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1977-10-25 第82回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

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  1. 社会保障制度等に関する調査 (会議録情報)

    昭和五十二年十月二十五日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上田  哲君     理 事                 佐々木 満君                 玉置 和郎君                 浜本 万三君                 小平 芳平君     委 員                 浅野  拡君                 石本  茂君                 遠藤 政夫君                 亀長 友義君                 福島 茂夫君                 真鍋 賢二君                 森下  泰君                 高杉 廸忠君                 広田 幸一君                 安恒 良一君                 渡部 通子君                 小笠原貞子君                 柄谷 道一君                 下村  泰君    国務大臣        厚 生 大 臣  渡辺美智雄君    政府委員        厚生省公衆衛生        局長       松浦十四郎君        厚生省環境衛生        局長       山中  和君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省薬務局長  中野 徹雄君        厚生省社会局長  上村  一君        厚生省児童家庭        局長       石野 清治君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        厚生省年金局長  木暮 保成君        社会保険庁医療        保険部長     岡田 達雄君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        文部省初等中等        教育局中学校教        育課長      上田 一郎君        文部省大学局医        学教育課長    五十嵐耕一君        通商産業省立地        公害局公害防止        指導課長     滝沢 宏夫君        自治省財政局公        営企業第二課長  田井 順之君        日本国有鉄道旅        客局総務課長   須田  寛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (歯科医療における放射線障害に関する件)  (腎透析等難病治療対策に関する件)  (カネミ油症及びスモン病に関する企業の安全  対策及び患者の認定、補償問題等に関する件)  (救急医療及び地域医療問題に関する件)  (口唇裂口蓋裂児医療に関する件)  (人口問題及び母子保健行政に関する件)  (身体障害者用リフトバス等の整備に関する  件)     —————————————
  2. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) ただいまから社会労働委員会開会いたします。  社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 厚生大臣並びに担当局長に御質問をしたいと思うんですが、問題は二つあります。  まず最初に、一つについてやりたいと思うんですが、WHOの委員会がことしの三月に、エックス線などの放射線医療に無差別に乱用することは、人体にとって原子力産業よりも総体的に危険が大きいとして、放射線使用を厳重に規制するような要請を各国にいたしたことは大臣御承知のとおりだと思います。もちろん私は、今日の社会におきまして放射線の応用が私たちの社会の中で重要な役割りを果たしていることを否定するものではありません。しかし、同時にその使用を一歩間違えますと、人体に大きい影響を与えて、その結果恐ろしいものになるということもこれまたすでに学説が定説となっているところなのであります。  そこで私は、まず第一に、本日、日本における歯科における放射線使用が野放しになっている現状について質問をいたし、厚生省の是正を求めたいと思います。まず第一点は、放射線人体に与える影響について早期障害晩期障害、それから潜伏期間問題等があると思いますが、これについて大臣から御見解を賜りたいと思います。
  4. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 技術的な事項でございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。  放射線障害は、ただいま安恒委員からお話ございましたように、早期障害晩期障害に分かれるわけでございますが、まず早期障害といたしましては、たとえば皮膚に発赤ができる、皮膚に炎症が起こる、そういった問題とか、あるいは白血球が減少するとか、そういうふうな問題がございます。また、晩期障害といたしましては、たとえば白血病が起こってくるとか、そういったいろいろな臓器のがんが起こってまいります。また、そのほか遺伝的な影響人間ではまだ証明されておりませんけれども、動植物、昆虫等ではいろいろと実験報告がなされております。
  5. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 お答え一つ落ちてますが、潜伏期間はどういうものでしょうか。
  6. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) これも人間につきましては余り的確な資料がないのでございますけれども、広島、長崎原爆被曝実態から見ますと、たとえば白血病原子爆弾放射線被曝した後五年ぐらいから出始めまして、十年ぐらいがピークになる。その後減少してまいりますが、すでに三十二年たちました現在においても、若干白血病が出ているというような状況でございます。これは晩期障害でございますが、早期障害につきましては放射線の量によりますけれども、大体数時間から二十四時間ぐらいのうちに出てくるのが普通でございます。
  7. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 時間がありませんから、余りこのことでやりとりしたくないんですが、私がいろいろ学者先生から拝見をいたしますと、いま言われましたような発がん白血病がんであるとか遺伝的影響、それから寿命の短縮ですね、加齢現象、こういうものがあるということを学者先生は言われておりますし、潜伏期間というのはいま局長は五年から十年と言われましたが、これもいろいろ学説があると思いますが、長いのでは四十九年ということを言われる学者もおいででございます。大体十年から十五年、こういうふうに、いわゆる晩期障害の場合には潜伏期間があるということで、大変恐ろしいものであるというように私は思うわけです。  そこで、次の質問になるわけでありますが、どの程度安全で許容されるのかということになると思うのであります。特にこの場合には職業人ですね、いわゆる放射線を扱う人の場合に、許容量があると思いますが、どの程度許容量であるのか、ひとつこの点について御説明お願いをしたいと思います。
  8. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 職業人一般的にはICRP——国際放射線防護委員会勧告に従って各国規制をいたしておりますが、年間レムあるいは五レントゲン、また三カ月で三レムあるいは三レントゲンということになっております。しかし、私どもが所管しております医療施設に関しましては、職業人をまた二つに分けておりまして、実際に放射線診療に従事する職業人につきましては、そのような基準でございますけれども、それ以外の医療機関の職員につきましては、おおむねその三分の一程度規制をして指導をいたしております。
  9. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 そこでお聞きしたいんですが、私もICRP年間五千ミリレントゲン・パー・アワー、これが二十年前にこれが決められているということなんですね。そこで、私は質問をしたいことは、この当時にはいろいろな化学的物質での汚染の例が余り考えられなかったと思うのです。ところが、たとえば最近では水銀であるとかカドミウム汚染、これは例として私は申し上げているんですが、そういうことを考えてまいりますと、二十年前に決められたこのような基準でいいのだろうか。いわゆる複合汚染問題——私が研究しましたところによりますと、複合汚染というのは、たとえばわかりやすい数字で言いますと、三足す三は六ではなくして、三掛ける三は九というふうに、複合汚染の場合には非常に汚染度が高いと、こういうふうに言われているわけであります。そこで、もう二十年前に決められた、しかもその後にいま申し上げたような化学的な物質での汚染がどんどん今日残念なことですが高まっている、こういう場合における、いわゆる私は率直に言ってその程度が低ければ低いほどいいというふうに思うのでありますけれども、安全度合いという点はどうなんでしょうか、重ねてそのことをお聞きします。
  10. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 一般的に申しますと、ただいま安恒委員指摘のように、ほかの発がん因子等がふえてまいっておりますので、複合汚染というようなことも考えるべきであろうと存じます。ただ、結論から申しますと、安恒先生も御存じのように、本年——一九七七年の新しいICRP勧告が出たのでございますが、先ほど申し上げました職業人に対する許容限度年間レム、三カ月で三レム、こういったものは変わっておりません。
  11. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 まあ変わってないということでありますが、私はこれから先はやりとりになります、時間がありませんから。私はこれは後から指導の中で申し上げますが、やはりICRPのこれはいわば最高のこれが限度だということなんでありますから、そういう点においてパラメルワーカー安全を保つためにも、指導について御注意をお願いをしたいと思うのです。  そこで、いま少し今度は日本の実情に戻してお聞きをしたいのですが、次に、歯科においてエックス線診療実態についてひとつ、いま一番問題にしたいのは歯科におけるエックス線使用でありますから、その実態について質問をしたいと思いますが、第一の質問は、歯科診断用エックス線装置設備台数、最近十カ年でどういうふうに設備台数が推移をしているのか、できればデンタル・レントゲンと、この四、五年非常に使用が盛んになってまいりましたパノラマレントゲン台数がどうふえているのか、これが第一点であります。  それから第二点は、支払い基金請求明細書等から私は推計されると思いますが、診療実態歯科においてはどれだけレントゲンが使われているのか、この実態についてこれまた数字を挙げてひとつ説明をしてもらいたい。  それから第三番目は、歯科放射線診療時における被曝線量測定並びに国民被曝に寄与する歯科撮影総量の推計とその改善に対する研究が、これは日本歯科医科放射線学会教授古本先生らによって、昨年の十月の十七日から二十三日、一週間において実態調査が行われて、五十一年度の中間報告がされてると思いますが、そういうものによっての、いま申し上げた、どのようにわが国においては歯科において放射線診察が行われているのかということについて、ひとつ御説明を願いたい。
  12. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) まず、第一の御質問歯科診断用放射線装置台数でございますが、五十年末の医療施設調査の結果によりますと、四万六千台余り入っております。したがいまして、四十一年末の調査の結果では二万三千台足らずでございましたので、この間に二倍以上にふえております。また、特に御指摘のございましたパノラマ診断装置でございますが、これは約五年前ぐらいから普及し始めたものでございまして、その資料について現在手元に持ち合わせておりませんけれども、現時点においては約三万二千の歯科診療所の三分の一がパノラマ診断装置を保有していると考えております。  次に、社会保険診療実態でございますが、これは保険局長からお答えいただくといたしまして、最後被曝影響の問題でございますが、これは各研究グループあるいは測定者によって多少データがまちまちでございますけれども、いまの歯科放射線学会の一応の多数説的なことを申し上げますと、一回の検査では大体三百ミリレントゲンから四百ミリレントゲンが普通であろうと考えられております。ただ、問題になっておりますパノラマ撮影の場合には、二千ミリレントゲンから四千ミリレントゲンぐらい、平均いたしまして三千ミリレントゲンぐらいをかけるのではないかと考えております。したがって、こういったものが一体どういうふうに個人に、つまり患者影響するであろうか。また、そういったことが集まって国民の集団的な立場から見ましてどういう影響を与えるであろうか。また、それをどういうふうに防ぐべきかという問題でございますが、国民被曝線量に対する寄与率の計算はなかなかむずかしい点がございます。特に、歯科用放射線診断用照射についてというのは、なかなかむずかしい問題がございますが、大ざっぱに申し上げますと、大体百万人が一レントゲンを浴びますと、白血病患者が二十人ぐらいふえるんじゃないかと言われておりますけれども、国民線量にいたしますと、一般医科歯科と両方合わせまして、現在においてはかなり被曝の減少の措置も講じられてまいりましたので、一人五百ミリレントゲンというふうに考えられますので、ただいま申し上げました一レントゲンの場合の半分ぐらいになってくるんじゃないかと考えております。  また、改善策でございますが、これはいろんな側面から進めなければならない問題でございまして、まず第一は、歯科用の……
  13. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 委員長、ちょっと。聞いてないことを一生懸命答えよるからさ、先走ることないんだよ、先走ること。聞いてないことを答弁している。質問だけ答えてください。
  14. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) 聞いてないことを答えているそうですから、答弁質問にだけ答えるようにしてください。
  15. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 社会保険診療報酬のレセプトの面で、歯科レントゲン状況でございますけれども、使用フィルムにつきましてこの実態がある程度わかるのじゃないかということで、使用フィルムを見てまいりますと、政府管掌の一カ月分の調査で見てまいりますと、昭和四十一年が約三十万枚でございます。それから四十八年は百十万枚ということで、逐年増加しているわけでございますけれども、昭和四十八年をピークとしまして、以後減少してまいりまして、昭和五十年には約九十万枚ということになっております。  これは、昭和四十八年が頂点になって、その後減少しているというのは、恐らくパノラマ撮影の普及ということで、フィルム枚数が減少しているものであろうというふうに考えられます。
  16. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 どうか、もう一遍言っておきますが、聞いたことに正確にお答えを願いたいと思います。余り学があり過ぎるようですから、先走ってどんどん言われても、こちらは学がありませんから、ひとつよろしくお願いします。  まず、いま言われた問題の中で一つただしておきたいんですが、結局、いま保険局長が言われました支払い基金請求明細書からの実態では、これは歯科政府管掌だけですね、いま言われた五十年の数字は。ですから、全体という場合には、これを約三倍というふうに考えて間違いないですね、大体約三倍。そうすると、五十年におけるレントゲン枚数は二百七十三万七千七百十九と、いまあなたが挙げられた数字の約三倍ということになると、そのぐらいの枚数歯科だけで撮られているということで間違いないですね。これが一つ。  それから、私が医務局長にお聞きしましたのは、いわゆるそういう被害の問題は後でお聞きしますが、これは文部省が委嘱をして行った調査なんですが、直接これは皆さんに関係のあることですから、その五十一年度の中間報告についてお聞かせを願いたいと、こういうことを聞いたわけですね。五十一年度にすでに中間報告がされているわけです。これは率直に言って、三月時点の予算委員会楢崎委員質問をしたときには、文部大臣を初め厚生省、だれも答え得ないままになっています。しかし、その後に発表されていると聞いていますから、いわゆる、その中で私がお聞きをしておきたいのは、国民一人当たりに大体何回ぐらいになっているのか。歯科診療所一週間当たりに、撮影人員が何人で、回数が何回になっているのかと、そういうことを実は聞きたかった。ですから、問題を少ししぼって聞きますが、その三点目についてお答えがなくて、これは云々とあったから、私は御注意申し上げたんですが、その点について、ひとり中間発表がされていますから、当然皆さん方は、これは重要なデータでもありますから、御関心をお持ちだと思いますので、そのことについてひとつお聞かせを願いたい。
  17. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 第一点の医療保険全体についての数字でございますけれども、先ほど申しましたように、政府管掌が九十万枚ということで、医療保険全体で見ますと、先生指摘のように、大体三倍ぐらいということでお考えいただいて結構だと思います。
  18. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま五十一年の古本教授中間報告手元にございませんので、的確な御回答ができません。至急、資料を取り寄せてお答えしたいと存じますので、できれば、ほかの質問からしていただければと思います。
  19. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 きょう私がこういうことを、いわゆる放射線のやつをやるということは、もうあなたの方の政府委員が来て通告してありますからね。やむを得ませんが、このときは、あらゆることをこれから用意をしてきてください。私は、すでにきのう、きょうは中心にこのことをやりますということは、件名として政府委員の方に御通告してありますから。じゃ、なければやむを得ません。私の方から申し上げましょう。  それじゃ、私の方であれをしたら、国民一人当たりに大体一・五回、歯科診療所一週間当たり撮影人員は二十九人。回数は四十三回。これは大きい数字がたくさんありますが、これは読み上げておったら時間がなくなりますから、そういうことに中間報告として歯科診療の場合に出てきています。  そこで、私が次に質問をしたいんですが、すでに、このことについて、いまあなたは私がもう質問しないのに答えられたんですが、歯科エックス線撮影における患者被曝の量についてということなんです。これはいまあなたが言われたんですから、もうこれは重ねて質問をいたしませんが、ただ、その場合に、少しあなたの言われた数字と違うんじゃないかと思うのは、一般の場合には大体二百ミリレムから六百ミリレムだと、こういうふうに言われているんですね。  それから、パノラマの場合、あなたは二千ミリから四千ミリというふうに言われていますが、私がお聞きしますところ、また、いろいろあなたのかつて部下がお書きになっているいわゆる報告書等を見ますと、二千ミリから五千ミリと、こういうふうに、これは厚生省担当官がお書きになっている文献も拝見をしています。そうすると、パノラマの場合には二千から五千というふうに承っておいていいわけでしょう。あなたは二千から四千と、こう言われましたが、その点はどうなんでしょうか。
  20. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) いずれにいたしましても、平均線量は三千ミリレム前後になるわけでございますけれども、これは主として患者さんの体格、骨格等によって量が変わるわけでございますが、私は、二千ミリから四千ミリ程度平均が三千ミリ程度というように承ってまいりました。
  21. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 まあ、これもここでそれじゃ四千が正しいか、五千が正しいかという議論はまた改めてやることにいたしまして、承ってまいりましたと言われてますが、かつて同じ医務局におられた方が、やはりいわゆる「霞ケ関レポート」の中に、担当専門官としてお書きになっている点がありますから、どうかもう一遍そこのところは医務局長も何でもかんでもお知りになっているわけじゃないと思いますから、よく研究をしておってもらいたい、こう思います。  そこで次は、患者の問題は率直に言ってそういう状況にある。次はエックス線装置従事者被曝量について、これは歯科医師放射線技師、もしくは診療エックス線技師が、いま言ったような日本現状をずっと克明に解明されたわけですが、そういう中で、いわゆるどの程度の量をあれしてるんだろうかと、こういう点についていまデータは出たわけですから、ひとつその点について、いわゆるパラメルワーカーと言われる人々の被曝の状態についてはどういうふうにお考えか。いまあなたは患者について、いわゆる被曝はこの程度だということについて若干の数字の食い違いはありましたけれども、その点についてお聞かせを願いたい。
  22. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) この点につきましても、詳細な資料をただいま手元に持ち合わせておりません。したがいまして、ごく概括的な回答をさせていただきますが、被曝線量につきましては、医療法でも、また放射線障害防止法でも、また労働安全衛生法でも規制をされておりまして、先ほど申し上げたような国際的な基準でございます。で、特例な事故がございましたような場合には、あの基準を超えて被曝をするというようなことがときには起こるわけでございますが、一般診療につきましては、いろいろ機械の防護もされておりますし、それからその他の防護措置も講じておりますので、基準年間レム、三月で三レムを超える例はきわめて珍しいというように聞いております。
  23. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 どうも、私大変不満に思うんですが、なかなかデータをお持ち合わせがないということで、きょうこういうことを御質問を申し上げるわけですから、次回からはできるだけデータをきちっとそろえてお願いをしたい。  そこで、私は素人ですから素人なりにちょっとお聞きをしてみたいんですが、原子力船の「むつ」が放射能漏れで大変問題になりましたですね。あのときは、毎時、〇・二ミリレソトゲン・パー・アワーであったというように聞いております。それが世の中では大変な大騒動になったわけなんです。  そこで、一つお聞きをしたいんですが、デンタル・レントゲンで約三メートルぐらい離れたところで測定をした場合、普通の一般に使われている、どのくらいの量になるんでしょうか。ひとつそれを聞かしていただきたい。
  24. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) 答弁の前に安恒委員に伺いますが、医務局長答弁中にすでに二点にわたって答弁資料が具備されておりませんが、これは質問通告してあったことですか。
  25. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 質問通告してあります。
  26. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) それは十分に用意してくれないと審議は円満に進まぬのですが、なぜ、その二点にわたってまで、必要データ用意されておらぬのですか。
  27. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 歯科用放射線障害防護について御質問があるという通告は受けておりますが、内容の詳細については一切受けておりませんので、このような事態が起こったわけでございます。
  28. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 それは、委員長、私は言っておきますけれども、内容を細かく通告するあれはないと思います。しかし、担当局長としてはそれぐらいのことは全部用意しておかないと、私はそれじゃ担当局長なり、それから場合によれば専門官用意をされて御出席下さっていますから、まあ一々細かく通告する人もあるやに聞いています。しかし、私はこれからも主たる項目を通告いたしますので、どうかそういう点で御準備お願いをしておきたい。  そこで、いま、最後の聞いたことについて答えてください。
  29. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) 私が口を出したので、ちょっと申し上げておきますけれども、安恒委員が言われたような意味の通告ではなくて、これはもうきわめて客観的なデータですから、十分に準備をされないと、せっかくの時間の配分——きょう委員会開会に先立っての理事会理事懇談会で時間の配分については非常に細かい議論があった上で、精密な時間配分をしたわけですから、空回りのないようにするためのひとつ双方の御努力をお願いをしておきたいと思います。
  30. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 原子力船むつ」の場合は、ただいま御指摘のように、〇・二ミリレントゲン・パー・アワーでございました。ただ、これは常時漏洩してくる線量でございまして、普通のエックス線機器のようにスイッチを切れるというものではないという問題が一つございます。それからもう一つは、職業人以外の一般人の被曝線量規制はなかなか厳しいわけでございまして、現在のICRP勧告でも年間五百ミリレムとなっております。それがアメリカでは百七十五ミリレムとか、また原子炉の周辺では五ミリレムとか、そういった厳しい基準が行政指導で適用されております。そういった観点からいろいろとあのような問題が起こったのではないかと思います。
  31. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 いや、私がお聞きしましたのは、そこで毎時〇・二ミリレントゲン・パー・アワーであるということは私も承知しているのですが、私はこの次の論争をするために、いま一般歯科で使われているデンタル・レントゲンを使った場合に、これ測定をしてみればわかると思いますが、どの程度のいわゆる放射能の影響があるのだろうかということを聞いているわけです。
  32. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) これもただいま的確な資料を持っておりませんが、私の記憶では、一・五メートルのところで一照射について——これは普通のデンタル照射でございますが、〇・〇四レム、つまり四十ミリレムということになっておりますので、その倍の三メートルでございますから、十ミリレム程度になるのではないかと考えております。
  33. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 いま言われましたように。実は私もこれは素人ですから、具体的にある所へ行きまして実態調査をやってみたわけです。実は私、三メートル離れたところで、いわゆるどの程度かということを調べましたら、もちろんデンタルの口は向こうに向けてあって、私たちは横の方から測定をしたんですが、大体十ミリレントゲンパワー、これは三メートル離れているんですね。これは正確に測定ができた。これは、私は率直に言うと、片っ方は毎時で、片っ方は瞬間ですから、その比較はできませんが、大変な問題だということがよくわかったわけです。  そこで、次の点について私はお聞きをしたいんですが、歯科用エックス線装置は、医療法上のいわゆるエックス線装置に該当しまして、医療法施行規則三十条の四、それから昭和三十七年十月の医務局長通達が出ております。これはいま中身を聞きません。時間がありませんし、知っておりますから。そうしますと、この中で、歯科用エックス線使用する部屋の構造基準は法令で規定されているにもかかわらず、多くの歯科診療所における歯科用エックス線装置の取り扱いが規定どおりに守られているのかどうか、これをひとつまず。  それから、続いてお聞きしますが、エックス線装置を操作する放射線診療従事者の被曝を防止するための被曝測定のこれまた義務づけが、規則第三十条の十八によって義務づけられておりますが、この測定が十分されているのかどうか。  続いて規則三十条の二十二に、エックス線装置を設定している室内及び室外における漏れですね、漏洩の放射線量の測定義務づけがされている。この測置が行われているのかどうか。  それから、同じくエックス線装置従事者については、これまた二十四条の診療放射線技師及び診療エックス線技師、いわゆる医師と、いま言った二人の人しかこれは操作をしてはいけないということの規定がございますが、以上の四つのことが現在のわが国の歯科診療の中において守られているのかどうか、こういう点について、まずお聞かせを願いたいと思います。
  34. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) まず、第一の医療法等による放射線防護の規定が歯科診療所でよく守られているかどうかという問題でございますが、先生も御存じのように毎年一遍、医療機関医療監視を医療法に基づいてやっておりますが、病院の方はやっておりますけれども、診療所の方はやっておりません。したがいまして、的確にお答えする資料がないわけでございます。ただ、いろいろ行政指導は行っているわけでございまして、ただ、パノラマ様の機械等を設けた場合には、強く規制指導をするようにいたしております。  また、いわゆる放射線技師等の被曝測定でございますけれども、これは医療法というよりも労働安全衛生法あるいは放射線障害防止法、こういったものによって規定されておる装置でございますが、診療所の場合、やはりフィルムバッジだとか、ポケット線量計を使って測定をして、その結果を記帳していなければならないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、医療監視が行われておりませんので、的確に把握をしておりません。同様に放射線を照射する部屋の内外の線量測定が義務づけられているのでございますが、これも後で記帳して記録を残さなければならないわけでございますが、的確に把握をいたしておりません。  最後に、医師、歯科医師放射線の照射ができるが、それ以外は診療放射線技師、あるいは診療エックス線技師しか放射できないことになっているけれども、それが守られているかということででございます。これは御指摘のとおりでございまして、ただいま申し上げましたように、診療放射線技師診療エックス線技師以外は放射線の照射をすることはできないとはっきり診療放射線技師法で定められているわけでございます。で、厚生省といたしましては、そういった技師のいない場合には、歯科医師とか医師が自分でやるんだという強い指導を法に基づいてやっております。ただ、いろいろと便利な機械が出てまいりましたものですから、医師があらかじめ放射線照射量とか、あるいは皮膚からの距離だとか、いろいろなことをセットいたしまして、ただスイッチを押すだけなら、これは看護婦さんにさしてもいいじゃないかという議論が出ていることも事実でございます。
  35. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 私は大変不満です、いまの答弁は。そこで、大臣にお聞きをします。  大臣はお忘れもないと思いますが、ことしの三月の十八日の衆議院の予算委員会において、当時は社会党でありましたところの楢崎さんから質問があって、この問題について、石丸政府委員大臣との間にやりとりがされています。そして最後に楢崎さんから、こういう状態が、いまや野放しの状態になっているじゃないか。だから医療監視については十分に監視をしてもらいたい。そうして厳重に守れるようにしてもらいたいと、こういうことがやられている。それに対しまして大臣は、医療の監視につきましては、今後ぜいぜい努力をして、きちっと守られるようにやっていきたいと思っておりますと、こう言われている。ですから、恐らく大臣は、国会の公式の場でそう答弁された以上、関係局長以下について、このことをきちっと明示をされたと思う。ところが、いわゆる医務局長は、病院の点はわかっているけれども、私が四つに分けて聞いた、そのことについて実情がどうなっているのか、またどういうふうにしているのかということについて、いわゆるこの個人診療所の分については、状態を十分把握してない。把握してないというのは何ということですか。きちっとやりますと言って、どうしてその後把握する努力をしないのですか。ことしの三月から今月までの間に問題になったのは、病院だけが問題になったのではない。個人の歯科診療所の問題が当時大きくこれは問題になっておって、実態がどうなっているのかということを大臣が答えた以上、それを具体的に実行するために、そういういわゆる調査をされないのですか。抜き打ち調査であるとか、それから、もしくは部分的な調査であるとか、私たちは、自分で歯科にかかっておりますから、よくわかってます、どういう現状か。私たちは自分の生命があれですから。いま私が医務局長に聞いた四つのことについて、実態を把握してない、これでは答弁になりません。そこのところについて、大臣並びに医務局長から考え方を明らかにしてもらいたい。
  36. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) まず医療監視でございますが、安恒委員も御存じのように、現在すでに病院は八千三百を数えるに至りました。この医療監視だけで相当な地方自治体としては業務量でございます。そこで、診療所ということになってまいりますと、歯科診療所も先ほど申しましたように三万二千余りございますし、医科の方でございますとやはり七万四千ぐらいあるわけでございます。そこで、重点的にやらなければならないわけでありまして、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたパノラマ撮影装置を持っているようなところから、できるだけ早く行うようにというような指導を都道府県にいたしております。また同時に、この問題について歯学会の放射線部門でも興味をお持ちになりまして、厚生省も特に研究費を支出してこの問題の検討を始めましたし、またこういった歯科診療所の問題は日本歯科医師会に密接な関係のあることでございますので、日本歯科医師会とも相談いたしまして、先般、日本歯科医師会が業務指針を出しまして、全国の歯科開業医の指導を行ったところでございます。  なお、診療所の医療監視についてはいろいろと定員の問題、予算の問題等々ございますが、今後できるだけ重点的に重要なものから監視が行き届くように努力をいたしたいと考えております。ただ、これは法令に規定されていることでございますから、私どもといたしましては当然診療所の管理者は法令を守っていてくれるものと考えております。
  37. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 守っていてくれるものと考えるというんなら、私は率直に言って、これは大臣にお聞きしたいんですが、守ってないところが圧倒的に多い。これはもう圧倒的に多い、診療所の場合ですよ。そういうこと、いま四つの項目を私は挙げていますからね。それをあなたは守っていてくれるものがおると言う。問題があるから私は聞いている。私はその点についていまの答弁大変——私は残念ながら守られてない実態をたくさんこの目で見ている。だから、これ聞いている。それなのにあなたは法律なんだから守っていてくれるものと思うという、そういうことでは私は問題にならないと思う。ですから、どうかそこのところはひとつ大臣の、いま言ったやりとりについてお考えをお聞かせ願いたい。私が調査した限りにおいて、いま言った四つの項目がかなり守られていない。たとえば、最後のいわゆる素人が扱っているとか、そういうところは守られているかもわからぬ。しかし、私が聞いた最初のまず三つの法令に定められたところについては——それは守っているところもありますよ。しかし、守られてないところが圧倒的に歯科診療所の場合に多いわけなんですから、そのことについて私は聞いているわけですから、その点は大臣から答えていただきたい。  それからいま一つ——大臣に聞いている。大臣に聞いているから手を挙げる必要はない。大臣にお聞きをしたい。  それからいま一つは、私はやはりいま申し上げたように、と思うでは困るわけですね、こういう問題は。これはきょうが初めてならいいわけです。きょうが初めてならいいんですが、と思うじゃ困る。前にすでに国会で問題にされているわけですから、問題にされた以上は守られているか守られていないかだけは私は早急に調査をやはりされる必要がある。と思うと言われた、いま。守られていると思うと言われた。と思うじゃ困るわけです。その点、大臣ひとつ答えてください。
  38. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 御指摘のように、ことしの三月、楢崎委員からお話がございまして、私ども知らなかったことでございますが、聞いてみるともっともな話でございますから、そういうようなことを極力少なくしていかなきゃいかぬと。絶対なくすように持っていくことが当然でございますから、きわめて技術的なことでもあるので、ひとつその体制を強化するように指示したところでございます。人員の関係、いろんな関係等もあって、まだ完全なわけにはまいりませんけれども、今後ともそういうようなことを防止するように努力を続けてまいるつもりでございます。
  39. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 技術的な点について私からお答えいたします。  確かに安恒先生歯科診療所にいらっしゃいますと、ここもどうも法令を守っていないなあというような印象をお受けになるところがあるかもしれません。ただ、現在の医療法施行規則とかあるいは先ほど御指摘のあった三十七年十月の医務局長通達によりますと、週二千ミリアンペア以下のレントゲン、一週間について二千ミリアンペア秒以下の使用の場合には、一・五メートル以上離れればよろしいという定めがあるわけでございまして、それだけ一般的には歯科用放射線診断による被曝は多いものではないわけでございます。普通の場合、一回の歯科の診断に五ミリアンペアから十ミリアンペアを使うと思いますので、枚数にいたしますと、十ミリアンペアの場合は少のうございますが、百八十枚から三百六十枚ということになるわけでございます。ミニマムの五ミリアンペアで申しますと、週に三百六十枚以下のところは、先ほど申し上げましたような弾力条項が発動されて、特別な装置等はする必要がないのでございます。しかし、先生おっしゃいますように、機械についてもまた部屋についてもまた患者や従業員についても、特別な配慮をするということは望ましいことでもあり、今後そのように努力はしなければならないと考えております。
  40. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 この点も時間がありませんから。私は守られなきゃならない問題を四つ聞いているわけですよね。ですから、たとえば月に一回もしくは放射線、照射方向が一定している場合には六カ月を超えない範囲に一回エックス線の装置が室内及び室外に漏れているかどうかということの測定の義務等があるわけです。そういうものがあなたは守られているらしいと、こう言われています。しかし、現実に私どもの方にいろいろの方からお話があるのについては、そういうことをほとんどやっていない。だから私は、ここで守られている、守られてないということを幾らやったって水かけ論争になりますから、あなたは余りまだ実態をつかんでおりませんから、ぜひ全国の診療所において四つの定めが守られているかどうかということをひとつぜひ調査した上で答えてください。これは言っておきます。  それから、そこで私はまず——必ずしも十分に守られてはおりません。私から言うとうんと守られていないのですが、その守られない原因がどこにあるというふうにお思いになるか。十分でないと思います、その原因がどこにあるのか、その点についてお聞かせを願いたいと思います。
  41. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 全国の診療所の医療監視あるいは調査でございますが、これを早急に行うことはなかなか困難でございます。いろんな問題がございます。そこで、私どもはそういった特別な抽出調査でもするときの一つのメルクマール、基準をつくったりいろんなめどを立てる必要があるということで、本年十月、全国立病院、療養所の調査を実施したところでございます。まだ、その結果はまとまっておりませんが、まず、国立病院で調査をいたしまして、いろんな調査の方法あるいは判断の仕方、そういっためどを立てたいと考えております。そこで次に、もし守られていないとすれば、その原因は何かということでございますが、まず第一は、歯科の開業医の方の放射線防護に関する知識が十分でないのではないかと思います。したがって、これについては去る九月日本歯科医師会が会員に指導要領を発出したところであり、また今後もわれわれも大いに普及徹底したいと考えております。  また第二は、やはり特別な防護をする場合には、診療所の増改築等が必要でございまして、いろんな立地条件等の物理的な条件もあれば、また財政上の条件もございましょう。そういったものが働いて整備がおくれているというところもあろうかと思っております。  また第三には、やはり放射線作業に従事する技士の方々もこういうふうな知識あるいは意欲を強く持って使用者側、管理者側に強く要求をするというようなことも必要ではなかろうかと考えております。
  42. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 私は、原因の中に次のような問題点がありはしないかというふうに思うんですが、いまも局長が言われたように、率直に申し上げて医師の国家試験の中に、歯科医師に関しては放射線問題が国家試験に入ったのは最近ですね、それまでは入っていない。そこで大多数の先生方が、いまもおっしゃったように知識が十分でない。若いいまの、最近卒業した人は国家試験がありますから、そういう点があるんですが、その点がどうなんだろうかということが一つなんです。いまあなたが言われた、知識が十分でないという点について言われたことの中に、最近は入れられたが、そこでいわゆる歯科医の医師の再研修をこの点についてやることが必要ではないだろうかと思うんですが、その原因について。  それから、それと同時に対策ですね、いま言われたような問題について、じゃあどういう対策をお持ちなのか。いろいろ問題がある、原因が明らかになった、そこで対策をどうしようとされているのか、この点についてひとつ聞かしてもらいたい。
  43. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) まず、歯科医師の国家試験の問題につきましては、私も安恒先生と同感でございます。今後国家試験等の機会を通じて、また卒前の歯学教育において放射線防護の知識を強く教育し、あるいは試験で試していくべきであると考えております。  次に、すでにいらっしゃる開業医の方々の再教育の問題でございますが、これも御指摘のように私は必要だと思います。そこで、中央でやる場合と各県でやる場合と、二つが考えられるわけでございますが、この点につきましては先ほども申し上げたように、先般日本歯科医師会が歯科用放射線防護の指針を会員に発出いたしました折でもあり、よく学会、医師会とも相談をいたしまして再教育の徹底には大いに努力をいたしたいと考えております。  また、対策でございますが、いま申し上げましたような制度上の主な対策についてはすでに触れたわけでございますが、具体的には先ほど来若干申しておりますけれども、まず歯科用放射線機械の改善の問題がございます。現在はほとんど改善済みと思いますが、たとえば放射線を照射する照射筒が昔のような砲弾型の先のとがったものでは余りよくないわけで、ただ筒型になっている方がいいというような問題もございましょう。そのほか若干ろ過板のアルミニウム等量を上げた方がいいかもしれないというような問題もあるかもしれません。そういった機械の問題がございます。また、その次には、いわゆる部屋の構造、設備の問題がございまして、できれば歯科放射線の場合も診療室と操作室があればなお結構なわけでございます。そのような方向に高エネルギーの放射線を出すようなものについては向かっていかなければならないと考えております。  また、患者と従業員の防護でございますが、たとえば鉛エプロンをかけて余分なところに放射線がかからないようにするとか、あるいは皮膚放射線の機械との距離をできるだけ大きくするとか、あるいは皮膚の照射をできるだけ小さくするとか、あるいはフィルムの増感紙を改良いたしまして、照射時間ができるだけ少なくなるようにするとか、そういった具体的な問題がございますが、これもすでに先ほど来申しております日本歯科医師会の指導要領に載っているところでございます。そういった総合対策を推し進めてまいりたいと考えております。
  44. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 同僚の時間を少し使わさしていただいていますから、私も簡潔に聞きますから簡潔にお答えを願いたいと思いますが、私はどうしても医師の再研修が必要だ。それはなぜかというと、いま私が挙げました諸規則の読み方というのが、非常にむずかしい通達を出されている。たとえば私ここに安藤正一教授がお書きになられた「口腔X線診断学」を持っておりますが、これは学生のいわゆる唯一の教科書だというふうに、——私は医学を修めておりませんからわかりませんが、これをお聞きをしました。ところが、この中にやはり誤った解釈があるわけですね。それは「一般歯科診療室で歯科用X線装置一台を使用するかぎりでは、他の医療用X線装置を設置したときのような防護設備を法律によって強制されることがない」と、こう書いてある。私は、やはり少し読み違いじゃないか、これは法律論争をここで細かくやるあれはありません。ですから、こういうことで教育を受けますと、私はだからその意味から言うと、どうしても再教育が非常に必要ではないかということを一つ。  それから、いま一つ盛んに日本歯科医師会の指導要綱を高く評価されていますが、これも一つの大きな欠落があります、それお気づきでしょうか。私はこれを研究しました。これどこに欠落があるかということはひとつ後でお聞かせ願いたい。私はこれに一つの欠落が、あなたが言われたことについての欠落がこの指導要綱にあります。これについてはあなたのお考えをお聞かせ願いたい。私は欠落があると思う。  それから、いま一つ私はこの対策としていろいろ言われましたが、私はまず法律どおりにぜひやらしてもらいたい。それはなぜかというと、レントゲン室というのをつくってないところがたくさんあるわけです。レントゲン室というのは大体一坪でいま簡易レントゲン室というのがございまして、大体五十八万円程度で専門家に聞きましたらできると。せいぜい改造でも百万ぐらいあれば。それから、まあ場所によりますけれども二百万ぐらいあれば改造ができるというふうに言われていますから、私は防護措置一つは医者の再研修。第二番目は法律どおりにやらせるために——医科の場合にはきちっとレントゲン室があるわけですね。歯科の場合にレントゲン室がないところが非常に多いわけです。これは病院はありますよ。ですから、そういう意味から言いますとレントゲン室が、簡易レントゲン室などが開発されていますから、そういうことについてやらせられたらどうか。  それから、第三番目には北海道がいわゆる通牒を出している点は皆さん局長はご承知だと思います。五十一年の十二月八日、北海道の衛生部長が北海道内の各保健所長に通牒が出ています。私はこういうようなことを各都道府県の衛生部長を通じて御指導されたらどうかと思いますが、この点についてどうでしょうか。  それから、最後に今度はこれは大臣にお聞きをしたい。いま言われたように医療監視をきちっとやるとこういうふうに言われました。五十二年度の医療監視について通達が出ていますが、大臣はそこのところを再点検されたでしょうか。あなたが楢崎さんに答えたとおりにやれるように五十二年度にすでに局長通達が出ていますが、大臣としては恐らく通達を出すとき大臣もお読みくださっていると思いますが、その点について大臣読まれて、いわゆるそれは自分が国会で答弁したとおりにきちっと出ているとお考えですか、そうでないのですか。これは大臣にお聞きします。
  45. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 専門的なことはよくわかりませんけれども、重点監視をするということは通達に入っておるように思います。
  46. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) まず第一の、歯科医師の再教育、研修でございますが、御指摘のとおり非常に大切でございます。したがって、先ほどもお答えしたように、学会、日本歯科医師会ともよく相談をして、できるだけ早く普及徹底できるように配慮をしたいと考えております。  第二は、日本歯科医師会の先般の指導要領に大きな欠落があるというような御指摘でございます。これは私どもとして申し上げれば、先ほども申し上げましたけれども、パノラマ撮影装置のようなものは、これはきちんと診療室をつくってやらなければならないということを、従来から指導しているわけでございますから、それは守っていただきたい。その辺があいまいであると考えております。また、先生御提案のように、簡易診療室あるいは防護室、そういったものを活用するということは一つの考えではないかと思います。  それから、対策は法律どおりきちんと守ってもらわなければならないというのは当然でございますが、先ほどの御指摘の北海道の昨年十二月の通達につきましては、その前文にございますけれども、若干北海道行政当局の誤解があるようでございまして、従来の解釈に誤りがあったわけではございません。先ほども申し上げましたように一週について二千ミリアンペア秒以下の場合には一・五メートル以上離れればというようなことが放射線医学的な根拠から定められているわけでございます。したがって、すべての歯科診療所について特別な放射線診療室を設けるということはいろいろと問題があろうかと思います。先ほどの先生のお話でも五十一年の古本先生中間報告で週四十三回というふうになっているようでございますから、非常に頻度の少ない、またパノラマ撮影等を行わない施設については、特別な部屋をつくる以外の防護の方法もあるわけでございまして、これはやはり一種の国際的なコンセンサスにもなっていようかと思います。しかしながら、今後を展望いたしますと、だんだん需要がふえるということも事実でございますから、できるだけ一般歯科診療所においても先ほどのような簡易防護室のようなもので結構であるから整備をしていただくというような御指導は今後も続けてまいりたいと考えております。したがいまして、いま直ちに北海道衛生部が発出したような通達を、指導要領を各都道府県に発出するように要望する考えはございません。
  47. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 それじゃ最後ですがね、北海道の前文の解釈のところはさておきまして、私もただ、これはあなたがお出しになったと思いませんが、前に出されたやつが非常に読み方がなかなかむずかしいんですね。そういう意味で私は言っていることは、やはり疑義解釈的にきちっとわかるようなことを出してもらいたいということを言っているわけで、北海道の前文をぼくは肯定しているわけではありません。ですから、その点はよく、たとえばいまさっき申し上げたように、私は安藤先生もそこのところを少し読み違えられてるんじゃないかと、こう思いますから、そういう専門の先生ですら読み違いをされるぐらい、これは教科書になっているというのですからね。そのことを言っておるわけですから、その点については善処をしてもらいたいと思います。  それから大臣、そうなっていると言われてますが、実は一番予算委員会で問題になったのは、歯科が問題になったわけですよ。ところが、この通達見ますと、診療放射線の管理体制ということで、いわゆる五十二年度医療監視及び経営管理の指導実施についてということで、歯科の歯の字も書いてない。ですから、私は、これは恐らくそう言えば、いや歯科だけじゃないんだ、ほかにもあるとあなた言われるかもわかりませんが、その際、特に歯科についてはということが私は入ってしかるべきだと思います。そこで聞いたわけです。ところがあなたは、いやそれはもうちゃんと出ていると言うけれども、歯科の歯の字も、私この通達を全部勉強しましたが、入ってません。だから、私は改めて歯科がいま問題になっているわけですから、歯科についてのいわゆる監視ですね、指導監視について通達をぜひひとつ出してほしいとこう思います。  それから、歯科医師会のやつで抜けているというのは、どうも局長お気づきでないようですが、これの中で私は四つの規則を言ったわけです。その中でいわゆる自分の診療所外に漏れているかどうかということの測定をしなきゃならぬことになっていますね、毎月一回ないし六カ月に一回。そのことはこのパンフ、これを見られて言っておると思うんですが、この歯科医師会の指導には一つも書いてないんです。他人様に一番迷惑をかけている、いわゆる自分の診療所以外に漏れて迷惑をかける場合があり得るわけです。そのことについて日本歯科医師会の指導要綱には、いわゆる法令で定められた月に一回ないし六カ月に一回測定をしなきゃならぬということについての指導がこれは欠落をしているということを私は言っている。だから、こういう点についてひとつ今後きちっとした、せっかくこれを高く評価されるならば、そういう指導も高めてもらいたいと思いますが、以上をもって終わりたいと思いますが、お考えがあれば聞かしてください。
  48. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 医療監視実施前には、毎年各県の担当官を集めて指導をしておりますけれども、本年のその打合会におきましては、特に歯科診療所パノラマ撮影等については重点的にできるだけやるように指導をいたしております。  また、先ほど御要望の歯科用放射線装置の監視について特別な通達を出すことにつきましては、これはやはり一般医家との均衡もありまして非常に慎重を要するところでございます。  なお、日本歯科医師会の指導要綱に対する御指摘は、表の要約のところはまさにそのように、御指摘のようにはっきりいたしておりませんが、その後の方に法令の抜粋等が載っておりまして、それを補足するような形になっております。
  49. 安恒良一君(安恒良一)

    安恒良一君 最後ですが、こう言えば、すぐ口頭でそうやったと言う。しかし、私たちは判断をするときには、あなたたちが出した医発の五五九号を見るしかないんですよ。そういうのは私は言い逃れだと思う。少なくとも文書で出しておかないと、こうして詰められると、いやそれは口頭で指導をしたんだとこう言われる。口頭で指導するぐらいなら、なぜそのことがこの文書の中に入らないのか、私はぜひそういう重要なことは文書でひとつ入れてもらいたい。大臣、その点どうですか。局長聞いたってだめですよ、言い逃ればっかりするんだから。大臣あなたが催促されるんだから。文書でそういうものを、いま言われたようにしたと言うのだから、したならなぜ文書に入れないんですか、この局長通達の中に。その点大臣お答え願います。
  50. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 十分検討いたしまして、必要なものは文書にいたします。
  51. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 時間が多少少なくなりましたが、できれば四つぐらいの問題について大臣あるいは関係局長にお尋ねをしたいと思います。  まず一つは、最近、国民の間に認識が高まってきました難病中の難病である腎臓病、腎不全、この対策について国がどのようにやっておるかということについて若干質問をしてみたいと思います。そこで、まず最初に、いま全国で腎臓患者がどのぐらいいるかということと、それから最近透析患者がふえておるわけですが、透析患者の動向それから死亡ですね、亡くなっておる数、こういった統計があると思いますが、まずそれをお聞かせをいただきたいと思います。
  52. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) まず、透析患者数でございますが、五十一年は一万八千十人となっております。この内訳がございませんので、五十年の数字について申し上げますと、透析患者数は一万三千五十九人、潜在患者数が五万八百人、死亡者が七千三十八人となっております。
  53. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 私も若干資料を持っておりますが、いま局長から答弁がありましたように、かなり最近は透析患者がふえておるわけです。しかも死亡者もいまおっしゃったように七千人からある。こういう、非常にこれは危険な病気なんですが、そこで国としてはこういう病気に対して原因を究明する、治療の方法を調べる、それから、生活実態も調べるというような体系的な調査というものをして、それに対応する対策というものを当然国はしなきゃならぬと思っておるわけですが、どうも私の調べたところでは、そういう国自体が積極的に内容調査をするというようなことがやられていない。患者の団体に頼むとか、あるいは一部の団体に頼むと、こういうようなかっこうになっているようでありますが、なぜ国自体が積極的に予算を組んでそういう調査をしないのか、まずこの原因を、理由をお聞かせいただきたいと思います。
  54. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 腎障害に関する調査は、先生も御存じのように昭和四十六年に厚生省も行っております。また、私どもはそろそろもう一度調査をしなければならないと考えまして、明年度約七百六十万円の予算を要求しているところでございます。そのほかに腎透析のりっぱな学会がございまして、ここが非常にりっぱな調査を毎年なさっておりますし、また患者の団体の調査等もございます。しかし、厚生省としてもできるだけみずから費用を出して調査をいたしたいと考えているところでございます。
  55. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 五十三年度にはそういう調査の予算の要求をしておるということでありますが、昨年も一昨年もそういった要求が厚生省の方からは出されておるように私は聞いておるわけです。そうしますと、せっかく二回にわたってそういう要請を財政当局に出しながら、財政当局の方からけられたというかっこうになっておるわけですね。ですから、いま局長がおっしゃるようにいろいろと弁明があったわけですけれども、五十三年にそういう予算を組むと言っておるけれども、実際はまた五十三年は通らないではないかと。しかも、いま報告があったように、かなり厳しい患者の数がふえ、一方においては年間相当な数が死亡しておるという、こういう重大な病気に対して、私は財政当局が恐らく金の問題で言っておると思うのでありますが、もっとやっぱり積極的にこの対策を、そういう調査をやってもらわなきゃならぬと思うのですが、大臣はこの点、来年は必ずそういう予算を組みますと、そういうことがここではっきり言えるかどうか、まず大臣質問します。
  56. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 名目はどういうような名目になるかわかりませんが、実態的にそういう調査ができるようにいたします。
  57. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 そういうように私も期待します。  そこで、この中身に入っていくんですが、全国を見まして特に透析患者の、透析ができる施設、病院ですね、これが地域的に偏在しております。これは当局もそういうふうにお調べになっておると思うのですが、ところが、実際はどうも都市部に偏在をして、離れ島とかあるいは山間地域に行きますとそういう施設がないので、透析をする時間は御承知のように一回に、人によるけれども五時間も六時間もかかる。しかも、週に重い人は三回、平均して二回は行っておる。そういうような状況でありまして、地域によっては非常に不便を感じておる。不便どころではなくて、その人が生活に非常に大きな影響を来しておるわけです。ですから、そういう施設を私は偏在せずに全国的にまんべんにこの施設をやるべきだと、こういうふうに思うのですが、なぜそういうふうな偏在した形になっておるのか、理由を含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  58. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 昨年十二月末の透析機器の保有台数は九千二百台となっております。その機械によって収容できる患者の数は二万五千名であろうと学会の方で推定をいたしております。したがって、日本全国のマクロで見ますと、かなりいいところまでまいったと考えております。それは先生方の御要望もございましたので、四十七年度から四十九年度にわたって全国の国公立病院に特別な整備を行いまして、地域的な偏在を是正するように努めたからでもあろうと考えております。しかし、御指摘のように、まだミクロで見てまいりますと、幾つかの地域では人工透析が近くでできないというところがございます。したがって、そういう点につきましては、各県の方で各県の医療計画を作成中でございますので、そういったところでよく計画を検討していただきまして、必要なものについては国の方も応分の援助をして整備をする必要があろうかと考えております。
  59. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 四十七年から五ヵ年計画で実施されておるわけですが、それを再調査をして各自治体の方でもって、自治体というか、地方でもってそういう要求があれば応分の援助をするということでありますが、公立病院に対しては国の助成が二分の一あったと思うのですけれども——ですね、違いますか。
  60. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 三分の一です。
  61. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 三分の一ですか。——大体そういうような基準でこれからも充足に協力していくと、こういうことでありますね。そういうふうに確認をします。  それから、時間がございませんから、そこでもう一つの問題は、夜間透析の問題であります。私の調べましたところでは、昨年の十二月現在で、いま局長がおっしゃったように、透析患者が全国で一万八千十名という数字が出ておるわけですが、昼間透析は一万三千八百六十四人、夜間が三千七百二十一人で、この比率からいきますと夜間透析が約二〇%ですね。約二〇%。そこで、私は夜間透析ができるようなぐあいにもっと広げてもらえないだろうかという意味で質問をするわけです。なぜ、そういうことを私が申し上げるかと言いますと、これはまあ国の方としても十分に調査をされておると思うのでありますが、透析ということになりますと、週に二回、三回透析をしなきゃならぬと、もうすでに一回に四時間も五時間もかかるわけですから職場を離れなければならない、それがずっと何カ月も続くわけですから、どうしても職場を追われていくようなかっこうになるわけです。ですから、私は社会復帰というそういった患者の人の生活を保障するという意味で、やはり、夜間透析をしてあげるべきであると、こういうふうに感ずるわけですが、夜間透析の増設について国はどういうふうにお考えになっておるか、その点であります。
  62. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 御指摘のように、夜間透析のできる施設の数ももっとふやさなければならないと考えております。しかし、これは先ほども申し上げましたように、各県の各地域の具体的な医療のニーズに対する対策でございますので、各県知事にお願いして、いまそういった計画を検討をしていただいているところでございます。
  63. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 局長、いま全国で検討しておるというのはどういう意味ですかね、それは。
  64. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 具体的に申し上げますと、各県を自治省の申しております広域市町村圏の単位にいたしまして、少なくともその圏内では必ず患者さんが利用できると、そういうふうな計画を立ててきたところでございますが、さらにそういった地域の中でも、もう一カ所別につくらなければならぬというようなところも実際にはあるわけでございます。そういった点は、やはり地元の都道府県知事が計画をおつくりになるのが一番適切でございますから、特にこの腎透析のみについてお願いしているわけではございませんけれども、救急医療その他も含めて、救急医療、僻地医療も含めてそういった計画を早急に立てていただくようにお願いをしているところでございます。
  65. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 いまの計画を各自治体にお願いをしておるというのは、期限が切ってあるかどうかという問題をお聞かせを願いたいと思います。それは後でいいですから。  それから、私は、その夜間透析がおくれておるというのは、確かにそれは病院の側としても、夜よりも昼の方がいいわけですからね。これは経費もそうですし、やっぱり病院はそういった夜やるということは感じとして病院側はきらうと思うんですね。  それからもう一つは、いまの診療報酬からいきますと、点数からいくと、昼と夜とが同じようになっておるようなぐあいに思うんですが、やはりそれも変えないと、やはり夜の方が経費がよけいかかる、そういうことが夜間透析がきらわれておる理由になっておるというふうに思うんですが、そのことも含めてさらに答弁を願いたい。
  66. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 私どもは、各都道府県の地域医療計画は、できるだけ早く出していただきたいというお願いをいたしております。  それから、夜間透析は、先生指摘のように、やはり職員の配置の問題もございますし、超過勤務手当、その他の諸経費の問題もございまして、そう簡単にはまいりません。しかし、必要なものはどうしても最小必要限度整備しなければならないのでございますから、そういう努力をしようと考えているわけでございます。  なお、腎透析の社会保険の点数についてはいろんな問題がございますけれども、これは保険局長からお答えいただきたいと思います。
  67. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 診療報酬の問題でございますけれども、特に現在の診療報酬体系が昼間なり夜間というようなことでやっておりませんし、現在の人工透析のあり方につきましても、昼間が原則というような形をとっておりますので、いろいろむずかしい問題がございますので、直ちに夜間分というようなことで点数の中で見るというのは非常にむずかしいと思います。点数は一体としてやっておるものでございます。
  68. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 私も専門ではないのでわからないんですけれども、やっぱり昼と夜とが一緒ということは実態に合わないと思うんですね。ですから、それは点数の改正ということでありますか、そういう必要、夜間透析をやるということになれば点数の改正もしなきゃならぬというふうに思いますが、局長、どういうふうにお考えですか。
  69. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 医療機関の方の業務の体制の問題にも関連してくるわけでございまして、そちらの方の問題とも関連するわけでございますけれども、現在の診療報酬体系というものは、昼間なり夜間も含めまして全体としての点数表というような形でございますので、特別に、いま救急医療等について配慮はございますけれども、現段階で、今後の中医協等で御論議いただく問題ではあろうと思いますけれども、いま直ちにどうするという結論は非常にむずかしい問題であるというふうに考えております。
  70. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 局長、確かにいますぐそれを改定するということはむずかしいかもしれないけれども、検討する余地はあると、検討してみる余地はあるということにはなりませんか。
  71. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 社会保険診療報酬の点数の中で見ますのは、病院なり医療機関におきます実際にどういうような勤務が行われるかといようなことが基礎になるわけでございますので、実態がそういうふうになってきた場合にどうするかということでございますので、病院なり診療所におきますそういう勤務体制と申しますか、そちらの方のあり方とも関連する問題であるというふうに考えております。
  72. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 それでは後で私も勉強してみましよう。  それに関連をしまして……それに関連ではなくて、この透析患者の、先ほど地域偏在をなくせということを言ったのですが、それに関連をして、透析患者が病院に通う通院費であります。これの負担の問題について質問をします。  御承知のように、先ほど申し上げましたように偏在しておるわけですから、かなりの時間をかけて病院に通わなければならない。そのために通院費が要るわけです。これは一週間二回ないし三回を病院に行かなければその人は死んでしまうのですから、どうしても行かなければならぬ。まことにこれは気の毒な病気だと思うのですが、そのために交通費がかかるわけですね。これを何とかひとつ公費負担でできないだろうかということで私は質問するわけですが、国鉄運賃の割引の問題でありますが、身体障害者には国鉄運賃の割引制度というものが現在あります。ところが、同じ身体障害者でも内部疾患の心臓とか呼吸器とかあるいはいまの腎臓患者ですね、こういった内部疾患の人には割引がないわけです。まことにこれは不合理だと思うのです。いろいろ身体障害者もあります。目の見えない人、耳の聞こえない人、手のない人、足のない人、そういった人たちに割引の制度があるということはそれなりにいいわけですけれども、腎臓病の患者の人は雪が降ろうが雨が降ろうが台風が来ようが、病院に行かなければ死んでしまうのですから、ですから当然ぼくは優先的にこの人たちには割引があってしかるべきであると思うのですが、この点について、だれにお尋ねしますかな——どうなっておるのか、私の考え方について答弁願いたい。
  73. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) いま御指摘になりましたように、内部障害者については国鉄運賃の割引がないわけでございます。そこで、厚生省としましては、運輸省なり国鉄当局に要請をしておるわけでございますが、御案内のように、国鉄の財政事情そのものが火の車であるというふうなことから、非常にむずかしいというふうに聞いておるわけでございます。
  74. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 国鉄の方はお見えになっておりますか。——いずれ後で聞きますが、局長の立場で、あなたの立場で、あなたがいまおっしゃったように、国鉄の財政事情だろうけれどもということですけれども、実態として矛盾はお考えにならないかどうか、不合理だなというふうにお思いにならないのか、局長のお考え方を聞かせていただきたい。
  75. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) 身体障害者に対して国鉄の運賃割引というものがいかなる理由であるのかという点は別にいたしまして、現在外部障害について割引がある。同じ身体障害者手帳の交付を受けながら、内部障害についてはないというのは不公平じゃないかというふうに思うわけでございます。ただ、いま御指摘になりましたように、内部障害患者さん、ことに人工透析を受ける患者さんが病院に通う、そのために運賃割引があった方がいいという問題の提起のされ方でございますけれども、現在単独乗車で国鉄運賃が五割引になりますのは百キロメートル以上ということでございますので、これは、日々通院をして透析を受ける距離としては相当長い距離になり過ぎるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
  76. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 局長、そのことは私もよく知っとるんです。ここに手帳に書いてあるのです、百キロ以内ということは。そのこと自体が現実に合っていないからいい制度に変えていくというのがわれわれの立場ですから、一週間のうち二回ないし三回は通わなければならないという、しかも生活というものは非常に悪くなっておるわけでしょう。ですから、私はそういう答弁ではなくて、そういう気の毒な患者の人を何とか守ってあげなければならない。そういう考え方に立って、私は国鉄当局に要求されるべきであると思うのです。  四十二年にそういうことを運輸省の方から内部疾患は除外するという通知があったときに、厚生省保険局長ですか、そういった名前で国鉄当局に対して同様に取り扱ってもらいたいということが出ておるわけです。私はそのことはよかったと思うのです。しかし、それから十年たっておるわけですが、ただ出しっ放しでなく、どういうふうになっておるかということをお聞かせ願いたいと思うのです。
  77. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) 四十二年に内部障害が対象になりましたときに、いまお話しになりましたように、国鉄運賃割引の対象にはなりがたいというふうな通知を受けたものでございますので、それを自治体に連絡すると同時に、運輸当局、国鉄当局には社会局長の名前で今後検討してもらいたいという要請をいたしました。こういった要請は四十二年にとどまりませんで、最近でも四十九年あるいは五十一年というふうに出しておるわけでございますが、さっき申し上げたような事情で困難でございます。
  78. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 では、運輸省からお見えになっておるわけですが、割引をしておるという理由はあると思うのですが、内部疾患と分けておるというその理由を簡単にお聞かせ願いたい。
  79. 説明員(須田寛君)(須田寛)

    説明員(須田寛君) お答え申し上げます。  現在、先ほど御指摘ございましたように、国鉄の身障者に対します割引で、内部疾患には確かに割引をいたしておりません。これは当初この割引をいたしました当時の身障者の範囲でやりました沿革的なものでございますのですが、その後確かに厚生省の方からもいろいろ御要望がございますのですけれども、先ほど御説明のございましたような財政事情にあるものでございますから、現在公共割引全体につきまして、むしろ再検討をお願いしておるようなやさきでございますので、その後割引の範囲を追加しないで現在に至っておる、こういう事情でございます。
  80. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 財政事情ということはよくわかりましたが、その公平という原則から言いますと、矛盾をするというふうにお考えになりませんか。
  81. 説明員(須田寛君)(須田寛)

    説明員(須田寛君) 個々にとりました場合には、先生指摘のような見方もあろうかと思うのでございますが、実はこれ以外にもずいぶんいろんな割引の御要請がほかにございまして、やはり割引の範囲を変えるということ自体にも、全体の動きを見ながら変えなきゃいけないという事情がございますので、個々にはいろいろな考え方もあるかと思いますし、先生の御指摘も十分わかるわけでございますが、ちょっと具体的な対策としていまここでそれが不公平だから実施をする、そういうふうなことをちょっと申し上げかねる事情でございます。
  82. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 このことについてだけは、この身体障害者に対する割引の制度については矛盾があると、こういうふうにあなたはおっしゃったと確認をいたします。それで時間がありませんから。  次は、移植の問題についてお尋ねをいたします。  ことしの六月から移植の登録が始まっておるようでありますが、現在までに移植をした件数はどれだけあるか、それからその実績ですね、生存率、そういうものを簡単にひとつ答弁願いたい。
  83. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま手元資料がございませんが、日本における実績は約七百例足らずであると記憶いたしております。  また、生存率でございますが、これはなかなか学者によって、また各国の学会において問題がございます。世界各国見ますと、最長生存年数は二十年という報告もございますけれども、平均で見てまいりますと、やはり五年程度までしかはっきりしていないと考えております。
  84. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 約七百名というのがいままでの国が調べた結果でありまして、最近の実績でありますから、私もいろいろ勉強してみまして、かなり生存率が高くなっておるとこういうふうに理解をします。  そこで、これは私の調べたところでは、一回の移植に大体二百万から最高三百万円、そのぐらいかかるように聞いておるわけでありますが、いままではこれは保険の点数になっていなかったわけです。点数制が設定されていなかったわけですから、いままでの分はどういうような点数で、どういう病名でやっておったかということをひとつお聞かせ願いたいということ。  いよいよこれから本格的に登録制もして移植をするということになるわけですから、従来のような数ではない、たくさんの希望者があるわけです。提供者もあるわけです。すでに、国内で千七百名ぐらいの提供者があるように聞いておるわけですが、だんだんこれはふえていくと思うのであります。移植する数はふえると思うのでありますが、その場合のその治療費、手術代ですね、それはどこが負担をするのか、いままでの実績と将来これからふえるであろうという、そういうものに対してだれが負担をするのかということをお聞かせ願いたい。
  85. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 先生指摘の腎臓移植の問題、現在は保険の給付になっておりません。したがいまして、これは保険の対象になっていないということで患者さんが御負担になるということだろうと思います。  それから、いずれにいたしましても、腎移植の問題、先生指摘のように、一つのこれからの方向でございますし、さらに最近では成功例等もございますし、かなり患者の生存率なり生着率というのも高まっているわけでございまして、そういうような意味から、一つはこれは医学的な問題でございますから、腎臓を提供する側の方と、受ける側の方と、両方の医学的な安全性の問題もあるわけでございますけれども、最近の傾向等もございますし、現在学会でいろいろ御議論いただいているわけでございます。したがいまして、新しいこういうような技術体系ということができておるわけでございますから、今後の方向といたしまして、学会で十分御意見を承りまして、学会の御意見をいただいた上で保険の中に取り入れるという方向を研究いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  86. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 ちょっと私の質問の仕方が悪かったかな。いままでは保険の対象になっていないわけでしょう。七百件実施されたわけでしょう。どこから金が出たかということを聞いておるわけですよ。  それからもう一つは、すでにそういったことが、国も移植のいわゆる登録ということについては協力するわけでしょう。そうしますと、これはふえるわけですよ。その場合にだれが負担をするのですか、個人が負担をするのですか。二百万円も三百万円もの金をこの生活条件の悪い患者に持たせるのですか、そこのところを聞いておるわけですよ。  ですから、あなたが言うように、学会においてもこれは研究されておるということなら、もう一歩進んだことにならなければならないのじゃないですか。移植をしてください、お願いしますということを国民お願いをしながら、その金はだれがどこから出すか、しかもまだ保険の対象になっていないというような——私はそういうところが一歩進んだことがなされていないのではないかと思うのですが、そのことを含めて答弁願いたい。
  87. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 確かに将来の問題といたしまして、保険の中に取り入れるということになりますれば、これは医療保険制度によってカバーできるということになるわけでございますから、現在の被用者保険の家族の三割、あるいは国保、家族三割、しかも高額療養費制度がございますから、高額療養費制度の範囲内で御負担ということでございますけれども、いずれにいたしましても、この問題を保険の給付に取り入れるということにつきまして学会の御意見をいただいて、学会でやはり医療保険の場合には医学的な問題でございますから、保険の給付に取り入れるべきであるというふうな医学的な結論が出たという段階で、この問題は保険の問題として取り入れたいと思います。
  88. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 私の質問にどうも局長合っていませんよ。それじゃ、いつごろを目算にしてこういうような国民皆さんに移植を奨励をするんですか。去年は大体百件ぐらいでしょう。ことし仮に五百件できた場合には、その金はだれが出すんですか。そういう見通しも立てないで移植を、登録を奨励するというのはおかしいじゃないですか、大臣この答弁、変に思われませんか。片一方においては移植をしてくれということを宣伝をしながら、裏づけになるそのときの金はまだ実は学会の方でひとつ先生方にお願いをしておるというような、そんなことでは実態が符合しないんじゃないですか。
  89. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 腎移植をやりましたときの医療費を一般的に申し上げますと、一部は研究段階でもございましたから、各大学研究機関が研究費で支出していたものもあると思います。また、一部は非常に所得の多い方々で、自分で、先ほど御説明のございましたような二百万、三百万というような費用を負担した方もあるかと思いますが、最近はだんだんと自己負担がふえてきているのではないかと考えております。
  90. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 聞いていることに答弁していませんよ、局長は。大臣どう思われますか。一回に二百万から三百万かかるんですよ、これは、移植すればね。しかし、それは保険の対象になっていないから、だれが負担をするかということ。いままではいま局長がおっしゃったように、病院等で研究の段階でやっておったと、ね。それで、私はこれは、この厚生省の方から出たこれ見ると、もうすでに実績から見てももう保険の対象にすべきであると学会の先生方もそうおっしゃっておると、こういうふうに厚生省担当課の方では言っておる筋もあるわけですよ。だから、私は前向きに大体目算をいつごろにして、そしてこれを保険の対象にするようにこの申請もしたいと思うと、それまでの費用はこうするというような前向きの答弁があってしかるべきだと思うんです。というのは、何回も言うようですけれども、この人たちを少しでも長生きさしてあげようということで、国民に向かって移植の登録制というものを始めたわけでしょう、ね、符合しないじゃないですか、大臣答弁してください。
  91. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) 答弁をちゃんとやってくださいよ。
  92. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 私の言っていることはわかるでしょう。
  93. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) わかりました。よく質問の御趣旨はわかりました。  その登録制を認めるようにいたしましたのは、認めないよりも認めた方がいいから、登録制を、その団体を厚生省は許可したわけなんです。そこで、それじゃ保険にしたらどうだと。保険にするということになれば、当然これは国も補助金を出しまして、保険制度を守っておるわけですから、また、その点数化するという場合には幾らにじゃ決めるんだと、点数幾らにするんだというようなことなどについていろいろ学問的な問題もございます。したがって、私どもの方といたしましては、学会に聞いておるということは、これは点数をつけて保険の中に取り入れたいという気持ちがなければ聞かないんですよ。そういう気持ちがあるから聞いておるのであって、そう長い時間は私はかからないであろうと、われわれはそういうように考えています。したがって、これは時間の問題でしてね。ただ、心臓手術が仮に始まったときも、保険に入れる、入れないという問題があったときも、かなりまあ例がいろいろ出て、それから心臓手術というものもこれは保険に入れるようにしたわけですから、それは団体つくったからすぐにあしたというわけになかなかいかない。いかないけれども、いろいろ検討をしながら、妥当な点数も、幾らの点数がいいのか、どういうふうなところまでがいいのか、いろいろ検討してもらって、その後でこれは保険の中に取り入れる方向で検討をしておると。
  94. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 まあ早く検討しておるということで、大臣それで私も了解しましょう、不満でありますが。  そこでね、ことしから私の思うところでは、移植をしてもらいたいという患者もかなりあるわけですね。してあげようという人もあるわけですわ。ですから、従来よりもかなりふえると思うんですね。言っていること、同じこと言っているわけですよ。その場合に、結局二百万、三百万というのは、いま、きょう実施すれば一まだ保険の対象になっていないわけですから、いま実施すればその金はとにかく個人が負担をしなければならないと、こういうことになるわけですね。その点。
  95. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) それはそういう制度がまだできていないわけですからね。できていない間は個人が負担する、制度ができなければいつまでもそういうことになるわけですね。ですから、いままでもそうなっておるわけですよ。ですから、まあその間急に、保険に入れるまでの間はどうするんだと言われましても、その制度ができない以上は、これは個人が負担をするということになっているわけです。
  96. 広田幸一君(広田幸一)

    ○広田幸一君 一般患者の人たち、それから移植をしてあげようという人たちは、そのお金が個人の負担になるというふうな理解はしていないと思う。ほとんどの人がしていないと思う。これは国が見てくれるかあるいは病院がやってくれるか、そういうふうな認識に立っておると思うのですよね。私はそういう点をいま私が質問した、大臣答弁されたことを、もっと国民皆さんに教えてあげなければならない。私はまことに不親切なやり方だと思います。それだけは私は確認をしておきます。  時間がありませんからね、若干物足りないのですけれども。  それは大臣、本当に、私も先般登録したわけですよ。気の毒な人たちに、それを登録したから、いつでもあげようと言っているのですよね——死なんといけませんがね。しかし、それは本当にあげようと思っておるのですよ。私はそういう本当に透析患者というのは、あなたが透析患者と言われたときは、本当に死刑を宣告されたような思いですよ、みんなね。何年生きるかわからないんですから、本当にそういう人たちの立場を考えると、移植をしてあげなきゃいけないという運動は正しいし、国民的な協力をしなきゃならぬと思っておるわけです。しかし、その金が二百万、三百万を本当に個人が負担をすると言ったら、ほとんどする人はいません。私はそういうように、実態と合わないような、そういうさっき言ったように、任意団体がやっているけれども、新橋にあるでしょう、普及個所が。あそこにも国が何ぼか補助しておるでしょう。補助しておるということは、その運動を認めているということですよ。認めているということは、そういうことも一連の国が施策を同時にやっていかなきゃならぬということになるわけでしょう。大臣、そのことはひとつ将来の問題として本当に親切に国民皆さんに知らしてもらいたい。  以上で終わります。
  97. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時八分開会
  98. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  99. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 初めにカネミ油症の問題について質問をいたします。  昨日の予算委員会で一言関連質問をいたしましたが、とにかく時間がないことと、また答弁する厚生大臣厚生省側もそう時間をかけて答弁できなかったと思いますので、改めてお聞きいたしたい点がたくさんございます。  第一に、食品を製造する責任について、安全に対する責任についてです。この点については、予算委員会答弁では、すでに判決以前、十月五日判決以前からいろんな手を打ってきているという答弁でありました。これはいろんな手を打ってきていると思いますが、私が質問する観点は、いままでの考え方だと、直接PCB入りの油を売った、そこで被害が発生した、そういう場合、カネミについての行政上の指導安全に対する指導、こういうものはあったと思いますが、そこへPCBを提供した鐘化についての責任、その鐘化についても、PCBを製造、販売した責任が、過失の責任があるという、そういう判決のわけですから、こうした食品に対する安全性、高度の安全性を確保する意味において、厚生省として、食品の安全確保のためには、直接食品を製造、販売するその企業はもとより、そこに材料その他を、資材等を提供する企業にも安全に対する責任があるという、そういう判決を受けて、何らかの安全対策をとられましたかと、これが第一点です。
  100. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) ただいま、昨日大臣の方から、通常の食品衛生法で監視、指導体制とか添加物の安全対策、それをやっておると、こういう御答弁を申し上げましたが、実は本件が発生した後、四十三年に発生したわけですが、その後この問題に関しまして一こういうことの防止、つまり、いま先生おっしゃいました製造した元にも、その食品と関連しての責任があるということでございますが、それでその後、食品衛生法の施行令を改正しまして、油脂製造業をまず許可業種にしたということが一点でございます。それから、その後食品衛生法を改正しまして、四十七年に有毒物質あるいは有害物質の混入防止の措置基準というのを定めたわけです。これは、また別の観点で申し上げますと、どういう措置基準かと申しますと、たとえば熱媒体のその量を測定するとか、あるいはその熱媒体の保管を厳重にするとか、それから、できました製品、それを試験をするとか検査をするとか、そういう検査法なども定めまして、それでつまりもとの入り口から何が入ってこようとも、出口のところで十分押さえられるという、こういう措置をとったわけでございます。したがいまして、いま判決がありましたが、この判決にも十分対応できると、こう考えております。
  101. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 そういたしますと、厚生省としては、カネミは言うまでもなく、鐘化の立場にある企業にも十分安全を守らせる、責任を持たせるという体制になっていると、こういうことですか。
  102. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) その時点におきまして——まだ判決のない時点でございますが、やはり食品に関しましては、二重にも三重にもいわゆるダブルチェックをしても、やはり安全を守らねばいけないという観点に立ちまして、念を入れて、もうたとえその熱媒体のもとが有毒のものであっても、出口のところで押さえられる、こういうことにしたわけでございまして、もちろん、その有毒なものでない、なるべくは有害性のないもので将来は代替をしたいと、そういうふうに考えております。
  103. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 そうしますと、熱媒体にはいま有毒なものを使っているんですか、そうでないんですか。
  104. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) ただいま熱媒体の措置基準を決めたと申し上げましたが、熱媒体に入れるものとして、たとえば、ジフェニール・ジフェニールエーテル系とか、メチルナフタリン系とか、そういう系統の熱媒体六つを決めまして、それの検査基準措置基準として決めたわけです。これはPCBに比べれば全く無毒とは言いませんが、ずっと毒の、有毒性は低いものでございます。
  105. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 厚生大臣が、きのうのお話では、鐘化に対してはすでに話をしてあるということでしたでしょうか、和解が一番いいとおっしゃっておられましたが、ということは、カネミのみならず鐘化も含めて、和解のテーブルに着くことがいいことなんだと。要するに、私がそのとき伺いたい観点は、カネミに対しては厚生省は行政指導ということで、いろんな指導をしてきていると思うんです。ところが、鐘化に対してはいままで指導をなさったのかどうか。特に、判決が出た今日の時点で、鐘化も責任をとり、和解せよという観点で行政指導なり、お話をなさっていらっしゃるのかどうか、その点はいかがでしょう。
  106. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) いまの判決がある前から、患者団体はもとよりカネミ、鐘化に対しましても話し合いということはやってきたわけでございます。まあ話し合いと申しましても、行政的に正式にこういう指導をするとか、そういうことではありませんが、話し合いということで、やはり患者を一日も早く救済したいという考えもありまして、話し合いというのをずうっと続けております。現在、この判決のあった時点におきましても、ただいま判決の後でそれぞれが混乱はしておりますが、その話し合いは引き続き続けていきたいと思っています。それで、和解というか、話し合いによって、これが解決するということは非常に望ましいことであるとわれわれはそう思っております。
  107. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 カネミに対しては、患者団体も交渉に行っておりますし、厚生省も話をしてきたでしょうと思います。しかし、鐘化の方、鐘化側は患者団体に会おうともしませんし、いまなお会おうともしていない。したがいまして、厚生省の側から鐘化に対しても同じように、まあ話し合いに着けと、あるいは鐘化側も話し合いに応ずるというような話になっておりますか、どうですか。
  108. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) ただいま判決のあった時点以降におきましては、まだそういう具体性の話はございません。しかし、そのカネミと鐘化と、両被告でございますが、その間も十分な疎通がなかったという問題もございます。それで、まあ現在それぞれの意見がございますし、その意見は尊重しなければいけませんし、それで、非公式な話し合いということで、少しずつ話を煮詰めていきたいと、こう思っております。
  109. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 したがって、鐘化も含めて非公式な話し合いをやってきたと、こういうことですね。——そういうことですね。
  110. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) そうでございます。
  111. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 これは厚生大臣、きのうも申し上げましたように、政府の姿勢としまして、確かに控訴するという権利はもちろんありますが、しかし、被害者の救済を優先すべきだといって、公害事件の判決の出た後、通産大臣とか環境庁長官が控訴すべきではなかったとか、控訴した者に対しまして、控訴すべきではなかったとか、あるいは被害者の救済を第一に考えた場合に、チッソのように控訴権を放棄するということは当然のことだというふうな見解発表をやっているわけです、いままでも。今回は大臣は見解を発表するお気持ちはありませんか。
  112. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) いま局長お答えをいたしましたように、これは法律上の問題じゃないものですからね、法律的に食品衛生法の施行令で油脂製造業というのを許可する以前の事件なわけですよ。したがって、強権力をもってともかく話し合いをやるんだと命令するわけにはなかなかいきません。だけれども、ともかくそれだけの知名度のあるところでもあるし、こういうような問題でいつまでもごたごた後へ尾を引いたからといって何もプラスはないではないか。患者を救済をして、それは社運の名誉挽回をした方がいいのじゃないかという意味での話し合いというものはやっていただくように進めてまいりたいと、こう思っております。
  113. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 ここで申し上げるまでもなく、鐘化については、食品工業の熱媒体としてカネクロールを推奨販売した点に過失があったということ、販売に際してユーザーへの毒性の情報提供が不十分であったというような点で、判決では過失責任ありとされているわけですから、したがいまして、厚生大臣がいまおっしゃったこの前段の方は、強制力はないがという——まあ、強制力はないでしょうが、私は、過去の判決の時点で環境庁長官等が発言なさった程度の、そういう判決があったんですから、そういう判決に基づいて救済を急ぐべきだということ、そういうことでよろしいですね、大臣
  114. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 法律上の問題は、私詳しく存じませんけれども、常識的の問題として、全然過失がなかった、道義的にもなかったということが言えるかどうか、私は、やっぱり問題がある。したがって、これはともかく話し合いをした方がいいでしょうということで進めるつもりです。それはやはりお互い、何といいますか、そこらのところは大人の考え方で、論争ばかりしても仕方のないことですから、患者救済ということでやはりやっていただきたいということは申し上げております。
  115. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 もう少し強く言わないと反応がないかもしれませんから、もう少し強く進めていただきたいと思います。  法律上のことはとおっしゃいますが、判決があったということは、法律上の責任があるということだと思いますからね。  それから次に、厚生省は救済を急ぐべきだという点ではおっしゃっておられますが、大臣もいまおっしゃっておられますが、実際の油症患者の方方の生活実態を把握しておられますか。たとえば、油症患者になったがゆえにこういう苦しい生活に追い込まれているというような実態、あるいは実際入院した場合に、差額ベッド、付添人等でどのくらい多額のお金がかかっているかというような点は御承知ですか。
  116. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 過去、先日まで七回患者との交渉をいたしました。その際に患者から伺っております。しかし、系統的な調査というのはしておりません。
  117. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 要するに、判決どおり一時金が支給されましても、またたく間になくなってしまうという、そういう実態の方がいらっしゃるわけです。何かきのうの答弁の中には、何百万円かの支払いが決まるのだからというふうな意味のことをおっしゃっておられましたが、そういうようなことで、この患者さんたちの生涯をどうするか、これからの生涯をどうするかという、こういうことは解決になっていないということを御承知ですか。
  118. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 現在、個々の例というのを持っておりませんで、一つ一つの例としては申し上げられませんが、やはり厚生省としまして、患者救済ということに関しましては今後も努力したいと、こう思っております。現在、あしたからこうなる、ああなるという事態はまだ調査をいたしておりません。
  119. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 その点も調査して対策を立てていっていただきたい、救済対策ですね。救済を急ぐというのですが、何を急ぐかという中身がないことには急ぎようがないと思うのです。  次に、治療法については、大臣のお話では、これだけの国家がその資金を提供しているのだというふうにおっしゃっておられましたが、実際問題、治療法が見つかってないのでしょう。いかがですか。
  120. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 治療法につきましては、カネミ油症発生以来、九州大学、長崎大学その他国公立の医療機関で班を編成しまして、油症治療研究班というところで研究を続けておるわけでございます。  それで、一つは、患者の把握ということで診断基準等を定めましたが、もう一つ治療基準というのも、一応指針といいますか、治療指針というのを定めました。で、現在PCBという非常に安定した物質が体内に入った場合に、これをやはり排せつしてしまわないと根治と言えないわけでございまして、その排せつの促進法というのを一つは治療の指針にしております。それには、いまわかっておりますのは、やはり脂肪の組織の中に沈着いたしますので、一つは絶食の飢餓療法、もう一つは酵素促進法。これは代謝にはいろいろ酵素が必要ですから、その酵素で代謝を促進するという方法。それから、吸着剤ということで、体内のPCBを吸着させて排出させよう。しかし、あとの療法二つ、酵素促進法とか吸着剤というのは、PCBに特に効くというのがなかなか見つかっておりません。しかし、少しは効くわけですが、それでいまのところはそういう飢餓療法というのが根治療法の一つということになります。あとは対症療法で対処している現状でございます。
  121. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 その飢餓療法というのは何日も絶食しておくわけでしょう。骨と皮だけにやせさせようというわけでしょう。大変な命がけです、それは。とにかくこの世に生をうけた赤ちゃんが、生まれながらにして黒い赤ちゃん、あるいは歯が生えてもすぐ抜けちゃう、あるいは実際問題、わが子が高校に行き、成人になり社会へ出ていく、そういうわが子が、そのPCBが体内にあるということでこれから社会へ出る、結婚をする、どうなるかという非常な不安もあるし、心配もあるし、苦痛もあるわけですから、その点はひとつ最優先で取り組んでいただきたいと思います。
  122. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 先般、患者団体との話し合いでもこの問題が出まして、五十一年からやっと作業に取りかかったということでございますが、われわれとしましては、やはりこれは根治治療の開発ということに焦点をしぼらざるを得ないんじゃないかということで、やはりこれからは研究費の効率的な使い方としてPCBの排せつの促進というところに焦点を当てて見直して、何とか排せつ促進の新しい方法というのを早く探し出したい、こう考えて早速いまからしたいと思っております。
  123. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 次に、一番大事な問題でもあり、またわからない問題でもあるんですが、結局、救済の対象になる方はどなたかということなんです。判決で名前の挙がっていらっしゃる方は、これは当然救済の対象でありますが、そのほかに訴訟に加わらなかった人はどうなるか。また認定、未認定と言っておりますが、その認定作業ということはどこの責任でやっていらっしゃるのか。
  124. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 裁判に、訴訟に加わっていない者もすでに加わった者も同じ扱いにするかという御質問ですが、これにつきましては認定患者を一応対象にして進めていきたい、こう考えております。したがいまして、認定患者であれば訴訟に加わっていようと加わっておるまいと、その患者救済については同じように取り扱いたいと思います。  それからもう一点、この認定のことでございますが、これはこういう事件につきましては、まず行政的にも患者の実際の把握ということが非常に重要な問題になります。それで、国は一応これの診断基準というのをつくるのが通例でございます。今回もそのためにはやはり専門家を集めましてそれでやる、つくらねばなりませんので、国の業務として診断基準をつくって、それで各都道府県同一なやり方でやれるということをするわけでございます。それで、まずその診断基準に従いましてその検診をし、検診の結果を専門家のもとに診査をして決める、これを診定と申しております。それで、知事や指定都市の市長はその診定をもとにして油症患者であるという認定をする、こういうことになっております。したがいまして、認定をするところは、県または県知事または指定都市の市長ということになります。
  125. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 そうしますと、もう一点質問いたしますが、シンテイというのは新しく定めるということですか。
  126. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 診断の診と定めるということです。
  127. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 そこで、認定、保留、所見なしとなっていますね。認定、保留または経過観察、そして所見なしとなっていますね。この基準はどういうところから決まるんですか。
  128. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) これは診断基準に従いまして、各県で統一して大部分の場合要綱をつくってやっておるものでございます。したがいまして、ここにあります保留または経過観察といいますのは、県によりまして保留という形で残してあるのと、経過観察として残してあるのと、二つの用語が使われているので、ここに保留または経過観察ということにしたわけでございます。  それから、所見なしというのは油症診断基準が四十七年にできまして、それから五十一年にさらに補遺をいたしまして、やや詳しくここに症状その他を載せてあるわけでございます。これを専門家がこれに照らしまして所見なしということでこれは診定から落としたものと、こう考えます。
  129. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 そうしますと、行政不服審査請求の対象になりますか。
  130. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 行政不服審査法による請求は、たとえばカネミ油症患者の場合は認定とありますが、この認定は医学的見地から診定をし、それを受けて認定をしたものでありまして、この認定したことによって法律的な効果は別に生ずるわけじゃなくて、これによって医療費が原因者から支払われるという形のこれは認定でございますので、したがいまして、これは一般的には行政不服審査法の上の審査請求と、それにはなじまないものと思いますが、問題もございますので、さらにその取扱いについてこれを検討しているところでございます。
  131. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 そこが一番わからないところなんです。要するに、認定患者が救済の対象になると、最初答弁していらっしゃるわけです。ところがそうなると、訴訟に参加したしないは別として、認定患者はすべての方が救済の対象になるわけですが、にもかかわらず認定されない、保留または所見なしと、そういう決定をされた方がそれに対する不服を申し出る道がないというのはおかしいですね、これは。
  132. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) ちょっと観点を変えますが、たとえば公害健康被害補償法の対象になっていれば、これは認定ということはすぐ法律的にははね返ってくるわけです。しかし、この場合には油症患者であるということが決まりまして、それからそれでは法律によってどうこうということはないわけでございます。したがいまして、油症患者と決まることによって現在得られるものは、たとえば医療費を原因者から負担してもらうとかそういうことでございますので、その認定の意味が少し違うということでございます。しかし、これからどういう患者救済ということはどういうふうに進んでいくか、まだ未定でございますが、その場合に訴訟を起こしても起こさない人も、当然この認定があれば同じように扱うというのが筋であろうと思います。
  133. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 公害健康被害補償法と違うという点はわかりますが、認定された方は補償の対象になるのです。認定されなければ補償の対象から外れちゃうのです。そこの辺はよほど責任のある診定作業あるいは認定作業でないと困るわけでしょう、実際問題は。混乱が起きます、混乱が。特に五十一年における人数を御報告いただきたいのですが、実際に受診された方、認定、保留というふうに分けて、御答弁いただきたいんです。
  134. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 暦年の、五十一年の一月一日から十二月三十一日までの患者数は、つまりこれは大体は五十年に追跡の検診をしておるわけです。それで、受診者数は五十一年で四百七十六名、それからここで認定された者、診定され、認定された者が九十八名、それから保留または経過観察が三百十三名、それから所見のないという者は六十五名です。それで、この認定した九十八名を足しますと、五十一年の十二月末現在で、認定された患者の総数は千六百二十九名になっております。
  135. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 一万四千人の届け出があったという報告があるわけですね、発生当時。いま、現段階で約一割、千六百余人の方が認定されているという。残り九割の方は大丈夫なんですか。そういう心配があるわけです。同じ家族の中で、同じように油を食べたのに、五人家族のうち二人が認定されて、三人が認定されてないというような実情は、絶えず患者団体の方が訴えていらっしゃることは御承知と思います。したがいまして、そうした検診は、次に伺いますことは、そうした検診は未認定の方を認定作業を進めようとしてなさるんですか、検診は。それともすでに認定された方を経過観察しようとしてやっていらっしゃるんですか。それはどちらですか。
  136. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 結論を申しますと、それは両方でございます。一つは検診という作業がございまして、そこへは希望者、新たにその検診をしてもらいたいという人はすべて。それから、現在もうすでに認定された人も、そこで経過を観察していくという両方をやるわけでございます。これはやはり事後の健康管理という面もございますので、これは、したがいまして新患者を発見して、正確に把握するということと、健康管理を続けていくという両方になると思います。
  137. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 次に、保留または経過観察という方は、文字どおり保留されているのであって、認定患者ではないということですか。したがって、この四分の三近くの方が保留または経過観察になっているんです、実際問題ね、五十一年のいまの御報告では。実際、検診を受けた方の中の四分の三程度の人は保留されているんですが、この保留されている方はどうされますか、将来。
  138. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) これはさらに経過観察ということで、検診は定期的に続けておりますので、そこへやはり経過観察ということで来ていただきまして、それでさらにこれを検討するということになります。したがいまして、この中からさらにまた認定されるということもあるわけでございます。
  139. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 それから、私はこの委員会でカネミ油症に関して質問することがもう何回かになりますが、その都度、実際検診を受けられる患者さん方と、それから検診をされるお医者さん方との間にいろんな不信感があったということは御承知ですか。
  140. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 最近の患者との接触で、このことはよく存じております。
  141. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 大臣、いま局長の御説明を聞いていらっしゃいまして、どのように感じられますか。大量に、一万四千人という発生があったわけです。大量発生したわけです。そのうちの一割ほどの方が認定患者にいま認定されているんですが、九割ほどの方が残っちゃっているんです。ところが、同じ油を食べて家族の中で何人か認定され、何人か同じ症状だと言っても認定されないでいるというようなことが各地で起きているんです。そこで、認定作業ということは公害健康被害の認定とは筋が違うんだというんですが、違うんだと言われながらもそこで認定される以外に救済の対象になれないわけですから、この点はひとつ工夫をしていただきたいし、研究もしていただきたいし、そういう不信感をなくすように努力をしていただきたい。いかがですか、大臣
  142. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) この被害については、同じ油を食べましても、それは個人の体質格差がありますから、まともに被害を受けた人、それから重症の人、軽症の人、ほとんど何も出なかった人とたくさんに分かれると思うんですよ、それは。ですから、やはりそこで被害を受けても、それが健康やなんかに大きく出てきた人が、専門家の間で調べて、そしてこれはカネミの油症の患者であると、この人について行っておるのであって、油を私だっても食べたかどうかわからないんです、米ぬか油を使ったことがありますから。だけども、全然表に出てこなかったという場合はそれっきりになっちまうわけですね。これ。ですから、本当に検診を受けてカネミ油症患者であるということがわかった者については、それぞれの措置を講じておりますということですから、そうでなかった人はそこまではなかなか手が回らないというのが実際ではないだろうか。しかしながら、医者が何と言おうと自分は油症患者だと思っているという場合は裁判の道も当然あるわけですから、それで全部油症患者であるにかかわらず認定されなかったから泣き寝入りだということにはならないんじゃないかと思います。
  143. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 それは大臣のおっしゃるとおりです、理屈どおりにいけば。それは体質によって違いが起きるということは当然考えられることですが、しかし現実はそう理屈どおりにいってないんです、実際問題が。そういう不満を局長も聞いて知っているってさっき答弁しているんです。非常にスムーズにいってないです、認定作業というものが。何でもかでも全部が全部認定してくれって言っているんじゃないんです。これこれしかじかというふうに症状を訴えているんですが、認定されないという方がいらっしゃるんです。そういう点をもっと実情を調べていただきたいと言っているんですが、いかがですか。
  144. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 私は厚生大臣でございますが、医者のことはわからないわけであって、専門家を頼んでその専門家の方がみんなで診察をして、観察をして、それでこれは患者であるかどうかということを決めるんですから、その専門家の意見にすなおに従う以外にはこれはもうほかに方法がないんじゃないか。いずれにしてもどなたかの専門家に、公正な専門家の診断を受けて、その結論に基づいて対策を講ずる以外にはないと、こう思っております。
  145. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 いや、それが公正な専門家の意見と言いながら、患者さんが納得できるような公正な専門家の判断が出ないから、そこでいろんな不信感が生まれ、そこで厚生省の診断基準ですか、それも変えてきているんですよ、何回となく。要するに、何かはっきりした、病気なら、たとえばコレラかチフスかというような場合だったらわかるでしょう一検査すれば。PCBによる被害なんてどこまでいっているかわからないんですから。実際問題そうでしょう、現在の医学で。それを突きとめていこうというところに専門家の御苦心もあるし、患者さんの不信が生まれることはまたそういうところから、専門家と言われながらも実際にその被害者のことを知らないじゃないかという声さえ上がっているわけでしょう。どうですか、局長
  146. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 診断基準は、やはりまあ医学も進歩しますから、その都度変えるということにやぶさかでございません。それから、まあ同一家族云々の問題がございますが、同一家族でも症状が出たり出なかったりということはあり得ることだと思います。いずれにしましても、まあこれはやはり国の方でいままでも疫学研究その他、治療法の研究、診断の研究とか、慢性毒性の研究とか、そういうことでずっと進めてきたものでございますから、それをさらに続けまして、やはり診断基準——まあ実際に言ってなかなか診断基準先生おっしゃったようにチフスや何かのと違いますから、非常に広範にわたるわけでございますが、その辺もよく考慮しまして、まあ全部が同一の診断ができるようなことをこれからも進めたいと思います。
  147. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 それから厚生大臣、ちょっと先ほどの言い方は、認定されなかった、それで不服があれば裁判を起こせばいいというふうにおっしゃったんですが、そういう乱暴な言い方をされますと、そんな厚生大臣日本大臣かと言われるくらいじゃありませんか。
  148. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) ほかに方法がないではないかと、こういうお話でございますから、私どもといたしましては専門家を頼んで、専門家に認定をしてもらう以外にはございませんと。その専門家を信用できるかどうかということになりましても、これは学問的なことで、私はどういうふうにして認定するか、私自身もわからないことで、その専門家の認定によってこれは決めるんですと。仮に、専門家の方がそれは認定できないというような場合に、不服が仮にあるという場合には、それっきりで終わりですかというふうに私は受け取りましたから、そういう場合でも裁判の道はありますと、現に裁判やっている人もあるわけですからね。ですけれども、われわれとしては一人も残らず、希望した人は全部認定するんだと、そういうわけにはいかないわけですね、これは。やはり、客観的な基準があって、そこで専門家に認定をしてもらうわけですから、認定してもらいたいという人がたくさんおいでになっても、その人全部する場合もあるだろうし、三分の一しかしない場合もあるだろうし、該当した人しか専門家はしないと思うんですよ。該当しなかった人が不服だということになれば、ほかに方法はないわけですね、これ、ほかには。認定させろということもいきませんし。ですから、決して私は横暴なことを言ったつもりは毛頭ないんです。
  149. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 それじゃ、最初、行政不服審査請求の対象になりますかって言ったら、それさえもなるかも知れないが、いまのところならないと言ってるんでしょう、局長は。そういうものを今度は訴訟を起こすとなったら、どういうことになるんですか、一体。せめて、訴訟を起こせばいいなんて言うんじゃなくて、じゃ行政不服審査請求してくださいとか、あるいは審査請求の対象にすらならないなら、全くの後は行政判断の問題でしょう。どうですか。
  150. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 行政判断と言いましても、患者をともかく特定するわけですから、それは政治的にあなたとあなたはかわいそうだから患者にします、というわけにはいかぬでしょう、これ。やはりそれは客観的な根拠がなければ、あなたは患者にしてこれだけのものを差し上げますというわけになかなかいかないわけですね。それを調べてもらうのは、やはりそれぞれの専門家の方のグループがあって、その方の健康診断を受けたり、あるいはここに経過をまだ保留して観察してると、認定はできないと、しかしこれは所見なしというほどでもないと、もう少し様子を見なければって人も三百何十人かいるわけですね。これは専門家がそう判断しているわけですからね。ですから、これは私としてはやはり専門家の意見に従う以外にはないんです。ほかに何か方法があれば別ですけれどね。どういう方法があるのか、もしあれば教えていただけば結構なんですけどね。
  151. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 いや、その基準を政府の責任で決めてるんです、基準を。その基準に合うか合わないかで、認定か認定でないかってことを決めてるんです。ですから、じゃその基準は、黒い赤ちゃんが産まれたってのはどういうことによるんですか。あるいは産まれながらに、オギャーと産まれた赤ちゃんに歯が生えてるってのは、これはどういうわけですか。そういうまだ未解明の分野があるんです。ですから、何でもかでも、油飲んだ、ようし、認定しろって言ってるんじゃないんです。そういう未解明の分野があるんだから、そこは政府が基準を決めるわけですから、そういう基準の検討が必要じゃないですか。  それから、不服審査請求の対象にしますか、しませんか。
  152. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 基準は確かに政府が決めますけども、これはやはり政府はそういうような専門の学者先生方の意見に従って決めて、こういうふうな基準でいいでしょうという、そのときの学問でわかるだけの範囲内のことを決めてるわけです。ですから、先ほど局長が言ったように、学問の進歩がどんどん進んで、もっと別なことも立証できると。しかもそれが学界で認められるということになれば、その基準というものの変更もあり得るということを局長はさっきお答えをしたわけですよ。ですから、基準は決めたら最後、新しい学問ができてこれはカネミであるってことが証明できるということがはっきりしたにかかわらず基準を動かさない、そういうことを言ってるわけじゃないんです。ですから、現在の学問の範囲でこれだけのものだという、学者方が言っておることを、権威のあることに基づいて政府は基準を決めたんで、政府が勝手に基準を決めて学者方にこれでやってくださいと、こういうわけじゃないわけです。そのもとというのはやはり学問的見地に立って基準が決められてるわけですから、科学的に。その基準はしかし絶対的に動かさないというものではないということを言ったわけです。  審査請求の問題はきわめて法律的な、これが本当に法律上審査請求になじむのかなじまないのか、私よくわかりませんから、むしろ法制局長官でも呼んで聞いていただいた方が、第三者の意見を聞いてもらった方がいいと思います。
  153. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 いや、それは私は長官に聞けばわかるけれども、患者さん方が——現に出てるんでしょう、審査請求が。それを厚生省はどう扱ってるんですか。
  154. 政府委員(山中和君)(山中和)

    政府委員(山中和君) 一度この審査請求が出てまいりました。それで、私申し上げましたのは、いま、その後検討して一おりますが、一応法的効果を生ずるものじゃないということで、なかなかなじみにくいと。しかし、こういう重要な事件ですから一応受け取りまして、受理いたしました。それで、これを検討してみようということで現在検討しておるわけでございます。
  155. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 だから、厚生大臣、検討してるって言ってるじゃないですか、厚生省で。そんなことは法制局に聞けなんていう問題じゃないじゃないか。厚生省の問題じゃないか。  まあそれはいいから、とにかく認定の問題は大問題ですよ、認定の問題は。救済の対象に入るか入らないか、それは認定されるかされないか、それ以外にないんですから。これはもうきょうはこれ以上この認定の問題をお話しする時間がないので次へ移りますけれども、この認定の問題は何回私もこの委員会で問題提起したかしれない。それで具体的に長崎県のどこどこでこういう訴えがある、こういう新聞記事がある、こういうテープがとってある、一々紹介して問題を提起しているんですが、すっきりといってない。また、なかなかすっきりといかせるのがむずかしい問題ですから、ひとつより一層取り組んでいただきたい。法制局に聞けなんて言わないで、厚生省で実際認定基準をつくり、流し、それでこの作業を進めているんですから。患者さんは実際問題行政に不服の審査を請求するといっても、法制局に持っていくわけでもない。あるいはいきなり訴訟を起こせなんて言われたって、それだけのことでどうやって訴訟を起こしますか、一体。まあそういうことで、より検討をしていただきたい。  次に、スモンのことについてですが、スモンの和解についてはどうなっておりますか。  それから、スモンの方もやはり訴訟を起こしている人と、訴訟を起こさないで実際認定されていらっしゃる方と結果は同じになりますか、どうですか。
  156. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 和解の問題については鋭意裁判所と話し合いをいたしております。訴訟外の問題についてはまだどうするか考えておりません。
  157. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 そうしますと、訴訟外の方は、中には訴訟を起こしたくても起こすことのできない、投薬証明が取れないとか、カルテが破棄されたとか、こういう方は全くいまのところ考えていないということですか。
  158. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 訴訟の問題について、和解の問題、裁判その他解決をいたしましてから何らかの検討はしなきゃなるまいと、かように思っておりますが、具体的なことは目下そこまで考えておりません。
  159. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 それは考えてもらわないと困るんですがね。厚生省が考える以外考える役所はないんじゃないですか。
  160. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 目下、裁判の関係で、直接的に持ってこられているものが未解決な状態なんですよ。この問題取り組んでやっているわけです、盛んに。こういうものが解決がついた後でどうするようにするか、当然それは考えることになるでしょう。いまのところはまだ具体的にどうするということは考えておりませんということを言ったわけです。
  161. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 そう、いまのところは考える余裕がないと、しかし取り組みますということでなくちゃ困るんですが、いいですか。将来取り組んでくれなくちゃ困るんですが。  それから、田辺の関係の方はどうなりますか。
  162. 政府委員(中野徹雄君)(中野徹雄)

    政府委員(中野徹雄君) 先生御承知のとおりに、田辺製薬は昨年の六月十日付の三者合同の和解の申し入れの時点では、和解のテーブルに着き、和解によってこの事件を解決するという意思を表明しておったわけでございます。その後、田辺製薬の法廷における行動が、たとえば裁判官忌避というふうなこともございまして、現実にいま進んでおりますのは、国と武田製薬とチバガイギーの三者が相被告になっておるそのケースについてでございます。これが、先ほど大臣から御説明のありましたように、現在一刻も早く和解の最終段階を迎えるべく関係者が努力をしているケースでございます。  田辺製薬につきましては、そのような経緯もございましたが、大臣からの御指示がございましたので、私は薬務局長としての資格におきまして、田辺製薬の関係者の方々と再三にわたりまして接触をいたしまして、国の方針に同調して和解のテーブルに着いていただくように、和解によってこの事件を解決するように要請をしたところでございます。これに対しまして、比較的最近のことでございますが、現在時点におきましては田辺製薬としては東京地裁における進行中の和解のテーブルに着くことができないけれども、一方において、患者救済の用意はあり、六月十日における和解に対する要請の声明を撤回はしていないという申し出がございました。これは田辺製薬の社長平林氏から厚生大臣に対する書簡という形で表明されたものでございます。したがいまして、田辺製薬の立場は依然として和解による解決の可能性を含んでいるというふうに厚生省としては判断をしているわけでございまして、その線に沿ってなお田辺製薬の説得に努力中であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  163. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 それで田辺の問題はわかりましたが、局長、提訴してない方で、しかも認定をされていらっしゃる方、そういう方は急いで提訴して裁判所で和解なり判決なりもらわなければ救済の対象から除外されるぞということじゃないわけでしょう。
  164. 政府委員(中野徹雄君)(中野徹雄)

    政府委員(中野徹雄君) その点につきましては、先刻厚生大臣からお答えがあったわけでございますが、なお事務当局として多少事情御説明いたしますと、今回の事件は、現時点におきまして原告の数から言えば約三千九百名の事件の規模になっております。この事件は、東京地裁のみならず日本全国の各裁判所に係属中のものの合計数でございます。これらの訴訟につきまして、国といたしましては、そういう提訴と申しますか、訴訟が起きている方々についてこれを和解でこの事件を収束せしめたいという姿勢を持っておるわけでございますから、第一の段階は、まさしく大臣のおっしゃいましたように、現在提訴中のものの和解による事件の終結というところが第一段階になるわけでございます。  その後の段階といたしまして、提訴しておられない、いわゆる訴外の方ですが、訴外の方々をどうするかという問題が残るわけでございます。その訴外の方々につきましては、さらに具体的に申し上げますと、たとえば何と申しますか、原資料——カルテあるいはこれに相応するところの原資料を欠いている場合もあり、あるいは、何というんでしょうか、症度等についての的確な診断が、たとえば患者さんの側から見て望ましい診断がついていないという場合、いろんな場合があると思います。それらの場合を含めまして、三千九百に上りますところの訴訟上のそのケースの和解による終結が終わった段階でわれわれとしては問題に取り組んでいきたい、かように思っておるわけでございます。
  165. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 それから次に、スモンに対しての情報を厚生省は外国に流しておられますか。あるいは外国から同じような患者発生というような情報を受けておられますか。
  166. 政府委員(中野徹雄君)(中野徹雄)

    政府委員(中野徹雄君) スモンに関しましての行政上の対応は、先生の問題とされております部面を含めて比較的迅速に正確に行われているように私は理解しております。  具体的に申し上げますと、昭和四十五年の八月七日に新潟におきまして、新潟大学の椿教授が、このスモンとキノホルムの関係についての所見を発表されたわけでございます。それが八月七日でございまして、これに対して役所のとりました対応は、九月の七日に——一ヵ月後でございますが、九月の七日に薬事審議会を開催いたしまして発売中止に踏み切りまして、翌九月八日に都道府県知事あてに使用中止の通達を出しております。国内的にはそういうことでございますが、国際的な関係におきましては同月、つまり昭和四十五年九月の二十八日にWHOあての厚生省国際課長の書簡によりまして、通知によりまして、キノホルム製剤の販売中止の措置を講じたという旨、さらにその前提になっておりますキノホルムとスモンの関係を疑わしむるに足る報告があった旨をWHOに対して通知をいたしました。WHOはこれを受けまして、四十五年十月二十六日でございますから約一カ月後でございますが、一ヵ月後にWHOは医薬品情報で各加盟国にこの情報を流しております。
  167. 小平芳平君(小平芳平)

    ○小平芳平君 時間が来ましたので、通産省にせっかくおいでいただいたので、鐘化で保管中のPCB、液状PCBは洋上処理というようなことも新聞に伝えられておりますが、燃焼させるという処理方法を、工場で燃焼させるというようなことがあり得るかあり得ないか、そういうような届けが出ているか出ていないか。洋上処理についてはまた別の機会にお尋ねしますから、その一点だけお答えいただきたいと思います。
  168. 説明員(滝沢宏夫君)(滝沢宏夫)

    説明員(滝沢宏夫君) 御説明申し上げます。  いま先生指摘の件は、鐘淵化学が、現在兵庫県がつくっておりますポリ塩化ビフェニル等の取り扱いの規制に関する条例というのが四十八年十二月に公布、施行されております。したがいまして、先生いま御指摘になりました洋上焼却について今後やっていこうという、会社も交えて、地方自治体も交えて、考え方がほぼ固まってきておりますが、それに基づきまして、条例の規定によりまして知事の許可をとることになっておりますが、それに基づきまして届け出を出したということになっております。したがいまして、当面現段階では工場内で焼却をするということについては考えておらないようでございます。
  169. 政府委員(中野徹雄君)(中野徹雄)

    政府委員(中野徹雄君) ちょっと一点補足をいたしたいのですが——質問の中でお答えしておらない部分がありますので補足いたしますが、国外におけるスモンの発生ケースの数で、あるはその情報についてでございますが、現在のところ、日本以外におけるキノホルムに起因するスモン症状の発生例は、あるいは情報のダブリが多少含まれているかもしれませんが、全部最大限にダブリがないと仮定して計算をいたしますと、百九十六例ございます。  以上でございます。
  170. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 私は緊急医療と地域医療の確立を図るために、主として茨城県の実態と解決すべき問題点等々について厚生大臣並びに関係省庁の方方に御質問を申し上げたいと思います。  御案内のとおりに、茨城県は人口が二百三十四万人であります。面積は六千八十七平方キロメートルでありまして、これまで農業を主体としてきましたが、近年工業化を目指して発展途上にある県であることは御承知のとおりであります。しかしながら、医療の面では人口十万人に対して見ても病院の数では八・五で、全国比較十八位であります。病床の数については千二十五・九で三十位であります。また一般診療所については五二・五で、残念ながら四十二位という下位にあります。医師の数についてはこれまた四十四位というきわめて医療の面から見ますと残念ながら後進の県であることは事実であります。したがって、現在、問題化しつつある救急医療の確立の件につきましても、医療の基盤そのものの確立を促進しつつ対応しなければならないわけでありますが、この点に関して県は昭和五十一年茨城県民福祉基本計画を策定いたしまして、県の救急医療体制要綱等もまとめております。ことしの三月に県議会医療対策特別委員会の最終報告がなされるなど、努力はされておりますけれども、幾つかの問題点が残されたままであります。したがって、県だけでの努力ではどうしても解決できない困難な問題と思われる点が多々あることは事実であります。そこで、これらの点につきましても御質問申し上げたいと思いますけれども、いずれにしても限られた時間でありますから、要点で申し上げて御質問を申し上げたいと思います。  医療機関、医師の都市集中とこれに伴う偏在、茨城県でも例外ではありません。たとえば水戸とか日立とか土浦などに医療機関、医師とも集中気味であります。この結果として、県北部あるいは無医地区、過疎地区が広がって、その他のところは地域医療の確保に非常に苦しんでいるのが現状であります。特に救急医療の問題になりますと、実情は非常に厳しいものがあります。土浦では昨今、夜間急病になったら死んでしまう、こういうふうなことさえ言われているのが現状であります。県の努力で救急体制の整備が進みつつありますが、休日診療、実際に夜間、救急業務を行っているところはゼロに等しい、こういうような状態であります。このような現状の中で、医療基盤の整備が裏打ちされないところもあって、一つには県立中央病院が救急指定を一たん受けながらも機能ができなかったり、二つ目としては、筑波町における町立病院が縮小閉鎖の傾向にあるような今日の現状でありまして、告示が解除されるという心配が出ているわけであります。また一方では、自治医科大学を持たない茨城県においては、筑波研究学園都市が誕生いたしましたので、これらの筑波大学の付属病院も救急指定を受け入れる条件がこれまたないといった問題が起こっているのでありますが、私は一般論でなく、当面するこの幾つかの問題について、ぜひとも大臣から御答弁をいただきたいと存じます。  まず、救急医療体制整備三カ年計画について、第一次の計画のどうなっておられるか、まず厚生大臣からお聞きをいたしたいと存じます。
  171. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 本年度から発足いたしました第一次三カ年計画によりますと、まず、休日夜間急患センターは七十カ所、第二次の救急医療施設は百二十六カ所、救急救命センターは十五カ所、各都道府県の広域救急医療情報センターは五カ所、五県と申しますか、を予定いたしております。この計画に基づいて各都道府県におかれまして、現在鋭意各県の救急医療対策協議会において計画をお練りになっております。すでに具体的な計画が出てまいりました県も二、三ございますけれども、一部の県ではまだ全県の計画が煮詰まらないというようなこともございまして、計画の提出がおくれております。しかしながら、特に救命救急センター等については整備を必要といたしますので、さしあたって本年度の第一次分の指定、補助金の交付を近くいたしたいと考えております。
  172. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 休日、夜間のいろんな診療の問題で、非常に進んでいないと思われる現状が実は茨城で起こっているわけであります。いわゆる診療時間が夕方四時どまりで、夜間の延長を切望する声が高いんですが、現実には、夜間に診療が全然行われていないというこの現状。したがって、整備計画におくれる。第一次の年度にしても、きわめて不十分な現状ではないか、こう思うんですが、この夜間の点についてはどうなんでしょう。
  173. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま申し上げました全国の計画、また現在の進捗状況は、夜間よ含めて申し上げたわけでございます。  そこで、具体的に茨城県の問題になってまいりますが、県の衛生当局からの報告によりますと、県内を十の広域市町村圏に分けまして、一次救急、二次救急また三次救急という計画を作成中でございますが、特に先ほど御指摘のございました筑波地区、それから県北の大宮地区でございますか、この二つの地区についてまだ地元の市町村とか地元の郡市医師会との協議が整わないというように聞いております。
  174. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 ぜひ大臣からちょっとお答えをいただきたい点でありますが、これは衆議院の内閣委員会で、四月の二十六日、わが党の上田委員がたしか御質問をし、何としてもこれを達成するというようなお約束に基づく御答弁があったやに拝見するわけですけれども、いまその現状を見ても非常におくれている部分があります。これは第一次年度で達成できるかどうか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  175. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 厳密に申し上げますと、先ほどお答えいたしましたように、幾つかの県で県内の全体計画がおくれております。したがって、本年度内に第一年次の計画を完全に達成するということは、いまではかなり困難になってまいっております。しかしながら、まだ約半年残っておるわけでございますから、鋭意、県の方を指導いたしまして、また督励をいたしまして、また医師会、町村にも協力を得まして、できるだけ第一年次の計画が達成できるように努力をいたしたいと考えております。
  176. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 大臣に御質問しますけれども、市町村立を含める医療機関の施設でありますが、国保病院も含めまして、昭和三十六年末に四千九十五をピークに、五十年末には三千三百九十六と、年々減少している、こういう状態、市町村立病院を含めまして、国保病院が減少している。したがって、こういう減少している傾向にあるいわゆる市町村立病院については、どういうようにお考えになりますか。
  177. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 確かに、国保病院、診療所を中心にいたしまして、少しずつ減少をしてまいりました。その中には、御指摘のように、医師の不足を主たる理由として閉鎖をしてしまったものもございますけれども、それは病院で申しますと、約一割程度ではないかと思うのでございます。その他の理由といたしましては、たとえば国保病院が町村立の病院に切りかわったとか、あるいは病院はやめたけれども診療所になったとか、そういうふうな形のものがあるわけでございます。しかしながら、幾らか本当に医師の不足で閉鎖をしたものもございますので、それにつきましては別に医師の養成対策とか、または養成された医師の確保対策を立てて進めているところでございます。
  178. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 当面緊急なのは、私は、行政の責任で医師を確保させるとか、あるいは具体的には都道府県立病院から派遣させるとか、地域の医師会からいろいろな関係で協力関係を得るとかいうような、具体的な、そういう市町村立病院、国保病院等について行政責任であると思うが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  179. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) やはり地方自治法などによりましても、第一義的には地元市町村の責任であると思いますし、また、地元の市町村ができかねるような困難な事情があれば、県も応援をしなければならない。また、最終的には国も応分の応援をしなければならないという性格のものであろうと思っております。  ただ、そういった具体的な国や地方自治体の責任ということのほかに、たとえば自治体病院開設者協議会とか、あるいは各県の国保の連合会とか、また、たとえば北海道でございますと、医師対策協会とか、そういうふうなものをつくって、鋭意医師の確保に努めているところも少なくございません。
  180. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 それでは、自治省の方にお伺いをいたしますが、救急医療の拡充について、国の救急体制の確立は、現在ある医療供給の効率運用が主で、将来に向けての展望がないのじゃないか、自治体立の医療拡充が必要であると、こう思います。  それから、五十二年度から発足した救急救命センターの設置について、五十二年度、国立二カ所、自治体立十三カ所の設置に際して、国立の誘致に希望が多いんですね。しかし、自治体立については積極的でない。このことは、地方財政危機と言われる今日の地方財政の負担の問題が原因しているんではないかと思うんですが、これらについては、自治体立に補助金を思い切ってやるような考えはないのか。でなければ、せっかく整備計画をし、救急救命センターをつくっても、仏つくって魂入れずで、中身が充実をしてこないというのが今日の現状だろうと思うのですが、その点がどうか。  それから、救急医療情報コントロールセンターの運営について、茨城県では、財団法人のメディカルセンターに運営を委託する考えのようであるが、自治体が運営するのが当然ではないだろうか、こういうふうなことを私は思っております。したがって、医師会に委託をするというようなことじゃなく、自治体でそういうものを運営すべきが基本ではないかと思うんですが、その点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  181. 説明員(田井順之君)(田井順之)

    説明員(田井順之君) 最初に、救急医療体制の整備に当たりまして、自治体病院の果たすべき役割りでありますが、私どもも、自治体病院が地域の中核病院として、救急医療においても重要な役割りを果たすべきであろうと、こういうふうに考えております。ただ、具体的にそれぞれの地域でどういう形で救急医療体制を整備していくかということになりますと、それぞれ実情が違いますので、私どもも厚生省の方に対するお願いとしましては、本年度からの補助金を活用して整備を進めるに当たりましても、地域の実情というものを十分配慮していただきまして運用をお願いしたいと、こういうふうに考えております。その結果、それぞれいろいろ悩みを抱えていると思いますので、直ちに具体的な計画が出てこないというところもあろうかと思いますけれども、方向としましては、私ども自治体病院が救急医療において重要な役割りを果たすということでやっていただきたいというふうに考えております。  それからなお、センターの話につきましても同様でありますけれども、それぞれの地域の具体的な実情を十分承知しない段階では、個々の事案につきまして適当であるか適当でないか、これは非常に判断しにくい問題でございますけれども、お説にありましたように、直接都道府県が運営すべきではないかというものも、これは当然の御意見かと考えております。
  182. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 県立の中央病院の実態について、御存じだろうと思うんですけれども、外来は、診療時間が二時間から三時間。大変な時間を待っているわけですね。それで待ち時間が三時間で診療が二分というようなことはよく言われている。それから実質的には救急の受け入れをやっている面もあるけれども、日勤だとか当直、あるいはそういうようなところでお医者さんがどうももたないというような実情もあるらしいんですが、筑波と私はこれは共通する一つの受け入れ体制の問題だろうと思うんですが、その点について自治省の方ではどういうふうに県立中央病院の実態ということについてお考えになっておられるか、その点をお聞かせいただきたいと思うんですが。
  183. 説明員(田井順之君)(田井順之)

    説明員(田井順之君) 私ども、個々の病院の実情につきましては、細部にわたっては必ずしも十分承知いたしておりません。ただ、茨城県立中央病院につきましては、いろいろと医師、看護婦等含めました勤務体制について、内部でも御議論があるということは承っております。それだけいろいろと実態が複雑なんであろうというふうに考えておりますけれども、特に救急等の問題につきましては、告示を受けて救急病院となる以上は、当然のことながらそれにふさわしい施設、設備を整備しなきゃいけませんし、それに見合った医師、看護婦等、職員の勤務体制の充実も図らなけりゃいけない。原則的にはそういうふうに考えております。
  184. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 これは、問題点というのは幾つかあると思うんですけれども、救急指定を県が一方的に実施したところに原因があるのか。あるいはまた、現状のままで救急指定に伴う改善をしていないのか。この点についてどのような県からの御連絡があったかどうか、もし御存じであればお答えをいただきたいと思うんですが、いずれにしても、この指定を受けながら返上せざるを得ないような現状というのは、私は非常に残念だと思うんですが、その点についてはどういうような連絡があったかどうかお聞かせをいただきたいと思います。
  185. 説明員(田井順之君)(田井順之)

    説明員(田井順之君) ただいまお尋ねの点につきましては、私どもとしては具体的な連絡を県の方からは受けておりません。
  186. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 一つ要望ですけれども、できるだけ先ほどのように自治体が責任を持っていく整備の状況でありますから、地方財政危機と言われますけれども、やる以上は思い切って十分な助成なり補助というものを私は特に要望をいたしておきたいと思います。  それから私は、次に筑波の町立病院の問題について、これはやはり同じく自治省の方に御質問をするわけですけれども、これは先ほども整備計画の中で出てまいりました。筑波地区というのは、医療で不毛地区になるのではないかという心配があるんです。せっかく筑波に町立病院があるんですけれども、この病院が、いま閉鎖をぜざるを得ないような現状に追い込まれたということをどういうふうに自治省の方では御判断をし、あるいはどういうふうにその現状を認識されているか。これについてちょっとお答えをいただきたいと思うんです。
  187. 説明員(田井順之君)(田井順之)

    説明員(田井順之君) ただいまお尋ねの点につきましても、私ども個々の病院の事例につきましては、それぞれの当事者から積極的にいろいろお話があった場合は別でございますけれども、細部にわたっての状況というのは承知いたしておりません。ただ非常に概括的な話でありますけれども、筑波町立病院の場合は、町長さんの交代に伴ういろんな問題等も絡んでいるというふうに承っておりますけれども、他の一般の病院が医師不足等のために悩まされているといったのとはまた別の形の問題があるような話は承っております。したがいまして、必要とあれば私ども詳細に実情を調査した上でないと、個々のケースについての具体的な判断は申し上げにくいというところでございますが、御了承願いたいと思います。
  188. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 これは、私の方からそれではあなたの方へお知らせしますけれども、これは非常に不可解だと思いますのは、職員の異動辞令についても、看護婦さんを事務員にしていくというような内部操作があったり、あるいはせっかく病院を継続するんですから、お医者さんを補充するためのいろんな手だてがあると思うんです。たとえば地元の医師会との協力関係、こういうことに前向きに、やはりせっかく指定を受け、告示をしているんですから、閉鎖をするような方向じゃなくて、県民の医療にいかに地域に貢献していくかというような立場で、そういう行政指導というのが一体なされないだろうかというふうに私は思いますから、いまの点について職員の異動辞令等については、それじゃあなたはどういうふうにこれを思いますか。こういうことがなされているという事実については。   〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕
  189. 説明員(田井順之君)(田井順之)

    説明員(田井順之君) 一般的に申しますと、看護婦として採用した職員を全然職種の異なる他の職務につかせるということは妥当な措置ではないということが言えるかと思います。ただ、筑波町立病院の場合の具体的な事例、詳細に存じませんので断定はできませんけれども、県を通しての概括的な話を聞いた限りでは、現実に医師が減り、いろいろな事情もあったんでしょうけれども、患者が外来、入院とも減ってくるという状況の中で、当面看護婦の必要数というものがそれだけ要らなくなったということで、これを一定期間他の職種につけるんだというふうに聞いております。したがいまして、こういうのは通常の形としてしばしば出てくる問題ではないと思いますし、まあそういうことがあっては困ると思います。  それから、お話がありましたように、せっかく一定の施設を備えた病院が設置されている以上は、その病院の機能をフルに働かすように医師の確保に努め、能率的な経営に当たっていただくということは、これはあくまで基本である。私どもはそういうふうに考えております。
  190. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 これまた要望でありますが、そういう閉鎖や縮小するということのないように、積極的に地域の医療に貢献するような、救急のそういう医療に貢献するような行政指導というものは、私は最も必要だと思うのです。そういう前向きの指導をやっぱり私どもは行政指導として求めるんですから、この点は要望としてお願いしておきます。  それから、文部省の方にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、国立筑波大学病院の件でありますけれども、大学付属病院の救急告示率というのは、一体全国的にどういうふうな率になっているか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  191. 説明員(五十嵐耕一君)(五十嵐耕一)

    説明員五十嵐耕一君) お答え申し上げます。  大学付属病院で救急病院等を定める省令に基づく告示のある病院は、現在、遺憾ながら少ないわけでございまして、国立につきましては二十七病院中三病院、公立につきましては八病院中五病院、私立につきましては二十八病院中十一病院でございます。これは五十一年七月一日現在の数字でございます。
  192. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 いまのお答えを見てもわかるように、全国的に付属病院で国立というのは非常に低い、いろいろ理由はあると思うんですけれども、大変低い。残念だと思うんです。  で、国立筑波大学病院について私は伺うんですが、先ほど申し上げましたように、残念ながら茨城県は医療では後進県でありますが、せっかく筑波大学付属病院が誕生したわけでありますから、その使命というのは、一体、地域の医療に貢献することも含めてあると思いますけれども、その点はどうでしょう。
  193. 説明員(五十嵐耕一君)(五十嵐耕一)

    説明員五十嵐耕一君) 大学付属病院の目的と申しますのは、第一に教育がございます。その次に研究、それから第三に高度の医療ということでございます。高度の医療を実施いたします場合には、当然地域とのかかわり合いが深くあるものと考えております。
  194. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 それはそのとおりで私もわかっておりますけれども、せっかくその地域に来たんですから、やはり開かれた病院でその地域なりその周辺なりにやっぱり貢献をし、救急を求めていれば積極的に地域の医療の面にも、そういう使命はあると思うんですね、私は。先ほども県全体を見て、筑波というのはどうしても谷間と言いますか、医療の谷間になっていく、全県的な地図からいくとどうしてもそういう傾向になるわけです。したがって、私は、大学付属病院でもそういうのは積極的にやっぱり地域に貢献していくような使命というものはあると思うんですけれども、その辺、開かれた病院として今後御指導なさる意思はないんですか、あるんですか。
  195. 説明員(五十嵐耕一君)(五十嵐耕一)

    説明員五十嵐耕一君) 筑波大学の付属病院につきましては、他の新設医科大学と違いまして、一年早目に病院を開院いたしております。と申しますのは、ただいま先生から御指摘のございましたように、筑波研究学園都市の周辺には大きな病院がございません。そういう意味におきまして、先ほど申しました大学付属病院としての機能のほかに、学園都市の中核病院としての機能を持たせる必要があるということで、先ほど申しましたように、一年早目に開院いたしておるわけでございます。私ども、大学の付属病院といえども、地域社会といろいろ密接な関係を持たなくてはいけないということは常々指導しておりまして、具体的に、たとえば筑波大学が開院いたしましてから、入院の患者数あるいは外来の患者数がどのぐらいになっているかを参考のため申し上げさしていただきますと、五十一年十月におきます一日の平均の入院者数は二十二人でございましたが、十一月には七十一人になっております。それが五十二年の九月におきましては二百二十人に増加しております。今度は外来患者について見ますと、五十一年十月には同じく一日六十四人、十一月には百五人でございましたのが五十二年の九月には三百六十五人ということになっております。   〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕  こういうことから見ましても、筑波大学が地域社会医療の水準の向上に果たしている役割りというものは、徐々に上がってきているのではないかというふうに思います。
  196. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 これは、いま数字で示されたとおり、私も承知しておりますけれども、筑波大は御承知のとおり茨城県では自治医大の構想を持っていないわけですね。したがって、茨城県のいまのような医療後進地区についてのこれからの役割りというのは大変期待が大きいと思うんです。そこで、医師の供給関係についても、将来やはり地域や茨城県にお医者さんを積極的にどんどん卒業の方や卒業されたお医者さんをそういう面で自給と申しますか、供給といいますか、そういうことについてのお考えが現在おありなんですか、どうなんでしょう。
  197. 説明員(五十嵐耕一君)(五十嵐耕一)

    説明員五十嵐耕一君) ただいまの医師養成につきましては、昭和四十八年度以来、文部省におきまして医科大学のない県を解消していこうということで、無医大県解消計画というものを進めておるわけでございます。茨城県につきましては、先ほど先生の御指摘のありましたように、以前は医科大学はなかった、そういうことで、そういう無医大県の解消ということも考えまして、筑波大学に医学専門学群というものをつくったわけでございます。具体的に学生が入りましたのは四十九年の四月からでございますので、卒業いたしますのはそれから六年先、さらに臨床研修、それから専門医としての研修がいろいろあると思いますが、私どもこの無医大県解消計画によりまして医科大学をつくりましたのは、医師の地域的配置のアンバランスを是正するということ。それから、地域の医療水準の確保あるいは向上を図るということでございますので、当然、先ほど先生の御指摘にございましたような医師養成というものは念頭に置いて進んでおるわけでございます。
  198. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 これは、むしろ厚生大臣からお答えをいただきたいと思うんですけれども、いままでずっと申し上げてきた結果から見ても、非常に県内全体とすると、無医地区だとかあるいは僻地医療の確保ということで、大変これからの公的医療機関に非常に期待している面があると思うんです。そこで、国立病院のこれからのそういう地域に対する厚生大臣としてどういうような将来の展望と計画というものをお持ちなんですか。その点について伺いたいと思います。
  199. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 私は日ごろ言っておるのですが、まあこれからの国立病院というのは、やはり国立なんだから国立らしいことをやったらどうだと。したがって一般の地域社会に奉仕するということ、もちろんこれは必要だけれども、その中でも、ともかく費用にリスクがあるとか、規模が大きくてうんと金がかかるとか、あるいは採算がとれないとかいうようなもので、民間に任しておいてはなかなかやりづらいというようなものを喜んで引き受けろと言っても、なかなか喜んで引き受けないかもしれないけれども、率先をして引き受けるようにやってもらえないものかという方向で、ひとつ検討をしてみたらどうだということを言っているわけです。現に、国立病院が地域医療の中核的役割りを果たしているところもたくさんございます。僻地、離島等におきましても、ともかく長崎の国立病院と対馬をつないで、対馬の心電図を長崎大学の国立の先生が解読をして、すぐ現地の医者に教えてあげる。したがって経験不足の医者でも患者さんを前にして、大学教授あるいは相当専門な堪能なお医者さんの診断を直接テレビを通じて教えてもらえるわけですから、そういうようなことなど、やはり僻地とか何かについての不足している医療技術の補いをやっておるという例もたくさんございます。したがって、そういうように国立病院というものが、やっぱり地域医療の、学術的にもあるいは実践活動の上でも中核的な役割りを果たしてもらうようにすべきであると、かように思っております。
  200. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 先ほどからも、救急医療の整備計画を見ても非常におくれている面がある。ですからこれは、いま申し上げましたような、茨城においても自治体病院、あるいは市町村立の病院でも非常に苦しい状況にあるけれども、やっぱりこれは厚生大臣としても文部省当局とも積極的にそういうようなお話し合いをどんどん進めていただいて、せっかく筑波につくられた大学付属病院も救急の指定をして、そうして地域のそういう貢献をしていくような前向きの御指導もぜひとっていただきたい、こういうように要望を申し上げます。  それから、限られた時間でありますから、非常に多くの御質問を申し上げたいのですが、残念ながら時間が足らないので、私は厚生当局にお聞きをしていきたいと思いますけれども、国立病院、療養所並びにがんセンターなどで、国立医療機関に勤務する賃金職員というのは、一体どのくらいいらっしゃるのか。定員見合いの賃金職員の数、そうして庁費雇用賃金職員の数ということで、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  201. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 国立病院が九十五、国立療養所がらいを含めて二百四十五ございますけれども、そのうち賃金職員は現在五千三百名強となっております。
  202. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 その占める比率というのは一体どのくらいになりますか。まあ、いま計算すると大体九・五%ぐらいになりますか。
  203. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) そのとおりでございます。全職員が約五万ちょっとでございますので、その程度になってまいります。
  204. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 賃金職員の勤務形態と業務の内容についてはどうなっていますか。
  205. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 賃金職員も有資格の看護婦さんの場合と無資格の一般職員の場合がございます。したがって、無資格の一般職員の場合には夜勤はいたしておりません。しかし、その他につきましては、おおむね定員職員と同様でございます。
  206. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 定員内の職員と同様な勤務と業務を実際にしているわけですね。そうしたら、国立医療機関の運営にとってどうしても必要なんでしょう。どうなんですか。
  207. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) そのとおりでございます。
  208. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 必要であれば、これは当然定員化というようなことが私は言われてくると思うんですね。だからそういうことを、あるいは定員見合い賃金職員という名称自体が、私は絶対必要なものだというふうに裏づけられる問題だと思うけれども、この点はどうですか。
  209. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 国立病院、療養所の業務にもいろいろな業務がございます。したがって、賃金職員の向いている業務もあるはずでございます。しかしながら、看護業務の場合には原則としてこれは定員内の職員でやるのが望ましいと考えております。
  210. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 これは定員化の問題ではネック、障害というのはどこにあるんですか。  それから、処遇上の差別、現実に同じ業務をやり同じ形態でありながら、片や国家公務員、片や定員見合い賃金職員というように差別されている、この問題については処遇上の差別が現実に行われているわけですが、その点はどうなんですか。
  211. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 大きな問題としては二つであろうかと存じます。一つは、健康保険とか厚生年金保険とか、そういった社会保険を利用できるかどうかという問題でございます。もう一つは、期末、勤勉手当等が支払われるかどうかという問題でございます。
  212. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 これはもう私が、釈迦に説法ですが、申し上げるまでもなく、健康保険法第十三条についてはこういうふうに書いてあるわけですね。「国又ハ法人ノ事務所ニシテ常時五人以上ノ従業員ヲ使用スルモノ」については、健康保険は強制適用事業所じゃないですか。その点はどうなんですか。
  213. 政府委員(岡田達雄君)(岡田達雄)

    政府委員(岡田達雄君) 仰せのとおりでございます。
  214. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 これはそういうことになりますと、厚生省大臣ね、厚生省みずから法律違反を犯しているというようなことになりませんか。
  215. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) そのようなおそれもございますので、現在正式な予算では計上されておりませんけれども、人件費のやりくりによってできるだけ健康保険とか厚生年金保険が適用できるように努力はいたしております。
  216. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 大臣ね、いまのような状態ですわな。ですから、やっぱり国立の医療としてそういうものを運営していくためには絶対必要な欠くべからさる——定員の問題も含めて、現実にはまたおそれがあるというように、健康保険を現実に適用していないとすれば、早急にこれやっぱりその問題をはっきりしないと、私はこれからの委員会としても問題が起きるんではないかと思いますから、なるべく早い機会にこれは善処されることを要望します。  それから、いまの点で当然そうすれば共済組合の勧誘ということになると思うんですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  217. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 共済組合ではございません。健康保険法、さらに厚生年金保険法の適用ということが通常でございます。
  218. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 それは賃金見合いの職員としての立場で、これは年間を通じて言われることだろうと思うんですが、現実にこれは日給そのものを月給にしていこうというような傾向にいまあるんじゃないですか。それと同時に、また多年雇用していくというようなことがずっとこう継続していくとなれば、これは常時雇用していく形をとるというような形になりませんか。
  219. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 御指摘のとおりでございまして、そのような問題は林野庁等で非常に強く出ているのじゃないかと思います。そういったことが、こういった状態が続けば、国立病院、療養所でも起こってくるわけでございます。したがって、私どもといたしましては非常に総定員法のもと、賃金職員を定員化することは非常に困難でございますけれども、その努力を続けると同時に、現在の賃金職員の処遇の改善、つまり賃金の引き上げ等について現に年々改善をしているところでございます。
  220. 高杉廸忠君(高杉廸忠)

    ○高杉廸忠君 ちょうど残念ながら時間で、これ以上御質問申し上げるわけにまいりませんから、要望しておきますけれども、大臣ね、いまのような国立の現状ですし、あるいは先ほど申し上げましたような茨城県内の特殊事情がありますから、これらについて申し上げましたことについてはできるだけ早く善処をしていただきたいし、前向きのひとつ行政指導というものをお願いしたい。  以上、御要望を申し上げまして、終わります。
  221. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 いま日本は経済大国と言われるような状態の中で、その中に生をうけた子供たちが口唇裂・口蓋裂というような、健康状態ではない生まれのために泣かされている。そして二十万からの親子がいまなお泣きながら、全く福祉の谷間に置かれているというこの口唇裂・口蓋裂の問題について、大臣初めまた委員長初め、各同僚議員の御理解をいただいて、一日も早くこういう悲劇をなくしていきたい、そういう立場で質問をしたいと思います。  まず、私たち婦人にとって、またお父さんにとってもそうです、子供が生まれるということは本当に喜びなんだけれども、生まれた子供がいわゆるみつくちと言われる兎唇、そして口をあけて中を見ればぱっかりとのどまであいたという口蓋裂、そういう子供たち、それを持った親たちは必死に子の命を守ろうとしています。そして幼い子供ながらも必死に生きるために特別の哺乳びんからお乳を飲んでいる姿、そしてまた少し大きくなって友だちと遊び、学校へ行くというようになっても、その社会環境の中でいろいろな困難を受けながらも、本当に一生懸命に生きているというこの子供たちや二十万近い親たちの立場に立ってお考えいただきたいと思います。きょうはお母さんもそしてその口唇裂・口蓋裂の子供たちも傍聴に来ています。  これは酒井明君というきょう来ております三年生のぼくが作文を書きました。   ぼくとねえちゃんは、九才はなれています。ぼくが生まれたとき男の子だったから家中でよろこんだそうです。   でもお口が、きれていて皆でたいへんかなしんだそうです。おとうさんもおかあさんもよい病いんをさがしまわりました。   そのおかげで口は、きれいになりました。   ぼくが、一番かなしかったことは、かわいがってくれたおとうさんがしんでしまったこと、友だちが、はなぺちゃとかへんなかおとかいいます。  ことばもサ行がタ行になるときがあります。(さかいがたかいになったりします。)  会に行くと友だちにまた、あえると思うとうれしく思います。  いじめられても 気にしない、いわれたらいいかえす明るくつよい子になりたい。  こうしん・こうがいれつの病気なんかなくなったらいいと思います。  だからぼくは、大きくなって病気の人をみてあげたい。  こんな作文をこの三月、三年生のぼくが書きました。そしてこの口唇裂・口蓋裂という、この障害というのは外見は軽い兎唇と言われるくちびるが切れているという状態、そしてそのことによって哺乳の障害が起きてミルクが飲めないという状態、そしてまたひどくなりますと口蓋が切れてしまって大きくあいてしまう。そのためにミルクが十分飲めないから虚弱体質になっていきます。そして耳への管やなんかにそのミルクが入ったり、いろんなものが入っていったりしますので、こうした子供たちは中耳炎になりやすいし、聴力障害を起こしやすい。そしてまた歯が生えることになりますと、上あごが障害を受けておりますから、乳歯の歯並びががたがたになります。とんでもないところに歯ができたり欠損しています。上あごの成長が極端に悪いために下あごが突き出して、上の歯と下の歯、これが十分かみ合うどころか反対咬合という形になってしまいます。そして言語障害、胃腸障害というものを誘発いたします。そして、中でも最も困難なのは言語障害、発音に必要な呼吸が鼻から逃げてしまい、さっき言われたように鼻にかかった声で聞き取れないという。そして六番目には、こういう子供たちに、たとえば鼻ぺっちゃだとか、いろいろ胸を刺すようなそんなひどい言葉で子供たちが苦労する。そして母親も、おまえの責任だとか、うちに遺伝はなかったとかと言って、親戚からも非難される。まさにこの問題を調べれば調べるほど大変な苦労の中で二十万のお母さんたち、子供が苦労しているわけです。  そこで、そういう立場に立って具体的にお伺いしたいんですけれども、やっと縫合手術、くちびるを縫い合わす手術と再形成手術は健康保険を適用されるようになりました。しかし、再形成手術は医師の判断に任せられています。そして、ある患者がきれいにしてほしいと言うと、これは整形になるから保険の対象にならない。だからきれいにしてほしいと言ってはいけないんだよ、治してほしいと言えと言われるくらい、せっかく適用になってもこうした医師の判断によって適用されないというようなこともたびたび訴えを聞くわけです。こういうことから考えれば、健康保険適用ということが十分に知らされて、親の願いがかなえられるようにしていただきたい、これが第一のお願いでございます。  それから歯列の矯正、先ほど言いましたように歯並びが悪く、そして息が漏れる、反対咬合で物がそしゃくできないということになりますと、これは開いているくちびるを縫い合わす、そしてあいた口蓋を縫い合わせるというだけでは、この障害が治癒したという状態にはならないわけです。だから、歯列矯正ということまで含めて、この障害に対する対策を考えていただかなければならないと思います。そこで、この歯列矯正というのが大変なお金がかかるわけです。だから、せめてお金の負担だけでも何とかしていただきたい。こういうことから、この歯列矯正を健康保険の対象にするというお考えでいらっしゃると思いますが、その辺の御検討をお伺いさせていただきたいと思います。
  222. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 現在、保険が適用されるようになっておる部分がございます、御指摘のとおり。しかし、案外それを知らないと言って悩んでおる方もあるそうでございますから、これはいろんな形でもっとPRをしていきたい、さように考えております。  なお、口唇裂・口蓋裂の子供に対する歯列矯正を保険の適用にそこまで入れなさいという御主張でございますが、歯科診療領域における保険給付外の診療保険給付とすることにつきましては、昨年その範囲、点数、実施時期等につきまして実は検討が重ねられてきております。今後、日本歯科医師会とも相談をしながら、中医協の意見も聞きまして前向きで検討してまいりたいと存じます。
  223. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 いま大臣お答えになりましたように、歯科保険医療問題の改善についての厚生省日本歯科医師会との折衝経過というののメモをお出しになっていらっしゃいます。それを拝見いたしますと、いまおっしゃったように、これも含めて検討して保険の対象にしていきたいという前向きの姿勢で大変ありがたいと思うわけなんですけれども、これが第一年、第二年、第三年というふうになっております。そして、小児歯科関連項目及び唇裂、口蓋裂患者に対する歯列矯正というのが第二年目になっているわけです。三年目よりも二年目は一歩前進だという見方もございますけれども、一年おくれますと二万人の子供たちが苦しまなければならない。  そこで、大変本当に心からのお願いなんですけれども、そのメモに従って中医協との話し合いを進めて、少なくとも一年の中に入れて御検討いただきたいというそのお願いを何とか聞いていただきたいと思うのですけれども、大臣いかがでございましょうか。
  224. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) これは気持ちとしては私も同じような気持ちを実は持っておるわけでございますが、唇裂とか口蓋裂患者に対する歯列矯正につきましては、その適応症、それから閉鎖手術から歯列矯正までの期間の患者の管理、また患者の受け入れ体制の整備、こういうような問題につきまして実際のところが実務的な問題でございますから、なかなか時間がかかるのです。そういうようなことにつきまして、学会など関係者の意見をいろいろ聞いていかなければスムーズにまいりませんので、それらの関係者の意見を聞きながら、その検討期間をできるだけ詰めるように努力はしていきたいと思います。ただ、一年詰めるとかどうとかということは、ここではいろいろ事情がございますから断定できませんが、努力をしてまいりたいとこう思っております。
  225. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 それではいままでの御答弁の中で、以前は健保の対象とぜず、口蓋裂の治療を閉鎖手術で完結したというような考え方を事実上修正していただいて、歯列矯正、言語治療も含めて一貫した口蓋裂の治療を考えるというふうに御検討いただけると判断しましたが、それでよろしゅうございますか。
  226. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 大臣から御答弁申し上げましたように、従来は初期におきます閉鎖手術の実施ということは認めておりましたし、それから再形成の問題につきましても、医学的に機能面ということになった場合にどうしても必要だというお医者さんの判断がありますれば、当然従来からも見ておるということでございます。そういう意味で、この問題につきまして大臣からもPRの実施の必要性ということを御答弁申した次第でございまして、機能的な面でどうしても必要であるというふうにお医者さんが判断しました場合には、当然考えられるわけでございます。
  227. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 社会通念上、主治医が他人に不快感を与えると判断すれば、給付の対象としてよいというのが医療課長通達で四十五年八月一日に出ております。しかし、こういうふうに出していただいているんだけれども、療養担当規則というところを見ますと、歯列矯正は給付の対象としてはならないという禁止条項が残っているわけですね。だから結局、通達を全く否定するというのが療養担当規則に載っているわけですから、これも当然削除していただくということにならないと、現実のものにならないということになっていくわけでございましょう。
  228. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 療養担当規則に書いてございますのは、一般的な歯列矯正でございます。したがいまして、歯並びを単によくするということになりますと、これはむしろ審美的と申しますか、美容的な観点でございますので、保険経済の問題もありますし、そこまで全部保険で見るというわけにはまいらないわけでございます。しかし、唇裂、口蓋裂の場合には非常に特殊なケースでございますので、医療課長の通知の中にございますように、社会通念上医師として治療の必要があると認めるものについては、給付して差し支えないという言い方をしておるわけでございます。
  229. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 それでは大臣、御答弁のように、本当に一年というのが私たちの考える一年ではないわけなんです。この問題がなぜこんなに大きくなりましたかといいますと、北海道の苫小牧市で、生まれた赤ちゃんを見たお母さんが兎唇である、口蓋裂であるということから本当に頭が錯乱いたしまして、子供を殺してしまったのです。そして、そのお母さんは本当に精神錯乱状態だったからというので起訴されないで済みましたけれども、そのときのお母さんの気持ち、お父さんの気持ちということは、もう私たち当事者でなければわからない苦しみだと思うのです。そういうことから考えれば一年でも早く、即刻にでもと言いたいところですけれども、相手のあることですからそうは無理は申しませんけれども、一年でも早く再形成手術だけではなくて、歯列矯整、そして言語障害に対する訓練ということも含めての保障をしていただきたいということを、お答えいただきましたけれども、再度重ねて御要望申し上げたいと思います。  それでは、今度は一番困難だと言われる言語治療の問題なんですけれども、口蓋裂治療のためには、外科といっても口腔外科、形成外科、それから耳鼻科、小児科、歯科歯科の中には矯正、補綴が入ります。それから言語治療科、精神衛生科、ソーシャルワーカーなど、その道の専門家によるチームプレーが必要だというような状態になっているわけです。このチームプレーというのが非常に数少ない専門医という困難があろうと思いますけれども、いま現在細々ながらやっているのは大学病院や付属病院だけなわけです。そこで、厚生大臣の責任でぜひ御努力をいただきたいのは、国立病院、公立病院などにもこうした体制がとれるような最大限の御努力をいただきたい。そして、現在診療体制のあるところも円滑にいくように文部省厚生省との話し合いを進めて努力していただきたい。これについてのお考えを伺いたいと思います。
  230. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま御説明がございましたように、唇裂の高度の障害、あるいは口蓋裂、こういったものを、外科系、内科系、また精神科とか、心理、それにソーシャルワーカー、それにスピーチセラピスト、こういったものがチームをつくって総合的に診療するということは最も望ましい形でございます。しかし、そのように各種の専門家が必要でございまして、現在、歯科大学また医科大学の付属病院で行われているという状態でございます。したがって、後の御質問に関連いたしますけれども、文部省にもお願いをいたしまして、そういった専門家の養成確保を図りまして、国立においてもできるだけ基幹的な病院からそういうふうなセンターを考えてみたいと思っておりますけれども、なかなかマンパワーの問題は今後の大きな問題ではないかと考えております。
  231. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 文部省いらしていますか。——文部省にもぜひお願いしたいんですけれども、いま一番ネックになっているのは、そういう専門医がいない。これはもういまの現代医学の水準から言えばこれは治せるんだと、そういうチームワークができてうまくいって、そしてチームプレーで各専門家が力を合わせて執刀するなり訓練するたらば治るんです。そして、普通の子供と同じように社会に出ていけるんです。そういうときのネックになるのがその専門医が足りないというわけです。そういう専門医がなぜ足りないかといいますと、一般歯科より長期の勉強が必要になる、そしてその技術評価がされていないということでございますね。世界でどうなっているんだと、お母さんたちみんな必死になって探し、また協力する新聞社もその先進国であるデンマークに飛んで行きました。そうすると、デンマークでは医師の中で矯正医が一番優遇されており、公立歯科大学でも定員の十倍近くの学生が殺到するというような状態。つまり、技術評価というものが正当になされるならば、そして医者としてのそこに使命感があるからこれはうまくいくはずだ。そういうふうにするならば、文部省としても厚生省としても、卒後、教官に、六年過ぎてからの研究の間に、この矯正という問題が医者としてどんなに大事なのかということを何とかして奨励するというような御努力を積極的に生かせていただきたい。文部省としてはこういう点についてどう考えていらっしゃるか。
  232. 説明員(五十嵐耕一君)(五十嵐耕一)

    説明員五十嵐耕一君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話のございましたように、学部段階の教育と申しますのは歯科一般医の養成を目的としているということでございますから、卒前教育では専門医の養成は行われておりません。しかし、卒後の段階におきましては、制度的ではございませんが、事実上各大学におきまして努力が進められているわけでございます。  具体的に申しますと東京医科歯科大学でございますが、ここでは二年コースの矯正学の専攻生の制度を設けておりまして、そこで養成をやっておるわけでございます。この東京医科歯科大学ほど制度的ではございませんが、各大学には歯科の矯正学といいますものは講座として必置でございますから、そこにおきまして当然その方面の専門家の育成も行われているということでございます。
  233. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 ぜひ文部省厚生省とともに積極的な御努力をお願いしたいと思います。  それから、この悲劇になって子供を殺したというようなこと、そしてまたたくさんのお母さんたちがいまだに本当に悩みながら子供を隠して生活していらっしゃるということ、こういうことを考えますと、やっぱりこれは治るんだという展望がないということが一つの問題です。そして、どういうふうなときにどういう手術をすればいいのだというような、その道筋が明らかになっていない。だから、もうこれは大変だ、絶望だというので悲観して殺しちゃうなんということが起きてくるわけですね。  そこで、私はお金がかからなくても、いますぐできることをやっていただきたい。それは、この問題についての認識を全国的なものにするためにPRしていただくということと、それから当事者であるお母さんたち、そのお母さんたちに母子手帳が出されますね。その中にも一言、こういう子供があったときにはすぐに保健婦さんと相談しなさいというような展望の道をつけていただければ、たくさんの悲劇はなくなると思うんです。そういうことをぜひしていただきたいということが一つです。  それから、お産をしますのは大体産科、それから助産婦さんというところに連絡をしておきますと、この方たちがこれはこういう病気なんだということで道をつけていただけると思う。しかし、まだ産科のお医者さんの中にもこの病気を知らない方がたくさんあります。そして見逃してしまう方がたくさんあります。そうすると、今度は母子手帳に知らせるだけではなくて、そういう産婦人科のお医者さん、助産婦さんに対してこの問題についての徹底した認識を持っていただくというような努力を二番目にしていただきたい。  そして三番目には、保健所の保健婦さん、この保健婦さんの回っていきますのは二千五百グラム以下の未熟児とかそういうものについては回っていくけれども、口唇・口蓋裂の子供は別に小さい生まれじゃないわけですから、三千からのいい体格をしてそういう障害を持っているというようなことがありますね。そういうときに保健婦さんの手ではわからない。先ほど言ったように産婦人科、助産婦の方と連絡がつけば、その産婦人科、助産婦の方がすぐ保健所に知らせて、そして保健婦さんが診て指導するという形がとれると思う。そのためには保健婦さんに今度教育をしなければならないわけです。お乳飲まぜるのも、普通のお乳の飲ませ方と違いますしね。特別な哺乳びんで飲ませなければなりませんし、もうタイミングが大変なんですね。私もきのう聞いてびっくりしました。本当に一瞬も油断したらほかに流れていっちゃいますし、むせてしまう。もう母と子が真剣勝負でお乳を何時間かかってでも飲ませるというような特別な講習、訓練という、そして認識を深めるという教育をしてもらいたい。  この三つ、母子手帳と助産婦それから産婦人科、それから保健所の保健婦さんに対してのこういう手だては、専門家がいなくても、お金がなくてもいますぐできることですから、御検討いただいて実施していただきたいと思います。大臣どうぞ。
  234. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 大変実質的な、また有意義なお話を承りまして、本当にありがとうございます。その御趣旨を体しまして、極力実現できるように努力をいたします。
  235. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 当然努力していただけると思いますけれども、長くかかって努力するというのでは、もうちょっと間に合いませんので、できる限りの可能な段階でというふうに考えていただけば、すぐにそういう手だてとっていただけますね。済みません、しつこいようですけれども。
  236. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) これはもう極力、まず、徹底周知までいかなくとも、通知から——通知するぐらいのことはできるわけですから、末端に、保健婦にそういうことを知らせろということは、通達を出せば……ですから、それはもう早いうちにやります。そう何カ月もかけないで。
  237. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 母子手帳も助産婦さんも。
  238. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 母子手帳までは、ちょっとそこまでやれるかどうかわかりませんがね。
  239. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 私、三つ聞いたんですよ。
  240. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 一つ一つ——三つひっくるめてすぐと言われても、なかなかこれは印刷の問題もいろいろございますから、しかし、できるものから早くやりますから、お任せをいただきます。
  241. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 それでは、御信頼申し上げますので、信頼を裏切らないように、積極的に早急に御努力いただきたいと思います。  それから、こういった方たちが非常にお困りになるのは、厚生省へ行きましても、それぞれの課が別々になるわけでございますね。保険点数になると保険局医療課になりますか、それから育成医療になると母子衛生課、医療体制や医療内容になると医務局歯科衛生課と文部省大学局医学教育課というふうに、担当がばらばらになっているわけなんです。その障害を持っているのは、一人なわけなんです。行きますと、あっちの課へ行け、こっちの課へ行けというので、結局窓口がないということが非常に困難でございます。かつて難病が問題になりましたときにも、難病の窓口をお願いして、開いていただきました。大変これも煩わしい仕事になるかと思いますけれども、やはりその子供や親の立場に立って、口蓋裂対策のための窓口を何とかどこかに決めていただきたい。これもお金はかかりませんので、やっていただけると思いますが、いかがでございますか。
  242. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま御指摘のように、いろいろ各局に業務はまたがるわけでございます。たとえば、スピーチセラピストの養成といえば、厚生省では社会局の問題になってまいります。しかし、それではやはり御不便でございましょうから、やはり一般的な歯科医学、医学の問題でございますので、医務局が関係各局とよく御相談をいたしまして、善処をいたしたいと考えております。
  243. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 それでは、これも早急に窓口をぜひつくっていただきたいと思います。やっぱり窓口をつくっていただかないと、他省庁と交渉したり、地方自治体との関係もございますし、実情を把握しなければ、一体これに対してどれくらい、保険になったときに予算がかかるのかというようなことの調査もできませんということになりますから、ぜひその窓口をいまおっしゃったようにつくっていただくということ。そうして、地方自治体にはこの対策を積極的に講ずると、これは厚生省だけではなくて、やはり地方自治体も積極的に政策的に協力してもらわなければなりませんので、地方自治体への厚生省としての何といいましょうか、こういうふうにやってくれというような御指導をいただきたいと思います。その点はいかがでございますか。
  244. 政府委員(松浦十四郎君)(松浦十四郎)

    政府委員(松浦十四郎君) 現在、保健所におきまして、これは乳児の健診なりあるいは健康相談といった場合に、当然現在のところ、そういう患者さんがおられた場合には、いろいろと御相談申し上げておるわけでございますが、いま先生おっしゃいましたように、そういった相談のことにつきまして保健所にお越しいただければ、十分相談できるようにということで、私どもの方から十分指導徹底いたしたいと思います。
  245. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 それでは、残りわずかになりましたので、いまお約束いただいたのが具体的にどの程度進捗しているかということを、またたびたび伺いに行きたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは次に、身体障害者授産施設の問題についてお伺いしたいと思うんです。この九月に私たち、この委員会調査で北海道の身体障害者授産施設というところを調査いたしました。ここへ行ってみますと、非常に、さまざまな問題を抱えているわけです。つまり、雇用促進との関係がうまくいってない、重症者は重度化の傾向にある、経営上苦しいというところがあり、また施設を見ますと、老朽施設があるというようなことです。  具体的にお伺いしたいんですけれども、こういうところで授産施設として仕事をやっておりますのが、大きな部分がクリーニング、洗たく工場ですね、この洗たく工場の中での大きな役割りしているのが病院の寝具の洗たくをやっているわけです。北海道リハビリもそうでした。そして、その後、私小樽の宏栄社というところに行ってまいりましたけれども、事業収入が約一億七千六百七十万円なんです。それに対してクリーニングの収入というのが一億六千五百五十万円です。あと印刷が五百二十三万とか、あと百万とか二百万程度で、圧倒的に一億六千五百五十万というのがクリーニング代なんです。そこで、一体どれくらいの単価でやっているかということを調べてみたわけです。調べますと、寝具一式の洗たく代というのが、これは小樽で見ますと、小樽の国立療養所小樽病院では七十七円でやっておりました。安いところは六十四円です。高いところで八十五円でございます。この洗たく代というのが、保険点数で言いますと十点出ておりますね。百円出ているわけなんです。しかし、この授産施設が受け取る額というのは、いま言ったように、小樽などは国立療養所小樽病院は、七十七円というような状態になっているわけです。そして、その上に、その授産施設から各病院にハウスキーパーといって、お手伝いさんを常時派遣しております。北海道リハビリで調べますと、ハウスキーパーが十七名、常時入っているわけです。その人件費というのが、年間千五百八十二万六千八百円、宏栄社というところでは十一名で千八百六十五万円というような数になっています。  そこで、私がぜひお願いをしたい第一の問題は、保険点数十点出ている、百円出ている。百円そのまま出せとは言いませんけれども、少なくとも、国立、公立の病院なんかの場合には、七十八円なんて言わないで、せめて八十円、二円上げても八十円、できれば当然九十円くらいにしていただきたい。百円、点数出ているんですから。それなのに直接授産所にはそれだけしか出てないということは、まことに不合理だと思う。これが出していただけますと、そこで働いている重度の方もたくさんいました。この人たちが訓練生という名前で一体幾ら毎月もらっているかと言えば、二万ないしせいぜい三万なわけです。そうすると、この人たちが、もう本当に一これもまた別ですけれども、口蓋裂とは。障害を持ちながら、生きるということで一生懸命働いている者たちに、この基準と洗たく代を上げていただくことがどんなにこの人たちを励ましてあげることができるかということを考えますと、どうしてもこの単価を引き上げていただきたい。これが第一の問題です。そして、その引き上げる際に考えていただきたいことは、ずうっと調べましたら、綿久という大きな、そういう業者があります。そこはもう一手にそれを引き受けたい。だからもう六十円どころか五十円でもいいよ、三十円でもいいよというように、いわゆる買いたたきをやって、それ全部押さえてしまったら引き上げるということができるわけですね。だから、引き上げて、だから高いから安い綿久に出すというようなことになっては困る。やっぱり官公需をどんどん出すというような立場に立って、そういう業者が入り込んで、せっかくの障害者の職場を脅かさないようにして、七十七円とか、八十円とかいうのを、ぜひ引き上げていただきたいということです。  それから、もう時間がありません、もう一つの問題、続けてお伺いしたいんですけれども、大変重度化しているわけです、入所者が。先ほど言いました小樽の宏栄社で見ますと、入所者が現在七十五名のうち、一級が四名、二級が三十一名、三級十四名、つまり、三級以上が実に六五・三%を占めているわけです。こういうところでは非常に生産性は落ちます。そして人手もかかります。そういうことから見れば、職員定員の配置基準措置費に重度加算の制度を設けなければやっていけないのではないか。重度身障者授産施設と比較してみますと、措置費も、定員の数も全然違いますね。そうすると、重度ではないけれども、実際に重度化されていくというような場合には、やはり措置費と職員定数の配置基準に重度加算の制度を設けていただかなければ、これは早晩やっていけない、つぶれてしまう。せっかくの更生授産施設がだめになってしまうという問題。だから、これを考えていただきたいというのが第二点目でございます。  それから、北海道リハビリの老朽寮なんですけれども、私ずっと皆さんと御一緒に歩いて、寮がどうなっているのかと思って、ちょっと見に行きました。そしたら身体不自由です。足が不自由、手が不自由というような、そういう方々の寮が二段ベッドになっている。二段ベッドになって上がるというようなことが大変困難なんです。しかも、古いから水漏れがしたりというようなことで、これはどうしても改築しなければならないということで、これは補助として国の方に、厚生省の方に要請がきていると思いますけれども、こういう補助について積極的にこたえていただきたいということについて最後にお伺いしたいと思います。
  246. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) まず、第一の御質問の、国立病院、療養所における寝具借り上げ単価の引き上げの問題についてお答えいたします。  確かに、国立病院は医療保険からは一日百円をいただいております。また、社会福祉法人北海道リハビリは特殊な施設でございます。そういう関係で先生のお気持ちはわかります。しかしながら、国立病院、療養所の経営といたしましては、こういった借り上げの契約を結ぶときには毎年競争入札をいたしまして、一番安いところに決めるという原則になっております。現在、北海道は、先生からもお話ございましたが、七十八円という全国一の高い単価にすでになっているわけでございます。したがって、なかなかむずかしい問題でございますけれども、できるだけ社会福祉法人北海道リハビリについては、国立病院、療養所としても何らかの形で応援ができるような配慮はしてみたいと思います。しかし単価の引き上げについては、競争入札が原則でございますから、そう簡単にはまいりません。勝手にこちらが引き上げるわけにはまいりません。
  247. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) 御質問の第二点と第三点でございます。  御指摘になりますように、身体障害者の授産施設に入ってくる人たちというのはだんだん重度化してくる。それで当初、身体障害者の授産施設を整備し始めたころには、それほど重い人たちではなかったわけでございます。したがいまして、現にある一般の身体障害者授産施設というのは必ずしも重い人たちに向いたような構造になっておらない。そこで、御質問の中にもございましたけれども、特に重い身体障害者のためには、別に建物の規模なり構造なり、職員の配置について特別の考慮をいたしました重度の身体障害者授産施設というものを増設してまいっておりまして、一般の身体障害者授産施設の場合には、四十八年六十カ所であったものが現在でも六十六カ所ぐらいでございますけれども、重い人たちの授産施設につきましては、四十八年には三十二カ所であったものが現在五十二カ所にまでふやしてまいっておりますけれども、何と申しますか、施設の構造設備なり、あるいは職員の配置から考えますと、やはり重い人は重い人に向いた施設にお預かりするのが一番いいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。  それから、老朽化した施設に対する助成の問題でございますが、特に民間の社会福祉施設につきまして、昭和三十八年から計画的に改築整備をしようということで国庫補助を行っております。  それから、社会福祉法人が自己負担をする。これにつきましては、社会福祉事業振興会、特殊法人でありますが、そこから無利子で融資をするということで、老朽施設の整備にはこれまでも努めてまいりましたし、これからも努めてまいるつもりでございます。
  248. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 一言だけ大臣に。大臣、一言だけ御意見を伺いたいのです。  いまお答えになりましたように、国立病院は入札制度だ、だから勝手に決めるわけにはいきません、国立病院の会計も赤字の中であるから、だから安い方にいかざるを得ないという、そういうお答えだったのです。それはお答えとして筋が通っていると思うのです。私、そういう考え方だったら、そしたらいま言った綿久というのが三十円でもいいといって出てきたときに、そしたら三十円で全部綿久にやっちゃって、こういう授産施設の仕事がなくなってもいいと——なくなりますよ、そういう考え方でいかれれば。そういうことになる。そして、その綿久というのが具体的にそれこそささり込んできたときに、それをのけて、そして六十円なり七十円なりやってきたわけでしょう。そしたら、入札が原則だからということで、安いものでなければならないということにはならないわけですよ。  だから、まず聞きたいのは、そういうお答えだったら、三十円でもいいからといって大企業がそこに手を伸ばして、授産施設がつぶれるような目に遭ってもいいのかということです。それから、国立病院、公立病院、十点の点数をもらって、百円という点数をもらいながら、国立病院の会計が赤字だからといって、そういうところへしわ寄せていくということが正しいことかどうか。悪く言えばピンはねじゃないですか。そうでしょう。十点で百円出ているのじゃないですか。それを国立の財政が赤字だからといって下へしわ寄せていくというのは、物の考え方が全く逆じゃないですか。そういうことでその授産施設なんかに本当に生きる力を与える、そしてその人たちの仕事を確保する、そして正当な賃金も支払い、料金も支払い、それでなおかつ——さっきの定員の問題でもそうですわ、それでなおかつ足りないというのは、いまの国立会計が赤字にならざるを得ないようになっているのだ。ここのところを上向きに突破しなければ、全部犠牲は下にいってしまうのですよ。それで厚生省としての立場はいいんですか。私はいまのことを聞いて本当に愕然としました。そういう立場で幾ら福祉だ何だなんておっしゃったって、言っていることとやっていることと全く違うじゃないですか。大臣の御見解を伺いたい。大臣に聞きたいのですよ。
  249. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 佐分利局長の言っているのは、たてまえ論を言っているわけですから。たてまえ論を佐分利さんは言っているわけで、間違ったことを言っているわけじゃない。しかし、その北海道の福祉工場ですか、身体障害者だけが集まってやっておると。福祉工場をめんどう見ることも私の方の仕事で、これは厚生省は、私の方は児童家庭局もあれば、社会局もあれば、医務局もみんなあるわけですから、ですから、それはみんな身体障害者の方がやっていけなくなっても困るので、それは適切な措置を講じます。
  250. 小笠原貞子君(小笠原貞子)

    小笠原貞子君 本当にお願いしますよ。
  251. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 本当です。
  252. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 社労委員会は、その性格上、社会の生々しい問題が取り上げられることが多いわけであります。問題が生々しいだけに、官僚の答弁は法制、予算ということをおもんぱかって慎重になります。その結果、質疑というのが非常にそらぞらしいものになるという、そういう欠陥をいままで持っていたのではないか。もちろん、現実的対応を図るというのは当委員会の重大な任務でございますが、私は、他方、現在の不況という重々しい雰囲気の中で、政治に必要なことは、国民に対して希望とロマンを与える、そして、その希望に向かって進む行政の力強い姿勢を示すことによって政治に対する信頼を深めるという視点も必要であろう。私はそういう考えに立って、本日は人口政策と母性保障対策について質問をいたしたいと思います。  素人大臣ということを自負しておられまして、素人大臣なるがゆえに豊かな発想と決断力をお持ちだと思いますので、率直な御見解を承りたいと存じます。  まず、一九七四年八月にブカレストで第三回世界人口会議が開かれております。そこで、人口行動計画が真剣に論議されましたけれども、その際、世界の人口展望は科学技術、医学の進歩、食生活の向上、経済力、生産力の発展等によりまして、三百年前の人口増加年率〇・三%から、現在では年率二%となっている。世界人口は一九七〇年の三十六億から年に七千万ないし八千万人ずつふえ続け、近く四十億を超えるであろう。二%の増加率を続ければ三十五年で二倍、七十年で四倍、百五年で八倍になるであろう。特に、フィリピン、タイ、スリランカ、バングラデシュ、ブラジル等、年率三%を超えるところでは二十三年で二倍、四十六年で四倍、九十二年で十六倍になることが指摘されたと聞いております。もちろん、人口問題というのは食糧エネルギー、資源、環境などのむずかしい問題とかかわりを持っておりますし、ここに各国のナショナリズムが絡んでまいりまして非常にむずかしい問題であることは十分承知いたしております。しかし翻って、日本の人口増加率は年間一%で先進国並みと言っておりますけれども、しかし厚生省が人口問題研究所の結論によって発表しました数字によりましても、その日本においても現在の人口一億一千万人は二十五年後に一億三千五百万、七十五年後には一億四千五百万に達するであろうと述べられているわけであります。このような国際的、国内的人口趨勢の展望をとらえまして、まず冒頭厚生大臣としての人口政策に関する認識と基本的考えについてお伺いをいたしたいと思います。
  253. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) ただいま御指摘がございましたように、わが国の人口は昭和五十年で一億一千百万人であります。しかしながら、過去の出生数が多かったことの影響で、実際の人口は今後なお増加をして、百二十五年ごろには一億四千万ぐらいで静止人口になるだろうということが言われておるわけであります。わが国の場合、静止人口を維持するために厚生省としては人口教育、母子保健対策等を進めておりますが、なお引き続きまして、人口がふえることに対して資源、教育、労働等各方面の十分な対応が行われるように、関係省庁間で人口の推移を踏まえながら今後対処していく必要がある。特に、老齢化が進んでまいりますから、老人対策の拡充というようなことは特に必要である、かように考えております。
  254. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 具体的な国内施策については後ほど質問したいと思います。  これは外務省の所管ではございますが、国務大臣としての渡辺さんにお伺いしたいわけでございますが、世界的な人口政策ということになりますと、一般的には国民所得を向上する、少なくとも限界所得を国民一人当たり二百ないし三百ドルに引き上げる、そのための国際協力を強めていく。さらに、婦人の立場を認識して社会的地位の向上を図る。第三番目には、教育、特に初等教育の普及徹底を図る。この三点が基本であることはすでに通説でございます。このためには、先進国の一つとしてわが国の国際協力に対する強化というものがますます必要さを強めてくるのではないかと思います。  国務大臣として国際人口政策に対する協力の基本方針についてひとつお伺いをいたします。
  255. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 国際協力はやはり国力に応じて相応の協力をしていかなければなるまい、かように考えております。人口政策に対して具体的にどういうような国際協力をするかということにつきましては、受け入れ国との関係もございますから、こちらでひな形をつくって押しつけるというわけにもなかなかいかない。まあWHOその他を通して御要望のある問題等について応分の協力はしていきたい、こう思っております。
  256. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 私のさきの質問で、大臣は、わが国においても将来人口を自然の動向にゆだねるというのではなくて、関係各省と緊密な連携をとりながら、早期に、かつ低い水準で安定化を図る。むしろ、国民の理解のもとに人口の量のかわりに質を高める、こういうことについていろいろ努力をしていきたいということを述べられたわけでございますが、わが国におきまして人口増加率一%、これは先進国並みだと、こう言われておるわけでありますが、厚生省統計によりましても、公式統計によっても、年七十万人を超える人工中絶があるということが明らかにされております。これは母性の安全社会的な見地からして重大な問題をはらんでいると思うのであります。厚生大臣としてこの現実にどのように対応していこうとしておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  257. 政府委員(石野清治君)(石野清治)

    政府委員(石野清治君) お尋ねの人工妊娠中絶の問題がございますけれども、確かに件数としては非常に多うございまして、昭和五十年でも六十七万件というのが報告に出ております。しかし、これは長期的に見ました場合に、昭和三十年のころでございますと百十七万件ということでございますので、約半減はいたしているわけでございまして、毎年少しずつ減っております。問題は、やはり人口の質を高めるという意味でも、母子保健の対策というのは非常に重要でございまして、特に家族計画の普及事業につきましては非常に力を入れているわけでございまして、たとえば保健所あるいは市町村におきます婚前学級あるいは新婚学級、そういうものを通じまして一般的な教育を行っているのが一つ。それから、現実に受胎調節の実地指導員、そういうものによりまして、特に低所得階層について重点的に実地訪門指導を行っているわけでございます。さらには、一般の民間の活動でございますけれども、民間なんかにおきまして特に家族計画に関します助成を行っておるものにつきまして、国が補助金を出すとか、こういうこともやっておりますし、さらにことしは五十二年度から新しく遺伝相談ということで家族計画の特別相談事業というものを実は実施いたしました。これは内容は遺伝問題を中心といたしまして、できるだけ優秀な日本民族をつくり上げるということで、従来タブーでございました遺伝問題につきまして国が間接的に助成をする、こういうことについても新しくやったわけでございます。さらには、優生保護相談所におきます家族計画あるいは受胎調節についての相談指導を行っておりますけれども、これをさらに充実させていきたい、こう考えております。
  258. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 ただいま局長は、家族計画普及事業を拡大強化してきた、こういう御答弁なんでありますが、私はこれは若干古い資料でございますけれども、昭和四十四年暮れに厚生省日本医師会が共同して行った全国の人工妊娠中絶実態調査というものを覚まして、まさにこれは偶然としたわけでございます。これは十二月八日から十日間のうち、全国の産婦人科医一万三千人のところに人工中絶について相談に来た人二万九千人、うち初めての妊娠は一二%、そのうち二〇ないし三〇%は未婚者であるという。その対象の範囲でございますが、その調査の中で、お医者さんがもし優生保護法で中絶の理由がないとして、どこのお医者さんも全部断ったらどうしますかという質問に対しまして、やむを得ず産みますと答えたのは五二%、あとの四八%は絶対に産みません、こう回答をしております。それではどうするのかという再度の質問に対して、金は幾らかけてもいいから非合法で中絶をすると答えたのが二二%、その他は産んでから人にやる、捨てる、殺す、こう答えているわけでございます。これが現状なのであります。まさにこのような現状、四十四年の時点でございますから、昭和五十二年度の時点でどれだけの改善が行われたか、私は残念ながらその資料を持っておりませんけれども、こうした現実はなお現在の家族計画普及事業というものが十分ではないということを示す証左ではないかと、こう思うわけであります。大臣、御所見いかがですか。
  259. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 最近、私はかなり考え方が変わってきているんじゃないかと思っております。私の親戚とか友人とか、産婦人科医がたくさんおるんですが、ここ三年間ぐらい、非常に人工の中絶が激減をしておるんだそうです。産婦人科、いま不景気だなんて言われますが、これはどうしてそうなったかというと、結局若い人たちも中年の人もそうですが、やっぱりいろいろ考えて工夫をしているんじゃないかということが推測されます。だからといって出生率がうんとふえたということでもないのですから、やはりそういうもの、いま局長が言ったようなものがかなり定着をして、不況の問題もあるのかもしれませんが、まともになってきつつあることは間違いないと、こういうように私は見ております。
  260. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 大臣の周辺ではそうかもしれませんが、児童家庭局長は最近でも六十七万の中絶件数がある、こう言われたわけですから、これは公式に届け出てきたものだけですよ。これは余り減ってないんですね。私はそこで、きょう文部省いらっしゃいますか——にお伺いしたいんですけれども、こうした現状改善していくためには、まず教育の改善と教師の育成ということがきわめて必要なのではないか。家族計画、母子保健の教育カリキュラムを義務教育の中学三年時あたりにこれを導入するとともに、教師の再教育、教材の整備等を学校教育の面においてももっと強化していかなければならない。同時に、社会教育の中にもこれを取り入れていくという発想が必要ではなかろうか。さらに、現在一部の保健所、市町村では行っておりますが、婚前、新婚学級というようなものにつきましても、やはり全市町村で行うようにこれを制度化していく。さらに、企業体単位でもこういった教育の普及を図っていく。当然、国としてはこれらに対する指導者研修のための開催費、教材費等の補助を行っていく。こういういわゆる教育活動の強化というものについて、現在まで行っていないとは決して申しませんけれども、一層の強化が必要だということを統計は示している、こう思いますが、いかがですか。
  261. 説明員(上田一郎君)(上田一郎)

    説明員上田一郎君) 学校教育におきましては、先生がおっしゃいますように、人間尊重の精神を基盤とするということで性に関する正しい理解を持たせる、それから健全な異性観を持たせる。そしてこれに基づいていわゆる正しい、適切な性に関する行動がとれるように指導するということを目的として、たとえば保健でありますとか、理科でありますとかという、各教科全般にまたがっていろんな形で触れております。それから、各教科のみでなく道徳、それから特別活動というような学校教育全般にわたっていろんな形で触れるということにしておるわけでございます。今回、小中学校の教育課程の基準の改定を行ったわけでございますが、これは小学校については五十五年度、中学校については五十六年度から全面実施をするわけでございますけれども、この中におきましても、小学校でも従来から、たとえば五年からの保健等には性教育関係の条項があったわけでございますが、これをより明確な記述にいたしたこととか、あるいは中学校におきまして道徳では、たとえばいままで友だち関係ということで一つの項目でありましたのを、友だち関係と男女関係というふうに分けて正しい理解を得させるようにしましたこととか、いろいろ工夫をしてございます。高等学校におきましても保健、それから倫社、理科等で詳しく取り扱っておることは御承知のとおりでございまして、先ほどお話の人工妊娠中絶等につきましては、高等学校の保健の特に結婚と優生でございますとか、家族計画でございますとかという条項で取り扱っておりまして、従前からこれは人工妊娠中絶はやむを得ず行う場合もあるけれども、これはあくまでやむを得ない場合であって、心身にいろんな障害を与えるし、それから危険も伴うということで、家族計画をこれをもって実施することは望ましくないという取り扱いで一貫してきております。おっしゃいますように、学校教育だけでなくて、これは家庭及び社会の協力及び教育が重要なことはもう言うまでもございませんで、行政施策の面から申しましても、たとえば各地域で行われております婦人学級、家庭学級等につきましては、二分の一の補助金を出して大いに振興策を図るというような施策を講じておりますし、これは今後ともますます充実していきたいと考えております。  それから教師の養成、それから教材の充実等につきましても、従前から性教育に限りませず、教師の資質の向上についていろんな観点から養成の段階からの施策を考えておるところでございまして、現在中央教育審議会におきましても、これから教師のあり方の問題について本格的に取り組んで審議をするという形になっておる段階でございます。
  262. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 大臣、いまいろいろ説明はあったんですけれども、一つの人工中絶という統計を見ましても、今日までの努力というものはなお顕著な効果というものを上げていない。そこで、これは単に妊娠中絶のみでなくて、母性保健の良否を判定する指標としてWHOでは妊産婦死亡率と周産期死亡率というこの二つの統計を毎年発表いたしておるわけでございます。私は時間の関係から具体的な数字を述べることは省略をいたしますけれども、WHO加盟国の中でわが国が依然として高位にあるということは、これはもう否定しがたい事実でございますし、最近二十年間の死亡率改善の速度というのが不良であるということもまた事実ではないか、こう思うのであります。  そこで、このように母子保健の劣悪な原因は一体どこにあるのであろうかということでございますが、私は次の五点に起因していると思うんです。  第一は、母子保健行政というのが厚生省のほかに労働省、農林省、文部省にまたがっております。厚生省の中でもまた局に分かれておるわけでございます。したがって、総合計画、将来計画というものを欠きがちであって部分的施策ということが遂行されている。やはり、必要なことは母子保健に関する行政の統括というところに何らかの欠陥というものがあるのではないか。だとすれば、この統括のための具体的方策がまず第一に必要であろうと思います。  第二点は、現在の母子保健法は昭和四十年に制定されておりますが、国会審議の過程におきまして、野党からその内容の未熟、不備、不徹底が指摘されまして、将来この内容改善を図るべきであることが強く述べられたと承知いたしております。しかし、この母子保健法というのは昭和四十年以来大きな改正なく現在に至っている。とするならば、ここに母子保健法の再度の見直しということが必要なのではないだろうか。  第三には、母子保健に対する国の投資が不足をしていないか。これに対する洗い直しと充実策が必要であろう。  第四番目は、母子保健の指導体系に不備がありはしないか。  最後に第五点としては、指導要員に不足がありはしないか。  このような五つの問題点というものを解明し、それぞれの具体的対策を立てるということであって、初めてわが国の母子保健対策というものが大きく前進することができると私は思うのであります。大臣として、これらの私の指摘いたしました問題点に対する今後の具体的対処法を明らかにしていただきたいと思います。
  263. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) いろいろ参考になる御意見でございますから、十分それらの御意見を踏まえて検討してみたいと存じます。   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
  264. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 私の指摘いたしました問題点のうちの第二番目でございますが、現在自民党、社会党、公明党、新自由クラブ及び民社党の与野党五党が超党派で人口問題議員懇談会を設けております。その人口問題懇談会におきましては、いま言いました問題点を解決するために、一つは基本法的なひとつ中核の立法が必要である。第二には、昭和四十年に制定されました母子保健法の抜本改正が必要であるということで、法案内容についての検討が進められております。しかし、私はこれらの問題については、少なくとも議員立法を待って厚生省が重い腰を上げるという姿勢ではなくして、厚生省みずからがこれらの問題に対する検討を積極的に進め、当委員会に政府の明確な方針を提案する、それが厚生行政としてあるべき姿勢ではないかと、こう思うのであります。いかがですか。
  265. 政府委員(石野清治君)(石野清治)

    政府委員(石野清治君) 母性保障に関します基本法を制定するという国会側の動きは承知いたしております。内容につきましても、実は検討さしていただいておりますけれども、中身を見ますと、私どもは必ずしも基本法を制定する必要はあるんだろうかという一実は疑問を率直に持っております。現在、御存じのとおり母子保健法、それから児童福祉法、その他健康保険法とか、いろんな形で母性保障に関します体系は分かれておりますけれども、これはそれぞれの目的があってやっているわけでございますが、やはり中心をなしますのは母子保健法であると思います。この内容については、確かにおっしゃるとおり、予算面でもまだ十分でない面もございます。それから、行政的に行うべきものについても、まだ手をつけてない面もございます。しかしながら、私どもが四十年の母子保健法制定以来、特にその母性保障、母子保健の問題につきましては最重点に考えてきたつもりでございまして、したがいまして、そのいろんな指標を見ましても、特に乳児死亡率につきましては世界のトップグループにありましたし、妊産婦死亡率についてはまだ若干高うございますけれども、これも年々低くなってきている。問題は、いままでやっておる行政をさらに効率的にやらせるということが一番重要なことではないか。基本法を制定するということよりも、むしろそういう行政の中身を高めるということが一番必要ではないかというふうに考えているわけでございます。
  266. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 基本法の制定問題は、これ一応横へ置きましょう。  大臣、その母子保健法ですね、これは具体的法でございます。いま局長も述べられたんでありますけれども、少なくてもこの洗い直しをしてみようというお答えはいただけないものですか。
  267. 政府委員(石野清治君)(石野清治)

    政府委員(石野清治君) 実は、私が児童家庭局長になりましたときに、この母子保健対策そのものを全部洗い直すということで、省内にプロジェクトチームをつくりまして、そこで、一体何をやるべきか、どこが足らないのか、どこがあるいは過剰であるのか、こういうものにつきまして母子保健体系の再構築を図ったわけでございまして、その中で特に必要と思うものにつきまして、実は五十二年度予算において、たとえば一歳半健診の新設でございますとか、あるいはガスリー法の採用とか、あるいは遺伝相談と、こういう問題につきまして、やはり大きなこれは母子保健上抜けておる体系である、こう考えまして予算化いたしたわけでございまして、五十三年度につきましてもさらにこの内容を高めるということが必要であるというふうに考えております。   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
  268. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 まあこの問題だけで、与えられた時間が少ないものですから、時間を費やすことはできませんけれども、大臣、ひとつ——具体的施策の積み上げで改善を図っていく、これはもう当然そうあるべきだと思います。しかし、これ、四十年に制定されましてもう十二年経過してるわけでございます。まあ体系的にも法制的にもいろいろの問題点が指摘されておるわけでございますから、ひとつこの問題については厚生省内部で、現在の母子保健法というものが果たしてこれでいいのかどうか、少なくてもその洗い直しを行い、必要な諮問を求め、手をつけていくということは私は必要なことではないかと、こう思いますので、これは大臣の方のひとつ決断で関係部局に御指示をぜひ賜りたい、こう思います。  そこで、まあこれは具体的問題でございますが、先ほどの質問にも若干触れてきておるわけですが、最近核家族化が急速に進んでいるわけです。昔であればそこに両親がいる、相談相手もいた、しかし、いまは核家族化が進んできて、夫婦だけだ、こういう家庭が多くなっております。さらに社会の進歩に伴いましていろんな難病なり、むずかしい病気も発生しがちでございます。一体どこに相談をかけていいのか、一般国民は法制上の知識もなければ、社会福祉、社会保障に関する体系の細部も知りません。とするならば、これ、具体的の提案なんでありますけれども、母親や妊婦から、家族計画、妊娠、出産、育児、こういう問題にかかわる相談をいち早く受けて的確な指示ができるような、まあこれは相談電話、俗にこれは赤ちゃん電話と言ってもいいかもしれませんが、そういったものを各自治体に何カ所か設置することによりまして迅速にこの問題を処置し、あなたはこういう病院に行って相談してはどうか、あなたは受胎調節の指導員がこういう方がおるからここに相談をしてはどうか、こういうまあ世話活動といいますかね、的確な指示を行う、そのことが非常に、これは簡単な問題でございますし、経費的にもそう多額の金を要するわけではないわけです。そこに専門の相談員を配置するならば、母子保健行政一つの前進が期せられるのではなかろうかと、こう私は思うわけです。冒頭申しました、これは官僚ではなくて、素人大臣としての発想をお伺いしたい。
  269. 政府委員(石野清治君)(石野清治)

    政府委員(石野清治君) 確かに、現在の養育の問題につきましては、家庭自身がその養育の機能を失ってる面がかなりございます。そういう意味で赤ちゃん電話とか、あるいは妊産婦自身の相談センターと申しますか、そういうものは非常に必要だと思います。実は五十二年度の予算で新しく妊婦、乳児等の保健相談事業というものを全部含めまして、メニュー化方式によりまして補助金を出すことにいたしました。したがいまして、先生の御指摘されましたことにつきましても今年度から補助対象にいたして育成する、こういうことでございます。
  270. 柄谷道一君(柄谷道一)

    柄谷道一君 まあぜひそういった発想はひとつ大臣、各地方自治体とも緊密な連携をとられまして、やはり母親が不安を抱いたときに、まあ一一〇番ではありませんけれども、一つの電話をかければ、そこで親切な指導がしてもらえる、こういう体制というものは、少ない経費でより大きな母子保健上の効果を上げ得る問題点だと思いますので、御検討を願いたいと思います。  なお、時間の関係で、私は多くの質問用意してきたわけでございますが、母性保護普及事業の強化、避妊用具取り扱いの改善、さらには現在の母子保健事業の拠点としての母子健康センターの整備、さらに市町村母子保健事業振興施策の拡充、こういった問題があるわけでございます。  厚生省の五十三年度概算要求の内容拝見いたしまして、従来に比べて前進の御努力は評価をいたしますけれども、これでもなお十分とは言いがたい問題でございますし、しかも今後の大蔵折衝においてこれらが削られるということになるならば、現在でも不満足な施策がなお一層の後退を示すということになるわけでございますから、大臣として一層の御努力をここでお願いをし、最後に問題、質問を一点だけにしぼりたいと思います。  それは、こうした施策を推進していくために必要なことはマンパワーの問題でございます。私は去る昭和五十年三月十八日の当委員会で、福祉要員の専門職としての地位の確立、待遇の改善、職員一人当たり対象人員の再検討、措置費の改善等についてただしまして、人材確保のための立法化と、そして長期的年次計画策定の必要のあることを強調いたしました。当時、その際田中厚生大臣は、福祉事業に携わる人々の使命感などに政府が甘えるようなことがあってはいけないというのが私の信条であり、したがって、今後とも制度化、予算化について努力したいと答弁をされているわけでございます。昭和五十三年度を間近に控えまして改めて大臣から、人材確保そしてそのための中期計画の設定に関するお考えについてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  271. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) 五十年の三月の御質問に対しまして、当時田中大臣なり社会局長お答えをしたわけでございます。  まずその第一点は、職員の増員の問題がございまして、これは御案内のように、夜勤体制を整備いたしますために五十年度、五十一年度二カ年計画で保母、寮母約一万六千人の大幅な増員を行ったのでございます。それから五十二年度におきましては、職員の労働負担の軽減を図りますために調理人、栄養士約二千八百人の増員と、それから、入っている人が多くなったのに応じまして寮母等約四百人の増員を行ったのでございます。五十三年度におきましても、入所者のニードでございますとか職員の勤務条件の改善を図るために必要な増員に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、そのときに給与の問題も出たわけでございますけれども、給与につきましては五十年度から指導員とか保母とか寮母といった直接処遇職員につきして六%の特別改善を講じておるわけでございます。  このほかに、民間施設につきましては、民間施設給与等改善費として平均九%の上積みを行ったのでございますが、その当時お話の中に出てまいりました、何と申しますか、統一的な給与体系という問題は、公立なり民間施設が入りまじりました中で国が一律に策定するということはなかなかむずかしい、むしろ措置費そのものを改善する作業を積み上げる中で検討してまいりたいというふうに思うわけでございます。
  272. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 統一した給与の件については、ただいま局長から言ったようなのが実情じゃないだろうか。言うべくして非常にむずかしいんじゃないかと私も思っております。  予算の問題は、努力をしますと言いながらなかなか、それはあなたがいみじくも最初に言ったように、大蔵省から取れるのかねというような話でございますが、これが強力に予算を獲得するように努力していきたい、さように思っております。
  273. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 大臣、これから質問させていただきますけれども、先ほどの小笠原委員と多少ダブることがあるかと思います。できるだけ避けていきたいと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。後でリフトバスのことについてお伺いしたいと思います。この二つだけお願いをしたいと思います。  大変歴代の厚生大臣の中では勇気のある発言をなさいまして、税制の不公平があってはいけない、お医者さんだけ優遇されてはいけない、断固として公平にするというような発言をなさって、またいろいろとかもし出していらっしゃるようでございますけれども、それだけに一般国民の側から見れば、少なくとも渡辺厚生大臣一般庶民、国民の味方であるというような印象はつけられていると思います。私自身もいろいろの委員会大臣質問させていただきまして、大変満足のいく答えを得られておりますので、この際ざっくばらんに申し上げます。  まず、兎唇、口蓋裂の問題が大きくクローズアップしたのは、北海道の札幌、真駒内の養護学校で、お母様方が集まって、昭和五十年の六月の三日、たまたまそのときに、大して取材することもなくて手持ちぶさたであったところの毎日新聞北海道支局の方が、森直樹さんという方がいらっしゃる、毎日新聞北海道発行所報道部次長。この方がたまたま御自分のところの若い方々を、この養護学校で行われたお母さん方の集まりに派遣したところが、これはえらいこっちゃと、こんなことが現実に日本にほうり出されていたのかということを、いまさらながらこの森さん自身が驚いて、そして、これが果たして日本が、あるいは福田内閣が口にするところの文化国家であり福祉国家であるだろうかというところから、これはアプローチし始めたというふうに承っております。  先ほども小笠原委員からいろいろ御質問がありましたので避けてまいりたいと思いますが、実は田中正巳厚生大臣在任中に質問状が出ております。そしてその質問状にのっとりまして——その質問状はこうでございます。   一、言語障害など機能回復につながる治療に、なぜ健保が適用されないのですか。   一、口がい裂の子供たちが、なぜ「社会通念上、主治医が他人に不快感を与えると判断すれば給付の対象としてよい」(四十五年、厚生省課長通知)に該当しないのでしょう。   一、兎唇手術から歯科矯正まで一貫した医療保険制度はとれないのでしょうか。また、母子手帳に明記して治療費の優遇措置をとれないものですか。   一、形成外科、歯科矯正科などの専門医不足がひどいが、これらの部門の医療整備計画はどうなっているのでしょう。また「口がい裂治療センター」(仮称)を早急に新設できないのですか。 という質問状が出ておるんですけれども、これに関して厚生省の方は、このお母様方に一度でもこの件に関してお答えなさったことおありでしょうか。どなたでも結構です。こういう質問状が厚生大臣に手渡されておるんです。どなたもごらんになってませんか。
  274. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 私は拝見しております。ただ、当時私は公衆衛生局長でございましたので、この問題と直接関係はございませんでした。したがって、当時の的確な模様はよくわからないのでございますが、たとえば歯科の口蓋裂の手術の専門医の問題、またその後始末としての歯列矯正の専門医の問題、さらに口蓋裂等の治療センターの問題、そういったことにつきましては、私が当時の医務局長から拝聴しておりましたところでは、まずマンパワーの確保につきましては文部省当局ともよく御相談をする、また口蓋裂のセンターにつきましては、現在は先ほど小笠原委員がおっしゃいましたように歯科大学付属病院、医科大学の付属病院しかやっておりません。ただ、国立病院も世田谷の小児センターはやっておりますけれども、そのように特殊なところしかやっておりません。で、それは従来で申しますと、たとえば耳鼻咽喉科あるいは整形外科、さらに口腔外科、ことしからは新たに形成外科の標傍が許されましたので形成外科、そういった専門医が要る。そのほかに精神衛生関係、心理関係、ケースワークの関係、さらに最後にはスピーチセラピスト、そういったものが要るというような問題がございまして、そう簡単にはそのようなセンターは実現できないということを先ほどもお答えいたしましたが、現在においても主としてそういったマンパワーの関係からなかなか新増設が困難な状態にございます。
  275. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 大変御丁寧に私の聞いていることよりも多く答えてくれましてありがたいと思いますけれども、ただ残念なことに、そういうふうにお答えになった方はおわかりになっていて、肝心の厚生大臣は一度も見てなかったということになるわけですな。そこで、新聞記者の方が質問に立ちました。厚生大臣に直接お会いになった、田中厚生大臣に。したところが、四百人に一人、全国で年間五千人も口蓋裂児が生まれている。歯科矯生治療などに健保が適用されずに悩んでいる実情をどう考えるかという問いに、厚生大臣「それほど多いとは思っていなかった。厚生省として実態を調べる必要を感じている。」こういうお答えなんです。これは五十年の質問です。もう二年たっています。厚生省ではどのくらいつかんでいますか、この実態を。
  276. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 厚生省が直接調査をしたことはないと存じます。ただ、学会の先生方がいろんな調査をなさっておりまして、その報告によりますと、ただいま下村委員がお示しになりましたと同様に聞いております。ただ、私の従来の経験からいたしますと、兎唇、唇裂、こういったものは四、五百人に一人というふうに内外の文献で見ておりましたが、口蓋裂というような著しい先天奇形の状態はそれほど多くないように私は承っておりました。
  277. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 先日、昭和大学の今度は新しく歯学部が新設されまして、あそこに上野先生という方がいらっしゃる。その上野正先生に伺ったのですが、実際において歯列の矯正をする歯医者はいやがる。なぜいやがるかというと、いままではそういうことを知らなかったために、しかもまた年数がよけいかかるのですね、修行するには。ですから、すぐに開業してもうかる一般の歯医者の方へ行く。ところが最近、この歯列矯正というのが大変高く評価されてきて、このことについて関心を持ち始めた。実は来年お入りになる学生さんの中でそういう方を希望する方が少ないんでしょうね、これからお困りになるんでしょうねと質問したんです。ところが大変多いんだそうです、この歯列矯正をする科を希望するお医者が、学生が。それは何ですかと言ったら、先生がはっきり言いました。治療費が何ぼでも取れるからと、こういうことを言うんです。そうすると、お金の取れる方には医者も行きたがる、取れない方には行きたがらない。もうこの一言でよくわかるんですよ。宮崎正先生という方がいらっしゃいます。この方の発表によりますると、大体三十万人——日本口がい裂学会理事長、大阪大学歯学部口腔外科学第一講座教授宮崎正先生、この方の推定では三十万人、それから小林八州男先生という方がいらっしゃいます。ちょっと細かにこれ、肩書申し上げませんけれども、この方が日赤本部産院で出生五万三千三百五十二名、これは昭和十五年一月から三十一年十二月です。戦前から戦後三十一年十二月まで。この間に五万三千三百五十二名のお子さんが生まれていて、そして兎唇、口蓋裂あるいはその両方の障害のあるお子さんが百三名と、こういうふうに出ております。してみると、厚生省がこれ、何でいままでこういった実態をつかんでいなかったかということが不思議なんですが、そのつかんでいなかったというわけはどういうところにあるんでしょうか。
  278. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) 私どもは死亡統計では過去三十年にわたってつかんでいたわけでございます。問題は生存者の統計をそのように大々的に調べたことがなかったということでございまして、国内の各学者の報告もございますし、また欧米の報告もございますので、それを参考にしてきたわけでございます。いま下村委員おっしゃいました数でございますが、これは私といたしましては、やはりみつくち等の割合が多いのであって、本当に重い機能障害あるいは醜状を呈する口蓋裂とかまた兎唇でも非常に重い兎唇、こういったものはそれほど多くはないのではないかと、先ほども申しましたように外国の文献等から見て考えているところでございます。そういうことで、こいいうことが問題になってまいりますれば、それは全国調査等はなかなか困難でございましょうが、たとえば国立病院で調査をするということはすぐできることでございますから、ひとつやって、一体どちらの方の意見が正しいのか、あるいは中の分け方が違うのか、そういったことも検討してみたいと存じます。
  279. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 こうしてみると、大臣、デンマーク、スウェーデンあたり、よく出てきます、ここは。福祉国家としても最高の水準をいくということから。実はこの毎日新聞がアプローチして、デンマーク、スウェーデンも行っております。デンマークあたりあるいはスウェーデンあたり、全部先ほども小笠原委員が御指摘になったように、産婦人科のお医者さんあるいは助産婦でありますとか、あるいはケースワーカーの方々とか、こういう方々と一体になりまして、生まれてそれが兎唇であり口蓋裂であるとすると、すぐにカードに記入される。そのカードはすぐに王立病院あるいは国立病院に送られる。ですから、日本厚生省のように、死んだとか何とかかんとか、あるいは国立病院がございますから、そこへ来たのを調べりゃわかるでしょうとか、そんな生やさしいことじゃないんですよ、向こうは。しかも、二十年前からこれが行われて、百年前の一八六〇年のカルテまであるというんですよ、向こうは。経済国家とか何とかかんとか言われて今日まできましたけれども、こういうことがこんなにおくれているということはどういうことなんです、その原因は。大臣
  280. 政府委員(佐分利輝彦君)(佐分利輝彦)

    政府委員佐分利輝彦君) まず第一には、先ほど申し上げました広く言ってマンパワーの問題があると存じます。それには、やはり大学教育における大学当局の関心の度合い——プライオリティーの度合いというものがまず問題になってくると存じます。さらに、そういったものを支持するのは国民の世論であり、実際のニーズであろうと思います。そういった関係で、私どもは医科大学もふえておりますし、歯科大学もふえておりますので、そういったところには先生方御要望のようなセンターはあるわけでございますし、また、死亡統計の面から見ますと、死亡者数は減少しつつある。そういうふうなこともございまして、従来この問題にそれほど本格的には取り組まなかったんじゃないかと思っております。しかしながら、そのような御指摘であるならば、先ほども申し上げましたような、まず国立病院等における調査も含めてこの問題を検討いたしたいと存じますけれども、やはり、基本になりますのは、マンパワーの確保の問題であり、それは大学における卒前教育、また卒後の教育の問題が一番だと思っております。
  281. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 きょう、実は手元に、陳情なさってきたお母様方もこの席にいらっしゃるんです。ですから、皆様方がお答えになることがいかにその方たちにどういう反能を示すか、どういうふうな思いできょうお帰りになられるか、国会というところは実にいいくらけんなところで、大臣その他の方々が適当にお答えになっていればそれで済むところなんだなという印象をお与えになると、これからえらいことになるので、慎重に願いたいと思います。  矯正治療費の実態なんですけれども、これがべらぼうに高いんです。事細かに申し上げると時間がなくなります。相談料が二千円で、精密診査料が二万円、その他ひっくるめまして、矯正治療費ですね、全部終わるときには百四十二万七千円もかかるんです。ところが、同じ日本でありながら、ある県によりますると、県の教員組合ですか、そこで半額ちゃんと負担をしてくれるところもあるんですよ。そういうなかなかいきな計らいをするところもあるんです。群馬県の教職員のお子さんは不正咬合、もっともこれは矯正と違うかもわかりません。不正咬合の手術をしたときには半額を組合が負担をする、こういうところもあるんです。  実は、きょう来ていらっしゃるお母様方が最も気になさっていらして、これは大変なことでございますのでお尋ねをいたします。  これは五十年の八月七日なんですけれども、「八月七日に厚生常任委員会の代表委員四人が厚生省を訪れて田中前厚相に会い、請願趣旨である口がい裂児の再形成手術(二次修正)、歯科矯正治療を健保適用の対象にするよう要望した。これに対し、厚相は再形成手術について「要望の趣旨は当然である。これまでも健保の対象としているはずだが、趣旨が徹底していなかったため、末端に混乱を起こしているのかもしれない。すみやかに徹底するよう都道府県に通知を出すように指示する」と答えた」とある。ところが、これが一向に徹底をしていないためにお母さん方が悩んといらっしゃる。あるところでは七千円で済んだところもあるそうです。ところが、あるところでは三万、五万と取られるところもあるんだそうです。一体、厚生大臣は何を通知し、何を通達し、何を指示を与えたんでしょうかという疑問にぶつかるわけです。もちろん、このときには渡辺厚生大臣は現職ではございませんけれども、こういう事実があるんです。これはやっぱり事務関係の方がお答えになりますか。
  282. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 再形成の問題につきまして私も承知しておりますのは、当時、田中厚生大臣のところにいろいろお見えになりまして、団体の方もお見えになったと思いますし、それから北海道でこの問題が非常に大きな問題として取り上げられたということで、北海道の衛生部等からもお話がございまして、その際に、現在の保険の中では、医学的に必要であるということであれば、当然診てもらえるんだということをはっきりお答え申し上げましたし、そういう面につきまして私どもも、大臣からもお答えしましたし、いろいろな機会で趣旨の徹底を図っていると思いますけれども、先ほども小笠原委員の御質問にもございましたように、趣旨がまだ十分でないという点もあるやに思いますので、今後さらに努力いたしたいというふうに思っております。  ただ、私ども当面の問題として、保険の適用の問題として考えておりますのは、再形成の問題につきましては保険で考えられる。しかし、歯列矯正の問題、この辺については現在保険の中に入っておらないということでございますから、これをどういうふうに取り組むかということで、この問題につきまして歯科医師会なり、あるいは中医協等の御議論もありますから、十分御相談しているという段階でございます。
  283. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 いまのお話の続きになりますけれども、いわゆる歯列矯正、その口蓋裂ということが原因で、口蓋裂ということの症状が原因で、そうして歯が乱ぐい歯になるとか、合わないとか、不正咬合するとか——それがある一定の年齢になって体ができてきた、さあそこで歯列矯正をする、ここまで国はめんどうを見ないんですか、見ようとなさらないんでしょうか。これ、国が保護するとなれば当然そこまでめんどう見なきゃいけないんじゃないでしょうか。それを一般の美容整形と——幾ら原形直したって、生まれてくる餓鬼は同じなんですよ。そういう人と一緒にして物を考えるというのはちょっとおかしいと思うんですが、どうですか。区別できませんか、そこのところはっきり。
  284. 政府委員(八木哲夫君)(八木哲夫)

    政府委員八木哲夫君) 先生指摘の唇裂なり口蓋裂の歯列矯正の問題、これは一般的な歯列矯正と非常に趣が違うと思います。ただ、従来なぜ保険給付として歯列矯正が取り上げられておらなかったか、いろいろな原因があると思います。一つは、従来一般的にその歯列矯正というのはある意味では美容的な審美的な問題があるというようなことから、保険の治療の中で保険給付の中に取り上げるということは問題である、これは一般的な問題でございます。それが一つと、それから、従来歯列矯正につきまして専門のお医者さんが、歯科医師さんが非常に少ないと。それから、歯列矯正につきましては長期間にわたって持続的に療法を行わなければ効果が少ないというような特殊性もございましたので、関係の学会等におきましても、これを保険給付に入れるということについては、従来も学会の方からも賛成が得られなかったというふうな理由もございます。さらに、従来は手術だけであったと。しかしその後、手術以外に唇裂、口蓋裂の問題につきましては、補綴なりあるいは歯列矯正、言語障害に対するリハビリ等、一貫しました治療というようなことが、チーム医療ということの必要性が最近強く言われたというようなことから、唇裂、口蓋裂患者に対します歯列矯正の問題は当然取り上げられるべきではないかというようなことで、先ほどもお話に出ましたように、前田中大臣のときもこういう問題は出たわけでございます。私どもといたしましても、この問題は、保険の中にいかに取り込むかということで、実は保険の中で歯科診療のどの部分まで保険に取り入れるかという問題を中医協でいろいろ御議論いただいておるわけでございます。そこで、歯科医療の場合には必ずしも全部が保険医療の中に取り込められておらないという問題もありますので、真に必要なものはできるだけ保険に取り込むという方向で、中医協で先般来御議論賜っているわけでございます。そこで、保険の中にどういう段階で取り入れるかという問題につきまして、いろいろな問題について御議論をいただいているわけでございますけれども、この歯列矯正の問題につきましては、具体的にどういうふうにこの適用症を考えていくか。あるいは先ほども小笠原委員に大臣からも御説明申し上げましたように、閉鎖手術から歯列矯正までの期間の患者管理の問題でございますとか、患者受け入れ体制の整備等につきまして、いま学会でいろいろと相談しているというようなことでございまして、歯科医師会なり学会等の御意見を伺いまして、その検討期間にある程度の期間が要るということで、現在前向きに取り組んでいるところでございます。
  285. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 大変一生懸命にお答えくださいましたので、恐らくそれは事実として前へ進んで行っている段階ではないかと、私の方はそういうふうに理解しております。  それで大臣、いまの二次修正ですね、これは最初に、こう割れています、それをやります、育ちます、引っ張られます、鼻がおかしくなります、これが二次修正なんです。これでお子さん方が、たとえば幼稚園へ行くとかあるいは小学校へ行くとかということで、子供同士の間にいろいろなことが起きるわけです。それでまた母親も泣かされるわけです。このいま申し上げました、非常にあちらこちらばらついておるということを趣旨徹底していただけますか。そうして健保で取り扱っていただけますね。間違いございませんか。
  286. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 先ほども答弁いたしましたが、保険がすでに適用になっているものも知らない人がおると。ですから、こういうものはいろいろな方法を講じて、まず知ってもらうような努力をいたします。  それから、保険関係機関で、保険でできる部分が現にあるわけですから、それもできないというようなことで断られるというようなことのないよに、これはその方から徹底をいたします。  それからいま、二次矯正その他の問題につきましては、八木保険局長答弁をいたしましたように、いろいろなむずかしいこともございますが、できる限りこれは前向きで検討を続けてまいりたいと存じます。
  287. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 どうもありがとうございました。  いずれまた、小笠原委員とも連絡をいたしまして、この問題は徹底——いまの段階ではそんなに私も希望できるほど即座に進むとは思いませんけれども、大変おくれているようですから、このことに関しましては、ぜひひとつ一歩でも二歩でも、飛んで歩くくらいの早さで——前向きといったって、どのぐらい前向きなのか、私いつも見当つかないのですよ。果たして百メートルを駆けるだけのダッシュが前向きなのか、四十二・一九五キロメートルを二十時間かけて走るような前向きなのか、さっぱり見当つきませんけれども、いまの状態からいって、そう急速にというわけにはいかぬでしょうけれども、ぜひひとつお急ぎになるようにお願いをしておきます。  この間の八十国会の予算委員会のときに、厚生大臣お答え願いましたけれども、リフトバスの件でございますけれども、その後どうにか何か進展がございましょうか、あったらひとつお話し願いたいと思います。
  288. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) 五十三年度の概算要求におきまして、身体障害者の福祉バス——これはリフト付でございますが、それを設置すべく大蔵省に持ち込んでおる段階でございます。
  289. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 それじゃまだそれほどの効果が——お尋ねするのは無理だと思いますけれども、実は十月の一日にオリンピック村の青少年センターへ参りましたところが、新宿福祉の家というのがございます、現在。その新宿福祉の家というのは、実は私どもの先輩で矢田茂さんという方が六年前、四十八年でごさいましたか——四十八年は四年前だからもっと前だ。日比谷の公会堂でたまたま服部良一という作曲家の方の会に参りまして、青年とちょっとぶつかった瞬間に、あの大きな階段を転げ落ちまして、全身打撲で身障者になりまして、それ以後福祉活動に身を捧げているという方なんですが、かつてはダン・ヤダ・ダンサーズのリーダーとして欧米諸国から東南アジアで大変活躍された方なんです。その方が自費でハンディキャブという車——このハンディはハンディキャップのハンディなんです。キャブというのは車の意味なんですけれども、これを一台御自分で買いまして、その中を改造して手押し車が四台乗れるようになりました。このたび、これをいつまでも当局に頼っていたんではどうにもならない、だから自分たちの手で地域運動を起こしていかなきゃいけないというところから、御自分たちで車をつくりまして、いまここにこういうのがございますけれども、後で大臣にお見せしますけれども、この車をつくって、いま全国キャンペーンをやっております。先ほど電話しましたら栃木県の宇都宮にきょう行っております。そして夜は保健福祉会館で映画を見てもらいながら皆様方から御浄財を、カンパをいただきまして、また次の土地へ行くんだそうです。  ところが、残念なことに、これ税金がかかるのですね。身体障害者の方自体が運転をする車にはかからない。ところが、健常者が運転する、しかし利用する人は身体障害者の方が利用する。それでも税金がかかるのですが、これは何とかならぬですかな、これ。これはもちろん運輸省の方の管轄なんですけれども、厚生省の方とお話し合いできないものでしょうかね。
  290. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) ハンディキャブの運動につきましては、私も最近知ったわけでございますが、こういった、何と申しますか、身体障害者が持っております自動車についての税制の問題は、毎年私どもが、税制改正について論議されますときに、厚生省から大蔵省に要望するという形で出してまいってきておるわけでございますが、ただいまお話しになりました健常者が運転をして、そしてその車を利用するのは身体不自由の方だというものにつきましても、一つの例として、家族でそういうものがあるわけでございますので、持ち込んでおることは、これまでも持ち込んでまいったことがあるわけでございますけれども、これがなかなか実現できないというのが現在の状況でございます。
  291. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 ことに、このハンディキャブというこの方たちの感覚というのは、私は、身障者としてはまことにすばらしいと思うのですよ。いままでは当局にのみお願いをしていた。これではわれわれの運動はかえってマイナスだ。自分たちで日本全国をハンディキャブを持って回って歩いて、そして地域ごとにこの車を置いてもらう。皆さんの力でつくってください。それを当局にお任せする。たとえば、リフトバスにしても東京都に九十何台あります。このリフトバスにしても、朝の十時から夕方五時までで、車があってもこれは物の用に立たないのです、夜間は。いま原町田で行っておるこれはやや理想的なんですけれども、これとても日曜祭日は貸し出しましょう、皆さんの方でおやりなさいというサービスの仕方ですね。ですから、このハンディをしょった方々が自分たちで車を利用しようとする段階になったら何も手だてがない。そこで、矢田さんという方がこういうことを考え始めたわけです。そして、いまや各地域ごとに一台ずつハンディキャブを置いて、これをその地域ごとにハンディキャブの運営委員を置いて実行委員を置いて皆さんの会費で運営をする。それでもよくよく足りないときには当局の方に補助金をいただきに上がろう。それまでは歯を食いしばってもやるのだと、こういう趣旨のこれは会なんです。これがいま全国をキャンペーンして歩いているのです。  こういうお話を大臣お聞きになって、大変この間から大臣にはいろいろとこういうことでお世話になっておりますけれども、こういう会に少なくとも多少なりともすぐ援助をしてくれるとか、あるいは援助の手を差し伸べようというようなお気持ちはございますか。
  292. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) いま御質問の中にもございましたように、この運動自身は、行政当局が所有するものではどうしても自由に使うわけにはいかない。執務時間の関係もある。これはこういった自動車を役所で管理いたしますと、どうしても公のものでございますので、管理に一定の限界があるということは御了解いただきたいのでございますが、同時に、このハンディキャブのキャンペーン運動そのものが公の援助を受けないということを前提としてスタートされておるというふうなことでございますので、いまここでこういった方方に御援助するということを申し上げていいのかどうか、ちょっと私、この運動の趣旨に照らしまして若干疑念ないわけじゃございません。
  293. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 私の申し上げているのは、いますぐと申し上げているのじゃなくて、こういった運動をする方たち、こういう方たちに少なくとも少しでも援助申し上げましょうとか、あるいは援助してくださいと即座に反応ができるような体制がとれるものか、とれないものかということです。
  294. 政府委員(上村一君)(上村一)

    政府委員(上村一君) こういった民間の活動に対しまして助成する幾つかの団体があるわけでございます。そういった団体について私どもの方からお話を申し上げるということは、考えられる措置ではなかろうかというふうに存じます。
  295. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 これはまたいずれ、こういう問題に関しましてお尋ねすることもあるかと思います。  先ほどの兎唇、口蓋裂の問題にちょっと戻らせていただいて終わりにさせていただきますけれども、いずれこの問題を取り上げて、たとえばプロジェクトチームを組んで、そしてこういう問題に、先ほど前向きの姿勢というお言葉がございましたけれども、どうなんでしょうか、大きく手を横に広げて各国立でありますとか、そういう関係の医療機関と言いましょうか、あるいは大学の方もそうでございますけれども、そういうところと連携プレイをとって今後こういうものに取り組んでいくというお気持ちはございましょうか。
  296. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 取り組んでまいりたいと存じます。
  297. 下村泰君(下村泰)

    ○下村泰君 ありがとうございました。
  298. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) 渡辺厚生大臣から答弁の補足の申し出があります。渡辺厚生大臣
  299. 国務大臣(渡辺美智雄君)(渡辺美智雄)

    ○国務大臣渡辺美智雄君) 先ほどの小平委員の質問に対しまして、私の答弁中、法制局長官を呼んでいただいて云々の部分につきましては、油症患者から出されている行政不服審査の取り扱いについては、厚生省と内閣法制局と相談をして処理したいというように改めさしていただきます。
  300. 委員長(上田哲君)(上田哲)

    委員長上田哲君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十一分散会      —————・—————