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1977-11-17 第82回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十七日(木曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  十一月十六日     辞任         補欠選任      木島 則夫君     三治 重信君  十一月十七日     辞任         補欠選任      田代由紀男君     亀長 友義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        農林大臣官房長  澤邊  守君        農林省農蚕園芸        局長       堀川 春彦君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部企        業課長      糸田 省吾君        大蔵省主税局税        制第二課長    水野  勝君        通商産業省貿易        局農水課長   矢口 慶治君    参考人        北海道農業協同        組合中央会会長  早坂 正吉君        北海道農民連盟        副会長      関根 正行君        精糖工業会副会        長        藤山覚一郎君        日本分密糖工業        会会長      仲田 睦男君        全国砂糖労働組        合会議議長    塚本 光三君        全日本食品労働        組合連合会中央        執行委員長    岡村  恵君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の  規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについ  ての臨時特例に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、木島則夫君が委員辞任され、その補欠として三治重信君か選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案を議題といたします。  本日は、参考人方々の御出席を願っておりますので、御意見を承ることといたします。  まず、参考人方々を御紹介申し上げます。  北海道農業協同組合中央会会長 早坂正吉君、北海道農民連盟会長 関根正行君、精糖工業会会長 藤山覚一郎君、日本分密糖工業会会長仲田睦男君、全国砂糖労働組合会議議長 塚本光三君及び全日本食品労働組合連合会中央執行委員長 岡村恵君でございます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多忙のところ、当委員会に御出席を賜りましてまことにありがとうございます。本日は、砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案に対する諸問題につきまして、それぞれ御専門立場からの危憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の当委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事順序について申し上げます。御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上お一人十五分程度とし、その順序は、早坂参考人関根参考人藤山参考人仲田参考人塚本参考人最後岡村参考人といたします。参考人方々の御意見開陳が一応済みました後で、委員から質問がありましたらお答えをお願いいたします。  それでは、早坂参考人からお願いいたします。
  4. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) 御案内のように、北海道寒冷地地帯でございます関係上、てん菜の培養につきましては非常に重要な役割りを持っていますので、今回、この委員会出席するにしましても非常な感激の中に御意見を申し上げたいと思っております。  すでに御案内のように、国の国内自給度向上目標内容等も私ども承知をいたしておるわけでございますが、過去いろいろな障害がございまして減収が二カ年も続いた関係上、反別が極端に減反の一途をたどりまして、業界の存在も危ぶまれるような内容まで落ち込んだ経過があるわけでございますが、今回御出席先生方の御支援どもいただきまして、私ども生産者糖業者とが一体となってこの反別確保努力をいたしたわけでございますが、昨年四万二千少々のものが農林省の公称としては四万五千になっておったわけでございますが、皆さん協力を得まして、今年は四万九千三百というふうなことで、三カ年計画を上回った実績を示しておるというのが状況でございます。しかも、作況は、昨年ほどではございませんが、平年作に見られるような収穫を得まして私ども安心をしておるわけでございますが、この機会に今日までの御協力に対してお礼を申し上げたいと思います。  てん菜重要性の問題についてはいろいろな表現がございますが、農林省中心となって北海道畑作研究会というものを設置をしまして、学識経験者の方が入りましていろいろ研究をしてまいりました。あるいは現地に出向いて現地研修会ども実施をいたしました。その研究会の結論といたしましても、やはり北海道畑作振興には、このてん菜を入れた輪作体系をしなければ北海道畑作というものが前進をしない、こういうようなことになりまして、私ども主張しておりますてん菜の意義というものも確認をしてもらったという経過がございます。といいますことは、畑作農家がどの圃場にもてん菜を作付できる条件を持つということが経済的に大きな意味を持っております。したがいまして、土地改良の問題あるいは圃場整備の問題いろいろこれは入ってくるわけでございますが、そういう中にあって、このてん菜がしかも北海道では酪農事業に絶対関連性がある。こういうようなことで、私どもこのてん菜定着を早めなければいかぬというようなことで、営農の上からもいろいろ指導しておるというのが状況でございます。  したかいまして、そういう考え方の上に立って今日まで生産者価格の問題あるいは基盤整備の問題あるいは砂糖類にかかわる関係法案改正の問題、このことは先生方も御案内だと思うのでありますが、今日まで甘味資源審議会でも満場一致で糖安法あるいは甘味資源法内容を整備強化すべきであるという提言を申し上げた経過どもあるわけでございますが、今回そうしたことが認められ、あるいは今年度の予算内容についても、反別確保するための奨励金あるいは基盤整備を初めいろんな対策が予算計上されまして今日の実積を迎えたということについて、われわれは意を強うしておる次第でございます。  今回、先生方に御苦労を願っておる糖安法あるいは甘味法、この内容を強化する内容をもって今後糖価の安定を前提にする糖価対策法と心得て、私ども非常に心強く感じておるわけでございますが、この際、畑作農家もことしの場合には非常に価格暴落等によって不安定な状況にございます。だがこの際、この法案を通していただきまして、てん菜定着北海道基幹作物としてこの輪作体系役割りを演じられるように、そういう営農指導ができるようにわれわれも持っていきたいと思いますので、ぜひとも今回のこの内容を一日も早く、末端では国会の事情を新聞、テレビ等で見て、流れるんじゃないかという不安を持っておるわけでございますが、先生方のお力添えでぜひとも通していただき、われわれに安心感を与えていただきたいことをお願いを申し上げたいと思います。  きょうは糖業者の代表の方もおいでになっておりますが、今日まで国内糖自給度は将来二八%にするという構想を持っておるようでありますが、現在もう一五を切れておる。そういう中にあって、この精製糖業界粗糖過剰輸入あるいは過当販売競争、こういうものが国内産糖価の上に大きな影響がございまして、われわれ生産者も非常に窮地に追い込まれた場面などもあるわけでございますが、私は業界皆さんにも生産者立場から節度ある輸入、そうしてこの製品の販売等に心がけてもらいたい、こう思っておる次第でございます。  今後、われわれは、北海道の特質を生かすためにはどうしてもてん菜中心にしなければならぬという畑作経営内容でございますので、われわれも十分努力します。あるいは業界皆さんも、今回の法律ができたにしましても業界が自主的な調整機能を発揮しなければこの効果がない、こういうぐあいに聞いておるわけでございますが、今後われわれは十分生産者としての役割りを演じていく考えでございますので、業界皆さんに対しても行政の上から、あるいは先生方からも、ほどよい指導の手を差し伸べていただきたいことをお願いを申し上げておきます。  私ども、今日までのいろんな行動の中に、外国では砂糖の問題については何らかの規制措置があるそうでありますが、現在は全くその内容がない、あるいは機能を持っておらぬというようなことで、今回この内容については非常に期待を持っておるわけでございますが、聞きますと、五十五年で時限立法だとも聞いておりますが、ぜひとも私は、将来糖価安定事業団機能を発揮をして、国内糖価の安定、そうして生産者安心をしながら生産にいそしめるような内容にしてもらうためには、糖業者の安定も必要であるしわれわれ生産者の安定も必要である、こういう三者同様の立場に立って効果の上がるような役割りを演じていきたい、こういう決意を持っておりますので、今後とも先生方の御支援、御指導お願いを申し上げまして、参考人としての意見にかえたいと思います。
  5. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) どうもありがとうございました。  次に、関根参考人お願いいたします。
  6. 関根正行

    参考人関根正行君) 北海道農民連盟関根でございます。  この特例法の問題について委員会に呼ばれまして、私ども立場意見を述べる機会を与えてくださいましたことについて、まず感謝を申し上げたいと思います。  私ども北海道農民連盟は、十勝、北見、上川を中心にいたしまして畑作地帯あるいは水田地帯農民農業向上のために自主的につくっている組織でありまして、砂糖原料でありますてん菜を耕作している農民の実は大多数が参加をいたしてございます。特に私どもは、国内産甘味資源でありますてん菜なりサトウキビの生産を振興して国内砂糖自給を高めるべきだ、そういうことを従来から主張してまいりました。ところが、現在の糖安法は、昭和三十八年に全く突然無防備のままの中で粗糖完全自由化前提にしてでき上がったという背景がございます。したがって、変動きわまりない国際自由市場における糖価のもとで、その国際糖価基準にして国内糖価がやはりこれに従属させられて今日に至っているというふうに実は言わざるを得ない一面がございます。特に私ども北海道で非常に劣悪な条件の中でてん菜を耕作しているわけでございます。  御承知のように、てん菜ヨーロッパ諸国などでは非常に春が早くて秋が遅いと、非常に生育期間も長いという中で、北海道は春が遅く秋は早い、そういう中で特に耕作者は、この間非常に品種改良などこれは国内の一部でも行われましたけれども糖業が特にヨーロッパからそういう新しい品種輸入するなり、あるいは紙筒栽培栽培期間を長く延ばして反収を上げるというそういうような働きをなしたりし、さらに生産者はいろいろの面で合理化機械化をして労働時間の短縮に努めてきたという中で、ようやく今日の面積定着しつつあるというふうに考えます。  しかし、この間問題が決してないわけではありません。特に先ほど申し上げましたように、糖安法の中で決められるようになっておりますこのてん菜最低生産者価格については、率直に申し上げましてパリティの上昇率以下に抑えられているという経過もございます。価格については、生産者として要求価格から見てはるかに低い価格で決められておりますからきわめて不満ではありますが、しかし先ほど申し上げましたようなことで、非常に北海道作物として大事だということがありまして、そういう生産者努力あるいは一部精糖業界努力で今日面積を保っていると言っていいのではないかと思います。  しかし、先ほど申し上げましたように、五十年以降の国際的な砂糖需給の供給過剰がこの糖安法に大きく作動いたしまして、実質的には糖安法の中で価格調整ができるようになっておりますけれどもオイルショック以来全くその役割りを率直に言って果たしておりません。特に、この国内産糖は、それは大きな影響を受けてございます。この法律の上では下限価格を下回ってはならないような仕組みになってございますけれどもオイルショック以来の状態を見ますと、国が決めてございますこの下限価格、昨年度にいたしますと百九十七円でありますけれども、それをはるかに下回ったいわゆる価格中心になって国内産糖処理がされているわけでありますから、売り戻しが百九十七円というものを下限にしておりますから、それ以下の場合まさに赤字覚悟でどんどん砂糖を売っていかなきゃならない。これが、いま国内産糖業が非常に苦しい立場に置かれている。  さらに、本年の場合は一応百八十五円という下限価格が決められておりますけれども、きのうあたりではすでに百七十円を割っておるという現況であります。特に、このままの状態で売っていきますと、売れば売るほど損だと。まず、二十円ずつ損をしていく。国内産糖は約三十万トンがらみありますから、これをこのままの状態で放置しておきますと、国内産糖業が六十億を超える赤字覚悟で売らなきゃならないということであります。  これは、価格調整メカニズムがまさに崩壊をしておりますからだめだと、やはり少なくとも数量調整をすべきだということを私どもは四年も前から甘味資源審議会なり原局に対しても強く言ってまいりました。それが、今回この特例法の中でそのことをチェックをするという、この砂糖の適正な価格形成なり当該期間輸入数量を超えたときはそれを農林大臣に報告してそれをチェックするということでありますから、これは私ども従来価格調整だけではだめだと、やはり数量調整国内産糖自給基磯にして、それ以外の外国から入るものについては秩序ある輸入をすべきだということを提起してまいりましたから、この点については基本的に賛成でありますけれども、非常に多くの問題を抱えております。  私は率直に申し上げて、きょう精糖工業会方々並びに糖業者方々も来ておりますけれども、今日のこの混乱を招いた重大な責任というのは、やはりそういう基本的な砂糖政策を忘れて、精製糖工業会並びにその背後にある商社利益シェア拡大、そういうものを中心にしてやはり無秩序な輸入なり、あるいは無制限な設備投資をして砂糖利益をむさぼろうとしたと言っては大変失礼な言い方でありますけれども、そう言って過言でないようなことが今日の混乱を招いているというふうに思います。  この背景に、いろいろ聞くところによりますと、豪州糖の問題その他も含んでおるようでありますけれども、問題は、やはり砂糖というのは重要な農産物でありますし国民の食糧としてもきわめて大事なものでありますから、国内生産を少なくとも一定の量やっぱり確保するという前提で、ぜひそれを考えた上で足らざるものは秩序ある形で輸入をすべきだと。利益追求余りシェア拡大余り、力の強いものが最後まで出血を覚悟でやるという無謀な無秩序なやり方については、この糖安法のたてまえから言っても問題があるわけであります。こういう点については単に精糖工業会だけではなく、商社だけではなく、国がこの糖安法の精神にのっとって適切なやっぱり指導をすべきでなかったか。そういう面では、国の甘味資源並びに砂糖に対する政策というものがきわめて不十分であったということを指摘せざるを得ません。  先ほども申し上げましたように、基本的にはこの法案に私どもとしては賛成でありますけれども、しかし多くの問題を残しております。たとえばこの目的の中で砂糖の適正な価格形成を図ると言っておりますけれども、適正な価格形成というのは何を基準にしてやるのかということであります。いわゆる砂糖国際相場商品でありますから、非常に価格の変動があります。ですから、少なくともそういうものを中心にした価格形成ではなく、当然需給に見合い、さらに国内生産に見合った形での適正な価格形成をやはりこの中で位置づけるようにすべきではないか。  そういう点では、特に需給調整機能については私ども前から申し上げておりますから、特にこの中で砂糖政策糖価の安定を目的としながら数量調整機能の決め手を欠いていたという点を反省して、この砂糖調整に触れた措置国内において適正な糖価形成を図ることをやるためにぜひこの法案を成立させると同時に、これは農林大臣がこれを指示することになっておりますけれども十分関係者意見も入れてこの問題の処理ができるようなやっぱり需給調整機能をつくるべきだ。率直に申し上げて、需給調整協議会のようなものを関係者を入れてつくって、十分その意見を聞いてこの処置をするような処置をこの中でやっていただきたいというのが第一点であります。  第二点は、先ほど申し上げましたように、特に国内産糖については先ほど北海道早坂参考人が申し上げましたように、いわゆる長期見通しはありますけれども、現実に適応した長期計画はありません。二八%を目標にしていながら一五%を割っておるという現況でありますから、少なくとも国内生産計画を明らかにして、さらにこれにいろいろな生産対策を含めて自給向上させて、少なくとも目標の三〇%くらいに国内産糖自給率を持っていくようないろいろな措置をやっぱり講ずることが必要だと思います。  いかにこの需給調整機能を設けて砂糖の適正な価格形成をすると言っても、諸外国と違って二割程度、二割以下の自給でそれ以外は外国から相場商品として商社が輸する、チェックしたとしても適正な砂糖価格形成が成り立たないというふうに思いますから、国内産糖自給を高めてそれを基礎にしてこの点の取り扱いをお願いいたしたいというのが、第二点目であります。  第三点目は、特に私どもとしては糖安法の一部の手直しだけでは抜本的な改正にならないという主張を実は繰り返してまいりましたし、特に参議院の十月五日の農林水産委員会での畑作物支持価格等に関する決議をいただいてございます。その決議の三番目に「糖価安定事業団に対し、粗糖需給調整機能を付与する等早急に制度の改善を図ること。」ということで、このきょうの提案をされている特例法よりさらに前向きの決議をいたしてございます。ぜひそういう方向でこの問題を今後検討していただきたい。当面これでやってはみますけれども、こういうことをひとつ検討していただきたいということが第三点目でございます。  それから最後に、私どもとしては従来から、甘味資源審議会なりあるいは原局に対しても、糖安法甘味資源特別措置法あるいは農安法という甘味資源にまつわる一連の法律についてはやはり見直すべき時期だ。特に、畑作物の中で唯一の審議会であります甘味資源審議会機能の強化の問題、少なくとも米審並みにこの審議会に対して価格の諮問をすべきだという主張を繰り返してまいりましたけれども審議会もこの意に沿って再三にわたって大臣に建議をいたしておりますけれども、残念ながらまだ日の目を見ておりません。そういう面でぜひこの法案は、当面私どもはやむを得ないし、やはり数量を規制するという面では基本的に私の考えと一致するわけでありますから、この法案がぜひ本国会を通ることを念願いたしておりますけれども、いま言った諸問題、四つの問題を含めて今後十分この国内産糖を守る、自給率を高める、そして秩序ある糖価をつくり上げる、そして日本砂糖行政を前向きにするという意味での御検討をいただきたいということをお願い申し上げて、参考人意見開陳といたしたいと思います。
  7. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) どうもありがとうございました。  次に、藤山参考人お願いいたします。
  8. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 精糖工業会の副会長を務めさしていただいております大日本製糖藤山でございます。  貴重な時間を賜りまして、私ども意見を述べさしていただく機会を与えられましたことを厚く御礼申し上げます。  時間の関係上、四つの点について順序を追って申し述べたいと思いますが、最初精糖業界の現在までに至る経緯をごく要点述べさせていただきまして、二番目といたしまして、現在どのように業界がなっておるか、現時点での非常に苦しんでいる状況を申し述べさしていただきたいと思います。三番目に、そういった状況下業界といたしましてどういう自主的な努力をいたしておりますか、解決策努力いたしておりますかということを申し述べさしていただきまして、最終の四番目に、今回の御審議中の法案についての意見を述べさしていただきたいと思います。  最初に、精糖業界の過去からの経緯でございますが、終戦後、昭和二十六年ごろからいわゆる精製糖事業というものは本格的に再開されまして、当時は外貨割り当てによる原料糖輸入という仕組みのもとで精製業が始められまして、それ以来国内消費が順調に伸びてまいりましたし、業界としてもそういった中で発展をいたしてまいったわけでございます。ちなみに昭和二十六年には十六社、十八工場ということでスタートいたしまして、現在では三十二社、三十八工場が存在しているわけでございます。  しかしながら、昭和三十八年夏に粗糖原料糖輸入自由化が行われまして、それ以後今日に至るまでほとんど赤字操業の連続のような状態が続きました。昭和四十年に糖価安定法が制定されまして、先ほど関根参考人が述べられましたように、十分な成果は得られない形で推移したわけでございます。この糖安法の制定当時におきましても、需給調整機能というものを含むべきだといったような議論あるいは意見というものも、私ども業界からも申し述べたというふうに聞いておる次第でございます。単なる輸入国際相場国内精糖価格との遮断というふうなメカニズムは理論的には考えられると思いますが、十分な機能を発揮できないということは事実でございます。  そこで、二番目の現在の業界の苦境でございますが、四十年以降何回かの不況カルテルも実施いたしましたし、また今年の上半期におきまして糖安法による指示カルテルといったようなことも実施の運びでございます。しかし、その間国際糖価が、何分相場商品でございまして非常に乱高下を続けていく、あるいはいわゆる物資不足、パニックといったような経済変動といった影響も受けまして、今日の業界の実情は、きょう現在の時点におきましては約千三百億余の累積欠損というものを全体として抱えているということが実情でございまして、数社を除きましてはそれぞれ資本金の数倍あるいは十倍に近いような赤字、資本欠損のような状態でございます。また、現に今年に入りましてから二社が破産あるいは破産申請中といったような状態になってまいったわけでございます。そういった損益面での惨たんたるありさまからいたしまして、金融面でも非常な苦境に立っておりますが、こういった状態が続きますれば、さらに倒産あるいは破産といったような会社が次々とあらわれてくるといった厳しい状況が予想される現在なのでございます。  そこで三番目に、私ども精糖業界としてこういった苦難に対しまして、自主的にどういった面で切り抜けていくかといったことでございますけれども、まず一つは、今回の苦境の大きな原因でございました豪州糖の高値といったものを是正するために豪州に対して値引き交渉を行う、これによって原糖コストを下げるといったことを、まず大きな課題として昨年来取り組んだわけでございます。これにつきましては政府の非常なるバックアップをいただきまして、食品流通局長も豪州の中央政府に日豪の全体的な関係から事態の円満解決を慫慂していただきましたし、また今年八月のクアラルンプールでのASEAN会議の際におきましても、福田総理大臣は豪州のフレーザー首相といろいろ会談されまして、互譲の精神による円満解決というのが望ましいという話を強くしていただきました。  私ども民間としても、昨年の六月以来何回もミッションを送りまして、とにかく現在の契約価格国際糖価の二倍半以上も高い値段であり、今後の長い日豪の砂糖に関しての友好的な関係を続けるためにも、この際値引きに応じてわが業界の健全化というものをすることが豪州にとっても必要なんだというふうな話でいろいろやりました。その間、契約の解釈をめぐって両者が対立いたしましたり、あるいは砂糖を積んできた船が最終的には十六隻ほど東京湾に一月以上も停泊するといったようなこともございまして、われわれとしては、われわれの契約の解釈はこういうことだ、値引きを要求する権利があるという立場でいろいろ交渉したわけでございます。  先月の二十六日に、民間当事者といたしましては大筋に関しての合意という条件改定に対する合意ができまして、現在詳細な契約改定の実務を取り進めておる次第でございますが、その値引き交渉の結果は、私どもにとって必ずしも満足な値引き額が得られなかったことは事実でございます。従来の契約量年間六十万トンというものを、期間を延長することによりまして若干の薄め効果といいますか、単年度当たりの負担量というのは減らしましたし、またその減らした量をカバーするためにはこれは自由市場価格と連結するような値段で買うといったような仕組みで、両者歩み寄りの結果そういう方式で妥結いたしましたけれども、肝心の値段の引き方については、われわれとしては当初期待しておりました数字よりははるかに下回ったようなことになりまして、これは私、交渉の際に幹事といたしまして当面の窓口でございましたので私の責任でもございますが、非常に残念だと思っておるわけでございます。しかしながら、そういうことで従来よりは若干の負担は軽くなったということでございます。しかしながら、まだその面での負担が完全に解消されたという事態にはならない形で今後さらに過ごしていかなければならないというのが実情でございます。  それから、そういったコストのほかにも、各企業それぞれ合理化、省力化努力というものを続けてまいっておりますし、さらに何よりも協調ということでの価格維持、需給バランス回復ということについては極力精糖工業界内部でも煮詰めてやっておりますが、しかし何分この砂糖の商品の特性上、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、いわゆる相場商品、投機商品的な色彩が非常に強いという点もございまして、ややもすると販売拡張あるいは量産志向といったようなことが、これは商品の特質上どうしてもそういうふうになってしまう。どこの会社の製品をとりましても同じような品質であり、品質競争というふうなこともできかねる。やはり量的な面での競争によってコストダウンをする。そうしますと、需要が非常に伸びておる時点においてはさして問題はございませんが、このような一般的不況のもとで砂糖の需要も停滞するというようなことになりますと、そこで供給過剰というふうな形で値崩れが起こるというような、私どもとしては非常にみっともないような率直に申しまして状況を続けておるわけでございます。  そこで、私ども最後法案に関しましては、ぜひともこの特例法案におきましてその需給調整というものを、ひとつ国民経済の大きな観点から国産糖の問題も含めまして適正なる需要量、需給バランスというものの尺度のもとで私どもが安定した供給というものを続けさしていただくという仕組みをぜひつくっていただきたい。もちろん、私どももこういった仕組みができてそれですべて能事終われりと安住するものではございませんし、また消費者の方に不当な高値を押しつけるという気持ちは毛頭ございません。この与えられた期間の間に、精糖業界としましては自主的な努力、体質改善を行いまして、砂糖の供給責任と適正な値段で安定供給を続けるという社会的責任を果たしていきたいと、こう思っておりますので、どうかひとつよろしく諸先生方におかれましてもこの法案を御審議くださいまして、私ども精糖業界の窮状を救っていただくために御承認願えれば非常に幸いだと思います。  以上で私の意見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  9. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) どうもありがとうございました。  次に、仲田参考人お願いいたします。
  10. 仲田睦男

    参考人仲田睦男君) 日本分密糖工業会の会長をしております仲田でございます。  去る十一月一日、当参議院の農林水産委員会におきまして貴重なお時間をいただき、砂糖価格安定に関する臨時特例法案が今臨時国会におきましてぜひとも早目に成立しますよう陳情を申し上げさしていただきましたところでございますが、貴重な時間をいただきまして私ども陳情さしていただく機会をつくっていただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  この法律の成立いかんは、私ども国産糖の企業だけではなく、生産農家の死活問題でございまして、一日も早く国会通過ができますことを、重ねて冒頭にお願い申し上げる次第でございます。  このことは、沖繩の生産農家はもちろんのことでございますが、同じ甘蔗糖地域の鹿児島県の南西諸島の生産農家も製糖企業も全く同じような意見でございます。参考のために両県の規模別の状況を申し上げますと、合計でございますか、サトウキビが生産農家戸数五万二千四百九戸、収穫面積か三万二千六百七十一ヘクタール、これは前年のものでございますが、収穫量百九十七万五千六十九トン、砂糖生産量二十三万一千五百四十九トン、そのうち分蜜糖が二十二万八百四十六トン、黒糖が一万七百三トンでございますが、このうち精糖企業の数が両県合わせまして分蜜糖が十八社、含蜜糖が十二社ございまして、合計三十社の規模でございます。これが砂糖の総需要量の約一〇%に相当するわけでございますが、両県のキビ作農家はさらに生産増強に日夜努力しておる実情でございます。  これから私が申し上げますことは、沖繩県と鹿児島県とほとんど共通している問題でございますが、本日は主として沖繩県の事情について申し述べさしていただきます。  台風と干ばつの常襲地帯でございます沖繩県におきましては、サトウキビが最も適作農産物として戦前、戦後を通じてキビ作が拡張発展してまいった次第でございまして、現在では本土の米作同様、基幹作物として全農耕産物の約七〇%以上を占めるに至っておるわけでございます。本土復帰前は何かと本土の手が十分に伸びなかったうらみもございましたが、その後、ここに御出席先生方の所属される各党の現地視察等もございまして大いに現地認識をいただきまして、着々基盤整備その他の施策がなされつつありまして、感謝にたえない次第でございます。  御高承のとおり、沖繩県の甘蔗糖は、一部の県内消費を除きまして大部分が本土の精製糖業者を通じて消費者に提供されているわけでございますが、私ども生産者側のお願いといたしましては、国内産糖でございますので大事に使っていただきたいということ、すなわち、国内産糖優先に御使用願いたいものだということを常々希望いたしておる次第でございます。そのためのあらゆる施策はとっていただきたいということでございます。  しかしながら、現在私どもが一番困っておりますことは、私どもがつくりました粗糖について、糖価安定事業団からの売り戻しを受けた後その粗糖を本土の精製糖業者に販売するわけでございますが、その取引におきまして政府の行政指導によります価格があるわけでございますが、先ほどからもお話出ましたように売り戻し価格でございますが、これがストレートに本土の精製糖業者に売られなければ原料代が払えないような仕組みになっておるのでございますけれども、これが実施されないで私ども非常に困っているわけでございます。四、五年前までは、製糖開始前にきちんと取引価格か決められたのでありますけれども、この二、三年来は、いろいろ精製糖業者の事情もあるわけでございますが、本土の精製糖業者の経営困難のために、製糖期か終了してもなかなか値段を決めることができない状態でございます。それも製糖開始前から繰り返し値決めの交渉に入っているのでございますけれども、その都度、土俵にも上がることもできず、仮仕切りのまま決算期を迎えるというような状況でございます。しかも、大幅な値下げを余儀なくされるというような実情に追い込まれておるわけでございます。  本土精製糖業者の経営の苦しい理由はいろいろあると思いますけれども、いずれにしましても、本土の精製糖業者の経営が成り立たなければ、私どものつくった粗糖が適正な価格で引き取ってもらえないわけでございまして、このままでは私ども国内産糖の製造業者の経営が非常に不安であるばかりでなく、ひいては、サトウキビを生産しています生産農家に及ぼす影響が非常に深刻なものであるわけでございます。このように国産糖は薄氷を踏むような思いで操業いたしておるわけでございまして、常に不安定な状況下に置かれておりますので、ぜひこの糖安法需給調整機能を付与し、糖価の安定と糖業の安定を図られますよう、伏してお願い申し上げる次第でございます。  このことは、繰り返し申し述べましてまことに恐縮でございますが、台風、干ばつ等ときわめて環境の悪い条件下でサトウキビをつくっております生産農家の切実な願望として受けとめていただきたいと思いますので、お願い申し上げる次第でございます。  なお、生産農家代表といたしまして沖繩県農業協同組合中央会長、これは会長自身が所属している組合でも製糖工場を持っているわけでございますが、また、それに沖繩の黒糖企業の工業会長の森根武信、これは離島のまた離島で黒糖をつくっておる先ほど申し上げました十二の工場から成っているわけでございますが、この黒糖は昨年約一万トンの生産があったわけでございますが、やっぱり先ほどの関係もございまして需給調整かうまくいっておりませんので、約三分の一の砂糖が売れ残って来期に持ち越しというような状況にあるわけでございます。この金倉の負担も大変なものでございますか、そういったような非常な苦しい状況にあるわけでございますが、この二人も私が参考人として呼ばれたことに対して、ぜひともこの特例法案の一日も早く本会議を通過していただくことを渇望しているということを先生方お願いしてくれということをことづかってまいりましたので、あわせてお願い、御報告を申し上げまして、私の御意見といたします。ありがとうございました。
  11. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) どうもありがとうございました。  次に、塚本参考人お願いいたします。
  12. 塚本光三

    参考人塚本光三君) 全国砂糖労働組合会議議長塚本でございます。  私たちは砂糖産業で働いている労働者でございますが、こういう国会の場で労働者の立場意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことに、感謝申し上げます。  いま、私たち砂糖産業で働いております労働者は、かつて経験したことのない大規模な首切りと生活不安に脅かされておるわけでございます。すでに昨年の九月、明治製糖の川崎工場の閉鎖、ことしに入りまして大分県の新光砂糖工業と三重県の東海精糖の工場閉鎖が強行されまして、合わせて千人近い労働者の生活が奪われたのでございます。しかも、このような雇用不安と生活不安は今後ますます広がり、さらに深まる様相を示しているわけでございます。このような労働者への深刻な攻撃というものはいまに始まったことではないわけで、政府が昭和三十八年八月の末に、国内措置を講ずることもなく突如として断行しました原料糖輸入自由化以来、十年以上にわたって過当競争を続けているわけでございます。  その原因は、言うまでもなく、申し述べましたように、原料糖自由化にあるわけでございます。原料糖輸入自由化は、高度経済成長政策のもとで政府の砂糖産業切り捨てと、商社利益を保証する政策であったということは、その後の事態の推移を見ていただければ雄弁に物語っておると思っております。諸外国におきましても原料糖自由化というのは、二、三を除いてその例を見ない無謀なものであったと私は思っております。この自由化を契機にして、精糖メーカーは先を争って原糖の輸入生産、販売の競争に乗り出し、過当競争を現出しまして、砂糖労働者は四千人以上の首切りを強行されたのでございます。私たち砂糖で働いております労働者は、これを第一次合理化攻撃と言っております。  この業界混乱の過程で、商社がその膨大な資金力を背景としまして精糖メーカーの支配に乗り出し、系列化を進めてまいりました。昭和四十五年十一月の三井製糖の発足は、商社主導による業界再編成の突破口となりました。工場と事業所の閉鎖が相続きまして、そこで働く労働者の生活がますます厳しく、これで生活が奪われていったのであります。これを私たちは、第二次の合理化攻撃というふうに言っております。これによって砂糖業界は、現在御承知のとおり、三井、三菱、丸紅、日商岩井、伊藤忠、この五大商社か支配する産業になったのであります。  石油危機を引き金としまして発生しました、昭和四十八年から四十九年にかけました国際砂糖相場の暴騰を背景として締結されました日豪砂糖協定というものは、業界を支配する商社輸入市場の独占と、それによって国内での競争を一挙に優位の立場に立とうと、そういうことをねらって締結されたものだというふうに私たちは思っております。これによって、三井、三菱の豪州糖グループと、それ以外の商社との間の対立は一挙に深まりました。その後、国際原糖相場が大暴落したことにより、その対立は決定的なものになってしまったのであります。この中で、精糖メーカーは生き残るために工場、事業所を閉鎖して、商社はみずからの系列内での系列関係の薄い企業に対しては、資金融資のストップや原糖の選別の供給を行いました。そして企業を破産に追い込み、労働者の首切りを強行してきたのであります。明治製糖の川崎工場の閉鎖や新光砂糖工業の破産や東海精糖の現在生産ストップは、まさにそれの具体的なあらわれでございます。  私たちはいま、次の合理化攻撃を、第三次前段の合理化でないかというふうに位置づけているゆえんでもあるわけでございます。このような業界混乱に対して、政府・農林省はいままでいかなる対応をしてきたのでありましょうか。  政府は、昭和二十八年の一月、てん菜生産振興臨時措置法の制定以来、一貫して国内産糖業の保護育成の方針を掲げてまいりました。これは関根参考人も申し上げたと思いますけれども、不十分ながら一定の助成策を講じてまいりました。しかし、政府の無謀なこの自由化断行や法の目的さえ達成できない糖価安定法の制定と運用、さらに商社業界支配の放置など、砂糖行政の失敗によってせっかくの国内産糖産業保護政策も空洞化されたのであります。精糖業に至りましては、一片の政策もなかったと言わざるを得ないのであります。政府の総合食糧政策の重要な柱であります重要食糧の長期輸入協定の推進によって具体化された日豪砂糖協定が破産に瀕しているとき、契約の当事者は民間だとしてみずからの責任にほおかぶりをしてきた政府の態度こそ、この間の精糖業に対する政府の政策を雄弁に物語っているものではないかというふうに思います。  政府の無策に加えまして、膨大な資金力を背景としました商社の倒れるまで戦う苛烈な競争というものと、依然として投機的経営から抜け出せず、相場に失敗すれば労働者への首切りや労働条件の切り下げであがなう精糖企業の経営者の攻撃の狭間で、私たちはみずからの生活と働く権利を守るためにこの三年間あらゆる困難を押して運動を続けてまいりました。  私たちの運動は、大別すれば国内産糖自給率向上であり、業界商社支配の排除による民主的な安定した業界づくりを目指したものであります。このために、恒久的な需給調整措置と、その国民的合意を保障する需給調整委員会の設置を糖価安定法の中に規定することによって、機能麻痺に陥りましたこの法律をよみがえらせ、法の目的を遂行するに足りるものにすべく運動をしてきたのでございます。  この需給調整によって、精糖業の常識を越えた過当競争を正常に回復させる、もって国内産糖業の安定を確保し、甘味資源耕作農民営農をも保障しようというものでございました。同時に私たちは、政府の食糧政策背景として、政府がその締結を積極的に支援し運用に関与してきた日豪砂糖協定の問題を政府によって解決し、言いかえれば、日豪間の交渉によって解消し得ない原糖の価格格差の解消のために、国内措置を強く要求してきたのでございます。業界の今日の混乱豪州糖の異常な価格格差を原因として増進されている以上、この解消のためにこれを推進し援助した責任に照らして、政府・農林省の責任は免れないものだというふうに思っております。  さらに私たちは、みずからの経営の失敗を、挙げて労働者の犠牲の転嫁によって償ってきた精糖企業の経営者とその背後にある商社に対して、業界の安定と労働者の声を反映させた業界をつくるべく、業界ベースの労使の交渉のテーブルをつくることを強く要求してまいりました。そのテーブルに、雇用不安を排除して人間らしい労働条件を確保するための最低限の要求であります、年間交代制労働日数の制限に関する協定の締結を求めてきたのでございます。これに対しまして企業と商社は、労働組合敵視の政策を正面に据えて、私たちの真摯な要求を一蹴して歯牙にもかけない態度を取り続けているのでございます。昭和三十八年の原糖の自由化以来、連綿として絶えることのない首切りの不安と生活不安に一日たりとも解放されたことのない私たち砂糖労働者が、みずからの職場と生活を守るために、業界の安定と労働者の雇用の安定を目指して業界ベースの労使交渉のテーブルをつくれという私たちの要求は、人並みの生活をするために夜勤の制限を求める私たちの要求は、これを理不尽とでも言うのでしょうか。  もちろん私たちは、これによってみずからの主体的な力量の不足を他に転嫁し、責任を回避するつもりはございません。昼夜をたがわず、文字どおり身を粉にして砂糖の増産を図ってきたのは、まさに現場で働く私たち労働者でございます。業界混乱を是正して雇用と生活の不安のない業界を築けという圧倒的な多数の砂糖労働者の叫びにも、呼応して立ち上がれない労働者がいることも事実でございます。しかしながら、経営者の指示によってまじめに日々の労働を遂行し、そのあげく生産過剰だとして首を切られるとしたら、その労働者に一体いかなる責任があるとでも言うのでしょうか。  政府は、業界の正常な秩序回復を目指して、砂糖の売り戻し特例法を現在上程して審議しております。その成立を期しております。その条文には、工場、事業所の閉鎖はもとより、労働者の首切りをほのめかす一文の文字すら含まれていないことは、疑いもない事実でございます。しかし、そこには、昭和三十八年の原糖の自由化以来、企業の延命と存続のために、六千人以上に上る砂糖労働者の失業と生活の破壊が再び繰り返されないという保証もないことは明らかでございます。否、むしろ政府と商社、企業は、精糖設備能力が二〇%以上も過剰であるとして、その廃棄のためにキャンペーンを大々的に繰り広げております。しかも、この特例法は、豪州糖問題の解決に名をかりてコスト競争をあおり、工場、事業所の廃棄を強要して多大の労働者の雇用を奪わんとしているものでもございます。  糖価安定法に基づく下限見合い価格の維持を至上命令とするこの法律需給調整は、合意された日豪砂糖協定の協定価格よりはるかに低い水準であります。この価格に近づけるためには、個別企業は好むと好まざるとにかかわらず精糖企業は生産集中を促され、工場、事業所の廃棄を強要されるに違いありません。これと同時に、企業別シェアの確定は企業の保護にこそなれ、労働者の雇用の安定につながるものでないことは、私たちの被害妄想ではなくてまさに冷徹な経済原則ではないでしょうか。しかも政府は、去る五十一年十二月一日の農林大臣の指示するカルテルの発動に当たって、精糖設備の廃棄を初めとする業界の構造改善を指示して、精糖工業会はこれにこたえて、設備の二〇%を廃棄する合理化案を策定していると聞いております。  さらに重要なことは、この法律案が三年の時限立法であり、その需給調整の権限がすべて農林大臣に集中されており、政府の固有の責任である日豪砂糖協定に伴う国内解決もうやむやにされようとしているものであります。およそ砂糖にかかわりその混乱をつぶさに経験してまいりました者にとっては、恒久的な需給調整なくしてこの業界の安定はないということは、もはや常識でございます。一体、三年後のこの法律の期限切れを迎えて、現在の混乱が再現されないという保証がどこにあるのでしょうか。さらにまた、砂糖という国民生活必需品の需給コントロールをすべて政府の権限に帰属させることに、深く憂慮を抱かざるを得ないのでございます。  以上の見地に立って、私たち全国砂糖は、政府か次の諸点を明らかにして、そのために所要の施策を講ずることを強く要求するものでございます。  第一に、日豪砂糖協定の改定交渉の合意に伴う国内措置を講ずることでございます。  第二に、労働者の雇用の確保と安定施策を講ずることでございます。そのために、私たちの要求である交代制労働日数制限の協定の締結を、業界の経営者に強く指導していただきたいということでございます。  第三に、恒久的な需給調整措置を講じていただきたい。これは前にも述べましたので、三年間の時限立法ではこの業界は安定していかないということがもはや常識になっているということでございます。  第四に、民主的な業界を築くために、業界レベルの交渉体制を経営者が確立するよう行政でぜひ指導をしていただきたい。  この四点、これらの施策が講じられない限り、この法律案需給調整に名をかりた労働者の首切り法案であり、商社と企業の利益を擁護するものとして、私たちは反対の表明をせざるを得ないことを考えるものでございます。これこそが、前後三次にわたって加えられました砂糖労働者の累々たる犠牲をこれ以上積み重ねないという保証になるものだからでございます。私たちの真剣な要求につきましては、どうか国会の場で十分審議していただくことをお願い申し上げまして、私の意見陳述にかえたいと思います。
  13. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) どうもありがとうございました。  次に、岡村参考人お願いいたします。
  14. 岡村恵

    参考人岡村恵君) きょうは、食品労連を代表いたしまして意見を述べさしていただく機会をつくっていただきましたことを、お礼を申し上げたいと思います。  私は、砂糖を初め食品加工を含む産業で働いている労働者で組織されている食品労連を代表して、臨時特例法案に対する意見を申し上げたいと思います。  食品産業は、国民生活に最も密着した産業でありますが、多くの業種を抱え、少数の大企業、多数の中小零細企業が存続する典型的な二重構造を持つ産業であります。中でも、砂糖は食品加工の主要原料として幅広く使用され、すそ野の広い商品であり、その影響は食品産業全般にわたり国民生活に不可欠の食品であります。  今日の不況とインフレの進行に伴う需要の停帯に加え、円高対策として、政府は輸入の拡大を図るために菓子類などの関税の引き下げを図ろうとしています。この傾向が将来引き続き実施されれば、輸入商品に対する競争力は低下し、わが国の食品企業のような経営基盤の脆弱な企業は、経営が成り立たなくなることが懸念をされます。なぜならば、企業規模が小さいことに加えて原料が割り高であり、特にわが国の砂糖価格は世界の中で最も高い国の一つであります。したがって、砂糖価格の大幅な上昇は食品加工工業全般にとり、とりわけ中小企業には重大な打撃を与えることを考えずにはいられません。  今日の砂糖、とりわけ精製糖業界は、未曽有の経営危機と雇用不安に直面をしています。この原因は、政府・農林省政策と強力な行政指導によって行われた日豪長期契約の失敗と、それを契機に引き起こされた商社ぐるみの過当競争にあります。長期契約の豪州糖は、政府・農林省の総合食糧政策の重要な一環として、長期輸入協定を通じて安定供給を図るという観点に立って締結されたものであります。この契約は、民間ベースの協定とはいえ、日豪両国政府の政治折衝を経て、農林省も、両国の砂糖関係者との協議はもとより、わが国の通産・大蔵・外務の各省庁に働きかけ、その支持と協力のもとに成立したものであります。また、民間契約としては異例な公文の交換が行われ、国内法の一部改正をしてまでして成立されたものであり、民間ベースとはいえ、政府・農林省の責任は重大です。  日豪砂糖協定は、二つの問題点を含んでいます。  第一は、固定価格制であるために、国際価格の大幅な下落により二重価格を生じてしまうことです。  第二は、豪州糖の引き取り比率が一律でなく、三井、三菱系列の企業は三〇%前後、丸紅、日商岩井、伊藤忠系列の企業は一〇ないし一五%と異なっています。しかも、長期豪州糖価格は一般国際糖価に比べて二ないし三倍という高値原糖であることから、豪州糖の引き取り比率の大小がそのままコストにはね返ってしまいます。とすれば、豪州糖グループは安い一般糖をふやすことによって豪州糖を薄めコスト低減を図ろうとし、他方、非豪州糖グループは、低コストという有利な競争条件を利用してシェアの拡大を図ろうと増産をします。このことが過剰生産を生み出し、糖価の大幅な下落を引き起こし赤字幅が大きくなるという中で、各企業とも多額な赤字を累積してきたと思います。ちなみに、業界全体で千三百億のうち、豪州糖グループ五社の合計だけで九百億という赤字を見ても、いかに豪州糖とその引き取り比率が企業の重荷になっているかを証明しています。  一方、このような砂糖業界が際限のない過当競争を続けていることは、大手商社との関係を抜きには考えられません。砂糖業界は前述の五大商社の系列化にほぼ組み込まれており、原糖の輸入、製品の国内販売、資金援助を通じて各砂糖企業を完全に支配しています。商社は、わが国最大のマーケットである食品産業に対し、砂糖が食品加工の基幹原料でありすそ野の広い商品であることから、砂糖を支配することによって食品加工全体に影響を行使でき利益を吸い上げることができます。したがって、商社は系列下の砂糖企業をてこ入れし、少しでもシェアを拡大しようとしています。  ですから、精糖各企業は採算を度外視しても製造を続けざるを得なくなり、このことが赤字幅を大きくし、商社ぐるみの対立と競争を激化させてきたのです。商社か精糖企業に対する援助をやめれば、精糖企業はたちどころに経営を維持できなくなり、倒産、全員解雇の最悪の状態を引き起こし、その犠牲が三交代という過酷な労働に耐え一生懸命に働いてきた労働者とその家族の生活を根底から破壊してしまいます。東海精糖、新光砂糖工業の例が示すとおりであり、現下の状況のもとでは、どの企業も同じ不安におびえながらも過当競争を繰り広げているのが実態です。  以上述べてきたとおり、今日の砂糖の不況は政府の言う構造不況ではなく、むしろ長期豪州糖の失敗という政策不況にあると言われ、政府のミスリードの不況というのが正確であり、またそれをあおっている商社の責任も大きいことが明らかです。私たちは、今日の砂糖業界状況及び砂糖の持つ商品特性も考え、次のような立場に立っています。  それは食糧、特に砂糖のような国民生活に不可欠な必需物資は、海外依存するのではなく、最大限国内生産するように努力すべきであり、そのために国は本格的な努力を講ずる必要があると考えます。安易に輸入に頼る政策豪州糖問題を引き起こした根本問題であると考えており、自給率向上のために真剣な努力を行うことが大切であると考えます。  また、砂糖労働者の雇用と生活を脅かすような経営の危機を早急に改善する必要があると考えます。しかし、そのためには、今日の危機の原因、問題点を明確にし、それを解消していかなければならないと考えます。採算を大幅に下回る経営を長期に続け莫大な赤字を累積している現状は異常であり、一時的に安い砂糖が供給されたにしても、企業倒産などにより必要量が供給できなくなり価格の暴騰を招いたりする危険があり、長期的な観点でとらえれば好ましいことではないと考えており、適正価格での安定を図る必要があります。さらに、砂糖の商品特性から言って、末端価格が大幅に引き上げられることは国民生活や食品加工業への影響など種々問題があり、また砂糖離れを促進させます。したがって、税負担や金利などの軽減により、可能な限り価格への転嫁を防ぐ措置も必要であると考えています。  今臨時国会において審議中の砂糖法案は、いままで述べてまいりましたように、次の点で不十分であると考えます。  それは、今日の砂糖業界の危機の原因に対する責任が明らかではありません。それを踏まえた対応策になっていないことであります。豪州糖の改定交渉が国際紛争へと発展しかねない状況のもとで、大局的な見地から日本側の大幅な譲歩によって当事者間での話し合いが合意を見ました。その内容は、若干の改善がされたとはいえ、なお大幅な二重価格のままであります。こうした大幅な二重価格をそのままにした需給調整では、豪州糖の引き取り比率か平均を上回る企業においては、現在より縮小されたとはいえ依然として赤字か累積され、他方、下回る企業には相当な利益が確保されるというアンバランスが、少なくとも三年間累積をすることは明らかであります。このような状態では業界の安定も協調も困難でありますし、このことは、豪州糖比率の高い企業に働く労働者の雇用不安に拍車をかけることになると思います。シェアを固定し需給調整を行い、商社グループごとに集中生産、スクラップ化によるコストダウンを図ろうとすることが確実であり、したがって、この法案内容だけでは雇用不安を解消できないばかりか、商社主導による再編成の促進、構造改善と大幅解雇の地ならしの役割りを果たすことが懸念をされます。  さらに、需給調整によって適正な価格を形成したにしても、その値上げ分がそっくり消費者価格に加算されることになり、国民生活や食品加工業に対する影響が配慮されていないことも不十分であります。  集約して言うならば、豪州糖の二重価格を解消するための国内措置がとられない中での需給調整は、法案目的とする業界の安定と協調、真の経営の安定も図れない。また、砂糖労働者の雇用不安も解消されません。したがって、私はこの法案では不十分であり賛成することはできません。  最後に、私は、砂糖業界の危機がますます進行する中で、危機の打開のために次の緊急な措置を講ずる必要があると考えます。  第一に、豪州糖国際糖価との二重価格を縮小するための国内措置を講ずること。  第二に、需給調整に際して委員会を設置し、公正、公平に行うこと。  第三に、糖価へのはね返りを抑えるために税負担の軽減を図ること。  第四に、倒産、大量解雇を防止するために特別融資や金利の引き下げを指導し、あわせてコストの引き下げを図ることであります。  私は、少なくとも衆議院農林水産委員会において全会一致で採択された附帯決議内容を直ちに確実に行う責任が、政府・農林省に課せられていると考えています。このことが明らかにされていない現在では、法案に対する見解を反対として述べるしかないと思います。  どうか、以上の点をぜひ諸先生に十分おくみとりいただきまして御審議いただければ幸いだと思います。
  15. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) どうもありがとうございました。  それでは参考人方々に対し質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 北修二

    ○北修二君 参考人皆さん、大変御多用なところ、しかもおのおのの立場で重要な御意見をお聞かせいただきましたことを、まずもってお礼申し上げる次第でございます。  まず第一に、中央会の早坂正吉会長にお伺いをいたしたいと思いますが、八点についてお述べになられましたが、まず第一にお話がございましたのは、従来非常に北海道てん菜につきましては作付が減少をしてきた。しかし三年計画といいますか計画を立てて、その三年をことし一年で目的を達したと。面積をふやす点について大変な御指導をされ、御苦労されたと思いますが、この内容についてどういう御苦労をされたか、お話をお聞かせ願いたいと思います。
  17. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) もうすでに御案内のように、北海道てん菜糖業に関しましては私ども農業団体も経営をしております。したがって、ひとり農業団体あるいは生産者が独走をしたんではすべての業績が上がらない。こんな関係で、北海道には農民組織なども入れましててん菜協という組織をつくっております。したがいまして、糖業者もあるいは生産者行政皆さんも、お互いの立場を理解するようなムードをつくらなければならぬ、こういう考え方で、昨年などは農林省からも参加を願いまして先進国の視察をした経験がございます。ことしは道庁だけ入りまして先進国の視察をしております。ということは、お互いがそれぞれの立場でそれぞれの役割りを果たすことがてん菜振興に大きな役割りを持つと、こういう考え方でそうしたことをやっておるわけでございます。  ことに、最近農家も非常に厳しい姿勢を持っておりますので、北海道に取引条件を上手に運用するために公平委員会なんというものをつくりまして、現地に出向きまして、歩引きの問題あるいはその他いろんな取引条件があるわけでございますが、そういう問題に対しても生産者に不安と不満を与えない、言いかえるならば、生産者があって業界である、業界があって生産者である、お互いの人格を尊重しながらてん菜振興に寄与することが北海道農業振興に資するんだと、こういう考え方でわれわれはその指導役割りを果たしつつ今回の増反に努力をしてまいったわけでございますが、御承知のように、いまいろんな話がございましたが、ことしから初めて農林省から反別を確保するための金額は小さいが奨励金が出ました。あるいは道庁においてもいろいろ奨励するためにこれの金利補給などをしまして奨励政策を、もう会社も行政も政府も一体となって、今回この反別確保努力したというのが経過にあるわけでございますが、まだまだ不十分ではございます。  しかしながら、私は生産者の意を体して業界が取り組むという姿勢を強調してまいったわけでございますが、やはり精製糖の中では労組の皆さんとも相入れない内容のものがあるようでございますが、私は三者一体となって、このてん菜振興が北海道農業の発展につながるという基本方針を持って今日まで進んでおるわけでございますが、やはり生産者の意欲を高める手段、方法に苦労したという思い出が数々ございますが、今後も政府の、あるいは行政の、あるいは業界の理解ある中にあっててん菜振興に努力していきたいと、このように考えております。
  18. 北修二

    ○北修二君 どうもありがとうございました。  それでは関根参考人にお聞きいたしますが、特に五点ですかお話かございましたが、最後の方に、適正な砂糖価格はこれを運営するために関係者意見を聞く委員会等をつくれ、こういうお話かありましたが、これについてもう少ししさいに御説明願いたいと思います。
  19. 関根正行

    参考人関根正行君) 率直に申し上げて、砂糖の適正な価格形成というのは、自給率ヨーロッパのように一〇〇%も自給率があれば、それはそれなりにそこの国の産糖コストというのはそれを中心にして決まるわけでありますけれども、残念ながら現況では国内自給が二〇%を割っておりますから、砂糖の大多数というのは、当然相場商品であります砂糖の相場によってそれを商社輸入をして、そして溶糖するコストを見て、そして砂糖価格というものが決まるわけでありますから、そうしますと、国内産糖のようにかなり努力をしても、どうしても最低生産者価格ですら、パリティを勘案して生産費を償うような価格で決めると言っても、現実には農林省の統計情報部の生産費調査でもきわめて利益のない作物だと言われておりますから、そういう面ではやはりこういう生産農民もそれから流通をする業者も、あるいは砂糖で働く労働者、そういうそれぞれの立場の、ある意味では——悪い意味ではありません、ある意味でのいい意味での利益を代表した人の立場意見も十分聞いて、数量調整をさせるということを基礎にした委員会をやはりつくるべきだということで、この需給調整協議会を設けろという主張をいたしているわけでございます。
  20. 北修二

    ○北修二君 お一人ずつからお聞きをいたしたいと思いますが、次に藤山参考人にお聞きいたしますが、四点についてお話がございました。精糖業界経過、これはよくわかりましたが、この中で自主努力というのかございます。自主努力につきましてもう少しこれを具体的にお話しを願いたい、こういうように思うわけでございます。その中に、特に合理化、省力化をいたして努力をしたいんだと、こうおっしゃっておりますが、この具体的な内容について御説明をいただきたいと思いますし、時間の関係もございますから、いま一つ、豪州糖の協定の経過の中で、この協定をされた責任というかこれについてはどこに責任があるのか。まあ、農林省局長現地へ行かれた、あるいは総理が八月にASEANで話をして、これまた協力をしてくれ、こういうようなお話がございますが、この取引関係の責任は一体どこにあるのか。いま一つは、これは六十万トン入って、商社が五社あると、五商社と言われておりますが、これらについて精糖業界とどういう関係があるのか、あるいは配分はどうやっておられるのか、この点についてひとつ簡潔に御説明をちょうだいいたしたいと思います。
  21. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) それでは、私が述べました業界としての自主的な努力という点でございますが、これはいろんな努力すべき余地は私はあると思います。やはり基本は、業界が協調という精神に徹しまして、過当な競争で自縄自縛になるということを避けるというのが一番だと思います。そのために業界内でもさまざまな委員会をつくりまして、要するに広い意味での協調体制をつくる、これが、非常に精神的な言い方ですけれども価格の安定にもつながることではないか、こう思うわけです。  それからさらに、私は体質改善というふうな言葉で申し上げたいんですけれども精糖業界にもまだまだ不合理な面がたくさんありますので、そういった面を合理化、合理的にあるいは近代化していきたいということでございます。これは生産の面でもそうですけれども、流通の面でも、あるいは管理面でもさまざまございまして、たとえば一つの例で言いますと、先ほど申しましたように、砂糖はどこの会社のものをとってもほとんど品質的には同じということであれば、その間に適当なブランドを統一するというふうなことをしまして、たとえば地域的な交錯輸送を廃止して輸送費を削減するといったような合理化の方向もたくさんあると思います。こういったふうなことすべてを含めて、私ども努力したいということでございます。  それから豪州との長期契約、先生の御質問は締結当時のことだと理解いたしますが、私は締結当時には直接交渉の役にいなかったわけでございますけれども、これはあくまで協定は民間の三十三社がクインズランド州政府との間で決めたものでございまして、民間の責任において締結した協定であると私は考えておるわけでございます。もちろんその他から一般的な御助言なり全体的な意味での御配慮、御指導はあったわけでございますが、具体的な内容については、やはり私たち結んだ者か責任があるというふうに考えざるを得ないのかと思います。  それから、ちょっとこの商社の問題でございますが、これは豪州糖に関しての商社の問題でございますか。
  22. 北修二

    ○北修二君 そうです。
  23. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) いままでの協定では、私ども買い主精糖会社三十二社の代理人として取り扱いは三井物産さんと三菱商事さんが間に入って取引されることでありましたけれども、今回の協定を改定しましたときに、これは私ども非常に大きな変化だと思いますが、商社十一社ということで、三井、三菱さん以外の九商社さんが同じような形で間に入られて、代理人といいますか代理店という立場で今後豪州糖の問題に対処されることになりました。こういった意味で、何といいますか全体の問題というふうなことになりましたもので、そういう意味では業界協調という意味で非常にいいんじゃないかというふうに私は思っておるわけでございます。
  24. 北修二

    ○北修二君 いまいろいろ御説明がございましたが、今回非常に厳しい情勢になったという、四百四十万トンからの能力がある、しかも二百六十万トン前後しか精製していない、ここに設備の過剰性という問題が一つある。そういう諸般の情勢にもかかわらず、なぜ過当競争をされて百六十円台にまで落ちておるのか、これが不思議なんですが、まあ骨までというか倒れるまでがんばり合ってシェアを広げるとか云々とか、この点についてどういうお考えでこういう過剰競争をされておるのか、この点についてひとつお聞きをいたしたいと思います。
  25. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 競争が激しいといいますか、どうしても競争せざるを得ないような商品特性なりそういう装置産業ということでございますから、量産志向型になるのはある程度やむを得ないような業界だと思いますが、何といいますか倒れるまで過剰競争、過当競争をするというふうなことはございませんで、特にわれわれの販売価格については、これはメーカーだけでなかなか思ったとおりの価格にならないという言い方もあれでしょうけれども砂糖は商品市場に上場されている商品でございます。そういった点で投機的な動きも加味されまして、そういった面での投機筋による思惑といいますか、そういった面がまた価格の形成にも余り芳しくない影響を与えるというふうなこともあって、常に大幅に変動するということだと思います。業界内では極力、まあ皆さんがおっしゃるような過当競争の極端なことは避けるというふうなことでいくべく努力している次第でございます。
  26. 小林国司

    ○小林国司君 早坂参考人にまず第一にお尋ねしたいと思います。それから二番目に仲田参考人に、三番目に塚本参考人お願いいたしたいと思いますが、お答えは結論だけで結構でございますから簡潔にお願い申し上げます。  早坂参考人に対しましては、原料糖が三十八年に自由化されましたその前の年、昭和三十七年から五カ年計画北海道てん菜栽培の緊急対策事業として直轄排水事業を開始したわけでございます。ところが、実際にはこれが五年で完了しないで八年ばかりかかったはずでございます。したがって、先ほどてん菜栽培面積が一時ふえてまた減って、それから去年、ことしと逐次ふえてきて四万九千ヘクタールぐらいに再びもとへ戻ってきた、その間に基盤整備事業等が実施されておるけれども、まだまだ手の十分届いてないところもある、こういうお話でございましたので、そこで緊急五カ年計画で排水改良事業を鋭意行ったのが三十七年から四十二、三年ごろまで、これは計画よりも二、三年延びまして四十五年ぐらいまでかかったはずでございますが、なお基盤整備の上で不十分な面積はどの程度あるのか、今後どういうことがてん菜栽培する上に基盤整備の上で望まれておるのかという点を、ひとつ簡潔にお話ししていただきたいというのが一つ。  それからついでに申し上げておきますが、仲田参考人に対しましては、沖繩のサトウキビの栽培につきましていろいろお話の中で、生産性の向上がおくれておって生産費のコストがなかなか引き下げにならないというような面が一面お話の中にございましたが、その理由は一体何なのか、今後どうすればこういう問題が解消されるのかという点について、結論だけで結構でございますから簡潔にお答えをお願いしたいと思います。  それから塚本参考人に対しましては、これはほかの参考人からもいろいろ意見がございましたが、需給調整措置を望むという声が皆さんから出てまいりました。ところが、いままでこの需給調整措置が、自由化されてから十数年たつにかかわらず一向的確に行われてないということについて、大変強い御不満と御意見が各参考人からあったわけでございますが、これにつきまして、その理由と需給調整という措置、たとえば協議会か設置されないとか、あるいは需給調整についての生産者、政府あるいは業界等のそういういろいろな話し合いがスムーズに進められなかった理由は一体何なのか、今後の対策はどうすればいいのかという点について、簡潔に、以上三名の参考人の方から順次お願い申し上げたいと思います。
  27. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) 私か先ほど申し上げましたように、二年連続湿害による減収か減反に結びついた経過をたどっております。私は、てん菜定着せしめるという考え方は、完全に基盤整備あるいは暗渠事業、そして省力栽培、そして土地の生産性を高めるということかビートを定着せしめる方法だ、こう言っているわけですか、そういう内容から言うならば、ビートが定着することによってほかの作物をつくっても増収は図れる、こういうことを強調しておるわけですが、そういう面からいきますと、北海道広し、畑作土地改良費というものが非常に少ないわけです。団地をもって基盤整備をやるとするならば、予算の枠が目薬でございますから、もう何年もかかっちゃう。ですから、いまで言うならば、まだ大体概算で六、七万ヘクタールあるという現況ですから、先生方の力で予算をちゃんとつけてもらえたらやりますから、ひとつよろしくお願いします。
  28. 仲田睦男

    参考人仲田睦男君) 沖繩のキビ作は基幹産業でございますけれども、本土の米作に相当する作物でございますが、なかなか生産性が上がらぬといったようなことでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、復帰後大分改善はされてきていますけれども、沖繩は暴風、干ばつがもう毎年のように参りまして、暴風につきましてはこれはなかなか防ぐ方法かないのでございますけれども、干ばつにつきましては、基盤整備をやり畑地灌漑施設をやりますと干ばつの問題は解決することになるわけでございまして、政府に対しましても、基盤整備と畑地灌漑の問題について力を入れていただくようにお願いしているところでございます。  本土におきましては、米作について、私どもの聞いたところでは、どんなに雨が降らなくてもたんぼに植えられないところはないというぐらい灌漑設備が完備しているということを伺っておりますが、沖繩の場合は、いまのところ干ばつのために苗が植えられないというようなことも間々ございます。また苗を植えましても、干ばつのために芽か出ないといったようなこともございますし、また成長期に干ばつが参りまして成長がストップするといったようなことがございますので、この畑地灌漑さえ徹底しますと反収を現在の五割増しぐらいは伸ばせるんじゃないか。したがいまして、それによってコストも引き下げできて砂糖の買い上げ値段にも影響してくるということに考えられます。  それから、もう一つは品種の改良の問題につきまして、これも優良品種の導入や、あるいは優良品種の育種という問題につきまして、どうしても糖業試験場の設置を望みまして、国の糖業試験場ができることを期待していろいろお願いしているわけでございますが、幸い先生方の御尽力によりまして、今度、沖繩に糖業試験場までいきませんけれども、原原種苗圃ができるというようなことになっております。まだ予算要求の段階のようでございますけれども、これも先生方のお力添えによりまして、まず、糖業試験場までいきませんにしましても、この原原種圃場だけでも先につくっていただきまして、品種の改良に力を入れていただければ非常に幸いだと存ずる次第でございます。
  29. 塚本光三

    参考人塚本光三君) 需給調整についての理由、原因と今後の対策ということですが、需給調整につきましては、冒頭陳述の中でも述べましたように、やはり原料糖自由化、それなりの国内措置があって自由化されればよかったと思います。つまり設備の新増設につきましても、それから国内産糖いわゆる二〇%自給率向上の問題につきましても、それなりの国内措置をした上での自由化でしたら、そういう過当競争、いわゆる需要に見合うだけの供給という形で調整していくということになるんですけれども、一切そういう国内措置を行わず自由化を一遍にしてしまった。そのことが原因で、あと無節操、無秩序な新設、増設というようなこともございましたし、一方、先ほど藤山参考人が言われましたような投機的な性格を持っておりますし、どこの商品もいわゆる一キロの小袋にしましては、ポリ袋を破いてしまうとどこの製品かわからないようなそういう特質がございます。そういう意味で、そういう設備の過剰、それに対します資金の問題等がありまして、いわゆる見合う——これはもちろん独禁法その他に抵触していくわけでございますけれども、一定のルールをつくって競争をしていくという形はとれたというふうに思います。  今後の問題につきましては、この今回の特例法にしましても三年間の時限立法でございますし、言いかえれば三年間のカルテルだろう。業界もすでに数次にわたるカルテルを行いましたし、昨年は十二月からことしの五月にかけての指示カルテルもございました、これは糖安法十三条によるカルテルでございますが。カルテルを外しますと、またこのような過当競争になっていってしまう。ですから、今後におきましては、やはり糖安法の中に恒久的な需給措置をとっていく必要があるだろう、そういうふうに考えております。  簡単ですけれども……。
  30. 小林国司

    ○小林国司君 どうもありがとうございました。
  31. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大変遠路のところを御出席願いまして、また御多忙の中本当に御苦労さんでございました。  早坂さんの方からお伺いしたいと思いますが、ただいまドイツその他ずうっと外国砂糖状況その他御視察に行かれたということですが、ずばり、たとえばドイツと比べてみて日本砂糖政策あるいはビートの振興政策、こういうものはドイツと比べてどちらがいいと思いましたか。(「ちょっと聞こえない」と呼ぶ者あり)聞こえませんか。  御視察にヨーロッパにも行かれたと聞いておりますので、たとえばドイツと比べて日本砂糖政策あるいはビートの振興政策、こういうものを見てどちらの方がいいとお考えになりましたか。
  32. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) 私は実際は参加していませんが、行かれた調査報告、印象を受けますと、欧州などではビート耕作者にはバッジがつけてあるそうです。なかなか耕作権を付与されない、こういう仕組みになっておるそうです。同じ農民でも、てん菜耕作者は非常に品位を認めてもらっている篤農農家である、こういうように聞いておるわけでございますが、そういう内容から見て、私は国内生産者をまことに完全に不安のない擁護政策をとられておる。そういう点は、強くわが国も反省する余地があるという印象を受けております。
  33. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 マイスター制度とかいろいろありますから、そういうことだろうと思います。わかりました。  ただいまお話を承っておりまして一点ちょっと腑に落ちないんですが、最近ビートの振興政策が、振興奨励金とかあるいは基盤整備とかいろんな点で非常に先生方にも一生懸命やっていただいて大変感謝しているというふうに先ほど申しました。そしていま、それからまた質問に答えては、基盤整備土地改良がとってもおくれているんだと、こうおっしゃったんです。御説明のときには、大変着々と進めていただいて感謝していますと言っておきながら、質問に答えたときには、大変おくれているのでどうもしっかりやってもらわなきゃならぬと言うので、一体どっちが本当なんですか。
  34. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) 私は、やっぱり常識ある人間だと自分で自負をしております。お礼を言うところは言うと、悪い点は悪いと、こういう割り切り方でお答えをしております。
  35. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、最初のおたくの説明は、外交辞令だったんだと受けとっていいわけですね。
  36. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) ことしのてん菜の振興政策は、新しいものを取り上げておる内容から考えて、私は一歩前進であるという心からなるおほめを申し上げたというのが真相です。
  37. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 早坂参考人もビートをつくったことがあると思うんですが、大体ビートの輪作形態は何年くらいがいいというふうにお考えになっておりますか。このことをしっかりしておかないとこれからの国内需給計画がうんと違ってきますので、体験的にひとつ御指導いただきたいと思います。
  38. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) 経営規模によっても違うと思うんでありますが、私は完全な輪作体系をとるならば、やはり五年輪作が最高だと思っております。
  39. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大変ありがとうございました。  それからもう一つ、これはちょっと気になるあれなんで。法案が流れるという話を聞いておったというんですが、まだ審議の途中なんですけれども、そういう話をどこでお聞きになりました。この場所での参考人の御発言としては私たちは重要に受けとめなきゃなりませんので、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  40. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) 現在、米の問題で多く上京しております農民の代表の諸君か、どうも混乱し流れる可能性があるんじゃないかと、こういうようなことを農民自身が心配しているということを訴えたわけでございます。
  41. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 早坂さん自身が心配しているというわけではないんでございますね。
  42. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) 生産者が心配しているわけです。私も多少は心配しております。
  43. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 わかりました。  関根参考人にお伺いいたしますが、糖安法でもって価格調整が不可能だったと、下限価格を決めたけれどそれが守られなかったということに対して大変遺憾の意を表しておりますが、これらについて、現行の提案されている法案でそれらの混乱が防げるというふうにお考えになっておりますか。
  44. 関根正行

    参考人関根正行君) 糖安法の中で下限価格を決めて、一応国内の産糖は買い入れ価格を政府が、それは生産者価格といわゆる糖業の精糖コストを入れて買い入れ価格を決めて一回買い上げをする。これを市価参酌をしてさらに売り戻しをする中で一応下限が決められておりますので、私はその点、去年は百九十何円ですか、ことしは百八十五円でありますから、それを現在下回っておりますから、これはやはり無謀な外糖の輸入、それから特に最近の情勢を見ますと、この法案が通ったらある程度砂糖価格が上向きになるだろうというようなことで、非常に駆け込み輸入をどんどんしているといううわさも立ってございます。そういう面では現状では若干、この法律ができてこの法律か完全に——いまの在庫もありますから、そういうものがきちっとするまでは、なかなか糖価というのは一般糖価下限価格を上回るようになるかということについては問題はあろうと思いますけれども、しかし長い目で見て、これは三年間の法律でありますけれども、やかてその点が一時鎮静をいたしますと、ある程度価格が安定するというふうに、一応期待感も含めて思ってございます。
  45. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 先ほどの御発言の中で、甘味資源審議会価格の検討まですべきだたというふうな御発言がございましたが、この甘味資源審議会の中で、どういうふうにいまの審議会の制度を持っていったらいいかということについての何か御腹案がありましたら、ひとつお聞かせ願いたい。
  46. 関根正行

    参考人関根正行君) 糖安法は、外国砂糖輸入をして、そして国内産糖に対していわゆる調整金その他でもってめんどうを見るという形になっておりまして、実質的に、原料生産者立場に立てば、甘味資源審議会というのは生産振興を主体にした一応大臣からの諮問をするという機関になっておりまして、原料価格、われわれ甘味資源をつくって、原料をつくっている立場に立てば、生産振興だけでとても原料をつくるということにはならないわけであります。やっぱり価格政策が一本入って、価格政策生産対策とが相まってこの原料生産安心してできるし、そういう面では、肝心の価格政策について何ら甘味審議会に答申をするというような権限を与えていないという点で、やはり私どもとしては、甘味資源審議会というのは一人前扱いをしておらないと。米審は明確に価格の答申をすると。ですから、ここにすでに米とその他畑作との間に明確な差別をしているではないか。そういう面では、価格を答申もするように一人前にしてほしいと。これが一人前の審議会に、畑作の唯一の審議会としてほしいという、そういう考え方を持っているということを申し上げたわけであります。
  47. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういたしますと、結局いまの法案だけではなくて糖安法の抜本的な見直しというか、を立てていかないと、そういう機能を発揮することができないんでないかというふうに思うんですが、先ほどめ御発言はそういう願望を込めての御発言と承ってよろしゅうございますか。
  48. 関根正行

    参考人関根正行君) 甘味資源については糖安法、あるいは原料その他については甘味資源特別措置法、あるいはまた、もう一つの甘味資源でありますカンショなりバレイショものは農安法ということで、ばらばらでそれぞれ作物を扱って法律で一応政府の価格を決めておりますから、ぜひこれはやっぱり一本にして、どの作物をつくっても生産費か償えるというふうな法律に抜本的に、生産者立場で言えばやはり原料価格というのがわれわれの生活の基礎でありますから、そういう面での改正をしていただきたいということでございます。
  49. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 日本語というのは大変むずかしい言葉なのではっきり聞いておきたいと思うんですが、最後に、基本的には賛成であるが次の四点の疑義については明確にしてもらいたいと、こういうことが最後の結語だったですね、あなたの発言の最後に。すると、当委員会としてはやっぱりその疑義を明確にしなければならないと思ってお聞きしたんですが、それらの疑義が明確にならなかった場合にはどうなりますか。ここら辺が日本語の大変むずかしいところなので、ひとつ聞かしておいていただきたいと思うんです。
  50. 関根正行

    参考人関根正行君) 当面の問題としては、国産糖の業界、われわれ生産者というのは、先ほど申し上げたように、国産糖、これはてん菜糖業、あるいは沖繩では分密糖なり甘蔗糖工業との密接な関係の中で成り立っているわけでありますから、それがこの糖安法の中でこの下限すら保障されない、買い入れ糖価という一面ではある程度保障されても、別な面で自由競争の中で全くストリップになっておるという状態では、これは精製糖工業もつらいかもわかりませんけれども国内産糖のいろんな業種の、先ほど分密糖工業の方が言われたように、企業の弱いところはこれでもって非常に損失を受けて、あるいは倒産をする可能性もないわけではありません。  そうしますと、工場というのはそういう生産地を中心にして工場か成り立っておりますから、その工場がまかり間違って閉鎖なりそういう操業不能ということになりますと、そこの農民はビートをつくれない、あるいはサトウキビもつくれないということになりますから、当面この緊急の事態を処置するために、この法案には曲がりなりにも数量調整して価格の安定をするという面がありますから、当面この法律を通していただいて、もろもろの問題についてはさらに時間をかけて英知ある論議をしていただきたいし、私どもの方向に沿った改正をしていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  51. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういたしますと、当法案の持つ意義というものもいささかはあると。しかし、その審議の過程の中で先ほど御指摘のあったような問題をできるだけ解明しながらさらに抜本改正に向けて努力をしてほしいと、こういうふうなことだと受け取ってよろしゅうございますね。
  52. 関根正行

    参考人関根正行君) そういうことでございます。
  53. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 藤山参考人にお伺いいたします。  昭和三十八年の自由化以来、精糖業界というのはほとんど赤字続きと、まあ一、二年ちょっといいこともありましたけれども、ほとんど赤字続きだと。で、この間一体何で食っておりましたか、ひとつお伺いいたします。
  54. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 先生がおっしゃるように、大きな流れとしては一貫して不況に近い状態が続いたと思いますか、まあその間にでも若干持ち直したような時期もございました。ほかの会社のことは知りません。私、大日本製糖という会社におりますか、ほとんど苦しいときにはやはり資産の切り売りとかそういうふうなことで食べてきたと思います。
  55. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どうもわからないことが一つ二つあるんですけれども、自主的な業界努力、先ほども御指摘がありましたが、互譲精神でできるだけ努力してきたと、これも先ほどのあれと同じように外交辞令としてなら受けとめられるんですが、私たちが外から見ているところでは、互譲精神でお互いに努力してきたというふうにはちっとも見えないんですが、本音ですか、たてまえですか。
  56. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) まあ本音とたてまえということもないんですが、私ども精糖工業会の執行部としては、極力互譲といいますか、協調ということをたてまえにして会をずっと運営しておるわけでございます。たてまえといいますか、実際にそうありたいということで運営しておるわけでございます。
  57. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、私もごく親しくしている精糖業界の社長さんがおられたんですが、もう十年以上前に、こういうふうになってくるということを心配してずいぶん業界を説いて歩いたけれども、ほとほとあきれたと言っておやめになった方がおる。御存じでしょう、その人をね。それからちっとも変わってないんじゃないですか。どうですか。
  58. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 個々の会社はそれなりに経営方針というものもございまして、非常に強気の会社なりいろいろ会社がございまして、経営者によってもニュアンスが違うとも思いますので、いろんな考え方の方がおられるのも当然だと思いますし、これは精糖業界だけじゃなくて、ほかの業界でも大なり小なり自由経済のもとですから競争的な現象なり方針というのはあると思いますが、精糖業の場合は先ほどもちょっと申しましたように、余り質的な競争というのはできないという面と、それからもう一つは、投機的な商品市場に上場されているようなものだというふうな外部からのあれがあるということで、やはり多少乱れた形になる傾向はあると思います。
  59. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実はそこが、非常にこれからの私たちの審議の上で大事なところなんです。というのは、いままでのずっと中での、業界が互譲精神なしに血で血を洗うような激しい経済競争でもってやってきたのか、互譲精神でやってきたけれどもこうなったのかによって、この法案に対する意味が違ってくるんです。それで、非常にしつこいようですが、ひとつ精糖工業会の副会長さんとして、一体そうであったのかそうでなかったのか。そして、そうでなかったら反省しているのか、これをひとつお聞きいたしたいと思います。
  60. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 先生の率直な御質問ですが、工業会の執行部といたしましては互譲の精神ということでやってまいりました。しかしながら、その成果が十分出なかったことについては反省いたしております。
  61. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 よろしゅうございます。  それから、大変苦しいというふうな精糖工業会、何年から副会長さんをやっておられましたか。
  62. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 私は昨年の四月ごろからでございます。
  63. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうですか。それじゃ昨年の四月以降、非常に苦しい精糖工業会が政治献金をするというふうなことについての御相談にはあずかっていますか。
  64. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 精糖工業会として私は直接そういう面を担当しておりませんので、詳細は存じておりませんですが……。
  65. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 詳細でなくていいんです。
  66. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) それなりに、社会常識的なああいう団体としての常識的な範囲での賛助のようなことはしたというふうに理解しております。
  67. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、たとえば最近、特に公選法が変わってから、特定のところにだけ政治献金か行われておる。特定の団体と言ってもいいでしょう、行われておるという事実も御存じですね。
  68. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 特定の団体というのはどういうことかわかりませんが……。
  69. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 特定の政党、政治結社等というふうに御理解いただきたい、政治献金ですから。
  70. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 政党に対する献金はしていないというふうに私は理解しております。
  71. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どうもありがとうございました。  仲田さん、これも繰り返すようで申しわけないんですが、やっぱり基盤整備は着々整備しておって感謝にたえないと言っておるんですが、後での御答弁ではちょっとそのニュアンスが違ってきているんです。それで実は杉山局長が、沖繩等の基盤整備については非常におくれていて、そのために収穫が横ばいだという発言をしておるんですよ。ところが、現地の方では大変基盤整備が進んでいて感謝にたえないというふうな違いが、どっちかがこれは間違っているわけないんですが、どっちでしょうか。やはり外交辞令と承ってよろしゅうございますか。
  72. 仲田睦男

    参考人仲田睦男君) いや、沖繩の基盤整備がおくれておりますことは、御承知のように沖繩が二十七年間もアメリカの統治下にございましたので、その間二十七年間の間に本土の方はどんどん基盤整備その他政府の方の金が注がれたわけでございますけれども、沖繩にはそれがなかったわけでございまして、非常におくれておるわけでございまして、復帰後大分、先生方の御尽力によりましていろいろ基盤整備に非常に力を入れていただいておりますけれども、何分期間が短うございますし、また市町村やあるいは農家の対応費の問題というのがございまして、復帰後まだ五年ぐらいしかなっておりませんので、その間にとても二十七年間の取り返しはできないということでございます。私ども、こんなことを申し上げていいかどうかわかりませんけれども、まだ本土政府や本土の皆さん方に対して、政治家の先生方に対して、ざっくばらんに申し上げてあと二十数年間の貸しがあるというふうな考え方を持っているわけでございます。
  73. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 借りがあると思います。
  74. 仲田睦男

    参考人仲田睦男君) したがいまして、その点でひとつ御援助をいただきたいと思っております。
  75. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、沖繩、石垣島やなんかのことも少し聞きたいんですが、時間もございませんのでそちらへ……。
  76. 村沢牧

    ○村沢牧君 時間がありませんから、まず早坂参考人に単刀直入にお伺いしますが、この措置法ができることによっててん菜価格が直ちに上がるというわけではないというふうに思うんですね。その価格を上げるためにどういうことを期待をしているのか。そのことについて、この法律そのものに期待をしているのか。  それでもう一つ、藤山さんにお伺いしたいんですが、特に精糖工業会商社との関係ですね。豪州糖をめぐる輸入に対しての関係輸入した場合の手数料はどうなるか、あるいはまた資本の介入、経営陣の介入、商社との関係について明らかにしてもらいたい。  そのことと、もう一つは、先ほど労働組合側でも非常に心配しているんですけれども、企業の努力によって合理化をしていく、省力化をしていく、合理化ということは労働者を減らすということにつながってくるのかどうか。その辺の工業会としての基本的な考え方についてお尋ねしたいんですけれども
  77. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) まあ、今回のこの法案か通れば、国内糖価が安定するということは業界もこれは安定するわけですな。そういう面からいくと、私どもは、ひとり生産者だけが強くても、業者が強くても、これは振興しないと思うんですよ。両者相まってだと思うんです。そういう面から、今回のこの法案か通れば市場価格というか糖価安定ができると、その場合には両者相まって安定感のうちにてん菜振興に力点が置かれる、業界も身が入る、こういう意味を言っているわけです。
  78. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 最初商社と各社との関係でございますが、これは非常にさまざまでございまして、たとえば資本的なつながりということであれば、ある会社では一〇〇%ある商社がオーナーという形でおられますし、全然そういう株式の取得関係がない会社もございますし、そこそこの比率で持たれている会社もありますし、また経営陣につきましても、商社から人材をお迎えした会社も、私どものところもそうですが、ありますし、そうでないところもあるし、ちょっと一概には言えないと思いますが、現状として、やはり商社の援助というものがない限り金融的にもやっていけなくなるというのか実情でございます。  それから、自主的な努力の面と雇用の問題でございますが、先生の御質問は工業会というふうなことでございましたが、工業会といたしましては労務問題的なことは従来からも取り扱わないということでございますが、私、そういう雇用の問題というのは非常に経営者の大きなる責任でございますので、経営者としましてはそういった点へのはね返りを極力避けるということが私どもの責任ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  79. 村沢牧

    ○村沢牧君 工業会でなくても、あなたも一つの会社の経営者でしょう。あなた自身はどういうふうに思っていますか。
  80. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) ですから、私はいま申しましたように、雇用についての責任というものは、非常に会社運営の最重点の一つだというふうに考えまして、そういう従業員に対するしわ寄せというものが極力起こらないようにするということか義務だと思っております。
  81. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 塚本参考人にお尋ねをしたいと思います。  先ほど日豪砂糖協定の破綻をめぐってミスリードした政府のその対応の無責任さを鋭く御指摘をされておりましたが、私たち疑問に思いますのは、国際相場、国内相場の変動の中で商売している砂糖業界は、当時の異常の高値というものかいつまでも続くなどということは恐らく考えていなかったんじゃないかと思うんですが、当時の異常な高値のときに、価格まで決めた長期契約を結ぶその不利ということは承知をしていたんではないか、これはかなり政府の方が固定価格についてのサゼスチョンをしたんではないかというふうにも思われますが、それのことと、同時に豪州糖の長契を結ぶ背景となった当時の砂糖パニックのとき、メーカーに働く労働者の皆さん方は一生懸命残業までされて生産された。にもかかわらず、製品は市場から消えてしまったという不可解な現象が起きたんですが、この豪州糖長契と砂糖パニックの裏には何かがあったんではないかと思うんですか、参考人はこの辺の事情について、この際何らか説明をしていただくことがありましたらお述べいただきたいと思います。
  82. 塚本光三

    参考人塚本光三君) 日豪砂糖協定につきましては、もちろん私たち労働組合ですから契約の当事者でございませんしはっきりしたことは申し上げられませんけれども、私たちのそう思うという点で申し上げれば、確かに当時、四十八年の暮れから四十九年にかけましての砂糖パニック、これは石油の問題とともに国会でも大変な問題に上げられたと思います。当時、私たち砂糖で働いている者も、つくれどもつくれどもどこに製品が行ったのかわからないというような実情がございました。  同時に、御質問のいわゆる日豪砂糖協定の問題で、これは長期契約ということで年間六十万トンという数量について契約をされたということですし、当然私たちの常識では、あの価格があのような高値でいつまでも続くなどということは、砂糖メーカーの経営者の方々だって考えておられなかったというふうに思います。それが量とともに固定価格ということで決められたという点については、それなりに何らかの行政との話し合いがあったのではないかというふうに思われてなりません。その辺は私たちはあくまでも精糖の立場からいきますと、あの高騰がいつまで続くなどということは常識的に考えられない、そういうふうに判断しておりますので、価格についても固定価格というのは常識的に考えられないというふうに思っております。したがって、その背景についてはよくわかりませんけれども、先ほど藤山参考人が申し上げられましたように、当時は三井、三菱の二社の輸入窓口だったと、しかし今度豪州糖価格改定については十一社が参加している、こういうところにも問題があるんじゃないだろうかというふうに思えてならないということを申し上げたいというふうに思っております。
  83. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから、砂糖業界の通例として、砂糖輸出国から商社を経由して精糖メーカーが買い入れ、製品化したものをまた商社国内販売をするというシステムから考えまして、精糖メーカーとともに商社も相当現在赤字を抱えていると聞いているのですけれども、実際には赤字を抱えて苦しんでいるのは精糖メーカーだけで、商社は何も損害を受けていない。最近ハネ金融等の問題、利息の免除、あるいは延期みたいなことをやっているようですけれども、その分が損害と言えば損害になるんでしょうけれども、こういった事情について労働組合としてもっとこれは解明すべきだというお考えの点がありましたら、その辺の御指摘をいただきたいと思います。
  84. 塚本光三

    参考人塚本光三君) いわゆる商社金融と現状の資金繰りのための乱売競争ということが言われておりますが、そのことについてだと思いますが、これも全く私たち当事者じゃございませんけれども、いわゆる石油パニックを契機にしまして、当時短期間でありますが国際砂糖相場か急騰した。そしてまたそこでは急落した。その結果として高値原糖の手当てとそれから国内での安値販売、言いかえますと、いわゆる原料高、製品安という現象が出てきたわけでございます。この赤字を埋めるために、部分的には金融から借り入れるということがございましたけれども、それではとても、いままで十何年間激しい競争をしてきたわけですから、どうしても目ぼしい資産はほとんど売り尽くしてしまう、担保能力もなくなってきてしまっているような現状で、したがってその原糖の手当て決済を先に延ばすしか方法がなくなってきてしまったわけです。それがいわゆる商社金融という形になってきているわけでございます。  そして、通常、手形の支払いというのは百二十日ですけれども、これを二カ月はねる、または三カ月はねる、さらには六カ月、九カ月ということで、私たち聞くところによりますと、十カ月を超えるようなところも出てきているというふうに聞いております。また、この金利は、ハネ金融というのは一〇%内外というふうにも言われておりますし、しかも、このハネがほとんど原料代に入ってしまうから帳簿上なかなかわかりにくいという点もあるというふうに聞いております。そういうことで、言ってみれば、精糖メーカーというのは手形の書きかえを商社に拒否されればそのまま倒産というふうな状況にまで追い込まれている、こういうことが現状だというふうに思っております。
  85. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 砂糖業界が現在相当大手商社支配の強い業界であるということは先ほどからの意見陳述でよくわかったんですが、このままの状況が今後続いたとして、商社支配というものがさらに強まった場合、糖業界としてどの程度労働組合としては心配をされているか、懸念の点があれば御指摘をしていただきたいと思います。
  86. 塚本光三

    参考人塚本光三君) 御承知のとおり、今回売り戻し特例法ということになりますとシェアが固定されるということになると思います。現状ですと、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドというふうにしましても、工場を一たんつぶしますとその間市場が奪われていくという状況になると思いますけれども、一定のシェアが固定されて利権化していきますと、複数工場を集中生産さしていっても市場占有率は奪われないという状況があります。同時に、ある意味ではこれが利権化して売買だって行われやしないか。とてもこれでは競争に太刀打ちできない、したがって、資金力のある商社にその権利を売るということだって起きるのではないかと、そういう危惧がしてならないわけです。  そうなりますと、この業界がいまのような状況下の中では商社が非常にいわゆる株式保有、役員派遣を行っているところまで業界が来ておりますので、そういうことでこの特例法に基づくシェアが利権化されていった場合には、商社主導による再編成というものは、言ってみれば、一千三百億円の赤字の回収にかかるのじゃないか、そういう危惧がしてならぬし、私たちはその辺が今回の商社のねらいでもあるのではないかというふうに思っております。  そういう意味商社主導による再編成、先ほど来皆さんからお話がありますように、国産糖を含めた農民営農なりそこでまじめに働いている労働者の雇用の問題なり、そういうことを抜きにして一部商社利益にだけこの法律が運用されるということになりますと重大な問題だろうというふうに思いますし、そういう意味では、豪州糖の格差問題による一千三百億の累積赤字等に対して、これについてはかかわり合いのあった商社、金融なりがそれなりに金利を含めてたな上げ処置をとるなり、それなりの責任を果たすべきであろう。そうしないと、これを運用する中でシェアを利権化していく、そうして商社主導による再編成が行われるというふうに見ざるを得ない、そういうふうに思っておるわけでございます。
  87. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 藤山参考人にお尋ねしますが、工業会として今後商社主導の系列化が進むことについてどういう見解を持たれておりますか。  それからもう一つは、先ほど塚本参考人の御意見の中に、大変砂糖労働者の人たちは劣悪な作業条件の中で働いている、三交代制をぜひとも実施してほしいと要求していると、こういうことがありました。現在設備過剰だと言いますけれども、相当無理な長時間の労働あるいは生産を高めるために働いている、そういう者に対して交代制をするとか、あるいは休暇を与えるとかいうことで設備過剰の分、設備をつぶさずに済む面もあるのではないかという意見も中にはあるのですが、そのことについてはどのようにお考えですか。この二点について簡単にお伺いいたします。
  88. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 商社主導の再編成というお話に対する見解ということですが、私どもはこういった今回のような法案需給調整がうまくいきますれば、精製糖業者としての主体制も取り戻せますし、われわれ自体という観点からの体質改善というものができるんじゃないか。もしそういうことがなくてほうっておかれたような状態になると、かえって商社主導といいますか、言葉はあれでしょうけれども、そのような再編成というふうになるんじゃないか。だから、法案か通れば、そういった心配はむしろ少なくなるんじゃないかというふうにも考えておるわけであります。  それからもう一つ労働条件ですが、これは労働条件は各社さまざまでございまして、装置産業ですから、連続操業ということはほかの化学、重化学でも皆そうですから必要だと思いますし、その中での交代制、あるいは直の状況等についてはさらに改善する余地はあると思いますので、それから非常に劣悪な労働条件とも私は思いませんが、改善する余地はある、そういうことでやっていきたいと思っております。
  89. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 労働者の皆さん方は、この法案が三年間という時限立法で、もし通ったとしてもこの三年間の中において現状のままでは改善されるとは思わない。藤山さんは、この三年間の間に体質を改善して適正な値段で安定供給の責任を果たしたい、こうおっしゃっておる。大変工業会の執行部の御意見と、それからそれに対する労働者の不信というものが対立して浮かび上がってきたわけなんですが、今後審議の結果どうなるかわかりませんけれども、もし通ったとして、三年間の間にいろいろ指摘をされる糖業界の体質が改善されないときはひとえにそれは工業会執行部の責任である、このように御確認なさいますか、どうですか。
  90. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 工業会といいますか業界の大きなる責任であると、私そういうふうに思っております。
  91. 下田京子

    ○下田京子君 最初岡村参考人にお尋ねいたします。  先ほどのお話の中で、今回の業界の問題、これらは政策不況と言われる、言ってみれば商社やあるいは政府のミスによるものだという御指摘をされたと思うんです。そしてそういう中で、いわゆる食品加工関係の果たす役割りが非常に大きい。砂糖の値上げがされないようにということで四つの提案もされたと思うんですが、これに対して、いままでのこの法案に対しての審議過程で、市価が平均コストに比べて一キログラムについて二十円から差があるということで、消費者価格へのはね返りを抑えたいとは言っておるわけですけれども、当然これが私は出てくるんじゃないかと心配しているわけなんです。とすれば、食品加工関係皆さん方が大変な打撃を受けることになりますし、のみならず、これは重要な国民の食生活へのはね返りにもなるんじゃないか、こう心配しているわけなんです。そういう点で、皆さんの方で、仮にこれがそのまま二十円のアップというふうなこと等も考えた場合に、どのぐらいの額が皆さんの負担になるというふうに見ておられるでしょうか。
  92. 岡村恵

    参考人岡村恵君) 特段に計算をしてみておりませんが、たとえばチョコレートあるいは菓子はいま関税が四〇%かかっているわけですが、今度円高対策として輸入をふやすために一〇%の関税の引き下げを行う、さらにはこの一年間に約一五%近い円の高騰がある、こうなりますと、外国から入ってくる同種の菓子の価格というのが非常に下がってまいりまして、これとの競争力が失われてしまう。そこで、物によりましては、たとえばドロップのようなほとんど砂糖を使っているような物によりましては半製品で輸入をすると、こういう問題も出てまいります。これは菓子業界としてはそれなりに成り立つわけですけれども日本労働者として大変大きな問題が起こってまいりますし、砂糖の消費量そのものを停滞させる問題も出てまいります。  価格の問題につきましては、これが全部が砂糖価格だけででき上がっているわけではありませんので、種類によって一つ一つ計算をしていかないと競争力がどの程度になるかということがわかりませんから、一般論として申し上げた次第です。
  93. 下田京子

    ○下田京子君 岡村参考人のお話ですと、一般的に考えても現在円高であるし、また関税の引き下げ等がやられるということになれば、本当に国内砂糖の方がむしろ引き下げられてもいいんじゃないかというような状況のときに、むしろ今度消費コストの方が値上がりになっていくということで、一般的であるけれども大きな損害が心配されるということでしょうか。  それで、塚本参考人にお尋ねいたしますけれども、先ほどのお話の中で、本当に砂糖関係労働者が第一次合理化でもって四千人以上もの首切りがなされた。その後第二次合理化もされて、いまなお東海精糖のように、本当に安定した職の確保ができないでいる労働者も含めて、第三次合理化というものを大変心配されているお話がございました。このことにつきまして私も大変心配しているわけなんですけれども、現在の状況の中で、業界において四〇%ほどの過剰設備ということが非常に論議になっております。これは局長答弁等の中でも出ているんですが、正確には言えないけれども二〇%ほどの過剰設備ということが言われております。となりますと、私が心配するのは、第三次合理化ということで労働者の犠牲においてなされるんではないかという点が大変心配なんでありますが、これらについて、皆さん労働者の立場でどういうふうなことを希望し、そしてまたいま対処されているか、今後望まれる点なんかも含めてお尋ねをしたいと思います。
  94. 塚本光三

    参考人塚本光三君) 確かに一次、二次、三次、しかもこの特例法によりまして、先ほど来申し上げておりますように、一生懸命働いていた労働者にしわ寄せが来てしまう、そういうことのないようにいろいろ御審議お願いしているわけでございますが、一つは過剰設備、いわゆる構造不況であり過剰設備だということで設備廃棄をしなきゃならないという論理は——砂糖は、先ほど来お話がありますように、国民に不可欠な食糧でございますし、一定量の需要というものは、二百六十万トンなり二百八十万トン近い需要がございます。いわゆる消費がなくなって不況になった業種とは全然違うわけです。それで政策不況だとかいうふうに言われておりますが、したがって、一般的に言われる不況業種ではないということをまずはっきりさしておきたいというふうに思うわけです。  それから、設備過剰の問題ですけれども農林省の資料によりますと、日産能力が大体一万七千トン近くある。これは各社企業の報告により農林省が推定したものだというふうに言っております。それを年間二百六十七日か八日操業した場合に四百四十五万トンの能力があるというふうに言われておるわけですが、私たち、いろいろ操業形態は違っておりますけれども、年間二百六十五日、二百六十数日をフルにずっと生産をしているなんということは、常識的にも考えられません。やはり月末には整備もありますし、とめております。年間その二百六十何日というものを延べに動かしたらこれだけ出る、したがって設備過剰だというふうなことについては、私たちはそんなことはないというふうに、私たちの資料では日産一万四千トン程度というふうに思っております。  同時に、私たちが人並みの生活をするために、年末年始の休み、ゴールデンウィークの休み、夏休みをとる。それから月末には機械安全点検のための整備期間をとり、それからボイラー検査等もございます。そういうものを総合しますと、いわゆる私たちが昼夜兼行二十四時間働く交代制労働日数というものは年間二百三十日程度でいいというふうに思いますし、そういう考え方を持っております。そういうことを、必ずしも二百三十日がベターであるかどうかということは別としまして、そのことを精糖工業会、経営者団体と話し合ってみたい。その中で需給に見合う生産は、少なくともわれわれが人並みの生活かできる労働条件の中で、年間の交代制労働日数二十四時間昼夜兼行で働く日にちはこのくらいであってほしい、その上に立って一体どうなんだろうかというふうに考えているわけです。ぜひ、これについては、交代制労働日数について精糖工業会の経営者団体と話し合いをしたいということを申し上げているわけであります。
  95. 下田京子

    ○下田京子君 藤山参考人にお尋ねします。  ただいま塚本参考人の方からお話がありましたいわゆる操業日数の問題や、あるいは過剰設備に対しての労働者側の意見等がございましたが、それらに対してどういうふうに業界として受けられていくか。特に、先ほどのお話の中で自主的体質改善を図りたいというお話がございましたが、あわせて一方では、商社の援助がない限り実際的にはやっていけないような状況だというお話もございました。そういう点からして、自主的とはいいながらも陰に商社が非常に大きな力でもって業界を支えているということを、藤山参考人みずからがお認めになりお話しになったと思うんですが、そういう点からして、ただいまの体質改善等が本当に自主的にやられるかどうか。しかもまた、労働者の首切り、合理化等々がないような状況の中で業界が伸びていけるような見通しをどういうふうにお持ちになっているか、お尋ねをしたいと思います。
  96. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) いまの塚本参考人からのいろんな御意見で、私ども精糖工業会は、先ほど申しましたように直接労働問題は扱わないたてまえになっておりますか、しかしながら、現実にはもう何回も塚本さんが代表者であられます全国砂糖労働組合とは工業会におきまして懇談を重ねて、いま塚本さんが言われたような、たとえば交代日数制の問題等についても懇談という形で意見をこの間も交わしましたし、今後もそういった問題のみならず、いろいろ意見を交換しようということになっておりますので、十分意思を疎通してやっていきたいというような姿勢でおるわけでございます。  それで、体質改善において商社側からの圧力といいますか、そういうふうなことで、従業員なり何なりにしわ寄せがあるというふうなことでは困るという御意見だと思いますが、私もそれはそうだと思いますし、商社の特に流通面とか、それから原糖輸入面とか、そういうふうなところで主として関与しているわけでございまして、したがって、内部的な生産面とかそういった点については特に商社が関与するというふうなことはないわけでございます。われわれ自体の考え方でといいますか、そういう体質改善というものをやる余地が十分あると思います。特に、商社の手をかりなくてはならないというふうな問題もあるかもしれませんが、いずれにしろ私ども労働組合とは個別な会社、労使というふうな場でも常に意見を交換して、何といいますか、労使がともに強化するような形での体質改善というふうに進んでいきたいと思っております。
  97. 三治重信

    三治重信君 まず最初藤山参考人にお尋ねしますが、非常に過当競争で値段が下がって赤字、そのために、ことに豪州糖輸入を原因としてこういう立法が出されたように思うわけですが、それで経営者サイドとしてこの法案によって、何と申しますか、いまの御意見で安定適正な価格にするために輸入糖の豪州糖とその他のやつとただ単に平均価格で買い上げされただけで、適正な価格がこの法律を通すことによっていくと思われておりますか。あるいはそうはなかなかいかぬで、もう一つこういうようなことを、豪州糖とその他の輸入価格についての買い上げ価格と言うんですか、そういうものの調整というものが——何かひとつ御意見があったら教えていただきたい。
  98. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 豪州糖の値下げ交渉をやりまして、極力自由市場価格で買える値段と近づけようといたしたわけですが、結果的には少しは縮まりましたけれども、十分に縮まらなくて、依然としていまの国際市場価格で言えばかなり割り高であることは事実で、したがって原糖コストもそういった点ではまだ十分平準化されていないと思うわけでございます。そういった面につきましては、今後業界内部でもさらに検討を行いましてどういうふうに対処していった方かいいか、そこをどういうふうに平準化するかということをさらに煮詰めていこうと思っております。何分、先月に交渉の最終合意ができたばかりでございまして、その辺についてもう少しわれわれとしては対策を練っていきたいと考えております。
  99. 三治重信

    三治重信君 いまから具体的な意見業界の中で検討していきたいと、こういうことですから、それでいいかもわかりませんが、結局、豪州糖以外の輸入糖が現在のままの価格でいくと、こういう法律でやってみても平均輸入価格で買い上げられているということになると、豪州糖輸入会社がまだ数量調整をやっても相当な赤字が出る、こういうふうに聞いているわけなんですが、その赤字が出た場合には、また何と申しますか価格は安定しない、こういうおそれは出てきませんか。
  100. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 先生が御指摘されたような点は、確かに問題として残っております。国際糖価なるものが今後さらに上昇して豪州糖価格に近づけばそれなりに問題が解決すると思いますが、さらに下がるようなことでもあると、またまた非常な問題になるということは残っておりますし、われわれもこれは非常に重要なむずかしい問題として、まず業界としていろいろ分析対処の方向で考えたいと思っております。
  101. 三治重信

    三治重信君 それからもう一つ、こういうふうに砂糖価格の安定のための法律があるのですが、先ほどもお話があったみたいに、一般の市場は商品取引市場になっていて、そちらの方で価格が支配されてしまっていて、非常に何と申しますか、生産コストを割るような低価格砂糖の値段が決まっていく、こういう傾向が非常にある。そういうふうになると、適正な価格の安定をしていくためにはやはり商品市場の値段にも幅を持たすような対策をやらぬことには、適正の価格の方かうまくいかぬというようなことを考えるのですが、商品市場はそのままいまのままでも、これか実行されていけば適正価格でやっていけるというふうに思っておられますか。
  102. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 砂糖が商品三取引所で、東京、大防、下関の三取引所に上場されているということ自体は、私は非常に解せない面が率直に言ってあるわけです。しかもあれは、そういった価格変動ということが反映するような前提で取引所の品目に上場されているわけです。ところが、今度の法律はそうではなくて、砂糖は国民生活に必要な物資であるから安定した価格でそういった価格変動を避けるという意味があると思うので、その点では取引所に上場されているということと、まあ率直に言って矛盾すると思うわけでございまして、この点についても、これは今回の法案とは関係ございませんが、いろいろ諸先生方の御指導といいますか御意見もさらに伺いたいと、こう思っているわけです。
  103. 三治重信

    三治重信君 最後ですから、ひとつ生産者関係先生方早坂参考人関根参考人仲田参考人に一つだけ結論的な御意見だけ言っていただければいいのですが、いま政府は非常に来年度水田の大転換政策をやろうとしているのですが、北海道てん菜糖、それから沖繩、鹿児島は甘蔗の栽培に水田の転換対策に意欲的に条件によっては取り組めるか、これは増産は考えるけれども水田の転換対策としてはそう考えられないのか、その点ひとつ結論的な御意見だけをお願いしたいと思います。
  104. 早坂正吉

    参考人早坂正吉君) これは、今日までも実績は全然ないわけじゃございません。ございます。だが、御案内のように、水田は酸性が非常にきつい土壌条件になっておりますから、これをもう今年やったから来年即刻というふうには多少無理がある。しかしながら、今後大幅な転作があれば指定品目にもなっていることだし、許せる範囲内でこれを取り入れる方法をとらねばならぬ、こう考えております。
  105. 関根正行

    参考人関根正行君) いま早坂参考人が申し上げたとおり、たとえば日甜の北海道で申しますと士別工場の地区であるとか、あるいは道南、北東ですね、北海道糖業の道南の伊達工場付近にはそれぞれ転作可能面積がございます。特に日甜の士別工場など、約一千町歩近いものが転作であります。早坂参考人がおっしゃっておりますように、非常に連作ですから、たとえば北海道は全国から比べて水田の経営面積が多いと言っても、今回たとえば生産調整の配分が、均等配分、傾斜配分いろんな論議がありますけれども、仮にかなりの面積北海道に課せられたとしても、たとえば十ヘクタールの水田を耕作していると、そのうち四〇%転作だというと四ヘクタールでありますから、四ヘクタールの中で、さらに先ほど早坂参考人が言っておりますように五年輪作をすると、これは連作がききませんから、そうしますと、八十アールの面積しかこの水田農家はつくれないと、十町歩経営のところでも。  そういう面では、そういうところに今度機械化をして労働時間を短縮してより安い砂糖をつくるなんということについては、畑作専業地帯ですらいろいろ問題があるところに、非常に問題を多く抱えておりますけれども、しかし、いま北海道で転作をする作物と言えば、やはり大豆なりてん菜なり、あるいはある一面そばという意見もあります。そういうふうにやはり政府がある程度価格を保障した作物をつくることが主体でありますから、やはりこれは特に指導機関であります北海道庁やあるいは農協系統などと協議をしながら、できるだけいろいろな努力はしなければならぬと思いますけれども、いろいろな対策がなければ農民は、価格が保障されないと非常に作物としてむずかしいという一面がありますけれども、やり方によっては多少の可能性はあるというふうに考えます。
  106. 仲田睦男

    参考人仲田睦男君) 鹿児島もあれですが、沖繩の場合はまだ非常に生産量か少のうございまして、工場の操業日数も大体百二十日ぐらいが理想でございますけれども、まだ七十日から八十日、多いところで八十日、少ないところで六十日ぐらいの原料しかないわけでございますが、これが原料代の価格の問題、それから先ほどからお話し申し上げました基盤整備あるいは試験場等によります品種の改良等かできますと、いまの五、六割増しの生産は十分可能だと思います。面積の拡大もございますし、反収引き上げによりまして、現在沖繩が百四十万トンぐらいでございますけれども、これを二百万トン以上に上げることはそうむずかしいことでないと思っておるわけでございます。したがいまして、私ども先ほども申し上げましたように品種の改良のための試験研究機関を充実していただくことと、基盤整備と畑地灌漑にもっと政府がお力を入れていただければ、すべての問題は解決するんじゃないかと考えておるわけでございます。
  107. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それぞれのお立場からの御意見、大変参考になりました。どうもありがとうございました。  多くの皆さんからお尋ねがありまして非常にダブる面も出てまいりましたので、私は藤山参考人仲田参考人にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  まず、藤山参考人にお尋ねしたいことは、先ほど塚本参考人も述べておられましたが、この法案時限立法であると、ところが三カ年という年限で果たして正常化できるかどうかということがこれは問題になるわけなんでありますが、それをどのように考えておられるか。三カ年で正常化できると考えておられるかどうか、これが第一点。  次には、第二点は、特に労働者の側から合理化、雇用不安に対する不安が述べられたわけですが、これはごもっともだと思うんです。その合理化と雇用不安に対してはどのように考えておるのか、あるいはどういう対策を持っておられるかどうかですね。お立場からこれをお尋ねしたいと思います。  それから第三点は、先ほど来、過当競争、乱売競争ということが多く述べられましたが、これは現在も依然としてその状態は続いておるのであるか、またこれからも続くのであるか、その状況がよく具体的にわかりませんので、その三点についてお尋ねいたしたいと思います。
  108. 藤山覚一郎

    参考人藤山覚一郎君) 先生のまず三カ年間の期間で正常化ができるかというお尋ねですが、私どもは少なくともこの三カ年間に自主的な努力業界の正常化ができなければ、ますます私ども業界は世の中から見捨てられると思いますし、先生方からのいろんな御指導、御援助も得られなくなると思いますし、何としてでもこの三カ年間に正常化に持っていきたいと、そういう要するに決意でいるわけでございます。  それから二番目に、雇用不安の対策でございますが、これにつきましては、私もさっき申しましたように、雇用不安のないようにと申しますか、雇用が安定化するような形でということが非常な経営者の責任だと思いますし、またこれは個別の労使交渉の場におきまして個別にいろいろ相談し合って、労組と協議の上ですべてのことを運ぶということによって、問題は雇用不安というものは少しでも少ない形になるんじゃないかというふうに思っておるわけです。  それから三番目に、過当競争は続くかということでございますが、今回の法案仕組みによりまして私ども考えておりますような適正な値段が現出すれば、しかもその原糖の入口といいますか、その辺がコントロールされれば、過当競争の必要なり、あるいはそういったことをする余地というものが減ってくる、ほとんどなくなるというふうに思っておるわけです。
  109. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひひとつ、問題解消に全力投球してくださるよう要望いたしておきます。  次に、仲田参考人に。仲田参考人はお話の中で、生産農家へのしわ寄せということを非常に不安に思っておられる、こう受けとめておりますが、具体的にはどういう生産農家へのしわ寄せかかかるのであるか。  それから第二点は、再販価格が問題になってくると、こう思うんです。再販価格の現状はどうなのか、それからこの法案の立法によってそれがどういう問題点が出てくるのであるか、心配されるのであるか、その二つの点をお尋ねします。  それからもう一点は、沖繩における設備と生産のバランス、これをどのように理解しておられるか。工場の施設の現状とか、生産状況とか。ということは、裏を返せば、先ほど来基盤整備、再生産意欲を盛り育てて生産をずっとふやしていくべきだと私思うわけなんですが、そういう点からいろいろの問題点があるわけですが、現状はその面からどのようにとらえておられるか。  以上の三点についてお伺いいたします。
  110. 仲田睦男

    参考人仲田睦男君) 農家の不安と再販の問題に関連いたしまして一言お答え申し上げたいと思います。  この法案が通りませんと非常に不安だということは、この前陳情申し上げましたとおり、またきょうも申し上げたとおりでございますが、過去この二、三年来、精製糖価格が非常に低迷しまして、このために私ども粗糖が、本土の精製糖業者との間になかなか値決めができないし、しかも最終的には多額の値引きをされるというようなことを聞いておるわけでございますので、実は前期あたりこの値引きのためにある地方では、ある工場では原料代を払う資金調達に難渋しまして、農家へも相当長い間原料代の支払いができなくて困った実例がございます。そういったようなことで非常に農家に迷惑をかけておるわけでございますが、この法律を私どもは一日も早く通していただいて、私どもの希望といたしましては、何とか十二月の半ばごろには施行できるような御配慮をしていただきたいということを希望を持っておるわけでございますが、そうしませんと、もう十二月に入りますと製糖が始まるところもございまして、またこの法律が通りませんと、来年もまた同じように値引き問題が出てきやせぬかという不安がございます。したがいまして、その不安は勢い農家にしわ寄せされる。  これは先生方承知のように、原料代は法律で決まりますので、決まった原料代は法律事項でございますので、企業側といたしましては、どんなに赤字を出しましても、あるいはどんなことをしてでも支払いをしなければならないわけでございますけれども、実際問題としまして値引きされる、あるいは値段が決まらないと金融機関では金を貸すのに相当難渋する、金融機関から資金調達するのに難渋するといったようなことで、原料代の支払いを非常に遅延するとか、あるいは最終的には、これを支払いをせぬというわけにいきませんけれども、農家に御迷惑をおかけするといったようなことになるわけでございます。  したがいまして、私ども国産糖側からしますと、この法律を一日も早く通していただきたいということは、十二月から製糖に入りますので原料代を支払いしなければなりませんので、この法律が通りますと、価格が直って来期からは値引きという問題は起こらないだろうという希望を持ちますので、企業側としても安心して資金調達もでき、あるいはまた金融機関の方でもそういった見返りで資金調達もしてくれるんじゃないかというような考え方をしているわけでございます。  それから、沖繩の生産は先ほども申し上げましたが、まだ沖繩は基盤整備しますと相当面積の拡大もできる余地が地域的にはございます。それから、いま先ほども申し上げましたように、干ばつの被害が非常に多うございますので、基盤整備と畑地灌漑施設を国の方でやっていただきますと、それと、今度試験研究機関ができまして品種改良という問題ができますと、先ほども申し上げましたが、いまの五割増しあるいは昭和三十九年には製品にして三十万トン、ちょうど前期の倍生産した実績がございますので、必ずしも三十万トンまで持っていくことも不可能でないんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、国内甘味資源自給率向上ということもできるわけでございます。そういった点で、先生方の今後一層の御指導、御援助をお願い申し上げる次第でございます。
  111. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 以上をもちまして、参考人方々に対する質疑は終わります。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。本日は皆様御多忙中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会といたしましては、今後の本法律案の審査に多大の参考になることと存じます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時六分休憩      —————・—————    午後二時四分開会
  112. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  113. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 一昨日に引き続き御質問申し上げますが、この法案によりますと、消費者へのしわ寄せに対する配慮が全然行われておりません。それで、原糖の価格を上げて消費者に対する配慮をするということになりますれば、どうしても関税の問題か、あるいは消費税の問題に取り組まざるを得ないことになると思います。  先日も、消費税については欧米に比べて約倍くらいの税を賦課しているというようなお話がございましたが、大蔵省、消費税という税には減免措置はないんでございますか。
  114. 水野勝

    説明員(水野勝君) お答え申し上げます。  きわめて特殊な場合につきましては砂糖につきましても減免措置はございますが、余り一般的なものはございません。
  115. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私のお聞きしているのは、消費税の法律の中に減免規定があるかないかと聞いているんです。あるとかないとかと答えていただきたいと思います。
  116. 水野勝

    説明員(水野勝君) ございます。
  117. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ありますか。  食品流通局長にお伺いいたしますが、この種の問題について大蔵省との間で消費税のことについて合議をしたというふうなことはございますか。
  118. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 毎年各省関係の税制の改正要望というものは、窓口の担当課がございまして、農林省のものをまとめてこれを整理の上、大蔵省主税局に申し込むということになっております。本年度におきましても、砂糖の消費税についてはこれを減免するようにということで、担当課を通じてお願いをいたしておるところでございます。
  119. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は豪州糖の問題に対して、政府、農林省がどの程度かかわり合いを持ったか、あるいはまたそれに対する行政責任なり政治責任があるかないかということが、消費者対策に対する消費税その他の減免措置というふうな問題にも重要な関連を私は持ってくると、かように考えるわけでございます。そういう立場で、多少前回と重複する点も出てまいりますが、本日のこの交換公文、これは英文のものはございませんですか。ひとつ英文のものも一部、後でよろしゅうございますからお届け願いたいと思います。
  120. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 外務省とも相談いたしまして、後ほどまた先生のところに御連絡申し上げるようにいたしたいと思います。
  121. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この交換公文の中でも施行令の一部改正を明示しておりますが、これについて御説明いただきたいと思います。
  122. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) この糖安法の制度上、実際の平均輸入価格がどのくらいになるかという計算をする部分がございます。これを基礎にいたしまして、各種の安定資金でありますとか調整金の徴収か考えられることになるわけでございますが、そういうベースになりますところの平均輸入価格、この算定は端的に申し上げますれば、相場といいますか、ロンドンの時価をベースにして算定されるわけでございます。しかし豪州糖は、その時価とは別に固定した価格で取り決めが行われた。そういたしますというと、平均輸入価格の算定上そこをどうするかということになりますというと、その豪州糖の分については固定価格で算定することが実態に合う話ではないかということで、この算定のルールを決めておりますところの政令上の規定を一部改正したわけでございます。
  123. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういたしますと、そういうことについての約束をしておるとすれば、この契約に対して政府は全く知らなかったということでなくて、相当深い程度の、単に業界指導をしたというのでなくて、もっと積極的なかかわり合いを持っていたのじゃなかろうかというふうに通常考えられるんですが、いままでの議論の中では、再三にわたってそういうことはないんだというふうなお話でございます。しかし、どうもそうは言いながらも、局長さんの答弁の中で非常に一貫しない面がずっと記録を読みますと出てまいりました。同じ神田委員に対する答弁の中でも、いや価格指導はしていないと言っているかと思うと、また別な日に、これは十月の二十六日の中では、「私が指導していないと申し上げた意味は、現在の価格一契約価格が非常に高い水準でございます。そういった価格で取りまとめるように指導したことはないということを申し上げたのでございまして、その過程におきましてはむしろ将来価格が下がる懸念がある、それらのことについて十分配慮すべきである。それから、韓国とかマレーシアとか、そういうところの条件ともにらみ合わせて決めるべきである。それから、通貨の変動ということは十分あり得る話であるし、そのことを一方的にインフレ条項のような形でもって現在織り込むということは危険というか、問題が多いのではないか、そういう価格の決め方自体についてはいろいろアドバイスしたということは私も承知いたしております。」と。やっぱり価格の問題についてもいろいろとアドバイスしたんでしょう、高い安いはとにかく。
  124. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) いま先生がお読みいただきましたその答弁のとおりに、アドバイスといいますか指導した事実はございます。
  125. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、その指導した中で、やはり現在の豪州糖の高値について、農林省はやはり積極的に、まあそれでよかろうというふうなことを言っておりませんか。
  126. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 役所の立場として価格そのものについて、いいとか悪いとか具体的に決めるその水準に判断をするということ、あるいはそれを規制するということは、私どもは適当でないと考えております。むしろそういうことになりますれば、その価格で決めることは適当でないからやめろと言うべきであったかというようなところまで来るわけでございますが、それはまさに取引の当事者が全体の経営の内容を勘案して、これでやっていけるならやっていくという判断のもとにお決めになったものだというふうに承知いたしております。
  127. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 やめろというふうなことも、なかなかこれは実際問題として言えない問題だと思います。やれということ、やめろということ。しかし、これくらいならまあまあというふうな形で暗黙の了解を与えたんでないかということが問題なんです。やめろとかやれとかとは言わなかったかしらぬけれども、それでなければあれだけ大量の長期にわたる契約を業界農林省の意向を無視してやるということは、長年の農林省砂糖業界とのつき合いから言って、この場合にだけはそういうことはなかったということが大変実は私たちにとっては不可解なんですが、何遍も聞くようで申しわけないんでございますけれども、それによってやはり業界としての受けとめ方が違ってくると思いますので、ひとつそこら辺のニュアンスをもう少し突っ込んで……。
  128. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 価格の取り決めについて役所が業界に対していいとか悪いとか、それは困るというようなことを言うということは、一般的に言ってあり得ない話だと考えます。確かに農林省はいろいろ業界との接触もございますし、こういう制度のもとでの業界の運営でございますから、一般の業界以上の指導をいたしておることは事実でございますが、何度も申し上げますように、価格自体についてそれを特別にどうこう指示するということはなかったと思います。ただ一般的な、先ほどもお読みいただきました答弁の中にありますように、こういう事情についてもデータを十分把握して、ほかのところもにらみながら慎重に決めなさいというようなアドバイス、それはしたことはございます。
  129. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どうもこれは、ここのところは堂々回りになりますので、一応おいておきます。  次は、需給調整協議会の構成、機構ですが、これについては、田口委員の質問に対して、実際の運用に適したメンバー構成を考えるべきで、広範に意見が分かれることは現実の運用に困ることになる、こういう答弁をしている。実際の運用に適したメンバーというのは、どういうものを想定されておっしゃっておりますか。
  130. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) その議論につきましては、私もたびたび御答弁申し上げておるのでございますが、質問の趣旨が、基本的、長期的な需給計画に関する話と、それから今回の法律需給の見通しに関する公平な、公正な見通しをつくることの手続に関する御質問と、両様あったと承知いたしておるわけでございます。いまのお尋ねの点は、私は、需給見通し、この法律の運用に当たって売り戻しについてこれを延期させるかどうか、その命令を下すもとになる需給見通しについての話かと存じます。具体的にどういうメンバーが適当かということになりますというと、これは三年間の企業のいわば自主的な需給調整、それをベースにしたところの需給見通し、ベースにといいますか、それを前提に置いたところの需給見通しでございますから、やはり企業の直接関係者というのが一番まず考えられるところであろうかと思います。そのほか学識経験者ということで、これらのメンバーの具体的な選定については関係方面の意見も聞きながら定めてまいりたいというふうに思っております。
  131. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 企業の中での代表者というふうな一つの想定が出てくる場合に、大手メーカーのほかに日本精糖工業会とか全国精糖協同組合というような非常に零細な業界がたくさんございますね。こういう方たちの代表もその想定の中に入りますか。
  132. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 精糖企業の代表的な組織、全体の団体としては精糖工業会というのが一番大きく影響力を持っているわけでございます。これが中心になることは間違いございませんが、先生がいまおっしゃられましたようなほかの中小の組織に属するもの、あるいは全く組織に属しない企業もあるわけでございます。それらの意見も反映するようにメンバーの構成は考えていくべきだと考えております。
  133. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、その需給調整の中で結局輸入原糖の枠をある程度配分することになると思います。この調整機関が農林大臣の諮問に答えてということになるかと思うんですが、そこで非常に大事なのは、先日、企業秘密だというふうに局長さんおっしゃいましたけれど、実は、ここに各精糖会社の溶糖実績が四十六年から五十年まであるんです。そして、これで見ますと、いわゆる精糖工業会に属する各工場、たとえば三井製糖の芝浦が四十六年は九万五千四百六十八トン、次の年は十三万四千百二十五トンというふうに、ずうっとこれは出ておるんです。そして細かに各会社別に出ております。そして、その精糖工業会、これの方はその間、五年間を平均しますと五十五万八千三百五トン平均割りで実はやっておって、それから全体の中においては、たとえば全国精糖協同組合などは平均しますと九千四百八十八トンというふうに非常に少ないんです。その小さな会社が三十社ほどありますけれど、そういうところが実績が非常に少ないんです。これを実績割りというふうなことを基準にしてやりますと、大きな精糖業界の少なくてもこれは総体で見ますと二百分の一くらいを三十社くらいでやっておるところが、同じように実績割りで一つのまないたの中に乗せられるとこれは大変だろうと思うんです。こういうことに対する配慮がこういう協議会の調整機能の中で行われればいいんですが、問題は、行われない場合にはどうなりますか。
  134. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) この法律の運用の一番核心になるところでむずかしい問題でございますが、業界の中での協調といいますか、そういうシェアを決めるということにつきましては、実績とか能力とか最近の販売数量とか——これも実績の一種でございますが、そういうさまざまな要素があろうかと思います。いままでも、最近でも二度カルテルを実施いたしておるわけでございますが、その場合でもそれらの各種要素、しかも、理屈だけでは割り切れない点については、話し合いによる調整を経てカルテルシェアを決めてまいっております。やはり手続的にはそれぞれの立場主張が出て、そして最終的にまとめられるということになろうかと思います。  その場合、実績も確かに過去の営業の成績を反映して多い少ない、大きい小さいございます。それも相当の配慮事項になると思いますが、そういう客観的なものだけでもなかなか決めがたい、最終的に業界の中でどうもうまくまとまらないというときにどうするかという話だと思いますが、そのときは、まさに役所がこの二条にありますような過去の通常年の輸入数量、この実績をベースにした、これ自身がシェアになるような数量の割り当てを決めるというようなことになるかとも思いますが、ただ私どもは、実際の運用としては初めからそういうことを役所がまさに外割りをするというような形で決めることは好ましくない。業界には生きて動いているところの経済的な実情がある。それらを議論の末、総体的に、早く言えばいずれもが満足しない、いずれもが不満を持つというような形になるのかと思いますが、その妥協の上に初めてそういうシェアというものは成立するのじゃないか。その議論をとことんやらせることが必要であるというふうに考えております。
  135. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 非常にむずかしいというふうに最初からお考えになっての御発言でございますが、こういうことが考えられるわけです。たとえば小さな精糖工場、これもそんなに調べてみたところ労働過重、いわゆる労働基準法に違反するような行為をしないで細々と暮らしを立てておる、こういうところばかりでございます、ほとんど大体において。そうしてそれらは現在でも赤字を出さないでやっているところがたくさんあるわけですよ、現在でも。これらは豪州糖の後始末のしわ寄せでこの法律によってわれわれが縛られて、細々とやっているこれをちょっとでも、二百分の一くらいの小さな量しかやっていないところでもって一削られるのと一%と、それは違うんです。何にも、いまのままでもいいというふうなところのものも一緒になって、大手の商社のシェア競争のあおりを食ってマイナスを受けるということは、どうなってもどうも承知できないという場合に、何と答えますか。
  136. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) おっしゃられるような実情も一部ございます。中小もいろいろございますから、必ずしもそうばっかりでないところもありますが、先生のおっしゃられるような向きも確かにあると思います。そういう実情を全く無視して、いまの力関係だけでもってシェアを決めるというようなことは問題がある。そういう中小の立場なり考え方なりが反映できるように、その点は全体の話し合いの過程の中でも、私ども役所はしかるべくアドバイスしていくべきだと考えます。
  137. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実例を言いますと、全部一カ所の菓子屋さんにそっくり納めているという工場もあるんですよ。こういうところは、切られたらどうしようもないわけですわね。こういう場合どうします。別にシェアに、あんまりほかに影響ないんですよ。納めているお菓子屋さんの方のお菓子が売れるか売れないかがその工場の溶糖量の実績になって出てきていると、こういうふうなところは一体この枠で締められますか、この法律で。
  138. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 過去の通常年の実績をベースにするというのは、そういうことを相当程度反映したものと考えますが、最近の実情というものは確かにその後動いているようなことから、それはそれなりにまた考えなくちゃいけないような事情も出てこようかと思います。ただ、先生おっしゃいましたような例もそうでございますが、そういうような例というのはさまざまな実にたくさんのケースが出てくると思われます。それはまさに、個別にそれ自身を議論の対象にして話し合いを進めて調整を図るという性格のものであろうと思っております。
  139. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういう中には、今度逆にいわゆる商社から原糖を買いつけているところも多いんです。そうすると、商社の原糖枠が狭められたときに、一番先にそういうところが切られていかないという保証を農林省としてお約束することはできますか。
  140. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) このシェアの配分の考え方の基礎には、実際に砂糖を溶かして精製糖をつくっている企業、これを考えているわけでございます。商社はその代理といいますか、委託を受けて砂糖を買いつけるという立場でございますので、割り当ての考え方、基礎は、各精糖メーカーの実績なり事情なりをベースに置くもので、商社が勝手に自分の系列なり自分の取引先に対して、これを任意に配分を操作するということはいたさせないことにいたしております。
  141. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、東海精糖の問題があるんですが、東海精糖の労働組合の人に昨日陳情を受けました。従来のシェアはパーセントで二・八〇六あったそうでございます。しかし、いまは三井物産が原糖の供給をとめたことによって破産の状態に追い込まれている。こういうところはただでさえ苦しいんですから、特に豪糖を抱えていて、三井物産系ですから高い原料の割り当てもどうしても行きますわね、再開するとした場合に。そうすると、そういうところのシェアが少しでも減っていくということになると、またまた非常に企業赤字がふえていくということになりかねないわけです。こういうバランス、いわゆる三〇%豪州糖の今後のこの法案ができた後におけるバランスの調整を一体だれがどこでやるのか、そうしてそのことについては、ただいま消費税の面においては法的にやれないことはないという答弁を承った。あとは問題は農林省と大蔵省との政治折衝だと思いますが、この点について、そういうバランスの調整のために農林大臣として大蔵省に強力に農林省の責任のある豪州糖という角度であれば働きかけができると思うんです。  ただ、いままでの局長の言われたように、いや、ないんだと、価格の部までわれわれは入っていないんだから、いまの業界の困っているのはそれは業界が自主的にやったことだというたてまえを崩さないと、農林大臣がやはりあれでないですか、大蔵大臣これはもうここのところだけはどうしてもやってもらわなければ困るということが言えないんでないですか。ですから、ひとつ農林省豪州糖についてはもう本当に大変な責任があったんだと、過ちであったんだということをこの場で認めた方が、そういうバランスをとっていく上で大臣が大蔵との交渉がしやすくなるんじゃないかと思いますが、どんなものでしょう。
  142. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 丸谷先生のお話、いろいろ先ほど来から、伺っておるわけでありますが、この法律が成立をした場合においては、需給計画の目安というものが基準になっていわゆる過当競争をなくする。一定の決められたシェアによって輸入をする。しかし、それを超えて無理な需給計画を乱すような輸入をやった場合には、今回の法律改正によってこの売り戻しを一年以内これをたな上げをする、こういうようなことになるわけでございますが、その結果過当競争がなくなった、あるいは販売流通の面におけるいままでの乱売競争というのがなくなった、また、生産コストも大きく割れておったものが是正をされた、その結果として、消費者の方に現在よりも高い砂糖を買っていただくことになるのではないか、そういう面から言って、消費税等の調整によって消費者に及ぼす影響をできるだけこれを是正をする、これが大筋の御意見であったと思います。
  143. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それと、三〇%要するに豪糖をよけいに抱えている問題についての消費税……。
  144. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) そこでいまの丸谷先生のそういう御意見につきましては、先日来お話を申し上げておりますように、現在の末端消費者の価格というのは、過当競争、乱売あるいは精糖企業の大幅なコスト割れ、そういう上に立って形成されておるところの消費者価格であって、これはきわめて不健全なものである。こういう事態が長続きをするはずがない。やはり消費者に対しては量的にも価格の面でも安定的に供給をすると、こういうことが糖価安定法の趣旨でもあるわけでございますから、精製の段階においても、流通の段階においても、秩序のある適正なその競争原理の中において末端の消費者価格も形成をされるということが、私どもが願っておるところの問題でございます。  そういうようなことを基本的に考えておりますが、丸谷先生がおっしゃるように、いまの価格は仮に過当競争による不健全なものであっても、幾分でも上がるということを考慮をして消費税等においてそういう点を緩和できるのであればさらに政府は努力すべきだと、こういう御意見に対しましては、私は傾聴に値する御意見として政府部内においてもよく検討をいたしたい、こう考えております。  なお、豪州糖の問題につきましては、先日来申し上げておりますように、あの長期契約を結んだときにおきましては資源問題というのが非常に各方面に、砂糖だけでなしに、各食糧資源にしても、鉱物資源にしても、資源問題が大きくクローズアップされておった。そういうようなことから、砂糖もああいう相場商品であった関係もあって国際的にも非常に高騰をした。そういう情勢の中において、豪州糖が比較的当時の国際価格に比較して安かった。そういうようなことで、われわれの立場から見ると、こういう相場商品を商売人でもあるものが長期にわたって固定した価格で決めるということについては、冷静に考えた場合には確かに無理があったと思うわけでありますが、客観情勢から業界としてはこういう価格でやっていけるというような判断、そういうことがあったと思います。  また、資源競争の状況下において、政府がとにかく食糧資源である重要な砂糖の安定確保、こういう面からこれを指導をした、価格について直接指導したとは思いませんが、そういうことがなされたという意味におきまして、私どもは、その結果こういう後遺症が出てきておる、これをできるだけ是正をする。そして過当競争、コスト割れ、あるいはそれによる不安定な状態、これを解消するために政府としてあとう限りの措置を講ずる、これは政府の私どもは責任であると、このように心得ておるわけでございます。ただ、いまの豪州糖のためだけに、それを理由として消費税の問題云々ということでなしに、前段で大局的にお話がありましたところの消費者対策としての面からいたしまして、これは政府部内においてもよく協議、検討をいたしたい、こう考えております。
  145. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 消費者対策としての消費税問題の検討という大臣の前向きの御答弁、大変評価できるのではなかろうかというふうに思いますが、実はこの法律、非常にいろいろな点でまだ懸念すべき点がたくさんございます。たとえば、現在九八%以上の砂糖輸入される場合には関税でトン当たり一万円高く取っている、こういうことのために輸入がある程度チェックされております。しかし、一定のレベルの中で、瞬間タッチ方式なり何なりで国内の産糖をきちっと価格を安定させた場合に、国際糖価がうんと下がってくるという状態で一万円の関税障壁の壁を破って精製糖輸入されるというふうなことは、貿易自由化のいまの情勢の中でチェックできますか。
  146. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 歩どまり九八%以上のものは精製糖扱いの——いま歩どまりと申し上げましたが糖度です。
  147. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 糖度です。
  148. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 糖度九八%以上のものは、これは精製糖の扱いということで税率が高くなっております。先生御指摘のとおりでございます。この税率差でもって精製糖輸入が今後とも阻止し得るかというお話でございますが、現在までのところやはりコスト差等を考えました場合、私どもそれほど精製糖輸入が今後ふえるというふうには思っておりません。現在でも精製糖輸入というのはごくわずかでございまして、三千トンとか一千トン、この程度のレベルでございます。
  149. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 精製糖として輸入されてきているのが菓子業界に韓国から入っているというようなうわさを聞いたことがございますが、そういう事実はございますか。
  150. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 前に国内価格が著しく暴騰した時期に若干の量が入ったということは聞いておりますが、現在は入っておりません。
  151. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 精製糖として入ってこなくても、製菓業界が出かけていって製品として輸入する場合の歯どめは一体どこでやることになりますか。
  152. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 一般的にそういうことをやって海外で有利な原糖を仕入れてくる、あるいは仕入れたと同じような効果を事実上得てくるということに対しては、現在、制度上特段これを規制するという措置はできておりません。
  153. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、この法律でもその点に対する対応策はできませんですね。そうしますと、一たんシェアを決めて安定したと思っても、原料糖外国でそういうことが起こる、外国へ出かけていって日本商社か今度はその分を製品にして輸入してくる。自分のところの枠が少なくなったんでその分のカバーを、商社ならいろんなことがやれますから、そういうふうな危険性は残っているというふうに理解するわけです。  それから、時間がもうあれですから、その問題はそういうことで非常にまだ問題があると、この法案自体の発効の中で問題があるということはよく出てきたと思うんですが、実は、これは大変くどいようなんですけれど、再三にわたって銀行の問題を私申し上げました。そしてそれについて農林省は、そういう業界からの依頼に対してやったことはない、こういうお話なんですが、農林省の官房長がやっぱり談話を発表しているんです。昭和五十年九月十一日の日経、それから一つの新聞だけじゃちょっと大変だと思いましたんで、朝日、毎日、それぞれやはり農林省業界のそういう苦境に対して精糖業界から陳情を受けて、日銀の融資というのは山一証券のときに一回特別にやったのみでその後やってないからということでだめだったけれども、それにかわるあれをしたし またそれらをひとつやらなきゃならないというふうな談話が出ておるんですがね。これら各新聞がいろいろほとんど同じように共通して書いているけれど、それは新聞社の間違いだというふうに局長さんおとりにならざるを得ませんか。やはり農林省はあれでしょう、豪州糖に対して相当勧誘したので、その責任を感じていろいろやったんじゃないですか。そこのところひとつ、やったって言いなさいよ。そうすれば話は進むんです。  そうすれば、やっぱり農林省業界に対して責任を持ってこれからもめんどうを見てやるためにはこの法律が必要なんだと、すらっと法律の本当のたてまえでない本音が出てくると、私たちも腹に入るんです。そうして、やっぱりこれはビートや沖繩南方のケンシュガーの人たちにも、業界が安定するということが幾らとは言えないけれどもメリットがあるんだからひとつ理解してくれというふうな、すらっと一貫して通る話になるんですけれど、どうも農林省は責任ない責任ないって言われると、何で急いでこの法律を、いま申し上げたような韓国の問題、あるいは消費税の問題とか、いろんなそういうことも関連して考慮しなければならない問題を抜きにしてこれだけどうしてもなぜいまやらなきゃならないかという意味か——せめてビートやあるいは沖繩の粗糖関係に二十円上げればこれだけあるんですよ、そして消費税はこれだけ下げるから消費者にはこれくらいの負担しかならぬのだというふうなことがすかっと出てこないと、どうも腹に入っていかないんですよ。ですから認めなさいよ。  そうして、実はこれはもう農林省も責任あるんだと。だからこの始末をつけなきゃならないんだから、この法案商社の救済のためにも必要だから、こういう本音がすかっと出てきた方が、私たちは終始一貫した形の中でこの法案に対する疑義が消えていくんです。そしてそういうことですから、今度は商社や精糖会社に対しては、国もこういうふうな法案でめんどうを見てやったんだから——雇用関係についてはいまの三交代なんていうのも大変なんです。それはもう私たちも季節的にうんと忙しい企業を持っていますから、町営でございましたけれどもやっておったんで、そんなことを長くやったらそれは労働者大変なんですよ。過剰設備、過剰設備なんてことを言わんで、交代制、労働条件をもう少し楽にする方に向けるというふうな、積極的なひとつ行政指導もできるんじゃないでしょうか。ひとつその点について、局長さんすかっと言ってくださいよ。時間がたてばたつほどいろんな材料が出てくるんですよ。これはいま出てきた資料ですけれど……。
  154. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 豪州糖について政府が責任を感ずるべきだ、そのための今回の措置ではないかという御意見でございますが、まあ責任という言葉の中身、性格だと思います。私ども確かに、かたくななくらいに、先生方におっしゃられれば、責任ないという意味のことを申し上げましたけれども、それは直接に国か補償しなければならないような、あるいは価格自体について肩がわりをしなければならないような、そういう意味での責任がないということを申し上げただけで、業界に対する指導、それから豪州糖問題に確かに当時長契一般を指導したという立場での政府のそういう幅広い意味での責任は十分感じております。そういうことを考えたがゆえに、こういう法案も出して業界の健全な立ち直りを図るということにしたわけでございます。その意味では、先生のおっしゃられている意味とそれほど大差はないのではないかというふうに私は思うわけでございます。  それから、なお融資の問題についてでございますが、五十年には関係融資機関に対して食品流通局長名をもって融資の要請をいたしております。これはただ豪州糖ということよりも、一般的に経営が悪化して金繰りが苦しくなった、その事情に対して配慮してほしいということを、一般融資の枠内で考えてほしいということを要請した趣旨のものでございます。
  155. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 先日のときには、業界の全体に対するそういう融資のあっせんをしたことはないとあなたおっしゃったですね。個々の社が来れば相談にも乗ることはあるけれども、と。きょうの答弁と前の答弁と食い違うんですがね。これは記録を調べればわかると思いますが、どっちなんですか。
  156. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 先日の御質問は、五十一年の秋に日銀の特融の話が起こったではないか、それに対して農林省は何か対策をとったのではないかというお尋ねでございました。五十一年の秋には、私は赴任しておったわけでございます。十一月に就任したわけで、その話を聞きました。そして、日銀の特融の話ではない、むしろ個別融資の話だろう、いま資金枠は一般的には余っている、緩んでいる状況だから、もし何か会社の経営がぐあいか悪くて借りられないというような事情があれば、それは個別に私ができることなら金融機関なり何なりに話をしてもいいという意味で、個別の指導はしたことがあるということを申し上げました。いま先生がお尋ねになられましたのは、これは五十年のときの私の赴任前の措置でございます。私がこの間お答えしたのは、五十一年秋の日銀の特融の要請に絡む指導措置でございますから。
  157. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私は、あなたと質問はしなかった。農林省がと、この間も質問をしたので、私のときの答弁と前のときにはどうだか違うと言うなら、それは私は、答弁としては問題だと思うんですよ。私は、終始、杉山局長さん、あなたがしたかとは言っていないですよ。農林省はそういうことをやっていないかと聞いたら、あなたは、それはやっていない、やっていないとおっしゃったんです。しかし、そういうふうにいろいろある。時間をかければかけるほど、いろいろなことが出てくるんです。  それから、さらにまた、当時は文書でも農林省は、供給責任のある大手メーカーはこの際は協力せいということで、出したりなんかしているでしょう。私は、まだその文書は手元にありませんけれども、これからまた二十二日までかかるとこういうふうに後から後からまた材料が出てくるんです、時間がたてばたつほど。ですから、この法案というのは相当慎重に審議しなきゃならぬというふうに考えておりますけれども参考人などの話によっては、生産農民としてはわらにもすがる気持ちで、それでも業界が安定してくれた方がいいから賛成だというふうなことを午前中にも申しておりました。しかし、やっぱり労働組合の方としてみれば、雇用問題の不安を明確にしてほしい、こういうことです。  それで、私はこれは農林大臣にお伺いいたしますが、国内産糖、ビートやケンシュガー、これらの保護政策が、いわゆる精製糖会社の浮沈に影響するということについて、私は納得いかないんです。これは、各国ともに国内産糖の問題はわけて大きな保護政策をとっているのに、どうしてそれらが、砂糖価格が安定しなければ生産者も困るじゃないかというところに連動するような政策しかとれないんでしょうか。ということは、この豪州糖供給責任のある大手メーカーその他商社中心になって、砂糖をあわ食って豪州から高いやつでも入れなきゃならぬというふうにあわてふためいた原因は、ヨーロッパのように国内産糖自給度を高めていないからなんですよ。これが三五%、四〇%あれば、多少のがまんをしろということにあのときなったと思うのです。それが砂糖自給度を高めると言って、昭和三十年代にビート工場をつくった。三十八年に自由化した。しかも、自由化はしたけれども、なおかつその差益でもって国内産糖を奨励して、そうしてさらに自給度を高めていくんだということを言っておいて、結局自由化したらそれはできないわけですよ。そういう自由化政策の破綻が、今日こういう法案を出さなければならない大きな遠因であることは先日も申し上げましたか、そういうことをどうしてできないのか。  それからもう一つ、どうもこの法案でもう少し農林大臣お願いしたいんですが、国内産糖生産農民に、この法案が通ればこういうふうにプラスになるんだということを責任を持って言っていただけないでしょうか。もしきょうそれがお答えできなければ、二十二日までに事務当局を督励して計算を積み上げてみてくださってからでも結構です。そういう点がなければ、要するに何だかんだ言うけれど、結局はいまの業界の問題というのは商社間の企業競争です。食うか食われるかの企業競争を勝手にやって糖価を下げているんですから、これはもう生産者でも消費者の責任でもないんです。そうして、それらのしわ寄せが農民労働者に来る。商社が困れば直ちにこういう対応策を出して、生産者労働者が困っても慎重に考慮、慎重に考慮、こういうことになるのでは浮かばれない。その点について、大臣の勇断のあるひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  158. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 甘味資源生産者に対する保護政策、これは北海道てん菜に対しましても、あるいは鹿児島県、南西諸島、沖繩県等のサトウキビ生産者に対しましても、この法案とはかかわりなしに今日まで政府として財政上許す限りの助成、助長の振興対策を進めてまいったところでございます。私は、この沖繩県等のサトウキビの生産者代表の諸君が、先般価格決定の際に陳情にお見えになったときも申し上げたわけでありますが、政府としてもできるだけのことをやっておる、いまの価格形成の中で恐らく八〇%近いものが、これが価格支持政策なりあるいは政府からの助成金等によって形成をされておる、こういう実態になっておる、こういうことも申し上げさらに今後においては沖繩のサトウキビの生産性を向上させ、所得がよくなっていくように、基盤整備その他生産対策を含め、今後の価格の面についても努力をいたしましょうというお約束も申し上げておいたわけでございます。  また、北海道てん菜につきましても、丸谷さん地元でよく御承知のように、不十分だとおっしゃるかもしれませんが、他の作目に比較いたしましても、そう私どもてん菜の振興育成について手を抜いておるとは考えておりません、昨年来特別な生産奨励の措置もとっておりますし、今後におきましてもこの育成、そうして自給力を高めるという方向で努力をしてまいる考えでございます。この法案との関係におきましては、何といってもこの原糖のもとになる甘味作物生産する農家の方々にとっても、日本精糖業界がこのような極度の経営不振に陥っておる、いつ破綻を生ずるかもしれないというようなそういう状況下においては、末端の甘味資源生産農家としても常に不安に駆られるということでございますから、こういう点をできるだけこの法案によって安定的なものにしていきたい。本来、業界が本当に業界内部でよく自粛もし協調をしていきますならば、今回の法律改正というものは必要がなかった、私はそう思うわけでございます。  ただ、業界の自主的な協調等の面を放置いたしました結果が、このような過当競争になり、過当設備を抱えることになり乱売競争になっておる。こういうようなことからいたしまして、砂糖自由化されておるというそういう条件の中ではございますけれども、これに歯どめをかける措置として瞬間タッチの面を改善をいたしまして、需給を大きく乱すような場合においては売り戻しをチェックする、こういういわば伝家の宝刀まではいきませんにしても、とにかく法的にもそういう措置を講じようと、こういうことでございます。そういうことでございますので、この法律によって具体的に末端の生産農家に対して何十何円メリットがあるのだと、こういうことはなかなかこれ計算のむずかしい問題でございますが、前段で申し上げたように、せっかく甘味資源生産者が売り渡しますところのその精糖企業の基盤の安定を図るということが生産農民の安定を図るゆえんでもある、このように考えております。  なお、この最低生産者価格にこれに精糖企業が上乗せをして、そうして手取り価格というようなものが形成をされておるわけでありますけれども、そういう面についても精糖企業が今日のような経営不振の中では出せない、出せないからといって政府はそれを放置しておるわけでございませんで、それらが出せない分については、やはり生産農民については手取り価格を保障させるということで政府が財政的な面からこれをカバーをしておるということも、これはもう丸谷さんよく御存じのところでございます。今後とも生産農民方々に対しましては、政府としてはあらゆる面から保護助長の政策をとってまいる、こういうことをはっきり申し上げておきたいと思います。
  159. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私は、何十何円まで、こういうふうにこれで二十円上がったらこうなるというところまできちっとしなくても、ある程度のめどが立ったら、ある程度のめどが立つという事務ベースでの試算をもとにした大臣の政治的含みのある発言を実はお願いしたいんです。ということは、提案理由の中で、「精糖業界は巨額の累積欠損を抱えるに至り、極度の経営不振に陥っておりますが、このことは国内産糖企業の経営面にも大きな悪影響を与えており、ひいては、てん菜・サトウキビの生産農家の所得確保の面でも少なからぬ不安を与えて」おる。不安を与えておるからということは提案理由の説明にあるのですが、この法律を出したらてん菜やサトウキビの生産農家にはひいては非常にプラスになるというふうな提案理由の御説明がないんですよ。ですから、そこら辺はもう一歩踏み込んだひとつ大臣の御答弁をお願いいたしたい。  さらにそれから、まだ問題としては、いまの砂糖のパニックがなぜ起こってきたんだというふうな問題。それから、審議会は非常に強大なこれはもうここが権力を持つことになります。一体公開制にするのかどうかという審議会に対する十分の討議。あるいはまた消費税の問題についても、消費税は、当然酒なども同じだと思うんですが、原価計算あるいは溶糖量、工場設備、そういうふうなものから出て細かい計算ができると思います。そういうことに対する坂倉委員からの資料要求はまだ出ておりません。したがって、もう時間がございませんので、まだ二十二日もありますから、そういうまだ問題点が残っているということについての質問を留保し、一点だけ、ひとつ農林大臣生産者並びに労働者に対する温かい前向きの御発言をお願いいたしたいと思います。
  160. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 私は、こういう精糖企業が非常な経営の悪化に悩んでおって破綻寸前にあるような状況、これが生産農民に対して常に不安を与えておる、こういう点が改善されれば生産農民方々もその生産の面に悪影響のないという、障害がそこに取り除かれることになるという立法の趣旨、提案の趣旨をただいまるるお話を申し上げたわけでございます。  しかし、それがどれだけ具体的な数字の面でメリットがあるだろうかという重ねての御質問でございますが、その点、私、ここがこうなってこういう具体的に計算上メリットが出てくるのだということまでよく把握いたしておりませんので、丸谷先生の御趣旨を、よく事務当局とお打ち合わせをいただいて、そして、こういう点がこうなればこれだけ具体的に生産農民の方にメリットの還元になるのだというような、まあ算定の根拠といいますか、ここをこうすればこうなるじゃないかというようなことにつきましては、事務当局を伺わせますので、よく御指導いただいて、そういう点を明らかにできるものであれば明らかにいたしたい、こう思います。  なお、精糖企業に働いておられる方々の雇用問題、職場の安定ということにつきましては、私も真剣に考えておるところでございまして、冒頭にも最初の日に申し上げたように、この精糖企業の中で一部、一、二の倒産とか脱落とかいうような事態が顕在化してきておると、こういうことで、放置しておれば全社的にこれは大変な問題になるということで、いま構造不況産業の問題が大変社会問題になっておりますので、農林省所管の中でもこういう問題について早く手当てをする必要があると、それには、通産省等の構造不況産業になかった糖安法という法律もあることであるから、これを足がかりにして、この際精糖企業の安定を図るようにしたいということでこの法案を提案をしたと、こういうことでございます。そういうことでございますので、働いておられる方々の職場の安定、雇用の問題等につきましては、業界を十分指導いたしまして最善を尽くしてまいりたいと、こう考えております。
  161. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 砂糖業界が現在のように大変混乱をして、極度の経営危機に陥った原因はいろいろと挙げられるんですが、まあ詰めていきますと、その責任の所在は三つにしぼられると思います。  第一は、政府の砂糖行政の失態。特に法制面上の不備欠陥を各関係者方面から指摘を受けながら、なかなかそれが行われてこなかった。その上に、豪州との砂糖協定に見られる政府のミスリード、そして不手際、こういうことから事態の混乱に一層拍車をかけてしまった。そういうことで、私は政府の責任は非常に重いと思うんです。  第二は、精糖企業経営者の姿勢の問題が挙げられると思います。砂糖という国民生活必需物資を取り扱っている社会的な使命感に乏しくて、よく精糖業界ぐらいまとまりのない業界はないとか、あるいはお行儀の悪い業界はないと、常に批判の対象にさらされてきたこの精糖業界自身の体質に原因があると指摘せざるを得ません。  それから第三は、精糖メーカーの背後にある大手商社、この動きです。大手商社砂糖業界を利潤追求の道具にしようともくろんで、原糖の買い付け競争を展開して、次第に糖業界の中における実権を握ってきて系列化を進めてきましたし、その原糖をメーカーに押しつける露骨な経営を進めてきたと言っても過言ではないと思うんです。現状を見ますと、大手商社間における粗糖輸入の拡大というものは即メーカー間の販売競争となりまして、メーカーはまるで商社の代理戦争を行っているような感じが強いわけです。こうした大手商社砂糖業界分割支配の構造から、いろんな問題点が派生をしてきていると思います。  そこで、この大手商社のあり方にメスを入れなくては砂糖業界の健全な発展、運営は望めないんじゃないか、また、今回法改正効果は上がらないのではないかと思うんですが、まず最初大臣から、この砂糖業界混乱、経営危機に陥った基本的な見解をお伺いしたいと思うんです。特に私の意見と違っているところがあれば、詳しく述べてください。
  162. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 三点にわたっての原因の究明がこの業界を再建させるゆえんであると、こういう御趣旨から、まず第一は、政府の砂糖行政に対する御叱正があったわけでございます。私は先日来申し上げておりますように、こういう国際的に相場商品であり、非常に価格が乱高下をするというような性格の商品、自由化の中でこれをどういうぐあいに姿勢を正し業界を節度のあるものとして協調と連帯の上に立って進めていくかという業界指導の面、そういう面において万全でなかったというおしかりにつきましては、私ども深く反省をいたしておるところでございます。  第二点の、この過当競争あるいは過剰設備あるいは流通面における乱売、こういうようなことが、今日の大きなコスト割れを生じ経営危機を招来をしておる。しかも、その背後には、商社がそれぞれ系列化を進めておって大きな影響力を与えておると、こういう業界の姿勢、この問題があるという御指摘、私もまさにそのとおりだと思います。この今回の法改正も、実は業界が本当に節度を守り、自由化の中においてそれぞれ協調しお互いの立場を守り尊重していくという節度のある行動をやっておればこれは問題はないわけでありますが、それができないような体質、そういうようなこともございまして、まあ今回売り戻しをチェックすると、一時たな上げ等の措置も構ずる、需給計画の目安というものをはっきり立てて、そして業界の過当競争をできるだけこれを是正をしていく、こういうことに相なったわけでありまして、その本質は業界内におけるところのいまの姿勢にあると、これを正してもらう。幸いにして御承認をいただけば、この法案の成立を契機としてこれは私ども強力に指導もいたしますし、業界自体ももっと社会的責任を自覚して秩序のあるひとつ体制をつくってもらいたいと、このように考えております。  第三の商社と精糖企業との関係でございますが、これもこういう経済社会の中でございますから、いろいろの資本構成なり、あるいは原糖の供給その他を通じての系列化ということが自然に形成されてきておるというこの現実は私どもは認めざるを得ないと思っておりますが、それにしても、商社と精糖企業の間におきましては、原糖供給者と精糖企業、こういう関係をはっきりいたしまして、両者の間に節度のある私は経済関係、経済取引、そういうものが行われるように業界自身としても体質の改善をやる、また商社等においてもそういう点は十分自粛を、改善を加えてもらうということに指導してまいりたいと、こう思っております。
  163. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大体大臣と基本的な見解は同じでございますが、政府の砂糖行政のあり方、また今回の法案の問題点につきましてはすでにわが党の原田委員の方から前回の委員会で質疑が行われておりますので、私はきょうは精糖メーカーと商社の問題に焦点をしぼって若干質問をしたいと思います。  午前中も参考人の方たちからいろんな御意見がありました。その中で商社金融の実態についての御意見もありましたが、現在大幅な赤字を抱え込んだ精糖メーカーの場合、すでに銀行から融資を受けようにも担保能力を失っておりますのでなかなか融資を受けられない。そこで、商社が銀行から融資を受けてそれをメーカーに貸すという手段を講じているわけですね。この場合、商社は銀行金利に数%程度の利息を上乗せしてメーカーに貸すと、こういうのが通例になっていると聞いておりますが、ただしこの利息については、メーカーと商社のつながりの強弱によって多少の開きがつけられるそうであります。また、最近では、非常にメーカーが大幅な赤字で身動きがとれなくなってきたというので、商社もこの利息についてはたな上げをしたり、あるいは引き下げをしたりしていると聞いているんですが、いろいろ関係者に聞きますと、今日まで商社から借りたその金の金利の負担の返済のために四苦八苦してきたと、こういうことを言っておるんですが、農林省はこの実情についてどのような把握を今日までされてきて、またそれに対する行政指導というかあるいは相談に乗ってこられたのか、それを明らかにしていただきたい。
  164. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 商社の各精糖メーカーとのつながりの深さは、いろいろあるわけでございますが、出資のぐあいなりあるいは融資の状況なりということによってそれぞれ判断ができるかと思います。先生いま仰せられましたように、つながりの深いところに対しては資金的にもかなり深く面倒を見ているという状況はございます。一般に商社が融資のめんどうを見る形は原糖代金、これは通常でも売り掛けとして四カ月の猶予がございますが、それを越えて資金繰りが苦しければさらに二カ月、また苦しければその上二カ月というように買掛金の延長、精糖メーカーの方から言えば買掛金、この延長を認めるという形での融資を行っているものがある。それから運転資金その他所要の短期資金、これを直接貸しつけるという形でめんどうを見ているものもある。さらに設備等の長期資金、これについても融資をするというものもある。そのほかに、直接融資をするわけではございませんが、銀行の融資に対する商計保証というような形での融資の援助をするということもございます。いろんな形がございますが、いずれにしてもほとんどの精糖企業は多くの赤字を抱えておりまして、きわめて金繰りは窮屈でございます。一般の金融機関に融資を要請しても、担保も十分でないというようなことからなかなかそういう金融機関融資は受けられない。そこで、商社融資に頼らざるを得ないという実態になってまいるわけでございます。そういう商社の融資が多額になれば、これは金利負担は当然多額になるわけでございます。  そういう金利負担がどうかということでございますが、これは幅かいろいろありますけれども、一般の金融機関に比べて特別に高いという水準ではない。私どもが聞いた状況のもとでは、おおむね六%から八%の幅ぐらいにおさまっているようでございます。  それから、個別にはこれは今後調査を進めていく必要はあると思いますが、先生も言われましたように若干の猶予を行うとか、あるいは利子について若干の軽減を行うとかいうようなことも行われているようでございます。  これの負担軽減について、特に何か国として考え手当てしたことがあるかということでございますが、実は金利の問題以前に、そういう資金繰り自体が苦しくて困る、何とか借りる先を考えてもらえないかというような話で個別の相談を受けたことはございます。そして、金融機関なりあるいは商社にそれを取り次ぐということをやったことは何回かあるわけでございます。金利の問題以前に、むしろそういう金繰り自身で苦しんでいるということと、それから金利水準は一般金融機関に比べて特別高いという水準ではない、それから商社にいたしましても、無利子の金を持っているわけではございませんので、それなりにコストがかかるということで、その程度の金利は、今後全体の赤字解消の中でどういうふうに再建策を立てていくかという中で、今後再建策の中で消化を、あるいは軽減をいろいろ相談していくというような話であろうかと考えております。
  165. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 局長のいまのお話ですと、大した金利じゃないんだというようなお話していますけれど、実際、銀行から商社が借り受けるとき大体六・七から八%ぐらいですよね。それに何%か上乗せして借りなきゃならないというのが実態なんですよ。そういう実態の掌握がまだ非常に鈍いんじゃないですか。  それから、いまの答弁の中にありました原糖価格に対する融資ですね、これは金融面でのもう一つの問題点でありまして、手形決済の猶予という形になっていますね。メーカーが商社から購入した輸入原糖の代金決済は手形で行われる。普通、この手形の決済期間というものが四カ月ぐらい、それで二カ月、二カ月で延期をしていくと。まあメーカーの場合、手形決済を決められた時期にできないので、どうしても延期をせざるを得ないという状況は多いようでして、一番ひどい例になりますと、最高十カ月から十五カ月間も決済できないでいるメーカーの例も出てきているんだと、こういうことなんですね。その場合、商社は決済の延びた分の利息をメーカーに対して、原糖を売却する際に原糖代金に上乗せをしてくるんですね。これを俗にハネ金融と、こう言っているんですけれど、この利息分がまたメーカーの赤字につながっていく、こういう実情なんですけれども、この辺についてはどれぐらい掌握されていますか。
  166. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) いま先生言われましたとおり、原糖代金四カ月のユーザンスに加えて二カ月単位で延長を図っていく。多いのは、二カ月一回ハネれば——これを一ハネと称しておりますが、二ハネくらいまでで、それ以上さらに長期にわたるというのは、つまり十カ月にもわたるというのは少ないというふうに聞いております。ただ、先生御指摘のような、例外的なごく長期にわたるようなものも一部にはあるのかと存じます。その金利は、先ほど申し上げましたように、六ないし八%ということでこれは金利を取る、あるいは金利の取り方の一つの形として、原糖代に加算してこれを請求するというようなこともあろうかと思います。やはり金利の元のかかっている金でございますので、それの利子分を商社自身もメーカーから取るということは、これは経済問題として私はやむを得ない話であろうというふうに思っております。
  167. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 結局、メーカーは手形決済を猶予してもらっても、かえってそれが延びてくると負債がふえるわけですからさらに返済が苦しくなるというんで、一時借りてみたものの、やはり決済期限に返さなきゃよけい苦しくなるんだということで苦労するわけですね。じゃ結局、そのためにはどうするかというと、製品を売って金をつくる以外道がないというところへ追い込まれてくる。結局、それが乱売というかっこうになってくるんですよね。いわば赤字を抱えているために過当競争にますます拍車がかかる、こういう悪循環を繰り返しているのがいまの砂糖業界の実態じゃないかと思うんです。こうした点から考えますと、この法案による需給調整も確かに必要なことであるとは思いますけれど、現在内在しているこうした問題についての対策もあわせて講じなければ、法案効果など期待できないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  168. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 確かに乱売が赤字をこしらえる、赤字をつなぐために借金をする、その借金が返せない、一時苦しいとまた乱売をするというようなことで、赤字をますます増加させる悪循環になっているという事実は指摘できると思います。そういう悪循環をどっかで食いとめなければいけない。そのために乱売をやめさせる、そして少なくともそこでもって新しい赤字を発生させるようなことは食いとめるというのが、この法律案の趣旨でございます。過去に累積しているところの赤字、それを借入金で賄っておりますれば、金利もかかる。この赤字あるいはそれに伴う金利負担をどう処理していくかということは、これはすぐにこの法律だけでもって処理できる話ではない。やはりそれには相当時間をかけた長期の再建策、これは関係する商社、金融機関も含めたそういった関係方面の協力を得た上での見通しを持った再建策というものがなければいけないと考えております。私どもがこの法案について、こういう仕組みだけでなく、むしろ経営者の心構えとか体質改善とか言っておりますのは、そういう問題を含めての全体的な展望を持つということを期待しているからでございます。
  169. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 期待していると言っても、相当これは政府が腰を入れて指導対策を講じなければこの現状は解決できないと思うんですよね。極端に言えば、砂糖業界現況というのはもうメーカーは商社のダミー化しているんじゃないかと思われる節がずいぶんあるわけですね。こうした商社支配の砂糖業界が、あのパニック当時には利権を求めて原糖買いに走った。政府の場合は、国民生活必需物資として砂糖の安定供給を図らなきゃならないというそういう気持ちも当然あって、そして豪州糖の協定に対して指導した、指示をした、アドバイスをした。しかし、業者の方は相当これについては後になるといろいろな言い方もあると思うんです。政府に協力を頼まれたんで大いに政府に協力したんだと、協力しなかったところはいま余り赤字を抱えないで楽をしている。今度の法案で楽をしているところはますます楽になるし、苦しいところは若干救われるかもしれないけれども、もう少し公平にしてほしいというような意見も出てきてみたりなんかしますけれども、やはりそこには相場商品を扱っているわけです。ですから、やはりこの際原糖輸入を拡大しようという意図は当然そこにはあったと思うんですね。いろんな絡みがあったんでしょう。とにかく結果的にはこれは失敗に終わって、膨大な赤字を抱え込む大きな原因になっているわけですね。  しかし、この失敗による負担を、輸入した商社は一体どれだけ負っているのかというところが問題点だと思うんです。商社はメーカーに対する商社金融の姿勢、あるいは先ほど話したハネ金融等でさらにもうかる。最近でこそ先ほど話しましたように、金利のたな上げや割り引きという措置をとっていますけれども、これも、これ以上あんまりメーカーを追い詰めていってつぶしちゃったんじゃ、まるまるの損失になってしまうという損得勘定でやっているにすぎないと思うんですね。そういったことで、この法案はこうした大手商社や、商社支配下のもとでもっぱらシェア争いに血道を上げてきた糖業メーカーの営業失敗を、国民に対して砂糖の値上げという形で押しつけるというようなしりぬぐい的法案と非難されてもやむを得ないのではないかという感じを率直に抱いてしまう。一体農林省としては、この法案が通ることによって、直接影響を受けるであろう消費者あるいは関連食品業者の方に対して、一体どういう説明で納得をしていただこうというんでしょうか。
  170. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 豪州糖の問題とそれから経営一般の問題、それからそれにかかわる商社との関連、そういった総合的な観点全体を通して御説明する必要があろうかと思いますが、豪州糖の問題につきましては、確かに現実、契約にサインしたそれぞれの企業は思惑を抱いたところもあったかと思います。当時むしろ、その割り当てをもっとふやしてほしいというようなことで若干の争いがあったというくらいにも聞いておるわけでございます。そういった豪州糖の特殊な事情、これにつきましては、いまになってみれば高い物を買ったと、そのツケを国民にしわ寄せするのかという御批判あるわけでございますが、当時は異常とも言うべきパニック状況のもとで、むしろ安定供給を果たすためによくやったという評価もかなりあったことも事実でございます。いまになってみますというと、いろいろ反省させられる点はありますが、当時としてはそういう意味では安定確保のためにやむを得なかった措置ではないかというふうに考えられるわけでございまして、そういう安定確保のために高い物を買ったには違いありませんが、そのコストはやはりこれは企業経営のコストとして製品価格の中で負担していただきたい。やはり必要な物を手当てするためにかかった企業としてはやむを得ざる負担であるということで、御理解いただかなくてはいけないというふうに考えております。  それから、商社も入っているしいろいろ経営態度が不健全である、そういったことについて企業努力をどう要請するのか、責任を負わせるのかということでございますが、今日生じておりますところの赤字あるいはその負担による金利の問題、あるいは必ずしも十分能率的ではない生産性、そういったもとにおけるコスト、これはこれなりにいたしまして、高いままでいい、問題を残したままでいいということにはならないと思います。先ほど申し上げましたように、赤字全体のこの処理の問題も含めまして、本当に真剣に企業努力のもと、関係者商社等の協力も得て再建策を講ずべきであるというふうに考えます。そういう中で合理化をできるだけ図ってコストダウンをする。そして、消費者にも確かに現在の価格より若干高いものをお願いすることになるのでございますが、少しでもそういうコストダウンによっておこたえするということが必要であろうかと考えております。  それから、この制度の面では消費者に対していたずらに価格をつり上げるわけではない。平均生産費そのもののコストダウンにも努めますが、現在考えられている平均生産費、それを超えるようなことにはしない。また、現実の相場の問題ございますから瞬間的に上がり下がりがございましょうが、平均生産費、これは今日の原糖価格等から計算いたしますというとキログラム当たり百九十五円ということになります。この水準を超えるようにはしないようにするということが法のたてまえにもなっております。当然、また、私どももそういうように運用いたす決心でございます。そういうようなことで、消費者にも御理解を願うように今後努めてまいりたいと思っております。
  171. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 どちらにしても、現在より二十円ぐらいキログラムで高くなるような予想が立てられると思うんですけれども、これから年末を迎えての消費者物価の値上がりの動向、それから砂糖を動向、それから砂糖原料に使っている食品関連産業にしてみれば、それによって売れ行きが減退するのではないかという心配点、そういうものに対してどういうような影響性があるかという点については、省庁間でのあれでしょうか、打ち合わせ等が行われていますか、経済企画庁と。
  172. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 現在の小売り価格は、キログラム当たり大体二百三十円台でございます。昨年の年末、五十一年の年末は二百四十八円、五十年の年末は二百七十九円、四十九年が二百八十六円ということで、ここ三年にわたってずっと前年より相当程度下落してまいっているわけでございます。そして、下落していることの結果が企業の大幅な赤字、出血ということになっているわけでございまして、このコストを割っているような事態は異常である。確かに今日の異常に低い事態から比べれば上がることにはなるけれども、物価の動向からしてこれはやむを得ないことではないかということで、事前に経済企画庁とも御相談した折に、まあやむを得ないということでの御理解をいただいております。
  173. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから、先ほど局長の答弁の中には、あの当時としては安定供給という立場でよくやったという声も一部あったと言いますけれども一丸谷委員からの指摘もあったように、要するに国内産糖自給率長期計画では約二七%に持っていくと言いながら現状が二〇%を割ってしまっていると、こういう状況。これがいつの時点に一体二七%になるのか。毎年毎年の自給率向上の具体的な計画と、またそれか実施されるだけの保護対策もなしに今日まで来た。そして、あのパニックの騰貴に国内産糖の占める自給率というのが非常に低下をしている。もしこのまま入らなかったら大変だということで、大量買い占めをしなければならなかった。それが裏目に出てしまったということなんですけれども、やはり一面においては国内産糖自給率向上、これを年次別に具体的に価格政策等も織り込んだ総合的な保護政策でもって実効あるように進めていかないと、もう二度とこういうような問題は起きないと思いますけれども、いざというときに後から大変なしりぬぐいを消費者の皆さん方にかぶせてしまうような法案を出さざるを得ないということになるんじゃないかと思うのですが、特に今後沖繩のサトウキビあるいは甘蔗糖、そして北海道のビート糖、国内産糖自給に対する長期の見通しに対して、具体的に年次的な生産向上対策を立てる用意があるかどうか、これをはっきりしていただきたいと思います。
  174. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 確かに六十年見通しでは、自給率を二八%まで引き上げるということを予定いたしております。今日の自給率は一時二〇%を確保し得たものが一五%台に下がっているということで、目標をかなり下回った水準にあるわけでございます。ただ、北海道全体の畑作面積か減少する中でいままでビートの面積も減少してまいったわけでございますが、ここ一、二年、最近のもろもろの生産対策あるいは価格対策上の配慮が幾分効果を生じているものと思われますが、ここのところ面積の増加も見られるようになっております。今後ともそういう面積の増加、それから反当収量を上げる技術的な、あるいは基盤整備、そういったところに意を用いまして、できるだけ全体の自給を上げていくということを考えてまいりたいと思っております。  ただ、年次的にそれを具体的にどのくらいかという話になりますというと、生産自体がその年の豊凶によっても大きく動く、それから今日需要の方も四十八年をピークにしてその後三年間落ち込んだ水準で低迷いたしております。これらのことを考えますというと、なお需要、生産面、種々、今後目標に持っていくには若干の期間はありますものの、相当検討すべき要素も多いと思われます。できるだけ私どもそういう目標にかなうように、今後とも問題を詰めて真剣に検討してまいりたいと思っております。
  175. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次に、問題点を戻して、商社による精糖メーカーの系列化の問題でお尋ねしたいと思います。  砂糖相場商品であるために、商社利益をねらって相当砂糖業界に食い込んできておるわけですけれども、この大手商社がメーカーの系列化を図るためにかなり露骨な手段を講じていると言われます。ここで東海精糖の倒産のいきさつについて説明してください。
  176. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 東海精糖は、五十一年の九月、すでにもう一年数カ月以前以来相当の期間にわたって操業を停止しておったわけでございますが、この七月破産の申し立てを行っております。現在までのところ働いている方々たちの意見、そのほか関係者意見もありまして、再建の検討もなされているというようなことで、裁判所からの破産宣告ということにはなっておりませんが、事実上経営は中断しているという状況でございます。  東海精糖が、一般の企業も経営悪化している中ではございますが、特にこういう実質倒産の段階に至った事情としては、いろいろの要素としては考えられるのでございますが、一つは地理的な条件からコストが割り高につくということがあろうかと思います。大規模になればなるほど工場は海岸にあるのが望ましい。海岸から離れた内陸工場は、原糖の陸送ということでよけい経費がかかります。そういう意味で、東海精糖は四日市港、一番近いところからも若干の距離を経た内陸に立地しておると、接岸できないというところにある、そのために経費が割り高であると。それから、同じ中京地区を対象とする新鋭設備を持った強力な工場が出現した。強力な販売競争の相手が出たというようなことも影響して、販売が困難になったという状況もございます。それから、東海精糖の経営のあり方の中にも問題があったと思いますが、従業員の一人当たりの溶糖量、設備の稼働率等を見ますというと、単純に比較するのはいろいろ問題もあろうかとは思いますが、一般平均に比べても決して能率が高いとは言えない。直接的には原糖を供給している商社がその供給をとめたということが確かに操業をストップする動機になっておりますが、原糖を供給してもそれがだんだん焦げついていく。売掛金かあるいは貸付金か、いずれにせよ金繰りをめんどうを見ているそのスケールがだんだん大きくなっていくというようなことで、将来の見通しもきわめて困難であるというようなことからストップしたものと承知いたしております。
  177. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 東海精糖の工場の立地条件が悪い、その他いろんな事情があったことはわかりますけれども、東海精糖の倒産にはやはり商社影響が一番大きかったと言わざるを得ないんじゃないでしょうかね。東海精糖の抱えた負債は二十億程度だと聞いていますが、それぞれ膨大な負債を抱えた精糖業界の中では、東海精糖の場合は比較的負債は軽い方じゃなかったんじゃないでしょうか。資金繰りがつかずに倒産したということは、それだけが直接の原因じゃなくって、関係商社が原糖の供給をストップしたということがこれが致命的な傷になったと、こう巷間言われています。ですから、私たち考えますに、こういう商社の戦略的なやり口、また商社支配下のもとでなくては生きていけなくなっているこの砂糖業界の現状というものについて、農林省としては好ましいと考えるか、好ましくないと考えるか、この点いかがですか。
  178. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 商社機能に対する評価はいろいろあると思いますし、確かに功罪があると私も思います。ただ、現実にこれだけ精糖企業と深くかかわり合っている、また商社自身が輸入の窓口であるということからすれば、そのかかわり合いを全くなくするということはこれは考えられない。ただ今日、商社のかかわり方について考えなければいけないのは、商社というのはとかくシェアの拡大を一番重点に営業方針を貫くというところが見られます。その点、精糖企業は加工企業でございます。加工企業の本来の健全なあり方、自主性といったものからして、それが損なわれることがなかったとは私は言い切れないと思います。そういう意味では精糖企業自身とのかかわり合い、商社にも深く反省を求めて、今後の精糖企業のあり方についてそういう反省のもとに協力を求めていく、再建策を講じていくということが必要であろうと考えております。
  179. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ここで一つ具体例を挙げますけれども、東洋精糖が資金繰りに困っていたときに、ある大手商社が金融のめんどうを見てあげよう、そのかわり株を提供しなさい、こういう話になってきたと。それも増資による第三者割り当てということで引き取りをして、現在東洋精糖の株を二四%保有して発言権を強くしているわけです。そして、国内販売権を要求しまして重役を送り込んできているというのが現状なんですが、商社の精糖メーカーに対する株の保有状況と精糖メーカーに送り込んでいる役員の実態について、ひとつ発表してください。
  180. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 精糖企業二十九社のうち、大なり小なり商社の出資を受けているというものがかなりあるわけでございますが、二〇%以上、比較的多額の出資を商社に仰いでいるというものを数えてみますというと——この二〇%以上というのは、総合商社が一社で二〇%以上の出資をしているという精糖メーカーは十社ございます。それから商社のかかわり方としては、先ほど申し上げました金融でありますとか、そのほか原糖の供給のシェアというか体制であるとかいろいろありますか、もう一つかかわり方の一つのメルクマールとして役員派遣ということがございます。大体出資の多いところに重要な役員を派遣しているという実績が見られておりまして、どういう基準でつかまえるかいろいろの考え方ございますが、ここにある表から専務取締役以上の会社の枢要な地位に派遣されている現職商社の役付以上の職にあった者の数を数えますというと、九社に及んでおります。  そういうようなことで、もう一遍整理して申し上げますれば、総合商社一社でもって二〇%以上の出資をしているメーカーが十社、それから専務以上の枢要な地位にある役職員を派遣している、メーカーの方からすれば派遣されている精糖企業は九社でございます。
  181. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 結局、出資を二〇%以上している精糖メーカーに対しては一社を除いて全部が役員を送り込まれていると、こういう現状だと思うんですが、こういうような商社の精糖メーカー支配というのは、健全な経済発展の上で好ましいものじゃ決してないと思うんですが、この点通産省、それから公正取引委員会、それぞれ御見解を承りたい。
  182. 矢口慶治

    説明員(矢口慶治君) ただいま御指摘のように、商社が貿易等国際取引の面だけでなくて国内流通等におきましても、大変大きな役割りを果たしておるということでございまして、それだけにその行動の経済社会全体に及ぼす影響も大変大きいというふうに考えております。したがって、大商社はその社会的な責任を自覚しまして、それにふさわしい行動をとることが要請されているというふうに考えられます。このような観点に立ったものと思われますが、商社と主要貿易関係者をメンバーといたします社団法人の日本貿易会というのがございますが、ここは昭和四十八年に商社のみずからの行動の基準といたしまして総合商社行動基準というものを策定しております。そして、この行動基準には関連企業、業界との協調の観点に関するものがございまして、関連会社の主体性の尊重、相手企業、業界立場への十分な配慮といったようなものについても触れているところでございます。通産省といたしましても、これに沿って商社が自主的に適正な行動をとることを期待しているところでございます。
  183. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) お答え申し上げます。  ある会社がほかの会社の株式を所有するとか、あるいは役員を兼任するという問題につきましては、これは独占禁止法の上では、それによりまして一定の取引分野における競争が自主的に制限されることとなるといった場合にはこれを禁止いたしておるところでございます。したがいまして、企業の系列化という問題につきましては、その系列化それ自体につきましては独占禁止法では直接規制の対象としているわけではございませんが、その系列化の手段として株式を所有するとかあるいは役員を兼任するというような場合に、それによって競争が制限されることとなるといったような場合には、先ほど申し上げまました独占禁止法の禁止規定の観点からの問題が生ずる可能性はこれはあるだろうと思っております。  それから、なお一般に総合商社というものが、これは精糖業界に限らず、いろいろなところの会社の株式を大量に持つという傾向があることはこれは事実だろうと思います。その点につきまして、公正取引委員会といたしましては公正で自由な競争を確保する、つまりそういった観点から、総合商社のような規模の大きい会社が大量に他の会社の株式を持つということにつきましてはこれに一定の歯どめをかけるべきであるということで、先般行われました独占禁止法の改正によりましてそういった制度が今回新たに取り入れられたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後は新たに取り入れられました制度を適正に運用するといった観点も含めまして、十分関心を持って対処してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  184. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 十分関心を持ってその対処をしてほしい業界でございますので、しっかりやってください。  現在、精糖業界が大幅な赤字を抱えて苦しんでいるその一番の原因は、高い豪州糖を抱えているからだということなんですか、豪州糖の割り当てをかなり受けながら黒字経営のメーカーはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  185. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 上場会社とそうでない会社では形も決算の内容、把握の状況違うわけでございますが、上場十一社の中では、日本甜菜製糖、それから日新製糖、日本精糖の三社が繰り越し利益を計上いたしております。これは五十二年三月末決算でございます。そのほか上場していないメーカーの中では、中小メーカーを中心に数社やはり黒字を出している会社がございます。いま申し上げた中で、日新製糖という会社か豪州糖の引き取り比率は一番高いグループに属する状況にあるわけでございますが、その比率が高いにもかかわらず黒字経営が続けられております。  この原因といたしましては、かつて国際糖価が著しく高騰いたしましたときに賢明な買い方をしたというか、極端に高いものをつかまずに済ますような買い付け方をしたとか、それから付加価値が高くて、したがって販売価格が比較的高い収益性のいい商品、ざらめでありますとか果糖でありますとかコーヒーシュガー、それから贈答用の小袋、家庭用小袋、こういったものを広範に取り扱って営業上工夫しているといったような、そういう経営者の努力というものが反映している面があると考えられます。そういうようなことでございます。
  186. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま言われた日新製糖の場合は豪州糖の依存率が二四・七%、非常に高い方のグループですね。三井製糖が二八・三、台糖二三・六、大日本製糖二六・七というわけですから、これに大体匹敵するぐらいの依存率があるわけです。それから日本精糖にしても二八・九%引き受けていますね。こういうように豪州糖をかなり抱え込みながら黒字経営をしている、これは企業努力その他いろんな状況があったんだと思うんですか、この日新製糖の場合は大手商社の持ち株はありますか、ありませんか。
  187. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 全くないかどうか、一株、二株の話は存じませんが、われわれの記録にあらわれているような形での株式の保有はございません。
  188. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 日新製糖の場合は系列化されていないメーカーに分類されているわけですが、日新製糖がいまとなっては厄介になった高い豪州糖にかなり依存率を持ちながら黒字経営をしているのは、幸い商社かバックになかったからだというようなことは一面言えるのではないですか。どうですか、これは。
  189. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 個々の会社のことになりますが、日新製糖の経営を見ておりますというと、商社がバックになかった、系列下にないということは事実でございますが、先ほども申し上げましたように、経営者自身が非常に独創的な苦心の経営を行っているという事実がございます。その点は、商社の系列に属しているから属していないからということ以上に、やはりそういう現在の経営陣の努力があずかっているのではないかというふうに思うわけでございます。  なお、日新も確かに今日まで何とか黒字を出して経営を続けてまいっておりますが、だんだんコストはかなり高くなってまいりまして、豪州糖の負担がいろいろ今後経営の上に圧迫材料として出てくるのではないかということは懸念されるわけでございます。
  190. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 商社が販売権を押さえて支配力を強めますと、系列化されたメーカーは、商社輸入してくる原糖をどうしても買わなければならないという立場へ追い込まれますね。たとえば、商社がある商品を外国に売る場合ですね、その商品でもうけるために、見返りとして多少高い原糖でも買ってきて精糖メーカーに押しつけるということだって起こりかねない。もしメーカーがそれを断ると、先ほどの東海精糖のような選別供給というか、供給をとめられてしまうというような報復手段を受ける。そこで、みすみす赤字をふやすような値段の原糖でも買わざるを得ない。つまり、メーカーは商社の金融のめんどうを見るというあめと、原糖を差しとめるという報復手段のむち、これでがんじがらめにされているということが言えませんか。農林省それから通産省はこういった実態をどのようにつかんでおられますでしょうか。
  191. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 確かに金融上大きな影響力を持っている商社の意向というのが、精糖メーカーの経営に反映するということはあると思います。ただ、どこから買うにいたしましても手数料は取られる。それから、買う資金について手当てをするということになれば、金繰りは必要である。それから大量安定的にということになれば、やはり特定のところとつながりをつけておいた方が商取引上有利であるというようなことから、もちろんその間、力関係でいろいろ状況には差異がございましょうが、特定の商社と結びつくというようなことは必ず不利だと一概に言い切るわけにもいかないかと存じます。
  192. 矢口慶治

    説明員(矢口慶治君) ただいまの御質問につきましては、特に農林省と異なる見解を持っているわけではございませんが、輸入原糖の輸入面につきましては、御案内のように相当分が長期契約に裏づけされておりまして、私どもの把握していますところによりましても、オーストラリアの場合には長期契約の当事者はメーカーでございますが、その他の国の場合は各輸入商社ということで、その原料手当てを国内メーカーがいたします場合には、輸入商社からオーストラリア以外の場合は入れるということだと思いますが、この取引につきましては、長期契約自身の価格の決め方がオーストラリアとの場合以外は国際価格にスライドされているというのが大部分で、いずれもメーカーはその条件を知っておるわけでございまして、国内でこれを手当ていたします場合にも、そういった内容に沿って決定されていくという、そういう価格を基礎としてそのときどきで話し合いがされて決まっているというふうに私ども理解をしておりまして、先生の御指摘のような、高いのを買ってきて押しつけるというような形のものはちょっと考えられないじゃないかというふうに考えております。
  193. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 通産省の見方はそうかもしれませんけれども、実態から見ますと砂糖メーカーが赤字になったり、また過当競争をせざるを得ない本当の原因は、やはり大手商社の絡みにあると言えるんですよ。何しろ商社の場合は輸入原糖をメーカーに売ることでマージンを得ることができるし、でき上がった製品を国内販売することでまた利益を得るわけですね。精糖メーカーは支配権も販売権も商社に握られちゃって、いやおうなしに送り込まれる原糖を、相場が下がっているのでみすみす赤字を出すのはわかっていても製品化しなきゃならない。また、手形を決済するためには製品を売らなきゃならないといった仕組みになっているわけですから、赤字がふえる一方、過当競争はますます激しくなる。ですから、こういった砂糖業界内の現状の悪弊というのを放置しておいただけじゃ、今回糖安法の第五条第一項の規定による売り渡しに係る指定糖の売り戻し、この臨時特例法を通そうというんですけれども、この今回の法案も一時しのぎにもならない法案にならないかという心配がどうしても出てくるわけです。  ですから、やはり砂糖業界を健全化するために商社のあり方に何らかの規制を加える、あるいは厳しい指導を行う必要があると思うんですが、大臣いかがですか。
  194. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 先ほども申し上げましたように、砂糖は基本的に自由化されております中において、この糖安法を一部改正をいたしまして、そして業界に根強いところの過当競争、乱売競争、そういうような体質を是正をする、そして需給のバランスがとれる中において秩序のある商行為をやってもらう、こういう最小限度の措置でございまして、これをもっともっといろんな機能を持たせ抜本的に精糖業界の構造改善までもやると、こういうようなことには残念ながらこの法律改正ではできないと、これはもう御指摘のとおりでございます。商社との関連におけるいろんなそこから問題が発生をしておるというのも、相沢先生の御指摘の面が多々私は見受けられると思います。  私は、この問題につきましては、商社活動、先ほど通産の方からも、業界においても、商社の中においてもその姿勢を正すためにいろいろ自主的な反省なり行動がなされようとしておるということを伺っておるわけでありますけれども、要は、御指摘のようなことがないように商社においても節度のある行動をやってもらいたい、このように思うわけでございます。  また、今回の法政正を契機としまして需給計画の中で業界が姿勢を正し、協調をし、そして過当競争が改善をされ、安定の基盤がそこに出てくるということを契機としまして、私は金融機関等から正常な姿で金融等もなされるようなことを期待をいたしておるところでございます。
  195. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 精糖メーカーに対しての商社支配をいろいろ心配するのは、この法案需給調整をしてシェアをある程度固定化するために競争がある程度おさまってくると。そうなった場合、この措置自体はそれなりの役割りはあると思うんですけれども、一方、そのことが商社のメーカー系列化をいままで以上に促進してくるんじゃないかということをどうしても懸念せざるを得ないわけですね。構造改善による合理化という、法律にのっとった大義名分で今後精糖メーカーや工場を再編成していって、言うことを聞かないメーカーに対しては、東洋精糖の例に見られるような原糖の選別供給という形で報復して葬っていってしまうと、そういうおそれかどうしても出てくるわけです。そこで、こうした商社による精糖メーカーの系列化の再編成に対する歯どめだけは何らかの形でしておくべきではないか、こう思うんですが、この点についての具体案を検討するかしないか、御答弁いただきたい。
  196. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 商社の行き過ぎた活動を規制することは必要でないかと、抽象的にはまさにそのとおりだと思います。ただ、これを制度的に何か強制的な形でもって担保するということになりますというと、実行上なかなか問題もある。それから、現実の精糖メーカーを見てみますというと、いま一挙に商社との関係を絶つというようなことまで持ってまいる、あるいはそういうことを前提にして何かするということになりますというと、逆にはなはだ残念なことに、商社に見放されれば立ち行かないというようなむずかしい実態もあります。  要は、今後商社商社としての機能がある、メーカーはメーカーとしての機能がある、それぞれの分担をよく自覚して、節度ある行動をとってもらうことだと私は思います。これは単なるお説教ですとなかなか確かに実行されない。行動についての何か規範をつくっても、そのとき限りで終わってしまうということはありますが、ただ私現在感じておりますのは、今回こういう法案を提出するに至った背景というのは、単にメーカーが困っているだけではない。商社自身がやはり一番困っている立場にあります。その点、困ってみて初めて目が覚めるというところもあるわけでございまして、今日になってみれば商社も含めてまさに体質改善、そういった新しい分担のあり方ということについて方向を見出すように努力すべきである、またそういった機運が実際ありますし、商社も含めて再建の方途を検討するということにしてまいりたいと考えております。
  197. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 生き馬の目を抜くとまで言われている利権にさとい商社が、これだけ砂糖業界に積極的に介入してきたのは、砂糖にどんな魅力があると考えて乗り込んできたのか、農林省としてはどうお考えですか。それから、これだけ赤字を抱えているのに手を引かない理由はどこにあるとお考えですか。
  198. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 砂糖は商品としてはきわめて大きな商品、需要はやや停滞はしておりますものの、安定した魅力のある商品だということが一般には言えると思います。しかも商社がこれを扱う場合は、海外から輸入する際、さらに国内で製品をつくった、それを国内販売する際手数料がかせげるということかあります。大量の安定した商品について二度手数料がかせげるということで、商社行為にとって非常に魅力ある商品ではないかと思います。それからさらに、砂糖のような基本的な食品を扱っていればそれ以外の食品とも種々関係を持つことができる、販売網を確立することができるというようなことで、商社の食品全体に対する関心からしても砂糖は魅力のある重要な商品であるというふうに考えられます。そういったようなことから、相当程度赤字か出てもなかなか手放すわけにいかないということであったのかと思います。  ただ、率直に申し上げまして、相当程度赤字というのはどの程度までかということになりますというと、商社もここまでひどくなるとは実は思っていなかったのではないかと思うわけでございます。むしろ、今日に至っては、商社としてはやはり企業を健全に育てて、加工企業の立場も尊重しながら商社の手数料をかせぐという本来の商行為、これに徹するということに目覚めてほしいもの、またそういう自覚が生まれつつあるものというふうに考えるわけでございます。役所としても、今後できるだけそういった自覚を促すように指導してまいりたいと考えております。
  199. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 利潤追求の激しい商社が、赤字で苦しんでいる砂糖業界からなぜ手を引かないのかと言えば、もちろん赤字による影響余りに受け過ぎてしまったんで、手を引こうにも引けなくなってしまっているというのも一面あると思うんですね。それからまた、同時に、要するにかなり赤字をメーカーはしょい込んだけれども赤字の回収のチャンスを待っているんだと、こういう見方、意見も出てくるわけでして、もしこのまま商社砂糖業界の再編成あるいは支配化というものに対する具体的な歯どめをかけないままいきますと、いよいよ大手商社による精糖メーカーの占有化が進められていって、現在は原糖の輸入と製品の販売を押さえているだけですけれども、まあ入り口と出口と両方押さえちゃっているんだけれども、中身の精糖の段階まで押さえてしまってくるんじゃないのかと、そういう心配が出てくるわけですよ。  そうなりますと、現在の過当競争を一挙に飛び越えて、大手商社による価格操作は思いのままになっていく状態にならないとも限らない。ですから、いまのうちに系列化への歯どめ、それから商社に対する緊急対策というものを当然進めておかなきゃならないし、何らかの歯どめをいまのうちにしなさいと、こうやかましく言っているわけなんですが、それに対する農林省考え方と、公正取引委員会としては、この砂糖業界の将来予測される心配点をいまから厳重にチェックする、こういう必要があると思うんですけれども、公取としてはどういう見解を現在のところお持ちであるか、明らかにしていただきたいと思います。——先に農林省、緊急対策を進めなさいと言っている。
  200. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) まあ、商社の支配というか、影響をできるだけ薄めていって、企業が自立できるようにということはもちろん必要でございますが、ただ現実にこれからの国際貿易とのかかわり、商社の本来的な機能といったようなものを考えると、関係がやはり相当深く本質的に残らざるを得ないということは事実でございますし、それから現実、商社が現在の企業を支えている、金繰りの面でほとんどしょっているというような実態からいたしますと、これをにわかに引き離すといっても肩がわりをするものもあるかと、どこからかやはり必要な資金は調達してこなくちゃいけないということもあるわけでございます。そうなりますと、やはり先ほど申し上げたことでございますが、商社の節度ある行動を求めながら、同時に役所もそういったものに目を光らせながら、一緒になって具体的な業界の再建策を検討していくということにならざるを得ないと考えております。
  201. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) お答えいたします。  先ほども申し上げたところでございますが、商社がいろいろな会社の株式を持つということによりまして競争が実質的に制限されるということでございますと、これは独占禁止法の禁止いたしているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういった独占禁止法の観点からいろいろな問題に常日ごろ対処しているわけでございますので、この問題もそういったものとして扱ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  202. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 公取の方どうぞ、これで質問終わりますから。通産の方もどうぞ……。  いままでずっと述べてきましたように、今日の砂糖業界混乱、過当競争、それから大幅な赤字を抱えて苦しんでいるという問題は、結局その原因は商社とメーカーの行為にあったわけですから、今回のこの法案によってこれまでのそのツケを消費者だけに回すようなことだけでなくて、商社にもその責任の一端を何らかの形でとらせるべきではないのかと、こういう声も強く出てくるわけなんですが、精糖メーカーの赤字商社に肩がわりをさせるとか、その他いろんな具体的な考えを検討されるお気持ちありませんか。
  203. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 企業経営の将来をどう持っていくかということは、経営者の段階でもって責任を持って検討すべき課題と考えるわけでございます。今回の制度でもって将来の企業経営のあり方がすべて開けるという話ではもちろんないわけで、その点、今回の制度改正前提業界が真剣に私は再建策を探るべきだと考えます。その際、確かに精糖企業だけの自力ではなかなか実現できない、十分な再建策が考えられない、商社協力が必要だという場面がたくさん出てくると思います。そういう中で債権のたな上げといったようなことも考えられるわけでございますが、これをこの法律でもって強制的に債権たな上げさせるのだというようなことにはなっていないわけでございます。やはりその企業自身の経営者の能力なり経営努力なり、将来の展望というものはどういうことになるかというようなことを見定めた上で、それから今回のこの需給調整仕組みをどう活用していくかというようなこととのかかわり合いの中で、商社自身も自分の責任を一部自覚して、その際に協力をするということになって再建が図られていくべきものと考えております。役所としてもそういった指導に努めてまいりたいと考えます。
  204. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 午前中、参考人の方たちからのいろいろ意見があったわけですが、精糖工業会藤山さんは、三年間の間に業界みずからえりを正して体質を改善すると、一応こうおっしゃるんだけれども、実際働いている労働者の人たちは今後の合理化に伴う雇用の不安定を訴え、それから現状のままではなかなかその業界の体質は改まらない、さらに商社の支配が高まって労働者が不利な立場に追い込まれるんじゃないのか、三年間たっても結局はもとのもくあみというようになりかねないと非常に不信をぶつけている。そうしたまま、平行線になったままこの法案は通ってやっても、三年たってもやっぱりだめだったということになるんじゃないかと思うんですよね。そこで精糖業界、それから労働者、そして通産省という立場でフランクにいろいろと話し合いをし、そして本当にこの法案を通しただけの結果は必ず実現できるという一致した意見があらわれるまで、やはりとことん詰めた話し合いというものが必要じゃないのか。そういう話し合いの場、そういうものを設けてやるおつもりはございませんか。ぜひ必要だと思うんですが。
  205. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) この法案作成の段階から、御指摘のような問題、各省の間で議論が出たわけでございます。三年たってどうなっているだろうか、私どもはすべての問題がきれいに解決し切れているというふうには思わないわけでございます。そこで先般来申し上げておりますように、基本的な基盤づくりがそれでできる、それによって将来長期にわたる経営の安定が確保されるようにするということを考え、申しているわけでございます。それを実際に絵を描くのはいいのですが、どういう形で実現に移していくか、やはり当事者の自覚が一番大事なことで、業界団体の中のさしあたってのまさにシェアの調整を初めとする、それをベースにした再建策というものをこしらえるべきだと思います。ほかの関係各省すべてを煩わすといいましても、まあ直接業種を所管しているわけでもございませんし、やはり実態は私ども農林省が一番よく承知しているわけでございますから、農林省中心になってそれを指導していく、必要に応じてそれぞれ関係公正取引委員会なりあるいは通産省、あるいは経済企画庁、そういったところとも御相談をする機会には御相談をするということで進めていけばよろしいのかというふうに考えます。
  206. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 残った時間で中小精糖企業について若干お伺いしたいと思いますが、中小メーカーは過当競争の精糖業界の中にあっては、比較的健全経営を現在まで続けてきているようであります。そして、業績も今日まで黒字で来ているようなんですが、農林省のこれからの中小メーカーに対する保護対策というか、あるいは指導要綱というか、そういうものはどういう方向へ進められる予定になっておりますか。
  207. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) いま先生御指摘になりましたように、中小は中小として一つまた身軽な経営のやりやすさ、メリットという点もあるわけでございます。中小の中には、むしろ国際価格が高いときにはわりあいとそういうものに手を出さないで、当時は消極的だったかもしれませんが傷を免れたというようなところもある。そういうようなことから、比較的大手に比べてそれほど痛手を負ってないところもあるわけでございます。今回のこういう措置によりまして、大手あるいは経営の悪いところと一緒に制度的には対象になって需給調整をやるということになるわけでございますが、そういう中小のメーカーが特段の不利をこうむるというようなことのないよう、それらの経営が十分成り立つような前提での今後の指導考えてまいるつもりでございます。
  208. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 特に、いまこの法案需給調整によるシェアの配分をめぐって業界で話し合いが行われているようなんですけれども農林省としてはぜひ弱い立場にいる中小メーカーがシェア決定の際に不利にならないように十分な配慮と行政指導は必要だと思いますが、これに対する決意をちょっとお聞きしたいと思います。
  209. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 業界団体の話し合いに当たっては、役所からそのように十分はっきり指導をすることにいたします。
  210. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 その責任者は当面あれですか、局長ですか。
  211. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) はい、食品流通局長でございます。
  212. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そこで、現在の時点でシェア決定についての業界の話し合いはどのぐらい進んでいるのか、現時点で差し支えない範囲で内容を明らかにしていただきたいと思います。
  213. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 実はこの法案の成立の一つの前の段階として、第三次カルテルを結ぶかという議論があったわけでございます。私ども農林省の方でも、法案の成立を待たずにむしろ価格回復はできるだけ早く図るべきだということで、第三次カルテルの結成があればそれを承認するということでいろいろ指導してまいったわけでございますが、残念ながら本日までまだそういうシェアの決定がなされておりません。これは一つは、やはりむしろこの制度改正によって三年間のシェアが固定されるのではないか。そういうことになるというと、暫定的な第三次カルテルのシェアというのはかえってつくりにくいというようなこともあって、現実動かなかったのかとも思われます。  それから、それならばその三年間のこの期間中の協調についてどう考えるかということでございますが、現在話し合いを進めております。難航はしておりますが執行部の決意のほどを承っておりまして、私ども何とか若干まだ時間はかかりますが、まとめるところまで持っていけるのではないか。また、そういうふうに持っていかせるようにしなくてはいけないと考えております。話し合いは目下進行中ということでございます。
  214. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 黙っておきますと、どうしてもやっぱり中小メーカーが割り損を食うような結論になりかねないので、途中ときどき中間的にお聞きをしますので、そのつもりでいてください。  日本製糖協会というのはどういうものなのか。それから何社ぐらいが集まっているのか、その規模について説明してください。
  215. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 日本製糖協会には、現在九社が加盟しております。余り大手でないものでございますが、そのうち精製糖メーカーは九社のうち五社でございます。残りの四社はいわゆる再製糖メーカーでございます。  この経営内容でございますが、そのうちの二社はきわめて業績もよく、操業規模においても中堅企業に匹敵するようなところまで拡大しているというような実情にございます。
  216. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま説明あったように、この協会は大手メーカーで組織している精糖工業会に加入をしているのですが、そのシェアはいままで精糖工業会の中では六、七%程度ということです。ところが、今回の法案によるシェア決定の話し合いの中でもうすでに設備能力で決めようとか、あるいは生産のピーク時の実績、いわゆる砂糖パニックのときの生産実績にしようということで、要するにシェア削減の方向へ話をすでに持ってこられている。今日までせっかくオーナー会社として人一倍企業努力をしているわけですね、そうして黒字で経営しているわけですから、今回の法案赤字の大手メーカーに対する救済法案といいますか、そういう性格を非常に持った法案だと思います。  そこで、中小メーカーも業界の立て直しのための需給調整については協力をしようと、受け入れていこうと、こういうことでいるわけですから、わずか工業会の中での六、七%しかないところへ、ちょっとシェア削減の比率がいったって大変な痛手になるわけですね。そういうことで、今回のシェア配分のしわ寄せは、健全経営でしかも協力姿勢である中小メーカーにいかないように農林省としても極力配慮をすべきだと思うのですが、この点についてはすでに業界の方にはよく話してあるのでしょうか。
  217. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 数字の詳細についてまで連絡を受けているわけではございませんし、それからいまの進行状況を逐一まだ承知しているわけではございませんが、すでにいままでこの法案の趣旨等を説明する際、精糖工業会の幹部に対して、一般的に中小にしわを寄せるようなことのないようにという注意はいたしております。
  218. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 一応の注意はされていると思うのですけれども、それが具体的に守られるように、結果としてあらわれるように監視をしょっちゅうしてほしいと思うのです。特に、この法案運用に当たっての中小メーカーの事業分野といいますか、そういうものをしっかりやはり守ってあげることが大事だと思います。そういう点で、これまでの利益は一応保護されてしかるべきではないかと思いますが、その点については、農林当局としてはどのようにお考えなんですか。
  219. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 今後とも努力いたします。
  220. 下田京子

    ○下田京子君 今回の法律案の提案理由説明の中に、一つ目に「昭和四十九年以降の砂糖の消費の減退ないし停滞の状況の中で精糖業界の過剰設備が顕在化し、販売面で過当競争を招いていることであります。」ということと、二つ目に「日豪長期契約に基づく」云々というようなことで、大きくは業界砂糖をめぐる諸情勢の大きな混乱の要因としてこれら二つが挙げられているわけなんです。現象面としてはこういう形に出ていると思うのです。問題は、なぜこうなったかというその原因が、非常に今回の法案審議の中で重要な一つのかなめになると私は思うわけです。そういう中で、いままでの質疑応答の中で、あるいは参考人意見を聞く中でずいぶんと明らかになってきた問題の一つではございますけれども、いわゆる砂糖業界、メーカーと商社との結びつきの問題でございます。これにつきましては、局長自身も、いま端的に申して商社自身が一番困っているのではないかという答弁も先ほどあったわけでございますので、私はまず第一番目に、客観的事実でもってメーカーと商社関係がどういう状況になっているのか、このことについてお尋ねしていきたいわけです。  その第一なんですが、先ほどの先輩委員の質問の中での答弁にもありましたけれども、いまも商社の各メーカーでの株の保有状況のお話ありました。二十九社の中で二〇%以上の出資をしているところが十社云々というお話がございましたけれども、その中で特に大商社と言われている三井あるいは三菱、これらについて差し支えない点で御答弁をいただきたいと思います。
  221. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 先ほど申し上げました総合商社が一社で二〇%以上の株を取得している十社、そのうち三井と三菱の保有している会社はそれぞれ一社でございます。
  222. 下田京子

    ○下田京子君 具体的に業界、メーカーの名前、差し支えなければ。
  223. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) これは上場会社ではないのでございますが、三井物産が二〇%以上出しておりますのは、沖繩にある北部製糖でございます。それから、三菱商事が二〇%以上出しておりますのは東日本製糖でございます。これは大手でございます。
  224. 下田京子

    ○下田京子君 私がなぜ三井と三菱の株の保有状況を聞いたかと言いますと、特に五十年度の溶糖実績の勢力図あるいはいろんな資料を見ますと、一般的に商社と申しますが、特に大手商社と言われる三井関係と三菱系統が、この溶糖実績でもって五十年度においては全体で五〇数%シェアを持っているというふうに東洋経済の資料等でも出されているんですけれども、それに間違いございませんでしょうか。
  225. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) まあ、商社系列と言いましてもどこまでをその範疇に含めるか、出資の割合の多いものを系列と言うか、あるいは役員を派遣しているものを系列と言うか、商い高のシェアの大きいものを言うか、貸付金の残高の大きいものを言うか、またその水準をどの程度にとるかによってずいぶん幅があると思います。しかし、三井、三菱、その商社が、精糖業界に対して両者合わしたものがシェアが大きいということは言えると思います。具体的に五〇%という数字は、ちょっと前提がわかりませんので申し上げかねますが、シェアはきわめて大きいということが言えると思います。
  226. 下田京子

    ○下田京子君 これは農林省で出された資料にも書かれているんですけれども精糖工業会調べでということで、五十一年度の溶糖量ですね、三井製糖に台糖、それから九州製糖、この三社だけで合計溶糖量が六十四万八千トンというふうになるかと思うんです。この三社は、いずれもいまのお話の中での役員の派遣状況だとか、あるいは株の保有だとかいうふうな点から見ても、三井系の商社によってバックアップされている業界であるということがわかるわけなんです。この六十四万八千トンの溶糖量を見ますと、全体の中での、五十一年度の会計別で見て二四%以上を占めているというふうな状況になるわけでして、これは政府資料でもありますので、このように大手商社精糖業界のメーカーを支配しているというふうなことを、数字をもって見て明らかに言えるんじゃないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。
  227. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 三井製糖、台糖、それから九州製糖、これは出資のいかんを問わず、全体的な関係からすれば、御指摘のように三井系列であると言って差し支えないと思います。そのシェア、数量については、いま先生か申されたとおりでございます。
  228. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、三井系が全体の溶糖実績から見ても四分の一近いシェアを持っているということをお認めになったかと思います。さらに、こういうふうな三井あるいは三菱の大手商社のシェアと合わせて、最近一〇〇%商社資本と言われる新名糖であるとか神戸製糖であるとか伊藤忠製糖、これらが出てきていることは御存じだと思いますが、それぞれの商社関係をひとつおわかりだと思うので、お答えいただければと思います。
  229. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 新名糖は、日商岩井が一〇〇%出資いたしております。それから伊藤忠製糖は、伊藤忠商事が一〇〇%出資しております。神戸製糖は丸紅が、これは一〇〇%ちょっと欠けますが、約九五%出資いたしております。
  230. 下田京子

    ○下田京子君 私どもの資料でもそういうことなので、ということは大手商社と呼ばれる三井、三菱、伊藤忠、日商岩井、丸紅、この五社が非常に現在の砂糖メーカー、業界の中で大きなシェア、あるいは介入、支配等をしてきているということが、現実資本あるいは溶糖実績等から言えるということを裏づけているかと理解されると思うのですが、いかがでしょうか。
  231. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 御指摘のように五商社の精糖メーカーに対する影響力、またはそういった影響力を持っている精糖メーカーのシェアは、きわめて大きな数字になっております。
  232. 下田京子

    ○下田京子君 さらに役員構成の問題なんですけれども、これも先ほどのお話の中で、非常に役員の状況から見ても深い関係にあるというお話ありましたが、具体的な数字で見ていこうと思うわけなんですが、その点でお調べだと思います。おつかみだと思います。それでお伺いしたいわけなんですけれども砂糖自由化される以前とその後の状況でもって、実際に役員の構成に見る商社の支配はどのように変わっておいででしょうか。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
  233. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) ちょっと申しわけありませんが、砂糖自由化以前の古い時期の役員の状況については手元に資料を持っておりませんので、新しいのしか現在ここではわかりません。
  234. 下田京子

    ○下田京子君 新しいのでも結構ですから、どうぞよろしくお願いします。
  235. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 個別に各社全部申し上げるわけにもまいりませんので、先ほどもこれは別途お答えしたところでございますが、商社で役付以上の職にあった者、これが精糖メーカーの専務取締役以上の、その企業に支配的な影響力を持つ地位にあると思われる地位についている者、この数を計算いたしますというと、九社に及んでおります。
  236. 下田京子

    ○下田京子君 各企業別にはどうかというお話でしたが、これはまあ企業秘密に属するというふうなお考えのもとで答えられないのかと思いますけれども、有価証券報告だとかその他の資料に基づいても、私どもでも調べる気になれば調べられるものなんですよ。そうして私も現在その実情を調査して持っているわけなんですよ。ですから、そういったものを明らかにしていただいて、本当にその商社の介入、支配状況がどうなのかということで、すべての原因究明をしていくという姿勢こそが非常に大事ではないかと思うわけなんです。そういう点から今後もいろいろと作業を進めていただけるかどうか、ひとつお伺いいたします。
  237. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 私が申し上げた意味は、ちょっと誤解を招いたようでございますが、何々精糖専務取締役何のそれがし、それがどこどこの商社かということをこの席でもって一人一人読み上げていくと煩わしいということもありまして、総括的にまず申し上げたわけでございます。確かに企業秘密というほどのものでもございませんけれど、ただ、出身がどこでどの役職であったかというようなことまでさかのぼりますと、なかなかむずかしいところもあります。ただ、せっかくの御指摘でございますので、もし、後ほどでよければ資料で整理して差し上げてもよろしいと思っておりますが。
  238. 下田京子

    ○下田京子君 よろしくお願いしたいと思います。  後で資料をいただくということでお約束をして、こちらで調べた資料に基づいて、自由化直前とその後の四十九年当時のちょっと古い資料になっていますが、比べてみますと、役員構成に見る商社支配が、昭和三十八年では役員全体の中で商社から派遣されている経営者のパーセント、率というのは二・一%だ、こう言われています。ところが四十九年で、これはどちらも上期でございますけれども、二四・二%と、非常にこうふえてきているわけです。だから、このことを見ましても、商社の系列化の進行あるいは支配、介入ということが非常に強まってきているんでないかというふうに、まず私は事実関係から見てそのことを指摘せざるを得ない、言えるんじゃないか、こう思うわけなんです。そのことについて、大臣がこうした商社の支配、介入実態についてお認めになられると思うんですけれども大臣の見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  239. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) いま御指摘になりましたことは、実際の御調査をなされその事実に基づいてお話しになっておると思いますので、そのとおりだと思います。  この商社の介入なり支配なりという問題につきましては、先ほど私は相沢さんに御答弁申し上げましたように、商社が節度を守って、そして精糖企業の自主性、これを大きく圧迫し阻害をすることのないように節度ある行動をとってもらいたい。今日までのその状況を見ておりますと、私どもは、商社の行動において非常に反省をすべき点が多々あるのではないかと、このように認識をいたしております。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  240. 下田京子

    ○下田京子君 ただいまの大臣の答弁で、商社の存在が業界、メーカーの今度の混乱の中での非常に大きな一つの根源であるということをお認めになったことかと思います。その点で、さらに私は、この御認識が重要ではないかということで、危機の根源というその中で、大きな商社の持つ力というものをさらに詰めてみたいと思うわけなんです。  それは第一に、いろいろあるけれども、こうした今日の砂糖をめぐる混乱の危機の根源の中に商社の支配があるということでは、先ほど先輩委員も質問ありましたけれども、特に三井、三菱の豪州糖の高値づかみが大きな原因の一つになってきているんじゃないかというふうに思われるわけなんです。といいますのは、第一に三井製糖、これは三井商社系だと言われています。それから台糖ですね。これはいずれも豪州糖の年間の取引数量を見てみますと、これも政府の資料でございますけれども、三井はこれは九万六千四百四十九トン、それから台糖が五万八千百五十四トンというふうなことで、いずれも三井で、しかも赤字を多く出している。一方、大日本製糖、これは豪州糖のつかみが五万四千六百八十九トンですね。それから明治製糖、これが五万六千五十一トンというふうに言われて、これまた赤字が多いと、こう言われております。  一方で、独立系であります日新製糖の場合には、同じ五万台の五万八千トンの豪州糖を持っているけれども何とかいままでは黒字でやってきたということなので、こういったことから見て、特に商社の中でも三井、三菱のその高値の豪州糖をつかんだということが、今回のメーカーの大きな赤字を生み出してきている大きな原因の一つでないか、こういうふうに私は思うわけなんですが、いかがでしょうか。
  241. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 精糖業界が不況に立ち至った原因はいろいろあると思います。やはり一つは、需要が減退しているということ、そのために供給が需要を上回って安値販売、コストを割った販売をせざるを得ないということ、豪州糖もコストのうちでございますから、これを販売価格で回収できればよろしいのでございますが、乱売の結果そういうことが実現できなくなっているという点が一つあると思います。  それから、コストの面で言えば、先生御指摘のように、特定の企業が高い豪州糖をほかの企業よりもよけいつかんでいるということがあって、そういうところは経営上不利である、中にはそれでも何どか辛うじてつないでいるところもありますが、一般的には大幅な赤字を出しているという事実は指摘できると思います。そういう意味で、需要減退、過当競争がある、そこヘコスト的に不利な条件をしょっている特定の企業がさらに赤字が大きく出ていると、こういう状況にあると思います。
  242. 下田京子

    ○下田京子君 おっしゃることはわかるんですが、それが特に三井、三菱とか大手商社豪州糖高値づかみというところからさらに危機を増大させたというふうに言えるんじゃないか、どうですかというふうに、こうお聞きしたわけなんです。といいますのは、これはいろいろマスコミ等で言われておりますけれども、「財界」九月一日号の中でも「二大商社 商事、物産の屋台骨揺がす砂糖不況十五年目の危機」なんということでもっていろいろ討議をされております。この中で指摘されていることが特に商社一般じゃなくて、豪州糖の高値づかみをしたというのは特に三井、三菱系のメーカーが多いわけです。ところが、一方では、先ほどお話ししました丸紅だとか、日商岩井だとか、伊藤忠だとか、こういったところは豪州糖の配分が少ないわけです。そういうようなところで、むしろこの際にというわけで丸紅、伊藤忠、日商岩井などは、この大手商社の三井、三菱の系列砂糖メーカーに対して、その弱点をつけとばかりにシェア争いに乗り出していったわけです。そういうようなことが、また今度の過当競争にさらに拍手をかけていったということが言えるんじゃないかということなんですが。
  243. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 過当競争がもともとあるところへそういうコスト格差、これが過当競争を一層激しくさせたという事実は御指摘のとおりでございます。
  244. 下田京子

    ○下田京子君 そういうことは、要するに今回の過当競争の中でも、特に大手商社の介入問題か大きな原因であるということを、再度確認の意味でお尋ねするわけですか、お認めになったということでしょうか。
  245. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 単純に大手商社の介入だけがそういう結果をもたらしたということでなくて、複雑にいろいろな状況が絡み合っての結果ではありますが、大手商社、特に豪州糖負担の重いその系列にあるメーカー、その採算悪化がそういう過当競争、業界の一層の業況悪化に拍車をかけたということは指摘できると思います。
  246. 下田京子

    ○下田京子君 いろいろある中での一つの要因ということでお認めのようですけれども、いろいろある原因の中で一つ特にこれか大きな原因じゃないかと私は思うわけなんです。より大きな原因の一つとして、この大手商社の支配の実態、そしてその支配の中でのシェア争いというもの、ここのところにメスを入れる必要があるんじゃないか、いかがでしょうか、ということを尋ねているわけですが、どうでしょう。
  247. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) メスを入れるという意味がどういう意味かよくわかりませんが、私どもは、そういう極端なコストを割っての激烈な競争それ自身は、もちろん収益性の低い、コスト条件の悪い企業にとってもマイナスであるけれども、じゃあ、競争をしかけているといいますか、比較的には条件のいいところでもプラスなのかと言えば、それは決してそうではない。全体的に見れば、やはり共倒れになりかねない非常に危険な要素を含んでいる。そういう意味で、全体の競争を協調させるということは必要であるというふうに考えております。
  248. 下田京子

    ○下田京子君 ここの中での話をひとつ紹介してみますと、こんなことまで言われているわけなんですか、もう砂糖業界は構造改善だ、業界再編成だと理屈を述べる前にお互いに足引っ張りのどろ仕合いをやっているって、こう言っているわけですよね。そして第一次カルテル、第二次カルテルを結んできたけれども、もはやもう第三次カルテルか結べるような状況でもなくなった。それはお互いのシェア争いが行き着くところまで行き着いた。そこで、ということでこんな話が出ているんですよね。「一部には、農林省が海江田精糖工業会長に対して、シェア割りを任せるよう指示したと伝えられているが、海江田氏はこれを断わったともいわれている」というふうな話まで伝えられて、「完全に業界が一本化していない現在、精糖工業界としてもシェア割りを任せられるような状況でない」、そういう中でもって官僚統制ということで危機突破する以外にないんだというふうな話がなされているわけです。それぞれ登場してくる人物は、三井製糖の社長さん、あるいはきょう参考人にお見えになりましたが、藤山・大日糖の社長さん、あるいはいまの海江田一郎・台糖社長さん、いろいろいるわけですが、そして話しているわけですよね。  だから、そういう事実があったかどうかということをいま私聞くつもりないんですが、そういうぐらいにもうカルテルの指示だけじゃどうにもならなくなって、官僚統制ということで農林省が乗り出さざるを得なくなった。いわゆる商社間のシェア争いに対して、そこにくぎを入れるという意味で今回の法律提案ということが出されてきたんじゃないかということなんです。
  249. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) いろいろの角度から見られて、いろいろの御批判というか御意見があるのだと思います。ただ、一般的に経済の運営に関して、私どもは役所か積極的に乗り出すということは常道でないと考えているわけでございます。そこで、官僚統制という言葉がいま出たわけでございますか、確かに自主協調に任せていてはそれが成就し得ない、しかも混乱は一層大きくなって、そのことによる影響が無視し得ないということになりましたので、今回この措置を提案するということになったわけでございます。そのことをそのような言葉で表現されているのかと思いますが、私ども今回の措置の基本はあくまで業界自身が自主努力を行う、そして協調を行うということを前提にしているわけでございます。  ただ、素手ではそれが行いがたい。いまの記事の御紹介の中にもありましたが、精糖工業会会長か自分たちでのシェアづくりを断った云々とございますが、断られたということはございませんけれども、きわめて困難な問題でございます。そこでいろいろむずかしい事情も伺った経緯はございます。ただ、今回のこういう措置法案が通りまして実行されるという段階になりますれば、そういう状況のもとでは私は話はもう一段前進する、それから仮にむずかしくてもやはり業界はそういう努力をするということは、むしろ義務として必要なことだと考えております。
  250. 下田京子

    ○下田京子君 業界自身の努力ということを何度か申されているんですが、それはもちろんなんですけれども業界自身といっても、いままでの私のお尋ねする中で明らかなように、業界商社の大きなバックのもとに動いているということでもって、業界自身にあれこれという話じゃなくて、実際には大商社間のシェア争いが一つある。そこのところに目を向けて、これとの関係も含めて業界努力というものを見ていかなきゃならない。むしろ、その業界業界ということよりも、そのバックの商社のシェア争いというところをよく見ないとこれは大変なことになると私は思うわけなんです。そこのところをお尋ねしているんです。
  251. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) その点はまさに御指摘のとおりでございます。精糖業界という場合に、私ども精糖業界、メーカーだけでなくて、その背後にある商社も含めて考えております。商社自身がやはり輸入の段階から秩序ある輸入考えるということかなくてはいけないと思いますし、それからメーカーのそういうシェアづくりの問題については商社自身が影響力を持っているわけですから、まず商社の段階で協調を図るということが必要なことは、これは御指摘のとおり当然であると考えております。
  252. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、商社のそういうふうな具体的な努力というか、そういったところか必要なんだということを御認識されている答弁だと見るわけなんですけれども、いままでのお話のように本当に輸入から販売から全部商社が握っているわけですからね、そこのところがとても大事になると思うんですよね。  そこで、一つ確認の意味でなんですが、大臣もこうした商社のシェア争いというものにしっかり目を向けて、今後の業界努力等についての御指導商社自身への御指導もなさっていただけると期待しておるわけなんですが、その辺の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  253. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) こういう自由経済の中で自由化された砂糖という商品、これをめぐる厄介な問題が発生をしておるわけでありますが、役所としては本来こういうものにあれこれ介入をしてどうこうというようなことはできればやりたくない、商社を含め業界の自主的な反省と努力の上でやっていただきたい、こういうことなんですけれども、下田さんが先ほど来御指摘のようになかなかそれがうまくいかない、ほうっておけない事態に相なっておる、こういうようなこと等からいたしまして、今回の自由化の中ではあるけれども最小限度の法律改正お願いをしておる、こういうことでございます。これが幸いに今国会の御承認を得て成立をいたしますれば、立法の趣旨を踏まえ、また委員会先生方のいろいろの示唆に富んだ御意見、アドバイスがございました。そういう点も十分私どもくみ取りまして、この法律の運営を通じまして商社を含め業界に対しまして十分な指導をやってまいりたいと、こう考えております。
  254. 下田京子

    ○下田京子君 ただいまは大臣の方から、業界並びに商社に対しても、本来こういう形で入りたくないけれども、きちんとしたしかるべき指導をしていきたいという御答弁をいただいたと思うんですが、問題は、具体的にその商社への指導といいますか、責任といいますか、どういう点でお考えなのか、一つずつお尋ねしたいんですけれども、私といたしましては、商社への責任追及ということがもりとはっきりした形であってこの際しかるべきじゃないか。言ってみれば、さきの答弁にもありましたように、業界も困っているけれども商社が一番困っているんじゃないか、商社の系列化が非常に進み商社の支配も非常に強くなってきた、こう言っているわけですから、となると、その商社に対しての具体的な責任追及というものがないままに、それが過剰設備だ、労働者へのいろんな形での合理化攻撃、あるいは消費者への価格のつり上げ等々の犠牲でもってだけ乗り切られるということになったんでは、これはやっぱり大きな問題になると思うわけなんです。そういう点から見まして、まず第一にお約束できるかどうかなんです。この法案か制定されて三年間の間に、あるいはその後におきましても、この砂糖国内においての原糖コストを割るようなそういうふうな状況をなくしていって、高糖価政策にいって、その後においてシェアそのものが利権化しないかどうか。そうして利権化されてしまえば、今度は商社間でそれを、安定されていったものを売っていくということですから、ある一定期間いまの低い状況はある。高値というか、適正と言っていますが、そこまで持っていって、安定した状況の中でもって今度はそのシェアを売るというふうな状況が私ども考えられる、心配なんですが、そういうことがないというふうにお約束できますでしょうか。
  255. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 今回の措置は、直接シェアをつくるということをこの法案自身で意図しているわけではございませんが、従来やっておったカルテルがなかなかうまくいかない、むしろ国が何か基準をつくるという前提のもとにこういう法案を提案するに至ったわけでございます。実際問題、運用としては、先ほど来お話し申し上げておりますように、商社も含めたメーカーのシェアを調整するということになるわけでございますが、ただシェアといいましても、全く白地に新しく何か外貨の割り当てをするというようなシェアではございません。過去これだけの実績かあって、そうして第一次、第二次のカルテルも結ばれているという前提のもとでのシェアづくりでございます。そういう意味では、事柄自身はやはり経済的の意味のある問題ですから、利権化しないかと言えば、そのおそれは全くなしとはいたしません。で、そういう利権化して売買されるようなことがあったら、これはまあある意味で本来の企業活動のあるべき姿か阻害される。そのことがまた、先の高値につながるというような懸念が出てまいるわけでございます。  そこで、私どもはこの法律は長く続けるべきではない。そういう形でのいわば特権的なポジション、地位を保証するというようなことは、これは長く続けるべきではないということから三年の限時立法といたしておるわけでございます。その意味では、三年の期間経過すれば正常な経済活動に戻るというふうに考えております。
  256. 下田京子

    ○下田京子君 一つは、シェアの利権化かないというふうなことはいまの段階では保証できないというふうなお話とあわせて、一方では三年間の時限立法で、その後においてむしろ安定されるような状況になるんではないかというお見通しだと承ったわけなんですか、私はその逆を心配しているわけです。むしろこの三年間には、いまの過剰設備だと言われるものをこの状況の中でやっていったらばたばた出てくるわけで、それを支えていって、そうしてむしろ三年後、この時限立法が切れた段階であるいはその中間でも出てくるんじゃないかということ、そのことを心配するわけなんですが、そういう事態は起きないと断言できますか。
  257. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) おっしゃられたそういう事態というのがどういう事態なのか、もう一遍実はお伺いしたい点ございますが、私が申し上げた意味は、経済的な問題、意味を持つものを決める話だから、それが利権化しないとは言い切れないと申し上げましたけれども、利権化することを認めた趣旨では全くございませんし、むしろそういったことは役所の指導でもってさせないという前提意味を含めての説明であったわけでございます。  それから、そういう統制とまではいきませんが、需給をしぼって価格を人為的に規制するということは本来あるべき姿ではない、したがって、三年たったら戻すということを申し上げたわけでございます。そのときに、むしろ現在のままでほうっておいた方かコスト競争、むしろ合理化されたいい企業が生き残るという意味で何か価格が安くなる、むしろ先の方が心配だということを言われた御趣旨かとは思いますか、済みません、もう一度おっしゃっていただけたら、改めてお答えしたいと思いますが。
  258. 下田京子

    ○下田京子君 シェアが利権化しないというふうには言い切れないと、こうおっしゃったわけなんですが、心配するのはシェアが利権化していくんじゃないかと私は見るわけです。そうした場合に、その利権化されたシェアが自由に売買されるというような状況が起きて、それでもっていまとにかく過剰設備だといわれているわけですから、その設備廃棄のための一定の資金づくりがなされていって、その後において詰まるところ企業の合理化あるいは倒産とか整理、そういうものか出てくるんじゃないかということなんです。
  259. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 言われる意味わかりました。むしろ何といいますか、シェアの利権化ということよりは、事実上の企業としての合同とか吸収合併といったような形を通じて、そういうシェアがあるものに集中するのじゃないかというようなふうに理解した方がいいのではないかと思います。私、これは今度の法律ができようとできまいと、そういうことは経済の問題で、現に過去の経過においてもなかったわけではございません。ですから、そういう意味では利権化ということではなくて、企業のやっぱり統合みたいなことは全くないとは言い切れないと思います、そういうことをやめろということを別段規定しているわけではございませんから。そのことが、企業全体の合同ということが一緒になる企業全体の生産性の向上になり、しかも働く立場の人に不安を与えないでうまく了解を得ながら進められるというのなら、それはそれでむしろあってもしかるべき話というふうに考えております。
  260. 下田京子

    ○下田京子君 いま後ろの方で御答弁いただいたように、本当に商社間の、あるいはメーカー間のシェア争いというものが、労働者の犠牲やあるいは国民の犠牲にならない方向でやられるというなら、これは私たちも望むところなんですが、しかしそういったことがしっかり保証できるということにもならないんじゃないかというふうに心配するわけなんです。  そこで重ねて、これは商社への指導というか、今後の責任追及の基本としてお願いしたいことは、いまのそのお話の中でありましたように、消費者への問題だとか、あるいは労働者への犠牲等々、そういうものを大きくしないという中でもって、業界もそして商社も本当にその責任をとるような方向での指導ということを貫いていただきたいと思うわけです。そのためにも、具体的な問題ですけれども、ひとつその商社に対して手数料をこの際ですから一時的に取るなと、たな上げにできないものかどうかということなんですが、この点はいかがでしょうか。
  261. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) まあ手数量を取ってまさに商売をしている、そういう企業に対して、手数料を取るなというようなことを頭から役所が力で押し込むというわけには、これはなかなか正直なところまいらないと思います。ただ、これも先ほど来御答弁申し上げているところですが、企業経営に深く関与している商社立場からその企業の再建のあり方を考えるということなら、おっしゃるようなことも一つのお考え方でございますが、貸し付けてある前からの貸付金、そういったものを長期にどうこなしていくか、そういう問題を含めて総合的な再建対策について商社もあずかると、こういうことであろうかと思います。そういうふうに私は全般的な立場から、商社も責任を持って努力するようにという指導はいたすつもりでございます。
  262. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひそういう立場から、私は具体的に手数料の問題を第一に上げたわけなので御検討いただきたいのですが、この際ですから、私どもの方で調べた資料に間違いがないかということも含めてお尋ねしたいのですけれども、先ほど来からの話にもありましたが、商社は、一つは、魅力ある大きな理由の中では、輸入の手数料と販売手数料と両方取っているわけですよね。この五十一年度の暦年で見ましての実績なんですけれども輸入手数料についてはトン当たり千円と聞いております。これは間違いないでしょうか。
  263. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 輸入手数料はその際のいろんな全体の条件価格水準がどうであるか、それからその取引数量がどうであるか、支払い決済の条件がどうであるかといったような総合的な取引条件の中で決められる話でございますから、たまに一回限りの少量というのならこれは高くもなると思いますし、継続的な大量取引ならそうでないということもあって幅があると思います。ただ、千円というのはちょっと私どもが耳にしている話では高過ぎる、もう少し低い数字の数百円単位であるというふうに聞いております。
  264. 下田京子

    ○下田京子君 具体的に私尋ねたのは、五十一年度の暦年で見てその輸入量全体が二百四十三万数千トン、三千トンですか、そのぐらいだと思うのですが、その際の輸入数量が千円ぐらいだというふうに調べた結果ではわかるんですが、となれば、五十一年度だけでも、その輸入手数料全体になりますけれども、これは二十四億三千三百万円というふうな金額に上るかと思うわけなんです。いかがでしょう。
  265. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) トン当たり千円ということで計算いたしますとそういうことになりますけれども、千円が事実かどうか、私どもちょっと実は個々の取引の中身全部はわかりませんが、感じで申し上げるしかないわけでございますけれども、ちょっと高い。もう少し手数料単価は低いのではないかというふうに思います。しかし、千円とすればいま示されたような計算になるわけでございます。
  266. 下田京子

    ○下田京子君 まあ問題は二つあると思うのですが、一つは千円では高いんじゃないかというお話なんですが、一方ではもう少し安いのではないかというふうなお話なんですが、それは確実な資料から言われているのかどうかはっきりしないんで、農林省として当然こういったところ、個々のメーカーごとにどうであるかというふうなことまで本当は私も聞きたいところなんですけれども、そうでなくとも全体的な商社の実情を見る際にはそこまでお調べになっているはずだと思うんですよ。もしいないとすれば、これはすぐ調べられるとわかることなんですから、お聞きいただいての話でなければ、先ほどのようにその手数料のことも含めまして御指導いたします、話し合いしますと言っても、具体的なことをつかんでなければそれはやれないんじゃないかと思うんです。いかがですか。
  267. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 手数料の水準が幾らぐらいかどうかという話になりますというと、先ほど申し上げましたように個々の取引によっても差がある。それも断片的に聞き取りするというより、全部調査するというようなことになりますと、これはなかなかむずかしい話だと思います。ただ、私ども聞いております段階では、別段、確かにいまここでもって特別な資料を持ち合わせているわけではございませんが、一般に五百円とか、あるいは高いものでも七百円とか、何かそういう水準だというふうに聞いておるということでございます。  それから、いま何か、指導するに当たってそういうことをすべて具体的に承知していなければ指導できないじゃないかと抑せられましたが、私は余り個々の料率を幾らにするとか、それから幾ら負担すべきだとか、そういう個別の業務の内容に立ち入って役所が一々どうこうと言うべきではないと思っております。もちろん、たくさんのことを知っておいて、それが頭にあって指導できる方が望ましいに違いありませんけれども、手数料率を幾らにすべきだとかいうようなことでもって業界に接するということよりは、一般的に、全体的な立場からその商社も企業再建に協力するようにということでの指導をすべきだというふうに考えております。
  268. 下田京子

    ○下田京子君 いまのことについてはちょっと問題があると思うんですよ。私は手数料を幾らにせよということを言ったんじゃないんですよ。手数料がどういう状況にあるかということを農林省がつかんでないとしたら、それは指導の際にも弱腰になるんじゃないかというふうにお話ししたわけですよ。この手数料のことをそういう細かなことという御認識は、やっぱり改めていただきたいと思います。  なぜなら、先ほどの局長自身の答弁にもございますように、商社砂糖について魅力を持っている一つのこととして、輸入から内販に至るまで代理店等々を支配していく上でも、手数料ということが一つの大きな魅力だと言っているじゃありませんか。とすれば、それは小さなことじゃないと思うんです。私は、金額をどうしろこうしろのことじゃなくって、御認識として農林省が、担当する皆さん方が、それは大変な努力が必要だと思いますけれども、実際そういうことを調べる気になればできることなんだから、そういう点からきちんとつかまえられて、そうして一般的な御指導ではなくって、本当に具体的な全般的な問題から詰められることが必要ではないでしょうかという、御認識の問題として尋ねたわけなんです。
  269. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 私も、重要でないとか細かな問題であるというふうに申し上げたつもりではないのでございます。ただ、そういう個々の手数料の問題になりますというと、もちろん、それは詳細心得ておいた方がいいには違いありませんけれども、全体をいつでも完全にというわけにはなかなかまいらないというむずかしさを申し上げたわけでございます。  それから、そういうことは知っていればもちろんそれに越したことはないし、言い方も確かに強いということもありますけれども、そういうととも含めまして、むしろそれ以前に基本的な、一般的な考え方で指導するということが前提じゃないかということで申し上げたわけでございます。
  270. 下田京子

    ○下田京子君 言葉のやりとりでどうこうということではございませんが、基本的な姿勢の問題といたしまして、本当に商社に対して具体的なことも含めながら基本的なことも押さえながら——基本的なことはきちんと押さえながら具体的な点にもわたってですか、御指導をいただきたいというふうなことをお話ししたわけなんで、そういう点から、手数料のこともあわせて先ほど来からお話しになっていた例の金利の問題ですよね、金利がさらにまたダルマ式に借金を大きくしていくというお話があったと思うのですが、このことについては債権の一時たな上げということも考えてみましょう、そういう立場で御指導してみましょう、お話し合いをしましょうというふうな答弁があったかというふうに理解していたんですが、間違いございませんでしょうか。
  271. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 先ほど来何遍も申し上げておることでございますけれども、再建全体の方針について商社といえども関係者として経営の責任をやはり一部負担すべきだと、負担といいますか責任を自覚すべきだと、そういう立場から再建に協力すべきだということを申し上げたわけでございます。  そのことが、直ちに債権の切り捨てだとか、たな上げだとか、あるいは手数料の免除というような具体的なことになりますと、それは正直申し上げまして、個々の企業の営業活動でございます。それを役所が中身まで強制するわけにはいかないと、こういうことを申し上げました。ただ、そういう全般的な指導の中でどういう形になってくるか、それはまさに関係している、そういう指導立場にある商社のかかわり方いかんによって、それから企業の将来の展望いかんによって、これは一方的に商社だけではなくて、企業自身に再建の努力があってきちんとした展望を持てるかどうかというようなことにもかかわってくると思います。そういう中でおのずからにして話し合いの中で決められていく話ではないか、そういう話ができるだけ円滑に進むように私ども指導をする、こういうことを申し上げているわけでございます。
  272. 下田京子

    ○下田京子君 全体的な商社業界とのかかわりを見ながら両方の、双方の努力という中で、当然個別の問題としてそういうことが解決されるように農林省でも努力をするというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
  273. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) できるだけそれは企業の再建に貢献し得るように役所も努力するわけでございますが、受け取る立場もございますし、それから、営業の問題についてどこまで事実上そういったものが働き得るかというようなさまざまのことがございます。できるだけ努力するということであって、何か具体的に金利をまけさせるとか、債権をたな上げさせる、そういうことがお約束できる性質のものではないと思います。できるだけ努力いたします。
  274. 下田京子

    ○下田京子君 性質上むずかしいけれども努力するというふうに承りましたので、そういう点から大変細かく立ち入って恐縮ですけれども、ただ、非常に今回のことはそういう全体的なところを見通してやらないと心配なことなので、これはちょっと古いんですけれども日本経済新聞の九月半ばの資料なんですよね。それによりますと、九月時点でのいわゆる精製コストの一キロ当たりの金額が出ているわけなんです。ここの中では原糖コストかこれは百二十八円と、あと幾らかこうずっとなります。それからあと精製コストが四十七円五十七銭何がしというふうになります。総計でもって百九十八円五十三銭幾らというふうに出ているわけなんですが、九月時点でのキロ当たりの原糖コストと精製コストの割合ですね、これは間違いないかどうか、ひとつお尋ねします。
  275. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) ちょっといま資料を出しますので。——五十一年のコストで申し上げますというと、製造経費が小計でもって二万七千六百十四円。これは製品トン当たりでございます。それから歩どまりが九五・五%という計算をいたしますというと、製品トン当たり二万八千九百十五円、それから販売経費が七千九百二十二円、金利が八千六百三十三円、その他が二千百七円ということで、合計四万七千五百七十七円、これが製造販売経費でございます。  それから、原糖価格はその時点その時点でもって差がございますが、五十一年は原糖価格、安定下限価格が八万二千七百円でございます。
  276. 下田京子

    ○下田京子君 ただいまの資料は、五十一年度のいつごろのあれですか。
  277. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) いま申し上げましたのは、五十一砂糖年度でございます。それからなお、原糖は八万二千七百円でございますが、これに関税と消費税がコストとしては加わるわけでございます
  278. 下田京子

    ○下田京子君 五十一砂糖年度の平均での御答弁ですね。となりますと、その中で金利トン当たり八千幾らということになりますが、これはキロに直しますと八円ちょっとですよね。その金利の中には設備金利から、運転金利から、ユーザンス金利から、いろいろ含まれていますね。そういうことでいきますと、キロ当たりの、言ってみれば、さっきのお話ですけれども国内価格を百九十五円云々までは見たいということで今度の法律も出ているわけですから、そういう関係から見ていくと、幾らかでも商社の責任も明らかにしていくというようなところから見ると、この金利のことが大きな一つの重要な意味を持つんではないかというふうに私は理解しているわけなんです。  そういう点から見て、金利のたな上げということが、さっきのまたむし返しになりますけれども、小さなことじゃない、非常に重要な意味を持つものである。これは消費者並びに関係する精糖労働者の方々も、あるいは食品加工関係の業者の皆さん方も、みんな口をそろえてお願いしているというか、要請している一つの内容でもあるわけなんです。そういう点で、具体的にこの金利のたな上げということがいまの状況から、経済自由競争の中から言ってどうかという話もありましたけれども、一方では商社の系列化ということが、独占禁止法から見てもどうなのかということで非常に関心の一つでもあるという公正取引委員会からの御答弁もありますだけに、ひとつ具体的にこれらのことを検討していただきたいと、こう思うわけなんです。
  279. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 今日のその平均生産費、コストが百九十五円であるということは再三申し上げているとおりでございます。それを構成するのは原糖代金に税金とかそのほかの負担金、糖価安定制度上の調整金とか安定資金とかございます。そういったものの上に加工販売経費、金利も含めて、こういったものが加算されてコストができる。私どもは、できるだけやはり企業努力によって消費者への御迷惑を少なくする。今後、特に経費の節減を図っていくということは必要であると考えております。その場合、金利も経費の中の大きな項目でございますが、生産性を上げる。一般的な副材料費にしましても、燃料費にしましても、包装材料費にいたしましても、そのほか工場経費、一般管理費あるいは販売経費こういったもののできるだけの節減をお願いしていくということは必要であると考えております。  そういった経費節減の一環として、私は金利負担の軽減も考えるべきである。それは、確かに、精糖メーカーだけでは困難な問題があるので商社協力も得なければならない、一般的にそのとおりでございますしそういう指導はいたしますが、ただ、ここでもって私どもがその金利はたな上げさせるのだとか、免除させるのだとか、そういうことを言い切るのは、実際に責任の持ち切れないことを申し上げることにもなりかねませんので、一般的な経費節減は商社協力も得てできるだけ行わせるということで申し上げているわけでございます。
  280. 下田京子

    ○下田京子君 これ以上論議していてもあれなので、確認の意味でなんですけれども、一般的な意味も含めてという、その一般的なという中には、いま私がお話しをした中での手数料であるとか、あるいはコストの中で占める金利の問題であるだとか、そういう全体的な、個々のことなんかも含めながら商社との話し合い、あるいは責任のとり方等も今後やっていきたいというふうに理解してよろしいですね。
  281. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 平均的な話と個別企業の話と、私はすぐに一緒にならないと思います。  と思いますのは、個々の企業によってやはりこれらの経費のかかり方なり、経営条件なりが違う。それから、将来の見通しも違う。そういったものに対してどう商社も対応していくかということになりますというと、一般論だけでは必ずしも律し切れない問題も出てくる。一般論としては、もちろん、私どもはできるだけ商社にも協力をしてもらうということでの指導はいたしますが、何か特別に具体的なものをここでこうするのだということはなかなかお約束しがたいと思います。しかし、先ほど来の御議論の趣旨よくわかりますので、全般的に御議論の趣旨も考えながら、私どもさらに業界、それから商社に十分指導を続けてまいりたいと考えます。
  282. 下田京子

    ○下田京子君 この商社の問題についてさらに大臣に御答弁いただきたいわけなんですけれども、先ほど来からの話で大臣もよく御存じでしょうか、私か思いますのには、それから皆さん、きょうの午前中の参考人からの意見開陳の中でもいろいろ出されてきたことですけれども商社の責任ということが一つの大きな原因になっていると思うわけです。その点を深く御認識いただいて、いま具体的な金利のたな上げ等々なんかの問題も含めて、大臣としてもそれら商社への責任ということでもって御指導いただける、その決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  283. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 先ほども私の考えを申し述べたわけでありますか、この精糖業界の体質の改善、また、いろいろ要請をされておる過当競争の問題、この問題には、御指摘のように商社も大きな関連がございます。でありますから、今回の法案の趣旨を踏まえまして、精製糖業界はもとよりでありますが、これに深いかかわりのある商社の問題、そういう問題を含めまして、姿勢を改め、そして改善すべきところはひとつこれを思い切って改善を願う、また経営努力もやっていただく、そしてこれか国内甘味資源生産農民のためにも、また消費者のためにも納得のいけるような改善がなされるように、経営努力かなされるように、各般にわたりまして農林省としても指導してまいりたい、こう考えております。
  284. 下田京子

    ○下田京子君 決意のほどはお伺いできたわけですけれども大臣、私言うまでもなく御存じだと思いますが、商社というのはそんなに甘いものでなくて、大変な力を持っている。特に三井、三菱となれば戦前からの大きな商社でございますから、それかこの法律によって逆に商社救済になって、その一方で労働者への、あるいは消費者への、あるいはまた中小業界へのしわ寄せがないというふうな保証は何らないわけでありますので、その辺をさらに御確認の上でいろいろと今後とも努力をいただきたいと思うわけなんです。  次に話を移すわけですけれども国内生産者の保護ということと、それから特に自給率向上させるという点から、先輩委員さんたち何度かお話ございましたけれども、私も再度お尋ねしたいんですか、政府の言われている六十年度のいわゆる見通しですね、この見直しというのがどうしても私は必要じゃないかと思うんです。特にこの見直しについては、現在段階では見直し必要という断言はできないけれども検討は必要だろうという局長答弁もいただいておるわけなんですけれども、この見通しをしっかり立てないことには、どうしても国内生産者の保護という立場から見ても誤りが出ると思うんです。  特に私が心配するのは、三年間には現在の輸入糖においての瞬間タッチ方式で輸入原糖を幾らか抑えるという役目ができると言われますけれども豪州糖以外のことについてはそれはできたにしても、逆にまた何といいますか、国内産糖か高いというふうな世論づくりをどんどんやられる中で、やっぱり輸入糖の方が安いんじゃないかみたいな形か世論づくりとしてやられていったときには、もう生産者の保護ということは、構えだけはあっても実際にはなすすべがないというような状況が私は出てくるんじゃないかと思うわけなんです。そういう点で、どうしてもその六十年度の政府の見通しの見直しですか、これが必要じゃないかと思うんですが。
  285. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 初めに価格の問題でございますけれども、今回の法案のいかんにかかわらず、国際価格国内産糖価格を比較をしました場合、これはもう間違いなく国内産糖の方がかなり割り高でございます。割り高なことは承知の上で、これはぜひ国内自給率を高めなくてはいけないということで目標を設定いたしておるわけでございます。その意味では、三年たって云々というお言葉ございましたが、割り高な事態は、国際価格の変動が仮にどのようにありましても今後とも変わらないと思います。  さてそこで、国内産糖の長期といいますか、六十年見通しの問題でございますが、実は見通しは単に甘味資源だけでなく、農産物全般について行った見通しでございます。それから、まだ計画年次の——計画年次といいますか、見通しの経過年次の途中でございます。したかいまして、いまこの際見通しを変えるというようなことになりますと、いろいろ影響するところもありますので、見通し自体については問題あると申し上げましたが、確かにおっしゃられるように、特に最近の新しい事態をいろいろ前提にしまして、また需要なども大きな変動状況を示しておる、この先どうなるかということについては問題もいろいろ含んでおりますので、十分検討をしてまいりたいと考えております。
  286. 下田京子

    ○下田京子君 その検討の際に一つ大事なことだと思うんですけれども、今回、豪州糖以外の輸入糖についてのある一定の規制ができるような内容でというふうになるわけですが、となれば、豪州糖以外の長期契約がどうなっているかというふうなこともお知らせいただきたいわけなんですね。  それで、これは政府からのレクの際にいただいた国別の長期契約の一覧表、豪州糖以外に南アフリカだとかタイだとか、それぞれ国別のをいただきましたけれども、それを今後年次ふやしていくということでもって、それで最高ですと七年間というのがありますか、これは一九八〇年をめどに、その最高の数字をずっと見ていきますと、輸入だけで二百五十万トン近くになるというふうになるわけですよね。この点、間違いないですか。
  287. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 確かにおっしゃられるように、各国との長期契約がすでに取り結ばれているものがございます。ただ、数量につきましては、最高のピークの年か現在のところ、いままで一九七七年の二百九万三千トンでございます。それから、将来の見通しにつきましても、それほど多くなるようには考えられず、二百万トンを超えるというようなことはないのではないかというふうに私どもは見ております。もちろん、国内産糖を圧迫して輸入をふやすというような考え方はないわけでございますから、長期契約をうかつに数量を進めちゃって、その結果国内産糖処理が困難になる、供給過剰になるというようなことのないように当然注意をする必要があると思います。その意味では、長期契約を結ぶに当たっては各社からの報告も徴し、動向については私どもも調べておるわけでございます。
  288. 下田京子

    ○下田京子君 私が言いましたように二百五十万トンまではいかないだろう、二百万トン以内でおさまるんだろうというお話ですけれども、一方では、砂糖の長期契約というのはそれぞれ民間でやられているわけでしょう。これはどうなのか。いただいた資料ですと、最高の数字を見ていって足していくと、単純ですけれどもいまのような数字になるんじゃないかと、こう私は理解したわけなんです。そうならないように、政府でも民間との話し合いなんかも進めながらやっていきたいというお話でした。  それとあわせて、大臣もずっとお答えになっているんですけれども国内産糖を最優先にしながらこれからの計画を立てていきたいというお話を何度も繰り返されているんですが、ただ、私、それを具体的にいまちゃんと制度的にチェックできるような状況にあるんだろうかということが心配なんです。その点で、輸入量あるいは国内価格等も含めたチェックをするような機関を、きちんとやっぱりつくることが今後必要なんじゃないかというふうに思うわけなんです。  それで、具体的な御提案なんですけれども、現在、需給計画調整委員会みたいなものの設置の問題についても、運用として検討する云々ということはございますが、現実、もと法の糖安法の中で審議会がございますよね、この審議会の中で、もう少しその輸入量だとかあるいは国内価格だとか、そういったものについてまでチェックできるような形で審議会の構成そのもの、いわゆるメンバーですね、生産者代表をもっとふやすだとか、あるいは労働者それぞれの皆さんも参加して、現在の審議会の第三条に触れられましたときの上限、下限云々のときに意見を聞くというだけじゃなくて、輸入量等についても甘味資源審議会意見を聞いてやれるような形での御検討はどうでしょうか。
  289. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 甘味資源審議会は、現在甘味資源特別措置法に根拠が規定されております。「甘味資源作物生産の振興、砂糖類の製造事業の合理化、でん粉の原料となる甘しよ及び馬鈴しよの需要の確保その他この法律の施行に関する重要事項を調査審議する。」ということになっております。当然そういったもろもろの問題を議論するに当たりまして、需給の見通し等をデータとしてどう見るかというようなことはあるわけでございますが、いま先生の仰せられましたのは将来の需給計画、これをきちんとつくっていくべきではないか、その見通しというよりも、もう一つリジッドな計画についてこういうところにかけてはどうかというふうに聞こえたわけでございます。ただ、そうなりますというと、現在貿易自由ということで砂糖輸入に関して直接規制しているわけではございません。今回の措置は、これも輸入を規制するわけではなく、輸入したものを事業団に売り渡す場合、その売り渡しが全体の需給見通しから見て妥当な水準であるかどうかということを調べた上で、必要ならばこれを売り戻し時期について繰り延べるというようなことをやることにしておるわけでございます。形の上でまさに輸入を直接規制しておらないわけでございます。  そういうようなことを考えますと、きちんとした需給計画をつくって、これを具体的な政策でもって運用していくということになりますというと、いまの甘味資源特別措置法なり、それから糖安法の体系自身を基本的にどうするかという問題とかかわるところであろうかと存じます。私ども需給調整協議会というようなところで需給の問題について関係方面の意見をお聞きするということを申し上げたのでございますが、これは私ども現在の制度の中で動いているわけでございますから、今回のこの改正に伴いまして新しく需給見通しを三条に基づいてつくるということになりますというと、その見通し、三年間の問題について、当時者のみならず学識経験者意見を聞いた方が公正妥当なものになるのじゃないかということで、今回の措置としてそういうことを考えておるわけでございます。全体的な制度の基本の問題は、それは御趣旨はわかりましたし、需給の問題はきわめてむずかしい大事な問題でございますから、十分慎重に検討してまいりますけれども、何かそれでもって直接計画そのものをリジッドに、厳格に守っていくのだとか、それに基づいての法的な措置をいろいろ講じていくのだというようなことまで仮に考えるとしたら、制度全体の改めての検討ということになるのではないかと考えております。
  290. 下田京子

    ○下田京子君 当面の措置の問題とあわせて、当面そういう——そういうというのは言ってみれば輸入の問題ですが、輸入量だとかいろんな価格についてもチェックできるような機能が持てるような形にしていくために、法そのものの体系だった見直しということも今後の課題として踏まえて、その審議会のあり方、そして拡充というふうなことをひとつ考えてもらいたいというふうなことでございます。そういうことでこれから法体系全体としては考える余地があるように、私、承りましたが、そういう点でぜひ御検討いただきたいということをお願いして、次に移ります。  次に、消費者の問題と労働者の問題なんですけれども、これまた先輩の委員さんたちがいろいろ御確認されてきた一つですけれども、消費者へのはね返りというもの、やっぱりこれは農林省だから生産者利益だけが守られればいいということではないと思います。私ども委員もそうではありませんし、本当に生産者と同時に国民全体の消費の方へのはね返りということを、よく検討しなきゃいけない問題だと思います。そういう点から見て、具体的に出されている消費税の減免問題ですね、このことについて大蔵省の方お見えだと思うんでお尋ねしたいんです。農林省としてはいままでの質疑応答の中で、この砂糖に対する砂糖消費税の一部たな上げといいますか、減免といいますか、そういうことをこれから関係する省庁と相談の上ぜひ改善できるようにしていきたいというお話だったんで、大蔵省としてぜひこのことをくんで努力をいただきたいと思うんですが、御見解をひとつお聞かせください。
  291. 水野勝

    説明員(水野勝君) 私どもといたしましては、ただいま大変厳しい財政事情にあるわけでございますので、できる範囲におきましては間接諸税につきましても増収の方向でいろいろ検討したいと思っているところでございますので、砂糖消費税につきまして負担を軽減するということはちょっと考えられないではないかと、かように存じております。
  292. 下田京子

    ○下田京子君 もう一度お伺いするんですけれども、確かに現在の国の財政事情からいって、新たな税収入云々の問題まで一方で論議になっていることは私もよく知っていますけれども、それはそれとして、実際には砂糖消費税の場合に目的税でもないというふうなことからもいろいろ問題もあるかと思いますけれども、こういうような全体的な状況の中で、農林省として大蔵省との話し合いの中でやっていきたいということなので相談にあずかると思うんですが、その際にぜひ検討にのせていただきたいと思うんです。その点いかがですか。
  293. 水野勝

    説明員(水野勝君) 毎年の税制改正におきまして、農林省からそういうお話はたびたびお伺いはしておるわけでございまして、ことしの税制改正に際しましてもお話はお聞きしておるところでございます。来年度の税制改正につきましては、いずれ税制調査会等で御相談をして結論を出すわけでございまして、そういうお話のございますことはお話はいたすわけでございますが、情勢といたしましてはかなり厳しいものがあるというふうに考えております。
  294. 下田京子

    ○下田京子君 大臣にお尋ねしたいんですか、大蔵省はただいまのような答弁をしておりますけれども、非常にむずかしいということで、そうなりますと、大臣としてはあのときはこういうふうに答えたけれども、実際大蔵省があることでございましてむずかしいお話でしたということになりますとあれなので、その辺、大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいわけです。
  295. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 先ほども御答弁を申し上げたのでございますが、私は末端の消費価格ということに対しまして、今回の立法化に当たって大変な関心を持って取り組んできたところでございます。私の認識をもっていたしますと、現在の末端消費価格砂糖の値段というのは御指摘のように大変な過当競争、また生産面においてはその結果として大きなコスト割れを生じておる、また販売面においても乱売競争がなされておる、下田さんはこれを一つの商社を含めた大きなシェア競争だと、こういう犠牲を覚悟の上でシェアを拡大しようという、そこから来ているという御指摘が先ほどございましたが、そういう背景のもとにできております現在の消費者価格というものは健全なものではない、こう私は認識をいたしております。こういう姿はいつまでもこれは続くものではない。どうしても量並びに価格とともに安定的にこれを供給をするという正常な関係にこれを改善をすると、その一つの手法として今回少なくとも需給のめどというものをはっきりして、そして生産面から流通面にわたって秩序のあるこの砂糖生産供給体制というものが確立をされなければいけない、こう考えておるわけであります。  そこで、私は、現在の消費者価格というものをベースにするのでなしに、先ほど来局長も説明を申し上げておりますように、客観的に見てきわめて妥当なこの価格形成というものが生まれました場合におきましては、消費者の皆さんにも御理解を願って御協力をいただかなければならない。いままでどっちかというと、乱売競争や過当競争の結果として、消費者の皆さんには結果的に安い砂糖が提供されたという結果になっております。しかし、今回は、こういう措置を講ずることによって、正常な姿にこれを価格面でも安定をさしたい、こういうことでございますから、その辺のことは消費者の皆さんにも御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。  しかし、私は申し上げるのでありますが、それが、われわれが見てこの辺が妥当であるという価格を超えて、消費者に大変な高い値段を押しつけるというようなことは絶対にさしてはいけない、そういうような状態が生まれるような状況下におきましては、私は消費税の問題等につきましても総合的にこれは政府として考える必要がある。私は、大蔵省の担当課長がおっしゃるように、財政事情の厳しいことはこれは百も承知でございます。しかし、いま申し上げたような事態が生じた場合におきましては、そういう面においても、私はやはり政府全体として考える必要があるということを申し上げたわけでございます。
  296. 下田京子

    ○下田京子君 ただいまの大臣の答弁の中で、私一つ御認識を改めていただきたい点で、消費者へのある一定の責任というか、犠牲というか、あるいは手助けというか、それはもう考えていただく以外はないと。ただし、一方では、しかしながら消費者に余り大きく負担をかぶせないように努力はしますと、こう言うわけなんですが、その努力の際の御認識で大事なことなんですが、私、全国菓子協会の専務さんからお話を伺ったんですよね。そうしましたら、農林省では今度の問題でもってそんなに大変な負担はかけないだろうと言っているけれども、実際にあれこれ考えてみると、業界全体で年間百四十億円もの負担増になるんじゃないか、こう言っているわけです。きょう午前中、参考人に私が聞きましたところは、総額がどうかということはわからないけれども、個々についてで、たとえばチョコレートですとということで例を挙げまして、むしろ現在の中では関税一〇%引き下げの問題あるいは円高の問題、そういう点でもって、むしろ下がるかと思っていたらば非常に上がるということでもってもう大変なんだというお話をなさっていたわけなんです。そこのところを、やっぱり認識の中にきちっと入れていただきたいと思うんですよ。  同時に、そういうことでもって法の見通しを、これは今後の問題なんですか、ぜひ図っていただきたいと。これは提案です。時間がなくなってきましたんで大変あれなんですが、提案ですけれども、ひとつ現在のいわゆるもと法である糖価安定法そのものの中でもって、本当に小売価格なんかも含めて、生産者のことも含めて、実際に国内の砂糖価格を安定させる際の措置としまして、さっきの話になるわけですが、甘味審議会意見を聞く際に、再度提案するわけですが、価格まで見れるような形での方策を考えてほしいということか一つであります。  それから二つ目には、現在の法そのもので、上限価格を超えた際に、あの四十九年度の石油パニックとあわせての砂糖のパニックのときに、この法律そのものが働かなかった時期があるわけでして、そういう際に事業団のこの上限価格のものが上下の中にちゃんと入るような形で、法そのものがいつでも働くような形で、本当にその高値の場合においてもひとつ融資措置というようなことも考えていただけないかということなんです。具体的に言えばこういうことです。政府は、海外における砂糖が著しく高騰して、糖価安定事業団輸入粗糖の安定資金が不足し、価格調整が困難と認められるときは融資措置をとるという、そういうことをひとつ考えていただけないかという御提案です、これは。で、これは現行法の中でも一部手直しでできる問題だということをあわせて指摘しておきたいんですが、現行の五十三条の中に事業団の措入金のことが出ております。ただ、問題は、ここは一年以内に償還しなければならないという短期のものになっているわけでございますんで、これが暴騰した場合にはそれを事業団でちゃんと買い支えて、それを消費者に転嫁するというようなことをさせない、そして政府が融資という措置でもってずっとこう安定させるというふうな御研究をいただきたいということでございます。  同時に、最後にこれは一緒に答弁いただきたいんですけれども労働者の中で大変こう三交代の中で苦労しながら働いている状態が訴えられました。ところが一方では、やっぱり企業合理化、倒産、首切り問題というのが心配として残っているわけで、その中で、具体的には東海精糖の問題がいま大きな一つの焦点になっていると思うんですね、一つの試練だと思うんですが。で、このことについて御存じだと思うんですけれども、三井物産、あるいは東海銀行、あるいはその東海精糖の労働者の皆さんと一体になって、再建のための話し合いが去る十一日行われたというふうに聞いているわけなんですが、恐らく御承知だと思うんで、これがぜひ再開できる、再建できるように、シェアだとかいろんな今後の問題も含めて、積極的に政府・農林省が援助くださるようにということの、その決意を聞かせていただきたいと思うんです。  特に私は、家族会の皆さん方から、家庭を預かる婦人の皆さん方からのその苦労をお聞きしましたが、その中ではもうすでに、ことしに入ってずうっともうお金がないわけですから、失業給付金でもってプール計算をして、独身の方は一カ月六万円で、そして妻帯者は十万五千円とかいうふうな形でもって、みんなで支え合ってやっているということですね。現時点では、とにもかくにも会社再建という方向でもってということで大変努力をしている。ですから、原糖の供給があり融資の方も見通しがある、シェアも確保されるというふうなことになれば、あしたからでも企業再開の見通しがあるんだと、こういうふうにまあ労働者言われておりますんで、そういう方向でぜひ御努力いただきたい。そのための決意のほどを重ねてお聞かせいただきたいと思うわけです。これは大臣お願いします。
  297. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 時間もない関係か、いろいろのことを御注文がございましたが、まず雇用問題について、今回の法律改正案を提案をし、需給のバランスもとれた中において企業努力をそれぞれお願いをしてそして再建を図っていただくと、こういうことでございますが、そういう際におきまして、このいわゆる合理化中心を首切りその他に向けるようなことのないように労使の間でも十分お話し合いを願い、また農林省としてもそういう犠牲者かできるだけできないようにという方向で、労使の間も円満にいくように、そして再建の実が上がるようにということで今後とも努力をしてまいりたいと考えております。  個別問題の東海精糖等の問題につきましては、商社、銀行、経営者そして労組、いま本当に真剣にお話し合いを願っておる段階だと、こう聞いておりますので、私どももこの四者の本当に事業再建への熱意が実るように、政府としてもできるだけのアドバイスをしながら協力をしてまいりたい、こう考えております。
  298. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会