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政府委員(伊藤圭一君) ただいまこの定員の問題について御
質問がございました。私
ども常にこの充足の問題と定員増の問題についていろいろな方面から御
質問を受けております。なかなか御
理解していただくのがむずかしい点もあるわけでございますが、まず、私
どもが
自衛隊として使っております
編成定員という考え方から御
説明申し上げるとおわかりいただけるのではないかと思いますので申し上げてみたいと思いますが、
編成定員というのがございまして、陸上
自衛隊については十八万の
編成定員によりまして有事の際に
防衛行動をとるということになっております。したがいまして、陸上
自衛隊におきましてはその十八万の体制ということがきわめて意味のあることでございます。ところが、これに対しまして
海空の場合には、この人員が十八万であるというようなことよりは、艦艇の数あるいは
航空機の数、こういったものが
防衛力を象徴するものになっております。
先生も御
承知のように、各国の軍事力というものを比較する場合に、陸軍につきましては、主として
編成定員何万人、何百万人いるということがその陸軍の実力というものをあらわすことになっておりますが、海軍につきましては、どういった艦種を何隻持っているということが主になってその
防衛力、軍事力というものを
評価するようになっております。空軍につきましては、どういう種類の
航空機を何機持っているということになってまいります。したがいまして、この定員の面から見ますると、海と空につきましてはその
装備が
変更されることに伴う人員の増減ということになってまいります。したがいまして、
装備が変わってまいりますことによってこの人員というものは連動してまいるわけでございます。したがいまして、この就役に伴うものということは、当然一方において船なり飛行機が除籍になってまいるわけでございますから、そのために、それまで使われておりました定員というものを新たな艦艇あるいは
航空機に振り向けまして、そしてさらに新しい性能を持った
航空機、艦艇、それが必要とする人員というものをはじき出しまして、その差をお願いしているというのが現在の
海上自衛隊、
航空自衛隊の
増員のお願いでございます。
そこで、それよりも人員を充足して、そのものをよそに向けたらいいではないかという御疑問でございますが、この定員の考え方からいたしますと、いま申し上げましたように、充足率を上げるということは、現在の定員で十分な訓練ができないとか、あるいは任務を多少ダウンさせなきゃならぬということはカバーできるわけでございますが、新しい
航空機、新しい艦艇、こういったものを運用するための定員にはならないわけでございます。したがいまして、過去三年間この
増員が通らなかったときには、船、飛行機というものは出てまいりますので、現在九十数%の充足率の中からさらにこれを割愛いたしまして新しいものに振り向けているわけでございます。したがいまして、その結果どういうことになるかといいますと、従来持っておりました
装備品の運用、訓練、それが新しい艦艇の方に人員を回すということになりまして、さらに実質の充足率というものが下がってまいります。したがいまして、全体的に見ますると、やはり訓練がむずかしくなる、そしてまた、あるいは運用上の制限をするというようなことをやってまいらなければならないわけでございます。したがいまして、冒頭に申し上げましたように、この
装備に連動する定員というものはお
認めいただきまして、そして充足率を上げることによりまして、いま
認めていただいております
装備品というものを有効に運用できるようにしたいということでこの
増員をお願いしている次第でございます。