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政府委員(橋本道夫君) 最初からいろいろ
お話しになった中に、私の局の
関係のこと、それから私が保健部長
時代に申したことと
関係のあることがございましたので
——現在の時点の問題は保健部長からお答えしますが、それにつきまして申し上げたいと思います。
まず初めに、NO2を二年か三年のうちにと確かに申しました。あの時点におきまして、NOはもっと本当は有害であろうというぐあいの期待を持っておりました。ですから、先入観的にNO2は大したことはないという考えは全然持っておりませんでした。その理由は、先生の御指摘のあった動物実験のデータを
環境庁は一番重視をしたわけでございます。そういうことで、私は例の六都市五年のデータで最も態度を決するポイントはどこかという議論としては、ばいじんやSOxが下がったときにNO2があの程度にちょっと高まってキープした場合に、果たして有症率上がるか下がるかということが、実はあの
調査で非常に関心を持っておりました。そういうことで、この二月に発表いたしましたのをごらんになりますとおわかりのように、下がっております。あれがもしも同じかむしろ上がる傾向を持ちましたならば非常な議論になったと思います。ですから、それが科学的に新しいデータが出てきてそのようなものがあれば、やはりそれに基づいてできるだけより確かな判断の方向を持つと。
それから、もう一つは、沿道
調査のデザインにしましても、従来のS02やばいじんの汚染の歴史のないところとして選んで、当面のデータは余り使いものになりませんが、四十三号線の横のデータは確かにそれにはまります。で、あれは大体年平均〇・〇二にはまりまして、一日平均値が〇・一何がしが出る場所でございます。そこのところでどれぐらい有症率が出てくるかと思っていましたが、あれでは、まあちょっと悪いがとうてい補償の議論をするに足るだけの確かさと悪さというのはない。確かに悪いことは悪い、だから、対策は打つが、ということでございまして、そこが保健部の補償と私どもの防止をする立場との違いでございます。そういう立場になっておりますので、あのとき言っているのに何をしておるのかという御議論につきましては、現在の時点につきましては保健部長がお答えいたしますが、移行の時点で最も関心を持って立てた仮説がそのような形になっておったということであります。
それから、次の問題といたしまして、千葉の本は私も拝見しております。その問題は、むしろ私どもはNO2の問題で非常にこれは注目をいたしておったわけであります。で、一時間値との
関係がよく出ているデータもございます。ただ、よくよく微細にそのデータを調べていきますと、汚染データの取り方のところにかなりの問題があったという点が実はございまして、一つの手がかりとしては私どもも尊重しております。手がかりとしては尊重しておりますけれども、あのデータを基礎にして、ここに先生も御紹介になっておられますが、その汚染のレベルと有症率のレベルの定量的な解析に余りに大きな信頼を置いて入っていくということには少しわれわれはためらいがあるということでございまして、あれも一つの手がかりではあるが、そこまではまだ断定的にはいけない。ただ、確かさを少し加えてくるのに役に立ったというように考えておるわけでございます。
がんの方の問題につきましては、いま保健部長から話がございましたが、これはやはり統計の問題としまして、人口集団の
患者の数も少のうございますし、また病院が集中しておりますところで起こった問題とか、住居地の補正とかあるいは職業歴の補正とか、いろんなものがやはり入らざるを得ない。そういう点で、これは非常に大事な
資料で、点検をこれからずっと落ちついてしていくということであると思いますが、ただ、すぐこれはもうがんで大変だというところにはいかない。それと動物実験とを結びつけられましたが、動物実験の方は、四十七年の上皮の増殖ということにつきましては、病理学者の間では、これはがんの問題であるかそれとも単なる反応の問題であるかはどちらとも何とも言えないという形でございまして、いままでNO2そのものが動物実験でがんに結びついたというデータはございません。ただ、非常に疑いを持たれておりますのは、ニトロソアミンに変わってきてそして発がん性があるのではないかという議論がございますので、ニトロソアミンの
資料を集めてきております。そういう観点から見てきますと、ニトロソアミンというのは外に出てきますとすぐがたっとこう減ってくるというデータが国際がんセンターのデータで出てきております。そういう点から見まして、研究の課題としては、保健部長の申しましたようにこれは
注意して対応していくということでやってまいりますが、いまNO2の問題をがんの
危険性に結びつけて対応していくということはこれは適切な方向ではないと、やはりがんの研究の、がん統計の中でNO2の汚染との
関係を次第に整理していくことは必要だと思います。
ただ、濃度の議論になりますとたばこの濃度というのははるかに高うございます。数百PPmの瞬間濃度があるわけでございますし、あるいは瞬間湯わかし器にしましても、あるいは開放性の、換気のしないストーブという場合の一時間値あるいは瞬間の高さを議論しますと、その方がはるかに問題がありますから、そこらのファクターをどう分けるのかということが非常に問題になりまして、それがSOとは全然違う問題であります。そこのところが、保健部長が先ほどもちょっと申しましたが、
調査検討の仕方をどういうぐあいにするかというところにかかっているところでございます。先生の御指摘の点は私どもも十分頭に置いて
注意深く入っていくということは私どもも最善の努力をいたしますが、すぐがんの問題に結びつけていくということには無理があるというぐあいに考えておるわけでございます。