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政府委員(
杉山克己君) 三点ございましたが、第一の世界の
砂糖需給の
動向、あるいは今後の
見通しということでございますが、御指摘のように、四十七年から八年、九年にかけましては、世界的に
供給がショートいたしまして在庫も年々減ってまいりました。したがって、先行き今後安定的に確保し得るかどうかという懸念が生じたわけでございます。しかし、その後七五年から七六年——五十年から五十一年ということになります。それから五十一年から五十二年にかけて世界的に大幅な
生産増加が見られまして、今日では期末在庫は史上最高の
水準にまで到達いたしておると考えられます。それから七七年−七八年——五十二年から五十三年ということになりますが、この
見通しは、やはり
生産自身がなお増加を続け、史上最高の九千万トンにほぼ近い
水準になると考えられております。それに対しまして
消費の方は、これはまだ新しい数字は出ておりませんが、恐らく八千三百万トンの前年の
水準をそんなに大きくは上回らないと考えられます。
したがいまして、現在すでに大きな在庫を抱えている、さらに五十二年から五十三年にかけての
生産増による在庫がこの上に上積みになるということで、
需給事情はなお緩んだ
事情が、あるいはその影響がしばらく続くということにならざるを得ないと思っております。ただ、各国とも、今日の国際
価格はコストを割っている
採算の合わない
価格であるということから
生産をしぼる、あるいは
供給をしぼるという動きが特に大
生産国におきまして出ておりまして、先般の国際
砂糖協定におきましても、
価格帯を設けてその
価格の変動いかんによって
供給調節をする。それからまた、仮に、逆に国際的に
砂糖が不足するというようなときは、備蓄を持っておりまして、その備蓄の中から放出を考えるというような仕組みを新たに仕組むことにいたしております。このようなことから、なお若干
供給過剰の
傾向が続いて
価格が低迷するかと思いますが、先々国際
砂糖協定の安定的な運営等とも相まって、ある程度の安定した
価格水準は期待できるのではないかというふうに思われます。
それから二番目に、
消費税の
動向ということでございますが、世界各国それなりに関税あるいは
消費税という形で
砂糖に対する税負担を課しております。関税と一緒に見た方がよろしいのかと思いますが、ECなどの場合は関税はきわめて高くなっておりますが、
消費税は
日本に比べてかなり低い。
消費税だけで言いますというと、フランスが七%、西ドイツはキログラム
当たり七円というような
水準になっております。
日本の場合は十六円でございます。それから、米国はキログラム
当たり三円。それから韓国は、これはかなり高くて四六%というようなことになっております。
いま申し上げましたように、
消費税だけでなく関税合わせて考える必要もあろうかと思いますが、
日本の税負担は決して軽いとは思っておりません。私ども、
砂糖を使う実需の菓子であるとか調味料であるとか、そういう
業界の国際原料
価格との
競争条件そのほかも考えまして、税についても配慮してまいることが必要ではないかというふうに考えております。毎年のように大蔵省とも
消費税の問題について議論をいたすのでございますが、率直に申し上げまして、なかなか財源
事情のむずかしい今日、早急な減免ということは困難な
事情にございますが、私どもとしては、その問題も今後さらに検討してまいる課題であろうというふうに考えております。
それから、カルテルの問題でございますが、過去二回、最近のでございますが、カルテル第一回目はそれほどではございませんでしたが、二回目のときは御指摘のように、相当程度の
価格の安定が図られたという経験がございます。カルテルが終わればもとのもくあみということで、カルテルはそう何遍も、それから引き続いて
長期間やるというわけにまいらない。それから、カルテルの性格からしてどうしても臨時応急的なものということ、そのときの緊急避難的なものということにならざるを得ません。そうなりますというと、先ほど来申し上げておりますような
業界の体質改善、将来の安定方向を見出すための
基礎づくりということを行うためにも時間的にきわめて不十分でございます。それから、個別にそのカルテルの発動要件というのは非常に厳しくて、
価格の上からいくというと、コスト
価格を維持できないどころではない、大幅に下回った場合でないと発動できないというようなこともございます。それらのことも考えまして、カルテルでは不十分である。
通常の
事態ならばカルテルによって臨時
調整をすれば、それで済むのでございますが、今日のこういう非常な
事態からすれば、カルテルということではなくて、こういう
法案のような
需給調整によってある期間
需給調整を図れる、そのことによって相当の
価格の維持回復が図り得るということを主眼に考えたということでございます。制度的にカルテルがこの間並行してやれないというような話ではございませんが、この
法案自身の性格からするというと、むしろそのカルテルにかわるもっと強力な効果を期待するということで、御審議をお願いしておるわけでございます。