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1977-10-05 第82回国会 参議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月五日(水曜日)    午後二時十一分開会     —————————————   委員氏名     委員長         鈴木 省吾君     理 事         青井 政美君     理 事         初村滝一郎君     理 事         山内 一郎君     理 事         川村 清一君     理 事         相沢 武彦君                 岩上 妙子君                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 吉田 正雄君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君     —————————————    委員異動 十月四日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 北  修二君                久次米健太郎君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 吉田 正雄君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 小笠原貞子君                 下田 京子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林大臣     鈴木 善幸君    政府委員        農林大臣官房長  澤邊  守君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省農蚕園芸        局長       堀川 春彦君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○調査承認要求に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和五十二年産いもでん粉及び甘味資源  並びに大豆価格等に関する件)  (昭和五十二年産畑作物支持価格等に関する  決議の件)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、河田賢治君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、農林水産政策に関する調査を行うこととし、その旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十二年産イモでん粉及び甘味資源並びに大豆価格等に関する件を議題といたします。  この際、てん菜糖関係イモでん粉関係昭和五十二年産大豆基準価格等について、農林省当局から発言を求められておりますから、これを許します。まず杉山食品流通局長
  7. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) これから一連の農産物の価格決定を行うわけでありますが、そのおおむねの日程について申し上げたいと思います。  決定すべき事柄は、まず第一に、てん菜最低生産者価格であります。それから第二に、てん菜糖糖価安定事業団買い入れ価格であります。第三に、カンショ原料基準価格と、これに関連いたしまして、これは正規の法定のものではございませんが、取引指導価格でございます。それから第四に、カンショでん粉カンショ平切り干しの政府買い入れ基準価格でございます。第五に、バレイショ原料基準価格バレイショでん粉政府買い入れ基準価格であります。これらにつきまして、すでにカンショは出回りが始まっておりますし、てん菜糖も近く出回りが予定されますので、できるだけ早く決めることにいたしたいということで、事務的な見込みとしては、この七日ごろ決定の取り運びにいたしたいと考えております。   〔委員長退席理事山内一郎君着席〕  それから、関連いたしまして、沖繩の奄美諸島のサトイウキビ及びそれによる甘蔗糖価格決定があるわけでございますが、これは資料関係等もありまして、できれば本月末くらいに決めたいというふうに考えております。おおむね昨年の日程と同様のスケジュールで考えておるわけでございます。  それでは、お手元にお配りしてあります資料に基づきまして、てん菜及びてん菜糖関係事情について御説明申し上げます。  この資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。「砂糖需給総括表」ということで、一番左側に総需要量が示してございます。四十八年までずっと年々ふえてまいりまして、この年は三百十八万六千トンの需要になっております。その後、四十九年以降低下いたしまして、ほぼ横ばいの停滞した状況にございます。これを国内産糖輸入糖でどういうふうに受け持っているかといいますと、てん菜糖が三十一万二千トン、それから甘蔗糖が二十一万一千トン、これはいま申し上げている数字は五十一年の数字でございます。それからこれを精糖換算いたしまして、計で五十二万三千トン、それから含みつ糖が一万一千トン、合計国内産糖は、五十三万四千トンということになります。率でいたしますと、自給率約一九%ということになるわけでございます。それから、一番右に一人当たり消費量が示してございます。四十八年がピークで二十九・〇二キロ、これがその後低下いたしまして横ばい状況にあるわけでございます。欧米の消費水準に比べますとおおむね半分程度でございますが、総合的な食生活の変化から、今後なかなか砂糖消費量の拡大、増大ということは期待しがたいのではないかというふうに考えられます。  二ページは「国際糖価推移」でございます。四十六年は四十ポンド程度、四十七年は六、七十ポンド、四十八年は九十ポンド台ということで、逐年上がってはまいりましたが、じりじりした歩みでございました。それが四十八年の十月ごろから、例の石油パニックが騒がれたころでございますが、百ポンド台に上がり、その後は直線的にずうっと上がり続けまして、翌四十九年の十一月、この月がピークでございます。月の価格で五百六十六ポンド、月中の最高時は六百五十ポンドにも達したという価格変動を示しております。その後、ずうっと需給事情が緩和いたしまして、逆に低落を続けております。最近では五十二年の九月、百四ポンド、一番高かった時期に比べましてこの表に出た数字でも五・五分の一、実際にはポンドの下落あるいは円の上昇という為替相場変動がございまして、実質的には七分の一から八分の一にも下がっているという状況にあるわけでございます。このようなことから、例の豪州糖長期契約価格改定の問題でも種々新しい問題を生じているということになるわけでございます。  次に、三ページは「国内糖価推移」でございます。卸売価格小売価格が並べてございます。国際的に需給が逼迫しました四十八年の十月ごろから、これはキログラム当たりでございますが上がりまして、百三十七円、百六十七円、百七十五円というふうにずうっと上がってまいりました。そして、五十年の五、六月がピークで、このころ二百八十七円という水準に到達しております。現在では、五十二年九月平均で百八十五円、ごく最近時点の単日、一日をとりますというと、百七十円台に落ち込んでおりまして、大きくコストを割って製品が売られているという状況にあるわけでございます。小売価格については省略いたします。  次の四ページは「てん菜及びてん菜糖生産実績」でございます。四十八年、この年が作付面積最大でございまして六万一千ヘクタール。千ヘクタール以下は省略いたします。その翌年は大幅に落ち込んでおります。輪作体系そのほかの観点からして、四十八年の六万一千ヘクタールはやや大き過ぎたのであろうかと存じますが、その後停滞して、五十一年には四万二千ヘクタールに落ち込んでおります。ところが、五十二年はこれは増反奨励金が出されているとか、その右にありますように、その年の生産がきわめて反当収量がよかったというようなことなどが重なりまして、五十二年は四万九千ヘクタールということで、七千ヘクタール近く作付面積が増加いたしております。収量は、いま申し上げましたように五十一・三トンということで、五十一年は史上最高でございました。歩どまりも比較的よろしゅうございました。それらのことから、産糖量は三十一万二千トンと若干回復を見せたわけでございます。  それから、五ページは「てん菜最低生産者価格及びてん菜糖事業団買価格」でございます。毎年、最低生産者価格自体は、パリティ基準として決められてまいっております。四十九年の欄のところに括弧書きがございますが、これは精糖企業から支払われた奨励金、これを加算して実質農家手取りということで合計した数字を出しているわけでございます。本体価格最低生産者価格は一万一千百十円で、これに三千八百九十円の奨励金が加えられて一万五千円の手取りということになるわけでございます。それから事業団てん菜糖買い入れ価格は、右にありますように、現在は二十万円を超しております。  六ページは、てん菜対策関係各種予算でございます。糖価安定事業団に対する交付金が二百四十九億、それから後で奨励金について予備費措置をしたものが百三十九億ということで、合わせて三百八十九億というような巨額に上っているわけでございます。  それから、次の七ページは「てん菜生産費推移」でございます。これをごらんいただきますというと、五十一年は、先ほども申し上げましたように、十アール当たり収量がきわめてよかったというようなことから、五十年に比べてむしろ生産費としては、これは労賃評価がえもありましたが、絶対額でむしろ前年を下回っているというような状況にあります。  それから、八ページは「パリティ指数推移」でございます。  次に「いもでん粉関係資料」について御説明申し上げます。  一ページは、カンショバレイショ年次別生産事情でございます。これをごらんいただきますと、四十年から四十九年までは毎年直線的に作付面積が下がってまいっております。四十九年六万七千五百ヘクタール、この面積になりましてからはほぼ横ばい、まあ若干微減ではありますが、それほど減ったということを意識しないでも済む横ばい程度面積でございます。  それからバレイショの方では、左が全国で右が北海道ということで分けておりますが、北海道作付面積が五十一年から五十二年にかけて五千ヘクタールほど減っております。これは五十一年がバレイショ、それからバレイショでん粉が過剰であったということも反映いたしまして、生産を抑制したという効果があらわれているものと考えられます。  それから、二ページ以下は、いまごらんいただきました表の内訳の説明でございますので、これは省略いたしまして、ずっと後の十ページまで参ります。  十ページは、でん粉状況でございます。甘でん、馬でん、小麦でん粉コーンスターチに分けまして、それぞれの年次別生産量が出ております。  甘でんは、ずっとこのところ減ってまいっております。四十年五十五万トンであったものが、五十一年では七万四千トン。もっともこの年は災害の関係もありまして収量が悪かったということで、カンショ生産落ち込み、その影響を受けて甘でんも落ち込んだということになっておりますが、五十二年、ことしはこれがまた若干回復する、大体八万五千トンか九万トン程度になるのではないかというふうに見込まれております。  馬でんは、五十年もですが、特に五十一年は大豊作ということで、でん粉生産量は三十一万四千トンという高い水準になっております。  小麦でん粉は、ほぼ終始横ばいでございます。  コーンスターチは、年々生産量がふえてまいっております。特に五十一年の生産量は大幅にふえておりますが、これはいろいろ無理な抱き合わせ等を行っております関係から、安いコンスに相当消費が傾いたというようなこともあって、全体として実際の需要がそれだけふえたということではなく、市場のどこかに、メーカーの手にか、あるいは流通段階にか、在庫となってとまっている分が相当あるというふうに考えられます。その一部として、政府在庫が十二万五千トン現在あるわけでございます。  それから、次の十一ページは「でん粉総合需給」でございます。「需給」と書いてございますが、実質はこれは用途別仕向け先数量といったようなものでございまして、出回り量として出た数量が、下の欄の「需要」というところでどういう用途に向けられているかということが示されております。そこにありますような各種用途に向けられる。そして市場から純粋に過剰となったものについて、五十年は政府が五万トンを買い入れ、五十一年は七万五千トンを買い入れたということが出ておるわけでございます。  それから、十二ページは「いも原料基準価格及びでん粉、甘しよ平切干の政府買基準価格」の推移でございます。バレイショは、いま申し上げましたように、実際に五十年、五十一年買い入れも行っておりますが、カンショの場合は、価格だけを決めて買い入れは行っていない状況でございます。これがいろいろ取引のベースになるというようなことになるわけでございますが、実際には、先ほど日程のところでも一言申し上げましたように、この基準価格とは別に、流通の実態を考えまして、政府指導価格というものを示しております。  それから次の十三ページ、これは「でん粉価格推移」でございます。これをごらんいただきますと、かつては甘でん、馬でんともコーンスターチ価格差はそれほど大きくございませんでしたが、最近では大きく開いてきている。しかも、この甘でん、馬でんの価格は、抱き合わせによって維持し得ているという価格でございます。  それから次、十四ページへ参りまして「ぶどう糖、水あめ価格推移」でございます。特に最近数カ月、五十一年の欄で、これはブドウ糖にいたしましても、水あめにいたしましても、価格が落ち込んでおります。百三十六円、百三十一円、百二十四円というふうに、ブドウ糖の精製のものの価格がここのところ数カ月顕著な落ち込みを見せております。同じように、水あめについても落ち込みが見られる。これは一般的にでん粉が過剰である、原料が過剰で値下がりをしている、そのことから、製品であるブドウ糖水あめもやはり同様、過剰のため競争も激しく値下がりを示しているということでございます。  なお、イモにつきましても、でん粉につきましても、またその製品であるこれらのものにつきましても、過剰という問題が常につきまとって、価格に悪影響を及ぼしているということが見られるわけでございます。  それから、十五ページは「生産費推移」をカンショバレイショに分けてお示ししてございます。それから、この五十一年の生産費は、いずれも労賃についての新しい統計情報部調査の仕方、従来とは評価をかえましたやり方に基づいて算定して、従来の方式よりはかなり高く出ている調査でございます。  それから十六ページは、パリティ指数推移でございます。  以上で説明を終わります。
  8. 山内一郎

  9. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 大豆関係について御説明を申し上げます。  大豆なたね交付金暫定措置法に基づきます基準価格決定スケジュールについては、大体食品流通局長の申しましたようなスケジュールに合わせましてやりたいというふうに考えておるわけでございます。  で、お配りしてあります資料について、概要だけ御説明を申し上げます。  第一ページに、大豆作付面積の現況が書いてございますが、五十二年は全国で七万九千三百ヘクタールということで、前年の八万二千九百ヘクタールに対しまして三千六百ヘクタールの減でございますが、その主要なるものは北海道における減でございまして、これは他の作物の関係で競合して減ったというふうに考えておるわけでございます。  なお、この七万九千三百ヘクタールの中で、水田からの転換のものが約一万三千ヘクタール弱でございます。  それから二ページは、主産県の収穫予想でございます。作況指数は、本年の場合、主産県について見ますと一〇二というふうに予想されております。  それから、三ページは「作柄概況」でございますので、お読みをいただきたいと存じます。  四ページは、年次別作付面積なり、収量収穫量推移を書いておるわけでございますが、五十二年の収穫量は、作況関係等もございまして面積が減りましたが、十一万トン程度というふうに現段階では想定をされます。前年に対しましてほぼ横ばいということでございます。  それから五ページに、需給関係あるいは長期見通し関係資料がございますが、長期見通しといたしましては、六十年目標といたしまして、食品用大豆需要が七十万七千トンあるということを想定をいたしまして、それの六割を自給をするという想定を立て、目標といたしましては生産量で四十二万七千トンということでございまして、基準年次に対しまして約三十万トンの増を目標としておるということでございます。  それから価格関係でございますが、価格関係は例年使っております資料関係から、国産大豆のところは「十勝小粒」ということで表示をしてありますが、これは仲間相場取引建て値のごとく扱われておるものでございまして、価格平均よりも上方に変位をしておると申しますか、割り高というふうに考えていただいたらよろしいかと思います。一般のものはこれよりも若干下回ったところということでございますが、それとの対比でアメリカと中国大豆価格が掲げてありますけれども、国産大豆食用大豆に向けられるものが多うございますので、したがいまして、どちらかと言えば、輸入大豆で申しますると食用に向けられる比率の高い中国大豆価格との比較でごらんいただければよいのではないかというふうに考えるわけでございます。いずれにいたしましても、輸入物に対しましてもかなりある程度高い水準というふうに考えられるわけでございます。  それから次の七ページに、先ほど申しました基準価格関係年次別推移が掲げてございますが、これには御案内のような法の規定に基づきましていわゆる不足払いというのをやっておるわけでございまして、集荷団体農家から委託を受けて販売をしました大豆の総販売につきましての平均標準販売価格と申しますが、それから流通経費を差し引きまして、その額とこの基準価格との差額を不足払いをするということに仕組みとしてなっておるわけでございまして、基準価格はそういう意味で農家手取り価格というふうにお考えいただければよろしいわけですが、これは例年、前年の基準価格に対しましてパリティ上昇率を乗じて各年の基準価格を算定しているというやり方に相なっておるわけでございます。  なお、そういうことで、先ほど申しました生産長期目標に対して生産を振興していくという観点から見て、価格関係だけではいかがであるかという御議論が非常にございまして、四十九年産のものから、ちょうど真ん中辺に「生産振興奨励補助金」という欄がございますが、この補助金を六十キログラム当たり二千五百円、三千円、三千五百円という形で、逐次増額を図りつつこれをつけ加えてきておるということでございまして、それを合計をいたしましたものが生産者平均手取り価格ということになるわけでございます。次の欄に書いてあるものでございます。前年は一万四百三十三円が基準価格でございまして、奨励補助金が三千五百円でございますから、合計いたしまして一万三千九百三十三円ということに相なってきておるわけでございます。今後、こういう推移を踏まえて、価格をどういうふうに持っていくかがこれからの課題でございます。  それから、次はパリティ指数関係でございますので、省略をさせていただきます。  次に「大豆生産費推移」が十アール当たりと六十キログラム当たり統計情報部資料を掲載をしてございます。五十一年産につきましては、一番右の欄の一番下にございます六十キログラム当たりで一万百七十九円ということに相なっておるわけでございます。  それから、先ほど申しましたような仕組み交付金交付をしておるわけでございまして、その交付実績が十ページに記載をしてあるわけでございます。  以上のようなことでございます。
  10. 山内一郎

    理事山内一郎君) これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は、新しい議員でございますので、きょうの質問をするのに、四十九年からの衆参両院委員会で行われたてん菜バレイショ大豆等価格質疑の内容を調査いたしましたが、その限りにおいて、毎年同じような争点が問題になっているように考えておる次第でございます。  それで、きょうは角度を変えて、ひとつ最初に三点ほど農林大臣にお伺いいたしたいと思いますが、その前に、ただいまの資料説明をお聞きしておりましてどうもわからないので、大変先輩委員の皆様には御迷惑かと思いますけれど、ちょっとひとつ御質問したいと思います。  てん菜の四十八年が六万一千六百八十三ヘクタールだという御説明がございました。四ページです。ただいま局長から、これは少し多過ぎたというふうな御説明がありました。私たち北海道の地方におりますと、毎年、長期生産計画というふうなものも立てて、そしてそれが道を通じて農林省に上がっておると思います。それらの計画からいってこの四十八年の六万一千ヘクタールというのは多過ぎたのかどうか、ここのところをちょっとひとつお願いをいたしたいと思います。  それからもう一つ、資料の点で「大豆国内市場価格推移」、アメリカと中国大豆価格が出ております。これは多分アメリカや中国から輸入するので、一番身近な感覚としてこれらの価格が出ておると思うのですが、世界じゅうでは日本と同じように、小さな面積で多くの人口を養いながら農業をやっているところがたくさんございます。どうしてそういう似たようなところの数字がこういうところに出てこないのかという点、ちょっと私たちは理解に苦しみますので、この二点、まず資料についてひとつ教えていただきたい。
  12. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 全体の長期目標からいたしますというと、砂糖類につきましては自給率を四十七年の二〇%から六十年の二八%に上げるということを意図いたしております。その中で、てん菜作付面積を五万八千ヘクタールから七万七千ヘクタールに拡大するという計画でおるわけでございます。こういう計画水準からいたしますと六十年目標にはまだかなり距離がある、六万一千ヘクタールも決して多くないということになります。  私が申し上げましたのは、そういう目標とか計画ということでなしに、むしろ前年あたり五万七千ヘクタールであったものが六万一千ヘクタールにこの年ふえ、そうして翌年、四十九年に急激に落ち込んだ、その原因は何だろうということで、関係者とか団体に意見を聞きましたところ、全体の輪作体系ということから考えると、どうもてん菜がその分だけちょっと飛び出たのではないか、そういう意味で、この時点における全体の畑作の適正な運営という観点からすると多過ぎたのではないか、そういうことを申し上げたわけでございます。
  13. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 外国からの大豆の輸入は、圧倒的に数量的にはアメリカが多うございまして、その次に非常に大きな数量——アメリカに比べれば十分の一以下でございますが、中国ということになっております。そのほかの国は非常に数量が少のうございますので、たとえば台湾からも若干ございますが、年間を過じまして六百八十ミトンというふうなことでございますから、参考にするのはいかがかということで、アメリカ、中国を掲げたわけでございます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、いまそういう御説明を聞くとわかるのですが、先ほどのあれですと、何か六万一千ヘクタールというのはいやに多くつくった、そんなにたくさんつくっていながら価格が安い安いと言うのはおかしいではないかということを伏線にした先ほどは御説明のように、私たちには聞こえるのです。そういう点については、ひとつ説明をするときにもう少し配慮をしていただきたいというふうに思います。  それから大豆の問題につきましてですけれど、台湾を例に出されましたが、私の申し上げておりますのは、日本と同じような規模の国がたくさんあるんだから、できるだけやはりそういう同じような経営規模の国の、大豆にしろ何にしろ、そういう価格は一体どれくらいしているのかということを参考に出していただければ大変便利だ。なぜなら、アメリカや中国、たとえばアメリカを例にとってみますと、九百三十万ヘクタールの膨大な国土に五〇%近い耕地を持っておる国です。日本は、三十七万七千ヘクタールの中で一六、七%しか耕地を持っていない国です。こういうところの価格を、ことさらにこれほど日本では大豆を高く買っているんですよということを、これ見よがしの数字になぜ挙げなきゃならぬのか。こんなことはあたりまえのことなんですから、そういう同じような国、そういうところの農業との比較を出さないで、中国だとかアメリカだとかというものとの比較だけ出せば、これはとても日本の農政の中で大豆を位置づけるということは大変だと思います。そこいら辺、そういう資料を出す場合の御配慮をできればひとつお願いいたしたい。これは要望でございますが、何かありましたらどうぞ。
  15. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 誤解を避けますために申し上げますが、これは例年、関係者のいろいろ御審議を総体的にお願いをする意味で便宜な資料ということでやっておるわけでございまして、ことさらに作為があるわけじゃございません。  それで、台湾等はどちらかと言えば、似た生産事情にあると言えば台湾というようなことかと存じますが、これについての輸入金額は、五十年で申しまして約六十キログラム換算ですと七千円くらいということに相なりますが、ことさらにそういうものを隠す、隠蔽をするというような意味で申し上げているわけではございませんので、御了解をいただきたいと思います。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 本論に入らじていただきますが、実は、三日の総理大臣の所信表明演説を聞いておりますと、わが国の資源・エネルギー及び食糧の確保は永い将来にわたってわが国の経済及び国民生活の基盤にかかわる問題であるから、危機が現実のものとなってから対処するのでは手おくれである、長期的視点から基本対策を確立し、国民の合意の上にこれを進めなければならない、このように申しております。そして、さらに後段に参りまして、食糧の総合的な自給力の向上を図ることを長期にわたる基本方針としてという中で、米から麦、大豆、飼料作物などへの転換促進、こういうふうに具体的な作物の名前を挙げているわけでございますが、この点については、具体的な名前を挙げておりますので、この中にはビートやあるいはバレイショは入らないのかどうか。恐らく「など」と、こういうふうに最後なっておりますので、この「など」の中にビートやバレイショも入っているんではないかと思いますが、この点についての大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。  それから、できるだけ早く勉強しなければならないと思って国会の質疑の記録を読んでまいりますと、大変農林大臣がいいことを随所で言われておるので、意を強くしているわけでございます。たとえば昭和五十一年の十月に大石前農林大臣が、「私も現在の砂糖政策は、何と申しますか、言いにくいのでありますが、ちょっと筋から外れているのじゃないかと思うのです。たとえばいまの精糖会社が、いまだに長い間あんなお互いに足を引っ張り合って、糖価をめちゃくちゃにして混乱させるということが、ひいては国内の農民に対するいろいろな圧迫にもなっておるわけでございます。」こういうふうなことを申しております。  また、鈴木農林大臣が本年の三月の委員会におきまして、世界食糧問題一つとりましても世界の食糧事情は一両年若干好転の兆しが見られますけれど、しかし在庫は以前に比べて——これは恐らく世界全体の食糧保有量だと思いますが、決してふえていない。また、わが国の食糧の自給度、自給力ということにはまだ不十分な状況にある。そうしてさらに、食糧の問題に関してはいささかの不安も与えず、一方、生産者である農林漁業者に対してもあすに対する明るい展望を持っていただけるそういう農政を展開しなければならない、このように考えている、こういうふうに御発言になっております。  そこで、第二の点につきましては、前農林大臣の御発言は同じ自民党の内閣でございますから、現在の大臣に引き継がれて生きているというふうに通常考えていいのかどうか、ちょっと国会の中のことはわかりませんので、大臣がかわったらそれはということかもしれませんので、その点を先にひとつ確認をしておきたいと思います。  それから、第三点の、生産者である農林漁業者に対して、あすに対する明るい展望を持っていただけるそういう農政を展開したい、こういう大変力強い発言について、もう一度ひとつ御確認をいただきたい。  以上、三点について伺いたい。
  17. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 先般の国会における福田総理大臣の所信表明の中で、資源・エネルギーの問題、食糧の問題につきまして重要な問題としてお触れになっておるわけでございます。  その中で、食糧の問題につきまして、これは国政の重要な課題として特に強調されておるわけでありますが、御高承のとおり、世界の食糧事情需給関係、これを見てまいりますと、アメリカ、カナダ、豪州等における小麦の生産が非常に作柄がよろしい、そういうようなことで、食糧事情は世界的に見て一応安定をしておると申してよろしいと思うわけでございます。大豆につきまして、冷害等の関係もありまして一時不作が伝えられましたけれども、これもその後における生産の好転によりまして、需給関係において心配のないような状況下にあると認識をいたしております。しかし、開発途上国等におけるところの食糧の生産状況は依然として停滞傾向にございますし、なおまた御承知のように、世界の人口は年々増大をいたしておるわけでございます。  そういうような観点から総合的に見てまいりました場合においては、食糧問題の長期的な展望は必ずしも予断を許さない、このように見ておるわけでございまして、そういう意味合いからも、わが国としては食糧問題は国民生活の安全保障の最低限のこれは要件でございますから、食糧につきましては、国内で生産できるものはできるだけ自給力を高めるようにあらゆる施策を進めていかなければならない。また、国土資源の関係からどうしても国内で十分賄えない分につきましては、海外から安定的に輸入を図るようにいたしまして、消費者である国民の皆さんに食糧問題ではいささかの御不安を与えないように、これを農政の基本と心得まして取り組んでおるところでございます。  この問題に触れまして、私がさきに当委員会等において、農政としてはどうしても農民諸君が意欲を持って取り組んでいただけるようでなければならないという観点からいたしまして、農民の皆さんに明日に対して明るい展望を持っていただけるような日本の農林漁業の振興、また農家経済の安定というようなことを基本にして農政を進めていかなければならないということにつきましては、その当時の私の考えと現在も同じような考えを持っておるわけでございます。  その際に、総理が具体的に麦でありますとか、あるいは大豆でありますとか、飼料作物等と、こう申し上げておりますのは、今後自給率の低いところのこれらの主要作物、需給関係から見ましてぜひわが国としても自給率を高めなければならないものを例示的に取り上げただけでございまして、御指摘のてん菜等につきましては、北海道においては輪作の基幹的な重要な作物であることは十分認識をいたしております。したがいまして、てん菜等の振興につきましては、農林省としても十分意を用いて努力を払ってまいる所存でございます。  なお、大石さんが、わが国の精糖業界のあり方あるいはそれが糖価に及ぼす影響、特に国産糖に及ぼす影響等を指摘をされまして、精糖業界の体質の改善等につきまして触れられましたことは、私も同じような認識を持っておるということを申し上げておきたいと思います。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣の大変心強い所信の表明をいただいて、そのとおり、額面どおり受けとめると。大変これは日本の民族の将来のためにも大事なことだと思っておるわけでございますが、そこで、当面の食糧事情の問題については、カナダ、アメリカの小麦の豊作ということでやや安定したということでございますが、これはちょっとどなたに聞いたらいいのかわからないのですが、ローマ会議における食糧学者たちの先年行ったアピールあるいは国連食糧機構が長期の二十一世紀に向けての世界の人口と食糧のアンバランス等について報告をつい何年か前行っておりますので、それらについてひとつ簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  19. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 一九八五年におきます世界の穀物需給がどうなるかということを予測をしたのは、一つがFAOの予測がございます。これは昭和四十九年をベースにして見通したわけでございますが、開発途上国では一体需要がどのくらいになるかということにつきましては、大体需要が九億二千九百万トンぐらいであろうと。一方、生産の方は八億五千三百万トンぐらいですから、大体七千六百万トンぐらい不足をするであろうという見通しを出しております。一方、先進国の方は、生産需要を上回るという見通しを出しておりますが、これはどの程度上回るかということの数字は出ておりません。したがって、世界計ではどの程度不足をするかというそのほかの数字はわからないわけでございます。  もう一つの見通しは、OECDが昭和五十一年をベースにしまして一九八五年を見通したのでございますが、これは一部推定を踏まえておりますけれども、開発途上国の需要が八億九千八百万トンぐらいで、生産が八億六千五百万トン、不足が大体三千三百万トン程度。一方、先進国の方は、生産需要を八千万トン上回るということでございますから、このまま差し引きいたしますと、大体生産の方が需要よりも若干上回るという見通しに相なっております。  一方、アメリカの農務省が一九七五年をベースにしまして見通した見通しによりましては、需要生産の差し引きで大体とんとんであろうということでございます。農林省におきましても、一九七五年をベースにいたしまして一九八五年を見通したモデルを使いましていろいろやってみましたが、生産需要の見通しを差し引きまして、世界全体で大体とんとんではないかという結論でございます。  御存じのとおり、この見通しには人口の伸び率はどの程度になるかとか、あるいは需要生産の年率がどのくらいで伸びていくであろうかという問題がございまして、たとえば農林省で見通した見通しでは、人口が二・一%で、生産は年率二・三%で、需要は二・三%程度であろうというふうに前提を置いてございますので、必ずしもそれがどんぴしゃりいくというわけではございませんし、同時にもう一つの要素は、価格の要素がこれには入っておりません。したがいまして、価格が上がれば需要は減ると、価格が下がれば需要がふえるという、そういう価格の要素が入っておりませんので、その点はお含みおきをいただきたいと思います。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、大臣にもう一度お伺いしますが、長期の見通しでも世界の食糧は心配ないというふうな農林省数字を持っておるということでございますね。
  21. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 私の申し上げたのは、大体昭和五十一年ぐらいをベースにいたしまして、一定の人口の伸び率、それから生産需要の伸び率を想定いたしまして一九八五年を見通しますればいま私が申し上げたようなことでございまして、これがさらに二十年先、三十年先にどうなるかということを申し上げているわけでございません。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 時間がございませんので、その種の問題はそれではまた後日に譲らしていただきます。  それで問題は、当面出ているてん菜及びバレイショ大豆等の問題でございますが、パリティ指数をとるときに、一つには、標準的ないわゆる五〇%程度農家基準にして反収を算定しておるということでございます。しかし、これはどうも私たちおかしいじゃないか。というのは、ただいまの御説明にもありましたように、長期計画ではビートの反別ももっとふやすということが農林省計画でございます。そうしますと、ふやすための施策としては、少なくてももっと低位の農家もつくれるような、現在、ただいま要請のありました全国農民総連盟あるいは北農中央会等の説にもありましたように、六〇%程度農家基準にいたしますと、反収は大きく違ってきます。そうして、そういう反収から割り返しますと、どうしても二万一千円程度にしていただかないと、ビートの増産、甘味資源自給率を高めるということにはならないと思います。たとえば甘味資源自給率強化対策につきましては、昭和三十二年に基本方針が出されておりますし、さらにまた、昭和五十年の「総合食糧政策の展開」の中でも、農林省自体がもっと自給率を上げるということを言っております。にもかかわらず、実際の価格の問題になると、依然として外国との比較あるいは砂糖の輸入価格というふうなものが論議の対象になっておるようでございますが、この点もひとつ考え方の転換をしていただくということでないと、価格問題というのは平行線をたどっていくのではないかと、かように存じますが、この点についての所管の御見解をお願いいたしたいと思います。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  23. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) てん菜価格につきましては、御承知のように、毎年パリティ指数の伸びを前年の価格に乗じてその年の価格を算定するということをいたしております。法令上パリティ価格基準としてということ、そのほかの経済事情を参酌して決めるということになっておりますが、一番基礎になりますのは、そのパリティの伸びを算定するということでございます。  その場合の反収はどうかということでございますが、パリティでありますので、これは反収というような直接生産費をベースにした算定の仕方とはつながらないということになっております。むしろ、そうなりますというと、パリティでなく、生産費調査あるいは生産費所得補償方式というような形での算定は考えられないかというような意味を込めてのあるいは御質問かと思われますが、私どもてん菜につきましても、これは甘蔗につきましても同様でございますが、生産の態様、それから天候、気象条件そのほか各般の条件によって年々の収量変動がきわめて大きゅうございます。その意味からいたしますというと、もう一つは地域作物であるというような事情もありましてか、年々の生産費そのものがきわめて安定しない、価格算定の基礎としてとるにはきわめて不十分であるというような技術的な理由もあって、生産費をベースにした価格算定は行い得ない。また一面、パリティ価格というのは、非常に農家生産費あるいは農家の所得、そういったものと全体の支出との関係からいたしますというと、一つの安定した長期の対応関係を保障するという意味で、安定した価格算定方式であるというメリットを持っておるわけでございます。そのようなことを勘案いたしまして、従来からパリティによる価格算定を基準として行ってきておるということでございます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、従来からの算定方式なんですが、確かにそういう数値のとり方によってこれは金額というのはいろいろに変わってまいります。ただしかし、相対的にビートその他の農産物の価格を見る場合に、他の産業との比較、これも衆議院の農水で昨年も質疑が交わされたところでございますが、たとえばこういうことと比較した場合にこれでいいということになるだろうか。農林大臣昭和三十四年の俸給月額が八万八千円、五十一年の俸給月額が百五万円というふうに数字が出ております。おおよそ一一・九倍です。その間のビート価格上昇率は二・三倍にしかなっていないんです。公務員の初任給の給料と比較してみますと、これにしましても約十倍近く上がっております。こういう価格の体系を数値のとり方でどのように決めていっても冒頭農林大臣が言われました、将来に希望を持てる農業政策ということが言えるかどうか、この点について、ひとつ大臣の御見解をお願いいたしたいと思います。
  25. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、農産物の価格決定当たりまして、農家の家族労働の評価あるいはこれを都市の製造業等の勤労者の所得に置きかえる、そういうようないろいろの価格決定の場合に配慮をいたしておりますし、労賃その他の値上がり分というものは、これを糖価安定法に基づきまして、物財費の値上がり等と同様にこれを的確に調査をし反映をさせるようにいたしておるわけでございます。そういうような観点から、私は糖安法の精神を踏まえまして、農林省としては最低基準価格というものを算定をしておるということでございます。  また、価格だけでなしに、やはり基盤整備の問題でありますとか、そういう生産条件を整備するというような施策も必要でございます。また、農地の面積その他によりましても、それぞれ生産条件、コストにも影響があるわけでございまして、そういうようなことを反映さしてできておるのが現在のてん菜糖価格である。また、御承知のように、精糖業者から奨励金というようなものも従来出した経緯もございます。今後、いまのような国際糖価が非常に低下をし、コスト割れの状況にあるという環境の中で生産奨励金をどういうぐあいに今後考えていくか、また、糖価算定の中で糖安法との関係でどういう位置づけをするか、そういう点を十分今後検討しながら、再生産が可能なような価格ということを目標にして今後の糖価の決定に当たってまいりたい、このように思っております。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 国際糖価あるいはいわゆる経済の原則の中で国内の砂糖の問題も制約を受けていくというふうなことは、それは確かに経済の理論としてはわかるんですが、冒頭申し上げましたように、自民党内閣でございますから、自民党の前々々々農林大臣のおやりになったことについては現在も大臣として責任がある、そのことはやはり十分踏まえていかなければならないと。  大石さんだけでなくて、実はビートの問題についてはこういうことがございます。文藝春秋の昭和三十六年の十一月号、この中で本別の大日本製糖が地鎮祭を行ったときに、故人になられました松田鉄蔵さんがこういうあいさつをしております。「飛行機の上から眺めても、汽車の窓から見ても、東十勝に製糖工場をつくるなら、池田町が一番適していることは誰にも分る。それを、この山の中の本別の町に持ってきたのは、河野農林大臣と、この俺である。」こういうふうに経済ベースに合わないところに政治力で——政治力という言葉がここにたくさん出ておりますが、工場をつくらせておいて、いまになって国際糖価がどうだからとか、国内の糖価の小売価格が低くなったというふうなことが、ビートの価格決定するときのいささかでも原因になるようなことがあれば、これは私たちはビート工場をつくったときのいわゆる寒地農業の確立と農民の生活と経済の向上という当時の農林大臣農林省のうたい文句がどこへ行ってしまうのか。大変古くなった話でございますけれど、現場からわれわれはそういう苦労をしてきた立場で、この点についての大臣の御所見を承りたいと思います。こういうことに責任ないのかどうか。
  27. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私がいま国際糖価関係でと、こういうことを触れました。これはどういう意味で申し上げたかと申しますと、この最低基準価格のほかに奨励金というものが御承知のようについております。それを精糖業者に負担をさしたと、こういうことは丸谷さん御承知のとおりでございます。いま国際糖価がこういうぐあいに下がっており、したがって、コスト割れを生じておるので、精糖業界から奨励金を出す余力があるかどうか、こういう問題が一つこの糖価決定の際において現実問題として起こっておる、そういう点を政府の方でどうカバーするか、こういう問題もあるわけでございます。そういう関連で申し上げたわけでありまして、国際糖価が下がったから国内産糖も安くせにゃいかぬというようなことを、私ここで申し上げておるのではない。  高度経済成長のもとで、都市勤労者の所得が年々高まってまいりました。どうしても農林漁業者の所得もやはりそれにできるだけ見合うように、格差を生じないようにということで私どもも努力をしてまいりましたから、現在、日本の農産物価格というものは、世界的に見て相当高い水準にありますことは、皆さんも御承知のとおりでございます。そういうようなことで、決して国際価格がどうであるからそれと同じようにしなければならない、そういう趣旨で申し上げておらないということを、御理解を願っておきたいと思います。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、そういう御趣旨はわかりましたが、一つ提言がございます。会社から出さしたこともあると。国際糖価は確かに上がったり下がったり、大変でございます。国内のビートあるいはカンショでん粉、その他いわゆる甘味資源全体を保護していく立場の中で、畜産振興事業団のように輸入を一本化して、そこで調整をしていくというふうな制度をつくる、こういうことについての前向きのお考えが農林省にありましたら、これを伺います。
  29. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 現在、国際糖価が大きく下落している、それからまた国内的に需要が停滞している、それからさらには豪州糖の過当な負担がある、そういうようなことから現在非常に国際のリファイナー、精製糖企業はきわめて経営は悪化いたしております。その価格の乱れが単に精製糖企業のみにとどまらず、国内産糖の面にも種々悪影響を及ぼしているという事実がございます。  そこで、私どもといたしましては、やはりこの価格を、正常なコストを償えるような価格を維持する必要があるというふうに考えておるわけでございます。そのためには、現在の糖安法の仕組みの中でも農林大臣の指示カルテルということで、価格、市価を維持するための指示カルテルを結ぶことができることになっております。ただ、今日まで何遍かそういうこともやってまいりましたが、どうもなかなかその実効を果たし得ない。そこで、私どもとしては、もう少しこれを強力な需給調整ができる仕組みでもって考える必要があるのじゃないかというふうに考えております。ただ、基本的な制度の仕組みとしては、砂糖の輸入は三十九年以来完全に自由化されております。その仕組みのもとで、国際的な貿易自由の原則に逆行するような形での一元輸入あるいはそういう価格調整機関を設けるというようなことは、なかなか正直言ってむずかしゅうございます。そこで、そういうような畜産振興事業団のような形での価格プールまでするということはなかなか困難かと思いますが、何らかの方式で需給調整をして、市価の維持を図るような仕組みをつくりたいものということでいろいろ検討しているところでございます。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 何らかの方式で検討するというのは、昨年も一昨年も委員会の中で答弁しているんです。いつまで何らかの方式で検討するんですか。
  31. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 事柄自体が非常にむずかしい性格の問題でございますために、鋭意努力いたしましても、なかなか時間がかかって答案が出てこないというのは事実でございます。ただ今日は、従来いろいろ答弁も申し上げているかと思いますが、それらの事態に加えて豪州との長期契約のトラブルが起こっておりますので、これを何とかして解決しなくちゃならないというような事情にも迫られております。それから精糖業の不況も一段と深刻になってまいって、累積赤字も精糖企業全体では千数百億をしょっている、中には倒産寸前のものも見られるというような状況で、猶予が許されない事態になっております。そういう事態もありまして切迫しておりますので、できるだけ早期にということで、現在は従来とはやや違った急いだ観点でこの問題を処理したいと考えております。
  32. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 大筋はいま杉山局長から申し上げたとおりでありますが、景気停滞の中で構造的な不況産業が幾多ございます。農林省所管の中では、いま御指摘の精糖業の問題あるいは合板産業の問題、そういうものがあるわけでございまして、こういう中で過当競争が行われ、また過剰な設備を抱えて、しかも国際糖価の低落によってコスト割れをしておる、こういうような不安定な状況にあり、それが国内産糖にも大きな影響を持っておる、こういうようなことで、この問題は近いうちに解決策を見出さなければいけないということで、私が事務当局に指示いたしまして、関係各省庁とただいま鋭意折衝中でございます。できるだけ早い機会に結論を得まして皆さんにお諮りをするようにいたしたいと、このように考えております。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、川村先輩から関連質問もありますので、十分のうちあと五分しか私時間がなくなりましてあれですが、大変いま大臣の前向きの答弁をいただいて、できるだけ近くそういう点で抜本的な糖安法その他関連法案の見直し、制度の見直し、そしてそのことが二万一千円という農民の非常に切実な、しかも具体的な数字を持って先ほど陳情のありましたそういう数字を尊重して、ひとつ価格決定していただくことを要望いたしておきます。  それからバレイショ大豆の問題についても同様、要望が出ております点についての善処を要望する次第でございますが、特に実はきょう日本農業新聞でバレイショのこれは生食の価格が出ておりました。L級で二十キログラム平均千七百円。ところが、私が田無と保谷と小平の小売屋さんを歩いて調査をさせておりましたところ、小売価格はキロ百二十六円から百四十円しております。ですから、これはもう約十倍です。そして、こういう平均価格でいわゆる北海道から来たバレイショが売られておる。そのもとを追っていきますと、箱代、運賃、選果その他の全体を入れますと、農家手取りは十キロ当たり五百円くらいにしかならない。こういう状態で、一体先ほど明るい希望を持たせるそういう農業政策を進めていくと言われる大臣の趣旨を体して——こうしたいっても被害者が生産者と消費者で、何かわからない途中で大きな金額が消えていくと。  さらにまた、そういうふうに小売価格の方が高いんですから、どうしてもことしは十勝のメークインだけでも、約四〇%より生食で売れないだろうと言われております。これがもう少し小売価格が安くなるような、そういうことが行われればもっと出るんですが、そうしますと、ライマン方式で一%五十八円という計算でいきますと、残りのメークインなどは一俵七百円くらいで澱原になってまたデンプンが余ると。余るんだからそんなに上げないでもいいんじゃないかと、こういう理論にすりかえられてきているのが現実でございます。一体、こういう点についての市場その他に対する指導、あるいはまた、流通機構の中における農業団体等に対する指導を農林省はどのようにやっておるのか、こういう現実を、きょう自体の数字を踏まえてひとつ最後に御質問します。簡単にひとつ、やっているとかやっていないだけでいいですから。あと川村さんに。
  34. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) ただいま数字のお話ございましたが、いま二十キロ千七百円ということでございますというと、キロ当たり八十五円になるかと存じます。キロ当たり八十五円ということですと、小売価格百二十六円ないし百四十円というのは、五割から七割程度高いという数字になろうかと思います。これが生産者サイドでもって十キロ当たり五百円、生産者のところから市場まで、市場からさらに末端小売までいろいろこういう価格差が出ていることは確かに事実でございますが、これに対して指導をやっているのかということならば、市場は直接農林大臣の監督下にあります。開設者が責任を持って、個々の取引についても適正な運営を指導するように、これは都道府県知事等でございますが、あるいは市町村長でございますが、こういった者を通じて指導を適正に行っております。  それから小売価格の問題につきましても、私ども、一般的にもちろんそういう適正経営を指導する。それから、特に現在はフードウイークというようなことでただいまその週間中でもございますが、適正な売り方をする。また、品物が不足するようなときに便乗的な値上げをすることのないようにというようなことで、常に監視、指導の行政は行っております。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、いまそういう多分あれが出るだろうと思ったんですが、実はここで言った百二十六円から百四十円というのは、L、Mが一緒にまざっているんです。で、市場に出ているのは、千七百円というのはしの特級です。これはMを半分まぜますと、十キロ二百円くらいにしかなっていないんです。それが百二十六円に半分入っているんですから、そこいら辺を十分注意していただかないと、何かでん粉だけが余っていくというふうな論理にすりかえられてしまうので、消費の拡大ということについての指導をひとつしていただきたい。時間がありませんので、要望だけにとどめておきます。
  36. 川村清一

    川村清一君 関連して質問いたします。  大臣、御承知だと思いますが、本委員会におきましては、何国会か忘れましたが、いまよりも二、三回前の国会におきまして、社会党、公明党、民社党、それから二院クラブの共同提案——共産党は共同提案に入っていただけませんでしたが、賛成ということで糖安法と農安法の法律の改正案を提案いたしました。その骨子は、その価格決定に当たっては生産費・所得、これを補償するいわゆる生所補償方式をもって決めるべきである、こういうことで改正案を提案いたしましたが、残念ながら自民党さんの賛成を得られないままに二つの国会ほど継続審議になったわけであります。そうして御案内のように、ことしは改選期になってしまったものですからそれは消えてしまって、現在は継続審議でここに存在しないことになっておるわけであります。  そこで、先ほど丸谷委員の御質問に対して大臣は、相当前向きの答弁をされておりました。したがいまして、お米と同じように大事な畑作作物であるこのバレイショあるいはカンショあるいはビート、そうしてサトウキビ、これらの価格については生所方式をもって算定すべきである、こういうようなふうにわれわれはまた出す考えでありますが、これに対して鈴木農林大臣は大変前向きのお考えを持っていらっしゃるので、こういう法案を出した場合にあなたは賛成されるかどうか、この点をまずお聞きしておきます。これが第一点。  もう一つ、これで終わりますが、バレイショ価格にしても、あるいはてん菜、サトウキビ、こういうものの価格にしても、思いつきで価格が出るのではなくして、やはりきちっと法律的な根拠があって価格が算定されるわけであります。  そこでお聞きいたしますが、まずこのビート、あるいはサトウキビの価格につきましては、言うまでもなく砂糖価格安定等に関する法律の第二十条、第二十一条、これを受けて砂糖価格安定等に関する法律施行令の第十三条、これを受けてその算定方式は付録第二にあるわけであります。この付録第二の計算に基づいて施行令十三条のこの趣旨が生かされるように、最低生産者価格というものが算出される、かように理解しております。  次に、バレイショでございますが、バレイショにつきましても、これは農安法の第五条の第一項、農産物価格安定法施行令の第二条、これを受けて付録第一、第二の算式によってこの基準価格というものが算出される、こういうふうに法律に明らかにうたわれておる。御案内のとおりだと思うわけであります。ところが、去年もおととしもそうでありますが、てん菜最低生産者価格、これに奨励金というものがプラスされておる。バレイショの場合も、また基準価格にはこの奨励金というものがプラスされておる。一体、奨励金というのは、この法律から言ってどういう位置づけになるのか、私は不明なんですが、奨励金なんというものはこの法律にない。奨励金というふうに算出されるその額というものは、法律的にはどういう意味を持ってどういう位置づけにあるのか、これをひとつ明確にされたい。法令に基づいて出るとするならば、当然その奨励金というのは最低生産者価格あるいはバレイショならば基準価格、これに加えるべきじゃないですか。法律に書かれておるこの事情から言って、当然これに加わるべきじゃないですか。どうして奨励金というのが別になるのか。それで出てくる奨励金というものは、この法律上どういう位置づけを持っておるのか。これは関連質問ですから、長いことできませんからこれでやめますが、これを明確にしていただきたい。それをお聞きしてから、またいつかの機会にお尋ねします。  この二点であります。第一点については、大臣から御答弁いただきたい。
  37. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 農産物の価格支持政策、これにつきましては農産物の特性、生産の態様、条件、いろいろのことを考慮いたしまして、米、麦のように生産費所得補償方式をとっておるものもございます。また麦は、御承知のように、麦、なたねの価格支持政策がございます。また、甘味資源につきましては、糖安法に基づいて算定をされておる。いろいろ農産物によりまして価格を算定する基準を法律によって定められ、それに基づいて行政当局として忠実にそれらの関係指標を採用しまして決めておる、こういうことでございます。  私は、サトウキビであるとか、あるいはてん菜であるとか、そういうようなものの生産状況、実態等からいたしまして生産費所得補償方式はとりがたい、これはどうしてもパリティ方式でやることが妥当であると、このように考えておるわけでございます。今後とも、国会の御意思でこの法律等が変わりますれば別でございますが、私としては現在ございます法律に基づいて正しく価格を算定してまいりたい、このように考えております。  なお、奨励金の問題でございますが、これは価格とは別に、いろいろ生産を増強する等の必要から生産奨励金というものを農産物によって採用しておるわけでございます。てん菜糖につきましては最低生産者価格のほかに、当時精糖業者が非常に経営の内容がよくまた相当の収益を上げておった、その際に生産農民の方から、精糖業者はそれだけ収益が高まっておるのだからこれを生産者に還元すべきだというような御要望等があって、当時奨励金という形で交付されたという経緯は、川村さん御承知のとおりでございます。今後の価格決定当たりまして、それらをどういうぐあいに評価をし、またどういうぐあいに位置づけていくか、そういう問題は十分今後検討をさるべき問題だと、こう思っております。いずれにしても、政府としては糖安法等に基づきまして価格決定いたしますと同時に、生産者が再生産の確保ができるように、そういうようなことを旨として価格決定当たりたいと、このように考えております。
  38. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 奨励金の法律的な性格についてということでございますが、価格自身の決定の法的根拠はいま川村先生読み上げられたとおりでございます。奨励金は、大臣も申し上げましたように価格ではございません。  したがいまして、それらの根拠規定とは直接かかわりを持たないものでございます。四十九年に出されたときは、これはまさに民間企業の任意の奨励金でございました。しかし、五十年に出す際は民間企業は全額は負担し得ない、そうかといって農民に対して全くこれを廃止してしまう、やめてしまうというわけにはいかないということで、政府がこれは中に入りまして、この問題については企業と政府でもって責任を持って処理するということにいたしたわけでございます。最終的に、ごく一部を企業が負担し政府が大部分の額を負担した。それから五十一年は、全額を政府が負担する形でこれは処理したわけでございます。この場合、政府が歳出を行っておりますが、これは法的根拠に基づく価格ということでなしに、予算上の補助金ということでの性格を持つものでございます。
  39. 北修二

    ○北修二君 それでは、私から四点につきましてお伺いをいたしたい、かように存じます。  まず第一に、今回決定をしようという各作物、てん菜イモでん粉あるいは大豆カンショ、切り干しカンショ、これらにつきましてお伺いをいたしたいわけでございますが、関連がございますので、まず第一に国内における自給率の問題からお伺いをいたしたいと、かように存ずる次第でございます。ただいま申し上げた中の自給率でございますので、他の作物については触れないつもりでございますので御理解をいただきたい、かように存じます。  先ほど説明がございまして、てん菜につきましては四万九千ヘクタール、そして昭和六十年度には七万七千ヘクタールにしようと、こういうことですが、この間の、今後どうやって七万七千ヘクタールにしようと考えるか、年次別にその考え方についてお伺いをいたしたい、これがまず第一点であります。  次に、イモでん粉でございますが、イモでん粉につきましても、従来七万三千ヘクタールぐらいございました。北海道内においての面積でございます。これが六万八千ヘクタールぐらい。五千ヘクタール減った。本州におきましても千ヘクタールぐらい減っておりますので、六千ヘクタールぐらい減少をいたしております。でん粉状況その他いろいろイモについては、バレイショについては、生産がというか、需給が非常に逼迫しておるというか、非常に厳しい情勢にあるわけでございます。一体このバレイショ生産のいわゆる自給率をどういうように考えておられるのか、本年だけでなく、長期にわたってひとつその点についてもお伺いをいたしたい、かように存ずる次第であります。  なお、カンショにつきましても同様、ひとつ御説明を願いたい。  それから、切り干しカンショにつきましては、御承知のように五島列島を中心にした非常に零細な農家が多いわけでございます。これもまことに重要な問題だと、かように考えておりますが、これらについての将来の自給率、これもお伺いをいたしたい。  さらに大豆の問題でございますが、この大豆が減ったという点について、相当奨励金その他も出しておると国は言われておりますが、一向にふえない。これはどこに原因があるのか、その見解。それから今後稲転に合わせて、稲転の目玉は大豆だと言われておる、どうやってこの大豆自給率をふやそうと考えておるか、また国内における大豆自給率はどこら辺まで可能だとお考えになっておるか、その点についてお伺いをいたしたい。
  40. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 大豆について申し上げますが、大豆についていろいろの奨励措置をとりながらかつ減少した理由は何かというお尋ねに対しましては、これは先ほども冒頭説明に申し上げましたが、他作物との関係においてさような状態が残念ながらあらわれたと見る以外にないと思うわけでございます。これは、たとえば大豆と競合いたします畑作物と申しますと、大豆以外の豆類がございます。北海道の場合には、そのほかにビート、それから麦、牧草と、こういったものが主要な競合作目かと考えられるわけでございます。輪作経営の中で大豆をうまく取り入れまして、そしていい経営をつくり上げるということは非常に重要でございますけれども、そういう中でほかの作物の相対価格関係、収益性というようなことから年々の変動は、たとえば最近は、北海道で申せば小豆の価格がかなり好調であったというようなことを反映をして、大豆から小豆にかわったものもございます。それからてん菜も昨年は大変反収もよく、収益性が上がったというようなことで、ことしはそういうものにかわったというものもあるのではないかというふうに思われるわけでございます。  内地におきましても、内地では野菜などが畑大豆につきましては競合作物として考えられる、あるいはたばことかその他の作物がございますが、他作物との関係でかわってくるということがあるので、私どもとしては、この点は十分他作物との価格関係等にも配慮すると同時に、将来の大豆生産を伸ばす中において、いま過剰基調にございます水稲を転換をいたしまして大豆生産を大いに伸ばしていくということは、すでに方策としてとりつつあるわけでございますが、今後の、来年以降再編成をしてスタートをしようと思っておりますところの水田利用再編対策の中において大豆を重点作物として考えて、しかもこの対策は、長期的視点からかなり長い期間にわたっての取り組みをするという考え方に立ってその第一期をスタートさせようとしておるわけでございまして、その中において大豆は転換先の重点作目の一つであるというふうに扱ってまいって、この面から田作大豆をできるだけ伸ばしていきたい。かようなことで、六十年見通しについては、先ほど私申し上げたとおりでございますが、この目標達成は、なかなか正直申しまして努力を要するところであるというふうに思っておりますが、各般の施策をそこに集中するということで、できるだけ目標達成に努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  41. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) まず砂糖自給の見通し、基本指標について申し上げますと、四十七年、このときの自給率は二〇%でございます。六十年見通しでは、これを二八%に引き上げるということを考えておるわけでございます。その中で、てん菜計画上五万八千ヘクタールを七万七千ヘクタールに伸ばすということにしておりますが、率直に申し上げまして、北海道畑作面積全体がかつての六十万ヘクタールから四十万ヘクタールにも減っているという状況の中でこの目標を達成すること、年次的にどうこれを描いていくのだというお尋ねになりますと、きわめてむずかしい、なかなか実行上困難な問題があるというように考えます。しかし、目標としてはそこを掲げておりますということ。あわせましてサトウキビにつきましては、現在の四十七年当時の三万四千ヘクタールを、これを若干ふやしまして三万八千ヘクタールということで考えております。  それからカンショにつきましては、これはだんだん需要が減ってまいりまして、産地も特定化されてまいっております。一番鹿児島県が主産地でございますが、そのほかごく限られた産地になってまいっております。そのようなことから、六十年の需要も四十七年の二百六万トンに比べまして約半分、五三・三%の百九万トンというふうに見込んでおります。これは一〇〇%現在においても、六十年時点においても自給を達成するということにいたしております。  それからバレイショにつきましては、現在の需要量総量で三百五十四万三千トン、一〇〇%自給いたしております。これが六十年の需要見通しは三百八十二万九千トンとなっており、これは四十七年に対比して八・一%の増でございます。これも、この時点において一〇〇%自給を達成するということになっております。むしろバレイショは、先ほど来申し上げておりますように、現在の国際情勢等からいたしますというと、非常に安いコンスが入ってくるというようなことで、バレイショでん粉の消化、消費をいかにして伸ばすかということが問題なくらいで、過剰基調にあるわけでございます。そういうことで、目標としてはバレイショは一〇〇%需要を満たし得る。むしろその需要が本当に実現できるかどうか、外国から入ってくる安いでん粉との競争関係を考えながらその需要を確保するということが、一つの大きな課題になろうかと考えております。  それからカンショ切り干しについては、これはまたカンショそのもの以上に、非常に限定された長崎県の一部のような地域で生産されている作物になっております。現在、アルコール用等に売却されるわけでございますが、この生産が続けられる限りは、やはり現在のような形での価格支持を行ってまいる必要があると考えております。
  42. 北修二

    ○北修二君 いま堀川局長からお話があって、たとえば大豆の問題につきまして相当政府も努力をしておるというような顔つきをしておられますが、私は政府の努力は足りない、このままでは大豆というのはふえないであろう。それは何だろうというと、品種改良が非常におくれておるということです。ほとんどこの品種改良の専門家がいなくなってしまっている。私は大豆というものが少なくても三俵、四俵、あるいは将来五俵もとれるというような技術改良、これを大いにやるべきだ。試験研究に日ごろ努力することこそ、この目的が達せられるのだ。相当の価格にされたと思われておるかもしれぬが、生産者の方はこれでは他の作物と比較して十分でない、私はかように思うわけでございます。特段の品種改良に努力をしてもらいたい。  それから杉山局長から、自給率のいろいろ説明がございましたが、少しあいまい過ぎるのではないだろうか。もう少しきちっとした、明確に何年度はこのくらいにしてもらいたい、それにはこういうようにするのだという具体的な案を示してもらわなければ、生産する者も安心して生産ができないんじゃないだろうか。ぜひそういう努力、明確な目標を示してもらいたいことを要望いたす次第であります。  次に、関連がございますから前段を申し上げたわけでございますが、農産物価格、いままさに決めようとする価格でございますが、てん菜あるいはバレイショでん粉、ただいま申し上げた大豆カンショいずれもそうでございますが、先ほどから要請者がたくさんおいでになって要請をされておる。その要請をされておる価格は、御承知のことと思いますが、おのおのその価格を実現できる見通しなのかどうか、その点についてお伺いをいたしたい。
  43. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 要請される立場からすれば、価格は高い方がいい。そういうことと、それから、それなりの計算の根拠をお持ちになって主張をなさっていることは承知をいたしております。ただ、これはパリティでもって基準を考えるという基本ベースかありますのと、それからまさに需給事情その他の経済事情を種々参酌するということになりますと、国際価格の問題もありましょうし、財政負担の問題もありましょうし、総合的な観点から価格を決めなければいけないということになってまいるわけでございます。その意味では、残念ながら要請される立場の価格そのものを実現するということは、これはきわめて困難であるというふうに考えております。
  44. 北修二

    ○北修二君 要請される価格には困難だという、どういうところにその違いがあるのか。その例を挙げてひとつ説明願いたい。
  45. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) たとえば、ほぼ共通して要請される側の価格要求額の根拠といたしましては、生産費に基づく価格あるいは生産費所得補償方式による算定価格というようなことを言われるわけでございます。しかし、まあ物によって若干の差はありますが、これらの甘味資源イモ・てん粉類を通じまして——でん粉はちょっと二次製品でございますから別でございましょうが、イモ等を通じまして、いずれも生産の態様とか、特にその収量変動等を考えますというと、安定的な生産費を把握するということはきわめてむずかしい。  具体的に申しますというと、ビートは五十一年が御承知のような大豊作でございました。その結果、収量もよかっただけでなく、歩どまりもよくて非常に生産費は単位収量当たりきわめて安く上がったということになっております。これは生産費そのものをとりますというと、その前年よりむしろ下がってしまうというような結果になるわけでございます。現実の価格決定の私どもの行政として、前年より今日のような時点のもとにおいて価格を下げるということは、これは実際問題としてできない話ではなかろうかと思います。そういうことで、安定した算定根拠として生産費を直ちに用いるということは、私は実際問題としてむずかしいのではないかというふうに考えます。生産費のとり方ということになりますというと、恣意的とは申しませんが、それぞれ計算の仕方もおありでしょうし、その一つ一つを論評するつもりはございませんが、私どもが計算しておりますパリティ方式の価格よりはそれぞれ相当高目に出るという結果になっております。
  46. 北修二

    ○北修二君 具体的なお話がございましたが、それではいま問題になっておる、これから決めようとする中で、先ほどもいろいろ指摘があったようでございますが、奨励金の問題ですね。これは奨励金価格に織り込む考えはないかどうか、この点についてお伺いいたします。
  47. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 奨励金の性格につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、また私も補足的に若干申し上げましたが、四十九年に農家手取りを確保するという観点が一つあり、さらには、企業が収益を上げて経営的に余力があったということから、企業負担によって当時支払いが行われたという経過があるわけでございます。それを翌年は、農家所得の観点からするというと、政府が全く知らないというわけにもまいらない。やはり一遍農家に対してそういうものが支払われたという経過を、それからまた、種々農家の要求を考慮に入れ、本来企業が自己責任において負担し得べきかというようなことで発足したものではありましたが、現実問題として経営が悪化してその支払い能力がなくなったという前提のもとに、政府がその一部を肩がわりしたわけでございます。  五十一年は、全額を政府が負担したということになっております。これは先ほど申し上げましたように、そういういわば臨時の措置でございまして、予算上の任意補助金という性格を持っております。その意味では、受け取る側からすれば価格と同じではないかという御議論もおありでしょうが、価格そのものではない。それから負担区分をどうするかという問題もございます。さらには、政府の部内におきまして、これを仮に価格とするというようなことが行われた場合でも、その財源をどこに求めるか。一般会計の直接負担にするか、あるいは国産糖に調整金を課してこれを取るかというような問題が出てまいります。  ところが、現実問題として、これだけ経営の苦しい輸入糖を精製している精糖業界からさらに調整金を取るということも、実態的になかなかむずかしいという事情もございます。そのほか技術的な事情もありまして、この糖価安定制度の仕組みの中での位置づけ、負担区分のあり方、財政処理の問題、そういったことを総合的に考えますと、直ちに価格に取り込むということについては、なかなかむずかしい問題があるわけでございます。それらの点を十分関係当局とも詰めた上で、この取り扱いは慎重に決めてまいりたいと考えております。
  48. 北修二

    ○北修二君 次に、農産物の総合的な支持価格制度についてお伺いをいたしたい、かように考えるわけでございますが、御承知のように輪作体系というものが非常に大事であるわけでございますが、どの作物をつくっても所得に変わりがない、こういう制度をわれわれは要望をいたすわけでございますが、総合価格支持制度についていろいろ農林省内でも論議をされておる、こういうように聞いておるわけでございますが、この制度について農林大臣はどのようにお考になっておるか、お伺いをいたしたい。
  49. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 個々の農産物の価格につきましては、それぞれの法律等によりまして算定方式というものが定められております。私どもは忠実にそれで農産物の価格を決めていきたい。北さんも、個々の価格を米並みに全部すべきだという御主張ではなかろうと、私はそう理解をしておるのでありますか、要は農家の収益性、これをできるだけ稲作であろうと、畑作であろうと、あるいは甘味作物であろうと、農家の収益性というものをできるだけ均衡のとれるように、余り格差のないようなものにしていくべきだと、こういう御主張、お考えであれば、私もそういう考え方に基づきましていま取り組んでおるところでございます。ただ、価格の問題で、すべての価格を一挙に平準化するということはむずかしい面もございますから、そういう面につきましては、いろいろの生産対策、構造対策、奨励金等も含めまして、農家の所得水準に余り格差のないような方向に持っていきたいというのが、私の価格政策に対する基本的な考えでございます。
  50. 北修二

    ○北修二君 大分時間がなくなりましたので、次の質問をさせていただきます。  てん菜糖買い入れ価格の算定の方法ですね、これについてお伺いをいたしたいと思うわけでございますが、てん菜糖買い入れ価格の算定は、糖業者の経営実態の推移をはかり決めるというように聞いておるわけでございますが、御案内のように、先ほども若干説明がございましたが、生産コストが非常に高い。数字を言えば、二百円ちょっと上回る。それで事業団買い入れて、また百七、八十円で売り戻しておるというような状態であるようでございますが、いまこの算定についてどうも内容が、われわれも専門的に計算をする専門屋でございませんからあれですが、内容が不明確というような感じがするんですが、その点はどうなんですか。押しつけて政治的におやりになっておりますか。きちっとした整数をもって、こうだとおやりになっておりますか。その点についてお伺いをいたします。
  51. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) ビートメーカー、まあ沖繩の場合は、あるいは奄美の場合は甘蔗糖メーカーということになりますが、それから出される生産費の算定、これにつきましては正当な価格、つまり最低生産者価格で仕入れた原料をもとにして、これに加工賃を加えてそのコストが算定されるということになっております。加工賃はきわめて事務的、技術的なものでございますが、それぞれ実績ははっきりしておるわけでございます。それからまた、経営努力、技術の進歩等によって改善を図られるところもある程度期待できるわけでございます。そういう実績と努力と、それから物価の動向、そういった諸般の要素を織り込んで会社——会社といいますか、企業の事情を聴取しながら適正に定めてまいっているところでございます。もとより、それが適正に定められないということになりますというと、時に不当の損失をかぶせることになり、時に不当の利得をもたらすことになります。  そういう意味では、非常にこういう経費の算定はむずかしいものではございますが、すぐ翌期の決算なり経営状況にあらわれますので、そういったロングランのことを通じまして、全体的な調整を図りながら適正な経営コストを算定をしておるという状況にあるわけでございます。
  52. 北修二

    ○北修二君 まあ大体わかりましたが、いろいろ陳情書を見ますと、補助材料だとか、その他経費だとか、受け入れ経費だとか、増産奨励金だとか、四項目ぐらい書いてありますが、その内容がどうも五〇%ぐらいしか見ないとか、あるいは勘案をしておられぬのじゃないか、実態に合っていないというようなお話も説明で聞いておるわけでございまして、まあ糖業者につきましても健全な経営をしてもらいたい。もし糖業がなくなれば、生産者と糖業とは生命一体のものだと、こういうようにわれわれは理解をいたしておるわけでございます。不当な利益ということはわれわれ考えておりませんが、適正な経営のできるように内容を精査しながらひとつ指導し、あるいは内容の費用についても十分見てもらいたいものだ、かように考えておるわけでございます。  時間が参りましたが、農林大臣、いま近く決めようとする各作物、砂糖てん菜並びにバレイショ大豆、そしてカンショ、非常に大きな関心を持って多くの者がいま上京して、ぜひ誠意ある決定をしてもらいたい、こういうことで来られておるわけでございます。今後、農業の発展のために、あるいは農林大臣かおっしゃっておられる希望の持てる、あるいは後継者が喜んで農業のできるように、この際ひとつ今年度も大いに努力をしてもらいたい、かように思いますが、その決意のほどをお伺いをいたしたいと思います。
  53. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま北さんから御指摘になりました農産物、これはいずれも需給関係からいたしましてぜひ生産を伸ばしていきたい、また地域的にも重要な作目でもあると。まあいろいろ地方にもそれぞれの事情があり、要望をなさっておるわけでございます。私は、これから一連の価格形成に当たりましては、農家の皆さんが再生産ができるように、それぞれの価格算定のルールがございますから、それに基づきまして十分努力をしてまいることを申し上げておきたいと思います。
  54. 北修二

    ○北修二君 わかりました。
  55. 相沢武彦

    相沢武彦君 まず、農林大臣にお伺いしたいんですが、今年度の畑作作目の価格決定に際しての基準方針として、てん菜でん粉大豆について従来の算定方式と比較した場合に、政府は今年はどんな点に力を入れて検討をせられたのか、従来と比べて今年の特徴的なものがあれば挙げていただきたい。
  56. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 農林省としては、従来から国会の御承認を得て決められましたところのそれぞれの価格算定方式、これに基づいて努力をしておるわけでございますが、今後におきましても同様にいま申し上げたような再生産が確保されるように、また今日の経済並びに諸般の状況を勘案しながら、できるだけ農民の方々も御納得できるような価格が形成されるように努力をいたしたい、こう考えております。
  57. 相沢武彦

    相沢武彦君 漠然として具体的なお答えがないんですが、今回生産者、農民団体から特に奨励金を基本価格へ織り込んでもらいたいという強い要求がありますが、政府はもうすでに今年の六月に農家の人たちの強い要求を受けて、麦、それからなたねについての奨励金を基本価格に組み入れておりますが、今年の畑作三品についての価格決定についても、やはり従来よりは一歩前進した形態で取り組むべきではないかと思いますが、この点はいかがですか。先ほど、五十一年度は予算上の補助金として奨励金を出しておる、こういうことでしたけれども、麦、それからなたね等の場合も、これは予算上の補助金としての奨励金を基本価格に組み入れたんじゃないですか。そうすると、同じ形態で農家の方たちの再生産を確保するために、当然これは同様に考えて取り組まなければならないと思いますが、その辺いかがですか。
  58. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、今年度麦価を決めます場合には、新しい算定方式を採用いたしまして、奨励金千三百円を基本麦価の中に算入をし、それを基礎にパリティで計算をいたしまして決定を見たわけでございます。なたねにつきましても、同様の算定方式で処理したわけでございます。今後これらを大豆等につきまして採用するかどうかにつきましても、いまいろいろ検討いたしておるところでございます。また、その他の甘味資源あるいはカンショバレイショ等につきましては、これはいろいろの事情がございますし、価格形成上の問題点も多いわけでございますから、これらは十分あらゆる角度から検討いたしまして、価格の正しい形成ができるようにいたしたいものだと、このように考えております。
  59. 相沢武彦

    相沢武彦君 麦価、なたねのときにできて、てん菜バレイショ大豆のときにはその方法が講じられないというのは道理に合わないんですが、大臣、てん菜バレイショ大豆は、農業基本法第八条に基づく重要農産物であると位置づけられているように私は認識していますけれども、これは大臣の認識はいかがでございますか。
  60. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま御答弁申し上げましたように、なたね、大豆等価格の算定方式もございます。また、甘味資源の糖安法に基づくところの価格の算定方式もございます。  私は、先ほど御答弁申し上げましたように、なたね、麦等にとりましたものを全部にそのまま適用するというように簡単にはまいりませんけれども、いろんな事情を勘案をいたしまして、相対価格のできるだけ均衡がとれるようにという方向で努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  61. 相沢武彦

    相沢武彦君 今回の畑作物の価格決定についても、従来同様パリティ方式で行われるわけでありますけれども、畑作経営の安定化のためには生産費所得補償方式に踏み切るべきだ、こういう生産者団体の方たちの強い要望があるわけですが、政府の答弁は、いつもはサトウキビあるいはてん菜糖では、両方式で算出した場合に大体同額になるんだというような答弁のなされ方をするわけでございますけれども、現在の畑作三品の価格で本当に生産費が完全に償えているという御認識に立っているんでしょうか。
  62. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 生産費所得補償方式をとれという御意見に対しては、これは生産費そのものが安定しない。やはり天候その他によって収穫量変動が大きい作物、それから地域的に限定されていて全国的に平準化されないような作物については、技術的にそもそも生産費所得補償方式をとることはなかなか困難ではないかということが、まず第一にあると思います。また、パリティ方式というのは、それなりに安定した農家の所得なり、あるいは支出の態様を全体として安定した関係に結びつけるという意味で、非常にすぐれた価格算定方式ではないかと思うわけでございます。  それから、そういう仮に安定してすぐれた算定方式であっても、それが生産費を償っているかどうかということになりますと、これは物によっていろいろ差があるわけでございます。確かに生産費そのものをどういうふうにとらえるかというようなこともあるわけでございまして、必ずしも生産費を償っていないというものもあり得る。しかし先ほど申し上げましたように、全体としての奨励金とかそのほかの措置を考えますというと、今日におきましてはほぼてん菜におきましても、甘蔗におきましても、そのほかおおむね生産費水準は何とか達し得ているというふうに考えております。
  63. 相沢武彦

    相沢武彦君 米作農家と比較した場合に、昭和五十年の農業白書の統計を見ますと、一日当たりの家族労働報酬で、水稲は一日六千九百五十三円、それに対して原料用のカンショが四千十一円、大豆は三千五百八十九円どいう数字が出ていますが、非常に畑作の場合、生産者価格が低い水準に抑えられているということがこの数字を挙げただけでもわかるわけですけれども、そもそもこの価格決定方式ですね、再検討すべき時期が来ていると思うんですが、この点再度大臣からお伺いしたい。
  64. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 稲作につきましては、食管制度に基づきまして価格の形成もなされ、また政府買い上げ等の措置も行われておりまして、確かに他の作物に比べまして、安心して生産に当たられるという点は御指摘のとおりでございます。これに比べまして、畑作の面の価格の支持政策だけを見ますと、確かに今回麦価を新しい算定方式でやりましても、米価との対比は六〇%程度、これはしかし戦後におきましては私は最高水準まで達したと思っておりますが、しかし畑作につきましては、やはり耕作面積の問題でありますとか、あるいはその他の生産諸条件の問題でありますとか、あるいは輪作体系の採用でありますとか、複合経営の問題でありますとか、いろんな総合的な観点農家の収益性というものを向上させるように努力をしておるわけでありまして、すべての農産物価格を米と同じような価格というわけには一挙にはまいらない。これを補完するようないろんな生産奨励金その他の施策と相まちまして、畑作の振興に今後とも努力をしていきたい、こう考えております。
  65. 相沢武彦

    相沢武彦君 てん菜バレイショ大豆、この畑作三品は、政府の方では総合食糧政策上もっと自給率を高めるべき農産物だとこう言っておりますが、ですから、この価格決定も重要なこれは課題ですから、もっともっと審議会及び農業団体と十分事前の協議というものがなされた上で、慎重に検討した上で決定されるべきだと思うのですが、この方向は従来も、あれですか、農民団体と十分協議をしてというように努力をなさっているんでしょうか。それとも現在まではなさってないならば、これからなさるべきだと思いますが、それについての御見解を伺いたい。
  66. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 当然、関係者の意見は聞かなくてはならないわけでございます。いままで一般的に各団体あるいは地元関係者等の陳情を承っておりますが、そういうこととは別に、きちんとした形で生産者団体の意見を価格決定までの間に承るということを予定いたしております。
  67. 相沢武彦

    相沢武彦君 十分反映される価格決定であっていただきたいと思います。基幹作物としながら、やはり非常に低く抑えられがちである、先ほども同僚委員から例が引かれておりましたけれども、加工原料バレイショは五十一年度基準価格で六十キロ当たり八百四十八円、それが二十五年前と比べても二倍にしかなっていない、二倍程度に抑えられている。それからビート価格にしても三十四年に比べて二・三倍の上昇にすぎないというのですが、これじゃ生産者労賃とかあるいは防除費用さらには肥料代、農機具といったものが数十倍にも、何十倍にも値上がりしているわけですから、これじゃもう話にならぬと憤慨されるのは当然だと思うのですね。  北海道を日本の食糧供給基地というように農林省の方では位置づけられていると思うのですけれども、特に北海道の寒地農業を確立させるために必要な輪作体系、これを確保するための畑作について、これはそのいずれを生産しても十分他産業従事者と均衡するだけの所得が保障されなきゃならないと思うのですけれども、ぜひ今回の価格決定に当たって、畑作三品の生産者価格については前年度の農家手取り価格、これを基礎にしまして、最近における労賃、それから生産資材、こういったものの上昇分を適正に織り込んで、農家所得と再生産が確保されるように十分な配慮を望みたいと思いますが、これについて生産農家の方たちの期待にこたえ得られる価格決定されるという見通しの御決心のほどを、大臣から承りたいと思います。
  68. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておりますように、これから決定しようとする一連の作物は、いずれも国全体としても重要な作物でもあり、また地域的に重要な基幹的な作物でもあるというようなことを十分認識をいたしておりますので、糖価安定法、あるいは農安法あるいは大豆なたね暫定法、それぞれの法律の精神を踏まえまして、十分物財費労賃その他の値上がり分というものを的確にこれを反映せしむるように、そして再生産が確保されるように最善を尽くしたい、このように考えております。
  69. 相沢武彦

    相沢武彦君 てん菜でちょっとお尋ねしておきたいんですが、四十九年に北海道の場合は価格が不安定だということで、耕作面積か四十八年の六万ヘクタールに比べて激減して、四万ヘクタール台に減少したわけですが、その後四万ヘクタール台で推移したために、農林省としては五十二年から増反政策を実施して、十アール当たり二千三百円の奨励金を出されましたけれども、そこで、この増反政策の結果をどのように評価し把握をされているのか。  それから、非常に状況が厳しくなっているんですけれども、この増反政策を継続されるのかどうか。それと、増反奨励金の増額ということはどう考えておられるのか、この際明示をしていただきたい。
  70. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) お話しのとおり、増反奨励金交付の措置を本年度からとっておるわけでございまして、これは先ほど来食品流通局長からの御説明の中にありましたように、本年が初年度でございますが、北海道におきましては、作付目標面積、各市町村の分を合計いたしまして四万五千ヘクタールという設定でございます。これに対しまして実績は四万九千ヘクタールということで、かなり目標をオーバーをするということに相なっております。したがいまして、この増反奨励の措置は、初年度からかなりの成果を上げておるというふうに私どもは評価をしております。  なお、これは単年度の措置ということでなしに、一応当初の計画では三年計画ということで組んでおるわけでございますので、来年度も継続実施をいたす心組みで予算要求をしておるわけでございますが、ただ、十アール当たり二千三百円の補助金の額を増額するかどうかということにつきましては、初年度の効果もかようなことでもございまするし、成果を上げつつあるというふうに評価をしておりますので、これは増額する考えは持っておりません。
  71. 相沢武彦

    相沢武彦君 現在の日豪砂糖協定に絡んで豪州糖の引き取り拒否問題、これの成り行きが注目されておりますので、あえて農水委員会でございますけれどもお尋ねをしておきたいと思うんです。  砂糖の国際相場が五十年に入りましてから下落の一途をたどっておるわけでして、この協定締結当時には協定価格の三倍近かった国際相場が、協定発効時の五十年七月には、逆に協定価格の半値にも落ち込んでしまうと、こういうように非常に状況が変わってきた。そういうことで、国内相場も採算コストを大幅に下回る水準となってしまいましたし、そういうわけで、精糖業界としては、原料高の製品安という豪州糖の重圧を受けますから、軒並み赤字操業ということに落ち込んでいる。こういった事態に対処するために精糖業界では、数度にわたって協定価格の見直しを中心に豪州と交渉を重ねてきたわけですけれども、事態は一向にはかばかしく進展をしない。そういうことで、遂に豪州糖の引き取り拒否を表明をするに至り、長期の間、せっかく横浜港に着きながら陸揚げできない、そして戻ってしまうという異常事態に立ち至ったわけでありますが、一方には、外国農産物輸入拡大はもう阻止できないという観点から考える問題と、同時にまた、この問題は、単に砂糖協定をめぐる問題だけにとどまらないで、広く日豪間の貿易や友好関係に悪影響を及ぼすんでないかというように憂慮されている立場の方も多いわけでして、これについて、やはり政府の明確な方針というものを明らかにされなくちゃならないと思うわけです。  政府は、この問題について、今回のてん菜価格決定に直接の影響をするものではないというような心持ちをされているようでありますけれども、政府はやっぱり民間協定であるという立場をとってこられましたけれども、協定については政府も政令改正を行うなどで積極的に推進しながら、協定締結後事態は急速に悪化していったにもかかわらず、交渉を民間に任せて積極的な対応を怠ってきた、それが事態をここまでこじらせた一因だという指摘の面もございます。  そこで、大臣、政府はこの問題に対する責任をどのように政府として認識をされているのか。それからもう一つは、この問題を放置しておいたんじゃ、国内産糖は、今後は国際価格の影響を受けずに安定的に生産できるもろもろの措置というものを勇断を持ってとりがたいのではないかという私は心配があるわけでして、今後どのような態度で臨むのか、具体的な対策というものをぜひこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  72. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 豪州糖の問題でございますが、これは御承知のように、本質的には民間の協定に基づく取引であるわけでありますが、しかし、御指摘のように、この問題が長く紛糾の状態を続けておるということは、友邦である日豪関係にも悪影響を及ぼしかねない、こういうような観点から、政府としても、当面の折衝を業界がやっているわけではございますけれども、政府は、この業界につきまして、できるだけ話し合いによって、互譲の精神に立って早期にこれが解決を見るようにと、こういうような努力をいたしておるところでございます。  先般、杉山局長を豪州に派遣をいたしまして、政府並びに関係機関とも接触をさせまして、政府としてもあとう限りの側面からの努力を続けておるところでございます。これまで、わが方からも、この問題の打開のために、第一次案、第二次案、さらに最終的な案として新たな提案もいたしております。クイーンズランド州政府は、これをロンドンの砂糖協会に提訴をするというようなこともなされておるようでございますけれども、しかし、わが方の最終提案は、今後話し合いの基礎に十分なり得るという評価の上に立って、最近テーブルに着きまして、そして話し合いが公式、非公式に継続をされておると、こういう段階になっておるわけでございます。政府としても、できるだけ早くこの問題に決着がつけられるように業界を指導しやってまいりたいと、このように考えております。  なお、精糖業界は今日まで過当競争が行われ、また過剰設備も抱えまして、国際糖価の低下に伴いまして大変苦境に立っておるところでございます。農林省としては、この精糖業界の現状は国産糖の今後の振興にも好ましからざる影響を与えるものと考えまして、精糖業界の構造改善、また体質の強化、そういう問題をぜひやらなければならないと考えておりますし、また、そのためには需給均衡の措置が必要でございますので、需給計画というようなものを頭に置きまして、今後の需給の安定が得られるような措置を講じたいという考え方に基づきまして、いまこの精糖業界の再建整備についていろいろ検討を関係各省庁との間に行っておる、こういう段階でございます。
  73. 相沢武彦

    相沢武彦君 砂糖の自由化以来、三井物産、三菱商事、伊藤忠、丸紅、それから日商岩井、そういった大手商社が原料の輸入とか、製品販売等による利益の獲得のために精糖会社の系列化を強行をして、現在では市場シェアの七割をこうした五大商社系列が握ってしまっている、こういう経緯があるんですが、それにもかかわらず商社は、現在非常に砂糖業界が過剰投資その他で危機に陥っている、事は深刻化しているわけですけれども、特に経営危機に陥った中小の精糖会社の切り捨て、こういった自己保身を優先される危機回避策をとっているように見受けられます。そこで、それぞれの地域において、特に中小の精糖会社の存亡というものは、その地域におけるやっぱり生産者と密接なかかわり合いがあるわけですから、政府としてもこうした大手商社の身勝手な活動に対してこれに対して規制をする、そして中小精糖会社の経営再建にもっともっと大手商社が責任を持って当たるような強力な指導、こういったことをすべきではないかと思うんですが、これについての政府の御見解をこの際明らかにしていただきたい。
  74. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) およそ一般的に、商社が精糖企業に金を出すというか、出資なり融資をするということがいかぬということではございませんが、いまお説のように、商社が精糖企業を系列化している、そのことによって種々弊害が生じているということも、私どもも承知いたしております。まあいろいろ対策を考えているわけでございますが、その対策の実行に当たって、私はそういう問題を起こしているところ、商社の責任はきわめて大きいと考えております。その意味で、お話しのように商社系列だけを温存をするということではなくて、全体の企業の、特に中小を重点とした企業の経営安定が図られることを念頭に置いて対策を講ずべきであるというふうに考えております。
  75. 相沢武彦

    相沢武彦君 問題を変えまして、昭和五十二年度から農林省が実施をされましたてん菜輪作営農団地育成特別事業、これについてその後の進捗状況はどうなっているか。
  76. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) これは五十二年度を初年度とする新規事業でございますので、いろいろと取り組みに準備その他要しまして、現在のところその内容といたしまして中身が二つに割れておるわけでございますが、主要畑作地帯におきますてん菜を基幹とした合理的輪作の定着を促進する趣旨で営農推進協議会を設置いたしましたり、簡易な設置条件の整備をやりましたり、地力の培養施設を導入する、そういった事業の方でございますが、これは現在合計五農協五地区で実施をするというような計画が立って実施に取りかかっておるわけでございます。  それからもう一つの内容といたしまして、てん菜酪農地域——てん菜と酪農か共存しておる地域でございますが、そういう地域における対策事業としまして、牧草を長くそのまま置いておきますと生産力も落ちてまいりますので、更新時に一作てん菜を入れる、その後でまた牧草に返る、こういう仕事を進めておるわけでございますが、これにつきましても、予定どおりとまではいきませんが、若干予定面積を下回るかと思いますが、こちらの方は大体順調にいっておる、かようなことで、全体としては初年度としてはまず順調なスタートができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。二年度目以降、この初年度の経験をもとにいたしまして、さらに着実な推進が図られるよう努力してまいりたいと思っております。
  77. 相沢武彦

    相沢武彦君 畑作についてはどうしても輪作が必要なわけですけれども、しかし作物間の価格の格差や算定方式が不統一である、また各作物に対応させるためにそれぞれ個別の機械を持たなきゃならない。ところがその機械の部品が足りないとか、あるいは修理代が非常に高いとか、こういったことが畑作農家の方たちの非常に大きな悩みなんですが、今後経営を安定させるための措置として機械化貧乏にならないように、また安心して輪作ができるようにするために、この畑作経営に対する施策で営農団地事業以外どんな方法等を当局として考えているのか。それをお尋ねして、時間が参りましたので終わりたいと思います。
  78. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 畑作農業をやります場合に、特に規模の大きい畑作農業の場合に一番重要な点は、確かに合理的な輪作体系を確立してそれに相応するたとえば機械設備の導入を行い、経営の運営を改善をしていくということによるメリットを得るということが一つ挙げられるわけでございます。そういう観点から見ました場合に、機械の利用について非効率な利用にならないようにすることが第一でございますので、私ども高性能の機械につきましては高性能機械の導入基本方針というものをつくりまして、それに基づいて指導をしているわけでございます。実際にはそれに基づいてさらに道府県等で具体的な指導をされる、こういう仕掛けになっておるわけでございますが、この導入基本方針についても年次のたったものにつきましては見直しをいたしまして、適切な機械利用ができるという基準になる指標を明らかにするということをいたしたい。  さらにまた、機械にまつわる問題いろいろございます。部品供給が円滑にいかないために、せっかく導入した機械が遊んでしまうというようなこともございますので、これらの部品供給を円滑にするための措置として、農作業に入る前に農家みずからがエキスパートに御相談をして機械点検をいたしまして、そしてどの段階で部品はどういうものが必要かというようなことがキャッチできるというふうな仕組みを、これは業者側の体制整備も重要でございますが、そういう別途の工夫をこらす必要があるというようなことも検討いたしまして、具体的な中身を詰めているわけでございます。その他いろいろと畑作経営、特に大型の畑作経営において地力保持、土壌条件の改善というようなことが非常に重要でございますので、それらにつきましても、従来の土地利用型の営農推進の特別事業のほか新規事業も含めて検討をやり、結論を得たものは実行してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  79. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 小麦の作付面積最盛時が二十六年で、七十四万一千ヘクタールでした。そして、四十八年には約十分の一に下がった。そこで大変だというので、奨励金というのが出されました。しかし、四十九年には八万三千ヘクタール、そして五十一年には八万九千ヘクタールと、これは横ばいという程度にしかすぎません。また大豆を見ますと、二十六年最盛時の作付面積四十二万六千ヘクタールに対して四十八年には五分の一、御承知のとおりに下がってしまいました。そして、これも四十九年から奨励金が出されたけれども、五十一年は相変わらず八万三千ヘクタール、四十九年に奨励金がつけられたときの九万三千ヘクタールよりも下がっている。こういう点から見て、先ほどから奨励金の問題がいろいろ出されたけれども、奨励金というのはいつ切られるかわからないという不安がございます。そこで、皆さんの大きな要望で小麦に奨励金というものが基本価格に入れられたということは、一歩前進だと思うんです。  政府は、農業は大事だとおっしゃる。そして、畑作物も増産を大いにしなければならないと、そうおっしゃっていますし、それからまた、ことし特に深刻になりましたお米の過剰対策との関係から見ても、これらの畑作物の自給率を高め増産させるという意味から見ても、奨励金というものではなくて本当の基本給に入れてもらいたい。私などよく言うんだけれども、奨励金というのは二号と同じでいつ縁が切れるかわからない。こんな不安なことじゃ、農家の皆さん本当にやっていく気がない。小麦にせっかくなすったんだから、何としてもこれは基本給に入れて、政府がおっしゃるような増産体制、そして米の過剰対策にもするという姿勢をとっていただきたいと思うんです。いまのような調子で、小麦とか大豆とかてん菜とかいうものは増産体制がとられるとお考えになるか。そしてまた、米の過剰対策上からもこのままでもいいとお思いになるか。きょうは時間が二十分しかございませんので、端的にその二つの点について、大臣の御答弁をいただきたいと思います。大臣、端的にお願いします。
  80. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 端的に申し上げます。  私は、先般麦並びになたねにつきまして、従来の生産奨励金を基本価格の中に組み入れる措置をとったわけでございます。今後におきましても、できるだけそういう方向で可能なものはこれを逐次農民の皆さんが安心してやれるようにしていきたい、こう思っておりますが、いま直ちにできないものもございます。そういう点は、その方式がとられなくとも、最近における物価、物財費あるいは賃金等の値上がり等につきましては、十分価格に反映するように措置してまいりたい、これが第一点でございます。  第二点は、水田総合利用対策からさらに一歩を進めまして、水田利用再編対策ということで百七十万トンの転作をし、また必要な作物の自給力を高めるということを、御協力を得ながらぜひ強力に推進してまいりたいと、こう考えておりますが、そういう際におきましては、単なる一時的な問題としてではなく、長期にわたって転作が定着するようにするための価格並びに助成の措置を講じてまいりたい、このように考えております。
  81. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 可能なものはするとおっしゃいますけれども、可能にするための努力はそちら側でございましょう。農民の方にはその努力するすべもございませんので、前向きでぜひ農民が安心して増産できるように、自給率を高められるようにということをくれぐれもお願いして、次の畑作物輪作奨励金の創設をぜひしていただきたいということについてお伺いしたいと思います。  畑作物の場合は、輪作体系の確立が地力の問題、そして連作障害を防ぐためにもどうしても不可欠だ、これは非常にいま大きな問題だと思うんです。そのための一つの条件として、輪作作物間の価格バランスと、全体として所得が保障される価格水準に引き上げることがどうしても大事だと思います。いまですと、麦作を振興するとてん菜が減ると、バレイショは連作のために粉状瘡痂病や葉巻き病なと病気が多発すると。そして輪作体系−豆類−根菜類−稲科、これをどうしても輪作体系として確立するために、価格政策を考、えていただかなければならない。この点について、どういうふうに輪作体系価格政策上考えていらっしゃるかということです。  それからもう一つは、パリティ指数を統一して決定時期を同じにするだけでは解決していかない。ジャガイモの連作がよくないということは、これはもう農民自身が知っているわけです。しかし、労力が大変少なくて済む。収穫時期が早いから出かせぎに出られるので、ジャガイモをどうしてもつくる。それで、もうバレイショがいまのところ一番安定していると。大豆や麦を入れるために新たな投資が必要だからいまの価格ではだめだなどなど、輪作が十分できないような状態に追いやられているわけです。つまり結局は、価格水準と安定した所得の確保ができるかにかかっていて、輪作体系というのがうまくいってない。そうしますと、政策的にもっとこれを奨励して、連作障害をなくし地力を回復するという根本的な解決を政策的に押し出していかなければならないとすると、輪作を奨励するための輪作奨励金というような形を考えていかなければならないのだと思うんですけれども、これについてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  82. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 合理的な安定した畑作経営を行う上において、合理的な輪作体系が定着をして、それに従って経営をするということが重要であることは基本でございます。しかし、それを達成するためには何よりもそのための条件整備も必要でございますが、一つには技術指導並びに経営指導の問題であろうかというふうに思います。そのほかに条件整備の問題として、それぞれの輪作作物として考えられるものの間の価格関係がどうかということが、条件の一つになるだろうというふうに理論的にも考えられますし、実際もそういう面でいろいろ影響が出てくることはわれわれも承知をしております。ところが、輪作物の中で考えられるものといたしまして、自由市場価格価格が形成されるものがあれば、支持価格があるものもある。いろいろなことがございますので、諸般の事情を考慮して、特定作物だけにたとえば価格支持が行き過ぎるというようなことになると、輪作体系をうまく定着させるのに障害になるというデメリットもありますので、その辺はバランスをとりながら考えていくという基本的な考え方も必要であろうと思います。  そういう基本的な考え方でやっておるつもりでございますが、先生のおっしゃるような輪作体系のモデルみたいなものを幾つか設定をいたしまして、これに対しまして何と申しますか反別当たりでやるのか、作物の総合でやるのか、それぞれの作物ごとにやるのか、やり方は具体的におっしゃいませんからわかりませんが、いわゆる輪作奨励金という形で、必ずしも特定作物のみに奨励を集中するという形でない奨励をするのだというのは、理論的には確かに考えられるかも存じませんが、仕組みが非常にむずかしいというのと、合理的な輪作体系基準、標準というものを地域別に、しかもお金を交付する基準となるようなものとしてつくると、技術指導の方法というのでなしに、あるいは経営指導の方法というのでなしに、お金をやる、やらないということの基準としてつくるということはなかなか困難である、これは御理解いただけるかと思います。  さらにまた、大きな経営だとそういう基準を仮につくりましても受け入れやすい、小さな経営だとなかなかむずかしい、これは不公平と申しますか、あるいは地域差というような問題も出てまいりますというようなことがございますので、これは先生ばかりでなしに御提言がございますけれども、私ども考えてみましたが、いろいろ検討はしておるのでございますが、なかなか仕組みはむずかしかろうというふうに現段階では考えております。
  83. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろ問題が大きいですし、輪作体系をやっぱり確立して地力を回復しなければならないというような点で、きょうはもう詰める時間ございませんので申し上げられませんけれども、具体的にそういう努力をしていただけるということであれば、またそれについて御努力もいただきたいということを後の時間にさせていただきたいと思います。  それでは、でん粉過剰問題に移りたいと思うんですけれども、五十年に五万トン、五十一年には七万五千トン、政府でん粉買い入れています。そして、いま余った、余ったと過剰宣伝がかなり行われているわけです。農民は、バレイショも米と同様に生産調整されるのではないかと。生産調整ということをバレイショにやるということを言っていらっしゃる方もいるわけですよね、国会議員の中にも。そういうふうになると大変不安になるわけです。それで、生産調整がおイモにかけられたら大変だと。大変不安なんだと。こんなことを考えていらっしゃるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  84. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) およそ農産物について私どもいろいろ行政をやっていて一番むずかしい問題は、過剰問題であろうかと思います。バレイショにつきましては、生産調整という言葉はどぎついのですが、生産された物がいかにうまくさばけるか、全体として消化できるかということが当面大きな課題となっております。もちろん、生食用、加工用、そういった面に向けられるのが一番価格的にも有利で、できるだけそういった方向にはかせることを考えるわけでございますが、そういうことで処理できない物はでん粉になって、でん粉として市場に出されるということになるわけでございます。ところが、昨年、一昨年、先生もおっしゃられるように非常に過剰であった。そしてそれが何としても、せっかく抱き合わせ等を行って、これは輸入のトウモロコシによる安いコーンスターチと抱き合わせということで需要界に流したわけでございますが、それを行ってもなおかつ消化し切れない状況が残ったということで、五万トン、引き続いて七万五千トン、政府買い入れを行ったわけでございます。  率直に申し上げまして、三年間引き続いて、政府が過剰を恒常化することを認めるような形で市場にはけない物を買い取るということは、これはできない話ではないかと思っております。政府としても、現在すでに抱えている十二万五千トンのこの在庫、これを将来どうするかということについては、現在のところ目途が立っていないわけでございます。そういう意味から言いますというと、とにかくバレイショを何とかしてはかすことを考えなくちゃいけない。そういう意味で、まず第一はやはり需要の拡大を図る、それから……
  85. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 済みません、時間がないから、生産調整する気があるのかないのか。
  86. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) そこはやはり生産の面でも計画的に、過大にならないように、ビートへの転換そのほかを考えていっていただくということは、これは必要であろうと考えております。
  87. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 済みません、忙しいもので失礼をいたしました。  バレイショが余るということで、大変頭を悩ましていらっしゃるのだけれども、私らに言わせれば、バレイショが余るのではなくて余らされていると。むしろ生産調整できるように、さっき言ったように、輪作奨励金など出して、輪作をできるようにしていくという積極的な道が大事だと思います。特に根本的な問題は、後るるおっしゃりたかったと思いますけれども、輸入のコーンスターチですね、九十二万トンも入っているんです。確かに値段の問題はありますけれども、農政の基本として考えますれば、これは国内生産が重点であって、国内で不足の分を輸入すると。自給率を高めるというところが、基本的な問題として位置づけられていかなければならないと思うんです。外国産の輸入は国内生産を圧迫しないようにしなければならないのに、それの輸入というのが規制が不十分で、そしてバレイショ生産を抑制しなきゃならないということになると、もうこれを農民が聞いたら、本当にとんでもないということになると思うんです。  具体的に申し上げたいと思うんですけれども、このコーンスターチの抱き合わせ販売ですね、抱き合わせ販売というこの仕組み自体に一定の矛盾があると私たちは見ているわけです。つまり、抱き合わせの価格が割り当て外のコーンスターチより安くならないと、関税割り当て制度の効果が発揮されませんですね。それから国内産でん粉価格が高いと、コーンスターチの抱き合わせ率は高くなると。量的に言っても割り当て量がふえるとこういうふうに、国内産でん粉が過剰となれば抱き合わせ販売のためのコーンスターチの割り当て量が逆にまたふえていくという、こういう矛盾を抱えているという点が一つ問題だと思うんです。そういうわけで、割り当て量の推移を見ても、四十八年に六十四万トンなのが五十二年に九十二万トンと、もう努力していらっしゃると思うけれども、輸入がどんどんふえていっているという、そこに矛盾が一つ出てきていると思います。  そこで具体的にお伺いしたいんだけれども、国内産でん粉販売促進のためには、どうしても第二次税率を、昨年引き上げていただきましたけれども、これをさらに引き上げるということがいまこの過剰だと言われる中では必要だと思うんですけれども、その辺ことしはどう考えていらっしゃいますか。
  88. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 貿易自由化がいろいろ世界的に言われている中で、それからまた、現実に自由貿易の対象になっている、輸入制限をしていないトウモロコシについて、関税率を引き上げて事実上輸入規制を強化するということは、これ自身きわめて国際的にも問題がありますのと、それから昨年上げましたということで、すでに価格の六〇%にも及ぶ高税率負担になっているわけでございます。それからいま一つは、やはり生産者農民の立場もございますが、でん粉を実際に需要する立場からいたしますというと、高い国産馬でんでなくできるだけ安い国際的なトウモロコシでん粉を使わせろという話もありまして、率直に申し上げまして、現在の抱き合わせ制度を維持すること自体に批判があるわけでございます。私どもは、しかし、最低限現在の抱き合わせ制度を維持することなしにこれだけのでん粉、特に馬でんに集中するわけでございますが、馬でんを消化することは事実上不可能であると考えております。そういう意味で、現在の抱き合わせ制度の存続を、この十二月に行われる関税率審議会においてもぜひ農林省の立場として強調したいというふうに考えておるわけでございます。そういう状況下で税率を昨年に引き続いて改定するということはこれはむずかしい話でございますが、現在の抱き合わせ制度の仕組みの中で、さらに最大限、関係者の協力も得て消化に努めるようにいたしたいと考えております。
  89. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ぜひ、その御努力をお願いしたいと思います。本当に一生懸命につくっている農民の方々、もう毎年秋になりますと、きょうも大会へ行って言ったんだけれども、毎年毎年同じ要求を持ってこちらに来なければならないと。そして心配をしていらっしゃる。そして日本の国内の自給率を高めるというような立場から考えても、やはりそこのところで相当積極的な御努力をいただかなければ、正直な働く農民が泣かされるというような結果になると思いますので、その立場で御努力をお願いしたいと思います。  最後に、畑作物共済についてお伺いしたいんですけれども、畑作物共済は次の通常国会で本格実施のための法案を出されるとおっしゃいました。このためには、農民負担を軽減して加入しやすくするために、国庫補助を少なくとも米並み五九%にすべきだと、果樹は五〇%になっておりますが、少なくともやはり米並みにすべきだというふうに考えるんですが、それについてどうお考えになりますか。  それから、済みません、時間がないから続けて聞きたいと思います。さらに農作物共済ですけれども、麦の場合は発芽粒の発生で規格外麦が相当出ております。これは価格の面では、えさ用となりますから、御承知のように二、三千円と。それにことしから基金分、これも大きく宣伝されております基金分がキログラム三十五円、一俵で二千百円です。これを加えましても、一俵四千円ないし五千円という非常に低い価格になってまいります。それで発芽粒がなぜ出るかといえば、これは収穫期に雨が降ったというような自然現象による損失でございますから、何とかこれは共済制度でカバーしていただかなければならないと思います。これは減収分に織り込まれても、三%以上の発芽麦がまざっていればこれで規格外麦になってしまうんですから、収量減で換算しても問題は解決できないということになるわけですね。だから、収量減で換算しても全く共済の対象にならないと。しかも、価格は規格外麦で安くなっていくというような、これを本当の意味で共済で救い上げていくというためには、発芽共済というようなものを麦の場合には新たにつくって価格からの損失を補てんしなければ、麦づくりにこれはもう本当に安心して取り組めないし、自給率を高めなければならないと言われる麦づくりがこれはもう本当に不可能になってしまうわけです。政府は広報をずいぶんお出しになりましたね、大きく。その広報で、共済制度もずっとよくなったと大変宣伝していらっしゃって、私もあれを見たら、なるほどもうこれは麦をやっていれば心配なくなって万々歳みたいな宣伝になっておるわけですけれども、特に北海道にとっては、この発芽粒の発生による規格外麦の減額というようなことが改善されなければ、共済制度という意味がなくなってしまうわけなんで、この点について何とか考えていただきたい、考えていただけるような余地があるかどうか検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  90. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 第一点の畑作共済を仕組みます場合の国庫負担をどうするかという問題は、今後私たちはいろいろな観点から十分検討をしてまいりたいと思っております。  それから第二点の発芽粒の問題でございますが、先生十分御存じのように、現行の農作物共済は収穫保険として仕組まれておりますから、品質低下あるいは価格の下落ということでPQというかっこうでは仕組まれてございません。PQ方式の共済ということもいろいろ言われておりますが、現在の畑作物共済において、品質低下という問題を共済保険の中に仕組むことは技術的にはきわめて困難でございます。したがいまして、本年のように異常な災害が発生した場合におきます減収量の取り扱いについては、従来から特定の被害粒を控除する等の方法を採用しておるわけでございまして、保険共済の世界で考えます限りは、私はそれ以上のことはむずかしいのではないかというふうに思っております。
  91. 三治重信

    三治重信君 きょうはイモでん粉やそれから砂糖や何かの価格の問題の審議と、こういうことでございますが、そういうようなのが、ちょうどたまたま、これはまた今後米を転換し畑作を奨励していくための戦略作物になるかと思いますが、これはきょうの議論を聞いておりましても、いずれも相当農産物価格パリティで保障していながら作付が減っている、こういうことについて、単に価格だけで保障していくというのは、非常に国際価格の問題から見ても無理な状況になってきているのじゃないかと思うんですが、そういうものに対して作付が減っていくというのは、転換戦略作物でいながら、そういうことが価格だけの問題で私はなかなか処理できない問題が出てきているんじゃないかと思いますが、その点をどういうふうにお考えですか。
  92. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 三治さん御指摘のとおりでございまして、価格の問題あるいは農作物によりましては生産奨励金の問題、あるいは土地改良等基盤整備の問題、あるいは構造改善の問題、いろんな施策を総合的にやらなければ稲作との総合的な収益性の均衡がとれない、そういうところにまだ十分転作がスムーズに行われない点があるということは、私も反省をいたしておるわけでございます。  今後、価格についても、十分物財費、賃金等の値上がりを的確に反映せしむると同時に、いま申し上げたような諸般の施策を総合しまして、総合的な需要に見合ったところの自給力の向上を図ってまいりたい。特に当面する米の過剰基調、これに対応いたしますための水田利用総合再編対策、これを推進いたしますためには、御指摘のような諸施策を十分やっていく必要があると心得ておりまして、最善の努力を傾けてまいりたい、こう思っております。
  93. 三治重信

    三治重信君 先日、私も初めてこの委員会で東北の三県の農業視察の一員に加わらしていただいたんですが、転換対策のときに必ず言われるのは、やはり水田を畑地へ転換する場合には、水田で米をつくっているときに得た所得を、大体においてパラレルに横ばいで保障されるような政策をとってもらわなければ転換ができないというのが非常に強い。  それからもう一つは、水田というものがずうっと日本のこの農政始まって以来、水田専用の農地として土地改良あるいは耕地整理というものが行われてきて、なかなかそこを転用ができるような水田の、何と言うんですか耕地の改良というものが行われていない。また、それをやると大変な金がかかるからとてもじゃないがというような答弁があったような気がするんですが、そういうようなものはやはり地域によって違うと思うんですが、その水田の転換にこのいわゆる戦略作物を将来どういうふうに当てはめていこうかと。この中に、またその水田転用をやっていく場合に、このでん粉砂糖てん菜やこういうものをつくっていく計画があるんですか。
  94. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 水田から畑作物に転換をするという施策をこれから強力にとってまいるわけでございますが、その際にどういう作目を考えるかということについては、さっき大臣からお話がございまして、施政方針演説の中にありましたものは例示でございますというふうに申し上げたのですが、私ども需給上支障のないものにつきましては、すべてこれを取り入れるという考え方で取り組んでまいります。しかし、その中で特に重点を置いて考えますのは、本日議論の出ております作目の中では大豆、そういうことになろうと思うわけでございます。  需給上心配のないものということになりますといろいろあるわけでございますが、それも地域、地域のいろいろのやり方もございますから、運用である程度制限をつけて認めるとか、たとえば生食用に限ってバレイショを対象にするというような話については、そういう扱いが考えられるわけでございます。サトウキビなど、あるいはビート、これは従来からも転作対象に取り入れており、特にビートは本年は特別加算の対象に取り上げているものでもあり、かつ北海道における重要作物でもありますから、こういうものについては水田からの転換の可能性も大きいというふうに考えまして、これについては重視して考えるという方向で検討を進めておるわけでございます。  なお、条件整備の中でやはりおっしゃったように、水田の水稲作から得られる所得とある程度のバランスをとったことにしなければならぬということになるわけでございますので、そのためには、土地基盤の整備を初めいろいろの施策を集中していくことはもちろんでございますが、さしあたりの措置といたしましては、転作作物に反当の奨励補助金をつけるということを考えておるわけでございまして、その際に水稲の反当所得とのバランスということは、特に重点を置いて転作を進める作物については、特に重視して考えていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。  なお、条件整備の中で土地基盤整備が大事だというのは、御指摘のとおりでございます。なお、それも本格的な土地改良ばかりでなしに、もう少し手軽にやれる土地条件の整備ということも必要でございます。たとえば弾丸暗渠を入れまして排水をよくする、地表水の滞留を排除するというようなことによって畑作が可能になるように持っていくという必要がございますので、そういうきめ細かな施策も、現在もやっておりますが、なお拡充して実施をしていくというふうに考えたいと思います。
  95. 三治重信

    三治重信君 そうすると、水田の方は農家の反当たりの所得のまあ一つの水準ができている。それを転換すると、それに見合うような保障を転換作物や何かにしていくと、そういうようなことをいま現在、非常にいままでも議論になっておりますこの畑作物のパリティ価格決定並びに最近は生産奨励金もつけてきたけれども、それの反当たり収量の所得からいくと、具体的な数字は申し上げませんが、私は現在の畑作のパリティでやっている農家の反当の収益と、その水田の収益からいくとえらい格差がある。同じ地域で、畑作に転換した作物だというと、片方は奨励金と言うんですか転換奨励金をもらって、畑作の方はパリティでやっていくと、同じものを大豆でもほかのビートでもつくっていくと、水田をつくっていたところは反当たりえらい収益があり、畑作の方は、まあ若干ずつは改良されていくとしても遅々として進まぬ。同じ作物を何年計画ぐらいで同じ反当たりの収益になるような作戦でやっていくという考え方、まだそこまでは考えていないのですか。転換作物、同じ地域にある水田を転換して同じ作物をつくっていく場合に、その収益のいわゆる均衡化をどういうふうに解消していくか。
  96. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 土地基盤整備その他他の生産性向上の施策の進路、それからもう一つは、畑作物の価格関係の是正、相対価格関係の是正の進路ということにかかわっている問題でございますので、明言はできかねます。が、しかし、たとえば水田転換のための水田利用再編対策は、一応十年ぐらい長期的取り組みをしたいというふうに考えておりますが、その中で、畑地転換のための奨励補助金が不要になるというようなことは、ちょっとそれほどのテンポで改善が進むというふうには楽観はしておらないわけでございます。
  97. 三治重信

    三治重信君 そうしますと、結局、カンショバレイショでん粉作物をつくっているところも、てん菜のところも、水田をこういった作物に転換をしていっても、水田を利用する人は米をつくっていると同じように保障されていくと、それからこちらの畑作物の方はパリティの計算でいくと、私は相当な格差ができる。まあいままで見ている資料によっても、現在のところはいずれもいわゆる生産反別から生産数量が減っている。こういうことになっていくと、相当な金をかけてもなかなか現実においては転換が、いわゆる自給力の向上がうまくいきかねるような感じがしているわけでございます。  そういう点で、私は、やはりこういう地域について自立経営と言うんですか、どの程度の反別や耕作をやれば農業経営として自立ができるのか、こういう一つの何と言うんですか、自立農家の規模を各地域によって示して、そういうものをつくっていく体制をしないと、ただ価格やそういう構造改善というだけでは、私は解決せぬと思う。むしろ、農家のいわゆる経営規模をしっかり示してつくっていく体制、一軒当たりの経営規模を拡大することを先に進めぬといかぬような気がするわけなんですが、その点の意見はどうですか。
  98. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) いま三治さんから、非常に核心に触れた御質問あるいは御意見が述べられたわけでございますが、現在水田の再編対策を進めてまいります場合におきまして、この第二種兼業の方々が、水田面積でいたしましても四〇数%に及んでおるわけでございます。私は、今度の水田利用再編対策に当たりましては、この自立農家と申しますか、専業農家にそういう第二種兼業の農地ができるだけ集積をするように、そして規模の拡大ができるように、そういう点に一つの焦点を向けましてこれを進めてまいりたい。その際におきますこの第二種兼業農家の稲作による実収入等も勘案をしながら、いまの転作奨励金なりあるいは特別加算なりいろいろのことを考えまして、耕地の集積ができ、専業農家による規模拡大ができるように、また転作も進められるように、いろいろの角度から研究してまいりたい、こう考えております。
  99. 三治重信

    三治重信君 この問題は、私これから委員として今後深くいろいろ御質疑していきたいと思っておりますので、きょうは入り口でとめておきますが、具体的に一つ最後に、先ほど来コーンスターチによるでん粉カンショのやつの抱き合わせ販売、それもできぬで買い上げが三年にわたっていると、こういうようなわけですが、その実情と、それから抱き合わせ販売でもうまくいかないと、これはやめてくれと、こういうような意見があると、これは抱き合わせ販売というのはどういう考えでやったのか。それがうまくいかない理由。  それから、これをやめた場合にどういう——ただやめればいいという考えなのか、その点をひとつ御答弁願いたい。
  100. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 現在、国際的にきわめて安い価格のトウモロコシが大量に入ってまいります。このトウモロコシを原料にしてコーンスターチがつくられるわけでございます。これは国産カンショでん粉あるいはバレイショでん粉に比べて、きわめて安い価格になっております。まず半分から三分の一といったような、特にまた最近トウモロコシ価格が下がっておりますので、割り安の価格となっております。そこで、そういう物とまともに競争しては、国産でん粉はなかなか国内市場でさばけません。そこで税率に段階をつけまして、国産でん粉と抱き合わせの物については無税で輸入を認める、それからそれ以上輸入したければそれは二次税率、高い税率の物を輸入しなさいという仕組みになっております。要するにタリフクォータという仕組みでございます。二次税率の税率はキログラム当たり十五円、これは価格に比べまして約六割という高率でございます。そこで国内の高いでん粉を一定数量抱いて、これを買いました、これを使いますということが証明されれば、無税のトウモロコシを原料とするでん粉を、大体その五・七倍とか五・九倍とかこれを割り当てるというやり方をとっているわけでございます。  こういう形で、国内の高いでん粉の消化を図ってまいったわけでございますが、でん粉にもカンショでん粉バレイショでん粉とございまして、そしてこの抱き合わせ制度が発足したときはカンショでん粉の方が大問題で、この消化を図ったわけだったのでございます。むしろ、バレイショでん粉はその後過剰問題が出てきてその抱き合わせ制度、カンショでん粉を対象とした仕組みに乗っかったという経緯がございます。今日ではカンショの方は生産が減退いたしまして、カンショでん粉生産量そのものも恐らく今年度も八万五千トンか九万トンという程度で、これは全量、しかも扱いとして優先的に扱っておりますので、はけると思います。問題は、バレイショでん粉の方でございます。バレイショでん粉が、ことしは最低でも二十一、二万トンから最高二十五、六万トンできるのではないかというふうに見込まれております。ところが、バレイショでん粉が自力でもって市場に出ていけるのは、これはバレイショでん粉というのはでん粉の中ではきわめて品質のいいでん粉でございますから、高級な練り製品とか、菓子とか、特定の用途には価格が高くても出てまいります。これは大体十四万トンくらいでございます。それを超えるものは自力では市場にはけない。そこで、先ほど申し上げましたカンショでん粉をベースとした仕組みに乗っかって、一緒に抱き合わせをしていると。これによる昨年の抱き合わせで消化した量は約七万五千トンでございます。こういうことをやってなおかつさばき切れなかった七万五千トン、ちょうど数量が、同じになりましたが、それを政府買い入れたというのが昨年の経過でございます。  ことしはそういう抱き合わせをしなくちゃならないバレイショでん粉がどのくらい出てくるだろうか、最高二十五、六万トンも生産されるということになるというと、十万トンあるいはそれ以上も抱き合わせの対象がふえる。そこで、そういうことにならないようできるだけ生食用に回すとか、あるいは加工用に回すとか、それから価格とか品質の点でもバレイショでん粉の業界にも努力していただいてそれ自身の消化も図る。それとあわせて抱き合わせを、関係者の協力も得ながら、できるだけ量を多く引き取ってもらうようにする。ただ、抱き合わせしても、二次税率の輸入でん粉に比べて価格的にそれほどメリットがなくなってきているというような関係から、相当抱き合わせ自身はやっても、もちろん効果はあるわけでございますが、そんな大量な物をさばくには果たして全量さばけるかどうか、若干むずかしい問題が残っておるわけでございます。
  101. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間がわずかでございますので、私はサトウキビ価格を中心に質問いたしたいと思います。まず大臣にお伺いいたします。  サトウキビ価格要求は、ことしはトン当たり二万四千円以上、こういうことで結論を出して、いま盛んに陳情、要請をいたしておる最中でありますが、パリティ方式によるか生産費所得補償方式によるかということは、いままで大臣の御答弁の中からも、例の要求の項目の砂糖価格安定等に関する法律第二十一条第一項を改正してもらいたいという熾烈な要求があるわけですが、法の改正があるならばともかくとして、現状においてはパリティ以外にはないんだと繰り返し繰り返しきょうもそのことを強調しておられたわけでありますが、そのことは法の改正を期待するというお気持ちであるのか、それともその必要はないんだと、パリティで結構だと、こういうお気持ちでの御答弁であったかどうか、確認したいと思います。
  102. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) サトウキビの現在の生産状況を見ておりますと、まだまだ合理化を進め生産性を高める余地が非常に大きい。現在、この家族労働を見てまいりましても、百六十時間以上というような労働時間がかかっておるわけであります。特に刈り取りの作業におきましては、大変な時間がかかっております。この生産の合理化ということにつきまして、生産農民の方々も努力をされておりますし、政府としても土地基盤整備の問題やあるいは機械の導入、省力化の問題あるいは品種の改良、いろんな面で生産性が上がるように考えておるわけでございます。そういう中におきまして、法の改正をやりまして生産費所得補償方式等をとにかく採用するというようなことは、私はいまとるべき措置ではない、このように考えておるわけでございます。  私は、急速にサトウキビの耕作については合理化が進むものと期待もし、またその可能性というものは非常に大きい、そういう段階におきましては、パリティ計算の方が生産農民の皆さんの再生産のためには有利である、こういう認識を持っております。
  103. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 生産農民の立場から有利であると、こうきっぱりおっしゃっておるわけですが、このことはどういうことを裏づけるんでしょうかという疑問があるわけですが、それは日本国民の主要食糧であります作目、いろいろ考えてみました場合、いわゆる米方式と呼ばれておる所得補償方式の、米は抑えても抑えてもぐんぐんこう伸びておる。ところが、その他の作目は横ばいか年々衰退しておる、減退しておる。このことは一体どういうわけなんだろうかと思いまするに、私は、このパリティと所得補償方式のその違いからくる農民の意欲、こういったことが大きな理由の一つではないだろうか、こういうことも思うわけですが、大臣、いかかお考えですか。
  104. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) この稲作の生産の実態というのは、御指摘のように他の畑作その他に比べまして非常に生産の諸条件も改善をされ、特に基盤整備等も進んでおり、生産性の向上も農業機械等の導入によって進んでおる、こういう状況にありますが、サトウキビのようなものはまだ基盤整備等も残念ながら進んでおりませんし、また省力化、機械の導入等につきましてもこれからというところでございます。大変なそこに労働力を必要としておるという段階でございまして、私は稲作と同じように並べてこれを評価をするということは、現時点では無理な状態である。しかし、それだけにサトウキビのこの生産性の向上、合理化というものは非常に可能性が多いし、またそのメリットは十分あると、こう考えております。  それと同時に、先ほども局長から申し上げたように、耕作反別の問題あるいは気候風土の環境の相違あるいは生産性のいまの非常なばらつきがある、いろんなことから、これを生産費所得補償方式でやっていくということにつきまして、そういう条件が整備していないし非常に困難な問題もある、こういうことで、私としては現時点で生産費所得補償方式をとる考えは持っておりません。
  105. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その条件整備が同一でないということを裏を返すというと、そうだからパリティよりは所得補償方式が生産者の立場からいいんだと、こういうことも考えられると思うのですが、私が知る限りにおいては、生産費の内訳は八割が労働費である、八割が。しかも、その八割の労働費の中の六割が収穫労働費、いわゆる収穫の時点での労働費になっておる、こういうことも知っておるわけですが、そうなると、これを合理化するためには、いわゆる機械化というものが当然必要になってくる。ところが機械化をするためには圃場整備、基盤整備が前提である、こういうふうに関連していくわけでありますが、そうすると、それができなければという前提に立ちますというと、これは実情を申し上げますと、鹿児島の場合は昭和四十九年の統計によりますと三二・六%が整備率ですね。沖繩の場合には八・二%、四十九年。沖繩の場合、五十一年の整備率が一〇・八%である。このような状態の中で合理化、基盤整備すればということは、これは百年河清を——この前申し上げましたが、二十年ないし三十年のおくれがあると、これを合理化、基盤整備を前提として論ぜられたのでは、その間における一体農民の立場はどうなるのであるか、ここを私は強く指摘いたしたいわけであります。  そこで、時間がありませんので、たとえばこのことはどう理解されますか。去年の五十一年度のトン当たり価格は一万三千三百十円でございましたね、パリティ指数価格が。それに生産奨励費が三千七百九十円、合せて一万七千百円と、こういう抱き合わせがあったわけなんです。先ほどから生産奨励費が問題にされておりますが、このこと自体、パリティでは低いから、パリティでは農民要求にこたえられぬから、低いから抱き合わせとしての奨励費の三千七百九十円を加えている、こういうことにしかならないのではないかと、こう理解いたしますが、いかがでしょうか。
  106. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私が申し上げておりますのは、サトウキビの場合は、いま申し上げたように生産性の向上、合理化というのが非常に毎年改善をされていっておると。また、政府におきましても、沖繩の復帰後日が浅い、それだけに内地に比べて基盤整備事業等も立ちおくれておるというようなことから、沖繩の土地改良事業等に対する予算の配分につきましては十分な配慮をしておりますし、今後ともできるだけ傾斜配分をしていきたい。また、農機具の導入、特に刈り入れ等に使います大型農機具等の導入問題につきましても、融資その他の措置を講じましてこれを促進してまいりたい、このように考えております。  そこで、生所方式をとりますれば、年々合理化された分ずつ価格が下がっていくと。さっき御指摘になりましたように、家族労働の労賃部分というものが非常に大きなウエートを持っておる。刈り入れの作業にその六割の労働力が使われておる。こういうような状況からいたしますと、生産性が向上すればするほど生産費というのは下がっていく、価格というものは下がっていく、こういう形になるわけでございます。  私は、今後の展望に立ちました場合におきましては、パリティ計算でいった方が決して農民の不利益にならないし、その間におきましては政府としてもできるだけのそこに生産奨励金その他の助成措置も講じてまいる、こういうことで、生産農民の皆さんの再生産が確保できるようにということで努力をしておるところでございます。
  107. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうもすっきり納得いたしませんが……。  それで、次の要求にこたえていただきたいんですが、先ほど私はパリティによる去年の価格は一万三千三百十円、それから奨励費が三千七百九十円、それを抱き合わして一万七千百円と。ところが、去年は要求はトン当たり二万二千五百円、ことしは二万四千円以上と、こうなっていますね。が、これまでの政府の態度あるいは大臣の御答弁からすると、二万四千円以上の要求の中で歩どまりはどれぐらいになるだろうかなあという心配もするわけですが、それでこの奨励費を基本給にぶち込んでそしてそれにアップ率を、こういう基本的な考え、これはもう根強い要求もあるわけですが、その基本給に加えてそれに基づいてアップしていくという、この基本的な考え方に対してはいかがでしょうか。
  108. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 算定方式の問題と、それから今年度の要求に対してどういうふうにこれから動いていくかという二点のお尋ねかと存じますが、算定方式については大臣からお答えいたしましたが、若干事務的な算定理論の問題もございますので、補足して申し上げさしていただきたいと思います。  沖繩の労働時間百六十時間以上というようなことで、きわめて長時間、この事態か改善されない限りサトウキビ生産の合理的な経営のあり方というのは今後あり得ないということを含めて大臣からお答え申し上げましたとおり、そういう改善が図られるならば生産者にとっても有利であるということと、いま一つは、パリティ方式そのものは、たまたまその時点において生産費所得補償方式より価格が高く出ないからといって、これが必ずしも悪い方式だというふうには考えておりません。生産費をとります場合、これは非常に安定した、きちんとした生産費ならばよろしいのでございますが、サトウキビの場合、地域的に限定されているということもあって、全国平準化した、ならされた生産費というのはなかなかとりがたい。それから、年々の収量変動等も大きゅうございまして、生産費がきわめて振れます。現に最近におきましても、四十二年と四十五年、この年は生産費自身はその前の年より収量が多かったせいもあって下がっております。現実に生産費でもって価格を決めるというようなことをやりますと、前年価格を下回る。高度成長のその時代に、前年価格を下回るような決め方をしなければならないという不自然な事態も出てくるわけでございます。そういう資料上の、技術上の問題もありまして、安定したやはりパリティ価格方式によらざるを得ないという事情も一つあるわけでございます。  それから、ことしの奨励金価格に取り込むことはどうか、また、その要求に対して歩どまり的な感覚ではどういうふうに考えるかということでございますが、要求は要求といたしまして、私ども法律の規定に基づいてパリティ価格基準として適正に算定してまいる考えでございます。  奨励金の問題につきましては、これが四十九年の異常な糖価のときに、企業負担が行い得るという事情のもとで、暫定的にといいますか、そのときの考え方に基づいて出されたという経緯がございます。それが確かに先生御指摘のように、現実の農家所得水準を考えました場合、企業が支払い能力がなくなったからといって直ちに廃止するというわけにはまいらないということから、引き続いて政府と企業で分担の形で支払いを行ってきているわけでございます。そういうそもそもだれがどういう形でどういう条件のもとに負担すべきかということについて、ややきちんとした理論づけなしに予算に基づく補助として行われてきたという経緯がありますので、これを価格に取り込むかどうかということについては、そこら辺の性格を一遍きちんとさせなければいけない。今後とも企業が負担し得るのか全くし得ないのか、そこら辺を詰めなくてはいけないという問題がございます。現在の糖価事情のもとで、国内産糖企業がそれほどもうけているわけでもないし、なかなか全額を支払うというようなこと、これはむずかしいと思いますが、そこら辺について、一遍実態的にも理論的にも詰める必要があろうかと思います。そこら辺を整理した上で、私どもは奨励金の扱い、価格との関係を決めてまいりたいと考えております。
  109. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの点につきましては、ひとつ生産者農家が少しでも有利になるように、十令御配慮を願いたいと思います。  最後に、あと時間がございませんので、イエスかノーかという形でお答え願いたいと思います。  次に、砂糖消費税の撤廃に関連してでありますが、農林省砂糖消費税の撤廃あるいは軽減の方向を進めておられると、こういった情報もあるわけなんですが、それは事実なのかどうなのか、このことが第一点。  次に、含みつ糖の粉状化につきましては、この前の喜屋武議員の質問に対して、粉状含みつ糖を推進し、品質の向上、生産性の向上を図ることが当然必要であると考えると答弁しておられるわけですが、積極的な姿勢で進めておられると、こう理解いたしておりますが、粉状化した場合に砂糖消費税が課税されることになるわけですが、これを免除する方向で考えるべきではないかと、こう思うわけなんですが、その二つの点についてお答えをいただいて、時間が参りましたのでこれで終わります。
  110. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 第一点、砂糖消費税の問題でございますが、これはいろいろ各方面に御議論のあるところでございますが、現段階でこれは非常にむずかしい問題であると、このように考えております。  含みつ糖の問題につきましては、製品の向上、生産性の改善、いろいろ御努力を願わなければならない、このように考えておりますが、その間急速にまいりませんので、いままでとってまいりました助成措置を来年度もとりたいということで、財政当局に要求をしておるところでございます。
  111. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  この際、本件について川村君から発言を求められておりますので、これを許します。川村君。
  112. 川村清一

    川村清一君 私は、各会派共同提案に係る昭和五十二年産畑作物支持価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    昭和五十二年産畑作物支持価格等に関する決議(案)   近年におけるわが国の砂糖でん粉大豆等自給率の低迷には、極めて憂慮すべきものがある。   よつて政府は、本年産畑作物の支持価格決定に当たつては、左記事項の実現に万全を期し、もつて自給率の向上と、地域農業の振興を図るべきである。      記  一、てん菜及びさとうきびの最低生産者価格、甘しよ、馬れいしよ及び大豆基準価格については、前年度の農家手取価格を基礎にして、最近における労賃生産資材等の上昇を適正に織り込み、農家の所得及び再生産の確保が十分図られるよう、所要の措置を講ずること。  二、てん菜糖及び甘しや糖の事業団買価格、甘しよでん粉、甘しよ生切干及び馬れいしよでん粉等の政府買価格については、製造経費、運賃等の上昇を十分に織り込んだ水準に引き上げること。  三、最近における砂糖の異常を需給状況にかんがみ、当面緊急に国内糖価の安定を図る行政措置を講ずるとともに、糖価安定事業団に対し、粗糖の需給調整機能を付与する等早急に制度の改善を図ること。  四、でん粉需給状況にかんがみ、国産でん粉の完全消化を期するため、輸入とうもろこしの関税割当制度の継続とその運用の強化に努めるとともに、国産いもでん粉の新規用途開発の促進と需要拡大対策を講ずること。  五、畑作物の振興を図るため、土地基盤整備の促進、機械化の推進、試験研究の充実、原種生産施設の整備、優良種苗の普及、輪作体系の確立、増反奨励策の拡充等の措置を講ずること。  六、立ち遅れているでん粉工場の廃水処理施設の研究開発を促進するとともに、施設設置に対する助成措置を検討すること。   右決議する。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  113. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいま川村君から提出されました決議案を議題とし、採決を行います。  川村君提出の決議案に賛成の方の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  114. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木農林大臣
  115. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまの御決議につきましては、十分検討し、適切に対処すべく努力いたす所存でございます。
  116. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十六分散会