うわけでございます。そこで、それの裏づけとしまして、こういう点からも国内自給というのはもう必至である、つくれば国内でつくれるものをよけい外国から輸入しておると、こういうことにわれわれは着目しなければいかぬと思うのです。  次に、国内産糖の自給向上についてどういう目標を持っておるのか、そして実態はどうなっておるのであるか、そのことをお聞きしたいと思います。
  47. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国内生産につきましては、四十七年をベースにいたしまして六十年見通しというものを立てております。概括的に見まして四十七年のときの自給率は二〇%、これを六十年見通しでは二八%という水準まで上げるということを見通しているわけでございます。
  48. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 現状は。
  49. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 現状は、一つ一つの数字は煩わしいので申し上げませんが、自給率水準で申し上げますというと一五%台ということで、四十七年当時よりも下がった状況にあるわけでございます。失礼いたしました。いま申し上げましたのは五十年でございますが、五十一年の数字が出ております。これは若干回復いたしておりまして、四十七、八年の水準までは戻っておりませんが、一八・六%ということになっております。
  50. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 昭和五十年五月閣議決定ですか、「農産物の需要と生産長期見通し」によりますと、昭和六十年におけるてん菜生産量が三百八十五万トンですね。量で言いますとそうでしょう。
  51. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) はい。
  52. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それから、サトウキビ生産量が三百七十二万四千トンですね。間違いありませんね。
  53. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) はい。
  54. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ところが、にもかかわらず昭和五十一年のてん菜生産量は二百十六万九千トン、サトウキビ生産量は百九十七万五千トンにすぎない現状でありますね。これでは、長期見通しで示された生産水準達成はきわめてむずかしいではないか、こういう私は結論を持つわけですが、大臣いかがでしょう。
  55. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いま御指摘のてん菜並びにサトウキビにおきましても、その年の天候その他諸般の事情から幾らか上昇したり、あるいは下がったりそういう傾向は確かに御指摘のようにございます。しかし、最近における情勢は、北海道におきましても輪作作物として非常に重要な地位を占めており、北海道の畑作振興に伴いまして回復の基調に向いておると私は考えております。政府といたしましてもこの生産振興、自給率の向上につきましては、特別な助成措置等も講じながらその育成向上に努めておるところでございます。  鹿児島県の南西諸島、沖繩県におけるサトウキビ、これは私も沖繩へ先般参りましたが、大変農民の皆さんの間にこれが生産向上への意欲が高まってきております。一方において、政府におきましても土地改良事業あるいは裁培技術の向上あるいは機械化の促進、さらに新たに現地の要望にこたえまして原原種農場も建設をする、あるいは害虫の防除、こういう問題にも私ども努力を今後ともやってまいりまして、何とかこの六十年見通しの目標を達成するようにあらゆる施策を今後一層力を入れて推進してまいりたいと、こう考えております。
  56. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 六十年の目標とこの現状を見通した場合に、私はその目標達成に向かっての歩みが遅々として遅いんじゃないかと、この調子で果たして六十年の目標達成ができるのかどうか。むしろ目標を突破していただきたいわけですが、それでお聞きしますが、一部大臣から述べられましたが、私はもう少し突っ込んでその目標達成のための具体策を担当から詳しく聞きたい。
  57. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 砂糖生産目標達成のための具体策ということになりますと、実は農林省全般にもわたるような大きな問題といいますか、数多くの項目になってまいるわけでございます。私から実は他局の所管にまたがるようなことを申し上げさしていただきますが、項目として基盤整備でありますとか、それから品種改良でありますとか、広く言えば基盤整備の中に入ることでございますが、水資源問題でありますとか、それから土壌改良、それから機械化の問題、構造改善事業、こういった各般の事項がございます。  基盤整備一般についてまず申し上げますというと、サトウキビの生産を振興するということには、特に農業基盤の整備を促進する必要が大事なことは言うまでもございません。そのため農業用水源の開発、それから灌漑排水言施設の整備、農道、圃場の整備、これらを積極的に実施してまいっているととろでございます。特に沖繩につきましては、圃場整備、農道整備事業等につきまして補助率それから採択基準、こういった面で内地に比べて特別の優遇措置を講じております。同時に、そういう制度的なことだけでなく、予算の面でも特段の配慮をして増枠に努めてまいっているところでございます。今後ともその振興に努めてまいりたいと考えております。  それから、沖繩の場合特に水の問題が深刻でございます。サトウキビの生産を高めるためには、畑地灌漑とこれに適した品種の栽培ということがきわめて重要でございます。しかし、畑地灌漑の水源が乏しいということで、特に地下水の開発利用ということを進めてまいっておるわけでございます。これだけでも十分ではないということで、地下水を地下に貯留する技術開発を特に四十九年以来進めているところでございます。目下、小規模な実験地下ダムをつくりながら水脈の状況等の変化あるいは実用化のための調査といったことについて、もろもろの措置を講じてまいったところでございます。  それから、土壌改良でございます。このため、これは甘味資源特別措置法に基づいて北海道のてん菜生産振興地域と並んで鹿児島県、南西諸島、それから——構造改善局長見えておりますけれども、私言いかけた話でもございますので申し上げたいと思います。いまのてん菜生産振興地域、そのほか鹿児島県、南西諸島等沖繩県のサトウキビ生産振興地域、これらをいま申し上げましたように、甘味資源特別措置法に基づいて地域指定いたしております。それとともに、従来からの土地基盤の整備を初めとして生産の振興と合理化について、これは個々に項目を挙げますと実に数多くあるのでございますが、もろもろの施策を講じております。  特にサトウキビの生産地域につきましては、サンゴ石灰岩等を土台としておりますところのやせた土壌が多いという上に、大変気候的にも湿潤多雨であると、いわゆる亜熱帯気象条件で、土壌の浸食が進みやすいというような事情がありますので、ほかの地域にも増して土壌改良が必要であると考えております。このため、従来から土壌改良用機械の導入事業、それからサトウキビ生産合理化緊急対策事業、こういった事業を実施してサンゴ礁を排除する。それから深耕、土壌改良資材、堆肥の投入、それらの面での土壌改良の措置を講じてまいっているところでございます。五十三年度予算におきましても、そのほか新しく心土肥培でありますとか、簡易な土地基盤整備でありますとか、これに関連した機械化を推進するというような対策を種々要求しているところでございまして、今後ともそれらの対策の樹立を期してまいりたいと考えております。  それから、機械化の問題について申し上げたいと思います。  甘味資源作物については、土地基盤整備と並んで生産振興合理化のための機械化ということも重点に取り上げてまいっておるわけでございます。てん菜の方から申し上げますというと、これは育苗段階での機械化を図る。それからてん菜を基幹といたしましたところの合理的な輪作の推進、てん菜生産の機械化、それらを図るためにてん菜輪作作業の輪作営農団地、その育成特別事業でありますとか、てん菜生産安定拡大対策事業といったような機械化の事業を実施いたしております。  それから、サトウキビにつきましては、これは御承知のとおり大変単位当たりの労働時間が多い。十アール当たり百六十四時間ぐらいをまだ費やしているような状況でございます。特に収穫作業が多労かつ過重であるというような状況でございますので、このため中型の刈り取り機、それから集中脱葉機、これらの施設の開発を図るということを重点に考えております。  それから、サトウキビの収穫機械化の、これは機械だけでは物事は完結しませんで、それをどう運転するか、使っていくかという人間の問題もありますので、その研修事業、そういった事業も行っている。それから生産改善推進事業によって栽培とか収穫機械を実際に現地に導入を図る、それから普及を進めるというようなことも考えております。今後ともこの機械化の問題についても、一層積極的に推進してまいりたいと考えております。  そのほかの事項もございますが、それぞれ関係局長も見えておりますので、私から概括的に以上申し上げました。
  58. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) サトウキビの品種改良につきまして申し上げます。  サトウキビの育種につきましては高糖——これは糖分の高いということでございますが、高糖、多収、早熟、それから強稈、機械化適性というこれらの諸点を重点目標として実施をしておりまして、九州農業試験場におきましては昭和四十七年に新品種NI1、これは沖繩で交配をいたしたものでございますが、これを開発をいたしまして、それからその後昭和五十二年に至りまして株出し性能が非常に高くかつ多収のNIN2、これは南ア連邦のナタールで交配をしたものでございますが、これを新品種に登録をいたしまして普及に移しているところでございます。沖繩県農業試験場におきましても、県単独事業といたしまして進めた育種事業を昭和五十一年度から国の指定試験に移し推進をいたしておりますが、今後とも国の試験研究機関、それから県の農業試験場とタイアップをいたしまして、十分な努力を進めてまいりたいと考えております。
  59. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 先ほど大臣がおっしゃった原原種農場ですね、これは大丈夫だろうかという不安がありますが、確認しておきたいと思います。大丈夫でしょうか。
  60. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは、沖繩へ私参りましたとき、はっきり農業団体また新聞記者会見におきましても公約をしてまいったところでございまして、すでに五十三年度予算の概算要求におきましては用地買収費の予算要求をいたしております。これは予算編成に当たりまして必ず確保いたしまして、これが実現いたしますようにはっきりここでお約束を申し上げておきます。
  61. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に水の問題沖繩は他県といろいろの点で違う面がありますが、もうこの最たるものは水で、水資源さえ解決すれば沖繩の開発は軌道に乗ると、こう言っても過言ではありません。ところが、皮肉にも沖繩県は全国で最も降雨量の多雨県である、年間二千三百ミリ、国の平均は千七百ミリですからはるかに平均を上回っている。日本一雨の多い沖繩が日本一水の不自由な沖繩と、こういう矛盾が沖繩の特殊性ですね。それで、水資源の抜本的な問題はもう遠い手の届かぬところの問題もあるのですが、いますぐ言えることは、せめて降る雨を流さないように貯水することが当面の急務じゃないかと思う。  こういう考え方に立って、大型ダムも大事でしょうが、小型ダムを無数に適当な場所につくって降る雨を貯水する、こういうことも一つの具体的な問題。次には、沖繩も最近舗装が多くなっております。それから、離島には飛行場がだんだん開発されてきております。その飛行場の滑走路に降る雨をそれを貯水するという、ため池をつくるという、こういう切実な問題もあるわけですが、そうして伊江村ではそれが成功している例がある。大きな滑走路に降る雨をためて大きな池を、ダムをつくっている。そのような例にならって北大東、南大東その他にもそのようなもので、ひとつせめて降る雨を流さないでためていくというこのことが当面の問題で大事であると、こう思うわけなんですが、それに対するひとつ国の施策の手を伸べてもらいたいと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  62. 森整治

    政府委員(森整治君) 先生御指摘の伊江島のお話、いろいろ離島の場合、それからやっぱり地形等によりましていろいろな対策が必要ではなかろうかというふうに思っておるわけでございまして、伊江島の例も県営の畑地帯総合土地改良事業ということで事業を実施しておるわけでございますが、要するに先生おっしゃるようなことも含めまして、やはり水資源をあらゆる形で開発をしてまいるということが一番肝要ではなかろうか。  そのために、われわれといたしましても各種の調査を逐次実施をしておるわけでございまして、小型のダムからため池から、それからやはり地下水の高度利用、さらに先ほど食品流通局長が述べました地下ダムの開発という一連の調査を実施しておるわけでございます。そこで調査の整ったものから逐次、たとえば宮良川の着工を初め県営の事業等、いろいろ各種事業を実施してまいっておるわけでございます。いままでは調査に相当時間がかかっておるということも事実ですが、これから実際に水の資源を開発いたしまして、畑地灌漑の水源の手当てをしてまいるということで十分努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  63. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひひとつ、今後の沖繩開発構想の大前提には水の問題を解決せずして沖繩の開発はあり得ない、このような観点に立ってひとつ施策に反映させていただきたいということを要望いたしまして、次の問題点、この法につながる疑問点、それを中心に質問いたしたいと思います。  まず第一点は、本法案によって消費者価格の引き上げをすることにはならないだろうか、こういう懸念が多分にあるわけなんです。業界消費者価格を引き上げたときに政府としてはどういう手を打たれるのであるか、このことをひとつ。
  64. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 現在の砂糖消費者価格、これは精糖業界過当競争、過剰な設備を抱えて大幅なコスト割れを生じておる、また流通面におきましても大変激しいシェア競争と申しますか販売競争が行われておる、こういう中で形成された現在の消費者価格でございますから、私はこれが本当に正常な生産並びに流通過程における条件もと形成された価格であるとは考えておりません。端的に言うと、きわめて過当競争の上に形成されたいわば不健全な一時的な価格である、このように認識をしておるわけでありますが、そういう観点からいたしますと、今回の法改正によって精糖業界の体質が改善をされ、また過当競争等も需給計画の目安の中でこれが正常な姿で行われていく、そして生産費というものが安定的に確保される、こういう姿になり、また販売面においても無理な乱売競争等がなくなって秩序のある販売がなされていくということになれば、ここで私は、消費者には量的にも価格の面でも安定した姿の消費者サービスができる、こう考えておるわけでございます。そういう意味で、私は今後この法律の適正な運用によって、長期的に見た場合においては消費者の利益に沿うものである、安定的に量も供給をされ価格も安定したものになる、こういう考えでございまして、ぜひそのように進めてまいりたい。また、この法律の運用に当たりましては、十分消費者立場ということを配慮しながら適正な運営を期していきたい、こう思います。
  65. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひそれを見守っていただきたいと思います。  次には、本法案によって労働者の解雇ということが最も気になる一つであるわけですが、その解雇が生ずるおそれが多分にあると見た方がいいと思うんですが、この場合に雇用をどのように保障していかれるのか、その対策あるいはそれに取り組む構えですね、これをお伺いしたい。
  66. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、精糖企業というのは御承知のように装置産業である。それからまた、これが各地域に分散をされておりその地域を対象とした供給圏というものを持っておると、こういうような非常に特殊な産業である、このようにとらえておるわけでございます。したがいまして、この需給計画の目安が立って、その中で過当競争等が抑制をされ、また、企業の体質合理化も進んでまいる。そういう過程において、直ちに設備の廃棄等がすぐにでもなされるかどうか、私はそのようには考えておりません。各企業にはそれぞれの特殊な事情を抱えておるわけでございますから、私は相当時間をかけながら業界の構造改善、体質の改善合理化と経営の合理化というようなものがなされていくものであると。また、それを進めるに当たりましては、各企業内において労使の間で十分ひとつ話し合いをいたしまして、そうしていま御指摘のように失業問題雇用不安というものができないようにやっていくことを期待をしておりますし、農林省としてもそういう観点に立ちまして業界の指導に当たっていきたい、こう思っております。  なお、共通の労使間の問題につきましては、精糖工業会と労働組合の組織との間で、共通問題については十分これも話し合いをしルールも確立をして労使の関係を円滑にしていくように、こういうことが必要であると、こう考えておりますし、農林省としてもそれに努力をしてまいりたい、こう思っております。
  67. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、商社の支配関係を政府はどう見ておられるかと、こういう立場から——なぜ私がそれを申し上げるかといいますと、どの工場も商社がほとんど投資をしている。そうしますと、商社による価格支配のおそれが多分にあるのではないか、来るのではないかと、手放しでいきますと。商社が利潤を追求するため労働者や農民を犠牲にして業界を私物化するようなことがあっては絶対にいけない、こう思うわけなんですが、そういう点から商社の支配関係が非常に私は重視されなければいけないと、こう思うわけなんですけれども大臣はその点いかがでしょうか。
  68. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 商社精糖企業の間には、いままで原糖の輸入商社がやってきておる、そしてその輸入したものを精糖企業にこれを配分をしておる、売り渡しておる、こういうような関係がございまして、だんだん商社精糖企業との間に非常に深い関係がそこに形成をされてきたということは事実でございます。特に最近、過当競争等がなされまして大幅にコスト割れを生ずるというような状況下になりまして、いわば商社金融に依存しなければならない面がだんだん大きくなってきた。そこで、ますます精糖企業商社の系列下に入っていく、商社の影響支配というものが強まってきたという事情は御指摘のとおりでございます。私は、まずそのために、今回の法律の制定を契機に精糖企業の健全な経営がなされる、ふういう基盤が確立をするということによりまして、商社との関係も自主性を持った関係にこれを改善をしていくという必要がある。また、商社金融だけでなしに、正規の金融機関等からの融資、運転資金等の融通によって企業の独立性、自主性というものを確立するようにしていくことが絶対に必要であると、このように考えておるところでございます。
  69. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 わかりました。  労働者の解雇につながる不安、雇用不安というのは、これは全精糖労働者の、日本全体の問題でありますが、特に私はこれと関連して、沖繩のまた特殊事情という立場からぜひ申し上げておきたいことは、沖繩の失業問題は全国にも例のない非常に深刻な問題がある。たとえば日本の完全失業者は百五万人、失業率が一・九%、沖繩の完全失業者は二万九千人、この失業率は七%になっておるのですね。まさに全国平均の三・五倍であります。このような深刻な沖繩の失業状態というのは、もちろん不況から来た、あるいは海洋博の後遺症から、それから基地労働者の一方的な首切りですね、解雇、こういうものが輪をかけてこのようなすさまじい失業率になっておるわけなんであります。このこととの関連におきましても、さらにこれに輪をかけるようなことになりますというと、いよいよこれは大変なことになる。こういうことで、政府とされましても、労働大臣も閣議でも訴えておられる状態もある。で、特別対策会議を持たなければいけないという、こういう動きもいま政府にもあるわけなんですね、関係省庁で。こういう特殊な事情にさらに輪をかけるようなことがあっては大変である。こう気になってしようがありませんので、心配ですので、その点に対する大臣の御見解をお聞かせ願いたい。
  70. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 沖繩県における失業問題、失業率も内地に比べまして非常に高い水準にあるということを私ども承知をし心配をいたしておるわけでありますが、その原因につきましては、いま喜屋武先生が御指摘になったいろいろの要因があるようでございます。  私は、沖繩における工場誘致等の問題もありましょうけれども、何といっても私は、沖繩は農林畜産業で労働力を生産面に生かしていくということが、これが一番実際的な実効の上がる方策ではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。私は、ああいう亜熱帯性、海洋性の風土の中ではありますけれども、厳しい条件の中ではあるけれども、やはりそこに適したところのサトウキビ、あるいはパイナップル、あるいは肉牛を中心とした畜産あるいは漁業、そういういろいろの面で沖繩県の農林漁業が今後いまの労働力をそういう面に生かして、そして失業問題も解消すると同時に沖繩の農林漁業の振興を図る。そういう方向に向かって、農林省としても、労働省あるいは沖繩開発庁その他の関係省庁と十分連携をとりながら、農林漁業を中心とする沖繩の雇用の安定、農業の振興と、そういうことにあらゆる施策を傾けまして努力してまいりたい、こう考えております。
  71. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後になりますが、沖繩には特殊なケースが多いわけですが、たとえばこの糖業問題にしましても、いま国策の面では糖業の過剰設備とか、こういった問題が浮き彫りにされつつあるわけですが、ところが増設しなければいけないという、こういうまた特殊な例が沖繩にはあるわけなんです。それは久米島製糖工場の設備増設、どうしても久米島のいまある製糖工場の設備増設をしなければ今期の製糖、あるいは来期の製糖が大変なことになる。こういう実態があるわけなんです。  実情を申し上げますと、久米島製糖工場の実態は——久米島は仲里村と具志川村からできておる島でありますが、五十−五十一年の製糖期は、いれは二ヵ年に製糖はわたるわけですが、収穫面積が八百五ヘクタール、それに対して生産量が六万三百五十トン、そうして反収が七トン五百。これに対して工場能力は五百トン。ところが、五百トンの能力に対して、実働は五百八十トンの実働をしておるわけなんです。そして稼働日数が百四日。これが五十年から五十一年。それが五十一年から五十二年になりますというと、収穫面積が九百三十八ヘクタールにふえております。反収もふえております、八トン三百に。ところが、設備は依然として五百トン、実働が五百五十六トン、稼働日数が百四十日。五十二年から五十三年、すなわち今期でありますが、これは予定でありますけれども、収穫面積が千百二ヘクタールと激増しております。それから生産量が八万九千百六十九トン、反収が八トン百キロです。工場能力は依然として五百トン、実働が五百五十六トン、そして稼働日数が百六十日。こういう異常な現象を呈しつつあるわけなんです。  このために製糖日数が長引くということは、そのブリックスにも影響するわけなんですね。製糖日数は百二十日が理想的であると言われておりますが、それを超えますというと、先ほど申し上げたようにブリックスの低下につながる。せっかくつくったサトウキビがブリックスが落ちる、こういうことになる。それだけではありません。肥培管理、それから後作への悪影響に関連して次々と連鎖反応が起こるわけなんですが、こういう実情を踏まえてどうしても設備増設をしてほしいと、こういう強い要望があるわけなんです。  そこで、この要求は生産農家だけの要望ではなくて、その団体の農家ももちろん、工場も。で、県に問い合わせましたら、県当局もこれはどうしても増設してやらなければいけないというこの一致した意見であるわけなんですが、今期は間に合わぬわけですが、来期に備えて、ぜひこの久米島製糖工場を増設して拡張してもらうように要望したいのですが、大臣いかがでしょうか。
  72. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いま具体的な数字を挙げて喜屋武先生からの御指摘、私どもも大体久米島の実情をそのように承知いたしております。生産農家の意欲が高まっており、それから生産基盤の整備も進んでいるというようなことから増産が図られている。こういう増産されたものをどうやって受けとめるかということになりますと、現有設備をフルに活動させる、それから操業日数、時間を延長させる。それでも足りないときどうするかという問題になるわけですが、せっかく増産されるものを、これを抑制するとか、あるいはほかの島へ持っていくということは、これは現実的でないと思います。  いま御指摘ありましたように、本当に一致して、それから県の意見もそうであるというならば、私どももいずれ設備増強の申請が出てくるのではないかと思います。一般的にはもちろん過剰設備の問題が深刻でございますが、こういう島の問題としては、私どもそれらの意向を重視して適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  73. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 よろしくお願いします。
  74. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  75. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き、本案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  76. 川村清一

    ○川村清一君 本法案の審議につきましては、今日まで各会派の委員から相当長時間にわたりまして広範な角度から質疑が展開されてまいりました。そしてまた、参考人の意見も承ったわけでございますが、私自身といたしましても解明されない点をたくさん持っているわけであります。しかし、時間等もございませんから、与えられた時間内におきまして若干基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  主に大臣の御答弁をお願いするわけでありますが、まず第一点は、豪州糖輸入長期契約政府の行政責任との関係でございます。この点につきましてわが党の丸谷委員からいろいろ質問がなされたわけでありますが、政府側の見解といたしましては、豪州砂糖輸入長期契約については元来これは民間の自由なる商行為である、それに基づく契約であるので政府はかかわりないと、こうおっしゃっているわけでありますが、私は、この日本政府とオーストラリア政府との間に交わされた交換公文を見ましても、一切かかわりないということはこれは考えられない、当然かかわりがある、かように断定せざるを得ないのであります。  読む必要もありませんが、大事なところを言いますと、オーストラリアの方の書簡によれば、「今後五年間に亘り最小限六十万トンの粗糖供給に関する民間契約が締結されましたが、」と、そして最後の方に、「日本政府が上述の契約に関して考慮されている措置につき通報していただければ幸いであります。」と、こう結んであるわけであります。これに対しまして日本側の書簡は、日本政府によりすぐとられる措置として、「輸出入取引法に基づき豪州糖輸入カルテル結成の承認」「平均輸入価格の算定に関し砂糖価格安定法施行令の一部改正」、こういう約束をいたしまして、最後に「日本政府の希望と合致するものであります。」と結んであるのであります。この文章に照らしまして、政府の行政責任が全然ないとはこれは考えられないし、この責任を明らかにする必至があると思うのであります。  そもそも、との法案を制定しようとする意図は那辺にあるか、根本的な要素はどこにあるかというならば、言うまでもなく、豪州砂糖の年間六十万トン、五年間にわたる長期契約、この契約は民間の契約であります。そしてその契約の主体は三井、三菱の大手、これを主体とした大手商社であることは言うまでもないわけであって、彼らはもうけようという考えでこの契約を結んだのであります。ところが、契約を結んで一、二年たたないうちに国際糖価というものが大暴落をした。そこで大損害を受けるような羽目になった。これを何とかしてもらいたいと。つまり、豪州糖輸入契約によるその問題のしりぬぐいが、この法案制定の基本的な要素になっていることは、これは否定できないと思うわけでございます。したがって、当時政府は、日本政府の希望と合致するものであると言ったことは妥当な処置であると、かように考えておったわけでありますから、直接政府の責任がないとしても、行政指導に誤りがあるとか、あるいは需給見通しに誤りがあったとか、こういうような指導責任、行政指導の責任を否定し免れることはできないと私は考えておるんであります。これに対して農林大臣の御見解を表明していただきたい。
  77. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御承知のように、あの豪州糖の長契を行いました当時、あの当時は砂糖もとよりでありますが、いろんな原料資源につきまして国際的に資源問題が非常にやかましい時代であったわけでございます。わが国の国情からいたしまして、資源の確保、入手ということにつきましては、あの当時政府としても民間と協力をしましてできるだけのことをやろうという積極的な指導方針のもとに取り組んだことは、御承知のとおりでございます。その一環としてこの砂糖も重要な食糧でございますので、国産糖の生産の足らざるところ、これをどうしても長期にわたって安定的に確保したいと、こういう基本的な取り組み方で業界を指導したということは事実でございます。ただ、契約の具体的な価格を幾らにするか、あるいはそれを固定価格にするか、あるいは契約の条文、たとえば留保条項を入れるとか入れないとか、そういうような契約の内容、価格等につきまして政府が直接、これは商取引のことでございますから、これに介入、指導したというようなことはないようでございます。  ただ、川村先生御指摘のように、政府が、私申し上げたような食糧資源、これを長期にわたって安定的に輸入をしたい、確保したいというその基本的な方針に沿うものでございますから、これがうまくいくようにという観点で指導したという指導責任というものは、これははっきりあるわけでございます。その結果といたしまして砂糖が半年足らずの間に急落をしたと、それに伴っていろいろの国内精糖企業の中で問題が出てきたわけでございます。  当時は、これは非常に有利だということで、何とか豪州糖の配分を多くしてもらいたいということで各社でそれぞれやったようでございますが、おのずからそこには三井、三菱等が主体になってやりました関係もあって、その他の商社並びにその系列にありますものはその配分にあずかるところが薄かった、あるいは配分の外に置かれた、そういう状況、そして砂糖国際価格が急落をした、そこに非常に原糖の輸入価格についてのアンバランスが出てきた、これが精糖業界過当競争に拍車をかけた、この機会にシェアを拡大しようというようなことになってきた、そういうようなことが私は結果的に精糖業界全体として大幅なコスト割れを生じ、また流通面における乱売競争というような事態も現出をするように相なったと。それがひいては今日精糖業全体として経営の極度の悪化、そして一部においてはそれが倒産あるいは雇用問題、失業問題等ということにも相なってきた、こういう結果につきましては、政府としても、砂糖行政を預かる立場からいたしまして、農林省としては、やはりこれに対して対応をするように努力をするということは当然のことでございまして、今回このような法案を提出をいたしまして、そして砂糖業界の安定、合理化あるいは流通秩序の正常化、そういうことを図っていこう、こういうことにいたしたわけでございます。  全体としてやはり砂糖行政を預かる農林省としては、私は行政責任というものを感じまして、そういうような努力、対応をしておるということを御了承をいただきたい、こう思うわけであります。
  78. 川村清一

    ○川村清一君 質問の第二点としてお伺いいたしますが、砂糖の国際的な需給の動向に対処いたしまして、砂糖供給の安定が確保されるためには、何といっても国内糖自給力の向上、これが絶対的な要素であることは言うまでもないことであります。政府は、国内産糖の拡大、自給率の向上を最大の施策とするということをいつも何回も言っている。しかし、現状におきましては自給率は二〇%を割り、輸入糖が八〇%以上も占めておる。この現状を分析してみるならば、政府の施策は常に言うことと一致しておらない。まあ有言不実行とまでは言わないが、てん菜、サトウキビ等、甘味資源生産増強のために土地基盤整備、あるいは価格対策等について毎年毎年この委員会で論議されておる。われわれの立場から言うならば、生産農民の生産意欲を盛り上げる生産増強のための施策が積極的に強力に行われているとは考えられないわけであります。政府の言っていることと行っていることと、大きな乖離があることが明らかであります。  したがいまして、砂糖の安定供給を図るために、国内甘味資源作物の長期生産目標を定めて、その目標達成のために必要な生産対策価格対策、これを整備強化しなければならないと、こう思うわけであります。このことはいま初めて言うことでありません。毎年毎年政府とわれわれとの間に議論されていることなんです。この法案制定の機会に、一層ひとつ政府は心を新たにして五十三年度予算の中にこの実現のために強力な施策を盛り込むことを強く要望するわけでありますが、これに対する農林大臣の御見解を承りたい。
  79. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 甘味資源生産振興、そしててん菜あるいはサトウキビ生産農家経営の安定、これを図ることが甘味資源自給力を向上させる最も基本的な問題でございます。そのためには、いま御指摘がありましたように、価格対策あるいは生産対策、構造対策、そういう面を総合的に力を入れてまいるという必要があるわけでございます。  今日まで、てん菜におきましてもサトウキビにおきましても、私ども北海道におけるてん菜は畑作輪作の面からいっても基幹的な重要作物であると、こう考えておりますし、また鹿児島県、南西諸島及び沖繩においては、ああいう気候風土、地質条件その他から見まして非常に大事な作目でございます。そういうような重要性を認識をいたしまして政府としても努力をしてきておるところでございますけれども、おしかりがございますように、その生産性の向上、増反というものが私どもの期待に反して一進一退、あるときはむしろ減退をしておるというような状況の推移をたどっておることも否めないところでございまして、この点はきわめて私どももその施策が十分でなかったというような点についても反省もし、今後そういう点も踏まえまして、価格の面その他の諸施策につきまして今後とも努力をしてまいりたい、こう考えております。
  80. 川村清一

    ○川村清一君 次に、砂糖需給見通しを策定する需給協議会を設置する、このことについては政府としても御異議がないようでございます。そこで、私はこの需給協議会について政府の御見解をただしておきたいわけであります。  この需給協議会なるものの構成について、政府はどのように考えているか。そして、この需給協議会が持つ機能について、政府はどのような機能を持たせようと考えているのか。問題は、ここでつくられるものが実質的に需給規定する指標となるものであるから、したがって、国内産糖消費者価格に及ぼす影響との調整をどう図っていくのか、それから、精糖企業労働者に及ぼす影響が十分検討されていくのかどうか、こういう問題点があるわけでありまして、各関連分野の声を民主的に反映できるような構成にしていくべきであると私は考えるわけでありますが、政府考えていらっしゃることをひとつお述べいただきたい。
  81. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この需給協議会、これは、ぜひこれを設置をいたしまして需給の安定が確保できるようにいたしたいと、こう考えておりますが、御承知のように、甘味資源の振興諸施策の問題につきましては甘味資源審議会がございまして、いろいろ生産振興その他それをめぐるところの諸問題について審議する審議会が一方においてあるわけでございます。したがいまして、今回設けようとする需給協議会というのは、主として需要に見合ったところの国内産糖、これがまず先行するわけでありますけれども、その足らざるところを輸入によって確保し、需給の均衡がとれるようにそれを進めていく、こういう点が需給協議会の主たる仕事になるわけでございます。したがいまして、それに関係をするところの各方面の代表的な方々、それに学識経験者等入れまして構成をいたしたい、このように考えております。
  82. 川村清一

    ○川村清一君 ただいまの大臣のお答えの中で甘味資源審議会のことにお触れになりましたが、甘味資源審議会にもっと広範な強力な機能を持たせるべきではないかというような御意見もいままでの審議の過程の中であったわけであります。しかし、私ども立場から言うならば、それをするとならば甘味資源特別措置法を法律改正をしていかなければならない。これは別人格のものでございますので、したがってこの糖価安定法に基づくところの需給調整機関として、これを法律改正しなくとも持てるのではないかという見解を持っているんです。そこで、できるその需給協議会なるものは、いま先ほど私が申し上げましたようなこういう構成、そしてそういう機能を持たせるような強力な需給協議会をつくってもらいたいということを強く要望しておきます。  その次の質問として体質改善の問題でありますが、農林省は本法案の施行と並行して精糖業界の体質改善を指導する意向を明らかにされております。そこで、その見通しについてお伺いしたいのでありますが、今日までの各委員との質疑あるいは参考人の意見でも述べられましたように、今日の精糖業界の実態というものは、その資本構成において、役員の人事において、金融、原料供給、そして製品販売と、精糖企業の活動のあらゆる面で大手総合商社の支配が進みまして、企業の主体性は全く失われていると言っても決して過言ではないと私は考えるわけであります。そこで、この現実を無視して精糖業界やそこに働く労働者の意向を反映した体質改善が実現される可能性があるのかどうか、きわめてその可能性が低いんではないかと私は考える。  そこで、ここで確かめておきたいことは、本法の有効期間三年間でこの体質改善を指導することができるのかどうか、その見通しはどうか。もし、できないとするならば、本法が失効後においてもこの考え方で強く指導に当たられるのかどうか、これを確かめておきたいし、それから体質改善を進める指導を行う際に、現在大手商社主導型で進められている業界再編成を一層進める方向をとっていくのかどうか、現在のようなこういう形の中で業界再編成をしようとしておるのかどうか、それとも大手商社の不当な介入を排除して精糖業界レベルでの主体的な体質改善を進めていかれようとしておるのか、この点を明らかにしていただきたいんであります。これを間違えるならば、三井物産、三菱商事、そして日商岩井、丸紅、伊藤忠、これらの大手商社の系列に集約されてまいりまして、精糖業界というものが全く寡占体制からしまいには独占体制に移行していく、そういう危険性を多分にはらんでおる。政府はこういう寡占体制を構築しようとしておる、こういう大手に手を貸すようなことが断じてあってはならないと、かように考えて私はお尋ねしているわけであります。大臣の御見解を承りたい。
  83. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御指摘のように、現在の精糖企業商社との関係が非常に根深いものがございます。もっと端的に申し上げると、商社の系列下にそれが組み込まれておるというような実態にさえなりつつあるわけであります。これは原糖の輸入商社が行い、これを精糖企業に供給をしておったわけでございますが、それが精糖業界過当競争過剰設備その他乱売競争、まあいろんな面からいたしまして、大幅にコスト割れの状況になり経営が極度に悪化しておる。そうすればするほど、いよいよ商社によって商社金融でそれが一時支えられる、あるいは原糖の供給に対する代金の支払いも滞りがちであるというようなことで、いまのような状況が出てきておるということはこれは否定できないところであろうと思います。  そこで、今回の法改正を行うことによってこの過当競争過剰設備、そういうようなところに起因するところのこの業界の体質を変える、そうして正常な水準生産費を安定をさせる、こういうことによって精糖企業の基盤を正常な姿に持っていくということが、私ども考えておるねらいでございます。そうすることによりまして、私は商社からの不当な行き過ぎた支配、影響というものを排除をして、精糖企業の主体性、自主性によりまして今後精糖企業が健全な方向に進んでいくという、そういう精糖企業中心の自主的な基盤整備、構造改善というものをすることによって、私は初めて商社金融等に依存しなくともノーマルな姿での金融機関からの融資等も受けられる、そういうような方向に持ってまいりまして、いま商社によるところの寡占体制なりそういうようなことがあってはいけないということに対しまして、私どもはそういう方向によって精糖企業の再建を図っていきたい、このように考えておるところでございます。  また、今後の構造改善を進めるに当たりまして重要な問題は、労使の関係でございます。これは、企業内部における労使間の話し合いはもとより、あるいは精糖工業会等、あるいは労働組合との、中央団体との共通問題についての話し合いも行う、そういうような形において、民主的な方法、意見の集約によってこの精糖企業の健全化が進められるように農林省としてはそういう方向で指導してまいりたい、こう思っております。
  84. 川村清一

    ○川村清一君 大臣のお答えの中でなかったことは、この法律は三年間の時限立法でございますので、三年経過、つまり法律が失効した後においても、いま大臣がおっしゃったようなそういう基本原則に基づいて、業界の体質改善のために全力を尽くされる御意思があるのかどうかということであります。これは、これからの質問の後に答えてください。  ただいま労使の関係についてお触れになりましたので、私は労使の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  この企業の体質改善が政府の指導で進められていく際に最も重要な内容となるのは、ただいま大臣も触れられましたが、雇用、労働条件に関して労働組合と業界団体との話し合いの機会がないということではこれは問題になりません。今日までの政府の御答弁を聞いている限りでは、政府が労使の問題に介入することは適当でないという立場を固持されております。原則的にはそれは正しいと思うわけであります。しかし、体質改善が円滑に行われるか否かは、一にかかって労使の話し合いいかんにかかっていると言っても決して言い過ぎでないと私は考えておる。農林省と精糖業界とが体質改善の具体的な方針を立てて、もしこれに意見があるならば、労働組合はその所属する企業経営者と交渉すればよいではないか、こういうようなことをおっしゃっているようでありますが、これは余りにも理解が足りない無責任な言葉であると私は考えておる。  その根拠は何かと言うと、第一には個別企業というものはその背後にある大手商社、銀行資本の強大な影響を受けておる。したがって、個別企業経営者はすでに当事者能力を失っておる、とう言っても差し支えはないのではないかと思うわけであります。したがって、体質改善の具体的な方向が業界レベルで決定して、個別企業がその実施段階で組合と交渉を行ったととろで、基本的な方向が変更していく余地はないと私は判断しておる。したがって、体質改善を進めるに当たっては、労働組合といわゆる業界レベルが随時協議できる場をつくることが絶対に必要である、こう私は考えておる。これに対する御見解をお聞きいたしたい。
  85. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほどの答弁で欠落をした分をまず申し上げますが、今回の法改正によって三年間の間に精糖企業の現在の経営過当競争等の問題、こういう体質を改善をして健全な姿に持っていくという努力を私どもするわけでございますが、その三年経過した時点においてどういう事態になるか、十分この法律の改正で企図いた、しましたような成果が上がっていくかどうか、その時点でこれは判断をしなければならない問題でございますけれども、今日精糖業界がこのままではいけない、この体質を変えていかなければいけない、これが消費者に対しても量並びに価格の面でも安定的に砂糖を供給するゆえんでもある、こういう基本的な方針で取り組んでおるわけでございますから、三年経過した後におきましても、そういう基本方針で業界の指導に当たってまいる、こういうことははっきり申し上げておきたいと思うわけでございます。  それからさらに、いま労使間の問題についてのお尋ねがあったわけでありますが、基本的には私は労使の問題は労使間で話し合いをする、できるだけこれを民主的に行い、特に個別企業の場合におきましては、経営者といえども、またそこで働く従業員の方々としても、その企業を守っていこうという共通の土俵がそこにあるわけでございますから、私は本当に労使がその企業の再建、発展のためにという考え方もとに誠意を披瀝して話し合いをすれば私は非常にりっぱな成果が上がるものだと、こう考えております。また、全体の問題としての共通の問題、精糖企業の労使間の共通の問題等につきましては、中央交渉等ができるような場が両者の話し合いによって生まれるということは私どもは非常に望ましいことであり、また、そういう方向に私どもも御相談に乗りながら進めてまいりたいと、こう点えております。
  86. 川村清一

    ○川村清一君 ただいまの大臣の御見解は、それは原則的に総論的には正しいと思うわけでございます。しかし、先ほど私が申し述べましたように、現在の精糖業界の体質というものは個別企業経営者がすでに当事者能力を失っておる、こういう段階で、その企業の所属労働組合と交渉してもらちが明かない問題がたくさんあるわけであります。したがいまして私は、これらの問題について業界と労働組合が話し合うというような措置をぜひとっていただく。いわゆる総論的には大臣の御見解が私は了承できるわけでありますが、現在の業界の実態というものをよくわきまえられまして、私の申し上げましたような措置をとるように御努力願いたい。  次に、もう一点お伺いいたしますが、これも今日まで委員会でいろいろ論議されておるわけでありますが、本法の施行によって砂糖消費者価格が上がるのではないか、あるいはそのために関連の事業が大きな痛手を受けるんではないかと、こういう御心配なり意見が提起されておるわけであります。もっとも本法によれば、第三条第一項第二号に、「その命令をすることによって一般消費者又は関連事業者の利益が不当に害されるおそれがある場合」事業団の売り戻しの延期措置がなされないことになっておる。歯どめは一応かかっておるわけであります。しかし、果たしてこの歯どめによって目的が達成されるかどうかということに一つの疑義を持っておる。なぜか、小売価格の動向にこの措置で十分対応できるかどうかということであります。小売価格というものはきわめて硬直的であって、一回上がってしまえば簡単に下がらない、すべての物資がそうでありますが、こういう性格が強いのであります。  したがって、小売価格が不当に値上げした状況を見て事業団が売り戻しの延期措置を解除したとしても、その粗糖が製品となって小売段階に供給され値下げ要因として機能するためには、かなりの時間がかかるのではないでしょうか。砂糖流通の実態は、大手総合商社が完全に握っておるんであります。四十九年のパニック時における状況考えてみても、これら商社の作為的な要因が加わってくることも十分考えられるわけであります。私はこういう疑義を持っておるんでありますが、これに対して政府としてはどのような御見解を持っていらっしゃるか、お尋ねをいたしたい。
  87. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いま川村先生御指摘になりましたように、この法律の条文自体でもって、三条の一項二号のところに「その命令をすることによって一般消費者又は関連事業者の利益が不当に害されるおそれがある場合」は命令をしない。それからまた、その前の一号の方でも、「精製糖の価格が平均生産豊を上回って推移している場合」やはり命令をしないということになっているわけでございます。この「精製糖の価格平均生産費を上回って推移している場合」というのは、これは具体的なそのときそのときの数字でもってはっきりは確認できる話でございます。でございますから、卸売価格自体については、考え方におきましても、具体的な指標といいますかその点におきましても、どういうときに命令をしない、あるいは命令をしたものを解除するという措置がとれることになって、卸売価格については、まずその点は政府の指導は十分発揮できるということは言えると思います。  先生御指摘の第二点は、それは卸売段階で仮にそういう措置がとられたとしても小売価格でもってはどうなんだと。そこは、一遍上がってしまうというと小売価格は硬直的でなかなか下がらないということもあるのじゃないか、小売価格段階も含めて政府はきちんと指導を図るべきだという御指摘、これはごもっともでございます。一般に、またどの商品でもそうですが、農産物、加工食品、価格は確かに硬直的なところがございますが、砂糖の場合は、比較的卸売価格に対して小売価格が連動している。大体二ヵ月から長くても三カ月くらいのタイムラグをもって、卸売価格の騰落が小売価格の騰落に結びついているような状況にあります。そういう従来の傾向からして、上がったものが上がりっぱなしというようなことにはならないのではないかとも思いますが、しかし、心配な点は確かにありますし、私ども食品流通局自体が、一面消費者に対する物価対策の責任を負っている局でもあります。当然小売価格の推移にも注意して、小売価格が硬直的に上に張りつくなどということのないように、十分指導してまいりたいと考えております。
  88. 川村清一

    ○川村清一君 時間がありませんので、あと一点で終わります。  これはむずかしいことですが、大臣の御見解をお尋ねしておきたいんですが、砂糖価格の安定を抜本的に図るために、思い切って砂糖輸入については糖価安定事業団が一元的に行う、こういう政策の大転換を行う勇気があるかどうかということであります。  本委員会において、かつて牛肉の輸入につきまして、衆議院から参りました畜産物価格安定法を修正いたしまして、いわゆる畜産振興事業団が一手に一元的に輸入すると、法律改正を行って衆議院に送り返したことがある。それから生糸でありますが、これは自由品であったが、現在、御存じのように蚕糸事業団が一元的にこれを輸入しておる。乳製品は言うまでもございません。このような処置をとれば抜本的な改正ができるわけでありますが、そういうお考え、勇断をもって行う勇気がおありかどうか、率直な大臣の御見解を承って、質問を終わります。
  89. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは、川村先生の御所見ではありますけれども、勇気の問題ではなしに、砂糖は御承知のように自由化された品目でございます。しかも、国際的に非常に関心の深い重要食品であるわけでございます。そういう中におきまして、これに需給の均衡が保持できるように、そして過当競争等も是正できるように、こういうことでございまして、今回の法案も糖安法序基礎にいたしまして、自由化された中において精いっぱいのぎりぎりの線でいまの臨時特例を設けることにいたしたわけでございます。これを真っ正面から一元輸入をする、あるいは輸入規制をするということ等になりますと、いろいろガット等の関連その他もございまして、非常にむずかしい問題があったわけでございます。そういうような観点からいたしまして、今回の措置は、諸般の事情から見てとれが私どもとしてはぎりぎりの対処策であると、このように考えておりますので、これを畜産振興事業団等のように一元輸入をするというような措置は非常にむずかしい。この法案の適正な運営を通じまして所期の成果が上がるように善処してまいりたい、こう考えております。
  90. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 同僚委員から各方面にわたりましての質疑がございまして、公明党といたしましても、生産者の立場、また消費者との関係、これらの問題につきまして今日までいろいろただしてきたわけでございます。私は、わずか三十分か四十分しか時間が与えられておりませんので、たくさんいろんな問題についてただしたい、このように思っておったわけでありますが、総括的に二、三点にしぼってお伺い申したいと思います。  まず、糖安法そのものについてでございますが、この問題については後から申し上げますけれども砂糖というのは、何といいましても国民生活に重要なものであることは論を待たないことだと思います。それだけに、砂糖に対する行政のあり方というのは非常に慎重でなきゃならぬ、こういうことは今日までもいろいろ言われてきたわけでありますが、いろんな取り巻く諸情勢というのは非常に複雑でございまして、投機的な要素があるということも私ども十分に理解をいたしておるわけでありますが、ちょっとここのところを見ましても、輸入制限の時代から自由化の時代、三十八年ですか、それから三十九年には甘味資源特別措置法、四十年に糖価安定法ができる。また日豪の長期協定、そしてまた今日この協定の改定とか、このたびの臨時特例法とか、こういうように非常に大きな投機的な要素もありますが、そういう客観情勢ももちろんあるのですけれども砂糖行政というのは、そのときそのときに非常に右に左に、右左か上下か知りませんけれども揺れ動いておるという、そしてその処した対策というものが、根本的な解決というかそういうものじゃなくて、やはり次の新しい問題、大きな問題をまた惹起するという、こういうことを繰り返してきておる。  こういうことから、四十年にできて、今日またここで特例を設けるということになったわけでありますが、少なくとも四十年にできましてから十二年の経過を見たわけであります。そして四十八年、四十九年のあの異常な事態を経験をいたしたわけでありますから、これらのものを踏まえてこのたびのこの特例法というのは、こういうものを反省した上に立った根本的な解決法といいますか、こういうものを目指しながら、一つ考えの上に置いた、しかし時間的な問題もあってこのたびはこういう処置に出る以外になかったという、こういうことなのかどうか。  さらにまた、当然これは精糖業者を初めとする商社、そういう方々に対するいろんな問題でもありますが、それとともにやっぱり消費者という立場も忘れてはならぬことでございますが、こういう消費者立場というものも念頭に置き、非常に移り変わりの激しいこういう商品であるということ等考え合わせた上に立ってのこのたびの特例措置の法案となったのかどうか、そこらあたりの見解をお聞きしたいと思います。
  91. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 砂糖を取り巻く条件というものは、価格がまず一番大きく変動するということがございますが、価格だけでなく全体的な事情、国際的な情勢も年々大きく変動いたします。国際的にもそうでありますし、国内的にもやはり変動する事情が多々あるわけでございます。行政はそれを反映して、右に左にと言われたわけでございますが、それなりに対応をした措置をとっていく必要があるということで、御指摘のように、三十八年自由化以来それなりの、そのときどきの措置をとってまいったわけでございます。  ところで、今回の措置は、そういうそのときどきの措置ということで、全般的な何か基本的な制度を見直しするための一つの前提なのかという御質問かと受け取りましたが、今日におきましては、いろいろ新しい問題もたくさん出てまいっております。中に、基本的な制度自体について検討を要するのじゃないかというようなその問題、あるいは御意見も承ることはあるわけでございますが、私ども現在の段階では、現行糖安法の仕組み、制度でこれはやっていけるという基本的な考え方を持っております。  ただ、今日の現在の状況からして、過当競争が余りにも激しい、企業努力による合理化というものも進まない、さらに豪州糖の事情というものがそういう問題に大きく影響しているというようなことを考えますと、この際、ともあれこういう手段によって需給調整を図る。そのことによって後のルールといいますか、基盤が整備されるというふうに考えているわけでございます。基盤が整備されるならばまた正常に復するということを考えているわけでありますが、先々のことを議論すれば、確かにそうやった後で完全に全く問題がないと言えるかどうかというようなことまで考えますと、むずかしい問題いろいろあるのではないかということもあり得ましょうが、私どもはとにかくこの措置でもって何とかやっていける、この措置をやることによって業界の正常化が期待できるという考え方もとにこの特例法を出しているわけでございます。そういう段階におきまして、これが基本的な制度改正の前提であるとか、基本的な制度改正を考えているというような考え方ではございませんので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  92. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、この特例法によりまして一番私ども関心の深いのは、やはりこの適正生産コストというやつをどう見るかということや、それからこの需給量というものをどう見るかという、ここらあたりにだんだん集約されるのじゃないかと思うわけでありますが、最初に一般的に、今回のこの法案による適正生産コストを大体一キロ当たり百九十五円というように言われているわけですけれども農林省がこの適正生産コストを算出する根拠といいますか、具体的にはどういうことで算出なさるのか、まずその点をお聞きしたいと思います。
  93. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 生産費のコストというのは、原料の入手価格に経費を加えてでき上がるのが普通でございます。砂糖の場合は若干複雑になっておりまして、輸入糖の場合、国際価格あるいはそのときどきの決めた価格でもって原糖を入手する、この価格が合理化目標価格より低いときは、現在の糖安法の仕組みに従いまして、安定資金あるいは調整金というものを納めることになっております。これは事業団売買、瞬間タッチの売買を通じましてその際に事業団に納めることになっております。さらに関税を納める、そういうことによって原糖の入手価格というものが決まります。この原糖の入手価格、これは歩どまり換算をする段階がございますが、歩どまり換算をいたしまして、精糖にしますための加工経費、さらに加工してでき上がった精糖を売り渡すための販売経費、これらを加算することになるわけでございます。その加算してでき上がった製品の価格にさらに消費税が加わるということで、最終的な総コストができることになります。その総コストがいわゆる平均生産費ということになるわけでございます。  現在、原糖の価格、これは半月ごとに国際相場の動向等を見て平均輸入価格というのを決め、それに基づいてそれぞれの安定資金なり、調整金なり、あるいは関税なりが算定される。そして原糖の価格が決まるわけでございますが、その半月ごとに若干の変動がある。とれをベースにいたしまして経費が加えられる。経費につきましては、今日トン当たり合計で四万八千八百十四円という固定した年度の見方をいたしておるわけでございます、内訳は、製造経費でありますとか、販売経費でありますとか、金利でありますとか、その他もろもろの費目があるわけでございますが、これらの合計がトン当たり四万八千八百十四円、キロ当たりにするというと四十八円八十一銭ということになります。いま出し上げました原糖の価格に経費を加え、最終的に消費税まで加えた価格がキロ当たりで百九十五円と、こういうことになっているわけでございます。  したがいまして、今日は百九十五円でございますが、今後原糖の入手価格が下がりますれば、とれは百九十五円より若干また低くなっていく。逆に、国際価格が上がって原糖入手価格が上がるということになれば、若干上がっていくということになるわけでございます。そういう計算の仕方でもって平均生産費ははじいております。     —————————————
  94. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) この際、委員の異動について御報告いたします。  ただいま青井政美君及び山内一郎君が委員辞任され、その補欠として三善信二君及び山本冨雄君が選任されました。     —————————————
  95. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いまのお話にもございましたけれども、やはりコスト形成する根本的な要因というのは原糖の値段ですね。これが大きいウエートを占めるだろうと思うんですが、いま一番論議になっております豪州糖、これを中心にして考えますと、現時点豪州糖を多く抱えている企業とそうでない企業では、赤字が多く出るとか、金利の問題とか、こういうことが出てきて、これを上乗せする企業とそうでない企業とあるわけですけれども、こういうものに対して、今後の推移に対して農林省当局としてはどういうふうに見ているかということ。  それから、豪州糖によりまして多くの借財をした、それの金利を払わなきゃならぬ。こういうことになりますと、非常に企業によっては負担が多くなる。現在卸売価格生産コストで一キロ大体百七十六円から百七十七円前後だと言われているわけですけれども、こういう中で、やはり安定した経営のできているところもあるわけですね。この法案は時限立法で三年ということになるわけですけれども、現在でも安定的にやっているところと、そうでない大きな負債を抱えて、しかも金利を上乗せしながら企業経営しなけりゃならぬ企業とあるわけですから、三年の間にこういう格差というものを縮めるなんということはなかなかこれは大変なことだろうと思います。  その企業の規模やいろいろなことによって単純には言えないのかもしれませんけれども、三年たったときにこれがどういう形になるかということは非常に大事なことだろうと思うんですけれども、やっぱりそれぞれの企業の力によってシェアの拡大競争というものが私どもとしては一番危惧されるところなんですけれども、現時点における企業のこういうそれぞれの格差、三年後のこういう危惧される点、こういう点について農林省ではどういうふうに見通されていらっしゃるのか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  96. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 生産費に及ぼす要素として原糖の入手価格、この格差が大きく企業間の格差になってあらわれるのじゃないか、それはそのとおりだと思います。その点、豪州糖負担を多くしょっているところはコスト的に見て不利にならざるを得ない。ただ、企業間の格差というのは、豪州糖に基づくものはもちろんありますが、その企業の操業率でありますとか生産性、その他経営の上手下手、いろいろ要素がありまして、それなりにやはり企業間の格差はあるわけでございます。一般的に大きいところが有利のようにも思われますが、必ずしも実態はそうではなくて、中小でもかなり業績を上げているというものもあるわけでございまして、格差は確かにまちまちでございます。  ただ、豪州糖負担をしょっているものはそうでないところに比べて、これはコスト上不利であるということは聞違いない事実でございます。この格差は決して小さくありません。大きなものでございますが、今回の豪州との価格改定交渉によりまして若干なりともそれを縮めることができているわけでございます。それから絶対額で縮めると同時に、残る引き取りを三年間で行うべきところを四年間にこれを薄めるというようなやり方もとっておりまして、単位当たりのこの期間における負担の程度は下がるということもあるわけでございます。それから、豪州糖価格が高いということの事情を配慮いたしまして、現在の糖安法の仕組みの中で調整金の徴収を免除しているというような政府措置も一部あるわけでございます。これらのことを考えますというと、豪州糖負担はまだ若干残るものの、かなりとれに基づく格差は改善されると考えておるわけでございます。  それから、現在百七十円そこそとの市価相場ということになっておりますが、その価格でも何とか経営を安定的にやっていけるところがあるのじゃないかというお話でございますが、これは著しく経営条件の悪い、もう赤字でどうにもならないというようなところに比べればの話でございまして、この百七十円見当の価格水準で決して十分採算がとれて健全な企業経営ができていくという状況ではございません。やはりそういったところも含めて、いま少しく市価価格の維持回復ということは必要だろうというふうに考えております。  いま一つ、回復を考える場合、私ども平均生産費水準百九十五円というようなことで考えているわけでございますが、このことによりましても、豪州糖負担を抱えている企業はいまの市価との差額、これが余りにも大きいのに比べれば、この面でもかなり改善が図られる。なおかつ豪州糖格差の残るものもございますが、あと三年なりあるいは四年なりという期間の問題でもございますし、その間の企業努力によって少ししんぼうしていただくということで、何とかその点はこなしていけるのじゃないかというふうにも考えるわけでございます。
  97. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ずいぶん楽観的と言うか、私どもは各企業の実態を全部調べ上げて云々しているわけじゃないから、ある程度の資料はありますけれども、しかし報ずるところによって天国と地獄の差があるということまで報道されておるのに、いまの局長の話はそうじゃないという、それほどのことはないということのようですが、もっともっとやっぱり厳しいんじゃないですか、厳しいというか、その差というものは.いずれにしましても、この法律をつくって処置をしようというわけでありますから、やっぱりその実態というものはひとつ的確に見ていただいて処置をしていただきたい、こう思うわけですけれども。  それから、通常の輸入量ですね、需給協議会等を設けて云々ということがございます。衆議院の附帯決議もございますし、私どもやっぱり輸入量というのは需給バランスをとるということは非常に大事なことだろうと思うわけでありますが、今度との法案ができますと、この通常輸入量というものを設定してその枠を超える分については一年間据え置くということでありますから、この枠を決めるということは需給のバランス、いろんなことを勘案してなさるわけだと思うんですけれども、これが今後の法の運用にとりまして非常に大事なことになってくると思うんですけれども、先ほど需給協議会の機能とか、あり方ということについては大臣からちょっとお話がありましたけれども、この算定に当たりましてはどういうことを根拠になさって、これを農林省としてもはじき出すかというここらあたりの、これは具体的に詳細にというわけにはいかないかもしれませんけれどもアウトラインだけひとつお示しいただきたいと思うんです。
  98. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) この法律の第三条によって「通常年におけるその者に対する当該期間ごとの指定糖の法第九条第一項の規定による売戻しの数量を合計した数量を超えるときは、」ということで、ある基準を考えて、それを超えるときに売り戻しの規制が働くということにいたしておるわけでございます。  この通常年の実績、これをどういうふうにとるかということでございますが、これは特に資源不足に対する懸念、思惑から大量の輸入を図ったとか、あるいは何か思惑があって駆け込み的な輸入をしたとか、そういうことによる輸入量の増大、それらのことは通常の措置、通常の数量とは考えない、そういう要素のない最も普通の年の実績をベースにするというふうに考えております。これはある期間の平均をとるか、最近のしかるべき単年をとるかというようなことになりますと、実はその総量におきましても、それから個々の業者の実績にいたしましても問題はいろいろありますものですから、それらの数字を並べて目下検討をいたしておるところでございます。  ただ、それはまず報告をとることの一つの基本的な条件、ベースでございまして、実際に売り戻しの延期をするような規制はどういうときに働かすかといいますと、三条の方へまいりまして、そういう申し込み数量が単に通常年の実績を超えるということだけじゃなくて、その後も「最近における砂糖の製造事情等を考慮してもなお売戻数量等からみて過大であると認められ、」若干飛ばして読みますが、「砂糖の需要量及び供給量の見通しに照らし砂糖需給の安定に悪影響を及ぼすおそれがあると認められるときは、」こういうときは売り戻しの延期を行うことができる。また、その命令を行うことができるということにいたしておるわけでございます。  この実際に規制の命令を出すのはどういうときかということになりますと、この段階で私は二条の考え方を基礎にした各業者間のシェアといいますか、その基本的な割り当ての数量というものがあって、それを超えるときはというような形に運用されるというふうに考えております。この割り当てシェアみたいな数量の決め方をどうするかと言えば、二条の考え方を基本にして政府が指導を行いながら業界で定めていくということになるわけでございますが、業界で決める場合にこれは過去の実績でありますとか、設備能力でありますとか、実績も単に生産輸入ということだけでなくて、販売の実績でありますとか、そのほかもろもろの要素を勘案いたしまして、昨年の十二月からことしの五月まで二度にわたって糖安法に基づく指示カルテルを発動いたしております。その際などの話し合いなども行われた経過もありますが、同じような手続を踏んで業界の中で調整を図るということによって決められるというふうに考えております。
  99. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 業界の中でそれぞれ話し合って、その設備、施設や何かに応じていままでの実績とかということのようでありますが、この輸入量の枠の設定というのは今後また非常に重要な問題になってくるだろうと思いますし、これはパニック状態の起きていない平常のときならばこの糖価安定法もまたなだらかに作動するのかもしれませんけれども、どうしても砂糖というやつは十年に一遍か大きな変化がやってくる。こういうことからいたしまして、そしてまた非常に投機的なものであるということ等考え合わせまして、やはり業者の輸入量の枠というものについては、私どもは今後もどういうように推移するのかという注視をいたしておるわけであります。またそれが、利権的なものにつながるようなことがないかどうかという危惧も抱くわけでありますが、全体的に見ますと、糖価安定法によりまして価格のことについてはある程度の調整期間というものを設けられる。今度は数量的に、これは通常年における需給バランスではラインを超えた場合ということではありますけれども数量的にも今度はある程度の規制といいますか枠が設定される。  金額において、それから量において、こういう両面からこの規制というか一つの歯どめのかかるような状態になるということは、これはコントロールの規制としては非常に強いわけで、これだけのことをするからには、今後において今日経験したような異常な状態を再び起こしてはならぬということであり、この法を施行するに当たりましてやはり消費者にそれだけの負担をかけ、また砂糖加工業者、これらの方々がこのたびの法案に対しては反対をいたしておるわけでありますが、それは砂糖の値上がりにつながるということであって、いろいろな環境条件の悪い中で菓子加工業者等につきましてはさらに悪い条件に置かれるということなんでありますが、こういう中で、やはり政府企業の整理なり、整理といいますか整備といいますか、いまのような状態から正常な姿に脱皮するために行政上なさねばならないこと、今日までいろいろな論議があったわけでありますけれども、こういうものを含めてきちっといたしませんと、金額的にも数量的にも今度は政府が見る、そういう立場に立つということでありますから非常に責任が重くなる、こういうふうに私どもは認識するわけですけれども、どうでしょう、大臣
  100. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今回の法改正、これは生産段階、流通段階、これを正常な姿に持っていこう、その前提として需給の計画を立て、そして需給のバランスの上に立って過当競争等を排除し体質改善を図っていくと、そういう方向に誘導する基盤をつくろうというのが今回の法改正でございます。したがいまして、私は末端の消費者の方々にとっても、あるいは菓子業界その他の砂糖を原材料としてやっております業界にとりましても、とにかく安定した基礎の上に立ってそれぞれの食品加工品の価格形成をされる。絶えずそれが乱高下している、動揺しているということが各食品企業にとってもこれは非常に不利な不安定なことでございますから、私どもはこれによって砂糖を使います食品加工業の分野においても、末端の消費者においても、量並びに価格において安定的な供給確保ができるようにと、そういう目的のためにこの法律の適正な運用を期してまいりたい、こう考えております。
  101. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 もう時間もありませんから長いお話できませんが、本委員会で同僚委員からもいろいろな問題点が指摘されたわけでありますが、要するに糖価安定法という法律がありますが、これはもう法律そのものに、適用し得ない、こういうときを迎えたといいますか、こういう異常な状態になったからこのたびの措置を設けなければならなくなった、二面から言えばそういうふうに見られると思います。また一面から言えば、砂糖そのものというものは非常に投機的な値動きの大きいものであり、十年に一度非常なパニック状態になる、そういうものなので、砂糖に関してはそんな法律できちっとするという、ほかのものと同じようにはいかぬのだという、こんな言い方になるかもしれません。しかし、私どもは政治家として民生の安定の上に立って、また砂糖という生活水準を安定させるというような上から言って、砂糖というものはそんな値動きのするものだということで安閑としていられないわけでありまして、やはり最小限度にこういう問題を抑制する手だてというのはしなければならないだろう、こう思うわけであります。  そういう点から私どもは、このたびの措置というのは非常に異常な状態の中でのことであって、何もしないということはこれは非常に国民生活、そしてまた業界に対しての非常な問題をそのまま続けることになる。こういうことから私どもやむを得ざる手段であろうかと、こう思うわけでありますが、しかしこれをしたからといって、最初冒頭申し上げましたように根本的な解決になるわけじゃございませんし、先ほど申し上げた砂糖はどうしようもないという考えの上に立つのではなくして、やはりこういう状態をも想定した上に、何度か経験をしているわけでありますから、こういう特例を設けなければならないような、そういう異常な状態を未然に防ぎ得る最小限、最大の努力をすべきではないか、こう思うわけであります。  そういうことからいいまして、本法そのものがこの成立当時、昭和四十年六月、当委員会におきましても五分か十分しか審議をせずして通過したという経緯もあり、私どもは本法の成立に対しましては、公明党としては非常に大きな疑義を持ちながらその慎重な審議を考えておったわけでありますが、わずか一問か二問の質問で成立をする。その後に異常な状態が何度か続き、そして今日こういう経過をたどって、ことにこの特例法を設けなければならないということに至っているわけであります。  こういうことを考えますと、やっぱりこのたびの臨時特例は特例として、局長は根本的にどうだこうだと言ったってそうはいきませんという話なんですけれども、やっぱり本法の根本的な問題に手を触れなければこれはならない時期に来ているんじゃないか。少なくとも十三年経過をし、今日これだけのいろんな経過をたどってきた経緯を踏まえて、この糖価安定法法律そのものに対してやっぱり根本的に検討するときではないかと私は強く考えておるんですけれども、あしたやるとかあさってやるとかということじゃ決してないんですが、そういう必要がないとお考えなのか。やっぱり十二年の経過を踏まえて、そして砂糖という非常に値動きの激しい、国際価格の中で揺れ動く、こういう中で砂糖は投機的なものでしょうがないという考えではなくて、やはり国民生活安定の上から、しかも低成長というこういう時代を迎えて法に根本的にメスを入れる、考え直さなければならないときだというふうにお考えなのか、その辺、ひとつ大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。
  102. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今回、国際的に保護貿易主義、これを抑制をしたい、できるだけ自由化の方向へ持っていかなければならない、こういう国際経済の諸情勢の中でこの糖安法に一部改正を加えまして、今日までの経緯を踏まえて今回の法改正をお願いしたわけでございます。しかしながら、今後この適正な運営を通じまして所期の目的を達したいと、こう思っておりますが、その結果等も十分私ども慎重に見きわめながら、国会初め各方面の御意見を聞きながら、もし根本的な改正が必要であるという場合におきましては、政府としても十分そういう情勢に対応できるように、国民食糧である砂糖の安定供給が確保できるように、そして国内甘味資源自給力向上にも資するように、そういう角度で法の見直しをする、そういうようなことではやぶさかではございません。十分政府としても対処していきたいと、こう考えております。
  103. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 特に、時間もあと五分しかありませんから長々申し上げる時間はございませんが、この糖価安定法の本法の根本的な欠陥といいますか、これはもう私が長々申し上げるまでもなく、四十九年の三月の上旬から五十年の五月下旬まで糖価安定法というのは完全に機能を喪失した。四十九年の十月に豪州との長期契約を調印して、平均輸入価格の算定に豪州長期契約価格が算入されたのが五十年七月下旬から、そしてだんだん価格が上昇いたしまして弾力関税制の適用が四十九年の二月下旬から五十年の五月下旬、そして関税の完全免除、四十九年三月上旬から五十年の五月下旬、そして五十年の十月上旬に関税の全額賦課からだんだん価格が下落するということでありますが、この値動きの全体をずっと見ますと、四十九年三月上旬から五十年の五月下旬までは糖安法というのは全然機能しなかった。それはそういう非常に異常な状態で、そんなことを一々法でどうこうするわけにはいかぬと言えばそれまでのことでありますけれども下限の場合には、下落した場合にはどこまで下がってもちゃんと法で——どこまで下がるといったってそれは限度がありますけれども、しかし上限の場合も、価格が上昇する場合も、投機的な品であるということからいってそんないつまでも異常な値上がりが続くわけじゃございませんし、何かそこに法律として両方に機能するこういう取り決めというものがなければ、これは法律として本当に完全な法とは言えないのではないでしょうか。  非常に片手落ちといいますか、値が上がったときはこの法律の機能がもう喪失してしまう、こういうことを十何年も依然として見直されもしないでこのまま続けようというようなことでは、これは本当に今日の法体系の中で、財政的な裏づけや何か考えればいろんな問題があろうかと思いますけれども法律としては完全なものとは言えないと私は思います。そして十年に二度こういう異常な状態を迎えるということも、これはいままでの経験からもうわかるわけでありますから、ぜひひとつ私どももこの問題についてはまた、時間ございませんので機会を見てこの問題についてはいろいろ論議をしたいと思いますが、当局につきましても、いま大臣からお話しございましたけれども、そういう欠陥が現実にあったわけでありますから、ひとつ積極的な御検討をいただきたいものだと思うんです。  もう時間がありませんからあと一問だけ申し上げますが、いまこの法の働く三年の間に精糖業界の構造改善、こういうことがなされようとしておるわけでありますけれども、ここでやっぱり私ども公明党が強く主張しなければならないといいますかいたしたいことは、やっぱり政府としても、先ほど大臣からこの長期契約については半分責任がある、そういう御発言がございました。やはりこの業界に対してのそれなりの手だてを政府もまず努力をするという——最初もし大臣が、私は責任がないなんと言ったら本当にいろいろ言おうかと思ったんだけれども、責任の一端はありますということだから、どことなしにネコなで声で言うんですけれども、これは消費者に対しても負担のかかることであり、業界にとりましてもいろんな問題がある。業界はそれぞれタッチしているところですからあれですが、消費者、加工業者、こういうところに大きなしわ寄せがいく。  そして、政府が一体どういう努力をしたのかと、法律をつくっただけなんというこういうことでは許されないことだ。やっぱり業界に対しても、それ相応の政府のとるべき施策があるかと思います。それで一番問題なのは、いままでもいろいろ論議があったかと思いますが、私どももこの無制限な新増設、こういうものを抑制するということや、工場閉鎖等があるようなことがあってはならぬと思いますけれども、何といっても、この労働者の雇用不安というものを起こすようなことがあってはならぬ。また、企業とか商社、銀行等の責任においてこの精糖業界企業の諸問題については、やっぱり対処するように十分な施策を講じていただきたい。  それから、自給率の向上というのは、これはもう政府が策定いたしました長期計画から見ましても大分おくれておるわけでありますから、政府が責任を持ってこのぐらいはと長期計画を立てたわけでありますから、立てた計画はやっぱり実現するように、しかもいまは全体としてその必要性が叫ばれておるわけでありますから、この自給率向上のために万般の施策を講じていただきたい、このように思うわけであります。  この労働者に対する問題、企業に対する手だて、また自給率向上、この三点について大臣から所信をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  104. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今回の法改正、これは精糖企業の正常化、経営の安定、これを図ることを目的として、こういう自由化のあらしの中で可能な限りの措置として今回の法改正をお願いをしたわけでございます。私どもその目的を達成するように、今回の法改正の趣旨を十分生かすように適正な運営を図ってまいりたいと、このように考えております。  なお、それを通じまして全社的に企業経営の安定を図り雇用の不安を解消する、こういう面にもこの法律が十分生かされるように、私ども努力をしていく所存でございますし、業界の指導にも当たるつもりでございます。  なお、甘味資源作物の生産を向上して自給率を高めていくということは、これは一番基本的な大事な問題でございますから、価格対策あるいは生産対策、構造対策、あらゆる面から今後一層の政府としても努力をいたしてまいる所存でございます。
  105. 下田京子

    下田京子君 今回の臨時特例に関する法律案について、前回の質問の中で、特に精糖メーカーに介入している商社の実態、またそういう中で労働者への合理化問題がどういうふうに出てくるか、あるいは消費者への価格の値上げという形でのいろんな問題点をお聞きしてきました。  きょうは特に、大臣局長もずっと御答弁がございましたけれども、今回の法律案の提案のその陰に、わが国の甘味資源の作物の自給率が二割台にも及んでいないというところで、国内の産糖の資源の生産を保証していくということを非常に重視された所見があったと思います。ただいまも先輩委員の質問に対しまして、大臣から今後甘味資源作物の生産振興ということについて、これが基本でありますので価格生産体系等も含めて考えていきたいというお話がございました。  そこで、具体的に私はきょう第一に、この甘味資源作物の生産振興についてお尋ねをしたいわけなんです。増産の位置づけをもっと明確に私はする必要があるんじゃないか、こう思うわけなんです。  そこで一つは、来年度からの米生産調整との関係で、聞けばてん菜、これが特定作物に指定されていると聞いておりますけれども、まず第一に、これは間違いないでしょうか。
  106. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) そのとおりでございま  す。
  107. 下田京子

    下田京子君 そうしますと、農林省で出しております農業生産の地域指標の試案の中でてん菜というものが作物別展望というその中で出てこないわけなんですが、これはどういう理由でございましょうか。
  108. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これは工芸作物という中にくくられて入っておるわけでございます。
  109. 下田京子

    下田京子君 どこですか。具体的にこれをごらんいただきたいのですけれども、地域指標の試案の中の目次だけ見てもおわかりだと思いますが、作物別展望として八つ述べているんです。どれにも入っていません、何か理由があると思いますが。
  110. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これは六十年見通しの中には入っておるわけでございますけれども生産の地域分担ということで全国の作物の地域分担関係を明らかにするということの関係では、北海道は北海道独自の生産計画を持っておるというようなこととの関係もございまして、地域分担には入れていない。今回入れていないのはそういう趣旨でございます。
  111. 下田京子

    下田京子君 繰り返しますけれども、いまの答弁は、てん菜は北海道での特別な作物であるから、全国のこの地域指標の試案の中には入れなかったというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
  112. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これは地域分担の中ではてん菜はその他の中に入るわけでございまして、その他の中でも工芸作物は一括してくくって入っている。その趣旨は、さっき申し述べたとおりでございます。
  113. 下田京子

    下田京子君 私が質問したことについてどうなのか、答えていただきたいのです。てん菜については北海道の特別の地域の作物としているのか、その他のたとえば東北各県等へのてん菜の作付可能などということも入れているのか入れていないのか、そのことでございます。
  114. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 北海道だけということで考えておりまして、入っておりません。
  115. 下田京子

    下田京子君 その答弁を最初からいただけばよろしいわけですよ。問題は、北海道以外でもつくりたいという希望があるんです。そのことにつきまして、この北海道だけに限ったということ、これを改めて、そして東北、青森等でもてん菜を作付したいという希望がおありだと聞いております。そういう形での見直し等お持ちになることができないでしょうか。
  116. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 先生の御指摘でございますが、私どもは十分調査をする必要はあると思いますけれども、現在の段階で農家の側の大きな希望としてまとまって上がってきているということは、寡聞にして承知をしておらないわけでございます。
  117. 下田京子

    下田京子君 いまの御答弁ですと、今後は検討してその結果によっては入れてもいいということですか、だめだということですか。
  118. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これは北海道以外の地域を考えますと、農林省といたしましてもかつて暖地ビートあるいは青森県でビートを作付をするという計画がございまして、いろいろと障害がございまして現実には現在つくられておらないというような実態もあるわけでございますから、その問題につきましては、農家の側の御希望等あれば真剣に検討する必要があると思いますが、いまのところ農林省として生産を大いに北海道以外の地域において拡充をするという計画は持っておらないわけでございます。
  119. 下田京子

    下田京子君 ただいまの答弁で二つの問題で聞きたいんですが、一つは、いままで青森等でもつくりたいという希望を聞いていたけれどもいろいろな障害がございましてというお話だったと思うんです。いろいろな障害というのは第一に何でしょうか。  それから二つ目の問題で、今後しかし新たに希望があって、検討の結果つくるというふうな方向で考えるということでしょうか。二点。
  120. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 青森県で実はビートの生産をやったことがあるわけでございますが、なかなかはかばかしく生産性が上がるというところへいきませんで他の作物にかわってしまった。つまり、青森県における作付はそういう意味で蹉跌をしたという経過があるわけでございます。そういうようなことから、青森県においての歴史、経験もございますので、私どもとしては慎重に対処すべきであるというふうに思っておるわけでございます。
  121. 下田京子

    下田京子君 規模が小さくてできないというふうなお話かと思うんですけれども、これはやっぱり甘味資源の作物を振興していくというふうな点から考えたときに、北海道だけじゃなくて、気候条件等から見ても可能だということになれば、これからいろいろと検討する必要があるんじゃないかというふうなことを再度希望し、検討をお願いしまして、次に、同時に六十年見通しのお話も先ほど出ましたし、いままでも先輩委員からお話がありましたが、実際に六十年度を目途にしておよそ七万七千ヘクタールの作付面積を見ているわけですね。しかし、その中身が一体、今度の米生産調整との関係もございますけれども、転作でどのくらいやるのか、あるいは安定的に定着する見込みのあれはどうなのかという点で、この七万七千ヘクタールの作付面積の中でどのぐらいの転作を見ているんでしょうか。
  122. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 六十年見通しは先生のおっしゃるとおりでございますが、この六十年見通しを作成した当時の事情といたしまして、田の転換ということに大きく期待するという思想は余り大きく入っておりませんでした。現在四万九千ヘクタール生産をされておりますが、そのうち田からの転換でつくられておりますのは約二千五百ヘクタールということでございます。私どもは、しかしながら、現時点で米からの生産転換にもう少しアクセントを置いた進め方をした方がいいのではないか、国内甘味資源の増強にも資するということから、これを特定作物に取り上げましてもっともっと生産を伸ばしたいというふうに考えておるわけでございまして、いまのところ終着駅の数字をいじるというところまで考えておりませんが、さしあたりの目標としては少なくとも倍増、まあ三倍近くまでできれば持っていければというふうに、田からの転換のものを考えている次第でございます。
  123. 下田京子

    下田京子君 ただいまの御答弁との関係で大臣にお尋ねしたいんですけれども、来年の米生産調整との関係で具体的な発表をなさいました。で、その甘味資源生産振興という点で大臣は具体的にこのてん菜の転作ですね、どのような状況で見込んでおるでしょうか。
  124. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは、北海道におきましてはてん菜はいろんな意味で非常に私ども重要な作物である、甘味資源として重要であるというほかに、北海道農業としてやはり基幹的な作物である、こういう位置づけをやっておるわけでありまして、全国的な問題ではございませんけれども、そういうことに着目をいたしましてこれを特定作物に今回水田利用再編対策では取り上げて、そして転換奨励金等につきましても優遇措置を講じてまいる、こういう考えでございます。いま局長から申し上げましたように、たんぼの転換によるところのビートの生産はいままでの三倍ぐらいに伸ばしたいという目標のもとに指導してまいる所存でございます。
  125. 下田京子

    下田京子君 大臣がこのてん菜の生産振興について、特段に今度の稲作の転換等の事業その他のこともあわせて考えているという御答弁だと思いますが、問題は次に移るんですけれども、そういうふうに農林省大臣もお考えになっておられても、実際に見ていきますと、定着の問題なんですね。甘味資源作物としててん菜が今後本当に安定的に定着できるかどうかという、そのことでの心配がまた一方にあるわけなんです。  その点でお尋ねしたいんですけれども、これは大臣も御存じのように、現在のてん菜の定着率というのは三割にも満たないというふうに言われていると思うんです。そこで、これは御存じかと思うんですけれども、全国農業協同組合中央会で調査した資料ですね、この資料によりますと、具体的にこういうことがわかるわけです。てん菜は今後つくるけれども、転作奨励金が出ないならつくらないというふうに答えられている農民が五一・三%おるわけなんです。これは御存じでしょうか。
  126. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) その資料は私直接見ておりませんが、田からの転換のものでございますと反当収益に相当大きな開きがございますので、したがいまして、反当所得といたしまして水稲とのギャップを埋める施策がさしあたり当面のところは講ぜられなければなかなか転換をしないという性質があることは、十分承知をしております。
  127. 下田京子

    下田京子君 最初にこの資料はまだ見てないということですが、少なくとも全国農協中央会の資料でございますので、今年度三月に出ておりますものですから、ぜひごらんいただいて、本当に甘味生産の振興を期するということでの現地の声としてぜひ御調査いただきたいということをまず要望しまして、同時に、しかし転作奨励金との関係で、その価格の問題等で非常にいろいろと意見があるというお話、それは知っているというふうな御答弁だったかと思うんですけれども、全くそのとおりなんですね。特に、価格が低く稲作の方が有利だからというふうに答えている方が全体の三五・九%という数字を示しております。  これを見てないというんで、これでやっても仕方ないんですが、そういう状況がなぜ起きるかというと、いまお話しのとおりに価格のことですね。ことしの価格を見ましても実際にてん菜の場合には、これは御存じのようにトン当たり二万一千円の要求に対して決定は一万八千百二十円だったと思うんです。これは十アール当たり四・五トンとれると見ますと、十アール当たりで八万一千五百四十円という粗収入になるかと思うんです。これをお米と比較いたしますと、単純に労働の違いだとかいろいろございますからそうはいかないでしょうけれども、米の場合十アール当たり八俵で計算して、一俵当たり一万七千二百三十二円として、これは全体で十三万七千八百五十六円になるわけですね。こういうふうになってきますと、確かに今回の奨励金ということでもって十アール当たり特用作物ということで五万五千円ですか、それに一万五千円全部目標達成したときには上乗せになって七万円つくわけですね。そうしますと、確かにこの期間についてはてん菜をつくる農家というのは私はふえると思うんです。しかし、問題はこの奨励金がなくなったときの定着がどうかということなんです。その関係をどういうふうに見られるのか。奨励金をいつまでもつけていくのかどうかということが一点。  それから同時に、米の値段とのギャップがございます。大臣がよくおっしゃられておりますけれども、相対的な価格の見直し云々というお話ですが、米の値段を据え置いててん菜の値段をそこに近づけるという方向では、全体的にいまの物価水準とのかみ合いからいって、これは農家の所得をふやすことにはならないと思うんです。とすれば、せめて米並みの価格水準にてん菜を引き上げるという見通しをいつごろまでにお立てになるのか、大臣の所信をお聞かせいただきたいと思います。
  128. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いまの下田さんの計算でも、今回の転作奨励金を加算することによって稲作との収益性においてはほぼ均衡に近いものが確保される。その際問題は、三年間の間は、生産奨励金が出ている間はそれで生産は伸びるかもしらぬがその後はどうなるかという不安があると、こういうお話でありますが、そのとおりだと思います。  ただ、私どもは、今回の措置は単なる三年間の臨時応急の措置ではございませんで、これを十年ぐらいの長期にわたって転作作物を定着をさしていきたいと、こういう考えでございます。その間におきまして、ことしもてん菜の価格の是正につきまして措置を講じたわけでございますが、来年も引き続きいままでの奨励金の半分を入れたわけでありますから、来年もぜひそういう方向で価格の改定を図っていきたいと、このように考えておるわけでございます。  そこで、一方において米の生産費を据え置くとかそういうような形で他の作物の価格の是正を図って、あるいは生産奨励金を加味してそして均衡のとれるようにということを考えておるのではないかと、こういう第二の質問がございます。御承知のように、生産者米価につきましては食管法でもって米の再生産が確保されるように、また農民の生活の安定が期せられるように、それから経済情勢その他を勘案をして決めると、こういうことに相なっておるわけでありますから、今後米価につきましてもこの食管法の規定に沿いまして、その趣旨を踏まえて米価を決めていくと、こういうことでございますから、私はいま来年度の米価を据え置くとか何とか、そういうようなことは毛頭考えていないことを明らかにしておきたいと、こう思います。
  129. 下田京子

    下田京子君 そうしますと、てん菜についても生産に見合うような形での価格保障ということはこれからもずっと考えていきたい。それから、逆に言って、生産者米価を据え置くというようなことじゃなくって、農家の所得を保障する方向で考えていきたいというふうな御答弁かと承りますけれども、これはぜひこの場の答弁ということだけじゃなくって、大事なことは、いまてん菜の問題で話しているわけなんですが、米並みの価格保障ということでもって、奨励金でもって償うというんじゃなくて、そこにきちっと都市並みの労働賃金を織り込んだ価格の保障ということをやっぱり今後考えていただきたいというふうに思うわけです。
  130. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 米価と他の主要作物との相対価格を是正をしていく、これは今後引き続いて私ども努力していきたいと、こう考えております。  そこで、いま生産奨励金、転作奨励金をこういうことで決めておりますが、一方、だんだん相対価格が是正をされていくという場合におきましては、私は奨励金はだんだんその価格が上がった分引き下げていくとか、そういうことをしながら、最終的には私は生産奨励金がなくともその価格でもって自立できるような形態に持っていきたい、そういう目標で価格対策を今後進めていきたい、こういう考えであります。
  131. 下田京子

    下田京子君 価格については、十分今後検討したいというお話だと承ります。で、価格のことが、やっぱりしかし、まだまだ今後の見通しのことですからどこでどう変わるかということで課題としては残るわけですけれども、あわせて心配されているのは、国内甘味資源自給率向上という点で、てん菜に関しては輪作体系がきちっとできていないということだと思う。  それと、あと時間の関係で申しわけないんですが、もう一点一緒に聞きますと、機械の装備がかなり違うわけですね、これは御存じだと思うんですけれども。てん菜はてん菜用だし、あるいは豆用、麦用、芋用という形で、麦の場合ですとお米と同じ機械を使えるわけですが、そういう多種多様な機械装備をしているという点で、非常に投資にお金がかかるわけですね。問題はこういうふうにたくさんあるわけなんですけれども、この二点についてお尋ねしたいと思います。
  132. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) てん菜の輪作体系の中における定着の問題でございますが、これは畑作てん菜について言われることでございまして、北海道でもてん菜は畑作が主力でございます。しかも、地力維持に非常にこれは貢献する作物でございますから、北海道の畑地地帯の地力問題ということを考える上においても重要でございまして、私どもはぜひともできるだけ輪作体系の中にうまくてん菜を取り入れて、そして定着させるようにということがきわめて重要なことだと考えております。これについては、かなり試験研究も進んでおります。現地でかなり普及も見たという事実はございますが、まだいろいろの現地現地の土壌条件や、他作物との関係やら経営条件、いろいろのことを考えまして、まだまだ研究すべきことは多々残っておりますし、また、これを農家の段階に理想的な姿で普及をするという面で努力を要する点があるというふうに認識をしておるわけでございます。重要な問題でございますので、今後も真剣に取り組んでまいりたいと考えております。  それから、第二点の機械の問題でございますが、確かに北海道の大きな畑作地帯において、豆類でございますとか、それからジャガイモ、それからてん菜、それから飼料作物、いろいろのものを組み合わせて生産をしておる現状がございます。そういったときに、機械装備はそれぞれ、まあ共通で使えるものもございますけれども、御指摘のとおりその作物特有のものも多い。しかも大規模につくるということになると、どうしても能率よくやるためには大型の機械を使う必要が多くなってまいります。その際に、大型の機械でございますれば効率的な共同利用の形というようなものをできるだけ中心にいたしまして推進をするというのが、一つの大きな施策のかなめかというふうに考えております。私どもも、機械銀行その他そういうような仕組みをここに適用をいたしまして、できるだけ効率的な機械利用が進むように指導してまいりたいと思っております。
  133. 下田京子

    下田京子君 ただいまの御答弁について、私は二つの問題点を指摘しておきたいと思うんです。  一つは、私は、輪作体系ということがずいぶん言われているけれども具体的にどういうものがあるんだろうかということで聞きました。いま試験段階だということでございます。となれば、ここで問題点が二つあると言ったのは、一つは、甘味資源のいわゆるてん菜の生産振興、定着化という点で輪作体系がまだ試験の段階だというところ、これで果たして本当にその六十年度見通しの方向でもって国内甘味資源生産振興ということで大きく近づけていくことができるかどうかという点での問題点です。  それから、同時に二番目の問題点は、すでにお米の生産調整との関係でもって減反割り当てを出してきました。しかし、御存じのように、てん菜の場合には連作できないわけですから、一般的にはてん菜あるいは飼料作物、いろんなあれで出されておりますけれども、これがきちっとした形で出てこないということになれば、やっぱりこれは安心した形でやれないだろうというふうなことです。その問題点を指摘しておきたいと思います。  それで、二番目に大きな問題に移りたいと思いますけれども、こうして砂糖の問題については国内における自給を高めていくということがやっぱり一つの基本になるかと思うんですが、同時に、それとの関係で国内の産糖メーカーの役割りというのが非常に重要になるかと思うんです。御存じのように、てん菜はそのままいいわけですが、沖繩のサトウキビについては、国内産糖メーカーでそれを精製してやらなきゃならないわけですね。ですから、国内産糖メーカーが精糖メーカーに売り渡す事業が入ってくるわけです。その際に、この国内産糖メーカーが非常にいま苦しい状況に追い込まれているというお話、これは御存じだと思うんです。そして、この人たちから実は私のところにも陳情書が来ているわけです。この陳情書を読みますと、今度の臨時特例法の成立を急いでほしいというお願いなんですよ。ただ、中身を見ますと、どうしてこういう陳情をするかと言いますと、こういうことを言っているわけです。「私共国内産糖製造業者は国の保護育成の範囲を超える多額の再販値引きを強いられている実状であります。」云々というのが出ておりまして、つまりこれはこの工業会の陳情された方々の話なんですけれども糖価事業団の売り戻し価格よりも約一〇%からの値引きを精糖メーカーから要求されているんだ、こう言っているわけです。言ってみれば、この人たち大変苦しい状況だ、だから精糖メーカーがちょっとでもよくなれば私たちこんなにまた苦しめられなくたっていいんだからというふうな形で、要はこの人たちは——この人たちはと言うのは国内産糖メーカーの皆さん方は、糖価安定法に基づいての事業団で保証しているその価格をまずきちんと保証してほしいという、そういう要求だと思うんですよ。この点、御存じでしょうか。
  134. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 先ほど先生が、輪作体系については試験研究の段階で何も結果が出ていないというふうに御理解になったとすれば、私の説明不足でございますので、これは国なり道の試験研究機関の研究されておる方々あるいは専門技術員なり普及員の方々が普及に取りかかっておられますので、その方々のことも念頭に置きますと、これは実はいろんなタイプの輪作の体系というのがあるわけでございまして、たとえばてん菜−バレイショ−小麦−大豆というような順序に入れる、あるいはてん菜−大豆−バレィショー小麦という形に入れる、その間に牧草とかあるいはゲントコーンをまぜる、こういうようなことがあるわけでございます。それで、そういうタイプに即しましてこれを現地で普及をしつつあるわけでございますが、現地適応ということになりますと、その土地の条件ですね、それから経営のタイプ、大きさ、労力事情、いろいろそういったものをすべて考えてやらなければいけないという意味で、まだまだ現地適応上研究すべきものもあるしということを申し上げております。  したがって、今後なお基礎的な試験研究の面で研究すべきことはまだあるというふうに申し上げましたが、いまそういう形の体系の普及に努めつつ、また足らないところは研究しておるというような現状でございますので、一言申し上げておきたいと存じます。
  135. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 沖繩、鹿児島の甘庶糖関係の企業あるいはそれと関係しておりますところの生産者の方々から、いま先生が言われたような陳情の来ていることは私も十分承知いたしております。
  136. 下田京子

    下田京子君 そこでなんですけれども、沖繩のサトウキビというのは大変重要な経済の中心を占めているということは、もうこれはすでに論議が尽くされてきているところでありまして、本当に国内の産糖メーカーがぐらついてしまって倒産云々なんという事態に追い込まれたら、これは沖繩のサトウキビ農家の生産者だけじゃなく、沖繩全体の経済にも影響するという重大な問題を抱えているということは、もう御承知のとおりかと思うんです。そういう中で、実際に国内産糖メーカー、日本分蜜糖工業会が具体的に出してきていることなんですけれども、まず一つは、こうした精糖メーカーからの値引き要求ですね、これを改めてほしいということでございますけれども、それについての行政指導はどのようになっているでしょうか。
  137. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 先生言われるように、沖繩のサトウキビの生産者が安定するためには、そのサトウキビを買って原糖をこしらえる国内産糖の製造業者の経営が安定すること、これが必要でございます。事業団は、この精糖企業からコストに見合った価格で一たん買い入れて、これを市価に見合った価格で、若干市価参酌ということでその間調整があるのでございますが、売り戻します。要するに、企業努力をすればその価格でもって引き合うだろうという価格で売り戻すわけでございます。ところが、沖繩でつくったものは粗糖でございます。これを売る相手先は、国内の精製糖業者でございます。精製糖業者は輸入等を数量的には大部分精製して売っている。その自分の輸入して売っているところの精製糖の価格が暴落しているというようなことから、国内の産糖についてこれを正当なコストで買えない。自分の企業経営悪化しているということから、これを値引き要求するわけでございます。現実にトン当たり一万円程度の、そのときによって、それから企業間の結びつきいかんによって若干差はありますが、一万円程度の値引きが行われているという状況はございます。  私ども、これは国内産糖のメーカーの経営の安定の上にも問題があり、ひいては国内甘味資源生産者の上にも大きな影響が及ぶということで、正常な取引を維持できるよう精糖メーカーに対しても各般の指導を行っているところでございます。  ただ問題は、やはり砂糖も経済物として流通する商品でございます。それから粗糖のメーカーの段階でも、その年の収量あるいは操業率、歩どまりといったような点で、若干の経営努力なり経営上の幅のあるところもあるものですから、どうしてもそこは交渉事項になる。全部政府がまる抱えというような制度でもございませんので、その間の交渉で製品の価格条件が悪いとどうしても値引きが行われやすいという事情がございます。そこで私どもは、やはり沖繩の国内産糖メーカーの経営を安定させるためには、部分的な面でなく基本的にやはり商品としての砂糖全体の価格、流通関係を正常化することが一番大事なことじゃないかということで、今回の措置もそういう観点から実施することといたしたわけでございます。
  138. 下田京子

    下田京子君 基本的には砂糖の需要供給関係、価格の安定云々というお話でしたが、現に私が尋ねましたのは、新聞等でも報道されておりますけれども、本当にこの国内生産メーカーですね、産糖メーカーが実際にいま精糖メーカーの業界の方から値引き要求されていると、それで困っていると、この値引き要求を抑えてもらいたいということなんですよ。だからその値引き要求に対して、一体指導はあったのかどうかということなんです。
  139. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いま申し上げましたような全般的な措置も指導の一環でございまして、そういう前提のもとに当事者に私どもは適正な取引をするようにという一般的注意、指示を与えております。五十一年はわりあいとその点全体の経営状況もよかったせいか、国内産糖のメーカーはそれほどのダメージをこうむっておりませんが、五十二年はまあこれからの話でございます。私どもいままでもやっておるところでございますが、今後ともその取引価格の適正を期するために指導を続けてまいりたいと考えております。
  140. 下田京子

    下田京子君 今後とも努力するということでございますけれでも、この国内産糖メーカーというものは資本だとかあるいは再販の販売先等を見ますと、やっぱり大手商社が絡んだりいろいろしているわけですよ。それはよくわかるんですけれども、しかし現にいまのもと法である糖価安定法によりまして、その中で実際に事業団を経由して政府が交付金だとかあるいは輸入との関係で調整金だとかで実際補てんしているわけですよね。そういう状況の中で、正当な利益が保証されないというぐらいにいま精糖メーカーからトン当たり一万円とか一万五千円の値引き要求があるということは、逆に言えば、実際にそういうふうに決められている事業団の役割りだとか、あるいは法そのものというものが生きてないんじゃないかというふうにまでなると思うんです。それでは大変なことなので、やっぱりこれは適正価格でそれが取引されるようにということを、この点はしっかり義務づける必要があるんじゃないか、いかがでしょうかということなんです。
  141. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 先ほども申し上げましたように、コスト計算をして、その見合った価格でもって事業団が買い入れて、市価を参酌してこの価格なら十分売れるであろうという見込みで売り戻しをするわけです。その間高く買って安く売るということで、差額は財政負担なりあるいは調整金をもって賄うということになるわけでございます。  問題は、その売り戻されたものがそういう適正な価格、国産糖のメーカーが期待する価格取引されるかどうかというところだと思います。これは現実経営の問題として、どうしてもその年の状況によって国産糖メーカーにもその経営条件のいいときとそうでないときもある。一方、引き取る側の精製糖メーカーにも同じような条件が動き得る。現在、精製糖メーカーにとっての条件がきわめて悪いということから、やはり国産糖メーカーにも取引条件を厳しく当たるという結果になっているわけでございます。公定価格でもって一本で決めるというような仕組みでない、商品としての取引の関係なものですから、なかなか適正な価格といっても、これを守らなければ罰則というような形にもなりませんのでむずかしいところございますが、国内産糖メーカーの収支を考えども関係者に十分注意をしてまいりたい。それから、特に今回のこういう特例法の措置によりましてそういうことをやりやすい条件ができるということで、今後は十分そういう適正な価格の実現が期待し得ると思います。
  142. 下田京子

    下田京子君 時間が参りましたが、いまのことで価格の義務づけということを再度今後お願いしまして、質問を終わります。
  143. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
  145. 下田京子

    下田京子君 私は、日本共産党を代表して、本法案についての反対討論を行います。  砂糖は、国民にとって欠かせない重要な食糧であり、砂糖の安定的な供給のために、国内甘味資源作物の生産者に都市勤労者並みの労働報酬を織り込んだ生産費を償う価格を保障し、自給率を高めることが基本でなければなりません。昭和三十八年の砂糖自由化の結果、大商社による精糖業の系列化が進められ、過当競争が行われてきたことに、今日の精糖業界の構造不況と言われる原因があります。いま問題になっている日豪砂糖協定にしても、原糖輸入のシェア拡大という商社競争であったことは明らかです。  本法案に反対する第一の理由は、精糖業界を不況に追い込んだ責任が、大商社とそれを放置してきた政府にあることは明確であるにもかかわらず、本法案は大商社の責任を明確にしていません。大商社による精糖業界の不当な支配にメスを入れ、規制することなしに、大商社本位の精糖業の再編成が進み、国民への砂糖の安定的な供給も精糖業界の健全な発展もあり得ないことは明らかです。  第二は、砂糖価格を安易に引き上げようとしていることでございます。  第三は、昭和四十九年の砂糖パニックが、大商社価格操作によって引き起こされたことに見られますように、砂糖パニックが再び引き起こされないという保証はどこにもありません。そうした場合の規制措置について、本法案は何ら明記されていないことです。  第四は、この法律もとに農林大臣需給調整を行うことになりますが、その手続が民主的でないことでございます。わが党は、甘味資源審議会を生産者、消費者、学識経験者、砂糖関係者などの意見が十分に反映される構成にし、需給調整を行うに当たっては審議会の意見を義務づけるようにすべきだと考えるものであります。  以上、本法案は、精糖業界の不況問題に根本的なメスを入れようとせず、消費者と精糖業に働く多くの労働者の犠牲のもとに精糖会社の救済を図ろうとするものであり、わが党は反対するものであります。
  146. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  148. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川村君から発言を求められておりますから、この際、これを許します。川村君。
  149. 川村清一

    ○川村清一君 私は、ただいま可決されました砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案に対し、各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たつては、砂糖の安定供給、精糖業界の健全化及び国内産糖の需要の確保を旨として運用するとともに、次の事項の実現に努めるべきである。  一、砂糖の国際的な需給の動向に対処して、砂糖供給の安定性が確保されるよう、自給率の向上を基本とした諸施策を強力に進めること。    特に、甘味資源作物の生産価格対策を拡充強化し、国内産糖業の健全な育成に努めて、生産農家経営の安定を図ること。  二、本法の運用上重要な「砂糖需給見通し」については、関係者の意見が十分反映されるよう構成された需給協議会を設置する等により、的確かつ適正な見通しの策定を期すること。    さらに、精製糖設備能力、通常年の輸入量平均生産費等を公正妥当に把握し算定すること。  三、砂糖の各流通段階における今後の価格動向を正確に把握し、一般消費者及び関連事業者の利益が不当に損われないよう本法の適切な運用に努めること。  四、国際糖価の上昇により糖価安定事業団の機能が損われた場合、これに機動的に対処できる措置を検討すること。  五、中小精糖企業の業態にかんがみ、本法の運用については、その経営の安定が図られるよう十分配慮すること。  六、本法の施行に並行して、精糖業界の体質改善が行われるよう税制、金融等の措置を講じつつ、関係商社等も含め、適切な指導を進めること。    また、体質改善を進めるに際しては、業界段階における労使話合いの場の設定、労働者の雇用の安定、労働条件の改善等について万全の指導を行うこと。  七、本法施行期間内に精糖業界が健全な基盤を醸成できるよう十分指導するとともに、本法失効後の態勢に遺憾なきを期すること。   右決議する。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  150. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいま川村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  151. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、川村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鈴木農林大臣
  152. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、適切に対処してまいる所存でございます。
  153. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回の委員会は十一月二十四日午後二時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十三分散会      —————・—————