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1977-10-25 第82回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十五日(火曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  十月十三日     辞任         補欠選任      小山 一平君     秦   豊君  十月二十一日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     立木  洋君  十月二十二日     辞任         補欠選任      立木  洋君     神谷信之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 野口 忠夫君                 神谷信之助君     委 員                 衛藤征士郎君                 金丸 三郎君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 成相 善十君                 佐藤 三吾君                 志苫  裕君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 向井 長年君                 前島英三郎君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君        警察庁警備局長  三井  脩君        自治政務次官   中山 利生君        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君        消防庁長官    林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        総理府人事局次        長        篠田 信義君        法務省入国管理        局登録課長    山下 善興君        大蔵省主税局税        制第三課長    亀井 敬之君        文部省管理局教        育施設部長    柏木健三郎君        運輸省航空局飛        行場部管理課長  増田 信雄君        労働省労政局労        働法規課長    岡部 晃三君        労働省労働基準        局監督課長    小粥 義朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (消防に関する件)  (地方行財政に関する件)  (警察に関する件)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事神谷信之助君を指名いたします。     —————————————
  4. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 まず、消防施設税創設問題を若干論議をしてみたいと思いますが、私は、昭和四十六年の三月二十三日、この第六十五国会消防施設税創設を提案をいたしました。当時、鎌田税務局長、現鹿児島県知事は、普遍的な消防財源というものを創設することの必要性が強まっているというふうに考えておる次第でございます。と、そういうふうに答弁をされたわけです。  その後この税の創設についてどういうふうになっているか、御説明を願いたいと思います。
  6. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 消防施設の整備のために財源が欲しいということは、もうずっと変わりないことでございまして、したがってこの消防施設税ということにつきましては、その後ずっと引き続いてこれを設けたらいいではないかという説があることは確かでございます。私も、消防庁に参りましてから一年有余たっておりますけれども、私が参りましてからでも、実は何度かそういう議論は伺いました。それと同時に、また、これはおかしいという反対説なるものもしばしば伺ったところでございます。しかし、具体的には、私がなりましたこの一年半の間に、これについての大きな動きというのは実はまだ出ておらないわけです。で、私たちの方も大震災対策その他いろいろな対策に憂き身をやつしておるわけでございますけれども、この消防施設税というのは、まあ具体的にはいまお話の出ました、現在の鹿児島県知事鎌田さん、それが市町村税課長のときにそれを考えられたようでございまして、この前の先生の御質問のときは税務局長当時でございました。それからその後御本人が消防庁長官におなりになりまして、その場でも何度かそういう国会議論が出たということは伺っておりますが、まあ端的に言えば、いまそのままの状態で過ごしておる。  それで、じゃ私の方がもうその説をすっかりあきらめたのかと言えば、実はそうではないんで、これを実現できるものならぜひやりたいと実は消防当局では考えておる次第でございますけれども、まあ税の一環ではございますので、これは私の方の希望だけでものができるわけのものでもないし、地方税全体の問題としても考えなきゃならないんではないかと存じております。それで、このできない——いままで反対説というのですか、つくるべきでないという主な理由が、火災保険を掛けている者だけの負担消防施設がよくなると、一般全部が恩恵をこうむるというのがどうも主力になっておるようでございまして、それ以外に、たとえば損害保険会社事業税をも引き上げたという、これ四十九年ごろでございましたか、引き上げたこともありまして、なかなかそういう環境が整っていないというようなことで、何となしにこれは盛り上がらないで来ておりますけれども、私は、私これ個人意見でございますけれども税金というものは元来そういうものであって、担税力なりあるいは一定の物品を購入した、一定の行為をしたというところから税金が納まって、その税金住民全体の利益に使われるものでございますから、いままで反対主力になっている説が必ずしも正しいのではないんじゃないかという疑問も持ち出しておる次第でございます。いずれにせよ、いまの御質問に直接お答えすれば、このしばらく大きな動きとしては出ていない。しかしその説は消防界には希望としてずっと連なっておるし、私も何度も聞いておるし、消防施設の唯一の財源をできるなら充実したい、その意味では消防当局としてはぜひこれをつくりたいものだという気持ちを持ち続けているというのが現在の状況でございます。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省見えていますね。この損害保険会社利益金などを課税の標準とするこのいま言った消防施設税、どう考えていますか。
  8. 亀井敬之

    説明員亀井敬之君) ただいま消防庁長官からお答えになられましたけれども、私どもといたしましては、重ねてややくどいようでございますけれども、まあ消防施設利用税をつくりますと、それが保険料の引き上げといった形につながってくるというような問題、あるいは保険に加入されておられる方だけが、その消防施設財源負担すると、こういう結果になるのもどうも適当ではないんじゃないかといったようなこと、それからいま仰せのような目的税ということが、まあ財政硬直化といいますか、そういったことで資源の配分というような点からもどうかというようなことから考えまして、この問題につきましてはなかなか大変問題が多いのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 損害保険会社利益というのは非常な額に達していると。で、この運用益をめぐっては本委員会でも大蔵委員会でも私は連続的に論議をしてきていることでだんだん煮詰まりつつあるわけですが、きょうどうしても大蔵の側とここの部分で少し煮詰めて検討を願っておきたいと思うことは、数字は私、一方的に言いますが、これはおたくからとった数字ですから間違いがない。保険部長見えていませんからこっちで言いますが、昭和五十一年度で五百五十一億四千万円、これが当期利益分ですね。四十二年度と比較をして、十年前と比較するとこれ五倍になっているわけです。一方、保険料率というのは十年間で三割引き下げられているわけです。この利益金の全部が火災保険によるものでないことは承知していますが、しかし、利益金保険料率との関係というのは、これはどうなっているかお答えになれますか、あなたの方は、いま。
  10. 亀井敬之

    説明員亀井敬之君) 大変申しわけございませんが、実は突然の御下問が保険の中身に関することでございまして、実は私、主税局の方から参っておりますので、そこの点の概計につきまして直ちにいまお答えができませんことをお許しいただきたいと存じます。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 私が答弁申し上げておけば、こういう答弁になるんですね、保険部長が見えていれば。保険数理によって利益金保険料率との間に相関性を持たせている、そういう答弁になるわけです。そこで、実はこのように保険料率火災発生減少によるところの利益というものを振り向ける、これに私は非常な疑問を持つんですよ。火災減少というのは、これは個人の注意あるいは建物の不燃化さらには消防力の強化などにあることはちゃんとわかっていることでありまして、そういうことを考えますと、その利益金の一部を消防施設充実に回してよい——いま大蔵省考え方は披瀝されましたが、回してよいと私は少なくとも思う。消防庁長官どうですか。
  12. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) それは保険会社というのが民間会社でございますので、それを直ちに消防施設の方に回すという形には当然ならぬ。まあ言ってみれば、先生それで消防施設税をとおっしゃることでございましょうけれども、私は保険数理の計算がどうなっているかわかりませんけれども、まず利益金が出れば料率を下げることを考えるのが当然ではあろうと思うわけでございます。民間企業であるからもちろん利益を追求いたしますが、保険というのは大変公的な面も持っておりますので、利益追求だけに、たとえ需要があるからといって大幅に利益を上げるということはやはり社会的責任というものが——そのときに第一義的に考えるのが、やはり保険料率を下げて、大ぜいの人がわりあいと安い料金で安心が買えるという方向にまず努力をするのが、民間会社としては当然ではないかと思うんでございますけれども、あとさらにその利益面をどう公的に還元するかということで、たとえば消防施設税というようなことも当然考えることはできましょうけれども、私は、一義的には保険料を下げるのがあたりまえではないかという気はいたします。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 一義的に保険料を下げることを私も否定はしません。問題は、先ほど消防庁長官答弁もありましたが、消防施設税創設のネックというのは、消防施設充実によって利益を受けるのは全住民である。それなのに保険加入者負担消防施設充実するのは、負担の公平からおかしい、むしろ保険料率を下げるべきだ、この論理がいわゆる消防施設税否定する論理になっているわけですね。これは私はむしろこの意見の方がおかしいんだと思っているんですよ。で、保険に加入することによって一定財産等の保証が得られる。しかし他方、それのための経費、つまり保険料一般財源の投入による消防施設拡充によって軽くなる関係、そういう関係にあることを考えてみますと、いま述べられているような、いわゆる施設税反対をする意見の主たるものとして述べられている意見、これは意見とは私は全く逆に、全住民負担による消防施設充実というものが、全国民の三割程度の保険加入者の、何というか、財産保全損害補償、つまり営利事業である保険会社の提供する商品価格の軽減とでもいいますか、それだけに織り込むというのはむしろ私は不公平だ、そういうことになるのじゃないかと思っているんです。  で、この論議は続けますが、したがって大蔵省の側も、いま私が申し上げたような考え方に基づいて消防施設税創設、それから消防庁長官の方は、先ほど答弁にあったように、そのことを望んでいる、こういう答弁でありますから、検討を加えてもらいたい。よろしいですか。
  14. 亀井敬之

    説明員亀井敬之君) お言葉でございますが、ただいま申し上げましたことと同じようなことになりますが、先生の御指摘の中には、大変保険会社利益を上げておる、それを消防施設にだから回すということもいいことではないかということを御指摘になられておられますが、先ほど消防庁長官が答えられましたように、保険のシステムとしては、第一義的に料率を下げていただくんではないだろうか。それからまた、保険会社利益を上げておりますということでございますれば、それは法人税として私どももちょうだいできるわけでございますし、そういったことを考えますと、あるところから特定的に、目的的にくっつけていくというような形の創設ということにつきましては、私ども消極的にならざるを得ないということを申し上げたいと存ずるわけでございます。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 政務次官、いま論議をお聞きのとおりでありまして、これはどっちみちもう少し時間をかけて大蔵の側とは、運用益全体の問題をいま大蔵の側は検討に入っておりますから、それとの関係でもって論議を深めていきますが、自治省政務次官としては、大蔵当局に向かって先ほどの消防庁長官答弁を受けて、消防施設税的なものを構想する用意がございますか。
  16. 中山利生

    政府委員中山利生君) ただいま消防庁長官からもお答え申し上げましたように、消防施設拡充につきまして、一定不変の収入が見込まれるということは大変結構なことかと思います。ただ、税制というのは大変複雑でございまして、私ども理解を越えるようなところもございますので、今後とも論議を尽くしながら、こういうものができるように努力を重ねていきたいと考えます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 三月二十四日のこの地方行政委員会で、消防職員の団結問題について、小川自治大臣は私に、消防庁所管大臣の立場から、総理府総務長官、これは公務員問題の所管大臣ですが、と協議をいたしますと明確に答弁された。続いて五月十二日のこの委員会において、両大臣協議の機会をつくる責任を持っている自治省官房長は一体どう運んできたのかという私の問いに対して、そのことをやると、こういう旨の答弁がありました。で、その結果どうなりましたか、これは総理府の側から。
  18. 篠田信義

    説明員篠田信義君) 六月三日の閣議の前に、自治大臣総務長官とお会いいたしまして、そのときに自治大臣は、これはむしろ自治省の方からお答えする方が適当かと思いますが、私かわって申し上げますと、消防職員団結権の問題はILO八十七号条約批准のときからの長い経緯のある事柄であり、種々重大かつ困難な問題を含むものであるので、今後ILOにおける審議状況やわが国の公共分野における労働基本権等の重要問題に関する検討状況公務員問題連絡会議における他の検討課題審議等関連する諸事情についても留意しながら、自治省総理府間で十分連絡をとり合ってさらに慎重に検討を続けることとしたいという自治大臣の御発言がありまして、これに対して総務長官は、公制審の答申の処理については、すでに運用によって処理済み事項を別として、直ちに具体案の作成に努力すべき事項と引き続き検討すべき事項がある。総理府としては、まず前者について法案を取りまとめ、第七十五国会提出したが、第七十八国会で廃案となったので、今国会に再提出審議をお願いしているところである。このように、総理府としては当面早急に措置すべき事項に全力を尽くしているので、引き続き検討すべき事項は次の問題にならざるを得ないが、もちろんこれについても検討を放置しているわけではなく、公務員問題連絡会議課長会議において引き続き検討さしているところであり、いろいろ実務的にも困難な問題が多く含まれているが、できる限りの努力をしたいと考えている。こういうふうな御発言をいたしております。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 公務員部長、このいわゆる自治大臣に対する総理府総務長官の答え方ですね、直ちにの問題と引き続きの問題を二つに分けた。実はこの二つに分けるということは、この委員会で私が取り上げたように、間違っているのであって、そこの部分が実は是正をされなきゃならぬというのがこの委員会論議をした筋道、それを受けて協議しますということになっておったんだが、相変わらず直ちにの問題、直ちに処置する事項の問題と、引き続きの事項に分けられて、そして引き続きのやつは、まあ努力をするとは言われたが、時間的な設定がない努力の仕方である。このことをまるまる了とされたわけですか。なおこれからこの問題については両大臣間で話しをしていく、もっと距離を縮める話をしていく、そういうふうに理解をしておいていいですか、どっちですか。これは公務員部長の方。
  20. 塩田章

    政府委員塩田章君) いま総理府の方からお答えしましたように、大臣同士での今後の話し合いということよりも、公務員連絡会議の場における話し合いということを今後さらに進めていこうという了解になったように了解いたしております。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 これ端的に言ったら、問題とし続ける、こういうことですか。
  22. 塩田章

    政府委員塩田章君) ちょっといま……。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 問題として提起し続ける、お互いが協議し続ける、そういうことですか。
  24. 塩田章

    政府委員塩田章君) はい、そのとおりでございます。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 労働省に移りますけれどもILO基準です。条約及び勧告解釈につきましては、これは国際司法裁判所は別にいたしまして、ILOにおいては、条約勧告適用専門家委員会及びこの条約勧告適用委員会、この二つがある。ILO基準加盟国で順守されているか否かを監視する、そういう監視する機関であると考えますが、これは労働省よろしいですね。
  26. 岡部晃三

    説明員岡部晃三君) おっしゃいますように、監視機構といたしまして、条約勧告適用専門家委員会及びその報告を受けまして条約勧告適用状況を審査する総会委員会がございます。  なお、付言いたしますならば、そのほかに理事会付属機関といたしまして結社の自由委員会などがあるということでございます。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 そうですね。  ところで、本年三月、条約勧告適用専門家委員会は次のような意見を明らかにしました。「消防職員団結権については、本委員会は、政府及び総評からの情報及び論評に留意した。本委員会は、日本消防職員の任務が若干の特色を有するとしても、一軍隊及び警察に関する一本条約第九条の規定に基づく、これらの職員組合を結成する権利否認を正当化するものであるとは思われないこと並びに団結権の承認が自動的にストライキ権を包含するものではないことを想起したい。」、こういうことの意見を明らかにいたしましたが、これは労働省確認できますね。
  28. 岡部晃三

    説明員岡部晃三君) はい。本年の専門家委員会がそのような意見を申し述べましたことは事実でございます。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 続いて六月に、条約勧告委員会は次の報告総会提出をしましたね。いま読みますが、これは採決をされませんでしたから正式のものではありませんが、しかし総会報告提出があったことは確認をできると思うので確認をしていただきたいのでありますが、「委員会は、専門家委員会が言及した具体的なケースが、公務員労働組合権に関する実際上の困難の例であることに留意した。委員会は、消防警察と同一視し得ないとする専門家委員会見解に留意した。また、委員会は、行われた陳述の結果専門家委員会見解と異なる見解を持つには至らなかった。」、で、「委員会は、若干の困難が引き続き存在しているという懸念を表明しつつも、政府が問題の解決策を見いだす努力をすることを歓迎し、結果が専門家委員会に通報されること、及び状況条約に完全に合致するに至ったと同委員会結論することができることを希望した。」、こういう総会に対する条約勧告委員会報告というものがあった。これも確認できますね。
  30. 岡部晃三

    説明員岡部晃三君) 先生おっしゃるような委員会文言でございますが、しかし一つ付言させていただきたいと思いますのは、その日本消防職員の問題につきましては次のようにも言っているわけでございます。すなわち、委員会はこの本質的に国内的な問題が日本国内において解決策を見出すことを希望したという文言があることをつけ加えたいと存じます。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 そこはこれから論議するところなんですよ。そこはそういうふうに読まれるとそういうふうにとれますから、それじゃ正確に読んでおきましょう。「委員会は、この本質的に国内的な問題が、日本国内において、おそらく、言及された法律案が早期に採択され及びそれができるだけ早く未解決の諸問題が解決されるように適用されることによって、解決策を見いだすことを希望した。」と、こうなっているわけですね。このことがあったですね。
  32. 岡部晃三

    説明員岡部晃三君) そのような文言でございます。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、繰り返しますが、専門家委員会は「本条約第九条の規定に基づく、これらの職員組合を結成する権利否認を正当化するものであるとは思われない」という意見で、これは従来と変わっていないのであります。すなわち、消防職員団結権を与えるべきだという意見にこれは変わりはありませんね。
  34. 岡部晃三

    説明員岡部晃三君) この本年の六月の総会結論でございますが、この報告はこの問題が国内的に解決されるということを希望する旨を表明いたしておりまして、この問題が日本国内処理すべき問題であるという、これはかねての政府側の主張でもあったわけでございますが、ILOにおきましてこれが理解されたものというふうに考えているわけでございます。したがいまして、先生指摘の従来の消防警察と同一視し得ないかどうかというふうな、いわばその法規的解釈の問題につきまして、結論を下すというよりは、むしろ国内規則にゆだねることが適当であるという趣旨に出たものであるというふうに私ども理解しているわけでございます。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 まあ、あなた現地にいらっしゃったと仄聞をしているが、大変歪曲した解釈をされていて困るんですが、私は全く純粋にいわゆる勧告読んでいるわけでありまして、本質の問題と範囲や便法の問題とを一緒にしてもらっちゃ困ると思いますよ。本質的には団結権否定をされていない、このことはもう明確なんです。日本国内の問題であるというのは、日本国内におけるところの取り扱いとしてどういう形でそれを与えるかという、そういう部分についてはすぐれて国内的な問題だし、日本国内法律がつくられなければならぬ問題でありますから、それは当然その意味では日本国内の問題であることは間違いない。日本国内の問題でないと私は一言も言ってない。しかし、本質的には期待をされている、基本的な権利の問題については。このことはもう間違いない。そこは否定をされない。される筋合いのものではない。そのことは後ほども触れますが、この条約委員会が、専門家委員会が七三年に消防職員団結権を与えるべきだと、いわゆる日本にオブザーベーションを表明した。そういうことに対して七五年「専門家委員会意見に応ずるよう要請する。」、こういうふうに表明して、そして本年、「専門家委員会見解と異なる見解を持つには至らなかった。」、こう明確に先ほど読み上げたとおり言っているわけです。こういう報告総会に表明をしたわけですね。そうするとILOの監視機関が以上のような解釈意見を表明したこと、このことは確認できますね。
  36. 岡部晃三

    説明員岡部晃三君) その文言は、そういう部分が述べられておるということは、これはもちろん確認できるわけでございまして、しかし、その読み方につきましては先ほど申し上げましたとおりです。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 で、確認できる。そこで、七五年の条約委員会では、必要な場合には立法措置を含めて考慮を払うように要請をして、本年は言及された法律案が早期に採択され、及びそれができるだけ早く未解決の諸問題が解決されるよう、適用されることを希望している。すなわち立法措置による解釈に言及しているんですよ、ここのとこは。そういうふうに思われます。で、このことが本質的に国内的な問題という意味であると考えられるわけですね。で、私は一向に国内的な問題じゃないと言ってないんですよ。そこのところを誤解してもらうと困る。政府の主張するようにILO条約の適用範囲を決めるのが国内問題なのではないんですよ、ここは。適用範囲を決めるのは国内問題なのではないんです。それはもうILOの監視機関の役割りなんですよ。ここはもう役割り。監視機関二つ委員会はこの消防警察と同視しない、「し得ない」、正確に言うと「し得ない」、と述べているのでありますから、国内問題として適用範囲を決めることがゆだねられたと見ることは全くできませんよ。政府は国内において全く努力せずに放置しておいて、そしてILOに出かけていって国内問題だと主張をされる。しかも労働省がですよ。こういうのは、いや労働省がという言い方はいけませんが、政府がそういうふうに主張をされる。これはとうてい責任ある態度と思われない。私は恥ずべき二枚舌だと思っているんです。これは強く反省を求めておきたいと思います。あなたの見解については私はそういうふうに見解を述べておきます。  そこで次に移りますが、法制局長官お待たせしましたが、労働基準法第三十九条の規定ですね。これは地方公務員法第五十八条第三項において適用除外になっておりませんから、したがって地方公務員に適用されるんですね。
  38. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) おっしゃるとおりだと思います。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 で、労働基準法第三十九条が適用される以上、昭和四十八年三月二日の最高裁第二小法廷の判決、すなわち白石営林署事件、国鉄郡山工場事件についての判決における解釈、これが適用されることになりますね。
  40. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) これは司法裁判所の裁判という性格から言いまして、直接この判決が先ほど来おっしゃっております地方公務員消防職員にぴたりと適用があるというような性格のものではないことは、これは理論上おわかりであると思いますが、同じような事件については同じような法理が働くということもまた当然でございますので、この最高裁判所の第二小法廷の判決の趣旨は地方公務員にも生かされなければならないということは確かでございます。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 そこで労働省、この最高裁第二小法廷昭和四十八年三月二日判決というものを受けて通達をお出しになりましたよね。通達の趣旨についてちょっと説明してください。
  42. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 四十八年の三月六日に労働基準局長名をもちまして各都道府県労働基準局長あて最高裁の判決の趣旨を示しまして、今後三十九条の運用についてはその趣旨にのっとってやるということを通達いたしております。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 すなわちこの有給休暇の日数の枠内でなら当然に休暇をとれる、地方公務員についても同様である、こういうことですね。
  44. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 地方公務員云々について特に言及はその通達ではいたしておりませんけれども、有給休暇の成立要件には労働者の請求ないしは使用者の承認が入る余地はないという最高裁判決の要点は示して指示をいたしております。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 そこで法制局長官、戻りますが、先ほどの御答弁あったんですからもういいんですが、このいわゆる純粋に法律的に一つだけ確認をしておきたいのは、地方公務員である消防職員についても消防組織法第十四条の四第一項、この規定によって地方公務員法が適用されることになってます。したがって労働基準法第三十九条がその意味では適用される。これはもう簡単なことですが、そうですね。
  46. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) お答えいたします。  この労働基準法三十九条の年次有給休暇の性格につきましては同条の第三項でしたか、三項の規定が「請求」という言葉を使っているものですから、従来この年次有給休暇の性格について請求権説とか形成権説とか、あるいは季節指定権説とか、いろいろあったわけなんですが、先ほどおっしゃいました昭和四十八年三月二日の最高裁判所第二小法廷の判決で全裁判官一致の結論として、これは形成権といいますか、使用者側の方の季節指定権の行使を解除条件として発生するものであって、年次有給休暇の成立要件として労働者による休暇の請求やまたはこれに対する使用者の承認という観念を入れる余地はないということをはっきり言い切りましたので、かねがねの問題は最高裁判所の判決によって司法的に解決されたというふうに私は理解いたしております。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 そこで自治省消防職員の服務規定について自治省は服務規定の準則をおつくりになっていますか。
  48. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 服務規定の準則というのは、消防庁としては出していないようでございます。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 この幾つかの市の消防職員の服務条例、規則、訓令などを、法制局長官、見てみますと、いままで法制局長官と私との間で確認をしてきた有給休暇の解釈に反しているんですよ。  で、それはまあ、たくさんありますからあれですが、たとえばほとんどのところ、こういうふうになっているんですね。「前条の有給休暇を受けたときは、あらかじめその期間を定めて所属長に申し出て承認を受けなければならない。」これは、いわゆる最高裁判決がある前にできている条例がそのままずっと生きていますから、そういう意味で整理がされていないんだというふうにとれますが、これはもう明らかに、この労働基準法第三十九条三項、いわゆる最高裁の確定解釈に反する。よろしいでしょうね。
  50. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 私、具体的にそういう服務規律ですか、条例ですか、何か読んでおりませんので、はっきりしたことは申し上げるのはいかがかと思いますけれども、ただいまのお話ですと、最高裁判所の判決が出る前からあった条文がそのまま残っているというお話でございますので、それはやはり一種の整理漏水といいますか、直すべきものを面してないじゃないかというような御批判は当然だろうと思います。  ただ、こういう場合の実務上の扱いといたしましては、やはり最高裁判所の判決が出て条文の確定解釈が決まった以上は、文言としてはやや不穏当なもの、あるいは古い解釈のもとにできているものがあっても、それは運用上は新しい最高裁判所が決めた解釈に従って運用するということでなければならないんだろうと思います。  望むらくは、やはり最高裁判所の判決に合わせた表現に文言上も修正をすると、それが一番望ましいことであろうと思います。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 いま法制局長官が言われたとおりだと思うんです。  そこで、労働省、所管官庁として、一口で言えば違法状態、こういうものを放置されますか。
  52. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 先生御承知のように、一般職の地方公務員に関して直接の監督権を持ちませんので、いまのこの消防関係の問題について直接言及することはいたしかねるわけでございますが、一般民間企業において、たとえば就業規則等で同じような文言が使われているとすれば、それはやはり誤解を招くという面もありますので、できるだけ最高裁の判決の趣旨に沿った表現に直すようにすべきであると考えています。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 政務次官、条例の部分もやっぱり法制局長官が言われたような形で直すべきですよね。
  54. 中山利生

    政府委員中山利生君) 御説のとおりだと思います。ただいま事務当局で検討して改正をしていくように努力をしております。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 法制局長官、この実態上、許可制と言える有給休暇については、特に管外ですね。管外に外出する場合、この休暇をとる条件になっているんですよ。たとえば「職員は、公務を除いて管外に宿泊、又は外出しようとするときは、その行き先、用件、期間等を届出なければならない。」なぜ私は、行き先、用件、期間等を届けなければならないのか、ちょっと疑問なんです。きょうの場合、一歩下がって、行き先、期間については譲っておいて考えてみるにしても、用件を届け出なきゃならぬという条例というのは一体どういうことなんだろうと。労働基準法違反だけではなくて、よく考えてみると、この用件を届け出なきゃならぬというは憲法にも違反するんじゃないでしょうか。ここのところは、もう最高裁の判決から非常に逸脱していると考えてよろしいですか。
  56. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) なかなか微妙な問題を含んでいるわけなんてございますが、恐らく先生のおっしゃりたいお気持ちは、この最帯裁判所の先ほどの判決、同じ判決の中で、有給休暇の利用の目的は自由なんだということが力説されておる個所がございます。それとの対比において御質問になっているんだろうと思いますが、この最高裁判所のいまの有給休暇の利用目的は、労働者が自分で勝手に決めればいいんであって、余り使用者は介入しちゃいかぬという趣旨だろうと思うんですが、ただいまの条例か何かで、あるいは服務規律で、用件を述べろとか、届け出ろとか、行き先を届け出ろとかというような面が、直ちにこの三十九条の有給休暇の利用目的とぴたりと一致する小項であるかどうか。  つまり、有給休暇制度とは別に、やはり地方公務員としての服務規律ということはあり得るわけなんでございますので、それが合理的なものであれば、そういう半前の届け出制を課する勤務条件をつくることが直ちに憲法違反であるとか、あるいは最高裁判所の四十八年の判決の趣旨に真っ向から抵触するというふうな結論にはちょっと——直ちに私そうなるというわけにもいかぬのじゃないかという持ちがいたします。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 もうこの論議はこれでやめにしますが、すでに法制局長官さきに述べられましたから。  ただ、いま最後の部分はちょっとひっかかります。前段の部分で、たとえばこの判決要旨を読んでみますと、年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨であると解するのが適当なんだということですね。それはそういうことでしょう。
  58. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 労働基準法三十九条の有給休暇制度の運用といいますか、実態、中身についてはおっしゃるとおりでございますが、別に地方公務員としての身分関係があるわけでございますので、そちら方からする服務規律という余地はあり得ると、だから冒頭に申しましたように、なかなか微妙な問題を含んでおるということを留保したわけでございまして、労働基準法の有給休暇制度の意味、内容についてはただいまおっしゃったとおりだと思います。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 そうですね。  同じように要旨の中で、「休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件として発生するのであって、年次休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」や、これ、に対する使用者の「承認」の観念を容れる余地はないものといわなければならない。」ということですね。これはもうそういうことになっていますから、ここのところはもう間違いなく長官と私との間で意思の不統一はないわけです。解釈の不統一もないわけですけれども。問題は、地方公務員なるがゆえに特別に云々というところですね、これが許容できるかどうかというのは、これは長官の発言ではありますが、私はそれは了とするわけにはいきません。  きょうここでこの問題をさらに突っ込んだ論議をしようと思いませんが、特に私は一歩譲って、先ほど申しましたように、行き先だとか期間というようなものについては、これはたとえば条例などで規制をされることについて、まずいまきょうの段階は一歩譲って、ここも非常に疑問に思っているんですが、もっと頭の中で整理をしてみてからの論議にしますけれども、少なくとも用件、用件、によって左右をされるということは、これは長官、この趣旨からいっても許されることじゃないのじゃありませんか。
  60. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 用件とおっしゃいますのは、有給休暇の利用の仕方ということの意味でございますか。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 そうでございます。
  62. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) それは有給休暇をいかに利用するかは、それは労働基準法の関知するところでないということをはっきり言っておりますので、そういう意味で用件という言葉をお使いになったんだとすればそれはおっしゃるとおりだと思います。ただ、私が申し上げたいのは、そういう労働基準法上の有給休暇制度の問題であると同時に、地方公務員であれば、職種によってはその期間だとか場所とか、そういうものについても使用者としては業務の正当な、正常な運営を確保するためにある程度やはり服務規律としての面からの関心を持たざるを得ないという面もあるんじゃなかろうかということで、非常に微妙な問題を含んでいるというふうに申し上げているわけでございます。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 後段で答弁された部分については、私はきょうそれをそっくりそのまま了とするわけにいきませんから留保しておきますけれども、もっと論議を詰めたいと思いますが、どうもありがとうございました。  財団法人全国消防協会という、昭和四十年の八月二十六日付で自治大臣が許可した団体があります。この団体の性格、活動についてちょっと説明してください。
  64. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) この団体、私が消防に参りましてから余り多くは接触しておりませんので詳しくは存じませんのですが、この定款によりますと、火災その他災害の防除に関する調査研究を行う、防災思想の普及、広報を積極的に推進する、まあこういったことがずっと一応書いてございまして、会員は、全国の消防職員、これがまあ大体大半加入しているというように聞いております。  それで、私が参りましてからこの会の活動といたしましては、消防職員の救助技術の練摩、高度化を図るための救助技術大会というようなものを主催したのには私二回ほど出席してあいさつしております。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 これ、自治省消防庁との関係はどういう団体になりますか。
  66. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) この財団法人の認可官庁が自治大臣になっておるはずでございます。したがって認可をいたし、あとは普通の財団法人と同じような監督官庁ということであろうと存じます。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 そうですか。そうすると、この財団の経理だとか、決算だとか運用だとかいろんなことについてずっと自治省逐一あれされているわけですか。そんなことにはなっていないんじゃないですか。
  68. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) まあ、私ほとんどこれに対しては、着任以来一年半ほどこの中身について接触したことはございませんのでちょっと自信ある答弁申し上げられませんけれども一般に財団法人をつくりますときは、公益法人でございますから所管官庁の認可が要りますので、これは認可をしてできたものと思います。そうであれば、一応の一般の財団法人と同じような届け出書類その他、あれば受け取っておるはずでございますけれども、正直には、私この問題につきましてタッチしたことはほとんどございませんので自信ある答弁は申し上げられません。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 後ろの方に並んでいる人、少し長官に何か申し上げることないのかね。
  70. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) どうもそれ以上ないんでございますが。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 そうですか、これ。  それじゃ、自治体消防との関係どうなっていますか、この団体。
  72. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 消防は現在まだ自治体消防でございますが、この消防協会というのは、自治体消防の中でもいわゆる常備消防——常勤職員を持っておる消防でございます。この常備消防職員が会員になっておるわけでございます。消防団とは関係がないのでございます。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 私の解釈ちょっとあれだったかな、善意過ぎたかしらぬけれども、この財団法人、いわゆる「協会」まではわかりますよ、自治大臣が許可する。それはわかるんですが、自治体消防にとって全く外部の民間団体であるというふうに解釈をする方が間違いですか。
  74. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 公的な自治体とは関係ないと、民間団体であると存じております。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 そうですね。
  76. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) はい。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 そこでちょっと問題にしたいのは、この全国消防協会の五十一年度の決算を見てみますと、日本船舶振興会から助成金が二千百五十万円、補助金が八千三百九十四万六千円、この合計一億五百四十四万六千円なんですね、これ。で、決算額は一億八千三百七十六万三千五百六十四円と出ている。そうすると、歳入に占める日本船舶振興会からの助成金、補助金が五七%です。六割近くに達しています。一方で、消防職員で構成する、いま長官が言われた正会員、この正会員費用というのは一人年四百五十円。で、総額四千六百十三万六千三百円。そうすると、全体のこれ約二五%、四分の一にすぎない。ということは、全国消防協会は船舶振興会の資金援助がなかったならば維持運営できない。そういう状態で消防職員の自治的団体と言えましょうか。
  78. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) その金額の面では私必ずしもそうは言えないんではないかと思います。御承知のとおり、船舶振興会というのは、モーターボート競走の上がりから民間の種々の公益的な活動に対しては補助金を出しておるわけでございまして、何か、そのときに自己負担が二割は必要だと、二割自己負担があれば八割までは出せるという一般的なルールがあるようでございます。そこで、この全国消防協会というのの事業には——この定款にいろいろ挙がっておりますが、そのために何かこういう冊子も出したりしておるようでございますけれども、特に大きな金のかかる事業として、たとえば先ほどちょっと触れました消防救助技術の全国大会などというのをやりますようなときに、その救助技術の大会の開催が公益的な意味があるということを認定いたしますと船舶振興会から補助金が出ると、その補助金で八割を賄い二割を自己財源で賄ってやるということをいたしますれば、ある年度の決算が相当大幅な額がその船舶振興会の援助になるということはあり得ると思いますけれども、この援助があることによって、まあ、船舶振興会自体も公益的な団体だと思いますが、いろいろ自主的な消防協会の運営その他についていろいろ口出しをされたり自主性を失ったりするというようなことがなければ、決してこの民間団体が自主性を失うということにはならぬと考えております。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 ところが、定款の十六条を読んでみましたら、消防長に届け出、消防長がこの協会長に人数を提出する、こういうふうになっているわけです。この規定というのは消防職員の自立的な団体にはおよそそぐわない。全国消防協会がギャンブルの収入によって支えられているという、そういう意味の外部団体だというふうに、私はそういう意味では言わざるを得ないのでありますが、きょう問題にしたいのはいま長官がお触れになりました全国消防救助技術大会を主催をしていますね。これに対してこの大会も外部の大会であるとさっきからの論議から言えば理解するんですが、これを自治省消防庁が後援をされる理由というのは何ですか。
  80. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 救助技術というのは、消防の中でもいま重要な項目になってきておるわけでございまして、実は救急ほどはっきりとした法的な整備はまだできておりませんのですが、実際には救急に伴い、車の中にとじ込められた人をカッターを持って車を壊して引っ張り出すとか、それから高い場所に取り残された、火事の現場で取り残された人をローブを使って救助するという、こういう救助技術というのは相当消防の大きな部分になっておりますし、各自治体消防で一生懸命それに対する専門家を養成し、訓練をしておるわけでございますから、これが全国大会を開くことによってそういう技術の向上に資するということであれば、公的な消防という見地からも大変意義の深いことであるということで後援に名を連ねるということは当然あり得るのではないかと思います。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、この大会に出席をしているのは、参加しているのは個人として参加しているのですか、それとも団体として参加しているんですか。
  82. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) これはやはり個々の職員は公務として参加していると思います。通常それを練摩しております。それを全国大会という場で発揮する、まあ恐らく出張命令を受けて公務として参加していると考えます。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 長官、公務としてはっきり言い切られたからあれですが、その大会参加についての公的規定というのはありますか。
  84. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 具体的な公的規定というのは私、存じませんけれども、たとえば地方公務員が自分の仕事に役立つ技術の研修を受ける、あるいはその技術の全国大会に参加するというようなことで、一種の研修の意味を含めて公務出張をするというケースは間々あるのではないかと、恐らくこの救助技術職員がここに参加するのはそういった研修の一環ということで公務出張命令が出ておるというふうに考えます。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、死亡事件が起こりましたね。御存じのとおり、宮崎県でこの大会中に亡くなりましたね。あるいは大分県でも一件大分県ですかどこかがもう一件、最近二件この競技大会に参加中に、そしてしかも競技に参加をしている、フレーをしている途中で、そのことが原因で。これは明確にそうするといまの答弁から言えば公務災害補償で全部処理されますね。
  86. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) この大会に参加中というのは実は私そうじゃないと思います、聞いておりませんが、この大会に参加するための地区の予選の訓練中に事故が起きたと思います。そういう訓練中に事故が起きれば当然その訓練も公務でございますから、私は公務の扱いをするのが当然であると思います。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 公務の扱いということになれば、いわゆる大会参加を目的として訓練を指導されて、そして訓練に参加をしているそこで訓練中に死亡した。しかも他の下田によるのでなくて、その訓練そのものによって死亡した。しかもそれは公的、長官の言葉を借りれば公的参加である。そうすればすべて公務災害補償によって賄われると。
  88. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 大会参加というのはその訓練をし、技術を向丘するための励みということでございますので、参加が目的ではなくて、その訓練というのはやはり技術向上そのものが目的である。とすれば、通常の消防がポンプで操法訓練をするのと、この救助隊員が救助技術を訓練するのと同じ公務上の訓練であると存じますので、同じ扱いになると考えます。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 そこのところはそれでいただいておきます。  何か民事の訴訟が起きかかったりいろいろしているようでしてね。消防庁長官がいま述べられたような形ですぱりといっておれば問題ないわけですから、それに基づいて上がってくる事態については指導をされることを期待をしておきますが、そこでいまたびたび言われているこの救助技術について、消防庁はこの操法、いわゆる救助技術操法の基準とでもいいますかね、そういうようなものはおつくりになって指導助言をされているわけですか。
  90. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) ポンプの操法のようなものは実はまだつくっておりませんで、先ほど御説明しましたように、この救助技術というのは最近非常に伸びてまいりましたので、高層建築とかその他新しい社会実態に応じてこの必要度が高まってまいりました新しい分野でございますので、まだそれに対する一種の基準というものはつくっておりませんけれども、ただこれはポンプの操法以上に非常に危険を伴うものでございますので、何らかのそういった基準なり、それから基準はとにかくといたしましても、そういう安全に対する配慮ということについてはよほど注意を喚起しなければいけないものと考えております。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 長官、ぼくは注意を喚起する程度のものであってはいけないと思うのでしてね、私は救助のための訓練はもう当然必要だと思っていますから、そのことを否定をしません。  ただ、前段にちょっと関係して戻りますが、基準もつくらないでおいて、そしてタイムレース化した外部団体の競技会に参加するための訓練がこの技術向上に役立つのだという認識をもしお持ちなら、これは私は本末転倒だと思っているのですよ。そういう認識でもって何かレース化しているものに優勝しようなんでいうあせりが死に追いやっているという状態になっているわけでありまして、安全の装置などというものを一向に顧みない状態で行われているのです。これはもう許せない状態だと実は思っているのですよ。私は業務としてきちんとした基準をおつくりになって、そしてそれに基づいて訓練がなされるべきである。外部団体の何かタイムレース的なものに出ることを目的にして、そのために競争的に訓練に追いやる、これはもう全く本末転倒なんですよ。次官そうでしょう。いまの論議お聞きになってそうお思いになりませんか。
  92. 中山利生

    政府委員中山利生君) 長官がお答え申し上げましたように、その大会そのものはあくまで自主的な参加でございますし、これはもう訓練のための手段である。目的は訓練でございまして、中には優勝を目標として過度な訓練、危険性のある訓練をしているのもあるのかもしれませんけれども、まあ基本的、またいろいろ全国の様子を見ておりましても、やはり救急隊員の安全というものはまず第一義に考えられていると、私どもも拝見しておりましてそういう印象を受けておりますし、もし先生が御指摘のようなはね上がり的な傾向があるとすればこれはゆゆしいことであろうと思いますし、先ほど長官がお答え申し上げましたように、救急技術というのは非常に大半なことでありますけれども、まだ発生して非常に新しいものでございますから、今後ともこれの技術的な整備向上というものもしていかなければなりませんし、一般消防団員などにも簡単な救助技術なども指導もしていかなくちゃならないと思いますので、そういう基準のようなものを早急につくらなくてはいけないのではないかというふうな考えを持っております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 次宵の答弁もありましたけれども消防庁長官、やっぱり私は基準をおつくりになる必要がある。そうでないと、たとえば今度の転落事故を見てみますと、これは言ってみれば安全のための網も何も張ってないのです。サーカスでさえちゃんと、職業にあれをやっているのに、ちゃんと網張ってやっている。ところが、全く七メートル、八メートルも上で競争的に訓練を強いられておいて、そして事故が、落ちればコンクリートに頭をぶつける以外にない。土きるはずがないですよ。こんな形のことが悪い言葉で言えば強要されてやっている。こんな状態というのはやっぱり監督官庁あるいは行政指導をする立場にあるところの官庁の責任において排除をされる。これは救助技術が大変むずかしいからというようなことではないのであって、全く初歩的なことですよ。ハイジャックでさえあなた、地球より重いという形で対処をされる福田内閣のもとにおいて、こんな形のことが行われるということは、それは許せない。やっぱり早急に基準を明らかにされるべきだと思いますが、よろしいですか。
  94. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) やっぱり大会で優勝を争うということになりますと、人間どうしても栄誉をやるためにやや走り過ぎるという傾向やはり出るものではないかと思いますので、そういう点についてはよほど注意をしなければならないことと存じます。まあ大会の運営、私も二回ほど行ってみましたけれども、タイムが一秒、〇・一秒早い方が上ということにはしていないようでございまして、一定の秒数、標準の秒数を自主的につくっておるわけでございますけれども、それ以内であれば満点というような採点方法をして、いささかそういう競争に走るのを防ぐ注意も払っておるようでございまして、ただいま御指摘のようにこれを練習しているときに、下にネットも張ってなくて、不幸にも死亡事故、けがの事故が一件、二件起きておりますが、こういうものに対しては当然注意をしなければならないということで、案はことしの六月二十九日付で各県の消防主管課を通じまして、各自治体消防に一応通達は出してございまして、その中には安全ネットの使用等により安全管理の徹底、それから命綱の結着状況、安全環の安全確認の励行等、幾つかの項目を挙げて、こういうものについて十分注意をしながら訓練をするようにという通達は出しておりますけれども、さらにこういうことを繰り返さないために、今後も注意を払い、かつ基準が必要ということになりますれば、それもさらに検討してみたいと思います。ただ救助技術というのはどうしてもこれからの複雑化した災害の場合に要りますので、これ自体が救助技術の進歩の障害にならないように安全を十分確認しながら、さらに訓練は徹底して続けていくようにということで配慮を払ってまいりたいと思います。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 はい、わかりました。  消防庁内に、救助制度研究会というのがあるんですか。
  96. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) どういうものか知りませんが、私実は聞いておりません。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっとその事故の問題に戻りますが、この事故について調査検討はされたわけですか、消防庁は、すでに。
  98. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) こういう事故についてはもう例外なく詳細な報告を受けて、内部で検討しておることでございます。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 それで非常に危険度のあるものについて一時的に中止を検討するとかなんとかいうような形のことはこの事件によっては教訓としてとられているんですか。
  100. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) こちらからそういう指示をする権限もございませんし、まだやっておりませんけれども、この事故を起こしたところでは大変大きな反省をなさり、それからこれ自体がもととなって、ことしの全国大会には九州地区は参加しなかったというふうな事実がございます。まあ参加しないことがいいとか悪いとかいうことではなしに、やはりこういった事故について大きな反省をし、今後の安全対策上気をつけるという配慮は当然払うべきものであると。そういう意味ではことし参加を遠慮して、さらに検討したということは正しかったんではないかと思います。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 最後の消防力基準に入りますが、この消防力基準は、これはどういう法律に基づいて、どういう目的、役割りを持っていますか。
  102. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 消防力基準というのは消防組織法に基づきまして、消防庁長官が決めて各自治体に知らせると。それは法的な意味では命令権はございませんので、一種の勧告権、勧告ということになりますか、その団体のそれぞれの人口、地形あるいは気象条件その他を考えまして、自分の団体の消防力がどれだけであれば一応基準というか通常満足できるかということを算定できる仕組みになっておる。それを決めて通知をしておるわけでございます。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 それでこの第一条は「消防は、その施設及び人員を活用して、国民の出命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害に因る被害を軽減することを以て、その任務とする。」ということに始まって消防組織法がずっとあるわけですが、この消防力基準の告示の第一条には、「必要な最少限度の施設及び人員について定める」とされていますね。この「必要な最少限度」というのはどういう意味でしょうか、たとえば大きな火事がある、あるいは地震がある、大災害があるというようなものだけではなくて、そういうものだけではなくて、通常火災を想定しているということであるのか、どうなんですか、基準を作成する考え方というのは、どういうところにあるのですか。
  104. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 昭和三十六年にこの基準ができておりまして、その後五十一年七月までに三回ほどの訂正がなされております。できましたときに、どういう原理、原則、哲学に基づいたのか、実は私十分に研究してはおりませんのですが、常識的に判断いたします場合に、大災害を想定すればそれはもう大変な数の救急、救助、消防その他が必要だと思いますので、それを常時そろえておくということは不可能でもあるし、不合理でもあろう。結局は平均的な災害を想定する、通常火災その他を平均的なものを想定してこれを決め、大災害のときにはこれに加えることの消防団あるいは自主防災組織その他をもって対応するという考え方で決めておると推察いたします。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 五月十九日のこの委員会の私の質問に対しまして、田中次長は「御承知のように、消防力基準は市町村が消防責任を果たすために必要な基準を定めてあるわけであります。」この基準を充足していないと消防責任が果たせないということになるわけですね。
  106. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 果たせないということですが、一応この基準を充足することが一つの努力目標になるわけでございまして、で、この基準というのは、先ほども申し上げましたように、命令権その他はございませんで、一種の勧告でございますから、それから消防自体が自治体自身の固有事務でございます。しかし、この基準を充足していることによって、一般的にはそういった責任を負えるところに達したという目安というふうにお受け取りいただけばいいのではないかと思います。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 これは長官でなくてもいいんですが、「消防力基準は市町村が消防責任を果たすために必要な基準を定めてあるわけであります。」と、答弁非常に明快なんでありまして、そうすればここの基準に至らなけりゃ、充足してなけりゃやっぱりそれは果たせないんだということは常識でしょう。あんまり抗弁される必要ないんじゃないですか。それは常識でしょう。
  108. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) まあ果たせないおそれがあると申しますか、通常予想される災害に対応するに不十分であると、この基準から見ればそうだということだと思います。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、充足状況についてちょっと説明してくれませんか。
  110. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) もちろん自治体消防でございますから、各自治体は千差万別でございます。基準よりも相当上回ったものをそろえているもの、基準の半ばにも達しないもの、そういうものがまたいろいろございます。総体的に申し上げますと、動力消防ポンプについては現在八一%、それからはしご自動車はこれはまだ整備が進んでおりませんで四九%、化学消防車四八%、救急車は現在九三%と相当高いところまでいっております。しかし、全体といたしましてもまだ一〇〇%を超えたものがないということは、この消防力の整備が、私の方の決めました基準に対してまだまだ不十分である、その整備の努力を続けていかなければならないということを示しておるようでございます。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 ちゃんと、長官、あなたは四捨五入して言うと何かいいように聞こえるから因るんですがね。化学消防車に至っては四八%なんですよ。上へ一つ繰り上げてもらっちゃ困るんで、四八・一、はしご自動車に至っては四八・六、それからいま消防ポンプ事動車は八一と答えたが、八〇・五、これはおたくから出ている五十年四月一日現在の充足状況ですね。こういう状態でありますが、職員数について全国統計が出ないのはどういうことですか。
  112. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 職員数は全国で押さえてございます。ただ、基準との比較ということになりますと、基準は御承知のとおり口数でやっておりますので、結局たとえば口数から言ってポンプが五台要ると、五台が基準だというときに、一台について、たとえば七人の二交代制十四人フルに配置して、それを基準ということにすれば、それは大分充足状況は少ない。しかし、実際には救急車と消防車の間を乗りかえるとか、化学車とそれから通常ポンプ車の間乗りかえを考える方がむしろ合理的でございまして、同事に全部一斉に出動するということはむしろ通常はあり得ない。そういう意味で言えば、消防職員につきましても充足状況はどのぐらいになるという、相当高い数字になる。そういう意味でどのぐらい乗りかえをするかというところまで一定の条件を付しましてはじけばあるいは出るのかもしれません。基準は口数でやっております関係上、いまそこまで出してないというだけでございます。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、人員について数だけで充足率が出ないところが大変問題だと思っているんですよ。いま若干触れられたようなことがある。たとえば通常の消防車と化学消防車が同時に出動することを考慮をされない。そういうことを考慮をしないで、それは乗りかえると簡単に言われるわけですよ。与党の中だって、社会党の中だって首長経験者たくさんいらっしゃるわけですからね、こんな論理が実際にやってこられた方まかり通るとはだれも思ってないんですよ。後で酒田大火のときの教訓について述べてみたいと思いますが、大火の場合などに同時出動が必要な場合がこれは少なくない。これは皆さんが言ってらっしゃることですよ、経験者が。何も消防庁長官がじかに現場に行かれましたかなんていうような皮肉な二とを言おうとは思ってませんが、基準改定によって削られたということにどうもなる、そういうことになると基準改定というのは一体どんな考え方ですか。
  114. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) それは大きな災害になれば当然あるものが全部出動する、同時出動ということが考えられないわけではございません、おっしゃるとおり。しかし、それが通常の場合ではないわけでございまして、通常の場合は化学消防車が出なければならない火事には、水をかけても何にもならないもんでございます。したがって理想的に言えば配置された車自体に全部常に活動できるような姿で人員を配置するのがもちろん望ましいわけでございますけれども、合理性から言えば必ずしもそうとは言えないし、一台の自動車が、たとえば定員七人で交代要員含めて十四人といっても、そういった同時に出勤するというか、人災害のときは急選非番の者も招集すれば十四人あれば二台動かせるということにもなりますので、まあ財政をけちるために必要以上に乗りかえを想定している、現実に合わないといむ、ことではなくて、最も合理的にどのぐらいの人数置いておけば通常の場合対応できるか、それからすでにたきな災害のときの場合には非番を招集して出せばどのくらい対応できるか、そういうことは配慮した上である程度の乗りかえというのを考えるのがむしろ合理的である、まあ私たちは思っております。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 長官そう言われるけれども、たとえば四十六年の告示では、消防ポンプ自動車は七人になったでしょう。五十年になったらこれ五人になっちゃった。そうすると、わずか四年間で一台について二人も減るというのはどういう事情の変化があったんですか。
  116. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) これは新しい基準をつくりましたのが去年ですか、しばしば御抗議をこうむっているところでございますけれども、新しい基準で人数を減らしたのが金をけちろうというけちな精神ではもちろんないんでございまして、実際の現場をよく知っておられる専門家をいろいろ集めまして、いろんな実験を繰り返し、議論を繰り返し、結局五人で新しい操法ができるということに盲信を得ましてそういうふうに変えた。結果において人数が減ったということになりますけれども、しかもそれが通常の場合の一定の条件でして、たとえば傾斜地の多いところとかいうところには当然補正をかけてまいりますから、この新しい五人の基準ということについて決めましたのにつきましては、十分消防としての立場からの自信があって決めたわけでございます。ただその操法にまだなれておられないという点、今後多少訓練を積み重ねていきませんと、五人に減らした当初はやはり戦力低下ということは起きるかもしれません。しかし、その五人で十分それが慣熟するようになれば、七人で決めておったときと同じような一台は一台の効果を発揮できるはずでございます。これについては自信を持ってお答えできるつもりでございます。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 衆議院で専門家と言われる一人と消防庁長官がいろいろやり合っている速記録ちゃんと読みましたからね。これ希望的観測で責任を持ってこう答弁できると言われてみたところで、実態がそれにそぐわなければそういうことにならないんですね。消防白書から四十年と五十年を比較してみましたよ。そうすると、消防機械というのは二・五六倍、消防機関は二・五三倍、このうち出張所は四・六一倍、た変に大きく伸びている。それに対して職員数だけは二・一八倍、これは伸びが低いんですね。救急隊についても同様ですよ、おたくの数字を持っていますが。そうすると、私はたとえばアマチュアとして考えてみても、最小限の基準が向上するのならここれはわかりますよ。わかるんですが、悪化するのはなぜだろうか、だれでも不思議に思います。最低の基準というのは、合理化をしていくということよりも、その分を改善に向けるべきものなんじゃないですか。切って拾てていくものじゃないんじゃないかね、特に消防などというものは。
  118. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 職員数もそれは相当伸びております、いまおっしゃいましたように倍近くなっております。ほかの施設、ポンプの台数とか出張所の数あたりはそれに上回って三倍、四倍の伸びを示しているということで、全体として消防力が上がっていることは、これはもう当然でございますが、その場合に人数の伸びが少ないということが何を意味するかということで、先生の御指摘のように切って捨てるということでは私はないと思います。操法技術その他が向上し、新しい合理的な操法が完成されて、従来七人行ったものが五人で間に合うようになれば、それは五人にすることが合理的でございましょうけれども消防職員自体は減ってはおらないんですから、その余った二人というものを、それを二つ、三つ合わしてまた一台ポンプをふやしたというようなことでいまのような数字を示しているものと思います。もちろん多いにこしたことはないし、大きな災害に対応できるように整備するにこしたことはないわけでございますから、結局ある意味では財政とのかね合わせということになりますけれども、人命、財産の問題でございます、そうほかの問題のようにただ財政的な見地から締めるということは決して能ではない、おっしゃるとおりでございます。これらを伸ばすことの努力はさらにしておりますし、それから基準自体もいままでの経緯を見ますればある程度高いところへ決めて、町村自体が努力してそこまで追っついていくと基準をまたばっと少し上げていくというようなことを何度か繰り返しておりまして、昭和三十年代の末から四十年代の終わり近くにかけましては、この高く決めた基準に追いつく努力が実に目覚ましく発展をいたしました。ところがやはりオイルショック以降の財政の状態が響いたのか、この数年はこの基準に対して上がろうという努力がやはり全体的には鈍ったと見ざるを得ません、私たちも。それは非常に消防の立場からは好ましくないことでございますので、苦しい財政の中でも人命のものでございますから、一層努力をしてもらうように消防当局としては地方団体に強くお願いをし、指導をしてまいろうと思っております。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 酒田のあの大火の原因の一つとしまして、消防本部は人員不足を挙げていますね。で、長官の必死の御答弁でありますが、あれはやっぱり人員不足が非常に大きな要因であることは、これは総括の中にも出てきますね。で、全消防車が出動できなくって、そしてこの初期消火に失敗をした、延焼を初期に食いとめることができなかった、そのことがあの大火原因である、これはそういうふうに言っているんですね。で、酒田市では、たとえばそのときの総括ちょっと読んでみますと、「消防本部のポンプ自動車の充足率は五七%、消防関係の消火施設の充足率は九七%、」それから「消防水利関係は六〇%である。」こういう状態でずっと総括がなされて、何人が一組で出たという話がいって、そして「通常は、どのような火災が発生してもポンプ軍、タンク車いずれか四台しか出場できないのが現状で、」この人数から言って、今度は、「無理をしても五台しか出場しない。」「初期のうちに延焼阻止をしなければならない消防力がこのような状態では、水利がいくらよくてもあとは燃えるにまかせるという状態になるのは当たりまえだろう。」とこういういわゆる振り返ってみての自己批判になっているわけです。で、私は、やっぱり人員不足している、それによるところの初期消火の失敗があの大火に結びついている。そうすれば、やっぱり人員問題についてなおざなりにさせるわけにはいかないし、機器その他の増強とともに人員はその増強に比例して三分の一であってよい、四分の一であってよいという論理にはなかなかならぬのだ、消防というのは。消防機器そのものが科学的に非常に発達したものであっても、その主動作そのものは大変やっぱり手工業的なものであることはこれは言うまでもないことでありますからね。それとの対応における人員確保というものはやはりやらなきゃいかぬのだろうと、そういうふうに思いますがね。これ、次官、お互い次官がフロでないと言っちゃいかぬですが、プロを抜きにしてアマチュアとして考えたら私の論理は間違っていないと思うんですが、どうですか。
  120. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 次官、プロですよ、消防団長ですから。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 ああプロですか。
  122. 中山利生

    政府委員中山利生君) 先ほどからの御論議を伺っておりましても、消防力基準といいますか、それをどの点で設定をするかという非常に技術的にむずかしい問題だろうと思いますし、酒田大火のような異常な事態、これはいかに基準を充足をしておりましてもなかなか対処できにくい状況であったんではないかというふうに私は感じておりますが、まあこれも地方自治体のそれぞれの特殊性——小さな町村でも非常に火災が起きやすい、また起きたら大火になりやすい町村とか、それから人口が非常に多くてもなかなか、単発的な火災は起きても大火になりにくいというような地形というようなところもあろうと思いますし、なかなか一律にこれを基準で決めていくということはむずかしいと思いますが、地方の消防力充実努力に合わせて、国の方でもやはりそれに対応した施策をとっていくということが大半であろうと思いますし、人員の問題、いま長官からいろいろお話がございましたが、私もちょっとその人員を少しずつ削減をしていくということは、合理化ということであろうと思いますけれども、まあ一抹の疑問なり不安がつきまとってくるのではないかというふうな感じがするわけでございまして、ただ、いま御承知のように全国的に広域消防等新しい消防の急速な拡充が行われておりまして、その過渡期におけるいろいろなひずみというものが出てきていることは確かだろうと思いますが、これの整備をしながらそういう問題も解決をしていったらいいんではないかというふうに考えております。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 消防職員の勤務状態なんですが、これ多くの場合二部制で隔日二十四時間拘束、この労働時間というのは交付税ではどういうふうに計算されていますか。
  124. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 交付税で労働時間というのを計算するのは、たとえば拘束二十四時間が二十四時間労働と計算すると、その超過勤務を払わなきゃならないという意味では意味があるのかも存じませんけれども、特に交付税で消防職員の勤務時間がほかの職員と違うという計算はしていないはずでございます。したがっていまの二部制の場合は二十四時間のうちの十六時間が勤務、あとの八時間、これは休養時間というような扱いをしておる、それに基づいて人数をはじいて必要な超過勤務その他は通常の職員と同じというか、の超過勤務の算定はしておると思いますけれども、基本的な考え方はいまの二十四時間の拘束時間のうちの十六時間が勤務時間である、したがって二部制で一週間の勤務時間が四十八時間、大体一般職員——四十四時間——四から八という扱い方をしておるはずでございます。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 これ、交付税課来ているんだからあれですがね。休憩やら睡眠時間が消防職員で計算に入れられないというのは、いわゆるこの時間も拘束時間であるにもかかわらず入れられないというのは、これは交付税の担当者、どういうことです。
  126. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) いま交付税課は来ておりませんので、いま話したのは私のところの総務課長でございますから……。  勤務の実態から言っていろいろ自治体ごとには実は相当違うと思います。東京都のような大都市であれば出動回数も非常に多いし、そういうところは、また現在三部制を東京、川崎あたりはとっておりますし、そういった労働密度の濃いようなところで逐次三部制に移っていくということは私は大切なことだと思いますが、さりとて私のおりました愛知県の人口六万ぐらいの市の消防長がこの前来まして、火災件数どのくらいだと言ったら、年間に四十五件ぐらいだという話です。そういうところでは実際にはずうっと拘束受けて消防署に詰めておりますけれども、出動回数が、四十何回ですから七日に一遍ぐらいということになりますか、そういうところでもやはり一応拘束時間中にいろいろな予防その他の仕事もやっておると思いますけれども、そういうところでこれを拘束であるから二十四時間が実働時間だと考えるのはむしろ不合理でもありますし、他の職員との均衡の問題もある、そこで職員数を算定する場合に、一応二十四時間のうちで十六時間は起きていていつでも出動できる態勢にある、あと八時間は仮眠をしていたり、碁、将棋を指していてもいいといういまの勤務形態からすれば、いまの交付税の算定というのは一応合理性があるのではないかと思っております。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 私は水道だとか病院などの夜間勤務が拘束時間イコール労働時間という形でヘイされているというものとの対比においてはここのところちょっと疑問に思いますよ。で、どっちみち交付税法の論議がありますから、より具体的には交付税の論議のときにやりますが、消防庁の側がそういうふうな考え方じゃなくて、ぼくは逆にもっと求められてそれが交付税の側でぽかっと切られていると、いまのような論理で。それは過去においてその立場に消防庁長官いらっしゃったから、そのときの論理がすぐ消防庁長官論理になっちゃっては困ると思っているんですが、ここは交付税法論議のときに譲ります。  そこでコンビナート等災害防止法ですね、これによりますと特別防災区域が政令で指定される、この区域の事業所というのは自衛防災組織を設置しなきゃならぬ、この実態は大変なものでしょう。実態ちょっと簡単に説明してください。
  128. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) ちょっと実態の数字についてはいま私手元にございませんで、調べさしておりますけれども、私が聞いておりますところでは、わりあいと整備状況はよく進んでいるように聞いております、まだもちろん完全ではございませんけれども。あの法律の施行後の各そういった企業その他の対応というのは、私たちから見ますと、わりあいと熱心さがございますので、遠からず法が求めるところのレベルには達するというふうに私は考えて差し支えないのではないかと思っております。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 それは大変いいところばかりごらんになっているという感じだが、いまの答弁は。経過措置——実態はいま聞きますが、それはちょっと認識違うんですが、経過措置はどういう判断だったんですか、昔にさかのぼりますが。
  130. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) ちょっと地域防災課の人きょう連れてまいりませんでしたので、その計画その他、いま調べさせます。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ後でちょっと教えてください。ちょっといま地方行政委員会として最近私は議運で忙しいものだからあんまり一緒に視察に出ませんでしたが、四日市だとか新しいところに皆さんが行って見るときには、この事例のいわゆるあれはかなり進んでいます。その意味ではいま長官が言われたとおりです。ところが、古い地域というのは、黄からあるところというのは、やはり放置されているんですよ。私、ここにある県の実情を持っていますが、特別防災区域があって十一カ所の自衛防災組織のいわゆる設置義務事業所がある。ところがことし四月一日現在でゼロですよ、ここはゼロです。これは、皆からあったところですがね。しかも経過措置の日までに設置できる見込みはいまのところないんです。これはやっぱり検討しなければなりません。しかしいま、基本のところのあれが出てきませんから、私の手元にある——後で申し上げてもよろしいですか、ある県の資料はこういうことになっているんですよ。これはもう最近地方行政委員会が視察に行かれたところの一県です、この参議院の。ここのところはちょっといま長官の答弁がありましたけれども、全然違っていますから。おしなべて平均的に見ればこうだという論議にはなりませんので、さぼっているというか、手をつけずにいるところは全くつけずに、ゼロ地帯になるわけですから。ここは十分対策を進められることを強く要請をいたしますが、それはよろしいですか。
  132. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 私も指定された特別防災地域についての詳細を実は承知しておりませんで、大変申しわけなかったと思っておりますけれども、全体としてわりあいと企業の受けとめ方真剣であるという私の印象を率直に申し上げただけでございますが、その根拠になります数字その他につきまして、さらによく詰めまして、おっしゃるようなところについては指導を強化してまいらなければいけないし、必要な金融措置その他のあっせんというのも、県その他を通じて十分やっていかなければいけない、そういう心がけでやってまいりたいと存じます。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ時間ちょっと残りましたけれども、後で資料いただいてからにします。
  134. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前中の質疑はこの程度にいたします。  午後一時二十分再開することにし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩     —————————————    午後一時三十六分開会
  135. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を一再開いたします。  地方行政改革に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  136. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、特に人口急増都市の学校建設について聞いていきたいと思います。  御承知のように、いま学校建設について大変おくれておるということはこれはもう御承知のとおりです。で、これからどうするか、また、いままでのいわゆる現時点においてどうするかという問題と、それから今後にわたってどうこれに対して対策を講じ、また措置していくのかということが大きな問題だろうと思うんです。そこでその点について何点かお尋ねをしてみたいと思います。  そういう意味で、まず現在児童生徒数がどんどん増加しているわけですが、そういう関係——それだけじゃないでしょう、原因は。それだけではないと思うけれども、いわゆる校舎数がまことに不足をしておる。どの程度の不足を来しているのか、その点ひとつお答え願いたい。
  137. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) お答えいたします。  昭和五十二年度の全国ベースでの数字で見ますと、文部省の試算によりますと、小中学校合わせましていわゆる校舎の必要面積につきまして全国で約一〇%不足ということになっております。
  138. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 一〇%、それは率でしょう。どのくらい、率でなくて何校くらい、あるいは何教室くらい足りないのか、その点はっきりしてください。
  139. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 全国で面積で申し上げます。小中学校今わせまして九百四十二万九千平方メーター、現在その一〇%に当たる分でございます。
  140. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いや、もう少しはっきりどのくらい何校足りないのか、それから教室数でいうと何教室足りないのかということが聞きたいんです。わかりましたか。
  141. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 現在手持ちに、校数あるいはクラス数そのものずばりを持っておりませんが、試算でここで申し上げます。  小中学校、クラス数によっても学校の数が変わってくるわけでございます。一校当たりの規模と申しますか、十八学級、二十四学級、いろいろあるわけでございますけれども、まあ十八学級としますと小学校の場合、面積で約三千六百平方メーター、それから中学校で四千五百平方メーターの数字でございますので、これから見ますと——
  142. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 結構です。いまから計算されたんじゃあしたの朝になってしまうんで、申し上げておきますけれども、いやみ言うわけじゃないんですが、きのうから、文部省ですね、お尋ねしたいということはちゃんともうお話ししてあるんです。ですから、やっぱりどんなことを聞くんだろうかくらいのことは関心を持ってもらいたいと思う。でないからこんな不手際になるんだ。またもう一面から言うと、そんな程度のことがちゃんと把握されていないということは、これからの小中学校の建設という問題についてはまことに憂慮すべき問題じゃないか、文部省がそうだということば。私、そう思うわけです。いつ聞かれても、それはこの程度足りないんですよというぐらいの回答がぱちっと出てこなければうそだろう、こう私は思います。まあそれに対する御返事は必要ありませんが。  そこで私の方から申し上げますが、これはつい二、三日前の新聞の社説にありまして、それによりますと現時点でその小中学校の足りない数が九千九百八十三教室足りないんです、これぐらい足りないんです。一市町当たり六十教室足りない、こういうような記事が出ておりました。ですから、こういったことをまず私の方から申し上げたんで、踏まえてください、よろしいですか。  そこでお尋ねすることは、人口急増都市、そこの自治体、その自治体でいままで小中学校建設について無関心であったというわけではない。当然大きな関心を持っている。だから、当然計画的に校舎の建設は進んできている、やってきているわけです。しかし、その中でこういうような不足を来しているという事実、この辺の原因はどこにあるのかという問題です。その点、文部省としてはどういうふうにとらえていらっしゃるのか。
  143. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 特に児童生徒の人口急増市町村におきましては、校舎の不足あるいは改築ということが非常に焦眉の急でございます。それがしかも毎年毎年一年限りということじゃなく先まで続いている、これから先もそういうことが相当大きな需要で予想されるわけでございます。これが結局市町村全体の教育財政にも大きく響きまして、市町村の財政をほかの一般の市町村に比べて圧迫するという傾向にあるということだと承知しております。
  144. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっとわからないんですが、たとえば人口急増都市においては児童生徒数の増加が非常に激しい、だから、それに追いつきません、こういうことなのか。人口急増都市におきましては今後もこういう傾向が続くでありましょうというあなたの話、そんなことを聞いているんじゃないんです。だからこそいま聞いているわけです。そこをいわゆる勘違いしないでもらいたいんですよ。勘違いすると結果がえらいとんでもない結果。だから私が言っていることは今後も続くであろう、そういう状態が。だから、続くであろうから、学校建設というのはなかなか大変なことだ、どうしてこれを解決していくのかなあ、こら考えているわけです。だから、少なくとも現時点において不足しているという最大の原因あるいはその次ぐらいの原因を含めて私は文部省がどうとらえていらっしゃるのか、その原因についてですよ、お尋ねしてみたいなあということでお尋ねをしているわけですから、その辺のところをはっきりとお答えをいただかなければ困るんです。
  145. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 急増市町村において、いまの御質問のことについていろいろ問題が多かろうと思いますが、特に私としてこの大きな原因と考えておりますのは、やはり全体からいえば、財政難といいますか、急増都市におきます学校建築のため、あるいは土地取得のために要する費用が非常に多い、需要が多い、これに市町村の財政がなかなか追いついていけない、こういうふうなことじゃなかろうかと思います。
  146. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ財政問題、一番大きな開顕でしょうね、そう私も思います。だけれども、財政だけじゃないと思いますけれども、一つずつ取り上げればいろいろな要素はあるだろうというふうに思いますが。そこで、財政問題が出たんで、自治省はいわゆる学校建設についての補助を出す立場、こういう立場ですね、ですから、この一般の自治体については二分の一、人口急増都市については、この校舎建設に当たっては三分の二というふうにかさ上げをしているわけですね。ですから、当然この校舎を充足させていくためには、やはりそれだけの措置をとらなきゃならぬということでそういう措置をとった、それに踏み切った、こう思います。しかし、いま文部省の方で言ったように財政的に非常に困難な面があるんだろう、これはまあ最大の原因であろう、こういうわけです。そうなりますと、自治省としても、全然われわれは無関心で、われわれのいわゆる直接関係したことじゃないということでほおかぶりしているわけにはいかぬだろう、いわゆる人口急増都市についてはそれだけの措置をとってきているわけですから、当然何らかの今後も措置を考えていかなきゃならぬ。当然だろうと私は思うんですね。その辺について自治省はどういうふうに考えていますか。
  147. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 人口急増都市におきまして、もろもろの財政需要があるわけでありますが、中でも最も基本的な財政需要として義務教育施設の整備事業があると、このように認識しております。  ただいま先生指摘のように、人口急増団体の義務教育施設の整備、特に小中学校の校舎その他につきましては、一般の団体と異なりまして国庫負担率が二分の一が三分の二に引き上げられている、あるいは児童生徒急増について一定の要件を満たす場合においては、一般的には認められておりませんが、これらの団体については用地の取得について補助金が交付される。このように国庫補助金、負担金の面で特例措置が講ぜられております。これに対応いたしまして、私どもの措置としましては、まず地方交付税の計算上人口急増補正及び事業費補正を通じまして、各年度の学校整備そり他の所要経費を算定する。さらにその年度において国庫補助事業等については当然地方負担が伴うわけでありますが、その地方負担額につきましては、現在九五%の起債充当を認めまして、その起債の元利償還については、校舎の場合には六〇%を基準財政需要額に算入する、用地の場合には従来四〇%でありましたが五〇%を算入する、このように地方債及び地方交付税両面からこの国庫補助金の特例と相まちまして、財源の措置に万全を期している次第でございます。
  148. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 御説明はよくわかりました。で、私は経過を聞いているんではないんですよ。経過をいまお話しになったんで、私はその経過については、私もある程度わかるつもりです。ですから、その経過を聞かしてくれということじゃないんで、自治省としてやっぱり前向きの姿勢があるのかないのかという、こういう問題をお尋ねしたいということなんです、実を言うと。そこでいまのお話聞いていると、自治省はこういうふうにやってまいりましたと、一生懸命やってきましたと、こういうお話なんです。だけれども、私は一生懸命でやってきたからいいということではない、一生懸命やってきたにもかかわらずこういう状態が起きているではないかということを言っているわけです。遊んでいたとは言ってない。その状態をこれからどうしていくんだということをこれからみんなで考えていかなきゃならない。  そこで、自治省はさておいて、文部省ですけれども、そういういわゆる状態の中で、あなたは財政問題は最大の原因である、こうおっしゃったんだけれども、そのいわゆる財政問題について今後文部省として——今後よりもいままでだ。いままでどういう対策を講じ、どういう措置をとってこられたのか、その点をちょっとお聞かせ願いたいと思いますが。
  149. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) お答え申し上げます。  急増市町村につきましては、いま申し上げましたような大きな財政の負担がございますので、文部省としましては、先ほど自治省からも申されましたが、校舎建築の負担率、一般の場合ですと改築工で三分の一、新築工事で二分の一という一般負担率でございますが、昭和四十八年度からこれら小中学校校舎につきまして急増市町村の指定された分に対しましては、補助率を一様に三分の二に引き上げました。これが第一点でございます。  それから次に、一つの大きな学校建設の難関になっております用地の取得費でございます。これにつきましても一般の学校の改築あるいは新設につきましては、用地費の補助というものはいたしておらないのが従来のたてまえでございましたが、昭和四十六年度から五カ年間の臨時措置といたしまして、急増市町村に限りまして、三分の一の国庫負担を、急増市町村の用地購入費に充てるということにさせていただきました。これにつきましては、五十一年度には、さらにこの制度を五カ年前に向かって進むというふうに改めさせていただきました。  なお、予算全般でございますが、学校施設の全体の予算の増額はもちろんでございますが、そのうちでも急増市町村に、いわゆる急増校舎の建設に充てる分につきましては、年ごとに、その予算比を各年率を上げてまいりました。現にこの五十二年度におきましては、全体の小中学校の校舎の建設費が、予算的に五十二年度で二百五十四万平方メーターほどでございますけれども、そのうちの二百万平方メーターほど、約七九%は急増市町村の校舎の建設に充てるというふうに予算措置をしてございます。  なお、先ほど申し上げました急増市町村の指定でございますが、これにつきましてもこの指定の緩和、急増市町村という定義をかぶせることについての定義の緩和、これを今年度五十二年度一部改正させていただいております。以上のような措置でもって全体、急増市町村の校舎建設に努力しているつもりでございます。
  150. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 努力のほどどれだけかわからしでいただきましたけれども、こういう努力をしてまいりましたという何点かお挙げになりましたね。しかし、いま申し上げたように現時点で不足教室は九千九百八十三とこういうふうに、これは人口急増都市協議会か何かの調査ですね、大体合っているんだろうと思いますが、そうすると、どれだけか明るい兆しが出てきておりますといういまの答弁です。だけれども、それは言うならば部分的な問題であって、全体的な問題ではない。相変わらず不足教室は相当数に上っていることだけは間違いない、そういうことですね。これに対していま私は、これから先の話はこれからするんですけれども、現時点いままでのことを申し上げているんですから。  ではこれだけ足りないということはわかっている。それじゃこれをいつの時点でこの問題を解消していこうという意欲を文部省は持っているのか、その意欲とともに、こうこうこうやればこれは解決いたしますという一つの確信みたいなものが、そういうものをひとつお聞かせいただけませんか。
  151. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 人口急増の都市の学校建設需要につきましては、先ほど申し上げましたように、これからもまだしばらく続くだろうと思います。私の方といたしましては、まず、急増市町村に充てられる建設費の予算全体を今後とも大きくふやしていくということが一つ、これからの問題だろうと思います。  それから、これは前向きということではないのかもしれませんが、先ほど申し上げました三分の二の補助というのも、実は今年度五十二年度で一応措置としては打ち切られるわけでございます。で、これは文部省としましては、五十三年度、来年度以降も三分の二の補助率を必ず維持していきたいということで、予算的な問題でいろいろ大いに、予算折衝の時期でもがんばっていきたいと思っております。  その他、補助単価の問題、あるいは用地費の購入単価の問題、それからまた、補助面積の問題、これらの問題がございますが、これらにつきましても、従来とも単価の毎年度のアップでございますとか、あるいは基準面積の増でございますか、いろいろ実績をつくってまいったつもりでございますが、今後とも予算上にこういった問題々さらに反映していきたいと、こんなふうに考えております。
  152. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 お話としては、決して筋が通ってないとは言えないと思う。やっぱりいままでも補助率の問題とか、いろいろ学校建設については大きなとにかく問題になってきた。それを一つ一つ解消しながらいままで進んできたわけですよ。進んできたけれども、いわゆるこの不足教室という事態が生じている。いまあなたが言ったような対策を講ずるならば、今後いつの時点で、いわゆる現時点の問題点は解消できます、こういうやっぱりはっきりした私は見通しもつけていかなければならない。物事には、何事によらず緻密な計画というものは必要なんで、それに向かって努力していくところに成果が上がる、効果が出てくる、こう言えると思うんですよ。それも何もなくて、こういうふうに考えていますということでは、その場限りのお話にすぎないような感じがする。その辺を私は、文部省はどうこれからこれを解消するためにどういう考え方を持っているんだと、こうやって必ずこの時点では解決するんだという、そういう確信はおありにならないんですか。その点どうですか。
  153. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 児童生徒の、これは全国ベースででございますけれども、増加というのは急増市町村に限らず、全体としてトータルの問題で、ここしばらく続くということは申し上げましたとおりでございますが、小学校の場合、私の方の試算で申しますと、小学校では昭和五十六年度くらいまで、全体の児童生徒数はふえていくのじゃなかろうかと。中学校の場合で言いますと、それより数年おくれまして六十年ないし六十一年という時期まで、中学生の生徒の数が現在よりも徐々に徐々にふえていくんだろうと思います。  われわれとしましては、その辺の、これは急増市町村ということじゃなく、全体の問題でございますが、これらこういう問題を踏まえまして、先ほど申し上げましたいろんな諸施策、これらを量的にも、特に予算の量的にも急増市町村に大いに力を入れまして、何とかこのいま申し上げましたピークを頭に置きながら、不足教室、あるいは不足校舎の整備に努力してまいりたいと、こう思っております。
  154. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 努力していかれることは間違いないと思うんですよ。間違いないと思うけれども、いまあなたがおっしゃったように、いわゆる小学校児童については五十六年ぐらいまでは伸びて、それから下向きになるであろう、下降線をたどるであろう。中学校の場合にはもっと先まで伸びていく、そういうあれですね、見通しが立てられている、そのとおりだと思うんです。だからそういう予測がついている、できるわけですから、ですから、本当ならば現時点でやはりその予測に基づいてこうしなきゃならない、ああしなきゃならない、そして学校建設の、いわゆる学校の不足というものはなくさなきゃいけないという、こういう努力がなされなくちゃいけない。どれだけか、あなたから、こういうふうにやってきましたということはわかりました。  それはお聞きしなくてもわかるわけですけれども、問題は、私聞きたかったことは、現在のこの不足校舎、不足教室というものをどういうふうにして解決するんだというその確信をあなたからお聞かせを願えればと思ってそれで質問をしているわけです。その辺については何ら回答がないわけですよ。だからそれはちょっとわかりませんと、行き当たりばったりでございますとふえることだけは間違いないと、何とかごまかしながらやっていきますと、こういうことなのかどうか。その点はっきりしてください。
  155. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) この問題につきまして、文部省で、実はいわゆる五カ年計画とか、六カ年計画というような、急増市町村の不足校舎の解消というような表題での計画というものは、そういう形では持っておりません。  しかし、いま申し上げましたように、いつということは申し上げられませんけれども、いままで申し上げましたような施策をこれからも強力に推し進めて、何とか一年も一日も早くこういった不足というような問題を解消するようにしていきたいと努力しておるわけでございます。
  156. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、あなたの観念論をお聞きしようと思って質問しているわけじゃないんですよ。だからこれ以上とやかく言ってみたところで結論が出そうもありませんので、この点はまた次の機会ということにいたしましてこれは打ち切ります。幾らあなたの感じをお尋ねしても、これは解決できる問題ではないんですから、私は現実の問題を踏まえて、これどうするんだということを聞いているわけですから、その辺のいわゆる明確なお答えがないわけです。  で、まだしかし、これ本当の序の口なんですけれどもね。時間の関係もありますから余り突っ込んでできないかもしれませんけれども、それでは現時点で、いまこれだけお話をしたわけですね、お互いに。ところが人口急増都市協議会の調査によりますと、これから先五年、昭和五十三年を起点として五年間、いわゆる五十七年までの間に小中学校児童生徒の増加、そしてそれに要する土地の面積であるとか、あるいは校舎数であるとか、財源的にはどのぐらいかかるんだとかいうようなことを調査してありますね。それは文部省御承知でしょう。御承知ならばあえてそのことについてお答えを願わなくてもいいんですが、私の方から申し上げますけれども、大体この五年間で人口急増市町の児童生徒数の増加数は百四十万と言われております。これはよろしいですね。それで、そのために小中学校をどのくらいつくらなくちゃならないか。大体約五千四百校、正確に言うと五千三百何がしかになるらしいですが、五千四百校、そして財源として二兆円要るというんです。これを一応人口急増市町においては計画としては立てているようです、校舎建設について。この程度、五千三百何がしかの計画は立ててある。しかし、現時点でもどうにも間に合わない状態で、計画は立てているけれども五年先それが実現できるのかどうか、これは文部省にとって大きな問題じゃないんですか。いわゆる教育の内容しかりです。これは重要な問題です。と同時に、その内容をいかに子供に伝えていくか。そのための器、これをしようがないんだと、いっぱいだから。定員は三十五名、四十名だけれども、五十名、六十名入れてもしようがないじゃないか、プレハブでもしようがないじゃないか、いろいろ工夫はこらしてきておられるようですけれども、これからもそんなことでやるのかどうか。やっぱり教育を受ける子供さんたちの立場に立てば、それはいろいろな影響があるだろうと思うんですよ。ですから、やはりそういった校舎の足りない問題について一日も早く解消する、いまあなたはそうおっしゃったけれども、それを解消するためには少なくともこういうデータが出ておる。そのデータに基づいてどういうふうにしたらこの人口急増市町で計画している五千数百校の学校を建設することができるのかどうか。また、用地買収についてこうすればそれはできるのだという、そういうものをやっぱりつくり上げなきゃならぬじゃないですか。それが何にもないということであれば、私はまことに文部省は無責任だと、日本の教育を担当する資格ないと言われても仕方ない、大げさに言えば。ですから、いまお聞きしていることは、これから先五年だ、そういういわゆる調査資料があるわけですから、それに基づいてどうしようとしているか、これを達成するためにどういうふうにしようと考えていらっしゃるのか、ひとつその点をお聞かせ願いたいと思います。
  157. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 人口急増都市協議会で御調査になりましたものは私たちの手元にもございます。これは内容を拝見しますと、急増都市全部の調査——一部抜けているところの市町村もあるというようなことでございます。また中身につきましても、いろんな面積の問題であるとか、単価の問題であるとか、あるいは予定される児童生徒の人口増であるとか、一つ一つの問題につきましては私たちとしてもこれを参考にしまして、今後私たちもこれを参考にしながら、いまのような問題を独自のわれわれの手でいろいろ調査していきたいと思っております。その結果、これとどうすり合わさるか、また別の観点も、あるいは多少の数字の違い等も出てこようかと思いますが、これからの急増市町村の校舎の建築をわれわれが計画していく上での一つの大きな参考資料だと、こういうふうに考えております。そういうことで、私の方もひとつおくればせながら急増市町村のこういった計画を文部省の手で調べてみたいと、こんなふうに考えているわけです。
  158. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そんな、何も考えてなかったという一語に尽きると思いますね。おくればせながら、まことにおくればせながらですよ。これは当然やっぱり年次計画を立てるべきだと思うのですよ。あなたはそんなことをうっかり言っちゃうと帰ってからまたしぼられるといけないというので、何にも言えないのかもしれないけれども、これはやっぱり当然そうするのがあたりまえだと思う。  それで、ちょっと文部省おきまして、先ほどから文部省の方は、補助のかさ上げの問題だとか、そういう財政的なことをいろいろと話をしてたわけですよ。それは自治省関係ありませんか、全然。それは自治省関係ないのか。全く大蔵省の問題なのか。補助を出す立場は自治省ですね。ですから、そういう立場でもって、いわゆる文部省がいろいろとこれからの対策としてはこういう面、ああいう面といま言ったでしょう。だから、そういうことについてのいわゆる自治省考え方はどうなのか。
  159. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 補助金制度につきましては、それぞれの補助金の交付対象となる事業の所管省が予算そのものは所管しておるわけでございますが、私ども地方自治体の立場から、いわば補助を受ける立場といいましょうか、事業実施の責任を負わされている立場から、各省庁の所管しておられます補助金につきまして、その内容の改善、事業量の確保、増額、こういった点を所管省に要請し、あわせて大蔵省にその実現方を要請いたしております。ただいま義務教育施設の整備につきましても、当面の一番大きな問題は、人口急増団体について現在認められております校舎等の補助率の特例、二分の一を三分の二に引き上げるという特例が、このままですと五十二年度で終わってしまって、五十三年度からは普通の補助率になってしまう。これは関係自治体が最も心配していることでございますから、文部省当局もその存続について予算要求されております。私どももその実現をぜひとも図ってもらいたいということで、文部省並びに大蔵省に要請をいたしております。  また、用地の補助の問題あるいは校舎の補助につきましても、その単価の問題、補助対象の問題、いろいろ問題を抱えております。これらにつきましては、第一義的には所管省であります文部省の方で予算要求をされておるわけでありますが、私どもも重大な関心を持ちまして、その文部省の予算要求の内容の実現について大蔵省当局にも要請をいたしております。
  160. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、そろそろ結論ですけれども、国の方は、国勢調査の人口増加率が一〇%以上か、または増加数が五千人以上の場合に人口急増市町村と、こう認めておるわけですね。そうして、教育施設整備では、そういったところに対しては国庫補助面で特別措置がとられている、いまおっしゃってました。これはいまおっしゃっているとおりことしで打ち切りになりますね。これは当然もう深く考えるとか考えないという問題ではない。いままで私が申し上げたとおり、全く校舎建設についてはどんどん今後おくれていくばかりです、この調子でいけば。そうじゃないですか。あなた方が努力し、努力を一生懸命やってまいりましたといってもおくれているんですから。そうでしょう。それもまだ解決しないで、これから五年先とか十年先のこと、これそう簡単にいきませんよ。こそく的ないわゆる手段かもしれないけれども、この制度は当然常識的にいったってなくすべきではない、こんなことは。ですから、精力的に努力するとかなんとかというような大げさな問題じゃない、あたりまえのことです、こんなことは。だから当然これはなくすべきじゃない。私はその確信に自治省もそれから文部省も立ってもらいたいと思うんですよ。必ずこれは続けますと、こう言ったって、大臣文句言わないですよ、文部省、大丈夫。政務次官、いかがですか。
  161. 中山利生

    政府委員中山利生君) 先生指摘のように、人口急増地帯における小中学校の建設についての財源というものがその地方団体の財政を非常に圧迫をしているということは事実でございますし、それと同時に、教室数が現実に足りない、なかなか追いついていけない。まあ一時のようにますます差が離れてしまうというようなことはなくなって、幾らか追いつきつつあるとは思いますけれども、それでもなおかつ現実に教室がなくて困っている児童生徒が多数いるわけでございますので、先ほどおっしゃった特例措置の存続につきましては、これは予算要求の面でございますから、文部省も自治省も相協力をして大蔵省にこれからかけ合っていく。で、現実に、先生指摘のように、その事態が特例措置によって改まったとは言えないわけでございますから、これは当然政府としても存続をしていくべきものだというふうに私は考えております。
  162. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっとこの問題に関連しまして、どうですか、もしこれが打ち切られますと、いわゆる特別措置が打ち切られますと、その関係——関係ということは人口急増市町ですね、このいわゆる自治体の負担はどのくらいになるか、それはおわかりになっていますか。
  163. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) これはきっちりした数字をいま持っておりませんが、私の推定では……
  164. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わからなければわからないでいいですよ、何も責めようなんて思ってないから。わからなければわからないでいいです。
  165. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 私はわかりません。
  166. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それで、これは三千五百億、いわゆる校舎建設だけで三千五百億ぐらい地元の自治体がひっかぶることになるわけですよ。これはしかし大変なことですよ。当然これは、本当ならば、いままで申し上げたような情勢を踏まえるならば、状況を踏まえるならば、いわゆるかさ上げを考えてあげなくちゃならぬということは言えると思います。それでなければ解決していかないですよ。こそく的な手段かもしれないけれども、もう一歩これをかさ上げするという考え方。特に、いわゆる用地費を取得する場合に、これもついていますね、これは非常に率が低いでしょう。これはどうしますか。これは、いまの土地問題というのは何もこの委員会で取り上げる問題ではないけれども、いままですでに土地問題というのは大変な勢いで取り上げられてきたんだ。ですからそういう中でこの学校用地を確保するということはなかなか大変なことだ。その多少なりとも助けになる、補助、その率がまことにいまの時点で低いということ。それは時代にそぐわない。お体裁ではない。これは実質的にどうだということを踏まえてやっぱり措置しなければならない問題だ。だとするならば、当然これは用地費についてもその補助率のいわゆるかさ上げです、これは必要だと思いますよ。ですから、この点はどういうふうに考えていますか。いままであなたがこういう点をこうしますと、そういった点に触れてきたんですから、そこで余り変な返事はできないでしょう。
  167. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 用地費につきましては、従来昭和四十六年度から三分の一の補助をやりまして、昨印度五カ年間のさらに継続をお願いしたところでございますが、この中でいろいろ補助の問題も、補助率の問題も一つの大きな問題でございますけれども、また同時に、交付率の問題もこの補助とあわせて大きな問題になっておろうかと思います。われわれとしましては、とりあえずは、この交付率を来年度の予算でさらに五%上げさせてもらうというところで予算要求をさせていただいているわけでございます。来年度すぐから、いま先生おっしゃいました補助率を上げるということには、いま現時点ではなかなか踏み切れないでいるというのが実情でございます。
  168. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃその問題はこれで終わります。  もう一点だけ文部省お願いします。これもお金に関係する問題ですけれども、過疎対策の一環ですね。これは自治省になるのか文部省になるのか、あの過疎対策の一環としてなされていることですけれども、いわゆる統合されたあれですね、部落といいますかね、学校へ行くのに遠くなっちゃう。それに対してあれでしょう、バス利用するわけですな。補助していますね。その補助率はまことに低い。それが、これも五年間だけと言うんですよ、そうでしょう、五年間だけ、補助されるのが。あとはやっぱり市町村で、そこで賄っているんです。五年間だけというのはどういうわけだったんですか。まず小学校一年入った。義務教育六年ですよ。そうすると、あとの一年どうなるんだ。こんないわゆる補助の仕方というのはまことに矛盾だろうと私は思う。ですから、これは変えなければいかぬだろう。やっぱり学校へ行っている間は。そういう形でそのいわゆる過疎対策がなされて、そういうことになった。その市町村も大変だろうというんでその金を出す、補助を出すわけですから。ですから、その効果を考えるならば、当然これは五年間なんて限ることはおかしい、学校へ行っている間は。その辺についてこれは変えるべきだろうと思うんですが、文部省としてはどういうふうに考えておるのか。
  169. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 先生大変申しわけないんでございますが、統合地等のバスの国庫補助につきましては、文部省の初等中等教育局の方でやっております。私の方で、ちょっと所管が違いまして、その辺つまびらかにしないわけでございますが、いま先生のおっしゃいました趣旨は、初等中等教育局にお伝えすることを約束いたします。
  170. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あれ、そうすると、文部省はこれは知らないということかな。
  171. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) いえ、違います。文部省の初等中等教育局の所管でございます。
  172. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなたはわからない。
  173. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) はい。
  174. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わからないんじゃしようがない。そうすると、これはこのいわゆる過疎対策の一環ですから、これは自治省関係ないですか、全然。金を出す方はどうなんですか。
  175. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 補助金そのものは文部省の方で支出してございます。私どもの方は補助裏といいますか、地方団体の負担分につきまして現在地方交付税の計算上はそれぞれ基準財政需要額に反映するように計算いたしております。したがいまして、いま先生指摘の補助金の交付年限を何年にするかという問題は直接私どもの方の所管ではございませんで、文部省の方で決めておられる問題でございます。
  176. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いずれにしても先ほど申し上げたとおり、少し前もって、いろんなことを聞くのに資料ぐらいそろえてくれなくちゃ。これ文部省の問題でしょう。私は知りませんじゃ、何のためにここへ出てきたかわからぬということですからな。その点ひとつ、これからもあることですから。  それじゃ教育関係、いわゆる校舎関係の建設、この問題についてはこれで終わりますので、ありがとうございました。  あと警察関係——。わずかですけれども、ちょっと考え方をお聞かせ願いたい。  御承知のように今度の法務省が五十二年版の犯罪白書を出しましたね。この特徴として、これも新聞の社説に出ていたんです、朝日新聞の。出ていたんですけれども、犯罪動向の国際比較なんという一章を設けておる。これは非常に特徴的であるなんということが言われておりました。で、戦後の欧米の犯罪動向といいますか、傾向というか、これはもう私が言うまでもなく、そちら専門家ですからよくおわかりになっていることで、白書にも出ているわけです。ですからこれに比較してわが国の犯罪動向というものは、ということは、いわゆる犯罪件数というものを含めてここ十数年非常に減少ぎみであるといういい結果が、これは当局のいろんな努力のたまものであるというふうに思いますけれども、まあそういうことが書かれておりました。しかし最近の様子を見ていくと、そうではあるけれども、安心するわけにいかぬ。事件の一件、一件を見てみると、だんだん欧米型、こういう方向に移行しつつあるのではないかと。ということは、いわゆる悪質な犯罪が多くなったと、こういったことが言えると思います。こういった問題を踏まえて、やっぱり当局は新しい方向性、これはもう申し上げるまでもなく、暴力団関係にしても、過激派の関係にしても、あるいは最近もありましたけれども、銃砲火店に押し入り、これをいわゆる強奪していくという事件、あるいは麻薬の問題もその犯罪につながる大きな要素だろうと。非常に複雑多岐にわたってきた。その中で悪質化してきた。こういったことについてやはり警察としては新しい方向を踏まえて、どう対処していくかという問題、これがあろうかと思うんですが。そういった点について白書はもちろんですが、これを踏まえながら今後警察はどうこれらについて対策を講じていこうとしているのか、その点をまず基本的な問題、これをひとつお聞かせ願いたい、こう思います。
  177. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いま御質疑の欧米型犯罪への移行、あるいはこれからのいろいろの問題点の御指摘がございましたが、実は法務省で出しておりまする犯罪白書、これに対応するといいましょうか、警察も御承知のとおり警察白書というのをずっと出しておりまして、実は四十八年版あるいは五十年版、これでやはり欧米諸都市とのいろいろの比較、あるいはニューヨーク、ロサンゼルスあるいはモントリオール、ロンドン、パリ、こういった大都市と東京との犯罪の比較、こういったものも実は警察の段階でもいろいろやった経緯がございます。今回の法務省で出しました犯罪白書も、そういう意味でわれわれが理解しておったものと大差ない。それをある意味においては集大成して非常に詳細なる推敲を加えいろいろやったというふうに理解しております。  そこで、こういう中で率直に言いますれば、日本の犯罪情勢というのは、先出先ほど言われましたとおり、年間約百二十万件、まあ大体この十年間、年百二十万件、もちろん交通関係の事犯は除きまして、いわゆる刑法犯、これが百二十万件ぐらいで年々推移しております。この両三年ぐらいの間若干ずつふえておったわけでございますが、ことしに入りましてから、それがちょっとダウンの傾向を示してきておりまして、これが那辺に事由があるのか、ちょっと私たちも決め手といいましょうか、決定的な要因がわかりません。しかし九月末現在の統計等を見ましても、七十九万件ぐらいで昨年より若干減っておるということでございます。しかし中身を見ますと、やはり決して安閑とできない。やはり欧米型といいましょうか、そういうものも含めて、まあ日本の社会構造というものは大変いま変化しておるということでございまして、特に先ほど来の御質疑にもありました人口の流動化に伴う、何といいましょうか、その辺の都市化、それに伴う連帯感の欠如というふうな問題もあるでしょうし、さらにまた広域化ということで、まあモータリゼーションの中で非常に足が速くなっておる。あるいは知能化しておる。いろいろの要素が山積しておるわけでございますが、そういう中で数は数として、やはり内容的に質的にきわめて危険なものがあるというふうに私たちも判断いたしております。  それで、そういう件数に対しまして検挙でございますけれども、大体昨年は五九%ぐらいの検挙でございます。ところが、ことしに入りましてから残念ながらその検挙率がダウンしておりまして、特に強窃盗——殺人、強盗、強姦、放火ですね、これを凶悪犯と言っておりますが、こういった凶悪犯が起こりますと、それぞれの府県警察では捜査本部を設置いたしまして、全力を挙げて早期解決に当たるわけですが、こういう凶悪犯の検挙率が残念ながら五割を割らんとしておるというふうなことでございます。それだけわれわれ警察をめぐる捜査環境というのは年々悪化しておるということを痛感しております。  また、御指摘になりましたような暴力団の問題、あるいはまだ麻薬の問題、覚せい剤の問題あるいは銃砲の問題、こういった問題を抱えまして犯罪情勢は決して楽観を許さない。私としまして、年々五九%の検挙率が、悪くすれば五割を割るようなことになるんじゃないかということを危惧しておりますが、もし五割でも割るとなりますと、やはりこれは相乗的な効果があろうと思うわけでございまして、大変なことだということで、実は各種会議その他を通じまして、まあ数を、必ずしも数だけを言うわけじゃございませんが、一応のメルクマールとして五割は絶対に切らない、ひとつの努力といいましょうか、検挙率といいますか、そういった面でも実は配意しておるというふうなことでございます。したがいまして、そういういろいろの問題点、特に暴力団、これがいろいろ焦点を当ててわれわれも取り締まりをやっているわけでございますが、約二千五百団体、十一万人という暴力団が全国におるわけでございますが、この暴力団の根絶、これがやはり当面の一番大きな問題であろうと思っております。しかし、これもわれわれのたび重なる根気強い取り締まりにもかかわらず、残念ながら非常に大きな組織の暴力団の寡占化を非常に強めており、しかも対立抗争事件が起き、白昼拳銃で一般の市民の人を巻き込み、さらにまた警察官も負傷する、こういった事犯が沖繩松山あるいは福井あるいは長崎あるいは東京というふうなところでそれぞれ起こっておるような状況でございますので、これは何とかひとつ国民の暴力を排除するというふうな機運のもとに警察の取り締まりを中心にし、かつまた関係各庁の協力を得まして、この根絶に向かって、ひとついきたいというのが一つ。  それから、問題の麻薬、覚せい剤、これにつきましてもやはり犯罪と非常に密着しておりまして大変ふえております。数字は省略いたしますけれども、やはり農村の婦人にまでこれが浸透しておるというふうな状況でございまして、そういう中でやはりこの覚せい剤、麻薬というものを徹底してひとつ摘発していく、これがまた暴力団の大きな資金源になっておりまして、大変なウエートを占めておるわけでございます。暴力団の壊滅のためにも麻薬、覚せい剤の取り締まりは必須の問題であると、こういうふうに認識しております。  さらにまた、御指摘の銃砲の問題、特に拳銃、猟銃の問題でございますけれども、これはやはり日本の治安がまあ諸外国と比べて一応非常にいいと言われている一つの大きな要素として、やはり銃砲の取り締まりが非常に厳しいということと、麻薬等の取り締まりが厳しい、この二つが大きなエレメントであろう、こう万人が認めるところだと思いますが、その銃砲関係、昨年一年間で約千三百余丁の拳銃を押収いたしております、暴力団から押収しておるというふうなことでございまして、やはり外国からの密輸入というようなものも相当あるようでございます。幸い先国会におきまして、国会で銃刀法を改正していただきまして、罰則の強化その他が図られたわけでございますが、この機、警察といたしましてもふんどしを締め直してさらにこの銃刀——各種の銃器を徹底して一丁でも多く摘発するというふうなことで全国スクラムを組んでやっておるというふうな状況でございます。  簡単でございますが、一応概観しましてそういう状況でございます。
  178. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 細かい点につきましては、また次の機会にいろいろとお尋ねすることにしたいと思います。  時間がちょうど切れましたので、以上で約束を守って終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  179. 神谷信之助

    神谷信之助君 先般起こりました日航機のハイジャック問題について、きょうは警察、法務省、運輸省関係にお尋ねしたいと思うんです。  この件は世界的にも大問題になりましたし、そしてこの再発防止のためには内閣、政府対策本部が設けられて、鋭意その対策を練られている段階であります。したがって、このハイジャック防止をするために関係各省は最大のいま努力を傾注をされていると思います。これを防止をするためには、私はまずこの事件の全貌を早く明らかにすると、そしてなぜそういう事件が起こったのか、またどこに問題点があったのかという点を明らかにしてその対策を立てるということがどうしても必要だと思うわけです。そういう意味でいろいろお尋ねをしたいと思いますので、きょうお見えの関係者の方々ぜひともひとつ率直に現在までの調査あるいは捜査、そういう段階での可能な限りお答えをいただきたいということをまず前提に申し上げておきたい、お願いしておきたいと思います。  こういう凶悪犯行を重ねている、いわゆるこの日本赤軍ですね、及びそれを支援するグループとか、あるいはそれを生むところの土壌、これらにメスを入れてこれを根絶をするということが緊要だと思います。そういう意味から以下いろいろ御質問をしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのは、今度彼らのやった犯行がどういう罪に該当するのか、この点をまずお答えをいただきたいと思います。
  180. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ダッカにおきます日本赤軍によるいわゆるハイジャック事件でございますが、適用法条を考えてみますと、いわゆるハイジャック法違反、航空機の強取等の処罰に関する法律違反に当たると思います。それから全体としてはそうですが、あとは個々のものといたしまして逮捕監禁罪、これは日本国外で犯しましても罰せられるというのが中心でございますが、なおその中の個々のものについては銃刀法違反とか爆発物取締罰則違反とかいうような問題がそれぞれ出てまいろうかと、もちろん脅迫その他も出てまいりますし、強盗というような要素も出てまいろうかと思いますが。
  181. 神谷信之助

    神谷信之助君 現在までの段階で犯人の特定、これができておるのかどうか、できておるとすればどういう人物か、あるいは特定まではいけないけれども推定はどの程度までできておるのか、この点はいかがですか。
  182. 三井脩

    政府委員(三井脩君) まず輪郭から申しますと、犯人は五名で日本人の男であるというところまではほぼ確実だと考えますが、個人識別と申しますか、何某であるかということにつきましては、ただいまのところ人相その他大ぜいの人質になった人たちが見ておりますけれども、必ずし本一致いたしませんで、比較的多いのは丸岡修ではなかろうかということでございますけれども、これまたまだ確定するには問題があるというように考えております。
  183. 神谷信之助

    神谷信之助君 報道によれば丸岡のほかに戸平、佐々木、坂東あるいはその他一名、大体この四名ぐらいまではある程度報道では推定されているようですが、その辺まではいってないわけですか。
  184. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 論理的な推断といいますか、推論としてはいろいろの可能性が考えられるわけでありまして、たとえば服役あるいは未決の囚人を指名したそういうような関係から、知っておるから指名したんだろうというようなことで、周囲の状況等からの推論が幾つかあるわけですが、そういうものとしては考えられますけれども、捜査として現場で目撃した人、そういう人を中心に調べてみますと、まだそこまで言うには捜査としては無理だという段階でございます。
  185. 神谷信之助

    神谷信之助君 百人を超える人々が目撃をしているし、時間も長いわけですね。そのなにがばらついて合致をしないという状況にあるわけですか。
  186. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 大変ばらついておりまして、捜査としてはとてもこれだけで何某くさいというには大変冒険だというふうに感じております。
  187. 神谷信之助

    神谷信之助君 日航機の中における、恐らくこの場合はなかったんかと思いますが、しかし一応お尋ねしますが、指紋その他の物的証拠、犯人を特定する、そういうものはあったのかなかったのか、ほとんどなかったんですか。
  188. 三井脩

    政府委員(三井脩君) あの被害に遭いました日航機が帰ってまいりまして、羽田で早速検証をし、丹念に資料収集いたしましたけれども、いろいろな資料はありました。しかしながら、指紋もとりましたが、その指紋等から犯人を割り出すだけのものは今日まで出ておりません。
  189. 神谷信之助

    神谷信之助君 機中に持ち込んだ武器、これはどういう種類のものでありますか。
  190. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいままで判明しておるところでは、拳銃、手投げ弾、それから一部はプラスチック爆弾ではないかと思われるものが残っておりましたので、目下鑑定中でございますが、結論はまだ出ておりません。爆薬らしいというところでございます。
  191. 神谷信之助

    神谷信之助君 犯人がアルジェでおりるとき持ち去った武器はあるわけですか。
  192. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいま申しました武器といいますのは、人質になった人たちが言われておるものでございまして、私たちが検証等によって押収いたしましたのは目下鑑定中の爆薬らしいものが一部だけでございまして、拳銃とか手投げ弾とか、そういう一切の武器は飛行機の中に残されておりませんでした。したがって、犯人が飛行機をおりるときに、それもともに持っていったものと考えております。
  193. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはちょっと運輸省にお尋ねをいたしますが、日航の労働組合の新聞記者発表によりますと、日航の保安室ですか——羽田の保安室か、日航の本社の保安室かわかりませんが、そちらの方に、五十二年の七月ごろに、日本赤軍がインドへ潜入したという外電があったという部分があるんですが、この点については日航を通じて運輸省、お知りになっていますか。
  194. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) 運輸省の航空局といたしましては、日本航空からその件に関しての報告を受け取っておりません。
  195. 神谷信之助

    神谷信之助君 続いて、それでは運輸省、もう一つお伺いしますが、七五年の末から七六年の五月ごろまでの間に、日航のベイルート支店に対して数回脅迫があった。金を持ってこいという脅迫があって、そして日航の方がこれに接触をするために現地へ出かけていったけれども、会えなかったということが言われているんですが、この点はいかがですか。
  196. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) その件に関しましても確認いたしましたが、航空局として、報告は受け取っておりません。
  197. 神谷信之助

    神谷信之助君 警察の方では、こういう情報はつかんでおられましたか。
  198. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 確たるものは——うわさ程度でございまして、確たるものは存じておりません。
  199. 神谷信之助

    神谷信之助君 うわさ程度のものであっても、それが事実かどうかという、そういう点の確認あるいは確かめはやっておらないのですか。
  200. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いたしましたけれども確認に至らずということでございます。
  201. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次、これは警察にお伺いしますが、人民新聞ですかね、御承知のように、五月二十五日号に奥平との再会を載せた彼らの文書が載っております。これのみならず、成田空港のあの事件の際にも、この問題についてもビラも出されている、そういう状況があったわけですが、これについて、いわゆる奥平と再会をするという、言うなれば奥平の奪還ですか、彼の。そうともとれる文書が公然と出ておりましたが、これについては警察はどう判断をし、あるいはまたどういう対策をとられたのか、この点はいかがですか。
  202. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 奥平純参は昨年十月に日本に送還されてまいりました。それ以来、日本赤軍は奥平の奪還を目標にして行動するであろうという判断をいたしましたし、ただいまの御指摘のそういう機関紙に、日本赤軍から送られてきたそういう手紙といいますか、論文といいますか、これも載っておる。さらに、ごく最近では高橋武智がやはり送り返されてきたというような状況の中で、それ以上の具体的情報を私たちは入手するに至りませんでしたけれども、彼らの動く方向としては、奥平や高橋、またその前に帰って、公判中の大村寿雄というのがおりますが、彼らを奪還するために行動することを当面の目標とするであろうと、その時期その他については十分警戒をしなきゃならぬということで、今日に至っております。
  203. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、奥平初めいまの高橋ですね、大村、これらの奪還のための何らかの行動を起こす可能性、これは警察としても判断をされておったと。した後はそういう警戒をなさっておったということだと思いますが、その点ひとつ確認をしておきたいと思います。  それから、その次にもう一つお尋ねしたいのは、これは十月五日の毎日新聞の報道ですが、それによりますと、インド周辺で事件が起こりそうだという情報があって、そして治安当局で調査をしたところ、この日本赤軍に近い公然とした支援メンバー、日本人と在日インド人の二人が七月に出国をして、そしてインド、パキスタン、バングラデシュ、タイなどを回っていると、これは前のクアラルンフール、件のときに動いたAの日本人の友人の行動をした、そういう例と比較をしてきわめて重視をしなければならぬと、こういう報道があるんですが、こういう報道については警察の方では、治安当局の調査をしたところそういう状況がわかったというように報道されておりますから、何らかの調査をなさったんじゃないかと思いますが、この記事については確認できるわけですか。それとも、全く確認することができない、いわゆるうわさにすぎないのか。この辺はいかがですか。
  204. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察としては、そういうことはつかんでおりませんでした。したがって、だれかが考えたといいますか、頭の中で考えたことではなかろうかと思いますが、私たちはそういう情勢はつかんでおりません。
  205. 神谷信之助

    神谷信之助君 事前につかんでいなかったとしても、この報道がありましたが、その報道の信憑性については警察の方ではお調べになっているんですか。あるいは、なったわけですか。
  206. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 関心を持っておりますけれども、特に調べておりません。恐らくそういうことはなかったんじゃないかと私たちは思いますけれども、ただ、今回の事件はやはりある程度計画的にやったものだと思いますから、その準備上して、ボンベイだとかダッカだとか、ああいうところの事前調査はある時期には彼らは行っておったんではないかということは考えますけれども、まあ記事にあるようなことをやったということについては私たち判断つきかねますけれども、そういう点をつかんでおりません。
  207. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはまあ日本国内の事件でありそして日本国内で彼らが動き回ったなら、優秀な日本警察ですから、そういう意味では捜査もやりやすいし、成果も上げ得ることができるだろうと思うんです。しかし、事は外国で起こり、しかも外国でうろうろしておるわけですから、そういう意味でいろんなこの情報というものは、どうでしょうかね、事実かどうかということを調べないで、それは恐らくそういうことではないだろうという推定で調査もしないという、そういうことでは、とりわけ海外で起こっておる事件だし、海外をうろつき回っておる連中ですから、この辺ではちょっと警察の取り組みとしてはどらも解しかねるといいますか、不十分ではないかという感じがするんですが、この点いかがですか。
  208. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 海外では、私たち調査の手段、方法を持たないわけでございまして、それぞれの国にありますわが大使館等が当該国からそういう情報を得たときにわが方に連絡を報告してくる、それを見ておるわけでございまして、いままでそういうものもよく注意して見ておりますけれども、そういうことはございません。それから、なおまたわからないせいもあるんでしょうけれども、大変とっぴなようなこともしばしば流れることがありますので、その辺を両々踏まえながら、在外公館のルートで入ってくる情報その他々十分に分析しながら見ておるということでございます。まあわれわれの方針あるいは態度として、そういうやり方をしておるわけでございます。
  209. 神谷信之助

    神谷信之助君 その在外公館のルートですね、これ入ってくるのを受け身で待っているということですか。それとも、具体的にこういう問題があれば、それは単なる事実、とるに足らないうわさかもしれない、しかし、警察の方から当該の在外公館に言って意識的に調査をしてもらう、これはまあ警察の皆さんのようなベテランではありませんから、なかなかそう思うようにはいかないでしょうけれども、そういう積極的な態度はとらないということですか。いまのお話を聞きますと、きわめて消極的な感じがしますが、いかがですか。
  210. 三井脩

    政府委員(三井脩君) これは、テーマによると申しますか、問題によるわけでございまして、今回はこういう事件がございましたから、今回の事件に関連するようないろいろな動向、これは半後の動向も含みますが、事前の動向も、それぞれ在外公館におきまして任国の治安機関等とも連絡の上、入手したものは速報願いたいというような手配をしておるわけでございますが、それと直接関係のないところで新聞等に出たものを一々任国へ行ってひとつ調査してくれというわけにはまいりませんので、それぞれのテーマによってやるようにいたしますが、概して申しますと、新聞等に出ておりますものでは、そういう手だてによって確認を要するというものは大変少ないということは事実でございます。
  211. 神谷信之助

    神谷信之助君 その辺が私はちょっと不満でありますね。新聞で報道されているわけですから、全く架空のものをこしらえ上げてそして報道されるということになれば、これは新聞の倫理綱領から言いましても重大問題ですね。だからそういうことじゃなしに、一定の幾つかの事実があり、それに一定の推測、推定もあるでしょう、確かに。しかし、火のないところには煙は立たぬわけですから、事実というものが幾つかあるはず。これが実際に、そういう点でひとつ一般的にいろんなことがわかれば報告してもらいたいという程度じゃなしに、具体的にこういう点についてはどうかということを聞いて、その事実の有無を明らかにしていくと。そうしないと、いろんな確かにうわさがある。一万件からのいろんな情報があるかもしれない。真実なのは一つかもしれません、使えるのは、警察で助かったということになるのも。しかし、そのたった一つの真実でも、特に海外における事件ですから、あらゆるところから埋めていかなければこれはなかなか事件の捜査はむずかしいんじゃないかと思いますが。犯行後、例のニコシアでの新聞記者会見ですね、彼らがやっていますね。彼らはそこで、一〇〇%成功のかぎを握っているのは、そのうちの八〇%までは調査なんだということを言って、いかにも、何といいますか日本の捜査当局をあざ笑うような発表をしておるように私は受け取ったわけです。それだけいろんな形で、犯行行為を実行に移すまでには彼らはいろんな形で動き回り、下見もし、準備もしていると。それがなかなかわれわれの方、日本側には、あるいは捜査当局にはキャッチできない、こういう点ですね。これは一体どこに問題があるのかという点と、今後再発を防止をするためにも、そういう問題を彼らが思いつきで急にやるわけじゃないんで、十分な準備もし、計画的犯行をやるわけですから、それらを半前にキャッチをするためにはどういう手だてが必要か、あるいはどういうことをお考えか。この点はいかがですか。
  212. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ちょっとその前に。さっき積極的に海外の情報をとらにゃいかぬというお話でございますが、最初申し上げましたように、日本に送還されてきた仲間の奪還を彼らの今後の闘争の主要な目標にしておると、こういう判断に立っておりましたので、それではどういう時期に彼らはそれを敢行しようとするかということをわれわれなりに判断、情勢分析をいたしたわけでございますが、一番そのチャンスとしてあり得るのは、ことしASEANの会議に総理が出張された、ああいう時期に彼らは行動するということが危険性としては一番高いだろうと、こういうことで、あのかなり前から在外公館等に令部手配をいたしまして、地元治安機関とも十分連絡の上、そういう動きについては詳細把握してもらいたいと、こういうふうに手配をしておりました。幸い、そういう中でも具体的な動きはあったということはありませんでした。しかし、結果的に何ら彼らは行動に起こすこともなかったと、こういう意味で、警戒の効果は上がったのではなかろうかといま思っておるわけでございます。  そこで、今後の問題も含めて、彼らの動きを封ずるために動きをとらなければならぬわけでありますが、何分海外のことでありますので、一番の大筋の仕事といたしましては、在外公館がその任地の政府十分連絡をとって、日本側ではこういうふうに判断をし、こういう関心を持っておるんだということを十分相手方に理解いただく。そうすると、その国内では相手方がその理解の程度に応じましていろいろと活動をしてもらう。また、日本側の必要とは別に、その国自身にとってもその国内で何らか起こすことが問題だという認識に十分達しましたならば、いろいろ手を打ってくれるということを期待するということは一つかと思います。  それからもう一つは、ICPOルートで、すでに犯罪を犯した日本赤軍の連中、それから今後また大変偶発性の高い日本赤軍の連中の動きについて、日本としてはこういう関心とこういう懸念を持っておるということを情報としてICPOルートを通じて関係国に通報をするという中で、方法、ルートといたしましては外交ルートとICPOルートとこの二つによって、一つは政府を通じ、一つは直接治安機関にずばりそういう情報を送るということで、それぞれの国が関心を持っていただきまして、その中から動きをつかんでいただく。あるいはこういう動きがあったのでこれは何か日本赤軍と関係ないかと、こういうようなことをその国からこっちへ送ってきてくれるというようなのをいただき、交互の情報の交換の中で対処していくというようにやっておりますし、今後ますますそういう方向を強めなきゃならぬというように思っております。
  213. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの国際刑事機構の問題は後でまた細かくいろいろお聞きしたいと思いますが、そういう彼らの海外での活動に相呼応して、国内でもいろんなやっぱり相呼応した活動というやつが行われておることは御承知だと思います。先ほど言いました人民新聞の問題、それから成田空港でまかれたビラの問題、彼らはもう、よく読めば予告とも言えるそういう内容であったわけであります。それから事件が起こりました直後には、例の京大の一九八〇行動委員会、それから赤軍のプロ革派ですか、これらが支持の看板を出すとかという行動が出てきております。さらに、生ほど言いました人民新聞の七月二十五日号に、彼らの闘争の総括といいますか、それが出されましたが、その後八月の二十五日付の人民新聞では、この人民新聞に投稿されたいろんな見解について、日本赤軍側の回答といいますか見解が載っています。これは日本赤軍の本拠が外国にあって、そして人民新聞と直接の密接なルートがあるとすれば、この八月二十五日付に載った投書に対する回答というのは非常に迅速に出ているんですね。だから、ある意味では、相呼応して国内に日本赤軍の一定の組織もすでにできているのではないか、こういうことも推測をされるわけですが、こういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
  214. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 日本赤軍自体は海外にあるわけでございますけれども、それを支援する組織が国内にあるわけでございます。なお、国外手配等によりまして日本赤軍メンバーが送り返されてきておりますが、こういう人たちが刑を終わってそういう支援組織に入ってこれを活発化していくと、こういう動きをしておるわけでございまして、ただいまのお話も、あるいは海外の日本赤軍から来た手紙というような形をとりながら、日本国内におる彼らのメンバーが、考え方はようわかっておるわけでしょうから、そのことを書いたとも思われるわけでございまして、私たちそういう点についても気を配っておるわけでありますけれども、今回のこのような事件にかんがみまして、さらにこの辺を強化していかにゃいかぬというように考えておるわけでございます。日本赤軍の支援組織のメンバーといいますのは、いろいろその支援の仕方に濃淡がありますけれども、ざっと言いますと百名ぐらい、百名を下らない数の支援組織、これはただ一本の組織という意味ではありませんけれども、幾つかのものに分かれておりますけれども、これが国内で動いておるというように思っておりますし、こういう人たちがときに海外に出かけるというのは、海外に出かけた先の行動は必ずしもわかりませんけれども、彼らと何らかの意味で直接、間接に連絡をしておるんではないか。  それからまた、出かけませんでも手紙のやりとりは大変自由でありましょうから、どこどこへ送ればいずれはそこへ着くということを知っておる連中が手紙で連絡をし合っておるということも容易に推測がつくわけでございまして、今度の事件の際は二度、大きく言って二度あるいは三度の声明が出た。ニコシアの会見なんかを見ますと、日本国内のことを大変よく知っておる、こういうような感じがいたしますので、クアラルンプール事件まで、あの事件までにやっておったときの海外日本赤軍の日本国内状況についての知識、認識というものよりはるかに進んでおるというところから察しますと、やはり国内の支援組織がかなり伸びてきたといいますか、これと海外の彼らとの連絡がかなり密になってきておる、それだけ危険性が高まっておるというように私たちは考え、これから対処してまいりたいというように考えております。
  215. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま三井局長もお答えになったように、五・三〇の彼らの言う総括ですか、これの特徴はそれまでの軍事優先主義、少数精鋭主義、これを自己批判をして、そして毛沢東のあの団結、団結、大団結まで引用して国内における彼らの勢力の新しい結集、これを呼びかけているわけですね。それから今回の事件で彼らが釈放要求した中で、二人はそれに応じないで国内での闘争をやるというふうに、そういう方向を出してきております。したがって、いままで特に新左翼と言われる暴力集団が内ゲバを繰り返しておりますが、それに対しても、内ゲバをやめて、そして団結しようという呼びかけをし、さらには投書に対する回答によれば、日本赤軍を解体をして新しい、日本国内の内ゲバをしている連中等も含めて新しい組織をつくってもよいんだということさえ出してきてますね。ですから、これはいまおっしゃったように、それ以来急速に、あるいはその前後から急速に国内の彼らの支援センターのみならず国内における日本赤軍自身もいま新しく再建するといいますか、つくられてきているんではないかということも当然考えられるわけですが、この点はいかがですか。
  216. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 一ころに比べますと、日本国内におけるそういう組織の動きが活発になり、いま申しましたように海外のメンバーとの連絡も敏速といいますか、緊密になっておるということから、このままいきますと相当大きなものになっていく危険性があるということを懸念いたしまして、従前もやっておりましたけれども、今後は一層この国内のものはわれわれがもう独自でやれることでございますから、彼らのようによその政府に頼むということでない直接やれるという意味で、これには何としても大きな力を注いで、この動きを十分に見ていって違法行為を取り締ってまいりたいというふうに考えております。
  217. 神谷信之助

    神谷信之助君 事件後人民新聞社を強制捜査されましたが、これの捜査の犯罪容疑、これはどういうことですか。
  218. 三井脩

    政府委員(三井脩君) これは今回のダッカにおけるハイジャック事件、先ほど罪名等申し上げましたけれども、そういう罪名容疑によりまして関係の個所を捜索をした。で、それの、なぜ捜索をすべきかということにつきましては、ただいまお話しのように、本件事件を敢行した日本赤軍とのつながりをここは持っておる、こういう意味でいろいろ捜査の資料があり得るという考え方のもとに捜索令状の発行を受け、捜索をいたしたということでございます。
  219. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはまた後にも触れますが、国内におけるそういう支援グループ、それからいま人民新聞が一つのそれの接点になっていますね。国内、国外の大衆的プロパガンダの接点になっている。それから彼らがあの総括で呼びかけている例の内ゲバを繰り返しているそういう殺人集団といいますか、暴力集団、これらが今後急速にそういういろんな動きをするであろうということは予想されるわけであります。ただ、そのことはいままで警察の方も十分警戒をし、なにをされておったわけですが、それらが海外に出ていき、そして連絡をとる、こういう状況というのは、大体足取りその他は常に警察の方は握っておられたわけでしょうか。なかなかそういうものはつかめないものなんでしょうか。この点はいかがですか。
  220. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 海外に出かけていく場合に、たとえば旅券の申請をするとかいう場合に直ちにわかるかというと、その人の人物によるわけでございまして、必ずしも全部わかっておるというわけではございません。で、すでに海外におる日本赤軍メンバーについて申しますと、そのキャップである重信房子、これは出ていくときはわかっておりました。しかし、旅券法によって旅券を発給しない事由に該当するといいますか、そういうふうに認定するにはむずかしいという状況でございました。実は重信房子は爆発物取締罰則違反という罪名のそういう事件を国内で犯しておりまして、私たちはそういう罪名で逮捕状をとっておるわけでありますけれども、これは学園紛争の中で本富士警察署に対して爆発物等を投げ込む、こういう事案の彼女は一味であったわけでございます。しかしながら四十六年に出国をいたしたわけでありますけれども、その時点では、その事件にこの重信房子が共犯として絡んでおるということは判明しておりませんでした。したがって、それがわかっておりますと、爆発物取締罰則違反で逮捕状が出ているということになりますと、これはもう当然旅券も発給されないということになったような人物である、こういうことでございます。  それから例の奥平純三、これは他人の名義で旅券をとって出ておったということがわかったわけでありまして、旅券ですと他人になりすます、つまり本人の写真を持っていかなくても他人の写真を持っていっても本人かどうか見分けるすべがたい、こういうようなことになっておりましたので、そういう形で出ておるのもございます。ただ、それはその後改正されておりますけれども、改善されておりますけれども……というようなことでございまして、いままで出るときに出ることがわかり、これは問題だということで旅券発給が検討され、発給されなかったというものは一件ございます。日本赤軍関係者でございます。  ということで、その他の者につきましても、私たちとしてはそういう十分な材料を持つということ、それからまた国内でいろんな犯罪を犯しておれば、その犯罪について逮捕状をとるだけ捜査を煮詰めておくということ、その上で彼らが海外に出たいために旅券を申請すれば、いまのような措置が罪名によってはとれる、こういうことがあるわけでございます。
  221. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの出入国関係の問題はまた後でもう少しお聞きしたいと思いますが、いずれにしても私どもはこういうテロリストですね、テロ殺人凶悪犯集団、これを国内においても絶滅しなければこの再発を防止することはできないと思いますから、そういう点ではひとつ厳重にやってもらいたいと思います。後ほどまたこの問題では触れてみたいと思います。  もう一つ、この防止策の決め手の一つとして、武器を機内に持ち込ませないという問題があります。この点は四十八年でしたか、政府の方も、政府対策も決めておられます。四十八年の八月でしたか、ハイジャック防止のための閣議了解、八月三十日か三十一日のハイジャック防止等の防止対策要綱を閣議了解で決定をされました。その中で、機内に武器を持ち込ませないということが重要なかぎだということでやられているわけですが、私もその点は同感であります。そうしますと、今度の事件で一つ問題になるのは、どうやって武器が持ち込まれたのか、この点を明らかにしていくことがこの対策を進めていく上でも重要だと思うわけです。  そこで、これは日航の方も当該被害者ですから、当然日航自身もお調べになっているし、それの指導をなさっている運輸省の方もその経緯その他を含めてお聞きになっているかと思いますが、まず最初にボンベイでの武器の搬入、その方法ですね、あるいは協力者がおったのかおらなかったのか、こういった問題について運輸省の方で御存じの点があればお聞かせ願いたいと思うんです。
  222. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) 運輸省といたしましては、原因の究明は警察の解明を待ってお知らせを願うという体制をとっておりまして、運輸省独自での調査はいたしておりません。
  223. 神谷信之助

    神谷信之助君 たとえばチェック機能、チェックの機能ですね。ボデーチェックをやるのは、これは日本の場合は憲法上の問題もあって警察が直接やるわけにはいかぬ。ですから日航と乗客との問の約款でやる。日航の責任でボデーチェックをやっているわけでしょう。それはどうだったのかこうだったのかも含めて、これはそれについての行政指導の責任を持っている運輸省が、そういった問題も含めて一切は警察にお任せするということで、みずからそういった問題を深求する、そのために調べる、そういうことをやらないというのは、ちょっとどうなんですかね、無責任じゃないですか。
  224. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) 国内では御指摘のとおり日本航空が、日本航空というか、航空会社の責任でボデーチェックその他をいたしております。それに関連いたしましては、私どもは十分な監督指導をいたしておりますが、国際的に申し上げますならば、必ずしも運送約款に基づくということばかりではございません。一般的に申し上げますと、ヨーロッパの諸国におきましては警察官ないしは国境警備隊という国家機関の手によって行われております。それからアメリカ、東南アジアの一部というところでは日本航空と同じようなシステムで検査が行われております。今回のハイジャック機が通りました空港もそれぞれ様子が違っておりまして、たとえばボンベイでは警察官の手によってチェックが行われております。さらにカラチでは航空局の職員、カイロでは警察官というふうなことになっておるわけでございます。そういうように各国のチェックの体制が違っておりますので、どういう方法によって持ち込まれたかということを日本航空を通じて調査をするということには限度がございます。そこで警察のお調べになった後で、必要があれば私どもとしてもこの体制の補完ないしは整備のための調査をいたしたいと考えております。
  225. 神谷信之助

    神谷信之助君 事件が起こりました直後に運輸省に、日航機が飛んでいる、利用している国際空港、これのチェック制度の状況についてお伺いしたんだけれども、そのときにはまだそういう状態をおつかみになっていなかったです、わかりませんと。だからこれでは——いまはそういう事件が起こりましたからすぐお調べになったろうと思いますし、また知っておるのがあたりまえなんで、日常的にそういった点については把握をしているのがあたりまえであると私は思うんですがね。  それはそれにしまして、次に警察の方は、それじゃ警察の調べでボンベイにおける武器の搬入の方法、これらについてどういうように現在把握をされているのですか。これ、いろいろあるんですね。当初、あの事件が起こりました直後の報道なんかを見ますと——われわれは報道でしかわかりませんから、報道なんかを見ますと、ボンベイでは機械による検査はなしにボデーチェックだけやる、直接のボデーチェックだけ。きわめてルーズだという意味の報道もありました。そして、見せろと言っても、そのまま荷物を持ったままで乗ったという記半も、報道もありました。最近のなにを見ますと、逆に今度はボンベイ空港ではインド警察がチェックをしておって、きわめて厳重ななにをしていると。だからボンベイではその監視の目をくぐって武器が搬入されたことはあり得ないと。これはインド側の立場からいうとそういうことになるでしょうが、そういう報道がなされています。しかし、武器がボンベイで搬入をされたであろうことは大体そういうことじゃないかというふうに思われるんですが、こういった点についてはどういうようにお考えか。
  226. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ちょっとその前に。  さっき重信房子の罪名を爆取と申しましたが、放火罪でございますので、刑は似たようなものでございますが、ちょっと訂正いたします。  いま御指摘の点につきましては、私たち二つの方法で捜査を進めております。一つは、インド政府当局にそういう点について捜査の上こちらに資料をもらいたいと、インド政府当局、快くこれをわかりましたという返事をもらっておりますが、中身の回答はまだちょっと時間かかると、こういうことでございます。  それからもう一つは、帰ってきた乗客、乗務員等関係者の国内における事情聴取等を通じての調査でございます。それからまた日航の支店が現地にあるわけでありますから、日航自身がそういうところから半信を聴取をした結果を私たちが聞かせてもらうというようなのが大体の方法でございますが、それによりますと、犯人らしい五名がいろんな偽名を使っております。かたかなで横書きでございますから字の当てようもないわけでございますけれども、一見して日本人の名前でババ・シンジ云々といったような式のものがあるわけでございますが、この状況を見ますと、いずれもボンベイから乗っておりますので、五人の犯人が凶器類もここから持ち込んだであろうということまでは推定されるわけであります。ただどういう方法でやったかということにつきましては、これまた二つ考えられるわけでありまして、身につけて持って持ち込むと、それから別に、体と荷物を別々に中に運び込むと、二つ考えられるわけでありますが、この点は報道等で伝えられておるところでもいま御指摘のように動揺がございます。確たるものがございません。どうも後の方が報道としては正しいんではないかというように言う方もありまして、つまりインド警察当局はかっちりやったと、こういう説がいま強くなっております。そうすると、警察の目の届かない方法でどうして入るんだろうかというようなまた次のことも疑問が生ずるわけでございますが、いずれにいたしましても、いままで申し上げました方法によってはまだそれを確定するまでに至っておらないというのが現在の捜査の状況でございます。
  227. 神谷信之助

    神谷信之助君 五人の犯人がボンベイで乗るまでの行動ですね、これはホテルに泊まったりしているわけですから、ホテルなどを調べればいつ入って、いつチェックアウトしたか、チェックイン、チェックアウトその他の状況である程度わかると思うんですが、こういう点は相当程度つかまえられているんですか。
  228. 三井脩

    政府委員(三井脩君) この点は新聞報道の方がいまのところ先に出ておりまして、私たちもちょっとあれでございますが、つまりいま申しましたように、私たちの調べは、現地の政府、現地の警察に捜査を依頼すると、われわれ自身が行って捜査するわけにまいりませんので、そういうことをしておる。そうすると、日航の支店が直接扱ったことにつきましては、その日航の支店が、本社からの照会によって報告を送る。帰ってきた人が話をするということでこれもわかるわけです。ところが、これはチェックアウトとかチェックインの状況でありまして、それは記録によってどこのホテルに泊まったかということは、航空機に乗るときに記載するという必要がある場合にはわかりますけれども、それを離れまして、大使館員が、私そこは大使館ありませんけれども、領事館員がホテルをずっと新聞記者の取材のように聞いて歩くというわけにはまいらないということでございまして、先ほど申しましたように、現地警察当局がそういうことも調べた上でこちらに通報してくれることを期待しておるわけでございますが、一応向こうは応諾しておりますけれども、その内容を見ないとわかりませんけれども、そういうことで、ただいまそれが来ておらない段階では、報道がいろいろその点については言われておりますけれども、残念ながら私たちそれを確認する方法がないということで、インド政府から外交ルートを通じてくる報告、資料を待っておるという現状でございます。
  229. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうしますと、十月二十二日付の朝日新聞の報道が、一週間彼らがどういう行動をしたか、どこへ泊まったかということをわりあいに詳しく報道していますね。そのうち、どこへ泊まったかについてはわからぬにしても、トクダイジ・ユタカという人物が八月の二十三日にパキスタンのカラチで日航四七二便の切符を購入したこと、それから九月の二十一日に佐々木規夫らしきミヤマエ・ショウキなる人物が日航のボンベイ支店で切符を購入したと、それから九月の十九日にカドワキ・マサシ、ハスミ・ヨシヘイですか、これらの者が九月の十九日、アテネで日航四七二便の切符を購入したか、これらは確定できるわけでありますか。
  230. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 捜査的に権威ある調査は、いま申しました外交ルートによる依頼と、それからICPOによる依頼ということの結果によってわかってくると思いますが、日航の本社等についてもそういう点についてわれわれ事情を聞いておりますけれども、まだ報道されておるようなところまでいっておりません。いろいろ慎重に捜査しなきゃならぬと思いますので、まだそこまで申し上げるような確たる結論といいますか、中間の御報告を申し上げる程度にまで至っておらない現状でございます。
  231. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうもわからぬですが、運輸省の方は日航についてのそういう事情調査というのは全部警察に任せておると、こうなっていますね。まあ一週間ほどの彼らの、ボンベイにいつごろ入ってきたのか、どこに泊まったのか、どういう行動をしたのか、これはインド政府側報告を待たなきゃわからぬ。しかしまあ、日航を通じて切符を買ったりするのはわかるはずですね。そうすれば少なくともすぐこれは確定できるわけでしょう。いま言いました中で、たとえば日航ボンベイ支店でトクダイジとミヤマエという二人がその切符を購入したかどうか、これは目撃の証人が要りますから、まあ伝聞証拠であるかもしれぬが、切符をどこで買ったのかというのは、日航本社、日航ルートで調べればわかる。私はいまあなたの答弁を聞いて、それならこれだけはすぐ確定できるんじゃないかと、日本警察の迅速な手配がすぐできるはずだと思って聞いたんだけれども、その辺もまだ確定できないというのは一体どういうことですか。
  232. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 私たちは捜査の、果たしてどこまで確実かといういろんな角度から見ますので、わかったことをわかっただけ世間に知らせればいいということではございませんので、慎重にやっておるというような立場でありますので、その点についてもまだ申し上げるところまで固まっておらないということでございますので御了解いただきたいと思います。
  233. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうもそれもわからぬですね。カラチで買った。日航機ですから、日航機のなにを買っているんですから。あるいはボンベイで買った、アテネで買ったというところまで一応は朝日新聞社の方の調査でそこまで報道されておるわけですから、これはすぐそういう意味で、日航のルートを通じてそれぞれの出張所なり、販売所に手配をすれば、そういう事実があったかどうかというのは確定できるかできないかもはっきりするわけですね。どうもその辺私はちょっと腑に落ちない。やっぱりこういう事件、できるだけどんどんと早く事実を明らかにして確定できるものはしていって、そして問題を明らかにしていくというのは大半だと思いますが、その点ちょっと不満であります。  そこで、もう一つお聞きしたいんですが、これは先ほどの問題に戻りますが、これは運輸省お聞きしますが、ボンベイにおけるチェックはインド警察が直接やっている。しかも、厳重にやっているということですが、だからそういう意味では、他の空港のチェック制度の、クラスで言えば、Aクラスに属するような厳重なチェック制度になっていると、そういうことは言えるわけでしょうか。
  234. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) ハイジャックの防止体制につきましては、各国それぞれ工夫をこらしておりまして、私どもの立場からどこがAクラス、どこがBクラスというようなランクをつけるというのは差し控えたいと思います。  なお、ボンベイにつきまして私どもが知り得ておりますことは、乗降のための入り口がございますが、この五カ所にそれぞれ四名ずつの警察官を配備しておる。そのうちの、四名のうちの二名がボデーチェック、あとの二名が手荷物の検査を行っておるということでございます。で、当日も同じようなシステムで検査を実施したというふうに聞いております。なお、ここではエックス線による荷物の検査ないしは金属探知機による機内持ち込みの荷物の検査というものは実施してないようでございます。
  235. 神谷信之助

    神谷信之助君 ボンベイでやっておるのはボデーチェックとオープンチェックの二つですね。だから、ポータブルの金属探知機もない、そういう状況ですね。  そこでもう一つ聞きたいんですが、羽田空港で、たとえば食料とか、それから貨物の運搬とか、あるいは清掃、こういう仕事をやるために二、三百人の臨時職員を使っているわけですね。これは私の方で調べてみますと、直接の下請じゃなしに孫請ぐらいで、学生アルバイトが多くて、したがってその身元もきわめて不明確だという状況のように聞いているんですが、いかがですか。
  236. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) 臨時に入ってくる人に対しましては、私どもの警務課というところが臨時に身元を確認した上に入場のバスを発行いたしております。で、日本航空を初め、航空会社あるいはここで作業をする会社に雇われている職員につきましてはバス——ランプハスと称しておりますけれども、ランフハスを発行いたしまして身元の確認とかいうことを実施いたしております。
  237. 神谷信之助

    神谷信之助君 実際に現場の労働組合の人に聞くと、それがなかなか厳重にやられてなくて、何枚分ということで渡されるという状況であって、下請のもう一つ下請になりますから、そこまでぴちっとはいってないという状況があります。幸い羽田空港でそういう事件は起こっていないわけですが、このボンベイの問題で警察の方にお伺いしますが、いま運輸省の方は、インド警察の方で厳重な体制をとっていると、すると、直接ストレートに身につけて持っていくという可能性というのは少ないんじゃないかと、だから、先ほどの話では後者とおっしゃった。まあ別の方法で持ち込まれたんではないか、こうなりますと、協力者がいて、人数が必要になるでしょうし、これで考えてみますと、ボンベイの事情は私は知りませんが、日本の羽田空港で見ますと、そういう臨時職員、アルバイトという形でもしそれへもぐり込んでやろうとすればできる条件というのは全くないとは言えない状況だと、だから、こういう点を考えると、ボンベイでもそういうこともあり得る、そういう意味で後書の方が可能性が強いのではないかという話もあったかと思うのですが、その辺、いかがですか。
  238. 三井脩

    政府委員(三井脩君) さっきボンベイでは金属探知機とかエックスレイがないというようなお話でございましたけれども、私は機械に頼るよりは人間の手でやるのが一番確実だと、こう思いますけれども、同じ考え方だと思いますが、警察がしっかりやっておったといたしますと、そこから抜けて通るという可能性は大変ないであろうと、ただ、あすこの様子をよく詳細わからないわけでありますが、疑わしいという、周囲の状況から見て疑わしいという人だけをピックアップして見るのか、のべつ百人なら百人を全部ボデーチェックするのかと、こういうやり方の問題もあると思うんです。それからまた、その点について問題がないといたしますと、やはりグラウンド・サービスとか、そういうことが疑われるべき対象になってまいると思いますが、ただ、その場合に、それを本件ハイジャック事件の共犯があったと見るかどうか、なるほど、それを結果的に手伝った人があり得るということは考えられますけれども、情報を知らずに似たようなことがあるいは行われておって、凶器が入っておるということを知らずに頼まれてその品物を運んだという認識のもとに手伝った人があるといたしますと、これは必ずしも共犯と言えないと思いますし、あるいはまた、この事件の計画性が大変高いものであるといたしますれば、いま言ったように、なるほど五人の犯人の中で犯人の一人として飛行機には乗らなかったけれども、外側におっていろいろサポートするような役割りを受け持っておった者が別におったということも考えられるわけでありますが、これはまあ一にかかってこれからの捜査の進展ぐあいいかんということによって決まってくるものではないかと考えます。
  239. 神谷信之助

    神谷信之助君 運輸省にお伺いしますが、この一件が起こってから各国の空港でハイジャック防止のための対策を一層強化をするという事態が当然起こっているだろうと思うんですが、こういう点についての調査は運輸省でやられたことありますか。
  240. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) 運輸省としてはただいま調査団を派遣すべく準備中でございまして、十一月の早い機会に現地に派遣いたしたいと考えております。
  241. 神谷信之助

    神谷信之助君 調査団派遣するというのはどこへ派遣するんですか。  私がいま言っているのは、この事件が起こったから、当然各国の空港ではこういう犯罪防止のためのいろいろな手段あるいはその他対策を強化をしているんではなかろうかと、そういう点について運輸省の方では調査をされたことがありますか、あれば教えてもらいたいと、その点いまのもう一つ。それに、ただいま調査団派遣しますというのですから、あわせて調査団はどこへ何のために派遣をするのかという点もお答え願いたい。
  242. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) 各種の情報は収集いたしておりますけれども、各空港ごとにどういう対応策がとられたかということは、現在のところ正確には判明いたしておりません。  調査団につきましては、先ほどから話が出ておりますように、各空港ごとそれぞれのハイジャックの防止体制が異なっておりますので、できれば今回のハイジャックの起こった飛行機が通ったルート沿いで、それぞれの空港の保安体制を調査さしてもらいたい。それに応じて私どもの方で日本航空独自の検査体制を整えるため調査をしたいというふうに思っております。
  243. 神谷信之助

    神谷信之助君 たびたび朝日新聞が出ますが、この朝日新聞の十月十二日付によると、朝日新聞の方でその後の対策調査をされております、早速。そして事件後何らかの新しい対応策をとったのがロンドン、ハリ、こういうように言っていますし、それから大空港でも最もチェックが簡単なのはニューヨークのケネディ空港。これはもうゲートが多過ぎて金がかかり過ぎるというのが主な理由でそういうのはないというような状況とか、それからローマ空港はヨーロッパでも最も厳しい空港の一つになっているというような問題が出ております。同時に問題は私は、日航の各支店が日航本社からの指示で独自のチェックをし得るかどうかという検討をやっているけれども、各日航の海外支店はどうもそれぞれその国の事情がありますから、これはどうしても優先をするということで、結局本社の指示待ちという状況で、なかなか具体的な対策はとれない状況もあるわけです、という状況が報道されています。そういう意味では、いま運輸省の方で調査団を出して具体的にチェック体制その他を調査をして、そして早くそういう指示をし、また各国と協議を行うというのはこれは大事だと思うんですが、これは急いでやってもらう必要があると思いますが、どういう状況ですか。
  244. 増田信雄

    説明員(増田信雄君) 日本航空といたしましては、独自に海外の各空港の設置管理者その他の当局者と調整をとっておりまして、事情が許す、あるいはダブルチェックをする必要がある空港、十七空港を選びまして、早急に実行に移したいというふうに言っております。少なくともここ一週間ぐらいの間にはできる空港から手をつけていくことになろうかと思います。
  245. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃその次の問題に移りますが、日本赤軍の根絶対策について、いままで部分的にはちょっとお答えになっていますが、ひとつ全体として警察対策ですね、日本赤軍を根絶するための、これをひとつ総括的に答えていただきたい。
  246. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 先ほどもちょっと触れましたが、海外におる日本赤軍とそれから国内におるその支援組織、この両面に分けまして、私たちが直接いわゆる国内での支援組織につきましては、とりあえず百名を下らない数の人たちがおるわけでありますが、これを警察官を増員いたしましても徹底的に解明をするということが一つでございます。  それから第二の、海外におる者につきましては、すでに逮捕状がある者につきましてはICPOルートでの手配、それから外交ルートでの手配、また逮捕状のない者につきましても、日本赤軍のメンバーと認められる者につきましては、日本赤軍の凶悪性にかんがみまして、その一人一人についてこういう人物ですよということを関係国に通報して関心を喚起をすると、こういうのがいまの方法としてやっておるところでございまして、今回の事件が起こってのこの事件処理のためのそれぞれの手配はもちろんいたしておりますが、一般的といいますか、日本赤軍を対象とした対策は以上のようにやっておるわけでございまして、御質問はありませんでしたけれども、いままでこれが大変じみちではありますけれども、相当の効果を上げてきております。そういう点につきましてすでに九名がそれぞれの国から送り返されてきておるということは、大変関係各国の熱意のあらわれ、また協力のあらわれと思うわけでございます。  念のために申しますと、この送り返されてきた九名というのは、われわれが送り返してくれという手配を必ずしもしていない者も含まれておるわけです。日本赤軍ですから、御存じのように、彼らが根拠地を離れて行動するときには大体皆偽造パスポートを使いますので、偽造パスポートを使うということは、いまや文明国におきましては、どこの国でもこれはその国の犯罪でありますから、したがって、われわれが犯罪として手配しておらない人物についても、それが発見されたときにはその国の犯罪として刑を科したり、あるいは外国人である場合にはもうそういう犯罪を犯したというだけで、刑を科さずに直ちに本国へ送り返すという国が大部分でありまして、そういう意味で手配した、逮捕状をもって手配したよりははるかに多くの者が送り返されてきておる。こういう意味におきまして手段、方法としては大変じみちでありますけども、効果を上げておりますので、さらにこういう面を推進してまいりたい。これは海外の関係、国内の先ほど申しました両々相まって日本赤軍の壊滅という方向に向けて努力をしておるところでございます。
  247. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう少しちょっと具体的に聞きますが、いろいろ成果を上げておるというお話ですが、昭和四十五年の三月三十一日の例の「よど号」事件以来、今回の事件別にしまして七回すでにありますね。四十七年五月のロッド空港の事件、それから四十八年のJALのハイジャックの問題、それから四十九年一月のシェルのシンガポールの石油基地の爆破事件、それから四十九年二月の在クエートの日本大使館襲撃事件ですね。それからハーグ事件、それからクアラルンプール事件、これらのそれぞれその後どういう対策をやり、その結果現状はどういう状況になっているか、それについて報告してもらいたい。
  248. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 第一の四十五年三月三十一日の例の「よど号」ハイジャック事件は、日本赤軍とは別のものでございまして、御存じのように、北鮮へ逃亡するというところに意味があったわけでございますので、要求としては逃亡以外の要求はなかったということでございます。これにつきましてはわが国と国交のない国のことでございますので、特に手の打ちようがないということで、彼らのその後の動静等にはわれわれの手の届く限りの努力をしてみておりますけれども、いままでのところあすこへ行った九人は、そのまま北鮮でそれぞれまだおって教育受けておるといいますか、そういう状態にあって、いまのところ他に凶悪な犯罪を犯すというような行動には出ておらないと、こういうふうに判断をいたしております。  それから二つ目のテルアビブのロッド空港襲撃事件については、これは犯人四名でございまして、そのうちの二人は現場で死亡をしております、奥平剛士と安田安之でありますが。生き延びました岡本公三は逮捕され、ヨルダンで無期懲役で服役中であります。ときどき彼がいろんな事件の、ハイジャックその他の事件の際に釈放要求のリストに上ることもありますけれども、イスラエルはこれを断固としてはねつけておるという状況で、このごろは釈放要求リストにも載らないというような状況のように見受けられるわけであります。もう一人の犯人というのは、逃げおおせておりますが、——必ずしも現場に行っておりませんので、丸岡修でありまして、これは現場にいなかったということで逮捕されず今日まで逃げ延びておるわけで、私たちは捜査の結果、丸岡修はこのテルアビブ・ロッド空港事件の犯人として国際的に指名を手配し、もちろんその前に逮捕状を持っておると、こういう人物でございます。  それから三番目にお挙げになりました日航、ドバイのハイジャック事件、これは犯人はアラブ人四人、それからただいま申しました丸岡修を含めて、日本人一人で犯人は五名であります。このときは、帰ってまいりました乗客、人質になった乗客、乗員等から詳細に事情聴取した結果、日本人がただ一人であったせいか、それからまた丸岡修は大変特徴のある顔でございましたので、人相書きその他から丸岡修であろうということを私たちは捜査段階で一応推定をいたしました、確定できませんでしたけれども。その後、リビア当局に協力要請をいたしましたところ、彼が使ったパスポートの写真を送り、またリビアにつかまっておりますから、指紋を送ってまいりました。その結果、丸岡は逮捕前歴がございますので、丸岡修であることは確認をいたしました。したがって、丸岡はこれで前科二犯といいますか、この種テロ事件ではこれ二回目の逮捕状ということになるわけであります。  それから、その次の四十九年一月三十一日のシンガポール事件でありますが、このシェル石油爆破事件につきましては、犯人は四名でございまして、日本人は和光晴生と山田義昭、それからほかにアラブ人二名。アラブ人二名の人定等はわかりかねますが、したがいまして、これにつきましては、和光、山田はこの事件で手配をしておるということでございます。  それから次のクウェート、これと連動して行われました在クウェート日本大使館占拠事件につきましては、これはアラブ人五名でございまして、現在までの捜査の結果わかっておるところでは、日本人はこれには直接絡んでおらない。シェルのやっと連動しておりますから、よく詰めていけばシェルの事件の日本人がこれの共犯であるということはあり得ると思いますけれども、ただいまのところアラブゲリラ五人ということでございます。  それからハーグ事件では日本人五名でございまして、実行に直接参加いたしましたのは和光晴生、西川純、奥平純三と、さらに共犯として女の吉村和江、重信房子が共犯で絡んでおるというように、現在までの捜査の結果、判明をしておるところでございます。  クアラルンプール事件については、日本人五名でございますけれども、これの犯人がだれであるかについては、確たることは捜査の結果判明しておりませんけれども、私たちが——判明いたしました。日本人五名で、これはクアラルンプール——マレーシア当局の大変協力を得まして、犯人奥平純三が判明いたしましたので、ヨルダンから送還されてきてから、奥平純三はこのクアラルンプール事件で起訴公判中でございました。そのほかにはヨルダンで自殺をした日高敏彦がこの五人の中に含まれておったと考えておりますが、他の三人についてははっきりいたしません。というようなところが現在までの日本赤軍を中心とした事件の捜査状況でございます。いずれも犯人としてわかっております者につきましては、国際手配をしておりまして、現在までのところICPOルートを通じての国際手配は五名しております。その他外交ルートだけの手配で山田義昭しておりますから、手配しておるのは六名、こういう数になっておるわけでございます。
  249. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次は、先ほどちょっと触れましたが、四十八年の八月三十一日の閣議了解によるハイジャック防止対策ですね、幾つかの事項が挙がっていますが、先ほどちょっと出ましたが、例の第三項の「出入国業務に関する対策の推進」という点ですね、これが第三項に挙がっていますが、警察としてはこの対策推進でどういう点でその後効果が上がってきているとお考えか。さらに、今回の経過から改善を考えておられる点というのはどういう点か、この点についてお答えいただきたいと思います。
  250. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 出入国関係いろいろございますけれども、一番大きなのはやはり先ほどちょっと出ましたけれども、旅券の発給関係ではないかと一つ思います。これは替え玉で旅券をとっていく。つまり、これは正規に申請しても、本人が旅券法による旅券の発給を政府は拒否する理由に当たらない場合であっても、日本赤軍の支援組織のメンバーであると警察でわかっている人間が出ていくことが問題だ、彼らとしては警察にわからないように出た方がいい、こう考える結果であろうと思いますが、奥平純三の例のように、奥平は彼の友達になりすまして、その戸籍謄本等を持って旅券の発給を受けて出て行った。これは何とかして、何としても、こういうのは出られないようにしてもらいたいということで、これは外務省省令であったと思いますけれども、改正になりまして、簡単に申しますと本人の替え玉でないということがわかるような資料を持ってこい、こういうことがあります。それをさらにそういうふうに改正になりましたが、その効果は私は上がっておると思います。それをさらにもっと言えば、ちょうど運転免許証を持っておる人は運転免許証を目の前に見せて、本人に間違いないということでしかもらえない、旅券が出ないというようなことになれば、なおいいと思いますが、まあまだ日本では全部が運転免許証を持っておるわけでもないというようなところで、それにかわる方法をさらに工夫する必要があるのではなかろうか。これは法令とかなんとかいうことじゃなくて、事実上の問題でございます。  それからもう一つは、長期五年以上の刑に当たる罪を犯して現に訴追されておるとか、それで逮捕状が発付されておって追われておるとかいう人間には発給しないというのが制度でございますが、これを五年というのはちょっと相当の罪ですから、日本赤軍もいきなり日本赤軍になるんじゃありませんで、普通は普通の過激派等からいろんなことやっていって、だんだん日本赤軍になっていくという場合も多いわけでございますので、たとえば学園紛争の中で凶器準備集合罪でつかまったことであるとか、暴力行為あるいは建造物侵入、公務執行妨害、こういうふうなことで逮捕歴があるという人間で、やはりこれは現在日本赤軍のメンバーであって、海外に行けば本物になる、支援組織でなくて本物になる、こういうようなものについては、旅券が出なければいいな、こういうようなことを考えたわけであります。当時そういう意味でその辺のところを検討するということになったかと思いますが、あるいは四十八年と五十年と両方検討しておりますので、多少混淆しておるかもわかりませんが、そういうことをそういう方向で検討を進めてまいったということで、現在までそれで実現しなかったものは、もう早急にただいま直ちに実現しようということで、内閣の対策本部で検討されておるわけでございます。
  251. 神谷信之助

    神谷信之助君 法務省の方、この問題についてはどういう検討をいまはなされておりますか。
  252. 山下善興

    説明員(山下善興君) 法務省の方といたしましては、これは私、所管外でございますが、説明さしていただきますと、法務省の方として現在早急に実施に移すという対策につきまして説明申し上げますと、旅券が失効するということにつきまして今度旅券法改正によりまして失効を公示する制度をとるということでございます。いままで返納命令を出しまして、その返納命令が相手方に通知されるまではそれが失効することにならないということを、公示をもって失効するように措置するという対策を講じられつつあるようでございますので、日本人等がその失効旅券を持ってきた場合は、出国審査の段階で絶対にこれを見逃さないように監視を強化するということが一つ。それから過激派外国人等、手配を受けている外国人の入国、上陸に当たりましての入国審査の体制を強化する。そして、この二点につきまして、もしそういう日本人あるいは外国人等があらわれた場合には、関係機関の方への通報、連絡を強化するということを早急に実施に移すべく検討中でございます。
  253. 神谷信之助

    神谷信之助君 警察の方は、いま五年だから、もっと低くしてチェックできるようにという点ですね。またこれはなかなかちょっと重要な問題だと思うんですね。その気持ちは、それでそのものとしてはわかりますが、同時にこれは片一方、たとえば過去にそういう暴力行為を行ったと、たとえばそれでその刑罰は済んでいるという者と、その過激派グループに入っている者と一応の区別もありますね。これは非常に基本的人権にかかわる問題絡みますから、私どもはそういう方法は余り好ましくないというように考えておりますが、この辺は慎重にひとつ検討してもらいたいと思います。  それから、もう一つお願いしておきたいんですが、予算委員会質問に対して、局長は大体海外におるのは約二十人ぐらいだと、日本赤軍は。という答弁をなさっていますが、その重信とか奥平については先ほどからお話がありましたが、二十人ぐらいといっておつかみになっている内容を、これを一々お伺いしますと時間かかりますから、犯歴の内容とか、いつごろ出国をしたのか、出国の方法、こういったものを一覧表でいいですから、いただけるでしょうか。
  254. 三井脩

    政府委員(三井脩君) そういう資料、表にして差し上げたいと思います。
  255. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃそれはお願いします。大分時間が何しますから。  それから次は、先ほどから出てましたICPOですね。これの手配の現状を、先ほど五人——六人手配をして一人日高は死んだんですね。ですから現在五人、それからあと一人は、何というんですかな、いわゆる準手配みたいな形になってますね、山田については。そういうお話でしたが、この点について同じように私どもの党の三谷衆議院議員の方から、ICPOを通じて手配するのについて氏名、それから手配を案施した年月日、犯罪容疑、前歴あるいは逮捕状を出している者、その年月日、それからICPOから情報がもたらされたものがあるのかないのか、その内容いかんという問題と、それからICPO半務総局から回章された逃亡犯罪人に関する権限関係の文書、最新のものでいいわけですが、その写しをお願いしたいということが資料要請されたんですが、これはいかがでしょうか。
  256. 三井脩

    政府委員(三井脩君) できるものについては資料にして差し上げたいと思いますが、ちょっとむずかしいものも中にはあるかもわかりません。つまり、現在はICPOではどの程度わかって手配しているかというようなことについては、ちょっと問題あるかもしれませんけれども、よく検討した上で出せるものにつきましては提出いたします。
  257. 神谷信之助

    神谷信之助君 ICPOが手配するんじゃなしに日本側がICPOに手配を頼んだものの氏名とか、いま言った項目ですね。この点一つそれじゃお願いしたいと思います。  それから、今回の事件について先ほどからICPOと外交ルートの二つのルートでとおっしゃってますが、このICPOを通じてはどういう措置をなさるおつもりか。あるいはされたのか、されつつあるのか。この辺のところをお答えいただきたいと思います。
  258. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 事件が落着いたしましてから早速、十月九日になりますが関係のところ、バングラデシュ、インド、それから途中クエート、ダマスカスのあるシリア、それからアルジェリア、まあアルジェリアは現に身柄等を持っておるところでありますから、これまた多少内容違いますけれども、こういうところにつきまして捜査上参考になる資料はぜひ送ってくださいという要請をICPOルートを通じていたしております。同様の趣旨は外交ルートを通じても申し入れをしておるということでございます。そこで犯人の五名の個人識別といいますか、これはまだはっきりいたしておりませんので、とりあえずはそれに役立つものが欲しいということも含まれるわけでありますが、この点が明らかになればこの五人を逮捕したい、逮捕状をとって逮捕するという意味での手配をすることになります。それから未決、既決の囚人で釈放された六人、これはもうすでに身元わかっているわけでありますから、これはこういう人物ですぞということをアルジェリアには通報をする。それから報道等によればアルジェリアを出たんじゃないかというようなこともありますけれども、私たちとしては果たしてそうであるか、ちょっとわかりかねますので、あるいはまだアルジェリアにおるんじゃないかとも思いますが、この辺のところがもうちょっとはっきりすれば、完全にはっきりしないかもわかりませんけれども、もうちょっとはっきりすれば、今度は多くの国に犯人の五人と六人はこういう者だということで手配をしなければならぬ。その時期は六人ははっきりしておりますけれども、犯人の五名は、犯人が割れることと、それからアルジェリアの扱いがどうなるというようなところを見た上で時期を選んで措置をするということにするつもりでございます。
  259. 神谷信之助

    神谷信之助君 五人の方は大体一人が割り出しができているようですが、大体済んでいる。後はもう少し割り出しが残っているようですね。それはわかりましたが、六人の方はもう特定できる。だからこれはいまアルジェリアにおる、しかしまた出たかもわからぬ。だからアルジェリア政府に対してこういう犯罪者であるということを通報するということと同時に、出たかもわからぬわけですから、また出るかもわからぬ。その点ではこのICPOに対してこれは特定できるし犯罪事実も明らかになっているわけですからその手配をしてもらう。これはすぐできるわけじゃないですか。
  260. 三井脩

    政府委員(三井脩君) アルジェリアにまあ頼んで引き取ってもらったといいますか、引き受けてもらったということもありますので、アルジェリア側との接触といいますか、その辺を見た上で新聞報道等にももうアルジェリア出ちゃってよその国に行ったということを前提とした手配ということになりますと、またいろいろ問題もあろうと思いますので、その辺のタイミングはよく見て、準備は十分してありますが、タイミングをよく見た上でやりたい。したがって事前にICPO事務総局にだけこの六人はこういうやつですよということは言っておきますが、ただそれを世界百二十六カ国に手配してもらうのはその時期はちょっと待ってくれ、また改めて連絡すると、こういうようなことに相談しながらやっていきたいと思います。
  261. 神谷信之助

    神谷信之助君 アルジェリア政府との関係では犯人の引き渡し、それから身のしろ金、これ含めて要求しないという前提の上でアルジェリアは着陸を認めて、そして解放されたわけですね、人質は。そういうようになっているわけですが、後から日本政府としてはこういう犯罪者だから各国に迷惑をかけるようなことがあってはいかぬ、だから善処を求めるということであって、それを引き受けてアルジェリア政府日本政府の申し入ればよくわかりました、私どもの方でちゃんと拘束をしておきますと、そういう返事は一つもないわけでしょう。そうしたらこれはアルジェリア政府が拘束をするかしないかは自由です。日本政府との関係では約束は何にもしてないわけだ、だから自由にこれは出せるし、あるいは出さぬこともできるし、その点は日本政府報告をする義務もなければ何にもない。それはアルジェリア政府の主権にかかわることで自由にやると、こうなりますね。だからそれは、そういう状況ですから、そうすると、日本政府の方からアルジェリア政府に、まだおたくにおりますかと、いや、もうどこかへ行きましたよと言われるのを待って手配をするということになるわけですか。その辺の関係がどうももう一つ、例のあのときの日本政府のアルジェリア政府との話し合い、談判が、後からいろいろなことでわかってきたりするようなああいう状況でしたから、もう一つ明確でないわけですけれども、もし先に早く出されていますと、これはまた後追いになるわけですよね、手配がおくれたと。それだけまた野放しになる、まさにそれこそ、各国がある意味日本を非難をしている。そういうテロリストを日本はどんどんと輸出をしておるじゃないかという、こういうそしりを免れないわけです。その辺の関係はどうお考えになるんですか。
  262. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 十一人のうち五人と六人に分けまして、五人は個別にはわからないということでありますから、一応ちょっと違う、別でございますが、六人ははっきりわかっておる、まあいわば凶悪犯人であると、こういうことでありますので、これについてはただいま申しましたように、出たときに、つまりこちらが手配したときにはICPOのパリの総局が直ちに手配する、必要なところに全部で百二十六の国に手配できるような準備をしていてくださいと、こういうことは言いますが、それをいつどういうタイミングでやるかということについては、本件の発端からのアルジェリアとの外交接触といいますか、その辺のタイミングを見ながらアルジェリアが、こちらが希望してしばらく身柄を拘束してください、再犯を犯さぬように置いていてくださいという希望を表明したのを、ちゃんと受けてくれないから、後はもう外に出たものと考えて全世界に手配するというのもどんなものだろうかと、その辺のところは外交関係の専門であります外務省とも相談しながら、外交ルートでどう手を打つかというのはもちろん相談いたしますが、まあそれとうらはらになりますICPOルートの手配もそれを勘案しながら考えていくと、こういうふうなことでいきたいと思います。
  263. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは常識的に考えますと、アルジェリアにおる限りはアルジェリア政府が逮捕して日本政府に引き渡すという事態、状態というのはそう簡単には起こらない、そういういきさつが、経過がありますね。ですから、早く逮捕するという、つかまえるということになれば、アルジェリア以外の国に出れば日本政府に協力をしてつかまえてくれる、あるいは引き渡しをしてくれる可能性というものもある、こういう問題もあるかと思うんです。そういう点もありますから、私は特にそういう点では、どうもわが国は常にそういう問題で特に対外的には後手に回るのが多いわけですから、そういうそしりを受けないように外務省とも十分協議をしてやってもらいたいという点だけを指摘をしておきます。  その次ですが、これはこの間の十月十二日の衆議院の予算委員会で東中委員質問に対して、ICPOの手配ですが、局長は、「御存じのように、逮捕手配はわが国はできない法律制度になっておりますので、現在やっておりますのは情報手配でございます。」というようにお答えになっているわけですが、この逮捕手配ができない理由ですが、この点は例の逃亡犯罪人引渡法がありますね。これは、犯人引き渡しについて相互主義の立場からこういう法律が必要だということで、約十年ほど前につくられた。確かに十年間一遍も使われないような非常に手続の煩瑣な、そういうシステムになっていますから、だからそういうことでは実際上使えないから、逮捕手配ではできないという意味なのか。このままでいきますと、そういう法律さえない、いい悪いはその法律運用できるかできないかは別にしても、その法律さえないというようにもとれる答弁をなさっているんですが、この辺は一体どういうことでしょうか。
  264. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ICPOの関係、刑事局長が主管しておりますので、正確というか詳しくはまた答弁願いたいと思いますが、あの委員会で私が申し述べました趣旨はこういうことでございます。  いまおっしゃいますように、わが国には逃亡犯罪人引渡法がありまして、引渡条約は日米間にしかありませんけれども、その条約のない国との間でも引き渡す、相手方が相互主義を保証すればできると、こういう法律のたてまえになっております。ただ、条約のある国の場合はとりあえず仮拘禁もできると、ただ、条約のない国の場合は、本拘禁という言葉ありませんけれども法律は拘禁ですけれども、拘禁という手続になる。手続が仮拘禁と本拘禁の場合は仮拘禁の方がやや手軽にできるということはありますが、その場合でも日本国内に犯人がおるのを発見して、それから仮拘禁できるだけの令状もらうまでに何日間もかかる。外国等からも必要な文書をもらわないといけないというようなことをやっておると、追いかけていた者がまた国外へ出て行ってしまうということで、実際の役に立たないということがあるわけで、まあそういう点が一つ問題あるわけです。  それからいまの、本拘禁よりも仮拘禁の方が手軽であると、こう言いますが、これがヨーロッパ諸国がやっておる、ICPOでやっておるよりもこれまた相当複雑でございまして、本拘禁よりはあれでございますけれども、相当複雑で、敏速に対応するというには不便だと、こういう問題あるわけです。どういうことかといいますと、ヨーロッパというのは隣接で、すぐ隣国に行けるというようなこともあるんでしょうけれども、ICPOが、逮捕状ありますからつかまえてくれと、赤色手配といってますが、この赤色手配やりますと、その手配書が逮捕状と同じ効果を持ってもう逮捕できると、こういうことになるわけです。ところが仮拘禁制度はそんなのやりませんで、外国からそういうことがありましても、やっぱり高等裁判所まで行って令状もらってくるという式の複雑さがあるから、そこはちょっとむずかしいということで、ヨーロッパ諸国のようなそういう簡便な制度がわが国の現状では仮拘禁と比較すると、仮拘禁はそういう簡便なものではありませんと。そうすると、法律を改正すればヨーロッパ諸国がやっているような、ICPOの赤色手配を逮捕状とみなして直ちに逮捕するというような、そういう簡便な法律制度がわが国の法制制度でできるのかというような大変むずかしい問題もあると、こういうことがいろいろこれから研究せにゃいかぬ問題でありますが、現状を言えばそれができませんので、ヨーロッパならできるがわが国はできない。したがって相互主義の制約がありますので、自分のところができないことを相手方に頼めない。したがって、逮捕状は現に持っておりますけれども、重信初め逮捕状は持っておりますけれども、逮捕してくださいという手配じゃなくて、これは日本は逮捕状持って追っかけておる人物ですよという、いわゆる情報手配、青色手配しかわが国ではできないと、こういう法律制度上の問題点がありますと、こういうことを申し上げたわけでございます。ただ、実際の運用におきましては、そういうものでありましても向こう側で逮捕して送り返してくれておる国があるし、またわが方で逮捕状はないけれども、これは手配でも何でもなくて日本赤軍のメンバーですよという、情報というよりも、もっと下の情報手配というよりも、そういう資料、状況をその国に送ってやるというところで日本赤軍の悪名に着目して、これは日本赤軍のメンバーが偽造旅券で入ってくるのがはっきりしたということで送り返してくれるというのもあるということでございまして、制度の比較からいきますと、そういうような法制的な不備があって、これを解決するになかなかいろいろ問題があって刑事局長も苦心しておるという問題ありますけれども、実効上は日本赤軍というものは悪名高いということからそれぞれの国が大変協力してくれておるということがあるということでございます。  ただ、まあちょっとそれるかもわかりませんが、この問題は、日本赤軍はアラブゲリラと関連をしておるというところでこれを政治的なものだということになりますと、ICPOの枠外だと、こうなる。しかしICPOの事務総局は、あれはもう凶悪なあれですから、政治犯なんといってICPOの枠外に置くわけにいかない。こういうふうに言ってくれておるんですが、ある国によってはそうは考えないというような国がありますので、そういうところに先ほど言いましたような赤色手配できても、そういうところに手配しても、私の方はあれは凶悪犯だと思いません、政治犯という解釈ですとこう言われれば、そういう法律制度ができても実効が上がりにくいという面も残るわけでございまして、その辺のところが今日の問題点だという趣旨を申し上げたわけでございます。
  265. 神谷信之助

    神谷信之助君 刑事局長よろしいですか。補足なければいいですけれども
  266. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いま三井局長の言ったとおりで、いろいろ法務省と検討を続けておる、こういうことでございます。
  267. 神谷信之助

    神谷信之助君 例の「警察学論集」ですか、あれの五十一年の一月号に金子さんがこの問題で国際捜査と日本警察という論文出しておられますね。いま三井さんが言ったような逮捕手配でなくても、旅券法違反とかその他そこで犯罪行為を起こしたとかいうようなことで十分現在の状況でも一面では足りると、いわゆる強制送還に持ち込む方法を書かれております。だからわが国の逃亡犯罪人引渡法なんかが別にあろうとなかろうと、そういうものに頼らなくてもやれるんだと。現に先ほどからおっしゃっているように、九人が今日まで強制送還をされている、こういうことなんですがね。しかし一面これは一種の別件逮捕でもあろうと思いますが、そういう意味ではこの逃亡犯罪人引渡法を一つは改正をすると。それからもう一つは、必要な犯罪人引渡条約、いま日米間だけしかないわけですが、これ二国間でもどんどん話し合って結んでいくということとか、もう一つは、いまお話しになりましたが、アラブ諸国なんかでこれを民族解放闘争として政治犯として見ているという問題についても、これは大分情勢は変わってきているわけですね、いまは。特に五十年以降は。ですから、そういう事態ですから、特にそういうところと二国間協定を結んでいくということで相互協力ができる、そういう関係も確立をすると、こういう点を私ども、わが党としても提案をしている中の一部に挙げているわけですが、こういう点についてひとつ警察部内の方ではどういうふうに検討されているかお伺いしたいと思います。
  268. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 逃亡犯罪人引渡条約の締約国をだんだんふやしていくというようなことにつきましては、法務省が所管されておりますけれども、私たちもそういう希望を持ち、内閣の今度の対策本部の中でもそういう意見が出ておりまして、そういう方向で処理されていくものというように期待をいたしております。  それからまた、法が、いまのICPOの赤色手配云々の問題ですが、やはり何と言いましても法が整備された方が、どっちにつこうかというような人についてはびしゃっと決まるわけですから、法があってもやる気のない人はさっぱりだめだという意味のことはありますけれども日本赤軍に対しての世界的認識が高まるとともに、だんだん問題点は少なくなってくるでありましょうけれども、なおかつ法の裏づけがあってぴたっとやるというのがやはりオーソドックスな行き方だと思いますので、そういう方向で問題が解決されれば大変いいことだと、こういうふうに思っております。  それからまた、お話しのように、こういうテロがなお凶悪犯ではなくて政治犯だというようなことをいまや国連レベルでも、また昨年ですか、コロンボで行われた非同盟会議にわざわざ国連事務総長がオブザーバーとして乗り込んで、いまやああいうテロは性格のいかんを問わず凶悪犯だと考えるべきだということを大演説をぶち、現地のスリランカの首相は大いにこれに賛成するというようなことでありましたけれども、やっぱりアラブ諸国の中には、いや、そんなことを言ってもそうでないのもあるという例外を強調されるというようなことがありまして、これは昨年の二月ごろでございますので——一月か二月でございましたが、なおその辺についての認識というものもまだ十分でない点もございますので、制度の面と実際上の問題と両々相まって国際協力を進めていくということが一番大事で、つまり、また話は余談になるかもわかりませんが、ハイジャックをやっても成功しない、どこの国も受け入れてくれない、こういうことがもうはっきりしておれば、やろうという意欲もだんだんなくなっていくといいますか、意欲を起こさないということでもありますので、これは大変回りくどい、ある意味で歯がゆいわけでございますけれども、国際的にそういうふうにだんだん浸透していくことが一日も早い方が望ましいという意味で、できることをいろいろの面で努力していかなきゃならぬと考えておるわけでございます。
  269. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体時間が来ておりますので、あとまだテーマで言いますともう二つほどのテーマが残っておりますが、これはまたあさって当委員会ありますから、きょうは長官が見えておりませんし、長官に対する質問も残っているので、あとの部分はあさってにしたいと思いますが、ただ、いまの問題関連してもう一つ私ども特に提起をしておきたいと思うのは、ハイジャック犯人の迅速な引き渡しと訴追を規定した立法をつくれと勧告をしている、例のICAO、国際民間航空機関、この決議を私どもは早く実施をするということが必要ではないか、国内的にも国際的にも、ということも提起をしておりますから、この点もひとつ御検討いただきたいと思うんです。  いずれにしても、例の六〇年の安保闘争のときに全学連の指導部を握っておりました例のトロツキスト集団、これらが暴力行為に出ようとしたときにいち早くわが党はこれを批判をし、これと闘うという方針をとってきました。当時彼らを英雄扱いをするいろんな言論もありましたし、支持をする政党もありましたけれども、今日それがずっといろんな形で今日の日本赤軍になり、また国内では過激派集団の内ゲバ闘争それから人殺しをへとも思わないそういう凶悪集団が止まれてきているわけです。したがって一貫してわが党はこれの根絶を要求してまいりました。警察警察なりに努力をされているんでしょうが、しかし私どもの目から見れば、いまもお話ししましたが、いろいろなうわさがある。それは取るに足りないうわさであろうと、警察の手の届かない外国で起こっている問題については、それはあらゆる手段を通じてその信憑性を確かめ、どこからでも、ある意味ではおぼれる者わらをもつかむで、彼らを根絶をするというような、そういう執念を持った態度というものがなければ、私は根絶することがむずかしいと思うんです。この点、次、あさっての機会にもまた引き続いてあと二つのテーマでいろいろただしていきたいと思いますが、きょうは大体予定の時間が来ましたから、これで終わりたいと思います。
  270. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回は明後二十七日午前十時三十分開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会