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1977-11-15 第82回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十五日(火曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      坂元 親男君     中村 禎二君      三治 重信君     木島 則夫君  十一月十五日     辞任         補欠選任      中村 禎二君     坂元 親男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 中村 禎二君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 吉田 正雄君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 木島 則夫君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        農林大臣官房長  澤邊  守君        農林省農蚕園芸        局長       堀川 春彦君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君        水産庁長官    岡安  誠君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        大蔵省関税局企        画課長      勝川 欣哉君        大蔵省銀行局総        務課長      石川  周君        通商産業省貿易        局輸入課長    斎藤 成雄君        労働省労働基準        局監督課長    小粥 義朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の  規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについ  ての臨時特例に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、三治重信君及び坂元親男君が委員辞任され、その補欠として木島則夫君及び中村禎二君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案質疑は前回終局しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  4. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川村君から発言を求められておりますから、この際、これを許します。川村君。
  5. 川村清一

    川村清一君 私は、ただいま可決されました漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、各会派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行当たり左記事項の実現に、万全を期すべきである。     記  一、担保金については、違反防止に実効のあがる基準を策定するとともに、本制度の運用に当たつて、違反外国漁船に対する当該基準適用等に、厳正を期すること。  二、我が国漁船の拿捕を防止するため、ソ連が行う取締りの方針の把握に努めるとともに、操業日誌記載方法改善等につき、ソ連と早急に交渉を進め、かつ、我が国漁船に対し必要な指導の徹底に努めること。  三、我が国漁業水域内における警備体制整備拡充を急ぐとともに、当面、重点海域警備に、遺憾なきを期すること。    右決議する。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  6. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいま川村君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  7. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、川村提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鈴木農林大臣
  8. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、遺憾のないよう対処してまいる所存でございます。
  9. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) なお、本案審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鈴木農林大臣
  12. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  最近の糖業をめぐる諸情勢を見ますと種々の要因が重なって国内糖価平均生産費を大幅に下回って推移してきており、これが精糖業のみならず、国内産糖その他各方面に多大の影響を及ぼすに至っております。  その要因といたしましては、まず第一に、昭和四十九年以降の砂糖消費減退ないし停滞状況の中で精糖業界過剰設備顕在化し、販売面過当競争を招いていることであります。第二には、日豪長期契約に基づく砂糖価格国際糖価に比べて著しく割り高となっていることから、業界の安定と協調を図ることが困難な事態が生じていることであります。加えて砂糖相場商品的特性から価格競争に走りやすく、最近では、国際糖価が低迷していることもあり、国内糖価はきわめて低い水準で推移しております。  このため、精糖業界は巨額の累積欠損を抱えるに至り、極度の経営不振に陥っておりますが、このことは国内産糖企業経営面にも大きな悪影響を与えており、ひいては、てん菜・サトウキビの生産農家所得確保の面でも少なからぬ不安を与えております。  こうした事態は、国民食生活における重要な物資である砂糖長期にわたって安定的に供給するという観点からも大きな問題であると考えられます。  以上述べてまいりましたような内外砂糖需給事情等変化に対処して砂糖の適正な価格形成を図り、あわせて粗糖輸入に関する国際的協定の円滑な履行に資するため、糖価安定事業団が行う輸入糖の売り戻しにつき臨時特例を設ける必要がありますのでこの法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  まず、糖価安定事業団は、輸入糖について売り渡し申し込みがあった場合にその申し込み者申し込み数量がその者の通常年における売り戻しの数量等を超えるときは、農林大臣にその旨の報告をすることといたしております。  次に、農林大臣は、糖価安定事業団からこの報告があった場合に、砂糖需給の安定に悪影響を及ぼすおそれがあると認められるときは、その報告に係る過大な売り渡し申し込み分についてその売り戻しを延期するよう同事業団命令することができることといたしております。これによりまして、国内砂糖需給適正化を図ろうとするものであります。  最後に、この法律は、昭和五十五年九月末までの時限立法としております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  13. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 次に、補足説明を聴取いたします。杉山食品流通局長
  14. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 砂糖価格安定に関する法律第五条第一項の規定による売り渡しに係る指定糖の売り戻しについての臨時特例に関する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  この法律案提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  この法律案は、本則六条及び附則から成っております。  まず、第一条におきましては、この法律目的を定めております。  すなわち、この法律は、内外砂糖需給事情等変化に対して砂糖需給適正化を図るため、砂糖価格安定等に関する法律に基づいて糖価安定事業団が買い入れる指定糖の売り戻しにつきまして臨時特例を設け、もって砂糖の適正な価格形成を図り、あわせて粗糖輸入に関する国際的協定の円滑な履行に資することをその目的といたしております。次に、第二条におきましては、指定糖売り渡し申し込みに関する糖価安定事業団報告につきまして定めております。  すなわち、同事業団は、現在、砂糖価格安定等に関する法律に基づき、輸入糖について価格調整のための売買業務を行っております。この売買業務におきまして平均輸入価格国内産糖合理化目標価格を下回っている場合に輸入糖について同事業団に対する売り渡し申し込みがあり、かつ、その申し込みをした者の一定期間ごと申し込み数量が、その者の通常年における売り戻しの数量あるいは通常年における輸入数量等基礎として農林大臣が定める数量を超えるときは、同事業団農林大臣に対し、その旨の報告をすることといたしております。  第三条におきましては、糖価安定事業団が行う売り戻しの特例につきまして定めております。  すなわち、農林大臣は、同事業団から第二条に基づく報告があった場合におきまして、当該報告に係る超過数量の売り戻しを直ちに行うと砂糖需給見通しに照らしその需給の安定に悪影響を及ぼすおそれがあると認められるときは、当該超過部分につきまして、その売り戻しの時期を一年以内の一定期間延期するよう同事業団に対し命令することができることといたしております。  なお、この特例措置につきましては、精製糖価格平均生産費を上回って推移しているとき、あるいは一般消費者または関連事業者の利益を不当に害するおそれがあるときは、農林大臣はこの命令を行わないものとし、また命令を行った後にこれらの要件に合致する事態が生じた場合にも当該命令を取り消すものとする等、その適切な運用を図ることといたしております。  第四条におきましては、売り戻しを延期した場合における売り戻し価格につきまして定めております。  すなわち、同事業団が売り戻しを延期した場合における売り戻し価格につきましては、当該輸入糖の買い入れのときから売り戻しのときまでの間におけるその保管に要する経費を加えて売り戻すことといたしております。  第五条及び第六条におきましては、砂糖価格安定等に関する法律適用及び罰則につきまして定めております。  すなわち、この法律に基づき糖価安定事業団報告をする場合または農林大臣命令をする場合には、砂糖価格安定等に関する法律規定適用することとするとともに、所要の罰則規定いたしております。  最後に、附則におきましては、この法律施行期日等を定めております。  すなわち、この法律は、公布の日から二カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行し、昭和五十五年九月三十日限り、その効力を失うことといたしております。  以上をもちまして、この法律案提案理由補足説明を終わります。
  15. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私は、いま提案のありました法律案提出に至る意義と目的に関しまして、まず第一にお尋ねをいたしたいと思います。  この提案に当たっての背景の中で、昭和四十九年を基礎にいたしました消費減退あるいは停滞をとらえておるわけであります。この時期は、御承知のようにいわゆるパニック時代、したがって、そのパニック時代消費基準にすることにつきましてやや問題があるんではないだろうかというふうに考えるわけです。したがって、正確な消費動向根拠に果たしてなるだろうか、こういう問題について若干の質疑があるわけでございまして、四十四年の二十四・七四キロ、あるいは四十五年の二十七・四九キロ、さらには四十六年二十七・四八キロ、五十年は二十五・二キロですね。したがって、こうした形を平均をいたしますと、大体いまのところ二十六・二五キロ当たりになるわけです。この辺が一つ消費基礎数字と、こういう立場に考えるわけです。そうしますと、減退という表現、この辺はどうか、こういうふうに考えるわけですが、いかがでしょう。
  17. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま本法律案を出しました理由趣旨の中で申し上げております「消費減退ないし停滞」の傾向、この点につきましては、局長の方から詳細にその推移並びに今後の見通しにつきまして御説明申し上げたいと存じます。
  18. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) わが国におきます砂糖需要消費動向を見てまいりますというと、総需要量におきまして戦後毎年百万トン、百五十万トン、二百万トン、二百五十万トン、三百万トンというように累年増加の一途をたどってまいったわけでございます。四十八年がピークでございまして、三百十八万六千トンという数量に達しております。これを一人当たり消費量で見てまいりますというと、三十五年のころ十五・五キロ、これが四十年には十九・五キロ、その後年々増加してまいりましたが、先ほど申し上げましたピークの四十八年、この年は一人当たり消費量ピークになりまして、二十九キロの台に上っております。その後四十九年以降ほぼ横ばい、二十四、五キロの水準に落ち込んでいるわけでございます。  消費動向をどう見るかということはいろいろむずかしい問題がございますが、わが国消費量欧米先進国消費量水準に比べますというと、これら先進国は一人当たりおおむね五十四、五キロ、倍程度消費いたしておるわけでございます。それらのことからして、かつて砂糖消費量文明度のバロメーターであるというようなことを言われましたようなこともあり、もっと直線的に伸びるのではないかというふうに見ておった時期かあるわけでございます。しかし、いま申し上げましたように、四十八年の二十九キロを境にして、その後この水準より相当落ち込んでいるという状況からいたしますと、しかもそれがここ三年続いておるというような動向、さらにこの背景についてまだ決定的な分析ということには至っておりませんが、どうも国民の嗜好なりあるいは食生活全体の変化というようなことが反映されているということがうかがわれるわけでございまして、それらのことからするというと、今後はかつてのように直線的に国民の一人当たり砂糖消費量か伸びることはないのではないかというふうに考えられるわけでございます。  ただ、今日の、四十八年から比べれば落ち込んだ水準がさらに落ち込むかと言えば、それはそういうことはない。まあおおむね現在の水準ないし微増程度のことは期待できるのではなかろうか。それに全体としての人口増加もあれば、総需要量は今後微増ということで推移してまいるのではないかというふうに考えるわけでございます。  そこで、この表現の中で「消費減退ないし停滞」ということを申し上げましたが、昭和四十九年以後のことをつかまえて確かに申し上げているわけでございます。ただ全体の傾向としては、いま申し上げましたように、今後はそれほど落ち込むというようなことはなかろう。むしろ特に総需要量において若干の増、微増程度を考えてよいのではないかというふうに見ております。
  19. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 よくわかりました。  そうなりますと、法案提出に対してこの消費減退をする、あるいは停滞をするという表現は、私は少し説明の問題としては適当でない。やはり正確にとらえるなら、いま局長答弁をされましたように、これからむしろ微増する、むしろ先進国という立場で取り上げてまいりますと、たとえばアメリカは四十二キロ、ECは三十六キロ、こういう形が出ているわけですね。したがって、まだ日本の今日的な状況の中で消費拡大という観点をもう少し取り上げるとするならば、これは減退あるいは停滞ではなくて、まだまだむしろ伸びる可能性はあるというふうに逆に見ていいんじゃないか、こういうふうに考えるわけでありまして、むしろ誇張をして提案説明が行われることについて、私は御注意を申し上げておきたいというふうに思います。  二つ目の質問に入りますが、そこで次には過剰設備を指摘されているわけですね。この過剰設備がいつごろから顕在化をしてきたのか、あるいはそれに対して農林省というのは、この過剰設備顕在化傾向が出てきたときに具体的にどういうような業界に対する指導あるいは指摘、こうしたものが行われたのか、この辺についてお尋ねをしたいと思います。
  20. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 操業程度いかんによって過剰の考え方が変わってまいりますが、現在の設備をもってすれば日本国内必要量需要量を相当程度上回る供給ができるということで一般的に過剰というふうに考えられておるわけでございます。  いつごろかということになりますというと、特に際立ってこのときにということではございませんが、比較的顕著に新増設が行われたのは四十八、九年ごろまでであろうかと存じます。そのころ国際的な食糧に対するパニックといいますか、将来の不安感もありまして、国内需要はかなり上がった。その需要の中には仮需要的なものも含まれるかもしれませんが、そういうことを反映いたしまして、このころの設備は相当の水準に達したというふうに考えております。  それから、こういうものに対してどういうような指導を行ったかということでございますが、砂糖について特別にリジッドな、厳格な需給計画を定めて、その範囲内に生産を抑えるとかなんとかということを従来やっておらないわけでございます。今回のこの法案におきまして、初めて部分的にでありますが需給調整を考えるという段階に至ったわけでございますが、以前におきましてはそういうことは考えておらない。したがいまして、むしろ企業競争の中でおのずと適正な水準が保たれるということを原則としては期待いたしておったわけでございます。そのようなことから、特段に設備を規制するというようなことはいたしておりません。ただ、全体の需要動向について、政府としては的確な情報を流して指導するというようなこと、それから業界全体のそれらの見通しを誤らないようにという一般的な注意を促すというようなことで、個別にあれがいいの、これが悪いのといったような指導は行っておりませんが、全体良識ある設備を整備するようにという指導を行ってきたという経過がございます。
  21. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 何といいますか、自由に企業かそれぞれの立場企業活動を行っていくというこういう市場の中に、今回特例法という、一つ政府権力介入をしようという大変重大な法案提案をされる。その一番大きな根拠設備過剰、同時に過当競争が行われて価格が不安定になっておる、こういう実情にあってこの特例法というのか出された。こうなりますと、私はその原因をつくり上げた設備過剰そのものについて、大変大きな一つ問題点があるわけであります。いまの答弁を聞いていますと、その辺が業界の何といいますか、みずからの作用に基づいて調整をされるであろうということで、実は農林省としては余りタッチをしていない、具体的指導をしていない、こういうふうに答弁をされているわけですね。この辺はちょっと私はうかつじゃないんだろうか。むしろこれは国際的な幾つかの動向等もありますから、むずかしい点があったというふうには思いますけれども、もう少しこうした点について、早くから細かい配慮というものが行われてしかるべきであったのではなかろうか、こう一つは思うのです。  同時に、過剰設備一つ判断でありますが、いまの御答弁を聞いておりましても、余りよく私自身理解ができないわけです。一つは、この判断の問題といたしまして、消費傾向から見て生産が過剰になっている。だから、総体からながめてみてこれは過剰設備ではないんだろうかという、こういう想定か一つはあるでしょうし、あるいはもう少し突っ込んでいきますと、工場その他がどんどんどんどんと設備投資によってつくられていって、具体的にこれは設備過剰なんだと、こういう認定もあるでしょうし、あるいは工場数は変わらないけれども新鋭機械が導入をされてそうして生産能力がどんどんどんどんと上がっていく、こういう立場でいわゆる設備過剰になってくる、こういう傾向等があるでしょうし、そうした具体的なとらえ方というものが農林省の中で明確に行われていないと、私は業界指導なんというものは適切に行われないのではないのか、こういうふうに思うんであります。しかも、ここに政府権力企業の中に介入をしていくことになるわけであります。そうした認識について、私はもう少し明確にひとつ態度表明をいただきたい、こういうふうに思います。
  22. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 本来、全く自由な競争によっている企業でありますれば、新しい優秀な設備ができれば古い設備能率の悪いものはこれは廃棄されていって、全体として需要に見合った形での設備水準が保たれるということになろうかと思います。その点、精糖業界経営につきましては、新しい新鋭機械ができて能率の高い工場ができますと、当然老朽工場競争条件が悪化いたします。採算も悪くなるわけでございますが、これが採算が悪くなってもなおかつ操業が続けられてきているというところに、一つ問題があろうかと思います。一つには、これは通常企業なら倒産ということに立ち至るのが、商社の金融、原糖供給を預かっている商社からの原糖代金の猶予というような形で事実上金繰りがついているというようなことから、なかなかそういう整理が行われないという事情がございます。もちろん、全体の見通しも持っての話であったとは思いますが、なかなかそういう企業が立ち直れないままに設備を抱えているということの結果、相対的に、比較的な形で過剰設備がだんだんに積もり積もっていく、顕在化していくということになったのであろうかと思います。  それから、そういう能率の悪い老朽設備がありますときに新鋭工場、これが建てられますれば、当然全体としてそのままほうっておけば過剰ということになり得るわけですが、だからといって新鋭工場をストップさせるとか、あるいは老朽のものをなくさなければ新鋭のものを建てないというような、そういう厳格な意味での需給調整あるいは設備調整ということは、これはまさに国家権力の介入で限度を心得るべき話ではないか、なかなかそういう具体的な介入はいたしがたいという事情があったわけでございます。  それから、この法案の全体の背景といたしましては、もちろん過剰設備ということ、過剰供給ということもありますが、具体的なそういう設備だけの問題ではなくて、販売面におきましても著しい過当競争が行われている、コストを大幅に下回った価格価格形成が行われているというところに大きな問題かあるわけでございます。  それからのことを考えますというと、需給調整は確かに国家権力の介入で本来好ましくないところではありますが、今日のような事態になって企業が総倒れにもなりかねない、そのことが単に精糖業界だけでなく日本国内産糖の面にも悪影響を及ぼす、さらには日豪の長期契約の履行の上にも悪影響を及ぼすというような、種々な波及的な問題を及ぼしかねない状況を考えました場合、私どもといたしましては、あるいは自由経済を損なう、その本来のあり方からすれば問題のある需給調整も、この際は期間を限ってではありますが、あえてやらなければいけない、こう考えたわけでございます。
  23. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いま後段で説明がありました関係ですけれども、当然それは農林省が気がつくと同時に、業界自体が相当それぞれの立場で早くから気のついている問題です。したがって、そういう課題について、言うならば今日砂糖事情と申しますか、そういう現実的な形の中で業界農林省に対して、たとえばどういうような問題について配慮してもらいたい、こういうような問題について手はないのかという相談を受けておるというふうに私は判断をするんですが、主に業界筋から農林省として相談の中心にされてきた問題、こうした問題は一体どんなものでしょうか。
  24. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 業界事情は今日に始まったことではなく、こういう苦しい状況は前から続いておるわけでございます。その過程を通じてそれなりに私どももいろいろ伺っております。今日法律案自体について、あるいはその運用について、なお具体的な要望といいますか注文というものはそれぞれあるわけでございますけれども、むしろそれ以前、どういうことを主として考えてやってきたかということを申し上げますならば、やはり業界としては過当競争、乱売を防ぎたい。そのためには、業界の協調を得てカルテルによる価格維持が必要であるということで、いままでどちらかと言えばカルテルの結成、それによる価格水準の維持あるいは回復といったことを中心に考えておったわけでございます。そして、そのことについてなかなか協調体制が整わなかったのでございますが、五十一年の後半から五十二年にかけまして、長いことかかってようやくその協調が調って、昨年の十二月から本年の五月末まで二回にわたってのカルテルを実施することになったわけでございます。そういうような需給調整による価格回復ということを、業界は一番の主眼といたしているわけでございます。そのことを今回の法案でも主眼として、目的として描いているところでございます。  そのほか、個別の企業立場なり、あるいは業界全体の立場を含めましていろいろ注文は承っておりますが、いま包括的にそのすべてを言うわけにはちょっとまいりませんので、後ほどまた問題がそれぞれ指摘されます段階に応じて、それらのことについても触れて御説明申し上げたいと思います。
  25. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大体はっきりしてきたと思いますが、十月の五日のこの委員会の中で丸谷委員が質問をいたしておるわけであります。大臣は、大石前農林大臣の、砂糖政策は筋から外れておる、精糖会社が足を引っ張り合って糖価をめちゃくちゃにし農民への圧迫にもなっているという趣旨の認識、この認識について現鈴木大臣にお尋ねをしたことについて、その認識は変わらないという御答弁をいただいておるわけであります。その認識の上で、たとえば発言の筋が、砂糖政策は筋が通らない、こうした点についてこれは前大臣と同じ認識に立つのだと、こう言われておるのですが、その認識の上に立ってこの法律案か現に提出をされた。その辺に至る決意をされた真意といいますか、この辺について、再度お伺いをいたしておきたいというふうに思います。
  26. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、砂糖国民生活の中で非常に重要な食糧である、国民生活が豊かになりまた食生活も多様化してきておる、食生活に潤いを与える、そういうようないろんな面からいたしまして、私は重要な食糧であるとその位置づけをいたしておるわけでございます。したがいまして、国内産糖、さらにまた、甘味資源作物をつくっておられるてん菜あるいはサトウキビ生産農家にも、できるだけ政府としても生産の向上あるいは振興についての助成もいたし、指導もいたしておるところでございます。  そこで、現在砂糖は自由化されておるわけでございますが、今回この法律提案するにつきまして、私は二つの点をいろいろ考えまして、この立案について苦心をいたしたわけでございます。一つは、自由化されておるこの砂糖商品をいま輸入規制あるいは法的なこれに対する措置を講ずるということが、国際的な貿易の問題がやかましくなっておる時期におきましてガットその他の問題になるのではないか、こういう点も一つ考慮をしてみたわけでございます。また、一方におきましては、この需給の均衡を保持するという措置を講じた場合において、消費者である国民の皆さんに結果的に高い砂糖供給するというような消費者対策の面からどういう影響があるのであろうかと、こういう点をいろいろ考えたわけでございます。  しかし私は、このわが国の精糖企業が先ほど来提案趣旨でも申し上げ、また局長からもるる申し上げておりますように、いろいろの事情が積み重なりまして大幅な生産面におけるコスト割れを生じておる、企業経営は極度に悪化を見ておる、現に大分県あるいは三重県等におきまして一部精糖企業が倒産ないし事実上倒産するような状況に追い込まれておる。また、この二つの精糖企業だけでなしに、商社によって辛うじて抱えられておりますけれども、いまのような経営の悪化がそのままに続いてまいりますれば、全部の精糖企業が同じような事態に追い込まれるのではないか。そういたしますと、そこで働いておられますところの従業員の諸君の雇用問題、深刻な社会問題にも相なるわけでございます。  そういうようなことを考えまして、これは何としてもやはり需給の均衡というものを自由経済の中ではありますけれどもやはり大事に考えまして、そしてまた過当競争あるいは過剰な設備というようなものも労使の間でもよくお話し合いをいただきながら、合理化すべきところは合理化をしていく、むだな過当な競争もこれを排除していく。業界の協調と連帯によってこういう問題も処理していかなければならないと、こういうような観点に立ちまして、最小限度の措置として輸入面ではこれは需給計画のめどというものを立てて、そして今日までの各企業のシェアもあるわけでございますから、そのシェアの中でひとつ秩序のある操業をやってもらいたい。それを超えて需給計画を大きく乱すような場合には、事業団が従来瞬間タッチをやっておりましたけれども、これの売り戻しを一時凍結をする、こういう措置を講ぜざるを得ない。  また、消費者の皆さんにも、こういうコスト割れの状況の中で過当競争でいま消費価格というものは形成されておりますが、これはどっちかと言うと不健全な長続きをするような価格ではないと。これはやはりコストに見合うような、安定した企業経営の上に立ったところの正常な姿における供給、それによって形成される消費価格、こういうものでなければ私は長期にわたって国民生活を安定させることができない、このように判断をいたしまして、今回のような法案提出をいたし国会の御審議をお願いを申し上げると、こういうことにいたした次第でございます。
  27. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いまのお答えを要約いたしますと、まず一つは、消費者のために量も価格も言うならば安定的に供給をしていきたい。それから生産農民のためにも業界の安定が必要である。さらに、過当競争体質の是正がそのためには必要なんだ。それから、事業団運営に関してこうした措置をさしていくために、充実した機能の強化か必要である。それから、現状のままで放置をしておきますと、企業の全社的に経営危機を招いて大変なことになると。したがって、大変なことになればそれは雇用問題に発展をする。今日の情勢の中でそういうことをさしてはならない。それからこの法案というのは、そうしたことをとらえて問題解決のための最小限の一つ法案なんだと、こういうふうに理解していいわけですね。
  28. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) はい。
  29. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、二つ目の大きな柱でございますか、この精糖工業会の中に体質改善委員会、これがつくられた。そしてこの体質改善委員会か答申をしているわけでありますが、その答申と、提案をされました法律案との関連について若干お聞きをいたしたいと思うのでありますが、ことしの二月の二十四日に精糖工業会の中に体質改善委員会が発足をしましたね。そして、その委員会が五月の二日付で工業会の会長あてに答申をされておる、こういうふうに私は確認をしているんですが、これは御承知になっていますか。なっているかなっていないか。
  30. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 承知いたしております。
  31. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 この答申の中には、検討経過として、特にこの重要問題につきましては小委員会を設けて、そして農林省とも意見交換した旨の報告があるわけです。で、この意見交換には農林省としてだれか出席をされておりますのか。  この前ちょっと私ども聞きましたんですが、法案作成者の渡邊審議官、この方は八月の着任でありますから、当然これは期間的にお見えにならなかったというふうに思うのでありますが、杉山局長はこの小委員会と省という立場での意見交換の場に立ち会われておりますのかどうか。また、立ち会われたとすれば、そのときの内容記録ですね、こうしたものが残されておるんだろうかどうなのか。あるいは意見交換をしていきました回数、たとえば体質改善委員会というのはこの期間中に延べ大体十一回持たれているんです。こうした十一回の委員会の中に農林省として毎回出席されているのかどうか、その辺を少しお聞きをしたいと思います。
  32. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) この体質改善委員会は、この時期に設けられた臨時の機関でございます。そして、内部的に業界の将来の展望を立てて、それに基づいて業界としてどのような対処を図っていくべきかということを検討いたしたわけでございます。したがいまして、役所が直接これに関与するという立場にはございません。  ただ、業界として業界の現状をどういうふうに分析し展望を持つかというようなことになりますれば、これは業界だけのデータでは、あるいは判断だけでは十分でない。役所としての考え方はどうであろうかというようなことで、種々のデータなり判断、意見を求められることがあるわけでございます。この意見調整ということでございますが、私ども会議の場に出てそこで特別に意見を申し述べるとか、役所の資料を使って何か作業をしていただくということは一切いたしておりません。ただ、この委員会のメンバーの方たちがその案を作成するに当たりまして、これは実にしばしば私どもの役所の担当課のところへ参りまして、検討している事柄について参考になるようなことを聞き出していくというようなことで、これを調整と言ったのだと思いますが、役所の意見を聞いていかれるということはあったと承知しております。
  33. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、省としてきちっとした方針あるいは意見を持ってこれに臨まれたということはないわけですね。
  34. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 直接この内容規定するというような形での、省のきちっとした方針は持っておりません。
  35. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 この答申を見せていただきますと、この中に基本的な考え方の骨子というものがございますね。この中には、「外濠を先づ埋め、内濠の処理にはいる。」という表現、それから、労務問題も含む過剰設備処理に際してこうむる企業損失の補償という問題、それから以上の二つを進めるのに価格安定か必要であるからこれはカルテルを求めると、こういう基本的考え方の骨子の中に明らかにされているわけです。これに対して、大臣どういうふうにお考えになっていますか。
  36. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この検討委員会は、業界が自主的に内部において今後企業努力をやっていこう、また、体質の改善その他合理化もやっていこう、こういうことでございまして、従来余り協調の傾向の見られなかった、むしろ過当競争に明け暮れておった業界が、ここまでみずからの問題として取り組もうという趣旨につきましては、遅きに失したけれども当然のことであると、私はこのように評価をいたしておるわけでございます。しかし、これはあくまで業界の自主的な今後の努力なり改善への問題でございますから、政府か一々介入をしてどうこうという考えは持っておりません。  ただ、ここで申し上げておきますことは、政府はいままで業界等の要望にこたえまして、先ほども申し上げたように二度にわたってカルテルを認めてきた。しかし、そのカルテルの実施中においては価格も一応安定をするような状況にございますが、カルテルの期限が切れますとまたもとへ戻る、こういうようなことの繰り返しであったわけでございます。このことは本質的な問題、需給の均衡がとれぬようなそういう無理な過当競争、そういうようなものを排除しない段階においては一時的なものである、臨時的便法にすぎない、こういうことであるわけでありますが、そこで、今回こういう立法を御提案を申し上げて御審議をいただいておりますから、これが幸いにして国会の御賛同を得て成立をいたしますれば、私は今後はこの法律によって業界指導し適正に運営をしてまいりたい。したがって、この法律が成立をいたしました段階においては、今後はカルテルを再びやるというようなことは当面考えておりません。
  37. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大臣は、したがって、これは業界の協調性がとられるきっかけになるからという立場で大変評価をされておるわけですね。実際運用からいきますと、カルテル結成の時期、これが終わる時期にこの答申が出された。ところが、実際問題、カルテルの時期が終わりましてから再び糖価の問題は大変な乱れを来している。ところがその時期には、大臣が指摘をされますように、これから協調をして業界としても自省をしていかなければいかぬじゃないか、自立しなきゃいかぬじゃないか、こういう立場でこの答申が出された。ところが、実際にはそれが結果的に何の今日的な効果もない、こういうことに現実問題としては推移をしている。  そうなりますと、せっかく評価をされましたいわゆる業界の協調性というものが一体どうなっているんだろうか。そこへ今回のこの法案提出でありますから、この辺について私はきわめて大きな疑義を感ずるのですね。ただ、時間的にその辺のずれがあるからと、こういうことではないと思うんですね。この辺をチェックをしないと、私はどうもこの法案提案がすきっと落ちてこない。この辺は局長いかがでしょうか。
  38. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 業界の協調がなかなか図られがたい、これだけむずかしい深刻な危機とも言うべき事態に面してなおかつその協調が困難であるというところに、この業界の問題というか扱いの困難さというものかあろうかと思います。ともあれ、そういう業界の中でも、自主努力によってできるだけ再建の道を探っていこうということで、こういう改善委員会の検討も行われたわけでございます。その意味では、大臣からも申し上げましたように、ようやくその機運が出てきたということで私も評価できると思います。ただ、残念なことに、いままでの競争に明け暮れしてきたという体質が災いしてか、それぞれの探り合いというようなことで、この考え方、方向づけもなかなか実際には絵にかいたもちにとどまっているというのが現状でございます。  なお、絵にかいたもちであるかどうかは表現としてともかくといたしまして、この答申自体は、臨時的に設けられましたこの体質改善委員会の工業会の会長に対するものでございます。これを工業会がどう扱うかということになりますというと、正規の機関であります企画委員会というのがございます。そこでこれから検討する課題になってまいる。そのときに、まさに私どものこの法案との関係ということも論議されてくる話になると思います。それから、この体質改善の問題は、何も三年間とか五年間とか期間を限った話ではない、もっとずっと長期の展望を持っての話であろうかと思います。直接的にこの法案とすぐに結びつけるものではありませんが、考え方の基本においてはつながるものがなければいけないと私どもも思っております。  先ほど先生御指摘になりましたが、外堀を埋めてとかどうのこうのというような表現の問題も一、二ございますが、それから実質的な内容の問題もあろうかと思いますが、それらの問題についても当然業界の内部で検討が進められる。それから私どものこの法案の成立後の運用の面におきまして、当然そういったものに一段と真剣さが加わって、役所もまた相談に乗りあるいは指導を行って、その適正な改善の方途を見出すということに努めるべきだというふうに考えております。
  39. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 その辺は、やりとりをしますと長くなりますのでその程度に終わりたいと思いますが、この答申の中身の先ほど申し上げました骨子を具体化をしていく、こういう立場がとられますとまさに合理化という点ではぴしっと一致をする。そのための対策として、今日この特に労務問題を含めた企業損失の補償という立場で各社キロ当たり三円、これを持ち出す、こういう形になっている。そうすると、キロ当たり三円持ち出して全体でそのことの補償体制をつくっていこうとしている。ところが補償体制はつくっていくんですが、具体的にスクラップ化されていくところ、いわゆる落としていくところは必らずこれはそこに持っておりましたシェアの問題がある。こうした関係というのは一体どういうことになっていくんでしょうか。農林省がその辺に対して、具体的にこう発生をしてくるわけでありますから、どういうふうに対処をしようとしているのか、その辺を少し突っ込んでお答えをいただきたいというふうに思います。
  40. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) スクラップ化を図る、そしてスクラップになる企業に対して補償金を出す。そのための財源としてトン当たり何がしか徴収するというのは、確かに体質改善委員会の考え方の中に対策の一つとして示されております。ただ、これは体質改善委員会としてはそういうことを一つの考え方として出しましたものの、実際にどういうものを対象にするのかとか、それからそういうものに対してそもそも業界が協調して出すことが妥当なのかどうか、できるかどうかというような基本的に詰めなければならない問題をたくさん持っております。そして、これを具体化するというような段階までは今日まだ来ておらないわけでございます。先ほど申し上げましたように、精糖工業会の正規の機関である企画委員会におきまして、それらの問題も含め法案運用の問題も含め今後検討をしていくという問題になっているわけでございます。したがいまして、現在その問題についてシェアをどう置こうというようなところまで論議する段階に立ち至っておりません。
  41. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ただ、私は心配をいたしますのは、この提案をされました法律案が、いわゆる工業会の求めている外堀埋めの役割りを明らかに果たすんじゃないのか。したがって、このことの執行ということは相当農林省が大きな責任を持たなければならない。この辺の腹構えというのはきちっとされているのかどうか、ここがきわめて私としては心配なわけであります。工業会の方は体質改善委員会で答申をしてきたと。もちろん、答申について農林省が責任を持たなきゃならぬというのは何もありません。何もありませんが、結果として今日提案をされました法案と少なくとも体質改善委員会が答申をしている内容と比較をいたしていきますと、明らかに外堀埋めの役割りを持つ。こういうことに私は評価をせざるを得ないんです。  したがって、この辺について私はその腹構え、あるいは三年間という時限立法にしたその辺のことも含めまして、言うならばこの法案で三年間のうちにいわゆる精糖業界について体質改善を図る一つのめど、こういうことになるわけでありますから、いよいよもってその内容については相当厳しい問題が現実問題として発生をする、これは全部農林省がかぶりますよという腹構えを持っておられるかどうか。私は持ってもらわなければこれはむずかしかろう、こう思うのでありまして、その辺を余り遠回しに言わないできちっとしたお答えおきをいただきたい。
  42. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) この法案が確かに出された背景はきわめて厳しい経済環境、精糖企業の置かれております困難な事情というのがあるわけでございます。しかし、この法案を出すことによってそれらのすべて経済問題が解決されるかと言えば、それはそういう絶大な効果、力を持ったものと言うことはできないと思います。やはり経済環境の厳しさは依然として今後も残るというように考えます。この法案は、ただその厳しさを緩和する、少なくとも価格形成について現在大幅なコスト割れをしている、これをある水準まで回復させるという意図を持っているわけでございます。このことによりまして企業経営条件がよくなれば、少なくとも経済問題すべてを解決するに至らなくても、現在よりは経営条件の好転が雇用の安定にもつながり得るというふうに考えております。ただ、本質的に持っておりますところの経済問題すべてを、今後どう対応してこれを農林省も責任を持って指導していくかということになりますというと、ひとりこの法案だけにとどまらない。しかも、もっと長期の展望を持って長期の努力を続ける必要があるのではないかというふうに考えております。
  43. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 だんだん繰り返しお聞きをいたしておりますと、提案趣旨とお答えをいただいている内容とが少し間隔か出てくるような気がしてならぬわけでありまして、その辺はまた一遍整理をして後段で再度お聞きをする機会をつくりたいと思います。  次に、大きな柱の三つ目になりますか、豪州糖の長期輸入協定、これは旧協定、四十九年の十二月締結のものでありますが、この経緯に関して若干お尋ねをしてみたいと思うのです。  この日豪長期砂糖協定は、契約形式そのものはこれは民間企業ベースでつくられているわけでありますが、当時の日本政府の置かれておりました条件の中で、言うならば資源外交がきわめて活発に展開をされておったわけでありまして、そうした状況の中で、政府かこの契約成立に関して私は無関係であったというふうには考えられないわけであります。したがって、価格あるいは数量あるいは契約内容、こうしたものについてどの程度介入を具体的にされたのか。この辺をひとつお聞きをしたいと思います。
  44. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 若干話が古くなりますが、資源問題が騒がれ出したといいますか……
  45. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 余り古いところは必要ありませんから。
  46. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 日本にとって深刻に関係いたしますので、若干説明さしていただきます。  騒がれ出しましたのは、四十七年の夏ごろからでございます。穀物に端を発しまして、その後あらゆる重要資源、さらには四十八年の秋には石油、こういったものの入手にきわめて将来不安を感ずるという事態か生じたわけでございます。これらに対処して、いま先生、資源外交という言葉を使われましたが、日本としても将来の安定確保を図る必要があるということで各般の措置がとられております。業界に対しても、そのために必要な指導を行ったわけでございます。たとえば、小麦とかトウモロコシ、大豆などにおきましてはアメリカとの間で安定供給の大臣レベルの合意を行うとか、それから、ほかのもののことは省略いたしまして、砂糖につきましても長期的な輸入安定を回る見地から、豪州のみならず南ア連邦、タイ、ブラジル、台湾、こういった国との間での民間ベースの長期契約を推進する、指導するということも確かに政府としても図ったわけでございます。ただ、ほかの長期契約、安定的に将来にわたって供給を確保する契約というのは主として数量だけでございます。ところが、豪州との契約はこれはほかと異なりまして五年間という長期にわたって、単なる数量だけでなしにその間の具体的な価格も決めるという契約になっております。この価格を決めたことが後々いろいろわずらいといいますか、問題を生ずるに至ったわけでございます。  この契約に際しましてどれだけ政府介入したかというお話でございますか、いま申し上げましたように、一般的に資源を確保する、将来の日本国民に対する安定供給のために長期の契約を結ぶべきであるという指導を行いましたが、価格をどれだけにするかというようなことについては、これはまさに企業自身が自分の判断と責任において選択したところでありまして、役所がこうせいとか、ああせいとか、この水準が適当であるというような直接具体的な指導はいたしておりません。  それからまた、こういう契約を結ぶに当たりまして、その契約が国内に受け入れられた場合、制度の上で支障があってはいけないというようなことから、これは双方の政府の間でそれぞれ、オーストラリアの立場からすれば輸出に必要な手続、日本立場からすれば輸入に必要な手続あるいは糖価安定法上の制度上の位置づけ、そういった取り扱いの問題について必要な措置をとるということを政府交換公文で合意いたしております。そのような形で、指導といいますか、介入か行われておるわけでございます。
  47. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 十月の二十六日の衆議院の農林水産委員会でありますが、これは神田委員が質問をいたした中で、当時のこの契約について杉山局長は、言い方は少し変わると思いますが、マレーシアあるいは韓国、これを一つ基礎に置かれて、それ以下の内容で契約することは困るんだよと。同時にまた、インフレーションクローズじゃだめだという立場で示唆をされたことについて答弁がされているというふうにお読みしているんです。そうなりますと、直接どれだけにしろという話にはならぬにしても、明らかにこれは数量はもちろんの話でありますが、価格あるいは契約の一つの指標とする内容、形態、こうしたものについても、これは明らかに農林省立場介入をされておるんじゃないのかというふうに私はこの御答弁の中では判断をせざるを得ないんです。そうすると、いまの答弁と少し食い違いますので、その辺少し明確にしてもらいたいと思います。
  48. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 現在の豪州糖の価格自体について、それが結構であるとか、それではいかぬとか、そういう直接的な指導をしたことはないという意味で申し上げたのでございます。  ただ、契約締結に当たって、必要な情報を政府として提供するということはこれは当然あった話でございます。その際、マレーシアでありますとか、韓国でありますとか、そのころ並行して同じような時期に契約が進められておりましたものについて、参考になるようなデータを提供する。そこらのことも考えて決めなさいという意味での一般的な指導は行っているわけでございます。
  49. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いまの点ですけれども、いまここに議事録がございますけれども、価格の決め方自体についてはいろいろアドバイスしていると、こう言われているわけですよね。そのアドバイスというのは、一つの指標がないと私はアドバイスはできないと思うんですよ。そのアドバイスということは、明らかに価格についてこれでいいかどうか。もちろんこのいいかどうかの問題はこれは企業の側でしょう。企業の側でしょうし、さらにそのアドバイスを受けるかどうかの主体も企業の側でしょう。しかしそこに、たとえば友だちにひとつどうだろうかという判断じゃなくて、少なくとも日本政府を代表する立場のものに対してアドバイスを受ける、このことは、それが大変大きなウェートをかけることは間違いないんでありまして、その辺に対して私は、一つ農林省の責任というものを明確に感じ取ってもらわないとこれはお話にならぬと思うんであります。  これは今日の事情からいくと大変問題がありますが、たとえば例に出されましたマレーシアの場合、二百四十豪ドルですね、契約内容。同時に、それは毎年の豪州におけるところの物価スライド、これを積み上げてやっていきながら、六年間の契約というものがマレーシアと行われている。韓国の場合は百九十八豪ドル。それに対して毎年一〇%アップということがつけられて、韓国の場合には五年で締結をされている。日本がその当時、これはまあ国際の水準からいけば二分の一ぐらいであったかしれませんけれども、この基準から見ますと相当高い契約か行われているわけでありまして、そうすると、杉山局長がアドバイスをしておる、そういうマレーシアや韓国よりも条件が悪くてはだめですよというふうに言っておりながら、実際には日豪関係では高い基準で契約をされている。この辺も私はきわめて不可解なんです。ここに何かあったんじゃないのかというふうに勘ぐらざるを得ないんです。  この辺は、明確な私自身も資料を持っておりません、打ち明け話をいたしますとね。資料を持っておりませんけれども、これらに立ち会われ、アドバイスをされました立場の中では、よく事情については御承知じゃないんだろうか。この辺のことが今日の砂糖情勢に対して、国内の問題に対しても相当大きな一つ要因というものをつくり出しているんじゃないだろうか、私はこういうふうに思うんであります。その辺の事情について、やはり少し御説明をいただけないだろうか。
  50. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 価格をどのように決めるかということについては、これはまさに企業判断するという大前提があるわけでございます。ただ、諸外国なり似たような例はどういう実情になっているかというようなことになりますれば、これは業界にも情報はあるかもしれませんが、政府の方にも情報はある。そういう情報を提供して、それより不利になってはいけないというような、積極的なそういう具体的な指導はいたしませんか、それらも参考にして考えるべきじゃないか、こういう情報も使ったらどうかというような意味でいろいろ関与いたしているわけでございます。そのことをアドバイスと申し上げたわけでございます。  日本とやはり韓国とかマレーシア、置かれた状況が違うわけでございます。数量なりあるいは全体の期間なり、そのほかその契約される時点の需給事情であるとか、まあ需給事情というのは当事者が判断した需給事情であるとか、そういう事情がいろいろ違いますれば、全く同じに、あるいはそれより全く有利でなければ契約できないというような性質のものでもなかろうかと思います。それらのことをすべて判断した上で、現在の価格で締結されたというように私どもは承知いたしておるわけでございます。
  51. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、いろいろアドバイスはしたけれども、政府としては責任はこのことについては感じない、こういううに理解していいわけですか。
  52. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 当時、需給あるいは将来の価格を……
  53. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 責任を感じるのか、感じないのかということです。
  54. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いいえ、その需給動向についてどう判断したかという問題であろうかと思います。その意味では、私どもそういう判断は、当時の情勢のもとにおいては、一般業界の者のみならず日本じゅうあるいは政府においても、確かにこのような暴落を生ずることはないというような判断を持っておったのではないか。そうでない判断も部分的にはあったかもしれませんが、一般的にはこのような暴落を生ずるようなことはまずないのでないかというふうに思っておったと思います。結果的に不幸な事態になりましたが、そういう判断の問題、あるいは一般的に企業に対して、所管している業種をどう指導していくかという、そういう所管業種に対する指導上の責任ということはありますが、この契約自体については直接国が補償しなければならない、あるいは肩かわりをすべきだというような、そういう意味での直接的な責任というのはないというふうに考えております。
  55. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 見込み相違に結果的になってきたそのことの間接的責任ですか、あるいは何といいますか、監督ではありませんけれども、これを所管をしている省としての間接的責任、それはあるけれども、直接それはかかわりありませんよと、こういうことなんですね。ところが、当時の田中元総理がこの契約の前の時期にオーストラリア訪問をしているわけですね。それは明らかに羊毛あるいは牛肉、砂糖、特に砂糖は当時国際砂糖協定が期限切れになっていわゆる自由放任と、こういう国際的な関係があって、むしろ政府としてはこの契約は積極的にやっぱり進めるべきだと、こういう考え方が一つにはあったのじゃないんですか。同時にまた、五十二年の七月の二十六日のエコノミストがあるんですか、このエコノミストの中に、実は「「砂糖」で高まる豪州の対日不信」、これは東京湾の船の関係その他を含めましてこういう記事が出ているわけですが、これはごらんになりましたですか。
  56. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) そんなに詳しく読んではおりませんが、その記事のあったことは承知いたしております。
  57. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 記事の中に、実は「契約の形式は、民間企業ベースになっているが、実態は、日本政府がこの契約をオーソライズする形となるような一札か入っており、契約は政府指導で進められた。」と、こういう記事がございます。また「国内価格抑制策の上からも、長期協定を促進させるべきだとして交渉に」入り、「協定が締結された。」、こういうふうな文章かございますね。これについて、どうでしょうか、私はまことにこれは重大な中身を持つ文じゃないか、こういうふうに考えますが。
  58. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 政府が、確かに長期安定輸入を図るべきだという一般的な指導をいろいろいたしたことは事実でございますが、豪州との取引については、何も何にもないところに政府が取引を行うべきだというようなことで始めた話ではございません。むしろ豪州自身か、やはり国際的な状況を見て増産もしたい、売り込みも図りたいということから、相当早い時期から、こういう時期に豪州の砂糖を買ってはどうかというアプローチがございました。それから、民間べースでも当然豪州と取引を持っている商社においては、豪州のものを入れたいという希望があったわけでございます。しかも、それは豪州だけに限らず、先ほども申し上げましたように、全世界的にできるだけ手を広げて安定した量を確保したいということから、何も政府ということだけでなしに、一般的に日本全体か資源確保のために努力した時期でございます。そういう意味で、何もないところに無理に押しつけて政府がこれを引き取らしたというような実態は全くございません。  それから、民間ベースではあるが実質政府指導ではないかというお話でありますれば、政府が確かにそのことを当時歓迎した、そういうことが結ばれるのは結構であるという考え方を持っておったことは事実でございますが、契約自体の性格については何遍も申し上げておりますように、まさに民間の責任と判断で、当事者の判断で結ばれたものでございます。  それから、一札というお話でございますが、これは先ほども御答弁申し上げましたように、こういう大量の取引、しかも単なる一企業でなしに、豪州との取引については三十三の当時の企業が一括してジョイント、合同でもって契約を結んでおります。そうなりますというと、国内的に輸入カルテルを結成させる必要がある、輸出入取引法によってこれを規制するという立場からカルテルについて承認をする必要かある。それから、豪州糖の固定した価格を、通常の計算の方法と異なって糖価安定法上の平均輸入価格の算定に用いる必要がある。そういうことができないというと、せっかく豪州との契約が行われてもそれを実際に入れるのに支障があるということから、そういった支障を来すようなことはいたしません、そのために必要な国内の事務的な手続はとりますということについて、日本の出先大使と先方の関係大臣との間で書簡を交換いたしたのでございます。
  59. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 一札というのは、交換公文のことなんですね。
  60. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) はい、そのとおりでございます。
  61. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 事情からいきますと幾つかあるんですが、いま局長とのやりとりをしておりましても、私自身何か痛感をするわけですがね。当時の状況からずっとこう見ていきますと、やはりこの契約について民間を正面に立てているし、出発は豪州からの売り込み、日本商社がそれに乗った、こういう形で出発はしているけれども、その時期から見てやはり契約の主導といいますか、こういう形については相当国、政府として積極的に入ったんだと。しかし、政府が積極的に入ったんだということになりますと、これはもう現実問題として問題が発生をしたわけでありまして、したがって、その差額を政府が責任を持たなきゃならぬ。持たなきゃならぬということになれば、財源的に見ても何にしても大変なことですし、責任をまるきりかぶることになるし、今日の事情の中で、むしろ企業の側が経営努力を怠ってしまうような話にもなりかねぬ。  したがって、そういう形では、これは口が裂けても政府が責任持ちましたというふうに言えない。しかし、内心はやはり責任を感じているから、そういう意味合いでこの法律案の中である程度その調整を図ろうと、こういう立場になったというふうに私は読みとれるんですがね。こういうふうに言うと、そうではありませんという答弁が返るんでしょうけれども、まあ念のためにひとつお聞きをします。
  62. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国際相場が契約当時より下落した結果、企業は大きな損をかぶることになりました。しかし、当時はむしろ、いろんな判断はあったでしょうが、これで十分やっていける。中には、当時の国際価格に比べてかなり割り安である、むしろもうかると思った企業もあったはずでございます。そういうことがたまたま裏目に出たわけでございますが、仮に国際価格が暴騰しておったらどういうことになるか、そのときはぼろもうけをするというようなことにもなるわけでございますが、政府としては別段そういった企業の損得についてぼろもうけを召し上げるとか、損が出たときはこれを補てんする、そういうようなことを毛頭考えておったわけではございません。したがいまして、先生がおっしゃられましたように、そうではございませんとお答えするしかないわけでございます。
  63. 川村清一

    川村清一君 関連。  局長、ただいま坂倉さんの質問に対して交換公文ということを肯定されましたが、交換公文ということになれば、これは条約、協定に匹敵するような公文になりますので、その交換公文を資料として本委員会提出していただけますか。
  64. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 外務省が直接に所管しておりますので、外務省と相談して後ほど御答弁申し上げたいと思います。
  65. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、大きな柱ですが、精製糖企業設備状況、それからこれは資料に基づくやつでありますが、溶糖能力四百四十万トンとも、あるいは四百四十五万トンとも言われておりますが、これの算出根拠について少し突っ込んで御質問をいたしたいと思います。  参考資料の七ページに溶糖能力を有する企業数、これは五十一年度までの間に四十九年度の三十社という数字を除いて二十九社あるんですね。五十一年末も二十九社でありますが、この四十九年十二月の日豪協定に参加をしておるのは三十三社、それから新しい十月二十六日の協定に参加をしておるのは三十二社、こうなるわけでありまして、結果として溶糖能力を持たない企業というのが、この数字からいきますと、三社ないし四社あることになると思うんです。これはどういう名前の企業なんでしょうか。さらにまた、その企業のシェア——配分比というものはとれたけになっておるんでしょうか。あるいはまた、その溶糖能力を持たない企業に配分されたものというのはどこでこれは精糖化されていくのか。この関係についてちょっとお聞きをしたいと思います。
  66. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 砂糖は、確かに精製糖メーカーによって原糖を溶解して精製されるわけでございます。それが普通は精製糖企業ということになるわけでございますが、豪州糖、この契約を結ぶときは、そういう専門の精製糖業者だけでなく、再製糖等をつくっておりますところの、二次製品をつくっておりますところの企業、これらも原糖の入手について希望いたしたわけでございます。それらの会社も含めましたものですから、当時三十三社ということになっております。
  67. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうすると、溶糖能力を持たない企業はいま存在をしないということですか。
  68. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) そういう再製糖メーカーも、溶糖自体はできるわけでございます。原糖から再製糖を直接つくるというようなこともやっておりますが、普通は精製糖を買って再製糖をつくるということが一般であろうかと思います。精製能力はこれは持っているわけでございます。
  69. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、四百四十五万トンの溶糖能力というのは、一体何社の集計でもってこれは行われているんですか。
  70. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) この資料にあります七ページの二十九社、この数に一致いたしておるわけでございます。
  71. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、先ほどの説明からいきますと、この数字の中に入ってないでなおかつ溶糖能力を持って、稼働してないけれどもそれはあると、こういうことなんですか。
  72. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) それは一般的には再製糖メーカーの能力としてある、通常精製糖メーカーの一般能力ではないけれども、別にそれがあるということでございます。
  73. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 その再製糖メーカーというのは原糖輸入に対して口を出そうとしてきている、現に出したわけですね、いまのお話からいきますと。そうすると、それは取り扱いとしてどうなるんですか。
  74. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) ちょっとお尋ねの意味がわからないのですが、取り扱いと申されるのは何の取り扱いの意味でございましょうか。
  75. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 日豪砂糖協定で三十三社人っておる。三十三社だけれども、この表でいくと溶糖能力としては二十九社、すると四社差がありますね。この四社が、いま局長説明をされますように、本来は粗糖を入れてそれを精製している工場でない、こういう説明になるわけです、いまの説明は。そうしますと、その四社はシェアはとったけれども、普通やらないのに何でシェアをとるのか。とったシェアは一体どうなっているのか。これを私、お尋ねしています。
  76. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 正確には、企業としてなくなったものも数の差の中に入っているわけでございますが、いま申し上げましたように、再製糖メーカーは、これは直接その輸入した原糖を使って加工して再製糖をつくっておるわけでございます。その意味では、入れたものは使っておるということになっております。
  77. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私の方がよくわからぬようになってきた。混乱させられましたがね。結局、砂糖協定に参加した三十三社、これは三井、三菱を窓口にしまして、それぞれの企業別に何分かの配分を受けているわけでしょう。受けますね。その配分を受ける企業というのが三十三社、これは間違いないでしょう。そうすると、ここの表の七ページに出ておるのは二十九社、二十九社の溶糖能力が年間四百四十五万トンと、こう出ているわけです。こうなりますと、二十九社と三十三社の間のこの差の四社というのは、ともかくシェアは受けているわけですからね。そうしますと、受けたシェアをどこでどう扱うのかというと、まあ自分のところでこれを精製するというのがこれは原則ですから、そうなりますと、当然そこへ配分されたシェアで、いま杉山局長の言われる趣旨と再製糖とのかかわりからいきますと、それ専門じゃなくて、その粗糖を精製をする作業にもやっぱり入り込んでいると、こうなるわけですね。なればなったで、この集計の四百四十五万トンというのはその分も含まれていることになりますね。そうしますと、当然これは二十九社じゃなくて三十三社という数字が上がってくるときがあっていいんじゃないのか、こういうふうに思うんですが、どうでしょう。
  78. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) たまたま豪州糖の契約に関しては、そういう粗糖需要のあるもの、まあ通常ならほかから買うというようなことをやるようなものについても、そういう要望かあって配分したという実績になっているわけでございます。ただ、一人前の精製糖メーカーとして能力を見るということになりますれば、通常粗糖を入れてこれを溶かして売る専門にやっている精製糖メーカーだけを対象にして能力を算定する、再製糖のメーカーはこれは直接には計算には入れないという形で設備能力は算定いたしております。要するに設備能力としては算定の基礎に入っておらない、豪州糖のときはそれはその粗糖を購入して使ったという実績がある、こういうことでございます。
  79. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 すると、溶糖能力という能力の基礎がよく私はわからぬのですよ、いまの説明の中では。この辺はまた私も勉強しないといけませんね。大概勉強したつもりでおるんですが、よくわからぬです。じゃ、それはわからぬですから私の責任にして、まあわからぬなりに済ましますがね。  ところで、この二十九社というのは、この中に新光大分、東海精糖、それから明治製糖川崎、これは入っているんですか、入っていないんですか。
  80. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) これは五十一年の初めの数字でございますから、それぞれ含まれております。
  81. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、いま申し上げました三つの関係のそのシェアというのはどういう形になるんですか、処理方法。
  82. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) たくさんある表の中からその欄を探しておりますので、ちょっとお待ちいただきます。  東海精糖は溶糖量でもってこのときは一・〇%、それから新光砂糖工業の方は一・六%、こういう実績になっております。
  83. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 明治製糖は。
  84. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 豪州糖のシェアでごさいますか——豪州糖のシェアは、東海精糖の方が三・二%、これは全体の量の中での引き取り数量のシェアでございます。それから新光砂糖工業の方は二・一%ということに相なります。
  85. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それから溶糖能力の四百四十五万トン、いま日産能力で、政府説明で言われていますと日産は大体一万七千トン余りですね。それでこれを掛け合わしてみますと、溶糖能力四百四十五万トンの中で大体二百六十日の操業日数、これでいきますと一万七千百トン、こうなるんですが、これは間違いありませんか。
  86. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) ほぼそれに近い数字でございますが、もう少し正確に申し上げますと、五十一年度の日産設備能力は一万六千六百五十トンと計算いたしております。これの二百六十七日操業で四百四十五万トンでございます。
  87. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 この溶糖能力の算出根拠、これをお尋ねをしたいんですが、これはそれぞれのいわゆる公称能力によってこの数字というのがはじかれたのか、あるいは機械寸法能力によってはじかれたのか、あるいはまた経済操業能力といいますか、そういう立場ではじかれたのか。農林省のいわゆる研究会ですね、これは機械寸法能力を採用されておるようですが、この辺は何に基づきますか。
  88. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 設備能力の算定方法にはいろいろ考え方はございますが、私どもといたしましては、昭和四十一年一月から三月にわたって検討されましたところの研究会におきます精製糖の製造能力算定方法というものによって算定いたしておるわけでございます。この算定方法は、先生がいま仰せられました機械寸法能力をベースにして算定することとなっております。
  89. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 この機械寸法能力と言えば、おおむね一つ工場の中で年間フル回転をするという立場での能力が出てくることになると思うんですが、それはそれといたしまして、その数字を出すに当たりましてこれは農林省が直接測定をされましたのか、あるいはそれぞれの企業からの報告に基づいてそれを集計、積算といいますか、そういう形で行われましたのか、その辺をひとつお伺いします。
  90. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 企業からの報告、これを聞き取り調査したものでございます。
  91. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 本来、正確な数字をつかもうとすれば当然各企業間にいくわけでありますから、一つの数字の基礎になる統一というものを図らなきゃならぬだろうと思います。特にこれはクリーニングの言うなら工場でありますから、操業日数、就業形態、幾つかの要件があると思うんですが、いま機械寸法能力ですから、この機械の寸法によってどれだけだと、こう簡単に割り出すものでもなかろうというふうに私は思うんです。言うならば、そうした形の中で操業日数だとか、あるいは操業形態だとか、いわゆる基礎になる全体的な統一の基準、こういうものは指導されましたんでしょうか。
  92. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 操業形態につきましては、現実がいかにもさまざまな操業形態をとっております。五直のものから四直、三直、二直、一直、それから交代も三交代、二交代、一交代というようなことで、これが組み合わさって実に種々な操業形態になっております。そこで、これをどういう形で統一するかというようなことは、現実から余りにも遊離することになりますので、私どもは現実にとられている操業状態、連続一カ月操業であるとか、あるいは週に一日休むとか、そういう操業の状態を一つのベースにして、先ほどの機械寸法能力に合わせて算定いたしております。そういう意味では、操業の仕方につきましては実態をベースにしているということが言えます。
  93. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 これは基本的に論議をしていますと、いわゆる過剰なのかどうなのかという、こうしたものをはかる私は大切な根拠数字になると思うんですね。それほど重要な、しかもそれがこういう法案になってくるんですから、重要な数字を把握をするのにその辺が整理をされないでおることについて、大変問題だと思うんです。  そこで、これはいますぐに求めても私は無理だろうというふうに思いますが、各社の報告集計の積算の表ですね。同時に、それはまともにただ単に集計しただけじゃなかろうかというふうに思います。農林省として一応はそれに対する査定行為が行われたんじゃなかろうか、こういうふうに判断をするんですが、まあ査定があるなしにかかわらず、この集計資料についてひとつお出しをいただきたいというふうに思うんですが、出していただけますか。
  94. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) その前にちょっと先ほどの答弁で補足さしていただきますが、設備能力自体これは機械的なもの、公平、客観的なものという考え方で寸法能力をベースにいたしたわけでございます。それをどのように年間作動させるか、その操業状態について先ほど二百六十七日ということを申し上げたのですが、この裏に現実の就業日数、それから休暇のとり方、そういった就労条件がある、それをベースにとりましたということでございます。  それから、資料について出せるかというお話でございますが、私ども、この設備能力、これは一応の目安としてとっておりますけれども、別段これでもって厳格に過剰設備をどれだけ廃棄しなければいけない、何年何月までの廃棄目標幾らというようなことを算定いたしているわけではございません。そういう意味で、企業の自主努力を測定するというような意味で、それぞれの個別企業との対比というようなことではチェックする材料に使いますけれども、これを一般的な計画とか何とかということで公表する性格のものではないと思います。ただ、全体をもう少しわかりやすく理解していただくために何か資料がうまく工夫できたら、非常に膨大なベースのものになりますので、整理してお出しできればいたしたいと考えます。
  95. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それでは出し得るような範囲で、いま私が求めました趣旨が生かされるようなひとつ工夫をいただいてお願いをいたしたいと思います。  次に、精製の形の問題になりますが、上白あるいはグラニュー糖、こればっかりつくっているときは、いま出されておる数字に近くなるかもわかりません。しかし、実際にはざらめだとか三温だとか、それぞれの作製する糖種、これが出てまいりますね。したがって、そういうふうな精製する糖種によっては、一万七千トンというのはちょっと無理なんじゃないか。これが実態といたしまして、生産に直接携わる労働者の側から自主的にこうした問題でありますから調査をいたしておるわけですね。その調査によりますと、日産一万四千トン、これか切れるんじゃないのかという数字に実はなっておるわけなんですが、この辺はどうでしょうか、実態的に見まして。
  96. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 機械寸法能力をべースにとりますが、そのフル能力をそのまま使うわけではございません。先生がいま言われました、糖種比率と言いますが、精製糖もざらめをつくるか上白をつくるか、そういう糖種間の転換がございます。それらによる影響を算定いたしますと、大体二〇%程度ダウンするという傾向になっております。その二〇%ダウンしたところで算定をいたしておるわけでございまして、同じようなそういう調整措置は、部門か幾つかありますが、その中で一番ネックのところをとるとか、それから継続性、まあどれだけ持続できるかと設備の持続性、それらも考えて調整をするとか、そういう何段階の調整を行って、機械寸法能力をそのままとっているわけではございません。
  97. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 具体的に例を挙げますと、表をお持ちでしたらひとつ見ていただきたいと思うんですが、東海精糖の場合ですね、機械寸法能力で日産八百六十八トン、これが集計の結果一体どういう数字で実は溶糖能力の中に参加をしておるんですか。
  98. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) お尋ねでございますので、個別企業の数字を出すことは余り好ましくありませんが、東海精糖、この一社だけについて申し上げますならば、いま申し上げましたような調整を加えた後の設備能力は、日産設備能力として四百九十七トンということになっております。
  99. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それは何年度のやつですか。
  100. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 五十一年度でございます。
  101. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 実態としまして、先ほど杉山局長は、現実にとられておる形態、言うならばそのときの実態に基づいてこの溶糖能力が集計をされている、こう答弁をされているわけですね。そうすると、五十一年度というのは、御承知のように東海精糖は問題が発生をいたしまして具体的には操業が乱れているわけですね。すると、その数字が溶糖能力として挙げられているわけですか。
  102. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いま五十一年度と申し上げましたが、五十一年度は確かなんですが、五十年度、四十九年度も同じ数字でございます。  それから、個々の企業の実態に即してと申し上げましたが、これはたまたまそのときの事情で休みが多かった、原糖がうまく入手できなかったために操業がフルに行われなかったというような状況があったり、波がございます。そういうことを取捨いたしまして、通常の状態で操業するならば、その会社の労働協約そのほかの就業条件からしてこれだけの日数があるであろうということでの、現状を配慮した実態に即した日数ということにいたしております。
  103. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私の手元にあります数字からいきますと、東海精糖は実能力六百十九トン、こういう数字が挙がっているんです。そうなりますと、これは逆にいきますと、いま四百九十七トンという数字のようでありますが、大変なこれは問題が発生をしそうなんですが、間違いありませんか、この数字は。
  104. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 日産設備能力四百九十七トンは、間違いがあるとか間違いがないという性格の数字ではございませんで、これはそういうベースで計算すればこれだけの数量であると、能力であるということを算定しただけの話でございます。私どもの計算では四百九十七トンでございます。
  105. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、数字合戦をするわけじゃありませんけれども、実態に基づいて溶糖能力というのが政府の責任ある一つの資料として提出をされているわけですね。ところが、これは実態だ実態だと言いながら、実態と大いに違うというふうに私は指摘をせざるを得ないんであります。その辺は私はもう少し明確に、代表なら代表に、たとえば抽出的にでもいいですけれども農林省が出かけていって間違いないかどうか、操業形態はどういう状態のときにどういうケースになるのかという形を私は明らかにつかんでもらいたいと思う。これは一社だけの話、いま局長が言われますように、ほかのところの数字まで挙げますといろいろ御迷惑をかけますから私は申し上げませんけれども、少なくとも私はもう少し実態をつかんで、その立場の中で可能ないわゆる溶糖能力、実際としてはどうなっているんだろうか、あるいはそこにおける操業形態というのは一体どうなっているんだろうか、この実態をつかんで、私は責任ある一つの諸表について整理をしてもらいたい、こういうふうに思いますよ。  いまの間には合わぬでしょうが、その辺についてはもうそれ以上追及いたしませんけれども、ぜひひとつその辺について、これからの法案にもかかわることでありますから、明確にしておいてもらいたいと思います。
  106. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 先生がおっしゃられるように、それをどのように使うかというようなことは別にいたしましても、溶糖能力、操業日数、これらの実態について正確に把握することは私どもの使命であると考えます。今後、さらにできるだけ努力してその実情把握に遺憾なきを期したいと思っております。
  107. 川村清一

    川村清一君 ちょっと私の方からも関連してお尋ねしますがね、坂倉委員との質疑を聞いておって私自身も納得いかないんですが、この資料には、五十一年度企業数二十九、それから溶糖能力四百四十五万トン、溶糖実績二百六十九万トン、操業率六〇%というものが出ているわけですね。これは、この数字をいろいろいま議論されておるわけでありまして、大事なんですね。それで、坂倉委員は一生懸命東海精糖の溶糖能力といったようなものを中心にしていま質疑されておるわけです。  そこで、これまで出されたんですから、それじゃ私の方から要求しますから、企業数二十九社、これをずっと挙げてください。それから溶糖能力四百四十五万トン、これを企業別に挙げてください。溶糖実績二百六十九万トン、これも挙げてください。これは企業秘密だと言って、守秘義務というやつであなたの方は応じられませんか。どうですか、これ。ここまで行った議論ですから、それまで突き詰める気持ちは最初はなかったんですけれども、どうも坂倉委員との質疑応答を聞いておりますとこれが中心のようでございますので、ぜひひとつ、まあこう言っても何とかかんとか局長は出さないように言われるかもしれませんが、議論を進めていく上においてはきわめて重要な資料なので、これをぜひひとつ出してください。
  108. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 溶糖能力、操業日数、個別会社にしてみれば企業機密ということもありますし、いろいろ新しい問題を呼び起こしかねない話であろうかと思います。ただ、先生のおっしゃられる意味よくわかりましたので、私どもとしては、それをどういう形で整理してお出しできるか、少し検討さしていただきたいと思います。
  109. 川村清一

    川村清一君 坂倉委員と十分話し合って、坂倉委員が納得するようなひとつその数字を出してやってください。
  110. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 坂倉委員と十分御相談さしていただきます。
  111. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それで、いままでのやりとりの中で局長が言われていますように、言うなら工場操業の形態、これが大変この生産に大きく影響を占めることは明らかですね。そこで、全国砂糖労組、これはもう御承知のはずであります。この組合が三年間にわたりまして何とか中央で団体交渉ができないのか、こういう要求を掲げておられますね。少なくとも操業日数の関係だとか、あるいは工場における労働条件の問題だとか、これは全国的に私はいま法案まで提出をして安定を図らなきゃならぬというときに大変な課題じゃないのか、操業形態を労使の間でやっぱり納得をして決めていくということ、しかもそれが各企業の協調性の問題だとかばらばらの問題いろいろあるわけでありますから、そういう意味合いではきわめて私は中央における交渉というのは大変重要な、この業界にとって切り聞いていく大きな課題になっていると思う。  そういう意味合いで、私は少なくとも農林省がそうした中央における団体交渉の展開ができて中央協定が結べるような、そういう立場というものをぜひとってもらいたいと思う。そのことが一つは私は法案提出よりももっともっと業界を明るくしていく大前提になるんじゃないか、こういうふうに思っております。その辺の見解と同時に、その辺の努力についてぜひともひとつ誠意ある回答をいただきたいと思う。
  112. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 精糖企業の世界におきましてはなかなか労使間の話し合いがスムーズに行われない、いろいろトラブルがあるということを聞いております。これだけの非常事態、深刻な情勢のもとでは、企業側も働く人たちも一緒になってやはり企業の改善を図る、立ち直るということに努力すべきであると思います。その意味で一般的に各企業の間も、各企業と言うのは各企業の中における経営者と労働者の間も、それから中央団体と中央の労働組合との間の話し合いもいままで以上に持たれて、真剣に話し合いが行われることは私どもとしても必要だと考えております。ただ、個別企業の問題を全部引き受けて中央で交渉するというようなことには、まだ企業間の意識もそこまでなかなか育ってないとかいうことのほかに、企業の実態が余りにも個別に格差があり過ぎるということで、何を中央の問題としてとらえていくかということ自体にひとつ問題があろうかと思います。  そこで、私どもは精糖工業会の幹部にも呼びかけまして、ともかく話し合いの場を持てと、そしてこれから何を取り上げて相談していくか、そのルールづくりをとりあえずやれということを言っております。今後ともそういう話し合いの場をできるだけ積極的に、定期的に持てるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  113. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  114. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま中村禎二君が委員辞任され、その補欠として坂元親男君が選任されました。     —————————————
  115. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案の審査のため、来る十七日の委員会に北海道農業協同組合中央会会長早坂正吉君、北海道農民連盟副会長 関根正行君、精糖工業会副会長 藤山覚一郎君、日本分密糖工業会会長 仲田睦男君、全国砂糖労働組合会議議長 塚本光三君及び全日本食品労働組合連合会中央執行委員長 岡村恵君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  117. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 休憩前に引き続き、砂糖価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案議題として質疑を行います。  質疑ある方は順次御発言を願います。
  118. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 休憩前に質問をいたしました関係に対して要望を申し上げておきたいわけでありますが、最後に御答弁をいただきました全国砂糖との中央交渉の関係でありますが、いま砂糖業界は大変な状況になっていますが、いずれにしてもこれが生産量にかかわって、それぞれの企業操業形態あるいは総操業日数、こうした問題が大変な大きなウエートを占めるわけでありまして、業界の自主的ないわゆる規制といいますか、こういう形にかかわって整理をされていくというのは大変望ましい姿ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  中央の統一交渉に応じるという業界の体制について、それぞれの企業の持っております現在の力関係といいますか、そうした意味合いで格差があって大変むずかしいというふうには考えるわけでありますが、いずれにいたしましても、今日の状況を早く正常に戻していく大きな一つ立場としてぜひこれを実現をしていって、そうして全体的に業界が同じように歩調を合わせながらそこで協調体制もとりつつぜひ安定を図っていく立場あるいはまた、そこに働く労働者のいわゆる生存権の問題等も含めまして、ぜひともこうした中央交渉が早く実現のできるように、農林省と同時に関係の省庁、これはおおむね労働省になろうと思いますが、ぜひひとつ十分な打ち合わせをしていただいて、この課題の達成について私から御要望を申し上げておきたいというふうに思います。  それで次は、東海精糖に関するいままで衆議院あるいは当参議院におきます委員会の場でも論議をされてまいってはおるわけでありますが、これに関する問題、あるいは全体の倒産防止、この関係について若干説明を求めていきたいと思います。  まず、第一点の問題といたしまして、十月の五日の本委員会の中で相沢先生が質問をされましたことに対して杉山局長が、「商社系列だけを温存をするということではなくて、全体の企業の、特に中小を重点とした企業経営安定が図られることを念頭に置いて対策を講ずべきであるというふうに考えております。」という、弱者にとって大変今日的状況の中で涙の出るほど温かい御答弁をいただいておるわけでございまして、私自身感謝を申し上げておるわけでございますが、この考え方についてこれは現在も変わりはありませんかどうか。さらに大臣は、これに対してどうお考えになるのか、お答えいただきたいと思います。
  119. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 午前中にも申し上げましたように、精糖業界が重大な局面に立っております。そして、その一つのあらわれとしまして中小企業に属するような、また系列の外に置かれておりますところの大分県の精糖会社、三重県の精糖会社等にそういう本当に憂慮にたえない事態が出てきておるわけでございまして、私は今回の立法措置を講ずることもそういう問題が他にも波及してはいけないと、こういうことでこの法律案提案をしたということを午前中にも申し上げたわけでございますが、杉山局長から申し上げましたように、商社系列等に入らない、あるいは中小の弱い立場にある精糖企業、またはそこに働く方々の雇用問題、そういう問題に私ども重大な関心を持っておるわけでありまして、そういう点に十分な配慮をしながら今後この問題と取り組んでまいりたいと、こう考えております。
  120. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大変御配慮をいただいておりまして感謝を申し上げますが、そうした考え方は、いまに変わらず相当以前からお持ちであるというふうに私自身としても受けとめてまいりたいと思います。  ただ問題は、そういうふうに関心をお持ちをいただいておるわけでありますが、具体的に事態というものは推移をしていくということになるわけでありまして、どれだけ関心をお持ちをいただいておりましても、そのことが具体的にあらわれてこないと、幾らりっぱな考え方でもこれは何にもならないということになるわけであります。そういう意味合いで、私はそうした考え方が今日のいわゆる政策の中にどういうふうに生かされてきておるんだろうか。こういう観点で見ていきますと、これは大変残念ながらまだそうした形のこれといった具体的な現象をとらえることができないんであります。現に倒産をし、会社が解散をしておる。あるいは東海精糖のように、ちょうど昨年の十月以降でありますから、破産はなにしましたけれども、その再建のために具体的に今日までなおかつそのことを願って努力をずっと積み重ねられてきておる。こういう具体的な事象に対して、一体どういうふうにじゃ手当てというものを、先ほど言われましたような精神が生かされることになっているか。この辺、ちょっと少し突っ込んで御答弁をいただきたい。
  121. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国が企業に対する対策を講ずる場合、個別の一つ一つ企業についてというよりは企業全体についてその経営環境、条件をよくしていくということが一番基本であろうかと思います。そういう意味では、すでに今日まで何遍か農林大臣の糖価安定法に基づく指示カルテルの発動あるいは今回の法案によりますところの需給調整措置というようなことで条件の改善、改良を図ってまいってきているわけでございます。ただ、業界経営の悪化の状況というのは日に日に進行しておりまして、私どもこれを放置できない。いま以上悪化させないということで今回の法案提案しているわけでございますか、その間特に経営条件の悪いところは、一、二確かに経営が破綻したということになったところもあるわけでございます。  そういったところに対して、個別にどうかというような意味を含めてのお尋ねかと思います。実はそういう個別の企業の実情もそれなりに私ども把握した際は、関係する原糖供給者である商社でありますとか、関係しておりますところの金融機関、そういうものを通じまして特に融資とか原糖の手配についての配慮方を要請するというようなことで、個別の手当ても何がしか行ってまいったわけでございます。しかし、そういったことでは基本的な解決にならない。特に個々の企業というよりは、全体的なやはり条件悪化の実情は免れないということから、今回のようなこういう措置に至ったわけでございます。そういう意味では全体的な措置によって改善されますが、今後とも個別の企業のことも何がしか問題はそれぞれに出てくるかと思います。役所が個別企業に深入りすることはなかなかむずかしい問題でございますが、同時にそういったことも考えながら、私どもとしては今後努力してまいりたいというふうに考えております。
  122. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 業界全体に対する政策というのはこれはもう当然の話でありまして、しかし具体的にあらわれてまいりますのは、それぞれの個別の形態が必ずそれが業界全体に影響を及ぼしてくるわけですね、考えますと。業界全体の構成というのは個別で成り立っているわけです。そうなりますと、一遍に業界全体がばかっと倒れるようなことはないんであります。実際には、それぞれの個別が一つ一つ追い込まれていってこれが問題になってくると思うわけであります。現象は必ずそういうことなんです。それ以外の出方はないんであります。  そうなりますと、少なくとも先ほど言いました中小の問題をどうこれを防衛をしていくのかという立場、そういう個別に具体的にあらわれてくる問題に対して、これを業界全体の中にやはり包含をさしていくようなそういう立場が必要である。少なくとも個別の問題に注視をし、そこでの問題を業界全体の中で解決ができるように、それが示唆されて初めて私は生かされると思う。いま局長がおっしゃられましたように、たとえば東海精糖の場合にいたしましても、十月段階からどういう状況が起こったのかと言えば、原糖は差しとめられた。原糖をもらおうとすれば銀行の保証が必要じゃないか。銀行の方は、原糖も来ないのに金が出せるのかという話になる。お互いが責任のなすりつけ合いをしながら今日段階まで来ているわけであります。もちろん、企業主がそうした状況の中で打開策に動いていくというのはあたりまえの話でありまして、それが企業責任者の私は努力であろうと思うわけです。この点について、私は東海精糖の場合に率直に申し上げて欠ける点はあったにいたしましても、そうしたたとえば原糖配給あるいは金融の問題、こうした課題について、それぞれが責任転嫁をしようとし合っている現実に対してどう手当てをされていくかというのが、具体的な私は企業の救済のこれが内容的な問題になろうと思うのです。  そういう意味合いからいきますと、私は残念ながら、省としましてそうした直接の介入はできないにいたしましても、そういう形でのアドバイスあるいは相手側に対するところの一つの説得、こうした背景というものが私はぐっとつくられていって再建という問題が出てくるだろうと思うわけです。あるいは経営責任者について姿勢が悪ければ、おまえの姿勢はおかしいんじゃないのか、たとえば陣容を立て直すなら立て直すぐらいの配慮は、だれにしろという話になりますとこれは問題でありますが、しかし、少なくとも債権者の中でだれが一番その責任者として適格なのだろうか、そういう立場を債権者の中でやっぱり考えて整備をし直すべきではないのかというところまで立ち入っていかないと、私は具体的に倒産の企業をこれを立ち直らしていくという作業にはならないと思うのです。  そういう意味からいきますと、私はいままで大変冷たい感じを受けざるを得ません。先ほどの全体の中小を守っていこうという、いわゆる系列化の傾向に対してそれではだめなんだという、こういう立場の中で防衛をしていこうという姿勢とは、大分現実的に相違があると思うわけです。この辺について私はもう少し明確に態度表明をいただいておきたい、こう思います。
  123. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 先ほども申し上げましたとおり、企業に対する国の対策というのは全体的な制度的な面で融資を考えるとか、それから今回のこの仕組みのように、需給調整で製品価格の回復維持を図るというようなことがやはり基本になると思います。そういう意味で、個別対策として一つ一つ企業まで全部抱きかかえるというような対策はとりがたいわけでございますし、企業にはそれぞれの企業経営の責任者という者がおるはずでございます。企業経営責任者がその点について、どのような考えを持って自分の企業を運営していくかということが基本にならなければならないと思います。  その点、いまお話もありました——具体的な話になって恐縮でございますが、東海精糖の場合、いろいろ条件の悪い中で努力なさったこととは思いますが、破産の申し立てを行うというようなことで、いわば企業としての今後の責任を持った経営については責任を負い切れないという立場になっておるわけでございます。やはりそれなりに原糖供給商社にしましても、あるいは金融機関にしましても、一挙にして倒すというようなことではなくて、私どもも若干の背景は存じておりますが、かなり復興策、再建策に努力したと思っております。ただ、先行き経営安定の見通しが立たないというようなことのため、原糖をいたずらに提供していてもその代金の回収ができない、金を貸していても担保が不足するというようなことから、手を引かざるを得ないというような事態になったのかと思うわけでございます。いろいろ内陸工場である地理的な不利な条件を抱えているとか、あるいは有力な同地域における新鋭工場競争相手としてあるとか、あるいは溶糖能力が一人当たりもきわめて低くて、なかなかそういった面でのコスト条件かよくないというようなことから、今日に至ったのではないかと思うわけでございます。  私どもそれはまことに残念ではございますが、やはり経営者の立場にも問題があるわけでございまして、こういう事態は今後ほかのケースでは絶対に起こらないようにしたいということから、全体の対策として今回の措置もとることにいたしておるわけでございます。東海精糖を今後どのように持っていくかというようなことになりますと、これは役所がこの席でもって簡単にお答えできるような性格のものてはない。やはり当事者——経営者あるいは働く立場の方々、さらには関係する金融機関なり取引先、債権者といったものを含めて、全体でもって今後の問題として慎重に検討していく問題であろうかと考えております。
  124. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 先ほども申し上げておりますように、私は何も農林省がそれぞれの企業で全責任を持って抱きかかえてそしてそれを保護しなきゃならないと、こう言っているわけじゃないんです。しかし少なくとも手当てについては、そうした企業の当面どこに問題があるかはよく把握できるはずですね、業界の動きは。その把握がなくて全体の情勢がわかりませんもの。そうしますと、当面する一番問題のところはどこなのか、そこが整理がされていきませんとこれはよくならぬのじゃないんですかと言うんです。  確かに業界全体の問題がありますけれども、あらわれてくるのは一つ一つとこう出てくるわけですから、次にどこが問題なのかどこか問題なのかと、問題のところだけでもその焦点というものをやっぱりつかみ、早目にそこに対する立ち上がりのアドバイスというものが行われていかないといけないんじゃないか。農林省が責任を持てという話をぼくはしているんじゃないのです。少なくともそういう課題についてこたえていくのが筋なんではないのかと、こう申し上げておるわけなんですね。特に、これから早く情報をつかみながらそういう問題のところについて手当てをしていくようなそういう体制に、農林省自体がやっぱり切りかわってもらわなければならぬ、私はこのことを申し上げておきたいと思います。  それから次に、いまちょっと局長触れられましたけれども、具体的に農林省が考えてみて、東海精糖が再建をするに要する客観条件といいますか、みずからがつくり上げなければならぬ、このことは百も承知なんですね。そういう取り巻く条件、これとこれとこれがこういうふうに解決をすれば大体できるんじゃないかというふうなポイントについて、ひとつお教えをいただきたいのです。
  125. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 個々の企業経営内容について、それからその手当てについては、私はやはり経営の責任者がこれは自分の判断をもってなさるべきお仕事だというふうに思います。その意味では経営者からの私のところに対する意見といいますか、そういうものは正直申し上げて届いておらない状況でございます。こういうところの机の上で抽象的に申し上げても具体的の個別の解決には余り貢献しないと思いますので、どうか御勘弁願いたいと思います。
  126. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それでは、経営の責任者から局長のところに御相談に行ったときに、十分にその意見についてアドバイスのできるように、私からぜひひとつお願いを申し上げておきたいというふうに思います。よろしいですか。——  そこで、さらに再建の立場から具体的なことを少しお聞きをいたしますが、東海精糖は、もうすでに御案内と思いますが、精糖工業会十八社の中に入っていませんですね。それから日本製糖協会ですね、これは九社ありますけれども、この中にも入っていませんですね。言うならば、その団体に入っていないその他の五社の中の一つになっていると思います。そこで、シェアにつきましてはたしか三・二三の粗糖配分、シェア、これをお聞きをしておるわけでありますが、これについては一体どこがその三・二三、この責任を持ってくれるのでしょうか。
  127. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 三・二三と言われるのは、これは豪州糖年間六十万トン、総量で三百万トン、そのうち個々の企業かどれだけ分け持っているかという場合、東海精糖の持ち分というかシェアでございます。これについては、現在豪州糖の輸入は一括した輸入カルテル、組合でもって責任を持つ形になっております、これは豪州側に対しまして。中で個々の引き取れなくなった企業ができました場合、残りのものがこれを負担するということになります。これはむしろ高い豪州糖でございますので、権利を承継するというよりは、義務を負担するという形になるわけでございます。この残ったものの中でどこがしょうかということについては、現在業界の中で相談をしておりますが、具体的にどの会社がということにはなっておりません。これから平等に分担するのか、従来結びつきの深かったところがそれを引き取るのか、そういったことはこれから相談される話だと承知いたしております。
  128. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 高くてもいいですからともかく原糖がほしいと、こういったときにこれはどこに話するんですか。精糖工業会なんですか、あるいは協会の方なんですか、あるいはその中のどこへ話をすればいいんですか。この窓口は一体どこになるのか、こうした問題に対して、たとえば先ほど申し上げました精糖工業会あるいは日本製糖協会、ここに所属をしていないところは一体どこを相手にして自分のところの取り分といいますか、高い安いは別といたしましてこれを交渉すればいいのか、この辺はやっぱりはっきり責任体制というものを明確にしておきませんと、一体相手はどこなのかといって探さなければならない。しかし、探してみても相手がなければこれは交渉になりません。来ない来ないと言うておったってこれはお話にならぬわけでありまして、その辺の筋道を、これは業界全体の問題ではありましょうが、農林省としては一体どういうふうに把握をされておるのか、これを伺いたい。
  129. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 自分の仕入れについてどこを相手にするかということになりますというと、これは現在、先ほど申し上げました精糖メーカー三十三社、倒産したものもありますから現在は三十一社と申し上げますか、破産申請はあっても破産の宣告がない会社を数に入れるか入れないかによって一社ずれが生じてまいりますが、その減った企業の中においてとにかく一体となって、代表としてこれを豪州から買い付けているのは三井、三菱の商社でございます。そうしますというと、そのかつての三十三社、これは商社から金を出してそれを引き取るということでございまして、正当な取引として金を支払いさえすればその原糖は引き取れるということになるわけでございます。問題は、その支払いができるのかできないかというような商業上の問題でございまして、権利とかシェア、あるいは義務といったような話では私はないと思います。
  130. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 これは杉山局長が知る知らぬの問題ではないと思いますが、三菱の方へ話にいきましたときに、豪州糖が今日高いですから、だからそれについて東海精糖の原糖配分について、あるいは再建について、私のところへだけ言ってもらっても困るんじゃないのかと、言うならば三井もありますよと、あるいはトーメンもありますよと、こういうような幾つかのお話が出てくるわけですね。そうすると、再建のためにどこかに焦点をしぼってなるべく集中をしながら、そこでの窓口をあけることによって全体として拡大をしていくならこれはいい。ところが、片やそういう商社の方では、あそこがうんと言わないのにわしのとこだけうんと言ったって困るじゃないかと、こういう話になってまいりますと、再建できるものまでとまってしまうことになります、現実問題として。したがって、これは一つの手段として、全部集まってもらって話をするという努力をいたしておりますけれども、そうした関連が現実問題としては発生してくることになりますね。  したがって、これは私は、そうした場合に一体どこにそういう問題を持み込めばその課題についてこたえ得るような体制になるのか。こうしたことを一つは系列化をしていく必要がある、窓口関係を。それを、たとえば農林省なら農林省が、ひとつそういう問題のときには農林省一つの窓口になりながら商社との中へ入りましょうと、こういうルールができ上がればこれはまた別なんです。しかし、それはなかなかむずかしいでしょう、政府の機能の問題として。むずかしいのを承知をしていますが、それにかわるべきどこかの話し合いをしていく焦点というものを明らかにしてやってやる、このことが、倒産するかどうか、再建するかどうかのところについては、きわめて重要なポイントになると思うんです。そういう意味合いでこの辺の改善方というか、そうしたことの決意を含めてできればお話しおきをいただきたいと思います。
  131. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) お話を伺っておりますというと、これは単純に原糖の割り当てをどうするかというような話ではなくて、今後の企業経営として存続できるかどうかという判断、それから、存続する場合にだれがどういう形で責任を持つかというような基本的な問題を含んでいると思います。そういうことになりますと、先ほども申し上げましたが、やはり経営者が全体としてどういう展望を持ってどれだけの責任を持った措置をとるかということが一つ基本になると思います。そういうしっかりした考え方の上に立って、関係しているところの債権者、あるいは原糖供給している商社、特にまた金融機関、そういったところの協力を得て企業の再建が行われるという話であろうかと思います。  ただ、企業の再建というのはやはり厳しいもので、恐らくそういった将来のことについていろいろ関係者に手当てをせよという話になりますれば、経営条件の改善方について、金を貸している立場からすれば私はこれはあたりまえのことだと思いますが、当然注文がつくと思います。そういったことがこなしていけるかどうか。東海の場合はきわめてその経営条件が先ほど申し上げましたように厳しい、一般よりも不利な条件にあるわけでございます。そこら辺の見通しが立たない限り、やはりいたずらに号令をかけてもなかなか動かないのじゃないか。そういうことについて、関係者同士従来からも話し合いを何遍か持ちながらなおかつ挫折してうまくいかないというのは、やはり企業自身の経営者としての立場からどれだけ責任を持った対応が出てくるかというところが、一つ問題になっていると思うわけでございます。
  132. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いま指摘をされております関係整理ですね、言うならば条件整理といいますか環境整理といいますか、そうした形については現地で最大の努力をしていくことになっているはずでありまして、そういう段取りで現在進められているんですね。しかし、一番肝心なことは、そういう努力がありましても、たとえば一年間ブランクがあるのです。そうすると、この新しく提出されました法案からいきましても、シェア配分につきまして実績が中心になってまいります。実績のとり方によっては、再建をする意欲は出てきたけれども今度は原糖が回ってこない、こういうようなことが実は心配の種になってくる。そういう場合について、特段の御配慮を農林省としてもひとつぜひともお願いをしたい。この辺はいいですか。
  133. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 企業がきちんとした将来の操業ができるということになれば、この法律適用を受けて、枠といいますか、従来の通常年輸入の実績をベースにした操業が行い得るということになるわけでございます。その場合の通常年の実績をいつとるか、特に、お話しのように、最近年、特殊な事情があって縮小しておったということがあれば、それらの事情は当然配慮さるべきだというふうに思います。
  134. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 どうもありがとうございます。ただいまの御発言を十分に私どもは受けとめて、最大の努力を力を合わせてやっていきたいというふうに考えるわけであります。  次に、国内の全般的な条件の問題に入りますが、その一つは自給率の関係であります。いま公表されておりますところによると、国内のいわゆる自給体制について、長期目標で四十七年二〇%、これを六十年には二八%に上げたいという、この六十年二八%の目標に対して、たとえばてん菜の作付面積の問題であるとか、あるいはサトウキビの問題であるとか、甘蔗糖の問題であるとか、幾つか出てくるわけでありますが、現実の姿からいきますと、たとえばてん菜の作付面積五万八千ヘクタールから、結局到達目標までいきますと七万七千ヘクタール、こういう拡大する計画、こういうことになると思うのですが、いま申し上げました数字、これは間違いありませんか。
  135. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) そのとおりでございます。
  136. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そこで、私は大変心配になるのでありますが、四十七年の輸入実績、これは国内産糖以外のやつですね、輸入糖でありますが、これが二百二十三万三千トン。このときに自給率がたしか二〇%であります。二〇・二%ですね、正確に言うと。それに対して五十一年の輸入実績、これは二百二十三万一千トン。四十七年とわずか二千トンの違いだけですね。ところが、五十一年の自給率は一八・六%に下がっていますね。これは先ほど申し上げました拡大の問題ではなくて、逆に縮小しているということになるわけです。しかも作付面積は、四十年の五万七千二百ヘクタールから五十一年の四万二千三百ヘクタールに二六%も実は減っていることになりますね。ただ、鹿児島産のサトウキビ、甘蔗糖だけが四十七年の一万三百ヘクタールに対して、五十一年の場合は一万一千二百ヘクタール、大体一〇%増であります。ところが逆に、沖繩産のサトウキビあるいは甘蔗糖は、四十七年の二万三千四百ヘクタールから五十一年の二万一千四百ヘクタール、これは一〇%減であります。  こういう現状ですが、これは自給目標を掲げながら、実際には目標からだんだん遠ざかっていくという傾向がここ近年出てきておるわけですね。これは私自身大変心配なんでございますが、この現象は一体何に起因をしておるのか。この点について農林省の把握、分析結果、こうしたものについてお伺いをいたしたいと思います。
  137. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 四十七年の数字をベースにいたしまして、確かに六十年見通し、これは自給率を引き上げて二〇%から二八%まで持っていくということにいたしておるわけでございます。そしてそれに応じて、それぞれのてん菜なりサトウキビの作付面積の目標、それから反収の目標というのを定めたわけでございます。今日までの経過を見ますというと、むしろ自給率は先生御指摘のように若干下がってきている、なかなか目標がむずかしいという状況にあるわけでございます。  ただ、六十年見通し、まだ若干の期間がこれからあるわけでございますが、最近の状況を見ますというと、てん菜の面積につきましてはここのところずっと下がってまいって、五十一年は四万二千ヘクタールというふうに最低であったわけでございますが、五十二年にはこれか四万九千ヘクタールというふうに相当の顕著な回復を示しております。それからサトウキビにつきましては、奄美とそれから沖繩があるわけでございますが、これは五十年以降わずかではありますが、増加している傾向にあります。  農林省といたしましても、面積、それから反収の増加について生産対策、価格面、両面の対策を通じましてそれぞれ振興を図っているところでございます。今後できるだけさらにそれを続けて、目標に到達できるようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
  138. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私の質問に対してお答えをいただいていないわけでありまして、問題は、そういうふうに目標を掲げながら具体的には減っていった傾向ですね。いま局長は、五十一年には底になったけれどもいままた七千ヘクタールばかり作付面積が上がってきたんだと、こういう御説明をいただきましたけれども、減っていったその原因というのは一体何なんだろうか。この原因がつかめなくて対策はないと思うのですね、対策は。たとえばいま言われましたように、一たん減ったものが増加をしてきたのですから、増加をしてきたのにはそれなりの私は理由があったと思うのです。その理由というものを明確にして、伸ばせる理由というものはこれは大事にしていかなければ、私は目標の到達にいかないと思うのですよ。そういう原因の把握について一体どうお考えなのか、この原因を聞いておるのでありまして、数字の問題じゃないのです。
  139. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 北海道のてん菜と南のサトウキビでは事情がやや異なるかと思います。一つは、やはりなかなか収量が伸びない。天候等の事情もありますが、技術上の問題もあって収量が伸びない。特に南の方の問題になりますというと、基盤整備がおくれているというような事情もありまして、収量が横ばいであるというようなこと。したがって、ほかの農作物に比べても収益性が低いというようなことからなかなか伸びなかったという事情があります。  それからいま一つは、やはりその収益性は価格の問題に絡むわけでございます。そういうことも勘案いたしまして、最近におきましては、手取りベースでもってその増額を図るということで奨励金を増額する。さらに価格に準ずる奨励金だけでなくて、生産それ自身を振興するための反別の奨励金も出すというようなことで振興を図ってまいっているわけでございます。そういったことの効果が、ここ一、二年ようやく出てきているのではないかというふうに思うわけでございます。
  140. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 結果的に、つくってももうからないから実はどんどん減っていった。しかし、最近それがやっと、ほかに収益の上がるようなものが見つからぬからまた戻ったというのが現状の形ですね。これに対して前の委員会の中で、この価格決定に当たって幾つか論議をされています。ところが、それを農林省としてはなかなか採用されようとしない。ここが一番大きな問題ではないのか。これはまた改めて機会を見つけて御論議をさしていただきますが、これも大変重要な問題でございますから、農林省として当初目標に、具体的に農民の方々が喜んでそれに参加のできるような、そういう体制というものをぜひひとつ政策上樹立をいただきたいというふうに御要望を申し上げておきたいというふうに思います。  そこで、これらに絡みまして国内砂糖情勢、こうしたものに対して、これは冒頭ありましたけれども、この法案提出をされましてこの法案が成立をしたときに、農林省としてこの法案によって具体的にどういう変化を求めようとしておるのか、変化を求める一つの時点の問題ですね、この辺の測定度合い、あるいは影響度合いと申しますか、こうした関係について農林省が求めようとしている現状変化、もう一度この辺についてひとつぜひ御答弁いただきたい。
  141. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いまの精糖業界の問題というのは実にたくさんあるわけでございます。過剰設備という問題もございましょう。それから過当競争ということもございます。さらに豪州糖——これは若干の価格改定を見るということで決着は見ましたものの、やはり企業間にその負担の程度が違うことによる格差の問題がある。そのほか商社の系列化が進んできている。その中で個々の企業がどういうふうに将来自分の方向を持っていくかというようなむずかしい問題もあるというようなことで、全体的に問題が山積しているわけでございます。  これらのすべてを一挙に解決するというようなことはなかなかむずかしい。これは相当長期の期間を要する話であろうかと思いますが、私どもとしましては少なくともこの法案を出すことによって需給調整を図る、それによって砂糖の製品の市価が回復できる。現在はキログラム当たりにいたしますというと、卸売価格でもって百七十円を切るか切らないかというような非常に低い水準にございます。これをコストで見ますというと、大体百九十五円くらいかかります。砂糖でなくて赤字をつくっているのだというふうに悪口を言われるのでございますが、つくればつくるほど赤字がふえる。こういう赤字をつくるというような事態は解消して、正当な今後のコストに見合うような価格を保障する、これがまず第一であろうかと思います。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕  このことは、私は平均コストではありますが、実現し得ると考えております。その間に企業努力にもよりまして体質改善を図っていく。体質という場合には意味は広うございます。単に過剰設備の問題だけではない、経営のあり方、販売のあり方、企業者自身の心がけの問題、労使問題、そういったすべてを含めて非常に問題の多いところでございますが、それらについての改善を図る。三年間にそのすべてが解消できるということには当然ならないと思いますが、そういうことについての業界のコンセンサスが得られる、同時に協調の体制が得られるということを目標にしたいと考えております。
  142. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大臣からも御答弁をいただいておりましたですね、この法案によって消費者の価格、これはまあ消費者の価格というのは安いほどいいんですが、この際には適正価格と申しましょうか、そういう安定をした価格の保障、これは一定限私は果たせるようにも思います。問題なのは、先ほど少し触れましたいわゆる農民の不安の問題、この辺はこの法案によってきちっと保障がされますか。
  143. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国内産糖との関連におきましては、二点というか、二つの面から問題があろうかと思います。  一つは、需給の関係だと思います。国内産糖を優先的に消費に充てていく、そうして残ったものを、足りないものを輸入するという基本姿勢がある限り、私はこの法律運用についてそのことが貫かれる限り、需給国内生産者に、そのできたものが売れなくなるというようなそういう問題を起こすことはないと考えております。  それから、問題は価格水準であろうかと思います。生産者には直接には価格を国が保障しておるわけでございますが、問題は、その原料を買い入れた企業が、北海道のビート企業なり沖繩、奄美の甘蔗糖メーカーがコストを償えるような価格でこれを処分できるかという問題でございます。輸入糖の製品価格がコストを割って大幅に下がっております場合、国内産糖だけ区分してこれだけ高くというようなわけにはまいらないと思います。そのようなことから、国内のビート糖の価格も下がる。さらにまた、輸入糖を精製しているメーカーが沖繩から買い入れる原糖価格が買いたたかれるということになっているのが現状でございます。この点は製品価格輸入糖について保障されるようになれば、私はそういう買いたたきもやまる。したがって、生産者に対しても安定した経済環境、条件がつくり得るというふうに考えております。
  144. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 国内産糖を優先的に国内消費に充てると、こういうところは法案のどこにそれが触れられているんですか。ちょっと私不勉強で、いま言われていることが法案の中身としてどこに保障されているのか、この辺がよくわからぬわけです。  それから後半の問題は、局長そういうふうに言われますけれども、これはあくまでもそうなるであろうという想定ですね。想定であって、具体的に必ずこうなりますよと言うことはこれはできませんね。この辺はやっぱり私は明確にしておいてもらいたいと思う。
  145. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、砂精の消費価格の問題、午前中、これを非常に重視しておるということを申し上げたわけでありますが、特に国内産糖、これはどうしても育成をしていかなければならない。北海道におきましても輪作等をやるわけでございますが、輪作をやってまいります北海道の畑作におきましては、このてん菜というのが非常に重要な基幹的性格を持つものでございます。また、鹿児島県の南西諸島あるいは沖繩県におきましても、やはりあのような海洋性、亜熱帯性の特異な風土でございます。台風等の常襲地帯でもある。そういうようなことから、これはあの地帯における重要な基幹的作物でございまして、日本としては甘味資源として欠くことのできない農産物でもあるわけでございます。これが育成につきましては、今後とも私どもあらゆる面から努力をしてまいりたい、このように考えております。  したがいまして、この大事なわが国の甘味資源でございますから、需給計画のめどを立てます場合に、この法律にあります需給計画のめどをはっきり立てなければならぬわけでありますが、その際にはまず国産糖、これを前提にいたしまして、そしてその足らざるところ、まあ足らない方が多いわけでありますけれども、八〇%ぐらいの足らざるところを外国から輸入をすると、こういうことで、前提を国産糖をまずひとつ最優先で需給計画の中で取り上げていくと、こういう配慮もいたしていきたい、こういう考えでございます。
  146. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 条文そのものにはありませんが、いまの大臣のお答えを条文を補足するものというふうに受けとめまして、一応その点は予解をいたしておきたいというふうに思います。  あと、余りもう時間がありませんので、少しまとめて私は申し上げていきたいというふうに思いますが、これからの業界指導の基本的姿勢あるいは具体的方針、これに触れまして少し申し上げたいと思います。  まず、四十九年のいわゆるパニック状況が出現をいたしましたその原因ですね、これの相当大きな要因といたしまして、主要生産国の干ばつによる生産減、こうしたものが大きな引き金になったことは事実だと思います。そうなりますと、これからの国際的な需要あるいは供給のバランス見通し、これはまあ概略の話になりましょうが、一体主要国における生産傾向とのかかわりの中で、どういうふうに見通しとしては概括してとっておられるかということが一つであります。  二つ目の点は、砂糖消費税の傾向一つあります。これは世界的な傾向について、まだ全般的な動きにはなっておりませんが、相当主要国がこの砂糖消費税について免税にしていこう、もうすでに免税にしている、こういった傾向が見られるわけでありますが、こうした傾向を受けとめながら、わが国としてはこの消費税の撤廃に向かういわゆる考え方というものはあるのかないのか。  それから次に、大臣は先ほどのお答えの中で、これからこの砂糖業界に対して指示カルテルはもう発動しないんだ、こういうふうな御答弁でございましたか、むしろ五十一年の十二月から二月まで、あるいは五十二年の三月から五月まで、この二回のカルテル実施のときには相当価格安定の方向が出てきたわけですね。ところが、これが過ぎましたらまた混乱に入っていると、こういう状況の中でこの法案がこう提起をされてきたわけですが、この法案をカルテルと比較をしたときに、私は少なくともこの政府の力の介入という立場からいきますと、同じ介入があってもカルテルの方がむしろその方が罪が浅い。そうして、カルテルによってその期間中に業界のいわゆる自律作用というものが能動的に働いてきて、そして現在の安定を保つようにしていくということの方がむしろ自然なんではないのかというふうな気がするわけでありますが、その辺について、カルテルは実施をしない、この法案でいくんだ、こういうこの兼ね合いの問題ですね。そうしたことに対する一つ判断の問題、それらを含めまして、一つ農林省の全般的な指導方針、これは設備あるいは操業形態あるいは雇用条件、そうしたものに触れながらひとつ概括的に、時間的に制約して申しわけないんですが、あとの質問の関係がありますので、五分かそこら程度でお答えをいただきたいと思います。
  147. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 三点ございましたが、第一の世界の砂糖需給動向、あるいは今後の見通しということでございますが、御指摘のように、四十七年から八年、九年にかけましては、世界的に供給がショートいたしまして在庫も年々減ってまいりました。したがって、先行き今後安定的に確保し得るかどうかという懸念が生じたわけでございます。しかし、その後七五年から七六年——五十年から五十一年ということになります。それから五十一年から五十二年にかけて世界的に大幅な生産増加が見られまして、今日では期末在庫は史上最高の水準にまで到達いたしておると考えられます。それから七七年−七八年——五十二年から五十三年ということになりますが、この見通しは、やはり生産自身がなお増加を続け、史上最高の九千万トンにほぼ近い水準になると考えられております。それに対しまして消費の方は、これはまだ新しい数字は出ておりませんが、恐らく八千三百万トンの前年の水準をそんなに大きくは上回らないと考えられます。  したがいまして、現在すでに大きな在庫を抱えている、さらに五十二年から五十三年にかけての生産増による在庫がこの上に上積みになるということで、需給事情はなお緩んだ事情が、あるいはその影響がしばらく続くということにならざるを得ないと思っております。ただ、各国とも、今日の国際価格はコストを割っている採算の合わない価格であるということから生産をしぼる、あるいは供給をしぼるという動きが特に大生産国におきまして出ておりまして、先般の国際砂糖協定におきましても、価格帯を設けてその価格の変動いかんによって供給調節をする。それからまた、仮に、逆に国際的に砂糖が不足するというようなときは、備蓄を持っておりまして、その備蓄の中から放出を考えるというような仕組みを新たに仕組むことにいたしております。このようなことから、なお若干供給過剰の傾向が続いて価格が低迷するかと思いますが、先々国際砂糖協定の安定的な運営等とも相まって、ある程度の安定した価格水準は期待できるのではないかというふうに思われます。  それから二番目に、消費税の動向ということでございますが、世界各国それなりに関税あるいは消費税という形で砂糖に対する税負担を課しております。関税と一緒に見た方がよろしいのかと思いますが、ECなどの場合は関税はきわめて高くなっておりますが、消費税は日本に比べてかなり低い。消費税だけで言いますというと、フランスが七%、西ドイツはキログラム当たり七円というような水準になっております。日本の場合は十六円でございます。それから、米国はキログラム当たり三円。それから韓国は、これはかなり高くて四六%というようなことになっております。  いま申し上げましたように、消費税だけでなく関税合わせて考える必要もあろうかと思いますが、日本の税負担は決して軽いとは思っておりません。私ども、砂糖を使う実需の菓子であるとか調味料であるとか、そういう業界の国際原料価格との競争条件そのほかも考えまして、税についても配慮してまいることが必要ではないかというふうに考えております。毎年のように大蔵省とも消費税の問題について議論をいたすのでございますが、率直に申し上げまして、なかなか財源事情のむずかしい今日、早急な減免ということは困難な事情にございますが、私どもとしては、その問題も今後さらに検討してまいる課題であろうというふうに考えております。  それから、カルテルの問題でございますが、過去二回、最近のでございますが、カルテル第一回目はそれほどではございませんでしたが、二回目のときは御指摘のように、相当程度の価格の安定が図られたという経験がございます。カルテルが終わればもとのもくあみということで、カルテルはそう何遍も、それから引き続いて長期間やるというわけにまいらない。それから、カルテルの性格からしてどうしても臨時応急的なものということ、そのときの緊急避難的なものということにならざるを得ません。そうなりますというと、先ほど来申し上げておりますような業界の体質改善、将来の安定方向を見出すための基礎づくりということを行うためにも時間的にきわめて不十分でございます。それから、個別にそのカルテルの発動要件というのは非常に厳しくて、価格の上からいくというと、コスト価格を維持できないどころではない、大幅に下回った場合でないと発動できないというようなこともございます。それらのことも考えまして、カルテルでは不十分である。通常事態ならばカルテルによって臨時調整をすれば、それで済むのでございますが、今日のこういう非常な事態からすれば、カルテルということではなくて、こういう法案のような需給調整によってある期間需給調整を図れる、そのことによって相当の価格の維持回復が図り得るということを主眼に考えたということでございます。制度的にカルテルがこの間並行してやれないというような話ではございませんが、この法案自身の性格からするというと、むしろそのカルテルにかわるもっと強力な効果を期待するということで、御審議をお願いしておるわけでございます。
  148. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 以前に衆議院の方で提起をされておるというふうに思いますが、また、考え方として政府の方も言われております需給調整委員会ですね、この内容も含めて、省として具体的に設置の意向というものは明確になっているのですか。
  149. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 需給計画といいましても、いろいろな段階のものがあろうかと思います。  それで、需給計画によるわけでございますけれども、いま一般に需給計画需給計画と言われておりますけれども、長期の特別な設備規制を行う基準とする、あるいは新規参人制限を行う基準とするというような意味でのそういう本格的な需給計画というのではなくて、この法案に示されておりますように、売り戻しについての規制を行う一つの目印、目安としての需給見通し、これは需給計画と言っても差し支えないかとは思いますが、そういう性格の見通しのもの、これについてどういう見通しを立てるべきかということになりますというと、役所だけでもなかなか十分な見通しかできない。あるいは公平性を欠くということになってもいけませんので、関係者の意見を聞くという意味で調整協議会、そういう組織をつくることを検討いたしております。
  150. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 名前がどういうふうになりますかはともかくといたしまして、機能するいわゆる形としては、民主的にこの課題が論議をされていくような形というものをぜひともお願いをいたしたいというふうに思います。この協議会の構成の内容につきまして、衆議院の中で私どもの田口委員が質問いたしましたことに対して、杉山局長は、実際の運用に適したメンバー構成、これを考えるべきで、広範に意見が分かれることについては現実の運用には困ることになると、一面ではそのことを肯定しながら、運用の問題で少し危惧を感じているという形の御答弁があるわけでありますけれども、少なくともそういうふうに危惧をされるだけ幾つか広範的に多くの意見があるということであります、逆に言いますと。それだけに、そういう意見を具体的に取りまとめながら実は需給調整というものを図っていかないと、意見の合致をする者だけ集めまして委員会をつくってみたってこれは私は逆に意味がないと思うんです。意見が違うからそういう委員会をつくっていく必要がある、こういうふうに思いますので、ぜひその辺を十分にそうした民主的機能が働くようにこの構成について、同時にこの出発についてぜひとも早期に実現するように、御要望を申し上げておきたいというふうに思います。  なお、その機能の中には、先ほど来から繰り返して申し上げてまいりましたように、いわゆる商社系列化、同時に中小が切り捨てられていく、こうした関係についてやはりある一定のこれに対する歯どめ、こうしたものが若干の権限でも持ち、あるいは勧告ができるとか、こうした形の機能というものも備えていただくように、ぜひとも検討の課題の中に加えていただきたいというふうに考えるわけであります。ちょっと答弁いただいておきましょうか。
  151. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 需給見通しにつきましては、独断に陥らないよう十分各方面の意見をお聞きすることを今後とも心がけてまいりたいというふうに考えます。  それから、商社の系列化とか、やはり各般の問題ございます。私どもこの業界指導の基本精神は、企業企業として自立できる体制を整える、またそういうことを自覚して自主努力を進めるということが基本であろうかと思います。いたずらに制度におぶさる、あるいは商社の融資あるいはてこ入れに甘んずるというようなことでなくして、全体としての企業が独立できるような基盤をつくりたいというふうに考えております。
  152. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 次に、新しい日豪砂糖協定、これはまだ協定と言えるかどうかあれなんですが、いわゆる十月の二十六日の合意にかかわるものと本法律案との関連について少し質問したいと思いますが、新しいこの砂糖協定は、固定価格部分、これが四十五万トンですね。それで精糖メーカー三十二社連帯取引保証、そして三井物産、それから三菱商事がこれを扱うことに、これが窓口になっておりますね。こういうことになり、それから十五万トンはいわゆる変動価格制、これか採用されて、契約の面では十一商社個別契約、こういうふうに聞いておるわけでありますが、この新しい取引の中で、私は率直に申し上げて、いままで三井物産、三菱商事だけが窓口であったものが、一部でありましょうとも九社直接契約参加というような形で拡大したことについては、これは一定の評価をするわけでありますけれども、その商社というのは、丸紅、伊藤忠、日商岩井、それから東食、住友、野崎、兼松江商、日綿、大洋漁業、こういうふうに聞いておるんですが、間違いありませんか。
  153. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 日豪の砂糖長期契約改定になりましたもの、これは実はまだ細部が決まっておりません。一応の基本的な合意を見た段階でございます。ただ、実質的な内容は先生かいま御指摘になられたとおりでございます。  それから、商社が特定の二商社だけで扱っておった従来のやつ、これは過去のものをそのまま継続している分はいたし方ありませんが、新規に追加になりました数量分については十一商社で扱うということになったと承知いたしております。ただ、その十一商社がどことどこであったか、ちょっとここの手元にリストを持っておりませんので、確認いたします。
  154. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そこで、時間の関係でもう中身、細かい数字には触れませんが、この新しい協定によりますと、これで六十万トン形を変えて入ってまいりまして、計算をしていきますと、大体砂糖の市価二百十円程度、農林省のどうも試算によりますと百九十七、八円あたりと、こういうふうに伺ってはおるんですが、少し違いはありますが、この違いは大分大きいんですけれども、それを確保しないと、二百十円あたりを確保しないと採算に合わないんじゃないかというふうに計算によりまして出てくるんでありますが、この辺は農林省の計算は出ておって、その出ておるやつは大体これは全体の大勢からいってまあまあ大したことなくいけるんじゃないか、こういうふうなお考えかどうか、その辺ちょっと触れてもらいたいと思います。
  155. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 精糖メーカーが購入する原糖価格は、豪州糖の分は新しい水準で決まった固定価格を中心にして、一部変動価格のものがある。これは相当高い水準。それに比べまして一般的にそれ以外の国から買うもの、これは国際価格水準、きわめて安い水準にあるわけでございます。それを平均した価格ということになるわけでございます。その平均した原糖の入手価格に、税でありますとか——まあ関税、消費税という二つの形がありますが、それから糖価安定事業団売り渡しをいたします際に課せられる調整金、あるいは将来の価格変動のために積み立てる安定資金、そういった負担を加え、さらに精糖企業におきます加工経費、販売経費、これらを加えて原価計算がなされるわけでございます。現在までの原糖価格にそれらの税金あるいは公課さらに経費を加えまして、私ども平均一キログラム当たり百九十五円というふうに算定いたしております。国際価格が豪州糖も含めてこれから先変動いたしますれば、その分はそれに応じて上がり下がりするということになります。  私ども、そういう原価計算をいたしましたところの平均生産費、これを償うようにいたしたいというふうに考えているわけでございますが、個々の企業によりましては豪州糖をどれだけしょっているか、その負担率が違いますものですから、その百九十五円を平均にして前後若干の格差があろうかと存じます。
  156. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私が試算をしてという前提は三〇%グループと言われるところですから、まあそういう数字というふうに思いますがね。その辺は農林省の方が専門でしょうから、信頼をしておきたいというふうに思います。  ただ、くどいようになりますが、この価格形成にこれからこの法案によってやっぱり介入をしていくことになるわけでありまして、したがってこの適正な価格、大変これはむずかしい問題でございますが、先ほどの大臣のいわゆる消費者へのはね返り等含めまして、この平均生産費、これに近い低位で供給のできるという体制をぜひともきちっと腹に入れて、運用効果というものを見ていってもらいたいというふうに考えるところであります。  同時にお聞きをしたいことは、仮にいま提案をされました法律案が成立をしない、こういうような状況になったときに、この新しい十月の二十六日の合意による日豪砂糖協定というのはこれは調印の運びになるんでしょうか。あるいは、この法案が成立をしないとこの協定はだめになるんでしょうか。成立をしたことによって調印が進むのか、この辺の関連が、直接的には私はないと思うんです。しかし、これはもう付帯的にこの課題として私は前提になっているというふうに思いますが、この辺についてお聞きしたい。
  157. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) この法案と豪州糖の新しい協定とのかかわりいかんということでございますが、直接は、先生も仰せられましたように、関係ない形になっております。ただ、問題は経済の問題でございます。この法案目的にも、直接ではございませんが、適正な価格水準を回復することによって企業の収支が改善される、そうなれば、現在の負担の重い豪州糖の契約を履行していく上にも貢献するという意味で、「あわせて粗糖輸入に関する国際的協定の円滑な履行に資する」ことを目的とするとございます。そういう間接的なといいますか、基本的な関係におきまして経営がよくなる、そのことによって豪州との契約の履行もやりやすくなるということになるわけでございます。その意味では、この法律施行できなければその契約が破棄されるかと言えば、それはそうではなくて、形の上では契約は契約として新たに結ばれることになりますか、その新しい契約の履行自身が、やはり依然としてむずかしい経済条件のもとでは非常な重荷になるということがあろうと思います。
  158. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まあ余りその辺は突っ込まないでおきましょうか。  ただ、正直申し上げて、この法案提出をされた時期——まあ大変短期間にこの法案の成立を目指して努力をされていることの、これは野党的うがった見方かどうか知りませんよ。しかし、少なくともこの問題について、何かあるんじゃないのかと、こういう疑惑を率直に言って私ども持ちます。そういう意味合いでいま念のためにお聞きをしたわけですけれども、私は少なくとも、こうした法案についてもっとからっとした立場で、実はこういう現状に対してこれはこういうふうに措置をすることが具体的にこう状況変化をさせるんだと。したがって、確信を持って、この際にはこうあるべきだということがきちっと整理をされるようにやっぱりしてもらわないといけないのではないか。何か今日までの状況の中で、どうもこの法案提出に絡んで、先ほど申し上げましたように、私ども印象として大変すっきりしない一つ背景というものがあるように思います。まあそれを私どもが明確に見抜かなければいけないんだろうというふうに義務としては感じますが、ぜひともそうした気持ちをこれから持たないで、法案審議にきちっとした慎重に審議のできるようなこういう形というものを、求めておきたいというふうに思います。  なお、最後に私は、これもまた一つのうがった見方かもわかりませんが、少なくとも精糖企業の側に今日的にカルテルが期限切れになってそしてまた乱脈になったという形の中に、もうすでにその当時に法案提出一つの意図というものが判断ができて、したがって、それがために企業の側にこの長期協定、何とかかんとか言いながら、先ほども質問で申し上げましたように、実際には政府介入をしていることだから何とかしてくれるんじゃないのか。したがって、そういう期待を持ちながら、みずからが自立していく一つ問題点が責任逃れの立場でなおざりにされてきたと、そうした甘えが業界の中にあったんではないのか。そういうふうな業界の甘えをつくり出すようないわゆる流れ、逆に言いますとこれを政府みずからがつくり上げた、こういうふうな気がするわけでありまして、そうした不純な憶測が生まれないようにぜひとも御要望を申し上げて、私の時間が来ていますから終わりたいと思います。
  159. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いま先生の御指摘になりました、この法案の成立の背景としてまあいろいろあったのではないかと。率直に申し上げまして、日本の精糖企業が経済的に非常に弱った状況にある、力がないということで豪州側が将来の履行に不安を持ったという事実がございます。この業界を何とかりっぱに育ててやってくれ、それが日本政府の責任ではないかという要請のあったことも経過としてございます。私どもしかし、豪州協定のためにということでなくて、まさに所管する企業の健全化を図るためにこういう対策を考える、そして、そのことが同時に豪州との契約履行の上に貢献するという判断のもとに、法案提出してお願いしているわけでございます。  それから、そういうことをやることが、これは何も今回だけの措置に限りませんが、その業界の甘えを誘っているのではないか、業界がますます自分で立つような努力を失わせるのではないかという御指摘でございますが、私どもはこの点最も注意しなければいけないと思っております。確かに政府がこういう企業経営とは言いませんが、経営条件の中に乗り出すということは、自由主義経済の立場からして問題があろうかと思います。やはり厳しい競争の中で経済効率が発揮できるし、企業の発展もあろうかと思うわけでございます。その意味で、政府が乗り出すと何かそれにすがっちゃって何かしてくれる、おのずと道は開けるというような甘えの期待を持たれると非常に困るわけでございます。私どもはそういう意味で、この法案を生かすも殺すもむしろ業界の自主努力、協調して全体としての体制を整えていくところにあるというふうに考えております。今後、指導の中心はそういったところに置いて、運用を図ってまいりたいと考えております。
  160. 北修二

    ○北修二君 それでは質問をさせていただきますが、本日提案された砂糖の売り戻しの特例法案に関しまして、六点について御質問をさせていただきたいと思います。  今回の法制措置につきましては、精糖業界過剰設備顕在化による過当競争等から、国内糖がコストを大幅に下回って推移するという実情に対応して、砂糖需給の適正を図り正常な価格形成を図ることをねらいとしており、まことに時宜に適した措置と考えております。この法案をより効果あるものとして機能させるために、運用あるいは考え方についてお伺いをいたしたい。  まず最初に、本年の世界の砂糖需給事情はきわめて供給過多の状況にあるが、本年産糖の世界的な見通しはどうなっておるか。これは先ほど説明ございまして、九千万トンというようなお話がありましたが、しかし、御案内のようにこの砂糖見通し、いまの豪州その他の諸般に出ておるように、簡単に九千万トンとどういうような方法でキャッチされておるか、正確なものであるかどうか、お伺いをいたしたい。
  161. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 砂糖需給動向については各種の資料がございます。世界的に権威を持っておりますのはF・O・リヒト社という、まあこれはこういう調査をやっている専門の会社でございますが、その会社の発表の数字でございます。先ほど申し上げました七七年−七八年の年間の生産見込み九千万トン、これはまあ丸めて申し上げたのでございますが、八千九百九十五万七千トン、これはごく最近の、まあいま世界的に見て最も信用の置けるデータであると考えております。確かに先生おっしゃられるように、そういう信用のおけるデータ、過去のことについては実績は間違いないにしても、将来の見通しはどうかということになりますれば、先々については非常に変動の激しい農産物でございますので、十分そこら辺の幅も考えながら私どもは読んでいく、あるいは対応を考えていかなければならないというふうに考えます。
  162. 北修二

    ○北修二君 次に、基本的な問題といたしまして砂糖長期需要見通しについて、政府は「農産物の需要生産長期見通し」の中で、六十年度における砂糖需要量は一人当たり年間三十・八キロ、総量で三百八十五万一千トンと、こういうことで見通しておりますが、最近の需給動向では、御承知のように、一人当たり砂糖消費量は四十八年の二十九キロをピークに四十九年は二十四・五キロ、五十年は二十五・六キロ、あるいは五十一年は二十四・七キロと減少傾向にありまして、総需要量においても四十八年の三百十八万トンをピークに、五十一年には二百八十万トンにもなっており、いずれも長期見通しとは逆行の少なくなっておる傾向であります。このことについて農林省見通しとは変わったというか、大分違うわけでございますが、この変わった情勢についてどう考えておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  163. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 従来、砂糖消費量は直線的に今後も伸びるのではないかという考え方を持っておったわけでございますが、いま先生御指摘のように、最近の動向はやや様子が変わってまいっております。四十八年をピークに、その後三年間停滞した一人当たり消費量状況にあるわけでございます。ただ、一人当たり消費量の今後の動向を見通すのは実は大変むずかしゅうございまして、まだ断定的なこれといったような見通しを得るに至っておらないというのが実情でございます。通関統計とか各業界生産実績等をベースにしたとり方もありましょうし、それから各家庭の消費動向——家庭調査をやった食料需給表というようなものからの調査もあるというようなことでございますが、今後の動向についてはまだはっきりとした見通しは立てがたい。  ただ、四十八年に比べて減りましたことについては、これはやはり最近食生活変化、特に栄養とか健康といった面に対する配慮、それらが影響しているのではないかというふうに思われるわけでございます。それがはっきり断定できるということになりますというと、今後の見通しは従来よりは水準の低いものにならざるを得ないかと考えますが、まだその結論を出す段階にまでは至っておりません。私どもここ最近の情勢を見て、一人当たり消費量はこれ以上は減ることはあるまい、やはり若干横ばいないし微増の感じではなかろうか。それから全体消費量については、人口増があるから現在よりはその分だけさらに増加していくだろうというふうにおおむね見当をつけているところでございます。
  164. 北修二

    ○北修二君 消費量その他についていま御説明がございましたが、生産面におきましても種々の環境の変化から目標面積についても新たに見直さなければならないのでないだろうか。この需要生産見通しを再点検した上で短期、中期の年次計画を樹立して、おのおのその目標達成に必要な諸施策を並行させ、きめ細かな措置をとらなければ一貫した農業政策は確立されないと思いますが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  165. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 甘味資源作物が地域の農業生産の中で非常に大きなウェートを持つと、北海道ではてん菜は特に輪作作物の中で定着を図る必要があると、また鹿児島県、南西諸島あるいは沖繩におきましてはサトウキビは非常に重要な基幹作目でございます。ほかに適当な作目もそう多くないというような状況から、この生産国内においてできるだけ増強をしていくという基本方針のもとに、現在の六十年長期見通しがつくられておるわけでございます。先生御承知のように、てん菜はそれにもかかわらず他の作物等との競合関係もございまして近年減ってまいりましたので、このようなことではいかぬということで、私ども短期と申しますか、中期と申しますか、年次別の五十二年度から増反の計画を先生御承知のとおりつくりまして、その推進に当たっておるところでございます。  五十二年度は目標を一応四万五千ヘクタールと、こう置いたわけでございますが、増反奨励金の交付等の新施策の効果等もありまして、現時点で四万九千ヘクタールというふうに当年度の目標を上回る形で生産の拡大の方向に転じたわけでございまして、私ども今後この施策を続けると同時に、そのほか主要畑作地帯におきます輪作の定着化の施策あるいは酪農地帯におきまして牧草更新時にてん菜を導入して地力の維持を図ると同時に、てん菜の生産拡大を図るための施策、こういうような新たな施策を継続実施をいたしまして、引き続き着実に生産拡大を図っていきたいというふうに思っておるわけでございます。  で、沖繩、鹿児島県、南西諸島におきまするサトウキビにつきましては、全体といたしまして四十九年をボトムに自後増加の基調にあるとは認められますが、なおその状況を見ますと、六十年長期見通しで想定をしております姿に対してまだまだ十分でないというふうに思っておるわけでございます。私どもといたしましては、これらにつきまして基本的には生産基盤の整備、それから省力化によってできるだけ収益性を増すところの栽培形態をとるということ、それから優良品種をできるだけ適切に末端の段階まで導入をする仕組みを確立すること、特に原原種の問題につきましては重要でございまして、これらの体制整備をぜひとも強力に図るという基本的な事柄の整備から始めまして、そういうことをやってまいりますと、当面の生産拡大が多少私どもの想定しておる線よりも低目でございましても、先に行きまして加速度的に増加をするということが考えられますので、目下そういった基本的なことに鋭意努力を注ごうという姿勢でおります。六十年見通しをこの段階で改定するという考えを私どもいま直ちに持っておりませんが、年々のいろいろ諸事業の効果等を見きわめまして、できるだけその方向に一刻も早く近づけるように努力を重ねてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  166. 北修二

    ○北修二君 六十年見通しについては見直しをする考え方はない、こういうお話でございます。御案内のように、たとえば北海道のてん草につきましても、六万一千ヘクタールということで、先ほどもいろいろ御意見がございましたが、減少をした。これは全体の輪作の問題、これは輪作を完全にやりますと、七万七千ヘクタールまでいかないんじゃないだろうかと私は感じておる。価格体系やその他いろいろございますが、完全な輪作体系をとるならば、そこまでいかないんじゃないだろうか、こういう点について十分考えておられるのかどうか。  いま一つは、南西諸島の問題につきましては、御承知のように非常に近代化がおくれておる。これについても、政府は積極的ないま開発をしながら努力をしようということで、この開発ができれば、私は相当国内産糖についても明るいものがあると、かように思いますが、思い切ってこの省力化対策に努力をしなければ、これまた見通しが間違ってしまうというような諸般の情勢に至るんでないかと、かように思いますが、そういう現実を十分見きわめながら、六十年見通しに万全を期していってもらいたいと思うが、この点どうか。
  167. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 北海道主要畑作地帯におけるてん菜の地位というのは、まことに重要でございます。私ども、いま先生の御指摘になりましたような合理的な輪作体系の中で、てん菜の生産かできるだけ適正な地位を保つということがどうしても必要でございます。御案内のように、てん菜は地力維持に非常に効果のある作目でございますが、現下の北海道の畑作地帯におきます地力問題というのは、今後のこの地域における農業の発展を考える上におきましてゆるがせにできない問題でございます。したがいまして、一つにはそういった輪作体系の確立を通ずる地力維持にも効果のあるてん菜の適正なる導入ということと、それからもう一つは、やはりこの地域の地力対策に直接に影響をいたしますところの有機物の増投の問題、それから、大型機械によりまして土地がかたく締められるということから来る生産力の低下の問題、その他排水の除去の問題、そういったことについて積極的に手を加えていく必要がございまして、土地基盤整備ももちろんでございますが、営農的な土壌条件の改善ということも非常に重要でございまして、私どもそういった点をめぐりまして、従来の施策に加えまして来年度からも新たな施策展開を検討し実現しようと図っておるわけでございます。  それから、さらにサトウキビにつきましては、先生御案内のように、まず収穫段階において非常に多くの労力を要するというのを一刻も早く解決をするということで、私ども、機械化研究所というものをもって適正な中型機械の開発について研究を重ね、民間とも提携をとってやってまいっております。一応の成果が上がっておりますが、まだ現地適用をするのにもう少し力を入れなきゃならぬ点が残っているということも事実でございまして、これらについては真剣に取り組みまして、できるだけこの収穫段階におきます労力節約について大きく寄与し得るような中型機械の開発とその導入ということを、当面の緊急課題として私どもは取り組んでまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  さらにまた、品種の問題、それから優良種苗の導入の問題、これらは、先ほど申し上げましたように、たとえば沖繩におきましては苗期の関係等もございますので、新たに原原種農場を設置することを検討しておりまして、これについては来年度から年次計画をもちまして、ぜひとも体制整備を図りたいというふうに考えておるところでございます。
  168. 北修二

    ○北修二君 いまお話がございましたが、大いにひとつ効果のあるように全力を挙げていただきたいと思います。  次に本題に入ります。  砂糖需給適正化の方法として、輸入割り当て制をとる方法、あるいは事業団による一元輸入措置を講ずる方法と、さらには、さきに精製糖業界が行った製造数量の制限に関する指示カルテル制度の継続等の方法も考えられますが、このような事業団の売買操作による方法をとった理由について、お伺いをいたしたいと思います。
  169. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 需給調整の効果を発揮するための手段方法というのは、確かに先生が御指摘になったように、いろいろな段階の方法が考えられるわけでございます。ただ、私ども今日その国際的な反応といいますか、世界の動向というものをやはり念頭に置かざるを得ない。そうなりますというと、直接的な輸入規制とか、あるいは事業団の一元売買、輸入について政府が干渉する、あるいはこれを抑制するということになりますというと、国際的な問題としても、これは砂糖のような大商品について、実質そんなにしぼるわけではございませんけれども、何か輸入制限的な行為に出ているというような印象を与えてもいけないという配慮が一つあったわけでございます。  それから、一元売買というようなことになりますというと、単に需給だけでなく価格そのものについても政府か決めるというようなことまでも伴いかねない。もう一つ、基本的に大きな制度の改善、改正を必要とするというような話になってまいります。そうなりますというと、それはいかにも現在の事情からするというと基本的な面にわたり過ぎる。やはり現在の糖価安定法の価格を通ずる安定措置、これはまあ需給も含めて安定を意図しているわけでございますが、これを基本としながら、ただ今日の異常な事態に対処するには現在の糖価安定法の規定はうまく機能しないということで、今回の臨時特例の形による事業団の買い入れたものを売り戻す、その売り戻しの時期について時期調整をするということで、実質的には数量需給調整それ自身が期待し得る方法をとるということにいたしたわけでございます。
  170. 北修二

    ○北修二君 まあ、このような方法によると。現在のように精糖業者が多数にわたり、輸入先、輸入価格に大きな幅があって、企業間のコストの格差がきわめて大きいと考えられます。特に豪州糖のウエートの高低がコストに直接はね返ることになりますが、このことにつきましてはどのように考えておられますか。この点についてお伺いをいたします。
  171. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 企業間のコストの格差というのは、原糖の購入費のほかにやはり人件費でありますとか機械償却費でありますとか、全体的にやはり格差はあると思います。ただ、原糖の段階で国際価格によって購入している分にはそれほど各企業間の格差というのは大きくはないのでございますが、いま御指摘のありました豪州糖につきましては、これは今日の国際価格から見ればきわめて割り高価格となっております。その点、今回豪州との価格改定交渉におきまして、若干の値引き及びその引き取り期間を従来残り三年ということでありましたのをあと四年にいわば薄めるといいますか、そういう形で引き取るということにしたことによりまして、単位当たり価格差はこれはかなり縮まることとなっております。  私ども、直接この価格差を縮めるための特別な処置というのは、糖価安定法上の制度の中で調整金の免除というような形ではいままでとってまいりましたが、直接この格差を国が補助するとか、あるいは特別な手当てをするというようなことでは考えておらないわけでございます。一般に平均水準価格が実現できればそれほどコスト格差も、もちろん気になる話ではございますけれども、絶対的な経営上の格差というわけでもなし、若干の期間でございますので、その間企業努力によってこれを逐次こなしていくということを考えてもらいたいというふうに思っております。
  172. 北修二

    ○北修二君 次に法案の中身に入りたいと思いますが、法案によれば、まず各メーカーについて農林省令で定める期間ごとに輸入糖の売り戻し基準数量が定められ、この数量を超える売り渡し申し込みがあったときは事業団農林大臣報告することになっており、その数量通常年における事業団に対する売買数量とされているが、通常年とはいつを考えておるのか、これについて説明を願います。
  173. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 事業団農林大臣への報告基準となる数量につきましては、この法律が本来国内砂糖の適正な需給調整を図ることを目的としているものであります。そのことから原則として通常年、まあ通常年をいつにとるかということが御質問の趣旨のようでございますが、その通常年における指定糖の売り戻し数量によるべきものと考えております。事業団が糖価安定法第五条第一項の規定による売買、いわゆる義務売買、これを行っておりますのは最近では五十一年十月以降でございます。それから、それ以前においては、国際糖価水準の関係で相当長い期間にわたって行われていなかったということがございます。そういうことで、当該売り戻し数量にかわり得るものとして、事業団への売り渡し申し込みをしたものの通常年における指定糖輸入実績数量等基礎として農林大臣が定める数量をとるということにいたしたものでございます。  そこで、売り戻し数量あるいは輸入実績数量をべースとするわけでございますが、その期間をいつのものを通常年として考えるかということでございますが、これは過去の相当長い期間の平均をとるか、一番常識的に見て安定したある年をとるかということは議論がございますが、私ども総体として、それからまた個別各企業として過去の実績がどうであったかを見まして、最もノーマルと考えられる年を算定するということにいたしておるわけでございます。具体的にいつかということになりますと、いろいろなとり方がありますので、それを並べていま検討をしている段階でございます。
  174. 北修二

    ○北修二君 最近になって、駆け込み輸入と言えるかどうかわかりませんが、急に粗糖輸入が増大しているということを仄聞をいたしますが、その実態をどのようにとらえておられるか、この点について説明願います。
  175. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 最近でもそうですが、四十九年のような供給の不安が考えられるときになりますというと、相当思惑的な輸入が図られます。そのことによってその年の輸入量、引き取り量というのは大きく出る。私ども先ほど申し上げました通常年というのは、そういう特殊な事情によって変動があった年は排除するというのを基本的な考え方にしておるわけでございます。  それから、そういう考え方から見るというと、最近思惑的な駆け込み輸入はどうかということでございますが、実は御存じのとおり、豪州糖の問題がこじれておりました間、東京湾に相当量の、ピークのときは約二十一万トンの砂糖が浮かんでおったわけでございます。この分が入ってこないのでこれにかわるものを手当てする、そのときにどの程度の水準、具体的にどの程度かわかりませんが、それにかわるものとして相当量の手当てをしたのではないか、これがいわば通常考えられるものを超えて入ってきた数量になるのではないか。特に豪州糖問題が解決いたしまして、浮かんでおったものを引き取るということになりますというと、それに見合って別途入れたものは通常の場合よりも多い数量ということになります。これが駆け込み輸入的なものに相当するのかと思われるわけでございます。数量を具体的に幾らと申し上げるほどにはキャッチいたしておりませんけれども、私ども、いずれにいたしましても、こういう時期のそういう意図に出た数量は、通常年として考えるのには適当でないというふうに判断いたしております。
  176. 北修二

    ○北修二君 次に、農林大臣が売り戻し延期を命令する要件として、各メーカーの最近における砂糖の製造事情等を考慮してもなお売り戻し数量等から見て過大であると認められる場合としておりますが、この過大と認められる具体的な基準は一体何か。また、もう一つの要件として、四半期ごとの砂糖需給量及び供給量の見通しに照らし、砂糖需要の安定に悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合としているが、この需給見通しはどのような考え方で、どのような手続を経て策定されるのか、これについてお伺いをいたしたい。
  177. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 需給見通しは、年間の全体の見通し、それから四半期別の見通しというふうなことで分けてつくられるかと思います。手続としては、これは役所が中心になりまして関係者の意見を聞いて適正に定めるということで、今後各方面の意見も聞きながら定めてまいりたいと考えております。  それから、売り戻しの規制を行うかどうかの考え方の基準は何かということでございますが、そういう見通しに比べていま安定しているかどうか、これを売り戻しして市場に出せば供給過剰にならないかどうかというような、そういうマクロ的な判断一つ前提になろうかと思います。それから、個別にはそのものの最近の製造事情等を考慮してもなお過大というようなケース、これはいわば例外といいますか、原則的でない考え方でございますが、たとえば企業によりましては操業の形がそのときそのときの事情でもって大きく変動することがございます。  具体的に申し上げますというと、機械の点検をするためにある期間休まなくちゃいけない、休むに先立って相当つくりだめをしなくちゃいけないというようなことがあります。そうしますというと、その時期の数量はある程度これはどうしても通常のベースとは違って見ざるを得ないというようなことも出てまいるわけでございます。それから、メーカーが原糖を仕入れるのに、輸入糖だけでなく国内産の原糖を手当てしている場合もあります。ところが、国内産の原糖が何かの事情でその年不作であるというようなことで供給が減りますれば、これは全体の量としてはそれを輸入糖で補わなければいけないというような事情も出てまいります。そういうような事情を個別に勘案してということで、全体と個別と両方を見て売り戻しの時期調整をするかしないかを決めるということになろうと考えております。
  178. 北修二

    ○北修二君 いま需給見通しのお話をお聞きいたしましたが、これに関連して国内甘味資源が増産されると輸入糖の枠がはみ出してしまう場合が考えられる、その場合は当然国内産糖を優先的に配慮されると思いますが、これは確認のためにお聞きをいたしておきたいと思います。
  179. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国内産糖を優先的に取り扱う基本方針であります。それから、実際問題としては、国内産糖が急激に何割も大幅増産になるというようなことがあれば格別ですが、いままでの推移を見た限りでは、特別に全体の需給を大きく混乱させるようなそういう短期間の大幅増というのは、なかなか実際問題としてはあり得ないのじゃないかというふうに考えております。
  180. 北修二

    ○北修二君 次に、精糖業界の構造改善等についてお伺いいたしたいと思います。  まず、精糖業界過剰設備問題でありますが、業界設備能力は四百四十万トンと言われ、適正な粗糖輸入量が二百六十万トン程度として、単純計算では四〇%の過剰設備になっております。若干のアローアンスが必要と思いますが、現在の需要量国内砂糖生産量から判断するとまあ少なくとも二〇%程度以上の過剰設備と考えられますが、今回提案された臨時特例法によって現在の状況を脱したとしても、この基本問題か解決されない以上、砂糖需給状況によって再び今日の問題が繰り返されないとは限らないと思いますか、この過剰設備問題を政府はどのように指導していく方針なのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  181. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 先生いま抑せられましたように、精糖企業の能力は年間四百四十五万トン程度あるというふうに私ども推定いたしております。それに対して実際に年間粗糖ベースで供給する必要量は二百六十万トン、ですから単純に機械の能力と実際に需要される量とを比較しますというと、稼動率は六割ということになります。差は四割あるわけでございます。この差を全部過剰と観念するわけにはいかないのでございまして、まあどの程度が本当に要らない設備になるのだろうかということを考えますというと、いま先生がおっしゃられましたように、これは非常に大ざっぱな数字でございますが、その半分の二割程度ではなかろうかというふうに考えられます。  ただ、こういう数字を申し上げますというと、じゃ、その数字について、それはもう完全に過剰なんだからすぐに過剰設備の廃棄ということで、工場閉鎖、企業合同みたいなことを強制するのかということになりますというと、それはまた一つ次元の異なる話だと思います。全体に私ども、企業に対して、自分の足で立つように企業努力を要請することは間違いないのでございますが、そして、その中に設備過剰に対する対策、対案というものも当然含まれてまいりますが、私ども、企業の、特に精糖企業の体質は単純に設備能力の問題だけでなく、およそ販売のあり方、企業者の経営の心がけの持ち方、労使問題、そのほかさまざまな問題をたくさん抱えております。そういった問題全般について、これだけの非常事態のもとにおいて立ち直るための基本的な基盤、レールを敷くのだということで、その中に設備の問題も含めて自主努力を促すということで指導してまいりたいと考えております。
  182. 北修二

    ○北修二君 次に、現在の精糖メーカーの累積赤字は一千数百億に達していると聞き及んでおりますが、もちろん、このことについても過剰設備問題と同様に、企業自身の徹底した合理化努力が必要なことは言をまちません。それにしてもきわめて多額の累積赤字でありまして、精糖メーカーの健全化について政府のてこ入れも必要になるのではないかと思いますが、この点についてどういうようにお考えになっておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  183. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 今回の法案によりまして、需給調整して価格水準の回復維持を図るということでございますが、この意図しておるところの水準は、新しいものをつくるときのコスト価格でございます。したがいまして、過去に累積した赤字をそれでもって消却するというようなことまでは考えておりません。もちろん、正常な企業経営が行われればコスト計算の中に正常な利潤も含まれる、その中で、過去の赤字を逐次解消を図っていくということになろうかと思います。  ただ、この過去の赤字というのは、企業によってもちろん差はございますが、全体としてきわめて大きな額に上っております。これを短期間に解消するというようなことは、なかなか望むべくもないと思います。長い時間をかけての企業努力によって解消することを基本とするわけでございますが、この解消については、融資をしておりますところの金融機関でありますとか、あるいは原糖のめんどうを見ておりますところの商社でありますとか、その他の債権者、関係者の協力を得ながら、全体としてのそういう解消についての目標といいますか、努力というものを新しく要求される話ではないかというふうに考えております。そういった全体の経営の立て直しについて、企業が十分に自己努力が払っていけるように、私どもも見守りながら指導をしてまいりたいと考えております。
  184. 北修二

    ○北修二君 次に、消費者対策についてお伺いをいたしたいと思います。  現在の砂糖価格は精糖メーカーのコスト割れ価格であり、今回の法案はこれを最低のコストまで引き上げようということでありますが、消費価格が引き上げられることは間違いありません。このことについて、消費者のコンセンサスを得ることがきわめて重要なことと考えておりますが、この対応についてどのようにされるか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
  185. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 砂糖は、卸売価格に対して流通段階の経費、これはおおむねキログラム当たり五十円ないし六十円加えられましてそして消費価格が形成されております。具体的な数字で申し上げますというと、今日卸売価格が百七十円を切るような状況にあるわけでございますが、消費価格は二百三十円台程度であろうというふうに考えられます。この卸売価格が、現在の低迷している状態から平均生産費の百九十五円程度に回復するということになれば、二十円強卸売価格か上がることになります。これに伴って消費価格がどれだけ上がるかということでございますが、消費価格もある程度現在の水準よりは上がることにならざるを得ないと考えております。  ただ、消費者の方に御理解いただきたいのは、現在の価格が余りにも異常に低過ぎる、コストを割って生産をしている価格であるということを御理解いただきたいわけでございます。むしろ、四十九年、その後のまた五十年の非常に高騰した時代は別といたしましても、その後しばらく二百数十円——二百五十円とか六十円というような水準が続いておったわけでございまして、今日の価格はそれをはるかに下回っております。一般の物価なり賃金か上がる情勢の中で、まさに精糖企業は赤字を生産しているというような状況にあるわけでございます。  それから、こういう状況でもって長い間の供給を義務づけるといいますか、期待するといいましても、これはある意味で言えば、それほど遠くない将来きわめて混乱した状態、供給責任を果たし得ないというような状態も起こしかねない。そういうことを考えますというと、安定した数量、安定した価格での供給を責任を持って果たすということによって、消費者にも十分御理解をいただけるようにすべきでないか。  私どもそういう意味で、今回平均生産費一つ基準にして、そこまでは何とか回復させるようにいたしたい。しかし、適正な価格というのは、企業がいたずらにもうければいいという話ではございませんので、それを著しく超えるようなことがある場合は、私どもは当然平均生産費水準にまで戻るように、需給について売り戻しの措置について調整を図る考えでございます。そのことはこの法律の条文の中でも、三条の一項の一号、二号に明示されているわけでございます。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 「精製糖価格平均生産費を上回つて推移している場合」には命令できない。それから「命令をすることによつて一般消費者又は関連事業者の利益が不当に害されるおそれがある場合」は命令できないというような規定が設けられているわけでございます。
  186. 北修二

    ○北修二君 次に、国際砂糖協定についてお伺いをいたします。  砂糖相場の安定を目途として、国際砂糖協定が一九七三年末期限切れとなって以来、新協定の成立が難航していますが、ようやく来年から五年ぶりに国際砂糖協定が発足しそうな状況にありますが、これにより世界あるいはわが国砂糖の流通及び価格にどんな影響をもたらすことになるのか、この見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  187. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国際的に砂糖が大幅な供給過剰の事態にある、したがって、その価格も著しく生産費コストを下回る水準にあるということで、特に大生産国にとって大問題であったわけでございます。現在もまた、あり続けているわけでございます。そこで、そういう低迷している国際価格を立て直す、供給の安定を図るという観点から、国際砂糖協定の締結が努力されてまいったところでございまして、実は、先般ようやく国際的にその合意を見るに至ったわけでございます。  国際砂糖協定の一番基本とするところは二点ございます。  一つは、価格の安定帯を設ける。コストなりあるいは従来の価格動向等からして、価格の上限と下限、その安定帯を設ける。そして、国際価格をその中に安定させようというふうに考えている点でございます。そしてそのことを実現するための手段として、その価格が下がったときは、生産国は割り当て数量の中で一律に供給調整をしていくということでございます。  それからもう一つの点は、国際的な備蓄を持つという点でございます。数量的にはそれほど大きくはございませんが、二百五十万トンの備蓄を持ってこれを価格変動の調整に当てる。現在は供給過剰ですから余りそういう事態は考えられませんが、供給か足りなくなって国際価格がつり上がるというような場合にはその備蓄を放出するということを考えている。そして、その備蓄のための経費は、これは料金といいますか、フィーということでもって砂糖の売買に伴ってこれを徴収するということにいたしておるわけでございます。  なお、二点と申し上げましたが、私第一点の中に込めて申し上げましたその前提となる輸出国の輸出割り当てという問題がございます。輸出国の輸出割り当て——大生産国かむやみに輸出をするのじゃなくて、その年々の輸出数量についてシェアを決める、そういう割り当てを行うということを一つのまた特徴にいたしております。これを計算に入れますと、三点か国際砂糖協定の一番骨子になるところであろうかと存じます。  これによって将来の需給かどうなるだろうか。それから日本に対する影響いかんということになりますというと、当面は非常に供給過剰、在庫の量も大きゅうございますから、それほど現在の価格を適正な水準まで回復するのに大きな力はないと思います。やはり低迷する水準がしばらく続くのではないかというふうに思われますが、輸出割り当てなりあるいは各国の生産調整が進めば、それに伴って需給も締まって価格水準は回復されるのではないかと、そのことは全体としての秩序の回復、安定供給の上に世界的に貢献し得るものであろうというふうに考えております。
  188. 北修二

    ○北修二君 六点目に入りますが、先ほど相当時間をかけて先に質問された人がおられますので、その点は省略をいたします。  最後に、農林大臣にお伺いいたしたいと思いますが、今回の一連の砂糖にかかわる諸問題は、わが国砂糖自給率が低いことに起因しております。砂糖が戦略物資あるいは投機的物資の対象にされないためにも国内産糖の自給力の強化が必要であり、価格あるいは政策両面から甘味資源に対する手厚い施策が肝要であることは、大臣も御承知のとおりであります。そこで、昭和五十三年度予算に向けててん菜あるいはサトウキビ等の甘味資源作物の生産振興関連予算獲得についてその決意のほどをひとつお伺いをいたしたいと、かように思います。
  189. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 北先生御指摘のように、わが国の甘味資源であるてん菜並びにサトウキビは、北海道におきましては畑作輪作の面から言って非常に重要な基幹的作物とも言うべきものでございます。また、鹿児島県、南西諸島並びに沖繩におきましても、サトウキビはあの地域の特性から見ましてこれまた最も重要な基幹的な作物であると。また、一面におきまして、御指摘のように乏しいわが国の甘味資源の自給率から見まして、これを今後育成をし、さらにその振興を図っていくということか農政の大きな課題であると、私はこのように心得ておるわけでございます。  したがいまして、今年度もてん菜並びにサトウキビの価格につきましては改善を加えるように努力をいたした次第でございますが、来年度におきましても価格対策をさらに進めてまいりたい。また、基盤整備の問題、あるいは生産指導の問題、生産並びに構造対策、そういう点につきましても必要な予算措置等も講じまして、これが育成、振興に今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
  190. 北修二

    ○北修二君 以上で終わります。
  191. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 国内砂糖需給調整につきましては社会党の年来主張してきたところでありますが、しかし、それはあくまでも砂糖三法の全面的な見直しの中でバランスのとれた対策を要求してきたというふうに承知いたしております。しかるに、今回突如として全面的な見直しでなくこの法案提案されてきておりますが、従来の衆議院並びに本委員会での論議の中でも、私はまずこれか早急に出されてきた背景にある砂糖業界の混乱、そしてそれに非常に微妙なかかわり合いを持つ政府の行政指導の責任、これらの問題を第一点にお伺いしたいと思います。  それから第二点は、国内のビート並びにサトウキビの生産者が、この法律によって具体的にどのような利益を享受できるかという点が明確でない点。  第三点、本法案によって予測される精製糖業界の合理化が、労働者に対してしわ寄せられないための具体的な保障措置が見られないということ。  第四点、消費者対策、これらについての配慮。  以上の四点について、それぞれ御質問を申し上げたいと存ずる次第でございます。  まず第一点の混乱の政治問題でございますが、先ほどの坂倉委員の質問に対しましても、これはもう企業間の問題だから、内部のことについては従来も価格その他の面まで入っていないというふうなことを再三にわたって言われております。しかし、砂糖業界というのに対して政府がいままで長年にわたってとってきたいろいろの施策の中で、私たちはどうもそうは感じられないのでございます。今回に限ってこんなによそよそしくできるんだろうか。たとえば、文藝春秋によりますと、「製糖会社と政界有力者とのつながりに就いては、かなりハッキリした地図かある。どの会社とどの政治家かつながっている」かということなどは「しばしば活字にもなっている」というふうに非常に親しい関係にある政府、さらにまた、そういう点でいろいろな角度で行政指導してきた農林省が、豪州糖の問題についてのみは、いまさら、企業だからここからは一切入っていないということについては、どうも腑に落ちない点がある。この点について、もう一度ひとつ御答弁をお願いいたします。
  192. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 御質問は、豪州糖の長期契約に当たって政府かどの程度積極的に介入し、指導の責任を負ったのかということであろうかと存じます。先ほどもお答えしたとおりでございますが、私どもといたしましては、当時国際的な資源逼迫の状況のもとで、一般的な資源安定確保のための指導を行ったという事実、これは何人も否定し得ない。積極的にむしろ政府が行ったということはあったと承知いたしております。ただ、それは何も砂糖に限らず、ほかの穀物とか食糧あるいは石油等においても同じくとられた措置でございまして、それらの一環として砂糖についても安定確保のための長期契約を進めるというようなことで指導が図られたわけでございます。一般的にほかの長期契約の場合は、数量について将来の安定供給を確保するということを条件に価格を決めるというような形ではなしに、数量協定ということで進められておったわけでございます。  ところが、豪州糖の場合は、これは相手側が強く希望したということもありましょうが、交渉におきましてそういうことで決めるということで、現在に見るようなああいう形の協定が結ばれたわけでございます。もちろん、その過程を政府が全然知らなかったとか、およそ全く無関係だということはございませんで、その経緯についてももちろん承知しているところもあるわけでございます。そもそも豪州側の売り込みもあったし、それから日本の実際の実需家も豪州は比較的安定した供給源として期待できるということから、そこから買いたがったという事実もございます。そういうものとマッチして、政府が豪州との長期協定を進めたらいいではないかという指導をしておったわけでございます。ただ、価格の点については、これはまさに判こを押した契約当事者が責任を負って決めるべきものでございます。それについて政府が制度的にも保障するとか、担保するとか、そういう形はとり得ないものでございます。ですから、一般的に当時の安定確保を図るために長期契約を指導したということでの行政上の責任あるいは砂糖業界を所管業種として抱えていて、その業界の安定発展を図るための施策をとるべきであるという、そういう責任ということでは行政上の責任はもちろんございますが、豪州糖の契約それ自身について政府が肩がわりしなくちゃいけないとか、経済的な直接その身がわりのめんどうを見るのだということでの責任というのは私はないと考えております。
  193. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、五十一年の秋に精糖工業会から大蔵と農林両省に対して、豪州糖の買い付けその他の関係で非常に苦しくなってきたというので、六百億の特別融資の実施申し入れがございましたね。それで結局、これは日銀の特別融資というわけにはいかないということで、農林省が非常に骨を折って、日銀の窓口規制に特別枠を設けて、市中銀行が商社保証の形で精糖メーカーに融資した、こういうことを仄聞しておりますが、事実かどうか。
  194. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 精糖企業が資金繰りが非常に苦しかったので、一般的にもでありますが、特にその時期に日銀の特融が受けられないかという陳情、要望を出したということは承知いたしております。ただ、そのことについて農林省が特別にその日銀等窓口規制についてどうのこうのというようなことまで取り計らったということは、私自身が昨年の十一月に局長に就任しておったわけでございますが、ございません。
  195. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大蔵省の方にお伺いをいたしますが、このとき窓口規制の特別枠で日銀が特に市中銀行に緊急の融資をさせた、そういうことの報告は受けておりますか。
  196. 石川周

    説明員(石川周君) 結論から申し上げますと、そういうことは聞いておりません。もともと窓口指導と申しますのは、物価等の観点から通貨政策として貸し出し総量がいかにあるべきか、どの辺が適当であろうかという、私ども総量規制と言っておりますか、そういう角度から行われる問題でございまして、個別企業に対する、あるいは個別業界に対する個別の融資問題につきましては触れるものではございません。したがいまして、窓口指導におきましてそういう問題が特に議論されたということはもともとないはずのものだと思っております。したがいまして、またそういう報告も受けておりません。
  197. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 参考までに窓口規制の問題について制度的にちょっとお伺いをいたしたいのですか、われわれ一般の民間で銀行にお金を借りにいきますと、よく銀行の方では、要するに日銀の控の規制があってなかなか貸し出しができない、こういう答えが返ってきます。そういう経験のある方というのはたくさんあると思います。一体、この窓口規制というのはどういうものなのでしょうか。
  198. 石川周

    説明員(石川周君) 日銀が行います窓口指導は、日銀と市中銀行との間の話し合いで行われるものでございまして、景気あるいは物価情勢などから見まして適当と思われます貸し出し総量を規制、コントロールしていこうというものでございまして、各銀行はその範囲内におきましてどのような融資を行っていくかをみずから判断し選択していくことになりますので、一つの貸し出し枠の中におきまして取捨選択が行われることはあり得るわけでございまして、その際にやはりお断りするというような融資もあり得るわけでございます。ただ、問題になっております五十年あたりから今日までは、むしろ金融としては緩和基調でございまして、そういう問題が起こりますのは引き締め期でございます。五十年以降は引き締めということよりはむしろ緩和期、窓口指導の貸し付け枠もかなり精いっぱい大きなものを、各行の希望通りのものをじっと注視しながら見ているという状況でございまして、五十年以降におきまして枠がないからということでお断りするケースはまずないのではないかと思っております。
  199. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 相当実は確度の高い雑誌の中で、日銀の窓口規制に特別枠を設けて、市中銀行が商社保証の形で精糖メーカーに融資をした。これが現在も手形の書きかえ書きかえという形で大きく残っていて、そしてそれが商社の精糖会社系列化にさらに拍車をかけ、商社間の砂糖乱売競争に発展していく大きな引き金にもなったというようなことが書かれておるのですが、そういう事実がないとすれば、それらについてはまたさらに私の方でも調査をし直したいと思っております。  そういう点で、今回の法律案が出されてきたのが十月の二十五日の閣議決定で、きわめて大忙しで審議が進み、この臨時国会で決着をつけるというふうになってきておるのは、やはり豪州糖の問題との間に何らかの相関関係があるというふうに先ほど坂倉委員も申しておりましたが、その関係につきまして、たとえば豪州糖の契約調印か十一月の二十六日というふうに聞いておりますが、それに向けて、この法律を通すことによって業界も楽になるんだからひとつ豪州との協定は泣いてくれというような形での、いわゆる企業に対するおみやげ法案的な行政指導は行われなかったのですか。そういう事実はございませんか。
  200. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) この法律を出すから業界側に泣いてくれというような、そういう形での行政指導というか、業界に対する要請をしてはおりません。  ただ、全般的に豪州糖の負担、そのほかもろもろの経営条件の悪化から非常に業界が苦しんでいる。このことを立て直すということのために考えた問題でありまして、その立て直しが同時に豪州糖の交渉にいい結果をもたらすだろうということは、当時われわれも予測というか考えておったところであります。
  201. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 特に行政指導はしないけれども、このことがいい結果をもたらすだろうと予測はしていたと、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。  もう一つ、実は豪州糖を、どちらかというと物産、商社がよけいに抱き込んだ。そして、それにさらに引き続いて、農林省はナタール糖その他を商社中心に買いつけをするというふうな指導をしておったというふうに承っておりますが、どうしてそれが途中でさたやみになったのか、ひとつお伺いいたします。
  202. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 全般的に、長期安定供給確保のために長期契約をそれぞれの生産国と結ぶようにという一般的な指導はやったわけでございますが、ナタールにつきましても、これは価格は決めておりませんが、数量についての長契は成立いたしております。純然たる民間ベースでもってこれは取り行われているわけでございます。
  203. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、ナタール糖については特別に行政指導はしないけれども、一般的に価格が安くなった中で商社が随時長期契約をやったと、こういうことでございますか。
  204. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) その契約をした時点は、豪州糖と前後してでございますから、価格は高かったと思います。その後、国際価格の変動に従ってその価格で引き取ってきた、豪州糖に比べれば安い価格になっている、こういう事実が残っていると思います。
  205. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、この問題について、前の精糖工業会の会長さんが当時三井製糖の社長さんでしたね。農林省から、精糖業界として供給責任があるんだから長期契約をできるだけするようにという行政指導があったのに、それをむげに断ることもできないので、結局高値原糖の抱き込みをまず会長会社である三井製糖が行わざるを得なかった。そうしてそのことが、巷間伝わるところによりますと、死期を早めたというふうにも業界の中で伝わっております。そのために、その後の会長は皆さん非常に敬遠して、いろんな都合でぐあいが悪い、ぐあいか悪いと言って針のむしろには座りたくないという形のささやきが業界内部ではあり、次の会長が非常に難航したというふうに承っておりますが、そういう話を聞いたことございませんか。
  206. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 亡くなられたその先生のおっしゃられた方がどういうことを言われたかということを私存じませんが、精糖工業会がなかなかまとめにくいむずかしい業界であるということから、なかなか会長を引き受ける人が出てこないというのは、今日においても事実でございます。
  207. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これらの一連の流れの中で、今日の砂糖業界の混乱その他について政府としては全く責任かないと言い切れるかどうか。その点を、ひとつ農林大臣から御答弁を願いたいと思います。
  208. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今日の精糖業界経営の逼迫、この問題につきましては午前中からるる御質問があり、また、私並びに局長から御答弁を申し上げておるとおりでございますが、確かにこの資源問題がやかましくなりました時代に、当時、政府としては、砂糖だけでなしにいろんな資源の長期的な安定確保ということについて業界指導したと思います。また、業界におきましても砂糖の当時の国際価格の高騰等から、豪州糖等について長期の契約を結ぶ。また、豪州側からも長期の展望に立って日本長期の契約を結びたいと、こういうこともあったことは、十分現在でも私ども想像ができるところでございます。  そういう面で、政府が資源の安定的な確保ということで了解をしたと思いますが、しかしながら、実際の固定されたところの価格等の問題につきましては、これはまさに商業的なベースの上に立っての判断によるものでございますから、政府価格まで介入をしてやったものとは私は推察をいたしていないところでございます。その後、国際糖価の低迷あるいは一時高騰を見越して設備の拡張をやった。また、業界においては過当競争も行われたというようなことが、今日の精糖業界の極度の経営不振、こういうことをもたらした原因であろうかと思うわけでございます。  さらにまた、そのために一部中小精糖企業におきまして倒産等のお気の毒な事態も発生をした。これがひいては雇用問題にも直ちに影響しておる、こういうようなこと等を総合的に判断をいたしまして、それにはまず業界過当競争、過剰な設備の合理化の問題、さらにそれを改善をいたしますためには、需要供給のバランスがとれるようにやってまいる必要があるというようなことで、今回の糖価安定事業団の機能を過渡的にいま一時的に改正を加えまして、そして需給の均衡が保持できるように、そして極度のコスト割れの状況にありますところの精糖企業経営の改善も図る、これがひいては消費者に対しましても、安定的に量及び消費価格についても将来にわたって安定供給を図るゆえんである、こういうような観点に立ちまして今回の法律案の御審議をお願いを申し上げておる、こういうことでございます。  私は、政府が直接価格面について、長期契約について国定的な価格について介入したとは思っておりませんが、しかし、何といっても食糧の問題で国民の皆さんに責任を負っておる、さらにまた、国内の甘味資源生産農民の方々に対してもやはりこれを守っていくという責任があるわけでございますから、そういうような立場から行政の責任において今回のような改善措置をとると、こういうことにいたした次第でございます。
  209. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 要約いたしますと、価格決定についての責任はないけれども全体の流れとしての業界今日の混乱についての政府としての政治責任は感じておると、こういう御答弁と承ってよろしゅうございますか。——  それで、大蔵それから農林の御当局の方に申し上げたいと思いますが、いま枠の問題等についてはそういうことで動いたことはないというふうにおっしゃいました。これは日本経済新聞の宮内さんという記者が署名入りで書いておるのをひとつ朗読いたします。「昨年秋、業界団体である精糖工業会が、水野忠夫会長の名で大蔵・農林両省、自民党」とあるんです。これは自民党はさっきは私は遠慮して抜いたんですが、「自民党などに六〇〇億円の日銀特別融資の実施を申し入れたときの、業界の窮状を切々と訴えた」文章がここの前段にあります。そして、「これを受けた大蔵・農林両省は、日銀特融は現状では困難だとしながらも、日銀の窓口規制に特別ワクを設け、市中銀行が商社保証の形で精糖メーカーに融資し、」云々と続いておるんです。  それから、同じことが別な角度で、これはちょっと名前はあれですが、これも署名入りで精糖業界の関係者が同じ雑誌の中に、「このような状況下で、精糖業界は局面を打開するため、政府に対して日銀の特別融資枠の設定を要請し、オーストラリア糖の長契による原糖輸入の繰延べ、他ソースの既契約分のキャンセルなど種々な対策を講じたが、日銀の特別融資は不可能となり、これに代って農林省が関係金融機関に融資を斡旋することになった。」と、それぞれ相当責任ある人たちがこういうことを文章にして残しております。ですから、局長さんが全く知らないことが農林省のどこかで行われるということは私はあり得ないんじゃないかと思うので、再度ひとつその点についての御確認を願います。
  210. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 私、先ほど精糖企業が資金繰りが窮迫しているので、その問題も含めていろいろ資金手当てについて要請をしたということは承知しているということを申し上げました。ただ、日銀の窓口規制がどうのこうの、ましてや特融がどうのという話については、特に特融の問題については問題にならないというふうに初めから考えておりました。その話は聞いたことはございます。そういう特融とか窓口規制については承知していないと、こう申し上げたのでございます。  むしろ、金融の問題はそういうことではなくて、個別に本当に困った企業がありますというと、私の方にも何とかならないかというその個別企業からのいろいろ相談がございます。ですから、一般的な制度とか何とかの話じゃなくて、個別にそういう問題があるならば、それは私の方もできるだけお聞きしましょうということで一般的に対応して、これは今日でもそうでございますが、しております。そうして要請があれば商社なり金融機関に事情を聞く、そういうことによってめんどうの見られるものは、めんどうを見られるなら考えてやってくれという個別の話をしたことはございますが、一般的な制度で考えるとか、そういう手当てを特にやった覚えはないと、こう申し上げたわけでございます。
  211. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これは個別ではないのですよね、この文章から見ると。精糖工業会の会長がるると業界全体の窮状を訴えて、農林当局に対して特別枠できないか、それはできないということなので、さらにあっせんしたというふうなことについては、個々ではなくて業界の全体に対してじゃないんですか。こちらの方が間違っているのかもしれませんですよ、日本経済新聞の方の方が。だけれども、いま局長さんの言われたように、それはときどき来られれば物は相談で乗ってやるというていのものとはちょっとここに書いてある文章の意味が違いますので、もう一遍ひとつそこら辺を。
  212. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 工業会の立場として全体のことを要請したのかもしれませんが、私どもとしてはむしろ精糖企業の融資問題というのは一律の問題ではない。むしろ商社が短期融資についてはかなりつないでいるという実情がございますので、商社とのつながりの低いところは金融機関との話がなかなかうまくいかないという個別ケースが出てくるということを、むしろ現実の問題として受けとめておったわけだし、現在でもそう考えておるわけでございます。そういう観点から、全体的な制度的な融資を考えるとかなんとかということは適当でない。むしろ個別問題があれば、まさにその話が持ち込まれたときはそれなりに話も聞くということで対応してまいったわけでございます。新聞にどういうふうに書かれているかそれは私存じませんけれども、まさに私の申し上げているとおりのことしか私どもとしては行っておらないわけでございます。
  213. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実はこれをしつこく聞くのは、どうもこの委員会のこの場の答弁だけ済めば済んでいくのではないかというふうな感じをお持ちになっているんじゃないかと思います。というのは、先ほど坂倉委員がそれぞれのメーカー、精糖企業別の溶糖実績、これは企業秘密だからなかなか困難だとおっしゃいましたね。私、これを持っているのですよ。こういうふうにどこへでも出るものが、局長企業秘密で困難だということがありますか。読み上げましょうか、これ。全部ありますよ。どうしてああいう答弁になるのです。その場逃れの答弁としか思えないんですがね。どうなんです、一体。
  214. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 私、個々の企業設備能力、稼動日数、これらは一つ一つ調査して調べれば、新聞社なりあるいは調査機関はそれは察知し得るところかもしれませんが、役所が全体として調査して並べたものを公にするということはこれは問題であるというふうに考えております。その意味で、企業としては一番大事な秘密であるからこれを公開してもらいたくないというふうに考えるのは一般的なことであろうかと思います。先生がその資料を、どういうものをどういう形で入手されたか存じませんが、やはり企業としてみれば、横並びでもってその設備能力なり溶糖能力なりあるいは稼働日数を人目にさらすというのは、これは耐えがたいところではなかろうかと思います。
  215. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これはそんなにめんどうな調査をして手に入れたのではないんですよ。一般的にもさらっと手に入るものなんです。これは恐らく農林省だってあるでしょう。  それから、きょうは大蔵の方、実は消費税の方呼んでないので、ちょっと関税の方なので筋違いになるかと思いますが、私のところではワインをやっておりまして、これはやっぱり酒税の関係、税の関係になるんです。そうすると、稼働日数、それから実績、原価計算、全部それは大蔵に出しますよ。それから、砂糖もこれは消費税の対象になっているんです。大蔵の方どなたか——ちょっと隣の課のことですが、こういうものは恐らく出しているというふうにお思いになるでしょう、消費税を取る段階で。
  216. 勝川欣哉

    説明員(勝川欣哉君) 大変申しわけありませんが、私は関税局であるものですから、国内税のことはちょっと承知しておりません。
  217. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 関税でも隣の課だから、関税の方だって、大体同じようなことをおやりになると思うんじゃないですか。一般論としてお答えはやっぱりできませんか、隣の課じゃ。  これは、恐らく消費税の方では全部押さえていると思います。税をかけられないですから、そうじゃなかったら。そうですわね。そういうどこにでも資料のあるものを、なぜ先ほどのような御答弁になるのか、ちょっと私、理解に苦しむんですよ。それは一般に出るのは平気だけれども政府としては発表できないというふうにおっしゃられますけれども、少なくとも国会で、委員会坂倉委員がそういうことを聞いたのに対しては、これはちょっと違うんじゃないですか、一般に報告するというか発表するのと。どうなんです、一体。
  218. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 税だとかそのほか実績、そういった問題について公に整理したものがある、これが公刊されることも間々あるかと思います、具体的に個別には存じませんが。そういうものが公表されることは私はあり得ても、役所か設備能力をいわば一種の想定計算を行って算定をするという場合に、これは使い方によってはいろいろ弊害ももたらしかねないという意味で、企業秘密に属するということを申し上げたわけでございます。  ただ、確かに先生おっしゃられるように、国会の場で聞かれましたときに、私それを、およそあらゆるものを秘密にするというようなことでなくて、川村理事からもお話ありましたときに、坂倉先生の御趣旨にかなうように、そこを整理して資料として提供いたしますという意味のことを申し上げたはずでございます。後ほど坂倉先生と打ち合わせさしていただくということで、資料を絶対的に出せないということを申し上げたわけではないので、御理解いただきたいと思います。
  219. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 絶対的に出せないというふうなことでないことは、川村理事からの指摘によって答弁が変わっている。その前段では企業秘密に属することなのでなかなか不可能だとおっしゃいましたでしょう。私の言っているのはそこら辺を言っているんですよ。どうしてこういう簡単なものもそこまで言われなければ出せないことになるのか。ですから、そういう意味では、それは新聞社の方が間違っているかもしれません。新聞社の記者の方のが間違っているのかもしれませんけれど、どうもそういうことはない、そういうことはないと言っているけれど、実際にはあったんではないかなというふうな気がするんです。何かありましたら、どうぞ。
  220. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 私の資料の扱いについての姿勢を問われているようでございますので重ねて弁明さしていただきますが、私自身は、確かにその企業秘密にわたるようなことをずらずら並べてということは問題があるのではないかというふうに考えました。しかし国会でのお尋ねでもございますし、それから個別に、ある特定企業のことについてのお尋ねはそのとおり数字をお答えしたわけでございます。  なお、そのほか、比較について、資料についてどうかということを追加的に川村理事からお尋ねあったものですから、それは質問された坂倉先生とも相談してみよというような御趣旨でもありましたので、相談してお出しするということを申し上げたわけでございます。企業秘密は確かでございますが、およそ出せないということを初めから申し上げておったつもりではございません。
  221. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 わかりました。こんなもの企業秘密でも何でもないんですから、出ているんですから、余りそういう点ひとつ……。  先ほど大臣の御答弁で、政府としても、ある意味での業界混乱の政治的なことについての責任は感じているということなので、第一点の問題はこれで終わらしていただきます。  第二点。これがビートやあるいはサトウキビの沖繩その他における生産者に対してどういうふうなメリットがあるのかということが、いままでの説明の中では余り実は明確になっていないんです。その点についてひとつ大臣にお願いしたいんですが、この法案で、事業団がある程度の余裕金を持った場合に、たとえば現在の仮定計算で、百七十五円を百九十五円にして二十円上がった場合に、ビートの生産価格はどの程度上げられるかという試算をなさったことがあるかどうか。よく福田総理が使う願望では困るので、そういうことがきっとあると思いますので、何かなければそういうことが提案理由説明の中に出てこないと思いますので、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  222. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この提案趣旨の中で国内甘味資源の農家の安定にも寄与するということを述べておるわけでありますが、もうこのことは申すまでもなく、精糖業界がこのような極度の経営難に陥っておる、生産コストを大幅に下回るような状況にあるということからいたしまして、その原料の生産に当たっておりますところの北海道のてん菜の栽培農家あるいは鹿児島県、南西諸島の方々、沖繩のサトウキビの生産農家、この方々が常に不安に追い込まれておるわけでございます。自分たちの生産したものについて、糖価が低落するためにやはり価格の面にも悪い影響があるのではないか、こういう問題もございます。  それからまた、最低生産基準価格の上に農家手取り価格というのが御承知のようにあるわけでございまして、サトウキビの場合におきましては、砂糖企業の方からこれを交付するというようなことにも相なっておりますが、こういう点にもまた悪影響をもたらすことは御承知のとおりでございます。政府としましては、そういう場合におきまして政府みずからがこれに対するところのいろんな手当て等をいたしまして、そして農家の手取りを確保するように努力をいたしておるわけでありますが、そういう意味合いからいたしまして、この精糖業界経営が安定をする、こういうことがひいては甘味資源生産者の方々の不安を解消することにもなり、また今後栽培したものが値下がり等しないような、そこから明るい展望も出てくるわけでございます。そういう意味で、私は今回の法律というものが国内産糖にもいい影響をもたらすものと、このように考えておるわけでございます。  それを具体的に、それならば今回の措置によって精糖の際におけるところの標準生産費を確保するということになれば、そのメリットがどれだけ価格の面に反映をするかと、こう直接的にそれを短絡的に私はなる問題ではないと、こう思っておりますが、そのような条件、基盤というものがしっかりしてくれば国内甘味資源の生産にも好影響をもたらすものと、このように考えておる次第でございます。
  223. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、まだ具体的にどのようにそれらが生産者に対して利益をもたらすかというふうなことを詰めてはいないというふうに承ってよろしゅうございましょうか。
  224. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 生産者に対するメリットが具体的にどれだけあるかということでございますが、これは実は関係としては国内糖の生産企業を通ずる間接的なものとまずなることが一つございます。それから、むしろメリットがあるというよりは、デメリットになることがいろいろ出ておりますが、これを防止し得るというふうに効果としては考えているところが主でございます。  若干御説明申し上げますというと、北海道の場合はビート糖でございます。かつてビートの収支が比較的よろしかった時期は、政府の最低生産価格に加えて企業が奨励金を出しておったということがございます。ところが、これが企業の収支が悪くなって出せなくなる。そこで、しかし従来から出しておった実績は、これはその生産者の立場からすれば手取り額じゃないか、手取りは保障さるべきだということで一部政府が肩がわりした経緯がございます。それがだんだんに企業がどうしても収支が償わない、そういう奨励金を出す能力がつかないということで、本来出すべき性格のものではあるけれども企業自身がその能力がないということで、今日では、先ごろ五十二年のビート糖の価格、それからビートの価格を決めましたが、そのときに政府がその奨励金を全額負担するという形になったわけでございます。  そういうようなことで、企業自身が出しておった奨励金も収支が悪くなればこれは切らざるを得ない。なぜ収支が悪くなるかと言えば、ビートはこれは正当なコスト価格で売りたいのでございますが、輸入糖の製品価格が著しくコストを下回っている状況にありますというと、そう心がけても売れない、ビート糖自身をやはりコストを下回って売らざるを得ない、そういったことから企業採算が悪化して、生産者にも奨励金を払っておったようなものも払えなくなる。それから、これは若干先のことを心配し過ぎと言えば心配し過ぎでございますが、ビート糖が本当に立ち行かなくなりますというと、かつて青森県でありましたけれども、工場閉鎖というようなことにもなりかねない。そういう場合には、その付近でビートを生産しておった農家から買い取ることができなくなって作付体系にも変化や影響が起こり得る。やはり生産農家の安定ということは、ビート糖企業の安定を通じて図られるというふうに考えております。  それから沖繩の場合は、これは粗糖原糖生産するわけでございます。生産者からきちんとした価格でもって、最低生産価格でもってキビを買い、これを加工して原糖にして売るわけでございますが、これを精糖企業に売る場合に、精糖企業が、輸入精製糖価格が著しく低いときは国内原糖だけを高く買うわけにいかない、コスト見合いできちんと買うわけにいかないということで、これまた買いたたくということになります。この買いたたき問題がここのところ数年続いておりまして、私どもとしましても、正当なコストを配慮すべきだということを言うわけでございますが、肝心の企業そのものが、自分の製品がまともな価格で売れないという状況のもとでは、なかなかそう言っても経済の問題がございますから、買いたたきがやまないということがあったわけでございます。これをやめさせる、そして沖繩のやはり原糖メーカーをきちんと成り立つようにしていく、そのことによって間接的にやはり沖繩のキビのメーカーを保護していくことができるというふうに考えているわけでございます。
  225. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私、先年沖繩に参りまして、いま基盤整備をやって、できるだけ横ばいのヘクタール当たりの収穫をふやすというために農林省は努力しておるということでございますが、これは園芸局長は沖繩へ行ってごらんになったことあると思いますが、昔と違って、最近、一遍植えたらもう毎年自然に生えてくるのをそのまま刈っているという農家がふえているのを御存じですか。
  226. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 沖繩におきます種苗を、理想的に言えば二、三年に一遍は新しいものを植えかえるということが高い生産力を維持する上に必要でございますが、先生いま御指摘のように、新植面積も必ずしも十分だと言えない。その中におきまして、しかも優良品種の供給率、更新供給率もこれは低いという実態がございまして、種苗面におきまして問題があるというふうに思っております。
  227. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それから北海道のビート糖の問題につきましても、いまの所得を保障する、生産費を保障するといいましても、少なくともこの二十年に平均反収が二倍以上上がっているんです、北海道全体としての。そしてもうドイツを凌駕するくらいなところまでいっています。ところが、平均反収が上がれば上がるほど、いまの政府の試算の方式でいうと生産費は安くなるから、値段は上げなくてもいいことになりませんか。それがビートの反別がふえない理由一つになっているとうふうに思いますが、いかがですか。
  228. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) ビートの価格は糖安法の規定に基づきまして決めるわけでございますが、決め方の基本はパリティでございます。パリティの伸びを基準にして生産費とか物価とかその他の事情を参酌して決めるということになっております。その意味では、生産性が上がったからといって、生産費が安くなったからといって、それを価格に直ちにはね返すというような形では算定いたしておらないのでございます。
  229. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そのパリティ指数のとり方なんですが、どうも適当な例ではないんですが、一番わかりやすいのでもう一度言わしてもらいます。  昭和三十二年から約二十年間に農林大臣の俸給が二・九倍になっているんですね。その間にビートの価格が二・三倍にしかなってないんです。これは一体どういうパリティです。それから、公務員の初任給もその間に約十倍になっているんです。ですから物価だって上がっています、それに引きつれて。その中でどうしてそういうのだけが、それでパリティの指数という計算が出てくるんでしょうか。
  230. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 俸給なり給与水準なりとの対比がどうかということは、実はここに持ち合わせておりませんので後ほど検討させていただきますが、そういったものとやはり農産物とは性格が違う点があると思います。むしろ農産物、農家の生産費あるいは全体の支出と物の価格との関係を安定的に保つためという、経済情勢を総体として反映するためということで現在のパリティ方式が採用されているわけでございます。その意味では、私ども経済の変動、推移というものを農家の総支出の点でとらえて、それを反映し得ているものというふうに考えているわけでございます。
  231. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実はこれは逆な数字にもなるんですが、同じ昭和三十二年から、当時西ドイツのビートの生産価格日本円に直すと大体六千円ぐらいで、五十年でも八千六百円なんです。余り上がっていないんです。しかし、西ドイツでは国内砂糖の自給度というのは、日本とは比べものにならないほど国内産糖で賄われているということは御存じでございましょうね。どうしてこういうことが起こるのか。これは給料が上がり物価が上がるのに、日本の農産物は同じように上がっていかないからじゃないんですか。そう思いませんか。思うでしょう。
  232. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 私、西ドイツの生産事情価格動向はよく存じないのでございますが、やはり基本的には経営規模、生産性全体の差というのがやはり基本にあるのではないかと思います。価格自体だけが直接生産増加、振興の動機といいますか、基本だというふうには考えておりません。
  233. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私は、西ドイツの農家に実際に泊まって歩いてみたんです。経営規模も北海道のビート生産農家とそんなに違いません。だから、経営規模ということはないと思います。ですから、問題は、西ドイツは前大戦の後非常なインフレで困った経験があるので、極度にインフレに対しては素早い対応で対応策をとっておると、日本は何となくなし崩しにインフレ政策をとってきている。その中で農産物価格、特にそういう面について政府価格を決定するビート等においてさえも同じように上がってない。ですから、今回のこの法案に対して北海道の農民は非常な期待を持っているんです。私のところへもそういうことで何人も来ております。少なくともこの中で、てん菜やサトウキビの生産農家所得確保の面で少なからぬ不安を与えていると、それを取り除くためにも必要なんだと言うんなら、願望でなくて、二十円上がったらどうなるんだというぐらいなことは事務当局として試算してみる、そういう思いやりかあってもいいんじゃないでしょうか。どうなんですか。その点が私はっきりしないので、どうも解せないんです。
  234. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 農家の生産物、この場合ビートでございますが、その最低生産価格は、これは市況とは一応遮断してまさにパリティ方式によって算定され、その点は確保されているわけでございます。こめ水準自身は、いつからこれを基準に考えていくべきか、いろいろ比較の仕方はございますが、たとえばここ五年ほどとってみますというと、四十八年に農家手取りでトン当たり八千五百六十円であったものが、五十二年、ことしの手取りは一万八千百二十円ということで、この点では二倍以上に上がっているという実績がございます。もちろん、農家の手取り水準をパリティだけでなく先ほど申し上げました奨励金で見た、しかも奨励金を当初企業が見たものを、政府がその後実績尊重ということで価格扱いの中へ取り込んだということでございますが、このように価格自体でもそれなりの配慮はしてまいっているつもりでございます。  今回のこの法案によりまして精製糖企業経営条件がよくなるということは、国内産糖のメーカーの経営条件がよくなる、そのことは間接的にさまざまな形で、ときには目に見えないような形で第一次生産者であるビート農家あるいはキビ農家にいままで及んでおった悪影響を排除できるという、一般的な意味で申し上げたのでございます。価格に直接すぐ何円メリットが及ぶというような関係ではございませんので、この点、ひとつ御理解いただきたいと存じます。
  235. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は話が逆なんです。ビート糖あるいはサトウキビ、たとえば北海道にビート工場をふやすときに、一社しかなかったんです、工場は三つありましたが。それを急激に国内の甘味資源の自給体制を強めるということで、当時の計画では四〇%というふうに思っております。それがいつか三〇%になり、先ほどの農林大臣の話ですとまた二八%に、いつどこでそういうふうに落ちたのか私はわからないんですか、それにしてもその工場をつくったときの趣旨は、国内の自給度を高めるということと同時に、寒地農業の確立という、農家の経済なり経営をよくするということが目的であって、そのためにビート工場をつくるんだということだったんです。国内産糖が外糖あるいは精製糖工場の影響を受けてそれが安定すれば少しよくなると、そうすれば生産者農家もよくなるなんというそういう逆の論理を、一体いつから農林省は使うようになったんですか。
  236. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 私、農業生産の振興対策、それからビート等の価格の政策の面におきましてこれは基本的な配慮は当然いたしておりますということを前提にして、しかしそういった政策をせっかくとっておりながら、精糖企業が業績悪化するためにそこのところが損なわれかねない、その悪影響を防止するという意味で申し上げているわけでございます。積極的に、直接このことによってビートあるいはサトウキビの生産者に、すぐ経済的な効果をプラス幾らというような形でもたらすという性格のものではないということでございます。
  237. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、そういうふうなお話の仕方をされると、古い話でもどうしてもまた言っておかなきゃならなくなるんですよ。この前も申し上げましたように、政治的な意図でもって経済べースに合わないところでもつくったというそういう発表を、これは文藝春秋を特に持ち出すのは、文藝春秋というのは内閣がかわるような非常に大きな問題も取り上げて、確度が高いので文藝春秋を私持ち出すんですが、その中で政治的な配慮で工場をこしらえたということを言っているわけですよ、当時の要路の方たちが。もともとビート工場なりビートの生産というのは、そういう精製糖とは別の一つのジャンルで保護され、経済のベースだけでない立場政府がおつくりになったんでしょう。そのことをいまになったらいつの間にか忘れて、とにかく国際糖価であるとか、国内砂糖価格がどうだとかと、こういうことにすりかえて責任を転嫁するというふうなことはもう非常に遺憾だと思います。この点についてはまた別な機会に御質問申し上げることにいたしまして、時間もございませんので次に進んでまいりたいと思っております。  労働者に対する配慮については、衆議院の農林水産委員会附帯決議で、十分考慮するようにということが行われております。私はどうも新人議員でよくわからないんですが、附帯決議の法的な効果なり拘束力は政府なり行政当局に対してどの程度あるものなんでしょうか。これは農林大臣ひとつ。
  238. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国権の最高機関であります国会の決議でございますから、行政府としてはこれを最大限に尊重いたしまして、その御趣旨に沿うように努力をすると、これが私は国会の決議並びに決議を受けましたところの行政府のあるべき姿、また責任である、このように心得ております。
  239. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 局長にお伺いしますが、附帯決議が行われてから、二十日くらいたちますか、十五日ですか。その後、労働問題等についての御調査なり対応する対応策というふうなことについて、具体的に何か形、行動の上で農林省として取り組んだことはございますか。
  240. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 精糖企業、まあこれを全体を束ねているといいますか、組織している団体として精糖工業会というのがあります。中にこの構成メンバーになってない会社もありますが、一番中心になる団体であると考えております。これに対しまして、これら雇用の問題も含めて、経営問題全般をどのように今後相談していくか、一遍とにかく話し合いの機会を持ったらどうかということで、これは十一月九日であったと思いますが、その話し合いをさせるようにしたというようなことがとりあえずとった措置でございます。  ただ、ここに書かれておりますところの体質改善云々の話等、それからその実施に際しては雇用の不安につながることのないよう万全の指導を行うということ、これはまさにこれから若干の時間をかけて業界と話を進めていくことであろうかと存じております。
  241. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実はこの法案では、いわゆる三〇%グループ、一〇%グループ、それらの企業間の格差というものは解消いたしませんですわね。そうしますと、これによっても三〇%グループを中心にして非常に赤字が出るところと、あるいはまたそうでないところ、大体昨年九月の状況でございますか、中間決算の段階で、原糖コストが安い日新製糖がキロ当たり百八十九円、それから高い塩水港が二百三十五円というふうに、四十六円の差があるわけです。この差というのは、現在においてもやはり依然縮まらないでしょう、この法案では。どうですか。
  242. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 日新もかなり豪州糖の負担が多いわけでございますし、ちょっといま先生仰せられた数字の差は大き過ぎるようにも思うわけでございます。ただ、企業によって豪州糖の負担の大きいところとそうでないところはかなり格差が残っているということ、これは事実でございます。それから、政府が直接その格差を縮めるということ以前に、豪州との価格改定交渉におきましてこれをまけてもらう、そのことによって縮めるということが本道だと考えたわけでございます。その意味で業界もその交渉をいたしましたし、政府もこれをバックアップして交渉に力をかしたわけでございます。  その結果、先ほども申し上げたところでございますが、価格について若干の値引き、それから引き取り方について、三年間で残り数量全部というのを四年間に薄めるというようなことを行って、この面での単価の格差はかなり縮まってきているわけでございます。それから、政府の糖価安定制度上徴収いたしておりますところの調整金、これについても国内産糖よりも一時は高かったわけでございますが、高いようなそういう豪州糖から調整金を徴するというのは本来の趣旨に矛盾するのではないかということで、その徴収を免除したという経緯もございます。それらのこともあり、さらに今回こういうことで平均価格水準を維持できればいままでの出血赤字ということについては相当程度改善される、それ自身豪州糖格差もかなり縮められるというようなこと等もあって、まだ若干しんぼうを要することではありますが、ここ三年あるいは四年のうちには、それらの問題も何とかこなしていけるというふうに考えているわけでございます。
  243. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いまの国内の混乱、市場の混乱、非常に安値、これらは伝えられるところによると、物産、商事あるいはその他の商社との間におけるシェア競争だということを言われております。また、事実そういうふうに見える節もたくさんございます。ですから、この法律が通る前に徹底的にたたき合ってどちらが食うか食われるかという、いわゆる自由主義経済の原則に基づいた競争が行われておったと思うんです。そして今日の事態になった。そうしますと、今度はこの法律で一応そこのところが安定しますと、次に来るのは過剰設備と、先ほどから局長さんの言っておられた企業内での合理化が始まる。そうすると、当然人員整理に入ってくるわけです。その点について労働省からお見えになっている方がおると思うんですが、実は一方で、そういう大手の精糖会社のそういう状態で大変乱売競争が続いて赤字がどんどんどんどんふえている。しかし、小さなメーカーで意外と現在の糖価でもやっていけるという小さい工場を私たち聞いておるんです。このことについては局長さんはどうお考えになりますか。
  244. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 確かに仰せられるように、必ずしも規模の大きいものが有利な生産を行っているというふうには限りません。規模の小さいものでも、これはまあ豪州糖の負担の大小ということも一つ影響しているかと思いますが、やはり買い方のうまい下手、それから装備の老朽であるか新鋭であるか、それから雇用といいますか、就業形態がどうであるかというようなことによってかなり収益性に差がございます。中小の中ではむしろ相当実績を上げている、赤字を出さないで済んでいるというようなものも一部ございます。
  245. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 労働省にお伺いしますか、そういう中小の小さな精糖会社の雇用条件や労働条件等、おわかりになりましたら、ひとつ御説明願いたいと思います。
  246. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 精糖業の全部の企業については詳しく承知いたしておりませんが、私どもは労働基準監督機関を通じましてつかんでいる状況で申し上げますと、特に中小企業の場合には交代制勤務が多いとか、それから賃金について、これはまあ業種によっての違いがいろいろございますから一概に比較はできないということと、かつ男女構成比も企業によって違いますので一律には申し上げられませんが、平均的な平均給与よりは低目になっておるという状況でございます。
  247. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そこで局長さんにお尋ねをもう一回いたすんですが、いま精糖工業会を通じと言っておりましたが、実は精糖工業会に入ってない日本製糖協会とか、あるいは全国精糖協同組合、こういう本当に二十人、三十人、多くても百人に足らないような小さな工場に対するそういう今回のこの措置、そしてそれに基づく原糖の割り当ての縮小、そしてそれによって生ずる人員整理、こういうふうな問題について御配慮はどのように考えておられますか。
  248. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 精糖工業会、それから協会、協同組合それぞれ構成員の構成する団体があるわけでございます。特に、大手だ、中小だということで制度的に差か設けられているわけではございません。運用の段階で個別のやはり割り当てといいますか、過去の通常年の実績を仮に上回っての売り渡しが行われた場合、その売り戻し規制をどう実行上動かしていくかという段階におきまして、それは個別の状況を見ながら私どもは配慮していくということになろうかと思います。その場合、一般的な考え方としては、やはり大手よりは一般的には中小の方か経営条件は厳しい。中には非常にうまくやっているところもございますけれども、そういう厳しい条件を考えて、中小が困らないように配慮していくということが必要だろうというふうに考えております。
  249. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 関連。  いまの問題に関連をしまして、ちょうど一カ月ぐらい前になると思いますが、局長は労働組合関係の方々と衆議院の第一議員会館の方でお会いになりましたですね。あのときの会議を傍聴させていただいたわけですが、そのときに大変重要な局長発言を私耳にしているわけであります。その一つは、局長精糖業界に従事をしている労働者の雇用問題ですがね、全部挙げても六千人程度。したがって、この雇用問題については、六千人ぐらいの労働者の雇用問題というのは全体の雇用の問題の大きなウエートを占めないのだという立場の意味の発言があって、これは大変なことを局長は言っているなという印象を私自身も受けました。労働組合の側からも、それに対して多くの問題が提起をされたんですが、そうした物の考え方というのは、いままでずっと一貫して言われてまいりました言うならこの精糖企業に働く労働者の立場、あるいはこれからこの法案、あるいはこれからの流れによって切り捨てられようとする企業の労働者の問題、こうした問題に基本的にいま申し上げましたような考え方があるとするなら、私は大変なことになると思いますので、その点についてひとつ局長、明確に、私の認識が間違いなら間違いで結構でありますが、そうしたことについて誤解をもたらせないように、明確に御答弁いただきたいと思います。
  250. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 組合の方と私の立場でもって何遍もお話し合いをしております。大ぜいの方を集めたときの話もありますれば、代表の方々とひざを交えて長時間話したということもございます。その間、そういう話し合いを通じて相互にそれなりの立場、お互いの考え方というのは相当程度理解し合えたと私は思っております。  そこで、大ぜいの方を集めて、先生にも傍聴いただいたその席の発言でございますが、私、企業に雇用されている人間の数として六千数百だということを申し上げました。この意味は、別段先生がおっしゃるようなそんな他意があっての話ではなくて、一般的に雇用問題が非常に深刻になっております。そして、離職者対策そのほか全体としての雇用対策、むしろ大規模な失業者が発生することをある程度念頭に置いての手当てというような意味で雇用対策が論じられている。しかし、そういう全体のスケールの中で見るほどの話として六千人というのはそんな大きなウエートではないということを申し上げましたけれども、これは、むしろ大量に失業が出るということを前提にする議論をしなくていいのじゃないかという意味で申し上げたのでございます。  それは、まさに個々の企業がどのように体質改善を図っていくか、その中で、私は全く設備の合理化ということが生産性を向上する上でないとは思いませんけれども、そのことが雇用にどうつながっていくかということ、これはむずかしい深刻な問題でありますけれども、個々の企業判断においておやりになる、企業努力が当然期待される、そのときに雇用問題か特に深刻になるような形でもってそれを進めるということは役所の方も強制するものではないという意味で、おとりになった方はどういう意味でおとりになったかわかりませんが、そういう意味で申し上げたつもりでございます。むしろ、雇用の問題については、先ほど来御引用いただいておりますが、衆議院の答弁におきましても、それから附帯決議をちょうだいいたしましたその経緯におきましても、役所の考え方はわりあいと詳細申し上げたつもりでございますので、その点で御理解いただきたいと思います。
  251. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どうも時間が足りなくてあれなんですが、非常に小さな精糖工場、いわゆる精糖工業会に入っていないこれらだと、少し減らされても大変なんですよ。大企業のように配置転換するところもないし即首切りにつながっていくという、そうして今度のこの法案によりまして、そういう零細な企業が傾斜配分を受けられるような配慮をするとすれば、これは調整協議会ですか、仮称ですわな、まだできていないようですが、その委員会ですか、そこどやるよりないわけです。ところが、それも先ほどからのお話ですと、まだはっきりどういう形のものにするかというふうなこともどうもできていない。要するに、とにかくそういう事前の準備はまだいろいろできていない面がたくさんあるけれども、法案だけはどんどんと進めたいというふうなことは、どう考えても私たち不可解なんです。  それと、やはりじっくりそういう面をもう少し時間をかけていかなきゃならぬし、実は消費者の問題が残っております。一つには、そういうたとえば三〇%グループ、豪州から買ってくる糖に対して実は関税の暫定措置法の八条の二項を援用して特恵関税というふうなことをやる方法はないのかというふうに思いますが、この点では大蔵から来ている方ちょっと。
  252. 勝川欣哉

    説明員(勝川欣哉君) ただいま御質問のありました特恵関税でありますが、先生御承知と思いますが、特恵関税につきましては、UNCTAD——国際連合貿易開発会議の加盟国である低開発国でありまして、かつわが国について特別の便益を受けることを希望する国にのみ適用されるわけでありますが、ただいま問題のオーストラリアにつきましては、このような低開発国に入っておりません。また、砂糖につきましては、わが国では特恵関税制度を適用しておりませんので、両面の意味におきましても、今回の場合に特恵関税制度を適用することは困難かと思います。
  253. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これはしかし、全くやれないというふうなことはないというふうに理解してよろしゅうございますね、困難だということは。
  254. 勝川欣哉

    説明員(勝川欣哉君) 説明が若干不十分であったかもしれませんが、少なくともオーストラリア糖につきましては、特恵関税を認める国際協定の趣旨からまいりまして、さらに詳しく申せば、低開発国と国際的には定義されておらないので、これに対して特恵関税制度を適用することはできないということであります。
  255. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 あと実は消費者対策の問題が残っているんですが、これは先ほど消費税の関係が出てまいりました。ヨーロッパでも確かに消費税を取っております。しかし、それはほとんどそれぞれの国内産糖の保護という明確な目的を持って消費税を賦課しておるというふうに承っております。日本の場合はどうなんですか。そういう明確なものは何もございませんわね。ここら辺の違い、どう思いますか。
  256. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 消費税は目的税ということにはなっておらないわけでございます。それから、砂糖に関する財源としてはあわせて関税があるわけでございます。これら税源であるということも当然念頭にありますのと、それから国内産糖についてのこれはやはり重要な農産物であるということから保護が重要であるということで、農政上、単品としてはかなりな価格支持あるいは生産振興のための財政負担をいたしておる状況にあるわけでございます。
  257. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 今回、こういう法案を大急ぎで出さなきゃならなくなった背景、これは昭和三十八年に無定見に砂糖の貿易自由化を急遽実施した、そこいら辺に私は遠因があるんじゃなかろうかと思います。そうしてそのために、結局甘味資源の国内自給度を高めるということができなくなった。国内の自給度がもう少し高ければ、あのパニック状態の昭和四十八年、あわてふためいて豪州糖の長期契約などをしないでもじくっと構えることができたと思うんです。それを供給責任という形で業界にも責任を持たして、農林省があわててああいう行政指導をして原料確保に、これは砂糖ばかりではありませんが、全体をそういうことの中に、特に砂糖の場合にはもろに業界がそれをかぶるという形のことが起こってきた根本は、結局は国内の自給度を高めなかったことが直接的には原因。間接的な遠因としては自由化。それで、これはもう明らかに、いろんなことは言いますけれども、いわゆるいまの政府が一貫してとっている自由化促進には逆行する。そこに三年という時限立法にしなきゃならなかった原因もあろうかと思います。そういう点につきまして、通産省の方では一体いまのこの法案というのは、自由化を進めている通産省の立場から見てどうなのか、ひとつお答えを願いたい。時間がありませんから簡単に。
  258. 斎藤成雄

    説明員(斎藤成雄君) お答え申し上げます。  今回御審議をいただいております法律内容というものは、一たん通関いたしました粗糖についての国内需給調整措置ということで行われておりますので、これが輸入制限措置、ガットで言うところの数量制限に当たるものとは考えておりません。
  259. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 結局、いま自由化政策の失敗、ガットに当たらないような形でいろいろやっておりますけれど、要は、この法案そのものは、そういうことの手直しをやらざるを得なくなったところに原因があるんじゃないかと思います。そういう点で、時間がございませんので質問は打ち切りますが、この法案につきましてはさらに時間をかけて検討し、次の機会に消費者対策その他の問題等については譲って、この時間における質問を終わらしていただきます。
  260. 原田立

    ○原田立君 今回の法案についてまず最初にお伺いしたいのは、この法案の立法精神、背景についてでありますが、糖安法の第一条の「(目的)」の中に「国民生活の安定に寄与すること」となっております。この点についての基本的な考え方及び関連して、どういうふうなことを大臣はお考えですか。
  261. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国民生活における砂糖の位置づけ、これは私午前中にも申し上げたところでございますが、今日のように食生活が多様化し、また内容も逐次充実向上を見ておる、そういう中における国民食糧としての砂糖はきわめて私は重要な食品である、このように考えております。したがいまして、これを安定的に国民の皆さんに供給をする、同時に、国内で甘味資源を栽培をされております農家の方々の生産者の立場というものをやはり重視してまいらなければならない、このように考えておるわけでございます。  そういうことを前提といたしますと、今日の精糖業界過当競争、あるいは過剰な設備を抱え、また、流通面におきましても過度の競争を続けておる、こういうようなことで、国内精糖業界経営が、生産費を大幅に下回るというようなことで経営が極度に悪化をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。また、流通面における乱売競争等が、不自然な形でこれが販売をされておる。精糖段階においては経営が悪化をし、放置いたしますれば、一、二の中小企業だけでなしに全体の企業が大変な危機に陥るというような問題、それからそれによって打ち出されておりますところの流通面における混乱、こういうようなことを放置しておきますれば、これは国民の皆さんに対しても、量的にもまた価格の面でも安定的にこれの供給確保を図るということが不可能に相なると私は存じておるわけでございます。  そういうような観点から、この砂糖の問題につきましては、需給の関係を十分図られるような措置を講じまして、そうしてコスト割れというような不自然な、不健全な状態を脱却をさせ、過当競争を戒めて、国民の皆さんに安定的な供給を図る、このことが必要だと考えておる次第でございます。
  262. 原田立

    ○原田立君 国内における消費傾向は、停滞というよりはかなりの減退の方向にあるのが現状であります。一方、精糖業界にあっては、いままでもいろいろと議論されているように、いわゆる過当競争が行われている。このような状況にプラスしていわゆる豪州糖問題が絡んできて、業界全体の経営が一層厳しくなっているのが今日の実態であります。  そこで、政府としては、これらの消費減退傾向業界過当競争などの原因が一体どこにあるのか、十分実態を調査されていると思いますけれども、御答弁をいただきたいと思います。
  263. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 消費動向は、四十八年をピークにその後落ち込みまして、三年ほど横ばいでございます。四十八年を基準に考えますというと、確かに停滞というよりは落ち込みだという評価がいたされますが、最近のここ三年、それから、これからの推移を個々のデータ等を見て考えますと、若干増加が期待できるのではないか、横ばいに幾らか微増程度の気配があるのではないかというふうに思うわけでございます。いずれにいたしましても、過去ずっと順調に消費量が伸びてきた、それが四十八年を境に低下した、しかもなかなか回復できないという事実はございます。  これをどういうふうに考えるかということでございますが、やはり最近の国民食生活変化、それから食生活上における栄養とか、健康に対する家庭の、特にお母さん方の配慮、そういったことから——まあそこまて断定するのはまた早いのかと思いますが、いわゆる甘味離れといったような現象も生じているのではないか。具体的に菓子の消費等を見ますというと、甘いものよりも甘くないもの、それから同じ甘いものの中でも甘みを抑えたものが出るようになっております。そういう一般的な嗜好の変化、栄養、健康上の配慮等から、甘味のとり方が一時より低くなったのではないかというふうに考えられます。  それから、過当競争、この原因はどこにあるかということでございますが、それは、そういう過剰設備を抱えて、しかも業界内での調整ができない業界の体質に問題がある、一言で言えばそういうことになろうかと思います。業界の体質は、これは説明申し上げますというとたくさん言葉を費やすようなことになりますが、とかく投機的な商品である、そのことから、じみちな経営ということについて若干配慮が足りない。むしろ相場を追うというようなビヘ−ビア、行動に走ったところの企業経営者にも責任かあるのじゃないかというふうにも思うわけでございます。  それから、赤字でありながらなおかつ経営が存続され、しかも激しい競争が続けられるということには、私はやはり原糖供給している商社の支えがあるというふうに考えております。  それらもろもろの精糖企業をめぐる、あるいは精糖企業内部の事情が今日の過当競争をもたらしているというふうに考えております。
  264. 原田立

    ○原田立君 先ほども他の委員から指摘がございましたけれども、昭和三十八年の輸入の自由化ということを前後にしての業界設備の実態と現在の精糖業界の精糖能力の実態をどのように把握しておられるのか。  これはなぜ聞くのかと言いますと、結局輸入の自由化時代を迎えて現実にこういうふうな過当競争が行われているのではないか、こう私は思うんであります。いかがですか。
  265. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 設備能力それ自体は三十八年と比較したものがいま手元にちょっとないのでございますが、企業数では、当時の企業三十一社が二十九社、幾分減ってきております。それから、雇用人員は八千六百人から六千八百人、これは四十年と五十一年の比較でございます。八千六百人から六千八百人というふうに、千八百人程度の減少を見ております。このことは一人当たりの溶糖量が上がってきている、したがって、これに伴っての設備の増強が行われているということになるわけでございます。  三十八年と比較しての設備は、後ほどまた確認した上でお答えしたいと思います。
  266. 原田立

    ○原田立君 業界の最近における経営悪化の背景は、私は基本的には過剰設備顕在化とそれに起因する販売面での過当競争である、こう思うんであります。農林省は、本法案に基づく糖価安定事業団需給調整機能を十分活用して過剰設備対策に乗り出すようでありますけれども、砂糖業界自身の自助努力は必要であるが、一体どのような方途を考えているのか、具体的な計画をお伺いしたい。それか一点です。  それから、本臨時措置法は三年間の時限立法になっておりますけれども、三年間の期間にした根拠は一体何か。これが二点目。  それから、三年間で業界の合理化、体質の改善また企業経営の安定が図られるという判断は一体どこでなさったのか。これが三点目。  以上、三つお答え願いたいと思います。
  267. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) どういう形でこれから業界の自主努力を指導していくかということでございますが、これは一つは基本には心構え、経営責任者あるいは業界団体の新しい事態に対応しての姿勢ということがあろうかと思います。その点、単に精糖企業だけでなく、その背後にある商社を通じて関係者全体のやはりそういう新しい気魄といいますか、姿勢が必要であるというふうに考えております。その点、さすがに今日の事態になりますというと、お説教の話ではなくて、具体的な経済問題として当事者が一番深刻に問題を受けとめているわけでございます。私ども、この法案が成立いたしますのを機に、そのことを一段と説いて、心構えを新たにしてもらうということをまず考えておるわけでございます。そういう前提のもとに業界の協調を図る。そして、コストダウンのための企業努力を要請するということになってまいると思います。そういうことの基本として、私はやはり全体としての溶糖量の割り当てといいますか協調、その業界の中での話し合いによる協調というものが一つベースになろうかと思います。そういうことを進めるために、私どもはこの法案根拠を置いて、この法案内容に即した形での需給調整業界の努力によって果たされるということを期待いたしておるわけでございます。  それから二番目に、三年とした根拠はなぜかということでございます。これは、できるだけ長くそういう条件を与えておった方が物事は成就しやすいという考え方もありますが、逆に反面、企業の本来的な競争によるメリットを奪うことにもなる。しかも、国際的にも自由化の傾向国内的にも企業自由の原則というのは大きな柱でございますので、そういう立場からすれば、こういういわば非常措置はできるだけ短い方がいいという考えがございます。それらもろもろの立場、考え方を調整して私どもは、意見はいろいろあったのでございますが、三年ということにいたしました。  それから、その三年の間に、じゃ本格的な立ち直りなりある程度の見通しがつけられるかということでございますが、私自身は、三年間の間に企業が全部すっきり立ち直る、将来に向かってこれでもう揺るぎないというようなそういうりっぱな事態になるとは毛頭考えておりません。むしろそういう事態をつくり出すための基本的な姿勢、基盤を整備するルールづくりみたいなことが先決ではなかろうかというふうに考えております。企業努力によって具体的な改善が図られる点も多々ありましょうが、問題は先にたくさん残っているというふうにも考えるわけでございます。  そういう意味では、本当に業界自身が立ち直っていくための基盤づくりということを最重点に考えるべきだというふうに思っております。
  268. 原田立

    ○原田立君 一番最後のところのこと、まああなたとしてはそのぐらいしか言えないんだろうと思うのだけれども、やっぱりこっちの聞く側から見ると、ちょっと無責任のそしりを免れないと思うんですよ。  大臣、今度の法案を出して、三年ではなかなかその基盤は十分できないというような局長の御答弁だけれども、これでは法案を出した意味がないと思うんです。やっぱり法案を出したからには何らかの前進がなければならないと思うんですが、それは省内でどういうふうにお考えですか。
  269. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、今回の法律案、これは需給調整を図る、この機能を高めることを契機といたしまして、業界過当競争なり、あるいはいままでのやれるところまでやっていけというような無責任な経営の姿勢というようなものは大きく改善をされると、こう思います。  また、いまのような状態が続けば、精糖企業全体が崩壊の危機に直面しておるという厳しい状況でもございますから、今回の法律案と、また、業界自体がこの厳しい状態を十分わきまえて、そして精糖企業の体質改善なり今後の運営の面の合理化なり、そういうことに最大限の御努力を願う。私どもはその間において雇用問題等について悪影響をもたらさぬような配慮を十分しながら業界指導してまいりたいと、このように考えております。  ただ、局長が申し上げておりますのは、現在企業悪化が深刻になりまして、そのために生じたところの累積赤字、千数百億に上るところのこの累積赤字というものを、これを三年間で解消できるようなところまで立ち直るというようなことはこれはむずかしいであろうと。これは業界のそういう経営努力によりまして、時間をかけて累積赤字等はこれは解消してもらわなければならないと、このように考えておる次第でございます。
  270. 原田立

    ○原田立君 大臣はちょこっと言葉を濁してうまく局長をかばったような感じなんですけれども、千三百億を三年間で解消だなんて、そんなことができないことはわかり切っていますよ、そんなことは。だけれども、局長はその千三百億という話はしなかったでしょう、さっきは。この三年間では解消するようなわけにはまいりませんと、こういうことを言っているわけだ。  じゃあ、局長聞きますけれども、大臣の答弁は精神論としてわかることはわかるんですよ。局長は一体三年間でじゃだめだと、じゃあ今日の砂糖業界を一体どうしたらばよくすることができるのですか。抱負があるだろうと思いますから、お聞きしたい。
  271. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 初めの答弁について、局長は消極的でないかという御趣旨の御注意をいただいたわけでございますが、私は基盤はつくるというふうに申し上げたつもりでございます。ただ、全体がきちんと問題が解消されるような姿にはなかなか三年でもってなれる話ではないという意味で申し上げました。それは大臣から補足していただいて、これは逆になって大変恐縮だったのでございますが、大臣から補足していただきましたように、現在の負債の問題とか、それから将来の適正規模の問題を考えた場合、そういった問題まで三年間でもってきちっと一応満足できる、そういう結論には達することはむずかしいという意味で申し上げたのでございます。  業界をどうしたら立て直すことができるか、そういうことについて抱負といいますか、展望を持っておるかということでございますが、先ほども申し上げましたように、私は外からのてこ入れとか制度的な何か支援ということ以前に、業界自身の経営に対する本当の本格的な取り組み方というのが一番問題だと思っております。それをこの三年の間に、まさに基盤、ルールづくりとして打ち出すことができ、完成さすことができればというふうに思っておるわけでございます。そして、それはいろいろ従来の経緯もありまして、企業自体の努力ではなかなかむずかしいということでありましょうから、この三年の間に役所も一緒になって業界のそういう体制づくり、全体の効果が上がるようなルールづくりに努力するということを考えているわけでございます。
  272. 原田立

    ○原田立君 砂糖業界過剰設備は三割ともあるいは四割とも言われているわけでありますけれども、指示カルテルや、今回提案された臨時特例法によって現在の状況を一時的に脱し得たとしても、基本的な構造改善がなされない以上、砂糖需給動向によっては再びまた繰り返しになってくるんではないか。そういう危険性があるのではないかと、こう思うんでありますけれども、じゃあ具体的に、この三割ないし四割にも上る過剰設備に対する政策は一体実際的にどうするのか、これが一つですね。  それから、具体的にもう政府で実態を掌握していられるならばそれを公表していただきたい。後でと言うならば資料を提出してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  273. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 過剰設備というのは、全体としての能力で見れば確かに操業率が六割である。そして、なくても多分済むであろうというものを過剰ということに考えれば、二割程度は整理してしかるべき対象だというふうに定義はできると思います。ただ、それを具体的な個々の企業に即してどういうふうにこれから整理あるいは整備していくのかということになりますというと、精糖業界は特殊な事情がいろいろあるわけでございます。それは一社一工場といったような経営形態が多い。それから、装置産業であって一部の設備を廃棄するとか縮小するというわけにはいかない。それから、地域的に供給のサークルといいますかエリアが限定されているというようなもろもろの事情があります。それらを一つ念頭に置きながら、個別企業判断を交えて私は企業努力によるコストダウン、具体的な設備廃棄ということも含めての将来展望は築かれていくのだと思います。  その意味では、役所が頭から、この法案をつくったから直ちにこれだけを整理しなさいというようなことで強制するというものではないと考えております。ただ、全体としての溶糖量の見込み、企業にすれば生産の計画というものが立つならば、それに応じてのやはり企業努力によるコストダウン、合理化、設備の問題を含めての努力がなされる。そういったことを、業界からの意見も見なから今後役所の方も指導して実現を図っていくということで、時間をかげながらそれはやっていく話であろうかというふうに考えております。
  274. 原田立

    ○原田立君 資料を出してもらいたいということについての御答弁はどうなっておりますか。
  275. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) いま申し上げましたように、具体的な設備廃棄のスケジュールといったようなそういう激しい形での、いわば激しい形といいますかストレートな形での資料というものはないわけでございます。全体の設備がどうなっておって、それに対して一般的な操業等からすれば、業界内の検討なりそのほかの観点からどの程度が、三年間ということと直接結びつくかどうかわかりませんが、考えられる過剰設備であると、そういった全体的な資料については調製して提出いたしたいと考えます。
  276. 原田立

    ○原田立君 この臨時特例法案は、たとえ三カ年という時限立法にせよ、法案成立の暁には業界の体質改善が何らかの意味で図られるであろうと思うのであります。この一つの問題は、先ほどから各委員の皆さん質疑なさっておられるけれども、合理化が強行され多くの従業員の方々の首切りにつながることも非常に考えられるわけでありますけれども、そういうふうなことがこの不況下にあってはならないと私は思うのであります。それで、これらについて十分業界に対して指導し、対策を講ずることをすべきであると思うのでありますけれども、その点、局長でも大臣でもどちらでもいいですけれども。
  277. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この法案は、御理解をいただいておりますように、直接企業の整理とか何とかというようなものを意味しているものではございません。しかし、需給の関係をきちっと軌道に乗せましてそして過当競争を排除する。こういうことになりますれば、そこから企業経営努力というものが当然私は出てくると思うわけでございます。そういう際におきましては、これは各企業間におきまして労使の間で十分お話し合いを願い、そして各企業ごとにできるだけこの雇用問題等のような事態を起こさないように御努力を願わなければならないし、また農林省としてもそういう方向で業界の御相談に乗り御指導も申し上げていきたい、このように考えております。
  278. 原田立

    ○原田立君 精糖関係の会社の労働者と関連してやはり心配されるのに、関連下請業者の倒産であり失業ということであります。この点に関しては関連下請業者等の実態を掌握なさっておられるだろうと思いますが、具体的数字で示されたい。あるいはまた、これら関連下請業者等の対策については一体どういうふうに考えておられるのか。
  279. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 精糖企業はきわめて単純な加工企業でございまして、原糖を溶かして精製するという作業をいたすわけでございます。したがいまして、特にその製造工程において、機械メーカーとか自動車メーカーのように、部品とか主要な一部を下請に出してこれに請け負わせるというようなことは少ない。少ないと言うよりほとんどないわけでございます。考えられる下請あるいは関連業界としては運送業それから包装資材の製造業、それからまた下請自身でも包装部門、製品の荷役部門を受け持っている企業が一部あるということでございます。これらの関連する業界それから下請に従事する業者、その従業員の雇用の安定もきわめて重要であると考えております。農林省としても、その直接的な影響ができるだけ及ばないよう、精糖業の従業員と同様、その安定対策に十一分に配慮を行うよう指導してまいりたいと考えております。
  280. 原田立

    ○原田立君 どうかひとつ、中小企業のいろんな倒産件数が非常に多くて大きな社会不安の種になっておりますので、そういうようなことのないように十分なる指導をしていただきたいと思うんであります。  それから、業界の先ほどから説明があった約二十九社、約千三百億ぐらいの赤字があるというんですが、一体どの精糖会社が一番大きな負債額があるんですか。
  281. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 上場されている会社が十一社あります。これは損益が公表されているものでございますが、五十二年三月期中間決算でございますけれども、一番大きな赤字を出している会社は三井製糖、これは期末の繰り越し損益で二百七十七億四千二百万円ということになっております。
  282. 原田立

    ○原田立君 次に、豪州糖の問題についてお伺いするんでありますか、砂糖は農産物の中でも変動相場の激しい商品であることはもうそのとおりでありますが、この日豪砂糖長期契約を結ぶときに、長期安定供給のためとは言いながら、海外原糖相場が暴落した場合の混乱を予測して契約反対の意見もかなりあったと思うんであります。長期契約、固定相場にしての契約ですね、これについての反対意見が非常にあったと思うんでありますけれども、これについて農林省は一体どういうふうに思いますか。
  283. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 確かに将来の価格をどう見るかということについては、さまざまな議論があったと思います。ただ、当時一般的な日本国内の情勢として、資源の入手に対する不安というものがみなぎっておった。そういう状況の中で、当の企業自身も、それから関連する業界も、さらに役所も、一般的には価格はやはり需給のタイトな状況はある程度今後ともそのときになりまして続くのではないか。少なくとも今日のような暴落するという事態は、一般的には予想しなかったと思います。
  284. 原田立

    ○原田立君 予想はしていなかったとは言っても、あなた方の方からもらった表によりますと、決めたその翌々月あたりからどんどんどんどん下がっているのですよね。余りにも近視眼的な物の見方でしか見ていなかったのではないか、こういうふうに思うのであります。もう過去にやっちゃったことを、いまさらどうのこうの言ってもしょうがありません。要するに反省していればいいのですよ、しまったということを。それだけは指摘しておきたい。  わが国の年間輸入量の四分の一に当たる六十万トンを安定供給のため長期契約することは、砂糖の相場制から考えて、固定価格で契約したことには私自身納得できないのです。政府も国際相場の見通しに関して、相当な自信と契約を促進させるだけの確かな根拠を持ってこのやり方をオーケーというふうにサインを出したのだろうとぼくは思うのでありますけれども、その点どうですか。
  285. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 当時、政府も含めて価格見通しについて暴落を予想しなかった、一部、中の議論として予想したものもあるかもしれませんが、全体的、一般的には予想しなかったということは事実でございます。そのことについて反省せよという御意見、これはごもっともでございまして、私どももまさに相場というのは実に恐しいものであって、一時のそのときの判断だけで先々のことまで決めるのは問題が大き過ぎる、今後とも十分この種の問題については慎重に考えなければいけないというふうに考えております。  ただ、その当時、政府が直接価格そのものを、この価格が妥当である、これで結ぶべきであるというようなことで当事者にこの契約を指導した、直接慫慂したということはないのでございまして、そこはやはり相手方と折衝いたしまして、当事者自身がこの価格なら若干の価格変動はあるにしても、将来ともやっていけるという判断のもとにサインしたわけでございます。結果的にはいま申し上げましたように、関係者一同がほぞをかむような形になったわけでございますが、今日では確かにそういうことは言えますけれども、当時としては業界としても関係する実需者の方も喜んだというような経緯もありましたし、非常に貴重な経験でございましたが、やむを得なかった話ではないかというふうに思うわけでございます。
  286. 原田立

    ○原田立君 局長、そんなに強弁しない方がいいですよ。四十九年の十一月に五百六十六ポンド、十二月か四百五十九ポンド、それから一月に三百九十二ポンド、二月は三百四十一ポンド、それからずっといって九月には実に百七十七ポンドと、こうなっているのでしょう。がたがたがたがたとこう下がっているのですよ。だからそれはたてまえ論から言って、政府が、農林省指導しなかったということはたてまえだろうと思うのだけれども、これだけの大きな問題については何らかの指導が内々にあったはずであります、相談もあったであろうし。だから、率直に反省しておりますと言えばいいのですよ。それを何だかんだごたごたごたごた言って、おれには責任がないんだなんていうことを言うと、一言も二言も言いたくなる。その点は反省した方がいいですよ。  それはそれとして、砂糖相場は四十八年の末ごろから急騰を始め、四十九年十一月には一時トン当たり六百ポンドにもはね上がり、その後の四カ月で暴落し始め、五十年三月には二百ポンド台までになったわけでありますが、契約交渉か始まったのは四十九年四月。で、当時の相場は二百二十四ポンドで、オーストラリア側の契約価格は百三十ポンドを主張していたが、国内需給体制が逼迫していたとはいえ、最も高値時点の四十九年十二月に契約が成立しております。一部業界ではこの契約は三勝二敗であるなどの見方があったが、政府砂糖相場の推移をどのように見通して契約を結んだのか。契約成立時点に対する判断を誤ったと、こう思うのかどうか。
  287. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 確かに弁解ばかりに終始して申しわけないのでございます。当時の判断が全体としてどうであったか、政府内がどうであったかと言えば、やはり三勝二敗とかそういう具体的なことはともかくといたしまして、この相場で多分やっていけるだろうという判断を持っておったと思います。その意味で、私どももその点は反省しなければいけないと思っております。  見通しはどうだったかと言えば、いま申し上げましたことで尽きているわけでございますが、このような暴落は予想していなかったということが言えると思います。
  288. 原田立

    ○原田立君 当時の食品流通局長はたしか森さんであったであろうと思うんでありますが、この長期契約に対してこういうことを言っております。国内糖価の安定のためにはまず海外原糖相場を冷やすことだ、オーストラリアとの長期契約締結はこの材料になる、こういうふうに言っているんでありますが、この契約実現に農林省としてもかなりのバックアップをしたようであります。極端に急落した場合の対応策を考えた上で行政指導を行ったのかどうか、また暴落以降どのような善後策を実施されたか、この二つについてお伺いしたい。
  289. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国際価格が暴落いたしたわけでございますが、この暴落の問題につきましては、経済環境、全体的な条件の変化、これによる損害を当事者の一方だけがまるまるかぶるというのは、契約の条文上の文言はともかくといたしまして、これは商取引としては安定性を害される、そういう観点から豪州側に値下げを要求いたしたわけでございます。  なお、契約の条文上、全く根拠がない話ではなく、見直し条項が不十分ではありますがありまして、業界としてはそれを基礎に要求をいたしたわけでございます。ただ、実際問題として豪州側はなかなか応じない。途中、政府の助勢といいますか、政府のこれに対する側面的な援助といいますか、私自身が豪州まで出かけていってオーストラリア政府と交渉をしたという経過がございます。  そういうようなことで、豪州との値下げ交渉に政府も直接の当事者ではございませんが、これをアドバイスする、あるいは加勢をするということで豪州政府との交渉等もいたしたわけでございます。ただ、やはり一豪州側におきましても、これは直接契約当事者の問題であるということで、政府自身には決定権はない、CSRあるいはクイーンズランド州政府日本砂糖業界との問題であるということで、結果的には必ずしもそのことで十分な好転ができたわけではございません。しかし、そういう豪州交渉に努力をするというようなこと、それからやはりコストが上がっていることの結果、企業採算が悪化している。これはコストが上がったということと、それから過当競争で安い価格で売るというものがある。業界競争の関係もあるわけでございますが、そういう製品価格がコストを著しく割っているという状況のもとで価格の回復が先決であるということで、カルテルを昨年の十二月来二度にわたって本年の五月末まで実施したというようなことを行っております。そのほか、一般的に業界の協調を図るための各種指導を行ってまいっているわけでございます。
  290. 原田立

    ○原田立君 いまもお話があったような、オーストラリアのCSR社とわが国の精糖会社三十数社との民間契約でありますけれども、いまも杉山局長か言われるように、政府関係でもいろいろなバックアップをした。で、政府間でも公文書を交換したようでありますけれども、交換文書の性格と内容、おわかりになるんだったら御説明願いたい。
  291. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 日豪長契について、両国政府間に公文の交換が行われております。これは当時のパニック状況といいますか、資源について危機感が高まっている中で、日豪間に砂糖長期契約が締結されることについて両国政府がこれを歓迎するという旨の意思表明を行ったものでございます。そして内容的に、長契の実施に当たって必要となる輸入カルテルを認可する予定である、あるいは糖価安定法上の平均輸入価格の算定上、豪州糖の契約価格を採用するというような、そういう国内的に必要な措置をとる旨を、豪州側に日本側から出したものは通知いたしたものでございます。
  292. 原田立

    ○原田立君 豪州糖の長期契約については、政府の積極的指導に基づいて行われたということははっきりしたわけです。この点について衆議院での質疑でも、通産省、外務省あるいは大蔵省とも十分連携をとりながら契約を進めたという、そういう質疑がありましたが、今日の結果を招いた責任も当然政府としては認めなければいけないと思います。その点いかがですか。
  293. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 責任というのは、非常に幅といいますか範囲があるかと思いますが、私も価格そのものを役所が担保するというような形での直接の責任は負っていないと思いますが、全体的に、当時の価格の予想なりあるいは業界に対する指導一般という点では、やはり政府としての責任があるというふうに考えております。
  294. 原田立

    ○原田立君 あなたも十月二十六日の衆議院の農水で、農林省指導型で各省と連絡をとりながら行ったことをはっきり言っておられるし、いまのように責任を十分感じておるということならば、あとはいかにしてよくしていくかということが問題点でありますから、十分その点は進めていただきたいと思うんであります。  豪州糖に対して今日までとってきた政府国内措置として、糖安法に課せられている調整金を免除しているわけでありますが、この調整金免除にしても明年三月で打ち切られるわけでありますが、そうなるとますます価格差は拡大する一方でありますが、一体このことに対してはどういうふうになっておるのか、その点はいかがですか。
  295. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 調整金は、本来国内産糖輸入糖と同一条件で競争できるようにするための価格調整に要する財源を調達する、こういう目的のもとに糖価安定事業団輸入糖から徴収するものでございます。ただ一般的にはそういうことで設けられている仕組みでございますか、豪州の長契糖は、一時ほかの輸入価格に比べて単純にただ高いというだけでなく、国内産糖価格を超える、あるいはその後も国内産糖価格に近い水準にあったわけでございます。そのような状況からして、このような高い価格の豪州糖に調整金の負担を課することはなかなか困難である、特例的に免除することもやむを得ないという考え方のもとに、五十一砂糖年度以降豪州長契糖については調整金を免除してきてまいっております。  これを今後どうするかということでございますが、今日国内産糖価格は豪州糖の価格よりかなり上の水準になっております。それから、豪州の長契糖はある程度これは価格が引き下げられるということになっております。それから、今回の措置によりまして業界のコスト維持の価格安定対策がとられることになっております。そういうことと、もう一つは、国内産糖価格支持を行うための財源の収支の問題も出てまいっております。そういうむずかしい事情はありますが、今後の国内糖価動向にもよりますけれども、確かに格差の問題もございますので、今後それらの点を総合的に考えて検討してまいりたいというふうに思っております。
  296. 原田立

    ○原田立君 検討して何らかの処置をなさるというふうに理解していいわけですね。  次は、一般的な意見の中で、関税の縮小であるとか、あるいは消費税を取り除けなどの声を聞くんでありますけれども、この点に対する農林省の見解はいかがですか。
  297. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 農林省としては、従来から消費税についてはこれの減免ということで大蔵省当局と種々話を進めているところでございます。率直に申し上げまして、財源事情が厳しい今日、なかなか税の減免というのは行いがたいというようなことでいまだ実行を見ておらないのでございますが、今後ともその方向で検討を進めたいと考えております。
  298. 原田立

    ○原田立君 法案の第三条の売り戻しの特例の中において、三ページでありますけれども、農林大臣は、「事業団に対し、申込数量のうち売戻数量等を超える数量範囲内において農林大臣が定める数量指定糖につき、売渡しの申込みを受けた日から起算して一年を超えない範囲内において農林大臣が定める期間を経過した日に法第九条第一項の規定による売戻しを行うべき旨の命令をすることができる。」こうあるわけでありますけれども、この売り戻しの特例に該当する砂糖は一体何を指すのか、豪州糖はこの中に含まれるのか、この点はいかがですか。
  299. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 豪州糖とか何糖ということでなくて、豪州糖も含め全体としての数量がどういう水準であるかということによって考えられる話でございます。ただ、その場合、実際の問題としては豪州糖は優先的に配慮される——優先的にといいますか、当然これは既定事実として入れざるを得ないものとして考えられているわけでございますので、数量判断のベースには使われますが、売り戻しを延ばす、規制する対象として豪州糖が対象となるということはこれはございません。
  300. 原田立

    ○原田立君 そうすると、豪州糖も入ることは入るんだけれども、豪州糖だけだと、こういう意味じゃないと言うんですね。
  301. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) ちょっとおわかりにくかったかと思いますが、通常年における過去の実績、これを計算する場合、豪州糖も含めてどれだけ実際に輸入売り渡しを行うかという計算をするわけでございます。ですから、豪州糖もそういうベースになる数量としては見られる。だけれども、実際にそのうちどの部分を売り戻しを延期されるか、具体的な対象として規制の対象にするかということは、豪州糖については妥当でないと考えております。これは当然に入ってくるべきものでありますので、それ以外の砂糖が売り戻しの規制を行う場合に対象になるというふうに考えておるわけでございます。
  302. 原田立

    ○原田立君 糖価安定法第十三条の指示カルテルの規定についてでありますが、この指示カルテルの規定が設けられた目的は一体何か。また、どのような場合実施されるのか。あるいは、指示カルテルは現在の砂糖需給に見られるような状況に対応するためのものであると、こう私は思うんでありますが、その指示カルテルによらず本法案によることは一体どういうことを意味しているのか。
  303. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 基本的な要件としては、十三条に書いてありますのは「砂糖需給が著しく均衡を失したため、精製糖価格平均生産費を下り、かつ、精製糖の製造業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがある事態が生じた場合であって、」云々とございます。そういう意味では、今回の事態もまさにそういう事態一つであるというふうに考えることはできますが、率直に申し上げまして、この十三条による指示カルテル、これはその以下の条文をごらんいただきますとおわかりになっていただけると思いますが、非常に発動要件が厳しゅうございます。それから、全体としての考え方がきわめて緊急、短期的なものというふうに考えられております。  ところが、今日の事態を考えますと、三カ月程度の短期の間に業界の構造を立て直す、基盤づくりを行うということはきわめて無理がございます。そこで、いわば単純に臨時、応急的なその数カ月の措置では間に合わない、やはり基本的な立て直しのルールづくりができる期間を需給調整の対象期間とするのだということで、今回のこの法律案提出した次第でございます。
  304. 原田立

    ○原田立君 要するに、指示カルテルで過去二回やって効果があったけれども、今回はそれ以上に重症である、だから今度この今回の法律を出したんだと、こういうことですか。
  305. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 仰せられるように、過去二回指示カルテルを継続いたしたわけでございますが、これで治らなかった、この指示カルテルではとうてい治癒することのできない重症である、比喩的に申し上げればそういうことになろうかと思います。
  306. 原田立

    ○原田立君 需給調整についてでありますけれども、業者ごとのシェアの決め方として、十月二十六日衆議院の農水で局長は「過去における通常年の実際の売り戻し数量をいわば一つの既得権的なものとして、それをベースにして数量を算定する」と、こういうふうに言っておりますが、先ほども質問があったと思いますけれども、具体的にいつの時点を通常年とするのか。あるいはまた、数量を算定するというのは一体どのぐらいの、何%ということを意味しているのか。
  307. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 通常年というのは文字どおり通常の年、普通に考えられて輸入が行われた年ということでございます。  これがいつかということは、長期間の平均をとる、あるいはある比較的安定した特定年をとるというような考え方もあります。その点、実は全体の数量、それから個別企業の当時の数量と今日の数量、それらの開き等を見ながら、具体的にいま作業をいたしているところでございます。いつの年をとるかということについては、まだ申し上げられるような段階になっておりません。  そういう通常年の実績を基礎にいたしましてそれを超える輸入が図られる、そして事業団に対する売り渡しが行われるというときは、その超えるものについて必要があれば農林大臣判断のもとにそれを規制する命令を出すということになるわけでございます。
  308. 原田立

    ○原田立君 通常年というのがいつかということに対する質問に対して、どうもその答えがよくわからない。もう一遍再答弁
  309. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 通常年というのは抽象的な考え方でございまして、いつが通常年かということについては、ある期間の平均をとるとか、それからある特定の年をとるとかというふうな考え方があると思います。そういう考え方が一番通常だということが実証できるのは何によってかと言えば、やはり長い間の経過、今日の実情、そういったものも考えながらやっぱり通常年という考え方は固まっていくのじゃないかというふうに思います。いまこの段階で四十九年が通常年であるとか、あるいは五十一年が通常年であるというようなことについては、それぞれその年々の事情もありますので、一概に、一義的に決めがたい状況にある。そこで全体の数量、それから個別の業者ごとの実績数量、これを見ながらいま作業をして、これから通常年とはいつかということを確定してまいりたいというふうに考えております。
  310. 原田立

    ○原田立君 シェアの決定に対しては公正な取り決めが必要であるのは当然のことでありますが、政府の行政指導なり、業界内での十分なる話し合いなど、公正を期するためにも何らかの対策があってしかるべきだと思うんであります。先ほども各委員からお話がありましたが、私も再度また改めて申し上げたいのでありますが、協議会的な法的機関の設置等、具体策を考えてしかるべきであると思いますが、いかがですか。
  311. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 関係者による意見をこれを反映する、そして役所だけでは独断に陥りやすいその弊を是正するという意味で、協議会を設けてその場で御議論をいただくということは私どもも考えております。
  312. 原田立

    ○原田立君 それじゃ考えてそういうものを当然設置していくと、こういう方向であるというふうに理解していいように思えるんでありますが、現在精糖業界としては一千数百億円の赤字を抱え経営に非常な困難を来しているわけでありますが、その反面、また消費者に対しては必要な量を適正な価格で確保、供給しなければならない、こういう問題もあるわけであります。で、そのためには需給調整がどうしても必要であるということになるわけでありますが、この需給調整の確立は口で言うほど簡単にはいかないのではないかと思っておるわけであります。この点についての対策、見通し、これらなどは当然この協議会的な法的機関の設置等によってなされなければならないと、こう私は思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
  313. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 直接の割り当てシェアを決めるというのでなくて、需給見通しについて各方面の意見をお聞きする、その各方面ということで需給調整の協議会、こういう場でもって意見を十分に出し合っていただいたらどうかということであろうかと思います。私どもそのように考え、意見はお伺いするということで進めたいと考えております。
  314. 原田立

    ○原田立君 先ほども申し上げたわけでありますが、昭和三十八年当時の輸入の自由化から端を発して今日の砂糖業界の混乱を招いたと思うのであります。で、やはり当時自由化に伴い、この時点で国内砂糖需要供給長期見通しのもとでの調整指導の欠如、これを私は指摘しなければならないと、こう思うんです。こういう点を十分反省し、責任を明確にするとともに、今後の対策を行う必要があると思うんです。で、この法案施行されたからといって抜本的な改革にはならないし、むしろ三年後に至っては系列化の激化など、ますます混乱を招くのではないかとの声さえ聞かれ、憂慮されておるわけであります。先ほどいみじくも局長は、たった三年間ではできませんよと、基盤づくりに一生懸命やる程度の問題でありますと。ということは、三年後はまた非常に砂糖業界において大変な問題がのしかかってくるということは予測されるわけでありますけれども、それらを基本的にどう回避していくのか、お考えをお伺いしたい。
  315. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 現行糖安法は、価格調整を図れば、上限価格、下限価格の安定帯価格の中に安定させることを図れば、あとは経済原則に従ってそれがおのずと実現し得ると考えておるわけでございます。そういう価格調整の機能を通じて、まさかコスト割れの異常な状態でもって営業を続けるという者がたくさん長期にわたって出てくるということは想定しておらない。そういう意味で、今日のような事態になりますというと、直接的な需給調整を行っているわけではありませんので、うまく機能しないという結果になっております。糖安法自身が、基本的にそういう価格を通じての調整が間違っておるのかどうかという御議論のあることも承知いたしておりますが、私どもとしては現行制度、この糖安法の枠組みの中で現在臨時的、応急的な対応としての仕組みを考えているわけでございます。  確かに、三年たってどうかということになりますと、私ども、基本的な基盤が築かれレールをつくりますと、それによって全体としての将来展望もさらに描けることになりますということを申し上げているわけでございますが、しかし本当に、じゃそのことは絶対大丈夫か、そのときになって問題は残らないかと言えば、それはそういうことはないとは言い切れないと思います。そのときに糖安法自身をどうするのだというような議論まで含めて今日議論するのは妥当でございませんので、私どもは、とにかくこの三年間を通じてきちんとした基盤ができるという前提で物事を考えているわけでございます。仮にそういうものがうまくいかない、もとのもくあみみたいな話になるというようなことがあれば、それはそのときにおいて検討する課題であろうかと思いますが、私ども現在そのようなことは考えておらないわけでございます。
  316. 原田立

    ○原田立君 考えてなくても、憂慮するような事態になったらどうするんですか。それを聞いているんです。
  317. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) そのような事態が出れば、基本的に全体の制度について検討をする必要が出てこようかと思います。
  318. 原田立

    ○原田立君 現行の糖価安定法では、原糖価格調整のみに依存し、国内市価の安定という目的を完遂することができない現状であります。今回の臨時措置法案が通れば砂糖需給適正化が図られると言っておりますか、果たしてどうか。万全を期するためにも、法的位置づけを持った需給協議会を設ける必要があると思うのであります。このことについては、先ほど局長は、当然そういうものも持たれるべきであろう、こういうふうに御答弁かあったわけでありますけれども、そういう理解でよろしいですか。
  319. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 需給見通しについて各方面の御意見をお聞きするという意味で、需給調整協議会を設けそれを適正に運営してまいるということはそのとおりでございますが、法的根拠を持ったということになりますと、現在のこの法律の上ではそういう委員会の設置等は規定しておりませんので、運用の問題として私ども考えさしていただきたいと思っております。
  320. 原田立

    ○原田立君 この需給調整の推進に当たって最も留意すべきことは、業界の健全経営あるいは労働者、消費者、さらには生産農民の利益を守らなければならない、こう思うわけでありますけれども、その点はいかがですか。
  321. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) それらの総合的な観点から、公平なものでなければいけないというふうに考えております。
  322. 原田立

    ○原田立君 需給調整に当たっては、この法案時限立法であるだけに、さきに指摘されているとおり、大手商社による業界支配体制の強化などから従業員、労働者や農民、さらには消費者の利益を守るためにも、これらの方々の意見が十分反映できるような体制づくりが必要であろうと思うのであります。そのためにも、恒久的な法的な側面も持ったところの需給調整機関が必要と私は考えているわけなんです。ところがいまの局長の話は、法的——それは何ですかというふうな返事をしたけれども、法的な力か備わっていなければ、資格かなければ懇親会で終わってしまいます。それでは何にも意味をなさないと私は思う。法的な需給調整機関をつくるべきである、こう思うんですが、いかがですか。
  323. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 先生の御意見はわかりました。法的な根拠を持ったということになりますというと、単にこの今回の臨時措置のみならず、基本的な制度全体の検討とあわせ行うような必要かある話かと存じます。そういう御意見も承って、今後の問題として検討さしていただきたいと存じます。
  324. 原田立

    ○原田立君 では、具体的な問題もいろいろ聞こうと思いましたか、検討するということで、これに関する質問は終わりにします。  次に移りますか、本法案目的である砂糖の適正な価格の形成についてお伺いしたいと思います。  企業の安定経営にとって、現在の平均生産コストを二十円も下回る卸売価格の実情が好ましくないことはもう当然でありますけれども、適正な価格の形成とはどのようにして形成された価格水準と考えておられるのか。
  325. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 売り手かあって買い手があって価格形成が行われる、経済の問題でありますから、意図いたしましてもそのとおりうまく数量調整価格形成に反映するかどうかという問題ございますけれども、私ども適正な価格というのはやはり具体的な数字で判断すべきだと思っております。この法律の三条一項一号にございますが、「精製糖(甘味資源特別措置法第二条第二項に規定する国内産糖を除く。)の価格平均生産費を上回って推移している場合」、こういう場合は、農林大臣は売り戻しの特例措置をとることができないことになっております。したがいまして、この平均生産費、これが適正価格だということになると考えております。この価格が、現在で言えば卸売の水準で一キロ当たり百九十五円ということになるわけでございます。  したかいまして、売り戻しの規制を——規制というのは、時期の延期を図って需給調整した結果価格が回復する、そして百九十五円水準までなれば、これは適正な価格が実現されたというふうに判断するわけでございます。それを超えて推移するというようなことが出れば、これはコストを上回るむしろ超過的な利潤も——これは平均ででの話でございますが、出かねないということで、そのときはまさにこういう売り戻しの延期の特例措置はとらない、あるいはとっているものがあればこれを解除するというようなことになるわけでございます。
  326. 原田立

    ○原田立君 政府の言う適正な価格形成とは、一方的に業界の窮状を救うためのもののように思えてしようがないわけであります。消費者がこれをどのようにに理解すればよいのか。要するに豪州糖にしても、その交渉に当たってはそれは民間が当たったかもしれないけれども、陰になりひなたになりして農林省も国もバックアップしてそれでつくったんですよ。それでまた、そういうようなことか主要因になって砂糖業界が千三百億ですか千四百億かの赤字が出てきたと。だから企業を救うための、あるいはまた政府の失政のしりぬぐいを国民に転嫁するというふうなことに見れるわけなんです。これは非常に重要な問題であるわけでありますが、消費者はこれについて非常な不満を持っておりますし、各マスコミなんかの評論もこのことについて非常に大きな不満を示しております。一体局長はどういうふうに考えておられますか。
  327. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 国際価格が上がりましてコストが大幅に上昇するときは、その価格調整を図るために安定資金を払い出して安く事業団から売り戻しをするというような調整を考えますし、さらにそれを講じてもなお高い水準にあるというときは、政府は関税を減免いたして価格水準の高くなることを防ぐ各般の措置を講ずるということになっておるわけでございます。そういう形で暴騰した場合の、政府の直接財政負担による調整が行われる。  それから、この豪州糖自身の問題、これにつきまして、確かに高いコストのものを含んだコスト、これをまあ今度の百九十五円という平均生産費ならば消費者に負担させることになるではないかと言われれば、御指摘のとおりでございます。ただ、私ども、やはり高い豪州糖といえども、これは必要な原糖を手当てする、そのために当時としては必要だという考え方で投じたコストだというふうに考えるわけでございます。たまたま結果的にその後の国際価格が下がったものでございますから、だれの判断が誤った、政府の責任ではないかというような御議論もあるわけでございますけれども、やはり企業としてその原料確保が必要であるということで投じたコストであるならば、その点は安定輸入確保のための必要コストだったということで、企業の製品価格の中で反映さしていただくということで御理解いただきたいというふうに思っております。
  328. 原田立

    ○原田立君 政府は適正な価格水準として卸売価格をどの程度まで持っていこうと考えているのか、具体的に示していただきたい。現在の業界が抱えている赤字を解消するための価格水準なのか、あるいはコスト割れを生産ベースに持っていく程度の価格水準にするつもりなのか。
  329. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 個々の企業で見ますというと、非常にコスト間に格差があります。しかし、ここで考えておりますのはならしての平均コスト、平均生産費ということでございます。平均生産費というのは、企業原糖を入手するその原糖価格、これにまあ税金でありますとか、これは関税、消費税がございます。それから糖価安定法に基づくところの課徴金とか安定資金の負担、そのほか加工費、販売流通経費というものかかかるわけでございます。これらの企業コスト、その平均コストというものを考えているわけでございます。原糖価格が現在の水準でありますれば、それらもろもろの税金なり経費なりを加えたものは、キログラム当たり百九十五円というふうに理解いたしております。
  330. 原田立

    ○原田立君 現在の砂糖業界における危機的状況は、ひとえに業界過剰設備とこれに起因する過当競争、加えて政府砂糖行政の誤りから来ていると私は思うのであります。そのしわ寄せを消費者に転嫁することは絶対に私は納得できない。絶対に納得できない。商社企業の自助努力を強く求めるべきであろうと思うのであります。商社、メーカーの責任をどのように考えているのか。また、メーカーに対してどのような措置を講ずるつもりでいるのか。また、業界の中にあっては黒字経営の健全な企業も少しあると聞いているが、これらに対してはどのような評価をされるのか。四つぐらいお聞きしましたけれども、あわせてお答え願いたい。
  331. 杉山克己

    政府委員杉山克己君) 消費者に転嫁されることの問題でございますが、先ほど申し上げましたように、必要コストだということなら企業に無限に赤字を続けろというようなこと自体を要請することも無理がある。私どもとしては、やはり企業の安定経営を図って、そのことが長い目で見ての消費者に対する安定供給にもつながるということで、まあこの点は確かに現在価格から見れば上がることになりますが、消費者に御理解いただきたいと思っておるわけでございます。まあ上がるといいましても、国際糖価が高かったころに比べれば、いろいろ物価なり賃金が上がる中で砂糖価格は一時よりかなり落ち込んでいる。全体としてはむしろ安いものの中に入っているのじゃないかというふうにも思われるわけで、その点は何とかお願いいたしたいと思っているわけでございます。  それから、企業なり商社なりの責任はどうかということでございますが、企業には自主努力によるコストダウンの今後の課題、これを誠意を持って当たってもらう、商社にも同じようにこれらのコストダウン、企業に対する何といいますか、企業の健全性を害するような不当な介入のないように、企業自身が育つようなそういう指導責任を果たしてもらいたいというふうに考えております。
  332. 原田立

    ○原田立君 大臣、これは最後になりますので申し上げたいんでありますけれども、ただいまも申し上げたように、国民にそのしわ寄せを持っていくことは私は断じて理解しがたい。砂糖の卸売価格のアップは、砂糖製品のみならず他物価にも影響を与えることは必至であろうかと思うんであります。現在鎮静化しつつある物価の高騰の引き金になるおそれが私はあると思う。この点、どのように考えておられるのか。また、先ほど局長に質問したように、そのしわ寄せを消費者に持っていくようなことは誤りである、そういうことがあってはならない。これについていかがですか。
  333. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、今回の法案提出当たりまして、その点は一番重視しております問題点であるわけでございます。私は、今日のような過剰設備を抱え過当競争をやって大幅なコスト割れを生じておる、流通面においてもこれまた乱売競争をやっている、その結果生まれております現在の消費価格というものは不健全なものである、これが正常な価格であるとは私は考えておりません。こういうものがいつまでも続くはずがない。これは精糖企業は一、二の中小企業の倒産だけにとどまらない、全社に及ぶ心配もある。こういうぐあいに考えておりますから、これはどうしても健全な正常な姿に取り戻す必要があると考えておるわけでございます。  そういう意味で今回の法案提出をしたわけでありますが、そういう意味で、私は現在のコスト割れというような不健全な形が是正をされて適正な平均生産費というようなものが確保をされ、そして過当競争等、乱売競争等もなしに流通面が正常化してまいりますれば、初めて私は安定的な消費者に対する量の供給価格の保証、こういうことにもなろうかと思うわけでありまして、今日までの千数百億に及ぶそういう累積赤字を解消するために、その上にかさ上げをして消費者に迷惑をかけるというようなことは断じてすべきではない、このように考えております。
  334. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十三分散会      —————・—————